<![CDATA[エムタメ!]]> https://mtame.jp/ Mon, 10 Feb 2025 05:47:19 +0900 Tue, 10 Dec 2024 18:41:27 +0900 CMS Blue Monkey http://blogs.law.harvard.edu/tech/rss <![CDATA[BtoB企業が問い合わせを増やす方法とは?Webサイトでできる8つの方法]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/btob-web-marketing BtoB企業が持続的に成長していくためには、売上アップが必要です。
そのためには、問い合わせ件数の増加が重要な課題となってきます。

 

問い合わせのチャネルは、電話からWebサイトにシフトしていますが、多くの企業では、Webサイトを活用したマーケティングが十分に機能していないのが現状です。
特に、中小企業ではデジタル化の遅れやリソース不足が障壁となっています。

 

そこで、この記事では、効果的なSEO対策や問い合わせフォームの改善など、特にBtoB企業に向けて、すぐに実践できる具体的な方法をご紹介します。

 

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BtoB企業がWebサイトからの問い合わせを増やす6つのメリット

BtoB企業にとってWebサイトを活用して問い合わせを増やすことは、単なる顧客接点の拡大にとどまらず、ビジネス全体の成長に大きく寄与します。

 

以下では、その具体的なメリットを6つご紹介します。

1.リード獲得を効率化できる

Webサイトは24時間365日稼働する営業マンのような存在です。
潜在顧客は自分の都合の良い時間に情報収集を行い、興味を持った際に問い合わせフォームから気軽にコンタクトを取ることができます。

 

このフローは、従来の営業活動に比べると、時間とコストを大幅に削減し、効率的なリード獲得を可能にします。
たとえば、展示会への出展は多額の費用と準備期間が必要ですが、Webサイトは一度構築すれば、継続的にリード獲得の機会を提供してくれます。

2.マーケティングコストを削減できる

Webサイトを利用することで、リード獲得のコストを大幅に削減できます。

 

広告費をかけて短期的な効果を狙う方法もありますが、SEO対策やホワイトペーパーの提供など、比較的低コストで継続的な集客が可能な施策を組み合わせることで、費用対効果を最大化できるのです。

3.ターゲティング精度を向上できる

Webサイトへのアクセス状況や問い合わせ内容を分析することで、顧客のニーズや興味関心を深く理解することができます。

 

アクセスしたページ、滞在時間、ダウンロード資料などから、どの製品・サービスに関心を持っているのか、どの程度の検討段階にあるのかを把握し、よりパーソナライズされたアプローチが可能になります。

 

これが、質の高いリードの獲得や、ひいては成約率向上につながります。
たとえば、特定の製品ページへのアクセスが多い場合、その製品に関する詳細な資料をメールで送付するなど、顧客のニーズに合わせた情報提供を行うことができます。

4.ブランドイメージを向上できる

洗練されたデザインや質の高いコンテンツ、スムーズな問い合わせ導線を持つWebサイトは、企業の信頼性や専門性を高め、ブランドイメージ向上に貢献してくれます。

 

顧客はWebサイトを通じて企業の理念や価値観に触れ、企業に対する理解を深めます。
これが競合他社との差別化にもつながり、顧客ロイヤリティの向上も期待できます。

5.データに基づく営業戦略を立案できる

Webサイトからの問い合わせデータは、貴重なマーケティング情報となります。
問い合わせ件数の推移や、問い合わせ内容の分析、成約率との相関関係などを分析することで、効果的な営業戦略の立案が可能になります。

 

たとえば、特定のキーワードで検索してきたユーザーからの問い合わせが多い場合、そのキーワードに関連するコンテンツを強化することで、さらなるリード獲得を目指せます。

6.Webサイトが顧客との関係構築の基盤となる

Webサイトは、単なる問い合わせ窓口としてだけでなく、顧客との関係を育む基盤としても活用できます。

 

リード獲得後も、メール配信やコンテンツ更新を通じて顧客との接触を継続し、信頼関係を築くことが重要で、Webサイトはそのハブとなります。
さらに、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用することで、一人ひとりのニーズに合わせたコミュニケーションが可能になります。

BtoB企業がWebサイトからの問い合わせを増やす8つの方法・施策

では、具体的にWebサイトからの問い合わせを増やす方法を見ていきましょう。

1.ターゲットを明確化し、ペルソナを設定する

まず、BtoB企業が効率的に問い合わせを増やすには、ターゲット層を明確にすることが重要です。顧客の課題やニーズを深く理解し、ペルソナを具体的に設定することで、効果的なマーケティング施策が可能になります。

 

ターゲットを明確化し、ペルソナを設定することで、Webサイト訪問者へ響くメッセージを効果的に伝えられるようになります。漠然とした「誰にでも訴求する」コンテンツではなく、特定のニーズや課題を持つ層に絞り込んだコンテンツを提供することで、共感を生み出し、問い合わせにつながる可能性が高まります。

 

たとえば、人事システムを販売する企業であれば、「30代~40代の人事部長、従業員数100名~500名の企業、課題は採用業務の効率化」といった具体的なペルソナを設定することで、Webサイトコンテンツや広告を最適化できます。

 

ただし、ターゲット明確化とペルソナ設定はあくまで出発点。設定後も定期的な見直しと改善が必要です。市場の変化や顧客ニーズの進化に合わせてペルソナをアップデートすることで、常に最適なメッセージを届け続けることができます。

2.SEO対策を徹底する

SEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)は、BtoB企業の問い合わせを増やすための基本戦略です。
以下の3つのポイントが重要です。

 

  • キーワード選定…業界特有のキーワードを選定し、特に「BtoB」や「問い合わせ増加」に関連するワードを活用します。
  • メタデータの最適化…ページタイトルやメタディスクリプションを適切に設定し、クリック率を向上させます。
  • 内部リンク構造…関連コンテンツを互いにリンクさせ、ユーザーと検索エンジンの利便性を向上させます。

 

これらの施策により、検索結果の上位表示を目指し、より多くの潜在顧客を集客できるでしょう。

3.価値あるコンテンツを提供する

見込み客の信頼を得るためには、役立つ情報を提供するコンテンツが欠かせません。
たとえば、以下のような形式が効果的です。

ブログ記事

定期的な情報発信を通じて、Webサイトへのアクセス数を増やし、潜在顧客との接点を創出します。SEO対策を施すことで、検索エンジンからの流入増加も期待できます。

 

ブログ記事のポイント:

  • ターゲット層が検索するキーワードを調査し、タイトルや本文に自然に組み込む
  • 読者にとって有益な情報を提供し、共感を呼ぶようなコンテンツを作成する
  • 読みやすさに配慮し、適切な見出し、画像、箇条書きなどを活用する
  • コンバージョンにつながるよう、CTAを効果的に配置する
  • SNSで拡散しやすいよう、シェアボタンを設置する

動画コンテンツ

動画コンテンツは視覚的に訴求力が高く、情報をわかりやすく伝えることができます。
製品紹介やデモンストレーション、インタビューなど、多様な表現方法で、幅広いターゲット層へアプローチできます。

 

動画コンテンツのポイント:

  • ターゲット層の興味関心を惹きつけるストーリー性を持たせる
  • 短時間でメッセージを伝えられるよう、簡潔でわかりやすい構成にする
  • SEO対策として、タイトルや説明文、タグなどを最適化する
  • ほかのSNSとの連携で拡散性を高める

ホワイトペーパー

専門的な知識や情報を提供する、比較的、高度なコンテンツです。
特定の課題に対する解決策や業界動向の分析など、読者に価値ある情報の提供と引き換えに、ダウンロードの際に会員登録や、会社名・氏名・メールアドレスといった個人情報を取得することで、リード獲得を目的とします。

 

ホワイトペーパーのポイント:

  • ターゲット層の抱える課題を明確に定義し、それに基づいた具体的な解決策を提示する
  • 信頼性を高めるため、データや統計、専門家の意見などを活用する
  • ダウンロードを促すため、魅力的なタイトルと概要を設定する
  • 問い合わせフォームと連携させることで、リードナーチャリングにつなげる

 

Webサイトからの集客を最大化するためには、ホワイトペーパー、動画コンテンツ、ブログ記事といった多様なコンテンツを、戦略的に組み合わせることが重要です。
それぞれの特性を理解し、ターゲット層に合わせた最適なコンテンツを提供することで、より効果的な集客を実現できるでしょう。

4.CTA(Call To Action)を効果的に配置する

CTA(行動喚起)は、問い合わせを促進する上で欠かせない要素です。
CTAとは、Webサイト上でユーザーに特定の行動を促すためのボタンやリンク、テキストのことを指します。「Call To Action」を直訳すると「行動喚起」となり、まさにユーザーに「何かをしてもらいたい」という目的で設置されます。例えば、「資料請求はこちら」「無料相談へ」「詳細を見る」といったボタンやテキストがCTAにあたります。

 

CTAの重要性は、Webサイトの目的達成に大きく貢献する点にあります。ECサイトであれば購入、コーポレートサイトであれば問い合わせ、メディアサイトであれば記事の購読など、Webサイトにはそれぞれ目的があります。CTAは、ユーザーをその目的達成へと導く重要な役割を担っています。明確なCTAがないと、ユーザーは何をすべきか分からず、サイトから離れてしまう可能性が高くなります。

 

効果的なCTAの設置方法には、いくつかのポイントがあります。
以下の施策を検討しましょう。

 

  • 視覚的に目立つボタンを設置…ページ内に「今すぐお問い合わせ」や「無料相談はこちら」などのボタンを配置する。
  • 具体的なメリットを強調…「3営業日以内に回答します」など、顧客に得られる具体的な価値を提示する。

5.EFOを徹底する

EFO(Entry Form Optimization/エントリーフォーム最適化)とは、問い合わせフォームをユーザーが使いやすいかたちに改善する取り組みです。

 

Webサイトで何かを申し込んだり、会員登録をする際に記入するフォームを見たことがあるかと思います。このフォームを改善することで、驚くほど成約率がアップする可能性があります。それがEFOです。

 

EFOとは、Webサイトの入力フォームを改善し、ユーザーがより簡単かつスムーズに情報を入力できるようにすることで、コンバージョン率(CVR)の向上を目指す施策です。
なお、コンバージョンとは、Webサイトにおける最終的な目標達成のことです。
たとえば、ECサイトであれば商品購入、資料請求サイトであれば資料請求完了、会員登録サイトであれば登録完了などがコンバージョンにあたります。

 

EFOは、ユーザーがフォームで離脱してしまうのを防ぎ、コンバージョンへと導く重要な役割を担います。

 

フォームにおける離脱の原因はさまざまですが、代表的なものとしては、入力項目の多さ、複雑な入力操作、分かりにくいエラーメッセージなどが挙げられます。
EFOでは、これらの問題点を改善することで、ユーザーのストレスを軽減し、フォームの完了率を高めます。

 

以下の方法が効果的です。

 

  • 入力項目を最小限にする…氏名やメールアドレスなど必要最低限の項目のみ要求する。
  • エラーメッセージ…フォーム入力ミスを即座に知らせる。
  • モバイル最適化…スマートフォン利用者向けに操作性を向上させる。

6.Webサイトをモバイル対応させる

モバイル端末からのアクセスは増加傾向にあり、Webサイトがモバイルフレンドリーであることが重要です。Webサイトからの集客において、モバイル対応はもはや必須といえるでしょう。スマートフォン利用者が増加する現代において、モバイル端末での快適な閲覧体験を提供することは、集客成功の鍵を握っています。

 

以下の施策を行いましょう。

レスポンシブデザイン

レスポンシブデザインとは、一つのWebサイトで、PC、タブレット、スマートフォンなど、さまざまな画面サイズに自動的に対応するデザイン手法のことです。

 

レスポンシブデザインの主なメリットは、以下の通りです。

 

  • 開発・管理コストの削減…複数のWebサイトを個別に作成・管理する必要がなく、一つのWebサイトですべてのデバイスに対応できるため、コストを大幅に削減できます。
  • SEOに有利…Googleはレスポンシブデザインを推奨しており、モバイルフレンドリーなWebサイトは検索順位で優遇される傾向があります。
  • ユーザーエクスペリエンスの向上…どのデバイスからアクセスしても最適な表示で閲覧できるため、ユーザーの利便性が向上し、離脱率の低下につながります。

 

レスポンシブデザインを実現する上でのポイントは、画面サイズに応じた適切なレイアウト調整、画像サイズの最適化、タッチ操作への対応などが挙げられます。

高速表示

高速表示とは、Webサイトの表示速度を向上させるための施策です。モバイル端末では、通信環境が不安定な場合もあるため、高速表示は特に重要です。

 

高速表示を実現するメリットは、レスポンシブデザインと同様に、ユーザーエクスペリエンスの向上、離脱率の低下、SEOの向上に繋がります。
加えて、コンバージョン率(CVR)の向上も期待できます。

 

表示速度が速いWebサイトは、ユーザーのストレスを軽減し、購買意欲を高める効果があると考えられています。

 

高速表示を実現するための主な施策としては、以下のようなものがあります。

 

  • 画像の最適化…画像ファイルのサイズを圧縮したり、次世代フォーマットを使用することで、表示速度を向上させることができます。
  • ブラウザキャッシュの活用…Webサイトのデータをブラウザに一時的に保存することで、2回目以降のアクセス時の表示速度を向上させることができます。
  • サーバーの最適化…サーバーのレスポンス速度を向上させることで、Webサイト全体の表示速度を改善することができます。
  • 不要なコードの削除…HTML、CSS、JavaScriptなどのコードを整理し、不要な部分を削除することで、読み込み速度を向上させることができます。
  • AMP(Accelerated Mobile Pages)の導入…AMPとは、Googleが提唱するモバイルページ高速化のための技術です。AMP対応ページは、Googleのキャッシュサーバーに保存され、高速に配信されます。

 

Googleのモバイルファーストインデックスへの対応も必須です。

7.リマーケティング広告を活用する

Webサイトを訪問したものの、問い合わせに至らなかったユーザーを再び引き込むために、リマーケティング広告を活用します。

ターゲティング精度を高める

リマーケティング広告のターゲティング精度を高めるためには、多角的なアプローチが必要です。セグメント分けの深掘り、顧客リストや類似オーディエンスの活用、動的リマーケティング、除外設定などを組み合わせることで、より効果的な広告配信を実現し、コンバージョン率の最大化につなげましょう。

 

そして、常に効果測定と改善を繰り返すことで、更なるパフォーマンス向上を目指していくことが重要です。

カスタマージャーニーを考慮する

リマーケティング広告では、顧客が商品やサービスの購入に至るまでの行動プロセスを理解し、各段階に合わせた広告メッセージを配信することですが大切です。
これを意識することで、顧客の購買意欲を高め、コンバージョンへと導く効果的な広告展開が可能になります。

 

たとえば、認知段階(商品やサービスの存在、そしてそれが解決する課題をユーザーが認識する段階)では、ブランドや商品に対する「興味関心の喚起」を促すメッセージが効果的です。商品の特徴やメリット、解決できる課題などを簡潔に伝え、ユーザーの興味を引きつけましょう。

 

一方、購入決定段階(購入を決断し、具体的な手続きを進める段階)にあるユーザー端末には、「購入の後押し」をするメッセージが効果的です。
たとえば、期間限定の割引キャンペーン情報や送料無料キャンペーンなどを提示し、購入を促しましょう。

8.アクセス解析ツールを活用する

Google Analyticsやヒートマップツールを利用して、Webサイトのパフォーマンスを定量的に分析しましょう。

 

具体的なアクション例は、以下の通りです。

 

  • 離脱率の高いページの改善…内容やデザインを調整。
  • 訪問経路の最適化…トラフィックの流入元を把握し、最適化戦略を実行。

 

データドリブンなアプローチにより、Webサイトの継続的な改善が可能になります。

BtoB企業がWebサイトからの問い合わせを増やす施策を誰が実施するか?

上記のような施策は、幅広く、また細部にわたり、すべてを実施することはなかなか困難です。
優先順位をつけて実施ていきますが、それでもなすべき施策はキリがないと感じるでしょう。

 

では、このような膨大な施策を、誰が担うのか?
現実的に、考えられるのは、「Webサイトを更新できる人を採用する」か「社内の人間を担当者に任命して教育する」か「外部に依頼する」かでしょう。

社内の人間を担当者に任命して教育する

社内に、Webサイトを運用するリソースがなかったり、ノウハウがなかったりする場合に、まず考えられるのが、営業担当者やマーケティング担当者、もしくは管理部門の事務担当などを任命して教育するという方法です。

 

書籍も多数、出回っていますが、独学で学びながら進めるのは難しいため、外部のセミナーなどを活用してスキルを身につけさせることになります。

 

コストは低く抑えられますが、時間がかかる方法です。
また、兼任ではなく専任とする場合は、その人がこれまで行ってきた業務ができなくなるため、人件費が400万円程度かかっているともいえます。

Webサイトを更新できる人を採用する

社外から人材を採用するというものです。
これには、即戦力となる経験者を採用する方法と、未経験者を採用して育成する方法の2つがあります。
ただ、マーケティング人材は不足しており、引く手あまたの状態であるため、採用はかなり困難でしょう。

 

コストも、採用コスト、人件費、教育コストとかかってくるため、3つの方法のうち、最も高いものとなります。
また、一度は採用できても、ミスマッチによる退職などのリスクもあります。

外部に依頼する

最後に、SEO会社やWebコンサルティング会社などにWebサイトの運用を委託するという方法です。

 

業者がすでに蓄積している専門知識を活用できるため、成果が出るまでにかかる時間は、上記2つの方法に比べるとはるかに短く済みます。

 

かかる費用は年間で300万から500万円ほどで、やはり上記2つの方法に比べ、低コストで済みます。
その上、プロが運用するため、期待できる効果はもっとも高いものとなります。

まとめ

BtoB企業が問い合わせを増やすためには、Webサイトを活用した戦略が不可欠です。
この記事でご紹介したそれぞれの施策を組み合わせて実行することで、持続的な成果を得ることが可能です。

 

一方で、社内リソースや専門知識の不足から、これらの取り組みが十分に進まない企業も少なくありません。
その場合には、外部のプロフェッショナルサービスを活用することも検討してみてください。専門家のサポートを受けることで、効率的かつ迅速に成果を上げることが可能です。

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Tue, 10 Dec 2024 18:41:27 +0900
<![CDATA[リードクオリフィケーションとは?基礎知識や手法、成果を上げるためのポイントなどをわかりやすく解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/Lead_qualification リードクオリフィケーションとは、デマンドジェネレーションの一環であり、リードナーチャリングで確度を高めた見込み顧客から、受注につながる可能性の高いリードを選別する作業のことです。

 

優先的にホットリードへアプローチできるため、効率よく営業活動を展開でき、成果につながりやすくなるというメリットがあります。マーケティングにおける必須の施策として、リードクオリフィケーションに取り組む企業が増加しています。

 

本記事では、リードクオリフィケーションについて詳しく解説します。混同されやすい施策である「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」との違いや、手法、効果を高めるためのコツなどを網羅的に解説するので、ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

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リードクオリフィケーションとは

リードクオリフィケーションとは、デマンドジェネレーションの一環であり、リードナーチャリングで確度を高めた見込み顧客から、受注につながる可能性の高いリードを選別する施策を指します。

 

「デマンドジェネレーション」とは、獲得した見込み顧客を育成し、購入確度の高まったタイミングで絞り込みを行うマーケティング活動全般のことです。「リードクオリフィケーション」は最終段階に位置します。

 

リードクオリフィケーションをうまく運用できれば、マーケティング・営業活動における効率化や、売上向上などの効果が期待できます。確度が低い見込み顧客に対して営業アプローチをかけるなどの「不利益な活動を避けられる」という点も大きなメリットです。

 

リードクオリフィケーションをより深く理解するため、デマンドジェネレーションとそれを構成する他のフェーズ「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」について、次章で解説します。

リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーションの違い

デマンドジェネレーションを成り立たせる3つのプロセス「リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーション」について解説します。

デマンドジェネレーションとは

デマンドジェネレーションとは、自社製品を認知してもらい、購買意欲を高めて、商談・成約へとつなげるマーケティング手法です。実施することで見込み顧客の成約率も上がり、成約に繋がりやすい見込み顧客との商談に営業部門も集中できるようになります。

 

デマンドジェネレーションには、見込み顧客を獲得する「リードジェネレーション」、見込み顧客を育成する「リードナーチャリング」、そして確度の高い見込み顧客を抽出する「リードクオリフィケーション」の3つのプロセスが含まれています。

 

それぞれの役割と違いについて解説します。

 

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3つのプロセスの役割と違い

デマンドジェネレーションの最初のプロセスである「リードジェネレーション」は、見込み顧客を獲得することです。展示会やセミナー、Web広告、問い合わせフォームなど、オフラインとオンラインのあらゆるチャネルからリード情報を入手します。

 

次のステップである「リードジェネレーション」は、獲得した見込み顧客を育成し、購買意欲を高めるマーケティング施策です。メール配信やセミナーなどの様々な手法を通して見込み顧客とコミュニケーションを取り、顧客との信頼関係を構築しながら、見込み顧客の検討フェーズを高めていくのが主な役割です。

 

そして、育成した見込み顧客の中から「リードクオリフィケーション」の段階で商談・契約できる可能性の高いリードを選別します。確度の高いリードを絞り込んでホットリードを抽出し、優先的にアプローチすることで営業活動の効率化アップや成果向上につなげます。

 

それぞれのプロセスに異なる役割があり、一連の活動を通して実施することで、ビジネスの成長や企業の成功につながるのです。

 

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リードクオリフィケーションはなぜ必要?

リードクオリフィケーションを適切に行うことで、受注確度の高い顧客を抽出でき、営業活動の効率化や成果の向上などの効果が得られるため、その必要性が高まっています。

 

逆に、リードクオリフィケーションを実施しないと、受注確度が低いリードを営業部門に引き渡すことになり、必要以上に多くの時間や労力、コストを費やすことになってしまいます。多くのリソースをかけたのにも関わらず、成果につながらない可能性も高まります。

 

最低限のリソースで効果的な営業活動を行い、成果を上げていくためにリードクオリフィケーションは必要不可欠です。最終的には営業部門の成果や売上向上も期待できます。

リードクオリフィケーションの手法

では実際にリードクオリフィケーションを進めるにはどうすればいいのでしょうか?具体的な手法について、以下の6つのステップで解説します。

 

①セグメンテーション
②カスタマージャーニーマップの作成
③シナリオ設計
④スコアリング設計
⑤営業部門へホットリードの引き渡し
⑥定期的な分析・改善

 

それぞれのプロセスについて見ていきましょう。

①セグメンテーション

はじめに、条件ごとに見込み顧客のセグメンテーションを行いましょう。リードクオリフィケーションにおけるセグメンテーションとは、ある基準でターゲットをいくつかのグループに区分することを意味し、分類されたグループは「セグメント」と呼ばれます。

 

見込み顧客の所属する企業の事業内容や規模、業態・業種、担当者の役割、興味・関心、検討フェーズなどのデータを活用して区分するのが一般的です。後の工程で各グループに最適な対応ができるよう、ある程度のグループに分類していくのです。

 

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②カスタマージャーニーマップの作成

最初に分類したセグメントごとに、カスタマージャーニーマップを作成しましょう

 

カスタマージャーニーとは、「顧客が購入に至るまでのプロセス」を意味し、それを可視化してマップに示した図を「カスタマージャーニーマップ」といいます。具体的には、顧客がどのように自社の製品やサービスと接点を持ち、どんな強みに関心を持ち、購入にまで至るのか…を実際に定義します。

 

リードクオリフィケーションだけでなく、マーケティング活動におけるあらゆる施策において用いられる必須の取り組みです。

 

見込み顧客の購買プロセスやタッチポイントをマップ化することで、適切なアプローチや施策を講じることができます。

 

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③シナリオ設計

次に、作成したカスタマージャーニーマップに基づいて、セグメントごとにシナリオを設計しましょう。

 

シナリオ設計では、セグメントの行動に合わせて、見込み顧客が今いるフェーズから次のフェーズにステップアップするために、どのようなマーケティング施策を行うべきかを考えていきます。

 

具体的には、「顧客像」「提供するコンテンツ」「アクション」などの項目を検討します。そして「メールを開封した見込み顧客にはセミナー案内を送る」「セミナー案内に参加した顧客にはキャンペーン案内を送る」など、次の検討フェーズに移るためのシナリオを設計します。設定した内容は、関係者とシェアして認識をすり合わせておきましょう。

④スコアリング設計

次に、スコアリングを設計していきます。スコアリングとは、見込み顧客の行動に対して点数をつけ、その点数が基準に達した見込み顧客を「ホットリード」と認定する方法です。

 

たとえば、「フォームから問い合わせを行ったら5点」「展示会・セミナーに参加したら10点」など、行動や属性に応じてスコアを付与します。高得点になるほど見込み顧客の検討度合いが高まり、ホットリードかどうかを判断しやすくなります。確度の高まった顧客を適切なタイミングで営業担当にパスできるため、リードクオリフィケーションの精度も上がります。

 

スコアリング設計は定期的に見直して、継続的に改善することが大切です。よりクオリティの高いリードクオリフィケーションの実施につながります。

⑤営業部門へホットリードの引き渡し

一定のスコアに到達した見込み顧客=ホットリードを、営業担当者に引き渡します

 

営業担当者への引き渡しの際は、パスする連携手段や引き渡しの実施頻度をあらかじめ設定し、関係者で共通の認識を持っておくことが大切です。リードクオリフィケーションの精度を高めるためにも、定期的にホットリードの抽出と引き渡しを行いましょう。

⑥定期的な分析・改善

リードクオリフィケーションは、どのくらいの成果が出ているかを定期的に分析し、問題があれば改善していくことが大切です。ホットリードを営業担当に引き渡して終わりとならないよう、継続的に分析・改善を行いましょう。

 

特に、想定したほどの成果が出ない場合は、シナリオ・スコリング設計を見直し、修正していく必要があります。それでも期待した成果が得られない場合は、最初のステップであるセグメンテーションや、カスタマージャーニーマップの作成まで遡って見直すことをおすすめします。

 

定期的に分析して問題点を洗い出して改善を続けていくことで、より精度の高いリードクオリフィケーションの実施につながり、成果の最大化が見込めます。

リードクオリフィケーションで成果を上げる7つのポイント

リードクオリフィケーションを成功させ、成果を出すために意識すべき4つのポイントを紹介します。

 

セグメンテーションの質を高める

リードクオリフィケーションで成果を上げるには、セグメンテーションの精度を高めることが大切です。そのためには、情報の一元管理や重複するデータの排除など、できる限り正確なデータを利用する必要があります。

 

セグメンテーションの精度を上げれば、カスタマージャーニーマップの作成やスコアリングの設定など、その後の工程の精度も上がり、リードクオリフィケーション全体の底上げに繋がります。

 

また、特にBtoB企業においてはセグメントを行う要素も重要です。見込み顧客の課題を見つける要素として、「属性、業界・業種」などを、見込み顧客の受注角度を測る要素として「CVの種類」などを活用し、セグメントを区分していくと良いでしょう。

最適なシナリオ設計を行う

「見込み顧客の属性や行動に何点を付与するか」ということは、リードクオリフィケーションの精度に大きく影響するため、最適なシナリオ設計を行うことも成果を上げるためには欠かせないポイントです。

 

以下のシナリオ設定を例に解説します。

 

  • 自社のWebサイトへの訪問:5点
  • 商材と関係の薄いコラム記事の閲覧:5点
  • 商材のページの閲覧:10点
  • 問い合わせや資料ダウンロード:20点

 

上記の設定の場合、「自社のWebサイトへの訪問・商材と関係の薄いコラム記事の閲覧・商材のページの閲覧」の3つを行った人のスコアは、合計で20点です。一方、「問い合わせや資料ダウンロード」を行った人も同様にスコアが20点となります。

 

同じスコアではありますが、問い合わせや資料ダウンロードを行った見込み顧客の方が優先度が高く、アプローチによる成功率も高まります。属性よりも行動を重視し、購買意欲を判別できるシナリオを設計することが大切です。

MAツールを活用する

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化するツールのことです。リードクオリフィケーションにMAツールを活用することで、精度の高いリードクオリフィケーションを実現し、成功へと近づけることが可能です。

 

たとえば、Web上での見込み顧客の行動解析やトラッキング、メルマガ配信の効果測定など、リードクオリフィケーションのスコアリングに必要な情報を効率的に収集することが可能です。営業部門でも活用できるデータの抽出などもスムーズに行えます。

 

業務効率化を実現することで、リードクオリフィケーションにおいて重要な部門間の連携やコミュニケーションに、より多くの時間を割けるようにもなります。

 

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部門間での情報共有とコミュニケーション

他部門とスムーズに連携が取れるかが、リードクオリフィケーションの精度を大きく左右します。基本的にはマーケティング部門と営業部門間のやりとりが最も密になる傾向にありますが、シナリオ設計によっては、開発部門やコンテンツの管理部門など、複数の部門が関わる場合があります。

 

全ての部門が同じミッションや目標を目指しているわけではないので、情報共有とコミュニケーションをしっかりと行い、認識をよく擦り合わせて、部門間での方向性を揃えることが非常に重要です。スムーズなやりとりを行うには、MAツールの活用も有効です。

案件のフィードバックを行う

部門間での密なコミュニケーションには、「引き継ぎが適切に行われていたかどうか」という案件のフィードバックも含まれます。これはとても重要な業務です。

 

引き継いだホットリードが、「最終的に自社商材を購入したのか」「パスするタイミングは最適だったか」などをフィードバックすることで、互いの認識をすり合わせ、改善点があれば今後に活かしていくことができます

 

日々の業務に追われてフィードバックを行わないと、課題があっても気づけず、シナリオ設計やスコアリングに問題があるまま運用してしまうことになります。そうすると、期待した成果が得られません。リードクオリフィケーションの定着化を阻む原因にもなりえるので、必ずフィードバックを行うようにしましょう。

常にPDCAを回す

PDCAとは、「Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)」の頭文字を取ったフレームワークです。PDCAを常に回していくことで、カスタマージャーニーマップやシナリオ設計のクオリティは高まります

 

各工程で設定したものは、一度設定したらそのまま利用できるものではなく、実行後に効果測定を行って課題を洗い出し、改善を続ける必要があります。そうすることでリードクオリフィケーションの精度の継続的な向上につながり、最終的には成果の最大化も見込めます。

決定事項に漏れがないか確認する

特にいくつもの部門や関係者が関わる場合、決定事項に漏れがないかを必ず確認しましょう

 

具体的には、「ホットリードを引き渡す担当者」や「引き継いだ見込み顧客のフォロー内容」などの項目が設定されていなかったり、マニュアル化されていなかったりするケースがあります。

 

決定事項に漏れがあるとスムーズに運用できず、成果の獲得にもつながりにくい可能性があるので、運用前にしっかりと確認し、運用後に未決定事項に気づいた場合はすぐに設定するよう取り組むことが大切です。

まとめ

本記事では、リードクオリフィケーションについて詳しく解説しました。

 

リードクオリフィケーションの実施は、営業活動の効率化や成約率アップなど、企業の売上に直結する重要なマーケティングの施策の一つです。社内のリソースや、無駄な労力の削減にもつながるので、社内全体に好影響を及ぼします。

 

リードクオリフィケーションの運用で困ったことがあったら、MAツール導入の検討や、MAツールを提供する企業へ相談することも一つの手です。現在では、無料から利用できるMAツールや、手厚いサポート制度を提供する企業も増えているので、迷っている方はまずは気軽に相談してみることをおすすめします。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 04 Jul 2024 16:00:00 +0900
<![CDATA[UXとは?UIとの違いや重要性、事例、改善方法までわかりやすく解説!]]> https://mtame.jp/design/ux UXとは、「製品やサービスを通じて得られる体験」を意味する言葉です。より良いUXは、顧客満足度向上、リピーター獲得、サービスの継続率向上などにつながる、企業を発展させるための大切な要素だと考えられています。実際に近年、目覚ましい成長を遂げる企業の多くが優れたUXを提供しています。

 

本記事では、UXの基本的な知識のほか、UI・ユーザビリティ・CXとの違い、参考になる事例、UXの改善方法まで、詳しくご紹介します。

 

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UXとは何か

UXとは、ユーザーがサービスや製品を通じて得られる「体験・経験」を意味する言葉です。「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称で、日本語では「ユーザー体験」「ユーザー経験」と訳されます。

 

UXが指す「体験・経験」には、製品やサービスの利用前、利用中、利用後までの全ての期間が含まれます。例えば、「読みやすいWebサイト」「統一感のあるWebデザイン」「直感的に操作できる使いやすさ」「利用後に得られる心地よさ」などがUXに含まれます。

 

UXとUIの違い

UXとUIの違いの図

 

UIとは、「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略称で、ユーザーと製品やサービスの「接点」を意味する言葉です。Webサイトの場合、ユーザーが閲覧した際に目に入る文字のフォントやサイトデザイン、画像、色などの要素がUIになります。

 

UIはUXの一部です。例えば、Webサイトで「ほしい情報にすぐ辿りつける、ストレスのない体験(UX)」を提供するためには、「読みやすいフォントや配色」「迷いにくいボタンの配置・レイアウト」などの、優れたUIが必要になります。つまり「良いUXには良いUIが必要」といえます。

 

ただし、良いUIだから良いUXとは限らず、両者はイコールで結ばれる関係ではありません。読みやすく使いやすいデザインであっても、ユーザーが求めるものでなければ良いUXを提供できているとは言えません。

UXとユーザビリティの違い

UXとユーザビリティの違いの図

 

ユーザビリティ(Usability)は、UXに影響を与える要素のひとつです。日本語に訳すと「使いやすさ」「使い勝手」になりますが、ビジネスで使われるユーザビリティにはもっと複雑な意味が含まれます。

 

代表的なユーザビリティの定義として、国際規格の「ISO 9241-11」が挙げられます。

 


 

ISO 9241-11
extent to which a system, product or service can be used by specified users to achieve specified goals with effectiveness, efficiency and satisfaction in a specified context of use
引用:ISO 9241-11:2018

 


 

(日本語訳:システム、製品、サービスを特定のユーザーが使用し、特定の使用状況において、効果、効率、満足感をもって特定の目標を達成できる度合い)

 

簡単にいうと、ユーザビリティとは、特定のユーザーが、特定の状況下で、システム・製品・サービスを使って「やりたいことを達成できているか」「無駄な負担を感じず、効率良く、効果的に使えているか」「使用しての満足度」を表している言葉です。

 

ユーザビリティとUXの大きな違いとして、ユーザビリティは「製品やサービスの利用時」という限定的なものに対し、UXは「利用前」「利用中」「利用後」の全ての期間を対象としてる点が挙げられます。またUXは、使ってどう感じたのか、どんな気持ちになったのかという「感情」にフォーカスしているのも特徴です。

UXとCXの違い

UXとCXの違いの図

 

CXとは、「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略称で、日本語では「顧客体験」「顧客体験価値」と訳されます。ここで使われる「体験」には、製品やサービスを知り、購入に至るまでの過程や、使用したときの体験、アフターフォローなど、全ての体験が含まれます。

 

UXと似ていますが、CXの方がUXよりも広い範囲をカバーします。具体的には、以下のような違いがあります。

 

  UX CX
範囲 製品やサービスにふれることで発生する「体験」 製品やサービス以外の、物流、販売、アフターフォローなど全てを通してつくられる「体験」
部門 製品開発チーム(販売や開発、エンジニア、デザイナーなど)限定的 物流、販売、開発、デザイナー、マーケティング、カスタマーセンターなど幅広い
対象 製品やサービスを使用するユーザー、顧客(主に取引がある顧客) 企業にとっての顧客(取引をしていない顧客も含まれる)

 

UXは「製品やサービスを通じて得られるもの」であり、CXは「購買プロセス全体を通じて得られるもの」という点が異なります。

UXの重要性

市場競争で生き残るには、優れたUXを提供することが求められています。その理由として挙げられるのが、市場の変化です。

 

現代の市場は類似した製品があふれており、「良いもの」「良い機能」だけでは消費者の心を掴むことが難しくなりました。さらに消費者のニーズは、コト消費やトキ消費、エモ消費などの感情・体験を重視した購買活動へとシフトしています。モノ以外の、副次的な存在を重視し始めた現代において、「体験」は選ばれるための大きな要素となりました。

 

またUXは、顧客満足度に大きな影響を与えます。優れたUXは顧客満足度を高め、リピート率や口コミを増加させることが可能です。逆に、悪いUXは顧客の離脱や不満を引き起こし、ビジネスに悪影響を与えます。利益の増加を目指すなら、UXは避けては通れない要素です。

UXの要素

UXの構成要素を、「UXの期間モデル」「UXハニカム」「UXの5段階モデル」から紹介します。

UXの期間モデル

製品やサービスを使っていくうちに感情が変化していくことから、UXには時間の概念があると考えられています。2010年、ドイツで開催されたUXに関するセミナーの資料(UX白書)の中では、UXは「利用前」「利用中」「利用後」「利用全体」の4種類に分けられ説明されています。

 

利用前:「予期的UX」利用したときをイメージする体験
利用中:「一時的UX」実際に利用しているときの体験
利用後:「エピソード的UX」利用した経験を振り返る体験
利用時全体:「累積的UX」利用期間全体を振り返る体験

 

このように、UXはいくつかの期間に分けられます。

UXハニカム

「UXハニカム」とは、UXを構成する7つの要素を表すフレームワークです。2004年、情報アーキテクチャ論の先駆者であるピーター・モービル氏が提唱しました。

 

UXハニカムの図

  

「UXハニカム」はUXについて、役に立つ(Useful)、使いやすい(Usable)、好ましい(Desirable)、見つけやすい(Findable)、アクセスしやすい(Accessible)、信頼できる(Credible)の6つの要素を満たすことで、「価値がある(Valuable)」体験を提供できるとしています。

UXの5段階モデル

「UXの5段階モデル」は、アメリカのデザイナー、ジェシー・ジェームズ・ギャレット氏が著書『Elements of User Experience』にて提唱したUXの概念図です。これを見ると、UXは表層ではなく、戦略から構成されていくものだということが分かります。

 

UXの5段階モデルの図

 

「UXの5段階モデル」ではUXデザインのプロセスは、戦略(Strategy)、要件(Scope)、構造(Structure)、骨格(Skeleton)、表層(Surface)の5つの要素で構成されており、これらの段階を下(抽象)から順に進めることで、ユーザーのニーズにあったプロダクトを効率的に作成できるとしています。

参考になるUXの事例

優れたUXとして評価されている事例を紹介します。

LINE

LINEのサイト

 

LINEはひとつの画面だけでやり取りができるシンプルさと、老若男女問わず操作ができる操作性の良さ、スタンプで気軽に気分を表現できる機能など、工夫を凝らしたUXを提供し、日本で爆発的にユーザーを増やしたサービスです。

 

豊富なスタンプ機能で自分らしさを表現でき、言語に頼らず会話ができたり、まるで会話をしているかのようにレスポンス良くやり取りができたりと、オンラインでのコミュニケーションを気軽な体験に変えました。電話番号を使わない音声通話、ビデオ通話を無料で提供し、コミュニケーションツールの可能性を広げています。

Google

Google

 

Googleの検索エンジンはシンプルで、優れたUXを提供しています。検索画面は無駄をそぎ落したシンプルなデザイン。言語が異なる人でも、テキスト検索、音声検索、画像検索でどれを押せば良いのかが直感的にわかります。

 

検索結果画面はGoogle独自のアルゴリズムにより、ユーザーの課題解決につながるコンテンツが上位表示され、「関連する質問」でサイトリンクをクリックせずとも疑問を解決できるような仕掛けが施されています。また、「関連性の高い検索」では同様の疑問を持つユーザーが検索した他のキーワードを表示させて、検索体験を拡大させています。

 

シンプルでミニマルなデザイン・機能ですが、画像、動画を一覧表示できたり、期間で結果を絞り込んだりできるカスタマイズ機能があるのも特徴です。ユーザビリティやUIを考え、より良いUXを提供しています。

Netflix

NETFLIXのサイト

Netflixは、動画の視聴体験を没入感のあるものに変えています。例えば、スクロールすると静止画ではなく動画が流れ、文章では伝わらないイメージが数秒で感じられるようになっています。また動画を視聴したら、次のエピソードに自動で移動したり、類似動画を表示させたり、役者名の表示や興味関心にあわせたコンテンツを表示させたりして、快適に視聴できるように手助けしています。

 

シンプルなインターフェースは一見、動画コンテンツが一覧表示されているだけに見えますが、重要な要素だけを残して余分な要素をそぎ落とした、複雑な思考によりつくられたものだと分かります。視聴履歴、ジャンル、視聴の時間帯や視聴するデバイス、類似ユーザーの好みなど様々な要素を学習して、パーソナライズされているのも特徴です。利用すればするほど、自分好みのコンテンツに包まれて、夢中になれるように設計されています。

Spotify

Spotifyのサイト

 

Spotifyは、ダークトーンで統一された落ち着いたインターフェースで、パーソナライズされた音楽体験を提供しています。ホーム画面は文章よりもアートワークが目に入るように設計されており、画像の雰囲気を参考にして再生するかどうかを検討できます。雨の日や夜、朝など「ムード」により音楽が選択できるのも特徴です。好みの音楽を聞くだけでなく、「生活に音楽を溶け込ませる」ような体験を提供しています。

UXの改善方法

より良いUXは、「人」を中心に設計しています。ユーザーのことを理解して、ユーザーにとって使いやすいものを追及することが重要です。改善方法で悩んだら、「UXの要素」で紹介した「UXの期間モデル」「UXハニカム」「UXの5段階モデル」も参考にしてみてください。

①ユーザー情報の調査

ユーザーがどのようにして製品やサービスにたどり着いているのか、利用状況、製品・サービスにどのような感情・要求を抱いているのかを調査します。ユーザーにアンケートをとり、どのような課題を抱えているのかを調査するのも良いでしょう。「なぜ」ではなく「どのように」などの質問を加えると、ユーザーの体験を引き出しやすくなります。

②分析する

調査により判明した情報をもとに、どのようにプロダクトを改善すれば良いかを分析します。ここでは主に、カスタマージャーニーマップやペルソナを利用して分析を進めます。

 

ユーザーがどのように製品に出会い、どのように検討して購入に至り、リピートするのか、といった体験(行動、思考、感情)を時間軸に沿って整理して可視化させることで、顧客理解が深まり、どのプロセスのユーザー体験を改善すれば良いのか考えられるようになります。

③設計する

分析により改善案を導き出したら、プロダクトに落とし込むための設計を考えます。仮説を参考に、試作品となる「プロトタイプ」を作成して反応を見ながら、より良いUXになるように変化させます。

④評価・改善する

ユーザビリティテストなどを行い、導き出した改善策がユーザーの要求を満たしているかを検証して評価・改善していきます。良い評価が得られない場合は、①の調査に戻り、改めて分析を行います。

 

時間をかけて大幅な修正を施しても改善するとは限りません。細かく改善をしてテストを繰り返し、スピーディにPDCAを回していくことをおすすめします。

UX改善のポイント

UXを改善する際に意識したいことを紹介します。

目的を明確にする

「新規ユーザーを増やしたい」場合と、「リピーターを増やしたい」場合では、施策の方向性が変わります。UXを改善する際は、実現したいことを明確にしてから取り組みましょう。

ユーザー視点で体験してみる

ユーザー視点に立って、実際に製品・サービスを使ってみることも大切です。使いやすさや、問題が起こったときにストレスなくQ&Aに辿り付けるか、商品説明書の見やすさのほか、ターゲット別(女性、男性、子ども、老人など)で使いやすいかなど、様々なパターンを想定しつつ体験してみましょう。

まとめ

優れたUXとは、「役に立つ」「使いやすい」「好ましい」「見つけやすい」「アクセスしやすい」「信頼できる」の6つの要素をバランス良く提供し、ユーザーに価値のある体験を提供している製品・サービスといえます。本記事でまとめた事例では、シンプルで無駄をそぎ落としながら、利便性の高いサービスを提供しているものが多く見られました。最低限の情報で、価値のある体験を提供できる製品・サービスがユーザーに好まれていることが分かります。UXの改善を考えるなら、ぜひこれらの要素も検討してみてください。

 


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Thu, 16 May 2024 15:00:00 +0900
<![CDATA[デマンドジェネレーションとは?BtoBマーケティングに欠かせない3つのプロセスを解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/demand-generation デマンドジェネレーションとは、自社製品を認知してもらい、購買意欲を高めて、商談・成約へとつなげるマーケティング手法のことです。近年、BtoB企業において、質の高い見込み顧客を獲得するために、欠かせない施策となっています。

 

デマンドジェネレーションは、単なるリードの獲得ではなく、深い顧客関係の構築を目指すプロセスです。従来のプッシュ型営業とは異なり、顧客のニーズに合わせた情報を提供するプル型の営業で、顧客自身が自社製品を必要だ、と感じてくれるよう導いていきます。

 

本記事では、デマンドジェネレーションの必要性や3つのプロセスに焦点を当て、その重要性と実践方法を解説していきます。デマンドジェネレーションの基礎知識として、ぜひ参考にしてみてください。

 

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デマンドジェネレーションとは?

デマンドジェネレーションとは、見込み顧客を獲得し、接点を持ちながら購買意欲を高めて商談化へとつなげていくプロセスです。
具体的には、見込み顧客を獲得する「リードジェネレーション」、見込み顧客を育成する「リードナーチャリング」、見込み顧客を絞り込む「リードクオリフィケーション」の3つのプロセスのことをいいます。顧客の購買行動が変化し、ニーズが多様化する中で、デマンドジェネレーションが重要視されるようになっています。

 

デマンドジェネレーション

BtoB特有の購買行動

デマンドジェネレーションは、BtoBならではの特徴に適したマーケティング手法です。

即購入にはつながらない

BtoBは、見込み顧客を獲得してもすぐ購入にはつながりません。契約に結びつく「今すぐ客」はごくわずかで、ほとんどが「まだまだ」「そのうち」「おなやみ」といった、検討中や情報収集のフェーズにいる顧客ばかりです。見込み顧客をそのまま営業に渡しても、購入までには時間がかかるため、放置されてしまう可能性があります。

 

BtoB特有の購買行動

購入意思決定は組織で行う

BtoB製品は単価が高いため、窓口担当者が購入を決めるわけではなく、使用者や最終決定者など意思決定者が複数人いることがほとんどです。

 

商談で直接交渉した相手のリアクションがよくても、検討が中断したり、再開したり、購買プロセスは何度も繰り返されます。複数の部門が検討することもあるので、結論が出るまでには時間がかかります。決定者が複数人いることを念頭に置いて、それぞれのニーズを高める努力をしましょう。

なぜデマンドジェネレーションが必要なのか

デマンドジェネレーションが必要な理由は、営業スタイルの移行やニーズの多様化など、現代ビジネスの変化が関係しています。

 

かつて営業は、テレアポや飛び込み営業など「プッシュ型」が主流でした。しかし、インターネットが普及し、ユーザーが自ら情報収集するようになったことで、企業では製品情報を提供しながらコミュニケーションを行う「プル型」の営業へと移行しつつあります。

 

ユーザーは、事前に製品を比較しているため、検討の段階ではすでに候補を絞っています。そのため、検討前から製品を認知してもらう必要があるのです。

 

また、モノがあふれる現代では、市場はすでに飽和状態にあり、企業は他社との差別化が重要になっています。多様化するニーズに応えるためにも、顧客の課題に焦点を当て、解決策を提供することが求められています。自社の課題を解決してくれる企業に対して、ユーザーは信頼感を抱き、商品・サービスを購入したいと思うようになります。

 

このように、デマンドジェネレーションは単なるビジネス成長の手段ではなく、持続可能な顧客関係を構築し、企業の成功を支える土台となる重要な要素となっているのです。

デマンドジェネレーションの3つのプロセス・具体的な手法

先ほどお伝えしたとおり、デマンドジェネレーションは、以下の3つのプロセスから成り立っています。

 

①リードジェネレーション
②リードナーチャリング
③リードクオリフィケーション

 

ここからは、具体的な施策と合わせて解説していきます。

リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)

リードジェネレーションは、見込み顧客を獲得することです。デマンドジェネレーションにおける最初の重要なプロセスで、自社サイトのお問い合わせフォームや展示会などでリード情報を入手します。

 

十分にリードが獲得できなければ、その後のプロセスもうまく進みません。自社商品・サービスを認知していない潜在層から、いかに関心のある見込み顧客を獲得するのか、ターゲットに合わせた施策を実施することが重要です。

 

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代表的な手法

Webコンテンツ

オウンドメディアにブログやコラム、事例紹介などを掲載し、ターゲットに価値ある情報を届けることでファンになってもらい、最終的なコンバージョンを目指します。

 

Webコンテンツの中でも、圧倒的に多いのがブログ記事や知識系・ノウハウ系の記事です。自社に蓄積している技術情報を解説したり、新製品やスタッフ紹介など企業情報を掲載したり、社内で制作しやすいコンテンツからスタートできます。

 

お役立ち資料などを提供するホワイトペーパーを作成して、Web上で公開するのも人気の施策です。製品資料やアンケート結果など、すでに社内で作成した情報を活用すれば、手軽にコンテンツ化できます。事実にもとづいたデータのため、ユーザーからの信頼度も高く、ブログと違って一度に密度の高い情報を提供できる点がメリットです。

 

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Web広告

自社のコーポレートサイトやサービスサイトに訪れてもらうため、ターゲット層に向けたWeb広告を出稿して、流入数を増やす手法です。

 

流入数を向上させるため、SEOに取り組む企業も多いですが、成果が出るまでには時間がかかり、確実に増やせるわけでもありません。そのため、短期間でアクセスが増やせるWeb広告を併用する企業が増えています。

 

GoogleやYahoo! JAPANといった大手サイトへの「バナー広告」や、検索キーワードに関連した広告を掲載する「リスティング広告」が主流ですが、最近ではInstagramやXなどSNS広告の人気も高まっています。

 

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ウェビナー

ウェビナーとは、「Web+セミナー」の造語で、セミナーをWeb上で行うことです。新型コロナの拡大で2020年以降急速に普及し、いまではリアルで開催するセミナーよりも、手軽なウェビナーを行う企業が増えています。

 

オンラインセミナーとも呼ばれるウェビナーは、事前に録画した動画を流すタイプと、閲覧者からの質問に回答しながらリアルタイムで映像を流すタイプがあります。
定員が決まっている来場型のセミナーとは異なり、主催者側は会場を用意しなくても多くのユーザーに参加してもらうことができ、参加者側も会場まで移動する時間と費用を抑えられます。

 

録画タイプであれば、何度でも繰り返し視聴したり、都合のよい時間にコマ切れで利用したり、柔軟性の高い活用が可能です。

展示会

自社の製品・サービスに関連のある展示会にブースを設けて出展する方法です。ノベルティを配布して引き換えに名刺を交換したり、ブースに立ち寄ってくれた方に声掛けをしたりしてリード情報を集めます。来場者数の多い展示会では、たくさんの見込み顧客を獲得できますが、その分、確度の薄いリードも多く含まれるため、展示会後のナーチャリング活動やアプローチがとても重要になります。

 

多くのリードを獲得するには事前準備も大切です。参加目的を明確にして、コンセプト作りやブースデザインの作成など、しっかりとした準備を進めましょう。

 

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リードナーチャリング(見込み顧客の育成)

リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客を育成し、購買意欲を高めて商談・受注へとつなげるマーケティング活動のことです。
メール配信やセミナー、SNSなどの手法で有益な情報を提供することで、ユーザーの購買プロセスを進めます。新規顧客だけでなく、既存顧客と継続的な接点をもち、アップセル・クロスセルへとつなげるケースも含まれます。

 

リードナーチャリングを行う際は、ターゲットを明確にすることが重要です。誰に向けてナーチャリングを行うのか、架空のユーザー像として「ペルソナ」を設定しましょう。

 

ペルソナ作成は、名前や年齢、性別、居住地、職種、趣味などを決めて、具体的なターゲット像を設定します。さらに、どのように自社製品を認知し、購入に至るのかを可視化する「カスタマージャーニーマップ」を作成すれば、購買までの流れがイメージしやすくなり、有効的な施策が打ち出せるでしょう。

 

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代表的な手法

SNS

FacebookやInstagram、XなどSNSで企業アカウントを取得して、定期的に情報発信する方法です。SNSで情報収集するユーザーが増えている現代では、欠かせない手法となっています。

 

オウンドメディアの新着記事や新製品の情報をSNSに投稿すれば、スムーズに自社サイトへと誘導することができます。「いいね」やフォロー、コメントなどの機能を利用して、リードとコミュニケーションできるので、距離感が縮まりやすい点もメリットです。

 

ユーザーは投稿内容が気に入れば、ほかのユーザーにシェアしてくれるので、拡散による宣伝効果も期待できます。

メルマガ

メルマガ配信は、見込み顧客の興味関心や行動履歴に合わせて、有益な情報を配信することで、代表的なリードナーチャリングの手法です。リードナーチャリングにおけるメルマガとしてよく活用されるのは、「ステップメール」と「セグメントメール」です。

 

ステップメールは、ストーリー性のある複数のメールを一定のスケジュールに沿って順番に送信することです。たとえば、問い合わせをしてくれた見込み顧客に対して「お礼メール」を送り、段階を踏みながら「製品情報」「活用方法」を配信して、効率よく商談へとつなげます。

 

そしてセグメントメールとは、リードを特定の条件で分類してメールを送る手法です。「セミナーを申し込んだ」「資料をダウンロードした」など、リードのリアクションに合わせて関連する情報をメールで届けます。

 

どちらもメールの頻度や配信のタイミングにルールはなく、企業側が自由に決められます。ユーザーの行動にもとづいて配信し、顧客が必要なときに必要な情報を提供できるようにしましょう。

 

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リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、一度Webサイトへ訪れたユーザーに向けて配信するWeb広告です。アクセスしてくれたユーザーにアプローチするため、自社製品に興味関心を抱いている可能性が高く、接点のないユーザーよりも高い成果が期待できます。

 

検討のためにサイトを離脱したユーザーも、リターゲティング広告を配信することで、自社製品を思い出すきっかけを作り、購入が促せます。

 

リターゲティング広告

 

自社サイトを訪れたことのない、無関心ユーザーには広告が配信されないため、費用対効果が高いといったメリットがあります。一方で、繰り返し広告を表示させると嫌悪感を抱かれてしまう可能性もあります。広告を配信する頻度や期間を決めるなど、マイナスの印象にならないような事前の設定が必要です。

 

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インサイドセールス

インサイドセールスとは、見込み顧客に対して、電話やメールを活用しながら非対面で営業活動を行う施策です。テレアポのようにアポイントを取るのではなく、見込み顧客とコミュニケーションを取り続けて、関係を構築することが大きな役割になります。

 

営業とマーケティング部門の両方の役割を担い、展示会で獲得した名刺や休眠顧客など、いままで営業が注力できていなかったリードの検討促進を実現します。

 

インサイドセールスが送る1to1メールも顧客育成に有効です。顧客1人ひとりのニーズに合ったメールを送れるので、電話では伝えきれなかった情報の補足や、セミナーやホワイトペーパーの案内なども記載できます。展示会で名刺交換をしたリードに、後日インサイドセールスからフォローメールとして、製品の資料などを送るのも、興味関心を深めるのに効果的です。

 

自分用にカスタマイズされたメールは、一斉メールよりも読んでもらえる可能性が高く、開封率やクリック率の向上も期待できるでしょう。

 

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リードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込み)

リードクオリフィケーションとは、育成した見込み顧客の中から、商談・契約できる可能性の高いリードを選ぶことです。従来の営業活動は、すべての見込み顧客に同じアプローチをしていましたが、リードの購買意欲には、ばらつきがあるため非効率になっていました。その課題を解決するために、確度の高いリードを絞り込むリードクオリフィケーションに注目が集まり、ホットリードを優先的にアプローチするようになりました。

 

リードクオリフィケーションを行うことで、効率アップはもちろん、成果につながらない商談を減らし、時間もコストも削減できます。

 

代表的な施策

スコアリング

スコアリングは、リードの行動や興味関心の度合いに応じてスコアを付加する手法です。
「資料請求ページにアクセスしたら2点」「料金表を閲覧したら3点」というように、点数が高いほど、購入意欲が高いといえます。スコアが一定の基準を満たしたホットリードを抽出して営業に渡すことで、効率よく契約へ進み、生産性の向上が期待できます。

 

リードをスコアごとに分類すれば、ニーズに合わせたアプローチが可能です。点数の低い見込み顧客は、メールやセミナーなどを通じて検討度合いを引き上げるなど、購入ステータスに適した施策が打ち出せます。

アプローチの基準を設定

どのくらいのスコアになったら営業に引き渡すのか、スコアリングにおけるアプローチの基準を明確にすることも重要です。

 

アプローチ基準は、以下の2つから判断します。

 

  • 属性…企業規模や業種、役職など
  • 行動…「ウェビナーを視聴した」「ホワイトペーパーをダウンロードした」といった興味関心を示す行動

 

属性のスコアは、意思決定権をもつ役職や、ターゲットに近い業種ほど高い点数にします。自社が求める属性を高得点に設定しておけば、数字を見るだけで優先度が判断できます。

 

「期間内に〇点以上を獲得した」「行動が〇点・属性が〇点以上を超えた」など事前にアプローチ基準を決めて、数値を超えたら抽出しましょう。
基準は、「属性」よりも興味関心がわかる「行動」の割合を多くするのがポイントです。いくら属性がターゲットに近くても、興味がなければ受注にはつながりません。

 

ただし、これらの基準を設定するのは難しいことです。業種や扱う製品によっても異なります。スコアリングを行いながら基準を見直し続けて、自社に最適な数値を探しましょう。

デマンドジェネレーションを成功させるポイント

デマンドジェネレーションを成功させるには、いくつかのポイントがあります。ここでは、4つのカテゴリーにわけて解説します。

中長期的な計画を立てる

先述したとおり、BtoB製品の購入プロセスは中長期的で、すぐに案件化する顧客はわずかです。しかし、アメリカのアドバイザリー会社であるシリウスディシジョンの有名な調査では、「営業フォローをせずに放置したリードのうち、約80%が2年以内に競合から購入・契約している」という結果が出ています。

 

即成果につながらないからといって、そのままにしておくと顧客は他社に奪われてしまいます。競合と差別化を図るためにも、必要なタイミングで自社を思い出してもらえるよう、接点を持ち続けることが重要です。

 

その際に必要なのが、「シナリオ設計」です。シナリオ設計は、ターゲットが自社製品を認知してから購入するまでのプロセスを設計することです。

 

たとえば、自社サイトで資料をダウンロードしてくれたユーザーに対して、「お礼メール→製品の紹介→成功事例」の順番で段階ごとにメールを配信するというように、具体的な行動を明確にします。ニーズに合わせたシナリオ作成ができれば、高い成果を得られるでしょう。

購入検討前から接点をもつ

顧客自ら情報収集するようになり、営業が接点をもつ段階では、すでに購入候補が決まっています。そのため、まずは購入先の候補として認識してもらわなければなりません。他社との競争が激化している中、製品を購入してもらうには、早い段階で接点を持つことが重要です。

 

たとえば、よくある課題について解決策をコラムで紹介すれば、役立つ情報を提供する会社として認知してもらえます。信頼できる企業として、商品購入時に思い出してもらえる可能性が高まるでしょう。

リードリサイクルを追客する

営業にホットリードを渡しても、すべてが受注につながるわけではありません。アプローチがうまくいかずに失注した案件は、リードリサイクルとして、再度ナーチャリングをして商談化へつなげましょう。

 

BtoC企業と比べると、BtoBはターゲット数が限られています。時間とコストをかけて新規顧客を開拓するよりも、失注や休眠顧客を掘り起こした方が効率よく、商談化する可能性も高まります。

 

リサイクルを成功させるには、失注理由や過去のやりとりを分析することが大事です。契約まで辿り着かなかったのは、導入時期が合わなかっただけかもしれません。商談回数、ニーズや決算月など情報を整理して、成約へつながるヒントがないかを分析しましょう。

MAツール導入で効率化

デマンドジェネレーションを実施すれば、マーケティング・営業活動の効率化になりますが、すべてを手動で行うと、かなりの工数がかかります。

 

そこで、MAツールを導入すれば、一連の流れを可視化でき、一斉メールやセグメントなど、定型的な業務は自動化することが可能です。
顧客の行動履歴からニーズや見込み度合いを数値化し、アプローチ方法やベストなタイミングを見極めることもできます。

 

さらに、MAツールは部署を超えて運用できるので、顧客リストの管理から商談化までを効率よく進められます。

まとめ

現代のBtoBマーケティングにおいて、デマンドジェネレーションは欠かせない戦略のひとつです。顧客のニーズに合わせた情報提供をすることで、購買意欲を高めて、効率的に商談化へと進めます。

 

ただし、デマンドジェネレーションの運用は、単純なプロセスではありません。正確なターゲットを特定したうえで、効果的なコンテンツの作成、適切なタイミングでのアプローチといった顧客との関係構築が求められます。常に変化する市場や技術の進化に合わせながら、柔軟性を持ってアプローチすることが重要です。

 

「効率的に進めたい」「何からはじめたらいいのかわからない」という方は、MAツールの導入がおすすめです。見込み顧客のリスト化やメールの一斉配信、スコアリングなどを自動化し、施策をサポートしてくれます。
顧客との信頼関係を築き、市場での競争力を高めるためにも、自社に合った運用方法を探して、デマンドジェネレーションに取り組んでいきましょう。


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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 18 Apr 2024 15:00:00 +0900
<![CDATA[コンテンツマーケティングで成果を出すためのKPIとは?設定の5ステップやおすすめの分析ツールをご紹介]]> https://mtame.jp/content_marketing/contents-kpi コンテンツマーケティングのKPIとは、コンテンツマーケティングの目標や成果を達成するための、中間指標のことです。

 

コンテンツマーケティングを実施するとなると、数あるKPIから何を設定するべきかわからない、設定してみたけどいまひとつ成果を実感できない、といったお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。実際に、コミュニケーション設計がうまくできず、アクセス数やコンバージョンをとりあえず設定しているケースも多いかもしれません。

 

本記事では、コンテンツマーケティングにおいてKPIを設定する重要性や、設定の5ステップ、設定すべきKPIと初めての方にもおすすめのツールについて解説します。

 

 

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コンテンツマーケティングで設定すべきKPIとは

コンテンツマーケティングをおこなう大きな目標としては、

 

  • 顧客のエンゲージメント向上
  • リードジェネレーション(顧客獲得)
  • リードナーチャリング(顧客の育成)や関係の構築
  • ブランドの認知拡大

 

などがあり、これらはビジネス上の大きな目標、すなわち後にも説明するKGIです。

 

KPIは、これらの大枠の目的に対して、コンテンツマーケティングが正しく機能するように設定する中間目標のことです。

 

コンテンツマーケティングにおけるKPIの重要性とは、最終的に達成したい目標に対して、コンテンツの質や内容の良し悪しや、コンテンツマーケティング施策が正しく機能しているかを常に監視することにあります。そのため、コンテンツマーケティングのKPI設定で重要になるのは、この最終目標を見失わず、目的意識を明確にしたうえで運用していくことです。

 

またKPIは、最終目標(KGI)に対して複数設定することが一般的です。ただし、KPIの数が多すぎると管理しきれなくなったり、逆に数が少なくて判断材料にならなくなったり、といったことは少なくありません。そのため、本当に必要かつ実際に検証できるKPIを、チームにとって過不足なく設定するスキルが必要になります。

コンテンツマーケティングとは

ひとえにコンテンツマーケティングと言われても、どこからどこまでがコンテンツマーケティングにあたるのだろう、と疑問に感じる方もいるかもしれません。

 

コンテンツマーケティングとは、潜在ユーザーが求めていることを先回りして情報発信することで、見込客を獲得するマーケティング活動です。見込み客が興味をもって自発的にアクションを起こすまでは、企業側からは売り込みをしない、インバウンドマーケティングのひとつでもあります。

 

具体的には、カタログやクーポンなど直接的に売上にるながるものを配布するのではなく、製品の使い方動画や製品の選び方ガイドブックといった「潜在ユーザーにとって有益なコンテンツ」を提供するのがコンテンツマーケティングの考え方です。

 

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KPIとは

KPIは、Key Performance Indicators(キー・パフォーマンス・インジケーター)の略称で、日本語訳すると「重要業績評価指標」になります。簡単にいえば、全体の目標に対する「中間目標」の意味です。

 

KPIは、マーケティング施策が成果達成に向かって正しく機能しているかを、途中、途中のポイントで定量的に評価するうえで使います。最終目標に対して、中間目標はひとつである必要はなく、通常複数設定して効果を測定します。

 

KPIを設定しておくことで改善点を早期発見でき、軌道修正するのにも役立ちます。KPIの設定の仕方としては、カスタマージャーニーやフロー図を作成します。

 

ここからはKPIに関連する指標、KGI・OKR・KSFについても解説します。たとえばマーケティングにおけるKPIは、特定のキャンペーンや施策のパフォーマンスを測定するための指標で、たとえばサイト訪問者数、コンバージョン率、CTR(クリック率)、CVR(変換率)などです。

 

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KGI

KGIとは、Key Goal Indicator(キー・ゴール・インジケーター)の略称で、「経営目標達成指標」の意味で、つまりはマーケティング施策におけるゴールや最終目標のことです。KPIが施策における具体的な指標であるのに対して、KGIはビジネスの大きな目標といえます。

 

コンテンツマーケティングのKGIとしてよく設定されるものとしては、新規リードの獲得や売上高の増加、市場シェアの拡大などです。このKGIに辿り着くまでの途中経過にKPIを設定して評価することで、コンテンツマーケティング活動がKGIに対してどれだけ到達しているかを数値化し、把握できるようになります。

 

マーケティングにおけるKGIの例としては、売上目標や利益目標、市場シェアの拡大、顧客獲得数の増加などがよく設定されます。

OKR

OKRは「Objectives and Key Results(オブジェクティブズ・アンド・キーリザルツ)」=「目標と主要な成果」を意味し、現時点ではややむずかしい目標を掲げるのが特徴です。またObjectivesは定性的な目標ですが、これを定量的な目標であるKey Resultsに分解して計測できるよう設定する必要があります。

 

OKRは、必ず達成すべき指標としてのKPI・KGIとは少し異なり、ワンランク上の目標を掲げるのが一般的です。ビジネス全体の飛躍を見越し、チャレンジングな課題を掲げることで組織全体を鼓舞する目的で、難易度の高い目標を設定するため、実際の目標の実現度としては50?70%程度ともいわれます。

 

マーケティングにおける目標(Objectives)に、たとえば「特定のキャンペーンで新規獲得数を増やすこと」を設定した場合、キーリザルト(Key Results)は、「新規顧客数の月間平均を20%増加させる」といった具体的な成果を設定します。

KSF

KSFは「Key Success Factor(キー・サクセス・ファクター)」の略で、事業やビジネスを成功させるうえで鍵となる要因を意味します。直訳では「重要成功要因」となります。

 

マーケティングにおけるKSFは、たとえばターゲット市場の理解、競合分析と自社の提供できる価値、顧客体験の向上などです。ビジネスの目的や事業設計によって重視されるKSFは異なり、KSFにともなってKPIの指標も変わってきます。

コンテンツマーケティングのKPIを設定する5ステップ

コンテンツマーケティングのイメージから、KPIをなんとなくアクセス数や検索流入数などに設定してしまうことも多いかもしれません。ここでは、コンテンツマーケティングにおいて本当に成果の出るKPI設定方法を、5つのステップに分けて解説します。

1.コンテンツマーケティングの目的設定をする

KPIを設定する大前提として、まずはコンテンツマーケティングの目的が正しく、明確に設定されているかを見直しましょう。コンテンツマーケティングの目的をしっかりと定めておくことで、この5ステップのなかで、どのコンテンツをどのような目的で運用していくか明らかにしていくことができます。

 

KPIは、コンテンツマーケティングが最終目標を正しく果たせているかを確認するために設定する中間指標です。つまり、最終的な目標=コンテンツマーケティングをおこなうそもそもの目的が明確でないのに適切なKPIを設定することはできないため、目的が曖昧なまま、メジャーな指標をなんとなくKPIにしているというケースも少なくありません。

 

以下はコンテンツマーケティングの目的設定の一例です。

 

コンテンツマーケティングの目的 定性的な目標 定量的な目標
ウェビナーを活用したリード獲得と製品サイトへの誘導g 業界内でのリーダーシップの確立 企業認知度調査で業界トップ3入りを達成するウェビナー参加者数を前年比50%増加させる
動画コンテンツを通した定期的な情報発信 顧客の問題解決やニーズへの対応を強調し、顧客満足度を向上させる 新規ユーザー獲得数を月間100人以上増加させる
メルマガで提供するお役立ち記事で信頼関係を築く ブランドの専門性と信頼性を高める メルマガのキャンペーンによってリード数を週間で10%増加させる

2.コンテンツを種類ごとに分ける

次は、自社の保有しているコンテンツ、またこれから作成するコンテンツについて、種類分けをおこない、どのような役割があるかをあてはめて一覧を作ります。これを可視化した状態で、社内で共有することが大切です。

 

コンテンツの種類 役割 流入経路
ブログ記事 情報提供
SEO強化
ブランディング
検索エンジン、SNSシェア、メール配信
インフォグラフィック 視覚的情報提供
シェア促進
ソーシャルメディア、Webサイト、ブログ記事内
ホワイトペーパー 専門知識の提供
リード獲得
メールキャンペーン、Webサイト、SNS広告
成功事例 導入をイメージしやすい
信頼度向上
Webサイト、営業活動、メールニュースレター
ウェビナー 専門知識の提供
リード獲得
Webサイト、SNS広告、メールマーケティング
動画コンテンツ 顧客視点の向上
ブランド認知促進
YouTube、ソーシャルメディア、Webサイト
イベントレポート イベントの情報提供
興味喚起
Webサイト、SNSシェア、メール配信
FAQページ よくある質問の解答
ユーザーサポート
Webサイト、検索エンジン、SNS広告

3.コンテンツと顧客のステージを一致させる

コンテンツの一覧ができあがったら、それぞれのコンテンツが、どのステージにいる顧客にとって最適か照らし合わせていきます。

 

コンテンツの種類 役割 ターゲット ターゲットのフェーズ 流入経路
ブログ記事 情報提供
SEO強化
ブランディング
オーガニック検索、ウェブサイト訪問者 認知 検索エンジン、SNSシェア、メール配信
インフォグラフィック 視覚的情報提供
シェア促進
ソーシャルメディア利用者、ウェブサイト訪問者 認知 ソーシャルメディア、ウェブサイト、ブログ記事内
ホワイトペーパー 専門知識の提供
リード獲得
潜在顧客、業界専門家 関心 メールキャンペーン、ウェブサイト、SNS広告
成功事例 導入をイメージしやすい
信頼度向上
潜在顧客、既存顧客 関心 ウェブサイト、営業活動、メールニュースレター
ウェビナー 専門知識の提供
リード獲得
潜在顧客、業界専門家 関心 ウェブサイト、SNS広告、メールマーケティング
動画コンテンツ 視聴体験の提供
ブランド認知促進
オンライン動画利用者、ソーシャルメディア利用者 認知 YouTube、ソーシャルメディア、ウェブサイト
イベントレポート イベントの情報提供
興味喚起
イベント参加者、業界関係者 認知 ウェブサイト、SNSシェア、メール配信
FAQページ よくある質問の解答
ユーザーサポート
ウェブサイト訪問者、顧客 関心 ウェブサイト、検索エンジン、SNS広告

 

顧客が受注や契約に至るまでは、認知・興味関心・比較検討・問い合わせ・商談・契約…といったステージ、つまり顧客フェーズが存在します。一覧にしたコンテンツを、顧客フェーズのファネルに対応させてみることで、コンテンツの役割を整理することができます。

 

基本的には、コンテンツを通してユーザーがどのように導線をたどるのかを想定して設計しましょう。たとえば、SNSを通じたコンテンツマーケティングの場合、集客やブランド認知の面では「フォロワー数やいいね数」は代表的なKPIとして設定されますが、ユーザーとの関係性を深められているかを測るには「投稿のリーチやエンゲージメント率」、リードやコンバージョンを増やしたい場合には「SNSからWebサイトへのトラフィック量」といったKPIがより有用です。

4.必要な指標とそれぞれの優先順位を決める

コンテンツの種類と役割、自社のコンテンツマーケティングにおいて必要な指標があきらかになったら、それぞれのコンテンツの優先順位を設定していきましょう。

 

さきほど出した一覧から、自社のコンテンツマーケティングで優先すべきコンテンツと、自社のコンテンツに必要なKPIを設定していきます。

 

コンテンツの種類 目的 優先順位
ブログ記事 情報提供
SEO強化
ブランディング
インフォグラフィック 視覚的情報提供
シェア促進
ホワイトペーパー 専門知識の提供
リード獲得
成功事例 成功事例の紹介
信頼度向上
ウェビナー 専門知識の提供
リード獲得
動画コンテンツ 視聴体験の提供
ブランド認知促進
イベントレポート イベントの情報提供
興味喚起
FAQページ よくある質問の解答
ユーザーサポート

5.顧客フェーズごとに運用可能なKPIを設定する

コンテンツの優先順位が決まったら、最後は自社で運用可能なKPIを決定していきましょう。

 

KPIを決めるには、集計方法が明らかで、かつ適切な数の指標を選択し、過不足なく設定します。また優先度の高い指標の順に、自社内の体制やシステムで適切に集計できるか確認し、できない場合はツールを導入したり、外注したり、もしくは代わりの指標を用いたりと選択肢を検討する必要があります。

 

さらに指標を決めたら、どのような頻度で数値の測定や分析をおこなうかをスケジューリングしておくと、スムーズに運用にすすめるはずです。

 

コンテンツの種類 目的 優先順位 自社で運用可能なKPI
ブログ記事 情報提供
SEO強化
ブランディング
月間PV数、CTR、コンバージョン率
インフォグラフィック 視覚的情報提供
シェア促進
シェア数、CTR、ウェブサイトへのリンククリック数
ホワイトペーパー 専門知識の提供
リード獲得
ダウンロード数、リード数、コンバージョン率
成功事例 成功事例の紹介
信頼度向上
ダウンロード数、閲覧数、コンバージョン率
ウェビナー 専門知識の提供
リード獲得
参加者数、視聴率、リード数
動画コンテンツ 視聴体験の提供
ブランド認知促進
視聴回数、シェア数、コンバージョン率
イベントレポート イベントの情報提供
興味喚起
閲覧数、ダウンロード数、コンバージョン率
FAQページ よくある質問の解答
ユーザーサポート
ページビュー数、ユーザーエンゲージメント、問い合わせ数

フェーズごとのコンテンツマーケティングKPI一覧

ここまではコンテンツマーケティングのKPIと、その設定方法について解説してきました。ここでは、顧客のフェーズごとに具体的にどのようなKPIを設定するとよいか、一覧でご紹介します。

初期タッチポイントにおけるKPI

見込客との初期接触において、適切なKPIを設定しておくことで、コンテンツマーケティング戦略の効果を評価するのに役立ちます。たとえば自社のオウンドメディアやブログ運営において、訪問者数を測定することは必須となりますが、実はそれ以外にも着目すべき指標は多くあるのです。

訪問者数(ユニークユーザー数)/セッション数/ページビュー数(PV)

ユニークユーザー数(UU)は、Webサイトに訪問したユーザーの人数をあらわす指標のことです。一定期間内に、同じユーザーが何度も訪れた場合でも、そのユーザーは1つのユニークユーザーとして、ブラウザ単位でCookieを付与しカウントされます。

 

セッションは、Webサイトが訪問された回数をあらわす言葉。ユニークユーザーが訪問者の数を示すのに対して、セッションは訪問や活動の単位をあらわします。一定期間(通常30分?1時間)が経過するか、ユーザーがサイトを離れた時点でセッションが終了します。

 

ページビュー数(PV)は、特定のページが表示された回数をあらわします。特定のページが何回閲覧されたかを確認できるため、コンテンツのパフォーマンスを評価するのにも役立ちます。

 

たとえば、あるユーザーAが1つのセッションでWebサイトに訪れ、そのセッション中に5つのページを閲覧した場合は、ユニークユーザー数は「1」、セッション数「1」、ページビュー数は「5」です。

 

これらの指標は、単純に集客がどのくらいできているか、コンテンツにどのくらいの関心が集まっているかを判断する際に活用します。

離脱率/直帰率

直帰率は、Webサイトにおとずれたユーザーが、ある特定の1ページだけを見てほかのページにはアクセスしないままWebサイトから離れた割合のことを指します。

 

離脱率とは、ユーザーが最後に見たページであった割合のことです。たとえばユーザーが、サイト内のページA→ページB→ページCを順に見てから離れた場合、「ページC」で離脱した割合のことを指します。

 

ただし、「ページC」だけを見て直帰するユーザーがいることも想定されるため、離脱率には直帰率が含まれることになります。

 

離脱率や直帰率は、ページから離れてしまう原因を探求できるため、コンテンツ改善に直接役立てられるKPIです。

回遊率/ページ遷移率

回遊率は、Webサイトにおとずれたユーザー1人あたりが何ページ閲覧したかを示す指標のこと。ユーザーが最初にアクセスしたページから同サイト内のほかのページにアクセスすればするほど、回遊率はあがっていくと考えます。

 

ページ遷移率とは、Webサイトにおとずれたユーザーが最初のページを閲覧したあとで、サイトから離れずにほかの特定のページへ遷移した割合のことです。

 

このふたつはよく混同されがちですが、回遊率は「興味関心や愛着」を判断する指標であるのに対して、ページ遷移率は「コンバージョンへ導く導線設計」において有用です。

リテンション率

リテンション率とは、Webサイトへの訪問継続率・定着率をあらわす数値です。新規ユーザーがある一定期間内にサイトにもう一度おとずれた割合で、コンテンツマーケティングによってブランド価値を向上させられているか、顧客行動を理解できているかをはかることができます。

スクロール率

スクロール率とは、ユーザーがWebサイトにアクセスし、ページがスクロールされた割合です。 多くのユーザーはここまでは読んでいるが、このあとは読まれていない、といったページ内のヒートマップを把握することで、コンテンツの質向上に役立つKPIです。

Cookie取得率

Cookieとは、Webブラウザ上でユーザーの情報を一時的に保存しておく仕組みのことです。MAツールなどを使用している場合、Cookieはユーザーの新規セッションにおいて取得・蓄積され、ユーザー情報にひもづけられるようになります。

 

顧客情報を管理してナーチャリングするうえで活用できるため、KPIとして設定される数値です。

投稿数

ブログ記事やお役立ちコラム、SNSへのポストなど、自社で運営しているコンテンツにおける投稿は、新規流入の入口ともいえます。入口が多ければ多いほどタッチポイントが増えることになるため、コンテンツマーケティング立ち上げ初期は、たとえば「1ヶ月で10投稿」など目標を決めて取り組むことをおすすめします。

 

コンテンツマーケティングそのものが長期目線で取り組む施策であり、定期的かつ頻繁にコンテンツを公開しているかどうかは成果に大きく影響するため、重要な指標のひとつです。

受注獲得?成約済み顧客に関するKPI

ここまでご紹介してきた新規ユーザーとのタッチポイントにおけるKPIに対して、ここでは確度の高いリードや既存顧客に対して設定するコンテンツマーケティングのKPIをあげていきます。

CV数/CVR(コンバージョン率)

コンテンツマーケティングにおけるCV数は、コンテンツを通して獲得した、注文、自社製品に関するお問い合わせや資料請求、イベント申込などの件数のことです。もっともポピュラーな指標のひとつといえます。

 

ただ、コンテンツ経由でCVが得られたかを判別するためには、MAツールなどを導入しフォームでタグ付けをする必要があります。また目標や測りたい効果によって、どのCV数をKPIにおくかは変わってくるため、慎重に設定すべきポイントです。

 

CV率(CVR)は、コンテンツが閲覧された数に対して、CVがあった割合であり、CV率が高ければ高いほどコンテンツが効率的に働いていることを評価できます。

CPA(成果獲得単価)

CPA(成果獲得単価)とは、コンバージョン単価とも呼ばれ、新規獲得のためのコストのことをあらわします。コンテンツマーケティングにおいては、成果を1件獲得するためにどのくらいの費用を費やしたかを示す指標です。

 

よく設定される成果は、お問い合わせや資料請求や、サンプル品や商品の注文で、コストの最適化を目的として使われることが多い指標です。

CTC(クリック単価)/CTR(クリック率)

CTC(クリック単価)とは、広告などを1回クリックするのにかかる費用のこと。たとえば50万円で出稿した広告は、50万回クリックされれば1円、100万回クリックされれば0.1円のCTCとなり、より安くなるほどよいということになります。

 

CTR(クリック率)は、広告が表示された回数に対して、広告がクリックされた回数のことで、どちらもコンテンツの質をはかるために活用できるKPIです。

 

より高品質で興味関心を引くコンテンツであれば、クリックの回数は多くなり、逆にCTC/CTRの数値がよくない場合はコンテンツを改善する必要があるかもしれません。

会員登録者数/フォロワー数

自社メディアやECサイトへの会員登録や、ブログへの読者登録、SNSのフォロワー数なども、コンテンツマーケティングにおいては大変扱いやすい指標といえます。

 

実際に多くのユーザーに会員やフォロワーになってもらうことで、コンテンツの影響力を高めることができます。またこちらから定期的にコンテンツを配信できるようになるため、ユーザーとの関係構築、見込客の育成をはかるうえで有用なKPIです。

SNSでのアクション/エンゲージメント率

SNSでのアクションやエンゲージメント率は、SNSを通じたコンテンツマーケティングをおこなっている場合、かならずおさえておきたいKPIです。

 

Facebook、X(旧Twitter)、Instagram等の「いいね」「シェア」「リツイート/リポスト」などといったユーザーのアクションは、コンテンツがシェアされた指標になります。さらにこれらのアクションを投稿をみたユーザー数で割ることで、エンゲージメント率を割り出すことができ、エンゲージメント率が高くなるほどユーザーと企業が親密な関係であることを示します。

 

ただSNSに関する流入経路などを詳しく分析するには、外部ツールの利用も必要になります。

利用頻度/アクセス頻度

見込客がどのくらいの頻度でアクセスしているか、既存顧客がどのくらい高頻度に自社製品やサービスを利用しているかは、受注獲得や契約継続に関する重要なKPIです。

 

初期タッチポイントでのリテンション率よりも、より自社のファンとして成熟したターゲット層に対する指標で、受注への気持ちがかたまってくることでアクセスの頻度が増えることからも、顧客行動を把握するために設定しておくとよいでしょう。

 

既存顧客の利用頻度に関しては、たとえばソフトウェアサービスであればログイン数の頻度がさがっている等の顧客のヘルススコアを事前に把握して、解約を防ぐのにも役立ちます。

コンテンツ経由のイベント申込数

コンテンツ経由で、イベントにどのくらい送客できているか、申込を獲得できているかをはかる指標です。イベントに多くの見込顧客・既存顧客を誘導できている場合、コンテンツの質はもちろん、自社へのファンが定着していることを評価できるKPIです。

 

またイベントでは「イベントを何で知ったか」アンケートを実施し、コンテンツ経由のイベント送客数をKPIにすることもできます。さらにひとりの顧客が一定期間に何回参加しているか、を設定するのもおすすめです。

確度の高い見込客が集まるコンテンツへのアクセス誘導

自社コンテンツのなかでも、このページにアクセスするユーザーはとくに確度が高い、受注フェーズに近いと判断できるページへ、どのくらいアクセスを集められているかは非常に重要なKPIとなります。

 

BtoBマーケティングであれば、活用事例や他社製品との比較表などを配置したページがあてはまります。さらにこのコンテンツを閲覧している見込客に対しては、1to1のアプローチも有効です。

BtoC/BtoBごとのKPI

さらに、BtoC/BtoBそれぞれのサービスにおいて、よく設定されるKPIの一例をご紹介します。

BtoC:ECサイトでの売上を上げるKPI

「BtoCのECサイトで売上を向上させる」ことを目的としたコンテンツマーケティングのKPIとして、以下のような指標が考えられます。

  • ユニークユーザー数:1か月間のECサイトへの訪問ユーザー数100,000人
  • コンバージョン率:ECサイトへの訪問者のうち、商品を購入した割合が3%
  • 平均注文金額:1つの注文あたりの平均金額1万円
  • リピート購入率:過去6か月間にECサイトで商品を購入した顧客のうち、再度購入した割合が20%

BtoB:認知拡大、信頼獲得のためのKPI

次に、BtoBビジネスにおいて、認知拡大・信頼獲得のために設定するKPIの例をあげます。

 

  • Webサイトのトラフィック:
    • 月間訪問者数:5,000人以上
    • ページビュー数:20,000回以上
  • SNSのエンゲージメント:
    • 投稿のエンゲージメント率:1?5%
    • フォロワー数:毎月100人以上増加
    • いいね数:投稿あたり50件以上
  • リード数:
    • 月間リード数:50件以上
    • 成長率:毎月10%以上の成長
  • 信頼度調査:
    • 業界内トップ3入りを目指す
    • 信頼度の向上率:10%以上

 

自社のビジネスにおいて適切なKPIを設定し、またこれらのKPIを定期的にモニタリングして適切な施策を実施することで、効果を最大化できるはずです。ぜひKPI設定の際の参考にしてみてください。

コンテンツマーケティングのKPIを設定した後は…

コンテンツマーケティングのKPIを設定できたら、運用、分析、改善を繰り返して、コンテンツマーケティングの精度をあげていきましょう。

数値を分析し続ける

コンテンツマーケティングのKPIを設定した後は、定期的に数値を分析し続けることが必要不可欠です。コンテンツマーケティングのKPIを設定したら、数値を測定する頻度を運用方針に落とし込むことで、課題の早期発見にもつながります。

 

データ収集には、Web解析ツールやSNS分析ツールが必要です。ツールを通して収集したデータ、たとえばWebサイトのトラフィックやコンバージョン率、SNSへの投稿のエンゲージメント率など、KPIに関連するデータを分析して、現状を把握します。

 

これらを数値化ができたらKPIの目標と比較して評価をおこないます。コンテンツマーケティングの運用は業務工数も多いため、具体的に「1ヶ月ごと」などとスケジュールを設定して、KPIの数値がどのように推移しているかを確認し、チームで共有するのがおすすめです。この頻度はチーム編成やコンテンツマーケティングの業務量などから、実現可能なタイミングを見つけましょう。

 

数値の取得や分析は、ツールなどを活用し、なるべく手間をかけず簡単におこなえるようにしましょう。あとの章で、おすすめのツールをご紹介していますのでぜひご覧ください。

次の一手を考える

コンテンツマーケティングKPI分析が習慣化できてきたら、次のステップを検討しましょう。中間目標であるKPIにいつまでも同じ目標を設定していても、なかなか成果は達成できないため、積極的に次はどのような施策を打つか検討する必要があります。

 

分析結果にもとづいて、成果が出ている項目はさらに高い目標をかかげたり、改善の余地がある部分は戦略を練り直します。

 

次の一手を考えるという意味では、KPIの設定だけでなく、コンテンツそのものの改善も必要になってきます。コンテンツの内容や質、提供方法や最適なチャネル、ターゲットを見直して、ターゲットに対して適切なアプローチを検討することも同時進行で進めていきましょう。

KPIを正確に活用し運用できる環境づくり

KPIを正確に測定・活用し、運用するためには、チーム内でもれなく情報共有できる環境づくりも重要です。複数のチャネルでのデータを一元化し、常にチームで数値を共有しながら総合的なKPIの分析がおこなえる仕組みや環境を、あらかじめ整えておくのが成功の秘訣です。

 

環境整備には、KPIの分析を簡単にできるツールや、パートナー企業のサポートを活用しましょう。KPIはあくまで最終目標の達成のために運用するものであって、数値の測定や分析に時間や労力をかけすぎてしまい検証ができないようでは本末転倒といえます。集計にかかる手間をなるべく省いて、本来おこなうべき分析や、戦略改善と施策への反映に時間をかけられるようにすることで、設定したKPIをクリアし、チームのモチベーションを向上するのにも役立ちます。

 

環境が整っていると、KPIに変更が生じたときもチーム内ですぐに数値に対する共通認識をもつことができます。また共有するという意味ではチーム内でKPIについて勉強会をおこない、正しい理解や活用を再確認することでチーム一丸となってゴールを目指せるはずです。

 

はじめてでも簡単に使える分析ツールについては、のちほどご紹介します。

場合によってはKPIを変更する

また社内外のビジネス環境の変化により目標が変わってくる場合や、KPIの達成度が予想外だった場合などに、KPIを変更することは一般的です。KPIを変更するうえでは、普段から定期的にKPIを見直し、大きな目標から逆算して、目指すべき達成率を定めていくことが大切です。

 

現在のKPIが目標に対して適切でない場合、目標や新たな戦略に合わせてKPIを再評価します。具体的に、新たな製品のローンチ、マーケットの変化などに際してKPIを変更するのはよくあるタイミングです。

 

ただKPIはむやみに変更すればいいというものではなく、重要なのは、目標を達成するためにその都度最適なKPIが設定されているかどうかです。またKPIを増やす場合は、実現可能な数におさめるようにしましょう。

 

これはKPI運用全般にいえることですが、こういったKPI設定変更は専門的な知見が必要になるため、マーケティング支援をしてくれるパートナー企業を見つけるのもよい手です。

おすすめツール

コンテンツマーケティングにおいて、今回設定したようなKPIを軸にデータの収集・分析をおこなうには、やはりデジタルツールの活用が必要不可欠です。

 

ツールにもいろいろな種類がありますが、初めての方がまず使うのにおすすめなのが、無料で使える「Google Analytics(グーグル アナリティクス)」です。自社サイトを設定することで、アクセスの状況やユーザーの行動ログを記録し、数値化できます。世界中の個人から企業に利用されているため、ノウハウが多く出回っているのも使いやすいポイントです。

 

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Googleアナリティクス

 

そのほか、コンテンツマーケティングを進めるうえでとくにおすすめなのが、MA(マーケティング・オートメーション)ツール。前述もしていますが、せっかく自社サイトに設置したフォームからお問い合わせがきても、なんのコンテンツを経由したのか測定できず、本当にコンテンツの力で成果を出せているかわからない…という状態では、今後さらにコンテンツ施策や戦略をブラッシュアップしていくのはむずかしいかもしれません。

 

MAツールで設置したフォームからのお問い合わせは、流入経路から、その後のユーザー行動ログまで一元管理が可能で、どのコンテンツがどのくらい効果を発揮しているか可視化でき、コンテンツマーケティングにはなくてはならない存在ともいえます。さらにツールによって、安価でスタートできるものや、マーケティング支援を受けられるツールもあるので、コンテンツマーケティングの運用でお悩みの際にはぜひMAツールの導入も検討してみてください。

 

おすすめのMAツールはこちらもご覧ください。

まとめ

コンテンツマーケティングのKPIについて解説しました。

 

KPIの設定や運用は非常に複雑であり、これを設定すれば成果が出る、といった単純な法則ではありません。しかしだからこそ、中長期的な取り組みでKPI運用の精度をあげていければ、自社の資産として競合他社と差をつけることもでき、狙ったビジネスの成果を最大化できるようになります。

 

これからコンテンツマーケティングに挑戦する方も、すでにコンテンツマーケティングに取り組んでいるけれどなかなか成果が出ないという方も、KPIを使いこなすことでビジネスを成長させていきましょう。

 

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    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Thu, 18 Apr 2024 14:00:00 +0900
<![CDATA[Google Search Console(グーグルサーチコンソール) とは何か?検索エンジン対策のために知っておくべき基本機能]]> https://mtame.jp/martec/searchconsole Google Search Console(グーグルサーチコンソール)とは、Webサイトの検索パフォーマンスを分析するための無料ツールです。このツールを使うことで、自社サイトをGoogle検索に最適化するのに役立つ機能を多数提供しています。検索エンジン対策(= SEO)は、デジタルマーケティングにおいて最も注力すべき分野といっても過言ではなく、その最適化のためにも、Google Search Console(グーグルサーチコンソール)は必須で使いこなすべきツールと言えます。

 

本記事では、Google Search Consoleの基本機能とそのSEOへの影響を詳細に解説しています。サイトの検索パフォーマンス分析からインデックス登録、リンク管理まで、デジタルマーケティングに必須のツールを使いこなすための手順を提供します。

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Google Search Console の役割

Google Search Consoleは、検索エンジン最適化(SEO)の効果を測定し、サイトの検索エンジンにおけるパフォーマンスを向上させるためのデータを提供します。これらのデータを手がかりとしてサイト流入を増加させるための、施策立案に役立てることができます。

GoogleAnalytics(GA4) と Google Search Console の違い

「Google Analytics(GA4)」と「Google Search Console」は、デジタルマーケティングにおいてどちらも広く利用されているツールですが、それぞれの目的と提供するデータには大きな違いがあります。

GoogleAnalytics(GA4)

ユーザー行動の分析:

Google Analytics(GA4)は、サイト流入した「閲覧者(ユーザー)」の行動を追跡して分析することを目的としています。閲覧者がサイトにどのようにアクセスしたか、サイト内でどのように行動したか、どのページが最も関心を集めているかなど、あくまでユーザー中心のデータを提供します。

流入元の特定:

サイト流入が、どの流入元(直接流入、検索エンジン、リンク経由、SNS、デジタル広告など)から来ているかを把握することができます。ここから、テコ入れすべき流入元はどこかが可視化でき、改善に取り組むことができます。

コンバージョンの追跡:

GA4では、設定した目標やコンバージョンイベント(例えば、資料ダウンロード、ウェビナー申し込み、問い合わせフォームの送信など)がどの程度されているかを追跡することができます。

 

GoogleAnalytics(GA4)

Google Search Console

検索パフォーマンス:

Google Search Consoleは、サイトがGoogle検索でどのように表示されているか、どのような「キーワード」が効果的にトラフィックをもたらしているかなど、ユーザーではなくあくまで「検索エンジン」に焦点を当てて、データを提供します。

サイトの健康状態の管理:

インデックス作成の問題、クロールエラー、セキュリティ問題など、サイトの「健全性」に影響を与える問題を検出します。問題が発見された場合は、具体的な修正方法が提示されるため、企業担当者はこれを基にサイトの健全性を保つことができます。

SEOの改善:

Google Search Consoleは、検索エンジン最適化のための具体的なアクションプランを提供します。これには、ページのメタデータ最適化や、検索結果でのクリック率(CTR)の改善策などが含まれます。

 

 

一見では似たようなツールですが、Google Search Consoleはユーザーではなく検索エンジン対策に使われるツールだということがわかったかと思います。これらは、それぞれ独立した役割・機能を持ちながらも、連携して使用することで自社サイトの全体像をより深く理解することができます。

 

Google Search Console

Google Search Console の具体的な機能

Google Search Consoleの「役割・概要」についてはわかったと思いますので、次は具体的な機能について取り上げていきましょう。基本的な機能としては以下のようなものがあります。

 

  • 検索パフォーマンス
  • URL検査
  • インデックス
  • リンク
  • サイトマップ

検索パフォーマンス

もっともよく使用される機能としては、「検索パフォーマンス」があります。自社サイトがどのようなキーワード(クエリ)で検索表示されているか、表示回数・クリック数(CTR)はどれくらいなのか、平均掲載順位はどのあたりかなどを細かくチェックすることができます。「検索パフォーマンス」は、検索エンジン対策(SEO)に取り組む際にはよく使用される機能です。

 

検索パフォーマンス

URL検査

「URL検査」という機能では、Webページが、Googleの検索結果に「正しくインデックス登録されているかどうか」をチェックすることができます。左側のURL検査をクリックして気になるページのURLを指定すれば、そのページが現時点でGoogleに認識されているかどうかがわかるという訳です。もし、認識されていないことがわかったら「インデックス登録をリクエスト」をクリックしてGoolgeにインデックスをうながすことができます。

 

URL検査

 

インデックス作成

 

さらに、左メニューの「インデックス作成」→「ページ」を見ると、サイト内のすべてのページのインデックス登録状況を確認することができます。

リンク

自社サイトのページが、外部サイトからどれくらい「被リンク」されているかを把握することができます。どのページがリンクが多いかなどのページごとのチェックもできるため、サイト内の「人気ページ」を把握するのにも役立ちます。さらに内部リンクについても同様に確認ができます。

 

リンク

サイトマップ

最後に、Google Search Consoleには「サイトマップ」という機能があります。これは、Webサイトを構成するそれぞれのページを、Googleに認識してもらうために送信する機能です。そのためにはサイトマップをまとめたページをXML形式で用意する必要があり、Google Search Consoleの左メニュー「サイトマップ」からページURLを入力し、送信することで実行することができます。

まとめ

Google Search Consoleは、企業のマーケティング活動において「検索エンジン」での上位表示を狙うには不可欠のツールと言えます。このツールでサイトの健康状態を把握し、検索エンジンの評価を高めるための必要な改善点を見つけ出し、実行することで自社サイトの検索パフォーマンスを向上させることができれば、結果として営業活動にも良い影響を与えることができるでしょう。

 

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 16 Apr 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[AISAS(アイサス)とは?AIDMA・AISCEASとの違いや特徴・活用方法をわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/AISAS Webマーケティングを行ううえで、最も重要なのが消費者の購買行動の見える化です。Web上で消費者がどのように商品・サービスを知り、購買へ至るのかを正確に把握することで、顧客の購買行動にあわせた適切な施策の実施が可能になり、利益の拡大を図ることができます。

 

その購買行動を分析する際に役立つのがAISAS(アイサス)です。2004年に株式会社電通が提唱したフレームワークで、インターネット普及後の代表的な購買行動モデルとしてWeb広告やマーケティング戦略に用いられています。

 

本記事ではAISASの概要から活用するメリット、類似する購買行動モデルとの違いについてわかりやすく解説します。

 

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AISASとは

AISAS(アイサス)とは、消費者の購買行動モデルを表すモデルのひとつです。Attention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)の5つで構成され、消費者が商品・サービスの認知から、商品の購入、SNS上での拡散といった一連のプロセスを示しています。

 

AISAS(アイサス)

 

AISASが提唱される2004年以前はマスマーケティングが主流でした。マスマーケティングとは不特定多数の消費者に対して画一的なアプローチを行い、幅広い層への訴求を目的にした手法です。新聞や雑誌広告、テレビ・ラジオなどの4大メディアと呼ばれるマス広告が該当し、消費者は企業から発信される情報の中から購入の判断をしていました。

 

しかしインターネットが普及し始めた2000年代から消費者の購買行動は大きく変化します。Webを活用して自ら情報収集を行うスタイルになったことで、自身のニーズに即した商品やサービスを選び取るようになったのです。

 

さらにSNSの発達によって商品のレビューや口コミがシェア(共有)され、企業が発信する情報のみならず、消費者側が発信する情報も参考に商品を購入するようになりました。このような消費者の購買行動の変化を受けて、新たに生み出されたフレームワークがAISASです。

AISASの具体的な5つの行動

先ほどご紹介したように、AISASの購買行動モデルは下記5つのプロセスから成り立ちます。ここでは各フェーズについて解説します。

Attention(注意)

Attentionとは消費者が商品・サービスを認知する段階です。

 

消費者に商品やサービスを購入(または契約)してもらうには、まずその存在に気づいてもらう必要があります。そのため企業はWeb広告やWebサイト、SNSなどの広告展開を通じて商品の魅力を発信し、消費者の注意を引く必要があります。

 

どれほど優れた商品やサービスを開発したとしても、消費者からの認知を受けなければ意味がありません。自社のターゲットとなる消費者に効果的な施策を行い、タッチポイント(顧客接点)を増やすことが求められます。

Interest(興味)

Interestとは、消費者が商品やサービスに興味を持つ段階です。

 

最初の段階であるAttentionから一歩進み、気になった商品やサービスに意識を向けるようになります。たとえばWeb広告で偶然目にしたパソコンが高スペックかつ送料無料、交換自由などの特徴を見て、「このパソコンがほしい」と興味を示した状態を指します。

 

商品やサービスに強い関心を抱くと、消費者は次のフェーズであるSearch(検索)を始めます。

Search(検索)

Searchとは、消費者が商品やサービスに関する情報を集める段階です。

 

このフェーズに入った消費者は商品やサービスの情報収集を行います。情報収集の方法は様々で、SNSで商品を実際に購入しているユーザーの感想を調べたり、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで口コミ・評判を検索するなどの方法が挙げられます。

 

消費者が求める情報にすぐにたどり着けるよう、企業側は商品・サービスに関するコンテンツの拡充や仕組みづくりが大切です。具体的な方法にWebサイトの開設やSEO対策、SNSとの連携などがあります。「Search」の段階で消費者にどれだけ自社商材が魅力的であるかをPRできるかで、その後の購買行動が大きく変わります。

Action(行動)

Actionは、消費者が実際に商品を購入したり、サービスを申し込む段階です。

 

「Search」で得られた情報とあわせて、商品の発送方法や支払い方法などの細かな条件を確認し、問題なければ購入に至ります。

 

消費者の購買意欲を下げないためにも、企業側は購入の後押しをするような割引をつけるなどを行い、スムーズな購入や申込みができる環境づくりを目指しましょう。効果的な施策としては、期間限定価格や割引キャンペーンの実施、豊富な決済方法の実装、購入プロセスがわかりやすいWebサイトの設計がおすすめです。

 

消費者は購入や申込みまでのプロセスが複雑だったり、手続きに時間がかかるなどのストレスが生じると、カゴ落ち(商品をカゴに入れたままWebサイトから離れること)してしまうことも少なくありません。消費者の「いま欲しい!」という気持ちを削がない導線設計を意識することで売上に結びつくはずです。

Share(共有)

最後のShareとは、商品やサービスを第三者に共有する段階です。

 

近年ではインターネットやSNSの発達により、顧客が商品やサービスを実際に使用した感想や評価を拡散する動きが広がっています。

 

たとえば購入したパソコンを実際に使用してみてどうだったのかというレビューをSNSやブログで紹介する行動が「Share」です。そのレビューが高評価であればほかの潜在顧客が商品を購入する判断材料になり、新規顧客の「Attention」や「Interest」につながる可能性が高くなります。

 

ビジネス全体の好循環を起こすフェーズであることから、AISASを構成する5つの要素のなかで最も重要な段階であるといわれています。この「Share」に力を入れている企業は多く、レビューを投稿した顧客に割引クーポンの配布や、商品ページに共有・拡散を促すSNSのシェアボタンの設置などの施策が行われています。

 

エムタメを運営するクラウドサーカスでは、BtoB向けIT製品・SaaSレビューサイト「ITreview」において、自社ツールのレビューを掲載しています。実際にツールを利用するユーザーのリアルな口コミを通して、見込み顧客の獲得を目指しています。

AIDMA・AISCEASとの違い

消費者の購買行動モデルのひとつであるAISASですが、前身となるモデルにAIDMA(アイドマ)、AISASに「商品の比較」と「検討」という項目を追加したAISCEAS(アイシーズ)があります。ここではそれぞれの特徴と違いについて説明します。

AIDMA

AIDMAとは消費者の購買行動プロセスを表した基本的なモデルです。1920年代にアメリカの著作家であるサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱しました。

 

AIDMAとの違いを表でまとめると以下のようになります。

 

  ステップ 概要
AIDMA
  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Memory(記憶)
  • Action(行動)
1920年代にアメリカで生まれた代表的な購買行動モデル。
マスマーケティングによる企業からの一方的な情報発信を受けて、消費者側が購入に至るまでのプロセスを表している。
AISAS
  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Action(購買)
  • Share(共有)
2004年に電通が提唱した、インターネット普及後の代表的な購買行動モデル。
Web上での消費者の購買行動(商品の認知か購入後の商品レビューのシェアまで)を網羅している。

 

AISASとの違いは、AIDMAにはDesire(欲求)とMemory(記憶)がある点です。Desireは消費者が商品・サービスを認知し、それらの特徴や性能について詳しく知りたい状態、Memoryは消費者が商品やサービスを購入するまでのリマインドの段階を表します。

 

冒頭でお伝えしたとおり、1920年代の広告戦略はマスマーケティングであり、消費者は企業からもたらされる情報をもとに、商品の購買を行っていました。そのためAISASにあるSearchやShareはありません。あくまで消費者の商品・サービスの認知から購入までの行動にフォーカスしているのがAIDMAの特徴です。

AISCEAS

AISCEASとは2005年にアンヴィコミュニケーションズの望野氏によって提唱された、AISASを細分化した購買行動モデルです。AISASのSearch(検索)とAction(行動)の間に、Comparison(比較)とExamination(検討)が入ります。

 

  • Attention(注目)
  • Interest(興味)
  • Search(検索)

 

・Comparison(比較)
「Comparison」は、消費者が商品の比較を行う段階です。
Web上で商品の機能や使い方を調べたり、レビューを読んで商品の評価を把握します。消費者が複数の選択肢の中から、最適な商品やサービスを選ぶうえで重要な要素です。

 

・Examination(検討)
「Examination」は、消費者が購入候補となる商品・サービスにおいて、選択を行う段階です。「この商品を買っていいのか」とさまざまな角度から検討し、購入する商品を決めます。

 

  • Action(行動)
  • Share(共有)

 

どちらもインターネット普及後の購買行動モデルですが、AISCEASのほうがインターネット上での購買プロセスを詳細に分けています。AISASに比べてより現代の購買行動モデルに即したものがAISCEASであるといえるでしょう。

 

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AISASの効果的な活用方法

AISASの概要や類似モデルの違いが分かったところで、BtoB企業向けの活用方法について解説します。

 

AISASを活用するとCV(コンバージョン)獲得に向けて、消費者とどのようなコミュニケーションを取れば良いのかが明確になります。下の表はAISASを活用してBtoBサービスにおけるマーケティング施策を各フェーズごとに整理したものです。

 

項目 Attention Interest Search Action Share
顧客の行動 サービスの認知 サービスへの興味を抱く 検索してサービスに関する情報を集める サービスを導入する サービスの体験や感想を共有する
必要な施策 認知獲得 情報の提供 コンテンツの提供 購買サポート シェア促進
BtoB企業向けの具体的な施策例
  • 展示会
  • イベント
  • セミナー
  • Web広告
  • SEO
  • SNS
  • コーポレートサイトやLPでの情報発信
  • 広告クリエイティブのブラッシュアップ
  • ホワイトペーパー
  • オウンドメディア
  • メール配信
  • 導入事例や口コミの紹介
  • 無料プランの用意
  • 割引キャンペーン
  • 問い合わせ対応
  • 導入支援
  • SNS投稿キャンペーン
  • 紹介制度

 

このようにマーケティングの全体像を整理することで、企業が顧客とのコミュニケーションで気をつけるべきポイントを把握しやすくなります。たとえばSearchに問題がある場合、「Webサイトにホワイトペーパーを設置し、自社商材の長所やメリットをPRしよう」と問題解決に向けたスムーズな対応が可能です。

AISASを活用するメリット

AISASを活用することで得られる3つのメリットについて解説します。AISASはWebマーケティングにおける顧客の行動パターンを理解できるだけでなく、各フェーズにおける最適な施策の実施や広告費の削減、新規顧客の獲得など多くの効果をもたらします。

フェーズごとに最適なアプローチができる

消費者は商品・サービスの購入に至るまで、さまざまな行動を取ります。そのため企業は消費者がどの段階にいるのかを見極め、各段階に応じた適切な施策を実施する必要があります。

 

たとえばまだ商品を知ったばかりの「Attention」の段階にいる消費者と、購入目前の「Action」の段階にいる消費者では取るべき施策は大きく変わります。消費者のニーズにあわせたアプローチができなければ、消費者は購入を止めてしまう可能性も十分あります。

 

AISASを用いることで、消費者の検討度に合わせた効果的な施策を実施でき、Webサイトの離脱やカゴ落ちを防げます。

BtoCだけでなくBtoBにも対応

AISASはモデルの性質上、BtoC商材のほうが向いているといわれています。しかし近年ではSaaSの台頭によりBtoB製品・サービスのリアルな口コミを閲覧できるレビューサイトが登場しており、BtoBにおいてもユーザーレビューを重視する傾向が見られます。BtoBビジネスでもAISASは有効なモデルのひとつであるといえるでしょう。

「共有」により新規顧客を獲得できる

 

AISASの「Share」を促進することで、新規顧客の獲得が期待できます。なぜならばShareによって、商品の口コミやレビューがSNSで拡散され、自社商材に興味関心を持つ顧客が自然に集まってくるようになるからです。企業は認知獲得のための広告費をかけることなく、新規顧客を獲得することが可能です。

AISASの次世代モデル「Dual AISAS」とは

2015年にAISASをさらに発展させ、SNS時代における消費者の行動パターンを可視化した新たなモデルが登場しました。それが「Dual AISAS」です。

 

従来のAISASは、「Share」は最後のステージに位置づけられ、拡散や共有は商品購入後に行われるものだと考えられてきました。しかしSNSが普及した現代においては、SNSの拡散は商品購入後に限定されるものではなく、商品購入前、あるいは商品を購入しなくても「Share」を行うユーザーが増えています。

 

そこで、従来の「商品を買いたい」というAISASに加えて、「SNSで商品を広めたい」という概念を取り入れたAISASが誕生しました。そのためDual AISASは従来の縦方向型のAISASの「Interest」に、広めることを目的とした横向きのAISASが加わったモデルとなっています。この横向きのAISASは以下の要素で構成され、「A+ISAS」と表記されます。

 

  • Activate(活性化)
  • Interest(興味)
  • Share(共有)
  • Accept(受容)
  • Spread(拡散)

 

この「A+ISAS」の状態にある消費者をコミュニケーション関心層といいます。商品やサービス自体には関心がなく、商品やプロモーションを通したコミュニケーションに対して興味を抱いています。つまり、SNSで拡散するものの、購入には至らない層であり、このコミュニケーション関心層をいかに「商品を買いたい」AISASへと誘導し、購買を目的にしたAISASへと進ませるかがDual AISASにおいて重要とされています。

まとめ

本記事ではAISASの概要から活用するメリット、類似する購買行動モデルとの違いについて解説しました。

 

Webマーケティングにおいて顧客理解は欠かせない要素のひとつです。その顧客理解を深める手段のひとつとして、AISASは役立つフレームワークであるといえます。近年ではBtoBビジネスにおいても「Share」を重んじる傾向にあり、BtoB商材にも適したモデルといえるでしょう。ぜひAISASを活用し、自社のマーケティング戦略に役立ててみてください。

 

本記事が貴社のビジネスヒントの一助になれば幸いです。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 16 Apr 2024 09:00:00 +0900
<![CDATA[PEST分析とは?目的や進め方、メリット・デメリットをわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/pest-analytics PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を4つの要因(政治・経済・社会・技術)に分類し、自社に与える影響を予測する分析手法です。

 

現在、もしくは将来、自社に影響を与えうる脅威やチャンスを把握することができるため、事業戦略やマーケティング施策の立案の際に役立ちます。市場の将来性なども予測でき、自社の成長に活かすことができるため、多くの企業で取り入れられているフレームワークです。

 

本記事では、PEST分析の概要をはじめ、進め方やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。最後には実際の事例や、PEST分析と併用して利用できるフレームワークなども紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

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PEST分析とは?

PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を4つの要因(政治・経済・社会・技術)に分類し、現在もしくは将来、自社にどのような影響を与えるかを予測する分析手法です。

「PEST」は「政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)」の頭文字を取って呼ばれており、主に自社の経営やマーケティング戦略を検討する際に使用されます。

自社を取り巻く外部環境に関する分析には、大きな視点から分析を行う「マクロ環境分析」と、小さな視点から分析する「ミクロ環境分析」の2種類があり、PEST分析はマクロ環境の分析に適しているとされています。

それぞれの分析法は以下の通りです。

マクロ環境分析

「マクロ環境分析」では、政治、経済、社会、技術に加え、人口統計・技術革新・流行変化など、自社に間接的に影響を与える外部環境要因を分析します。5年、10年間など、長期的なスパンで環境要因を捉えるのが特徴です。

PEST分析の他に、「SWOT分析」(詳細は後述)などがマクロ環境分析のフレームワークとして主流です。

ミクロ環境分析

「ミクロ環境分析」では、市場の動向や将来性に加え、競合他社の動向や、顧客の行動など、自社に直接影響を与える外部環境を分析します。

ミクロ環境分析を行うフレームワークの代表は、他にも「5フォース分析」や「3C分析」(詳細は後述)などがあります。

PEST分析を行う目的

PEST分析には、自社を取り巻く環境要因を把握することで、自社への脅威を予測したり、将来性や方向性を明確にしたりする目的があります。以下ではさらに詳しく解説します。

マーケティングの方向性を明確にする

マーケティング活動で成果を出すためには、方向性を明確にすることが大切です。

市場や競合他社などの「ミクロ環境分析」も重要ですが、PEST分析では自社ではコントロールできない、外部環境の大きな流れを分析・把握します。そのため、広い視点で自社のマーケティング戦略や施策の方向性を捉えるのに向いており、PEST分析での結果はマーケティング施策を実施する上での土台となります。

まずはPEST分析やSWOT分析でマクロ環境分析を行って方向性を明確にした上で、3C分析などでミクロ環境を分析し、戦略や施策の策定につなげていくという流れが一般的です。

変化や脅威を予測する

PEST分析を行う大きな目的には、市場の変化や将来性、自社に対する脅威などの予測もあります。

PEST分析で予測した結果を、新製品開発や新規市場への参入企画などに活かすことができます。脅威が把握できると、市場やサービスの撤退判断を適切に下せるでしょう。

時流にマッチしたマーケティング戦略や施策の策定、市場チャンスを掴むために、PEST分析を行うのは大切です。

PEST分析の4要因

PEST分析の4つの要因(政治・経済・社会・技術)をそれぞれ詳しく解説します。

 

PEST分析

 

Politics:政治的要因

Politics(政治的要因)は、自社に影響を与える政治・法律・税制などの要因を指します。
具体的には、法改正や規制緩和、政府の動向や税制の見直し、外交関係の動向などが分析対象です。

業界や市場に与える影響が大きいので、自社の戦略を変更しなければならないなどの「脅威」として捉えられる場合もありますが、新規販路開拓やビジネスチャンスが見つかる可能性があるという側面もあります。

Economy:経済的要因

Economy(経済的要因)は、経済成長率や為替相場、インフレ・デフレの進行、金利など、消費動向に影響を与える経済要因を指します。

企業の売上に大きな影響や変化をもたらす経済的要因を予測することで、発生しうるリスクを最小限に抑えられるように対策を打てます。

Society:社会的要因

Society(社会的要因)は、人口動向などの定量的な要因に加え、文化や生活、価値観の変化などの定性的な要素まで、広く生活に影響を与える要素を指します。

社会的要因を分析することで流行の把握やライフスタイル変化などを予測することが可能です。消費者の好みによりマッチした製品開発やマーケティング施策の策定に活かせます。

Technology:技術的要因

Technology(技術的要因)は、テクノロジーの進化や新技術の登場などが自社に影響を与えるを要因を指します。

技術革新やIoTをはじめ、最近ではAIやメタバースなどの登場によって、市場や社会は大きな変化を求められています。事業の成長や衰退に大きく影響するため、技術的要因を分析して、「事業拡大や業務効率化につなげられないか」「自社が取り残されてしまう可能性はないか」などを把握しましょう。

では、PEST分析を行うにはどのように進めていけばいいのでしょうか?次章で解説します。

PEST分析の進め方

PEST分析は、目的・ゴールを設定してから、マクロ環境を4つの環境要因や他の項目に分類し、施策に落とし込んでいきます。

PEST分析の基本的な進め方を、以下の6つのステップで解説します。

 

  1. ①目的・ゴール、環境要因の対象の設定
  2. ②対象の情報収集・4つの要因に分類
  3. ③「事実」と「解釈」に分類
  4. ④「機会」と「脅威」に分類
  5. ⑤「短期」と「長期」に分類
  6. ⑥施策に落とし込む

 

①目的・ゴール、環境要因の対象の設定

まず、自社がPEST分析を行う目的・ゴールに加え、環境要因の対象を設定しましょう。

目的が明確であれば、PEST分析から得たデータを自社の戦略に活かす際、適切に策定を練ることができます。ゴールも明らかにしておくことで、PEST分析で定めた自社の方向性で成果を達成できるかどうかを判断しやすくなります。

また環境要因の対象を何に設定するかによって分析結果は大きく変わるので、適切な対象を設定することが大切です。自社の顧客を増やすために訴求するのであれば環境要因は業界だけに留まる傾向にありますが、業務効率化や利益拡大を目指すのであれば、環境要因として捉えられる対象は広まります。

②対象の情報収集・4つの要因に分類

目的・ゴール、及び環境要因の対象を設定したら、自社事業に関する情報収集を行い、マクロ環境を4つの要因「政治・経済・社会・技術」に分類していきます。

国が公開している各種統計データや、マーケティング会社の調査レポートをはじめ、業界団体の発する情報、新聞、専門誌の記事などから、正確なデータを収集しましょう。

環境要因の対象に関する情報を集められたら、先述した4つの要因「Politics:政治的要因、Economy:経済的要因、Society:社会的要因、Technology:技術的要因」に振り分けます。

③「事実」と「解釈」に分類

次に、4つの要素に分けた環境要因を「事実」と「解釈」に分類しましょう。

「事実」は、実際に起きていることやデータを、「解釈」は、起きた事柄を主観で理解した個人的な考えを指します。PEST分析では「事実」のみを扱うのが望ましいとされており、誤って解釈を扱ってしまうと正確な分析が行えないので注意が必要です。

数値から判断できるものやデータが明らかになっているものは「事実」、因果関係が定かではないものは「解釈」と捉えると、分類しやすいでしょう。

④「機会」と「脅威」に分類

前のステップで「事実」に振り分けた情報を、さらに「機会」と「脅威」に分類します。

自社にとって有利となる情報=チャンスとなり得る要因は「機会」に、不利になることが予測できる情報=リスクとなり得る要因は「脅威」に振り分けられます。

情報が「機会」と「脅威」のどちらに振り分けられるのかは、企業によって大きく異なり、業界全体で見ると「脅威」と捉えられる要因も、自社にとっては「機会」となる場合があります。逆のケースもあり得るので、一般的な観点からではなく、あくまでも「自社に与える影響」という視点から分類することが大切です。

一見「脅威」と考えられる情報の中に、ビジネスチャンスが潜んでいることもあるので、多面的且つ広い視野で振り分けてみましょう。

⑤「短期」と「長期」に分類

機会と脅威に分類したら、それぞれの事実に与える影響が短期的なのか、長期的なのかで振り分けます。

環境は常に変化しているため、分析するタイミングと、分析結果を活用した施策を実施するタイミングでは、情報が古くなってしまい、分析結果を適切に活かせない可能性があります。

「短期」と「長期」という時間軸で環境要因の影響を整理しておくことで、メンバー間での認識を揃えることができ、業務の効率化にもつながります。

⑥施策に落とし込む

ここまでの分析結果を具体的な施策へと落とし込んで実行に移しましょう。最後のステップでは、脅威を把握してリスクを避けつつ、機会を明らかにして事業の成長を目指すことが大切です。

また、施策に落とし込むべき優先度が高いのは「短期」+「緊急性が高い」ものです。キャンペーンの実施やプロモーション強化など、短期的な対応が必要なものを優先して施策に取り入れる必要があります。自社のリソースを考慮しながら検討しましょう。

PEST分析のメリット

PEST分析を行うメリットは、自社ではコントロールできない外部の環境を分析することで、ビジネスチャンスを把握してさらなる成長につなげられたり、脅威を未然に回避したりすることができるという点にあります。

状況の正確な把握や、必要なデータの取捨選択もできるため、不測の事態が起こっても迅速に対応できる可能性も高まります。特に新規市場への参入や新製品の開発を行う際には、PEST分析を実施した上で戦略を練るとよいでしょう。

PEST分析のデメリットと注意点

PEST分析にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。PEST分析の注意点をしっかりと理解し、対応できるようにしましょう。

まずデメリットの1つとして挙げられるのは、PEST分析は外部環境を分析するフレームワークなので、情報に不足があるという点です。3C分析などの内部環境を分析するフレームワークと併用することをおすすめします。

また、必ずしもPESTの4要因全ての分析が必要ではなく、設定した自社の目的やゴール、環境対象の要因によっては優先順位の高い要素の分析だけで十分な場合もあります。

他にも以下のことに注意し、柔軟に対応することが大切です。

 

  • フレームワークの内容を埋めさえすれば分析できたと安心しない
  • PEST分析の結果はあくまでも背景情報なので、経営層に報告する際は軽視されないように報告資料を作成する
  • PEST分析の対象となる4要素は中長期で変化する傾向にあるため、短期的な戦略構築には向いていない場合がある

PEST分析と組み合わせて使えるフレームワーク

PEST分析は、他のフレームワークと組み合わせて使うことで、より精度の高い戦略策定が可能になります。本章では、環境分析を行う代表的なフレームワークを4つ紹介します。

 

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5フォース分析

5フォース分析は、自社の収益性にとって脅威となる外部環境を調査・分析するためのフレームワークです。

 

5フォース分析

 

「5フォース」は5つの脅威=「競合他社・新規参入の障壁・代替品の脅威・買い手の交渉力・売り手の交渉力」を意味します。それぞれの脅威を分析することで、自社の関する業界の構造を明らかにし、自社の競争優位性を把握するのに役立ちます。

また自社にとってリスクとなる事柄を分析するため、どうすれば収益が得られやすくなるかを検証可能です。

3C分析

3C分析とは、主に事業計画やマーケティング戦略を決める際に用いられる分析方法です。
3Cとは以下の3つの「C」から構成されています。

 

  • Customer(市場・顧客)
  • Company(自社)
  • Competitor(競合)

 

PEST分析が政治・経済・社会・技術など、外向きの大きなトレンドや変化に注目して市場環境を分析するのに対し、3C分析は自社が直面している競争環境を理解し、戦略的な意思決定を行うためにそれぞれの要素を細かく分析・調査を行い、自社のマーケティング環境をできる限り把握します。

 

3C分析

 

3C分析のメリットは、市場・顧客、自社、競合のそれぞれの分析から「KSF(キーサクセスファクター)」、つまり事業を成功させる要因を発見できることです。外部環境の分析から事業におけるKSFを明確にすることで、成功に向けて自社が進むべき方向性が見えるようになります。

 

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SWOT分析

SWOT(スウォット)分析とは、経営戦略やマーケティング戦略立案の初期段階で活用されることが多いフレームワークです。自社を取り巻く内部環境と外部環境を4つの要素から分析し、企業や事業の現状を把握することができます。SWOTとはそれぞれを表す以下の4つの単語の頭文字を組み合わせています。

 

S:Strengths(強み)
W:Weaknesses(弱み)
O:Opportunities(機会)
T:Threats(脅威)

 

SWOT分析は、下記の図のように縦軸を内部環境と外部環境、横軸をプラス要因とマイナス要因に分けて分析します。

 

SWOT分析

 

内部環境とは自社を構成するリソースのことで、社内でコントロールできる領域を指します。内部環境を「強み」と「弱み」に分けて整理することで、既存事業の改善点や新規事業の将来的なリスクの発見につながります。

外部環境とは市場や競合他社の動向など、社内でコントロールできず、自社に影響をもたらす領域を表し、「機会」と「脅威」に分けて整理することで、新しいビジネスチャンスや潜在的なリスクを早期に見つけることが可能です。

 

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4P分析

4P分析とは、「Product(製品)/何を」「Price(価格)/いくらで」「Place(流通)/どこで」「Promotion(販売促進)/どのように」売るのかを考える、マーケティング戦略のフレームワークです。整合性のあるマーケティング戦略の立案に役立ちます。

 

4P分析

 

4P分析を行うと、商品の特性、商品品質、勝負すべき価格帯、販売ルート、顧客のニーズなどを明らかにできるので、一貫性のある思考でマーケティング活動に取り組みたい時に有効です。

4P分析は「マーケティング戦略を立案するとき」に実行され、ターゲティングやポジショニングを行った後の、マーケティングミックスを行う際に活用されます。

 

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PEST分析を行う際の3つのコツ

PEST分析を適切に行うためには、以下の3つのコツが大切です。

 

  • 目的を見失わない
  • 短期計画には不向き、中長期計画向け
  • 内部環境分析も併用して行う

 

それぞれのコツについて詳しくみていきましょう。

目的を見失わない

PEST分析を行う際には、初めに設定した目的を見失わないように気をつけましょう。

これを意識せずにPEST分析を行うと、膨大な量の情報をさばくことでいっぱいになり、目的やゴールを見失ってしまう可能性があります。気付かぬ間に手段が目的となってしまうケースもあるため、注意が必要です。

目的を常に意識しながら、基本的なステップに従って分析を行いましょう。

短期計画には使わない

PEST分析の対象とされる4要因「政治・経済・社会・技術」の変化は数年単位で変化する傾向にあり、その規模が多いほど期間は長期になります。

そのため、翌月の営業計画や数ヶ月ごとの戦略などの短期計画には不向きとされています。基本的には中長期的な事業戦略を策定する際に活用しましょう。

内部環境分析も併用して行う

先述したように、PEST分析は外部環境の変化を分析対象とするフレームワークなので、単体で活用すると情報に不足がある可能性があります。内部環境の分析も併用して行うようにしましょう。

前章で紹介した3C分析やSWOT分析を活用して事業戦略を策定することで、より精度の高い事業戦略を立案することができます。

まとめ

本記事では、PEST分析の進め方やメリット・デメリット、実際の事例など、PEST分析に関する知識を網羅的に解説しました。

目まぐるしい変化の中でも、自社でコントロールすることが難しいマクロ環境をPEST分析で適切に把握できれば、効果的なマーケティング戦略の策定や、安定した企業運営へとつながります。

紹介した注意点やコツを意識しながらPEST分析を適切に実施し、ワンランク上の経営戦略や営業計画の立案を目指しましょう。

 

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Fri, 12 Apr 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[AIDMA(アイドマ)とは?AISAS(アイサス)との違いや活用シーン、成功事例などをわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/AIDMA AIDMA(アイドマ)とは、消費者の購買行動プロセスを説明する、代表的なフレームワークの1つです。商品・サービスを購入する人が、どのようなプロセスを経て購入に至ったのかという一連の流れを表した概念です。

 

AIDMAを活用することで、マーケティングの最適化につながり、商品・サービスの売上向上を期待できます。

 

本記事ではAIDMAの基礎知識をはじめ、AIDMAの活用シーンや活用メリット、AIDMA以外の消費者行動プロセスを解説します。最後には実際の成功事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

 

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AIDMA(アイドマ)とは

AIDMA(アイドマ)

 

AIDMA(アイドマ)とは、消費者の購買行動プロセスを説明する、代表的なフレームワークの1つです。

 

消費者の5つのプロセス「Attention(注意・認識)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)」の頭文字から構成されており、消費者が商品やサービスを「知る→興味・関心を持つ→欲しいと思う→覚える→購入する」という一連の流れを表しています。

 

購買行動を分解して理解することで、ユーザーの動機を見極められ、より適切にアプローチできるようになり、購買に結びつく可能性が高まります。

 

他にも数多くの購買行動プロセスのフレームワークが存在しますが、AIDMAはユーザーの短期的な購買行動を説明している点が特徴です。

 

以下でそれぞれのプロセスについて詳しく解説します。

Attention(注意・認識)

AIDMAのファーストステップである「Attention(注意・認識)」は、消費者が商品・サービスを知ることを意味します。テレビやネットの広告、SNSなどから情報を得ることで、もともと商品やサービスを知らないユーザーがその存在を認識する段階です。

Interest(関心)

前の段階で知った商品・サービスに対して、消費者が興味・関心を持つフェーズが「Interest(関心)」です。

 

商品やサービスを認識しても、興味を持ってもらえなければ購入には至りません。「どんな商品なのか」「このサービスでどんなことが解決できるのか」など関心を抱いてもらうことが重要です。興味・関心を持ってもらえるかは一瞬で決まるとされているので、企業側は魅力を簡潔に伝える工夫が求められます。

Desire(欲求)

「Desire(欲求)」は、認識+興味を持った商品・サービスを欲しいと思う段階を指します。

 

関心を持ってもらうだけでなく、「実際に使ってみたい」「課題解決のために導入したい」と思ってもらう必要があります。また商品・サービスそのものに興味はあるものの、「価格が高いのではないか」「本当に必要なのか」などの疑問を抱える消費者も多いので、心配や不安を取り除くアプローチが重要です。

Memory(記憶)

消費者は商品・サービスを「購入したい」「使ってみたい」と思ったとしても、購入まで至るとは限りません。

 

そこで企業は、様々なチャネルを通して消費者に情報を提供してリマインドする必要があり、そのプロセスが「Memory(記憶)」です。アプローチすることで、商品・サービスを購入するモチベーションを高めます。

Action(行動)

「Action(行動)」は、消費者が商品・サービスを購入する最終プロセスを指します。

 

購入するモチベーションが高まっていても、購入する機会がない場合や、購入する方法がわからない場合、買って購入しないか悩んだ末に購入をやめてしまうケースなどがあります。

 

コンビニなどの消費者が訪れやすい店舗に商品を置いたり、期間限定の特典をつけたりするなどの対策をすることで、購入機会を提供でき、商品の購入へとつながります。

AIDMA(アイドマ)の具体例

AIDMA(アイドマ)をより理解するため、消費者が新しい冷蔵庫を購入するシーンを例に考えてみましょう。

 

まず消費者は、テレビCMやSNS、Web広告などで冷蔵庫について認知=「Attention」し、その冷蔵庫が好きか嫌いかを瞬時に判断して関心=「Interest」を持つかどうかが決まります。

 

関心を持ったら、この冷蔵庫が自分に必要か否かや、本当に欲しいものかどうか=「Desire」を検討し、記憶=「Memory」します。そして冷蔵庫を購買するモチベーションが高まり、購入機会が訪れたら購買行動=「Action」を起こすという流れです。

AISAS(アイサス)との違い

AISAS(アイサス)

 

AISAS(アイサス)とは、1990年代に電通によって提唱された消費者行動モデルで、AIDMAをインターネット社会に適応させたモデルです。インターネットが普及したことによって端末に商品を記憶させることができるようになり、消費者は自分で記憶する必要がなくなったため、AIDMAの「Memory(記憶)」の段階は消失しました。下記がAISASの購買プロセスです。

 

  • Attention(注意・認識)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Action(行動)
  • Shere(共有)

 

SNSが普及した今、商品を購入したらブログやSNSなどに投稿し、友人にシェアするという行動が一般的になっています。モデルなどのインフルエンサーがインスタグラムなどのSNSで商品を紹介すると爆発的にヒットするという現象も起きています。

 

さらに、何かを探す時はGoogle、Yahoo!などの検索エンジンではなく、SNSを利用するという人も増えてきました。こういった風潮がある中で、「share(共有)」をプロセスの1つとして置いている「AISAS」は、今後のマーケティング戦略を考えるうえで重要なフレームワークだと言えるでしょう。

AIDMAの活用シーン

AIDMAの主な3つの活用シーンについて解説します。

ペルソナの設定

AIDMAはペルソナを設定する際に活用されます。ペルソナとは、自社のターゲットとなるユーザー像を指し、ペルソナを通してユーザー像への理解を深めることで、マーケティング方針を統一できるという役割があります。

 

ペルソナを設定する際にAIDMAを活用して購入行動を分析すれば、ペルソナをより具体的且つ適切に設定しやすくなります。AIDMAから明らかになったニーズや流行などをペルソナに反映することが大切です。

 

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プロセスに応じたアプローチ方法の設定

消費者を購入へと導くためには、各プロセスごとに適したアプローチを行う必要があります。適切なアプローチ方法を設定する際には、AIDMAの活用が役立ちます

 

「Attention」では、テレビCMやWebサイト、SNSでの商品・サービスの広告、「Interest」では、同じ方法を通してより商材の魅力が伝わる情報を提供していきます。

 

「Desire」のフェーズでは、消費者自身が情報を集めようとするため、Webサイトの製品ページやカタログの内容を充実させることが大切です。その後、定期的なメルマガの配信や様々なチャネルを通した広告を打つなど、商品・サービスを思い出してもらえるような施策を行う段階が「Memory」です。

 

最終フェーズの「Action」では、消費者の購買意欲を刺激するために、キャンペーンの企画やクーポンの配布などのアプローチを行います。

適切なタイミングでのマーケティング施策の実行

マーケティング施策で効果を出すためには、適切なタイミングで消費者にアプローチすることが必要です。その際にはAIDMAを活用すると良いでしょう。

 

AIDMAのフェーズを元にタイミングを考慮した上でアプローチすることで、消費者が各フェーズを着実に踏んでくれる可能性が高まります。より的確なタイミングを把握するためには、マーケティングオートメーションを導入するのも効果的です。

 

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AIDMAを活用する3つのメリット

AIDMAを活用することで、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?主な3つのメリットを紹介します。

自社の課題を明確にして改善につなげられる

AIDMAを活用することで、自社の課題や弱みを明確にし、改善策の立案につなげられるというメリットがあります。

 

Desire(欲求)のフェーズで購入意欲が高くても、Action(購入)の段階ではなかなか購入へ結びつかないケースなどがよくあります。この場合、商品・サービスの値段や質に原因があるとは限らず、競合他社製品と比較した際に改善すべき点が見つかることがあります。

 

思うように成果がでない場合は、AIDMAの各フェーズごとに自社の課題や弱みを把握し、改善していくことが大切です。

消費者の心理状態に応じてマーケティングを最適化できる

消費者の心理状態に応じてマーケティングを最適化できるという点も、AIDMAを活用する大きなメリットです。

 

消費者の心理状態は各フェーズごとに異なる傾向にあるため、必要な施策もそれぞれ違います。適切でない施策を打っても効果が得られないため、せっかくかけた手間や労力も無駄になりかねません。AIDMAの各段階における消費者心理を考慮し、最適なマーケティング施策を打ちましょう。

ペルソナマーケティングを最適化できる

AIDMAを活用することでペルソナマーケティングを最適化することができ、より効果的な施策を打てるようになります

 

ペルソナを設定する際にAIDMAを活用することで、ペルソナをより具体的且つ適切に設定しやすくなることは先述しましたが、ペルソナを深掘りすることで、AIDMAの各段階においてより効果的な施策を打つことができます。

 

たとえば、ユーザーを「男性・40?60代・高年収」というペルソナを設定した場合、ユーザーが多いと予測できる新聞やタクシーに広告を打つことで成果が得やすくなるはずです。AIDMAを活用することで、ペルソナマーケティングの最適化につながります。

 

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AIDMA以外の消費者行動プロセス13選

AIDMA以外の13の消費者行動プロセスを解説します。

SIPS(シップス)

SIPS(シップス)

 

SIPS(シップス)とは、SNSにおけるユーザー同士の影響を考慮した購買プロセスを指します。AIDMAやAISASをもとにした概念ではなく、新しい購買プロセスとして定義されたフレームワークです。

 

以下の段階から構成されており、それぞれの頭文字から名付けられています。インターネットやSNSが普及した現代の消費者行動に合わせて生まれました。

 

  • Sympathize(共感)
  • Identify(確認)
  • Participate(参加)
  • Share/Spread(共有・拡散)

 

プロセスが「共感」から始まる点や、消費者がSNSを通して企業の営業活動に参加する点もなども、他のフレームワークにはない特徴です。

AISCEAS(アイセアス)

AISCEAS(アイセアス)

 

AISCEAS(アイセアス)は、「インターネット普及後の社会における消費者行動モデル」です。消費者のサービスや商品購入までのプロセスを下記の7段階に分けて考え、その頭文字をとって名付けられました。

 

  • Attention(認知・注意):消費者が商品を認識する段階。
  • Interest(興味・関心):消費者が商品を購入するか考え、興味関心を持つ段階。
  • Search(検索):消費者が商品についての情報を検索する段階。
  • Comparison(比較):消費者が商品の比較をおこなう段階。
  • Examination(検討):消費者が商品を購入するか検討する段階。
  • Action(行動):消費者が商品を購入する段階。
  • Share(共有):消費者が体験を共有する段階。

 

このA・I・S・C・E・A・Sのそれぞれのステップに対して、自社のボトルネックを特定し施策を打っていくことで、効果的に顧客を獲得しシェアまでつなげることが可能です。ただ闇雲に施策を打つよりも、より合理的な判断ができるのが、消費者行動モデルを活用するメリットといえるでしょう。

 

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AIDA(アイダ)

AIDA(アイダ)は概念として提唱された初の購入行動フレームワークで、AIDMAの原型とされています

 

各アルファベットは以下を表しており、欲求と購買までの間に「Memory(記憶)」が追加されたのがAIDMAです。他の多くの消費者行動プロセスの元となった概念として知られています。

 

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Action(購買)

AIDCA(アイドカ)

AIDCA(アイドカ)は、AIDAモデルに「Conviction(確信)」が加えられた消費者行動プロセスです。AIDMAと同時期に提唱され、AIDMAの「Memory(記憶)」の部分が「Conviction(確信)」に替わっていると捉えることもできます。

 

主に見込み客の購買を狙うダイレクトマーケティングで活用されるのが特徴です。AIDCAにでは「Conviction(確信)」が最も重要なフェーズであり、例えば消費者が高額な商品・サービスを購入する場合、その動機となるのはMemory(記憶)ではなくConviction(確信)であると考えられています。

 

消費者が商品やサービスの価値を確信することで強い購買意欲をもつとされています。

AIDCAS(アイドカス)

AIDCAS(アイドカス)は、前章で紹介したAIDCAに「Satisfaction(満足)」を加えた概念で、商品・サービス購入後のアフターサービスやフォローをしっかりと実施して満足してもらうことを重視したフレームワークです。

 

リピーターの増加やリピート率の向上を目的としており、AIDCAと同じく、主に見込み客の購買を狙うダイレクトマーケティングで活用されます。

AMTUL(アムツール)

AMTUL(アムツール)は、消費者からの信頼や愛着に注目した購買行動プロセスで、各アルファベットは以下を表しています。

 

  • Aware(認知)
  • Memory(記憶)
  • Trial(試用)
  • Usage(本格的な利用)
  • Loyalty(愛用・固定客)

 

AIDMAよりも長期的な心理変化に着目している点が特徴で、消費者との良好な関係構築や、顧客のファン化などを狙えます。ファンを育成・獲得できれば、継続的に商品・サービスを購入してもらう可能性が高まります。

AISA(アイサ)

AISA(アイサ)は、SNSにおける消費者の情報発信から発展する購買プロセスです。以下の流れで構成されています。

 

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Social Filter(ソーシャルフィルター)
  • Action(購買)

 

消費者の中には、WebサイトやGoogle検索ではなく、SNSから得られる情報で商品の購入を決める人も増えています。AISAでは「Social Filter(ソーシャルフィルター)」では、SNSにおける商品・サービスに対する消費者の反応に着目するのが特徴です。

ARCAS(アルカス)

ARCAS(アルカス)とは、店頭販売における購入プロセスを指します。具体的には以下の頭文字から構成されており、主に店頭販売のマーケティング戦略にて活用されます。

 

  • Attention(気づき)
  • Remind(思い起こし)
  • Compare(比較)
  • Action(購買)
  • Satisfy(満足)

 

具体的には、消費者が来店して商品を見た際に「広告で気になっていた商品だ」と思い出したり、店頭で商品に触れた後、他の場所で商品を思い出して比較したりした後に、購入に至るという一連のプロセスを説明します。

 

提供する商品・サービスはもちろん、店舗での接客などに力を入れることで再来店につながり、商品のリピート購入を狙えるでしょう。

AIDEES(アイデス)

AIDEES(アイデス)は、消費者が購入した商品・サービスに満足し、口コミやSNS紹介などでシェアすることに着目した購買決定プロセスです。下記の頭文字をとって名付けられました。

 

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Experience(購入)
  • Enthusiasm(心酔)
  • Share(情報共有)

 

AIDMAと比較すると、消費者の体験を重視している点が大きな違いであり、ユーザーによる口コミや宣伝に重きをおいている点がポイントです。消費者が商品・サービスを使って感動した=「Enthusiasm(心酔)」ことを、ネット上で「Share(情報共有)」し、次の消費者へとつなげていくのが特徴です。

SAIDCAS(サイドキャス)

SAIDCAS(サイドキャス)とは、インターネットが普及した現代に即した消費行動プロセスで、GMOが自社の成功事例をもとに編み出し、提唱したモデルです。それぞれのアルファベットは以下を意味しています。

 

  • Search(検索)
  • Aware(認知)
  • Interest(興味)
  • Desire(欲求)
  • Conviction(確信)
  • Action(行動)
  • Satisfy(満足)

 

大口の顧客をつくり出して需要を拡大させ、最終的に獲得することを目的としています。

VASAS(ヴィサス)

VASAS(ヴィサス)はSNSやインフルエンサーを通じた口コミなど、「消費者の情報発信」に着目した消費者行動プロセスです。それぞれの頭文字は以下を意味しています。

 

  • Viral(口コミ)
  • Influence(影響)
  • Sympathy(共感)
  • Action(行動)
  • Share(共有)

 

誰もが情報発信を行える現代では、消費者が簡単にSNSで発信できるようになり、その情報を他の消費者が見ることで、購入するというプロセスが一般的になっています。本モデルでは、「どのように良い口コミを広めるか」「SNSでどのように情報発信を促すか」が重要です。

DECAX(デキャックス)

DECAX(デキャックス)は、Web上で消費者自らが情報発見を行うことを前提とした消費者行動プロセスです。以下のような流れで消費者が自分で情報収集を行い、商品・サービスの購入に至る流れを説明しています。

 

  • Discovery(発見)
  • Engage(関係)
  • Check(確認)
  • Action(購買)
  • Experience(体験共有)

 

SNSやWebサイトなどを通して、消費者があらゆる情報に触れることを考慮している点がポイントです。

 

具体的に「Engage(関係)」は、企業が発信した情報に消費者が反応することで良好な関係を構築することを意味し、「Check(確認)」は、自身で収集した情報が正しいか・有益な情報かをチェックすることを指します。購入した後は、その体験をWeb上で共有=Experienceするという特徴があります。

ULSSAS(ウルサス)

ULSSAS(ウルサス)とは、消費者がSNSに投稿するコンテンツを軸とした購入プロセスを指します。以下が各アルファベットの意味です。

 

  • UGC(ユーザー投稿コンテンツ)
  • Like
  • Search1(SNS検索)
  • Search2(Google/Yahoo!検索)
  • Action(購入)
  • Spread(拡散)

 

消費者は商品・サービス購入後、その商品に関するコンテンツをSNSに投稿するのが一般的になっています。その投稿に他の消費者が「Like(いいね)」で反応し、SNSやGoogle/Yahoo!などのWeb上で検索を行うことで購入に至ります。

 

さらにその消費者が自分のSNSに投稿をすることで、同様の流れが生じてさらなる購入に至るという、自動で集客ができるサイクルの構築を狙います。

AIDMAを活用した成功事例3選

実際にAIDMAを活用した成功事例を3つ紹介します。

資生堂「TSUBAKI」

資生堂が2006年から展開しているヘアケアブランド「TSUBAKI」は、AIDMAの成功事例の中でも代表的な例といえます。

 

有名女優陣が出演するCMのテーマソングを国民的アイドルが担当するという、膨大な予算を使ったキャンペーンを打つことによって、一世風靡を巻き起こしました。黒髪の美しさに着目した戦略で日本女性の共感を獲得し、黒髪ブームも起こったほどです。

 

以下ではAIDMAの段階ごとの施策を解説します。

Attention(注意・認識) 有名女優・人気アイドルをTVCMに起用。テーマソングを耳にするだけで商品を思い出すなど、耳に残るテーマソングと強いインパクトを与えた。
Interest(関心) 「日本の女性は、美しい」という印象的なコピーをTVCMに起用し、消費者の興味・関心を惹きつけた。
Desire(欲求) 店頭やドラッグストア、街中でサンプルを配布し、実際に使用してもらうことで購入欲求を高める。
Memory(記憶) 店頭でPOPを貼ったり、大量に陳列してもらったりするなど、大々的に商品をアピールし、リマインドする。シャンプーとコンディショナーをセット販売し、販促品をつけるなどの工夫を施す。
Action(行動) これまでのフェーズを経て、消費者が実際に店頭で商品を購入する。

 

参考

ナイル株式会社「おトクにマイカー 定額カルモくん」

ナイル株式会社のリーズナブルな価格でカーリースを利用できるサービス「おトクにマイカー 定額カルモくん」でもAIDMAが活用され、加入者が増えるという成果が得られました。

 

以下がAIDMAのフェーズにおける具体的な施策です。

Attention(注意・認識) 「車」に関連したキーワードでSEO上位表示を獲得し、ユーザーにサービスを認識してもらう。
Interest(関心) 「定額で車が買える」という簡潔でわかりやすいコピーを打ち出した。魅力を端的に伝えることで、ユーザーが関心を持った。
Desire(欲求) Webサイトで「定額であの新車に乗れる!」と理解してもらい、商品・サービスの購入に対する欲求を高める。
Memory(記憶) 電車内広告やリターゲティング広告などを利用して、サービスを思い出させる。
Action(行動) Web上で審査申込みから納車まで完結できるシステムを採用することで、ユーザーに購入機会を提供。ユーザーが購入行動を起こしやすくなった。

 

参考

2018年サッカーワールドカップのコカ・コーラ社

コカ・コーラ社でも、2018年のサッカーワールドカップの期間中にAIDMAが活用された取り組みが実施されました。同社はサッカーを観戦しながらコカ・コーラを飲む様子のTVCMを大量に放映することで、コカ・コーラの売上は大幅に向上しました。

 

Attention(注意・認識) サッカーワールドカップの試合をテレビで観戦する際、コカ・コーラのTVCMが流れることで認知度は向上した。
Interest(関心) 印象的なキャッチコピーをCMの最後に流すことで、サッカーワールドカップとコカ・コーラが結びついて記憶され、消費者の興味・関心を刺激した。
Desire(欲求) 世間でサッカーワールドカップの話題が持ちきりになると、サッカーにあまり興味がなかった消費者もテレビで観戦したいと思うようになり、TVCMを視聴することによって商品購入の欲求が高まった。
Memory(記憶) サッカーワールドカップとコカ・コーラのCMを結びつけて記憶した消費者に、さらにリマインドして思い出させることで購入のモチベーションを高める。
Action(行動) サッカーワールドカップを見る予定の消費者が、帰路でコカ・コーラを思い出して購入する。

 

参考

まとめ

本記事では、AIDMA(アイドマ)の基礎知識や活用シーン、AIDMA以外の13の消費者行動プロセスなどを解説しました。

 

インターネットが普及し、消費者の購買行動は変化していますが、AIDMAは100年以上前に提供されながらも根強く残り、今もあらゆるシーンで活用されています。AIDMAを活用し、各フェーズの消費者の状況をしっかりと把握することで、効率的に消費者を購買行動へと導けます

 

AIDMAを起点に、アップデートされた他の消費者行動モデルも参考にして施策立案に取り組むことで、より大きな成果を得られるでしょう。

 

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  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

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Wed, 10 Apr 2024 10:00:00 +0900
<![CDATA[ウェブアクセシビリティとは?]]> https://mtame.jp/design/web-accessibility ウェブアクセシビリティとは、障がいを持つ人を含む、すべての人がWebサイトやアプリケーションを利用しやすい状態を指します。

デジタル技術の普及が進み、情報社会がさらに発展している今、すべての人が情報やサービスに平等にアクセスできることが社会的責任として認識されてきています。
日本でもウェブアクセシビリティの重要性が高まっており、多くの企業が対応に乗り出しています。

そこでこの記事では、ウェブアクセシビリティの基本や必要性、向上させるための具体的な方法などについて、ご紹介いたします。

 

【関連記事】
「アクセシビリティ」の優れたサイトとは~「ユーザビリティ」とは異なる視点~

 

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ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは、障がいの有無や年齢、利用環境の違いに左右されずに、誰もが等しくWebサイトやアプリケーションを利用しやすい状態のことをいいます。

イギリスの計算機科学者でWorld Wide Web(WWW)を考案し、URLやHTTP、HTMLの最初の設計を行ったティム・バーナーズ=リー(Timothy "Tim" John Berners-Lee)氏は、次のように語っています。

 

The power of the Web is in its universality. Access by everyone regardless of disability is an essential aspect.

 

つまり、障がい者を含む、すべての人にとって使えることが、Webの本質であるということです。

たとえば、次のような配慮がウェブアクセシビリティに該当します。

 

  • スクリーンリーダーなどの支援技術を使ってWebページの内容を理解できるようにしてある(視覚障がい者などへの配慮)。
  • 字幕や音声解説を使って、動画の内容を理解できるようにしてある(聴覚障がい者などへの配慮)。
  • キーボードを使わずに、マウスや音声操作でWebページを操作できるようにしてある(身体障がい者などへの配慮)。
  • 読みやすい文字やシンプルなレイアウトで、Webページの内容を理解できるようにしてある(認知障がい者などへの配慮)。

 

ウェブアクセシビリティは、すべての人が平等に情報にアクセスできる社会を実現するために重要な取り組みです。

 

ウェブアクセシビリティが確保されていない場合、以下のような問題が発生します。

 

  • ユーザーが必要な情報を得ることができず、生活に支障をきたす。
  • ユーザーがサービスを利用することができず、社会参加の機会が失われる。
  • WebサイトやWebサービスを提供している企業や組織の評判が損なわれる。

そもそも「アクセシビリティ」とは

アクセシビリティとは、障がいを持つ人を含むすべての人が、製品、サービス、環境などを自由に、容易に利用しやすい状態を指します。

 

【関連記事】
「アクセシビリティ」の優れたサイトとは~「ユーザビリティ」とは異なる視点~

総務省のウェブアクセシビリティ方針

なお、総務省のWebサイトでは、「総務省ウェブアクセシビリティ方針」で、

 

総務省ホームページは、高齢者や障害者を含む誰もが利用できるものとなるよう、日本産業規格JIS X 8341-3:2016「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」(以下「JIS X 8341-3:2016」という。)のウェブコンテンツのアクセシビリティ(以下、「ウェブアクセシビリティ」という。)適合レベルAAの基準を満たすものとする。

 

としています。

ウェブアクセシビリティのガイドライン

ウェブアクセシビリティに関して、国内外のさまざまな団体からガイドラインが示されています。

W3Cのガイドライン「Web Content Accessibility Guidelines(WCAG 2.0)」

W3C(World Wide Web Consortium)は、「ウェブアクセシビリティとは」でご紹介したティム・バーナーズ=リーが創設した非営利団体で、World Wide Webで使用される各種技術の標準化を推進するために設立されました。

W3Cでは、ウェブコンテンツのアクセシビリティを確保するための国際基準として、「Web Content Accessibility Guidelines(WCAG 2.0)」を示しています。 このガイドラインでは、Webサイトがすべてのユーザーにとってアクセスしやすいよう、視覚・聴覚・運動・認知の障がいを持つユーザーも含めた広範なニーズに対応するための原則と実践的なチェックリストを提供しています。

四つの基本原則「知覚可能」、「操作可能」、「理解可能」、「堅牢」に沿って、Webサイトやアプリケーションを設計、開発することが推奨されています。

ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)のガイドライン

ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)は、2010年8月に、「JIS X 8341-3」が改正されたタイミングで誕生した組織で、「JIS X 8341-3」の理解と普及を促進するとともに、「JIS X 8341-3」を利用してウェブアクセシビリティを高めていくために必要な基盤を構築すべく、さまざまな活動を行っています。

「JIS X 8341-3」とはJIS(日本工業規格)の一つで、正式名称を「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」といい、高齢者や障がいのある人を含む全ての利用者が、使用している端末、ウェブブラウザ、支援技術などに関係なく、ウェブコンテンツを利用することができるようにすることを目的として規格されました。

「JIS X 8341-3」は、ウェブアクセシビリティを確保するための日本国内の基準として広く認知されており、公共機関や民間企業において、すべてのユーザーが情報に平等にアクセスできるようWebサイトやサービスを設計する際の指針とされています。

「JIS X 8341-3」に準拠することで、ウェブコンテンツのアクセシビリティが向上し、より多くの人々がウェブサイトやウェブアプリケーションを利用できるようになります。

デジタル庁のガイドブック

デジタル庁では、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を実現する手段の一つとしてウェブアクセシビリティの向上に取り組んでおり、初心者向けのガイドブックを公開しました。

ウェブアクセシビリティに初めて取り組む行政官の方や事業者向けに、ゼロから学べるように作られている点が特徴で、ウェブアクセシビリティの考え方や、取り組み方のポイントが解説されています。

ガイドブックは、デジタル庁のWebサイトからダウンロードできます。
ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック(デジタル庁)

ウェブアクセシビリティが義務化されるってホント?

「ウェブアクセシビリティが義務化されるのではないか?」とささやかれているのは、2024年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」の法改正が施行されることと関係があります。
同法律は、障がいを持つ人々が社会のさまざまな分野で差別を受けることなく、誰もが等しく参加できる社会を実現することを目指して作られました。

改正前は、「事業者は、その事業を行うに当たり(中略)社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない」とあった文言が、改正後は「事業者は、その事業を行うに当たり(中略)社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない」となったため、ウェブアクセシビリティが義務化されたと勘違いした方もいるようです。

ただ、ウェブアクセシビリティは、「合理的な配慮」とまではいえないため、義務化されたわけではないのです。
つまり、日本ではウェブアクセシビリティの義務化に関する具体的な法規制はまだ成立していません。

ただし、海外に目を向けると、公共機関や大企業に対し、ウェブアクセシビリティ基準を満たすことを義務付けている国も多いです。たとえば、米国は「リハビリテーション法508条」で連邦政府機関のWebサイトや電子情報技術が、障がいを持つ人々にとってアクセスしやすいものであることを義務付けています。
また、EUでは2025年6月に「欧州アクセシビリティ法(European Accessibility Act、EAA)」が施行されます。これは民間のECサイトにも適用されます。

このように、世界的にウェブアクセシビリティの義務化に向けた動きがあり、日本でも義務化される可能性がありますので、中小企業にとっても無視できないトピックとなっています。

ウェブアクセシビリティの対応で得られるメリット

上記のように、日本でもウェブアクセシビリティが義務化される可能性がある中で、WebサイトやWebサービスを提供する企業では、早目に対応しておくことが大切です。

義務だから対応しなければならないという後ろ向きな理由ではなく、ウェブアクセシビリティの対応で得られるメリットに目を向け、積極的に対応していきましょう。

主なメリットとして、ユーザー満足度の向上、ユーザー基盤の拡大、SEO効果の向上、そしてブランディングの強化の4つがあります。

ユーザーの満足度を向上できる

ウェブアクセシビリティを向上することで、すべての人が問題なく情報にアクセスできるようになると、Webサイトやサービスの利用がしやすくなります。
その結果、直接的にユーザー体験の向上につながり、顧客満足度が高まります。

たとえば、明確なナビゲーション、適切なコントラスト比、読みやすいフォントサイズなどは、障がいを持たないユーザーにとっても利便性が高いと感じる要素です。

これにより、利用者はより快適にWebサイトを利用でき、ポジティブな体験を得られるようになります。

ユーザー幅を広げられる

ウェブアクセシビリティを改善することで、障がいを持つユーザーや高齢者など、従来はアクセスが困難だったユーザー群にもサービスを提供できるようになります。
この結果、潜在的な顧客層が拡大します。

特に、高齢者人口が増加している日本市場においては、中小企業が新たな市場に進出する大きな機会となり、競争優位につながるでしょう。

SEOに効果がある

ウェブアクセシビリティの向上は、検索エンジン最適化(SEO)にも寄与します。
Googleをはじめとする検索エンジンは、ユーザーフレンドリーなWebサイトを高く評価するためです。

アクセスしやすいWebサイトは、構造が整っており、コンテンツが適切にマークアップされているため、検索エンジンによるクローリングが容易になります。
その結果、検索結果の上位に表示される可能性が高まり、より多くの訪問者を集めることができます。

 

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ブランディングを向上できる

ウェブアクセシビリティ向上に取り組むことで、社会的責任(CSR)を果たしている企業として、ブランドイメージの向上にもつながります。
アクセシビリティの向上に取り組み、これを社内外に周知することで、企業が社会全体に対して配慮があることをアピールできます。

この結果、顧客やビジネスパートナーからの信頼を得られるでしょう。
また、ウェブアクセシビリティの高いWebサイトは、企業が革新的であること、すべての人にとっての平等性を重視していることを示すため、ポジティブな印象を与えます。

 

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ウェブアクセシビリティ向上のための対応方法・チェックポイント

ウェブアクセシビリティを向上させるためには、いくつかの重要な対応方法とチェックポイントがあるので、ご紹介いたします。

コンテンツの構造化

Webサイト上のコンテンツは、明確に構造化されていることが重要です。
たとえば、見出しタグ(H1、H2など)の適切な使用や、リストのマークアップ、セクションの論理的な分割などです。

構造化されたコンテンツは、スクリーンリーダーを使用するユーザーが情報を容易に理解し、ナビゲートするのに役立ちます。

色彩の配慮

色彩を用いる際は、コントラスト比に注意する必要があります。
テキストと背景のコントラスト比が高ければ、視覚障がいを持つユーザーや高齢者もテキストを読みやすくなります。

また、色だけでなく図形やラベルを用いて情報を伝えることで、色覚異常を持つユーザーにも配慮します。

テキストの読みやすさ

テキストは、読みやすいフォントサイズとスタイルで記載することが望ましいです。
また、専門用語や略語の使用には注意し、必要に応じて解説を加えると良いでしょう。

テキストの読みやすさを高めることで、全てのユーザーがコンテンツを理解しやすくなります。

キーボード操作のサポート

Webサイトは、キーボードだけで完全に操作できるように設計する必要があります。
これは特に、身体障がいを持つユーザーにとって重要な配慮です。

たとえば、フォームやリンク、ボタンなどの要素をキーボードでアクセスしやすくすることが挙げられます。

環境依存文字や記号をできるだけ使用しない

環境依存文字や特殊な記号の使用は、一部のユーザーでは利用しているOSやブラウザの影響で正しく表示されない場合があるため、避けるべきです。
音声読み上げソフトでも、正しく読み上げられない可能性が高いです。

画像には代替テキストを付ける

画像には、その内容を説明する代替テキスト(alt属性)を必ず付けましょう。
これにより、視覚障がいを持つユーザーがスクリーンリーダーを使用しても、画像の内容を理解できるようになります。

リンクであることを認識しやすくする

リンクは、テキストだけでなく視覚的な手がかり(下線など)を用いて、明確に識別できるようにすることが重要です。
これにより、誰でもリンクの存在を容易に認識できるようになります。

映像コンテンツには字幕をつける

映像やオーディオコンテンツには、聴覚障がい者向けの字幕や音声解説を提供しましょう。
この結果、コンテンツが、より広いユーザーにとってアクセス可能になります。

ウェブアクセシビリティをチェックするツール

このようなウェブアクセシビリティを向上するためのポイントを、自社のWebサイトやWebサービスのすべてのページを目検でチェックするのでは、手間も時間もかかる上に、見落としが発生する恐れもあります。

そこで利用したいのが、ウェブアクセシビリティをチェックするツールです。
ここでは、主なチェックツールをご紹介いたします。

Lighthouse(Google)

Lighthouseは、Googleが提供するChromeの機能で、無料で利用することができます。
LighthouseはGoogle Chromeの開発者ツールに組み込まれています。

ウェブアクセシビリティ上の問題が見つかった場合は、それぞれの問題についての説明、問題が発生している要素、問題の解決方法についての情報が提供されるため、改善方法に悩まずに済みます。

Lighthouseを活用すると、指定したページを分析し、アクセシビリティに関するレポートを出力することができます。 レポートには、アクセシビリティスコアが0から100までの数値で評価され、改善のための具体的な推奨事項が記載されています。

Alt & Meta viewer(Google)

Alt & Meta viewerも、Googleが提供するChromeの機能で、無料で利用することができます。
特に視覚障がいのあるユーザーがスクリーンリーダーを使用してWebサイトを利用する際に、画像の代替テキストが正確かつ適切に設定されていることは、非常に重要です。
Alt & Meta viewer を活用することで、alt属性の入れ忘れがないかどうかを視覚的に確認できます。

Alt & Meta viewerを有効にすると、Webページ上の画像に設定された代替テキストや、ページのメタデータが表示されます。
これらの情報を利用して、以下の点を確認できます

 

  • すべての画像に代替テキストが設定されているか。
  • 代替テキストが画像の内容を適切に表現しているか。
  • メタデータ(たとえば、ディスクリプションやキーワード)が適切に設定されており、アクセシビリティやSEOに貢献しているか。

みんなのアクセシビリティ評価ツール「miChecker (エムアイチェッカー)」(総務省)

みんなのアクセシビリティ評価ツール「miChecker (エムアイチェッカー)」は、総務省が提供するチェックツールで、JIS X 8341-3:2016に基づいています。
こちらも、無料で利用できます。上記の総務省のページからダウンロード、インストールする必要があります。

問題がある、または問題がある可能性が高い箇所を特定して表示してくれるほか、高齢者や視覚障がい者の見え方をシュミレーションしてくれます。

ColorTester(アルファサード株式会社)

ColorTesterは、アルファサード株式会社が提供する、背景と文字のコントラスト比をチェックできるツールです。JIS規格に基づいています。

無料で利用できますが、500円、1,000円、2,000円の寄付の設定があります。利用に際し、上記のColorTesterのページからダウンロード、インストールする必要があります。

ウェブアクセシビリティの資格

ウェブアクセシビリティをチェックする際に必要なスキルを有していることを証明できる資格がありますので、ご紹介いたします。

アクセシビリティ検査技術者検定

アクセシビリティ検査技術者検定は、株式会社インフォ・クリエイツが主催する検定試験で、ウェブアクセシビリティの専門家として、Webサイトやアプリケーションのアクセシビリティ評価や改善策の提案を行うための技術と知識を証明する資格です。

ウェブアクセシビリティの基本的な原則から、具体的な検査方法、評価ツールの使用方法まで、幅広い範囲が網羅されています。

アクセシビリティ検査技術者を取得することで、アクセシビリティ検査技術者としての専門性が認められ、ウェブアクセシビリティに関するプロジェクトで重要な役割を果たすことができます。

デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験(旧 ICTアクセシビリティアドバイザー:AAICT)

デジタルアクセシビリティアドバイザーとは、デジタルアクセシビリティのマインドを持ち、ICT機器などのデジタル機器を障害のある人や高齢者に対して、適切にサポートできる知識と技術を認定された人材です。

認定試験では、高齢者や障害者のICT機器利活用をサポートするために必要な障害の理解・技術の理解・アクセシビリティの理解などの基礎的な知識と、困りごと別、生活場面別の適合技術などの応用的な知識・技術が認定されます。合格者には、オープンバッジが授与されます。

公式テキストとして、「Basicレベル編」「Standardレベル編」の2種の学習教材が販売されており、基本的に認定試験はこのテキストからの出題となっています。試験は会場試験となっています。

まとめ

ウェブアクセシビリティは、すべての人にとって使いやすいウェブ環境を実現するために不可欠な取り組みです。
法的義務だけでなく、企業の社会的責任としても重要なこの取り組みは、企業イメージの向上や新たなユーザー層の開拓にもつながります。
W3CのWCAGや、WAICのガイドライン、デジタル庁のガイドブックなどを参考に、アクセシビリティの原則を理解し、実践することが求められます。

ここで紹介した対応方法とチェックポイントを実装することで、すべての人が平等に情報にアクセスできる、より使いやすいウェブ環境を提供することが可能になります。中小企業にとって、これは競争力を高めるための貴重な機会となります。
この記事で紹介した内容を参考に、ウェブアクセシビリティの向上に取り組んでみてください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

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Fri, 05 Apr 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[インナーブランディングとは?メリットや具体的な手法、成功ポイントを解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/inner-branding インナーブランディングとは、社内に企業のブランド理念や価値観を浸透させて、従業員と共有する取り組みです。企業を成功へと導くには、単に製品やサービスを提供するだけでなく、内部からブランドイメージを強化することも重要です。

 

最近では、リモートワークが普及し、社内のコミュニケーション不足が問題視されています。企業の価値観や目指す方向性を理解しないまま、業務を進めてしまうと、モチベーション低下につながり、離職する社員が増えてしまうかもしれません。

 

そこで本記事では、従業員のエンゲージメントを向上させるインナーブランディングのメリットや具体的な手法、そして成功ポイントについて解説します。インナーブランディングの重要性と実践方法を理解して、ブランド力の強化にぜひお役立てください。

インナーブランディングとは?

インナーブランディングとは、従業員に企業やブランドの理念を浸透させる取り組みです。従業員が自社やブランドの価値を理解することで、積極的にその価値を顧客に提供できるようになり、企業目標の達成、ひいては売上向上につながります。

 

インナーブランディングに似た言葉に、「インターナルブランディング」「インナーマーケティング」がありますが、どちらも同じ意味で使われています。

目的

インナーブランディングの本質的な目的は、会社の内側から変革して、従業員の意識を高め、企業の目標達成を目指すことです。

 

従業員が自社に持つイメージを統一することで、組織としての協調性やチームワークが向上します。1人ひとりの意識やモチベーションも高まり、自らの成長や目標達成に向けて、自主的に取り組むようになるでしょう。

 

顧客に対しても、自社製品の魅力を積極的に伝えるようになるため、ブランドイメージが高まり、顧客満足度の向上も期待できます。

インナーブランディングとアウターブランディング

インナーブランディングが、企業内部へのブランディングであるのに対して、アウターブランディングは、社外の顧客や消費者に向けて、ブランド価値を浸透させる取り組みのことをいいます。

 

かつてブランディングは、企業の魅力を社外に向けて伝えるものでした。しかし、近年は社内の変革が重要視されるようになり、インナーブランディングと対比する取り組みとして、アウターブランディングが認識されるようになりました。

 

インナーブランディングを強化することによって、外部へのブランドメッセージも信頼度が向上するため、両者はブランド戦略の異なる側面を担いながら、相互に影響し合っているといえるでしょう。

なぜインナーブランディングが重要視されているのか

インナーブランディングが注目されている背景としては、リモートワークの普及や中途採用市場の活性化など、働き方の変化が大きく影響しています。

働き方の多様化

先ほどもお伝えしたように、リモートワークの普及によって、従業員のコミュニケーション不足が問題になっています。部署の孤立化も目立ち、自分が企業の一員であるといった帰属感が薄れていることも課題のひとつです。オフラインよりもオンラインで帰属意識を高めることは、非常に難しいといわれています。

 

その問題を解決するためにも、インナーブランディングの一環として、意識的にコミュニケーションを取ることが強化されています。リモートワークを行う従業員も、経営ビジョンへの理解が深められるように、社内イベントやワークショップの開催など、企業ではさまざまな取り組みが実施されています。

転職市場の活性化

いままで当たり前とされていた終身雇用制度が終わりを迎え、転職しながら自らのキャリアを築く意識が若い世代では広まっています。転職市場が活性化する中で、企業はキャリア採用に対しても、ビジョンを浸透させるためにインナーブランディングの強化が求められています。

 

ただ単に、給料面や福利厚生を手厚くするだけでは、すぐに企業との心理的な結びつきが薄れてしまいます。年齢も専門性も異なる従業員に対して、企業の価値観を浸透させるためには、インナーブランディングで自身の存在意義を伝えることが必要です。

インナーブランディングのメリット

ここからは、インナーブランディングのメリットについて、大きく4つに分けてご紹介します。

エンゲージメントが高くなる

経営理念を浸透させることは、従業員のエンゲージメントの向上につながります。ビジネスにおけるエンゲージメントとは、企業に対する「愛着」「思い入れ」を意味しており、深いつながりを持った関係性のことを「エンゲージメントが高い」といいます。

 

エンゲージメントが高まれば、企業に貢献したいという意欲が向上し、従業員は自発的に行動するようになるでしょう。

 

これまでのブランディングへの取り組み状況

 

出典元

 

経営コンサルティングを行う、株式会社タナベコンサルティングの調査によると、ブランディング・PRが社内外にもたらす効果として、約3割が「社員のモチベーションが上がった」と回答しています。
このように、インナーブランディングによりモチベーションやパフォーマンスの質が上がり、生産性の向上も期待できます。

社員同士の連帯感の強化

企業理念が従業員に定着すれば、自らが働く意義も明確になり、同じ目標を持つ仲間である、という社員同士の連帯感が生まれます。仲間と協力して目標を達成する喜びや、貢献を実感できる環境は、企業へのエンゲージメントを向上させるので離職率も低下します。

 

仲間との強いつながりは、コミュニケーションの活性化、お互いのサポートや協力する姿勢の強化など、多くのメリットが得られます。

優秀な人材が集まる

インナーブランディングにより、従業員の定着率の向上も期待できます。企業のビジョンに共感できれば、業務にやりがいを感じて、「この会社で長く働きたい」と感じるようになるでしょう。

 

定着率が高まれば、新入社員に対してもベテランによる質の高い教育が実現し、教育体制の強化が図れます。その流れで、さらに強い組織が形成できるといった好循環を生み出すでしょう。

 

採用においても、ビジョンを正確に伝えることで「その企業でキャリアを築きたい」といった、会社に賛同する人材が集まるようになります。企業のブランドイメージが向上すれば、募集も増え、採用もしやすくなるでしょう。

企業ブランドのイメージアップ

インナーブランディングで、従業員のモチベーションを高めることは、社外にむけたアウターブランディングにも有効です。

 

企業理念に共感していれば、従業員は自社の魅力を顧客にも積極的に伝えたくなり、サービスの質が向上します。インナーブランディングで、従業員のモチベーションを高めることは、社外にむけたアウターブランディングにも有効です。

インナーブランディングのデメリット

一方、インナーブランディングには、「中長期的な計画が必要」「理念に共感できない社員の離職」といったデメリットもあります。

中長期的な計画が必要

インナーブランディングは、すぐに成果につながるわけではありません。自社の想いや理想の姿を、従業員に伝えるには時間がかかります。意識の変化を促しても、実際の業務に現れるまでにも多くの時間が必要です。

 

すぐに効果があると思っていると、なかなか結果が出ない場合は途中でやめてしまうかもしれません。施策が中途半端にならないためにも、中長期的な計画が必要であることを理解しておきましょう。

理念に共感できない社員の離職

インナーブランディングを実施すると、企業理念に共感できない従業員は離職してしまう可能性があります。長年働いている従業員でも、会社の変革や理想についていけないと感じる人がいるかもしれません。

 

会社が成長するためには、理念に賛同する社員だけでなく、違った意見を持つ人や、別の視点から考えられる社員など、さまざまな人材が求められます。理念に共感できないからといって、すぐに離職につながらないよう、ケアする体制を整えておきましょう。

インナーブランディングの手法

インナーブランディングを実施するには、イベントやワークショップなどさまざまな施策があります。ここからは、具体的な手法について解説します。

社内報・ポータルサイト

社内報や社内向けのポータルサイトを作成することで、全従業員に広く情報を届けられます。経営者の想いや企業の成果、今後の方針など、会社全体の動きを伝えて自分ごととして捉えてもらい、モチベーションの向上を促します。

 

リモートワークを導入している企業では、社内ポータルサイトが仮想オフィスの役割を持つ場合も多いです。社内のFAQや勤怠管理など、社員が必要な情報にいつでもアクセスできるよう整備されています。

 

また、当社の電子作成ツール「ActiBook」を活用して、社内報を電子ブック化されている企業様も増えています。従業員が自由にアクセスできるのはもちろん、閲覧履歴の分析も可能なので、どのページが多く見られているのかなど、ニーズを把握した情報共有の改善にも有効です。印刷や配布の手間もかからず、コスト削減にもつながります。

 

関連資料

社内イベント

社員旅行や歓送迎会、社内セミナーなど、社内イベントもインナーブランディングに効果的です。伝えたいことをテーマに盛り込みながら、通常業務とは違う形で従業員同士がコミュニケーションできるようなイベントを企画しましょう。

 

開催することで、仲間意識が高まり、社員同士のつながり強化が期待できます。経営層との接点が少ない企業なら、役員と従業員が一緒にチームとして参加できるようなイベントを企画すれば、自然な形で会話がはずみ、短時間で距離を縮められるでしょう。

クレド

クレド(Credo)とは、経営理念を実現するための従業員の行動指針を明文化したもので、ラテン語で「約束」「信条」を意味する言葉です。経営理念よりも具体的な行動に落とし込んだものなので、従業員はクレドを判断基準として業務にあたることができます。現場判断が必要なシーンでも、上司からの指示を待たずに行動に移せるでしょう。

 

従業員がいつも行動指針を意識できるよう、クレドを記載したカードを作成している企業も多いです。「クレドカード」と呼ばれ、朝礼で読み上げたり、会議室に掲示したりして、すぐに確認できるようにしています。

オフィスの変更

オフィスデザインを変更することも、インナーブランディングの手法のひとつです。コーポレートカラーやロゴをオフィスの内装に取り入れたり、自社製品をレイアウトしたり、企業の象徴となるアイテムを従業員の目につくところに配置することで、ブランドを意識しやすくなります。

 

また、デスク周りや打ち合わせスペースを整備することで生産性も向上します。パーテーションを配置してブース席を作れば、周囲の目や音が気にならないため業務に集中できます。従業員のコミュニケーション不足が課題の場合は、フリーアドレスを導入して、自由に席を選択できるようにするとよいでしょう。

ワークショップ

ワークショップとは、体験型の講習会のことです。グループでディスカッションしたり、アイデアを出し合ったりして、自社の理念について理解を深めます。

 

研修やセミナーは、「教える人」と「教わる人」に立場が分かれますが、ワークショップは同じ立場で対等に議論を進めるため、多様な意見を交換しながら当事者意識を高めることができます。
最近では、ゲームで理念の大切さを学ぶワークショップも登場しています。チームで楽しみながら取り組むことができ、同時にコミュニケーションの活性化にも有効です。

映像ビジョン

企業理念や行動指針などを、ブランドムービーとして動画で作成する企業が増えています。文章で表現すると堅苦しくなりがちな企業理念も、映像なら理解や共感が得やすくなります。

 

また、動画は映像、音、文字で伝えられるため、テキストよりも多くの情報も提供でき、印象に残りやすくなります。作成した動画をポータルサイトやYouTubeで公開すれば、従業員がいつでも視聴できる点もメリットです。

 

さらに普段、接点の少ない経営陣の想いを直接聞くことで、従業員のモチベーション向上につながります。社員の採用時にも映像ビジョンで理念を公開しておけば、入社後のミスマッチを防ぐこともできるでしょう。

社内SNS

社内SNSを使うことで、全社的な情報共有が可能になり、コミュニケーションの活性化が期待できます。SNS上で社員同士のやりとりが可視化でき、部署を超えた交流も促進しやすくなります。「いいね」や絵文字など気軽なコメントもできるので、普段、面と向かって伝えにくい、ポジティブな想いが伝えやすくなります。

 

経営層のメッセージをタイムラインで表示したり、現場の声を発信したりすることで、経営陣と従業員の距離も縮まります。理念やビジョンをタイムラインに固定表示しておけば、従業員はスマートフォンからいつでも確認できるでしょう。

インナーブランディングを成功させるポイント

インナーブランディングを成功させるには、いかに社員の共感を得るのか、どう伝えるのかなど、いくつかのポイントがあります。ここからは、成果につなげるためのポイントについて解説します。

目標を明確にして社員の共感を得る

社員に伝えたいことは、シンプルな言葉や数値化して、明確にすることが大切です。「上司によって言うことが違う」「目標が高すぎる」など、共感できないビジョンは企業への不信感につながります。
従業員が、企業の一員であるという誇りをもって自社サービスを提供できるよう、わかりやすい言葉で1人ひとりに理解してもらいましょう。

 

また、理念に共感し、自らの行動の意味を理解していると、従業員は自分で意思決定しやすくなります。「自立した仕事ができている」と実感すれば働きがいを感じ、成果にもつながりやすくなるでしょう。

費用・時間的コストを把握する

インナーブランディングを実現するには、さまざまなコストがかかります。イベントやワークショップの開催には会場費や人件費、SNSは運用費などが必要です。オフィスの変更には、高額な改装費も予想されます。ノウハウのない企業は、コンサルタントをお願いする場合もあるでしょう。

 

さらに、映像を作成する場合は、制作費だけでなく、制作期間も考慮しなければなりません。事前にどの程度コストがかかるのかを把握し、しっかりと確保することが求められます。

何度も伝えて浸透させる

先述したように、経営理念を浸透させて、従業員が行動に移すまでには長い期間がかかります。さらに、その効果が感じられるのはもっと先の話です。
プロジェクトによっては数年にわたる場合もあるので、 粘り強く何度も従業員に伝えて、モチベーションを下げない工夫が重要になります。

 

経営陣と従業員の間で理解に差が生まれている場合は、ビジョンの再定義が必要です。定期的な従業員アンケートや、定着率の集計を行い、軌道修正を続けながら取り組みましょう。

経営層が率先する

経営陣が理想ばかりを従業員に押し付けてしまうと、成果に結びつきにくくなってしまいます。従業員に「言っていることと、やっていることが違う」と思われて、企業への信頼が薄れてしまうかもしれません。まずは、率先して経営陣が体現者になりましょう。

 

経営層が企業の求める社員像になることで、従業員もその姿を見本として行動しやすくなります。経営ビジョンや企業が理想とする姿を理解するのに役立つでしょう。

多様性を考えた柔軟な対応

ビジョンにばかりとらわれていると、共感できない社員の排除につながってしまう可能性があります。インナーブランディングを成功させるためには、従業員同士でセッションを行い、「自分たちは何を目指したいのか」「どのようなビジョンを描きたいのか」などの意見を出し合い、多様性のある方針を打ち出すことも大切です。

 

従業員は、自分たちの意見が受け入れられると、それだけでモチベーションの向上につながります。トップダウンのリーダーシップも欠かせませんが、社員のアイデアも積極的に取り入れて、企業目標に反映していきましょう。

インナーブランディングの事例2選

ここからは、インナーブランディングの事例についてご紹介します。

スターバックス

世界中で親しまれているスターバックスでは、従業員のことを「パートナー」と呼び、お客様への対応は「おもてなし」として独自のサービスを築き上げています。
接客マニュアルがないことでも有名で、「Our Mission, Promises and Values」として掲げているミッションや行動指針を理解し、自らがオーナーシップとなることで、最高のサービスを提供できるようにしています。

 

さらに、ブランドイメージは、働く従業員によって形作られているとして、雇用形態はもちろん、人種や年齢、性別、価値観などあらゆる違いを認め合うことが大切であるとしています。
すべての従業員が自分らしくいられること、ライフスタイルの変化に応じて能力を最大限に生かせることなど、従業員の多様性を尊重したスターバックスの姿勢が、現在の成功へとつながっています。

 

参考記事

みずほフィナンシャルグループ

みずほフィナンシャルグループでは、新たな人事の枠組みとして、キャリア自立を促すインナーブランディングを進めています。「ともに創る。ともに奏(かな)でる。」という想いから「かなで」と名付けられた取り組みで、グループ5社で連携し、会社を越えて事業領域ごとに最適な人材の配置、人材育成を行うことを目指しています。

 

「かなで」では、「〈みずほ〉で働く一人ひとりが“自分らしくある”ことを実現する」という理念を掲げ、このビジョンを社内に浸透させるために映像を作成。制作は、「コ・クリエイター」という新たな役割を設け、社員が本業と並行して作業を進めています。

 

社員自らが手を挙げて、プロジェクトに参加することで、会社の考えだけでなく、社員の声を反映した制度の見直しを実現しています。また、自分ごととして仕事や働き方を考えることで、これからのビジネスをリードする人材育成を実践しています。

 

参考記事

まとめ

インナーブランディングを重視することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まります。企業の価値観に共感する人材も集まりやすく、離職率の低下も期待できます。インナーブランディングを強化することは、働きやすさの向上を目指す現代のビジネスには不可欠といえるでしょう。

 

ただし、企業理念を浸透させたいあまり、会社の理想ばかりを押し付けてしまうと社員の気持ちは離れてしまいます。すぐに成果を求めるのではなく、社員の声に耳を傾けながら、仕事や働き方について、ともに考える姿勢が企業の成功へとつながるでしょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 04 Apr 2024 18:00:00 +0900
<![CDATA[リターゲティングとは?仕組み、やり方、Cookie規制による影響まで詳しく紹介します!]]> https://mtame.jp/advertisement/retargeting リターゲティングとは、ウェブサイトやアプリを訪問したユーザーに自社の広告を配信する「追従型広告」です。自社に興味関心を持ったユーザーと接点を増やせる、ブランド認知を向上させる、商品を想起させて購入を促す、費用対効果が高いなどのメリットから多くの企業が利用しています。

 

本記事では、リターゲティングの仕組みや、課金方式の違いや相場、リターゲティング広告と相性の良い企業・悪い企業、「Cookie規制」による影響についても紹介します。

 

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リターゲティングとは

リターゲティング(リターゲティング広告)とは、ウェブサイトやアプリを訪問したユーザーに対して自社の広告を配信する、「追従型広告」のことです。一度興味関心を抱いたユーザーにアプローチするため、接点のないユーザーへ広告を表示させるよりコンバージョン率が高まります。

 

例えばリターゲティングを行うと、ECサイトを訪問したが購入に至らず離脱したユーザーに対して、閲覧していた商品の広告を配信し、サイトへ戻って購入するように促すことが可能です。

 

ウェブサイト、ECサイト、ソーシャルアプリ、ゲームアプリなど様々な場所で使用されています。

 

リターゲティングについての図

リターゲティングの重要性

近年、消費者ニーズの複雑化、多種多様なアプリ・デバイスの台頭などで、マーケティング担当者はユーザーの心をつかむことがますます難しくなっています。

 

ユーザーは様々な情報に晒されるため、迅速に決断を下すことができず、企業は広告を打っても一度の接触でコンバージョンを得にくくなりました。

 

そこで重要となるのが「リターゲティング」です。リターゲティング広告は、ユーザーがウェブ上で行動した履歴や興味を踏まえて、最適化した広告を配信します。自社に興味関心を持ったユーザーとの接点を増やして購入を促すほか、魅力的な広告を提示することでブランド認知を向上させることも可能です。

リターゲティング広告の仕組み

リターゲティング広告は、ウェブ上でユーザーが特定の行動を取った際に情報を収集し、そのユーザーに対してターゲットされた広告を表示する仕組みです。Cookie情報を元にユーザーを追跡します。

 

リターゲティング広告の仕組み

 

1.ユーザーがサイトを訪問したことを記録するために、広告配信事業者が提供するリターゲティング用のタグを設置します。

 

2.ユーザーがウェブサイトを訪れて商品を閲覧したり、特定のページを訪れたりすると、設置したタグからCookieIDが付与されます。

 

3.CookieIDを付与されたユーザーは、事前に設定した配信条件によってリスト化され、追跡されます。

 

4.ユーザーが広告掲載面のあるウェブページに訪れた際に、リターゲティング広告が配信されます。

 

出稿したらすぐ訪問ユーザー全てに広告が配信される、というわけではありません。リターゲティングを行うには、タグを設置し、広告を配信するユーザーをリスト化する作業が必要です。

 

また、CookieIDを付与されたユーザー数があまりに少ないと、広告が配信されない場合があります(広告配信事業者によって最低数は異なります)。

 

※Cookie(クッキー)とは
ウェブサイトがユーザーのブラウザに保存する小さなテキストファイルです。訪れたウェブサイトに関する情報が含まれています。主に、ユーザーの設定やログイン情報の保存、ウェブサイトのトラッキング、広告のパーソナライズなどに使われます。

リマーケティングとリターゲティングの違い

リマーケティングとリターゲティングは、どちらも同じ「追従型広告」のことを指す言葉です。配信媒体によって呼び方が異なり、基本的にGoogle広告は「リマーケティング」、Yahoo!などGoogle広告以外の広告配信事業者は「リターゲティング」と呼んでいます。

 

なお、主な広告配信事業者は以下4種類があります。

 

  • Googleディスプレイネットワーク
  • Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)
  • Facebook・Instagram・LINEなど各種SNS
  • Criteo

 

Google広告は、世界トップを誇る膨大な数の提携サイトを持つのが強みです。Yahoo!広告はYahoo!ニュースやクックパッドなど自社が保有しているサイトや、ヤフーと提携している企業サイトに配信できます。

 

各種SNSはFacebookやLINEなど、各社が保有している媒体に配信できるほか、いいねやシェアで拡散される可能性があります。

 

Criteo(クリテオ)は第三者媒体としてYahoo!広告の配信面に配信できるほか、食べログ、はてなブックマークなどにも配信できます。Google、Microsoft Advertisingと提携しているため、幅広い媒体に広告を配信できるのが特徴です。

リターゲティング広告のやり方

リターゲティング広告は、広告配信事業者の提携サイトが設置した広告配信枠に、出稿した広告が表示されます。

 

Google広告に出稿すると、Googleと提携しているサイトやアプリに、Yahoo!の場合はYahoo!と提携している場所に、SNSは各SNSに表示されます。より効果的な媒体を考えて、配信事業者を選びましょう。

 

またリターゲティング広告には、複数の手法があります。

リターゲティング広告の種類・手法

リターゲティング広告の種類・手法を紹介します。

動的(ダイナミック)か静的(スタティック)か

静的(スタティック)リターゲティングとは、特定のサイトに訪れた人、ウェブサイトで特定の行動を行った全ての人に広告を表示させる手法です。

 

一方で動的(ダイナミック)リターゲティングは、閲覧した商品やサービスに基づいて広告バナーを自動生成し、個人に最適化させた広告を配信します。例えば、商品Aを購入したユーザーは、商品Aと一緒に購入されることの多い商品Bの広告を配信したり、商品Aを見たが購入しなかったユーザーには、商品Aの広告を配信したりできます。

 

静的(スタティック)リターゲティングは、「この行動をしたらこの広告を配信する」と事前に設定します。細かいアプローチはできませんが、始めやすい手法です。動的(ダイナミック)リターゲティングは個々に向けてカスタマイズした広告を配信できます。ただし、設定や分析の手間がかかります。

リターゲティングリストの違い

誰をターゲットにするのかでも種類が分かれます。

 

  • 標準リターゲティング:サイトを訪問したユーザーをリスト化し、提携サイトで広告を配信します。
  • アプリリターゲティング:広告主が保有しているアプリ内の、ユーザー行動履歴からリストを作成して広告を配信します。
  • 動画リマーケティング:広告主のYouTube動画を見たユーザーをリスト化して広告を配信します。
  • Googleアナリティクスリマーケティング:Googleアナリティクスの計測データをもとに、ユーザーリストを作成します。
  • 顧客リストによるリターゲティング:保有している顧客リストから、広告を配信します。
  • 検索広告向けリターゲティング(RLSA):ウェブサイトの訪問歴があるユーザーをリスト化し、検索広告をカスタマイズします。

リターゲティング広告の課金方式

リターゲティング広告の課金方式の図

 

リターゲティング広告はCPC(クリック課金)とCPM(インプレッション課金)の2種類があります。

CPC(クリック課金)

クリック単価が設定されており、広告がクリックされるたびに費用が発生します。広告がクリックされない限り課金されないため、興味のないユーザーには料金が発生しません。高い費用対効果が期待できます。ただし、間違えてクリックされた場合も費用は発生します。

CPM(インプレッション課金)

広告が表示されるだけで費用が発生します。1,000回表示されたら〇円のように、インプレッションにより課金が発生するのがCPM(インプレッション課金)です。多くのユーザーが興味を持つ広告を出稿できれば、費用対効果を高められます。

リターゲティング広告の相場

広告配信事業者や課金方式により異なります。クリック単価はGoogleやYahoo!などの検索エンジンが定めており、キーワードによって価格が異なるほか、変動があるので注意が必要です。

 

CPC(クリック課金)の費用相場は、1クリック数十円~数百円程度です。ごく稀に1,000円を超える場合もあります。競合の多いキーワードだと、入札単価が高くなる可能性があります。1クリックは安くても、1か月単位で見ると数十万程度が相場です。CPM(インプレッション課金)の費用相場は、1,000回表示で数十円~数百円程度です。

 

なお、初めて広告を出稿する小規模事業者は20万前後で始めることが多いようです。

リターゲティング広告のメリット・デメリット

リターゲティング広告のメリット・デメリットを紹介します。

メリット

「自社サイトを訪れた」「アプリを使用した」など、商品・サービスに興味を持ったユーザーにアプローチできるのがメリットです。年齢、性別、地域などを設定すれば、ターゲットを絞って、より訴求力の高い広告が配信できます。

 

購入の決定を先延ばしにしていたユーザーに、商品・サービスの存在を想起させ、購買意欲を復活させられるのも特徴です。繰り返し表示させることで、自社ブランドを印象付けられます。「サイトを訪れて〇日経過したユーザーに広告を表示させる」といった設定ができるため、BtoB商材や検討期間の長い商材にも適しています。

 

サイトを一度も訪れたことがない、無関心ユーザーには広告が配信されないため、費用対効果の高さも魅力です。

デメリット

商品やサービスを認知していない、潜在層へアプローチしたい場合には向いていない手法です。広告を出稿して新規ユーザーを獲得したい場合は、別の手法を考えることをおすすめします。

 

何度も広告を見せると嫌悪感を抱かれる場合もあります。リターゲティング広告を行う場合は、広告を見せる頻度や期間を決めるほか、既に商品を購入しているユーザーには広告を配信しないなどの設定を行う必要があります。

リターゲティング広告と相性の良い企業・悪い企業

リターゲティング広告は、検討期間が長い商材と相性の良い広告です。特にBtoB企業の場合は大きな効果が期待できます。

 

BtoB広告の単価は高い傾向があるため、不必要なユーザーへの広告表示を減らせるリターゲティング広告は相性の良い手法です。自社サイトを訪問したユーザーのみに絞れるため、高い費用対効果が期待できます。

 

またメリットの見出しでもふれたように、「商品・サービスの存在を想起させ、購買意欲を復活させられる」「自社ブランドを印象付けられる」ため、検討期間の長いBtoB商材と非常に相性の良い手法です。

 

一方で相性が悪いのは、すぐに買う必要のある緊急性の高い商材を扱っている企業です。リターゲティング広告は、ユーザーが検討している期間に効果を発揮します。検討期間がない、もしくは短い商材は効果を得るのが難しいでしょう。

リターゲティング広告の効果を高めるには

コンバージョン済みのユーザーにも表示される場合があります。商材がひとつで、何度もサイトを訪れる必要がない場合はコンバージョン済みのユーザーに広告を配信しないような設定が必要です。

 

リターゲティング広告はタグを設置して、そのページを閲覧したユーザーを追跡します。そこで、「カートページを見る」「購入ボタンを押した」など、より購買意欲の高いページにタグを設置すると、より高い効果が見込めるでしょう。

 

またサイトの訪問日で広告を配信できます。訪問して次の日のユーザーに広告を配信するのか、1週間経って忘れた頃に想起をさせるために配信するのか、目的に応じて最適な手法を探してみてください。

リターゲティング広告の活用方法

いつ訪問したのか、どのページを閲覧したのかで見せる広告を変えられます。例えば、一度見た商材のセール広告を配信したり、次のセール情報を配信したりして再訪問を促す、といった使い方が考えられます。また以下のように活用することも可能です。

 

  • 特定の商材ページに何度も訪れる場合は、その商材を強く訴求できる広告を見せる
  • コンバージョンに至ったユーザーに、別商品をお勧めする広告を配信

 

リターゲティング広告で効果を得るためには、ユーザーごとに、最適な広告を表示させるように設定することが重要です。

知っておきたい!「Cookie規制」による影響

Cookieには「ファーストパーティーCookie(訪問したサイトの運営企業が発行しているもの)」と「セカンドパーティーCookie(他社サイトが発行したもの。提携先に共有する等で使われる)」、「サードパーティーCookie(訪問したサイト以外の第三者が発行しているもの)」があります。Cookie規制で対象となるのは「サードパーティーCookie」です。広告配信事業者が発行するタグを設置してCookieIDを付与する、リターゲティング広告も当てはまります。

 

Cookieがウェブサイトを離れた後もユーザーを追跡する「サードパーティーCookie」は「プライバシーの侵害ではないか」「知らないうちに個人情報が第三者へ流れてしまう」と問題視されており、世界各地で法規制が進んでいます。Google社は「2024年後半よりChromeブラウザでのサードパーティーCookieを廃止していく」と発表しており、Cookieに依存しているリターゲティング広告への影響が懸念されます。

 

なお、Apple社は2017年頃より規制を始めています。Safariブラウザでは既にCookie規制が行われており、「サードパーティーCookie」は全面ブロック、「ファーストパーティーCookie」も7日間で削除という対策がされています。

 

そもそもCookieとは?
Cookieとは、ウェブサイトのパスワードや操作履歴などを保存するテキストファイルです。ユーザーはログインする際に情報の入力を省略できる、サイト運営者はユーザーの行動をトラッキングして利用率や離脱率を分析し、サイトをより良いものに改善できる、といったメリットがあります。

Cookie規制にどう対応していくべきか?

Cookie規制の動きは今後も進んでいくと見られます。今後リターゲティング広告を打ち出していく場合は、依存しすぎず、規制が行われた場合の代替案を考えていく必要があるでしょう。

 

従来の純広告を活用するほか、「サードパーティーCookie」を使わない検索連動型広告、自社で回収したファーストパーティーのデータを活用する手法も考えられます。いずれにせよ、Cookieを使った広告に頼らなくても集客できるようにすることが重要です。

 

リターゲティング広告ができず、詳細にターゲットを絞れずとも広告をクリックしてもらえるように、広告の質を高めることも大切です。

まとめ

リターゲティング広告はメリットが多く、BtoB企業や検討期間の長い商材を扱う企業と相性の良い手法です。ブランドの認知向上、リピート購入を促すなど、様々な目的で活用できるため、使いこなせば良い効果が得られます。

 

しかし近年、Cookie規制の動きが進んでおり、Googleでは2024年後半より「サードパーティーCookie」の廃止が始まります。「サードパーティーCookie」に依存しているリターゲティング広告では、正確な広告表示が難しくなるでしょう。今リターゲティング広告に依存している企業、これから始めようと思っている企業は、Cookie規制後にどうするのかも考えながら動いていく必要があります。より良い方法を探してみてください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Wed, 27 Mar 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[マーケティング計画とは?立て方の手順やポイントを紹介!すぐに役立つテンプレートも用意]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_marketing-plan マーケティング計画とは、企業が製品を販売する際、どのような施策をどう行うのか、具体的に示したプロセス・計画書のことです。計画を立てることで、限られたリソースを有効活用しながら、効率的に目標達成を目指せます。

 

競争が激化するBtoB市場で成功するには、単に商品やサービスを提供するだけでは不十分です。顧客のニーズを理解し、効果的なアプローチを行うためにマーケティング計画が必要となります。

 

本記事では、マーケティング計画の基礎知識や、効果的な計画の立て方などについて解説します。また、すぐに役立つテンプレートもご用意していますので、ぜひ参考にしてください。

 

マーケティング計画について知りたい方はこちらの記事もおすすめです

マーケティング計画とは

マーケティング計画とは、企業のマーケティング戦略を具体化したプロセスや文書のことを指します。目標達成に向けた行動計画を可視化することで、チーム全体の方向性を統一でき、効率的なマーケティング活動が実現します。

 

現状と目標値を比較しながら施策が進められるので、問題点や課題を発見しやすくなり、修正することも容易になります。さらに計画書を作成すれば、チームメンバーの役割分担が明確になり、共通の目標に向かって協力し合うための基盤にもなるでしょう。

マーケティング戦略との違い

マーケティング計画とマーケティング戦略は、密接な関係にありますが、混同されやすい言葉でもあります。

 

マーケティング戦略とは、「何を成し遂げるか」といった方向性を示すものです。「どのような顧客に対して、どのような商品・サービスを、どう販売していくのか」という大枠の方向性のことを指します。

 

一方、マーケティング計画とは、「どのように成し遂げるか」という具体的な行動計画のことです。戦略を決めた後に「実際にどう行動するのか」といったプロセスに落とし込んだものをいいます。

 

つまり、マーケティング計画はマーケティング戦略を実現するための具体的な手段といえるでしょう。マーケティング計画を作成する際は、まず戦略を明確にすることが大切です。方針が定まっていない状態で作成してしまうと、方向性を見失い、失敗する可能性が高くなります。

 

【マーケティング戦略とマーケティング計画の一例】

 

  • マーケティング戦略: BtoB企業向けMAツールの認知度向上とリード獲得
  • マーケティング計画:
    • ターゲット:
      • 中小企業
      • デジタル化推進に課題を抱えている企業
      • マーケティング担当者
    • 施策:
      • Web広告で自社サイトへ誘導
      • SEO対策でサイト流入数を増加
      • 展示会への出展
      • コンテンツマーケティング
    • 予算: 1,000万円
    • スケジュール: 2024年4月~12月

マーケティング計画の立て方【STEP10】

ここからは、マーケティング計画の立て方について10のプロセスに分けてご紹介します。

①目的や目標を設定する

まずは目的・目標を明確にします。新規顧客の獲得や既存顧客の育成、製品認知など社内で課題になっていることを洗い出しましょう。関わるすべての部署が認識できるよう、シンプルでわかりやすい目標設定にすることがポイントです。

②競合・市場の分析

競合や市場分析を行い、自社の立ち位置や優位性を把握します。分析する際には、フレームワークを活用するとあらゆる角度から現状を整理できます。
詳しいフレームワークについては、後述の「市場分析に役立つフレームワーク」にてご紹介していますので、課題に適した手法を探してみてください。

 

さらにBtoB企業の場合は、競合サイトを分析することも不可欠です。ターゲット層のニーズを効率よく把握でき、自社サイトの改善、SEO対策にも有効です。

 

自社サイトの分析以外にも、成果を上げている競合の戦略を推測したり、商品やサービスの課題を発見したり、さまざまな改善にも役立ちます。

 

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③ターゲットを明確にする

市場の分析ができたら、ペルソナを設定して具体的なターゲット像を明確にしましょう。ペルソナとは、年齢・性別・居住地・職業・家族構成・ライフスタイルなど細かく決めて仮想のターゲットを設定することです。ターゲット層のニーズを把握しやすくなり、具体的なマーケティングの方向性が決定します。

 

ペルソナが確認できたら、カスタマージャーニーも作成しましょう。カスタマージャーニーとは、顧客が商品を認知して購入するまでの思考の変化や行動を可視化したものです。

 

これらを明確にすることで、ターゲットがいつ・どのような課題を抱えるのかがわかります。顧客視点に立って客観的に分析することで、効果的なマーケティング戦略が組み立てられます。

 

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④マーケティング戦略を固める

いままでのプロセスを踏まえて、マーケティング計画のベースとなる戦略を設定し、チーム全体で共有します。STEP1で決めた目標を達成するために、どのようなマーケティング活動を実行すればいいのか、その道筋を決めましょう。

 

BtoBマーケティングは、単純に製品の認知を高めれば売上につながるわけではありません。顧客のニーズに合わせて、どのような価値をどのタイミングで提供するのか、戦略を立てて行うことが重要です。

 

また、過去のマーケティング活動を見直して、うまくいったこと、うまくいかなかったことを振り返るのも大切です。なぜ成果につながらなかったのか、改善するためにどうすればいいのかを分析し、新しい戦略のヒントにしましょう。

⑤KPIを設定する

マーケティング戦略に合わせて、中間指標となるKPI(重要業績評価指標)を設定します。KPIで目標を数値化することで、成果を客観的に評価できます。未達成の場合は戦略の改善が必要です。定期的に見直しながら、効率よく目標達成を目指しましょう。

 

以下はマーケティングにおけるKPIの一例です。

 

  • 新規顧客の獲得数
  • 新規商談数
  • 有効リード数
  • 獲得リード数
  • 顧客満足度

 

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⑥スケジュールを確認する

全体像が見えてきたら、計画をカレンダーに落とし込みます。年間のスケジュールを確認すると、いつ展示会を実施すべきか、広告はいつ頃までに出稿するのかなど、より具体的な行動計画が見えてくるでしょう。

 

たとえば、BtoB企業なら決算期に受注が集中することを想定して、1?2月までに商談を本格化し、3月の目標値は高めに設定するなど、長期的な予測がつくようになります。

⑦予算を設定する

限られた予算をどのように配分していくのかも、戦略に基づいて検討しておきます。売上目標を確認し、そこから逆算してマーケティングの目標値を導き出し、達成するための予算を算出します。

 

既存の施策と比較し、効果が出ていないものがあれば削減して新規施策にあてましょう。費用対効果と合わせて経営層に伝えれば、予算の合意が得やすくなります。

 

当社では、実務で活用できるテンプレートをご用意しています。マーケティング予算の考え方も記載していますので、予算計画に悩まれている方はぜひお役立てください。

 

資料とExcelテンプレートがセットでダウンロードできます!

 

マーケティング予算計画

⑧計画書を作成する

施策を開始する前に、マーケティング計画書を作成しましょう。目的や方向性、ターゲット、スケジュールなどをシンプルにまとめて、可視化することでチーム全体の意識が統一されます。効果や必要性など、経営層が興味のある項目も入れ込んでおくとよいでしょう。

 

どのように作成したらいいのかわからないという方は、テンプレートの利用がおすすめです。Microsoft社の「戦略的なビジネス マーケティング計画」や、HubSpot社の「マーケティング計画書テンプレート」など、無料でダウンロードできるテンプレートもWeb上に公開されているので活用してみてください。

 

当社でも、「Webマーケティング計画書テンプレート」をご用意しています。サイト閲覧数やCV数など、直近6ヶ月の実績数値を入力してから目標値を記入すると、自動で必要なセッション数が入ります。
どのくらい広告費をかけるといつ黒字化するのかなど、実績と受注目標から施策計画を立てられますので、ぜひご利用ください。

 

Excelで使えるマーケティング計画書のテンプレートがダウンロードできます!

 

マーケティング計画書

⑨マーケティング計画を実施する

計画書を作成したら、いよいよ施策を実施します。BtoB市場は移り変わりが早いため、計画どおりに進んでいるか、どこか停滞していないかなど、運用開始後も経過観察を続けましょう。

⑩効果測定をして改善を続ける

進捗状況を確認しながら効果測定を行います。PDCAサイクルを回して計画と実績を比較しましょう。計画どおりに進むことが理想ですが、最初からうまくいくことはありません。顧客の声を大切にしながら、計画を最適化していきます。

マーケティング計画を立てるときのポイント

マーケティング計画を立てるときは、チームで意見を出し合い、情報を共有しながら進めることが大切です。計画を成功させるために、以下のポイントを抑えておきましょう。

適切な人材の配置

マーケティングの方向性が見えてきたら担当者を決め、必要に応じて人材を補充したり、外部へのアウトソーシングを検討したり、作業分担を確認しましょう。計画にブレが生じないよう、社内外問わず連携しながら、共通認識を持って進めることが重要です。

チームでアイデアを出し合う

チームメンバー同士で、さまざまなアイデアを出し合うことも新しいマーケティング計画には必要です。話し合いを続けることで、いままでの戦略にはなかったようなクリエイティブな考え方が生まれるかもしれません。

 

責任者を中心に経歴や経験が異なるメンバーとブレーンストーミング(ブレスト)を行い、自由な発想で多角的にアイデアを出し合いましょう。お互いをよく知ることもでき、チームの結束力も高まります。

市場分析に役立つフレームワーク

ここからは、競合・市場分析に活用したい代表的なフレームワークについてご紹介します。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の強み・弱み(内部環境)と、市場や競争における機会・脅威(外部環境)を分析するフレームワークです。 Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの視点から分析を行い、 自社の現状と競合や市場の将来性を把握します。

 

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4P分析

4P分析とは、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)を考える手法です。「何を・いくらで・どこで・どのように」売るのかを分析すると、商品の特性や品質、価格帯、販売ルートなどが明確になります。この4つをまとめて整理することで、一貫性のある思考でマーケティング活動に取り組めます。

 

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3C分析/5C分析

3C分析とは、Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの要素を分析するフレームワークです。市場やニーズを分析し、競合他社の製品と比較して自社の強み・弱みを見つけます。
自社ならではの優位性や魅力である、KSF(重要成功要因)を明確にし、競合他社に負けない強みを示すための手法です。

 

最近では、Customer(中間顧客)・Community(地域)、あるいはContext(社会背景)・Collaborator(協力者)をプラスした「5C分析」も活用されるようになりました。デジタル化によるマーケティング環境の変化から、より多角的な分析ができる5C分析が主流になりつつあります。

 

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STP分析

STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)・Targeting(ターゲティング)・Positioning(ポジショニング)からなるフレームワークです。この分析で、ターケ゛ットの絞り込みや市場における自社の立ち位置がわかります。
自社のアピールポイントも明確になるので、上手に活用して強みをいかしたマーケティングを展開しましょう。

マーケティング計画が失敗する理由とは?

マーケティング計画が失敗してしまう原因はいくつか挙げられます。事前によくある失敗を確認して、マーケティング計画を成功へと導きましょう。

施策の実施が目的になってしまう

施策に集中するあまり、実施すること自体が目的になってしまう場合があります。本来の目的は事業の目標達成です。多岐にわたるマーケティング業務の中で、本質的な目的を見失わないように注意しましょう。

 

そのためには、「この施策は何のために行っているのか」を常に確認しながら進めることが大切です。長い間実施している施策の中にも、ニーズと合わなくなっているものがあるかもしれません。目的が可視化できる「KPIツリー」を作成して、関係性を明確にしておくのもひとつの解決策です。

計画全体が俯瞰できていない

マーケティング計画の全体像が見えていないと、その場しのぎの施策になりがちです。計画がどこに向かっているのかが不透明で、一貫性のないマーケティング活動になってしまいます。

 

俯瞰できていない原因のひとつは、目標達成に必要な成果と施策の関係性が可視化されていないことが挙げられます。

 

このような状況に陥らないためにも、先述した「カスタマージャーニー」で顧客との接点を確認することが大切です。それぞれの施策が、顧客のどのフェーズにどのような効果があるのかを明確にすると全体的な計画の整合性が図れるでしょう。
そのうえで年間の計画書を作成して、全体像を把握しながら進めてください。

計画途中で予算オーバーしてしまう

目標達成していない計画途中で、すでに予算がオーバーしてしまう場合があります。売上を上げてコスト回収できればよいですが、予想以上にオーバーしている場合は、利益を圧迫してしまうため計画の見直しが必要です。

 

広告費を見直したり、費用対効果を分析して施策を精査したり、低コストで進められるよう手直しをしましょう。市場環境や顧客のニーズは常に変わります。マーケティング活動も柔軟性のある投資を行うことが重要です。

まとめ

しっかりとしたマーケティング計画を立てることで、目標達成の確率向上やチーム全体のモチベーションのアップなど、さまざまなメリットが期待できます。自社に合ったマーケティング計画を立て、効率のよい目標達成を目指しましょう。

 

計画を可視化するには、マーケティング計画書の作成が不可欠です。計画書は、フォーマットが決まっているわけではありませんが、テンプレートを活用すれば、漏れなく必要な項目を盛り込むことができます。当社でも「Webマーケティング計画書テンプレート」をご用意していますので、ぜひ作成にお役立てください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Fri, 22 Mar 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[アクセス解析とは?基礎知識やサイト改善に活かせる分析方法、おすすめツールをご紹介!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/traffic-analysis アクセス解析とは、自社のWebサイトに訪れたユーザーの行動ログを分析すること。この解析結果によって、自社サイトの施策の効果測定や課題の洗い出しをおこない、Webサイトを改善する目的でおこないます。

 

本記事では、アクセス解析の基本知識や主要な指標について解説し、デジタルマーケティングにおいて近年ますます重要性が高まっている「アクセス解析」について徹底解説。基礎知識からおすすめのツールまで幅広くご紹介していますので、ぜひマーケティング施策やWebサイト改善にお役立てください。

 

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アクセス解析とは

アクセス解析とは、Webサイトに訪問したユーザーの行動や属性を分析することです。サイト内でより多くのCV(コンバージョン)を獲得するために、Webサイトの改善ポイントや課題を見つける目的でおこないます。

 

アクセス解析では、ユーザーがどこからアクセスしているか、検索キーワード、サイト内での行動ログなどです。これらのデータから、ユーザーの属性を特定して行動分析をすることで、サイトの課題や改善ポイントを見つけることができます。

 

またアクセス解析で用いられるユーザーの属性には、性別、年齢、興味関心、地域などさまざまな指標があります。自社サイトにどのようなユーザーが、どのような環境下でアクセスしているか可視化することが可能です。

 

さらに、人気のあるコンテンツや閲覧されていないコンテンツを把握することは、コンバージョンを増やすための施策改善に役立てることができます。とくにマーケティング分野において、効果検証やPDCAサイクルの実施を通じて、Webサイトの改善を進める手助けとなるはずです。

アクセス解析をおこなう目的

アクセス解析をおこなう最終的な目的は、Webサイト内の課題を見つけて、コンバージョンを増やせるようWebサイト改善をおこなうことにあります。決してデータを集めて終わりではありませんし、目的を明確にしておくことでデータをより有効に活用しやすくなるはずです。

 

ここではアクセス解析をおこなう目的について、大きく4つに分け、それぞれ解説していきます。

 

  • 自社サイトの現状把握
  • ユーザー像の可視化
  • 施策の効果測定

自社サイトの現状把握

アクセス解析の目的のひとつに、自社サイトの現状を把握することがあります。自社サイトを改善して集客力をさらに高めるには、アクセス解析が不可欠です。訪問ユーザー数やユーザー行動ログを通して課題点を発見し、具体的な改善策を導き出しましょう。

 

たとえば、解析結果から

 

  • 特定ページでの訪問ユーザーが急減した
  • 特定地域のアクセスが異常に多い
  • 特定チャネルからLPへの流入がほぼない
  • 特定キャンペーンの反応が低い
  • 特定検索キーワードでの流入が低下
  • 特定デバイスからのアクセスが急増

 

といったことがわかれば、要因を特定しましょう。Webサイト改善、Webリニューアルを検討する際は、PV数やセッション数だけでなく、ユーザー像やコンバージョンに貢献するページを具体的に把握しておくことが大切です。

 

アクセス解析は、ユーザーの特徴や行動を可視化するためには、ユーザーの行動ログや属性、技術環境データを活用します。そのなかで、たとえば「Aのコンテンツを見たユーザーがBを購入しやすい」「特定のSNSから流入したユーザーは特定のコンテンツをシェアしやすい」といったユーザーの特定の行動を洗い出し、それにもとづいて最適な改善策を提案できます。

ユーザー像の可視化

ユーザー像を可視化して、マーケティングの精度をあげることもアクセス解析をおこなう目的のひとつです。どのようなユーザーが、どのような環境下・経路でサイトにたどりつきコンバージョンに至るのかを具体的に把握して、集客力を向上させます。

 

たとえば新規と既存、会員と非会員などの行動データを比較したり、アクセスログから特定のコンテンツ・キャンペーンの効果を計測したりします。また、性別・年齢などさまざまな属性データをもとに、ターゲットユーザーの特徴を明らかにすれば、的を絞ったプロモーションが可能に。さらにデバイスやOSといった技術環境データによってユーザーが使用している環境を理解することで、ユーザーエクスペリエンスを最適化できます。

 

このように、Webサイト内でコンバージョンに至るユーザーの行動やニーズをログから把握し、そのパターンを分析しましょう。そのなかでコンバージョン率が低いポイント、ユーザーが最も離脱するポイントで改善施策をすることで、効果的なターゲティングが可能となり、集客力の向上につながります。

施策の効果測定

施策の効果測定も、アクセス解析の大切な目的のひとつです。施策を実施した際に、どのような効果があって、どこを改善する必要があるかを計測するために、アクセス解析のデータを活用します。

 

具体例として、

 

  • 特定のページのアクセス数を増やす
  • 特定のコンテンツのクリック率を向上させる
  • コンバージョン率を上げる

 

といったように、施策の実施前に設定した目標があるとします。これに対して施策実施後、アクセス解析を通じて、施策が影響を与える可能性のある指標やメトリクスのトラッキングを含むデータを収集します。

 

この目標と実績を比較したとき、どれだけ目標に近づけたかを判断し、もし効果を得られていない場合は要因を特定していきます。たとえば、

 

  • 閲覧数が増えない場合は、コンテンツの質やSEO
  • クリック率が低い場合は、ターゲティングの精度や、広告のクオリティ

 

をそれぞれ見直す必要があるかもしれません。

 

このように、目標設定、施策実施、数値の見直しをして施策に反映させるPDCAサイクルを回すことで、集客力を高めていくことができます。

モニタリング

モニタリングとは、Webサイトを運営するうえでの指標・目標に対する進捗状況を定期的に観測すること。アクセス解析を使ってリアルタイムでデータを取得することで、モニタリングも可能になります。

 

たとえば自社サイトにおける「週間新規ユーザー数」の目標を1,000人とした場合、翌週になってから結果を振り返るのではなく、週の途中で進捗状況を定点観測することが重要です。

 

仮に週のなかばで「新規ユーザー数が500人に届いていない」ということがわかれば、目標達成に向けて追加の施策を立てることが可能です。常に途中経過を把握することで、必要に応じて迅速に対策を講じることができるからです。

 

ウェブサイトの成果を最大化するためには、アクセス解析による継続的なモニタリングが重要です。

アクセス解析をするうえで知っておきたい専門用語

アクセス解析をおこなううえではさまざまな指標が用いられますが、どの指標を使うかはサイトの特性や目標によっても変わります。ここでは、アクセス解析を使う際に知っておきたい専門用語を網羅して解説します。

セッション数

セッション数とは、ユーザーがWebサイトを訪れた回数を示す数値です。セッション数の計測には、一般的に以下の3つのルールが適用されます。

 

  • 時間経過による新規セッション:ユーザーがWebサイトを訪れてから30分以上経過すると、新たなセッションとしてカウントされる。30分以上活動のない状態が続くと、次に行動した時点で新しいセッションが開始する。
  • 日付の変更による新規セッション:日付が変わるごとにセッションがリセットされる。同一訪問内でも、午前0時をまたいで別のページに移動すると、新しいセッションとしてカウントされる。
  • さまざまな経路からのアクセス:ユーザーが異なる参照元(別のWebサイト、検索エンジンなど)から訪問があると、新しいセッションとしてカウントされる。

 

セッション数が少ない場合、ユーザーの回遊促進に課題があると考えられます。ユーザーがサイト内での行動を継続せずに離脱してしまう可能性が高いことを示唆しているからです。ユーザーエンゲージメントの向上やコンテンツの改善を通じて、セッション数を増やすための取り組みが重要になるでしょう。

ページビュー数(PV)

ページビュー数(PV)とは、ユーザーがある特定のWebページを表示した総数のことです。ひとりのユーザーがページにアクセスするたびに、1つのPVとしてカウントします。ページビュー数は、ページごとやコンテンツごとの閲覧頻度や人気度合いを把握するのに貢献します。

 

たとえば、ひとりのユーザーが自社サイト内の5つの記事ページにアクセスした場合、PV数は「5」となります。同様に、5人の異なるユーザーが同じページに1回ずつアクセスした場合でも、PV数は同じく5となります。

ユニークユーザー数(UU)

ユニークユーザー数(UU)とは、Webサイトにアクセスしたユーザー数のことです。同じユーザーによる複数回のアクセスはカウントされず、あるユーザーが1日に複数回Webサイトを訪れたとしても、そのユーザーはユニークユーザー数1人に数えられます。

 

自社サイトがアプローチできているユーザー数を把握する際には、PV数よりもUU数が有用です。実際に存在するユーザーの数を示すため、特定の期間において、サイトへ訪れるユーザーの広範な層を把握するのに役立ちます。

 

ただし、同じユーザーが異なるデバイスでアクセスした場合、デバイスごとに別々のユニークユーザーとして数えられる点には注意が必要です。

ページ/セッション

ページ/セッションとは、1回のセッション中に、ユーザーが平均何ページを閲覧したかを示す指標のことです。セッションごとのページビュー数の平均値を表します。たとえば、ページ/セッションの値が「5」の場合、1つのセッション中に平均して5ページのページを閲覧したことになります。

 

ページ/セッションは、サイト内の回遊性と直結しており、ユーザーの行動パターンを把握するのに役立ちます。より多くのページを閲覧してもらう目的のWebサイトでは、とくに重要視すべき数値です。

 

また関連してよく使われる平均セッション時間とは、1つのセッション中、ユーザーがWebサイト内に滞在している平均時間を意味する言葉です。ユーザーが長時間滞在しているほど、Webサイトのコンテンツやユーザーエクスペリエンスが魅力的であると見なされます。

ランディングページ(LP)

ランディングページ(LP)とは、Webサイトにアクセスしたユーザーが、セッションの中で最初に訪れるページを指します。このページは、ユーザーがサイトに到達する最初の接点となるため、重要な役割を果たします。

 

一方広告業界で、ランディングページは特定のキャンペーンでアクションを促すためのページとして使われることもあります。ここでのランディングページは、「お問い合わせ」「注文」といった特定の行動に対するユーザーの反応を最大化するために設計された縦長1ページのサイトです。

 

アクセス解析の文脈では、ランディングページは前者の意味で用いられます。Webサイト全体において、最初のアクセスポイントとしてユーザーに提供されるページを分析することで、ユーザーの最初の行動やサイトへの最初の接触点を理解し、改善に役立てることができます。

 

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コンバージョン(CV)・コンバージョンレート(CVR)

コンバージョン(CV)は、Webサイトにアクセスしたユーザーが、設定した目標を達成することを指します。例えば、お問い合わせや資料請求、予約、見積もり依頼、商品購入などがコンバージョンに当たります。

 

ケースによってはコンバージョンだけでなく、中間目標として「マイクロコンバージョン」を設定することもあります。

 

コンバージョンレート(CVR)は、Webサイトに訪れたユーザーがコンバージョンに至った割合を示す数値です。こちらは「コンバージョン数÷セッション数」の算式で求めることができます。

 

CVRは、Webサイトを評価する上で重要な指標の一つです。CVRが高いほど、サイト設計やコンテンツが効果的であり、ユーザーがコンバージョンしやすい状態にあるといえるでしょう。また業界の市場規模などで流入数を増やすことができない場合などは、CVRがさらに重要なポイントとなります。

 

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直帰率

直帰とは、サイトに訪れたユーザーが、最初の1ページだけ見てサイトから離脱すること。直帰率とは「1ページ目しか閲覧していないセッションの割合」を示す数値です。直帰率は、直帰したセッション数を、すべてのセッション数で割る計算式で算出されます。

 

ただし直帰率は、「ユーザーが目的を達成し満足してすぐにサイトを離脱するケース」があったり、自社の業界やサイトの種類・流入元によって数値に差があったりと、一定の基準で測ることがむずかしい項目です。

 

直帰率が高い場合、コンテンツ内容がユーザーニーズに合致しているか、ページの表示速度は遅くないか確認しましょう。ほかのページと比べて著しく数値が異なるページ、直近で急に直帰率が下がっているページ、ページ内の情報量に対して離脱が早すぎる場合などは見直すことで改善が見込めるはずです。

回遊率

回遊率とは、1回のセッションのうちに、ユーザーが同じサイト内の他ページを閲覧する割合を示します。回遊率は「ページビュー数÷セッション数」で計算でき、特定のページからほかのページに移動する際に発生する「ページビュー」の連続で表されます。

 

回遊率が低い場合は、サイト内ナビゲーションの効果やユーザーエクスペリエンスを再評価しましょう。一般的に、回遊率が高いページは、ユーザーが関心を持つコンテンツであり、閲覧しやすい動線が提供されている可能性が高いです。

離脱率

離脱とは、サイトにおとずれたユーザーがブラウザを閉じたりほかのサイトに移動することで、サイトから離れることです。離脱率とは、サイトから離脱したユーザーが、特定のページでどのくらい発生したかを示す数値です。

 

離脱率の求め方は「離脱したセッション数 ÷ すべてのページビュー数」となり、特に、コンバージョンポイントやその直前のページでの離脱率は、改善のポイントとして注目され、コンバージョン率の向上に寄与する可能性があります。

 

直帰率は、ある特定のページでセッションが始まり、そのページのみを閲覧した後にサイトから離れたセッションの割合を示します。一方、離脱率は特定のページでセッションが終了した場合の割合を示します。

アクセス解析ツールの種類

アクセス解析ツールには大きく分けて3つの種類があります。

 

  • 1.サーバーログ型
  • 2.Webビーコン型
  • 3.パケットキャプチャリング型

 

ここではそれぞれの特徴について解説していきます。

サーバーログ型

サーバーログ型は、Webサーバーに記録されているアクセスログファイルを分析する方法です。サーバー側がデータを収集し、Webサイトへのアクセスや、サイト上での行動を追跡します。

 

サーバーログには非常に詳細な情報が含まれているため、ウェブサイトのアクセスに関する包括的な洞察が得られます。サーバーがサイトに訪れるユーザーのリクエストやアクセス情報を記録するため、コードなどを埋め込む必要はありません。サイトの利用状況やトレンドを把握し、必要に応じてサイトの改善や最適化を行うことができます。

 

一方で、データ量が多くなる程サーバーに負担がかかることから、1日に1回までの更新となることがほとんどです。

Webビーコン型

Webビーコン型では、HTML内に「JavaScript」タグを埋め込んで、ユーザーの行動や、サイトのパフォーマンスに関するデータを収集します。Google Analyticsが使用している方法でもあり、アクセス解析のなかでも主流のタイプといえます。

 

WebビーコンはページのHTMLコード内に挿入され、ユーザーがそのページにアクセスすると、ブラウザからサーバーに対して情報を送信します。この情報には、ページの訪問日時、ユーザーのIPアドレス、使用されたブラウザやデバイスの情報、ページ内での行動などが含まれており、Webサイトのトラフィックやユーザーの行動パターンを把握するために使用されます。

パケットキャプチャリング型

パケットキャプチャリング型では、ネットワーク上を流れるデータパケット(通信データの塊)をキャプチャして取得し、その内容を解析します。

 

Webサーバーに流れるトラフィックを、専用のソフトウェアやツールを使用してキャプチャ(取得)します。このときネットワーク上の全ての通信データがキャプチャされるため、通信内容やプロトコル、送受信元・宛先などの情報、ネットワーク上での通信パターンやトラフィックの流れ、通信内容なども把握することが可能です。

 

メリットとして、ネットワーク上の全ての通信データをキャプチャできるため、ネットワークの問題やセキュリティ上のリスクを特定し、詳細な分析が可能であることがあげられます。一方で、大量のデータを処理する必要があり、高度な技術やネットワーク知識が必要とされる場合があります。

アクセス解析のやり方

ここでは適切なサイト改善につなげるアクセス解析のステップについて解説します。

1.正しく計測がおこなえるかをチェック

まずはさきほどの章でご紹介したアクセス解析ツールの種類から、アクセス解析の方法を確認し、自社が使っているツールで計測が正しくおこなえるかを確かめます。

 

たとえばGoogleアナリティクスであれば、トラッキングコードが正しく設置されているか、不正アクセスや社内アクセスなどの不要なトラフィックが含まれていないか、セグメントの設定が正しくできているか、といったポイントを確認します。

 

また、ページビューやセッションの数が、妥当な数値であるかも見ておきましょう。GoogleアナリティクスのようなWebビーコン型の解析では、誤ってタグを重複して埋め込んでいることで二重測定が起こることもあります。とくに担当者が代わるときなどは、ある期間から極端に低すぎる・高すぎる数値には注意が必要です。

 

Googleアナリティクスでの二重計測は、GoogleChromeの拡張機能「Tag Assistant」を利用して、トラッキングコードが重複していないか確認してみましょう。

 

さらにコンバージョンに関連の深い、特定のボタンクリック・フォーム送信ボタンなどの重要なアクションについて、適切に追跡されているかを確認するのも大切なポイントです。専門的な知識がなく不安だという方は、マーケティング支援会社に依頼するのもひとつの手です。

2.サイトの構造を理解

アクセス解析をおこなうサイトが、どのような構造になっているかを理解しましょう。ユーザーにとってほしい行動を起点に、導線を構築していくうえでは、サイトの構造を把握しておくことで、課題を明確にできるようになります。

 

BtoB企業のWebサイトの場合、たとえば以下のようなページがあると思います。

 

  • 製品・サービスの概要ページ
  • 個別の製品・サービス詳細ページ
  • 問い合わせページ
  • 見積もり依頼ページ
  • 資料請求完了ページ

 

これらのページ間リンクの遷移や離脱をアクセス解析によって可視化することで、どのような課題があるか発見しやすくなります。これらの課題を明確にすることで、ユーザーがサイト内を簡単に移動できるようなナビゲーション、適切なカテゴリー設定や、メニューの配置、ページ間のリンク構造に反映できるはずです。

3.全体のアクセス数を把握

Webサイトの全体的なアクセス数を把握するためには、解析したい期間を選択し、日別、週別、月別に分けて把握しておきましょう。

 

たとえばGoogleアナリティクスであれば、「ユーザー」→「概要」セクションから、期間を月別、週別、日別などに設定しセッション数や新規ユーザー数を確認できます。「行動」→「概要」セクションから、ページビュー数を。「コンバージョン」→「目標」セクションからは、設定した目標に対するコンバージョン数を確認でき、購入やお問い合わせなどのアクションがどれだけ達成されたかを把握できます。

 

期間ごとの数値を比較して、急な増減やトレンドの変化に注意し、必要に応じて対策を講じましょう。

4.コンバージョンにつながるユーザー情報を把握

サイトに訪れるユーザー層を、流入経路の観点で理解し、コンバージョンにつながるパターンを特定することが重要です。

 

たとえばコンバージョンにつながるユーザーの年齢、性別、地域などの属性に、ユーザーの興味や関心の分野を把握します。コンバージョンに至ったユーザーがサイト上でどのような行動を取っているかを分析し、どのようなページをよく閲覧しているか、どのような流入経路を通じてサイトに訪れているかを確認しましょう。

 

流入経路ごとにコンバージョン率を確認し、そこに予算を投下することで施策の成果を最大化することができます。さらにデバイスごとにコンバージョン率を確認して、ユーザーインターフェイスを最適化することも可能です。

5.コンバージョンにつながるページ情報を把握

コンバージョンにつながるユーザー情報が見えてきたら、コンバージョンの多いページを把握しましょう。

 

まずはどのページが重要なコンバージョンポイントであるかを明確にします。よくあるのは、購入完了ページやお問い合わせフォームの入力完了ページなどです。行動ログを活用して、どのページからどのページに遷移しているかも確認しましょう。

 

そのうえで、コンバージョンするユーザーが経由しているページや、ランディングの多いページ、アクセス数が多いページなどを分析することで、短い期間でも大きく成果を出せる改善施策を実施できます。

6.KGI(最終目標)を設定

Webサイトによってどのような成果を出したいのか、目的に合わせたKGI(Key Goal Indicator/最重要指標)を設定しましょう。

 

売上の増加、利益率の向上、顧客獲得数の増加などはKGIとして最も多く用いられる指標ですが、業界の特性などによって変わってくる部分です。以下は業界やサイトの種類ごとの一例です。

 

  • ECサイトの場合:コンバージョン率・平均注文額・リピート率など
  • BtoB企業の場合:リード数・デモンストレーション予約数・受注率など
  • SaaS企業の場合:利用率・チャーンレート・顧客満足度など
  • メディアサイトの場合:ページビュー数・平均滞在時間・SNSシェア数など

 

このように、KGIを明確に設定することで現状を浮き彫りにでき、アクセス解析で注目する数値や、Webサイトの目標もさらに明確になります。

7.KPI(中間目標)を設定

大枠の目標としてKGIを設定できたら、その達成に向けてKPI(Key Performance Indicator)と呼ばれる中間目標を設定します。

 

たとえばKGIが「コンバージョン」といった最終目標であれば、達成に向けて重要なKPIには、コンバージョン率、セッション数や平均セッション時間、CTR(クリックスルーレート)などが設定されます。

 

KPIは最終目標を達成するためのステップであり、具体的な数値目標を設定して進捗をモニタリングすることが重要です。ビジネスの成果を定量的に評価することで、より適切な戦略を策定したり、改善することが可能となります。

8.仮説を立てて検証する

アクセス解析をマーケティングに役立てるうえでは、仮説を立てることで課題や改善点を明確にすることができます。仮説と検証の一例は以下のようになります。

 

  • 顧客獲得がうまくいっていない場合:ターゲットに対する発信が適切でないと仮説を立て、顧客のニーズや課題をより深く理解し、メッセージをカスタマイズすることで成果が改善されるか検証する。
  • サイト上でのコンバージョン率が低い場合:コンテンツやユーザーエクスペリエンスが不十分であり、ユーザーが求める情報を提供できていないと仮説を立て、コンテンツやナビゲーションの改善によってコンバージョン率を向上できるか検証する。

 

自社が抱える課題に対して仮説を立て、実証的なアプローチで解決策を検証することで、組織全体でのビジネスの成長にも寄与するはずです。

 

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アクセス解析のポイント4つ

アクセス解析をするうえでおさえておくべきポイントを4つお伝えします。

外部環境からの影響に対応する

アクセス解析によってサイト内に課題を発見し改善することはもちろん大切ですが、外部環境の変化が作用することも考慮しておきましょう。

 

たとえば流入元である検索エンジンのアルゴリズム変更があると、Webサイトの検索順位やアクセス数に大きく影響を与える可能性があります。定期的に検索エンジンのアップデートを確認し、サイトのアクセス変動をチェックしましょう。

 

また競合他社のWebサイトやマーケティング戦略の変化によって、自社のアクセスやコンバージョンに影響を与える場合、競合分析も必要になるはずです。またプロモーションやキャンペーンのみならず、季節性やトレンドによって、ユーザーの行動パターンや関心事が変化することも考慮する必要があります。

 

外部からの影響を念頭に置いてアクセス解析を行うことで、市場における変化に柔軟に対応することも必要です。

分析レポートを共有する

アクセス解析の分析レポートは、担当者や担当部署だけで抱え込まずに、まわりの部署とも積極的に共有しましょう。

 

Webサイト改善の方向性を見出すためのデータ共有には、分かりやすさが重要です。技術的な専門用語を避け、わかりやすい言葉で結果を説明したり、グラフやチャートを活用して視覚的に分かりやすく示したりすることで、担当部署外でも共有することが大切です。

 

また共有したレポートに対するフィードバックや意見を促し、組織全体で改善に向けて議論することで、チームメンバーのみならず周辺部署の視点を取り入れ、よりよい改善策を創出できるはずです。分析レポートの定期的なレビューを、あらかじめスケジュールに組み込むことで、Webサイトのパフォーマンスを継続的に向上することができます。

過去データと比較してモニタリングする

アクセス解析をおこなう際の重要なポイントとして、得られたデータを、過去のデータと比較しモニタリングしていくことがあります。現在の数値を見るだけでなく、過去のデータと比較することで、アクセス解析で得られるデータを最大限に活用することが可能です。

 

たとえば過去の月間アクセス数やコンバージョン数の推移を分析し、Webサイトの成長や変化の傾向を特定することで、今後の方針を決めるうえでの検討材料にもなるでしょう。

 

またキャンペーンなどの施策を実施した際に、アクセス数やコンバージョン数がどのように変化したかを過去データと比較することで、施策の効果を客観的に評価することができます。

 

数値の変化がどのような要因で起こったかを考察することで、Webサイトの改善やマーケティング施策全体を検討するうえで有益なヒントとなるはずです。

ユーザー視点で考察する

アクセス解析をおこなううえで最も重要なポイントのひとつは、ユーザー視点でデータを取り扱うことです。Webサイトを利用するユーザーがどのような体験をしているのかを知り、ユーザーの立場でデータを分析をしてみましょう。

 

たとえばユーザーがサイト内でどのような行動を取っているのかを知るために、検索ワードやページの遷移、クリックのパターンを分析することで、ユーザーの関心ごとやニーズを理解しやすくなります。

 

また、コンバージョンにつながるボタンがクリックされない理由は、ユーザーがサイトを利用する際の体験にあるかもしれません。ユーザーエクスペリエンスに影響を及ぼす、ページの読み込み速度やレイアウト、ナビゲーションなどを確認するとともに、ユーザーアンケートなどによって実際の声や反応といったデータを集めていくことも必要です。

無料ツールあり!アクセス解析ツール

アクセス解析ツールとしてポピュラーな「Googleアナリティクス」をはじめ、無料ツールを含めた便利なアクセス解析ツールをご紹介します。

Googleアナリティクス

Googleアナリティクスは、無料のアクセス解析ツールで、その名の通りGoogleが提供しています。無料で使えるツールながら幅広いデータを解析できる高機能なツールで、多くの企業で活用されていることから多くのノウハウもシェアされており、まず手始めにアクセス解析をしてみたいという方にもおすすめのツールです。

 

登録するとアカウントに紐づいたトラッキングコードが付与され、このコードをサイトのHTML内に埋め込むことで、流入経路・ユーザーの属性・ユーザーの行動・コンバージョンそれぞれのデータの計測をすることが可能です。のちほどGoogleアナリティクスの利用の仕方についても解説していきます。

 

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Google Search Console

Googleサーチコンソールは、ウェブサイトの検索エンジンに関するデータを提供するツールです。主にユーザーがサイトにアクセスする前のデータ、検索クエリや表示順位、クリック数、表示回数などのデータを解析することができ、Webサイトの検索エンジンでのパフォーマンス分析に役立ちます。

 

さきほどご紹介したGoogleアナリティクスは、サイト全体のアクセス解析を行うためのツールになるため、両方のツールを組み合わせて使用することで、Webサイトのパフォーマンスを包括的に把握できます。

User Heat

User Heat(ユーザーヒート)とは、ユーザーがWebサイトのどの部分に関心を持っているのかを把握できる、ヒートマップツールです。月間30万PVまでは無料で利用でき、クリックはもちろん、マウスの動きやどこが熟読されているか、どこで離脱しているかといったエリアを色に置き換えて視覚的に表示します。

 

通常のアクセス解析が、データを数値で表示するのと異なり、User Heatでは温度を表すサーモグラフィーのように、ユーザーがよく見ている部分を直感的に示唆。たとえばコンバージョンに至る前にユーザーが閲覧を終了している部分を把握することで、サイト改善に活かすことができます。サイトのHTMLに解析用JavaScriptを埋め込むことで簡単に利用できます。

Similar Web

イスラエル発のSimilar web(シミラーウェブ)は、URLを入力したサイトのアクセス概要を得られるツールです。世界中のWebサイトから、独自クローラーで月間約10億ページから情報収集しているのが特徴です。

 

無料版では、アクセス数や訪問前後のサイト、エンゲージメント、トラフィックソース、ソーシャルトラフィックなどを知ることができます。ユーザー登録をすれば利用可能で、Googleの拡張機能でブラウザにインストールすれば、競合サイトに訪問してワンクリックで解析ができるようになります。

 

被リンクや内部対策などのSEO対策はできないものの、競合サイトのアクセス概要も簡単にわかるので、伸び悩んでいるwebサイトを改善し、マーケティング戦略を練りなおす際には重要なヒントを与えてくれるはずです。

SNS用アクセス解析のおすすめツール

近年はSNSを通じたプロモーションも広く一般に浸透したことから、SNS専用のアクセス解析ツールも精度を上げています。ここではTwitter(現X)、YouTubeのアナリティクスツールをご紹介します。

Twitterアナリティクス

Twitter アナリティクス(Twitter Analytics)は、Twitter(現X)での自分の投稿に対する反響を分析できるツールです。自分のツイートが見られている数、いいねの数や、フォロワー数の増減などのデータを無料で分析できます。Twitter(現X)のアカウントがあれば、誰でも無料で利用することができます。

 

Twitter アナリティクスでは、動画アクティビティの管理や月ごとの統計データ、より多くの反応を得るツイートの傾向などを分析することもできます。Twitterを活用したキャンペーンやプロモーションを実施する際にもパフォーマンスを計測できるため、Twitter(現X)を活用したコンテンツ戦略の精度を高めるのに有用です。

YouTubeアナリティクス

YouTubeアナリティクスでは、自身のチャンネルで投稿した動画の総再生回数、視聴者数や人気の動画、どのような属性のユーザーが動画を見ているのかを分析できます。

 

無料のYouTubeアカウントを作成すれば、だれでも利用することができるツールです。視聴ユーザーが、どのように動画にたどり着いたか、またどのようなパターンでチャンネル登録・解除されているかといった行動データを見ることもできます。

 

YouTubeアナリティクスを活用すれば、データに基づいた客観的な判断ができ、より効果的なYouTubeチャンネルの運営が可能となります。

まずは無料でアクセス解析!Googleアナリティクス

無料ながら高機能なアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を使って、アクセス解析をしてみましょう。ここでは、3つのステップで使い方について解説します。

1.Googleアカウントを作成する

まずはGoogleでアカウントを作成しましょう。すでにアカウントを持っている場合は手順2に進んでください。

 

Googleアカウント作成はこちら

2.Googleアナリティクスのアカウントを開設する

次に、Googleアナリティクスのアカウントを開設していきます。

 

アクセス解析したいURLと、ストリーム名(Webサイトの名前)を入力してストリームを作成すると、Googleアナリティクスのアカウント登録が完了です。

 

Googleアナリティクス利用はこちら

3.トラッキングコードを設置する

Googleアナリティクスに解析したいURLを登録したら、トラッキングコードをWebサイトのHTMLに埋め込みます。Webサイトへアクセスがあったとき、このコードが読み込まれることで、アクセス解析に反映されるようになります。

 

このトラッキングコードは、Webサイトの運営担当者が交代したり、サイトリニューアルをしたときなどに削除・重複してしまうことが往々にして起こります。このようなときには必ずトラッキングコードを確認するようにしましょう。

MAツールでもアクセス解析できる!

マーケティングオートメーション(MA)ツールは、顧客の行動やデータを把握し、分析するための機能を搭載しており、多くのMAツールにはアクセス解析機能も組み込まれています

 

顧客がメールを開封しリンクをクリックしているか、メール配信でどのような効果が得られているか、コンバージョン率といったデータも自動的に収集し、分析することができます。

 

またMAツールでは、Webサイトのトラフィックやコンバージョンに関するデータをリアルタイムで追跡することができるため、マーケティング戦略をより効果的なものにブラッシュアップするのにも役立ちます。さらにMAツールは、ほかのマーケティングプラットフォームやCRMと統合し、複数のデータソースを組み合わせて分析できるのもポイントです。

 

MAツールは気になるけどハードルが高い…という方は、弊社のずっと無料で使える国産MAツール「BowNow」がおすすめです。「本当に使いこなせるMA」をコンセプトに、WEB制作会社自身が開発しました。営業部門目線・マーケティング部門目線で必要な機能を厳選し、誰でも簡単・シンプルなマーケティング活動が実現できます。

 

導入企業13,000社 手軽に使えるMAツール|【公式】マーケティングオートメーション BowNow(バウナウ)

まとめ

アクセス解析について解説しました。

 

アクセス解析ツールは、ユーザーがどのような行動をとっているのかを見える化して、Webサイトどこが課題になっているのかを発見し、コンバージョンを増やすためのサイト改善をするうえで欠かせないツールです。「アクセス数が増えているのに、いまいちコンバージョンにつながらない…」といった場合に、原因を特定するのにも役立ちます。

 

ただ、単にデータを取得するだけでは、本当の意味でアクセス解析ツールを使いこなせているとはいえません。自社サイトの目標と現状を明確にし、データ分析に取り組む際には、仮説を立てて繰り返し検証することで、Webサイトでのマーケティングの成果を最大化することができます。

 

また、アクセス解析によって得られる分析レポートは担当者だけでなく周辺部署とも共有することが大切です。Webサイトによる事業貢献を意識して、仮説検証のPDCAサイクルを回しながら、サイト改善に取り組みましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Fri, 22 Mar 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[Googleアナリティクス(GA4)とは何か、中小企業が知っておくべきデータ分析の基礎]]> https://mtame.jp/martec/google-analytics4 Googleアナリティクス(GA4)とは、Google社が提供している「アクセス解析ツール」です。自社サイトの訪問者のサイト内における行動を数値データとして細かく調べることができます。大手はもちろん中小企業がデジタルマーケティングに取り組むにあたっては、自社サイトのデータ分析は欠かせません。この記事では、GA4の基本を学び、ビジネス成果を向上させるための手法をご紹介していきます。

 

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デジタルマーケティングにおけるアクセス解析とは?

デジタルマーケティングにおいて、自社サイトがどれくらい「閲覧」されているのか、

どのページがもっとも訪問者が多いのか、どのページで「離脱」しているのかなどを知っておくのは、大変重要なことです。今や、企業の営業活動において、自社サイトで事業内容や製品サービスを紹介し、問い合わせを集めることで「商談」に結びつけるという手法は、一般化しつつあります。

だからこそ、自社サイトのアクセス状況を把握することは重要で、数値の変動を見ながら、リンクを設置して「回遊性」を向上させたり、わかりにくい箇所にはナビゲーションを追加して「誘導」したりなど、ボトルネックをページ単位で見つけて改善することができれば、それがダイレクトに営業成績に影響してきます。

Googleアナリティクス(GA4)の役割

Googleアナリティクス(GA4)は、Webサイトやアプリ内での利用者の「行動」を集約し、分析することで、以下のような役割を果たします。

サイト訪問者の行動を追跡する:

訪問者が、サイト内でどのような行動を取っているかを追跡します。これには、ページビュー(PV)、セッション(sessions)、閲覧者がクリックしたリンクなどが含まれます。これらのデータをもとに、訪問者の行動パターンやトレンドを分析します。この分析をしっかり行うことで、「ユーザー体験」の向上が可能になります。

サイトでの目標達成を測定する:

サイトが設定した目標(例:お問い合わせ、資料ダウンロード、ウェビナー申込、資料請求、製品のオンライン購入など)の達成状況を測定し、その成果を評価します。これには、コンバージョン(CV)が主な指標となります。

自社サイトにおける訪問者の行動追跡、目標達成度の測定によって現状を正しく把握することができれば、今後どのように改善すべきかを決めることができます。企業のデジタルマーケティングでは、日々改善を繰り返しながらパフォーマンスを確認しつつ進めていく必要がありますので、GA4は、サイト運用において重要な役割を担っています。

 

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GA4で閲覧できる「数値データ」の種類

ここまでで、Googleアナリティクス(GA4)の役割と、使ってできることについて大まかに理解できたと思います。ただ、GA4が提供する数値データはとても多岐にわたるため、これらのデータを適切に読み取ることが必要となってきます。

ユーザー数(UU):

ユーザー(ユニークユーザー)アクティブユーザーなど、自社サイトを訪れる「訪問者数」を把握することができます。GA4では、新規ユーザーとリピーター(既存ユーザー)を区別し、サイトの訪問者のうちどれくらいの割合が新規ユーザーによるものか、どれくらいの割合がリピート訪問によるものかを分析することができます。これにより、自社サイトの「エンゲージメント」の強さを評価できます。

 

ユーザー数(UU)

 

  • ユーザー(UU): サイトにアクセスした訪問者。後述する「セッション数」からユーザーの重複を除いた数値となる。
  • アクティブユーザー(AU): ある特定の期間に発生した「セッション数」から、ユーザーの重複を除いた数となる。
  • ・新規ユーザー: 過去2年間においてアクセス履歴がなく、新たにサイトにアクセスした訪問者のこと。
  • リピーター: 新規ユーザーとして一度アクセスした後に、再訪した訪問者のこと

基本的には、UUとAUの違いは、集計期間を特定するかしないか次第と言えます。また、新規とリピーターの違いは、過去2年間において1度のみの訪問か2回以上の再訪をしているかで区別します。リピーターの割合が増えていれば、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供できているエンゲージメントの高いサイトと考えることができます。

セッション数と平均セッション時間:

訪問者がサイトに訪れた回数のことを、セッション(sessions)と言います。サイトの閲覧され具合をはかる目安とも言える指標で、基本的に企業のデジタルマーケティングにおいては、まずはこのセッション数を増やすことが重要です。

そして、このセッションを単位として、平均で1セッションあたりどのくらいの時間をサイト内で過ごしたかを平均セッション時間とします。この数値が長くなればなるほどサイトがよく閲覧されていることになり、ページ情報や記事コンテンツの「品質」を理解するのに役立ちます。

 

セッション数と平均セッション時間

 

  • セッション(sessions): サイトにアクセスした訪問者。後述する「セッション数」からユーザーの重複を除いた数値となる。
  • 平均セッション時間: ある特定の期間に発生した「セッション数」から、ユーザーの重複を除いた数となる。

ページビューと平均ページビュー

ページビュー(PV)とはサイト内において閲覧されたページ総数のことです。また、1度のセッションにおいて訪問者が平均して何ページ閲覧したかを示す単位として、平均ページビュー(ページ/セッション)があります。

セッション数に対して、ページビュー数が2倍、3倍と多ければ1度のセッションで多くのページを閲覧されることになるため、回遊性が高いといえます。これは、関連のあるコンテンツへのリンクやナビゲーションがわかりやすく設置されているサイトであるといえます。

 

  • ページビュー(PV:pageview): サイトへのアクセスによってページが表示された回数のこと。
  • 平均ページビュー(ページ/セッション): 1セッションあたりの平均ページ表示回数のこと

コンバージョンとコンバージョン率:

設定した目標(例:お問い合わせ、資料ダウンロード、ウェビナー申込、資料請求、製品のオンライン購入など)に達成(CV:コンバージョン)した数と、サイトアクセスに対する割合のことです。

 

コンバージョンとコンバージョン率

 

  • コンバージョン(CV:Conversion): サイトにおいて目標を達成した数のこと。
  • コンバージョン率(CVR:Conversion Rate): サイトアクセスに対するCVの割合のこと。主に、セッション単位(CV数 ÷ セッション数)あるいはユーザー単位(CV数 ÷ ユーザー数)の2つのパターンで算出することができる。

直帰率:

サイトにおける直帰率は、すべてのセッション数のうち、1ページだけ閲覧してすぐに離脱したセッション数の割合です。ただし1ページだけだったとしても、10秒以上の閲覧があった場合はそれは直帰率にはなりません。直帰率が多いサイトというのは、せっかくサイト訪問があってもコンテンツやユーザビリティの問題で、関心を持ってもらえなかったということになりますので、改善が必要といえます。

 

  • 直帰率(Bounce Rate): 1ページのみ閲覧してすぐに離脱したセッション数の割合のこと。

このほかGA4では、ユーザーを特性(年齢・性別・地域・デバイスなど)で分類することもできるため、より詳しい分析をすることが可能です。

「探索」による細かいレポートの見方

Googleアナリティクス(GA4)では、「探索機能」を用いてさらにカスタマイズした分析をすることができます。ディメンション(属性)とメトリクス(数値)を自由に組み合わせることで、日別・週別などの期間を区切ったセッション数や、セッションの参照元や、エンゲージメント率の詳細、ユーザーの関心ごと(インタレストカテゴリ)など、より細かい分析が可能となります。

 

「探索」による細かいレポートの見方

 

「探索」による細かいレポートの見方

アクセスデータを、自社サイトの改善にどのように活かすか

Googleアナリティクス(GA4)を使って、色々なサイトデータを入手できることがわかったと思います。では、これらのデータをもとにどのような改善ができるでしょうか。考えられるのは「ユーザビリティの向上」「コンテンツの最適化」「コンバージョン率の増加」など。データからボトルネックが見つけられたなら、これらの取り組みに着手することができます。

コンテンツの最適化

サイト内で、どのページが最も閲覧されているか、またどのコンテンツが閲覧者にとって魅力的かを調べてみます。人気のページ情報やブログ・コラムなどをさらに充実させることで、サイト利用者の関心を高め、エンゲージメントを向上させることができます。一方で、「直帰率」の高いページを特定し、コンテンツの質や構成を見直すことも重要です。閲覧者が求める情報が不足しているまたは見つけにくい場合には、情報内容を追加したりレイアウトを再設計するなどの対処が必要です。

コンバージョン率の向上

サイト訪問者がコンバージョン(CV)に至るまでのページ導線・経路を分析し、途中で離脱してしまうポイントを特定します。フォームの簡素化、CTA(コール・トゥ・アクション)の配置の最適化などにより、コンバージョンに向けた導線をよりスムーズにすることで問い合わせや申し込みなどのコンバージョン率(CVR)を高めることができます。

サイト閲覧者の特定

GA4からわかる訪問者の属性データによって、自社サイトの主な閲覧者がどのようなタイプかを把握します。国/都市別・性別・デバイス別はもちろん、閲覧者の「関心(インタレストカテゴリ)」があるものについてもデータを取得することができます。

この情報をもとに、閲覧者に合わせてページコンテンツを用意することで、よりコンバージョン(CV)を高めることができます。

 

  • 年齢: 18~24 歳、25~34 歳、35~44 歳、45~54 歳、55~64 歳、65 歳以上等
  • 性別: 男性、女性、不明
  • 国別:
  • 都市別:
  • 言語別:
  • 関心:アート、エンターテイメント、ゲーム、スポーツなど関心事
  • デバイス別:デスクトップ、モバイル、タブレット

アクセスデータをサイト改善に活用することで、企業はサイト利用者の「満足度」を高め、結果として営業活動を円滑に進めることができるようになります。GA4は、デジタルマーケティングを推進する中小企業にとっては、なくてはならない必須ツールと言えるでしょう。

まとめ

ここでは、サイト運用において、Googleアナリティクス(GA4)をどのように役立てることができるのかについて解説しました。GA4は、行動分析を通じてサイトのパフォーマンスを向上させるための強力なツールといえます。

このツールを活用してサイト利用者のニーズを捉え、改善することができれば結果として営業活動も向上させることができると言えます。データに基づいた戦略的なアプローチを取ることで、企業競争力を高め、市場での成功を収めることができるでしょう。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Wed, 06 Mar 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[アップセルとは?クロスセルとの違いや重要性、効果的なタイミングについて解説]]> https://mtame.jp/column/upsell-cross-sell アップセルとは、過去に商品を購入または商品購入を検討中の顧客に対し、上位の商品を提案し買ってもらうセールス手法を指します。アップセルを行うことで、1人あたりの顧客単価のベースを引き上げることができ、企業の利益拡大を図れます。

 

企業の収益力強化につながるアップセルは、SaaSをはじめとするサブスクリプション型ビジネスの台頭により、改めて注目を集めています。

 

本記事ではアップセルの基礎知識からクロスセルとの違い、アップセルの提案に効果的なタイミングなどをわかりやすく解説します。

 

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アップセルとは

アップセルとは、過去に商品を購入または商品購入を検討中の顧客に対し、上位の商品を提案し買ってもらうセールス手法を指します。具体的には10万円のパソコンの購入を検討している顧客に、セキュリティソフトや文書作成ソフトなどを搭載した15万円のパソコンを勧め、顧客単価を高めるというものです。

 

多くの場合、商品の比較表などを用いて、顧客により単価の高い商品を提案します。提案した商品のほうがより顧客ニーズを捉えた商品であると示すことで、顧客が満足して購入するきっかけを提供します。

アップセルとクロスセルの違い

クロスセルとは、自社の商品を購入している顧客に対し、購入した商品と異なる商品やサービスを勧める営業手法です。たとえば10万円のパソコンの購入を検討している顧客に、セキュリティソフトやマウス、キーボードといったPC関連商品のあわせ買いを提案します。

 

アップセルとクロスセルの大きな違いは、顧客が購入する商品タイミングです。アップセルは顧客に「同じ商品・サービスの上位グレード」を勧めるのに対し、クロスセルは「購入予定商品の関連商品」を購入してもらい、単価を上げることを目的としています。

 

また提案するタイミングも異なり、アップセルは購入する予定商品の買い替えや検討中のタイミングで勧めますが、クロスセルは商品購入が決定してからの、契約や購入を行うまでの間に関連商品を提案するのが主流です。

 

アップセル・クロスセルともに顧客単価のアップという目的は同じですが、提案内容やタイミングに違いがあります。

 

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BtoB企業でアップセルが重要な理由

BtoB企業においてアップセルが欠かせない理由について解説します。

顧客単価の向上

BtoBビジネスはBtoCと比べてターゲットとなる母数が少なく、新規顧客の獲得が難しい傾向にあります。一般的に新規顧客を獲得するコストは、既存顧客に比べて5倍かかると言われており、相応の手間と時間が発生します。また時間やコストをかけてようやく獲得した新規顧客が、今後も継続して自社商品を利用するかまでは予測できません。そのためBtoBで売上拡大を図るには、既存顧客の顧客単価を上げることが近道とされています。

 

アップセルに成功し、上位モデルの商品やサービスを提供できると顧客1人あたりの単価が上がります。各顧客の単価アップに伴い、利益の大幅な上昇が見込めるため、顧客数を増やさずに総売上額を伸ばすことが可能です。顧客数が限られているBtoBビジネスにおいて、アップセルは効率の良い売上向上施策のひとつといえるでしょう。

 

LTV(顧客生涯価値)の向上と業務効率化

LTV(Lifetime Value:顧客生涯価値)とは、1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益のことを表します。顧客のニーズを捉えたアップセルを実施することで、「優れた商品を提案してもらえた」「課題解決に最適なサービスを導入できた」など、顧客が求める以上の購買体験を提供できるため、顧客満足度の向上が期待できます。顧客と企業の関係が良好になると、企業に対して信頼や好印象を抱くようになり、「次はこの商品を買ってみよう」「◯◯のサービスを契約してみたい」などのアクションが発生し、LTVを高められます。

 

LTVの向上に加え、業務効率化を図ることができます。自社商品・サービスを売る場合、自社商材の説明からはじめ、何度も商談を重ねて契約に至るまで膨大な時間と手間がかかります。一方で既存顧客は過去に一度商品を購入しているため、すでに自社商品についてはある程度理解していることから、アプローチを仕掛ければ商品を買う可能性が高い存在です。新規顧客よりも営業コストを抑えつつ、効率よく売上を上げられます。

 

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アップセル実施のポイント

アップセルはただやみくもに顧客に行えばいいわけではありません。本章ではアップセルの実施にあたり押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

顧客情報の正確な把握

まず最初に行うべきが、顧客情報の収集です。自社商材・サービスを利用するユーザーの属性を明らかにし、商品に対しどのようなニーズを抱えているのかを改めて分析・把握します。企業側が正確なユーザー属性や顧客ニーズを理解していないと、的はずれな提案ばかりをしてしまい、失注や顧客離れが起きる可能性があります。収集したデータをもとにどのようなユーザーであれば、アップセルを成功しやすいのかをしっかり把握し、効果的な提案を行いましょう。

 

失注リスクを下げるためのツールとして、顧客情報を一元管理できるCRMツールやMAツールを活用するのもおすすめです。

 

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商品設計の見直し

次に商品設計の見直しです。アップセルをスムーズに進めるには、商品ライナップを、「下位・中位・上位」と複数用意し、それぞれの機能や特徴に差が出るような内容にすることをおすすめします。商品ラインナップが似たりよったりになってしまうと、一番安いプランの契約になってしまうことが多く、顧客単価の引き上げができなくなります。

 

商品設計の見直しにあわせて「下位商品から上位商品に変えることで得られるメリット」「上位商品・グレードがふさわしい理由」の理由付けも必要です。ただ上位商品を勧めるのではなく、この商品がなぜ顧客にとって必要なのかを明確にすることで、顧客に満足度の高い購買体験を提供できます。顧客満足度向上にもつながり、企業への信頼度も増すため、必ず用意しておきましょう。

 

アップセルを成功するうえで、商品設計の見直しは最も重要なポイントです。顧客がアップグレードしたいと思うようなラインナップにしましょう。

現場への浸透・理解

アップセルを主に行うのはフィールドセールス(営業マン)やインサイドセールスです。アップセル成功の可否は彼らにかかっているといっても過言ではありません。そこで、アップセルの方針を営業の現場に浸透させるために、以下の3つが重要となります。

 

  • 営業方針を明確に定義し、周知徹底する
  • 現場に浸透するまで繰り返し伝える
  • 現場の声を施策に反映する

 

まずはじめにアップセルの目的や重要性を説き、営業方針が担当者に浸透するようにしましょう。目的や戦略、顧客への接し方を理解することで、一貫したアプローチを取れるようになり、営業スタイルが統一されるようになります。しかし浸透までには時間がかかるため、周知は1回きりにするのではなく、繰り返し何度も伝えることが大切です。そのためにも営業部門全体で常に情報を共有し、PDCAを回しながら施策の改善を図りましょう。

アップセルの具体例

アップセルは上位モデルへの提案以外にも、まとめ買いや長期契約による割引、ロイヤルティプログラムなどさまざまな方法があります。具体的には以下のとおりです。

まとめ買いの提案

まとめ買いとは特定の商品(プラン)を複数購入することで、合計金額から割引したり、一定金額以上の購入で送料無料にするなど、顧客に購入によるメリットを示し、商品の複数購入を通して顧客単価を上げる仕組みです。

 

たとえばオフィス用品などを販売する通販サービス「たのめーる」は、対象商品をまとめて購入すると、1点あたりの単価が割引される「たの割ミックス」や同じ商品のリピート購入で1点あたりの金額が安くなる「たの割」を実施しています。複数購入によるアップセルを狙った施策といえます。

長期契約による割引

長い期間にわたって同じ商品をリピート購入している顧客に対し、割引を提案する方法です。

 

一例として、法人向けレンタルサーバーサービスを運営する「ニフクラ」では、契約期間に応じて一定の金額を割り引く長期利用割引プランを用意しています。最大40%以上の割引が適用され、契約期間が長くなるにつれて利用料金が安くなるため、他社への乗り換えを防ぐ効果があります。

ロイヤルティプログラムの導入

ロイヤルティプログラムとは、購入頻度や購入金額の多い優良顧客に対し特典を与える施策を指します。顧客維持戦略のひとつで、自社商品やサービスを継続的に購入したくなるような特典を顧客に与えることにより、顧客が他社に流出するのを防ぎます。

 

カタール航空は法人向けプログラム「Beyond Business」に、ロイヤルティプログラムを導入しています。全部で5つの会員レベルが用意されており、カタール航空の利用回数・購入金額に合わせてグレードが上がります。会員レベルごとに優先手荷物や航空券の割引などの会員限定特典を受けられます。

アップセルの効果的なタイミング

アップセルの成功の鍵は、提案するタイミングにあります。誤ったタイミングで行ってしまうと、顧客の不信感を招く恐れがあり、最悪購入や契約を見送る可能性があります。そのような事態を避けるためにも、商材にあわせた適切な提案が大切です。本項ではBtoB、BtoCの商材ごとのタイミングについて解説します。

BtoB商材の効果的なタイミング

BtoB商材のアップセルは、特にサブスクリプション方式を採用しているSaaS型ビジネスに有効です。交渉のタイミングは、以下の3つの場面で行うと成功率が上がります。

 

①契約更新時
②予算捻出時
③課題判明時

 

特に①の契約更新時が最も成功しやすいといわれています。契約更新を行うということは、顧客が自社商品やサービスに対して一定以上の満足度を得ていると考えられるからです。次に確率が高いのが、②の予算捻出時です。企業の意思決定は予算に左右されるといっても過言ではありません。アップセルを提案する際は企業の予算策定時期も考慮したうえで実施するといいでしょう。

 

③については顧客とのコミュニケーションを図る中で、新たな課題が判明し、その課題解決を図るためのサービスや代替案を提供することにより、アップセルが成功することもあります。顧客が抱える悩みや課題を素早く把握できるように、日頃から顧客視点に寄り添ったサポートやコミュニケーションを取る必要があります。

BtoC商材の効果的なタイミング

BtoC商材におけるタイミングは、顧客の感情が高まったときがベストです。具体的には顧客が企業に対して好印象を抱いている際に、より良い商材を提案すると購入する可能性が高くなります。

 

たとえばYou TubeやSNSでインフルエンサーが紹介している動画を視聴し、その商品が魅力的であったり、自身のコンプレックスを解決する商品であった場合、ユーザーは「商品を購入したい!」という気持ちに駆られます。そのタイミングで商品を宣伝するWebサイトやURLをPRすることで、商品購入などのコンバージョンにつなげられます。

 

もうひとつは購入の決断をしたタイミングです。よくある例としては、ファーストフードで店員から商品のサイズアップを勧められるケースです。追加料金で商品をよりお得に購入できるため、消費者のついで買いによる単価アップが期待できます。

アップセルの注意点

最後にアップセルを行ううえで、気をつけておきたいポイントを解説します。

顧客ケアをしっかりと行う

アップセルを一度の成功で終わらせず、継続的に行っていくためには、顧客ケアをしっかりすることが大切です。メールや電話などで利用状況を随時ヒアリングし、細やかなアフターフォローを心がけることで、顧客から「サポートがしっかりしている」「この企業なら安心」だと思ってもらえるようになるでしょう。自社に対する安心感・信頼感の醸成により、エンゲージメント(愛着)の向上にもつながり、さらなるアップグレードの可能性が高くなります。アフターフォローは顧客育成という観点からも非常に重要なプロセスです。

強引なセールスをしない

アップセルを取り組む際に最も注意したいのが、顧客に押し売りだと思われてしまうことです。売上アップを優先して強引な営業活動を続けてしまうと、顧客の購買意欲が減退してしまい、失注リスクが高くなります。また仮に成功したとしても短期的な利益は上がるかもしれませんが、顧客離れによって長期的にはマイナスに陥ることも考えられます。

 

アップセルの成功の秘訣は、あくまで顧客目線に立った提案ができているかどうかです。顧客満足度が高まれば必然的に購入や契約へと進みます。企業側目線ではなく、顧客の気持ちに寄り添った提案をしつつ、アップセルを行うタイミングを図っていきましょう。

まとめ

本記事ではアップセルの基礎知識からクロスセルとの違い、アップセルの提案に効果的なタイミングなどについて解説しました。

 

アップセル戦略を上手く実践すれば、既存顧客1人あたりの単価を増やし、企業全体の利益拡大を目指せます。新規顧客の開拓が困難になっている今、既存顧客にフォーカスしたアップセル戦略は有効な営業方法です。自社のビジネスモデルや商材にマッチしていれば、事業目標達成に大きく貢献する施策になるでしょう。

 

本記事が貴社のビジネスヒントの一助になれば幸いです。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Wed, 28 Feb 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[コホート分析とは?やり方や活用例をわかりやすく解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/cohort-analysis コホート分析とは、ユーザーの行動や属性をグループに分け、そのグループごとの変化や傾向を分析する手法のことです。

 

コホート分析を活用することで、単純な平均値や合計値では見えない、ユーザーの特徴や傾向を発見できるため、顧客理解やマーケティング戦略の強化などに役立ちます。

 

本コラムでは、コホート分析の基本や効果的な活用方法を、ご紹介いたします。

 

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コホート分析とは?

コホート分析とは、ユーザーの行動や属性をグループに分けて、そのグループごとの変化や傾向を分析する手法です。

 

たとえば、あるアプリの月間アクティブユーザー(MAU)が増加しているとします。
しかし、これだけの情報だと、新規ユーザーが増えているのか、既存ユーザーが継続しているのか、あるいは両方なのかはわかりません。
そこで、コホート分析をすると、登録月ごとにユーザーの継続率や離脱率を見ることができるため、アプリの成長に寄与している要因を明らかにできるのです。
ここから、ユーザーの離脱要因や改善点を見つけたり、効果的な施策やマーケティングを考えたりすることができます。

コホート分析の活用メリット

このように、コホート分析を活用することで、消費者の潜在ニーズを把握し、企業のマーケティング戦略に活かすことができます。

 

上で挙げた例のほかにも、デジタルマーケティングに活用することで、さまざまなメリットが得られます。
コホート分析では、特定の期間に同じ経験をしたユーザーグループの行動を追跡し分析することで、時間の経過とともにユーザー行動がどのように変化するかを観察できます。
この特性を活用すれば、Webサイトの改修がユーザーの行動にどのような影響を与えたかを具体的に把握することができます。

 

たとえば、ECサイトでコホート分析を活用すると、リピーター作りにつなげたり、キャンペーン広告の配信を最適化したりすることが可能です。
また、コホート分析により、定着率を把握できるため、LTVを予測しながらWebサイト改善を行ったり、ROIを最適化したりすることができます。

 

※LTV…Life Time Valueの頭文字を取ったもので、顧客生涯価値のこと。

LTVについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

 

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コホート分析を行う際の注意点・デメリット

一方、コホート分析を活用する際は、注意しなければならない点もあります。
コホート分析を行う際には、正確なデータ収集と分析が必要です。不正確なデータや分析に基づくと、誤った結論に至る可能性があるためです。

 

また、コホート分析には時間がかかるため、短期間での結果が求められる場合には向きません。長期的な視点で利用するのが適しています。

コホート分析のやり方

では、コホート分析の具体的なやり方について解説します。
主に利用されるのは、「回顧的情報分析」「標準コホート表」「ベイズ型コホートモデル」の3つの手法です。

回顧的情報分析

回顧的情報分析とは、過去の出来事やデータをもとに、その原因や結果を分析する手法です。
具体的には、特定の調査対象者に対して過去と現在の行動の変化を聞き取り、そのデータを分析します。

 

回顧的情報分析は定性調査に近く、統計的な処理が難しい場合が多いですが、個々の消費者の行動変化を深く理解するのに役立ちます。

標準コホート表

標準コホート表とは、年齢別・時系列別のデータが一致するように配置した表のことです。
この表を用いて、年齢効果(加齢効果)、時代効果、世代効果(コホート効果)の3つの観点から分析を行います。

 

標準コホート表では、各効果の大きさを数量的に把握することは難しいですが、分析者が柔軟に仮説を立てながら分析を進めることができます。

ベイズ型コホートモデル

ベイズ型コホートモデルとは、「標準コホート表」の隣り合う区分の係数の二乗和が最小になるように答えを出したものです。

 

統計数理研究所の中村 隆氏が考案した分析手法です。
時代や年齢、世代の各要素が、徐々に影響を受けて変化するという前提に基づく分析手法で、より精密な分析が可能であり、特に複雑なデータセットに対して有効です。

コホート分析の活用例

コホート分析を活用し、特定の期間内に同じ経験を共有する顧客グループの行動を追跡し分析することで、顧客行動の理解を深め、マーケティング戦略を最適化することが可能です。

 

コホート分析を活用することで、企業は顧客のニーズに応じたパーソナライズされたマーケティング施策を展開し、顧客満足度の向上、リテンション率の改善、そして最終的には売上の増加を実現することができます。
特にWebマーケティングの施策において有効で、サービスや商品のターゲティングや需要予測に役立ちます。

 

特にBtoB企業の場合、Webサイトから売り上げを立てるためには、コホート分析を以下のように活用することが考えられます。

ECサイトでの活用

ECサイトでは、コホート分析を活用して顧客の購買行動を深く理解できます。
たとえば、 特定のプロモーション期間中に初めて購入した顧客グループのリピート購入率を追跡することで、プロモーションの長期的な効果を評価することができます。

 

また、顧客が最初に購入した商品の種類に基づいてコホートを形成し、その後の購買パターンを分析することで、クロスセルやアップセルの機会を特定することもできます。

 

さらに、顧客が購入した期間や商品によってグループ化し、その後のリピート率やクロスセル率、アップセル率などを測定することで、最も顧客満足度の高い顧客の特徴や、最も売上貢献度の高い商品やサービスを特定することができます。

Webサイトでの活用

Webサイトへの訪問者の行動パターンを把握し、改善点を見つけ出すことができます。
具体的には、特定のキャンペーンを通じてWebサイトを訪れたユーザーの行動を追跡し、セッション時間やページビュー、コンバージョン率などの指標を分析することで、キャンペーンの効果を評価し、将来のキャンペーン戦略の策定に役立てることが可能です。

 

また、新規訪問者とリピート訪問者の行動の違いを分析することで、Webサイトのユーザビリティの向上やコンテンツの最適化につなげることもできます。

マーケティング戦略の策定

コホート分析は、Webサイト周りに限らず、マーケティング戦略全体の策定においても非常に有効です。

 

たとえば、顧客のライフサイクル全体を通じて、顧客がどのようにブランドと関わっているかを理解することで、より効果的な顧客エンゲージメント戦略を開発することができます。
特定の世代や地域に属する顧客グループの購買行動や嗜好の変化を追跡することで、ターゲット市場に合わせた製品開発やマーケティングメッセージの作成も可能になります。

コホート分析が行えるツール

コホート分析を活用して、特定の期間内に同じ経験を共有するユーザーグループの行動を追跡し分析することで、顧客行動の理解を深め、マーケティング戦略を最適化することができます。

 

コホート分析を行うためには、適切な分析ツールの選択が不可欠です。
ここで、コホート分析に適した主要なツールをご紹介します。

Excel

Excelは、多くの企業で業務用のパソコンにインストールされていることから、使いやすい身近なデータ分析ツールの一つです。
Excelでは、ピボットテーブルや各種関数を駆使することで、コホート分析を行うことが可能です。

 

Excelを活用したコホート分析では、データの入力と整理、カスタマイズされた分析が行えます。特に、初期段階の小規模な分析に適しています。
大量のデータや複雑な分析を行う場合は、より専門的なツールの使用が必要なため、コホート分析に慣れるまでの入門編として活用するのが良いでしょう。

Google Analytics

https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/analytics/

 

Google Analyticsは、Webサイトのトラフィック分析に広く使用される無料ツールです。
コホート分析機能も提供しており、ユーザーの行動パターンやエンゲージメントの変化を時間経過とともに追跡することができます。

 

Google Analyticsのコホート分析機能はWebサイト運営者がユーザー体験を最適化し、リテンション率を向上させるための洞察を提供してくれるため、Webサイトのパフォーマンス改善に役立ちます。

 

たとえば、新規ユーザーを獲得したチャネル(検索エンジンやソーシャルメディア、広告など)ごとにコホートを作成し、それぞれのコホートの継続率や収益性を比較します。
これにより、どのチャネルから来たユーザーが最もエンゲージメントが高く、長期的な価値があるかを把握できます。
また、チャネル別にコンバージョンファネルや離脱ポイントを分析することで、改善の余地がある部分を見つけることもできます。

Amplitude

https://jp.amplitude.com/

 

Amplitudeは、製品分析に特化したプラットフォームで、統計学を用いてユーザーの行動パターンや製品内での体験を深く理解するための強力なコホート分析機能を提供してくれます。
ユーザー軸で分析できるため、ユーザー行動分析から最適な指標を示唆してもらえます。
このため、デモグラフィックではターゲティングができないような商材でのマーケティングに活用できます。

 

Amplitudeを使用することで、ユーザーエンゲージメントの向上、製品改善の機会の特定、リテンション率の改善など、製品成長に直結する洞察を得ることが可能です。
高度なセグメンテーションと分析機能により、マーケティング担当者や製品マネージャーは、より効果的な意思決定を行うことができます。

 

デイリーアクティブユーザ数が50名程度の規模から利用可能です。

Mixpanel

https://mixpanel.com/

 

Mixpanelは、行動データの分析に特化したツールで、ユーザーの行動や属性をリアルタイムで追跡し、分析することができるプラットフォームです。コンバージョンやエンゲージメント、リテンションなどの指標を深く分析できます。

 

ユーザーの行動データを基に、CVRの高いユーザーと低いユーザーの行動の違いを比較し、改善点を洗い出すことができます。
また、ユーザーの行動や属性に影響を与える要因を探索し、仮説検証やA/Bテストを行うこともできます。

 

ECサイトやアプリ、サブスクリプションサービスなど、さまざまな業種や製品・サービスで活用されています。

まとめ

コホート分析は、世代別の消費動向を理解し、マーケティング戦略を強化するための重要な手段です。
コホート分析には、回顧的情報分析、標準コホート表を用いた分析、ベイズ型コホートモデルなど、さまざまな方法があります。
これらの方法をECサイトやWebサイトでの活用などで適切に活用することで、企業は顧客の潜在ニーズを把握し、より効果的なマーケティング施策を展開することが可能になります。
ぜひ、上手に活用して、Webサイトを中心とするデジタルマーケティングの改善につなげましょう。

 

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  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Wed, 28 Feb 2024 08:30:00 +0900
<![CDATA[バナー広告とは?他広告との違いや作り方、メリットなどを徹底解説!]]> https://mtame.jp/advertisement/banner_ads バナー広告は画像や動画、GIFアニメーションなどを活用して配信される、Web広告の一種です。

 

訴求力の高いバナー広告を適切に運用することで、ブランドの認知度が高まる上、比較的簡単に出稿できるため注目が集まっています。

 

本記事では、バナー広告の概要や他広告との違い、メリット・デメリットなど解説します。最後にはバナー広告の効果を最大化するポイントも紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

費用形態 仕組み 特徴
期間保証型 広告の掲載期間に応じて決まった金額を支払う 予算が組みやすい
インプレッション課金型 広告がユーザーに表示された回数に応じて料金が発生(1回の閲覧=1インプレッション) ユーザーのアクションに影響されないため、料金が設定しやすい
クリック課金型 バナー広告がクリックされたときに広告料が発生する 広告費と成果が比例しやすい
成果報酬型 バナー広告がクリックされ、さらにコンバージョン(成果)へと至った時にだけ費用が発生する 広告がクリックされただけでは料金が発生しないので無駄がない

 

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  • 広告ごとの詳細はもちろん、一覧表にもまとめているため、「どの広告サービスに出稿したらいいかわからない」「手っ取り早くWeb広告の全体像が知りたい」という方に特におすすめの資料です。

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バナー広告とは?

バナー広告とは

バナー広告は画像や動画、GIFアニメーションなどを活用して配信される、Web広告の一種です。

 

画像や動画を活用することで伝えたいことを効果的に伝えられるため、訴求力の高い広告を打ち出すことができます。視覚的なアプローチによって、ユーザーの注意を引くことも可能です。

 

バナー広告をクリックすると、広告主が設定した製品やサービスのランディングページ(LP)へと遷移します。

バナー広告の掲載場所

バナー広告は、どの広告サービスから出稿するかによって掲載場所が変わり、代表的な掲載場所には「①Google/YouTube」「②Yahoo!」「③その他のWebメディア」の3つがあります。それぞれの掲載場所についてみていきましょう。

①Google/YouTube

Googleでは、バナー広告を配信するためのディスプレイネットワークであるGDNが存在し、Googleが提供するGmailやYouTube、Googleアドセンスの掲載サイトに広告が配信されます

 

GDNは200万以上のWebサイトやアプリと提携しているため、広告が配信されるユーザー数が圧倒的に多く、インターネットユーザーの約9割にアプローチできるとされています。

 

ターゲティングも細かく設定できるため、ユーザーの趣味嗜好や属性に適した広告を配信することが可能です。

②Yahoo!

Yahoo!が提供するネットワークはYDA(Yahoo!広告 ディスプレイ広告)といい、Yahoo! JAPANトップ画面やYahoo! JAPANの各種サイト、提携企業のサイトなどに広告が配信されます

 

YDAには「予約型」「運用型」の2つあり、「予約型」は、多くのユーザーが閲覧するYahoo!のトップページに対して広告を配信できるため、認知度向上や潜在層への配信に効果的です。

 

一方「運用型」は、Yahoo!関連サービスの他に、新聞社のWebサイトやクックパッドなど、Yahoo!と提携しているサイトから選択して広告を出稿できます。

③Webメディア

GoogleのGDAやYahoo!のYDA以外にも、Webメディアが設けている広告枠を買い取って配信する方法があります。

 

運用型のバナー広告はGDNやYDAが代表的ですが、ピンポイントで配信したいWebメディアがある場合は交渉してみましょう。

バナー広告と他の広告の違い

バナー広告は以下の3つの広告と混同されやすい傾向にあります。

 

  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • レスポンシブ広告

 

それぞれの違いについて見ていきましょう。

リスティング広告との違い

リスティング広告(検索連動型広告)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト広告を指し、バナー広告との違いは、表示形式にあります。

 

リスティング広告は、GoogleやYahooなどの検索結果の上部や下部にテキスト形式で表示されますが、バナー広告は画像や動画を活用して表示されるため、視覚的に訴求することが可能です。

 

また、基本的にリスティング広告がリーチするのは課題が明らかになっている顕在層ですが、バナー広告では主に潜在層にアプローチするのに適しています。

 

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ディスプレイ広告との違い

ディスプレイ広告とは、ウェブサイトや動画サイト、アプリなどの広告枠に表示される広告のことです。画像広告、動画広告、テキスト広告など様々な形式があります。

 

バナー広告との違いはなく、バナー広告はディスプレイ広告に含まれていると捉えられます。ネイティブアドや動画広告なども、ディスプレイ広告の一種であると考えて問題ありません。

 

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レスポンシブ広告との違い

レスポンシブ広告とは、デバイスごとの広告枠のサイズやフォーマットに応じて、画像表示を自動で調整して最適化する広告を指します。

 

各媒体に最適化した広告を表示してくれるため、広告主は必要なデータを登録するだけで済みます。デバイスの広告サイズに応じたデザインを作成する必要がなくなるため、一般的なバナー広告に比べて手間が省けるのがメリットです。

 

しかし、言葉の組み合わせなどが意図したものと異なってしまうケースなどもあるため注意しましょう。

バナー広告の種類

バナー広告には「純広告型」と「運用型」の2種類あります。それぞれどのような広告なのかについて、以下で解説します。

純広告型

純広告型のバナー広告は、特定のWebメディアやアプリの広告枠を買い取って配信する広告です。指定した期間中、そのメディアを訪問したすべてのユーザーに表示されます。

 

露出量が多いため、認知度向上を目的とする場合に適しており、ターゲットとなるユーザー層が利用するメディアを選べば、効果を得られやすいでしょう。広告の制作以外の作業は不要なので、運用の手間がかからないというメリットもあります。

 

しかし、多くのユーザーを抱えている媒体は費用が高額になる傾向にあるため、あらかじめ詳細を調べておくことが大切です。

 

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運用型

運用型のバナー広告は、広告掲載後、広告主が適宜改善をしながら配信する広告を指します。

 

どのメディアに掲載されるかは、広告主が設定した広告の内容(クリエイティブ)や入札金額、ユーザーのターゲット層によって決まる仕組みです。広告枠のあるサイトにランダムに掲載されるため、特定のメディアに対する露出が保証されていません。

 

ユーザーの属性・興味関心・行動履歴などに合わせて掲載できるため、ターゲットが決まっている場合に適しています。自身で運用するため、純広告型に比べて手間がかかるという側面があります。

 

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バナー広告の費用形態(料金相場)

バナー広告の費用形態には、以下の4つがあります。

 

  • 期間保証型
  • インプレッション課金型
  • クリック課金型
  • 成果報酬型

 

それぞれの費用形態について解説します。

 

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期間保証型

期間保証型では、1週間・1ヶ月など、広告の掲載期間に応じて決まった金額を支払う仕組みです。

 

あらかじめ金額が決まっているため、予算を組みやすいというメリットがありますが、料金はメディアによって大きく異なるため、事前にしっかり調べておく必要があります。

 

料金は、固定表示単価と想定される表示回数をもとに設定されているケースが多く、クリックした人数や表示回数などは広告料に関係ありません。

インプレッション課金型(CPM)

インプレッション課金型(CPM)は、バナー広告がユーザーに表示された回数に応じて広告料が発生する形式です。1回の閲覧=1インプレッションとカウントされます。

 

主にInstagramやFacebookなどのSNSで運用されている形式で、ユーザーのアクションに影響されないため、料金が設定しやすいという特徴があります。

 

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クリック課金型(CPC)

クリック課金型(CPC)は、バナー広告がクリックされたときに広告料が発生するシステムです。

 

広告を見ただけでは発生せず、ユーザーが広告を実際にクリックして指定のサイトに訪れたときに初めて費用が発生します。クリック単価はターゲットや業界などによって異なるため、あらかじめ調べておく必要があります。

 

広告費と成果が比例しやすいのが大きな特徴です。

 

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成果報酬型

成果報酬型は、バナー広告がクリックされ、さらにコンバージョン(成果)へと至った時にだけ費用が発生する仕組みです。

 

具体的に「成果」とは、設定したサイトへと遷移し、閲覧しただけではなく、商材の購入や問い合わせなどのアクションに結びついたケースを指します。広告がクリックされても成果が得られなかった場合は料金が発生しないため、無駄のない料金形態といえます。

バナー広告のメリット

バナー広告を活用することで様々なメリットを享受できますが、以下では主な3つのメリットを紹介します。

視覚効果で高い訴求力を発揮できる

バナー広告を活用する大きなメリットの一つは、画像や動画を使用した視覚的なアピールが可能なことです。

 

テキストだけでなく、イラストや写真、GIFアニメーションなども活用してバナーを作成することで、自社ブランドや商材をユーザーにより強く印象付けることができ、高い訴求力を発揮できます。特徴やメリットなどを簡潔にアピールしたい場合にも有効です。

 

視覚的に興味関心をひくことで、クリックされやすくなるという効果もあります。

 

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ブランド力の強化が期待できる

印象に残るビジュアルなど、インパクトの強いクリエイティブを作成・配信することで、ブランド力の強化が期待できるというメリットもあります。

 

画像や動画などを通して、商品コンセプトや伝えたいメッセージ、イメージを表現できるため、ブランディングに役立ちます。特に純広告型のバナー広告は比較的価格が高く設定されているので、広告を掲載することで、企業としての信頼性や経済的な安定感のアピールにもつながるでしょう。

 

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潜在層へのアピールによる認知拡大

純広告型のバナー広告を活用する場合には、潜在層にも広くアピールできるため、認知拡大につながるというメリットがあります。

 

バナー広告はクリックされなかったとしても、多くのユーザーの目に触れます。そのため、まだ自身の課題やニーズに気づいていない、潜在的なユーザー層を掘り起こす可能性があります。認知拡大には最適の広告といえるでしょう。

 

ターゲットが絞れていない際にバナー広告を打って、その運用結果を今後のターゲティング戦略に活用するという方法もあります。自社のユーザー層のさらに深い理解にもつながるでしょう。

 

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バナー広告のデメリット

一方で、バナー広告には以下のようなデメリットも存在します。

多くの工数がかかる

バナー広告の制作には多くの工数がかかってしまうデメリットがあります。

 

広告の構成をはじめ、デザインやテキストなど、多くの工数がかかるため、「すぐにバナー広告を出したい」と思っても広告を打てません。逆に、希望のバナー広告掲載日があるのであれば、十分な時間を確保し、余裕を持って準備する必要があります。

クリエイティブによって効果に差が出る

バナー広告の効果は、デザインやクリエイティブによって大きく差が出るという側面があります。もし魅力的なクリエイティブでユーザーの目に留まることができなければ、大きな成果は見込めないでしょう。

 

担当するデザイナーによっても質に違いが出るため、信頼できるデザイナーに依頼する必要があります。また、ただ単に派手にすればいいというわけではなく、自社のターゲットに合わせたクリエイティブを作ることが重要なポイントです。

バナー広告の平均クリック率

バナー広告を運用する際の比較指標となる「平均クリック率」を紹介します。

 

オンライン広告支援を行うWordStreamの調査によると、Googleディスプレイ広告の平均クリック率は0.46%。マーケティングソリューションを提供するBannerflowの調査では、ディスプレイ広告の平均クリック率(2022年)は2.30%と発表されています。

 

基本的に、潜在層にリーチするバナー広告は、課題が明らかになっている顕在層に向けて訴求するリスティング広告に比べ、平均クリック率が下がる傾向にあります。そのため平均的なクリック率は1%未満で、1%を超えた場合は効果が高いと考えて問題ないでしょう。

 

バナー広告の効果測定を行う際には、クリック率などの平均値を把握することで自社の広告パフォーマンスを可視化できます。効果が出ていない場合は、A/Bテストなど繰り返して改善することが大切です。

 

出典

 

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バナーの主要サイズ

バナーには様々な種類・サイズがあります。どれにするか迷う時は、大手のサイトやアドネットワークで利用できるサイズに沿って制作することで、効率的に進められるでしょう。

 

最大容量はGoogleで5120KB、Yahoo!では3MBで、形式はJPEGとPNGに対応しています。以下ではバナーの主要サイズを3つ紹介します。

レクタングル:長方形

長方形の「レクタングル」は、サイドバーに表示されることが多いサイズで、最も一般的なバナー広告のサイズの一つです。Google(GDN) 、 Yahoo!(YDN)にも対応しています。

 

具体的なサイズには300×250 (px)、336 × 280 (px)などがあります。パソコン、スマートフォンにも適していて汎用性が高いため、迷った際はこれを選んでおくと良いでしょう。

スクエア:正方形型

正方形型の「スクエア」は、スマートフォンを利用する際に表示されると存在感のあるサイズです。パソコンにも対応しており、SNS広告などでよく使用されています。

 

180×180 (px)、200×200 (px)、250×250 (px)などのサイズがありますが、特に媒体によって最小サイズや推奨サイズが決まっているので、事前に確認しておきましょう。

スカイスクレーパー:縦長

縦長の「スカイスクレーパー」は、一定の幅もあり大きな広告スペースを使うため、ユーザーに強くアピールできるのが特徴です。120 x 600 (px)、160 x 600 (px)、300 x 600 (px)などのサイズがあります。

 

視認性が高いので、ブランドの認知拡大を目的として使用するケースが多いです。パソコン専用のバナー広告なので、スマートフォンの画面は非対応ということに注意してください。

 

先述したレスポンシブ広告では、広告枠のサイズに合わせてレイアウトを最適化してくれるため、各バナーサイズを用意する必要がないというメリットがあります。

基本的なバナーの作り方

基本的なバナーの作り方である7つのステップを解説します。

①目的を設定する

まずはバナー広告を打ち出す目的を明確にし、設定しましょう

 

「自社の何をアピールしたいのか」「広告を目にした人にどのような行動を取ってもらいたいのか」などを明らかにし、整理しておく必要があります。

②ターゲットを決定する

目的を設定したら、バナー広告を見てもらいたいターゲットを決定します。

 

ターゲットの年齢、性別、職業、居住地をはじめ、課題や悩みなども検討して決めることが大切です。どんなターゲットを設定するかで、その後のクリエイティブ等が大きく変わり、成果にも影響がでます。

 

ターゲットは曖昧なものではなく、例えば「30?40代、会社勤務の地方在住男性サラリーマン」など、できる限り細かく設定することが大切です。

③広告媒体や位置を決める

目的とターゲットが決まったら、それに適した広告媒体や広告を設置する位置を決めましょう

 

先述したように、媒体によってバナーの種類やサイズ、規格が変わるため、バナーサイズを決める前に媒体を決めると効率的に進められるでしょう。

④サイズを決める

広告媒体の規格に合ったサイズを決めます。サイズによってデザインやクリエイティブは大きく変わるため、デザインを行う前に決めると良いでしょう

 

制作枚数でコストも変わるので、必要な分のバナー制作に取り掛かりましょう。

⑤掲載内容を決める

目的やターゲットを考慮しながら必要な要素を洗い出し、バナーに掲載する内容を決定します

 

サイズが大きいものでも載せられる情報は限られているため、訴求効果を最大限発揮できる内容を意識し、掲載できる情報を絞っていくことが大切です。

⑥ラフの作成

大体の方向性や内容が決まったら、イメージラフの作成に取り掛かりましょう

 

洗い出す内容には、キャッチコピー・利用する画像や動画などの素材・テキストなどがあります。ラフは何度も描き直せるので、このタイミングでイメージを明確にした上で、内容が盛り込みすぎていないかどうかや、媒体のルールやトンマナにマッチしているかを確認する必要があります。

⑦デザイン・制作

ラフの作成を通してイメージが固まったら、最後にバナーのデザイン・制作を行います。複数パターン作成して、絞り込んで行っても良いでしょう。

 

デザイン・クリエイティブの質はバナー広告の成果に大きく影響するため、専門業者に依頼する方法もあります。

バナー広告の効果を最大化する7つのポイント

バナー広告について理解が深まったところで、効果を最大化するための7つのポイントを紹介します。

ブランドにマッチした素材を選ぶ

バナー広告の効果は素材によって大きく変わるため、ブランドにマッチした素材にこだわることが大切です。

 

素材の要素には色やイラスト、画像や動画があります。それぞれの要素をうまく組み合わせることで、ブランドイメージの強化やメッセージの強調につながります。素材の選び方や組み合わせによってはブランディングに悪影響が出る可能性もあるので、デザイナーなどに相談して進めても良いでしょう。

不要な情報を排除して、伝えたい要素だけに絞る

バナー広告の効果を最大限発揮するためには、不要な情報は省き、必要且つ伝えたい要素だけに絞ることが大切です。

 

商材には多くの魅力があると思いますが、全てを伝えようとすると返って訴求力が下がってしまいます。本当に伝えたいポイントに絞り、しっかりとその内容を訴求できるようなレイアウトにしましょう。

運用しながら適宜改善する

バナー広告を配信した後は、効果測定の結果などをもとに、適宜改善していきましょう

 

実際に運用すると、インプレッション数は高いのにコンバージョンが低いケースなどがあります。A/Bテストなどを実施して、視認性がより高いテキストや素材を調べたり、ターゲティングの設定にズレがないかどうかチェックしたりする必要があります。

 

競合他社との相違点などをまとめ、自社のバナー広告に反映するのも一つの手です。しかし、配信後の短い期間に設定を変えすぎるとデータが溜まりにくく、機会損失の可能性も高まるため、長期的に改善していくことをおすすめします。

 

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CTAを設置する

CTA(Call To Action)とは、ユーザーに対して「資料請求」や「申し込み」など、特定の行動を喚起するために設置されたボタン・テキストを指します。

 

バナー広告に目立つ色でCTAボタンを設置すれば、効果的にユーザーを特定の行動や遷移先URLへと誘導でき、クリック率・コンバージョン率共に向上が見込めるでしょう。

 

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ターゲティングを最適化する

バナー広告で成果を得るためには、ターゲティングを最適化することも非常に重要なポイントです

 

バナー広告は多くのユーザーにアプローチできるというメリットがありますが、ターゲットをあまりに広範囲にしすぎると費用対効果が悪化する可能性が高く、逆に狭すぎると機会損失につながる恐れがあります。

 

潜在層に向けて発信するのであれば、最初からターゲット設定を狭めすぎず、デザインやクリエイティブの表現でユーザーを絞っていくという方法がおすすめです。A/Bテストを実施して適宜ターゲットを最適化する方法もあります。

 

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動画を活用する

動画を活用するのもバナー広告には非常に効果的です。

 

コンバージョンが目的ではなく、ブランドの認知拡大が目的である場合は、特に動画の活用がおすすめです。視認性が高い動画広告は、1秒未満という少しの時間でもユーザーの目に触れれば、認知拡大や購買意欲の向上につながるとされています。

 

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ブランド想起を高めるクリエイティブにする

ブランド想起とは「○○といえば△△」のように、商品を思い浮かべたときに、特定のブランドを思い起こすことです。

 

バナー広告の色やデザインにブランド要素を反映することで、自社のブランド想起率が高まります。さらに、最初に思い浮かべてもらう確率が高いほど、検討者数も多いことが明らかになっているため、効果的なブランディングが可能になり、バナー広告から得られる成果の最大化につながるでしょう。

 

まとめ

本記事では、バナー広告について網羅的に解説しました。

 

バナー広告は視認性の高い画像や動画で訴求できるため、認知拡大やブランディングなどに最適です。クリエイティブの質を高め、ターゲティングを適切に行えば、非常に大きな成果につながる可能性を秘めています

 

ただ、しっかりと成果を出すためには、最適な場所を選択して掲載し、運用しつつ適宜改善を重ねていくことが大切です。その際に本記事が役立つと幸いです。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Wed, 21 Feb 2024 12:30:00 +0900
<![CDATA[プロダクトマーケティングとは?重要な理由や手法を解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/product-marketing プロダクトマーケティングとは、特定の製品やサービスに特化したマーケティング戦略のことです。

 

製品やサービスの特徴やメリット、ベネフィットを明確に伝えて顧客の関心を引き、購入・契約を促します
また、市場のニーズを正確に把握し、競合他社との差別化を図ることで、市場でのポジションを確立することができます。
プロダクトマーケティングは、製品やサービスの成功に不可欠だといえるでしょう。

 

本コラムでは、プロダクトマーケティングの基本から具体的な手法、学べる本まで、幅広くご紹介いたします。

プロダクトマーケティングとは?

プロダクトマーケティングとは、特定の製品やサービスに特化したマーケティング戦略のことです。製品の開発初期段階から販売後の分析に至るまで、幅広い活動が含まれます。

マーケティングとプロダクトマーケティングとの違い

プロダクトマーケティングとは、マーケティングの中でも特に、製品・サービスに焦点を当てたマーケティングのことをいいます。

 

一方、一般的なマーケティングは、ブランド全体を対象としています。

プロダクトマーケティングとブランドマーケティングとの違い

では、ブランドマーケティングとプロダクトマーケティングとは、どう違うのでしょうか?
ブランドマーケティングは、ブランドのイメージやアイデンティティを構築し、強化することに重点を置いています。

 

一方、プロダクトマーケティングは、製品・サービスに重点を置いているため、製品の開発・販売を目的とした市場調査や競合分析、ポジショニングやメッセージング、ローンチやプロモーションなどを行います。
ただし、プロダクトマーケティングの一環として、必要に応じてブランドマーケティングを行うこともあります。

プロダクトマーケティングマネージャーとは?

プロダクトマーケティングマネージャーとは、製品・サービスの市場調査や戦略立案、販売促進などを担当する職種のことです。プロダクトマーケティングの責任を持つ立場です。

 

プロダクトマーケティングマネージャーは、製品の開発段階から関わり、顧客のニーズや競合の動向を分析し、製品の価値やポジショニングを決めます。
また、製品・サービスの開発チームやセールスチーム、マーケティングチームなどと連携して、製品のローンチやアップデートに伴うマーケティングプランやコンテンツの作成、実行、評価も担います。

プロダクトマーケティングの重要性・必要性

プロダクトマーケティングに取り組み、市場のニーズを正確に把握して、製品の特徴とメリットを明確に伝えることで、消費者の関心を引き、購入を促すことができます。
また、競合他社との差別化を図り、市場においてポジションを確立することが可能になります。
プロダクトマーケティングは、製品やサービスを成功させるために不可欠なものといえます。

 

特に、競争の激しい市場においては、プロダクトマーケティングは製品を際立たせるための重要な手段となります。製品のユニークな価値提案を明確に伝え、顧客の心を掴むことが、市場での成功への鍵となるからです。

プロダクトマーケティングの手順・戦略の立て方

プロダクトマーケティングに取り組む際は、まず戦略を立てることが不可欠です。

 

戦略立案では、市場における自社製品・サービスの位置付け、ターゲット顧客の理解、競合との差別化、効果的なコミュニケーション戦略など、製品の市場導入と成長に必要な要素を包括的に考慮する必要があります。

 

以下でプロダクトマーケティングを実施する手順・戦略立案のステップをご紹介いたします。

1.市場調査とターゲット顧客の理解

戦略立案にあたり、まずは業界のトレンド、市場の成長率、競合の戦略などを分析します。
最初に分析を行っておくことで、市場における自社製品の機会を理解し、リスクを低減できます。

 

つづいて、アンケートや個別インタビュー、グループインタビューなどを通じて、ターゲット顧客のニーズや課題・悩みを特定します。特に、顧客の声を直接聞くことで、製品が解決すべき具体的な問題が明確になるでしょう。

 

さらに、競合他社の製品・サービスや価格設定、マーケティング戦略などを分析することで、自社製品の差別化ポイントを見つけます。

 

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2.製品のポジショニング

分析が済んだら、製品のユニークな価値を定義し、市場における独自のポジショニングを検討します。

 

まず、製品・サービスが顧客に提供するユニークな価値を明確にし、それを顧客に伝える方法を検討します。

 

そして、製品が最も効果的に訴求できる市場セグメントを特定します。その際は、人口統計学的特徴や地理的要因、購買行動なども考慮しましょう。

 

3.コミュニケーション戦略の策定

さらに、製品の特徴と顧客のニーズを結びつけるためのブランドメッセージを作成し、適切なチャネルで伝えます。

 

顧客にメッセージを届けるために最適なマーケティングチャネルを選択します。たとえば、Web広告、SNS、イベント、PRなど、ターゲット顧客に最も効果的にリーチできるチャネルを検討します。

 

さらに、製品の特徴やメリット、ベネフィットを伝えるためのメッセージを検討します。
そして、これを盛り込んだブログ記事や動画、インフォグラフィックなど、ターゲット顧客に響くコンテンツを作成します。

 

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4.販売促進とデジタルマーケティング

最後に、オンライン広告、SNS、メールマーケティングなどを活用して製品の認知度を高めます。

 

オンライン広告には、Google広告やSNS広告などがあり、これら通じて、ターゲット顧客に直接リーチします。
また、Webサイトやブログ記事のSEO戦略を強化することで、製品やブランドと顧客のオンラインでの接点を強めます。
さらに、ニュースレターやプロモーションメールといったメールマーケティングを通じて、顧客との関係を築き、製品への関心を高めることもできます。

 

この時、訪問者数やリード数、コンバージョン率など、KPIを設定しておきましょう。

 

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5.パフォーマンスの測定と改善

ここまで実施できたら、キャンペーンの効果を分析し、必要に応じて戦略を調整します。
具体的には、Googleアナリティクスなどのツールを使用して、マーケティング活動の効果をデータで定期的に分析します。
そして、データに基づいて戦略を継続的に改善し、より効果的なマーケティング活動を実施します。

プロダクトマーケティングのフレームワーク・手法

プロダクトマーケティングを実施する際に有用なフレームワーク・手法を5つ、ご紹介いたします。

製品コンセプトの3要素

製品コンセプトの3要素とは、「製品の特徴」「顧客の利益」「差別化要因」の3つの要素のことです。
これらを軸として製品コンセプトを明確にすることで、競合他社との差別化を図りやすくなります。

製品の特徴

「製品の特徴」は、顧客が製品を選ぶ際の主要な判断基準となる要素です。 製品の基本的な機能や性能を明確にし、技術的な特徴や革新性、使用方法などを含めると良いでしょう。

顧客の利益

「顧客の利益」とは、製品が顧客にもたらす具体的な利益や価値のことです。
これは、顧客が製品を購入する理由となる重要な要素です。
たとえば、時間の節約、コスト削減、生活の質の向上など、顧客にとっての実質的な価値を強調しましょう。

差別化要因

「差別化要因」とは、市場での製品の立ち位置と競争力を高める要素です。
たとえば、デザインや品質、ブランドイメージ、顧客サービスなど、製品を特別なものにする要素です。
競合製品と比較して、製品のユニークな点や優れている部分を強調しましょう。

プロダクト3層モデル

「プロダクト3層モデル」とは、プロダクトの価値構造を3層に分け、製品戦略を整理するフレームワークです。
製品特性を「コア」「実際」「拡張」の3層に分けて、各層で製品特性の要素を検討します。

コア製品

製品の基本的な機能やサービスを定義します。消費者が最初に求める製品の核となる部分となります。

 

たとえば、スマートフォンの場合は、通話やインターネット接続などの基本機能がコア製品に当たります。

実際の製品

顧客が製品を選ぶ際に目にする具体的な特徴です。
デザイン、品質、ブランド名、パッケージングなど、製品の物理的な側面を含みます。

 

これもスマートフォンで例えると、デザインやカメラの性能、ブランドイメージなどが該当します。

拡張製品

顧客の満足度を高め、製品体験を豊かにする要素です。
オプションや顧客サポート、保証など、製品を取り巻く付加価値です。

 

スマートフォンにおけるアフターサービスや保証期間の延長、専用アプリケーションなどがこれに当たります。

FABE分析

「FABE」とは、「Features(特徴)」「Advantages(利点)」「Benefits(利益)」「Evidence(証拠)」の頭文字を取ったもので、これらを分析することで、消費者に対して効果的な提案を行うことができるようになります。

Features(特徴)

「Features(特徴)」では、製品の主要な特徴や機能を挙げ、技術的な側面や製品の革新性を強調します。

Advantages(利点)

「Advantages(利点)」では、「Features(特徴)」の特徴が消費者にもたらす具体的なメリットを強調します。

Benefits(利益)

「Benefits(利益)」では、消費者にとっての具体的な利益を明確にします。
製品が顧客の生活や業務にどのように貢献するかを示します。

Evidence(証拠)

「Evidence(証拠)」は、製品の効果や性能を証明するための具体的な証拠です。
上記の主張を裏付けるデータや事例を示します。

ホールプロダクト

「ホールプロダクト」とは、顧客が求める価値を提供するために必要な製品やサービスの組み合わせのことです。特に、SaaSなど、IT製品で用いられるフレームワークです。
ホールプロダクトを考えることで、競合他社との差別化や顧客満足度の向上につながります。

 

ホールプロダクトは、「完全な製品体験」と「顧客の期待」から構成されます。

完全な製品体験

「完全な製品体験」とは、製品そのものだけでなく、顧客が製品を使用する際の全体的な体験を考慮ことです。
たとえば、iPhoneは単にスマートフォンとしての機能だけでなく、App StoreやiCloudなどのサービスやアクセサリーなども含めて、ホールプロダクトとして顧客に提供されています。

 

また、顧客が製品を通じて得られる感情的な満足や利便性を含みます。

顧客の期待

「顧客の期待」とは、製品を使用する際に、顧客が期待するすべての要素を指します。
そして、顧客の期待を超える体験を提供することで、顧客満足度を高めます。

製品ライフサイクル

「製品ライフサイクル」とは、製品の開発から廃棄までの全過程を表すフレームワークです。
製品ライフサイクルには、一般的に以下の4つの段階があります。

導入期

市場への新製品導入時の戦略を立案します。
このフェーズでは、製品の認知度を高め、初期の顧客を獲得することに重点を置きます。

成長期

市場での成長と拡大を目指す戦略を策定します。
製品の普及を促進し、市場シェアを拡大することに焦点を当てます。

成熟期

競争が激化する市場でのポジショニングを強化します。
製品の差別化やブランドの強化に努めます。

衰退期

市場からの撤退または製品の再定義を検討します。
新たなイノベーションや市場ニーズの変化に対応するための戦略を考えます。

プロダクトマーケティングの資格

プロダクトマーケティングの担当者が、身に付けておきたいスキルと合致する資格試験を3つ、ご紹介いたします。

ITストラテジスト試験

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/st.html

 

ITストラテジスト試験は、IPA(Information-technology Promotion Agency, Japan/独立行政法人情報処理推進機構)が運営する資格試験制度です。

 

そもそもITストラテジストとは、エンジニア系上級職の一つで、経営者目線でIT戦略の立案と実行を主導する戦略家のことです。システム開発の超上流である事業計画段階から参画します。

 

ITストラテジストには、ITを活用した事業革新や業務改革、革新的製品・サービス開発を企画・推進または支援できるスキルが求められます。
具体的には、業種ごとの事業特性を踏まえて、経営戦略の実現に向けたITを活用した事業戦略を策定し、実施結果を評価したり、事業戦略の実現に向けた情報システム戦略と全体システム化計画を策定し、実施結果を評価したりできる力です。

 

試験日程は、年1回となっており、午前と午後にそれぞれ2部ずつが用意され、全4部をこなす必要があります。

システムアーキテクト試験

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/sa.html

 

システムアーキテクト試験も、IPAが運営する資格試験制度です。
こちらも、プロダクトの中でシステム開発が必要なものを開発する場合に向く資格です。

 

システムアーキテクトとは、システム開発において上流工程(分析や設計など)に携わる職種のこと。ITストラテジストによる提案を受けて、情報システムを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、開発を主導します。
情報システムの構造設計や要件分析や情報システムの評価などを実現できるスキルが求められます。

 

試験日程はこちらも、年1回となっており、午前と午後にそれぞれ2部ずつが用意され、全4部をこなす必要があります。

プロジェクトマネージャー試験

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/pm.html

 

プロジェクトマネージャー試験も、IPAが運営する資格試験制度です。
こちらも、プロダクトの中でも特に、システム開発が必要なものを開発する場合に向く資格です。

 

なお、プロジェクトマネージャー(Project Manager)とは、システム開発を中心とするプロジェクトの総責任者のことで、PMと略されることも多いです。

 

試験では、組織の戦略及びシステム全般に関する基礎知識をはじめ、プロジェクトの目的を実現するプロジェクト計画を作成するスキル、プロジェクトチーム全体の意識統一やパフォーマンスを向上するスキルなどが求められます。

 

試験日程は、こちらも、年1回。午前と午後にそれぞれ2部ずつが用意され、全4部をこなす必要があります。

 

プロダクトマーケティングの成功事例

プロダクトマーケティングについて、もっと具体的なイメージを持つために、実際にプロダクトマーケティングで成功した商材の具体例を見てみましょう。

AppleのiPhoneなど

Appleは、革新的な技術と優れたデザインで、iPhoneを始めとするさまざまな製品で市場をリードしてきました。製品の使いやすさと直感的なインターフェースに重点を置き、ユーザー体験を最優先しています。

 

特に、iPhoneは、製品の機能だけでなく、ライフスタイルを変えるデバイスとしてブランディングしています。
Apple Storeや顧客サポートを通じて、購入後の顧客体験も強化しました。
さらに、定期的なアップデートと新機能の追加で、製品の魅力を維持し続けました。

 

その結果、iPhoneはスマートフォン市場におけるトレンドを常にリードする存在となりました。

Netflixのオリジナルコンテンツ

Netflixでは、既存の映画やドラマ、アニメのコンテンツに加え、魅力的なオリジナル作品を多数、取り揃えることで人気を博しています。

 

オリジナルコンテンツのジャンルは多様で、幅広い視聴者層をターゲットにしています。 そして、 ユーザーの視聴傾向を分析し、好みに合わせたコンテンツを推薦するシステムを導入することで、視聴を促しています。

 

オリジナルコンテンツによってほかのストリーミングサービスとの差別化を図るとともに、高品質な作品制作により、Netflixブランドの価値を高めています。
オリジナルコンテンツは多言語に対応することで、世界中の市場に適応。また、地域ごとの文化や嗜好を反映したコンテンツで、グローバルな視聴者を獲得しました。

 

UNIQLOのヒートテック

UNIQLOが展開するヒートテックは、防寒ための革新的な機能性インナーウェアとして、世界中でヒットしています。薄くて軽くて伸縮性が高いので、着心地も快適で、色やアイテムのバリエーションも幅広く用意されています。
価格設定や店舗展開を通じて、買い求めやすい製品として位置づけられ、機能性とファッション性を兼ね備えた製品として、幅広い顧客層に受け入れられました。

 

「ヒートテック」という独自の名称とロゴを用いて認知度を高め、テレビやインターネットなどのメディアを使って広告キャンペーンを展開し、ブランド認知度を高めました。

プロダクトマーケティングを学べる本

プロダクトマーケティングに特化して書かれた本は、そう多くはありません。
ここでは、5冊をご紹介いたします。

 

『LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング』

著:マルティナ・ラウチェンコ 出版:日本能率協会マネジメントセンター(2023年7月発刊)

 

プロダクトマーケティングの基本を解説した本です。
同書では、市場で「勝ち組」と「負け組」の明暗を分けるのは、プロダクトそのものではなく、より優れたプロダクトマーケティングがあるかどうかだと主張します。

 

事例では、成功事例ばかりでなく失敗事例も取り上げ、敗因についても学ぶことができます。
プロダクトマーケティングを学ぶ際、最初に読むべき本だといえるでしょう。

 

【LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング の目次】

 

PARTⅠ プロダクトマーケティングの基本
アンバサダー、ストラテジスト、ストーリーテラー、エバンジェリスト

 

PARTⅡ プロダクトマーケターの役割
スキルと責任、パートナーシップ

 

PARTⅢ プロダクトマーケティングの戦略
戦略を導くコンセプト

 

PARTⅣ ストーリーとメッセージング
効果を生み出す実践とプロセス

 

PARTⅤ プロダクトマーケティングリーダー
組織変革と成長、人材採用と育成

 

引用元:『LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング』(amazon)

『プロダクト・マーケティング』

編著:竹永 亮、監修:山口 正浩 出版:同文館出版(2010年2月発刊)

 

製品の企画立案から販売までの間に、何を決めておくべきかを解説した本。
製品開発において、価値を創造する「価格戦略」とともに「製品戦略」を立てることが推奨されています。
なお、同書では価値とは「製品と価格の差」と定義されています。

 

価値を創造するために、製品のレベルを上げる方法をいろいろな角度から考えるのに役立つでしょう。
マーケティング担当者のほか、製品開発担当者にもおすすめの1冊です。

 

【プロダクト・マーケティング の目次】

 

1 顧客価値
2 プロダクト・マーケティングの意思決定
3 新製品開発戦略
4 既存製品活性化戦略
5 プロダクト・マーケティング関連法規
6 プロダクト・マーケティングの事例紹介

 

引用元:『プロダクト・マーケティング』(版元ドットコム)

『ソーシャル・プロダクト・マーケティング』

著:野村 尚克、中島 佳織 出版:(2014年3月発刊)

 

モノがあふれる現代は、価格面での努力はもちろん、差別化を図っても、なかなか売れにくい時代です。そんな中、解決手段の一つとなり得るのが「社会課題×マーケティング」だといいます。

 

本書では、現代マーケティングの第一人者として知られるフィリップ・コトラーが提唱したソーシャル・マーケティングのうち、プロダクトにしぼり、

 

  • 売上の一部を寄付する「コーズブランド」
  • 途上国との正当なビジネスを推進する「フェアトレード」
  • 社会に対する態度表明へとつながる「エシカル消費」

 

といった取り組みについて、方法論や成功事例が紹介されています。

 

【ソーシャル・プロダクト・マーケティング の目次】

 

1章 マーケティングとCSR(変化する時代;マーケティングの定義の移り変り ほか)
2章 コーズ・リレイテッド・マーケティング(コーズ・リレイテッド・マーケティングとはなにか;CRMの起源 ほか)
3章 フェアトレード(フェアトレードの概要;国際フェアトレード認証ラベルの仕組み ほか)
4章 エシカルについて(エシカルについて;日本のエシカルビジネスの現状 ほか)
5章 ソーシャル・プロダクト・マーケティング座談会

 

引用元:『ソーシャル・プロダクト・マーケティング』(紀伊国屋書店)

『バリュー・プロポジションのつくり方 顧客の価値を「状況」で考えればプロダクト・サービス開発はうまくいく』

著:前田 俊幸、安達 淳 出版:翔泳社(2023年10月発刊)

 

バリュー・プロポジションの重要性を説くとともに、バリュー・プロポジションを作るために「いま顧客はどのような状況にいるのか?」を正しく掴むことの必要性についても書かれています。

 

著者によれば、「バリュー・プロポジション(value proposition)」とは、“顧客が価値を感じられるもの”のことだといいます。

 

バリュー・プロポジションを作るメリットは、いくつかありますが、プロダクトマーケティングを考える上では、プロダクトのコアメッセージを統一できたり、差別化要素を発見できたりする点が有用です。

 

読者特典として、誰でもバリュー・プロポジションがつくれるフレームワーク「バリュー・ダイヤモンドボード」が付いています。

※コアメッセージ…伝えたいメッセージの中心となるもののこと。

 

【バリュー・プロポジションのつくり方 顧客の価値を「状況」で考えればプロダクト・サービス開発はうまくいく の目次】

 

基礎編

 第1章 顧客の状況と価値

 第2章 状況と体験

 第3章 顧客価値を可能にするもの

 第4章 バリュー・プロポジションのつくり方

 第5章 バリュー・プロポジション温故知新

 

実践編

 第6章 バリュー・ダイヤモンドボードの書き方

 第7章 状況をとらえるリサーチ手法

 

引用元:『バリュー・プロポジションのつくり方 顧客の価値を「状況」で考えればプロダクト・サービス開発はうまくいく』(amazon)

『PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ』

著:ウェス・ブッシュ 出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン(2021年10月発刊)

 

PLGという成長戦略を取ることのメリットとデメリット、実践方法などを解説した本です。

 

なお、PLGとは「Product-Led Growth(プロダクト・レッド・グロース」の頭文字を取ったもので、プロダクトそのものにマーケティングや営業の機能を付加することでユーザーの獲得や満足度、ロイヤリティを高め、ひいては販売者の成長を目指すという考え方のことです。

 

簡単にいうと、プロダクトがプロダクトを売る状態を指し、プロダクトをいち早くエンドユーザーに届け、その価値をできるだけ早く感じてもらうことが重要だといいます。

 

たとえば、フリーミアムモデルで口コミを広げたZoomやDropbox、直感的な操作性で多様な用途に利用されているCanvaなどは、PLGの成功事例といえます。

 

さまざまなフレームワークも紹介され、特に、SaaSプロダクトを販売する企業におすすめです。

 

【PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ の目次】

 

Part I 戦略をデザインしよう

第1章 PLGの重要性が急速に増しているのはなぜ?

第2章 武器を選ぼう―フリートライアル、フリーミアム、デモ、どれが最適?

第3章 海(オーシャン)のコンディションを調べる

第4章 オーディエンス―販売戦略はトップダウン型とボトムアップ型のどちらか?

第5章 タイム・トゥ・バリュー―いかに早く価値を示すことができるか?

第6章 MOATフレームワークでPLGモデルを選ぶ

 

Part II 自社ビジネスの基盤を築こう

第7章 プロダクト主導型ビジネスの基盤を築く

第8章 プロダクトの価値を理解する

第9章 プロダクトの価値を伝える

第10章 価値を提供する

第11章 プロダクト主導型ビジネスにおける最もよくある過ち

 

Part III 成長エンジンに火をつけよう

第12章 最適化プロセスを開発する

第13章 ボウリングレーン・フレームワーク

第14章 ユーザーごとの平均収益(ARPU)を上げる

第15章 チャーンビーストをやっつける

第16章 真に成功している企業はなぜプロダクト主導型なのか?

 

引用元:『PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ』(amazon)

まとめ

プロダクトマーケティングは、製品・サービスの成功に不可欠な取り組みです。
ターゲットの明確化、ポジショニングの策定、マーケティング計画の策定、実施と評価の各ステップを丁寧に実行することで、製品の市場での成功を目指すことができます。

 

これから新たな製品・サービスを開発しようという企業や、既存の製品・サービスを改善しようと考えている企業などのマーケターは、ぜひ、プロダクトマーケティングに取り組んでください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Wed, 21 Feb 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[セールスとマーケティングの違いとは?資格や学べる本も紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/sales-vs-marketing セールスとは営業のことで、営利を目的とした業務を指します。一方、マーケティングとは、市場のニーズやトレンドを分析し、商品やサービスの価値を伝えることで、潜在的な顧客の関心や信頼を得ることです。営業担当者がアプローチするためのリード(見込客)を創出するまでのフェーズを担います。

 

「セールス」と「マーケティング」は、ビジネスの世界で重要な役割を果たす二つの異なる概念です。日本国内の中小企業においても、これらの違いを理解し、効果的に活用することが業績向上の鍵となっています。

 

本コラム記事では、セールスとマーケティングの基本的な違いや、これらがどのように連携してビジネスを成長させるかについて、また、セールスとマーケティングの資格、書籍などをご紹介します。

セールスとマーケティングの違い・それぞれの役割

セールスとマーケティングは、どう違うのでしょうか?
セールスとは営業のことです。営業とは、営利を目的とした業務を指し、具体的には製品・サービスを顧客へ販売することをいいます。

 

一方、マーケティングとは、営業担当者がアプローチするためのリード(見込客)を創出するまでのフェーズを担います。
なお、「近代マーケティングの父」や「マーケティングの神様」と呼ばれるフィリップ・コトラー(Philip Kotler)は、マーケティングを「顧客のニーズに応えて利益を上げること」としています。

 

ここからは、役割から、それぞれの違いをもう少し詳しく解説します。

セールスとは?セールスの役割

セールスの主な目的は、商品やサービスを顧客に販売し、成約に至らせることです。
顧客のニーズに合わせた提案を行い、信頼関係の構築を通じて、直接的な販売を実現します。
セールスの活動は、個別のリードに焦点を当て、短期的な成果を目指すことが特徴です。

 

セールスの役割とは、マーケティング部門からパスされたリードに対してアプローチを行い、リードの疑問や不安を解消しながら信頼関係を築き、最終的に製品・サービスを販売・成約することです。
基本的に、マーケティング部門が創出したリードに対してアプローチを行いますが、小規模な企業だと、セールスがマーケティングの役割も兼ねているケースが少なくありません。

インサイドセールとスは?インサイドセールスの役割

セールスの中でも、訪問などの対面によるコミュニケーションを取らないのがインサイドセールスです。
インサイドセールスとは、電話やメールなどの非対面の手段で顧客とコミュニケーションを取り、商品やサービスの提案を行うというスタイルの営業のことです。

国土が広く、訪問によるコストが高くつくアメリカで生まれた営業手法で、日本でもコスト削減の必要性やコロナ禍などによって広まりつつあります。

 

ほかにも、一度、成約した顧客に対して製品・サービスの利用を促進し、クロスセルやアップセルを通して顧客単価の向上を目指す役割を持つ「カスタマーサクセス」などがあります。

マーケティングとは?マーケティングの役割

マーケティングの主な役割は、自社製品やブランドを市場に広め、興味や関心を集め、これを維持することです。特に、潜在顧客を見込顧客、ホットリードへとステップアップさせる役割を担います。
マーケティングの業務は幅広く、市場調査、戦略立案、プロモーション、販売促進、広報などが含まれます。
常に変化する市場環境や顧客の動向に応じて柔軟に対応する必要があります。

セールスとインサイドセールス、マーケティングの違い

「セールスとインサイドセールス、マーケティングの違い」の図

 

セールスとインサイドセールス、マーケティングの違いは、主に以下の3点です。

顧客との接点の方法

セールスは、顧客と対面で直接コミュニケーションを取ることが多いため、その中で信頼関係を築くことが重要です。
インサイドセールスは、顧客と電話やメールでやり取りすることが多く、非対面でやり取りするため効率的に情報を伝えることが重要です。
マーケティングは、顧客に対して一方的に情報を発信することが多く、魅力的なメッセージを作ることが重要です。

 

関わるカスタマージャーニーの段階

「関わるカスタマージャーニーの段階」の図

 

消費者は、無関心から認知、関心などのフェーズをたどって購買に至ります。
このうち、セールスは顧客が商品やサービスに興味を持っている場合に活動します。
インサイドセールスは、顧客が商品やサービスに興味を持つ前から活動します。
マーケティングは、さらに前段階の顧客が商品やサービスの存在を知らないフェーズから活動します。

 

評価指標の種類

セールスは、成約率や収益などの結果指標で評価されます。
インサイドセールスは、アポイントメント数や見込み客数などの活動指標で評価されます。
マーケティングは、リーチ数やクリック数などの反応指標で評価されます。

セールスとマーケティングの連携

セールスとマーケティングの連携は、企業の成長と競争力を高めるために不可欠です。
その理由と方法は、以下の通りです。

セールスとマーケティングが連携する必要性

マーケティング部門とセールス部門の連携は、マーケティング部門が獲得したリードを、セールス部門が確実に成約につなげるために必要不可欠です。

 

具体的には、以下の3つのメリットをもたらします。

機会ロスを減らす

マーケティング部門が獲得した見込客は、必ずしもすぐに成約につながるわけではありません。
その間に、競合他社に奪われてしまったり、リード自身が興味を失ってしまったりといった機会ロスが発生する恐れがあります。

マーケティング部門とセールス部門が連携することで、リードの状況を共有し、適切なタイミングでアプローチできるようになり、機会ロスを減らすことができます。

成約率を上げる

マーケティング部門が獲得したリードは、すでに自社の商品やサービスに興味を持っている可能性が高いです。
しかし、セールス部門が適切なアプローチをしなければ、成約につながらない可能性が高いです。

 

マーケティング部門とセールス部門が連携することで、リードのニーズを把握し、それに応じた提案を行うことで、成約率を上げることができます。

業務効率を向上させる

マーケティング部門とセールス部門がそれぞれ独立して活動していると、情報共有がうまくいかず、無駄な作業が発生することがあります。

 

マーケティング部門とセールス部門が連携することで情報を共有し、業務効率向上につながります。

セールスとマーケティングが連携する方法

効果的な連携のためには、まず両部門間のコミュニケーションを強化することが重要です。
共通の目標を設定し、ペルソナや双方の対応領域などの認識を揃えるために定期的なミーティングを通じて情報を共有すると効果的です。

 

また、マーケティングが集めた市場データや顧客のフィードバックをセールスチームが活用することで、より効率的な販売戦略を立てることができます。
逆に、セールスチームが得た顧客の生の声は、マーケティング戦略の調整や新たな市場機会の発見に役立ちます。

 

このように両者間での情報共有をスムーズにするために、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム:Sales Force Automation)などのデジタルツールを活用するのもおすすめです。

 

関連記事

セールスやマーケティングの資格一覧

セールスやマーケティングに従事している方のスキルアップ方法の一つとして有効なのが、資格取得。
転職やキャリアアップにも役立ちます。

 

ここでは、セールスやマーケティングのスキルアップにつながる資格をご紹介いたします。

セールスの資格

ますは、セールスの業務に役立つ資格を5つ、ご紹介いたします。

セールススキル検定

https://sales-career.org/examination-2/

 

セールススキル検定は、「営業力」を測定する試験で、特定非営利活動法人 セールスキャリア開発機構が運営しています。
セールスを行うにあたって不可欠なセールスコンピテンシー(能力)群を測定、スコア化し、認定する試験となっています。

 

3~1級までの3つの級があり、各級合格に求められる水準は、以下の通りです。

 

  • 3級:セールスを遂行するために必要な基礎的知識を有すると認められるレベル
  • 2級:各セールスタイプにおいて「全体の8割を売り上げる2割の人材」に該当する実力を有するレベル
  • 1級:セールスコンピテンシーを総合的に兼ね備えていること、経験と実績があること、知識とスキルを兼ね備えていることが認められるレベル

 

全国の受験会場で受験できます。

営業士検定

https://www.nrep.jp/eigyoushi/

 

営業士検定は、一般社団法人日本販路コーディネータ協会内の日本営業士会が主催する検定制度です。経済産業省認可のセールスレップ・販路コーディネータ協同組合と連携しています。

 

営業士検定には、営業士初級、営業士上級、営業士マスターの3つのレベルがあり、初級からの受験となります。
各レベルが求める要求は、下記の通りです。

 

  • 営業士初級:基本的な営業業務
  • 営業士上級:営業管理業務や営業指導を含むレベル
  • 営業士マスター:マネジメント・マーケティングに関する高度な専門知識

 

いずれも受験日は年間2回ずつ設定されており、オンライン受験のみとなっています。

セールスレップ

https://www.jrep.jp/index.html

 

セールスレップは、営業研修や営業試験によって営業コンサルティングなどの能力開発を行う日本セールスレップ協会が主催する検定制度です。同協会のカリキュラムは、ハローワークやシルバー人材センターなどの公的雇用促進カリキュラムでも活用されています。

 

レベルは、3~マイスター級の3つに分かれており、それぞれのレベルが求める要求は、下記の通りです。

 

  • 3級:基本的な営業業務
  • 2級:営業管理業務や営業指導を含むレベル
  • マイスター級:マネジメント・マーケティングに関する高度な専門知識

 

いずれも筆記試験が中心ですが、マイスター級にはレポート審査もあります。受験資格は特にありません。
受験日は年間1回ずつ設定されており、オンライン受験のみとなっています。

 

試験合格後、資格登録料を支払うことで資格認定証が発行され、次年度以降も年間登録料がかかります。

営業力強化検定

https://www.sikaku.gr.jp/sale/

 

営業力強化検定は、株式会社サーティファイが主催する民間の検定制度です。
売れる営業パーソンが共通して持っている「売れる要素」を抽出し、単なるテクニックとしてではなく、なぜそうする必要があるかを理論的に習得しているかどうかを図る試験となっています。

 

レベル分けなどは用意されておらず、出題範囲は「営業理論」「営業技術」「営業管理」の3分野から成ります。

 

試験日は年に1回設定されており、オンライン受験のみとなっています。

プレゼンテーション検定

https://preken.jp/

 

プレゼンテーション検定は、一般社団法人 プレゼンテーション検定協会が主催する検定制度で、伝える力やコミュニケーション力を可視化するために作られました。

 

レベルは、準3級から1級まで6段階が用意されています。
それぞれのレベルが求める要求は、下記の通りです。

 

  • 準3級:プレゼンテーションを学び初めの方向け
  • 3級:仕事や授業でプレゼンをする方、面接試験を受ける方向け
  • 準2級:プレゼンをする機会が多い方向け
  • 2級:プレゼン力を強みにしたい方向け
  • 準1級:プレゼンを頻?に行う方、教える仕事をしている方向け
  • 1級:プレゼンが職業の方、プレゼン講師を目指す方向け

 

個人受験と団体受験の2通りの受験スタイルがあり、いずれもオンライン受験で、タイミングも好きな時に受けられます。
2級と1級には、筆記試験に加えて実技試験もありますが、出題テーマに沿ったプレゼンを行った動画データをアップロードする方式です。

マーケティングの資格

次に、マーケティングの業務に役立つ資格を6つ、ご紹介いたします。

マーケティング・ビジネス実務検定(R)

https://www.marke.jp/

 

マーケティング・ビジネス実務検定は、国際実務マーケティング協会(International Marketing Skill Standardizing Association)が主催する検定制度で、資格取得でスキルアップしたい人を始め、マーケティングに興味のある人や、市場調査・分析などの業務に携わる人、学校の授業でマーケティングを学習中の人、世の中の動き・流れに敏感な人と、幅広い受験層が想定されています。

 

特定の業種・業界にとらわれない共通のマーケティング知識や仕事で役立つ実務知識の習得を目指すものとなっています。

 

A級・B級・C級の3つのレベルが用意されており、C級・B級はオペレーションレベル、A級はマネジメントレベル、戦略レベルとなっています。

 

受験日は、年間4回程度、設定されており、オンライン受験のみ。本試験の前にデモ試験を受験する必要があります。
B級・C級併願の場合は、B級から受験することになっています。
また、C級のみ、不合格だった場合に無料で1回再チャレンジできる制度が用意されています。

マーケティング検定

https://www.jma2-jp.org/marken

 

マーケティング検定は、公益財団法人 日本マーケティング協会が主催する検定制度です。
同協会は、産学協同の下にマーケティングの理論と技法の研究、教育、普及に努め、わが国の経営の近代化と産業の発展に力を注いできた団体です。

 

1から3級までのレベルが用意されており、それぞれのレベルの受験対象者は次の通りです。

 

【3級】

  • マーケティングの基礎を習得することで、自身や会社の業務成果を高めたい。
  • 直感や曖昧な判断に頼るのではなく、確固としたビジネスセオリーを身につけたい。
  • 資格を取ることで、就職・転職・昇進・異動・起業などのキャリアアップにつなげたい。

 

【2級】

  • 社会で活躍するマーケターとして認定できる実力のある方。
  • マーケティングの基礎概念から応用までの理解度・習熟度を測りたい。
  • 2級の資格を取ることでマーケティング能力を証明し、キャリアアップにつなげたい。

 

【1級】

  • 2級試験に合格し、マーケティングの全般的な素養のある方。
  • プロフェッショナルのマーケターとして実力をお持ちの方。
  • マーケティングの最上位の資格を取ることで、キャリアアップにつなげたい方。

 

全国の受験会場ごとに設定された受験日程から、都合の良い日時を選んで受験します。

IMA検定

https://ima-kentei.jp/

 

IMA検定は、一般社団法人 IMA研究所が運営する検定制度で、Webサイト分析から広告運用まで、Webマーケティング全般の知識を習得していることを証明する資格です。なお、IMAとは、Inclusive Marketing Analysisの頭文字を取ったものです。 IMA検定では、「暗記に固執しない実務主義のマーケティングスキルを」というコンセプトが掲げられています。

 

Standardコース、Professionalコースの2つのレベルが用意されており、それぞれ、研修を受講後にのみ受験できるようになっています。

 

なお、試験はオンライン受験のみとなっており、各コースの受講のタイミングで受験日時も指定されています。

ネットマーケティング検定

https://www.sikaku.gr.jp/nm/

 

ネットマーケティング検定は、株式会社サーティファイが主催する民間の検定制度です。同社では、「営業力強化検定」などの検定も運営しています。 Webマーケティングに特化した内容となっており、取得によりインターネットの特性を理解し、状況に応じて最も効果的なマーケティング手法を選択できる人材であることを証明できます。

 

試験方式はオンライン受験のみですが、全国一斉試験となっており、試験日程が決まっています。年間で2回ほどと少ない頻度となっているため、資格取得を目指す方は、計画的な学習と受験申込が必要です。

 

公式サイトで本試験と同じ40問のサンプル問題が無料提供されています。受験前の腕試しに活用すると良いでしょう。

ウェブ解析士

https://www.waca.associates/jp/

 

ウェブ解析士は、一般社団法人ウェブ解析士協会が運営する認定資格制度です。

 

「ウェブ解析士」「上級ウェブ解析士」「ウェブ解析士マスター」の3つのレベルが用意されており、それぞれのレベルが目指す姿は、以下の通りです。

 

【ウェブ解析士】
ウェブ解析やウェブマーケティングに関する基礎知識を習得し、共通の用語認識を基に、営業・制作・開発・社内ウェブマスター業務等の遂行・業務効率化を可能にすることを目指す。

 

【上級ウェブ解析士】
ウェブ解析やウェブマーケティングに関する応用知識を習得し、データの正しい認識を基に、クライアント及び社内経営陣・上長への説明、交渉等、事業の成果につながる提案スキル向上を目指す。

 

【ウェブ解析士マスター】
ウェブ解析士の資格制度に関する教育研修のためのスキル(技能・技術)と知識を習得、講師として独自に講座を開設し、企業や教育機関などで講義と指導を行えるようになることを目指す。

 

認定試験は、オンライン受験のみで、年に20回余りのスケジュールが用意されています。
合格者には、試験受験用システムMoodle内で試験合格のデジタルバッチとウェブ解析士認定証が発行されます。

Webアナリスト検定

https://www.jwa-org.jp/webanalyst/

 

Webアナリスト検定は、一般社団法人 日本Web協会が主催する検定制度で、5時間の受講を終えた受講生が受験できる仕組みですが、検定試験のみの受験も可能となっています。 講座では、Googleアナリティクスを体系的に学べるなど現場で必要なノウハウを身に付けられます。

 

受験方式はオンライン受験のみですが会場受験となっており、会場ごとに主催企業が異なり、受験費用も若干、異なります。
合否結果は、受験後すぐにわかり、後日、認定カードが郵送されます。
合格者には、1年間無償でJWA会員になれるという特典が用意されています。

セールスやマーケティングについて学べる本

必要な時にいつでも必要な知識に立ち返ることができるのが本のメリットではないでしょうか。
ここでは、セールス、マーケティングそれぞれについて学べる書籍を紹介いたします。

セールスについて学べる本

まずは、セールスについて学べる本を11冊ご紹介いたします。

 

『営業は台本が9割』

著:加賀田 裕之 出版:きずな出版(年月発刊)

 

営業コンサルタントの著者により、信頼関係の構築からクロージングまでの営業の型が、一通り、体系的に解説された本です。

 

営業担当者になったばかりの初心者や、営業について体系的に学んだことがなく、勘や経験からなんとなく取り組んできたという方などに向く1冊です。

 

【営業は台本が9割の主な内容】

 

はじめに―自社商材を250万円で自腹買いしていたドン底営業マンが、トップセールスになれた理由

 

序章 なぜ、いつまでたっても売れないのか?

第1章 台本営業を成功に導く5つのステップ

第2章 あなただけの営業台本をつくろう

第3章 台本営業ステップ1「人間関係構築」

第4章 台本営業ステップ2「ニーズの深掘りとウォンツアップ」

第5章 台本営業ステップ3「商品説明」

第6章 台本営業ステップ4「クロージング」

第7章 台本営業ステップ5「反論解決」

引用元:引用元:営業は台本が9割―トップセールスは教えてくれなかった!(紀伊国屋書店)

『THE MODEL(ザ・モデル)』

著:福田康隆 出版:翔泳社(2019年1月発刊)

 

米セールスフォース・ドットコム社で、カスタマーサクセスを含むセールス部門における全プロセスを経験した著者による、営業プロセスの分業について解説された書籍です。

 

マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、それぞれの役割と共業の方法について、理解を深めるのに最適です。

 

【THE MODELの主な内容】

 

第1部 アメリカで見た新しい営業のスタイル

 第1章 マーク・ベニオフとの出会い

 第2章 営業のプロセス管理

 第3章 「ザ・モデル」のその先へ

 

第2部 分業から共業へ

 第4章 2つの変化

 第5章 分業の副作用

 第6章 レベニューモデルの創造

 

第3部 プロセス

 第7章 マーケティング

 第8章 インサイドセールス

 第9章 営業(フィールドセールス)

 第10章 カスタマーサクセス

引用元:THE MODEL(ザ・モデル)特設サイト

『お客様の心をつかむ真実の瞬間―驚異の売上げを達成する10の秘訣!』

著:マイケル ルボーフ 出版:ダイヤモンド社(2003年4月発刊)

 

長年、米国で顧客サービスのあり方を指導してきた著者は、顧客と最初に接する瞬間、顧客が怒っている瞬間、顧客がクレームをつけてきた瞬間など、取引の成否を決める決定的瞬間を「真実の瞬間」と定義。営業プロセスにおける10つの「真実の瞬間」を逃さないことが成約を左右すると主張しています。

 

「欲しいものをできるだけ安く、希望通りの日時に届けて、しかも自分を特別扱いしてくれ、それができないなら、ほかのところで買う」という現代の消費者を、接客によっていかに上機嫌にするかが解説された本です。

 

【お客様の心をつかむ真実の瞬間―驚異の売上げを達成する10の秘訣!の主な内容】

 

1 一回の顧客を一生の顧客にする(売るのではなく、買うのを手伝う;売れると信じれば必ず売れる;顧客が買うのは商品ではなく、それで何をしてもらえるかだ ほか)

2 「真実の瞬間」に顧客の心をつかむ(顧客と最初に接する時;顧客が怒っている時;顧客が特別な要求をしてきた時 ほか)

3 サービス優良企業をめざす(すぐれた顧客サービスに報酬を;サービス優良企業になるための四つの問い;サービス・リーダーシップ六つの心得)

引用元:Life & business series
お客様の心をつかむ真実の瞬間―驚異の売上げを達成する10の秘訣!(紀伊国屋書店)

『30分の面談だけで売上140%達成! 社長ダイレクトZoom営業』

著:峯村 昌志 出版:ぱる出版(2023年3月発刊)

 

中小企業の社長に対してオンライン商談を行って成約することを推奨する書籍です。
商談相手が社長だからこそ、即断即決が可能なため、売上140%を叩き出すことも不可能ではないといいます。

 

著者は、日経グループ会社で営業に従事し、複数の部門で何度もトップを獲得した人物。
効率的な営業先の探し方やアポの取り方、クロージングの仕方など、具体的なノウハウが公開されています。

 

【30分の面談だけで売上140%達成! 社長ダイレクトZoom営業の主な内容】

 

序章 なぜ、いまこそ中小企業の「社長ダイレクト営業+Zoom面談」なのか

第1章 企業の発掘・リストアップ 篇

第2章 テレアポ 篇

第3章 Zoom面談~心構え・事前準備 篇

第4章 Zoom面談~本番 篇

第5章 Zoom面談~クロージング 篇

第6章 リピート化とご紹介、関係構築 篇

引用元:『社長ダイレクトZoom営業』(ぱる出版)

『はじめまして売れる「伝え方」のぜんぶです 新発見!お客様の反応が変わる58秒』

著:日野眞明 出版:三恵社(年月発刊)

 

マーケティング経営コンサルタントである著者が、初対面での自己紹介で成約が決まるとして、「伝え方」について解説した本です。同じ商材であっても、営業担当者によって、売れたり売れなかったりすることから、自分をどのように売り込むかという着眼点の重要さを説いています。

 

自己紹介では、ただ自分について発信するだけでなく、その時間を使って相手の情報を受信することについても触れています。

 

【はじめまして売れる「伝え方」のぜんぶです 新発見!お客様の反応が変わる58秒の主な内容】

 

第0章 「売れる」は「はじめまして」から始まります

第1章 こんな自己紹介をしていませんか?

第2章 三つのプロセスで自己紹介が八倍上達します―自己紹介トレーニング

第3章 その時、自己紹介は「売れる伝え方」に変わります

第4章 「はじめまして」を「売れる」に変える伝え方とは?

第5章 「いまのまま」を軽々と超える「ありのまま」

引用元:『はじめまして売れる「伝え方」のぜんぶです 新発見!お客様の反応が変わる58秒』(amazon)

『成約率99.9%の営業法: 「採用せざるを得ない提案書」はこうつくれ!』

著:中村昌雄 出版:大和出版(2023年7月発刊)

 

BtoBの新規開拓営業に関するノウハウを詰め込んだ本です。
著者は、オムロンでダントツの実績を上げ続けてきたトップセールスマン。
営業提案時に使用するための提案書の作成方法を、テンプレート付きで解説しています。

 

ただのノウハウにとどまらず、トップセールスになるために必要なマインドにも触れています。

 

【成約率99.9%の営業法: 「採用せざるを得ない提案書」はこうつくれ!の主な内容】

 

第1章 トップ営業マンになるために必要な9つのマインド

第2章 お客様の懐に入り込んで信頼関係のベースを築く

第3章 ヒアリングでお客様の「潜在課題」を浮き彫りにする

第4章 ヒアリングした内容をもとに「採用せざるを得ない提案書」をつくる

第5章 お客様の意思決定への障害を取り除いて成約につなげる

第6章 しっかりしたアフターフォローでお客様との関係を盤石にする

引用元:『成約率99.9%の営業法: 「採用せざるを得ない提案書」はこうつくれ!』(amazon)

『人生を変える営業スキル』

著:遠藤公護 出版:クロスメディア・パブリッシング(2023年12月発刊)

 

営業力さえあれば、起業もできることから、営業スキルを磨くことで、人生を根本から変えることを提案した本です。

 

著者は、強烈に数字を求められる外資系企業で、21年間、一貫してAIを含む最先端の営業職を務めた人物。

 

単なる営業スキルだけにとどまらず、成功するためのマインドセットにまで踏み込んで解説しています。
特に、エンタープライズ企業を対象とした営業活動を行う人に向きます。

 

【人生を変える営業スキルの主な内容】

 

序章 人を動かすとは。自分を動かすとは

第1章 大企業をつかまえるアプローチとは

第2章 基本に戻れ Back to Basic

第3章 顧客との打ち合わせ

第4章 営業の戦略的アプローチ

第5章 コミュニティの活用

第6章 CxOアプローチ

第7章 大型商談でのクロージング

第8章 大人の営業スキル

第9章 成功へのマインドセット

終章 自分は何のために生きるのか

引用元:『人生を変える営業スキル』(amazon)

『トップ営業が密かにやっている最強の会話術 SIX MENTAL READING(シックスメンタルリーディング)』

著:加賀田 裕之 出版:きずな出版(2023年6月発刊)

 

営業コンサルタントが書いた、コミュニケーション術の本です。
本書では、人を以下の6タイプに分類し、各タイプの見分け方、気をつけること、好かれる方法、セールスを成功させる方法を解説しています。

 

  • 論理型:論理的に物事を考える
  • 感情型:感情を大切にする
  • 実行型:行動を起こすことが得意
  • 社交型:人と交流することが得意
  • 慎重型:慎重に物事を考える
  • 自由型:自由な発想をする

 

営業活動に限らず、人間関係やコミュニケーションに悩む人向け。 なお、ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏が「会話が苦手な人は、まずこの本を読んでほしい」と推薦しています。

 

【トップ営業が密かにやっている最強の会話術 SIX MENTAL READING(シックスメンタルリーディング)の主な内容】

 

第1章 みんなタイプ別診断が大好き

第2章 タイプ別診断をやってみよう

第3章 タイプ別の特徴と傾向

第4章 一瞬であの人を見抜く方法

第5章 SIX MENTAL READING 実践編

第6章 SIX MENTAL READING 営業編

第7章 あなたが忘れているたった一つのこと

引用元:『トップ営業が密かにやっている最強の会話術 SIX MENTAL READING(シックスメンタルリーディング)』(きずな出版)

『ただ、顧客のために考えなさい 改訂版 プルデンシャル 営業力の秘密』

著:原 年廣 出版:ダイヤモンド社(2019年10月発刊)

 

著者は、米国プルデンシャルの日本の生命保険市場への参入に伴い、初代営業本部長(常務)として、その創業に当たった人物。
同社は、日本の生命保険業界で初めて「ライフプランナー」を導入することで成長しました。同社で活躍した6人のライフプランナーの体験を紹介し、ただ顧客のために尽くすという営業の基本の大切さを伝える本です。

 

【ただ、顧客のために考えなさい 改訂版 プルデンシャル 営業力の秘密の主な内容】

 

【第1章】神戸の震災で起こった奇跡 ── 顧客との約束

【第2章】顧客が「この人を紹介したい」と感じる時

【第3章】悔いのないセールス、すべてをやり尽くすサービス

【第4章】契約はすべての始まりにすぎない

【第5章】「お客様に借金を返しているか?」

【第6章】プロ営業パーソンとして成功するために必要なこと

【第7章】ライフプランナーが日本の生命保険を変える

【第8章】ドライデンの理想が私たちを動かしている

引用元:『ただ、顧客のために考えなさい』(ダイヤモンド社)

『一生「幸せな営業マン」として活躍するための思考塾 「幸せな営業マン」が実践しているたった3つのルール』

著:幸 賢俊 出版:梓書院(2021年11月発刊)

 

営業活動のテクニックではなく、「誰を幸せにしたいか」「どのように役に立ちたいか」という「使命」にフォーカスした本。各章の導入部が漫画で描かれており、読みやすい点が特長です。

 

使命を見つけ、使命を実行することで、営業を一生ものの仕事にすることを推奨しています。
営業職以外の職種に就いている人にとっても参考になりそうです。

 

【一生「幸せな営業マン」として活躍するための思考塾 「幸せな営業マン」が実践しているたった3つのルールの主な内容】

 

はじめに

第1章 「幸せな営業マン」と「うまくいっていない営業マン」の違い

第2章 幸せな営業マンは自信を持っている

第3章 幸せな営業マンは「使命」を持っている

第4章 幸せな営業マンになるための「使命」の立て方

第5章 幸せな営業マンは商品を勧めない

第6章 幸せな営業マンは次のお客様がすぐに見つかる

第7章 幸せな営業マンに近づくヒント

終わりに あなたも一生幸せな営業マンとして活躍できる

引用元:『一生「幸せな営業マン」として活躍するための思考塾 「幸せな営業マン」が実践しているたった3つのルール』(amazon)

『僕は明日もお客さまに会いに行く。』

著:川田 修 出版:ダイヤモンド社(2013年4月発刊)

 

外資系企業のトップセールスが、自身の経験に基づいて、営業担当者に必要な考え方などをストーリー形式で紹介していく本です。

 

営業職に限らず、仕事の本質に気づかせてくれる内容となっています。
企業研修や新人教育のテキストとしての活用も推奨されています。

 

【僕は明日もお客さまに会いに行く。の主な内容】

 

第1章 何で僕が選ばれるんだ……

第2章 1カ月間、精いっぱい頑張ります

第3章 やっぱ、営業は商談でしょ

第4章 ま、明日からでいいか

第5章 そんなつまらないこと頼めませんよ

第6章 伝説の営業マンってそんなもの?

第7章 僕に足りないもの……

第8章 もう逃げるのはやめよう

第9章 感謝の心は細部に表れる

第10章 まずはチューニングから

第11章 聞くことの大切さ

第12章 お客さまは問題を解決して欲しい

第13章 お客さまの物語を感じなさい

第14章 お客さまを愛しているか

第15章 殻を破るとき

第16章 一生懸命やることが楽しい

引用元:『僕は明日もお客さまに会いに行く。』(ダイヤモンド社)

マーケティングについて学べる本

つづいて、マーケティングについて学べる本を9冊ご紹介いたします。

 

『ドラッカー5つの質問』

著:山下 淳一郎 出版:あさ出版(2017年12月発刊)

 

オーストリアの経営学者で、現代経営学やマネジメントの生みの親である、ピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)の理論の核となる経営の最重要5大原則をまとめたものです。

 

ドラッカーは、マネジメントで必要なことは「正しい答え」ではなく「正しい問い」であると説きます。
ドラッカーの言葉を紹介しつつ、「ドラッカー5つの質問」を、中小企業や中堅企業が取り組みやすいよう、事例に基づいて解説しています。

 

【ドラッカー5つの質問の主な内容】

 

序章 われわれの事業はなにか

第1の質問 われわれのミッションは何か

第2の質問 われわれの顧客は誰か

第3の質問 顧客にとっての価値は何か

第4の質問 われわれの成果は何か

第5の質問 われわれの計画は何か

引用元:ドラッカー 5つの質問(あさ出版)

『いちばんやさしいマーケティングの教本 人気講師が教える顧客視点マーケの基本と実践』

著:中野崇 出版:インプレス(2019年8月発刊)

 

(株)良品計画で店舗マネジメントや外商を経験したのち、マーケティングリサーチ企業へ転職。海外事業や統合マーケティング部門の立ち上げなどに参画し、従業員数200名を超えるデータマーケティング支援企業の代表取締役社長を務める著者が、マーケティング思考を解説した本です。
図説や説明が多いのでわかりやすく、マーケティング初心者向けの入門書となっています。

 

【いちばんやさしいマーケティングの教本 人気講師が教える顧客視点マーケの基本と実践の主な内容】

 

第1章 マーケティングの基本を理解しよう

第2章 顧客ニーズをとらえよう

第3章 マーケティングリサーチの手法

第4章 マーケティングミックスを策定する

第5章 マーケティングの目標設定と効果測定

第6章 デジタルマーケティングの基本

第7章 PR活動の基本を知ろう

第8章 BtoBマーケティングの実践

引用元:『いちばんやさしいマーケティングの教本 人気講師が教える顧客視点マーケの基本と実践』(インプレスブックス)

『未来をつくるグロースマーケティング』

著:櫻庭誠司 出版:クロスメディア・パブリッシング(2022年10月発刊)

 

従来型のマーケティングとは一線を画す、事業の上流から下流までを俯瞰して分析し、ゴール達成のために施策を導き出す「グロースマーケティング」について解説した本です。

 

失敗の共通点として、

 

  • 施策が「部分最適」にとどまっている
  • データの連動不足
  • 人に起因する問題

 

を挙げ、

 

  • 全体最適
  • データ
  • 利益

 

を重視することを説いています。

 

日本ではまだ浸透していないといわれるグロースマーケティングの考え方を身に付けられます。

 

【未来をつくるグロースマーケティングの主な内容】

 

第1章 なぜ、マーケティングに悩む会社が多いのか

第2章 利益を最大化する「グロースマーケティング」とは?

第3章 グロースマーケティングに求められる「データドリブン」の観点

第4章 グロースマーケティングで利益最大化を実現するための経営改革

第5章 実践企業からみる、グロースマーケティングの効果

引用元:『未来をつくるグロースマーケティング』(amazon)

『億を稼ぐ コンテンツ販売×SNSマーケ術: 「年収1億円・インスタグラムフォロワー2.3万人・LINEリスト4万人」のSNSマーケ会社社長が、「あなたの商品」が飛ぶように売れる、「Instagram、LINE公式アカウント、Kindle出版」の驚くべき運用のヒミツ全て教えます!』

著:まえけん、喜多野修次 出版:Independently published(2023年11月発刊)

 

コンテンツ制作・販売や、SNSマーケティングに取り組むマーケターなどへ向け、コンテンツの作り方や広告の出し方、導線の作り方などを解説した本です。

 

LINEやInstagramの公式アカウントの運用に悩む方、コンテンツは作ったが流入が少なく、導線の作り方がわからないという方などに向きます。

 

【億を稼ぐ コンテンツ販売×SNSマーケ術: 「年収1億円・インスタグラムフォロワー2.3万人・LINEリスト4万人」のSNSマーケ会社社長が、「あなたの商品」が飛ぶように売れる、「Instagram、LINE公式アカウント、Kindle出版」の驚くべき運用のヒミツ全て教えます!の主な内容】

 

第1章 「自己紹介」と「本書の誕生秘話」

第2章 年収1億円を達成する「コンテンツづくり」の極意

第3章 リスト4万人を獲得した「LINE公式アカウント」驚きの運用方法

第4章 目指せフォロワー2万人超え 「Instagram」運用のヒミツ

第5章 「Kindle出版」の可能性

引用元:『億を稼ぐ コンテンツ販売×SNSマーケ術: 「年収1億円・インスタグラムフォロワー2.3万人・LINEリスト4万人」のSNSマーケ会社社長が、「あなたの商品」が飛ぶように売れる、「Instagram、LINE公式アカウント、Kindle出版」の驚くべき運用のヒミツ全て教えます!』(amazon)

『ブランドカルチャライズ―あなたの商品を世界で売るマーケティングの技法』

著:久保山浩気、川崎訓 出版:クロスメディア・パブリッシング(2022年8月発刊)

 

日本では成功したブランドであっても、海外展開する際には、その国の特性を理解した上で、その国の消費者に受け入れられるようなマーケティングの視点が必要だということを解説した本です。
タイトルになっている「ブランドカルチャライズ(R)」とは、進出先の国・地域の消費者の“知覚”に合わせてブランドの表現を調整することだといいます。

 

事例や図解が多く、理解しやすくなっています。
海外展開を考えている企業のマーケターにおすすめです。

 

【ブランドカルチャライズ―あなたの商品を世界で売るマーケティングの技法の主な内容】

 

第1章 ブランドカルチャライズとは(「品質の差」の時代を勝ち抜いた日本;「印象の差」の時代に必要なマーケティング ほか)

第2章 現地のバックグラウンドを理解する(ブランドカルチャライズのプロセス;「現地のバックグラウンドを理解する」の位置づけ ほか)

第3章 市場とターゲットを理解する(機会の発見;ターゲットを理解する)

第4章 ブランドの表現を調整する(ブランド・エクイティのカルチャライズ;ブランドガイドの開発)

第5章 コミュニケーション戦略のカルチャライズ(海外にブランドを届けるためのメッセージ戦略とメディア戦略;ファネル構造の違い ほか)

引用元:『ブランドカルチャライズ―あなたの商品を世界で売るマーケティングの技法』(紀伊国屋書店)

『逆転のサービス発想法―見えない商品を売るマーケティング』

著:ハリー ベックウィス 出版:ダイヤモンド社(1998年12月発刊)

 

サービス業のマーケティングについて書かれた本です。物販のように目にはみえないものを、どう売るかを考える際に役立ちます。
内容は、サービスにとどまらず、ビジネス全般からマーケティングまで幅広く書かれており、サービスを売るための心構えについて学べます。
ただ、実践的な内容は含まれない点には、ご注意ください。

 

【逆転のサービス発想法―見えない商品を売るマーケティングの主な内容】

 

第1章 サービスの第一歩

第2章 あなたのサービスを「調査」せよ

第3章 サービス・マーケティングは一部門の問題ではない

第4章 サービスの「企画」に関する17の誤解

第5章 見込み客の心理を読む

第6章 サービスのポジショニング

第7章 サービスの値段はおいくら?

第8章 サービスの「ブランド」を確立せよ

第9章 サービスの「広告」と「販売」

第10章 お客様を逃がさずに育てるサービス

第11章 サービスの応急処置

引用元:『逆転のサービス発想法―見えない商品を売るマーケティング』(紀伊国屋書店)

『ブランディング・ファースト ――広告費をかける前に「ブランド」をつくる』

著:宮村 岳志 出版:クロスメディア・パブリッシング(2020年4月発刊)

 

ブランディングと、その重要な一要素であるデザインを「経営戦略」と位置付け、その重要性を説いた本です。
特に、多くの人がイメージする、社外向けの「アウターブランディング」と同じくらい、社内へ向けた「インナーブランディング」の必要性について主張しており、この両輪が揃うことで「効率化」「人材の確保」「利益の向上」を実現できるといいます。

 

著者は、デザイン・コンサルティング会社である株式会社グロウ・リパブリックの代表取締役であり、ブランディングディレクターでもある人物。飲食・美容・ファッション・教育など幅広い業界を手がけています。

 

【ブランディング・ファースト ――広告費をかける前に「ブランド」をつくるの主な内容】

 

1 ブランディングは「経営戦略」である

2 私たちの考える「真のブランディング」とは

3 ネクストブランディングにおけるデザインの力

4 ブランディングの本質は「インナー」にある

5 ネクストブランディングのためのリーダーのマインドセット

引用元:『ブランディング・ファースト』(紀伊国屋書店)

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』

著:森岡 毅 出版:KADOKAWA(2016年4月発刊)

 

2001年に開業したUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の入場者数は、その後10年間、右肩下がりを続け、2001年度に1,000万人だったところから2010年度には約750万人まで落ち込んでしまいます。

 

ここから、マーケティングを重視することで、2015年10月には単月で175万人を集客し、単月とはいえ東京ディズニーランドを超えて日本一のテーマパークとなることに成功しました。

 

マーケターである著者は、経営危機にあったUSJに2010年に入社し、わずか数年で劇的に経営再建した人物。平易な文章で書かれており、学生やマーケティング初心者にもおすすめです。

 

【USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門の主な内容】

 

プロローグ USJがTDLを超えた日

第1章 USJの成功の秘密はマーケティングにあり

第2章 日本のほとんどの企業はマーケティングができていない

第3章 マーケティングの本質とは何か?

第4章 「戦略」を学ぼう

第5章 マーケティング・フレームワークを学ぼう

第6章 マーケティングが日本を救う!

第7章 私はどうやってマーケターになったのか?

第8章 マーケターに向いている人、いない人

第9章 キャリアはどうやって作るのか?

エピローグ 未来のマーケターの皆さんへ

引用元:『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』(紀伊国屋書店)

『お客様目線のつくりかた: 顧客視点は仕組みで生み出せる』

著:岡本達彦 出版:(2023年7月発刊)

 

ビジネスの現場で「お客様目線」を持つことの重要性を説く本です。 「お客様目線」を、お客様の要望を聞き、それを実行してあげることと定義し、これを仕組化することを推奨しています。仕組化することで、従業員のセンスの有無によらずに「お客様目線」を再現できるようになります。

 

通常、効果的な広告を作るにはマーケティングや心理学、デザインなどの知識が必要ですが、著者は、アンケートから売れる広告をつくる広告作成手法を日本で初めて体系化したユニークな人物です。

 

【お客様目線のつくりかた: 顧客視点は仕組みで生み出せるの主な内容】

 

第1章 なぜ、「お客様目線」が必要なのか?

第2章 間違えない「お客様目線」の考え方

第3章 「お客様目線」を知るための方法

第4章 コンセプトに合うお客様を決める

第5章 「お客様目線」対策を考える

第6章 「お客様目線」を習慣化する

引用元:『お客様目線のつくりかた―顧客視点は仕組みで生みだせる』(紀伊国屋書店)

まとめ

セールスとマーケティングは、それぞれ異なる役割を持ちながらも、企業の成長と成功に不可欠な要素です。両者の連携により、市場のニーズに合わせた効果的な戦略を立てられるでしょう。

 

セールスとマーケティングの連携は、企業の成功において重要です。連携を強化するためには、まず両部門の基本的な違いを理解し、それぞれの役割と貢献を尊重することが必要です。
セールスは直接的な顧客との関係構築と成約に焦点を当て、マーケティングは市場のニーズを理解し、適切なターゲットにアプローチすることで、見込み客の獲得や維持に努めます。

 

連携の強化には、インサイドセールスの配置やセールステックの活用が効果的です。これにより、リードの質を高め、セールスプロセスを効率化することができます。また、部門間コミュニケーションの活性化も重要で、定期的なミーティングや共有ツールの活用により、情報共有と理解を深められます。

 

営業部やマーケティング部のご担当者様は、この記事を参考にして、ぜひ、より効果的な連携を目指してください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Wed, 14 Feb 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[【テンプレートあり】4P分析とは?進め方や分析のポイント、事例を紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/4p-analysis 4P分析とは、「Product(製品)/何を」「Price(価格)/いくらで」「Place(流通)/どこで」「Promotion(販売促進)/どのように」売るのかを考える、マーケティング戦略のフレームワークです。整合性のあるマーケティング戦略の立案に役立ちます。

 

本記事では、4P分析についての基礎知識や、なぜ行うのか、分析の仕方と注意点、他企業の例などを詳しく紹介します。

 

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4P分析とは

4P(よんぴー・ふぉーぴー)分析とは、「何を」「いくらで」「どこで」「どのように」売るのかを考える、マーケティング戦略のフレームワークです。4Pは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の頭文字を取ってつくられました。

 

4Pは、1960年にアメリカの学者ジェローム・マッカーシーが提唱したものです。複数のマーケティング戦略・手法などを組み合わせる「マーケティングミックス」の代表的な分類として知られています。そのため、4P(4P分析)=マーケティングミックスとして紹介される場合もあります。

4P分析はなぜ行うのか(目的)

利益を生む魅力的な商品を世に送り出すには、製品・価格・販売場所・広告宣伝すべてが、矛盾なく整っている必要があります。どれかに問題がある場合は、見直しが必要です。

 

4P分析を行うと、上記の要素(商品の特性、商品品質、勝負すべき価格帯、販売ルート、顧客のニーズなど)が分かります。また4Pをまとめて整理することで、一貫性のある思考でマーケティング活動に取り組めるようになります。

 

例えば、商品が売れない場合、「商品を改善する」「価格を見直す」など、安易な解決策が浮かびがちです。しかし、それでは根本的な解決にはなりません。
商品を売るために「4Pの要素が必要だ」という思考があれば、視野を広げて複合的に考えられます。問題の本質に気づけるでしょう。

 

4P分析を行い、全てまとめて検討することで、要素の欠落を防いで整合性のある戦略が考えられます。

4P分析の位置づけ

マーケティングは市場分析からターゲティング、戦略立案、施策実行まで様々な過程があります。4P分析はこのサイクルの中でいつ実行するのでしょうか。

 

答えは、「マーケティング戦略を立案するとき」です。ターゲティングやポジショニングを行った後の、マーケティングミックスを行う際に活用してください。

4P分析と似た用語

4P分析と3C分析、4C分析との違いを紹介します。

4P分析と3C分析

3C分析は、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字を取ったものです。3C分析を行うことで、自社がどのような環境に置かれているのかがわかります。

 

3C分析は主に自社の環境分析を行うとき、4P分析は戦略立案の際に使うフレームワークです。

4P分析と4C分析

4C分析は、Customer Value(顧客価値)、 Cost(コスト) 、Communication(コミュニケーション) 、Convenience(利便性)の頭文字を取ってつくられた言葉です。4Cを分析することで、顧客のニーズをとらえて、顧客視点に立ったマーケティング戦略が考えられます。

 

一方で4P分析は、企業視点で分析するフレームワークです。4C分析と4P分析を組み合わせることで、顧客と企業、両方の視点を取り入れたマーケティング施策が考えられます。

テンプレートで実践!4P分析の進め方

マーケティングの4Pのテンプレート

 

「4P分析」を行いたい方は下記より登録なしでダウンロードいただけます。

Product (製品)/どのような商品を提供するのか

Product (製品)では、「どのような商品・サービスを提供するのか」を考えます。強み、魅力、商品名やブランド名、品質、デザインといった「売り物」についてはもちろん、アフターサービス、保証など「付属するもの」も含めて考えましょう。

 

同時に、他社製品と比べて優れている点、劣っている点を洗い出して、差別化できるポイントを探します。

分析のポイント

Product (製品)分析のポイントは、Product (製品)分析のポイントは、「消費者目線を取り入れる」ことです。「顧客にとって価値のあるものが開発できているか」「どうすれば顧客にとって価値あるものになるのか」を軸に考えてみてください。

 

例えば以下のような視点を取り入れ分析を行います。

 

  • 顧客が商品に求めるものは?そのために自社商品は何が必要か。
  • 顧客が求める商品の特徴。デザイン、サイズ感、色など。
  • 顧客がこの商品を使うことで手に入るもの・経験。
  • 顧客は商品をどう呼ぶのか(呼んでもらいたい商品の愛称)。
  • 競合との差別化要素。

Price(価格)/どのような価格で提供するのか

競合の価格、市場の価格、商品・サービスの質などを加味して適切な価格設定を行います。買うかどうかを決める際、大きく影響するのが価格です。顧客が納得でき、企業の利益が得られる価格を考えてください。

分析のポイント

ポイントはポイントは「顧客視点の価格(顧客が求める価格帯)」と、「競合の価格」、「自社が確保したい利益」の3つの要素から、最適な値付けをすることです。

 

また「この機能ならこのくらいの価格」というイメージから逸脱するとなかなか購入してもらえません。適正価格であることは必須です。

 

さらに競合の価格を見て、価格競争をするのか、それ以外で勝負するのかを考えます。単品ではやや高いがセットで値引きをして差別化したり、低価格で導入できるサブスクリプションモデルを取り入れたり、色々な戦略が考えられるでしょう。

Place(流通)/どのような経路で提供するのか

販売場所が専門店だけなのか、コンビニでも購入できるのかで、商品の印象は変わります。
商品をどうやって売るのか、商品を必要とする顧客のもとへスムーズに届けるにはどうすべきかを考えましょう。

 

倉庫を持つのか、ECサイトで販売するのか、販売店を限定するのか……どのようなチャネルを使うべきかなど、ターゲットと自社商品の特徴を分析してより効果的な手段を検討してください。

 

・開放的チャネル
取引先を限定せずに流通させる方法
です。主に薄利多売な商品や、食料品・日用品に用いられています。大量に流通させ、多くの販売機会を得られますが、流通業者の管理は困難です。取引量が多いため、多くの売れ残った在庫を抱えてしまったり、流通業者の間で価格競争が起きたりして極端な値下げが行われ、ブランドイメージが低下する可能性もあります。

 

・排他的チャネル
販売できるのは代理店のみなど、販売会社を限定します。流通業者の数を絞るので管理やブランドイメージのコントロールがしやすい手法です。

 

独占販売契約を行い、代理店に競合製品の取扱禁止を行うこともある、支配力の強いチャネルです。主に高級品や車などの専門的な商品に用いられています。

 

管理がしやすい半面、主体的な行動が必要になり、管理やサポートを行う維持コストもかかります。販売経路を絞るので、製品が届かない顧客も出てくるでしょう。

 

・選択的チャネル
開放的チャネルと排他的チャネルの中間にあたるチャネルです。取引先を限定して優先的に販売します。販売量は開放的チャネルに及びませんが管理はしやすくなります。また、排他的チャネルより多く流通させられます。しかし、取引先が競合製品を扱っても禁止はできません。

分析のポイント

ターゲットの属性、目指すシェア、商品の特徴(鮮度や耐久力の関係で早く顧客に届ける必要があるなど)、流通コストなど総合的に考える必要があります。競合分析も大切です。

 

  • 顧客はどこで商品を探すのか。
  • 素早く商品を届けるには、どこに倉庫が必要か。
  • 競合の流通網。

Promotion(販促活動)/どのように販促を行うのか

顧客に認知してもらうために何を行うのか、適切なアピール方法を検討します。プロモーションには商品宣伝のほか、商品の価値や使い方を広める活動やクーポン・ポイントなど顧客満足度に関する活動も含まれます。自社にとってより良い手段を探してください。

分析のポイント

現在はテレビ、新聞、Web、アプリ、SNS、動画など、様々な媒体があふれています。その中から、ターゲットとなる顧客が利用する媒体を見極めることも大切です。

 

より良いプロモーションを行うには、「自社の強み」や「他社との違い」を明確に表現して、分かりやすく伝えることも欠かせません。商品を使うことでユーザーが得られるメリットを端的に表して、”自分ごと”にできるような表現を考えましょう。適切な媒体で適切な表現使い発信することで、効果的に情報を届けられます。

 

このほか、以下の視点も取り入れて分析を進めてください。

 

  • 競合のプロモーション活動。
  • 顧客に届けたいこと、メッセージ。
  • プロモーションを通して顧客はどうなってほしいのか。
  • どのような媒体でどうプロモーションするのか(どう見せたいのか)。
  • プロモーションを行うタイミング。

4P分析の注意点

  • 最終的なゴールを決めて分析する
  • 矛盾点がないかチェックする
  • 客観的なデータを確認

 

分析が目的にならないように、なぜ4P分析を行うのかを明確にしてから取り組みます。分析する際は4Pの要素間で矛盾が出ないように気を付けましょう。それぞれの要素をまとめたときに効果を打ち消すことがないよう、バランスを整えるのも大切です。また、分析を行う際は、主観ではなく、客観的なデータを確認しながら進めてください。

 

このほか、次のような点も意識しましょう。

整合性を意識する

4Pはどれも密接な関わりがあります。

 

例えばマダム向けの高級品を扱う場合、商品デザインは上品にして、価格もそれなりに設定し、流通は専門店のみに限定、富裕層向けのプロモーションを行う……など、全ての要素が一貫する必要があります。ここで、若者向けのプロモーションを展開しても求める効果は得られません。

 

4P分析を行う際は、全ての要素を照らし合わせて、整合性を意識しながら進めます。

4P分析はマーケティング戦略の流れのひとつ

マーケティング戦略には、環境分析、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、マーケティングミックス、実行の6つのプロセスがあります。4P分析はその流れのひとつ、「マーケティングミックス」で利用されるフレームワークです。

 

そして、マーケティング戦略では、プロセス全てに一貫性が求められます。4P分析それぞれの要素の一貫性と、これまでに分析してきたマーケティング戦略の一貫性がどちらも保てるよう、広い視点を持って考えましょう。

4Cと合わせて分析する

本記事の見出し「4P分析と4C分析」で紹介した通り、4C分析は顧客視点に立って分析するフレームワークです。

 

4P分析は企業視点で行う分析のため、顧客視点が薄れる可能性があります。4P分析と4C分析の両方を行うことで、偏りのないマーケティング戦略が考えられるでしょう。

サービス業は「7P分析」

7P分析は無形サービスを提供する企業向けのフレームワークです。サービス業の場合は、4P分析ではなく7P分析を使います。

 

7P分析は、4P分析の要素に以下3つを追加したものです。

 

・People(人)
・Process(プロセス)
・Physical Evidence(物的証拠)

 

People(人)は「どのような人が関与するのか」ということです。スタッフの質、顧客の質も含まれます。顧客の雰囲気は全体の雰囲気に影響し、ひいては顧客満足度にも影響するためです。

 

Process(プロセス)は、顧客がサービスを通して得る体験・プロセスのことです。飲食店の場合は、調理工程が目の前で見られる、注文商品がスムーズに受け取れるなどが考えられます。アミューズメントパークでは、アトラクションの待ち時間で退屈しないように工夫を凝らしたり、面白い放送を流したりもしています。

 

Physical Evidence(物的証拠)は無形サービスに付属するツールや装飾のことです。飲食店では安心・安全を保証する証明書やミシュランガイドなどの成績・評価、学習塾では過去の生徒の進学先、アミューズメントパークでは非日常を演出する装飾などが考えられます。

4P分析の例

ここでは国内外で活躍するスターバックス、ユニクロ、マクドナルドの4P分析を行います。自社を分析するときとはやや視点が異なりますが、成功している他企業がどのような戦略を取っているのかの参考にしてください。

スターバックス

始めに、顧客満足度ランキング上位の常連であるスターバックスの4P分析を紹介します。

Product(製品)

バイヤーが品質や経済、社会環境などに責任を持って育てられ、倫理的に取引されたコーヒー豆を仕入れています。またオリジナル商品・季節の限定品を数多く扱っているほか、抽出方法を選択できたり、トッピングが選択できたりと、様々な選択肢があるのも特徴です。 このほか、フラペチーノ、ティー、フードアイテムなど幅広い商品を取り揃えています。

 

さらに、国によって商品のバリエーションやサイズが異なります。日本の店舗で見られる抹茶モチーフの商品やショートサイズは国内限定品です。

 

数や質にこだわった商品展開がされています。

Price(価格)

一般的な価格帯のものから、1,000円を超えるやや高額なものまであります。コーヒーチェーン店としてはやや高めです。ブランド力を高める高価格戦略が行われているのがわかります。

 

顧客ターゲットには、リッチさ、良質なサービス、付属するブランドバリューなどを求める層が含まれているため、それに合わせた価格設定といえます。

Place(流通)

ブランディングを意識した流通戦略を取っています。 1号店を銀座に出し、「立地の良い場所にある質の良いカフェ」という印象付けに成功しました。その後どんどんと数を増やしていますが、主に主要駅など人通りの多い中心地、所得水準の高い地域やおしゃれな街などを選んで出店しているのが特徴です。 またビジネスパーソンが集まるオフィスビルや流行に敏感な若者の多い大学キャンパスにも出店しています。

Promotion(販売促進)

広告やCMなどの派手なプロモーションは行わず、口コミや店頭看板、PR、SNSを使うプロモーションを行ってきました。

 

SNSでは新商品やキャンペーンの案内などありがちな内容が投稿されていますが、そこに「○○なひとときを楽しみませんか?」などひと言を添えて、購入後のイメージが沸くように工夫されています。

 

 

SNSが広まった現代では特に、口コミでの集客が大きな効果を発揮しています。

 

(※シャトルロックジャパン株式会社が公開している2022年Twitterの企業アカウントランキングTOP10で、スターバックスは第二位(551万フォロワー)に選ばれています。2015年に日経BPが行った「第4回ソーシャル活用売上ランキング」では首位を獲得しています。)

ユニクロ

次に海外展開を行うアパレル企業、ユニクロの4P分析を紹介します。

Product(製品)

「LifeWear」「究極の普段着」という考えのもと、商品を展開しています。LifeWearについて、公式サイトでは「あらゆる人の生活を、より豊かにするための服。美意識ある合理性をもち、シンプルで上質、そして細部への工夫に満ちている。生活ニーズから考え抜かれ、進化し続ける普段着」と説明しています。

 

商品は無駄なものをそぎ落とし、自分らしさを引き出すシンプル・ベーシックなデザインが特徴。キッズ・メンズ・レディースなど、あらゆる人が購入できる商品を扱っています。またヒートテックをはじめとした高機能商品、デザイナー・アーティストとのコラボレーションアイテムなど様々な商品を展開し、世界中の幅広い層から支持されています。

 

Price(価格)

「人種、階層、性別、宗教を問わず、高品質なものを世界中の誰もが手にとれる価格」に設定されています。セールや値引きキャンペーンも積極的です。 価格を維持するために、企画、計画、生産、物流、販売のプロセスをすべて自社で行い、効率化、省コスト化を進めています。

Place(流通)

2023年8月時点で国内は800店舗、海外は1,634店舗あり、国内外に多くの店舗を所有しています。2019年からの推移を見ると国内はほぼ横這いなのに対し、海外は毎年数十店舗ずつ増加を続けています。

 

都市部やショッピングモールなど、アクセスしやすい場所に店舗を構えています。またオンラインストアも活発で、ECサイトと店舗、コンビニを連携させるなど、柔軟な対応を行い、顧客の元へ心地よく商品が届くような工夫がされているのも特徴です。

 

商品の生産は中国、インドネシア、ベトナムなどの海外工場で行われています。

Promotion(販売促進)

注目商品を限定し、CM、Web広告、折込チラシなど様々な媒体で、商品毎に特化したプロモーションを行っています。プロモーションは世界中で行われており、モデルは海外モデルを起用。機能性のアピールにはスポーツ選手を起用するなど、イメージ戦略も行っています。新商品、季節限定品のプロモーションも活発です。

 

セールや値引きキャンペーンも積極的に開催されており、常時何かしらの商品が通常より安価で購入できます。

マクドナルド

最後に、日本に上陸して50年以上が経つ人気ハンバーガーチェーン店、マクドナルドの4P分析を紹介します。

Product(製品)

様々な種類のハンバーガーと、バラエティに富んだドリンク、チキン、サラダなどのサイドメニューを提供しています。朝マック、ひるマック、夜マックと時間で変わるセット商品や、グラコロ、月見バーガー、てりたまなど季節の定番商品があるのも特徴です。

 

おもちゃや絵本、図鑑などが付いてくる子ども向けの「ハッピーセット」も提供されています。時期によって付属するものが変わるため、子どもが何度も訪れたくなるような工夫がされています。

 

また「持続可能な食材調達」を意識して、環境に配慮した漁業で採られた水産物に適応されるMSC認証を取得。コーヒー豆は、森林や生態系を守り生産するレインフォレスト・アライアンス認証を取得した農園から仕入れ、フライオイルは持続可能なパーム油を使うなどの活動も行っています。
大人や子ども、食材にこだわりのある人まで様々な人が利用できるように配慮されています。

 

待ち時間がそれほどなく、すぐに商品が手に入るのも特徴です。

Price(価格)

100円台から600円台がメインです。セットメニューも1,000円以内に納まるものが多く、競合他社と比較すると安めの価格で提供されています。クーポンも頻繁に配布しており、併用することでさらに安い金額で購入できます。

 

手頃な価格で幅広い消費者層にアプローチしています。

Place(流通)

世界100ヵ国以上、約40,000店舗を経営し、日本では2,950店舗が展開されています(2023年12月時点)。多くはフランチャイズです。道路沿いや駅など利便性の高い立地に建設される店舗が多く、ドライブスルーも多く見られます。また専任のバリスタが常駐する、カフェに力を入れた「マックカフェ バイ バリスタ」も運営しています。

 

近年はアプリを活用したオンラインのサービスも活発です。注文から支払いまでアプリで完結できるほか、クーポンの配布も行われています。アプリの月間アクティブユーザー数は約2,500万人。時代と顧客ニーズにあわせた流通展開がされています。

Promotion(販売促進)

テレビ、新聞、チラシ、ネット広告、SNSなど、様々な媒体で行われています。主要な商品の広告には、知名度の高い芸能人の起用も多く見られます。クーポン配布による販売促進も活発です。

 

このほか、子ども向け商品やコラボキャンペーンなど、ターゲットにあわせたプロモーションが行われています。

まとめ

4P分析を適切に行うことで、より良いマーケティング戦略を考えられます。分析で特に意識したいのは、製品・価格・販売場所・広告宣伝すべてが矛盾なく整っていること。整合性のある分析を意識しましょう。4P分析を行う際は4C分析も行い、広い視野を獲得してください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Wed, 14 Feb 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[Instagram(インスタ)広告とは?広告の特徴やメリット、成果を出すコツを紹介]]> https://mtame.jp/advertisement/instagram_ad Instagram(インスタグラム)広告とは、Meta社(旧:Facebook)が提供するSNSアプリ「Instagram」に配信される広告を指します。Instagramは画像や動画などのビジュアルに特化したSNSであることから、商品の魅力が伝わりやすく、ユーザーへの訴求力が高いのが特徴です。またリンクを設定できるため、商品に興味を持ったユーザーがそのまま自社サイトやLP(ランディングページ)に飛び、購入や申し込みなどのアクションを取りやすい設計がされています。

 

Instagramを利用するユーザーは、他のSNSと比較して購買意欲が高い傾向にあり、株式会社ネオマーケティングの調査によると利用ユーザーの約7割が「購入予定のない商品を購入したことがある」と回答しています。Instagram広告はユーザーの購買行動に大きな影響を与える媒体のひとつとして、多くの企業で活用されています。

 

本記事ではInstagram広告の基礎知識から出稿手順、成果を出すポイントまでわかりやすく解説します。

1.Instagram(インスタ)とは?

Instagramは全世界で月間14億人以上、日本では約3300万人が利用する写真・動画共有SNSです。ユーザーはZ世代やミレニアル世代といった若い世代が多く、特に10代~20代女性の利用率は8割を超えています。

 

サービス開始当初は若い世代の利用が目立ちましたが、利用者数の増加に伴い近年では50代以上のユーザーも増え、多様化が進んでいます。全世代においては約4割が活用しており、SNSアプリ「X(旧:Twitter)」と並ぶ人気SNSとして高い支持を集めています。

 

Instagramに投稿される写真や動画はお洒落なものが多く、2017年には写真に映えるような風景や人、モノを撮影する「インスタ映え」が流行ったり、Instagramで人気になった人物を指す「インスタグラマー」が誕生するなど、日本のトレンドに大きな影響を与えています。

2.Instagram広告の配信面

Instagram広告の配信面(広告が配信される枠のこと)は、フィード、ストーリーズ、発見タブ、リールの全部で4種類があります。以下ではそれぞれの配信面の特徴について解説します。

フィード

Instagramのフィードとは、Instagramへアクセスした際に投稿が表示される場所を指します。Instagramアプリにログインすると、一番最初に表示される画面で、画面上部にはフォローしているアカウントのアイコン画像、中央にフィード、下部にはメニューアイコンが表示されます。他のSNSでいうタイムラインに該当し、自分がフォローしているアカウントの投稿や、いいねやコメントした投稿に類似した投稿が流れる仕組みです。

 

フィード広告は他の投稿と同じように表示されるため、ユーザーの視覚に自然と入り、閲覧されやすいのが特徴です。ログインして最初に目にする配信面であることから、違和感のない自然な広告が好まれます。

ストーリーズ

ストーリーズとは、スライドショーのような形式で画像や動画を投稿できる機能で、投稿から24時間経過すると自動的に削除されます。ストーリーズ広告は、ユーザーがフォローしているアカウントのストーリーの投稿を3回再生ごとに1回の頻度で配信されます。スタンプやフィルター機能などを多数備えており、フィード投稿よりも手軽に発信できる広告として活用されています。

 

本広告の最大の特徴は、通常のストーリーズと同様にフルスクリーンの縦長フォーマットで表示される点です。他の配信面に比べてインパクトのある広告を配信でき、ユーザーの興味関心を引くことができます。またストーリーズ広告は広告の下に「詳細はこちら」といった CTAボタン((購入や申込みなどのユーザーのアクションを促すためのボタン)の設置が可能なため、 高いクリック率・コンバージョン率が期待できます。

発見タブ

発見タブとは、アプリの左下にある虫眼鏡のアイコンをタップすることで表示される画面を指します。Instagramのアルゴリズムが過去に閲覧した投稿やいいねをした投稿から、ユーザーの興味・関心を推測し、関連度の高い投稿をレコメンドします。

 

発見タブに広告を掲載することで、自分の興味・関心について新しい情報を探しているユーザーにアプローチすることが可能です。発見タブを利用するユーザーは、新しい情報を積極的に求めている状態がほとんどです。そのため閲覧したものが広告であっても、自身の関心が高いコンテンツであればクリックされやすくなります。

 

また発見タブ広告に掲載するメリットとして、フィード広告と広告規格が同一であることが挙げられます。作成した広告をそのまま流用できることから、ターゲットが同じであれば、広告作成の手間やコストを抑えられます。

リール

リールとは、最大90秒までのショート動画を投稿できる機能です。テキストやスタンプ、エフェクト、音楽などをつけた自由度の高い動画編集が可能で、投稿から24時間後に自動的に消えるストーリーズと異なり、投稿後は自身のプロフィールページに残ります。

 

リールを活用するメリットとしては、フォロワー以外にも動画を見てもらえることです。通常投稿よりもフォロワー以外のユーザーの目に止まりやすく、新規リーチにつながりやすいことが挙げられます。

 

また短尺動画という性質上、一度リールを見始めると、次々とテンポよく動画が表示されます。リール広告は通常のリール投稿の合間に表示されるため、抵抗なく広告をみてもらいやすく、他の配信面よりも比較的コンテンツがユーザーに届きやすい傾向にあります。

3.Instagram広告の種類

Instagram広告の種類は全部で9種類あり、多彩なアプローチが可能です。PRしたい商品やターゲット層によって使い分けていきましょう。

画像広告

画像広告とは名前のとおり、画像1枚とテキストで構成されている広告です。ストーリーズやフィード、発見タブなどさまざまな場所に配信でき、Instagram広告において最も基本的なフォーマットといえるでしょう。

 

画像とテキストのみというシンプルな広告であることから、通常の投稿に馴染みやすく、ユーザーに違和感を与えることなくアピールできます。

動画広告

動画広告とは動画とテキストで構成された広告です。動画の長さは1分間までとなっており、画像広告よりも商品の魅力や使い方などの多くの情報をユーザーに届けられます。Instagramはビジュアル重視のSNSであるため、動画広告との親和性も高く、ユーザーのアクションを多く獲得できます。

ストーリーズ広告

ストーリーズ機能を利用した広告です。画像や動画を投稿でき、動画は30秒未満であればすべて再生され、15秒以上の場合は複数のストーリーズカードに分割して配信されます。

カルーセル広告

カルーセル広告とは、複数の画像や動画を最大10枚まで設定できる広告フォーマットです。複数の画像や動画を横並びに表示して商品カタログのように見せたり、逆に1つの商品を3枚の画像を使って詳しく紹介するなど多彩なアプローチが可能です。

 

カルーセル(Carousel)とは日本語で「回転木馬」という意味を持つ単語で、複数の画像や動画をスワイプして閲覧できることから名付けられました。

 

またカルーセル広告は各カードに異なるリンクを設定することができます。たとえば車の広告を配信する場合、1つ目の画像をコンパクトカー、2つ目の画像をワゴン車、3つ目の画像をスポーツカーと設定し、それぞれの特設サイトのURLを各カードに掲載できます。複数の商品を掲載し、いずれかの商品に魅力を感じたユーザーを取りこぼすことなく訴求できるのが大きな強みです。

コレクション広告

コレクション広告とは、カバー画像と商品画像、CTAボタンの3つで構成される広告フォーマットです。メイン画像(動画)の下に複数の商品画像を掲載することができ、ユーザーが気になる商品をクリックすると、Webサイトの商品ページへ遷移し、その場で商品を購入することができます。

 

商品の認知から情報収集、購入までのプロセスを1つの広告で済ませられるため、離脱率が低くコンバージョン率が高いのがコレクション広告の最大メリットといえるでしょう。多くの製品を扱うEC企業を中心に利用されています。

発見タブ広告

発見タブ広告とは、発見タブページ内で配信される広告を指します。Instagramユーザーの半数は発見タブページを利用しているため、高いPV数・コンバージョンの獲得が見込めます。またアクティブユーザーにアプローチできるのもポイントです。発見タブを利用するユーザーは自らキーワードを入力し、積極的に新しい情報を得ようとしています。つまり他の配信面と比べて、コンテンツや広告に興味関心を抱きやすい傾向にあるといえます。

 

表示される広告についても、ユーザーが求めている情報に即した広告が表示されるため、見られることが多く、ユーザーの購買意欲を自然に高められます。

ショッピング広告

ショッピング広告とは、フィードやストーリーズに商品タグを設定し、自社のWebサイトや商品ページに誘導できる広告フォーマットのことです。商品タグを設定することで、ユーザーはワンタップで該当の商品ページに飛ぶことができ、そのまま商品の購入が可能です。ユーザーが「この商品が気になる」「商品を欲しい!」と思ったタイミングで、ダイレクトに商品詳細ページへ誘導できるため、商品の検討から購入までシームレスな購買体験を提供できます。

 

Instagramは一定のフォロワー数に到達しないと、外部サイトに遷移できない仕様になっており、基準を満たしていない場合はプロフィール欄にURLを貼るなどの工夫をする必要がありました。ショッピング広告機能の登場により、ユーザーの離脱や取り逃しを防げます。

 

またInstagram公式サイトの調査によると、日本ユーザーが商品タグを経由して商品詳細ページを閲覧する割合は他国平均の約3倍にのぼり、ショッピングタグ広告は日本ユーザーに適したフォーマットであることが報告されています。

パートナーシップ(旧:ブランドコンテンツ)広告

パートナーシップ広告とは、インフルエンサーなどSNSで大きな影響力を持つクリエイターの投稿を、企業が自社の広告クリエイティブとして配信する広告フォーマットです。パートナーシップ広告を利用することで、企業はインフルエンサーの投稿を通して、自社商品を宣伝することができます。

 

インフルエンサーはユーザーを引き付ける見せ方や投稿を熟知しており、広告主が自社商品に関する情報発信を行うよりも高い反響を得られます。宣伝などで使用する画像や動画はすべてインフルエンサー側のほうで作成されるため、企業側でクリエイティブを用意する必要はなく、工数削減にもつながります。

 

一方で、インフルエンサーはパートナーシップ広告の投稿により、フォロワー以外の新規ユーザーの獲得や認知度を高められます。双方ともに大きなメリットをもたらす広告です。

アンケート広告

アンケート広告とは、ストーリーズに実装されているアンケートスタンプ機能を用いた広告を指します。ストーリーズに2択形式の質問を設置することができ、広告を閲覧したユーザーはどちらかを選択し、その場で結果の確認が可能です。企業とユーザーのコミュニケーションを図るツールとして2017年から導入されています。

 

アンケートスタンプ機能を広告に利用することで、企業側はユーザーの特性や属性などの大まかな傾向を把握できるほか、広告をただ眺めて終わるのではなく、アンケート回答を通して広告の商品理解を深められるため、ユーザーの印象に残りやすい特徴があります。

4.Instagram広告のメリット

Instagram広告を利用することで得られる、さまざまなメリットについてご紹介します。

ターゲティングの精度が高い

ターゲティングとは、自社商品やサービスのニーズにマッチしたターゲット層を絞り込む手法のことです。ターゲティングの精度が高いほど、認知拡大やコンバージョン獲得といった成果を得られやすくなります。Instagram広告は、このターゲティングの精度が他のSNSよりも優れていることで知られています。

 

理由としてはInstagram広告は、Meta社が運営するFacebook広告と同じプラットフォームで配信されるからです。Facebookは実名登録が必須の人気SNSで、登録にあたっては氏名のみならずさまざまな個人情報(居住地、出身地、学校、勤務先)などの入力が求められます。個人情報を細かく記載して登録するFacebookデータと連動していることから、ターゲティングの細かい設定が可能になり、高精度のターゲティングを実現しています。

 

Instagram広告では以下の4つのターゲティングが可能です。

 

ターゲティングの種類 ターゲティング可能な項目 内容
ユーザー属性
ターゲティング
  • 年齢
  • 性別
  • 地域
  • 言語
  • 属性(学歴や職業、収入、子供の有無)
  • 興味関心、行動

Facebookに登録したユーザー情報をもとにターゲティングする手法。ターゲット層が明確になっている商材へのPRに効果的。

インタレスト
ターゲティング
【興味・関心】
  • フォローしているアカウント
  • 発見タブでの検索キーワード
  • 使用頻度の高いハッシュタグ
  • いいねやコメント履歴など

 

【行動】
  • アプリのダウンロード
  • 特定の商品ページの閲覧
  • 購買履歴など

検索履歴やフォローアカウント、コメントやいいねなどのユーザーアクティビティをベースに広告を配信する手法。アクティビティは興味・関心と行動の2パターンに分けられます。
ユーザーのアクティビティに基づいて関連度の高い広告が配信されるため、成果につながりやすいのが特徴。

カスタム
オーディエンス
【自社の顧客データ】
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • FacebookのID

 

【Facebookデータ】
  • プロフィールの閲覧
  • フォローアカウント
  • 投稿へのいいね
  • 動画視聴
  • リード獲得フォームの閲覧や入力
  • インスタントエクスペリエンスの閲覧
  • イベントへの参加

自社の顧客データおよびFacebookデータを活用し配信する手法。Facebookデータでは、InstagramやFacebookページでアクションを起こしたユーザーデータから自社の顧客をサーチでき、より見込み客のニーズに即したアプローチが可能です。テキスト

類似
オーディエンス
なし

カスタムオーディエンスをベースに、既存顧客と似た属性を持つ新規顧客を探すための広告手法。
既存ユーザーと似た購買行動を行うユーザーを見つけることで、商品購入に至りやすくなり、ターゲティングの最適化が図れます。

 

それぞれのターゲティングの特性を把握し、適切に設定してリーチ数の向上につなげていきましょう。

ユーザー数が多い

リーチできるユーザー数が多いのも、Instagram広告の特長であるといえます。冒頭でご説明したとおり、Instagramのユーザー数は全世界で月間14億人以上、日本では約3300万人が利用しており、日本だけでも全人口の約4分の1が利用している計算になります。ユーザー数が多ければそのぶん広告も閲覧されやすく、コンバージョンを得られる可能性が高まります。

若年層ユーザーにリーチしやすい

2019年3月時点のInstagramの利用者の属性のグラフ

 

出典:株式会社Glad Cube

 

上記の図は2019年3月時点のInstagramの利用者の属性をまとめたものです。Instagramの男女比は男性が42.3%、女性が54.8%で、女性の利用者が多いことがわかります。年齢別においてはなかでも10代~20代の利用が70%と突出しており、若い世代へのリーチに効果的な広告媒体であることが示されています。

少額から出稿可能

Web広告の出稿費用は高いイメージがありますが、Instagram広告の最低出稿金額は100円からと定められており、少額からスタートすることが可能です。

 

100円で新規獲得やブランディングなどの成果を求めるのは難しいですが、「Instagram広告を出稿予定でお試しで使ってみたい」「低予算から始めて効果を感じたい」という企業にとっては導入ハードルが低く、参加しやすいのがメリットといえるでしょう。

 

出稿金額は自由に設定可能で、あらかじめ設定した金額(予算)にあわせて広告出稿されるため、Web広告の運用でよく見られる「想定よりも広告費がかさんでしまった…」というようなケースはありません。効果検証をもとに予算やクリエイティブもリアルタイムに変更でき、柔軟な運用ができるのも魅力のひとつです。

広告だと認識されにくい

Instagram広告は通常投稿やストーリーズ閲覧の間に表示される、インフィード広告がメインです。インフィード広告は自然な形で広告が差し込まれるため、ユーザーから嫌悪感や違和感を抱かせることなく閲覧されやすい傾向にあります。またターゲティングの精度が高いことから、広告自体に興味を持つユーザーも少なくなく、広告閲覧をきっかけにコンバージョンに至るケースも多く見られます。

 

広告などのPR全般に言えることですが、ユーザーは一度嫌悪感を抱いてしまうと、広告のスキップ機能を利用し非表示にする傾向があります。広告を嫌うユーザーは一定数存在します。広告らしさを感じさせないInstagram広告は優れた販促ツールといえるでしょう。

配信フォーマットが豊富

Instagram広告は4つの配信面と9種類の広告フォーマットを持ち、目的やターゲット層によって使い分けることが可能です。自社商材やサービスにあわせた配信を行うことで、費用対効果の最大化ができます。

5.Instagram広告の課金形態

Instagram広告では、広告の目的にあわせた4つの課金形態が存在しています。それぞれの特徴やメリットを紹介します。

 

課金方式の種類 概要 費用相場 広告の目的
クリック課金
(CPC)

ユーザーが広告をクリックした分だけ課金される課金方法。訴求したい商材やサービスが明確にある場合に有効。

1クリックにつき40円~100円程度
  • 認知度向上
  • トラフィック
  • エンゲージメント
  • リード
  • 売上
インプレッション課金
(CPM)

広告が1000回再生されると料金が発生するタイプの広告で、表示回数が最大になるまで配信されるため、多くのユーザーに広告を見てもらえます。実際の商品購入やサービス問い合わせといったコンバージョン獲得よりも、「商品の知名度を高めたい」などの認知度向上やブランディングに適しています。

500円~1000円/1000回表示
  • 認知度向上
  • ブランディング効果
  • トラフィック
  • エンゲージメント
  • リード
アプリインストール課金
(CPI)

アプリがインストールされた回数によって課金が発生する広告です。インストールが発生した場合にのみ課金されるため、広告の正確な成果を把握できます。

1インストールにつき100円~150円程度
  • 認知度向上
  • アプリインストール数の増加
  • ユーザー獲得
  • エンゲージメント
再生数課金
(CPV)
動画に適応される広告を指し、広告動画が10秒以上、あるいは最後まで視聴されると課金が発生します。こちらもCPIと同じく実際の閲覧数を把握できることから、正確な効果測定を行えます。 1再生あたり4~7円
  • 認知度向上
  • 動画の再生数アップ
  • エンゲージメント

 

このようにInstagram広告の課金形態にはさまざまな形式があり、費用相場も大きく異なります。事前に広告配信を通して得たい成果をはっきりと整理し、適切な広告配信を行っていきましょう。

6.Instagram広告の出稿方法と手順

ここまでInstagram広告の配信面や種類を紹介してきました。続いては実際の広告出稿のプロセスについて解説します。

①事前準備

Instagram広告を出稿するには、以下の3つの準備を事前に行う必要があります。

 

  • Facebookページ(アカウントを作成し、ビジネスアカウントの取得)
  • Instagramアカウント(プロアカウントの設定およびFacebookアカウントとの連携)
  • 広告費用を支払うための支払い方法の設定(クレジットカード、デビットカード、PayPal、銀行振込のいずれか)

 

Facebookアカウントが必要なのは、Instagram広告のメリットでお伝えしたように、Instagram広告はFacebook広告と同じプラットフォームで配信されるからです。またターゲティング精度を高めるためにもFacebookのデータは必要不可欠になります。スムーズな広告配信を行うためにも、上記3点の事前準備は必ずやっておきましょう。

②広告クリエイティブの用意

次に広告配信に必要な広告クリエイティブを作成します。配信面や広告の種類によって入稿規定がそれぞれ異なるため、規定を間違えることがないよう、しっかり確認しておきましょう。

③キャンペーンの作成

広告クリエイティブを作成したら、キャンペーンの作成に入ります。キャンペーンとはキャンペーンとは広告を管理する単位のことです。

 

作成方法は、Instagramのアプリ・Webサイトから作成するパターンと、Meta社が提供する広告ツール「Facebook広告マネージャ」を利用するパターンがあります。どちらからでも広告出稿できますが、Facebook広告マネージャは広告作成・出稿・データ分析の一元管理に加え、同じクリエイティブ、同じターゲティングで同時出稿を行うことができ便利です。

【Instagram】

Instagramのプロフィール画面を開き、「広告ツール」を選択します。「投稿を選択」から使用したい広告クリエイティブを選び、「次へ」をタップ、「キャンペーンの目的」を設定します。

 

キャンペーンの目的は以下の11の目的からひとつ選べます。

 

  • ブランドの認知度アップ
  • リーチ
  • トラフィック
  • エンゲージメント
  • アプリのインストール
  • 動画の再生回数のアップ
  • リード獲得
  • メッセージ
  • コンバージョン
  • カタログ販売
  • 来店数の増加

 

続いて「予算・配信期間の設定」を行います。予算は1日の予算または通算予算(配信期間全体で消化する予算の合計額)から選ぶことが可能です。1日ごとの予算が明確な場合は、前者を選ぶのが好ましいですが、イベントやキャンペーンなど特定の期間を通した予算がある場合は通算予算の選択がおすすめです。設定にあわせて予算が消化するように配信されるので、広告予算のオーバーを防ぐことができます。

 

次は「オーディエンスの設定」を行います。ここでいうオーディエンスとは広告を届けたい相手のことで、ターゲティング機能を利用してアプローチしたいユーザーを設定します。設定によりオーディエンスサイズ、潜在リーチ層、1日推定リーチ数、1日推定クリック数がシミュレーションされます。オーディエンスサイズを狭めるのか、広げるのかによって成果が大きく変わるので、配信規模や商材の種類を見極めながら調整しましょう。

【Facebook】

Facebookマネージャーを開き、「+作成」を押し、キャンペーンの目的を設定します。Facebookではキャンペーンの目的は以下の6つに分かれています。

 

  • 認知度アップ
  • トラフィック
  • エンゲージメント
  • リード
  • アプリの宣伝
  • 売上

 

目的を選択後、「次へ」をクリックし、「広告セット」を設定します。広告セットとは自社で作成した広告をどのようなターゲット層に、どのような方法で何日間掲載するのかなどの広告方針を指定するものです。

 

広告セットを終えたら、Instagram広告出稿と同様、予算と期間掲載、オーディエンスを決めます。

 

広告を掲載したい場所を指定する、「配置」という設定では自動配置される「Advantage+ 配置」が推奨されていますが、Instagram広告のみに出稿したい場合は手動設定する必要があります。フィードやストーリーズ、発見タブ・ホームなどさまざまな配信面への出稿を選択可能です。自社で用意した広告クリエイティブが各配信面の入稿規定に沿っているかどうか、改めて確認しておきましょう。

④広告の設定・掲載確認

すべての設定が終わったら、広告プレビューで表示を確認し、問題なければ支払い方法を追加、公開ボタンをタップすれば完了です。

7.Instagram広告で成果を出すポイント

最後にBtoB企業がInstagram広告で費用対効果を高めるためのポイントを3つご紹介します。

運用目的にあわせた広告出稿を行う

BtoB企業がInstagram広告で効果を出すには、運用目的に沿った投稿が大切です。なぜならば運用目的によって得られる成果が異なるからです。

 

たとえば広告出稿の目的がブランディングであれば、自社について知ってもらうために、従業員の様子や企業理念、オフィス紹介、CSR活動など企業に関する投稿を行い、投稿を閲覧したユーザーが企業に好感や信頼性を抱く内容にします。

 

BtoB企業におけるブランディングは、採用面での効果が高いのが特徴です。自社の理念に共感した求職者からの応募が増え、優秀な人材を確保しやすくなります。

 

あるいは自社商品の購入、サービス申し込みなどのコンバージョン獲得につなげたいのであれば、商品の魅力やサービスを利用することで得られるメリットを全面に押し出し、ユーザーに「この商品(サービス)を使ってみたい」と思わせるような投稿をメインにします。自社商品の認知度が上がるにつれ、コンバージョン率が高くなり、新規顧客の開拓がしやすくなります。

 

このように運用目的によって、得られる成果は大きく違います。出稿前にどのような成果を得たいのかを明確にし、目的にあわせた広告配信を行いましょう。

ターゲットを明確にする

Instagram広告は精度の高いターゲティングが可能ですが、一方でターゲティングがしっかりできていないと、適切なユーザーへ広告配信が行われずに広告費のみがかさんでしまう恐れがあります。費用対効果を高めるためにも、自社商品やサービスを利用するユーザーがどのような属性なのかを明確にし、正しいターゲティングを行うことが重要です。

コンバージョンへの導線設計をしっかり行う

Instagram広告にはショッピングタグやリンク設定、CTAボタンなどコンバージョン獲得につながる機能が数多く用意されています。これらを活用することで、広告を持ったユーザーを自社サイトやECサイトへ誘導し、商品購入やサービスの申し込みといったコンバージョンへとつなげられます。広告で成果を出すうえで、ユーザーにクリックされやすい導線作りは非常に大切です。特に動画広告やカルーセル広告は最後まで閲覧されない可能性があります。広告の最後にCTAボタンやリンクを設置するのではなく、広告の合間に表示するのも効果的です。

PDCAを回す

Instagram広告では、Instagramが公式に提供している分析ツール「インサイト」を利用し、以下のデータを確認できます。

 

  • インプレッション数(すべての投稿が表示された合計回数)
  • リーチ(投稿を閲覧したユニークアカウント数)
  • エンゲージメント(投稿へのいいねやコメント、フォロー、保存などのアクションをしたInstagramアカウントの総数)
  • プロフィールビュー(プロフィールの閲覧数)
  • フォロワー(性別、年齢、位置情報やアクセスの時間帯
  • 保存(投稿を保存したユニークアカウント数)
  • Webサイトクリック数(プロフィールのWebサイトのタップ数)
  • メールアドレスのクリック数(ビジネスへのメール送信のタップ数)

 

「インサイト」は多角的なデータを取ることができ、配信効果を細かく検証することが可能です。これらのデータをもとにPDCAを回し、広告の改善を随時行っていきましょう。広告運用が長いほどデータが蓄積されていき、コンバージョンを高める運用が見えてきます。

 

8.まとめ

本記事では、Instagram広告の概要から出稿手順、成果を出すポイントなどを網羅的に解説しました。

 

Instagramのユーザー数は年々増加しており、若いユーザーのみならず幅広い世代でも利用が広がっています。若年層向けの商品やサービスではなくても、十分効果が期待できる可能性を秘めた広告媒体のひとつです。広告出稿は少額からでも行えるので、ぜひ一度Instagram広告への出稿を行ってみてはいかがでしょうか。

 

ぜひ本記事が貴社のビジネスヒントのお役に立てれば幸いです。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Wed, 07 Feb 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[SWOT分析とは?4つの要素や進め方、ポイントまでわかりやすく解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/swot-analysis SWOT分析とは、自社の強み・弱み(内部環境)と、市場や競争における機会・脅威(外部環境)を分析して、自社の現状と競合他社、市場の将来性を把握するフレームワークです。主に、事業・マーケティングの戦略立案時に使われます。

 

本記事では、SWOT分析を使う目的、分析の仕方やポイントのほか、あわせて使いたいフレームワーク、SWOT分析の事例まで、詳しく紹介します。

 

 

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SWOT分析とは

SWOT分析は、事業・マーケティングの戦略立案時に使われるフレームワークです。
Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの視点から分析を行うため、「SWOT分析」と呼ばれます。
なお、SWOTの読み方は「スウォット」です。

 

ビジネスの計画・戦略を考えるには、自社の現状と競合他社、市場の将来性を把握することが欠かせません。SWOT分析はこれらの要素を一括で把握できる手法として、長年活用されてきました。

 

SWOT分析の図

 

簡単にまとめると、SWOT分析とは「自社の『強み・弱み』といった内部環境と、市場や競争における『機会・脅威』といった外部環境を分析して、強みを活かす、弱みを克服する、機会を捉える、脅威を把握して対処するなどの、計画の策定に役立つフレームワーク」です。

SWOT分析を行う目的

SWOT分析を行うと、現時点での「自社が置かれている状況」「経営を脅かす脅威」「自社の強み・弱み」などが明確になります。そのため、SWOT分析は次のような目的で使われています。

 

  • 事業やマーケティング戦略の立案
  • 組織目標の設定
  • 競合他社や市場の状況を分析
  • ビジネスチャンスを探す

 

さらに、以下のような目的で使うことも可能です。

事業の改善点を見つける

SWOT分析を行うと自社の現状、取り巻く環境といった情報を整理できます。事業に行き詰り解決策を探している場合、SWOT分析を行うことで見落としているポイントや、改善すべき点を探すことが可能です。

 

経営陣の刷新や合併、買収を行うとどのような影響があるのかを調べることもできます。

市場のリスクを把握する

自社がコントロールできない市場や競合他社を分析することで、市場の将来性や新規参入するリスクがわかります。また市場で勝つため、競合他社に負けないために必要な要素が知りたいときにも役立ちます。

 

新商品を発売する場合、新規参入を考える場合に効果的です。

SWOT分析は時代遅れ?

SWOT分析は1960年代ごろに開発された手法です。50年以上に渡り使われ続けているのは、それだけ有用だったからでしょう。しかし近年、時代遅れだという声があがるようになりました。

 

その理由として取り上げられるのが、以下3点です。

 

  • 分析結果を書き連ねるだけで終わってしまう。
  • 経済成長期に使われたフレームワークで、現代の複雑化した市場に合っていない。
  • 現時点のデータによる分析しかできず、わかりきった内容になる。

 

確かにSWOT分析は、顧客ニーズなどの現代ビジネスに必要な思考が入っておらず、情報整理の面が強い手法です。単に情報を書き出すだけでは、役に立たないと思うかもしれません。

 

SWOT分析を活かすには、クロス分析を行う、他のフレームワークとあわせて活用するなど、他の視点を取り入れる必要があります。特に外部環境は可視化しにくく複雑なため、より詳細に分析できるフレームワークとの併用が推奨されます。

 

SWOT分析は「時代遅れ」というよりも、「使いこなすのにコツがいる手法」です。使い方を知っていれば、戦略立案の大きな助けになります。中小企業やスタートアップなどの小規模事業者でも役立ちます。

 

クロス分析のやり方や他フレームワークについては、記事の後半で詳しく説明していますので、参考にしてください。

SWOT分析4つの要素

SWOT分析は、以下4つの要素で構成されています。

 

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

 

では具体的に、それぞれの要素はどういう意味なのかを紹介していきます。

Strength(強み)

自社が持っているもの、組織や社員が持っているもの、そして自社でコントロール可能なもの、活かすべき強みが「Strength(=自社の強み)」です。例えば、以下のような要素が当てはまります。

 

  • ブランド力や知名度
  • 技術力やノウハウ
  • 特許
  • 人脈
  • 顧客満足度
  • 市場シェア
  • サービスの質
  • 営業拠点、研究所などの施設
  • 人材、職場環境

Weakness(弱み)

目標達成の妨げとなっている自社の問題点、克服すべき弱みが「Weakness(=自社の弱み)」です。Strength同様、自社でコントロールできる範囲のものが当てはまります。

 

  • 自社が苦手としているもの
  • 自社技術でカバーできない領域
  • サービスの質
  • 価格
  • ブランド力や知名度
  • 競合他社に比べ弱いもの
  • 必要だがそろっていないもの
  • やる必要があるができていないもの
  • 離職率

Opportunity(機会)

自社でコントロールできない外部環境のうち、自社にとってプラスとなる要因、市場機会などのことです。なお、「外部環境」は「自社や社員を取り巻く環境」を指します。

 

  • 政治
  • 法改正
  • 社会情勢
  • 景気
  • トレンドの変化
  • ユーザーニーズの変化
  • 技術革新
  • 市場の成長、縮小
  • 競合他社の動き

Threat(脅威)

ThreatはOpportunityの反対で、自社でコントロールできない外部環境のうち、自社にとってマイナスとなる要因、回避すべき脅威を指します。特に、「自社の強みを打ち消してしまうような脅威」がThreatです。

 

  • 政治
  • 法改正
  • 社会情勢
  • 景気
  • トレンドの変化
  • ユーザーニーズの変化
  • 技術革新
  • 市場の成長、縮小
  • 競合他社の動き

SWOT分析のやり方

各要素を書き分けられるよう準備しましょう。規模が大きくなると使いにくくなるフレームワークなので、分析は1事業単位で行うのがおすすめです。より詳細に分析したい場合は、他のフレームワークを組み合わせながら進めてください。

1、目的を設定する

「SWOT分析を通して、どうなりたいのか(得たいものは何か)」を明確にしましょう。

 

マーケティング戦略や経営戦略など、分析の目的によって書き出す内容、集めるデータは異なります。また、複数の解釈ができる要素もあります。分析の際に混乱しないよう、フォーカスすべき点を明らかにしてから進めてください。

 

複数人で行う場合は、何を分析するのか、競合はどこか、対象の顧客属性などの前提条件も明確にして、認識に差が出ないようにしましょう。

2、外部環境を分析

外聞環境が内部環境に与える影響は大きいため、まずは外部環境のOpportunity(機会)、Threat(脅威)から分析を進めます。より具体的に分析したい場合は、PEST分析やファイブフォース分析など、外部環境に効果的なフレームワークも活用してください。

Opportunity(機会)

自社にとってチャンスとなる、外部環境の変化・要因を考えます。市場の変化、競合他社の変化など自社を取り巻く環境のうちプラスとなるものを洗い出しましょう。

 

例えば、「自社の近くに大型のテーマパークができた(観光客の来店が期待できる)」「流行色がある(カラーバリエーションを増やせば利益増加が見込める)」などが機会に当てはまります。

 

大きなチャンスは大企業が参入する可能性が高いため、中小企業の場合はニッチなチャンス、新しいニーズの発掘などを目指してみてください。

Threat(脅威)

自社の強みに対して、マイナスの影響を与える市場の変化、競合他社の動きなどを洗い出します。

 

「少子高齢化が進めば商品の売上が下がりそうだ」というなんとなくの脅威ではなく、政治の動きで来年は確実に市場が変わる、早めに改善する必要がある、といった「すぐに対処すべき要素」を書き出しましょう。

3、内部環境を分析

次に、内部環境であるStrength(強み)、Weakness(弱み)を分析します。「強み」としていたものは本当に強みなのか、「弱み」としたものが本当に弱みなのかの根拠も必要です。客観的な数値、データを用いて分析し、要素を抽出してください。

 

詳細に内部環境を分析したい場合は、VRIO分析などのフレームワークを使いましょう。

Strength(強み)

競合他社と比較して、ブランド力や知名度、技術力など、自社でコントロール可能な強み、個々の社員が保有している強みなどを洗い出します。

 

以下の要素も参考にしながら、考えを進めてみてください。

 

  • これまでの取り組みの中で最も効果が大きかったもの
  • 競合他社と比較して優れている点
  • 顧客は自社の何に魅力を感じているのか

 

「強み」と「良い点」は異なります。良い点だとしても、それが顧客のリピート理由になったり収益に影響したりする程度でなければ強みにはなりません。

Weakness(弱み)

目的達成の妨げとなっている、「自社でコントロール可能な弱み」を洗い出します。様々な改善点を書き連ねるのではなく、Opportunity(機会)で分析したチャンスを妨げる要因、目的達成を妨げる要因を考えていくのがポイントです。以下の要素も取り入れて、考えを進めてください。

 

  • 競合他社に劣っている点
  • 社員の離職率・経験年数
  • 顧客の人数
  • 顧客のニーズに対応できているか
  • 顧客のクレームで多いもの

 

「弱み」と「良くない点」がイコールとは限らないので注意しましょう。利益に影響しない、目標に対して弱みにならない場合は「弱み」とは言えません。

 

例:店が汚い
弱みになる場合→ターゲット層が若い女性やカップル。SNSに投稿したくなるようなおしゃれな店を目指している。
弱みにならない場合→「汚い」が店の個性として顧客に受け入れられている。

 

4、クロスSWOT分析で戦略を立てる

要素を掛け合わせる「クロス分析」を行うことで、洗い出した「情報」を「戦略」として考えることができます。クロス分析で、どのような戦略にするか考えたら、具体的なプランや数値目標へ落とし込みましょう。

Opportunity(機会)×Strength(強み)

Opportunity(機会)×Strength(強み)の図

 

機会と強みを掛け合わせると、「自社の強みを活かして、チャンスをつかむためには?」といった戦略が考えられます。強みをさらに強固にさせて、会社を成長させたい場合に役立ちます。

Threat(脅威)×Strength(強み)

Threat(脅威)×Strength(強み)の図

 

脅威と強みを掛け合わせると「脅威を、自社の強みを使ってどのように克服していくのか、どのように乗り越えるのか」などを検討できます。主に差別化戦略の立案に使われる分析方法です。

 

脅威はチャンスになる場合もあります。脅威への立ち向かい方とともに、ビジネスチャンスを探してみるのも良いでしょう。

Opportunity(機会)×Weakness(弱み)

Opportunity(機会)×Weakness(弱み)の図

 

機会と弱みを掛け合わせると、「自社の弱みをどう補強して、機会をつかむのか」「弱みで機会を逃さないために、やるべきこと」などが考えられます。

 

「長期的な視野で売上を伸ばしていくために改善すべきこと」などを考える際に役立つ分析方法です。

 

弱みを強みに変えるには?など、柔軟な思考を取り入れて考えてみてください。

Threat(脅威)×Weakness(弱み)

Threat(脅威)×Weakness(弱み)の図

 

脅威と弱みを掛け合わせると、「自社の弱みを理解し、脅威によるリスクを最小限に抑えるためにすべきこと」が検討できます。戦略的撤退、事業縮小などを考える際に使われます。

 

脅威と弱みが合わさると、事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。最悪の状況を避けるためにもしっかりとした議論が必要です。

SWOT分析のポイント

SWOT分析を行う際に意識したいポイントを紹介します。

要素の定義を明確にする

「強み」と「良い点」、「弱み」と「良くない点」は異なります。違いを区別できないと、効果的な分析はできません。

 

また機会といっても、それが「目標に対する機会」になるとは限りません。脅威も同様に、本当に脅威に分類すべきものなのか考える必要があります。

 

要素の定義を明確にしてから分析を進めてください。

具体性を高める

適切な戦略立案のためには、それぞれの要素に根拠が必要です。「これが強みだ!」と思っても、一度「なぜ強みと言えるのか」「こうなったら本当に強みと言えるのか」など、問いかけてみるのがおすすめです。

 

何度か問いかけを行うことで、曖昧な要素が具体的で根拠のあるものへと変わっていきます。

要素を混同させない

機会と強み、脅威と弱みは混同しやすい部分です。どの項目に入れたら良いのか迷ったら以下を参考にしてください。

 

  • 強み・弱みは自社でコントロールできる内部のこと
  • 機会・脅威は自社でコントロールできない外部のこと

表裏一体の要素は無理に分類しなくても良い

各要素は見方によって、強みにも弱みにも、機会にも脅威にもなる場合があります。どちらとも言い切れない、分類できない要素があれば無理に分ける必要はありません。

 

あらゆる要素を書き出しておけば、戦略立案の際に広い視野を持って判断できるでしょう。

 

要素を洗い出す際は、始めから厳選していくのではなく、様々な可能性を洗い出して、その中から必要な要素を絞り込んでいくと、抜けのない分析ができます。

複数人で議論しながら進める

広い視野で分析を行うには、複数人で進めるのがおすすめです。分析者の立場によって考え方は異なります。多種多様な立場のメンバーを選べば、様々な視点での解釈が得られるでしょう。

 

また主観の強い情報や都合の良いデータばかりを集めないように、議論をしながら進めるのもポイントです。広い視野を持ちながら、正確で客観的な情報収集を意識してください。

SWOT分析の注意点

要素を洗い出す場合は時間をかけすぎず、始めに決めた目的に沿ったもの、具体的な対策が必要なものなどから書き出して行きましょう。

 

一つひとつ分析を進めるのではなく、一旦全ての考えを書き出してみてから、要素ごとにグループを分けて、文章として整える、といった流れも効果的です。やりやすい方法で進めてください。

 

SWOT分析はクロス分析や要素の組み合わせにより、様々な戦略を検討できます。戦略立案の際はひとつに決め打ちをせず、いくつか考えたうえで、最適なものを絞り込むのがおすすめです。複数の戦略を検討することで、様々な可能性を考慮しながら施策を進められます。

SWOT分析のメリット

自社の強みと弱み、機会や脅威を把握できます。自社を取り巻く環境が多角的・客観的に判断できるのがSWOT分析のメリットです。

 

また、各要素は図で簡単にまとめられます。共有がしやすいため、社員が自社の強み、弱みや外部環境を共通認識として浸透させられるのもメリットです。自社を取り巻く要素が明確になるので、強みを活かした戦略、弱みを補う施策の立案などに役立ちます。

SWOT分析のデメリット

SWOT分析は全てを把握するフレームワークではありません。分析の結果はビジネス、市場の一部分です。抽出した結果だけで判断するのは避け、他の思考と組みあわせるのをおすすめします。
SWOT分析の結果は「戦略の立案を助ける要素」になりますが、「正解を導き出すものではない」ことは覚えておきましょう。

 

強みと考えるのか、弱みと考えるのかは人により解釈が異なります。偏った視点で判断してしまうと、正確な分析にならないのもデメリットです。

 

偏った情報や的外れなデータを取り入れてしまうこともあります。誤った情報を収集した場合、良い戦略は生まれません。より良い結果を手に入れるためには、目的に合致した正確な情報収集が必要です。

SWOT分析に役立つフレームワーク

ここでは外部環境を分析する際に役立つPEST分析、ファイブフォース分析、3C分析、内部環境を分析する際に役立つVRIOについて紹介します。

PEST分析

PEST分析の図

 

PEST分析は、政治・経済・社会・技術の4つの脅威が、自社に与える影響を洗い出すフレームワークです。マクロな視点で自社を取り巻く環境を分析します。

 

マクロ環境分析:間接的に、自社へ影響を与える外部環境を分析
ミクロ環境分析:直接的に、自社へ影響を与える外部環境を分析

3C分析

3C分析の図

 

3C分析は、Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)を分析し、自社を取り巻く業界環境、マーケティングに関する重要情報を整理するフレームワークです。ミクロな視点で、自社を取り巻く環境を分析します。

ファイブフォース(5フォース)分析

ファイブフォース(5フォース)分析の図

 

ファイブフォース分析は外部環境である「脅威」を分析する際に役立つフレームワークです。自社を脅かす要素を5つに分類し、それぞれの要素が自社にどのような影響を及ぼすのかを分析します。

 

  • 同業者の脅威
  • 代替品の脅威
  • 新規参入者の脅威
  • 買い手(顧客)の交渉力の脅威
  • 売り手(サプライヤー)の交渉力の脅威

VRIO分析

VRIO分析の図

 

VRIO(ブリオ)分析は、内部環境である自社の強み・弱みを分析する際に役立つフレームワークです。自社の経営資源を有形資産、無形資産、企業の組織力などから分析し、強みと弱み、競合他社に比べて優れている点などを明らかにします。

 

  • Value(経済価値)
  • Rareness(希少性)
  • Imitability(模倣可能性)
  • Organization(組織)

SWOT分析の事例

Apple(iPhone)、スターバックス、オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)のSWOT分析例を紹介します。

Apple(iPhone)

日本国内で大きなシェアを誇るAppleのiPhone(スマートフォン)について、SWOT分析を行いました。

Strength(強み)

iPhoneの強みは、高い品質とデザイン、セキュリティ面での信頼性が挙げられます。特にビジネス利用においては、セキュリティやプライバシーの保護が重視されるため、iPhoneの利用が好まれています。

Weakness(弱み)

iPhoneは価格が高く、一部のユーザーにとっては敷居が高いという弱みがあります。また、Androidスマートフォンに比べてカスタマイズ性が低いという面も指摘されています。

Opportunity(機会)

ビジネス向けや高額機種の需要が増加しており、これに対応した新製品やサービスの展開が可能です。また、5G通信の普及により、高速・高品質な通信環境が整い、新たなサービスの提供が期待されています。

Threat(脅威)

Androidスマートフォンの多様な価格帯やカスタマイズ性の高さが、一部のユーザーにとって魅力的な選択肢となり得るため、競争が激化する可能性があります。また、他のスマートフォンメーカーが新しい技術やサービスを提供することで、市場シェアを脅かす可能性もあります。

スターバックス

コーヒーチェーン店を運営するスターバックスについて、SWOT分析を行いました。コーヒーチェーン市場は日本国内で競争が激化しており、スターバックスを含む各社が独自の強みを持ちながらシェアを競っています。

Strength(強み)

世界的に有名なブランドであり、その知名度と信頼性が強みです。また、店舗数や多様なメニュー展開により、幅広い顧客層に対応できます。

Weakness(弱み)

競合他社に比べ高価格帯であることから、価格競争において劣る面があります。また、日本国内の伝統的な喫茶文化には沿っていない点が弱みになるかもしれません。

Opportunity(機会)

新たなコンセプトの店舗やサービスの展開により、顧客獲得やファンを増やす機会を持っています。また、地域密着型の戦略や環境配慮型の取り組みにより、新たな市場開拓の可能性があります。

Threat(脅威)

スターバックスは、ドトールコーヒーやタリーズコーヒー、コメダ珈琲店など、日本国内外で多くの競合他社と競り合っています。特に価格競争や新規参入の脅威、市場シェアの維持・拡大が課題となります。

オリエンタルランド

日本国内で最も知名度の高いアミューズメントパークの1つである東京ディズニーリゾートについて、SWOT分析を行いました。

Strength(強み)

東京ディズニーリゾートの強みは、豊富なコンテンツとエンターテイメント性です。ディズニーブランドの人気や、独自のイベント・パレードなどが大きな魅力となっています。

Weakness(弱み)

入場料や周辺施設の価格が高めであるため、一部の層にとって敷居が高いという課題があります。季節や天候に左右されやすいビジネスモデルを持っており、需要の変動に対応する必要があります。

Opportunity(機会)

日本国内の観光業が成長している中で、訪日外国人客の増加や国内需要の拡大が見込まれます。地域活性化や周辺施設の充実など、付加価値の高い施策により、顧客層の拡大やロイヤルティの向上が期待されます。

Threat(脅威)

日本国内のアミューズメントパーク市場でトップシェアを誇っていますが、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)やバンダイナムコアミューズメントなどの競合施設との競争が激化しています。

SWOT分析で行う自己分析

ビジネスで使われるSWOT分析ですが、自分の短所と長所、社会の状況が自分にどう影響するのかを客観的に分析できる、「自己分析の手法」としても注目を集めています。

 

主に、就活や転職において、自分の軸を明確にして合う仕事を探したり、キャリアデザインを設計したりする目的で活用されます。

自己分析のやり方

やり方はビジネスと同様。規模を個人にするだけです。強み・弱み・機会・脅威の4つの要素を洗い出します。各要素を掛け合わせて分析を行うのもおすすめです。

 

例えば、以下のような強み・機会があったと仮定します。

 

強み:ファッションが好き。ブログやSNSをよく見ており、流行を常に追っている
機会:美容・ファッション雑誌がウェブサイトをオープンし、人員を募集している

 

強みと機会を組み合わせることで、自分に合う仕事、活躍できる場を想定できるでしょう。

まとめ

SWOT分析は「使いこなすのにコツがいる手法」です。実践するうえで特に意識したいのは、「分析の目的と各要素の定義を明確にしてから進める」「強みと良い点、弱みと悪い点を混同させない」「客観的データ、根拠を集める」「広い視野を取り入れて進める」「他のフレームワークを取り入れる」など。ぜひ、参考にしてください。

 

 

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Wed, 07 Feb 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[データドリブンとは?意味や導入ステップ、成功に導くツールをご紹介!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/what-is-data-driven データドリブンとは、データ分析の結果をもとにビジネスの意思決定を行うことです。モノや情報があふれ、人々のニーズが多様化している現代では、データから得られる洞察を施策や戦略の立案、企業指針に活かすことがより重要になってきました。

 

ただ、比較的新しい概念のため「データドリブンにはどんなメリットがあるの?」「どのように導入すればいいの?」と思う方も多いのではないでしょうか。

 

そこで本コラムでは、データドリブンの意味やメリット・デメリット、導入ステップなどをまとめて解説していきます。

 

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データドリブンとは

データドリブン(Data Driven)とは、収集したデータに基づいてビジネスの意思決定をする手法のことです。日本語では「データ駆動」と訳され、「データに駆り立てられて動くこと」といった意味を持ちます。

 

いままでのように経験や長年の勘に頼るのではなく、日々生成されるビッグデータを分析して経営やマーケティングに活用します。

 

一見、「IT化とどう違うの?」と感じる方も多いかもしれませんが、データドリブンはデータに基づいた仮説を立てることで、高い精度の意思決定が可能になるため、多くの企業が重要視しています。競争力を磨いていくうえで、不可欠な手法といえるでしょう。

データドリブン経営

データをもとに、企業の戦略や施策方針を決定する経営方法を「データドリブン経営」といいます。経営者などの主観を含めず、客観的な視点で意思決定できるため、より顧客のニーズに合った精度の高い戦略が打ち出せます。

データドリブンマーケティング

データドリブンマーケティングとは、売上やユーザーの行動履歴などデータを重視したマーケティング活動です。データを根拠にしたマーケティング施策は、上層部をはじめとした関係者の理解が得やすく、成果にもつながりやすいなどさまざまなメリットがあります。

 

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データドリブンが重要視されている理由

では、なぜデータドリブンが注目されているのでしょうか。その背景についてご説明します。

日本企業のDX推進

近年、テクノロジーの進化や市場のグローバル化で、企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)化が急務とされています。DXとは、デジタル技術を活用して自社の競争力を高め、ビジネスを変革していくことです。従来のアナログからデジタルへと移行して、企業の競争優位性を向上していきます。

 

このDX化の中心となるのが、データドリブンへの取り組みです。社内のシステムを構築し、データの集約、分析、ツールの導入などを推進することで、DXによる変革も加速します。このように、データドリブンとDX推進は密接な関係にあり、多くの企業が注力するようになりました。

購買モデルの多様化

従来の消費者は、店舗に足を運んで商品を購入していましたが、いまではオンライン上でショッピングを楽しむ顧客が増えています。直接、店舗で顧客と対話をすれば、何を目的に来店しているのか、経験からある程度予測できるかもしれません。しかしいまは、市場変動が早いこともあり、勘や経験だけを頼りにするのが難しくなっています。

 

また、消費者は事前にSNSや口コミで、商品を調べてから購入するなど、購買モデルは年々多様化しています。
データドリブンは、データ分析で市場をリアルタイムに可視化でき、顧客ニーズを把握することが可能です。そのため、顧客満足度の高いサービス提供への活用が期待されています。

デジタルマーケティングの普及

デジタルマーケティングの発展により、企業ではデータを活用して施策を考えたり、課題を明確にしたり、費用対効果の高い戦略につなげられるようになりました。

 

たとえば、かつてアンケートやコールセンターで集めていた顧客の声は、SNSやレビューサイトで確認できます。「自社サイトにどのくらいのユーザーが訪れているか」ということもデジタルツールを使えば簡単に把握可能です。データから改善点を見つけたり、確度の高いホットリードを抽出してアプローチすることもできます。

 

このようにデータ収集の技術が向上したことも、データドリブンをビジネスに活かしていく考えにつながっています。

AIによるデータ分析の進歩

AIによるデータ分析が身近になったことも、データドリブンが注目されている理由のひとつです。AIシステムを活用すれば、短時間で高精度のデータ分析が可能になり、業務の効率化や生産性の向上が期待できます。ビッグデータの分析も容易となり、AIの普及がデータドリブンの実現を強化しています。

 

また、AI分析で人為的ミスや人件費も削減可能です。人的負担も軽減するので、人手不足に悩む多くの企業がデータドリブンの活用を重視するようになっています。

データドリブンのメリット

データドリブンには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットについて解説します。

顧客ニーズを把握できる

データドリブンは大量のデータを活用して、顧客を細かく分類できるため、顧客のニーズを正確に把握し、個別のアプローチが可能となります。近年、注力されている1to1マーケティングに活用して顧客との関係を深め、満足度向上につなげることができるでしょう。

 

また、データ分析によりトレンドやニーズの変化も早期に捉えられ、顧客の新たなニーズや市場の変動へも柔軟に対応できます。顧客ニーズの把握は、企業にとって競争優位性を築くための不可欠なステップです。データを活用して顧客の期待に応え、ビジネスの成果を最大化しましょう。

意思決定の精度が高まる

データドリブンを活用すれば、勘や経験に頼るのではなく、データに基づいた客観的な判断ができます。そのため意思決定の精度が高まり、そのスピードも向上します。経験やノウハウがなければ、周囲を納得させられなかった場面でも、データドリブンなら数値的な根拠があるため理解してもらいやすくなるでしょう。

 

グローバル化が進み、経営層はスピーディな意思決定を求められています。いままでは長年の経験をもとに経営判断をする場面が多くみられましたが、経験が浅くてもデータを利用すれば素早い判断が可能になります。

課題を発見しやすい

ボトルネックがどこにあるのかを発見するのには時間がかかりますが、データドリブンを実践すれば、取得したデータから課題を浮き彫りにできます。
データに基づいた分析で、隠れていた課題を見つけられる可能性も高まります。予測分析を活用すれば、将来のボトルネックを予測し、事前に対策を講じることも可能です。

データドリブンのデメリット

一方、データドリブンのデメリットとしては以下の3つが挙げられます。

データを扱うスキルが求められる

データが集約できても、それを読み込み、分析できなければ宝の持ち腐れです。データドリブンでは膨大なデータを扱うため、蓄積・分析・可視化などデータを扱う高いスキルが求められます。また、分析した結果を施策に反映させるため、データ分析に強い人材も必要です。

 

しかし最近は、デジタル人材の不足が問題視されているため、確保するのは難しい状況です。社員の育成や外部への業務委託も検討しておくとよいでしょう。

インフラ整備のコストがかかる

データドリブンをはじめるには、データ収集・分析をするためのシステムやツールの整備が必須です。サーバーやデータベースの導入、保守、アップデートなどにかかるコストは、予算に影響を与える可能性があるので、事前に見積もっておきましょう。

 

クラウドベースのツールなら初期費用を抑えつつ、機能を柔軟に拡張できます。データドリブンのメリットを最大限に引き出すためには、コスト面にも注意を払いつつ、戦略的かつ効果的なデータインフラの整備を行うことが重要です。

データ活用までに時間がかかる

データドリブンの活用には、十分なデータ収集と整理をするための時間やリソースが必要です。既存のデータインフラを整備し、データの品質向上を推進するには、組織全体でのデータの一貫性を確保するための計画と実装が重要になります。データに基づく意思決定を浸透させるには、データの価値を理解するための社内教育やコミュニケーションの改善が欠かせません。

 

このようにデータドリブンは、成果を実感するまでに時間がかかります。ただし、適切なステップを踏み、継続的な取り組みを行うことで成功体験が積み重なり、データドリブンの組織づくりが実現するでしょう。

データドリブンで成果を出すための基本の4ステップ

データドリブンを成功させるには、以下の4ステップを実践し、継続的に進めることが重要です。

ステップ1:データの収集

まずはデータを収集する仕組みづくりからはじめます。ただし、データにはさまざまな種類があり、すべてを収集するのは現実的ではありません。どの領域でデータドリブンを導入するのかを、事前に決めることが大切です。データを活用して何を達成したいのか、何を目的にするのかを明確にします。

 

たとえば、データドリブンをWebマーケティングに活用する場合は、ダウンロード数やCV(コンバージョン)数を集めるなど、サイトから商談化、売上へとつながるデータを集約します。収集するデータが決まったら、業務システムやデータ管理ツールなどを活用して情報を蓄積していきましょう。

ステップ2:データの可視化

データを集めたら、分析するために可視化します。種類ごとに分類して、わかりやすく表やグラフにしましょう。Excelなどを活用して手作業でも行えますが、ビッグデータになればなるほど整理には膨大な時間がかかります。人為的ミスを防ぐためにもサポートしてくれるデジタルツールの導入がおすすめです。

ステップ3:データ分析

可視化したデータを目的に合わせて分析します。最大値や最小値、平均値など数値的な分析はもちろん、データからわかる傾向や変化なども分析できれば、新たな戦略の発見につながります。

 

データの分析は、マーケティングスキルの高い「プロジェクトマネージャー」や「データサイエンティスト」と呼ばれるデータ分析に強い人材が行えると理想的です。人材が不足し、分析が思うように進まないときは、Web解析ツールなどを利用したり、外部のコンサルティングを受けたりする方法もあります。

ステップ4:アクションプランの計画・実行

分析が完了したら、具体的なアクションプランに落とし込みます。施策は、すぐに実行できるものもありますが、Web広告の出稿などコストがかかるものもあります。費用対効果を考慮しながら施策を選定し、経営改善につながるプランを実行しましょう。成果が出ない場合は、PDCAサイクルをまわしながら改善を図ります。

データドリブンを成功させるための注意点

データドリブンで成果を出すためには以下のポイントに注意しましょう。

デジタル人材の確保

先述したとおり、効果的なデータドリブンを実現するためには、データ分析・処理ができる人材が必要です。せっかくデータを集めても、活用できなければ意味がありません。データを読み込んで分析したり、わかりやすくデータをまとめたり、データを扱うスキルが求められます。

 

データドリブンの概念が経営層に浸透していない場合は、分析結果をわかりやすく説明できるビジネス全般への理解も重要になります。人材が確保できない場合は、ツールの導入や社員の育成、外部からのリクルートなどの環境づくりを行いましょう。

部署間の連携

社内の連携が取れていないとデータ分析ができる人材をそろえたとしても、管理不十分で成果が得られないかもしれません。テクノロジーの急速な普及に伴い、段階的にツールを増やしていった結果、データが分散してしまっているケースもあります。その場合、状況把握や準備をするだけで手間がかかり、分析する前に挫折してしまう可能性があります。

 

スムーズなデータ分析を進めるためにも部署間で協力し合い、データを一元管理することが不可欠です。また、経営層がデータドリブンを理解していないと、アクションプランが実行できないので、企業全体のデジタル化も同時に推進していきましょう。

目的と費用対効果からツールを選定

ツールを選定する際は、達成したい目的を洗い出し、その上で費用対効果を確認してから選定しましょう。

 

現在、多くのビジネスツールが登場していますが、一般的には利用人数や機能などによって料金が変動します。必要な機能がそろっているかを確認し、選定したツールが投資に見合う価値を提供してくれるか、長期的な視点での費用対効果を重視します。
はじめてデータドリブンを実施する場合は、安価なツールからスタートして、データ運用に慣れることからはじめてもよいでしょう。

データドリブンに役立つデジタルツール

ここからは、データドリブンをサポートしてくれるデジタルツールをご紹介します。

DMP(データマネジメントプラットフォーム)

DMP(Data Management Platform)とは、Web上の行動履歴やSNSデータ、自社の顧客情報、購買履歴など多種多様なデータを一元管理できるツールです。データを収集して整理、解析し、ターゲティングや広告の最適化に活用できます。

 

DMPは、主に第三者が集めた「3rd party データ」といった行動データが収集できる「オープンDMP」と、自社データと外部データを一元管理できる「クローズDMP」の2つに分けられます。これらのデータをマーケティングツールと連携すれば、顧客のニーズに合わせた1to1マーケティングが実現可能です。

MA(マーケティングオートメーション)ツール

MA(マーケティングオートメーション)とは、見込み顧客を獲得してから、育成し、商談化するまでのマーケティング活動を自動化することです。そのプロセスをサポートするのがMAツールです。

 

たとえば、見込み客の検討段階がわからないままでは、的外れなタイミングでアプローチをしてしまうかもしれません。MAツールで行動ログに合わせた情報を提供すれば、機会を逃さずに購買意欲が高められます。

 

MAツールの利用で、「顧客情報のリスト化」「セグメントメール」「ホットリードの抽出」など一連のリード育成ステップが自動で進められ、マーケティングや営業活動の効率化、生産性の向上が実現します。

 

MA(マーケティングオートメーション)ツール

 

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SFA(セールスフォースオートメーション)

SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動を効率化し、生産性を向上させるためのシステムのことで、日本語では「営業支援システム」と訳されます。SFAシステムには、顧客管理、商談管理、活動管理、レポート作成などさまざまな機能が搭載されており、導入することにより営業プロセスの自動化、管理、最適化が実現可能です。

 

営業に関するすべての情報を一元管理できるので、情報の抜け漏れを防いで迅速な意思決定が行えるようになります。

 

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CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)

CRM(Customer Relationship Management)とは、日本語で「顧客関係管理」と訳され、顧客情報や行動履歴などを管理して、顧客との関係を強化する戦略やシステムのことを指します。

 

CRMツールを導入すれば、顧客のニーズや行動をより深く理解でき、効果的なマーケティング戦略が立てられます。CRMに蓄積された顧客の購買履歴や嗜好など、詳細な情報をもとに個別のコミュニケーションを取ることで、顧客との信頼関係を構築でき、顧客満足度を高められるでしょう。

 

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アクセス解析ツール

アクセス解析ツールは、Webサイトのアクセス数や流入経路、滞在時間などユーザーの行動に関するデータを収集・分析できます。ツールを活用することで、訪問者の傾向やニーズがわかり、生産性が高いのはどのコンテンツか、どのページを改善すべきかなどユーザー体験向上のヒントが手に入ります。

 

また、アクセス解析をすることで、オーガニック検索(自然検索)が多いのか、広告からの流入が増えたのか、ユーザーの流れがリアルタイムで追跡可能です。SEOを強化したい場合も、キーワードがどのように影響しているのかわかるため、改善点を見つけられます。

BI (ビジネスインテリジェンス)ツール

BI(Business Intelligence)ツールとは蓄積したデータを集約し、可視化、分析するツールです。顧客情報や経営数値など、社内に分散したデータをまとめて意思決定や課題解決を支援してくれます。

 

代表的な機能は、「レポーティング」「OLAP分析」「データマイニング」「プランニング」の4つです。レポーティングでは、収集したデータをグラフや表などでわかりやすく表示。会議資料や成果報告などのレポートとして日常的に使用できます。
OLAP(Online Analytics Processing)分析は、データをさまざまな視点から多角的に分析する機能です。同一データを複数の角度から分析して現場を把握し、課題を見つけます。

 

BIツールを活用すれば、経営層はビジネスの意思決定が早くなり、データに基づいた精度の高い戦略が打ち出せます。現場においては課題が把握しやすくなり、マーケティング立案が迅速に行えるでしょう。

 

まとめ

データドリブンは、企業がデータを活用し、意思決定をより合理的かつ効果的に行うアプローチです。購買パターンやニーズの多様化など、ビジネス環境が急速に変化している現代では、長年の勘に頼るのではなく、データを活用した高精度の戦略が求められています。

 

データの価値を最大限に引き出すには、ビジョンと目標を確立し、組織全体でのデータ活用に取り組む体制づくりが成功のカギとなります。ビッグデータを扱うため、デジタルツールの導入も不可欠です。ツールやAIを組み合わせることで、データの複雑さに対処し、リアルタイムでの意思決定が実現します。

 

MAツールやDMP、BIツールなどサポートしてくれるツールを上手に活用して、効率的にデータドリブンのプロセスを進めましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Fri, 26 Jan 2024 09:00:00 +0900
<![CDATA[ターゲティングとは?戦略的ターゲット設定の仕方や目的、フレームワークをご紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/targeting ターゲティングとは、自社の製品やサービスを、「どのような顧客」に買ってもらうかを決めるプロセスのこと。ターゲティングはビジネスを成功させるうえでのスタートラインでもあり、ターゲティングの策定をどのようにおこなうかによって、マーケティング戦略も大きく変わってきます。

 

ターゲティングをするうえで市場を理解するためには、STP分析と6Rフレームワークを活用します。STP分析では市場を細かく分け、ターゲットを絞り込んで差別化する一方で、6Rフレームワークは認識から戦略のレビューまでの手順を提供します。

 

さらに具体的な成功事例を実戦に落とし込むことで、ターゲティングをより効果的なものにブラッシュアップすることが可能です。本記事では、ターゲティングの基本から、STP分析と6Rフレームワーク、活用ポイントに事例まで網羅的に解説します。

 

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ターゲティングとは

ターゲティング(Targeting)とは、自社の商品やサービスを、どのような顧客に売るかを決めるプロセスのことを指します。市場を細分化し、そのなかで自社がターゲットとする市場を選ぶことを表すマーケティング用語・マーケティング戦略です。

 

市場には年齢や性別・仕事などが異なる、さまざまな顧客層が存在します。すべてのお客様をターゲットにしてしまうと、ひとつの商品やサービスですべてのニーズに答えることは難しく、戦略もあいまいになってしまいます。

 

そこでターゲティングを行い、市場をいくつかのグループに分け、ターゲットを一部の顧客層に絞り込むことで、特定のニーズを満たせる商品やサービスを提供できるようになります。自社の商品やサービスが勝てる市場を選ぶことで、戦略を最適化することができます。

 

さらに、ターゲティングを進めるうえでは、マーケティングの代表的なフレームワークである「STP分析」も重要です。STP分析とは、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」それぞれの頭文字をとったマーケティング用語で、3ステップで市場を分析する方法です。次の章からはSTP分析について詳しく説明していきます。

マーケティング戦略(STP分析)の流れ

STP分析とは、「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」それぞれの頭文字をとった、マーケティングにおける分析方法です。マーケティングの神様とも表される経営学者フィリップ・コトラー氏によって提唱されたフレームワークで、市場における自社商品の立ち位置を明確にする目的で使われます。

 

そもそもターゲティングは単体で機能するものではありません。STP分析の流れに沿って自社の商品やサービスを分析し、マーケティングの戦略に反映することで、初めて売上拡大といった成果に繋げることができます。またSTP分析で重要になるのは、顧客目線です。ユーザーニーズを正しく理解したうえで、STP分析に取り組むことで、ターゲティングはより具体的で有用なデータとなります。

 

ここではSTP分析を構成する3つの要素「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」についてそれぞれ解説します。

セグメンテーション

セグメンテーションとは、「市場の細分化」という意味です。市場を分類し、その構造を把握するプロセスを指します。

 

市場の分類方法としては、顧客の属性、たとえば年齢や居住地、過去の行動ログなど、さまざまな評価軸が使われます。

 

セグメンテーションは次のステップであるターゲティングをおこなううえでも、土台となるプロセスです。セグメンテーションをどうおこなうかによって、マーケティング戦略やその成果に大きく影響するため、慎重に進める必要があります。

ターゲティング

ターゲティングは、セグメンテーションによって分類された市場のなかから、自社製品が勝負するグループを決めるステップです。

 

ターゲティングをおこなううえでは、自社製品だけでなく、おなじ市場をターゲットとする競合他社・ライバル社を調査し、比較する必要があります。そのうえで、自社の強みが求められるグループを特定し、また競合に対して差別化をすることが必要不可欠です。

 

正しくターゲティングをおこなうことで、市場で得られる成果を最大化することができるため、重要なステップといえます。

ポジショニング

ポジショニングは、ターゲティングで決定したグループに対してどのような価値や魅力を提供するかを決めるプロセスです。

 

ポジショニングではとくに、競合他社との差別化を重視します。同系統の製品やサービスであっても、ライバル企業とは異なる部分を抽出して差別化をし、アピールポイントを確立することがカギとなっています。

 

自社製品を分析して、ターゲットとするグループが求める価値や魅力を可視化すれば、自社の製品を唯一無二の存在としてブランディングすることができ、具体的な広告媒体や、商談のプロセスに反映させることが可能です。

ターゲティングの重要性

近年市場は飽和状態にあり、製品の性能だけでは訴求力に欠ける、というのが現状です。このような状況下で、ターゲティングはますます重要性を増し、注目を集めるようになりました。

 

モノ・情報ともに飽和したマーケットで、より売り上げを伸ばしていくためには、マーケティング活動の最適化が必要です。そこで必要となるのが、営業から集客、販売促進の基本であるターゲティングの精度を上げ、特定した顧客層の興味を惹きつけるコンテンツを作成し、自社製品のブランド性を高めていくことです。

 

またマーケティング戦略を強化するためには、ターゲティングを通じて顧客のニーズを繰り返し分析することや、製品を顧みることで改善する施策も必要になります。

 

先に述べたSTP分析をおこなううえでも、ターゲティングは最も重要な要素ともいわれています。ターゲティングのステップを怠ることで、広告販売戦略における費用対効果が低下したり、市場における競争優位性を失ったり、ということにも繋がりかねません。ターゲティングを正しくおこなうことで、マーケティング施策の効率化、成果向上を目指しましょう。

小規模なターゲティングでビジネスをより効率化できる

ターゲティングは、企業全体の市場戦略において重視されていますが、実際にはより小規模な範囲でのターゲティングは、ビジネスにおいて非常に有益であることがわかっています。

 

たとえば製品開発者は、ターゲティングによって目的の市場や顧客層を明確にすることで、開発のうえでの重要なヒントを得ることができます。

 

同様に

  • マーケティング担当者が新たな広告施策を打つとき
  • 人事担当者が特定のスキルや経験を持つ人材に的を絞ったリクルート戦略をおこなうとき
  • イベントプランナーが参加者のニーズを満たす体験を提供するとき

など、ターゲティングは成功のための足掛かりとなるはずです。

ターゲティングの精度を上げるフレームワーク「6R」

ターゲティングによってビジネスの成果をあげるうえで、非常に重要視されているのが「6R」フレームワークです。

 

「6R」という名前は、それぞれの頭文字をとってつけられたものです。「6R」フレームワークを活用することで、ターゲティングの精度をさらに上げることができ、ビジネスの成功に寄与します。ここでは、このフレームワークの6つのステップを順に解説します。

市場規模の有効性(Realistic Scale)

ひとつめの「Realistic Scale」は、直訳すると「現実的な規模」という意味で、ターゲティングの対象となる市場規模が、有効であるかを検証するための枠組みです。

 

市場についてのより正確な情報を得るには、各省庁、業界団体、民間調査会社などが公表しているデータを活用します。売上高は、対象市場の規模に比例して高くなる一方で、市場規模が大きいほど競争が激化する傾向にあるため、市場規模に応じて、競争状況に留意しましょう。

 

「Realistic Scale」を通じて、今よりも規模の小さい市場を選ぶことで、マーケティング活動でより大きな効果を得られることもあります。また数が少ないことから重要視していなかった、少数派の顧客層のニーズに焦点をあてることで、高いシェアを獲得することも可能になります。

 

しかしながら、市場規模が小さくなるほど利益も減少するため、製品やサービスの販売見込みや、かかるコストに対して、市場規模が見合っているかを常に確認する必要があります。業界や市場において効果的かつ持続可能な成果を得るためには、バランスのとれた市場規模の見極めが肝要となるのです。

成長性(Rate of Growth)

「Rate of Growth」は「成長率」を表し、ターゲティングの対象となる市場の成長率・成長性を分析するフレームワークです。このアプローチでは、市場の売上高やシェア、市場のトレンドや製品のジャンルを把握することで、将来の成長性を分析します。

 

将来的に成長が見込まれるマーケットであれば、早期の参入によって、先行者利益を得られる可能性が大きくなります。確実に成長するといえない場合でも、新しいマーケットであるほど、今後の期待値を高く評価します。

 

ただし、すでに成熟・衰退していて成長が見込めない市場や、たとえ規模が大きくて競合が少なくても数年で衰退してしまうような市場は、慎重に選定しましょう。一方で、市場そのものが衰退しているとはいえ、自社製品がマーケットを独占できる可能性がある場合や、関連性のあるマーケットに展開することでほかの市場も狙える場合は例外です。そのため、成長性を正しく見極めるためには、長期的な視点も必要になります。

 

いまは規模が小さい市場でも、成長性を分析するためには、無料で利用できるツール「Googleトレンド」を活用するのがおすすめです。これにより、市場や製品の検索トレンドを把握し、成長性を正しく評価することができます。

顧客の優先順位と波及効果(Rank/Ripple Effect)

「Rank/Ripple Effect(顧客の優先順位と波及効果)」は、ターゲティングの対象となる市場の優先順位に焦点を当てたフレームワークです。ここでは、各マーケットに優先順位を付け、その重要性を検討します。

 

BtoCにおいてはたとえば、インフルエンサーが存在する市場やメディアが注目する市場は、マーケティング戦略の展開において波及効果や口コミ効果が得やすく、優先順位が高くなります。一方で市場に優先順位をつけるうえでは、顧客層の分布情報・男女比率・興味分野などを把握することで顧客のニーズを理解しましょう。この場合は、マーケットの重要性が高くても、顧客層と自社製品が合致しなければ売上が見込めないことがわかります。

 

また、顧客層として優先度が高いかどうかも、重要な判断基準です。ターゲット層の関心度が熱量が高い製品やサービスであれば、顧客からも発見してもらいやすくなり、メディアやSNSを通じて広がりやすい施策が可能になります。

 

さらに市場の波及効果も注視すべきポイントであり、小さな市場であってもほかの市場に発展する可能性があれば挑戦する価値があります。BtoBであれば、業界で知名度が高くほかの企業への影響力も大きい企業と提携したり、事例を積極的に提示することで、口コミの信頼度を向上させ、ほかの企業に対しても自社製品の価値をアピールできます。

到達可能性(Reach)

市場に参入する上で欠かせないのが、自社製品がどれだけ顧客に到達できるか、といった「到達可能性(Reach)」を考慮することです。

 

どれだけ製品が優れていても、地理的な障害や輸送コストなど、物理的な要因によって顧客に届けられない場合、一度市場への参入を見直しましょう。

 

ただ近年はインターネットの発展により、オンラインストアやランディングページといった販売チャネル、WebサイトやSNSをはじめとするコンテンツメディアを構築することで、物理的な障壁があっても、十分顧客にアプローチできるケースも増えてきました。

 

もちろんオンラインだけではなく、小売店や代理店ネットワークなどを含む、物流におけるパートナーシップを構築したり、地域別の広告戦略を最適化したりすることも可能です。ターゲットとする地域や市場を見直す指標として活用してみてください。

競合状況(Rival)

ターゲティングをする市場において、ライバル企業を詳しく調査するフレームワークが、「競合状況(Rival)」です。競合他社との比較を通じて、自社のポジショニングや競争上の優位性を把握することは、その市場で成果を出すために欠かせません。

 

競合調査をするうえで、まずは競合となる製品やサービスがあるかを調査しましょう。そのうえで、すでに競合が多く市場が飽和している「レッドオーシャン」である場合は、参入しても厳しい戦いを強いられることも。

 

競合調査の内容として、まずは売上や利益率を評価し、ライバル企業の経済的な状況を理解します。広告や販売管理にどれだけの予算を投じているかを調べることで、市場に参入する難易度も見えてくるはずです。さらに、製品開発の進捗状況、新製品の導入頻度を把握すれば、技術的な差別化や市場の動向を予測できます。

 

これらの調査をもとに、ライバルの少ない「ブルーオーシャン」を選ぶことで、大きくシェアを得ることも可能になります。

 

また競合調査のなかで、販売ルートや営業手法、顧客サポートやアフターサービスに焦点を当て、競合他社との差別化ポイントを見つけることで、顧客とのリレーションシップにおいて差をつけるヒントを得られるでしょう。

反応の測定可能性(Response)

「Response(反応の測定可能性)」は、ターゲティングをする市場において、PDCAサイクルを回せるかどうか、顧客の購買力や傾向・フィードバックを正しく測定できるかどうかを判断するフレームワークです。

 

マーケティングではさまざまな施策をおこないますが、どの施策でどのくらいの効果が得られたかを分析するには、顧客の反応を測定できることが必須となります。

 

近年はデジタルマーケティングに取り組む企業も増えていることから、つい新しい施策に目が行きがちになりますが、まずは現在おこなっている施策の効果を正しく測定することが大切です。また効果を測定するには、施策それぞれの指標と、全体の指標をそれぞれ設定しておきましょう。

 

正しい効果測定がおこなえれば、施策の改善もしやすくなるうえ、企業やチームのモチベーション向上にもつながります。さらに費用対効果があきらかになることで、コストの最適化を図ることもできます。

ターゲティングをするメリット

ターゲティングをおこなうことで得られる具体的なメリットを3つご説明します。

新規獲得

新規顧客獲得に課題を抱えている場合、ターゲティングを見直すことで成果に近づけることができます。

 

あらためて既存顧客のニーズはもちろんのこと、競合他社を含めて検討する潜在層のニーズを、アーンドメディア(SNS、ブログ、口コミサイトといった消費者・ユーザー自らが発信するメディアのこと)を通して調査することも有効かもしれません。

 

さらに先に記述した「6R」のフレームワークを使って、市場の選定を見直すことで、行き当たりばったりの飛び込み営業から脱却し、より的を絞ったアプローチができるようになります。

客単価向上

ターゲティングを実施するメリットの1つに、既存顧客の客単価向上があります。

 

売上を増やすための一般的な手段の一つです。顧客単価を向上させるには、顧客のニーズを正確に理解し、それに合った付加価値を提供することが重要です。

 

ターゲティングを行うことで、特定の市場セグメントや顧客層の傾向や特性を把握しやすくなり、それに基づいて効果的なアプローチを展開できます。結果として、商品やサービスの付加価値が高まり、顧客はより多くの価値を感じ、それに応じて購買意欲が高まります。

実施検証できる

市場を絞り込むことで、施策の実施検証がしやすくなるのも、ターゲティングをするメリットといえます。

 

特定のターゲットにフォーカスすることで、広告のクリック率や販売の伸びなどといった数値をターゲットごとに評価できます。マーケティング戦略の効果を定量的に測定することで、本当に需要がある顧客層にリソースを割り当てることができるようになるため、コストの最適化がはかれることもまた重要なメリットです。

 

このように、ターゲットとする市場や顧客層に対するPDCAサイクルが回しやすくなるため、顧客の興味を引く広告やコンテンツを提供し、さらに顧客の関心を高め、関係を深めることができるのです。

段階的ターゲティングによってさらなる企業成長を目指せる

ターゲティングをおこなってアプローチを進めていくうちに、セグメントの幅を広げていく「段階的ターゲティング」に取り組むことで、企業成長につながります。また段階的なアプローチは、市場の理解を得やすく、リスクを最小限におさえられるのもメリットです。

 

段階的ターゲティングの最初のステップでは、既存の市場においてリファレンスユーザーを確立します。業界でも名の知れた最大手企業が導入することで、ほかの顧客もこれを見習って次々に導入する、といったケースは往々にして起こるケースです。

 

次にこれらの実績をベースに、同じ事業を展開する他のセグメントに積極的にアプローチします。この際には、リファレンスユーザーの成功事例をもとに「既に最大手企業A社に導入されており、貴社でも成果が出せるはずです」という形で営業活動を進めます。

 

最終的には、他業界や新たなセグメントに向けてアプローチを拡大します。異なる製品やサービスを提供するなどの新たな施策が導入され、事業の領域が広がります。

 

たとえば高品質なカメラ製品を提供することで市場に参入した企業Aは、競合が激化するなかで、新たな市場を見出すべくアプローチを拡大しました。最初のターゲティングは「趣味の写真愛好者」といったセグメントでおこないましたが、次第にプロのカメラマン向けにも展開。写真加工ソフトやアクセサリーの提供に進出し、事業領域の拡大に成功しました。

ターゲティング成功のポイント

ターゲティングの基礎知識や重要性、ターゲティングをするうえでのフレームワークやメリットについて解説してきました。

 

ここでは、ターゲティング成功の鍵となるいくつかのポイントをご紹介します。

大まかな属性のみで限定しない

ターゲティングを成功させるためには、年齢や性別といった大枠の属性だけでなく、より詳細な属性に焦点を当てることが重要です。

 

たとえば同じ30代の男性といっても、さまざまな職業・ライフスタイルが思い浮かぶはずです。

 

企業で働くサラリーマン、自営業者、フリーランス、既婚や独身、アウトドア派かインドア派か、スポーツに興味があるか、ライフイベントを控えているか…などなど。このようにさまざまな属性をもつターゲットをひとくくりにしてしまっては、抱えるニーズや消費行動を理解することはできません。

 

ターゲティングをおこなううえでは、年齢や性別だけでなく、より細やかな属性に焦点を当てることで、より効果的なマーケティング戦略を構築できます。顧客の多様性を理解し、それに基づいて柔軟なアプローチを取ることが成功の鍵となります。

自社の「強み」分析

ターゲティングの成功には、「自社の強み」を最大限に活かすことが不可欠です。

 

競合との比較分析によって、自社が他社に対してどのような強みを持っているかを明確にし、自社の強みを最大限に活かせる市場を選ぶことが成功の第一歩です。例えば、高品質な製品、優れたカスタマーサービス、独自の技術などが挙げられます。

 

ただし注意が必要なのは、有望な市場であっても、自社の特性や既存のブランドイメージと一致しない場合です。極端な例ではありますが、伝統的な手工芸品を自社の強みとするブランドが、急速に進化するデジタルテクノロジー市場に参入する…。といったように、ブランドイメージと市場の特性が一致しない場合、消費者にマイナスなイメージを与えかねないよう慎重な判断が求められます。

顧客視点のターゲティング

ターゲティングでは、自社が「何を売りたいか」だけではなく、顧客が「何を求めているか」といった視点が必須となります。

 

顧客視点を明らかにするには、顧客が購入に至るまでにたどるプロセスから、顧客がどのような体験を得ているか、アンケートなどのフィードバックを活用して分析しましょう。顧客視点に立って、分析結果を商品開発やマーケティング施策に反映させることが重要です。

 

近年では、カスタマーエクスペリエンスを向上させるだけでなく、サポートとしての役割も担うコミュニティ型の体験を提供する企業も増えています。

 

ユーザーニーズを真に理解して、ユーザーの課題を解決できるソリューションを提供できれば、本当に効果のある「ターゲティング」を実現できます。

外部環境を意識する

市場に参入するには、市場にまつわる環境を把握し、計画を慎重に立てることが不可欠です。

 

市場に競合が少ない場合、法的な規制による高い参入障壁が存在し、そもそも新規参入がむずかしいということも考えられます。自社で変えることのできない外部環境を十分に理解していくことで、それに応じて戦略を練る必要がでてくることも。

 

法的な制度から経済的な状況、地域ごとの文化的な要素まで広範に考慮し、柔軟に対応することが、市場への新規参入における成功の秘訣といえます。

BtoBでは利用者と購入者が異なるケースも多い

BtoBのビジネスでは、製品やサービスの利用者と購入者が異なることがよくあるため、「すべての人」をターゲットにするのは得策ではありません。たとえば企業がオフィス用品を購入する場合において、利用者はその企業の社員、購買決定者は調達部門や経営陣、といったケースがあります。

 

この場合、ターゲティング戦略は「利用者層」「購入者層」それぞれ分けて考える必要があります。利用者には製品やサービスの利点や効果を、購入者にはコスト削減や効率向上といったビジネス上のメリットをアピールすることが必要です。

 

このようにエンドユーザーには魅力的な特徴を、購入者には製品やサービスのメリットを、というようにそれぞれの各ターゲット層に一番効果的なメッセージを提供することで、マーケティング施策の効果を最大化することができます。

マーケティング戦略の的を絞れる

利用者と購入者が異なる場合は、ターゲットとなるペルソナを分けて設定することで、メンバー間での共有もしやすくなり、齟齬を防ぐことができます。

 

またマーケティングの戦略も統一できるため、一貫性のあるキャンペーンを提供できます。施策が統一されるとリソースを効果的に使うことができ、予算や時間を無駄なく使うことができるのもメリットでしょう。

統一されたメッセージを発信できる

広域的なターゲティングでは、メッセージが散発的になりやすくなり、共鳴・共感するポイントが曖昧になってしまいます。「すべての人に受ける」ことを条件としたことで、結局製品の性能を訴求することしかできない…など、逆に間口を狭めてしまう結果に。

 

とくにブランドマーケティングでは、製品の性能のみならず、ブランドに対する好意やブランドとの感性の一致などが求められるため、焦点を絞ったターゲティングは必須となります。製品の性能だけでなく、ブランドに対する「好き」「信頼」を得られるマーケティング活動には、ある程度ターゲットを絞って、統一されたブランドメッセージを発信することが必要です。

 

【関連記事】
「ペルソナ」とは?マーケティングにおけるペルソナの使い方、設定の方法や注意点を解説!

ターゲティングの成功事例

ターゲティングによって成果を出した事例は、業界を問わずたくさんあります。そのなかでもとくに業績を伸ばしている3つの事例をご紹介します。

 

飲食チェーン店Sは、従来の市場のほかにも、外食市場や中食(弁当)市場も含めた広範なセグメントを対象にした戦略を実施。従来の男性1人客に限定された利用者から、ファミリーや女性層を中心とした多様な顧客層を獲得し、業界でのシェアを伸ばしています。

 

シンプルなライフスタイルを送る顧客層をターゲットとした小売業M社は、デザイン性の高い商品企画で注目を集めてきたものの、当初は品質に課題があることも少なくありませんでした。ターゲットを見直しブランド戦略を進化させ、デザインだけでなく品質も優れた商品を提供することで、他者が追随することもできない高品質かつハイセンスな商品を開発し、顧客からの信頼も厚い特有の市場ポジションを築いています。

 

大手保険会社L社は、従来の生命保険市場が中高年のターゲットに焦点を当てるなか、新たな市場を見据え、若年層や子育て世代をターゲットにした生命保険商品の開発に着手しました。従来の高額な保険料にくらべて保険料を低く抑えることを実現。さらにWebを活用した契約内容の説明や申し込みを可能にしたことで、若い世代でも気軽に保険に加入できる環境を整え、業績を向上させ、保険業界全体においても変革を促しています。

 

まとめ

ターゲティングについて解説しました。

 

ターゲティングは、ビジネスにおいて不可欠な要素で、STP分析や6Rフレームワークを通じて市場セグメントを特定し、効果的なマーケティング戦略を展開する手段です。

 

ビジネスでPDCAサイクルを回し精度を高めていくうえでも、特定のターゲティングをおこなうことは重要な要素であり、6Rフレームワークによって精査することで市場との関係性を深め、成果を最大化できます。

 

ターゲティングで用いられる6Rフレームワークは、ビジネス全体に適応でき、顧客からの信頼を得て関係性を構築し、事業全体の成果を向上させるはずです。ターゲティングによる戦略的かつ継続的なアプローチによって、マーケティング活動の成果をさらに拡大していきましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Fri, 26 Jan 2024 00:00:00 +0900
<![CDATA[中小企業こそ知るべき「AIマーケティング」と、その具体的な手法についてご紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/ai-marketing 人工知能(Artificial Intelligence)のテクノロジーを使用することによって、企業のマーケティング活動を最適化する取り組みのことを、AIを活用したマーケティング(= AIマーケティング)と言います。

 

特に、中小企業においてその効果と可能性が注目されています。この記事では、ChatGPTやGoogleBardなどを使った「AIマーケティング」の基本的な知識と、実際の活用方法をご紹介していきます。

【現役 ITコンサルが書く、デジタルマーケティングのノウハウ】

AIマーケティングとは

ここで言う「AIマーケティング」とは、企業の営業・販売促進の取り組みに「生成AIツール」などのテクノロジーを応用することです。慢性的な人手不足に悩まされている国内企業においては、色々な分野でAIを活用することで効率化を図っていくことが重要視されていますが、それはマーケティング領域においても同様です。

 

近年の進歩が目覚ましい「生成AI」を使用すれば、市場動向の分析、ターゲットの具体化などのマーケティングにおける戦略立案の分野においても、日々忙しい企業担当者の手をわずらわせることなく実行することができます。

中小企業こそ「生成AIツール」を活用した方が良い理由

AIマーケティングは、中小企業だからこそ積極的に取り入れた方が良いと言えます。多くの中小企業では人員や予算が限られているため、十分なマーケティング活動を行うことができない場合が多いですが、「生成AIツール」を利用することで、戦略立案・コンテンツ作成などの作業を効率化することができます。

 

また、中小企業ではマーケティング人員がひとりということも珍しくなく、そのため新たなアイデアを得ることが難しいですが、生成AIを使ってチャットすることで新鮮なマーケティングノウハウを入手することもできます。

AIを使ったマーケティング活動のための具体的ノウハウ

「生成AIツール」を上手に使うことができれば、今まで複数のスタッフの手によって実行されていた膨大なデジタルマーケティングの作業の多くを、削減することができます。

 

例えば、記事コンテンツやメール原稿のドラフト作成はもちろん、マーケティングに精通している人でも、仕上げるのにはそれなりの時間を要する「ペルソナ像」「カスタマージャーニーマップ」の設計においてまで、工夫次第で力を発揮してくれます。

 

  • 市場分析(PEST・SWOT分析等)
  • ペルソナ像の抽出
  • カスタマージャーニーマップの設計
  • 文書作成(記事コンテンツ、メール原稿)

市場分析

企業のマーケティング活動において、市場環境がどのような状況であるかを理解しておくことは極めて重要です。またマーケットの中で、自社がどのような位置にあるかも改めて知っておく必要があるでしょう。その際に、よく使用される分析方法としてPEST分析・SWOT分析がありますが、これらの分析についても「生成AIツール」を使えばスピーディに実施することができます。

ペルソナ像

また、マーケティングにおいては、自社の製品サービスの対象となるターゲットがどのような人物像なのか、日々の業務においてどのような「悩み・困りごと」を抱えているかをしっかり想定した上で、デジタル広告や記事コンテンツを作り込んでいくことが重要です。
通常、既存顧客へのインタビューや営業メンバーからの意見を汲み取ることで、「ペルソナ像」を作っていくことになりますが、AIを使うことでそれほど手間をかけずとも、ある程度の目安を固めることが可能です。

カスタマージャーニーマップ

さらにマーケティング活動では、ペルソナ像が固まったら製品サービスとの接触ポイントから心理変容の流れを段階的に分けて書き出した「カスタマージャーニーマップ」を作成することになりますが、これも企業担当者としては手間のかかる作業です。ですが、AIを活用すれば効率的にドラフト版を作成することができます。これをもとにブラッシュアップすれば早い段階で、マーケティング方針を固めることができるでしょう。

文書作成

AIは、「記事コンテンツ」や「メール原稿」のドラフトを作成する場合にも役立ちます。正しい命令をすることによって「生成AIツール」は、ペルソナ像やカスタマージャーニーマップを考慮した上で、ドラフトとなる文書を提案してくれます。従来だと人の手によって情報収集から構成作成〜本文執筆などそれなりに時間のかかる作業ではありますが、AIを使えば速やかにコンテンツを作成することができます。

 

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生成AIを使ったデジタルマーケティングの実行ステップ

ここまでの流れで、企業のマーケティング活動においてAIを活用することがいかに有益であるかを、ご理解いただけたと思います。では実際に、AIマーケティングを実行する際にはどのようにステップを進めていけば良いでしょうか。

 

AIマーケティングを実行する際には、まずは「ツール選定」、その次に「プロンプト作成」が重要となってきます。

①ツール選定

生成AIツールといっても色々な種類があります。テキストはもちろんのこと、画像・イラスト等の生成に特化したもの、音声生成できるツールなどもあります。 その中でも、ビジネスの現場においても普及しつつある代表的なツールと言えば以下のものになるでしょうか。

 

特に、OpenAI社が開発した「ChatGPT」は、広く使われています。

 

 

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②プロンプト作成

 

生成AIツールを選択したら、次はどのように命令をするかを設計する必要があります。深く考えずに思いつくまま入力スペースに指示内容を打ち込んでいけばそれで大丈夫ですが、より希望するかたちの回答を得ようとするならば「プロンプト」という命令形式に則ってテキスト入力するのが効果的です。

 

  • AIプロンプト(prompt)= 動作するようにうながす、手助けする、迅速な、素早い、遅れのない、などの意味を持つ語句。コンピュータの世界では、主にユーザーが「コマンド」を実行するための命令文・文字列のことを指す。

AIマーケティングのプロンプト例

ここでは以下に、「ペルソナ像」を書き出すときのプロンプト例を用意してみました。ここでは、中小企業のマーケティング担当者を対象として、「マーケティングオートメーション」を題材としています。このプロンプト例を、ChatGPTやGoogle Bardなどの生成AIツールの入力スペースに貼り付けることで「ペルソナ像」のドラフト版を作成することができます。

 

 

#ペルソナのインサイト(深層心理)の作成ルール
・ペルソナは、できるかぎりデータを引用しながら、納得できる「理由」や数値的な  「根拠」を明確にする
・ペルソナは、必ず日本語を使って作成する。不自然な日本語は使用しない、  カタカナの専門用語はなるべく記述しない
・ペルソナは、#顧客/リードの属性情報をもとにしながら、それらがどのようなことを  考えているかの心理部分にフォーカスして出力する
・ペルソナが、職場・仕事での「ミッション達成」において感じている  「課題・困りごと・悩み」「希望・願望」などを類推して記述する
・ペルソナが、職場・仕事において「#製品サービスのカテゴリ(分野)」の必要性を  感じられるかどうかを類推して記述する
・ペルソナが、「#製品サービスのカテゴリ(分野)」の必要性を感じる場合に、  どの部分に魅力を感じるかを類推して記述する
・ペルソナが、「#製品サービスのカテゴリ(分野)」を決裁承認のうえで  社内導入する際の「障壁」になることを類推して記述する
・ペルソナが、多数のプロダクトが存在する「#製品サービスのカテゴリ(分野)」の  中から社内導入を判断・選定する「価値基準」を類推して記述する
・ペルソナが、そのほか職場・仕事において抱えてそうな「課題・困りごと・悩み」   「希望・願望」を記述する
・ペルソナは、一気に全部の文章を出力できなくても「続きを出力する」という命令を  受けながら、分割しつつできるだけ詳しく出力する

#製品サービス名
BowNow(バウナウ)

#URL
https://bow-now.jp/

#製品サービスのカテゴリ(分野)
マーケティングオートメーション(MA)

#製品サービスのカテゴリ(分野)の説明
マーケティングオートメーションツール(以下、「MAツール」)とは、マーケティング業務を自動化することで業務効率化、生産性向上を図るツールである。個人を特定し、それぞれに対して適切なマーケティングアプローチを行うことによって、商材に対する興味・関心、購買意欲を喚起させることができる。このツールの運用を行うには、把握する個々人に対する施策や属性管理を行なえる要素や方法論が企業内で必要であり、顧客個人を特定する必要がないか、または営業員によるフォローアップによって成約確率を上げる必要がない低単価消費財のマーケティングには適さない。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3)

#顧客/リードの基本属性
規模: 日本国内の中小企業
業種: 特に業種は限定しない
担当者の部署: 営業部とデジタルマーケティング部

出力例

下記は、実際にChatGPTにて生成された「ペルソナ像」のサンプルとなります。

 

出力例

 

題材によって、「製品サービス名」「URL」「製品サービスのカテゴリ(分野)」「顧客リードの基本属性」を変えることでペルソナ像も変わってきます。一回でしっくり来る回答にはならないかも知れません。試行錯誤しながら自分なりに使いやすいようにAIプロンプトを手直ししながらペルソナ像を固めていきましょう。

まとめ

AIマーケティングは、今後も人工知能テクノロジーの発展によって大きく進化していくと予想されます。よりスピーディに膨大な情報処理ができるようになることで、「ペルソナ像」や「カスタマージャーニーマップ」の精度も上がっていくでしょう。そうなれば、デジタルマーケティング活動にあまりマンパワーを投入できない中小企業の担当者にとっては、なくてはならないパートナーとなっていくと考えられます。

 

自社のデジタルマーケティング強化のためにも、まずは何らかの「生成AIツール」を試しに使ってみましょう。

 

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Fri, 19 Jan 2024 02:00:00 +0900
<![CDATA[バイラルマーケティングとは?ステマとの違いや成功事例を紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/viral-marketing バイラルマーケティングとは、SNSなどデジタル上の口コミを通じて情報が急速に広がることを意識したマーケティング手法です。
日本はもちろん、世界中で人々の生活にSNSが浸透している今、新しい効果的なマーケティング手法として注目されています。

 

本コラムでは、バイラルマーケティングの概要からメリット・デメリット、成功事例までをご紹介します。

 

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バイラルマーケティングとは

バイラルマーケティングとは、インターネットやSNSなどデジタル上の手段を通じて、情報が口コミのように拡散されるよう設計したマーケティング手法のことです。インターネットの普及と共に発展し、特にSNSの普及に伴い、大きな注目を集めています。

 

バイラルという言葉は、「ウイルスの」「ウイルスが原因の」という意味を持つ英単語「viral」に由来しており、ウイルスのように口コミで拡散することを表しています。

 

この手法の核心は、消費者が自然に情報を共有することにあります。企業は、共有したくなるような魅力的な商品や情報、コンテンツを提供し、消費者が自ら情報を拡散したくなるような状態を作り出す必要があります。

 

バイラルマーケティングの魅力は、低コストでありながら広範囲にわたる影響力を及ぼせる点です。このほか、バイラルマーケティングのメリットについては、「バイラルマーケティングのメリット」で詳しくお伝えします。

 

効果的なバイラルコンテンツを作るためには、ターゲットとなる消費者の興味や関心を引き付ける要素が必要で、これには、ユーモア、感動、または知識的な要素が利用されることが多いです。

 

また、バイラルマーケティングにおいてはSNSが重要な役割を果たします。FacebookやTwitter、Instagram、TikTokなどのプラットフォームを活用し、効果的に情報を拡散させる戦略が求められます。

バイラルマーケティングとバズマーケティングの違い

バイラルマーケティングと似たものに、バズマーケティングがあります。
これらの違いは、何でしょうか?

バズマーケティングとは

バズマーケティングとは、バズマーケティングは、特定の商品やサービスが「話題」となり、人々の間で自然に口コミが広がるマーケティング手法です。この手法は、特に影響力のある人物やメディアを利用して、商品やサービスを積極的に宣伝します。バズマーケティングの目的は、短期間で大きな注目を集め、製品やブランドの認知度を高めることにあります。

 

ただ、バイラルマーケティングのようにオンラインに限らず、オフラインでの「バズり」も含みます。
バイラルマーケティングとバズマーケティングの主な違いは、情報拡散のアプローチにあります。バイラルマーケティングは、魅力的なコンテンツを通じて自然に情報が拡散されるのに対し、バズマーケティングでは、特定の影響力ある人物やメディアを通じて意図的に情報を拡散させる手法です。

 

バイラルマーケティングとバズマーケティングの違い

バイラルマーケティング バズマーケティング
自然な拡散を重視 意図的な拡散を重視
消費者が自発的に情報を共有 影響力のある人物やメディアを活用
コンテンツの魅力が拡散の鍵 短期間での大きな注目を集めることを目的としている。

バイラルマーケティングとステマの違い

バイラルマーケティングとステマ(ステルスマーケティング)も混同されがちですが、決定的な違いがあります。

バイラルマーケティングは違法?ステマとは

ステマ(ステルスマーケティング)とは、消費者に広告であることを気づかれないように商品やサービスを宣伝する手法のことです。
たとえば、SNSで有名人やインフルエンサーが投稿の中で、広告料をもらっていることは伏せて商品やサービスを紹介したり、口コミサイトで偽のレビューを書いたり、掲示板やブログで商品に関する話題を作ったりすることなどが挙げられます。

 

消費者は、広告とわかると警戒心を持ったり無視したりする傾向があるため、これらを抑えるために使われる手法です。しかし、消費者に対して不正直な手法であり、誤解や不満を招く可能性があるため、避けるべきです。

 

一方、バイラルマーケティングは、自然なかたちで消費者から情報が拡散されることを目指します。

バイラルマーケティングへの法的な規制はある?

2023年12月現在、日本でバイラルマーケティングそのものを取り締まる法的な規制はありません。

 

ただ、SNS上で広まった内容が事実と異なっている場合、景品表示法上の「誇大広告」などに該当し、措置命令※や罰金の対象となることがあります。

 

たとえば、製品やサービスを実際よりも有料なものであると誤解させたり、キャンペーン対象には例外があるにも関わらず、注意書きの記載が離れた場所に小さく書かれていてわかりにくかったりするような場合です。

 

特に、海外を含む地域を対象としたバイラルマーケティングを企画する際は、該当の国において口コミや広告に関する規制を十分に調べた上で取り組んでください。
※措置命令…必要な措置を講じることを命令する行政処分のこと。

バイラルマーケティングのメリット

バイラルマーケティングには、次の5つのメリットがあります。

低コストで実施できる

バイラルマーケティングの最大の魅力は、その低コスト性です。
従来の広告手法と比べると大規模な予算を必要とせず、SNSやWebコンテンツを通じて効果的にプロモーションを行うことができます。

 

とはいえ、拡散したくなるような良質なコンテンツを制作する必要があるため、ただコストを削減することばかりを考えても成功させるのは難しいでしょう。
コストをかけずに拡散されるようなコンテンツ作りには創意工夫が求められるということを念頭に置いて取り組みましょう。

高いプロモーション効果が見込める

バイラルマーケティングには、消費者から高い信頼性が得られるという特長があります。
なぜなら、自分の知り合いや信頼できる人からの情報には、より関心を持ちやすく、影響を受けやすいからです。
そのため、口コミやSNSで拡散された情報は、消費者の購買意欲を高める可能性が高いといえます。
こうした理由から、バイラルマーケティングは高いプロモーション効果が見込める手法だといえるでしょう。

短時間で大人数にリーチできる

インターネットやSNSの普及により、バイラルマーケティングは短期間で大人数に拡散されます。
特に、SNSはFOMO効果により、拡散のスピードが速いという特長があります。FOMOとは、Fear Of Missing Outの略で、見逃したり取り残されたりすることに対する恐怖心を指します。SNSで友人が楽しそうに旅行している写真を見て焦ったり、限定商品やセールに飛びついたりするのは、この例です。

 

バイラルマーケティングでは、コンテンツが話題になっていることで、視聴者にFOMO効果を与えます。話題に乗り遅れたくないという気持ちから、視聴者はコンテンツをチェックしたりシェアしたりすることになるのです。

 

とりわけ、若年層をターゲットにしたプロモーションでは、この迅速なリーチ能力が大きな強みとなるでしょう。

長期間にわたる効果が見込める

バイラルマーケティングは、一時的な注目だけでなく、長期間にわたる効果を生み出すことができます。なぜなら、口コミやSNSで拡散された情報は、長期的にインターネット上に残り続けるため。

 

特に印象的なキャンペーンやコンテンツは、時間が経過しても人々の記憶に残り、持続的なブランドイメージの向上をもたらすことがあり、持続的なプロモーション効果が期待できます。

エンゲージメントの向上が期待できる

バイラルマーケティングには、顧客とのエンゲージメントを高める効果もあります。
エンゲージメントとは、消費者がブランドや企業に対して感じる関与度や愛着度のことです。エンゲージメントが高いと、消費者はリピート購入や口コミ紹介を行うだけでなく、ブランドや企業の価値観や理念に共感し、忠誠的なファンになるため、長期的な顧客満足度やロイヤルティの向上につながります。

 

これは、バイラルマーケティングで、クリエイティブが伝えるストーリーやメッセージが感情的な共感を生んだり、消費者が自ら情報を拡散することで、ブランドや企業の一員であるという参加意識を高めたりするためです。

 

消費者が積極的にコンテンツを共有し、ブランドに対する肯定的な感情を持つことで、顧客ロイヤルティの向上につながります。

バイラルマーケティングのデメリット

一方、バイラルマーケティングにも、デメリットはあります。
主に、次の3点です。

拡散をコントロールできない

バイラルマーケティングのデメリットとしては、コントロールが難しい点です。

 

情報が予期せぬ方向に拡散する可能性があり、場合によっては誤解を招くなどのネガティブな影響を及ぼす可能性もあります。

 

マイナスな印象で拡散されてしまえば、ブランドイメージを損なう恐れがあります。

 

そのため、コンテンツの内容は慎重に検討し、誤解の余地がないようにする必要があります。
また、情報のモニタリングと迅速な対応も求められます。

効果の測定が難しい

バイラルマーケティングの効果は、正確に測定することが難しいです。
拡散されるコンテンツの影響は、従来の広告手法と比較して直接的ではないため、具体的なROI(投資収益率)を算出することが困難なためです。

 

このため、マーケティング戦略として、効果測定を評価する際には、従来の指標に加え、SNSのエンゲージメントやブランド認知度の向上など、間接的な効果も考慮する必要があります。

成功事例の再現性が低い

バイラルマーケティングに取り組んだ結果、見事に成功したとしても、これをお手本に次のバイラルマーケティングも成功させるということは、簡単なことではありません。バイラルコンテンツの拡散には偶発的な要素が大きく、同じ戦略を繰り返しても同じ結果が得られるとは限らないためです。

 

バイラルマーケティングには、毎回、創造性と柔軟性が求められ、一度成功したコンテンツのスタイルを模倣するだけではなく、常に新しいアイデアを追求する姿勢が重要になってきます。
このため、労力のかかる手法だといえるでしょう。

【海外版】バイラルマーケティングの成功事例

最後に、バイラルマーケティングの成功事例を、海外と国内に分けてご紹介いたします。
まずは、海外の成功事例5例から。

YouTubeで「adizero」の動画が拡散(アディダス/Adidas AG)

ヨーロッパで最大のスポーツウェアメーカーであるAdidas AG(アディダス)が、ランニング用シューズのラインとして日本で開発した「adizero(アディゼロ)」。このプロモーションに、バイラルマーケティングを意識した動画が活用されました。

 

動画の内容は、架空の研究所「adizero LAB」で、白人男性がadizeroを履いて走り、風圧でミニスカートをめくれるかどうかを「adizero vs MiniSkirt」として、検証するというもの。
賛否はあったものの、動画は2011年8月にYouTubeに掲載された後、1ヵ月で90万回以上も再生されたといいます。

 

同社では、それまで、短期的な懸賞キャンペーンを実施することで認知度の向上を図っていましたが、SNSの普及に伴い、継続的な関係性を構築できる環境が整ったことから、バイラルマーケティングに踏み切ったといいます。

 

実際の動画はこちら。
adizero LAB:adizero vs MiniSkirt

フェイクニュースに対抗した動画CMを公開(ニューヨーク・タイムズ/The New York Times)

かつては、いわゆる「オールドメディア」と呼ばれる新聞や雑誌、ラジオ、テレビなどだけが報道が可能でしたが、SNSの普及とともに、発信元が不明なフェイクニュース(虚偽報道)が増え、大きな問題となっています。

 

2016年、アメリカ大統領選挙において、「ローマ法王がトランプ氏を支持」といったフェイクニュースがアメリカを中心にSNSなどで世界中に広まりました。同年、フェイクニュースを信じた男性が実際にピザ店へライフルを発砲するまでに発展した「ピザゲート事件」も起きています。
日本では熊本地震が起き、「動物園のライオンが逃げ出した」というフェイクニュースが地元の人たちを混乱に陥れました。

 

こうした背景を受け、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)は、アカデミー賞受賞式の放送中に「The truth is hard」を掲げたTVCMを放映。その後、SNSでもキャンペーンを実施しました。
CMには、質の高いジャーナリズムを維持するためには、現場で働く何千人もの記者に支払う給与が必要で、そのための購読料だという主旨というメッセージが込められています。

 

これが話題を呼び、1四半期で購読者が過去最高の28万人にも上ったといいます。

 

実際の動画はこちら。
The Truth Is Hard DROGA5

バイラル性を意識したサービス設計(ファーイン/画音)

画音(ファーイン)は、動画によるコミュニケーションが可能な中国のSNSです。

 

WeChat(ウィーチャット/微信)というチャット型SNSを手がけたプロダクト・ディレクターであるGenie氏が作った動画アプリで、登録した友達が4人以上いないと使えない仕様になっています。
このため、画音を使いたいユーザーは、必然的に友人・知人などへ画音の存在を知らせ、登録を促すことになります。

 

バイラルマーケティングの中でも、やや強制的に拡散させるタイプといえます。

「The Man Your Man Could Smell Like」キャンペーン(オールド・スパイス/Old Spice)

Old Spice(オールド・スパイス)は、アメリカのプロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)が提供する、アフターシェイブローションやデオドラント剤、シャンプーといった男性向けのビューティ&ヘルスケア製品を提供するブランドです。

 

同ブランドは1937年にスタートし、長年、アメリカの男性たちに愛されてきました。
しかし、2000年代半ばになると、競合ブランドが若年層を中心に支持されるようになり、危機を迎えます。

 

同ブランドは、年配層からの支持が厚く、若年層からは「おじさんが使う製品」というイメージを持たれていたのです。
そこで、リブランディングに取り組みました。従来は「男らしさ」を全面に押し出した広告を打っていましたが、若年層にウケるよう、ユーモアをアピールするような動画を制作。その内容は、元NFL選手イザイヤ・ムスタファ氏を起用し、「男らしさ」のイメージも盛り込みつつ、パロディで笑いを誘うというものでした。

 

この動画を、アメリカ国民の関心が高いスーパーボウルの直前にしてYouTubeに投稿。すると、SNS上でも話題となり、再生回数が数千万回にも上りました。
さらに、この動画に対するユーザーの反応(SNSのコメント)に対する返信動画を制作してYouTubeに投稿し、X(旧Twitter)でもつぶやくことで、さらなるバイラルを起こしました。

 

その結果、動画の公開から半年後の売上は125%増となり、トップシェアを奪還したといいます。

 

実際の動画はこちら。
The Man Your Man Could Smell Like

アイス・バケツ・チャレンジ(アメリカALS協会)

筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis/ALS)に関する研究支援のため、バケツに入った氷水を頭からかぶるか、アメリカALS協会に寄付を行うという「アイス・バケツ・チャレンジ(ice bucket challenge)」が、2014年にアメリカで始まりました。

 

この運動は、各界の著名人や政治家などを巻き込み、FacebookやYouTubeを通じて拡散され、社会現象となりました。

 

その結果、世界中で2億2,000万ドルもの寄付金を集め、ALSに関わる遺伝子を解明する研究に役立ったといわれます。

【国内版】バイラルマーケティングの成功事例

続いて、国内の成功事例を5例、ご紹介いたします。

「今日好きダンス」をTikTokで配信(Abema)

「Abema」は、ユーザーの7割が10代から30代という特徴を持つインターネットテレビ局です。
同局で制作・配信されている恋愛リアリティ番組「今日、好きになりました」のプロモーションで、「今日好きダンス」というオリジナルのダンスを使ったショート動画を制作し、バイラルマーケティングに成功しました。

 

同番組は、“運命の恋を見つける、恋の修学旅行”をテーマに、初対面の高校生が数泊の旅行に出かけるという企画。すでに人気のある番組でしたが、より若年層の間で熱狂を起こしたいとの意図から、今回の動画制作を実施しました。

 

同番組の公式アカウントがすでにTikTokにあったものの、振り付けを考える様子を同番組のスピンオフとして配信した上で、ダンスに関するPRをあえてTikTok以外のSNSやWebサイト上で実施。最後にTikTokに「今日好きダンス」を公開し、同番組の存在をアピールすることで、「ほかのWebサイトやサービスへ遷移させづらい」というTikTokの欠点をカバーしました。

 

この結果、番組の認知度が上がり、視聴率が160%もアップしたといいます。

「High School Girl?」キャンペーン(資生堂)

化粧品で国内トップシェアを誇る株式会社資生堂。同社では、動画を活用したプロモーションが増えている背景から、自社でも動画広告の制作に取り組みたいと考え、2015年2月に「動画プロジェクト」を立ち上げたといいます。

 

当時、若年層へのリーチが課題であったことから、若い女性たちの間で話題になるような面白い動画を制作しようということで、まずは30案ほどを企画。これを元に女子高生・女子大生にグループインタビューを実施したところ、圧倒的な支持を集めたのが「女装男子」だったといいます。これをテーマに議論を重ねた結果、「女子高生全員が、実は男子高校生だった」という動画の制作に決定。

 

撮影は、約7時間をかけた一発撮りで、動画はこれを逆再生で早送りするスタイルを取りました。特設サイトでは、「女装男子の写真を指でこすると、その子の素顔が見える」といったコンテンツも用意。

 

すると、公開時にPRも広告も一切、実施しなかったにも関わらず、3日後にはYahoo!映像トピックスの総合ランキング1位に。公開から1週間後にはリリース記事を出稿することで、仕込んだ小ネタに気づいてもらうという仕掛けを用意したことも奏功し、動画はSNSを中心に話題になり、800万回以上も再生されたといいます。

 

実際の動画はこちら。
High School Girl?

TikTok「#ペプシjコーラ」でオリジナルダンスを投稿(サントリーホールディングス)

飲料メーカーのサントリーホールディングス株式会社は、2018年4月、「PEPSI(ペプシ)」から、新たな主力ブランドとして「ペプシ Jコーラ」を新発売しました。
同ブランドでは、宣伝にTikTokを活用。具体的には、テレビCM放映中に、オリジナル曲「ペプシお祭りリミックス」に簡単な振りを付けて、CM出演中の有名人に踊ってもらう、15秒のショート動画コンテンツをTikTokに投稿したのです。

 

公開されたコンテンツの総再生回数は1, 800万回を超え、このダンスを真似した投稿は2万件以上にも及んだといいます。

フィリピン音楽をカバーして1ヵ月間で100万回再生を達成(宇宙戦隊NOIZ)

「宇宙戦隊NOIZ」は、日本を始め、アメリカやカナダ、フィリピンでも活動している日本のビジュアル系バンドです。

 

彼らがフィリピンの曲である「NARDA」をカバーし、YouTubeに投稿したところ、1ヵ月間で100万回再生を達成し、5,000件以上のコメントを集めました。

 

これには、従来なら日本の音楽をフィリピンのアーティストがカバーすることは多くても、逆は珍しかったという背景があります。珍しさから話題となり、再生回数が伸びたりコメントを集めたりできたのだと推測できます。

 

実際の動画はこちら。
UCHUSENTAI:NOIZ

「#ポケモンと遊びたい」キャンペーン(任天堂)

日本はもちろん、世界中で人気を博すゲームタイトル「ポケットモンスターシリーズ」を展開する任天堂株式会社では、ポケットモンスター ソード・シールド エキスパンションパス第2弾「冠の雪原」の配信を記念し、TikTokのブランドエフェクトを活用したキャンペーン「#ポケモンと遊びたい」を開催しました。

 

ブランドエフェクトとはTikTokの広告メニューの一つで、高度な画像認証技術を用いて、2Dや3D、ARなどのコンテンツを活用した効果的な広告配信が可能になるというもの。
同キャンペーンでは、ゲームに登場する人気のポケモン5匹(ピカチュウ、ダクマ、マホイップ、ウールー、モルペコ)のエフェクトを体験できるようにしました。ユーザーの全身の動きをリアルタイムで認識し、再現するボディトラッキング機能と3D技術を併用したブランドエフェクトは、世界初の試みだったそうです。

 

同キャンペーンでは、これと同時にTikTokの広告メニューである「ハッシュタグチャレンジ」を併用しています。「ハッシュタグチャレンジ」とは、やはりTikTokの広告メニューの一つで、「#(ハッシュタグ)」を付けた上で指定の投稿を促す広告です。視聴者を巻き込み、UGC(User Generated Contents)を生み出せるというメリットがあります。

 

これらを組み合わせ、「#ポケモンと遊びたい」を付けてブランドエフェクトを体験した姿をTikTok上に投稿してもらうと、優秀作品に選ばれた投稿者にプレゼントが当たるというキャンペーンを実施。
その結果、わずか1ヵ月で投稿数は2万件を超え、体験数は100万回にも達したといいます。グローバルでの投稿数は約35万件、体験数は1800万回という驚異的な数字となりました。

 

※この施策は、広告キャンペーンを利用したもので、厳密にはバイラルマーケティングとはいえませんが、拡散の本質を突いた施策だったため、ご紹介しました。

 

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まとめ

バイラルマーケティングの基本概念からメリット、デメリット、成功事例までをご紹介しました。
バイラルマーケティングは、低コストで高い効果を期待できるマーケティング手法です。
ただ、メリットが多いものの、拡散のコントロールが困難であるなどのデメリットもあります。

 

これらを把握した上で戦略を効果的に活用することで、ブランドの認知度向上、顧客エンゲージメントの強化、そして長期的なプロモーション効果を実現することが可能です。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Fri, 19 Jan 2024 01:00:00 +0900
<![CDATA[アトリビューションとは?重要性と5つのモデル、成功事例をご紹介!]]> https://mtame.jp/advertisement/attribution アトリビューションとは、各媒体の「CVへの貢献度」を測ることです。コンバージョンに直接つながったアクション、これに至るまでの間接的な接点に、それぞれの方法で貢献度を計測する仕組みです。そのためアトリビューションは、間接効果と呼ばれることもあります。

 

アトリビューション分析自体は10年以上も前から広まってきているものの、実際には「なかなか使いこなせていない」と感じている方も多いかもしれません。ただ近年はアトリビューションの環境も整ってきており、Google広告では、アトリビューションを通じて広告の貢献度を評価し、広告戦略の最適化を測れるようになりました。また、最新のGoogle アナリティクス 4(ga4)を活用することで、より効果的なアトリビューション分析が可能になっています。

 

本記事では、アトリビューション分析の基礎知識や5つのモデル、成功事例をご紹介します。

 

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アトリビューションとは

アトリビューション(Attribution)とは、広告・マーケティング分野における専門用語です。顧客がCV(コンバージョン)に至るまで、顧客との接点となるメディアが、CVに対してそれぞれどのくらい貢献したかを測ることです。

 

たとえば、購入やお問い合わせといったコンバージョン(CV)があった際に、そのユーザーが「どの広告を見たか」「どのSNSを経由してきたか」など、どのメディアからどのような影響を受けたかを調査していきます。

 

従来の広告効果評価では、CV直前のクリックのみが判断材料とされてきました。ただ近年はデジタルマーケティングが急進したことで、インターネット広告・メルマガ・ソーシャルメディアのコンテンツなど情報は多様化してきました。

 

Web上での広告展開やデジタルマーケティングにおいて、アトリビューションが重要視されているのは、ユーザーがオンラインで複数の情報源に触れ、コンバージョンに至る経路が複雑化しているためです。

 

また最近では、パブリックアトリビューションの概念も注目されています。これは、広告主だけでなく、広告を視聴した一般のユーザーがアトリビューションに関与する考え方で、広告に対する社会的な影響を考慮に入れたアトリビューション分析が求められています。

 

このようにCVに至る要因は複雑化を極め、広告を運用するうえでは、ユーザーが広告に至るまでの経路も考慮する必要がでてきました。ただこの要因を見極めることができれば、よりユーザーがCVにたどり着きやすい流入経路を見出し、広告・プロモーションのベストソリューションを検討できます。アトリビューションは、施策別の貢献度を計測し明確化することで、施策の最適化をはかる取り組みです。

アトリビューションの重要性

アトリビューションの重要性は、コロナ禍以降急進したインターネット環境と、それに応じて変化する消費者行動に対応することにあります。実際に、ユーザーはCVに至るまでに、さまざまな流入経路をたどるようになりました。

 

従来、広告効果の測定方法は、CVを軸として、CV直前のラストクリックのみを評価していました。しかしこの方法で評価できるのは最終的なCVにつながった広告のみで、広告費用の最適化をはかる材料としては不十分でした。

 

ユーザーがCVに至るまでの経路には、「ユーザーが商品を知るきっかけとなった広告」「ユーザーの購買意欲をより高めた広告」も存在しますが、ラストクリックのみを測定する方法では、最も効果のある広告を停止してしまう可能性も少なくありません。

 

アトリビューションの目的は、広告やマーケティングの成功に寄与した要因を正確に把握し、効果的な広告戦略の策定やリアロケーション(予算再配分)に活かすことです。最終的なCVに大きく影響を与えている広告を見極めることができるため、プロモーション全体の最適化にも寄与します。

CVへの接点を明確化

アトリビューションが重要視される理由のひとつに、CVへのタッチポイントを明確化できることがあります。

 

さきほども記述したように、クロスチャネル・オムニチャネルが浸透したことで、ユーザーの流入経路は複雑化しており、従来の広告効果測定方法では、間接的にでも大きく影響を与えている広告を正しく評価することができないのが現状です。

 

近年はインターネットでユーザーが情報収集することは当たり前となり、CVへ至るプロセスは多様化してきました。たとえばSNSなどを通じて「有名人が使っているから欲しい」といったCVも増えていることから、インフルエンサーを起用したPRなども見かけるようになりました。

 

アトリビューション分析をおこなうことで、こういった多様なタッチポイントを明確化でき、CVに至るユーザーの購買心理を把握することができます。

広告費用を最適化

アトリビューション分析は、広告の予算アロケーション(配分)にも役立ちます。アトリビューション分析では、CVにつながる広告だけでなく、ユーザーへの認知や興味喚起・購買決定に影響のある広告も含めて効果計測をおこなうため、各広告にどのように予算を配分するかを判断するうえで重要な指標となります。

 

CV数を増やすためには、すでに自社の商品を認知しているユーザーだけでなく、自社の商品の認知をさらに広めることが必要です。この認知拡大のための広告にいくら投資するべきかを、アトリビューション分析のデータをもとに正しく設定することで、成果を最大化することができます。

アトリビューション分析に向くケース

アトリビューション分析に向いているのは、コンバージョンするまでに時間を要するケースです。

 

たとえば不動産業やBtoB向けサービスといった高額商材は、購買するまでにSNS・SEOなど複数のチャネルをたどるのが特徴です。そのためこれらの流入元を把握することで、広告費用の最適化に反映させることができます。

 

そのほかにも、CV数のうち指名検索の割合が高いケース、CVにつながるキーワードに偏りがあるケース、リターゲティング広告の成果に対して売上が比例しないケースなども、アトリビューション分析を検討するとよいでしょう。

 

アトリビューション分析は広告運用のうえでは重要ですが、決してどのケースにおいても万能に効果を発揮できるというわけではありません。

アトリビューション分析に向かないケース

 

アトリビューション分析は、広告運用のうえで重要である一方で、どのケースにおいても万能に効果を発揮できるわけではありません。

 

日用品といった安価な商品やサービスは、購入にいたるまでのプロセスがシンプルで検討期間も短いため、アトリビューション分析をしてもあまり費用対効果が得られないケースです。

 

価格帯の高低ではアトリビューション分析が必要かどうかわからない、という場合は、ユーザーがCVするまでに「セッションが何回必要だったか」を確認します。Google アナリティクスで見たときに、「経路の数=1回」が80%を超えるサイトでは、アトリビューション分析をしても大きな効果が得られない可能性があります。

アトリビューション分析のやり方

アトリビューション分析をしていくうえでは、広告分析ツールを活用します。広告計測ツールには、Google アナリティクスのほか多数のツールがあります。ここではまず、無料で使えるGoogle アナリティクスを使って、アトリビューションのやり方と手順について解説します。

①ツール選定

まずはアトリビューション分析に使う、広告計測ツールを選定、用意しましょう。広告計測ツールには、Google アナリティクスのほか、アドエビス・アドゴクウ・ウェブアンテナなどなど…さまざまなツールがあります。

 

まずは無料で使えるGoogle アナリティクスを使うのがおすすめです。Google アナリティクスは、Googleアカウントを登録すれば、だれでも無料で使うことができます。

②データ収集

使用するツールが決まったら、分析するデータを集めます。データ分析を進めるためには、まずデータを収集する必要があるからです。

 

Google アナリティクスを使う場合は、ユーザーの流入元を判別するために、特定の情報をデータに追加する必要があります。どのようなパラメータを追加できるかは、Google アナリティクスのヘルプページも参考にしてみてください。

 

参考:カスタム URL でキャンペーン データを収集する - アナリティクス ヘルプ

③複数のモデルで比較

分析対象のデータが収集できたら、複数のモデルを用いてCV数にどのような変化が現れるか検証します。アトリビューション分析をする際は、Google アナリティクスの「コンバージョン」→「マルチチャネル」→「モデル比較ツール」を使いましょう。

 

Google アナリティクスでは、3つのモデルを比較してその変化を見ることが可能です。たとえば、ある広告チャネルで「ラストクリック」よりも「ファーストクリック」や「線形」のCV数が増えた場合、その広告は認知や興味を引き起こしている可能性が高いと見ることができます。この広告チャネルの予算を増やしてみて、CV数の変化を見て調整していくのがおすすめです。

 

Google アナリティクスの初期設定では、CV前30日間のクリックしか計測されないため、とくにBtoBなどの高額商材では設定を変更するよう気をつけてください。広告を代理店に委託している場合は相談してみるとよいでしょう。

Googleのアトリビューション分析

ここでは、それぞれの広告がどのくらい効果的かを調べることができる、Google広告のアトリビューション分析についてご紹介します。

 

Google広告では、CVラッキングのアトリビューションモデルを変えることができます。これは、「どの広告にどれだけ割り振るかを決める仕組み」です。ここを変更することで、広告の効果を正確に測り、スマートな広告入札に活用することができます。

 

またGoogleが提供するそのほかのツールにおいても、アトリビューション分析を簡単にできる環境が整っているため、ここではいくつかをご紹介します。

Google 広告

Google広告のアトリビューション分析に、「検索アトリビューション」があります。

検索アトリビューション

検索広告の成果を理解するために、「検索アトリビューション」と呼ばれるツールがあります。なかでも「アトリビューションモデリング」機能では、現在の評価方法と別の方法を比べて、どの広告が成果に対してどのような影響を与えるかを確認できます。

 

①Google広告の管理画面右上にある「ツール」をクリック。
②「検索アトリビューション」をクリック。

 

ここで「アトリビューションモデリング」という項目を選ぶと、異なる評価方法を比較できます。比較する際にも、アカウント・キャンペーン・広告グループ・キーワード・マッチタイプ・デバイスなど、どの部分で比較するか選ぶことも可能です。

 

広告の成果を「どのように見るか」が理解できることで、広告の効果的な運用につながります。

Google アナリティクス

Google アナリティクスは、無料で使えるアクセス解析ツールですが、アトリビューション分析機能も搭載しています。Google 広告のアトリビューションモデルとは少し違い、カスタムパラメータを設定することで、自然検索などを含むGoogle広告以外のチャネルも分析できるのが特徴です。

 

この分析機能を使うことで、広告戦略で使っているすべてのプラットフォームを横断して、広告費用の再分配ができるようになります。ただしGoogle 広告のスマート自動入札への活用に関しては、ラストクリックモデルのみ対応していたり、Yahoo!やFacebookなどほかの広告プラットフォームの入札には干渉できなかったりする点には注意が必要です。

Google アトリビューション

Google アトリビューションは、その名の通りGoogleのアトリビューション分析ツールです。このツールは2017年5月の発表以来ベータ版の提供しかありませんが、アトリビューション分析ツールで課題とされていた点をクリアできるツールとして注目が集まっています。

 

これまでのアトリビューション分析ツールでよくありがちな課題としては、「設定が難しい」「広告ツールと連携していない」「ユーザーが複数のデバイスを使用していると購入経路をまたいで計測できない」といったものがあります。

 

Googleアトリビューションは、Google広告・Googleアナリティクス・Googleアトリビューションそれぞれの特長を盛り込んだツール。これまでのGoogleの他の製品では難しかったことも一通りこなすことができるため、多くの期待が集まっています。

 

次の章で、Googleのアトリビューション分析で使われる6つのモデルについて解説します。

6つのアトリビューションモデル

Googleアナリティクスでこれまで使われてきた、それぞれの広告のタッチポイントを評価するアトリビューション分析方法は、近年進化を遂げるカスタマージャーニーに最適化するため、2023年9月をもっていくつかのモデルの提供を終了しました。

 

現在使用できるアトリビューションモデルは、「ラストクリック」「データドリブン」の2つです。なかでも「ラストクリック」はアトリビューション分析を行わない場合の分析方法と同じであることから、廃止されたモデルはデータドリブンに集約され、今後使用されるアトリビューション分析の中心は「データドリブンモデル」となります。

 

GA4アトリビューションモデル

 

ここでは、現在使われている「ラストクリック」「データドリブン」モデルのほかに、廃止された4つのモデルについてもそれぞれ解説します。

①継続:ラストクリック

ラストクリックモデル

 

ラストクリックモデルは、ユーザーがお問い合わせをしたり商品を購入したりしたとき、最後に見た広告に100%の評価をつける方法です。

 

たとえば、ユーザーが商品を購入するまでに見たいくつかのなかで、最後にクリックした広告から購入した場合、最後の広告に100%の評価を、ほかの広告には0%の評価をつけます。

 

一般的にはもっとも広く使われている手法で、Google広告、Yahoo!プロモーション広告などで多く使われています。広告の効果を測定する際にも、「ユーザーが購入を決定した瞬間に影響を与えた広告」がどれかは明白だからです。

 

ただしラストクリックモデルは、潜在顧客に対する広告評価には不向きとされているため、ほかのモデルを活用します。

②継続:データドリブン(DDA)

データドリブンモデルは、これまでに収集・蓄積してきたアクセスデータを活用し、CVに貢献しているキーワードやキャンペーンを解析し、さらにそれぞれに貢献度を割り当てる方法です。データドリブンアトリビューション(Data Driven Attribution)は、頭文字をとってDDAとも呼ばれます。

 

事前定義されたルールにもとづく従来のアトリビューションモデルでは、CVに至ったユーザーが商品に辿り着くまで経由したいくつかの広告を同じルールに沿って分析するため、異なるいくつかのケースで同じ分析結果が出てしまうこともありました。

 

一方データドリブンモデルでは、機械学習によるアルゴリズムに沿って分析をおこなうため、アカウントごとのアクセスデータ・クリックのパターンなどをもとに、CVまでにユーザーのたどる経路を正しく識別することができます。

 

たとえば「過去30日間に5,000回以上のクリック」かつ「各CVアクションに300回以上のCVが必要」という条件をクリアできれば、特別なデータにもとづいたモデルを使うことができる、というものです。

③廃止:ファーストクリック

ファーストクリックモデル

 

ファーストクリックモデルは、購入を決定したユーザーが、最初に見た広告に100%の評価をつける方法です。ラストクリックモデルとは逆で、最初の広告に対して高い評価をつけるのが特徴です。最初に見た広告に100%の評価をつけ、他の広告には0%の評価をつけます。

 

ファーストクリックモデルでは、潜在層・新しいユーザーとの最初の接点に対して高い評価をつけています。CVから一番遠いタッチポイントに重きを置くことで、積極的な新規顧客開拓に貢献する手法です。

 

広告の目的としては、新しい顧客に対して広告で認知を拡大させること、ビッグキーワードを意図した広告配信などで効果を発揮します。

④廃止:線形

線形モデル

 

線形モデルは、CVにつながったユーザーが接点をもったすべての広告に対して、貢献度を均等に分ける方法です。たとえばCVまでに4つの広告と接点があった場合、4つの広告すべてに対して、貢献度を25%ずつ均等に割り当てます。

 

ユーザーはCVするまでに複数の広告に触れることがありますが、これらの広告がどれだけ効果的だったかを判断するのに役立ちます。ユーザーによって異なる経路で商品を買うことを見据えて、最初や最後の広告だけでなく、途中の広告がユーザーにどのような影響を与えたのかを重視するのが特徴です。

 

ただし線形モデルを使うには一定量のデータが必要で、効果的に評価するには十分なサンプルデータが必要となります。最近はCVのプロセスが複雑化していることもあり、アトリビューション分析のなかでも比較的よく利用されるモデルです。

⑤廃止:接点ベース

接点ベースモデル

 

接点ベースモデルは、CVに至ったユーザーが、広告と接点をもったすべての場面に対して、貢献度を割り当てる方法です。

 

ここでは、最初に見た広告と最後に見た広告に40%、その中間で見た広告には均等に10%ずつの貢献度を割り振っています。たとえば広告1が最初に見た広告で、広告4が最後に見た広告だった場合、このモデルではそれぞれ40%の貢献度を受けることになります。中間の広告2と広告3は、それぞれ10%の貢献度を得ることになります。

 

このモデルの特徴は、コンバージョンの経路の最初と最後の広告にバランスよく比重を置いていることです。入り口と出口をバランスよく評価するのが得意なモデルで、ラストクリックモデルやファーストクリックモデルのいいとこ取り、ともいえるかもしれません。

⑥廃止:減衰

減衰モデル

 

減衰モデルも、接点ベースと同じく、CVしたユーザー接触したすべての広告に貢献度を割り当てる方法です。接点ベースモデルとの違いは、最後に見た広告に最も大きな割合の貢献度を与え、初期のタッチポイントに向けて、貢献度が減少していく点にあります。

 

たとえば広告1から広告4まであった場合、広告4が最後に見た広告であれば40%の貢献度を、その前に見た広告3は30%、さらにその前に見た広告2は20%、そして一番最初に見た広告1は10%と貢献度が割り振られます。

 

減衰モデルの特徴は、ラストクリックモデルと同様に最後の広告に重きを置きつつ、CVに近いほど貢献度を多く割り当てる点です。短期的なプロモーションや特定の期間の効果を見るときに使いやすく、慎重なアトリビューション分析が可能となります。

ビジネスの成長フェーズに合わせてアトリビューションモデルを選ぶ

アトリビューションモデルを、ビジネスの成長段階に応じて選択しなおすことは、広告費用の分配を最適化する重要なステップです。

 

とくに予算が限られている場合は、それぞれの広告の検討度合いを正しく評価する必要があります。どの広告やどのターゲット層に注力し、またどこで予算を削減するかを判断するうえで、非常に有効なデータだからです。

 

アトリビューションモデルのなかでどのモデルを採用するかは、成長をどのフェーズでどれだけ積極的に進めたいかによって変わります。

 

たとえば、ラストクリックモデルはCVに最も近いタッチポイントを考慮するため、比較的費用対効果を生み出しやすいといえます。慎重に拡大をはかりたい場合は、ラストクリックに比重を置いたモデル、ラストクリックや減衰などから採用するのがおすすめです。

 

積極的な売上規模拡大を優先する場合、購入してくれる可能性のあるユーザーに少しでも多く接触できるモデルを選ぶことが重要です。ただファーストクリックや接点ベースといった初期に比重を置くモデルは、購入を検討しはじめた段階のユーザーのため購買意思が弱く、費用対効果が悪くなるのがデメリットでもあります。

アトリビューション成功事例

求人情報サイトTの事例では、アトリビューション分析を用いて、YouTube広告とリマーケティングの効果を測定しました。ビデオ広告を見た視聴者は「アルバイト」の検索でのクリック率が32.5%高く、態度変容やサイト利用率でも明確な向上が見られ、ビデオ広告がアルバイト求人者の登録に寄与していることが確認できています。ユーザーアンケートでも、広告の想起率やサイト利用率が非視聴者に比べて高かったことが示され、アトリビューション分析がマーケティング戦略の評価に有用であることが示唆されました。

 

通信教育サービスZは、広告の貢献度を測る際、ラストクリックだけでなく「ビュー効果」も考慮し、各広告の「貢献コンバージョン」を比較しました。結果、バナー広告がリスティング広告よりも多くの貢献コンバージョンを生み出しており、とくにアドネットワークのオーディエンス配信が有効でした。潜在的なユーザーへのバナー広告アプローチが、会員登録を促さずとも、将来のコンバージョンにつながることが明らかになりました。

 

通信事業Kでは、アトリビューション分析を通じて異なる広告媒体の効果を検証しました。CPA(顧客1人を獲得するためにかかった費用)の比較では、リターゲティング広告が最も優れているように見えたものの、アトリビューション分析による深堀りで、あるアドネットワークの価値が明らかになりました。アンケートデータからは、このアドネットワークに接触したユーザーはサービス利用意向が12%向上していることがわかっており、CPAだけでは見えなかったメディアの実際の価値が浮かび上がりました。

まとめ

アトリビューション分析について解説しました。

 

2011年頃から世に広まり始めたアトリビューション分析ですが、今では非常に着手しやすい環境が整ってきました。ラストクリックモデル以外の評価を正しく取り入れることで、広告はもちろん、マーケティング施策の効果も検証できるのは大きなメリットとなっています。

 

さらに、CVまでのプロセスで、ユーザーが広告にどのように出会い、どういった影響を受けるのか、定量的なデータ分析をすることで、データドリブンなマーケティングを実現できるはずです。これらの分析をもとに広告費用を適切に配分することで、マーケティングの効果を最大化していきましょう。

 

  • この記事を書いた人
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  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Fri, 19 Jan 2024 00:00:00 +0900
<![CDATA[ペイドメディアとは?3つの種類やメリット・デメリット、活用方法や成功事例もご紹介!]]> https://mtame.jp/advertisement/paidmedia ペイドメディアとは、オウンドメディアやアーンドメディアと並ぶ、企業マーケティングにおいて核となる「トリプルメディア」のひとつです。

 

企業が費用を支払って広告を掲載するメディアを指し、自社商材の認知拡大や売上向上を主な目的としています。

 

本記事では、ペイドメディアに関する基礎知識に加え、効果的に運用するポイントや活用方法などをわかりやすく紹介します。最終章では実際の成功事例も紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

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ペイドメディアとは

ペイドメディア(Paid Media)とは、企業が費用を支払って広告を掲載するメディアを指します。

 

企業マーケティングにおいて核となる3つのメディアは「トリプルメディア」と呼ばれ、ペイドメディアはそのうちの一つです。他にオウンドメディアとアーンドメディアがあります。

 

ペイドメディアは主に、Web広告や、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4マス媒体、セールスプロモーション広告に分類可能です(詳細は後述)。製品やサービスの認知拡大や売上向上が主な目的で、不特定多数の消費者に対して広告を打つことで、より広範囲に接点を作ることができるという特徴があります。

 

ペイドメディアは従来最も一般的なメディアだったといえますが、膨大なコストがかかる点や、コミュニケーションが一方通行になる傾向にあることに加え、消費者の多様化が進んだことによって効果は減少しつつあり、現在ではオウンドメディアやアーンドメディアを融合してアプローチすることが一般的になっています。

 

ここでペイドメディアをより的確に理解するため、オウンドメディア、アーンドメディアとの違いについてもみていきましょう。

オウンドメディア、アーンドメディアとの違い

ペイドメディアとほか2つのメディアとの大きな違いの1つは「広告費用の有無」にあります。ペイドメディアは、広告掲載先の媒体にコンテンツを依頼しますが、他2つのメディアは広告費はかかりません。

 

また「運営する目的」も異なります。ペイドメディアは「認知拡大・売上向上」が主な目的ですが、企業が自らコンテンツを作成し運営する「オウンドメディア」の主な目的は「顧客獲得・ブランディング」です。またユーザーのブログ記事や比較サイトでのレビューのように、消費者やユーザー自身が情報を発信する「アーンドメディア」は、「ユーザーの口コミなどによる認知拡大」を目的としています。

 

さらに、「メディアへの露出の早さ・広さ」という点でも違いがあります。ペイドメディアは広告費を払って広告を打つので、すぐに幅広い層へ露出することができますが、他2つのメディアはSEOなどのマーケティング施策を実施して自社で積み上げていく必要があるため、多くの人に認知してもらうには時間がかかります。

 

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ペイドメディアの主な種類3つ

ペイドメディアの主な種類は、「Web広告」「4マス媒体」「セールスプロモーション広告」の3つです。それぞれの種類について解説します。

①Web広告

Web広告は、検索エンジンの検索結果画面や、Webサイト・ブログなどに表示される広告枠に掲載できる広告を指します。インターネットの利用が一般化している現代において、非常に勢いのあるペイドメディアです。

 

広告費用が比較的安価である点や、広告出稿後に容易に分析ができる点などがメリットです。ターゲット設定を行って、見込み度の高いユーザーを狙って認知を広げることも可能です。

 

Web広告には「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「ソーシャルメディア広告」など様々な種類があり、自社の戦略に合わせて広告を出稿できます。以下でそれぞれの特徴について紹介します。

 

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リスティング広告

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト広告を指します。Web広告の中で最も利用されている広告といっても過言ではありません。

 

主に検索結果ページの上部、もしくは下部に表示され、URL の左側には「広告」と表記されるのが特徴です。リスティング広告をクリックしたユーザーを指定のWebサイトに誘導できます。

 

低予算でありながら、興味・関心をもつユーザーにダイレクトに訴求できるため、費用対効果が高い広告手法といえます。

 

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ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とはWebサイトや動画サイト、アプリなどの広告枠に表示される広告のことです。広告の掲載枠があるサイトのコンテンツに応じて広告が表示されるため「コンテンツ連動型広告」や、バナー形式での掲載が多いことから「バナー広告」と呼ばれることもあります。

 

ディスプレイ広告は画像、動画、テキスト、またはテキスト+画像など様々な形式で掲載できるのが特徴で、ユーザーの目にとまりやすい広告を打つことが可能です。

 

配信枠が多いため、潜在顧客に幅広くアプローチすることができるほか、リスティング広告やSNS広告に比べ、クリック単価が低くなる傾向にあります。

 

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SNS広告

SNS広告とは、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINEなどのSNSプラットフォーム上で表示される広告を指します。特に、近年普及しているWeb広告の一つです。

 

テキストやバナー広告、動画広告やカルーセル広告も増えており、タイムラインやストーリーなどに表示されます。ユーザーが登録した情報に基づいた、高精度のターゲティングが実現できるという特徴があります。

 

SNSは、10代~30代の利用が多い傾向にあるため、若年層がターゲットの際におすすめの手法です。

 

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②4マス媒体

4マス媒体は「テレビ、ラジオ、新聞、雑誌」の4種類を指し、従来利用されているマスメディア広告です。

 

Webメディアが勢いを増してきた今でもなお、4マス媒体を利用するユーザーは多く、認知拡大に大きな効果を期待できます。特に、年齢層の高いユーザーが多い傾向にあるため、ターゲットの年齢層が高い場合におすすめの手法といえます。

 

4マス媒体は歴史が長いため、Web広告よりも信頼を得やすいという利点がありますが、一方で広告費用がかさんでしまうという側面もあります。予算をしっかりと考慮した上で出稿することが大切です。

③セールスプロモーション広告

セールスプロモーション広告とは、Web広告や4マス媒体を除くオフライン広告全般を指し、商品やサービスの認知拡大、ユーザーの購買意欲促進に活用される広告のことです。

 

店頭POPや折り込みチラシ、ダイレクトメール、電車やタクシーなどの交通広告などが当てはまります。

 

セールスの要素が強く、ターゲットを絞ってアピールできるという特徴があるため、アプローチしたいターゲットが定まっている場合におすすめの手法です。認知拡大やブランディングなどの目的で掲載する広告とは別のものとして考えられています。

ペイドメディアの4つのメリット

トリプルメディアの中でも、ペイドメディアは特に即効性があるため結果につながりやすいというメリットがあります。

 

その他にはどのようなメリットがあるのでしょうか?主な4つのメリットについて紹介します。

①幅広い層にリーチできるため認知拡大しやすい

ペイドメディアでは多くのユーザーが利用する媒体に広告を出稿し、幅広い層にリーチすることができるため、認知拡大しやすいというメリットがあります

 

ペイドメディアに出稿することで、既存顧客はもちろん、潜在顧客や自社商品・サービスを知らないユーザーにまで認知してもらうことが可能です。

 

特にテレビCMやラジオなどの4マス媒体は既に利用者の多いため、広告を出稿することで非常に高い効果が見込めます。明確なターゲットを設定している場合、それに最適な媒体を選定して広告を表示できるため、より効果を実感できるでしょう。

 

トリプルメディアの中でも、ペイドメディアは最も効率が良く、スピーディーな認知拡大が期待できるメディアといえます。

②集客アップが見込める

「自社サイトに誘導して集客向上につなげられる」という点も、ペイドメディアの大きなメリットです。

 

たとえば、雑誌広告へのQRコード掲載や、動画広告内へのリンク埋め込みなどを行って導線を作り、自社サイトへと誘導することで集客力向上へとつなげられます。こうすることで、高い効果を発揮することが期待できるでしょう。

 

ただし、その分費用がかかる(詳しくは後述)ため、予算・広告掲載期間を予め決めておくなど、限られた予算の中で最大限に効果を発揮する戦略を立案することが大切です。

 

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③即効性が高い

即効性が高いというポイントもペイドメディアの利点であり、成果を得られやすいという特徴があります

 

先述したように、ペイドメディアは費用を支払って、既に多くのユーザーが利用しているメディアに広告を掲載するため、露出機会がある程度担保されており、集客や認知度の向上において高い即効性があります。

 

高い集客力が必要となるイベントや、新商品・サービスの発売など、すぐに成果を得たい場合には、ペイドメディアの活用がおすすめです。

④戦略を活かした広告が打てる

ペイドメディアは、広告のデザインや文言などの配信内容を細かく設定できるため、戦略を活かせるというメリットがあります

 

「どのメディアに、どんな広告を出稿するか」を自由に決められるので、自社のブランディングや戦略に最適な広告を打つことが可能です。また、予算に合わせて広告規模を調整することもできるため、キャンペーンに合わせてターゲットを変更したり、小規模スタートで徐々に規模を拡大して広告を配信したりするなどの対応もできます。

 

自由度の高い広告配信によって、戦略の最大限の活用が実現できるでしょう。

 

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ペイドメディアの3つのデメリット

ペイドメディアにはデメリットもあります。主な3つのデメリットを紹介しますので、実際にペイドメディアを利用する際には気をつけましょう。

①継続的に費用がかかる

ペイドメディアを活用する場合には、継続的に費用がかかるため注意が必要です。

 

広告費用はメディアや掲載期間などで大きく異なりますが、継続して出稿するほど費用はかさむため、長期間出稿の場合は予算を十分に確保した上で活用しましょう。ターゲット設定や期間が曖昧なまま出稿してしまうと、コストをかけても無駄になってしまう可能性もあります。

 

掲載期間内で高い成果を得られるよう、話題作りをしてペイドメディアだけでは完結しない工夫を施すなど、しっかりとした計画立案を行うことが大切です。

②一方的なコミュニケーションになってしまう

ペイドメディアでは、企業とユーザー間の双方向コミュニケーションが取れないため、一方的なコミュニケーションになってしまうというデメリットがあります

 

ターゲットをしっかり設定しないと、広告内容に興味がないユーザーに対しても継続的に広告が表示され、不快感を与えてしまう可能性があります。インタラクティブな反応やユーザーの声を反映させて、商材を改善したいケースでは、ペイドメディアだけの活用では難しいでしょう。

 

一方的なコミュニケーションでは信頼関係を構築しづらいため注意が必要です。常にユーザーを意識して広告を制作するようにしましょう。

③競争が激しい

「競争が激しい」という点もペイドメディアのデメリットです。

 

現時点で多くの企業がペイドメディアを利用しているため、特にWeb広告では検索上位を狙うコンテンツの競争が激化しています。これに打ち勝つためには、ペイドメディアに出稿するだけではなく、効果的な広告内容を打ち出す工夫や、競合他社との差別化などが必要です。

ペイドメディアを効果的に運用する5つのポイント

ペイドメディアに関する理解が深まってきましたが、実際に効果的に運用していくにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか?5つのポイントについて紹介します。

①目的・ターゲットの明確化

ペイドメディアを運用する際にまず大切なのは、運用する目的及び広告の対象となるターゲットを明らかにすることです。

 

例えば、「自社ブランドの認知拡大」「リードの獲得」「新商品の売上向上」など、あらかじめ目的を明確化しておくことで、適切な広告戦略につながり、結果を評価するための指標を設定しやすくなります。

 

ターゲットであれば、ユーザーの年齢層や住所、性別、興味・関心の度合いなどを決め、その中でもWeb広告の場合はユーザーの購買履歴などを分析した上で最適なターゲットを特定することが大切です。

 

「広告費用をかけても無駄になってしまう」という可能性も減り、掲載期間内でより高い成果を見込めるでしょう。

②最適な媒体を選ぶ

明確にした目的やターゲットに適した広告媒体を選ぶことも、非常に重要なポイントです。

 

例えば、年齢や性別を問わず、幅広い層にリーチしたいのであればテレビCMを利用し、若い世代をターゲットにしているのであればSNS広告を利用するなど、目的やターゲット、扱う商材やサービスに最も相性のいい媒体を選びましょう。

③オウンドメディアやアーンドメディアと連携する

ペイドメディアだけでなく、オウンドメディアやアーンドメディアと連携させることも、高い効果を得るためのポイントです。相乗効果によって、ペイドメディア単体で活用するよりもさらに高い効果が期待できます。

 

具体的には、まずペイドメディアで認知を拡大し、オウンドメディアで自社商品やサービスなどへの理解を深めてもらい、アーンドメディアで顧客獲得やファン育成を行う流れが一般的とされています。それぞれの長所・短所を理解した上で、短所をカバーしつつ連携して運用することが大切です。

 

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④メッセージ・デザインの最適化

広告メッセージやデザインを最適化することで、ペイドメディアをより効果的に活用することができます

 

ユーザーの課題やニーズをしっかりと理解した上で、魅力的な画像や映像を使用してターゲットに響くように最適化することで、さらに高い効果を期待できるでしょう。Web広告であれば、CTA(Call to Action:コール トゥ アクション)ボタンの配色や配置場所を工夫することで、クリック率やCVR(コンバージョン率)の向上を図れます。

 

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⑤効果検証と継続的な改善

Web広告の場合、リアルタイムで効果検証を行うことができます。データを分析した上で、継続的に改善していくことで、より効果的にペイドメディアを活用できるでしょう。

 

具体的には、広告の表示回数やクリック率、表示順位やコンバージョン数など、広告に対するユーザーの反応をすぐに追跡可能です。結果に基づいてターゲット設定や戦略そのものを見直すことで、継続的な改善、最終的にはより大きな成果につながります。

 

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ペイドメディアの活用方法

ペイドメディアは、各プラットフォームによって活用方法が異なります。具体的な活用方法についてみていきましょう。

①テレビCMの活用:幅広い層に認知を拡大できる

代表的なペイドメディアのひとつであるテレビCMは、幅広い層に認知を拡大する際に活用したいメディアです。

 

テレビCMは多額の広告費用がかかりますが、ユーザーからの高い信頼性が魅力といえます。テレビCMで見た商品を手に取った経験がある方も多いのではないでしょうか?

 

予算が限られている場合は、自社内でリソースを割いて広告動画の制作を行うことで、コストを抑えることも可能です。地方限定CMを公開するという手法もあります。

②雑誌広告の活用:特定のターゲット層に有効

雑誌は購入するターゲットが明確なため、広告を打つことで特定のターゲット層に高い効果が期待できます。雑誌のコンセプトと、広告を打ちたい商品・サービスのターゲットが合致するかどうかを検討した上で広告を掲載することが重要です。

 

先述したテレビCMは費用が高いため、規模が大きい企業でなければ掲載が難しい傾向にありますが、雑誌は比較的広告費が抑えられるため、多くの予算を割けない企業は雑誌広告の活用がおすすめです。全国に打ち出せる広告であるという点も魅力といえます。

③リスティング広告の活用:コンバージョンの向上

GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示される「リスティング広告」は、悩みに対する答えや解決策を探しているユーザーにアプローチをかけることができるのが特徴です。

 

そのようなユーザーは、自身のニーズを満たす商品やサービスを見つけた際に、コンバージョン(CV)しやすい傾向にあります。そのため、CVの向上や増加を測りたいのであれば、リスティング広告の活用がおすすめです

 

比較的低予算で実施できるというメリットがありますが、広告を出稿する業界やキーワードによってはコストが高騰する場合もあることを理解しておきましょう。

④動画広告の活用:全世界・若い世代へ訴求できる

YouTubeやFacebook、その他SNSで流れる動画広告は、比較的若い世代へ訴求しやすいというメリットがあります。また、4マス媒体などに比べて広告費用を大幅に抑えながら、国内だけでなく、全世界に向けて広告を出稿できるというのも特徴です。

 

インターネットの発展やスマホの普及、SNSの発達によって、インターネット上で情報収集するユーザーが増加しており、ネットにおける動画広告のニーズが高まっています。

 

特にSNSでは10~30代のユーザーが最も多いとされているため、若年層がターゲットの商材を打ち出す場合は特におすすめです。

⑤Instagram広告の活用:細かいターゲティングが可能

Instagram広告は、近年大幅にユーザーを増やしているSNS「Instagram」に出稿できる広告で、狙ったユーザーにピンポイントでアプローチできるのが魅力です。

 

広告には「記事内型」「ストーリー型」「動画広告型」の3タイプがあり、ターゲット設定を細かく決めることができる機能が備わっているため、有効に組み合わせることでより効果的にアプローチすることができます。

 

Instagramは年齢層が高くなるほどインプレッションが少なくなる傾向にあるため、商材やターゲット層を見極めて広告を打ち出す必要があります。

ペイドメディアの成功事例3選

では最後に、ペイドメディアを活用した成功事例を3つ紹介します。実際に運用する際の参考にしてください。

日清食品ホールディングス株式会社:動画広告

カップヌードルなどの商品の開発・販売を行う日清食品ホールディングス株式会社は、カップヌードルのテレビCM「HUNGRY DAYSシリーズ」が大きな反響を呼びました。

 

同CMシリーズは、スタジオジブリ作品「魔女の宅急便」や「サザエさん」などの登場人物の青春にフォーカスし、「国民的名作のヒロインが、もしも現代で青春を送っていたら?」というパラレル・ワールドを描いたシリーズ。

 

その内容が共感を生み、「第23回 AMD Award ’17」では食品業類にてCM好感度1位を獲得し、動画再生が1,800万回以上という成果を得られました

 

ペイドメディアをはじめ、常に話題を提供するプロモーションを展開し、2019年度には3年連続で最高売上記録を更新し、国内年間売上は1,000億円を達成するなどの成果を発表しています。

 

参考

第23回 AMD Award 優秀賞|日清食品 カップヌードル HUNGRY DAYSシリーズ 一般社団法人デジタルメディア協会

日清食品株式会社 プレスリリース「皆さまへ心からありがとう! 「カップヌードル」が、国内年間売上1,000億円を達成!」

ダイキン工業株式会社:Instagram広告

空調機器メーカーであるダイキン工業株式会社では、「ストーリーズ」を活用したInstagram広告を利用し、若年層への認知拡大に成功しました。

 

同CMには若者から支持されているインフルエンサーを起用し、動画もクイズ形式に工夫することで、楽しみながら視聴できるCMとして話題を集めました。また、Instagramの強みである、アンケートなどのインタラクティブな施策の実施も注目度を高めた大きな要素となりました。

 

広告では「湿度コントロールが重要」であることや、「ダイキンは湿度調整ができる」というメッセージを伝えることに成功。

 

ユニーク且つインパクトのあるクリエイティブを活かして、ペイドメディア活用に成功した事例といえます。

 

参考

ダイキン工業株式会社 プレスリリース「人気インフルエンサーkemioさんが難問に挑戦!湿度をテーマにした動画「#ぴちょんクイズ」第2弾を公開」

ダイキン×ワンメディアが検証!Instagramストーリーズでのブランド訴求&クリエイティブの最適解

パナソニック:新聞広告

日本を代表する総合エレクトロニクスメーカーであるパナソニックでは、新聞広告を活用して自社のSDGs活動を広める施策を行っています。

 

同広告では、SDGsそのものの認知拡大に加え、自社のSDGs活動を子どもや親に認知・理解してもらい、ブランドイメージの向上を図ることを目的とし、子どもが楽しめるコンテンツとして「みらいぬりえ」塗り絵を掲載しました。

 

同社は幅広い事業体系でSDGsの17ゴール全てに貢献しているという強みがあり、17ゴールそれぞれの「みらい」を塗り絵で表現。親子で楽しみながら、主体的にSDGsへの理解を深める作りになっています。ぬりえを楽しむ様子がSNSにアップロードされたり、子供からぬりえの内容について質問が届くなど、大きな反響があったそうです。

 

広告を打ち出す目的に最適な媒体やクリエイティブを選定したことが、成功へのポイントといえるでしょう。

 

参考

日本新聞協会 パナソニック|新聞広告データアーカイブ

まとめ

本記事では、ペイドメディアについて網羅的に解説しました。

 

ペイドメディアには様々な種類がありますが、高い効果を得るためには、自社の打ち出したい商品・サービスに適した媒体を選ぶことが非常に重要です。

 

また、オウンドメディアやアーンドメディア含めたトリプルメディアと連携して活用することで、ペイドメディアの効果を最大限の発揮することにもつながります。

 

自社の目的やターゲットを明確にし、しっかりと戦略を練った上で、最適な広告媒体を選べるようにしましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Thu, 28 Dec 2023 09:00:00 +0900
<![CDATA[AIライティングとは?企業担当者が「生成AIツール」で記事作成するための基本を解説]]> https://mtame.jp/content_marketing/ai-writing 昨今、ビジネスの現場において「AIテクノロジー」をうまく活用しながら、業務効率化・生産性向上を推し進めていこうという意識が高まっています。特にデジタルマーケティングの分野では、「AIライティング」が急速に広まりつつあります。

 

AIライティングとは、人工知能(Artificial Intelligence)の技術を利用して、記事コンテンツなどのテキスト文章を、自動生成する手法のことです。Webサイトにおいてブログ・コラムなどに公開する記事コンテンツは、コンテンツマーケティング・SEO対策を考えるとなくてはならないものですが、地道に多くの記事を量産していくのは、日々忙しいマーケティング担当者にとってそれなりの負担ではありました。

 

AIを上手に使えば、この大変だった記事コンテンツ作成にかかる作業量を削減することができ、効率的にマーケティング活動を実行できるようになります。
ここでは企業担当者が、ChatGPTやGoogle Bardのような「生成AIツール」を使って記事を作成するためのポイントをご紹介していきます。

【現役 ITコンサルが書く、デジタルマーケティングのノウハウ】

AIライティングとは

AIライティングとは、技術進歩が目覚ましい「生成AIツール」を使いながらテキスト文章を作りあげていく方法です。自然言語処理(NLP = Natural Language Processing)という技術を利用し、大量のテキストデータから言語のパターンを機械学習させることで、AIは人間のような自然な文章を生成することができるようになりました。特に日本語は、欧米諸国で使われている言葉と比べても複雑な文法やニュアンスを持つ言語ではありますが、テクノロジーの発展により高品質な文章作成が可能になってきています。

デジタルマーケティングにおけるAIライティング

AI(人工知能)の歴史は、1950?60年代に遡りますが、当時は現在のような文章生成には至っていませんでした。2010年代に入るとビッグデータの活用が進み、ディープラーニング(深層学習:Deep Learning)などの機械学習技術が大きく進化しました。特に、日本語のような複雑な言語においても、AIによる自然な文章生成が可能になり、マーケティング分野での活用が増加傾向にあります。

 

AIライティングは、ブログ・コラム用の記事コンテンツはもちろん、キャッチコピーや、見込客向けメール原稿、SNS用の投稿文などのドキュメント生成に長けています。また、ちょっとしたキャンペーンのアイデアを考案する際にも役立ちます。うまく使いこなせれば、これらにかかる作業時間を大幅に削減することができるでしょう。

 

  • ブログ・コラム用の記事コンテンツ
  • キャッチコピー(記事タイトル・Webサイトの見出し・メール件名など)
  • メールニュースの本文原稿
  • SNS用の投稿文

AIライティングにおける注意点

このようにデジタルマーケティングにおいても有用な武器となる「生成AIツール」ですが、実際に現場で使用していくにあたってどのような注意点があるのでしょうか。メリット・デメリットなどを、一度ここで整理してみます。

① メリット

AIライティングを活用する最大のメリットは、そのスピードと効率性です。記事コンテンツを例にとると、従来はマンパワーで行っていた「情報収集」「記事の骨子構成(アウトライン)」「本文原稿ライティング」「校正」などの工程がありますが、これらの多くは「生成AIツール」に肩代わりしてもらえるため、高速で記事コンテンツを作成することが可能になります。また人間と違ってAIならば24時間365日いつでも稼働できるため、コンディションを気にせずに常に一定の品質を保ちながらコンテンツを生成し続けることができます。これらは、特にリソースが限られている中小企業にとって大きな利点となります。

② デメリット

一方で、AIライティングには、いくつかデメリットや弱点も存在します。まず、AIが生成する情報の「正確性」には限界があり、ファクトチェック(検証行為)が必要となります。特に専門的なテーマや最新ニュースなどは、マーケティング担当者の目視によって事実確認をした方が安全でしょう。またAIライティングは、論理的・数値的な文章をつくりあげるのには向いていますが、情緒的・創造的な文章づくりは不得意です。このあたりも人間によって手直しを施さないと無機質な印象を与える記事コンテンツになってしまいます。

 

AIだからと言って何でも万能にできるということではありません。ただ、これらのメリット・デメリットを理解しつつ、ChatGPTなどの生成AIツールを使いこなすことができれば人力だけではできなかったパフォーマンスも期待できます。

記事コンテンツ作成に使えるAIツール

ここまでで、AIライティングで気をつけるべき点や、得意・不得意なども理解できたと思います。では、現場において使用できる生成AIツールにはどのようなものがあるのでしょうか。

 

企業のマーケティング担当者にとって、生成AIツールの選択は非常に重要です。市場には様々なツールが存在し、それぞれに特徴があります。例えば、一部のツールはビジネスメールやレポート作成に特化している一方で、他のツールはブログ・コラムなどの記事コンテンツの生成に適しています。あるいはExcelやスプレッドシートなどの集計処理に長けているものもあります。また、言語のサポート範囲や生成するコンテンツの品質もツールによって異なります。

① ChatGPT

ChatGPT(チャット・ジー・ピー・ティ)は、米国OpenAI社によって開発された生成AIツールです。ChatGPTに採用されている大規模言語モデル「GPT4」は、有料ではありますが自然言語処理に優れており、利用者の質問や命令に対してまるで人間のような自然な言い回しで回答してくれます。多様なトピックに対応し、コンテンツ作成、対話、情報提供など幅広い用途に利用できます。特に、マーケティングコンテンツの生成、カスタマーサポート、FAQの作成などに有効です。また、豊富なプラグインを使用することでさまざまな機能拡張が可能です。日々アップデートを繰り返しており、現在もっとも普及が進んでいる生成AIツールと言えます。
https://chat.openai.com/

② Google Bard

Google Bard(グーグル・バード)は、検索エンジンで有名なGoogle社が開発した生成AIツールで、OpenAId社とはまた異なったアプローチの大規模言語モデル(PaLM2)をもとにしています。このツールは、利用者からの複雑な質問に対して詳細な回答を提供する能力を持ち、特に情報検索や教育的な応答に優れています。Googleの広範なデータと統合されていることもあり、最新の情報やトレンドに基づいた回答が可能です。
https://bard.google.com/

③ Bing AI

BingAI(ビング・エーアイ)は、Microsoftが提供する生成AIツールです。OpenAI社の「GPT4」を大規模言語モデルとして採用しており、さらに検索エンジンのBingと統合されています。このツールは、検索結果の提供だけでなく、ユーザーの質問に対する直接的な回答や要約、さらには会話形式での対話にも対応します。ChatGPTとは違って無料で「GPT4」による精度の高いレスポンスが得ることができます。利用する際は、Bingのページから「チャット」を選んで使用します。
https://www.bing.com/

④ Google SGE(Search Generative Experience)

Google SGE(グーグル・エス・ジーイー)は、Googleの検索技術に基づいたAI体験を提供する生成ツールです。このツールは、Bardとはまた別の大規模言語モデルを使用しており、利用者が検索エンジンを使って調べるキーワードに対して、複数の情報源からより詳細かつ包括的な回答をテキスト生成するとともに、「参照サイト」をいくつか提示してくれるため、ファクトチェックがしやすいなど利便性に長けています。利用する際は、Googleのページ右上にある「Search Labs」のアイコンを選んで使用します。
https://labs.google.com/search/

 

これらのツールはそれぞれ独自の強みを持っており、さまざまな用途で活躍してくれると思います。まずは、実際に試してみながら自分に合ったものを使ってみましょう。

AIライティングのプロンプト例

ここまでで、AIライティングのデジタルマーケティングにおける活用方法や、生成AIツールについて紹介してきました。実際に使用する際には、深く考えずに思いつくまま入力スペースに質問事項を打ち込んでいけばそれで問題ないのですが、より望んだかたちの回答を得ようとするならば「プロンプト」という命令形式に則ってテキスト入力するのが効果的です。

 

  • AIプロンプト(prompt)= 動作するようにうながす、手助けする、迅速な、素早い、遅れのない、などの意味を持つ語句。コンピュータの世界では、主にユーザーが「コマンド」を実行するための命令文・文字列のことを指す。

 

以下に、ブログ・コラム用の記事コンテンツを作るときのプロンプト例を用意してみました。ここでは、中小企業のマーケティング担当者を対象として、「マーケティングオートメーション」を題材としています。このプロンプト例を、ChatGPTやGoogle Bardなどの生成AIツールの入力スペースに貼り付けることで記事コンテンツのドラフト版を作成することができます。

プロンプト例

 

#命令
あなたは優秀なマーケティングプランナーです。#検索キーワード、#記事タイトル、#ペルソナ、#出力形式、#記事導入文の作成ルール、#記事本文の作成ルール、を参照して、最高の「#記事導入文」「#記事本文」を作成しなさい。

#検索キーワード
マーケティングオートメーション

#記事タイトル
中小企業のDX化を支援するマーケティングオートメーションとは

#ペルソナ
規模: 日本国内の中小企業
業種: 特に業種は限定しない
担当者の部署: マーケティング部

#記事導入文の作成ルール
・記事導入文は、#検索キーワード、#記事タイトル、#ペルソナ、#記事導入文の
 作成ルール の情報を考慮して出力する。
・記事導入文は、冒頭で「""#検索キーワード"" とは、~です。」という、
 #検索キーワード自体を簡潔に説明する一文を作成して出力する。
・記事導入文は冒頭文の次に、""#検索キーワード"" に関連した日本国内における
 トレンド情報を20?30文字程度で出力する。
・記事導入文の最後は「この記事では?をご紹介していきます」という一文で締める    (~には ""#出力形式"" を短く要約した語句を入れる)。
・記事作成は、#検索キーワード を使用して、記事本文の見出し(h2)、さらに傘下となる
 中見出し(h3)、子見出し(h4)のアイデアを、#出力形式として出力する。

#記事本文の作成ルール
・記事本文は、#検索キーワード、#記事タイトル、#ペルソナ、#出力形式、#記事本文の
 作成ルール の情報を考慮して出力する。
・記事本文は、必ず日本語を使って作成する。不自然な日本語は使用しない
 (「ます」「です」の多用は禁止)。カタカナの専門用語はなるべく記述しない。
・記事本文は、見出しとなる「h2、h3、h4」の順序や構成を、必ず守って作成する。
・記事本文の最後に、全文を要約した「まとめ」を200?300文字くらいで作成する。
・記事本文は、題材とする検索キーワードに詳しくないペルソナにもわかるように、
  説明を省略することなく、できる限り文章ボリュームを使って出力する。

#出力形式
中見出し(h3)、子見出し(h4)は、SEO対策を考慮して必要があれば中見出し(h3)、子見出し(h4)を追加する。ただし必ずしも子見出し(h4)を使用する必要はない。

<h2> [見出し名]
└<h3> [見出し名]
 └<h4> [見出し名]
    ・
    ・
    ・
    ・

出力例

 

下記は実際にChatGPTにて生成された記事導入文と記事の例となります。

記事生成例

 

題材によって、「題材(検索キーワード)」「ペルソナ」「記事タイトル」を変えることで
いろいろな記事コンテンツのたたき台を作成することができます。その上で、試行錯誤しながら自分なりに使いやすいようにAIプロンプトを作成してみましょう。

まとめ

AIライティングは、今後もディープラーニングや自然言語処理の発展によって大きく進化していくと予想されます。AIはより感情的なニュアンスや創造的な表現を取り入れることも可能となり、まるで人間が書いたのと変わらない文章クオリティを実現できるようになるでしょう。そうなれば、人の心を動かすようなブランドライティングやストーリーテリングなども重要な役割を果たすようになる可能性があります。

 

企業のマーケティング活動においては、追い風と言えるでしょう。今までリソースの問題で手をつけられていなかったブログ・コラムの記事コンテンツや、メール原稿、SNS投稿などもより効率的かつ積極的に発信できるようになります。

 

自社のデジタルマーケティング強化のためにも、まずは何らかの「生成AIツール」を試しに使ってみましょう。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Thu, 28 Dec 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[SFAとは?簡単に解説!SFAの一覧もご紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_sfa SFAとは、Sales Force Automationの頭文字を取ったもので、営業支援システムのことです。営業活動を効率化し、生産性を向上させるためのシステムで、営業プロセスの自動化、管理、最適化を実現できます。

 

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