<![CDATA[エムタメ!]]> https://mtame.jp/ Fri, 09 Jun 2023 19:58:20 +0900 Fri, 09 Jun 2023 10:04:25 +0900 CMS Blue Monkey http://blogs.law.harvard.edu/tech/rss <![CDATA[【製造業のデジタルマーケティング】ここから始めればOK!がわかる施策4選(中編)]]> https://bluemonkey.jp/media/column/manufacture_digitalmarketing_02 Fri, 09 Jun 2023 10:04:25 +0900 <![CDATA[【6/14(水)】成果を出し続けるインサイドセールス ~立ち上げ準備から優良組織化まで~]]> https://cloudcircus.jp/media/event/20230613 Fri, 09 Jun 2023 00:00:00 +0900 <![CDATA[製造業が抱える「営業課題」を解決するために!マーケティング手法や身に着けるべきスキルをご紹介]]> https://mtame.jp/column/manufacture_sales_problem 営業力というと「交渉力」であると捉えられがちですが、とりわけ製造業での営業力においては、「顧客との関係構築力」がより重視されています。製造業において、顧客との良好な関係構築が売上拡大にむすびつくモデルケースは、米国企業を中心に多く研究・立証されてきました。さらに、製造業におけるセールス力には自社技術への理解やプレゼンスキルも必要です。

 

少子化の影響もあり、製造業ではこのように強い営業力と自社技術に関する知識を兼ねそなえ、商談を進められる人材は限られているのが現状です。これまで高い品質や技術力を強みに営業をかけなくとも自然に案件獲得できていた企業も、「近頃は新規獲得につながりにくい」「営業力のある人材の育成が進まない」といった営業課題を抱えているケースが少なくありません。

 

本記事では、製造業でありがちな営業課題と解決プロセス、また営業活動の精度をあげるマーケティング手法について具体的にご説明します。

 

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製造業における営業活動の重要性

近年ビジネス環境の変化は激しさを増しており、製造業においても営業活動の重要度はますますあがってきています。日本の中小製造業はもとより、技術力に特化している一方で、営業基盤の弱さが指摘されてきました。実際に、長年付き合いのある取引先からの信頼は厚いものの、新規開拓には課題を抱えているという企業は少なくありません。

 

しかし逆にいえば製造業は、営業課題を改善することでまだまだ発展する可能性を秘めている業界ともいえます。

 

近年の大きな変化としてあげられるのは、ビジネスモデルの主流がモノ消費からコト消費に移りかわり、顧客ニーズは製品そのものだけでなく、製品利用によって得られる「体験価値」に重きをおくようになったことです。さらにデジタル技術の進展により、高品質・低価格の海外製品がマーケットを席巻したことで、製品を品質・性能だけで差別化できなくなっている現状もあります。

 

また少子化問題の影響を受け、製造業全体での就業者数は約20年間で157万人も減少しました。(参考:厚生労働省「2022年版ものづくり白書」)若手人員の獲得・育成にかけるコストを考えても、営業活動を改善し、収益安定化を目指す必要があります。

 

製造業が抱える営業課題については、次の章からご説明していきます。

 

 

製造業が抱える営業課題とは

日本の製造業が抱える営業課題を6つに分け、それぞれ解説します。

 

業務の属人化

ものづくりの現場は、たとえマニュアルなどが用意されていても、最終的には熟練技術者のノウハウが必要になる業務フローが多く、属人化が起こりやすいのが特性といえます。

 

製造業における営業部もまた、既存顧客に対するフィールドセールスを中心とした、属人的な営業手法を強みとしている傾向があります。属人的な対応は、顧客とのリレーションシップ構築においては優位である一方で、売上が営業マン個人のスキルや経験に依存してしまう点がデメリットです。

 

また会社全体として商談進捗データを共有できる仕組みがなく、属人的な管理体制を採っている場合、評価の基準が曖昧になり、個人のモチベーションの低下から業績悪化につながってしまうことも。会社全体でリード(見込客)を見える化して育成する営業基盤をつくることで、属人化を回避する必要があります。

 

たとえば個人の引き出しにしまったままの名刺情報をデジタルデータとして可視化すれば、全体像が把握でき、部署としての課題も抽出しやすくなるため、営業活動をさらに効率的におこなうことができます。

 

次世代の人材不足・育成課題

製造業では、なぜ人手不足が起きているのでしょうか。厚生労働省が発表している「2022年版ものづくり白書」によれば、少子化によってそもそも若手人材の確保が困難であること・育成する側される側両方の人材、時間が不足していることが主な要因とされています。

 

製造業で案件を獲得していく営業スキルには、自社技術を訴求するのに十分な理解度が必要です。また世界的にもデジタル化が急進している製造業において、営業力強化のためにITC導入は必須ともいえますが、これらの専門知識をもつ人材確保も急務となっています。

 

この人材育成課題を解消するには、成果を出している営業担当者のノウハウを効率的に共有できるシステムを導入し、一定の水準で成果が出せる人員を育てられるよう体制を整えましょう。実際に、口頭伝承やメモ書きによるアナログな伝達方法から脱却し、ナレッジ共有システムなどのデジタルツールを導入する企業は年々増えています。

 

売上予測が立てにくい

「ものづくり」という業態の特性上、生産計画をコントロールしきれない点は、製造業が従来抱えてきた課題です。売上予測にブレがあると、余剰在庫を抱えてしまったり、逆に生産がおいつかず商機を逃したりと、業務の波をコントロールしにくい性質があります。

 

一般的な売上予測は、売上実績×自社成長率から割り出されますが、営業チームが抱える案件数とその進捗状況をもとにすり合わせを行います。そのため、売上予測をより正確に算出するには、「自社の生産能力」×「顧客に関するデータ」を正確に把握し、共有できる会社全体としての仕組みが必要です。

 

現在は、不安定な世界情勢から引き起こされる材料費・輸送費の高騰などの要因で、生産ラインの稼働率が安定せず、収益源に至っている企業も少なくありません。また製造業のサービス化にともなって顧客ニーズは変容し、売上予測はさらに複雑化していることからも、勘だけに頼らない、客観的なデータ分析の必要性が高まっています。

 

新規受注のタイミングがむずかしい

製造業は、顧客からリクエストをうけて生産・加工・納品をおこなう「受託加工」という業態をとっていることが多いため、新規顧客開拓においては効率が悪い点が課題となっています。

 

また見込客が業者を新しく探す理由としては、

  • コスト削減のため今より安価な製品を探している
  • 現在の委託先の、品質や技術の不備・納期遅れ・発注量に対する生産力不足
  • 発注先を増やすことによるリスク分散

などがあげられますが、よほどの理由でないかぎりは新規発注先を契約する・のりかえる選択をする可能性は低いです。このタイミングを見極めるのはアナログ対応ではむずかしく、やみくもにアプローチしても「今は必要ない」と流されてしまいがちです。

 

新規顧客に対して、現在の取引先を上回る魅力をアピールするには、顧客の課題を引き出して、そのソリューション(解決策)を提案する「ソリューション営業」に取り組む必要があります。また同時に、最適なタイミングをはかれるようデジタルツールの活用も必要になるでしょう。

 

設備・人的リソースへの投資のバランス

次世代の製造業界において、設備へのITC導入は、中長期的な企業の成長において必須項目といえます。しかし製造業ではこの「製品製造のプロセス」に注力するあまり、営業部などの人的リソースへの配分がおろそかになってしまうのもまたよくある課題です。

 

製造業界では数十年前の設備をいまだ現役で使っている現場などもみられ、日本のものづくり技術の凄さを物語っています。こういった工場をデジタル技術を用いた最新の設備にアップデートし、生産ラインを自動化・効率化すれば、稼働率があがることは間違いありません。

 

ただ当然ながら生産力ばかりをあげても受注できなければ意味がないため、新規顧客獲得や既存顧客維持もおなじように重要項目であることを意識して、適切にリソース配分をおこなう必要があります。

 

また定期的に社内での営業フローを見直し、社員それぞれの成績をもとにナレッジ共有できる組織づくりをすることで、全体での成績底上げを目指しましょう。設備、人員それぞれにバランスよく投資をおこなうことで、着実な利益アップにつながります。

 

部署間での連携不足

製造業において、製品製造に携わる事業部と、顧客とコミュニケーションをはかる営業部の間で認識の相違が生まれることも起こりがちな課題のひとつです。

 

とくに受託加工によって生産を行う製造業者は、受注があった分だけ製品を作れるとはかぎらず、製造設備の生産力には限界があります。そのため、たとえば繁忙期に営業部が多くの案件を獲得してきたけれど、設備のキャパシティを超えていて事業部で生産できず、商機を逃してしまうケースは往往にして起こりえます。

 

生産力にもとづく売上予測をシェアできる仕組みをつくり、計画的に営業目標を達成できるよう、部署間での連携を強める必要があります。部署の連携のファーストステップとしては、最新のデータをわかりやすく可視化して共有できるようなシステムやツールを導入するのがおすすめです。

 

顧客ニーズの多様化

顧客ニーズの多様化も、製造業の営業活動を難しくしている要因のひとつです。近年のサブスクリプションモデルの台頭に現れるように、モノ消費から体験へと顧客ニーズは変化しました。またデジタル技術の進展により「多品種の少量生産」が可能になったことで、顧客は自社のニーズによりフィットする、高い水準での体験価値を求めるようになりました。

 

そのため多様な顧客ニーズに対して、製品の品質だけでは競合との差別化がむずかしくなっているのが現状です。これまでと同じ、またこれまで以上に案件を獲得するには、既存の製品を紹介する従来の営業活動だけではなく、顧客の事業課題を積極的に見つけ出し解決策を提案する、ソリューション型営業が求められています。

 

顧客の課題に寄り添うソリューション営業では、自社技術と顧客課題に対する高い解像度をもち解決する営業力が求められるため、これに必要な人材育成も喫緊の課題となっています。

 

 

製造業の営業課題を解決するには

製造業の営業課題を解決するためのステップについてご説明していきます。

 

自社の営業業務フローを領域ごとに見える化する

現在自社でおこなっている営業フローには、どのような業務があり、どのように割り振られているでしょうか。

 

まずはフィールドセールスにあたる従来の営業活動を抽出してから、営業活動につなげる前段階であるマーケティング領域・インサイドセールス領域のアプローチにどの程度取り組めているかを可視化することで、営業課題解決のヒントを見つけ出します。

 

ひとくちに営業活動といっても、企業ごとにその定義や線引きは異なります。たとえば同じマーケティング施策でも、Webサイト運用は広報部・展示会は企画部とそれぞれ別の部署が担当しているといった企業や、企業規模が小さく営業部がすべてのフェーズを兼任して担当しているという企業などさまざまです。

 

営業活動と、それに関連する業務フローはおおまかに下のように分類できます。まずは、自社でできていること、できていないことを明確化しましょう。業務領域が図のように被っていることは一般的です。

 

営業活動と関連する業務フロー

 

それぞれの領域については以下に説明していきます。

 

マーケティング

マーケティングとは、「自社製品が売れていく仕組みをつくる」ことです。顧客のニーズ分析を行ってリードを獲得し、購買意欲を高めていく活動を指します。

 

これから顧客になる可能性のある見込顧客を創出する・見つけ出す段階で、フェーズとしては「リードジェネレーション」と呼ばれる領域です。

 

具体的な施策としては、オンラインではWebサイトやメール、オフラインではセミナーや展示会などが代表的です。またこれらの施策を通して獲得したリードをナーチャリング(育成)していく領域も担っており、マーケティングによる成果をあげていくことで営業活動の効果を最大化できるようになります。

 

インサイドセールス/フィールドセールス

インサイドセールスでは、電話やメールなど、非対面でのコミュニケーションを中心としたセールス手法です。マーケティングによって獲得したリードを育成する「リードナーチャリング」、リードの育成度合いによってリードを選り分ける「リードクオリフィケーション」の領域を担います。

 

具体的には、顧客をリスト管理して、行動トラッキングによるメールアプローチなどを行ってリードの検討度合いを高めていき、購買意欲が高まった時点でフィールドセールスへと引き継ぎます。

 

フィールドセールスは、いわゆる従来型の営業活動で、訪問営業と受注のプロセスを担当します。ただ近年はオンライン商談も増えてきたことから、フィールドセールスの役割は「訪問営業」から「クロージング営業」へと認識が変わりつつあります。インサイドセールスから受注確度の高いリードを引き継ぎアプローチすることで、より効率的な営業活動を目指します。

 

カスタマーサポート/カスタマーサクセス

カスタマーサポートとは、購入後の顧客の活用支援にあたる領域です。従来のヘルプデスクや電話相談などがこれにあてはまります。

 

カスタマーサクセスもおなじく顧客への活用支援ですが、顧客の自己実現を見据えて能動的にフォローアップを行う点がカスタマーサポートと異なります。ビジネスがサービス提供型にシフトしている中、顧客対応の在り方も変化してきており、製造業における企業成長においてはこのアフターフォローの段階でいかに関係性を構築できるかが重要です。

 

領域ごとの具体的なアプローチ

自社の営業フローを見える化したら、さっそく営業課題解決のために、どのようなアプローチがとれるか検討してみましょう。

 

マーケティング

比較的着手しやすいものが多いマーケティング施策。まずはメールやWebサイトなど、自社でもできそうなものからチャレンジしてみるのがおすすめです。

 

Webサイト

解決できる課題や効果:潜在リードの母数を増やせる・ブランディング・認知向上

 

自社のWebサイトは運用しているものの、何年もデザインを変えておらずあまり活用できていない、Webサイトから売上につながるようなことはほとんどない…と、自社サイトを思うように活用できていない企業は多いです。

 

たとえば自社のWebサイトにホワイトペーパーを設置することで、自社製品に興味を持つリードの母数を増やし、営業活動につなげられるようになります。Webサイトを外注するのは費用がかかるとお悩みの場合は、簡単にWebサイトを作成できるCMSツールを導入するのも一手です。近年は、専門知識のある人員がいなくても自社で手軽に作成・更新がおこなえるCMSツールの選択肢が増えています。

 

Webサイトは、ユーザーとのつながりを構築できる場としてはもちろん、自社のブランディングができるのもポイントです。Webマーケティングをおこなう上では必須になるので、Webサイトを持っていないという方はまずは着手するのをおすすめします。

 

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Web広告・SNS運用

解決できる課題や効果:人材不足解消・認知拡大・販売促進

 

Web広告や自社SNSアカウントの運用によって、自社製品をもとめているユーザーに情報を届けるのも、代表的なマーケティング施策のひとつです。

 

たとえばユーザーが検索したワードをもとにおすすめ表示されるリスティング広告、過去に自社サイトを閲覧したユーザーに対してリターゲティング広告などは、潜在ニーズをもつ多くのユーザー層に訴求できることから、比較的短期間で効果が出やすい施策です。

 

また、TwitterやInstagram、LINEなどのSNSを活用して認知拡大をはかるSNS運用は、近年主流のマーケティング手法のひとつとなっています。キャンペーン施策との相性がよく、ハッシュタグキャンペーンやフォロー&いいねキャンペーンなどで、企業のプロモーションに活用されています。

 

MAツール運用

解決できる課題や効果:属人化解消・データの見える化による部署の連携・業務効率化・売上予測向上・受注タイミングの精度向上

 

MA(マーケティング・オートメーション)ツールは、リード情報を一元管理し、リード育成を自動化できるツールです。MA運用によって、より効率的・効果的なマーケティング活動が可能になります。

 

具体的には、自社にアクセスした企業を特定できたり、資料ダウンロードをしたリードの行動ログを追跡できたりと、ユーザーデータを可視化できます。何度も自社のWebサイトにおとずれているリードに対してアプローチすれば、やみくもに電話でアポをとる方法よりも生産性の高い営業活動をおこなえます。ニーズ分析としても有用で、顧客とのよりよい関係構築の上でも活躍してくれるツールです。

 

またリード情報は、ツール上で一元管理できるため、せっかく獲得した名刺をうっかり放置してしまう、といった属人的な管理による取りこぼしを防ぎます。マーケティング活動・営業活動の精度を底上げしてくれるツールです。

 

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メールマーケティング

解決できる課題や効果:人材不足解消・認知拡大・販売促進・顧客ニーズへの対応

 

メールは使い勝手のよいチャネルのため、獲得したリードに対して、メールでアプローチしているという方は多いのではないでしょうか。メールマーケティングのやり方によっては、一方的にリードにアピールするだけでなく、顧客の潜在ニーズ深堀にも役立ちます。

 

前述したMAツールを通してメールマーケティングを実施すれば、開封したか・どのリンクをクリックしたか・何度ページにおとずれたか、といった行動ログを紐づけて可視化できます。リードの見込度合いによってリードをセグメントすれば、さらに的を絞った効果的なメールナーチャリングが可能に。

 

一度に多くの人にアプローチできることから、効果的に活用することで人材不足解消にも期待できます。

 

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コンテンツマーケティング

解決できる課題や効果:人材不足解消・認知拡大・販売促進・顧客ニーズへの対応

 

ホワイトペーパーは、BtoBのコンテンツマーケティングとして有効な手段のひとつです。前述しましたが、自社Webサイトに「資料ダウンロード」としてホワイトペーパーを設置することで、ダウンロードしたユーザーの情報を蓄積していくことができます。

 

また記事コンテンツやレビューなどもコンテンツマーケティングの一環です。たとえば、自社製品に関するお悩みワードで検索してきたユーザーを狙って適切にSEOで対策ができれば、多くのユーザーの流入が見込めます。

 

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展示会出展

解決できる課題や効果:認知拡大・販売促進・顧客ニーズへの対応・リレーションシップ向上

 

展示会出展も、BtoBの代表的なマーケティング手法のひとつです。展示会で回収した名刺は、前述したMAツールに取り込むことで、非常にリード管理がしやすくなります。これらの情報はツールに取り込むことで会社全体でも可視化・共有できるようになるため、営業体制の属人化を防ぎ、売上予測の正確性をあげる効果も期待できます。

 

また既存顧客とのリレーション構築に役立てられるのも展示会ならでは。展示会で顔をあわせてコミュニケーションをとることで安心感を与え、あらためて新製品・新サービスの紹介をおこなう場としても活用できます。

 

場合によっては、展示会のタイミングでキャンペーン施策を打つことでさらに効果的にリードを獲得できます。「初月無料!」「期間限定◯%オフ」キャンペーンなどはもちろん、タイミングによっては「今なら補助金が利用できます!」といった訴求も効果的です。

 

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インサイドセールス/フィードセールス

属人化が課題となりがちな製造業においては、営業支援ツールの導入によって組織を変革し、生産性を向上させられます。

 

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SFA/CRM運用

解決できる課題や効果:属人化解消・受注タイミングの精度向上・データの見える化による部署の連携・業務効率化

 

SFAとは、営業支援システムのことを指し、主に営業的なアプローチをかけていく段階で活用されます。「営業活動」を軸に、商談の履歴・進捗状況や受注確度を管理し、営業メンバーごとの商談におけるタスクやスケジュールを共有できるため、規模の大きい企業などではとくに効果を実感できます。データ共有できることからメンバーごとのタスク量に応じてスムーズな引き継ぎが可能で、営業活動を最適化してくれるツールです。

 

CRMとは、顧客管理システムのこと。「営業メンバーと顧客との関係」を軸にデータを見える化して、これを元に最適なアクションがとれることから、既存顧客との関係強化に大いに役立てられるツールです。顧客リストの管理に特化しており、中長期的に顧客の情報をデータベース化し、商談の確度を見える化できます。

 

これらのツールで営業活動や顧客管理の一部を自動化することで、受注タイミングの精度を向上させ、業務効率化をはかることができます。

 

カスタマーサポート強化

解決できる課題や効果:リレーションシップ向上・ロイヤリティ向上・受注タイミングの精度向上

 

カスタマーサポート強化は、製造業が次世代においてもなお企業成長をはかる上で、欠かせない項目です。

 

これまでのモノ売り切り型ビジネスにおけるカスタマーサポートでは購入後、「困ったことがあればお問い合わせください」といった受け身の体制を採ることが一般的でした。しかしあらゆる製品が月次料金制のサービスとして提供されるようになっていく中、顧客の困り事に対して先手を打って対応し、顧客の目標達成に伴走する「カスタマーサクセス」に支援体制を切り替える企業は増えています。

 

また製造業の営業においては、顧客とよい関係性が築けることで潜在ニーズを引き出したり取引先が広がったりと、リレーションシップ構築が非常に重要な役割を担います。そのため社内体制としてカスタマーサポートがない・弱いという企業は、あらためて体制を強化していく必要があります。

 

社内風土の改革

高い技術力を誇りとし、「技術は見て覚える」といった職人気質の風土が根付いているのも製造業界の特徴です。これらのよい部分は残しつつ、世界市場における競争力をあげ、持続的に成長していくためにできる風土改革のヒントについてお伝えします。

 

ナレッジ共有プラットフォーム導入

解決できる課題や効果:属人化解消・部署連携・人的リソースへの投資

 

ナレッジ共有プラットフォームを導入することで、営業部で必要な情報を一元化し、だれでも簡単にアクセスできるようになります。たとえば、熟練の営業メンバーの成功アプローチや戦略などを学ぶ目的で、学習リソースを共有する場所としても活用でき、全体の営業力向上に寄与します。

 

具体的には、よくぶつかる課題・競合情報・製品のプレゼンテーションなどの情報をナレッジベースとして積み上げていきます。チャット機能を通じて、営業部メンバー同士が質問をしたり意見交換したりするコミュニケーションの場所としても活用でき、またそれ自体をフレームワークとして蓄積することも可能です。このようなツールを活用することで、営業課題に直接アプローチできるだけでなく、社内風土全体を変革する効果も期待できます。

 

基幹システム導入

解決できる課題や効果:属人化解消・部署連携・売上予測の精度向上

 

基幹システムとは、生産・販売・在庫・会計・人事給与など、多岐にわたる業務を一元管理できるシステムです。近年は製造業向け基幹システムの多くもクラウドサービスとして提供されるようになっており、初期費用をおさえて最新のシステムを利用できる環境が整っています。

 

基幹システムの営業予測機能を活用すれば、営業メンバーごとの成績をデータ化し、高い精度で予測に反映できます。これらの作業を自動化できて業務を効率化できるだけでなく、予測の制度を向上させ、業績アップも見込めます。

 

 

営業力をより高めるためにつけておきたいスキル

製造業界においてより営業力を高めていくために、身につけておくべきスキルを3つご紹介します。

 

自社製品・自社技術に関する知識

製造業界でのセールスで成果を出すには、自社技術に関する専門知識はなくてはならないものです。たとえば、商談で顧客がどのような製品を求めているかヒアリングし提案をおこなう際には、図面を読み取り説明するスキル、自社加工機の能力の把握など、実務にもとづいた知識や経験が必ず必要になります。

 

また製造業における取引先は、同じくものづくりに取り組む製造業者であることが多く、商談をすすめたり、リピート受注を獲得したりするには、顧客目線で課題を発見できるような幅広い見識が求められます。

 

自社技術に関する知識を深めることで、自社がどのような強みを持っていて、顧客の課題にどのように役立てられるか、より最適な提案ができるようになります。また顧客の事業課題を発見し、ソリューションを提案できるだけの知識量をもつことは、顧客と信頼関係を深めていく上でも大切な要素です。

 

業界・市場に関する知識

製造業をとりまくビジネス環境は、近年とくに変化のスピードが加速しており、業界やマーケットに関する知識もつねにアップデートしていく姿勢が求められています。

 

これまで日本の製造業は高い技術力で世界のマーケットを牽引してきたものの、近年の新興国EMS企業(製造受託企業)の進出はめざましく、価格面・品質面どちらにおいても苦戦を強いられている状況です。実際に、2023年に世界経済フォーラムが「製造業のロールモデル」として発表した世界全132工場のうち、日本の認定工場はわずか2つにとどまっています。(参考:グローバル・ライトハウス・ネットワーク

 

まずは自社と近い競合他社のWebサイトや製品カタログ分析を通して、製品の性能・価格などを比較し、自社製品をどのような強みで訴求し差別化するか明確にしていきましょう。世界的な製造業の変化や、先進諸国の取り組みについても把握し、顧客のニーズがどのように変化しているのか常にキャッチアップしていくことで、これまでとは違った顧客ニーズに対しても柔軟に対応できるはずです。

 

コミュニケーション力

顧客とコミュニケーションをとって信頼関係を深めていくコミュニケーション力は、言うまでもなく、営業力を支える必須スキルです。また対顧客はもちろん、社内の部署間におけるコミュニケーションをとり、営業改善を実現するのにも役立ちます。

 

とくに製造業の営業活動においては、顧客とのリレーションシップ構築が非常に重要とされています。日頃から信頼関係を強固にしておくことで、顧客からあらたなニーズを引き出せたり、関係性のある代理店を通せたりと、さまざまな恩恵を受けられます。実際に、製造業における顧客の意思決定は、関係の質にもとづいているという研究報告もあります。(参考:産業財マーケティングにおける リレーションシップ品質研究に関する系譜と課題

 

顧客と深い信頼関係を築くためには、顧客自身も気づいていないような課題を抽出して提案を行い、ともに伴走して成果をあげ、顧客の成功に対して中長期的に向き合っていけるのが理想です。このように顧客と安定的なリレーションシップを築くことは、安定的な収益にも直接つながります。

 

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製造業が営業課題解決に取り組むことで得られる効果

ここでは、製造業が営業課題解決に取り組むことで得られるメリットについてご説明します。

 

リスク管理

新規顧客獲得のサイクルをつくれれば、特定の顧客・市場へ依存を防いでリスクを分散できます。そのためには顧客の多様なニーズに応えられるよう、営業課題解決に取り組む必要があります。

 

とくに取引先の業界に偏りがある場合は、市場の変動によって影響をうけやすいため注意が必要です。生産ラインや製品の提供方法などを見直し、異業種への展開を行うなど、柔軟に対応できるビジネスモデルを構築していく必要があります。

 

営業課題解決に取り組むことは、顧客との関係性をよりよくすることにも直接つながるため、リスクを予測・回避するための情報にアクセスしやすくなります。顧客と信頼関係が構築できていくと、目には見えない潜在ニーズも把握しやすくなるからです。

 

他部署との連携

組織体制の見直しやデジタルツールの導入によって、営業部が他部署との連携をスムーズにおこなえるようになれば、売上増にとどまらないさまざまなメリットを得られます。

 

たとえば営業部が顧客の需要予測を正確にはかり、事業部(生産部門)にフィードバックできれば、在庫を最適化でき生産効率を向上させられます。また顧客と信頼関係を築き、顧客から得た有益なフィードバックやクレームなども共有できれば、品質改善や技術開発にも反映できます。

 

利益率向上・収益安定

営業活動の改善は、利益率向上・収益安定に直結します。営業課題改善により顧客とのコミュニケーションを強化しニーズを正確に把握できるようになれば、ニーズにもとづいた提案によって、より高い付加価値を与えることが可能です。顧客のニーズによっては、他社と協力体制を築くことでより高価値のソリューションを提供しながら利益率向上を実現できるため、他社と連携体制をとる企業も年々増えてきています。

 

顧客満足度を向上させ、リピート受注できるサイクルをつくれれば、確実に収益安定につなげることができます。また効果的なマーケティング戦略によって有効リードを増やし、取引先を選択できるような売り手市場を目指しましょう。販売プロセスを最適化できれば、営業効率をあげるだけでなく、不要なコストも削減できるはずです。

 

新たなビジネスモデルの開拓

営業改善をおこなうことで、製品の提供だけではなくサービス領域にも注力できるようになれば、あらたなビジネスモデルを開拓できる可能性があります。

 

顧客ニーズが著しく変化していることを受けて、製品のライフサイクルは年々短くなる傾向にあります。この製品ライフサイクルにおける付加価値として、製品のメンテナンスや製品活用によるコンサルティングを、製品提供を含む「サービス」として打ち出す企業は年々増えてきました。

 

BtoB向けに製品をカスタマイズしたり、ソリューションを提供したりと、より顧客ニーズにフィットした形で製品を提供できるようビジネスモデルを模索し、新しい販路を開拓しましょう。

 

 

製造業が営業課題解決に取り組む上での注意点

営業課題解決に取り組む上で、つまずきやすい点についてご説明します。組織や業務プロセスの変革はハードルを感じる部分ですが、このポイントを乗り越えることでさらに成果を出せる組織へと成長できるはずです。

 

組織体制を見直す必要が出てくる

製造業が営業活動で成果をあげるには、マーケティング部を立ち上げたり、営業部・事業部・人事部などそれぞれの部署が情報共有できる仕組みを構築するためのシステムを導入したりと、組織の抜本的な改革が必要になることも少なくありません。

 

マーケティング部を新設するのがむずかしい企業などでは、営業部のメンバーが兼任でマーケティングツールを運用するケースも多くみられます。

 

また手作業によるデータ共有を効率化したい場合には、先にご紹介したMAやSFA・CRMといった顧客情報を一元管理できるツールや、社員のナレッジを共有できるチャットツールなどを導入することで、大きな組織変革をせずとも実現できる場合もあります。

 

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営業プロセスを設計し直す必要が出てくる

営業課題を解決するためには、組織の変革を行っていくとともに、これまでの営業フローそのものも見直す必要もでてきます。自社の営業課題を明確にできたら、目標とプロセスをしっかりと再定義しましょう。

 

営業プロセスの改善にデジタルツールの導入は必須とはいえ専門知識のある人員がいない、といった場合、業務自体を外注するのもひとつの手段ですが、思った以上に高額になることも。そんなときは、サポート体制の手厚いデジタルツールを導入して、支援を仰ぎながら業務を段階的にデジタル化していくのがおすすめです。

 

たとえば、お客様ひとりひとりに送っているメールを、メール送信機能もあるMAツールで一斉配信できるようにすれば、メールを開封したか・リンククリックしたかといった行動ログを追えるようになります。行動データにもとづいた顧客分類を自動化できれば、営業サイクルを短縮して最適なタイミングでアプローチし、確度の高い営業活動が実現できます。

 

そもそも考え方のアップデートが必要なことも

これまでの営業活動はあくまで顧客との関係構築が主で、ニーズや検討タイミングを把握したうえで適切にアプローチすることが重要でした。ただ、今後国内の市場が小さくなっていく以上、新規顧客へのアプローチを実施するための”考え方のアップデート”が必要になります。そういった変化をしていけるかどうかが、生き残っていく上で重要となりますので、考え方にも柔軟性を持たせていきましょう。

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オンラインでも成果を出せる営業戦略は、マーケティングへの取り組みがカギ

これまでの営業活動は、紹介や飛び込み営業・テレアポ・紙媒体の広告出稿などで、デジタルとは縁遠かったという企業にとっても、デジタルマーケティング施策は比較的着手しやすいものが多いです。まずはWebサイト運用、メール施策などのマーケティング活動にコツコツと取り組んでいくことで、営業活動でも着実に成果を出していけるようになります。

 

デジタルマーケティングにおいて成果を出すには、データ分析とフィードバックのサイクルをまわすことが大切です。社内にこれらの知識をもつ人員がいないという場合には、サポート体制の整ったデジタルツールを導入するのがおすすめです。マーケティング視点でのサポートを受けながらデジタルツールを運用し、自社内で運用基盤を構築していけば、営業成績はもちろんのこと、企業成長にも貢献するはずです。

 

 

まとめ

製造業の営業課題とその解決策について解説しました。

 

製造業の営業課題はそれぞれの現場によって異なりますが、デジタルツール導入・デジタルマーケティングへの取り組みは、それぞれの課題にピンポイントに効果を出せるものが多くあります。ぜひ自社の営業活動改善のヒントとしてお役立ていただき、取り入れやすいものからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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Tue, 06 Jun 2023 11:00:00 +0900
<![CDATA[PLMとは?製造業で再注目される背景やシステムの必要性、メリットなどを解説!]]> https://mtame.jp/column/PLM PLM(Product Lifecycle Management)とは、利益を最大化するために、製品の企画・生産・販売・廃棄までの一連の工程における情報を管理する取り組みを指します。

 

新型コロナウイルスによる景気悪化や少子高齢化による人材不足などの影響で、製造業におけるDX推進の必要性が高まっており、PLMにも注目が集まっています。

 

本記事ではPLMについて詳しく解説すると共に、PLMと似た概念であるPDMとの違いやPLMシステム、導入する際の注意点や具体的な導入事例などをわかりやすく紹介します。

 

 

 

 

PLMとPLMシステムとは

PLM(Product Lifecycle Management)とは、製品の企画・生産・販売・廃棄までの一連の工程における情報を管理する取り組みです。情報共有によって製品のライフサイクル全体を管理することで、業務効率の向上やモノづくり体制の強化、利益の最大化を図ります。

 

製造業では競争の激化や環境の変化に伴い、「QCD」=Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)の重要性が増しており、製品ライフルサイクル全体を一元管理できるPLMのシステムを導入することで、高品質な製品を低コストで製造し、迅速に納品する「QCD」を達成することができます。

 

PLMシステムにはCADやBOMデータの管理、製品データ・サービス部品の管理や取引先データ管理、要件管理など、様々な機能が搭載されているのが特徴です。導入することで各部署がスムーズに連携することができ、開発力や競争優位性の向上実現につながります。

 

近年なぜPLMへの注目度が高まっているのでしょうか?PLMの必要性とその背景について次章で紹介します。

 

PLMの必要性とその背景

PLMが必要とされる背景には、多様化した顧客ニーズへの対応などの製造業を取り巻く環境の変化や、グローバル化やIT技術の発展、コンプライアンス遵守があります。

 

ユーザーの嗜好・ニーズの多様化や短期でのトレンド変化、製品ライフサイクルの短縮など、製造業の環境は大きく変化しています。加えて、SDGsなどのコンプライアンスを遵守したものづくりやDX推進、IoTの発展など、市場環境や外部要因も急速に変化しており、企業は柔軟かつ迅速な対応が求められてます。

 

また、顧客の販売や廃棄のタイミングの把握が困難になったこともPLMが必要とされる理由のひとつです。

 

「製品開発が完了して生産・販売にこぎつける頃には、すでに市場の状況が変化し適切なタイミングを逃してしまう」などの課題があり、アイデアの創始の段階から製品の生産・販売・廃棄にかかる期間を把握して管理し、「早期の販売により先行利益が必須なのかどうか」等を見極めることが重要になってきました。

 

このような背景の中で従来のアナログな管理方法では対応が難しく、誕生したのがPLMシステムです。

 

PLMシステムを利用して様々な情報を集約し、製品ライフサイクル全体のデータを一元的に取得・管理することで、データや状況を正確に把握・共有することができるほか、変化にも対応しやすくなります。入力の二度手間や情報のタイムラグの削減にも効果的です。

 

PLMシステムを導入するメリット

業務効率の向上やモノづくり体制の強化、利益の最大化のために活用されているPLMシステムですが、導入することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?主な3つのメリットについて紹介します。

 

品質向上

PLMシステムでは情報を一元的に管理・共有することで不具合などにすぐ対応することができ、ワークフロー全体を最適化して製品の品質向上を実現できるというメリットがあります。

 

グローバル化やオンライン化などによる競争の激化などの影響で、企業の製品品質の基準は高まり、より高品質の製品が求められるようになりました。開発や生産など各工程のデータを一括管理し、工数削減にも効果的なPLMでは、高品質の製品を効率的に製造したいという企業のニーズを実現できます。

 

コスト削減

コスト削減を実現できるのもPLMシステムを導入する大きなメリットです。

 

PLMシステムを導入すれば、人件費や原材料費などの費用がどのくらいかかっているのかをプロセスごとに把握・共有できるようになり、コスト削減へ繋げられるほか、各プロセスの情報を関連づけて管理するため、作業効率向上によるコスト削減も同時に実現できます。

 

またバーチャルの世界で施策やシミュレーションを実施できるのも、原材料や人件費などの費用を抑えるひとつの要因です。

 

リードタイムの短縮

PLMシステムで製品に関する情報を一括管理することで、調達や発注のタイミングの最適化や製造工程のスムーズな見直しが可能になり、リードタイムを大幅に短縮することができます。

 

たとえば、手書きの図面設計の3次元CADへの置き換えや、車を衝突させる実機検証のシミュレーションでの実施などによる効率化を図ることで、リードタイムの短縮につながります。

 

PLMシステムの導入によって業務プロセスごとに製品の市場を把握することも可能です。

 

企画・設計プロセスでは「製品を市場に投入する適切なタイミング」を、生産・販売プロセスでは「製品の廃棄、またはリサイクル」を、「サービス保守プロセス」では「撤退するリスクの網羅及びコントロール」を見極めることができ、市場投入時期・撤退時期の適切なコントロールに役立ちます。


 

PLMとPDMの違い

PLMと混同されがちな概念にPDMがあります。PLMをより正確に理解するために、PDMとの違いを明確にしておきましょう。

 

PDMとは

PDM(Product Data Management)は、製品データ管理システムのことで、CADやBOM(部品表)、技術ドキュメントや図面など、設計開発部門が持つデータの管理を指します。

 

PDMでは、「開発・設計段階のドキュメントファイル」が対象になるのに対し、PLMでは「製品ライフサイクルで使用される全てのデータ」が対象になります。PDMは開発段階のデータ管理に特化したシステムであり、PLMはより広範囲のデータ管理を行うシステムであるということが特徴です。

 

ただし、ベンダーによって管理対象の範囲が異なる場合もあり、製品によってはPDMでも開発・設計以外のデータを管理できるものも存在します。

 

PDMが普及した時代背景

1990年代に登場したPDMは、製品の開発・設計フェーズにおける業務効率化を図るという目的で開発され、製造業における導入が進みました。

 

同フェーズにおけるデータを一括で管理することで流用設計やチーム設計が推進され、徐々にワークフロー管理や変更管理などの機能が実装されていくことで、データの共有やプロセスの標準化を実現できるシステムへと進化したPDMは、先述した「QCD」の改善において重要な役目を果たしてきました。

 

PLMへの成り立ち

PDMが普及した後、多様化した顧客ニーズへの対応やIT技術の発展、コンプライアンス遵守など、製造業を取り巻く環境の変化によって、2000年代になって注目されたのがPLMです。

 

開発設計段階のデータを一元管理するというPDMの手法を、製品ライフサイクル全体へと拡大したPLMでは、製品の開発から保守の終了における全てのデータを一括で集約・管理することで、製品開発力の強化・QOD改善・競争優位性の向上を実現します。

 

より急速に変化し、不確実性の高い現代の市場やニーズに柔軟に対応できる手法として、PLMが成り立っていったのです。

 

PLMシステムの機能

PLMシステムは、製品ライフサイクルの各段階において様々な機能を持っています。本章では主なシステム機能について解説します。

 

CAD

CAD(Computer Aided Design)は、従来設計現場で手書きしていた図面をデジタル化し、コンピューター上で効率的に設計できるツールです。2次元データを扱う2DCADと3次元データを扱う3DCADがあり、3DCADでは3次元空間に立体的な形状をモデリングすることができます。

 

CADでは従来は紙で作成していた膨大な設計データを扱えるため、過去の設計データから類似図面を検索して反映するなど、作業効率をアップすることが可能です。製造業のDX推進において、3DCADを活用した取り組みはデジタルエンジニアリングの軸となっています。

 

自動設計

自動設計は、製品仕様を入力するだけで、製品仕様を入力するだけで3Dモデルや見積図面などを自動生成できる機能です。設計や見積書の作業時間を大幅に短縮し、効率化を図ることができます。

 

「属人的な業務のせいで似て非なる図面が作成される」「打ち合わせにて仕様や認識に関する齟齬が生まれる」という課題を自動設計で解決することができ、品質の均一性を保てるというのがメリットです。

 

加えて自動設計は、スピード設計、仕様の早期確定、短期納品などを実現できます。

 

解析(CAE)

解析(CAE:Computer Aided Engineering)はコンピューター上で各種解析やシミュレーションを行い、製品を検証するエンジニアリング機能です。解析には構造解析、流体解析、数値解析など複数の種類があります。

 

従来は解析専任者が手計算で行っていた業務でしたが、現在では「設計者向け構造解析」機能が登場しており、設計者自身が製品に関する評価を行えます。

 

実際に試験を実施せずとも計算・シミュレーションによって結果を得られるため、コスト削減や開発期間の短縮、環境負荷の軽減などにも効果的です。

 

CADデータ管理

CADデータ管理は、製品開発において生じる実験や企画書に関するデータやドキュメントなどを一括で管理できる機能です。データの管理に加え、設計時に必要な情報の検索などができるため、管理の工数・時間を省いて作業効率を向上できます。

 

2DCADの管理は従来Windowsエクスプローラのフォルダで管理されていましたが、3D設計が進むにつれて扱うデータや管理が複雑化し、Windowsエクスプローラのフォルダ管理では限界がきています。

 

現在では複数部門の業務を同時並行で実施するコンカレント開発の重要度が高まっており、複数のCADシステムを管理できる機能が必要とされています。

 

技術情報管理(BOM管理)

技術情報管理(BOM管理)は、製品を造るのに必要な部品データや製品の製造に関する重要な情報をまとめ、部品不足や手配漏れを防いで効率的に生産管理を行う取り組みを指します。

 

製造業におけるBOMには「E-BOM(設計BOM)/M-BOM(製造BOM)/S-BOM(販売BOM)/購買BOM/サービスBOM」など様々な分類があり、技術情報管理(BOM管理)ではそれらを統合的に管理することが可能です。

 

コスト削減やリードタイムの短縮、高品質な製品づくりにも役立ちます。

 

VR

VR(Virtual Reality)は、バーチャル上に人工的な仮装世界を創り出し、現実世界で実際に体験しているようなリアルな体験を作ることができる技術です。

 

製造業向けのVRを活用することで、3Dで再現されたバーチャル世界に入り込んで製品の検証・検討を行うことができるため、平面ディスプレイなど2次元での設計や開発段階では気づけなかった不具合などを、早期に発見することができます。

 

VRの活用によって、製品が完成した後に見つかった不具合のために再設計するという手間が減り、コスト増加や納期の延長を防げます。

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3Dデータを活用した生産準備

生産準備業務において3Dデジタルデータを活用することで、組み立て作業の手順や工数、使用する工具など、より詳細な製造データを集約・管理することが可能です。

 

これまでは実機を使った作業指示書作成や組立性検証、組立プロセス検討の実施が一般的で、属人化や品質の均一性を保てないという課題がありました。

 

3Dデータを用いることで、正確且つリアルな製造データを視覚的に確認することができ、製品の品質向上や均一性の保持、属人化防止を実現できます。

 

また、製品開発プロセスでは、複数部門の業務を同時進行させることが可能で、開発の効率化や納期短縮につながります。(コンカレントエンジニアリング)

 

 

PLMシステムの種類

PLMシステムの機能を紹介しましたが、多岐に渡る機能を1つのシステムですべて備えることは難しく、一般的には複数のシステムを組み合わせたプラットフォームがPLMとして提供されています。

 

導入する際には、PLMシステムを導入する目的や解決したい課題に適した機能を検討して、最適なパッケージを選ぶことが大切です。以下では現在流通している主な3つのPLMシステムについて紹介します。

 

シーメンス PLM

ドイツにある電機機器メーカー「シーメンス社」の提供するPLMソフトウェアは、製品ライフサイクル管理を主にしたデジタルプラットフォームです。製造業における製品ライフサイクルを一括管理するだけではなく、部門間連携の効率化や組織全体におけるQCDの最適化を実現します。

 

シーメンス社の主要なソフトウェア・ポートフォリオ・アプリ開発プラットフォームを統合したPLMシステム「Xcelerator」は、PLMシステム以外にも電子設計の自動化(EDA)などを総合的に実施できる機能を備えているのが特徴です。

 

また同システムでは、プログラミングの専門知識がないユーザーでもIoTオペレーティングシステムを組み合わせたアプリケーションを開発可能なほか、それぞれの機能を組み合わせることで、製造現場から経営層までにおけるシームレスな情報共有や業務自動化が実現できます。

 

Windchill PLM

PTCのPLMソフト「Windchill PLM」は、20年以上の歴史を持つ、製造業におけるコスト削減や業務効率の向上を目的としたPLM/PDMソリューションです。

 

世界で27000社以上の企業に利用されている本ソリューションは、比較的簡単に導入できる「一般ユーザー向けパッケージ」と、高度な機能が備わっている「エキスパート向けパッケージ」の2種類がありますが、業務上必要となる機能は標準機能として搭載されています。

 

一般ユーザー向けのパッケージでは使用できる機能が3種類「図面や設計ファイルなどの共有/コンポーネントを組み合わせた、必要なアプリの構築/変更リクエストの申請・却下・レビュー」に限定されており、専門知識がないユーザーでもPLMシステムを利用できるように設計されているのが特徴です。

 

エキスパート向けパッケージは、「ベース版/上位版のAdvanced/Premium」の3種類が用意されており、CADデータや設計BOMの管理など、比較的高度な機能を利用できます。

 

SAP PLM

SAPのPLMソフトウェアは6種類のパッケージを組み合わせて、ライフサイクル管理だけではなく、CADデータ管理や製品の原価計算などを実施できるシステムで、オンプレミスやクラウドベースでも利用できるのが特徴です。

 

ポートフォリオ管理や原価管理、製品エンジニアリングの機能など、各ジャンルに特化したパッケージが備わっており、ユーザーが要望した個々の製品に対応した設計を行うこともできるうえ、業務効率の改善や品質向上などを実現できます。

 

各国のマーケットにおける規制対象物質やコンプライアンス遵守も確認できるため、国内市場のみならず海外市場においても利用可能で、海外市場をメインとするPLMシステムを利用したい方におすすめツールといえます。

 

CADデータ管理などを行う際には、直感的に操作しやすいインターフェースも人気です。

 

 

PLMシステムを導入する際の注意点

PLMシステムを導入する際には、事前に押さえておくべき主な2つの注意点があります。注意点に気をつけて導入することで、PLMシステムの真価を最大限発揮することができ、期待どおりの成果を得られる可能性は高まります。

 

目的に最適なシステムを選定する

先述したように、多岐に渡る機能を1つのPLMシステムですべて備えることは難しく、一般的には複数のシステムを組み合わせたプラットフォームがPLMとして提供されており、それぞれに特徴や得意とする点があります。

 

そのため導入する際には、事前に自社がPLMシステムを導入する目的やPLMシステムによって解決したい課題を明確にし、最適なパッケージを選ぶことが大切です。

 

さらにPLMシステムの機能の詳細や導入コストなども調べたうえで、最も自社にマッチするソリューション、もしくは自社で運用しやすく成果が見込めるソリューションを見極める必要があります。

 

また、利用ユーザー数の増加に伴ってシステムの利用料が高額になる場合があるため、自社環境の変化や、将来的な事業の拡大なども視野に入れて判断することも重要です。

 

社内連携の強化を意識し、全社的な導入を行う

PLMシステムを導入する際は、製造現場から各部署、経営層に至るまで、全社的に連携して導入する必要があります。

 

導入への取り組みをスムーズに行うためには事前に社内体制を整備し、積極的に導入における作業をサポートすることが大切です。PLMのシステム導入前後には、不明点やトラブルなどに迅速に対応する問い合わせ部門を設置し、社内全体に周知しておくことをおすすめします。

 

PLMシステムを選定する際には、全社的な導入を意識して、製造現場と経営層の認識をよくすり合わせてから決めることも非常に重要です。実際の作業現場に取り入れやすいシステムを採用することで、導入後もスムーズな運用が期待できます。

 

 

PLMの導入事例5選

実際に製造業を営む企業において、PLMシステムはどのように導入されているのでしょうか?具体的な導入事例を5つ紹介します。

 

株式会社オーハマ

株式会社オーハマは、CAD/CAM技術・金型技術・成形技術を活用し、家電部品・カメラ部品・工業用カバーなど、さまざまなプラスチック部品を製造・販売するメーカーです。

 

同社では、高品質・高精度・短納期・低コストという条件を実現させるために、製品の加工時間の短縮、工程の見直し、熟練工の後継者の育成、ロスの削減などの様々な課題があり、それらを解決するためにPLMシステムの導入に踏み切りました。

 

PLMや3D設計は大企業向けのシステムというイメージがあるなか、同社はカスタマイズ性が高く、コンパクトで業務内容に合ったシステムを検討・導入し、大企業向けの印象がある「Windchill PDMLink」を、親しみやすい仕組みに落とし込むことで導入を実施しました。

 

導入したことで、受注までのプロセスの改善、営業情報をすばやく社内展開できるPLMシステムによるエンジニアの効果的な営業サポート、設計時間の短縮などを実現しています。

 

 

ローレルバンクマシン株式会社

70年以上の歴史を持つ老舗企業ローレルバンクマシン株式会社は、通貨処理機を製造している専門メーカーです。同社は、企画段階に計画していた製造にかかる原価と、設計後の原価に大きな乖離があるという課題を解消するためにPLMシステムを導入しました。

 

同社では図研プリサイトが提供するPLMプラットフォーム「Visual BOM」の「コストシミュレーション機能」を活用し、どの部分にどれだけのコストがかかっているのかを把握して、想定原価から大きく外れることのないシステムを構築しました。

 

システム構築には約2年半の時間がかかりましたが、原価計算の自動化で現場負担を大幅に軽減することに成功したほか、コストシミュレーション導入によって原価把握による費用削減や、最大で1ヶ月分に相当する作業工数の削減、生産性向上も実現しました。

 

 

ニッタン株式会社

ニッタン株式会社は、自動火災報知設備、消火設備、防排煙設備等の技術開発、生産、販売、設計、施工、保守などを提供する総合防災システムメーカーです。

 

同社は以前からPLMシステムを導入していましたが、よりワークフローの申請・承認機能に優れているシステムを導入するため、PLMシステムの刷新を行いました。

 

PLMシステムの導入によって、工場に図面を送信する際のラグタイムなど、各ステップにかかる時間の最適化や、最新の書類を識別する機能を実現でき、業務の効率化に成功しました。また、PLMシステムの導入は未だに製造業に根強く残る紙文化脱却のきっかけにもなり、DX推進やコロナ禍における就業形態変化への対応にも貢献しているそうです。

 

 

菊水電子工業株式会社

菊水電子工業株式会社は、半世紀以上にわたって電源装置や、電子計測器の開発・製造を手掛けてエレクトロニクス技術の基盤を支える専門メーカーです。

 

同社では、新しい製品シリーズやラインナップを追加する際に、さらなる業務効率化を進めるためにPLMシステムを導入しました。

 

PLMシステムを導入する前、同社は部品表管理の際は別システムを採用していましたが、データの活用が難しいため、生産した部品を確認するための部品表としての役割に止まっており、生産時の情報伝達がスムーズにいかないという課題がありました。

 

PLMシステムの導入によって、部品管理だけでなく生産管理も一括で管理できるようになったことで、開発時の部品選定や、社内の情報伝達スピードの飛躍的な向上を実現しています。

 

 

株式会社ジャムコ

航空機の内装品製造で優れた実績を誇る株式会社ジャムコは、原価積算作業と固定費増加、見積原価の精度に関する課題を解決するため、PLMシステムの導入に踏み切りました。

 

同社はPLMシステム導入によって、BOMや図面、原価の過去情報を容易に参照できる環境を整え、生産スピードアップや原価を用いた見積もり精度の向上などの効果を得られたほか、過去パーツのデータを活用することで、原価低減と製品の標準化を実現しました。

 

 

まとめ

本記事ではPLMについて、PDMとの違いやPLMシステムの機能・種類、導入する際の注意点や導入事例など、PLMについてご紹介しました。

 

PLMシステムを導入することで、業務効率の向上やコスト削減、モノづくり体制の強化、利益の最大化を実現できますが、PLMシステムの導入を検討する際には、自社の目的や解決したい課題をあらかじめ明確にするほか、製造現場と経営層の認識をよくすり合わせておく必要があります。

 

そのうえで自社にマッチしたPLMシステムを選定できれば、PLMシステムの真価を最大限発揮することができ、期待どおりの成果を得られる可能性が高まるはずです。

 

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Fri, 02 Jun 2023 00:00:00 +0900
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近年はICTの急成長や世界情勢の影響もあり、激しい市場環境の変化が続いています。そんな中、もともと弊社も売り切り型のソフトウェア(電子ブック・Web制作等)を提供していたため、サブスクリプション型ビジネスモデルに移行する際にはその大変さを痛感してきました。本記事では、このような経験からお伝えできる、リカーリングモデルにシフトする上でのコツやポイントについても解説していきます。

 
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リカーリングモデルはエムタメ編集部でも特に注目しているビジネスモデルです。サブスクリプションに近いところがあるのですが、一度にまとまったお金が支払われるというよりは、定期的に繰り返し収益が発生するような課金形態になり、サービタイゼーションとかとも親和性が高いと思っています。事例なども掲載しているので、ぜひ理解にお役立てください。

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まとめ

5月に公開した製造業向けコンテンツは以上です。6月もまだまだ新しいコンテンツを発信予定ですので、乞うご期待ください。

 

~6月アップ予定のコンテンツ~

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 01 Jun 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/industry_digital 最終更新日:2023年5月11日

「いよいよ本格的に、デジタルマーケティングに注力したいと思っています。」
「営業活動のデジタル化を推進していきたいです。」

そんな、BtoB製造業の方からの『デジタルマーケティング』の相談が年々増えています。

また、数年前までは「Web制作」や「MAツール」といった個別の施策として考えられていたものが、デジタルマーケティングというより広いくくりで考えられることが多くなっています。ツールやプラットフォームも年々増えており、データの統合やマーケティング部門とセールスの連携など、新たな課題も現れているのが実情です。それだけ、BtoBの製造業でも従来のマーケティング手法から脱却する必要性が出てきているといえます。

そこで本記事では、弊社がこれまで多く支援をしてきたBtoBの製造業が、これからデジタルマーケティングを始める上で知っておきたい基礎知識や、おすすめの実行ステップについてお伝えいたします。

 

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デジタルマーケティングとは?

まず、改めてデジタルマーケティングの意味をおさらいします。

デジタルマーケティングとは、デジタル技術を活用したマーケティング活動全般のことを指します。Webマーケティングと比較されることが多く、その違いとしてはSMSやSNSなど、Webサイトの施策以外も含むところが挙げられます。


下記がデジタルマーケティングとWebマーケティングの領域の違いの図です。

デジタルマーケティングとWebマーケティングの領域図


「デジタルマーケティング」という言葉自体はかなり昔から存在していますが、日本のBtoB製造業がデジタルマーケティングに取り組み始めたのは比較的最近で、これからますます注目が集まっていく分野と言えます。従来よりもWebで検索して情報収拾する人が、BtoB製造業でも増えてきているため、これからの時代にマーケティング活動を行なっていく上でデジタルマーケティングは外せない施策となっていくでしょう。


参考までに、下記はGoogleトレンドで見た「デジタルマーケティング」の検索回数の推移ですが、2015年ころから検索数も増えています。

デジタルマーケティングの検索トレンド
Googleトレンドよりキャプチャ


コロナの影響で、ますますデジタル化に注目が集まっている昨今、引き続き取り組む企業が増えていくと考えられます。




なぜ製造業にデジタルマーケティングが必要なのか?

続いて、今なぜ製造業にデジタルマーケティングが必要なのかを改めて解説いたします。

”日本企業”と言えばものつくり、つまり製造業が真っ先に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。中小企業も含めると多くの企業が存在し、それぞれが高い技術を持っているのが日本の製造業の特徴です。

しかし、BtoB製造業の多くの企業において、マーケティング領域のデジタル化がまだまだ進んでいないのも大きな課題となっています。そのため、せっかく良いものを作っても適切な人に届けることができていない状況が発生しているのです。


素晴らしい技術を持つ企業も多く存在するがゆえに、しっかりとデジタルの活用ができればもっと成果を生み出せるはずですし、グローバルに戦っていくことも可能です。実際にWebを活用して、海外でも事業を広げていく企業をこれまで多く見てきました。

また、BtoB企業の営業活動を効率化させ生産性を向上させるために、デジタルマーケティングに取り組む企業も増えています。特に最近は、コロナで足を運んで提案をする機会も減っているため、効率的に見込みリストを見つけるためには、デジタルマーケティングの施策が不可欠となります。自社の顧客が今現在何に興味があるのかを把握してアプローチしたり、検討タイミングを逃さないためにも、Webサイトやマーケティングツールの活用は不可欠になっています。

例えば弊社のMAツールを導入し、社内の意識を変えられていった以下の企業様も、もともとは営業部門での情報蓄積から始め、デジタルマーケティングまで手を伸ばしています。営業がこれまで獲得した名刺なども活用し、最終的には社内の意識の改革までつながっております。

グラスファイバー事業では、2017年頃から本格的にマーケティングに力を入れるようになりました。その中で、まずは営業部門で情報を蓄積していこうということでSFAを導入しました。
ただ、SFAだけだと情報管理のみになってしまい、マーケティングまでカバーできないということで、より効率的にデジタルにマーケティングを行うために、MAを導入しようということになりました。

2018年に初めて展示会に出展し、たくさんの名刺を獲得しましたが、管理が追いつかなくなってしまいました。そのため、名刺管理の機能も求めていました。

引用:ニューノーマルなビジネス環境に追いつくための意識改革を実現|日東紡績株式会社様





ただ一方で、BtoBの製造業がデジタルマーケティングに取り組むには様々な壁もございます。そもそもWeb経由で情報収集する層が他業界と比較して少なかったり、社内の理解が得られなかったりと課題は山積みです。


例えば、問い合わせから受注までの期間が長い製造業は、費用対効果の計測も困難です。そのため、費用対効果が明確に提示できないことを理由に、デジタルマーケティングの施策が頓挫してしまうことも多々あるでしょう。

そういった事態を防ぐためには、まずは短期的に成果が出やすい施策に集中し、受注までのプロセスを追う仕組みから作っていきながら、長期的にも成果を計測していく基盤づくりも重要です。


ちなみにデジタルマーケティングを活用した施策は大手企業だけではなく、むしろ中小企業や地方の企業にこそチャンスがあります。接点がなかったり地理的な理由で普段はアプローチできないターゲットにも、自社の技術力やサービスの魅力を知ってもらうことができるからです。そのため、しっかりとデジタルマーケティングに取り組むステップを知り、着実に成果を生み出し続ける仕組みづくりが必要となります。


ましてやコロナ禍では、どの企業も従来のマーケティング手法を活用しづらくなり、あらたな施策を模索しています。製造業も回復傾向にはあるものの、緊急事態宣言当初は幅広い業種で需要が大きく落ち込みました。また同様の危機が訪れた時に備えて、デジタルを活用したマーケティング活動で案件を獲得する仕組みを作っておくと安心でしょう

参考:総務省「コロナ禍における企業活動の変化

これは、仮に自社の製品がニッチな製品だっとしても例外ではありません。ニッチな製品だからこそ、狙ったターゲットに確実に情報を届ける必要があります。

 

そこで次章では、BtoBマーケティングの特徴をおさらいしつつ、日本の製造業がデジタルマーケティングに注力するにあたって「まずはここから取り組むべき」というポイントをご紹介いたします。本来デジタルマーケティングの施策は企業によって異なるのですが、今回は「まずは小さな成果を生む」という観点で、比較的再現性の高いステップをご紹介しています。成果が出ないうちに「うちはデジタルには向いていない」と諦めてしまう会社を、これまでたくさんみてきたからです。

これからデジタルマーケティングを始めたい製造業の方は、ご紹介する内容だけでも試していただけると幸いです。


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製造業DXの重要性とは?メリットや取り組み事例をご紹介

製造業ブランディングの基本を解説!主なメリットから大まかなステップまで

 

 

BtoB製造業のマーケティングの特徴とは?

本記事のテーマは”BtoB”製造業のデジタルマーケティングについてです。そのためデジタルマーケティングはマーケティング活動の1つになるため、より広義のBtoBマーケティングの特徴についても解説いたします。すでに取り組んでいる方にとっては当たり前の内容に感じるかもしれませんが、少しお付き合いください。


BtoBマーケティングとは企業が企業に向けておこなう商品開発、商談、契約までを含めた一連のマーケティング活動を指す言葉です。
BtoBはBusiness to Businessの略称で、B2Bと表記されることもあります。

BtoBマーケティングでは、企業向けにサービスが選ばれるためのマーケティング戦略を行います。対個人とは異なり取引の規模が大きく、契約に至るまでの期間が長いことが特徴です。また、検討に関わるメンバーも多いため、それぞれのフェーズのそれぞれの役職の方が欲しがるであろう情報を届けたり、取得できるようにしておく仕組みなども必要です。一般消費者を対象としたBtoCと重なる部分もありますが、異なる部分も多くあるため、「BtoBマーケティング」と分けて語られています。


【BtoBマーケティング関連記事】

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また、製造業は扱う製品によって購買頻度が異なります。機械等の単価の高いものと、部品などの低単価のものまでひとくくりで考えられがちですが、検討のフローや重視されるポイントも様々です。ただ、その中でも共通しているところとしては、「必要になったタイミングでアプローチができる状態かどうか」が挙げられます。これは新規と既存顧客で分けて考える必要必要があります。

新規の顧客(口座)獲得をするのであれば、まず情報収集の段階で認知をしてもらう必要があります。そのために、課題認識の段階から接点を持てるように、コンテンツを配信したりイベントに出展したりする必要があります。また既存顧客に関しては、自社が顧客の解決手段を持っていることを認知してもらえるようにメルマガを配信したり、営業マン自身がしっかりとリレーションを築いておく必要があります。

 

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リレーションシップマーケティングとは?メリットから施策までまとめました!

 

 

まず取り組むべき領域はWebマーケティングから

広義の意味でのBtoBマーケティングや製造業マーケティングのご紹介をしてきましたが、ここからは本題の「BtoB製造業のデジタルマーケティング」についての解説を進めてまいります。

 

デジタルマーケティング”と申し上げましたが、まず第一にやるべきことはWebマーケティングの領域だと考えています。理由はシンプルに、直接的な数字に繋げやすく伸びしろも大きいからです


SNSやメールマーケティングを始めるにしても、リードやコンテンツがなければ始めることができません。逆にWebマーケティングの基盤をしっかりと構築しておけば、そのコンテンツをほかのデジタル施策に活用することも可能です。となると、まずは全体像の設計は行いつつも、まずはWebマーケティング領域の施策を進めていき、徐々にそれ以外のデジタル施策に広げていくのが得策と言えるでしょう。


また、デジタルマーケティングを実施していく中で避けて通れないのがデータの分析ですが、日本の業種ごとおよび大企業・中小企業のデータを扱う人材の分布は以下のようになっています。


業界ごとのデジタル人材に関するデータ

引用元:「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」(総務省/2020年3月)


大企業と比較して、中小企業はデータ分析専門の人材が少なくなっており、わずか3割にも満たない数値です。逆にデータ分析が専門ではない人が5割を超えており、多くの企業が専門ではないがデータ分析を行わなければならない状況にあると言えます。

そうなると、あれこれ施策を広げて複雑なデータを読み解くのではなく、シンプルな施策を打ちながら見るべきデータも絞り、データに慣れした人間を増やしながら施策を広げていく方が、日本の企業の実情としては現実的ではないでしょうか。

そしてなにより、いきなり手広く手をつけると、成果が出る前に「やらない」という意思決定をされる可能性があります。短期的な成果という観点でも、データ人材の不足という観点でも、まず取り組むべきは案件につながりやすいWebマーケティング施策からだと考えています。※ただし、短期的な施策をやりながらも中長期の施策の種まきは必要なので、後述します。

 

BtoB企業がデジタルマーケティングで商談を作る流れ

具体的な施策の紹介に入る前に、大前提となるデジタルを活用したBtoB企業の商談づくりの流れについてお話しします。冒頭でもお話しした通り全体像の明確化は重要で、自社の課題がどこにあるのかを見極める必要があるため、一度整理してみてください。

図解すると、以下のような流れでデジタル上での接点から売上へとつながっていきます。

BtoBデジタルマーケティングの流れ


各ステップごとに解説します。

 

①顧客との接点を持つ「集客」

顧客との接点を持つためには、まず集客について考える必要があります。

例えばどれだけ素晴らしいWebサイトを作ったとしても、ターゲットに見てもらえなければ意味がありません。自社サイトにビジネス上のターゲットを集められるような具体的な施策が必要です。例えばSEO対策やSNS運用を自社でおこなったり、広告を出稿したりと、集客の手法も様々なので、適切な施策を選択し、集客を行っていきましょう。

 

②個人情報を取得してコミュニケーションをとる

ターゲットを集めた後は、次のアクションを起こしてもらえるような仕掛けが必要です。代表的なものだと「お問い合わせ」や「資料ダウンロード」などの導線を用意し、ユーザーが閲覧して終わりではなく、継続的な接点を持てるように個人情報を取得します。

 

③コンテンツを配信し顧客を育成する

個人情報が取得できたら、そこに対して営業がアプローチするのが一般的な流れですが、お問い合わせをしてきたユーザーが必ずしも、今すぐにサービスを必要としているとは限りません。そのため、闇雲に電話をかけたりするのではなく、長期的な視点で、メルマガやセミナーなどで有益な情報を提供し続け、必要になった時に再度アプローチするような仕組みや設計も必要です。

また、提案をして失注した場合も、将来の見込み顧客として有益な情報を提供し続けることで、再び案件化することがあります。中長期に渡って良質な情報を届けることで、関係性を繋ぎ止めておくことができます。逆に言えば、短期的な利益のために無理な営業をしたり、強引なアプローチをしても最終的な売上は下がってしまいます。マーケティングからセールスまで、短期施策と長期施策のバランスは考えるようにしましょう。


④商談を行う

ニーズが高まってきたらアポイントを取り商談を行います。問い合わせの直後から商談になる場合もあれば、しばらくはコンテンツを通してコミュニケーションをとり、見込み度が高まってからアポイントにつながるケースがあります。いずれにせよ、顧客の検討のタイミングに合わせた適切なアプローチが重要となります。

以上がWebマーケティングの基本的な流れです。お気づきかとは思いますが、BtoBの場合、オンラインの施策だけではなくセールスの領域まで考えて設計する必要があります。そうなると、Web担当者1人が考えれば十分、というものではありません。Web担当者(マーケター)だけではなく、営業やCS等も巻き込んで、全体の流れを円滑に進めていくための組織づくりをおこなっていきましょう。

こういった流れの中で、自社のボトルネックがどこにあるのかを見極める必要があります。そのうえで、本記事で紹介するおすすめステップをご一読いただき、具体的な改善アクションを取っていただきたいです。


第一歩としておすすめのステップ

それでは、ここからはWebマーケティングで短期的な成果を出すための基本的なステップをご紹介します。企業の状況によって打ち手はことなるものの、多くの場合に当てはまるながれかと思いますので、ぜひ参考にしてください。

 

0.マーケティングの全体像を描く

Webマーケティングに取り組むその前に、マーケティング活動の全体像をしっかり描くようにしましょう。デジタルマーケティングもWebマーケティングも、あくまで手段の1つになるため、視野が狭くならぬように可視化しておく必要があります。

具体的には、全体の中でのWebマーケティングの役割、セールスとの連携、具体的なKPI、それを実現するための予算とアクションなどを明文化にしてください。

おそらくBtoBの製造業であれば、最初のKPIは商談数の最大化になるはずです。受注するために必要な商談数を、どういった流れでどのくらいの案件のパスが必要なのか、全体を整理して戦略を作っていきましょう。



BtoB製造業におけるマーケティングの全体像


いきなり上記のような図までは難しいという場合は、下記のように各指標を分解して、必要な数字を割り出していくこともおすすめです。


デジタルマーケティングにおけるKPIツリー



WebマーケティングのKPI設定例


施策を実施していると、どうしても部分最適になったり、視野が狭くなったりしがちなので、立ち返る場として用意しておくことをおすすめします。

1.ターゲットと検討のフローを明確にする

それでは、具体的にWebマーケティングの施策に入っていきます。まずは自社のビジネスのターゲットを明確にします。ここをしっかり行っておかないと、誰に向かってコンテンツを配信する必要があり、何が不足しているかの判断が難しくなります。


「ターゲット」とざっくり述べましたが、ここではペルソナとカスタマージャーニーマップという考え方が非常に役に立ちます。具体的なターゲットの人物像を作り、自社と契約するまでの心理的な流れや必要となるコンテンツを設計します。


例えば下記は、BtoB製造業の顧客の中で製品が検討されるフローのサンプルです。こういった流れを整理したうえで、自社に必要なコンテンツを明確にします。


とある企業の検討フローと担当者の行動例▼

とある企業のカスタマージャーニー



求められる情報の整理▼

求められる情報の想定



こちらのフローの整理は非常に重要になるため、次章で詳しく解説いたします。


【関連記事】

ペルソナ設定って?作り方は?~顧客の心動かすマーケティングの基礎~~

【無料テンプレートあり】カスタマージャーニーとは?メリットデメリットから作成の手順までを解説!

 


2.最低限の受け皿としてWebサイトを整える。

どれだけ集客をしても、受け皿が穴だとだったらザルに水を入れるのと同じです。まずは最低限受け皿としてWebサイトを整えましょう。でなければSEOや広告で集めたユーザーもすぐに離脱してしまいます。


例えば、「しっかりとお問い合わせの導線があるか」「デモ機の貸し出しフォームは設置されているか」「資料請求の導線はファーストビューにあるか」などなど、基本的な整備を行なっていきます。


特に重要なのはファーストビューとCTA(問い合わせの導線)です。まずは第一印象で貴社が何の企業なのかがはっきりわかるようにし、促したいアクションが明確にわかるような導線を設置しましょう。


最低限の対策はやっておかないと成果につながりにくいのと、ご紹介した内容程度であればWebサイトのリニューアルのような数百万円単位の予算を使わなくてもできるはずです(多少の改修で費用がかかることはありますが)。


【関連記事】
とはいえ、最低限の基盤が整っていない場合はWebサイトのリニューアルをおすすめしています!
流れや必要なものに関しては下記の記事をご参照ください!

>【2022年版】成果を出すWebサイトのリニューアルの進め方とは?手順から費用感、準備項目などを解説


3.どの手段で集客をするのかを決める。

受け皿を整えたら今度は集客手段です。ターゲットがどこから流入してくるのか仮説を立て(理想としては直接顧客に聞き)、集客手段を決めましょう。


ちなみにBtoBのニッチな業界であればそれほど有効な集客手段は多くありません。第一歩としては、まずはSEOとリスティング取り組むのが効率的だと考えています


集客施策に関しては、カスタマージャーニーマップを作成する段階でもある程度想定しておくとスムーズです。全体像を俯瞰して、最適な手段を選ぶようにしてください。



4.顕在ワードでSEOの1位を取る。

具体的な集客施策としてのSEOをご紹介いたします。

一般的に、検索順位に囚われすぎるのはよくないと言われますが、BtoBのニッチな業界であれば顕在ワードでは1位にこだわった方が良いと言われています。かけるコストに対して、リターンが大きいからです。

※キーワード選びについては下記の記事も参考にしてください。

SEOのキーワード選定の手法まとめ!お役立ちツールや無料で使えるサイトまで!

BtoBのニッチな業界は、競合もそれほど多くなく、検索順位でも上位を目指しやすいです。当然上位に出れば競合よりも多くのアクセスを集めることができます。そしてニッチだからゆえに、検討度合いや緊急度も高いことが多いので、確実に接点を持てるようにしましょう。


また、BtoB製造業の”顕在”ワードは、業界によって様々です。一見技術情報を調べに来ているだけに見える人も、その技術を扱っている業者を探していたり、特定の用途や目的を求めて探している人も多く存在します。単に固有名詞だけではなく、実際に顧客から相談を受ける内容をベースに、自社にとっての”顕在”ワードを見つけるようにしてください。


そのキーワードに対して、しっかりと答えになるようページを作り込んでいれば、確実にCVの数を増やすことができるので、まずは良質なコンテンツ作り、その結果として検索結果で上位に表示される状態を目指しましょう。


【SEO関連資料】

「基本のSEOチェックリスト」

「SEOの基礎と記事コンテンツの作り方」


5.リスティング広告をかける。

BtoBの製品の場合、キーワードボリュームもそれほど多くないので、顕在ワードでリスティング広告を少額で出すのもおすすめです。


可能であればある程度まとまった金額(数十万円以上)で、ただし本当にニッチな業界ではなかなか予算が消化しきれないこともあるので、時間をかけるか網を広げて出稿する必要があります。この辺りは代理店も多く存在するので、相談してみても良いかもしれません。


広告を出稿することで対策すべき(引き合いにつながりやすい)キーワードがわかったり、成果を早く実感できたりと、様々なメリットがあります。先ほども申し上げた通り、BtoBの顕在ワードは確度も高いです。検索本格的にWebに注力するのであれば、この辺りは惜しまず投資していきましょう。


【Web広告関連資料】

『Web広告サービス比較12選』


6.安価なMAで最低限のトラッキングをする。

せっかく広告も使ってアクセスも集めたのであれば、企業ログをためておいた方が後々の費用対効果は高くなることがあります。


広告のゴールはCVになりますが、もちろん全てのユーザーがCVに繋がる訳ではありません。そのため、CVにつながらなかった企業のトラッキングや、CVに繋がったものの受注につながらなかった案件などを追客する上で、安価なMAツールなどを入れてログを貯めておきましょう。


このときに、最初から高額かつ高機能のMAツールを導入すると、使いこなせず無駄になってしまう可能性があります。初期段階でとにかく重要なのは、必要な時に必要なリストが適切に引き出せることです。


MAツールの多くはシナリオや自動化、スコアリングなどが主な特徴ですが、使いこなせるのはマーケティングの組織がすでに存在し、リソースが避ける場合のみです。逆に言えばそういったフェーズでは十分に検討の余地はありますが、これからWebサイトを活用しようという段階でそこまでの機能はいらないので、フェーズに合わせて適切なツールを選ぶようにしてください。


手前味噌で恐縮なのですが、弊社で提供しているBowNowも無料から使えるツールです。まずはこういったものから始めて、ミニマムの成果を出すのが良いかと思います。

無料で使えるマーケティングオートメーション「BowNow(バウナウ)」



7.Webサイトの改善活動をする。

ある程度アクセスの母数が集まってきたら、Webサイト内の改善を行いましょう。0.のフェーズで立てた全体像において立てた目的が達成できているのかを確認しつつ、差異を埋めていくフェーズです。


Webマーケティングは初めからうまくいかないことも多いので、一喜一憂せずに冷静に原因を分析することが重要です。


ちなみに、ターゲットが集まっていないサイトの分析や改善をしても意味がないので、まずは”最低限”受け皿を整える→集客→改善の流れは徹底してください。この改善を回すためにも、短期的な施策であるWeb広告と、長期的な施策であるSEO(コンテンツ施策)は両立してやっていく必要があります。


参考:Webサイトの流入からコンバージョンの流れ▼
Webサイトから成果を出す流れ




8.営業アプローチする。

当たり前ですが、Web施策が回り出したら営業のアプローチが必須です。先ほども述べた通りアプローチの体制をつくり、営業活動を行いましょう。


また、Webサイトの資料ダウンロードやホワイトペーパーなどで獲得したリードにコールをし、まずはセミナーに集客するといった段階的な営業活動もおすすめです。いきなり商談にならなくても、少しずつ見込み顧客を育てていきましょう。


このフェーズは引き合いが発生したら即アクションすべきなので、8.としているものの常時実施していく必要があります。


9.潜在ワードの検索順位を取る。

ある程度顕在ワードで成果がではじめたら、潜在顧客にまでSEOの獲得ワードを広げます。すぐに検討ではないにしろ、情報収集をしている企業もたくさんあるからです。


いきなりゼロから始めるというよりは、当初からある程度計画を立てておき、本格的に狙いにいくイメージです。例えば情報収拾段階で検索するキーワードを獲得し、そこからリードを獲得するためのハードルの低い仕掛け(ホワイトペーパーなど)を設置します。作成するコンテンツも、できれば社内にある資料などを転用して、工数を削減するなどの工夫をしてください。


潜在層のユーザーは検討期間も長くなるので、中長期的な施策としてじっくりと取り組んでいくと良いでしょう。



10.広告のターゲットも広げてみる。

広告に関しても、潜在層までターゲットを広げたり、これまで出していなかった媒体にもチャレンジしてみましょう。例えばSNS広告はBtoCのイメージが強いものの、実際は効率的にセミナーの集客ができる、といったパターンも多く存在します。


仮説を立てたうえで、戦略的に"面"でとっていくことをおすすめします。


11.全体のPDCAを回し、施策を広げる。

ここまでをきっちりやれば、最低限のCV数が取れてくるはずです。そこから先の商談も生まれてくるはずなので、施策の幅を徐々に広げていきましょう。また、Webからの成果が上がっているのにアポイントや商談が増えない場合は、視野を広げた改善が必要です。セールスとマーケティング(Web担当者)で協力して、成果を最大化できるようなアクションプランを作りましょう。


以上、ざっと流れを書いてみました。企業の状況によって順番は前後しますが、大事なのはいきなり多くのことに手を出さず、まずはインパクトの大きいところ集中することです。リソースや予算が潤沢にない場合も多いと思うので、まずは短期的な成果を出しつつ、長期的な施策の準備を進めるようにしてください。

そうなると必然的に、Webマーケティング以外の施策に幅が広がっていき、MAやSFAを活用した本格的なデジタルマーケティングに取り組むようになります。地に足つけて、少しずつ自社のデジタル化に取り組んでいきましょう。


BtoB製造業のカスタマージャーニーに沿った情報提供

第一歩としてのおすすめのステップをご紹介してきましたが、「1.ターゲットと検討のフローを明確にする」に関してはもう少し深掘りして解説いたします。

以下の図は、先ほどもご紹介したカスタマージャーニーの一例ですが、こちらに沿って検討のフローを明確にしておくことで、その先のステップもブレずに進めることができます。

また、コンテンツ作りに関しても、このフローに沿って作成することで漏れをなくすことができるため、セールス、マーケ、カスタマーサクセス、インサイドセールスなど、各部署の現場の方々で情報を持ち寄り、作成することをお勧めします。

カスタマージャーニー



すでに述べた通り、BtoB製造業では、使用者と購入決定者(決裁者)が別々であるケースが多く、また、BtoCと比べて検討フェーズ(上図の「無関心」から「業者選定」まで)が長い傾向にあります。よって、検討中に各担当者が意思決定の判断材料として使えるような情報を適切なタイミングで与えていくことが大きなミッションとなります。

ここからは「情報提供」に焦点を当て、BtoB企業が取り組むべきデジタルマーケティングの主な施策をフローに沿ってご紹介します。

無関心フェーズ

【見込み客の行動】

ターゲットとなる見込み客は何らかの課題を抱え、ネットで課題解決に結びつく情報を検索します。そして、課題解決に役立ちそうな商品やサービスの導入を検討し始めます。さらに、関連する商品やサービス名をチェックします。

【提供する情報】

手段 Web広告、コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ブログ記事型のオウンドメディア、SNS、展示会 など
内容 該当する課題解決の方法やヒントなどのノウハウ情報、アドバイス

自社製品・サービスが解決できることを、根拠を交えながらアピールします(Web広告、コーポレーとサイト、サービスサイト、ECサイト、展示会など)。
また、自社が蓄積してきたノウハウから、ターゲットが抱える悩みや課題を解決するためのヒントを提供することで、その分野に豊富な知識や実績を持っていることを示すこともできます(ブログ記事型のオウンドメディア、SNSなど)。
まだターゲット自身が問題とは捉えていない潜在的な課題を掘り起こすのもこのフェーズです。

課題認識~ニーズが高まるフェーズ

【見込み客の行動】

課題を認識した担当者は、課題解決のための商品・サービスを導入したいと上司に申し出ます。上司が課題を認識します。課題を認識した上司が解決のための商品・サービスを導入するかどうかを検討する段階です。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、データベース、メール(ステップメール、メルマガ)、ホワイトペーパー、インサイドセールス、カタログ、セミナー など
内容 課題解決の方法、商品・サービスの詳細 など

ひとつ前の「無関心フェーズ」からここまでの間に担当者からなんらかの接触を受けており、「課題認識フェーズ」では見込み客として担当者の情報を得ているという前提です。
担当者側の自発的な動きによってWebサイト上の情報を閲覧してもらうほか、メルマガ配信などのプッシュ型の情報提供を行います。
また、営業担当からのコンタクトにより課題の詳細をヒアリングしたり、場合によっては商談のアポイントを取り付けたりといったアクションも必要です。

解決模索~要件定義フェーズ

【見込み客の行動】

上司が課題解決のために商品・サービスを導入することを許可すれば、担当者は導入先の企業候補を絞り込むため、類似商品・類似サービスを集めて比較検討します。スペックや費用などを比較するため相見積もりをとります。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、データベース、ホワイトペーパー、カタログ、セミナー、メール(ステップメール、メルマガ) など
内容 商品・サービス詳細情報(スペック、費用感など)、導入実績、FAQ、企業情報 など

フェーズ内にはさらにさまざまな段階の見込み客がいるため、それに応じて必要としている情報も幅広く、提供すべき情報が一番多いのがこのフェーズになります。
具体的な施策として、ステップメールやメルマガによるナーチャリングや、自社と見込み客との信頼関係の構築、Webサイトや電話による問い合わせ対応、セミナーや相談会などのイベントで対面による質疑応答、訪問による商談などが挙げられます。
また、承認を行う上司や決裁者(社長)からは、企業としての信用を得る必要があるので、商品・サービスの納入実績ページやコーポレートサイトの企業情報ページや整備されていないようならこのフェーズまでに情報を充実させておくことも必要です。

導入検討~業者選定フェーズ

【見込み客の行動】

要件定義フェーズでの決定事項を満たす商品・サービスを担当者や上司、場合によっては決裁者も交えて比較検討し、どの企業を選ぶかを決定します。その後、稟議書を上げて決裁者が承認します。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ホワイトペーパー、カタログ など
内容 商品・サービスの概要・スペック・特徴(特長)、類似サービスとの比較表、導入実績 など

競合製品・サービスと比べたときの特長をアピールします。Webサイト上に、どんな企業に向いているか?といった情報を掲載したり、競合他社が提供する類似サービスとの比較一覧表など、稟議書にそのまま添付できるような資料をホワイトペーパーで提供して担当者の手間を省いてあげると良いでしょう。

使用フェーズ

【見込み客の行動】

契約後、見込み客は商品・サービスの使用をスタートします。 問題なく商品やサービスの利用を継続させるため、メンテナンスや不具合が起きた時の対応、アップデート情報などに関心が移ります。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ホワイトペーパー、メルマガ など
内容 メンテナンス情報、故障対応に関する情報提供、アップデート情報、新製品リリース情報 など

購買後、顧客フォローのための情報提供を行う必要が出てきます。コーポレートサイトやサービスサイト、ECサイトにアフターフォローのページを設けたり、顧客側で行うべきメンテナンス方法をホワイトペーパーで提供したりといった施策があります。
また、アップデート情報や新商品情報をメルマガや営業フォローなどで提供することで、リピート化をうながすことも大切です。

上記はあくまでも一例で、各フェーズで行うべき施策は、商材やターゲット(ペルソナ)によって変わってきます。

当初のデジタルマーケティングの目標が、カスタマージャーニーの各段階にいるターゲットユーザーに対し、適切な対応をして成約ないしリピート購買につなげていくことであるのを念頭に、前章でご紹介した理想像と照らし合わせながら施策の評価を行って改善につなげていきましょう。

その他のデジタルマーケティング施策

ここまで紹介したデジタルマーケティングの手法はあくまでWebマーケティングの領域で、かつ一部の領域に限ったものです。ですが、施策が進んでいけば他の手段も必要になるはずです。

ここでは、代表的なデジタルマーケティングの手法をいくつかご紹介します。


メールマーケティング

保有しているハウスリストに対してメールの送付をおこなう施策です。MAツールやメルマガツールを活用してメールを送付します。特定のアクション(資料ダウンロードやページ閲覧等)をトリガーとして自動的にメールを送付することも可能で、段階的なステップメールを送ることで見込み顧客を育成&検知することにも役立ちます。

前章でMAを設置しておくことを推奨したのも、いざメールマーケティングを行う際にトラッキングログがたまっていた方が、運用時に便利だからです。

また、ハウスリストは営業の過去名刺なども有効なので、マーケティング部門に集約してメールを送れるよう連携を取っていきましょう。


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SNS運用

企業のSNS運用(Facebook,Twitter,Instagram等)も一般的になってきました。BtoB企業でも代表がSNSを運用して認知度を向上させたり、リクルーティングに使ったりと、その幅は広がりを見せています。

BtoCと比較すると運用の仕方は異なりますが、基本的にはSNSの特性を活かして会社の情報や、他ユーザーとコミュニケーションをとることで、関係性を築いていきます。

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動画マーケティング

スマホの普及から動画のニーズが年々高まっています。通信速度も4Gから5Gに変わり、ますますマーケティング施策としての動画が有効となっていきます。

BtoB製造業の動画の活用手段としては、製品の使用イメージを動画でわかりやすく解説したり、マニュアルを動画で公開したり、リアルで聞いているような体験をオンラインに置き換えることが多いです。

特にコロナ禍では、対面での打ち合わせや訪問見学などが難しいことが多くなっており、オンラインで製品検討をされる比率が増えています。動画を有効に使って、製品訴求をする施策は今後も広がりを見せるでしょう。

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AR

最後にご紹介するのがARの施策です。まだまだこれからの市場ではあるものの、今後市場規模の拡大が予想されているビジネスAR。

例えば製造業なら、機械のサイズ感をオフィスに居ながら確かめたり、工場での設置イメージを確かめたりすることが可能です

省スペースや小型化を強みとしている製品もあるかと思いますので、より魅力を訴求するためにも役立つでしょう。また、ARからのリンクにトラッキングのMAツール等のタグを設置しておけば、何らかの形でアプローチも可能です。

ぜひ施策の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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デジタル施策のトレンド「オンライン展示会」とは

続いては、デジタルマーケティング関連の最近のトレンドとして「オンライン展示会」をご紹介いたします。これまでオフラインで実施していた展示会をオンラインに移管して実施するもので、製造業を中心に多くのBtoB企業から注目を集めています。

 

出展方法やブースの形式は様々ですが、自宅にいながら訪れることができたり、地方の企業が都心にアプローチできたりと、デジタルを活かしたメリットが多く存在する施策です。

 

デジタル施策の中でも比較的新しいものにはなりますが、今後ますます主流になっていく可能性があるので、ぜひ合わせて理解を深めていただけると幸いです。

 

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デジタルマーケティングを実行するBtoB企業の組織体制について

ここまでWebマーケティングの実行ステップについてご紹介してきました。ではこのステップはどんな組織体制で実施すれば良いのでしょうか。


実は、デジタルマーケティングに取り組む上で多くの企業が悩むのが体制づくりです。いきなり多くの人間を配置しても利益が出る保証もなく、リソースが少なすぎても思うように施策も回りません。


そこで今回おすすめするステップは、まずはミニマムの成果を出し、その成果をもって組織を変えていくというものです。いきなり専任担当をつけられたら理想なのですが、リソースが潤沢にある会社ばかりではありませんし、それなりにリスクがあります。当たり前の話になるのですが、まずはミニマムの成果を出してから、できる範囲の組織改革から始めましょう。



例えば、まずは兼務のWeb担当者を置いてサイトの分析やホワイトペーパーづくりをしたり、コンテンツ作りに着手してコンバージョンを増やす、といった行動が挙げられます。少しずつ見込み顧客との接点を増やし、案件につなげていくことで、社内の協力も得られやすくなります。



また、すでにある程度ハウスリスト(過去名刺など)がある場合は、それらをインポートしてメールマーケティングを行うのもおすすめです。そこからアポイントにつなげ、営業が受注することで、より多くのリソースをWebマーケティングに割くことが可能となります。


こういった工夫をしながら、まずは成果につながる施策に集中して、実施していきましょう。


そして、最終的に生産性を最大化させるのであれば分業制の組織もおすすめです。まずは社内に知見をため、上層部の理解を得たあとは、しっかりと仕組みを作っていくとよいでしょう。





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デジタルマーケティングに成功しているBtoB製造業の特徴

続いては、弊社がデジタルマーケティングを支援している中で成功している企業の特徴を述べてまいります。施策の成否というよりも、こういった状況・スタンスであれば成果につなげることが可能、といった内容となります。ぜひ参考にしてください。


・経営者が前向き

大前提として、経営者(もしくは経営層)がデジタルに前向きでなければ施策が進みません。よくある失敗パターンが、担当者はやる気になっているが予算がおりなかったり、協力者が進まなかったりするパターンで、施策が実施できなければ当然成果は生まれません。逆に言えば、経営者が前向きに施策を推進してくれれば、仮に1つや2つ施策の成果が芳しくなくても、PDCAを回し続ければ成果につなげることができます。もちろん事業なので失敗続きではダメですが、チャレンジ精神がなければ新しい施策が成功することもないのです。

余談ですが、弊社のお客様の中でも代表が交代したタイミングで施策が一気に進むことが多々あり、実際に成果も出し、利益にもつながっています。そういう経験があるからこそ、やはり経営層の理解はマストと確信しています。

しっかりと意思決定をして、全社的に取り組んでいけるように体制を整えていきましょう。



・社内キーマンが協力的

施策を進めるにあたって重要なのが社内キーマンの協力です。各部署からコンテンツをもらったり、リードに対してしっかりアプローチしてもらうには、社内で交渉力のある味方が必要です。事前に根回ししておきましょう。

また、この協力体制を作るためにも、やはり経営層の理解が必要だと言えます


・営業とマーケティングの双方が戦略MTGに参加している

デジタルマーケティングに取り組むにあたって、営業とマーケティング(Web担当者)の協力は不可欠です。そのため、一方しか戦略MTGに参加していないと合意をとるのに時間がかかる可能性があるため、可能であれば双方が戦略のMTGに参加するようにしましょう。


経営/事業指標の中でとらえられている

全社的に取り組んでいると宣言しても、具体的な経営指標に組み込まれていなければ、施策は後回しになってしまいます。仕組みを作るうえでも、最終的な成果から逆算して経営指標としてデジタルの成果をとらえるようにしましょう。


小さな成功体験を積み上げている

デジタルマーケティングは積み重ねが重要です。1つ1つは地味な作業でも、積み重ねることで大きな成果を生み出すことができます。例えば私が書いているこの記事も、単体ではすぐに利益につながるものではありませんが、毎週、毎月と続けてきたからこそ、商談創出に寄与しています。

特に担当の方は1人で作業をして孤独を感じることも多いかとは思いますが、日々の小さな成功体験を積んでいくことで、自身のモチベーションを管理しつつ地道に成果につなげていってください。

 


以上、デジタルマーケティングにおいて成果を出している企業の特徴を簡単に述べてまいりました。

デジタルマーケティングの一歩を踏み出す上で、まず重要なのは会社としてのスタンスです。ノウハウや知見は外部のパートナーをみつければ得ることができますが、行動を起こすことができなければ全てが無意味となります。

まずはトップが意思決定をして、キーマンを巻き込み、戦略MTGで合意を取る。そうして少しずつでも、施策を進めていってください。



デジタルマーケティングに取り組む製造業の事例

最後に、デジタルマーケティングに取り組む企業の事例を1つご紹介します。ぜひ参考にしてください。

アイメックス株式会社様

URL:https://www.aimex-apema.co.jp/

アイメックス株式会社様は、東京都墨田区に本社を構える機械メーカーです。ロールミルやビーズミルといった機械を製造販売しております。

この10年で2回ほどWebリニューアルを実施しており、MAツールやWeb広告、オンライン商談の積極採用など、デジタルの施策にも前向きな企業となります。代表や営業部長の方もWeb戦略のMTGに参加することで、先進的な取り組みをいち早く取り入れることに成功しており、デジタル化を目指す製造業の企業の模範となる活動をしている企業です。

1度目のWebリニューアル時にはCMSの導入と問い合わせが増える仕組みづくりを、2度目のリニューアルではより現代のユーザーに合わせたデザイン刷新やりレスポンシブ対応を行っています。

それぞれのきっかけとしても、中長期の運用の中で必要性が生じたために踏み切った背景があり、それ自体が目的というよりは手段としてリニューアルを実施しています。実際に施策も成功しており、Web経由での引き合いや商談数も年々増えております。こういった企業がどんどん増えていくことで、日本全体のデジタル化が一気に進むと信じています。

 

 

BtoB製造業のデジタルマーケティングは着実な施策から

BtoBの製造業がやるべきデジタルマーケティングについて解説してきました。今回ご紹介した内容は限定的な内容ではあるものの、多くの企業がたどるステップではあります。組織上の壁もありなかなか進めるのが難しい場合もあるとは思いますが、それはどの企業も同じです。だからこそ、やはり経営の判断がマストと言えます。着実に、成果を生み出していき、仕組みを作っていきましょう。


また、具体的なデジタルマーケティングのtodoは企業によって異なります。ぜひ本記事を参考にしつつ、貴社にとって最適な形を導き出していただきたいです。そしてまずは、第一歩を踏み出してください。

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  • Written by
  • 小木曽 一馬
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティンググループ

    プロフィール :

    2013年に新卒でスターティアラボ株式会社(クラウドサーカスの前身)に入社。2014年よりWebマーケティング事業のカスタマーサクセスに従事し、立ち上げから責任者までを務める。もともと1人での活動から6人まで組織を広げ、顧客成果を追求しながらもアップセルやクロスセルを生み出す仕組みづくりを行う。以降はコンサルタントやパートナー開拓の新規事業を経て、現在はマーケティンググループに所属。個人でもnoteやTwitterで発信しており、写真も撮る。

    Twitter→@ogisokazuma



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Thu, 01 Jun 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?意味・課題・事例など、わかりやすくまとめました!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/Digital_transformation

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital transformation)とは「デジタルによる変革」を意味し、ITの進化にともなって新たなサービスやビジネスモデルを展開することでコストを削減し、働き方改革や社会そのものの変革につなげる施策を総称したものです。

デジタル変革への国家的な取り組みとして最近話題になっていますが、いまいち全体像がつかめないという方もいるでしょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の考え方や具体的なアプローチ、企業における成功事例などを紹介します。

※デジタルトランスフォーメーションについてまとめた資料(全41ページ)もご用意しました。
こちらも併せてご活用ください。

>「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは」の無料資料をダウンロードする

デジタルトランスフォーメーション(DX)の意味と概念

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital transformation)とは「デジタルによる変革」を意味し、ITの進化にともなって新たなサービスやビジネスモデルを展開することでコストを削減し、働き方改革や社会そのものの変革につなげる施策を総称したものです。

2018年には経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置して課題と対策の検討を開始し、同年にはガイドラインとレポートを発表しました。以来、国家的な取り組みとして注目されてきました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を最初に提唱したのは、スウェーデンのエリック・ストルターマン氏とされています。同氏は、目覚ましく進歩するITが「人々の生活をあらゆる面でより豊かに変化させる」ことがデジタルトランスフォーメーションの概念であるとしています。

IT化との違い

デジタルトランスフォーメーション(DX)とIT化の違いについて明確な定義はありません。「IT化」のかわりに「デジタル化」という言葉が使われることもあり、しいて言えば「デジタル化」のほうが広義ですが、この2語の意味はほぼ同じと考えて良いでしょう。

DXとIT化の違いは、「何を目的とするか」だという考え方もあります。IT化のおもな目的はIT(情報技術)を活用することによる「業務の効率化」であるのに対し、DXはあくまでも「変革」を軸とし、プロセスや結果に何らかの変革が含まれることを要件とします。

DXは「業務の効率化」を重要なテーマとしつつも、それが社内だけでなく社外のビジネスモデルや業務に変革をもたらし、新たな価値を生み出していく活動だと言えます。

「DXは”目的”で、IT化は”手段”」「IT化は”戦術”で、DXは”戦略”」とも言われます。企業のビジョンや戦略にデジタル技術をいかに採り入れていくかがDX推進のポイントになります。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義

デジタルトランスフォーメーションには確立された定義はなく、さまざまな組織が独自の見解を示しているのが現状です。

2018年12月に経済産業省より発行された「『DX推進指標』とそのガイダンス」によると、デジタルトランスフォーメーションは次のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や

社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

引用:「『DX推進指標』とそのガイダンス」(経済産業省)

また、IT専門の調査会社であるIDC Japanは次のように定義しています。

「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォームを利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立することを指す」

引用:IDC https://www.idc.com/jp/research/explain-word

これらの定義から、デジタルトランスフォーメーションとはビジネス価値を提供する企業や行政などの団体が起こすべき「変革」を指すことが読み取れます。

なお、「Digital transformation」の略称が「DT」でなく「DX」であるのは、「越えて・横切って」の意味を持つ「trans-」を英語圏では一般的に「X」と略記することに準拠します。

IDC Japanの定義にある「第3のプラットフォーム」とは、「クラウド」「ビッグデータ」「モビリティ」「ソーシャル」という4つのデジタル技術で構成する情報基盤のことです。

これらの定義から、デジタルトランスフォーメーションとはビジネス的な価値を提供する企業や行政などの団体が起こすべき「変革」を指すことが読み取れます。

 

なお、「Digital transformation」の略称が「DT」でなく「DX」であるのは、「越えて・横切って」の意味を持つ「trans-」を英語圏では一般的に「X」と略記することに準拠します。

「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」との違い

デジタルトランスフォーメーションとともに語られることも多い「デジタイゼーション(Digitization)」と「デジタライゼーション(Dizitalization)」はいずれも「デジタル化」と訳すことができますが、デジタル技術によるビジネスやユーザー・エクスペリエンス(UX:User Experience)の変革プロセスにおいて異なる意味を持ちます。

「デジタイゼーション」はビジネスプロセスの一部にデジタルツールを導入して効率化や合理化を図ることであるのに対し、「デジタライゼーション」はビジネスプロセスの全体をデジタル化して新たな価値や利益を生み出すことを指します。具体例は次の通りです。

「デジタイゼーション」の例

紙媒体 ⇒ 電子書籍への変換・アナログ放送 ⇒ デジタル放送への変換

「デジタライゼーション」の例

音楽CDの購入・ダウンロード視聴 ⇒ ストリーミング(サブスクリプション制など)の導入

「デジタイゼーション」の先に「デジタライゼーション」があり、さらにその先にデジタルトランスフォーメーションが位置するというイメージです。

「デジタライゼーション」の結果として新たなビジネスやサービスの仕組みが創出され、社会的な影響をもたらすまでになることがデジタルトランスフォーメーションだととらえると良いでしょう。

経済産業省が提唱するデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性

経済産業省は2018年5月に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を立ち上げ、同年12月には「デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発表しました。

 

デジタルトランスフォーメーションの必要性を説くと同時に、日本企業におけるデジタルトランスフォーメーション推進の現状と課題を挙げています。

「あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital transformation)をスピーディーに進めていくことが求められている」

引用:「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)」(経済産業省)

また、「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会(第1回)議事要旨」では次のように要点をまとめています。

  • DXの本質とは、情報システムのみでなく現業そのものも変えていくことであり、業務の変革である
  • 各業界・企業において、DXの共通認識や共通のとらえ方を持つことが重要
  • DXを用いて何を変革するのかが各企業に見えるよう、DXの原則・ガイドラインをまとめて社会へ展開・共有することが重要

引用(抜粋): 「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会(第1回)議事要旨」(経済産業省)

「業界横断的な仕組みを実現するには、政府の支援が必要」であるとし、デジタルトランスフォーメーションが国家的な取り組みであることを示しています。2020年11月、経済産業省では企業のDXに関する自主的な取り組みを促すため、経営者に向けたガイドラインとして「デジタルガバナンス・コード」をまとめました。現在ではコロナ禍を受けて開催した「コロナ禍を踏まえたデジタル・ガバナンス検討会」での検討をもとに、現状に必要な改訂を施した「デジタルガバナンス・コード2.0」を公表しています。

 

さらに2022年4月、中小企業の経営者に向けた「中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き」を取りまとめています。



参照:デジタルガバナンス・コードとは(経済産業省)

参照:中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き

以上をふまえると、デジタルトランスフォーメーションの目指すところは、

  • 競争上の優位性を確立するために、
  • 単なるIT化にとどまることなくデジタル技術を活用し、
  • 付加価値を高めること

であると言えます。

デジタルトランスフォーメーション推進による「付加価値の創出」には、新たなビジネスモデルの構築といった目標に限らず、働き方改革や業務の効率化・人手不足への対応などすでに叫ばれている課題の解決も、企業の競争力強化という点で含まれると言えるでしょう。

2025年までにデジタルトランスフォーメーション(DX)が急務

経済産業省は2018年時点で「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」の議論をレポートにまとめ、企業が生き残るための鍵であるデジタルトランスフォーメーションを実現するには2025年までに既存システムを刷新することが急務であるとしています。

各企業・団体についてすでに指摘されている既存システムの「老朽化」「複雑化」「ブラックボックス化」などの問題を解決しなければDXが実現できず、日本企業は他国との競争優位性を失い、2025年以降に毎年最大12兆円の経済損失が生じるおそれがあると警鐘を鳴らしています。これが、いわゆる「2025年の崖」問題です。

「2025年の崖」の試算には、2025年までに多くの日本企業が直面するであろうIT人材の引退や各種サポート終了によるリスクも含まれています。これらの危機感から、2021年9月には未来志向のDXを推進するデジタル社会の司令塔としてデジタル庁が発足しました。


引用:
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)

デジタルトランスフォーメーション(DX)への課題

経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」によると、「あるべきITシステムを実現するうえで現場で懸念されている主な課題」は次の通り挙げられています。


・刷新すべき業務につき、ユーザー側がベンダーに丸投げしている状況
・既存システムのレガシー化 ― レガシーシステムの“見える化”および“断捨離”が必要
・IT人材の育成・獲得 ― 日本の既存の終身雇用制度とのミスマッチ
・日本の制度や大学でのIT教育が米国に比べて遅れていること


また、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)・株式会社野村総合研究所の「デジタル化の取り組みに関する調査‐デジタルビジネスに関する共同調査‐<デジタル化はどのように進展しているか?>」(2019年4月)によると、レガシーシステムの存在がデジタル化対応の足かせであると感じる企業は多く(約71%)、多くの企業(約92%)はレガシーシステムからの脱却・更新の必要性を感じていることがわかります。

この調査では「レガシーシステム」について次のように定義しています。システム運用に融通が利かないことや業務の属人化の問題も含まれています。

① 技術面の老朽化
古い要素技術やパッケージでシステムが構成されており、H/W等が故障すると代替がきかない状況。または、古い要素技術に対応できる技術者の確保が難しい状況

② システムの肥大化・複雑化
システムが複雑で機能の追加・変更が困難となり、現行業務の遂行や改善に支障がある状況。システム変更が難しく、外部に補完機能が増えたり、人が運用をカバーしなくてはいけない状況

③ ブラックボックス化
ドキュメントなどが整備されておらず、属人的な運用・保守状態にあり、障害が発生しても原因がすぐにわからない状況。または、再構築のために現行システムの仕様が再現できない状況

なお、同調査の2020年5月版では、デジタル化推進のためのよくある課題として「検討体制・リソース確保」 「社内の協力獲得」 「デジタル人材確保」などを挙げています。

引用:
「デジタル化の取り組みに関する調査‐デジタルビジネスに関する共同調査‐<デジタル化はどのように進展しているか?>」(一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)・株式会社野村総合研究所)

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状

2020年12月に経済産業省が発表したデジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』によれば、調査対象である日本国内の企業223社のうち、9割以上がDXに「未着手」か「一部のみの実施」にとどまるといいます。

一方で、電通デジタルの「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2019 年度)」によると、デジタルトランスフォーメーシに着手している日本企業は70%(2018年度から7パーセント増加)、うち約6割が一定の成果が出ているという結果が出ており、日本におけるデジタルトランスフォーメーシ推進の本格化を示しています。

また、成果創出企業は経営トップがデジタルトランスフォーメーションにコミットメントしていること、デジタルトランスフォーメーション推進のための専門組織と専任の役職者を設置していることなどから、デジタルトランスフォーメーションにおける成果創出のポイントが明らかにされています。

出典:プレスリリース「電通デジタル、日本企業のデジタルトランスフォーメーション調査 2019 年版を発表」

一方で、レガシーシステムがデジタル化の阻害要因となっている現状もあります。

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)・株式会社野村総合研究所の「デジタル化の取り組みに関する調査‐デジタルビジネスに関する共同調査‐<デジタル化はどのように進展しているか?>」(2019年4月)によると、レガシーシステムの存在がデジタル化対応の足かせであると感じる企業は多く(約71%)、多くの企業(約92%)はレガシーシステムからの脱却・更新の必要性を感じていることがわかります。

なお、この調査では「レガシーシステム」の定義を次の3点としています。

① 技術面の老朽化

古い要素技術やパッケージでシステムが構成されており、H/W等が故障すると代替がきかない状況。または、古い要素技術に対応できる技術者の確保が難しい状況

② システムの肥大化・複雑化

システムが複雑で機能の追加・変更が困難となり、現行業務の遂行や改善に支障がある状況。システム変更が難しく、外部に補完機能が増えたり、人が運用をカバーしなくてはいけない状況

③ ブラックボックス化

ドキュメントなどが整備されておらず、属人的な運用・保守状態にあり、障害が発生しても原因がすぐにわからない状況。または、再構築のために現行システムの仕様が再現できない状況

引用:「デジタル化の取り組みに関する調査‐デジタルビジネスに関する共同調査‐<デジタル化はどのように進展しているか?>」(一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)・株式会社野村総合研究所)

このように日本企業の多くがDXの推進に取り組んでいるものの、ビジネスモデルや組織の本格的な変革には至っていないのが現状です。

また別の調査で、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界デジタル競争力ランキング2022」によると、デジタル技術の利活用能力に関する総合ランキングで日本は調査対象となった全63カ国中の29位で、上位5カ国のデンマーク、米国、スウェーデン、シンガポール、スイスのほか、東アジアの国・地域では韓国(8位)、台湾(11位)などに大きく後れています。

「ビッグデータ活用・分析」や「ビジネス上の俊敏性(Business Agility、ビジネスアジリティ)」などの項目ではさらに深刻で、日本は63カ国中の最下位という評価を受けました。

「ビジネスアジリティ」は企業が外部環境の変化にいかに迅速に対応できるかという組織能力を測り、デジタル技術をビジネスにいかに迅速に活用できるかを評価する指標であり、DXの推進には必須とされています。


参照:
IMD/World Competitive Center

 

日本企業の取り組み状況

「2025年の崖」問題から日本企業の多くがデジタルトランスフォーメーションの重要性を認識し、喫緊の課題として取り組むようになりました。

 

2023年2月にIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した「DX白書2023」によると、DX推進に取り組む日本企業の割合は2021年度調査の55.8%から2022年度調査は69.3%へと増加し、米国の77.9%に近づいています。

 

しかし企業規模でみると、大企業の4割強がDX推進に取り組んでいるのに対し、予算の確保が難しい中小企業では1割程度にとどまっています。

 

2022年の調査でも売上規模の大きい企業ほどDX推進に取り組んでいる割合が高い傾向で、2023年でも従業員数の多い企業ほど取り組みが進んでいる傾向があります。また、産業別、地域別(本社の所在地別)でも偏りが見られました。

 

引用:

DX白書2023(独立行政法人情報処理推進機構)

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)の事例

国内の企業におけるデジタルトランスフォーメーションの成功事例を紹介します。

【関連記事】
デジタルトランスフォーメーション(DX)の事例 ~国内事例と海外事例をそれぞれまとめました!~

大塚製薬

日本における処方薬の完全服用率が60%であることに着目し、医療IoTを活用した「服薬支援システム」を開発。

薬剤容器に通信機能やメモリー機能を搭載することにより患者の薬の飲み忘れ・飲みすぎを防ぐだけでなく、医療・介護の効率化や病気の再発・悪化の防止、ひいては社会保障費の削減が期待できる点など社会的意義の大きい取り組みを行っています。

患者の服薬に際して収集できるデータの活用性についても注目を集めました。

三越伊勢丹ホールディングス

「ITと店舗、人の力を生かした新時代の百貨店(プラットフォーマー)」をスローガンにデジタル戦略に注力。

従来の百貨店の弱点とされていた「商品のデータベース管理」を徹底するために商品撮影スタジオを新設し、基幹店の全商品をECでも地域店でも購入できるシステムを確立しました。

チャットを活用したパーソナルスタイリングサービスの導入や、オンライン・オフラインの双方で上質な顧客体験を提供することで新たな顧客層の獲得も見込まれます。

三井住友銀行

年間3万5,000件にのぼる「お客様の声」を瞬時に分析・見える化できるソリューションを導入。

顧客から寄せられる意見や要望を内容別に仕分けする作業に膨大な時間と人件費がかかっていたところ、「テキスト含意認識技術」の導入で特定の意味を含む文章を抽出・グループ分けすることが可能になりました。

人力に頼るよりも高度な分析を実践でき、業務の効率化と同時に新たな知見の獲得にもつながったとされます。

参考記事:「Google Cloud Next '19 in Tokyo」レポート 第一回 セッション:DX/CX 戦略を駆動するマーケティングアナリティクス

デジタルトランスフォーメーション(DX)のメリット

経済産業省が提唱するデジタルトランスフォーメーションの必要性でも触れましたが、ここで改めて、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むメリットを5つにまとめました。

①業務効率を向上できる

業務を抜本的に見直し、ITを利活用して改善することで、業務効率を向上することができます。

②生産性を向上できる

前項のように業務効率化を進めることで空いた時間をほかの創造的な業務に当てたり、ITの利活用により新たな製品・サービスをリリースしたり、企画開発業務にAIを導入するなどを実現できれば、生産性を向上できます。

③顧客満足度を向上できる

新製品・サービスの開発や提供、顧客体験向上につながるようなITの利活用に成功すれば、顧客満足度を向上できます。

④従業員満足度を向上できる

デジタルトランスフォーメーションは、何も社外向けに限定されるものではありません。ITの利活用により、従業員がより働きやすい環境を作ることができれば、従業員満足度が向上し、それがひいては顧客満足度向上にもつながります。

⑤ビジネス環境の変化に順応できる

上記①~④を実現することで、総合的に競争力が強化され、目まぐるしく変化する昨今のビジネス環境下に順応し、競合他社に対して優位に立つことができるようになります。



DX推進のステップ

デジタルトランスフォーメーションを導入する際のおもなステップをご紹介します。どのような手順で取り組むのが良いかのご参考になさってください。

1.経営戦略の策定

デジタル化はあくまでも手段のひとつです。DXに取り組む際には、まず、どのような目的でデジタル化(IT化)を進めるのかという目的を決めます。ビジネスや業務のフローをどのように変えていきたいか、そのためにはどのような方法が必要かを策定しましょう。

 

2.現状の把握

自社のビジネスの現状や自社内の現状を把握しします。既存システムやその管理・運用のためにかかっているコストや人的リソース、社内に蓄積している情報資産などをデジタルデータとして可視化できると良いでしょう。

 

3.デジタル化により業務を効率化

これまでは対面や訪問で行っていた商談をオンライン化する、紙で行っていた会計を会計ソフトで一元化するなど、アナログだったものをデジタル化します。

 

4.デジタルデータの蓄積と活用

デジタル化により業務を効率化すると、生産性も高まります。同時に、デジタルデータも蓄積されます。

 

顧客管理データや決済データなど、取得可能なあらゆるデータをビジネスモデルや業務プロセスに組み込むことでDXを推進します。



DX人材の確保

上記のようなステップを進めつつ、DX推進を担えるDX人材を確保しましょう。ここで言うDX人材とはプロデューサー、エンジニアのほか、データサイエンティスト、UXデザイナーなどの職種を指します。

 

DX推進の障壁となるレガシーシステムを脱し、社内の連携不足や上層部(経営層)のコミットが得られない状況などを解消できれば、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルや業務フローにスムースに移行できるでしょう。

 

DX推進を担える人材の評価や処遇、環境などのマネージメント体制が社内に整備されている必要があります。DX人材の確保のためには、社内制度の見直しも重要なポイントです。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)のツール

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進のためのツールは、導入企業の業態やスタイルによってさまざまです。

ここではマーケティング関連企業で活用される主な管理・分析ツールを紹介します。自社の課題に最適なツールをご検討ください。

マーケティング(集客)

MA:

MA(マ―ケティング・オートメーション/Marketing Autmation)は、顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化して商談創出活動の生産性を高めるツールです。見込み顧客へのアプローチ履歴や見込み顧客が触れている施策のログを蓄積し、「欲しい」と思っているユーザーを察知して最適なタイミングでのアプローチを可能にします。


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セールス(インサイドセールス(送客)/フィールドセールス(受注))

SFA:

SFA(セールス・フォース・オートメーション/Sales Force Automaition)は営業活動を視覚化して業務の効率化を図る営業支援システムです。MAで選別した見込み客を受け取ってから受注・納品までを領域とし、「見込み客の管理」と「案件の管理」が可能。スケジュール管理・案件ごとの進捗管理をチームで共有でき、個人の管理能力にゆだねた場合の機会損失を防ぎます。

カスタマーサポート(リピート)

CRM:

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント/Customer Relationship Management)は「顧客関係管理」の意で「受注後」を領域とします。CRMは病院でいうカルテにあたり、顧客データ(購買・接点履歴など)をデータベース化してさまざまな角度から分析したうえで、顧客との関係を向上させてリピートを目指します。

生産管理

ERPパッケージ(クラウドERP):

ERP(Enterprise Resourse Planning)とは、従来は部署ごとに運用されてきた業務システムを一元化したパッケージのことで「統合基幹業務システム」とも呼ばれます。受注・生産・出荷管理から会計・給与・財務・人事を含むバックオフィス業務のすべてを統合することができ、情報共有や部門間のデータ連携を効率化します。

参考記事:

「MA」「SFA」「CRM」どれも営業支援ツールだけどどう違うの?

インサイドセールスとは?BtoBマーケティングにおける必要性

BtoB営業組織に「インサイドセールス」と「マーケティング」が必要な理由

デジタルトランスフォーメーション(DX)のセミナー

「デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む必要があるが、何から始めればよいかわからない」という方のために、デジタルトランスフォーメーションについて学べるセミナーを紹介します。

デジタルトランスフォーメーションの考え方や全体像、実践する際の具体的なステップについて知識を深めることができるでしょう。

【関連記事】デジタルトランスフォーメーション(DX)のセミナーページまとめ!今から勉強する方におすすめの主催会社

MAベンダーのDXセミナー

BowNow(クラウドサーカス株式会社)

BowNow(クラウドサーカス株式会社)

画像引用:BowNow(クラウドサーカス株式会社)

本サイト、エムタメ!を運営するクラウドサーカス株式会社が展開するセミナー。

Mtameが考えるセールス&マーケティング領域で必要なDXと実現のためのおすすめステップについてご紹介します。

マルケト(アドビ システムズ 株式会社)

マルケト(アドビ システムズ 株式会社)

画像引用:マルケト(アドビ システムズ 株式会社)

マーケティング領域から、営業生産性を高めるために意識すべきポイントや整備すべきIT・テクノロジー環境、他部門との連携のあり方などについてのセミナーなどが実施されています。

SFA・CRMベンダーのDXセミナー

Salesforce(株式会社セールスフォース・ドットコム)

Salesforce(株式会社セールスフォース・ドットコム)

画像引用:Salesforce(株式会社セールスフォース・ドットコム)

全世界で15万社に選ばれる世界シェアNo.1の営業支援・CRMツール。同社ではMAツールの提供もおこなっており、多様なテーマのセミナーが開催されています。

Senses(株式会社マツリカ)

Senses(株式会社マツリカ)

画像引用:Senses(株式会社マツリカ)

対応漏れや機会損失の防止にこだわったUI/UXや、ツールの定着化ノウハウを保有しており、営業現場の目線で開発された営業支援ツール。共催イベントも豊富に実施されています。

Sansan(Sansan株式会社)

Sansan(Sansan株式会社)

画像引用:Sansan(Sansan株式会社)

Sansanユーザーが参加できるセミナーを頻度多く開催しています。ツール紹介のセミナーもありますが、組織活用やSalesforceとの連携についてのテーマも実施されています。

ERPのDXセミナー

SMILE(株式会社大塚商会)

SMILE(株式会社大塚商会)

画像引用:SMILE(株式会社大塚商会)

最新のソリューションや事例、効果的なIT活用方法など、課題解決につながるイベント、セミナーを実施されています。

GRANDIT(GRANDIT株式会社)

GRANDIT(GRANDIT株式会社)

画像引用:GRANDIT(GRANDIT株式会社)

パートナー企業が開催するセミナーも一覧で見ることができ、各地で参加できるセミナーを探すことが可能です。

その他のDXセミナー

独立行政法人情報処理推進機構

独立行政法人情報処理推進機構

画像引用:独立行政法人情報処理推進機構

経営者のほかCIO、IT部門、コンサルなどを広く対象とするセミナーです。経済産業省よりDX推進指標の提出先として選定されたIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施されています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の参考本

ITの専門家がデジタルトランスフォーメーション(DX)の概念から具体的なアプローチまでをわかりやすく解説した本を3点紹介します。

海外の事例や日本企業が意識すべきポイントも参考になるでしょう。

【関連記事】

デジタルトランスフォーメーション(DX)の参考本【11選】

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

著:藤井 保文・尾原 和啓 出版:日経BP(2019年3月発刊)

「デジタルトランスフォーメーションは知っているが、具体的にどうすればよいかがわからない」という人に向け、世界的な潮流からみたデジタルトランスフォーメーション実践の方法論を提示する一冊。著者らはオフラインがなくなる世界を「アフターデジタル」と呼び、その世界を理解したうえで生き残る術を解説しています。中国企業の最新事例を紹介し、日本企業が陥りがちな悪例にも言及。経済産業大臣のほか日本を代表する企業のリーダーたちが絶賛する内容は、デジタル担当者でなくとも必読と言えそうです。

【アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る 目次の一例】

第1章 知らずには生き残れない、デジタル化する世界の本質

第2章 アフターデジタル時代のOMO型ビジネス~必要な視点転換~

第3章 アフターデジタル事例による思考訓練

第4章 アフターデジタルを見据えた日本式ビジネス変革

引用元:日経BPブックナビ https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/19/272070/

集中講義デジタル戦略 テクノロジーバトルのフレームワーク

著:根来 龍之 出版:日経BP(2019年8月発刊)

早稲田大学ビジネススクール教授の著者が、5G、IoT、AI、Maas、サブスクリプション、プラットフォームなどに関わるビジネスパーソンに向け、デジタル戦略の基本を体系的かつ包括的に学べる「理論的チェックリスト」を展開。産業トレンドの変化に対応するための戦略的意思決定に際し、押さえておくべき重要なポイントを理論と事例を交えながら解説しています。デジタルの「今」を“広く深く”理解するのに最適と評価され、デジタルトランスフォーメーションビジネスに携わる人は読んでおきたい一冊です。

【集中講義デジタル戦略 テクノロジーバトルのフレームワーク 目次の一例】

Part1 産業のデジタル化 バリューチェーン構造からレイヤー構造へ

Part2 ディスラプションの脅威 デジタル化への対応

Part3 バリューイノベーション 顧客価値の見直し

Part4 プラットフォームの構築 新しい基本戦略

Part5 エクスポネンシャル企業の正体 爆発的な成長と限界

引用元:日経BPブックナビ https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/19/P89630/

デジタル時代のイノベーション戦略

著:内山 悟志 出版:技術評論社(2019年6月発刊)

著者は日本のITアナリストの草分けとして30年以上のキャリアを誇る第一人者。日本企業におけるデジタルイノベーションの4つの壁(「WHY」「WHERE」「WHAT」「HOW」)をどのように踏み固めれば良いかを説き、おもに企業内のデジタルイノベーション推進者の水先案内人となることを目指した入門書です。企業内変革の豊富なコンサルティングの実績から、経営者や事業部門の担当者もデジタルイノベーションの理解を深められるよう、ビジネスで使われる一般的な言葉を用いるなど配慮されています。

【デジタル時代のイノベーション戦略 目次の一例】

  • 注目すべき4つの「デジタル領域」
  • デジタルネイティブ企業を支える6つの「行動様式」と8つの「実践」
  • 革新の方程式をまとめた「デジタルイノベーションの14のパターン」
  • アイデア創出のための「新C-NESアプローチ」
  • 「意識」「組織」「制度」「権限」「人材」を変革する方法

引用元:技術評論社 https://gihyo.jp/book/2019/978-4-297-10527-3

まとめ

経済産業省が国家的な取り組みとして提唱するデジタルトランスフォーメーションは、確立したひとつの定義がなく、各所での解釈は大まかには一致するものの、具体的には若干つかみどころのない概念かもしれません。

DXの本質は生産性の向上と競争力の強化であることから、各企業は日ごろのデジタル化施策とあわせて「2025年の崖」へのシナリオをより意識する必要があるでしょう。

また、DXには「攻めのDX」と「守りのDX」とがあり、企業の成長のためには「攻めのDX」から着手することが望ましいとされています。

中小企業は大企業に比べるとシステムが簡素であり経営者と現場との連携も取りやすいことから、デジタルトランスフォーメーションの必要性は低いととらえられるかもしれません。

しかし、競争力を高めて「2025年の崖」に生き残るためには中小企業こそデジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組むことが大切です。

中小企業のフットワークの軽さはデジタルトランスフォーメーションの推進においてアドバンテージとなるでしょう。

 

【関連記事】

製造業DXの重要性とは?メリットや取り組み事例をご紹介


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Tue, 30 May 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説]]> https://mtame.jp/martec/marketing_automation 最終更新日:2023/04/25(エムタメ!編集部)


マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入企業が、BtoB・BtoC問わず年々増えています。

【参考記事】
>【マーケティングオートメーション意識調査】MA導入率は17%で昨年の15%から微増。導入しない理由1位は5年連続で『費用が高いから』

マーケティングオートメーション(MA)とは「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化」する一連のプロセスを指し、それらを実現するツールのことをMAツールと呼びます。見込み顧客自身の固有情報や各種情報の一元管理、育成を行い、さらにはホットリード(購買意欲の高い見込み客)の絞り込みまでの活動を自動的(効率的)に行うことで、生産性を向上させる役割を果たします。

 
※一例として、MAツール「BowNow」でできることを40秒のショート動画にまとめています▼




新規顧客を開拓するには、それぞれの見込み客が持っている興味や関心、その行動に対して「最適な情報」を「最適なタイミング」「最適な方法」で提供するマーケティング活動が求められます。それにより顧客との良好なリレーションが構築されれば、中長期での売り上げ構築にも役立ちます。ただし、それらを全て人力で行うことは現実的ではないので、プロセスの中でマーケティングオートメーション(MA)ツールがとても役に立つのです。

さて、ここまでを読んでもまだ具体的なイメージが湧かない方も多いと思います。そこで今回は、マーケティングオートメーション(MA)ツールについてこれから学びたいと考えている方向けに、概念からツールの選び方、導入事例などを一挙に解説します。何となく言葉は知っていても、何ができるのかまでは知らなかった方も、ぜひこの機会に理解を深めて今後のマーケティング活動にお役立てください。

 

【じっくり読む時間がない方へ】

本記事ではマーケティングオートメーション(MA)の基礎を網羅的にまとめており、非常に文量が多くなっています。
時間がなくポイントだけ一旦抑えておきたい、もしくは後で確認したい方には以下の資料がおすすめになりますので、状況に合わせてご活用ください。


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1.マーケティングオートメーション(MA)とは?

改めてになりますが、マーケティングオートメーション(MA)とは「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化」する一連のプロセスを指し、それらを実現するツールのことをMAツールと呼びます。見込み顧客自身の固有情報や各種情報の一元管理、育成を行い、さらにはホットリード(購買意欲の高い見込み客)の絞り込みまでの活動を自動的(効率的)に行うことで、生産性を向上させる役割を果たします。

(エムタメ!:第1回:マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?より)

新規顧客を開拓するには、それぞれの見込み客が持っている興味や関心、その行動に対して「最適な情報」を「最適なタイミング」「最適な方法」で提供するOnetoOneのマーケティング活動が求められます。

参考動画:無料から使えるマーケティングオートメーション「BowNow」

しかし、これを実現するには多くの人員が必要です。見込み顧客をフォローしたくても手が回らないと悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。 そこで、人的なマーケティングのオペレーション部分を効率化・自動化するために開発されたのが、「マーケティングオートメーション」です。

【関連記事】
OnetoOneマーケティングとは?言葉の意味や具体的な手法をご紹介!


特に昨今(加筆:2021年現在)は、営業活動のデジタル化の一環としてマーケティングオートメーションツールを導入するケースが増えています。コロナの影響で従来の営業活動が実施できなくなったこともあり、テクノロジーを活かした営業活動のひとつとして、こういったツールの重要性が高まっているのが理由の1つです。


弊社でMAを導入いただいた企業様の声です。オンライン営業主体に切り替えるために、MAを検討いただきました。

2019年ごろ、ちょうどMAが話題になり色々なツールが注目されるなかで、できればMAツールを導入してWebサイトからしっかりとリードをとり 、オンライン営業をできるようにしたい、という話が具体化してきました。2020年にはたまたま新型コロナ流行の状況があり、タイミング的にも、そのようなオンライン営業主体の営業スタイルに切り替えなければならなくなりました。
引用:営業部門の全員がBowNowを活用。紙のダイレクトメールやテレアポとBowNowを掛け合わせ、メールマーケティングとWeb集客を強化



①MAで何をオートメーション(自動)化できるのか?

マーケティングオートメーションツールによって自動化できるものとして、おもに次の5つの作業があります。

リスト作成

マーケティングオートメーションを用いることで、自社サイトに訪問したユーザーの企業名や企業情報、個人名を取得でき、さらにそのユーザーがサイト上でどういう行動をとったかというログを分析・管理することができます。

どんな企業の誰がいつどんな情報に触れたか

これらの情報を用いて「1週間以内に製品Aの資料をダウンロードした」「キャンペーンページを見た」「従業員501~1,000人以上」など、特定の条件で見込み客を抽出し、リスト化が可能です。

特定のアクションや条件ごとに分類することで、見込み客の興味・関心のありそうな情報を想定しやすくなるため、見込み客へのアプローチや既存顧客への提案が行いやすくなります。また、適切なターゲットにアプローチをすることで、受注率の向上も見込めます。

マーケティングオートメーションは単に自動化を行うだけではなく、顧客接点ごとの提案のきっかけづくりや生産性の向上にも役立つのです。

 

メール配信

マーケティングオートメーションが担う領域であるリードナーチャリング(見込み客の育成)の手法の一つとして、メールマーケティングがあります。メールマーケティングとは、メールを戦略的に配信することで見込み客のステータス(検討度)を上げていく活動のことです。

【無料でメール配信まで使えるMA「BowNow」がおすすめ】

BowNowはフリープランでメール送信までが実施できる国産MAツールです。本記事の読者の方にもお気軽に試していただきたいので、下記のURLよりまずはご登録ください!

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【関連資料:メールマーケティングガイドが無料でダウンロードできます】
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マーケティングオートメーションを戦略的に用いれば、ユーザーの反応に合わせたメールコンテンツの配信を自動化することができます。

たとえば、通常のメール配信ツールではユーザーの実際の行動までは把握できないため、ステップメールを送る場合、ユーザーの行動を予想して配信スケジュールを組むことになります。

実際は検討段階が進んでいなかったり、前段階のステップメールを見ていない場合も、次の段階のステップメールが配信されてしまうケースもあるため、ユーザーに響かないコンテンツを送ってしまう可能性があります。

一方、マーケティングオートメーションを使うと、ユーザーがメールを開封したかどうか、どのURLをクリックしたか、またWebサイトのどのページをいつ閲覧したかといったことまでわかるので、「このページを閲覧したユーザーには製品事例のコンテンツを送る」「製品事例を見てくれたユーザーには特典の案内を送る」といった設定をしておくことで、ユーザーが欲しい情報を欲しいタイミングに合わせて提供することができるようになります。

こういったメール送付を事前に設計することで自動で行うことができるのもマーケティングオートメーションの魅力です。

【関連記事】
メールマーケティングとは?成功事例や目標設定方法などを集約しました!

営業への通知とアサイン

マーケティングオートメーションは本来マーケティングが部門が使用するものですが、マーケティング担当者だけでなく営業担当も活用できます。

その理由は、ホットリードを検知したら条件に合わせて営業担当をアサインし、自動でアサインメールを送信するということも可能なツールだからです。 なかには、提案中の見込み客や過去案件の見込み客がWebサイトに訪れていることを検知して、担当している営業にアラートメールで通知を出すといった機能を有しているツールもあります。

こういった機能を活用することで、それまで人的に行っていた営業への通知やアサイン業務の自動化も可能になります。

SFAやCRMを利用している企業であれば、マーケティングオートメーションを一緒に管理することで現在その見込み客がどういう状態なのかをお互いに把握することができ、案件確認の手間も省くことができます。そういった意味で、各部門が連携するためにもシステムの統合は非常に重要です。

リードの選別

多くの企業が抱えている課題として、見込み客がアツい(検討度が高い)かどうかが、営業担当の感覚や過去のやり取りの記憶などの曖昧な要素のみの判断になってしまう、というものが挙げられます。特にBtoBの企業で、これからデジタルを取り入れていこうと考えている企業に多い悩みです。

そこへマーケティングオートメーションを導入すると、属人的な情報に加えて、ツールによる見込み客がどういった行動をしているか数値的な分析ができるので、「こういうアクションがあったから検討度が高い」と客観的な評価基準によるリードの選別が可能となります。

1つわかりやすい例をあげると、検討段階に達していないと見ないようなページ・資料に触れたユーザーを条件検索し、アツいリードを抽出するといったことも可能です。

具体的には、「お問い合わせページを訪れたユーザー」で条件を絞ると、「お問い合わせページまで来たがお問い合わせに至らなかった=検討はしているが問い合わせまではしない」という比較的温度感の高いユーザーを抽出することができるのです。

そもそも名刺自体を営業マンが個々で管理していたり、一部の部門でアナログに管理していることもまだまだ多いので、アプローチの基準が決まっていないこともあります。マーケティングオートメーションを導入することで、決められたアプローチ基準に沿った営業活動が可能となるため、マネジメントもしやすくなります。

レポーティング

マーケティングオートメーションを用いて施策を行い、「コンバージョン数/率」や「ページ閲覧数」、「セミナー申込み数」「資料ダウンロード数」などのデータを収集することで、その施策の効果を自動的に測定することができます。

また、その結果をグラフにすることで、わかりやすく可視化することもできます。これまで個人が感覚で管理していたデータがシステムでわかるようになるため、マーケティング活動の成果も明確になります。

注意点として、マーケティングツールやシステムよくあるのが、ダッシュボードやレポートを複雑に組みすぎてしまうことです。担当者が使えなければ意味がないため、しっかりと”使える”レポートづくりを心がけましょう。

②「SFA」や「CRM」との違い

「SFA」と「CRM」も営業プロセスを効率化するツールですが、マーケティングオートメーションと役割を混同してしまっている方もいるかもしれません。

ここで、「SFA」と「CRM」この2つのツールの特長を解説します。

「SFA」や「CRM」との違い

前述したデマンドジェネレーションの活動プロセスは上の図のようになっています。

マーケティングオートメーションは先ほども紹介した通り「営業案件を創出するためのツール」で、「SFA」や「CRM」よりも前の工程で利用するケースがほとんどになります。

SFA(セールス・フォース・オートメーション)は営業支援システムです。
既存顧客や見込顧客の営業活動に関連する情報を記録・管理することができ、過去の商談の履歴や、現在進行中の案件の進捗状況、営業活動で得た重要な情報、アポイントメントや期限といったスケジュールなどの多くの情報を管理・一覧表示・編集することができます。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)は、顧客関係を管理するツールです。
最終的に売り上げアップを目指すという点では同じですが、顧客との接点を軸に再販を行ったり類似企業へのアプローチを強化することが目的となることが多いです。 顧客とのエンゲージメントを高めてリピーターやロイヤルカスタマーを育成するために用いられることも増えてきています。

MAとSFAとCRMとの違い

それぞれのツールは機能的には近いものを有している場合もあり、混同しやすいのですが、役割は異なります。生産性を高めたり、見込み客を育成したり、そもそも案件数を増やすという目的に寄与できるのが、マーケティングオートメーションの特徴です。

また、マーケティングオートメーションとSFAやCRMは併用して使うケースも多いです。特にSFAはMAとシステム連携すると、リード創出から営業商談までを管理できるので、非常に便利になります。

2.マーケティングオートメーション(MA)ツールが必要な理由

ここまでの説明で、「マーケティングオートメーションは便利なもの」というイメージを持っていただけたかと思いますが、そもそもなぜマーケティングオートメーションが必要なのでしょうか?

ここで、BtoB企業の営業活動においてマーケティングオートメーションが必要な理由をご紹介します。

(エムタメ!:第2回:マーケティングオートメーション(MA)ツールが必要な理由より)

①時代による営業スタイルの変化

マーケティングオートメーションが必要となった背景として、営業スタイルの変化が挙げられます。

まずは営業スタイルの遷移を振り返りながら、マーケティングオートメーションの必要性について説明します。

アナログ型

インターネットが普及する以前、営業は個人の営業力や経験に基づいて成果を上げることが一般的でした。
とにかく数をこなす戦略が主流の時代です。たとえば、1日に飛び込み営業を数百件したりテレアポを100~200件もかけたり、既存顧客を数十件回ったりして商談獲得件数の目標を実現していました。

営業担当が、リスト作成からアプローチ、商談、追客、アフターフォローまでを一人で行うため、業務が属人化してしまい、忙しさに比例して放置されてしまう案件が増え、営業成果の格差は広がるばかりでした。

すべての業務を高いレベルで、かつ生産性も高く実行するのは非常に難しいことです。 特に追客(顧客育成)に関しては、時間もかかるうえに成果が直ぐに出にくい傾向にあるため、真っ先に削られてしまう業務だったといえます。

アナログ型営業スタイル

集客型

インターネットの普及により、見込み客は自らの手で情報を探し出すようになりました。 そのため、企業はマーケティング部門を作り、ホームページに力を入れて検索順位を上げようと努力したり、広告で自社サービスを認知させるための施策を打つようになりました。

マーケティング部門が設けられ、展示会やホームページやSNSなどからリードを獲得して顧客情報を営業部門に渡すことで、プッシュの営業活動の負担が減り、より追客や提案に力を入れることができるようになりました。

しかし、マーケティング部門ができたことにより「供給される商談」や「見込み客の数」が増える企業がほとんどでしたが、「供給される商談の質」がバラバラで検討レベルが低い見込み客を供給された営業担当は「マーケティング部門への不満」が募り、供給される見込み客リストの重要度が下がってしまうケースも出てきました。

前述した通り、追客活動は成果が出るまでに時間がかかるので、営業部門としても今すぐ検討してくれそうな案件にのみ時間と労力を使い、そうでない案件は放置してしまうという流れが激化していきました。
結果的に見込み客の総数は増えましたが、放置されてしまう見込み客の数も比例して増えていくことになります。

経営層や営業部門が追客の重要性を理解してはいても、かける時間に対する見返りが少ない(ようにみえてしまう)ため「なかなか解消できない課題」となってしまっていました。

集客型営業スタイル

情報活用型

この放置問題を解消する方法として、これからの時代に求められるのが分業と情報活用型の営業活動です。
追客業務が得意な営業担当者を追客専任に据えて、放置されてしまう見込み客を組織的かつ戦略的に育成していくことで、営業部門に供給されるリードの質と量をコントロールしていく活動といえます。

属人的だった見込み客情報を、しっかりとログデータとして取得・分析できる技術が発達したため、過去の履歴からユーザーの趣味嗜好や行動を把握し、ユーザーが求めている情報を配信することが可能になったことも大きな要因です。

そして、そのデータを蓄積・活用し見込み客をナーチャリング(育成)する追客専任担当はインサイドセールスと呼ばれており、現在はこの組織を新たに設ける企業が増えています。 ナーチャリングとは見込み客の検討度を上げていく活動のことですが、営業部門がナーチャリングの済んだ見込み客のみを担当できるようになれば、追客や中長期的なアプローチの時間を削減でき、かつ、ナーチャリングに必要な知識やノウハウを覚える必要もなくなります。

結果的に、営業は商談のみに集中できるようになるため、成果が個人の営業力に偏ることが少なくなり、安定した強い営業組織を作ることができるようになります。

※インサイドセールスの詳細は以下の記事を参照ください▼
インサイドセールスとは?BtoBマーケティングにおける必要性

情報活用型営業スタイル

このような情報活用型へとシフトするためには、マーケティング部門とインサイドセールス部門の新設や増員といった組織編制(リソース)や見込み客の行動や動向を蓄積・分析するためのツールの導入が必要になります。

このためのツールとして最適だといわれているのが、マーケティングオートメーションです。


②ログデータの取得・分析技術の向上

マーケティングオートメーションを設置しているサイトに見込み客が訪問すると、訪問者の企業名や個人名だけでなく、資本金や従業員数といった企業データまでを取得可能な場合があります。

さらに、その見込み客がサイト上でどういう行動を取ったのか、閲覧ページや閲覧順、滞在時間、ページ読了率、流入元情報、訪問回数などの詳細な分析まで取得できます。

マーケティングオートメーションにはメール配信機能がついているものも多く、メール開封率やURLクリック率だけでなく、メールをクリックしてサイトに流入した見込み客のサイト上の行動も分析可能です。

さらに、データを取得するだけでなく、先述したデータをグラフや分析レポートとして可視化できるので、自分たちが行っている施策に効果があったのかを検証するために分析機能は非常に有効です。

3.マーケティングオートメーションのメリット(効果)・デメリット

ここまでで、マーケティングオートメーションが世の中に求められる理由についてご理解いただけたのではないかと思いますが、まだ、自社に導入の必要があるのかどうかを判断するには材料が足りないかもしれません。

ここでは、マーケティングオートメーションのメリット(効果)とデメリットをご紹介しますので、判断材料として役立ててください。

【MAのメリット(効果)1】見込み客に嫌われずに購買意欲を高めることができる

見込み客の検討段階がわからないと、的外れなタイミング・内容でアプローチをしてしまう可能性が高いですが、マーケティングオートメーションを使って見込み客の行動ログに合わせた情報をメールなどで送ることで、より興味がある内容を提供して購買意欲を高めることができます。

情報の爆発と言われて久しいですが、顧客は毎日膨大な量の情報を受け取っています。押し売りが嫌われるのと同じで、適切なタイミングで適切な情報を届ける必要性がますます高まっています。

そんな時に、マーケティングオートメーションは非常に役立ちます。

【MAのメリット(効果)2】見込み客の取りこぼしを防げる

お問い合わせをしてくれたが契約には至らなかった見込み客、名刺交換をしただけの見込み客、メールマガジンに登録してくれた見込み客などは、こちらからコンタクトを取らずに放置すれば、自社の顧客になってもらえないどころかそのまま競合他社の顧客になってしまう可能性があります。

見込み客の動きがなければ、製品・サービスに興味がなくなったと考えられますが、マーケティングオートメーションで見込み客のアクション(メールマガジン内のURLをクリックした、Webサイトの製品ページを閲覧したなど)が把握できれば、製品・サービスに興味があること、さらに、どういった情報を求めているのかまでがわかるので、アプローチしやすくなり、取りこぼしを防げます。


特にBtoBの顧客は検討のフローも複雑で、動き出したと思ったらあっという間に業者選定が終わっている、ということも多々あります。取りこぼしのないようにアプローチするためにも、マーケティングオートメーションはとても有効です。

【MAのメリット(効果)3】属人化しない営業組織を作れる

営業マンにも受注率の高い人とそうでない人がいて、教育などでその差を埋めようとすれば時間と労力がかかります。

マーケティングオートメーションを導入してインサイドセールス部隊が見込み客のナーチャリングを終えたところで営業部(フィールドセールス)にパスすれば、検討度の高い段階にいる見込み客ばかりなので、営業力の弱い人でも受注しやすくなり、営業組織全体の生産性が上がります。

また、先述の通り客観的な判断軸でアプローチをするような仕組みづくりが可能なので、マネジメントもしやすくなります。その名の通り”オートメーション”できるところは自動化し、属人性の低い営業体制をつくっていくことが可能です。

【MAのメリット4】受注率・案件化率が向上する

メリット3でご紹介した内容と近いのですが、マーケティングオートメーションを用いてナーチャリングし終わった見込み客は、極端にいえば「誰でも受注できる」状態です。もともと営業の強い人に加え、弱い人も受注が取れるようになるため、受注率・案件化率が上がります。

また、過去のWebサイトの閲覧履歴なども確認できるので、顧客が関心を持っているトピックを把握することも可能です。メインで提案しているサービス以外のクロスセルにもつながり、受注単価の向上も見込めます。

【MAのデメリット1】費用対効果が出るまでに一定の期間が必要

一見魔法のツールのようなマーケティングオートメーションですが、当然デメリットもあります。

まずは、マーケティングオートメーションを使って上記メリットでご紹介した成果が出るまでには、時間がかかるという点です。ナーチャリングには、ある程度の期間がかかり、その間のナーチャリング用コンテンツ作成費や作業工数(人件費)といったコストが、先行して出ていきます。

そのため、短期的な利益だけではなく、中長期的な視点で戦略が必要です。特に決裁者や経営層が理解をしていないと、成果が出る前にツールの解約にもなってしまうので、しっかりと全社的に理解を得るようにしてください。

【MAのデメリット2】コンテンツがないと施策が回らない

マーケティングオートメーションを導入するとOne to Oneマーケティングができるようになります。ですが、見込み客一人ひとりのナーチャリングを成功させるためには、見込み客の検討段階に応じて与える情報=コンテンツが必要不可欠です。そして、見込み客の各層に興味を持ってもらい、メリットに感じてもらえるコンテンツをつくるにはそれ相応の労力が必要になってきます。

マーケティングオートメーションに限らずですが、マーケティング施策にはコンテンツが不可欠です。まずは顧客に対してコンテンツを提供することで、自社への信頼感や高感度が向上してい、商談へと繋がっていきます。

その労力を惜しんでしまっては結果にも繋がらないので、注意するようにしましょう。

【MAのデメリット3】リストのデータ化・移行・クレンジングが必要

マーケティングオートメーションを導入したら、まずは過去に名刺交換したりメルマガ登録や問い合わせのあった見込み客などをリードとして登録していきます。ただし、名刺など紙ベースで管理してきた顧客情報くぉ1件ずつ入力していく手間がかかり、データとして持っていたとしても、移行にはそれなりの手間がかかります。

また、一度登録した見込み客情報は、異動や組織変更、退職などで担当名が変更になることもあるので、継続的にクレンジング(更新)する必要があり、これが手間となります。

作業によっては外注業者を活用するということも可能です。自社のリソースで実施することが難しい場合は、専門業者に依頼するようにしましょう。

【MAのデメリット4】リード獲得の仕組みを作る必要がある

マーケティングオートメーションの導入後も、新規リードの獲得もコンスタントに行えなければ、リードが不足していきます。リード獲得の仕組みとして、たとえば、Webサイトからの流入数を増やし中間コンバージョン(お問い合わせなどの最終コンバージョンの前段階として、ホワイトペーパーダウンロードなど)を設定しておくなどを用意しておく必要があります。

展示会などのイベントや社内の営業名刺を回収することで一気にリードを集めることも可能ですが、コストがかかるのと、できるのは初めのうちです。ツールだけの力に頼るのではなく、しっかりとWebの施策も強化するようにいたしましょう。


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MAのメリットについては下記外部記事もおすすめです!

MA(マーケティングオートメーション)ツールのメリット(効果)・デメリット

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4.マーケティングオートメーションの活用方法

BtoB業界におけるマーケティング活動では、「デマンドジェネレーション」という考えが重視されるようになりました。 デマンドジェネレーションとは、次の3つのステップを段階的に進めながら商談へつなげていく手法のことです。

  1. リードジェネレーション(見込み客を集める)
  2. リードナーチャリング(見込み客を育てる)
  3. リードクオリフィケーション(見込み客を選別する)

マーケティングオートメーションとは?

マーケティングオートメーションは、見込み顧客自身の固有情報や見込み客から収集した各種情報の一元管理、育成、さらにはホットリード(購買意欲の高い見込み客)の絞り込みまでの活動を自動的(効率的)に行う役割を果たします。

デマンドジェネレーションについては、こちらの記事もご覧ください。

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①リードジェネレーション(見込み客を集める)

リードジェネレーション(Lead Generation)とは、見込客を獲得するマーケティングプロセスのことです。自社の商材を認知していない層を含む潜在顧客の中から、購入・契約に関心のある層=「見込客」を抽出します。

具体的な手法としては、広告出稿やWebサイト運用とSEO対策、展示会への出展、セミナー開催などがあります。先ほど紹介した「中間CV」などもリードジェネレーションを行う施策の1つです。結局のところ接点がなければオートメーション化するものもないので、まずはリード獲得の施策に注力するようにしてください。

上記の方法で集客した見込客データをリード情報として、マーケティングオートメーションへ登録しましょう。

リードジェネレーションについては、こちらの記事もご覧ください。

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②リードナーチャリング(見込み客を育てる)

リードナーチャリングとは、リードジェネレーションで獲得した見込客のうち、すぐには受注に結びつかない検討段階の低い層に対し、情報提供を行って検討段階を進めてもらうマーケティングプロセスのことです。

特にBtoBの場合は検討フェーズが長いため、リードナーチャリングに力を入れ、見込客との信頼関係を構築しながら疑問や不安を取り除くことが重要です。

マーケティングオートメーションには、メール送信機能が付いているため、ステップメールやセグメントメールなので、見込客の検討度などに応じた情報をタイムリーに届けることができます。

また、フォーム作成機能も付いているため、ホワイトペーパーで情報提供を行い、その情報に興味を持っている見込客を抽出するのもスムーズです。最後はセミナーに集客し、無料相談から相談につなげる、という流れも鉄板になります。

注意点としては、顧客の動きは複雑で全てが想定通りに進んでいくことは稀です。まずは各ステップで必要であろうコンテンツを適切な場所に用意することから始めると良いでしょう。

リードナーチャリングについては、こちらの記事もご覧ください。

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よろしければこちらも併せてご利用ください。

>BtoB企業向けメールマーケティングガイドライン(無料)

③リードクオリフィケーション(見込み客を選別する)

リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングにより検討度が高まった見込客の中から、確度の高い層を選別するマーケティングプロセスのことです。抽出したホットリードは、営業部門へパスして商談フェーズへと進めます。

マーケティングオートメーションには、スコアリング機能やログ機能があり、自社にとってのホットリードの定義(条件)を設定して自動抽出する機能が備わっています。

たとえば、「ITツールベンダーで従業員数100名以上の企業、展示会でブースを訪問してくれていて、かつメールのURLを3回以上クリークしており、Webサイトでは「導入の流れ」のページを閲覧してくれた」層をホットリードとして設定しておき、すべての条件を満たしたら通知してくれるようにする、といった活用ができます。

このルールを明確にしておくことで、アプローチの基準のばらつきなどもなくすことができるため、営業マンごとの商談数も安定させることが可能です。

リードクオリフィケーションについては、こちらの記事もご覧ください。

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5.マーケティングオートメーション関連の用語集

ここで、マーケティングオートメーションを利用する際に知っておきたい用語をまとめてご紹介します。

ホットリード

興味関心の高い見込み顧客のこと。
情報収集が本格的になっており、自社に対しての接触も多く、商談につながりやすい状態にあります。

MQL

MQLとはMarketing Qualified Leadの略で、マーケティング活動によって創出された案件で、営業に引き渡すだけの価値があると判断されたリードを指します。

参考記事:MQLとは?SQLとの違いやリードの種別を解説!

SQL

SQLとはSales Qualified Leadの略で、MQLの中でもインサイドセールスか営業部門が対応をし、案件化するかどうかを見極める必要があるリードを指します。

SAL

SALとはSales Accepted Leadの略で、MQLの中でも訪問する価値があると判断された営業部門が欲しがるリードを指します。

スコアリング

ユーザーの行動に対して点数をつけてその点数が定めた点数までいくとホットリードと認定する方法のことです。

ABM

ABM(アカウント・ベースドマーケティング)とは「自社にとって価値の高い顧客を選別し、顧客にあわせた最適なアプローチをする」という概念です。

参考記事:ABMとは?手法・メリット・目標・ツールなど知っておきたい知識をまとめました!

ステータス

見込み客の見込み度の高さによって設定されたランクのことです。

ポテンシャル

「どの業種のどれくらいの規模で、どういった担当が成約率または売上が良いのか」といった狙いたいターゲットの設定のことです。

これらはマーケティングオートメーションを運用していく上で避けては通れない用語ばかりです。社内で共通言語として持てるように落とし込みをしましょう。

6.マーケティングオートメーションで解決できる課題

マーケティングオートメーションの代表的な機能には以下のようなものがあります。

  • リード管理機能
  • Webサイト構築機能(サイト・ページ・フォーム)
  • トレース(アクセスログ、アクションログ、企業IP取得)機能
  • スコアリング機能(またはホットリード抽出)
  • メールマーケティング機能
  • シナリオ作成機能(キャンペーン)
  • 分析・レポート機能(BI)
  • 広告管理・分析機能
  • パーソナライズ化(コンテンツの出し分け)
  • 各種ツール(SFAやCRM)との連携

これらの機能を活用して、以下のような課題を解決することができます。

  • 課題1 商談創出数(営業部門への案件パス数)が少ない
  • 課題2 創出した商談(パスした案件)の質が低い
  • 課題3 過去のリードを有効活用(リードナーチャリング)できていない
  • 課題4 商談創出活動の生産性が低い
  • 課題5 情報を蓄積・活用するためのツール活用体制やルールが未整備

課題1 商談創出数(営業部門への案件パス数)が少ない

「ホームページからのお問い合わせがないから、営業部門へ案件がパスできない」と思ってはいませんか? もちろん、お問い合わせの量を増やすためにはホームページの改良も必要ですが、それ以外にも増やす方法はあります。

たとえば、メールマーケティング機能を活用すると、メールアドレスを獲得しているお客様にキャンペーンや新サービスの告知を行い、幅広くアプローチすることができます。 また、その後、メールを開封してくれたかどうかなど、個人の行動に合わせて送るメールの内容を変えることで、一人ひとりに最適な情報が届けられ、ニーズを喚起しやすくなるのです。

さらに、トレース機能を活用してユーザーの行動から「ニーズが芽生えたかどうか」を判断していきます。どんな行動が望ましいか、あらかじめ営業と認識をすり合わせておくと、条件に合致したユーザーを営業部門にパスできるようになります。

課題2 創出した商談(パスした案件)の質が低い

まずは質の高い案件はどういった条件なのか、しっかり定義する必要があります。そして、その条件をスコアリング機能(またはホットリード抽出)に当てはめていきます。こうすることで質の高い案件をMAが高得点で出力してくれるので、質の低いものに対応していた時間が軽減されます。

あとは高得点で出力された案件が本当に質の高いものだったか、成約率は上がったかどうかを営業自身で精査していき質の定義をブラッシュアップしていくと、精度の高いMAツールに仕上がります。

また、スコアリングまではいかなくとも、BtoBの業界によっては商談化率が高い条件が見つけられることがあります。スコアリングは設計がとても難しいため、そこまでの複雑なものが必要ない場合は、安価で最低限の機能がついたマーケティングオートメーションで十分かもしれません。

この辺りは、複数の専門業者に相談をして決めるとよいでしょう。

課題3 過去のリードを有効活用(リードナーチャリング)できていない

リードを有効活用できてない要因として、下記のような例が挙げられます。

  • 展示会やセミナーで交換された名刺の管理ができていない
  • ニーズの有無を個々の営業マンが判断している
  • 獲得したリードにすべて同じ手法でアプローチしている

このようなマーケティング活動を行っていると、直近でニーズが高かった企業へのアプローチは行えても、長期的に検討をしている企業へのアプローチが継続できず、最終的に多くの名刺が机の中に埋もれてしまうことになります。

そこへマーケティングオートメーションを活用すると、それぞれ以下のような変革を起こすことができます。

展示会やセミナーで交換された名刺の管理ができていない

「リード管理機能」を活用して解消します。
まず、今まで接点を持ったお客様の数を把握しましょう。長期的にアプローチすべき案件が、母数に対してどの程度あるのかを可視化すると、今後の追客活動もスムーズになります。

ニーズの有無を個々の営業マンが判断している

「トレース機能」「スコアリング機能」「分析・レポート機能」を活用して解消します。
ユーザーがWebサイトに訪れる回数や見ているページの情報が蓄積されるので、個人の主観的な判断ではなくデータに基づいてニーズを判断することができます。

獲得したリードにすべて同じ手法でアプローチしている

「シナリオ作成機能」「パーソナライズ化」「メールマーケティング機能」「スコアリング機能」を活用して解消します。接点を持ったすべてのユーザーに電話でアプローチしていませんか?検討段階によってユーザーが欲しいと思う情報・コンテンツが異なるように、最適だと感じるアプローチも異なってきます。

たとえば、シナリオ設計とメールマーケティング機能を組み合わせることで、あるアクションをとったユーザーにはAというコンテンツをメールで配信し、アクションしていないユーザーにはBのコンテンツをメール送信する、などの施策が行えます。

同様に、パーソナライズ化機能で、ユーザーごとに「AというコンテンツをWeb上で見せる・見せない」という設定ができます。さらにスコアリング機能を活用し、高得点のユーザーでもメールだけではニーズの把握がしづらいときには電話でヒアリングするという方法も取れます。

こうした施策で、ユーザーに嫌われない良好的なコンタクトを継続的にとっていくことができます。

課題4 商談創出活動の生産性が低い

前述した課題3と重なる部分もありますが、これまで顕在層へのアプローチを中心に行っていると、今後も常に顕在ユーザーへアプローチを続けるという自転車操業に陥ってしまいがちです。さらに、顕在ユーザーの母数は限られたものです。

マーケティング手法が変化したいま、情報収集するユーザーが増えてきていることを考えると、いかに潜在ユーザーを囲い込めるかが大事になっていきます。 芽生えたニーズを刈り取るだけでなく、しっかり育てるところから考え、潜在ユーザーが欲しいと思うコンテンツは何かを分析・レポートしていく必要があります。

マーケティングオートメーションを活用することで、潜在層の中長期的なナーチャリング活動が可能となるため、安定した商談創出を実現することができます。

課題5 情報を蓄積・活用するためのツール活用体制やルールが未整備

「マーケティング部門が施策(展示会やセミナーなど)を行ったあと、アプローチを担当するのは営業部門なので、トータルの費用対効果を把握できていない」 こんな経験はありませんか?

そんなときは、まず、施策の可視化を行うことからスタートしてみてはいかがでしょうか? マーケティングオートメーションはマーケティング担当のみが活用すると思われがちですが、そんなことはありません。営業部門も個人のアカウントを持ち、活用することができます。

すると、営業自信の追客案件の状態を把握できますし、動きのあった案件には情報更新を行えば、ツールを介し双方で顧客の施策状況を把握することができるようになります。

可視化しようとすると、共通のルールが必要になってきます。 課題2でお伝えした通り、前提に各部署の定義(ルール)を決めることは非常に大切になります。ルールがないと、どんなツールを導入しても活用できないままに終わってしまいます。

現状のマーケティング状況を把握し、自社に合ったスタートは何かを見定めてください。

7.マーケティングオートメーションのKPI・KGI例

ここまで、これまでマーケティングオートメーションの基礎部分について触れてきましたが、ここからは、マーケティングオートメーションのKPI・KGIの立て方例をお伝えします。

マーケティングオートメーションの導入時に押さえておきたいKPI・KGIとは?

まず、そもそものKPI・KGIという用語について簡単にご紹介します。

KGI(Key Goal Indicator)は、直訳すると「重要目標達成指標」となりますが、簡単にいうと「目指すべきゴール」のことです。ゴール(目標達成)したかどうかを明確にするために数値で判断できる要素を設定することが多く、売り上げやシェア率などがKGIになるケースが多いです。

KGIを設定せずにマーケティング活動を行うと、どこに向かうため・何を解消するための活動なのかが不明確になってしまい、施策を決定・精査する際に正しい判断ができなくなってしまいます。

次にKPI(Key Performance Indicator)です。こちらも直訳すると「重要業績評価指数」ですが、簡単にいうと「ゴールへの進捗を表す指標」となります。最終的なゴールに対する中間地点を決めておくというイメージです。

Webマーケティングで使われるKPIには、アクセス数や問い合わせ件数、商談数が設定されるケースが多いです。MAツールを使用するとなると、メールからのセミナーの申し込み率や、過去のリードからの案件か率なども重要なKPIとなっていきます。

KPIを設定せずにマーケティング活動を行うと、最終的な結果(KGI)のみで判断せざるを得なくなるので、施策のPDCAを回すタイミングが大幅に遅れてしまうだけでなく「何が起因して、どの部分が改善されたか」も曖昧になってしまいます。


KPI・KGIを明確に設定することで、実施する施策の優先順位をつけたり、良し悪しをつけることも可能です。 逆に曖昧にしてしまうと、方向性にブレが生じてしまうので、必ず最初に決めるようにしましょう。


より理解を深めたい方は以下の記事も参照ください▼
【わかりやすく解説】KPI(指標)とKGI(目標)とは?Webマーケティング分野での設定方法や決め方など


MAのKPI設定なら下記外部記事もおすすめです▼
MA(マーケティングオートメーション)ツール運用時のKPI・KGI~目標・指標設定について~

マーケティングオートメーション導入の目的

ここまでの説明ですでにイメージが湧いている方もいらっしゃるかもしれませんが、良いKPI・KGIを設定するためには、そもそもの活動の目的をしっかりと定義する必要があります。 つまりマーケティングオートメーションの導入目的から逆算してKPI・KGIを設定すべきなのです。

では、一般的にはどのような目的でマーケティングオートメーションを導入することが多いのでしょうか?

本質的な導入目的は「売上アップ」だと思いますが、さらに焦点を絞ると、

  1. 商談創出数(営業部門への案件パス数)の増加
  2. 創出した商談(パスした案件)の質の向上
  3. リードナーチャリング(見込み客育成)による過去リードの有効活用
  4. 商談創出活動の生産性向上(自動化)

の4つに分類されるのではないでしょうか?

「どの部門が利用するのか?」「どのくらいの予算やリソースを使えるのか?」によって、比重は変わってくるかと思いますが、上記の4つを組み合わせてKPI・KGIを考えていきましょう。

マーケティングオートメーションのKGI例

ここでようやく本題となります。
マーケティングオートメーションのKGIとして、以下のような例が挙げられます。

  • マーケティング活動から創出された売上の比率
  • マーケティング活動が創出した売上
  • マーケティング活動が創出した商談数
  • パスした案件の案件化率、受注率
  • ナーチャリングによって創出された商談数
  • (ブランディング目的の場合)NPSの顧客満足度指数
  • CPA(コンバージョン獲得単価)、CPO(顧客獲得単価)
  • CAC(Customer Acquisition Cost)顧客獲得に要した営業・マーケティングの人件費や間接費も含むトータルコスト

※利用する組織や目的によっては、KPIに該当しそうなものもKGIとして設定することもあります。

マーケティングオートメーションのKPI例

KPIの例としては以下のようなものが挙げられます。
※マーケティングオートメーションを利用する場合に初期設計として、コアターゲットやステータス(ランク)を定義することがありますので、今回はそちらが定義されている前提でKPI例を紹介します。

  • マーケティング活動が創出した商談数(案件パス数)
  • ステータスアップ、ランクアップ数
  • 特定のステータス(ランク)のユーザーのランクアップ数とランクアップ率
  • パスした案件の案件化率、受注率
  • マーケティング部門から創出した受注の平均単価やLTV
  • CPA(コンバージョン獲得単価)、CPO(顧客獲得単価)
  • マーケティング活動のROI、ROAS
  • webサイトへのアクセス数、CVR(コンバージョン率)
  • メール配信数、開封率、URLクリック率
  • シナリオ作成数
  • スコア◯○点以上のユーザー◯○人
  • 特定のキャンペーン(イベントやデモ参加など)への申込数
  • 保有リード数

マーケティングオートメーションに限らず、マーケティング活動や営業活動において、KPI・KGIの設定や見直しは非常に重要な要素です。

しかし、マーケティングオートメーションの利用目的だけでなく、利用する会社や担当者のリテラシーもさまざまです。その結果、正しい目標が設定されず施策もブレてしまうケースも多く見られます。そこで、どのような目的で利用するかという大枠の部分からプロに依頼することも一つの手法です。

どんな機能や管理画面のマーケティングオートメーションを選定するべきかも目的やリテラシーによって異なってきますので、このあたりを迷われていらっしゃる方は一度エムタメのコンサルタントにご相談いただければと思います。

8.マーケティングオートメーション運用のためのカスタマージャーニー

マーケティング活動やマーケティングオートメーション運用を成功させるためには、「カスタマージャーニーマップ」を作成する必要があります。ここでは、カスタマージャーニーとは何か、またその必要性、作成方法などを説明していきます。

カスタマージャーニーマップとは?

ターゲットとなる見込み客が自社製品やサービスを認知する段階から発注するまでの段階のなかで、ユーザーの感情や行動を時系列に沿って可視化したものをカスタマージャーニーマップといいます。

カスタマージャーニーの作り方とテンプレートは下記からダウンロードできます▼
>「カスタマージャーニーの作り方」を無料でダウンロードする。

カスタマージャーニーマップ

なぜカスタマージャーニーマップが必要なのか

ユーザーの心理行動を把握したうえで施策を打たなければ、マーケティング活動の効果が薄くなったり、逆効果にもつながりかねません。

たとえば、良くないマーケティング例として、課題があり解決策を模索しているユーザーに対し、いきなり自社製品のキャンペーンメールを送ってしまうと見てもらえる可能性が低くなったり、もしユーザーに合わない製品であれば逆効果になってしまう可能性が高いです。

そのような売り手の考えだけではなく、ユーザーの検討度合いや心理、行動に合わせた情報提供などのマーケティング施策を行う必要があることがなぜカスタマージャーニーマップが必要な理由です。

カスタマージャーニーマップの作り方

それではカスタマージャーニーマップの作り方を順番に説明していきます。

ペルソナ設定

ペルソナ設定とは、具体的なターゲットの人物像を想定することです。
たとえば、仕事面では部署や職種、会社での役割、仕事への接し方、周りから評価、調べ事をする時の手段を、プライベート面では、休日の過ごし方や家族構成、趣味などの具体的なターゲット像を想定します。

フェーズの想定

設定したペルソナが実際に貴社製品を認知し、導入に至るまでの経路を細分化します。 マーケティングオートメーションは、ユーザーの検討度合いによって適切なアプローチ手法や情報を提供する必要があるため、MA運用する際には必ず行ってください。

【例】
フェーズ1 無関心
フェーズ2 課題認識
フェーズ3 ニーズが高まる
フェーズ4 課題模索
フェーズ5 用件定義
フェーズ6 導入検討
フェーズ7 業者選定
フェーズ8 購買

導入フローの想定

BtoCであれば本人の購入意思があれば購入までのフローは短いことが多いですが、BtoBの場合、担当で決済が下りることは少なく、購入までのフローが長くなる傾向があります。
法人が製品を導入するとなると、情報収集する人や、実際に使う人、意思決定を行う人、決済を行う人などさまざまな人物が関わります。 したがって、購買担当が課題認識から購買に至るまでの社内フローを確認する必要があります。

たとえば、情報収集を行って上司に相談を行い、部署単位で検討して、要件定義を作り、各社の提案を受け、業者選定を行い、稟議の承認を得て、購買するといったフローが挙げられます。これは、業界やターゲットごとに異なってくるので、自社のターゲットを分析したうえで想定する必要があります。

行動の想定

導入フローを可視化することができたら、次に購買担当が具体的にどのような行動を行うか想定する必要があります。この行動の想定を行うことで、最適なアプローチ手段や販促手段を把握することができるのです。

【フェーズ1】
無関心
・ネットで情報検索、・Web広告の閲覧・ブログやお役立ち情報を閲覧して情報収集。
【フェーズ2】
課題認識
・社内相談、・メルマガ登録、・お役立ち情報の確認
【フェーズ3】
ニーズが高まる
・資料請求、・セミナー参加
【フェーズ4】
解決模索
・自社体制で改善可能か確認、・お問い合わせ、・商談
【フェーズ5】
用件定義
・用件定義書類の作成、・担当部署のヒアリング
【フェーズ6】
導入検討
・商談、・Webサイトで製品の詳細情報、導入事例、お客様の声などの確認
【フェーズ7】
業者選定
・Webサイトで発注から導入までの流れを確認、・比較資料の作成、・会社概要の確認
【フェーズ8】
購買
・購入、・サポートページの閲覧

思考、感情の想定

担当の発注までの流れの想定ができたら、次にフェーズごとの感情を想定します。 たとえば、検査装置の検討を行っているユーザーを例に挙げると下記のようになります。

【フェーズ1】
無関心
・業界の最新情報を知りたい。 ・研究効率を上げたいが改善の手立てはないか?
【フェーズ2】
課題認識
・最近、世の中が食品に対して敏感になっていて怖いな。 ・自社の生産ラインは導入後、10年近く経過しており、検査基準を満たしているか不安だな。
【フェーズ3】
ニーズが高まる
・この検査装置はどういうものか? ・検査装置のメリットは?デメリットは?
【フェーズ4】
解決模索
・検査装置を導入する際のチェックポイントはどこか? ・検査装置を導入した際の具体的な効果は何か?
【フェーズ5】
用件定義
・要件定義の際に気をつけるポイントはどこか?
【フェーズ6】
導入検討
・自社の社員は装置を使いこなせるだろうか? ・自社に近い事例はあるのだろうか?
【フェーズ7】
業者選定
・導入後のアフターフォローはどうなっているのだろうか? ・今後、長い付き合いになるが、会社の将来像は大丈夫だろうか?
【フェーズ8】
購買
・操作方法でわからないところがある。 ・他社はどのように活用しているのか気になる。

検討フェーズと行動フローと思考、感情を図にすると以下のようなイメージになります。

検討フェーズと行動フローと思考

求める情報と具体的なコンテンツの想定

このように、担当の購買までの流れを「フェーズ、思考・感情」で具体的に洗い出せたら、次に、担当がフェーズごとにどんなコンテンツを閲覧するかを想定します。

具体的なコンテンツの想定

このように具体的にコンテンツを考えてみると、ユーザーの検討度合いによって閲覧するコンテンツはかなり変わってきます。 具体的な閲覧コンテンツを把握することで、ユーザーの検討促進を行うコンテンツがなかったり、ユーザーがどのフェーズに位置しているかわからなかったりと、自社のWebサイトで不足しているコンテンツを可視化できます。 マーケティングオートメーションはユーザーの行動ログから検討度合いの見極めを行うので、Webサイトで不足しているコンテンツがあると、MAツールはうまく機能しません。

最後に、マーケティングオートメーションは、ユーザーへ適切なタイミングで適切な情報提供が行えたり、検討しているユーザーを営業に提供でき、便利で効率的なツールですが、「カスタマージャーニーマップ」を作成しないと、効果が薄かったり、逆にユーザーに悪影響を与えてしまう可能性があるので、マーケティングオートメーションを運用する際には必須項目であることを改めて強調しておきます。

自社ターゲットのカスタマージャーニーマップを作成して、マーケティングオートメーションの運用を進めていきましょう。

カスタマージャーニーについては、こちらの記事もご覧ください。

9.マーケティングオートメーションの運用方法

マーケティングオートメーションを導入したら、運用フェーズに移ります。

運用は、「シナリオの設計・実施」と「効果測定」を繰り返すことで進めていきます。

①シナリオの設計・実施

マーケティングオートメーションにおけるシナリオとは、セグメンテーションしたリード(見込客)、ある行動を取ったリード(見込客)ごとに、次に取って欲しいアクション(例:メール開封、特定のWebページへの訪問、サンプル請求など)を促すための施策のことです。

たとえば、「Webサイトを3回以上訪れていて、お問い合わせのないリードに、オンラインセミナーの案内を送る」「展示会に何度も足を運んでくれているのに個別の問い合わせがないリードに、個別相談会の案内を送る」といったシナリオを設計し、マーケティングオートメーションに設定します。

ただし、まだリードを獲得できる段階になかったり、ハウスリストがな買ったりする場合にはシナリオが有効でないこともあります。まずは自社のリードを集めるところから初め、少しずつステップアップしていきましょう。

参考記事:リードがないのにいきなりMAのシナリオ機能で成果を出そうとしていませんか?

②効果測定

シナリオを実施したら、効果測定を行い、改善点を次のキャンペーンにフィードバックします。

効果測定の指標としては、メール開封率、メール内URLのクリック率、新規リード獲得数などがあります。

「マーケティングオートメーションのKPI・KGI例」でもご紹介していますが、これらの目標に対し、どれだけ達成できたかを確認し、届かなかったものについては重点的に施策を見直しましょう。

10.マーケティングオートメーションのシェア・認知度ランキング~調査結果まとめ~

ここで、実際にマーケティングオートメーションの選定に移る前に、現在、世の中にマーケティングオートメーションとして認知されていて人気の高いものには、どんなものがあるかを押さえておきましょう。
DataSign、ジャストシステムの調査結果から、それぞれベスト3をご紹介します。

DataSignの調査結果

株式会社DataSignが2018年4月に調査したレポートに、利用されているマーケティングオートメーションランキングが掲載されています。上位5位までをピックアップすると、下記の通りです。

出展

>国内約18万サイトで利用されているWebサービス調査(2018年4月度)

MAツールの認知度ベスト3(ジャストシステムの調査結果より)

ソフトウェアベンダーであるジャストシステムは、自主調査結果を公開するメディア「Marketing Research Camp」を運営しています。そのなかでマーケティングオートメーションの認知度についての調査結果が取り上げられており、順位は以下の通りでした。

  • 1位 Patdot
  • 2位 SATORI
  • 3位 Adobe Marketing Cloud

出展

>マーケティングオートメーション利用実態調査 MAツール認知度No.1は「Pardot」、2位は「SATORI」 MAは、知名度よりも、費用やサポートなどの条件で選ぶ

11.マーケティングオートメーションの選び方

上記でご紹介したほかにも、国内でのマーケティングオートメンション(MA)ツールベンダーは増えており、さまざまなマーケティングオートメーションが存在します。 どういった機能を有するツールが自社にとってもっとも効果を発揮するのか、「導入したけれど使いこなせない」という最悪の事態を防ぐためにマーケティングオートメーションの選定ポイントをご紹介します。

【マーケティングオートメーションの業者選定シートが無料でダウンロードできます。】 

こちらの資料も合わせてご活用ください▼
「MAツール業者選定シート」を無料でダウンロードする

目的を決める

マーケティングオートメーションを選定する際に陥りがちな失敗は、機能の充実を理由に選定してしまうことです。機能の充実しているマーケティングオートメーションを選定すること自体は悪くありませんが、目的を明確にしたうえで導入しないと、導入後の運用でどのように行うべきか、何をすべきかがわからないままで、実際のパフォーマンスが落ちてしまいます。

導入する前に、マーケティングオートメーションを使ってやりたいことを決め、使用目的を明確にしてから選定しましょう。

コンバージョン(CV)を決める

コンバージョン(CV)とは、WEBサイトにおけるゴール達成を指します。
たとえば、お問い合わせや資料ダウンロード、会員登録やメルマガ登録、セミナー申し込みなどが該当します。どのポイントにどれだけ比重を置いていくかを設定しましょう。

コンバージョン(CV)ごとにフォームが必要であれば、フォームの作成数によって料金が変わるサービスもあるので、大体の想定をしておくと正しく料金比較ができます。


CVに関しては下記の無料資料も参考にしてください!

> 中間コンバージョン活用法

ターゲットについて考える

ウェブサイトに訪れるユーザーフェーズは、無関心フェーズ、ニーズが高まるフェーズ、要件定義フェーズ、業者選定フェーズ、使用フェーズなどさまざまです。
そして、それぞれのユーザーに対して行う施策も異なります。基本的には、一段階上のフェーズに上げるための施策を行うことになります。

キャンペーンについて

キャンペーンとは、ユーザーの購買意欲を高めるための施策のことです。具体的には、ユーザーにどのタイミングでどのようなコンテンツを届ければユーザーの購買意欲が上がるかを考え、施策を行っていきます。

ユーザーの状態を把握するためのモデルがいくつかあるので、ご紹介します。

スコアリングモデル

ユーザーの属性・行動ごとに細かくスコアリングし、その内容に合わせて情報提供・営業活動を行うモデルです。

具体的には、「メールを開封(2点)、URLをクリックしてHPへ流入(2点)、特定の製品ページを見る(3点)、製品に関するデータをダウンロードする(5点)」のように設定しておき、行動に対して点数をつけて、ユーザーごとの点数を算出し、このスコアでユーザーを把握する施策です。
次で紹介するトリガーモデルに比べ、点数決めなど複雑なシナリオを考える必要があるため作成までにかなりの時間と工数がかかります。

トリガーモデル

スコアリングモデルのような複雑な設定はせずに、特定のユーザー行動ごとに次のフェーズへと移行させるモデルのことです。

具体的には、「1ヵ月の間に10回以上Webサイトを訪れており、かつ、会員になったユーザーにはこの内容のメールを送る」といった施策のことです。

マーケティングオートメーションを運用する組織体制

マーケティングオートメーションにはさまざまな機能があり、これらを使ってやりたいことが増えれば、それだけ時間もかかります。特に、スコアリングやシナリオ設計、ステップメールを送るなど高度な機能を使用して施策を行う場合は、それに合わせて運用体制の整備も必要になります。


BtoB企業の社内体制に関しては下記も参考にしてください!
>BtoB企業がWebマーケティングを実施するための社内体制について

自社に合ったマーケティングオートメーションとは

自社に合ったマーケティングオートメーションを選ぶためには、自社が以下の4フェーズのなかでどこにいるのかを把握することが一つの判断基準となります。

フェーズ おすすめのMAツール
マーケティング成熟度が高く、リソースや予算も豊富にある スコアリング機能、シナリオ作成機能、分析・レポート機能、パーソナライズ化、SFA・CRMとの連携など、豊富な機能を備えた高性能ツール
マーケティング成熟度は高いが、リソースや予算は少ない 上記プラス、コンサルティングの導入検討が必要
マーケティング成熟度は低いが、今後、リソースや予算をしっかりと確保する予定がある まずは、マーケティングの運用そもそもを強化する必要があるので、ユーザートレース機能やメールマーケティング機能が簡単に実行でき、かつ、今後も拡張性のあるツール
マーケティング成熟度が低く、リソースや予算も少ない まずは、マーケティング活動のボトルネックを把握して、何から始めるのがもっともROIが高くなるのかを考える必要がある。
マーケティングオートメーションのメーカーやコンサルティング業者、Webサイトのコンサルティング業者に相談してみるのもおすすめ。

無料ツール

有料のツールが多いなか、数は少ないながら無料で利用できるマーケティングオートメーションもあるのでご紹介します。

Mautic

【Mautic】https://Mautic.com/

こちらは、クラウド上で利用できるーケティングオートメーション(MA)ツールで、もともと英語表示なのですが日本語での表示が可能です。サポートは英語のみですが、日本語のマニュアルがあり、Facebookのグループもあるので、わからないことはこちらで解決できます。

※18年12月で無料版終了(関連記事:Mautic無料版が12月15日に終了。データ消失を防ぐためにはMautic Cloud ProかSandbox有料版へのアップグレードが必要。

【BowNow】https://bow-now.jp/

無料で利用できるのはデモ版のみ(期間限定)というツールが多いなか、BowNow(バウナウ)は無期限で利用できるフリープランを提供しています。ホットリードの抽出に優れ、利用企業様は人員を増やすことなく、Webサイト改修の必要なく、保有している見込み顧客リストを使ってミニマムスタートできる点が大きな特徴です。

12.マーケティングオートメーション選定のための業者比較シート

マーケティングオートメーションのベンダーを数社ピックアップし、コンペや相見積もりを行ったら、最終的に1社を選ぶわけですが、その際に役立つのが「業者比較シート」です。

各社でバラバラの項目の見積書を比較してもわかりにくいため、基準を統一してそれぞれの業者を評価することで、優劣をつけたりどこが一番自社のニーズに合っているかを見極めたりすることができます。以下のリンクから業者比較シートをダウンロードできますので、使ってみてください。

>業者比較シートダウンロード

13. マーケティングオートメーションの導入スケジュール

実際にマーケティングオートメーションを導入し、見込客のナーチャリングを行う場合は、準備期間として6ヵ月間をみておいてください。
おおまかなスケジュールは以下の表の通りです。

横スクロールでご覧いただけます。

~ヵ月目 タスク(大枠) タスク(詳細) 備考
1 課題認識 課題認識 解決したい課題の洗い出し
現状確認
2 目的設計 目的の明確化
マーケティング計画 行いたい施策の洗い出し
3 要件定義 データ設計 登録するリストのリード(過去訪問、展示会、問い合わせなど)の精査
想定シナリオ設計/想定キャンペーン設計
機能精査
運用部署の範囲確定 部署をまたいだ社内調整が必要
ツールベンダー選定
4 業者選定 コンサルティング業社選定
契約
目標設定
5 準備 運用体制の確立
ツール実装

・フェーズ設定
・スコアリング設定
・シナリオ設計
・コンテンツ整備

6 導入 データ連携 データクレンジング
トレーニング
キャンペーン実施
運用 効果測定

1ヵ月目 課題認識

まずは、現状を把握します。自社の課題を把握しなければ、改善のしようもありません。 そもそもリードの獲得が弱いのか、リードはたくさん抱えていても案件化数が少ないのか、など、自社の営業に関する課題を洗い出すのが先決です。
以下のリンクから、記入していくだけで自社の現状が把握できるチェックシートをダウンロードいただけますので、ご活用ください。

>マーケティングオートメーション導入確認シート

2ヵ月目 目的設計

自社の課題が把握できたら、それに基づいてマーケティングオートメーション導入の目的を明確にします。複数の課題がある場合は、優先順位をつけて一つずつ着手していった方が良いでしょう。

目的に合わせて最適な施策を洗い出し、マーケティング計画を立てます。たとえば、Webサイトへのアクセス数が少ないのならコンテンツを増やす、アクセスはあるのにお問い合わせが少ないのなら、中間コンバージョンとしてホワイトペーパーを設置する、といった具合です。

3ヵ月目 要件定義

要件定義は、(1)データ設計、(2)想定シナリオ設計/想定キャンペーン設計、(3)機能精査、(4)運用部署の範囲確定の4ステップに分かれます。

(1)データ設計では、登録するリストのリード(過去の訪問、展示会、問い合わせなど)を精査し、どれをリードとするのかを定義しておきます。

(2)想定シナリオ設計/想定キャンペーン設計では、ツールの導入後、見込み客の検討レベルを上げるためのシナリオを作っていきます。

誰に対して実行するのか

【BtoBにおける例】
  • 顧客のセグメント別(業種や企業規模、職種や役職などの顧客属性)
  • 顧客の検討レベル別(見込み度合いやステータス)
  • 特定のアクションを起こした人(特定のメールやページを閲覧した、閲覧回数や参加したイベントなど)
  • 特定の条件を満たす、または除外した人(既存顧客、過去提案実績、営業担当者、条件の掛け合わせ)

いつ情報を届けるか?

「開始するタイミング(起点となる行動)を何に設定するか?」には、トリガーとスコアの2つの方法があります。トリガーは、見込み客が何かの行動をしたら情報を届け、スコアでは、一定の点数を超えたら情報を届けます。

【BtoBにおけるトリガー例】
  • 会員登録
  • 購入
  • 問い合わせ(見学や相談、見積もり依頼も含む)
  • 資料DL
  • 特定のwebページやメールの閲覧
  • セミナーやイベントの参加
  • ステータスの変更
  • 閲覧回数(総数や一定期間内での回数、同一企業からの閲覧人数)

スコアの場合は、トリガーに記載したような行動や顧客属性によってスコアを増減させる設定を行い、スコアが一定量溜まったら配信を開始するという設計をします。

BtoBの場合、スコアで設計しようとしても、Webサイトやメールへのアクセス数が少ないケースが多く、スコアが貯まらずになかなか配信できなかったり、スコアは積算での計算をメインにすることが多く偏りやすいことから、トリガーによる設計の方がおすすめです。

何を実行(送信)するのか?

BtoBの場合、4つ「不」を解消するための情報をユーザーに届けることが基本です。

不信の解消

関係構築を行うための情報をユーザーに配信します。

○目的:「この企業から届く情報には価値がある」と感じてもらうことで不信を払拭します。
○例:業界の最新情報、事例、知識・ノウハウ系コンテンツ、技術情報、法令改正、自社への信頼感や親近感を高める情報

不要の解消

製品やサービスを導入する必要性を感じてもらうための情報をユーザーに配信します。

○例:成功事例、導入メリット、用途別・業界別活用方法、解消される問題

不適の解消

必要性を感じてもらった後に、皆様の製品サービスであるべき理由を納得してもらうための情報を配信します。

○例:価格の理由、品質の紹介、実績数の紹介、外部評価、お客様の声、専門性の訴求などに代表される強みの紹介。

不急の解消

「今、契約する理由」を作ることで不急を解消していきます。おもに検討促進や背中押しと呼ばれる情報がメインです。

○例:キャンペーン情報(お値引きや特典情報)、無料相談やデモ貸出し

ちなみにセミナーやホワイトペーパーといった施策と事例コンテンツは4つの不をバランスよく解消することも可能ですし、部分的に解消することも可能な汎用性の高い施策です。 そしてユーザーに配信するだけでなく、社内の担当者向けの通知やアラートとして利用するケースもあるので、何を実行するかは非常に奥が深いです。

どうやって配信するか

「どのくらいの期間で、何回くらい情報を届ける必要があるか?(例:検討レベルが低いターゲットには、週1回周期でメールを送信する)」に加えて、どのようなチャネル(媒体)に情報を配信するかも重要です。

【BtoBにおけるチャネルの主な例】
  • メール
  • 電話
  • アプリ(プッシュ通知)
  • SNS(配信や広告)
  • LINEやSMS
  • DM
  • ディスプレイ広告

(3)機能精査では、マーケティングオートメーションが持つさまざまな機能のうち、自社に必要なものを精査します。不要な機能がたくさんあっても、使いこなせなければただのコストになるからです。

ここまでの準備で、自社が使う機能をピックアップできるはずなので、把握しておき、後で出てくるベンダー選定の際に活用します。

(4)運用部署の範囲確定では、営業部門、マーケティング部門が中心となって運用するケースが多いと思いますが、新たにインサイドセールス部門を立ち上げる企業もあるでしょう。いずれの場合も、部署をまたいで連携するための社内調整が必要になるので、このタイミングで行います。運用に関わる各部門のネックを把握し、それを解消するのがこのときの基本的な考え方になります。

マーケティング部門へはROIや成功事例、必要なリソースと工数など、営業部門ならツール導入による案件増加数の見込みや営業部負担、経営層へは競合他社のツール活用情報や長期的なメリットといった情報を提供しましょう。

社内調整の方法については、こちらの記事もご覧ください。

4ヵ月目 業者選定

いよいよ、実際にどのベンダーからどのツールを導入するかという具体的な検討に入ります。予算と必要な機能を中心に、実績などを加味して選定していきましょう。

この際、ツール活用のコンサルティング業者も併せて選定しておくことをおすすめします。それは、マーケティングオートメーションを導入するには高いマーケティング知識が必要で、特に、初めて導入する場合はスムーズに活用できることは稀だからです。

設計の段階でつまずきオートメーション化できない、運用できないといったことが起こりがちですし、セグメントメールやコンテンツの制作がうまくいかないときに、アドバイスを受ける必要があります。

「うまく機能を使いこなせずに、費用対効果が取れない」といった最悪のケースを迎えないためにも、無理に自社だけで運用しようとせず、コンサルティングとセットで導入した方が安心です。

5ヵ月目 準備

4~5ヵ月目までの間に目標設定を行い、運用体制を確立しましょう。

目標設定では、マーケティングオートメーションを経由した[売上]をKGIに、KPIに[受注数][商談数][CV数][アクセス数]などを置くケースが多いです。

マーケティングオートメーション運用における目標設定については、こちらの記事もご覧ください。

運用体制については、下記6つのタスクを担当する人員が必要です。兼任できるところはして問題ありませんが、それでも必要な人数はなかなか多いものです。社内だけでは回せないケースも出てくるでしょう。そういった意味でもコンサルティングを導入することで、下記の責任者以外の部分をアウトソースする意義があります。

【運用フェースにおけるタスク】
  • 運営責任者
  • LPを含むWeb制作
  • メールマーケティング
  • 効果測定
  • マーケティングコミュニケーション
  • CRM(顧客管理)

6ヵ月目 導入

いよいよ、導入準備も最終月です。ここでは、ツールの実装やデータ連携など、実稼働に向けた直接的な準備を行っていきます。

ツールの実装では、フェーズ設定とスコアリング設定を行い、3ヵ月目までに作成したシナリオ設計をツールに設定していきます。また、見込み客に提供するコンテンツ制作も行っていきます。

データ連携では、やはり3ヵ月目までに整備したデータ設計に基づき、古いデータの更新や重複データの名寄せなど、データのクレンジングを行ってからツールにインプットします。

ここまでできたら、実稼働を想定したトレーニングを行いましょう。 デモ環境を利用して実際にキャンペーンを走らせてみて、きちんとアクションされるかを確認します。

実運用が始まったら、実際にツールを動かしながらシナリオ(キャンペーン)を実施し、効果測定を行って運用改善していきます。

14.マーケティングオートメーション活用のBtoBとBtoCの違い

企業がマーケティングオートメーションを活用する際に気をつけたいのが、BtoBビジネスなのかBtoCビジネスなのかで目的や指標が異なってくるという点です。

BtoCの場合は、ECサイトへの流入や実店舗への来店促進を目的とすることが多く、BtoBの場合は、商談の創出が目的となるケースが多いです。

BtoBの場合、ABM(Account Based Marketing:企業ごとに個別のマーケティング施策を行う手法)による営業活動が効果的なので、企業ごとのアクション(Webサイトの訪問、メールマガジン記載のURLのクリックなど)を把握するために、企業IPの識別や、企業名の自動表示といった機能は必須でしょう。

ABMについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

15.マーケティングオートメーションの機能

ここで、一般的なマーケティングオートメーションが持つ主な機能を紹介します。

主な機能一覧

セグメントメール送信機能 登録した見込み客をセグメント化し、それぞれに適切なメールを送るための機能です。
Webサイト構築機能 見込み客に情報提供する手段のひとつとして、Webページを追加するための機能です。
トラッキング機能(個人・法人) 見込み客データと紐づけたIPアドレスをもとに、各見込み客がどのような行動をしているかを把握するための履歴をとる機能です。
スコアリング機能 見込み客の行動に点数を設定しておき、一定の点数を超えたら特定の情報を送信するといった設定を行う機能です。
シナリオ作成(キャンペーン管理)機能 マーケティングオートメーションで自動化するルール=シナリオを作成・設定する機能です。
SFA・CRM連動機能 自社で導入済みのSFAやCRMの顧客情報を紐づけて管理するための機能です。
パーソナライズ機能 見込み客一人ひとりの検討度に応じて、コンテンツの出し分けができる機能です。たとえば、Webサイトの初訪ユーザーと再訪者で異なるメインイメージを表示させたり、異なるデザインのバナーを表示させるといったことができます。
アクセスログ分析機能 WebサイトやSNSなどへのアクセス解析を行うための機能です。
広告連動・広告管理機能 広告を出稿した際に、見込み客が広告媒体にどのように触れたか、またその影響を把握するために広告と連動したり、広告出稿の詳細を管理するための機能です。

機能の比較表

横スクロールでご覧いただけます。

ツール名 Marketo Eloqua Pardot Hubspot B⇒Dash SATORI

SHANON
Marketing
Platform

KAIROS3 List Finder BowNow
ベンダー名 マルケト オラクル salesforce ハブスポット フロムスクラッチ SATORI シャノン カイロスマーケティング イノベーション Mtame
企業IP検知 × × × ×
スコアリング機能 ×
シナリオ設計機能 × ×
ABM機能 × × × × × × × ×
プッシュ通知 × × × ×
ステップメール
広告連携 × × × ×
フォーム作成
ホワイトペーパー設置
CRM/SFA連携 × ×

※比較表の情報は2018年4月16日公開時点のものです。

16.マーケティングオートメーション導入の失敗を回避し、成功させるポイント

せっかく時間と費用をかけて導入するのですから、活用を成功させ、成果を出したいものですよね。

ここでは、マーケティングオートメーション導入の失敗を回避し、成功させるための3つのポイントをご紹介します。

ポイント1.自社で使いこなせるマーケティングオートメーションを選ぶ

一つ目のポイントは、導入フェーズにも関わる部分ですが「自社で使いこなせるマーケティングオートメーションを選ぶ」ことです。

今や外国産・国産の多くのMAが提供されており、機能もそれぞれです。高額なMAほどさまざまな機能があり、実現できることも増えますが、その分、導入時の初期設定が複雑で時間もかかります。初期設定が済んだ後も、運用にはMAやマーケティングに関する高いリテラシーを持つ人材が必要になります。

マーケティング部門や営業部門全体のリテラシーやスキルで使いこなせるMAを選ぶことが、まず大切です。

ポイント2.マーケティングオートメーション運用の人的リソースを確保する

【デメリット1】でも挙げた通り、マーケティングオートメーションで成果を出すまでには、一定期間、試行錯誤する必要があります。

仮説を立てて施策を計画・実行し、効果測定を行って分析し、改善した施策を実行する…このサイクルを回しながら、自社や商材にとって最適なWebマーケティングを確立していくのでます。

改善のサイクルを回すには、時間のほかにも担当する人材が必要です。

MA担当者には、営業・マーケティング・ITの経験やスキル、知識が必要になりますが、運用が走り出してから勉強して身につけても構いませんので、意欲を持った人であることが大切です。

ポイント3.コンテンツをつくる体制を整える

マーケティングオートメーションを運用していくなかで、必ずコンテンツを制作する場面が出てきます。

メールやWebページに掲載するコンテンツ、ホワイトペーパー、SNSの投稿など、シナリオを実行するため、あるいはリードをセグメントするために、リードに対して情報を与え、反応を見る必要があるからです。

コンテンツ制作を内製できれば、コストも抑えられ、自社の専門性の高さや特色を打ち出せるためベストですが、ノウハウ不足や人的リソース不足でとてもまかなえないというところもあるでしょう。

そうした場合は、部分的に制作会社などに外注する方法も良いでしょう。ただし、クオリティのコントロールは自社でしっかり行う必要があります。

ポイント4.経営層の理解を得る

3つのポイントのすべてに共通することではありますが、マーケティングオートメーションの成功ポイントとして「経営層の理解」が挙げられます。ツール選びも、リソースも、体制も、現場の努力だけでは限界があります。

成果を最大化するために、経営層が積極的にMTGに参加し、デジタルマーケティングの全体像を理解する必要があります。


以上、良くある失敗を回避するポイントをお話してきました!よくある失敗については動画でも詳しく解説しておりますので、あわせて参考にしてください。



17.マーケティングオートメーションの導入事例

ここでは、マーケティングオートメーション導入企業のよくある事例として、成功例・失敗例をご紹介します。

【関連記事】

成功事例と失敗事例

導入準備段階で設定した目標(例:KGI・売上目標、KPI・アポ率、受注数、受注率、受注単価、商談数、CV数、アクセス数など)が上がっていれば、マーケティングオートメーションを通して行った施策が成功したといえます。

逆に、上記のような目標数値が上がらなかったり、それ以前の問題として、運用体制が確立できていない状態や、営業部門からの理解がない状態、施策を回すためのコンテンツ制作ができない状態などは、失敗と言わざるを得ません。ボトルネックを見つけ出して改善する必要があります。

よくありがちな例としては、MAを導入したものの設定に時間がかかってしまったり、コンテンツを配信することが目的となり、商談作りにつながらなかったりすることがあります。当初の導入目的が達成できなければツールを導入した意味がないので、必ず最終ゴールを意識して早い段階で小さな成果を生むことが大切です。

BtoB

BtoB企業の事例として、社員総会や表彰式、株主総会などの企業イベントの企画・運営を手がけるマックスプロデュースの事例をご紹介します。 同社では、マーケティングオートメーションBowNowを活用し、見込み顧客へのメルマガ配信、ターゲット層(社内イベントの企画・運営の外注を検討する企業)が興味を持ちそうな事例コンテンツをWebサイトに掲載するなどの施策を行いました。結果的に、Webサイトからのお問い合わせ数を4.3倍、同受注数を3倍に伸ばすことに成功しました。

BtoC

本記事はおもにBtoB企業向けのため、BrtoCの事例は概要を参考程度にお伝えします。
商品単価が非常に高く、それに伴い顧客の検討期間(リードタイム)も長い傾向にあるといった特徴を持つ不動産・住宅販売において、マーケティングオートメーションの導入効果が上がっています。

【不動産・住宅販売の購入の特徴】
  • 商品単価が高価である
  • 見込み客の検討期間が長い
  • リピート購入が少ない
  • 在庫が有限である

【不動産・住宅販売の購入フロー】

1.広告やオーガニック検索からのWebサイト流入)

2.Webサイトからの資料請求

3.モデルルーム来場予約

4.モデルルーム見学

5.商談

6.契約

上記の特徴から、見込み客の多くが新規顧客である傾向が強い業界です。見込み客とのコミュニケーションにマーケティングオートメーションを用い、一人ひとりに対する個別のナーチャリングを行います。

それぞれの見込み客が検討している予算に合った住宅情報の提供を、スコアリングなどによるシナリオ設計に基づいて適切なタイミングで提供していくことで商談数・契約数を向上させています。

導入事例については、こちらの記事もご覧ください。



弊社の提供するMAツール「BowNow」の事例はこちらからも閲覧可能です▼



18.マーケティングオートメーションを学ぶための本・関連書籍

最後に、マーケティングオートメーションを学ぶために役立つ書籍を2冊ご紹介します。

マーケティングオートメーション導入の教科書
優良顧客を自動で育てる仕組みづくり(MdNコーポレーション)

マーケティングオートメーション導入の教科書

画像引用先:amazon

こちらは、マーケティングオートメーションの導入方法について、初心者向けに書かれた本です。手っ取り早くマーケティングオートメーションの全体像を掴みたい方におすすめ。複数著者による共著のため、マーケティングオートメーションをいろいろな視点から見るヒントにもなります。

マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方
(クロスメディア・マーケティング)

マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方

画像引用先:amazon

こちらは、より実践的な書籍です。実際にマーケティングオートメーションに設定して活用できるカスタマージャーニーを作成する方法を、事例の図やイラストを交えて解説しています。
マーケティングオートメーション「Marketo」を提供する企業、株式会社マルケトの代表も推薦している本です。

19.マーケティングオートメーションを学べるセミナー

本を読むのは少し苦手という方、本よりも対面でレクチャーを受けたいという方におすすめしたいのがセミナーへの参加です。

マーケティングオートメーションツールベンダーをはじめ、コンサルティング会社などが主催する無料セミナーが増えて来ています。

ここでは、定期的にマーケティングオートメーション関連セミナーを開催している企業をいくつかご紹介いたします。

 

クラウドサーカス株式会社

画像引用:クラウドサーカス株式会社

本サイト、エムタメ!を運営するクラウドサーカス株式会社が展開する無料セミナー。
マーケティングオートメーションツール「BowNow」の提供のほか、Web制作・Webコンサルティングを行うMtameでは、MAツールの活用方法や、インサイドセールス、WebサイトなどとMAツールを関連づけた内容などで不定期にセミナーを開催しています。

→現在はクラウドサーカス株式会社のWebサイトにて、最新セミナーを公開中です。

>セミナー一覧ページはこちら



株式会社セールスフォース・ドットコム

株式会社セールスフォース・ドットコム

画像引用:株式会社セールスフォース・ドットコム

マーケティングオートメーションツール「Pardot(パードット)」を提供するSalesforce社も、Pardotの活用セミナーをはじめさまざまなセミナーを開催しています。パートナー企業の主催セミナーにもマーケティングオートメーション関連の内容が見つかりますので、チェックしてみてください。

株式会社パワー・インタラクティブ

株式会社パワー・インタラクティブ

画像引用:株式会社パワー・インタラクティブ

デジタルマーケティング全般のコンサルティングを手がける企業パワー・インタラクティブでは、MAの基礎知識やMAツールの活用方法を指南するセミナーなどを展開しています。

マーケティングオートメーション関連セミナーを開催企業についてもっと知りたいという方は、こちらの記事もご覧ください。

20.マーケティングオートメーションのよくある質問と回答(FAQ)

最後に、マーケティングオートメーションに関するよくある質問(疑問)と回答をまとめてご紹介します。 ここまでに解説済みの内容や、当社が提供するマーケティングオートメーション「BowNow」に特有の内容も含みますが、ご承知おきください。

Q.マーケティングオートメーションでは、何を自動化できるのか?

A.MAの種類によって自動化できる内容に差はありますが、営業リストの作成やホットリードの抽出、リードや顧客とのコミュニケーション(メール送信など)、条件を満たしたリードが出たら通知する、レポート出力などを自動化することができます。

これらの人手で行っていた作業が、設定に応じて自動化できるようになるので、業務効率化に貢献します。その分、ほかのもっと重要な業務に時間をさけるようになり、生産性向上にもつながるでしょう。

詳しくは、何をオートメーション(自動化)できるのか?をご覧ください。

Q.マーケティングオートメーションを導入したら、どんな効果が期待できるのか?

A.マーケティングオートメーションの最終目的は「効率良くホットリードを創出すること」なので、導入・運用を成功させることで営業にパスできるリードの割合が向上し、ひいては、売上アップという効果が期待できます。

最終目的に向かうまでの布石として、「リードナーチャリング(見込客の育成)の効率化」と「リードクオリフィケーション(見込客の選別)の効率化」があり、これを実現するためのさまざまな機能を有しています。

Q.マーケティングオートメーションが自社に必要なのかどうかがわからない。

A.「マーケティングオートメーションを導入するのは、マーケティング成熟度の高い大手企業や中堅企業だけだ」と勘違いしている方もおられるかもしれません。

もちろん、マーケティング成熟度が高かったり、予算・人的リソースが多い企業であれば、機能が豊富な高価なMAもうまく活用できるでしょう。ただ、MAにもさまざまなタイプがあり、マーケティング成熟度が低かったり予算・人的リソースが少ない企業でも成果を出せるツールがあります。MAのコンサルティングサービスを活用するという方法もあります。

ただ、共通していえるのは、リードの母数がないとMA活用は難しいという点です。もし、まだリードが少ない状態なら、MA導入は早いかもしれません。展示会への出展やWebサイトの改善など、リード創出の施策に注力した方が良いでしょう。とはいえ、リード創出からカバーしてくれるMAもあるので、リードが少ないからといってMA導入をあきらめる必要もありません。自社のマーケ・営業分野でボトルネックとなっている部分を洗い出し、改善するのに必要なツールを選んでください。

自社に合ったマーケティングオートメーションとはもご覧ください。

Q.マーケティングオートメーションを導入したら、すぐに効果を出したい。

A.【デメリット1】でもお伝えしましたが、MAを導入したら、PDCAサイクルを回しながら自社にとって最適なWebマーケティングの解を求めて改善を重ねていくことになるため、基本的には成果が出るまでに時間がを要します。特に、リードナーチャリングにはかかるものです。

ただ、短期的に小さくても確実な成果を出すことは可能です。たとえば、営業がアプローチすれば、すぐに商談化できるようなホットリードを抽出することなどがこれに該当します。

当社で提供しているBowNowでは、「ホットリード」の定義を細かく決めて設定する手間さえも省くことができる「ABMテンプレート機能を搭載しています。

Q.マーケティングオートメーションは、SFAやCRMと連携しないと効果を出せない?

A.MAは主にマーケティング部門で、SFAは営業部門で、CRMはカスタマーサポート部門で使うツールですが、顧客データは一元化されていた方が会社として一貫したコミュニケーションが取れるため、連携した方が良いです。営業にパスしたものの案件化しなかった顧客をマーケであたため直したり、購入があった顧客に対して時間が経過してからキャンペーン案内やリテンションを行うなど、その時どきで同一顧客に対応する担当部門が入れ替わることが多いからです。

また、効果測定に必要な数値が部署をまたいで複数存在するケースもあるでしょう。

ただ、SFAやCRMを未導入の企業や、連携に対応していない種類のツールを導入しているケースもあるでしょう。そうした場合は、SFA機能、CRM機能をもつMAを導入するか、データに特化したツールを導入するなど、同一顧客の複数データが混在しないような環境づくりを工夫してください。

 

21.マーケティングオートメーションのよくある誤解

マーケティングオートメーションについて解説してきましたが、最後によくある誤解についてお伝えします。それは、マーケティングオートメーションツールは魔法の道具ではない、ということです。


使いこなせば本当に便利なツールなので、導入しただけで成果につながりそうな気もするのですが、実際にはそれなりのリソースやコストがかかるため、本気で取り組む覚悟が必要です。

 

逆に言えば、しっかりと会社として取り組んでいけば中長期で成果に繋げられるものなので、まずは本気で取り組む覚悟を胸に一歩前に踏み出してみてはいかがでしょうか。弊社でも無料から使えるMAツールの提供と支援は行なっているので、お気軽にご相談ください。


【本記事と合わせておすすめ!】
いきなりコストをかけられない。。という方は無料から使えるMAツール「BowNow」がおすすめです▼
記事を読む前に「BowNow概要資料」をダウンロード!

 

22.自社に合った最適なMAツール選びを!

以上、マーケティングオートメーションの基礎から導入するまでに必要な情報を一挙にお届けしました。この記事だけでもかなりの分量になりましたが、まだまだ学ぶべきことはたくさんあります。ぜひ関連記事なども参考にしながら理解を深めてください。

マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入にあたっては目的の明確化や社内調整、ツールの選定と準備だけでも盛りだくさんですが、実際に活用をスタートしてからもPDCAサイクルを回して改善していく必要があります。事前の運用体制づくりに力を入れるとともに、コンサルティングの導入も視野に入れて検討してみてください。

そのうえで、自社に合った最適なツールを選ぶようにしましょう!

マーケティングオートメーションについての人気記事は以下もどうぞ

 



  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 製造業マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Thu, 25 May 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[なぜ有料CMSとWeb制作をセットで提供するのか]]> https://bluemonkey.jp/media/information/cms_webcreation Wed, 24 May 2023 00:00:00 +0900 <![CDATA[製造業DXのカギを握るデジタルファクトリーとは?意味やメリット、構築法や事例まで徹底解説!]]> https://mtame.jp/column/digital_factory 製造業がデジタル化を推進していく中で、一度は耳にするのが「デジタルファクトリー」です。デジタルファクトリーはリアルとデジタルを融合した工場を指し、最適な生産ラインを実現できる手段として注目が集まっています。

 

本記事では製造業DXのカギを握るデジタルファクトリーについて、その必要性やメリット、構築のためのステップや導入事例まで、わかりやすく解説します。

 

 

 

 

デジタルファクトリーとは

「デジタルファクトリー」は、工場内の設備・センサーから取得した情報を分析し、現実空間の作業場でのシミュレーションを行うことで最適な生産ラインを実現できる、リアルとデジタルを融合した工場を指します。製造業のDX推進において重要性が高まっている手法のひとつです。

 

デジタルファクトリーでは「生産順・中間の在庫管理・ロボットプロセス・作業プロセス・組み立て順序」など多岐に渡ってデジタルデータによるシミュレーションを行います。そしてその結果をもとに、工場をどう設計・構築・管理するか、生産性をいかに最大化するかなどを考えます。

 

うまく導入できれば作業の効率化が図れるとともに、消費者にとってよりニーズの高い製品の製造が可能です。他にも運用効率と持続可能性の向上、市場投入までの時間短縮、より多くの顧客への訴求などの実現が期待できます。

 

 

デジタルファクトリー類似/関連用語の解説

デジタルファクトリーと混同されやすい類似/関連用語として、「デジタルツイン」「バーチャルファクトリー」「スマートファクトリー」「インダストリー4.0」などがあります。デジタルファクトリーを正しく理解するため、それぞれの言葉の定義を明確に理解しましょう。

 

デジタルツイン

「デジタルツイン」は、​​現実から様々なデータを取得してデジタル空間に物理空間のツイン(双子=コピー)を作り出し、コンピュータ上のデジタル空間で再現して予測に役立てる技術を指します。

 

デジタルファクトリーと混同されがちですが、「デジタルファクトリー」を実現するために利用される技術が「デジタルツイン」であると理解すると良いでしょう。デジタルツインでは工場の工程だけではなく、渋滞予測などの幅広い要素を検証します。

 

【関連記事】

デジタルツインとは?シミュレーションとの違い、製造業での活用事例などをご紹介

 

 

バーチャルファクトリー

バーチャルファクトリーはバーチャル空間上に作られた仮想工場を指し、仮想工場にて生産シミュレーションを行うことで最適解を導き出す手法です。

 

バーチャルファクトリーは、リアルとデジタルを融合した工場であるデジタルファクトリーを実現する際、事前に現実の工場での生産活動をシミュレーション・評価するために構築されます。

 

インダストリー4.0

インダストリー4.0(第4次産業革命)は、2011年にドイツが提示したコンセプトで、ドイツの国家戦略として進められてきたものです。この概念はドイツ国内にとどまらず、欧米をはじめ中国や日本、東南アジアの新興国まで世界市場に大きく影響を与えました。

 

このプロジェクトは、IoTやAIによる高精度な生産管理、現実空間とデジタル空間をつなげるサイバーフィジカルシステム(CPS=Cyber Physical System)による技術革新が大きな特徴です。CPSは通称デジタルツインと呼ばれ、高精度な自動化管理が可能になることから、現在多くの産業で導入されています。

 

インダストリー4.0の主題となる「スマートセル」は、生産ラインをセル=区画で管理することで、生産ライン全体の最適化をおこなうもの。IoTによるセンサー、AIの機械学習による高度解析によって工場全体を見える化することで、人がいなくても安心して稼働できる仕組みづくりを実現するのはもちろん、個々の顧客ニーズにカスタマイズした製品製造を可能にし、すばやく問題を検出して将来的な予測ができるため、高い生産性を実現できます。

 

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スマートファクトリー

スマートファクトリーは、先述したインダストリー4.0に関連する用語です。IoTやAI、クラウド、ビッグデータといった先進的なデジタル技術を用いて各種データの活用・分析を行い、製造プロセスの改善や実際の稼働内容を効率化する工場を指します。

 

スマートファクトリーを実現するためには、「デジタルファクトリー」の構築が必要とされており、スマートファクトリーの前段階がデジタルファクトリーであるといえます。

 

類似用語を改めて整理すると、生産管理や稼働管理を行う「デジタルツイン」という技術や、課題の抽出やシミュレーション・対策立案を行う「バーチャルファクトリー」という手法を用いて「デジタルファクトリー」を実現し、そのデジタルファクトリーを用いることで、「インダストリー4.0」にて提唱された「スマートファクトリー」を実現できるということになります。

 

ではなぜこんなにもデジタルファクトリーの必要性が高まっているのでしょうか?次章で説明します。

 

 

デジタルファクトリーの必要性

デジタルファクトリーは製造業のDX推進において必須とされており、製造業のDX推進の重要性が高まると共にその必要性が叫ばれるようになりました。

 

そもそも製造業のDX化が重要な要因として、「オンライン化やデジタル化の発展による経済の成長スピードに遅れないため」「デジタル技術の実用化によって工場や製造ラインそのものが多く変化しているため」という理由が挙げられます。

 

特に製造業では、伝統的な職人技術を活用することで存続してきた企業がデジタル化促進によって経営を維持できなくなるという懸念もあり、迅速な対応が必要です。

 

業界全体でDX推進を行わなければ、世界市場において競争優位性を確保できないとも考えられています。日本の産業構造を支える製造業が競争優位性を保てなければ、グローバル市場における日本の優位性が低下してしまうため、世界経済という観点においても重視されています。

 

デジタルファクトリーを行うと、組織全体の生産性の向上や、職人技術に頼っていた人的作業の機械化、消費者の需要によりマッチした製品の製造などが見込め、懸念されている課題を解消して製造業におけるDX化を実現できるため、近年非常に必要性が高まっているのです。

 

 

デジタルファクトリーのメリット

デジタルファクトリーを実現できると、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?以下では代表的な5つのメリットについて解説します。

 

1. 市場投入までのスピードアップ

デジタルファクトリーでは、自動化したエコシステムによって取得したデータを従来よりも迅速に活用でき、市場投入までのスピードアップを図れます。

 

製造業では製品ライフサイクルが重視される傾向にありますが、工場のライフサイクルも非常に重要であり、実際にデジタルファクトリー化が進んだ製造業の企業では、市場投入までのスピードが9割近く向上したという報告もあります。

 

データの分析による知見を活かしてプロセスの高速化や迅速な意思決定が実現できれば、いち早く市場に投入でき、競争優位性の確保につながります。

 

2. フレキシブル製造で迅速且つ的確な判断・対応が可能

コロナ禍が立証したように、いつどのようなことが起こるかわからない予測不能な時代では、変化に対する柔軟な対応が求められます。

 

フレキシブルな製造を可能にするデジタルファクトリーを実現することで、企業は経済や世界の動向に対してより素早く的確な判断を下し、迅速に対応できるようになります。

 

柔軟に対応できる構造を有することで、企業は新たな収益源やより多くのイノベーションを生み出し、不確実性が高く不透明な時代でも優位性を保ったまま存続することが可能です。

 

3. 変化する需要に合わせたマス・カスタマイゼーションを実現

製造業の生産レベルは進化し続けていますが、顧客が求めるものも常に変化しており、企業にとって顧客のニーズを満たしつつ大量生産を行うマスカスタマイゼーションが必要不可欠な能力となりつつあります。

 

デジタルファクトリーではニーズの変化やカスタマイズ製品への需要の高まりに応じて、既存製品への機能追加や小ロット生産などの対応が可能です。デザインや製造方法を選択してそれぞれの注文をカスタマイズすることで顧客のニーズを最大限に満たし、企業の競争優位性を確保することができます。

 

4. サステナビリティなどのビジネス目標を達成

持続可能性が注目されつつある現代において、製造業でもサスティナビリティなどのビジネス目標の達成は非常に重要視されるようになりました。

 

データに基づいて最適な生産ラインを実現するデジタルファクトリーでは、ビジネス目標達成に役立つ知見を得ることができ、より持続可能な選択を行えるようになります。

 

例えばエンジニアはジェネレーティブデザインによって環境に優しい選択肢を選ぶことができ、AIなどの自動化されたシステムでは、熱などのエネルギー使用データをトラッキングすることが可能です。

 

現在ではビジネス目標達成のための指標の追跡や環境保護施策の推進を行うほか、サステナビリティ関連の役職を設けている企業もあり、今後その重要性はさらに増していくと考えられています。

 

5. 運用効率UP

デジタルファクトリーは、主に「輸送・在庫・移動・待機・過剰生産・過剰処理・欠陥」における、冗長的な動きの排除やワークフローの統合、プロセスの自動化を実現することで、運用効率を大幅にUPすることができます。コスト削減や、より付加価値のある業務に人材を投資できるというメリットもあります。

 

デジタルファクトリーでは他にも、「負担の軽減」「人材や設備の稼働率向上」「設備故障に伴う設備の停止削減」などが可能なため、現場環境を最適化し、生産性を最大化させることが可能です。

 

 

デジタルファクトリー構築の5つのステップ

デジタルファクトリーを実際に構築するにはどのように行えばいいのでしょうか?本章では主な5つのステップを紹介します。

 

1. 計画

デジタルファクトリーを構築するための最初のステップは、運用の検討などを行う「計画」です。

 

まずはじめに、生産性を最大化するような各ステーションの位置や機器の配置や構成の確認に加え、手順ごとのワークフローの分解などを行って計画を立てます。

 

計画を立てる際に機械や材料、人の流れをシミュレーションすることで、業務の停滞や生産性の低下を起こす原因を解消し、最も効率的なスペース配分を確認できます。デザイナーは、工場のデジタルコーディネーションに仕入れ先や販売業者も組み込むと良いでしょう。

 

2. 設計

デジタルファクトリーの計画を立てたら、次に「設計」を行います。

 

設計の段階では、エンジニアは立案した計画をもとに実際の空間へどうレイアウトするかを検討するほか、工場内の関係者を集めてそれぞれの特定エリアを設計していきます。

 

デジタルファクトリーの設計では、デジタル化によって問題点を早期に発見できるという利点があり、物理的な工場の建設・運用を行う前にミスを発見でき、より迅速な稼働を実現します。

 

3. 検証

計画にもとづいて行った設計をレビューして実行可能性を確認できたら、設計したレイアウトがちゃんと機能するかどうかを「検証」します。

 

デジタルデータによって工場を再現し、シミュレーションを行うことで、エンジニアや関係者は空間をよりリアルにイメージすることができ、必要に応じて修正などの対応が可能です。検証の段階で設計と運用の意図を合致させることで、事前に問題点を解決し、最適なデジタルファクトリーの構築に役立ちます。

 

4. 構築

計画、設計、検証を行ったら、次にデジタルファクトリーの「構築」を行います。

 

このフェーズでは、エンジニア、協力会社、建築家など複数のチーム間で、BIM (ビルディング・インフォメーション・モデリング)などの技術を活用し、デジタルで調整を行います。スケジュールや費用の超過リスクを低減するために行われるプロセスです。

 

データを可視化してレイアウトをシミュレートしたら、空間全体における一連の流れを再検証し、BIMツールでロジスティクスを調整します。詳細に施工の手順を準備することで、構築プロセスを事前に整理して効率化することが可能です。

 

工場内に実際の設置が完了したら全てのエリアをつないで稼働させ、必要な量まで生産量を増やします。

 

5. 運用

4つのステップが完了したら、デジタルファクトリーを実際に運用します。

 

デジタルファクトリーが稼働したら、すべてのデータをつなぎあわせて様々なネットワーク通信できるようになり、人・プログラム・プロセスの間での自由な情報のやりとりが可能になります。

 

デジタル化することで運用全体を俯瞰することができるほか、工場のライフサイクルの継続的な最適化も実現します。ピンポイントで特定の生産工程を調整することも可能です。

 

デジタルファクトリーでは、建物にかかる費用の多くを占める運用コスト削減のために必要なデータも得られるため、コストが年間数兆円レベルになるような予想外のダウンタイムを防ぐこともできます。

 

 

デジタルファクトリーに必要なシステム及びソリューション

ここでは、デジタルファクトリーの発展に必要となる代表的なシステム・サービスを一覧化しています。

 

設計・販売・計画システム・ソリューション

「設計・販売・計画システム・ソリューション」には、具体的にPDM/PLM、機械系3D CAD・CAM、ラインシミュレーター、サプライチェーン見える化プラットフォーム、ERP、EMS、ローコードプラットフォーム(製造業向け)などがあります。

 

新型コロナ流行を契機としたDXニーズや、新たなモノづくりプラットフォームの構築に必要です。現在多くの企業で、各品目での単体システム・ソリューションの拡張・導入・更新に加え、システム・ソリューションの連携が実施されています。

 

生産現場システム・ソリューション

「生産現場システム・ソリューション」には、製造業向けダッシュボード、SCADA、AIシステム、ARプラットフォーム、スマートグラス、ロボット遠隔ソリューションなどがあります。

 

生産現場システム・ソリューションは製造現場における業務の最適化や効率化、自動化を目的とした導入が進んでおり、現在では様々な業界での活用が広がっています。

 

PA(プロセスオートメーション)システム・ソリューション

「PA(プロセスオートメーション)システム・ソリューション」には、安全計装システム、安全対策ソリューション、DCS、LIMS、QMS、プロセスシミュレーター、設備保全管理システムなどがあります。

 

PA(プロセスオートメーション)システム・ソリューションは、現実の世界から収集した様々な情報をバーチャルで再現するデジタルツインの核となる製品で、作業員の安全確保や設備保全におけるデジタル化などを目的に導入されています。

 

ネットワーク・セキュリティ

「ネットワーク・セキュリティ」には、FAフィールドネットワーク、FA無線システム、FA UTM/次世代ファイアウォール、工場向けセルラー基地局、PAフィールドネットワークなどがあります。

 

オンライン化の加速に伴ってニーズが高まっている、IoT機器のウイルス感染やサイバー攻撃、障害による生産設備の停止リスクへの対処や、遠隔制御ニーズ、より広いエリアにおける機器同士の相互連携や制御の高度化などを目的に導入されています。

デジタルファクトリー関連サービス

「デジタルファクトリー関連サービス」には、製造業向けクラウドサービス、工場向けBCM/BCP策定・訓練サービス、設備リスクアセスメント策定受託サービス、・工場シェアリングなどがあります。

 

デジタルファクトリー関連サービスは、モノづくりにおける変革や、IoTを活用した生産現場全体の最適化、コロナ禍を機に進んだテレワーク環境の実現などのために導入されています。

 

 

デジタルファクトリーにおける注意点

実現することでメリットの多いデジタルファクトリーですが、導入する際には注意すべき2つのポイントがあります。

 

サプライチェーン全体の効率化を図る

デジタルファクトリーでは、サプライチェーン全体や顧客ごとの最適化を踏まえた効率化を図ります。そのため、自社や自部門が管理する特定の工場の業務フローや工程を、それぞれ別々に改善するのではないという点に注意が必要です。

 

従来は各生産内容に合わせてラインを作り、個別に産業ロボットや人を配置して作業を行うことが一般的でしたが、デジタルファクトリーでは、システムにセンサーやAIなどの技術を用いてシミュレーションを実行し、全体における生産性の向上を目指すという俯瞰的な視点を持った上で導入することが大切です。

 

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デジタルファクトリーの実現には専門家の協力も必要

デジタルファクトリーを実現するには、ファクトリーサイエンティストと呼ばれる専門家の協力も必要です。

 

製造現場では、人材不足のなかで高まる需要への対応や生産性向上、技術の継承など様々なな課題を抱えており、IT化による改善が図れる部分もありますが、適切な知見がないためにうまく運用できないという場合が多くあります。

 

そこで必要なのが、工場のデジタル化をサポートする専門家である「ファクトリーサイエンティスト」の協力です。ファクトリーサイエンティストは「IoTなどのデジタル技術を活用するノウハウを持ち、現場起点でデータに基づいた経営判断を素早く行うアシストができる人材」を指します。

 

工場をデジタル化しなければならないという目標があっても、実現にはさまざまな仕組みを変える必要があり、実際に導入するには様々な課題が見つかるはずです。最短距離でデジタルファクトリーの運用を実現するためには、専門家に協力を仰ぐこともおすすめです。

 

 

デジタルファクトリーの事例

デジタルファクトリーを実際に運用している企業があります。本章では具体的な事例として、「ポルシェ」「BMW AG」「ブリオッシュ・パスキエ」のデジタルファクトリー運用について紹介します。

 

ポルシェ

ポルシェの最新工場のひとつであるドライバーレス輸送システム 「Flex-Line」では、最新型の組立ラインを導入し、自律走行車両が異なるステーションへと車を移動させて、注文ごとのカスタマイズに成功しました。

 

同社は、カーボンニュートラルな本工場をデジタルで細部までレイアウトした統合計画モデルを立案し、床の耐荷重などの仕様を満たすためにデザインを繰り返し検討しました。

 

同社のデジタルファクトリーではサプライヤーも同モデルにアクセスすることが可能です。現実空間に合わせて装置を設置することで、最適化された生産ラインを実現しています。

 

現在、ドイツで稼働中の本工場では、バーチャルモデルを活用した業務改善が行われており、より環境に優しくスマートなデジタルファクトリー「Porsche Production 4.0」も誕生しています。

 

BMW AG

BMW AGは、デジタルツインを活用して自動車工場のデジタルファクトリーを構築しました。

 

同社はSiemens AGと共同で、NVIDIA Corp.のメタバース用オープン情報プラットフォーム「NVIDIA Omniverse Enterprise」を活用しており、生産する車種を変更する際には最適な組み立て順をバーチャル上で事前検証し、最適化した動作条件や作業順をライン上の機械に設定しています。

 

これらのワークフローは、現場作業者の安全を確保できるほか、エンジニアが現場に集まらなくてもリモートですべて作業を完結することができ、品質及び生産性の最大化に成功しています。

 

加えて、工場のラインレイアウトの最適化にも活用してバーチャル上の工場でシミュレーションを行うことで、ライン設計に必要なプロセスの3割削減を実現しました。

 

ブリオッシュ・パスキエ

ブリオッシュ・パスキエは、家族で経営する小さなベーカリーから、国際的に発展した食品メーカーです。発展に伴う生産規模の拡大と分散化の中でも製品の一貫性を確保するため、デジタルファクトリーの構築を行いました。

 

ヨーロッパ国内の各施設はクラウドでつながっており、新工場の設計の際に有用なデータを提供できるようになっています。各拠点から得られた情報はAutodesk Navisworksで3Dデジタル画像に統合され、他のエンジニアが同デジタルモデルを参考にできるよう社内共有されてるほか、製造から営業における業務まで、社内のすべての人がつながっています。

 

 

まとめ

本記事では製造業DX推進のカギを握る「デジタルファクトリー」について、必要性やメリット、構築のためのステップや実際の導入事例まで、網羅的に解説しました。

 

デジタルファクトリーは部分的な生産性の向上を図るのではなく、工場全体や企業全体においてデジタル変革を行って生産性の最大化を実現するため、俯瞰的な視野やIoT関連の知識が必要です。導入に不安がある方は、専門家に相談する方法もあります。

 

デジタルファクトリーをうまく運用することができれば、どんな不透明な時代でも競争優位性を確保できるはずです。すぐに導入することが難しい場合でも、今後を見据え、デジタルファクトリーの発展に注目しておくことをおすすめします。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 23 May 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[デジタルツインとは?シミュレーションとの違い、製造業での活用事例などをご紹介]]> https://mtame.jp/column/digital_twin
製造業DXや生産性の向上における重要なキーワードの1つが「デジタルツイン」です。 「デジタルの双子」を意味するデジタルツインは、現実空間にあるモノや環境などのデータを取得し、デジタル空間上にその3Dモデルを再現する技術で、現実空間でおこりうる将来的な予測に役立てられています

デジタルツインには、トラブルを未然防げたり、コストを削減できたりと様々なメリットがあります。生産性の向上や、DXが急がれる製造業界において今まさに注目が集まっているテクノロジーの1つです。


そこで本記事ではデジタルツインとはなにか、製造業においてデジタルツインを活用するメリットや、活用事例をご紹介します。また、弊社はBtoB製造業を中心としたマーケティング・営業支援会社でもありますので、デジタルツインと営業のデジタル化の共通点についても最後に触れました。ご興味がある方はぜひご一読ください。

 

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デジタルツインとは?

デジタルツイン(Digital Twin)とは、現実空間のモノや環境から取得したデータを、デジタル空間に再現するテクノロジーのことです現実空間を、デジタル上の仮想空間に、鏡写しのようにそっくり作り出すことから「ツイン=双子」と表現されます。

デジタルツインを実現するには、現実空間とデジタル空間、これらの情報を連携する仕組みが必要です。IoTやAI、5G、AR・VRなどといった、最新のデジタル技術を使って、物理空間における膨大な量のデータをデジタル空間に反映させます。

AIがデジタル空間で行った分析・検証を、リアルタイムで現実世界にフィードバックすることで、未来の変化までを予測できるのがデジタルツインの特徴であり目的です。実際に使われている製品・稼働している設備や生産ラインなどの動的なデータを、リアルタイムで再現しながら予測を行うため、問題に対して即時にアプローチできます。



デジタルツインの歴史

デジタルツインの前進とされる概念は1960年代のNASAで活用されており、当時は「ペアリング・テクノロジー」と呼ばれていました。実際にはじめて活用されたのは1970年、アポロ13号の月面着陸ミッションにおいて水素タンク爆発事故が発生したときです。事故のデータをもとに、地上に設置されたアポロ13号のレプリカでシミュレーションを行い、地球への帰還方法を正確に指揮したというものです。

デジタルツインという言葉がはじめて使われたのは、1991年に米イェール大学デビッド・ゲレルンター氏が出版した著書「Mirror Worlds」 だといわれています。またデジタルツインの概念を提唱したのは、2002年当時ミシガン大学に在籍していた、現フロリダ工科大学教授マイケル・グリーブス氏。同氏がデジタルツインの基本原則や製造業への応用について述べたことで、この概念は製造技術者協会などを中心に学術的に広まりました。

2010年発行のNASAロードマップレポートで、主任技術者であるジョン・ビッカース氏がこの概念をデジタルツインと命名。さらに時を経た2017年、ガートナー社が「デジタルツインは戦略的テクノロジートレンドのひとつである」と位置付けたことで、現在多くの企業で活用されるようになりました。

デジタルツインが注目される背景

デジタルツインが広まり注目されている背景には、IoTや5G、AI、AR・VRをはじめとするデジタル技術の革新的な進歩があります製造業などにおける従来のシミュレーションは、実際にレプリカを作成する方法で行われるのが一般的でした。ただ近年、デジタル技術の進歩により再現技術が劇的に向上したことで、デジタル上でこれらのレプリカを再現しシミュレーションできる「デジタルツイン」が、ますます注目を集めるようになりました。

IoTを活用すれば、これまでは取得できなかった膨大な量のデータを、高い精度で取得できます。収集したビッグデータは、5GやLPWAなどの通信技術を使って、リアルタイムでサーバーに共有可能。これをAIが高い解像度で分析し、AR・VRを使ってまるでそこにあるかのようにモニタリングできるようになりました。従来のシミュレーションよりもさらにリアルに物理空間を再現し、リアルタイムで監視することで将来的なリスクを先回りして回避できるこの技術に、多くの期待が集まっています。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)におけるデジタルツインの重要性

デジタル技術が急激に進歩する中、あらゆる業界や企業がDXに取り組んでいます。電通デジタル発表の調査によると、2021年にDXに着手している企業は81%、そのうちDX完了済みと回答したのは11%にのぼり、この数は年々増加傾向にあります。

出展

>日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2021年度)

ただDXを推進する上ではデータ収集に留まっている企業も多く、データを有効活用できているのは一部の企業・業界に限られているのも現状です。IoTなどで独自にデータを取得しているものの扱いきれていない、というケースは非常に多くあります。

このような理由で放置されているデータや、個別の目的において収集されたばらつきのあるデータでも、デジタルツイン上に集めることで設計からサービスまでを一つなぎに利活用できるでしょう。DX化を推進・完了させていく上では、大量データの活用における新たなフェーズとして、デジタルツインの考え方がますます重要視されています。

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デジタルツインとシミュレーションの違い

シミュレーションとは、実物と同じまたは近い条件の環境や設備・製品などによって実証試験を行うことで、デジタルツインもシミュレーションの一種といえるでしょう。

デジタルツインとシミュレーションの違いはいくつかあり、大きな違いはその再現方法です。デジタルツインは、デジタル空間に現実の要素を再現しますが、シミュレーションでは模型・レプリカなどデジタル手法に限りません

またデジタルツインは、現実から得たデータをデジタルに反映⇄デジタル上でAIが分析して現実へフィードバック、といった双方向性をもつ技術です。インターネットを活用して常に現実とデジタルがリアルタイムで連動するリアルタイム性も、従来のシミレーションにはなかった特徴のひとつです。

シミュレーションが現実のレプリカであるのに対し、デジタルツインは現実そのものがモデルとなっているため、より多くの視点から問題を監視・分析し、実際の設備や製品の改善により役立てやすいといえます。

  デジタルツイン シミュレーション
再現方法 デジタル空間 デジタル空間とは限らない(例:模型・レプリカ)
双方向性 双方向性がある 双方向性はない(連動していない)
リアルタイム性 IoT機器などをつかってリアルタイムで情報を取得するため、現実世界の変化とリアルタイムで連動する リアルタイムで反映されない
モデル構築方法 現実そのものをモデルとしている 現実のレプリカとして製作される

デジタルツインのメリット

デジタルツインは製造業だけでなく、建設業・輸送業・小売業や医療現場など幅広い業界で活用されはじめており、近年は社会問題解決の糸口としても注目されています。ここではデジタルツインを活用するメリット5つについて解説します。

レプリカ製作時間・コストの削減

デジタルツインを活用することで、レプリカ(複製品)の製作期間やこれにかかるコストを削減できます。製造業や建設業などにおいては、企画設計やデータ管理にデジタルツインを導入することで、実体のあるプロトタイプを作らなくても実証試験ができ、試作段階でモノづくりにかかっていた時間やコストを大幅に短縮できるでしょう。

たとえば製品や製造ラインの一部を変更する際、デジタルツイン上で事前テストをすることで、開発期間やコストを削減できます。再設計や再試験もデジタル上で実施できるため、開発のリードタイムを短縮でき、業務効率化にもつながります。

品質・安全性の向上

デジタルツインは、デジタル空間で完結する仕組みのため、製品や製造ラインを試作する場合も費用がかかりません。これまでスケジュールやコストの関係で難しかった実証試験を何度でも惜しみなく行えるようになり、また並行して複数のシミュレーションを実施できることからも、製品・設備の品質向上に大きく貢献すると考えられます。

また現場での事故や怪我につながりかねない危険なシミュレーションも、デジタルツインであればデジタル空間で行えるため、製造工程における安全性の向上も期待できます。産業においてリスクを低減しながらよりよい品質を追求できるメリットは大きいでしょう。

トラブルを監視・未然に防ぐ

デジタルツインは、設備や製品の将来的におこりうる故障についても予測でき、高い安全性の担保に役立っています。

たとえば製品・設備などでトラブルが発生した場合、内臓または設置されたセンサーによって現状データを取得し、デジタルツインに即時に反映します。AIは蓄積された膨大な情報から、将来的なトラブルの予測も含めて現状を分析し、すばやく判断を下します。またこのようなデータが蓄積されれば、トラブルを未然に防ぐアラート通知も可能に。故障の予兆に気づかずに見過ごしてしまうといったリスクも最小限に抑えられるようになるでしょう。

遠隔でも高い精度で正しい状況判断ができるため、車両や航空機のエンジンの損傷予測などに用いられ、予知保全はもちろん、メンテナンスコストの適正化にも寄与しています。

物理的条件のブレイクスルー

デジタルツインは、スペースや距離といった物理的制限を超えた活用可能性を秘めています。たとえば熟練のスキルをもつベテラン人員の技術やノウハウを、遠隔の指導員として複数の現場に共有できたり、このスキルをデータとして蓄積し活用できたりと、物理的な障壁を超えて業務改善に役立てられるようになります。

また新しい製品を開発する上で、物理的に必要となる人員やスペースを、デジタル空間で完結できるのもデジタルツインの大きなメリットです。開発中に失敗して廃棄になるといったロスも減らすことができ、さまざまな点において実証実験へのハードルが下がるため、物理的な制限から解放されるでしょう。

社会課題解決のカギ

デジタルツインは個々の企業・業界の課題はもちろん、SDGsに掲げられるような世界規模の社会課題を解決する可能性をはらんでいることから、実用化への期待が高まっています。以下は社会的課題に対するデジタルツイン活用の一例です。

  • CO2削減:エネルギー機器の開発期間を縮めるための技術開発
  • 自然災害:実際の都市における災害をリアルに再現して避難訓練を行い、被害を最小限におさえる計画
  • 少子高齢化:労働現場におけるデータを可視化し、だれもがある一定以上の水準で業務遂行できるよう人員を最適化
  • 食糧問題:デジタル上に農場のシミュレーションモデルを構築、土壌の状態をリアルタイムに把握することで、農作物の収量をコントロール



 

デジタルツインに活用されるおもなテクノロジー

デジタルツインにおいて活用される主要な5つのテクノロジーについてご紹介します。

IoT(モノのデータを収集)

IoT(Internet of Things=モノのインターネット)は、現実空間のデータを収集するのに必要な技術で、デジタルツインの実現には欠かせません。IoTによって現実空間の膨大な量のデータを正確に取得することで、より高い精度でデジタル空間に再現できます。

IoTは近年注目を集めるデジタル技術のひとつで、現実空間に存在するありとあらゆるモノのデータが取得できるようになってきました。IoTには種類があり、カメラやセンサーを設置したり、ドローンや衛生データによって監視したりと、さまざまな方法でモノの情報を取得します。取得できる情報はたとえば、環境(温度・騒音など)、モノの動きや位置、ドアの開閉、植物の水やりなど。これらの情報情報をインターネット経由で取得できるため、離れた位置からでもモノの状態を正確に把握できます。

5G(高速通信によるリアルタイム性)

5G(5th Generation=第5世代移動通信システム)は次世代の高速通信システムで、日本国内では2020年から提供が開始されています。従来の通信よりも高速であることはもちろん、低遅延・多接続を強みに掲げており、大容量データを扱うデジタルツインを実現するには欠かせない要素といえるでしょう。

デジタルツインを実現する上では、IoTの取得頻度や解像度、またセンサーの数によって、全体で必要な通信データ総量は増えていきます。5Gは、現実空間とデジタル空間のデータを、相互に高速通信することで成立するデジタルツインの実現を支える重要な要素です。

AI(データの高精度分析)

収集した複雑なデータを正確に解析して、未来的な予測につなげるのは、AI(Artificial Intelligence=人工知能)の仕事です。バラつきのある大量のデータも、AIにいくつかのパターンを把握させて学習させることで高精度な分析ができるようになり、製造業などではプロセス管理を効率化することにも役立っています。

古くから注目されてきたAIですが、近年の進化はとくにめざましく、AIのできることの幅は格段に広がってきました。とくに深層学習(ディープラーニング)技術などの躍進によって、膨大なデータの中から適切な情報を判別できるようになり、さらにリアルで複雑な再現・シミュレーションが可能になっています。

AR・VR(3Dモデルを可視化)

デジタルツインにおいて、膨大なデジタル情報を、視覚的にわかりやすく表示するために使われる技術としてAR・VRがあります。

AR(Augmented Reality=拡張現実)は現実に対してデジタル情報を重ねて表示できる技術、VR(Virtual Reality=仮想現実)は仮想空間をまるで本物のように体験できる技術です。実空間を拡張できるARを活用することで、将来的におこりうるリアルなシミュレーションを再現し、さらにVRによってこのデジタル空間に入り込み本物さながらに体験できるようになります。デジタルツインにおいては作業支援などの用途で取り入れられることが多いです。

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CAE(シミュレーション実行)

CAE(Computer Aided Engineering=工学解析・支援システム)は、製品設計・開発の際にシミュレーションを行う技術です。デジタルツインにおいては、デジタル上に再現した3Dモデルで、試作や実証実験などのシミュレーションを行う際に使われます。

実物のレプリカを用意せずともシミュレーションを行えるのは、CAEの技術があってこそ。CAE自体は以前から使われている技術ですが、IoT技術の躍進によってより複雑なデータをリアルタイムで扱えるようになったことで、CAEの活用に再び注目が集まっています。

デジタルツインの事例

シンガポールは、世界で初めて国をまるごとデジタル化するプロジェクト「バーチャル・シンガポール」を完了させました。デジタル空間に「今都市で起こっていること」を3Dモデルとして再現し、インフラ整備から犯罪、資源管理や沿岸保護計画までリアルタイムで把握・管理することに成功しています。その一例としては、近年叫ばれる再生可能エネルギーを目的とした太陽光発電ロードマップの作成にも活用されており、よりよい都市づくりのために現在進行形でデジタルツイン活用を拡大している事例です。

アメリカに本社を置くGE社は、デジタルツインを使って航空機のエンジンブレードをモデリングしていることで有名です。とくに航空機は維持コストも高額になるため、エンジンやパーツをデジタルツインで再現することで、経年による損傷・劣化などを把握し、メンテナンス頻度の最適化を図っています。また同社は鉄道などで使う製品にもデジタルツインを組み込むことで、顧客のコスト削減にも取り組んでいます。

2018年6月開催の世界初デジタルワールドカップ「2018 FIFAワールドカップロシア大会」では、デジタルツインの技術が活用されています。本大会で使われたのは、光学トラッキングによりリアルタイムで選手の動きをデータ化して記録し、デジタル空間で再現することでより詳細な分析を可能にしたもの。データ分析結果は、選手の采配や試合の展開予測に活用され、今後スポーツ界がますますデジタル化していく予感を感じさせました。

デジタルツインと営業のデジタル化

デジタルツインは生産工程に置けるデジタル化技術ですが、昨今同じように注目を集めている営業のデジタル化にも通ずるところがあります。例えばSFAやMAなどを使うことで、これまでの営業担当がアナログ(もしくはExcel等で)管理していた営業データをデジタル化し、日々の活動を可視化することが可能です。それにより、売れている営業マンの特徴を掴んだり、その行動内容で今月の目標に届くのかなどを事前に予測することができ、未達を事前に防ぐことができます。

デジタルツインはリアルタイムでのフィードバックが特徴なので、デジタル営業はどちらかというとシミュレーションに近しいものにはなりますが、売上予測を立てたり納品物の不足を事前に察知することができるメリットは共通しています。また、SFAやMAのデータを元にリアルにフィードバックし、リアルの活動データを取り込んで蓄積していく双方向性も似ています

これまでのアナログの営業では無しえなかったフィードバックのサイクルが、デジタル化によって実現できるようになります。全く別の分野にも見える営業のデジタル化ですが、デジタルツインと本質的な部分は近しくなります。製造業DXの1つの選択肢として、検討してみてはいかがでしょうか。


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デジタルを活用し、使うべきところに集中する

DXを推進する上では欠かせないテクノロジーである、デジタルツインについてご説明しました。製造業において、デジタル技術で置き換えることができるところはどんどん置き換え、本来人が集中すべきところに集中することは、生産性を高めていくうえでも重要です。


また、製造業のデジタル化が求められるのは生産プロセスだけではありません。営業やマーケティングプロセスも同様に、デジタルを活用することで自動化したり、効率化したりすることで、顧客や製品に使う時間を増やしていくことができます。

製造業DXやデジタル活用は目的ではなく手段です。高い競争力を保持したり、製品やサービスを磨いて選ばれ続ける存在になるなるためにも、デジタルツインをはじめとするテクノロジーは積極的に取り入れていきましょう。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Mon, 22 May 2023 00:30:00 +0900
<![CDATA[サービタイゼーションとは?製造業をサービス化する重要性・事例や戦略をご紹介]]> https://mtame.jp/column/servitization サービタイゼーションとは、簡単にいうと「製造業のサービス化」のこと。製品を買ってもらって終わりではなく、製品利用をサービスとして提供し続けるビジネスモデルです。

 

近年はさまざまな業種で、自社製品を月額制のサービスとして提供する「サブスクリプションモデル」が広く一般に浸透してきており、製造業においてもこのような事業形態に取り組む企業は増えてきました。

 

本記事では、サービタイゼーションが求められる時代背景から、国内外の企業の成功事例、サービタイゼーションにシフトする手順やポイントについて、わかりやすく解説します。

 

 

 

 

サービタイゼーションとは

サービタイゼーション(servitization)とは、「製造業をサービス化すること」を意味します。従来の製造業が「製品を売ること」を目的としてきたのに対して、サービタイゼーションは、「製品とそれに付随するサービスを売ること」を目的としています。製造・販売から保守管理まで一連のプロセスを「技術力」として売ることで、販売後も取引継続を目指すビジネスモデルです。

 

近年サブスクリプションというビジネスモデルは広く一般に定着しました。実際に、以前は私たちが購入していたCD・車・衣服などの「モノ」は、今では月定額料金制の「サービス」として享受できるように大きく変化してきました。その中で顧客は、従来の「購入がゴール」の売り切りビジネスの時代とは異なり、購入前〜購入後すべてにおける顧客体験価値を重視するようになり、その傾向は年々強まっています。

 

とくに「製造業領域」でのサービス化が重視されている理由に、製品そのものの収益性が低下したことがあげられます。ICTの進展なども影響して、低価格かつ高品質の新興国製品がマーケットに台頭し、日本製品の相対的価値が下がってきていることもまた事実です。このような時代背景については、次章から詳しく解説していきます。

 

サービタイゼーションが求められる背景

製造業で「サービス化」があらためて注目を集めているのには、どのような時代の変化の影響があるのでしょうか。ここでは、サービタイゼーションが強く求められるようになった理由について、3つのポイントに分けてご説明します。

 

モノからコトへ。CXの重要性

国内外を問わず、ユーザーの消費行動の対象が「モノからコトへ」移行していることは、サービタイゼーションを加速させている大きな要因です。大量のモノがあふれる現代で、ユーザーは「モノを所有すること」自体に価値を見出さなくなりつつあります。顧客が重視するのは製品を使うことで得られるメリット、つまり「モノによって得られる体験」=「コト」に移りつつあるのです。

 

ユーザーが製品を通じて得る体験のことは、CX(カスタマーエクスペリエンス)と表現されますが、このようにビジネスモデルがシフトしていく中、CXはさらに重視されるようになりました。もちろん製品そのものの機能や品質を高め、購入後のアフターフォローを行うという点は従来のビジネスと変わりません。その上でサービタイゼーションは、製品の利用を通して実現できる「顧客のビジョン達成」までを見通し、戦略に落とし込むのが特徴といえます。

 

具体的には、顧客の業務フローを知ることで課題を抽出し、導入後のサポートや改善への導きを提供することで、「さらなる付加価値の創出」を目指しています。複雑化する顧客の課題に伴走して顧客の自己実現をサポートし、CXを向上させることは、競合他社の中で優位性を示すことにもつながります。

 

ICT・産業革命・スマートファクトリー

近年ICT(情報通信技術)が急速に進展したこと、産業革命によってスマートファクトリーが実現したことも、サービタイゼーションが求められる背景にあります。

 

製造業のサービス化自体は、実はそこまで新しい概念ではありません。実際に、製品購入後の「定期メンテナンス」を原価におりこんだ料金体系のサービスは多くの企業が訴求してきました。しかし顧客に提示する金額が高額になってしまい、コスト相応のメリットを提示するのがむずかしく、なかなか浸透しませんでした。

 

しかしICT、デジタル技術の進展によって、このメンテナンス手法自体が大きく変化しました。「IoT(モノのインターネット)」によってさまざまなモノがインターネットでつながり、センサーを通してデータを取得するため、機器の状態に合わせたメンテナンスが可能に。また低遅延の高速インターネット「5G」によって、画像データなどの重たいデータも瞬時にやりとりできるようになったことで、遠隔操作も可能になりました。

 

このようなメンテナンス手法の改革によって、問題が発生した場合のみに保守作業を行えるようになったため、企業顧客双方のコストを引き下げることを実現しました。さらに定期メンテナンスによって機器停止なども不要になるため、顧客にとってはサービタイゼーションを提供する企業を選ぶメリットが大きくなっています。

 

製品のコモディティ化

製品のコモディティ化もまたサービタイゼーションが強く求められる理由のひとつです。コモディティ化とは「一般大衆化」といった意味で、市場競争が激化している近年、製品の品質だけでは差別化がはかれなくなってきた現状をあらわしています。

 

高度経済成長期から、高い品質を強みとして市場拡大してきた日本の製造業の多くは、売り切りモデルを採用しているのが現状です。しかしテクノロジーの進化によって、東南アジアをはじめとする新興国企業が高品質製品を生産し安価で販売できるようになった現在、圧倒的な品質の差だけでは差別化がはかれなくなってきました。

 

日本製品の品質の高さは以前として世界をリードしているものの、その優位性が相対的に低下したことで、製品のコモディティ化は深刻化しています。グローバル市場においては、サービタイゼーションにシフトすることで顧客の嗜好性を加味したレコメンドをおこない、顧客の囲い込みをしていく必要性がでてきているのです。

 

 

サービタイゼーション実現を支えるデジタルテクノロジー

製造業のサービス化を実現するには、あらたなメンテナンス手法に着手する必要があることは前章でもお伝えしました。ここではサービタイゼーション実現に欠かせない、主要なデジタルテクノロジーについてそれぞれご説明します。

 

IoT(Internet of Things=モノのインターネット)とは、現実空間に存在するありとあらゆるモノのデータを取得するための技術です。たとえばセンサーが搭載された機器をつかって、環境(温度・騒音など)、モノの動きや位置、ドアの開閉、植物の水やりなどの情報を、インターネットを通じてリアルタイムで取得できます。

 

そのため実際に目視して確認しなくとも、顧客が利用している機器の状態を見える化し、製造業者と顧客の間で共有することができます。メンテナンスコスト削減はもちろん、顧客のワークフローを把握するのにも役立ちます。

 

AI(Artificial Intelligence=人工知能)は近年ますますその精度を上げ、IoTなどで収集した大容量のデータを解析して、未来的な予測にまでつなげることができるようになりました。とくに深層学習(ディープラーニング)技術が躍進したことで、いくつかのパターンを把握させて学習させることで、バラつきのある大量のデータも適切な判断が可能に。製造業においてプロセス管理を効率化することや、リアルで複雑な再現・シミュレーションを行うことで未然に機器トラブルを検知し、改善点の洗い出しにも役立っています。

 

5G(5th Generation=第5世代移動通信システム)は次世代の高速通信システムです。従来のインターネット通信より高速かつ低遅延・多接続を強みとしており、インターネット上で大容量データを扱うサービタイゼーションにおいては欠かせない要素といえます。

 

5Gを活用することで、IoTから取得した現実空間のさまざまなデータを高速でクラウドにあげられるため、リアルタイムで顧客の機器の状態を把握しサービス品質を保つために欠かせない要素といえます。

 

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サービタイゼーション日本企業事例6つ

大企業をはじめとして、サービタイゼーションにビジネスモデルをチェンジしたことで成果を出している企業は数々あります。ここでは、5つの日本企業の事例をご紹介します。

 

トヨタ

2022年も自動車の販売台数世界1位と自動車産業のトップを走るトヨタは、日本国内においてもサービタイゼーションに取り組む先進企業のひとつです。

 

「トヨタ・コネクティッドサービス」では、自動車とインターネットを接続し、車両の状態をリアルタイムで遠隔監視しメンテナンスをおこなうといったサービスを提供しています。顧客に対して、車両をいつでも安心・快適に利用できるという付加価値を与えています。

 

自社製車両による「トヨタレンタカーサービス」は、顧客の一時的に利用したいというニーズに応えるだけでなく、新車購入の際の試乗としても活用可能。カーシェアリングや交通インフラ管理を可能にする「トヨタ・モビリティ・サービス」では、専用のモビリティプラットフォーム「KINTO」を採用しており、顧客にとってベストな移動手段を提案することで、シームレスな移動体験を提供しています。

 

同社はサービタイゼーションの視点から、自動車の生産にとどまることなく、顧客のニーズに合わせた付加価値サービスの提供・CX向上にも注力していることがわかります。

 

ブリヂストン

ブリヂストンは、世界売上トップを誇る日本のタイヤメーカーです。同社も、サービタイゼーションとしてさまざまなサービスを提供しています。

 

同社は、バス・トラック事業者向けサービスとして、IoTによるセンサーでタイヤの空気圧・温度をモニタリングするデジタルソリューション「Tirematics」を提供しています。クラウドを通じてタイヤの摩擦や温度情報などを顧客と共有できるため、トラブルを未然に防止しながら車両稼働を最大化しました。適正なメンテナンスサイクルにより、高い資源生産性を保ち、環境保全の面からも訴求しています。

 

そのほか、同社はタイヤに関するデータ(顧客の装着しているタイヤの情報、保有する車両数から割り出したタイヤ需要、点検結果など)を管理するためのデジタルプラットフォーム「Toolbox」を提供しています。また使用によって摩耗したトレッドゴムを貼り替えて、機能性を復元しタイヤを再使用するまでのプロセスを、リアルタイムに把握し分析できる管理ツール「BASys」を導入することで、業務の効率性を高めています。

 

同社はタイヤメーカーとしてはもちろんのこと、CXや持続可能性にも重点を置き、自動車やモビリティに関連するさまざまなサービスを発展させています。

 

ダイキン

エアコンメーカーとして広く知られているダイキンは、日本の総合メーカーです。主に空調設備を生産しており、世界150か国以上で事業の幅を広げています。

 

同社が提供する「ダイキン グローバルプラットフォーム」は、IoTを活用した空調機のクラウドサービスです。同社の空調設備は、IoTによりインターネットに接続することで、稼働状況をクラウド上で一元管理し、遠隔で故障点検などのサービスを提供しています。さらにこれらの稼働状況から収集したデータを即時解析し、自動制御を行うことで、「常に快適な空調環境」という顧客体験を実現しました。

 

もともと行っていた「空調機の販売」から、「空調機を活用して、より顧客ニーズにフィットした付加価値を提供する空調ソリューションサービス」へと、ビジネスモデルの変革に成功した事例です。

 

クボタ

農機メーカーであるクボタが取り組むサービタイゼーションは、IoTによって農機をインターネットに接続し、土壌や作物収穫量の管理をサポートする「KSAS(クボタ・スマート・アグリ・システム」です。日本は大阪を拠点として、世界中にサービスを提供しています。

 

「KSAS」は農家向けのスマートファームソリューションサービス。IoTが搭載されたクボタの農機を使えば、インターネット上の地図データをもとに、農地情報や作業記録などのデータ収集を自動的に行います。これらのデータをAIが解析することで、作物の収穫量アップや、品質自体の向上も支援しています。

 

もちろん農機そのものの稼働率もリアルタイムで監視しているため、故障などを未然に防ぎメンテナンスコストをおさえ、収量の最大化にも役立っています。農機を通して農場を包括的にマネジメントすることで、利用者の利益にも大きく貢献しているサービタイゼーション事例のひとつです。

 

沖電気工業

沖電気工業は、東京に本社を構える大手電機メーカーです。通信機器をはじめとし、ATMなどの情報機器を主に製造・販売しています。

 

同社が取り組むサービス化事業は「Advanced M&EMS」。「M&EMS」は「Mechatronics & Electronics Manufacturing Service」の略称で、メカトロニクスから取り組んできた同社の強みを名前に組み込んでおり、商標登録もされています。

 

具体的には、建物や施設のエネルギー使用状況をリアルタイムでモニタリングし、エネルギーの消費パターンや使用効率を監視し、効率的なエネルギー管理をサポートするソリューションです。さらにデータ解析によって、エネルギー消費の最適化や省エネルギー対策を提案します。

 

長年にわたる情報通信分野のものづくりで培った、自社のノウハウや生産能力、高い信頼性をサービスとして提供するEMSというビジネスモデルによって、他社との差別化をはかることに成功しました。

 

古野電気株式会社

古野電気株式会社は、兵庫県に本社を構える電子機器メーカーです。 舶用事業を展開しており、大型商船をはじめとする漁船・小型ワークボートといったさまざまな船舶に対して、海洋関連機器を開発、船舶用電子機器・サービスを提供しています。

 

同社の取り組むサービタイゼーションは、「生化学自動分析装置」で、医療機器のひとつです。ヒトの血液中のさまざまな成分を精密測定できるものですが、このデータを個人情報を保護しながらクラウド上で扱えるようにしたことで、データ活用の可能性を広げ、付加価値を生み出しました。医療分野の臨床試験や研究機関などで、正確かつ迅速な診断・治療の実現に役立っています。

 

サービタイゼーション海外企業事例2つ

サービタイゼーションへの取り組みは世界的に進められており、すでに取り組んで成果をあげている企業は多く存在します。ここでは海外企業の成果事例についてもご紹介します。

 

Apple

洗練されたデザインのPCやスマートフォンなど、さまざまな製品の製造〜販売を行うApple。同社ではユーザーがこれらの製品を購入した後も、同社が提供するサービス・エコシステムを通じてユーザーに対して継続的に付加価値を提供するサービタイゼーションに取り組んでいます。

 

「Apple Music」はいわずとしれた月次課金制の音楽ストリーミングサービスです。ユーザーは数百万曲の音楽やラジオ番組、アーティストコンテンツなどを好きなだけストリーミング再生でき、ユーザーごとのプレイリスト作成といった機能も利用できます。

 

「Apple Pay」は同社の端末によって支払いができるデジタルウォレットサービスで、端末にカード情報を登録すれば、店頭からオンラインショップまで、手軽で簡単に支払いができる仕組みを提供。データ保管ができる「iCloud」では、撮影した写真・動画などのデータを保存して複数デバイスで共有できるだけでなく、バックアップ機能によりデバイスの故障時にもデータ復元を可能にしました。

 

さらに「App Store」で提供されるさまざまなアプリケーションをダウンロードすれば、ユーザーはスマホを多岐にわたる目的に使用できます。これによりユーザーのスマホの使用用途の幅を広げるだけでなく、同時にアプリ開発者に収益化のチャンスを提供しています。

 

このように広範なエコシステムを形成し、製品のブランディングだけでなく、あらゆる方面から自社製品をサービス化することで、多くのユーザーの囲い込みにも成功している事例といえます。

 

ロールス・ロイス

ロールス・ロイスは、航空エンジンをはじめとする、エネルギー関連機械を製造販売する会社です。ゼネラルエレクトリック、プラットアンドホイットニーと並ぶ世界三大航空エンジンメーカーのひとつです。

 

同社は、製品の製造・保守・整備すべてのプロセスにおいてデジタル技術を活用しており、中でもとくに注力されているのが販売後のアフターケア・メンテナンスなどのサービス分野です。ロールス・ロイスは約20年前からこれらのサービスを「トータルケア」として提供してきました。

 

サービタイゼーションの取り組みとしては、航空機エンジンを使用した飛行時間に応じて料金を請求する従量課金サービス「パワー・バイ・ザ・アワー」が有名です。IoTを活用しエンジン内のあらゆる箇所でセンシリングを行いデータを蓄積、エンジンの稼働状況を把握することで安全を担保し、同時にメンテナンスの最適化も実現しています。エンジン自体を販売しないため資源循環性も高く、消耗品のメンテナンス・交換サービスも含まれているのがこのサービスの特徴です。

 

またこれらのデータはエンジンの予兆保全のみならず、効率的なフライトパターンを分析する上でも役立てられています。

 

サービタイゼーション戦略構築の手順

サービタイゼーションへシフトするのは簡単とはいえませんが、段階的な転換プロセスを踏んでいくことで、改革による負担を最小限に抑えられるはずです。

 

サービタイゼーションを進めるには、それぞれ個別に提供していた製品とサービスを統合していき、その過程において、サポートやトレーニング、プラットフォームでの顧客のセルフマネジメントすべてを束ねていきます。具体的な戦略策定の手順は、以下のような手順で行います。

 

  1. 自社の強みの洗い出し
  2. ビジネスモデルを仮定(顧客ニーズ・提供価値・収益モデルなど)
  3. テスト運用と検証
  4. パートナー企業選定・エコシステム構築
  5. 事業開発プロセス・事業モデルを標準化

 

また実際にサービタイゼーション戦略を構築する上で、気をつけておくとよい2つのポイントについてお伝えします。

 

サービスの方向性策定

サービタイゼーションの戦略構築において大切になのは、顧客に一方的に製品の価値を与えるのではなく、顧客とビジョンを共有して価値共創につとめる考え方を理解することです。その上で、自社がサービタイゼーションで何を実現したいかを明確にし、どのような方向性でサービスを展開するかを策定します。

 

方向性の例としては以下のようなものがあります。

 

製品重視:製品を中心に位置付け、製品のカスタマイズ性や、メンテナンス・アフターフォローを充実させるサービスの方向性。

 

マーケティング重視:CX強化を戦略の核に据えて、ブランド体験を通して自社製品の魅力を伝え、カスタマージャーニーを最適化するサービスの方向性。

 

基本的には自社のサービタイゼーションにおける目標と、現時点でのリソースを明らかにして、どのような方向性が戦略として有効かを見極めましょう。

 

組織の改新

サービタイゼーションは製品をサービスとして提供するビジネスモデルです。そのため、これまで製品製造を主な事業としてきた企業が、そもそもサービス提供を専門とする部門を持っていないというケースは少なくありません。とくに製造業の中小企業などでは、カスタマーサポートの組織化が必要になる場合も多くあります。

 

具体的には、もともとある事業部門に顧客サービスの機能を取り入れたり、またはあらたに顧客対応チームを設置したりするケースが多いでしょう。人材リソースが限られる場合は兼務体制で行われることも。前項でお伝えした自社の強みや、サービスの方向性をふまえ、効果的な方法で組織の再編成を行います。

 

サービタイゼーションによって得られるマーケティング効果

製造業がサービス化することで、企業の営業・マーケティング戦略の上でも非常に大きな効果を得られるはずです。以下3つのポイントでお伝えします。

 

顧客ニーズに最適なサービス提供

「サービタイゼーション」という一連のプロセスに取り組むことによって、より顧客ニーズに的確なサービスを提供できるようになります。

 

製品売り切りモデルでは、顧客が購入した時点でプロダクトは製造者の手を離れ、定期メンテナンス以外ではその状況を把握することができませんでした。しかしデジタル技術によってサービス化された製品提供においては、顧客の運用データがリアルタイムで取得可能に。予知保全サービス・最適化アドバイスなど、顧客のニーズに合わせた個別化サービスの提供が可能です。

 

さらにユーザー自身が利用可能なサービスプラットフォームを提供することで、より顧客ニーズにフィットしたサービス提供が可能になります。顧客自身がプラットフォームを通じて製品のカスタマイズから発注、サービスのリクエストなどを行える仕組みを整えましょう。顧客の業務フローに、自社製品の活用とそれに対するフォローを組み込むことで、顧客との関係もより強化できるはずです。

 

プラットフォームの提供においては自社のリソースに限らず、パートナー企業と連携することで、ユーザー視点で最適な付加価値サービスを提供できるかもしれません。

 

満足度・リピート率・ロイヤリティ向上による収益安定化

サービタイゼーションにビジネスシフトしていくことで、製品プラスアルファの価値提供が可能になり、顧客の満足度やロイヤリティ向上に寄与します。

 

サービタイゼーションは、一様に同じ製品を販売するのではなく、顧客のニーズに合った形で製品を提供していくビジネスモデルです。サービタイゼーションでは顧客の利用データを分析して提供するサービスをブラッシュアップしていくため、顧客は製品の性能以外にも高い付加価値をうけとることができます。また売って終わりではなく、製品をサービスとして継続利用してもらうビジネスモデルでは、顧客と良好な関係をつみあげていくことが収益安定化につながるのもメリットです。

 

顧客との長期的関係を築くためには、製品の利用・メンテナンスを含むアフターフォローはもちろん、製品のカスタマイズ・データ解析・トレーニングコース・コンサルティングプランなどさまざまなアプローチが考えられます。顧客の課題解決や自己実現に伴走することでロイヤリティを向上させ、ユーザーの「使いたい」という気持ちを高めていきましょう。

 

新たな収益源・ビジネスモデルの確立と競合との差別化

サービタイゼーションを実現できれば、製品の販売数だけに依存することなく、新たに収益源を得られるのも大きなメリットです。

 

たとえば、製品とその周辺サービス・サポートを組み合わせることで、顧客の微細なニーズに応じたトータルソリューションの提供も可能になります。

 

この場合注意したいのは、自社プロダクトを起点に戦略構築すると、提供できるサービスの限界値が決まってしまい、顧客ニーズに対する訴求力が弱まってしまうことです。自社の魅力を最大限に示し、顧客に対して高い価値提供をするためには、他社との連携が必要になることも少なくはありません。自前志向に固執せず、ユーザー起点でのサービスを展開していくことで、ひいては競合他社との差別化をはかることができ、市場での競争力を強めることができます。

 

 

サービタイゼーションへシフトする上での課題

サービタイゼーションにビジネスシフトしていく上で、課題となりやすいポイントについてもお伝えします。

 

人材や技術の確保

サービタイゼーションにおいて、ユーザーの情報解析を行うプロセスは必要不可欠です。もちろんAIによって自動化されつつある領域とはいえ、正しく運用するには専門的な人材リソースも必要になります。>かし実際に日本で、デジタル技術に関する知見、製造業の事業における経験、この両方を持ち合わせている人材を見つけることは非常にむずかしいのが現状です。

 

こういったケースでは、自社内でサービタイゼーションを推進する事業部門の人材が中心となってプロジェクトを立ち上げ、外部リソースを導入し、自社で何を行いたいかを伝えていくことが適切です。またこのとき重要になるのが、社外の人材が変革をリードできるよう、柔軟でオープンな社内文化を醸成していくことといえます。

 

人材確保においては、まずは自社にどのような人材(技術)がいて、どのような人材(技術)が足りないのかを把握し、必要な人材の要件を、人事部・事業部がともにすり合わせながら策定していくことが大切です。さらにサービタイゼーションで必要となる、「顧客の課題を抽出し解決に導くスキル」「顧客の自己実現に伴走するスキル」を習得するためには、座学だけでなく、eラーニング×OJTといった現場でのプロジェクトを通じて習得できるような機会を設けることも必要です。

 

製品・サービスのバランスとツール選定

サービタイゼーションを実現させる上で難しさをともなう点として、製品とサービスをシームレスに統合し、そのバランスをとることが挙げられます。いくら質の高い製品をつかっていても使いやすいサービスとして落とし込めていないケースや、またその逆も然りと、サービタイゼーションにおいて陥りがちな問題といえます。

 

製造業の多くの現場においては、開発・生産ノウハウや高品質の製品を強みとする一方で、顧客の自己実現に伴走するスキルセットは不足している傾向があります。顧客ニーズを正確にキャッチし、最適なサービス提供を続けるには、顧客との対話が必要不可欠です。人材育成やツール選定も含めて、サービタイゼーションにモデルチェンジすることで自社が何を達成したいか、実現に必要な要素はなにかを明確にする必要があります。

 

またサービタイゼーションに移行する上ではデジタルツールの活用も必須項目といえます。とくに、デジタルツールに関して知見のある人材リソースが足りない、といった場合にはツールを提供するベンダーのサポート体制なども確認しておきたい点です。ツール選定の上では、サービタイゼーションで達成したい目的やそれを達成するためのサービス戦略を明確にし、なおかつ自社の規模感にあったツールを選ぶのが成功の秘訣といえます。

 

まとめ

製造業のサービス化、サービタイゼーションについて解説しました。

 

かつては高額なメンテナンスコストからメリット訴求が弱く、製造業において浸透をはかるのは困難とされてきたサービス化。ところが近年のICTの躍進=メンテナンス手法の変革によって、時代が大きく動き始めたのを肌で感じている方も多いのではないでしょうか。

 

「サービタイゼーションにモデルチェンジする」と聞くと大掛かりに感じ、何から始めてよいかわからないという方も、自社の事業内容や事業規模に近い企業の事例などを参考に、まずは取り入れられそうなデジタルツールから試してみるのもおすすめです。

 

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Fri, 19 May 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[コンバージョン(CV)とは?CVRやCROなど関連ワードも解説!]]> https://mtame.jp/content_marketing/conversion
コンバージョン(CV)とは、お問い合わせや資料請求、商品の購入といった、Webサイトで達成したい「ゴール」や「成果」を意味するWebマーケティング用語です。

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コンバージョン(CV)とは?

コンバージョン(CV:Conversion)は、ユーザーが商品を購入したり、資料請求したりするなど、Webサイトで達成したいゴールを示す言葉です。

直訳すると「転換」「変換」などの意味があります。サイトから資料請求すると「潜在顧客が見込み客へ」、商品を購入すれば「見込み客から新規顧客へ」とユーザーが転換していくことを表しています。

コンバージョンを獲得するには、ユーザーの導線を設計したり、有料のWeb広告を利用して自社製品に興味のある顧客を集めたりと、戦略を立てた上でさまざまな施策が必要です。


中間コンバージョン(CV)とは?

施策のひとつに、「中間コンバージョン」という手法があります。

問い合わせをするほどではないけれど、興味があってアクセスしたという、潜在顧客を拾い上げる方策です。「お問い合わせ」ボタンひとつではコンバージョンまで到達しないユーザーも、「お役立ち資料のダウンロード」「資料請求」「無料見積」「無料購読」など、アクセスしやすい「中間コンバージョン」を複数並べておけば、段階を踏んで目標地点へと導くことができます。

コンバージョンの獲得数は、サイト運営の効果を実証する重要な指標です。どのくらい獲得しているか、どんなユーザー層が多いかなど、常に分析しながらマーケティングに活用していきましょう。

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中間CV(コンバージョン)を設置して潜在層のリードを獲得しよう!

コンバージョン(CV)の種類

コンバージョンは、Webサイトの目的にあわせて設定されるため、目的の数だけ種類があります。ここでは、中間コンバージョンを含む、コンバージョンの代表例を紹介しましょう。

自社商品・サービスの購入や問い合わせ

小売業・サービス業で設定される代表的なコンバージョンです。ECサイトの最終目的は、商品・サービスを購入してもらうことであり、直接的な売上向上を目指します。カートに商品を入れて決済をしたり、と問い合わせたりすることでコンバージョンが達成されます。

 

お役立ち資料のダウンロード

BtoB企業のサイトでよくあるのが、中間コンバージョンの代表格であるお役立ち資料のダウンロードです。企業が保有するノウハウや業界情報などを資料にして、コンバージョンに至ったユーザーに配布します。

例えば本メディアでも、マーケティング関連の情報や過去のセミナー資料などを掲載しています。

参考▼
https://mtame.jp/white_paper/

コンバージョンの数で言えば、通常のお問い合わせよりも圧倒的に多く獲得できています。本メディアの場合はダウンロードユーザーの大半が自然検索からの流入なので、適切なコンテンツに適切な資料ダウンロードの導線を設置することが重要です。


資料請求

続いてご紹介する代表的なコンバージョン目的が「資料請求」です。例えば教育機関なら「学校案内」、旅行会社は「旅行パンフレット」、建築業界は「施工アルバム」など、資料請求は幅広い業種で使われるコンバージョンです。しかも、請求のために一度フォーム入力してもらえば、パーソナルデータを入手でき、その後の営業もスムーズになります。

問い合わせや決済と比較すると項目も少ないことが多く、最低限の情報を入力してもらうことで個人情報の取得を目指します。

試供品・無料体験申込み

コスメ、ヘアケア、飲料などの試供品提供や、レッスンなどの無料体験の申込みは、サイトでの紹介だけでは伝わりにくい商材に効果的です。コンバージョンをしてもらうだけで利益が発生してもらうことはなく、試供品や無料体験からの本契約に向けて、それ以外の施策とも組み合わせることがほとんどです。

イベント・展覧会参加申込み

オンラインイベントの申し込みなどもコンバージョンに含まれます。コロナ禍で需要が高まるオンライン開催のイベントなら、Web上で申込みをしてもらうと、そのまま会場まで誘導できるので、集客しやすいというメリットもあります。

採用申込み

企業が運営するリクルートサイトのコンバージョンです。人材不足の業界や、優秀な人材も求める企業にとっては重要な役割を果たします。履歴書や職務経歴書をフォーム送付時に添付することが多く、面接までに必要な情報を取得する重要なコンバージョンポイントとなります。

コンバージョン率(CVR)とは?

続いてCVRについてご紹介します。コンバージョン率(CVR:Conversion Rate)とは、Webサイトのアクセス数に対して、どのくらい目標達成につながったのかを表した割合です。

たとえば、閲覧したユーザーのうち、商品購入や資料請求まで到達したユーザーはどれくらいかといった、サイトの成果を判断する際にコンバージョン率が指標のひとつになります。アクセス数が多い割にはコンバージョンが少ないなど、コンバージョン率がわかればWebサイトの問題点も明確になります。

コンバージョン率の計算方法は以下の通りです。

CVR(CV率)の計算式・計算方法


たとえば、1か月の商品購入数(コンバージョン数)が10件、Webサイト訪問数が1000の場合、「10÷1000×100=1」でコンバージョン率は1%になります。この数値が大きいほど、効率よく成果が挙がっているといえます。

【関連記事】
CVR(CV率)を上げるにはどうすればいいの?考え方と対策について

コンバージョン率最適化(CRO)とは?

コンバージョン率最適化(CRO:Conversion Rate Optimization)とは、コンバージョン率をアップさせるための取り組みのこと。つまり、サイトへ来てくれたユーザーのコンバージョン率を上げるための戦略です。

SEO対策でWebサイトの閲覧数が伸びたのに、コンバージョン率はいまいち…という場合は、積極的にCROを行って、サイトの改善を図りましょう。

具体的な手法としては、LPO「( ランディングページ最適化)」「EFO(エントリーフォーム最適化)」「Web接客」などが挙げられます。自社のボトルネックに合わせて、ツールを活用したりWebサイトを改修していくことが重要です。LPOやEFO、Web接客に関してはここから具体的に解説いたします。

【関連記事】
SEOに続いて注目を集めるCROとは

LPO

「LPO(Landing Page Optimization)」とは、ランディングページを訪れたユーザーに対して最適化する手法です。 ランディングページとは、広義で「ユーザーが最初に着地(Landing)するページ」のことをいいますが、Webマーケティングの分野では、ユーザーをお問い合わせや商品購入などへ導くために、特別に用意した商材紹介ページのことを指すこともあります。この辺りは文脈で判断するとよいでしょう。

LPOを実施する際のマインドとして大切なのは、ユーザーが何を期待しているかです。サイトに訪れる前に期待している情報やサービスを提供できれば、コンバージョンは増えていくはずなので、そういった視点を常に忘れないようにしてください。

ランディングページを見直せば、コンバージョンも獲得しやすくなるので、CVRの向上が望めます。商材のPRページを2パターン作成し、そのどちらが支持されるかを測定する「ABテスト」を実施するなど、さまざまな施策を取り入れて、ユーザーに支持されるページづくりを心がけましょう。

EFO

LPO「EFO(Entry Form Optimisation)」は、コンバージョン手前となる、お申し込みページのエントリーフォームを改善していくことです。入力項目が多かったり、入力エラーが何度も起こったりすると、ユーザーはすぐにサイトを離れてしまいます。

フォームまで訪れているユーザーは検討度合いも高いことがあるのと、最もゴールに近いポイントとなるため、改善できればコンバージョン増加に大きく貢献できるのがEFOの特徴です。不要な項目の削除や質問方法の変更によって手軽により組める領域ではあるので、離脱率が高いと感じている場合は見直してみてください。 

※BowNowを使えば自社で簡単に変更できるフォームを無料で作成可能です。
もしご興味があればこちらの概要資料を参照ください。

>無料から使えるMAツール「BowNow概要資料」をダウンロードする。


【関連記事】
簡単なのに効果的!EFOとは?


Web接客

代表的な「Web接客」として、「バナー型」と「チャット型」があります
「バナー型」は、バナー形式でクーポンや期間限定のキャンペーンなどをお知らせします。とくにBtoCで使われることが多く、アクセスするとバナーで有益な情報を伝えてくれます。

「チャット型」は、チャット機能で直接ユーザーとコミュニケーションを取る方法です。こちらはBtoB業界でよく使用される手段で、カスタマーサービスやFAQなどの役割を果たします。


※無料から使えるチャットボットをリリースしております。
是非コンバージョン数の向上にお役立てください!

>顧客を離脱させないチャットボットIZANAI(イザナイ)


サイトにあった接客ツールを導入して、効率よくコンバージョン率最適化を目指しましょう。

【関連記事】

CVRを向上させる「WEB接客(チャットボット)ツール」とは?種類や活用事例まで!

チャットボットとは?種類、目的、メリット、ツールなどをまとめました!

 

コンバージョンを増やすには

ここまでコンバージョンやCVR、CROについて解説してきました。では、コンバージョンを増やすにはどうすれば良いのでしょうか。大前提として抑えておきたいのは

コンバージョン数=セッション数×コンバージョン率(CVR)


という計算式です。

まず、ターゲットのセッション数が少なければ、いくらWebサイトの中身を改善してもコンバージョンは増えません。ゼロに何を掛けてもゼロだからです。

一方で、いくらセッション数が多くてもサイトの中身が悪ければコンバージョンは生まれません。こちらもCVRがゼロであれば何を掛けてもゼロにしかならないからです。

そのため、コンバージョンを増やすためにはまず現状を知ることが重要です。ターゲットを集客できているのか、サイトに致命的な穴がないかをキーワード順位チェックやGoogleアナリティクスで確認し、改善をする必要があります。

双方を完璧にすることは現実に難しいのですが、インパクトの大きい箇所を見極め、改善し続けることは重要です。コンバージョンを増やしたいと考えたら、まずは現状を分析し、最も改善の伸び代のある箇所からテコ入れするようにしてください。

ちなみに、現状で全くコンバージョンがない場合はセッション数が足りていないことがほとんどです。狙うべきキーワードを見極めてSEOで対策をしたり、Web広告を出すなどの手段もご検討ください。

【関連記事】

>SEOのキーワード選定の手法まとめ!お役立ちツールや無料で使えるサイトまで!

>Web広告(ネット広告)とは?基本の9種類とそれぞれのメリット・特徴などを比較
 

 

コンバージョン(CV)関連のその他の用語

最後に、コンバージョンに関連するキーワードをいくつがご紹介いたします。一言で「コンバージョン」と言っても様々な言葉がありますので、ご紹介するものは最低限の知識として理解しておきましょう。

ビュースルーコンバージョン

ビュースルーコンバージョンとは、過去に広告が表示されたもののクリックをしなかったユーザーが、別のルートでコンバージョンに至った数のことを指します。例えばどこかのWebサービスやメディアサイトでバナー広告を見たユーザーが、後で想起して検索エンジンで調べなおしたりした際のコンバージョンなどがあります。

マイクロコンバージョン

マイクロコンバージョンは、最終的な成果(コンバージョン)に至るまでの中間ゴールのことを指します。まだ十分な数のコンバージョンが獲得できていないWebサイト等で使用されることも多く、立ち上げ初期に指標となります。

アシストコンバージョン

アシストコンバージョンとは、「最終的なゴールであるコンバージョンに対して間接的な影響を与えた数値」のことです。その名の通りコンバージョンをアシストした数値を指します。

まとめ

コンバージョン(CV)はWebマーケティングにおいて重要な指標のひとつです。アクセス数を伸ばすだけでなく、Webサイトの目的にあったコンバージョンを設定して、効率的に獲得すれば企業の売上に大きく貢献できます。

ただし、需要の高まるオンラインビジネスでは、見込み客はいままで以上に分散されていく可能性があります。常に変化する市場を意識して、コンバージョン率(CVR)をチェックし続けることが必須です。

まずは、コンバージョンについての知識を深め、サイト運営の効果を最大限に高めていきましょう。

 

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>中間CV(コンバージョン)を設置して潜在層のリードを獲得しよう!

>潜在層をあと一歩踏み出させるための施策~中間コンバージョンとは~

 

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Thu, 18 May 2023 07:30:00 +0900
<![CDATA[製造業のデジタル営業・マーケティング特集]]> https://mtame.jp/digital_marketing/industry_marketing/ Thu, 18 May 2023 00:00:00 +0900 <![CDATA[サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットから導入ステップまで]]> https://mtame.jp/column/a1078 サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、原材料の調達から消費まで、顧客に製品を届ける一連の流れを管理して最適化することを意味します。

 

インターネットの普及とともに、ECサイトが広く利用されるようになり、サプライチェーンマネジメントの仕組みも大きく変化しました。在庫はテクノロジーにより管理され、配送は24時間体制のネットワークでつながれています。これからのビジネスで勝ち残るために、さまざまな企業がサプライチェーンマネジメントに注力するようになりました。

 

そこで本コラムでは、サプライチェーンマネジメントの重要性やメリットなどについてご紹介します。

 

 

 

 

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは

 

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは

 

サプライチェーンマネジメントを解説する前に、まずサプライチェーンについて説明します。

 

サプライチェーンとは、原材料の調達から製品を消費者へ届けるまでのモノの流れです。日本語では「供給連鎖」と訳されます。自社の業務だけでなく、卸売業者や小売業者、配送業者などを含むフロー全体のことをいいます。

 

そしてサプライチェーンマネジメントとは、そのサプライチェーン全体のモノやお金、情報の流れを結びつけて、最適化する経営管理の手法のことです。Supply Chain Managementの頭文字を取って「SCM」とも呼ばれています。

 

サプライチェーン全体を統括して最適化し、コストやリソースを抑えながら利益向上を目指すのが、サプライチェーンマネジメントの役割です。各プロセスをひとつずつ効率化するのではなく、全体のバランスを見ながら連携することが大切なポイントになります。

 

サプライチェーンマネジメントが重要視されている理由

最近では、サプライチェーンマネジメントに取り組む企業が増えています。ここでは、重要視されている背景を4つのカテゴリーから解説します。

 

ビジネス環境の変化

インターネットの普及、デジタルの活用でビジネスモデルは大きく変わりました。ECサイトの拡充で販売と配送は一体化。消費者は、迅速で滞りのない供給を求めるようになっています。その需要に対応するため、企業ではサプライチェーンマネジメントを導入して最適化技術の開発を進めるようになりました。

 

大手化学メーカーの「花王」では、市場の需要に応じて商品をムダなく供給するためにSCM部門を設置しています。商品を速やかに届けるため卸店を通さず、全国8万点の小売店に直接供給するシステムを採用。需要予測の開発などにも取り組み、革新的なサプライチェーンの実現を目指しています。(参考:花王 サプライチェーンマネジメント

 

また、少子高齢化による人手不足も深刻化しています。最近では、働き方改革関連法による「2024年問題」としてドライバー不足も大きく取り上げられました。そのような労働環境の変化もあり、企業ではムダな物流を防ぐなど、サプライチェーンの最適化が急がれています。

 

ニーズの多様化で顧客中心に

消費者は、自らインターネットで情報を集めて、自分の欲しい商品を手に入れるようになりました。ニーズは多様化し、ユーザーが必要とする商品を最適なタイミングで供給できるよう、企業では製造、販売、配送の効率化が求められています。

 

また、ビッグデータを活用した分析が可能になり、ニーズを細かく把握できるようになったこともサプライチェーンマネジメントが注視されている理由です。需要予測を行い、供給とのバランスを見直すことが、在庫調整やコスト削減、ひいては企業の利益へつながります。

 

インダストリー4.0との関係

「インダストリー4.0(第4次産業革命)」とは、2011年にドイツで提言された産業政策のことで、AIやIoTなど最新テクノロジーを取り入れた製造業の革新が進められてきました。 このプロジェクトにより、サプライチェーンにも積極的にIT技術が導入されるようになりました。

 

たとえば、従来の製造業では、商品の故障を待ってから修理を行っていましたが、テクノロジーの導入で機器の不具合を事前に予測することが可能に。故障を防ぐことでサプライチェーンを途切れさせない仕組みが作り出されました。

 

このような製造業のデジタル化が、サプライチェーンマネジメントの導入をさらに加速させています。

【関連記事】

インダストリー5.0とは?「次世代の自動化製造」に取り組むメリットや課題、各国の取り組みや歴史的背景を解説

 

グローバル化の加速

企業ではグローバル化が進み、製造や物流などをつなぐネットワークもいまや世界中に広がっています。海外への原材料の調達、在庫整理などを複雑なネットワークを個別管理していては迅速な対応ができず、他社との競争に勝てません。移り変わりの早いマーケットで勝ち残るためには、サプライチェーン全体の流れを一元管理することが不可欠です。

 

サプライチェーンマネジメントの業務

サプライチェーンマネジメントの業務は多岐に渡ります。企業や製品によっても業務は異なりますので、一般的な内容について紹介します。

 

計画

商品・サービスの事業計画を元に、原材料の調達や商品の生産、販売についての計画を立案。必要なリソースの計画・管理を行います。計画を実現するためには、目標達成を測定する指標設定も必要です。

 

調達

調達プロセスでは、安定して原材料を調達できる仕組みづくりがメインになります。高品質の原材料を低コストで迅速に調達することが目標です。価格交渉や発注、受け取り、在庫管理など幅広い業務が発生します。このプロセスで希望どおりの調達ができれば、市場での高い評価につながるでしょう。

 

生産

原材料を調達したら、次は製造に入ります。コスト面を考えながら、速やかに生産できるシステムづくりを構築。製造や品質検査、梱包などの体制を整えます。誰が作業しても同じ製品ができなければなりません。作業時間や設備、スキルなどを調整して、標準化の推進に努めましょう。

 

販売と物流

注文や出荷、配送の調整、請求など販売した顧客へ商品を届けるための工程です。ECサイトでは、迅速な配送体制が求められます。顧客が希望した日時に届けられる仕組みづくりができれば、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

 

返品

返品・交換への対応力を高めることも欠かせない業務のひとつです。欠陥商品や過剰供給で不要になった製品の回収対応、返金状況の見える化などの構築を行います。スムーズで丁寧な返品対応ができれば、固定ファンを増やすきっかけになります。

 

サプライチェーンマネジメントの導入メリット

サプライチェーンマネジメントを導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、代表的な3つのメリットについて説明します。

 

在庫の最適化

サプライチェーンマネジメント導入のメリットは、在庫管理を最適化できることです。需要予測が重要で、市場ニーズをデータ化して消費量と在庫量が可視化できれば、余剰在庫を抱えることもありません。反対に、適正に在庫管理が行えない場合、経営悪化にもつながることも。また、在庫が可視化できれば原料不足に陥ることなく、生産ラインの停止も防げます。

 

コスト削減

サプライチェーンマネジメントで効率化できれば、さまざまなコスト削減が実現します。企業と販売業者で情報を共有することで、ニーズに合わせて製造量が調整でき、企業は余剰在庫にかかるコストをカットできます。販売業者側もムダな運送コストがかかりません。

 

配送業者とも連携すれば、立地を考慮してまとめて配送することも可能になり、運送の回数も減らせるでしょう。

 

人手不足の改善

サプライチェーンマネジメントに取り組むことで、製造や販売、物流などの体制が改善され、人手不足の解消につながります。市場のニーズを把握して、需要の高まる時期だけスタッフを増員することも可能です。閑散期に人手が余ってしまうこともなくなります。

 

また、業務効率が改善できれば、作業開始から終了までにかかる時間(リードタイム)を短縮できます。迅速で速やかな供給が可能になるでしょう。

 

サプライチェーンマネジメントのデメリット

一方、デメリットとして真っ先に挙げられるのは、導入コストが高いことです。ここでは、サプライチェーンマネジメントの2つのデメリットを紹介します。

 

導入コストが高い

サプライチェーンマネジメントを構築するには、自社だけでなく子会社や関連会社とのシステム連携が求められます。そのため、システムの運用・保守などを含めると、大規模なITインフラの費用がかかってしまうことに。柔軟性の高いクラウドサービスを利用するなど、企業に適したテクノロジーを選ぶ工夫が必要でしょう。

 

ただし、サプライチェーンマネジメントが順調に進めば、在庫管理や物流システムなどさまざまなコスト削減が期待できます。その後の運用次第で、カバーできる点とも考えられるでしょう。

 

運用が難しい

サプライチェーンマネジメントは、小売業者や配送業者など参画している企業が多いため運用が複雑になります。効率化に取り組んでいない企業があれば、その意識改革も必要です。海外企業との連携を図る場合、さらに調整は難しくなるでしょう。

 

適切な管理体制が設計できないと、システム全体のパフォーマンスも低下してしまいます。生産体制や物流、販売などの全体を把握できる高いスキルをもつ人材も求められるでしょう。

 

サプライチェーンマネジメント導入の手順

最後に、サプライチェーンマネジメントを導入する際のステップについて説明します。

 

導入目的の共有

最初に行うのは、導入の目的や解決したい課題を明確にし、社内で共有することです。そして、サプライチェーンマネジメントを実行することで、課題がクリアにできるのかを検討しましょう。その上で具体的な方針に落とし込んでいきます。

 

必要な人材、費用、役割なども話し合います。担当者や中心となる部署を決定し、メンバーが決まったら分担についても確認し、共有しておきましょう。

 

必要なサービスの選定

どのようなシステムが必要なのか、どのようなサービスがあるのか、自社に適したツールを比較・検討することも大切なプロセスです。 既存システムがある場合は、どう連携させるのかも確認します。

 

サプライチェーン全体に関わってくるので、トラブルが発生したとき、すぐにサポートしてくれるかどうかも重要な選定ポイントです。

 

効果の検証・改善

導入後は、どのような効果があったのか、課題が改善したのかを検証しましょう。目標数値の達成度や人員体制などを確認し、成果が出ていない部分は改善策が必要です。サプライチェーンマネジメントは、顧客体験の向上や在庫の最適化につながるだけでなく、収益にも大きく影響します。経営目標とあわせて検証し、PDCAを回しながらシステムの精度を高めていきましょう。

 

まとめ

サプライチェーンは、ビジネスモデルの変化に伴い、革新の時期に来ています。ECサイトの拡大で日用品をはじめ、アパレル、家電家具などほとんどの商品やサービスがインターネット経由で購入できるようになりました。消費者のニーズは多様化しています。

 

そのため企業は、需要にあわせた効率的な供給が求められています。サプライチェーンマネジメントは、ビジネス強化を目指すなら不可欠な仕組みづくりといえるでしょう。

 

ただし、管理・連携する業務は広範囲に及びます。人手が足りない、何から手をつけたらいいのかわからないという場合は、サポートしてくれるサービスやツールを上手に活用しながら課題をクリアしていきましょう。ぜひ、この機会にサプライチェーンマネジメントの導入を検討してみてください。


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Thu, 18 May 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[【製造業のデジタルマーケティング】活用が進まない理由とそれでも必要な理由(前編)]]> https://bluemonkey.jp/media/column/manufacture_digitalmarketing_01 Tue, 16 May 2023 00:00:00 +0900 <![CDATA[インダストリー5.0とは?「次世代の自動化製造」に取り組むメリットや課題、各国の取り組みや歴史的背景を解説]]> https://mtame.jp/column/industry_5  

インダストリー5.0とは、産業において「次世代の技術革新」と呼ばれる取り組みです。およそ10年前に提唱された産業革命「インダストリー4.0」に、人間中心・環境保全視点でのコンセプトが加えられ、現在世界中で取り組まれています。

日本の製造業は、パンデミックや激変する世界情勢、新興国の低価格製品がマーケットに台頭したことによって、苦戦を強いられているのも現状です。しかし、世界に誇れる「日本の高い技術力やノウハウ」は、これを最新デジタル技術によって磨き上げることで、ふたたび世界をリードするのに充分なポテンシャルを秘めています。そのために、インダストリー5.0への取り組みは、日本の製造業が避けては通れない道といえるのです。

本記事では、これまでの産業革命(インダストリーX)の歩みやインダストリー5.0に至った経緯、取り組むメリット、各国の取り組みなど、インダストリー5.0について包括的に解説していきます。

 

※デジタルトランスフォーメーションについてまとめた資料(全41ページ)もご用意しました。
こちらも併せてご活用ください。

>「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは」の無料資料をダウンロードする

 

 

 

 

インダストリー5.0とは

「インダストリー5.0(Industry 5.0)」とは、2021年1月に欧州委員会によって定義された産業革命の方針のことで、第5次産業革命ともいわれます。産業が、国や企業の枠組みにとらわれず、地球規模で目指すべき姿として提唱されました。

 

ひとつ前の産業革命「インダストリー4.0」がドイツによって提唱されたのは2011年。こちらは、現実空間×デジタル空間を高精度で融合させる技術によって産業の効率化をはかり、ビジネスモデルの革新を目指すものです。しかしこれらを推進する上で、プロセスの自動化によって失われるカスタマイズ性、環境保全視点での持続可能性、不測の事態への回復力といった面がカバーしきれないことも課題として見えてきました。

 

インダストリー4.0が目指す、デジタル技術を駆使した高精度の技術革新に加えて、「人間を中心とした産業のあり方」「環境・社会問題の解決」「パンデミックや災害・戦争など予測のできない事態への対応」、これらを包括的に実現する取り組みとして「インダストリー5.0」の構想が出来上がりました。

 

これまでのインダストリーX、インダストリー4.0とインダストリー5.0の違い

産業革命とは、人による手仕事が機械化していく歴史を表します。これまでに起こった産業革命それぞれの主な特徴として、以下のようなイメージを連想する方も多いのではないでしょうか。

 

  • 第1次産業革命:蒸気機関
  • 第2次産業革命:電力化と大量生産
  • 第3次産業革命:IT・自動化
  • 第4次産業革命:スマートファクトリー

 

ここではそれぞれの産業革命について詳しく説明し、どのようにインダストリー5.0に至ったかを振り返っていきます。

 

インダストリー1.0「産業の工業化」

18世紀半ばにイギリスで起こったインダストリー1.0(第1次産業革命)は、「蒸気機関」による発展です。それまで人の手で行われていた作業が、蒸気機関という動力によって機械化され、とくに綿織物などの繊維製造技術において大きく発展しました。

 

またジェームズ・ワットが完成させた「蒸気機関」によって蒸気船や鉄道が生まれたことで、人の移動手段や物流の可能性は大きく広がります。さらにこの蒸気機関を原動力とした機械化によって、製品製造は自動化を実現しました。実際に当時イギリスでは、植民地から輸入した綿花で加工品をつくり、中国・インドとの三角貿易において輸出することで、大きな利益を生み出していました。産業の機械化によって、人々の生活へ大きな変革をもたらしたのが、このインダストリー1.0といえます。

 

インダストリー2.0「大量生産」

インダストリー2.0(第2次産業革命)の中心舞台は、イギリスからドイツ・アメリカへ移り変わっていきます。エネルギーは石炭をつかった蒸気機関から、石油燃料を活用した内燃機関に移り変わり、また一方で電力化も進みました。18世紀末から19世紀のことです。

 

1880年前後にはエジソンによって電力システムが実用化され、また同時期には電気通信=電話が発明されたことで、人々の生活における通信手法に革命が起こります。また石油燃料は熱効率がよく、従来よりも小型化しやすくなったことでエンジンが開発され、自動車や航空機の開発に寄与しました。

 

これらの電力の供給や、よりパワフルな原動力によって産業の大量生産化が進み、時代は大量生産・大量消費の時代に突入します。

 

インダストリー3.0「コンピューターの普及」

インダストリー3.0(第3次産業革命)は、20世紀半ばから後半にかけて起こった、コンピュータの登場による産業革命です。第二次世界大戦ごろからアメリカで開発されてきた「コンピュータ」や、これらをつなぐ通信技術「インターネット」が導入されたことで、もともと自動化されていた機械作業がコンピュータによって制御されるようになり、生産性やその正確性はさらに向上しました。

 

単純作業であれば、産業用ロボットが人の手作業を代替できるようになり、組み立て工程の無人化が実現しました。このインダストリー3.0を皮切りに、本格的に産業の電子化・IT化がすすんでいくことになります。

 

インダストリー4.0「スマートセル化」

インダストリー4.0(第4次産業革命)は、2011年にドイツが提示したコンセプトで、ドイツの国家戦略として進められてきたものです。この概念はドイツ国内にとどまらず、欧米をはじめ中国や日本、東南アジアの新興国まで世界市場に大きく影響を与えました。

 

このプロジェクトは、IoTやAIによる高精度な生産管理、現実空間とデジタル空間をつなげるサイバーフィジカルシステム(CPS=Cyber Physical System)による技術革新が大きな特徴です。CPSは通称デジタルツインと呼ばれ、高精度な自動化管理が可能になることから、現在多くの産業で導入されています。

 

インダストリー4.0の主題となる「スマートセル」は、生産ラインをセル=区画で管理することで、生産ライン全体の最適化をおこなうもの。IoTによるセンサー、AIの機械学習による高度解析によって工場全体を見える化することで、人がいなくても安心して稼働できる仕組みづくりを実現するのはもちろん、個々の顧客ニーズにカスタマイズした製品製造が可能に。AIはすばやく問題を検出して将来的な予測をするため、高い生産性を実現できます。

 

インダストリー4.0の目的は主に2つ、製造技術のサービス化と、新興国への効率的展開の二軸です。さらに蓄積したデータやノウハウ販売によってあらたに収益源を生み出す手法も、インダストリー4.0において新たに確立されているビジネスモデルといえます。

 

インダストリー5.0を構成する3つの軸

インダストリー5.0の概念は、3つの柱によって支えられています。どれも今後、世界や日本の製造業が発展を遂げていく上で非常に重要なポイントです。

 

ヒューマン・セントリック「人間中心主義」

インダストリー5.0で新たに掲げられたコンセプトに、「ヒューマン・セントリック(Human-centric)」=「人間中心主義」があります。技術革新は人々の生活をよりよくするため、産業の発展は人間の価値を最も重んじ、人間の利益を最大化するためにおこなうべき、という人間中心の考え方です。

 

インダストリー4.0では、ロボットなどの導入により高度な自動化・生産効率性を重視するあまり、人間視点・社会視点でのカスタマイズ性が失われていたことが課題でした。インダストリー5.0では、人間主導の産業において、ロボットの役割を明確にして協業することで、より高度な価値創造を目指しています。

 

ヒューマン・セントリックを実現するには、人間とロボットが協働できる人間中心のデザイン、たとえばスキルシフトのための現場教育や労働条件の改善などが重要です。この「人間の能力や創造性を重んじる」コンセプトは、日本企業がもとより重要視してきた「現場主義/職人主義」の考え方そのものであることからも、日本の製造業は今後、グローバル市場で重要な役割を担うポテンシャルを秘めているのではないでしょうか。

 

サステナビリティ「持続可能性」

「サステナビリティ(Sustainability)」=「持続可能性」とは、産業革新において、社会的な環境負荷を最小限におさえながら、経済成長を実現する考え方です。

 

産業発展においては、経済成長や利便性を追求していく一方で、常に環境課題を抱えてきました。そのためインダストリー5.0ではあらためて、「次世代の環境に負担をかけずに経済発展すること」を重要なコンセプトとして掲げています。

 

具体的には、CO2排出量や廃棄物の削減、再生可能エネルギー・省エネルギー技術の活用など、エネルギーのより効率的な利用について謳われています。SDGsなどに見られる、企業や組織が社会に対して果たすべき責任についても言及されており、地域社会への貢献やサプライチェーンの透明性を高めるべく「サステナブルであること」に取り組む企業は増えてきました。

 

またIoTやAIなどを活用することで、異なる産業や組織が連携してプラットフォームやネットワークを築き、社会全体でサステナビリティを実現する「循環型社会」の考え方も重視されるようになっています。

 

レジリエンス「回復力」

環境の変化や、不確実性に対する「レジリエンス(resilience)」=「回復力」もインダストリー5.0の重要なコンセプトのひとつです。生産活動の上で不測の事態が起こった際に、デジタル技術を活用してできるリスクマネジメントの考え方を示しています。

 

不確実性とは、自然災害や戦争などの環境変化による回避しがたい事態のこと。ここ数年は多くの産業がパンデミックの影響を受け、不確実性に対して、生産システムの頑健性を高めて回復する力がより重視されるようになりました。

 

製造ラインにロボットを導入することで、人手不足を解消し、生産性をあげて、さまざまな変化に対して柔軟な対応ができるシステム構築を目指します。たとえば災害時などに、サプライチェーンに生産・物流の障害が発生することを想定して、さまざまな地域に生産拠点や代理店を分散する考え方も、「レジリエンス」への取り組みのひとつです。

 

インダストリー5.0へ取り組むメリット

インダストリー5.0に取り組むことで得られるメリットについて、ここでは3つのポイントに分けて解説します。

 

環境に配慮した産業(IoT・ AI活用)

インダストリー5.0に取り組むことで、環境に配慮した産業を実現できます。環境に配慮した産業では、資源の有限性を考えた循環型社会の実現や、海洋汚染や地球温暖化などさまざまな環境課題の解決を目指しています。

 

さまざまなモノとセンサーでつながるIoTや、ここから収集したデータを高精度に分析するAIを活用することで、製造プロセスの適正化をはかり、生産につかう原材料や廃棄物を最小限におさえられるようになります。たとえば従来の大量生産に対して、顧客ニーズにカスタマイズした製品製造が可能になるのはまさにインダストリー5.0に取り組むメリットです。

 

注意すべきは、デジタル技術の導入は生産効率化がはかれる一方で、多くのエネルギーを消費する点です。エネルギー消費を最小限におさえるシステムを導入したり、再生可能エネルギーを活用したりすることで、最適な取り組みが求められます。

 

予測値の正確性向上(デジタルツイン活用)

インダストリー5.0に取り組むメリットは、デジタルツインを活用することで、予測値の正確性を向上させられることです。

 

デジタルツインは、現実空間のモノや環境から取得したデータを、デジタル空間にそっくりそのまま再現するテクノロジーのこと。AIがデジタル空間で行った分析・検証を、リアルタイムで現実世界にフィードバックすることで、未来の変化までを予測できるのがデジタルツインの特徴であり目的です。

 

実際に使われている製品・稼働している設備や生産ラインなどの動的なデータを、リアルタイムで再現しながら予測を行えるため、予測値の正確性は劇的に向上します。またトラブル発生も事前に予測でき、問題発生後もリアルタイムで対処できるシステムは、よけいな運用コストを削減し、製造業における競争力向上に寄与するはずです。

 

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労働力不足解消(ロボット・コボット活用)

ロボットやコボットによって人手不足・労働力不足の解消が見込めるのもまた、インダストリー5.0に取り組むメリットのひとつです。コボットは人間と同じ空間で、人間の存在を認識して一緒に作業ができる協働ロボット。組み立てや運搬などの軽作業をまかせられるのはもちろん、ロボット間でのデータ連携も可能です。

 

製造業では単純作業だけでなく、高度なスキルや経験値を必要とする工程も少なくない反面、高齢化や少子化により、この領域の人材不足は深刻化しています。このような現場にロボットやコボットを導入し、単純作業や危険をともなう作業を任せることで、労働力不足の解消・生産性向上が見込まれることから注目されています。

 

ロボット・コボット導入は、コストや保守管理、教育の面でも少々ハードルが高いと感じるかもしれません。しかし日本の総人口予測は、2030年には約11,900万人・2040年には約10,700万人・2050年には約9,500万人ほどに減少すると考えられており、人手不足はますます深刻化していくことが予想されます。将来的な労働力不足にそなえて、ICTを取り入れた適切な環境整備を、段階的におこなっていくことが必要です。

 

 

インダストリー5.0で製造業が取り組むべき3つの「X」

インダストリー5.0において製造業に求められる変革は、以下3つの「X」で表現されます。

 

「BX」=システムの導入と意識変革

「SX」=サステナブルな企業価値創出

「EX」=働く人の体験価値

 

ひとつずつ解説していきます。

 

「BX」(ビジネス・トランスフォーメーション)

BX(ビジネス・トランスフォーメーション)は、IT・デジタルテクノロジーを導入することで、業務プロセスやビジネスモデルの改善をおこなうことです。近年、デジタル技術の進化やグローバル競争の激化などの影響で、必要性が高まっています。

 

BXにおいてよく導入されるシステムには、顧客データを一元管理するCRMや、経営情報を一元化するERPなどがあります。製造業においては、原材料調達から製造・販売までを一元管理するSCM(サプライチェーンマネジメントシステム)や、製造プロセスの稼働状況を把握できるMES(製造実行システム)なども有用です。

 

これらのシステムを導入することで提供価値の品質向上につながる一方、BXはこれらのシステムを導入するだけでなく、システムを活用する人員・組織全体としての意識改革も必要になります。場合に応じて組織の変革や人材育成など、柔軟に取り組んでいくことが重要です。

 

「SX」(サステナビリティ・トランスフォーメーション)

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)は、不確実性が高まる社会のなかで、企業の稼ぐ力と社会の持続可能性を両立させるための戦略です。経済産業省が2020年8月に公開した「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」において提唱されました。

 

参考:「 サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会

 

ここでいう社会の持続可能性とは、エコロジー(環境)・ソーシャル(社会)・ガバナンス(企業統治)の3つの軸で支えられた概念で、今や国家経済が持続的に発展する上で欠かせない考え方として浸透してきています。SXへの取り組みは、社会的な信頼やブランド価値向上だけでなく、企業の競争力にも影響すると考えられています。SXで具体的に示された施策は以下の3つです。

 

  1. ビジネスモデルを強化するため、企業と社会のサステナビリティを同期させ、事業ポートフォリオ管理・イノベーション創出などの経営戦略を実行する
  2. 社会としてのサステナビリティから逆算し、企業が稼ぐ力を持続させるためのチャンスとリスクを把握して経営に反映させる
  3. 中長期的に企業と投資家が対話を行うことで価値創造シナリオを磨き、不確実性の中でも企業のサステナビリティを確立できるレジリエンスを高めていく

 

「EX」(エンプロイー・エクスペリエンス)

EX(エンプロイー・エクスペリエンス)は、従業員が業務を通じて得られる体験・経験のことです。基本的には金銭以外の価値を指し、「仕事を通して得られる全体的な印象」について言われます。たとえば労働環境、社内文化、雇用条件、福利厚生や人間関係、そこから従業員本人が得た評価や達成感などすべてがあてはまります。

 

人材不足がさけばれて久しい昨今、EXを改善することで離職率を下げ、優秀な人材を確保する考え方はますます重視されています。製造業においては、若手に対するスキルアップ支援やアイディアを出しやすい環境づくりはもちろんのこと、デジタル技術を活用することでフレキシブルな働き方を選択できるような、労働環境改善に取り組む企業も増えてきました。

 

 

インダストリー5.0への日本の取り組み「Society 5.0」

ソサエティ5.0(Society5.0)とは、日本国内におけるインダストリー5.0における取り組みで、内閣府が2016年、第五期科学技術基本計画において提唱した概念です。現実空間とデジタル空間を融合させる高度なテクノロジーにより、「経済成長」と「社会課題解決」を同時に実現することを目的としており、まさに日本の産業が描く理想の未来といえます。

 

ここでは、ソサエティ5.0はどういった取り組みなのか、3つの観点から詳しく解説していきます。

 

「Society 5.0」が目指すもの

ソサエティ5.0が目指す「超スマート社会」は、デジタル技術を使って持続可能なものづくりを高度化し、社会的課題に対して機先を制することで、経済成長をはかることを目的としています。

 

たとえば人材育成や若手人材が活躍できる仕組みづくりをはじめとし、社会全体で循環型社会を形成するためのシステム構築など、さまざまな取り組みを盛り込むことで、SDGsでも提唱される「誰一人取り残さない社会」の実現を目指しているのも特徴です。

 

とくに日本の製造業ビジョンにおいては、他国とどのように連携していくかや、どのように世界標準化をはかっていくかが重要なポイントです。具体的にはインダストリー4.0で、企業の海外展開・連携を国家レベルで推進したドイツにならって、インダストリー5.0でも世界市場における主導権争いが行われています。日本はこのグローバル連携における展開スピードが課題となっており、今後も積極的な仲間づくりや標準化活動が求められてきます。

 

「Society 5.0」が解決しうる社会的課題

ソサエティ5.0は、さまざまな社会課題の解決策としても注目されています。たとえば少子高齢化による人口減少・過疎化といった課題に対して、高齢者に対するIoTを活用した健康状態のモニタリング、ロボットの補助による自立支援サービスなどを行うことで、医療・介護分野での人手不足解消が期待されています。

 

またテレワークやオンライン教育、IoTを活用したスマートシティ技術を活用することで、住む地域にかかわらず生活の質を担保できるようになり、今後も地域格差解消策として役立つはずです。

 

とくにレジリエンスの観点において、日本の道路インフラは災害時の復旧を想定して設計されているのが特徴で、実際の災害発生後に非常にスピーディかつ高いクオリティで復旧作業をおさめてきた日本の高い技術力は、世界中から注目を集めてきました。ソサエティ5.0において、このような暗黙知やノウハウをスピード感をもってグローバル展開すれば、日本のプレゼンスを世界に示すとともに、世界全体のレジリエンスを向上させることにもつながるはずです。

 

「Society 5.0」の実現に必要なデジタルテクノロジー

ソサエティ5.0を実現するには、デジタルテクノロジーの活用が欠かせないことは前述しました。CPS=デジタルツインの活用によって、原材料やエネルギーを削減したり、業務効率化をはかって生産性を高めたりするため、主要となる技術には以下のようなものがあります。

 

IoT(モノのインターネット):機器やセンサーによって、あらゆるモノ(自動車・家電・製造ラインなど)をインターネットに接続する。モノの情報を取得できるだけでなく、モノ同士で情報交換も可能に。遠隔でモノの状態を把握し操作できるため、人手不足問題の解決策としても注目を集めている。

 

AI(人工知能):ビッグデータから機械学習し、人間の知能や作業などを高精度で模倣するため、より的確なサービスを提供できる。デジタルツインにおけるAIのデータ解析で、より正確な予測も可能に。

 

5G(高速通信システム)/クラウド技術:低遅延・多数接続が特徴の、最新の高速通信インターネットにより、IoTやAIでやりとりする大容量のデータを高い正確性で扱えるように。またこれらの膨大なデータを蓄積しながら、それぞれの技術を連携できるクラウドサービスも開発されており、デジタルツイン実現の重要な基盤となっている。

 

ブロックチェーン技術:取引記録などを改ざんできないよう暗号技術で保護し、分散的なネットワークで管理する仕組み。業務プロセスやデータの透明性を高めるのに役立つため、ソサエティ5.0の実現に欠かせない要素のひとつ。

 

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インダストリー5.0への諸外国の取り組み

インダストリー5.0に先進する国や、目立った動きを見せている国など、各国でさまざまな取り組みが見られます。ここではドイツ・アメリカ・中国の例についてそれぞれ解説していきます。

 

ドイツ

ドイツは2019年に、インダストリー4.0に続く方針として、「2030 Vision for Industrie 4.0」を発表しています。

 

ここでは

 

  1. 自律性:人間が主体となって労働環境改善・スキルシフト教育に取り組む
  2. 相互運用性:企業や国の垣根をこえて協業することで社会を変革する
  3. 持続可能性:資源効率をあげてものづくりを持続可能にする

 

という3つの指針を柱としています。

 

またさらに翌年2020年11月には「Sustainable production: actively shaping the ecological transformation with Industrie 4.0(持続可能な製造 ~Industry 4.0によるエコロジカルな変革~)」といったコンセプトを発表し、主題である「サステナビリティ」を実現するための方向性が定義されました。

 

  • 従来の大量生産から脱却し、製品やサービスの製造・提供プロセスにおける透明性を重視する
  • 消費を最小限におさえるビジネスモデルながら、社会課題解決に大きく影響を与える
  • 他部署・他業界・他社・他国をとわず連携することで循環型社会を形成する

 

この3つの指針に沿って細かく設計されたシナリオに沿って、さまざまな取り組みが行われており、インダストリー4.0に引き続き持続可能な製造業において世界を牽引しています。

 

アメリカ

アメリカでは、バイデン大統領が持続可能な環境配慮型の政策を打ち出しています。2021年4月には、ドイツの製造業のデジタル化を目指すプログラム「Platform Industry 4.0」と、アメリカ製造業のスマート化を推進する研究機関「CESMII」が、環境や気候変動に対応した持続可能な製造領域において連携することを表明しました。

 

またほかにもアメリカは、アドバンスト・メイク・パートナーシップ2.0(AMP 2.0)という国家プログラムにも取り組んでいます。AMP 2.0の目的は、産業界だけでなく大学や政府などが連携し、製造業が発展するための新しいテクノロジーやプロセスを開発・実装すること。さらに、IoT活用によって社会課題の解決をめざす「Smart America Challenge」、製造業のデジタル化を推進する「製造業イノベーションネットワーク(MNN)」なども積極的に進めています。

 

中国

2015年5月中国では習近平政権が「中国製造2025」を発表し、スマート製造に向けた国家戦略としてかかげています。これまで大きなマーケットと安い人件費を活かした「製造大国」のイメージの強かった中国は、イノベーション創出により他国を牽引する「製造強国」へ転換すべくロードマップを実行しています。

 

この国家政策ビジョンでは、5つの基本方針と4つの基本原則から構成され、また中国建国100周年となる2049年までに3段階の目標を設定しています。

 

2025年まで:製造強国への仲間入り

2035年まで:世界の製造強国の中等レベルへ到達

2049年まで:製造強国のトップ

 

実際に、世界経済フォーラムが「製造業のロールモデル」として指定するグローバルライトハウスにおいて、2023年1月現在、世界全132工場の中でも中国は世界最多である34%の工場が指定され、他国を圧倒しています。

 

(参考: Global Lighthouse Network

 

 

インダストリー5.0実現における課題

インダストリー5.0実現においては、さまざまな課題を抱えているのも事実です。ここでは2つの課題についてお伝えします。

 

世界標準化への壁

インダストリー5.0で提唱されている理想の未来を実現するには、すでに連携しているドイツやアメリカなどの例にならって、世界標準化して他国と協業していく体制づくりが不可欠です。実際にソリューション展開を行う上では、自社・自国のリソースや開発力、顧客基盤が事業の限界値とならないよう、柔軟な姿勢で仲間づくりを進めていく必要があります。

 

とくに日本企業は、自社製品に対する責任感の強さからも自前志向が強く、企業や国の垣根を超えた共同開発=オープンイノベーションに対して、心理的な障壁が大きい傾向も。しかし現在、所有から利用へと顧客ニーズが変化し、製造業そのもののサービス化も加速していている中、自社の持続的な成長にとって世界標準化は喫緊の課題となっています。

 

まずは顧客のニーズや課題に対して、自社が提供できるもの、自社では扱えないものを明らかにすることで、必要に応じて他社・他国との連携を積極的に進めていく必要があります。これらの壁を乗り越えることで、自社・自国の発展ひいては産業全体の成長にもつながるのです。

 

人材不足の壁

インダストリー5.0は、IoTやAI、ロボットなどのテクノロジーを活用して、業務プロセスを最適化することです。しかし最新テクノロジーを活用するには高度な技術や豊富な知識が必要となり、これらのスキルを持つ人材は市場において圧倒的に不足していることが指摘されています。

 

この分野における人材獲得・育成においては、教育体制を整えた上で、技術進化のスピードに応じて常に最新のスキルに更新していかなければなりません。さらに製造業において、現場の業務に精通した人物となると条件は非常に限られてしまうため、社内でも人材を育成するとともに、社外リソースを活用するのも一手です。

 

専門分野の知識を持ち、最新テクノロジーを適切に扱える人材の育成は国全体としても急務となっていますが、自社内でも積極的に体制を整え、次世代の技術革新にそなえていく必要があります。

 

 

インダストリー5.0により営業・マーケティング領域で実現できること

インダストリー5.0によって、これまでの営業・マーケティング領域で実現できることにはどのようなことがあるでしょうか。

 

顧客ニーズに対して最適なアプローチ・カスタマイズができる

IoTやAIなどさまざまな最新技術を活用するインダストリー5.0では、顧客ニーズに応じて最適にカスタマイズした製品を提供できるようになります。「顧客がどのような製品や機能を求めているか」「どのようなアフターケアを必要としているか」といったデータ分析は、新製品の開発に役立つだけでなく、営業部門やマーケティング部門が最適なアプローチをする上でも競争優位性を獲得できるのです。

 

また製造プロセスはリアルタイムでモニタリングできるため、過不足のない在庫管理が可能に。生産コストをおさえながらも顧客満足度をあげられるため、持続的な売上向上につながります。

 

サプライチェーンの一元化によりコストや人件費を削減できる

インダストリー5.0を通してサプライチェーンを一元化することで、よりスムーズな営業活動が可能になります。サプライチェーンとは、製品の製造から販売までの一連の流れのこと。最新のデジタル技術を活用しすればサプライチェーンを一元管理し見える化できるようになります。

 

製造プロセス全体の可視化により、改善点の洗い出しも容易になり、問題に対する対応スピードもあがります。また在庫管理に関してもAIが正確に分析して把握するため、在庫ロスを抱えたり、在庫が足りなくて販売機会を損失したり、といったミスを減らしてコスト削減にもつなげられるのです。業務工程を一元化・自動化することで、人的コストをより創造性のある営業・マーケティング領域で活用できるのは、インダストリー5.0に取り組む大きなメリットといえます。

 

AIを活用してマーケティング戦略を最適化できる

インダストリー5.0の実現に欠かせない要素のひとつ、「AI(人工知能)」は、マーケティング戦略の最適化にも役立ちます。

 

たとえば製品の購入プロセスにおいて購入者情報のようなビッグデータを解析することで、ターゲットを正確に定め、カスタマージャーニーを最適化できます。カスタマージャーニーとは、ユーザーがどのような過程を経て購入決定にいたるかを可視化したもので、この精度をあげることで、マーケティング戦略においてより効果のある広告やキャンペーン施策を打つのに役立ちます。

 

また施策に対するパフォーマンスを、リアルタイムで取得・分析できるのもAIあってこそ。マーケットトレンドや競合などと照らし合わせ、将来的な需要の予測を行えば適切な生産計画の策定にも役立ち、マーケティング活動の強い味方となってくれるはずです。

 

 取り組みの発信によるブランディングの強化

インダストリー5.0での活動を発信することで、自社のブランディングにも役立てることが可能です。「サスティナブル」や「最先端の技術や思想」に積極的に取り組んでいることを伝えることで、先進的なイメージを与え採用やIRにも影響を与えます。

 

また、重要な発信の手段の1つがWebサイトです。せっかくの取り組みをできるだけ多くの方に知ってもらえるように、定期的に更新をしていくようにしましょう。もし自社での更新が難しかったり、サイトが古くて発信をできなかったりする場合は、弊社では製造業に特化したブランディング向けWeb制作も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

 

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まとめ

インダストリー5.0の基礎知識から各国の取り組み、製造業に求められる変革や、営業・マーケティング戦略での活かし方について解説しました。

 

インダストリー5.0の実現においてはまだまだ課題もあるものの、日本の高い技術力を誇る製造業が、今後世界を舞台にさらなる発展をとげていく上では、必要不可欠な取り組みです。ぜひ自社に必要なデジタル化の検討や、自社成長のヒントとしてお役立てください。

 

 

 

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  • この記事を書いた人
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    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

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Thu, 11 May 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[VRを活用した製造業DXの推進方法を紹介!活用方法やポイント、具体的な事例まで徹底解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/VR_manufacture 近年、5G環境の普及や先端技術の進化によってVRへの注目は高まっており、あらゆる業界において導入が進んでいます。特に製造業では、DX推進の一環としての活用が増加しており、今後さらなる発展が期待されています。

 

本記事ではVRを活用した製造業のDX推進方法について、実現できることや活用方法、導入時のポイントや具体的な活用事例など、最低限知っておきたい基本事項を解説していきます。

 

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VRとは

VR(「Virtual Reality」の略)の直訳は仮想現実です。専用のゴーグルをつけた上で360度の映像を映すことで、限りなく現実世界に近い仮想空間を表現でき、没入型のコンテンツを創出する技術のことを指します。

 

3次元の空間性に加え、自分自身が空間に入り込める自己投射性があるものが一般的にVRと定義されています。VRはバーチャル空間でありながら、音と映像によって本当にその空間に入り込んだような感覚を味わえるのが最大の特徴です。

 

多くのVRコンテンツは、ヘッドセットやゴーグル、コントローラーなどのデバイスを用いて体験でき、センサーによって身体の動作速度や角度を検出することで映像に反映させ、リアルな体験を創り出します。

 

しかし、ゲームやエンタメならまだしも、VRと製造業をどのように組み合わせるのかイメージしづらい方も多いのではないでしょうか?こちらは次章以降で詳しく解説します。

 

 

製造業とVRの相性が良い理由

製造業と仮想空間を扱うVRは非常に相性が良いとされています。VRを活用すれば、実際のモノがなくても、リアルタイムにまるで本物があるかのように検証や訓練ができるからです。

 

例えば「作業空間のシミュレーション」や「事前のリアルな疑似訓練」、「遠隔作業サポート」、「商品設計レビュー」など、製造業でよく行われる業務や作業を仮想空間内で実施可能です。VRを導入することで、業務の効率化や安全性の向上などの様々なメリットを得られます。

 

また従来、机上の教育では知識や技術が身に付きづらく、実際の現場では研修を行いづらいという課題がありました。しかしVRの導入によって、現場での実行が難しかった課題も仮想空間上でリアル・効率的・安全に解消することができるため、製造業で広くVRの導入が進んでいるのです。

 

 

製造業でのVR活用で実現できること

製造業でVRを活用することによって、具体的にどのようなことが実現できるのでしょうか。「従業員体験」及び「顧客体験」の2つの視点から紹介します。

 

従業員トレーニングの改善

VRを活用した現場作業の研修及びトレーニングを行うことで、リアルな体験による知識・技術の定着や従業員の作業レベルの均一化が期待できます。研修後の現場作業の効率も上がり、従業員体験の改善を実現できる可能性は高まります。

 

VRの最大の特長である没入感のある体験を通して、注意事項や細かな手順などをリアルに体感することができるほか、仮想空間であるため、何度失敗しても実際の現場には影響しないという点も大きなメリットです。

 

さらに個人のレベルに応じて苦手なポイントを何度も復習することができるので、実践での失敗の減少も見込めます。

 

 

顧客体験の改善

VRを活用して商品シミュレーションや工場見学、展示会などを実施すれば、多くの人に自社の魅力をより深く伝えられるようになります。

 

リアルな体験を提供できるVRは視覚的訴求力が高く、イメージしづらいデータや難しいテキスト情報をわかりやすく伝えられるため、顧客体験の改善が期待できます。気軽に体感できるリッチな顧客体験を通して強い印象を与えられる効果があるほか、自社商品やサービスをこれまで以上に身近に感じてもらうことができるはずです。

 

 

VR実現方法とそれぞれのメリット・デメリット

VRを実現するには3つの方法「PCVR」「一体型」「スマホVR」があります。以下ではそれぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介します。

 

PCVR

PCVRとはPC(パソコン)を本体としたVRを指し、解像度や没入感の高さで効果を最大化できるという特徴があります。

 

PCVRには、文字が読めるレベルの高解像度VRコンテンツを体験できるというメリットがあり、処理速度及び能力も高いのでサクサク動く快適な操作が行えます。

 

デメリットはHMD以外にVRに対応したハイスペックなパソコンが必要であることです。一般的な家電量販店で販売されているパソコンでは高解像度の映像を出力することが難しいため、ゲーミング用のパソコンを購入する必要があり、価格帯も上がります。

 

 

一体型

一体型はHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して体験できるVRです。HMDは「VRゴーグル」、「スタンドアローンゴーグル」とも呼ばれています。

 

PCやスマホを必要としない一体型は、HMD自体にモニターが設けられており、HMDのみで手軽に実現できるというメリットがあります。PCVRに比べて安く入手できる点や、ケーブル不要で利用しやすい点も魅力です。

 

一方でVR空間での移動が体験できないものが多く、PCVRに比べると画像の処理能力に限界があるのがデメリットといえます。

 

 

スマホVR

スマホVRは、専用のゴーグルでスマートフォンで再生したVR映像を覗くことで楽しめるVRです。

 

パソコンとの接続が不要で、手元のスマートフォンで気軽に体験できるというメリットがあるスマホVRは、手軽にVRを活用したい人に向いています。

 

デメリットとしてはVR空間での移動が体験できない点や、インタラクティブ性がなく受動的である点が挙げられます。

 

では実際製造業においてVRはどのように活用されているのでしょうか?次章で詳しく説明します。

 

 

 

製造業におけるVR活用方法

製造業におけるVRの活用について、主な5つの方法を紹介します。

 

遠隔での製品の確認

製造作業者への研修や新製品の開発会議など、人が集まる研修や会議を開催できない際には、オンライン会議などを実施したとしても製品を立体的に把握することが難しいという課題があります。

 

その際にVRを活用して、離れていても立体的でリアルな製品を確認できるようにすることで課題を解消しました。開発・設計の意図をより的確に伝えられるので、実際に集合しなくても質の高い研修や会議を実現することが可能です。

 

また遠隔作業にVRを活用する(後述)ことで、3蜜を回避する方法もあります。

 

 

事前検証・試作品の製作

事前検証・試作品の製作の際にもVRは活躍します。

 

例えば、試作品の設置イメージを確認したい際にVRを活用することで、バーチャルでもリアルな試作品のイメージを確かめられるため、試作の削減や検証時間の短縮を実現できます。試作が難しい場合や、搬入が難しい大型商品でも事前検証を行うことができるほか、実物を使う前に試作品の欠陥を見つけられるので、作業効率や質の向上、コスト削減にも繋がります。

 

他にも、レイアウトの確認(設置・搬送時のクリアランスの確認など)や、試作品段階でのデザインや仕様の修正、工場などでのラインレイアウトの確認など、様々な活用方法があります。

 

製品の量産に入る前に、個々の部品やデザインがどのように動く可能性があるのかを把握することが重要な製造業において、これらのVRの活用方法は非常に有効です。実物の機械を使用する場合よりも短時間で複数回の検証を実施できるため、より効率的且つスムーズな製作の進行が期待できます。

 

 

遠隔作業指示・トレーニング

VRは遠隔作業指示やトレーニングにおいても活用されています。

 

遠隔作業にVRを活用すれば、実際に現場に出向いて作業するのが難しい場合でも、製造現場にいる作業者と遠隔地にいるエキスパートをつなぎ、指示を受けながら作業を進めることが可能です。

 

VRを見せながら作業指示を行うことで視覚的にも共有でき、より明確でクリアな指示を出すことができます。熟練作業者による技術伝承を映像で記録し、長期的な人材育成を行うという方法もあります。

 

さらに、外国人労働者に対しての多言語での作業教育のサポートもVRの活用で実現可能です。VRを利用してトレーニングを行うことで、作業員の技術向上に高い効果が見込めます。

 

 

販促活動

サービスの紹介や販促活動にVRを活用することでリアルな情報を伝え、相手により伝わりやすい販促活動を行えます。

 

例えば、モニターやパンフレットを利用した商品説明にVRを導入すれば、色味や質感などを含め、よりリアルに細部まで再現したものを見せることができます。

 

わかりやすく伝えられるため顧客満足度の向上が期待できるほか、説得力が増すことで相手への伝わり方が変わり、売上向上も見込めるはずです。伝え方の印象が大きく変わるので、顧客への有益な体験の提供による販促活動への成果が期待できます。

 

 

イメージ共有・リモートでの共同作業

VRでは、限りなく現実に近い状態を再現できるため、イメージ共有やリモートでの共同作業を行うことができます。

 

複数人で製造工程の改良や新しいデザインの考案に取り組む際、メンバーが異なる場所にいたとしても、VRを活用することで同じ仮想空間にアクセスし、その中で協力して作業を行うことが可能です。

 

日本だけでなく外国にいる人と共同で作業する場合でも、VRを活用してリアルタイムに共同作業ができるようになれば、出張費や時間などのコストを抑えつつ、質の高い共同作業を実現できる可能性もあります。

 

メンバー同士でお互いの状況を把握しながら作業を進められ、効率アップも見込めます。

 

 

 

VRを導入する際のポイント

様々な活用方法があるVRですが、より効率的にVRを活用するには実際に導入する際に気をつけるべきポイントがあります。主な2つのポイントについて以下で紹介します。

 

まずはVR技術を体験する

VRを体験したことがない場合は、まず初めにVRを実際に体験することが必要です。実際に利用することで最終的なアウトプットやコンテンツの完成形が想像しやすくなります。

 

一度も体験しないまま導入してしまうとVRを最大限活かすことは難しくなり、せっかく導入してもうまく利用できず、労力やコストを無駄にしてしまう可能性があります。まずは気軽に体験できるスマホVRなどから試してみることをおすすめします。

 

 

自社や顧客の課題を整理する

VRを導入する際には、自社や顧客の課題を的確に把握・整理した上で、その課題を「VRで解決することができるかどうか」という視点をもとに戦略を立案する必要があります。

 

ただVRを導入するだけでは効果的な施策を打つことは難しく、高い効果は見込めません。従業員や顧客目線に立ってその施策が本当に有益かどうかを検討することが大切です。

 

 

製造業におけるVR活用事例

製造業の企業においてVRは具体的にどのように利用されているのでしょうか?実際の活用事例を紹介します。

 

ANA/JAL/JR東日本:トレーニング

ANAやJAL、JR東日本でもVRを活用した様々な訓練やトレーニングが行われており、実際に「保安業務訓練」「事故現場・工事に伴う停電時の作業訓練」「航空機の牽引車両の運転訓練」などが実施されています。

 

VRによって創出されたリアルな状況で訓練することができるため、実際の事故に限りなく近い状況をシミュレーションすることが可能です。JR東日本では人身事故や地震発生など、再現が難しい緊急事態を想定した訓練もVRを活用して行われています。

 

 

Colasグループ:安全教育

フランスのインフラ企業「Colasグループ」は世界中で事業を展開している巨大企業で、VRを活用した安全教育を行っている企業としても有名です。

 

同社の過去の調査では、社内で発生した事故の約6割に作業経験が2年未満という作業員が関わっていたことが判明しており、同社は安全教育を最も重視しています。そこで導入したのが、座学での安全教育は身につきづらいという課題を解消できる、VRによる安全教育です。

 

実際の現場を再現したリアルな空間で、インタラクティブな体験を行えるVRを安全教育へ導入することは、作業現場における安全性の向上につながります。

 

 

マイクロソフト/シェブロン:遠隔作業

石油関連企業シェブロンは、マイクロソフト社のMRデバイスと「Microsoft Remote Assist」というアプリを活用した遠隔作業を実施することで業務効率を改善しました。

 

「Mixed Reality」の略称である「MR」は「複合現実」と訳すことができ、VRと現実空間にデジタル情報を重ねて表示するAR(「Augmented Reality」の略で「仮想現実」と呼ばれる)の双方の機能を兼ね備えた技術です。VRの仮想空間だけではなく、現実空間を利用するARの要素も加わっているため、より現場に近い感覚で作業ができます。

 

同社は点検作業や修繕作業など、離れた現場での遠隔作業を行う際にMRを活用しており、技術者がわざわざ遠い現場へ移動しなくても、今いる場所から現場の状況をリアルタイムで把握して指示を出すことが可能です。

 

MRの活用により、業務効率の改善だけではなく、移動費などの大幅なコスト削減も実現しています。

 

 

まとめ

本記事ではVRを活用した製造業DXの推進方法について、メリットやデメリットから具体的な活用事例までご紹介しました。

 

製造業におけるVR導入によって、安全性の確保や作業効率の向上、コスト削減やコミュニケーションの円滑化など様々な効果が得られます。幅広い用途に活用できるほか、働きやすい環境を整備するのにもとても有効です。

 

近年VR技術はより一層進化して低価格帯のものも登場しており、製造業においても取り入れやすくなっています。まずは取り組みやすいスマホVRなどから試してみることをおすすめします。

 

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 09 May 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[リカーリングモデルとは?製造業における重要性、導入事例やサブスクリプションとの違いを解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/recurring_model リカーリングモデルとは、継続収益によって安定的に売上を創出するビジネスモデルのこと。「Recurring(リカーリング)」は「繰り返す」という意味で、顧客に製品やサービスを何度も購入してもらう収益構造を表しています。

 

近年はICTの急成長や世界情勢の影響もあり、激しい市場環境の変化が続いています。そんな中、もともと弊社も売り切り型のソフトウェア(電子ブック・Web制作等)を提供していたため、サブスクリプション型ビジネスモデルに移行する際にはその大変さを痛感してきました。本記事では、このような経験からお伝えできる、リカーリングモデルにシフトする上でのコツやポイントについても解説していきます。

 

まずはリカーリングモデルの定義と種類、サブスクリプションとの違いから、製造業におけるリカーリングモデルとマーケティング手法について説明します。製造業においてリカーリングモデルを導入したことで成果をあげている成功事例についてもご紹介しますので、ぜひ自社のビジネスモデル構築にお役立てください。

 

 

 

 

リカーリングモデルとは

リカーリングモデルとは、継続収益をあげることで安定的な売上を維持するビジネスモデルのこと。「Recurring(リカーリング)」は「繰り返す」という意味で、顧客に製品・サービスを何度も繰り返して購入してもらう収益構造を表します。

 

従来の売り切り型ビジネスは、基本的には一度買ってもらったら終わりという販売モデルのため、「いかにして顧客に製品を買ってもらうか」をもとにビジネス戦略が設計されてきました。一方のリカーリングモデルは、「顧客へどのような価値を提供できるか」を軸に展開します。顧客のビジョン・課題にともに取り組むことで、長期的に信頼関係を構築していき、継続利用してもらうことで収益を安定化します。

 

さらに顧客との良好なリテンション構築によって、クロスセル・アップセルなどの追加受注も可能。このようにLTV(顧客生涯価値=ひとりあたりの顧客が生涯に支払う金額)の最大化を追求していくのも、リカーリングモデルの特徴です。

 

ここでは、リカーリングモデルにおいてよく使われる、いくつかの用語についてもご説明していきます。

 

参考記事:クロスセル・アップセルとは?LTVを最大化させ顧客収益性を上げる戦略

 

 

リカーリング・レベニュー

リカーリング・レベニュー(Recurring Revenue)とは、継続収益・繰延収益のことで、リカーリング・モデルのビジネスにおいて得られる収益そのもののことを指します。たとえば電気やガスなどの公共料金、プロバイダや電話会社の通信料金、そのほかサブスクリプション型のビジネスは、リカーリング・レベニューによる収益を中心としたビジネスモデルに分類できます。

 

リカーリング・コスト

リカーリング・コスト(Recurring Cost)は、ユーザーが継続して支払う費用のことで、経常経費ともよばれます。一般的にはエンドユーザー視点で、製品やサービスに対して継続的に支払う料金のことで、公共料金や定期的に支払うメンテナンス費用、月次制のサブスクリプションサービスに支払う利用料などもこれに該当します。

 

フィッシュカーブ

フィッシュカーブ(fish curve)は、ビジネスをサブスクリプション型にシフトしていく時間経過において、「収益とコストの関係性」のグラフが描く、魚のような形の曲線に対して名付けられました。

 

ビジネスの体制をサブスクリプションに移行すると、「初期投資がかかること」「月次制の安価な料金体制を取り入れること」によって、一時的にコストがあがり、収益額が低下します。しかし時間の経過にともなって、顧客の継続利用によって収益が安定化し、生産管理コストの適正化・顧客管理の自動化がすすむことで、より少ないコストでより大きな成果を実現できるようになるというものです。

 

フィッシュカーブ(フィッシュモデル)

 

 

リカーリングモデルの種類

リカーリングモデルには、比較的古くから行われてきたものから、近年新しく登場したものまでたくさんの種類があります。

 

BtoCで身近なリカーリングモデルといえば、サブスクリプション型のサービスですが、代表的なものには以下のような種類があります。

 

  • 新聞や雑誌の定期購読
  • 賃貸物件や月極駐車場
  • 通信料金(電話・インターネット)
  • 教育(塾・英会話スクール)
  • 会員制ジム・ゴルフクラブ
  • SaaS(ソフトウェア・アプリケーション)
  • デジタルコンテンツ(動画、音楽、書籍)
  • レンタルサービス(衣類やカバン、家電、車、バイク、カメラ、ドローン、ペット)
  • 消耗品(食品、ウォーターサーバー、ペットフード、コーヒー、髭剃りの替刃)

 

BtoBで扱われるリカーリングモデルは、おおまかに3種類、全部で5種類に分類できます。自社の事業内容に照らし合わせて、新しいビジネスモデル開拓のヒントにしてみてください。

 

定額 定額モデル リカーリングモデルで最も多く普及しているモデル。顧客は期間に対して料金を支払い、その期間内であればサービスが受けられる仕組み。
IoTによる従量課金 成果報酬モデル 顧客の成果に対してコミットメントをおこない、創出した成果に対する一定率の料金を請求するモデル。
融資・与信モデル 機器にIoTを搭載し、支払いが滞っている顧客の稼働を遠隔で止められるため、与信のないユーザーにも提供でき、貸し倒れによる損失も防ぐモデル。
業務代行 マネージドサービスモデル 運用から管理までを一括で請け負うことで顧客の業務を代行するモデル。
業界プラットフォームモデル 顧客のバリューチェーン全域をデジタル化するモデル。共通化できる作業においては、業界全体で利用可能なプラットフォームを構築する。企業の垣根を越えて協業するケースも。

 

 

リカーリングモデルとサブスクリプションモデルの違い

リカーリングモデルとサブスクリプションモデルは非常によく似ており、どこがどう違うの?と迷われる方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、サブスクリプションモデルはリカーリングモデルのひとつです。

 

リカーリングは、直訳すると「循環する」「繰り返す」という意味です。顧客からの定期的な支払いによって成り立つビジネスモデルの総称で、従量制・定額制さまざまなものがあります。基本契約に対して、使用量にともって料金が決定する公共料金や、インクの購入が別途必要になる印刷機のリースなどもリカーリングモデルの代表的なもの。またサブスクリプションモデルのほか、ローン契約、レンタル・リースサービスなどもリカーリングモデルに含まれます。

 

サブスクリプションは、直訳では「継続購入」「定期購読」を表します。ユーザーが、ある一定期間内、定額で契約・支払いをすることで、製品やサービスを利用できるビジネスモデルです。ほかのリカーリングモデルとの違いとしては、定額制である点と、利用がなくても定額料金が発生する点があげられます。また契約期間に縛りのあるリースなどと違い、基本的には好きなときにいつでも解約可能。そのため、データ解析によってチャーンを防ぐ工夫をしたり、LTVを最大化できるよう顧客満足度向上をはかったり、といった観点からビジネスの成長をはかっていくのも特徴です。

 

 

製造業におけるリカーリングモデルの重要性とは

日本の製造業は従来からサービス化に取り組んできたものの、顧客にメリットを示せないことからうまく進まない側面がありました。しかし近年、IoT(モノのインターネット)によるセンサー解析や、5G(高速通信技術)による高速ネットワークといった技術進展により、これらの課題を乗り越え、製造業におけるリカーリングモデルの実現可能性も高まってきました。またこれらの技術革新によって新興国が躍進したことで競争が激化し、顧客ニーズも多様をきわめていることから、リカーリングモデルの重要性は年々高まっています。

 

製造業において、リカーリングモデルを導入することの重要性は、以下の3つのポイントに集約できます。

 

  1. 安定的な収益確保

 

従来の売り切り型モデルでは、顧客ごとに1回の購入機会に対して1回きりの納品のため、予測も立てにくく定期的な収益を得ることが困難でした。これに対してリカーリングモデルでは定期的な納品スケジュールを組み立て、定期的に収益を確保できる上、正確性の高い売上予測により長期的にビジネスを安定化できるようになります。

 

  1. 生産性向上

 

リカーリングモデルによって顧客の継続購入というサイクルを築くことで、売上予測の正確性を上げて、生産ラインを安定的に稼働させられるように。また生産プランの最適化ができれば生産性も向上、在庫管理の精度が上がることでロスを削減し、コストダウンにもつながります。

 

  1. 顧客ロイヤリティ向上

 

顧客の生活・ビジネスの上で必要不可欠となる製品やサービスに対して、リカーリングモデルを導入することで、継続的関係を確約できるようになります。また継続購入によって蓄積されるデータを解析すれば、顧客ニーズに対してより適切なアプローチも可能。顧客ロイヤリティを向上させ、製品やサービス・自社を「顧客にとってなくてはならないものにする」ための仕組みづくりができます。

 

参考記事:顧客ロイヤリティとは?重要性や向上させるためのヒントをご紹介!

 

 

製造業でリカーリングモデルが求められる背景

ここからは、製造業でリカーリングモデルが求められるようになった世界情勢・時代的な背景について、4つのポイントでお伝えしていきます。

 

デジタルテクノロジーの急速な進展

製造業でリカーリングモデルが求められる背景の1つめには、デジタルテクノロジーの急速な進展があります。近年、IoTAI(人工知能)の進化はめざましく、インターネットと接続したさまざまなモノのデータを、高い精度で自動解析できるようになりました。またMACRMなどのツールによって、顧客とのリレーション構築方法も大きく変化しています。

 

とくに製造業においては、5Gによる設備やフィールドセールスのIoT化が世界的に進んでおり、またそれぞれのITインフラも高い精度で連携できるようになりました。製造業が今後さらなる発展を遂げていく上で、まさにICTは避けては通れない道といえます。

 

実際に製造業においてこれらのデジタル技術を活用すれば、リアルタイムに顧客の状態を把握して、定期的なメンテナンスやアップデートをより適切なタイミングで提供できるようになります。顧客に快適な体験価値を与えるだけでなく、企業側も業務を効率化でき、本当に必要な業務に人手を割けるようになるのもメリットです。

 

このようにデジタルテクノロジーを活用してリカーリングモデルを導入することで、顧客との関係をより強固にして継続的な売上確保ができ、長期安定的なビジネスモデルが実現可能になります。

 

売り切りモデルの限界、所有から利用へ

2つめは、売り切り型のビジネスモデルが限界を迎え、業種・業態をとわず、世界規模でビジネスモデルが「所有から利用へ」シフトしていることにあります。

 

インターネットの普及やシェアリングエコノミーの発展により、ユーザーにとっては「モノを所有すること」よりも「利用によってどのような体験が得られるか」がより重視されるようになりました。近年の経済情勢によって、若年層や低所得層において、モノよりも体験を重視する価値観が強まっているのもその一因とされています。

 

さらにSDGsをはじめとする世界的な環境問題への取り組みにおいても、過剰な消費主義に対する批判的な意識は年々高まっており、顧客ニーズそのものも、よりエコロジカルな消費活動・ライフスタイルを求めるようになりました。この時流において売り切り型モデルは限界を迎えており、社会全体の「モノ」に対する意識が「所有から利用へ」と変化しつつある中、製造業のあり方も変容を余儀なくされているといえます。

 

製品・サービスのコモディティ化による収益低下

3つめには、製品・サービスのコモディティ化によって価格競争が激化し、収益が低下したことがあげられます。コモディティ化とは一般大衆化という意味で、市場がおなじような製品・サービスであふれ、それらの機能や品質だけでは差別化できなくなってしまうこと。製造業のマーケットにおいても例外なく、コモディティ化を原因とした収益低下を招いていることが課題となっています。

 

製品の低価格化は、たび重なる産業革命によって製造ラインの機械化が整い、大量生産が可能になったことで、世界規模ですすんできました。とくに近年の技術進歩はめざましく、世界の多くの製造業が、生産コストをおさえて、高い品質を実現できるようになっています。そのため、ブランド価値としての「日本の高い技術力」は、おなじ品質でより安く手に入る新興国製品にとってかわられつつあるのも現状です。

 

このように向かい風ともいえる製造業の現場を立て直すにはまず、収益性を高めることが喫緊の課題といえます。リカーリングモデルは、この収益の予測が立てやすい上、安定的な収益確保が可能になるため、国内外問わず大きな期待が集まっています。

 

CXの重要性向上、NewNomal時代到来

4つめは、CX(カスタマーエクスペリエンス)の重要性が増したことです。先に説明した技術進展・ビジネスモデルや市場の変化により、顧客ニーズは製品・サービスだけでなく、これらを利用することで得られる体験価値に重きを置くようになりました。

 

顧客体験価値を向上させて競合と差別化をはかるためには、単に製品やサービスを提供するだけではなく、顧客の課題の発見から解決までに伴走し、顧客の自己実現をともに果たすCXやCS(カスタマーサクセス)の考え方が重要になってきます。

 

またコロナ禍において多くの企業が営業活動の困難につきあたったことは、顧客との関係性や顧客接点の創出を考え直すきっかけとなり、デジタルテクノロジーの進展を加速させました。これら一連の動きを表す、「NewNomal時代」の幕開けにより、顧客とより密接な関係性を構築できるようになったことからも、CXの重要性はますます重要視されています。

 

関連記事:カスタマーサクセス

 

 

製造業がリカーリングモデルにシフトするメリット

製造業がリカーリングモデルにシフトチェンジすることによって得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。以下2つの軸から見ていきます。

 

顧客の維持による収益向上

リカーリングモデルは、顧客と長期的関係性を築くことで事業の安定性を保てるビジネスモデルです。売り切り型ビジネスモデルでは、一度購入した顧客に対して、リピートしてもらうために再度アプローチする必要がありました。一方のリカーリングモデルでは、はじめから顧客に対して「継続利用」を取り付ける上、顧客の購入データなどをもとにレコメンドをおこなうことで顧客を囲い込みやすい点もメリットといえます。

 

また顧客との良好な関係性を維持するメリットは、「買うなら自社から買いたい!」と思ってもらうことで、アップセルやクロスセル、ご紹介といった選択肢によりさらなる収益向上が見込めることです。

 

自動化・最適化されたリカーリングモデルでは、顧客を維持することで、従来モデルでは得られなかった顧客データの収集・蓄積も可能になります。これらのデータによって製品やサービスの品質改善ができるだけでなく、マーケティング領域で活用することで収益向上に役立てられるはずです。

 

コスト削減

製造業がリカーリングモデルにシフトすることで、顧客ニーズや購買頻度に合わせて生産計画を最適化できます。定期的な収益によりビジネスの見通しを立てやすいため、在庫を抑えられたり、生産ラインの効率化ができたりと、長期視点で考えればコスト・リソースの大幅な削減が可能です。たとえば売上予測を誤ったことで大量の在庫を抱えてしまう、逆に在庫が足りないために販売機会を失う、といったことも防げるようになります。

 

また新規顧客獲得は、広告費などコストのかさむ施策も多く、既存顧客維持に対しては5倍ものコストがかかるともいわれています。また既存顧客による継続購入を中心としたリカーリングモデルによって、収益が安定するのはもちろんのこと、顧客管理にかかわる工程の多くを自動化でき、人的コストを削減できるのも大きなメリットです。

 

 

製造業がリカーリングモデルにシフトする上での課題

製造業がリカーリングモデルにシフトする上で抱えている課題を、4つのポイントに分けてご説明します。

 

ビジネスモデルの構築

1つめは、新たにビジネスモデルを構築することのむずかしさです。まずはリカーリングモデルにシフトすることによって、従来の売り切りモデルに対してどのようなメリットがあるかを組織に示す必要があります。

 

とくにリカーリングモデルは導入初期にコストがかさんだり、安価な料金体系に変わることで収益が低下したりと一時的に経営が赤字になることも少なくありません。組織を動かすためには、従来モデルにおける成功法則に固執せず、モデルチェンジすることでより大きな成果を出せること、たとえば生産性の向上率や収益システムなどを、自社内でしっかりと示すことが重要です。

 

自社内のリソースのみでは足りない、モデルシフトするメリットを充分に提示できない、というケースも往々にしてあります。日本ではまだ少ないものの、世界的にはオープン・イノベーションへの取り組みが進んでおり、他社との連携によってこの障害を打開している企業も多いです。顧客の理想実現を優先し、他社連携も含めた柔軟なビジネスモデルを構築することで、自社の収益拡大につなげていく視点も必要になります。

 

人材の採用・育成

2つめは人材の採用や育成です。リカーリングモデルに着手しようと考えているが、どのような人材が必要かはっきり定義できない、といった企業は少なくありません。またリカーリングモデルにシフトする上では、顧客データの取得と解析により、顧客にとっての付加価値を定義する必要がありますが、実際にはこのプロセスを行えるスキルのある人材は市場において圧倒的に不足しているのが現状です。

 

必要な人材を明らかにするには、まずは自社がリカーリングモデルによって実現したい価値を明確化し、その上で必要となる人物像を定義し、人事部や事業部の垣根をこえて一致させましょう。

 

リカーリングモデルを推進する人物には、おおまかに以下のようなスキルが必要です。

 

  • ICTを活用してビジネスモデルを拡大する視野を持っている
  • 顧客の課題やビジョンに寄り添って提案ができる
  • データ解析を通じてビジネスモデルを検証できる
  • 顧客に導入効果を提示できる

 

すべてを兼ね備える人物を採用する・育成するのは短期的にはむずかしいため、必要に応じて外部リソースを活用するのも手段のひとつです。ただ基本的には自社内の人物が中心となって進めるため、自社内の人材にどのようなスキルがあり、またどのようなスキルが足りないかを明確化しておくのも大切です。

 

データの取得・活用

3つめは、どのようにユーザーデータを取得し、安全に活用するかといった点です。近年はIoTが進展したことで、機器自体にセンサーを搭載して、ユーザーの操作・行動データを取得することが可能になりました。たとえば、GPSや加速度センサーによって位置情報や移動記録を取得したり、スマートホームにより家電をインターネットにつなぐことで住環境に関する情報を蓄積したり、といった方法です。このデータ収集方法はさまざまな活用可能性を秘めている一方、プライバシーが含まれる情報であることから活用法が課題視されています。

 

とくに製造業においては、これらのデータは従来のビジネスモデルにおいて社内機密として取り扱ってきた「自社の競争力」の一部であると考える企業も少なくありません。そのため、データ取得を敬遠する顧客の行動変容を促すためには、データ取得によりどのようなメリットがあるかをわかりやすく示すシナリオ構築が必要不可欠といえます。

 

またこれらのデータや、データから算出できるアルゴリズムなどの知的財産がだれの所有物であるか、という議題についてはいまだに答えが出ておらず、データ取得における課題点のひとつです。リカーリングモデルを実現する上では、「データ取得によって自社の知財をとられてしまうのではないか」といった不安を抱く顧客に対してメリットを明示し、データ取得の連携スキームを構築する必要があります。

 

投資回収期間

4つめの課題は、リカーリングモデルでは、従来の売り切り型モデルのように、顧客の購入と同時には収益を回収しきれない点です。先に説明したフィッシュカーブでも示されるように、リカーリングモデルへシフトした初期には、設備やシステムを整えるためにある程度の投資額が必要になります。

 

また、売り切り型のビジネスでは販売が成立した時点でほとんどの収益を回収できる仕組みになっていますが、リカーリングモデルに用いられる月次の収益モデルでは、すべての収益を回収するのに非常に時間がかかります。そのためビジネス立ち上げ直後には赤字が続くことから、途中で断念してしまうケースも少なくないため、中長期的な視点をもって粘り強く取り組んでいくことが重要です。

 

収益化を加速させるためには、マーケットに沿ったビジネスモデルをいかに素早く展開できるか、マーケットに対して柔軟にビジネスモデルを切り替えられるかがカギとなります。

 

 

製造業がリカーリングモデルへシフトする方法

リカーリングモデルで収益化を成功させ、経営を軌道に乗せるために実践すべきステップについて説明します。

 

導入に必要なプロセス

製造業がリカーリングモデルを導入するために必要なプロセスは、おおまかに以下の3ステップに分けられます。

 

①製品・サービス選定と価格設定、ブランディングのためのパッケージング戦略

 

リカーリングモデルにおいては「収益化」が成功のカギを握っており、収益化するためには「どのような製品をラインナップするか」「どのくらいの価格で提供するか」の2点が重要です。分析した顧客ニーズに合わせて、リカーリングモデルに適した製品やサービスの選定と価格設定を行いましょう。

 

アンケートやフィードバックなどのデータを収集することで既存顧客のニーズを分析し、リカーリングモデルにおけるカスタマージャーニーを再設計することでより理解を深めていきます。また顧客ニーズに寄り添うのはもちろん、差別化のためにはブランドイメージを明示するパッケージ戦略も必要になります。質の高い製品や体験・高い満足度を提供しながら、価格の適正化をはかる意識が大切です。

 

②システムやサポート体制の整備

 

リカーリングシステムでは、定期的に購入するためのシステムが必要になるため、自社で提供する製品・サービスに対して、注文・契約処理を自動化できるツールを導入する必要があります。また継続購入によって収益を得るリカーリングモデルでは、顧客の満足度維持・向上も重要なポイントとなるため、サポート体制の整備も必須です。

 

③マーケティング施策と、データ分析によるPDCAサイクル

 

リカーリングモデルにおいて継続収益を創出するためには、マーケティング施策によって顧客を維持する必要があります。この上でデータ分析は重要な役割を担っており、データ分析によって製品やサービス・製造ラインやシステムの改善点を洗い出し、適切なマーケティング施策をおこなうことで、PDCAサイクルをまわしていきましょう。

 

実装する上での注意点

製造業がリカーリングモデルを実装する上では、以下のポイントに注意して進めていきます。

 

  • マーケットのリサーチ、新規市場開拓を欠かさないこと。
  • 顧客ニーズ分析(既存顧客のログや属性など)を行うこと。
  • 適切な価格設定(市場調査とブランディングによる適正価格算出)を行うこと。
  • 顧客データの収集・活用におけるデータの取り扱い、セキュリティ対策を行うこと。

 

 

製造業がリカーリングモデルで成果を出すためのマーケティング戦略

リカーリングモデルにシフトチェンジするには、顧客維持、つまり「売れる仕組み」を支えるための「マーケティング体制強化」が必要になります。ビジネスモデルチェンジのハードルは決して低くないからこそ、リカーリングモデルで確実に成果を出すには、顧客体験・満足度を向上させる「マーケティング視点」での取り組みがとても重要です。ここでは、製造業がリカーリングモデルで成果を出すためのマーケティング手法についてご説明していきます。

 

CXの改善・向上

リカーリングモデルにおいては、顧客に継続的に利用してもらうことがなによりも重要で、そのためには優れた顧客体験「CX(カスタマーエクスペリエンス)」を提供する必要があります。リカーリングモデルをすすめる上で、CXを改善したり向上したりするためにできるアプローチは、たとえば以下のようなものがあります。

 

  • 自動支払い・自動契約更新など顧客がより快適に利用できるシステムの導入
  • メール・Webコンテンツ、セミナーなどを通して顧客にとって役立つ情報提供
  • 顧客の利用データをもとに、興味関心・趣味嗜好に対してカスタマイズされたアプローチ
  • アンケートの実施と分析、会員向けの丁寧なサポートサービスの提供
  • SNSマーケティングにおけるコミュニケーションの構築
  • 会員特典やキャンペーン

 

これらのアプローチは、必要に応じて複数を組み合わせて行うことで効果を最大化できます。データドリブンのマーケティング施策によって、顧客とのつながりを強化し、CXを向上させていきましょう。

 

参考記事:CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?定義、UI・UX・CEとの違い

 

キャンペーン/プロモーション施策

リカーリングモデル存続のためのポイントとして、

 

定期的なキャンペーンやプロモーション施策を実施することで、顧客の継続利用を促します。以下は、リカーリングモデルで実践しやすく、効果の出しやすいキャンペーンやプロモーション施策の一例です。

 

  • フリートライアルキャンペーン:新規顧客獲得
  • 初回割引キャンペーン:新規顧客獲得
  • ◯ヶ月無料キャンペーン:新規顧客獲得
  • アップグレード特典◯%割引キャンペーン:既存顧客のアップセル
  • お友達紹介キャンペーン:既存顧客の満足度向上+新規顧客獲得
  • ポイント付与:一定数の期間や購入でポイントを付与し、割引に利用できる。満足度向上+チャーン回避
  • ステータス付与:一定数の期間や購入で顧客のステータスが上がり、特典が受けられる。満足度向上+チャーン回避

 

キャンペーン・プロモーションごとに付与する特典には、製品やサービスの割引だけでなく、イベント招待や会員ランク限定のコンテンツ、ステータスに応じた割引率アップなどがあります。

 

参考: キャンペーンでファンを増やしたいToCメーカー様向けのキャンペーン支援プラン

 

データ分析によるカスタマイズ

リカーリングモデルの運用・改善においては、データ分析の結果を用いてカスタマイズを行う必要があります。とくに顧客ニーズの多様化する現代では、画一的なマーケティング施策では効果が得られなくなってきました。またせっかくマーケティング施策を行っても、データ分析による検証を行わなければ、成果につながっているかの判断もむずかしくなります。

 

  • 顧客のビジョンや課題
  • 顧客の企業規模・業界・決済者などの属性
  • 顧客の購入データ(興味・関心や趣味嗜好、傾向)
  • 顧客からの要望や不満などのフィードバックデータ
  • どの製品が売れている・どの製品の売上が落ちているなどの製品ライフサイクル

 

このようなデータを分析して、製品・サービス・提供方法・生産企画・在庫管理などに反映させれば、より高い顧客価値を提供できるようになります。また、経験などにもとづく主観的な判断だけに依存せずに、客観的な意思決定をするためには、これらのデータ分析が非常に重要です。

 

参考:顧客管理・顧客ナーチャリングのマーケティング活動をサポートするMAツール「BowNow」

 

 

製造業におけるリカーリングモデル導入企業事例6選

製造業においてリカーリングモデルを導入し、成果を出している企業の事例を6つご紹介します。食品やロボット、乗り物から農業まで幅広い企業の事例を参考に、ぜひ自社のリカーリングシフトのヒントとしてお役立てください。

 

ゼネラル・エレクトリック(General Electric)-飛行機

ゼネラル・エレクトリック社(General Electric/GE社)は、アメリカに拠点を置く、ハイテク産業メーカーです。同社は、世界中の航空会社で採用されている航空機用エンジンをはじめとして、鉄道の車両や信号機、発電用タービンやジェネレーター、エネルギー関連製品から医療用装置まで、幅広いラインナップの製品を製造・提供しています。

 

同社は製品の販売のみにとどまらず、製品のアフターケアやメンテナンスなどの保守サービスを、リカーリングモデルとして提供しています。IoTを活用した同社の有名なサービスのひとつに、航空機エンジンに搭載したセンサーから、エンジンの状態をリアルタイムで監視することで高い安全性を担保し、メンテナンスの最適化を行うというものがあります。

 

自社製品に対して定期的なメンテナンスを実施するプログラムを提供し、アフターフォローすることで、製品の寿命をのばすだけでなく、顧客のビジネスをサポートしながら高い収益性を実現しています。

 

ケーザー・コンプレッサー(KAESER Kompressoren)-圧縮空気

ケーザー・コンプレッサー社(KAESER Kompressoren)は、1919年創業、ドイツに本社を置くコンプレッサー(圧縮空気システム)専門メーカーです。圧縮空気とはモーターやシリンダーを動かす動力として使われるもの。また同社はほかにもフィルターやドライヤー、真空ポンプなどの製品も開発しており、世界中の産業で活用されています。

 

同社は、圧縮空気システムのリース・レンタル・購入から運用・保守・修理までのあらゆるプロセスを、リカーリングモデルとして提供しています。圧縮空気システム「シグマ・エア・ユーリティ」は、半導体業界や食品加工、薬品などのあらゆる製造業で活用されており、顧客は安定した圧縮空気の供給が受けられるだけでなく、リカーリングモデルならではの総コスト低減というメリットも享受できます。同時に、同社は顧客が利用した圧縮空気の量に合わせて、安定的な収益を得られるようになりました。

 

特筆すべきは、圧縮空気の提供・保守・修理と一貫したサービス提供から顧客の状況をより詳細に把握できるようになったことで、顧客の事業課題によりフィットするサービスを提供し、多くの競合他社との差別化に成功している点です。顧客の課題に対する理解力や解決力、利便性など、高い品質を訴求したことで、顧客にとって唯一無二のパートナーとしての地位を確立しています。

 

ゼネラルモーターズ(General Motors)-自動車

ゼネラルモーターズ(General Motors/GM社)は、シボレー(Chevrolet)やキャデラック(Cadillac)といった自動車ブランドでも有名な、アメリカの自動車メーカーです。1908年に創業以来、いまでは世界的に有名な自動車メーカーとして知られています。

 

同社が提供する代表的なリカーリングモデルは、1960年代ごろから提供されてきた、車両のリースプログラム。一括高額購入のイメージの強い自動車をリースプログラムで提供することで顧客の購入ハードルをさげることに成功しました。

 

またリースは最終的に車両を買い取ることのできるモデルですが、近年では、サブスクリプションサービスやカーシェアリングサービスなど体系の異なるリカーリングモデルにも積極的に取り組んでいます。同社が提供する「Maven」は、顧客のニーズに合わせた利便性の高いサービスで、自動車の長期レンタルからカーシェアリングなど柔軟な利用プランを提供。これらのサービス提供により顧客ニーズを把握し、新たなビジネスモデルの開拓をはかっています。

 

ディア・アンド・カンパニー(D&C)-農業

ディア・アンド・カンパニー(D&C)は、1837年に設立されたアメリカの農業・建設機械のメーカーです。

 

同社は、2013年にプラットフォーム「MyJohnDeere」を発足し、それまでの「農業機械の販売」から「データ事業」へと大きく舵を切りました。農場経営者に対して、農機だけでなく「農作業のデータ」「天候情報」などから割り出した作業計画立案を提供するリカーリングモデルを提供しています。

 

具体的には、農機の動きを遠隔でモニタリングすることで、現場の作業員に対して作業効率をあげるための指示やサポートも行っています。農機には通信機器が搭載されているため、使用状況データを常に収集可能。さらに同社が販売する土壌監視装置で、水分量や気温などの情報も取得し、これらの情報はプラットフォーム上で顧客が扱えるようにしています。

 

ICTを使って農業を効率化したことで、農場を総合的にマネジメントできるプラットフォームを提供したことで、利用者の利益向上に貢献しています。また収集したデータを広く販売することでも収益を安定化させながら、農業全体の発展にも役立てており、データ販売によってもリカーリングモデルを強化させている成功事例といえます。

 

エービービー(ABB)-ロボット

エービービー(ABB)は、1988年に誕生したスイスの企業で、製造業・エネルギー業などの幅広い業種をターゲットに、電力やロボットを中心に事業展開しています。

 

同社が取り組むリカーリングモデルは、2本の腕をもつ産業向けロボットの提供により、工場の人手不足を解消するもの。具体的には、頻繁に組み立て工程の変わる、スマホや時計などの組み立て作業に用いられ、これまで人が行ってきた手作業を正確に再現できます。

 

同社はロボットとともにいくつかのサポートサービスも提供しており、ロボットを遠隔視するサービス「Connected Service」を活用すれば、異常発生の際もサポートセンターからすばやく指示を仰ぐことができます。さらに「EXTENDED CARE」で遠隔の技術サポート、ロボットの一括管理が可能。ロボット運用、生産業務や管理コストが一元化されるためコストが明確化するのは、顧客にとっても大きなメリットとなっています。

 

またターゲット業界にリーチするため、ロボット提供だけでなく、操業データ取得・分析により業界内のプラットフォームを構築し、販売モデルに組み込んでいるのも特徴です。遠隔サービスの提案を通して顧客のメリットを訴求する手法は、これからリカーリングモデルにシフトしたいと考える企業の参考になるはずです。

 

クラフトフーズ(Kraft Foods)-食品

クラフトフーズは食品製造メーカーで、顧客に対して、定期的に購入してもらうリカーリングモデルを取り入れることで売上を伸ばしてきました。具体的には、食品のサブスクリプションモデルを導入し、定期的にフードボックスを届ける仕組みを取り入れることで収益を安定させています。

 

フードボックスの商品内容は、同社の定番商品のほか、ワクワクするような季節限定の特別商品を提供することで顧客満足度向上を目指しています。また定期的に配信するメルマガにおいて、商品情報だけでなくお得なクーポンを付与。商品購入に対しては、商品やギフトカードに交換可能なポイント付与など、繰り返し購入してもらえるようなマーケティング施策も実施しています。

 

 

まとめ

製造業のリカーリングモデルについてご説明しました。

 

自社の製品やサービスに誇りを持っているものの、近年テクノロジーの急速な発展により顧客ニーズが大きく変化していること、高品質の新興国製品がマーケットに台頭していることから、企業の今後に不安を感じる方も少なくないのではないでしょうか。

 

リカーリングモデルを導入することは、現在抱えている多くの課題を解決するヒントになるだけでなく、顧客との関係性を見直し、企業の大幅な成長を実現するカギとなるはずです。抜本的な改革がむずかしい、というケースであっても、顧客管理やマーケティング施策など身近なファクターからシステム化してみることで、自動化によるメリットを実感できるかもしれません。ぜひ自社のビジネス成長のヒントとして、参考にしてみてください。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Tue, 02 May 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[【製造業向け記事紹介】4月に新規公開したコンテンツまとめ]]> https://mtame.jp/column/April_contents2023
現在「エムタメ!」では、製造業のDXに関連するコンテンツの発信を強化しています。弊社クラウドサーカスではBtoB製造業の企業様を中心にデジタルマーケティングを支援しているのですが、皆様の関心はマーケティングや営業に限らず、DXやデジタル化全般に渡るため、より広く情報提供をしていきたいと考えているからです。

 

4月も製造業に特化した記事を6本ほど公開したので、タイトルと概要をご紹介します。情報収集や用語のおさらいににお役立ていただけますと幸いです。

 

 

 

製造業ブランディングの基本を解説!主なメリットから大まかなステップまで

製造業ブランディングの基本を解説!主なメリットから大まかなステップまで

 

 

「ブランディング」という言葉やその意味を知ってはいるものの、「製造業にとって本当に必要なのか」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか?


競争に勝ち残る上でカギとなる「ブランディング」の重要性は製造業においても例外ではなく、適切に取り組むことで「○○製品と言えば○○会社」などと真っ先に思い出してもらうことができ、市場における競争の中で優位なポジションを築くことが可能です。


本記事では製造業におけるブランディングについて、必要性やメリット、ブランドを作る5つのステップやその効果などを、詳しく紹介します。

 

製造業ブランディングの記事を読む

 

 

【2023年版】機械関連の製造業展示会まとめ!

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行動制限の緩和などの影響で、ようやく製造業向けのリアル展示会においても人波が戻ってきました。今年は海外来場者の増加も期待されるなど、さらなる盛り上がりも期待されています。

 

リアルの展示会では最新トレンドや技術を肌で感じてもらうことができ、オンラインでは伝えきれない魅力を伝えられるというメリットがあります。また参加者としても、実際に足を運ぶことで効率的に情報収集ができ、予期せぬ出会いも期待できます。製造業の営業・マーケティング活動において、この上ないビジネスチャンスと言っても過言ではありません。

そこで本記事では、2023年に開催される機械関連の製造業向け展示会について、開催日時や会場などの基本概要に加え、それぞれの規模や特徴などについて紹介します。出展を検討されている方、そして最新の情報をキャッチアップしたい方は、ぜひ参考にしてください。

※情報はすべて執筆当時(2023年4月14日)のものです。詳細は必ず公式サイトよりご確認ください。

 

ものづくり展示会のまとめ記事を読む

 

 

 

製造業DXの重要性とは?メリットや取り組み事例をご紹介

製造業DXの重要性とは?メリットや取り組み事例をご紹介

 

 

製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、、デジタル技術を取り入れることによって、製品やサービスを利用する人々の生活をよりよくすることです。デジタル技術の発達にともなって世界経済の成長スピードがますます加速する中、まだまだアナログな業務フローの多い製造業は、DXにより大きな成長が見込まれている市場であり、「製造業DX」は多くの熱い視線を集めています。

製造業においてデジタルテクノロジーを活用すれば、開発設計、製造からエンドユーザーの手に渡った後まで、すべてのプロセスの情報を一元管理し、現場にすばやくフィードバックを行えるようになります。デジタル技術による正確な情報取得により、高い生産性を維持しながら、コストを抑えた業務遂行が可能です。

本記事では、製造業においてなぜDXが重要なのか、製造業DXを進めることで実現できるメリットや課題まで、わかりやすく解説します

 

製造業DXの記事を読む

 

 

 

デジタルツインとは?シミュレーションとの違い、製造業での活用事例などをご紹介

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製造業DXや生産性の向上における重要なキーワードの1つが「デジタルツイン」です。 「デジタルの双子」を意味するデジタルツインは、現実空間にあるモノや環境などのデータを取得し、デジタル空間上にその3Dモデルを再現する技術で、現実空間でおこりうる将来的な予測に役立てられています

デジタルツインには、トラブルを未然防げたり、コストを削減できたりと様々なメリットがあります。生産性の向上や、DXが急がれる製造業界において今まさに注目が集まっているテクノロジーの1つです。


そこで本記事ではデジタルツインとはなにか、製造業においてデジタルツインを活用するメリットや、活用事例をご紹介します。また、弊社はBtoB製造業を中心としたマーケティング・営業支援会社でもありますので、デジタルツインと営業のデジタル化の共通点>についても最後に触れました。ご興味がある方はぜひご一読ください。

 

デジタルツインの記事を読む

 

 

 

デジタルイノベーションとは?DXとの違いや製造業における活用事例をご紹介

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デジタルイノベーションとは、デジタル技術を活用してビジネスや社会を変革することです。デジタルイノベーションは、新しい生産プロセスや新製品・サービスでいままでにない価値観を市場に作り出し、社会全体の変革につなげます。

 

生産性の向上や環境への配慮など、世界の変化に取り残されないためにも、製造業でのデジタル活用が急がれています。そこで本コラムでは、製造業におけるデジタルイノベーションについてまとめてご紹介。デジタル導入をご検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

 

デジタルイノベーションの記事を読む

 

 

ダイナミックケイパビリティとは?製造業における重要性やDXとの関係

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「ダイナミックケイパビリティ」とは、急速に変化する環境や状況に応じて自己を変革していく企業の能力を指し、近年では特に製造業において重要性が高まっています。ただ、この記事をお読みの皆様の中には、何となく意味は知っているけど背景にある理論や事例までは知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、「ダイナミックケイパビリティ」の意味や製造業で重要視されている理由、DXとの関連性や具体的な事例、課題、デジタルマーケティングとの関係性について、知識ゼロの方でもわかりやすく解説します。

 

ダイナミックケイパビリティの記事を読む

 

 

来月以降も製造業の方向けのコンテンツを発信します!

以上、4月に新たに公開したコンテンツを紹介してまいりました。5月以降も引き続き、マーケティングに限らず製造業の方々向けのコンテンツの情報を発信してまいります。

 

乞うご期待ください。

 

 

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Mon, 01 May 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[最適なマーケティングで成果に繋げる!DPOメソッドの概要と活用企業の声をご紹介]]> https://bluemonkey.jp/media/cases/dpo_method_case Fri, 28 Apr 2023 10:17:48 +0900 <![CDATA[デジタルイノベーションとは?DXとの違いや製造業における活用事例をご紹介]]> https://mtame.jp/column/digital_innovation デジタルイノベーションとは、デジタル技術を活用してビジネスや社会を変革することです。デジタルイノベーションは、新しい生産プロセスや新製品・サービスでいままでにない価値観を市場に作り出し、社会全体の変革につなげます。

 

生産性の向上や環境への配慮など、世界の変化に取り残されないためにも、製造業でのデジタル活用が急がれています。そこで本コラムでは、製造業におけるデジタルイノベーションについてまとめてご紹介。デジタル導入をご検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

 

※デジタルトランスフォーメーションについてまとめた資料(全41ページ)もご用意しました。
こちらも併せてご活用ください。

>「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは」の無料資料をダウンロードする

 

 

 

 

イノベーションとは

デジタルイノベーションについてご紹介する前に、そもそもの「イノベーション」についておさらいをしておきましょう。

 

イノベーション(innovation)の辞書的な意味は「新しい価値を生み出して社会や経済に変革を与えること」です。「新しくする」という意味をもつラテン語「innovare」が語源で、日本語では「技術革新」と訳されます。

 

提唱者や文脈によって微妙に表現が異なるのですが、例えば経済産業省では「イノベーション」を以下のように定義しています。

 

研究開発活動にとどまらず、
1.社会・顧客の課題解決につながる革新的な手法(技術・アイデア)で新たな価値(製品・サービス)を創造し
2. 社会・顧客への普及・浸透を通じて
3. ビジネス上の対価(キャッシュ)を獲得する一連の活動を「イノベーション」と呼ぶ

 

出典:日本企業における 価値創造マネジメントに関する行動指針

 

「イノベーション」という言葉自体が「新しいことに挑戦する」「新しい価値を生み出す」というメッセージ性をもつこともあり、ビジネスの世界では組織や企業が掲げるスローガンとしても使われています。

 

イノベーションの種類

イノベーションには、提唱者によってさまざまな定義があります。代表的なのが、ヨーゼフ・シュンペーター、クレイトン・クリステンセン、ヘンリー・チェスブロウの3人による概念です。3タイプの定義について詳しくご紹介します。

 

ヨーゼフ・シュンペーターの5つの分類

イノベーションの概念を最初に提唱した、オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは以下の5つに分類しています。

 

■プロダクト・イノベーション(新商品・サービスの開発)

■プロセス・イノベーション(生産工程を改善し、事業の成長につなげる)

■マーケット・イノベーション(新たなマーケットや新規顧客の開拓)

■サプライチェーン・イノベーション(新たな供給源や流通ルートの確保)

■オーガニゼーション・イノベーション(ビジネスモデルの改善で組織を強化)

 

イノベーションとは、必ずしもいままでにない画期的な技術・商品を生み出すことだけではありません。システムの創造や組織の改変など、経験に基づいたユニークなアプローチでビジネスや社会を刷新することも含まれます。

 

 

クレイトン・クリステンセンの2種類の提唱

ハーバード・ビジネス・スクール教授のクリストン・クリステンセンは、著書の中で

 

「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」の2つに分類しています。

 

持続的イノベーション

すでに存在している既存商品・サービスの改新を重ねて機能・性能を高める手法です。創造的イノベーションとも言われ、顧客の要望などを取り入れながら商品が長期間支持されるよう、製品向上に務めます。

 

破壊的イノベーション

市場の基準からまったく異なる発想で商品・サービスを生み出す手法です。すでに安定している市場でも、既成概念が根底から覆されるため、事業が成功している企業も市場シェアが奪われてしまうこともあります。

 

破壊的イノベーションは、さらに細かく分類すると、圧倒的な低価格製品を開発する「ローエンド型」と、革新的な開発で市場に参入する「新市場型」に分けられます。

ローエンド型は、「ユニクロ」や「ダイソー」がその典型例です。新市場型は「iPhone」や「ルンバ」などがよく挙げられ、その登場により市場が様変わりしました。

 

 

ヘンリー・チェスブロウの2つの分類

ハーバード大学の経営学者ヘンリー・チェスブロウは、「クローズドイノベーション」「オープンイノベーション」を提唱しています。

 

クローズドイノベーション

1980〜1990年代に中心となっていた自社内の経営資源で研究・開発を行う「自前主義」体制から生まれた手法です。かつて商品開発は内製化することが効率的といわれており、市場化するまで非公開で進められていました。

 

オープンイノベーション

オープンイノベーションは、1990年代以降に主流となってきた考え方です。近年、インターネットやテクノロジーの発展でグローバル化が進み、市場競争は激化しました。自社だけで開発を行うクローズドイノベーションは限界を迎え、その代わりに外部の技術やアイデアを活用する「オープンイノベーション」という定義が誕生しました。積極的に外部リソースを取り入れることで、自社だけでは達成困難な事業を成功させます。

 

 

デジタルイノベーションとは

イノベーションについておさらいをしたうえで本題です。「デジタルイノベーション(digital innovation)」とは、デジタル技術を使用して新しい価値を生み出し、社会に変化をもたらすことです。社会全体の革新から企業の改変まで、幅広い意味合いで使われている概念です。

 

ビジネス領域では、デジタルを活用した新商品やサービスの開発、生産システムの最適化で暮らしや社会がより良い方向へ変化するという意味合いでも使われます。

 

2023年に経済産業省では、「地域デジタルイノベーション実証型」の事業者を公募し、地域企業とデジタル企業、協力団体の連携を資金援助。政府もデジタルイノベーションの取り組みを促進しています。

 

出典:「地域新成長産業創出促進事業費補助金 地域デジタルイノベーション実証型」に係る補助事業者の公募

 

 

デジタルイノベーションとDXの関連性

デジタルイノベーションに似た概念として、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉があります。最近、よく見かける単語ですが、両者にはどのような関連があるのでしょうか。

 

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、業務改善やサービス向上など、ビジネスモデルを革新して競合他社よりも優位に立つこと、企業の競争力を高めることをいいます。

 

DXについてはじめて提唱した、スウェーデンのエリック・ストルターマンは「テクノロジーの浸透で人々の生活がよくなること」と定義。現在の日本では、「デジタル技術を使ってビジネスを変革すること」という概念が浸透しつつあります。

 

経済産業省では以下のように定義しています。

 

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

 

出典:中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き

 

デジタルイノベーションの中心はDX

本質的には、デジタルイノベーションとDXに大きな違いはありません。目的に多少の違いはありますが、どちらも「デジタル技術を活用して革新する」という点では同じ意味といえます。

 

デジタルイノベーションは、デジタル技術を活用した社会・経済の変革であり、その中心となる施策がDXです。DX推進は組織的な価値を創出し、デジタルイノベーションは社会的な革新を実現するという概念といえるでしょう。

 

 

デジタルイノベーションにおけるDXの役割

デジタルイノベーションにおいて、DXでどのようなことが実現できるのでしょうか。

 

事業展開の改革

デジタル技術を導入することで、マーケティングの強化、営業プロセスの見直しなど、いままで課題となっていたシステムを大きく改善できます。市場や顧客のニーズに対応できる柔軟な体制づくりは、現代に必要不可欠です。その手段としてDX推進入し、事業プロセスを改革することが新しい商品・サービス展開にもつながります。

 

労働環境の改善

これまで一般的だった手書きの作業記録や紙のマニュアルを、デジタル化することで作業者の負担が大幅に軽減できます。動画のマニュアルは、文章で読むより工程を素早く理解でき、作業も早く覚えられる傾向があるといいます。このように作業の自動化で人手不足も解消し、労働環境も改善。組織体制や業務フローが刷新できます。

その結果として生産性が上がり、よりクリエイティブな製品開発にリソースを多く使うことができ、デジタルイノベーションが加速するのです。

 

新しいビジネスの創出

いままで新ビジネスを創出したいと考えてもなかなかはじめられなかった企業も、デジタル技術を用いれば、現状とは違ったビジネスが展開しやすくなります。顧客データの分析や市場調査など、ニーズの把握もスムーズにでき、新たなビジネスチャンスが見えてくるでしょう。これまでの取れなかったデータをDXによって取得でき、組み合わせることで、新たな価値創出となります。

 

 

製造業にデジタルイノベーションが必要な理由

いま世界では、AIやIoTなどを活用する第4次産業革命に続き、第5次産業革命として「インダストリー5.0(Industry 5.0)」についての議論がされています。「持続可能性」や「人間中心」、「環境への配慮」などのコンセプトが盛り込まれており、人間が中心となって、機械と協働する未来について提唱されました。

 

そのため日本の製造業でも、SDGsに代表される持続可能な社会や環境への配慮、さらにはネットワーク・データ化などの重要性がさらに高まるでしょう。

 

またコロナ禍を経て、不可抗力な事態に対応する、適応能力の必要性も求められています。

 

現在は少子高齢化が加速しており、製造業の人手不足も深刻化。技能伝承が求められる製造業では、若手人材が足りないだけでなく、指導する人材も不足するという課題に頭を悩ませています。

 

これらの問題解決に向けて、求められているのがデジタルイノベーションです。生産プロセスの抜本的見直し、作業システムの見える化などデジタル技術による変革が急がれています。

 

限られた人的資本の中で経済成長を達成するためには、デジタルで新たな価値を生み出し、生産性の向上を図らなければなりません。今後ますますデジタルイノベーションの必要性が高まるでしょう。

 

関連記事:
ダイナミックケイパビリティとは?製造業における重要性や営業・マーケティング分野での必要性

 

 

製造業における取り組み事例

ここからは、DXを中心とした製造業での導入事例についてご紹介します。

 

ヤマハ発動機 「デジタル戦略部」を立ち上げ作業効率化に成功 

製造システムや基幹システム、デジタルツールなど、いままではIT子会社で内製してきたというヤマハ発動機。売上拡大を目指してDX化を積極的に続けていましたが、工場や支店の海外展開が続く中で各拠点ごとに独自システムが作られ、非効率な体制になっていたといいます。

 

ニーズの把握やターゲットに合わせた商品展開も不足していたことから、「既存のビジネスの効率化」「未来のビジネスの創出」を目的とした「デジタル戦略部」を創立。「デジタルマーケティング」「データ分析」などの検証を繰り返したそうです。

 

その取り組みの結果、拠点ごとでばらつきのあった基幹システムも、外部パートナーとの連携で改善。自社内のソフトエンジニア人材を育成し、課題を見つけて解決していく独自のサイクルも確立されたとのこと。エンジニアリングチェーンの効率化を実現できたそうです。

 

今後は、デジタル技術を使ってニーズを把握し、商品開発につなげるマーケティングと、既存商品向上のためのマーケティンクに注力。双方に力を入れて売上拡大を目指していかれるそうです。

 

参考資料:製造業DX取組事例集

 

 

内田染工場 デジタル技術と職人技術を融合させて染色業界に貢献

明治42年創業の製品染めを専門とする東京都文京区の内田染工場では、「CCM(Computer Color Matching)」と「業務管理システム」の2つのデジタル技術を導入。「多品種少量」製品の受注、難しいオーダーにも対応できる体制を整えて、多くの受注獲得に成功しています。

 

CCMシステムに色素と素材のパターンを登録することで、いままで「職人のカン」に頼らざるを得なかった色の調合をデジタル化し、平準化に成功。作業期間も最短1日までに短縮させて効率改善を実現しました。

 

また、業務管理システムの導入では、受注内容や納期、作業状況の一元管理を実現。タブレットを社員に配布し、システムにいつでも・どこでもアクセスして工場内の進捗状況が確認できるようになりました。

 

デジタル技術を積極的に取り入れながらも、「職人のカン」で生み出す伝統製品も残しているとのこと。デジタル技術と職人技術の融合で染色業界の発展に貢献していきたいそうです。

 

参考資料:ものづくり基盤技術の振興施策

 

 

メトロール 「生産管理システム」で適正な在庫管理を実現

東京都立川市にあるメトロノームは、「高精度工業用センサ」の開発・製造・販売までを行う企業です。主力製品の「着座センサ」を中心とした販売で、コロナ禍でも過去最高の収益率を達成したとのこと。

 

「着座センサ」は、金属切削粉の混入などを自動で検知し、不良品の発生を防止する機器。いままで職人の目視に頼っていた確認工程を、1,000分の1ミリメートルの繰り返し精度という高い技術で自動化を実現しました。

 

メトロノームでは、このセンサの製造に「生産管理システム」を導入。製造に必要な約1万点の部品を自動発注でき、適正な在庫管理を可能にしました。その結果、リードタイムの短縮、進捗状況の見える化に成功したそうです。

 

デジタル技術の導入には、「現場の作業を熟知した社員が参画すること」が大切だといいます。現場の社員の「気づき」が必要で、「何を自動化するか」「どのようなことをデータ化できるか」といった対話ができる環境により、デジタル化が実現したとのことです。

 

参考資料:ものづくり基盤技術の振興施策

 

 

ポリコール岩槻工場 デジタル導入でヒューマンエラーを防止!生産性も向上

埼玉県さいたま市にあるポリコールは、商品パッケージ、筆記用具などに使用されるマスターバッチの製造・販売を手がける企業です。課題となっていたのは、数多くの原材料を人が計量、配合、検査をすることによるヒューマンエラー。原料の計量、調合ミスなどでクレームにつながることが多かったそうです。

 

その課題を改善するために導入したのが、IoT技術を活用した計量システム。インターネットで基幹システムと計量器を接続し、製造指示情報を蓄積できるようにしました。社員は指示どおりに作業するだけで、原材料の誤使用や誤計量が防げるといいます。計量記録も自動入出力されるため、計量後の確認、記録作業も不要に。いままで品質保証業務に携わっていた社員も製造作業に加わり、生産性が向上したとのことです。

 

システム導入のきっかけは、現場社員による働きかけ。業務内容に精通した社員と、工場の製造課長がクレームを受けたことから、試行錯誤がはじまり、技術研究や現場作業員の説得などを続けて導入に至ったそうです。

 

いまの課題は、デジタル人材の不足。現場の社員が理解できるように説明したり、社員が求めていることをデジタル技術に落とし込んだりできる社員が必要とのこと。デジタル人材の育成・確保に取り組みつつ、さらなる活用を目指しているそうです。

 

参考資料:ものづくり基盤技術の振興施策

 

 

デジタルイノベーションの課題

デジタルイノベーションの必要性は理解していても、すぐに取り組むのは難しいことです。企業全体で取り組む体制がなければプロジェクトは実現しません。ここからはデジタルイノベーションの課題についてご説明します。

 

システムの老朽化・ブラックボックス化

既存システムのブラックボックス化が問題視されています。「2025年の崖」と呼ばれる問題で、事業部ごとの構築、過剰なカスタマイズにより、既存の基幹システムに多くのコストや人的リソースがかかり、新しいデジタルに投資できないといわれています。

 

経済産業省によると、システムの維持管理費はIT予算の9割以上となり、保守運用者の不在でシステムトラブルのリスクも高まっているとのこと。この問題が国際競争に遅れにつながり、課題を克服できない場合は、2025年以降に最大で年間12兆円経済損失が生じる可能性があると警告しています。

 

出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開

 

デジタル人材の不足

日本社会において、デジタル人材の不足は深刻な問題です。システムを導入する「ユーザー企業」は、開発会社である「ベンダー企業」に頼らざるを得ない状況が続いています。

 

ITエンジニアの7割以上がベンダー企業に在籍しているといわれており、ユーザー企業はいかにデジタル人材を育成・確保するのかが大きな課題です。少子高齢化の現代では、新人採用が困難になっており、離職率の改善、働き方改革、人材育成システムなど労働環境の全体の見直しも迫られています。

 

デジタル人材不足は製造業に限らず、日本の企業全体に言えることです。デジタル化が最も遅れているローカル企業やスモールビジネスは、人材の確保がますますしにくくなり、デジタル化が遅れる負のスパイラルに陥っています。

 

デジタル人材の育成は今後もっとも大きな課題として、多くの企業に降りかかってくるでしょう。

 

 

デジタル技術に対するノウハウ不足

人材の不足と関連して、ノウハウ不足が課題として挙げられます。

 

経済産業省の「ものづくり基盤技術の振興施策」によると、デジタル技術を活用する課題として「デジタル技術導入にかかるノウハウの不足」を挙げる企業が最も多く、活用を模索している状況が浮き彫りになりました。「デジタルで新しいことをはじめようとしても革変にまで至らないケースが多い」といったことも指摘されています。

 

 

企業全体で推進する体制づくり

大企業を中心にデジタルイノベーションを推進しているものの、現状では厳しい状況が続いています。現場の社員は、プロジェクトの改善は得意としていても、デジタルイノベーションとして抜本的なアイデアを思いつくのは難しいものです。新規事業は人材を集めるのも難しく、伝統的な企業ではリスクを取りたがらない社員も多くいます。

 

また、歴史ある既存製品をもつ企業にとって、新規事業は軽視されがちで、新たなサービスに挑戦することは容易ではありません。

 

経営陣に革新的技術への理解がない場合も、デジタルイノベーションを進めることは難しくなります。従来の経営にとらわれず、時代の変化に取り残されないよう、現場社員の意見を取り入れる広い理解力が求められています。

 

 

顧客や投資家を優先

投資家や顧客の意見は非常に重要ですが、そこにばかり集中してしまうと商品・サービスの開発に遅れてしまう可能性があります。目先の利益ばかりにとらわれてしまうとイノベーションは実現しません。時代やニーズの変化を常に意識し、長期的な目線を持って変革のタイミングを見逃さないことが大切です。

 

 

 

営業・マーケティング分野のデジタルイノベーション

デジタルイノベーションは生産プロセスや開発の文脈で使われがちな言葉ですが、営業やマーケティング分野においても不可欠になっています。

デジタルイノベーションの意味は「デジタル技術を使用して新しい価値を生み出し、社会に変化をもたらすこと」と申し上げましたが、モノではなくコトを売る時代において、デジタルを活用して適切なタイミングで適切な情報を届けたり、提案をすることは付加価値となります。

 

ものづくりにおいても”サービス化”が求められて久しいですが、良いサービスを提供するためにはデジタル技術の活用が不可欠です。営業マンが顧客のニーズを把握したり、担当が変わっても情報がきちんと引き継がれたりすることは、顧客にとって価値を感じるところになりますし、そのプロセスにはデジタルツールが大いに役立ちます。

 

例えばMAツールを使えば顧客が閲覧しているページがわかるため、営業現場での話題にできます。メールを送付して開封している人(関心がある人)にだけアプローチをすれば、適切な人にだけ適切な連絡を取ることができます。

 

また、これまでホームページを看板代わりにしか使っていなかった企業が、積極的に有益情報を発信することで顧客の課題解決に繋がり、価値を生み出すかもしれません。そこからビジネスに繋がればお互いにWinWinになるますし、そういった企業が増えていけば社会に変化も生まれるでしょう。

 

営業・マーケティング分野のデジタルイノベーションに取り組んでいる企業は年々増えています。まだ取り組まれていない方がいらっしゃいましたら、ぜひご検討ください。

 

 

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まとめ

デジタルイノベーションは、製造業のさまざまな問題解決につながる大きな成果が期待できます。ただし、実現するためにはデジタル人材の確保が必要です。デジタル技術を導入するための予算も確保しなければなりません。体制作りも必要となり、課題は山積みです。デジタルの活用は腰が重くなる話ではありますが、どこかのタイミングで取り組まねばならない危機感は感じられているかと思います。

 

最近では無料からはじめられるデジタルツールが数多く登場しています。まずはデジタル技術にふれてみて、自社の事業に適しているのか試してみてはいかがでしょうか。デジタル活用をきっかけに大幅な変革が可能になるかもしれません。イノベーションというと腰が重くなるかもしれませんが、大切なのは一歩目を踏み出すことと、経営層が理解を示すことです。



また、本記事でご紹介した営業・マーケティング分野でのデジタル活用は弊社がもっとも得意としている支援分野です。もしご興味がありましたら、以下の問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。


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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 27 Apr 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[ダイナミックケイパビリティとは?製造業における重要性やDXとの関係]]> https://mtame.jp/column/dynamic_capability 「ダイナミックケイパビリティ」とは、急速に変化する環境や状況に応じて自己を変革していく企業の能力を指し、近年では特に製造業において重要性が高まっています。ただ、この記事をお読みの皆様の中には、何となく意味は知っているけど背景にある理論や事例までは知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、「ダイナミックケイパビリティ」の意味や製造業で重要視されている理由、DXとの関連性や具体的な事例、課題、デジタルマーケティングとの関係性について、知識ゼロの方でもわかりやすく解説します。

 

 

 

 

ダイナミックケイパビリティとは?

「ダイナミックケイパビリティ」は、急速に変化する状況・環境に応じて自己を変革していく企業の能力を意味し、「企業変革力」とも呼ばれます。

 

いくら企業が豊かな固有資源を持ち、それらを利用することができたとしても、状況や環境の変化に応じられなければ不適合なものとなり、企業の弱みや硬直性を招いてしまいます。

 

そこで重要となるのが、自社が保有する人・モノ・情報・時間などの固有資源や強みを適切に組み合わせながら変化に対応していき、持続的な競争力の持続を目指す戦略経営論の「ダイナミックケイパビリティ」です。

 

状況・環境の変化が激しく未来予測が困難な近年では、「ダイナミックケイパビリティ」は急速に変動する市場を生き抜くための経営論として非常に注目を集めています。

 

また、混同されがちな言葉に「オーディナリーケイパビリティ」という言葉があるので、次章で両者の違いについて説明します。

 

 

ダイナミックケイパビリティとオーディナリーケイパビリティの違い

ダイナミックケイパビリティをより明確にしていくために、混同されやすい「オーディナリーケイパビリティ」との違いについて理解しましょう。

 

「オーディナリーケイパビリティ」は自社の固有リソースをより効率的に活用して、利益の最大化を図る能力を指します。自社の資源利用の効率化という内部環境への対応が最重要視され、外部環境の変化に対する視点が欠如している点がダイナミックケイパビリティとのはっきりした違いです。

 

オーディナリー・ケイパビリティは、労働生産性や在庫回転率のように、特定の作業要件に関して測定できます。資源の効率化とそれによる利益の最大化を目指す「オーディナリーケイパビリティ」は、企業にとって根本的に重要であることに変わりはありませんが、オーディナリー・ケイパビリティだけでは外部の変化に適応ができず、市場において競争力を持続していくことは困難です。

 

ニーズが環境が激しく変化する現代において、外部環境に対応するという視点も盛り込まれた「ダイナミックケイパビリティ」こそが、時代が求める戦略経営論として注目されています。


ダイナミックケイパビリティとオーディナリーケイパビリティの違い

 

 

ダイナミックケイパビリティの背景となる2つの理論

「ダイナミックケイパビリティ」という考え方が誕生する背景には「競争戦略論」と「資源ベース理論」という2つの理論があります。より深く理解するためにそれぞれの理論についてみていきましょう。

 

競争戦略論

「競争戦略論」は、企業が自社を置く市場を分析して、競争優位性を確立するために誕生した理論です。戦略経営論の出発点となった理論とされています。

 

本理論は業界の状況や市場が企業の戦略・業績を決定するという考えにもとづいているのが特徴で、企業は自社の競争優位性を確立するために、「新規参集企業/既存競合他社/買い手/売り手/代替品」などの市場の競争要因を明らかにする必要があります。

 

しかし多くの実証研究から、同じ業界内でも異なる経営戦略で成功を実現している企業が存在していることが明らかになり、本理論の限界や脆弱さが批判されるようになりました。この批判を受けて誕生したのが、次に紹介する資源ベース理論です。

 

資源ベース理論

「資源ベース理論」は、業界の状況や市場ではなく、企業が保持する固有の資源こそが企業の戦略行動や業績を決定するという理論です。企業が保有する資源によって競争力の違いが生まれるということを意味します。

 

本理論は企業が保有する経営資源が、市場における持続的な競争優位性の確立に強く影響していることを表しており、後に自社の固有資源を利用する能力=「ケイパビリティ」が競争力において重要であるという考えにつながっていきました。

 

しかしいくら企業の固有資源が豊かでも、変化する環境や状況に対応できなければ不適合なものとなってしまい、企業の弱みへと転じてしまうという批判が上がりました。

 

このような背景から、最適な経営戦略の実現のために「競争戦略論」と「資源ベース理論」の2つの理論を組み合わせた「ダイナミックケイパビリティ」が誕生したのです。

 

製造業においてダイナミックケイパビリティが重要な理由

ではなぜ「ダイナミックケイパビリティ」が製造業において重要なのでしょうか?

 

製造業における変化への対応力の重要性は以前から求められていましたが、コロナ禍において製造業では自動車産業をはじめとする多くの企業が長期にわたる操業停止に追い込まれ、その重要性はより顕著になりました。

 

他にもグローバル化などの様々な要因が絡み合うなど、長期的な経営戦略が立てづらい状況が続いており、柔軟に対応できるダイナミックケイパビリティの重要性はますます高まっているのです。

 

また、経済産業省が2020年5月に公表した「2020年版ものづくり白書」では、激変する環境における「ダイナミック・ケイパビリティ」の重要性が示されており、製造業における同理論がさらに重要視されるきっかけとなりました。

 

さらに、政治経済における不確実性の高まりや、企業に大きな関わりのある技術革新、働き方改革やニーズの変容など、予測不可能な様々な出来事が次々と起きており、これまで以上に臨機応変に対応できる柔軟さと自己変革能力の必要性が叫ばれているのです。

 

ダイナミックケイパビリティを構成する3つの要素

「ダイナミック・ケイパビリティ」には3つの構成要素があります。それぞれの要素について詳しくみていきましょう。

 

感知、捕捉、変容

 

 

感知(センシング):脅威や危機を感知する能力

1つ目の要素である「感知(センシング)」は、「環境・状況の変化/社会情勢/顧客ニーズの把握/同業他社の動向」など、自社を取り巻く脅威や危機をいち早く感知する能力です。経営環境の変化を的確に把握・分析して自社の置かれている状況を理解することは、「ダイナミック・ケイパビリティ」において必要不可欠な要素といえます。

 

捕捉(シージング):機会を捉え、既存の資産・知識・技術を再構成して競争力を獲得する能力

2つ目の要素「捕捉(シージング)」は、企業が保有する経営資源を状況に応じて再構成・再利用して競争力を獲得する能力を指します。

 

1つ目の要素で変革すべき機会を感知できたら、「捕捉(シージング)」によって最適な変革を見極め、自社が保有する固有資源の再構成が必要です。市場における自社の競争力を高めるためには欠かせません。

 

変容(トランスフォーミング):競争力を持続的なものにするために、組織全体を刷新し、変容する能力

3つ目の要素「変容(トランスフォーミング)」は、企業が持続的な競争優位性を確立するために、固有の資源を再構築・変容させる能力です。

 

「感知(センシング)」で経営環境の変化を感知し、「捕捉(シージング)」で資産を再構築したら、それを自社全体に浸透させて組織を刷新し、実際に「変容(トランスフォーミング)」をおこなっていきます。

 

外部環境に応じて自社を迅速に変革していくことで、持続的な競争優位性の確立を図る「ダイナミックケイパビリティ」を確立できるのです。

 

ダイナミック・ケイパビリティにおいて優位な「柔軟な組織」

高いダイナミック・ケイパビリティを持つ組織は「柔軟な組織」であると考えられており、以下の4つの特徴があると考えられています。

 

①職務権限を職務や地位に帰属させて、そこに人間を割り振る

②職務権限があいまいに規定されている

③メンバーが特定の職務権限を保有する期間が短い

④職務権限の配分が私的に正当化されている(メンバーがもつ公的資格に合わせて組織内の職務権限が配分されない)

 

「柔軟な組織」ではもともと職務権限が曖昧であるため、組織の変革に伴って生じるコストが小さいという特徴があり、ダイナミックケイパビリティに必要な変革を行いやすいという傾向があります。新しい技術や生産システムなどを導入しやすいのもポイントです。

 

対して高いオーディナリー・ケイパビリティを持つ「堅固な組織」は、各メンバーの職務権限が明確に帰属されるため効率性を追求できるうえ、高い成果を期待できるという傾向にあります。「柔軟な組織」にはそのオーディナリー・ケイパビリティの要素が低くなりやすく、能力の低いメンバーが温存されやすいという弱点があることを理解しておくと良いでしょう。

 

また製造業における調査(※)によると、企業の固有資源が少ない中小企業の方が、大企業より高い不確実性や大きな変動リスクにさらされていることがわかっており、職務権限を柔軟に帰属できる「柔軟な組織」を目指すことで、中小企業は高いダイナミック・ケイパビリティを維持しようとする傾向にあります。

 

(※)三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査」(2019年12月)

 

ダイナミックケイパビリティとDXの関連性

では具体的に、ダイナミックケイパビリティを保有した組織はどのようなことに取り組んでいるのでしょうか?重要なキーワードの1つが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。

 

業務のデジタル化を行うことで効率アップやコスト削減などを目指すDXは、ダイナミックケイパビリティと強く結びついています。2020年に公表された「ものづくり白書」では、ダイナミックケイパビリティを向上させるためにDXが必要不可欠であることが指摘されています。

 

DXを推進することで、ダイナミックケイパビリティを構成する3つの要素(感知・捕捉・変容)を向上することが可能です。

 

たとえば、DXの推進によってリアルタイムで経営情報を収集・分析できる体制を構築すれば、市場やニーズの変化をいち早く「感知」でき、より迅速に対応策を考える「捕捉」を行うことができます。自社組織や企業方針を「変容」する際にもデジタル技術の活用は非常に効果的で、DXの推進は高いダイナミック・ケイパビリティの実現と切っても切り離せない関係と言えるでしょう。

 

また最近では製造業DXにも注目が集まっています。この2つは今後もセットで捉えていくと、本質的な変革を起こしていけるかもしれません。

 

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ダイナミックケイパビリティの事例

注目を集めるダイナミックケイパビリティはすでに様々な企業で推進されています。以下では「富士フイルムホールディングス(株)」及び「ダイキン工業(株)」の事例について紹介します。

 

富士フイルムホールディングス(株)

富士フイルムホールディングス(株)は、2000年代まで写真用フイルムを主力ビジネスとして事業を展開してきましたが、カラーフィルム需要の急減に対応して大きく事業構造を展開し、既存事業に固執することなく、自らデジタルカメラを開発するなど新たな市場を開拓してきました。

 

具体的にはマーケットの未来予測、及びM&Aなど事業への投資を実行した後、カメラだけでなく、医薬品・再生医療・化粧品など他分野への積極的な参入を行いました。現在は主力事業をヘルスケアとして発展させ続けています。

 

時代の移り変わりや変化をいち早く察知し、自社の内部だけでなく外部環境にも柔軟に対応し続けてきた同社は、「変化に素早く対応する」「変化を予測し先手を打つ」「自ら変化を作り出す」ことを実践し続けて今に至ります。高いダイナミック・ケイパビリティを実現している好例と言えるでしょう。

 

ダイキン工業(株)

ダイキン工業(株)は空調製品を主力としていますが、天候や季節、景気などによる需要変動が大きく、ライフスタイルや住宅事情などの国・地域ごとの特性にも大きく左右される点が課題でした。

 

そこで同社は「市場最寄化戦略」を実践して、できるだけ作り置きせずに需要変動に対応できるグローバル生産体制の構築を図りました。

 

この取り組みでは日本の生産技術開発によって生産ラインを構成する要素をモジュール化し、地域ニーズの違いや生産量の変化など、外部環境の変化に素早く対応できる生産ラインを構築しています。

 

柔軟なグローバル生産体制を構築することでより迅速な市場参入を実現した同社は、高いダイナミック・ケイパビリティを発揮して実力を伸ばしている良い例です。

 

 

 

ダイナミックケイパビリティ推進時の課題

ダイナミックケイパビリティを推進する際には、解消しなければならない課題も残っています。しっかりと理解した上でダイナミックケイパビリティに取り組みましょう。

 

ダイナミックケイパビリティの推進の課題3つ

 

 

経営層の能力に委ねられている

1つ目の課題は、高いダイナミック・ケイパビリティの実現は経営層の能力に委ねられている点です。

 

不確実性に満ち、長期の経営戦略が立てづらい現代において、経営層は外部・内部の環境を的確に把握し、継続的に競争優位性を確保できる経営戦略を考える必要があります。

 

将来を見据え、過去に執着しない根本的な改革を実行できる経営者の存在がなければ、ダイナミックケイパビリティの実現は難しいといえるでしょう。

 

限られた経営資源

ダイナミック・ケイパビリティは、企業の固有資源を活用して外部環境に対応できる組織に変容する能力が求められますが、その資源は限られており、不足するケースも十分に考えられます。

 

例えば、現在あらゆる業界で人材不足が深刻化している日本においては「ヒト」という経営資源を確保するのは困難です。限られた資源を組み合わせてダイナミック・ケイパビリティを向上するのは容易ではなく、これも現在の大きな課題のひとつといえます。

 

ダイナミックケイパビリティに対応できる人材確保

高いダイナミック・ケイパビリティを実現・維持するには、対応できる優秀な人材を確保する必要がありますが、人材不足の深刻化もあって非常に難しいといえます。

 

また現在はダイナミック・ケイパビリティ推進の黎明期にあるため、人材教育のノウハウが出回っておらず、人材の育成も困難を極めます。人材の確保及びダイナミックケイパビリティに対応できる適切な教育は、乗り越えなければならない大きな課題です。

 

外部環境を把握する困難さ

急激に変化する経営環境において、時代の流れやニーズなどの外部環境を的確に把握するのは非常に難しいといえます。いくら情報を集めても市場の動向を適切に読み取れず、経営戦略の設計に苦労する企業は多くいます。

 

グローバル化や政治情勢など、様々な要因が複雑に絡み合って先が見通せないという状況は今後も続いていくでしょう。そんな中で時代のニーズや市場動向を的確に把握・分析できれば、より高いダイナミックケイパビリティを実現し、競合他社よりも優位なポジションを獲得できるはずです。

 

デジタルマーケティングにも必須なダイナミックケイパビリティ

弊社(クラウドサーカス)では10年以上前からBtoB製造業の企業様を中心にデジタルマーケティング支援を行っていますが、製造業の営業・マーケティング分野においても「ダイナミックケイパビリティ」がますます重要になっています。一昔前には、決まった取引先や商流のレーンの中で営業活動やPRを実施すれば成り立っていたビジネスが、デジタルの活用や海外製品の台頭によってそうも言えない状況になっているからです。

 

最新のデジタルを取り入れた営業・マーケティング組織に必要な要素は、ダイナミックケイパビリティを構成するものとよく似ています。「感知(センシング)」で市場環境の変化を感知し、「捕捉(シージング)」で営業組織やマーケティング戦略を再構築したら、それを自社全体に浸透させて「変容(トランスフォーミング)」をおこなっていきます。

 

例えばこれまで既存顧客へのルート営業をしていた人が従来の手法だけでは右肩下がりになってしまうことに気づき、新規開拓にも取り組んでいくとします。ですが、これまでの組織の決まりやしきたりに引っ張られていて、なかなか新規の営業先や見込み発掘が行われないと、いつまで経っても組織変革はおきません。

 

こういった変化に対応するために、自社を変革して時代に適応していく能力が問われていきます。従来の営業手法を見直しデジタルデータに基づいた活動を行ったり、オンラインからの引き合いを増やして新規の開拓をしたりするなど、これまで取り組んでこなかった施策をゴリゴリと進めていく必要があります。

 

また、デジタルマーケティング業界はドッグイヤーと例えられるほど変化が早く、数年前の知識がすでに古くなっている、といったことも起きかねません。そのため、常に学び続ける姿勢やリスキリングなどが求められるようになっています。

 

製造業におけるダイナミックケイパビリティでは上流や生産工程の話になりがちですが、中流以降の営業・マーケティング活動も例外ではありません。ぜひ後回しにせず取り組んでみてください。

 

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まとめ

今回は、「ダイナミックケイパビリティ」について、その意味や重要視される理由、DXとの関連性や具体的な事例、推進時の課題など網羅的に紹介しました。

 

市場で競争優位性を確保し続けるには必須となる「ダイナミックケイパビリティ」の重要性は、今後さらに高まっていくと考えられています。

 

まずはダイナミックケイパビリティの実現に必須とされるDXを推進するところからはじめ、3つの構成要素(感知・捕捉・変容)をバランス良く向上させていきましょう。市場や将来の予測がより困難になる今後に向けて、ダイナミックケイパビリティを取り入れることは自社にとって必ず良い影響をもたらすでしょう。

 

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Wed, 26 Apr 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[BtoB企業が取り組むべきコンテンツマーケティングとは?]]> https://mtame.jp/content_marketing/webinar_contents_marketing  

この記事では過去にクラウドサーカスで開催されたセミナーの内容を記事化してお届けします。セミナーのテーマは「BtoB企業が取り組むべきコンテンツマーケティングとは? ~コンテンツマーケティングで効果を最大化!BtoBのWebサイトにおすすめの手法~」です。

これから取り組む方向けに基礎から解説した内容となっておりますので、ゼロから学びたい方も是非お役立てください。

本セミナーのゴールとアジェンダ

まず初めに、本セミナーは「BtoB企業が取り組むべきコンテンツマーケティングとは?」をテーマとしたマーケティング基礎セミナーで、次のような方々を想定した内容になっています。

・コンテンツマーケティングをこれから始めようと考えている

・コンテンツマーケティングを実施しているがなかなか成果に結びついていない


コンテンツマーケティングへの障壁が低くなり、集中して取り組むべき施策がわかった
という状態をゴールとしています。本日のアジェンダは次の通りです。大きく3つの項目に分けてお話しします。


・そもそもコンテンツマーケティングとは何か  ・実際に始めるまでの注意点など  ・コンテンツマーケティングを実施していく上で何が重要で、どういった施策を行っていくべきなのか

・そもそもコンテンツマーケティングとは何か

・実際に始めるまでの注意点など

・コンテンツマーケティングを実施していく上で何が重要で、どういった施策を行っていくべきなのか

この中でも本日特にお持ち帰り頂きたい内容としては、最後の「実際に始められるコンテンツマーケティング」です。

コンテンツマーケティングは、実施すれば効果が出そうなためいつかは着手したいけれども、時間のかかる施策だと認識され後回しになってしまう傾向があります。そこで、これから始められる企業様には始めるための障壁を下げて頂き、すでに行っている企業様はより成果を出すためにはという視点で本セミナーを受講して頂ければ幸いです。

また、本編に入る前にお伝えしたいことがあります。本セミナーではいわゆる理想論よりも経験に基づいた施策についてお伝えしたいと思っております。

コンテンツマーケティングに関する情報の多くが、組織の中にコンテンツマーケティングに特化した戦略を描く方や分析・実行を担当するメンバー、クリエイターの方がいるなど十分なリソースが備わっている企業の成功事例によるもので、「理想論だなあ」と感じてしまう情報も多いのではないでしょうか。

こういった事例を見てしまうと、どうしても「私たちにはまだまだコンテンツマーケティングは早いのではないか」と感じてしまいがちかと思います。しかし弊社では、決してコンテンツマーケティングのリソースが潤沢な企業だけが実施できるとは考えておりません。

特にBtoBの企業においては、有効な商談数を最大化するための重要な施策の一つだと考えています。ですので本日は、理想論ではなくて自社の経験に基づいた情報と、BtoBの企業におすすめの実践方法をお伝えできればと思います。

それでは本題に移っていきます。

コンテンツマーケティングとは?

本セミナーの一番のキーワードである「コンテンツマーケティング」について、そもそもどういったものなのかをご説明します。

皆さんは「コンテンツマーケティングとは?」と質問されたら何と答えるでしょうか。非常に広義な意味もありますし、一般的には「集客」をイメージする方が多いかと思います。

一例として、アメリカのコンテンツマーケティング研究機関が打ち出している定義は次の通りです。

”見込み客として明確に定義された読者を

適切で価値ある一貫したコンテンツで引き寄せ、

関係性を維持し、利益に結びつく行動を促す”




アメリカのコンテンツマーケティング研究機関が打ち出している定義



英語から直訳されたものですので、実際には受け手によって意味の理解が変わるニュアンスがあるかと思います。

この定義をBtoBの現場に即して弊社なりに考えたものがこちらです。

”「適切なコンテンツ」を使って良質なリードを増やし、
リードの検討度合い(購買意欲)とエンゲージメント(関係性)を
高めるために行う全ての施策”


わたしたちが考えるBtoBの場合の定義


BtoBにおけるコンテンツマーケティングの目的は、有益な情報を最適な人に届けることで、良質なリードを獲得し受注につなげていくことである
と私たちは考えています。

つまり、集客だけでイメージされがちなコンテンツマーケティングではありますが、集客から育成の活動、そして商談獲得までの領域をカバーするのがコンテンツマーケティングであると考えます。

繰り返しになりますが、弊社におけるコンテンツマーケティングは、

”「適切なコンテンツ」を使って良質なリードを増やし、
リードの検討度合い(購買意欲)とエンゲージメント(関係性)を
高めるために行う全ての施策”

であり、マーケティングプロセスの全体を指す施策であると考えています。

開始するためのステップ

次に、コンテンツマーケティングを始める際の注意点について「開始するためのステップ」として解説します。

最初に気を付けるべきポイントは次の3つです。

・伝えたいことを一方的に投げない

・購入者(購入希望者)が知りたいことを理解する

・一貫性のあるコンテンツにする

マーケティング文脈におけるドリルの話は有名ですが、ドリルが欲しい人は穴を開けたいのであって、決してドリルそのものが欲しいわけではありません。

つまり、企業が企業として伝えたいことと、購入者が知りたいことのギャップを、適切なコンテンツでコンテンツマーケティング自身が埋める必要がある点が非常に重要です。

BtoBの商材の購入者には、商材の特性上、サービス比較から検討・導入までの間に展示会やWebサイト、営業担当者など多くのタッチポイントがあります。そして、いずれのタッチポイントでも常に一貫した対応を求めていらっしゃいます。

特にWebサイトのコンテンツにおいては、前後のタッチポイントを意識したコンテンツにすることが重要だと自分たちは考えています。

そして運用段階に入ったときには、「このコンテンツは本当にユーザーが求めている情報になっているのかな」「一貫性のあるコンテンツになっているのかな」と、定期的にこれらのポイントに立ち返ることが大事です。

では実際にどのように進めていくのか、ごく一般的な6つのステップをご紹介します。

コンテンツマーケティングの一般的な6つのステップ

最初に、コンテンツマーケティングを実施するための目的や目標を決めます。次に、どういったターゲットに向けてコンテンツを作るべきかを決め、ペルソナを設定します。

そしてカスタマージャーニーを作成して実際のコンテンツを作っていき、 チャネルを決めて、最後に、目標に沿ったスケジュールを作成します。こういった6つのステップにわかれるかと思います。

コンテンツマーケティングにおいて本当によく言われるステップであるとは思いますが、この中で特にピックアップしたいのが「カスタマージャーニーの作成」についてです。

カスタマージャーニー、本当に作成・活用できますか?

皆さんはカスタマージャーニーを適切に作成し、運用できているでしょうか。

弊社でもカスタマージャーニーの重要性を踏まえ、多くのBtoBの企業様に「カスタマージャーニーを作らなければいけないフェーズですよね」などとお話しさせて頂いています。

しかし冒頭でもお伝えしたように、すべての企業、特にリソースが潤沢でない企業が殆どであるという状況において、カスタマージャーニーを作成するのはかなり難しいというのが体感値です。

実際にカスタマージャーニーを作成していく上でよくあるお話から課題となる内容をまとめました。弊社では「カスタマージャーニー作成の落とし穴」としてお伝えしています。


カスタマージャーニーマップ作成のよくある話



図の左側の「制作~制作完了」では、カスタマージャーニーを作るにあたって「フレームワークを使ってもやり方がわからない」「作り方が難しい」といった現場の声や、そもそも作る時間がとれない、社内のメンバー間でどうしても偏った意見しか出て来ないといったことからカスタマージャーニーをなかなか作れない状況が出てきます。

そして右側の「制作完了~運用段階」では、作ったはいいけれどどう行動してよいかわからないとか、そもそもカスタマージャーニーで描いたコンテンツを作るところまでリソースを割けないといった課題が非常によく出てきます。

ですので、カスタマージャーニーを作ること自体が重要だとわかっていても、スムースな運用に至るには障壁の高い施策の一つになっているかと思います。

【データ】カスタマージャーニーを作成していますか?

過去に弊社にて、MA(マーケティングオートメーション)を導入している企業の方々にアンケートをとってみたところ、「あなたのお勤め先では、カスタマージャーニーを作成していますか?」という質問に対して、実際に作成して活用している企業は全体の24%という結果になりました。

逆に残りのおよそ75%の企業は、「カスタマージャーニーを作ったけれども活用できていない」「そもそも作れていない」といった回答になっていました。

あなたの勤め先では、カスタマージャーニーを作成していますか?




こちらのデータはマーケティング・オートメーション(MA)を導入している企業のものですので、マーケティングの必要性が会社の方針として顕在化している企業でもこのような数値となっていることがわかります。

さらにもう一つアンケートをとらせて頂きました。

「あなたのお勤め先、またはあなた(自身)がマーケティングに関連する業務で抱えている課題は何ですか?」という質問に対しては、 およそ半数の企業が「コンテンツの作成に困っている」「リソースが十分でない」といった課題を持っていらっしゃるようです。

ですので、コンテンツの計画や作成をすること自体に恒常的にリソースが足りていない状況に加えて、さらに作成・運用の難易度が高いカスタマージャーニーを作ることは難しいのではないか、というのが弊社としての感覚です。



あなたのお勤め先、またはあなたがマーケティングに関連する業務で抱えている課題は何ですか?




これだけみると、やはりコンテンツマーケティングにはリソースも必要で、戦略・戦術を出すような「人」も必要だと考えてしまいがちでしょう。

ですが、のべ7,000社超のBtoB企業のデジタルマーケティングを支援させて頂いた弊社から申しますと、少ないリソースのなかでもコンテンツを使って成功している企業は本当に数多く存在します。また、そのような企業には一つの共通点があるのではないかと考えます。

それは、「必ずしもカスタマージャーニーを作らなければならないわけではない」という考え方です。

・信頼獲得

・アクセスを増やす

・リードを増やす

・ホットリードを増やす

という普遍的なマーケティング活動のなかでも一つひとつに注力して施策を実行していけば必ず成果が出ていくという自分たちの考えがあります。

次の章ではこの4つの施策についてご説明します。

コンテンツマーケティング(デジタル施策)で成果を上げる4要素

改めまして、コンテンツマーケティングを始めるにあたっては、企業からの一方的な情報でなく、購入者が求めている情報を届けていくことと、カスタマージャーニーの作成にこだわらないことの2点が非常に大事です。

商談数・成約数を増やすために必要な要素



ここからは、成果を上げる要素として弊社が推奨する実践法についてお伝えしていきます。

冒頭でも軽く触れましたが、コンテンツマーケティングのゴールは商談数・成約数の最大化です。少ないリソースでも、

・信頼獲得

・アクセスを増やす

・リードを増やす

・ホットリードを増やす

という4つの施策に注力してリソースを投下していけば商談数は必ず増加します。そして成約に結び付く可能性が高まるという考え方です。

なお、コンテンツマーケティング自身のKPIを何に設定するかは企業によって様々かと思いますが、自分がお客様におすすめするのは「検討に至るリード獲得が何件出たか」というところです。少しKGIに近い要素があるかもしれませんが、定量的な指標としては置きやすいのではないかと思います。

では、一つずつ詳しくご説明していきます。

 

【1】信頼獲得

まず、「信頼獲得」のためのコンテンツについてです。

信頼される企業として最低限揃えておくべきコンテンツを弊社では次の通り挙げていますが、見てお分かりのとおり、当たり前のものではあります。

信頼される企業として最低限揃えておくべきコンテンツ



しかし少し角度を変えて考えてみますと、例えばポリシー関連の情報が掲載されていないと、これから新しい取引をしようと考えている企業の場合、個人情報の管理について「この会社さん、大丈夫なのかな?」と思われてしまうかもしれません。

採用情報が載っていない場合も、求職者からは「この会社さんはなぜ採用情報を掲載していないのだろう」と思われてしまうかもしれません。

なので、今あるコーポレートサイトを見直して頂くのも大事だと思いますし、これからリニューアルを控えているのであればこれらのコンテンツが問題なく備わっているかを確認して頂ければと思います。

写真付きの「代表挨拶」で信頼を獲得

中でも信頼を獲得するのに非常に効果的なコンテンツが「代表挨拶」です。

例えばこれから新卒としてその企業に入社したいと考える学生さんなどが企業のWebサイトを見る際、「代表挨拶」や「企業理念」が一番重要だと考えている方が非常に多いようです。

こちらは弊社および弊社が制作を担当させて頂いたお客様の事例です。このように、代表者様のお写真、そして会社に対する思いなどをコンテンツ化して頂き、信頼を獲得できるコンテンツを作成して頂ければと思います。

代表者様のお写真、そして会社に対する思いなどをコンテンツ化している例

なお、人材系の企業では、代表者様のお写真の掲載がない会社とは取引をしないというところもあるようです。

もし今、自社のWebサイトにお写真を伴う「代表挨拶」がないという場合は、ぜひ改めて代表者様に社内インタビューを実施してコンテンツを作成して頂き、お写真も掲載して頂ければと思います。

【2】アクセスを増やす

次に「アクセスを増やす」方法についてです。

Webサイトのアクセスを増やしていく上での代表的な手法として、SEOのと広告の対策の二つがあるかと思います。そして皆様ご存じの通り、コンテンツマーケティングに親和性が非常に高いのはSEOになります。

ただ、ここでSEOを深堀りした内容をご説明すると時間がかかってしまいますし、弊社の別のセミナーもございます。本セミナーではコンテンツマーケティングとSEOという視点で考えたときに、次の2点にポイントを絞ってお話しします。

・一球入魂ページ

・ロングテールキーワード対策

SEOとキーワードの設定

SEOの具体的な話に入る前に、まず、SEOを実施するにはどういったキーワードを設定するべきかを検討する必要があります。

これには、Googleのサービスを利用して、検討しているキーワードはどのくらいの検索数があるのか、「キーワード×〇〇」でどういった内容があるのかを調べる必要があります。

キーワードボリュームを調べるのにはGoogleの「キーワードプランナー」がありますし、サジェストを調べるにはGoogleの検索ワードでサジェストを出して、実際に調べてみるのも良いかもしれません。

ツールも多種多様にありますのでぜひ活用し、キーワードを調べて頂くのが良いかなと思います。まずはキーワードの選定をしましょう。

「一球入魂ページ」

前提が整ったところで、「一球入魂ページ」についてご説明します。

次の2つの図は、過去に「マーケティングオートメーション」というワードでウェブ検索をしたときに弊社のWebメディアのページが1ページめの1位あるいは2位に表示された際の例です。

1枚めの右側が実際の記事のページです。細長くズラッと並んでいますが全体で1ページになっていて、2枚めに続きます。

この長いページは39,000文字で22の目次があります。非常に壮大なコンテンツになっているのですが、このようなページを弊社では「一球入魂ページ」と呼んでいます。


一球入魂ページ「マーケティングオートメーション」の検索結果と詳細ページ

一球入魂ページ「マーケティングオートメーション」の詳細ページ2枚め






では、なぜ「一球入魂ページ」が必要かと言いますと「ビッグキーワードを狙った、まとまったアクセス流入が見込める」ことに尽きると思います。


ビッグワードは検索ボリュームも多いためまとまった獲得できればまとまったアクセスを見込めますが、競合コンテンツも多く存在するのが大きな障壁となります。




一球入魂ページが必要な条件



ただ、しっかりとキーワードで調べた人のほしい情報を網羅した「一球入魂コンテンツ」をつくっていけば、狙えないことはありません。オリジナルコンテンツにしていけば、コンテンツマーケティングと親和性の高い、更新しやすいページになっていくとも思いますので、ぜひ一球入魂ページを作成して頂ければと思います。

実際にコンテンツを作る際に注力すべきポイントは、「ユーザーの検索ニーズを満たしていること」「情報の鮮度」「自社のオリジナリティを持つこと」です。ビッグワードで調べている人はまだまだ曖昧な状態で情報収集していることが多いため、必然的に網羅性が高くなります。


コンテンツ作成のポイント

 

ロングテールキーワード対策

続いて、ロングテールキーワード対策です。複数のキーワードを組み合わせて構成されたキーワードを一般的にロングテールキーワードと呼びます。

ロングテールキーワードを実際に選ぶ際には様々なキーワードの調べ方があるでしょう。あくまで一般的な目安ですが、月間の検索が1,000回未満など比較的少ないものがロングテールキーワードに該当するかと思います。

では、なぜロングテールキーワードを狙っていくのかと言いますと、ビッグキーワードを狙っていくだけでは競合が多くて上位表示が難しいため、競合が少なくて比較的短い期間で上位表示が見込めるロングテールキーワードを狙い、アクセス数を最大化することが目的です。

ロングテールキーワード対策

引用元:

https://keywordmap.jp/academy/long-tail-keywords/

また、ロングテールキーワードはビッグキーワードの場合に比べると、検討度合いが高いワードが含まれていることが非常に多いです。

一つひとつの検索ボリュームは少ないけれど、検討度合いが高いユーザーに対してニーズに合った情報を届けられる可能性が高い分、意図したコンバージョンに導くこともできるかと思います。

実際にロングテールキーワードを作る際のポイントについてお話しします。

コンテンツ作成のポイント

次のような内容を意識してワードを選んで、コンテンツを作って頂きたいです。

コンテンツ作成のポイント

ロングテールキーワードを狙う場合にはコンテンツの一つひとつに注力していくというよりも、GRCなどのツールを導入して10位以内のキーワードが何件くらい出てくるかを把握し、点としてでなく面として捉えたKPIを設定して運用して頂くのが良いかと思います。


【3】リードを増やす

3つめの「リードを増やす」についてです。

はじめに本セミナーにおける「リード」の定義をご説明します。

ユーザーにWebサイトの中でフォームから個人情報を入力して送信してもらい、それに対して受け手側の企業がアプローチできる状態にある、これをリードと定義しています。

リードを増やすための施策として弊社が考える非常に有効な手段が「中間コンバージョン(中間CV)」と呼ばれるものになります。BtoBのWebサイトに限定した場合は特に当てはまるかと思いますが、ユーザーの心理状態を考えたとき、「問い合わせ」の障壁は非常に高いです。


ユーザーの心理状態



自分の求めている情報がなかなか見つけられない、載っていない。そしてさらに強い要素として、まだ情報収集段階なので問い合わせをする状況ではない。ゆえに問い合わせに至れないというユーザーが多く存在します。

そこで中間コンバージョンでは、いわゆる顕在コンバージョンと言われるお問い合わせをボンと設置するのではなく、潜在顧客・準顕在顧客・顕在顧客のそれぞれの段階・フェーズに合った様々なコンバージョンを細かく設定し、Webサイト上に設置していくことが重要です

例えば潜在顧客であれば、「自己診断テスト」「チェックリスト」「〇〇の必要性」といったコンテンツが該当すると思いますし、準顕在顧客(準顕在の見込みのお客様)であれば、サービス比較資料や業界・用途別の成功事例集などが中間コンバージョンに該当します。

サービス比較資料や業界・用途別の成功事例集などの中間コンバージョン




中間コンバージョンの定義や設置のメリットを踏まえたところで、具体的にどのようなコンテンツを設置すれば良いのかと言いますと、こちらの図にあるような内容になります。


中間コンバージョンになり得るコンテンツ



この中でも弊社が特におすすめしているのは、営業提案資料のなかから該当するコンテンツを切り取って作成するという方法です。

どの企業でも営業提案資料のなかに事例やサービス比較資料が含まれていると思います。しかしそのまま切り取ってしまうと、どうしても、あまり魅力的なコンテンツにならない場合があるかと思います。

ホワイトペーパーの作成を担当する方が営業の方などにインタビューし、実際に現場でどのようなお話をしているのかを聞いた上で、改めて、営業提案資料から切り取った内容を少しブラッシュアップしてホワイトペーパーにするのがおすすめです。

中間コンバージョンには非常に即効性があり、リードの獲得に必ず寄与する施策の一つだと思います。

まずはホワイトペーパーをこの図の中のどれに設定するかを検討して頂いて、リードを増やすための施策として実行して頂ければと思います。

【4】ホットリードを増やす

最後に4つめの「ホットリードを増やす」についてご説明します。

まず、ホットリードの定義は「確度の高い見込み客」としています。

ホットリードを増やすには、「4つの不」というものを解消することを弊社ではおすすめしています。この「4つの不」は弊社独自の考え方で、弊社では非常に重要視しています。

・「4つの不」と検討促進コンテンツ

「4つの不」は、Webサイトのコンテンツを「不信」「不要」「不適」「不急」の4つに分けた上で、ユーザーにとって「不」だと感じる障壁を取り除き、コンバージョンまで導く考え方です。

検討促進コンテンツ



4つの中でも「不要」「不適」「不急」の3つを解消するコンテンツを「検討促進コンテンツ」と呼んでおり、ホットリードを獲得するには非常に重要なコンテンツとして位置づけています。

これらの検討促進コンテンツが不十分な場合には、そもそもCVR(コンバージョン率)が低くなってしまうでしょう。実際にコンバージョンしたユーザー自身がまだまだ情報収集の段階であったり、先ほどお伝えしたように確度の高い見込み客になっていなかったりすることが実際にあります。ですので、検討促進コンテンツに注力して頂きたいです。

・事例ページは超万能コンテンツ

特に上の図で言いますと、力を入れて頂きたいところは事例(実績)や「お客様の声」などのコンテンツになります。また、次に示しているのが弊社で作らせて頂いたお客様の例です。

事例(実績)や「お客様の声」などのコンテンツ



向かって左側の事例の一覧ページでは、それぞれ実際の課題感や、実際にどういうサービスを導入したのか、また、業界などがカテゴライズされています。

これを見ることでユーザー自身が自分事(じぶんごと)として、「この会社さんでも、こういうふうに導入して成功しているのだな」と考えて頂けると思います。さらに、事例はどうしても取材が必要になるのでおのずとオリジナル性の高いコンテンツになっていきます。

先述のSEOのお話とも重複するところですが、オリジナルコンテンツという点でSEOの対策としても非常に有効かと思います。

なお「事例ページを作る」という段階になったときには、単に一問一答のかたちで取材をしていくのではありません。

その顧客(お客様)自身の課題にはどのようなものがあり、その課題を実際にどういった方法で解決していて、最後に「今はこういう結果になっています」というように展開できるフォーマットを用意して頂き、それにプラスして一問一答で取材をするのがおすすめです。

 本セミナーのおさらい

BtoB企業がコンテンツマーケティングで成果を上げるための施策をご紹介しました。

改めて、コンテンツマーケティングそのものは、あくまで商談数・成約数を増やすために必要な手段の一つであると捉えたとき、信頼獲得・アクセスを増やす・リードを増やす・ホットリードを増やす、これらの4つを実践して頂きたいです。

しかし、これも冒頭でお伝えした通り、やはり、皆様がそれぞれ限られたリソースのなかでコンテンツマーケティングに取り組むとなると、いきなり全方位というのは難しいかと思います。まずは一つでも始めて頂ければと思います。

中間コンバージョンの設置が一番即効性が高いので、自分としては本当におすすめの施策ではあります。

それでは、こちらが本日ご紹介した施策とポイントのおさらいです。

コンテンツマーケティングで効果を最大化!BtoBのWebサイトにおすすめの手法のポイント

ただし冒頭でお伝えした通り、

・カスタマージャーニーが作れない

・リソースが足りない

など、色々な課題があるかと思います。ですが、カスタマージャーニーが作れない場合は無理に作成する必要はないのではないかと考えます。

「4つの不」の考え方に沿って、事例に特に注力して作成しましょう。

・コンテンツの作成に時間がかかる

ということであれば、一球入魂ページ、ロングテールキーワード対策の網羅、ホワイトペーパーの作成に注力して頂ければと思います。




以上、「BtoB企業が取り組むべきコンテンツマーケティングとは?」についての記事編集版をお届けしました。


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Tue, 25 Apr 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[CMSの導入事例から読み解く!Webリニューアルを決めた企業が抱えていた課題とは]]> https://bluemonkey.jp/media/cases/cms_case_problem Thu, 20 Apr 2023 06:37:58 +0900 <![CDATA[Webマーケティングとは?初心者でもわかる施策や事例をまとめました!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/web_marketing 最終更新日:2023年5月26日 

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Webマーケティングとは、Webサービスを用いて行われるマーケティング活動のことです。オンラインでの集客からサイト上における期待するアクション(購買・問い合わせ等)を促す活動を指し、主にWeb担当者やマーケティング担当者が実施する施策となります。大きく分類すると「集客施策」「回遊施策」「顧客育成施策」などの施策があり、ユーザーに見つけてもらい、ゴールとなるアクションへと導く一連のプロセスをWebマーケティングと呼ぶことができます。

あらゆる人がインターネットを活用する昨今、企業としてもWebサイトやWebサービスを活用した施策は無視できなくなっています。マーケティングコミュニケーションの形は日々進化しているため、従来のようなオフラインの施策だけでは成果が生まれにくくなっており、Webマーケティングに取り組む重要性は日々増しています。


また、Webマーケティングを活用した施策は中小企業や地方の企業にこそチャンスがあります。接点がなかったり地理的な理由で普段はアプローチできないターゲットにも、自社の技術力やサービスの魅力を知ってもらうことができるからです。本記事も、そういった方々の力になれればと思い、様々なノウハウや情報を提供していきます。

前置きが長くなりましたが、本記事ではWebマーケティングの施策に関して、Web担当やマーケターになりたての初心者、これからWebマーケティングを活用していきたい経営層の方向けに基礎的な知識をまとめてご紹介いたします。

・Webマーケティングの全体感を理解したい
・Webマーケティングの施策について知りたい
・Webマーケティングに取り組んでいるがいまいち成果が出ない


といった方には特におすすめの記事となっています。是非お役立てください。

Webマーケティングとは?

「Webマーケティング」を一言でまとめると、WebサイトやWebサービスを用いて行われるマーケティング活動のことです。オンラインでの集客活動からサイト上での購買や期待するアクションを促す活動を指し、類似する概念としてデジタルマーケティングがあります(後ほど違いは解説します)。

 

 

Webマーケティングとは 

 



Webサイトに対して集客を行い、サイトを回遊してもらい、最終的なコンバージョンにつなげる一連の施策が該当し、代表的なものとしてはSEOやWeb広告、CRO、EFOなどが挙げられます。また、Webサイトのリニューアルを通してデザインや使い勝手を一新し、引き合いを増やすことなどもWebマーケティングの施策の1つです。

 

 

Webマーケティングの具体的な施策

 



そもそもマーケティング(コミュニケーション)では、適切なターゲットに適切な情報を届け、購買につなげることを目的とします。Webマーケティングでは、そういったマーケティング活動を、Web上にて行うことが特徴です。
 
かつて初はBtoCの一般コンシューマー向けの施策が中心だったWebマーケティングですが、今ではBtoB企業でも取り組むことが当たり前となりました。BtoB企業の情報収集においても、まずはネットで調べることがほとんどだったり、普段から目にする会社に声をかけることが増えているからです。そのため、まずはWebサイト等の最低限の基盤作りから始め、Web広告等に取り組む会社が増えし、商談を獲得する企業も増えています。

例えば下記の図の中で言えば、赤く囲った部分がWebマーケティングの活動範囲です。

Webマーケティングとは



ちなみに、Webマーケティングを活用した施策は中小企業や地方の企業にこそチャンスがあります。接点がなかったり地理的な理由で普段はアプローチできないターゲットにも、自社の技術力やサービスの魅力を知ってもらうことができるからです。本記事も、そういった方々の力になれればと思い、様々なノウハウや情報を提供していきます。

 

Webマーケティングとデジタルマーケティングの違い

Webマーケティングと近しい言葉で、デジタルマーケティングというものがあります。混同されがちなのですが、明確に違う部分もあるので一度整理をしておきます。

結論から申し上げると、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部です。メールマーケティングやCRMといったデジタルマーケティングの一つとして、Webサイト(コーポレートサイトやECサイト、ランディングページ)やSNS、Web広告を駆使したWebマーケティングが内包されています。


Webマーケティングやデジタルマーケティングの概念を図解すると、以下のようになります。 

Webマーケティングとデジタルマーケティング

 


今回の記事では「デジタルマーケティング」の解説は割愛しますが、あくまでWebマーケティングは手段の一部だということをご認識してください。

【デジタルマーケティング関連記事】
>デジタルマーケティングとは?Webマーケティングとの違いや初心者向けの基本まとめ

>BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで

Webマーケティングの重要性の高まり

なぜ、Webマーケティングの重要が高まっているのか。ここでは大きく2つの理由を挙げます。1つは、Webが身近な存在になり、消費者(見込み客)が、情報収集から比較検討、購入までの一連の購買活動のなかでWeb媒体に触れる機会が増えた時代背景です。

商品・サービスの認知も、以前はテレビや新聞、雑誌といったマスメディアのCMや報道からだけだったところから、Web広告やWebコンテンツ、SNSを通して行われる機会が増え、類似商品との比較検討や、実際に商品・サービスを利用した人からの口コミをWeb で閲覧して購入の判断が行われるようになりました。最終的な購買もECサイトで行われ、購買活動がすべてWeb上で完結してしまうケースも少なくありません。スマートフォンの登場でネットショッピングがより手軽に行えるようになったことも影響しているでしょう。

Webマーケティングが重要であるもう1つの理由は、Webマーケティングが効果測定をしやすいマーケティング手法であることです。たとえば、マスメディア上の広告が何人の目に触れ、どのくらい興味を持ってもらえたかを把握するのが難しいのに対し、Web広告なら表示回数やクリック回数、ECサイトへの流入数など、各施策が持つ指標について数値で結果を把握できます。
効果測定が行えることで、次回以降に行う施策の改善につなげられますし、効果が出ていることが示せれば社内で予算取りもしやすくなるでしょう。

このような「消費者(見込み客)」と「マーケティング担当者」両面での必要性により、Webマーケティングの重要性は高いといえます。

webマーケティングの検索ニーズデータ

Webマーケティング担当者がやるべきこと

Webマーケティング担当者は、Web担当、Webマーケッターともよばれます。

まず、Webマーケティング担当者のミッションとは、Webサイト経由での見込み客の創出を行い営業部門にパスすることです。もし、ECサイトを持っていれば、そこからの売上獲得も業務に含まれる場合もあります。

上記ミッションのために、Webサイトやオウンドメディア、SNSなどを運用し、分析・レポートを行い、さまざまな施策を行っていくのがWebマーケティング担当者の仕事です。各種施策についてはのちほどご紹介していきますが、「Webマーケティング」の業務範囲は年々広くなっています。そのため、時には分業で施策を行ったり、施策ごとのスペシャリストを採用する企業も増えているのも実際のところです。


特にコロナ禍ではデジタルを活用した案件創出がより求められるようになり、責任や期待も日々高まっているのがWebマーケティング担当者です。 



Webマーケティングの施策・種類一覧

Webマーケティングの段階は、大きく「集客」「接客(販売)」「再訪促進」の3つに分けられ、それぞれの段階に合った手法で施策を行います。

集客
接客
再訪促進

SEO

SEOとは、「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略で、検索エンジンにより上位に自社サイトが掲載されるようコンテンツを最適化することです。Webマーケティングにおける集客手法の中では定番と言えるでしょう。

検索サイトで上位に表示されれば、それだけ自社のWebサイトがユーザーの目に留まりやすくなり、アクセス数も期待できます。

自社サイトにSEO対策を施して、まずはアクセス数アップを目指します。ただ、アクセス数を増やすことが最終目的ではなく、ゴールはコンバージョン(購入、お問い合わせ、資料請求など)や商談を増やすことなので、それを踏まえてSEO施策を行うことが大切です。

SEOのメリット

  • 社内のリソースを使って無料で取り組める
  • Web広告よりもクリック率が高い
  • アクセスが安定しやすい

SEOのデメリット

  • 効果が出るまでに時間がかかる
  • 手間ヒマ(工数)がかかる
  • 常に最新のトレンドを知っておく必要がある


【関連記事】

SEOを基本から解説!最低限抑えたい施策から無料ツールまで

リスティング広告

上でお伝えしたように、SEOの特性として即効性に欠けるという点があります。 それを補うため、SEOと並行してリスティング広告を併用することをおすすめします。

リスティング広告とは検索連動型広告のことで、ユーザーが検索したキーワードや閲覧しているWebページに連動した広告が表示されるものです。ユーザーのニーズ・興味に合わせた広告を表示させることで、広告効果が期待できます。

SEOの効果が出るまでの期間、短期的に一定数のアクセスを集めるために最小限でリスティング広告を活用すると良いでしょう。

リスティング広告のメリット

  • 即効性がある
  • ターゲットをピンポントに狙える
  • SEOで狙うべきキーワードを選定できる
  • 小額からでも始められる

リスティング広告のデメリット

  • コスト(広告費)がかかる
  • ユーザーに「広告」だと認識されるため、クリックしてもらいにくい

Web広告サービス比較12選
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アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とは、Webサイトやブログ、メールマガジンなどにリンクを掲載し、そのリンクから訪れたユーザーのコンバージョンにより報酬が発生するタイプの広告のことです。 ほかのWeb広告のようにユーザーが見た段階では広告料が発生せず、コンバージョン(資料請求、サンプル請求など)されて初めて広告料が発生するという点が大きな特徴です。

BtoC向きの広告手法で、特に会員登録や資料請求、ECサイトからの購入を促す際の利用がマッチします。

アフィリエイト広告を出稿する際は、基本的にASPというサービスを利用することになり、ASPの利用料は固定費で毎月かかってきますが、ASPを通してアフィリエイターに選ばれず掲載すらされないリスクがあります。

広告の出稿先としては、大きく「法人サイト」と「個人サイト」があり、法人サイトでは登録会員に発行したメールマガジンなどからWebサイトに誘導します。個人サイトでは、商品・サービスの紹介ページやブログ記事からバナーなどで誘導するケースが多いです。

アフィリエイト広告のメリット

  • コンバージョンするまで広告費が発生しないため、CPAを低く抑えられる

アフィリエイト広告のデメリット

  • 月額固定費(ASP利用料)がかかる。
  • アフィリエイターに選ばれないと掲載すらされない
  • アフィリエイターが不正表示や誇大広告をしていないかチェックする必要がある。

アドネットワーク広告

アドネットワーク広告とは、複数の広告媒体を集めた広告配信ネットワークにより、複数のWebサイトで同時に広告配信する広告手法です。

通常、複数の媒体へ広告を出すには、それぞれの媒体と個別の契約を行う必要があり、さらに出稿形式も各媒体によって仕様が異なり、料金形態もバラバラです。アドネットワーク広告を利用すれば、これらをアドネットワーク業者に一括で任せられ、異なる媒体の広告効果(結果)データを同形式で受け取ることができます。

アドネットワーク広告のメリット

  • 1社との契約で複数メディアに同時に広告を配信できる

アドネットワーク広告のデメリット

  • アドネットワーク業者の持つ媒体に一様に掲載されるため、ターゲットが異なる媒体にも出稿され、ムダが生じる

SNS広告

LINEやTwitter、FacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に広告を出稿するものです。

ユーザーは、SNSの利用に際してプロフィールを登録するため、その情報にもとづいてターゲティングして出稿できます。また、ユーザーによる拡散も狙えます。

SNS広告のメリット

  • 広告費が比較的安価
  • ユーザーの拡散効果が見込める

SNS広告のデメリット

  • 日本ではSNSの利用者層が比較的若いため、中高年向けの商品・サービスでは出稿しづらい


【SNS広告関連記事】

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、あるWebページで表示した広告を、同じユーザーが訪れた別のWebページでも表示することです。閲覧者の認知度と訴求力を高める手法です。

特に、BtoBの商品・サービスの場合、一度、Webサイトに訪れてその場ですぐに購入するということはあまり考えられませんので、何度もサイトに足を運ばせてそのサイトの信頼度を上げることが重要になります。

リターゲティング広告の仕組みは、WebサイトにJavaScriptタグやイメージタグを設置しておき、そのサイトを訪れたユーザーの使用しているブラウザに特定のIDを書き込んだcookie(クッキー)を付与します。そのcookieを持つブラウザが広告枠のあるページを訪れたらリターゲティング広告を配信するというものです。

リターゲティング広告のメリット

  • 興味のあるユーザーに何度もWebサイトを訪れてもらうきっかけになる
  • コンバージョンしなかったユーザーを追いかけられる

リターゲティング広告のデメリット

  • ユーザーがしつこいと感じ、逆効果になる可能性がある
  • 一度、訪問したことがあるユーザーにしか広告を見せられない

チャットボット(Web接客)

チャットボット(Chatbot)とは、「チャット(Chat)」と「ボット(bot)=ロボット」を組み合わせた言葉で、コンピューターが人間の代わりにテキストや音声を使って会話をする「自動会話プログラム」を指します。

 

ウェブサイトは掲載したあと、訪問客が問い合わせや資料請求などをおこなうまで企業側からできるアプローチがほぼありません。しかしチャットボットを導入すれば、「何かお困りですか?」「質問はこちら」などと訪問客にアクションを促せます。

訪問客の動きに合わせて「資料請求はこちら」「メールマガジンを登録」など、最適なものを表示すれば、顧客情報やメールアドレスなどを獲得するチャンスも増やせるでしょう。


【関連記事】

チャットボットとは?種類、目的、メリット、ツールなどをまとめました!

 

メールマーケティング

メールマーケティングとは、文字通り、メールを用いたマーケティング手法で、メールマガジン、ステップメールなどがあります。

メールマガジンの本質は、最終的なゴール(購入などのコンバージョン)から逆算して、お客様にどんな情報を与えれば行動してくれるか?を戦略的に考えて配信していくことです。

メールマーケティングのメリット

  • 低コストでスタートできる
  • 高いROIが期待できる

メールマーケティングのデメリット

  • 見込顧客のメールアドレスを取得しなければ施策が行えない
  • 即効性が出にくく、長期的な運用が必要になる
  • 配信スケジュールの作成など、手間ヒマがかかる

メールマーケティングに関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。

ソーシャルメディア対策

今やBtoB企業でもSNS媒体を活用することが当たり前になりました。

Webマーケティングにおいて企業がソーシャルメディアの活用法として考えることは2つあります。一つはSNS広告への出稿、もう一つが企業アカウントの運用です。

主要なSNSとして、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)、LINE(ライン)などがありますが、それぞれ、ユーザー傾向やSNS機能の特徴が異なり、自社の商品・サービスとマッチするSNSを選ぶことが大切です。たとえば、Facebookは実名登録が多く、日本の場合、ユーザーの年齢層も30~50代が多いことからBtoBの商品・サービスのプロモーションに向いているといわれています。

商品・サービス情報(用途の提案を含む)や、セール情報、キャンペーン情報、採用情報、スタッフ日記、時事ネタ、クイズなど、企業や商品・サービスに合った投稿を継続して見込み客や既存顧客とのコミュニケーションツールとして、プロモーションツールとして活用しましょう。

一方、自社でのSNS運用の有無に関わらず、SNSにおける炎上対策も重要です。SNS上で企業アカウントから発信した内容から、オフラインでの企業の対応(接客・サポートなど)、広告の内容などまで、一人のユーザーが発端となり、またたく間に炎上してしまうケースが相次いでいます。
SNSの運用ガイドラインを決めたり、炎上した際のフローを決めておくなど、他部署とも連携しながら事前に取れる対策を取っておくことが望ましいです。

SNSの炎上対策に関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。

Webマーケティングの回遊施策

ユーザーがWebサイトを訪れたあと、1ページだけを見てほかのサイトへ移動してしまうことを「直帰」といいます。

そのページにユーザーの知りたい情報がすべて揃っており満足して離れたというケースも考えられますが、より踏み込んだ情報や次に知りたいであろう情報への導線をしっかりと整備しておくことで、ユーザーの満足度も高めることが可能です。結果として、コンバージョンにつながり商談の創出につながることもあるでしょう。

具体的な回遊施策は、まずWebサイトの構造をメッシュリンク構造にしてあげることです。上の階層から下の階層へのリンクだけでなく、「パンくずリスト」やページ下部に上の階層へのリンクボタンを置いたり、関連情報が別ページにあればリンクを張るように意識しましょう。

Webマーケティングにおける理想のサイト構造

https://mtame.jp/content_marketing/how_to_navigation_summary

ユーザーにWebサイトを回遊してもらい、最終的にコンバージョンにつなげるためには、LPO、EFOといった施策も必要です。それぞれ、以下で詳しく解説します。

LPO

LPOとは、Landing Page Optimization/ランディングページ最適化」の略で、リスティング広告などWeb広告からの流入先=ランディングページでコンバージョンさせるために、訪れたページにユーザーの興味をひきつけ、離脱させないようにページを改善する施策を指します。

ランディングページにおけるコンバージョンでよくあるのが、見積請求、サンプル請求、購入です。ランディングページは、ユーザーがコンバージョンするために十分な情報を簡潔にまとめましょう。具体的には、たとえば以下のような要素が必要です。

  • メインビジュアル、キャッチコッピー
  • ユーザーの共感を呼ぶような問題定義メッセージ
  • その解決方法としての商品・サービスの提示
  • 商品・サービスの特長やつよみの訴求
  • 信頼性の訴求(実績・お客様の声・データの裏付けなど)
  • 特典の紹介(割引、無料お試し、プレゼントなど)
  • CTAボタン(お申し込み、資料請求など)

ただ、いくらLPOを行っても、そもそもリスティング広告やSEOで設定したキーワードとランディングページがユーザーに提供する内容がかけ離れていれば、離脱率は下がりません。キーワード選定の見直しや、キーワード別にランディングページを複数用意するなどの対策も検討しましょう。

EFO

EFOとは「Entry Form Optimization(入力フォーム最適化)」の略で、簡単にいうと、ユーザーがストレスを感じずに入力項目を最後まで入力してフォーム送信しやすくする施策のことです。

多くのWebサイトでは、コンバージョンとして「お問い合わせ」を設定することが多いかと思いますので、フォームを改善するだけで、コンバージョン率をグッと上げることができます。 逆に、せっかく回遊施策を行ってユーザーにフォームにたどりついてもらったのに、ここでストレスを与えて離脱させてしまっては、すべてが水の泡になってしまいます。

フォームは、Webサイト運営者が見込み客の個人情報を得られる数少ない手段の一つなので、できるだけ詳しい情報が欲しいところですが、入力する側の立場に立ってみると、入力項目が多かったり細かかったりすると面倒になり、フォーム送信を途中でやめてしまう可能性もあります。

基本的な考え方は「ユーザーにストレスを与えずに入力・送信してもらう」こと。具体的には、入力項目を減らしたり、プルダウンやチェックボックスで選択させるなど入力の手間を省いてあげることです(もちろん、選択肢の数も多すぎないことが重要です)。

EFOに関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。

Webマーケティング施策に”これから”取り組む場合の流れ

ここまでWebマーケティングの施策をご紹介してきましたが、いきなりすべてを始めるのは難しいかと思います。そこでここからは、特にBtoBの企業が「これからWebマーケティングを始める場合」におすすめの流れをご紹介いたします。ぜひ自社の施策設計の参考にしてください。


0.マーケティングの全体像を描く

Webマーケティングに取り組むその前に、マーケティング活動の全体像をしっかり描くようにしましょう。デジタルマーケティングもWebマーケティングも、あくまで手段の1つになるため、視野が狭くならぬように可視化しておく必要があります。

具体的には、全体の中でのWebマーケティングの役割、セールスとの連携、具体的なKPI、それを実現するための予算とアクションなどを明文化にしてください。

施策を実施していると、どうしても部分最適になったり、視野が狭くなったりしがちなので、立ち返る場として用意しておくことをおすすめします。


1.ターゲットと検討のフローを明確にする

それでは、具体的にWebマーケティングの施策に入っていきます。まずは自社のビジネスのターゲットを明確にします。ここをしっかり行っておかないと、誰に向かってコンテンツを配信する必要があり、何が不足しているかの判断が難しくなります。


「ターゲット」とざっくり述べましたが、ここではペルソナとカスタマージャーニーマップという考え方が非常に役に立ちます。具体的なターゲットの人物像を作り、自社と契約するまでの心理的な流れや必要となるコンテンツを設計します。


例えば下記は、BtoB製造業の顧客の中で製品が検討されるフローのサンプルです。こういった流れを整理したうえで、自社に必要なコンテンツを明確にします。


とある企業の検討フローと担当者の行動例▼

Webマーケティング視点でのカスタマージャーニー



求められる情報の整理▼

Webマーケティング観点での求める情報の想定



【関連記事】

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【無料テンプレートあり】カスタマージャーニーとは?メリットデメリットから作成の手順までを解説!

 


2.最低限の受け皿としてWebサイトを整える。

どれだけ集客をしても、受け皿が穴だとだったらザルに水を入れるのと同じです。まずは最低限受け皿としてWebサイトを整えましょう。でなければSEOや広告で集めたユーザーもすぐに離脱してしまいます。


例えば、「しっかりとお問い合わせの導線があるか」「デモ機の貸し出しフォームは設置されているか」「資料請求の導線はファーストビューにあるか」などなど、基本的な整備を行なっていきます。


特に重要なのはファーストビューとCTA(問い合わせの導線)です。まずは第一印象で貴社が何の企業なのかがはっきりわかるようにし、促したいアクションが明確にわかるような導線を設置しましょう。


最低限の対策はやっておかないと成果につながりにくいのと、ご紹介した内容程度であればWebサイトのリニューアルのような数百万円単位の予算を使わなくてもできるはずです(多少の改修で費用がかかることはありますが)。


【関連記事】
とはいえ、最低限の基盤が整っていない場合はWebサイトのリニューアルをおすすめしています!
流れや必要なものに関しては下記の記事をご参照ください!

>【2022年版】成果を出すWebサイトのリニューアルの進め方とは?手順から費用感、準備項目などを解説


3.どの手段で集客をするのかを決める。

受け皿を整えたら今度は集客手段です。ターゲットがどこから流入してくるのか仮説を立て(理想としては直接顧客に聞き)、集客手段を決めましょう。


ちなみにBtoBのニッチな業界であればそれほど有効な集客手段は多くありません。第一歩としては、まずはSEOとリスティング取り組むのが効率的だと考えています


集客施策に関しては、カスタマージャーニーマップを作成する段階でもある程度想定しておくとスムーズです。全体像を俯瞰して、最適な手段を選ぶようにしてください。



4.顕在ワードでSEOの1位を目指す。

具体的な集客施策としてのSEOをご紹介いたします。

一般的に、Webマーケティングにおいて検索順位に囚われすぎる(一喜一憂する)のはよくないと言われますが、BtoBのニッチな業界であれば顕在ワードでは1位にこだわった方が良いと言われています。かけるコストに対して、リターンが大きいからです。

※キーワード選びについては下記の記事も参考にしてください。

SEOのキーワード選定の手法まとめ!お役立ちツールや無料で使えるサイトまで!

BtoBのニッチな業界は、競合もそれほど多くなく、検索順位でも上位を目指しやすいです。当然上位に出れば競合よりも多くのアクセスを集めることができます。そしてニッチだからゆえに、検討度合いや緊急度も高いことが多いので、確実に接点を持てるようにしましょう。


また、BtoB製造業の”顕在”ワードは、業界によって様々です。一見技術情報を調べに来ているだけに見える人も、その技術を扱っている業者を探していたり、特定の用途や目的を求めて探している人も多く存在します。単に固有名詞だけではなく、実際に顧客から相談を受ける内容をベースに、自社にとっての”顕在”ワードを見つけるようにしてください。


そのキーワードに対して、しっかりと答えになるようページを作り込んでいれば、確実にCVの数を増やすことができるので、まずは良質なコンテンツ作り、その結果として検索結果で上位に表示される状態を目指しましょう。


【SEO関連資料】

>「基本のSEOチェックリスト」

>「SEOの基礎と記事コンテンツの作り方」


5.リスティング広告をかける。

BtoBの製品の場合、キーワードボリュームもそれほど多くないので、顕在ワードでリスティング広告を少額で出すのもおすすめです。


可能であればある程度まとまった金額(数十万円以上)で、ただし本当にニッチな業界ではなかなか予算が消化しきれないこともあるので、時間をかけるか網を広げて出稿する必要があります。この辺りは代理店も多く存在するので、相談してみても良いかもしれません。


広告を出稿することで対策すべき(引き合いにつながりやすい)キーワードがわかったり、成果を早く実感できたりと、様々なメリットがあります。先ほども申し上げた通り、BtoBの顕在ワードは確度も高いです。検索本格的にWebに注力するのであれば、この辺りは惜しまず投資していきましょう。


【Web広告関連資料】

>『Web広告サービス比較12選』


6.安価なMAで最低限のトラッキングをする。

せっかく広告も使ってアクセスも集めたのであれば、企業ログをためておいた方が後々の費用対効果は高くなることがあります。


広告のゴールはCVになりますが、もちろん全てのユーザーがCVに繋がる訳ではありません。そのため、CVにつながらなかった企業のトラッキングや、CVに繋がったものの受注につながらなかった案件などを追客する上で、安価なMAツールなどを入れてログを貯めておきましょう。


このときに、最初から高額かつ高機能のMAツールを導入すると、使いこなせず無駄になってしまう可能性があります。初期段階でとにかく重要なのは、必要な時に必要なリストが適切に引き出せることです。


MAツールの多くはシナリオや自動化、スコアリングなどが主な特徴ですが、使いこなせるのはマーケティングの組織がすでに存在し、リソースが避ける場合のみです。逆に言えばそういったフェーズでは十分に検討の余地はありますが、これからWebサイトを活用しようという段階でそこまでの機能はいらないので、フェーズに合わせて適切なツールを選ぶようにしてください。


手前味噌で恐縮なのですが、弊社で提供しているBowNowも無料から使えるツールです。まずはこういったものから始めて、ミニマムの成果を出すのが良いかと思います。

>無料で使えるマーケティングオートメーション「BowNow(バウナウ)」



7.Webサイトの改善活動をする。

ある程度アクセスの母数が集まってきたら、Webサイト内の改善を行いましょう。0.のフェーズで立てた全体像において立てた目的が達成できているのかを確認しつつ、差異を埋めていくフェーズです。


Webマーケティングは初めからうまくいかないことも多いので、一喜一憂せずに冷静に原因を分析することが重要です。


ちなみに、ターゲットが集まっていないサイトの分析や改善をしても意味がないので、まずは受け皿を整える→集客→改善の流れは徹底してください。この改善を回すためにも、短期的な施策であるWeb広告と、長期的な施策であるSEO(コンテンツ施策)は両立してやっていく必要があります。



8.営業アプローチする。

当たり前ですが、Web施策が回り出したら営業のアプローチが必須です。先ほども述べた通りアプローチの体制をつくり、営業活動を行いましょう。


また、Webサイトの資料ダウンロードやホワイトペーパーなどで獲得したリードにコールをし、まずはセミナーに集客するといった段階的な営業活動もおすすめです。いきなり商談にならなくても、少しずつ見込み顧客を育てていきましょう。


このフェーズは引き合いが発生したら即アクションすべきなので、8.としているものの常時実施していく必要があります。


9.潜在ワードの検索順位を取る。

ある程度顕在ワードで成果がではじめたら、潜在顧客にまでSEOの獲得ワードを広げます。すぐに検討ではないにしろ、情報収集をしている企業もたくさんあるからです。


いきなりゼロから始めるというよりは、当初からある程度計画を立てておき、本格的に狙いにいくイメージです。例えば情報収拾段階で検索するキーワードを獲得し、そこからリードを獲得するためのハードルの低い仕掛け(ホワイトペーパーなど)を設置します。作成するコンテンツも、できれば社内にある資料などを転用して、工数を削減するなどの工夫をしてください。


潜在層のユーザーは検討期間も長くなるので、中長期的な施策としてじっくりと取り組んでいくと良いでしょう。



10.広告のターゲットも広げてみる。

広告に関しても、潜在層までターゲットを広げたり、これまで出していなかった媒体にもチャレンジしてみましょう。例えばSNS広告はBtoCのイメージが強いものの、実際は効率的にセミナーの集客ができる、といったパターンも多く存在します。


仮説を立てたうえで、戦略的に"面"でとっていくことをおすすめします。


11.全体のPDCAを回し、施策を広げる。

ここまでをきっちりやれば、最低限のCV数が取れてくるはずです。そこから先の商談も生まれてくるはずなので、施策の幅を徐々に広げていきましょう。また、Webからの成果が上がっているのにアポイントや商談が増えない場合は、視野を広げた改善が必要です。セールスとマーケティング(Web担当者)で協力して、成果を最大化できるようなアクションプランを作りましょう。

pdca


以上、ざっと流れを書いてみました。企業の状況によって順番は前後しますが、大事なのはいきなり多くのことに手を出さず、まずはインパクトの大きいところ集中することです。リソースや予算が潤沢にない場合も多いと思うので、まずは短期的な成果を出しつつ、長期的な施策の準備を進めるようにしてください。

そうなると必然的に、Webマーケティング以外の施策に幅が広がっていき、MAやSFAを活用した本格的なデジタルマーケティングに取り組むようになります。地に足つけて、少しずつ自社のデジタル化に取り組んでいきましょう。




WebマーケティングにおけるKPIの例

WebマーケティングにおけるKPI(「重要業績評価指標」)は、最終的な目標であるKGIの達成に必要なプロセスを具体的かつ定量的に細分化し、具体的な期限や数値を以て具体的に設定します。

たとえばKGI=「売上600億円を達成」であれば

①KPI=「コンバージョン率8%を目指す」「集客数30万件を目指す」

②KPI=「自然検索流入数100万件を目指す」「社名検索流入数10万件を目指す」



など、最終的な目的を達成するために、相関するような指標を置く必要があります。


また、KPIを整理する際に便利なフレームがKPIツリーです。

KPIツリーの策定には、企業や組織の目標とそれを達成するための思考やアクションが一目瞭然になる、ボトルネックとなっている問題が把握しやすくなる、施策の効果検証がしやすくなるといったメリットが挙げられます。

 

下図はWebサイトのマーケティング施策におけるKPIツリーの組み立て例です。

WebマーケティングにおけるKPIツリー



よくある失敗例として、最終的なゴールを意識せずに「検索順位〇位」「セッション数〇%アップ」といったわかりやすい指標に逃げてしまうことです。これ自体が間違っていると一概には言えないのですが、目的なきKPIは効率が悪いので、どうしてそのKPIをおく必要があるのかをしっかり考えたうえで、設定するようにしましょう。



参考図:WebマーケティングのKPI設計例

WebマーケティングのKPI設定例

 


 

Webマーケティングを成功に導くポイント

ここまでWebマーケティングの様々な施策を紹介してきましたが、施策を知っているだけでは成功をおさめることはできません。Webマーケティングを真の成功に導くには、抑えるべきいくつかのポイントがあります。

特に重要なポイントは、社内のメンバーを巻き込むことです。コンテンツの作成や営業アプローチなどは、マーケティングの担当者だけで実行できるものではありません。社内の協力者を募り、実施できる体制を作り、仕組み化していく必要があります。

また、そういった体制を作るには経営層の理解が不可欠です。部署をまたいだ施策が発生した際に、経営層からそれぞれの部署に指示を出さなければ、各部署で認識の違いも起こってしまいます。部署によって優先度が違ったり、全体の流れが正しく落ちていないと、マーケティング活動全体のパフォーマンスも低下します。

全社的に取り組み、しっかりと経営層も理解を示すことが、Webマーケティングにおける非常に重要なポイントとなります。

Webマーケティングに有効なツール紹介

CMS

CMSとは、「Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)」の略で、HTMLの知識がなくても簡単にWebページを作成・公開したり、更新できるツールのことを指します。

Webマーケティング担当者は、新製品情報やキャンペーン情報などのタイムリーな情報を発信したり、アクセス解析結果をフィードバックしてWebサイトを改善するなど、Webサイトの更新作業を基本業務としてこなす必要があります。

ただ単にWebサイトを更新・運用するだけでなく、お問い合わせの管理や件数の効果測定なども行う必要がありますが、CMSにはそうした機能が付いているものもあり、Webマーケティング担当者の業務負担を大きく軽減してくれます。

WebマーケティングにおけるCMS導入のメリット

https://mtame.jp/martec/a290

マーケティングオートメーション(MA)ツール

「見込み客」の1人ひとりに対し、それぞれの検討段階に応じて必要な情報を提供し、購買ステップまで育成し「顧客」になってもらうことを「リードナーチャリング」といいますが、このリードナーチャリングの管理に活用したいのがマーケティングオートメーション(MA)ツールです。

マーケティングオートメーション(MA)ツールは、顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化してくれ、見込み客をフォローしたいが人手が足りず追い切れないといった悩みを持つ企業にうってつけのツールです。 有料のツールが多いですが、無料のものも出ています。

マーケティングオートメーションに関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。


無料から使えるMAツール、 
【本記事と合わせておすすめ!】
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記事を読む前に「BowNow概要資料」をダウンロード!

アクセス解析ツール

コーポレートサイト、商品・サービスの個別サイト、ECサイト、オウンドメディアなど、自社が持つWebサイトへのユーザーのアクセス状況に関する分析を行うためのツールです。有名なのは「Google Analytics(グーグル・アナリティクス」ですね。

どのくらいのアクセス数があるかだけでなく、Webサイトを訪れたユーザーがどのような行動をとっているかまでアクセス解析ツールを使って把握し、コンバージョン数(率)アップにつなげるためにWebサイト改善策を練っていきます。

Google Analyticsは、使い方を解説したWebページや書籍もたくさん出ていますが、自分で分析するのは手間だという方には、アクセス解析結果を自動で分析して改善方針まで立ててくれるツールも出ているので、活用してみると良いでしょう。

ABテストツール

ABテストとは、おもにランディングページの改善施策(LPO)として用いられるマーケティング手法で、ほぼ同じデザインのコンテンツの一部(画像やキャッチコピー、ボタンの大きさ、カラーリングなど)を変えた2つのうちどちらがよりユーザーの行動を促すかを比較することです。お金をかけずにコンバージョンを向上させることができます。

上記で紹介したGoogle AnalyticsにもABテストの効果測定ができる機能(ウェブテスト)があり、無料で2つのWebページを比較するABテストが行えます。無料のABテストツールはほかにあまりないため、こちらを使用してもっと本格的にテストしたい場合は有料ツールを検討すると良いでしょう。

Webマーケティングの実施事例6選

続いて、実際にWebマーケティングを導入した企業6社の事例をご紹介いたします。業界ごとにまとめておりますので、自社に近い事例がありましたら是非詳細に事例記事もお役立てください。

①MA導入でメールナーチャリングから商談化を実現/竹内金属箔粉工業(製造業)

竹内金属箔粉工業は、各種金属箔、精密金属加工品の製造・販売、金属材料および金属粉の販売を手がける製造業を営む企業です。

同社では、Webサイトは持っていたものの、情報量も少なくあまり活用されていませんでした。Webサイト経由のお問い合わせもほとんど来ず、Webマーケティングツールとして機能していなかったといえます。

Webサイトのリニューアルを機に、マーケティングオートメーションツール(MA)を導入し、Webサイトへの流入データの分析に着手しました。

さらに、Webコンサルティングサービスも導入。ホワイトペーパー施策もスタートしました。

その結果、お問い合わせ数はリニューアル前から298%も向上。

ニッチな業界だからと諦めていた新規顧客の獲得も、Webサイト経由で実現しました。

ホワイトペーパー経由で獲得したリードに対するメールナーチャリングからの商談化にも成功しています。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

②OPNE前に有料会員900人の獲得に成功/株式会社アクシア(サービス業)

株式会社アクシアは、未就学保育事業、温浴事業、フィットネス事業と、サービス業を多角的に手がける企業です。

同社では、フィットネスクラブ施設を新設するに当たり、施設サイトを制作。

さらにLPページを作成して有料会員を募集。施設近隣エリアを限定して広いワードでGoogle広告を出稿。さらに、ターゲットを絞ってFacebook広告も出稿して認知拡大を図りました。

また、チラシを作成してLPへ誘導するQRコードを掲載してリアル施策とデジタル施策の融合を図りました。

その結果、施設OPNE前に有料会員900人の獲得に成功しました。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

③ホットリードを抽出し、アポ率40%超/スターティアレイズ株式会社(サービス業)

スターティアレイズ株式会社は、クラウドストレージ事業、RPA関連事業を手がけるITサービス企業です。

同社では、本格的にマーケティングに取り組み始めるタイミングでMAツールを導入。マーケティング専任者を立ててから本腰を入れて運用を開始しました。

具体的には、展示会で獲得した名刺をMAツールに登録して、メール配信機能を使い「お礼メール」を配信。開封・ULRクリックといったアクションのあったリードを絞り込んで電話によるアプローチを行いました。

その結果、アポ率が40%を超えました。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

④「見込み顧客を獲得し、発掘する」工程の効率化を実現/株式会社エクシート(サービス業)

株式会社エクシートは、印刷会社を母体とし、販促企画・採用企画など総合的な広告戦略を提案する福井県の企業で、地元企業へのマーケティングノウハウの啓蒙にも力を入れています。

同社では、印刷業界に従来からある御用聞きスタイルを脱し、本格的にWebマーケティングをスタートするに当たり、MAツールを導入しました。

「見込み顧客を獲得し、発掘する」工程の効率化を実現しています。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

⑤MAツールによるログ情報で営業アプローチがしやすくなった/ホームネット株式会社(サービス業)

ホームネット株式会社は、主に高齢者を対象とした緊急通報サービス、電話相談サービスや、健診予約代行事業、システム販売事業などを手がける企業です。

同社では、インバウンドによるサービスの拡販を目的としてMAツールを導入し、資料ダウンロードをしたリードに対し、営業が電話アプローチを行い始めました。

営業担当者から「電話がかけやすくなった」と好評だそうです。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

⑥メール配信が奏功し、資料ダウンロード数・セミナー申し込み数が堅調/株式会社JSH(サービス業)

株式会社JSHは、「障がい者雇用支援」「旅行・地方創生」の2事業を柱としています。

同社では、営業施策の効果測定が行えていないことが課題でしたが、実施するにしても人的リソースが不足しており、MAツールを導入しました。

メール配信機能を使い、リードにメール配信を始めたところ、メール経由での資料ダウンロード数が月10~20件、セミナー申し込み数が月5~10件と奏功しています。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

 

 

Webマーケティングの実務で役立つ本

ネット検索で手に入る様々な情報に加え、Webマーケティングの実務について体系的に学ぶには書籍がおすすめです。Webマーケティング担当者になりたての方に特におすすめの本を3冊ご紹介します。

最小の手間で最大の効果を生む! あたらしいWebマーケティングの教科書

最小の手間で最大の効果を生む! あたらしいWebマーケティングの教科書

画像引用元:amazon

Webマーケティングに関するセミナーを120回以上も行っている著者が、現代のWebマーケティングのノウハウを網羅しつつ、最大効果の出るやるべきことだけに絞って解説した本です。

やることが多すぎて困っているという担当者に特におすすめです。

最近会社でWEBプロモーション担当になり、本書を手にしました。
コンバージョン、SEO、CPAと聞いても、よく分からないレベルの方には非常にオススメです。WEBマーケティングの全体像が具体的な事例をもとに紹介してあるので、とても分かり易かったです。

私の様に初めてWEBマーケティング担当になった方や、これから取り組もうとされている中小企業の経営者にはいい本だと思います。

引用:Amazonレビュー

Webプロモーションを強化するために購入しました。
具体的なホームページの言葉や表現だけではなく、
GoogleやYahooの広告、SEOの手法、
そしてLINEやFaceBookによる広告まで網羅されています。
特定の手法に特化した書籍が多いなかで、
現代のWebマーケティングを一通りチェックできるにの役立ちました。

引用:Amazonレビュー

できる逆引き Googleアナリティクス Web解析の現場で使える実践ワザ240 ユニバーサルアナリティクス&Googleタグマネージャ対応

できる逆引き Googleアナリティクス Web解析の現場で使える実践ワザ240 ユニバーサルアナリティクス&Googleタグマネージャ対応

画像引用元:amazon

Webマーケティングで欠かせないアクセス解析。ほとんどのWebサイトでGoogleアナリティクスを活用していると思います。

基本的な使い方を知っていても「こんな数値が知りたいが、見方がわからない!」「この数値は、どう分析したら良いの?」というときに役立つのがこちら。

やりたいことから逆引きができるほか、最初から通読すればGoogleアナリティクスの使い方が体系的に学べるようになっています。

最初はページ量に圧倒されますが、やりたいこととGAの機能を結びつける辞書として便利です。
辞書的な使い方はGAに関する知識がまったくないとつらいので、初めての方は本の最初にある概要は一通り読むことをお勧めします。

GAの本が最近増えましたが、通読しないといけない構成だったりすると読んでる時間がなく、買うのを躊躇していました。GAだけを専門に仕事をしているわけではない私の場合、やりたいことだけを調べる辞書として使っています。

引用:Amazonレビュー

Google Analytics の機能や使い方を一通り把握したいと思い、入門書として本書を読みました。
逆引きとありますが、先頭から読んでいくと一通り理解できる構成になっています。

単に機能の説明をするのではなくて、実務経験に基づいた活用方法が平易・丁寧に解説されています。

引用:Amazonレビュー

沈黙のWebマーケティング Webマーケッター ボーンの逆襲 ディレクターズ・エディション

沈黙のWebマーケティング Webマーケッター ボーンの逆襲 ディレクターズ・エディション

画像引用元:amazon

こちらは、Web連載されていた「沈黙のWebマーケティング」が1冊の本にまとまったものです。

マンガ風のイラストがついたストーリー仕立てになっているので、とっつきやすく読みやすく、楽しみながらWebマーケティングの知識が身に付きます。

さらっと解説されているので、気になった部分があれば、ネット検索するなり別の本に当たって深堀していくと良いでしょう。

最初はページ量に圧倒されますが、やりたいこととGAの機能を結びつける辞書として便利です。
辞書的な使い方はGAに関する知識がまったくないとつらいので、初めての方は本の最初にある概要は一通り読むことをお勧めします。

GAの本が最近増えましたが、通読しないといけない構成だったりすると読んでる時間がなく、買うのを躊躇していました。GAだけを専門に仕事をしているわけではない私の場合、やりたいことだけを調べる辞書として使っています。

引用:Amazonレビュー

Google Analytics の機能や使い方を一通り把握したいと思い、入門書として本書を読みました。
逆引きとありますが、先頭から読んでいくと一通り理解できる構成になっています。

単に機能の説明をするのではなくて、実務経験に基づいた活用方法が平易・丁寧に解説されています。

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Webマーケティング関連の書籍に関しては下記記事もおすすめです!

初心者がwebマーケティングを独学で学ぶためのおすすめ書籍まとめ!

>初心者がwebマーケティングを独学で学ぶためのおすすめ書籍まとめ!

 

Webマーケティング業界についても深く知る

Webマーケティング業界は、新しい産業分野です。そして、現代のマーケティングの中心がデジタルマーケティングであることから多くの企業に求められ、拡大している業界でもあります。

ベンチャー企業を含む数多くのベンダーが、Webマーケティングに関漣するサービスをリリースし、その様相はカオスを呈しています。ここでは、Webマーケティング業界全体を俯瞰して、その動向を見てみましょう。

デジタルマーケティング業界の「今」が見えてくるカオスマップ

カオスマップとは、オンライン広告を中心とするの業界地図のこと。もとは、「chiefmarketec.com(リンク先:https://chiefmartec.com/)」というアメリカのマーケティングメディアの編集長が2011年に作り始め、毎年、更新していたものです。これを真似て、異なるカテゴライズでマッピングしたカオスマップも作成されました。

2017年10月、ついに日本版カオスマップが現れました。デジタルマーケティングコンサルティングを手がけるアンダーワークス株式会社が作成・発表したもので、272製品・サービスを以下の10分野にカテゴライズしています。

分野

  • 広告
  • 最適化
  • データ取得支援
  • チャネル管理/接客
  • 顧客/データ管理
  • コンテンツ管理
  • ネットワーク/インフラ/アプリ
  • Eコマース
  • BI/データ分析
  • タグマネ/スイーツ

いま日本にあるWebマーケティングに利用可能なサービスがほぼ網羅されているので、自社が未導入のもので必要がありそうなものを検討する際に便利です。「マーケティングテクノロジーカオスマップ JAPAN 2022」は、下記からダウンロードできます。


マーケティングテクノロジーカオスマップJAPAN 2022

デジタルマーケティングの最新業界動向

上記の日本版カオスマップから、大分類別にサービス数をカウントすると、下記のようになりました。

分野別サービス数

  • 広告:38
  • 最適化:27
  • データ取得支援:18
  • チャネル管理/接客:44
  • 顧客/データ管理:23
  • コンテンツ管理:23
  • ネットワーク/インフラ/アプリ:35
  • Eコマース:17
  • BI/データ分析:35
  • タグマネ/スイーツ:12

日本版カオスマップはまだ2017年版ひとつしかないのでまだ増減や隆盛などの変化は確認できませんが、トップ3である広告(38)、ネットワーク/インフラ/アプリ(35)、BI/データ分析(35)が、いまの日本のWebマーケティングにおけるトレンドとなっているといえそうです。

今後、継続的に日本版カオスマップが発表されれば、よりリアルタイムに近い動向が把握できるようになるでしょう。

Webマーケティングはどの企業にとっても重要な施策

以上、日本でWebマーケティングに携わる人なら知っておきたい基本的な知識について網羅的に解説しました。

デジタル技術は日々進歩しているので、今後も新しいサービスやマーケティング手法が出てくるはずです。そういった情報にもアンテナを張りながら、自社が抱える問題点の把握に努め、社内リソースと予算に見合ったものを導入していくと良いのではないでしょうか。

現在ではポストコロナ時代を迎え、メタバースやVRなどによる仮想空間がリアルさを増す一方で、オフラインの店舗ではWebサイトやSNSと連携した接客やオンライン決済が一般化しています。デジタル技術が進む環境下で、企業のマーケティング活動はますます「顧客体験」を重視する方向へ向かっています。

自社にあった手法やツールを活用し、これまでは接点を持ちづらかったユーザーや地理的な理由でアプローチが難しかったターゲットにも自社製品・サービスの魅力を知ってもらい、売上の増大につなげましょう。



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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 製造業マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Thu, 20 Apr 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業DXの重要性とは?メリットや取り組み事例をご紹介]]> https://mtame.jp/column/manufacturing_industry_DX  

製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を取り入れることによって、製品やサービスを利用する人々の生活をよりよくすることです。デジタル技術の発達にともなって世界経済の成長スピードがますます加速する中、まだまだアナログな業務フローの多い製造業は、DXにより大きな成長が見込まれている市場であり、「製造業DX」は多くの熱い視線を集めています。

製造業においてデジタルテクノロジーを活用すれば、開発設計、製造からエンドユーザーの手に渡った後まで、すべてのプロセスの情報を一元管理し、現場にすばやくフィードバックを行えるようになります。デジタル技術による正確な情報取得により、高い生産性を維持しながら、コストを抑えた業務遂行が可能です。

本記事では、製造業においてなぜDXが重要なのか、製造業DXを進めることで実現できるメリットや課題まで、わかりやすく解説します。

 



ビジネスにおけるDXについて

ビジネスにおけるDXとは、デジタル技術とデータ活用を掛け合わせることで、ビジネスに革新を起こすことです。とくにICT(情報通信技術)を活用することで、インターネットを通してデジタル化された情報をやりとりできるようにするのがDXの特徴といえます。

DXを推進することで、業務工程におけるノウハウやメソッドを、デジタル上に蓄積・共有できるようになります。このデータをもとに業務効率化を図ったり、品質向上に役立てたりできるのはもちろん、市場の変化に対しても柔軟に対応できるようになることから、近年はとくに製造業におけるDXに注目が集まっています。

またDXとよく似ている言葉に、デジタル化・デジタイゼーション・デジタライゼーションといったものがありますが、何がどう違うのかわからず混乱してしまう、という方も多いのではないでしょうか。次の項からは、それぞれの用語の意味とその違いについて見ていきましょう。

 

デジタルトランスフォーメーションとは  デジタイゼーションとは  デジタライゼーションとは

デジタルトランスフォーメーションとは

DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称で、直訳すると「デジタルによる変容」という意味です。交差を意味する「Trans」=「X」の頭文字をとって、DXと略されます。

DXの定義はそれぞれのシーンに応じて変化するため一様ではありませんが、広義でのDXは「ICTの浸透により、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」です。2004年にスウェーデンウメオ大学エリック・ストルターマン教授によって定義された概念で、デジタル技術はビジネスに限らず、人々や社会全体によい影響を与えるものであると伝えています。

(出展:Information Technology and The Good Life(2004,Erik Stolterman Umea University,Sweden))

ビジネスにおける狭義でのDXは、企業がデータやデジタル技術を活用することです。経済産業省によると、

○ 顧客や社会のニーズに対してビジネスモデルや製品サービスそのものを変革すること

○ 社内の業務プロセスや組織、文化や風土などを変革すること

これらによって競争優位性を確立すること、定義されています。

(出展:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインVer. 1.0(2018,経済産業省))

デジタイゼーションとは

デジタイゼーションとは、いわゆる「デジタル化」のことを表します。既存業務のプロセスに、部分的にデジタル技術を導入する手法です。以下はデジタイゼーションの一例です。

○ 書類を電子化してデータベース化する

○ 訪問営業をオンライン営業に切り替える

○ 会場で実施していたセミナーをオンラインウェビナーに切り替える

○ 紙ベースの顧客リストをツール(SFA・CRM・MAなど)で管理する

○ 稟議書・申請書などの手続きをワークフローアプリケーションによりデジタル化する

このように特定の業務フローにデジタル技術を取り入れることで、工数やコストを削減し、業務効率化する手法をデジタイゼーションと呼びます。

デジタライゼーションとは

デジタライゼーションとは、自社のビジネスモデルや業務プロセス自体を変革することで、製品やサービスに付加価値を加えたり、新たなビジネスモデルを生み出したりすることです。以下はその一例です。

○ ビデオ・DVDのレンタルから、動画のストリーミングサービスへ

○ 自動車を購入・所有してもらうビジネスモデルから、カーシェアリングサービスへ

○ 紙ベースの納品書・請求書をExcelに手入力して管理する経理業務から、取引発生から会計までを自動入力・管理できるワークフローシステムへ

近年さまざまな業界で確立されている、ロボットを導入した新しいビジネスモデルもデジタライゼーションのひとつです。ロボットを活用することで人員不足解消・人為的ミス防止を実現し、人間がよりクリエイティブな業務に専念できるようになることから、新しい業務形態として注目されています。

 

 

なぜ製造業でDXが重要なのか

製造業でDXが重要視される理由は、大きくふたつあります。ひとつめは、アナログ志向の強い製造業の現場においてDXを取り入れることで、日本の製造業のさらなる発展が見込まれている点。もうひとつは、日本の製造業においては「不確実性」への対応が課題となっている点にあります。

製造業は、日本のGDPの20%にのぼる国の主要産業である一方で、熟練者の技術・経験などの属人的要素に強く依存しているのが課題です。グローバル経済において、日本の存在感を示し競争優位性を維持していくためにも、製造業のDX化は急務を要しています。近年のデジタルテクノロジーの目ざましい進化に対して、経済の成長速度が追いついていくために、DXは欠かせない要素といえます。

また「不確実性」とは、社会情勢などの不可抗力によって引きおこされる、予測し難い事態のこと。実際に近年は新型コロナや自然災害、戦争など不安定な情勢がつづいたことから、製造業においても原材料の調達ができない・海外拠点が操業できないなどといった事態に陥る企業は少なくありません。

目まぐるしく進化するテクノロジーや、変遷する社会情勢にともなって、社会や顧客のニーズの変動も非常に大きくなっています。製造業全体がDXに取り組み、これまで製造業の現場で培われてきた技術やノウハウをデジタル化して共有することで、企業の質向上・業務の変革が必要とされています。

 

 

製造業DXによって実現できること

製造業DXによって実現できるメリット、4つのポイントを解説します。

 

情報の見える化や生産性の向上など

生産性の向上

製造業の業務プロセスに、デジタル技術を導入することで、従来業務を効率化し生産性を向上させることができます。IoTやAIなどの最新技術を適切に取り入れれば、製造業における開発設計、製造プロセスから事務作業まで、あらゆる業務の自動化も可能です。データも自動で蓄積するため、業務改善・人的コスト削減を同時に実現できるでしょう。

また既存業務を自動化するだけでなく、業務プロセスそのものに新しいシステムを導入することで業務効率化できるのもメリットです。たとえば紙に直接記入するといったアナログな管理方法を、DXによってデジタルデータ化することで共有もしやすくなり、業務そのものの質向上につながります。

そのほかにも、営業活動やマーケティング活動のDXも最近では注目を集めています。これまでデジタル化というと生産・流通プロセスにおける効率化の話が主になっていましたが、販売活動におけるデジタルツールも増えており、SaaSを活用すれば初期投資を抑えて導入ができるため、活用する企業が増えています。

特にコロナ禍では従来の営業活動ができなくなった企業も多く、急速に導入が進みました。データを元にした営業活動やプロセスの可視化により、生産性を向上させている企業も多く存在します。


本メディアを運用しているクラウドサーカスも、サービスとして提供しているのは製造業向けの営業活動の効率化や商談創出支援です。従来のアナログな営業手法を脱却し、データを元にした営業活動を実践することにより生産性を上げるお手伝いをしています。



情報の見える化

デジタルテクノロジーを活用すれば、製造業におけるすべてのプロセスを可視化できるようになります。設備・生産状況や、受注から納品までのデータを見える化して管理できれば、異変が起きる前やトラブルが発生する前に対処できるように。また問題が発生してもすばやく発見し、フィードバックを共有できます。

データを可視化することで、顧客データをもとに販売予測を立てることができ、製造業における物流量やリソース・コストの最適化をはかれるでしょう。データにもとづいて、品質を向上させたり、新たな技術を開発したりと、企業の発展にも貢献するはずです。

また、営業活動であれば営業マンの活動状況が確認でき、マーケティング活動であれば施策の成果を定量的に判断することができます。また既存顧客がWebサイトに来訪した際に、どこのページを見たのかを把握することで現場での営業トークに活かし、マンネリ解消にも活用可能です。


そのためにはWebサイトの計測の整備なども必要にはなりますが、しっかり初期設定をすれば中長期で活用が可能になるので、早めに整えておくことをおすすめします。

 

属人化の解消

現場主義・職人文化により発展を遂げてきた日本の製造業では、いわゆる熟練者の技術や経験が重要視され、業務プロセスそのものが属人化しやすい傾向にあります。従来も、業務マニュアルといった形で属人化の解消ははかられてきているものの、根本的な解消のためには仕組み自体をシステム化する必要があります。

DXによって属人化している業務をデジタル上でデータ化すれば、業務の標準化をはかれるようになります。属人化の解消は、次のようなステップで進めます。

○ 業務自体がそもそも必要かを精査する

○ 従来の業務フローに固執せずに検討し直す

○ 業務をなるべく自動化できるようなツールやシステムを活用して、業務内容をゼロから構築する

属人化を解消して生産性を上げるには、人がやらなくてもよい作業、デジタル化することでより効率化できる作業はなにかを見極めることが大切です。業務の属人化を解消し、より付加価値の高い人の手でしか行えない作業に人的リソースを割けるようになれば、製品やサービスの品質向上にもつながるでしょう。

営業活動においても、トップ営業の手法をデジタルに置き換えることでより再現性を高めることが可能です。セールスイネーブルメントとも呼ばれる領域で、製造業のDXにおいても重要な役割を果たしてくれます。

顧客満足度の向上

DX化を進めることによって、変動の激しい市場の動きに対しても柔軟に対応できるようになります。データを活用することで顧客のニーズを的確に把握し、提供する製品やサービスの品質向上に反映させられます。

顧客ニーズに合わせた新しいサービスの提供、既存製品の改善を実施できれば、顧客満足度が向上し継続的に製品やサービスを利用してもらえるはずです。質の高い顧客と関係性を強固にしていくことは、企業の成長・発展にも寄与するでしょう。

 

また、先述のデータの可視化が進めば、顧客の欲しい情報に絞ったアプローチが可能となり、無駄なコミュニケーションも減っていきます。その結果「あの取引先は良い情報ばかりをくれる」と顧客満足度も向上していきます。

 

 

攻めのDXと守りのDX

ビジネスにおけるDXには「攻め」と「守り」、2種類の体制があるといわれています。主に、実践目的・実践するターゲットにおいて次のように異なります。

 

攻めのDXと守りのDX



実践目的

● 「攻めのDX」:競争力の強化

● 「守りのDX」:業務改善・効率化

実践するターゲット

● 「攻めのDX」:顧客を中心としたステークホルダー等

● 「守りのDX」:主に自社内のビジネスモデル・業務フロー等

それぞれ詳しく見ていきましょう。

攻めのDXとは

攻めのDXとは、既存のビジネスモデルにおいてコミュニケーションを改善したり新事業により新たな価値を提供したりと、自社内だけでなく顧客にも向けてビジネスモデル自体の改革を行うことです。守りのDXと比べても難易度が高いものの、対他社や市場において競争優位性を見出すためには、中長期的な視点で取り組む必要があるでしょう。ちなみに弊社が支援しているのはこの「攻めのDX」に該当します。

「攻めのDX」の一例には、近年急成長したフードデリバリーサービスがあげられます。デジタル技術により配達員と飲食店のマッチングを図ったことで、多くの飲食店が直接配達員を雇用せずとも宅配できる環境を可能にしており、新たなビジネスモデルを確立した成功例です。また新しいビジネスモデルを展開したことで、まったく新しい顧客層の獲得を可能にしています。

 

また、営業活動にデジタルツールを取り入れて案件を増やしたり、Webサイトなどオンラインで引き合いを獲得する活動も、攻めのDXに一環です。比較的手軽に取り組めることから、”DXの第一歩”として規模を問わずに導入されています。

 

 

守りのDXとは

守りのDXとは、自社内の業務プロセスや組織に対してデジタル技術を取り入れて、企業風土に変革をもたらす考え方で、自社でコントロールできる範疇で行います。デジタル化により業務や人員、コストの削減を図り、業務フローを再設計して省力化することで、生産性を向上させる目的で実施されます。

たとえば電子決済を導入することでレジ締め作業の効率化をはかったり、電子契約書・電子請求書を活用して業務工数を削減したり、といったことも「守りのDX」にあてはまります。ビジネスモデルごと変革を行う「攻め」に対して、ひとつひとつの工程をデジタル化することで効率化・省力化を目指すのが「守りのDX」の特徴です。

2018年に経済産業省が発表した「2025年の崖」では、産業における老朽化・ブラックボックス化した基幹システムについて問題提起していますが、「守りのDX」が対処できるのはまさにこの分野といえます。

 

 

製造業のDXにおける課題

2023年に発表された業種別DX取り組み状況調査において、製造業でDXを実施している企業は、全体のうち22.8%にとどまりました。(出展:「 DX白書2023 」)この数字は年々すこしずつ増加傾向にあるものの、かつては世界の中で高い技術力を誇っていた日本の製造業も、ここ最近は若手人員の不足・設備の老朽化・技能継承の難しさといった慢性的な課題を抱えています。

ここでは、競争の激化するグローバル社会を舞台に日本の製造業DXが突き当たっている課題を3つ解説します。

 

デジタル人材、データ活用、ツール選定

 

デジタル人材の採用・育成

DXを進めるには「DX推進部門」などの専任部門をつくり、専門知識をもつ人材を採用するか、もしくは一から育成する必要があります。ただ実際にDXを進められる人材はまだまだ不足している上、製造業の実情も熟知している人物となると条件は非常に限られるため、DXを進める上での人材育成は中長期的な計画をもとに行いましょう。必要な技能をスキルマップ化し、研修等を盛り込んだ育成プログラムを構築します。

たとえばAIやIoTなどの最新技術によって高精度なデータを収集できたとしても、これらのデータの複雑性を理解し、適切に活用できる人材がいなければ意味がないからです。ただ企業の規模や業態によっては、新しく専任担当を採用・育成するリソースが確保できないケースもあるでしょう。そのような場合は、DX支援サービスなどを活用してDXの専門家にサポートを仰ぐことで、DX推進を加速できます。

データ活用の壁

製造業において、「生産プロセスに関する設備の稼働状況等のデータ収集」を行っている企業は、全体の約半数にとどまっています。業務プロセスの改善や海外工場の稼働状況・データ活用の進捗においても、目に見える進展はありません。(出展:経済産業省の「ものづくり白書(経済基盤白書)2020年版」)

DXの基本となるのはデータのデジタル化と収集ですが、日本の製造業においては半分の企業がまだそのラインに到達できていないどころか、この割合はここ数年減少傾向にすらあります。時間やコストを考えても、すぐにすべての業務工程をデジタル化するのはむずかしいものの、産業としてのDXに対して消極的な傾向が伺えます。

人だけでなく機械や技術などさまざまなモノが連携することで、社会課題を解決し、新しい価値を創造できる産業の在り方を実現していくためには、企業や業界の垣根を超えデータ活用の壁を乗り越える必要があるでしょう。

ツール選定の難易度

DXに取り組むにはITツールの導入が必須ですが、自社の目的・課題に合ったツールを選定するのには専門知識が必要であり、ツール選定の難易度は高いのも事実です。自社内に適切に判断できる人員がいないと、導入コストを投じて業務フローの一部をデジタル化してみたものの、逆に業務効率がさがってしまうということも起こりかねません。

自社内にITツール選定に長けている人員がいない場合には、DX支援などの外部人員活用も検討しましょう。自社内の課題を明確にして、これを解決できる機能やツールはどれか、導入後に自社内の人員で運用可能か、といった観点で適切なツール選定を行うことができます。

ベンダーの提供するクラウドサービスを適切に活用できれば、メンテナンスコストやアップグレードにかかる作業工程も、自社開発と比べて大幅におさえられます。適切なツールを選定することでDX推進をより加速できるはずです。

弊社でも製造業のデジタルマーケティング・営業分野の支援を実施しています。無料から使える営業ツールもございますので、ご興味がありましたら以下のリンクよりダウンロードをお願いいたします。

デジタルマーケティングツール『CloudCIRCUS』概要資料

 

 

製造業のDXケース

製造業DXにおいては、どのようなデジタル技術を導入するかによっても、その手段や結果は異なります。ここでは、業務・ノウハウのデジタル化、IoTの活用によるスマートファクトリー化の二軸で、製造業DXのケースをご紹介します。

業務・ノウハウのデジタル化

製造業DXにおいて欠かせない工程のひとつに、業務マニュアルやノウハウをデジタル化し、共有できるようにすることがあります。ここでは業務・ノウハウのデジタル化を生かした企業の例をご紹介します。

例1 ナレッジマネジメントを生産システムに統合

熟練者のノウハウ・技術をデータ化するだけでなく、日々の業務の中で生まれる技能を蓄積し共有して活用できるように。現場で行われてきた知的生産の分析を行うことで、ナレッジマネジメントを製造ラインに組み込んだ生産モデルを実現しています。

例2 複数の工場間で生産管理システムを統一

複数の向上をもつ企業では、同じ部品であっても各工場ごとに異なる設計で製造を行っていることが課題となっていました。設計データをデジタル化、生産管理システムを統合してナレッジ共有できるようにしたことで、会社全体で技術向上につながり、工場間で負荷を分散できるようになったことで生産性も向上しました。

例3 製造プロセスを見える化して売上増加

業務フローやエンジニアリングプロセスにおける社内の連携体制を可視化したことで、製品製造の過程がわかりやすく把握できるように。不足している人材や必要なツールなど課題を明確化して対処できるようになったことで、売上を倍以上に伸ばしています。

IoTの活用によるスマートファクトリー化

スマートファクトリーとは、IoTなどを活用してデジタルデータを可視化し、業務管理を行う工場のことです。ある企業の活用例をご紹介します。

例1 作業工程のデジタル化:データ収集・蓄積

製造ラインにおける点検・原材料の管理・作業日報などの手書き作業を、IoTによって自動化。自社開発することで補助金を利用し、コストを抑えたシステム化を実現しています。

例2 柔軟な働き方を可能に:データによる最適化

部品製造を行う企業では、CAD/CAMであらかじめ作成したデータをもとに、フレキシブルに働ける環境づくりを実施。定年を設けず、高齢者や子育て中の女性の雇用も可能にしたことで、生産性を向上させながら働き手不足の解消も実現しています。

例3 工場と現場で共有:データの分析と予測

工場IoTによって取得した現場のデータは、各事業部とプラットフォームで共有できるようプロジェクトを立ち上げ、コスト面を改善。開発から工場・市場までをデジタルデータで連携できる環境を構築、データ基盤を整備し、予測にもとづいて品質向上などの付加価値提供にデータを活用できるように。


営業・マーケティング活動のデジタル化

生産プロセスだけでなく販売プロセスにおいても、テクノロジーを活用したデジタル化が進んでいます。「営業DX」「マーケティングDX」と呼ばれるものになりますが、製造業においても注目を集めています。

例1 過去の営業名刺を一括管理し活用

過去の営業名刺をデータ化し、メール配信をすることでクリックした顧客に絞って連絡が採ることができます。また、閲覧しているWebページもわかるようになるため、営業現場における話題としても活用可能です。

例2 営業活動のプロセスを管理

営業活動をオンラインに記録することで、売れている営業マンとそうでない人との比較ができ、営業組織の底上げが可能です。

例3 オフラインと組み合わせた製造業ブランディングを実施

製造業のブランディング活動の一環として、デジタルを活用するケースが増えています。オンラインだけで完結するのは難しいものの、重要な接点の1つとしてWebサイトや各種電子化ツールなどを活用されています。

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製造業のDXの具体的な事例

製造業DXには具体的にどんな事例があるのでしょうか。ここでは経済産業省「第3節 製造業の企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」より引用しながら事例を紹介してまいります。

 

沖電気工業株式会社の「バーチャル・ワンファクトリー」構想

微本最初の通信機器メーカーである沖電気工業株式会社は、同社の全生産部門を対象とする「生産・品質改革発表会」において、本庄工場(埼玉県)と沼津工場(静岡県)が推進する「バーチャル・ワンファクトリー」の活動が、「改革大賞」を受賞しました。「バーチャル・ワンファクトリー」は業務の共有によって工場と工場の連携を強化し、仮想的な1つの工場に融合する取り組みです。

罷業に関係なくその製品の特色に合致した最適な工場で製品を作ることを目指し、全社活動にも広げようとしています。個別最適となっていた仕組みを全体最適に移行し、各プロセスや・ツ-ル統合を進め、目指す「バーチャル・ワンファクトリー」を実現しようとしているようです。

 

 

デジタルマーケティングでミニマムの一歩目を踏み出す

本メディアでは、過去に製造業の方々向けのデジタルマーケティングの記事を公開しています。

 

BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで

 

製造業DXの中では「攻めのDX」にあたる内容ですが、もし何かしら一歩目を踏み出したいけど取り組めずにいる…という方がいらっしゃいましたら、マーケティング分野のデジタル化は大変おすすめです。比較的導入が低コストかつこれから取り組まれる中小企業も多く、始めるのに遅くはないからです。

製造プロセスの中にシステムを導入するとなると、大がかりな設計やプロジェクトが必要になり、費用も大きくかかってきます。マーケティングツールであれば無料から使えるものもあり、現状活用できていない名刺情報やエクセル管理の顧客リストをインポートして使えるので、資産の有効活用にもつながります。

ただし、担当者だけが活用を頑張っても浸透は難しく、経営や責任者が協力的になることがマストにはなりますが、そうだとしてもDXの第一歩としては費用対効果の高い選択肢です。ぜひご検討ください。

 

 

まとめ

製造業DXについて解説しました。

日本では現場主義・職人主義が謳われてきた製造業ですが、近年のデジタル化の躍進により、世界では製造業の自動化・作業効率化がますます加速しています。IoTによるセンサー・データ解析や、AIによる機械学習など、最新テクノロジーを取り入れることで、製造業の現場が抱える多くの課題を解決できるはずです。またDXに取り組むことで課題を解決するのはもちろんのこと、企業成長のためのさまざまなヒントを得られるのではないでしょうか。

中小企業などのリソースがかぎられる条件下でも、デジタルの力を適切に扱うことで、日本の製造業における高い技能を継承していくことができ、企業の成長・日本の製造業のさらなる発展にも寄与するでしょう。ぜひ自社に適切なツール・方法を見極めて、DXに取り組んでみてください。


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経済産業省「製造業DX取組事例集

日経BP「製造業DX

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 製造業マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

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Mon, 17 Apr 2023 14:40:49 +0900
<![CDATA[【2023年版】機械関連の製造業展示会まとめ!]]> https://mtame.jp/column/machine_exhibition 行動制限の緩和などの影響で、ようやく製造業向けのリアル展示会においても人波が戻ってきました。今年は海外来場者の増加も期待されるなど、さらなる盛り上がりも期待されています。

 

リアルの展示会では最新トレンドや技術を肌で感じてもらうことができ、オンラインでは伝えきれない魅力を伝えられるというメリットがあります。また参加者としても、実際に足を運ぶことで効率的に情報収集ができ、予期せぬ出会いも期待できます。製造業の営業・マーケティング活動において、この上ないビジネスチャンスと言っても過言ではありません。

そこで本記事では、2023年に開催される機械関連の製造業向け展示会について、開催日時や会場などの基本概要に加え、それぞれの規模や特徴などについて紹介します。出展を検討されている方、そして最新の情報をキャッチアップしたい方は、ぜひ参考にしてください。

※情報はすべて執筆当時(2023年4月14日)のものです。詳細は必ず公式サイトよりご確認ください。

 

 

 

 



展示会で成果を出すために

展示会を紹介する前に、展示会出展において成果を出すためのポイントを共有いたします。

弊社ではこれまで10年間以上、年数回展示会に出展し続けています。高額なマーケティングコストをかけて出展する分、費用対効果についてはこだわっており、常にPDCAを回してきました。中でも特に大切にしているのが、名刺交換からアプローチまでの速度と、中長期的なナーチャリング活動です。

展示会の来場者は多くのブースで名刺交換をするため、直後からたくさんの連絡をもらいます。そのため、アプローチが遅くなればなるほど商談に繋がる率が低くなっていくため、ニーズがある担当者には早めの連絡が必要となります。

中長期的なナーチャリング活動については、展示会直後ではなく数か月後の受注が多いことがデータとしてもわかっており、大切にしています。早めの連絡をし、そこから長い目線で情報提供をしていくことで、受注成果を最大化することができます。

展示会における名刺交換から受注までの数値

 

今回、製造業向けの展示会に出展を検討されている方も、この辺りを意識して出展することで、費用対効果を最大化することができます。


この辺りのノウハウにつきましては、良ければ以下の資料も参考にしてください。

展示会で成果を出す12のノウハウ
  • せっかく展示会に出るなら成果に繋げよう!
  • 展示会の効果を最大化させる12の手法(ノウハウ)
  • 弊社では10年以上前より、年数回展示会に出展しノウハウを蓄積してまいりました。本書では、展示会の運用方法を3つのフェーズに分けてご説明し、各フェーズ毎に即実践可能な12の手法をご紹介します。

    無料でノウハウをダウンロード



次の章からは、具体的に機械関連の展示会を紹介していきます。自社がどの展示会に参加すべきなのか、ぜひ見極めてください。


 

金属プレス加工技術展 2023

公式サイトURL 

https://www.intermold.jp/top/




開催地および日時

・会場:東京ビッグサイト

・開催日時:2023年4月12日(水)〜15日(土)・10時〜17時(最終日は16時まで)


業種別

⾦属加⼯・⼯作機械・工具

主催者

一般社団法人日本金属プレス工業協会


想定来場者

50,000人(同時開催展を含む)


イベント概要

「金属プレス加工技術展 2023」は、プレス加工機やプレス金型、プレス金型部品、周辺機器、各種金属プレス成形サンプルなどの技術をプレス加工メーカーがPRする、業界最大級の加工技術の展示会です。

例年「INTERMOLD/金型展」と同時に開催され、過去の来場者数は数千人に及び、今回の全体来場者数は50,000人と予想されている大規模な展示会です。

同展示会では、デモンストレーションなどを通して来場者に自社製品・サービスを体験してもらえるので、Webサイトや資料による案内よりも具体的に自社の製品をアピールでき、来場者のニーズとマッチすれば、新規顧客獲得につながる可能性も高まります。


前回の総来場者

2,090名(2021年4月)

 

 

INTERMOLD 2023(第34回 金型加工技術展)/金型展2023

公式サイトURL

https://www.intermold.jp/top/




開催地および日時

・会場:東京ビッグサイト

・開催日時:2023年4月12日(水)~15日(土)・10時〜17時(最終日は16時まで)


業種別

⾦属加⼯・⼯作機械・工具


主催者

一般社団法人日本金型工業会


想定来場者数

50,000人(同時開催展を含む)


イベント概要

インターモールドは金属加工関連の展示会の中でも、金型に特化した大規模展示会です。金型展及び前章で紹介した金属プレス加工技術展との共催で実施されます。

本展示会には、金型加工に利用される5軸加工機をはじめ、放電加工や3D金属プリンタによる金型レスの加工など金型づくりのあらゆる技術が集まり、専門性の高い展示会として知られています。

切削工具メーカーや工作機械メーカーは、部品加工用の製品を展示している場合も多く、部品加工に関連する来場者もターゲットにできるでしょう。複数の展示を同時に開催しているため、新規分野やこれまで取引のない業界の顧客との商談など、新たな販路を拓くきっかけになる可能性もあります。

前回の総来場者

6,990名(2021年4月)

 

 

金属プレス加工技術展 名古屋

公式サイトURL

https://www.intermold.jp/nagoya/

開催地および日時

・会場:ポートメッセ名古屋

・開催日時:2023年6月21日(水)〜23日(金)・10時〜17時

業種別

⾦属加⼯・⼯作機械・工具

主催者

一般社団法人日本金属プレス工業協会

想定来場者

50,000人(同時開催展を含む)

イベント概要

「金属プレス加工技術展 2023」は、プレス加工機やプレス金型、プレス金型部品、周辺機器、各種金属プレス成形サンプルなどの技術をプレス加工メーカーがPRする、業界最大級の加工技術の展示会です。名古屋での開催は2018年から始まり、毎年開催されています。

東京展と同じく「INTERMOLD/金型展」と同時に開催されており、今回の全体来場者数は50,000人と予想されている大規模な展示会です。

同展示会では、デモンストレーションなどを通して来場者に自社製品・サービスを体験してもらえるので、Webサイトや資料による案内よりも具体的に自社の製品をアピールできるというメリットがあります。商談次第では、新規顧客獲得につながる可能性も高まるでしょう。

前回の総来場者

3,653名(2022年7月)

 

 

INTERMOLD 名古屋/金型展 名古屋

公式サイトURL

https://www.intermold.jp/nagoya/

開催地および日時

・会場:ポートメッセなごや

・開催日時:2023年6月21日(水)~23日(金)・10時〜17時

業種別

⾦属加⼯・⼯作機械・工具

主催者

一般社団法人日本金型工業会

想定来場者

50,000人(同時開催展を含む)

イベント概要

インターモールドは、金属加工関連の展示会の中でも金型に特化した大規模展示会です。金型技術が集結した「金型展」と、プレス加工に関連した「金属加工プレス展」も同時に実施されるため内容の濃い展示会となっており、東京・大阪では隔年、名古屋では毎年開催されています。

金型加工で使われる5軸加工機をはじめ、放電加工や3D金属プリンタによる金型レスの加工など、金型づくりのあらゆる技術が集まり、金型・プレスのエンジニアだけでなく、NC工作機械のエンジニアやユーザーも多数来場するのが特徴です。

コロナ禍で来場者が減っていても1万人以上が訪れるビックイベントとして有名であり、今年の3展合わせて5万人の来場者が来ることが予想されています。複数の展示会の同時開催により、新規分野の開拓なども期待できます。



前回の総来場者

13,361名(2022年7月)

 

 

TECHNO-FRONTIER2023

公式サイトURL

https://www.jma.or.jp/tf



開催地および日時

・会場:東京ビッグサイト 東展示棟

・開催日時:2023年7月26日(水)〜28日(金)10時〜17時

※オンライン展示会:2023年8月1日(火)〜25日(金)

業種別

機械要素・部品

主催者

日本能率協会

想定来場者

約2万人

イベント概要

「TECHNO-FRONTIER2023」は、技術革新と商談をサポートする、アジア最大級の専門トレードショー&カンファレンスです。

モータ技術を核とした日本のものづくり産業のイノベーションとソリューションを提案するプラットフォームを目指す同展示会は、メカトロニクス・エレクトロニクスとそれらに関連するモーター技術をはじめ、電源システム、熱設計・対策技術など、全部で10の専門領域の製品及びサービスが展示され、領域毎に技術シンポジウムが開催されます。

公式サイトの来場者分析によると、来場者には「エンジニア」をはじめ「ものづくり企業勤務の方」「技術者」「決済者」の割合が多く、製品やサービスを直接エンジニアなどにアピールできるというメリットがあります。様々な業種の来場者が訪れるため、より幅広い分野の来場者に自社をPRできる機会にもなるでしょう。

前回の総来場者

16,643名(リアル展の3日間の合計)

 

 

メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023

公式サイトURL

https://www.jma.or.jp/mente/

開催地および日時

・会場:東京ビッグサイト 東展示棟

・開催日時:2023年7月26日(水)〜28日(金)10時〜17時

業種別

環境・エネルギー/設計・エンジニアリング/安全・防災・減災/産業機械・機器全般/⾃動⾞・⼆輪⾞・交通

主催者

日本能率協会(日本ドローンコンソーシアム/日本プラントメンテナンス協会)

想定来場者

30,000名(同時開催展含む)

イベント概要

「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」は、製造業・建設業の生産性向上、持続可能な社会資本整備、レジリエンス向上を目指し、16の専門展示会を同時開催する大規模な展示会です。

分野の異なる複数の展示会を同時開催することで相互の関連性を最大限に引き出し、業界の枠を超えた情報・テクノロジーの交流を深められるのが特徴で、生産設備から社会インフラ、各種災害対策まで、メンテナンス及びレジリエンスに関する最新の製品・サービス・技術が一堂に集まっています。

製造業をはじめ、官庁・自治体、交通・ライフライン機関、建設業・解体業、エンジニア、運輸・交通業、化学、O&M事業者、設計/測量/コンサルタントなどの幅広い来場者を対象としており、商談や技術やサービスに関する最新情報交換の場として活用できます。

前回の総来場者

13,773名(同時開催展含む)

 

 

EdgeTech+ West 2023

公式サイトURL

https://www.jasa.or.jp/etwest/

開催地および日時

・会場:グランフロント大阪 北館 B2F

・開催日時:2023年7月27日(木)〜28日(金)10時〜17時

※オンライン開催:2022年 8月1日(月) 10時 〜 8月12日(金) 17時 ※8月19日(金) 17:00まで延長

業種別

エレクトロニクス・コンピュータ・電⼦部品

主催者

組込みシステム技術協会

想定来場者

不明



イベント概要

「EdgeTech+ West 2023」は、エッジコンピューティングやIoTシステム向けデバイス、ネットワーク、センシングなどに関する最先端情報を一望できる、アジア最大級の展示会です。

「エッジ領域でどのような新たな価値を生み出せるのか?」をテーマにした本展示会は、リアル展示+最前線で活躍する有識者が登壇するカンファレンスで構成されており、テクノロジー視点に加え、最新トレンドの発信と応用分野への社会実装の促進を図ります。

関西圏を拠点とする主要企業へ向けて自社製品をPRすることができるほか、改めてリアルに比重を置く本展示会では、デジタルだけでは実現しにくい商談やビジネスチャンスの創出にもつなげることができるでしょう。



前回の総来場者

7,045名(会場来場者は3,065名、オンライン参加者数は3,980名)

 

 

測定計測展(Measuring Technology Expo 2023)

公式サイトURL

https://www.mt-expo.jp/



開催地および日時

・会場:東京ビッグサイト 東4・5ホール

・開催日時:2023年9月13日(水)〜15日(金)10時〜17時

業種別

計測・分析・科学・検査機器



主催者

日本光学測定機工業会/日本精密測定機器工業会

想定来場者

不明

イベント概要

「測定計測展(Measuring Technology Expo 2023)」は測定・計測関連の機器・技術・情報が一堂に集まる国内唯一の展示会です。

本展示会は奇数年秋に開催するトレードショーで、自動車、ロボット、航空機関連などに用いられる光学・精密測定はもちろん、幅広い計測業界の製品・技術や関連する最新情報を収集できます。光計測シンポジウムをはじめ、技術相談コーナー、新技術発表コーナーなど多彩な併催企画が実施されるのも特徴です。

同展示会では「センサエキスポジャパン」、「TEST総合試験機器展」、「自動認識総合展」の関連する3つの展示会も同時開催されるため、新規開拓につながる可能性の高い多数の来場者が集まり、商談のチャンスを創出できる良いきっかけになるでしょう。

前回の総来場者

4,897名(2021年)

 

 

センサエキスポジャパン2023

公式サイトURL

https://www.sensorexpojapan.com/

開催地および日時

・会場:東京ビッグサイト(京国際展示場)東ホール

・開催日時:2023年9月13日(水)~15日(金)10時〜17時



業種別

計測・分析・科学・検査機器



主催者

産経新聞社

想定来場者

記載なし

イベント概要

「センサエキスポジャパン2023」は「センシング技術」と「見える化」をテーマとしたビジネス創出のための、技術・情報・人が一堂に会する展示会です。各産業の課題解決と社会発展を目的とし、次世代につながる「DX時代」の実現に貢献します。

同展示会のメインテーマである「センサ・センシング技術」に関する製品を展示するだけでなく、それらを用いて人々の暮らしや社会がいかに豊かにできるのかを提示・提案することや、未来の価値を披露・発信して実現性を高めることを基本方針としています。

同展示会では、センサやセンシング技術を求めるあらゆる業種の研究開発者・技術者・マーケティング関係者をはじめ、設計・製造、生産、品質管理・検査、購買・資材などに従事する専門家や、あらゆる産業・業種のDXを推進する担当者、商社、官公庁、業界団体など様々な分野の人が来場対象者です。

前章で紹介した「測定計測展2023」「TEST総合試験機器展」「自動認識総合展」も同時開催され、関連応用分野から多数の来場者が訪れるため、新規顧客の開拓にもつなげられます。

前回の総来場者

44,744名

 

 

N-PLUS 「New」「Next」をプラスする製品開発技術展

公式サイトURL

https://www.n-plus.biz/



開催地および日時

・会場:東京ビッグサイト 南3ホール

・開催日時:2023年9月13日(水)~15日(金)

業種別

化学、医薬品



主催者

エヌプラス実行委員会

想定来場者

記載なし

イベント概要

『N-PLUS「New」「Next」をプラスする製品開発技術展』は、ものづくりにおける課題解決からサステナビリティ分野、空飛ぶクルマ分野まで、旬なキーワードをテーマにした全12の専門展示会で構成された複合展示会です。

本展示会は高機能・高付加価値化の提案を行う「N+Technology」と持続可能なものづくりの提案を行う「N+Sustainability」、そして空飛ぶクルマに関する特別企画展「フライングカーテクノロジー」から構成されています。

「N+Technology」では、「プラスチック高機能化」や「軽量化・高強度化」をはじめとする研究・開発部門が注目するキーワードで構成された7つの専門展示会を実施し、「N+Sustainability」では、これまで好評だった「環境配慮型素材展」などに加えて「次世代製品開発DX展」が新設され、サステナブルなキーワードで来場者ニーズを刺激することで商談・交流の場を創出します。

本展示会では自社の強みをPRできる出展分野を選べるほか、出展分野と連動した主催者企画セミナーや、来場者参加型の「実演・体験ステージ」なども設置されており、充実した企画内容と出展サポートによって、来場者とのマッチングを徹底強化しているのが特長です。

前回の総来場者

12,795名

 

 

CEATEC 2023

公式サイトURL

https://www.ceatec.com/ja/application/

開催地および日時

・会場:幕張メッセ

・開催日時:2023年10月17日(火)〜20日(金)10時〜17時

業種別

エレクトロニクス・コンピュータ・電⼦部品



主催者

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)



想定来場者

記載なし

イベント概要

「CEATEC 2023」はあらゆる業種・産業を網羅する「Society 5.0の総合展」であり、国内外のキーパーソンが一堂に集まる場として注目度の高い展示会のひとつです。

本展示会ではWeb3.0やメタバース、ロボットや人工知能(AI)などの先端技術を活用した、未来社会のビジョンやコンセプト、新事業が多数披露され、経営者、国内外の政府関係者、イノベーターなどから、将来を担う学生まで幅広い層の来場者が訪れます。

前回の海外出展者数は27カ国/地域より146社/団体にものぼり、国内外の報道関係者は500名以上が来場、海外にも広く発信されるのも特長です。

参画することによって、エンゲージメント強化や認知度向上、新規案件・共創先獲得、販路拡大が見込めるだけではなく、理解度やモチベ=ションの向上、フィードバック獲得や連携促進などの効果も期待でき、社内外との関係強化やブランディングも見込めます。また、来場者はもちろんのこと、出展者同士でも事業創出やつながりが生まれやすい環境が整っています。



前回の総来場者

81,612名(幕張メッセ会場)、30,307名(オンライン会場)

 

 

モノづくりフェア 2023

公式サイトURL

https://www.nikkanseibu-eve.com/mono/



開催地および日時

・会場:マリンメッセ福岡A館・B館

・開催日時:2023年10月18日(水)〜10月20日(金)

業種別

産業機械・機器全般

主催者

日刊工業新聞社

想定来場者

20,000名

イベント概要

「モノづくりフェア2023」は福岡市で毎年開催されている、九州で最大の規模の産業総合展です。39回目を迎える今年のテーマは「つくる を つくる―現場が世界を変える―」を掲げており、自動車、半導体といった基幹産業はもちろんのこと、DXやサステナブルをテーマにした次世代モノづくりに関わる最新技術の提案や、新たな取引先開拓を目指したマッチングの場を提供しています。

同展示会は「DXコーナー」「モノづくりコーナー」「サステナブルコーナー」「九州自動車生産推進コーナー」「3次元設計・開発・プリンターコーナー」「産学官金連携・団体PRコーナー」など様々な出展コーナーに分かれており、多様性あふれるモノづくり関連企業が深く広く層を成す九州の企業へ向けて、自社製品をPRすることができる絶好のチャンスです。

また様々な業種が混在しているため、予期せぬ出会いからの潜在顧客の発掘や、新たな業界への参入事例などが期待できるのも同展示会の魅力です。出展者×来場者に加え、出展者×出展者の交流もできる貴重な場として活用できます。

さらに本展示会では、マリンメッセ福岡会場の開催2ヶ月前に掲載をスタートする先行オンライン出展サービス「Onlineコネクト」を提供しており、早くから来場者に出店製品をPRすることが可能です。目的を持って来場してもらえるので、成功率の向上が見込めるでしょう。

前回の総来場者

20,380名

 

 

メカトロテックジャパン2023 MECHATRONICS

公式サイトURL

https://mect-japan.com/2023/



開催地および日時

・会場:ポートメッセなごや

・開催日時:2023年10月18日(水)〜21日(土)



業種別

産業機械・機器全般



主催者

ニュースダイジェスト社



想定来場者

70,000人名



イベント概要

「メカトロテックジャパン2023 MECHATRONICS」は2年に1度、ポートメッセなごやで開催される、日本最大級の工作機械展示会です。

世界三大工作機械展示会の1つの展示会であるJIMTOFに次ぐ国内最大級の工作機械見本である本展示会は「MECT(メクト)」の愛称でも親しまれており、JIMTOFが開かれない奇数年に開催されます。

同展示会には、NC工作機械をはじめ、切削工具・センサ・ツーリング・プレス機械など500社近くもの工作機械関連メーカーが出展し、名古屋以外にも関西地域や静岡からも多数のエンジニアが来場するので、中部地方の顧客開拓をしたい企業にとってもチャンスです。

また国内の産業展示会では珍しく土曜日の開催もあり、週末には学生や子供連れの来場者も多いのも特徴です。



前回の総来場者

68,929名

 

 

燕三条ものづくりメッセ 2023

公式サイトURL

https://tsm.tsjiba.or.jp/



開催地および日時

・会場:燕三条地場産業振興センター

・開催日時:2023年10月26日(木)〜10月27日(金)



業種別

⾦属加⼯・⼯作機械・工具

主催者

燕三条地場産業振興センター



想定来場者

5,000名

イベント概要

「燕三条ものづくりメッセ 2023」は、燕三条の特徴的な製品や各種加工機器などが一堂に会する日本海側最大級の展示会で、燕三条の金属加工業者を中心としたものづくり企業が出展しています。

燕三条地域は職人が蓄積してきたステンレス、作業工具・刃物を中心とした金属材料の加工技術、生産技術が有名で、企業間の連携などにより安定且つ質の高い部品や製品を国内外に供給しており、金物や洋食器作りが盛んな「ものづくりの町」として知られています。

前回開催時には、公式サイトにある出展企業一覧やAIマッチング企業検索などを活用して、あらかじめ自社にマッチする企業などを検索できました。今年も同機能があれば、目的をより明確にして展示会に参加することができます。

本展示会は日本海側最大規模なので、同地域における製品や技術、人が集まるまたとない機会であり、日本海側や新潟周辺地域での販路拡大や情報収集、新規顧客の開拓を行う企業や関係者には見逃せない展示会です。



前回の総来場者

3,831名

EdgeTech+ 2023

公式サイトURL

https://www.jasa.or.jp/expo/



開催地および日時

・会場:パシフィコ横浜

・開催日時:2023年11月15日(水)〜17日(金)



業種別

エレクトロニクス・コンピュータ・電⼦部品



主催者

組込みシステム技術協会

想定来場者

記載なし

イベント概要

「EdgeTech+ 2023」は、インフラ及び社会課題を支えるエッジコンピューティングとそのソリューションに関する情報を発信する総合展示会です。エッジテクノロジーと、関連するプラスの取り組みを展示することで、顧客視点の新たな価値創出の実現を目指します。

「+(プラス)」の取り組みとしては具体的に「応用産業分野、オープンイノベーション、DX推進に向けての組織開発や開発思考、若年層のモノづくりへの興味喚起、クラウドネイティブ / ソフトウェアファースト、関連技術の強化と新技術分野」が挙げられています。

様々な技術・製品に関する情報を収集できる本展示会を通して、昨今迎えた事業変革を推進するための最新テクノロジーをより深く知ってもらうことで、新しい技術に意欲的な層へしっかりとアピールすることができるでしょう。



前回の総来場者

39,627名(22,081名-会場来場者数、17,546名-オンライン参加者数)

 

 

2023国際ロボット展

公式サイトURL

https://irex.nikkan.co.jp/



開催地および日時

・会場:東京ビッグサイト 東1~8ホール/西3・4ホール

・開催日時:2023年11月29日(水)~12月2日(土)10時~17時

 ※オンライン会場:2023年11月22日(水)~12月15日(金)



業種別

産業機械・機器全般



主催者

日本ロボット工業会、日刊工業新聞社

想定来場者

記載なし

イベント概要

「国際ロボット展」は1974年に初開催され、今年で25回目を迎える世界最大規模のロボット専門展です。ロボット技術・製品を取り扱う企業や来場者が訪れ、国内外から高く評価されています。

今年の本展示会は「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」をテーマに掲げ、リアル展示会×オンライン展示会のハイブリッド展示が実施されます。出展分野は産業用ロボット(IR)とサービスロボット(SR)に分かれており、世界中の最先端ロボットが展示されるほか、AI・ICT・要素技術などロボットに関わる高度なテクノロジーが一堂に集まります。

出展者セミナーや国際フォーラムなど、併催企画を多数実施しているのも特長です。海外からの動員数が多いほか、メディアを活用したプロモーション活動を積極的に行う本展示会では、自社の認知度向上やブランディング、海外を含めた新たな販路拡大を行うのに最適です。

前回の総来場者

62,388名

 

 

国際画像機器展 2023

公式サイトURL

https://www.adcom-media.co.jp/ite/ (現時点では2022年のもの。詳細は2023年8月頃に公開)

開催地および日時

・会場:パシフィコ横浜 展示ホールD

・開催日時:2023年12月6日(水)~8日(金)

業種別

産業機械・機器全般

主催者

アドコム・メディア

想定来場者

記載なし

イベント概要

「国際画像機器展」は、ロボットビジョン、メディカル、3次元、ITS、セキュリティ、インフラ整備、ディープラーニングなど様々な分野から最先端のマシンビジョンが集う国内最大の展示会です。

展示ホールに隣接された会場では、マシンビジョンに最前線で関わる専門家による講演や出展企業による市場動向などについての講演が実施されるほか、相談員として協力している日本映像処理研究会や出展社有志の方々に直接相談して問題を解決できる「技術相談コーナー」などが設けられています。

人、モノ、情報が集う本展示会ではビジネスマッチングに最適な場が提供され、新たなビジネスパートナーとの出会いや新規顧客の獲得、市場動向や最新情報を交換する場として活用することができます。



前回の総来場者

11,302名

 

 

まとめ

本記事では2023年版の機械関連の製造業向け展示会について詳しく紹介しました。

機会関連の製造業向け展示会だと専門性が高く、分野の幅が限られてしまいそうなイメージですが、複数の展示会の同時開催や多数の業種を一堂に会した展示会も多く実施されているため、参加することで予期せぬ出会いや新規分野における販路の拡大などが期待できるでしょう。

また展示会は出展者と来場者だけではなく、出展者同士の交流の場でもあるため、いろんな形で今後の商談につながる様々なきっかけを得られるはずです。オンラインの商談では伝えきれない魅力を積極的にアピールできる場としてぜひ活用してみてください。


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Fri, 14 Apr 2023 13:09:24 +0900
<![CDATA[製造業ブランディングの基本を解説!主なメリットから大まかなステップまで]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/manufacture_branding
「ブランディング」という言葉やその意味を知ってはいるものの、「製造業にとって本当に必要なのか」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか?


競争に勝ち残る上でカギとなる「ブランディング」の重要性は製造業においても例外ではなく、適切に取り組むことで「○○製品と言えば○○会社」などと真っ先に思い出してもらうことができ、市場における競争の中で優位なポジションを築くことが可能です。


本記事では製造業におけるブランディングについて、必要性やメリット、ブランドを作る5つのステップやその効果などを、詳しく紹介します。

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ブランディングとは?

一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会によると、ブランディングとは『ブランド・アイデンティティとブランド・イメージを一致させる活動のこと。』を差します。また、ブランド・アイデンティティとは『企業がある製品・サービスが「何ものか」を示すため定める「旗印」のこと。言い換えると「ブランド独自の価値」をひとことで表したもの。』とあります。

引用元:ブランド用語集


ブランド・イメージは『消費者・顧客が心の中に抱く、ブランドに対する心象のこと。』なので、自社独自の価値を消費者の心の中に適切に届けていくことが、”ブランディング活動”といえます。


この”ブランディング活動”をうまく行うことができれば、「認知度・好意度」などが向上し、顧客のファン化を期待することができるほか、「〇〇商品・サービスといえばこの企業」と自社を想起してもらいやすくなり、売上向上などの効果が見込めます。自社の強みを適切なチャネルで適切にアピールすることで、ユーザーが商品・サービスの導入を検討した際に、自社商品が選ばれる可能性が大きく上がるからです。


では、今回の記事の主題である『製造業』においてなぜブランディングが重要なのでしょうか。その理由について次章で詳しく説明します。


製造業にブランディングが必要な理由

製造業の場合、個人ではなく企業との取引を主とし、顧客からの受注を満たす部品や商品を作るため「ブランディングに力を注がなくても良い」と考えられているかもしれません。しかし、1回の受注における単価が高い製造業こそ積極的なブランディング活動が必要となるのが実情です。現在の取引先から別の企業を探した際に、可能な限りリスクを減らすとなると、まずは第一想起される企業に相談してみよう、となるからです。

 

またインターネットが普及した現代では誰もが気軽に情報を得られるため、BtoB企業においても競合他社と比較される機会は増えており、他社との差別化をしっかりアピールできるブランディングのニーズは高まっています自社の強みや特長を明確に顧客へと伝えられることで、新規顧客の獲得はもちろんですが、ブランドを定着できれば自然と問い合わせが入ってくる状態も作れるので、長期的な売上向上も期待できます。

 

 

製造業における購買センターの存在

製造業ブランディングでもっとも影響を与えたい対象は顧客の購買センターです。企業によって構成メンバーも異なるのですが、生産財の購入において重要なキーマンたちとなるので、深い理解が必要です。以下に検討のステージに上がるかが重要となるため、適切な箇所での適切な発信が必要となります。


製造業の何をブランディングする?

ブランディングの中でも、特に製造業におけるブランディングでは他社と差別化できる3つのポイント「製品・サービス」「技術」「企業の存在や理念」について、いかにアピールできるかがカギとなります。


「製品・サービス」については、その製品やサービスを利用することでどんな課題を解決できるのか、どんなことに効果があるのかなどを、導入事例を用いて発信すると良いでしょう。サービスに関しては、一貫生産や24時間対応、無料サンプルなどのポイントをアピールすることができます。


「技術」では、自社独自の技術や特許取得の実績など、自社の持つ技術的な価値を顧客にわかりやすく伝える必要があります。具体的には、他社では扱っていない高度な技術、コストを抑える技術、難易度の高い加工を施す技術、短納期で製造できる技術など様々なものがあり、自社が最も特長とする技術を顧客にしっかりアピールしましょう。


「企業の存在や理念」に関しては、企業そのものや取り組んでいる内容、理念を世間に周知することで認知度・好感度を向上させ、企業イメージを定着させることが大切です。社会や地域への貢献活動や、環境への取り組み、社員教育など様々なアピールポイントがあります。


これらはWebコンテンツとして発信していくことが重要なので、場合によってはコーポレートサイトやサービスサイトをリニューアルする必要も出てきます。あらゆるタッチポイントの中の1つではありますが、最もみられる場所の1つでもあるため、ブランディングに取り組む際にはチェックするようにしましょう。


【企業ブランディングの事例もございます】

Webサイトを活用して製造業ブランディングに取り組んだ事例もございます。こちらも合わせて参考にしていただけますと幸いです。

受注に繋がるお問い合わせが増えた!「粉末調味料のパイオニア」というアイデンティティを表現する場として、Webサイトをリニューアル/日本化工食品株式会社




製造業がブランディングを行うメリット

ここで改めて、製造業がブランディングを行うメリットについて、より詳しくみていきます。

市場における競争力が強化できる

製造業においてブランディング活動に力を入れることで競合他社との差別化を図ることができ、市場での競争力を強化できるというメリットがあります。活動を通して自社のもつ価値を認知してもらえれば、価格を下げなくても商談が成立するようになり、競合他社より有利なポジションを築くことができるはずです。


価格ではなく価値で取引先との関係を構築できるという点も非常に重要で、顧客満足度をはじめ、売上や利益率の向上にもつながっていきます。さらに、顧客のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が高まり、長い目でみても市場競争において優位にたつことができるでしょう。


第一想起による新規顧客からの引き合い数UP

ブランディング活動を継続的且つ効果的に行うことができれば、「○○製品ならあの企業」「○○技術・サービスなら○○会社」など真っ先に自社を思い出してもらうことができ、第一想起による新規顧客からの引き合い数がUPします。



認知度・好感度共に向上できれば、業界内や専門分野などの市場全体における知名度も上がり、これまで取引したことのなかった業界や企業から引き合いの声がかかる可能性もあります。新規分野に進出するきっかけにもなり、事業拡大・売上増加なども期待できるでしょう。


販売戦略のコンセプトが明確になる

ブランディングを通して自社の価値を確立しておくことで、社内における販売戦略のコンセプトが明確になる点も大きなメリットです。たとえば、新規企画や販路開拓などについてミーティングを行う際、社内全体で同じ問題意識を共有していることで方向性に一貫性を持つことができ、目標を立てやすくなります


社内における認識にズレが生じた場合でも軌道修正がしやすくなるなど、効率的な取り組みの促進にもつながるため、経営全体にポジティブな影響をもたらしてくれます。


社員のモチベーションが向上する

ブランディングを行い自社のブランドイメージが世間へ浸透していくと同時に、社員の自社に対する誇りが強固なものとなり、モチベーションが向上するという効果も得られます。さらにそのモチベーションが団結力を生むことで、売上向上や業績拡大など、経営に良い効果が期待できます。


昨今ではどの企業も人材が不足しているため、流出を防ぐ観点としても、ブランディングは非常に重要な役割を担ってくれます。


また、社員自身が自社の掲げるブランドイメージに沿って自律的に動くことによって、マネジメントや人材管理もより行いやすくなるでしょう。



採用面にも大きく影響

ブランディング活動で発信を行うことで、自社の価値とともに自社の魅力も伝えることができ、採用面にも大きく好影響を及ぼします


ブランディングに成功すれば、対顧客を越えた幅広い範囲におけるイメージアップが実現できるため、採用に大きなリソースを注がずとも、新卒・中途を問わずエントリー希望者が集まってくる傾向にあります。


希望者を多く集めることができれば、より優秀な社員を採用できる可能性も高まります。そして社員の質が高まることがまたイメージアップにも繋がり、好循環を実現できるでしょう。



製造業ブランディングの5つのステップ

では実際、製造業においてブランディングを行う際には何をすればいいのでしょうか?本章ではその方法を5つのステップに分けて解説します。


1.自社の技術や顧客の理解を深め、ブランドを決める

まずはじめに、自社の技術や顧客に対する理解を深めてブランドを決める必要があります。ブランドの決め方はブランディングの軸となる最も重要な部分なので慎重に行いましょう。


このステップでは「自社の技術の価値は何か」「どんなターゲットニーズがあるか」など、技術と顧客、どちらに対する理解も深めることが重要です。そしてどんな市場で、ターゲット層はどのような課題を解決したいと思っているのか、自社はそこにどんな価値を提供できるのかを考え、最終的には「誰にどう思ってほしいのか」という訴求すべきポイントを明確にします。


たとえば、ユニクロであれば「価格は安いがデザインや品質は一定基準を超えている企業」や、トヨタであれば「品質が高い上に、大衆車で車種も豊富、故障時の対応も良い自動車メーカー」などがブランドの例として挙げられます。


基本的には既存事業の強みを使ってターゲットを絞ることでブランドを決めることができますが、ターゲットを絞りすぎると市場も小さくなりすぎるので、適切なサイズ感を目指すことが大切です。ブランドを決める際のヒントを以下に記載しますので、ぜひ参考にされてください。

ブランドを決める際のヒント

・ターゲット層:誰からの問い合わせが欲しいか

・技術:自社独自の技術、他社ではできない技術、高度加工技術など

・材質:プラスチック、金属、プラスチック、難削材な

・サイズ:大型、微小など

・QCDのどれか:コスト、高品質、短納期など

・生産体制:多数の協力企業、一貫体制など

・生産拠点:国内、海外など

・量産 or 試作

2.フォーカスする「価値」を決める

自社の技術や顧客に対する理解を深めてブランドを決めることができたら、自社の何にフォーカスしてアピールするのか、その「価値」を決めましょう。


自社にとってブランディングすべきなのは「製品・サービス」「技術」「企業の存在や理念」のどれ(または組み合わせ)なのか、項目とその価値を明確にして競合他社との差別化や、訴求する方法を決定することが重要です。市場において自社がどのポジションにいるのかを意識しながら決めることで、より明確な価値を見出せます。

3.キャッチコピーを決める

「ブランド」及び「フォーカスする価値」が決まったら、キャッチコピーを決めます。Webサイトや展示会、パンフレットなどあらゆる場所に利用できるキャッチコピーを決めることで、ブランドの価値を直感的に理解してもらうことができ、ブランディング活動をスムーズに進めていくことができます


4.メッセージを発信し続ける

3つのステップを終えたら、ブランドイメージを持ってもらうため、そしてそれを定着させるためにターゲット層に向けてメッセージを発信し続けます。


より多くの媒体で自社の発信を行うことが大切ですが、自社に興味を持ってもらった際に最初に確認するのはWebサイトなので、重要な役割を担うWebサイトでの発信には特に力を入れて取り組みましょう。ブランディングをより効率的に行うために、リニューアルの検討が必要な場合もあります。



※弊社ではブランディングと成果を意識したWeb制作も実施しておりますので、お悩みの際にはぜひご相談ください。


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もちろん、むやみやたらに発信をすればよいというわけではありません。かといって、一度大きな露出をしたからといってブランドは定着しないので、継続的に適切な形でメッセージを届けていく必要があります。


5メッセージに沿った行動を取り続ける

4つのステップがクリアできたら最後に大切なことは、自社の発信するメッセージに沿った行動を取り続けるということです。


自社のブランド・価値・キャッチコピーを決めて発信し続けても、そのメッセージと実態に齟齬があっては信頼は得られません。たとえば「高品質・高精度・低価格」というブランディング活動を行ったのであれば、その価値を提供し続けるような経営を行っていきましょう。


メッセージに沿った行動を取り続けられなければ、ブランド力が落ちて売上にも影響してしまいます。逆に言えばブランドや価値を決める際には、必ずそれに沿った行動を続けられるかどうかを含めて検討することも重要です。



BtoB製造業のブランディング課題

ここまで製造業のブランディングのメリットや効果などプラスの面を解説しましたが、もちろんまだ課題も残されています。


製造業の経営者からの声として「TVコマーシャルを展開しているが、いまいち競合他社との差別化がてきていない」「影響力のある媒体へ配信できていない」「新規事業を始めたが、認知度の効果的な上げ方が分からない」という課題がよく挙がります。


 こういった企業の共通点として、「自社の技術」及び「顧客」に関する理解が不足している傾向があります。


自社の技術がどういうもので、それが誰に対して求められているのかが正しく 理解できていないと、「誰に対してどんなことを訴求したら良いか」という最も肝心なポイントが定まりません。顧客についても「○○を検討している企業」という情報だけではなく、「 どれぐらいの企業規模で、何に悩みを持ち、どの部署が対象になるのか」というより詳細な顧客像を踏み込んで設定する必要があります

そういった情報を元に、適切な形でメッセージを届け続け、それに伴う行動をとる必要があります。長い道のりで難易度も高いのですが、だからこそやり切れる会社が、大いに恩恵を受けることができるのです。

 

製造業ブランディングの手段としてのWebサイト

 最後に、製造業ブランディングにおいて重要なツールであるWebサイトについて解説いたします。弊社では2,000社以上の企業のWebサイトを制作してきましたが、長年多く要望をいただくのがWebサイトのリニューアルを通したブランディングです。

実際にインタビューしたお客様の声▼

きっかけは端的に言ってしまうと、ホームページが古かったからですね。弊社の事業はBtoBがメインなので、これまでホームページの持つ役割をあまり考えてこなかったんですよ。しかし私は過去の経歴の中でマーケティングに関わった経験から、ホームページは会社のブランドイメージを高める存在として重要だと捉えていました。

リニューアル前のホームページは会社案内しかなく、全体的に古くなっている印象がありました。本来ならばコーポレートブランディングの一翼を担うはずの、会社を知らしめるものが機能していないことで、ネガティブなイメージを与えかねないなと思ったんです。

引用:
受注に繋がるお問い合わせが増えた!「粉末調味料のパイオニア」というアイデンティティを表現する場として、Webサイトをリニューアル/日本化工食品株式会社

 
ブランディングはあらゆる接点の積み重ねになるため、Webサイト”だけ”を変えたからといって達成できるものではありません。ですが、さまざまな施策の受け皿となるWebサイトがブランドを表していなければ、全体のブランディング施策が非効率になってしまいます。

もしこれからブランディングを実施いていこうと思っていて、自社のサイトに違和感を感じているのであれば、並行して改修を進めていきましょう。冒頭の『ブランド・アイデンティティとブランド・イメージを一致させる活動のこと。』を、実現するためにも。


まとめ

本記事では製造業のブランディングについて、メリットから課題、作成方法まで幅広く紹介しました。


顧客とのタッチポイントも多様化している現代では、Webサイトだけではなく一貫したブランディング活動が必要となり、その重要性は年々高まっています。価値が明確で分かりやすいブランディングは、今後の自社の発展に大きく貢献するでしょう


自社のブランドイメージがどうしても浮かばない場合は、顧客やユーザーの声を参考にしてその理由を探ることで、イメージデザインがしやすくなるでしょう。今やあらゆる業界において必須とされる「ブランディング」をまだ曖昧にしてしまっているのであれば、一度本腰を入れて戦略を立てることをおすすめします。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 製造業マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB製造業を中心に2,000社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。38,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Mon, 10 Apr 2023 08:08:06 +0900
<![CDATA[【2023年版】成果を出すWebサイトのリニューアルの進め方とは?手順から費用感、準備項目などを解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/website_renewal

最終更新日:2023年4月28日(エムタメ!編集部)


BlueMonkey
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「そろそろデザインも古いし、Webサイトをリニューアルしよう!」
「マーケティング活動に、もっとWebサイトを活用できるように作り直そう!」

そんな一言から始まるWebサイトのリニューアルは、長年Webを運用していれば避けて通れないプロセスです。この記事をお読みのWeb担当者やマーケターの中には、すでに経験済みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

Webサイトのリニューアルは、具体的な戦略や目的もなく「Webサイトのデザインが古くなったから新しくしたい」という理由でリニューアルを行っても、思うような成果は生まれませんそもそも目的なくリニューアルを進めようと思っても、「何から始めたら良いのか…」と途方に暮れてしまう人も多いのが実情で、労力ばかりがかかってしまいます。


また、Webサイトのリニューアルプロセスには、Web制作会社を選定するために基準となるポイントやRFP(提案依頼書)が欠かせません。加えて、「ドメイン」「Webサーバー」「SSL証明書」「セキュリティ対策」についても、あらかじめアカウント情報などを整理しておく必要があります。

ですが、Web担当者の方が必ずしもこういった情報を把握しているとも限らず、システム部や関係各所への確認もとることで、公開日が伸びてしまうこともしばしばありあります。Webサイトの公開期日が決まっている場合は、終盤になってバタつくことも非常に多く、担当者からしたら「もう経験したくない…」と思うほど、緊張感が漂うことも。

上記のように、Webサイトのリニューアルと一言で言っても、依頼者側がある程度の基礎知識を持っておかないと、思わぬところでつまづいてしまいます。結果として、希望しているタイミングでWebサイトが公開できなかったり、想定よりもコストがかかってしまうなどのトラブルも起きがちです。

  

そこで本コラムでは、Webサイトリニューアルを検討すべきタイミングや、成功させるためのステップや準備すべきもの、業者選定のポイントなど、必要な情報を一挙にご紹介いたします。

・Webサイトのリニューアルを検討している
・Webサイトのデザインがなんとなく古いから変えたい
・Webサイトを改善するように上司から言われている
・Webサイトから成果を出したいけど何をしたら良いかわからない

といった方には特におすすめの内容となっております。Webリニューアルに必要な各種資料・テンプレートもご用意しておりますので、ぜひ貴社のWebリニューアルにご活用ください。


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そもそもWebサイトリニューアルの定義は?

Webサイトのリニューアルとはどこまでを指すのでしょうか。本記事ではまず初めに、Webサイトにおける「リニューアル」の定義を明確にいたします。

一般的にWebサイトの「リニューアル」とは、全ページのデザインやシステムを抜本的に変更することを指します。見た目以外にも、Webサイトの横幅やヘッダーフッターなどまでサイトの骨組みから一新することで、Webサイトの利便性の向上やブランドイメージの一新などを目指します。ページ更新や部分的な改修とは区別した表現となり、混同される方も多いため、違いについても触れたいと思います。

Webサイトにおける更新・改修との違い

Webサイトの「リニューアル」に対して、「更新」とはWebサイトの一部のページの掲載内容を変更することを指します。既存のページの内容を新しくしたり、新着のお知らせを追加などがよくある「更新」の例です。英語で書くと「update」で、最新の状態にする、といえば理解しやすいかもしれません。

たとえば、「新製品情報を掲載する」「検索ニーズの多かった情報を追加する」「社長が交代したので挨拶文と顔写真を差し替える」「最新のIR情報PDFをダウンロード資料を追加する」といったケースが「更新」に当たります。掲載内容にミスがあった際に一文字修正するといったことも更新に含まれます。


Webサイトには、資料請求や見積依頼を獲得したい、顧客との接点を持ちたい、など様々な目的がありますが、「更新」はその目的を加速させるために改善を繰り返すための作業、リニューアルは目的ごと立て直して最適化する(しくみを作り変える)ことだと捉えると良いでしょう。

一方で「改修」とは、既存のページの一部のデザインを変えたり、部分的に新たな機能をつけることを指します。「更新」とも混同しやすいのですが、すこしだけ技術的な変更がなされることを、「改修」呼ぶことが多いです。

「リニューアル」「更新」「改修」を家に例えると、「リニューアル」が建て替え、「更新」が清掃、「改修」が部分リフォームです。

コスト感的にも、「建て替え>リフォーム>清掃」となり、「リニューアル」や「改修」には外注の費用が掛かることがほとんどになります。

Webサイトリニューアルの目的

Webサイトのリニューアルには、その目的に合わせた手法や最適なプロセスがあります。進め方や回収ポイントも異なりますので、初めの段階で明確にしておきましょう。

ここでは代表的なWebサイトリニューアルの目的をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

デザインリニューアル(ブランディング)

デザインリニューアルとは、見た目をやイメージ、ユーザビリティを刷新するために全面的にWebリニューアルするパターンです。デザインのリニューアルというと「古くなってデザインが時代に合わなくなってきたから刷新する」という理由が真っ先に浮かぶと思われがちですが、実際には自社のブランディング活動の一環としてデザインリニューアルを行うことも多いです。

その場合はまず、現状のWebサイトデザインが自社の打ち出したいブランドイメージに沿っているかのチェックします。ブランディングはWebサイトのデザインだけで実現できるものではありませんが、1つの重要な要素です。適切な印象を与えられるように、Webデザインをブランドに合わせて刷新すると良いでしょう。

また、社名変更、社長交代、事業分野の拡大といった転換期に合わせて企業イメージを刷新したい場合にもデザインリニューアルを行うことがあります。その場合にも会社や事業の方向性に合わせてデザインをそろえる必要があり、Webサイト以外に名刺やパンフレットなどの配布物とも一貫性のあるWebデザインを意識してください。

そして、デザインというと、見た目ばかりに考えが行きがちですが、リニューアルの機会に「UIデザイン」や「UXデザイン」を意識したWebサイトのリニューアルも大切です。ユーザーに合わせた導線改ピード改善、ユーザ善やスービリティの向上などがこれに当たります。あくまでユーザーの体験価値を上げるための、最適なデザインを意識すると良いでしょう。


以上、長々と説明してまいりましたが、あくまで見るべきはユーザーです。しっかりとユーザーのことを考えて、最適なデザインリニューアルを心がけましょう。

【関連記事】新米WEB担「イマドキのナウいデザインで作りたい!信頼性があってカッコイイサイトを!」【第5話】

システム変更(ユーザビリティの向上/更新作業の効率化/SEO対策など)

リニューアルのタイミングでCMS、データベース、ECサイトなどをWebサイトへ導入して、Webサイトのシステムを変更する場合もあります。

CMSとは、Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)のことで、CMAを組み込んだWebサイトは専門知識がない人でも、管理画面から更新作業が行えるようになります。


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【関連記事】CMSとは?Webリニューアルのタイミングで導入したい更新システム!≪導入事例6社≫


現在のWeb運用はCMSを活用した自社運用が主流になっています。 スピーディな情報発信を行うためにも、CMSの導入は必須といえるでしょう。サイトリニューアル時のCMS選定で気を付ける点としては、自社の身の丈にあった機能とプランになっているか、本当に自分でも使いこなせそうかという点です。高機能のものを探せばいくらでも候補が上がりますが、使いこなせなければまったく無意味なので、そういった観点で選ぶようにしてください。

 



また、製品データベースを導入すると膨大な製品ラインナップなどをすべて収録できるようになり、Webサイト内で検索できるようになったり、検索エンジンから製品名などでの指名検索での流入が増加することがあります。運用面でも、たくさんの製品をCMSだけで管理するのが難しいこともあるため、100点以上製品がある場合はデータベースの導入をおすすめしています。

EC機能をつけるにはカート機能や決済機能が必要になるため、専用のシステムを導入する必要です。ECサイトを作ることで、ユーザーが気に入った商品をそのまま購入できるようになって利便性が向上し、企業にとっても利益に直結します。最近では手軽にWebサイトにEC機能を実装できるサービスも増えているので、探してみると良いでしょう。

レンポンシブ対応(MFI対応)

現在はスマートフォン対応(レスポンシブ対応)が一般的になっています。そのため、PCのみのサイトをレスポンシブ対応に作り替えるタイミングで、Webサイトのリニューアルを行いことがあります。現在のGoogleのアルゴリズムはMFIといって、スマートフォンのページを見に行くようにしようが変わっているため、SEOの観点からもスマートフォン対応はとても重要です。

また、スマートフォンの所有率も年々上がってきています。SEOに限らずスマホ対応は必須と言えます。そして管理面を考えるとレスポンシブWebデザインを実装することで、一か所を更新すれば自動でスマホページも更新するような仕様も可能です。選択肢として頭に入れておいてください。

その他にも、SEO内部対策として構造化マークアップ対応を行うこともあります。目に見える部分は変えずに、裏側の構造化マークアップ対応だけを行うことも多いです。この場合はリニューアルとはよばず、Webサイト改善の一つですが、Webサイトに使用しているシステムによっては対応できない場合もあり、Webリニューアル時に構造化に対応したシステムを導入するケースがあります。

サイト構造の抜本変更(SEO内部対策)

Webサイトのユーザビリティを改善するために、リニューアルを実施することがあります。ツリー構造を抜本的に変更することで、ユーザーがサイトに訪れた際に迷いなく目的のコンテンツに到達できるようにすることが目的です。また、構造を見直すことでコンテンツの更新もしやすくなり、SEOにもつながることがあります。

結果的にコンバージョンにもつながり、Webサイト全体の成果を高めることができます。




Webサイトリニューアルの主な目的なご紹介は以上です。ちなみに今回は定性的な目的をご紹介しましたが、さらに高い視点でWebマーケティングという観点での定量的なゴールとしては「新規顧客の獲得」をおかれることが多いです。

あくまで今回ご紹介したのは「Webサイトリニューアルにおける目的」であって、高い視点で考えると達成すべきは自社の利益貢献になります。そういった達成