動画マーケティングとは?目的、効果、手法、戦略、事例などまとめました
最終更新日:2023/10/26
動画マーケティングとは「動画を使ったマーケティング施策」のことです。
映像で商品やサービスの魅力を伝えて「商品の認知度・理解度を上げる」「購買意欲をかきたてる」「ブランディング」などを行い、顧客や見込み顧客、潜在顧客の獲得を目指します。
動画広告市場は急速に拡大しており、動画マーケティングは重要な存在になりつつあります。
そこで本コラムでは、動画マーケティングの意味や動画広告の市場規模といった話題から、動画マーケティングの基本戦略、セミナー情報までお伝えします。
目次
11まとめ
動画マーケティングとは?
動画マーケティングとは、動画を用いてサービスや商品、自社の魅力などを発信していくマーケティング手法のこと。例えばYou tubeで商品の紹介をしたり、インタビュー動画を掲載したり、人材採用のために自社サイトや説明会で動画を使用するのも動画マーケティングの一環です。
動画マーケティングは動画を作り公開するだけではありません。効果的に活用するために戦略を立てたり、掲載する媒体の設計をしたりと事前準備が必要です。公開後は動画がどのくらい再生されたのか、どんな視聴者層だったのかという効果の分析も行います。
戦略立案から企画設計、動画作成、公開、分析など全て含めたものを「動画マーケティング」と呼びます。
なぜ動画マーケティングが注目されているのか
動画マーケティングが注目され始めた背景には、通信環境が整備され、スマートフォンを使ってSNSがいつでも見られるようになったこと、個人で簡単に動画が発信できるようになったこと、TikTokやYouTubeなど動画コンテンツのファンが増え、動画が身近になったことが挙げられます。
特に動画配信プラットフォームは人気が高く、「テレビは見ないがYouTubeは見る」という人が増えています。
画像引用:YouTubeの利用実態に関する調査 クロス・マーケティング
2020年10月に株式会社クロス・マーケティングが行った「YouTubeの利用実態に関する調査」では、10代~20代の男女ともにテレビよりもYouTubeを視聴する時間が長いという結果となりました。
同年12月に株式会社ベネッセコーポレーションが発表した「小学生の意識調査」では、男女ともになりたい職業ランキングTOP5以内にユーチューバーが選ばれています。
子どもと一緒に動画を視聴する親世代も増えており、動画に馴染みがなかった世代も徐々に動画を見るようになっています。動画マーケティングはそんな影響力があり、テレビの代替として頭角を表している媒体を使用して、幅広い層にアプローチできるマーケティング手法なのです。
動画広告の市場規模
先述したように、スマートフォンやSNS、インターネット環境の整備が進み動画コンテンツが広く受け入れられるようになったこと、個人で簡単に動画が発信できるようになったことなどの理由から動画を視聴する人が増えました。それに伴い、動画広告の市場規模も年々増加しています。
2020年10~12月に株式会社サイバーエージェント行った国内動画広告の市場動向調査では「2020年の動画広告市場規模は、昨年対比114%となる2,954億円に達する見通しであり、2021年には3,889億円、2024年には6,856億円に達する見込み」との発表がされました。
画像引用:2020年国内動画広告の市場調査 サイバーエージェント
2018年に行われた同様の調査では2024年の推定規模は4.957億円という予想でした。2年で2.000億円近い予想の更新がされています。
今後、大手通信キャリアのモバイル通信料の引き下げや5Gの普及が進めば、スマートフォンユーザーはますます気軽に動画コンテンツへアクセスできるようになるでしょう。それに伴い、動画広告の市場規模も拡大していくと予想されます。
動画マーケティングの目的
動画マーケティングには「商品の認知度・理解度を上げる」「購買意欲をかきたてる」「ブランディング」の3つの目的があります。
動画はスマートフォンで気軽に見ることができます。SNSで動画を目にする機会も増えました。ユーザーのニーズにあった動画を作成できれば、視聴・拡散してもらえる確率が高まり、より多くの人に商品を知ってもらえるチャンスとなります。
動画はテキストでは伝えにくい雰囲気や、顧客自身が商品を利用するイメージを伝えられるため、購買意欲をかきたてやすいことも特徴です。動画に企業のBGMやイメージカラーを取り入れたり、キャラクターを登場させたりしてブランドの「雰囲気」を作ることで、ブランディングも可能になります。
動画マーケティングを行う企業は、このように商品やブランドの認知度や理解度を上げて親しみを持ってもらうことで購入につなげたり、ブランディングをして企業イメージを浸透させたりすることを目的としています。
動画マーケティングの効果(メリット)
動画マーケティングを行うメリットは大きく分けて3つあります。
一つ目は低予算で行えること。YouTube、TwitterなどのSNSや動画投稿プラットフォームを利用すれば維持費が掛からず、テレビCMを作るような莫大な広告費も必要ありません。テキストのように自社のオウンドメディアを作成し、ドメインを購入してサイトデザインをして……という手間もかかりません。
二つ目は視聴までのハードルが低く拡散されやすいこと。テキストのように読み込む必要がなく、子ども・大人問わず幅広い層にアピールできます。作業しながらの「ながら見」もできるため、視聴されやすいこともメリットです。インパクトやユーモアのある動画を作れば、SNSやインターネット上での拡散も狙えます。
三つ目は狙った層へアプローチしやすく、分析できること。テレビCMとは異なり、性別・年齢・地域などから絞って、見せたいユーザーへピンポイントで動画を見せられます。測定ツールを使えば、どんなユーザーが購入したのか、結果はどうなったのかがわかりやすく、次の施策へつなげられることもメリットです。
動画マーケティングのデメリット
動画マーケティングのデメリットは、大抵の場合、自社に動画制作や動画マーケティングに精通している人材がいないことが挙げられます。
動画についての理解がなければ、動画マーケティングを始めようとしてもどのように進めれば良いのか、効果を出すにはどうすれば良いのかがわからず足踏みすることも多いでしょう。
またメリットで「動画マーケティング低予算で行える」と説明しましたが、クオリティの高い動画を作りたい場合はコストが高くなる場合もあります。特にノウハウがなく企画から全てを制作会社に依頼すると、企画費、キャスティング費、撮影・編集費、スタジオ費など全ての費用が掛かります。
動画マーケティングを行う場合は「ここまでなら出せる」という予算を決めて、その範囲内でいかに良い動画を作るのか、というクオリティ操作が重要です。
動画マーケティングの手法と戦略
動画マーケティングの手法は、Googleが提唱している「HHH(スリーエイチ)戦略」が基本となります。「HHH(スリーエイチ)戦略」とは、動画を「ヒーロー(Hero)型」「ハブ(Hub)型」「ヘルプ(Help)型」の3タイプに分けて行う動画戦略です。
まず商品やサービスの認知度を高めるために、拡散される動画を作ります。これが「ヒーロー型」動画です。「ヒーロー型」動画である程度商品が認知されたら、次は「ハブ型」に移行します。「ハブ型」は商品に魅力を感じた見込み顧客へアプローチする動画です。商品の魅力や情報を伝えて、自社サイトや購入ページへ行きたいと思わせます。
最後に作成するのは「ヘルプ型」動画です。この動画で商品を購入した顧客へのサポートを行います。リピーターになってもらうために、さらに役立つ情報も発信するのも「ヘルプ型」の役割です。
この3ステップを経る動画を作成することが、動画マーケティングの基本戦略となります。
動画マーケティングの成功事例
動画マーケティングの成功事例を3つご紹介します。
参考記事
>参考にしたいサービス紹介動画の事例!わかりやすい動画15選!
三朋企業の採用動画(BtoC)
ダクト製作、工事・エアコン工事などを行う三朋企業の採用動画です。採用動画とは思えないインパクトのある仕上がりになっています。同社はこの動画を作成したことで学生の応募数が4〜5倍に増え、動画を掲載したことで企業ホームページのアクセスが4〜5倍増加したと発表しています。
ジャルパックのセール動画(BtoC)
セール期間に合わせて2週間配信した「びっくりオプション」の動画です。テンポよくわかりやすく進む動画は、ついつい最後まで見たくなる魅力があります。動画はYouTubeやTrueViewの動画広告などで配信され、オプションの販売件数は目標対比180%を記録。TrueViewの完全視聴率は45%と高い結果になりました。
クラウド会計ソフトfreeeの説明動画(BtoB)
アニメーションを使い会計ソフトの魅力をわかりやすく解説している動画です。2021年3月時点で再生回数は15,491回。帳簿や税金、税務リスクについてなどの説明もありますが、ポップなキャラクターと明るいBGMを用いることで、視聴者に前向きな印象を与えます。
動画マーケティングのセミナー
いきなり動画マーケティングに着手するのはハードルが高いと思ったら、まずはセミナーで動画マーケティングについて学ぶのもおすすめです。セミナーは初心者、中級者向けのものなど、さまざまな内容で開催されているため、好みのものを探してみてください。
セミナーの多くは単発的に共同開催されるものが多いため、ここではセミナーの情報サイトと、定期的にセミナーを開催しているセミナー主催者を紹介します。
セミナーの情報サイト
まずセミナー情報を掲載している情報サイトを紹介します。
Webinabi(ウェビナビ)
画像引用:Webinabi
シナジーゲート合同会社が運営する、日本最大級のウェビナー・ライブコマース情報サイトです。AIがオンラインセミナー情報を収集し掲載しており、「動画」「スキルアップ」などのキーワードから知りたい情報を効率的に探せます。
こくちーずプロ
画像引用:こくちーずプロ
株式会社こくちーずが運営する、無料で使えるイベント・セミナーの告知・集客サービスサイトです。今までのイベント掲載数は430,000件を突破し、2021年3月時点で37万人が利用しているとのこと。色々なセミナー情報が探せます。
主催者情報
次に動画マーケティングに関するセミナーを開催している、主な主催者を紹介します。
株式会社宣伝会議
画像引用:宣伝会議ONLINE
宣伝会議は、日本で初めて広告専門誌を創刊した宣伝・広告に関する雑誌や書籍を出版している出版社です。動画マーケティングのセミナーは教室、ライブ配信、オンデマンド配信の3つの選択肢から選べるため、現地に足を運べない人でも受講できます。
CINEMATO
画像引用:CINEMATO
動画制作・映像制作を行うCINEMATOでも、定期的に動画マーケティングのセミナーが開催されています。毎回他社から、マーケティング関連の実績があるゲストを迎えているのも特徴です。無料開催のため気軽に参加できます。
株式会社LOCUS
画像引用:株式会社LOCUS
動画制作や動画マーケティングを行う株式会社LOCUSでは、動画に関して知見のあるゲストを迎えて行う共催ウェビナーを多く開催しています。年間1,500本以上の動画を制作している制作会社ならではのノウハウをぜひ聞いてみては。
動画マーケティングの参考本
動画マーケティングを学びたい人のために、参考になるおすすめ本をご紹介します。
『KPI・目標必達の動画マーケティング 成功の最新メソッド』
著:本橋へいすけ、 後藤賢司、 村岡雄史、 染谷昌利 出版:エムディエヌコーポレーション(2019年10月発刊)
動画の作り方から広め方まで体系的にまとめられた実践本です。SNSごとにどのような対策が必要か、動画の拡散方法についても記述されています。
INTRODUCTION 動画プロモーションが注目される理由
CHAPTER1 動画プロモーションとは
CHAPTER2 動画を作成する前に決めておくこと
CHAPTER3 プロモーション動画を作成してみよう
CHAPTER4 YouTubeに動画をアップロードしてみよう
CHAPTER5 SNSで動画を公開しよう
CHAPTER6 広告動画を出稿する際のポイント
『売り上げ・集客に繋がる 動画マーケティング トーク術&撮影・制作テクニック』
著:江見真理子、 久松慎一 出版:玄光社( 2020年7月発刊)
Web・映像ディレクターと通販スペシャリスト・アナウンサーが共同で執筆している、動画マーケティングのノウハウ本。商品やサービスの魅力を動画でどのように伝えるべきか、制作の基本が学べます。
Chapter1 企画を立てる
Chapter2 脚本(構成表)を作る
Chapter3 キャスティング/登場人物の役割
Chapter4 話し方の基本
Chapter5 伝えやすいトークにする
Chapter6 撮影準備
Chapter7 撮影機材を知る
Chapter8 撮影の基礎を知る
Chapter9 編集作業
Chapter10 SNSにUPする
まとめ
動画マーケティングはテキストよりも商品の魅力が伝えやすく、記憶に残りやすいことが特徴です。成功事例でお伝えしたように、動画の特徴を活かしてうまく運用できれば大きな効果が期待できます。
ただし効果を最大限に引き出すためには、動画マーケティングの知見が必要です。マーケティングについてさらに詳しく知りたいなら、ぜひ今回紹介したセミナー、書籍の情報などを活用してください。
動画市場は今後ますます拡大していくと予想されます。拡大途中の今、動画マーケティングの手法やノウハウをしっかりと学べば、これからのビジネスチャンスを逃さず手にできるでしょう。
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