技術マーケティングとは?基礎知識やメリット、具体的な事例などをわかりやすく徹底解説!
最終更新日:2023/10/27
技術を軸にして顧客の価値創出を実現する「技術マーケティング」の導入は、製造業界では急務となっています。顧客価値を意識した商品・サービス開発の重要性が高まっている上、技術研究や開発部門にまでその波が押し寄せているためです。
本記事では「技術マーケティング」について、基本的な概念から進め方、課題やメリット、具体的な事例まで網羅的に、わかりやすく解説しています。最終章では、より理解を深めるための書籍も紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。
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目次
技術マーケティングとは?
技術マーケティングとは一体何を指すのでしょうか?本章では概要や重要性、一般的なマーケティングとの違いなどについて解説します。
技術マーケティングとは?
「技術マーケティング」とは技術を顧客価値の軸とし、自社のコア技術を購入してくれる企業を見つけ、購入してもらうよう促すマーケティング活動です。技術を軸にしたビジネスモデルを構築することで自社の商品を差別化し、競争優位性を確保できるのが特徴です。
技術マーケティングを行うことで、既存分野以外の新領域へ技術転用を検討してもらえる可能性が高まり、うまくいけば成長性の高い市場への参入機会へとつながるなど、自社共々事業拡大を図れます。
技術マーケティングでは、技術に精通した研究開発部門や開発部門などの技術者も、マーケティング分野に関わっていく必要があります。技術者もマーケティングの知識や視点を持って取り組むことで、顧客満足度の高い製品開発や競合他社との差別化を実現することが可能になるのです。
ではなぜ現在、技術マーケティングの重要性が叫ばれているのでしょうか?次章で説明します。
技術マーケティングの重要性
以前より、日本の製造業は高い技術力を保有しているとされており、世界でもトップクラスの技術力を誇っているといえます。
しかしオンライン化やグローバル化など、市場や経営環境が急速に変化する中、技術の深化だけでは顧客価値の向上や競争優位性の確保に繋がりづらくなっているのが現状です。優秀な技術者が多いとされながらも、製造業は伸び悩んできたという背景もあります。
そこで必要とされているのが「技術マーケティング」です。日本の高い技術とマーケティング戦略を結びつけて、技術を軸にした経営戦略・事業の推進が求められています。
日本の強みであるモノづくり・高い技術力を活かした革新を起こすためには、技術マーケティング活動を通して事業構想力を高め、新たな顧客価値を創出することが必要不可欠です。
また技術開発へのコストの負担や、主戦場としている市場の縮小などによって「新たな技術を開発しても投資効果が低くなってしまう」というリスクを避けることもできます。
技術マーケティングと一般的なマーケティングの違い
技術マーケティングは、一般的なマーケティングと進め方や概念が大きく異なります。
一般的なマーケティング活動では、自社の定めたターゲットに情報が届くようにアプローチを行い、ナーチャリングを通して商談機会の創出を図ります。比較的確実な成果を生みやすいとされていますが、新分野への用途の開拓にはつながりづらいのが難点です。
一方で技術マーケティング活動では、ターゲットとする技術者に自社技術について知ってもらい、用途開発につなげることを目的とします。一般的なマーケティング活動とは異なり、ターゲットを選定しすぎず、できる限り多くの技術者に情報を届けるための施策を行うのが特徴です。
また技術マーケティングはすぐには成果に結びつかない傾向にあり、根気強く活動を続ける姿勢が求められます。そのため予算がつきづらく、最低限の予算で取り組まなければならない企業も多く存在しています。
さらに、マーケティング部門以外にも技術部門の積極的な関与が必要不可欠なため、どの部門が主導権を持って進めるかという組織的な問題もあり、一般的なマーケティング活動に比べ、スムーズに活動を行えていない傾向にあります。
技術マーケティングの種類
技術マーケティング活動には「BtoB」及び「BtoC」の2種類があります。それぞれ立案する戦略が異なるため、自社のマーケティング活動がどちらであるかを明確にしてから取り組むことが大切です。
「BtoB」の場合
技術マーケティング活動のターゲットが「BtoB」の場合、企業ニーズが潜在化している可能性があります。
そのため既存の商品に「技術」という付加価値をつけ、新たな顧客や市場に対して売り出していく事業戦略「市場開拓戦略」をとる必要があります。ターゲットである企業の技術者と接点を持ち、定期的な情報交換を行うことが重要です。
具体的には、展示会や学会、ショールームなどで接点を持ち、相手企業の技術者へ積極的にアプローチを行います。
「BtoC」の場合
技術マーケティング活動のターゲットが「BtoC」の場合、顧客ニーズが顕在化しています。
そのために取るべきマーケティング戦略は、自社の更なる成長のための取り組みと併せて、既存の顧客や既存の参入市場において、さらにニーズを引き出してより多く購入してもらうための取り組みを行う「市場深耕戦略」です。
昨今は他社との差別化を図る要素がすぐに一般化してしまうため、「BtoC」での技術マーケティング活動では、「市場深耕戦略が適切に立案できるかどうか」が非常に重要になります。
では、実際に技術マーケティング活動を行うにはどのようなステップで進めていけば良いのでしょうか。
技術マーケティング活動の進め方
技術マーケティング活動の進め方について、基本的な4つのステップを解説します。技術マーケティング活動を適切に推進するためには、事前の準備を念入りに行う必要があるため、ぜひ参考にしてください。
①技術の棚卸し
まず技術マーケティングを始める際には、「技術の棚卸し」を行う必要があります。
「技術の棚卸し」とは、自社が持つ技術を網羅的に整理し、的確に把握することで、改めて自社に何ができるかを理解していくことです。技術を軸に新たな顧客価値を創出するためには必要不可欠な作業です。
特に自社の保有技術について「希少性」や「模倣困難性」など、差別化要素になりうるポイントについて洗い出すことが必要になります。自社の強みや市場における立ち位置がわかり、どんな分野で活躍できる技術なのかを掴めるでしょう。
その上で「数年後、数十年後の技術がどのようになっているのか」「次世代のコア技術はどんなものか」など、部門を超えて自社技術を可視化することで、新たな技術領域を特定することもでき、最終的には自社の利益拡大へとつながります。
②技術を展開する領域とコア技術を結び付ける
次に行うのは、「技術を展開する領域と自社の技術を結びつける」ことです。
技術マーケティングの基本は「自社技術の新しい使い方を見つけてもらうこと」にありますが、いくら質の高い技術を持っていたとしても、成長可能性のある市場で技術を展開しなければ、新たな事業を発展させていくことは困難です。自社技術では対応できない領域への展開を行えば、その活動も無駄になりかねません。
そうならないためにも、自社が保有する「技術特性」を理解し、「市場性」を結びつけて考えることが重要です。
また1つの技術をとっても様々な特性を持ち、研究開発によって向上できる特性も変わってくる場合もあります。「どの特性がどのような領域へ展開できるか」「展開できそうな領域は成長可能性があるのか」という観点から検討しましょう。
③ターゲットの明確化・ビジネスモデルの構築
技術を棚卸しし、技術を展開する領域を選定したら、「ターゲットの明確化」及び「ビジネスモデルの構築」を行います。
ターゲットを明確化するためには情報収集が必要です。具体的には既存顧客へのインタビューやヒアリング、Web情報や実際の利用シーンの観察などがあり、そこから得た様々なデータを通して顧客理解を深め、ターゲットを明確にしていきます。
その上で、明らかにしたターゲットに向けたビジネスモデルを構築することが大切です。技術コンセプトの策定を行い、画像や表、グラフなどを用いた擬似カタログを作成するのも有効でしょう。
顧客価値創出において自社内で担保できない場合には、オープンイノベーションや業務提携など、外部リソース活用を含めて検討を行います。
④技術マーケティング戦略の構想をロードマップにする
最後に、技術マーケティング活動の構想をロードマップにします。
ロードマップに描いて可視化することで、多くの部門における意思疎通や意思統一を図るほか、技術マーケティング戦略への理解にばらつきが出るのを防ぐことができます。
先述したように、技術マーケティング活動では製造部門や技術開発部門をはじめ、複数の部門が関わるという特徴があるため、部門ごとの隔たりを無くし、企業全体として技術マーケティング戦略に関わることが重要です。
「技術を軸にした顧客価値を創出するためのビジネスモデル」をもとにロードマップを描き、それをもとに全員が責任を持って業務を進めていくことが、技術マーケティング活動の成功へとつながります。
技術マーケティングの課題と成功させるポイント
技術マーケティングを成功させることは難しいとされており、乗り越えなければいけない課題があります。以下では課題と、技術マーケティングを成功へ導くためのポイントを紹介します。
市場の把握と深い理解
技術マーケティング活動において、「市場の把握と深い理解」は大きな課題とされています。
技術マーケティング活動では、未開拓の市場では市場開拓を、既存市場であれば市場深耕を行う必要があります。そのため、社会環境の変化や技術の発達によって常に変容しつづける市場や、市場におけるトレンドを的確に把握・理解しなければなりません。
その上で、自社技術はどのような市場で展開できるのかを調べ、市場成長性と自社の競合優位性の双方を成り立たせることができる分野へ参入することが重要です。
そのためには自社の技術を深く理解することはもちろん、ターゲットとなる企業の研究や、競合となりうる企業の察知、専門知識の習得なども必要になります。
顧客の課題を知る
自社の技術を他社に購入してもらうことが目的である技術マーケティングでは、顧客の課題を知ることも非常に重要です。自社の技術がその課題を解決できるものでなければならないからです。
顧客の課題を知った上で、自社技術が「貴社の課題を解決できます」とアプローチすることが技術マーケティングでの基本です。そのためターゲットとなる顧客が「どのような商品を扱っているか」「どの市場に参入しているか」を把握し、「自社がこの技術を提供すればターゲットの課題を解決できるはず」ということを、常に研究していく必要があります。
また未来を想像し、未来像から現在へと遡って思考することで、未来の顧客課題を想像することも大切です。情報収集によって将来どのような変化が起こるかを検討・予測した上で、顧客の課題を理解するようにしましょう。
技術者の参加・協力
一般的なマーケティングはマーケティング部門や営業部門の仕事とされていますが、技術マーケティングの場合は技術開発部門や研究部門など、技術者による参加・協力が重要になります。
技術についての詳細を知る技術者が関わることで、技術マーケティングの質は向上し、顧客が求めているニーズに対してより的確且つ迅速な対応が実現できます。開発用途などの発想もより豊かになるでしょう。
技術者が参加する場合は、技術だけにフォーカスした施策へと進みやすいので、マーケティング部門や営業部門などの視点や知識と融合して進めていくことが大切です。
企業全体で取り組む
技術マーケティングはあくまで「マーケティング方法」のひとつなので、基本となるのは一般的なマーケティングでも重要とされる「4P」という概念です。4Pは「製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販売促進(Promotion)」を意味し、すべてのマーケティング戦略において根本となる考え方といえます。
日本の企業では、マーケティング・営業部門と技術開発部門がはっきりと分かれている傾向にあり、前者は「製品」の知識が、後者は「流通・販売促進」の知識が乏しい傾向にあります。
技術マーケティング活動において、知識の偏りは障害となりやすいため、それぞれの部門に共通した知識や認識が求められます。
部門ごとの隔たりを無くし、企業全体として技術マーケティング活動に関わることが大切です。また変化する環境に応じて開発方針のアップデートも必要になるため、常に社内全体でマーケティング戦略を共有しましょう。
技術をできる限り公開・共有する
自社技術のコア部分について、公にできる部分はできる限り公開し、共有することが大切です。
技術を購入・利用する顧客としては、技術をしっかりと理解した上で利用できるかどうかが重要な判断材料になります。使えるかどうか判断できないほど技術データが曖昧だと、問い合わせへとつながりにくくなってしまいます。
昨今では、別分野の研究者同士が連携して新しい顧客価値を生み出したり、組織内外を問わずあらゆるリソースを利用することで、組織外へとイノベーションを提供する「オープンイノベーション」という考え方も広がりつつあります。
技術を公開・共有することは製造業において非常に重要であり、技術マーケティングを成功させるための大きなポイントといえます。
技術を知らない人にチェックしてもらう
技術をターゲットに伝えるコンテンツを作った際は、その技術に関する知識がない人にチェックしてもらう必要があります。
技術を熟知する技術者が作ったコンテンツは「狭く・深く」なりやすく、無意識の専門用語を使用するなど、理解しづらいコンテンツになってしまう場合があります。
初心者や知識が浅い人でも簡単に理解してもらえるものかどうか、社内の事務や営業部門の人にチェックしてもらうことが大切です。難しい部分があれば指摘してもらい、できる限り易しい言葉で表現するなど、コンテンツの修正・見直しをしてみてください。
技術マーケティングを実施するメリット
技術マーケティングは実施するのに難しい一面もありますが、成功すれば大きなメリットがあります。
新しい価値の創出
技術マーケティングを行うことで、新商品を創出できる可能性が高まります。
技術者はその分野における技術知識に長けており、技術のメリット・デメリットを初め、将来性や問題点など、様々な情報を把握しているため、顧客側の目線を持つマーケティング部門・営業部門と協力してマーケティングを行うことで、これまでにない新商品を創出できる可能性が高まります。
顧客の需要をより満たすことができるサービスの開発など、技術者ならではの視点から新しい発見が見つかるはずです。また近年普及しつつあるオープンイノベーションを取り入れることによって、新商品だけではなく、未知の領域への発展も期待できます。
長期間の事業継続
技術マーケティングでは顧客の課題を解決できる自社技術の提供が必要不可欠となるため、ニーズを満たす顧客とマッチすることができれば、長期間にわたる事業継続の可能性が高まります。
技術マーケティング活動の過程では、自社技術の強みや競争優位性の明確化を行います。これをもとにアプローチを行なって顧客のニーズを満たすことができれば、競合他社では提供しづらい価値を提供することが可能になり、事業の安定化が見込めます。
技術を発見してもらうためのWeb施策
技術マーケティング活動では自社の技術を知ってもらうために発信する必要があります。
TVCM、雑誌広告、学会の発表、対面での打ち合わせなど、技術を知ってもらうには様々な手法がありますが、本記事では現在施策として重要性が高まっている「Webを活用した施策」について説明します。
Google・Yahoo!などの「コンテンツマーケティング」
Webを活用したマーケティング手法のひとつに、Google・Yahoo!などの検索エンジンを活用して行う「コンテンツマーケティング」があります。
コンテンツマーケティングでは、様々な分野の技術者に自社技術を知ってもらうことを目的とした、効果的なマーケティング手法です。
あらゆる角度から自社技術に関する情報を見直し、「技術のスペック」「技術が持つ機能」「想定される使用用途」など、価値ある情報を用意し、Webコンテンツとして発信します。
BotBの場合は、一般的なアクセスを稼ぐコンテンツマーケティングと比べて、より深く技術を知ってもらうためのコンテンツを用意する必要があります。
YouTube、TikTokなどの「動画マーケティング」
YouTube、TikTokなどを活用する「動画マーケティング」も非常に効果的です。
動画を活用することで、文字やイラストだけでは表現・理解しづらい技術についても、わかりやすく視聴者に伝えることができます。
YouTubeなど、ユーザー数の多いプラットフォームの持つ拡散力も期待でき、認知度向上も見込めます。Webサイト内に埋め込んで活用することもできるため、一度動画を作成すれば、コンテンツマーケティングなどと併用して、幅広く活用することが可能です。
Facebook、Twitter、Instagramなどの「SNSマーケティング」
Twitter、Instagram、Facebookなどを活用する「SNSマーケティング」もWebマーケティングの手法として有効です。
「Facebook;年配者向け」「Twitter:拡散力がある」「Instagram;若者の利用者が多い」など、SNSにはそれぞれ特性があるため、ターゲットや市場に合わせて使い分けが必要になります。
技術マーケティング事例
本章では、実際に技術マーケティングに成功している企業を紹介します。
動画を活用した技術マーケティング|大鉄精工株式会社
埼玉県三郷市にある大鉄精工株式会社は、創業以来一貫して難易度の高い精密旋盤加工を実現する企業です。
高品質の加工精度を伝えるために、動画を活用した技術マーケティングを実施しており、真円度(10μm以下)や同軸度(5μm以下)の計測データや測定動画も掲載しています。動画で実際に測定している様子を見ることで、その加工精度の高さをより身近に感じられます。
Webサイト全体を通して画像が多用されており、わかりやすく伝えている点もポイントです。技術の高さがひと目でわかる工夫が施されています。
イラストを活用した最新技術の説明|株式会社パルメソ
株式会社パルメソは、MSE(Micro Slurry-jet Erosion)事業及び材料表面の機械特性試験装置製造販売を行う企業です。
株式会社パルメソのMSE(Micro Slurry-jet Erosion)試験は、めっきなどの薄膜の硬さ、ゴムやセラミックなどの、これまで測定が困難だった材料の測を可能にする画期的な試験方法です。しかし、その技術は説明が難しく価値を理解されないという課題がありました。
そこで同社が活用したのが、イラストを利用した試験方法の解説です。文字に加え、装置全体がわかるイラストを使うことで、わかりやすく簡潔に測定方法を理解してもらうことに成功しています。
情報を可視化することでイメージのシェアも可能になるため、より正確に技術を伝えられるというメリットもあります。またWebサイトでは「技術解説」ページを設けるなど、技術にフォーカスしたサイト作りも参考になります。
既存顧客の評価事例で信憑性・質の高さをアピール|株式会社外山製作所
株式会社外山製作所は事務機器や自動車、各種の機械類に用いるシャフトやネジ、ピンなどの丸モノを手掛ける企業です。自動旋盤を使ったΦ30mm以下の量産を得意としており、不良率の低さに定評があります。
一般的に製品の不良率はCpとppmで表すことが多く、例えば「ppm(parts per millionの略)」は100万個中に何個不良品が合ったかを表します。これらの値を数値で伝えるのは簡単ですが、その数値の信憑性や品質の良さを理解してもらうことは難しいという課題がありました。
そこで同社は数値に加え、顧客からの評価を掲載することで信憑性を高めることに成功しました。評価表の中には不良率(ppm)も記載されているほか、過去10年以上納期遅れなしの「納期の実績」などの客観的評価と実績をアピールすることで、同社の技術力の高さと実力を伝えています。
技術マーケティング関連のおすすめ書籍3選
技術マーケティングについて、より理解を深めるために役立つ3冊の書籍を紹介します。
技術マーケティング戦略
「技術マーケティング戦略(高橋 透 著、中央経済社)」は、技術マーケティング力の強化方法と事業成長につながる戦略を紹介する一冊です。
日本の製造業が世界でリーダーシップを取れない理由の1つが「技術マーケティング力」であるということを前提に、その力を強化するための「技術を顧客の価値につなげ、価値を生み出す仕組みを創る方法」が4つの段階、11のステップに分けて解説されています。
本書を読むことで、技術マーケティング戦略のベースとなる仮説を立て、企画に落とし込むまでの大枠の流れについて理解できます。
また、長期的な事業成長という視点で技術マーケティングが解説されているのが本書の特徴です。技術や技術に対する顧客の価値観が今後数年でどう変化するかを予測し、ターゲット市場の選定や、技術開発の方向性を決める考え方、オープンクローズ戦略や業界全体のエコシステムづくりなどについても紹介されています。
わかりやすい図が活用されているため、技術マーケティングに関連するフレームワークや自社のマーケティング戦略を改めて見直す際に役立つ一冊です。
目次
第1章 日本の製造業の生きる道
第2章 技術マーケティング戦略の基本コンセプト
第3章 技術マーケティング戦略のステップ
第4章 技術マーケティング戦略の戦略モデル
第5章 技術マーケティング戦略を支える重要な戦略
第6章 技術マーケティング戦略における人・組織戦略
技術が市場につながる 開発者のためのマーケティング
「技術が市場につながる 開発者のためのマーケティング(日本能率協会コンサルティング 池田裕一 著、同文舘出版)」は、技術と市場データを適合させ、事業として構想する力をつけるための技術マーケティングの実践手順が4段階・15ステップで解説されています。
1章「開発者に求められるマーケティングとは」で解説される基本的な内容をはじめ、顧客にヒアリングする前の準備や、開発者が企画をアピールする具体的な方法や実践例など、技術マーケティングに関する内容が網羅的に、詳細にまとめられているのが特徴です。
技術マーケティングに関わる方はもちろん、市場性・事業性の説明を求められている研究者の方や、新事業企画へ参加する技術関連に従事する方、技術を軸にした事業拡大を検討している方などにおすすめします。
目次
1章 開発者に求められるマーケティングとは
2章 技術マーケティングの15ステップ
3章 技術の強みを知る
4章 技術の使い道を決める
5章 技術の出口を作る
6章 企画をアピールする
7章 技術マーケティングの実践例
技術者のためのマーケティング ― 顧客価値の構想と戦略
技術者に向けて書かれた「技術者のためのマーケティング ― 顧客価値の構想と戦略(谷地弘安 著,千倉書房)」は、これから初めてマーケティング活動に取り組もうとする方におすすめの一冊です。
全体を通して「技術者はどのように顧客価値を構想できるのか」という考え方について解説されており、第1章〜5章では「顧客価値とマーケティングに関する基本的な考え方、及び顧客価値を見つける手法」が、第6~8章では、「顧客価値を守るということを軸にした、競合に勝つための戦略」が解説されています。
また具体例が豊富に掲載されているのも本書の特徴です。技術者が顧客価値の理解・探索手法から戦略、商品化までのマーケティング活動全体に関わるイメージを持つのに適しており、実際の事例を参考にしながら読み進めたい方におすすめします。
目次
イントロダクション なぜ技術者にマーケティングか?
第1章 技術者とマーケティング
第2章 顧客視点になるための「コト発想」
第3章 「コト発想」の展開
第4章 顧客価値を「探す」
第5章 顧客価値を定める――コンセプトづくり
第6章 価値を「守る」
第7章 ライバルからマネされない
第8章 価値を探し、定め、そして守る
・ 千倉書房公式サイト「技術者のためのマーケティング ― 顧客価値の構想と戦略」
まとめ
本記事では、技術マーケティングについて基礎知識から具体的な事例、さらに理解を深めるための書籍など、網羅的に紹介しました。
現在、商品のライフサイクルは以前に比べて非常に短くなっており、そのような中で市場シェアを獲得するためには、自社独自の強みや価値を持つ技術マーケティング戦略の導入が必要不可欠です。
技術と商品・サービスを分けるのではなく、技術を軸に市場性を考慮して「技術深化」「顧客体験」「ビジネスモデル」を構築することで、新たな価値を創造していくことが、これまで以上に重要になります。
技術者の方だけでなく、自社の事業やビジネスを見直したい方にも本記事が役立つと幸いです。
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クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。
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- この記事を書いた人
- エムタメ!編集部
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クラウドサーカス株式会社 マーケティング課
- プロフィール :
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2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。
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