ターゲティングとは?戦略的ターゲット設定の仕方や目的、フレームワークをご紹介
最終更新日:2024/02/01
ターゲティングとは、自社の製品やサービスを、「どのような顧客」に買ってもらうかを決めるプロセスのこと。ターゲティングはビジネスを成功させるうえでのスタートラインでもあり、ターゲティングの策定をどのようにおこなうかによって、マーケティング戦略も大きく変わってきます。
ターゲティングをするうえで市場を理解するためには、STP分析と6Rフレームワークを活用します。STP分析では市場を細かく分け、ターゲットを絞り込んで差別化する一方で、6Rフレームワークは認識から戦略のレビューまでの手順を提供します。
さらに具体的な成功事例を実戦に落とし込むことで、ターゲティングをより効果的なものにブラッシュアップすることが可能です。本記事では、ターゲティングの基本から、STP分析と6Rフレームワーク、活用ポイントに事例まで網羅的に解説します。
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目次
ターゲティングとは
ターゲティング(Targeting)とは、自社の商品やサービスを、どのような顧客に売るかを決めるプロセスのことを指します。市場を細分化し、そのなかで自社がターゲットとする市場を選ぶことを表すマーケティング用語・マーケティング戦略です。
市場には年齢や性別・仕事などが異なる、さまざまな顧客層が存在します。すべてのお客様をターゲットにしてしまうと、ひとつの商品やサービスですべてのニーズに答えることは難しく、戦略もあいまいになってしまいます。
そこでターゲティングを行い、市場をいくつかのグループに分け、ターゲットを一部の顧客層に絞り込むことで、特定のニーズを満たせる商品やサービスを提供できるようになります。自社の商品やサービスが勝てる市場を選ぶことで、戦略を最適化することができます。
さらに、ターゲティングを進めるうえでは、マーケティングの代表的なフレームワークである「STP分析」も重要です。STP分析とは、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」それぞれの頭文字をとったマーケティング用語で、3ステップで市場を分析する方法です。次の章からはSTP分析について詳しく説明していきます。
マーケティング戦略(STP分析)の流れ
STP分析とは、「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」それぞれの頭文字をとった、マーケティングにおける分析方法です。マーケティングの神様とも表される経営学者フィリップ・コトラー氏によって提唱されたフレームワークで、市場における自社商品の立ち位置を明確にする目的で使われます。
そもそもターゲティングは単体で機能するものではありません。STP分析の流れに沿って自社の商品やサービスを分析し、マーケティングの戦略に反映することで、初めて売上拡大といった成果に繋げることができます。またSTP分析で重要になるのは、顧客目線です。ユーザーニーズを正しく理解したうえで、STP分析に取り組むことで、ターゲティングはより具体的で有用なデータとなります。
ここではSTP分析を構成する3つの要素「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」についてそれぞれ解説します。
セグメンテーション
セグメンテーションとは、「市場の細分化」という意味です。市場を分類し、その構造を把握するプロセスを指します。
市場の分類方法としては、顧客の属性、たとえば年齢や居住地、過去の行動ログなど、さまざまな評価軸が使われます。
セグメンテーションは次のステップであるターゲティングをおこなううえでも、土台となるプロセスです。セグメンテーションをどうおこなうかによって、マーケティング戦略やその成果に大きく影響するため、慎重に進める必要があります。
ターゲティング
ターゲティングは、セグメンテーションによって分類された市場のなかから、自社製品が勝負するグループを決めるステップです。
ターゲティングをおこなううえでは、自社製品だけでなく、おなじ市場をターゲットとする競合他社・ライバル社を調査し、比較する必要があります。そのうえで、自社の強みが求められるグループを特定し、また競合に対して差別化をすることが必要不可欠です。
正しくターゲティングをおこなうことで、市場で得られる成果を最大化することができるため、重要なステップといえます。
ポジショニング
ポジショニングは、ターゲティングで決定したグループに対してどのような価値や魅力を提供するかを決めるプロセスです。
ポジショニングではとくに、競合他社との差別化を重視します。同系統の製品やサービスであっても、ライバル企業とは異なる部分を抽出して差別化をし、アピールポイントを確立することがカギとなっています。
自社製品を分析して、ターゲットとするグループが求める価値や魅力を可視化すれば、自社の製品を唯一無二の存在としてブランディングすることができ、具体的な広告媒体や、商談のプロセスに反映させることが可能です。
ターゲティングの重要性
近年市場は飽和状態にあり、製品の性能だけでは訴求力に欠ける、というのが現状です。このような状況下で、ターゲティングはますます重要性を増し、注目を集めるようになりました。
モノ・情報ともに飽和したマーケットで、より売り上げを伸ばしていくためには、マーケティング活動の最適化が必要です。そこで必要となるのが、営業から集客、販売促進の基本であるターゲティングの精度を上げ、特定した顧客層の興味を惹きつけるコンテンツを作成し、自社製品のブランド性を高めていくことです。
またマーケティング戦略を強化するためには、ターゲティングを通じて顧客のニーズを繰り返し分析することや、製品を顧みることで改善する施策も必要になります。
先に述べたSTP分析をおこなううえでも、ターゲティングは最も重要な要素ともいわれています。ターゲティングのステップを怠ることで、広告販売戦略における費用対効果が低下したり、市場における競争優位性を失ったり、ということにも繋がりかねません。ターゲティングを正しくおこなうことで、マーケティング施策の効率化、成果向上を目指しましょう。
小規模なターゲティングでビジネスをより効率化できる
ターゲティングは、企業全体の市場戦略において重視されていますが、実際にはより小規模な範囲でのターゲティングは、ビジネスにおいて非常に有益であることがわかっています。
たとえば製品開発者は、ターゲティングによって目的の市場や顧客層を明確にすることで、開発のうえでの重要なヒントを得ることができます。
同様に
- マーケティング担当者が新たな広告施策を打つとき
- 人事担当者が特定のスキルや経験を持つ人材に的を絞ったリクルート戦略をおこなうとき
- イベントプランナーが参加者のニーズを満たす体験を提供するとき
など、ターゲティングは成功のための足掛かりとなるはずです。
ターゲティングの精度を上げるフレームワーク「6R」
ターゲティングによってビジネスの成果をあげるうえで、非常に重要視されているのが「6R」フレームワークです。
「6R」という名前は、それぞれの頭文字をとってつけられたものです。「6R」フレームワークを活用することで、ターゲティングの精度をさらに上げることができ、ビジネスの成功に寄与します。ここでは、このフレームワークの6つのステップを順に解説します。
市場規模の有効性(Realistic Scale)
ひとつめの「Realistic Scale」は、直訳すると「現実的な規模」という意味で、ターゲティングの対象となる市場規模が、有効であるかを検証するための枠組みです。
市場についてのより正確な情報を得るには、各省庁、業界団体、民間調査会社などが公表しているデータを活用します。売上高は、対象市場の規模に比例して高くなる一方で、市場規模が大きいほど競争が激化する傾向にあるため、市場規模に応じて、競争状況に留意しましょう。
「Realistic Scale」を通じて、今よりも規模の小さい市場を選ぶことで、マーケティング活動でより大きな効果を得られることもあります。また数が少ないことから重要視していなかった、少数派の顧客層のニーズに焦点をあてることで、高いシェアを獲得することも可能になります。
しかしながら、市場規模が小さくなるほど利益も減少するため、製品やサービスの販売見込みや、かかるコストに対して、市場規模が見合っているかを常に確認する必要があります。業界や市場において効果的かつ持続可能な成果を得るためには、バランスのとれた市場規模の見極めが肝要となるのです。
成長性(Rate of Growth)
「Rate of Growth」は「成長率」を表し、ターゲティングの対象となる市場の成長率・成長性を分析するフレームワークです。このアプローチでは、市場の売上高やシェア、市場のトレンドや製品のジャンルを把握することで、将来の成長性を分析します。
将来的に成長が見込まれるマーケットであれば、早期の参入によって、先行者利益を得られる可能性が大きくなります。確実に成長するといえない場合でも、新しいマーケットであるほど、今後の期待値を高く評価します。
ただし、すでに成熟・衰退していて成長が見込めない市場や、たとえ規模が大きくて競合が少なくても数年で衰退してしまうような市場は、慎重に選定しましょう。一方で、市場そのものが衰退しているとはいえ、自社製品がマーケットを独占できる可能性がある場合や、関連性のあるマーケットに展開することでほかの市場も狙える場合は例外です。そのため、成長性を正しく見極めるためには、長期的な視点も必要になります。
いまは規模が小さい市場でも、成長性を分析するためには、無料で利用できるツール「Googleトレンド」を活用するのがおすすめです。これにより、市場や製品の検索トレンドを把握し、成長性を正しく評価することができます。
顧客の優先順位と波及効果(Rank/Ripple Effect)
「Rank/Ripple Effect(顧客の優先順位と波及効果)」は、ターゲティングの対象となる市場の優先順位に焦点を当てたフレームワークです。ここでは、各マーケットに優先順位を付け、その重要性を検討します。
BtoCにおいてはたとえば、インフルエンサーが存在する市場やメディアが注目する市場は、マーケティング戦略の展開において波及効果や口コミ効果が得やすく、優先順位が高くなります。一方で市場に優先順位をつけるうえでは、顧客層の分布情報・男女比率・興味分野などを把握することで顧客のニーズを理解しましょう。この場合は、マーケットの重要性が高くても、顧客層と自社製品が合致しなければ売上が見込めないことがわかります。
また、顧客層として優先度が高いかどうかも、重要な判断基準です。ターゲット層の関心度が熱量が高い製品やサービスであれば、顧客からも発見してもらいやすくなり、メディアやSNSを通じて広がりやすい施策が可能になります。
さらに市場の波及効果も注視すべきポイントであり、小さな市場であってもほかの市場に発展する可能性があれば挑戦する価値があります。BtoBであれば、業界で知名度が高くほかの企業への影響力も大きい企業と提携したり、事例を積極的に提示することで、口コミの信頼度を向上させ、ほかの企業に対しても自社製品の価値をアピールできます。
到達可能性(Reach)
市場に参入する上で欠かせないのが、自社製品がどれだけ顧客に到達できるか、といった「到達可能性(Reach)」を考慮することです。
どれだけ製品が優れていても、地理的な障害や輸送コストなど、物理的な要因によって顧客に届けられない場合、一度市場への参入を見直しましょう。
ただ近年はインターネットの発展により、オンラインストアやランディングページといった販売チャネル、WebサイトやSNSをはじめとするコンテンツメディアを構築することで、物理的な障壁があっても、十分顧客にアプローチできるケースも増えてきました。
もちろんオンラインだけではなく、小売店や代理店ネットワークなどを含む、物流におけるパートナーシップを構築したり、地域別の広告戦略を最適化したりすることも可能です。ターゲットとする地域や市場を見直す指標として活用してみてください。
競合状況(Rival)
ターゲティングをする市場において、ライバル企業を詳しく調査するフレームワークが、「競合状況(Rival)」です。競合他社との比較を通じて、自社のポジショニングや競争上の優位性を把握することは、その市場で成果を出すために欠かせません。
競合調査をするうえで、まずは競合となる製品やサービスがあるかを調査しましょう。そのうえで、すでに競合が多く市場が飽和している「レッドオーシャン」である場合は、参入しても厳しい戦いを強いられることも。
競合調査の内容として、まずは売上や利益率を評価し、ライバル企業の経済的な状況を理解します。広告や販売管理にどれだけの予算を投じているかを調べることで、市場に参入する難易度も見えてくるはずです。さらに、製品開発の進捗状況、新製品の導入頻度を把握すれば、技術的な差別化や市場の動向を予測できます。
これらの調査をもとに、ライバルの少ない「ブルーオーシャン」を選ぶことで、大きくシェアを得ることも可能になります。
また競合調査のなかで、販売ルートや営業手法、顧客サポートやアフターサービスに焦点を当て、競合他社との差別化ポイントを見つけることで、顧客とのリレーションシップにおいて差をつけるヒントを得られるでしょう。
反応の測定可能性(Response)
「Response(反応の測定可能性)」は、ターゲティングをする市場において、PDCAサイクルを回せるかどうか、顧客の購買力や傾向・フィードバックを正しく測定できるかどうかを判断するフレームワークです。
マーケティングではさまざまな施策をおこないますが、どの施策でどのくらいの効果が得られたかを分析するには、顧客の反応を測定できることが必須となります。
近年はデジタルマーケティングに取り組む企業も増えていることから、つい新しい施策に目が行きがちになりますが、まずは現在おこなっている施策の効果を正しく測定することが大切です。また効果を測定するには、施策それぞれの指標と、全体の指標をそれぞれ設定しておきましょう。
正しい効果測定がおこなえれば、施策の改善もしやすくなるうえ、企業やチームのモチベーション向上にもつながります。さらに費用対効果があきらかになることで、コストの最適化を図ることもできます。
ターゲティングをするメリット
ターゲティングをおこなうことで得られる具体的なメリットを3つご説明します。
新規獲得
新規顧客獲得に課題を抱えている場合、ターゲティングを見直すことで成果に近づけることができます。
あらためて既存顧客のニーズはもちろんのこと、競合他社を含めて検討する潜在層のニーズを、アーンドメディア(SNS、ブログ、口コミサイトといった消費者・ユーザー自らが発信するメディアのこと)を通して調査することも有効かもしれません。
さらに先に記述した「6R」のフレームワークを使って、市場の選定を見直すことで、行き当たりばったりの飛び込み営業から脱却し、より的を絞ったアプローチができるようになります。
客単価向上
ターゲティングを実施するメリットの1つに、既存顧客の客単価向上があります。
売上を増やすための一般的な手段の一つです。顧客単価を向上させるには、顧客のニーズを正確に理解し、それに合った付加価値を提供することが重要です。
ターゲティングを行うことで、特定の市場セグメントや顧客層の傾向や特性を把握しやすくなり、それに基づいて効果的なアプローチを展開できます。結果として、商品やサービスの付加価値が高まり、顧客はより多くの価値を感じ、それに応じて購買意欲が高まります。
実施検証できる
市場を絞り込むことで、施策の実施検証がしやすくなるのも、ターゲティングをするメリットといえます。
特定のターゲットにフォーカスすることで、広告のクリック率や販売の伸びなどといった数値をターゲットごとに評価できます。マーケティング戦略の効果を定量的に測定することで、本当に需要がある顧客層にリソースを割り当てることができるようになるため、コストの最適化がはかれることもまた重要なメリットです。
このように、ターゲットとする市場や顧客層に対するPDCAサイクルが回しやすくなるため、顧客の興味を引く広告やコンテンツを提供し、さらに顧客の関心を高め、関係を深めることができるのです。
段階的ターゲティングによってさらなる企業成長を目指せる
ターゲティングをおこなってアプローチを進めていくうちに、セグメントの幅を広げていく「段階的ターゲティング」に取り組むことで、企業成長につながります。また段階的なアプローチは、市場の理解を得やすく、リスクを最小限におさえられるのもメリットです。
段階的ターゲティングの最初のステップでは、既存の市場においてリファレンスユーザーを確立します。業界でも名の知れた最大手企業が導入することで、ほかの顧客もこれを見習って次々に導入する、といったケースは往々にして起こるケースです。
次にこれらの実績をベースに、同じ事業を展開する他のセグメントに積極的にアプローチします。この際には、リファレンスユーザーの成功事例をもとに「既に最大手企業A社に導入されており、貴社でも成果が出せるはずです」という形で営業活動を進めます。
最終的には、他業界や新たなセグメントに向けてアプローチを拡大します。異なる製品やサービスを提供するなどの新たな施策が導入され、事業の領域が広がります。
たとえば高品質なカメラ製品を提供することで市場に参入した企業Aは、競合が激化するなかで、新たな市場を見出すべくアプローチを拡大しました。最初のターゲティングは「趣味の写真愛好者」といったセグメントでおこないましたが、次第にプロのカメラマン向けにも展開。写真加工ソフトやアクセサリーの提供に進出し、事業領域の拡大に成功しました。
ターゲティング成功のポイント
ターゲティングの基礎知識や重要性、ターゲティングをするうえでのフレームワークやメリットについて解説してきました。
ここでは、ターゲティング成功の鍵となるいくつかのポイントをご紹介します。
大まかな属性のみで限定しない
ターゲティングを成功させるためには、年齢や性別といった大枠の属性だけでなく、より詳細な属性に焦点を当てることが重要です。
たとえば同じ30代の男性といっても、さまざまな職業・ライフスタイルが思い浮かぶはずです。
企業で働くサラリーマン、自営業者、フリーランス、既婚や独身、アウトドア派かインドア派か、スポーツに興味があるか、ライフイベントを控えているか…などなど。このようにさまざまな属性をもつターゲットをひとくくりにしてしまっては、抱えるニーズや消費行動を理解することはできません。
ターゲティングをおこなううえでは、年齢や性別だけでなく、より細やかな属性に焦点を当てることで、より効果的なマーケティング戦略を構築できます。顧客の多様性を理解し、それに基づいて柔軟なアプローチを取ることが成功の鍵となります。
自社の「強み」分析
ターゲティングの成功には、「自社の強み」を最大限に活かすことが不可欠です。
競合との比較分析によって、自社が他社に対してどのような強みを持っているかを明確にし、自社の強みを最大限に活かせる市場を選ぶことが成功の第一歩です。例えば、高品質な製品、優れたカスタマーサービス、独自の技術などが挙げられます。
ただし注意が必要なのは、有望な市場であっても、自社の特性や既存のブランドイメージと一致しない場合です。極端な例ではありますが、伝統的な手工芸品を自社の強みとするブランドが、急速に進化するデジタルテクノロジー市場に参入する…。といったように、ブランドイメージと市場の特性が一致しない場合、消費者にマイナスなイメージを与えかねないよう慎重な判断が求められます。
顧客視点のターゲティング
ターゲティングでは、自社が「何を売りたいか」だけではなく、顧客が「何を求めているか」といった視点が必須となります。
顧客視点を明らかにするには、顧客が購入に至るまでにたどるプロセスから、顧客がどのような体験を得ているか、アンケートなどのフィードバックを活用して分析しましょう。顧客視点に立って、分析結果を商品開発やマーケティング施策に反映させることが重要です。
近年では、カスタマーエクスペリエンスを向上させるだけでなく、サポートとしての役割も担うコミュニティ型の体験を提供する企業も増えています。
ユーザーニーズを真に理解して、ユーザーの課題を解決できるソリューションを提供できれば、本当に効果のある「ターゲティング」を実現できます。
外部環境を意識する
市場に参入するには、市場にまつわる環境を把握し、計画を慎重に立てることが不可欠です。
市場に競合が少ない場合、法的な規制による高い参入障壁が存在し、そもそも新規参入がむずかしいということも考えられます。自社で変えることのできない外部環境を十分に理解していくことで、それに応じて戦略を練る必要がでてくることも。
法的な制度から経済的な状況、地域ごとの文化的な要素まで広範に考慮し、柔軟に対応することが、市場への新規参入における成功の秘訣といえます。
BtoBでは利用者と購入者が異なるケースも多い
BtoBのビジネスでは、製品やサービスの利用者と購入者が異なることがよくあるため、「すべての人」をターゲットにするのは得策ではありません。たとえば企業がオフィス用品を購入する場合において、利用者はその企業の社員、購買決定者は調達部門や経営陣、といったケースがあります。
この場合、ターゲティング戦略は「利用者層」「購入者層」それぞれ分けて考える必要があります。利用者には製品やサービスの利点や効果を、購入者にはコスト削減や効率向上といったビジネス上のメリットをアピールすることが必要です。
このようにエンドユーザーには魅力的な特徴を、購入者には製品やサービスのメリットを、というようにそれぞれの各ターゲット層に一番効果的なメッセージを提供することで、マーケティング施策の効果を最大化することができます。
マーケティング戦略の的を絞れる
利用者と購入者が異なる場合は、ターゲットとなるペルソナを分けて設定することで、メンバー間での共有もしやすくなり、齟齬を防ぐことができます。
またマーケティングの戦略も統一できるため、一貫性のあるキャンペーンを提供できます。施策が統一されるとリソースを効果的に使うことができ、予算や時間を無駄なく使うことができるのもメリットでしょう。
統一されたメッセージを発信できる
広域的なターゲティングでは、メッセージが散発的になりやすくなり、共鳴・共感するポイントが曖昧になってしまいます。「すべての人に受ける」ことを条件としたことで、結局製品の性能を訴求することしかできない…など、逆に間口を狭めてしまう結果に。
とくにブランドマーケティングでは、製品の性能のみならず、ブランドに対する好意やブランドとの感性の一致などが求められるため、焦点を絞ったターゲティングは必須となります。製品の性能だけでなく、ブランドに対する「好き」「信頼」を得られるマーケティング活動には、ある程度ターゲットを絞って、統一されたブランドメッセージを発信することが必要です。
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ターゲティングの成功事例
ターゲティングによって成果を出した事例は、業界を問わずたくさんあります。そのなかでもとくに業績を伸ばしている3つの事例をご紹介します。
飲食チェーン店Sは、従来の市場のほかにも、外食市場や中食(弁当)市場も含めた広範なセグメントを対象にした戦略を実施。従来の男性1人客に限定された利用者から、ファミリーや女性層を中心とした多様な顧客層を獲得し、業界でのシェアを伸ばしています。
シンプルなライフスタイルを送る顧客層をターゲットとした小売業M社は、デザイン性の高い商品企画で注目を集めてきたものの、当初は品質に課題があることも少なくありませんでした。ターゲットを見直しブランド戦略を進化させ、デザインだけでなく品質も優れた商品を提供することで、他者が追随することもできない高品質かつハイセンスな商品を開発し、顧客からの信頼も厚い特有の市場ポジションを築いています。
大手保険会社L社は、従来の生命保険市場が中高年のターゲットに焦点を当てるなか、新たな市場を見据え、若年層や子育て世代をターゲットにした生命保険商品の開発に着手しました。従来の高額な保険料にくらべて保険料を低く抑えることを実現。さらにWebを活用した契約内容の説明や申し込みを可能にしたことで、若い世代でも気軽に保険に加入できる環境を整え、業績を向上させ、保険業界全体においても変革を促しています。
まとめ
ターゲティングについて解説しました。
ターゲティングは、ビジネスにおいて不可欠な要素で、STP分析や6Rフレームワークを通じて市場セグメントを特定し、効果的なマーケティング戦略を展開する手段です。
ビジネスでPDCAサイクルを回し精度を高めていくうえでも、特定のターゲティングをおこなうことは重要な要素であり、6Rフレームワークによって精査することで市場との関係性を深め、成果を最大化できます。
ターゲティングで用いられる6Rフレームワークは、ビジネス全体に適応でき、顧客からの信頼を得て関係性を構築し、事業全体の成果を向上させるはずです。ターゲティングによる戦略的かつ継続的なアプローチによって、マーケティング活動の成果をさらに拡大していきましょう。
- この記事を書いた人
- エムタメ!編集部
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クラウドサーカス株式会社 マーケティング課
- プロフィール :
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2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。
メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/
Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab