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リードナーチャリングとは?見込み客を顧客へ育成する手法と事例

記事公開日:2023/07/20
最終更新日:2024/04/18
リードナーチャリングとは?見込み客を顧客へ育成する手法と事例

リードナーチャリングとは、見込み客を中長期的に育成していくプロセスを意味する言葉です。顧客が抱えている課題の解決方法や自社製品に関する知識を共有し、見込み客の疑問や不安を解消しながら信頼関係の構築を図り、育成していきます。

 

ステップメールやWebサイトの問い合わせフォームのセグメント分けなどが主な施策です。お客様との関係を構築しながら、見込み度が高まったところでアプローチする仕組みを作り、効率的に案件を創出できます。BtoB企業に限らず、BtoCの企業でも顧客の検討期間が長いサービスであれば非常に重要な施策となります。

 

本コラムではリードナーチャリングについて、特にBtoB分野の企業が取り組む際に必要なステップや施策、メリット・デメリット、アプローチの流れなどをご紹介します。

 

・リードナーチャリングの意味を知りたい

・これからリードナーチャリングを始めたい

・すでにリードナーチャリングに取り組んでいるが、成果が見えない

 

といった方々には特におすすめの内容です。ぜひ貴社のマーケティング活動にお役立てください。



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1.リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客を育成し、購買意欲を高めて商談・受注へとつなげるマーケティング活動のことです。見込み客(=リード)を育成(=ナーチャリング)するという意味から「リードナーチャリング」という言葉が生まれました。

メール配信やセミナー、インサイドセールスなど、さまざまな手法で顧客の課題を解決する有益な情報を提供して製品の検討度を高めます。新規顧客だけでなく、既存顧客と継続的な接点をもち、アップセル・クロスセルへとつなげるケースも含まれます。

BtoBマーケティングにおけるリードナーチャリングの役割

リードナーチャリングは、見込客の集客から営業へ引き渡すまでのプロセス「デマンドジェネレーション」の手法のひとつです。

見込み客を獲得したからといっても、すぐに契約につながるわけではありません。企業からのアプローチや長期間のフォローによって購入に至るケースがほとんどです。そこで、リード育成やホットリードの絞り込みなどから商談化へと導くのがデマンドジェネレーションです。

デマンドジェネレーションは、以下の3つの手法で成り立っています。

 

・リードジェネレーション

・リードナーチャリング

・リードクオリフィケーション

 

リードクオリフィケーション

各プロセスについて詳しく見ていきましょう。

リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、「リードの生成」すなわち、見込み客を獲得することを指します。

リードジェネレーションのアプローチ方法は、オフラインとオンラインの二つに分けられます。
オフラインのアプローチ手段では、リアルの世界で顧客との接点を作り、見込み客を獲得します。展示会やセミナーなどが代表的な手段として挙げられ、展示会ではノベルティと引き換えに名刺を交換したり、セミナーではアンケートというかたちで顧客情報を取得したりすることが一般的です。

一方、オンラインのアプローチでは顧客との対面の接点は持たず、Webサイトを通して行われます。自社製品のターゲット層に自社のWebサイトに来訪してもらい、問い合わせをもらったり、資料請求やホワイトペーパーのダウンロードを促したりします。

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リードナーチャリング

このようにして、リードジェネレーションによって獲得した見込み客を自社の顧客に育成していくことを、リードナーチャリングと呼びます。見込み客に対して段階的なアプローチをすることで購買意識を高め、自社顧客になってもらうためのプロセスです。

オフライン・オンラインを問わず、BtoB分野ではひとつの製品の検討から購買に至るまでのリードタイムがBtoC分野に比べて長い傾向があります。そのため、一製品、一企業ごとの購買プロセスに対し、それぞれに適切なアプローチや関係性の構築が重要です。


いかにしてこのような見込み客を獲得し、自社の顧客へと育成していくのかが各企業の課題となり、その解決手法であるリードナーチャリングが注目されています。


弊社の実例をみても、直前の資料ダウンロードから受注に至った商談は全体の15%に過ぎず、
残りの85%は過去に資料ダウンロードなどの接点があったユーザーへのナーチャリング活動からの受注となっています。


過去に資料をダウンロードした人の受注


このように、中長期でのナーチャリング活動はBtoB企業において必須の活動となりつつあります。

リードクオリフィケーション

リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングにより、顕在化した見込み客のなかから受注率の高い見込み客を選別するマーケティング活動のことです。

これにより、あらかじめ製品・サービスに関心を持っている確度の高い見込み客から優先的にコンタクトを取ることが可能になり、効率良くセールス活動を展開できます。

選別に当たっては、見込み客の役職や決済権の範囲、予算といった定量データ以外に、自社の製品にどの程度注目しているか、見込み客が抱える課題に対して自社製品がどの程度対応できるか、といった定性データも踏まえてアプローチの優先順位を決めていきます。

また、既存顧客の属性を分析して特徴を知ることによって、「どのような見込み客が顧客化しやすい傾向があるか」を明らかにして選別する手法も有効です。

2.リードナーチャリングが注目されている理由

なぜリードナーチャリングに注力している企業が多いのでしょうか。その背景には、ユーザーの購買行動が変化していること、獲得したリードが放置されてしまうことなど、BtoBマーケティングにおける課題が関係しています。

購買モデルの変化

近年は、インターネットやスマートフォン、IoTの普及によって人間が生み出す情報量が爆発的に増加。「情報爆発の時代」と言われるようになって久しく、見込み客との継続的な関係を維持していかなければ自社の製品、サービスを選んでもらうことは困難になってきています。そのため、集めたリードに対して関係性を維持しながら育成をしていく、リードナーチャリングが重要視されるようになってきたのです。

検討中のリードが放置されやすい

リードジェネレーションで獲得したリードをそのまま営業部門にパスした場合、営業は現時点で確度の高い案件だけを追い、それ以外のリードは放置されてしまうおそれがあります。そもそも、すべての案件を営業が追客すること自体が現実的ではありません。

購買意欲の低いまま営業に渡すのではなく、関心度を高めてからリードをパスすれば、効率よく受注率をアップできます。

受注までのプロセスが長期化

特に、BtoB商材においては見込み客との最初の接点から受注までのプロセスが長期にわたる傾向があることから、リードナーチャリングを行わない=長期間放置することになりがちです。もちろん、営業担当が定期的に連絡を入れる可能性もありますが、前述の通り確度の高い見込み客に流れやすいので、この期間に他社と契約してしまうかもしれません。

長い検討期間中に、リードナーチャリングを通してしっかり信頼関係を結んでおくことが重要です。

3.リードナーチャリングのメリット・デメリット

続いて、リードナーチャリングを実施することによって得られるメリットとデメリットについて整理します。

<メリット>

  • 見込み客が競合他社に流れるのを防げる
  • 受注数・受注率が上がる(営業効率が上がる)
  • 集客コストのロスを圧縮できる

<デメリット>

  • リソースが必要(工数がかかる)
  • 効果が出るまでに時間がかかる
  • 集客(リードジェネレーション)が安定していないと機能しない
  • それだけでは売上に結びつかない(営業が受注して初めて売上が立つ) 

リードナーチャリングのメリット

まずは、リードナーチャリングを行うことで得られるメリットを見ていきましょう。

見込み客が競合他社に流れるのを防げる

営業部門では、効率的に受注できる見込み客を優先的に追うため、すぐに受注に結び付くような確度の高い見込み客以外は放置されがちです。

 

リードナーチャリングを行えば、そうした見込み客もつなぎとめることができます。適切なナーチャリングにより、商品に対する見込み客の理解度や興味を育てることができれば、最終的に受注にまでつなげられます。

 

逆に、リードナーチャリングを行わなければ、その見込み客は他社製品の購入を検討し始めてしまい、購入に至ってしまうおそれがあります。

受注数・受注率が上がる(営業効率が上がる)

先述したとおりマーケティング部門でリードナーチャリングを行い、確度を高めて営業部門にパスすることで、営業部門の成績(受注数・受注率)は上がります。

 

確度の低い見み込客だけでなく、営業部門でアプローチ中の見込み客が、何かの事情で途中で商談をストップせざるを得なくなったようなときも、マーケティング部門に戻してリードナーチャリングを行うことで、商談が復活する可能性を維持できます。ただし、その場合は営業部門とマーケティング部門の連携が大切です。

集客コストのロスを圧縮できる

広告やキャンペーン、展示会への出展など、集客のために費用をかけて多くの見込み客を集めたとしても、ひと握りの確度の高い「今すぐ客」だけを受注して、残りのほとんどを逃してしまえば、大半がムダになってしまいます。

 

リードナーチャリングを行うことで、今までなら受注できなかった見込み客を受注できるようになり、集客コストのロスを削減できます。

リードナーチャリングのデメリット

一方、リードナーチャリングを行うことでの負担や注意点もあります。次に、デメリットを見ていきましょう。

リソースが必要(工数がかかる)

新しい施策を行うためにリソースが必要になるのはマーケティングに限った話ではありませんが、特にリードナーチャリングには工数がかかるため、人的リソースが必要になってきます。

 

また、リードナーチャリングでは、見込み客とそれぞれに行ったマーケティング施策に関するデータを一元管理する必要があり、マーケティングオートメーション(MA)などのツールが活用できる環境が望ましく、マーケティングを支援するツールやシステムの導入費用などもかかってきます。

効果が出るまでに時間がかかる

リードナーチャリングでは、個々の見込み客が立っているステージに合わせて、必要な情報を提供するなどのアプローチを行っていきます。
すでに検討段階が進んでいる見込み客は「確度が高い」と判断され、営業部門がアプローチしているため、リードナーチャリングを行う見込み客は、検討を始めたばかりの層や、自社の製品について詳しく知らないという層が多いです。

 

そういった見込み客を、受注まで根気良く追いながら育てていく必要があり、取り組んですぐに結果が出るような施策ではありません。

集客(リードジェネレーション)が安定していないと機能しない

リードナーチャリングは、あくまでも獲得済みの見込み客に対して行うマーケティング施策であり、あらかじめ集客(リードジェネレーション)してあることが前提となります。

 

そもそもの集客に課題がある場合は、そこから解消しなくては、リードナーチャリングは行えません。

それだけでは売上に結びつかない(営業が受注して初めて売上が立つ)

マーケティング部門が無事にリードナーチャリングに成功して、確度の高いホットリードを創出できても、そのままでは「見込み客」のままです。

 

営業部門にパスして商談が進み、受注して初めて売上が立つため、営業部門との連携や営業部門の営業力が適切に働かなければリードナーチャリングの効果が活きません。

4.リードナーチャリングを実行するための6つのステップ

それでは、実際に獲得した見込み客を育成していくにはどのような道筋をたどればよいのでしょうか。5つのステップに分けて解説します。

①見込み客の情報を整理し、一元管理する

リードナーチャリングの最初のステップは、自社に蓄積されている見込み客の情報データを整理して一元化し、管理することです。

 

見込み客(リード)の獲得手法は企業ごとに多様化しています。営業担当が個人で名刺を管理していたり、複数部署で同一クライアントの情報が重複していることもあるでしょう。

 

展示会やセミナーでの名刺交換、Webサイトからの資料請求と異なるチャネルから得た顧客情報を統合し、すべてのデータを一元管理することで必要な情報の抜け漏れや重複を防ぎます。また、対象母数が最大化され、リードナーチャリングの効果が高まります。

 

見込み客の情報の一元管理にはMA(マーケティングオートメーション)ツールを活用すると良いでしょう。オンラインとオフライン、アナログとデジタル、いずれの接点からの見込み客データも同一のツールで適切に一元管理でき、どのようなアプローチが最適かを検討するのに役立ちます。

②ターゲットを定めてペルソナを設計する

次に、リードナーチャリングの対象となるターゲットを明確にします。誰に向けてリードナーチャリングをするのかを定義し、具体的なユーザー像を「ペルソナ」として設計しましょう。
 
ペルソナを細かく、具体的に設計することで、対象となるターゲットはどのような人で、どのような業務を行い、どのような悩みや課題を抱えているのかを理解するのに役立ちます。

 

さらに、ペルソナがどのように自社の商品・サービスを知り、どのように購買に至るかの道筋をまとめた「カスタマージャーニーマップ」を作成すれば、見込み客の行動と具体的な購買プロセスをより具体的にイメージでき、有効な施策を打ち出せるでしょう。

【関連リンク】
BtoB企業の『デジタルマーケティング』はカスタマージャーニーに沿って

見込み客のセグメンテーション(セグメント分け)

統合された見込み客のモチベーションやニーズはそれぞれ異なります。

 

同じオフラインのアプローチで得た見込み客でも、展示会でたまたま通りかかった人と、製品選定の知識を得る目的でセミナーに参加した人では期待する情報や次に取るアクションは異なります。

 

いつ、どこで行われた展示会で自社と接点を持ったのか、Webサイトの中でどの製品のカタログやCADデータをダウンロードしたのかなど、それぞれのリードを細分化して分類し、見込み客の属性やステータス(状態)、購買意欲によってセグメンテーション(セグメント分け)をする必要があります。

 

効率的なアプローチのためには、ナーチャリングの対象となる見込み客の条件を明確にして分類し、そのなかから購買の可能性が高い見込み客を抽出することが大切です。

 

セグメント分けはあまり細かくし過ぎず、マーケターと営業の双方が管理しやすい限りで設定すると良いでしょう。

④コンテンツの作成

見込み客のセグメント分けが完了し、自社製品の購買プロセスや見込み客の属性が明確になったところで、コンテンツを作成します。

ここで重要なのは、セグメント分けしたそれぞれのリードに対して、彼らが関心を持つようなコンテンツを作ることです。

たとえば、展示会でたまたま自社のブースを訪れた人に対していきなり製品カタログを送付したり、無料デモの案内を流したりしても効果は期待できないでしょう。そのような認知層の見込み客に対しては、自社製品で解決できる課題についてのコンテンツや、業界に関する無料セミナーへの誘致を行うことで、見込み客の課題を明確にして製品や自社のサービスへニーズを喚起するのが有効です。

一方、Webサイトで価格表をダウンロードした人の場合、上記のリードよりも、より購買に近い段階である可能性が高いと言えます。そのような場合は、無料デモ貸し出しの案内や、割引キャンペーンの案内を流すことも効果的になります。


いずれにせよ、ターゲットと目的を明確にすることが重要です。そのためにはどの段階にいる人に見てほしいのか、それを見た後にどのようなアクションをとってほしいのかを明確にした上で、コンテンツを作成しなければなりません。

⑤施策の実行と効果測定

整理・分類した顧客情報をもとに施策を実施します。見込み度合いなどのセグメントごとに、それぞれに合ったコンテンツを配信しましょう。

 

メールの配信後は顧客の反応を測定するため、開封率や掲載したリンクへのアクセス状況、どのページを閲覧したかといった行動を解析します。解析結果から、顧客のニーズに対してより適切な情報を継続的に提供していき、見込み度合いを高めていきます。

 

このようなリードナーチャリングの精度を高めるには、PDCAを回していくことが不可欠です。

 

効果測定では、アポ率・案件化率・受注率といった定量的な効果測定に加え、「このコンテンツはどのような顧客の悩みを解決するのか」といった定性的な情報をマーケティング部門と営業部門(インサイドセールス、フィールドセールス)で共有し、コンテンツ制作やアプローチ手法に落とし込んでいきましょう。

5.リードナーチャリングのおもな5つの手法

リードナーチャリングの手法には、「SNS」「広告」「メール配信」「セミナー」「インサイドセールス」の5つがあります。

 

いずれの手法も、基本的にはオウンドメディアで記事コンテンツを公開し、それをもとにしてリードナーチャリングを行うことが多いです。

SNS

Facebook、Twitterなどで企業アカウントを取得し、情報発信する方法です。
必ずしも見込み客の会社名や実名といった確かな情報が得られるわけではありませんが、オウンドメディアに掲載した新着記事の情報、新製品情報などを投稿し、コーポレートサイトやオウンドメディアへ誘導するのに適しています。

ファンページなど、自社のファンやユーザー同士がコミュニケーションを取る場を作って提供する方法もあります。

広告

企業IPから広告配信先を限定する「企業ターゲティング広告」や、Webサイトを訪問した見込み客に広告を表示させる「リターゲティング広告」を用いて製品を訴求します。広告を閲覧した見込み客のステータスを上げて、次のナーチャリング施策を行ったりと、広告を活用してリードナーチャリングを行う手法です。

メール

リードナーチャリングにおけるメールは、メールマガジンのように全員に同じ内容を送るものではありません。

ストーリー性(シナリオ)のある複数のメールを一定のスケジュールに沿って順番に送信する「ステップメール」や、条件ごとに分類された見込み客グループごとにメールの内容を変えて送信する「ターゲティングメール(セグメントメール)」などがあります。


※メールマーケティングの必要性から、成功事例や参考テンプレートを記載した無料ダウンロード資料もございます。
よろしければこちらも併せてご利用ください。

>BtoB企業向けメールマーケティングガイドライン(無料)

メールマーケティングに関して、詳しくは下記の記事もご覧ください。

セミナー

BtoB企業で有効なリードナーチャリング手法です。見込み客の検討段階に合わせ、特に知りたいと思っているであろうテーマに関してセミナーを開催し、参加者に必要な情報を与えます。

参加してくれた見込み客は、時間を取って足を運んでくれた分だけ、興味・関心も高いと判断できます。参加後もメールなどでフォローしていきましょう。

インサイドセールス

昨今ではインサイドセールスという役割の部隊が電話でリードナーチャリングを行うケースが増えてきました。連絡方法は電話を使用することがほとんどですが、従来のテレアポとは異なり、よりマーケティング視点で関係性を構築していきます。

 

インサイドセールスとは、マーケティング施策で集めたリードに対して、電話やメールなど非対面のコミュニケーション方法によって営業活動を行う手法です。過去に何らかの接点を持った見込み客に対して、自社の商品・サービスを検討してもらえる状態までサポートします。

 

アポを取るための飛び込み営業的な架電との大きな違いは、「アポを取ること」だけが目的ではなく、あくまでも自社の商品・サービスをまだ検討していない顧客との「関係構築」と、検討段階に至るまでの顧客を「育成」する活動を行う点です。


【関連記事】

インサイドセールスとは?よくある課題や事例までをまとめました!

6.ナーチャリング後のアプローチの流れ

リードナーチャリングにおけるアプローチの担当部門は、見込み客のポテンシャルとステータスによって変わってきます。ポテンシャルとは、自社のメインターゲットの条件への合致度です。ステータスとは、その見込み客の見込み度の高さです。

 

たとえば、とあるITツールベンダーの見込み客のポテンシャルとステータスごとのアプローチ例は下図のようになります。

 

アプローチ例

引用:BowNow ABMテンプレート

 

見込み客のポテンシャルとステータスの設定方法など、詳しくは下記の記事をご覧ください。

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マーケティング部門のアプローチとは?

マーケティング部門では、ポテンシャルが高くステータスが低い見込み客をナーチャリングで温め、見込度を上げていきます。

インサイドセールスのアプローチとは?

インサイドセールスでは、ポテンシャルが低く、ステータスも低~中の層にアプローチします。

お客様の課題をヒアリングし、最適な製品を提案しますが、このアプローチでは受注ではなく、コミュニケーションを深めるのが目的です。見込度が上がれば営業部門(フィールドセールス)へパスして商談へつなげます。
インサイドセールスの活動が功を奏し、見込み客が自社の商品・サービスを検討する段階にまで育成した状態で、インサイドセールスからフィールドセールス(外勤営業)にパスし、売上につなげてもらうのが一般的な流れです。

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営業部門のアプローチとは?

ここでようやく、見込み客リストに対して営業がプッシュでアプローチをします。ポテンシャル、ステータスがともに高いところにアプローチし、商談から受注します。

この時に重要になるのが、営業からマーケティング部門への結果のフィードバックです。

それぞれのステップで仮説立てをし、実行されたリードナーチャリングがどれくらい効果があったのか、成約率を上げるためのボトルネックになっている部分はどこなのかを洗い出し、マーケティングの精度を上げていきます。

 

あるリードからの成約率がほかのリードよりも高かった場合、その属性のリードを増やすためのリードジェネレーションを行うことで、最終的な成約数は上がります。

ABMで見込み客へもれなくアプローチしよう

ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)とは、自社にとって価値の高い顧客を選別し、一社一社、顧客に合わせて最適なアプローチをするマーケティング手法のことです。近年のBtoB企業においては、自社の売上や利益に貢献してくれる優良顧客との取引を重視し、潜在顧客や見込み客、既存顧客のなかから自社にとって有益な顧客を選別しようとする試みが広がっています。そこで必要となる考え方が「ABM」です。

 

ABMの考え方はマーケティング・オートメーション(MA)とともに普及してきました。また、ABMを実現するためにはインサイドセールスの活用が有効です。

 

それなりの費用や手間をかけて集客した大切な見込み客ですから、もれなく最適なアプローチをして、リードナーチャリングしていきましょう。

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7.リードナーチャリングで成果を上げるための4つのポイント

リードナーチャリングを成功させ、成果を出すために意識しておきたいポイントを4点ご紹介します。

部門間で連携し、リード情報を共有する

リードナーチャリング施策はおもにマーケティング部門が実行しますが、関心度合いや購買意欲が高まった顧客への受注活動は営業部門が担当します。営業部門に引き継いだ後も適切な顧客対応を行うには、マーケティング部門と営業部門のあいだで、見込み度合いが高まったプロセスやアプローチの履歴などさまざまな情報を共有できるチーム体制の構築が大切です。

KPIを適切に設定する

効果的なリードナーチャリングを実施するためには、数値化できるKPI(最終目標であるKGIに対する中間指標)を設定しましょう。

まずは最終目標であるKGIを明確にし、その目標に到達するにはどのような指標をクリアしなければならないかを検討します。部署全体で目標に向かいやすいよう、KGIに対して整合性があり、明確で測定可能な目標を設定するのがおすすめです。

 

KPIを設定し、ナーチャリング施策を実施してからも、つねにPDCAサイクルを回し、現状を分析して改善点を洗い出し、ブラッシュアップしていくことが大切です。


なお、顧客のさまざまな情報はナーチャリング後の商談や受注の段階で施策の効果を分析するのにも役立ちます。MAやSFAなどのツールを活用し、顧客情報を正確かつ迅速に収集・共有・管理しましょう。

MAツールで効率化する

前章で紹介したリードナーチャリングを効率的に行うためには、当然ながら手動の管理のみでは限界があります。

 

マーケティング活動の複雑なプロセスを自動で管理し、顧客に適切なコンテンツを提供するためのツールをMA(マーケティングオートメーション)ツールと呼びます。

 

MAツールを取り入れることで、それぞれの購買プロセスに応じたコンテンツの配信や属性の分析を自動で行えます。また、ルーティンワークになってしまいがちなそれぞれの作業を自動化することで人的ミスを防ぐことができます。



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マーケティングオートメーションについては、こちらの記事もご覧ください。

ホットリードの定義を定め、スコアリングで明確化する

 

定義を定める際にはスコアリングを用いると良いでしょう。たとえば、「料金ページを閲覧したら2点」「資料をダウンロードしたら3点」「お問い合わせをしたら4点」などとリードの反応に沿った点数を設定しておき、リードごとに点数を合計して一定の点数を超えたらホットリードとみなします。

 

スコアリングでは見込み客の行動を数値化し、ホットリードであるか否かを客観的に判断できます。MAツールを活用すれば合計点からホットリードを自動的に抽出でき、部門間や個人間での認識のズレから個々の見込み度合いに合わない施策を実施してしまうといったミスを防ぐことができます。

 

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8.まずは費用をかけずに始められるリードナーチャリング

ここまで、リードナーチャリングを始めるためのステップや管理ツールに関してご紹介してきましたが、どの企業でも本格的なツールを導入し、このような新しい取組みを始めるにはそれなりの予算や検討期間が必要になります。

そこで、今回はあまり予算をかけずに部分的にリードナーチャリングを始められる手法をご紹介します。

①Webサイトの問い合わせフォームのセグメント分け

一口に問い合わせといっても、カタログやホワイトペーパーのダウンロード、無料デモの申し込み、資料請求などWebサイトへの訪問者のニーズはさまざまです。

これらの訪問者に対して個別の問い合わせフォームやチェック項目を設けることで、検討度合や目的ごとのセグメント分けが可能になります。
検討度合の高い項目に関しては、入力フォームの必須情報を増やすことなどにより、さらに詳細な顧客情報を得ることができます。

②ステップメール

お問い合わせや展示会で獲得した顧客情報に対して段階的にメールを送る手法です。

たとえば、お問い合わせをもらったが資料請求のみで、実際の訪問などの次のステップに移らなかった見込み客に対して定期的にメールで情報を送ります。

5~10回ほどのステップに分け、2週間ごとに段階分けされたメールを配信し、すべて配信し終わった顧客から、再度アクションを試みます。一度は自社のWebサイトに訪れ、問い合わせてきた見込み客なのですから何もせずに放置するのは非常にもったいないことです。

③定期的なノウハウ提供メール

獲得したリードに対してセールスレターを送り続けると、敬遠されて購読の登録を解除されてしまうことがあります。しかし、顧客にとって本当に役に立つノウハウを提供し続ければ、次第に自社のファンになってもらうことができ、そのサービスが必要になったタイミングで顧客の方から問い合わせをもらえるようになります。

9.リードナーチャリングの指標と成果を分析する方法

前章でご紹介したようなステップメールなど、メールによるリードナーチャリングは、施策の効果測定を行うことが可能です。メールによるリードナーチャリングには、一度に多くのリードに対してアプローチができるメリットがあり、リードナーチャリングで主流の手段となっています。

メールナーチャリングの効果測定には、「7.リードナーチャリングで成果を上げるための4つのポイント」でご紹介したようなマーケティングオートメーションツールや、効果測定機能を備えたメール配信ツールが必要です。メールナーチャリングの効果を分析するために活用できる指標には、「メール開封」「URLクリック」「コンバージョン」などがあります。

①メール開封

HTMLメールを配信し、リードがメールを開いた「開封」の総数や送信数に対する率を計測します。

一般的なメールの開封率は、セグメントメールで30~50%、展示会・イベントなどのお礼メールで25~40%、一斉メール(メルマガ)で10~20%といわれています。

上記の数値と自社の数値を比較して評価するほか、メールタイトル(件名)や配信する時間帯を工夫し、その結果を比較して自社にとってのメールナーチャリングのベストプラクティスを導き出しましょう。

②URLクリック

メールの本文内に記載するURLを観測用のURLに置き換えることなどにより、リードがURLをクリックした日時などを取得できます。クリックの総数、開封の総数に対する率を計測します。

一般的なメールのクリック率は、0.8~1.5%といわれています。

③コンバージョン

配信したメールが開封されてURLがクリックされたもののうち、申し込みや購入など、あらかじめ設定しておいたコンバージョンにつながったものの総数や率を計測します。

コンバージョン率の平均は一概にはいえませんが、リードが無料で手に入れられるようなホワイトペーパーのダウンロードやサンプルの申し込みなどの場合は、30%程度だといわれています。

10.まずはリードナーチャリングの一歩目をふみだそう!

リードナーチャリングで成果を出すには、効果検証と改善を重ねることが大切です。適切なナーチャリングを実施して顧客からの信頼を得、さらに関係性を高められればファンの醸成につながるでしょう。

 

個々の見込み客に合った最適なリードナーチャリングを行うために、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の考え方が大切になります。見込み客のステータスとポテンシャルを見極め、部門間で連携を取りながら育成していきましょう。

見込み客の情報管理には、マーケティングオートメーション(MA)が便利です。BowNowならずっと無料で使い続けられるフリープランがありますので、もしご興味があればお気軽にお申し込みください!


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