BtoB製造業のメールマーケティングとは?基礎知識から種類、コンテンツ例や具体事例などを徹底解説!
最終更新日:2023/11/10
メールマーケティングを実施したいものの、「BtoB製造業のメールマーケティングは効果的なのか?」と疑問に思う方も少なくないのではないでしょうか?
「見込み顧客を新規顧客へと昇華させる」ことを課題とする企業が多い傾向にある製造業でメールマーケティングを導入することで、見込み顧客に対して定期的に自社の存在や商品・技術をアピールできます。需要が生まれた際に問い合わせをもらう可能性が高まり、課題の解決へとつなげられるなど、利益の拡大が見込めます。
本記事ではBtoB製造業におけるメールマーケティングについて、その重要性などの基礎知識からメリット・デメリット、成功させるコツや効果的なコンテンツなどを網羅的に解説します。最終章では具体的な事例も紹介していますので、参考にしていただけますと幸いです。
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目次
BtoB製造業におけるメールマーケティングとは?
BtoB製造業におけるメールマーケティングについて、概要やその重要性について解説します。
メールマーケティングとはどんな施策?
メールマーケティングとは、メールを配信して顧客とコミュニケーションを取ることで、購買意欲を高めるマーケティング施策です。
目的達成のために「顧客へどんな内容のメールを送り、どのような行動を促せば良いのか」を考え、商談や展示会などで名刺交換した人や、問い合わせのあった人に対して適切なタイミングでメールコンテンツを配信していきます。
BtoB向けのマーケティングでは、「幅広く活用できる」「長期間・定期的にアプローチできる」「マーケティング活動の効率化」という理由から、今もメールマーケティングが効果的な施策として活用されています。
また製造業では、「見込み顧客を新規顧客へと昇華させる」ことを課題とする企業が多い傾向にありますが、BtoB向けのメールマーケティングを通し、見込み顧客に対して定期的に自社の存在や商品・技術をアピールすることで、需要が生まれた際に問い合わせをもらう可能性が高まるなど、課題の解消へとつなげられます。
そのため現在、製造業におけるBtoB向けのメールマーケティングの重要性が高まっています。次章でさらに詳しくみていきましょう。
BtoB製造業におけるメールマーケティングの重要性
製造業では、製品の現物やカタログを手に取って見てもらう必要があるため、テレアポや飛び込み営業、展示会への参加などの「アウトバウンド営業」が主流でした。
しかし、少子高齢化による人材不足やグローバル化、急速なオンライン化やコロナ禍における対面営業の制限などの影響によって、従来の営業方法では効率の良い活動が難しく、製造業は大きな変革を求められるようになりました。
そこで、非対面でも効率的にマーケティング活動が行える「Webマーケティング」のニーズが高まり、その中でも効果的なBtoB向けのメールマーケティングの重要性が高まっているのです。
メールを通して自社技術や商品を定期的にアピールし、接点を持っておくことで、ニーズが高まった際に商談へつながる可能性が高まります。また自動でメールを配信するサービスなどを利用すれば手間も省け、人手不足などの問題を抱えていても、顧客との関係構築や見込み顧客のナーチャリングを効率的に行えるというメリットもあります。
従来のアウトバウンド主体の営業手法から、Webマーケティングを利用したインバウンドマーケティングに切り替え、メールマーケティングを取り入れる製造業の企業は年々増え続けています。
ここで、メールマーケティングをより的確に理解するために、メールマーケティングと混同されがちな「メルマガ」との違いについて説明します。
メールマーケティングとメルマガの違い
メールマーケティングはメールを手段とする「マーケティング施策」であるのに対し、メールマガジンを意味するメルマガは、「同じ内容のメールを一斉に配信する」ことを指します。
つまり、見込み顧客の興味・関心度合いの引き上げや関係構築を目的とする「メールマーケティング」において、その目的を達成するための一つの手段として使用されるのが「メルマガ」です。
混同されやすい傾向にあるため、BtoB製造業のメールマーケティングを理解するためにも、ここでしっかりと両者の違いを理解しておくことが大切です。
BtoB製造業においてメールマーケティングを行うメリット・デメリット
BtoB製造業においてメールマーケティングを行うことで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?それぞれ詳しく解説します。
メリット
主な5つのメリットについて紹介します。
①低コストですぐに始められる
メールマーケティングは、低コストですぐに始められるというメリットがあります。
メール配信/分析ツールを導入するコストのみが必要で、比較的低価格で進めることが可能です。また継続的・定期的にメールを配信する必要もあり、長期的な視点から見てもコストを抑えられるのは大きな魅力といえます。
まとめて配信することもできるため人的コストも抑えられつつ、多くの見込み顧客と信頼関係を築くことができます。
②コストパフォーマンスが高い
メールマーケティングでは、自社技術や商品にすでに興味を持っている顧客を対象にメールを配信するため、高い反応が期待できる傾向にあります。低コストで高い効果を得られるというコストパフォーマンスの高さも大きなメリットです。
また従来のアウトバウンド営業と比べると、効果を検証できるため修正もしやすいため、その点も含めてコストパフォーマンスが高いといえます。
③効果測定がしやすい
メールマーケティングは効果測定がしやすいというメリットもあります。
「メール開封率」「クリック率」「受注率」など、取得した情報を収集・分析して、顧客の反応を数値でダイレクトに確認することが可能です。分析結果をもとに改善していけば、さらに効果の高いアプローチを継続的に行っていくことができます。
④休眠顧客にアプローチできる
メールマーケティングを導入することで、「名刺を交換した後放置してしまっている」「顧客情報を獲得したものの継続的にアプローチできていない」「過去取引はあるものの現在疎遠になってしまっている」などの、休眠顧客へアプローチできるというメリットもあります。
定期的に自社の存在を知らせることで、継続的に訪問するほど関係性が構築できていない顧客や、放置したままの顧客と接点を持ち続けることができます。
⑤リアクティブを検知できる
リアクティブを検知できるという点も、メールマーケティングを行う大きなメリットといえます。
「リアクティブ」とは、一度接点を持ったとしても、すぐに購入に至るわけではなく、情報収集を続ける中で何かしらがきっかけに突然アクティブになって購入に至ることを意味します。合理的な判断が下されるBtoB企業の購買フローにおいて重要なポイントとなる動きです。
メールマーケティングではリアクティブを検知できるため、顧客が行動を起こそうとする、もしくは起こした機会を逃さず、顧客にとって最適なタイミングでアプローチすることができます。このタイミングでのアプローチで話が商談へと前進することも多いです。
デメリット
主なデメリットは以下の2つです。
①コンテンツ更新のための情報収集が必要
メールマーケティングで高い効果を得るには、定期的にコンテンツを更新して、継続的なアプローチを行うことが重要です。
顧客の興味を引く魅力的なコンテンツを用意しておく必要があるため、常に情報収集を行わなければいけないという側面があります。
②分析にかかる負担が大きい
メールマーケティングは、顧客のニーズに合わせたコンテンツを配信する必要があります。そのため、「顧客のニーズの把握」「開封率やクリック率」「メール配信後の反応」などの情報を収集した後、そのデータを元にした分析が欠かせません。
セグメンテーションを詳細に行うことができる分、確認すべき数値が多くなるため、分析にかかる時間や手間は増え、負担は重くなる傾向にあります。しかし、正確に分析することでより高い効果が期待できます。
製造業で活用すべきメールマーケティングの種類
製造業で活用すべきメールマーケティングの種類について、4つ紹介します。
メルマガ
メルマガ(メールマガジンの略)は、顧客に対して同じ内容のメールを定期的、または不定期で一斉に配信する方法です。メールマーケティングの種類として最もよく知られている手法といえます。
メルマガはコストや手間を抑えつつも、見込み顧客や既存顧客との接点を持ち続けることができるというメリットがあります。
ただし、それぞれの顧客の課題に寄り添った内容ではなく、全ての顧客に同じ内容を配信するため訴求効果が弱く、開封率やリンクのクリック率も伸びづらい傾向にあります。
ステップメール
ステップメールは、資料ダウンロードやウェビナー参加などの行動をとった顧客に対し、設定しておいたスケジュールに沿ってメールを配信する手法です。
見込み顧客の検討フェーズに合わせて、興味・関心をステップごとに引き上げることを目的としています。例えば、資料請求のアクションを行った顧客に対してお礼のメールを送り、それから数日後に次のメールを送る、などの方法があります。
シナリオの作成や配信タイミングの設定など、準備に手間と時間がかかるという側面がありますが、行動を起こしたばかりの顧客は興味関心が高まっているケースが多いため、次の行動に導きやすく、効果が感じられやすい手法です。
ターゲティングメール
ターゲティングメールとは、メールの内容を考慮した上で、マッチしそうな特定のセグメントや層に限定してメールを配信する手法です。
企業規模や業種などの情報をもとに顧客のセグメント分析を行い、あらかじめリスト化した上で、配信対象やメールの内容をパーソナライズして配信します。より興味・関心がマッチする特定層に届けられるため、高い反応や効果が期待できます。
リターゲティングメール
リターゲティングメールとは、Webサイトへのアクセスやメール開封、資料ダウンロード、イベント・ウェビナーへの参加などの、リードの行動をもとにメールを配信する手法です。
商品やサービスに対して強い興味関心を抱く見込み顧客に向けて、最適なタイミングでメールを配信できるという特徴があり、高い反応が見込めます。
また解約ページを閲覧した顧客がいた際には、メールで営業担当者へと通知し、該当顧客へのフォローアップを促すという利用方法もあります。
BtoB製造業でのメールマーケティングで解決できる課題
BtoB製造業にてメールマーケティングを取り入れることで、どのような課題が解決できるのでしょうか?主な4つの課題について解説します。
①エンゲージメントが弱い
エンゲージメントとは、「企業と顧客の間の信頼関係」を指します。自社のリピーターになってもらうためにはエンゲージメントの強化が非常に重要であり、メールマーケティングを行うことでこの課題を解決することができます。
まだ取引がない見込み顧客に対しては、課題解決に役立つような情報を届けることで自社に対してプラスのイメージを持ってもらうことを目的とし、既存顧客に対しては、商品購入後にフォローメールを送ることで、より強固な関係構築やリピーター獲得を目指します。
自社ファンのさらに次の段階が「アンバサダー」であり、自社製品のファンの中でも、口コミなどで知人に自社製品を自ら拡散してくれる顧客を指します。エンゲージメントを強化できれば、アンバサダーの育成にもつながります。
②リソース不足で営業が十分に追客を行えない
営業部門が見込み顧客を追客していくうえで課題となりがちなのがリソース不足ですが、人員的に全ての見込み顧客を追客するのが難しい場合でも、メールマーケティングが役立ちます。
放置してしまいがちな見込み顧客に対して、メールで接点を継続的に持ち続けることは非常に重要です。
見込み顧客を「メールナーチャリング」によって育成していき、ある程度温度感の高い段階まで到達したら、営業へパスするという仕組みを整えることで課題を解決し、業務効率化を実現できます。
③顧客に対してアプローチする最適なタイミングがわからない
「MA(マーケティングオートメーション)ツール」を活用したメールマーケティングを導入すれば、「顧客がもっとも興味・関心のある最適なタイミングがわからない」という課題も解決できます。
「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化し自動化するツール」であるMAツールを使ってメールを配信することで、送ったメールの開封率や本文に記載したURLのクリック率、その後の閲覧ページの傾向などを計測することができます。
リアルタイムで顧客の行動を把握できるため、興味関心が高まったタイミングを逃すことなく、温度感が下がってしまう前にアプローチすることが可能となり、効果的に業務を進めていけます。
④見込み顧客の検討度合いが低く商談につながらない
見込み顧客が多くいるものの「自社商品購入への検討度が低く、商談まで辿りつかないという課題」も、メールマーケティングで解決へつなげることができます。
そのためには、メールマーケティングを通してナーチャリングを行うことで顧客をフォローする取り組みが必要です。アプローチし続けることで「興味をもっている」という状態から「商品の購入を検討する」、そして「商談成立」まで検討度合いを上げていきます。
その際に活用をおすすめするのが、先述したステップメールとセグメントメールです。
メールマーケティングに必要なツール
メールマーケティングを行う際は、大量のユーザーにメールを配信し、且つそれを管理するツールが必要となります。
本章ではメールマーケティングに必要なツールとそれぞれの特長を紹介します。
必要な機能とは?
メール配信に使用するツールを選ぶ基準である「必要な機能」について解説します。
グルーピング機能
「グルーピング機能」は、分類した条件に当てはまる顧客をグループとして一括にまとめ、メール配信先として設定できる機能です。メルマガ、ステップメール、セグメントメールを送る際に役立ちます。
たとえば、「自社商品Aを一度購入したことがある顧客」「〜業の営業担当者」など、条件やステータスごとに分類したグループに同様のメールを配信できるため、より顧客の興味関心に近いコンテンツのメールを効率的に配信することができます。
開封率・クリック率の測定機能
「開封率・クリック率の測定機能」は、配信したメールの開封率や、本文に記載したURLのクリック率などを測る機能です。
本機能があれば、顧客がメールに反応しているかどうかをチェックできるため、メールの内容やタイトルが効果的だったかどうかを判断できます。高い効果が得られなかった場合は、改善することで、より有用な取り組みにつなげられるでしょう。
また、同じグループのユーザーにAとBという異なった内容のメールを送り、反応率が良い方のメールを採用する「A/Bテスト」という施策があり、これを行う際にもこの開封率やクリック率を見て判断します。ツールの中にはこのA/Bテストを自動で行うものもあります。
HTMLメール作成機能
「HTMLメール作成機能」で作成されたメールは、文字だけのテキストメールに比べ、文字の色や大きさの指定、画像や動画の挿入など自由な表現をすることができます。
テキストメールだと開封率やクリック率の計測ができませんが、HTML形式でメールを作成することで効果測定も行えるようになります。
分析機能がついているツールはHTMLメールの作成ができる場合がほとんどですが、操作方法はツールによって様々です。専門的な知識がない人でもHTMLメールを簡単に作成できるツールもあるため、初心者の方は選定の際にチェックしておくと良いでしょう。
ツールの種類と特長
メールマーケティングに必要なツールとそれぞれの特徴について紹介します。
メール配信ツール
メール配信ツールはメールを自動で配信するツールです。
比較的価格が低いものが多く、費用を抑えて始められるうえ、費用対効果も高いといわれています。
MAツール
メール配信ツールはメール配信のみに特化したツールですが、多くのMAツール(マーケティングオートメーションツール)にもメール配信機能がついています。
MAツールでメール配信を行うと、Cookie情報をもとにして、メール開封やURLクリック、その先の顧客行動まで把握できるというメリットがあります。
BtoB製造業でメールマーケティングを成功させるコツ
BtoB製造業でメールマーケティングを成功させるために、押さえておきたい主な5つのポイントを紹介します。
商習慣を理解する
メールマーケティングを成功させるためには、商習慣を理解した上でメール配信のタイミングや内容を考慮する必要があります。
たとえば、BtoB企業において多くの担当者が平日出社後や昼休憩前後の時間帯にメールを確認するといわれているため、この時間帯を狙ってメールを配信することで、開封率やクリック率の向上が図れます。
また、決算期が近づくと年度予算の消化を狙って情報収集が盛んになるというような商習慣も大切です。このような商習慣に応じて、来期以降の導入検討に関するアンケートで最新の成約確度を確かめる、もしくは短納期できる商品を案内して売上獲得を図るなどの施策を打つことで、メールマーケティングをより効果的に実施できます。
また、取引がない期間に担当者が変更している場合があるため、何度かメールの不達が確認された場合は後任の担当者を確認することも、継続的に接点を持つために大切です。
部門間で協力し合う
部門間で協力し合うという点も、メールマーケティングを成功させるために重要なポイントです。
「メールの配信コンテンツ」「営業への問い合わせ内容」などの情報を、マーケティングと営業、カスタマーサービス部門の垣根を越えてシェアすることで、顧客からのアクションがあった際に各部門でスムーズな対応が可能となり、商談へとつながる可能性が高まります。また、適切な対応は自社に対する信頼度の向上にも影響するでしょう。
ナーチャリングを専任する「インサイドセールス」の設置が最も理想的であり、設置して受注確度の高い顧客のみを営業へパスできれば、より効率的なメールマーケティングを実現できます。
マルチパートメールを活用する
BtoBのメールマーケティングでは、マルチパートメールを活用することでより成功率を高められます。
マルチパートメールとは、HTML形式とテキスト形式を同時に配信できるメールを指します。HTML形式のメールを受け付けていない企業にもメールを届けられるため、企業の受信体制に影響されずに情報をきちんと届けることができ、メールの不達を防ぐことも可能です。
メールに挿入された画像の表示回数によって開封率の効果測定が行われるため、文章のみのテキスト形式はメールマーケティングに不向きとされていますが、メールを通じて生まれるチャンスを逃さないためにも、マルチパートメールの活用をおすすめします。
スマホでの閲覧も想定したレイアウトを施す
スマホからの閲覧を想定したレイアウトも大切です。
現在ではビジネスシーンでのスマホ利用が普及しており、待機中や移動先でメールチェックするシーンも増えているため、スマホからでも読みやすいメールコンテンツを配信する必要があります。
たとえば、スマホ・パソコンどちらからでも見やすいレイアウトにするため、一行の文字数に気をつけたり、できるだけデータサイズを軽くしたりするなどの工夫を施すことをおすすめします。
また前述のマルチパートメールを利用する場合は、スマホでの閲覧が可能かどうかをあらかじめ確認しておきましょう。読みやすいメールを配信すれば、信頼度や顧客満足度の向上、途中離脱の防止などが期待できます。
配信リストの量と質を確保する
メールマーケティングを成功させるためには、配信リストの量と質の確保も必要になります。
配信リストの量が確保できていない場合は、名刺交換・セミナー開催・自社のWebサイト・広告・SNSなどの方法で、少しでも増やしていくことが大切です。
また質が低いと効果測定の精度が下がり、メールマーケティング全体に悪影響を与える可能性があります。担当者の異動によるアドレスの変更や消去があった場合、もしくはメールの不達を検出した場合は、該当アドレスを除外して、新しい担当者やメールアドレスを確認するなど、質を高く保てるようにしましょう。
メールマーケティングのKPI・KGI
メールマーケティングを行う上で重要な指標となるのが「KPI」及び「KGI」です。それぞれ詳しく解説します。
①KPI・KGIとは
KGI(Key Goal Indicatorの略)は「経営目標達成指標」とも呼ばれ、企業の経営戦略やビジネス戦略を達成するために「何をもって成果(ゴール)とみなすのかを定める指標」を指します。
KPI(Key Performance Indicatorの略)は「重要業績評価指標」と訳され、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標を指します。KGIは「目標達成の結果」を確認する指標ですが、KPIはKGIに至る過程・中間指標です。
KPI・KGIを設定する際は、達成できたかどうかが明確に判断できるような具体的な数値を併せて設定する必要があります。KPI・KGIを設定することで、効果測定がしやすくなり、PDCA(Plan Do Check Act)サイクルを回す際により正確且つスムーズな運用を実現します。
②KGI例
KGIで設定する数値について、具体例を紹介します。
「売り上げ」を指標とする場合は、配信したメール経由での売り上げの数値を設定します。「コンバージョン数」は、メールの閲覧者が、会員登録や資料請求、商品の購入やお問い合わせ、メールの購読など企業の望む行動を起こした数値です。配信したメール経由でのコンバージョンを具体的な数値として設定することもあります。
どのようなKGIを設定するにしても、目標設定で大切なのはあくまで実現可能なレベルに設定することです。そして、この実現可能なレベルを設定するためには、現状の数値や費用対効果などを把握していなければなりません。
③KPI例
KPIで設定する指標には「到達率」「開封率」「クリック率」「コンバージョン率」があります。それぞれ見ていきましょう。
到達率
到達率は顧客にメールが届いているかを把握するための数値です。
配信していてもメールエラーで届いていなかったり、迷惑メールフォルダに分類されてしまったりして、顧客の目に入らなかったら意味がありません。「メール到達率=配信したメール総数-(受信エラー+迷惑メール)」で算出することができます。
開封率
開封率は、配信したメールのうち開封されたメールの割合を表します。
「開封率=開封数÷総配信数(×100)」で算出することが可能です。開封率が悪い場合には、メールの件名や送るターゲットの属性などを工夫する必要があります。
クリック率
メールに記載したURLがクリックされた割合を表すのがクリック率です。
メール配信から顧客が何かしらのアクションをする際はリンクからWebサイトに飛ぶ必要があるので、クリック率も重要な指標とされています。クリック率は「クリック数÷総配信数(×100)」で算出可能です。
コンバージョン率
コンバージョン率は、総配信数に対してお問い合わせなどのアクションがあった割合を指します。
配信したメールが最適だったかどうかの判断基準として活用できます。「コンバージョン率=コンバージョン数÷総配信数(×100)」で算出可能です。
④KPI・KGIを設定する
では、実際にKPIとKGIを設定してみましょう。
まず、最終目標であるKGIを先に設定します。たとえば、「メール経由での製品Aのお問い合わせを月10件まで増やす」と設定した場合は、過去のメール配信から算出できる、現状のさまざまな数値を洗い出します。
《例》
- メール到達率:80%
- 開封率:20%
- クリック率:10%
- CV率:2%
この例をもとに、お問い合わせ10件というKGIを達成するために、逆算してKPIを達成します。つまり「ひと月のお問い合わせ10件」を達成するためには、以下が必要です。
- 総配信数:3万1,250件
- 到達数:2万5,000件
- 開封数:5,000件
- クリック数:500件
これをKPIとして設定し、KGIが達成できているかの指標とします。
製造業で効果的なメールコンテンツ
製造業で効果的なメールコンテンツについて紹介します。配信すべき内容はビジネスモデルによって異なり、「高単価・案件獲得型」「低単価・案件獲得型」「低単価・既存顧客リピート型」に分けることができます。
本章ではそれぞれの型と、それに合ったメールコンテンツを紹介します。
高単価・案件獲得型
「高単価・案件獲得型」は商材の単価が20万円以上となるような、設備投資の商談成立への取り組みを要する企業を指します。
常に新規案件を獲得することが重要なので、定期的な情報発信を行い、顧客の検討アクションの把握を逃さず、最適なタイミングで営業へパスする必要があります。
この場合のメールコンテンツとしては、潜在層には「基礎知識」「ノウハウ」「業界動向」などのコンテンツを、顕在層には「事例インタビュー」や「技術情報」などのコンテンツを提供します。
また商談に向け、段階的に見込み顧客とコミュニケーションを取って関係性を構築できるように、例えば「基礎知識→カタログ→品質情報→価格情報」と徐々にステップアップしてもらうようなコンテンツを発信することも大切です。クリック情報をもとに、顧客の温度感を確認しておくと良いでしょう。
業界動向
鉄板の内容ともいえる業界動向の発信では、「業界大手の最新動向」「業界の最新製品」「業界に影響がありそうな法改正や時事ニュース」などの情報を発信します。
メール構成としては「見出し・要約・情報の出典先(URL)」を記載した上で、自社の見解を添えて独自性をアピールすることで、より価値を感じてもらえる上、ファンの育成にもつながります。
セミナー・ウェビナーなどの案内
近々開催する予定のセミナー・ウェビナーの案内や、自社が参加する展示会などの案内もメールコンテンツとして一般的です。段階的に見込み顧客の温度感を上げることに成功し、関係構築が進んだ顧客や、ステップが上がってきた顧客に配信すると良いでしょう。
具体的には「セミナーやウェビナーの内容・開催日時・参加方法・申込サイトのURL」
を明記します。開催後はセミナーや展示会の様子のレポートや、収集したアンケート結果などを配信することで、不参加だった見込み顧客の興味関心を刺激できるという効果もあります。
低単価・案件獲得型
「低単価・案件獲得型」は、主な商材単価が20万円未満で、カスタマイズ品が中心の企業を指します。
常に新規顧客を開拓する必要があるため、自社の技術力やノウハウ、実績などをアピールできる導入事例や成功事例をコンテンツとしてまとめ、配信することをおすすめします。
定期的に情報発信するためにも、自社のノウハウや技術力に関する内容を記事化しておくなど、常にコンテンツを用意しておくことが大切です。より検討の度合いが高い顧客に向けて、サンプルの申し込みや工場見学、無料相談などに関する問い合わせを設置して、顧客の検討度合いを把握できるようにする必要もあります。
導入事例・成功事例
まずは自社商品を購入した顧客にインタビューを行い、導入理由や導入から運用までのプロセス、運用した結果どのような変化があったのかをまとめてコンテンツにします。
導入事例や成功事例の紹介は、非常に高い説得力を持ちます。取材やライティングが必要となるため、時間と費用はかかりますが、実際に利用する顧客の生の声は具体的な導入のイメージを与えられます。
事例インタビューをコンテンツにする場合は、ホワイトペーパーやWebサイトなどに掲載する内容を要約したものと一緒に、該当ページへのURLを掲載する構成が一般的です。事例が複数ある場合は、業種や製品の種類ごとにわけて紹介するなど工夫することで見込み顧客に興味を持ってもらいやすくなります。
低単価・既存顧客リピート型
「低単価・既存顧客リピート型」は、商材単価が比較的低く、カスタマイズが少ない既製品を主な商品とし、既存顧客からの受注や次期案件の開拓が多い企業を指します。
既存顧客からの案件をいかに取りこぼさず、継続的に獲得し続けるということが重要です。メールコンテンツでは「新商品情報」や「お得なキャンペーン情報」をはじめ、リピート受注のきっかけとなる追加購入や故障などに関する情報を提供し、検討状況を把握します。
この場合は、すでに顧客との関係性が構築されている場合が多いため、営業担当者の氏名に送信元を設定する「1to1メール」での配信も効果があります。
製品の機能・Tips紹介
既存顧客に向けて、自社製品をさらに深掘りするような活用方法やノウハウを提供する「製品の機能・Tips紹介」コンテンツも有効です。
具体的には「関連商品との連携方法」「便利な活用方法」などがあります。他にも「FAQコンテンツ」や「トラブルシューティング」などを見込み顧客でも読めるように配信すれば、新規顧客に向けて配信することもでき、具体的な活用イメージを伝えることも可能です。
BtoB製造業のメールマーケティングの事例
BtoB製造業のメールマーケティングにおいて、具体的な事例を紹介します。自社のビジネスモデルと照らし合わせて、参考にしてみてください。
株式会社キーエンス
株式会社キーエンスはマイクロスコープや三次元測定機を提供する企業です。「ものづくりの現場で今日から役に立つ情報をお届けする」をテーマにしたメルマガを配信しています。
同社では基礎知識、事例、アプリケーションなど、マーケティングコンテンツが充実しており、新製品の情報の他に、ポカミスの防止に関するコラムや技術情報をはじめ、研究開発・品質管理で役立つ商品情報や、製造工程で使用される様々な素材の源を辿る連載「素材の旅」など、独自のコンテンツを配信しているのが特徴です。
製品を活用することでどのように成果を出せるかというノウハウや、わからないことがあればすぐに検索可能な「制御機器FAQ(よくあるご質問)」など、顧客のニーズが高い情報を積極的に案内しています。
また同社は本社が配信するメルマガだけではなく、営業担当者を名義とした1to1メールの配信など、工夫した取り組みを行っています。
・参照URL: https://www.keyence.co.jp/mail/107226_1.jsp
株式会社阪井金属製作所
金属加工を行う海外調達の株式会社阪井金属製作所では、「金属加工コラム」としてメールマガジンで様々な加工事例の最新情報を紹介しています。
金属加工などを行う企業では、自社技術や保有設備をよりわかりやすくアピールすることができるため、事例紹介は非常に重要であり、同社は全ての加工事例を写真付きでわかりやすく解説しているのが特徴です。担当スタッフの声も写真付きで載せることで、より信頼してもらうことができます。
また同社では、サイズ感が伝わりやすい画像を掲載したり、製品の視認性をよくするために背景を青色にしたりするなど、顧客に伝わりやすくするための様々な工夫が施されてる点も参考になります。
「最新のお客様の声」や「編集後記(番外編)」など、顧客とより良い関係性を構築するために役立つコンテンツも配信しています。商品を紹介した際は、該当商品や関連商品のURLを記載したり、「サンプル品の請求」「製造工程の見学」といったリンクを設置したりすることで、より見込み度合いの高い顧客の行動を促すことができます。
・参照URL: https://sakaikinzoku.com/back-number2021/mail-magazine-20210517/
株式会社トクシキ
電子機器から、自動車、家具・調度品、産業資材にまで及び化学製品を製造する株式会社トクシキでは、自社の技術を解説したコラムや、新製品の紹介などを配信しています。
自社技術に関して、特徴や種類をはじめ、活用用途まで詳しく紹介するコラムを配信することで、顧客に自社ならではの特長や強みを伝えることに成功しています。機密性が高く、実際の導入事例などの公開許可を得るのが難しいケースで参考にできるでしょう。
同社はメールだけでなく、Webサイト上でも「サンプル希望」のCTAが設置されているほか、よくある質問や用語集のリンク、お問い合わせやカタログのダウンロードなど、顧客のアクションを促す導線が設定されています。
・参照URL: https://www.orizuru.co.jp/backnumber.html
株式会社ミスミグループ本社
FA・金型部品、工具・消耗品などの間接材調達品を扱うECサイトを運営するミスミグループ本社では、新製品特集や規格拡張品などの情報を写真付きでわかりやすく発信しています。
様々な部品を販売する同社は、新規案件だけでなく補修部品として追加で購入されるような商材も多いのが特徴です。また「確実短納期」「低コスト」など、顧客の知りたいトピックをすぐチェックできるようなレイアウトになっているのも参考になります。
その他にも、わかりやすいCTAの設置や、商品レビュー投稿キャンペーンの案内、アンケートの実施など、様々な工夫が施されています。
・参照URL: https://jp.misumi-ec.com/news/mailmagazine/2021/05/
まとめ
本記事ではBtoB製造業におけるメールマーケティングについて、網羅的に解説しました。
メールマーケティングは多くの見込み顧客との接点を持ち続け、高い効果を見込める手法です。大切なのは、顧客のニーズに合わせた情報を最適なタイミングで提供し、配信後の効果測定とそれに伴う分析を行い、常に改善しようと取り組むことであり、BtoB製造業で導入することで売上アップはもちろん、自社のさらなる発展も期待できます。
マーケティング活動での成果が感じられない方や、BtoB製造業での経営に伸び悩んでいる方は、本記事を参考にしていただけると幸いです。
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クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。
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2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。
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