<![CDATA[エムタメ!]]> https://mtame.jp/ Sat, 27 Apr 2024 22:08:09 +0900 Thu, 18 Apr 2024 15:00:00 +0900 CMS Blue Monkey http://blogs.law.harvard.edu/tech/rss <![CDATA[デマンドジェネレーションとは?BtoBマーケティングに欠かせない3つのプロセスを解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/demand-generation デマンドジェネレーションとは、自社製品を認知してもらい、購買意欲を高めて、商談・成約へとつなげるマーケティング手法のことです。近年、BtoB企業において、質の高い見込み顧客を獲得するために、欠かせない施策となっています。

 

デマンドジェネレーションは、単なるリードの獲得ではなく、深い顧客関係の構築を目指すプロセスです。従来のプッシュ型営業とは異なり、顧客のニーズに合わせた情報を提供するプル型の営業で、顧客自身が自社製品を必要だ、と感じてくれるよう導いていきます。

 

本記事では、デマンドジェネレーションの必要性や3つのプロセスに焦点を当て、その重要性と実践方法を解説していきます。デマンドジェネレーションの基礎知識として、ぜひ参考にしてみてください。

 

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デマンドジェネレーションとは?

デマンドジェネレーションとは、見込み顧客を獲得し、接点を持ちながら購買意欲を高めて商談化へとつなげていくプロセスです。
具体的には、見込み顧客を獲得する「リードジェネレーション」、見込み顧客を育成する「リードナーチャリング」、見込み顧客を絞り込む「リードクオリフィケーション」の3つのプロセスのことをいいます。顧客の購買行動が変化し、ニーズが多様化する中で、デマンドジェネレーションが重要視されるようになっています。

 

デマンドジェネレーション

BtoB特有の購買行動

デマンドジェネレーションは、BtoBならではの特徴に適したマーケティング手法です。

即購入にはつながらない

BtoBは、見込み顧客を獲得してもすぐ購入にはつながりません。契約に結びつく「今すぐ客」はごくわずかで、ほとんどが「まだまだ」「そのうち」「おなやみ」といった、検討中や情報収集のフェーズにいる顧客ばかりです。見込み顧客をそのまま営業に渡しても、購入までには時間がかかるため、放置されてしまう可能性があります。

 

BtoB特有の購買行動

購入意思決定は組織で行う

BtoB製品は単価が高いため、窓口担当者が購入を決めるわけではなく、使用者や最終決定者など意思決定者が複数人いることがほとんどです。

 

商談で直接交渉した相手のリアクションがよくても、検討が中断したり、再開したり、購買プロセスは何度も繰り返されます。複数の部門が検討することもあるので、結論が出るまでには時間がかかります。決定者が複数人いることを念頭に置いて、それぞれのニーズを高める努力をしましょう。

なぜデマンドジェネレーションが必要なのか

デマンドジェネレーションが必要な理由は、営業スタイルの移行やニーズの多様化など、現代ビジネスの変化が関係しています。

 

かつて営業は、テレアポや飛び込み営業など「プッシュ型」が主流でした。しかし、インターネットが普及し、ユーザーが自ら情報収集するようになったことで、企業では製品情報を提供しながらコミュニケーションを行う「プル型」の営業へと移行しつつあります。

 

ユーザーは、事前に製品を比較しているため、検討の段階ではすでに候補を絞っています。そのため、検討前から製品を認知してもらう必要があるのです。

 

また、モノがあふれる現代では、市場はすでに飽和状態にあり、企業は他社との差別化が重要になっています。多様化するニーズに応えるためにも、顧客の課題に焦点を当て、解決策を提供することが求められています。自社の課題を解決してくれる企業に対して、ユーザーは信頼感を抱き、商品・サービスを購入したいと思うようになります。

 

このように、デマンドジェネレーションは単なるビジネス成長の手段ではなく、持続可能な顧客関係を構築し、企業の成功を支える土台となる重要な要素となっているのです。

デマンドジェネレーションの3つのプロセス・具体的な手法

先ほどお伝えしたとおり、デマンドジェネレーションは、以下の3つのプロセスから成り立っています。

 

①リードジェネレーション
②リードナーチャリング
③リードクオリフィケーション

 

ここからは、具体的な施策と合わせて解説していきます。

リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)

リードジェネレーションは、見込み顧客を獲得することです。デマンドジェネレーションにおける最初の重要なプロセスで、自社サイトのお問い合わせフォームや展示会などでリード情報を入手します。

 

十分にリードが獲得できなければ、その後のプロセスもうまく進みません。自社商品・サービスを認知していない潜在層から、いかに関心のある見込み顧客を獲得するのか、ターゲットに合わせた施策を実施することが重要です。

 

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代表的な手法

Webコンテンツ

オウンドメディアにブログやコラム、事例紹介などを掲載し、ターゲットに価値ある情報を届けることでファンになってもらい、最終的なコンバージョンを目指します。

 

Webコンテンツの中でも、圧倒的に多いのがブログ記事や知識系・ノウハウ系の記事です。自社に蓄積している技術情報を解説したり、新製品やスタッフ紹介など企業情報を掲載したり、社内で制作しやすいコンテンツからスタートできます。

 

お役立ち資料などを提供するホワイトペーパーを作成して、Web上で公開するのも人気の施策です。製品資料やアンケート結果など、すでに社内で作成した情報を活用すれば、手軽にコンテンツ化できます。事実にもとづいたデータのため、ユーザーからの信頼度も高く、ブログと違って一度に密度の高い情報を提供できる点がメリットです。

 

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Web広告

自社のコーポレートサイトやサービスサイトに訪れてもらうため、ターゲット層に向けたWeb広告を出稿して、流入数を増やす手法です。

 

流入数を向上させるため、SEOに取り組む企業も多いですが、成果が出るまでには時間がかかり、確実に増やせるわけでもありません。そのため、短期間でアクセスが増やせるWeb広告を併用する企業が増えています。

 

GoogleやYahoo! JAPANといった大手サイトへの「バナー広告」や、検索キーワードに関連した広告を掲載する「リスティング広告」が主流ですが、最近ではInstagramやXなどSNS広告の人気も高まっています。

 

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ウェビナー

ウェビナーとは、「Web+セミナー」の造語で、セミナーをWeb上で行うことです。新型コロナの拡大で2020年以降急速に普及し、いまではリアルで開催するセミナーよりも、手軽なウェビナーを行う企業が増えています。

 

オンラインセミナーとも呼ばれるウェビナーは、事前に録画した動画を流すタイプと、閲覧者からの質問に回答しながらリアルタイムで映像を流すタイプがあります。
定員が決まっている来場型のセミナーとは異なり、主催者側は会場を用意しなくても多くのユーザーに参加してもらうことができ、参加者側も会場まで移動する時間と費用を抑えられます。

 

録画タイプであれば、何度でも繰り返し視聴したり、都合のよい時間にコマ切れで利用したり、柔軟性の高い活用が可能です。

展示会

自社の製品・サービスに関連のある展示会にブースを設けて出展する方法です。ノベルティを配布して引き換えに名刺を交換したり、ブースに立ち寄ってくれた方に声掛けをしたりしてリード情報を集めます。来場者数の多い展示会では、たくさんの見込み顧客を獲得できますが、その分、確度の薄いリードも多く含まれるため、展示会後のナーチャリング活動やアプローチがとても重要になります。

 

多くのリードを獲得するには事前準備も大切です。参加目的を明確にして、コンセプト作りやブースデザインの作成など、しっかりとした準備を進めましょう。

 

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リードナーチャリング(見込み顧客の育成)

リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客を育成し、購買意欲を高めて商談・受注へとつなげるマーケティング活動のことです。
メール配信やセミナー、SNSなどの手法で有益な情報を提供することで、ユーザーの購買プロセスを進めます。新規顧客だけでなく、既存顧客と継続的な接点をもち、アップセル・クロスセルへとつなげるケースも含まれます。

 

リードナーチャリングを行う際は、ターゲットを明確にすることが重要です。誰に向けてナーチャリングを行うのか、架空のユーザー像として「ペルソナ」を設定しましょう。

 

ペルソナ作成は、名前や年齢、性別、居住地、職種、趣味などを決めて、具体的なターゲット像を設定します。さらに、どのように自社製品を認知し、購入に至るのかを可視化する「カスタマージャーニーマップ」を作成すれば、購買までの流れがイメージしやすくなり、有効的な施策が打ち出せるでしょう。

 

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代表的な手法

SNS

FacebookやInstagram、XなどSNSで企業アカウントを取得して、定期的に情報発信する方法です。SNSで情報収集するユーザーが増えている現代では、欠かせない手法となっています。

 

オウンドメディアの新着記事や新製品の情報をSNSに投稿すれば、スムーズに自社サイトへと誘導することができます。「いいね」やフォロー、コメントなどの機能を利用して、リードとコミュニケーションできるので、距離感が縮まりやすい点もメリットです。

 

ユーザーは投稿内容が気に入れば、ほかのユーザーにシェアしてくれるので、拡散による宣伝効果も期待できます。

メルマガ

メルマガ配信は、見込み顧客の興味関心や行動履歴に合わせて、有益な情報を配信することで、代表的なリードナーチャリングの手法です。リードナーチャリングにおけるメルマガとしてよく活用されるのは、「ステップメール」と「セグメントメール」です。

 

ステップメールは、ストーリー性のある複数のメールを一定のスケジュールに沿って順番に送信することです。たとえば、問い合わせをしてくれた見込み顧客に対して「お礼メール」を送り、段階を踏みながら「製品情報」「活用方法」を配信して、効率よく商談へとつなげます。

 

そしてセグメントメールとは、リードを特定の条件で分類してメールを送る手法です。「セミナーを申し込んだ」「資料をダウンロードした」など、リードのリアクションに合わせて関連する情報をメールで届けます。

 

どちらもメールの頻度や配信のタイミングにルールはなく、企業側が自由に決められます。ユーザーの行動にもとづいて配信し、顧客が必要なときに必要な情報を提供できるようにしましょう。

 

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リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、一度Webサイトへ訪れたユーザーに向けて配信するWeb広告です。アクセスしてくれたユーザーにアプローチするため、自社製品に興味関心を抱いている可能性が高く、接点のないユーザーよりも高い成果が期待できます。

 

検討のためにサイトを離脱したユーザーも、リターゲティング広告を配信することで、自社製品を思い出すきっかけを作り、購入が促せます。

 

リターゲティング広告

 

自社サイトを訪れたことのない、無関心ユーザーには広告が配信されないため、費用対効果が高いといったメリットがあります。一方で、繰り返し広告を表示させると嫌悪感を抱かれてしまう可能性もあります。広告を配信する頻度や期間を決めるなど、マイナスの印象にならないような事前の設定が必要です。

 

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インサイドセールス

インサイドセールスとは、見込み顧客に対して、電話やメールを活用しながら非対面で営業活動を行う施策です。テレアポのようにアポイントを取るのではなく、見込み顧客とコミュニケーションを取り続けて、関係を構築することが大きな役割になります。

 

営業とマーケティング部門の両方の役割を担い、展示会で獲得した名刺や休眠顧客など、いままで営業が注力できていなかったリードの検討促進を実現します。

 

インサイドセールスが送る1to1メールも顧客育成に有効です。顧客1人ひとりのニーズに合ったメールを送れるので、電話では伝えきれなかった情報の補足や、セミナーやホワイトペーパーの案内なども記載できます。展示会で名刺交換をしたリードに、後日インサイドセールスからフォローメールとして、製品の資料などを送るのも、興味関心を深めるのに効果的です。

 

自分用にカスタマイズされたメールは、一斉メールよりも読んでもらえる可能性が高く、開封率やクリック率の向上も期待できるでしょう。

 

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リードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込み)

リードクオリフィケーションとは、育成した見込み顧客の中から、商談・契約できる可能性の高いリードを選ぶことです。従来の営業活動は、すべての見込み顧客に同じアプローチをしていましたが、リードの購買意欲には、ばらつきがあるため非効率になっていました。その課題を解決するために、確度の高いリードを絞り込むリードクオリフィケーションに注目が集まり、ホットリードを優先的にアプローチするようになりました。

 

リードクオリフィケーションを行うことで、効率アップはもちろん、成果につながらない商談を減らし、時間もコストも削減できます。

 

代表的な施策

スコアリング

スコアリングは、リードの行動や興味関心の度合いに応じてスコアを付加する手法です。
「資料請求ページにアクセスしたら2点」「料金表を閲覧したら3点」というように、点数が高いほど、購入意欲が高いといえます。スコアが一定の基準を満たしたホットリードを抽出して営業に渡すことで、効率よく契約へ進み、生産性の向上が期待できます。

 

リードをスコアごとに分類すれば、ニーズに合わせたアプローチが可能です。点数の低い見込み顧客は、メールやセミナーなどを通じて検討度合いを引き上げるなど、購入ステータスに適した施策が打ち出せます。

アプローチの基準を設定

どのくらいのスコアになったら営業に引き渡すのか、スコアリングにおけるアプローチの基準を明確にすることも重要です。

 

アプローチ基準は、以下の2つから判断します。

 

  • 属性…企業規模や業種、役職など
  • 行動…「ウェビナーを視聴した」「ホワイトペーパーをダウンロードした」といった興味関心を示す行動

 

属性のスコアは、意思決定権をもつ役職や、ターゲットに近い業種ほど高い点数にします。自社が求める属性を高得点に設定しておけば、数字を見るだけで優先度が判断できます。

 

「期間内に〇点以上を獲得した」「行動が〇点・属性が〇点以上を超えた」など事前にアプローチ基準を決めて、数値を超えたら抽出しましょう。
基準は、「属性」よりも興味関心がわかる「行動」の割合を多くするのがポイントです。いくら属性がターゲットに近くても、興味がなければ受注にはつながりません。

 

ただし、これらの基準を設定するのは難しいことです。業種や扱う製品によっても異なります。スコアリングを行いながら基準を見直し続けて、自社に最適な数値を探しましょう。

デマンドジェネレーションを成功させるポイント

デマンドジェネレーションを成功させるには、いくつかのポイントがあります。ここでは、4つのカテゴリーにわけて解説します。

中長期的な計画を立てる

先述したとおり、BtoB製品の購入プロセスは中長期的で、すぐに案件化する顧客はわずかです。しかし、アメリカのアドバイザリー会社であるシリウスディシジョンの有名な調査では、「営業フォローをせずに放置したリードのうち、約80%が2年以内に競合から購入・契約している」という結果が出ています。

 

即成果につながらないからといって、そのままにしておくと顧客は他社に奪われてしまいます。競合と差別化を図るためにも、必要なタイミングで自社を思い出してもらえるよう、接点を持ち続けることが重要です。

 

その際に必要なのが、「シナリオ設計」です。シナリオ設計は、ターゲットが自社製品を認知してから購入するまでのプロセスを設計することです。

 

たとえば、自社サイトで資料をダウンロードしてくれたユーザーに対して、「お礼メール→製品の紹介→成功事例」の順番で段階ごとにメールを配信するというように、具体的な行動を明確にします。ニーズに合わせたシナリオ作成ができれば、高い成果を得られるでしょう。

購入検討前から接点をもつ

顧客自ら情報収集するようになり、営業が接点をもつ段階では、すでに購入候補が決まっています。そのため、まずは購入先の候補として認識してもらわなければなりません。他社との競争が激化している中、製品を購入してもらうには、早い段階で接点を持つことが重要です。

 

たとえば、よくある課題について解決策をコラムで紹介すれば、役立つ情報を提供する会社として認知してもらえます。信頼できる企業として、商品購入時に思い出してもらえる可能性が高まるでしょう。

リードリサイクルを追客する

営業にホットリードを渡しても、すべてが受注につながるわけではありません。アプローチがうまくいかずに失注した案件は、リードリサイクルとして、再度ナーチャリングをして商談化へつなげましょう。

 

BtoC企業と比べると、BtoBはターゲット数が限られています。時間とコストをかけて新規顧客を開拓するよりも、失注や休眠顧客を掘り起こした方が効率よく、商談化する可能性も高まります。

 

リサイクルを成功させるには、失注理由や過去のやりとりを分析することが大事です。契約まで辿り着かなかったのは、導入時期が合わなかっただけかもしれません。商談回数、ニーズや決算月など情報を整理して、成約へつながるヒントがないかを分析しましょう。

MAツール導入で効率化

デマンドジェネレーションを実施すれば、マーケティング・営業活動の効率化になりますが、すべてを手動で行うと、かなりの工数がかかります。

 

そこで、MAツールを導入すれば、一連の流れを可視化でき、一斉メールやセグメントなど、定型的な業務は自動化することが可能です。
顧客の行動履歴からニーズや見込み度合いを数値化し、アプローチ方法やベストなタイミングを見極めることもできます。

 

さらに、MAツールは部署を超えて運用できるので、顧客リストの管理から商談化までを効率よく進められます。

まとめ

現代のBtoBマーケティングにおいて、デマンドジェネレーションは欠かせない戦略のひとつです。顧客のニーズに合わせた情報提供をすることで、購買意欲を高めて、効率的に商談化へと進めます。

 

ただし、デマンドジェネレーションの運用は、単純なプロセスではありません。正確なターゲットを特定したうえで、効果的なコンテンツの作成、適切なタイミングでのアプローチといった顧客との関係構築が求められます。常に変化する市場や技術の進化に合わせながら、柔軟性を持ってアプローチすることが重要です。

 

「効率的に進めたい」「何からはじめたらいいのかわからない」という方は、MAツールの導入がおすすめです。見込み顧客のリスト化やメールの一斉配信、スコアリングなどを自動化し、施策をサポートしてくれます。
顧客との信頼関係を築き、市場での競争力を高めるためにも、自社に合った運用方法を探して、デマンドジェネレーションに取り組んでいきましょう。


※MAの要点だけを抑えたい方はこちらもおすすめです!

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Thu, 18 Apr 2024 15:00:00 +0900
<![CDATA[コンテンツマーケティングで成果を出すためのKPIとは?設定の5ステップやおすすめの分析ツールをご紹介]]> https://mtame.jp/content_marketing/contents-kpi コンテンツマーケティングのKPIとは、コンテンツマーケティングの目標や成果を達成するための、中間指標のことです。

 

コンテンツマーケティングを実施するとなると、数あるKPIから何を設定するべきかわからない、設定してみたけどいまひとつ成果を実感できない、といったお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。実際に、コミュニケーション設計がうまくできず、アクセス数やコンバージョンをとりあえず設定しているケースも多いかもしれません。

 

本記事では、コンテンツマーケティングにおいてKPIを設定する重要性や、設定の5ステップ、設定すべきKPIと初めての方にもおすすめのツールについて解説します。

 

 

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コンテンツマーケティングで設定すべきKPIとは

コンテンツマーケティングをおこなう大きな目標としては、

 

  • 顧客のエンゲージメント向上
  • リードジェネレーション(顧客獲得)
  • リードナーチャリング(顧客の育成)や関係の構築
  • ブランドの認知拡大

 

などがあり、これらはビジネス上の大きな目標、すなわち後にも説明するKGIです。

 

KPIは、これらの大枠の目的に対して、コンテンツマーケティングが正しく機能するように設定する中間目標のことです。

 

コンテンツマーケティングにおけるKPIの重要性とは、最終的に達成したい目標に対して、コンテンツの質や内容の良し悪しや、コンテンツマーケティング施策が正しく機能しているかを常に監視することにあります。そのため、コンテンツマーケティングのKPI設定で重要になるのは、この最終目標を見失わず、目的意識を明確にしたうえで運用していくことです。

 

またKPIは、最終目標(KGI)に対して複数設定することが一般的です。ただし、KPIの数が多すぎると管理しきれなくなったり、逆に数が少なくて判断材料にならなくなったり、といったことは少なくありません。そのため、本当に必要かつ実際に検証できるKPIを、チームにとって過不足なく設定するスキルが必要になります。

コンテンツマーケティングとは

ひとえにコンテンツマーケティングと言われても、どこからどこまでがコンテンツマーケティングにあたるのだろう、と疑問に感じる方もいるかもしれません。

 

コンテンツマーケティングとは、潜在ユーザーが求めていることを先回りして情報発信することで、見込客を獲得するマーケティング活動です。見込み客が興味をもって自発的にアクションを起こすまでは、企業側からは売り込みをしない、インバウンドマーケティングのひとつでもあります。

 

具体的には、カタログやクーポンなど直接的に売上にるながるものを配布するのではなく、製品の使い方動画や製品の選び方ガイドブックといった「潜在ユーザーにとって有益なコンテンツ」を提供するのがコンテンツマーケティングの考え方です。

 

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KPIとは

KPIは、Key Performance Indicators(キー・パフォーマンス・インジケーター)の略称で、日本語訳すると「重要業績評価指標」になります。簡単にいえば、全体の目標に対する「中間目標」の意味です。

 

KPIは、マーケティング施策が成果達成に向かって正しく機能しているかを、途中、途中のポイントで定量的に評価するうえで使います。最終目標に対して、中間目標はひとつである必要はなく、通常複数設定して効果を測定します。

 

KPIを設定しておくことで改善点を早期発見でき、軌道修正するのにも役立ちます。KPIの設定の仕方としては、カスタマージャーニーやフロー図を作成します。

 

ここからはKPIに関連する指標、KGI・OKR・KSFについても解説します。たとえばマーケティングにおけるKPIは、特定のキャンペーンや施策のパフォーマンスを測定するための指標で、たとえばサイト訪問者数、コンバージョン率、CTR(クリック率)、CVR(変換率)などです。

 

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KGI

KGIとは、Key Goal Indicator(キー・ゴール・インジケーター)の略称で、「経営目標達成指標」の意味で、つまりはマーケティング施策におけるゴールや最終目標のことです。KPIが施策における具体的な指標であるのに対して、KGIはビジネスの大きな目標といえます。

 

コンテンツマーケティングのKGIとしてよく設定されるものとしては、新規リードの獲得や売上高の増加、市場シェアの拡大などです。このKGIに辿り着くまでの途中経過にKPIを設定して評価することで、コンテンツマーケティング活動がKGIに対してどれだけ到達しているかを数値化し、把握できるようになります。

 

マーケティングにおけるKGIの例としては、売上目標や利益目標、市場シェアの拡大、顧客獲得数の増加などがよく設定されます。

OKR

OKRは「Objectives and Key Results(オブジェクティブズ・アンド・キーリザルツ)」=「目標と主要な成果」を意味し、現時点ではややむずかしい目標を掲げるのが特徴です。またObjectivesは定性的な目標ですが、これを定量的な目標であるKey Resultsに分解して計測できるよう設定する必要があります。

 

OKRは、必ず達成すべき指標としてのKPI・KGIとは少し異なり、ワンランク上の目標を掲げるのが一般的です。ビジネス全体の飛躍を見越し、チャレンジングな課題を掲げることで組織全体を鼓舞する目的で、難易度の高い目標を設定するため、実際の目標の実現度としては50?70%程度ともいわれます。

 

マーケティングにおける目標(Objectives)に、たとえば「特定のキャンペーンで新規獲得数を増やすこと」を設定した場合、キーリザルト(Key Results)は、「新規顧客数の月間平均を20%増加させる」といった具体的な成果を設定します。

KSF

KSFは「Key Success Factor(キー・サクセス・ファクター)」の略で、事業やビジネスを成功させるうえで鍵となる要因を意味します。直訳では「重要成功要因」となります。

 

マーケティングにおけるKSFは、たとえばターゲット市場の理解、競合分析と自社の提供できる価値、顧客体験の向上などです。ビジネスの目的や事業設計によって重視されるKSFは異なり、KSFにともなってKPIの指標も変わってきます。

コンテンツマーケティングのKPIを設定する5ステップ

コンテンツマーケティングのイメージから、KPIをなんとなくアクセス数や検索流入数などに設定してしまうことも多いかもしれません。ここでは、コンテンツマーケティングにおいて本当に成果の出るKPI設定方法を、5つのステップに分けて解説します。

1.コンテンツマーケティングの目的設定をする

KPIを設定する大前提として、まずはコンテンツマーケティングの目的が正しく、明確に設定されているかを見直しましょう。コンテンツマーケティングの目的をしっかりと定めておくことで、この5ステップのなかで、どのコンテンツをどのような目的で運用していくか明らかにしていくことができます。

 

KPIは、コンテンツマーケティングが最終目標を正しく果たせているかを確認するために設定する中間指標です。つまり、最終的な目標=コンテンツマーケティングをおこなうそもそもの目的が明確でないのに適切なKPIを設定することはできないため、目的が曖昧なまま、メジャーな指標をなんとなくKPIにしているというケースも少なくありません。

 

以下はコンテンツマーケティングの目的設定の一例です。

 

コンテンツマーケティングの目的 定性的な目標 定量的な目標
ウェビナーを活用したリード獲得と製品サイトへの誘導g 業界内でのリーダーシップの確立 企業認知度調査で業界トップ3入りを達成するウェビナー参加者数を前年比50%増加させる
動画コンテンツを通した定期的な情報発信 顧客の問題解決やニーズへの対応を強調し、顧客満足度を向上させる 新規ユーザー獲得数を月間100人以上増加させる
メルマガで提供するお役立ち記事で信頼関係を築く ブランドの専門性と信頼性を高める メルマガのキャンペーンによってリード数を週間で10%増加させる

2.コンテンツを種類ごとに分ける

次は、自社の保有しているコンテンツ、またこれから作成するコンテンツについて、種類分けをおこない、どのような役割があるかをあてはめて一覧を作ります。これを可視化した状態で、社内で共有することが大切です。

 

コンテンツの種類 役割 流入経路
ブログ記事 情報提供
SEO強化
ブランディング
検索エンジン、SNSシェア、メール配信
インフォグラフィック 視覚的情報提供
シェア促進
ソーシャルメディア、Webサイト、ブログ記事内
ホワイトペーパー 専門知識の提供
リード獲得
メールキャンペーン、Webサイト、SNS広告
成功事例 導入をイメージしやすい
信頼度向上
Webサイト、営業活動、メールニュースレター
ウェビナー 専門知識の提供
リード獲得
Webサイト、SNS広告、メールマーケティング
動画コンテンツ 顧客視点の向上
ブランド認知促進
YouTube、ソーシャルメディア、Webサイト
イベントレポート イベントの情報提供
興味喚起
Webサイト、SNSシェア、メール配信
FAQページ よくある質問の解答
ユーザーサポート
Webサイト、検索エンジン、SNS広告

3.コンテンツと顧客のステージを一致させる

コンテンツの一覧ができあがったら、それぞれのコンテンツが、どのステージにいる顧客にとって最適か照らし合わせていきます。

 

コンテンツの種類 役割 ターゲット ターゲットのフェーズ 流入経路
ブログ記事 情報提供
SEO強化
ブランディング
オーガニック検索、ウェブサイト訪問者 認知 検索エンジン、SNSシェア、メール配信
インフォグラフィック 視覚的情報提供
シェア促進
ソーシャルメディア利用者、ウェブサイト訪問者 認知 ソーシャルメディア、ウェブサイト、ブログ記事内
ホワイトペーパー 専門知識の提供
リード獲得
潜在顧客、業界専門家 関心 メールキャンペーン、ウェブサイト、SNS広告
成功事例 導入をイメージしやすい
信頼度向上
潜在顧客、既存顧客 関心 ウェブサイト、営業活動、メールニュースレター
ウェビナー 専門知識の提供
リード獲得
潜在顧客、業界専門家 関心 ウェブサイト、SNS広告、メールマーケティング
動画コンテンツ 視聴体験の提供
ブランド認知促進
オンライン動画利用者、ソーシャルメディア利用者 認知 YouTube、ソーシャルメディア、ウェブサイト
イベントレポート イベントの情報提供
興味喚起
イベント参加者、業界関係者 認知 ウェブサイト、SNSシェア、メール配信
FAQページ よくある質問の解答
ユーザーサポート
ウェブサイト訪問者、顧客 関心 ウェブサイト、検索エンジン、SNS広告

 

顧客が受注や契約に至るまでは、認知・興味関心・比較検討・問い合わせ・商談・契約…といったステージ、つまり顧客フェーズが存在します。一覧にしたコンテンツを、顧客フェーズのファネルに対応させてみることで、コンテンツの役割を整理することができます。

 

基本的には、コンテンツを通してユーザーがどのように導線をたどるのかを想定して設計しましょう。たとえば、SNSを通じたコンテンツマーケティングの場合、集客やブランド認知の面では「フォロワー数やいいね数」は代表的なKPIとして設定されますが、ユーザーとの関係性を深められているかを測るには「投稿のリーチやエンゲージメント率」、リードやコンバージョンを増やしたい場合には「SNSからWebサイトへのトラフィック量」といったKPIがより有用です。

4.必要な指標とそれぞれの優先順位を決める

コンテンツの種類と役割、自社のコンテンツマーケティングにおいて必要な指標があきらかになったら、それぞれのコンテンツの優先順位を設定していきましょう。

 

さきほど出した一覧から、自社のコンテンツマーケティングで優先すべきコンテンツと、自社のコンテンツに必要なKPIを設定していきます。

 

コンテンツの種類 目的 優先順位
ブログ記事 情報提供
SEO強化
ブランディング
インフォグラフィック 視覚的情報提供
シェア促進
ホワイトペーパー 専門知識の提供
リード獲得
成功事例 成功事例の紹介
信頼度向上
ウェビナー 専門知識の提供
リード獲得
動画コンテンツ 視聴体験の提供
ブランド認知促進
イベントレポート イベントの情報提供
興味喚起
FAQページ よくある質問の解答
ユーザーサポート

5.顧客フェーズごとに運用可能なKPIを設定する

コンテンツの優先順位が決まったら、最後は自社で運用可能なKPIを決定していきましょう。

 

KPIを決めるには、集計方法が明らかで、かつ適切な数の指標を選択し、過不足なく設定します。また優先度の高い指標の順に、自社内の体制やシステムで適切に集計できるか確認し、できない場合はツールを導入したり、外注したり、もしくは代わりの指標を用いたりと選択肢を検討する必要があります。

 

さらに指標を決めたら、どのような頻度で数値の測定や分析をおこなうかをスケジューリングしておくと、スムーズに運用にすすめるはずです。

 

コンテンツの種類 目的 優先順位 自社で運用可能なKPI
ブログ記事 情報提供
SEO強化
ブランディング
月間PV数、CTR、コンバージョン率
インフォグラフィック 視覚的情報提供
シェア促進
シェア数、CTR、ウェブサイトへのリンククリック数
ホワイトペーパー 専門知識の提供
リード獲得
ダウンロード数、リード数、コンバージョン率
成功事例 成功事例の紹介
信頼度向上
ダウンロード数、閲覧数、コンバージョン率
ウェビナー 専門知識の提供
リード獲得
参加者数、視聴率、リード数
動画コンテンツ 視聴体験の提供
ブランド認知促進
視聴回数、シェア数、コンバージョン率
イベントレポート イベントの情報提供
興味喚起
閲覧数、ダウンロード数、コンバージョン率
FAQページ よくある質問の解答
ユーザーサポート
ページビュー数、ユーザーエンゲージメント、問い合わせ数

フェーズごとのコンテンツマーケティングKPI一覧

ここまではコンテンツマーケティングのKPIと、その設定方法について解説してきました。ここでは、顧客のフェーズごとに具体的にどのようなKPIを設定するとよいか、一覧でご紹介します。

初期タッチポイントにおけるKPI

見込客との初期接触において、適切なKPIを設定しておくことで、コンテンツマーケティング戦略の効果を評価するのに役立ちます。たとえば自社のオウンドメディアやブログ運営において、訪問者数を測定することは必須となりますが、実はそれ以外にも着目すべき指標は多くあるのです。

訪問者数(ユニークユーザー数)/セッション数/ページビュー数(PV)

ユニークユーザー数(UU)は、Webサイトに訪問したユーザーの人数をあらわす指標のことです。一定期間内に、同じユーザーが何度も訪れた場合でも、そのユーザーは1つのユニークユーザーとして、ブラウザ単位でCookieを付与しカウントされます。

 

セッションは、Webサイトが訪問された回数をあらわす言葉。ユニークユーザーが訪問者の数を示すのに対して、セッションは訪問や活動の単位をあらわします。一定期間(通常30分?1時間)が経過するか、ユーザーがサイトを離れた時点でセッションが終了します。

 

ページビュー数(PV)は、特定のページが表示された回数をあらわします。特定のページが何回閲覧されたかを確認できるため、コンテンツのパフォーマンスを評価するのにも役立ちます。

 

たとえば、あるユーザーAが1つのセッションでWebサイトに訪れ、そのセッション中に5つのページを閲覧した場合は、ユニークユーザー数は「1」、セッション数「1」、ページビュー数は「5」です。

 

これらの指標は、単純に集客がどのくらいできているか、コンテンツにどのくらいの関心が集まっているかを判断する際に活用します。

離脱率/直帰率

直帰率は、Webサイトにおとずれたユーザーが、ある特定の1ページだけを見てほかのページにはアクセスしないままWebサイトから離れた割合のことを指します。

 

離脱率とは、ユーザーが最後に見たページであった割合のことです。たとえばユーザーが、サイト内のページA→ページB→ページCを順に見てから離れた場合、「ページC」で離脱した割合のことを指します。

 

ただし、「ページC」だけを見て直帰するユーザーがいることも想定されるため、離脱率には直帰率が含まれることになります。

 

離脱率や直帰率は、ページから離れてしまう原因を探求できるため、コンテンツ改善に直接役立てられるKPIです。

回遊率/ページ遷移率

回遊率は、Webサイトにおとずれたユーザー1人あたりが何ページ閲覧したかを示す指標のこと。ユーザーが最初にアクセスしたページから同サイト内のほかのページにアクセスすればするほど、回遊率はあがっていくと考えます。

 

ページ遷移率とは、Webサイトにおとずれたユーザーが最初のページを閲覧したあとで、サイトから離れずにほかの特定のページへ遷移した割合のことです。

 

このふたつはよく混同されがちですが、回遊率は「興味関心や愛着」を判断する指標であるのに対して、ページ遷移率は「コンバージョンへ導く導線設計」において有用です。

リテンション率

リテンション率とは、Webサイトへの訪問継続率・定着率をあらわす数値です。新規ユーザーがある一定期間内にサイトにもう一度おとずれた割合で、コンテンツマーケティングによってブランド価値を向上させられているか、顧客行動を理解できているかをはかることができます。

スクロール率

スクロール率とは、ユーザーがWebサイトにアクセスし、ページがスクロールされた割合です。 多くのユーザーはここまでは読んでいるが、このあとは読まれていない、といったページ内のヒートマップを把握することで、コンテンツの質向上に役立つKPIです。

Cookie取得率

Cookieとは、Webブラウザ上でユーザーの情報を一時的に保存しておく仕組みのことです。MAツールなどを使用している場合、Cookieはユーザーの新規セッションにおいて取得・蓄積され、ユーザー情報にひもづけられるようになります。

 

顧客情報を管理してナーチャリングするうえで活用できるため、KPIとして設定される数値です。

投稿数

ブログ記事やお役立ちコラム、SNSへのポストなど、自社で運営しているコンテンツにおける投稿は、新規流入の入口ともいえます。入口が多ければ多いほどタッチポイントが増えることになるため、コンテンツマーケティング立ち上げ初期は、たとえば「1ヶ月で10投稿」など目標を決めて取り組むことをおすすめします。

 

コンテンツマーケティングそのものが長期目線で取り組む施策であり、定期的かつ頻繁にコンテンツを公開しているかどうかは成果に大きく影響するため、重要な指標のひとつです。

受注獲得?成約済み顧客に関するKPI

ここまでご紹介してきた新規ユーザーとのタッチポイントにおけるKPIに対して、ここでは確度の高いリードや既存顧客に対して設定するコンテンツマーケティングのKPIをあげていきます。

CV数/CVR(コンバージョン率)

コンテンツマーケティングにおけるCV数は、コンテンツを通して獲得した、注文、自社製品に関するお問い合わせや資料請求、イベント申込などの件数のことです。もっともポピュラーな指標のひとつといえます。

 

ただ、コンテンツ経由でCVが得られたかを判別するためには、MAツールなどを導入しフォームでタグ付けをする必要があります。また目標や測りたい効果によって、どのCV数をKPIにおくかは変わってくるため、慎重に設定すべきポイントです。

 

CV率(CVR)は、コンテンツが閲覧された数に対して、CVがあった割合であり、CV率が高ければ高いほどコンテンツが効率的に働いていることを評価できます。

CPA(成果獲得単価)

CPA(成果獲得単価)とは、コンバージョン単価とも呼ばれ、新規獲得のためのコストのことをあらわします。コンテンツマーケティングにおいては、成果を1件獲得するためにどのくらいの費用を費やしたかを示す指標です。

 

よく設定される成果は、お問い合わせや資料請求や、サンプル品や商品の注文で、コストの最適化を目的として使われることが多い指標です。

CTC(クリック単価)/CTR(クリック率)

CTC(クリック単価)とは、広告などを1回クリックするのにかかる費用のこと。たとえば50万円で出稿した広告は、50万回クリックされれば1円、100万回クリックされれば0.1円のCTCとなり、より安くなるほどよいということになります。

 

CTR(クリック率)は、広告が表示された回数に対して、広告がクリックされた回数のことで、どちらもコンテンツの質をはかるために活用できるKPIです。

 

より高品質で興味関心を引くコンテンツであれば、クリックの回数は多くなり、逆にCTC/CTRの数値がよくない場合はコンテンツを改善する必要があるかもしれません。

会員登録者数/フォロワー数

自社メディアやECサイトへの会員登録や、ブログへの読者登録、SNSのフォロワー数なども、コンテンツマーケティングにおいては大変扱いやすい指標といえます。

 

実際に多くのユーザーに会員やフォロワーになってもらうことで、コンテンツの影響力を高めることができます。またこちらから定期的にコンテンツを配信できるようになるため、ユーザーとの関係構築、見込客の育成をはかるうえで有用なKPIです。

SNSでのアクション/エンゲージメント率

SNSでのアクションやエンゲージメント率は、SNSを通じたコンテンツマーケティングをおこなっている場合、かならずおさえておきたいKPIです。

 

Facebook、X(旧Twitter)、Instagram等の「いいね」「シェア」「リツイート/リポスト」などといったユーザーのアクションは、コンテンツがシェアされた指標になります。さらにこれらのアクションを投稿をみたユーザー数で割ることで、エンゲージメント率を割り出すことができ、エンゲージメント率が高くなるほどユーザーと企業が親密な関係であることを示します。

 

ただSNSに関する流入経路などを詳しく分析するには、外部ツールの利用も必要になります。

利用頻度/アクセス頻度

見込客がどのくらいの頻度でアクセスしているか、既存顧客がどのくらい高頻度に自社製品やサービスを利用しているかは、受注獲得や契約継続に関する重要なKPIです。

 

初期タッチポイントでのリテンション率よりも、より自社のファンとして成熟したターゲット層に対する指標で、受注への気持ちがかたまってくることでアクセスの頻度が増えることからも、顧客行動を把握するために設定しておくとよいでしょう。

 

既存顧客の利用頻度に関しては、たとえばソフトウェアサービスであればログイン数の頻度がさがっている等の顧客のヘルススコアを事前に把握して、解約を防ぐのにも役立ちます。

コンテンツ経由のイベント申込数

コンテンツ経由で、イベントにどのくらい送客できているか、申込を獲得できているかをはかる指標です。イベントに多くの見込顧客・既存顧客を誘導できている場合、コンテンツの質はもちろん、自社へのファンが定着していることを評価できるKPIです。

 

またイベントでは「イベントを何で知ったか」アンケートを実施し、コンテンツ経由のイベント送客数をKPIにすることもできます。さらにひとりの顧客が一定期間に何回参加しているか、を設定するのもおすすめです。

確度の高い見込客が集まるコンテンツへのアクセス誘導

自社コンテンツのなかでも、このページにアクセスするユーザーはとくに確度が高い、受注フェーズに近いと判断できるページへ、どのくらいアクセスを集められているかは非常に重要なKPIとなります。

 

BtoBマーケティングであれば、活用事例や他社製品との比較表などを配置したページがあてはまります。さらにこのコンテンツを閲覧している見込客に対しては、1to1のアプローチも有効です。

BtoC/BtoBごとのKPI

さらに、BtoC/BtoBそれぞれのサービスにおいて、よく設定されるKPIの一例をご紹介します。

BtoC:ECサイトでの売上を上げるKPI

「BtoCのECサイトで売上を向上させる」ことを目的としたコンテンツマーケティングのKPIとして、以下のような指標が考えられます。

  • ユニークユーザー数:1か月間のECサイトへの訪問ユーザー数100,000人
  • コンバージョン率:ECサイトへの訪問者のうち、商品を購入した割合が3%
  • 平均注文金額:1つの注文あたりの平均金額1万円
  • リピート購入率:過去6か月間にECサイトで商品を購入した顧客のうち、再度購入した割合が20%

BtoB:認知拡大、信頼獲得のためのKPI

次に、BtoBビジネスにおいて、認知拡大・信頼獲得のために設定するKPIの例をあげます。

 

  • Webサイトのトラフィック:
    • 月間訪問者数:5,000人以上
    • ページビュー数:20,000回以上
  • SNSのエンゲージメント:
    • 投稿のエンゲージメント率:1?5%
    • フォロワー数:毎月100人以上増加
    • いいね数:投稿あたり50件以上
  • リード数:
    • 月間リード数:50件以上
    • 成長率:毎月10%以上の成長
  • 信頼度調査:
    • 業界内トップ3入りを目指す
    • 信頼度の向上率:10%以上

 

自社のビジネスにおいて適切なKPIを設定し、またこれらのKPIを定期的にモニタリングして適切な施策を実施することで、効果を最大化できるはずです。ぜひKPI設定の際の参考にしてみてください。

コンテンツマーケティングのKPIを設定した後は…

コンテンツマーケティングのKPIを設定できたら、運用、分析、改善を繰り返して、コンテンツマーケティングの精度をあげていきましょう。

数値を分析し続ける

コンテンツマーケティングのKPIを設定した後は、定期的に数値を分析し続けることが必要不可欠です。コンテンツマーケティングのKPIを設定したら、数値を測定する頻度を運用方針に落とし込むことで、課題の早期発見にもつながります。

 

データ収集には、Web解析ツールやSNS分析ツールが必要です。ツールを通して収集したデータ、たとえばWebサイトのトラフィックやコンバージョン率、SNSへの投稿のエンゲージメント率など、KPIに関連するデータを分析して、現状を把握します。

 

これらを数値化ができたらKPIの目標と比較して評価をおこないます。コンテンツマーケティングの運用は業務工数も多いため、具体的に「1ヶ月ごと」などとスケジュールを設定して、KPIの数値がどのように推移しているかを確認し、チームで共有するのがおすすめです。この頻度はチーム編成やコンテンツマーケティングの業務量などから、実現可能なタイミングを見つけましょう。

 

数値の取得や分析は、ツールなどを活用し、なるべく手間をかけず簡単におこなえるようにしましょう。あとの章で、おすすめのツールをご紹介していますのでぜひご覧ください。

次の一手を考える

コンテンツマーケティングKPI分析が習慣化できてきたら、次のステップを検討しましょう。中間目標であるKPIにいつまでも同じ目標を設定していても、なかなか成果は達成できないため、積極的に次はどのような施策を打つか検討する必要があります。

 

分析結果にもとづいて、成果が出ている項目はさらに高い目標をかかげたり、改善の余地がある部分は戦略を練り直します。

 

次の一手を考えるという意味では、KPIの設定だけでなく、コンテンツそのものの改善も必要になってきます。コンテンツの内容や質、提供方法や最適なチャネル、ターゲットを見直して、ターゲットに対して適切なアプローチを検討することも同時進行で進めていきましょう。

KPIを正確に活用し運用できる環境づくり

KPIを正確に測定・活用し、運用するためには、チーム内でもれなく情報共有できる環境づくりも重要です。複数のチャネルでのデータを一元化し、常にチームで数値を共有しながら総合的なKPIの分析がおこなえる仕組みや環境を、あらかじめ整えておくのが成功の秘訣です。

 

環境整備には、KPIの分析を簡単にできるツールや、パートナー企業のサポートを活用しましょう。KPIはあくまで最終目標の達成のために運用するものであって、数値の測定や分析に時間や労力をかけすぎてしまい検証ができないようでは本末転倒といえます。集計にかかる手間をなるべく省いて、本来おこなうべき分析や、戦略改善と施策への反映に時間をかけられるようにすることで、設定したKPIをクリアし、チームのモチベーションを向上するのにも役立ちます。

 

環境が整っていると、KPIに変更が生じたときもチーム内ですぐに数値に対する共通認識をもつことができます。また共有するという意味ではチーム内でKPIについて勉強会をおこない、正しい理解や活用を再確認することでチーム一丸となってゴールを目指せるはずです。

 

はじめてでも簡単に使える分析ツールについては、のちほどご紹介します。

場合によってはKPIを変更する

また社内外のビジネス環境の変化により目標が変わってくる場合や、KPIの達成度が予想外だった場合などに、KPIを変更することは一般的です。KPIを変更するうえでは、普段から定期的にKPIを見直し、大きな目標から逆算して、目指すべき達成率を定めていくことが大切です。

 

現在のKPIが目標に対して適切でない場合、目標や新たな戦略に合わせてKPIを再評価します。具体的に、新たな製品のローンチ、マーケットの変化などに際してKPIを変更するのはよくあるタイミングです。

 

ただKPIはむやみに変更すればいいというものではなく、重要なのは、目標を達成するためにその都度最適なKPIが設定されているかどうかです。またKPIを増やす場合は、実現可能な数におさめるようにしましょう。

 

これはKPI運用全般にいえることですが、こういったKPI設定変更は専門的な知見が必要になるため、マーケティング支援をしてくれるパートナー企業を見つけるのもよい手です。

おすすめツール

コンテンツマーケティングにおいて、今回設定したようなKPIを軸にデータの収集・分析をおこなうには、やはりデジタルツールの活用が必要不可欠です。

 

ツールにもいろいろな種類がありますが、初めての方がまず使うのにおすすめなのが、無料で使える「Google Analytics(グーグル アナリティクス)」です。自社サイトを設定することで、アクセスの状況やユーザーの行動ログを記録し、数値化できます。世界中の個人から企業に利用されているため、ノウハウが多く出回っているのも使いやすいポイントです。

 

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Googleアナリティクス

 

そのほか、コンテンツマーケティングを進めるうえでとくにおすすめなのが、MA(マーケティング・オートメーション)ツール。前述もしていますが、せっかく自社サイトに設置したフォームからお問い合わせがきても、なんのコンテンツを経由したのか測定できず、本当にコンテンツの力で成果を出せているかわからない…という状態では、今後さらにコンテンツ施策や戦略をブラッシュアップしていくのはむずかしいかもしれません。

 

MAツールで設置したフォームからのお問い合わせは、流入経路から、その後のユーザー行動ログまで一元管理が可能で、どのコンテンツがどのくらい効果を発揮しているか可視化でき、コンテンツマーケティングにはなくてはならない存在ともいえます。さらにツールによって、安価でスタートできるものや、マーケティング支援を受けられるツールもあるので、コンテンツマーケティングの運用でお悩みの際にはぜひMAツールの導入も検討してみてください。

 

おすすめのMAツールはこちらもご覧ください。

まとめ

コンテンツマーケティングのKPIについて解説しました。

 

KPIの設定や運用は非常に複雑であり、これを設定すれば成果が出る、といった単純な法則ではありません。しかしだからこそ、中長期的な取り組みでKPI運用の精度をあげていければ、自社の資産として競合他社と差をつけることもでき、狙ったビジネスの成果を最大化できるようになります。

 

これからコンテンツマーケティングに挑戦する方も、すでにコンテンツマーケティングに取り組んでいるけれどなかなか成果が出ないという方も、KPIを使いこなすことでビジネスを成長させていきましょう。

 

コンテンツマーケティングについての人気記事は以下もどうぞ

 

「コンテンツマーケティング」というマーケティング手法に関して、基本から知りたい方はこちら

>コンテンツマーケティングの入門書

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 18 Apr 2024 14:00:00 +0900
<![CDATA[Google Search Console(グーグルサーチコンソール) とは何か?検索エンジン対策のために知っておくべき基本機能]]> https://mtame.jp/martec/searchconsole Google Search Console(グーグルサーチコンソール)とは、Webサイトの検索パフォーマンスを分析するための無料ツールです。このツールを使うことで、自社サイトをGoogle検索に最適化するのに役立つ機能を多数提供しています。検索エンジン対策(= SEO)は、デジタルマーケティングにおいて最も注力すべき分野といっても過言ではなく、その最適化のためにも、Google Search Console(グーグルサーチコンソール)は必須で使いこなすべきツールと言えます。

 

本記事では、Google Search Consoleの基本機能とそのSEOへの影響を詳細に解説しています。サイトの検索パフォーマンス分析からインデックス登録、リンク管理まで、デジタルマーケティングに必須のツールを使いこなすための手順を提供します。

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Google Search Console の役割

Google Search Consoleは、検索エンジン最適化(SEO)の効果を測定し、サイトの検索エンジンにおけるパフォーマンスを向上させるためのデータを提供します。これらのデータを手がかりとしてサイト流入を増加させるための、施策立案に役立てることができます。

GoogleAnalytics(GA4) と Google Search Console の違い

「Google Analytics(GA4)」と「Google Search Console」は、デジタルマーケティングにおいてどちらも広く利用されているツールですが、それぞれの目的と提供するデータには大きな違いがあります。

GoogleAnalytics(GA4)

ユーザー行動の分析:

Google Analytics(GA4)は、サイト流入した「閲覧者(ユーザー)」の行動を追跡して分析することを目的としています。閲覧者がサイトにどのようにアクセスしたか、サイト内でどのように行動したか、どのページが最も関心を集めているかなど、あくまでユーザー中心のデータを提供します。

流入元の特定:

サイト流入が、どの流入元(直接流入、検索エンジン、リンク経由、SNS、デジタル広告など)から来ているかを把握することができます。ここから、テコ入れすべき流入元はどこかが可視化でき、改善に取り組むことができます。

コンバージョンの追跡:

GA4では、設定した目標やコンバージョンイベント(例えば、資料ダウンロード、ウェビナー申し込み、問い合わせフォームの送信など)がどの程度されているかを追跡することができます。

 

GoogleAnalytics(GA4)

Google Search Console

検索パフォーマンス:

Google Search Consoleは、サイトがGoogle検索でどのように表示されているか、どのような「キーワード」が効果的にトラフィックをもたらしているかなど、ユーザーではなくあくまで「検索エンジン」に焦点を当てて、データを提供します。

サイトの健康状態の管理:

インデックス作成の問題、クロールエラー、セキュリティ問題など、サイトの「健全性」に影響を与える問題を検出します。問題が発見された場合は、具体的な修正方法が提示されるため、企業担当者はこれを基にサイトの健全性を保つことができます。

SEOの改善:

Google Search Consoleは、検索エンジン最適化のための具体的なアクションプランを提供します。これには、ページのメタデータ最適化や、検索結果でのクリック率(CTR)の改善策などが含まれます。

 

 

一見では似たようなツールですが、Google Search Consoleはユーザーではなく検索エンジン対策に使われるツールだということがわかったかと思います。これらは、それぞれ独立した役割・機能を持ちながらも、連携して使用することで自社サイトの全体像をより深く理解することができます。

 

Google Search Console

Google Search Console の具体的な機能

Google Search Consoleの「役割・概要」についてはわかったと思いますので、次は具体的な機能について取り上げていきましょう。基本的な機能としては以下のようなものがあります。

 

  • 検索パフォーマンス
  • URL検査
  • インデックス
  • リンク
  • サイトマップ

検索パフォーマンス

もっともよく使用される機能としては、「検索パフォーマンス」があります。自社サイトがどのようなキーワード(クエリ)で検索表示されているか、表示回数・クリック数(CTR)はどれくらいなのか、平均掲載順位はどのあたりかなどを細かくチェックすることができます。「検索パフォーマンス」は、検索エンジン対策(SEO)に取り組む際にはよく使用される機能です。

 

検索パフォーマンス

URL検査

「URL検査」という機能では、Webページが、Googleの検索結果に「正しくインデックス登録されているかどうか」をチェックすることができます。左側のURL検査をクリックして気になるページのURLを指定すれば、そのページが現時点でGoogleに認識されているかどうかがわかるという訳です。もし、認識されていないことがわかったら「インデックス登録をリクエスト」をクリックしてGoolgeにインデックスをうながすことができます。

 

URL検査

 

インデックス作成

 

さらに、左メニューの「インデックス作成」→「ページ」を見ると、サイト内のすべてのページのインデックス登録状況を確認することができます。

リンク

自社サイトのページが、外部サイトからどれくらい「被リンク」されているかを把握することができます。どのページがリンクが多いかなどのページごとのチェックもできるため、サイト内の「人気ページ」を把握するのにも役立ちます。さらに内部リンクについても同様に確認ができます。

 

リンク

サイトマップ

最後に、Google Search Consoleには「サイトマップ」という機能があります。これは、Webサイトを構成するそれぞれのページを、Googleに認識してもらうために送信する機能です。そのためにはサイトマップをまとめたページをXML形式で用意する必要があり、Google Search Consoleの左メニュー「サイトマップ」からページURLを入力し、送信することで実行することができます。

まとめ

Google Search Consoleは、企業のマーケティング活動において「検索エンジン」での上位表示を狙うには不可欠のツールと言えます。このツールでサイトの健康状態を把握し、検索エンジンの評価を高めるための必要な改善点を見つけ出し、実行することで自社サイトの検索パフォーマンスを向上させることができれば、結果として営業活動にも良い影響を与えることができるでしょう。

 

 

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Tue, 16 Apr 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[AISAS(アイサス)とは?AIDMA・AISCEASとの違いや特徴・活用方法をわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/AISAS Webマーケティングを行ううえで、最も重要なのが消費者の購買行動の見える化です。Web上で消費者がどのように商品・サービスを知り、購買へ至るのかを正確に把握することで、顧客の購買行動にあわせた適切な施策の実施が可能になり、利益の拡大を図ることができます。

 

その購買行動を分析する際に役立つのがAISAS(アイサス)です。2004年に株式会社電通が提唱したフレームワークで、インターネット普及後の代表的な購買行動モデルとしてWeb広告やマーケティング戦略に用いられています。

 

本記事ではAISASの概要から活用するメリット、類似する購買行動モデルとの違いについてわかりやすく解説します。

 

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AISASとは

AISAS(アイサス)とは、消費者の購買行動モデルを表すモデルのひとつです。Attention(注意)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)の5つで構成され、消費者が商品・サービスの認知から、商品の購入、SNS上での拡散といった一連のプロセスを示しています。

 

AISAS(アイサス)

 

AISASが提唱される2004年以前はマスマーケティングが主流でした。マスマーケティングとは不特定多数の消費者に対して画一的なアプローチを行い、幅広い層への訴求を目的にした手法です。新聞や雑誌広告、テレビ・ラジオなどの4大メディアと呼ばれるマス広告が該当し、消費者は企業から発信される情報の中から購入の判断をしていました。

 

しかしインターネットが普及し始めた2000年代から消費者の購買行動は大きく変化します。Webを活用して自ら情報収集を行うスタイルになったことで、自身のニーズに即した商品やサービスを選び取るようになったのです。

 

さらにSNSの発達によって商品のレビューや口コミがシェア(共有)され、企業が発信する情報のみならず、消費者側が発信する情報も参考に商品を購入するようになりました。このような消費者の購買行動の変化を受けて、新たに生み出されたフレームワークがAISASです。

AISASの具体的な5つの行動

先ほどご紹介したように、AISASの購買行動モデルは下記5つのプロセスから成り立ちます。ここでは各フェーズについて解説します。

Attention(注意)

Attentionとは消費者が商品・サービスを認知する段階です。

 

消費者に商品やサービスを購入(または契約)してもらうには、まずその存在に気づいてもらう必要があります。そのため企業はWeb広告やWebサイト、SNSなどの広告展開を通じて商品の魅力を発信し、消費者の注意を引く必要があります。

 

どれほど優れた商品やサービスを開発したとしても、消費者からの認知を受けなければ意味がありません。自社のターゲットとなる消費者に効果的な施策を行い、タッチポイント(顧客接点)を増やすことが求められます。

Interest(興味)

Interestとは、消費者が商品やサービスに興味を持つ段階です。

 

最初の段階であるAttentionから一歩進み、気になった商品やサービスに意識を向けるようになります。たとえばWeb広告で偶然目にしたパソコンが高スペックかつ送料無料、交換自由などの特徴を見て、「このパソコンがほしい」と興味を示した状態を指します。

 

商品やサービスに強い関心を抱くと、消費者は次のフェーズであるSearch(検索)を始めます。

Search(検索)

Searchとは、消費者が商品やサービスに関する情報を集める段階です。

 

このフェーズに入った消費者は商品やサービスの情報収集を行います。情報収集の方法は様々で、SNSで商品を実際に購入しているユーザーの感想を調べたり、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで口コミ・評判を検索するなどの方法が挙げられます。

 

消費者が求める情報にすぐにたどり着けるよう、企業側は商品・サービスに関するコンテンツの拡充や仕組みづくりが大切です。具体的な方法にWebサイトの開設やSEO対策、SNSとの連携などがあります。「Search」の段階で消費者にどれだけ自社商材が魅力的であるかをPRできるかで、その後の購買行動が大きく変わります。

Action(行動)

Actionは、消費者が実際に商品を購入したり、サービスを申し込む段階です。

 

「Search」で得られた情報とあわせて、商品の発送方法や支払い方法などの細かな条件を確認し、問題なければ購入に至ります。

 

消費者の購買意欲を下げないためにも、企業側は購入の後押しをするような割引をつけるなどを行い、スムーズな購入や申込みができる環境づくりを目指しましょう。効果的な施策としては、期間限定価格や割引キャンペーンの実施、豊富な決済方法の実装、購入プロセスがわかりやすいWebサイトの設計がおすすめです。

 

消費者は購入や申込みまでのプロセスが複雑だったり、手続きに時間がかかるなどのストレスが生じると、カゴ落ち(商品をカゴに入れたままWebサイトから離れること)してしまうことも少なくありません。消費者の「いま欲しい!」という気持ちを削がない導線設計を意識することで売上に結びつくはずです。

Share(共有)

最後のShareとは、商品やサービスを第三者に共有する段階です。

 

近年ではインターネットやSNSの発達により、顧客が商品やサービスを実際に使用した感想や評価を拡散する動きが広がっています。

 

たとえば購入したパソコンを実際に使用してみてどうだったのかというレビューをSNSやブログで紹介する行動が「Share」です。そのレビューが高評価であればほかの潜在顧客が商品を購入する判断材料になり、新規顧客の「Attention」や「Interest」につながる可能性が高くなります。

 

ビジネス全体の好循環を起こすフェーズであることから、AISASを構成する5つの要素のなかで最も重要な段階であるといわれています。この「Share」に力を入れている企業は多く、レビューを投稿した顧客に割引クーポンの配布や、商品ページに共有・拡散を促すSNSのシェアボタンの設置などの施策が行われています。

 

エムタメを運営するクラウドサーカスでは、BtoB向けIT製品・SaaSレビューサイト「ITreview」において、自社ツールのレビューを掲載しています。実際にツールを利用するユーザーのリアルな口コミを通して、見込み顧客の獲得を目指しています。

AIDMA・AISCEASとの違い

消費者の購買行動モデルのひとつであるAISASですが、前身となるモデルにAIDMA(アイドマ)、AISASに「商品の比較」と「検討」という項目を追加したAISCEAS(アイシーズ)があります。ここではそれぞれの特徴と違いについて説明します。

AIDMA

AIDMAとは消費者の購買行動プロセスを表した基本的なモデルです。1920年代にアメリカの著作家であるサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱しました。

 

AIDMAとの違いを表でまとめると以下のようになります。

 

  ステップ 概要
AIDMA
  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Memory(記憶)
  • Action(行動)
1920年代にアメリカで生まれた代表的な購買行動モデル。
マスマーケティングによる企業からの一方的な情報発信を受けて、消費者側が購入に至るまでのプロセスを表している。
AISAS
  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Action(購買)
  • Share(共有)
2004年に電通が提唱した、インターネット普及後の代表的な購買行動モデル。
Web上での消費者の購買行動(商品の認知か購入後の商品レビューのシェアまで)を網羅している。

 

AISASとの違いは、AIDMAにはDesire(欲求)とMemory(記憶)がある点です。Desireは消費者が商品・サービスを認知し、それらの特徴や性能について詳しく知りたい状態、Memoryは消費者が商品やサービスを購入するまでのリマインドの段階を表します。

 

冒頭でお伝えしたとおり、1920年代の広告戦略はマスマーケティングであり、消費者は企業からもたらされる情報をもとに、商品の購買を行っていました。そのためAISASにあるSearchやShareはありません。あくまで消費者の商品・サービスの認知から購入までの行動にフォーカスしているのがAIDMAの特徴です。

AISCEAS

AISCEASとは2005年にアンヴィコミュニケーションズの望野氏によって提唱された、AISASを細分化した購買行動モデルです。AISASのSearch(検索)とAction(行動)の間に、Comparison(比較)とExamination(検討)が入ります。

 

  • Attention(注目)
  • Interest(興味)
  • Search(検索)

 

・Comparison(比較)
「Comparison」は、消費者が商品の比較を行う段階です。
Web上で商品の機能や使い方を調べたり、レビューを読んで商品の評価を把握します。消費者が複数の選択肢の中から、最適な商品やサービスを選ぶうえで重要な要素です。

 

・Examination(検討)
「Examination」は、消費者が購入候補となる商品・サービスにおいて、選択を行う段階です。「この商品を買っていいのか」とさまざまな角度から検討し、購入する商品を決めます。

 

  • Action(行動)
  • Share(共有)

 

どちらもインターネット普及後の購買行動モデルですが、AISCEASのほうがインターネット上での購買プロセスを詳細に分けています。AISASに比べてより現代の購買行動モデルに即したものがAISCEASであるといえるでしょう。

 

【関連記事】

AISASの効果的な活用方法

AISASの概要や類似モデルの違いが分かったところで、BtoB企業向けの活用方法について解説します。

 

AISASを活用するとCV(コンバージョン)獲得に向けて、消費者とどのようなコミュニケーションを取れば良いのかが明確になります。下の表はAISASを活用してBtoBサービスにおけるマーケティング施策を各フェーズごとに整理したものです。

 

項目 Attention Interest Search Action Share
顧客の行動 サービスの認知 サービスへの興味を抱く 検索してサービスに関する情報を集める サービスを導入する サービスの体験や感想を共有する
必要な施策 認知獲得 情報の提供 コンテンツの提供 購買サポート シェア促進
BtoB企業向けの具体的な施策例
  • 展示会
  • イベント
  • セミナー
  • Web広告
  • SEO
  • SNS
  • コーポレートサイトやLPでの情報発信
  • 広告クリエイティブのブラッシュアップ
  • ホワイトペーパー
  • オウンドメディア
  • メール配信
  • 導入事例や口コミの紹介
  • 無料プランの用意
  • 割引キャンペーン
  • 問い合わせ対応
  • 導入支援
  • SNS投稿キャンペーン
  • 紹介制度

 

このようにマーケティングの全体像を整理することで、企業が顧客とのコミュニケーションで気をつけるべきポイントを把握しやすくなります。たとえばSearchに問題がある場合、「Webサイトにホワイトペーパーを設置し、自社商材の長所やメリットをPRしよう」と問題解決に向けたスムーズな対応が可能です。

AISASを活用するメリット

AISASを活用することで得られる3つのメリットについて解説します。AISASはWebマーケティングにおける顧客の行動パターンを理解できるだけでなく、各フェーズにおける最適な施策の実施や広告費の削減、新規顧客の獲得など多くの効果をもたらします。

フェーズごとに最適なアプローチができる

消費者は商品・サービスの購入に至るまで、さまざまな行動を取ります。そのため企業は消費者がどの段階にいるのかを見極め、各段階に応じた適切な施策を実施する必要があります。

 

たとえばまだ商品を知ったばかりの「Attention」の段階にいる消費者と、購入目前の「Action」の段階にいる消費者では取るべき施策は大きく変わります。消費者のニーズにあわせたアプローチができなければ、消費者は購入を止めてしまう可能性も十分あります。

 

AISASを用いることで、消費者の検討度に合わせた効果的な施策を実施でき、Webサイトの離脱やカゴ落ちを防げます。

BtoCだけでなくBtoBにも対応

AISASはモデルの性質上、BtoC商材のほうが向いているといわれています。しかし近年ではSaaSの台頭によりBtoB製品・サービスのリアルな口コミを閲覧できるレビューサイトが登場しており、BtoBにおいてもユーザーレビューを重視する傾向が見られます。BtoBビジネスでもAISASは有効なモデルのひとつであるといえるでしょう。

「共有」により新規顧客を獲得できる

 

AISASの「Share」を促進することで、新規顧客の獲得が期待できます。なぜならばShareによって、商品の口コミやレビューがSNSで拡散され、自社商材に興味関心を持つ顧客が自然に集まってくるようになるからです。企業は認知獲得のための広告費をかけることなく、新規顧客を獲得することが可能です。

AISASの次世代モデル「Dual AISAS」とは

2015年にAISASをさらに発展させ、SNS時代における消費者の行動パターンを可視化した新たなモデルが登場しました。それが「Dual AISAS」です。

 

従来のAISASは、「Share」は最後のステージに位置づけられ、拡散や共有は商品購入後に行われるものだと考えられてきました。しかしSNSが普及した現代においては、SNSの拡散は商品購入後に限定されるものではなく、商品購入前、あるいは商品を購入しなくても「Share」を行うユーザーが増えています。

 

そこで、従来の「商品を買いたい」というAISASに加えて、「SNSで商品を広めたい」という概念を取り入れたAISASが誕生しました。そのためDual AISASは従来の縦方向型のAISASの「Interest」に、広めることを目的とした横向きのAISASが加わったモデルとなっています。この横向きのAISASは以下の要素で構成され、「A+ISAS」と表記されます。

 

  • Activate(活性化)
  • Interest(興味)
  • Share(共有)
  • Accept(受容)
  • Spread(拡散)

 

この「A+ISAS」の状態にある消費者をコミュニケーション関心層といいます。商品やサービス自体には関心がなく、商品やプロモーションを通したコミュニケーションに対して興味を抱いています。つまり、SNSで拡散するものの、購入には至らない層であり、このコミュニケーション関心層をいかに「商品を買いたい」AISASへと誘導し、購買を目的にしたAISASへと進ませるかがDual AISASにおいて重要とされています。

まとめ

本記事ではAISASの概要から活用するメリット、類似する購買行動モデルとの違いについて解説しました。

 

Webマーケティングにおいて顧客理解は欠かせない要素のひとつです。その顧客理解を深める手段のひとつとして、AISASは役立つフレームワークであるといえます。近年ではBtoBビジネスにおいても「Share」を重んじる傾向にあり、BtoB商材にも適したモデルといえるでしょう。ぜひAISASを活用し、自社のマーケティング戦略に役立ててみてください。

 

本記事が貴社のビジネスヒントの一助になれば幸いです。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 16 Apr 2024 09:00:00 +0900
<![CDATA[PEST分析とは?目的や進め方、メリット・デメリットをわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/pest-analytics PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を4つの要因(政治・経済・社会・技術)に分類し、自社に与える影響を予測する分析手法です。

 

現在、もしくは将来、自社に影響を与えうる脅威やチャンスを把握することができるため、事業戦略やマーケティング施策の立案の際に役立ちます。市場の将来性なども予測でき、自社の成長に活かすことができるため、多くの企業で取り入れられているフレームワークです。

 

本記事では、PEST分析の概要をはじめ、進め方やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。最後には実際の事例や、PEST分析と併用して利用できるフレームワークなども紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

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PEST分析とは?

PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を4つの要因(政治・経済・社会・技術)に分類し、現在もしくは将来、自社にどのような影響を与えるかを予測する分析手法です。

「PEST」は「政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)」の頭文字を取って呼ばれており、主に自社の経営やマーケティング戦略を検討する際に使用されます。

自社を取り巻く外部環境に関する分析には、大きな視点から分析を行う「マクロ環境分析」と、小さな視点から分析する「ミクロ環境分析」の2種類があり、PEST分析はマクロ環境の分析に適しているとされています。

それぞれの分析法は以下の通りです。

マクロ環境分析

「マクロ環境分析」では、政治、経済、社会、技術に加え、人口統計・技術革新・流行変化など、自社に間接的に影響を与える外部環境要因を分析します。5年、10年間など、長期的なスパンで環境要因を捉えるのが特徴です。

PEST分析の他に、「SWOT分析」(詳細は後述)などがマクロ環境分析のフレームワークとして主流です。

ミクロ環境分析

「ミクロ環境分析」では、市場の動向や将来性に加え、競合他社の動向や、顧客の行動など、自社に直接影響を与える外部環境を分析します。

ミクロ環境分析を行うフレームワークの代表は、他にも「5フォース分析」や「3C分析」(詳細は後述)などがあります。

PEST分析を行う目的

PEST分析には、自社を取り巻く環境要因を把握することで、自社への脅威を予測したり、将来性や方向性を明確にしたりする目的があります。以下ではさらに詳しく解説します。

マーケティングの方向性を明確にする

マーケティング活動で成果を出すためには、方向性を明確にすることが大切です。

市場や競合他社などの「ミクロ環境分析」も重要ですが、PEST分析では自社ではコントロールできない、外部環境の大きな流れを分析・把握します。そのため、広い視点で自社のマーケティング戦略や施策の方向性を捉えるのに向いており、PEST分析での結果はマーケティング施策を実施する上での土台となります。

まずはPEST分析やSWOT分析でマクロ環境分析を行って方向性を明確にした上で、3C分析などでミクロ環境を分析し、戦略や施策の策定につなげていくという流れが一般的です。

変化や脅威を予測する

PEST分析を行う大きな目的には、市場の変化や将来性、自社に対する脅威などの予測もあります。

PEST分析で予測した結果を、新製品開発や新規市場への参入企画などに活かすことができます。脅威が把握できると、市場やサービスの撤退判断を適切に下せるでしょう。

時流にマッチしたマーケティング戦略や施策の策定、市場チャンスを掴むために、PEST分析を行うのは大切です。

PEST分析の4要因

PEST分析の4つの要因(政治・経済・社会・技術)をそれぞれ詳しく解説します。

 

PEST分析

 

Politics:政治的要因

Politics(政治的要因)は、自社に影響を与える政治・法律・税制などの要因を指します。
具体的には、法改正や規制緩和、政府の動向や税制の見直し、外交関係の動向などが分析対象です。

業界や市場に与える影響が大きいので、自社の戦略を変更しなければならないなどの「脅威」として捉えられる場合もありますが、新規販路開拓やビジネスチャンスが見つかる可能性があるという側面もあります。

Economy:経済的要因

Economy(経済的要因)は、経済成長率や為替相場、インフレ・デフレの進行、金利など、消費動向に影響を与える経済要因を指します。

企業の売上に大きな影響や変化をもたらす経済的要因を予測することで、発生しうるリスクを最小限に抑えられるように対策を打てます。

Society:社会的要因

Society(社会的要因)は、人口動向などの定量的な要因に加え、文化や生活、価値観の変化などの定性的な要素まで、広く生活に影響を与える要素を指します。

社会的要因を分析することで流行の把握やライフスタイル変化などを予測することが可能です。消費者の好みによりマッチした製品開発やマーケティング施策の策定に活かせます。

Technology:技術的要因

Technology(技術的要因)は、テクノロジーの進化や新技術の登場などが自社に影響を与えるを要因を指します。

技術革新やIoTをはじめ、最近ではAIやメタバースなどの登場によって、市場や社会は大きな変化を求められています。事業の成長や衰退に大きく影響するため、技術的要因を分析して、「事業拡大や業務効率化につなげられないか」「自社が取り残されてしまう可能性はないか」などを把握しましょう。

では、PEST分析を行うにはどのように進めていけばいいのでしょうか?次章で解説します。

PEST分析の進め方

PEST分析は、目的・ゴールを設定してから、マクロ環境を4つの環境要因や他の項目に分類し、施策に落とし込んでいきます。

PEST分析の基本的な進め方を、以下の6つのステップで解説します。

 

  1. ①目的・ゴール、環境要因の対象の設定
  2. ②対象の情報収集・4つの要因に分類
  3. ③「事実」と「解釈」に分類
  4. ④「機会」と「脅威」に分類
  5. ⑤「短期」と「長期」に分類
  6. ⑥施策に落とし込む

 

①目的・ゴール、環境要因の対象の設定

まず、自社がPEST分析を行う目的・ゴールに加え、環境要因の対象を設定しましょう。

目的が明確であれば、PEST分析から得たデータを自社の戦略に活かす際、適切に策定を練ることができます。ゴールも明らかにしておくことで、PEST分析で定めた自社の方向性で成果を達成できるかどうかを判断しやすくなります。

また環境要因の対象を何に設定するかによって分析結果は大きく変わるので、適切な対象を設定することが大切です。自社の顧客を増やすために訴求するのであれば環境要因は業界だけに留まる傾向にありますが、業務効率化や利益拡大を目指すのであれば、環境要因として捉えられる対象は広まります。

②対象の情報収集・4つの要因に分類

目的・ゴール、及び環境要因の対象を設定したら、自社事業に関する情報収集を行い、マクロ環境を4つの要因「政治・経済・社会・技術」に分類していきます。

国が公開している各種統計データや、マーケティング会社の調査レポートをはじめ、業界団体の発する情報、新聞、専門誌の記事などから、正確なデータを収集しましょう。

環境要因の対象に関する情報を集められたら、先述した4つの要因「Politics:政治的要因、Economy:経済的要因、Society:社会的要因、Technology:技術的要因」に振り分けます。

③「事実」と「解釈」に分類

次に、4つの要素に分けた環境要因を「事実」と「解釈」に分類しましょう。

「事実」は、実際に起きていることやデータを、「解釈」は、起きた事柄を主観で理解した個人的な考えを指します。PEST分析では「事実」のみを扱うのが望ましいとされており、誤って解釈を扱ってしまうと正確な分析が行えないので注意が必要です。

数値から判断できるものやデータが明らかになっているものは「事実」、因果関係が定かではないものは「解釈」と捉えると、分類しやすいでしょう。

④「機会」と「脅威」に分類

前のステップで「事実」に振り分けた情報を、さらに「機会」と「脅威」に分類します。

自社にとって有利となる情報=チャンスとなり得る要因は「機会」に、不利になることが予測できる情報=リスクとなり得る要因は「脅威」に振り分けられます。

情報が「機会」と「脅威」のどちらに振り分けられるのかは、企業によって大きく異なり、業界全体で見ると「脅威」と捉えられる要因も、自社にとっては「機会」となる場合があります。逆のケースもあり得るので、一般的な観点からではなく、あくまでも「自社に与える影響」という視点から分類することが大切です。

一見「脅威」と考えられる情報の中に、ビジネスチャンスが潜んでいることもあるので、多面的且つ広い視野で振り分けてみましょう。

⑤「短期」と「長期」に分類

機会と脅威に分類したら、それぞれの事実に与える影響が短期的なのか、長期的なのかで振り分けます。

環境は常に変化しているため、分析するタイミングと、分析結果を活用した施策を実施するタイミングでは、情報が古くなってしまい、分析結果を適切に活かせない可能性があります。

「短期」と「長期」という時間軸で環境要因の影響を整理しておくことで、メンバー間での認識を揃えることができ、業務の効率化にもつながります。

⑥施策に落とし込む

ここまでの分析結果を具体的な施策へと落とし込んで実行に移しましょう。最後のステップでは、脅威を把握してリスクを避けつつ、機会を明らかにして事業の成長を目指すことが大切です。

また、施策に落とし込むべき優先度が高いのは「短期」+「緊急性が高い」ものです。キャンペーンの実施やプロモーション強化など、短期的な対応が必要なものを優先して施策に取り入れる必要があります。自社のリソースを考慮しながら検討しましょう。

PEST分析のメリット

PEST分析を行うメリットは、自社ではコントロールできない外部の環境を分析することで、ビジネスチャンスを把握してさらなる成長につなげられたり、脅威を未然に回避したりすることができるという点にあります。

状況の正確な把握や、必要なデータの取捨選択もできるため、不測の事態が起こっても迅速に対応できる可能性も高まります。特に新規市場への参入や新製品の開発を行う際には、PEST分析を実施した上で戦略を練るとよいでしょう。

PEST分析のデメリットと注意点

PEST分析にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。PEST分析の注意点をしっかりと理解し、対応できるようにしましょう。

まずデメリットの1つとして挙げられるのは、PEST分析は外部環境を分析するフレームワークなので、情報に不足があるという点です。3C分析などの内部環境を分析するフレームワークと併用することをおすすめします。

また、必ずしもPESTの4要因全ての分析が必要ではなく、設定した自社の目的やゴール、環境対象の要因によっては優先順位の高い要素の分析だけで十分な場合もあります。

他にも以下のことに注意し、柔軟に対応することが大切です。

 

  • フレームワークの内容を埋めさえすれば分析できたと安心しない
  • PEST分析の結果はあくまでも背景情報なので、経営層に報告する際は軽視されないように報告資料を作成する
  • PEST分析の対象となる4要素は中長期で変化する傾向にあるため、短期的な戦略構築には向いていない場合がある

PEST分析と組み合わせて使えるフレームワーク

PEST分析は、他のフレームワークと組み合わせて使うことで、より精度の高い戦略策定が可能になります。本章では、環境分析を行う代表的なフレームワークを4つ紹介します。

 

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5フォース分析

5フォース分析は、自社の収益性にとって脅威となる外部環境を調査・分析するためのフレームワークです。

 

5フォース分析

 

「5フォース」は5つの脅威=「競合他社・新規参入の障壁・代替品の脅威・買い手の交渉力・売り手の交渉力」を意味します。それぞれの脅威を分析することで、自社の関する業界の構造を明らかにし、自社の競争優位性を把握するのに役立ちます。

また自社にとってリスクとなる事柄を分析するため、どうすれば収益が得られやすくなるかを検証可能です。

3C分析

3C分析とは、主に事業計画やマーケティング戦略を決める際に用いられる分析方法です。
3Cとは以下の3つの「C」から構成されています。

 

  • Customer(市場・顧客)
  • Company(自社)
  • Competitor(競合)

 

PEST分析が政治・経済・社会・技術など、外向きの大きなトレンドや変化に注目して市場環境を分析するのに対し、3C分析は自社が直面している競争環境を理解し、戦略的な意思決定を行うためにそれぞれの要素を細かく分析・調査を行い、自社のマーケティング環境をできる限り把握します。

 

3C分析

 

3C分析のメリットは、市場・顧客、自社、競合のそれぞれの分析から「KSF(キーサクセスファクター)」、つまり事業を成功させる要因を発見できることです。外部環境の分析から事業におけるKSFを明確にすることで、成功に向けて自社が進むべき方向性が見えるようになります。

 

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SWOT分析

SWOT(スウォット)分析とは、経営戦略やマーケティング戦略立案の初期段階で活用されることが多いフレームワークです。自社を取り巻く内部環境と外部環境を4つの要素から分析し、企業や事業の現状を把握することができます。SWOTとはそれぞれを表す以下の4つの単語の頭文字を組み合わせています。

 

S:Strengths(強み)
W:Weaknesses(弱み)
O:Opportunities(機会)
T:Threats(脅威)

 

SWOT分析は、下記の図のように縦軸を内部環境と外部環境、横軸をプラス要因とマイナス要因に分けて分析します。

 

SWOT分析

 

内部環境とは自社を構成するリソースのことで、社内でコントロールできる領域を指します。内部環境を「強み」と「弱み」に分けて整理することで、既存事業の改善点や新規事業の将来的なリスクの発見につながります。

外部環境とは市場や競合他社の動向など、社内でコントロールできず、自社に影響をもたらす領域を表し、「機会」と「脅威」に分けて整理することで、新しいビジネスチャンスや潜在的なリスクを早期に見つけることが可能です。

 

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4P分析

4P分析とは、「Product(製品)/何を」「Price(価格)/いくらで」「Place(流通)/どこで」「Promotion(販売促進)/どのように」売るのかを考える、マーケティング戦略のフレームワークです。整合性のあるマーケティング戦略の立案に役立ちます。

 

4P分析

 

4P分析を行うと、商品の特性、商品品質、勝負すべき価格帯、販売ルート、顧客のニーズなどを明らかにできるので、一貫性のある思考でマーケティング活動に取り組みたい時に有効です。

4P分析は「マーケティング戦略を立案するとき」に実行され、ターゲティングやポジショニングを行った後の、マーケティングミックスを行う際に活用されます。

 

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PEST分析を行う際の3つのコツ

PEST分析を適切に行うためには、以下の3つのコツが大切です。

 

  • 目的を見失わない
  • 短期計画には不向き、中長期計画向け
  • 内部環境分析も併用して行う

 

それぞれのコツについて詳しくみていきましょう。

目的を見失わない

PEST分析を行う際には、初めに設定した目的を見失わないように気をつけましょう。

これを意識せずにPEST分析を行うと、膨大な量の情報をさばくことでいっぱいになり、目的やゴールを見失ってしまう可能性があります。気付かぬ間に手段が目的となってしまうケースもあるため、注意が必要です。

目的を常に意識しながら、基本的なステップに従って分析を行いましょう。

短期計画には使わない

PEST分析の対象とされる4要因「政治・経済・社会・技術」の変化は数年単位で変化する傾向にあり、その規模が多いほど期間は長期になります。

そのため、翌月の営業計画や数ヶ月ごとの戦略などの短期計画には不向きとされています。基本的には中長期的な事業戦略を策定する際に活用しましょう。

内部環境分析も併用して行う

先述したように、PEST分析は外部環境の変化を分析対象とするフレームワークなので、単体で活用すると情報に不足がある可能性があります。内部環境の分析も併用して行うようにしましょう。

前章で紹介した3C分析やSWOT分析を活用して事業戦略を策定することで、より精度の高い事業戦略を立案することができます。

まとめ

本記事では、PEST分析の進め方やメリット・デメリット、実際の事例など、PEST分析に関する知識を網羅的に解説しました。

目まぐるしい変化の中でも、自社でコントロールすることが難しいマクロ環境をPEST分析で適切に把握できれば、効果的なマーケティング戦略の策定や、安定した企業運営へとつながります。

紹介した注意点やコツを意識しながらPEST分析を適切に実施し、ワンランク上の経営戦略や営業計画の立案を目指しましょう。

 

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Fri, 12 Apr 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[AIDMA(アイドマ)とは?AISAS(アイサス)との違いや活用シーン、成功事例などをわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/AIDMA AIDMA(アイドマ)とは、消費者の購買行動プロセスを説明する、代表的なフレームワークの1つです。商品・サービスを購入する人が、どのようなプロセスを経て購入に至ったのかという一連の流れを表した概念です。

 

AIDMAを活用することで、マーケティングの最適化につながり、商品・サービスの売上向上を期待できます。

 

本記事ではAIDMAの基礎知識をはじめ、AIDMAの活用シーンや活用メリット、AIDMA以外の消費者行動プロセスを解説します。最後には実際の成功事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

 

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AIDMA(アイドマ)とは

AIDMA(アイドマ)

 

AIDMA(アイドマ)とは、消費者の購買行動プロセスを説明する、代表的なフレームワークの1つです。

 

消費者の5つのプロセス「Attention(注意・認識)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)」の頭文字から構成されており、消費者が商品やサービスを「知る→興味・関心を持つ→欲しいと思う→覚える→購入する」という一連の流れを表しています。

 

購買行動を分解して理解することで、ユーザーの動機を見極められ、より適切にアプローチできるようになり、購買に結びつく可能性が高まります。

 

他にも数多くの購買行動プロセスのフレームワークが存在しますが、AIDMAはユーザーの短期的な購買行動を説明している点が特徴です。

 

以下でそれぞれのプロセスについて詳しく解説します。

Attention(注意・認識)

AIDMAのファーストステップである「Attention(注意・認識)」は、消費者が商品・サービスを知ることを意味します。テレビやネットの広告、SNSなどから情報を得ることで、もともと商品やサービスを知らないユーザーがその存在を認識する段階です。

Interest(関心)

前の段階で知った商品・サービスに対して、消費者が興味・関心を持つフェーズが「Interest(関心)」です。

 

商品やサービスを認識しても、興味を持ってもらえなければ購入には至りません。「どんな商品なのか」「このサービスでどんなことが解決できるのか」など関心を抱いてもらうことが重要です。興味・関心を持ってもらえるかは一瞬で決まるとされているので、企業側は魅力を簡潔に伝える工夫が求められます。

Desire(欲求)

「Desire(欲求)」は、認識+興味を持った商品・サービスを欲しいと思う段階を指します。

 

関心を持ってもらうだけでなく、「実際に使ってみたい」「課題解決のために導入したい」と思ってもらう必要があります。また商品・サービスそのものに興味はあるものの、「価格が高いのではないか」「本当に必要なのか」などの疑問を抱える消費者も多いので、心配や不安を取り除くアプローチが重要です。

Memory(記憶)

消費者は商品・サービスを「購入したい」「使ってみたい」と思ったとしても、購入まで至るとは限りません。

 

そこで企業は、様々なチャネルを通して消費者に情報を提供してリマインドする必要があり、そのプロセスが「Memory(記憶)」です。アプローチすることで、商品・サービスを購入するモチベーションを高めます。

Action(行動)

「Action(行動)」は、消費者が商品・サービスを購入する最終プロセスを指します。

 

購入するモチベーションが高まっていても、購入する機会がない場合や、購入する方法がわからない場合、買って購入しないか悩んだ末に購入をやめてしまうケースなどがあります。

 

コンビニなどの消費者が訪れやすい店舗に商品を置いたり、期間限定の特典をつけたりするなどの対策をすることで、購入機会を提供でき、商品の購入へとつながります。

AIDMA(アイドマ)の具体例

AIDMA(アイドマ)をより理解するため、消費者が新しい冷蔵庫を購入するシーンを例に考えてみましょう。

 

まず消費者は、テレビCMやSNS、Web広告などで冷蔵庫について認知=「Attention」し、その冷蔵庫が好きか嫌いかを瞬時に判断して関心=「Interest」を持つかどうかが決まります。

 

関心を持ったら、この冷蔵庫が自分に必要か否かや、本当に欲しいものかどうか=「Desire」を検討し、記憶=「Memory」します。そして冷蔵庫を購買するモチベーションが高まり、購入機会が訪れたら購買行動=「Action」を起こすという流れです。

AISAS(アイサス)との違い

AISAS(アイサス)

 

AISAS(アイサス)とは、1990年代に電通によって提唱された消費者行動モデルで、AIDMAをインターネット社会に適応させたモデルです。インターネットが普及したことによって端末に商品を記憶させることができるようになり、消費者は自分で記憶する必要がなくなったため、AIDMAの「Memory(記憶)」の段階は消失しました。下記がAISASの購買プロセスです。

 

  • Attention(注意・認識)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Action(行動)
  • Shere(共有)

 

SNSが普及した今、商品を購入したらブログやSNSなどに投稿し、友人にシェアするという行動が一般的になっています。モデルなどのインフルエンサーがインスタグラムなどのSNSで商品を紹介すると爆発的にヒットするという現象も起きています。

 

さらに、何かを探す時はGoogle、Yahoo!などの検索エンジンではなく、SNSを利用するという人も増えてきました。こういった風潮がある中で、「share(共有)」をプロセスの1つとして置いている「AISAS」は、今後のマーケティング戦略を考えるうえで重要なフレームワークだと言えるでしょう。

AIDMAの活用シーン

AIDMAの主な3つの活用シーンについて解説します。

ペルソナの設定

AIDMAはペルソナを設定する際に活用されます。ペルソナとは、自社のターゲットとなるユーザー像を指し、ペルソナを通してユーザー像への理解を深めることで、マーケティング方針を統一できるという役割があります。

 

ペルソナを設定する際にAIDMAを活用して購入行動を分析すれば、ペルソナをより具体的且つ適切に設定しやすくなります。AIDMAから明らかになったニーズや流行などをペルソナに反映することが大切です。

 

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プロセスに応じたアプローチ方法の設定

消費者を購入へと導くためには、各プロセスごとに適したアプローチを行う必要があります。適切なアプローチ方法を設定する際には、AIDMAの活用が役立ちます

 

「Attention」では、テレビCMやWebサイト、SNSでの商品・サービスの広告、「Interest」では、同じ方法を通してより商材の魅力が伝わる情報を提供していきます。

 

「Desire」のフェーズでは、消費者自身が情報を集めようとするため、Webサイトの製品ページやカタログの内容を充実させることが大切です。その後、定期的なメルマガの配信や様々なチャネルを通した広告を打つなど、商品・サービスを思い出してもらえるような施策を行う段階が「Memory」です。

 

最終フェーズの「Action」では、消費者の購買意欲を刺激するために、キャンペーンの企画やクーポンの配布などのアプローチを行います。

適切なタイミングでのマーケティング施策の実行

マーケティング施策で効果を出すためには、適切なタイミングで消費者にアプローチすることが必要です。その際にはAIDMAを活用すると良いでしょう。

 

AIDMAのフェーズを元にタイミングを考慮した上でアプローチすることで、消費者が各フェーズを着実に踏んでくれる可能性が高まります。より的確なタイミングを把握するためには、マーケティングオートメーションを導入するのも効果的です。

 

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AIDMAを活用する3つのメリット

AIDMAを活用することで、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?主な3つのメリットを紹介します。

自社の課題を明確にして改善につなげられる

AIDMAを活用することで、自社の課題や弱みを明確にし、改善策の立案につなげられるというメリットがあります。

 

Desire(欲求)のフェーズで購入意欲が高くても、Action(購入)の段階ではなかなか購入へ結びつかないケースなどがよくあります。この場合、商品・サービスの値段や質に原因があるとは限らず、競合他社製品と比較した際に改善すべき点が見つかることがあります。

 

思うように成果がでない場合は、AIDMAの各フェーズごとに自社の課題や弱みを把握し、改善していくことが大切です。

消費者の心理状態に応じてマーケティングを最適化できる

消費者の心理状態に応じてマーケティングを最適化できるという点も、AIDMAを活用する大きなメリットです。

 

消費者の心理状態は各フェーズごとに異なる傾向にあるため、必要な施策もそれぞれ違います。適切でない施策を打っても効果が得られないため、せっかくかけた手間や労力も無駄になりかねません。AIDMAの各段階における消費者心理を考慮し、最適なマーケティング施策を打ちましょう。

ペルソナマーケティングを最適化できる

AIDMAを活用することでペルソナマーケティングを最適化することができ、より効果的な施策を打てるようになります

 

ペルソナを設定する際にAIDMAを活用することで、ペルソナをより具体的且つ適切に設定しやすくなることは先述しましたが、ペルソナを深掘りすることで、AIDMAの各段階においてより効果的な施策を打つことができます。

 

たとえば、ユーザーを「男性・40?60代・高年収」というペルソナを設定した場合、ユーザーが多いと予測できる新聞やタクシーに広告を打つことで成果が得やすくなるはずです。AIDMAを活用することで、ペルソナマーケティングの最適化につながります。

 

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AIDMA以外の消費者行動プロセス13選

AIDMA以外の13の消費者行動プロセスを解説します。

SIPS(シップス)

SIPS(シップス)

 

SIPS(シップス)とは、SNSにおけるユーザー同士の影響を考慮した購買プロセスを指します。AIDMAやAISASをもとにした概念ではなく、新しい購買プロセスとして定義されたフレームワークです。

 

以下の段階から構成されており、それぞれの頭文字から名付けられています。インターネットやSNSが普及した現代の消費者行動に合わせて生まれました。

 

  • Sympathize(共感)
  • Identify(確認)
  • Participate(参加)
  • Share/Spread(共有・拡散)

 

プロセスが「共感」から始まる点や、消費者がSNSを通して企業の営業活動に参加する点もなども、他のフレームワークにはない特徴です。

AISCEAS(アイセアス)

AISCEAS(アイセアス)

 

AISCEAS(アイセアス)は、「インターネット普及後の社会における消費者行動モデル」です。消費者のサービスや商品購入までのプロセスを下記の7段階に分けて考え、その頭文字をとって名付けられました。

 

  • Attention(認知・注意):消費者が商品を認識する段階。
  • Interest(興味・関心):消費者が商品を購入するか考え、興味関心を持つ段階。
  • Search(検索):消費者が商品についての情報を検索する段階。
  • Comparison(比較):消費者が商品の比較をおこなう段階。
  • Examination(検討):消費者が商品を購入するか検討する段階。
  • Action(行動):消費者が商品を購入する段階。
  • Share(共有):消費者が体験を共有する段階。

 

このA・I・S・C・E・A・Sのそれぞれのステップに対して、自社のボトルネックを特定し施策を打っていくことで、効果的に顧客を獲得しシェアまでつなげることが可能です。ただ闇雲に施策を打つよりも、より合理的な判断ができるのが、消費者行動モデルを活用するメリットといえるでしょう。

 

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AIDA(アイダ)

AIDA(アイダ)は概念として提唱された初の購入行動フレームワークで、AIDMAの原型とされています

 

各アルファベットは以下を表しており、欲求と購買までの間に「Memory(記憶)」が追加されたのがAIDMAです。他の多くの消費者行動プロセスの元となった概念として知られています。

 

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Action(購買)

AIDCA(アイドカ)

AIDCA(アイドカ)は、AIDAモデルに「Conviction(確信)」が加えられた消費者行動プロセスです。AIDMAと同時期に提唱され、AIDMAの「Memory(記憶)」の部分が「Conviction(確信)」に替わっていると捉えることもできます。

 

主に見込み客の購買を狙うダイレクトマーケティングで活用されるのが特徴です。AIDCAにでは「Conviction(確信)」が最も重要なフェーズであり、例えば消費者が高額な商品・サービスを購入する場合、その動機となるのはMemory(記憶)ではなくConviction(確信)であると考えられています。

 

消費者が商品やサービスの価値を確信することで強い購買意欲をもつとされています。

AIDCAS(アイドカス)

AIDCAS(アイドカス)は、前章で紹介したAIDCAに「Satisfaction(満足)」を加えた概念で、商品・サービス購入後のアフターサービスやフォローをしっかりと実施して満足してもらうことを重視したフレームワークです。

 

リピーターの増加やリピート率の向上を目的としており、AIDCAと同じく、主に見込み客の購買を狙うダイレクトマーケティングで活用されます。

AMTUL(アムツール)

AMTUL(アムツール)は、消費者からの信頼や愛着に注目した購買行動プロセスで、各アルファベットは以下を表しています。

 

  • Aware(認知)
  • Memory(記憶)
  • Trial(試用)
  • Usage(本格的な利用)
  • Loyalty(愛用・固定客)

 

AIDMAよりも長期的な心理変化に着目している点が特徴で、消費者との良好な関係構築や、顧客のファン化などを狙えます。ファンを育成・獲得できれば、継続的に商品・サービスを購入してもらう可能性が高まります。

AISA(アイサ)

AISA(アイサ)は、SNSにおける消費者の情報発信から発展する購買プロセスです。以下の流れで構成されています。

 

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Social Filter(ソーシャルフィルター)
  • Action(購買)

 

消費者の中には、WebサイトやGoogle検索ではなく、SNSから得られる情報で商品の購入を決める人も増えています。AISAでは「Social Filter(ソーシャルフィルター)」では、SNSにおける商品・サービスに対する消費者の反応に着目するのが特徴です。

ARCAS(アルカス)

ARCAS(アルカス)とは、店頭販売における購入プロセスを指します。具体的には以下の頭文字から構成されており、主に店頭販売のマーケティング戦略にて活用されます。

 

  • Attention(気づき)
  • Remind(思い起こし)
  • Compare(比較)
  • Action(購買)
  • Satisfy(満足)

 

具体的には、消費者が来店して商品を見た際に「広告で気になっていた商品だ」と思い出したり、店頭で商品に触れた後、他の場所で商品を思い出して比較したりした後に、購入に至るという一連のプロセスを説明します。

 

提供する商品・サービスはもちろん、店舗での接客などに力を入れることで再来店につながり、商品のリピート購入を狙えるでしょう。

AIDEES(アイデス)

AIDEES(アイデス)は、消費者が購入した商品・サービスに満足し、口コミやSNS紹介などでシェアすることに着目した購買決定プロセスです。下記の頭文字をとって名付けられました。

 

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Experience(購入)
  • Enthusiasm(心酔)
  • Share(情報共有)

 

AIDMAと比較すると、消費者の体験を重視している点が大きな違いであり、ユーザーによる口コミや宣伝に重きをおいている点がポイントです。消費者が商品・サービスを使って感動した=「Enthusiasm(心酔)」ことを、ネット上で「Share(情報共有)」し、次の消費者へとつなげていくのが特徴です。

SAIDCAS(サイドキャス)

SAIDCAS(サイドキャス)とは、インターネットが普及した現代に即した消費行動プロセスで、GMOが自社の成功事例をもとに編み出し、提唱したモデルです。それぞれのアルファベットは以下を意味しています。

 

  • Search(検索)
  • Aware(認知)
  • Interest(興味)
  • Desire(欲求)
  • Conviction(確信)
  • Action(行動)
  • Satisfy(満足)

 

大口の顧客をつくり出して需要を拡大させ、最終的に獲得することを目的としています。

VASAS(ヴィサス)

VASAS(ヴィサス)はSNSやインフルエンサーを通じた口コミなど、「消費者の情報発信」に着目した消費者行動プロセスです。それぞれの頭文字は以下を意味しています。

 

  • Viral(口コミ)
  • Influence(影響)
  • Sympathy(共感)
  • Action(行動)
  • Share(共有)

 

誰もが情報発信を行える現代では、消費者が簡単にSNSで発信できるようになり、その情報を他の消費者が見ることで、購入するというプロセスが一般的になっています。本モデルでは、「どのように良い口コミを広めるか」「SNSでどのように情報発信を促すか」が重要です。

DECAX(デキャックス)

DECAX(デキャックス)は、Web上で消費者自らが情報発見を行うことを前提とした消費者行動プロセスです。以下のような流れで消費者が自分で情報収集を行い、商品・サービスの購入に至る流れを説明しています。

 

  • Discovery(発見)
  • Engage(関係)
  • Check(確認)
  • Action(購買)
  • Experience(体験共有)

 

SNSやWebサイトなどを通して、消費者があらゆる情報に触れることを考慮している点がポイントです。

 

具体的に「Engage(関係)」は、企業が発信した情報に消費者が反応することで良好な関係を構築することを意味し、「Check(確認)」は、自身で収集した情報が正しいか・有益な情報かをチェックすることを指します。購入した後は、その体験をWeb上で共有=Experienceするという特徴があります。

ULSSAS(ウルサス)

ULSSAS(ウルサス)とは、消費者がSNSに投稿するコンテンツを軸とした購入プロセスを指します。以下が各アルファベットの意味です。

 

  • UGC(ユーザー投稿コンテンツ)
  • Like
  • Search1(SNS検索)
  • Search2(Google/Yahoo!検索)
  • Action(購入)
  • Spread(拡散)

 

消費者は商品・サービス購入後、その商品に関するコンテンツをSNSに投稿するのが一般的になっています。その投稿に他の消費者が「Like(いいね)」で反応し、SNSやGoogle/Yahoo!などのWeb上で検索を行うことで購入に至ります。

 

さらにその消費者が自分のSNSに投稿をすることで、同様の流れが生じてさらなる購入に至るという、自動で集客ができるサイクルの構築を狙います。

AIDMAを活用した成功事例3選

実際にAIDMAを活用した成功事例を3つ紹介します。

資生堂「TSUBAKI」

資生堂が2006年から展開しているヘアケアブランド「TSUBAKI」は、AIDMAの成功事例の中でも代表的な例といえます。

 

有名女優陣が出演するCMのテーマソングを国民的アイドルが担当するという、膨大な予算を使ったキャンペーンを打つことによって、一世風靡を巻き起こしました。黒髪の美しさに着目した戦略で日本女性の共感を獲得し、黒髪ブームも起こったほどです。

 

以下ではAIDMAの段階ごとの施策を解説します。

Attention(注意・認識) 有名女優・人気アイドルをTVCMに起用。テーマソングを耳にするだけで商品を思い出すなど、耳に残るテーマソングと強いインパクトを与えた。
Interest(関心) 「日本の女性は、美しい」という印象的なコピーをTVCMに起用し、消費者の興味・関心を惹きつけた。
Desire(欲求) 店頭やドラッグストア、街中でサンプルを配布し、実際に使用してもらうことで購入欲求を高める。
Memory(記憶) 店頭でPOPを貼ったり、大量に陳列してもらったりするなど、大々的に商品をアピールし、リマインドする。シャンプーとコンディショナーをセット販売し、販促品をつけるなどの工夫を施す。
Action(行動) これまでのフェーズを経て、消費者が実際に店頭で商品を購入する。

 

参考

ナイル株式会社「おトクにマイカー 定額カルモくん」

ナイル株式会社のリーズナブルな価格でカーリースを利用できるサービス「おトクにマイカー 定額カルモくん」でもAIDMAが活用され、加入者が増えるという成果が得られました。

 

以下がAIDMAのフェーズにおける具体的な施策です。

Attention(注意・認識) 「車」に関連したキーワードでSEO上位表示を獲得し、ユーザーにサービスを認識してもらう。
Interest(関心) 「定額で車が買える」という簡潔でわかりやすいコピーを打ち出した。魅力を端的に伝えることで、ユーザーが関心を持った。
Desire(欲求) Webサイトで「定額であの新車に乗れる!」と理解してもらい、商品・サービスの購入に対する欲求を高める。
Memory(記憶) 電車内広告やリターゲティング広告などを利用して、サービスを思い出させる。
Action(行動) Web上で審査申込みから納車まで完結できるシステムを採用することで、ユーザーに購入機会を提供。ユーザーが購入行動を起こしやすくなった。

 

参考

2018年サッカーワールドカップのコカ・コーラ社

コカ・コーラ社でも、2018年のサッカーワールドカップの期間中にAIDMAが活用された取り組みが実施されました。同社はサッカーを観戦しながらコカ・コーラを飲む様子のTVCMを大量に放映することで、コカ・コーラの売上は大幅に向上しました。

 

Attention(注意・認識) サッカーワールドカップの試合をテレビで観戦する際、コカ・コーラのTVCMが流れることで認知度は向上した。
Interest(関心) 印象的なキャッチコピーをCMの最後に流すことで、サッカーワールドカップとコカ・コーラが結びついて記憶され、消費者の興味・関心を刺激した。
Desire(欲求) 世間でサッカーワールドカップの話題が持ちきりになると、サッカーにあまり興味がなかった消費者もテレビで観戦したいと思うようになり、TVCMを視聴することによって商品購入の欲求が高まった。
Memory(記憶) サッカーワールドカップとコカ・コーラのCMを結びつけて記憶した消費者に、さらにリマインドして思い出させることで購入のモチベーションを高める。
Action(行動) サッカーワールドカップを見る予定の消費者が、帰路でコカ・コーラを思い出して購入する。

 

参考

まとめ

本記事では、AIDMA(アイドマ)の基礎知識や活用シーン、AIDMA以外の13の消費者行動プロセスなどを解説しました。

 

インターネットが普及し、消費者の購買行動は変化していますが、AIDMAは100年以上前に提供されながらも根強く残り、今もあらゆるシーンで活用されています。AIDMAを活用し、各フェーズの消費者の状況をしっかりと把握することで、効率的に消費者を購買行動へと導けます

 

AIDMAを起点に、アップデートされた他の消費者行動モデルも参考にして施策立案に取り組むことで、より大きな成果を得られるでしょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Wed, 10 Apr 2024 10:00:00 +0900
<![CDATA[ウェブアクセシビリティとは?]]> https://mtame.jp/design/web-accessibility ウェブアクセシビリティとは、障がいを持つ人を含む、すべての人がWebサイトやアプリケーションを利用しやすい状態を指します。

デジタル技術の普及が進み、情報社会がさらに発展している今、すべての人が情報やサービスに平等にアクセスできることが社会的責任として認識されてきています。
日本でもウェブアクセシビリティの重要性が高まっており、多くの企業が対応に乗り出しています。

そこでこの記事では、ウェブアクセシビリティの基本や必要性、向上させるための具体的な方法などについて、ご紹介いたします。

 

【関連記事】
「アクセシビリティ」の優れたサイトとは~「ユーザビリティ」とは異なる視点~

 

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ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは、障がいの有無や年齢、利用環境の違いに左右されずに、誰もが等しくWebサイトやアプリケーションを利用しやすい状態のことをいいます。

イギリスの計算機科学者でWorld Wide Web(WWW)を考案し、URLやHTTP、HTMLの最初の設計を行ったティム・バーナーズ=リー(Timothy "Tim" John Berners-Lee)氏は、次のように語っています。

 

The power of the Web is in its universality. Access by everyone regardless of disability is an essential aspect.

 

つまり、障がい者を含む、すべての人にとって使えることが、Webの本質であるということです。

たとえば、次のような配慮がウェブアクセシビリティに該当します。

 

  • スクリーンリーダーなどの支援技術を使ってWebページの内容を理解できるようにしてある(視覚障がい者などへの配慮)。
  • 字幕や音声解説を使って、動画の内容を理解できるようにしてある(聴覚障がい者などへの配慮)。
  • キーボードを使わずに、マウスや音声操作でWebページを操作できるようにしてある(身体障がい者などへの配慮)。
  • 読みやすい文字やシンプルなレイアウトで、Webページの内容を理解できるようにしてある(認知障がい者などへの配慮)。

 

ウェブアクセシビリティは、すべての人が平等に情報にアクセスできる社会を実現するために重要な取り組みです。

 

ウェブアクセシビリティが確保されていない場合、以下のような問題が発生します。

 

  • ユーザーが必要な情報を得ることができず、生活に支障をきたす。
  • ユーザーがサービスを利用することができず、社会参加の機会が失われる。
  • WebサイトやWebサービスを提供している企業や組織の評判が損なわれる。

そもそも「アクセシビリティ」とは

アクセシビリティとは、障がいを持つ人を含むすべての人が、製品、サービス、環境などを自由に、容易に利用しやすい状態を指します。

 

【関連記事】
「アクセシビリティ」の優れたサイトとは~「ユーザビリティ」とは異なる視点~

総務省のウェブアクセシビリティ方針

なお、総務省のWebサイトでは、「総務省ウェブアクセシビリティ方針」で、

 

総務省ホームページは、高齢者や障害者を含む誰もが利用できるものとなるよう、日本産業規格JIS X 8341-3:2016「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」(以下「JIS X 8341-3:2016」という。)のウェブコンテンツのアクセシビリティ(以下、「ウェブアクセシビリティ」という。)適合レベルAAの基準を満たすものとする。

 

としています。

ウェブアクセシビリティのガイドライン

ウェブアクセシビリティに関して、国内外のさまざまな団体からガイドラインが示されています。

W3Cのガイドライン「Web Content Accessibility Guidelines(WCAG 2.0)」

W3C(World Wide Web Consortium)は、「ウェブアクセシビリティとは」でご紹介したティム・バーナーズ=リーが創設した非営利団体で、World Wide Webで使用される各種技術の標準化を推進するために設立されました。

W3Cでは、ウェブコンテンツのアクセシビリティを確保するための国際基準として、「Web Content Accessibility Guidelines(WCAG 2.0)」を示しています。 このガイドラインでは、Webサイトがすべてのユーザーにとってアクセスしやすいよう、視覚・聴覚・運動・認知の障がいを持つユーザーも含めた広範なニーズに対応するための原則と実践的なチェックリストを提供しています。

四つの基本原則「知覚可能」、「操作可能」、「理解可能」、「堅牢」に沿って、Webサイトやアプリケーションを設計、開発することが推奨されています。

ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)のガイドライン

ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)は、2010年8月に、「JIS X 8341-3」が改正されたタイミングで誕生した組織で、「JIS X 8341-3」の理解と普及を促進するとともに、「JIS X 8341-3」を利用してウェブアクセシビリティを高めていくために必要な基盤を構築すべく、さまざまな活動を行っています。

「JIS X 8341-3」とはJIS(日本工業規格)の一つで、正式名称を「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」といい、高齢者や障がいのある人を含む全ての利用者が、使用している端末、ウェブブラウザ、支援技術などに関係なく、ウェブコンテンツを利用することができるようにすることを目的として規格されました。

「JIS X 8341-3」は、ウェブアクセシビリティを確保するための日本国内の基準として広く認知されており、公共機関や民間企業において、すべてのユーザーが情報に平等にアクセスできるようWebサイトやサービスを設計する際の指針とされています。

「JIS X 8341-3」に準拠することで、ウェブコンテンツのアクセシビリティが向上し、より多くの人々がウェブサイトやウェブアプリケーションを利用できるようになります。

デジタル庁のガイドブック

デジタル庁では、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を実現する手段の一つとしてウェブアクセシビリティの向上に取り組んでおり、初心者向けのガイドブックを公開しました。

ウェブアクセシビリティに初めて取り組む行政官の方や事業者向けに、ゼロから学べるように作られている点が特徴で、ウェブアクセシビリティの考え方や、取り組み方のポイントが解説されています。

ガイドブックは、デジタル庁のWebサイトからダウンロードできます。
ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック(デジタル庁)

ウェブアクセシビリティが義務化されるってホント?

「ウェブアクセシビリティが義務化されるのではないか?」とささやかれているのは、2024年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」の法改正が施行されることと関係があります。
同法律は、障がいを持つ人々が社会のさまざまな分野で差別を受けることなく、誰もが等しく参加できる社会を実現することを目指して作られました。

改正前は、「事業者は、その事業を行うに当たり(中略)社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない」とあった文言が、改正後は「事業者は、その事業を行うに当たり(中略)社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない」となったため、ウェブアクセシビリティが義務化されたと勘違いした方もいるようです。

ただ、ウェブアクセシビリティは、「合理的な配慮」とまではいえないため、義務化されたわけではないのです。
つまり、日本ではウェブアクセシビリティの義務化に関する具体的な法規制はまだ成立していません。

ただし、海外に目を向けると、公共機関や大企業に対し、ウェブアクセシビリティ基準を満たすことを義務付けている国も多いです。たとえば、米国は「リハビリテーション法508条」で連邦政府機関のWebサイトや電子情報技術が、障がいを持つ人々にとってアクセスしやすいものであることを義務付けています。
また、EUでは2025年6月に「欧州アクセシビリティ法(European Accessibility Act、EAA)」が施行されます。これは民間のECサイトにも適用されます。

このように、世界的にウェブアクセシビリティの義務化に向けた動きがあり、日本でも義務化される可能性がありますので、中小企業にとっても無視できないトピックとなっています。

ウェブアクセシビリティの対応で得られるメリット

上記のように、日本でもウェブアクセシビリティが義務化される可能性がある中で、WebサイトやWebサービスを提供する企業では、早目に対応しておくことが大切です。

義務だから対応しなければならないという後ろ向きな理由ではなく、ウェブアクセシビリティの対応で得られるメリットに目を向け、積極的に対応していきましょう。

主なメリットとして、ユーザー満足度の向上、ユーザー基盤の拡大、SEO効果の向上、そしてブランディングの強化の4つがあります。

ユーザーの満足度を向上できる

ウェブアクセシビリティを向上することで、すべての人が問題なく情報にアクセスできるようになると、Webサイトやサービスの利用がしやすくなります。
その結果、直接的にユーザー体験の向上につながり、顧客満足度が高まります。

たとえば、明確なナビゲーション、適切なコントラスト比、読みやすいフォントサイズなどは、障がいを持たないユーザーにとっても利便性が高いと感じる要素です。

これにより、利用者はより快適にWebサイトを利用でき、ポジティブな体験を得られるようになります。

ユーザー幅を広げられる

ウェブアクセシビリティを改善することで、障がいを持つユーザーや高齢者など、従来はアクセスが困難だったユーザー群にもサービスを提供できるようになります。
この結果、潜在的な顧客層が拡大します。

特に、高齢者人口が増加している日本市場においては、中小企業が新たな市場に進出する大きな機会となり、競争優位につながるでしょう。

SEOに効果がある

ウェブアクセシビリティの向上は、検索エンジン最適化(SEO)にも寄与します。
Googleをはじめとする検索エンジンは、ユーザーフレンドリーなWebサイトを高く評価するためです。

アクセスしやすいWebサイトは、構造が整っており、コンテンツが適切にマークアップされているため、検索エンジンによるクローリングが容易になります。
その結果、検索結果の上位に表示される可能性が高まり、より多くの訪問者を集めることができます。

 

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ブランディングを向上できる

ウェブアクセシビリティ向上に取り組むことで、社会的責任(CSR)を果たしている企業として、ブランドイメージの向上にもつながります。
アクセシビリティの向上に取り組み、これを社内外に周知することで、企業が社会全体に対して配慮があることをアピールできます。

この結果、顧客やビジネスパートナーからの信頼を得られるでしょう。
また、ウェブアクセシビリティの高いWebサイトは、企業が革新的であること、すべての人にとっての平等性を重視していることを示すため、ポジティブな印象を与えます。

 

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ウェブアクセシビリティ向上のための対応方法・チェックポイント

ウェブアクセシビリティを向上させるためには、いくつかの重要な対応方法とチェックポイントがあるので、ご紹介いたします。

コンテンツの構造化

Webサイト上のコンテンツは、明確に構造化されていることが重要です。
たとえば、見出しタグ(H1、H2など)の適切な使用や、リストのマークアップ、セクションの論理的な分割などです。

構造化されたコンテンツは、スクリーンリーダーを使用するユーザーが情報を容易に理解し、ナビゲートするのに役立ちます。

色彩の配慮

色彩を用いる際は、コントラスト比に注意する必要があります。
テキストと背景のコントラスト比が高ければ、視覚障がいを持つユーザーや高齢者もテキストを読みやすくなります。

また、色だけでなく図形やラベルを用いて情報を伝えることで、色覚異常を持つユーザーにも配慮します。

テキストの読みやすさ

テキストは、読みやすいフォントサイズとスタイルで記載することが望ましいです。
また、専門用語や略語の使用には注意し、必要に応じて解説を加えると良いでしょう。

テキストの読みやすさを高めることで、全てのユーザーがコンテンツを理解しやすくなります。

キーボード操作のサポート

Webサイトは、キーボードだけで完全に操作できるように設計する必要があります。
これは特に、身体障がいを持つユーザーにとって重要な配慮です。

たとえば、フォームやリンク、ボタンなどの要素をキーボードでアクセスしやすくすることが挙げられます。

環境依存文字や記号をできるだけ使用しない

環境依存文字や特殊な記号の使用は、一部のユーザーでは利用しているOSやブラウザの影響で正しく表示されない場合があるため、避けるべきです。
音声読み上げソフトでも、正しく読み上げられない可能性が高いです。

画像には代替テキストを付ける

画像には、その内容を説明する代替テキスト(alt属性)を必ず付けましょう。
これにより、視覚障がいを持つユーザーがスクリーンリーダーを使用しても、画像の内容を理解できるようになります。

リンクであることを認識しやすくする

リンクは、テキストだけでなく視覚的な手がかり(下線など)を用いて、明確に識別できるようにすることが重要です。
これにより、誰でもリンクの存在を容易に認識できるようになります。

映像コンテンツには字幕をつける

映像やオーディオコンテンツには、聴覚障がい者向けの字幕や音声解説を提供しましょう。
この結果、コンテンツが、より広いユーザーにとってアクセス可能になります。

ウェブアクセシビリティをチェックするツール

このようなウェブアクセシビリティを向上するためのポイントを、自社のWebサイトやWebサービスのすべてのページを目検でチェックするのでは、手間も時間もかかる上に、見落としが発生する恐れもあります。

そこで利用したいのが、ウェブアクセシビリティをチェックするツールです。
ここでは、主なチェックツールをご紹介いたします。

Lighthouse(Google)

Lighthouseは、Googleが提供するChromeの機能で、無料で利用することができます。
LighthouseはGoogle Chromeの開発者ツールに組み込まれています。

ウェブアクセシビリティ上の問題が見つかった場合は、それぞれの問題についての説明、問題が発生している要素、問題の解決方法についての情報が提供されるため、改善方法に悩まずに済みます。

Lighthouseを活用すると、指定したページを分析し、アクセシビリティに関するレポートを出力することができます。 レポートには、アクセシビリティスコアが0から100までの数値で評価され、改善のための具体的な推奨事項が記載されています。

Alt & Meta viewer(Google)

Alt & Meta viewerも、Googleが提供するChromeの機能で、無料で利用することができます。
特に視覚障がいのあるユーザーがスクリーンリーダーを使用してWebサイトを利用する際に、画像の代替テキストが正確かつ適切に設定されていることは、非常に重要です。
Alt & Meta viewer を活用することで、alt属性の入れ忘れがないかどうかを視覚的に確認できます。

Alt & Meta viewerを有効にすると、Webページ上の画像に設定された代替テキストや、ページのメタデータが表示されます。
これらの情報を利用して、以下の点を確認できます

 

  • すべての画像に代替テキストが設定されているか。
  • 代替テキストが画像の内容を適切に表現しているか。
  • メタデータ(たとえば、ディスクリプションやキーワード)が適切に設定されており、アクセシビリティやSEOに貢献しているか。

みんなのアクセシビリティ評価ツール「miChecker (エムアイチェッカー)」(総務省)

みんなのアクセシビリティ評価ツール「miChecker (エムアイチェッカー)」は、総務省が提供するチェックツールで、JIS X 8341-3:2016に基づいています。
こちらも、無料で利用できます。上記の総務省のページからダウンロード、インストールする必要があります。

問題がある、または問題がある可能性が高い箇所を特定して表示してくれるほか、高齢者や視覚障がい者の見え方をシュミレーションしてくれます。

ColorTester(アルファサード株式会社)

ColorTesterは、アルファサード株式会社が提供する、背景と文字のコントラスト比をチェックできるツールです。JIS規格に基づいています。

無料で利用できますが、500円、1,000円、2,000円の寄付の設定があります。利用に際し、上記のColorTesterのページからダウンロード、インストールする必要があります。

ウェブアクセシビリティの資格

ウェブアクセシビリティをチェックする際に必要なスキルを有していることを証明できる資格がありますので、ご紹介いたします。

アクセシビリティ検査技術者検定

アクセシビリティ検査技術者検定は、株式会社インフォ・クリエイツが主催する検定試験で、ウェブアクセシビリティの専門家として、Webサイトやアプリケーションのアクセシビリティ評価や改善策の提案を行うための技術と知識を証明する資格です。

ウェブアクセシビリティの基本的な原則から、具体的な検査方法、評価ツールの使用方法まで、幅広い範囲が網羅されています。

アクセシビリティ検査技術者を取得することで、アクセシビリティ検査技術者としての専門性が認められ、ウェブアクセシビリティに関するプロジェクトで重要な役割を果たすことができます。

デジタルアクセシビリティアドバイザー認定試験(旧 ICTアクセシビリティアドバイザー:AAICT)

デジタルアクセシビリティアドバイザーとは、デジタルアクセシビリティのマインドを持ち、ICT機器などのデジタル機器を障害のある人や高齢者に対して、適切にサポートできる知識と技術を認定された人材です。

認定試験では、高齢者や障害者のICT機器利活用をサポートするために必要な障害の理解・技術の理解・アクセシビリティの理解などの基礎的な知識と、困りごと別、生活場面別の適合技術などの応用的な知識・技術が認定されます。合格者には、オープンバッジが授与されます。

公式テキストとして、「Basicレベル編」「Standardレベル編」の2種の学習教材が販売されており、基本的に認定試験はこのテキストからの出題となっています。試験は会場試験となっています。

まとめ

ウェブアクセシビリティは、すべての人にとって使いやすいウェブ環境を実現するために不可欠な取り組みです。
法的義務だけでなく、企業の社会的責任としても重要なこの取り組みは、企業イメージの向上や新たなユーザー層の開拓にもつながります。
W3CのWCAGや、WAICのガイドライン、デジタル庁のガイドブックなどを参考に、アクセシビリティの原則を理解し、実践することが求められます。

ここで紹介した対応方法とチェックポイントを実装することで、すべての人が平等に情報にアクセスできる、より使いやすいウェブ環境を提供することが可能になります。中小企業にとって、これは競争力を高めるための貴重な機会となります。
この記事で紹介した内容を参考に、ウェブアクセシビリティの向上に取り組んでみてください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

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Fri, 05 Apr 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[インナーブランディングとは?メリットや具体的な手法、成功ポイントを解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/inner-branding インナーブランディングとは、社内に企業のブランド理念や価値観を浸透させて、従業員と共有する取り組みです。企業を成功へと導くには、単に製品やサービスを提供するだけでなく、内部からブランドイメージを強化することも重要です。

 

最近では、リモートワークが普及し、社内のコミュニケーション不足が問題視されています。企業の価値観や目指す方向性を理解しないまま、業務を進めてしまうと、モチベーション低下につながり、離職する社員が増えてしまうかもしれません。

 

そこで本記事では、従業員のエンゲージメントを向上させるインナーブランディングのメリットや具体的な手法、そして成功ポイントについて解説します。インナーブランディングの重要性と実践方法を理解して、ブランド力の強化にぜひお役立てください。

インナーブランディングとは?

インナーブランディングとは、従業員に企業やブランドの理念を浸透させる取り組みです。従業員が自社やブランドの価値を理解することで、積極的にその価値を顧客に提供できるようになり、企業目標の達成、ひいては売上向上につながります。

 

インナーブランディングに似た言葉に、「インターナルブランディング」「インナーマーケティング」がありますが、どちらも同じ意味で使われています。

目的

インナーブランディングの本質的な目的は、会社の内側から変革して、従業員の意識を高め、企業の目標達成を目指すことです。

 

従業員が自社に持つイメージを統一することで、組織としての協調性やチームワークが向上します。1人ひとりの意識やモチベーションも高まり、自らの成長や目標達成に向けて、自主的に取り組むようになるでしょう。

 

顧客に対しても、自社製品の魅力を積極的に伝えるようになるため、ブランドイメージが高まり、顧客満足度の向上も期待できます。

インナーブランディングとアウターブランディング

インナーブランディングが、企業内部へのブランディングであるのに対して、アウターブランディングは、社外の顧客や消費者に向けて、ブランド価値を浸透させる取り組みのことをいいます。

 

かつてブランディングは、企業の魅力を社外に向けて伝えるものでした。しかし、近年は社内の変革が重要視されるようになり、インナーブランディングと対比する取り組みとして、アウターブランディングが認識されるようになりました。

 

インナーブランディングを強化することによって、外部へのブランドメッセージも信頼度が向上するため、両者はブランド戦略の異なる側面を担いながら、相互に影響し合っているといえるでしょう。

なぜインナーブランディングが重要視されているのか

インナーブランディングが注目されている背景としては、リモートワークの普及や中途採用市場の活性化など、働き方の変化が大きく影響しています。

働き方の多様化

先ほどもお伝えしたように、リモートワークの普及によって、従業員のコミュニケーション不足が問題になっています。部署の孤立化も目立ち、自分が企業の一員であるといった帰属感が薄れていることも課題のひとつです。オフラインよりもオンラインで帰属意識を高めることは、非常に難しいといわれています。

 

その問題を解決するためにも、インナーブランディングの一環として、意識的にコミュニケーションを取ることが強化されています。リモートワークを行う従業員も、経営ビジョンへの理解が深められるように、社内イベントやワークショップの開催など、企業ではさまざまな取り組みが実施されています。

転職市場の活性化

いままで当たり前とされていた終身雇用制度が終わりを迎え、転職しながら自らのキャリアを築く意識が若い世代では広まっています。転職市場が活性化する中で、企業はキャリア採用に対しても、ビジョンを浸透させるためにインナーブランディングの強化が求められています。

 

ただ単に、給料面や福利厚生を手厚くするだけでは、すぐに企業との心理的な結びつきが薄れてしまいます。年齢も専門性も異なる従業員に対して、企業の価値観を浸透させるためには、インナーブランディングで自身の存在意義を伝えることが必要です。

インナーブランディングのメリット

ここからは、インナーブランディングのメリットについて、大きく4つに分けてご紹介します。

エンゲージメントが高くなる

経営理念を浸透させることは、従業員のエンゲージメントの向上につながります。ビジネスにおけるエンゲージメントとは、企業に対する「愛着」「思い入れ」を意味しており、深いつながりを持った関係性のことを「エンゲージメントが高い」といいます。

 

エンゲージメントが高まれば、企業に貢献したいという意欲が向上し、従業員は自発的に行動するようになるでしょう。

 

これまでのブランディングへの取り組み状況

 

出典元

 

経営コンサルティングを行う、株式会社タナベコンサルティングの調査によると、ブランディング・PRが社内外にもたらす効果として、約3割が「社員のモチベーションが上がった」と回答しています。
このように、インナーブランディングによりモチベーションやパフォーマンスの質が上がり、生産性の向上も期待できます。

社員同士の連帯感の強化

企業理念が従業員に定着すれば、自らが働く意義も明確になり、同じ目標を持つ仲間である、という社員同士の連帯感が生まれます。仲間と協力して目標を達成する喜びや、貢献を実感できる環境は、企業へのエンゲージメントを向上させるので離職率も低下します。

 

仲間との強いつながりは、コミュニケーションの活性化、お互いのサポートや協力する姿勢の強化など、多くのメリットが得られます。

優秀な人材が集まる

インナーブランディングにより、従業員の定着率の向上も期待できます。企業のビジョンに共感できれば、業務にやりがいを感じて、「この会社で長く働きたい」と感じるようになるでしょう。

 

定着率が高まれば、新入社員に対してもベテランによる質の高い教育が実現し、教育体制の強化が図れます。その流れで、さらに強い組織が形成できるといった好循環を生み出すでしょう。

 

採用においても、ビジョンを正確に伝えることで「その企業でキャリアを築きたい」といった、会社に賛同する人材が集まるようになります。企業のブランドイメージが向上すれば、募集も増え、採用もしやすくなるでしょう。

企業ブランドのイメージアップ

インナーブランディングで、従業員のモチベーションを高めることは、社外にむけたアウターブランディングにも有効です。

 

企業理念に共感していれば、従業員は自社の魅力を顧客にも積極的に伝えたくなり、サービスの質が向上します。インナーブランディングで、従業員のモチベーションを高めることは、社外にむけたアウターブランディングにも有効です。

インナーブランディングのデメリット

一方、インナーブランディングには、「中長期的な計画が必要」「理念に共感できない社員の離職」といったデメリットもあります。

中長期的な計画が必要

インナーブランディングは、すぐに成果につながるわけではありません。自社の想いや理想の姿を、従業員に伝えるには時間がかかります。意識の変化を促しても、実際の業務に現れるまでにも多くの時間が必要です。

 

すぐに効果があると思っていると、なかなか結果が出ない場合は途中でやめてしまうかもしれません。施策が中途半端にならないためにも、中長期的な計画が必要であることを理解しておきましょう。

理念に共感できない社員の離職

インナーブランディングを実施すると、企業理念に共感できない従業員は離職してしまう可能性があります。長年働いている従業員でも、会社の変革や理想についていけないと感じる人がいるかもしれません。

 

会社が成長するためには、理念に賛同する社員だけでなく、違った意見を持つ人や、別の視点から考えられる社員など、さまざまな人材が求められます。理念に共感できないからといって、すぐに離職につながらないよう、ケアする体制を整えておきましょう。

インナーブランディングの手法

インナーブランディングを実施するには、イベントやワークショップなどさまざまな施策があります。ここからは、具体的な手法について解説します。

社内報・ポータルサイト

社内報や社内向けのポータルサイトを作成することで、全従業員に広く情報を届けられます。経営者の想いや企業の成果、今後の方針など、会社全体の動きを伝えて自分ごととして捉えてもらい、モチベーションの向上を促します。

 

リモートワークを導入している企業では、社内ポータルサイトが仮想オフィスの役割を持つ場合も多いです。社内のFAQや勤怠管理など、社員が必要な情報にいつでもアクセスできるよう整備されています。

 

また、当社の電子作成ツール「ActiBook」を活用して、社内報を電子ブック化されている企業様も増えています。従業員が自由にアクセスできるのはもちろん、閲覧履歴の分析も可能なので、どのページが多く見られているのかなど、ニーズを把握した情報共有の改善にも有効です。印刷や配布の手間もかからず、コスト削減にもつながります。

 

関連資料

社内イベント

社員旅行や歓送迎会、社内セミナーなど、社内イベントもインナーブランディングに効果的です。伝えたいことをテーマに盛り込みながら、通常業務とは違う形で従業員同士がコミュニケーションできるようなイベントを企画しましょう。

 

開催することで、仲間意識が高まり、社員同士のつながり強化が期待できます。経営層との接点が少ない企業なら、役員と従業員が一緒にチームとして参加できるようなイベントを企画すれば、自然な形で会話がはずみ、短時間で距離を縮められるでしょう。

クレド

クレド(Credo)とは、経営理念を実現するための従業員の行動指針を明文化したもので、ラテン語で「約束」「信条」を意味する言葉です。経営理念よりも具体的な行動に落とし込んだものなので、従業員はクレドを判断基準として業務にあたることができます。現場判断が必要なシーンでも、上司からの指示を待たずに行動に移せるでしょう。

 

従業員がいつも行動指針を意識できるよう、クレドを記載したカードを作成している企業も多いです。「クレドカード」と呼ばれ、朝礼で読み上げたり、会議室に掲示したりして、すぐに確認できるようにしています。

オフィスの変更

オフィスデザインを変更することも、インナーブランディングの手法のひとつです。コーポレートカラーやロゴをオフィスの内装に取り入れたり、自社製品をレイアウトしたり、企業の象徴となるアイテムを従業員の目につくところに配置することで、ブランドを意識しやすくなります。

 

また、デスク周りや打ち合わせスペースを整備することで生産性も向上します。パーテーションを配置してブース席を作れば、周囲の目や音が気にならないため業務に集中できます。従業員のコミュニケーション不足が課題の場合は、フリーアドレスを導入して、自由に席を選択できるようにするとよいでしょう。

ワークショップ

ワークショップとは、体験型の講習会のことです。グループでディスカッションしたり、アイデアを出し合ったりして、自社の理念について理解を深めます。

 

研修やセミナーは、「教える人」と「教わる人」に立場が分かれますが、ワークショップは同じ立場で対等に議論を進めるため、多様な意見を交換しながら当事者意識を高めることができます。
最近では、ゲームで理念の大切さを学ぶワークショップも登場しています。チームで楽しみながら取り組むことができ、同時にコミュニケーションの活性化にも有効です。

映像ビジョン

企業理念や行動指針などを、ブランドムービーとして動画で作成する企業が増えています。文章で表現すると堅苦しくなりがちな企業理念も、映像なら理解や共感が得やすくなります。

 

また、動画は映像、音、文字で伝えられるため、テキストよりも多くの情報も提供でき、印象に残りやすくなります。作成した動画をポータルサイトやYouTubeで公開すれば、従業員がいつでも視聴できる点もメリットです。

 

さらに普段、接点の少ない経営陣の想いを直接聞くことで、従業員のモチベーション向上につながります。社員の採用時にも映像ビジョンで理念を公開しておけば、入社後のミスマッチを防ぐこともできるでしょう。

社内SNS

社内SNSを使うことで、全社的な情報共有が可能になり、コミュニケーションの活性化が期待できます。SNS上で社員同士のやりとりが可視化でき、部署を超えた交流も促進しやすくなります。「いいね」や絵文字など気軽なコメントもできるので、普段、面と向かって伝えにくい、ポジティブな想いが伝えやすくなります。

 

経営層のメッセージをタイムラインで表示したり、現場の声を発信したりすることで、経営陣と従業員の距離も縮まります。理念やビジョンをタイムラインに固定表示しておけば、従業員はスマートフォンからいつでも確認できるでしょう。

インナーブランディングを成功させるポイント

インナーブランディングを成功させるには、いかに社員の共感を得るのか、どう伝えるのかなど、いくつかのポイントがあります。ここからは、成果につなげるためのポイントについて解説します。

目標を明確にして社員の共感を得る

社員に伝えたいことは、シンプルな言葉や数値化して、明確にすることが大切です。「上司によって言うことが違う」「目標が高すぎる」など、共感できないビジョンは企業への不信感につながります。
従業員が、企業の一員であるという誇りをもって自社サービスを提供できるよう、わかりやすい言葉で1人ひとりに理解してもらいましょう。

 

また、理念に共感し、自らの行動の意味を理解していると、従業員は自分で意思決定しやすくなります。「自立した仕事ができている」と実感すれば働きがいを感じ、成果にもつながりやすくなるでしょう。

費用・時間的コストを把握する

インナーブランディングを実現するには、さまざまなコストがかかります。イベントやワークショップの開催には会場費や人件費、SNSは運用費などが必要です。オフィスの変更には、高額な改装費も予想されます。ノウハウのない企業は、コンサルタントをお願いする場合もあるでしょう。

 

さらに、映像を作成する場合は、制作費だけでなく、制作期間も考慮しなければなりません。事前にどの程度コストがかかるのかを把握し、しっかりと確保することが求められます。

何度も伝えて浸透させる

先述したように、経営理念を浸透させて、従業員が行動に移すまでには長い期間がかかります。さらに、その効果が感じられるのはもっと先の話です。
プロジェクトによっては数年にわたる場合もあるので、 粘り強く何度も従業員に伝えて、モチベーションを下げない工夫が重要になります。

 

経営陣と従業員の間で理解に差が生まれている場合は、ビジョンの再定義が必要です。定期的な従業員アンケートや、定着率の集計を行い、軌道修正を続けながら取り組みましょう。

経営層が率先する

経営陣が理想ばかりを従業員に押し付けてしまうと、成果に結びつきにくくなってしまいます。従業員に「言っていることと、やっていることが違う」と思われて、企業への信頼が薄れてしまうかもしれません。まずは、率先して経営陣が体現者になりましょう。

 

経営層が企業の求める社員像になることで、従業員もその姿を見本として行動しやすくなります。経営ビジョンや企業が理想とする姿を理解するのに役立つでしょう。

多様性を考えた柔軟な対応

ビジョンにばかりとらわれていると、共感できない社員の排除につながってしまう可能性があります。インナーブランディングを成功させるためには、従業員同士でセッションを行い、「自分たちは何を目指したいのか」「どのようなビジョンを描きたいのか」などの意見を出し合い、多様性のある方針を打ち出すことも大切です。

 

従業員は、自分たちの意見が受け入れられると、それだけでモチベーションの向上につながります。トップダウンのリーダーシップも欠かせませんが、社員のアイデアも積極的に取り入れて、企業目標に反映していきましょう。

インナーブランディングの事例2選

ここからは、インナーブランディングの事例についてご紹介します。

スターバックス

世界中で親しまれているスターバックスでは、従業員のことを「パートナー」と呼び、お客様への対応は「おもてなし」として独自のサービスを築き上げています。
接客マニュアルがないことでも有名で、「Our Mission, Promises and Values」として掲げているミッションや行動指針を理解し、自らがオーナーシップとなることで、最高のサービスを提供できるようにしています。

 

さらに、ブランドイメージは、働く従業員によって形作られているとして、雇用形態はもちろん、人種や年齢、性別、価値観などあらゆる違いを認め合うことが大切であるとしています。
すべての従業員が自分らしくいられること、ライフスタイルの変化に応じて能力を最大限に生かせることなど、従業員の多様性を尊重したスターバックスの姿勢が、現在の成功へとつながっています。

 

参考記事

みずほフィナンシャルグループ

みずほフィナンシャルグループでは、新たな人事の枠組みとして、キャリア自立を促すインナーブランディングを進めています。「ともに創る。ともに奏(かな)でる。」という想いから「かなで」と名付けられた取り組みで、グループ5社で連携し、会社を越えて事業領域ごとに最適な人材の配置、人材育成を行うことを目指しています。

 

「かなで」では、「〈みずほ〉で働く一人ひとりが“自分らしくある”ことを実現する」という理念を掲げ、このビジョンを社内に浸透させるために映像を作成。制作は、「コ・クリエイター」という新たな役割を設け、社員が本業と並行して作業を進めています。

 

社員自らが手を挙げて、プロジェクトに参加することで、会社の考えだけでなく、社員の声を反映した制度の見直しを実現しています。また、自分ごととして仕事や働き方を考えることで、これからのビジネスをリードする人材育成を実践しています。

 

参考記事

まとめ

インナーブランディングを重視することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まります。企業の価値観に共感する人材も集まりやすく、離職率の低下も期待できます。インナーブランディングを強化することは、働きやすさの向上を目指す現代のビジネスには不可欠といえるでしょう。

 

ただし、企業理念を浸透させたいあまり、会社の理想ばかりを押し付けてしまうと社員の気持ちは離れてしまいます。すぐに成果を求めるのではなく、社員の声に耳を傾けながら、仕事や働き方について、ともに考える姿勢が企業の成功へとつながるでしょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 04 Apr 2024 18:00:00 +0900
<![CDATA[リターゲティングとは?仕組み、やり方、Cookie規制による影響まで詳しく紹介します!]]> https://mtame.jp/advertisement/retargeting リターゲティングとは、ウェブサイトやアプリを訪問したユーザーに自社の広告を配信する「追従型広告」です。自社に興味関心を持ったユーザーと接点を増やせる、ブランド認知を向上させる、商品を想起させて購入を促す、費用対効果が高いなどのメリットから多くの企業が利用しています。

 

本記事では、リターゲティングの仕組みや、課金方式の違いや相場、リターゲティング広告と相性の良い企業・悪い企業、「Cookie規制」による影響についても紹介します。

 

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リターゲティングとは

リターゲティング(リターゲティング広告)とは、ウェブサイトやアプリを訪問したユーザーに対して自社の広告を配信する、「追従型広告」のことです。一度興味関心を抱いたユーザーにアプローチするため、接点のないユーザーへ広告を表示させるよりコンバージョン率が高まります。

 

例えばリターゲティングを行うと、ECサイトを訪問したが購入に至らず離脱したユーザーに対して、閲覧していた商品の広告を配信し、サイトへ戻って購入するように促すことが可能です。

 

ウェブサイト、ECサイト、ソーシャルアプリ、ゲームアプリなど様々な場所で使用されています。

 

リターゲティングについての図

リターゲティングの重要性

近年、消費者ニーズの複雑化、多種多様なアプリ・デバイスの台頭などで、マーケティング担当者はユーザーの心をつかむことがますます難しくなっています。

 

ユーザーは様々な情報に晒されるため、迅速に決断を下すことができず、企業は広告を打っても一度の接触でコンバージョンを得にくくなりました。

 

そこで重要となるのが「リターゲティング」です。リターゲティング広告は、ユーザーがウェブ上で行動した履歴や興味を踏まえて、最適化した広告を配信します。自社に興味関心を持ったユーザーとの接点を増やして購入を促すほか、魅力的な広告を提示することでブランド認知を向上させることも可能です。

リターゲティング広告の仕組み

リターゲティング広告は、ウェブ上でユーザーが特定の行動を取った際に情報を収集し、そのユーザーに対してターゲットされた広告を表示する仕組みです。Cookie情報を元にユーザーを追跡します。

 

リターゲティング広告の仕組み

 

1.ユーザーがサイトを訪問したことを記録するために、広告配信事業者が提供するリターゲティング用のタグを設置します。

 

2.ユーザーがウェブサイトを訪れて商品を閲覧したり、特定のページを訪れたりすると、設置したタグからCookieIDが付与されます。

 

3.CookieIDを付与されたユーザーは、事前に設定した配信条件によってリスト化され、追跡されます。

 

4.ユーザーが広告掲載面のあるウェブページに訪れた際に、リターゲティング広告が配信されます。

 

出稿したらすぐ訪問ユーザー全てに広告が配信される、というわけではありません。リターゲティングを行うには、タグを設置し、広告を配信するユーザーをリスト化する作業が必要です。

 

また、CookieIDを付与されたユーザー数があまりに少ないと、広告が配信されない場合があります(広告配信事業者によって最低数は異なります)。

 

※Cookie(クッキー)とは
ウェブサイトがユーザーのブラウザに保存する小さなテキストファイルです。訪れたウェブサイトに関する情報が含まれています。主に、ユーザーの設定やログイン情報の保存、ウェブサイトのトラッキング、広告のパーソナライズなどに使われます。

リマーケティングとリターゲティングの違い

リマーケティングとリターゲティングは、どちらも同じ「追従型広告」のことを指す言葉です。配信媒体によって呼び方が異なり、基本的にGoogle広告は「リマーケティング」、Yahoo!などGoogle広告以外の広告配信事業者は「リターゲティング」と呼んでいます。

 

なお、主な広告配信事業者は以下4種類があります。

 

  • Googleディスプレイネットワーク
  • Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)
  • Facebook・Instagram・LINEなど各種SNS
  • Criteo

 

Google広告は、世界トップを誇る膨大な数の提携サイトを持つのが強みです。Yahoo!広告はYahoo!ニュースやクックパッドなど自社が保有しているサイトや、ヤフーと提携している企業サイトに配信できます。

 

各種SNSはFacebookやLINEなど、各社が保有している媒体に配信できるほか、いいねやシェアで拡散される可能性があります。

 

Criteo(クリテオ)は第三者媒体としてYahoo!広告の配信面に配信できるほか、食べログ、はてなブックマークなどにも配信できます。Google、Microsoft Advertisingと提携しているため、幅広い媒体に広告を配信できるのが特徴です。

リターゲティング広告のやり方

リターゲティング広告は、広告配信事業者の提携サイトが設置した広告配信枠に、出稿した広告が表示されます。

 

Google広告に出稿すると、Googleと提携しているサイトやアプリに、Yahoo!の場合はYahoo!と提携している場所に、SNSは各SNSに表示されます。より効果的な媒体を考えて、配信事業者を選びましょう。

 

またリターゲティング広告には、複数の手法があります。

リターゲティング広告の種類・手法

リターゲティング広告の種類・手法を紹介します。

動的(ダイナミック)か静的(スタティック)か

静的(スタティック)リターゲティングとは、特定のサイトに訪れた人、ウェブサイトで特定の行動を行った全ての人に広告を表示させる手法です。

 

一方で動的(ダイナミック)リターゲティングは、閲覧した商品やサービスに基づいて広告バナーを自動生成し、個人に最適化させた広告を配信します。例えば、商品Aを購入したユーザーは、商品Aと一緒に購入されることの多い商品Bの広告を配信したり、商品Aを見たが購入しなかったユーザーには、商品Aの広告を配信したりできます。

 

静的(スタティック)リターゲティングは、「この行動をしたらこの広告を配信する」と事前に設定します。細かいアプローチはできませんが、始めやすい手法です。動的(ダイナミック)リターゲティングは個々に向けてカスタマイズした広告を配信できます。ただし、設定や分析の手間がかかります。

リターゲティングリストの違い

誰をターゲットにするのかでも種類が分かれます。

 

  • 標準リターゲティング:サイトを訪問したユーザーをリスト化し、提携サイトで広告を配信します。
  • アプリリターゲティング:広告主が保有しているアプリ内の、ユーザー行動履歴からリストを作成して広告を配信します。
  • 動画リマーケティング:広告主のYouTube動画を見たユーザーをリスト化して広告を配信します。
  • Googleアナリティクスリマーケティング:Googleアナリティクスの計測データをもとに、ユーザーリストを作成します。
  • 顧客リストによるリターゲティング:保有している顧客リストから、広告を配信します。
  • 検索広告向けリターゲティング(RLSA):ウェブサイトの訪問歴があるユーザーをリスト化し、検索広告をカスタマイズします。

リターゲティング広告の課金方式

リターゲティング広告の課金方式の図

 

リターゲティング広告はCPC(クリック課金)とCPM(インプレッション課金)の2種類があります。

CPC(クリック課金)

クリック単価が設定されており、広告がクリックされるたびに費用が発生します。広告がクリックされない限り課金されないため、興味のないユーザーには料金が発生しません。高い費用対効果が期待できます。ただし、間違えてクリックされた場合も費用は発生します。

CPM(インプレッション課金)

広告が表示されるだけで費用が発生します。1,000回表示されたら〇円のように、インプレッションにより課金が発生するのがCPM(インプレッション課金)です。多くのユーザーが興味を持つ広告を出稿できれば、費用対効果を高められます。

リターゲティング広告の相場

広告配信事業者や課金方式により異なります。クリック単価はGoogleやYahoo!などの検索エンジンが定めており、キーワードによって価格が異なるほか、変動があるので注意が必要です。

 

CPC(クリック課金)の費用相場は、1クリック数十円~数百円程度です。ごく稀に1,000円を超える場合もあります。競合の多いキーワードだと、入札単価が高くなる可能性があります。1クリックは安くても、1か月単位で見ると数十万程度が相場です。CPM(インプレッション課金)の費用相場は、1,000回表示で数十円~数百円程度です。

 

なお、初めて広告を出稿する小規模事業者は20万前後で始めることが多いようです。

リターゲティング広告のメリット・デメリット

リターゲティング広告のメリット・デメリットを紹介します。

メリット

「自社サイトを訪れた」「アプリを使用した」など、商品・サービスに興味を持ったユーザーにアプローチできるのがメリットです。年齢、性別、地域などを設定すれば、ターゲットを絞って、より訴求力の高い広告が配信できます。

 

購入の決定を先延ばしにしていたユーザーに、商品・サービスの存在を想起させ、購買意欲を復活させられるのも特徴です。繰り返し表示させることで、自社ブランドを印象付けられます。「サイトを訪れて〇日経過したユーザーに広告を表示させる」といった設定ができるため、BtoB商材や検討期間の長い商材にも適しています。

 

サイトを一度も訪れたことがない、無関心ユーザーには広告が配信されないため、費用対効果の高さも魅力です。

デメリット

商品やサービスを認知していない、潜在層へアプローチしたい場合には向いていない手法です。広告を出稿して新規ユーザーを獲得したい場合は、別の手法を考えることをおすすめします。

 

何度も広告を見せると嫌悪感を抱かれる場合もあります。リターゲティング広告を行う場合は、広告を見せる頻度や期間を決めるほか、既に商品を購入しているユーザーには広告を配信しないなどの設定を行う必要があります。

リターゲティング広告と相性の良い企業・悪い企業

リターゲティング広告は、検討期間が長い商材と相性の良い広告です。特にBtoB企業の場合は大きな効果が期待できます。

 

BtoB広告の単価は高い傾向があるため、不必要なユーザーへの広告表示を減らせるリターゲティング広告は相性の良い手法です。自社サイトを訪問したユーザーのみに絞れるため、高い費用対効果が期待できます。

 

またメリットの見出しでもふれたように、「商品・サービスの存在を想起させ、購買意欲を復活させられる」「自社ブランドを印象付けられる」ため、検討期間の長いBtoB商材と非常に相性の良い手法です。

 

一方で相性が悪いのは、すぐに買う必要のある緊急性の高い商材を扱っている企業です。リターゲティング広告は、ユーザーが検討している期間に効果を発揮します。検討期間がない、もしくは短い商材は効果を得るのが難しいでしょう。

リターゲティング広告の効果を高めるには

コンバージョン済みのユーザーにも表示される場合があります。商材がひとつで、何度もサイトを訪れる必要がない場合はコンバージョン済みのユーザーに広告を配信しないような設定が必要です。

 

リターゲティング広告はタグを設置して、そのページを閲覧したユーザーを追跡します。そこで、「カートページを見る」「購入ボタンを押した」など、より購買意欲の高いページにタグを設置すると、より高い効果が見込めるでしょう。

 

またサイトの訪問日で広告を配信できます。訪問して次の日のユーザーに広告を配信するのか、1週間経って忘れた頃に想起をさせるために配信するのか、目的に応じて最適な手法を探してみてください。

リターゲティング広告の活用方法

いつ訪問したのか、どのページを閲覧したのかで見せる広告を変えられます。例えば、一度見た商材のセール広告を配信したり、次のセール情報を配信したりして再訪問を促す、といった使い方が考えられます。また以下のように活用することも可能です。

 

  • 特定の商材ページに何度も訪れる場合は、その商材を強く訴求できる広告を見せる
  • コンバージョンに至ったユーザーに、別商品をお勧めする広告を配信

 

リターゲティング広告で効果を得るためには、ユーザーごとに、最適な広告を表示させるように設定することが重要です。

知っておきたい!「Cookie規制」による影響

Cookieには「ファーストパーティーCookie(訪問したサイトの運営企業が発行しているもの)」と「セカンドパーティーCookie(他社サイトが発行したもの。提携先に共有する等で使われる)」、「サードパーティーCookie(訪問したサイト以外の第三者が発行しているもの)」があります。Cookie規制で対象となるのは「サードパーティーCookie」です。広告配信事業者が発行するタグを設置してCookieIDを付与する、リターゲティング広告も当てはまります。

 

Cookieがウェブサイトを離れた後もユーザーを追跡する「サードパーティーCookie」は「プライバシーの侵害ではないか」「知らないうちに個人情報が第三者へ流れてしまう」と問題視されており、世界各地で法規制が進んでいます。Google社は「2024年後半よりChromeブラウザでのサードパーティーCookieを廃止していく」と発表しており、Cookieに依存しているリターゲティング広告への影響が懸念されます。

 

なお、Apple社は2017年頃より規制を始めています。Safariブラウザでは既にCookie規制が行われており、「サードパーティーCookie」は全面ブロック、「ファーストパーティーCookie」も7日間で削除という対策がされています。

 

そもそもCookieとは?
Cookieとは、ウェブサイトのパスワードや操作履歴などを保存するテキストファイルです。ユーザーはログインする際に情報の入力を省略できる、サイト運営者はユーザーの行動をトラッキングして利用率や離脱率を分析し、サイトをより良いものに改善できる、といったメリットがあります。

Cookie規制にどう対応していくべきか?

Cookie規制の動きは今後も進んでいくと見られます。今後リターゲティング広告を打ち出していく場合は、依存しすぎず、規制が行われた場合の代替案を考えていく必要があるでしょう。

 

従来の純広告を活用するほか、「サードパーティーCookie」を使わない検索連動型広告、自社で回収したファーストパーティーのデータを活用する手法も考えられます。いずれにせよ、Cookieを使った広告に頼らなくても集客できるようにすることが重要です。

 

リターゲティング広告ができず、詳細にターゲットを絞れずとも広告をクリックしてもらえるように、広告の質を高めることも大切です。

まとめ

リターゲティング広告はメリットが多く、BtoB企業や検討期間の長い商材を扱う企業と相性の良い手法です。ブランドの認知向上、リピート購入を促すなど、様々な目的で活用できるため、使いこなせば良い効果が得られます。

 

しかし近年、Cookie規制の動きが進んでおり、Googleでは2024年後半より「サードパーティーCookie」の廃止が始まります。「サードパーティーCookie」に依存しているリターゲティング広告では、正確な広告表示が難しくなるでしょう。今リターゲティング広告に依存している企業、これから始めようと思っている企業は、Cookie規制後にどうするのかも考えながら動いていく必要があります。より良い方法を探してみてください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Wed, 27 Mar 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[マーケティング計画とは?立て方の手順やポイントを紹介!すぐに役立つテンプレートも用意]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_marketing-plan マーケティング計画とは、企業が製品を販売する際、どのような施策をどう行うのか、具体的に示したプロセス・計画書のことです。計画を立てることで、限られたリソースを有効活用しながら、効率的に目標達成を目指せます。

 

競争が激化するBtoB市場で成功するには、単に商品やサービスを提供するだけでは不十分です。顧客のニーズを理解し、効果的なアプローチを行うためにマーケティング計画が必要となります。

 

本記事では、マーケティング計画の基礎知識や、効果的な計画の立て方などについて解説します。また、すぐに役立つテンプレートもご用意していますので、ぜひ参考にしてください。

 

マーケティング計画について知りたい方はこちらの記事もおすすめです

マーケティング計画とは

マーケティング計画とは、企業のマーケティング戦略を具体化したプロセスや文書のことを指します。目標達成に向けた行動計画を可視化することで、チーム全体の方向性を統一でき、効率的なマーケティング活動が実現します。

 

現状と目標値を比較しながら施策が進められるので、問題点や課題を発見しやすくなり、修正することも容易になります。さらに計画書を作成すれば、チームメンバーの役割分担が明確になり、共通の目標に向かって協力し合うための基盤にもなるでしょう。

マーケティング戦略との違い

マーケティング計画とマーケティング戦略は、密接な関係にありますが、混同されやすい言葉でもあります。

 

マーケティング戦略とは、「何を成し遂げるか」といった方向性を示すものです。「どのような顧客に対して、どのような商品・サービスを、どう販売していくのか」という大枠の方向性のことを指します。

 

一方、マーケティング計画とは、「どのように成し遂げるか」という具体的な行動計画のことです。戦略を決めた後に「実際にどう行動するのか」といったプロセスに落とし込んだものをいいます。

 

つまり、マーケティング計画はマーケティング戦略を実現するための具体的な手段といえるでしょう。マーケティング計画を作成する際は、まず戦略を明確にすることが大切です。方針が定まっていない状態で作成してしまうと、方向性を見失い、失敗する可能性が高くなります。

 

【マーケティング戦略とマーケティング計画の一例】

 

  • マーケティング戦略: BtoB企業向けMAツールの認知度向上とリード獲得
  • マーケティング計画:
    • ターゲット:
      • 中小企業
      • デジタル化推進に課題を抱えている企業
      • マーケティング担当者
    • 施策:
      • Web広告で自社サイトへ誘導
      • SEO対策でサイト流入数を増加
      • 展示会への出展
      • コンテンツマーケティング
    • 予算: 1,000万円
    • スケジュール: 2024年4月~12月

マーケティング計画の立て方【STEP10】

ここからは、マーケティング計画の立て方について10のプロセスに分けてご紹介します。

①目的や目標を設定する

まずは目的・目標を明確にします。新規顧客の獲得や既存顧客の育成、製品認知など社内で課題になっていることを洗い出しましょう。関わるすべての部署が認識できるよう、シンプルでわかりやすい目標設定にすることがポイントです。

②競合・市場の分析

競合や市場分析を行い、自社の立ち位置や優位性を把握します。分析する際には、フレームワークを活用するとあらゆる角度から現状を整理できます。
詳しいフレームワークについては、後述の「市場分析に役立つフレームワーク」にてご紹介していますので、課題に適した手法を探してみてください。

 

さらにBtoB企業の場合は、競合サイトを分析することも不可欠です。ターゲット層のニーズを効率よく把握でき、自社サイトの改善、SEO対策にも有効です。

 

自社サイトの分析以外にも、成果を上げている競合の戦略を推測したり、商品やサービスの課題を発見したり、さまざまな改善にも役立ちます。

 

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③ターゲットを明確にする

市場の分析ができたら、ペルソナを設定して具体的なターゲット像を明確にしましょう。ペルソナとは、年齢・性別・居住地・職業・家族構成・ライフスタイルなど細かく決めて仮想のターゲットを設定することです。ターゲット層のニーズを把握しやすくなり、具体的なマーケティングの方向性が決定します。

 

ペルソナが確認できたら、カスタマージャーニーも作成しましょう。カスタマージャーニーとは、顧客が商品を認知して購入するまでの思考の変化や行動を可視化したものです。

 

これらを明確にすることで、ターゲットがいつ・どのような課題を抱えるのかがわかります。顧客視点に立って客観的に分析することで、効果的なマーケティング戦略が組み立てられます。

 

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④マーケティング戦略を固める

いままでのプロセスを踏まえて、マーケティング計画のベースとなる戦略を設定し、チーム全体で共有します。STEP1で決めた目標を達成するために、どのようなマーケティング活動を実行すればいいのか、その道筋を決めましょう。

 

BtoBマーケティングは、単純に製品の認知を高めれば売上につながるわけではありません。顧客のニーズに合わせて、どのような価値をどのタイミングで提供するのか、戦略を立てて行うことが重要です。

 

また、過去のマーケティング活動を見直して、うまくいったこと、うまくいかなかったことを振り返るのも大切です。なぜ成果につながらなかったのか、改善するためにどうすればいいのかを分析し、新しい戦略のヒントにしましょう。

⑤KPIを設定する

マーケティング戦略に合わせて、中間指標となるKPI(重要業績評価指標)を設定します。KPIで目標を数値化することで、成果を客観的に評価できます。未達成の場合は戦略の改善が必要です。定期的に見直しながら、効率よく目標達成を目指しましょう。

 

以下はマーケティングにおけるKPIの一例です。

 

  • 新規顧客の獲得数
  • 新規商談数
  • 有効リード数
  • 獲得リード数
  • 顧客満足度

 

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⑥スケジュールを確認する

全体像が見えてきたら、計画をカレンダーに落とし込みます。年間のスケジュールを確認すると、いつ展示会を実施すべきか、広告はいつ頃までに出稿するのかなど、より具体的な行動計画が見えてくるでしょう。

 

たとえば、BtoB企業なら決算期に受注が集中することを想定して、1?2月までに商談を本格化し、3月の目標値は高めに設定するなど、長期的な予測がつくようになります。

⑦予算を設定する

限られた予算をどのように配分していくのかも、戦略に基づいて検討しておきます。売上目標を確認し、そこから逆算してマーケティングの目標値を導き出し、達成するための予算を算出します。

 

既存の施策と比較し、効果が出ていないものがあれば削減して新規施策にあてましょう。費用対効果と合わせて経営層に伝えれば、予算の合意が得やすくなります。

 

当社では、実務で活用できるテンプレートをご用意しています。マーケティング予算の考え方も記載していますので、予算計画に悩まれている方はぜひお役立てください。

 

資料とExcelテンプレートがセットでダウンロードできます!

 

マーケティング予算計画

⑧計画書を作成する

施策を開始する前に、マーケティング計画書を作成しましょう。目的や方向性、ターゲット、スケジュールなどをシンプルにまとめて、可視化することでチーム全体の意識が統一されます。効果や必要性など、経営層が興味のある項目も入れ込んでおくとよいでしょう。

 

どのように作成したらいいのかわからないという方は、テンプレートの利用がおすすめです。Microsoft社の「戦略的なビジネス マーケティング計画」や、HubSpot社の「マーケティング計画書テンプレート」など、無料でダウンロードできるテンプレートもWeb上に公開されているので活用してみてください。

 

当社でも、「Webマーケティング計画書テンプレート」をご用意しています。サイト閲覧数やCV数など、直近6ヶ月の実績数値を入力してから目標値を記入すると、自動で必要なセッション数が入ります。
どのくらい広告費をかけるといつ黒字化するのかなど、実績と受注目標から施策計画を立てられますので、ぜひご利用ください。

 

Excelで使えるマーケティング計画書のテンプレートがダウンロードできます!

 

マーケティング計画書

⑨マーケティング計画を実施する

計画書を作成したら、いよいよ施策を実施します。BtoB市場は移り変わりが早いため、計画どおりに進んでいるか、どこか停滞していないかなど、運用開始後も経過観察を続けましょう。

⑩効果測定をして改善を続ける

進捗状況を確認しながら効果測定を行います。PDCAサイクルを回して計画と実績を比較しましょう。計画どおりに進むことが理想ですが、最初からうまくいくことはありません。顧客の声を大切にしながら、計画を最適化していきます。

マーケティング計画を立てるときのポイント

マーケティング計画を立てるときは、チームで意見を出し合い、情報を共有しながら進めることが大切です。計画を成功させるために、以下のポイントを抑えておきましょう。

適切な人材の配置

マーケティングの方向性が見えてきたら担当者を決め、必要に応じて人材を補充したり、外部へのアウトソーシングを検討したり、作業分担を確認しましょう。計画にブレが生じないよう、社内外問わず連携しながら、共通認識を持って進めることが重要です。

チームでアイデアを出し合う

チームメンバー同士で、さまざまなアイデアを出し合うことも新しいマーケティング計画には必要です。話し合いを続けることで、いままでの戦略にはなかったようなクリエイティブな考え方が生まれるかもしれません。

 

責任者を中心に経歴や経験が異なるメンバーとブレーンストーミング(ブレスト)を行い、自由な発想で多角的にアイデアを出し合いましょう。お互いをよく知ることもでき、チームの結束力も高まります。

市場分析に役立つフレームワーク

ここからは、競合・市場分析に活用したい代表的なフレームワークについてご紹介します。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の強み・弱み(内部環境)と、市場や競争における機会・脅威(外部環境)を分析するフレームワークです。 Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの視点から分析を行い、 自社の現状と競合や市場の将来性を把握します。

 

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4P分析

4P分析とは、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)を考える手法です。「何を・いくらで・どこで・どのように」売るのかを分析すると、商品の特性や品質、価格帯、販売ルートなどが明確になります。この4つをまとめて整理することで、一貫性のある思考でマーケティング活動に取り組めます。

 

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3C分析/5C分析

3C分析とは、Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの要素を分析するフレームワークです。市場やニーズを分析し、競合他社の製品と比較して自社の強み・弱みを見つけます。
自社ならではの優位性や魅力である、KSF(重要成功要因)を明確にし、競合他社に負けない強みを示すための手法です。

 

最近では、Customer(中間顧客)・Community(地域)、あるいはContext(社会背景)・Collaborator(協力者)をプラスした「5C分析」も活用されるようになりました。デジタル化によるマーケティング環境の変化から、より多角的な分析ができる5C分析が主流になりつつあります。

 

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STP分析

STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)・Targeting(ターゲティング)・Positioning(ポジショニング)からなるフレームワークです。この分析で、ターケ゛ットの絞り込みや市場における自社の立ち位置がわかります。
自社のアピールポイントも明確になるので、上手に活用して強みをいかしたマーケティングを展開しましょう。

マーケティング計画が失敗する理由とは?

マーケティング計画が失敗してしまう原因はいくつか挙げられます。事前によくある失敗を確認して、マーケティング計画を成功へと導きましょう。

施策の実施が目的になってしまう

施策に集中するあまり、実施すること自体が目的になってしまう場合があります。本来の目的は事業の目標達成です。多岐にわたるマーケティング業務の中で、本質的な目的を見失わないように注意しましょう。

 

そのためには、「この施策は何のために行っているのか」を常に確認しながら進めることが大切です。長い間実施している施策の中にも、ニーズと合わなくなっているものがあるかもしれません。目的が可視化できる「KPIツリー」を作成して、関係性を明確にしておくのもひとつの解決策です。

計画全体が俯瞰できていない

マーケティング計画の全体像が見えていないと、その場しのぎの施策になりがちです。計画がどこに向かっているのかが不透明で、一貫性のないマーケティング活動になってしまいます。

 

俯瞰できていない原因のひとつは、目標達成に必要な成果と施策の関係性が可視化されていないことが挙げられます。

 

このような状況に陥らないためにも、先述した「カスタマージャーニー」で顧客との接点を確認することが大切です。それぞれの施策が、顧客のどのフェーズにどのような効果があるのかを明確にすると全体的な計画の整合性が図れるでしょう。
そのうえで年間の計画書を作成して、全体像を把握しながら進めてください。

計画途中で予算オーバーしてしまう

目標達成していない計画途中で、すでに予算がオーバーしてしまう場合があります。売上を上げてコスト回収できればよいですが、予想以上にオーバーしている場合は、利益を圧迫してしまうため計画の見直しが必要です。

 

広告費を見直したり、費用対効果を分析して施策を精査したり、低コストで進められるよう手直しをしましょう。市場環境や顧客のニーズは常に変わります。マーケティング活動も柔軟性のある投資を行うことが重要です。

まとめ

しっかりとしたマーケティング計画を立てることで、目標達成の確率向上やチーム全体のモチベーションのアップなど、さまざまなメリットが期待できます。自社に合ったマーケティング計画を立て、効率のよい目標達成を目指しましょう。

 

計画を可視化するには、マーケティング計画書の作成が不可欠です。計画書は、フォーマットが決まっているわけではありませんが、テンプレートを活用すれば、漏れなく必要な項目を盛り込むことができます。当社でも「Webマーケティング計画書テンプレート」をご用意していますので、ぜひ作成にお役立てください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Fri, 22 Mar 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[アクセス解析とは?基礎知識やサイト改善に活かせる分析方法、おすすめツールをご紹介!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/traffic-analysis アクセス解析とは、自社のWebサイトに訪れたユーザーの行動ログを分析すること。この解析結果によって、自社サイトの施策の効果測定や課題の洗い出しをおこない、Webサイトを改善する目的でおこないます。

 

本記事では、アクセス解析の基本知識や主要な指標について解説し、デジタルマーケティングにおいて近年ますます重要性が高まっている「アクセス解析」について徹底解説。基礎知識からおすすめのツールまで幅広くご紹介していますので、ぜひマーケティング施策やWebサイト改善にお役立てください。

 

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アクセス解析とは

アクセス解析とは、Webサイトに訪問したユーザーの行動や属性を分析することです。サイト内でより多くのCV(コンバージョン)を獲得するために、Webサイトの改善ポイントや課題を見つける目的でおこないます。

 

アクセス解析では、ユーザーがどこからアクセスしているか、検索キーワード、サイト内での行動ログなどです。これらのデータから、ユーザーの属性を特定して行動分析をすることで、サイトの課題や改善ポイントを見つけることができます。

 

またアクセス解析で用いられるユーザーの属性には、性別、年齢、興味関心、地域などさまざまな指標があります。自社サイトにどのようなユーザーが、どのような環境下でアクセスしているか可視化することが可能です。

 

さらに、人気のあるコンテンツや閲覧されていないコンテンツを把握することは、コンバージョンを増やすための施策改善に役立てることができます。とくにマーケティング分野において、効果検証やPDCAサイクルの実施を通じて、Webサイトの改善を進める手助けとなるはずです。

アクセス解析をおこなう目的

アクセス解析をおこなう最終的な目的は、Webサイト内の課題を見つけて、コンバージョンを増やせるようWebサイト改善をおこなうことにあります。決してデータを集めて終わりではありませんし、目的を明確にしておくことでデータをより有効に活用しやすくなるはずです。

 

ここではアクセス解析をおこなう目的について、大きく4つに分け、それぞれ解説していきます。

 

  • 自社サイトの現状把握
  • ユーザー像の可視化
  • 施策の効果測定

自社サイトの現状把握

アクセス解析の目的のひとつに、自社サイトの現状を把握することがあります。自社サイトを改善して集客力をさらに高めるには、アクセス解析が不可欠です。訪問ユーザー数やユーザー行動ログを通して課題点を発見し、具体的な改善策を導き出しましょう。

 

たとえば、解析結果から

 

  • 特定ページでの訪問ユーザーが急減した
  • 特定地域のアクセスが異常に多い
  • 特定チャネルからLPへの流入がほぼない
  • 特定キャンペーンの反応が低い
  • 特定検索キーワードでの流入が低下
  • 特定デバイスからのアクセスが急増

 

といったことがわかれば、要因を特定しましょう。Webサイト改善、Webリニューアルを検討する際は、PV数やセッション数だけでなく、ユーザー像やコンバージョンに貢献するページを具体的に把握しておくことが大切です。

 

アクセス解析は、ユーザーの特徴や行動を可視化するためには、ユーザーの行動ログや属性、技術環境データを活用します。そのなかで、たとえば「Aのコンテンツを見たユーザーがBを購入しやすい」「特定のSNSから流入したユーザーは特定のコンテンツをシェアしやすい」といったユーザーの特定の行動を洗い出し、それにもとづいて最適な改善策を提案できます。

ユーザー像の可視化

ユーザー像を可視化して、マーケティングの精度をあげることもアクセス解析をおこなう目的のひとつです。どのようなユーザーが、どのような環境下・経路でサイトにたどりつきコンバージョンに至るのかを具体的に把握して、集客力を向上させます。

 

たとえば新規と既存、会員と非会員などの行動データを比較したり、アクセスログから特定のコンテンツ・キャンペーンの効果を計測したりします。また、性別・年齢などさまざまな属性データをもとに、ターゲットユーザーの特徴を明らかにすれば、的を絞ったプロモーションが可能に。さらにデバイスやOSといった技術環境データによってユーザーが使用している環境を理解することで、ユーザーエクスペリエンスを最適化できます。

 

このように、Webサイト内でコンバージョンに至るユーザーの行動やニーズをログから把握し、そのパターンを分析しましょう。そのなかでコンバージョン率が低いポイント、ユーザーが最も離脱するポイントで改善施策をすることで、効果的なターゲティングが可能となり、集客力の向上につながります。

施策の効果測定

施策の効果測定も、アクセス解析の大切な目的のひとつです。施策を実施した際に、どのような効果があって、どこを改善する必要があるかを計測するために、アクセス解析のデータを活用します。

 

具体例として、

 

  • 特定のページのアクセス数を増やす
  • 特定のコンテンツのクリック率を向上させる
  • コンバージョン率を上げる

 

といったように、施策の実施前に設定した目標があるとします。これに対して施策実施後、アクセス解析を通じて、施策が影響を与える可能性のある指標やメトリクスのトラッキングを含むデータを収集します。

 

この目標と実績を比較したとき、どれだけ目標に近づけたかを判断し、もし効果を得られていない場合は要因を特定していきます。たとえば、

 

  • 閲覧数が増えない場合は、コンテンツの質やSEO
  • クリック率が低い場合は、ターゲティングの精度や、広告のクオリティ

 

をそれぞれ見直す必要があるかもしれません。

 

このように、目標設定、施策実施、数値の見直しをして施策に反映させるPDCAサイクルを回すことで、集客力を高めていくことができます。

モニタリング

モニタリングとは、Webサイトを運営するうえでの指標・目標に対する進捗状況を定期的に観測すること。アクセス解析を使ってリアルタイムでデータを取得することで、モニタリングも可能になります。

 

たとえば自社サイトにおける「週間新規ユーザー数」の目標を1,000人とした場合、翌週になってから結果を振り返るのではなく、週の途中で進捗状況を定点観測することが重要です。

 

仮に週のなかばで「新規ユーザー数が500人に届いていない」ということがわかれば、目標達成に向けて追加の施策を立てることが可能です。常に途中経過を把握することで、必要に応じて迅速に対策を講じることができるからです。

 

ウェブサイトの成果を最大化するためには、アクセス解析による継続的なモニタリングが重要です。

アクセス解析をするうえで知っておきたい専門用語

アクセス解析をおこなううえではさまざまな指標が用いられますが、どの指標を使うかはサイトの特性や目標によっても変わります。ここでは、アクセス解析を使う際に知っておきたい専門用語を網羅して解説します。

セッション数

セッション数とは、ユーザーがWebサイトを訪れた回数を示す数値です。セッション数の計測には、一般的に以下の3つのルールが適用されます。

 

  • 時間経過による新規セッション:ユーザーがWebサイトを訪れてから30分以上経過すると、新たなセッションとしてカウントされる。30分以上活動のない状態が続くと、次に行動した時点で新しいセッションが開始する。
  • 日付の変更による新規セッション:日付が変わるごとにセッションがリセットされる。同一訪問内でも、午前0時をまたいで別のページに移動すると、新しいセッションとしてカウントされる。
  • さまざまな経路からのアクセス:ユーザーが異なる参照元(別のWebサイト、検索エンジンなど)から訪問があると、新しいセッションとしてカウントされる。

 

セッション数が少ない場合、ユーザーの回遊促進に課題があると考えられます。ユーザーがサイト内での行動を継続せずに離脱してしまう可能性が高いことを示唆しているからです。ユーザーエンゲージメントの向上やコンテンツの改善を通じて、セッション数を増やすための取り組みが重要になるでしょう。

ページビュー数(PV)

ページビュー数(PV)とは、ユーザーがある特定のWebページを表示した総数のことです。ひとりのユーザーがページにアクセスするたびに、1つのPVとしてカウントします。ページビュー数は、ページごとやコンテンツごとの閲覧頻度や人気度合いを把握するのに貢献します。

 

たとえば、ひとりのユーザーが自社サイト内の5つの記事ページにアクセスした場合、PV数は「5」となります。同様に、5人の異なるユーザーが同じページに1回ずつアクセスした場合でも、PV数は同じく5となります。

ユニークユーザー数(UU)

ユニークユーザー数(UU)とは、Webサイトにアクセスしたユーザー数のことです。同じユーザーによる複数回のアクセスはカウントされず、あるユーザーが1日に複数回Webサイトを訪れたとしても、そのユーザーはユニークユーザー数1人に数えられます。

 

自社サイトがアプローチできているユーザー数を把握する際には、PV数よりもUU数が有用です。実際に存在するユーザーの数を示すため、特定の期間において、サイトへ訪れるユーザーの広範な層を把握するのに役立ちます。

 

ただし、同じユーザーが異なるデバイスでアクセスした場合、デバイスごとに別々のユニークユーザーとして数えられる点には注意が必要です。

ページ/セッション

ページ/セッションとは、1回のセッション中に、ユーザーが平均何ページを閲覧したかを示す指標のことです。セッションごとのページビュー数の平均値を表します。たとえば、ページ/セッションの値が「5」の場合、1つのセッション中に平均して5ページのページを閲覧したことになります。

 

ページ/セッションは、サイト内の回遊性と直結しており、ユーザーの行動パターンを把握するのに役立ちます。より多くのページを閲覧してもらう目的のWebサイトでは、とくに重要視すべき数値です。

 

また関連してよく使われる平均セッション時間とは、1つのセッション中、ユーザーがWebサイト内に滞在している平均時間を意味する言葉です。ユーザーが長時間滞在しているほど、Webサイトのコンテンツやユーザーエクスペリエンスが魅力的であると見なされます。

ランディングページ(LP)

ランディングページ(LP)とは、Webサイトにアクセスしたユーザーが、セッションの中で最初に訪れるページを指します。このページは、ユーザーがサイトに到達する最初の接点となるため、重要な役割を果たします。

 

一方広告業界で、ランディングページは特定のキャンペーンでアクションを促すためのページとして使われることもあります。ここでのランディングページは、「お問い合わせ」「注文」といった特定の行動に対するユーザーの反応を最大化するために設計された縦長1ページのサイトです。

 

アクセス解析の文脈では、ランディングページは前者の意味で用いられます。Webサイト全体において、最初のアクセスポイントとしてユーザーに提供されるページを分析することで、ユーザーの最初の行動やサイトへの最初の接触点を理解し、改善に役立てることができます。

 

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コンバージョン(CV)・コンバージョンレート(CVR)

コンバージョン(CV)は、Webサイトにアクセスしたユーザーが、設定した目標を達成することを指します。例えば、お問い合わせや資料請求、予約、見積もり依頼、商品購入などがコンバージョンに当たります。

 

ケースによってはコンバージョンだけでなく、中間目標として「マイクロコンバージョン」を設定することもあります。

 

コンバージョンレート(CVR)は、Webサイトに訪れたユーザーがコンバージョンに至った割合を示す数値です。こちらは「コンバージョン数÷セッション数」の算式で求めることができます。

 

CVRは、Webサイトを評価する上で重要な指標の一つです。CVRが高いほど、サイト設計やコンテンツが効果的であり、ユーザーがコンバージョンしやすい状態にあるといえるでしょう。また業界の市場規模などで流入数を増やすことができない場合などは、CVRがさらに重要なポイントとなります。

 

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直帰率

直帰とは、サイトに訪れたユーザーが、最初の1ページだけ見てサイトから離脱すること。直帰率とは「1ページ目しか閲覧していないセッションの割合」を示す数値です。直帰率は、直帰したセッション数を、すべてのセッション数で割る計算式で算出されます。

 

ただし直帰率は、「ユーザーが目的を達成し満足してすぐにサイトを離脱するケース」があったり、自社の業界やサイトの種類・流入元によって数値に差があったりと、一定の基準で測ることがむずかしい項目です。

 

直帰率が高い場合、コンテンツ内容がユーザーニーズに合致しているか、ページの表示速度は遅くないか確認しましょう。ほかのページと比べて著しく数値が異なるページ、直近で急に直帰率が下がっているページ、ページ内の情報量に対して離脱が早すぎる場合などは見直すことで改善が見込めるはずです。

回遊率

回遊率とは、1回のセッションのうちに、ユーザーが同じサイト内の他ページを閲覧する割合を示します。回遊率は「ページビュー数÷セッション数」で計算でき、特定のページからほかのページに移動する際に発生する「ページビュー」の連続で表されます。

 

回遊率が低い場合は、サイト内ナビゲーションの効果やユーザーエクスペリエンスを再評価しましょう。一般的に、回遊率が高いページは、ユーザーが関心を持つコンテンツであり、閲覧しやすい動線が提供されている可能性が高いです。

離脱率

離脱とは、サイトにおとずれたユーザーがブラウザを閉じたりほかのサイトに移動することで、サイトから離れることです。離脱率とは、サイトから離脱したユーザーが、特定のページでどのくらい発生したかを示す数値です。

 

離脱率の求め方は「離脱したセッション数 ÷ すべてのページビュー数」となり、特に、コンバージョンポイントやその直前のページでの離脱率は、改善のポイントとして注目され、コンバージョン率の向上に寄与する可能性があります。

 

直帰率は、ある特定のページでセッションが始まり、そのページのみを閲覧した後にサイトから離れたセッションの割合を示します。一方、離脱率は特定のページでセッションが終了した場合の割合を示します。

アクセス解析ツールの種類

アクセス解析ツールには大きく分けて3つの種類があります。

 

  • 1.サーバーログ型
  • 2.Webビーコン型
  • 3.パケットキャプチャリング型

 

ここではそれぞれの特徴について解説していきます。

サーバーログ型

サーバーログ型は、Webサーバーに記録されているアクセスログファイルを分析する方法です。サーバー側がデータを収集し、Webサイトへのアクセスや、サイト上での行動を追跡します。

 

サーバーログには非常に詳細な情報が含まれているため、ウェブサイトのアクセスに関する包括的な洞察が得られます。サーバーがサイトに訪れるユーザーのリクエストやアクセス情報を記録するため、コードなどを埋め込む必要はありません。サイトの利用状況やトレンドを把握し、必要に応じてサイトの改善や最適化を行うことができます。

 

一方で、データ量が多くなる程サーバーに負担がかかることから、1日に1回までの更新となることがほとんどです。

Webビーコン型

Webビーコン型では、HTML内に「JavaScript」タグを埋め込んで、ユーザーの行動や、サイトのパフォーマンスに関するデータを収集します。Google Analyticsが使用している方法でもあり、アクセス解析のなかでも主流のタイプといえます。

 

WebビーコンはページのHTMLコード内に挿入され、ユーザーがそのページにアクセスすると、ブラウザからサーバーに対して情報を送信します。この情報には、ページの訪問日時、ユーザーのIPアドレス、使用されたブラウザやデバイスの情報、ページ内での行動などが含まれており、Webサイトのトラフィックやユーザーの行動パターンを把握するために使用されます。

パケットキャプチャリング型

パケットキャプチャリング型では、ネットワーク上を流れるデータパケット(通信データの塊)をキャプチャして取得し、その内容を解析します。

 

Webサーバーに流れるトラフィックを、専用のソフトウェアやツールを使用してキャプチャ(取得)します。このときネットワーク上の全ての通信データがキャプチャされるため、通信内容やプロトコル、送受信元・宛先などの情報、ネットワーク上での通信パターンやトラフィックの流れ、通信内容なども把握することが可能です。

 

メリットとして、ネットワーク上の全ての通信データをキャプチャできるため、ネットワークの問題やセキュリティ上のリスクを特定し、詳細な分析が可能であることがあげられます。一方で、大量のデータを処理する必要があり、高度な技術やネットワーク知識が必要とされる場合があります。

アクセス解析のやり方

ここでは適切なサイト改善につなげるアクセス解析のステップについて解説します。

1.正しく計測がおこなえるかをチェック

まずはさきほどの章でご紹介したアクセス解析ツールの種類から、アクセス解析の方法を確認し、自社が使っているツールで計測が正しくおこなえるかを確かめます。

 

たとえばGoogleアナリティクスであれば、トラッキングコードが正しく設置されているか、不正アクセスや社内アクセスなどの不要なトラフィックが含まれていないか、セグメントの設定が正しくできているか、といったポイントを確認します。

 

また、ページビューやセッションの数が、妥当な数値であるかも見ておきましょう。GoogleアナリティクスのようなWebビーコン型の解析では、誤ってタグを重複して埋め込んでいることで二重測定が起こることもあります。とくに担当者が代わるときなどは、ある期間から極端に低すぎる・高すぎる数値には注意が必要です。

 

Googleアナリティクスでの二重計測は、GoogleChromeの拡張機能「Tag Assistant」を利用して、トラッキングコードが重複していないか確認してみましょう。

 

さらにコンバージョンに関連の深い、特定のボタンクリック・フォーム送信ボタンなどの重要なアクションについて、適切に追跡されているかを確認するのも大切なポイントです。専門的な知識がなく不安だという方は、マーケティング支援会社に依頼するのもひとつの手です。

2.サイトの構造を理解

アクセス解析をおこなうサイトが、どのような構造になっているかを理解しましょう。ユーザーにとってほしい行動を起点に、導線を構築していくうえでは、サイトの構造を把握しておくことで、課題を明確にできるようになります。

 

BtoB企業のWebサイトの場合、たとえば以下のようなページがあると思います。

 

  • 製品・サービスの概要ページ
  • 個別の製品・サービス詳細ページ
  • 問い合わせページ
  • 見積もり依頼ページ
  • 資料請求完了ページ

 

これらのページ間リンクの遷移や離脱をアクセス解析によって可視化することで、どのような課題があるか発見しやすくなります。これらの課題を明確にすることで、ユーザーがサイト内を簡単に移動できるようなナビゲーション、適切なカテゴリー設定や、メニューの配置、ページ間のリンク構造に反映できるはずです。

3.全体のアクセス数を把握

Webサイトの全体的なアクセス数を把握するためには、解析したい期間を選択し、日別、週別、月別に分けて把握しておきましょう。

 

たとえばGoogleアナリティクスであれば、「ユーザー」→「概要」セクションから、期間を月別、週別、日別などに設定しセッション数や新規ユーザー数を確認できます。「行動」→「概要」セクションから、ページビュー数を。「コンバージョン」→「目標」セクションからは、設定した目標に対するコンバージョン数を確認でき、購入やお問い合わせなどのアクションがどれだけ達成されたかを把握できます。

 

期間ごとの数値を比較して、急な増減やトレンドの変化に注意し、必要に応じて対策を講じましょう。

4.コンバージョンにつながるユーザー情報を把握

サイトに訪れるユーザー層を、流入経路の観点で理解し、コンバージョンにつながるパターンを特定することが重要です。

 

たとえばコンバージョンにつながるユーザーの年齢、性別、地域などの属性に、ユーザーの興味や関心の分野を把握します。コンバージョンに至ったユーザーがサイト上でどのような行動を取っているかを分析し、どのようなページをよく閲覧しているか、どのような流入経路を通じてサイトに訪れているかを確認しましょう。

 

流入経路ごとにコンバージョン率を確認し、そこに予算を投下することで施策の成果を最大化することができます。さらにデバイスごとにコンバージョン率を確認して、ユーザーインターフェイスを最適化することも可能です。

5.コンバージョンにつながるページ情報を把握

コンバージョンにつながるユーザー情報が見えてきたら、コンバージョンの多いページを把握しましょう。

 

まずはどのページが重要なコンバージョンポイントであるかを明確にします。よくあるのは、購入完了ページやお問い合わせフォームの入力完了ページなどです。行動ログを活用して、どのページからどのページに遷移しているかも確認しましょう。

 

そのうえで、コンバージョンするユーザーが経由しているページや、ランディングの多いページ、アクセス数が多いページなどを分析することで、短い期間でも大きく成果を出せる改善施策を実施できます。

6.KGI(最終目標)を設定

Webサイトによってどのような成果を出したいのか、目的に合わせたKGI(Key Goal Indicator/最重要指標)を設定しましょう。

 

売上の増加、利益率の向上、顧客獲得数の増加などはKGIとして最も多く用いられる指標ですが、業界の特性などによって変わってくる部分です。以下は業界やサイトの種類ごとの一例です。

 

  • ECサイトの場合:コンバージョン率・平均注文額・リピート率など
  • BtoB企業の場合:リード数・デモンストレーション予約数・受注率など
  • SaaS企業の場合:利用率・チャーンレート・顧客満足度など
  • メディアサイトの場合:ページビュー数・平均滞在時間・SNSシェア数など

 

このように、KGIを明確に設定することで現状を浮き彫りにでき、アクセス解析で注目する数値や、Webサイトの目標もさらに明確になります。

7.KPI(中間目標)を設定

大枠の目標としてKGIを設定できたら、その達成に向けてKPI(Key Performance Indicator)と呼ばれる中間目標を設定します。

 

たとえばKGIが「コンバージョン」といった最終目標であれば、達成に向けて重要なKPIには、コンバージョン率、セッション数や平均セッション時間、CTR(クリックスルーレート)などが設定されます。

 

KPIは最終目標を達成するためのステップであり、具体的な数値目標を設定して進捗をモニタリングすることが重要です。ビジネスの成果を定量的に評価することで、より適切な戦略を策定したり、改善することが可能となります。

8.仮説を立てて検証する

アクセス解析をマーケティングに役立てるうえでは、仮説を立てることで課題や改善点を明確にすることができます。仮説と検証の一例は以下のようになります。

 

  • 顧客獲得がうまくいっていない場合:ターゲットに対する発信が適切でないと仮説を立て、顧客のニーズや課題をより深く理解し、メッセージをカスタマイズすることで成果が改善されるか検証する。
  • サイト上でのコンバージョン率が低い場合:コンテンツやユーザーエクスペリエンスが不十分であり、ユーザーが求める情報を提供できていないと仮説を立て、コンテンツやナビゲーションの改善によってコンバージョン率を向上できるか検証する。

 

自社が抱える課題に対して仮説を立て、実証的なアプローチで解決策を検証することで、組織全体でのビジネスの成長にも寄与するはずです。

 

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アクセス解析のポイント4つ

アクセス解析をするうえでおさえておくべきポイントを4つお伝えします。

外部環境からの影響に対応する

アクセス解析によってサイト内に課題を発見し改善することはもちろん大切ですが、外部環境の変化が作用することも考慮しておきましょう。

 

たとえば流入元である検索エンジンのアルゴリズム変更があると、Webサイトの検索順位やアクセス数に大きく影響を与える可能性があります。定期的に検索エンジンのアップデートを確認し、サイトのアクセス変動をチェックしましょう。

 

また競合他社のWebサイトやマーケティング戦略の変化によって、自社のアクセスやコンバージョンに影響を与える場合、競合分析も必要になるはずです。またプロモーションやキャンペーンのみならず、季節性やトレンドによって、ユーザーの行動パターンや関心事が変化することも考慮する必要があります。

 

外部からの影響を念頭に置いてアクセス解析を行うことで、市場における変化に柔軟に対応することも必要です。

分析レポートを共有する

アクセス解析の分析レポートは、担当者や担当部署だけで抱え込まずに、まわりの部署とも積極的に共有しましょう。

 

Webサイト改善の方向性を見出すためのデータ共有には、分かりやすさが重要です。技術的な専門用語を避け、わかりやすい言葉で結果を説明したり、グラフやチャートを活用して視覚的に分かりやすく示したりすることで、担当部署外でも共有することが大切です。

 

また共有したレポートに対するフィードバックや意見を促し、組織全体で改善に向けて議論することで、チームメンバーのみならず周辺部署の視点を取り入れ、よりよい改善策を創出できるはずです。分析レポートの定期的なレビューを、あらかじめスケジュールに組み込むことで、Webサイトのパフォーマンスを継続的に向上することができます。

過去データと比較してモニタリングする

アクセス解析をおこなう際の重要なポイントとして、得られたデータを、過去のデータと比較しモニタリングしていくことがあります。現在の数値を見るだけでなく、過去のデータと比較することで、アクセス解析で得られるデータを最大限に活用することが可能です。

 

たとえば過去の月間アクセス数やコンバージョン数の推移を分析し、Webサイトの成長や変化の傾向を特定することで、今後の方針を決めるうえでの検討材料にもなるでしょう。

 

またキャンペーンなどの施策を実施した際に、アクセス数やコンバージョン数がどのように変化したかを過去データと比較することで、施策の効果を客観的に評価することができます。

 

数値の変化がどのような要因で起こったかを考察することで、Webサイトの改善やマーケティング施策全体を検討するうえで有益なヒントとなるはずです。

ユーザー視点で考察する

アクセス解析をおこなううえで最も重要なポイントのひとつは、ユーザー視点でデータを取り扱うことです。Webサイトを利用するユーザーがどのような体験をしているのかを知り、ユーザーの立場でデータを分析をしてみましょう。

 

たとえばユーザーがサイト内でどのような行動を取っているのかを知るために、検索ワードやページの遷移、クリックのパターンを分析することで、ユーザーの関心ごとやニーズを理解しやすくなります。

 

また、コンバージョンにつながるボタンがクリックされない理由は、ユーザーがサイトを利用する際の体験にあるかもしれません。ユーザーエクスペリエンスに影響を及ぼす、ページの読み込み速度やレイアウト、ナビゲーションなどを確認するとともに、ユーザーアンケートなどによって実際の声や反応といったデータを集めていくことも必要です。

無料ツールあり!アクセス解析ツール

アクセス解析ツールとしてポピュラーな「Googleアナリティクス」をはじめ、無料ツールを含めた便利なアクセス解析ツールをご紹介します。

Googleアナリティクス

Googleアナリティクスは、無料のアクセス解析ツールで、その名の通りGoogleが提供しています。無料で使えるツールながら幅広いデータを解析できる高機能なツールで、多くの企業で活用されていることから多くのノウハウもシェアされており、まず手始めにアクセス解析をしてみたいという方にもおすすめのツールです。

 

登録するとアカウントに紐づいたトラッキングコードが付与され、このコードをサイトのHTML内に埋め込むことで、流入経路・ユーザーの属性・ユーザーの行動・コンバージョンそれぞれのデータの計測をすることが可能です。のちほどGoogleアナリティクスの利用の仕方についても解説していきます。

 

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Google Search Console

Googleサーチコンソールは、ウェブサイトの検索エンジンに関するデータを提供するツールです。主にユーザーがサイトにアクセスする前のデータ、検索クエリや表示順位、クリック数、表示回数などのデータを解析することができ、Webサイトの検索エンジンでのパフォーマンス分析に役立ちます。

 

さきほどご紹介したGoogleアナリティクスは、サイト全体のアクセス解析を行うためのツールになるため、両方のツールを組み合わせて使用することで、Webサイトのパフォーマンスを包括的に把握できます。

User Heat

User Heat(ユーザーヒート)とは、ユーザーがWebサイトのどの部分に関心を持っているのかを把握できる、ヒートマップツールです。月間30万PVまでは無料で利用でき、クリックはもちろん、マウスの動きやどこが熟読されているか、どこで離脱しているかといったエリアを色に置き換えて視覚的に表示します。

 

通常のアクセス解析が、データを数値で表示するのと異なり、User Heatでは温度を表すサーモグラフィーのように、ユーザーがよく見ている部分を直感的に示唆。たとえばコンバージョンに至る前にユーザーが閲覧を終了している部分を把握することで、サイト改善に活かすことができます。サイトのHTMLに解析用JavaScriptを埋め込むことで簡単に利用できます。

Similar Web

イスラエル発のSimilar web(シミラーウェブ)は、URLを入力したサイトのアクセス概要を得られるツールです。世界中のWebサイトから、独自クローラーで月間約10億ページから情報収集しているのが特徴です。

 

無料版では、アクセス数や訪問前後のサイト、エンゲージメント、トラフィックソース、ソーシャルトラフィックなどを知ることができます。ユーザー登録をすれば利用可能で、Googleの拡張機能でブラウザにインストールすれば、競合サイトに訪問してワンクリックで解析ができるようになります。

 

被リンクや内部対策などのSEO対策はできないものの、競合サイトのアクセス概要も簡単にわかるので、伸び悩んでいるwebサイトを改善し、マーケティング戦略を練りなおす際には重要なヒントを与えてくれるはずです。

SNS用アクセス解析のおすすめツール

近年はSNSを通じたプロモーションも広く一般に浸透したことから、SNS専用のアクセス解析ツールも精度を上げています。ここではTwitter(現X)、YouTubeのアナリティクスツールをご紹介します。

Twitterアナリティクス

Twitter アナリティクス(Twitter Analytics)は、Twitter(現X)での自分の投稿に対する反響を分析できるツールです。自分のツイートが見られている数、いいねの数や、フォロワー数の増減などのデータを無料で分析できます。Twitter(現X)のアカウントがあれば、誰でも無料で利用することができます。

 

Twitter アナリティクスでは、動画アクティビティの管理や月ごとの統計データ、より多くの反応を得るツイートの傾向などを分析することもできます。Twitterを活用したキャンペーンやプロモーションを実施する際にもパフォーマンスを計測できるため、Twitter(現X)を活用したコンテンツ戦略の精度を高めるのに有用です。

YouTubeアナリティクス

YouTubeアナリティクスでは、自身のチャンネルで投稿した動画の総再生回数、視聴者数や人気の動画、どのような属性のユーザーが動画を見ているのかを分析できます。

 

無料のYouTubeアカウントを作成すれば、だれでも利用することができるツールです。視聴ユーザーが、どのように動画にたどり着いたか、またどのようなパターンでチャンネル登録・解除されているかといった行動データを見ることもできます。

 

YouTubeアナリティクスを活用すれば、データに基づいた客観的な判断ができ、より効果的なYouTubeチャンネルの運営が可能となります。

まずは無料でアクセス解析!Googleアナリティクス

無料ながら高機能なアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を使って、アクセス解析をしてみましょう。ここでは、3つのステップで使い方について解説します。

1.Googleアカウントを作成する

まずはGoogleでアカウントを作成しましょう。すでにアカウントを持っている場合は手順2に進んでください。

 

Googleアカウント作成はこちら

2.Googleアナリティクスのアカウントを開設する

次に、Googleアナリティクスのアカウントを開設していきます。

 

アクセス解析したいURLと、ストリーム名(Webサイトの名前)を入力してストリームを作成すると、Googleアナリティクスのアカウント登録が完了です。

 

Googleアナリティクス利用はこちら

3.トラッキングコードを設置する

Googleアナリティクスに解析したいURLを登録したら、トラッキングコードをWebサイトのHTMLに埋め込みます。Webサイトへアクセスがあったとき、このコードが読み込まれることで、アクセス解析に反映されるようになります。

 

このトラッキングコードは、Webサイトの運営担当者が交代したり、サイトリニューアルをしたときなどに削除・重複してしまうことが往々にして起こります。このようなときには必ずトラッキングコードを確認するようにしましょう。

MAツールでもアクセス解析できる!

マーケティングオートメーション(MA)ツールは、顧客の行動やデータを把握し、分析するための機能を搭載しており、多くのMAツールにはアクセス解析機能も組み込まれています

 

顧客がメールを開封しリンクをクリックしているか、メール配信でどのような効果が得られているか、コンバージョン率といったデータも自動的に収集し、分析することができます。

 

またMAツールでは、Webサイトのトラフィックやコンバージョンに関するデータをリアルタイムで追跡することができるため、マーケティング戦略をより効果的なものにブラッシュアップするのにも役立ちます。さらにMAツールは、ほかのマーケティングプラットフォームやCRMと統合し、複数のデータソースを組み合わせて分析できるのもポイントです。

 

MAツールは気になるけどハードルが高い…という方は、弊社のずっと無料で使える国産MAツール「BowNow」がおすすめです。「本当に使いこなせるMA」をコンセプトに、WEB制作会社自身が開発しました。営業部門目線・マーケティング部門目線で必要な機能を厳選し、誰でも簡単・シンプルなマーケティング活動が実現できます。

 

導入企業13,000社 手軽に使えるMAツール|【公式】マーケティングオートメーション BowNow(バウナウ)

まとめ

アクセス解析について解説しました。

 

アクセス解析ツールは、ユーザーがどのような行動をとっているのかを見える化して、Webサイトどこが課題になっているのかを発見し、コンバージョンを増やすためのサイト改善をするうえで欠かせないツールです。「アクセス数が増えているのに、いまいちコンバージョンにつながらない…」といった場合に、原因を特定するのにも役立ちます。

 

ただ、単にデータを取得するだけでは、本当の意味でアクセス解析ツールを使いこなせているとはいえません。自社サイトの目標と現状を明確にし、データ分析に取り組む際には、仮説を立てて繰り返し検証することで、Webサイトでのマーケティングの成果を最大化することができます。

 

また、アクセス解析によって得られる分析レポートは担当者だけでなく周辺部署とも共有することが大切です。Webサイトによる事業貢献を意識して、仮説検証のPDCAサイクルを回しながら、サイト改善に取り組みましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Fri, 22 Mar 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[Googleアナリティクス(GA4)とは何か、中小企業が知っておくべきデータ分析の基礎]]> https://mtame.jp/martec/google-analytics4 Googleアナリティクス(GA4)とは、Google社が提供している「アクセス解析ツール」です。自社サイトの訪問者のサイト内における行動を数値データとして細かく調べることができます。大手はもちろん中小企業がデジタルマーケティングに取り組むにあたっては、自社サイトのデータ分析は欠かせません。この記事では、GA4の基本を学び、ビジネス成果を向上させるための手法をご紹介していきます。

 

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デジタルマーケティングにおけるアクセス解析とは?

デジタルマーケティングにおいて、自社サイトがどれくらい「閲覧」されているのか、

どのページがもっとも訪問者が多いのか、どのページで「離脱」しているのかなどを知っておくのは、大変重要なことです。今や、企業の営業活動において、自社サイトで事業内容や製品サービスを紹介し、問い合わせを集めることで「商談」に結びつけるという手法は、一般化しつつあります。

だからこそ、自社サイトのアクセス状況を把握することは重要で、数値の変動を見ながら、リンクを設置して「回遊性」を向上させたり、わかりにくい箇所にはナビゲーションを追加して「誘導」したりなど、ボトルネックをページ単位で見つけて改善することができれば、それがダイレクトに営業成績に影響してきます。

Googleアナリティクス(GA4)の役割

Googleアナリティクス(GA4)は、Webサイトやアプリ内での利用者の「行動」を集約し、分析することで、以下のような役割を果たします。

サイト訪問者の行動を追跡する:

訪問者が、サイト内でどのような行動を取っているかを追跡します。これには、ページビュー(PV)、セッション(sessions)、閲覧者がクリックしたリンクなどが含まれます。これらのデータをもとに、訪問者の行動パターンやトレンドを分析します。この分析をしっかり行うことで、「ユーザー体験」の向上が可能になります。

サイトでの目標達成を測定する:

サイトが設定した目標(例:お問い合わせ、資料ダウンロード、ウェビナー申込、資料請求、製品のオンライン購入など)の達成状況を測定し、その成果を評価します。これには、コンバージョン(CV)が主な指標となります。

自社サイトにおける訪問者の行動追跡、目標達成度の測定によって現状を正しく把握することができれば、今後どのように改善すべきかを決めることができます。企業のデジタルマーケティングでは、日々改善を繰り返しながらパフォーマンスを確認しつつ進めていく必要がありますので、GA4は、サイト運用において重要な役割を担っています。

 

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GA4で閲覧できる「数値データ」の種類

ここまでで、Googleアナリティクス(GA4)の役割と、使ってできることについて大まかに理解できたと思います。ただ、GA4が提供する数値データはとても多岐にわたるため、これらのデータを適切に読み取ることが必要となってきます。

ユーザー数(UU):

ユーザー(ユニークユーザー)アクティブユーザーなど、自社サイトを訪れる「訪問者数」を把握することができます。GA4では、新規ユーザーとリピーター(既存ユーザー)を区別し、サイトの訪問者のうちどれくらいの割合が新規ユーザーによるものか、どれくらいの割合がリピート訪問によるものかを分析することができます。これにより、自社サイトの「エンゲージメント」の強さを評価できます。

 

ユーザー数(UU)

 

  • ユーザー(UU): サイトにアクセスした訪問者。後述する「セッション数」からユーザーの重複を除いた数値となる。
  • アクティブユーザー(AU): ある特定の期間に発生した「セッション数」から、ユーザーの重複を除いた数となる。
  • ・新規ユーザー: 過去2年間においてアクセス履歴がなく、新たにサイトにアクセスした訪問者のこと。
  • リピーター: 新規ユーザーとして一度アクセスした後に、再訪した訪問者のこと

基本的には、UUとAUの違いは、集計期間を特定するかしないか次第と言えます。また、新規とリピーターの違いは、過去2年間において1度のみの訪問か2回以上の再訪をしているかで区別します。リピーターの割合が増えていれば、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供できているエンゲージメントの高いサイトと考えることができます。

セッション数と平均セッション時間:

訪問者がサイトに訪れた回数のことを、セッション(sessions)と言います。サイトの閲覧され具合をはかる目安とも言える指標で、基本的に企業のデジタルマーケティングにおいては、まずはこのセッション数を増やすことが重要です。

そして、このセッションを単位として、平均で1セッションあたりどのくらいの時間をサイト内で過ごしたかを平均セッション時間とします。この数値が長くなればなるほどサイトがよく閲覧されていることになり、ページ情報や記事コンテンツの「品質」を理解するのに役立ちます。

 

セッション数と平均セッション時間

 

  • セッション(sessions): サイトにアクセスした訪問者。後述する「セッション数」からユーザーの重複を除いた数値となる。
  • 平均セッション時間: ある特定の期間に発生した「セッション数」から、ユーザーの重複を除いた数となる。

ページビューと平均ページビュー

ページビュー(PV)とはサイト内において閲覧されたページ総数のことです。また、1度のセッションにおいて訪問者が平均して何ページ閲覧したかを示す単位として、平均ページビュー(ページ/セッション)があります。

セッション数に対して、ページビュー数が2倍、3倍と多ければ1度のセッションで多くのページを閲覧されることになるため、回遊性が高いといえます。これは、関連のあるコンテンツへのリンクやナビゲーションがわかりやすく設置されているサイトであるといえます。

 

  • ページビュー(PV:pageview): サイトへのアクセスによってページが表示された回数のこと。
  • 平均ページビュー(ページ/セッション): 1セッションあたりの平均ページ表示回数のこと

コンバージョンとコンバージョン率:

設定した目標(例:お問い合わせ、資料ダウンロード、ウェビナー申込、資料請求、製品のオンライン購入など)に達成(CV:コンバージョン)した数と、サイトアクセスに対する割合のことです。

 

コンバージョンとコンバージョン率

 

  • コンバージョン(CV:Conversion): サイトにおいて目標を達成した数のこと。
  • コンバージョン率(CVR:Conversion Rate): サイトアクセスに対するCVの割合のこと。主に、セッション単位(CV数 ÷ セッション数)あるいはユーザー単位(CV数 ÷ ユーザー数)の2つのパターンで算出することができる。

直帰率:

サイトにおける直帰率は、すべてのセッション数のうち、1ページだけ閲覧してすぐに離脱したセッション数の割合です。ただし1ページだけだったとしても、10秒以上の閲覧があった場合はそれは直帰率にはなりません。直帰率が多いサイトというのは、せっかくサイト訪問があってもコンテンツやユーザビリティの問題で、関心を持ってもらえなかったということになりますので、改善が必要といえます。

 

  • 直帰率(Bounce Rate): 1ページのみ閲覧してすぐに離脱したセッション数の割合のこと。

このほかGA4では、ユーザーを特性(年齢・性別・地域・デバイスなど)で分類することもできるため、より詳しい分析をすることが可能です。

「探索」による細かいレポートの見方

Googleアナリティクス(GA4)では、「探索機能」を用いてさらにカスタマイズした分析をすることができます。ディメンション(属性)とメトリクス(数値)を自由に組み合わせることで、日別・週別などの期間を区切ったセッション数や、セッションの参照元や、エンゲージメント率の詳細、ユーザーの関心ごと(インタレストカテゴリ)など、より細かい分析が可能となります。

 

「探索」による細かいレポートの見方

 

「探索」による細かいレポートの見方

アクセスデータを、自社サイトの改善にどのように活かすか

Googleアナリティクス(GA4)を使って、色々なサイトデータを入手できることがわかったと思います。では、これらのデータをもとにどのような改善ができるでしょうか。考えられるのは「ユーザビリティの向上」「コンテンツの最適化」「コンバージョン率の増加」など。データからボトルネックが見つけられたなら、これらの取り組みに着手することができます。

コンテンツの最適化

サイト内で、どのページが最も閲覧されているか、またどのコンテンツが閲覧者にとって魅力的かを調べてみます。人気のページ情報やブログ・コラムなどをさらに充実させることで、サイト利用者の関心を高め、エンゲージメントを向上させることができます。一方で、「直帰率」の高いページを特定し、コンテンツの質や構成を見直すことも重要です。閲覧者が求める情報が不足しているまたは見つけにくい場合には、情報内容を追加したりレイアウトを再設計するなどの対処が必要です。

コンバージョン率の向上

サイト訪問者がコンバージョン(CV)に至るまでのページ導線・経路を分析し、途中で離脱してしまうポイントを特定します。フォームの簡素化、CTA(コール・トゥ・アクション)の配置の最適化などにより、コンバージョンに向けた導線をよりスムーズにすることで問い合わせや申し込みなどのコンバージョン率(CVR)を高めることができます。

サイト閲覧者の特定

GA4からわかる訪問者の属性データによって、自社サイトの主な閲覧者がどのようなタイプかを把握します。国/都市別・性別・デバイス別はもちろん、閲覧者の「関心(インタレストカテゴリ)」があるものについてもデータを取得することができます。

この情報をもとに、閲覧者に合わせてページコンテンツを用意することで、よりコンバージョン(CV)を高めることができます。

 

  • 年齢: 18~24 歳、25~34 歳、35~44 歳、45~54 歳、55~64 歳、65 歳以上等
  • 性別: 男性、女性、不明
  • 国別:
  • 都市別:
  • 言語別:
  • 関心:アート、エンターテイメント、ゲーム、スポーツなど関心事
  • デバイス別:デスクトップ、モバイル、タブレット

アクセスデータをサイト改善に活用することで、企業はサイト利用者の「満足度」を高め、結果として営業活動を円滑に進めることができるようになります。GA4は、デジタルマーケティングを推進する中小企業にとっては、なくてはならない必須ツールと言えるでしょう。

まとめ

ここでは、サイト運用において、Googleアナリティクス(GA4)をどのように役立てることができるのかについて解説しました。GA4は、行動分析を通じてサイトのパフォーマンスを向上させるための強力なツールといえます。

このツールを活用してサイト利用者のニーズを捉え、改善することができれば結果として営業活動も向上させることができると言えます。データに基づいた戦略的なアプローチを取ることで、企業競争力を高め、市場での成功を収めることができるでしょう。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Wed, 06 Mar 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[アップセルとは?クロスセルとの違いや重要性、効果的なタイミングについて解説]]> https://mtame.jp/column/upsell-cross-sell アップセルとは、過去に商品を購入または商品購入を検討中の顧客に対し、上位の商品を提案し買ってもらうセールス手法を指します。アップセルを行うことで、1人あたりの顧客単価のベースを引き上げることができ、企業の利益拡大を図れます。

 

企業の収益力強化につながるアップセルは、SaaSをはじめとするサブスクリプション型ビジネスの台頭により、改めて注目を集めています。

 

本記事ではアップセルの基礎知識からクロスセルとの違い、アップセルの提案に効果的なタイミングなどをわかりやすく解説します。

 

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アップセルとは

アップセルとは、過去に商品を購入または商品購入を検討中の顧客に対し、上位の商品を提案し買ってもらうセールス手法を指します。具体的には10万円のパソコンの購入を検討している顧客に、セキュリティソフトや文書作成ソフトなどを搭載した15万円のパソコンを勧め、顧客単価を高めるというものです。

 

多くの場合、商品の比較表などを用いて、顧客により単価の高い商品を提案します。提案した商品のほうがより顧客ニーズを捉えた商品であると示すことで、顧客が満足して購入するきっかけを提供します。

アップセルとクロスセルの違い

クロスセルとは、自社の商品を購入している顧客に対し、購入した商品と異なる商品やサービスを勧める営業手法です。たとえば10万円のパソコンの購入を検討している顧客に、セキュリティソフトやマウス、キーボードといったPC関連商品のあわせ買いを提案します。

 

アップセルとクロスセルの大きな違いは、顧客が購入する商品タイミングです。アップセルは顧客に「同じ商品・サービスの上位グレード」を勧めるのに対し、クロスセルは「購入予定商品の関連商品」を購入してもらい、単価を上げることを目的としています。

 

また提案するタイミングも異なり、アップセルは購入する予定商品の買い替えや検討中のタイミングで勧めますが、クロスセルは商品購入が決定してからの、契約や購入を行うまでの間に関連商品を提案するのが主流です。

 

アップセル・クロスセルともに顧客単価のアップという目的は同じですが、提案内容やタイミングに違いがあります。

 

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BtoB企業でアップセルが重要な理由

BtoB企業においてアップセルが欠かせない理由について解説します。

顧客単価の向上

BtoBビジネスはBtoCと比べてターゲットとなる母数が少なく、新規顧客の獲得が難しい傾向にあります。一般的に新規顧客を獲得するコストは、既存顧客に比べて5倍かかると言われており、相応の手間と時間が発生します。また時間やコストをかけてようやく獲得した新規顧客が、今後も継続して自社商品を利用するかまでは予測できません。そのためBtoBで売上拡大を図るには、既存顧客の顧客単価を上げることが近道とされています。

 

アップセルに成功し、上位モデルの商品やサービスを提供できると顧客1人あたりの単価が上がります。各顧客の単価アップに伴い、利益の大幅な上昇が見込めるため、顧客数を増やさずに総売上額を伸ばすことが可能です。顧客数が限られているBtoBビジネスにおいて、アップセルは効率の良い売上向上施策のひとつといえるでしょう。

 

LTV(顧客生涯価値)の向上と業務効率化

LTV(Lifetime Value:顧客生涯価値)とは、1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益のことを表します。顧客のニーズを捉えたアップセルを実施することで、「優れた商品を提案してもらえた」「課題解決に最適なサービスを導入できた」など、顧客が求める以上の購買体験を提供できるため、顧客満足度の向上が期待できます。顧客と企業の関係が良好になると、企業に対して信頼や好印象を抱くようになり、「次はこの商品を買ってみよう」「◯◯のサービスを契約してみたい」などのアクションが発生し、LTVを高められます。

 

LTVの向上に加え、業務効率化を図ることができます。自社商品・サービスを売る場合、自社商材の説明からはじめ、何度も商談を重ねて契約に至るまで膨大な時間と手間がかかります。一方で既存顧客は過去に一度商品を購入しているため、すでに自社商品についてはある程度理解していることから、アプローチを仕掛ければ商品を買う可能性が高い存在です。新規顧客よりも営業コストを抑えつつ、効率よく売上を上げられます。

 

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アップセル実施のポイント

アップセルはただやみくもに顧客に行えばいいわけではありません。本章ではアップセルの実施にあたり押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

顧客情報の正確な把握

まず最初に行うべきが、顧客情報の収集です。自社商材・サービスを利用するユーザーの属性を明らかにし、商品に対しどのようなニーズを抱えているのかを改めて分析・把握します。企業側が正確なユーザー属性や顧客ニーズを理解していないと、的はずれな提案ばかりをしてしまい、失注や顧客離れが起きる可能性があります。収集したデータをもとにどのようなユーザーであれば、アップセルを成功しやすいのかをしっかり把握し、効果的な提案を行いましょう。

 

失注リスクを下げるためのツールとして、顧客情報を一元管理できるCRMツールやMAツールを活用するのもおすすめです。

 

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商品設計の見直し

次に商品設計の見直しです。アップセルをスムーズに進めるには、商品ライナップを、「下位・中位・上位」と複数用意し、それぞれの機能や特徴に差が出るような内容にすることをおすすめします。商品ラインナップが似たりよったりになってしまうと、一番安いプランの契約になってしまうことが多く、顧客単価の引き上げができなくなります。

 

商品設計の見直しにあわせて「下位商品から上位商品に変えることで得られるメリット」「上位商品・グレードがふさわしい理由」の理由付けも必要です。ただ上位商品を勧めるのではなく、この商品がなぜ顧客にとって必要なのかを明確にすることで、顧客に満足度の高い購買体験を提供できます。顧客満足度向上にもつながり、企業への信頼度も増すため、必ず用意しておきましょう。

 

アップセルを成功するうえで、商品設計の見直しは最も重要なポイントです。顧客がアップグレードしたいと思うようなラインナップにしましょう。

現場への浸透・理解

アップセルを主に行うのはフィールドセールス(営業マン)やインサイドセールスです。アップセル成功の可否は彼らにかかっているといっても過言ではありません。そこで、アップセルの方針を営業の現場に浸透させるために、以下の3つが重要となります。

 

  • 営業方針を明確に定義し、周知徹底する
  • 現場に浸透するまで繰り返し伝える
  • 現場の声を施策に反映する

 

まずはじめにアップセルの目的や重要性を説き、営業方針が担当者に浸透するようにしましょう。目的や戦略、顧客への接し方を理解することで、一貫したアプローチを取れるようになり、営業スタイルが統一されるようになります。しかし浸透までには時間がかかるため、周知は1回きりにするのではなく、繰り返し何度も伝えることが大切です。そのためにも営業部門全体で常に情報を共有し、PDCAを回しながら施策の改善を図りましょう。

アップセルの具体例

アップセルは上位モデルへの提案以外にも、まとめ買いや長期契約による割引、ロイヤルティプログラムなどさまざまな方法があります。具体的には以下のとおりです。

まとめ買いの提案

まとめ買いとは特定の商品(プラン)を複数購入することで、合計金額から割引したり、一定金額以上の購入で送料無料にするなど、顧客に購入によるメリットを示し、商品の複数購入を通して顧客単価を上げる仕組みです。

 

たとえばオフィス用品などを販売する通販サービス「たのめーる」は、対象商品をまとめて購入すると、1点あたりの単価が割引される「たの割ミックス」や同じ商品のリピート購入で1点あたりの金額が安くなる「たの割」を実施しています。複数購入によるアップセルを狙った施策といえます。

長期契約による割引

長い期間にわたって同じ商品をリピート購入している顧客に対し、割引を提案する方法です。

 

一例として、法人向けレンタルサーバーサービスを運営する「ニフクラ」では、契約期間に応じて一定の金額を割り引く長期利用割引プランを用意しています。最大40%以上の割引が適用され、契約期間が長くなるにつれて利用料金が安くなるため、他社への乗り換えを防ぐ効果があります。

ロイヤルティプログラムの導入

ロイヤルティプログラムとは、購入頻度や購入金額の多い優良顧客に対し特典を与える施策を指します。顧客維持戦略のひとつで、自社商品やサービスを継続的に購入したくなるような特典を顧客に与えることにより、顧客が他社に流出するのを防ぎます。

 

カタール航空は法人向けプログラム「Beyond Business」に、ロイヤルティプログラムを導入しています。全部で5つの会員レベルが用意されており、カタール航空の利用回数・購入金額に合わせてグレードが上がります。会員レベルごとに優先手荷物や航空券の割引などの会員限定特典を受けられます。

アップセルの効果的なタイミング

アップセルの成功の鍵は、提案するタイミングにあります。誤ったタイミングで行ってしまうと、顧客の不信感を招く恐れがあり、最悪購入や契約を見送る可能性があります。そのような事態を避けるためにも、商材にあわせた適切な提案が大切です。本項ではBtoB、BtoCの商材ごとのタイミングについて解説します。

BtoB商材の効果的なタイミング

BtoB商材のアップセルは、特にサブスクリプション方式を採用しているSaaS型ビジネスに有効です。交渉のタイミングは、以下の3つの場面で行うと成功率が上がります。

 

①契約更新時
②予算捻出時
③課題判明時

 

特に①の契約更新時が最も成功しやすいといわれています。契約更新を行うということは、顧客が自社商品やサービスに対して一定以上の満足度を得ていると考えられるからです。次に確率が高いのが、②の予算捻出時です。企業の意思決定は予算に左右されるといっても過言ではありません。アップセルを提案する際は企業の予算策定時期も考慮したうえで実施するといいでしょう。

 

③については顧客とのコミュニケーションを図る中で、新たな課題が判明し、その課題解決を図るためのサービスや代替案を提供することにより、アップセルが成功することもあります。顧客が抱える悩みや課題を素早く把握できるように、日頃から顧客視点に寄り添ったサポートやコミュニケーションを取る必要があります。

BtoC商材の効果的なタイミング

BtoC商材におけるタイミングは、顧客の感情が高まったときがベストです。具体的には顧客が企業に対して好印象を抱いている際に、より良い商材を提案すると購入する可能性が高くなります。

 

たとえばYou TubeやSNSでインフルエンサーが紹介している動画を視聴し、その商品が魅力的であったり、自身のコンプレックスを解決する商品であった場合、ユーザーは「商品を購入したい!」という気持ちに駆られます。そのタイミングで商品を宣伝するWebサイトやURLをPRすることで、商品購入などのコンバージョンにつなげられます。

 

もうひとつは購入の決断をしたタイミングです。よくある例としては、ファーストフードで店員から商品のサイズアップを勧められるケースです。追加料金で商品をよりお得に購入できるため、消費者のついで買いによる単価アップが期待できます。

アップセルの注意点

最後にアップセルを行ううえで、気をつけておきたいポイントを解説します。

顧客ケアをしっかりと行う

アップセルを一度の成功で終わらせず、継続的に行っていくためには、顧客ケアをしっかりすることが大切です。メールや電話などで利用状況を随時ヒアリングし、細やかなアフターフォローを心がけることで、顧客から「サポートがしっかりしている」「この企業なら安心」だと思ってもらえるようになるでしょう。自社に対する安心感・信頼感の醸成により、エンゲージメント(愛着)の向上にもつながり、さらなるアップグレードの可能性が高くなります。アフターフォローは顧客育成という観点からも非常に重要なプロセスです。

強引なセールスをしない

アップセルを取り組む際に最も注意したいのが、顧客に押し売りだと思われてしまうことです。売上アップを優先して強引な営業活動を続けてしまうと、顧客の購買意欲が減退してしまい、失注リスクが高くなります。また仮に成功したとしても短期的な利益は上がるかもしれませんが、顧客離れによって長期的にはマイナスに陥ることも考えられます。

 

アップセルの成功の秘訣は、あくまで顧客目線に立った提案ができているかどうかです。顧客満足度が高まれば必然的に購入や契約へと進みます。企業側目線ではなく、顧客の気持ちに寄り添った提案をしつつ、アップセルを行うタイミングを図っていきましょう。

まとめ

本記事ではアップセルの基礎知識からクロスセルとの違い、アップセルの提案に効果的なタイミングなどについて解説しました。

 

アップセル戦略を上手く実践すれば、既存顧客1人あたりの単価を増やし、企業全体の利益拡大を目指せます。新規顧客の開拓が困難になっている今、既存顧客にフォーカスしたアップセル戦略は有効な営業方法です。自社のビジネスモデルや商材にマッチしていれば、事業目標達成に大きく貢献する施策になるでしょう。

 

本記事が貴社のビジネスヒントの一助になれば幸いです。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Wed, 28 Feb 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[コホート分析とは?やり方や活用例をわかりやすく解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/cohort-analysis コホート分析とは、ユーザーの行動や属性をグループに分け、そのグループごとの変化や傾向を分析する手法のことです。

 

コホート分析を活用することで、単純な平均値や合計値では見えない、ユーザーの特徴や傾向を発見できるため、顧客理解やマーケティング戦略の強化などに役立ちます。

 

本コラムでは、コホート分析の基本や効果的な活用方法を、ご紹介いたします。

 

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コホート分析とは?

コホート分析とは、ユーザーの行動や属性をグループに分けて、そのグループごとの変化や傾向を分析する手法です。

 

たとえば、あるアプリの月間アクティブユーザー(MAU)が増加しているとします。
しかし、これだけの情報だと、新規ユーザーが増えているのか、既存ユーザーが継続しているのか、あるいは両方なのかはわかりません。
そこで、コホート分析をすると、登録月ごとにユーザーの継続率や離脱率を見ることができるため、アプリの成長に寄与している要因を明らかにできるのです。
ここから、ユーザーの離脱要因や改善点を見つけたり、効果的な施策やマーケティングを考えたりすることができます。

コホート分析の活用メリット

このように、コホート分析を活用することで、消費者の潜在ニーズを把握し、企業のマーケティング戦略に活かすことができます。

 

上で挙げた例のほかにも、デジタルマーケティングに活用することで、さまざまなメリットが得られます。
コホート分析では、特定の期間に同じ経験をしたユーザーグループの行動を追跡し分析することで、時間の経過とともにユーザー行動がどのように変化するかを観察できます。
この特性を活用すれば、Webサイトの改修がユーザーの行動にどのような影響を与えたかを具体的に把握することができます。

 

たとえば、ECサイトでコホート分析を活用すると、リピーター作りにつなげたり、キャンペーン広告の配信を最適化したりすることが可能です。
また、コホート分析により、定着率を把握できるため、LTVを予測しながらWebサイト改善を行ったり、ROIを最適化したりすることができます。

 

※LTV…Life Time Valueの頭文字を取ったもので、顧客生涯価値のこと。

LTVについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

 

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コホート分析を行う際の注意点・デメリット

一方、コホート分析を活用する際は、注意しなければならない点もあります。
コホート分析を行う際には、正確なデータ収集と分析が必要です。不正確なデータや分析に基づくと、誤った結論に至る可能性があるためです。

 

また、コホート分析には時間がかかるため、短期間での結果が求められる場合には向きません。長期的な視点で利用するのが適しています。

コホート分析のやり方

では、コホート分析の具体的なやり方について解説します。
主に利用されるのは、「回顧的情報分析」「標準コホート表」「ベイズ型コホートモデル」の3つの手法です。

回顧的情報分析

回顧的情報分析とは、過去の出来事やデータをもとに、その原因や結果を分析する手法です。
具体的には、特定の調査対象者に対して過去と現在の行動の変化を聞き取り、そのデータを分析します。

 

回顧的情報分析は定性調査に近く、統計的な処理が難しい場合が多いですが、個々の消費者の行動変化を深く理解するのに役立ちます。

標準コホート表

標準コホート表とは、年齢別・時系列別のデータが一致するように配置した表のことです。
この表を用いて、年齢効果(加齢効果)、時代効果、世代効果(コホート効果)の3つの観点から分析を行います。

 

標準コホート表では、各効果の大きさを数量的に把握することは難しいですが、分析者が柔軟に仮説を立てながら分析を進めることができます。

ベイズ型コホートモデル

ベイズ型コホートモデルとは、「標準コホート表」の隣り合う区分の係数の二乗和が最小になるように答えを出したものです。

 

統計数理研究所の中村 隆氏が考案した分析手法です。
時代や年齢、世代の各要素が、徐々に影響を受けて変化するという前提に基づく分析手法で、より精密な分析が可能であり、特に複雑なデータセットに対して有効です。

コホート分析の活用例

コホート分析を活用し、特定の期間内に同じ経験を共有する顧客グループの行動を追跡し分析することで、顧客行動の理解を深め、マーケティング戦略を最適化することが可能です。

 

コホート分析を活用することで、企業は顧客のニーズに応じたパーソナライズされたマーケティング施策を展開し、顧客満足度の向上、リテンション率の改善、そして最終的には売上の増加を実現することができます。
特にWebマーケティングの施策において有効で、サービスや商品のターゲティングや需要予測に役立ちます。

 

特にBtoB企業の場合、Webサイトから売り上げを立てるためには、コホート分析を以下のように活用することが考えられます。

ECサイトでの活用

ECサイトでは、コホート分析を活用して顧客の購買行動を深く理解できます。
たとえば、 特定のプロモーション期間中に初めて購入した顧客グループのリピート購入率を追跡することで、プロモーションの長期的な効果を評価することができます。

 

また、顧客が最初に購入した商品の種類に基づいてコホートを形成し、その後の購買パターンを分析することで、クロスセルやアップセルの機会を特定することもできます。

 

さらに、顧客が購入した期間や商品によってグループ化し、その後のリピート率やクロスセル率、アップセル率などを測定することで、最も顧客満足度の高い顧客の特徴や、最も売上貢献度の高い商品やサービスを特定することができます。

Webサイトでの活用

Webサイトへの訪問者の行動パターンを把握し、改善点を見つけ出すことができます。
具体的には、特定のキャンペーンを通じてWebサイトを訪れたユーザーの行動を追跡し、セッション時間やページビュー、コンバージョン率などの指標を分析することで、キャンペーンの効果を評価し、将来のキャンペーン戦略の策定に役立てることが可能です。

 

また、新規訪問者とリピート訪問者の行動の違いを分析することで、Webサイトのユーザビリティの向上やコンテンツの最適化につなげることもできます。

マーケティング戦略の策定

コホート分析は、Webサイト周りに限らず、マーケティング戦略全体の策定においても非常に有効です。

 

たとえば、顧客のライフサイクル全体を通じて、顧客がどのようにブランドと関わっているかを理解することで、より効果的な顧客エンゲージメント戦略を開発することができます。
特定の世代や地域に属する顧客グループの購買行動や嗜好の変化を追跡することで、ターゲット市場に合わせた製品開発やマーケティングメッセージの作成も可能になります。

コホート分析が行えるツール

コホート分析を活用して、特定の期間内に同じ経験を共有するユーザーグループの行動を追跡し分析することで、顧客行動の理解を深め、マーケティング戦略を最適化することができます。

 

コホート分析を行うためには、適切な分析ツールの選択が不可欠です。
ここで、コホート分析に適した主要なツールをご紹介します。

Excel

Excelは、多くの企業で業務用のパソコンにインストールされていることから、使いやすい身近なデータ分析ツールの一つです。
Excelでは、ピボットテーブルや各種関数を駆使することで、コホート分析を行うことが可能です。

 

Excelを活用したコホート分析では、データの入力と整理、カスタマイズされた分析が行えます。特に、初期段階の小規模な分析に適しています。
大量のデータや複雑な分析を行う場合は、より専門的なツールの使用が必要なため、コホート分析に慣れるまでの入門編として活用するのが良いでしょう。

Google Analytics

https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/analytics/

 

Google Analyticsは、Webサイトのトラフィック分析に広く使用される無料ツールです。
コホート分析機能も提供しており、ユーザーの行動パターンやエンゲージメントの変化を時間経過とともに追跡することができます。

 

Google Analyticsのコホート分析機能はWebサイト運営者がユーザー体験を最適化し、リテンション率を向上させるための洞察を提供してくれるため、Webサイトのパフォーマンス改善に役立ちます。

 

たとえば、新規ユーザーを獲得したチャネル(検索エンジンやソーシャルメディア、広告など)ごとにコホートを作成し、それぞれのコホートの継続率や収益性を比較します。
これにより、どのチャネルから来たユーザーが最もエンゲージメントが高く、長期的な価値があるかを把握できます。
また、チャネル別にコンバージョンファネルや離脱ポイントを分析することで、改善の余地がある部分を見つけることもできます。

Amplitude

https://jp.amplitude.com/

 

Amplitudeは、製品分析に特化したプラットフォームで、統計学を用いてユーザーの行動パターンや製品内での体験を深く理解するための強力なコホート分析機能を提供してくれます。
ユーザー軸で分析できるため、ユーザー行動分析から最適な指標を示唆してもらえます。
このため、デモグラフィックではターゲティングができないような商材でのマーケティングに活用できます。

 

Amplitudeを使用することで、ユーザーエンゲージメントの向上、製品改善の機会の特定、リテンション率の改善など、製品成長に直結する洞察を得ることが可能です。
高度なセグメンテーションと分析機能により、マーケティング担当者や製品マネージャーは、より効果的な意思決定を行うことができます。

 

デイリーアクティブユーザ数が50名程度の規模から利用可能です。

Mixpanel

https://mixpanel.com/

 

Mixpanelは、行動データの分析に特化したツールで、ユーザーの行動や属性をリアルタイムで追跡し、分析することができるプラットフォームです。コンバージョンやエンゲージメント、リテンションなどの指標を深く分析できます。

 

ユーザーの行動データを基に、CVRの高いユーザーと低いユーザーの行動の違いを比較し、改善点を洗い出すことができます。
また、ユーザーの行動や属性に影響を与える要因を探索し、仮説検証やA/Bテストを行うこともできます。

 

ECサイトやアプリ、サブスクリプションサービスなど、さまざまな業種や製品・サービスで活用されています。

まとめ

コホート分析は、世代別の消費動向を理解し、マーケティング戦略を強化するための重要な手段です。
コホート分析には、回顧的情報分析、標準コホート表を用いた分析、ベイズ型コホートモデルなど、さまざまな方法があります。
これらの方法をECサイトやWebサイトでの活用などで適切に活用することで、企業は顧客の潜在ニーズを把握し、より効果的なマーケティング施策を展開することが可能になります。
ぜひ、上手に活用して、Webサイトを中心とするデジタルマーケティングの改善につなげましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Wed, 28 Feb 2024 08:30:00 +0900
<![CDATA[バナー広告とは?他広告との違いや作り方、メリットなどを徹底解説!]]> https://mtame.jp/advertisement/banner_ads バナー広告は画像や動画、GIFアニメーションなどを活用して配信される、Web広告の一種です。

 

訴求力の高いバナー広告を適切に運用することで、ブランドの認知度が高まる上、比較的簡単に出稿できるため注目が集まっています。

 

本記事では、バナー広告の概要や他広告との違い、メリット・デメリットなど解説します。最後にはバナー広告の効果を最大化するポイントも紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

費用形態 仕組み 特徴
期間保証型 広告の掲載期間に応じて決まった金額を支払う 予算が組みやすい
インプレッション課金型 広告がユーザーに表示された回数に応じて料金が発生(1回の閲覧=1インプレッション) ユーザーのアクションに影響されないため、料金が設定しやすい
クリック課金型 バナー広告がクリックされたときに広告料が発生する 広告費と成果が比例しやすい
成果報酬型 バナー広告がクリックされ、さらにコンバージョン(成果)へと至った時にだけ費用が発生する 広告がクリックされただけでは料金が発生しないので無駄がない

 

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バナー広告とは?

バナー広告とは

バナー広告は画像や動画、GIFアニメーションなどを活用して配信される、Web広告の一種です。

 

画像や動画を活用することで伝えたいことを効果的に伝えられるため、訴求力の高い広告を打ち出すことができます。視覚的なアプローチによって、ユーザーの注意を引くことも可能です。

 

バナー広告をクリックすると、広告主が設定した製品やサービスのランディングページ(LP)へと遷移します。

バナー広告の掲載場所

バナー広告は、どの広告サービスから出稿するかによって掲載場所が変わり、代表的な掲載場所には「①Google/YouTube」「②Yahoo!」「③その他のWebメディア」の3つがあります。それぞれの掲載場所についてみていきましょう。

①Google/YouTube

Googleでは、バナー広告を配信するためのディスプレイネットワークであるGDNが存在し、Googleが提供するGmailやYouTube、Googleアドセンスの掲載サイトに広告が配信されます

 

GDNは200万以上のWebサイトやアプリと提携しているため、広告が配信されるユーザー数が圧倒的に多く、インターネットユーザーの約9割にアプローチできるとされています。

 

ターゲティングも細かく設定できるため、ユーザーの趣味嗜好や属性に適した広告を配信することが可能です。

②Yahoo!

Yahoo!が提供するネットワークはYDA(Yahoo!広告 ディスプレイ広告)といい、Yahoo! JAPANトップ画面やYahoo! JAPANの各種サイト、提携企業のサイトなどに広告が配信されます

 

YDAには「予約型」「運用型」の2つあり、「予約型」は、多くのユーザーが閲覧するYahoo!のトップページに対して広告を配信できるため、認知度向上や潜在層への配信に効果的です。

 

一方「運用型」は、Yahoo!関連サービスの他に、新聞社のWebサイトやクックパッドなど、Yahoo!と提携しているサイトから選択して広告を出稿できます。

③Webメディア

GoogleのGDAやYahoo!のYDA以外にも、Webメディアが設けている広告枠を買い取って配信する方法があります。

 

運用型のバナー広告はGDNやYDAが代表的ですが、ピンポイントで配信したいWebメディアがある場合は交渉してみましょう。

バナー広告と他の広告の違い

バナー広告は以下の3つの広告と混同されやすい傾向にあります。

 

  • リスティング広告
  • ディスプレイ広告
  • レスポンシブ広告

 

それぞれの違いについて見ていきましょう。

リスティング広告との違い

リスティング広告(検索連動型広告)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト広告を指し、バナー広告との違いは、表示形式にあります。

 

リスティング広告は、GoogleやYahooなどの検索結果の上部や下部にテキスト形式で表示されますが、バナー広告は画像や動画を活用して表示されるため、視覚的に訴求することが可能です。

 

また、基本的にリスティング広告がリーチするのは課題が明らかになっている顕在層ですが、バナー広告では主に潜在層にアプローチするのに適しています。

 

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ディスプレイ広告との違い

ディスプレイ広告とは、ウェブサイトや動画サイト、アプリなどの広告枠に表示される広告のことです。画像広告、動画広告、テキスト広告など様々な形式があります。

 

バナー広告との違いはなく、バナー広告はディスプレイ広告に含まれていると捉えられます。ネイティブアドや動画広告なども、ディスプレイ広告の一種であると考えて問題ありません。

 

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レスポンシブ広告との違い

レスポンシブ広告とは、デバイスごとの広告枠のサイズやフォーマットに応じて、画像表示を自動で調整して最適化する広告を指します。

 

各媒体に最適化した広告を表示してくれるため、広告主は必要なデータを登録するだけで済みます。デバイスの広告サイズに応じたデザインを作成する必要がなくなるため、一般的なバナー広告に比べて手間が省けるのがメリットです。

 

しかし、言葉の組み合わせなどが意図したものと異なってしまうケースなどもあるため注意しましょう。

バナー広告の種類

バナー広告には「純広告型」と「運用型」の2種類あります。それぞれどのような広告なのかについて、以下で解説します。

純広告型

純広告型のバナー広告は、特定のWebメディアやアプリの広告枠を買い取って配信する広告です。指定した期間中、そのメディアを訪問したすべてのユーザーに表示されます。

 

露出量が多いため、認知度向上を目的とする場合に適しており、ターゲットとなるユーザー層が利用するメディアを選べば、効果を得られやすいでしょう。広告の制作以外の作業は不要なので、運用の手間がかからないというメリットもあります。

 

しかし、多くのユーザーを抱えている媒体は費用が高額になる傾向にあるため、あらかじめ詳細を調べておくことが大切です。

 

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運用型

運用型のバナー広告は、広告掲載後、広告主が適宜改善をしながら配信する広告を指します。

 

どのメディアに掲載されるかは、広告主が設定した広告の内容(クリエイティブ)や入札金額、ユーザーのターゲット層によって決まる仕組みです。広告枠のあるサイトにランダムに掲載されるため、特定のメディアに対する露出が保証されていません。

 

ユーザーの属性・興味関心・行動履歴などに合わせて掲載できるため、ターゲットが決まっている場合に適しています。自身で運用するため、純広告型に比べて手間がかかるという側面があります。

 

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バナー広告の費用形態(料金相場)

バナー広告の費用形態には、以下の4つがあります。

 

  • 期間保証型
  • インプレッション課金型
  • クリック課金型
  • 成果報酬型

 

それぞれの費用形態について解説します。

 

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期間保証型

期間保証型では、1週間・1ヶ月など、広告の掲載期間に応じて決まった金額を支払う仕組みです。

 

あらかじめ金額が決まっているため、予算を組みやすいというメリットがありますが、料金はメディアによって大きく異なるため、事前にしっかり調べておく必要があります。

 

料金は、固定表示単価と想定される表示回数をもとに設定されているケースが多く、クリックした人数や表示回数などは広告料に関係ありません。

インプレッション課金型(CPM)

インプレッション課金型(CPM)は、バナー広告がユーザーに表示された回数に応じて広告料が発生する形式です。1回の閲覧=1インプレッションとカウントされます。

 

主にInstagramやFacebookなどのSNSで運用されている形式で、ユーザーのアクションに影響されないため、料金が設定しやすいという特徴があります。

 

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クリック課金型(CPC)

クリック課金型(CPC)は、バナー広告がクリックされたときに広告料が発生するシステムです。

 

広告を見ただけでは発生せず、ユーザーが広告を実際にクリックして指定のサイトに訪れたときに初めて費用が発生します。クリック単価はターゲットや業界などによって異なるため、あらかじめ調べておく必要があります。

 

広告費と成果が比例しやすいのが大きな特徴です。

 

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成果報酬型

成果報酬型は、バナー広告がクリックされ、さらにコンバージョン(成果)へと至った時にだけ費用が発生する仕組みです。

 

具体的に「成果」とは、設定したサイトへと遷移し、閲覧しただけではなく、商材の購入や問い合わせなどのアクションに結びついたケースを指します。広告がクリックされても成果が得られなかった場合は料金が発生しないため、無駄のない料金形態といえます。

バナー広告のメリット

バナー広告を活用することで様々なメリットを享受できますが、以下では主な3つのメリットを紹介します。

視覚効果で高い訴求力を発揮できる

バナー広告を活用する大きなメリットの一つは、画像や動画を使用した視覚的なアピールが可能なことです。

 

テキストだけでなく、イラストや写真、GIFアニメーションなども活用してバナーを作成することで、自社ブランドや商材をユーザーにより強く印象付けることができ、高い訴求力を発揮できます。特徴やメリットなどを簡潔にアピールしたい場合にも有効です。

 

視覚的に興味関心をひくことで、クリックされやすくなるという効果もあります。

 

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ブランド力の強化が期待できる

印象に残るビジュアルなど、インパクトの強いクリエイティブを作成・配信することで、ブランド力の強化が期待できるというメリットもあります。

 

画像や動画などを通して、商品コンセプトや伝えたいメッセージ、イメージを表現できるため、ブランディングに役立ちます。特に純広告型のバナー広告は比較的価格が高く設定されているので、広告を掲載することで、企業としての信頼性や経済的な安定感のアピールにもつながるでしょう。

 

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潜在層へのアピールによる認知拡大

純広告型のバナー広告を活用する場合には、潜在層にも広くアピールできるため、認知拡大につながるというメリットがあります。

 

バナー広告はクリックされなかったとしても、多くのユーザーの目に触れます。そのため、まだ自身の課題やニーズに気づいていない、潜在的なユーザー層を掘り起こす可能性があります。認知拡大には最適の広告といえるでしょう。

 

ターゲットが絞れていない際にバナー広告を打って、その運用結果を今後のターゲティング戦略に活用するという方法もあります。自社のユーザー層のさらに深い理解にもつながるでしょう。

 

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バナー広告のデメリット

一方で、バナー広告には以下のようなデメリットも存在します。

多くの工数がかかる

バナー広告の制作には多くの工数がかかってしまうデメリットがあります。

 

広告の構成をはじめ、デザインやテキストなど、多くの工数がかかるため、「すぐにバナー広告を出したい」と思っても広告を打てません。逆に、希望のバナー広告掲載日があるのであれば、十分な時間を確保し、余裕を持って準備する必要があります。

クリエイティブによって効果に差が出る

バナー広告の効果は、デザインやクリエイティブによって大きく差が出るという側面があります。もし魅力的なクリエイティブでユーザーの目に留まることができなければ、大きな成果は見込めないでしょう。

 

担当するデザイナーによっても質に違いが出るため、信頼できるデザイナーに依頼する必要があります。また、ただ単に派手にすればいいというわけではなく、自社のターゲットに合わせたクリエイティブを作ることが重要なポイントです。

バナー広告の平均クリック率

バナー広告を運用する際の比較指標となる「平均クリック率」を紹介します。

 

オンライン広告支援を行うWordStreamの調査によると、Googleディスプレイ広告の平均クリック率は0.46%。マーケティングソリューションを提供するBannerflowの調査では、ディスプレイ広告の平均クリック率(2022年)は2.30%と発表されています。

 

基本的に、潜在層にリーチするバナー広告は、課題が明らかになっている顕在層に向けて訴求するリスティング広告に比べ、平均クリック率が下がる傾向にあります。そのため平均的なクリック率は1%未満で、1%を超えた場合は効果が高いと考えて問題ないでしょう。

 

バナー広告の効果測定を行う際には、クリック率などの平均値を把握することで自社の広告パフォーマンスを可視化できます。効果が出ていない場合は、A/Bテストなど繰り返して改善することが大切です。

 

出典

 

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バナーの主要サイズ

バナーには様々な種類・サイズがあります。どれにするか迷う時は、大手のサイトやアドネットワークで利用できるサイズに沿って制作することで、効率的に進められるでしょう。

 

最大容量はGoogleで5120KB、Yahoo!では3MBで、形式はJPEGとPNGに対応しています。以下ではバナーの主要サイズを3つ紹介します。

レクタングル:長方形

長方形の「レクタングル」は、サイドバーに表示されることが多いサイズで、最も一般的なバナー広告のサイズの一つです。Google(GDN) 、 Yahoo!(YDN)にも対応しています。

 

具体的なサイズには300×250 (px)、336 × 280 (px)などがあります。パソコン、スマートフォンにも適していて汎用性が高いため、迷った際はこれを選んでおくと良いでしょう。

スクエア:正方形型

正方形型の「スクエア」は、スマートフォンを利用する際に表示されると存在感のあるサイズです。パソコンにも対応しており、SNS広告などでよく使用されています。

 

180×180 (px)、200×200 (px)、250×250 (px)などのサイズがありますが、特に媒体によって最小サイズや推奨サイズが決まっているので、事前に確認しておきましょう。

スカイスクレーパー:縦長

縦長の「スカイスクレーパー」は、一定の幅もあり大きな広告スペースを使うため、ユーザーに強くアピールできるのが特徴です。120 x 600 (px)、160 x 600 (px)、300 x 600 (px)などのサイズがあります。

 

視認性が高いので、ブランドの認知拡大を目的として使用するケースが多いです。パソコン専用のバナー広告なので、スマートフォンの画面は非対応ということに注意してください。

 

先述したレスポンシブ広告では、広告枠のサイズに合わせてレイアウトを最適化してくれるため、各バナーサイズを用意する必要がないというメリットがあります。

基本的なバナーの作り方

基本的なバナーの作り方である7つのステップを解説します。

①目的を設定する

まずはバナー広告を打ち出す目的を明確にし、設定しましょう

 

「自社の何をアピールしたいのか」「広告を目にした人にどのような行動を取ってもらいたいのか」などを明らかにし、整理しておく必要があります。

②ターゲットを決定する

目的を設定したら、バナー広告を見てもらいたいターゲットを決定します。

 

ターゲットの年齢、性別、職業、居住地をはじめ、課題や悩みなども検討して決めることが大切です。どんなターゲットを設定するかで、その後のクリエイティブ等が大きく変わり、成果にも影響がでます。

 

ターゲットは曖昧なものではなく、例えば「30?40代、会社勤務の地方在住男性サラリーマン」など、できる限り細かく設定することが大切です。

③広告媒体や位置を決める

目的とターゲットが決まったら、それに適した広告媒体や広告を設置する位置を決めましょう

 

先述したように、媒体によってバナーの種類やサイズ、規格が変わるため、バナーサイズを決める前に媒体を決めると効率的に進められるでしょう。

④サイズを決める

広告媒体の規格に合ったサイズを決めます。サイズによってデザインやクリエイティブは大きく変わるため、デザインを行う前に決めると良いでしょう

 

制作枚数でコストも変わるので、必要な分のバナー制作に取り掛かりましょう。

⑤掲載内容を決める

目的やターゲットを考慮しながら必要な要素を洗い出し、バナーに掲載する内容を決定します

 

サイズが大きいものでも載せられる情報は限られているため、訴求効果を最大限発揮できる内容を意識し、掲載できる情報を絞っていくことが大切です。

⑥ラフの作成

大体の方向性や内容が決まったら、イメージラフの作成に取り掛かりましょう

 

洗い出す内容には、キャッチコピー・利用する画像や動画などの素材・テキストなどがあります。ラフは何度も描き直せるので、このタイミングでイメージを明確にした上で、内容が盛り込みすぎていないかどうかや、媒体のルールやトンマナにマッチしているかを確認する必要があります。

⑦デザイン・制作

ラフの作成を通してイメージが固まったら、最後にバナーのデザイン・制作を行います。複数パターン作成して、絞り込んで行っても良いでしょう。

 

デザイン・クリエイティブの質はバナー広告の成果に大きく影響するため、専門業者に依頼する方法もあります。

バナー広告の効果を最大化する7つのポイント

バナー広告について理解が深まったところで、効果を最大化するための7つのポイントを紹介します。

ブランドにマッチした素材を選ぶ

バナー広告の効果は素材によって大きく変わるため、ブランドにマッチした素材にこだわることが大切です。

 

素材の要素には色やイラスト、画像や動画があります。それぞれの要素をうまく組み合わせることで、ブランドイメージの強化やメッセージの強調につながります。素材の選び方や組み合わせによってはブランディングに悪影響が出る可能性もあるので、デザイナーなどに相談して進めても良いでしょう。

不要な情報を排除して、伝えたい要素だけに絞る

バナー広告の効果を最大限発揮するためには、不要な情報は省き、必要且つ伝えたい要素だけに絞ることが大切です。

 

商材には多くの魅力があると思いますが、全てを伝えようとすると返って訴求力が下がってしまいます。本当に伝えたいポイントに絞り、しっかりとその内容を訴求できるようなレイアウトにしましょう。

運用しながら適宜改善する

バナー広告を配信した後は、効果測定の結果などをもとに、適宜改善していきましょう

 

実際に運用すると、インプレッション数は高いのにコンバージョンが低いケースなどがあります。A/Bテストなどを実施して、視認性がより高いテキストや素材を調べたり、ターゲティングの設定にズレがないかどうかチェックしたりする必要があります。

 

競合他社との相違点などをまとめ、自社のバナー広告に反映するのも一つの手です。しかし、配信後の短い期間に設定を変えすぎるとデータが溜まりにくく、機会損失の可能性も高まるため、長期的に改善していくことをおすすめします。

 

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CTAを設置する

CTA(Call To Action)とは、ユーザーに対して「資料請求」や「申し込み」など、特定の行動を喚起するために設置されたボタン・テキストを指します。

 

バナー広告に目立つ色でCTAボタンを設置すれば、効果的にユーザーを特定の行動や遷移先URLへと誘導でき、クリック率・コンバージョン率共に向上が見込めるでしょう。

 

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ターゲティングを最適化する

バナー広告で成果を得るためには、ターゲティングを最適化することも非常に重要なポイントです

 

バナー広告は多くのユーザーにアプローチできるというメリットがありますが、ターゲットをあまりに広範囲にしすぎると費用対効果が悪化する可能性が高く、逆に狭すぎると機会損失につながる恐れがあります。

 

潜在層に向けて発信するのであれば、最初からターゲット設定を狭めすぎず、デザインやクリエイティブの表現でユーザーを絞っていくという方法がおすすめです。A/Bテストを実施して適宜ターゲットを最適化する方法もあります。

 

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動画を活用する

動画を活用するのもバナー広告には非常に効果的です。

 

コンバージョンが目的ではなく、ブランドの認知拡大が目的である場合は、特に動画の活用がおすすめです。視認性が高い動画広告は、1秒未満という少しの時間でもユーザーの目に触れれば、認知拡大や購買意欲の向上につながるとされています。

 

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ブランド想起を高めるクリエイティブにする

ブランド想起とは「○○といえば△△」のように、商品を思い浮かべたときに、特定のブランドを思い起こすことです。

 

バナー広告の色やデザインにブランド要素を反映することで、自社のブランド想起率が高まります。さらに、最初に思い浮かべてもらう確率が高いほど、検討者数も多いことが明らかになっているため、効果的なブランディングが可能になり、バナー広告から得られる成果の最大化につながるでしょう。

 

まとめ

本記事では、バナー広告について網羅的に解説しました。

 

バナー広告は視認性の高い画像や動画で訴求できるため、認知拡大やブランディングなどに最適です。クリエイティブの質を高め、ターゲティングを適切に行えば、非常に大きな成果につながる可能性を秘めています

 

ただ、しっかりと成果を出すためには、最適な場所を選択して掲載し、運用しつつ適宜改善を重ねていくことが大切です。その際に本記事が役立つと幸いです。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Wed, 21 Feb 2024 12:30:00 +0900
<![CDATA[プロダクトマーケティングとは?重要な理由や手法を解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/product-marketing プロダクトマーケティングとは、特定の製品やサービスに特化したマーケティング戦略のことです。

 

製品やサービスの特徴やメリット、ベネフィットを明確に伝えて顧客の関心を引き、購入・契約を促します
また、市場のニーズを正確に把握し、競合他社との差別化を図ることで、市場でのポジションを確立することができます。
プロダクトマーケティングは、製品やサービスの成功に不可欠だといえるでしょう。

 

本コラムでは、プロダクトマーケティングの基本から具体的な手法、学べる本まで、幅広くご紹介いたします。

プロダクトマーケティングとは?

プロダクトマーケティングとは、特定の製品やサービスに特化したマーケティング戦略のことです。製品の開発初期段階から販売後の分析に至るまで、幅広い活動が含まれます。

マーケティングとプロダクトマーケティングとの違い

プロダクトマーケティングとは、マーケティングの中でも特に、製品・サービスに焦点を当てたマーケティングのことをいいます。

 

一方、一般的なマーケティングは、ブランド全体を対象としています。

プロダクトマーケティングとブランドマーケティングとの違い

では、ブランドマーケティングとプロダクトマーケティングとは、どう違うのでしょうか?
ブランドマーケティングは、ブランドのイメージやアイデンティティを構築し、強化することに重点を置いています。

 

一方、プロダクトマーケティングは、製品・サービスに重点を置いているため、製品の開発・販売を目的とした市場調査や競合分析、ポジショニングやメッセージング、ローンチやプロモーションなどを行います。
ただし、プロダクトマーケティングの一環として、必要に応じてブランドマーケティングを行うこともあります。

プロダクトマーケティングマネージャーとは?

プロダクトマーケティングマネージャーとは、製品・サービスの市場調査や戦略立案、販売促進などを担当する職種のことです。プロダクトマーケティングの責任を持つ立場です。

 

プロダクトマーケティングマネージャーは、製品の開発段階から関わり、顧客のニーズや競合の動向を分析し、製品の価値やポジショニングを決めます。
また、製品・サービスの開発チームやセールスチーム、マーケティングチームなどと連携して、製品のローンチやアップデートに伴うマーケティングプランやコンテンツの作成、実行、評価も担います。

プロダクトマーケティングの重要性・必要性

プロダクトマーケティングに取り組み、市場のニーズを正確に把握して、製品の特徴とメリットを明確に伝えることで、消費者の関心を引き、購入を促すことができます。
また、競合他社との差別化を図り、市場においてポジションを確立することが可能になります。
プロダクトマーケティングは、製品やサービスを成功させるために不可欠なものといえます。

 

特に、競争の激しい市場においては、プロダクトマーケティングは製品を際立たせるための重要な手段となります。製品のユニークな価値提案を明確に伝え、顧客の心を掴むことが、市場での成功への鍵となるからです。

プロダクトマーケティングの手順・戦略の立て方

プロダクトマーケティングに取り組む際は、まず戦略を立てることが不可欠です。

 

戦略立案では、市場における自社製品・サービスの位置付け、ターゲット顧客の理解、競合との差別化、効果的なコミュニケーション戦略など、製品の市場導入と成長に必要な要素を包括的に考慮する必要があります。

 

以下でプロダクトマーケティングを実施する手順・戦略立案のステップをご紹介いたします。

1.市場調査とターゲット顧客の理解

戦略立案にあたり、まずは業界のトレンド、市場の成長率、競合の戦略などを分析します。
最初に分析を行っておくことで、市場における自社製品の機会を理解し、リスクを低減できます。

 

つづいて、アンケートや個別インタビュー、グループインタビューなどを通じて、ターゲット顧客のニーズや課題・悩みを特定します。特に、顧客の声を直接聞くことで、製品が解決すべき具体的な問題が明確になるでしょう。

 

さらに、競合他社の製品・サービスや価格設定、マーケティング戦略などを分析することで、自社製品の差別化ポイントを見つけます。

 

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2.製品のポジショニング

分析が済んだら、製品のユニークな価値を定義し、市場における独自のポジショニングを検討します。

 

まず、製品・サービスが顧客に提供するユニークな価値を明確にし、それを顧客に伝える方法を検討します。

 

そして、製品が最も効果的に訴求できる市場セグメントを特定します。その際は、人口統計学的特徴や地理的要因、購買行動なども考慮しましょう。

 

3.コミュニケーション戦略の策定

さらに、製品の特徴と顧客のニーズを結びつけるためのブランドメッセージを作成し、適切なチャネルで伝えます。

 

顧客にメッセージを届けるために最適なマーケティングチャネルを選択します。たとえば、Web広告、SNS、イベント、PRなど、ターゲット顧客に最も効果的にリーチできるチャネルを検討します。

 

さらに、製品の特徴やメリット、ベネフィットを伝えるためのメッセージを検討します。
そして、これを盛り込んだブログ記事や動画、インフォグラフィックなど、ターゲット顧客に響くコンテンツを作成します。

 

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4.販売促進とデジタルマーケティング

最後に、オンライン広告、SNS、メールマーケティングなどを活用して製品の認知度を高めます。

 

オンライン広告には、Google広告やSNS広告などがあり、これら通じて、ターゲット顧客に直接リーチします。
また、Webサイトやブログ記事のSEO戦略を強化することで、製品やブランドと顧客のオンラインでの接点を強めます。
さらに、ニュースレターやプロモーションメールといったメールマーケティングを通じて、顧客との関係を築き、製品への関心を高めることもできます。

 

この時、訪問者数やリード数、コンバージョン率など、KPIを設定しておきましょう。

 

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5.パフォーマンスの測定と改善

ここまで実施できたら、キャンペーンの効果を分析し、必要に応じて戦略を調整します。
具体的には、Googleアナリティクスなどのツールを使用して、マーケティング活動の効果をデータで定期的に分析します。
そして、データに基づいて戦略を継続的に改善し、より効果的なマーケティング活動を実施します。

プロダクトマーケティングのフレームワーク・手法

プロダクトマーケティングを実施する際に有用なフレームワーク・手法を5つ、ご紹介いたします。

製品コンセプトの3要素

製品コンセプトの3要素とは、「製品の特徴」「顧客の利益」「差別化要因」の3つの要素のことです。
これらを軸として製品コンセプトを明確にすることで、競合他社との差別化を図りやすくなります。

製品の特徴

「製品の特徴」は、顧客が製品を選ぶ際の主要な判断基準となる要素です。 製品の基本的な機能や性能を明確にし、技術的な特徴や革新性、使用方法などを含めると良いでしょう。

顧客の利益

「顧客の利益」とは、製品が顧客にもたらす具体的な利益や価値のことです。
これは、顧客が製品を購入する理由となる重要な要素です。
たとえば、時間の節約、コスト削減、生活の質の向上など、顧客にとっての実質的な価値を強調しましょう。

差別化要因

「差別化要因」とは、市場での製品の立ち位置と競争力を高める要素です。
たとえば、デザインや品質、ブランドイメージ、顧客サービスなど、製品を特別なものにする要素です。
競合製品と比較して、製品のユニークな点や優れている部分を強調しましょう。

プロダクト3層モデル

「プロダクト3層モデル」とは、プロダクトの価値構造を3層に分け、製品戦略を整理するフレームワークです。
製品特性を「コア」「実際」「拡張」の3層に分けて、各層で製品特性の要素を検討します。

コア製品

製品の基本的な機能やサービスを定義します。消費者が最初に求める製品の核となる部分となります。

 

たとえば、スマートフォンの場合は、通話やインターネット接続などの基本機能がコア製品に当たります。

実際の製品

顧客が製品を選ぶ際に目にする具体的な特徴です。
デザイン、品質、ブランド名、パッケージングなど、製品の物理的な側面を含みます。

 

これもスマートフォンで例えると、デザインやカメラの性能、ブランドイメージなどが該当します。

拡張製品

顧客の満足度を高め、製品体験を豊かにする要素です。
オプションや顧客サポート、保証など、製品を取り巻く付加価値です。

 

スマートフォンにおけるアフターサービスや保証期間の延長、専用アプリケーションなどがこれに当たります。

FABE分析

「FABE」とは、「Features(特徴)」「Advantages(利点)」「Benefits(利益)」「Evidence(証拠)」の頭文字を取ったもので、これらを分析することで、消費者に対して効果的な提案を行うことができるようになります。

Features(特徴)

「Features(特徴)」では、製品の主要な特徴や機能を挙げ、技術的な側面や製品の革新性を強調します。

Advantages(利点)

「Advantages(利点)」では、「Features(特徴)」の特徴が消費者にもたらす具体的なメリットを強調します。

Benefits(利益)

「Benefits(利益)」では、消費者にとっての具体的な利益を明確にします。
製品が顧客の生活や業務にどのように貢献するかを示します。

Evidence(証拠)

「Evidence(証拠)」は、製品の効果や性能を証明するための具体的な証拠です。
上記の主張を裏付けるデータや事例を示します。

ホールプロダクト

「ホールプロダクト」とは、顧客が求める価値を提供するために必要な製品やサービスの組み合わせのことです。特に、SaaSなど、IT製品で用いられるフレームワークです。
ホールプロダクトを考えることで、競合他社との差別化や顧客満足度の向上につながります。

 

ホールプロダクトは、「完全な製品体験」と「顧客の期待」から構成されます。

完全な製品体験

「完全な製品体験」とは、製品そのものだけでなく、顧客が製品を使用する際の全体的な体験を考慮ことです。
たとえば、iPhoneは単にスマートフォンとしての機能だけでなく、App StoreやiCloudなどのサービスやアクセサリーなども含めて、ホールプロダクトとして顧客に提供されています。

 

また、顧客が製品を通じて得られる感情的な満足や利便性を含みます。

顧客の期待

「顧客の期待」とは、製品を使用する際に、顧客が期待するすべての要素を指します。
そして、顧客の期待を超える体験を提供することで、顧客満足度を高めます。

製品ライフサイクル

「製品ライフサイクル」とは、製品の開発から廃棄までの全過程を表すフレームワークです。
製品ライフサイクルには、一般的に以下の4つの段階があります。

導入期

市場への新製品導入時の戦略を立案します。
このフェーズでは、製品の認知度を高め、初期の顧客を獲得することに重点を置きます。

成長期

市場での成長と拡大を目指す戦略を策定します。
製品の普及を促進し、市場シェアを拡大することに焦点を当てます。

成熟期

競争が激化する市場でのポジショニングを強化します。
製品の差別化やブランドの強化に努めます。

衰退期

市場からの撤退または製品の再定義を検討します。
新たなイノベーションや市場ニーズの変化に対応するための戦略を考えます。

プロダクトマーケティングの資格

プロダクトマーケティングの担当者が、身に付けておきたいスキルと合致する資格試験を3つ、ご紹介いたします。

ITストラテジスト試験

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/st.html

 

ITストラテジスト試験は、IPA(Information-technology Promotion Agency, Japan/独立行政法人情報処理推進機構)が運営する資格試験制度です。

 

そもそもITストラテジストとは、エンジニア系上級職の一つで、経営者目線でIT戦略の立案と実行を主導する戦略家のことです。システム開発の超上流である事業計画段階から参画します。

 

ITストラテジストには、ITを活用した事業革新や業務改革、革新的製品・サービス開発を企画・推進または支援できるスキルが求められます。
具体的には、業種ごとの事業特性を踏まえて、経営戦略の実現に向けたITを活用した事業戦略を策定し、実施結果を評価したり、事業戦略の実現に向けた情報システム戦略と全体システム化計画を策定し、実施結果を評価したりできる力です。

 

試験日程は、年1回となっており、午前と午後にそれぞれ2部ずつが用意され、全4部をこなす必要があります。

システムアーキテクト試験

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/sa.html

 

システムアーキテクト試験も、IPAが運営する資格試験制度です。
こちらも、プロダクトの中でシステム開発が必要なものを開発する場合に向く資格です。

 

システムアーキテクトとは、システム開発において上流工程(分析や設計など)に携わる職種のこと。ITストラテジストによる提案を受けて、情報システムを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、開発を主導します。
情報システムの構造設計や要件分析や情報システムの評価などを実現できるスキルが求められます。

 

試験日程はこちらも、年1回となっており、午前と午後にそれぞれ2部ずつが用意され、全4部をこなす必要があります。

プロジェクトマネージャー試験

https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/pm.html

 

プロジェクトマネージャー試験も、IPAが運営する資格試験制度です。
こちらも、プロダクトの中でも特に、システム開発が必要なものを開発する場合に向く資格です。

 

なお、プロジェクトマネージャー(Project Manager)とは、システム開発を中心とするプロジェクトの総責任者のことで、PMと略されることも多いです。

 

試験では、組織の戦略及びシステム全般に関する基礎知識をはじめ、プロジェクトの目的を実現するプロジェクト計画を作成するスキル、プロジェクトチーム全体の意識統一やパフォーマンスを向上するスキルなどが求められます。

 

試験日程は、こちらも、年1回。午前と午後にそれぞれ2部ずつが用意され、全4部をこなす必要があります。

 

プロダクトマーケティングの成功事例

プロダクトマーケティングについて、もっと具体的なイメージを持つために、実際にプロダクトマーケティングで成功した商材の具体例を見てみましょう。

AppleのiPhoneなど

Appleは、革新的な技術と優れたデザインで、iPhoneを始めとするさまざまな製品で市場をリードしてきました。製品の使いやすさと直感的なインターフェースに重点を置き、ユーザー体験を最優先しています。

 

特に、iPhoneは、製品の機能だけでなく、ライフスタイルを変えるデバイスとしてブランディングしています。
Apple Storeや顧客サポートを通じて、購入後の顧客体験も強化しました。
さらに、定期的なアップデートと新機能の追加で、製品の魅力を維持し続けました。

 

その結果、iPhoneはスマートフォン市場におけるトレンドを常にリードする存在となりました。

Netflixのオリジナルコンテンツ

Netflixでは、既存の映画やドラマ、アニメのコンテンツに加え、魅力的なオリジナル作品を多数、取り揃えることで人気を博しています。

 

オリジナルコンテンツのジャンルは多様で、幅広い視聴者層をターゲットにしています。 そして、 ユーザーの視聴傾向を分析し、好みに合わせたコンテンツを推薦するシステムを導入することで、視聴を促しています。

 

オリジナルコンテンツによってほかのストリーミングサービスとの差別化を図るとともに、高品質な作品制作により、Netflixブランドの価値を高めています。
オリジナルコンテンツは多言語に対応することで、世界中の市場に適応。また、地域ごとの文化や嗜好を反映したコンテンツで、グローバルな視聴者を獲得しました。

 

UNIQLOのヒートテック

UNIQLOが展開するヒートテックは、防寒ための革新的な機能性インナーウェアとして、世界中でヒットしています。薄くて軽くて伸縮性が高いので、着心地も快適で、色やアイテムのバリエーションも幅広く用意されています。
価格設定や店舗展開を通じて、買い求めやすい製品として位置づけられ、機能性とファッション性を兼ね備えた製品として、幅広い顧客層に受け入れられました。

 

「ヒートテック」という独自の名称とロゴを用いて認知度を高め、テレビやインターネットなどのメディアを使って広告キャンペーンを展開し、ブランド認知度を高めました。

プロダクトマーケティングを学べる本

プロダクトマーケティングに特化して書かれた本は、そう多くはありません。
ここでは、5冊をご紹介いたします。

 

『LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング』

著:マルティナ・ラウチェンコ 出版:日本能率協会マネジメントセンター(2023年7月発刊)

 

プロダクトマーケティングの基本を解説した本です。
同書では、市場で「勝ち組」と「負け組」の明暗を分けるのは、プロダクトそのものではなく、より優れたプロダクトマーケティングがあるかどうかだと主張します。

 

事例では、成功事例ばかりでなく失敗事例も取り上げ、敗因についても学ぶことができます。
プロダクトマーケティングを学ぶ際、最初に読むべき本だといえるでしょう。

 

【LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング の目次】

 

PARTⅠ プロダクトマーケティングの基本
アンバサダー、ストラテジスト、ストーリーテラー、エバンジェリスト

 

PARTⅡ プロダクトマーケターの役割
スキルと責任、パートナーシップ

 

PARTⅢ プロダクトマーケティングの戦略
戦略を導くコンセプト

 

PARTⅣ ストーリーとメッセージング
効果を生み出す実践とプロセス

 

PARTⅤ プロダクトマーケティングリーダー
組織変革と成長、人材採用と育成

 

引用元:『LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング』(amazon)

『プロダクト・マーケティング』

編著:竹永 亮、監修:山口 正浩 出版:同文館出版(2010年2月発刊)

 

製品の企画立案から販売までの間に、何を決めておくべきかを解説した本。
製品開発において、価値を創造する「価格戦略」とともに「製品戦略」を立てることが推奨されています。
なお、同書では価値とは「製品と価格の差」と定義されています。

 

価値を創造するために、製品のレベルを上げる方法をいろいろな角度から考えるのに役立つでしょう。
マーケティング担当者のほか、製品開発担当者にもおすすめの1冊です。

 

【プロダクト・マーケティング の目次】

 

1 顧客価値
2 プロダクト・マーケティングの意思決定
3 新製品開発戦略
4 既存製品活性化戦略
5 プロダクト・マーケティング関連法規
6 プロダクト・マーケティングの事例紹介

 

引用元:『プロダクト・マーケティング』(版元ドットコム)

『ソーシャル・プロダクト・マーケティング』

著:野村 尚克、中島 佳織 出版:(2014年3月発刊)

 

モノがあふれる現代は、価格面での努力はもちろん、差別化を図っても、なかなか売れにくい時代です。そんな中、解決手段の一つとなり得るのが「社会課題×マーケティング」だといいます。

 

本書では、現代マーケティングの第一人者として知られるフィリップ・コトラーが提唱したソーシャル・マーケティングのうち、プロダクトにしぼり、

 

  • 売上の一部を寄付する「コーズブランド」
  • 途上国との正当なビジネスを推進する「フェアトレード」
  • 社会に対する態度表明へとつながる「エシカル消費」

 

といった取り組みについて、方法論や成功事例が紹介されています。

 

【ソーシャル・プロダクト・マーケティング の目次】

 

1章 マーケティングとCSR(変化する時代;マーケティングの定義の移り変り ほか)
2章 コーズ・リレイテッド・マーケティング(コーズ・リレイテッド・マーケティングとはなにか;CRMの起源 ほか)
3章 フェアトレード(フェアトレードの概要;国際フェアトレード認証ラベルの仕組み ほか)
4章 エシカルについて(エシカルについて;日本のエシカルビジネスの現状 ほか)
5章 ソーシャル・プロダクト・マーケティング座談会

 

引用元:『ソーシャル・プロダクト・マーケティング』(紀伊国屋書店)

『バリュー・プロポジションのつくり方 顧客の価値を「状況」で考えればプロダクト・サービス開発はうまくいく』

著:前田 俊幸、安達 淳 出版:翔泳社(2023年10月発刊)

 

バリュー・プロポジションの重要性を説くとともに、バリュー・プロポジションを作るために「いま顧客はどのような状況にいるのか?」を正しく掴むことの必要性についても書かれています。

 

著者によれば、「バリュー・プロポジション(value proposition)」とは、“顧客が価値を感じられるもの”のことだといいます。

 

バリュー・プロポジションを作るメリットは、いくつかありますが、プロダクトマーケティングを考える上では、プロダクトのコアメッセージを統一できたり、差別化要素を発見できたりする点が有用です。

 

読者特典として、誰でもバリュー・プロポジションがつくれるフレームワーク「バリュー・ダイヤモンドボード」が付いています。

※コアメッセージ…伝えたいメッセージの中心となるもののこと。

 

【バリュー・プロポジションのつくり方 顧客の価値を「状況」で考えればプロダクト・サービス開発はうまくいく の目次】

 

基礎編

 第1章 顧客の状況と価値

 第2章 状況と体験

 第3章 顧客価値を可能にするもの

 第4章 バリュー・プロポジションのつくり方

 第5章 バリュー・プロポジション温故知新

 

実践編

 第6章 バリュー・ダイヤモンドボードの書き方

 第7章 状況をとらえるリサーチ手法

 

引用元:『バリュー・プロポジションのつくり方 顧客の価値を「状況」で考えればプロダクト・サービス開発はうまくいく』(amazon)

『PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ』

著:ウェス・ブッシュ 出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン(2021年10月発刊)

 

PLGという成長戦略を取ることのメリットとデメリット、実践方法などを解説した本です。

 

なお、PLGとは「Product-Led Growth(プロダクト・レッド・グロース」の頭文字を取ったもので、プロダクトそのものにマーケティングや営業の機能を付加することでユーザーの獲得や満足度、ロイヤリティを高め、ひいては販売者の成長を目指すという考え方のことです。

 

簡単にいうと、プロダクトがプロダクトを売る状態を指し、プロダクトをいち早くエンドユーザーに届け、その価値をできるだけ早く感じてもらうことが重要だといいます。

 

たとえば、フリーミアムモデルで口コミを広げたZoomやDropbox、直感的な操作性で多様な用途に利用されているCanvaなどは、PLGの成功事例といえます。

 

さまざまなフレームワークも紹介され、特に、SaaSプロダクトを販売する企業におすすめです。

 

【PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ の目次】

 

Part I 戦略をデザインしよう

第1章 PLGの重要性が急速に増しているのはなぜ?

第2章 武器を選ぼう―フリートライアル、フリーミアム、デモ、どれが最適?

第3章 海(オーシャン)のコンディションを調べる

第4章 オーディエンス―販売戦略はトップダウン型とボトムアップ型のどちらか?

第5章 タイム・トゥ・バリュー―いかに早く価値を示すことができるか?

第6章 MOATフレームワークでPLGモデルを選ぶ

 

Part II 自社ビジネスの基盤を築こう

第7章 プロダクト主導型ビジネスの基盤を築く

第8章 プロダクトの価値を理解する

第9章 プロダクトの価値を伝える

第10章 価値を提供する

第11章 プロダクト主導型ビジネスにおける最もよくある過ち

 

Part III 成長エンジンに火をつけよう

第12章 最適化プロセスを開発する

第13章 ボウリングレーン・フレームワーク

第14章 ユーザーごとの平均収益(ARPU)を上げる

第15章 チャーンビーストをやっつける

第16章 真に成功している企業はなぜプロダクト主導型なのか?

 

引用元:『PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ』(amazon)

まとめ

プロダクトマーケティングは、製品・サービスの成功に不可欠な取り組みです。
ターゲットの明確化、ポジショニングの策定、マーケティング計画の策定、実施と評価の各ステップを丁寧に実行することで、製品の市場での成功を目指すことができます。

 

これから新たな製品・サービスを開発しようという企業や、既存の製品・サービスを改善しようと考えている企業などのマーケターは、ぜひ、プロダクトマーケティングに取り組んでください。

 

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    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Wed, 21 Feb 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[セールスとマーケティングの違いとは?資格や学べる本も紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/sales-vs-marketing セールスとは営業のことで、営利を目的とした業務を指します。一方、マーケティングとは、市場のニーズやトレンドを分析し、商品やサービスの価値を伝えることで、潜在的な顧客の関心や信頼を得ることです。営業担当者がアプローチするためのリード(見込客)を創出するまでのフェーズを担います。

 

「セールス」と「マーケティング」は、ビジネスの世界で重要な役割を果たす二つの異なる概念です。日本国内の中小企業においても、これらの違いを理解し、効果的に活用することが業績向上の鍵となっています。

 

本コラム記事では、セールスとマーケティングの基本的な違いや、これらがどのように連携してビジネスを成長させるかについて、また、セールスとマーケティングの資格、書籍などをご紹介します。

セールスとマーケティングの違い・それぞれの役割

セールスとマーケティングは、どう違うのでしょうか?
セールスとは営業のことです。営業とは、営利を目的とした業務を指し、具体的には製品・サービスを顧客へ販売することをいいます。

 

一方、マーケティングとは、営業担当者がアプローチするためのリード(見込客)を創出するまでのフェーズを担います。
なお、「近代マーケティングの父」や「マーケティングの神様」と呼ばれるフィリップ・コトラー(Philip Kotler)は、マーケティングを「顧客のニーズに応えて利益を上げること」としています。

 

ここからは、役割から、それぞれの違いをもう少し詳しく解説します。

セールスとは?セールスの役割

セールスの主な目的は、商品やサービスを顧客に販売し、成約に至らせることです。
顧客のニーズに合わせた提案を行い、信頼関係の構築を通じて、直接的な販売を実現します。
セールスの活動は、個別のリードに焦点を当て、短期的な成果を目指すことが特徴です。

 

セールスの役割とは、マーケティング部門からパスされたリードに対してアプローチを行い、リードの疑問や不安を解消しながら信頼関係を築き、最終的に製品・サービスを販売・成約することです。
基本的に、マーケティング部門が創出したリードに対してアプローチを行いますが、小規模な企業だと、セールスがマーケティングの役割も兼ねているケースが少なくありません。

インサイドセールとスは?インサイドセールスの役割

セールスの中でも、訪問などの対面によるコミュニケーションを取らないのがインサイドセールスです。
インサイドセールスとは、電話やメールなどの非対面の手段で顧客とコミュニケーションを取り、商品やサービスの提案を行うというスタイルの営業のことです。

国土が広く、訪問によるコストが高くつくアメリカで生まれた営業手法で、日本でもコスト削減の必要性やコロナ禍などによって広まりつつあります。

 

ほかにも、一度、成約した顧客に対して製品・サービスの利用を促進し、クロスセルやアップセルを通して顧客単価の向上を目指す役割を持つ「カスタマーサクセス」などがあります。

マーケティングとは?マーケティングの役割

マーケティングの主な役割は、自社製品やブランドを市場に広め、興味や関心を集め、これを維持することです。特に、潜在顧客を見込顧客、ホットリードへとステップアップさせる役割を担います。
マーケティングの業務は幅広く、市場調査、戦略立案、プロモーション、販売促進、広報などが含まれます。
常に変化する市場環境や顧客の動向に応じて柔軟に対応する必要があります。

セールスとインサイドセールス、マーケティングの違い

「セールスとインサイドセールス、マーケティングの違い」の図

 

セールスとインサイドセールス、マーケティングの違いは、主に以下の3点です。

顧客との接点の方法

セールスは、顧客と対面で直接コミュニケーションを取ることが多いため、その中で信頼関係を築くことが重要です。
インサイドセールスは、顧客と電話やメールでやり取りすることが多く、非対面でやり取りするため効率的に情報を伝えることが重要です。
マーケティングは、顧客に対して一方的に情報を発信することが多く、魅力的なメッセージを作ることが重要です。

 

関わるカスタマージャーニーの段階

「関わるカスタマージャーニーの段階」の図

 

消費者は、無関心から認知、関心などのフェーズをたどって購買に至ります。
このうち、セールスは顧客が商品やサービスに興味を持っている場合に活動します。
インサイドセールスは、顧客が商品やサービスに興味を持つ前から活動します。
マーケティングは、さらに前段階の顧客が商品やサービスの存在を知らないフェーズから活動します。

 

評価指標の種類

セールスは、成約率や収益などの結果指標で評価されます。
インサイドセールスは、アポイントメント数や見込み客数などの活動指標で評価されます。
マーケティングは、リーチ数やクリック数などの反応指標で評価されます。

セールスとマーケティングの連携

セールスとマーケティングの連携は、企業の成長と競争力を高めるために不可欠です。
その理由と方法は、以下の通りです。

セールスとマーケティングが連携する必要性

マーケティング部門とセールス部門の連携は、マーケティング部門が獲得したリードを、セールス部門が確実に成約につなげるために必要不可欠です。

 

具体的には、以下の3つのメリットをもたらします。

機会ロスを減らす

マーケティング部門が獲得した見込客は、必ずしもすぐに成約につながるわけではありません。
その間に、競合他社に奪われてしまったり、リード自身が興味を失ってしまったりといった機会ロスが発生する恐れがあります。

マーケティング部門とセールス部門が連携することで、リードの状況を共有し、適切なタイミングでアプローチできるようになり、機会ロスを減らすことができます。

成約率を上げる

マーケティング部門が獲得したリードは、すでに自社の商品やサービスに興味を持っている可能性が高いです。
しかし、セールス部門が適切なアプローチをしなければ、成約につながらない可能性が高いです。

 

マーケティング部門とセールス部門が連携することで、リードのニーズを把握し、それに応じた提案を行うことで、成約率を上げることができます。

業務効率を向上させる

マーケティング部門とセールス部門がそれぞれ独立して活動していると、情報共有がうまくいかず、無駄な作業が発生することがあります。

 

マーケティング部門とセールス部門が連携することで情報を共有し、業務効率向上につながります。

セールスとマーケティングが連携する方法

効果的な連携のためには、まず両部門間のコミュニケーションを強化することが重要です。
共通の目標を設定し、ペルソナや双方の対応領域などの認識を揃えるために定期的なミーティングを通じて情報を共有すると効果的です。

 

また、マーケティングが集めた市場データや顧客のフィードバックをセールスチームが活用することで、より効率的な販売戦略を立てることができます。
逆に、セールスチームが得た顧客の生の声は、マーケティング戦略の調整や新たな市場機会の発見に役立ちます。

 

このように両者間での情報共有をスムーズにするために、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム:Sales Force Automation)などのデジタルツールを活用するのもおすすめです。

 

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セールスやマーケティングの資格一覧

セールスやマーケティングに従事している方のスキルアップ方法の一つとして有効なのが、資格取得。
転職やキャリアアップにも役立ちます。

 

ここでは、セールスやマーケティングのスキルアップにつながる資格をご紹介いたします。

セールスの資格

ますは、セールスの業務に役立つ資格を5つ、ご紹介いたします。

セールススキル検定

https://sales-career.org/examination-2/

 

セールススキル検定は、「営業力」を測定する試験で、特定非営利活動法人 セールスキャリア開発機構が運営しています。
セールスを行うにあたって不可欠なセールスコンピテンシー(能力)群を測定、スコア化し、認定する試験となっています。

 

3~1級までの3つの級があり、各級合格に求められる水準は、以下の通りです。

 

  • 3級:セールスを遂行するために必要な基礎的知識を有すると認められるレベル
  • 2級:各セールスタイプにおいて「全体の8割を売り上げる2割の人材」に該当する実力を有するレベル
  • 1級:セールスコンピテンシーを総合的に兼ね備えていること、経験と実績があること、知識とスキルを兼ね備えていることが認められるレベル

 

全国の受験会場で受験できます。

営業士検定

https://www.nrep.jp/eigyoushi/

 

営業士検定は、一般社団法人日本販路コーディネータ協会内の日本営業士会が主催する検定制度です。経済産業省認可のセールスレップ・販路コーディネータ協同組合と連携しています。

 

営業士検定には、営業士初級、営業士上級、営業士マスターの3つのレベルがあり、初級からの受験となります。
各レベルが求める要求は、下記の通りです。

 

  • 営業士初級:基本的な営業業務
  • 営業士上級:営業管理業務や営業指導を含むレベル
  • 営業士マスター:マネジメント・マーケティングに関する高度な専門知識

 

いずれも受験日は年間2回ずつ設定されており、オンライン受験のみとなっています。

セールスレップ

https://www.jrep.jp/index.html

 

セールスレップは、営業研修や営業試験によって営業コンサルティングなどの能力開発を行う日本セールスレップ協会が主催する検定制度です。同協会のカリキュラムは、ハローワークやシルバー人材センターなどの公的雇用促進カリキュラムでも活用されています。

 

レベルは、3~マイスター級の3つに分かれており、それぞれのレベルが求める要求は、下記の通りです。

 

  • 3級:基本的な営業業務
  • 2級:営業管理業務や営業指導を含むレベル
  • マイスター級:マネジメント・マーケティングに関する高度な専門知識

 

いずれも筆記試験が中心ですが、マイスター級にはレポート審査もあります。受験資格は特にありません。
受験日は年間1回ずつ設定されており、オンライン受験のみとなっています。

 

試験合格後、資格登録料を支払うことで資格認定証が発行され、次年度以降も年間登録料がかかります。

営業力強化検定

https://www.sikaku.gr.jp/sale/

 

営業力強化検定は、株式会社サーティファイが主催する民間の検定制度です。
売れる営業パーソンが共通して持っている「売れる要素」を抽出し、単なるテクニックとしてではなく、なぜそうする必要があるかを理論的に習得しているかどうかを図る試験となっています。

 

レベル分けなどは用意されておらず、出題範囲は「営業理論」「営業技術」「営業管理」の3分野から成ります。

 

試験日は年に1回設定されており、オンライン受験のみとなっています。

プレゼンテーション検定

https://preken.jp/

 

プレゼンテーション検定は、一般社団法人 プレゼンテーション検定協会が主催する検定制度で、伝える力やコミュニケーション力を可視化するために作られました。

 

レベルは、準3級から1級まで6段階が用意されています。
それぞれのレベルが求める要求は、下記の通りです。

 

  • 準3級:プレゼンテーションを学び初めの方向け
  • 3級:仕事や授業でプレゼンをする方、面接試験を受ける方向け
  • 準2級:プレゼンをする機会が多い方向け
  • 2級:プレゼン力を強みにしたい方向け
  • 準1級:プレゼンを頻?に行う方、教える仕事をしている方向け
  • 1級:プレゼンが職業の方、プレゼン講師を目指す方向け

 

個人受験と団体受験の2通りの受験スタイルがあり、いずれもオンライン受験で、タイミングも好きな時に受けられます。
2級と1級には、筆記試験に加えて実技試験もありますが、出題テーマに沿ったプレゼンを行った動画データをアップロードする方式です。

マーケティングの資格

次に、マーケティングの業務に役立つ資格を6つ、ご紹介いたします。

マーケティング・ビジネス実務検定(R)

https://www.marke.jp/

 

マーケティング・ビジネス実務検定は、国際実務マーケティング協会(International Marketing Skill Standardizing Association)が主催する検定制度で、資格取得でスキルアップしたい人を始め、マーケティングに興味のある人や、市場調査・分析などの業務に携わる人、学校の授業でマーケティングを学習中の人、世の中の動き・流れに敏感な人と、幅広い受験層が想定されています。

 

特定の業種・業界にとらわれない共通のマーケティング知識や仕事で役立つ実務知識の習得を目指すものとなっています。

 

A級・B級・C級の3つのレベルが用意されており、C級・B級はオペレーションレベル、A級はマネジメントレベル、戦略レベルとなっています。

 

受験日は、年間4回程度、設定されており、オンライン受験のみ。本試験の前にデモ試験を受験する必要があります。
B級・C級併願の場合は、B級から受験することになっています。
また、C級のみ、不合格だった場合に無料で1回再チャレンジできる制度が用意されています。

マーケティング検定

https://www.jma2-jp.org/marken

 

マーケティング検定は、公益財団法人 日本マーケティング協会が主催する検定制度です。
同協会は、産学協同の下にマーケティングの理論と技法の研究、教育、普及に努め、わが国の経営の近代化と産業の発展に力を注いできた団体です。

 

1から3級までのレベルが用意されており、それぞれのレベルの受験対象者は次の通りです。

 

【3級】

  • マーケティングの基礎を習得することで、自身や会社の業務成果を高めたい。
  • 直感や曖昧な判断に頼るのではなく、確固としたビジネスセオリーを身につけたい。
  • 資格を取ることで、就職・転職・昇進・異動・起業などのキャリアアップにつなげたい。

 

【2級】

  • 社会で活躍するマーケターとして認定できる実力のある方。
  • マーケティングの基礎概念から応用までの理解度・習熟度を測りたい。
  • 2級の資格を取ることでマーケティング能力を証明し、キャリアアップにつなげたい。

 

【1級】

  • 2級試験に合格し、マーケティングの全般的な素養のある方。
  • プロフェッショナルのマーケターとして実力をお持ちの方。
  • マーケティングの最上位の資格を取ることで、キャリアアップにつなげたい方。

 

全国の受験会場ごとに設定された受験日程から、都合の良い日時を選んで受験します。

IMA検定

https://ima-kentei.jp/

 

IMA検定は、一般社団法人 IMA研究所が運営する検定制度で、Webサイト分析から広告運用まで、Webマーケティング全般の知識を習得していることを証明する資格です。なお、IMAとは、Inclusive Marketing Analysisの頭文字を取ったものです。 IMA検定では、「暗記に固執しない実務主義のマーケティングスキルを」というコンセプトが掲げられています。

 

Standardコース、Professionalコースの2つのレベルが用意されており、それぞれ、研修を受講後にのみ受験できるようになっています。

 

なお、試験はオンライン受験のみとなっており、各コースの受講のタイミングで受験日時も指定されています。

ネットマーケティング検定

https://www.sikaku.gr.jp/nm/

 

ネットマーケティング検定は、株式会社サーティファイが主催する民間の検定制度です。同社では、「営業力強化検定」などの検定も運営しています。 Webマーケティングに特化した内容となっており、取得によりインターネットの特性を理解し、状況に応じて最も効果的なマーケティング手法を選択できる人材であることを証明できます。

 

試験方式はオンライン受験のみですが、全国一斉試験となっており、試験日程が決まっています。年間で2回ほどと少ない頻度となっているため、資格取得を目指す方は、計画的な学習と受験申込が必要です。

 

公式サイトで本試験と同じ40問のサンプル問題が無料提供されています。受験前の腕試しに活用すると良いでしょう。

ウェブ解析士

https://www.waca.associates/jp/

 

ウェブ解析士は、一般社団法人ウェブ解析士協会が運営する認定資格制度です。

 

「ウェブ解析士」「上級ウェブ解析士」「ウェブ解析士マスター」の3つのレベルが用意されており、それぞれのレベルが目指す姿は、以下の通りです。

 

【ウェブ解析士】
ウェブ解析やウェブマーケティングに関する基礎知識を習得し、共通の用語認識を基に、営業・制作・開発・社内ウェブマスター業務等の遂行・業務効率化を可能にすることを目指す。

 

【上級ウェブ解析士】
ウェブ解析やウェブマーケティングに関する応用知識を習得し、データの正しい認識を基に、クライアント及び社内経営陣・上長への説明、交渉等、事業の成果につながる提案スキル向上を目指す。

 

【ウェブ解析士マスター】
ウェブ解析士の資格制度に関する教育研修のためのスキル(技能・技術)と知識を習得、講師として独自に講座を開設し、企業や教育機関などで講義と指導を行えるようになることを目指す。

 

認定試験は、オンライン受験のみで、年に20回余りのスケジュールが用意されています。
合格者には、試験受験用システムMoodle内で試験合格のデジタルバッチとウェブ解析士認定証が発行されます。

Webアナリスト検定

https://www.jwa-org.jp/webanalyst/

 

Webアナリスト検定は、一般社団法人 日本Web協会が主催する検定制度で、5時間の受講を終えた受講生が受験できる仕組みですが、検定試験のみの受験も可能となっています。 講座では、Googleアナリティクスを体系的に学べるなど現場で必要なノウハウを身に付けられます。

 

受験方式はオンライン受験のみですが会場受験となっており、会場ごとに主催企業が異なり、受験費用も若干、異なります。
合否結果は、受験後すぐにわかり、後日、認定カードが郵送されます。
合格者には、1年間無償でJWA会員になれるという特典が用意されています。

セールスやマーケティングについて学べる本

必要な時にいつでも必要な知識に立ち返ることができるのが本のメリットではないでしょうか。
ここでは、セールス、マーケティングそれぞれについて学べる書籍を紹介いたします。

セールスについて学べる本

まずは、セールスについて学べる本を11冊ご紹介いたします。

 

『営業は台本が9割』

著:加賀田 裕之 出版:きずな出版(年月発刊)

 

営業コンサルタントの著者により、信頼関係の構築からクロージングまでの営業の型が、一通り、体系的に解説された本です。

 

営業担当者になったばかりの初心者や、営業について体系的に学んだことがなく、勘や経験からなんとなく取り組んできたという方などに向く1冊です。

 

【営業は台本が9割の主な内容】

 

はじめに―自社商材を250万円で自腹買いしていたドン底営業マンが、トップセールスになれた理由

 

序章 なぜ、いつまでたっても売れないのか?

第1章 台本営業を成功に導く5つのステップ

第2章 あなただけの営業台本をつくろう

第3章 台本営業ステップ1「人間関係構築」

第4章 台本営業ステップ2「ニーズの深掘りとウォンツアップ」

第5章 台本営業ステップ3「商品説明」

第6章 台本営業ステップ4「クロージング」

第7章 台本営業ステップ5「反論解決」

引用元:引用元:営業は台本が9割―トップセールスは教えてくれなかった!(紀伊国屋書店)

『THE MODEL(ザ・モデル)』

著:福田康隆 出版:翔泳社(2019年1月発刊)

 

米セールスフォース・ドットコム社で、カスタマーサクセスを含むセールス部門における全プロセスを経験した著者による、営業プロセスの分業について解説された書籍です。

 

マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、それぞれの役割と共業の方法について、理解を深めるのに最適です。

 

【THE MODELの主な内容】

 

第1部 アメリカで見た新しい営業のスタイル

 第1章 マーク・ベニオフとの出会い

 第2章 営業のプロセス管理

 第3章 「ザ・モデル」のその先へ

 

第2部 分業から共業へ

 第4章 2つの変化

 第5章 分業の副作用

 第6章 レベニューモデルの創造

 

第3部 プロセス

 第7章 マーケティング

 第8章 インサイドセールス

 第9章 営業(フィールドセールス)

 第10章 カスタマーサクセス

引用元:THE MODEL(ザ・モデル)特設サイト

『お客様の心をつかむ真実の瞬間―驚異の売上げを達成する10の秘訣!』

著:マイケル ルボーフ 出版:ダイヤモンド社(2003年4月発刊)

 

長年、米国で顧客サービスのあり方を指導してきた著者は、顧客と最初に接する瞬間、顧客が怒っている瞬間、顧客がクレームをつけてきた瞬間など、取引の成否を決める決定的瞬間を「真実の瞬間」と定義。営業プロセスにおける10つの「真実の瞬間」を逃さないことが成約を左右すると主張しています。

 

「欲しいものをできるだけ安く、希望通りの日時に届けて、しかも自分を特別扱いしてくれ、それができないなら、ほかのところで買う」という現代の消費者を、接客によっていかに上機嫌にするかが解説された本です。

 

【お客様の心をつかむ真実の瞬間―驚異の売上げを達成する10の秘訣!の主な内容】

 

1 一回の顧客を一生の顧客にする(売るのではなく、買うのを手伝う;売れると信じれば必ず売れる;顧客が買うのは商品ではなく、それで何をしてもらえるかだ ほか)

2 「真実の瞬間」に顧客の心をつかむ(顧客と最初に接する時;顧客が怒っている時;顧客が特別な要求をしてきた時 ほか)

3 サービス優良企業をめざす(すぐれた顧客サービスに報酬を;サービス優良企業になるための四つの問い;サービス・リーダーシップ六つの心得)

引用元:Life & business series
お客様の心をつかむ真実の瞬間―驚異の売上げを達成する10の秘訣!(紀伊国屋書店)

『30分の面談だけで売上140%達成! 社長ダイレクトZoom営業』

著:峯村 昌志 出版:ぱる出版(2023年3月発刊)

 

中小企業の社長に対してオンライン商談を行って成約することを推奨する書籍です。
商談相手が社長だからこそ、即断即決が可能なため、売上140%を叩き出すことも不可能ではないといいます。

 

著者は、日経グループ会社で営業に従事し、複数の部門で何度もトップを獲得した人物。
効率的な営業先の探し方やアポの取り方、クロージングの仕方など、具体的なノウハウが公開されています。

 

【30分の面談だけで売上140%達成! 社長ダイレクトZoom営業の主な内容】

 

序章 なぜ、いまこそ中小企業の「社長ダイレクト営業+Zoom面談」なのか

第1章 企業の発掘・リストアップ 篇

第2章 テレアポ 篇

第3章 Zoom面談~心構え・事前準備 篇

第4章 Zoom面談~本番 篇

第5章 Zoom面談~クロージング 篇

第6章 リピート化とご紹介、関係構築 篇

引用元:『社長ダイレクトZoom営業』(ぱる出版)

『はじめまして売れる「伝え方」のぜんぶです 新発見!お客様の反応が変わる58秒』

著:日野眞明 出版:三恵社(年月発刊)

 

マーケティング経営コンサルタントである著者が、初対面での自己紹介で成約が決まるとして、「伝え方」について解説した本です。同じ商材であっても、営業担当者によって、売れたり売れなかったりすることから、自分をどのように売り込むかという着眼点の重要さを説いています。

 

自己紹介では、ただ自分について発信するだけでなく、その時間を使って相手の情報を受信することについても触れています。

 

【はじめまして売れる「伝え方」のぜんぶです 新発見!お客様の反応が変わる58秒の主な内容】

 

第0章 「売れる」は「はじめまして」から始まります

第1章 こんな自己紹介をしていませんか?

第2章 三つのプロセスで自己紹介が八倍上達します―自己紹介トレーニング

第3章 その時、自己紹介は「売れる伝え方」に変わります

第4章 「はじめまして」を「売れる」に変える伝え方とは?

第5章 「いまのまま」を軽々と超える「ありのまま」

引用元:『はじめまして売れる「伝え方」のぜんぶです 新発見!お客様の反応が変わる58秒』(amazon)

『成約率99.9%の営業法: 「採用せざるを得ない提案書」はこうつくれ!』

著:中村昌雄 出版:大和出版(2023年7月発刊)

 

BtoBの新規開拓営業に関するノウハウを詰め込んだ本です。
著者は、オムロンでダントツの実績を上げ続けてきたトップセールスマン。
営業提案時に使用するための提案書の作成方法を、テンプレート付きで解説しています。

 

ただのノウハウにとどまらず、トップセールスになるために必要なマインドにも触れています。

 

【成約率99.9%の営業法: 「採用せざるを得ない提案書」はこうつくれ!の主な内容】

 

第1章 トップ営業マンになるために必要な9つのマインド

第2章 お客様の懐に入り込んで信頼関係のベースを築く

第3章 ヒアリングでお客様の「潜在課題」を浮き彫りにする

第4章 ヒアリングした内容をもとに「採用せざるを得ない提案書」をつくる

第5章 お客様の意思決定への障害を取り除いて成約につなげる

第6章 しっかりしたアフターフォローでお客様との関係を盤石にする

引用元:『成約率99.9%の営業法: 「採用せざるを得ない提案書」はこうつくれ!』(amazon)

『人生を変える営業スキル』

著:遠藤公護 出版:クロスメディア・パブリッシング(2023年12月発刊)

 

営業力さえあれば、起業もできることから、営業スキルを磨くことで、人生を根本から変えることを提案した本です。

 

著者は、強烈に数字を求められる外資系企業で、21年間、一貫してAIを含む最先端の営業職を務めた人物。

 

単なる営業スキルだけにとどまらず、成功するためのマインドセットにまで踏み込んで解説しています。
特に、エンタープライズ企業を対象とした営業活動を行う人に向きます。

 

【人生を変える営業スキルの主な内容】

 

序章 人を動かすとは。自分を動かすとは

第1章 大企業をつかまえるアプローチとは

第2章 基本に戻れ Back to Basic

第3章 顧客との打ち合わせ

第4章 営業の戦略的アプローチ

第5章 コミュニティの活用

第6章 CxOアプローチ

第7章 大型商談でのクロージング

第8章 大人の営業スキル

第9章 成功へのマインドセット

終章 自分は何のために生きるのか

引用元:『人生を変える営業スキル』(amazon)

『トップ営業が密かにやっている最強の会話術 SIX MENTAL READING(シックスメンタルリーディング)』

著:加賀田 裕之 出版:きずな出版(2023年6月発刊)

 

営業コンサルタントが書いた、コミュニケーション術の本です。
本書では、人を以下の6タイプに分類し、各タイプの見分け方、気をつけること、好かれる方法、セールスを成功させる方法を解説しています。

 

  • 論理型:論理的に物事を考える
  • 感情型:感情を大切にする
  • 実行型:行動を起こすことが得意
  • 社交型:人と交流することが得意
  • 慎重型:慎重に物事を考える
  • 自由型:自由な発想をする

 

営業活動に限らず、人間関係やコミュニケーションに悩む人向け。 なお、ロンドンブーツ1号2号の田村淳氏が「会話が苦手な人は、まずこの本を読んでほしい」と推薦しています。

 

【トップ営業が密かにやっている最強の会話術 SIX MENTAL READING(シックスメンタルリーディング)の主な内容】

 

第1章 みんなタイプ別診断が大好き

第2章 タイプ別診断をやってみよう

第3章 タイプ別の特徴と傾向

第4章 一瞬であの人を見抜く方法

第5章 SIX MENTAL READING 実践編

第6章 SIX MENTAL READING 営業編

第7章 あなたが忘れているたった一つのこと

引用元:『トップ営業が密かにやっている最強の会話術 SIX MENTAL READING(シックスメンタルリーディング)』(きずな出版)

『ただ、顧客のために考えなさい 改訂版 プルデンシャル 営業力の秘密』

著:原 年廣 出版:ダイヤモンド社(2019年10月発刊)

 

著者は、米国プルデンシャルの日本の生命保険市場への参入に伴い、初代営業本部長(常務)として、その創業に当たった人物。
同社は、日本の生命保険業界で初めて「ライフプランナー」を導入することで成長しました。同社で活躍した6人のライフプランナーの体験を紹介し、ただ顧客のために尽くすという営業の基本の大切さを伝える本です。

 

【ただ、顧客のために考えなさい 改訂版 プルデンシャル 営業力の秘密の主な内容】

 

【第1章】神戸の震災で起こった奇跡 ── 顧客との約束

【第2章】顧客が「この人を紹介したい」と感じる時

【第3章】悔いのないセールス、すべてをやり尽くすサービス

【第4章】契約はすべての始まりにすぎない

【第5章】「お客様に借金を返しているか?」

【第6章】プロ営業パーソンとして成功するために必要なこと

【第7章】ライフプランナーが日本の生命保険を変える

【第8章】ドライデンの理想が私たちを動かしている

引用元:『ただ、顧客のために考えなさい』(ダイヤモンド社)

『一生「幸せな営業マン」として活躍するための思考塾 「幸せな営業マン」が実践しているたった3つのルール』

著:幸 賢俊 出版:梓書院(2021年11月発刊)

 

営業活動のテクニックではなく、「誰を幸せにしたいか」「どのように役に立ちたいか」という「使命」にフォーカスした本。各章の導入部が漫画で描かれており、読みやすい点が特長です。

 

使命を見つけ、使命を実行することで、営業を一生ものの仕事にすることを推奨しています。
営業職以外の職種に就いている人にとっても参考になりそうです。

 

【一生「幸せな営業マン」として活躍するための思考塾 「幸せな営業マン」が実践しているたった3つのルールの主な内容】

 

はじめに

第1章 「幸せな営業マン」と「うまくいっていない営業マン」の違い

第2章 幸せな営業マンは自信を持っている

第3章 幸せな営業マンは「使命」を持っている

第4章 幸せな営業マンになるための「使命」の立て方

第5章 幸せな営業マンは商品を勧めない

第6章 幸せな営業マンは次のお客様がすぐに見つかる

第7章 幸せな営業マンに近づくヒント

終わりに あなたも一生幸せな営業マンとして活躍できる

引用元:『一生「幸せな営業マン」として活躍するための思考塾 「幸せな営業マン」が実践しているたった3つのルール』(amazon)

『僕は明日もお客さまに会いに行く。』

著:川田 修 出版:ダイヤモンド社(2013年4月発刊)

 

外資系企業のトップセールスが、自身の経験に基づいて、営業担当者に必要な考え方などをストーリー形式で紹介していく本です。

 

営業職に限らず、仕事の本質に気づかせてくれる内容となっています。
企業研修や新人教育のテキストとしての活用も推奨されています。

 

【僕は明日もお客さまに会いに行く。の主な内容】

 

第1章 何で僕が選ばれるんだ……

第2章 1カ月間、精いっぱい頑張ります

第3章 やっぱ、営業は商談でしょ

第4章 ま、明日からでいいか

第5章 そんなつまらないこと頼めませんよ

第6章 伝説の営業マンってそんなもの?

第7章 僕に足りないもの……

第8章 もう逃げるのはやめよう

第9章 感謝の心は細部に表れる

第10章 まずはチューニングから

第11章 聞くことの大切さ

第12章 お客さまは問題を解決して欲しい

第13章 お客さまの物語を感じなさい

第14章 お客さまを愛しているか

第15章 殻を破るとき

第16章 一生懸命やることが楽しい

引用元:『僕は明日もお客さまに会いに行く。』(ダイヤモンド社)

マーケティングについて学べる本

つづいて、マーケティングについて学べる本を9冊ご紹介いたします。

 

『ドラッカー5つの質問』

著:山下 淳一郎 出版:あさ出版(2017年12月発刊)

 

オーストリアの経営学者で、現代経営学やマネジメントの生みの親である、ピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)の理論の核となる経営の最重要5大原則をまとめたものです。

 

ドラッカーは、マネジメントで必要なことは「正しい答え」ではなく「正しい問い」であると説きます。
ドラッカーの言葉を紹介しつつ、「ドラッカー5つの質問」を、中小企業や中堅企業が取り組みやすいよう、事例に基づいて解説しています。

 

【ドラッカー5つの質問の主な内容】

 

序章 われわれの事業はなにか

第1の質問 われわれのミッションは何か

第2の質問 われわれの顧客は誰か

第3の質問 顧客にとっての価値は何か

第4の質問 われわれの成果は何か

第5の質問 われわれの計画は何か

引用元:ドラッカー 5つの質問(あさ出版)

『いちばんやさしいマーケティングの教本 人気講師が教える顧客視点マーケの基本と実践』

著:中野崇 出版:インプレス(2019年8月発刊)

 

(株)良品計画で店舗マネジメントや外商を経験したのち、マーケティングリサーチ企業へ転職。海外事業や統合マーケティング部門の立ち上げなどに参画し、従業員数200名を超えるデータマーケティング支援企業の代表取締役社長を務める著者が、マーケティング思考を解説した本です。
図説や説明が多いのでわかりやすく、マーケティング初心者向けの入門書となっています。

 

【いちばんやさしいマーケティングの教本 人気講師が教える顧客視点マーケの基本と実践の主な内容】

 

第1章 マーケティングの基本を理解しよう

第2章 顧客ニーズをとらえよう

第3章 マーケティングリサーチの手法

第4章 マーケティングミックスを策定する

第5章 マーケティングの目標設定と効果測定

第6章 デジタルマーケティングの基本

第7章 PR活動の基本を知ろう

第8章 BtoBマーケティングの実践

引用元:『いちばんやさしいマーケティングの教本 人気講師が教える顧客視点マーケの基本と実践』(インプレスブックス)

『未来をつくるグロースマーケティング』

著:櫻庭誠司 出版:クロスメディア・パブリッシング(2022年10月発刊)

 

従来型のマーケティングとは一線を画す、事業の上流から下流までを俯瞰して分析し、ゴール達成のために施策を導き出す「グロースマーケティング」について解説した本です。

 

失敗の共通点として、

 

  • 施策が「部分最適」にとどまっている
  • データの連動不足
  • 人に起因する問題

 

を挙げ、

 

  • 全体最適
  • データ
  • 利益

 

を重視することを説いています。

 

日本ではまだ浸透していないといわれるグロースマーケティングの考え方を身に付けられます。

 

【未来をつくるグロースマーケティングの主な内容】

 

第1章 なぜ、マーケティングに悩む会社が多いのか

第2章 利益を最大化する「グロースマーケティング」とは?

第3章 グロースマーケティングに求められる「データドリブン」の観点

第4章 グロースマーケティングで利益最大化を実現するための経営改革

第5章 実践企業からみる、グロースマーケティングの効果

引用元:『未来をつくるグロースマーケティング』(amazon)

『億を稼ぐ コンテンツ販売×SNSマーケ術: 「年収1億円・インスタグラムフォロワー2.3万人・LINEリスト4万人」のSNSマーケ会社社長が、「あなたの商品」が飛ぶように売れる、「Instagram、LINE公式アカウント、Kindle出版」の驚くべき運用のヒミツ全て教えます!』

著:まえけん、喜多野修次 出版:Independently published(2023年11月発刊)

 

コンテンツ制作・販売や、SNSマーケティングに取り組むマーケターなどへ向け、コンテンツの作り方や広告の出し方、導線の作り方などを解説した本です。

 

LINEやInstagramの公式アカウントの運用に悩む方、コンテンツは作ったが流入が少なく、導線の作り方がわからないという方などに向きます。

 

【億を稼ぐ コンテンツ販売×SNSマーケ術: 「年収1億円・インスタグラムフォロワー2.3万人・LINEリスト4万人」のSNSマーケ会社社長が、「あなたの商品」が飛ぶように売れる、「Instagram、LINE公式アカウント、Kindle出版」の驚くべき運用のヒミツ全て教えます!の主な内容】

 

第1章 「自己紹介」と「本書の誕生秘話」

第2章 年収1億円を達成する「コンテンツづくり」の極意

第3章 リスト4万人を獲得した「LINE公式アカウント」驚きの運用方法

第4章 目指せフォロワー2万人超え 「Instagram」運用のヒミツ

第5章 「Kindle出版」の可能性

引用元:『億を稼ぐ コンテンツ販売×SNSマーケ術: 「年収1億円・インスタグラムフォロワー2.3万人・LINEリスト4万人」のSNSマーケ会社社長が、「あなたの商品」が飛ぶように売れる、「Instagram、LINE公式アカウント、Kindle出版」の驚くべき運用のヒミツ全て教えます!』(amazon)

『ブランドカルチャライズ―あなたの商品を世界で売るマーケティングの技法』

著:久保山浩気、川崎訓 出版:クロスメディア・パブリッシング(2022年8月発刊)

 

日本では成功したブランドであっても、海外展開する際には、その国の特性を理解した上で、その国の消費者に受け入れられるようなマーケティングの視点が必要だということを解説した本です。
タイトルになっている「ブランドカルチャライズ(R)」とは、進出先の国・地域の消費者の“知覚”に合わせてブランドの表現を調整することだといいます。

 

事例や図解が多く、理解しやすくなっています。
海外展開を考えている企業のマーケターにおすすめです。

 

【ブランドカルチャライズ―あなたの商品を世界で売るマーケティングの技法の主な内容】

 

第1章 ブランドカルチャライズとは(「品質の差」の時代を勝ち抜いた日本;「印象の差」の時代に必要なマーケティング ほか)

第2章 現地のバックグラウンドを理解する(ブランドカルチャライズのプロセス;「現地のバックグラウンドを理解する」の位置づけ ほか)

第3章 市場とターゲットを理解する(機会の発見;ターゲットを理解する)

第4章 ブランドの表現を調整する(ブランド・エクイティのカルチャライズ;ブランドガイドの開発)

第5章 コミュニケーション戦略のカルチャライズ(海外にブランドを届けるためのメッセージ戦略とメディア戦略;ファネル構造の違い ほか)

引用元:『ブランドカルチャライズ―あなたの商品を世界で売るマーケティングの技法』(紀伊国屋書店)

『逆転のサービス発想法―見えない商品を売るマーケティング』

著:ハリー ベックウィス 出版:ダイヤモンド社(1998年12月発刊)

 

サービス業のマーケティングについて書かれた本です。物販のように目にはみえないものを、どう売るかを考える際に役立ちます。
内容は、サービスにとどまらず、ビジネス全般からマーケティングまで幅広く書かれており、サービスを売るための心構えについて学べます。
ただ、実践的な内容は含まれない点には、ご注意ください。

 

【逆転のサービス発想法―見えない商品を売るマーケティングの主な内容】

 

第1章 サービスの第一歩

第2章 あなたのサービスを「調査」せよ

第3章 サービス・マーケティングは一部門の問題ではない

第4章 サービスの「企画」に関する17の誤解

第5章 見込み客の心理を読む

第6章 サービスのポジショニング

第7章 サービスの値段はおいくら?

第8章 サービスの「ブランド」を確立せよ

第9章 サービスの「広告」と「販売」

第10章 お客様を逃がさずに育てるサービス

第11章 サービスの応急処置

引用元:『逆転のサービス発想法―見えない商品を売るマーケティング』(紀伊国屋書店)

『ブランディング・ファースト ――広告費をかける前に「ブランド」をつくる』

著:宮村 岳志 出版:クロスメディア・パブリッシング(2020年4月発刊)

 

ブランディングと、その重要な一要素であるデザインを「経営戦略」と位置付け、その重要性を説いた本です。
特に、多くの人がイメージする、社外向けの「アウターブランディング」と同じくらい、社内へ向けた「インナーブランディング」の必要性について主張しており、この両輪が揃うことで「効率化」「人材の確保」「利益の向上」を実現できるといいます。

 

著者は、デザイン・コンサルティング会社である株式会社グロウ・リパブリックの代表取締役であり、ブランディングディレクターでもある人物。飲食・美容・ファッション・教育など幅広い業界を手がけています。

 

【ブランディング・ファースト ――広告費をかける前に「ブランド」をつくるの主な内容】

 

1 ブランディングは「経営戦略」である

2 私たちの考える「真のブランディング」とは

3 ネクストブランディングにおけるデザインの力

4 ブランディングの本質は「インナー」にある

5 ネクストブランディングのためのリーダーのマインドセット

引用元:『ブランディング・ファースト』(紀伊国屋書店)

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』

著:森岡 毅 出版:KADOKAWA(2016年4月発刊)

 

2001年に開業したUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の入場者数は、その後10年間、右肩下がりを続け、2001年度に1,000万人だったところから2010年度には約750万人まで落ち込んでしまいます。

 

ここから、マーケティングを重視することで、2015年10月には単月で175万人を集客し、単月とはいえ東京ディズニーランドを超えて日本一のテーマパークとなることに成功しました。

 

マーケターである著者は、経営危機にあったUSJに2010年に入社し、わずか数年で劇的に経営再建した人物。平易な文章で書かれており、学生やマーケティング初心者にもおすすめです。

 

【USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門の主な内容】

 

プロローグ USJがTDLを超えた日

第1章 USJの成功の秘密はマーケティングにあり

第2章 日本のほとんどの企業はマーケティングができていない

第3章 マーケティングの本質とは何か?

第4章 「戦略」を学ぼう

第5章 マーケティング・フレームワークを学ぼう

第6章 マーケティングが日本を救う!

第7章 私はどうやってマーケターになったのか?

第8章 マーケターに向いている人、いない人

第9章 キャリアはどうやって作るのか?

エピローグ 未来のマーケターの皆さんへ

引用元:『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』(紀伊国屋書店)

『お客様目線のつくりかた: 顧客視点は仕組みで生み出せる』

著:岡本達彦 出版:(2023年7月発刊)

 

ビジネスの現場で「お客様目線」を持つことの重要性を説く本です。 「お客様目線」を、お客様の要望を聞き、それを実行してあげることと定義し、これを仕組化することを推奨しています。仕組化することで、従業員のセンスの有無によらずに「お客様目線」を再現できるようになります。

 

通常、効果的な広告を作るにはマーケティングや心理学、デザインなどの知識が必要ですが、著者は、アンケートから売れる広告をつくる広告作成手法を日本で初めて体系化したユニークな人物です。

 

【お客様目線のつくりかた: 顧客視点は仕組みで生み出せるの主な内容】

 

第1章 なぜ、「お客様目線」が必要なのか?

第2章 間違えない「お客様目線」の考え方

第3章 「お客様目線」を知るための方法

第4章 コンセプトに合うお客様を決める

第5章 「お客様目線」対策を考える

第6章 「お客様目線」を習慣化する

引用元:『お客様目線のつくりかた―顧客視点は仕組みで生みだせる』(紀伊国屋書店)

まとめ

セールスとマーケティングは、それぞれ異なる役割を持ちながらも、企業の成長と成功に不可欠な要素です。両者の連携により、市場のニーズに合わせた効果的な戦略を立てられるでしょう。

 

セールスとマーケティングの連携は、企業の成功において重要です。連携を強化するためには、まず両部門の基本的な違いを理解し、それぞれの役割と貢献を尊重することが必要です。
セールスは直接的な顧客との関係構築と成約に焦点を当て、マーケティングは市場のニーズを理解し、適切なターゲットにアプローチすることで、見込み客の獲得や維持に努めます。

 

連携の強化には、インサイドセールスの配置やセールステックの活用が効果的です。これにより、リードの質を高め、セールスプロセスを効率化することができます。また、部門間コミュニケーションの活性化も重要で、定期的なミーティングや共有ツールの活用により、情報共有と理解を深められます。

 

営業部やマーケティング部のご担当者様は、この記事を参考にして、ぜひ、より効果的な連携を目指してください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Wed, 14 Feb 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[【テンプレートあり】4P分析とは?進め方や分析のポイント、事例を紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/4p-analysis 4P分析とは、「Product(製品)/何を」「Price(価格)/いくらで」「Place(流通)/どこで」「Promotion(販売促進)/どのように」売るのかを考える、マーケティング戦略のフレームワークです。整合性のあるマーケティング戦略の立案に役立ちます。

 

本記事では、4P分析についての基礎知識や、なぜ行うのか、分析の仕方と注意点、他企業の例などを詳しく紹介します。

 

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4P分析とは

4P(よんぴー・ふぉーぴー)分析とは、「何を」「いくらで」「どこで」「どのように」売るのかを考える、マーケティング戦略のフレームワークです。4Pは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の頭文字を取ってつくられました。

 

4Pは、1960年にアメリカの学者ジェローム・マッカーシーが提唱したものです。複数のマーケティング戦略・手法などを組み合わせる「マーケティングミックス」の代表的な分類として知られています。そのため、4P(4P分析)=マーケティングミックスとして紹介される場合もあります。

4P分析はなぜ行うのか(目的)

利益を生む魅力的な商品を世に送り出すには、製品・価格・販売場所・広告宣伝すべてが、矛盾なく整っている必要があります。どれかに問題がある場合は、見直しが必要です。

 

4P分析を行うと、上記の要素(商品の特性、商品品質、勝負すべき価格帯、販売ルート、顧客のニーズなど)が分かります。また4Pをまとめて整理することで、一貫性のある思考でマーケティング活動に取り組めるようになります。

 

例えば、商品が売れない場合、「商品を改善する」「価格を見直す」など、安易な解決策が浮かびがちです。しかし、それでは根本的な解決にはなりません。
商品を売るために「4Pの要素が必要だ」という思考があれば、視野を広げて複合的に考えられます。問題の本質に気づけるでしょう。

 

4P分析を行い、全てまとめて検討することで、要素の欠落を防いで整合性のある戦略が考えられます。

4P分析の位置づけ

マーケティングは市場分析からターゲティング、戦略立案、施策実行まで様々な過程があります。4P分析はこのサイクルの中でいつ実行するのでしょうか。

 

答えは、「マーケティング戦略を立案するとき」です。ターゲティングやポジショニングを行った後の、マーケティングミックスを行う際に活用してください。

4P分析と似た用語

4P分析と3C分析、4C分析との違いを紹介します。

4P分析と3C分析

3C分析は、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の頭文字を取ったものです。3C分析を行うことで、自社がどのような環境に置かれているのかがわかります。

 

3C分析は主に自社の環境分析を行うとき、4P分析は戦略立案の際に使うフレームワークです。

4P分析と4C分析

4C分析は、Customer Value(顧客価値)、 Cost(コスト) 、Communication(コミュニケーション) 、Convenience(利便性)の頭文字を取ってつくられた言葉です。4Cを分析することで、顧客のニーズをとらえて、顧客視点に立ったマーケティング戦略が考えられます。

 

一方で4P分析は、企業視点で分析するフレームワークです。4C分析と4P分析を組み合わせることで、顧客と企業、両方の視点を取り入れたマーケティング施策が考えられます。

テンプレートで実践!4P分析の進め方

マーケティングの4Pのテンプレート

 

「4P分析」を行いたい方は下記より登録なしでダウンロードいただけます。

Product (製品)/どのような商品を提供するのか

Product (製品)では、「どのような商品・サービスを提供するのか」を考えます。強み、魅力、商品名やブランド名、品質、デザインといった「売り物」についてはもちろん、アフターサービス、保証など「付属するもの」も含めて考えましょう。

 

同時に、他社製品と比べて優れている点、劣っている点を洗い出して、差別化できるポイントを探します。

分析のポイント

Product (製品)分析のポイントは、Product (製品)分析のポイントは、「消費者目線を取り入れる」ことです。「顧客にとって価値のあるものが開発できているか」「どうすれば顧客にとって価値あるものになるのか」を軸に考えてみてください。

 

例えば以下のような視点を取り入れ分析を行います。

 

  • 顧客が商品に求めるものは?そのために自社商品は何が必要か。
  • 顧客が求める商品の特徴。デザイン、サイズ感、色など。
  • 顧客がこの商品を使うことで手に入るもの・経験。
  • 顧客は商品をどう呼ぶのか(呼んでもらいたい商品の愛称)。
  • 競合との差別化要素。

Price(価格)/どのような価格で提供するのか

競合の価格、市場の価格、商品・サービスの質などを加味して適切な価格設定を行います。買うかどうかを決める際、大きく影響するのが価格です。顧客が納得でき、企業の利益が得られる価格を考えてください。

分析のポイント

ポイントはポイントは「顧客視点の価格(顧客が求める価格帯)」と、「競合の価格」、「自社が確保したい利益」の3つの要素から、最適な値付けをすることです。

 

また「この機能ならこのくらいの価格」というイメージから逸脱するとなかなか購入してもらえません。適正価格であることは必須です。

 

さらに競合の価格を見て、価格競争をするのか、それ以外で勝負するのかを考えます。単品ではやや高いがセットで値引きをして差別化したり、低価格で導入できるサブスクリプションモデルを取り入れたり、色々な戦略が考えられるでしょう。

Place(流通)/どのような経路で提供するのか

販売場所が専門店だけなのか、コンビニでも購入できるのかで、商品の印象は変わります。
商品をどうやって売るのか、商品を必要とする顧客のもとへスムーズに届けるにはどうすべきかを考えましょう。

 

倉庫を持つのか、ECサイトで販売するのか、販売店を限定するのか……どのようなチャネルを使うべきかなど、ターゲットと自社商品の特徴を分析してより効果的な手段を検討してください。

 

・開放的チャネル
取引先を限定せずに流通させる方法
です。主に薄利多売な商品や、食料品・日用品に用いられています。大量に流通させ、多くの販売機会を得られますが、流通業者の管理は困難です。取引量が多いため、多くの売れ残った在庫を抱えてしまったり、流通業者の間で価格競争が起きたりして極端な値下げが行われ、ブランドイメージが低下する可能性もあります。

 

・排他的チャネル
販売できるのは代理店のみなど、販売会社を限定します。流通業者の数を絞るので管理やブランドイメージのコントロールがしやすい手法です。

 

独占販売契約を行い、代理店に競合製品の取扱禁止を行うこともある、支配力の強いチャネルです。主に高級品や車などの専門的な商品に用いられています。

 

管理がしやすい半面、主体的な行動が必要になり、管理やサポートを行う維持コストもかかります。販売経路を絞るので、製品が届かない顧客も出てくるでしょう。

 

・選択的チャネル
開放的チャネルと排他的チャネルの中間にあたるチャネルです。取引先を限定して優先的に販売します。販売量は開放的チャネルに及びませんが管理はしやすくなります。また、排他的チャネルより多く流通させられます。しかし、取引先が競合製品を扱っても禁止はできません。

分析のポイント

ターゲットの属性、目指すシェア、商品の特徴(鮮度や耐久力の関係で早く顧客に届ける必要があるなど)、流通コストなど総合的に考える必要があります。競合分析も大切です。

 

  • 顧客はどこで商品を探すのか。
  • 素早く商品を届けるには、どこに倉庫が必要か。
  • 競合の流通網。

Promotion(販促活動)/どのように販促を行うのか

顧客に認知してもらうために何を行うのか、適切なアピール方法を検討します。プロモーションには商品宣伝のほか、商品の価値や使い方を広める活動やクーポン・ポイントなど顧客満足度に関する活動も含まれます。自社にとってより良い手段を探してください。

分析のポイント

現在はテレビ、新聞、Web、アプリ、SNS、動画など、様々な媒体があふれています。その中から、ターゲットとなる顧客が利用する媒体を見極めることも大切です。

 

より良いプロモーションを行うには、「自社の強み」や「他社との違い」を明確に表現して、分かりやすく伝えることも欠かせません。商品を使うことでユーザーが得られるメリットを端的に表して、”自分ごと”にできるような表現を考えましょう。適切な媒体で適切な表現使い発信することで、効果的に情報を届けられます。

 

このほか、以下の視点も取り入れて分析を進めてください。

 

  • 競合のプロモーション活動。
  • 顧客に届けたいこと、メッセージ。
  • プロモーションを通して顧客はどうなってほしいのか。
  • どのような媒体でどうプロモーションするのか(どう見せたいのか)。
  • プロモーションを行うタイミング。

4P分析の注意点

  • 最終的なゴールを決めて分析する
  • 矛盾点がないかチェックする
  • 客観的なデータを確認

 

分析が目的にならないように、なぜ4P分析を行うのかを明確にしてから取り組みます。分析する際は4Pの要素間で矛盾が出ないように気を付けましょう。それぞれの要素をまとめたときに効果を打ち消すことがないよう、バランスを整えるのも大切です。また、分析を行う際は、主観ではなく、客観的なデータを確認しながら進めてください。

 

このほか、次のような点も意識しましょう。

整合性を意識する

4Pはどれも密接な関わりがあります。

 

例えばマダム向けの高級品を扱う場合、商品デザインは上品にして、価格もそれなりに設定し、流通は専門店のみに限定、富裕層向けのプロモーションを行う……など、全ての要素が一貫する必要があります。ここで、若者向けのプロモーションを展開しても求める効果は得られません。

 

4P分析を行う際は、全ての要素を照らし合わせて、整合性を意識しながら進めます。

4P分析はマーケティング戦略の流れのひとつ

マーケティング戦略には、環境分析、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、マーケティングミックス、実行の6つのプロセスがあります。4P分析はその流れのひとつ、「マーケティングミックス」で利用されるフレームワークです。

 

そして、マーケティング戦略では、プロセス全てに一貫性が求められます。4P分析それぞれの要素の一貫性と、これまでに分析してきたマーケティング戦略の一貫性がどちらも保てるよう、広い視点を持って考えましょう。

4Cと合わせて分析する

本記事の見出し「4P分析と4C分析」で紹介した通り、4C分析は顧客視点に立って分析するフレームワークです。

 

4P分析は企業視点で行う分析のため、顧客視点が薄れる可能性があります。4P分析と4C分析の両方を行うことで、偏りのないマーケティング戦略が考えられるでしょう。

サービス業は「7P分析」

7P分析は無形サービスを提供する企業向けのフレームワークです。サービス業の場合は、4P分析ではなく7P分析を使います。

 

7P分析は、4P分析の要素に以下3つを追加したものです。

 

・People(人)
・Process(プロセス)
・Physical Evidence(物的証拠)

 

People(人)は「どのような人が関与するのか」ということです。スタッフの質、顧客の質も含まれます。顧客の雰囲気は全体の雰囲気に影響し、ひいては顧客満足度にも影響するためです。

 

Process(プロセス)は、顧客がサービスを通して得る体験・プロセスのことです。飲食店の場合は、調理工程が目の前で見られる、注文商品がスムーズに受け取れるなどが考えられます。アミューズメントパークでは、アトラクションの待ち時間で退屈しないように工夫を凝らしたり、面白い放送を流したりもしています。

 

Physical Evidence(物的証拠)は無形サービスに付属するツールや装飾のことです。飲食店では安心・安全を保証する証明書やミシュランガイドなどの成績・評価、学習塾では過去の生徒の進学先、アミューズメントパークでは非日常を演出する装飾などが考えられます。

4P分析の例

ここでは国内外で活躍するスターバックス、ユニクロ、マクドナルドの4P分析を行います。自社を分析するときとはやや視点が異なりますが、成功している他企業がどのような戦略を取っているのかの参考にしてください。

スターバックス

始めに、顧客満足度ランキング上位の常連であるスターバックスの4P分析を紹介します。

Product(製品)

バイヤーが品質や経済、社会環境などに責任を持って育てられ、倫理的に取引されたコーヒー豆を仕入れています。またオリジナル商品・季節の限定品を数多く扱っているほか、抽出方法を選択できたり、トッピングが選択できたりと、様々な選択肢があるのも特徴です。 このほか、フラペチーノ、ティー、フードアイテムなど幅広い商品を取り揃えています。

 

さらに、国によって商品のバリエーションやサイズが異なります。日本の店舗で見られる抹茶モチーフの商品やショートサイズは国内限定品です。

 

数や質にこだわった商品展開がされています。

Price(価格)

一般的な価格帯のものから、1,000円を超えるやや高額なものまであります。コーヒーチェーン店としてはやや高めです。ブランド力を高める高価格戦略が行われているのがわかります。

 

顧客ターゲットには、リッチさ、良質なサービス、付属するブランドバリューなどを求める層が含まれているため、それに合わせた価格設定といえます。

Place(流通)

ブランディングを意識した流通戦略を取っています。 1号店を銀座に出し、「立地の良い場所にある質の良いカフェ」という印象付けに成功しました。その後どんどんと数を増やしていますが、主に主要駅など人通りの多い中心地、所得水準の高い地域やおしゃれな街などを選んで出店しているのが特徴です。 またビジネスパーソンが集まるオフィスビルや流行に敏感な若者の多い大学キャンパスにも出店しています。

Promotion(販売促進)

広告やCMなどの派手なプロモーションは行わず、口コミや店頭看板、PR、SNSを使うプロモーションを行ってきました。

 

SNSでは新商品やキャンペーンの案内などありがちな内容が投稿されていますが、そこに「○○なひとときを楽しみませんか?」などひと言を添えて、購入後のイメージが沸くように工夫されています。

 

 

SNSが広まった現代では特に、口コミでの集客が大きな効果を発揮しています。

 

(※シャトルロックジャパン株式会社が公開している2022年Twitterの企業アカウントランキングTOP10で、スターバックスは第二位(551万フォロワー)に選ばれています。2015年に日経BPが行った「第4回ソーシャル活用売上ランキング」では首位を獲得しています。)

ユニクロ

次に海外展開を行うアパレル企業、ユニクロの4P分析を紹介します。

Product(製品)

「LifeWear」「究極の普段着」という考えのもと、商品を展開しています。LifeWearについて、公式サイトでは「あらゆる人の生活を、より豊かにするための服。美意識ある合理性をもち、シンプルで上質、そして細部への工夫に満ちている。生活ニーズから考え抜かれ、進化し続ける普段着」と説明しています。

 

商品は無駄なものをそぎ落とし、自分らしさを引き出すシンプル・ベーシックなデザインが特徴。キッズ・メンズ・レディースなど、あらゆる人が購入できる商品を扱っています。またヒートテックをはじめとした高機能商品、デザイナー・アーティストとのコラボレーションアイテムなど様々な商品を展開し、世界中の幅広い層から支持されています。

 

Price(価格)

「人種、階層、性別、宗教を問わず、高品質なものを世界中の誰もが手にとれる価格」に設定されています。セールや値引きキャンペーンも積極的です。 価格を維持するために、企画、計画、生産、物流、販売のプロセスをすべて自社で行い、効率化、省コスト化を進めています。

Place(流通)

2023年8月時点で国内は800店舗、海外は1,634店舗あり、国内外に多くの店舗を所有しています。2019年からの推移を見ると国内はほぼ横這いなのに対し、海外は毎年数十店舗ずつ増加を続けています。

 

都市部やショッピングモールなど、アクセスしやすい場所に店舗を構えています。またオンラインストアも活発で、ECサイトと店舗、コンビニを連携させるなど、柔軟な対応を行い、顧客の元へ心地よく商品が届くような工夫がされているのも特徴です。

 

商品の生産は中国、インドネシア、ベトナムなどの海外工場で行われています。

Promotion(販売促進)

注目商品を限定し、CM、Web広告、折込チラシなど様々な媒体で、商品毎に特化したプロモーションを行っています。プロモーションは世界中で行われており、モデルは海外モデルを起用。機能性のアピールにはスポーツ選手を起用するなど、イメージ戦略も行っています。新商品、季節限定品のプロモーションも活発です。

 

セールや値引きキャンペーンも積極的に開催されており、常時何かしらの商品が通常より安価で購入できます。

マクドナルド

最後に、日本に上陸して50年以上が経つ人気ハンバーガーチェーン店、マクドナルドの4P分析を紹介します。

Product(製品)

様々な種類のハンバーガーと、バラエティに富んだドリンク、チキン、サラダなどのサイドメニューを提供しています。朝マック、ひるマック、夜マックと時間で変わるセット商品や、グラコロ、月見バーガー、てりたまなど季節の定番商品があるのも特徴です。

 

おもちゃや絵本、図鑑などが付いてくる子ども向けの「ハッピーセット」も提供されています。時期によって付属するものが変わるため、子どもが何度も訪れたくなるような工夫がされています。

 

また「持続可能な食材調達」を意識して、環境に配慮した漁業で採られた水産物に適応されるMSC認証を取得。コーヒー豆は、森林や生態系を守り生産するレインフォレスト・アライアンス認証を取得した農園から仕入れ、フライオイルは持続可能なパーム油を使うなどの活動も行っています。
大人や子ども、食材にこだわりのある人まで様々な人が利用できるように配慮されています。

 

待ち時間がそれほどなく、すぐに商品が手に入るのも特徴です。

Price(価格)

100円台から600円台がメインです。セットメニューも1,000円以内に納まるものが多く、競合他社と比較すると安めの価格で提供されています。クーポンも頻繁に配布しており、併用することでさらに安い金額で購入できます。

 

手頃な価格で幅広い消費者層にアプローチしています。

Place(流通)

世界100ヵ国以上、約40,000店舗を経営し、日本では2,950店舗が展開されています(2023年12月時点)。多くはフランチャイズです。道路沿いや駅など利便性の高い立地に建設される店舗が多く、ドライブスルーも多く見られます。また専任のバリスタが常駐する、カフェに力を入れた「マックカフェ バイ バリスタ」も運営しています。

 

近年はアプリを活用したオンラインのサービスも活発です。注文から支払いまでアプリで完結できるほか、クーポンの配布も行われています。アプリの月間アクティブユーザー数は約2,500万人。時代と顧客ニーズにあわせた流通展開がされています。

Promotion(販売促進)

テレビ、新聞、チラシ、ネット広告、SNSなど、様々な媒体で行われています。主要な商品の広告には、知名度の高い芸能人の起用も多く見られます。クーポン配布による販売促進も活発です。

 

このほか、子ども向け商品やコラボキャンペーンなど、ターゲットにあわせたプロモーションが行われています。

まとめ

4P分析を適切に行うことで、より良いマーケティング戦略を考えられます。分析で特に意識したいのは、製品・価格・販売場所・広告宣伝すべてが矛盾なく整っていること。整合性のある分析を意識しましょう。4P分析を行う際は4C分析も行い、広い視野を獲得してください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Wed, 14 Feb 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[Instagram(インスタ)広告とは?広告の特徴やメリット、成果を出すコツを紹介]]> https://mtame.jp/advertisement/instagram_ad Instagram(インスタグラム)広告とは、Meta社(旧:Facebook)が提供するSNSアプリ「Instagram」に配信される広告を指します。Instagramは画像や動画などのビジュアルに特化したSNSであることから、商品の魅力が伝わりやすく、ユーザーへの訴求力が高いのが特徴です。またリンクを設定できるため、商品に興味を持ったユーザーがそのまま自社サイトやLP(ランディングページ)に飛び、購入や申し込みなどのアクションを取りやすい設計がされています。

 

Instagramを利用するユーザーは、他のSNSと比較して購買意欲が高い傾向にあり、株式会社ネオマーケティングの調査によると利用ユーザーの約7割が「購入予定のない商品を購入したことがある」と回答しています。Instagram広告はユーザーの購買行動に大きな影響を与える媒体のひとつとして、多くの企業で活用されています。

 

本記事ではInstagram広告の基礎知識から出稿手順、成果を出すポイントまでわかりやすく解説します。

1.Instagram(インスタ)とは?

Instagramは全世界で月間14億人以上、日本では約3300万人が利用する写真・動画共有SNSです。ユーザーはZ世代やミレニアル世代といった若い世代が多く、特に10代~20代女性の利用率は8割を超えています。

 

サービス開始当初は若い世代の利用が目立ちましたが、利用者数の増加に伴い近年では50代以上のユーザーも増え、多様化が進んでいます。全世代においては約4割が活用しており、SNSアプリ「X(旧:Twitter)」と並ぶ人気SNSとして高い支持を集めています。

 

Instagramに投稿される写真や動画はお洒落なものが多く、2017年には写真に映えるような風景や人、モノを撮影する「インスタ映え」が流行ったり、Instagramで人気になった人物を指す「インスタグラマー」が誕生するなど、日本のトレンドに大きな影響を与えています。

2.Instagram広告の配信面

Instagram広告の配信面(広告が配信される枠のこと)は、フィード、ストーリーズ、発見タブ、リールの全部で4種類があります。以下ではそれぞれの配信面の特徴について解説します。

フィード

Instagramのフィードとは、Instagramへアクセスした際に投稿が表示される場所を指します。Instagramアプリにログインすると、一番最初に表示される画面で、画面上部にはフォローしているアカウントのアイコン画像、中央にフィード、下部にはメニューアイコンが表示されます。他のSNSでいうタイムラインに該当し、自分がフォローしているアカウントの投稿や、いいねやコメントした投稿に類似した投稿が流れる仕組みです。

 

フィード広告は他の投稿と同じように表示されるため、ユーザーの視覚に自然と入り、閲覧されやすいのが特徴です。ログインして最初に目にする配信面であることから、違和感のない自然な広告が好まれます。

ストーリーズ

ストーリーズとは、スライドショーのような形式で画像や動画を投稿できる機能で、投稿から24時間経過すると自動的に削除されます。ストーリーズ広告は、ユーザーがフォローしているアカウントのストーリーの投稿を3回再生ごとに1回の頻度で配信されます。スタンプやフィルター機能などを多数備えており、フィード投稿よりも手軽に発信できる広告として活用されています。

 

本広告の最大の特徴は、通常のストーリーズと同様にフルスクリーンの縦長フォーマットで表示される点です。他の配信面に比べてインパクトのある広告を配信でき、ユーザーの興味関心を引くことができます。またストーリーズ広告は広告の下に「詳細はこちら」といった CTAボタン((購入や申込みなどのユーザーのアクションを促すためのボタン)の設置が可能なため、 高いクリック率・コンバージョン率が期待できます。

発見タブ

発見タブとは、アプリの左下にある虫眼鏡のアイコンをタップすることで表示される画面を指します。Instagramのアルゴリズムが過去に閲覧した投稿やいいねをした投稿から、ユーザーの興味・関心を推測し、関連度の高い投稿をレコメンドします。

 

発見タブに広告を掲載することで、自分の興味・関心について新しい情報を探しているユーザーにアプローチすることが可能です。発見タブを利用するユーザーは、新しい情報を積極的に求めている状態がほとんどです。そのため閲覧したものが広告であっても、自身の関心が高いコンテンツであればクリックされやすくなります。

 

また発見タブ広告に掲載するメリットとして、フィード広告と広告規格が同一であることが挙げられます。作成した広告をそのまま流用できることから、ターゲットが同じであれば、広告作成の手間やコストを抑えられます。

リール

リールとは、最大90秒までのショート動画を投稿できる機能です。テキストやスタンプ、エフェクト、音楽などをつけた自由度の高い動画編集が可能で、投稿から24時間後に自動的に消えるストーリーズと異なり、投稿後は自身のプロフィールページに残ります。

 

リールを活用するメリットとしては、フォロワー以外にも動画を見てもらえることです。通常投稿よりもフォロワー以外のユーザーの目に止まりやすく、新規リーチにつながりやすいことが挙げられます。

 

また短尺動画という性質上、一度リールを見始めると、次々とテンポよく動画が表示されます。リール広告は通常のリール投稿の合間に表示されるため、抵抗なく広告をみてもらいやすく、他の配信面よりも比較的コンテンツがユーザーに届きやすい傾向にあります。

3.Instagram広告の種類

Instagram広告の種類は全部で9種類あり、多彩なアプローチが可能です。PRしたい商品やターゲット層によって使い分けていきましょう。

画像広告

画像広告とは名前のとおり、画像1枚とテキストで構成されている広告です。ストーリーズやフィード、発見タブなどさまざまな場所に配信でき、Instagram広告において最も基本的なフォーマットといえるでしょう。

 

画像とテキストのみというシンプルな広告であることから、通常の投稿に馴染みやすく、ユーザーに違和感を与えることなくアピールできます。

動画広告

動画広告とは動画とテキストで構成された広告です。動画の長さは1分間までとなっており、画像広告よりも商品の魅力や使い方などの多くの情報をユーザーに届けられます。Instagramはビジュアル重視のSNSであるため、動画広告との親和性も高く、ユーザーのアクションを多く獲得できます。

ストーリーズ広告

ストーリーズ機能を利用した広告です。画像や動画を投稿でき、動画は30秒未満であればすべて再生され、15秒以上の場合は複数のストーリーズカードに分割して配信されます。

カルーセル広告

カルーセル広告とは、複数の画像や動画を最大10枚まで設定できる広告フォーマットです。複数の画像や動画を横並びに表示して商品カタログのように見せたり、逆に1つの商品を3枚の画像を使って詳しく紹介するなど多彩なアプローチが可能です。

 

カルーセル(Carousel)とは日本語で「回転木馬」という意味を持つ単語で、複数の画像や動画をスワイプして閲覧できることから名付けられました。

 

またカルーセル広告は各カードに異なるリンクを設定することができます。たとえば車の広告を配信する場合、1つ目の画像をコンパクトカー、2つ目の画像をワゴン車、3つ目の画像をスポーツカーと設定し、それぞれの特設サイトのURLを各カードに掲載できます。複数の商品を掲載し、いずれかの商品に魅力を感じたユーザーを取りこぼすことなく訴求できるのが大きな強みです。

コレクション広告

コレクション広告とは、カバー画像と商品画像、CTAボタンの3つで構成される広告フォーマットです。メイン画像(動画)の下に複数の商品画像を掲載することができ、ユーザーが気になる商品をクリックすると、Webサイトの商品ページへ遷移し、その場で商品を購入することができます。

 

商品の認知から情報収集、購入までのプロセスを1つの広告で済ませられるため、離脱率が低くコンバージョン率が高いのがコレクション広告の最大メリットといえるでしょう。多くの製品を扱うEC企業を中心に利用されています。

発見タブ広告

発見タブ広告とは、発見タブページ内で配信される広告を指します。Instagramユーザーの半数は発見タブページを利用しているため、高いPV数・コンバージョンの獲得が見込めます。またアクティブユーザーにアプローチできるのもポイントです。発見タブを利用するユーザーは自らキーワードを入力し、積極的に新しい情報を得ようとしています。つまり他の配信面と比べて、コンテンツや広告に興味関心を抱きやすい傾向にあるといえます。

 

表示される広告についても、ユーザーが求めている情報に即した広告が表示されるため、見られることが多く、ユーザーの購買意欲を自然に高められます。

ショッピング広告

ショッピング広告とは、フィードやストーリーズに商品タグを設定し、自社のWebサイトや商品ページに誘導できる広告フォーマットのことです。商品タグを設定することで、ユーザーはワンタップで該当の商品ページに飛ぶことができ、そのまま商品の購入が可能です。ユーザーが「この商品が気になる」「商品を欲しい!」と思ったタイミングで、ダイレクトに商品詳細ページへ誘導できるため、商品の検討から購入までシームレスな購買体験を提供できます。

 

Instagramは一定のフォロワー数に到達しないと、外部サイトに遷移できない仕様になっており、基準を満たしていない場合はプロフィール欄にURLを貼るなどの工夫をする必要がありました。ショッピング広告機能の登場により、ユーザーの離脱や取り逃しを防げます。

 

またInstagram公式サイトの調査によると、日本ユーザーが商品タグを経由して商品詳細ページを閲覧する割合は他国平均の約3倍にのぼり、ショッピングタグ広告は日本ユーザーに適したフォーマットであることが報告されています。

パートナーシップ(旧:ブランドコンテンツ)広告

パートナーシップ広告とは、インフルエンサーなどSNSで大きな影響力を持つクリエイターの投稿を、企業が自社の広告クリエイティブとして配信する広告フォーマットです。パートナーシップ広告を利用することで、企業はインフルエンサーの投稿を通して、自社商品を宣伝することができます。

 

インフルエンサーはユーザーを引き付ける見せ方や投稿を熟知しており、広告主が自社商品に関する情報発信を行うよりも高い反響を得られます。宣伝などで使用する画像や動画はすべてインフルエンサー側のほうで作成されるため、企業側でクリエイティブを用意する必要はなく、工数削減にもつながります。

 

一方で、インフルエンサーはパートナーシップ広告の投稿により、フォロワー以外の新規ユーザーの獲得や認知度を高められます。双方ともに大きなメリットをもたらす広告です。

アンケート広告

アンケート広告とは、ストーリーズに実装されているアンケートスタンプ機能を用いた広告を指します。ストーリーズに2択形式の質問を設置することができ、広告を閲覧したユーザーはどちらかを選択し、その場で結果の確認が可能です。企業とユーザーのコミュニケーションを図るツールとして2017年から導入されています。

 

アンケートスタンプ機能を広告に利用することで、企業側はユーザーの特性や属性などの大まかな傾向を把握できるほか、広告をただ眺めて終わるのではなく、アンケート回答を通して広告の商品理解を深められるため、ユーザーの印象に残りやすい特徴があります。

4.Instagram広告のメリット

Instagram広告を利用することで得られる、さまざまなメリットについてご紹介します。

ターゲティングの精度が高い

ターゲティングとは、自社商品やサービスのニーズにマッチしたターゲット層を絞り込む手法のことです。ターゲティングの精度が高いほど、認知拡大やコンバージョン獲得といった成果を得られやすくなります。Instagram広告は、このターゲティングの精度が他のSNSよりも優れていることで知られています。

 

理由としてはInstagram広告は、Meta社が運営するFacebook広告と同じプラットフォームで配信されるからです。Facebookは実名登録が必須の人気SNSで、登録にあたっては氏名のみならずさまざまな個人情報(居住地、出身地、学校、勤務先)などの入力が求められます。個人情報を細かく記載して登録するFacebookデータと連動していることから、ターゲティングの細かい設定が可能になり、高精度のターゲティングを実現しています。

 

Instagram広告では以下の4つのターゲティングが可能です。

 

ターゲティングの種類 ターゲティング可能な項目 内容
ユーザー属性
ターゲティング
  • 年齢
  • 性別
  • 地域
  • 言語
  • 属性(学歴や職業、収入、子供の有無)
  • 興味関心、行動

Facebookに登録したユーザー情報をもとにターゲティングする手法。ターゲット層が明確になっている商材へのPRに効果的。

インタレスト
ターゲティング
【興味・関心】
  • フォローしているアカウント
  • 発見タブでの検索キーワード
  • 使用頻度の高いハッシュタグ
  • いいねやコメント履歴など

 

【行動】
  • アプリのダウンロード
  • 特定の商品ページの閲覧
  • 購買履歴など

検索履歴やフォローアカウント、コメントやいいねなどのユーザーアクティビティをベースに広告を配信する手法。アクティビティは興味・関心と行動の2パターンに分けられます。
ユーザーのアクティビティに基づいて関連度の高い広告が配信されるため、成果につながりやすいのが特徴。

カスタム
オーディエンス
【自社の顧客データ】
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • FacebookのID

 

【Facebookデータ】
  • プロフィールの閲覧
  • フォローアカウント
  • 投稿へのいいね
  • 動画視聴
  • リード獲得フォームの閲覧や入力
  • インスタントエクスペリエンスの閲覧
  • イベントへの参加

自社の顧客データおよびFacebookデータを活用し配信する手法。Facebookデータでは、InstagramやFacebookページでアクションを起こしたユーザーデータから自社の顧客をサーチでき、より見込み客のニーズに即したアプローチが可能です。テキスト

類似
オーディエンス
なし

カスタムオーディエンスをベースに、既存顧客と似た属性を持つ新規顧客を探すための広告手法。
既存ユーザーと似た購買行動を行うユーザーを見つけることで、商品購入に至りやすくなり、ターゲティングの最適化が図れます。

 

それぞれのターゲティングの特性を把握し、適切に設定してリーチ数の向上につなげていきましょう。

ユーザー数が多い

リーチできるユーザー数が多いのも、Instagram広告の特長であるといえます。冒頭でご説明したとおり、Instagramのユーザー数は全世界で月間14億人以上、日本では約3300万人が利用しており、日本だけでも全人口の約4分の1が利用している計算になります。ユーザー数が多ければそのぶん広告も閲覧されやすく、コンバージョンを得られる可能性が高まります。

若年層ユーザーにリーチしやすい

2019年3月時点のInstagramの利用者の属性のグラフ

 

出典:株式会社Glad Cube

 

上記の図は2019年3月時点のInstagramの利用者の属性をまとめたものです。Instagramの男女比は男性が42.3%、女性が54.8%で、女性の利用者が多いことがわかります。年齢別においてはなかでも10代~20代の利用が70%と突出しており、若い世代へのリーチに効果的な広告媒体であることが示されています。

少額から出稿可能

Web広告の出稿費用は高いイメージがありますが、Instagram広告の最低出稿金額は100円からと定められており、少額からスタートすることが可能です。

 

100円で新規獲得やブランディングなどの成果を求めるのは難しいですが、「Instagram広告を出稿予定でお試しで使ってみたい」「低予算から始めて効果を感じたい」という企業にとっては導入ハードルが低く、参加しやすいのがメリットといえるでしょう。

 

出稿金額は自由に設定可能で、あらかじめ設定した金額(予算)にあわせて広告出稿されるため、Web広告の運用でよく見られる「想定よりも広告費がかさんでしまった…」というようなケースはありません。効果検証をもとに予算やクリエイティブもリアルタイムに変更でき、柔軟な運用ができるのも魅力のひとつです。

広告だと認識されにくい

Instagram広告は通常投稿やストーリーズ閲覧の間に表示される、インフィード広告がメインです。インフィード広告は自然な形で広告が差し込まれるため、ユーザーから嫌悪感や違和感を抱かせることなく閲覧されやすい傾向にあります。またターゲティングの精度が高いことから、広告自体に興味を持つユーザーも少なくなく、広告閲覧をきっかけにコンバージョンに至るケースも多く見られます。

 

広告などのPR全般に言えることですが、ユーザーは一度嫌悪感を抱いてしまうと、広告のスキップ機能を利用し非表示にする傾向があります。広告を嫌うユーザーは一定数存在します。広告らしさを感じさせないInstagram広告は優れた販促ツールといえるでしょう。

配信フォーマットが豊富

Instagram広告は4つの配信面と9種類の広告フォーマットを持ち、目的やターゲット層によって使い分けることが可能です。自社商材やサービスにあわせた配信を行うことで、費用対効果の最大化ができます。

5.Instagram広告の課金形態

Instagram広告では、広告の目的にあわせた4つの課金形態が存在しています。それぞれの特徴やメリットを紹介します。

 

課金方式の種類 概要 費用相場 広告の目的
クリック課金
(CPC)

ユーザーが広告をクリックした分だけ課金される課金方法。訴求したい商材やサービスが明確にある場合に有効。

1クリックにつき40円~100円程度
  • 認知度向上
  • トラフィック
  • エンゲージメント
  • リード
  • 売上
インプレッション課金
(CPM)

広告が1000回再生されると料金が発生するタイプの広告で、表示回数が最大になるまで配信されるため、多くのユーザーに広告を見てもらえます。実際の商品購入やサービス問い合わせといったコンバージョン獲得よりも、「商品の知名度を高めたい」などの認知度向上やブランディングに適しています。

500円~1000円/1000回表示
  • 認知度向上
  • ブランディング効果
  • トラフィック
  • エンゲージメント
  • リード
アプリインストール課金
(CPI)

アプリがインストールされた回数によって課金が発生する広告です。インストールが発生した場合にのみ課金されるため、広告の正確な成果を把握できます。

1インストールにつき100円~150円程度
  • 認知度向上
  • アプリインストール数の増加
  • ユーザー獲得
  • エンゲージメント
再生数課金
(CPV)
動画に適応される広告を指し、広告動画が10秒以上、あるいは最後まで視聴されると課金が発生します。こちらもCPIと同じく実際の閲覧数を把握できることから、正確な効果測定を行えます。 1再生あたり4~7円
  • 認知度向上
  • 動画の再生数アップ
  • エンゲージメント

 

このようにInstagram広告の課金形態にはさまざまな形式があり、費用相場も大きく異なります。事前に広告配信を通して得たい成果をはっきりと整理し、適切な広告配信を行っていきましょう。

6.Instagram広告の出稿方法と手順

ここまでInstagram広告の配信面や種類を紹介してきました。続いては実際の広告出稿のプロセスについて解説します。

①事前準備

Instagram広告を出稿するには、以下の3つの準備を事前に行う必要があります。

 

  • Facebookページ(アカウントを作成し、ビジネスアカウントの取得)
  • Instagramアカウント(プロアカウントの設定およびFacebookアカウントとの連携)
  • 広告費用を支払うための支払い方法の設定(クレジットカード、デビットカード、PayPal、銀行振込のいずれか)

 

Facebookアカウントが必要なのは、Instagram広告のメリットでお伝えしたように、Instagram広告はFacebook広告と同じプラットフォームで配信されるからです。またターゲティング精度を高めるためにもFacebookのデータは必要不可欠になります。スムーズな広告配信を行うためにも、上記3点の事前準備は必ずやっておきましょう。

②広告クリエイティブの用意

次に広告配信に必要な広告クリエイティブを作成します。配信面や広告の種類によって入稿規定がそれぞれ異なるため、規定を間違えることがないよう、しっかり確認しておきましょう。

③キャンペーンの作成

広告クリエイティブを作成したら、キャンペーンの作成に入ります。キャンペーンとはキャンペーンとは広告を管理する単位のことです。

 

作成方法は、Instagramのアプリ・Webサイトから作成するパターンと、Meta社が提供する広告ツール「Facebook広告マネージャ」を利用するパターンがあります。どちらからでも広告出稿できますが、Facebook広告マネージャは広告作成・出稿・データ分析の一元管理に加え、同じクリエイティブ、同じターゲティングで同時出稿を行うことができ便利です。

【Instagram】

Instagramのプロフィール画面を開き、「広告ツール」を選択します。「投稿を選択」から使用したい広告クリエイティブを選び、「次へ」をタップ、「キャンペーンの目的」を設定します。

 

キャンペーンの目的は以下の11の目的からひとつ選べます。

 

  • ブランドの認知度アップ
  • リーチ
  • トラフィック
  • エンゲージメント
  • アプリのインストール
  • 動画の再生回数のアップ
  • リード獲得
  • メッセージ
  • コンバージョン
  • カタログ販売
  • 来店数の増加

 

続いて「予算・配信期間の設定」を行います。予算は1日の予算または通算予算(配信期間全体で消化する予算の合計額)から選ぶことが可能です。1日ごとの予算が明確な場合は、前者を選ぶのが好ましいですが、イベントやキャンペーンなど特定の期間を通した予算がある場合は通算予算の選択がおすすめです。設定にあわせて予算が消化するように配信されるので、広告予算のオーバーを防ぐことができます。

 

次は「オーディエンスの設定」を行います。ここでいうオーディエンスとは広告を届けたい相手のことで、ターゲティング機能を利用してアプローチしたいユーザーを設定します。設定によりオーディエンスサイズ、潜在リーチ層、1日推定リーチ数、1日推定クリック数がシミュレーションされます。オーディエンスサイズを狭めるのか、広げるのかによって成果が大きく変わるので、配信規模や商材の種類を見極めながら調整しましょう。

【Facebook】

Facebookマネージャーを開き、「+作成」を押し、キャンペーンの目的を設定します。Facebookではキャンペーンの目的は以下の6つに分かれています。

 

  • 認知度アップ
  • トラフィック
  • エンゲージメント
  • リード
  • アプリの宣伝
  • 売上

 

目的を選択後、「次へ」をクリックし、「広告セット」を設定します。広告セットとは自社で作成した広告をどのようなターゲット層に、どのような方法で何日間掲載するのかなどの広告方針を指定するものです。

 

広告セットを終えたら、Instagram広告出稿と同様、予算と期間掲載、オーディエンスを決めます。

 

広告を掲載したい場所を指定する、「配置」という設定では自動配置される「Advantage+ 配置」が推奨されていますが、Instagram広告のみに出稿したい場合は手動設定する必要があります。フィードやストーリーズ、発見タブ・ホームなどさまざまな配信面への出稿を選択可能です。自社で用意した広告クリエイティブが各配信面の入稿規定に沿っているかどうか、改めて確認しておきましょう。

④広告の設定・掲載確認

すべての設定が終わったら、広告プレビューで表示を確認し、問題なければ支払い方法を追加、公開ボタンをタップすれば完了です。

7.Instagram広告で成果を出すポイント

最後にBtoB企業がInstagram広告で費用対効果を高めるためのポイントを3つご紹介します。

運用目的にあわせた広告出稿を行う

BtoB企業がInstagram広告で効果を出すには、運用目的に沿った投稿が大切です。なぜならば運用目的によって得られる成果が異なるからです。

 

たとえば広告出稿の目的がブランディングであれば、自社について知ってもらうために、従業員の様子や企業理念、オフィス紹介、CSR活動など企業に関する投稿を行い、投稿を閲覧したユーザーが企業に好感や信頼性を抱く内容にします。

 

BtoB企業におけるブランディングは、採用面での効果が高いのが特徴です。自社の理念に共感した求職者からの応募が増え、優秀な人材を確保しやすくなります。

 

あるいは自社商品の購入、サービス申し込みなどのコンバージョン獲得につなげたいのであれば、商品の魅力やサービスを利用することで得られるメリットを全面に押し出し、ユーザーに「この商品(サービス)を使ってみたい」と思わせるような投稿をメインにします。自社商品の認知度が上がるにつれ、コンバージョン率が高くなり、新規顧客の開拓がしやすくなります。

 

このように運用目的によって、得られる成果は大きく違います。出稿前にどのような成果を得たいのかを明確にし、目的にあわせた広告配信を行いましょう。

ターゲットを明確にする

Instagram広告は精度の高いターゲティングが可能ですが、一方でターゲティングがしっかりできていないと、適切なユーザーへ広告配信が行われずに広告費のみがかさんでしまう恐れがあります。費用対効果を高めるためにも、自社商品やサービスを利用するユーザーがどのような属性なのかを明確にし、正しいターゲティングを行うことが重要です。

コンバージョンへの導線設計をしっかり行う

Instagram広告にはショッピングタグやリンク設定、CTAボタンなどコンバージョン獲得につながる機能が数多く用意されています。これらを活用することで、広告を持ったユーザーを自社サイトやECサイトへ誘導し、商品購入やサービスの申し込みといったコンバージョンへとつなげられます。広告で成果を出すうえで、ユーザーにクリックされやすい導線作りは非常に大切です。特に動画広告やカルーセル広告は最後まで閲覧されない可能性があります。広告の最後にCTAボタンやリンクを設置するのではなく、広告の合間に表示するのも効果的です。

PDCAを回す

Instagram広告では、Instagramが公式に提供している分析ツール「インサイト」を利用し、以下のデータを確認できます。

 

  • インプレッション数(すべての投稿が表示された合計回数)
  • リーチ(投稿を閲覧したユニークアカウント数)
  • エンゲージメント(投稿へのいいねやコメント、フォロー、保存などのアクションをしたInstagramアカウントの総数)
  • プロフィールビュー(プロフィールの閲覧数)
  • フォロワー(性別、年齢、位置情報やアクセスの時間帯
  • 保存(投稿を保存したユニークアカウント数)
  • Webサイトクリック数(プロフィールのWebサイトのタップ数)
  • メールアドレスのクリック数(ビジネスへのメール送信のタップ数)

 

「インサイト」は多角的なデータを取ることができ、配信効果を細かく検証することが可能です。これらのデータをもとにPDCAを回し、広告の改善を随時行っていきましょう。広告運用が長いほどデータが蓄積されていき、コンバージョンを高める運用が見えてきます。

 

8.まとめ

本記事では、Instagram広告の概要から出稿手順、成果を出すポイントなどを網羅的に解説しました。

 

Instagramのユーザー数は年々増加しており、若いユーザーのみならず幅広い世代でも利用が広がっています。若年層向けの商品やサービスではなくても、十分効果が期待できる可能性を秘めた広告媒体のひとつです。広告出稿は少額からでも行えるので、ぜひ一度Instagram広告への出稿を行ってみてはいかがでしょうか。

 

ぜひ本記事が貴社のビジネスヒントのお役に立てれば幸いです。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Wed, 07 Feb 2024 12:00:00 +0900
<![CDATA[SWOT分析とは?4つの要素や進め方、ポイントまでわかりやすく解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/swot-analysis SWOT分析とは、自社の強み・弱み(内部環境)と、市場や競争における機会・脅威(外部環境)を分析して、自社の現状と競合他社、市場の将来性を把握するフレームワークです。主に、事業・マーケティングの戦略立案時に使われます。

 

本記事では、SWOT分析を使う目的、分析の仕方やポイントのほか、あわせて使いたいフレームワーク、SWOT分析の事例まで、詳しく紹介します。

 

 

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SWOT分析とは

SWOT分析は、事業・マーケティングの戦略立案時に使われるフレームワークです。
Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの視点から分析を行うため、「SWOT分析」と呼ばれます。
なお、SWOTの読み方は「スウォット」です。

 

ビジネスの計画・戦略を考えるには、自社の現状と競合他社、市場の将来性を把握することが欠かせません。SWOT分析はこれらの要素を一括で把握できる手法として、長年活用されてきました。

 

SWOT分析の図

 

簡単にまとめると、SWOT分析とは「自社の『強み・弱み』といった内部環境と、市場や競争における『機会・脅威』といった外部環境を分析して、強みを活かす、弱みを克服する、機会を捉える、脅威を把握して対処するなどの、計画の策定に役立つフレームワーク」です。

SWOT分析を行う目的

SWOT分析を行うと、現時点での「自社が置かれている状況」「経営を脅かす脅威」「自社の強み・弱み」などが明確になります。そのため、SWOT分析は次のような目的で使われています。

 

  • 事業やマーケティング戦略の立案
  • 組織目標の設定
  • 競合他社や市場の状況を分析
  • ビジネスチャンスを探す

 

さらに、以下のような目的で使うことも可能です。

事業の改善点を見つける

SWOT分析を行うと自社の現状、取り巻く環境といった情報を整理できます。事業に行き詰り解決策を探している場合、SWOT分析を行うことで見落としているポイントや、改善すべき点を探すことが可能です。

 

経営陣の刷新や合併、買収を行うとどのような影響があるのかを調べることもできます。

市場のリスクを把握する

自社がコントロールできない市場や競合他社を分析することで、市場の将来性や新規参入するリスクがわかります。また市場で勝つため、競合他社に負けないために必要な要素が知りたいときにも役立ちます。

 

新商品を発売する場合、新規参入を考える場合に効果的です。

SWOT分析は時代遅れ?

SWOT分析は1960年代ごろに開発された手法です。50年以上に渡り使われ続けているのは、それだけ有用だったからでしょう。しかし近年、時代遅れだという声があがるようになりました。

 

その理由として取り上げられるのが、以下3点です。

 

  • 分析結果を書き連ねるだけで終わってしまう。
  • 経済成長期に使われたフレームワークで、現代の複雑化した市場に合っていない。
  • 現時点のデータによる分析しかできず、わかりきった内容になる。

 

確かにSWOT分析は、顧客ニーズなどの現代ビジネスに必要な思考が入っておらず、情報整理の面が強い手法です。単に情報を書き出すだけでは、役に立たないと思うかもしれません。

 

SWOT分析を活かすには、クロス分析を行う、他のフレームワークとあわせて活用するなど、他の視点を取り入れる必要があります。特に外部環境は可視化しにくく複雑なため、より詳細に分析できるフレームワークとの併用が推奨されます。

 

SWOT分析は「時代遅れ」というよりも、「使いこなすのにコツがいる手法」です。使い方を知っていれば、戦略立案の大きな助けになります。中小企業やスタートアップなどの小規模事業者でも役立ちます。

 

クロス分析のやり方や他フレームワークについては、記事の後半で詳しく説明していますので、参考にしてください。

SWOT分析4つの要素

SWOT分析は、以下4つの要素で構成されています。

 

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

 

では具体的に、それぞれの要素はどういう意味なのかを紹介していきます。

Strength(強み)

自社が持っているもの、組織や社員が持っているもの、そして自社でコントロール可能なもの、活かすべき強みが「Strength(=自社の強み)」です。例えば、以下のような要素が当てはまります。

 

  • ブランド力や知名度
  • 技術力やノウハウ
  • 特許
  • 人脈
  • 顧客満足度
  • 市場シェア
  • サービスの質
  • 営業拠点、研究所などの施設
  • 人材、職場環境

Weakness(弱み)

目標達成の妨げとなっている自社の問題点、克服すべき弱みが「Weakness(=自社の弱み)」です。Strength同様、自社でコントロールできる範囲のものが当てはまります。

 

  • 自社が苦手としているもの
  • 自社技術でカバーできない領域
  • サービスの質
  • 価格
  • ブランド力や知名度
  • 競合他社に比べ弱いもの
  • 必要だがそろっていないもの
  • やる必要があるができていないもの
  • 離職率

Opportunity(機会)

自社でコントロールできない外部環境のうち、自社にとってプラスとなる要因、市場機会などのことです。なお、「外部環境」は「自社や社員を取り巻く環境」を指します。

 

  • 政治
  • 法改正
  • 社会情勢
  • 景気
  • トレンドの変化
  • ユーザーニーズの変化
  • 技術革新
  • 市場の成長、縮小
  • 競合他社の動き

Threat(脅威)

ThreatはOpportunityの反対で、自社でコントロールできない外部環境のうち、自社にとってマイナスとなる要因、回避すべき脅威を指します。特に、「自社の強みを打ち消してしまうような脅威」がThreatです。

 

  • 政治
  • 法改正
  • 社会情勢
  • 景気
  • トレンドの変化
  • ユーザーニーズの変化
  • 技術革新
  • 市場の成長、縮小
  • 競合他社の動き

SWOT分析のやり方

各要素を書き分けられるよう準備しましょう。規模が大きくなると使いにくくなるフレームワークなので、分析は1事業単位で行うのがおすすめです。より詳細に分析したい場合は、他のフレームワークを組み合わせながら進めてください。

1、目的を設定する

「SWOT分析を通して、どうなりたいのか(得たいものは何か)」を明確にしましょう。

 

マーケティング戦略や経営戦略など、分析の目的によって書き出す内容、集めるデータは異なります。また、複数の解釈ができる要素もあります。分析の際に混乱しないよう、フォーカスすべき点を明らかにしてから進めてください。

 

複数人で行う場合は、何を分析するのか、競合はどこか、対象の顧客属性などの前提条件も明確にして、認識に差が出ないようにしましょう。

2、外部環境を分析

外聞環境が内部環境に与える影響は大きいため、まずは外部環境のOpportunity(機会)、Threat(脅威)から分析を進めます。より具体的に分析したい場合は、PEST分析やファイブフォース分析など、外部環境に効果的なフレームワークも活用してください。

Opportunity(機会)

自社にとってチャンスとなる、外部環境の変化・要因を考えます。市場の変化、競合他社の変化など自社を取り巻く環境のうちプラスとなるものを洗い出しましょう。

 

例えば、「自社の近くに大型のテーマパークができた(観光客の来店が期待できる)」「流行色がある(カラーバリエーションを増やせば利益増加が見込める)」などが機会に当てはまります。

 

大きなチャンスは大企業が参入する可能性が高いため、中小企業の場合はニッチなチャンス、新しいニーズの発掘などを目指してみてください。

Threat(脅威)

自社の強みに対して、マイナスの影響を与える市場の変化、競合他社の動きなどを洗い出します。

 

「少子高齢化が進めば商品の売上が下がりそうだ」というなんとなくの脅威ではなく、政治の動きで来年は確実に市場が変わる、早めに改善する必要がある、といった「すぐに対処すべき要素」を書き出しましょう。

3、内部環境を分析

次に、内部環境であるStrength(強み)、Weakness(弱み)を分析します。「強み」としていたものは本当に強みなのか、「弱み」としたものが本当に弱みなのかの根拠も必要です。客観的な数値、データを用いて分析し、要素を抽出してください。

 

詳細に内部環境を分析したい場合は、VRIO分析などのフレームワークを使いましょう。

Strength(強み)

競合他社と比較して、ブランド力や知名度、技術力など、自社でコントロール可能な強み、個々の社員が保有している強みなどを洗い出します。

 

以下の要素も参考にしながら、考えを進めてみてください。

 

  • これまでの取り組みの中で最も効果が大きかったもの
  • 競合他社と比較して優れている点
  • 顧客は自社の何に魅力を感じているのか

 

「強み」と「良い点」は異なります。良い点だとしても、それが顧客のリピート理由になったり収益に影響したりする程度でなければ強みにはなりません。

Weakness(弱み)

目的達成の妨げとなっている、「自社でコントロール可能な弱み」を洗い出します。様々な改善点を書き連ねるのではなく、Opportunity(機会)で分析したチャンスを妨げる要因、目的達成を妨げる要因を考えていくのがポイントです。以下の要素も取り入れて、考えを進めてください。

 

  • 競合他社に劣っている点
  • 社員の離職率・経験年数
  • 顧客の人数
  • 顧客のニーズに対応できているか
  • 顧客のクレームで多いもの

 

「弱み」と「良くない点」がイコールとは限らないので注意しましょう。利益に影響しない、目標に対して弱みにならない場合は「弱み」とは言えません。

 

例:店が汚い
弱みになる場合→ターゲット層が若い女性やカップル。SNSに投稿したくなるようなおしゃれな店を目指している。
弱みにならない場合→「汚い」が店の個性として顧客に受け入れられている。

 

4、クロスSWOT分析で戦略を立てる

要素を掛け合わせる「クロス分析」を行うことで、洗い出した「情報」を「戦略」として考えることができます。クロス分析で、どのような戦略にするか考えたら、具体的なプランや数値目標へ落とし込みましょう。

Opportunity(機会)×Strength(強み)

Opportunity(機会)×Strength(強み)の図

 

機会と強みを掛け合わせると、「自社の強みを活かして、チャンスをつかむためには?」といった戦略が考えられます。強みをさらに強固にさせて、会社を成長させたい場合に役立ちます。

Threat(脅威)×Strength(強み)

Threat(脅威)×Strength(強み)の図

 

脅威と強みを掛け合わせると「脅威を、自社の強みを使ってどのように克服していくのか、どのように乗り越えるのか」などを検討できます。主に差別化戦略の立案に使われる分析方法です。

 

脅威はチャンスになる場合もあります。脅威への立ち向かい方とともに、ビジネスチャンスを探してみるのも良いでしょう。

Opportunity(機会)×Weakness(弱み)

Opportunity(機会)×Weakness(弱み)の図

 

機会と弱みを掛け合わせると、「自社の弱みをどう補強して、機会をつかむのか」「弱みで機会を逃さないために、やるべきこと」などが考えられます。

 

「長期的な視野で売上を伸ばしていくために改善すべきこと」などを考える際に役立つ分析方法です。

 

弱みを強みに変えるには?など、柔軟な思考を取り入れて考えてみてください。

Threat(脅威)×Weakness(弱み)

Threat(脅威)×Weakness(弱み)の図

 

脅威と弱みを掛け合わせると、「自社の弱みを理解し、脅威によるリスクを最小限に抑えるためにすべきこと」が検討できます。戦略的撤退、事業縮小などを考える際に使われます。

 

脅威と弱みが合わさると、事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。最悪の状況を避けるためにもしっかりとした議論が必要です。

SWOT分析のポイント

SWOT分析を行う際に意識したいポイントを紹介します。

要素の定義を明確にする

「強み」と「良い点」、「弱み」と「良くない点」は異なります。違いを区別できないと、効果的な分析はできません。

 

また機会といっても、それが「目標に対する機会」になるとは限りません。脅威も同様に、本当に脅威に分類すべきものなのか考える必要があります。

 

要素の定義を明確にしてから分析を進めてください。

具体性を高める

適切な戦略立案のためには、それぞれの要素に根拠が必要です。「これが強みだ!」と思っても、一度「なぜ強みと言えるのか」「こうなったら本当に強みと言えるのか」など、問いかけてみるのがおすすめです。

 

何度か問いかけを行うことで、曖昧な要素が具体的で根拠のあるものへと変わっていきます。

要素を混同させない

機会と強み、脅威と弱みは混同しやすい部分です。どの項目に入れたら良いのか迷ったら以下を参考にしてください。

 

  • 強み・弱みは自社でコントロールできる内部のこと
  • 機会・脅威は自社でコントロールできない外部のこと

表裏一体の要素は無理に分類しなくても良い

各要素は見方によって、強みにも弱みにも、機会にも脅威にもなる場合があります。どちらとも言い切れない、分類できない要素があれば無理に分ける必要はありません。

 

あらゆる要素を書き出しておけば、戦略立案の際に広い視野を持って判断できるでしょう。

 

要素を洗い出す際は、始めから厳選していくのではなく、様々な可能性を洗い出して、その中から必要な要素を絞り込んでいくと、抜けのない分析ができます。

複数人で議論しながら進める

広い視野で分析を行うには、複数人で進めるのがおすすめです。分析者の立場によって考え方は異なります。多種多様な立場のメンバーを選べば、様々な視点での解釈が得られるでしょう。

 

また主観の強い情報や都合の良いデータばかりを集めないように、議論をしながら進めるのもポイントです。広い視野を持ちながら、正確で客観的な情報収集を意識してください。

SWOT分析の注意点

要素を洗い出す場合は時間をかけすぎず、始めに決めた目的に沿ったもの、具体的な対策が必要なものなどから書き出して行きましょう。

 

一つひとつ分析を進めるのではなく、一旦全ての考えを書き出してみてから、要素ごとにグループを分けて、文章として整える、といった流れも効果的です。やりやすい方法で進めてください。

 

SWOT分析はクロス分析や要素の組み合わせにより、様々な戦略を検討できます。戦略立案の際はひとつに決め打ちをせず、いくつか考えたうえで、最適なものを絞り込むのがおすすめです。複数の戦略を検討することで、様々な可能性を考慮しながら施策を進められます。

SWOT分析のメリット

自社の強みと弱み、機会や脅威を把握できます。自社を取り巻く環境が多角的・客観的に判断できるのがSWOT分析のメリットです。

 

また、各要素は図で簡単にまとめられます。共有がしやすいため、社員が自社の強み、弱みや外部環境を共通認識として浸透させられるのもメリットです。自社を取り巻く要素が明確になるので、強みを活かした戦略、弱みを補う施策の立案などに役立ちます。

SWOT分析のデメリット

SWOT分析は全てを把握するフレームワークではありません。分析の結果はビジネス、市場の一部分です。抽出した結果だけで判断するのは避け、他の思考と組みあわせるのをおすすめします。
SWOT分析の結果は「戦略の立案を助ける要素」になりますが、「正解を導き出すものではない」ことは覚えておきましょう。

 

強みと考えるのか、弱みと考えるのかは人により解釈が異なります。偏った視点で判断してしまうと、正確な分析にならないのもデメリットです。

 

偏った情報や的外れなデータを取り入れてしまうこともあります。誤った情報を収集した場合、良い戦略は生まれません。より良い結果を手に入れるためには、目的に合致した正確な情報収集が必要です。

SWOT分析に役立つフレームワーク

ここでは外部環境を分析する際に役立つPEST分析、ファイブフォース分析、3C分析、内部環境を分析する際に役立つVRIOについて紹介します。

PEST分析

PEST分析の図

 

PEST分析は、政治・経済・社会・技術の4つの脅威が、自社に与える影響を洗い出すフレームワークです。マクロな視点で自社を取り巻く環境を分析します。

 

マクロ環境分析:間接的に、自社へ影響を与える外部環境を分析
ミクロ環境分析:直接的に、自社へ影響を与える外部環境を分析

3C分析

3C分析の図

 

3C分析は、Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)を分析し、自社を取り巻く業界環境、マーケティングに関する重要情報を整理するフレームワークです。ミクロな視点で、自社を取り巻く環境を分析します。

ファイブフォース(5フォース)分析

ファイブフォース(5フォース)分析の図

 

ファイブフォース分析は外部環境である「脅威」を分析する際に役立つフレームワークです。自社を脅かす要素を5つに分類し、それぞれの要素が自社にどのような影響を及ぼすのかを分析します。

 

  • 同業者の脅威
  • 代替品の脅威
  • 新規参入者の脅威
  • 買い手(顧客)の交渉力の脅威
  • 売り手(サプライヤー)の交渉力の脅威

VRIO分析

VRIO分析の図

 

VRIO(ブリオ)分析は、内部環境である自社の強み・弱みを分析する際に役立つフレームワークです。自社の経営資源を有形資産、無形資産、企業の組織力などから分析し、強みと弱み、競合他社に比べて優れている点などを明らかにします。

 

  • Value(経済価値)
  • Rareness(希少性)
  • Imitability(模倣可能性)
  • Organization(組織)

SWOT分析の事例

Apple(iPhone)、スターバックス、オリエンタルランド(東京ディズニーリゾート)のSWOT分析例を紹介します。

Apple(iPhone)

日本国内で大きなシェアを誇るAppleのiPhone(スマートフォン)について、SWOT分析を行いました。

Strength(強み)

iPhoneの強みは、高い品質とデザイン、セキュリティ面での信頼性が挙げられます。特にビジネス利用においては、セキュリティやプライバシーの保護が重視されるため、iPhoneの利用が好まれています。

Weakness(弱み)

iPhoneは価格が高く、一部のユーザーにとっては敷居が高いという弱みがあります。また、Androidスマートフォンに比べてカスタマイズ性が低いという面も指摘されています。

Opportunity(機会)

ビジネス向けや高額機種の需要が増加しており、これに対応した新製品やサービスの展開が可能です。また、5G通信の普及により、高速・高品質な通信環境が整い、新たなサービスの提供が期待されています。

Threat(脅威)

Androidスマートフォンの多様な価格帯やカスタマイズ性の高さが、一部のユーザーにとって魅力的な選択肢となり得るため、競争が激化する可能性があります。また、他のスマートフォンメーカーが新しい技術やサービスを提供することで、市場シェアを脅かす可能性もあります。

スターバックス

コーヒーチェーン店を運営するスターバックスについて、SWOT分析を行いました。コーヒーチェーン市場は日本国内で競争が激化しており、スターバックスを含む各社が独自の強みを持ちながらシェアを競っています。

Strength(強み)

世界的に有名なブランドであり、その知名度と信頼性が強みです。また、店舗数や多様なメニュー展開により、幅広い顧客層に対応できます。

Weakness(弱み)

競合他社に比べ高価格帯であることから、価格競争において劣る面があります。また、日本国内の伝統的な喫茶文化には沿っていない点が弱みになるかもしれません。

Opportunity(機会)

新たなコンセプトの店舗やサービスの展開により、顧客獲得やファンを増やす機会を持っています。また、地域密着型の戦略や環境配慮型の取り組みにより、新たな市場開拓の可能性があります。

Threat(脅威)

スターバックスは、ドトールコーヒーやタリーズコーヒー、コメダ珈琲店など、日本国内外で多くの競合他社と競り合っています。特に価格競争や新規参入の脅威、市場シェアの維持・拡大が課題となります。

オリエンタルランド

日本国内で最も知名度の高いアミューズメントパークの1つである東京ディズニーリゾートについて、SWOT分析を行いました。

Strength(強み)

東京ディズニーリゾートの強みは、豊富なコンテンツとエンターテイメント性です。ディズニーブランドの人気や、独自のイベント・パレードなどが大きな魅力となっています。

Weakness(弱み)

入場料や周辺施設の価格が高めであるため、一部の層にとって敷居が高いという課題があります。季節や天候に左右されやすいビジネスモデルを持っており、需要の変動に対応する必要があります。

Opportunity(機会)

日本国内の観光業が成長している中で、訪日外国人客の増加や国内需要の拡大が見込まれます。地域活性化や周辺施設の充実など、付加価値の高い施策により、顧客層の拡大やロイヤルティの向上が期待されます。

Threat(脅威)

日本国内のアミューズメントパーク市場でトップシェアを誇っていますが、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)やバンダイナムコアミューズメントなどの競合施設との競争が激化しています。

SWOT分析で行う自己分析

ビジネスで使われるSWOT分析ですが、自分の短所と長所、社会の状況が自分にどう影響するのかを客観的に分析できる、「自己分析の手法」としても注目を集めています。

 

主に、就活や転職において、自分の軸を明確にして合う仕事を探したり、キャリアデザインを設計したりする目的で活用されます。

自己分析のやり方

やり方はビジネスと同様。規模を個人にするだけです。強み・弱み・機会・脅威の4つの要素を洗い出します。各要素を掛け合わせて分析を行うのもおすすめです。

 

例えば、以下のような強み・機会があったと仮定します。

 

強み:ファッションが好き。ブログやSNSをよく見ており、流行を常に追っている
機会:美容・ファッション雑誌がウェブサイトをオープンし、人員を募集している

 

強みと機会を組み合わせることで、自分に合う仕事、活躍できる場を想定できるでしょう。

まとめ

SWOT分析は「使いこなすのにコツがいる手法」です。実践するうえで特に意識したいのは、「分析の目的と各要素の定義を明確にしてから進める」「強みと良い点、弱みと悪い点を混同させない」「客観的データ、根拠を集める」「広い視野を取り入れて進める」「他のフレームワークを取り入れる」など。ぜひ、参考にしてください。

 

 

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  • この記事を書いた人
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    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Wed, 07 Feb 2024 08:00:00 +0900
<![CDATA[データドリブンとは?意味や導入ステップ、成功に導くツールをご紹介!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/what-is-data-driven データドリブンとは、データ分析の結果をもとにビジネスの意思決定を行うことです。モノや情報があふれ、人々のニーズが多様化している現代では、データから得られる洞察を施策や戦略の立案、企業指針に活かすことがより重要になってきました。

 

ただ、比較的新しい概念のため「データドリブンにはどんなメリットがあるの?」「どのように導入すればいいの?」と思う方も多いのではないでしょうか。

 

そこで本コラムでは、データドリブンの意味やメリット・デメリット、導入ステップなどをまとめて解説していきます。

 

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データドリブンとは

データドリブン(Data Driven)とは、収集したデータに基づいてビジネスの意思決定をする手法のことです。日本語では「データ駆動」と訳され、「データに駆り立てられて動くこと」といった意味を持ちます。

 

いままでのように経験や長年の勘に頼るのではなく、日々生成されるビッグデータを分析して経営やマーケティングに活用します。

 

一見、「IT化とどう違うの?」と感じる方も多いかもしれませんが、データドリブンはデータに基づいた仮説を立てることで、高い精度の意思決定が可能になるため、多くの企業が重要視しています。競争力を磨いていくうえで、不可欠な手法といえるでしょう。

データドリブン経営

データをもとに、企業の戦略や施策方針を決定する経営方法を「データドリブン経営」といいます。経営者などの主観を含めず、客観的な視点で意思決定できるため、より顧客のニーズに合った精度の高い戦略が打ち出せます。

データドリブンマーケティング

データドリブンマーケティングとは、売上やユーザーの行動履歴などデータを重視したマーケティング活動です。データを根拠にしたマーケティング施策は、上層部をはじめとした関係者の理解が得やすく、成果にもつながりやすいなどさまざまなメリットがあります。

 

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データドリブンが重要視されている理由

では、なぜデータドリブンが注目されているのでしょうか。その背景についてご説明します。

日本企業のDX推進

近年、テクノロジーの進化や市場のグローバル化で、企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)化が急務とされています。DXとは、デジタル技術を活用して自社の競争力を高め、ビジネスを変革していくことです。従来のアナログからデジタルへと移行して、企業の競争優位性を向上していきます。

 

このDX化の中心となるのが、データドリブンへの取り組みです。社内のシステムを構築し、データの集約、分析、ツールの導入などを推進することで、DXによる変革も加速します。このように、データドリブンとDX推進は密接な関係にあり、多くの企業が注力するようになりました。

購買モデルの多様化

従来の消費者は、店舗に足を運んで商品を購入していましたが、いまではオンライン上でショッピングを楽しむ顧客が増えています。直接、店舗で顧客と対話をすれば、何を目的に来店しているのか、経験からある程度予測できるかもしれません。しかしいまは、市場変動が早いこともあり、勘や経験だけを頼りにするのが難しくなっています。

 

また、消費者は事前にSNSや口コミで、商品を調べてから購入するなど、購買モデルは年々多様化しています。
データドリブンは、データ分析で市場をリアルタイムに可視化でき、顧客ニーズを把握することが可能です。そのため、顧客満足度の高いサービス提供への活用が期待されています。

デジタルマーケティングの普及

デジタルマーケティングの発展により、企業ではデータを活用して施策を考えたり、課題を明確にしたり、費用対効果の高い戦略につなげられるようになりました。

 

たとえば、かつてアンケートやコールセンターで集めていた顧客の声は、SNSやレビューサイトで確認できます。「自社サイトにどのくらいのユーザーが訪れているか」ということもデジタルツールを使えば簡単に把握可能です。データから改善点を見つけたり、確度の高いホットリードを抽出してアプローチすることもできます。

 

このようにデータ収集の技術が向上したことも、データドリブンをビジネスに活かしていく考えにつながっています。

AIによるデータ分析の進歩

AIによるデータ分析が身近になったことも、データドリブンが注目されている理由のひとつです。AIシステムを活用すれば、短時間で高精度のデータ分析が可能になり、業務の効率化や生産性の向上が期待できます。ビッグデータの分析も容易となり、AIの普及がデータドリブンの実現を強化しています。

 

また、AI分析で人為的ミスや人件費も削減可能です。人的負担も軽減するので、人手不足に悩む多くの企業がデータドリブンの活用を重視するようになっています。

データドリブンのメリット

データドリブンには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つのメリットについて解説します。

顧客ニーズを把握できる

データドリブンは大量のデータを活用して、顧客を細かく分類できるため、顧客のニーズを正確に把握し、個別のアプローチが可能となります。近年、注力されている1to1マーケティングに活用して顧客との関係を深め、満足度向上につなげることができるでしょう。

 

また、データ分析によりトレンドやニーズの変化も早期に捉えられ、顧客の新たなニーズや市場の変動へも柔軟に対応できます。顧客ニーズの把握は、企業にとって競争優位性を築くための不可欠なステップです。データを活用して顧客の期待に応え、ビジネスの成果を最大化しましょう。

意思決定の精度が高まる

データドリブンを活用すれば、勘や経験に頼るのではなく、データに基づいた客観的な判断ができます。そのため意思決定の精度が高まり、そのスピードも向上します。経験やノウハウがなければ、周囲を納得させられなかった場面でも、データドリブンなら数値的な根拠があるため理解してもらいやすくなるでしょう。

 

グローバル化が進み、経営層はスピーディな意思決定を求められています。いままでは長年の経験をもとに経営判断をする場面が多くみられましたが、経験が浅くてもデータを利用すれば素早い判断が可能になります。

課題を発見しやすい

ボトルネックがどこにあるのかを発見するのには時間がかかりますが、データドリブンを実践すれば、取得したデータから課題を浮き彫りにできます。
データに基づいた分析で、隠れていた課題を見つけられる可能性も高まります。予測分析を活用すれば、将来のボトルネックを予測し、事前に対策を講じることも可能です。

データドリブンのデメリット

一方、データドリブンのデメリットとしては以下の3つが挙げられます。

データを扱うスキルが求められる

データが集約できても、それを読み込み、分析できなければ宝の持ち腐れです。データドリブンでは膨大なデータを扱うため、蓄積・分析・可視化などデータを扱う高いスキルが求められます。また、分析した結果を施策に反映させるため、データ分析に強い人材も必要です。

 

しかし最近は、デジタル人材の不足が問題視されているため、確保するのは難しい状況です。社員の育成や外部への業務委託も検討しておくとよいでしょう。

インフラ整備のコストがかかる

データドリブンをはじめるには、データ収集・分析をするためのシステムやツールの整備が必須です。サーバーやデータベースの導入、保守、アップデートなどにかかるコストは、予算に影響を与える可能性があるので、事前に見積もっておきましょう。

 

クラウドベースのツールなら初期費用を抑えつつ、機能を柔軟に拡張できます。データドリブンのメリットを最大限に引き出すためには、コスト面にも注意を払いつつ、戦略的かつ効果的なデータインフラの整備を行うことが重要です。

データ活用までに時間がかかる

データドリブンの活用には、十分なデータ収集と整理をするための時間やリソースが必要です。既存のデータインフラを整備し、データの品質向上を推進するには、組織全体でのデータの一貫性を確保するための計画と実装が重要になります。データに基づく意思決定を浸透させるには、データの価値を理解するための社内教育やコミュニケーションの改善が欠かせません。

 

このようにデータドリブンは、成果を実感するまでに時間がかかります。ただし、適切なステップを踏み、継続的な取り組みを行うことで成功体験が積み重なり、データドリブンの組織づくりが実現するでしょう。

データドリブンで成果を出すための基本の4ステップ

データドリブンを成功させるには、以下の4ステップを実践し、継続的に進めることが重要です。

ステップ1:データの収集

まずはデータを収集する仕組みづくりからはじめます。ただし、データにはさまざまな種類があり、すべてを収集するのは現実的ではありません。どの領域でデータドリブンを導入するのかを、事前に決めることが大切です。データを活用して何を達成したいのか、何を目的にするのかを明確にします。

 

たとえば、データドリブンをWebマーケティングに活用する場合は、ダウンロード数やCV(コンバージョン)数を集めるなど、サイトから商談化、売上へとつながるデータを集約します。収集するデータが決まったら、業務システムやデータ管理ツールなどを活用して情報を蓄積していきましょう。

ステップ2:データの可視化

データを集めたら、分析するために可視化します。種類ごとに分類して、わかりやすく表やグラフにしましょう。Excelなどを活用して手作業でも行えますが、ビッグデータになればなるほど整理には膨大な時間がかかります。人為的ミスを防ぐためにもサポートしてくれるデジタルツールの導入がおすすめです。

ステップ3:データ分析

可視化したデータを目的に合わせて分析します。最大値や最小値、平均値など数値的な分析はもちろん、データからわかる傾向や変化なども分析できれば、新たな戦略の発見につながります。

 

データの分析は、マーケティングスキルの高い「プロジェクトマネージャー」や「データサイエンティスト」と呼ばれるデータ分析に強い人材が行えると理想的です。人材が不足し、分析が思うように進まないときは、Web解析ツールなどを利用したり、外部のコンサルティングを受けたりする方法もあります。

ステップ4:アクションプランの計画・実行

分析が完了したら、具体的なアクションプランに落とし込みます。施策は、すぐに実行できるものもありますが、Web広告の出稿などコストがかかるものもあります。費用対効果を考慮しながら施策を選定し、経営改善につながるプランを実行しましょう。成果が出ない場合は、PDCAサイクルをまわしながら改善を図ります。

データドリブンを成功させるための注意点

データドリブンで成果を出すためには以下のポイントに注意しましょう。

デジタル人材の確保

先述したとおり、効果的なデータドリブンを実現するためには、データ分析・処理ができる人材が必要です。せっかくデータを集めても、活用できなければ意味がありません。データを読み込んで分析したり、わかりやすくデータをまとめたり、データを扱うスキルが求められます。

 

データドリブンの概念が経営層に浸透していない場合は、分析結果をわかりやすく説明できるビジネス全般への理解も重要になります。人材が確保できない場合は、ツールの導入や社員の育成、外部からのリクルートなどの環境づくりを行いましょう。

部署間の連携

社内の連携が取れていないとデータ分析ができる人材をそろえたとしても、管理不十分で成果が得られないかもしれません。テクノロジーの急速な普及に伴い、段階的にツールを増やしていった結果、データが分散してしまっているケースもあります。その場合、状況把握や準備をするだけで手間がかかり、分析する前に挫折してしまう可能性があります。

 

スムーズなデータ分析を進めるためにも部署間で協力し合い、データを一元管理することが不可欠です。また、経営層がデータドリブンを理解していないと、アクションプランが実行できないので、企業全体のデジタル化も同時に推進していきましょう。

目的と費用対効果からツールを選定

ツールを選定する際は、達成したい目的を洗い出し、その上で費用対効果を確認してから選定しましょう。

 

現在、多くのビジネスツールが登場していますが、一般的には利用人数や機能などによって料金が変動します。必要な機能がそろっているかを確認し、選定したツールが投資に見合う価値を提供してくれるか、長期的な視点での費用対効果を重視します。
はじめてデータドリブンを実施する場合は、安価なツールからスタートして、データ運用に慣れることからはじめてもよいでしょう。

データドリブンに役立つデジタルツール

ここからは、データドリブンをサポートしてくれるデジタルツールをご紹介します。

DMP(データマネジメントプラットフォーム)

DMP(Data Management Platform)とは、Web上の行動履歴やSNSデータ、自社の顧客情報、購買履歴など多種多様なデータを一元管理できるツールです。データを収集して整理、解析し、ターゲティングや広告の最適化に活用できます。

 

DMPは、主に第三者が集めた「3rd party データ」といった行動データが収集できる「オープンDMP」と、自社データと外部データを一元管理できる「クローズDMP」の2つに分けられます。これらのデータをマーケティングツールと連携すれば、顧客のニーズに合わせた1to1マーケティングが実現可能です。

MA(マーケティングオートメーション)ツール

MA(マーケティングオートメーション)とは、見込み顧客を獲得してから、育成し、商談化するまでのマーケティング活動を自動化することです。そのプロセスをサポートするのがMAツールです。

 

たとえば、見込み客の検討段階がわからないままでは、的外れなタイミングでアプローチをしてしまうかもしれません。MAツールで行動ログに合わせた情報を提供すれば、機会を逃さずに購買意欲が高められます。

 

MAツールの利用で、「顧客情報のリスト化」「セグメントメール」「ホットリードの抽出」など一連のリード育成ステップが自動で進められ、マーケティングや営業活動の効率化、生産性の向上が実現します。

 

MA(マーケティングオートメーション)ツール

 

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SFA(セールスフォースオートメーション)

SFA(Sales Force Automation)とは、営業活動を効率化し、生産性を向上させるためのシステムのことで、日本語では「営業支援システム」と訳されます。SFAシステムには、顧客管理、商談管理、活動管理、レポート作成などさまざまな機能が搭載されており、導入することにより営業プロセスの自動化、管理、最適化が実現可能です。

 

営業に関するすべての情報を一元管理できるので、情報の抜け漏れを防いで迅速な意思決定が行えるようになります。

 

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CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)

CRM(Customer Relationship Management)とは、日本語で「顧客関係管理」と訳され、顧客情報や行動履歴などを管理して、顧客との関係を強化する戦略やシステムのことを指します。

 

CRMツールを導入すれば、顧客のニーズや行動をより深く理解でき、効果的なマーケティング戦略が立てられます。CRMに蓄積された顧客の購買履歴や嗜好など、詳細な情報をもとに個別のコミュニケーションを取ることで、顧客との信頼関係を構築でき、顧客満足度を高められるでしょう。

 

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アクセス解析ツール

アクセス解析ツールは、Webサイトのアクセス数や流入経路、滞在時間などユーザーの行動に関するデータを収集・分析できます。ツールを活用することで、訪問者の傾向やニーズがわかり、生産性が高いのはどのコンテンツか、どのページを改善すべきかなどユーザー体験向上のヒントが手に入ります。

 

また、アクセス解析をすることで、オーガニック検索(自然検索)が多いのか、広告からの流入が増えたのか、ユーザーの流れがリアルタイムで追跡可能です。SEOを強化したい場合も、キーワードがどのように影響しているのかわかるため、改善点を見つけられます。

BI (ビジネスインテリジェンス)ツール

BI(Business Intelligence)ツールとは蓄積したデータを集約し、可視化、分析するツールです。顧客情報や経営数値など、社内に分散したデータをまとめて意思決定や課題解決を支援してくれます。

 

代表的な機能は、「レポーティング」「OLAP分析」「データマイニング」「プランニング」の4つです。レポーティングでは、収集したデータをグラフや表などでわかりやすく表示。会議資料や成果報告などのレポートとして日常的に使用できます。
OLAP(Online Analytics Processing)分析は、データをさまざまな視点から多角的に分析する機能です。同一データを複数の角度から分析して現場を把握し、課題を見つけます。

 

BIツールを活用すれば、経営層はビジネスの意思決定が早くなり、データに基づいた精度の高い戦略が打ち出せます。現場においては課題が把握しやすくなり、マーケティング立案が迅速に行えるでしょう。

 

まとめ

データドリブンは、企業がデータを活用し、意思決定をより合理的かつ効果的に行うアプローチです。購買パターンやニーズの多様化など、ビジネス環境が急速に変化している現代では、長年の勘に頼るのではなく、データを活用した高精度の戦略が求められています。

 

データの価値を最大限に引き出すには、ビジョンと目標を確立し、組織全体でのデータ活用に取り組む体制づくりが成功のカギとなります。ビッグデータを扱うため、デジタルツールの導入も不可欠です。ツールやAIを組み合わせることで、データの複雑さに対処し、リアルタイムでの意思決定が実現します。

 

MAツールやDMP、BIツールなどサポートしてくれるツールを上手に活用して、効率的にデータドリブンのプロセスを進めましょう。

 

  • この記事を書いた人
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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Fri, 26 Jan 2024 09:00:00 +0900
<![CDATA[ターゲティングとは?戦略的ターゲット設定の仕方や目的、フレームワークをご紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/targeting ターゲティングとは、自社の製品やサービスを、「どのような顧客」に買ってもらうかを決めるプロセスのこと。ターゲティングはビジネスを成功させるうえでのスタートラインでもあり、ターゲティングの策定をどのようにおこなうかによって、マーケティング戦略も大きく変わってきます。

 

ターゲティングをするうえで市場を理解するためには、STP分析と6Rフレームワークを活用します。STP分析では市場を細かく分け、ターゲットを絞り込んで差別化する一方で、6Rフレームワークは認識から戦略のレビューまでの手順を提供します。

 

さらに具体的な成功事例を実戦に落とし込むことで、ターゲティングをより効果的なものにブラッシュアップすることが可能です。本記事では、ターゲティングの基本から、STP分析と6Rフレームワーク、活用ポイントに事例まで網羅的に解説します。

 

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ターゲティングとは

ターゲティング(Targeting)とは、自社の商品やサービスを、どのような顧客に売るかを決めるプロセスのことを指します。市場を細分化し、そのなかで自社がターゲットとする市場を選ぶことを表すマーケティング用語・マーケティング戦略です。

 

市場には年齢や性別・仕事などが異なる、さまざまな顧客層が存在します。すべてのお客様をターゲットにしてしまうと、ひとつの商品やサービスですべてのニーズに答えることは難しく、戦略もあいまいになってしまいます。

 

そこでターゲティングを行い、市場をいくつかのグループに分け、ターゲットを一部の顧客層に絞り込むことで、特定のニーズを満たせる商品やサービスを提供できるようになります。自社の商品やサービスが勝てる市場を選ぶことで、戦略を最適化することができます。

 

さらに、ターゲティングを進めるうえでは、マーケティングの代表的なフレームワークである「STP分析」も重要です。STP分析とは、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」それぞれの頭文字をとったマーケティング用語で、3ステップで市場を分析する方法です。次の章からはSTP分析について詳しく説明していきます。

マーケティング戦略(STP分析)の流れ

STP分析とは、「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」それぞれの頭文字をとった、マーケティングにおける分析方法です。マーケティングの神様とも表される経営学者フィリップ・コトラー氏によって提唱されたフレームワークで、市場における自社商品の立ち位置を明確にする目的で使われます。

 

そもそもターゲティングは単体で機能するものではありません。STP分析の流れに沿って自社の商品やサービスを分析し、マーケティングの戦略に反映することで、初めて売上拡大といった成果に繋げることができます。またSTP分析で重要になるのは、顧客目線です。ユーザーニーズを正しく理解したうえで、STP分析に取り組むことで、ターゲティングはより具体的で有用なデータとなります。

 

ここではSTP分析を構成する3つの要素「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」についてそれぞれ解説します。

セグメンテーション

セグメンテーションとは、「市場の細分化」という意味です。市場を分類し、その構造を把握するプロセスを指します。

 

市場の分類方法としては、顧客の属性、たとえば年齢や居住地、過去の行動ログなど、さまざまな評価軸が使われます。

 

セグメンテーションは次のステップであるターゲティングをおこなううえでも、土台となるプロセスです。セグメンテーションをどうおこなうかによって、マーケティング戦略やその成果に大きく影響するため、慎重に進める必要があります。

ターゲティング

ターゲティングは、セグメンテーションによって分類された市場のなかから、自社製品が勝負するグループを決めるステップです。

 

ターゲティングをおこなううえでは、自社製品だけでなく、おなじ市場をターゲットとする競合他社・ライバル社を調査し、比較する必要があります。そのうえで、自社の強みが求められるグループを特定し、また競合に対して差別化をすることが必要不可欠です。

 

正しくターゲティングをおこなうことで、市場で得られる成果を最大化することができるため、重要なステップといえます。

ポジショニング

ポジショニングは、ターゲティングで決定したグループに対してどのような価値や魅力を提供するかを決めるプロセスです。

 

ポジショニングではとくに、競合他社との差別化を重視します。同系統の製品やサービスであっても、ライバル企業とは異なる部分を抽出して差別化をし、アピールポイントを確立することがカギとなっています。

 

自社製品を分析して、ターゲットとするグループが求める価値や魅力を可視化すれば、自社の製品を唯一無二の存在としてブランディングすることができ、具体的な広告媒体や、商談のプロセスに反映させることが可能です。

ターゲティングの重要性

近年市場は飽和状態にあり、製品の性能だけでは訴求力に欠ける、というのが現状です。このような状況下で、ターゲティングはますます重要性を増し、注目を集めるようになりました。

 

モノ・情報ともに飽和したマーケットで、より売り上げを伸ばしていくためには、マーケティング活動の最適化が必要です。そこで必要となるのが、営業から集客、販売促進の基本であるターゲティングの精度を上げ、特定した顧客層の興味を惹きつけるコンテンツを作成し、自社製品のブランド性を高めていくことです。

 

またマーケティング戦略を強化するためには、ターゲティングを通じて顧客のニーズを繰り返し分析することや、製品を顧みることで改善する施策も必要になります。

 

先に述べたSTP分析をおこなううえでも、ターゲティングは最も重要な要素ともいわれています。ターゲティングのステップを怠ることで、広告販売戦略における費用対効果が低下したり、市場における競争優位性を失ったり、ということにも繋がりかねません。ターゲティングを正しくおこなうことで、マーケティング施策の効率化、成果向上を目指しましょう。

小規模なターゲティングでビジネスをより効率化できる

ターゲティングは、企業全体の市場戦略において重視されていますが、実際にはより小規模な範囲でのターゲティングは、ビジネスにおいて非常に有益であることがわかっています。

 

たとえば製品開発者は、ターゲティングによって目的の市場や顧客層を明確にすることで、開発のうえでの重要なヒントを得ることができます。

 

同様に

  • マーケティング担当者が新たな広告施策を打つとき
  • 人事担当者が特定のスキルや経験を持つ人材に的を絞ったリクルート戦略をおこなうとき
  • イベントプランナーが参加者のニーズを満たす体験を提供するとき

など、ターゲティングは成功のための足掛かりとなるはずです。

ターゲティングの精度を上げるフレームワーク「6R」

ターゲティングによってビジネスの成果をあげるうえで、非常に重要視されているのが「6R」フレームワークです。

 

「6R」という名前は、それぞれの頭文字をとってつけられたものです。「6R」フレームワークを活用することで、ターゲティングの精度をさらに上げることができ、ビジネスの成功に寄与します。ここでは、このフレームワークの6つのステップを順に解説します。

市場規模の有効性(Realistic Scale)

ひとつめの「Realistic Scale」は、直訳すると「現実的な規模」という意味で、ターゲティングの対象となる市場規模が、有効であるかを検証するための枠組みです。

 

市場についてのより正確な情報を得るには、各省庁、業界団体、民間調査会社などが公表しているデータを活用します。売上高は、対象市場の規模に比例して高くなる一方で、市場規模が大きいほど競争が激化する傾向にあるため、市場規模に応じて、競争状況に留意しましょう。

 

「Realistic Scale」を通じて、今よりも規模の小さい市場を選ぶことで、マーケティング活動でより大きな効果を得られることもあります。また数が少ないことから重要視していなかった、少数派の顧客層のニーズに焦点をあてることで、高いシェアを獲得することも可能になります。

 

しかしながら、市場規模が小さくなるほど利益も減少するため、製品やサービスの販売見込みや、かかるコストに対して、市場規模が見合っているかを常に確認する必要があります。業界や市場において効果的かつ持続可能な成果を得るためには、バランスのとれた市場規模の見極めが肝要となるのです。

成長性(Rate of Growth)

「Rate of Growth」は「成長率」を表し、ターゲティングの対象となる市場の成長率・成長性を分析するフレームワークです。このアプローチでは、市場の売上高やシェア、市場のトレンドや製品のジャンルを把握することで、将来の成長性を分析します。

 

将来的に成長が見込まれるマーケットであれば、早期の参入によって、先行者利益を得られる可能性が大きくなります。確実に成長するといえない場合でも、新しいマーケットであるほど、今後の期待値を高く評価します。

 

ただし、すでに成熟・衰退していて成長が見込めない市場や、たとえ規模が大きくて競合が少なくても数年で衰退してしまうような市場は、慎重に選定しましょう。一方で、市場そのものが衰退しているとはいえ、自社製品がマーケットを独占できる可能性がある場合や、関連性のあるマーケットに展開することでほかの市場も狙える場合は例外です。そのため、成長性を正しく見極めるためには、長期的な視点も必要になります。

 

いまは規模が小さい市場でも、成長性を分析するためには、無料で利用できるツール「Googleトレンド」を活用するのがおすすめです。これにより、市場や製品の検索トレンドを把握し、成長性を正しく評価することができます。

顧客の優先順位と波及効果(Rank/Ripple Effect)

「Rank/Ripple Effect(顧客の優先順位と波及効果)」は、ターゲティングの対象となる市場の優先順位に焦点を当てたフレームワークです。ここでは、各マーケットに優先順位を付け、その重要性を検討します。

 

BtoCにおいてはたとえば、インフルエンサーが存在する市場やメディアが注目する市場は、マーケティング戦略の展開において波及効果や口コミ効果が得やすく、優先順位が高くなります。一方で市場に優先順位をつけるうえでは、顧客層の分布情報・男女比率・興味分野などを把握することで顧客のニーズを理解しましょう。この場合は、マーケットの重要性が高くても、顧客層と自社製品が合致しなければ売上が見込めないことがわかります。

 

また、顧客層として優先度が高いかどうかも、重要な判断基準です。ターゲット層の関心度が熱量が高い製品やサービスであれば、顧客からも発見してもらいやすくなり、メディアやSNSを通じて広がりやすい施策が可能になります。

 

さらに市場の波及効果も注視すべきポイントであり、小さな市場であってもほかの市場に発展する可能性があれば挑戦する価値があります。BtoBであれば、業界で知名度が高くほかの企業への影響力も大きい企業と提携したり、事例を積極的に提示することで、口コミの信頼度を向上させ、ほかの企業に対しても自社製品の価値をアピールできます。

到達可能性(Reach)

市場に参入する上で欠かせないのが、自社製品がどれだけ顧客に到達できるか、といった「到達可能性(Reach)」を考慮することです。

 

どれだけ製品が優れていても、地理的な障害や輸送コストなど、物理的な要因によって顧客に届けられない場合、一度市場への参入を見直しましょう。

 

ただ近年はインターネットの発展により、オンラインストアやランディングページといった販売チャネル、WebサイトやSNSをはじめとするコンテンツメディアを構築することで、物理的な障壁があっても、十分顧客にアプローチできるケースも増えてきました。

 

もちろんオンラインだけではなく、小売店や代理店ネットワークなどを含む、物流におけるパートナーシップを構築したり、地域別の広告戦略を最適化したりすることも可能です。ターゲットとする地域や市場を見直す指標として活用してみてください。

競合状況(Rival)

ターゲティングをする市場において、ライバル企業を詳しく調査するフレームワークが、「競合状況(Rival)」です。競合他社との比較を通じて、自社のポジショニングや競争上の優位性を把握することは、その市場で成果を出すために欠かせません。

 

競合調査をするうえで、まずは競合となる製品やサービスがあるかを調査しましょう。そのうえで、すでに競合が多く市場が飽和している「レッドオーシャン」である場合は、参入しても厳しい戦いを強いられることも。

 

競合調査の内容として、まずは売上や利益率を評価し、ライバル企業の経済的な状況を理解します。広告や販売管理にどれだけの予算を投じているかを調べることで、市場に参入する難易度も見えてくるはずです。さらに、製品開発の進捗状況、新製品の導入頻度を把握すれば、技術的な差別化や市場の動向を予測できます。

 

これらの調査をもとに、ライバルの少ない「ブルーオーシャン」を選ぶことで、大きくシェアを得ることも可能になります。

 

また競合調査のなかで、販売ルートや営業手法、顧客サポートやアフターサービスに焦点を当て、競合他社との差別化ポイントを見つけることで、顧客とのリレーションシップにおいて差をつけるヒントを得られるでしょう。

反応の測定可能性(Response)

「Response(反応の測定可能性)」は、ターゲティングをする市場において、PDCAサイクルを回せるかどうか、顧客の購買力や傾向・フィードバックを正しく測定できるかどうかを判断するフレームワークです。

 

マーケティングではさまざまな施策をおこないますが、どの施策でどのくらいの効果が得られたかを分析するには、顧客の反応を測定できることが必須となります。

 

近年はデジタルマーケティングに取り組む企業も増えていることから、つい新しい施策に目が行きがちになりますが、まずは現在おこなっている施策の効果を正しく測定することが大切です。また効果を測定するには、施策それぞれの指標と、全体の指標をそれぞれ設定しておきましょう。

 

正しい効果測定がおこなえれば、施策の改善もしやすくなるうえ、企業やチームのモチベーション向上にもつながります。さらに費用対効果があきらかになることで、コストの最適化を図ることもできます。

ターゲティングをするメリット

ターゲティングをおこなうことで得られる具体的なメリットを3つご説明します。

新規獲得

新規顧客獲得に課題を抱えている場合、ターゲティングを見直すことで成果に近づけることができます。

 

あらためて既存顧客のニーズはもちろんのこと、競合他社を含めて検討する潜在層のニーズを、アーンドメディア(SNS、ブログ、口コミサイトといった消費者・ユーザー自らが発信するメディアのこと)を通して調査することも有効かもしれません。

 

さらに先に記述した「6R」のフレームワークを使って、市場の選定を見直すことで、行き当たりばったりの飛び込み営業から脱却し、より的を絞ったアプローチができるようになります。

客単価向上

ターゲティングを実施するメリットの1つに、既存顧客の客単価向上があります。

 

売上を増やすための一般的な手段の一つです。顧客単価を向上させるには、顧客のニーズを正確に理解し、それに合った付加価値を提供することが重要です。

 

ターゲティングを行うことで、特定の市場セグメントや顧客層の傾向や特性を把握しやすくなり、それに基づいて効果的なアプローチを展開できます。結果として、商品やサービスの付加価値が高まり、顧客はより多くの価値を感じ、それに応じて購買意欲が高まります。

実施検証できる

市場を絞り込むことで、施策の実施検証がしやすくなるのも、ターゲティングをするメリットといえます。

 

特定のターゲットにフォーカスすることで、広告のクリック率や販売の伸びなどといった数値をターゲットごとに評価できます。マーケティング戦略の効果を定量的に測定することで、本当に需要がある顧客層にリソースを割り当てることができるようになるため、コストの最適化がはかれることもまた重要なメリットです。

 

このように、ターゲットとする市場や顧客層に対するPDCAサイクルが回しやすくなるため、顧客の興味を引く広告やコンテンツを提供し、さらに顧客の関心を高め、関係を深めることができるのです。

段階的ターゲティングによってさらなる企業成長を目指せる

ターゲティングをおこなってアプローチを進めていくうちに、セグメントの幅を広げていく「段階的ターゲティング」に取り組むことで、企業成長につながります。また段階的なアプローチは、市場の理解を得やすく、リスクを最小限におさえられるのもメリットです。

 

段階的ターゲティングの最初のステップでは、既存の市場においてリファレンスユーザーを確立します。業界でも名の知れた最大手企業が導入することで、ほかの顧客もこれを見習って次々に導入する、といったケースは往々にして起こるケースです。

 

次にこれらの実績をベースに、同じ事業を展開する他のセグメントに積極的にアプローチします。この際には、リファレンスユーザーの成功事例をもとに「既に最大手企業A社に導入されており、貴社でも成果が出せるはずです」という形で営業活動を進めます。

 

最終的には、他業界や新たなセグメントに向けてアプローチを拡大します。異なる製品やサービスを提供するなどの新たな施策が導入され、事業の領域が広がります。

 

たとえば高品質なカメラ製品を提供することで市場に参入した企業Aは、競合が激化するなかで、新たな市場を見出すべくアプローチを拡大しました。最初のターゲティングは「趣味の写真愛好者」といったセグメントでおこないましたが、次第にプロのカメラマン向けにも展開。写真加工ソフトやアクセサリーの提供に進出し、事業領域の拡大に成功しました。

ターゲティング成功のポイント

ターゲティングの基礎知識や重要性、ターゲティングをするうえでのフレームワークやメリットについて解説してきました。

 

ここでは、ターゲティング成功の鍵となるいくつかのポイントをご紹介します。

大まかな属性のみで限定しない

ターゲティングを成功させるためには、年齢や性別といった大枠の属性だけでなく、より詳細な属性に焦点を当てることが重要です。

 

たとえば同じ30代の男性といっても、さまざまな職業・ライフスタイルが思い浮かぶはずです。

 

企業で働くサラリーマン、自営業者、フリーランス、既婚や独身、アウトドア派かインドア派か、スポーツに興味があるか、ライフイベントを控えているか…などなど。このようにさまざまな属性をもつターゲットをひとくくりにしてしまっては、抱えるニーズや消費行動を理解することはできません。

 

ターゲティングをおこなううえでは、年齢や性別だけでなく、より細やかな属性に焦点を当てることで、より効果的なマーケティング戦略を構築できます。顧客の多様性を理解し、それに基づいて柔軟なアプローチを取ることが成功の鍵となります。

自社の「強み」分析

ターゲティングの成功には、「自社の強み」を最大限に活かすことが不可欠です。

 

競合との比較分析によって、自社が他社に対してどのような強みを持っているかを明確にし、自社の強みを最大限に活かせる市場を選ぶことが成功の第一歩です。例えば、高品質な製品、優れたカスタマーサービス、独自の技術などが挙げられます。

 

ただし注意が必要なのは、有望な市場であっても、自社の特性や既存のブランドイメージと一致しない場合です。極端な例ではありますが、伝統的な手工芸品を自社の強みとするブランドが、急速に進化するデジタルテクノロジー市場に参入する…。といったように、ブランドイメージと市場の特性が一致しない場合、消費者にマイナスなイメージを与えかねないよう慎重な判断が求められます。

顧客視点のターゲティング

ターゲティングでは、自社が「何を売りたいか」だけではなく、顧客が「何を求めているか」といった視点が必須となります。

 

顧客視点を明らかにするには、顧客が購入に至るまでにたどるプロセスから、顧客がどのような体験を得ているか、アンケートなどのフィードバックを活用して分析しましょう。顧客視点に立って、分析結果を商品開発やマーケティング施策に反映させることが重要です。

 

近年では、カスタマーエクスペリエンスを向上させるだけでなく、サポートとしての役割も担うコミュニティ型の体験を提供する企業も増えています。

 

ユーザーニーズを真に理解して、ユーザーの課題を解決できるソリューションを提供できれば、本当に効果のある「ターゲティング」を実現できます。

外部環境を意識する

市場に参入するには、市場にまつわる環境を把握し、計画を慎重に立てることが不可欠です。

 

市場に競合が少ない場合、法的な規制による高い参入障壁が存在し、そもそも新規参入がむずかしいということも考えられます。自社で変えることのできない外部環境を十分に理解していくことで、それに応じて戦略を練る必要がでてくることも。

 

法的な制度から経済的な状況、地域ごとの文化的な要素まで広範に考慮し、柔軟に対応することが、市場への新規参入における成功の秘訣といえます。

BtoBでは利用者と購入者が異なるケースも多い

BtoBのビジネスでは、製品やサービスの利用者と購入者が異なることがよくあるため、「すべての人」をターゲットにするのは得策ではありません。たとえば企業がオフィス用品を購入する場合において、利用者はその企業の社員、購買決定者は調達部門や経営陣、といったケースがあります。

 

この場合、ターゲティング戦略は「利用者層」「購入者層」それぞれ分けて考える必要があります。利用者には製品やサービスの利点や効果を、購入者にはコスト削減や効率向上といったビジネス上のメリットをアピールすることが必要です。

 

このようにエンドユーザーには魅力的な特徴を、購入者には製品やサービスのメリットを、というようにそれぞれの各ターゲット層に一番効果的なメッセージを提供することで、マーケティング施策の効果を最大化することができます。

マーケティング戦略の的を絞れる

利用者と購入者が異なる場合は、ターゲットとなるペルソナを分けて設定することで、メンバー間での共有もしやすくなり、齟齬を防ぐことができます。

 

またマーケティングの戦略も統一できるため、一貫性のあるキャンペーンを提供できます。施策が統一されるとリソースを効果的に使うことができ、予算や時間を無駄なく使うことができるのもメリットでしょう。

統一されたメッセージを発信できる

広域的なターゲティングでは、メッセージが散発的になりやすくなり、共鳴・共感するポイントが曖昧になってしまいます。「すべての人に受ける」ことを条件としたことで、結局製品の性能を訴求することしかできない…など、逆に間口を狭めてしまう結果に。

 

とくにブランドマーケティングでは、製品の性能のみならず、ブランドに対する好意やブランドとの感性の一致などが求められるため、焦点を絞ったターゲティングは必須となります。製品の性能だけでなく、ブランドに対する「好き」「信頼」を得られるマーケティング活動には、ある程度ターゲットを絞って、統一されたブランドメッセージを発信することが必要です。

 

【関連記事】
「ペルソナ」とは?マーケティングにおけるペルソナの使い方、設定の方法や注意点を解説!

ターゲティングの成功事例

ターゲティングによって成果を出した事例は、業界を問わずたくさんあります。そのなかでもとくに業績を伸ばしている3つの事例をご紹介します。

 

飲食チェーン店Sは、従来の市場のほかにも、外食市場や中食(弁当)市場も含めた広範なセグメントを対象にした戦略を実施。従来の男性1人客に限定された利用者から、ファミリーや女性層を中心とした多様な顧客層を獲得し、業界でのシェアを伸ばしています。

 

シンプルなライフスタイルを送る顧客層をターゲットとした小売業M社は、デザイン性の高い商品企画で注目を集めてきたものの、当初は品質に課題があることも少なくありませんでした。ターゲットを見直しブランド戦略を進化させ、デザインだけでなく品質も優れた商品を提供することで、他者が追随することもできない高品質かつハイセンスな商品を開発し、顧客からの信頼も厚い特有の市場ポジションを築いています。

 

大手保険会社L社は、従来の生命保険市場が中高年のターゲットに焦点を当てるなか、新たな市場を見据え、若年層や子育て世代をターゲットにした生命保険商品の開発に着手しました。従来の高額な保険料にくらべて保険料を低く抑えることを実現。さらにWebを活用した契約内容の説明や申し込みを可能にしたことで、若い世代でも気軽に保険に加入できる環境を整え、業績を向上させ、保険業界全体においても変革を促しています。

 

まとめ

ターゲティングについて解説しました。

 

ターゲティングは、ビジネスにおいて不可欠な要素で、STP分析や6Rフレームワークを通じて市場セグメントを特定し、効果的なマーケティング戦略を展開する手段です。

 

ビジネスでPDCAサイクルを回し精度を高めていくうえでも、特定のターゲティングをおこなうことは重要な要素であり、6Rフレームワークによって精査することで市場との関係性を深め、成果を最大化できます。

 

ターゲティングで用いられる6Rフレームワークは、ビジネス全体に適応でき、顧客からの信頼を得て関係性を構築し、事業全体の成果を向上させるはずです。ターゲティングによる戦略的かつ継続的なアプローチによって、マーケティング活動の成果をさらに拡大していきましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Fri, 26 Jan 2024 00:00:00 +0900
<![CDATA[中小企業こそ知るべき「AIマーケティング」と、その具体的な手法についてご紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/ai-marketing 人工知能(Artificial Intelligence)のテクノロジーを使用することによって、企業のマーケティング活動を最適化する取り組みのことを、AIを活用したマーケティング(= AIマーケティング)と言います。

 

特に、中小企業においてその効果と可能性が注目されています。この記事では、ChatGPTやGoogleBardなどを使った「AIマーケティング」の基本的な知識と、実際の活用方法をご紹介していきます。

AIマーケティングとは

ここで言う「AIマーケティング」とは、企業の営業・販売促進の取り組みに「生成AIツール」などのテクノロジーを応用することです。慢性的な人手不足に悩まされている国内企業においては、色々な分野でAIを活用することで効率化を図っていくことが重要視されていますが、それはマーケティング領域においても同様です。

 

近年の進歩が目覚ましい「生成AI」を使用すれば、市場動向の分析、ターゲットの具体化などのマーケティングにおける戦略立案の分野においても、日々忙しい企業担当者の手をわずらわせることなく実行することができます。

中小企業こそ「生成AIツール」を活用した方が良い理由

AIマーケティングは、中小企業だからこそ積極的に取り入れた方が良いと言えます。多くの中小企業では人員や予算が限られているため、十分なマーケティング活動を行うことができない場合が多いですが、「生成AIツール」を利用することで、戦略立案・コンテンツ作成などの作業を効率化することができます。

 

また、中小企業ではマーケティング人員がひとりということも珍しくなく、そのため新たなアイデアを得ることが難しいですが、生成AIを使ってチャットすることで新鮮なマーケティングノウハウを入手することもできます。

AIを使ったマーケティング活動のための具体的ノウハウ

「生成AIツール」を上手に使うことができれば、今まで複数のスタッフの手によって実行されていた膨大なデジタルマーケティングの作業の多くを、削減することができます。

 

例えば、記事コンテンツやメール原稿のドラフト作成はもちろん、マーケティングに精通している人でも、仕上げるのにはそれなりの時間を要する「ペルソナ像」「カスタマージャーニーマップ」の設計においてまで、工夫次第で力を発揮してくれます。

 

  • 市場分析(PEST・SWOT分析等)
  • ペルソナ像の抽出
  • カスタマージャーニーマップの設計
  • 文書作成(記事コンテンツ、メール原稿)

市場分析

企業のマーケティング活動において、市場環境がどのような状況であるかを理解しておくことは極めて重要です。またマーケットの中で、自社がどのような位置にあるかも改めて知っておく必要があるでしょう。その際に、よく使用される分析方法としてPEST分析・SWOT分析がありますが、これらの分析についても「生成AIツール」を使えばスピーディに実施することができます。

ペルソナ像

また、マーケティングにおいては、自社の製品サービスの対象となるターゲットがどのような人物像なのか、日々の業務においてどのような「悩み・困りごと」を抱えているかをしっかり想定した上で、デジタル広告や記事コンテンツを作り込んでいくことが重要です。
通常、既存顧客へのインタビューや営業メンバーからの意見を汲み取ることで、「ペルソナ像」を作っていくことになりますが、AIを使うことでそれほど手間をかけずとも、ある程度の目安を固めることが可能です。

カスタマージャーニーマップ

さらにマーケティング活動では、ペルソナ像が固まったら製品サービスとの接触ポイントから心理変容の流れを段階的に分けて書き出した「カスタマージャーニーマップ」を作成することになりますが、これも企業担当者としては手間のかかる作業です。ですが、AIを活用すれば効率的にドラフト版を作成することができます。これをもとにブラッシュアップすれば早い段階で、マーケティング方針を固めることができるでしょう。

文書作成

AIは、「記事コンテンツ」や「メール原稿」のドラフトを作成する場合にも役立ちます。正しい命令をすることによって「生成AIツール」は、ペルソナ像やカスタマージャーニーマップを考慮した上で、ドラフトとなる文書を提案してくれます。従来だと人の手によって情報収集から構成作成〜本文執筆などそれなりに時間のかかる作業ではありますが、AIを使えば速やかにコンテンツを作成することができます。

 

関連記事

生成AIを使ったデジタルマーケティングの実行ステップ

ここまでの流れで、企業のマーケティング活動においてAIを活用することがいかに有益であるかを、ご理解いただけたと思います。では実際に、AIマーケティングを実行する際にはどのようにステップを進めていけば良いでしょうか。

 

AIマーケティングを実行する際には、まずは「ツール選定」、その次に「プロンプト作成」が重要となってきます。

①ツール選定

生成AIツールといっても色々な種類があります。テキストはもちろんのこと、画像・イラスト等の生成に特化したもの、音声生成できるツールなどもあります。 その中でも、ビジネスの現場においても普及しつつある代表的なツールと言えば以下のものになるでしょうか。

 

特に、OpenAI社が開発した「ChatGPT」は、広く使われています。

 

 

関連記事

②プロンプト作成

 

生成AIツールを選択したら、次はどのように命令をするかを設計する必要があります。深く考えずに思いつくまま入力スペースに指示内容を打ち込んでいけばそれで大丈夫ですが、より希望するかたちの回答を得ようとするならば「プロンプト」という命令形式に則ってテキスト入力するのが効果的です。

 

  • AIプロンプト(prompt)= 動作するようにうながす、手助けする、迅速な、素早い、遅れのない、などの意味を持つ語句。コンピュータの世界では、主にユーザーが「コマンド」を実行するための命令文・文字列のことを指す。

AIマーケティングのプロンプト例

ここでは以下に、「ペルソナ像」を書き出すときのプロンプト例を用意してみました。ここでは、中小企業のマーケティング担当者を対象として、「マーケティングオートメーション」を題材としています。このプロンプト例を、ChatGPTやGoogle Bardなどの生成AIツールの入力スペースに貼り付けることで「ペルソナ像」のドラフト版を作成することができます。

 

 

#ペルソナのインサイト(深層心理)の作成ルール
・ペルソナは、できるかぎりデータを引用しながら、納得できる「理由」や数値的な  「根拠」を明確にする
・ペルソナは、必ず日本語を使って作成する。不自然な日本語は使用しない、  カタカナの専門用語はなるべく記述しない
・ペルソナは、#顧客/リードの属性情報をもとにしながら、それらがどのようなことを  考えているかの心理部分にフォーカスして出力する
・ペルソナが、職場・仕事での「ミッション達成」において感じている  「課題・困りごと・悩み」「希望・願望」などを類推して記述する
・ペルソナが、職場・仕事において「#製品サービスのカテゴリ(分野)」の必要性を  感じられるかどうかを類推して記述する
・ペルソナが、「#製品サービスのカテゴリ(分野)」の必要性を感じる場合に、  どの部分に魅力を感じるかを類推して記述する
・ペルソナが、「#製品サービスのカテゴリ(分野)」を決裁承認のうえで  社内導入する際の「障壁」になることを類推して記述する
・ペルソナが、多数のプロダクトが存在する「#製品サービスのカテゴリ(分野)」の  中から社内導入を判断・選定する「価値基準」を類推して記述する
・ペルソナが、そのほか職場・仕事において抱えてそうな「課題・困りごと・悩み」   「希望・願望」を記述する
・ペルソナは、一気に全部の文章を出力できなくても「続きを出力する」という命令を  受けながら、分割しつつできるだけ詳しく出力する

#製品サービス名
BowNow(バウナウ)

#URL
https://bow-now.jp/

#製品サービスのカテゴリ(分野)
マーケティングオートメーション(MA)

#製品サービスのカテゴリ(分野)の説明
マーケティングオートメーションツール(以下、「MAツール」)とは、マーケティング業務を自動化することで業務効率化、生産性向上を図るツールである。個人を特定し、それぞれに対して適切なマーケティングアプローチを行うことによって、商材に対する興味・関心、購買意欲を喚起させることができる。このツールの運用を行うには、把握する個々人に対する施策や属性管理を行なえる要素や方法論が企業内で必要であり、顧客個人を特定する必要がないか、または営業員によるフォローアップによって成約確率を上げる必要がない低単価消費財のマーケティングには適さない。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3)

#顧客/リードの基本属性
規模: 日本国内の中小企業
業種: 特に業種は限定しない
担当者の部署: 営業部とデジタルマーケティング部

出力例

下記は、実際にChatGPTにて生成された「ペルソナ像」のサンプルとなります。

 

出力例

 

題材によって、「製品サービス名」「URL」「製品サービスのカテゴリ(分野)」「顧客リードの基本属性」を変えることでペルソナ像も変わってきます。一回でしっくり来る回答にはならないかも知れません。試行錯誤しながら自分なりに使いやすいようにAIプロンプトを手直ししながらペルソナ像を固めていきましょう。

まとめ

AIマーケティングは、今後も人工知能テクノロジーの発展によって大きく進化していくと予想されます。よりスピーディに膨大な情報処理ができるようになることで、「ペルソナ像」や「カスタマージャーニーマップ」の精度も上がっていくでしょう。そうなれば、デジタルマーケティング活動にあまりマンパワーを投入できない中小企業の担当者にとっては、なくてはならないパートナーとなっていくと考えられます。

 

自社のデジタルマーケティング強化のためにも、まずは何らかの「生成AIツール」を試しに使ってみましょう。

 

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  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Fri, 19 Jan 2024 02:00:00 +0900
<![CDATA[バイラルマーケティングとは?ステマとの違いや成功事例を紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/viral-marketing バイラルマーケティングとは、SNSなどデジタル上の口コミを通じて情報が急速に広がることを意識したマーケティング手法です。
日本はもちろん、世界中で人々の生活にSNSが浸透している今、新しい効果的なマーケティング手法として注目されています。

 

本コラムでは、バイラルマーケティングの概要からメリット・デメリット、成功事例までをご紹介します。

 

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バイラルマーケティングとは

バイラルマーケティングとは、インターネットやSNSなどデジタル上の手段を通じて、情報が口コミのように拡散されるよう設計したマーケティング手法のことです。インターネットの普及と共に発展し、特にSNSの普及に伴い、大きな注目を集めています。

 

バイラルという言葉は、「ウイルスの」「ウイルスが原因の」という意味を持つ英単語「viral」に由来しており、ウイルスのように口コミで拡散することを表しています。

 

この手法の核心は、消費者が自然に情報を共有することにあります。企業は、共有したくなるような魅力的な商品や情報、コンテンツを提供し、消費者が自ら情報を拡散したくなるような状態を作り出す必要があります。

 

バイラルマーケティングの魅力は、低コストでありながら広範囲にわたる影響力を及ぼせる点です。このほか、バイラルマーケティングのメリットについては、「バイラルマーケティングのメリット」で詳しくお伝えします。

 

効果的なバイラルコンテンツを作るためには、ターゲットとなる消費者の興味や関心を引き付ける要素が必要で、これには、ユーモア、感動、または知識的な要素が利用されることが多いです。

 

また、バイラルマーケティングにおいてはSNSが重要な役割を果たします。FacebookやTwitter、Instagram、TikTokなどのプラットフォームを活用し、効果的に情報を拡散させる戦略が求められます。

バイラルマーケティングとバズマーケティングの違い

バイラルマーケティングと似たものに、バズマーケティングがあります。
これらの違いは、何でしょうか?

バズマーケティングとは

バズマーケティングとは、バズマーケティングは、特定の商品やサービスが「話題」となり、人々の間で自然に口コミが広がるマーケティング手法です。この手法は、特に影響力のある人物やメディアを利用して、商品やサービスを積極的に宣伝します。バズマーケティングの目的は、短期間で大きな注目を集め、製品やブランドの認知度を高めることにあります。

 

ただ、バイラルマーケティングのようにオンラインに限らず、オフラインでの「バズり」も含みます。
バイラルマーケティングとバズマーケティングの主な違いは、情報拡散のアプローチにあります。バイラルマーケティングは、魅力的なコンテンツを通じて自然に情報が拡散されるのに対し、バズマーケティングでは、特定の影響力ある人物やメディアを通じて意図的に情報を拡散させる手法です。

 

バイラルマーケティングとバズマーケティングの違い

バイラルマーケティング バズマーケティング
自然な拡散を重視 意図的な拡散を重視
消費者が自発的に情報を共有 影響力のある人物やメディアを活用
コンテンツの魅力が拡散の鍵 短期間での大きな注目を集めることを目的としている。

バイラルマーケティングとステマの違い

バイラルマーケティングとステマ(ステルスマーケティング)も混同されがちですが、決定的な違いがあります。

バイラルマーケティングは違法?ステマとは

ステマ(ステルスマーケティング)とは、消費者に広告であることを気づかれないように商品やサービスを宣伝する手法のことです。
たとえば、SNSで有名人やインフルエンサーが投稿の中で、広告料をもらっていることは伏せて商品やサービスを紹介したり、口コミサイトで偽のレビューを書いたり、掲示板やブログで商品に関する話題を作ったりすることなどが挙げられます。

 

消費者は、広告とわかると警戒心を持ったり無視したりする傾向があるため、これらを抑えるために使われる手法です。しかし、消費者に対して不正直な手法であり、誤解や不満を招く可能性があるため、避けるべきです。

 

一方、バイラルマーケティングは、自然なかたちで消費者から情報が拡散されることを目指します。

バイラルマーケティングへの法的な規制はある?

2023年12月現在、日本でバイラルマーケティングそのものを取り締まる法的な規制はありません。

 

ただ、SNS上で広まった内容が事実と異なっている場合、景品表示法上の「誇大広告」などに該当し、措置命令※や罰金の対象となることがあります。

 

たとえば、製品やサービスを実際よりも有料なものであると誤解させたり、キャンペーン対象には例外があるにも関わらず、注意書きの記載が離れた場所に小さく書かれていてわかりにくかったりするような場合です。

 

特に、海外を含む地域を対象としたバイラルマーケティングを企画する際は、該当の国において口コミや広告に関する規制を十分に調べた上で取り組んでください。
※措置命令…必要な措置を講じることを命令する行政処分のこと。

バイラルマーケティングのメリット

バイラルマーケティングには、次の5つのメリットがあります。

低コストで実施できる

バイラルマーケティングの最大の魅力は、その低コスト性です。
従来の広告手法と比べると大規模な予算を必要とせず、SNSやWebコンテンツを通じて効果的にプロモーションを行うことができます。

 

とはいえ、拡散したくなるような良質なコンテンツを制作する必要があるため、ただコストを削減することばかりを考えても成功させるのは難しいでしょう。
コストをかけずに拡散されるようなコンテンツ作りには創意工夫が求められるということを念頭に置いて取り組みましょう。

高いプロモーション効果が見込める

バイラルマーケティングには、消費者から高い信頼性が得られるという特長があります。
なぜなら、自分の知り合いや信頼できる人からの情報には、より関心を持ちやすく、影響を受けやすいからです。
そのため、口コミやSNSで拡散された情報は、消費者の購買意欲を高める可能性が高いといえます。
こうした理由から、バイラルマーケティングは高いプロモーション効果が見込める手法だといえるでしょう。

短時間で大人数にリーチできる

インターネットやSNSの普及により、バイラルマーケティングは短期間で大人数に拡散されます。
特に、SNSはFOMO効果により、拡散のスピードが速いという特長があります。FOMOとは、Fear Of Missing Outの略で、見逃したり取り残されたりすることに対する恐怖心を指します。SNSで友人が楽しそうに旅行している写真を見て焦ったり、限定商品やセールに飛びついたりするのは、この例です。

 

バイラルマーケティングでは、コンテンツが話題になっていることで、視聴者にFOMO効果を与えます。話題に乗り遅れたくないという気持ちから、視聴者はコンテンツをチェックしたりシェアしたりすることになるのです。

 

とりわけ、若年層をターゲットにしたプロモーションでは、この迅速なリーチ能力が大きな強みとなるでしょう。

長期間にわたる効果が見込める

バイラルマーケティングは、一時的な注目だけでなく、長期間にわたる効果を生み出すことができます。なぜなら、口コミやSNSで拡散された情報は、長期的にインターネット上に残り続けるため。

 

特に印象的なキャンペーンやコンテンツは、時間が経過しても人々の記憶に残り、持続的なブランドイメージの向上をもたらすことがあり、持続的なプロモーション効果が期待できます。

エンゲージメントの向上が期待できる

バイラルマーケティングには、顧客とのエンゲージメントを高める効果もあります。
エンゲージメントとは、消費者がブランドや企業に対して感じる関与度や愛着度のことです。エンゲージメントが高いと、消費者はリピート購入や口コミ紹介を行うだけでなく、ブランドや企業の価値観や理念に共感し、忠誠的なファンになるため、長期的な顧客満足度やロイヤルティの向上につながります。

 

これは、バイラルマーケティングで、クリエイティブが伝えるストーリーやメッセージが感情的な共感を生んだり、消費者が自ら情報を拡散することで、ブランドや企業の一員であるという参加意識を高めたりするためです。

 

消費者が積極的にコンテンツを共有し、ブランドに対する肯定的な感情を持つことで、顧客ロイヤルティの向上につながります。

バイラルマーケティングのデメリット

一方、バイラルマーケティングにも、デメリットはあります。
主に、次の3点です。

拡散をコントロールできない

バイラルマーケティングのデメリットとしては、コントロールが難しい点です。

 

情報が予期せぬ方向に拡散する可能性があり、場合によっては誤解を招くなどのネガティブな影響を及ぼす可能性もあります。

 

マイナスな印象で拡散されてしまえば、ブランドイメージを損なう恐れがあります。

 

そのため、コンテンツの内容は慎重に検討し、誤解の余地がないようにする必要があります。
また、情報のモニタリングと迅速な対応も求められます。

効果の測定が難しい

バイラルマーケティングの効果は、正確に測定することが難しいです。
拡散されるコンテンツの影響は、従来の広告手法と比較して直接的ではないため、具体的なROI(投資収益率)を算出することが困難なためです。

 

このため、マーケティング戦略として、効果測定を評価する際には、従来の指標に加え、SNSのエンゲージメントやブランド認知度の向上など、間接的な効果も考慮する必要があります。

成功事例の再現性が低い

バイラルマーケティングに取り組んだ結果、見事に成功したとしても、これをお手本に次のバイラルマーケティングも成功させるということは、簡単なことではありません。バイラルコンテンツの拡散には偶発的な要素が大きく、同じ戦略を繰り返しても同じ結果が得られるとは限らないためです。

 

バイラルマーケティングには、毎回、創造性と柔軟性が求められ、一度成功したコンテンツのスタイルを模倣するだけではなく、常に新しいアイデアを追求する姿勢が重要になってきます。
このため、労力のかかる手法だといえるでしょう。

【海外版】バイラルマーケティングの成功事例

最後に、バイラルマーケティングの成功事例を、海外と国内に分けてご紹介いたします。
まずは、海外の成功事例5例から。

YouTubeで「adizero」の動画が拡散(アディダス/Adidas AG)

ヨーロッパで最大のスポーツウェアメーカーであるAdidas AG(アディダス)が、ランニング用シューズのラインとして日本で開発した「adizero(アディゼロ)」。このプロモーションに、バイラルマーケティングを意識した動画が活用されました。

 

動画の内容は、架空の研究所「adizero LAB」で、白人男性がadizeroを履いて走り、風圧でミニスカートをめくれるかどうかを「adizero vs MiniSkirt」として、検証するというもの。
賛否はあったものの、動画は2011年8月にYouTubeに掲載された後、1ヵ月で90万回以上も再生されたといいます。

 

同社では、それまで、短期的な懸賞キャンペーンを実施することで認知度の向上を図っていましたが、SNSの普及に伴い、継続的な関係性を構築できる環境が整ったことから、バイラルマーケティングに踏み切ったといいます。

 

実際の動画はこちら。
adizero LAB:adizero vs MiniSkirt

フェイクニュースに対抗した動画CMを公開(ニューヨーク・タイムズ/The New York Times)

かつては、いわゆる「オールドメディア」と呼ばれる新聞や雑誌、ラジオ、テレビなどだけが報道が可能でしたが、SNSの普及とともに、発信元が不明なフェイクニュース(虚偽報道)が増え、大きな問題となっています。

 

2016年、アメリカ大統領選挙において、「ローマ法王がトランプ氏を支持」といったフェイクニュースがアメリカを中心にSNSなどで世界中に広まりました。同年、フェイクニュースを信じた男性が実際にピザ店へライフルを発砲するまでに発展した「ピザゲート事件」も起きています。
日本では熊本地震が起き、「動物園のライオンが逃げ出した」というフェイクニュースが地元の人たちを混乱に陥れました。

 

こうした背景を受け、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)は、アカデミー賞受賞式の放送中に「The truth is hard」を掲げたTVCMを放映。その後、SNSでもキャンペーンを実施しました。
CMには、質の高いジャーナリズムを維持するためには、現場で働く何千人もの記者に支払う給与が必要で、そのための購読料だという主旨というメッセージが込められています。

 

これが話題を呼び、1四半期で購読者が過去最高の28万人にも上ったといいます。

 

実際の動画はこちら。
The Truth Is Hard DROGA5

バイラル性を意識したサービス設計(ファーイン/画音)

画音(ファーイン)は、動画によるコミュニケーションが可能な中国のSNSです。

 

WeChat(ウィーチャット/微信)というチャット型SNSを手がけたプロダクト・ディレクターであるGenie氏が作った動画アプリで、登録した友達が4人以上いないと使えない仕様になっています。
このため、画音を使いたいユーザーは、必然的に友人・知人などへ画音の存在を知らせ、登録を促すことになります。

 

バイラルマーケティングの中でも、やや強制的に拡散させるタイプといえます。

「The Man Your Man Could Smell Like」キャンペーン(オールド・スパイス/Old Spice)

Old Spice(オールド・スパイス)は、アメリカのプロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)が提供する、アフターシェイブローションやデオドラント剤、シャンプーといった男性向けのビューティ&ヘルスケア製品を提供するブランドです。

 

同ブランドは1937年にスタートし、長年、アメリカの男性たちに愛されてきました。
しかし、2000年代半ばになると、競合ブランドが若年層を中心に支持されるようになり、危機を迎えます。

 

同ブランドは、年配層からの支持が厚く、若年層からは「おじさんが使う製品」というイメージを持たれていたのです。
そこで、リブランディングに取り組みました。従来は「男らしさ」を全面に押し出した広告を打っていましたが、若年層にウケるよう、ユーモアをアピールするような動画を制作。その内容は、元NFL選手イザイヤ・ムスタファ氏を起用し、「男らしさ」のイメージも盛り込みつつ、パロディで笑いを誘うというものでした。

 

この動画を、アメリカ国民の関心が高いスーパーボウルの直前にしてYouTubeに投稿。すると、SNS上でも話題となり、再生回数が数千万回にも上りました。
さらに、この動画に対するユーザーの反応(SNSのコメント)に対する返信動画を制作してYouTubeに投稿し、X(旧Twitter)でもつぶやくことで、さらなるバイラルを起こしました。

 

その結果、動画の公開から半年後の売上は125%増となり、トップシェアを奪還したといいます。

 

実際の動画はこちら。
The Man Your Man Could Smell Like

アイス・バケツ・チャレンジ(アメリカALS協会)

筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis/ALS)に関する研究支援のため、バケツに入った氷水を頭からかぶるか、アメリカALS協会に寄付を行うという「アイス・バケツ・チャレンジ(ice bucket challenge)」が、2014年にアメリカで始まりました。

 

この運動は、各界の著名人や政治家などを巻き込み、FacebookやYouTubeを通じて拡散され、社会現象となりました。

 

その結果、世界中で2億2,000万ドルもの寄付金を集め、ALSに関わる遺伝子を解明する研究に役立ったといわれます。

【国内版】バイラルマーケティングの成功事例

続いて、国内の成功事例を5例、ご紹介いたします。

「今日好きダンス」をTikTokで配信(Abema)

「Abema」は、ユーザーの7割が10代から30代という特徴を持つインターネットテレビ局です。
同局で制作・配信されている恋愛リアリティ番組「今日、好きになりました」のプロモーションで、「今日好きダンス」というオリジナルのダンスを使ったショート動画を制作し、バイラルマーケティングに成功しました。

 

同番組は、“運命の恋を見つける、恋の修学旅行”をテーマに、初対面の高校生が数泊の旅行に出かけるという企画。すでに人気のある番組でしたが、より若年層の間で熱狂を起こしたいとの意図から、今回の動画制作を実施しました。

 

同番組の公式アカウントがすでにTikTokにあったものの、振り付けを考える様子を同番組のスピンオフとして配信した上で、ダンスに関するPRをあえてTikTok以外のSNSやWebサイト上で実施。最後にTikTokに「今日好きダンス」を公開し、同番組の存在をアピールすることで、「ほかのWebサイトやサービスへ遷移させづらい」というTikTokの欠点をカバーしました。

 

この結果、番組の認知度が上がり、視聴率が160%もアップしたといいます。

「High School Girl?」キャンペーン(資生堂)

化粧品で国内トップシェアを誇る株式会社資生堂。同社では、動画を活用したプロモーションが増えている背景から、自社でも動画広告の制作に取り組みたいと考え、2015年2月に「動画プロジェクト」を立ち上げたといいます。

 

当時、若年層へのリーチが課題であったことから、若い女性たちの間で話題になるような面白い動画を制作しようということで、まずは30案ほどを企画。これを元に女子高生・女子大生にグループインタビューを実施したところ、圧倒的な支持を集めたのが「女装男子」だったといいます。これをテーマに議論を重ねた結果、「女子高生全員が、実は男子高校生だった」という動画の制作に決定。

 

撮影は、約7時間をかけた一発撮りで、動画はこれを逆再生で早送りするスタイルを取りました。特設サイトでは、「女装男子の写真を指でこすると、その子の素顔が見える」といったコンテンツも用意。

 

すると、公開時にPRも広告も一切、実施しなかったにも関わらず、3日後にはYahoo!映像トピックスの総合ランキング1位に。公開から1週間後にはリリース記事を出稿することで、仕込んだ小ネタに気づいてもらうという仕掛けを用意したことも奏功し、動画はSNSを中心に話題になり、800万回以上も再生されたといいます。

 

実際の動画はこちら。
High School Girl?

TikTok「#ペプシjコーラ」でオリジナルダンスを投稿(サントリーホールディングス)

飲料メーカーのサントリーホールディングス株式会社は、2018年4月、「PEPSI(ペプシ)」から、新たな主力ブランドとして「ペプシ Jコーラ」を新発売しました。
同ブランドでは、宣伝にTikTokを活用。具体的には、テレビCM放映中に、オリジナル曲「ペプシお祭りリミックス」に簡単な振りを付けて、CM出演中の有名人に踊ってもらう、15秒のショート動画コンテンツをTikTokに投稿したのです。

 

公開されたコンテンツの総再生回数は1, 800万回を超え、このダンスを真似した投稿は2万件以上にも及んだといいます。

フィリピン音楽をカバーして1ヵ月間で100万回再生を達成(宇宙戦隊NOIZ)

「宇宙戦隊NOIZ」は、日本を始め、アメリカやカナダ、フィリピンでも活動している日本のビジュアル系バンドです。

 

彼らがフィリピンの曲である「NARDA」をカバーし、YouTubeに投稿したところ、1ヵ月間で100万回再生を達成し、5,000件以上のコメントを集めました。

 

これには、従来なら日本の音楽をフィリピンのアーティストがカバーすることは多くても、逆は珍しかったという背景があります。珍しさから話題となり、再生回数が伸びたりコメントを集めたりできたのだと推測できます。

 

実際の動画はこちら。
UCHUSENTAI:NOIZ

「#ポケモンと遊びたい」キャンペーン(任天堂)

日本はもちろん、世界中で人気を博すゲームタイトル「ポケットモンスターシリーズ」を展開する任天堂株式会社では、ポケットモンスター ソード・シールド エキスパンションパス第2弾「冠の雪原」の配信を記念し、TikTokのブランドエフェクトを活用したキャンペーン「#ポケモンと遊びたい」を開催しました。

 

ブランドエフェクトとはTikTokの広告メニューの一つで、高度な画像認証技術を用いて、2Dや3D、ARなどのコンテンツを活用した効果的な広告配信が可能になるというもの。
同キャンペーンでは、ゲームに登場する人気のポケモン5匹(ピカチュウ、ダクマ、マホイップ、ウールー、モルペコ)のエフェクトを体験できるようにしました。ユーザーの全身の動きをリアルタイムで認識し、再現するボディトラッキング機能と3D技術を併用したブランドエフェクトは、世界初の試みだったそうです。

 

同キャンペーンでは、これと同時にTikTokの広告メニューである「ハッシュタグチャレンジ」を併用しています。「ハッシュタグチャレンジ」とは、やはりTikTokの広告メニューの一つで、「#(ハッシュタグ)」を付けた上で指定の投稿を促す広告です。視聴者を巻き込み、UGC(User Generated Contents)を生み出せるというメリットがあります。

 

これらを組み合わせ、「#ポケモンと遊びたい」を付けてブランドエフェクトを体験した姿をTikTok上に投稿してもらうと、優秀作品に選ばれた投稿者にプレゼントが当たるというキャンペーンを実施。
その結果、わずか1ヵ月で投稿数は2万件を超え、体験数は100万回にも達したといいます。グローバルでの投稿数は約35万件、体験数は1800万回という驚異的な数字となりました。

 

※この施策は、広告キャンペーンを利用したもので、厳密にはバイラルマーケティングとはいえませんが、拡散の本質を突いた施策だったため、ご紹介しました。

 

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まとめ

バイラルマーケティングの基本概念からメリット、デメリット、成功事例までをご紹介しました。
バイラルマーケティングは、低コストで高い効果を期待できるマーケティング手法です。
ただ、メリットが多いものの、拡散のコントロールが困難であるなどのデメリットもあります。

 

これらを把握した上で戦略を効果的に活用することで、ブランドの認知度向上、顧客エンゲージメントの強化、そして長期的なプロモーション効果を実現することが可能です。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Fri, 19 Jan 2024 01:00:00 +0900
<![CDATA[アトリビューションとは?重要性と5つのモデル、成功事例をご紹介!]]> https://mtame.jp/advertisement/attribution アトリビューションとは、各媒体の「CVへの貢献度」を測ることです。コンバージョンに直接つながったアクション、これに至るまでの間接的な接点に、それぞれの方法で貢献度を計測する仕組みです。そのためアトリビューションは、間接効果と呼ばれることもあります。

 

アトリビューション分析自体は10年以上も前から広まってきているものの、実際には「なかなか使いこなせていない」と感じている方も多いかもしれません。ただ近年はアトリビューションの環境も整ってきており、Google広告では、アトリビューションを通じて広告の貢献度を評価し、広告戦略の最適化を測れるようになりました。また、最新のGoogle アナリティクス 4(ga4)を活用することで、より効果的なアトリビューション分析が可能になっています。

 

本記事では、アトリビューション分析の基礎知識や5つのモデル、成功事例をご紹介します。

 

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アトリビューションとは

アトリビューション(Attribution)とは、広告・マーケティング分野における専門用語です。顧客がCV(コンバージョン)に至るまで、顧客との接点となるメディアが、CVに対してそれぞれどのくらい貢献したかを測ることです。

 

たとえば、購入やお問い合わせといったコンバージョン(CV)があった際に、そのユーザーが「どの広告を見たか」「どのSNSを経由してきたか」など、どのメディアからどのような影響を受けたかを調査していきます。

 

従来の広告効果評価では、CV直前のクリックのみが判断材料とされてきました。ただ近年はデジタルマーケティングが急進したことで、インターネット広告・メルマガ・ソーシャルメディアのコンテンツなど情報は多様化してきました。

 

Web上での広告展開やデジタルマーケティングにおいて、アトリビューションが重要視されているのは、ユーザーがオンラインで複数の情報源に触れ、コンバージョンに至る経路が複雑化しているためです。

 

また最近では、パブリックアトリビューションの概念も注目されています。これは、広告主だけでなく、広告を視聴した一般のユーザーがアトリビューションに関与する考え方で、広告に対する社会的な影響を考慮に入れたアトリビューション分析が求められています。

 

このようにCVに至る要因は複雑化を極め、広告を運用するうえでは、ユーザーが広告に至るまでの経路も考慮する必要がでてきました。ただこの要因を見極めることができれば、よりユーザーがCVにたどり着きやすい流入経路を見出し、広告・プロモーションのベストソリューションを検討できます。アトリビューションは、施策別の貢献度を計測し明確化することで、施策の最適化をはかる取り組みです。

アトリビューションの重要性

アトリビューションの重要性は、コロナ禍以降急進したインターネット環境と、それに応じて変化する消費者行動に対応することにあります。実際に、ユーザーはCVに至るまでに、さまざまな流入経路をたどるようになりました。

 

従来、広告効果の測定方法は、CVを軸として、CV直前のラストクリックのみを評価していました。しかしこの方法で評価できるのは最終的なCVにつながった広告のみで、広告費用の最適化をはかる材料としては不十分でした。

 

ユーザーがCVに至るまでの経路には、「ユーザーが商品を知るきっかけとなった広告」「ユーザーの購買意欲をより高めた広告」も存在しますが、ラストクリックのみを測定する方法では、最も効果のある広告を停止してしまう可能性も少なくありません。

 

アトリビューションの目的は、広告やマーケティングの成功に寄与した要因を正確に把握し、効果的な広告戦略の策定やリアロケーション(予算再配分)に活かすことです。最終的なCVに大きく影響を与えている広告を見極めることができるため、プロモーション全体の最適化にも寄与します。

CVへの接点を明確化

アトリビューションが重要視される理由のひとつに、CVへのタッチポイントを明確化できることがあります。

 

さきほども記述したように、クロスチャネル・オムニチャネルが浸透したことで、ユーザーの流入経路は複雑化しており、従来の広告効果測定方法では、間接的にでも大きく影響を与えている広告を正しく評価することができないのが現状です。

 

近年はインターネットでユーザーが情報収集することは当たり前となり、CVへ至るプロセスは多様化してきました。たとえばSNSなどを通じて「有名人が使っているから欲しい」といったCVも増えていることから、インフルエンサーを起用したPRなども見かけるようになりました。

 

アトリビューション分析をおこなうことで、こういった多様なタッチポイントを明確化でき、CVに至るユーザーの購買心理を把握することができます。

広告費用を最適化

アトリビューション分析は、広告の予算アロケーション(配分)にも役立ちます。アトリビューション分析では、CVにつながる広告だけでなく、ユーザーへの認知や興味喚起・購買決定に影響のある広告も含めて効果計測をおこなうため、各広告にどのように予算を配分するかを判断するうえで重要な指標となります。

 

CV数を増やすためには、すでに自社の商品を認知しているユーザーだけでなく、自社の商品の認知をさらに広めることが必要です。この認知拡大のための広告にいくら投資するべきかを、アトリビューション分析のデータをもとに正しく設定することで、成果を最大化することができます。

アトリビューション分析に向くケース

アトリビューション分析に向いているのは、コンバージョンするまでに時間を要するケースです。

 

たとえば不動産業やBtoB向けサービスといった高額商材は、購買するまでにSNS・SEOなど複数のチャネルをたどるのが特徴です。そのためこれらの流入元を把握することで、広告費用の最適化に反映させることができます。

 

そのほかにも、CV数のうち指名検索の割合が高いケース、CVにつながるキーワードに偏りがあるケース、リターゲティング広告の成果に対して売上が比例しないケースなども、アトリビューション分析を検討するとよいでしょう。

 

アトリビューション分析は広告運用のうえでは重要ですが、決してどのケースにおいても万能に効果を発揮できるというわけではありません。

アトリビューション分析に向かないケース

 

アトリビューション分析は、広告運用のうえで重要である一方で、どのケースにおいても万能に効果を発揮できるわけではありません。

 

日用品といった安価な商品やサービスは、購入にいたるまでのプロセスがシンプルで検討期間も短いため、アトリビューション分析をしてもあまり費用対効果が得られないケースです。

 

価格帯の高低ではアトリビューション分析が必要かどうかわからない、という場合は、ユーザーがCVするまでに「セッションが何回必要だったか」を確認します。Google アナリティクスで見たときに、「経路の数=1回」が80%を超えるサイトでは、アトリビューション分析をしても大きな効果が得られない可能性があります。

アトリビューション分析のやり方

アトリビューション分析をしていくうえでは、広告分析ツールを活用します。広告計測ツールには、Google アナリティクスのほか多数のツールがあります。ここではまず、無料で使えるGoogle アナリティクスを使って、アトリビューションのやり方と手順について解説します。

①ツール選定

まずはアトリビューション分析に使う、広告計測ツールを選定、用意しましょう。広告計測ツールには、Google アナリティクスのほか、アドエビス・アドゴクウ・ウェブアンテナなどなど…さまざまなツールがあります。

 

まずは無料で使えるGoogle アナリティクスを使うのがおすすめです。Google アナリティクスは、Googleアカウントを登録すれば、だれでも無料で使うことができます。

②データ収集

使用するツールが決まったら、分析するデータを集めます。データ分析を進めるためには、まずデータを収集する必要があるからです。

 

Google アナリティクスを使う場合は、ユーザーの流入元を判別するために、特定の情報をデータに追加する必要があります。どのようなパラメータを追加できるかは、Google アナリティクスのヘルプページも参考にしてみてください。

 

参考:カスタム URL でキャンペーン データを収集する - アナリティクス ヘルプ

③複数のモデルで比較

分析対象のデータが収集できたら、複数のモデルを用いてCV数にどのような変化が現れるか検証します。アトリビューション分析をする際は、Google アナリティクスの「コンバージョン」→「マルチチャネル」→「モデル比較ツール」を使いましょう。

 

Google アナリティクスでは、3つのモデルを比較してその変化を見ることが可能です。たとえば、ある広告チャネルで「ラストクリック」よりも「ファーストクリック」や「線形」のCV数が増えた場合、その広告は認知や興味を引き起こしている可能性が高いと見ることができます。この広告チャネルの予算を増やしてみて、CV数の変化を見て調整していくのがおすすめです。

 

Google アナリティクスの初期設定では、CV前30日間のクリックしか計測されないため、とくにBtoBなどの高額商材では設定を変更するよう気をつけてください。広告を代理店に委託している場合は相談してみるとよいでしょう。

Googleのアトリビューション分析

ここでは、それぞれの広告がどのくらい効果的かを調べることができる、Google広告のアトリビューション分析についてご紹介します。

 

Google広告では、CVラッキングのアトリビューションモデルを変えることができます。これは、「どの広告にどれだけ割り振るかを決める仕組み」です。ここを変更することで、広告の効果を正確に測り、スマートな広告入札に活用することができます。

 

またGoogleが提供するそのほかのツールにおいても、アトリビューション分析を簡単にできる環境が整っているため、ここではいくつかをご紹介します。

Google 広告

Google広告のアトリビューション分析に、「検索アトリビューション」があります。

検索アトリビューション

検索広告の成果を理解するために、「検索アトリビューション」と呼ばれるツールがあります。なかでも「アトリビューションモデリング」機能では、現在の評価方法と別の方法を比べて、どの広告が成果に対してどのような影響を与えるかを確認できます。

 

①Google広告の管理画面右上にある「ツール」をクリック。
②「検索アトリビューション」をクリック。

 

ここで「アトリビューションモデリング」という項目を選ぶと、異なる評価方法を比較できます。比較する際にも、アカウント・キャンペーン・広告グループ・キーワード・マッチタイプ・デバイスなど、どの部分で比較するか選ぶことも可能です。

 

広告の成果を「どのように見るか」が理解できることで、広告の効果的な運用につながります。

Google アナリティクス

Google アナリティクスは、無料で使えるアクセス解析ツールですが、アトリビューション分析機能も搭載しています。Google 広告のアトリビューションモデルとは少し違い、カスタムパラメータを設定することで、自然検索などを含むGoogle広告以外のチャネルも分析できるのが特徴です。

 

この分析機能を使うことで、広告戦略で使っているすべてのプラットフォームを横断して、広告費用の再分配ができるようになります。ただしGoogle 広告のスマート自動入札への活用に関しては、ラストクリックモデルのみ対応していたり、Yahoo!やFacebookなどほかの広告プラットフォームの入札には干渉できなかったりする点には注意が必要です。

Google アトリビューション

Google アトリビューションは、その名の通りGoogleのアトリビューション分析ツールです。このツールは2017年5月の発表以来ベータ版の提供しかありませんが、アトリビューション分析ツールで課題とされていた点をクリアできるツールとして注目が集まっています。

 

これまでのアトリビューション分析ツールでよくありがちな課題としては、「設定が難しい」「広告ツールと連携していない」「ユーザーが複数のデバイスを使用していると購入経路をまたいで計測できない」といったものがあります。

 

Googleアトリビューションは、Google広告・Googleアナリティクス・Googleアトリビューションそれぞれの特長を盛り込んだツール。これまでのGoogleの他の製品では難しかったことも一通りこなすことができるため、多くの期待が集まっています。

 

次の章で、Googleのアトリビューション分析で使われる6つのモデルについて解説します。

6つのアトリビューションモデル

Googleアナリティクスでこれまで使われてきた、それぞれの広告のタッチポイントを評価するアトリビューション分析方法は、近年進化を遂げるカスタマージャーニーに最適化するため、2023年9月をもっていくつかのモデルの提供を終了しました。

 

現在使用できるアトリビューションモデルは、「ラストクリック」「データドリブン」の2つです。なかでも「ラストクリック」はアトリビューション分析を行わない場合の分析方法と同じであることから、廃止されたモデルはデータドリブンに集約され、今後使用されるアトリビューション分析の中心は「データドリブンモデル」となります。

 

GA4アトリビューションモデル

 

ここでは、現在使われている「ラストクリック」「データドリブン」モデルのほかに、廃止された4つのモデルについてもそれぞれ解説します。

①継続:ラストクリック

ラストクリックモデル

 

ラストクリックモデルは、ユーザーがお問い合わせをしたり商品を購入したりしたとき、最後に見た広告に100%の評価をつける方法です。

 

たとえば、ユーザーが商品を購入するまでに見たいくつかのなかで、最後にクリックした広告から購入した場合、最後の広告に100%の評価を、ほかの広告には0%の評価をつけます。

 

一般的にはもっとも広く使われている手法で、Google広告、Yahoo!プロモーション広告などで多く使われています。広告の効果を測定する際にも、「ユーザーが購入を決定した瞬間に影響を与えた広告」がどれかは明白だからです。

 

ただしラストクリックモデルは、潜在顧客に対する広告評価には不向きとされているため、ほかのモデルを活用します。

②継続:データドリブン(DDA)

データドリブンモデルは、これまでに収集・蓄積してきたアクセスデータを活用し、CVに貢献しているキーワードやキャンペーンを解析し、さらにそれぞれに貢献度を割り当てる方法です。データドリブンアトリビューション(Data Driven Attribution)は、頭文字をとってDDAとも呼ばれます。

 

事前定義されたルールにもとづく従来のアトリビューションモデルでは、CVに至ったユーザーが商品に辿り着くまで経由したいくつかの広告を同じルールに沿って分析するため、異なるいくつかのケースで同じ分析結果が出てしまうこともありました。

 

一方データドリブンモデルでは、機械学習によるアルゴリズムに沿って分析をおこなうため、アカウントごとのアクセスデータ・クリックのパターンなどをもとに、CVまでにユーザーのたどる経路を正しく識別することができます。

 

たとえば「過去30日間に5,000回以上のクリック」かつ「各CVアクションに300回以上のCVが必要」という条件をクリアできれば、特別なデータにもとづいたモデルを使うことができる、というものです。

③廃止:ファーストクリック

ファーストクリックモデル

 

ファーストクリックモデルは、購入を決定したユーザーが、最初に見た広告に100%の評価をつける方法です。ラストクリックモデルとは逆で、最初の広告に対して高い評価をつけるのが特徴です。最初に見た広告に100%の評価をつけ、他の広告には0%の評価をつけます。

 

ファーストクリックモデルでは、潜在層・新しいユーザーとの最初の接点に対して高い評価をつけています。CVから一番遠いタッチポイントに重きを置くことで、積極的な新規顧客開拓に貢献する手法です。

 

広告の目的としては、新しい顧客に対して広告で認知を拡大させること、ビッグキーワードを意図した広告配信などで効果を発揮します。

④廃止:線形

線形モデル

 

線形モデルは、CVにつながったユーザーが接点をもったすべての広告に対して、貢献度を均等に分ける方法です。たとえばCVまでに4つの広告と接点があった場合、4つの広告すべてに対して、貢献度を25%ずつ均等に割り当てます。

 

ユーザーはCVするまでに複数の広告に触れることがありますが、これらの広告がどれだけ効果的だったかを判断するのに役立ちます。ユーザーによって異なる経路で商品を買うことを見据えて、最初や最後の広告だけでなく、途中の広告がユーザーにどのような影響を与えたのかを重視するのが特徴です。

 

ただし線形モデルを使うには一定量のデータが必要で、効果的に評価するには十分なサンプルデータが必要となります。最近はCVのプロセスが複雑化していることもあり、アトリビューション分析のなかでも比較的よく利用されるモデルです。

⑤廃止:接点ベース

接点ベースモデル

 

接点ベースモデルは、CVに至ったユーザーが、広告と接点をもったすべての場面に対して、貢献度を割り当てる方法です。

 

ここでは、最初に見た広告と最後に見た広告に40%、その中間で見た広告には均等に10%ずつの貢献度を割り振っています。たとえば広告1が最初に見た広告で、広告4が最後に見た広告だった場合、このモデルではそれぞれ40%の貢献度を受けることになります。中間の広告2と広告3は、それぞれ10%の貢献度を得ることになります。

 

このモデルの特徴は、コンバージョンの経路の最初と最後の広告にバランスよく比重を置いていることです。入り口と出口をバランスよく評価するのが得意なモデルで、ラストクリックモデルやファーストクリックモデルのいいとこ取り、ともいえるかもしれません。

⑥廃止:減衰

減衰モデル

 

減衰モデルも、接点ベースと同じく、CVしたユーザー接触したすべての広告に貢献度を割り当てる方法です。接点ベースモデルとの違いは、最後に見た広告に最も大きな割合の貢献度を与え、初期のタッチポイントに向けて、貢献度が減少していく点にあります。

 

たとえば広告1から広告4まであった場合、広告4が最後に見た広告であれば40%の貢献度を、その前に見た広告3は30%、さらにその前に見た広告2は20%、そして一番最初に見た広告1は10%と貢献度が割り振られます。

 

減衰モデルの特徴は、ラストクリックモデルと同様に最後の広告に重きを置きつつ、CVに近いほど貢献度を多く割り当てる点です。短期的なプロモーションや特定の期間の効果を見るときに使いやすく、慎重なアトリビューション分析が可能となります。

ビジネスの成長フェーズに合わせてアトリビューションモデルを選ぶ

アトリビューションモデルを、ビジネスの成長段階に応じて選択しなおすことは、広告費用の分配を最適化する重要なステップです。

 

とくに予算が限られている場合は、それぞれの広告の検討度合いを正しく評価する必要があります。どの広告やどのターゲット層に注力し、またどこで予算を削減するかを判断するうえで、非常に有効なデータだからです。

 

アトリビューションモデルのなかでどのモデルを採用するかは、成長をどのフェーズでどれだけ積極的に進めたいかによって変わります。

 

たとえば、ラストクリックモデルはCVに最も近いタッチポイントを考慮するため、比較的費用対効果を生み出しやすいといえます。慎重に拡大をはかりたい場合は、ラストクリックに比重を置いたモデル、ラストクリックや減衰などから採用するのがおすすめです。

 

積極的な売上規模拡大を優先する場合、購入してくれる可能性のあるユーザーに少しでも多く接触できるモデルを選ぶことが重要です。ただファーストクリックや接点ベースといった初期に比重を置くモデルは、購入を検討しはじめた段階のユーザーのため購買意思が弱く、費用対効果が悪くなるのがデメリットでもあります。

アトリビューション成功事例

求人情報サイトTの事例では、アトリビューション分析を用いて、YouTube広告とリマーケティングの効果を測定しました。ビデオ広告を見た視聴者は「アルバイト」の検索でのクリック率が32.5%高く、態度変容やサイト利用率でも明確な向上が見られ、ビデオ広告がアルバイト求人者の登録に寄与していることが確認できています。ユーザーアンケートでも、広告の想起率やサイト利用率が非視聴者に比べて高かったことが示され、アトリビューション分析がマーケティング戦略の評価に有用であることが示唆されました。

 

通信教育サービスZは、広告の貢献度を測る際、ラストクリックだけでなく「ビュー効果」も考慮し、各広告の「貢献コンバージョン」を比較しました。結果、バナー広告がリスティング広告よりも多くの貢献コンバージョンを生み出しており、とくにアドネットワークのオーディエンス配信が有効でした。潜在的なユーザーへのバナー広告アプローチが、会員登録を促さずとも、将来のコンバージョンにつながることが明らかになりました。

 

通信事業Kでは、アトリビューション分析を通じて異なる広告媒体の効果を検証しました。CPA(顧客1人を獲得するためにかかった費用)の比較では、リターゲティング広告が最も優れているように見えたものの、アトリビューション分析による深堀りで、あるアドネットワークの価値が明らかになりました。アンケートデータからは、このアドネットワークに接触したユーザーはサービス利用意向が12%向上していることがわかっており、CPAだけでは見えなかったメディアの実際の価値が浮かび上がりました。

まとめ

アトリビューション分析について解説しました。

 

2011年頃から世に広まり始めたアトリビューション分析ですが、今では非常に着手しやすい環境が整ってきました。ラストクリックモデル以外の評価を正しく取り入れることで、広告はもちろん、マーケティング施策の効果も検証できるのは大きなメリットとなっています。

 

さらに、CVまでのプロセスで、ユーザーが広告にどのように出会い、どういった影響を受けるのか、定量的なデータ分析をすることで、データドリブンなマーケティングを実現できるはずです。これらの分析をもとに広告費用を適切に配分することで、マーケティングの効果を最大化していきましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Fri, 19 Jan 2024 00:00:00 +0900
<![CDATA[ペイドメディアとは?3つの種類やメリット・デメリット、活用方法や成功事例もご紹介!]]> https://mtame.jp/advertisement/paidmedia ペイドメディアとは、オウンドメディアやアーンドメディアと並ぶ、企業マーケティングにおいて核となる「トリプルメディア」のひとつです。

 

企業が費用を支払って広告を掲載するメディアを指し、自社商材の認知拡大や売上向上を主な目的としています。

 

本記事では、ペイドメディアに関する基礎知識に加え、効果的に運用するポイントや活用方法などをわかりやすく紹介します。最終章では実際の成功事例も紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

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ペイドメディアとは

ペイドメディア(Paid Media)とは、企業が費用を支払って広告を掲載するメディアを指します。

 

企業マーケティングにおいて核となる3つのメディアは「トリプルメディア」と呼ばれ、ペイドメディアはそのうちの一つです。他にオウンドメディアとアーンドメディアがあります。

 

ペイドメディアは主に、Web広告や、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4マス媒体、セールスプロモーション広告に分類可能です(詳細は後述)。製品やサービスの認知拡大や売上向上が主な目的で、不特定多数の消費者に対して広告を打つことで、より広範囲に接点を作ることができるという特徴があります。

 

ペイドメディアは従来最も一般的なメディアだったといえますが、膨大なコストがかかる点や、コミュニケーションが一方通行になる傾向にあることに加え、消費者の多様化が進んだことによって効果は減少しつつあり、現在ではオウンドメディアやアーンドメディアを融合してアプローチすることが一般的になっています。

 

ここでペイドメディアをより的確に理解するため、オウンドメディア、アーンドメディアとの違いについてもみていきましょう。

オウンドメディア、アーンドメディアとの違い

ペイドメディアとほか2つのメディアとの大きな違いの1つは「広告費用の有無」にあります。ペイドメディアは、広告掲載先の媒体にコンテンツを依頼しますが、他2つのメディアは広告費はかかりません。

 

また「運営する目的」も異なります。ペイドメディアは「認知拡大・売上向上」が主な目的ですが、企業が自らコンテンツを作成し運営する「オウンドメディア」の主な目的は「顧客獲得・ブランディング」です。またユーザーのブログ記事や比較サイトでのレビューのように、消費者やユーザー自身が情報を発信する「アーンドメディア」は、「ユーザーの口コミなどによる認知拡大」を目的としています。

 

さらに、「メディアへの露出の早さ・広さ」という点でも違いがあります。ペイドメディアは広告費を払って広告を打つので、すぐに幅広い層へ露出することができますが、他2つのメディアはSEOなどのマーケティング施策を実施して自社で積み上げていく必要があるため、多くの人に認知してもらうには時間がかかります。

 

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ペイドメディアの主な種類3つ

ペイドメディアの主な種類は、「Web広告」「4マス媒体」「セールスプロモーション広告」の3つです。それぞれの種類について解説します。

①Web広告

Web広告は、検索エンジンの検索結果画面や、Webサイト・ブログなどに表示される広告枠に掲載できる広告を指します。インターネットの利用が一般化している現代において、非常に勢いのあるペイドメディアです。

 

広告費用が比較的安価である点や、広告出稿後に容易に分析ができる点などがメリットです。ターゲット設定を行って、見込み度の高いユーザーを狙って認知を広げることも可能です。

 

Web広告には「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「ソーシャルメディア広告」など様々な種類があり、自社の戦略に合わせて広告を出稿できます。以下でそれぞれの特徴について紹介します。

 

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リスティング広告

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト広告を指します。Web広告の中で最も利用されている広告といっても過言ではありません。

 

主に検索結果ページの上部、もしくは下部に表示され、URL の左側には「広告」と表記されるのが特徴です。リスティング広告をクリックしたユーザーを指定のWebサイトに誘導できます。

 

低予算でありながら、興味・関心をもつユーザーにダイレクトに訴求できるため、費用対効果が高い広告手法といえます。

 

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ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とはWebサイトや動画サイト、アプリなどの広告枠に表示される広告のことです。広告の掲載枠があるサイトのコンテンツに応じて広告が表示されるため「コンテンツ連動型広告」や、バナー形式での掲載が多いことから「バナー広告」と呼ばれることもあります。

 

ディスプレイ広告は画像、動画、テキスト、またはテキスト+画像など様々な形式で掲載できるのが特徴で、ユーザーの目にとまりやすい広告を打つことが可能です。

 

配信枠が多いため、潜在顧客に幅広くアプローチすることができるほか、リスティング広告やSNS広告に比べ、クリック単価が低くなる傾向にあります。

 

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SNS広告

SNS広告とは、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINEなどのSNSプラットフォーム上で表示される広告を指します。特に、近年普及しているWeb広告の一つです。

 

テキストやバナー広告、動画広告やカルーセル広告も増えており、タイムラインやストーリーなどに表示されます。ユーザーが登録した情報に基づいた、高精度のターゲティングが実現できるという特徴があります。

 

SNSは、10代~30代の利用が多い傾向にあるため、若年層がターゲットの際におすすめの手法です。

 

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②4マス媒体

4マス媒体は「テレビ、ラジオ、新聞、雑誌」の4種類を指し、従来利用されているマスメディア広告です。

 

Webメディアが勢いを増してきた今でもなお、4マス媒体を利用するユーザーは多く、認知拡大に大きな効果を期待できます。特に、年齢層の高いユーザーが多い傾向にあるため、ターゲットの年齢層が高い場合におすすめの手法といえます。

 

4マス媒体は歴史が長いため、Web広告よりも信頼を得やすいという利点がありますが、一方で広告費用がかさんでしまうという側面もあります。予算をしっかりと考慮した上で出稿することが大切です。

③セールスプロモーション広告

セールスプロモーション広告とは、Web広告や4マス媒体を除くオフライン広告全般を指し、商品やサービスの認知拡大、ユーザーの購買意欲促進に活用される広告のことです。

 

店頭POPや折り込みチラシ、ダイレクトメール、電車やタクシーなどの交通広告などが当てはまります。

 

セールスの要素が強く、ターゲットを絞ってアピールできるという特徴があるため、アプローチしたいターゲットが定まっている場合におすすめの手法です。認知拡大やブランディングなどの目的で掲載する広告とは別のものとして考えられています。

ペイドメディアの4つのメリット

トリプルメディアの中でも、ペイドメディアは特に即効性があるため結果につながりやすいというメリットがあります。

 

その他にはどのようなメリットがあるのでしょうか?主な4つのメリットについて紹介します。

①幅広い層にリーチできるため認知拡大しやすい

ペイドメディアでは多くのユーザーが利用する媒体に広告を出稿し、幅広い層にリーチすることができるため、認知拡大しやすいというメリットがあります

 

ペイドメディアに出稿することで、既存顧客はもちろん、潜在顧客や自社商品・サービスを知らないユーザーにまで認知してもらうことが可能です。

 

特にテレビCMやラジオなどの4マス媒体は既に利用者の多いため、広告を出稿することで非常に高い効果が見込めます。明確なターゲットを設定している場合、それに最適な媒体を選定して広告を表示できるため、より効果を実感できるでしょう。

 

トリプルメディアの中でも、ペイドメディアは最も効率が良く、スピーディーな認知拡大が期待できるメディアといえます。

②集客アップが見込める

「自社サイトに誘導して集客向上につなげられる」という点も、ペイドメディアの大きなメリットです。

 

たとえば、雑誌広告へのQRコード掲載や、動画広告内へのリンク埋め込みなどを行って導線を作り、自社サイトへと誘導することで集客力向上へとつなげられます。こうすることで、高い効果を発揮することが期待できるでしょう。

 

ただし、その分費用がかかる(詳しくは後述)ため、予算・広告掲載期間を予め決めておくなど、限られた予算の中で最大限に効果を発揮する戦略を立案することが大切です。

 

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③即効性が高い

即効性が高いというポイントもペイドメディアの利点であり、成果を得られやすいという特徴があります

 

先述したように、ペイドメディアは費用を支払って、既に多くのユーザーが利用しているメディアに広告を掲載するため、露出機会がある程度担保されており、集客や認知度の向上において高い即効性があります。

 

高い集客力が必要となるイベントや、新商品・サービスの発売など、すぐに成果を得たい場合には、ペイドメディアの活用がおすすめです。

④戦略を活かした広告が打てる

ペイドメディアは、広告のデザインや文言などの配信内容を細かく設定できるため、戦略を活かせるというメリットがあります

 

「どのメディアに、どんな広告を出稿するか」を自由に決められるので、自社のブランディングや戦略に最適な広告を打つことが可能です。また、予算に合わせて広告規模を調整することもできるため、キャンペーンに合わせてターゲットを変更したり、小規模スタートで徐々に規模を拡大して広告を配信したりするなどの対応もできます。

 

自由度の高い広告配信によって、戦略の最大限の活用が実現できるでしょう。

 

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ペイドメディアの3つのデメリット

ペイドメディアにはデメリットもあります。主な3つのデメリットを紹介しますので、実際にペイドメディアを利用する際には気をつけましょう。

①継続的に費用がかかる

ペイドメディアを活用する場合には、継続的に費用がかかるため注意が必要です。

 

広告費用はメディアや掲載期間などで大きく異なりますが、継続して出稿するほど費用はかさむため、長期間出稿の場合は予算を十分に確保した上で活用しましょう。ターゲット設定や期間が曖昧なまま出稿してしまうと、コストをかけても無駄になってしまう可能性もあります。

 

掲載期間内で高い成果を得られるよう、話題作りをしてペイドメディアだけでは完結しない工夫を施すなど、しっかりとした計画立案を行うことが大切です。

②一方的なコミュニケーションになってしまう

ペイドメディアでは、企業とユーザー間の双方向コミュニケーションが取れないため、一方的なコミュニケーションになってしまうというデメリットがあります

 

ターゲットをしっかり設定しないと、広告内容に興味がないユーザーに対しても継続的に広告が表示され、不快感を与えてしまう可能性があります。インタラクティブな反応やユーザーの声を反映させて、商材を改善したいケースでは、ペイドメディアだけの活用では難しいでしょう。

 

一方的なコミュニケーションでは信頼関係を構築しづらいため注意が必要です。常にユーザーを意識して広告を制作するようにしましょう。

③競争が激しい

「競争が激しい」という点もペイドメディアのデメリットです。

 

現時点で多くの企業がペイドメディアを利用しているため、特にWeb広告では検索上位を狙うコンテンツの競争が激化しています。これに打ち勝つためには、ペイドメディアに出稿するだけではなく、効果的な広告内容を打ち出す工夫や、競合他社との差別化などが必要です。

ペイドメディアを効果的に運用する5つのポイント

ペイドメディアに関する理解が深まってきましたが、実際に効果的に運用していくにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか?5つのポイントについて紹介します。

①目的・ターゲットの明確化

ペイドメディアを運用する際にまず大切なのは、運用する目的及び広告の対象となるターゲットを明らかにすることです。

 

例えば、「自社ブランドの認知拡大」「リードの獲得」「新商品の売上向上」など、あらかじめ目的を明確化しておくことで、適切な広告戦略につながり、結果を評価するための指標を設定しやすくなります。

 

ターゲットであれば、ユーザーの年齢層や住所、性別、興味・関心の度合いなどを決め、その中でもWeb広告の場合はユーザーの購買履歴などを分析した上で最適なターゲットを特定することが大切です。

 

「広告費用をかけても無駄になってしまう」という可能性も減り、掲載期間内でより高い成果を見込めるでしょう。

②最適な媒体を選ぶ

明確にした目的やターゲットに適した広告媒体を選ぶことも、非常に重要なポイントです。

 

例えば、年齢や性別を問わず、幅広い層にリーチしたいのであればテレビCMを利用し、若い世代をターゲットにしているのであればSNS広告を利用するなど、目的やターゲット、扱う商材やサービスに最も相性のいい媒体を選びましょう。

③オウンドメディアやアーンドメディアと連携する

ペイドメディアだけでなく、オウンドメディアやアーンドメディアと連携させることも、高い効果を得るためのポイントです。相乗効果によって、ペイドメディア単体で活用するよりもさらに高い効果が期待できます。

 

具体的には、まずペイドメディアで認知を拡大し、オウンドメディアで自社商品やサービスなどへの理解を深めてもらい、アーンドメディアで顧客獲得やファン育成を行う流れが一般的とされています。それぞれの長所・短所を理解した上で、短所をカバーしつつ連携して運用することが大切です。

 

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④メッセージ・デザインの最適化

広告メッセージやデザインを最適化することで、ペイドメディアをより効果的に活用することができます

 

ユーザーの課題やニーズをしっかりと理解した上で、魅力的な画像や映像を使用してターゲットに響くように最適化することで、さらに高い効果を期待できるでしょう。Web広告であれば、CTA(Call to Action:コール トゥ アクション)ボタンの配色や配置場所を工夫することで、クリック率やCVR(コンバージョン率)の向上を図れます。

 

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⑤効果検証と継続的な改善

Web広告の場合、リアルタイムで効果検証を行うことができます。データを分析した上で、継続的に改善していくことで、より効果的にペイドメディアを活用できるでしょう。

 

具体的には、広告の表示回数やクリック率、表示順位やコンバージョン数など、広告に対するユーザーの反応をすぐに追跡可能です。結果に基づいてターゲット設定や戦略そのものを見直すことで、継続的な改善、最終的にはより大きな成果につながります。

 

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ペイドメディアの活用方法

ペイドメディアは、各プラットフォームによって活用方法が異なります。具体的な活用方法についてみていきましょう。

①テレビCMの活用:幅広い層に認知を拡大できる

代表的なペイドメディアのひとつであるテレビCMは、幅広い層に認知を拡大する際に活用したいメディアです。

 

テレビCMは多額の広告費用がかかりますが、ユーザーからの高い信頼性が魅力といえます。テレビCMで見た商品を手に取った経験がある方も多いのではないでしょうか?

 

予算が限られている場合は、自社内でリソースを割いて広告動画の制作を行うことで、コストを抑えることも可能です。地方限定CMを公開するという手法もあります。

②雑誌広告の活用:特定のターゲット層に有効

雑誌は購入するターゲットが明確なため、広告を打つことで特定のターゲット層に高い効果が期待できます。雑誌のコンセプトと、広告を打ちたい商品・サービスのターゲットが合致するかどうかを検討した上で広告を掲載することが重要です。

 

先述したテレビCMは費用が高いため、規模が大きい企業でなければ掲載が難しい傾向にありますが、雑誌は比較的広告費が抑えられるため、多くの予算を割けない企業は雑誌広告の活用がおすすめです。全国に打ち出せる広告であるという点も魅力といえます。

③リスティング広告の活用:コンバージョンの向上

GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示される「リスティング広告」は、悩みに対する答えや解決策を探しているユーザーにアプローチをかけることができるのが特徴です。

 

そのようなユーザーは、自身のニーズを満たす商品やサービスを見つけた際に、コンバージョン(CV)しやすい傾向にあります。そのため、CVの向上や増加を測りたいのであれば、リスティング広告の活用がおすすめです

 

比較的低予算で実施できるというメリットがありますが、広告を出稿する業界やキーワードによってはコストが高騰する場合もあることを理解しておきましょう。

④動画広告の活用:全世界・若い世代へ訴求できる

YouTubeやFacebook、その他SNSで流れる動画広告は、比較的若い世代へ訴求しやすいというメリットがあります。また、4マス媒体などに比べて広告費用を大幅に抑えながら、国内だけでなく、全世界に向けて広告を出稿できるというのも特徴です。

 

インターネットの発展やスマホの普及、SNSの発達によって、インターネット上で情報収集するユーザーが増加しており、ネットにおける動画広告のニーズが高まっています。

 

特にSNSでは10~30代のユーザーが最も多いとされているため、若年層がターゲットの商材を打ち出す場合は特におすすめです。

⑤Instagram広告の活用:細かいターゲティングが可能

Instagram広告は、近年大幅にユーザーを増やしているSNS「Instagram」に出稿できる広告で、狙ったユーザーにピンポイントでアプローチできるのが魅力です。

 

広告には「記事内型」「ストーリー型」「動画広告型」の3タイプがあり、ターゲット設定を細かく決めることができる機能が備わっているため、有効に組み合わせることでより効果的にアプローチすることができます。

 

Instagramは年齢層が高くなるほどインプレッションが少なくなる傾向にあるため、商材やターゲット層を見極めて広告を打ち出す必要があります。

ペイドメディアの成功事例3選

では最後に、ペイドメディアを活用した成功事例を3つ紹介します。実際に運用する際の参考にしてください。

日清食品ホールディングス株式会社:動画広告

カップヌードルなどの商品の開発・販売を行う日清食品ホールディングス株式会社は、カップヌードルのテレビCM「HUNGRY DAYSシリーズ」が大きな反響を呼びました。

 

同CMシリーズは、スタジオジブリ作品「魔女の宅急便」や「サザエさん」などの登場人物の青春にフォーカスし、「国民的名作のヒロインが、もしも現代で青春を送っていたら?」というパラレル・ワールドを描いたシリーズ。

 

その内容が共感を生み、「第23回 AMD Award ’17」では食品業類にてCM好感度1位を獲得し、動画再生が1,800万回以上という成果を得られました

 

ペイドメディアをはじめ、常に話題を提供するプロモーションを展開し、2019年度には3年連続で最高売上記録を更新し、国内年間売上は1,000億円を達成するなどの成果を発表しています。

 

参考

第23回 AMD Award 優秀賞|日清食品 カップヌードル HUNGRY DAYSシリーズ 一般社団法人デジタルメディア協会

日清食品株式会社 プレスリリース「皆さまへ心からありがとう! 「カップヌードル」が、国内年間売上1,000億円を達成!」

ダイキン工業株式会社:Instagram広告

空調機器メーカーであるダイキン工業株式会社では、「ストーリーズ」を活用したInstagram広告を利用し、若年層への認知拡大に成功しました。

 

同CMには若者から支持されているインフルエンサーを起用し、動画もクイズ形式に工夫することで、楽しみながら視聴できるCMとして話題を集めました。また、Instagramの強みである、アンケートなどのインタラクティブな施策の実施も注目度を高めた大きな要素となりました。

 

広告では「湿度コントロールが重要」であることや、「ダイキンは湿度調整ができる」というメッセージを伝えることに成功。

 

ユニーク且つインパクトのあるクリエイティブを活かして、ペイドメディア活用に成功した事例といえます。

 

参考

ダイキン工業株式会社 プレスリリース「人気インフルエンサーkemioさんが難問に挑戦!湿度をテーマにした動画「#ぴちょんクイズ」第2弾を公開」

ダイキン×ワンメディアが検証!Instagramストーリーズでのブランド訴求&クリエイティブの最適解

パナソニック:新聞広告

日本を代表する総合エレクトロニクスメーカーであるパナソニックでは、新聞広告を活用して自社のSDGs活動を広める施策を行っています。

 

同広告では、SDGsそのものの認知拡大に加え、自社のSDGs活動を子どもや親に認知・理解してもらい、ブランドイメージの向上を図ることを目的とし、子どもが楽しめるコンテンツとして「みらいぬりえ」塗り絵を掲載しました。

 

同社は幅広い事業体系でSDGsの17ゴール全てに貢献しているという強みがあり、17ゴールそれぞれの「みらい」を塗り絵で表現。親子で楽しみながら、主体的にSDGsへの理解を深める作りになっています。ぬりえを楽しむ様子がSNSにアップロードされたり、子供からぬりえの内容について質問が届くなど、大きな反響があったそうです。

 

広告を打ち出す目的に最適な媒体やクリエイティブを選定したことが、成功へのポイントといえるでしょう。

 

参考

日本新聞協会 パナソニック|新聞広告データアーカイブ

まとめ

本記事では、ペイドメディアについて網羅的に解説しました。

 

ペイドメディアには様々な種類がありますが、高い効果を得るためには、自社の打ち出したい商品・サービスに適した媒体を選ぶことが非常に重要です。

 

また、オウンドメディアやアーンドメディア含めたトリプルメディアと連携して活用することで、ペイドメディアの効果を最大限の発揮することにもつながります。

 

自社の目的やターゲットを明確にし、しっかりと戦略を練った上で、最適な広告媒体を選べるようにしましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 28 Dec 2023 09:00:00 +0900
<![CDATA[AIライティングとは?企業担当者が「生成AIツール」で記事作成するための基本を解説]]> https://mtame.jp/content_marketing/ai-writing 昨今、ビジネスの現場において「AIテクノロジー」をうまく活用しながら、業務効率化・生産性向上を推し進めていこうという意識が高まっています。特にデジタルマーケティングの分野では、「AIライティング」が急速に広まりつつあります。

 

AIライティングとは、人工知能(Artificial Intelligence)の技術を利用して、記事コンテンツなどのテキスト文章を、自動生成する手法のことです。Webサイトにおいてブログ・コラムなどに公開する記事コンテンツは、コンテンツマーケティング・SEO対策を考えるとなくてはならないものですが、地道に多くの記事を量産していくのは、日々忙しいマーケティング担当者にとってそれなりの負担ではありました。

 

AIを上手に使えば、この大変だった記事コンテンツ作成にかかる作業量を削減することができ、効率的にマーケティング活動を実行できるようになります。
ここでは企業担当者が、ChatGPTやGoogle Bardのような「生成AIツール」を使って記事を作成するためのポイントをご紹介していきます。

AIライティングとは

AIライティングとは、技術進歩が目覚ましい「生成AIツール」を使いながらテキスト文章を作りあげていく方法です。自然言語処理(NLP = Natural Language Processing)という技術を利用し、大量のテキストデータから言語のパターンを機械学習させることで、AIは人間のような自然な文章を生成することができるようになりました。特に日本語は、欧米諸国で使われている言葉と比べても複雑な文法やニュアンスを持つ言語ではありますが、テクノロジーの発展により高品質な文章作成が可能になってきています。

デジタルマーケティングにおけるAIライティング

AI(人工知能)の歴史は、1950?60年代に遡りますが、当時は現在のような文章生成には至っていませんでした。2010年代に入るとビッグデータの活用が進み、ディープラーニング(深層学習:Deep Learning)などの機械学習技術が大きく進化しました。特に、日本語のような複雑な言語においても、AIによる自然な文章生成が可能になり、マーケティング分野での活用が増加傾向にあります。

 

AIライティングは、ブログ・コラム用の記事コンテンツはもちろん、キャッチコピーや、見込客向けメール原稿、SNS用の投稿文などのドキュメント生成に長けています。また、ちょっとしたキャンペーンのアイデアを考案する際にも役立ちます。うまく使いこなせれば、これらにかかる作業時間を大幅に削減することができるでしょう。

 

  • ブログ・コラム用の記事コンテンツ
  • キャッチコピー(記事タイトル・Webサイトの見出し・メール件名など)
  • メールニュースの本文原稿
  • SNS用の投稿文

AIライティングにおける注意点

このようにデジタルマーケティングにおいても有用な武器となる「生成AIツール」ですが、実際に現場で使用していくにあたってどのような注意点があるのでしょうか。メリット・デメリットなどを、一度ここで整理してみます。

① メリット

AIライティングを活用する最大のメリットは、そのスピードと効率性です。記事コンテンツを例にとると、従来はマンパワーで行っていた「情報収集」「記事の骨子構成(アウトライン)」「本文原稿ライティング」「校正」などの工程がありますが、これらの多くは「生成AIツール」に肩代わりしてもらえるため、高速で記事コンテンツを作成することが可能になります。また人間と違ってAIならば24時間365日いつでも稼働できるため、コンディションを気にせずに常に一定の品質を保ちながらコンテンツを生成し続けることができます。これらは、特にリソースが限られている中小企業にとって大きな利点となります。

② デメリット

一方で、AIライティングには、いくつかデメリットや弱点も存在します。まず、AIが生成する情報の「正確性」には限界があり、ファクトチェック(検証行為)が必要となります。特に専門的なテーマや最新ニュースなどは、マーケティング担当者の目視によって事実確認をした方が安全でしょう。またAIライティングは、論理的・数値的な文章をつくりあげるのには向いていますが、情緒的・創造的な文章づくりは不得意です。このあたりも人間によって手直しを施さないと無機質な印象を与える記事コンテンツになってしまいます。

 

AIだからと言って何でも万能にできるということではありません。ただ、これらのメリット・デメリットを理解しつつ、ChatGPTなどの生成AIツールを使いこなすことができれば人力だけではできなかったパフォーマンスも期待できます。

記事コンテンツ作成に使えるAIツール

ここまでで、AIライティングで気をつけるべき点や、得意・不得意なども理解できたと思います。では、現場において使用できる生成AIツールにはどのようなものがあるのでしょうか。

 

企業のマーケティング担当者にとって、生成AIツールの選択は非常に重要です。市場には様々なツールが存在し、それぞれに特徴があります。例えば、一部のツールはビジネスメールやレポート作成に特化している一方で、他のツールはブログ・コラムなどの記事コンテンツの生成に適しています。あるいはExcelやスプレッドシートなどの集計処理に長けているものもあります。また、言語のサポート範囲や生成するコンテンツの品質もツールによって異なります。

① ChatGPT

ChatGPT(チャット・ジー・ピー・ティ)は、米国OpenAI社によって開発された生成AIツールです。ChatGPTに採用されている大規模言語モデル「GPT4」は、有料ではありますが自然言語処理に優れており、利用者の質問や命令に対してまるで人間のような自然な言い回しで回答してくれます。多様なトピックに対応し、コンテンツ作成、対話、情報提供など幅広い用途に利用できます。特に、マーケティングコンテンツの生成、カスタマーサポート、FAQの作成などに有効です。また、豊富なプラグインを使用することでさまざまな機能拡張が可能です。日々アップデートを繰り返しており、現在もっとも普及が進んでいる生成AIツールと言えます。
https://chat.openai.com/

② Google Bard

Google Bard(グーグル・バード)は、検索エンジンで有名なGoogle社が開発した生成AIツールで、OpenAId社とはまた異なったアプローチの大規模言語モデル(PaLM2)をもとにしています。このツールは、利用者からの複雑な質問に対して詳細な回答を提供する能力を持ち、特に情報検索や教育的な応答に優れています。Googleの広範なデータと統合されていることもあり、最新の情報やトレンドに基づいた回答が可能です。
https://bard.google.com/

③ Bing AI

BingAI(ビング・エーアイ)は、Microsoftが提供する生成AIツールです。OpenAI社の「GPT4」を大規模言語モデルとして採用しており、さらに検索エンジンのBingと統合されています。このツールは、検索結果の提供だけでなく、ユーザーの質問に対する直接的な回答や要約、さらには会話形式での対話にも対応します。ChatGPTとは違って無料で「GPT4」による精度の高いレスポンスが得ることができます。利用する際は、Bingのページから「チャット」を選んで使用します。
https://www.bing.com/

④ Google SGE(Search Generative Experience)

Google SGE(グーグル・エス・ジーイー)は、Googleの検索技術に基づいたAI体験を提供する生成ツールです。このツールは、Bardとはまた別の大規模言語モデルを使用しており、利用者が検索エンジンを使って調べるキーワードに対して、複数の情報源からより詳細かつ包括的な回答をテキスト生成するとともに、「参照サイト」をいくつか提示してくれるため、ファクトチェックがしやすいなど利便性に長けています。利用する際は、Googleのページ右上にある「Search Labs」のアイコンを選んで使用します。
https://labs.google.com/search/

 

これらのツールはそれぞれ独自の強みを持っており、さまざまな用途で活躍してくれると思います。まずは、実際に試してみながら自分に合ったものを使ってみましょう。

AIライティングのプロンプト例

ここまでで、AIライティングのデジタルマーケティングにおける活用方法や、生成AIツールについて紹介してきました。実際に使用する際には、深く考えずに思いつくまま入力スペースに質問事項を打ち込んでいけばそれで問題ないのですが、より望んだかたちの回答を得ようとするならば「プロンプト」という命令形式に則ってテキスト入力するのが効果的です。

 

  • AIプロンプト(prompt)= 動作するようにうながす、手助けする、迅速な、素早い、遅れのない、などの意味を持つ語句。コンピュータの世界では、主にユーザーが「コマンド」を実行するための命令文・文字列のことを指す。

 

以下に、ブログ・コラム用の記事コンテンツを作るときのプロンプト例を用意してみました。ここでは、中小企業のマーケティング担当者を対象として、「マーケティングオートメーション」を題材としています。このプロンプト例を、ChatGPTやGoogle Bardなどの生成AIツールの入力スペースに貼り付けることで記事コンテンツのドラフト版を作成することができます。

プロンプト例

 

#命令
あなたは優秀なマーケティングプランナーです。#検索キーワード、#記事タイトル、#ペルソナ、#出力形式、#記事導入文の作成ルール、#記事本文の作成ルール、を参照して、最高の「#記事導入文」「#記事本文」を作成しなさい。

#検索キーワード
マーケティングオートメーション

#記事タイトル
中小企業のDX化を支援するマーケティングオートメーションとは

#ペルソナ
規模: 日本国内の中小企業
業種: 特に業種は限定しない
担当者の部署: マーケティング部

#記事導入文の作成ルール
・記事導入文は、#検索キーワード、#記事タイトル、#ペルソナ、#記事導入文の
 作成ルール の情報を考慮して出力する。
・記事導入文は、冒頭で「""#検索キーワード"" とは、~です。」という、
 #検索キーワード自体を簡潔に説明する一文を作成して出力する。
・記事導入文は冒頭文の次に、""#検索キーワード"" に関連した日本国内における
 トレンド情報を20?30文字程度で出力する。
・記事導入文の最後は「この記事では?をご紹介していきます」という一文で締める    (~には ""#出力形式"" を短く要約した語句を入れる)。
・記事作成は、#検索キーワード を使用して、記事本文の見出し(h2)、さらに傘下となる
 中見出し(h3)、子見出し(h4)のアイデアを、#出力形式として出力する。

#記事本文の作成ルール
・記事本文は、#検索キーワード、#記事タイトル、#ペルソナ、#出力形式、#記事本文の
 作成ルール の情報を考慮して出力する。
・記事本文は、必ず日本語を使って作成する。不自然な日本語は使用しない
 (「ます」「です」の多用は禁止)。カタカナの専門用語はなるべく記述しない。
・記事本文は、見出しとなる「h2、h3、h4」の順序や構成を、必ず守って作成する。
・記事本文の最後に、全文を要約した「まとめ」を200?300文字くらいで作成する。
・記事本文は、題材とする検索キーワードに詳しくないペルソナにもわかるように、
  説明を省略することなく、できる限り文章ボリュームを使って出力する。

#出力形式
中見出し(h3)、子見出し(h4)は、SEO対策を考慮して必要があれば中見出し(h3)、子見出し(h4)を追加する。ただし必ずしも子見出し(h4)を使用する必要はない。

<h2> [見出し名]
└<h3> [見出し名]
 └<h4> [見出し名]
    ・
    ・
    ・
    ・

出力例

 

下記は実際にChatGPTにて生成された記事導入文と記事の例となります。

記事生成例

 

題材によって、「題材(検索キーワード)」「ペルソナ」「記事タイトル」を変えることで
いろいろな記事コンテンツのたたき台を作成することができます。その上で、試行錯誤しながら自分なりに使いやすいようにAIプロンプトを作成してみましょう。

まとめ

AIライティングは、今後もディープラーニングや自然言語処理の発展によって大きく進化していくと予想されます。AIはより感情的なニュアンスや創造的な表現を取り入れることも可能となり、まるで人間が書いたのと変わらない文章クオリティを実現できるようになるでしょう。そうなれば、人の心を動かすようなブランドライティングやストーリーテリングなども重要な役割を果たすようになる可能性があります。

 

企業のマーケティング活動においては、追い風と言えるでしょう。今までリソースの問題で手をつけられていなかったブログ・コラムの記事コンテンツや、メール原稿、SNS投稿などもより効率的かつ積極的に発信できるようになります。

 

自社のデジタルマーケティング強化のためにも、まずは何らかの「生成AIツール」を試しに使ってみましょう。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Thu, 28 Dec 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[SFAとは?簡単に解説!SFAの一覧もご紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_sfa SFAとは、Sales Force Automationの頭文字を取ったもので、営業支援システムのことです。営業活動を効率化し、生産性を向上させるためのシステムで、営業プロセスの自動化、管理、最適化を実現できます。

 

近年、日本でもDXの推進やデータドリブンセールスへの取り組み、リモートワークの普及などに伴い、SFAが注目されています。

 

この記事では、SFAの概要や活用方法、日本で利用できるSFAなどについて、ご紹介いたします。

 

【関連記事】
製造業におけるSFAについて解説!メリットや選び方のポイント
「MA」「SFA」「CRM」どれも営業支援ツールだけどどう違うの?
SFAの活動履歴から分析するマーケティングと営業の改善ポイント

SFAとは?

SFAとは、Sales Force Automationの頭文字を取ったもので、営業支援システムのことです。
営業活動を効率化し、生産性を向上させるためのシステムで、営業プロセスの自動化、管理、最適化を実現できます。

SFAの目的

SFAの主な目的は、営業プロセスを効率化し、営業担当者の生産性を向上させることです。
SFAの活用により、営業担当者は、より多くの時間を顧客との関係構築や重要な営業活動に費やすことができるようになります。

 

SFAシステムには、顧客管理、商談管理、活動管理、予実管理、レポート作成などの機能が搭載されています。これらの機能を活用することで営業活動の透明性が高まり、効率的な意思決定が可能になります。

 

SFAの導入により、営業プロセスの効率化、データドリブンな意思決定、顧客情報の一元管理、営業活動の可視化などが実現できます。その結果、営業成果の向上が期待できるのです。

 

日本国内の中小企業においては、限られたリソースを最大限に活用するため、SFAの導入は特に重要です。SFAは、効率的な営業活動を支援し、競争力を高めるための強力なツールとなるでしょう。

 

マーケティング部門は、SFAシステムを活用して営業チームとの連携を強化し、効果的なマーケティング戦略を策定することができます。また、顧客データの分析を通じてターゲット市場の理解を深め、より効果的なキャンペーンを実施することが可能になります。

SFAとCRMとの違い

SFAと混同されやすいツールにCRMがあります。

CRMとは

CRMとは、Customer Relationship Managementの頭文字を取ったもので、顧客情報の管理や分析を通じて、企業と顧客との関係を強化するための戦略やシステムを指します。 日本語では、「顧客関係管理」と訳されます。

 

CRMは顧客との関係を管理し、顧客満足度を高めることに主眼を置いています。これには、顧客データの収集と分析、マーケティング活動、顧客サービスの向上などが含まれます。
CRMの目的は、顧客との長期的な関係を築くことです。

 

【関連記事】
CRMとは?なんの略?基本機能からツールの比較まで徹底解説

カバーできるフェーズの違い

「MA」「SFA」「CRM」

 

SFAは営業プロセスに特化しており、営業活動の効率化を目的としています。
一方、CRMは受注後の顧客情報の管理に重点が置かれ、顧客との良好な関係を構築することを目的としています。

利用者の違い

SFAは主に営業部門によって利用され、営業活動の効率化を目指します。
一方、CRMはマーケティング部門やカスタマーサービス部門によっても利用され、顧客との関係構築に役立てられます。

 

SFAとCRMの違いについては、こちらの記事もご覧ください。

 

【関連記事】
「MA」「SFA」「CRM」どれも営業支援ツールだけどどう違うの?

SFAとCRMとの共通点

SFAとCRMが混同されやすいのは、上記のような違いよりも、共通点の印象の方が強いためでしょう。

 

SFAとCRMとでは、顧客や受注案件に関する情報を一元管理できること、それを社内の複数部署で共有できること、データに基づくPDCAサイクルを回せることなどのメリットが共通します。

 

これらの共通点・相違点を踏まえた上で、自社に必要なツールはどちらなのかを見極め、適切な方を導入・活用しましょう。

SFAの主な機能

SFAには、顧客管理や商談管理、活動管理、予実管理、レポート・分析、モバイルアクセスなど、多岐にわたる機能が搭載されています。
これらの機能を活用することで、中小企業の営業活動はより効率的かつ効果的になり、売上の増加や顧客満足度の向上が見込めます。

 

各機能について、それぞれご紹介いたします。

顧客管理機能

顧客の基本情報や購買履歴、コミュニケーション履歴などを一元管理します。
この機能により、顧客ごとにカスタマイズされたアプローチを取ることが可能になり、顧客満足度の向上を目指せます。

商談管理機能

商談の進捗状況や見込み度、予想受注日などを管理し、商談の成功率を高める機能です。
この機能により、営業チームは商談の状況をリアルタイムで把握し、適切な戦略を立てることができるようになります。

活動管理機能

営業担当者の日々の活動(訪問、電話、メールなど)を記録しておくことで、次のアクションを効率的にスケジューリングしたり、上司などから受注のための活動改善を受けたりできる機能です。
この機能により、営業担当者の業務が効率化され、生産性向上が期待できます。

予実管理機能

売上の予測と実績を比較分析し、営業目標の達成度を把握します。
この機能により、営業戦略の調整や目標設定の精度向上が見込めます。

レポート・分析機能

営業データを分析し、詳細なレポートを生成してくれる機能です。
この機能により、営業活動の成果を定量的・定性的に評価し、改善点を特定することができます。

モバイルアクセス機能

スマートフォンやタブレットからSFAにアクセスし、外出先でも営業活動を管理できる機能です。
この機能により、営業担当者は柔軟な働き方を実現できます。

SFAの導入メリット

SFAの導入は、企業の営業活動に多くのメリットをもたらします。
以下は、SFAを導入することで得られる主なメリットです。

営業活動の効率化

SFAは、一部の営業プロセスを自動化してくれるため、営業業務の効率化を図ることができます。

 

たとえば、1日で回らなければならない訪問先のルートを、GPSや地図情報を利用し、距離や交通状況を考慮した最適なルートを自動的に算出してくれます。
また、日報などのレポート作成を自動化する機能を持つSFAも多いです。
ほかにも、顧客の属性や購買履歴、商談の進捗状況などを分析して、最適なフォローアップ方法やタイミングを自動的に提案してくれるものがあります。

 

これにより、営業担当者は時間を節約し、より生産的な活動に集中できるようになります。

情報の一元管理

顧客情報、商談の進捗、案件の状況など、営業に関連するすべての情報を、SFAに一元的に管理できます。
これにより、情報の抜け漏れを防ぎ、迅速な意思決定が行えるようになります。

営業プロセスの透明化

SFAは営業活動を可視化し、営業プロセスの透明性を高めます。
これにより、営業チームのパフォーマンスを正確に評価し、改善点を特定することが容易になります。

 

成績の良い営業担当者の活動を横展開して営業組織全体の底上げを行ったり、逆に営業成績の芳しくない担当者の行動を分析して、改善のためのアドバイスを行ったりといった活用が可能です。

顧客関係の強化

顧客情報の詳細な管理により、顧客のニーズや嗜好を深く理解し、パーソナライズされたアプローチを実施できます。
これにより、顧客満足度の向上と長期的な関係構築が可能になります。

売上予測の精度向上

SFAで過去のデータを分析し、将来の売上予測の精度を高めることができます。
このため、より効果的な営業戦略を立てることができるようになります。

コスト削減

以上のような営業プロセスの効率化により、営業組織の運営コストを削減することができます。
また、それまでの紙ベースの営業業務からSFAでデジタル化することで、ペーパーレス化につながり、紙の使用量や印刷代などを削減できます。
このほか、移動時間の短縮など、間接的なコスト削減も期待できます。

SFAの活用方法

SFAを導入した後、具体的にどのような活用方法があるのでしょうか?
以下は、SFAを活用する上での主な方法です。

顧客情報の集約と分析

SFA上に、顧客に関するあらゆる情報を集約し、そのデータを分析するという活用法です。

 

これにより、顧客のニーズや傾向を理解し、より効果的な営業戦略を立てることができるようになります。

営業プロセスの自動化

営業活動に関連するルーチンワークを自動化し、営業担当者がより重要な業務に集中できるようにするという活用法です。

 

たとえば、見込み客の追跡や商談のスケジューリング、日報の作成などが自動化可能です。

営業担当者の活動の追跡と改善

営業担当者のパフォーマンスを追跡し、強みと弱みを特定するためにSFAを活用するという方法です。

 

SFAは、営業活動の成果を可視化し、改善点を明確化するのに役立ちます。
このため、各営業担当者の活動を分析して、強みと弱みを特定したり、改善策を練ったりすることが可能です。

営業活動の標準化

SFAを使用して、営業プロセスを標準化し、組織全体で一貫したアプローチを確立するという活用法です。

 

営業業務は、ともすると属人化しやすいもの。組織全体で営業活動を標準化しておくことで、退職や異動、新人の入社などにスムーズに対応できるようになります。

顧客とのコミュニケーションの強化

SFAを活用して、顧客とのコミュニケーションを強化するという活用法です。

 

SFAがあれば、顧客の過去の購入履歴や興味を基に、パーソナライズされたコミュニケーションを行うことができるようになります。

データ駆動型の意思決定

SFAが提供するデータと分析を活用して、データに基づく意思決定を行うという活用法です。

 

これにより、より効果的でリスクの少ない戦略を立てることが可能になります。

SFA導入のポイント

SFAを導入する際には、いくつかの注意点があります。
以下のようなポイントを考慮することで、SFAの導入効果を最大化し、トラブルを避けることができます。

ニーズの明確化

まずは、自社の営業組織における課題を正確に理解し、それに基づいてSFAのニーズを明確にしましょう。

 

どのような問題を解決したいのかを具体的に定義し、どの機能が必要なのかを明確化することが重要です。

適切なツールの選定

市場には多種多様なSFAが存在します。その中から、先に明確にした自社のニーズに基づいて、最も適したツールを選定することが重要です。
機能や使いやすさ、価格、サポート体制などから総合的に検討しましょう。

従業員のトレーニング

SFAを効果的に活用するためには、従業員の適切なトレーニングが不可欠です。ツールの使い方だけでなく、その目的やメリットを理解してもらうことが重要です。

 

また、SFAを活用するために、営業プロセスや組織文化などを変革させる必要も出てくるでしょう。組織全体での理解と協力が必要です。

データの整備と移行

既存の顧客データや営業データをSFAに移行する際には、データの整備が必要です。
不正確だったり古かったりするデータは、クリーニングしておく必要があります。

継続的な評価と改善

SFAの導入後も、その効果を定期的に評価し、必要に応じて改善を行いましょう。
ツールの活用状況を監視し、継続的な改善を図ることが重要です。

SFAの一覧

日本で利用できるSFAの中から主要なものをピックアップしてご紹介いたします。

Sales Clouud

https://www.salesforce.com/jp/products/sales/

 

Sales Clouudは、CRMで世界トップシェアを誇る米国のSalesforce, Inc.が提供するSFAです。
顧客の情報や履歴の一元管理はもちろん、営業プロセスを可視化やパイプライン管理、契約書や見積書の自動作成などを実現してくれます。
また、「Sales Cloud Einstein」というAIが搭載されており、売上予測や顧客フォローのタイミングの提案などを行ってくれます。

Oracle Sales Cloud

https://www.oracle.com/jp/corporate/features/salescloud/

 

Oracle Sales Cloudは、データベースソフトで著名な米国のOracle Corporationが提供するSFAです。

 

顧客の基本情報や取引履歴、コミュニケーション履歴などを一元管理し、顧客の属性や嗜好、購買意向などを分析して、セグメント別にマーケティングや営業活動を行うことができます。
営業チームの目標や達成状況を可視化し、営業プロセスの最適化やコーチングも行えます。
スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスからもアクセス利用可能です。

 

多言語や多通貨にも対応しているため、グローバル企業や、今後、海外展開を考えている企業などに向いています。

Mazrica Sales(旧Senses)

https://product-senses.mazrica.com/

 

Mazrica Sales(旧Senses)は、営業管理だけではなく営業プロセスを直接的に支援する、AI搭載のSFA/CRMで、株式会社マツリカが提供しています。

 

営業活動に必要な顧客や案件、行動、名刺などの情報を一元管理できるほか、入力負荷を削減してくれ機能や、わかりやすい画面、手厚いサポートなどが特徴です。
案件管理機能では、案件の進捗がカード形式で表示されるため、直感的に確認できます。
行動管理機能では、日々の営業担当者の行動を時系列で表示してくれるため、チームメンバーの営業活動を把握することができます。

 

Mazrica Salesに関しては、こちらの記事もご覧ください。

 

【関連記事】
【社長対談】マツリカ代表 黒佐氏に聞く、変化できる営業組織の特徴とは?

Sales Force Assistant

https://www.salesforce-assistant.com/

 

Sales Force Assistantは、株式会社NIコンサルティングが提供する国産のSFAです。
AI秘書「SAI」が搭載されており、各営業担当者が日々、営業活動に関するデータを入力していくことで、より的確で営業担当者にパーソナライズされた営業支援を行ってくれるようになります。

 

また、一日の情報が一覧で表示されるため、商談管理や案件管理、クレーム管理などが行いやすく、上司からのコメントを受けやすい点も特徴です。

eセールスマネージャー

https://www.e-sales.jp/

 

eセールスマネージャーは、ソフトブレーン株式会社が提供する国産のSFAです。
一度の情報入力でさまざまなアウトプットに自動反映される「シングルインプットでマルチアウトプット」をうたっています。

 

一つのデータから、タイムラインを始め、顧客情報管理や人脈管理、商談管理、予実管理、スケジュール管理などに自動で反映されるため、情報共有や分析も簡単に行えます。導入実績は、5,500社超。

GRIDY SFA

https://www.bluetec.co.jp/knowledgesuite/service/sfa.html

 

GRIDY SFAは、ブルーテック株式会社が提供するSFAです。
「顧客管理機能」「商談管理機能」「集計・分析機能」の3つの柱から成り、顧客情報と営業報告を入力するだけで、営業プロセスを可視化し、PDCAサイクルを高速化することをうたっています。

 

商談やスケジュール、営業報告、ファイル、ToDoなど、顧客に対するすべての活動履歴・予定を俯瞰できます。
ID数が無制限なので、ユーザー数を気にせず利用できます。

InfAjast ES3.2

https://www1.aspcom.co.jp/infajast/

 

InfAjast ES3.2は、株式会社エーエスピーコムが提供するSFAで、クラウド型とオンプレミス型が用意されています。
属人化の防止と売上アップ、働き方改革の実現をうたっており、CRMの機能も持ち合わせています。
ログイン認証やダッシュボード、個人設定といった「ベース機能」に、顧客管理、案件管理、日報管理、KPIシートなど営業業務で必要なCRM/SFA機能を、使う機能だけ選択して構築できる「機能選択型システム」となっています。

LaXiTera

https://laxitera.nhs.co.jp/

 

LaXiTeraは、日鉄日立システムソリューションズ株式会社が提供しているSFAで、ライトで手軽に導入できることをうたったSFAです。クラウド型とオンプレミス型が用意されています。

 

提供企業がSIerとして多種多様で豊富なシステム構築実績を持っているため、セキュリティの高さやERPとの連携が柔軟にできる点などに強みを持っています。
顧客ごと・案件ごとに活動履歴を管理することが可能です。

HubSpot Sales

https://www.hubspot.jp/products/sales

 

HubSpot Salesは、米国のHubSpot, Inc.が提供するSFAです。
パーソナライズされたEメールの自動送信とフォローアップを一連のプロセスとして説定できる「セールスオートメーション」の機能や、送信したメールが開かれたり、クリックされたりしたことをリアルタイムで知ることができる「メールトラッキング」機能などが搭載されています。

 

また、画面は、表示させる情報を絞り、必要な情報だけを提示することで生産性向上を叶えようという発想で設計されています。
650以上のサードパーティー製アプリやツールとの連携に対応しています。

Just.SFA

https://www.justsystems.com/jp/products/justsfa/

 

Just.SFAは、株式会社ジャストシステムが提供するSFAで、「変化に即応するノンプログラミングSFA」を掲げています。
検討フェーズから、構築、導入、定着のフェーズまで、すべてのフェーズでサポートサービスを提供してもらえるため、SFAを初めて導入する企業でも安心でしょう。

 

アクセス制御では、プレート・パネルごとの制御が可能で、さらに、二要素認証も採用されているため、セキュリティ対策が堅牢なSFAだといえます。

WaWaFrontier

https://www.wawaoffice.jp/product/sfa/

 

WaWaFrontierは、株式会社アイアットOECが提供するASP型のSFAアプリケーションです。ASP型のため、導入が容易に行える点がメリットです。

 

登録された商談案件を集計し、部門や担当者別に受注予定表を作成することもできます。
また、入力負担を軽減してくれる日報機能が搭載されており、日報の内容を元に営業担当者が「どのように行動したか?」「何時間を費やしたか?」を分析できます。
スマートフォンやタブレット端末からも利用可能です。

cyzen

https://www.cyzen.cloud/

 

cyzenは、レッドフォックス株式会社が提供するSFAです。外回りの多い営業職だけでなく、オフィスにデスクを持たない現場仕事の多い人が、報告書の作成やデータ入力、資料作成などの事務作業に時間を取られずに済むように改善することをコンセプトに掲げています。

 

写真付き報告書が10秒で完成することをうたっており、社外からスマホをタップするだけで簡単に報告書を作成できます。音声入力も可能です。

アクションコックピット

https://www.bizlabo.co.jp/

 

アクションコックピットは、新世代SFA/CRM営業支援システムをうたうクラウド型のSFAで、株式会社ビジネスラボが2000年から提供しています。

 

放置顧客や放置案件を知らせてくれたり、メモした内容をそのまま資料に使えたりなど、営業担当者の業務を効率化してくれます。売上見込みの把握や予実管理も可能です。

GrooForce(グルーフォース)980

http://www.grooforce.com/

 

GrooForce(グルーフォース)980は、ユニリタグループの株式会社ヒューアップテクノロジーが提供するSFAです。

 

「営業マンが使いたくなるSFA」を掲げており、必要な情報はすべてトップページに集約されており、欲しい情報に最速でたどり着けます。
また、一度入力したデータを、営業報告や日報作成、打ち合せの議事録作成など、複数のドキュメント作成に利用できます。

ネクストSFA

https://next-sfa.jp/

 

ネクストSFAは、株式会社ジオコードが提供するSFAです。

 

使いやすさと見やすさを追求した画面が特徴で、定着率が98.2%と高く、一度、導入すれば使いこなせるSFAであることが伺えます。
また、Google広告やYahoo広告と連携しており、受注をゴールとした広告運用にも活用できます。

Nice営業物語Smart3

https://www.systems.nakashima.co.jp/dutiessolution/nice-sfa-kintone/smart3/

 

Nice営業物語Smart3は、株式会社システムズナカシマが提供する無料の営業支援アプリです。
スケジュール管理や営業報告の作成、SNSを利用したグループ間での情報共有が可能。
メールやLINE、Evernoteなどに営業報告を送ることができ、有償版の「NICE営業物語」との連携も可能です。

 

また、Apple Watchとの連携が可能で、Apple Watch上でスケジュールの確認や簡易営業報告の作成が行えます。

GENIEE SFA/CRM(旧ちきゅう)

https://chikyu.net/

 

GENIEE SFA/CRMは、が提供する国産のSFA /CRMです。
定着率は、99%と極めて高く、シンプルな管理画面で、設定・入力・分析が直感的に行え、誰でも使えることをうたっています。

 

商談管理機能では、訪問日や面談者、商談金額や受注見込時期を入力して取引先との商談進捗を可視化でき、営業チームで優先順位をつけながら、効率的に営業活動が可能になります。
営業管理職は入力された情報によって月間、年間の売上見込をリアルタイムで把握でき、マネジメントが容易になるでしょう。

UPWARD

https://www.upward.jp/

 

UPWARDは、UPWARD株式会社が提供するSFAです。

 

スマホを持っているだけで、誰が、いつ、どこに、どれくらい滞在したのかを自動で記録してくれるため、日報のために時間をかけて画面を操作する必要がありません。グラフやレポートも自動で作成してくれます。
地図情報と顧客情報を組み合わせることで、外回りや訪問営業のDXを実現します。

営業日報 MarkII

https://www.sales-report.jp/

 

営業日報 MarkIIは、営業日報や作業日報を簡単に入力できるSFAです。過去の営業日報の情報を活用し、スケジューリングや顧客管理も行えます。

 

営業活動の中で、後で役に立ちそうだと考えた情報は、すべてメモを残しておくことで、営業知識のデータベースとして活用できるようになります。
スマホやタブレット端末にも対応しており、たとえば、スマホで撮影した現場の写真をそのまま日報へ貼り付けることができます。

クラウドビート

https://www.heartbeat-systems.co.jp/sfa-crm/

 

クラウドビートは、株式会社ハートビートシステムズが提供するクラウド型のSFA/CRMです。

 

ただし、パッケージシステムではなく、導入した個社ごとにカスタマイズが施されます。カスタマイズ済みのシステムを、無料で試すことができます。
専用の活用マニュアルの整備・提供など、手厚いサポートも特長の一つです。

ワンズ営業日報

http://www.wandseigyo.jp/

 

ワンズ営業日報は、株式会社ワンズファクトリーが提供するSFAです。
Excelとの連携をうたっているため、現状ではExcelで営業情報や顧客情報を管理していて、限界を感じている企業で、SFAに乗り換えたいと考える場合に特におすすめです。

 

一般的な営業日報やSFAの機能はすべて網羅されており、店舗の巡回などを行うルート営業にも向いています。
メールやLINEなどで顧客から送られてきた画像を一元管理できる機能が搭載されており、画像のアップロードも可能です。

Trustpro

https://www.tdc.co.jp/product/trustpro/

 

Trustproは、Webベースでアプリケーション構築可能なクラウド型のフレームワークで、行動/スケジュール管理や商談・案件情報管理、商品・売上管理などの機能が利用できます。
ログイン認証やワークフロー、アクセス制御などのWebアプリケーションに必要な機能は
コンポーネントとして標準提供されています。

 

SFAを構築する目的はもちろん、基幹システム再構築のフレームワークとしても活用できます。

Sales8

https://sales8.com/

 

Sales8は、使いやすさを追求した中小企業向けの「MA+CRM+SFA」クラウド型のシステムで、株式会社マイクロギアが提供しています。社員同士がお互いの情報を「すぐに」、「簡単に」見れるように作られたシステムです。

 

あらゆるスタイルの営業組織に合うように設計されており、見込み客の新規開拓から既存顧客管理・名刺管理、案件管理、会計までカスタマイズにより多様な使い方が可能です。
別途、サポートプランも用意されています。

Customa!

https://customa.jp/

 

Customa!は、株式会社アイバスが提供するクラウド型の顧客管理システム(CRM/SFA)で、顧客管理や営業支援、地図印刷、請求書・見積書の作成、顧客サポートなどが行えます。

 

スマホやタブレット端末からも利用できるマルチデバイス対応。
IT専門の担当者がいない中小企業でも安心して導入・利用できるサポート体制が用意されています。

ホットプロファイルSFA

https://www.hammock.jp/hpr/sfa/

 

ホットプロファイルSFAは、株式会社ハンモックが提供するSFAです。同社では、新規開拓フェーズでアプローチしたい企業リストを取得したり、Webサイト上の問い合わせフォームで営業活動を行ったりできる「ホットアプローチ」や、名刺情報をデータ化したり、顧客情報を一元化したりできる名刺管理・営業支援ツール「ホットプロファイル」も提供しています。

 

「手間は最小、売上は最大」を掲げており、あらかじめ用意された業種ごとのテンプレートをカスタマイズすることで、スムーズに使い始められます。

SFAに関するよくある質問

最後に、SFAの導入を検討する際、多くの企業が抱える疑問や不明点に関して、よくある質問と回答を掲載しておきます。

 

本記事の総括ともいえる内容になっているので、お時間のない方などは、こちらに目を通していただくと、SFAの概要を把握できるかと思います。

Q.SFAとCRMの違いは何ですか?

A.SFAは主に営業活動の効率化に特化しており、商談管理や顧客情報の管理、営業プロセスの自動化などに焦点を当てています。
一方、CRMは顧客関係管理に重点を置き、顧客データの分析やマーケティング活動、顧客サービスの向上などに利用されます。

Q.SFAの導入による具体的なメリットは何ですか?

A.SFAの導入により、営業プロセスの効率化や情報の一元管理、営業活動の透明化、顧客理解の深化、売上予測の精度向上などが期待できます。
この結果、営業担当者の生産性が向上し、売上の増加、利益の向上が期待できます。

Q.SFAの選び方には、どのようなポイントがありますか?

A.SFAを選ぶ際は、自社の営業プロセスやニーズに合った機能を持つものを選定することが重要です。

 

また、使いやすさやコストパフォーマンス、サポート体制、拡張性なども検討するポイントとなります。

Q.SFAの導入に際しての注意点は何ですか?

A.SFAを導入する際は、従業員のトレーニングや、データの整備と移行、組織文化の変革、継続的な評価と改善などに特に注意が必要です。

Q.SFAの導入後、効果を最大化するためのポイントは何ですか?

A.SFAの効果を最大化するためには、従業員の積極的な使用を促進し、定期的な評価と改善を行うことが重要です。

 

また、ツールのデータを活用して営業戦略を見直し、顧客ニーズに合わせたアプローチへと改善を行うのも効果的です。

まとめ

SFAは、営業活動の効率化と生産性向上を目的としたシステムです。
顧客管理や商談管理、活動管理などの機能を通じて、営業プロセスの効率化を実現し、営業成果の向上に貢献してくれます。
特にマーケティング部門にとっては、SFAを活用して営業チームとの連携を強化し、効果的なマーケティング戦略を策定することが重要だといえます。

 

SFAの導入は、営業活動の効率化、情報の一元管理、営業プロセスの透明化、顧客関係の強化、売上予測の精度向上、コスト削減など、多くのメリットを企業にもたらします。
これらのメリットは、特にリソースが限られている中小企業にとって、営業活動の質を向上させ、競争力を高めるために重要です。

 

適切なSFAを選定し、効果的に導入することで、営業活動の効率化と成果の最大化を目指しましょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Mon, 25 Dec 2023 09:00:00 +0900
<![CDATA[3C分析とは?意味や目的、進め方などをわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_3c-analysis 3C分析とは、「顧客(Customer)」・「競合(Competitor)」・「自社(Company)」の3つの要素を分析し、企業のマーケティング戦略の方向性を決めるフレームワークです。3C分析を行うことで、市場動向や競合との関係性、自社の立ち位置を把握でき、事業戦略において有効な手段を導き出すことができます。

 

「3C分析を耳にしたことがあるけど、具体的にどのようなものかわからない」「3C分析を行うことで、実際にどんなメリットがあるの?」という方も多いのではないでしょうか。

 

そこで本記事では3C分析の基礎知識や重要性、分析方法の進め方などについてわかりやすく解説します。

3C分析とは?

3C分析とは、「顧客(Customer)」・「競合(Competitor)」・「自社(Company)」の3つの要素を分析し、企業のマーケティング戦略の方向性を決めるフレームワークです。

 

具体的には以下の3つの要素を分析して統合します。

 

3C分析「顧客(Customer)」・「競合(Competitor)」・「自社(Company)」

 

・「顧客(Customer)」…市場の動向や顧客ニーズ。市場規模、成長性、消費行動など

 

・「競合(Competitor)」…競合他社の状況。競合他社の強み・弱み、シェア・市場内でのポジションなど

 

・「自社(Company)」… 自社の状況。経営資源やブランドイメージ、人材やナレッジなど

 

3C分析はこの3つの頭文字「C」を取って名付けられたもので、1982年に経営コンサルタントの大前研一氏が自著『The Mind of the Strategist』の中で提唱したことから広く知られるようになりました。

 

同氏は3C分析について「およそいかなる経営戦略の立案に当たっても、三者の主たるプレーヤーを考慮に入れなければならない」と述べており、互いに影響しつつも異なる関係性にある3Cを「戦略的三角関係」と呼んでいます。

3C分析とSWOT分析の違い

3C分析と類似するフレームワークとして、SWOT(スウォット)分析が挙げられます。しかし3C分析とSWOT分析では、分析する要素や利用目的が異なります。

 

まずSWOT分析の構成要素を見てみましょう。SWOTは以下の4つの英単語の頭文字を取って名付けられました。

 

S:Strength(強み)
W:Weakness(弱み)
O:Opportunity(機会)
T:Threat(脅威)

 

SWOT分析は、4つの要素を内部環境(「Strength(強み)」・「Weakness(弱み)」)と外部環境(「Opportunity(機会)」・「Threat(脅威)」)に分け、マトリクス(2つ以上の要素を組み合わせて分析するための表のこと)として表示することで、自社の強み・弱みや自社を取り巻く社会情勢を含めた市場動向などを正確に分析し、効果的な経営・マーケティング戦略を立案するができます。

 

3C分析が「顧客(Customer)」・「競合(Competitor)」・「自社(Company)」の3つの要素から内部と外部を分析し、主に自社の強み・弱みの発見を目的にしているのに対し、SWOT分析は自社の強み・弱みの洗い出しに加えて、市場動向や将来生じるリスクなどの状況にあわせて柔軟なマーケティング展開を行うことを目的としています。

 

このように構成要素を内部環境と外部環境に分けて分析するのは共通しているものの、SWOT分析にはビジネスチャンスや自社にとっての脅威など現状の自社を取り巻く環境を客観的に明らかにすることが可能です。3C分析のあとにSWOT分析をすると、より精度の高い事業戦略を打ち立てられます。

 

【関連記事】

【SWOT分析で自社を知る】Webサイトで会社の強みは伝わっていますか?

3C分析の重要性

マーケティング施策や事業計画を決める際、市場動向や競合他社の動向など社内でコントロールできない外部環境と、経営資源や技術力、社内体制など自社を構成する内部環境の両面から見ていく必要がありますが、3C分析では外部環境を「顧客」と「競合」、内部環境を「自社」に分けて分析します。

 

たとえば自社がどれほど魅力的なサービスを開発・提供したとしても、市場に他社による類似サービスが複数存在した場合、高い売上を得ることは難しくなります。

 

そこで3C分析を用いて、まずは市場や顧客ニーズを分析し、次に競合他社のサービスと比較して、自社サービスの強み・弱みを見つけます。そして競合他社にはない自社ならではの優位性や魅力、つまりKSF(キーサクセスファクター:重要成功要因)を明確にし、顧客に対してアピールしていくのが3C分析の要点です。

 

市場に数多くいる競合他社に打ち勝ち、自社独自の強みを示すためのマーケティングのフレームワークといえるでしょう。

マーケティング戦略における3C分析の位置付け

マーケティング戦略を立てる際、以下の3つの手順に沿って進められます。

 

1.環境分析
2.基本戦略
3.施策

 

3C分析は最初のステップである「環境分析」のフレームワークに該当します。環境分析とは、企業を取り巻く外部・内部環境を分析し、自社の立ち位置や現状、競合他社や市場全体の状況などを明確に把握するために行う施策です。

 

環境分析のフレームワークは複数あり、3C分析をはじめ、政治・経済・社会・技術の4つの観点から自社の外部環境を分析する「PEST分析」や経営戦略の立案を目的とした「SWOT分析」があります。

 

環境分析の各フレームワークを活用する基本的な順番と、それぞれの主な役割は次の通りです。

 

1.3C分析:事業の成功要因を見つける
2.PEST分析:外部のマクロ環境を分析し、自社に与える影響の把握
3.SWOT分析:経営戦略や事業戦略立案時の状況分析

 

このように環境分析は3C分析のみで行わず、SWOT分析やPEST分析など複数のフレームワークを組み合わせて分析します。これらのフレームワークにおいて3C分析は、客観的なマーケティング環境の情報を集めることに重点を置いています。

 

【関連記事】

マーケティングとは?具体的な活動内容や戦略の手順、フレームワークなどをわかりやすく解説

3C分析の進め方

3C分析は外部環境である「市場・顧客」「競合」を分析したあとに、内部環境である「自社」の分析を行う順番で進めていきます。

 

基本的に以下の4つのステップで行っていきます。

 

1.市場・顧客を分析する:Customer
2.競合を分析する:Competitor
3.自社情報を調べる:Company
4.3つの要素を総合して結論を出す

 

以下ではそれぞれのステップについて解説します。

1.市場・顧客を分析する:Customer

3C分析で最初に取り組むべきは、市場と顧客の分析です。ターゲットとなる市場規模がどれくらいなのか、または自社商品やサービスを利用する顧客がどんなニーズを抱いているのか考えましょう。

 

まず全体としての市場と市場内にいる顧客に分けて、それぞれの項目ごとに分析します。

 

<市場に対する分析項目>

 

  • 市場規模
  • 市場の成長性
  • 市場状況の変化

 

<顧客に対する分析項目>

 

  • 顧客のニーズ
  • 顧客の購買行動
  • 購買プロセス

 

市場に対する分析項目は、ターゲットとなる市場について分析し、市場動向を把握します。顧客に対する分析項目は、顧客のニーズや購買行動を理解するために用いられ、どのような顧客にどのような形でアプローチすればいいのかがわかります。

 

このステップで重要なのは、はじめに市場全体を大局的な視点である「マクロ」で捉え、次に「ミクロ」視点で自社周辺の環境を調査し、最後に個々の「顧客」へとフォーカスしていくことです。最初に市場を俯瞰して見てから詳細を把握することで、市場変化が生じても臨機応変に対応することができます。

 

市場・顧客の分析には、マクロ分析とミクロ分析という2つの方法で行います。マクロ分析は市場全体の動向や状況を理解するために用いられており、PEST分析がフレームワークとして使用されます。

 

PEST分析とは、市場を構成するPolitics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの項目から世の中の流れを分析し、マーケティング戦略に役立てていく手法です。

 

企業の経営にはさまざまな環境が影響を与えます。PEST分析によって消費や景気の動向・社会の志向の変化・流行の動きなど、企業にとって統制が不可能な外部要素を見つけることができ、現状や将来の状況予測を踏まえたうえで経営戦略を立てられます。

 

市場全体を俯瞰して見るマクロ分析に対し、ミクロ分析は自社周辺の環境に限定して分析します。代表的な手法として、企業の収益性に脅威となる5つの要素を分析するファイブフォース(5フォース)分析が挙げられます。

 

競争の要因となる業界環境の5つの力、つまり、業界内の競合・新規参入の脅威・代替製品の脅威・売り手の競争力・買い手の競争力を指し、それらを分析するのがファイブフォース分析の考え方です。

 

業界の競争環境や収益構造を分析するこの手法は、業界を深く理解できるだけでなく、自社の強みや弱みを正確に認識するために有効です。得られた分析結果をもとに新商品の開発や新事業への参入を図る際に役立ちます。

2.競合を分析する:Competitor

競合の分析では、競合相手の市場シェアや競合する製品・サービスの強みと弱みなどがあります。分析項目は以下のとおりです。

 

【競合分析にて把握すべき項目】

 

  • 競合各社のシェアと推移
  • 競合他社の業界ポジション
  • 自社への対抗手段など今後想定される行動

 

競合他社が市場の変化にどのように対応しているのかを知ることは非常に重要です。なお、競合分析を行う時は、「結果」と「要因」の2つに分けて実施しましょう。

 

結果の分析とは、競合企業の売上や利益率、市場でのシェア、顧客数といった数字で見える部分の調査を指します。また競合企業の経済資源の活かし方がわかる、社員1人あたりの売上や、顧客単価などにも着目しましょう。

 

要因の分析については結果が出た背景や効率について分析します。販売方法や企業体制、商品開発のプロセスなどから、なぜそのような「結果」に至ったのかをさまざまな観点から調査し解明することで、競合他社の売上プロセスを明確にし高い収益をあげるためのポイントやコツを見つけます。

3.Company:自社の分析

2つの外部環境の分析が終わったら、最後に内部環境である自社の分析に入りましょう。自社についての分析項目は以下のとおりです。

 

【自社に対する分析項目】

 

  • 企業ビジョン
  • 売上
  • 市場シェア
  • 収益性
  • 技術力
  • 人員配置
  • 社内体制

 

自社の分析ではこれまで分析してきた結果をもとに、さまざまな観点から自社の強み・弱みを導き出し、KSFを明らかにします。なお自社の分析をする際には、客観的な視点を持つことが大切です。自社分析はバイアスが生じやすいため、希望的観測を織り込んだ分析になりがちです。競合他社の分析と同じような視点を持ち、成果とその要因に着目して分析を進めていきましょう。

 

自社分析を行う際によく用いられるのが先述したSWOT分析やVRIO(ブリオ)分析です。VRIO分析とは自社の経営資源を分析する際に役立つフレームワークで、経済的な価値・希少性・模倣可能性・組織の4つの視点から分析し、自社の市場内における競合優位性を判断します。

 

VRIO分析を行うことで、自社の強み・弱みだけでなく、他社にはない独自の強みである「コア・コンピタンス」を明確にでき、マーケティング戦略を構築する際に大きな手助けとなります。自社の現状分析に欠かせないフレームワークです。

3C分析を行う際の注意点やポイント

本章では3C分析を実施する際の注意点について解説します。以下で紹介する3つのポイントを抑えることで3C分析をより効率的に進められます。

分析の順番を意識する

3C分析を行う手順は、基本的に「市場・顧客→競合→自社」の順番に進めるのを意識しましょう。分析の順番を見ると、最も知識のある自社から分析を始めたほうが手早く分析を負えられるのではないかと思うかもしれませんが、自社の分析を行ってしまうと近視眼的な分析になってしまい、他の項目について正しい分析ができなくなります。自社の正確な状況を把握するためにも、できるだけ上記のプロセスで行うことをおすすめします。

スピーディーな分析を心がける

3C分析はファクトやデータ収集が不可欠なフレームワークです。そのため情報収集をしっかりと行いたいところですが、データ取得にはあまり時間をかけず、スピード感を意識して行う必要があります。なぜなら市場動向やトレンド、競合他社の動きは常に変化しているからです。データ収集を入念に行いすぎると、情報の鮮度が落ちてしまうばかりか、戦略の策定や実行スピードが遅くなり、分析を行った意味がなくなってしまいます。

 

3C分析の成功の鍵は収集した情報を取捨選択し、情報の整理を行うことです。情報分析をスピーディーに行うためにも、分析の目的に応じて重要な情報を絞り込んだうえで進めるようにしましょう。

 

情報収集の効率化を図るのであれば、顧客情報の収集・一元管理ができるデジタルツールを導入するのも有効です。MA(マーケティングオートメーション)ツールやSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)などのデジタルツールは、顧客ニーズや競合動向などの情報収集に役立ちます。これらのツールを用いて普段からデータを収集・蓄積しておくことで、さまざまな情報の分析を迅速に行うことが可能です。

 

【関連記事】

マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説

6C分析の実施(BtoBの場合)

6C分析とは、BtoBマーケティングに適しているフレームワークです。通常の3C分析に加え、顧客企業の3C分析を行います。顧客企業の3C分析を行うことで、顧客の市場環境やターゲット、競合他社を把握でき、顧客の顧客を見据えた具体性のある提案を行うことが可能です。自社のビジネスがBtoBで、BtoBマーケティングを行う場合は自社・顧客の両方の分析を行える6C分析のほうが多くのメリットを得られるでしょう。

3C分析の企業事例

本章では3C分析を活用した企業事例をご紹介します。

①スターバックス

市場・顧客(Customer)

 

喫茶店業界の市場規模はここ20年間で1.02~1.28兆円の間で堅調に推移していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、休廃業する店舗が増加し、2021年の売上高は7,767億円と市場規模が縮小しています。

 

顧客は女性客をターゲットとし、女性客に好まれる「オシャレ感」や「スマート感」を感じられる内装を徹底的に追求。従来、日本の喫茶店は男性客の利用がメインでしたが、この差別化戦略によって女性客の取り込みに成功しています。

 

競合他社(Competitor)

 

スターバックスの競合には、「ドトール」「タリーズコーヒー」などが挙げられます。ドトールコーヒーは庶民的なイメージを打ち出しているのに対し、タリーズコーヒーは素材の品質にこだわり、コストパフォーマンスに優れたメニューの提供に力を入れています。カフェ業界においてスターバックスのシェアは圧倒的なものの、競合他社も価格や品質など自社の強みを生かした施策を展開しています。

 

自社(Company)

 

スターバックス コーヒー ジャパンの業績は好調で、コロナ禍の影響を受けた2021年9月期は売上高2,092億円、2022年9月期も売上高2,539億円(前期比21.4%増)を記録。店舗数も拡大しており、2023年9月末時点で1,885店舗を達成。2024年9月中に2,000店舗を目指しています。

 

スターバックスの強みは店内がお洒落で高級感を感じられる点です。また高いホスピタリティを実現しており、家でも職場でもない「サードプレイス」として居心地のいい空間を提供しています。しかし店舗がお洒落すぎるあまり、初めて利用する人には敷居が高いと感じられたり、メニューも競合他社に比べて高価格帯であることが弱みです。

②マクドナルド

市場・顧客(Customer)

 

ファーストフード業界の市場規模は1.3兆円で、コロナ禍により一時的に売上は減少しましたが、行動制限の緩和によって外食消費が増え、上位10社は増収で推移しています。

 

顧客は学生から社会人まで幅広い年齢層が利用しています。なかでもファミリー層の獲得に注力しており、オリジナルのおもちゃがついてくるハッピーセットは年間販売数1億食を超えるなど、親子連れから圧倒的な支持を得ています。

 

競合他社(Competitor)

 

マクドナルドの競合は、「モスバーガー」「ロッテリア」などの大手ファーストフードチェーン店です。しかしマクドナルドは店舗数・販売シェアともにNo.1で、他社の追随を許さないビジネスモデルを構築しているのが現状です。とはいえモスバーガーは高級志向や斬新なメニュー開発、ロッテリアは過去に「エゾ鹿バーガー」や「ソイ野菜バーガー」などインバウンド需要を意識した商品をリリースし、各社の特色を全面に押し出すことで差別化を図っています。

 

自社(Company)

 

日本マクドナルドホールディングスの営業利益は2023年12月時点で3,790億円にのぼり、前年度に比べて増収増益を果たしています。主力メニューの価格改定で客単価が増えたことや持ち帰りとデリバリーの増加が要因とされ、今後も利益は増加傾向にあります。

 

マクドナルドの強みは、食事提供までの時間が圧倒的に短いことです。店舗オペレーションにおいてはあらゆる効率化・省力化の工夫が施されており、注文から商品までの提供が素早く行われます。事前に注文・決済までできるモバイルオーダーも利便性が高く、デジタル技術を生かした待ち時間の削減に努めています。一方で、近年の値上がりによって客離れも起きています。

③ニトリ

市場・顧客(Customer)

 

家具・インテリア市場規模は2兆3,541億円を記録し、市場規模は年々拡大しています。特にコロナ禍を機に急速に広まったテレワークによって、家具・インテリアの買い替え需要が増え、2020年以降売上を大きく伸ばしています。

 

ニトリの顧客層は幅広く、メインターゲットは20代~40代の独身男女またはファミリー層です。同社はキャッチコピーを「お、ねだん以上。」と掲げており、実用性がありながら価格を抑えたインテリア商品をはじめ、ベッド、ソファから収納、生活雑貨、キッチン用具まで豊富に揃えています。

 

競合他社(Competitor)

 

ニトリの競合は「IKEA」や「カインズ」、「良品計画(無印良品)」などが挙げられ、同業他社のみならず、生活必需品を扱うホームセンターや雑貨店も同じ市場として捉える必要があります。しかしニトリはインテリア業界で売上1位に君臨し続けており、1988年から増収増益を続けるなど圧倒的な強さを誇っています。

 

自社(Company)

 

ニトリの売上高は2023年時点で9,480億円となり、経常利益ベースで36期連続増収増益を達成しています。その背景には、ホームファニシングという分野で「製造物流小売業」という、オンリーワンのビジネスモデルを確立していることが挙げられます。商品の企画や原材料の調達から、製造・物流・販売に至るまでの一連の過程を、グループ全体でプロデュースするという新しい試みで、この独自システムを取り入れたことにより、中間コストを極力抑えながら質のいい商品を生み出すことに成功しています。

まとめ

本記事では3C分析の基礎知識から重要性、分析方法の進め方について解説しました。ビジネスにおいて戦略や計画を立てるためには、自社の現状や競合企業、市場の将来性といった複数の要素を正しく把握・分析することが大切です。

 

そのなかでも3C分析は自社を成功に導くマーケティング分析の第一歩として、非常に重要なフレームワークといえるでしょう。「顧客・市場」「競合」「自社」という3Cを適切に分析すれば、市場における自社の立ち位置がわかり、目指すべき方向性が見えてきます。

 

本記事が貴社のビジネスヒントになりましたら幸いです。

 

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Fri, 22 Dec 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[Facebook広告とは?やり方や種類をわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/advertisement/about_facebook-ads Facebook広告とは、Facebookプラットフォーム上で展開されるデジタル広告のことです。
Facebookは、実名登録が基本なこともあり、ターゲティング精度が高いのが大きな特徴です。
また、低コストで利用できるため、中小企業や小規模事業者にとっても利用しやすい広告だといえるでしょう。

 

この記事では、Facebook広告の基礎から、種類や効果的な活用方法について詳しくご紹介します。

 

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Facebook広告とは?

Facebook広告は、Facebookプラットフォーム上で展開されるデジタル広告のことです。
日本において、Facebookはビジネス層の利用が多いことから、BtoB商材の広告媒体として最適です。

 

ただ、Facebookは世界中にユーザーを持っており、幅広い年齢層と多様な興味を持つユーザーにリーチすることが可能なため、グローバル展開する企業にとっても魅力的な広告媒体といえます。

 

国内外のターゲットにアプローチするのに適していることから、マーケティング部門にとって重要なデジタル広告となっています。

Facebook広告の特徴

Facebook広告の主な特徴は、次の5点です。

ターゲティングの精度が高い

Facebook広告では、ユーザーの興味や行動、人口統計学的特徴などのさまざまなデータから、詳細なターゲティングを行うことができます。
たとえば、「30代の男性で、過去にオンラインセミナーの広告をクリックしたことのある東京在住のユーザー」といった具合です。
特に、Facebookの利用時は実名登録が基本となっているため、登録されている情報の信ぴょう性も高いといえます。

 

ターゲティングの方法について詳しくは、「Facebook広告のターゲティング」でお伝えいたします。

少額から配信できる

Facebook広告は、低い予算から始められます。たとえば、1日当たり100円程度の広告額から出稿できます。
このため、マーケティングの予算が限られている中小企業でも利用が可能です。もっといえば、個人事業主などでも利用できます。
また、スモールスタートで様子を見ながら予算を上げていくことができます。

InstagramなどMeta社の他媒体などにも配信できる

Facebookだけでなく、InstagramやMessengerなど、Meta社のほかのプラットフォームにも広告を配信することができます。これにより、より広い範囲の層にリーチすることが可能です。

 

詳しくは、「Facebook広告の配信先」でお願いします。

中高年層のビジネスマンにリーチしやすい

日本においてFacebookのユーザーは、30代の利用が最も多く、20~50代によく利用されているSNSです。ビジネス用のSNSとして利用するユーザーも多いため、ビジネス層の利用が多いと考えて良いでしょう。

 

このため、Facebook広告は中高年層のビジネスマンにリーチしやすいといえます。中高年層ということは、経営者や企業の中で決裁権を持つ管理職以上の人の利用も多いと考えられます。

 

特に、BtoBの商材やサービスの広告媒体として適しています。

広告の効果測定が簡単に行える

Facebook広告は、中小企業がデジタルマーケティングを効果的に行うための強力なツールとなっています。

 

Facebookの広告管理ツールである「広告マネージャ」を利用すると、広告のパフォーマンスをリアルタイムで追跡し、効果測定を行うことができます。
また、Facebook広告では、異なる広告バリエーションをテストできる「A/Bテスト」も可能です。A/Bテストを活用すれば、最も効果的な広告戦略を見つけることができます。

 

これらの活用により、詳細な分析が可能になり、広告戦略の最適化が容易になります。

Facebook広告のメリット

Facebook広告は、日本国内の中小企業に多くのメリットを提供します。
以下の4点が、その主なメリットです。

ターゲティング精度が高い

Facebook広告の特徴」でもご紹介しましたが、Facebook広告では、ユーザーの興味や行動、人口統計学的特徴に基づいて、非常に細かいターゲティングが可能です。これにより、広告のリーチを最適化し、効果的な広告キャンペーンを実施することができます。

少額から配信可能でスモールスタートできる

これも「Facebook広告の特徴」でもご紹介しましたが、Facebook広告は、少額の予算から始めることができます。このため、予算に制限がある小規模な企業でも、広告活動を始めやすくなります。

広告のフォーマットの種類が豊富

Facebook広告では、画像、動画、カルーセル広告など、多様な広告フォーマットを利用できます。
たとえば、画像広告なら視覚的に魅力的な画像を使用して、製品やサービスを紹介できますし、動画広告なら、よりダイナミックな広告体験を提供できます。また、カルーセル広告であれば、複数の画像や動画をスライドショー形式で表示することで、いくつもの製品を一挙に紹介することができます。

 

このように、Facebook広告では商品やサービスの特性に合わせた効果的な広告を作成することが可能です。

カスタマージャーニーのさまざまな段階の層へアプローチできる

カスタマージャーニーの多くでは、「無関心」から始まり、「課題認識」「解決探索」「業者選定」などを経て「購買」へと至ります。

 

カスタマージャーニーのさまざまな段階の層へアプローチできる

 

Facebook広告では、出稿の際に「広告の目的」を選択する画面が出てきます。「広告の目的」とは、Facebook広告を見たユーザーに取ってもらいたい行動のことです。Facebook広告では、「認知」「検討」「コンバージョン」の3つのカテゴリに沿って、「ブランドの認知度アップ」「トラフィック」など、13種類の目的が用意されています。

 

このため、狙っているターゲット層の各購買プロセスのさまざまな段階に合わせて、ターゲティングを行うことができます。これにより、意識の高い顧客だけでなく、初めてブランドに触れる顧客にも効果的にアプローチすることが可能です。

Facebook広告のデメリット

Facebook広告は多くのメリットを提供しますが、いくつかのデメリットも存在します。

効果の持続時間が短い

Facebook広告は、短期間での効果が顕著ですが、長期的な効果を維持するのは難しい場合があります。
これは、ユーザーの関心が移り変わりやすいFacebookの特性に起因します。配信から一定期間が経つと、どうしても同一ユーザーに同じ広告が表示されやすくなってしまうためです。

 

このため、1~2週間に1度くらいのペースで、新たなクリエイティブを追加するなどの工夫が必要になってくるので、運用に手間がかかります。

仕様変更が多い

Facebookは定期的にアルゴリズムやプラットフォームの仕様を更新します。その頻度は、ほかの広告媒体に比べると多いといえるでしょう。

 

このため、常に最新の情報をチェックした上で広告戦略を頻繁に見直し、最新のトレンドに適応する必要があります。これも運用の手間となります。

 

これらのデメリットを踏まえた上で、Facebook広告を効果的に活用するための戦略を立てることが重要です。

 

Facebook広告のメリットとデメリットについては、下記の記事でもわかりやすくまとめているので、ご覧ください。

 

【関連記事】
Facebook広告って活用できるの?メリットデメリットのまとめ

Facebook広告の種類

Facebook広告には、さまざま種類があり、目的に応じて選べます。
ここでは、主に広告のフォーマットによる分け方と、掲載配置の2つの切り口からご紹介します。

広告の種類

Facebook広告を広告フォーマットで分けると、次の9種類があります。

画像広告

画像広告とは、1枚の画像内に広告文などのテキストと写真やイラストだけで構成されるFacebook広告です。テキストが占める割合は20%以内と決められています。

 

商品やサービスの魅力を一枚の画像で伝える、最も手軽に出稿できるフォーマットです。
画像広告は、「掲載配置の種類」でご紹介するすべての配置に対応可能です。

動画広告

動画広告とは、動画を使用して、よりダイナミックな広告体験を提供できるFacebook広告です。ユーザーが見ている画面上に広告が表示されると、自動的に動画が再生されるため、ユーザーの関心を引きつけることができます。
画像広告よりも多くの情報をユーザーに届けられますし、ユーザーの記憶にも残りやすいでしょう。

 

認知度向上などを目的とした広告に向いています。
再生回数や、一定割合までの再生回数などの詳細なデータを取得できます。
ただ、画像広告に比べると動画制作にノウハウや工数が必要になるため、利用のハードルは上がります。

 

動画広告も、「掲載配置の種類」でご紹介するすべての配置に対応可能です。

スライドショー広告

スライドショー広告とは、複数(2~15点)の画像や動画をスライドショー形式で表示させるFacebook広告です。
動画広告に比べて軽量なため、低速のインターネット環境でもスムーズに表示される点が強みです。

 

管理画面にテンプレートが用意されており、画像を選ぶだけで、簡単に作成できます。
表示時間が最大で15秒であるため、15点の画像を設定する場合は、テキストがほとんどない画像のみにするといった工夫が必要です。

 

スライドショー広告も、「掲載配置の種類」でご紹介するすべての配置に対応可能です。

カルーセル広告

カルーセル広告とは、1つの広告で複数の商品を宣伝するために開発されたFacebook広告で、複数(3~5点)の画像や動画を、ユーザーがスワイプすることで表示させられます。

 

画像・動画ごとにリンク先URLやCTAボタンを設定できるため、さまざまな商品やサービスを紹介することが可能です。ちなみに、LINEやTwitterのカルーセル広告では、1つのカルーセル広告につき1つのURLしか設定できません。

 

カルーセル広告も、「掲載配置の種類」でご紹介するすべての配置に対応可能です。

インスタントエクスペリエンス広告(旧キャンバス広告)

インスタントエクスペリエンス広告とは、モバイル端末のみで表示可能なFacebook広告で、スマートフォンなどのFacebookアプリ上で広告をクリックするとフルスクリーンで表示されるものです。

 

インスタントエクスペリエンス広告で表示できる広告データの種類は、画像、動画、スライドショー、カルーセルです。

 

広告をクリックしても、直接はWebサイトに遷移せず、一旦、画像・動画を表示したページを挟みます。このため、ユーザーにより多くの情報を伝えることができます。

 

6つのテンプレートが用意されており、簡単にインスタントエクスペリエンス広告を作成することができます。

コレクション広告

コレクション広告とは、メインとなる大きな画像・動画と、小さな複数の画像が一緒に表示されるモバイル端末向けのFacebook広告です。コレクション広告をタップすると、上記のインスタントエクスペリエンス広告に遷移します。

 

カルーセル広告やインスタントエクスペリエンス広告のようにユーザーのアクションを待たずに複数の画像を見てもらえる点がメリットです。
なお、パソコンではコレクション広告を表示させられません。

 

コレクション広告が、フィードのみに掲載できます。

リード獲得広告

リード獲得広告とは、Facebook広告上に会員登録や見積もり依頼などのフォームを設置して、名前やメールアドレス、電話番号といったユーザーの情報を取得できるタイプの広告です。
Facebook側であらかじめ用意している「定型の質問」を利用すれば、プロフィールに設定してある情報があらかじめ入力された状態でフォームが表示されるため、ユーザーがフォームに入力する手間を省くことができます。なお、「定型の質問」には、メールアドレスや電話番号、住所など、20項目が用意されています。

 

リード獲得広告は、フィード、ストーリーズ、インストリーム、インスタント記事への表示に対応しています。

ダイナミック広告

ダイナミック広告とは、Facebookの動的リマーケティング広告です。動的リマーケティング広告とは、ユーザー1人ひとりの閲覧した商品情報や行動履歴を元に、関連商品を一覧化して出し分ける配信方法の広告で、Facebook広告のほかには、GoogleやYahoo!、LINEなどでも利用できます。

 

ユーザーの興味や行動に基づいて自動的に広告内容を最適化できるため、個々のユーザーに合わせたパーソナライズされた広告を提供することができます。

 

ダイナミック広告は、上記の「画像広告」「カルーセル広告」「コレクション広告」に対応可能です。

近隣エリア広告

近隣エリア広告とは、ユーザーの現在地情報に基づいて、店舗の近くにいるユーザーへ広告配信を行うFacebook広告です。来店の可能性が高い層だけに広告を表示させられるので、費用対効果を高められます。

 

店舗のほか、イベントを宣伝するのに向いています。

掲載配置の種類

Facebook広告を掲載配置で分けると、次の4種類があります。

フィード

フィードとは、Facebookの中央に表示される記事のリストのことです。フォローしているユーザーやページ、グループの近況アップデートや「いいね!」などが表示されます。

 

“いかにも広告”といった印象を与えにくいため、クリック率が高いのが特徴です。
その分、無駄なクリックが発生して費用がかさむケースもあります。

 

フィードに表示されるFacebook広告には、次の8点があります。

 

  • 画像広告
  • 動画広告
  • スライドショー広告
  • カルーセル広告
  • コレクション広告
  • リード獲得広告
  • ダイナミック広告
  • インスタントエクスペリエンス広告

ストーリーズ

ストーリーズとは、Facebook上に24時間限定で表示される投稿機能で、友達やフォロワーなど自分が選択したユーザーにだけ表示させることができます。タイムラインに残らないので、気軽に投稿できる点が特徴で、二択のアンケートを取ることもできます。

 

ストーリーズに表示されるFacebook広告は、ショート動画形式を取ります。選んだ画像・動画から簡単な操作でストーリーズ広告を自動作成することが可能です。
縦型フルスクリーン表示が可能なため、ユーザーにアピールすることができます。
また、ストーリーズに表示される広告はストーリーズそのものとは異なり、24時間で消えるものではありません。

 

ストーリーズに表示されるFacebook広告には、次の2点があります。

 

  • 画像広告
  • 動画広告

インストリーム

インストリーム広告とは、Facebook上の長さが1分以上の動画コンテンツの前後や途中に挿入できる15秒の広告です。
動画視聴中のユーザーの注意を引くことができ、特に動画コンテンツに関連する製品やサービスに適しています。

 

インストリームに表示されるFacebook広告には、次の2点があります。

 

  • 画像広告
  • 動画広告

検索

検索広告は、Facebookの検索結果に表示される広告です。特定のキーワードや関連するトピックに基づいて表示されるため、関心の高いユーザーにリーチすることができます。

 

なお、Facebookの検索広告は、Marketplace(マーケットプレイス)の検索結果にも表示されます。
Marketplaceとは、Facebook内のフリーマーケットサービスのことです。18歳以上なら誰でも利用することができますが、日本語には対応しておらず、英語での利用が必須となります。

 

検索に表示されるFacebook広告には、次の4点があります。

 

  • 画像広告
  • 動画広告
  • スライドショー広告
  • カルーセル広告

Facebook広告の配信先

Facebook広告の配信先は、実はFacebookだけではありません。
Facebookのほかにも、Messenger、Instagram、Audience Networkの全4つのプラットフォームへ配信可能です。

Facebook

広告配信の主要なプラットフォームは、Facebookとなります。
ターゲットとなるユーザーの興味や行動に基づいて配信されるため、効果的なリーチが期待でき、ユーザーのフィードやストーリー、動画の中などに表示されます。
また、Facebookページを持つ企業は、そのページのフォロワーに直接広告を表示させることも可能です。

Messenger

Messengerとは、Facebookのメッセージ機能のことです。
Messenger内の広告は、ユーザーのチャットリストの中に表示されることが多いため、個人的なコミュニケーションの中に自然に溶け込むかたちで広告を展開できます。広告くささを払拭したクリエイティブが適しています。

Instagram

Instagramとは、ビジュアルコンテンツに特化したSNSのプラットフォームで、Facebook広告の配信先としても人気です。若年層を中心としたユーザーにリーチしやすく、視覚的魅力を活かした広告展開が可能で、特に、ビジュアルコンテンツが強いブランドや製品にとって、Instagramは効果的な広告媒体となります。

 

Instagramの広告は、フィードやストーリー、リールなど、さまざまな形式で表示されます。

Audience Network

Audience Networkとは、Facebookが提携している数千以上のアプリやWebサイトに広告を配信できるアドネットワークのことです。Audience Networkを活用することで、Facebookユーザーに対して、Facebookのプラットフォーム外でも広告を表示することができます。

 

米国ではGoogle Playの上位500の無料アプリのうち、32%に配信可能で、日本の媒体だと、たとえば、東洋経済ONLINEや現代ビジネス、グノシーなどがあります。

 

Audience Networkを通じて配信される広告は、ユーザーの興味や行動に基づいて最適化され、広告のリーチをさらに広げることが可能です。

Facebook広告の費用

Facebook広告でかかる費用について、Facebook広告の課金方式と広告予算設定の2つの観点から見ていきましょう。

Facebook広告の課金方式

まず、Facebook広告で選択できる主な課金方式として、次の3つがあります。

インプレッション課金(CPM)

インプレッション課金(CPM)とは、広告が表示される回数に基づいて課金される方式のことです。広告が1,000回表示されるごとに課金が発生します。

 

広告が多くの人に見られることを目的とするキャンペーンに最適です。たとえば、ブランド認知度の向上や広告の露出を重視する場合に適しています。

クリック課金(CPC)

クリック課金(CPC)とは、広告がユーザーにクリックされるごとに課金される方式のことです。

 

広告のクリックを通じて具体的な成果を求めるキャンペーンに適しています。特に、Webサイトへのトラフィック増加や、申し込み、購入など特定のアクションの促進を目指す場合に有効です。

動画の再生課金(CPV)

動画の再生課金(CPV)とは、広告動画が再生されるごとに課金される方式のことです。
動画の再生課金(CPV)には、「ThruPlay」と「動画の2秒以上の継続的な再生」があります。

 

「ThruPlay」は、動画が15秒以上再生されるたびに料金が発生します(15秒未満の動画の場合は最後まで再生されたら料金が発生)。
15秒という時間設定は、動画広告の中でも長い方。動画コンテンツを通じて製品やサービスの特徴を伝えたい場合に適しています。特に、視覚的な魅力を前面に出したいキャンペーンに有効です。商品・サービスなどについて、動画を通して理解を深めて欲しいという場合に最適です。

 

「動画の2秒以上の継続的な再生」では、その名の通り、動画が2秒以上再生された場合に料金が発生します

Facebook広告の広告予算設定

Facebook広告では、予算内で広告運用を行うために、広告費予算の上限設定が行えます。
主な設定方法は、次の3点です。

アカウント上限予算

アカウント上限予算を設定すると、そのアカウントで運用しているFacebook広告すべての合算で、最大予算を設定できます。広告費が上限に達すると、広告掲載を停止します。

 

アカウント上限予算の活用によって、全体の広告支出を管理し、予算オーバーを防ぐことができます。

キャンペーン上限予算

キャンペーン上限予算を設定すると、特定の広告キャンペーンに割り当てられる最大予算を決めることができます。

 

キャンペーン上限予算を活用することで、特に注力したいキャンペーンに予算を多く回すといったことが可能になります。

広告セット上限予算

広告セット上限予算を設定すると、上記の「キャンペーン上限予算」よりももっと詳細な広告の条件を指定した上で最大予算を決められます。

 

たとえば、ターゲットや広告の配信方法を定義したグループごとに割り当てる最大予算を設定可能です。

 

広告セット上限予算を活用することで、特定のターゲット層や広告の種類に対する投資を細かくコントロールできます。

Facebook広告のターゲティング

Facebook広告の最大の特徴の一つは、その高度なターゲティング機能です。この機能により、企業は特定のターゲット層に対して効果的に広告を表示することができます。

 

ターゲティングの種類は、主に次の3つがあります。

コアオーディエンス

コアオーディエンスとは、Facebookが提供するデータを元にターゲットを設定する方法です。

 

年齢、性別、居住地、興味・関心、行動パターンなど、さまざまな基準を組み合わせてターゲット層を定義できます。
たとえば、「日本の関東地域に住む20代の女性で、子どものいない人、かつ、自社のFacebookページの投稿に「いいね!」した人」などをターゲットにすることが可能です。

カスタムオーディエンス

カスタムオーディエンスとは、企業が既に持っている顧客データ(メールアドレスや電話番号など)を使用してターゲットを作成する方法です。

 

カスタムオーディエンスを活用することで、既存の顧客やWebサイトの訪問者に再度アプローチすることが可能になります。特に、リピーターを持つ中小企業にとって、この方法は効果的です。

類似オーディエンス

類似オーディエンスとは、カスタムオーディエンスを分析した上で、似た特徴を持つ新しいユーザーをターゲットにする方法です。

 

類似オーディエンスを活用することで、新規顧客開拓が可能になります。新市場への進出を考えている中小企業にとって、この方法は特に有効です。

Facebook広告配信のやり方(出稿方法・手順)

ではここで、Facebook広告の具体的な出稿手順を見てみましょう。

Facebook広告の出稿準備

Facebook広告を配信する前に、まず、準備しなければならないことがあります。
それは、広告アカウントの発行とビジネスマネージャの作成です。
企業でFacebookページを開設し、運用しているところは多いですが、広告を出稿するには、ビジネスアカウントとは別に広告アカウントが必要になります。

 

広告アカウントを作成する際には、Facebookビジネスマネージャを利用することが一般的です。FacebookビジネスマネージャはFacebookやInstagramのマーケティング活動や広告活動を一元管理する公式ツールで、複数のFacebookページやInstagramアカウント、広告アカウントを管理したり、パフォーマンスの追跡、ターゲット層のカスタマイズなどを行ったりすることができます。

 

逆に、もし、まだFacebookページを作成していなければ、作成しておくことをおすすめします。なぜなら、広告を見たユーザーがFacebookページを確認することも少なくないからです。Facebookページを充実させておくことで、ユーザーの信頼感を得ることも可能です。

 

また、広告料の支払いはクレジットカードで行うことになるため、クレジットカードの用意も必要です。

 

こうした手続き上の準備に加え、広告のターゲット層も明確にしておく必要があります。ターゲット層を明確にすることで、広告の効果を最大化することができるためです。

キャンペーン情報を設定する

上記の準備が済んだら、キャンペーン情報を設定設定します。
具体的には、目的を選択して、名前を付ければ、設定が完了します。
Facebook広告の目的には、「ブランド認知度の向上」「Webサイトへのトラフィック増加」「コンバージョンの促進」などがあります。

スケジュールやターゲットを設定する

広告のスケジュール設定では、広告が表示される時間帯や期間を決定します。
ターゲット設定では、広告を見せたいターゲット層の特性(年齢、性別、興味・関心、地域など)を細かく設定します。

 

さらに、掲載する配信先を「Facebook広告の配信先」でご紹介したFacebook Messenger、Instagram、Audience Networkの4つから選択します。

コンテンツの詳細を設定する

コンテンツの詳細設定では、「広告フォーマットの種類」でご紹介したようなさまざまな種類から広告出稿の目的やターゲット層に合ったものを選んで設定します。

広告を制作する

広告のクリエイティブを制作します。上記で設定したコンテンツの詳細に基づいて、実際の広告をデザインします。もしくは、「キャンペーン情報を設定する」の前の段階で広告を制作しておいても良いでしょう。その場合も、ここで広告のビジュアルやコピーの最終確認を行い、必要に応じて調整を加えます。

 

すべての設定が終わったら「公開する」をクリックすると、おおよそ24時間以内に審査が完了し、広告が配信されます。

タグを発行する

最後に、Facebook広告の効果測定のために、Metaピクセル(旧Facebookピクセル)やコンバージョンAPIなどのタグをWebサイトに設置します。
Metaピクセルについて詳しくは、「Metaピクセルを活用する」をご覧ください。

 

これにより、広告のパフォーマンスを正確に追跡し、今後の広告戦略の改善に役立てることができます。

Facebook広告配信で効果を出すポイント

せっかく、手間と時間、費用をかけてFacebook広告を出稿するのですから、効果を出したいものです。
効果を出すためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

潜在顧客にアプローチする

Facebook広告では、さまざまなターゲットティングが可能なため、潜在層にも顕在層にもアプローチできます。
ただ、Facebookを利用するユーザーの状況を考えると、潜在顧客にアプローチする方が良いでしょう。
なぜなら、明確な目的を持って見に来るユーザーよりも、暇つぶしになんとなく眺めているユーザーの方が多いからです。
ターゲット層が何となく感じている潜在的な悩みに訴えかける広告が向いています。

適切なフォーマットを選ぶ

Facebook広告には、画像広告、動画広告、カルーセル広告、ストーリーズ広告など、さまざまなフォーマットがあります。それぞれのフォーマットは異なる特徴を持ち、異なる目的に適しています。このため、目的に応じて最適なフォーマットを選択することが重要です。

 

たとえば、ブランドのストーリーを伝えたい場合は動画広告が効果的です。製品の特徴を視覚的に訴求したい場合は、インスタントエクスペリエンス広告などが効果的です。商品の特徴を細かく伝えたい場合はカルーセル広告が適してます。また、複数の製品を紹介したい場合は、カルーセル広告やコレクション広告を利用すると良いでしょう。フォーマットを選択する際は、ターゲット層の好みや行動パターンを考慮することが大切です。

1つの広告セットには1つの広告クリエイティブを入稿する

Facebook広告では、1つの広告セットに複数の広告クリエイティブを入稿することができますが、最も効果的な方法は、1つの広告セットに1つのクリエイティブを入稿することです。

 

これにより、どのクリエイティブが最も効果的かを正確に測定し、最適化することが可能になるためです。また、異なるクリエイティブをテストすることで、ターゲット層に最も響くメッセージやビジュアルを見つけることができます。

Metaピクセルを活用する

Metaピクセルとは、Webサイトの訪問者の行動を追跡し、そのデータを広告の最適化に活用するためのツールです。MetaピクセルをWebサイトに設置することで、訪問者がどのページを閲覧したか、どの製品に興味を示したかなどの情報を収集し、そのデータを基にリターゲティング広告を展開することができます。

 

Metaピクセルの活用により、関心の高いユーザーに再度アプローチし、コンバージョン率を高めることが可能です。

自動配置機能を活用する

Facebook広告の自動配置機能とは、広告に対してFacebook、Instagram、Audience Network、Messengerの中から効果の高い面を判断し、自動的に配置する機能です。各プラットフォームのユーザー行動に基づいて最適な広告表示位置を自動的に選択するため、効果的な広告展開が期待できます。

 

自動配置機能を利用することで、広告のリーチを最大化し、コストパフォーマンスを高めることが期待できます。また、広告予算の効率的な使用が可能になります。

自動入札での入札を活用する

Facebook広告の入札戦略には、手動入札と自動入札があります。自動入札を利用することで、Facebookのアルゴリズムがリアルタイムで最適な入札価格を決定してくれ、広告のパフォーマンスを最大化できます。

 

自動入札(入札戦略)には、「最大数量」「バリュー最大化」「結果の単価目標」「ROAS目標(広告費用対効果)」「入札価格上限」の5つがあり、予算と目的に合わせて選択できるようになっています。

 

広告配信の目的を達成するために予算を適切に消費できるため、特に、予算が限られている中小企業にとって、自動入札は非常に有効でしょう。

予算は1日で使い切る設定にする

Facebook広告では、日ごとの予算、または、通算での予算を設定することができます。
Facebookでは広告が最適化されるため、通算での予算を設定した場合、ユーザーのクリックが少ないなど、パフォーマンスが低いと判断された場合にその日の広告配信は止まってしまいます。すると、一定期間、広告が配信されないことになり、コンスタントに広告を配信することができません。

 

このため、日ごとの予算を設定することをおすすめします。

Facebook広告配信の注意点

上記のポイントのほか、注意しなければならない点が、以下の3点です。

セグメントを広げ過ぎないこと

Facebook広告において、ターゲットとなるセグメントを適切に設定することは非常に重要です。
特に、広告の効果を最大化するためには、ターゲットを絞ることが大切です。セグメントを広げ過ぎると、広告のメッセージが希薄になり、効果が減少してしまうためです。
「あの層も、この層も」と欲張らずに、セグメントを限定しましょう。

テキスト量が多過ぎないこと

Facebook広告でテキスト量が多過ぎると、ユーザーの注意を引くことが難しくなります。「潜在顧客にアプローチする」でもお伝えしたように、多くのユーザーは、なんとなくページを眺めており、多くのテキストを読むのは負担に感じる可能性が高いからです。

 

効果的な広告では、メインのメッセージを簡潔に伝えることが求められます。テキストは短く、ポイントを押さえた内容にすることが重要です。

 

Facebookの公式ページでも、テキストのボリュームは広告内の20%であることが定められています。

Facebook広告ポリシーに違反しないこと

Facebook広告を配信する際には、Facebookの広告ポリシーを遵守することが不可欠です。ポリシーに違反する広告は、広告の審査にパスせず、配信できない恐れがあります。広告ポリシーには、不適切なコンテンツ、誤解を招く表現、過度なプロモーションなどが含まれています。

 

また、ポリシーを遵守することで、広告の信頼性と効果を保つことにもつながります。

Facebook広告配信の成功事例

Facebook広告で成果が出た事例を、Facebookの公式サイトから3件ピックアップしてご紹介いたします。

単価を1.9倍に向上(NTTファイナンス株式会社)

NTTファイナンス株式会社は、NTTグループで金融業を手がける企業です。
同社では、人々がシニアライフを健康で快適に過ごせるよう、退職後のプランニングに興味のある人とその家族のためのモバイルアプリを提供しています。
このモバイルアプリ事業において、Facebook広告の「Advantage+アプリキャンペーン(旧:自動アプリ広告)」を活用して、インストール数を1.9倍に向上させることに成功しました。

 

なお、「Advantage+アプリキャンペーン」とは、Meta社(元Facebook社)が提供する、モバイルアプリ広告です。効率的な機械学習と自動化システムを活用して、望ましい成果を達成できるようにサポートしてくれます。アプリなどの開発者向けサービスである「Meta for Developers」へアプリを登録することで、利用できるようになります。

 

NTTファイナンス株式会社の事例の詳細は、Facebookの公式ページをご覧ください。

CTRを12%向上(インビザライン・ジャパン株式会社)

「マウスピース型矯正装置」のパイオニア企業、米国アライン・テクノロジー社の日本法人であるインビザライン・ジャパン株式会社では、既存のFacebook広告(画像広告・動画広告)から、Metaのベストプラクティスに沿ってクリエイティブを変更した方が効果が上がるかどうかを検証するために、新しい画像と動画を制作した上でA/Bテストを実施しました。
すると、クリエイティブを刷新した方が、CTR(クリックスルー率)が12%向上し、動画広告のページビューの単価が14%減少、動画広告ンのクリック単価が13%減少することがわかり、低いコストで高い成果を実現できるようになったといいます。

 

インビザライン・ジャパン株式会社の事例の詳細は、Facebookの公式ページをご覧ください。

購入数の増加率が16%向上(株式会社フィネス)

健康食品のEC通販事業を手がける株式会社フィネスでは、コンバージョンを計測するためのAPIを迅速かつ簡単に設定できる「コンバージョンAPIゲートウェイ」と、FacebookやInstagramでの広告効果を測定するツールである「Metaピクセル」を併用することで、キャンペーンの効果を向上させることに成功しました。

 

具体的な成果として、Metaピクセルのみを使用した広告と比較して、購入数を16%増加、顧客獲得単価を14%低下、インプレッション単価を7%低下させることに成功しました。

 

株式会社フィネスの事例の詳細は、Facebookの公式ページをご覧ください。

Facebook広告配信のよくある質問と回答

最後に、Facebook広告配信に関してよくある質問と回答をピックアップしてご紹介いたします。

Q.Instagram広告との違いは何ですか?

A.Facebook広告とInstagram広告の主な違いは、ユーザー層と利用目的にあります。
中高年層のビジネスマンにリーチしやすい」でもお伝えしたように、Facebookは30代を中心に20~50代にビジネス利用されることが多いSNSです。

 

一方、Instagramは若年層に人気があり、ビジュアルコンテンツが中心で、プライベートでの利用が多いです。

 

Facebookの広告からInstagramへの出稿も可能ですが、上記の違いを押さえた上で、広告の目的やターゲットに応じて、適切なプラットフォームを選択しましょう。

Q.広告マネージャは、どのような場合に利用すべきですか?

A.Facebook広告マネージャは、広告キャンペーンの作成、管理、分析を行うためのツールです。複数の広告を効率的に管理したい場合や、詳細なレポーティングが必要な場合に特に有効です。また、A/Bテストなどの高度な機能を利用して、広告の最適化を図る際にも重宝します。

Q.広告マネージャとビジネスマネージャの違いは何ですか?

A.広告マネージャは広告キャンペーンの作成・管理に特化しているのに対し、ビジネスマネージャでは、広告アカウントに加えて、ページ、アカウント、ユーザー権限など、ビジネス全体の管理が行えます。

 

ビジネスマネージャを使用することで、チームやエージェンシーとのコラボレーションが容易になります。

Q.Facebook広告の効果測定は、どのように行えば良いですか?

A.Facebook広告の効果測定には、MetaピクセルやコンバージョンAPIの利用がおすすめです。
これらのツールを使用することで、Webサイトへの訪問者の行動を追跡し、広告のコンバージョン率やROIを正確に測定することができます。
また、広告マネージャ内の分析ツールを利用して、キャンペーンのパフォーマンスを詳細に分析することも可能です。

Q.Facebook広告の効果が低い場合は、どうしたらいいですか?

A.Facebook広告の効果が低い場合、まずはターゲティングの見直しを行うことが重要です。ターゲット層が広すぎる、または狭すぎる場合に効果が低下することがあります。

 

また、広告のビジュアルやコピーの改善、ランディングページの最適化も効果を高めるための重要なステップです。A/Bテストを行い、異なる広告バリエーションの効果を比較することも有効です。

まとめ

Facebook広告の概要、種類、ターゲティング、費用などについて解説しました。
Facebook広告は、その多様なフォーマットと高度なターゲティング機能により、さまざまなマーケティング目標を達成できる強力なツールです。Facebook広告のターゲティングは、コアオーディエンス、カスタムオーディエンス、ルックアライクオーディエンスの三つの方法で構成されており、これらの方法を活用することで、効果的にターゲット層にアプローチし、マーケティングの成果を最大化することができます。

 

適切な広告形式とターゲティング戦略を選択した上で予算を効率的に管理することで、中小企業でも大きな成果を上げることが可能です。
広告の効果測定や最適化には、MetaピクセルやA/Bテストなどのツールが役立ちます。

 

特に、広範囲のターゲット層を持つ企業、既存の顧客に再度アプローチしたい企業、新市場への進出を考えている企業にとって、これらの方法は非常に有効でしょう。
この記事でご紹介したようなポイントを押さえて、ぜひ、Facebook広告で効果を上げてください。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Wed, 20 Dec 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[ブランディングとは?意味や使い方、実践手順や成功事例をわかりやすく解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_branding ブランディングとは、消費者がブランドについて考えたとき、真っ先に浮かぶイメージを戦略的に作り上げることです。ブランディングを行うと、他社商品と差別化でき、類似品が多い市場で「選ばれる」確率を高めることができます。

 

本記事では、ブランディングとは?といった基礎知識や、ブランディングの種類、手順、成功事例などをまとめて紹介します。

ブランディングとは

ブランディングとは、消費者がブランドについて考えたときに想起するイメージを、戦略的に作り上げることです。簡単にいうと、商品やサービスについて考えたとき「このブランドは上品な人が持っている」「この化粧品は肌が弱い人でも使える」など、特定のイメージが真っ先に思い浮かぶように仕掛ける戦略のことをブランディングと言います。

 

ブランディングの意味・使い方

ブランディングは「ブランド独自の価値を創造し、市場に広める活動・戦略」を意味する言葉です。英語の「brand」を現在進行形にした「branding」が元になっています。

 

ブランディングには様々な種類があるため、コーポレートブランディング、採用ブランディング、商品ブランディングなどの言葉で使われることが多いです。

ブランドとブランディングの違い

似た単語ですが、ブランドとブランディングには明確な違いがあります。

 

ブランドとは、ブランド名・ロゴ・キャッチコピー・デザイン・イメージなどを組み合わせたものの総称です。英語の「brand」には、商品や家畜に押す「焼き印」という意味があり、そこから転じて、商品のロゴや商標、製品名、商品イメージなどを指す言葉として使われるようになりました。

 

一方ブランディングはブランドを消費者に認知させて、市場でのポジションを得るための活動全般を指す言葉です。

ブランディングと似た用語の違い

ブランディングと、マーケティング、プロモーション、PRの違いを紹介します。

マーケティングとの違い

マーケティングは「商品を売るための活動」です。購入者を増やすために、商品や企業の魅力を伝えます。

 

一方でブランディングは「商品や企業のイメージ、価値を向上させるための活動」を指します。購入者の増加を目的とするマーケティングと異なり、ファンを増やすために行われるのが特徴です。また「このブランドは○○です」と押し付けるのではなく、消費者が自然と「このブランドは○○だ」と思ってもらえるように活動していきます。

 

ブランディングも、最終的に利益へとつなげることが目的なので、マーケティングの一種といえます。マーケティングという大枠の中にブランディングがあると考えると良いでしょう。

プロモーションとの違い

プロモーションは「認知拡大や購買促進のための活動」です。ブランディングは、ブランドの価値やイメージを向上させて他社と差別化し、信頼性を高めるといった目的があります。

 

販売促進のために行うプロモーションに対して、マーケティングはブランド力向上のために行われます。

PRとの違い

PRは「パブリックリレーションズ(Public Relations)」の略称で、「公衆と良好な関係を築くための活動」を指す言葉です。日本ではPR=広報として使われる場合もあります。

 

ブランディングの一環として、顧客との関係構築を行うこともあるでしょう。しかし、PRとは目指す場所が異なります。ブランディングは、ブランドの共感者を増やして価値やイメージを社会に浸透させ、存在を認知してもらうことが最終目的です。

 

またPRとブランディングではターゲットが異なるのも特徴です。PRは従業員やその家族、消費者、メディアなど様々な人をターゲットにしますが、ブランディングは消費者をメインターゲットにして行われます。

ブランティングが必要な理由

市場にものがあふれた結果、消費者は、どの商品を選ぶべきかの判断が難しくなりました。類似品が多い分野は、存在を認知してもらえず、購入につながらないケースも増えています。

 

選ばれる商品になるには、「この悩みなら、このブランド」と思い出してもらうことが重要です。ブランディングに成功すると、購入商品に悩んだ際に想起してもらえるので、選ばれる確率が高まります。

 

このほか、以下のようなメリットもあります。

類似商品と差別化できる

ブランドの価値を向上させると、類似商品と差別化できます。
ルイヴィトンやシャネルなどのハイブランドは、品質や性能が他社とそれほど変わらなくても、高い価格で購入されます。ハイブランドの場合、購入者はモノではなく「ブランド」に価値を見出しているからです。ブランディングに成功し差別化できれば、 他社製品と差別化でき、価格以外で勝負できるようになります。

 

これはハイブランドに限りません。例えば、コスパの良いイタリアンレストランと聞いて、「サイゼリヤ」を思い浮かべる人は多いでしょう。安いイタリアンが食べられる店は他にもありますが、その中でサイゼリヤが選ばれるのはブランド力の差が大きな要因です。

ブランドロイヤリティの向上

ブランドロイヤリティとは、顧客がブランドに対して持つ信頼や愛着心のことです。ブランドロイヤリティが向上すると、リピーターが増加します。また、ブランドや企業に対して好意的な人が増えると、企業が販売する他の商品を購入してくれる可能性が高まり、収益向上も見込めます。

信頼性が高まる

無名の家電製品よりも、有名なブランドの家電製品のほうが安心して購入できるでしょう。知名度のある商品とない商品では、信頼性が異なります。

 

ブランド力が向上すると信頼性が高まり、「このブランドは大丈夫だろうか?」といった購入時のハードルが減少します。また新商品を販売するときも、新しい市場を開拓したいときも、「このブランドだから買ってみよう」「このブランドなら間違いない」と購入してもらえるので、成功する確率が高まります。

広告宣伝費を抑えられる

ブランディングに成功すると知名度が向上し、リピーターや口コミが増加します。宣伝をしなくても一定の顧客を獲得できるようになり、口コミが広告として作用するため、広告宣伝費の削減が可能です。

人材採用で有利に

ブランディングによってビジョンやメッセージ、企業が重視している価値観などが広まれば、それに共感した人からの応募が増えます。採用後のミスマッチ防止や、離職率の低下につながるでしょう。

 

また知名度が向上するため、応募者の増加が期待できます。多くの応募があれば、優秀な人材が集まる確率も高まるでしょう。

ブランディングの種類

ブランディングには3つの種類があります。よりブランディングの成果を出すためには、全てのブランディングを偏りがないように行うことも大切です。

インナーブランディング

インナーブランディングは企業が従業員に対して行うブランディング活動のことです。社内報、社員向けサイト、社内イベントなどを活用して、企業理念やブランドの価値、イメージなどを浸透させます。

 

社員がブランドに愛着を持ってくれたら、仕事のモチベーション向上につながるほか、離職防止にもなります。またブランドの魅力を発信するためには、発信する側も愛着を持っていたほうが良い結果につながるとして、近年ではインナーブランディングを重視する企業が増えています。

アウターブランディング

社外に向けて行うブランディングをアウターブランディングと言います。商品・サービスブランディングや企業(事業)ブランディングと呼ばれるものも、アウターブランディングです。企業ブランディングは企業のブランド力向上のために行う活動のこと。商品・サービスブランディングは商品のブランド力向上のために行います。

採用ブランディング

採用ブランディングは、企業の認知度と求職者の入社意欲を高めるために行うブランディング活動です。自社の魅力、労働環境、職場の雰囲気や実際に働いている人の人柄などを発信して、「ここで働きたい」と思ってもらえるように活動します。

ブランディングの手順

ブランディングを実践するための手順を紹介します。

目的とターゲットを決定

ブランディングの目的や、どのようなブランドイメージを持ってほしいのか、目指すイメージを決めます。「現状の課題」「ブランディング活動を通してどうなりたいのか」「何を達成したいのか」「ブランディングプロジェクトで期待すること」などを明確にするのがポイントです。

 

同時に、ブランドを広めたいターゲット・ペルソナも決めましょう。目的とターゲットを明確にすることで、するべきことが分かりやすくなって、効率的なブランディングが可能になります。

現状を分析する

PEST分析、3C分析、SWOT分析などのフレームワークを活用し、客観的に自社の状況を分析・把握します。自社がどのように認知されているのか、強みや弱み、競合との違いなどを分析し、「自社の目指すべき姿」や「どのフィールドに参入すべきか」「ブランディングの方向性」などをより具体的にしていきましょう。

 

・PEST分析:自社の外部環境を分析するフレームワーク。自社でコントロールできないマクロ環境(政治や経済など)の影響を知ることで、自社が置かれている環境や課題、市場変化、市場の将来性を把握する。

 

・3C分析:市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の情報を調査・分析して、事業を客観的に評価する。

 

・SWOT分析:内部環境と外部環境を比較して、企業の現状や課題を分析する。

ブランドコアを定義

「ブランドで伝えたいもの・メッセージ」「表現したい世界観」「顧客のどのような期待に応え続けるのか」など、ブランドの根源や思想・行動の基となるものを考えます。例えば、以下のようなものを考えてみてください。

 

  • 今後私たちは社会とどのように付き合い、貢献していくのか
  • 目的実現のために、何をすべきか(どのような姿になるべきか)
  • 商品やサービスを通じて、どんな世の中・未来を作りたいか
  • 自分たちが大切にすべき信念や行動方針、価値観

ブランドアイデンティティの構築

ブランドアイデンティティとは、企業や商品・サービスがどのように見られるのか、どのようにイメージされるのかなど、企業側が理想とするブランドイメージです。

 

実際にブランディングを行うと、企業側のイメージと顧客が意図するイメージが異なることは良くあります。そのため、ブランドアイデンティティとブランドイメージ(顧客が想定するもの)は異なる可能性があることに注意しましょう。

 

ブランディングでは、ブランドアイデンティティとブランドイメージのギャップを近づける戦略も必要になります。

ブランドコンセプトやブランド名、ロゴを設定

ブランドのコンセプトを設定します。まず、商品を入手することで得られる商品価値と、ブランドを持つことで得られる感情的な価値を設定します。次に、その価値を言語化して他社との違いや「ユーザーにどのようなメリットを提供できるのか」をひと言で伝えられるように整理しましょう。

 

顧客の共感や愛着を得やすい、わかりやすいコンセプトを設計してください。例えば、パーソナルトレーニングジム「RIZAP」のブランドコンセプトは「結果にコミットする」です。

 

コンセプトが決まったら、ブランドを象徴する名前やロゴマークを制作します。デザイン性だけでなく、企業理念やブランドの世界観が伝わるかどうかも意識して作ることが大切です。ロゴマークは、サービス名や会社名を文字で表現する「ロゴタイプ」と、イラストでイメージを伝える「シンボルマーク」の2種類を考えます。

ブランドを発信

全て完成したら、ブランドを発信していきます。ブランドとターゲットはどこで接するのか、タッチポイントを考えましょう。例えば、ターゲットが若年層ならTikTokなどのSNS、美容に興味のある女性ならInstagramが良いかもしれません。ターゲットが利用する媒体を分析し、利用するメディアを見極めて情報発信を行ってください。

効果検証・改善

情報発信を始めて、一定時間が経過したら、効果検証を行います。SNSを利用する場合は投稿数を、ウェブメディアを利用する場合はアクセス数や検索数を確認するなど、分析を行い、状況に応じて軌道修正をしていきましょう。

 

ブランドの資産価値を評価する「ブランドエクイティ」を決めて、調査するのもおすすめです。

ブランドエクイティ

  • ブランド認知
  • ブランド連想
  • 知覚品質
  • ブランドロイヤリティ

 

ブランド認知はブランドの認知度のこと。ブランド連想は「ブランド名を聞いて、消費者が何を想起するか」、知覚品質は消費者が考えるブランドの品質、ブランドロイヤリティ はそのブランドへの忠誠度、愛着度、信頼度のことです。これらをバランスよく向上させることで、ブランドの資産価値を高められます。

ブランディングの注意点

アウターブランディングを重視しがちですが、ブランドを広めるのは従業員です。顧客向けばかりの偏ったブランディングは、良い効果を得にくくなります。インナーブランディング、アウターブランディングどちらもバランス良く行うのが理想です。

 

ブランディングはすぐに効果を発揮するものではありません。時間とコストがかかることを覚悟しましょう。

ブランディングの情報発信はどこで行う?

情報発信媒体の例を紹介します。ひとつに絞らず、様々な媒体を組み合わせるのも効果的です。

SNS

「インターネット利用者のうち、SNSを利用している人は全年齢の約7割。20代は約9割におよぶ」という調査結果があります(総務省 「通信利用動向調査」)。多くの人に情報を届けたい場合はSNSの利用が効果的です。

 

SNSを利用したブランディングでは、以下のような施策が考えられます。

 

  • 公式SNSを作って、フォロワー獲得を目指すアカウント運用
  • ハッシュタグを付けて投稿を促す、SNSキャンペーン

 

SNSにはInstagramやTikTokなど様々なものがあるので、よりターゲットと接点が持てるものを選びましょう。

広告

テレビや新聞、雑誌などのマス広告、Web広告、音声広告などでブランドを発信していきます。こちらもSNS施策と同様に、ターゲットが見る確率の高いものを選択してください。

 

広告は出稿先により運用が必要になります。出稿方法の選定、入札価格の調整、キーワードや広告文の調整など、リアルタイムで運用・管理を求められることがあるため、自社で運用が難しい場合は、専門業者に委託するのが良いでしょう。

動画

動画は映像、音楽、字幕などを用いて多角的に情報を届けられます。文章では伝えにくいブランドの世界観、雰囲気を伝えたいときはおすすめです。近年、YouTubeの視聴者が増加していることから、自社でアカウントを運用する企業も増えています。

 

聴覚・視覚情報が多い動画は人の心を動かしやすく、記憶に残りやすいコンテンツだと言われています。ブランドのイメージやメッセージを伝えたい場合、動画コンテンツなら高い効果が期待できるでしょう。

オウンドメディア

オウンドメディアで記事や動画などのコンテンツを掲載し、情報発信を行います。ブランドらしいコンテンツを継続して発信することで、ブランドイメージの浸透もはかれます。

 

オウンドメディアを運用する場合はSEOも重要です。ブランドの認知が低い場合は、検索ユーザーが多いワードとブランドを絡めた記事を作るなどの施策も必要でしょう。

ブランディングの成功事例

ブランディングに成功した事例を3つ紹介します。

北欧、暮らしの道具店

クラシコムは、ECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運用し、SNSやYouTubeなどと連動させることで、多くのファンを獲得しています。

 

Webサイトやアプリで配信される読み物は、月間で100本程度。SNSでは商品紹介、レシピ記事、バイヤーのインタビュー記事やスタッフのコラム記事の紹介を行っています。また、YouTubeではモーニングルーティーン「わたしの朝習慣」やルームツアー「あそびに行きたい家」など短編ドラマや旅ドラマを配信。

 

SpotifyやApple Musicで、ブランドの世界観と、顧客の生活にマッチしたプレイリストを配信しているのも特徴です。「20時のおつかれさま」「わたしの朝習慣」など、生活の中で流せるものや、「夏の終わりに」「秋にぴったりなジャズ」など季節にあわせたプレイリストを用意。またWebサイトと連動させて、音楽を聞きながらの生活を提案するコラムも定期的に配信されています。

 

運用しているプラットフォーム全てに力を入れて、ブランドの世界観を重視したクオリティの高いコンテンツを蓄積させることで、ブランドの世界観が濃厚になり、消費者の共感を呼んでいる事例です。

スターバックス

日本生産性本部サービス産業生産性協議会が発表した2022年度JCSI(日本版顧客満足度指数)第1回調査で、顧客満足度第一位を獲得したスターバックス。同社は、大々的なCM・広告を出さない企業として知られています。にもかかわらず、多くのファンを獲得する、ブランド力の高い企業です。

 

スターバックスは、インナーブランディングを重視していることで有名です。1人の従業員に80時間ほどかけて、ブランドへのミッションや理念を含めた研修を行うなど人材育成に力を入れています。また接客マニュアルがなく、「歓迎する」「心をこめて」「豊富な知識を蓄える」「思いやりを持つ」「参加する」といった言葉を軸に1人ひとりが考えて接客を行うことも特徴です。
充実した研修によりミッション・理念が浸透し、働きやすさも向上。ホスピタリティ精神が高まったことでより良い接客につながり、結果として顧客満足度、ファン獲得につながっています。

 

同社はこのほか、SNSを活用してブランドの世界観を発信し、多くのフォロワーを獲得しています。

ニベアクリーム

1911年にドイツで誕生し、100年以上愛されてきたニベアクリーム。現在、「青いスキンケアアイテムと言えばニベア」というほど知名度の高いブランドになりました。

 

ニベアクリームは1911年の発売当初から、青いパッケージと白いクリーム、やわらかな香り、といった商品イメージを維持し続けています。長期に渡り、イメージを変えることなく販売を続けたことで「このパッケージがニベアブランドだ」という強い印象を消費者に与えました。

 

また、消費者を飽きさせないように、定期的にデザイン缶を販売しているのも特徴です。デザイン缶を収集するファンがいるほどの人気商品になっています。

 

デザイン缶など遊び心を取り入れつつ長期的に一貫したブランド発信を行ったことで、世代を超えて愛される商品に成長した事例です。

まとめ

ブランディングで成功している企業の多くは、ブランドイメージを保ち、長期的に情報発信をしているのが特徴です。世界観がわかる情報が蓄積されることで、イメージを濃厚にでき、消費者に伝わりやすくなります。これからブランディングを始めようと思っている方は、他企業の成功事例などを参考にするのが良いでしょう。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 19 Dec 2023 10:00:00 +0900
<![CDATA[CRMとは?なんの略?基本機能からツールの比較まで徹底解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_crm CRMとは、Customer Relationship Managementの頭文字を取ったもので、「顧客関係管理」と訳されます。顧客情報の管理や分析を通じて、企業と顧客との関係を強化するための戦略やシステムを指します。

 

CRMを活用することで、顧客満足度の向上や営業効率の改善が期待でき、日本においても導入が進んでいます。

 

本コラムでは、CRMの基本機能からツールの比較までを徹底解説します。

 

【関連記事】

CRMとは?なんの略?

CRMとは、Customer Relationship Managementの頭文字を取ったもので、「顧客関係管理」と訳されます。企業が顧客情報を管理し、分析することで、顧客との関係を強化するための戦略やシステムを指します。

 

CRMに取り組むことで、顧客の囲い込みやファン化、クロスセルやアップセルなどの収益向上が期待できます。

CRMシステムとは?CRMツールとは?

CRMシステム(CRMツール)とは、CRMを効率化してくれるソフトウェアのことです。

 

CRMシステムを活用することで、顧客の属性や購買履歴、問い合わせやクレームなどのコミュニケーション情報を一元的に管理し、顧客のニーズや満足度を分析して、最適なサービスやアプローチを提供することが可能になります。

 

CRMシステムには、顧客情報の収集・保存、履歴の管理、分析ツール、コミュニケーションツールなどの機能が含まれます。

 

なお、本コラムでのCRMとは、CRMシステム(CRMツール)を指すものとします。

CRMとSFA、MAとの違いとは?

CRMとSFA、MAとの違いとは?

 

CRMと同様に、顧客情報を管理したり顧客との関係向上を効率化したりしてくれるツールに、SFAやMAがあります。
これらとCRMとは、どのように違うのでしょうか?

SFAとは?

SFAとは、Sales Force Automationの頭文字を取ったもので、「営業支援システム」と訳されます。
営業活動を支援するためのツールで、見込客や商談の情報、進捗状況を管理し、営業担当者のパフォーマンスや売上予測を可視化できます。
営業担当者の業務効率化やノウハウの共有、営業プロセスの組織化などに役立ちます。

MAとは?

MAとは、Marketing Autmationの頭文字を取ったもので、顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化するツールです。
MAの目的は、効果的なマーケティングキャンペーンを通じて、リードを獲得し、育成することです。
メールマーケティングやリード生成、リードナーチャリング、キャンペーン管理などの機能を備えています。

 

以上を踏まえると、CRMとSFA、MAは、それぞれ、カスタマージャーニーにおいてカバーできる領域が異なることがわかります。
MAは「リード獲得から営業に案件を渡すまで」を、SFAはその後の「リードが案件化してから受注まで」を、CRMは「受注した後」を担います。

CRMの主な機能

CRMは、受注した後の顧客情報を管理したり、顧客との関係を構築したりするために、主に次の5つの機能を有しています。

顧客情報管理機能

CRMの最も基本的な機能は、顧客データの一元管理です。顧客の連絡先から購入履歴、対話履歴、好みやニーズまで、一連の情報を集約して、容易にアクセスできるようにします。
顧客データを一元管理することで、顧客に関する洞察を深め、よりパーソナライズされたサービスを提供することが可能になるのです。

コミュニケーション管理機能

CRMには、顧客との全てのコミュニケーションを記録する機能が付いています。この機能は病院でいうカルテのように活用することができます。
CRM上に電話やメール、ソーシャルメディア、対面での会話など、あらゆるチャネルを通じたコミュニケーションを記録しておくことで、顧客と自社の関係をより深く理解できます。
これにより、次回のコミュニケーションを、より効果的に行うことができるようになります。

セグメンテーション機能

顧客の属性や購買行動などに基づいて、顧客をいくつかのグループに分ける機能です。顧客データを分析し、顧客を異なるセグメントに分類します。

 

CRMのセグメンテーション機能を利用すると、以下のようなメリットがあります。

  • 顧客のニーズや嗜好をより深く理解できるようになる
  • 顧客に合わせた最適な商品やサービスを提供できるようになる
  • 顧客との関係性を強化し、ロイヤルティを高めることができるようになる

キャンペーン管理機能

マーケティングキャンペーンの計画、実行、分析を行う機能です。
顧客データを分析して、特定の属性や行動に基づいてターゲットセグメンテーションを行い、セグメントに対して最適化されたマーケティング戦略を設計することができます。

 

さらに、キャンペーンの進捗や成果をリアルタイムでモニタリングし、データ分析を通じて効果を把握できます。

分析機能・レポーティング機能

CRMは、顧客データを分析し、有益な洞察を提供します。セールスのトレンド、顧客行動のパターン、マーケティングキャンペーンの効果などを詳細に分析し、戦略的な意思決定をサポートします。

 

これにより、企業は市場の変化に迅速に対応し、ビジネスの成長を加速させることができます。

CRMのメリットとデメリット

上記のようにさまざまな機能を持つCRMですが、活用する上で押さえておきたいメリットとデメリットが存在します。

CRMのメリット

CRMの主なメリットには、「顧客データを一元管理できる」「営業プロセスを効率化できる」「マーケティング活動を最適化できる」「顧客満足度を向上できる」などがあります。

顧客データを一元管理できる

CRMの導入・活用により、顧客に関するあらゆる情報を一箇所で管理できます。
これにより、顧客のニーズや行動をより深く理解し、効果的なマーケティング戦略を立てることができるようになります。

営業プロセスを効率化できる

CRMは、営業プロセスを自動化し、効率化することも可能です。
たとえば、CRMに蓄積された顧客との過去のやり取りを参照して、次回のコミュニケーションに役立てることができます。
また、顧客フォローのリマインド機能や、メールの自動送信といった機能を活用することで、ミスを防止したり、手間を省いたりできます。

 

これにより、営業チームはより多くの時間を顧客との関係構築に費やすことができます。

マーケティング活動を最適化できる

顧客データを活用することで、ターゲットに合わせたパーソナライズされたマーケティング活動が可能になります。
顧客セグメンテーションも、設定さえすれば自動で振り分けられますし、顧客の個々のニーズや嗜好に基づいてパーソナライズされたマーケティングメッセージを作成することも可能です。
マーケティングキャンペーンの効果測定に基づいて、改善につなげることもできます。

 

これにより、マーケティングのROI(投資対効果)の向上が期待できます。

顧客満足度を向上できる

CRMを通じて顧客のニーズに迅速かつ適切に対応することで、顧客満足度を高めることができます。
たとえば、CRMに蓄積された顧客の購買履歴や嗜好などの詳細な情報を元に、パーソナライズされたコミュニケーションを取ることで、顧客に良い印象を持ってもらえる可能性があります。
また、過去のコミュニケーション履歴に基づいて適切な対応ができるため、顧客に何度も同じ質問をしてうんざりさせることもありません。

CRMのデメリット

一方、以下のようなデメリットもあるため、CRMを導入する際には対処が必要です。
ただし、いずれもCRMに限らず、新たなシステムやITツールを導入する際には発生する点ばかりなので、対処の難易度はそこまで高いとはいえないでしょう。

導入コストがかかる

CRMの導入にはコストがかかります。導入するCRMによって料金体系や金額はそれぞれですが、初期費用や運用費用がかかります。
特に中小企業にとっては、このコストが負担になることがあります。

維持管理の手間がかかる

システムの維持管理には、手間や時間がかかります。
ただし、クラウド型、特にSaaS型のCRMであれば、その手間もほとんどかかりません。
オンプレミス型の場合は、情報システム部門を中心に、ユーザー部門にも管理者を立てて維持管理する必要があるでしょう。

従業員のトレーニングが必要になる

CRMを効果的に活用するためには、従業員のトレーニングが不可欠です。CRMの効果的な利用には、ユーザーがシステムの機能を理解し、適切に使用できることが必要だからです。
したがって、導入時や新たな機能が追加された場合、新規ユーザーが増えた場合などには、適切なトレーニングを行う必要があります。
このトレーニングには、時間と手間がかかります。

情報セキュリティ対策が必要になる

CRMでは、顧客データを扱うため、データセキュリティが重要な課題となります。
CRMを選定する際は、自社のセキュリティポリシーを満たし、アクセス制御やデータの暗号化ができるものを選ぶ必要があります。
従業員に対して、CRMを利用する際のセキュリティ教育を実施することも大切です。

CRMの活用例

CRMの主な活用例として、次の4点が挙げられます。

顧客情報の集約と管理

社内で顧客ジョイ右方

 

CRMは、顧客に関するあらゆるデータを一元的に管理します。たとえば、顧客の基本情報、購入履歴、通信履歴などのデータを統合することで、顧客一人ひとりに対する、よりパーソナライズされたサービス提供が可能になります。これにより、顧客の満足度が向上し、長期的な顧客関係を構築できます。

マーケティングキャンペーンの最適化

CRMを利用することで、顧客の嗜好や行動パターンに基づいた効果的なマーケティングキャンペーンを展開できるようになります。顧客データの分析を通じ、どの顧客にどのような商品やサービスを提案すべきかを見極めることができ、より高いコンバージョン率を実現できるのです。

 

また、実施したキャンペーンの情報を管理することも可能です。キャンペーンの概要、対象者、実施内容、成果などを一元管理し、施策の計画から実施、成果測定までを効率的に行えます。

セールスプロセスの効率化

CRMを活用して、セールスプロセスを効率化することも可能です。CRMに蓄積された、顧客の購買履歴や関心を持っている商品といったデータを元に、営業部門がより戦略的にアプローチすることが可能になります。

カスタマーサービスの強化

CRMは、カスタマーサービスの質の向上にも活用できます。
顧客からの問い合わせやクレームに迅速かつ的確に対応するための情報がCRMに集約されているため、カスタマーサポートチームは顧客の過去の履歴を把握し、個々の顧客に適切なサポートを提供できます。

CRM比較15選

日本国内で利用できるCRMの数も増えてきました。
ここでは、主要なCRMについて、特徴をご紹介いたします。

海外製のCRM6選

まず、米国を中心とする外資企業で開発・提供されているCRMから6点、ご紹介いたします。
海外製のCRMは、導入社数が多く、グローバル展開に対応できる点がメリットです。

Salesforce CRM

https://www.salesforce.com/jp/

 

Salesforce CRMは、米国のSalesforce, Inc.が提供するCRMで、世界トップシェアを誇ります。

 

同社が提供するSFAやMA、ERP(統合基幹業務システム)といったさまざまな機能とデータ連携でき、広範囲の業務に対応可能です。
また、人工知能や機械学習などの最新のテクノロジーを積極的に取り入れており、顧客の行動や嗜好を分析し、売上予測や改善策の提案をしてくれるなどの機能が豊富です。
カスタマイズ性が高いことも特徴の一つです。

HubSpot Sales Hub

https://www.hubspot.jp/products/crm

 

HubSpot Sales Hubは、米国のHubSpot, Inc.が提供するプラットフォームで、厳密にはCRMに近い機能を持つSFAです。このため、受注前のデータ管理や顧客との関係構築にも力を入れたいという企業におすすめです。

 

また、650以上のサードパーティー製アプリやツールとの連携に対応しているため、既存のマーケティングツールなどと連携できる可能性も高いです。

 

無料から利用できるため、ビジネスの成長に合わせてアップグレードすることが可能です。

Oracle Advertising and Customer Experience(CX)

https://www.oracle.com/jp/cx/

 

Oracle Advertising and Customer Experience(CX)は、データベースで有名な米国のOracle Corporationが提供するプラットフォームです。顧客データの分析が自動で行え、CRMのほかにも、MAやSFA、ERP、SCM(サプライチェーン管理)など、さまざまな機能が搭載されています。

 

Oracle Advertising and Customer Experience(CX)の活用によって、顧客のライフサイクル全体にわたるすべてのデータを統合することが可能なため、顧客に対して、よりパーソナライズされた体験を提供することができるようになります。

Freshworks CRM

https://www.freshworks.com/jp/crm/sales/

 

Freshworks CRMは、インドのユニコーン企業であるFreshworks, Inc.が提供するCRMです。
低コストで多機能である点が最大の特徴で、無料プランも用意されています。コストパフォーマンスの高いCRMソリューションだといえます。
シンプルで直感的なユーザーインターフェースが採用されているため、ITリテラシーが高くない人でも簡単に使いこなせます。

 

CRMのほかにMA、SFAも提供されているため、連携して活用することで、見込客の創出からリピート購入までのフェーズをカバーできるでしょう。
また、APIやSDKを通じてほかのシステムと連携することも可能です。

Zoho CRM

https://www.zoho.com/jp/crm/

 

Zoho CRMは、インドのZoho Corporationが提供するCRMです。CRMの機能だけでなく、SFAの機能も搭載されており、営業の自動化と効率化に優れています。また、メールやカレンダー、ドキュメント、プロジェクト、会計、人事など、ビジネスに必要なさまざまなアプリも提供しています。

 

Freshworks CRMと同様に、低コストである点も特徴の一つです。

SugerCRM

https://www.sugarcrm.com/jp/

 

SugerCRMは、米国のSugarCRM Inc.が開発したCRMです。最大の特徴は、オープンソースである点ですが、従来のオープンソースソフトウェアとは異なり、SugarCRM Inc.が大半のソースコードを開発し、著作権も保持しながら、独自のライセンスで有償版を提供しています。無償版は、コミュニティに公開されています。

 

ユーザーインターフェースが使いやすく、ユーザーが直感的にシステムを利用できるように設計されています。カスタマイズも容易になっています。
クラウドもオンプレミスも提供されており、自社の希望に合う方を選ぶことができます。

国産のCRM9選

次に、国産のCRMを9点、ご紹介いたします。
日本の商習慣に合った国産のCRMは、カスタマイズの必要性が低く、低コストかつ短いリードタイムで導入することができます。

eセールスマネージャー

https://www.e-sales.jp/

 

eセールスマネージャーは、ソフトブレーン株式会社が提供するCRMです。同社では、CRM/SFAのほか、設備/機械製造業・商社向けの業務管理システムなどの開発も手がけています。

 

eセールスマネージャーの特徴は、一度の情報入力でさまざまなアウトプットに自動反映されるシングルインプット/マルチアウトプット。一度、入力した情報が、タイムラインや顧客情報管理、人脈管理など、全ての機能へ自動で反映されます。
導入実績は、185業種にわたり5,500社以上で、利用継続率も95%と高いです。

 

30日間の無料トライアルが用意されており、登録から利用開始までは15分で済み、スピーディーに使い始められます。

Synergy!

https://www.synergy-marketing.co.jp/

 

Synergy!は、シナジーマーケティング株式会社が提供するCRMで、メールマーケティングに強みを持ちます。導入実績は、約7,000件。ITreviewのCRM部門でつかいやすさNo.1に選ばれた実績もあります(ITreview CRM カテゴリレポート 2021 Spring)。

 

メール配信のほか、データベース管理やフォーム作成、アンケート作成、LINE配信などが可能です。
活用方法として、見込客獲得や新規顧客獲得、リピーター獲得、優良顧客の維持、休眠顧客の掘り起こしなどが行えます。

Knowledge Suite

https://www.bluetec.co.jp/knowledgesuite/

 

Knowledge Suiteは、ブルーテック株式会社が提供するSaaS(クラウド)型のCRMで、CRMのほかにSFAとグループウェアが統合されたオールインワンのプラットフォームとなっています。010年度「グッドデザイン賞」受賞。

 

スモールスタートできるよう、最初に使える機能を減らすカスタマイズに追加料金なしで対応してもらえるため、従業員が慣れてきたら徐々に機能を追加することが可能です。
導入実績は7,500社以上。

 

初期費用が0円なので、導入時のハードルが低いといえるでしょう。無料トライアルも用意されています。

GEOCRM

https://www.bluetec.co.jp/geocrm/

 

GEOCRMは、Knowledge Suiteと同様、ブルーテック株式会社が提供するCRMです。SFAの要素が大きく、GPS位置情報を活用している点が大きな特徴。自分が所属しているグループの活動状況を地図上で確認できます。
2015年度「グッドデザイン賞」を受賞しています。

 

情報セキュリティに強い点も特徴で、データ暗号化や脆弱性対応も万全。国内データセンターで運用されているため、セキュリティポリシーが厳しい企業でも利用しやすいでしょう。

 

ユーザーサポートが無料で提供されています。
14日間の無料トライアルが可能。

GENIEE SFA/CRM(旧ちきゅう)

https://chikyu.net/

 

GENIEE SFA/CRMは、株式会社ジーニーが提供するCRMで、以前は「ちきゅう」という名称で提供されていました。SFA/CRM以外にも、広告プラットフォームなど、GENIEEシリーズでさまざまなソリューションを提供しています。

 

BtoB・BtoCを問わずにあらゆる業界で利用できるCRMとなっており、導入実績は、6,300社以上。シンプルな管理画面で、設定・入力・分析が直感的に行えることから、誰でも使えることを売りにしており、定着率は99%を誇ります。

 

14日間の無料トライアルが用意されています。

FlexCRM

https://flexcrm.jp/

 

FlexCRMは、株式会社G.FLEX(旧ノイアンドコンピューティング株式会社)が提供するCRMです。同社では、期限無制限で無料で利用できるプランのあるグループウェア「FlexBASE」も提供しています。

 

FlexCRMも、低価格で高機能をうたっており、初期費用は無料。業種や業態別のテンプレートが用意されているため、導入してすぐに使い始められます。外部システムとの連携も、メニューマーケットからワンクリックで追加可能です。

 

90日間の無料トライアルが用意されています。

i-CRM

https://www.icrm.jp/

 

i-CRMは、アイテックス株式会社が提供する、中小企業向けのクラウド型のCRMです。
限られた人手で「新規顧客獲得」と「既存顧客維持」を両立しなければならない中小企業の業務効率的のために開発され、「簡単で」「すべてが揃っていて」「ローコスト」であることが特長です。

 

CRMの機能に加え、SFAとMAの機能も搭載されており、顧客との商談などの状況を可視化したり、顧客や見込客へメールを中心としたアプローチができたりします。

feels

https://feels.one/lp/

 

feelsは、株式会社AMG Solutionが提供するCRMです。CRMだけでなく、SFAと日報作成の機能も持ちます。

 

メタデータ×AIによる行動・感情分析が大きな特徴で、日報に入力された報告内容や、これに対する管理職者からのアドバイスを元に、見えづらい組織内部の感情を見える化してくれます。
これにより、単に営業やマーケティング、カスタマーサポートなどの業務を効率化するだけでなく、担当者のメンタルヘルスケアや離職防止が可能になります。

 

14日間の無料キャンペーンを実施中(14日間を過ぎるとフリープランに移行されます)。

デコールCC.CRM3

https://gigxit.co.jp/cloud-products/callcenter_crm_system/

 

デコールCC.CRM3は、ギグワークスクロスアイティ株式会社が提供するコールセンター向けのCRMです。
コールセンターでのパソコン操作のしやすさ、目の疲れに配慮されたUIで、縦スクロールをなくした「ワンビュー設計」となっています。

 

約20年にわたり積み重ねてきた経験・ノウハウ・技術に基づいた豊富な機能も特徴。
入力画面や帳票レポートについては、業務に合わせてセルフカスタマイズが可能です。さらに、難易度の高いカスタマイズや追加開発にも応じてもらえます。
外部システムとの連携はAPIで提供され、現在も連携先が増えています。
導入実績は、250社8,300席以上。

まとめ

CRMとは、受注後の顧客の情報と、顧客と自社のコミュニケーション履歴を一元管理できるソフトウェアのことです。

 

CRMは、顧客データの管理、コミュニケーションの追跡、セールスとマーケティングの自動化、分析とレポーティング、顧客サービスの向上など、多岐にわたる機能を搭載しています。これらの機能を活用することで、日本国内の中小企業は顧客関係を強化し、ビジネスの成長を促進することができます。CRMの導入は、企業の競争力を高め、長期的な成功に不可欠な要素です。

 

CRMの導入は、顧客データの一元管理、営業プロセスの効率化、マーケティング活動の最適化、顧客満足度の向上など多くのメリットをもたらしますが、導入コスト、維持管理の手間、従業員のトレーニング、データセキュリティの課題などのデメリットも考慮する必要があります。これらの点を踏まえ、CRMの導入を検討する際には、企業の規模やニーズに合わせた適切な選択が求められます。

 

CRM、SFA、MAは、それぞれ、見込客・顧客のカスタマージャーニーの異なるフェーズをカバーします。CRM、SFA、MAを組み合わせることで、より顧客との関係を強化し、ビジネスの成長と競争力の向上を目指すことができます。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 19 Dec 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[「ペルソナ」とは?マーケティングにおけるペルソナの使い方、設定の方法や注意点を解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_persona ペルソナとは、簡単にいうとターゲットとなるユーザー像のこと。ペルソナ自体はビジネスにおいて以前から活用されてきた概念のため「もう古い?」とも勘違いされがちです。しかし近年のビジネスの急速なオンライン化・デジタルマーケティングの浸透によって、実はその重要度はますます高まっているのです。

 

ペルソナは、製品やサービスの開発、マーケティング、カスタマーサポートなど、さまざまな側面で活用できます。実際に、ペルソナマーケティングによって多くの企業が成果を出してきました。

 

本稿では、ペルソナについての基本知識やターゲットとの違い、ペルソナの作り方から使い方、ペルソナマーケティングのポイントについて解説しています。ぜひマーケティング施策にお役立てください。

ペルソナとは?

「ペルソナ」とは、自社のターゲットとなるユーザー像のことです。ビジネス、とくにマーケティングにおけるターゲット設定のひとつで、自社サービスのターゲットとなる架空の人物を「ペルソナ」として設定します。

 

設定する内容はたとえば、年齢・性別・居住地・職業・家族構成・ふだんの行動傾向・価値観・ライフスタイル・使用アプリなど…。項目は詳細かつ多岐にわたります。

 

ペルソナはもともと、製品デザインやソフトウェア開発の領域で、顧客像の解像度を上げて担当者間で共有する目的で導入されてきました。自社が対象とするユーザー像への理解を深めることで、マーケティング方針を統一することができるからです。

ペルソナマーケティングとは

ペルソナマーケティングとは、架空のユーザー像「ペルソナ」に最適化した施策をおこなうマーケティング手法です。

 

従来のマーケティング戦略は、ターゲットを”層”として捉えることが通例でした。たとえば「30歳OLのための化粧品」「日中に時間のある主婦向けの通信教育」など。

 

しかし近年はインターネットの進化も伴って、ターゲットを絞り込むことでより有効なアプローチをすることが必要な時代になりました。ユーザーの行動や性格、価値観等まで含んだ具体的なターゲット設定が必要になり、マーケティング担当者の間でペルソナ設定の有効性に注目が集まり出したのです。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナとターゲットの違いは、どこまで細かく要件設定するか、という点にあります。

 

どちらも、「自社製品やサービスのターゲットとなる人物像を想定する」ことでビジネスに役立てる、という意味で果たす役割は同じです。

 

ただし、広域に指定されるターゲットに対して、ペルソナはより具体的な人物像を設定します。ペルソナを活用して、特定の個人にささるような的を絞った施策を立てることで、共感性や訴求力を高められるため、マーケティングにおいて高い効果を得られる手法といえます。

ペルソナ設定の重要性とメリット

おおまかなターゲット設定でも充分では?と考える方もいるかもしれません。しかしユーザーが真に何を求めているかを理解し、ユーザーが欲しいサービスを提供するためには、ペルソナ設定が必要です。

 

とくに非対面で施策を打つデジタルマーケティングにおいて、顧客が求めていることを知るために、ペルソナ設定は必須項目です。なんとなくのターゲットに対して施策を打つより、ペルソナを活用して高い精度でマーケティング施策を実施することで、より狙った成果に近づけることができます。

 

ここではペルソナ設定の重要性と、具体的なメリットについて説明します。

ユーザー視点の再現性が上がる

ペルソナは、多くの顧客データをもとに設定されるため、顧客視点の解像度を上げるのに有効です。ユーザーの視点に立って、どういったコミュニケーションが最適か測ることで、より効果的な戦略を立てられるからです。

 

簡単に言えば、「どのような内容のメルマガを送信するか」と考えるよりも、顧客の立場で「どのようなメルマガを受け取ったら読みたくなるか」のように考えることです。

 

ペルソナを設定することで、顧客の視点をリアルに想像できるのは大きなメリットです。顧客がどのような課題を抱えて、どのように自社サービスに興味関心を持つのか、といったプロセスを可視化することで、マーケティング施策に活かすことができます。

企業の収益確保

ペルソナを細かく設定するとユーザーを限定してしまい、ニーズを拾いきれなくなるのでは?と不安に感じる方もいるかもしれません。

 

しかし実は、自社の象徴的なユーザーのニーズを満たす製品の開発は、自社サービスのユーザーの大多数の満足度を上げることにつながります。

 

自社サービスを利用するユーザーの満足度を上げることは、安定的な収益確保にも直結していくのです。

メンバー間で人物像を共有できる

多数の部署、分野からメンバーが集まってプロジェクトを進めるうえで、具体的なターゲットとなる人物を共有することは、企画の全体像を把握するうえでも大いに役立ちます

 

また特定の人物であるペルソナを共有することで、プロジェクトの方向性を統一しやすくなります。担当者間での認識のズレを最小限に、プロジェクト完了までのスピードを最短にして、成果を最大化できるのもペルソナ設定のメリットです。

コストや時間を削減

明確なペルソナを共有することで、メンバー内での認識を統一することができ、プロジェクトの遂行にかかる時間やコストを最小限にできるのもメリットです。

 

プロジェクトを進めていくうえで判断に迷うことがあっても、ペルソナを軸にすることで戦略を決めやすくなります。成果を上げるうえで不可欠な要素も明確になることで、ペルソナなしに進めるよりもコストの削減を削減できるようになります。

ペルソナの作り方

ペルソナは、感覚的に作るのではなく、データに基づいて正しいプロセスで設定する必要があります。またBtoBとBtoCではペルソナの設定方法は異なるため、ここではそれぞれの具体的なペルソナの作り方を手順に沿って解説します。

BtoBマーケティングにおけるペルソナの作り方

ペルソナの作成例

BtoBの場合、購買意思決定者は複数人にわたることが通例です。そのため購買プロセスに関与する個人のペルソナ設定・組織のペルソナ設定があり、ペルソナの作り方にも特徴があります。

 

パーソナルな情報のほかにBtoBで必要になるのは、所属企業における情報です。たとえば、役職や所属部署、勤続年数といった基本情報に加え、業務上の責務や目標、抱えている課題などが必要です。

 

また、所属企業そのもののポテンシャル情報も重要です。業種や事業内容、社員数、資本金、売上高、経営方針、決算期といった項目をチェックしましょう。

①顧客データの分析

BtoBにおけるペルソナは、窓口となる担当者のペルソナのほかにも、購買意思決定に関与する組織ペルソナが必要です。

 

まずは、MA・CRM・SFAといったツールに蓄積された定量データを分析します。分析する項目は、既存顧客の業種や企業の規模、部署ごとの受注率や、解約率など。受注単価や継続率の高い、スコアの優秀な顧客企業をいくつか選びます。

 

次は、選んだモデリング顧客に対する定性的なデータを集めます。「どのように受注に至ったのか」「なぜ自社サービスを利用しているのか」といった項目について、営業やCSなど担当者にヒアリングをおこないます。

 

これをもとに有効となるペルソナをいくつか設定し、顧客へのインタビューやユーザーテストを実施しましょう。

②属性ごとにグループ分け

設定したいくつかのペルソナを、企業ごとの業種や、窓口担当者の役職の属性ごとにグループ分けします。

 

市場規模や競合性、また顧客の課題や自社が提供できる強みなど、複合的に判断したうえで、受注したいグループを選択します。

③調査結果から代表的なペルソナを設定

②で選択したグループのなかでの共通項を抽出していきます。たとえば、パーソナリティや行動パターンなど。顧客に関わる他部門の担当者にも確認してもらい、完成です。

 

ほかのグループのペルソナも、同様の手順でおこないます。

BtoCマーケティングにおけるペルソナの作り方

BtoCにおけるペルソナ設定では、趣味や家族構成といったプライベートやライフステージを中心に設定していきます。

①自社やターゲットを分析

まずは自社の強みや、競合も含めた市場での立ち位置を把握しましょう。

 

自社の製品やサービスが、どのような課題を抱えるユーザーに価値提供できるかを明確にしておくことで、正しい方向性でペルソナを設定することができます。

②ペルソナ像をつくる情報を集める

まずは、必要な要素を決めます。年齢・性別・職業…など、自社製品や事業の方向性に対して、必要な項目を設けます。

 

要素が決まったら、ペルソナを作るのに必要な情報を集めます。自社が蓄積しているデータはもちろんのこと、顧客と直接接する営業やCS担当者へのヒアリングや、新しく顧客アンケート・インタビューを実施することで今まで見えなかった情報が得られることも

 

また社外の情報、トレンドやリアルなユーザーの声も積極的に取り入れることで、より実用的なペルソナを作成することができます。

③具体的なユーザー像に落とし込んでいく

情報が収集できたら、具体的な人物像を描いていきます。

 

まずは大枠を決めて、詳細情報を肉付けしていきます。ナは完成したペルソ、実際に活用してから必要に応じて修正し、ブラッシュアップしていきましょう。

ペルソナ作成の注意点

ペルソナを作成するうえで注意するべき点を4つお伝えします。

BtoBとBtoCでは要件が異なる

BtoCと同様、BtoBのマーケティングにおいてもペルソナ設定は重要です。

 

ただし、BtoCとBtoBでは製品・サービスの購買プロセスに差があるため、BtoCと同じペルソナ設定を行っても期待できる効果は半減してしまいます。

 

とくにBtoBのデジタルマーケティングにおいては、ペルソナを不明瞭にしていることによって最適なコンテンツ配信ができていないケースも少なくありません。ペルソナを定義することで、「どういったユーザーの、どのような課題を解決するサービスなのか」より効果的に訴求できるようになります。

思い込みではなくデータに基づいて作る

ペルソナ設定は、希望的観測でおこなわず、一次データをもとに設定するのが鉄則です。また抽象的な理想ではなく、数値を用いることでより実用的なペルソナになります。

 

一次データは、アンケートやインタビューはもちろん、近年はSNSや口コミサイトなどの情報媒体から最新情報を入手することもできます。取得した情報をもとにチーム内で話し合い、すり合わせするのもおすすめです。

定期的に設定を見直す

ペルソナは、一度作ったら終わりではなく、実施と検証を繰り返し見直すことが大切です。現実のユーザーと乖離がないか、定期的にチェックしましょう。

 

もちろん製品やサービス、事業戦略に変更がある場合はもちろん、描いたペルソナにズレを認識した場合は、その都度再設定します。

 

ペルソナはひとつの人格として、社会や環境の変化とともに日々変わっていくもの、という認識で、柔軟にアップデートしていくことが大切です。

ペルソナをイメージしやすくするために

ペルソナをよりイメージしやすくするのに、画像や動画などの視覚情報を共有することは非常に効果的です。たとえばペルソナとなる人物の写真や、住んでいる家の写真などを共有することで、チーム内での認識のズレを軽減できます。

 

また、チーム内のだれもがイメージしやすい身近な人物を参考にすることで、ペルソナをさらに具体化することができます。

ペルソナの使い方例

ペルソナをマーケティングに活用することで、どのような成果が出せるのでしょうか。ここでは具体的な使い方の例を3つご紹介します。

CV率向上

CVR(コンバージョン率)の改善においても、ペルソナは重要な役割を果たします。ペルソナ設定に沿ってコンテンツの内容を最適化できるからです。

 

ペルソナという軸で、コンテンツのタイトルや内容、ユーザーが現在どのような心理状態で、コンテンツを読むことでどのように心理状態が変化するかを見直します。

 

ペルソナを設定することで抱える課題が明確になり、ユーザーがCVするまでにどのようなプロセスをたどるかを具体化できるため、CV率を改善しマーケティング施策の効果をより高めることができます。

自社サイトのコンテンツ改善

自社のWebサイトやSNSの運営において、ペルソナの設定は重要です。

 

まずはペルソナに焦点を当て、ペルソナが検索するであろうキーワードを特定します。企業の事業や採用に関連するキーワードを調査して検索されやすいものを選定し、SEOによってユーザーがコンテンツにアクセスしやすいよう動線を作りましょう。

 

また、ペルソナが検索するであろうキーワードに関連する、有益かつ価値の高いコンテンツを作成します。たとえばブログ記事、ウェブマガジンの記事、ガイド、資料など。この中にペルソナがコンテンツを閲覧した際のCVポイントを設定することで、効率的なコンテンツ改善が実現します。

SNSマーケティング

年齢や性別またその他の属性によって普段から利用するSNSは異なります。ペルソナによって最適なWeb広告、SNS、動画共有サイトなどのプラットフォームを選ぶことで、確度の高いアプローチが可能です。

 

たとえば若年層・ビジュアル志向のユーザーはInstagramやTikTok、ビジネスプロフェッショナルをターゲットとする場合はLinkedInが有益かもしれません。また同じ層であっても、トレンドを把握するときはTwitter、視覚的な情報を得るときはInstagramといったように、ペルソナがそれぞれのシーンで利用する最適なプラットフォームを検討します。

 

SNSマーケティングにおいてもペルソナは重宝します。ペルソナの特性や行動パターンを可視化することで、特定のプラットフォームに焦点を当てたコンテンツ戦略・広告戦略を構築しやすくなるからです。

ペルソナ作成に便利なツールをご紹介

ペルソナを作るのはむずかしそう…そんなときはペルソナを簡単に作成できるツールを使って、コツをつかんでみてはいかがでしょうか。

ぺるそな君|InsurtechLab

ぺるそな君は、世代と性別を入力するだけでペルソナが作れてしまう簡単ツール。ペルソナをまだ作ったことがないという方におすすめのツールです。

 

通常ペルソナを作っていく手順とは逆で、すでにツール側が設定しているペルソナの中から自社のユーザーに近いものを選択していきます。最初、ペルソナをどんなふうに作っていいかわからないという方にとって非常に参考になるはずです。
ぺるそな君

無料ペルソナ作成ツール・テンプレート|Adobe Express

Adobeが提供するペルソナ作成ツールも、あらかじめ用意されたペルソナの中から自社製品のターゲットとなりそうなペルソナを選択するツールで、初心者の方に使いやすい仕様となっています。

 

使いやすい無料テンプレートも揃っており、手軽に始められるのもいいところです。
無料ペルソナ作成ツール・テンプレート

ペルソナ作成ツール | HubSpot

HubSpotが提供する無料のペルソナ作成ツール。フォームに沿って、ペルソナの名前、年齢、業種や企業規模、役職、上司の役職などのプロフィールから、抱えている課題や目標を設定していきます。

 

アイコン付きのわかりやすいカード形式で表示され、ペルソナごとに情報をみやすく整理できるので、多くのペルソナを使い分けるときなどにもおすすめです。
ペルソナ作成ツール

ペルソナはchatGPTでも作れる!

chatGPTを使って、簡単にペルソナを作成することができます。ペルソナのことについて質問しながら進めていくと、思わぬ発見があるかもしれません。

①生成する項目を指定

まずは生成する項目を決めます。設定する項目によって、ペルソナのライフスタイル、価値観や行動パターンが見えてきます。ここにペルソナでよく使われる一例をご紹介します。

 

①基本情報(年齢、性別、居住地など)
②職業(大学・学部、業種・役職、最終学歴)
③生活パターン(起床時間、通勤時間、勤務時間、就寝時間、外食派or自炊派、休日の過ごし方)
④性格(価値観、物の考え方)、生活での実感(困っていること、興味があること)
⑤人間関係(恋人・配偶者・子供の有無、家族構成)
⑥収入、貯蓄性向
⑦趣味や興味(インドア派orアウトドア派、友人間での流行等)
⑧インターネット利用状況・利用時間
⑨所持しているデバイス
⑩流行への感度

②ターゲットユーザーが検索しそうなキーワードからペルソナを作成

前項で決めた項目に対して、自社製品のターゲットユーザーが検索しそうなキーワードからペルソナの生成を指示します。

 

たとえば自動車部品を提供する製造業の企業であれば、「自動車部品」を検索するユーザーのペルソナを作成するように指示を出すと、このようにペルソナを作成してくれます。

 

「自動車部品」を検索するユーザーのペルソナを作成するように指示を出すと、このようにペルソナを作成してくれます。

 

また検索意図についても深堀することで、ユーザーニーズの解像度を高くしていきます。ここに製品やサービスの詳細などを追加することでより精度を上げることもできますが、chatGPTに機密情報は入力しないようくれぐれも注意してください。

 

検索意図についても深堀することで、ユーザーニーズの解像度を高くしていきます。

まとめ

ペルソナについて解説しました。ペルソナを設定して顧客のリアルなニーズを可視化することは、最適な製品やサービスを開発する手助けとなるだけでなく、マーケティングにおいて成果を出すうえでも非常に有益なデータとなります。

 

何から始めていいかわからないという方は、検索エンジンやSNSでユーザーのリアルな声を集めてみることで、新たなニーズの発見があるかもしれません。また、声は集めたけれどどのようにペルソナを作ってよいかわからない、という場合は、chatGPTやペルソナ作成ツールで簡易的に作成してみて、コツをつかんでいくのがおすすめです。

 

見えてきたターゲット層の特性の輪郭を掴むことができれば、あとはそれをさらに深堀できるような細かい調査・分析を繰り返します。より具体的かつ実在しているかのようなペルソナができ上がります。ユーザーが求めているものは「モノ自体」ではなく、その「モノがもたらす価値」です。

 

ペルソナを設定するには少なからず調査や分析・作成の手間がかかりますが、効率的な戦略には不可欠なものです。また、ターゲット層の具体的な設定をいかに正確・的確に出来れば、莫大な広告費用の無駄を削減することだって可能なのです。

 

ペルソナ設定で、ワンランク上のマーケティングを目指しませんか?

 

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  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Thu, 30 Nov 2023 10:38:08 +0900
<![CDATA[メルマガとは?基礎知識や配信方法、作り方、実際の成功事例などを紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_mail_magazine メルマガ(メールマガジン)とは、顧客や会員に向けて、お知らせやクーポン、お役立ち記事などの情報を配信するメールのことです。マーケティングにおける主な手法の一つとして、多くの企業で活用されています。

 

単にメルマガといっても、様々な配信方法や形式、配信する目的やメリット・デメリットがあります。それらを十分に理解した上で、自社の目的に最適な施策を実施することで、大きな成果につながるでしょう。

 

本記事では、メルマガの基本的な知識について確認しながら、実際の配信ステップや注意点、メルマガを活用した成功事例などを詳しく解説します。

メルマガとは?

メルマガの概要や役割、有料メルマガと無料メルマガの違いなど、基礎知識について解説します。

メルマガとは

メルマガ(「メールマガジン」の略)は、企業などが顧客や会員に向けて、お知らせやクーポン、お役立ち記事などの情報を配信するメールのことです。マーケティングにおける主な手法の一つとして活用されています。

 

SNSが登場したことによりコミュニケーション手段は多様化し、「メルマガは時代遅れ」と言われることもありますが、実際には多くの企業が現在もメルマガ配信を通して大きな成果を上げています。

 

自社がメルマガを配信する目的を明らかにして最適な手法で運用すれば、メルマガは現代でも非常に有効な施策の一つなのです。

 

【関連記事】
第1回:メールマーケティングとは?
第2回:メールマーケティングの種類 - エムタメ

メルマガの役割

メルマガには、顧客や会員にとって価値のある情報を定期的に配信することで接点を持ち、良好な関係構築を築くという役割があります

 

たとえば、メルマガ内に記載したリンク先へ遷移してもらったり、メルマガのお知らせからキャンペーンやイベントに参加してもらったりすることで、コミュニケーションを持つ機会を創出できます。

 

業界情報やトレンド情報を配信すれば、自社のサービス・商品への興味関心を引き出せるでしょう。ユーザーにとって価値の高い情報を定期的に提供すれば、自社への信頼性の向上やファンの育成にもつながり、関係性をさらに強固なものにすることも可能です。

有料メルマガと無料メルマガの違い

メルマガには有料のものと無料のものがあります。両者には料金の有無以外に、どのような違いがあるのでしょうか?

 

読者が配信元に料金を支払って購読する「有料のメルマガ」は、会員限定の情報価値の高いコンテンツや貴重性の高いノウハウなど、クオリティの高い情報を提供するため、メルマガ自体に価値があるのが特徴です。「ファンとの強固な関係を構築すること」や「コアな顧客を育成すること」を主な目的としています

 

一方、費用が発生しない「無料メルマガ」は、自社商品やサービスの認知拡大や購入、そのための読者数の増加が主な目的です。マーケティング戦略の一部として活用され、できるだけ多くの人にアプローチし、定期的な配信によって見込み顧客を獲得・育成します。

メルマガ配信の目的

メルマガを配信する目的には、大きく分けて3つの目的があります。それぞれの目的について見ていきましょう。

目的①「情報伝達」

メルマガを配信する目的の一つは、「情報の伝達」です。顧客にとって価値のある情報を伝えるためにメールを配信します。

 

顧客満足度の向上を図るため、商品やサービス情報だけではなく、豆知識やお得情報などの顧客にとって有益な情報を提供することが大切です。具体的には以下のようなメールが該当します。

 

  • 商品購入後のフォローメール
  • 会員登録完了のお知らせメール
  • サービスに関するQ&A
  • 自社ブランドに関するストーリーを解説するメール
  • ノウハウや最新情報などに関するコラムメール

目的②「送客」

「送客」を目的とするメルマガとは、自社サイトやイベント、自社店舗への参加や来訪を促すメルマガです。

 

メルマガはユーザーに対してこちらからアプローチができる「プッシュ型」の手法であるため、メルマガ配信による情報提供によって、自社の商品・サービスに対する興味や、自社に対する親近感・安心感を持ってもらうことができます。

 

そうすることで顧客に自社サイトへ辿り着いてもらい、問い合わせなどのアクションを起こしてくれた顧客に対して、さらにアプローチを行います。

目的③「購買」

メルマガを配信する3つ目の目的は「購買」です。新商品の情報やセール情報、キャンペーンのお知らせやクーポンなどを配信し、顧客の購買意欲を高めたり、購入を促したりします

 

本メルマガでは、読者に自社サイトを訪れてもらい、商品・サービスを購入してもらうことが最終的な目的です。リピーターになってもらうために、特定の条件下のユーザーだけにクーポンを配信するケースもあります。

メルマガを配信するメリット・デメリット

メルマガを配信するとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?それぞれ詳しくみていきましょう。

メリット

メルマガの配信には主に4つのメリットがあります。

迅速な情報配信ができる

メルマガは、配信するコンテンツとリストを用意できればすぐに配信できるというメリットがあります。

 

DMやチラシを用意するのに比べて時間がかからないため、最新情報をいち早く読者に届けることができます。情報の更新や変更、差し替えも容易にできるので、配信の直前まで対応できるのも大きなメリットです。

 

顧客に必要な情報をすぐに届けられます。最新の情報をスピーディーに配信できるほか、直前まで情報の変更や差し替えが可能な点もメリットです。

低コストで運用可能

低コストで運用できる点はメルマガ最大のメリットといえます。

 

たとえばDMやチラシを配布する場合、紙代・印刷代・郵送代などの費用に加え、手書きの一言を添える作業や送付作業にかかる人件費などがかかります。

 

一方、電子メールを活用するメルマガは物理的な費用はかからないため、他の手法と比べて低コストで運用することが可能です。メルマガ配信ツールなどを活用して一斉に大量のメール配信もできるため、1件あたりの経費も安く済み、コストだけではなく時間と労力も削減できます。

ターゲットに最適なアプローチができる

メルマガは、ユーザーの属性情報(年齢・性別・居住地・趣味嗜好など)に基づいてターゲットを絞れるため、各ユーザーに最適なアプローチが行えるというメリットもあります。

 

たとえば、30代女性向けの化粧品情報を60代のユーザーに配信しても、購入につながる可能性は見込みづらいでしょう。ターゲットをセグメント分けすることで、より的確にニーズを満たす情報を提供できるので訴求力が向上し、商品・サービスへの購入につながる可能性も高まります

 

また、自社商品の購入履歴があるユーザーや前回のメルマガに反応したユーザー、登録者などに限定して配信することも可能です。自社に関心の高いユーザーにアプローチしやすいので、高い効果が得られやすくなります。

プッシュ型販促で効果が出やすい

メルマガは「プッシュ型」の販促なので、すぐに効果が出やすいのもメリットといえます。

 

マーケティング手法は「プッシュ型」と「プル型」に分けられ、「プッシュ型」は企業側からユーザーに積極的にアプローチする方法、「プル型」はユーザー自らアクションを起こしてもらうように仕向ける方法です。両者に優劣はなく、状況や目的によってうまく組み合わせて活用することで、成果の最大化を図れます。

 

「プッシュ型」の特徴は「コストがかかる一方で即効性がある」だと言われていますが、メルマガの場合はプッシュ型でありながら低コストで運用でき、即効性もあります

デメリット

メルマガ配信にはデメリットも存在しますが、工夫して対応することで効率よく運用することができるため、デメリットについてもしっかりと把握しておきましょう。

手作業で行うとリソースがかかる

メルマガの配信業務には、リストの管理やコンテンツ作成、効果測定など様々なものがあり、手作業で行うと多くの時間・労力、リソースがかかってしまうというデメリットがあります。

 

この問題を解消するために、多くの企業ではメルマガ配信ツールやMAツール(後述)を活用してメルマガ配信作業に取り組み、業務効率化を実現しています。

 

様々なサービスが登場しているので、初めての導入で不安がある場合は、フリープランや低額で始められるものからお試し感覚で始めてみると良いでしょう。

未開封・迷惑メールと認識される場合がある

未開封のまま捨てられてしまうケースや、迷惑メールと認識されてしまうケースがあるのもメルマガ配信のデメリットといえます。

 

また読者の興味を引きつけるために、過度にユーザーを煽るような文言を件名などに記載すると、迷惑メールと判断されてしまうケースがあります。受信してもらっても必ず開封されるとは限らない上、迷惑メールに分類されて受信トレイにすら届いていない可能性もありうるでしょう。

 

このような事態を防ぐためには、配信するタイミングや配信タイトル、配信頻度に気をつけて取り組むことが大切です。メルマガ購読解除への導線をわかりやすく工夫する必要もあります。

メルマガの配信方法

メルマガの配信方法について、主な3つの方法を紹介します。

メールソフトでのBCC送信

メールソフトでのBCC送信は、普段利用しているメーラーを通して複数のメールアドレス宛に一斉配信できる方法で、メルマガの配信先が少ない場合におすすめです。

 

BCC送信では、受信者に各送信先のメールアドレスが公開されず、別途システムを導入する必要もないため、メルマガ配信のもっとも手軽な手法だといえます。

 

ただし、配信先のメールアドレスを間違えてTOやCCに入力してしまうなどの人為的ミスが起こると、個人情報漏洩などのリスクがあるので細心の注意が必要です。多数に向けた配信はおすすめできません。

 

さらに、配信先の環境によってはスパムとして扱われてしまい、読んでもらえないケースもあり得ます。

メルマガ配信システム

メルマガ配信システムは、配信リスト内のユーザーに向け、メルマガを大量配信・一斉配信できるシステムです。専門知識やテクニックがなくても、誰でも簡単にメルマガを配信・管理できます。

 

細かい機能はシステムによって異なりますが、配信したメールの効果測定や予約配信などが行えるツールも多いです。配信における人為的ミスの発生も削減できるでしょう。

 

定期的に大量のメルマガを配信したい場合は、メルマガ配信システムをおすすめします

MAツール

MA(マーケティングオートメーション)は、「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化」する一連のプロセスを指し、それらを実現するツールのことをMAツールと呼びます。

 

基本的にMAツールにはメール配信機能が備わっているため、同機能を活用して効率的にメルマガ配信を行うことができます。

 

MAツールはシステム内の顧客情報をセグメント分け・ターゲティングする機能もついているため、各顧客に最適なメルマガの配信が行えるのが最大の特徴です。メールの開封率をはじめ、メルマガ内のクリック率やログなども貯めることができ、より詳細で精度の高い効果測定が行えます。

 

メルマガ配信の効果の最大化を目指すのであれば、MAツールの導入がおすすめです。

 

【関連記事】
マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説
第1回:マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?

メルマガの形式

メルマガには、文章のみで作成される「テキストメール」と、画像や動画の挿入や文字の加工ができる「HTML」という2つの形式があります。自社の目的等に合った形式を選ぶため、それぞれの特徴をしっかりと理解しましょう。

 

【関連記事】
メルマガの基本:HTMLメールとテキストメールのメリット・デメリットを理解しよう

テキストメール

テキストメールは、通常配信するような文章のみで作成された一般的なメールを指します。1to1メールの場合は、この形式でやり取りされることが多いです。

 

画像の挿入やレイアウトを変更するHTMLメール(後述)と違い、テキストのみで見た目が地味になりやすいため、記号を活用して装飾を行い、強調すべき個所とそうでない個所でメリハリをつけて読みやすくする必要があります。

 

テキストメールを活用するメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 通常のメールと同じように入力できるので、専門的な知識やツールが不要
  • サイズが小さいため、ユーザー側の環境に依存せずに受信できる

デメリット

  • 開封率などのデータを確認できない
  • メール内に記載されたURLがそのまま表示されてしまう
  • テキストのみの使用のため、視覚的な訴求に限界がある

HTMLメール

HTMLメールは、画像や動画の挿入やレイアウトの変更、デザイン書式などが利用できるメールです。Webサイトを作成するときと同様の言語で作成します。

 

見た目が華やかで視覚的な訴求力が高いため、文字のみでの情報の訴求を行うよりも3倍程度クリック率が高いといわれています。ハイパーリンクも利用できるため、読者にURLを見せずにリンクを設置することができます。

 

下記はHTMLメールを利用するメリット・デメリットです。

 

メリット

  • 開封率やクリック率などのデータを把握できる
  • ハイパーリンクを活用できる
  • 視覚的に華やかになり、訴求力を高められる

デメリット

  • 制作時にHTMLの記述やstyleの記載などの専門的な知識が必要になる
  • メールが正しく表示されるかどうかは読者のメール閲覧環境に依存する
  • メール自体の容量が大きくなるため、表示されるまでに時間がかかる場合がある

メルマガ配信の4つのステップ

メルマガを実際に配信する際は、4つのステップ「①企画②作成③配信④評価」で行います。配信したら必ず効果測定を行い、改善に取り組むことが大切です

 

それぞれのステップについて詳しくみていきましょう。

①企画

まずメルマガを配信するには、「いつ/誰に/何のために」配信するのかという企画を考える必要があります

 

どれだけ有益なコンテンツを用意しても、配信する対象やタイミングを誤ってしまうと読んでもらえる可能性は低くなります。関係性を構築できていない読者に多くのセールス情報を送ると、配信停止や購読解除にもつながりかねません。

 

メルマガを配信する目的やゴール、ターゲットなどを具体的に決めておくことは、ターゲットとの関係構築や態度変容に加え、その後の作業の効率化や、メルマガ配信の効果をより高めることにつながります。

②作成

メルマガを作成する際のポイントを「件名・本文・デザイン」に分けて解説します。

件名

メルマガの件名は読者が最初に目にする箇所であるため、開封率に大きく影響します

 

件名はパワーワードを含む30文字前後で簡潔に表現し、特に冒頭15文字に力を入れることが大切です。メルマガの内容を瞬時に理解できる件名が理想的です。

 

その他、以下の「4Uの原則」に則って、読み手の関心を引く件名を作成しましょう。

 

  • Useful(有益性):メールを開封することで得られるユーザーにとってのメリットや潜在的なニーズを訴求する。
  • Urgent(緊急性):「期間限定/今だけ」など今すぐメールを開封しないといけない理由を記載することで、開封率・CVRの向上が見込める。
  • Ultra Specific(具体性):数値や専門用語、独占的情報などを記載することで具体性を高め、ユーザーの興味関心を醸成する。
  • Unique(独自性):競合他社との差別化を図り、開封してもらいやすくするためには、自社独自の表現を行うことが重要。

本文

メルマガの本文では、読者側の視点に立って、最も訴求したいコンテンツを1つ記載することが大切です。「1回のメルマガに1テーマ」を基本とすることをおすすめします。

 

複数のコンテンツを訴求したい場合は、優先順位をつけて記載しましょう。ただし、いくら優先順位をつけたとしても、長い文章になってしまうと最後まで読んでもらえる可能性は低くなります。伝えたい内容を絞り込んで簡潔にまとめることで、より効果的に訴求することができます。

 

また、本文の上部が最もよく読まれる傾向にあるため、重要な情報や最も訴求したいコンテンツを先に記載することも重要です。メルマガを作成できたら、客観的に何度か読み直して修正し、より洗練されたコンテンツを目指しましょう。

デザイン

メルマガのデザインを工夫することは、メルマガの開封率や読みやすさの向上につながります。特に、「情報がわかりやすい」「企業イメージに沿っている」「CVへ誘導しやすい」という3つのポイントが大切です。

 

テンプレートを活用したり、オリジナリティを強く打ち出したい場合は、自社独自の画像の添付や、企業カラーをテーマカラーとしたデザインにする方法もあります。色は自社サイトに合わせて2~3色に抑えることで、まとまりがあり読みやすいメルマガになります。

 

その他、フォントや商品の魅力が伝わる画像、CTAボタン、ヘッダーやフッターなど、読者目線になって様々な工夫を施しましょう

 

HTML形式のメールの場合はコーディング業務が必要になるため、デザイナーに依頼するか、簡単にHTMLメルマガを作成できる機能が備わっているメール配信システムの活用をおすすめします。

③配信

メルマガの配信方法・形式を決めて、ターゲットに適した配信頻度や日時にメルマガを配信しましょう

 

メルマガの配信方法については、先述した「メールソフトでのBCC送信・メルマガ配信システム・MAツール」の中から、目的やゴールに応じて最適なものを選びます。形式も先述した通り、テキストとHTMLがありますが、開封率やクリック率などのデータを確認できるという点でHTMLメールをおすすめします。

 

また、メルマガを配信する前にはプレビューとテストの実施が必要です。スペルやリンク、レイアウトなどにミスがないかを最終チェックすることで、より質の高いメルマガ配信を行えます。

④評価

メルマガを配信した後は、必ず効果測定を行いましょう

 

特に、メルマガが開封されたパーセンテージを示す「開封率」や、メルマガ内に設置されたリンクがどのくらいクリックされたかを示す「クリック率」などのデータを分析・評価します。

 

開封率はメルマガ配信における重要なKPIであり、「開封数÷メール到達数×100%」で算出できます。平均率の目安は20%程度なので、下回る場合は件名や構成をはじめ、本文やレイアウト、配信対象、配信頻度、配信タイミングなどを見直して改善し、PDCAサイクルを回していく必要があります。

効果的なメルマガを作成するポイント

メルマガ配信でより成果を出すためにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか?本章では、効果的なメルマガを作成する際に大切な3つのポイントについて解説します。

①読者目線

繰り返しになりますが、効果的なメルマガを作成するには読者の視点に立つことがとても大切です。

 

最新情報やお役立ち情報をただ提供するのではなく、自社に親近感や安心感を持ってもらえるような内容を発信し、より良い関係性を構築する必要があります。

 

たとえば「お客様の声の紹介」や「人柄が伝わるような社員の一言日記」「自社独自のこぼれ話」など、キャンペーン情報を配信する際にも、より身近に感じてもらえる内容を意識することをおすすめします。自社と顧客をつなぐコミュニケーションツールとしてメルマガを捉えることが重要です。

②コンテンツの有益さ・読みやすさ

メルマガが有益なコンテンツを提供しているか、読みやすい内容かという点は、メルマガにおける最重要ポイントのひとつです。

 

具体的には、先述した「情報伝達・送客・購買」というメルマガ配信の目的に沿ったコンテンツになっているかということや、見やすい配色・レイアウト・構成かどうかなどをチェックしましょう。適度な改行やコーナーごとの罫線、目立ちやすいCTAボタンの設置などの工夫も必要です。

 

その上で、読者の悩みや課題解決に役立つ情報やお役立ち情報、クーポンの配布など、ユーザーにとってメリットのある情報を提供します。

③行動を喚起する

メルマガを読んだ後に、読者が特定の行動を起こしたくなるような内容にすることも大切です。

 

メルマガの本文にCTAボタンやURLを記載することは非常に有効ですが、ただ設置するだけでは高い効果を得られません。レイアウトやコンテンツの流れを意識して適切な箇所にリンクを配置することで、高いクリック率が見込めます。

 

クリックした遷移先ではどんな価値やメリットが得られるかをあらかじめ明記しておくことで、クリック率・CVRの向上にもつながります。

 

反応が鈍い場合は「リンクへ誘導する構成はおかしくないか」「CTAボタンはわかりやすい場所にあるか」「読者にとっての価値が明記されているか」などの点をチェックし、改善を行いましょう。

メルマガ運用の成功事例6選

メルマガを運用して大きな成果を得た事例6選を紹介します。メルマガ配信を行う際にぜひ参考にしてください。

①株式会社エルブレイン|家具、建築建材、照明などの輸入販売

家具、建築建材、照明などの輸入販売や空間を中心としたデザイン業務を行う株式会社エルブレインは、新規顧客の獲得などの課題解決のためにMAツールを導入し、顧客管理とメールの配信を行っています。

 

MAツールを導入したことで、Webサイトのアクセスログに基づいてアプローチを行うなど、それまでになかったコミュニケーションが取れるようになりました。また、見積もりの提出や訪問予定など、各営業の状況を可視化して把握できるようになったことで、様々なコンセンサスが取れるようになりました。

 

メルマガを開封した履歴からアプローチを行ったところ発注へとつながるという成果が得られました。月1回のメルマガ配信を各営業が月替わりで担当することで、メンバーの意識にも変化が見られたそうです。

 

>詳しくはこちら:メルマガ配信でリードを獲得。新しいビジネススタイルを構築して受注がアップ|株式会社エルブレイン様

②DNライティング株式会社|LED照明器具メーカー

DNライティング株式会社は、百貨店やホテル、美術館などに採用されるLED照明器具を設計・生産するメーカーです。

 

安心・安全な運営体制と情報発信ができるホームページを目指すため、同社はクラウドサーカス社のCMS「BlueMonkey」とデータベース「Plusdb」を導入し、製品を見やすく、誰でも使いやすいホームページへとリニューアルしました。利用しやすくしたことで、コロナ禍でも情報発信を通して顧客との関係を維持することができたそうです。

 

他にも、マーケティング施策として実施しているオウンドメディアの更新や、メルマガの配信で高い平均開封率を維持している同社は、ホームページを整えたことで、URLをクリックした後の着地点として有益な情報を提供することができるようになりました。ホームページのセッション数は継続的に増え、有効なお問合せ数も伸びています。

 

メルマガ配信の効果をより高めるために、土台としてのホームページをしっかりと整備することが重要だとわかる一例といえます。

 

>詳しくはこちら:継続的な情報発信で顧客に支持されるホームページに!Webマーケの推進で営業の意識も変化|DNライティング株式会社

③株式会社メディカルトラスト|企業内健康管理のアウトソーシング事業

株式会社メディカルトラストは、企業内健康管理のアウトソーシング事業を行っています。

 

同社は保有リストを有効的に活用できておらず、顧客情報を蓄積する仕組みもないという課題がありましたが、MAツールを導入して、問い合わせフォームの作成と設置、メルマガの配信を行いました。

 

月に1回の産業保健向けのメルマガ配信では、Webサイトのコラム記事に誘導させるためのコンテンツとセミナーの案内を掲載。問い合わせや資料請求へ誘導するリンクを貼るなどの工夫も行いました。

 

メルマガ配信でのセミナー集客では、毎回10~30程度のエントリーが集まり、100名を超える参加者を集客できるようになりました。問い合わせのリード情報を一元管理することで、より効率的にアプローチできるようになったとのことです。

 

>詳しくはこちら:MA活用でメルマガ配信のたび30件のセミナーエントリーが来るように。知識がなくてもとても使いやすいツールです|株式会社メディカルトラスト

④株式会社生出|梱包材、緩衝材の企画・設計・製造

株式会社生出は、梱包材、緩衝材の企画・設計・製造を営む企業です。

 

同社はアウトバウンド営業の効率化や顧客の確度の可視化、商談の窓口となるターゲットの見極めなどを目的としてMAツールを導入し、メルマガ配信だけではなく、顧客情報のMAツールへの登録やメール配信の行動ログからアウトバウンド活動の営業リストを作成するなどの施策を行いました。

 

3回行われたメルマガ配信では、1回目から開封率28%、リンククリック率4%という高い数値が得られ、メルマガ配信を通して見積もりの依頼がくるなど、案件の掘り起こしにもつながりました

 

開封率やリンククリック率などの顧客動向の可視化は、データの的確な分析へとつながり、今後の施策を検討する際に大きな役割を果たしたとのこと。「クリックしてくれた」という顧客動向をチェックできることで、「関係構築ができている」というモチベーション向上にもつながったそうです。

 

>詳しくはこちら:メルマガ配信をきっかけに商談化、メール開封率28%、クリック率は8%を達成!BowNow導入で新たに資料ダウンロードコンテンツを作成し、営業体制の変革へ|株式会社生出

⑤株式会社ヴィクトリー|医療機器の総合商社

医療機器の総合商社である株式会社ヴィクトリーでは、顧客情報の一元管理やリード情報の共有ができておらず、営業活動が個人のアプローチに任されており、「営業体制の構築」という大きな課題がありました。

 

そこで同社は課題を解決するため、MAツールを活用したメールアプローチ施策を実施しました。メールに設置したリンクから商品ページを見てくれる顧客が増え、メルマガをきっかけにした案件獲得も実現したほか、セミナー参加者の集客も行い、MAツール導入前よりもセミナーへの参加者が1.5倍に増えました

 

また、MAツール導入と同時にホームページを整え、ホームページに各商品ページと問い合わせフォームを設置した結果、Webからの問い合わせが劇的に増加。2ヶ月連続で問い合わせから成約に至るなど、メルマガ配信施策などを通して大きな成果が得られました。

 

>詳しくはこちら:MAでのメルマガ配信で、2ヶ月連続で案件を獲得!ほぼ既存顧客のみだったセミナーにも新規参加者が増え、参加人数が1.5倍に|株式会社ヴィクトリー様

⑥株式会社タイメック|金属加工業を主軸とした多岐にわたる事業

金属加工業を主軸とし、多岐にわたる事業を展開する株式会社タイメックは、メルマガを配信していたもののお問い合せや商談につながらず、配信後のアプローチも行えていないという課題がありました。

 

メルマガ配信後のユーザー行動の可視化やアプローチ強化のためにMAツールを導入した同社は、月2回の定期的なメルマガ配信を行い、クリックしてくれた顧客に向けてテレアポを行うという施策を実施しました。同時に、クリックや開封が多い時間帯を把握して配信時間に反映したり、テキストメールから読みやすい見た目のメルマガへ改良したりするなど工夫も施しました。

 

その結果、メルマガから見積もり依頼を経て受注に繋がったほか、メルマガを通して紹介や問い合わせにつながるなどの成果が得られました。メルマガの見た目を大きく変えたことで、「おもしろいね」と評価をもらう機会も増えたそうです。

 

>詳しくはこちら:「そういうことってあるんだ!」BowNowを通して、予想外の繋がりが増えていく。コツコツ定期配信で、メルマガによる受注も獲得!|株式会社タイメック様

メルマガを配信する際の注意点

メルマガを配信する際には、法律で定められたルールに注意する必要があるため、迷惑メールの送信を規制するための「特定電子メール法」や「個人情報保護法」への理解が必須です。

 

以下では3つのポイントに絞って注意点を紹介します。

 

【参考】
特定電子メール法
個人情報保護法等

メルマガ配信前に必ず受信者の同意を得る

メルマガを配信するには、受信者の同意が必要不可欠です

 

会員登録時や商品の購入時、申し込みなどの際に必ず「メルマガ配信を希望するかどうか」を確認し、同意を得られた人だけに配信しましょう。

配信停止できる機能を用意する

受信者がメルマガの配信停止をいつでも簡単に行えるように、配信停止できる機能を用意したり、メール内に手続きの方法などを記載したりすることも大切です。

 

メルマガ配信を停止するために必要なプロセスを事前に設定し、手続き方法を記載した上で、配信停止申請ができるURLをメールに記載しましょう。

送信者の情報をメール内に記載する

送信元のメールアドレスをはじめ、企業名や担当者名などの送信者の情報を、メール内に記載する必要もあります

 

受信者に「どの企業から・誰から送られてきたメルマガなのか」ということをすぐにわかってもらえるようにすることが大切です。多くのメルマガでは、フッター部分にこれらの情報を記載している傾向にあります。

まとめ

本記事では、メルマガの基礎知識や配信方法、実際の成功事例などを紹介しました。

 

メルマガは最も基本的なマーケティング手法であり、様々なデバイスや媒体が登場した現在でも多くの企業で活用されています。メルマガを配信するためのツールも数多く登場しており、業務の効率化やデータ分析の精度などは非常に向上しています。

 

成功事例でも紹介したように、メルマガ配信にはMAツールやメール配信システムなどのツールの活用がとても有効です。うまく活用すればメルマガ配信はもちろん、マーケティング施策全体を効率化できます。

 

無料から利用できるツールも数多く登場しているので、メルマガ配信を始める方やメルマガで成果を上げたい方、またメルマガ配信における業務効率化を実現したい方などは、まずはお試し感覚で利用してみることをおすすめします。

 

【関連記事】
マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説

 

第1回:マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?

 

第2回:マーケティングオートメーション(MA)ツールが必要な理由

 

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  • エムタメ!編集部
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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 30 Nov 2023 10:33:41 +0900
<![CDATA[CTAとは?マーケティングやWeb施策での重要性や基礎知識、作り方や改善策ポイントなどをわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/design/about_cta CTA(Call To Action)とは、Webサイトを訪問したユーザーに対して「資料請求」や「申し込み」などの行動を喚起するために設置されたボタン・テキストを指します。

 

CVR(コンバージョン率)を向上させるために欠かせないCTAを適切に設置・改善することで、目標により達しやすくなるため、マーケティングやWeb施策において非常に重視されています。

 

本記事では、CTAについて、マーケティングやWeb施策における重要性や基礎知識をはじめ、作り方や改善方法、注意点、さらには実例まで網羅的に紹介します。CVRを最大化させる際にぜひお役立てください。

CTA(Call To Action)とは?

CTA(Call To Action)についての基礎知識について解説します。

CTA(Call To Action)とは?

CTA(「Call To Action」の略)とは、Webサイトを訪問したユーザーに対して、「資料請求」や「申し込み」などの行動を喚起するために設置されたボタン・テキストを指します。日本語では「行動喚起」と訳されます。

 

CTAは、CV(コンバージョン)を獲得するための非常に重要な要素であり、Webサイトの運用やマーケティング領域において欠かせない施策です。

CTAの設置例

CTAには「資料請求」「申し込み」「会員登録」「問い合わせ」など、Webサイトの目的に合わせた様々なものがあります。

 

たとえばスポーツジムのWebサイトの場合、基本的な目的は「無料体験への申し込み」や「資料請求」「問い合わせ」です。それらのボタンやリンクをWebサイト上に設置することで、目的のフォームへとユーザーを誘導することができます

 

他にも、以下のようなCTAの例があります。

 

  • 購入
  • メルマガ登録
  • 定期購読
  • 見積もり依頼
  • 料金シミュレーション
  • オンライン相談     など

 

ではなぜWebサイトにおいてCTAが非常に重要視されているのでしょうか?次章でその理由をみていきましょう。

WebサイトでCTAが重要である理由

WebサイトにおけるCTAの重要性についてみていきましょう。

CTAの重要性

WebサイトでCTAが重要である理由は、CTAがCVを達成するための導線になるからです。

 

WebサイトのCVや売上は「サイトへの流入数×CVR×顧客単価」という式で表すことができます。この式からわかるように、どれだけ有効な施策を実施して流入数を増やすことができても、CVRを増やすことができなければ成果につながりません。

 

CTAを適切に設置できないと、CVRは0のままというケースもあります。CTAの有無や効果的な活用ができているかどうかによって、CVRや売上は大きく左右されるのです。

 

さらに、CTAを適切に設置することで、Webサイトに訪れたユーザーの離脱を防止できるいう効果もあります。CTAを経由してユーザーが行動を起こしてくれる可能性は高まります。

 

つまりCVRを増加するためには、Webサイトからの離脱を防いで「流入数・CVR」の2つの数値を向上させていく必要があり、そのためには適切なCTAの設置が必要不可欠なのです。

ユーザーにとってもCTAの最適化は重要

CTAの最適化は、企業側だけでなくユーザーにとってもメリットがあります。

 

それは「CTAを目立つポイントに設置すること=次のアクションを明示していること」であるため、ユーザーは自分が必要としている情報を入手しやすくなり、Webサイトを訪れた目的を達成しやすくなるというメリットです

 

たとえば、ユーザーが問い合わせや資料請求を行いたいと考えていたとしても、該当するボタンが設置されていなければ、ユーザーは自ら能動的に問い合わせページを探さなければならず、負担の増加や離脱へもつながります。

 

CTAの最適化はユーザーのそのようなストレスを軽減し、スムーズに行動できるようサポートします。

効果的なCTAの作り方

効果的なCTAの作り方について、大きく4つのステップに分けて解説します。

①ユーザーの心理状況を理解する

効果的なCTAを作成するためには、ユーザーの心理状況を的確に理解した上で取り組む必要があります

 

たとえば、自動車や大型家具など高額な商品の購入を検討しているユーザーの場合、Webサイトを訪れて即購入するケースは稀です。Webサイトを訪れたユーザーの多くは、商品を比較・検討する際に役立つ情報を求めています。

 

この場合「購入する」というCTAを設置しても成果にはつながりづらいはずです。「資料請求」や「カタログ」、「乗車体験申し込み」や「見積もり依頼」など、ユーザーの検討フェーズを考慮した上で、ニーズが高いであろうCTAを設置する必要があります。

②文言を工夫する

ユーザーの心理状況を理解できたら、それに最適な文言を作成することが大切です。CTAの文言を工夫する際に大切な2つのポイントについて解説します。

希少性や緊急性を感じさせる

CVにつなげやすくするためには、CTAに希少性や緊急性を感じさせる文言を用いると効果的です。

 

具体的には、商品・キャンペーン情報に関して「数量限定」や「期間限定」などの情報を表示することで、購入を先延ばしにするユーザーの離脱防止や、行動促進へとつながります。

 

他の例として、観光地のホテルサイトで表示される「今このページを10人が見ています」という表示をすることで緊急性を感じさせ、CVRが上がる可能性があります。

ユーザーのモチベーションを高める

CTAのテキストはニーズを捉えた文言にして、ユーザーのモチベーションを高めることも大切です。

 

「その行動をすることで得られるメリット」や「起こるポジティブな変化」を認識させる文言を記載することで、ユーザーが「クリックしたい」と感じる可能性は高まります。

 

たとえば、「続きはこちら」「詳細はこちら」などとするよりも、「無料診断はこちら」「クーポンを利用して購入する」など、どのような内容のページに遷移するかが一瞬でわかる表現にすることが重要です。

 

ニーズを捉えた明確な文言を記載することでユーザーのモチベーションを高め、次の行動へと促すことができます。

③効果的なデザインを施す

CTAへと誘導するためには、効果的なデザインを施すことも非常に大切です。

 

ユーザーの心理状況を理解し、魅力的な文言でCTAを設置したとしても、ユーザーに気づかれなければ意味がなくなってしまいます。瞬時にCTAを把握できるよう、配色や動きをつけるなどの工夫が必要です。

 

具体的に、どのような工夫を施すべきかについて主な3つのポイントを解説します。

CTAボタンの配色やデザインを目立たせる

周囲や背景のデザインと異なるものを使い、CTAボタンの「色」「形状」「サイズ」を目立たせるようにしましょう

 

CTAのボタンの配色やデザインはWebサイトのコンセプトや基本カラーを考慮しつつ、目立つかどうか?を軸に決めることが大切です。

 

一般的にCTAボタンの色は「緑やオレンジ」などの色が好まれる傾向にありますが、「ブルー×ホワイト」は堅実さを印象付けられるためビジネス系サービスに向いていたり、丸角のボタンは親しみやすいためECサイトなどに向いていたりと、それぞれ特徴があります。

 

Webサイトのコンセプトや提供するサービス内容、業種、ターゲット属性などによって適切な色は異なるため、バランスを考えながら工夫することが大切です。ABテスト(後述)を実施して、クリックされやすい色やデザインを検証する方法も試してみると良いでしょう。

動きをつける

CTAに動きをつけてユーザーの目を引くという方法もあります。

 

具体的にはCTAにカーソルを動かすとボタンが拡大したり、上下に跳ねたりするなどのエフェクトを施すことで、ユーザーの注意を引き付けることができ、クリック率が向上する可能性があります。

 

ただ、CTAボタンに大きすぎる動きを付けたり、過度に派手にしたりすると、悪い印象をもたれて敬遠される恐れもあるため注意が必要です。動きをつけるのであれば、「Webサイトの世界観やターゲットの属性に最適なデザイン」という範囲の中で、エフェクトを施しましょう

マイクロコピーを取り入れる

マイクロコピーとは、CTAボタンの直前や近くに配置されるキャッチコピーを指します。CTAボタンの内容をわかりやすく簡潔に説明する文言です。

 

CTAボタンを単体で配置するのではなく、マイクロコピーをボタンの上下に設置することで、ユーザーのクリックを促しやすくなり、CVRの向上が狙えます。ボタンをクリックするとどのような利益を得られるのかを端的に説明することが大切です。

 

たとえば、「定期購読をする」というボタンのうえに「30秒で登録完了」などと明示すれば、ユーザーの心理的負担を減らし、行動してもらいやすくなります。マイクロコピーにも背景色をつけるなどの工夫を施せば、CTAをより一層目立たせることができます。

④CTAを最適な位置に配置する

最後に、CTAを最適な位置に配置するようにしましょう。CTAを設置する場所によって、CVRは変わります。

 

CTAは一つだけではなく、ユーザーの視点や動きに合わせて複数設置するのが一般的です。多くの場合、Webサイトのヘッダーとフッターや、記事の途中と最後に設置されます。他にも以下のような設置場所がおすすめです。

 

  • ファーストビュー(Webサイトを訪問した際、最初に表示されるエリア)
  • 記事内の内容が切り替わるポイント(例:ユーザーのニーズがある程度満たせた場所)
  • サイドバー
  • ポップアップ    など

 

CTAの種類や記事内容に合わせて、ユーザーがストレスを感じず、最もスムーズにクリックできるポイントに設置することが重要です。

CTAの改善方法

CTAを作成し実際に設置したら、効果測定を行い、継続的に改善していく必要があります。本章では、改善する際の6つのポイントを紹介します。

①ユーザーにとってのハードルを下げる

ユーザーに行動を促してCTAをクリックしてもらうためには、ユーザーにとってのハードルを下げる必要があります

 

その際には先述したマイクロコピーをうまく活用するのがおすすめです。たとえば、「メルマガ購読」と記載したCTAの上に「30秒で登録完了」というテキストを記載するだけで、ユーザーの心理的なハードルを軽減させることができます。

 

「相談する」という表現を「まずは相談してみる」という表現に、「見積りを依頼する」という表現を「無料で料金シミュレーション」という表現にするだけでも、気軽に利用してもらいやすくなります。

 

ユーザーの負担を減らせるように考慮し、次のアクションを起こしやすい状況を作ることを心がけましょう。

②CTAまでの導線を改善する

CTAまでの導線をわかりやすいように改善する必要もあります。効果的なCTAを作成できても、導線がわかりづらいために混乱が生じてしまったら、離脱してしまう可能性が高まるためです。

 

「自社製品・サービスを購入することでどのようなメリットを得られるのか」や、「競合サービスと比較した際の強み」、「商品の魅力」などを、説得力のある内容とわかりやすい構成で伝えます。

 

そして、Webサイトを閲覧したユーザーが「実際に利用してみたい」と感じた際に、スムーズに次のアクションを起こしてもらえるような流れを意識して、導線を確保しましょう。

③選択肢を絞る

CTAの種類は、選択肢をできるだけ絞ることが大切です。

 

一つのページに「問い合わせも」「見積もり依頼も」「SNSのシェアも」とCTAを盛りだくさんにしてしまい、選択肢を増やしてしまうと、意欲の高いユーザーでも行動を躊躇する可能性が高まります。

 

導線が複雑になってユーザーを混乱させてしまい、CVまでたどり着かず、最終的には何もクリックしないまま離脱してしまうことにもなりかねません。

 

優先順位を明確にして重要なCTAへと絞った上で、最適な位置に配置するようにしましょう。

④ターゲットに最適なCTAを用意する

ターゲットに最適なCTAを用意することもCVR向上には大切なポイントです。先述した「ユーザーの心理状況を理解する」と重なる部分もありますが、ユーザーの検討フェーズを考慮した上で、最適なCTAを設置する必要があります

 

「情報収集・相談・商品購入」など、ターゲットによってWebサイトを訪れる目的は異なるため、それに合ったCTAを設置することが大切です。具体的には、情報収集が目的のターゲットには「資料ダウンロード」、商品やサービスを購入したいターゲットに対しては「見積り」などのCTAを設置します。

 

また、CTAボタンの配色やデザインもターゲットの属性等を考慮して施すと良いでしょう。

⑤ヒートマップを活用する

ユーザーのページ上での行動を可視化できるツールである「ヒートマップ」を活用するという手も効果的でしょう。アクセス解析ツールであるGoogleアナリティクスを導入する方法もあります。

 

ヒートマップツールは、CTAを適切な位置に設置する際に役立つツールです。CTAのクリック率だけではなく、ページ内のよく見られている場所や、どのCTAがクリックされているかなどを数値で明らかにできるため、適切な改善施策の立案をサポートします。

 

よく見られている場所を明らかにできれば、その箇所にCTAを設置することで、クリック率やCVRの向上が期待できます。

 

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競合サイト分析方法を解説!無料・有料のおすすめツールや見るべきポイントも紹介

⑥A/Bテストを実施する

先述したヒートマップツールやGoogleアナリティクスを活用して出た結果をもとに、ABテストを実施するのもおすすめです。

 

A/Bテストとは、「A・B」2つのパターンのクリエイティブでユーザーの反応の違いを確認し、より効果的な方を選択するマーケティング手法です。バナーや広告文、Webサイトなどを最適化するために実施されるのが一般的ですが、効果的なCTAを設置する際にも役立ちます。

 

具体的には、CTAボタンのクリック率などが低い場合、「なぜ低いのか」「どうすれば改善できるのか」「クリックされやし配色は?」などと仮説を立て、いくつかのCTAパターンでA/Bテストを実施して、より成果が出ている方を採用します。

 

実施する際には、「検証する期間・箇所」などの事前設定をしっかりと行い、CTA以外の条件を同じにして測定することが重要です。ABテストツールを利用すれば、より本格的なテストを行うこともできます。

 

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CTA設置における注意点

CTAを設置する際に気をつけたほうがいい注意点について紹介します。

設置した後に必ず効果測定を行う

CTAを設置した後は、必ず効果測定を行うことが大切です。

 

効果測定を行うことで、CTAがどのくらいCVRにコンバージョンに貢献しているかを把握でき、CTAを設置した場所が適切だったかどうかの判断ができるようになります。結果をもとに改善を重ねることで、さらに高い効果を発揮することが可能です。

 

効果測定の実施は継続的な改善やCVRの向上はもちろん、企業における利益の拡大にもつながります。また、うまくいったポイントや失敗点などのノウハウが溜まるため、長期的視点からみると、企業においてとても大きな財産にもなります。

 

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SNSマーケティングの効果測定に使えるツール、サービス22選

結果をもとに改善・工夫を続ける

先述したように効果測定を行ったら、その結果をもとに改善・工夫を続けることが非常に重要です

 

一度作成した後そのまま放置してしまうと、どんなにクオリティの高いCTAが作成できても効果は下がります。アクション数が多い広告やサイトほど、日々効果測定を行い、改善を続けているといわれています。

 

効果測定を通してクリック数やCVRが低い箇所の原因を見つけ、それをどのように改善できるか、どのように工夫したら成果が挙げられるか対策を考えて実施しましょう。

 

また、業種や商品・サービスによっては、季節などの要因によってアクセス数が大きく変動する場合があり、そのような状況に対応するためにも、「効果測定→改善・工夫」のフローは必須です。さらに継続的な改善やCTAの最適化は、CVRの向上はもちろん、競合他社と差別化や優位性の確保にもつながるでしょう。

CTAの実例4選

CTAを効果的に活用している実例5選を紹介します。

Audible(オーディブル)

Audible(オーディブル)

 

引用元:Audible公式サイト

 

Audibleは、Amazonが提供する、プロのナレーターが朗読した本をアプリで聴けるオーディオブックサービスです。

 

CTAボタンのテキストは「30日間の無料体験を試す」と記載されており、クリックすることで何が起こるかが明確に表示されています。マイクロコピーには「無料体験後は月会費1,500円」「いつでも退会できます。」と表記することで、ユーザーの心理的負担を軽減し、クリックするハードルを下げているのが特徴です。

 

白い背景にオレンジ色のCTAという、わかりやすい配色・デザインが施されているのもポイントです。CTAはファーストビューに2つ設置されているほか、スクロールするとページの下部にもさらに2つのCTAが設置されているのも参考になります。

Spotify(スポティファイ)

Spotify(スポティファイ)

 

引用元:Spotify公式サイト

 

音楽を配信するSpotifyのWebサイトでは、ファーストビューに2種類のCTAが設置されているのが特徴です。

 

「使ってみる」では会員登録へ誘導し、そのまま登録すればすぐに利用できるようになっています。もう1つの「プランを見る」をクリックすると、内容の異なる4つのプランの詳細を確認することが可能で、各プランごとにCTAが用意されています。

 

2種類のCTAを並べることで、すぐにサービスを利用したいユーザーと、検討中であるユーザーの両者を次のアクションへと促せるように工夫されています。白をベースにしたサイトでCTAを色付きにすることで、CTAがすぐ目に付くようになっている点もポイントです。

Oisix(オイシックス)

Oisix(オイシックス)

 

引用元:Oisix公式サイト

 

Oisixは良質な野菜の通信販売や定期宅配サービスを提供する企業です。

 

CTAのテキストは「商品を見る」「おためしセットを見る」「入会のご案内」の3つを用意し、それぞれ異なるフェーズにいるターゲットのニーズに応じています。ユーザーの注意を引く文言や、希少性・緊急性を生み出してユーザーの心理に大きく影響する「セール中」というマイクロコピーの活用も特徴です。

 

また、一般的に野菜の色として連想されやすい緑色のCTAを採用しており、提供するサービス内容やターゲットの好みの色などを念頭に置いて、Webサイトに落とし込んでいることがわかります。

slack(スラック)

slack(スラック)

 

引用元:slack公式サイト

 

Slack は、仕事を効率化するためのビジネス用のメッセージングアプリです。

 

同サイトはシンプル且つ洗練されたデザインが特徴です。一般的に深い紫色は目立つ色ではありませんが、背景が白で他に色味が少ないため、CTAがすぐ目に付くよう工夫されています

 

Webサイト全体でスタイリッシュなデザインに統一されており、スマートさや堅実さが印象付けられるため、視覚に対して効果的にアピールされている点も参考にできます。ビジネス系サービスとして適した一例といえるでしょう。

まとめ

本記事では、CTAに関する基礎知識をはじめ、作り方、改善方法、注意点、実例と網羅的に紹介しました。

 

繰り返しになりますが、Webサイト上から確実にCVを獲得するためには、CTAの活用が欠かせません。効果が出やすい配置やデザインはある程度決まっているので、自社の業種や特徴、ターゲットの心理状況や目的を理解した上で、適切なCTAを設置できるよう取り組むことが大切です。

 

そして効果を最大限発揮し、CVRを最大化させるためには、効果測定と改善策の実施が必要不可欠です。CV改善や利益の拡大を実現したい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

 

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Mon, 27 Nov 2023 14:49:41 +0900
<![CDATA[マーケティングとは?具体的な活動内容や戦略の手順、フレームワークなどをわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/about_marketing マーケティングとは、企業活動において商品やサービスが売れる仕組みを構築することです。具体的には、市場調査や商品開発、宣伝開発、ブランディング、営業・販促、カスタマーサポートなど、商品を効率的に売るための経済活動すべてを指します。

 

マーケティングは企業が事業を存続するうえで欠かせないものですが、意味はなんとなく理解しているものの、定義や戦略の立て方といった実際の手法まではわからないという方も多いのではないでしょうか。デジタル技術の発展により、近年注目を集めているデジタルマーケティングやWebマーケティングといった、◯◯マーケティングが複数存在するのも、その一因だと考えられます。

 

そこで本記事では、マーケティングの基礎知識から活動内容、戦略の手順、フレームワークまで網羅的にわかりやすく解説します。

マーケティングの定義

マーケティングの定義はひとつに定まっておらず、提唱者によって意味合いが異なります。なぜならば時代の移り変わりとともに、マーケティングの捉え方や考え方は常に変化してきたからです。そこで本項では諸説ある定義の中で、代表的なものについて紹介します。

 

まず1990年の日本マーケティング協会では「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」と定義しています。

 

「近代マーケティングの父」と呼ばれた経営学者のフィリップ・コトラー氏は、「マーケティングとは、人間や社会のニーズを見極めてそれに応えることである。マーケティングを最も短い言葉で定義すれば、『ニーズに応えて利益を上げること』となろう」(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」2014)と定義しています。

 

マネジメントの発明者として有名な経営学者ピーター・ドラッガー氏は、「マーケティングの理想は販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、顧客に製品とサービスを合わせ、自ら売れるようにすることである。」(『マネジメント』)と述べています。

 

このようにマーケティングにはさまざまな定義がありますが、これらの定義を総合すると、まずマーケティングは一部門で担うものではなく企業全体として取り組むものであること。次に顧客のニーズに応えた価値を創造し、顧客が自然と商品やサービスを買いたくなるような状態を作ることこそがマーケティングの本質であるとしています。

マーケティングの歴史

次にマーケティングの歴史について振り返ってみましょう。マーケティングの歴史は非常に古く、19世紀末にアメリカで誕生しました。19世紀はイギリスで始まった産業革命によって、製品の大量生産が可能になった時期です。鉄道と通信網の発達により、アメリカ全土が市場になったことから、多くの人に効率よくモノを売るための方法論が必要となり、マーケティングという言葉が用いられるようになりました。

 

マーケティングは時代とともに進化を遂げていき、現在はマーケティング4.0という概念が主流になっています。この概念を定義したのはフィリップ・コトラー氏です。本項ではマーケティング1.0から4.0までの変遷について解説します。

1.マーケティング1.0(1900年~1960年)

マーケティング1.0は、「製品中心」のマーケティングです。1900年代は需要が供給を上回っていたことから、市場のニーズは考慮されず、安価な商品やサービスを大量に売り、利益の最大化を図ることが目的とされていました。製品と価格を需要でコントールできたこの時代は、顧客よりも企業が優位な立場にあったといえます。

 

そのためこの頃のマーケティングは、大量生産・大量販売を前提に、不特定多数の消費者に向けて画一的なアプローチを行うマスマーケティングがメインでした。

2.マーケティング2.0(1970年~1980年)

マーケティング2.0は、「顧客中心」のマーケティングです。1970年代に入ると経済が豊かになり、主導権が企業から顧客へと移るようになります。また技術の進化により、商品のコモディティ化(平均化)が進み、価格面での差別化が困難になりました。

 

その結果、安価な製品を大量に売るというマスマーケティングが通用しなくなり、顧客を満足させる製品の開発やマーケティング戦略が求められるようになりました。

3.マーケティング3.0(1990年~2000年)

マーケティング3.0は、商品やサービスに付随する「価値」志向のマーケティングです。1990年に登場したインターネットの普及と市場の成熟化により、顧客は企業を選択できるようになり、商品購入の際、その商品が「どのようなビジョンで作られているのか」「環境や社会にとってどのような価値があるのか」という企業の社会的責任も重視するようになりました。

 

背景には国際化によって地球温暖化や貧困問題などさまざまな社会問題が消費者に認知されるようになったことが挙げられます。消費者の価値観の変化により、企業は商品を作って売るだけの存在から、社会とより良い関係を築く存在になることが求められるようになったのです。

 

マーケティング3.0を取り入れている企業は多く、たとえばファッションブランドのマザーハウスでは、途上国の素材と職人の手仕事から生まれたバッグ・ジュエリー・アパレルを販売しています。マザーハウスで販売している商品を購入することで、途上国の人々を間接的に支援できる「ソーシャルポイントカード」を導入しており、売上の一部を社会貢献事業に役立てています。

4.マーケティング4.0(2010年~)

マーケティング4.0は、「自己実現」のマーケティングです。2010年代になると、消費者は企業に社会的問題への配慮に加えて、「自己実現」を満たす商品やサービスを求めるようになりました。

 

この「自己実現」という概念は、アメリカの心理学者、アブラハム・マズロー氏によって考案された心理学理論「欲求5段階説」に基づいています。同氏は「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生き物である」と仮定し、人間の欲求を5段階のピラミッド構造で表しています。

 

欲求の段階は最下層から「生理的欲求」「安全欲求」「社会的(所属・愛)欲求」「尊厳(自尊・承認)欲求」「自己実現欲求」で構成されます。

 

自己実現欲求 自分にしかできないことを成し遂げたい、自分らしく生きていきたいという欲求
尊厳欲求 他者から認められたい、価値ある存在として受け入れられたいという欲求
社会的欲求 他者と関わりたい、集団に所属したいという欲求
安全欲求 心身の安全が確保された環境で生きたいという欲求
生理的欲求 食欲や睡眠欲など人間が生きていくための必要最低限の欲求

 

ピラミッドは、最下層の「生理的欲求」から1段ずつ欲求を満たしていくことで、最終的には最高位の「自己実現」に向かっていくという理論になっています。この欲求5段階説の理論は、これまでご紹介してきたマーケティング1.0~4.0の変遷にもあてはまります。

 

コトラー氏はマーケティング3.0の段階で「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「尊厳欲求」は満たされていると説いています。そのためマーケティング4.0では「自己実現欲求」の実現に向けて、「顧客一人ひとりの可能性を引き出し、自分の願いを叶えてくれる」商品やサービスが求められるようになりました。

 

また、2010年代はSNS・ブログの普及により、消費者は自ら情報発信を行うようになりました。その結果、企業の宣伝情報よりも、実際に商品やサービスを使用したユーザーの口コミを重視するようになったため、企業は商品購入後のプロセスまでフォローする必要が出てきました。

 

具体的には、購入後も顧客との接点を持ち続け、顧客を自社商材やブランドの「ファン化」させるというものです。既存顧客をファン化させることで、熱狂的なファンによる口コミやSNS投稿によってコストをかけずに新規顧客を獲得することできます。

 

つまりマーケティング4.0は、消費者に商品を購入してもらうのが最終目標ではありません。商品・サービスの利用を通して自社のファンになってもらい、SNSを利用して商品の推奨や拡散をしてもらうことをゴールにしているのが大きな特徴です。

セールスとの違い

マーケティングとセールスは、自社の製品・サービスを販売して収益向上を図る活動ですが、その意味や目的はそれぞれ異なります。本項ではマーケティングとセールスがどのように違うのか解説します。

 

まずマーケティングは先述したとおり、企業活動において商品やサービスが売れる仕組みの構築です。市場調査や商品開発をはじめ、営業、宣伝、販売や販促に至るまでの一連のプロセスを表します。

 

マーケティングでは、1人でも多くのユーザーに自社の商品・サービスを知ってもらい、興味や関心を抱いてもらうことが大切です。ゆえに常に市場全体の動向やニーズに適した施策を実施する必要があります。また既存顧客と長期的な関係性の維持も求められます。

 

一方、セールスは顧客に商品やサービスを販売し、売上を上げることを指します。顧客のニーズに合わせて自社商材を提案し、購入・成約まで導くことがセールスのミッションです。購入・成約に至るまでの顧客との信頼関係の構築や維持もセールス活動に含まれます。

 

セールスは、自社商材に興味関心を持つ見込み客に働きかけ、成約に導くまでが主な業務です。週単位・月単位でノルマが定められていることから、短期間で見込み客へのアプローチを行う活動が中心となります。

マーケティング活動の基本プロセスとフレームワーク

本項ではマーケティングがどのようなプロセスで実施されているのか解説します。マーケティング活動の基本的なプロセスは、次の6つのステップに沿って進められます。

 

1.市場分析
2.セグメンテーション
3.ターゲティング
4.ポジショニング
5.マーケティングミックス
6.実行と評価

 

それぞれの項目については下記で詳しく解説していきますが、6つのステップのうち、1~2は「戦略」の立案、3~6の段階は「戦術」として実践していくフェーズに分かれています。あわせて各ステップで役立つフレームワーク(課題を解決するための思考や手法)も紹介します。

1.市場調査

市場調査とは、市場(マーケット)の動向やトレンド、消費者のニーズや自社商材の認知度など、市場や消費者に関する情報を収集・分析し、ビジネス戦略やマーケティング活動に活用するための調査手法です。

 

マーケティングの実施にあたり、まず最初に実施することは企業内外の環境を観察し、分析することです。自社の強みや弱みの洗い出しや、競合市場での自社の立ち位置を把握でき、これから伸ばしていく点に集中することができます。

 

市場調査の例として、たとえばビールメーカーが新商品の開発を予定していたとします。新商品を売るためには、事前に消費者のニーズやライフスタイルを調査したうえで商品を開発する必要があります。マーケティング施策に必要な市場の情報を集めることが市場調査なのです。

 

具体的には以下のようなことを調べます。

 

  • ビールの飲用頻度
  • ビールの飲酒量
  • どのような場面でビールを飲むか
  • 好きな銘柄やメーカー
  • ビールを購入する場所
  • 月にビールを購入する金額

 

市場調査には数値化できる情報を収集する「定量調査」や、対象者と対面で質疑応答を行い回答や意見を集める「定性調査」などさまざまな方法がありますが、基本的に初期段階では消費者個人の意見や回答を重視し、アンケート調査などでデータを集めます。その後、より具体的に収集・分析する段階では消費者全体の傾向や統計的な数字を重んじる傾向にあるといわれています。

 

また市場調査と類似する言葉に「マーケティングリサーチ」があります。マーケティングリサーチは、マーケティング施策を行う前段階の調査を指し、消費者のニーズ調査に加え、「自社商品に合ったプロモーションは何か」「どのような宣伝・PRが効率的か」などの自社商材を売るために必要な調査・情報収集全般までを行います。

 

マーケット動向の調査のみを行う市場調査と異なり、現状の分析から未来の市場・ニーズ予測まで網羅しているのが特徴です。

 

位置づけとしては、市場調査はマーケティングリサーチのなかのひとつの手段であるといえます。調査活動の総称はマーケティングリサーチであると認識しましょう。

 

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マーケティングリサーチとは?市場調査との違い、手順、手法、事例などまとめました!

 

市場調査で代表的なフレームワークは、「PEST分析」「3C分析」「SWOT分析」の3つです。

【PEST分析】

PEST分析とは、企業自身がコントロールできない4つの外部環境を指します。PESTとは以下の頭文字をとったものです。

 

P:政治(Politics)…消費税率、規制の強化・緩和など
E:経済(Economy)…景気動向、市場の成長、金利など
S:社会(Society)…少子高齢化、ライフスタイルの変化、流行など
T:技術(Technology)…最新の技術動向など

 

外部環境は自分たちではコントロールできない分野であることから、事業戦略を立てるうえで一番最初に行うべき分析であるといわれています。特に前例のない新規事業を展開する際は、将来生じるであろうリスクを回避するのに役立つため、非常に重要な分析であるといえるでしょう。

【3C分析】

3C分析とは、主に事業計画やマーケティング戦略を決める際に用いられる分析方法です。3Cとは以下の3つの「C」をとったものになります。

 

・Customer(市場・顧客)
・Company(自社)
・Competitor(競合)

 

先に紹介したPEST分析が政治・経済・社会・技術など、外向きの大きなトレンドや変化に注目して市場環境を分析するのに対し、3C分析は自社が直面している競争環境を理解し、戦略的な意思決定を行うためにそれぞれの要素を細かく分析・調査を行い、自社のマーケティング環境をできる限り把握します。

 

3C分析のメリットは、市場・顧客、自社、競合のそれぞれの分析から「KSF(キーサクセスファクター)」、つまり事業を成功させる要因を発見できることです。外部環境の分析から事業におけるKSFを明確にすることで、成功に向けて自社が進むべき方向性が見えるようになります。

【SWOT分析】

SWOT(スウォット)分析とは、経営戦略やマーケティング戦略立案の初期段階で活用されることが多いフレームワークです。自社を取り巻く内部環境と外部環境を4つの要素から分析し、企業や事業の現状を把握することができます。SWOTとはそれぞれを表す以下の4つの単語の頭文字を組み合わせています。

 

S:Strengths(強み)
W:Weaknesses(弱み)
O:Opportunities(機会)
T:Threats(脅威)

 

SWOT分析は、下記の図のように縦軸を内部環境と外部環境、横軸をプラス要因とマイナス要因に分けて分析します。

 

SWOTの内部環境とは自社を構成するリソースのことで、社内でコントロールできる領域を指します。具体的には、自社が持つ資産やブランド力、品質、ノウハウ、顧客データなどさまざまな要素が挙げられます。内部環境を「強み」と「弱み」に分けて整理することで、既存事業の改善点や新規事業の将来的なリスクの発見につながります。

 

外部環境とは市場や競合他社の動向など、社内でコントロールできず、自社に影響をもたらす領域を表します。一例として、経営環境の変化・業界の動向、顧客の変化、法律の改正があてはまります。外部環境を「機会」と「脅威」に分けて整理することで、新しいビジネスチャンスや潜在的なリスクを早期に見つけることが可能です。

2.セグメンテーション

セグメンテーションとは、日本語で「市場細分化」と呼ばれ、市場にいる不特定多数の顧客をニーズや属性に基づいてグループ化することを指します。分類の基準となるのは性別・年齢・年収・指向などのユーザーの属性や購入履歴です。またセグメントとは、セグメンテーション分析によって区分けされたグループ群を意味します。

 

マーケティング戦略では、自社商品・サービスがどの市場のターゲットであればマッチするのか見極めることが大切です。どの市場を狙っていくかで、同一商品の販売でも競合先や売上が大きく変わるからです。セグメントごとに顧客のニーズや属性に合わせた施策を実施することで、その後のターゲティングやポジショニングなどの効率アップが見込めます。

3.ターゲティング

ターゲティングとは、先述したセグメンテーションによって細分化された市場の中から、自社がターゲットとする市場を選ぶことです。

 

ターゲティングを通じて具体的な市場・顧客層を絞り込むことで、商品コンセプトや強み・弱み、競合との差別化などに有効なマーケティング戦略を立てやすくなります。事業戦略の策定や、顧客のニーズ把握に効果的な手法として、多くの企業で実施されています。

4.ポジショニング

ポジショニングとは、日本語で直訳すると「位置づける」という意味で、自社商品やサービスの独自ポジションを設定し、他社の商品・サービスと差別化するための手法を指します。市場の中で競合との差別化を図ることで、競合に対しての優位性を獲得することができ、より自社のビジネスの成果を出しやすくします。

 

ポジショニングの代表的なフレームワークには、「ポジショニングマップ」「STP分析」があります。

【ポジショニングマップ】

ポジショニングマップとは、自社の立ち位置を把握するために使われるフレームワークです。縦軸と横軸で作られたマトリクス上に、自社・競合他社の製品・サービスを配置します。市場の状況や各企業の製品との関係性を視覚的に把握でき、「自社の優位性」「まだ他社が進出していない空白領域(ブルーオーシャン)」を見つけやすくなります。
 

ポジショニングマップの活用シーンとしては、既存製品のマーケティング戦略の見直しはもちろん、新規事業の立ち上げや新製品・新サービスの開発段階にも有効です。

【STP分析】

STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の3つの頭文字を取った、マーケティング戦略の方向性を定めるフレームワークです。

 

セグメンテーションで市場を細分化し、ターゲティングで狙うべき市場の見極めを行い、最後のポジショニングで競合他社との位置関係を把握します。STP分析を行うことで、効果的なプロモーション戦略のヒントを得られます。

 

ポジショニングはSTP分析を構成する要素のひとつであり、STP分析の最後に位置しています。企業はポジショニングの結果をもとに具体的な広告戦略や販売方法を検討します。つまり、セグメンテーションとターゲティングが正確だったとしても、ポジショニングで失敗してしまった場合、その後のプロモーションなどで成果が出ない可能性が高くなります。

 

ポジショニングとSTP分析は深い関係にあり、切っても切り離せない非常に重要な工程です。マーケティング戦略を検討するうえで、慎重に行いましょう。

5.マーケティングミックス

マーケティングミックスとは、企業が顧客に商品やサービスをアプローチするにあたって、マーケティングフレームワークやツールを複数組み合わせる手法です。市場環境の把握やSTP分析を経て策定された分析・戦略結果をもとに、マーケティングミックスでは「実際にどのような施策を行うのか」という具体的な戦略を定めます。

 

マーケティングミックスはさまざまな観点から構成されるフレームワークですが、分析手法として代表的なものが企業目線に立った「4P分析」と顧客目線による「4C分析」です。

 

4C分析は4P分析から派生したフレームワークであることから、それぞれの要素間は密接な関係にあります。4P分析と4C分析の両方を行うことでマーケティング戦略の精度を高められます。

【4P分析】

4Pとは商品やサービスを販売する際、顧客のニーズに応える製品を提供するために、「何を」「いくらで」「どこで」「どのようにして売るのか」という自社のマーケティング戦略を立案するためのフレームワークです。製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(ProMotion)の4つの頭文字を取って名付けられました。

 

4P分析を行うことによって、製品、価格、流通、販売促進それぞれの要素を1つひとつ掘り下げて分析できるので具体的なマーケティング戦略を打ち出せます。

 

しかし近年ではマーケティング活動の対象が有形の「物」から、無形の「サービス」へと変化していることから、既存の4Pに「サービス」で必要となる3つのPを加えた「7P分析」が登場しています。

 

・People(人)
・Process(販売プロセス)
・Physical Evidence(物的証拠)

 

People(人)とは自社に所属する従業員や代理店の社員などを含めた、顧客と接する自社側の人たちを指します。サービス業においては人の品質がサービスの品質に直結するため、高いサービスを提供するための人材戦略が重要であることから追加されました。

 

Process(プロセス)は、見込み客がプロダクトを購入したり、サービスを導入する際のプロセスを指します。

 

Physical evidence(物的証拠)とは、顧客に商品やサービスの品質を証明する際の証拠です。有形の「物」とは異なり、サービス業で提供する価値には実体がありません。そこでその価値を測定し、明確な証拠として残すことが大事であるという考え方です。

 

4P分析はあくまで「物」をベースにした分析方法であることから、メーカーのマーケティングには効果を発揮しますが、無形であるサービス業では使いにくいものでした。7P分析の登場により、サービスを扱う企業でも適切なマーケティング戦略が取れるようになりました。

【4C分析】

4Pが企業側の視点であるのに対し、4Cは顧客側の視点に立ったフレームワークです。顧客価値(Customer Value)、コスト(Cost)、利便性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)の4つのCの頭文字から取っています。

 

顧客側目線で商品やサービスを細かく分析することから、自社商品・サービスを選ぶ理由となるポイントの具体化や実際の市場のニーズとズレにくいメリットがあります。

6.実行と評価

5のマーケティングミックスで立案した施策を実行し、効果を測定を行います。評価の際に注意しておくべき点は、施策の良し悪しを単に「良かった」「悪かった」で決めるのではなく、これまでのプロセスを振り返り、具体的にどの点が良かったのか、逆に芳しくなかったのかを特定し、その原因を探っていくことが大切です。

 

たとえば「セグメンテーション・ターゲティングまでは良かったが、ポジショニングの分析・設定が甘かった」などの原因が特定できれば、なぜポジショニングがうまくできなかったのがが再考され、次回のプロジェクトの際に同じような失敗を防ぐことができます。

 

また集客から商談や受注に至るまでの、実行ステップごとにKPIを設定するのも有効です。想定したよりも施策効果が振るわなかった場合、各ステップのどこにボトルネックがあったのかを発見しやすくなります。

注目を集めるデジタルマーケティング

デジタルマーケティングとは、端的に言うと「デジタルデータを活用したマーケティング」のことです。近年インターネットの発展やスマートフォンの普及により、消費者の行動データをWeb上でも取得できるようになりました。

 

コロナ禍を機にさまざまな分野でデジタル化が進んでおり、いまや企業の発展にデジタルマーケティングは欠かせない時代となっています。そこで本章では、いま注目を集めるデジタルマーケティング、Webマーケティング、SNSマーケティングそれぞれの手法について解説します。

デジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングとは、先述したようにデジタル技術を利用したマーケティング活動の総称です。具体的には、WebサイトやWeb広告、SNS、メルマガ、アプリ、デジタルサイネージ、IT技術、AI技術などあらゆるデジタル技術を指します。リアルイベントの場合は、店舗への来店データや購入履歴などの活動データがあてはまります。

 

これまでのマーケティングでもデータ分析は行われていましたが、あくまで集団を対象にしたアンケート調査やインタビュー調査程度を実施する程度で、それらの回答からおおよその傾向を把握するのに留まっていました。

 

しかし、デジタルマーケティングは、個人レベルの細かいデータを自動で取得・解析できます。従来のマーケティング調査に比べ、ユーザーの活動データを正確かつリアルタイムに把握することが可能です。

 

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Webマーケティングとは

Webマーケティングとは、Webサイトを用いたマーケティング活動のことです。Webサイトで集客を行い、最終的に商品購入やサービスの問い合わせなどのコンバージョンにつなげる一連の施策が該当します。

 

代表的な施策としては、SEOやWeb広告、CRO(コンバージョン率最適化)、EFO(エントリーフォーム最適化)などが挙げられます。また、Webサイトをリニューアルし、Web経由の商談獲得や引き合いを増やすのもWebマーケティングの施策の1つです。

 

Webマーケティングはデジタルマーケティングと混同されがちですが、WebマーケティングはWebサイトをチャネルにしたマーケティングであり、Webサイトに訪れたユーザーの属性や行動履歴、アクセスした媒体の種類など、Web上で取得できるデータを活用します。

 

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SNSマーケティングとは

SNSマーケティングとは、TwitterやFacebook、LINE、Instagramなどのソーシャルメディアを用いて、商品・サービスの認知やブランディングを図るマーケティング手法です。

 

SNSの普及率は年々高まっており、特に10代~30代のSNS利用率は約8割を超えています。SNSはいまやなくてはならないメディアとして認知されており、企業のプロモーション活動において外せない要素のひとつです。

 

SNSマーケティングのメリットとしては、企業が公式アカウントとして運用することで、SNSユーザーの属性(年齢や性別、所属コミュニティなど)をデータとして収集し、マーケティング活動に生かせる点です。またSNS上には商品やサービスを利用したユーザーの実際の感想や口コミが数多く投稿されています。嘘偽りのないユーザーのレビューをリアルタイムで閲覧できるのも従来のメディアにはない特徴といえるでしょう。

 

さらにSNSで影響力を持つインフルエンサーを起用し、自社商品やサービスを紹介してもらうことで、商品やブランドに対する認知や購買意欲の向上を実現することができます。

 

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マーケティング活動を成功させる3つのポイント

最後に本章ではマーケティング活動を成功させるために必要な3つのポイントについて解説します。

1.顧客1人ひとりのニーズに沿った施策を行う

従来はテレビCM、新聞、雑誌、屋外広告などの4大メディアを活用し、幅広い層に向けて画一的なアプローチを行うマスマーケティングがメインでした。しかし、現代はインターネットやスマートフォンの普及により、場所や時間の制約を受けず、さまざまな情報にアクセスできるようになり、顧客の購買行動にも大きな変化が生じています。

 

今後も顧客に求められる商品やサービスを提供するには、ターゲット1人ひとりのニーズを把握し、個々のユーザーの属性や興味に合わせて、最適なサービスやコンテンツを提供するパーソナライズされたマーケティングが大切です。

 

マーケティング施策の中でも、Webマーケティングやデジタルマーケティングは、会員情報や過去のアクセス履歴をもとに顧客1人ひとりに合わせたマーケティングが可能です。

 

たとえばWebマーケティングであれば、顧客ごとに最適化された施策を打つ「One to Oneマーケティング」や、大口顧客など特定の企業に絞ってアプローチを仕掛ける「アカウントベースドマーケティング(ABM)」などが最適です。顧客に合わせた施策を実施することでCX(顧客満足度)向上を図りつつ、マーケティングの効率化が見込めます。

 

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2.顧客へのフォロー体制を整える

マーケティングで成果を出すには、顧客のアフターフォローも重要です。なぜなら顧客と長期的な関係を維持することで、その後も自社商品やサービスを利用するリピート顧客(リピーター)になりやすいからです。リピート顧客は新規顧客獲得よりもコストがかからず、一般的な顧客に比べて約20倍の売上をもたらすといわれています。

 

企業が安定した収益を確保するためにも、リピート顧客の育成は不可欠です。顧客の不満や要求を解決できる環境を構築することで、自社商品やサービスの継続的な利用につながり、顧客が競合他社に流れるリスクを回避することができます。

 

フォローアップの方法としては、サポートセンターの設置やメール・チャットボット(自動会話プログラム)を自社サイトに導入するなどの対策が考えられます。

3.デジタルツールの活用

マーケティングの多様化に伴い、業務効率化を目的としたデジタルツールが数多く登場しています。代表的なツールでは、MA(マーケティングオートメーション)、CRM(顧客管理)、SFA(営業支援)などがあります。これらのツールを活用すれば、各種のマーケティング活動を効率よく、かつ効果的に行うことが可能です。

・MAツール

MAツールとは、マーケティング活動を可視化し、見込み顧客(リード)の獲得~育成や、営業がアプローチすべきリードの抽出といった一連のマーケティング活動を自動化・効率化できるデジタルツールです。

 

具体的には、問い合わせや展示会、セミナーで企業が獲得した見込み顧客(リード)を育成し、受注確度を高めた状態で営業部門に渡すまでの流れを自動化・仕組み化します。

 

潜在顧客のそれぞれの興味・関心・行動に対して「最適なコンテンツ」を「最適なタイミング」「最適なチャネル」で提供するマーケティング活動には、膨大なマンパワーが必要になります。この人的なマーケティングのオペレーション部分を効率化・自動化するために開発されたのがMAツールです。

 

クラウドサーカスでは無料で使えるMAツール「BowNow」を提供しています。

・CRMツール

CRMツールとは「顧客関係管理」を支援するツールで、顧客情報の一元管理や顧客情報分析、プロモーション管理機能などを搭載しています。顧客の購買情報や問い合わせ履歴を一元管理することで、営業やマーケティング活動を通じて、顧客との関係構築を行うことができます。

 

また顧客情報をもとに顧客の好みにあわせた商品をメルマガで勧めたり、自社商品の有益な情報を発信でき、CX向上や企業への信頼度を高められます。より顧客のニーズに即したアプローチが可能になるため、既存顧客の維持や優良化に適しています。

 

代表的なツールでは「Zoho CRM」や「Mazrica Sales」が有名です。

・SFAツール

SFA(営業支援)ツールは、営業活動の効率化に特化したツールです。顧客管理、案件管理、商談管理、行動管理、外出先のサポート、予実管理管理の機能などを備えており、営業活動の標準化や可視化が実現します。

 

メリットとしては、属人化の回避が挙げられます。SFAに案件情報や商談情報が蓄積されていくため、営業チームで顧客情報を共有でき、担当者が外出中で不在でも別の担当者が代わりに対応することが可能です。そのほかにも過去の類似案件データから勝ちパターンを分析し、商談の成功率を高めることができます。

 

SFAツールでよく導入されているのは「Sales Cloud」や「Sales Hub」です。

まとめ

本記事では、マーケティングの基礎知識から活動内容、戦略の手順、フレームワークまで網羅的に解説しました。

 

これまでお伝えしてきたように、マーケティングの本質であり要諦は「商品が自然と売れる仕組みを構築すること」です。そのためには顧客の考えや置かれた状況を把握し、どのような商品・サービスが求められているのか常に検証しながら、具体的な戦略を打ち立てることが大切です。

 

自社のスタイルやブランドイメージ、事業内容など総合的に判断し、最適なマーケティングを行っていきましょう。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Mon, 27 Nov 2023 09:51:13 +0900
<![CDATA[【2023年最新】検索エンジンとは?各サービスの概要から仕組みまで基本を解説]]> https://mtame.jp/martec/about_search_engine 検索エンジンとは、インターネット上の膨大な情報の海から、ユーザーが必要とする情報を見つけ出すためのシステムです。

 

インターネットが日常生活に欠かせないツールとなり、情報収集の手段として検索エンジンの重要性は増しています。2023年の日本国内では、AI技術を取り入れた新しいタイプの検索エンジンが登場し、市場に新たな動きを見せています。

 

この記事では、最新の検索エンジンの概要と、それらが中小企業のマーケティング戦略にどのように役立つかをご紹介します。

 

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検索エンジンで上位表示させるためのSEO対策【超初級】

検索エンジンとは

検索エンジンとは、ユーザーが入力したキーワードに基づいて、関連するWebページを検索結果として表示するプログラムのことです。
GoogleやYahoo!などが有名ですが、それぞれ独自のアルゴリズムを用いて情報を索引付けし、最も適切な検索結果を提供しようと努めています。

 

中小企業にとって、検索エンジンは顧客獲得のための重要なツールです。特に、検索エンジン最適化(SEO)を行うことで、自社のWebサイトが検索結果の上位に表示されやすくなり、潜在顧客に対する露出が増加します。

検索エンジンのタイプ

検索エンジンには、「ディレクトリ型」と「ロボット型」の2つのタイプがあります。

ディレクトリ型

ディレクトリ型とは、カテゴリー別に登録されている検索エンジンのことです。
人手によって審査されているため、登録Webサイト数は少ないですが、信頼性の高いWebサイトのみが掲載されているのが特徴で、コンテンツの質も高いです。

 

かつては、Yahoo!がディレクトリ型検索エンジンを採用していましたが、現在はロボット型検索エンジンを使用しています。

ロボット型

ロボット型とは、クローラーやスパイダーと呼ばれるロボットがWebサイトを巡回し、情報を収集して登録(インデックス)を行うタイプの検索エンジンです。

 

短時間で多くのWebサイトをクロールし登録できるのが特徴で、検索アルゴリズムに基づいたSEO対策が可能です。
Googleなどがロボット型の検索エンジンを採用しています。

日本で利用できる検索エンジン一覧

2023年現在、日本で利用できる主な検索エンジンは、次の10点です。

Google(グーグル)

https://www.google.co.jp/

 

Googleは、世界で最も利用されている検索エンジンです。世界シェアは90%を超え、日本国内のシェアも75%以上あります。

 

Googleは、世界中の膨大な数のWebページをインデックス登録しているため、ユーザーの検索意図に沿った、より関連性の高い検索結果を表示することができます。
こうした理由から、SEO対策はGoogleの基準で実施すれば問題ないといえます。

 

Googleでは、単にWebページを検索するだけでなく、画像、ネットニュース、ニュースグループ、ニュース、動画などの検索や、ローカル検索(場所指定検索)、地図検索なども行えます。

Yahoo!(ヤフ-)

https://www.yahoo.co.jp/

 

Yahoo!は、米国のIT企業であるYahoo Inc.が開発・提供している検索エンジンです。
世界シェアはGoogle、Bingに次ぐ3位、日本国内では、Googleに次ぐ2位となっています。

 

日本国内で独自のポジションを確立しているYahoo! Japanは、ニュースや天気、地図などのサービスとの連携が強く、情報の検索だけでなく、日常生活に密接に関わるサービスを提供しています。

 

また、地域情報が充実しており、日本国内の地域情報に特化した検索サービスを提供しています。たとえば、地域のグルメやイベント、ニュース、天気など、地域に関する情報をまとめて検索することができます。

 

このため、日本のマーケターは、Yahoo! Japanのローカル検索機能を活用して、地域密着型のマーケティングを強化することが可能です。

Bing(ビング)

https://www.bing.com/?cc=jp

 

Bingは、Microsoftが2009年にサービスを開始した検索エンジンです。独自のアルゴリズムと検索技術を使用しています。
世界シェアはGoogleに次ぐ2位、日本国内ではGoogle、Bingに次ぐ3位となっています。

 

Bingは、検索結果の精度を高めるために、ページの関連性だけでなく、ユーザーの意図を理解しようとするセマンティック検索技術に力を入れています。
また、ビジュアルに優れた検索エンジンとして知られており、画像検索や動画検索に強みを持っています。

NAVER(ネイバー)

https://www.naver.com/

 

NAVERは、韓国発の検索エンジンで、韓国企業のネイバーが運営しています。
世界シェアや日本シェアはさほどありませんが、韓国では70%を超えるといわれています。

 

Yahoo!のようにポータルサイト型となっており、ニュースや天気、株価、動画、ショッピングなど、さまざまなコンテンツを提供しています。コミュニティ機能も有しており、特定の趣味や関心を持つユーザーに対して効果的なアプローチが可能です。

 

検索結果がカテゴリーごとに3~5つずつコンテンツが分割されて表示されたり、リスティング広告が強調されて表示されたりする点が特徴的です。

Baidu(バイドゥ)

https://www.baidu.com/

 

Baiduは、中国発の検索エンジンで、中国企業の百度公司が提供しています。
中国大陸では、政府がインターネット検閲を行っているため、中国政府の検閲に従わない姿勢を示したGoogleやYahoo!などは利用ができません。このため、中国大陸では、Baiduがトップシェアとなっています。

 

広告の種類が豊富で、リスティング広告やアドネットワーク広告のほか、インフィード広告、ブランドリンク広告、動画広告などが用意されています。中国市場でのプロモーションに効果的なツールとして位置づけられます。

DuckDuckGo(ダックダックゴー)

https://duckduckgo.com/

 

DuckDuckGoは、米国発の検索エンジンで、プライバシーと匿名性を重視している点が特徴です。ユーザーの検索履歴や個人情報を追跡したり、広告主や第三者に売ったりすることは、ありません。検索結果のパーソナライズも行いません。
ユーザーが一度にタブや閲覧データを消去できるようなボタンも用意されています。

 

DuckDuckGoでは、検索ボックスに「!」とサイト名を入力することで、そのサイト内で直接検索することができます。たとえば、「!wikipedia 日本」を入力すると、Wikipediaで「日本」に関するページに飛びます。

 

また、DuckDuckGoが提供している無料のメールアドレスを利用すれば、ユーザーはメールのトラッキングを防ぐことができます。

YANDEX(ヤンデックス)

https://yandex.com/

 

YANDEXは、ロシア発の検索エンジンで、ロシア語の検索に強みを持っています。ロシアの多国籍テクノロジー企業であり、インターネット関連の製品・サービスを提供するYandex LLCが運営しています。

 

YANDEXも、検索機能だけでなく、さまざまなWebサービスを提供するポータルサイトでもあります。たとえば、メールサービスや配車サービス、地図サービス、音楽サービスなどを提供しています。

 

Yandexは、ロシアのオンライン広告市場で最大のシェアを持っており、検索エンジンやポータルサイトのほかに、提携メディアやアプリにも広告を配信しています。広告主に対しては、検索データやユーザー属性などに基づいたターゲティングや分析などのサービスを提供しています。

Ecosia(エコジア)

https://www.ecosia.org/

 

Ecosiaは、ドイツ発の検索エンジンで、ベルリンに本社を置くEcosia GmbHが運営しています。
特徴は、環境保護をミッションとしている点。検索による収益の一部を植林活動に寄付しています。また、広告収入の約80%を非営利団体「WWF」に寄付しています。

 

日本語での検索にも対応しており、パソコンやスマートフォンから利用できるため、社員に対してEcosiaでの検索を推奨することでSDGsへの取り組みを実施する企業もあります。

 

Google ChromeとMozilla Firefox上でEcosiaのアドオンを追加することで既定の検索エンジンとして使用できます。

CocCoc(コックコック)

https://coccoc.com/search

 

CocCocは、ベトナム発の検索エンジンで、ハノイに本社を置くCocCocCo.,Ltd.が運営しています。
ベトナム語の自動入力、自動スペルチェック機能、mp3・動画サイトのダウンロード、高速ダウンロード機能、Facebookとの連携機能などが搭載されています。

 

ベトナムで開発されたCocCocは、ベトナム語に特化した検索サービスを提供しています。CocCocの広告プラットフォームを利用することで、ベトナム市場に特化したマーケティング戦略を展開することができます。日本国内でベトナムとのビジネスを行っている中小企業にとって、CocCocはベトナム市場へのアクセスを容易にするツールとなるでしょう。

Seznam(セズナム)

https://www.seznam.cz/

 

Seznamは、チェコ共和国発の検索エンジンで、プラハに本社を置くIT企業Seznam.cz, a.s.が運営しています。チェコ共和国内でのシェアは、Googleに次ぐ2位となっています。
ポータルサイトとしても機能し、ニュース、メール、地図、天気、占いなどのサービスを提供しています。

 

日本語も検索できますが、日本語の検索結果はGoogleのものとほぼ同じです。

AIが搭載されている検索エンジン

生成AIであるChatGPTの利用が急拡大した2023年、検索エンジンにもAIが搭載され始めました。
2023年11月現在、以下の2つの検索エンジンで生成AIを利用できます。

Google SGE

Google SGEは、Googleが開発した新しい検索機能で検索クエリの意図を深く理解し、より関連性の高い情報を提供することを目的としています。
なお、SGEとは、Search Generative Experienceの頭文字を取ったものです。
このうち、Google検索の生成AI機能は「Search Labs」といいます。

 

2023年5月10日に発表され、米国のみでプレビュー版が導入されていましたが、2023年8月30日に試験運用の形で日本に上陸しました。

 

Google SGEでは、ユーザーが入力したキーワードだけでなく、文脈や検索の背景まで考慮されるため、よりユーザーの知りたい検索結果を得られることが期待できます。

 

Search Labsが利用できるアカウントは順次拡大されており、Googleの検索画面で右上にフラスコのマークが表示されたユーザーは利用が可能です。フラスコのマークをクリックし、SGEを有効にするボタンをオンにすると、利用できるようになります。
(利用にはGoogleアカウントでのログインが必要です。)

 

Google SGEについて詳しくは、Googleが発表している動画をご覧ください。

 

A look at what’s next for AI and Google Search | Google I/O 2023

Bing AI

Bing AIは、AI技術を組み込んだ新たな検索エンジンとして、2023年2月28日に日本で導入されました。この開発は、大規模言語モデル(LLM)とBingのバックエンドパワーを組み合わせて、独自の「Prometheus」技術を開発したことにより実現しました。

 

開発の目的は、ユーザーのクエリに対して正確で豊富な回答を1/1000秒以内に提供することで、利便性を高めることです。また、フィードバックを元に不正確な情報を減らす工夫や、攻撃的で有害なコンテンツを防ぐ取り組みも行われています。

 

Bingにアクセスし、右上の「Copilot」ボタンを押すと、Bing AIを利用できます(利用には、Microsoftアカウントでのログインが必要です)。
会話のスタイルを「より創造的に」「よりバランスよく」「より厳密に」の3種類から選べ、「より厳密に」を選ぶと尋ねた情報だけをシンプルに回答してくれ、逆に「より創造的に」選ぶと関連情報も含めて回答してくれ、「よりバランスよく」は、その中間となります。

検索エンジンの仕組み

検索エンジンがどのように機能しているのかを理解することで、これに基づくSEO戦略を立てることができるようになります。

 

検索エンジンは、大きく「クローリング」「インデックス」「ランキング」の3つのステップで検索結果を表示しています。

クローリング

検索エンジンにキーワードが入力される前の段階です。
クローリングとは、検索エンジンがWebを巡回し、情報を収集するプロセスです。
検索エンジンのロボットがWebページを訪れ、リンクをたどりながら新しいページを発見し、情報を収集していきます。

 

Webサイトを運営する際は、検索エンジンがスムーズにクローリングできるよう、Webサイトの構造を適切に整えることが重要です。

 

なお、Googleが推奨するWebサイトの構造化については、下記ページに記載されています。
Google検索での構造化データのマークアップの仕組み概要

インデックス

クローリングによって収集された情報は、インデックスというプロセスを経てデータベースに保存されます。Webページの内容を分析し、検索クエリに対する回答として適切かどうかを判断し、適切だと判断されればインデックスされます。

 

Webサイトが検索結果に表示されるためには、コンテンツが適切にインデックスされることが不可欠です。
正規化URLを設定したり、メタタグにnoindexを設定しないようにしたりといった対策を行いましょう。

ランキング

検索クエリが入力されると、検索エンジンはインデックスされたデータベースから最も関連性の高いWebページを選び出し、ランキングを行います。
このランキングは、ページの信頼性、権威性、コンテンツの質、ユーザー体験など多くの要因に基づいて決定されます。

 

たとえば、Googleの場合は、200種類以上の検索アルゴリズムと照合されます。

検索エンジンを変更する方法

最後に、既定の検索エンジンを変更する方法をご紹介します。
既定の検索エンジンとは、Webブラウザを立ち上げて、アドレスバーにキーワードを入力してからEnterキーを押した際に、優先的に利用される検索エンジンのことです。

 

検索エンジンを変更するには、まずWebブラウザの設定メニューにアクセスします。
多くのWebブラウザでは、「設定」から「検索」とたどると、利用可能な検索エンジンのリストが表示されます。
この中から変更したい検索エンジンを選択することで、変更できます。

まとめ

この記事では、主な検索エンジンや、AI技術を取り入れた新しいタイプの検索エンジンについて紹介しました。

 

GoogleやYahoo! Japan、Bingといった大手から、プライバシーを重視するDuckDuckGo、社会的責任を掲げるEcosiaまで、多様な検索エンジンが存在します。

 

マーケターは、これらの進化する検索エンジンや、検索エンジンの仕組みを理解し、適切なSEO戦略を立てることで、ビジネスの成長につなげることができます。AI搭載検索エンジンの活用は、今後のマーケティングにおいて避けて通れない道となるでしょう。

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Mon, 27 Nov 2023 09:47:57 +0900
<![CDATA[【初心者向け】リスティング広告とは?基礎知識から代理店選びのポイントまで解説]]> https://mtame.jp/advertisement/listing_advertisement リスティング広告(検索連動型広告)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト広告を指します。ユーザーの検索キーワードに連動して表示されるため、特定の商品やサービスの情報を求めるユーザーを効率よく集客することができます。

また最低出稿金額が決まっておらず、出稿金額は広告主の予算に応じて自由に設定できるので、少額から始められるのが特徴です。低予算かつ短期間で成果が得られることから、費用対効果の高いWeb広告として多くの企業で取り入れられています。

本記事ではリスティング広告の基礎知識から代理店選びのポイントまで初心者向けにわかりやすく解説します。


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1.リスティング広告とは?

リスティング広告(検索連動型広告)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト広告を指します。テキスト広告は主に検索結果の上部と下部に配信され、リスティング広告をクリックしたユーザーを、指定のWebサイトに誘導できます。

リスティング広告は、Web広告の中で最も利用されている広告といっても過言ではなく、電通グループの調査によると、インターネット広告費3兆912億円のうち、リスティング広告は全体の約4割(9,766億円)を占めており、インターネット広告の主流となっています。

本項ではリスティング広告の概要について説明していきます。

リスティング広告の媒体

リスティング広告の出稿先媒体として、最も有名なのがGoogle社が提供する「Google広告(旧称:Google AdWords)」およびLINEヤフー株式会社が提供する「Yahoo!広告」です。

ウェブ上の統計調査を行うStatCounterの統計データ(2022年10月~2023年10月)によると、国内のサーチエンジンのシェアはGoogleが76.56%、Yahoo!が14.14%となっており、Googleが圧倒的なシェアを誇っているのがうかがえます。

listing01.jpg

出典:StatCounter


GoogleとYahoo!の違いのひとつとして、利用ユーザーの年齢層が異なることが挙げられます。Googleの利用ユーザーは全世代(10代~60代)においておおよそのトップシェアを誇るものの、40代以降になるとYahoo!の利用者が増えているのが株式会社GO TO MARKETの「Web検索サービスに関するアンケート調査(2022年12月)」で判明しています。


若年層を含む全世代にアプローチするのであればGoogle、40代以降のミドル・シニア層をターゲットにした商材・サービスを訴求するのであればYahoo!
が適しているといえるでしょう。自社の見込み客がどちらにあてはまるのかしっかりと見極めることで、より高い成果を得られます。

リスティング広告が掲載される場所

リスティング広告の掲載スペースは、検索結果の上下および検索結果の1ページ目以降の3ヶ所です。

listing02.jpg

出典:LISKUL


画像のようにリスティング広告はオーガニック検索(自然検索)の上部と下部に表示されるため、
検索したキーワードに興味関心を持つユーザーの目に止まりやすくなります。オーガニック検索で上位表示されているWebサイトよりも上に広告を出稿できるのは大きなメリットです。

リスティング広告の掲載フォーマット

リスティング広告の基本的なフォーマットは、主に表示URL、広告見出し、説明文の3つの要素で構成されています。

listing03.jpg

出典:TOSHO DIGITAL

表示URL

広告をクリックした際に遷移するURLが表示されます。URL内には「パス(Google)/ディレクトリ(Yahoo!)」項目を追加することも可能です。パス/ディレクトリとは、ユーザーがどのようなページへ遷移するのかをわかりやすく説明したテキストで、URLの末尾に「/(半角スラッシュ)+任意のテキスト(最大で半角15文字まで)」を加えることで設定できます。

広告見出し

表示URLの下に表示される青い太字の部分です。Google 広告では「広告見出し」、Yahoo!広告では「タイトル」という名称で呼ばれています。最大で半角30文字(全角15文字)の見出しを3本まで設定でき、見出しと見出しの間は「|」で区切られています。なお、広告は3本まで表示できますが、3本目は見切れて表示されないケースがあります。必ず入れたいキーワードは1本目か2本目に入れておきましょう。

リスティング広告の見出しは、ユーザーが最も注目する部分であり、クリック率やコンバージョンに直結するとても重要な部分です。成果を出すためにもターゲット層に刺さる見出しを考える必要があります。

説明文

広告見出しの下に表示されるテキストです。このスペース内で商品やサービス内容を説明します。半角90文字(全角45文字)を2本まで決められます。基本的に見出しと説明文は検索エンジンが自動で組み合わせて表示しますが、広告主側が任意で設定することも可能です。

リスティング広告の料金システム

リスティング広告は、ユーザーが広告をクリックした時のみに料金が発生する「クリック課金制」が採用されています。広告掲載自体には費用はかからず、ユーザーが広告をクリックして初めて費用が発生するため、初期費用を安く抑えられるのが特徴です。

また従来のマス広告、いわゆるテレビやCM、新聞広告などのメディア広告は、知名度を向上させやすいメリットはあるものの、「広告を何人が見て、何人が商品を購入したか」までは正確に把握できず、費用対効果がわかりにくい側面がありました。


しかし、リスティング広告はキーワード表示によって、購買意欲のあるユーザーに対して商品やサービスを訴求できるだけでなく、
「ユーザーを1人獲得するのにいくら費用が発生したか」の数値データを取ることができ、施策の見直しや改善をリアルタイムに行なえます。


リスティング広告とよく混同されがちなのが、「ディスプレイ広告」です。ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリ上の広告枠に表示されるWeb広告を指します。ディスプレイ広告は、リスティング広告と同じクリック課金制を採用しているものと、広告がパートナーサイトに表示された回数に応じて費用が発生する「インプレッション課金」方式があります。

CPC・CPM

リスティング広告が掲載されるまでの仕組み

リスティング広告は、検索結果に掲載する広告をオークション形式で決めます。たとえばGoogle広告の場合、検索結果の上下に最大4つずつの広告枠が用意されています。広告主は事前に「出稿したいキーワード」「上限クリック単価(1クリックでいくらまで支払うかの設定)」を設定し、入札しておきます。ユーザーの検索が発生すると、どの広告を掲載するかを決めるオークションが発生し、表示する広告とその順位を決定するプロセスが自動的に行われます。オークションはユーザーの検索がある度に行われるので、掲載される広告や掲載順位は常に変動します。

なお、リスティング広告の掲載順位は、上限クリック単価の金額で決まることはありません。Google広告では掲載順位を割り振るための指標として「広告ランク」が採用されています(Yahoo!では「オークションランク」)。


この広告ランクの数値が高いほど、自社の広告が上位に表示されるシステムになっています。


広告ランクの数値は、
品質スコア(広告とランディングページの品質)×上限クリック単価+その他要素(ユーザーが検索に至った背景や広告表示オプションなど)で算出されます。つまり、広告ランクを上げるには品質スコア入札金額を高くすることが重要です。

2.リスティング広告とSEOの違い

検索エンジンを活用したWebサイトへの集客方法として、リスティング広告による集客とSEOによる集客の2つがあります。リスティング広告とSEOの違いは以下のとおりです。

違い

リスティング広告

SEO(自然流入)

意味

検索連動型広告

検索エンジン最適化

掲載場所

広告枠

(検索結果の上下)

オーガニック検索枠

(検索結果の中央部分)

即効性

(順位に反映される速さ)

早い

遅い

費用

有料

無料

クリック率

低い

高い

コントロール性
(管理性)

高い

低い


どちらもWebサイトへの集客や認知拡大を図るために欠かせない方法ですが、それぞれの特徴や強みは異なります。本項では混同しやすい2つの違いについて説明します。

・意味

リスティング広告は冒頭で述べたように、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト広告を指します。検索連動型広告とも呼ばれ、PPC広告(クリック課金型広告)の一種です。

一方でSEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)はGoogleなどの検索エンジンに対してWebサイトを最適化することにより、自社Webサイトを上位に表示し、流入を獲得する取り組みを指します。

【関連記事】

SEOを基本から解説!最低限抑えたい施策から無料ツールまで

・掲載場所

リスティング広告は、検索エンジンの検索結果の上部に「広告」表記付きでWebサイトへのリンクが表示されるのに対し、SEOはオーガニック検索結果部分に「広告」表記なしでWebサイトへのリンクが表示されます。

listing04.jpg

引用元:SEOラボ

・即効性(順位に反映される速さ)

リスティング広告は、基本的に広告出稿費用を支払えばすぐに広告を配信することが可能です。また出稿後、すぐに検索結果の上部に表示されるので、早ければ配信当日から検索ユーザーの流入が期待でき、短期間で成果を得られます。

SEOはリスティング広告と異なり、Webサイトを上位表示させるためには、内部リンクやサイトの構成を改善し、検索エンジンから評価されやすいページを作る必要があります。リスティング広告と違ってお金を払ってあげられるものではなく、良質なコンテンツ作りやユーザビリティの向上など、あくまでユーザーにとって価値あるコンテンツを発信していき、掲載順位の上位を目指していきます。

またSEOを初めてから成果を得るまでに、既存サイトだと最短でも3ヶ月~6ヶ月程度の期間を要します。中長期的な取り組みが必要となるため即効性には欠けます。

・費用

リスティング広告とSEOの最も大きな違いが費用の有無です。リスティング広告はあくまで「広告」のため、出稿費用が必ずかかります。また運用を止めない限り、永続的に費用が発生します。ただリスティング広告の出稿費用に関しては広告主側のほうで自由に決められるので、想定以上に費用がかかってしまったというようなリスクはありません。

一方でSEOはWebサイトの改善がメインのため、基本的に無料です。ただし上位表示を狙うにあたり、SEOコンサルを依頼したり、SEOの専門知識を持ったスタッフを雇うと相談料や人件費が別途発生します

・クリック率

クリック率はリスティング広告のほうが低く、SEOのほうが高い傾向にあります。理由としては、リスティング広告には必ず「広告」表記が入るからです。検索ユーザーにPRと判断されてしまうため、必然的に数値が低くなります。リスティング広告の平均クリック率は、扱う商材やジャンル、設定したキーワードにもよりますが、WordStreamの2023年の調査データでは平均6.1%を記録しています。

一方、SEOは上位表示されるようになると、検索ユーザーにクリックされやすくなります。firstpage.comによると、検索順位1位のWebサイトのクリック率は39.8%、2位が18.7%と続いており、高いクリック率を記録しています。SEOで検索順位1位を獲得することでWebサイトに訪問するユーザーが増え、コンバージョン数の増加につながります。

・コントロール性(管理性)

リスティング広告はSEOと比べて掲載順位や設定などのコントロールがしやすい媒体です。さきほど詳述した広告ランクによって掲載順位が決定するため、品質スコアと入札金額を強化すれば上位に表示されるようになります。また配信地域や配信期間、リンク先など細かな設定ができ、自由度の高い運用ができるのもメリットのひとつです。

反対にSEOの掲載順位は、GoogleやYahooなどの検索エンジンのアルゴリズムによって決定されるので、順位をコントロールすることはできません。またユーザーに良質なコンテンツを提供するべく、Googleは年に数回、検索アルゴリズムのアップデートを行います。一度上位表示できたとしても、検索アルゴリズムの更新にあわせてサイトを改善しなければ、検索順位が下がる可能性があります。

3.リスティング広告のメリット

リスティング広告を運用することで得られる4つのメリットについて解説します。

1.顕在層にアプローチできる

顕在層とはマーケティング用語のひとつで、自社が扱うジャンルに興味関心を持ち、具体的に商品やサービスの比較検討をしているユーザーを指します。たとえば加湿器を購入しようと考えているのであれば、「加湿器 おすすめ」「加湿器 種類」などのキーワードで検索し、購入に向けて情報収集を行っている段階です。顕在層は明確に欲しい商品・サービスが定まっているため、ユーザーのニーズを満たすPRができれば自社商品を選んでもらえる確率が高くなります。

この顕在層へのアプローチとして最も効果的なのがリスティング広告です。なぜならリスティング広告は特定のキーワードに興味関心を持つユーザーへ広告を表示するからです。購買意欲が高い状態で自社商材をPRできるので、広告をクリックされる可能性が高く、そのまま商品の購入やサービス導入といった成果が得られます。

2.少額(1000円)から設定可能

リスティング広告は他媒体に比べ、低予算で運用できるのが特徴です。Google広告の場合、最低出稿金額は1,000円、Yahoo!は3,000円からスタートできます。また出稿金額も自由に設定できるため、自社の予算に応じた柔軟な広告運用が可能です。まずは少額で試し、成果が出たら広告費を増やすというスモールスタートができるのも大きなメリットです。

3.即日配信・停止ができる

リスティング広告は短時間で広告出稿を行うことができます。リスティング広告に必要な3つの項目(キーワード、広告文、リンク先)を設定し、審査に通れば最短で即日配信が実現します。期間限定セールやキャンペーンなど短期間で集客を図りたいイベントで活用するのも効果的です。

また広告の配信停止も任意のタイミングで行えるので、「広告掲載を一時停止し、改善してから再開」するといった対応も可能です。新聞や雑誌などの掲載期間が決まった広告媒体とは異なり、
「効果が出ない」と判断したら、瞬時に配信を止められます。

4.データの分析・改善をリアルタイムでできる

リスティング広告は、配信した広告の結果がすぐに管理画面に反映されます。リアルタイムで成果を確認できるので、データに基づいた効果検証が可能です。なお管理画面では下記のデータ(指標)を閲覧できます。

指標

詳細

インプレッション数

広告が表示された回数

クリック率

広告がクリックされた回数

コンバージョン数(CV数)

問合せ、資料請求、商品購入など、
企業がマーケティング施策において設定する目標のこと

クリック単価(CPC)

クリック単価。
1クリックあたりいくらの費用がかかったかを表す

顧客獲得コスト(CPA)

コンバージョン単価。
1件の顧客獲得の成果に対してかかった費用を示す


各指標を分析することで、「広告がクリックされていない」「クリックされるものの、成果には至っていない」などの傾向がわかり、キーワードや広告文の見直し、ランディングページの変更などの改善を実施できます。リスティング広告は出稿して終わりではありません。常に「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)」のPDCAサイクルを繰り返すことで、広告パフォーマンスの向上や費用対効果を高められます。

4.リスティング広告のデメリット

低コストで実施でき、即日成果を得られる、リアルタイムでデータ分析や改善ができるといった多くのメリットを有しているリスティング広告ですが、一方でデメリットも有しています。本項ではリスティング広告の4つのデメリットを解説します。

1.潜在層へのアプローチができない

リスティング広告は、キーワード検索したユーザーにのみ表示される広告のため、自社商品・サービスの内容を高める認知拡大には不向きな広告です。認知拡大を図りたい場合は、潜在層(自社が扱う商品のジャンルに対して興味・関心はあるものの、購入の段階に至っていないユーザー)向きのディスプレイ広告や、Web広告よりも不特定多数にアプローチできるTVCMや雑誌新聞広告といったマス広告のほうが高い効果を得られます。

2.運用には専門的な知識が必要

リスティング広告を運用するにあたり、リスティング広告特有の専門用語や概念、設定などさまざまな知識が求められます。特に広告出稿後は、定期的に成果を計測し、必要に応じて改善する必要があります。最適なタイミングで施策を改善するには、リスティング広告に関する知識や運用ノウハウ、広告の管理画面を理解する人材が不可欠です。リスティング広告の運用を広告代理店や専門業者に依頼するのであれば問題ありませんが、自社で行う場合、専門知識や運用スキルを持つ人がいなければ、成果を得るのが難しくなります。

3.成果に限界がある

リスティング広告は、設定したキーワードを検索されなければ成果を得ることはできません。ユーザーの検索数=表示回数になるため、成果の最大値は検索数の上限に比例します。たとえば配信するキーワードを「リスティング広告 成果」に設定し、500件の検索があった場合、最高で500件の流入しか見込めません。検索数と同数のコンバージョンを得るのは難しいことから、成果の最大値は検索数よりも低くなります。

このように検索回数によって獲得できる顧客の数には制限があります。特定のキーワードのみで配信を続けていると、効果はいずれ頭打ちになります。

4.ビジュアルでの訴求ができない

リスティング広告はテキストのみで構成されている広告なので、画像や動画のような視覚に訴えるアプローチはできません。商品のディテールを細かく伝えられないのは、リスティング広告のデメリットといえるでしょう。ビジュアルでの訴求ができないぶん、広告のタイトルや説明文を工夫する必要があります。

5.リスティング広告に適している商材・適していない商材

手軽に広告出稿できるリスティング広告ですが、扱う商材や予算などの諸条件によって成果の良し悪しが分かれます。本項では、リスティング広告に適している商材と適していない商材について解説します。

まずリスティング広告に適している商材は、「客単価が高く、リピート率が高い商品やサービス」です。具体的には下記のものが考えられます。

客単価が高く、粗利が高いもの(不動産やリフォーム、自動車販売など)

客単価は低いが商品購入のリピートが期待できるもの(健康食品や化粧品など)

ネガティブ・コンプレックス系商材(ダイエットや薄毛治療など)

期間限定だが一時的にニーズが高まる商材(クリスマスやお中元など)

競合他社と比較し、商品に知名度があるもの(価格の安さや優位性)


上記商材の場合、リスティング広告で成果が出せる可能性が高くなりますが、すでに他社もリスティング広告を実施していることが多く、競合が多い場合があります。競合調査や市場調査をしっかりと行ったうえで、広告運用を始めましょう。

反対にリスティング広告に適さない商材は、「客単価が低く、リピートが低い商品やサービス」です。一例としては下記のものがあてはまります。

・客単価が低く、リピート性の低いもの(文房具など)

・他社製品と類似しており、優位性が低いもの(食品やファッション、インテリアなど)

・極端に認知が低く、検索自体が行われにくいもの(新商品)

・Web上で成果がわかりにくいもの(店舗誘導や電話予約など)


自社で取り扱う商材が該当しているのであれば、一度自社商品・サービスと関連性の高いキーワードで検索を実施し、リスティング広告が掲載されているかどうか確認することをおすすめします。特に客単価が低い商材は費用対効果に見合わないことが多く、リスティング広告ではない別のPR戦略を取ったほうが一定の成果を得られる可能性が高くなります。

リスティング広告を活用して自社商品・サービスを売り出すのであれば、むやみに広告出稿を行うのではなく、そもそも自社商材がリスティング広告が向いているのかどうかを判断するのが重要です。

6.リスティング広告の平均費用・相場

リスティング広告の費用相場は、広告出稿する商品・サービスによって異なりますが、一般的に1ヶ月で20万円~50万円程度が相場といわれています。実際リスティング広告の運用代行を行う広告代理店や専門業者なども月30万円から請け負うケースが多いです。しかしこれはあくまで平均的な数値であり、月1万円程度で運用している個人事業主・中小企業から、月数千万~数億円の費用をかける大手企業まで幅広いのが実情です。このようにリスティング広告の費用相場はあくまで目安でしかありません。


また先述したようにリスティング広告には最低出稿金額が設けられておらず、自社の予算に応じて自由に設定できます。そこで本項ではリスティング広告の予算の決め方についてもあわせてご紹介します。

1.目標CV数から決める

商品購入やサービス導入など、月に獲得したいCV数を基準に広告費用を計算するパターンです。たとえば月に100件のCVを目標にした場合、CV1件の獲得にかかる費用(CPA)が3,000円であれば、月の予算は30万円と計算できます。

CV数:100件×CPA:3,000円=300,000

2.目標CPA(顧客獲得コスト)から決める

目標CPAから予算を設定することもできます。CPAは「商品・サービスの販売価格」から「目標の利益額」を差し引くことで求められます。 具体的には1個12,000円の商品から8,000円の利益を目指す場合、目標のCPAは4,000円になります。

12,000円(販売価格)ー8,000円(目標の利益額)=4,000円(目標CPA)

あとは獲得したいCV数に目標CPAをかけることで予算を算出できます。CV数を30件に設定した場合、予算は12万円です。

30(獲得したいCV数)×4,000円(目標CPA)=120,000円(予算額)

3.平均クリック単価から決める

広告出稿するキーワードの平均クリック単価とクリック数をかけあわせて決める方法もあります。キーワードの平均クリック単価はGoogle広告が提供している「キーワードプランナー」で確認できます。

平均クリック単価が3,000円で、想定されるクリック率が100回だった場合、予算は30万円になります。

 3,000円(平均クリック単価)×100回(想定されるクリック数)=300,000円(予算額)

4.売上目標から決める

売上目標から逆算して費用を決めるのも有効です。売上高に対する広告宣伝費の比率は業界や業種によって違いますが、一般的には1〜20%程度とされています。仮に商品の売上目標を100万円と設定するのであれば、その15%にあたる15万円をリスティング広告の上限予算に設定します。

7.リスティングの運用方法

リスティング広告の運用方法は広告代理店に委託する場合と、自社で運用する場合があります。それぞれのケースのメリット・デメリットを簡潔にまとめました。

●インハウス(内製)で運用する場合のメリット・デメリット

メリット

  • 広告予算が50万円以下の場合などでも、低価格からはじめられる
  • 続けることで、社内にノウハウがたまる

デメリット

  • 自社に運用ノウハウを持っている人がいないとハードルが高い
  • 社内のリソースが割かれ、人件費がかかる
  • 困ったときに、専門知識や最新の知識のある人に相談できない


自社で内製化するメリットとしては、低コストで運用できる点です。広告代理店や専門業者に運用代行を依頼した場合、代理店への手数料が発生します。扱う商材の単価が安ければ、この手数料は大きな負担になります。しかし自社で運用すれば人件費は発生するものの、外注費や手数料は削減できるので、そのぶんを広告費用に回せます。また運用を続けていくことで専門知識やノウハウを社内に蓄積できます。

ただし自社に専門知識やノウハウを持つ人材が不在だと、ゼロからリスティング広告の運用方法を学ぶ必要があります。専門知識の習得には時間がかかるため、リソース不足に陥ってしまったり、教育するためのコストが発生する恐れがあります。また運用で疑問点や不明点が出ても周囲に相談できず、運用に行き詰まる可能性も少なくありません。

 

8.広告代理店の選定ポイント

リスティング広告を自社運用せず、広告代理店に依頼する場合はどのように選べばよいでしょうか。

実のところ、Web関連会社のなかで「リスティング広告の運用代行ができます」とうたっている会社は非常に多くあります。たとえば、インターネット広告・求人広告などを取り扱う総合広告代理店、SEO会社、Web制作会社、Webメディア運営会社、Webコンサルティング会社、ツールやシステムの開発会社、広告運用の専門会社など。これらの会社は、同じWeb業界ではありますが、メインとする業務が異なっています。

このようにたくさんの企業のなかから、信頼できるパートナーを探すのはなかなか難しいことです。代理店選びの参考になるチェックポイントを下記にまとめました。

(1)手数料は明確か

リスティング広告の手数料は、広告費の○%などの料率で設定する場合、定額制の場合、広告予算のステージによって価格が変動する場合などがあります。費用体系がわかりにくい場合は、詳細な内訳を聞いて判断しましょう。 

(2)運用体制が信頼できるか

リスティング代行を請け負う会社のなかには、メイン事業のサブ商材としてリスティング運用を取り扱っている場合や、外部企業に運用を再委託している会社もあります。実際の広告運用を誰(どこの会社)がやるのか、運用担当者と実際に会って相談できるかなどを事前に確認することが必要です。

(3)有資格者が担当しているか

GoogleやYahoo!には、広告運用の認定資格があります。「Google Ads認定資格」「Yahoo!プロモーション広告プロフェッショナル認定試験」などといい、運用体制のなかに、これらの上級者向け資格やアドバンスト資格をもった人が、どの程度いるかどうかを確認することも、ひとつの判断基準になります。

(4)契約期間は適当か

企業によっては最低契約期間が設けられている場合があります。一般的に、広告予算が少額の場合は契約期間が長く、高額の場合は契約期間が短くなる傾向にあります。

(5)レポートや訪問の頻度はどの程度か

リスティング広告は運用型広告といわれるように、日々の改善が重要です。毎月のレポートが提出されるのみか、訪問して改善案を提案してくれるかなど、予算と目的に見あった対応をしてくれるかを確認しましょう。

(6)担当者とのやり取りはスムーズか

あまりに多忙な担当者だと、こちらの連絡の返信がなかなか来なかったり、 伝えたことが反映されないこともあります。1人の担当者が無理な数の運用をしている可能性があり、改善に十分なリソースを割いてくれないこともあるので、契約前のやり取りなども注意してみると良いでしょう。

(7)出稿を依頼する業界の知見があるか

リスティング広告の代理店によっては、得意な業界とそうでない業界があります。自身が出稿を依頼しようとしている業界を得意としているのかは、事前に確認するようにしましょう。

9.リスティング広告のキーワード選定方法

次に、検索連動型広告で重要なキーワードの選び方についてみていきます。キーワード広告は、本来のターゲットでないユーザーにクリックされれば、無駄なコストを生んでしまいます。効率的に成果をあげるためには、適切な検索キーワードで広告を表示させることが重要です。ここでは、キーワード選定に欠かせない「マッチタイプ」という設定方法をご紹介します。

本格的な運用が始まれば専門業者が設定を代行してくれることもありますが、知っておいて損はない項目なので、ぜひ理解を深めてください。 

●マッチタイプとは?

マッチタイプは、広告主がリスティング広告の対象として登録してキーワードに対し、ユーザーが検索したキーワードが「どの程度厳密に一致した場合に広告を表示するか」を決定するルールです。以下は広告主が「ホームページ 制作」でキーワードを登録した場合のそれぞれの例です。

●完全一致とは

広告主が登録したキーワードと、ユーザーが検索した語句が完全に一致した場合にのみ広告が表示される設定です。

表示される例 「ホームページ 制作」
表示されない例 「制作 ホームページ」「ホームページ」

●部分一致とは

広告主が登録したキーワードと、ユーザーが検索した語句が部分的に一致した場合や、キーワードと関連性が高いと判断された場合に広告が表示される設定です。

表示される例 「制作 ホームページ」「ホームページ 外注」「Webサイト 制作」

●絞り込み部分一致とは

広告主が登録したキーワードが「言葉の順序を問わず」検索した語句に含まれる場合、広告が表示される設定。 

表示される例 「ホームページ 制作」「制作 ホームページ」「安い 制作 ホームページ」

●フレーズ一致とは

広告主が登録したキーワードと、同じ言葉の順序で検索された場合、広告が表示される設定。

表示される例 「ホームページ 制作」「ホームページ 制作 安い」「東京 ホームページ 制作」
表示されない例 「制作 ホームページ」「ホームページ 安い 制作」

 

●どのマッチタイプがよいのか?

一般的に、もっとも無駄なクリックを生む可能性が低いのは「完全一致」ですが、 完全一致だけでは、広告の表示回数が減ってしまいます。また、広告主が想定していないキーワードの組み合わせで検索された場合、取りこぼしが発生する可能性もあります。出稿の成果を確認しながら、部分一致と組み合わせて出稿することがポイントです。

  

10.CVR、CTR、CPC平均データ

マーケティング部門が、リスティング広告を新たに導入する際や、予算を再検討する際には客観的なデータも必要です。一般的に、リスティング広告のコンバージョン率は「1%」が平均といわれることが多いですが、実際には、業種や何をコンバージョンとするかなどで変わるため、一概に平均値を基準にすることはできません。

ここでは、アメリカのインターネット広告会社が2023年に発表したGoogle広告の業種ごとの平均的なデータを、参考としてご紹介します。

Google Adsの業種ごとの平均コンバージョン率(CVR)、平均クリック率(CTR)、平均クリック単価(CPC)

業種 リスティング広告
平均CVR
リスティング広告
平均CTR
リスティング広告
平均CPC
芸術とエンターテイメント 13.41% 8.12% 471円
動物とペット 1.57% 6.46% 409円
アパレル
(ファッション&ジュエリー)
3.03% 11.78% 233円
弁護士と法律サービス 7.00% 4.76% 1387円
自動車
(販売用)
5.72% 8.77% 313円
自動車
(修理、サービス、部品)
12.61% 5.91% 461円
美容とパーソナルケア 8.61% 6.87% 435円
ビジネスサービス 4.94% 5.11% 825円
キャリアと雇用 3.11% 6.67% 569円
歯科医と歯科サービス 10.40% 5.34% 1008円
教育と指導 7.07% 6.41% 617円
金融と保険 4.11% 6.18% 604円
家具 2.57% 6.19% 417円
ヘルス&フィットネス 8.40% 6.44% 629円
住宅とリフォーム 10.22% 4.80% 986円
産業用および商業用 7.91% 5.57% 655円
パーソナルサービス
(結婚式、清掃など)
8.70% 7.54% 587円
医師と外科医 13.12% 6.73% 598円
不動産 2.88% 9.09% 233円
レストランと食事 5.06% 8.65% 293円
ショッピング、収集品、ギフト
(一般)
3.69% 6.39% 367円
スポーツ&レクリエーション 5.69% 10.53% 266円
旅行 3.87% 10.03% 245円
 

データ引用元:WordStreamより翻訳し、当社にてまとめ。CPCは1USD=150円、小数点以下切り捨てにて計算。

ただし、国内のBtoB企業だとこちらの数値より下がる傾向があります。
平均CVRがリスティング広告:0.7%、ディスプレイ:0.2%程度、平均CTRがリスティング広告:1.0%、ディスプレイ:0.3%程度になる感覚です。

ちなみに、Web制作会社を探したいと思っているユーザーにリスティング広告を出稿する場合は、下図のようなキーワードが挙がります。

平均クリック単価(CPC)

11.リスティング広告の改善ポイント

最後に、リスティング広告(検索連動型広告)の検証、改善方法にはどんな方法があるのでしょうか。

さまざまな数値やデザインなど、複数の要素が相互に影響しあっているため、一概にはいえませんが、基本的な考え方にポイントをしぼってご紹介します。

●掲載順位がよくない場合

リスティング広告の掲載順位は「広告ランク」の高さで決まります。また、広告ランクは「入札単価×品質スコア」という2つの要素で導かれます。そのため入札単価を上げる以外では、「品質スコア」をあげることが掲載順位アップにつながります。

品質スコアは、キーワードと広告文の関連性や、キーワードとリンク先ページの関連性などで判断されるため、広告文やランディングページの内容を改善することが必要です。

品質スコアの3つの基準

●クリック率がよくない場合

広告が表示されているのにクリックされていない場合は、広告文がユーザーの検索ニーズに合っていない可能性があるため、広告文の見直しをすることがひとつの改善方法です。

また、クリックをする確率の高い、ニーズのマッチしたユーザーに広告を表示させるためには、キーワードのマッチタイプの見直し(部分一致からフレーズ一致に変更するなど)や、除外キーワードを設定するなどして、広告表示の精度を高めていく方法も考えられます。 

●コンバージョン率がよくない場合

検索キーワードとリンク先の関連性が低かったり、ランディングページの内容がわかりにくかったりすると、せっかく広告をクリックしたユーザーも離脱してしまいます。LPの内容(申込みのステップ、コンテンツの配置、ボタンのデザイン、読み込み速度など)で改善すべきポイントがないか検証しましょう。

リスティング広告の改善というと広告文やキーワードに意識がいきがちですが、Webサイトも含めて課題点を考えることで、コンバージョン率を改善できます。

●流入ユーザーを把握したい

広告効果を最大化するには、検索連動型広告でクリック単価の高い顕在層だけでなく、クリック単価の安い潜在層からも、バランスよく集客することが必要です。

潜在層への再アプローチには、リマーケティング広告を活用。リマーケティング広告のリンク先には、ユーザーの見込み度(ニーズ)に応じたコンテンツを用意します。この際、マーケティングオートメーション(MA)ツールを併用することで、自社のコンテンツに流入したユーザーのリード(個人情報)を把握することができます。MAツールは、潜在層の母集団を幅広く形成し、中長期的に見込み顧客を育成すること(リードナーチャリング)に役立ちます。

潜在層~顕在層に向けた理想的な広告の使い方

潜在層~顕在層に向けた理想的な広告の使い方

潜在層~顕在層に向けた理想的な広告の使い方

12.まとめ

本記事ではリスティング広告の基礎知識からメリット・デメリット、広告代理店を選び方やリスティング広告の改善ポイントについて網羅的に解説しました。

リスティング広告は数あるWeb広告の中でも、低コストかつ比較的早い成果が得られる施策です。審査に通れば即日配信でき、広告文の改善などもスピーディーに行なえますが、反面運用に関する専門知識がなければ成果が出にくいといったデメリットもあります。

リスティング広告を始める前に自社運用するのか、または広告代理店などの専門業者に依頼するのかしっかりと見極めたうえで取り組むのが成功への近道です。

またリスティング広告はさまざまなノウハウを駆使し、データを検証しながらPDCAをまわしていく必要があります。データばかりを見ているとどうしても機械的な改善ばかりになってしまいがちです。

データは事実として受け止めながらも、その裏側にあるユーザーの動きをイメージしながら運用することでより高い成果を生むことができますので、ぜひ意識してみてください。

 

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Wed, 22 Nov 2023 00:05:00 +0900
<![CDATA[製造業デジタルマーケティングの特徴とおすすめ施策5選【セミナーレポート / 後編】]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/seminar_2023092702 弊社が過去に開催したウェビナー「実例から学ぶ!製造業がデジタルマーケティングで営業改革を起こす極意とは」を要約して、BtoB製造業のデジタルマーケティングについて紹介する特集記事を、前編・後編の2部構成でお届けします。

 

前編では製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)について詳しく解説しましたが、後編となる本記事では、製造業におけるデジタルマーケティングの特徴について紹介します

 

以下に当てはまる方は特におすすめの内容になっています。前編と合わせて、ぜひ情報収集にお役立てください。

 

  • ホームページを活用して売上を上げたいBtoB製造業の方
  • これからデジタルマーケティングを始めるBtoB製造業の方
  • 営業活動に課題を感じているBtoB製造業の方

製造業におけるデジタルマーケティングの特徴

そもそも製造業のデジタルマーケティングにはどんな特徴があるのでしょうか?

製造業におけるデジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングの全体像について

 

まず上記の図のように、デジタルマーケティングについて全体像で見ていくと、デジタルマーケティングは「マーケティングの中の一つの機能」であり、デジタルを使った施策であることがわかります。その中にWebマーケティングやホームページなどの領域が存在しています。

 

BtoB企業におけるデジタルマーケティングの全体像について

 

そして次の画像は、BtoB企業におけるデジタルマーケティング全体像を示しています。大きな流れとしては、「リード獲得」「リード育成」「商談」「顧客化」というステップが基本です。

 

BtoB企業やBtoB製造業は特に「商談」「顧客化」の数を増やしていきたいケースが多いので、Webマーケティングやホームページだけではなく、デジタルマーケティング全体という枠組みで考えていくことをおすすめします

 

その中でも製造業に絞った特徴はどういったものがあるのでしょうか?

BtoB製造業におけるマーケティングの特徴

BtoB製造業におけるマーケティングの主な3つの特徴について解説します。

 

BtoB製造業におけるマーケティングの主な3つの特徴

1. 情報収集の濃度の濃さに対応する必要がある

1. 情報収集の濃度の濃さに対応する必要がある

 

BtoB製造業では、専門性が高い情報が必要なケースや濃度が高い情報の需要が高いケースが多いので、それに対応する必要があるという点が大きな特徴です。

 

前編で紹介したアイメックス株式会社様が公開している「ビーズミル『イロハのイ』」という専門性の高いコンテンツを例に解説します。

 

このような専門性の高い情報を「深く知っていきたい」と思っているユーザーや、「この会社が信頼できるのか」を調べているユーザーにとって、「ビーズミル」の情報が載っているか否かで、大きく企業への信頼度等に影響します。

 

コンテンツを掲載しなければ情報を見つけてもらうこともできず、前編でお伝えしたように機会損失へつながる可能性も高いため、デジタルだからこそできる深い情報提供の仕組みを作っていくことが重要です。

2.情報収集の旅の長さに対応する必要がある

2.情報収集の旅の長さに対応する必要がある

 

2つ目の特徴は、「情報収集の旅の長さに対応する必要がある」点です。

 

製造業の検討プロセスは上記の図に表されるように、非常に長くなる傾向にあるため、デジタルを活用して検討段階に応じた情報提供を行うことが重要です。ケースによっては数年単位で検討を重ねていく場合もあります。

 

一見、対応するのは難しく感じられるかもしれませんが、情報収集のプロセスは昔から大きく変わっていない部分があります。製造業における購買意思決定プロセスを表した以下の図をご覧ください。

 

生産財(製造業)における購買意思決定プロセスモデル

 

問題認知から始まり、各フェーズを経て順々にプロセスを踏んでいくという「購買意思決定プロセスモデル」は1967年に公開されたものですが、現在もプロセス自体は大きく変化しておらず、現在で変化しているのは「デジタルで対応する必要がある」という点のみです。

 

恐らく多くの企業では、それぞれのフェーズに対応したアナログベースのコンテンツが既に自社内にあるはずなので、それを適切にオンラインで情報提供できるようにするだけで対応できます実行する際に可視化をする必要がある場合、そのサポートを行うのがデジタルマーケティング支援会社といえます。

 

製造業は特に、デジタルだからこそできる、検討段階に応じた情報提供を行う必要があるのです。

3.情報収集ニーズの多様さに対応する必要がある

3.情報収集ニーズの多様さに対応する必要がある

 

3つ目は、「情報収集ニーズの多様さに対応する必要がある」という点です。

 

上の図例を見ると、BtoB製造業で何かを検索する際に「目的・処理量・処理可能粒子径」などの様々な選択肢があり、いろんな切り口で調べ物をされる傾向にあることがわかります。

 

また、上記のような選択肢は各業界に特有なものや、業界内で重要視されるカテゴリなどがあるので、押さえるべきポイントをしっかりと押さえて載せていけるかというところが非常に重要です。その上で、デジタルだからこそできる効率的な施策実施(情報提供)をしていく必要があります。

 

そのためには、前編でもお伝えしたように、検索キーワードに対応していくほか、 ユーザーや顧客のニーズに合わせて情報を提供することが大切です。

 

では、製造業におけるデジタルマーケティングの施策について、次章でより具体的に解説していきます。

製造業におすすめのデジタルマーケティング施策

製造業におすすめのデジタルマーケティング施策について解説します。

どこから始めればいいのか?

デジタルマーケティングの全体像を見た際、多くの人が「実際どこから始めればいいのか?」と感じたのではないでしょうか?

 

実際にデジタルマーケティング施策に取り込もうとすると、最初に取り組むべきものや、自社が対応すべき領域を特定するだけでも難しい場合があり、それが一歩踏み出しづらい要因の一つとなっています。

 

デジタルプロセスの全体を俯瞰し、課題領域を最適化

 

そこで弊社は「DPO(Digital Process Optimization)」という弊社の造語が表す考え方を意識して取り組むことをおすすめしています。「『最新』だけではない、『最適』なマーケティングを。」というテーマを掲げる「DPO」は、全ての施策を一気にやるのではなく、「最適なタイミングで最適な施策を最適なコストをかけて行う」ことを重視する考え方です。

 

それを踏まえて、どこからデジタルマーケティングを始めればいいのかについて、全体像を示しながらさらに詳しく解説します。

まずは「リード獲得」から

BtoB企業におけるデジタルマーケティングの全体像について

 

デジタルマーケティングを始める際に、基本となるのが「リードの獲得」です。

 

「リード獲得」段階では、 名刺の情報収集や展示会などを通して、オフラインで獲得したリード情報や、Webサイトの問い合わせや資料ダウンロードを通してリード情報を取得します。

 

この段階でそもそもリードが集められていない場合は、次のステップである「リード育成」へとつなげることができません。多数のリード情報がある場合でも、インポートやデータ化ができてなければその先の段階へつなげるのもなかなか難しいでしょう。

 

「リード獲得」ができている場合は、次の「リード育成」「商談」「顧客化」などのステップへ移っていきます。しかし、できている領域とそうでない領域が混ざっていたり、フェーズの順番が前後していたり、リード獲得がどれだけ溜まっていれば合格なのかという明確な基準がなかったりするので、一概には言えない部分もあります。

 

基本的に大切なのは、デジタルマーケティング全体像をみながら、上記の図の左から右へと正しいステップで進んでいくことです。

テコ入れとして「Webサイト」から始めよう

テコ入れとして「Webサイト」から始めよう

 

リード獲得の中でも特に、「Webサイト」をテコ入れとして取り組んでいくことをおすすめします

 

Webサイトが適切に運用できていないと、いくら良い施策を実施しても受け皿となるコンテンツがなく、検討から外されたり、そもそも検索に引っかからずに候補として検討してもらえなかったりするなど機会損失の可能性が高まります。

 

一番最初に、適切なWebサイトの運用体制を整えておくことで、施策を実施したときに相乗効果が得られます。

 

前編で紹介した3つの事例の中でも、最初に取り組んだのがWebサイトであり、CMSの導入などのステップアップを経て内製化をしていくというのが共通していました。一度しっかりとしたWebサイトの構築や運用体制が整えば、その先何年も使用していくことができます

 

>「具体的なデジタルマーケティング施策が知りたい」という方へ。後編では製造業のデジタルマーケティング施策5選と、弊社の製造業のデジタルマーケティング支援について紹介しています。ぜひ、ご覧ください。

 

また、「そもそも製造業にデジタルマーケティングは必要なの?」という疑問をお持ちの方は、前編で「製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)」について詳しく解説しています。そちらも併せてご覧いただけますと、より理解を深めていただけると思います。

製造業のデジタルマーケティング施策5選

製造業のデジタルマーケティング施策5選


ここからは、製造業のデジタルマーケティングにおいておすすめの施策を5つ紹介します。

 

①見込み顧客へ、自社の存在を知ってもらう

「見込み顧客へ、自社の存在を知ってもらう」ためには、SEO対策やWeb広告などの施策を行う必要があります。

 

自社を知らない人に認知してもらうには、会社名や保有する製品名を直接入力して検索する「指名検索」ではなく、顕在キーワードからの流入を増やすことが重要です。

 

顕在キーワードとは、ユーザーが自社の業界や製品に該当するカテゴリや関連語を調べたときに、自社に出会ってくれる可能性が高いキーワード を指します。製造業における顕在キーワードの例は以下のようなものがあります。

 

顕在キーワードの例

 

この施策を実施しないと、Webサイトの構築やリニューアルを行っても、全く流入が増えないということが起こりえます。製造業という一言で言ってもそれぞれ扱う製品は異なるので、「自社の強みや技術」に関連する顕在ワードで、検索順位1位を目指すことが非常に大切です

 

また現在のGoogleのSEO基準は、調べた人に対して最適なページがあるかどうかが重要視されています。たとえば、トップページに製品情報しか掲載していない場合、以下の図のように製品の商品名などの「指名検索」しか見込めません。

 

製造業のデジタルマーケティング施策「見込み顧客へ、御社の存在を知ってもらう」

 

そのため必要になるのが、上記の図の右側にあるような集客が見込めるサイトマップ設計です。「課題から探す」「業界から探す」などカテゴリを作って、そこからさらに詳細へと枝分かれしていく「ディレクトリー構造」をWebサイトに構築することが最低限必要です。

 

では、「ディレクトリー構造」ができている前提で進めていく際に、どのように進めればいいのでしょうか?具体的なステップを以下で紹介します。

 

STEP1:キーワードを選定する

まずは、自社の製品・サービスで、「このキーワードは検索順位1位を獲得しないといけない」という「顕在キーワード」と、ロングテールキーワードを面で捉えられるように記事コンテンツを意識する「潜在キーワード」の、2つのキーワードを選定します。

 

顕在キーワードにおいては、検索ボリューム数が多い傾向にあるため、その数の多さに負けないことが重要です。「潜在キーワード」で重要となる「ロングテールキーワード」とは、検索ボリュームが少なく、3語〜4語の複数のワードが組み合わさっているキーワードを指し、これを意識した記事コンテンツの作成が必要になります。

 

それぞれのキーワードを調べてきたユーザーが 「なぜその言葉で調べてきたか」という前提を調べて、ニッチにキーワードを選定していくことが大切 です。

 

STEP2:ランディングするページを設計する

キーワードで検索したユーザーが最初に訪れるページを「ランディングページ」と呼びます。キーワードを選定したら、「なぜそのユーザーがその言葉を調べて流入したか」ということを調査し、必要な情報をコンテンツにしていきます

 

ランディングページには、製品のランディングページもありますが、製品ページ以外に、技術情報を解説するページもあります。

 

設計する際に大切なのは、専門記事を作成するよりも、製品情報ページへユーザーをランディングさせることを徹底的に考えることです。

 

【製品のランディングページ例】

たとえば前編で紹介したヒロセ補強土株式会社様は、当初記事作成を想定していましたが、定期更新するのが難しかったため、製品ページの顕在キーワードでのランディングを図り、キーワードやランディングページを中心の施策として実施しました。その結果、オーガニック検索の向上や、セッション数は前年比184%の約2倍に増加しました。

 

デジタルマーケティングの取り組み事例② ヒロセ補強土株式会社様

 

同社はキーページ(工法ページ)で顕在キーワードのオーガニック流入を引き上げられているのがポイントです。

 

具体的には、キーワードの説明や特徴、活用シーン、事例、FAQ、カタログダウンロード などのカテゴリを作成し、キーワードで調べたユーザーのニーズに応えられるようなページを用意しました。

 

カタログダウンロードを設置すれば、興味がある・商談成立への見込みがあるユーザーを検知できるよう、フォームを設計しているのも特徴です。

 

【製品以外のランディングページ例】

前編で紹介したアイメックス株式会社では「ビーズミル」という技術情報を解説するランディングページを設置しています。「ビーズミル」そのものを調べるユーザーが多いため、キーワードで検索順位1位を獲得できています。

 

同社は、そのランディングページとは別に、ビーズミルという製品のランディングページも作成して情報提供を行い、ユーザーのニーズに応えています。

 

1つ目の施策である「見込み顧客に自社を知ってもらう」ためには、顕在キーワードを見極めていき、ユーザーのニーズに基づいてランディングページを設計していくことが大切です。その上で、次の 2つ目のフェーズ「各フェーズの人にコンテンツを届ける」に移っていきましょう。

 

②各フェーズの人にコンテンツを届ける

2つ目は各フェーズの人にコンテンツを届けるための施策です。しっかりとしたコンテンツがないとデジタルマーケティングを進められないと言ってもいいほど重要です

 

コンテンツの作成には、「検索順位の向上」「自社の強みの発信」「取引先や見込み顧客に営業する際の情報提供としての活用」など、多くのメリットがあります。コンテンツがないと検討から外される可能性も高まるので、質の高いコンテンツを網羅的に揃えていくことが重要です。

 

製品を選定するプロセスにおいて必要とする情報

 

上のグラフは「製品を選定するプロセスにおいて必要とする情報」に関する調査結果です。 製造業ならではの項目として、外形寸法図やセレクションガイド、アプリケーションノートなどが挙げられます。

 

この調査結果をもとにベースとなるコンテンツを作成し、Webサイトの構造や運用体制を整えていく必要があります。そして先述したように、とても長くなる傾向にある製造業の検討プロセスのフェーズに合わせて、適切なコンテンツをユーザーに届けることが大切です

 

どこまでの情報を出すべきなのかを線引きする

まずはコア情報とそうでないものの線引きが必要

 

この施策において大切なのは、「どこまでの情報を出すべきなのか線引きを行う」ということです

 

製造業におけるデジタルマーケティングにおいて、「技術情報が流出してしまうのではないか」という懸念があると思います。どんな情報でもまずは発信していけばいいのではなく、強みの源泉となる「コア技術」は公開してはいけない情報とされています。

 

コア技術と非コア技術の線引きが重要であり、競合が「取得可能」な情報であるのであれば、発信しても問題ありません。調べれば見つけられるような情報や一般的な知識などの情報は、発信することで集客効果が得られるなどの利点も多くあります

 

コンテンツの内容も、自社に眠っているデータや、アナログで作業していた情報をテキスト化・資料化していくことで、新たにコンテンツを作成し直さなくても、既にそれなりのネタを持っているはずです。

 

その上で、「どういう媒体でどういう形式の記事を作成するのか」を考えていく必要があります。顧客の層に対する適切なコンテンツについてみていきましょう。

 

潜在層・準顕在層向けのコンテンツ事例

潜在層・準顕在層向けのコンテンツ事例

上記の図では、ターゲットを潜在層・準顕在層・顕在層・顧客に分類しており、それぞれのフェーズに必要なコンテンツを提供していくことが重要です。

 

潜在層にはお役立ち記事や資料ダウンロードなどを、見込み度合いが少し上がった準顕在層には、事例紹介や製品情報などを紹介していく必要があります。それぞれのコンテンツによって出すべきコンテンツの性質が変わっているのがポイントです。

 

例えば潜在層のターゲットはまだ自身の課題が明確ではなく、ふわっと認識している程度という傾向があります。そのため課題解決事例や処理実績など、ニッチなキーワードで検索してきたユーザーのニーズに応えられるコンテンツを作成し、「課題を自社で解決できる」ということをわかってもらうことが大切です。

 

また、事例や実績を示すことで、情報収集が進んでない段階や課題を認識し始めた段階にいるターゲットに示唆を与えられるという効果もあります。

 

この段階のコンテンツは、すでに社内にあるケースが多いため、その情報を集めてWebサイトに掲載することで実施できます。提供の形式としては、動画配信やWebサイトでのシリーズ記事、技術資料、セミナー資料などが一般的です。

 

セミナー資料は既にあるものなので、開催後にダウンロード資料として用意するなどして使い回すことをおすすめします。

 

顕在層向けのコンテンツ事例

もう少し検討が進んだ顕在層には、資料ダウンロードや製品の比較する際に必要なコンテンツを提供する必要があります。資料ダウンロードでは、 製品のスペック比較や技術の違いなどの情報提供を行います。

 

特に製造業ではアフターメンテナンスやサポートに関して、充実したコンテンツを用意することも大切です。また、「目的から選ぶ」「処理量から選ぶ」などのカテゴリを用意して、「課題に対してどのように製品を選べばいいかわからない」ユーザーをサポートできるような仕組みがあると良いでしょう。

 

コンテンツ制作後の施策(エコシステム)について

コンテンツ制作後の施策(エコシステム)

コンテンツを制作した後に非常に重要なのが「エコシステムを回していく」という施策です。

 

「顕在層」や「顧客」のフェーズでは、メール配信・ナーチャリング活動などの施策を行う必要がありますが、その施策を行う際、1からコンテンツを作成するのではなく、既に作成したコンテンツを再利用して施策を行う仕組みがエコシステムです

 

上記の図で説明すると、制作したコンテンツをメール配信やホワイトペーパーで利用して集客を行い、次はセミナーや商談で制作した資料をまたコンテンツ化し、そのコンテンツをメール配信・ホワイトペーパー化して…という循環=エコシステムが生まれます。

 

このようにエコシステムを回していけば、1回の施策に対して得られるリターンが大きくなります

 

特にメール配信は非常に大事な施策ですが、配信する仕組みとある程度の名刺リストがあればすぐにでも始められるので、最初はメール配信とコンテンツ制作を合わせて進めていくことをおすすめします。

 

2つ目の施策「各フェーズの人にコンテンツを届ける」のまとめとしては、ターゲットのフェーズに合わせたコンテンツを作成すること。そして、コンテンツを届ける仕組みと、エコシステムを構築した上で進めていくことが大切です。

 

③ホームページ上で接点を持つ

3つ目の「ホームページ上で接点を持つ」という施策です。見込み顧客に育てるためにアプローチしていくには、まず問い合わせや資料ダウンロードをしてもらわないと始まりません。当たり前のことではありますが、非常に重要な施策です。 以下でより詳しく解説します。

 

段階ごとのホワイトペーパーを用意する

段階ごとのホワイトペーパーを用意する

ホームページで接点を持つために大切なのは、段階ごとのホワイトペーパーを用意することです。

 

お問い合わせフォームしかWebサイトに用意していないケースはよくありますが、その場合、様々なフェーズにいるターゲットのニーズとマッチせず、機会損失を生んでしまう可能性があります。

 

上記の図で例えると、「問い合わせするほどではないけど情報収集したい」というフェーズにいるユーザーの需要に応えるコンテンツはありません。すると、温度感や緊張度のギャップが生まれ、問い合わせを躊躇する=機会損失につながるのです。

 

これを防ぐためには下記の図のように、流入から問い合わせの間にいるターゲットのニーズを満たす、業界別事例集やツール比較表などの資料のダウンロードを用意する必要があります。

 

流入から問い合わせの間にいるターゲットのニーズを満たす、業界別事例集やツール比較表などの資料のダウンロードを用意する必要がある

 

ホワイトペーパーにつなげるための導線を用意する

しっかりと接点を持つためには、ホワイトペーパーにつなげるための導線を用意することも重要です。

 

情報収集や検討中のターゲットのニーズを満たすホワイトペーパーを用意したら、ダウンロードフォームなどの導線を用意してリード情報を集めます。獲得したメールアドレスに対して、適切なタイミングで定期的にメルマガ配信やナーチャリングを行って商談へつなげていきます

 

調味料を扱う会社の事例では、サンプル依頼などを用意したり、事例インタビューの記事内で「事例インタビュー集」の紹介をしたり、記事の末尾で記事の関連資料を案内するなどの導線作りがあります。

 

製造業における導線事例

 

コンテンツが増えてきたら、ターゲットに合わせてカテゴリーを分類して提供するなどの工夫も大切です。記事を調べたユーザーに対してしっかりと質の高い情報提供を行えるようになるため、ダウンロードしてもらいやすくなり、接点が増えていくという良いスパイラルが生み出されます。

 

大掛かりなシステムを構築しなくても、「この記事を読んだ人がダウンロードしたいであろう資料」を見極めて、テキストリンクを作ることで簡単に導線を設置できます。弊社でも導線を工夫した際には、1ヶ月で送客数が154%、ダウンロード数も166%と増加しました。即効性のある施策である上、費用対効果も高いためぜひ導線を意識して取り組むことをおすすめします

 

④製品情報を掲載し、「面」を取りに行く製品データベース

4つ目の施策「製品情報を掲載し、『面』を取りに行く製品データベース」について解説します。

 

製品データベースとは

製品データベース

 

「製品データベース」とは決まった方式で整理された情報の集合体を指し、専用のツールを活用することで、社内のあらゆる情報を効率的に整理・管理することが可能です 。上記の図は製品データベースの利用イメージで、左側にシートが、右側にWebページが表示されており、左のシートに情報を入力すると、右のようにWeb上でページが公開される仕組みになっています。

 

製品の名前や説明、図面などの大量の情報を数千ページまで作成することができ、情報を効率的に管理できるという利点があります。しかし製造業では製品データベースの活用が進まず、Webページに製品を載せきれていない企業が多い傾向にあります。

 

製品データベースを構築すると、キーワードの検索に加えて、 カテゴリでの絞り込みなどのスムーズな検索も実現できるため、製品数が多い企業には非常におすすめのツールです。具体的なメリットについて、以下でさらに詳しく説明します。

 

製品データベースを活用するメリット

製品データベースを活用するメリット

 

【メリット①検索がヒットしやすくなる】

 

製品データベースを利用することで、検索がよりヒットしやすくなるというメリットがあります

 

上記の図で説明で説明すると、左の企業は製品情報とそのカテゴリを掲載しているだけなので、獲得できるキーワードはカテゴリ名のみになります。一方で、右の企業はカテゴリを選択するとさらに詳細に分類された製品が表示され、クリックするとその製品の詳細ページが表示される仕組みになっているため、より詳細、より多くのキーワードを獲得しやすくなるのです。

 

ページを細分化していくことによって、大・中・小のカテゴリーで検索がヒットし、細かいキーワードも漏れなくヒットさせることができます。特に専門性の高い製品を扱うBtoB製造業の場合、数千回、1万回と調べられるキーワードが少なくなる傾向にあるため、ニッチなキーワードを網羅して数多く集めておくことが全体的な「面」を取りに行く上で必要です。

 

もちろん、どんな場合でも製品データベースが必須という訳ではなく、利用しなくてもいいケースもあります。しかし、製品の数が多い場合や事業所が分かれている場合などは手作業で行うのが非常に難しいため、ツールを積極的に活用することをおすすめします。

 

【メリット②お気に入り機能・注文リスト機能を追加できる】

 

製品データベースでは、お気に入りに登録できる機能や、注文リストの見積もりをまとめて出せる機能なども搭載されています。

 

工数が減るほか、「1つ1つ問い合わせするのがめんどう」と感じるユーザーの課題も解消できるので、問い合わせやコンバージョンの獲得へとつなげられます。

 

【メリット③個別の閲覧ログがわかる履】

 

製品ページとMAツール(後述)を連携することで、問い合わせをしたユーザーの閲覧履歴が確認できるというメリットがあります。

 

たとえば、A製品に関して問い合わせのあったユーザーが、B製品やC製品のページも閲覧しているのが事前にわかったら、営業活動を行う際に「B製品やC製品は検討してませんか?」と言ってアプローチすることができ、売上向上につながる可能性があります。

 

製品ページを個別に用意することで検索に引っかかりやすくなるだけではなく、詳細なページ閲覧のログもわかるという利点もあるため、製品データベースの活用が大切なのです

 

製品データベースを活用すると運用が非常に楽になる上、MAツール(後述)を連携することで閲覧ログも確認できるため、製造業では特に活用をおすすめします。

 

⑤獲得したリード(名刺)情報からアツい見込み顧客を見つける

5つ目の施策「獲得したリード(名刺)からアツい見込みに顧客を見つける」を解説します。

 

そもそもなぜリード情報の獲得だけではいけないのでしょうか?その理由からみていきましょう。

 

問い合わせ獲得だけではいけない理由

お問い合わせ獲得だけではいけない理由

 

上のグラフは弊社が2020年の受注データを紐解いたもので、「受注が直近の問い合わせからつながっているのか、それとも過去に取引があった既存顧客や過去の問い合わせやから受注につながってる中長期のものなのか」ということを明らかにしたデータです。

 

直近の問い合わせから受注につながったのは15%で、それ以外の85%が直近ではなく、過去に何かしら接点があった顧客や、少し前に商談化したケースであることがわかります。この結果から顕在層CVより名刺データをうまく活用した方がより多くの受注件数を生み出すことができるほか、リードジェネレーションだけでは機会損失を産んでしまうともいえます。そのため問い合わせの獲得だけでは成果を出すのが難しいのです。

 

弊社では5年ほどかけてナーチャリングの体制を構築してきた結果、過去の接点から受注が生まれていきました。

 

またナーチャリングの基盤ができたら、リード育成段階や、商談成立を図るための施策に取り組む必要があり、その時に有効となるのがMAツールです。

 

前編で紹介した事例でも、MAツールを活用した商談の創出や、記事コンテンツやメルマガ配信におけるログの取得を行うことで成果が出ています。本記事のテーマである「営業改革」に本格的に取り組むのであれば、MAツール活用を検討することをおすすめします。

 

では、MAツールについて以下で解説します。

 

MAツールとは

MA(マーケティングオートメーション)ツールは、「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化し自動化する」活動を指す「MA(マーケティングオートメーション)」を実行するツールのことです。

 

多くの機能が搭載されていますが、製造業におけるマーケティングにおいて特に有効な3つの機能を紹介します。

 

1つは「サイトに訪れた企業がわかる」機能です。同機能では、どんな企業が自社サイトを閲覧しているか、そしてどのページをどれくらい閲覧しているかを可視化することができます。

 

2つ目の「メールの閲覧状況がわかる」機能では、誰がいつメールを開封し、メール内のリンクをクリックしたのかという、到達数・開封数・クリック数・コンバージョン数などのデータを一覧で確認することが可能です。

 

3つ目の「誰がどのページを見たかわかる」機能は、自社のWebサイトの中で、ユーザーが何に興味があるのかの詳細を可視化できます。たとえば、「資料ダウンロードフォームを閲覧した後、未送信のまま離脱してしまった」という記録もわかるため、そのような人に対してアプローチすることで育成や商談創出への可能性が高まります。

 

MAツールを活用しなければ状況を把握できず、アプローチができないため機会損失にもつながりかねません。このようなアプローチが実現できるのは、MAツールを活用するメリットだといえます。

 

他にもユーザーが見たページに応じてポイントをつけ、合計点数によって興味の度合いを明らかにし、それに応じてメールを自動で配信できる「スコアリング」機能など、様々な機能が備わっています。

 

また、ここで再度大切になってくるのがエコシステムです。

 

BtoB製造業の購買検討の特徴

BtoB製造業の購買検討の特徴

 

製造業に限らず、BtoB企業は購入意欲がなだらかに上がるのではなく、上記の図のように「ずっと前から認知はしていて急に検討度合いが上がって一瞬で終わる」というケースが多い傾向にあります。

 

そのため、突然検討度合いが上がったタイミングで接点を持てるように、そしてリアクティブを逃さないために、エコシステムを回してメール配信などを行うことが非常に重要です。

 

検討レベルが高い人が起こすアクション例〜ステータス(検討レベル)

 

また上記の図は「検討レベルが高い人が起こすアクション例〜ステータス(検討レベル)」です。左から右へ進むにつれて確度が上がることを示しており、トップページや活用例、導入メリットを閲覧するユーザーは確度的にはそれほど高くない可能性があります。一方で料金や価格ページや、納品までのフローなどを見ている人は検討度合いが高い傾向にあります。

 

ログをチェックして検討レベルを確認できれば、「契約関連を閲覧している人は確度が高い」ということがわかっている場合、ユーザーがページを見た際にメールで通知がくるように設定でき、顧客がアクティブになったタイミングを逃さずにアプローチすることが可能です。

 

ステップを踏んで十分なコンテンツを揃え、ユーザーとの接点を用意できたら、上記のようなアプローチをするための基盤を整えていくことも大切です。

 

製造業のデジタルマーケティング施策まとめ

 

製造業のデジタルマーケティング施策について、上記の5つを解説しました。

 

最後に、製造業のデジタルマーケティング支援について紹介させてください。

 

製造業のデジタルマーケティング支援について

紹介の前に、本記事でお伝えしてきたことをまとめました。

 

ここまでお伝えしてきたこと

前編・後編を通して、必要な理由や具体的な事例、よくある施策など「製造業のデジタルマーケティング」について解説してきました。デジタルマーケティングに取り組まないと機械損失を生んでしまうため、商談創出のためにも特に製造業では実施することをおすすめします。

 

そして取り組む際には、先述した「DPO=最適なタイミングで最適な施策を最適なコストをかけて行う」を意識して、正しいステップアップでやっていくことが大切です。間違った順序で取り組んでしまうと、なかなか成果に繋がらず、心が折れてしまったり、優先度が下がってしまったりすることがあるため、自社のフェーズに応じた適切な施策をしっかりと実施していきましょう。

 

また、年単位で成果が上がるケースも往々にしてあります。諦めずに長いスパンで取り組んでいくことが、結局のところは成果への近道となるはずです。

 

製造業のデジタルマーケティング支援について

デジタルマーケティングの全体像

 

それを踏まえて、弊社の支援について紹介します。

 

デジタルマーケティング全体像から幅広い提案

先ほどもお伝えしたように、上記の図がデジタルマーケティングの全体像になりますが、弊社では「全体像から提案できる」ことが弊社の特長です。上記の図のどれかひとつしか取り扱っていない企業の場合、たとえばホームページだけを提案されるなどのポジショントークによる営業になる傾向にあります。

 

弊社の場合、全体像でマーケティングを把握しているため、それぞれの状況に応じた適切な施策を幅広く提案できます

 

その中でも一番最初に提案することが多いのが「Webサイト」です。 繰り返しになりますが、受け皿となるホームページを適切に運営できていないと、その後の施策全てに影響が出てしまい、最大限の成果を得られません。テコ入れとして、まずはWebサイトから始めていくことをおすすめしています。

 

チェックリストの活用

テコ入れを行う手段として、チェックリストの活用が有効です。項目ごとにチェックしていくことで、「自社ができていること」を客観的に把握できるようになります。Webサイトの改善を行う際に、 0から勉強を始めると効率が悪いため、ある程度体系化したものを活用して自社の課題を認識した上で、それを元に支援会社へ相談するのが効率的です

 

弊社の場合、製造業向けのWebサイトの制作やリニューアルを行っています。いきなりコーポレートサイトをリニューアルするのが難しい場合は、まずは事業部単位で立ち上げてクイックに制作するプランもあり、キーワードの上位獲得を狙っていくことも可能です。

 

クラウドサーカスのノウハウが詰まったテンプレートプラン

 

多くの実績と幅広いサポート内容

弊社はツール開発・提供が45,000件、コンサルは2,400社、Web制作は2,100社という実績があるので、安心してご相談いただけます。またリニューアルやWebサイトなどのコンテンツが既に揃っており、もっと集客に力を入れていきたい場合は、SEOやお問い合わせ率の改善なども支援できます。

 

MAツールの運用やメール配信、インサイドセールスの立ち上げなどの商談獲得支援や、ツールとコンサルティングの領域など、幅広くそれぞれの課題に合った支援・対応

 

さらに、MAツールの運用やメール配信、インサイドセールスの立ち上げなどの商談獲得支援や、ツールとコンサルティングの領域など、幅広くそれぞれの課題に合った支援・対応をしております。

 

必要なツールを必要なタイミングで

弊社のデジタルマーケティング支援では必要なツールを必要なタイミングで利用できるという特長

 

また、弊社のデジタルマーケティング支援では、必要なツールを必要なタイミングで利用できるという特長があります。

 

効率的に取り組んでいくにはツールが必要になりますが、一気に導入するのはコストもかかる上、未使用のツールを放置して非効率化につながる可能性があります。弊社の場合、 最初のステップではこのツールを、次のステップではこのツールを導入するというふうに、コストを抑えつつ段階に合わせてツールを利用できます。

 

充実したサポート体制

クラウドサーカスの充実したサポート体制

 

「デジタルマーケティングの全体像が複雑で不安」と思う方も少なくないと思いますが、 弊社では10年以上前から支援を行っております。たとえば、「自社のレベルごとに何を行うべきか」という疑問も、詳細なチェックリストを活用した独自メソッドで解決することが可能です。

 

BtoB製造業のフェーズに沿って正しい順序で進めることが大切

繰り返しにはなりますが、弊社では一貫して「DPO=最適なタイミングで最適な施策を最適なコストをかけて行う」ことを目標に考えており、今回の特集記事も「損をして欲しくない」「適切なルートで取り組んでほしい」という想いから企画しました。

 

受け皿となるWebサイトの運用やリニューアルができていない場合は、まずはテコ入れとして「Webサイト」から始め、適切なステップを踏んで徐々にマーケティング活動、体制共に構築していきましょう

 

ぜひ、デジタルマーケティングに取り組む際に、本記事をお役立ていただけましたら幸いです。

 

>「そもそも製造業にデジタルマーケティングは必要なの?」という疑問をお持ちの方は、前編で「製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)」について詳しく解説しています。

 

そちらも併せてご覧いただけますと、より理解を深めていただけると思います。ぜひ、ご覧ください。

 

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<前編の記事はこちら>

▶︎【前編】実例から学ぶ!製造業がデジタルマーケティングで営業改革を起こす極意とは

 

【関連記事】

▶︎ BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで

 

▶︎ 製造業ブランディングの基本を解説!主なメリットから大まかなステップまで

 

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Thu, 16 Nov 2023 16:20:59 +0900
<![CDATA[製造業におけるデジタルマーケティングの必要性と成功企業の共通点【セミナーレポート / 前編】]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/seminar_2023092701 BtoB製造業でもデジタルマーケティングに取り組むことが一般的になりましたが、実際どこから始めたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか?

 

今回は、弊社が過去に開催したウェビナー「実例から学ぶ!製造業がデジタルマーケティングで営業改革を起こす極意とは」を要約して、BtoB製造業のデジタルマーケティングについて網羅的に紹介する特集記事を、前編・中編・後編の3部構成でお届けします。

 

前編の本記事では、製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)について詳しく解説さらに、施策の実行に踏み出せない理由を考察し、実例を紹介するとともに、その解決策を紹介します。

以下に当てはまる方は特におすすめの内容になっています。中編と後編と合わせてぜひお役立てください。

 

  • ホームページを活用して売上を上げたいBtoB製造業の方
  • これからデジタルマーケティングを始めるBtoB製造業の方
  • 営業活動に課題を感じているBtoB製造業の方

 

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製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)

製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)について紹介します。

 

製造業におけるデジタルマーケティングの現状

我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査(22年3月)

 

上記は経済産業省の「我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査(22年3月)」というデータで、具体的なIT投資の対象を著しています。

 

この調査からは、製造業におけるIT投資では「生産管理」や「全社的・部門横断的なシステム」が60%?70%を占めていますが、本記事の主題である「営業・マーケティング」は26.7%しか投資できていないという現状がわかります

2022年版 ものづくり白書

 

一方で、上記の「2022年版 ものづくり白書」という資料の結果では、現時点で約50%の企業が「顧客チャネル・営業力強化」に取り組んでおり、今後の重点課題としても同程度の企業が取り組んでいきたいと考えているということがわかっています。

 

「営業部署の人材育成と営業力の向上に課題があるか」と「生産性の向上に課題があるか」

 

そして上記の、「営業部署の人材育成と営業力の向上に課題があるか」と「生産性の向上に課題があるか」を調べた弊社の調査では、先ほどの数と同じぐらいの50%が「YES」と答えています。

 

以上のデータにより、約半数の企業は「営業・マーケティング」に取り組んで向上したいと考えているという現状の中、実際には全体の4分の1程度の投資対象に留まっているということがわかります。

企業は「営業・マーケティング」に課題があると感じていることがわかった上で、次にユーザーサイドからの視点を紹介します。

 

ユーザーサイドからの視点

ユーザーが製品を探す際に利用する媒体を調べた結果

スライド内の出典元:イントリックス株式会社【製造業】オンラインでの製品選定における実態調査 

 

上記のデータは、ユーザーが製品を探す際に利用する媒体を調べた結果です。1位は「Googleなどの検索エンジン」、 2位は「企業のWebサイト」という結果になっています。この結果から、もし検索エンジンやWebサイトの対策ができていないと、その時点で機会損失をしている可能性が高いといえます。

 

「Webサイトに情報が掲載されていなくて候補から外れたことがあるか」

 

次のデータは、製品を検討するプロセスの中で「Webサイトに情報が掲載されていなくて候補から外れたことがあるか」という調査を行った結果です。

 

この調査から、「情報が掲載されていなかった・見つけられなかった・情報が古かった」などという理由で、30%前後の人は候補から外してしまっていることがわかります。この点からも、大きな機会損失につながっている可能性があるといえます。

 

企業側からすると「営業・マーケティング」を強化していきたいという気持ちがあるのに、 ユーザーの候補から外されてしまっているのは、とてももったいない状況です。

 

「どのようなキーワードで検索をしているのか」

 

このような現状の中で、具体的にどのようなコンテンツを発信していけばいいのでしょうか?

 

上記の「どのようなキーワードで検索をしているのか」を調査したデータからは、「技術や製品の名称」が含まれる検索ワードをはじめ、「使用場所やシーン」「技術の提供価値」「評判・実績」が含まれる検索ワードで調べられていることがわかっています。

 

用意すべき具体的なコンテンツは明らかになっているため、あとは検索時にヒットする=受け皿となるWebサイトやページを用意することが重要です。この部分をやるか、やらないか、というところが、後に大きな差となって表れてきます。

製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)のまとめ

製造業にデジタルマーケティングが必要な理由

 

製造業にデジタルマーケティングが必要な理由について紹介しましたが、簡潔にまとめると、上記の3つのポイントがあります。

 

一つは、全体26%程度が「営業・マーケティング」へ投資を行っている一方で、40?50%の企業が営業部門の強化に課題を持っており、課題と投資にギャップがあることが明らかになっていること。

 

また、「情報がない・古い」という理由で30%程度の人が製品を候補から外しており、機会損失を招いている可能性があるため、これを解消することで案件の創出に繋がる可能性があること。そして発信すべき情報についてはある程度決まっているので、しっかりと取り組めば商談創出は期待できます。逆に、ここでやらないと大きな機会損失に繋がりかねません。

 

以上が、製造業にデジタルマーケティングが必須な理由です。

 

このような現状をお伝えしたところで、「理由はわかっていても、デジタルマーケティングに踏み切れない」という方も少なくないと思うので、その背景についても解説します。

 

デジタルマーケティングに踏み切れない背景

2023年における製造業界の市況

 

デジタルマーケティングに踏み切れない背景には、「守りのDX」と呼ばれる領域や、工場やバックオフィスのDXなどの優先度が高いという背景があります。

 

「守りのDX」や「工場・バックオフィス」への投資はもちろん必要です。しかし、デジタルマーケティングに踏み切れない上で大きな課題になるのは「守りのDXや工場以外への投資の優先度が上がりきらない」というところにあり、これを解消していく必要があります。

 

では、なぜ優先度が上がりきらず、営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が依然として低いままなのでしょうか?

 

営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が低い理由

営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が低い理由

 

営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が低い理由として、1つ目に挙げられるのは、「インパクトと緊急との違い」です。製造業において、工場のデジタル投資の方がインパクトが緊急度が高く、設備が老朽化している場合やプロセスそのものが競争優位になる場合もあるため、優先順位が高くなるのは当然のことと言えます。

 

他に「詳しい人がいなくて踏み出せない」ケースや、自社の技術情報が流出するのを気にして発信できない「情報を外に出すのを躊躇する」ケース、「そもそも成果が出るのがわからないから投資できない」というケースなどがあります。

 

以上の4つの理由から「製造業のデジタルマーケティングは合わない」と思って取り組まない場合や予算を下げてしまう場合が多く、非常にもったいないケースがあります。次章では不安や課題を解消するため、製造業における具体的な事例を紹介します。

 

他社の事例を知ることで、「情報をどこまで公開するのか」や「どれぐらい成果が出るのか」ということがわかるため、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

 

製造業における具体的な事例

製造業におけるデジタルマーケティングの具体的な事例について、専門性の高い製品を取り扱う「アイメックス株式会社」、補強土壁の提案や工事を行う「ヒロセ補強土株式会社」、合成樹脂塗料などの設計・開発・製造を行う「東日本塗料株式会社」を紹介します。

 

アイメックス株式会社様

アイメックス株式会社様

 

1つ目の事例は、湿式超微粒粉砕・分散装置とプラスチック押出成形システム装置という、専門性の高い製品を扱うアイメックス株式会社様です。

 

Webサイトリニューアル~キーワード1位獲得

同社は元々2013年頃にWebサイトを簡単に更新できるCMSというツールを導入し、Webサイトをリニューアルするところからスタートしています。自社での更新体制が整ってきたところで、2016年から本格的にWebサイトのSEOやCV導線、問い合わせに繋がりやすくするための改善、施策の優先順位の見直し、コンテンツ制作に注力していき、PDCAを回していきました

 

その結果、「ビーズミル」など複数のキーワードの検索順位で1位を獲得し、そこからさらにWebサイト領域に注力して、次のステップとして2017年に2度目のWebサイトのリニューアルを行いました。

 

1度目のリニューアルを行った2013年から2度目の2017年までの間に、閲覧ユーザーの画面サイズに合わせてページレイアウトを最適化する「レスポンシブデザイン」の重要性の高まりや、オウンドメディア施策の流行など、BtoBのデジタルマーケティングやWebサイトの施策に大きな変化があったため、それらに対応できるように体制を整えていきました。

 

2度目のリニューアル~成果

2度目のリニューアルのタイミングでMA (マーケティングオートメーション)ツールを導入し、Web 広告などのマーケティング施策を強化していきました。

 

2019年にはコロナ禍において、いち早くオンラインの対応に取り組み、ウェビナーの開催やインサイドセールスの立ち上げなど、非常に積極的にデジタルを活用した営業改革を行いました。

 

このような取り組みの結果、問い合わせ数は約5倍になり、セミナーの集客も最大150名の方が足を運んでくれるという成果が得られました。他にもメール配信によって資料をダウンロードしてくれた約250件の方にアプローチするなど、営業活動の効率化を実現しています。

 

また、産休明けの女性社員のキャリアとインサイドセールスの相性が非常に良く、「子育てしながら働ける」という社内環境が整備されました。全社的な改革を実現できたのが、同社の特筆すべき成果だといえます。

社内の体制

社内の体制

社内の体制に関してみていくと、元々2013年頃は営業担当の方が兼任で担当していましたが、 それだけだとWebサイトに注力できず、優先順位も上がりづらいため、段階的に専任担当を設けてもらいました。

 

専任担当といっても、デジタルマーケティングに長けている人材はどの業界でも不足していて確保が難しいため、同社でも知識ゼロの状態から専任担当になった方が勉強していったという流れで体制が整っていきました。勉強意欲のある方や熱心な方であれば、知識がない段階からでも自立し、徐々に内製化していくことができるということが証明された事例と言えます。

 

今ではインサイドセールス部門が人員拡大し、3?4名の規模感でWebサイトの更新や営業活動を行っています。

 

成功要因

同社のデジタルマーケティング施策の成功要因として挙げられるのが、「製品開発と営業改革を両輪で実行した」という点です。

 

現代は「いいものを作れば売れる」という時代ではないため、「いいものを製造しつつ、営業部門も強化して改革する」ことが必要とされており、それを実現できた点が同社が大きな成果を獲得したポイントといえます。また、同社では業績を伸ばしただけでなく、育休や産休、年間休日も増えるなどの変化もありました。具体的にどういうコンテンツを制作していったかについては後編で紹介します。

 

ヒロセ補強土株式会社様

ヒロセ補強土株式会社様

 

次に紹介するのは、補強土壁の提案や工事を行うヒロセ補強土株式会社です。

 

短期間での成果獲得

同社は2019年から、Webサイトのリニューアルと同時に、新規の顧客獲得に向けたWeb広告の出稿を行いました。2019年当時の月間セッション数は1727でしたが、1年で5013へ、さらに翌年は9257へと増加しています。また商談を生む為に必要となるコンバージョン数は、2.5から33.4へ、翌年には79.4へと着実に増えていっています

 

同社の事例は、比較的短期間で成果を出している事例です。Webサイトのリニューアル後の2020年からは、次のステップとしてMAツールを導入し、獲得していたリードに対するメール配信や、SEO対策を強化していきました。ある程度成果がでてきた2021年からは、MAツールの容量追加やチャットボットの導入を行い、さらに顧客体験を向上できるように取り組んでいきました。

 

東日本塗料株式会社様

東日本塗料株式会社様

 

3つ目の事例として、合成樹脂塗料などの設計・開発・製造を行う、東日本塗料株式会社を紹介します。

 

閲覧数や問い合わせ数の増加

2017年から、同社もWebサイトのリニューアルとCMSの導入を実施して、自社更新が可能な状態にするところからスタートしています。

 

その次のステップとして、2019年頃から記事コンテンツやメルマガジンの配信、MAツールの導入を経て、2021年頃からは掲載資料の充実化やお客様の声を生かしたコンテンツ作りに着手しています。

 

成果としては、Webサイトをリニューアルしたことで、閲覧数が300%、問い合わせ数が150%アップした他、MAツールの導入や、担当者が兼任から専任になるなど、社内におけるWebへの意識の変化がありました

社内の意識変化

Webサイトの成果が出ることで、社内の意識が変化することはよくあるケースです。同社でも、案件が生まれ始めることで営業部門も協力的になり、最終的にお客様の声を生かしたコンテンツ作りをする際には、しっかりとした協力体制が整っていくという成果がありました。

 

ちなみに、担当者は元々営業担当の方ではなく、兼任担当の時には仕事の合間や仕事終わりに少しWebサイトの作業を行う程度でしたが、今ではWeb担当として活躍しています。

 

この3つの事例はどれも兼任担当からスタートして、順番にステップを踏んで成果を出していき、その成果を元に専任担当への移行や、人員増加、協力体制の構築などの改革が実現できています

・経営の方の理解がある・正しい順序でステップアップしている・適宜外部の支援を活用しつつ内製化を進めている

 

3つの事例の共通点

紹介した3つの事例から、成果を生み出すには3つの共通点があるといえます。

 

1つ目が「経営の方の理解がある」という点です。どの企業も経営者や社長、役員の方が「デジタルマーケティングに投資する必要がある」という理解があります

 

その上で、「正しい順序でステップアップしている」という点も重要です。 そして、「適宜外部の支援を活用しつつ、内製化を進める」ことで、自社でノウハウを貯めていき、最終的には自走していけるようになるまで取り組んでいます。そこまでいくと、さらにできることの幅が広がって、新たなチャレンジがしやすくなったり、他部署からの注目や協力を集められたりするというメリットも生まれます。

その他の成果事例

上記で紹介した3つの事例の他にも、製造業におけるデジタルマーケティングでは以下のような様々な成果が出ています。

 

  • SEOでセッション数が10倍になったことに加え、検索順位も圏外から1位へ上昇し、新規ユーザー獲得へとつながる。
  • Webサイトのリニューアル後、問い合わせが増加し、2000万円以上の商談を多数創出。
  • ページビューが300%増加。
  • Webサイトリニューアル後のサイトアクセス数が1000件以上アップし、問い合わせ率が改善。

 

デジタルマーケティングに対する経営陣の理解があり、正しい順序を踏んでいけば、製造業においてもデジタルマーケティングは十分に機能するのです。

まとめ:製造業におけるデジタルマーケティングへの踏み出し方

製造業におけるデジタルマーケティングへの踏み出し方

 

ここで先述した「営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が低い理由」について、紹介した事例を元に解決法を紹介します。

 

まず「インパクトと緊急度の違い」に関しては、1つ目の事例の成功要因で紹介したように、両輪で対応していくことが重要です。詳しい人がいないというケースについては、専門家に頼り、徐々に内製化していくことをおすすめします

 

専門性が高い製品を扱うため、情報を外に出すのを躊躇ってしまう場合は「出すべき情報を見極める」ことが大切です。具体的には後編でさらに詳しく紹介します。

 

成果がわからなくて不安な方は、上記で紹介した事例から「一定数の成果は見込める」ということがお分かりいただけたと思うので、次は実践にうつしていきましょう。

 

>では「実際、どこから始めたらいいの?」という方へ。中編では製造業におけるデジタルマーケティングの特徴と、おすすめのデジタルマーケティング施策について解説しています。ぜひ、ご覧ください。

 

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>製造業マーケティングにおけるコンテンツの大切さと「4つの不」の話

>【製造業のデジタルマーケティング】活用が進まない理由とそれでも必要な理由(前編)

 

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 14 Nov 2023 10:07:14 +0900
<![CDATA[KPIとは?KGIとの違いや具体例、設定方法などわかりやすく解説!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/kpi KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。簡単に言うと、「最終目標(KGI)達成に向けて適切に行動できているかどうかを、定量的に把握するための指標」という意味です。KPIはビジネスのあらゆる業界・業種で活用されています。

 

本記事ではそのKPIについての詳細と設定方法、失敗しないためのポイントなどをわかりやすく紹介します。

KPI(重要業績評価指標)とは

KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳します。簡単に言うと、「最終目標(KGI)達成に向けて適切に行動できているかどうかを、定量的に把握するための指標」という意味です。業績を管理し、達成率を数値化したり、社員を評価したりする際に使われます。

 

例えば最終目標(KGI)を「来年の売上を10億円にする」とした場合、KPIは「新規商談件数を〇件/月」「平均受注単価〇万円」などが考えられます。つまりKPIは、KGI達成のための具体的なアクションであり、中間目標です。

 

KPIがあれば、ゴールまでどこまで進んでいるのか、何が達成できていて何が達成できていないのかが可視化できます。またKPIを達成していくことで、必然的にKGIが達成できるのも特徴です。

なぜKPIが重要なのか

KPIを設定すると、多くのメリットが得られます。

今いる場所が「可視化」されて、行動しやすくなる

KPIを設定すると、中間目標が可視化されます。
達成すべき数値や期限が具体的になり、何が達成できていて何が達成できていないのかが分かるので、 「やるべきことが明確になって行動しやすくなる」というのがメリットです。

 

最終目標へ向かって「チームや組織が一丸となって行動している」、という思いが強まるため、一致団結してものごとに取り組めるようになるでしょう。また遠くの目標に向かって進むよりも、目の前の目標をこなしていく方が達成感が味わえて、従業員のモチベーションアップにつながります。

公平な評価基準になり、不満防止に

KPIは、個人やチームがどれだけ事業目標を達成しているのかを定量的に判断できます。例えば、KPIで「アポイント数10件」を目標とした場合、10件以上で目標達成、それ以下は未達成だとわかります。

 

これは誰が見ても変わることのない評価です。KPIを評価基準とすることで、公平な判断が可能になります。上司によって評価基準にバラつきが生じることがなくなり、評価に対する不満防止につながるでしょう。

PDCAを回しやすくなる

KPIがないまま行動すると、今何をすべきかがぼやけてしまい、軌道修正するタイミングを逃すことがあります。しかしKPIがあれば「中間目標を達成できていない=改善すべき」ということが明確になり、改善のタイミングを見失わずに行動できます。

KPIとKGI・KSF・OKRの違い

KGI・KSF・OKRの意味やKPIとの違いを紹介します。

KGIとの違い

KGIは「Key Goal Indicator」の略称で、日本語では「重要目標達成指標」「経営目標達成指標」と訳します。KGIは企業が目指す「最終目標」であり、「企業の経営戦略やビジネス戦略のゴールを定める指標」です。

 

KPIとKGIの違いは次のように考えてください。

 

KPI=中間目標(ゴールまでの「過程」を見る指標)
KGI=最終目標(ゴールしたかどうか「結果」を見る指標)

 

KPIはKGI達成に至るための中間目標であり、進捗を把握するための指標です。KPIをこなすことで、KGIへとたどり着きます。

KSFとの違い

KSFは「Key Success Factor」の略称で、日本語では「重要成功要因」と訳します。簡単に言うと、「目標(KGI)達成のために必要な要因」「目標達成のためにすべきこと」という意味です。

 

KSFとKPIの違いは、次のように考えると分かりやすいでしょう。

 

KPI=最終目標(KGI)達成に必要な「アクション」

KSF=最終目標(KGI)達成に必要な「要因、要素」

 

例えば、KGIで「3年後にWebサイトからの売上を1,000万円にする」とした場合、KSFは「サイト構造の最適化」「新規ページの作成」、KPIは「新規記事〇本/月」「サイト回遊率〇%向上」「問い合わせ数〇件」などが考えられます。

 

イメージしにくい場合は、個人的なものに当てはめて考えてみてください。例えばKGIを「体脂肪率○%」とした場合、KSFは「運動」「食事」、KPIは「ランニング○㎞」「毎日タンパク質○%摂取」などが考えられます。

OKRとの違い

OKRは「Objectives and Key Results」の略称で、日本語では「会社全体で達成すべき目標と主な成果」と訳します。ビジネスで使われる目標設定・管理のためのフレームワークで、目標とともに成果も設定し、組織と個人の目標をリンクさせることで、企業のビジョンを浸透させて、一丸となって成長していくことを目指します。
アメリカのインテル社で生まれ、Googleをはじめとする欧米の企業で活発に取り入れられている手法です。

 

OKRとKPIはどちらも目標管理に使われる指標ですが、用途が異なります。OKRは企業全体に対して行われますが、KPIは個人・部署ごとなど、小さな範囲で実行されます。

 

またOKRは目標設定のためのフレームワークであり、従業員のモチベーションの管理に優れています。一方でKPIはゴールの途中にある中間目標であり、ゴールまでの進捗をはかる指標として使われます。

KPIの具体例

一例として、マーケティング、営業、人事、システム開発で使われるKPIを紹介します。

マーケティング部門のKPI例

  • 新規顧客獲得数
  • 新規顧客の獲得単価
  • 新規商談数
  • 商談単価
  • 有効リード数
  • 獲得リード数
  • 顧客満足度
  • Webの場合はPV数、直帰率など

 

マーケティングでKPIを設定すると、最終的な売上目標へ向けたプロセスを可視化できます。KPIを達成できない場合は「改善の必要があり」と判断できるので、最適なマーケティング施策の実行に役立つでしょう。

営業部門のKPI例

  • アポイント件数
  • 成約率
  • 新規受注件数/社数/金額
  • 新規提案件数/社数/金額
  • 平均受注単価
  • 新規提案からの受注率
  • 新規商談からの提案率
  • 新規商談数
  • 個人の売上高

 

営業部門でKPIを設定すると、個人の業績の可視化に役立ちます。公平な人事評価が可能になるので、モチベーション向上も期待できるでしょう。目標達成できた人とできなかった人が明確になるので、なぜこうなったのか、現状分析もしやすくなります。

人事部門のKPI例

  • 採用人数
  • 応募者数
  • 一人あたりの採用コスト
  • 内定辞退数
  • 定着率
  • 離職率
  • 従業員の平均勤続年数
  • 研修の満足度
  • 研修コストの費用対効果

 

人事部門では採用や社内の人材管理など、様々な業務があります。KPIを設定する場合は、目的に応じて使い分けると良いでしょう。

 

採用:応募者数や採用人数、内定辞退数、一人あたりの採用コストなど
人材育成:スキルや資格保持者数、研修満足度、研修コストなど

 

人材管理:新卒/非正規/中途社員の比率、定着率と離脱率、上司と部下の適正度合い、業務目標の達成率、一人あたりの生産高や利益など
組織運営:部門別の残業集、有給消化数、育児休暇などの取得率、業務改善の実施件数や会議の件数・時間など

 

採用の場合、採用活動の効果だけでは全体的な本質をとらえることができません。入社後の業績、配置部署の満足度、定着率や離脱率など全体的な視点からKPIを考えるのが大切です。

システム開発のKPI例

  • エラー件数
  • テスト終了件数
  • 標準化率
  • 進捗率
  • 稼働率

 

システム開発のKPIは、QCD(品質・コスト・納期)が中心になります。KPIにエラー件数を設定するとモチベーション向上につながるほか、KPIにテストの終了件数などを設定すれば進捗状況の把握に役立ちます。

KPIの設定方法

KPI設定の具体的な手順を紹介します。

①最終目標(KGI)を設定する

まず初めに、最終目標となるKGIの指標を決定します。KGIは「いつまでに」「どれだけの数字を達成するのか」が明確に分かるものを設定してください。

 

具体的には以下のような指標をKGIに設定するのが一般的です。

 

  • 売上高、営業利益など:(例)「売上600億円を達成」
  • 売上総利益、成約数など:(例)「前年度比150%を達成」
  • 市場シェア

 

「半期の売り上げ1,000万円達成」「既存顧客へのメールアンケートで満足度85%を獲得」など。達成したかどうかが一目でわかる目標を設定しましょう。

②KSFを設定する

KGIを考えたら、KSFを設定します。例えば、KGIで「ECサイトの売り上げ1,000万円達成」とした場合、KSFは「SEO対策」「広告出稿」「SNS運用」などが考えられます。

 

KSF設定で悩む際は、KGI達成のために必要なステップを洗い出してみましょう。KSFに具体的な数値を入れる必要はありませんが、一度ゴールまでに必要なものを数値化させ、ざっくりと必要なKPIを考えてからKFSを選定してみてください。

 

またKSFは、市場の動向や競合の参入・撤退といった「外部要因の分析」と、自社の強みなどの「内部要因の分析」の2つの分析によって特定できます。分析結果を具体的な戦略に落とし込んでいくことで、現実的かつ効果的な事業計画の策定が可能です。

 

KSFを設定したら、過去の実績などから、本当にKGIへつながるKSFになっているのかも確認しましょう。

③KPIを設定する

KPIは実現可能なもの、かつ、定量的で計測できるものを設定してください。人によって理解が異なるようなあいまいな表現は避けます。

 

・例
KGI=「売上600億円を達成」とした場合、
KPI=「コンバージョン率8%を目指す」「集客数30万件を目指す」など
KPI=「自然検索流入数100万件を目指す」「社名検索流入数10万件を目指す」など

 

またKGIと同様に、「いつまでに達成すべきか」の期間も定めます。測定に時間や手間がかかるものは運用が複雑になるので避けた方が良いでしょう。KPIを達成していくことで、最終的にKGIが達成できるような内容にすることが大切です。

 

KPI設定と同時に次に紹介する「KPIツリー」も考えてください。

④KPIツリーの作成

KPIツリーとは、組織や企業の大目標であるKGIを頂点として、複数のKPIが枝葉のように広がっていくロジックツリーです。KPIツリーを作成するとプロセスの可視化に役立つほか、目標達成のために必要な要素・要因を網羅的に把握できます。KPI管理に欠かせません。

 

まず頂点にKGI(最終目標)、次にKSF(最終目標達成に必要な要素)、最後に複数のKPI(最終目標達成のための中間目標)が広がっていくように考えます。

 

KPIツリーの組み立て例

KPIはKGIを達成できる、現実的な数値を設定してください。

KPI設定で意識したい「SMART」の法則

KPIを設定する際は「SMART」を意識することが大切です。

Specific(明確性) :誰が見てもわかる指標を設定する

誰が見ても分かるものを設定しましょう。設定があいまいだと、いま何をすれば良いのか理解できなくなります。例えば「売上を増やす」といったあいまいなものではなく、「○○製品の売上を、昨対比120%にする」など具体的に設定します。

Measurable(測定可能):数値として測定可能なものにする

正しく評価するために、数値で測定できるものを設定します。例えばKPIを「顧客満足度向上」にしたい場合、「昨年より20%向上」「リピート率80%」など数値を伴う、測定可能な内容にしましょう。

Achievable(達成可能) :達成できそうなKPIを設定する

達成が困難なKPIは上手く機能しません。また社員のモチベーション低下にもつながります。現実的で、達成まで努力・工夫をすれば誰でも乗り越えられるような内容設定が大切です。

Related(関連性) :一連の流れを関連性のあるものにする

「売上」に関するKGIに対して「従業員の手当を増やす」といったKPIは関連性がわかりません。KGIに関係のある内容を設定してください。

 

またKGIは組織としての目標ですが、KPIは個人や部署の目標になります。ここで乖離が起きないように注意しましょう。KPI達成が最終的にKGI達成(組織全体の利益)につながるような内容を設定してください。

 

KPIツリーで見た際、上で設定している要素と関連性のある内容にすることが重要です。

Time-bounded(適時性):期間を定める

ダラダラと続けないように、期限を定めます。年間の売上を向上させたい場合は、1年、半年、3ヶ月、1ヶ月、1週間などに細分化させて短期的・中長期的な行動計画を設定するとよいでしょう。

KPI設定で大切なこと・ポイント

KPIを達成するために大切なことを紹介します。

行動しやすいKPIにする

KPI設定で大切なことは周囲に納得してもらうことです。

 

せっかく設定しても、意識してもらえないと意味がありません。周囲の理解が得られない場合はKPIが複雑すぎる、なぜやるのか納得できない、といった意識が原因になることが多いようです。複雑なKPIにせず、場合によっては理解促進のために勉強会や教育プログラムを実施することも必要でしょう。KPIは1組織・個人に対して最大10個、適量は3~5個といわれています。

論理的思考で考える

MECE(ミーシー)を意識して、重複が無く、かつ、漏れが無い状態を目指しましょう。MECEは、Mutually・Exclusive・Collectively・Exhaustiveの略で、「モレなく、ダブりなく」を意味する造語で、ロジカルシンキングの基本として使われます。

 

Mutually(互いに)
Exclusive(重複せず)
Collectively(全体的に)
Exhaustive(網羅的な)

 

論理的に達成できるKPIを設定していない場合、KGIの達成は困難です。また、重複したKPIを設定してしまうと、無駄なリソースを割くことになりかねません。KPIに含めるべき内容に漏れがあると、スタートからやり直しになる恐れもあります。
KPIを考える際、特にKPIツリーを設定する際はMECEを意識し、論理的に考えましょう。

優先順位を決める

目標達成には複数のKPIが想定されます。まず何に取り組むべきか、優先順位の決定も大切です。優先順位は上位のKPIに対する影響や実現のしやすさなどから考えると良いでしょう。

 

階層を深くしすぎて、KPIツリーの構造が複雑化しないよう注意してください。

状況に合わせてアップデートさせる

はじめから完璧なKPIを設定するのは難しいでしょう。実行していくうちに、問題や改善点がみられたら、その都度目標値を見直すなどのアップデートをするのも大切です。

主担当部署だけで完結させない

例えばWebマーケティングの場合、結果にはマーケティングだけでなく、営業や関連部署の行動も大きく関わってくる場合があります。関連部署もKPIを意識してもらい、ときには話し合って改善していくのも大切です。

失敗しやすいKPIの特徴

成功するために必要なことばかり考えると、失敗例を見落とす可能性があります。ここでは失敗するKPIの特徴を紹介します。

 

失敗しやすいKPIは、いままで紹介してきた内容を逆に考えてみましょう。特に、先に紹介した「『SMART』の法則を逆にしたもの」を考えてみてください。

 

  • 曖昧、見る人によって意味が変わる
  • 測定できない
  • 達成が難しい
  • KGI達成との関連性がない
  • 期限がない

 

KPI設定で悩む場合は「失敗しやすいKPI」という視点から考えてみるのもおすすめです。

まとめ

KPIは効率的に事業目標を達成するために欠かせない指標です。適切なKPIを設定できれば、最短でKGIを達成でき、さらなる利益拡大へとつながります。

 

適切にKPIを運用するにはデータを収集し、数値を測定・分析するための環境が必要になります。MAツールやKPI測定のためのツールを取り入れて、リアルタイムに数値が可視化でき、スムーズにデータ収集ができるように環境を整えると、PDCAを素早く回せるほか、より良い知見が得られるでしょう。

 

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Wed, 08 Nov 2023 16:51:54 +0900
<![CDATA[Webマーケティングとは?初心者でもわかる基礎知識!始め方・成功事例も紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/web_marketing Webマーケティングとは、Webサービスを用いて行われるマーケティング活動のことです。オンラインでの集客からサイト上における期待するアクション(購買・問い合わせ等)を促す活動を指し、主にWeb担当者やマーケティング担当者が実施する施策となります。大きく分類すると「集客施策」「回遊施策」「顧客育成施策」などの施策があり、ユーザーに見つけてもらい、ゴールとなるアクションへと導く一連のプロセスをWebマーケティングと呼ぶことができます。

 

本記事ではWebマーケティングの施策に関して、Web担当やマーケターになりたての初心者、これからWebマーケティングを活用していきたい経営層の方向けに基礎的な知識をまとめてご紹介いたします。

 

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Webマーケティングとは?

「Webマーケティング」を一言でまとめると、WebサイトやWebサービスを用いて行われるマーケティング活動のことです。オンラインでの集客活動からサイト上での購買や期待するアクションを促す活動を指し、類似する概念としてデジタルマーケティングがあります(違いは後述)。

 

 

Webマーケティングとは 

 

Webサイトに対して集客を行い、サイトを回遊してもらい、最終的なコンバージョンにつなげる一連の施策が該当し、代表的なものとしてはSEOやWeb広告、CRO、EFOなどが挙げられます。また、Webサイトのリニューアルを通してデザインや使い勝手を一新し、引き合いを増やすことなどもWebマーケティングの施策の1つです。

 

 

Webマーケティングの具体的な施策

 

そもそもマーケティング(コミュニケーション)では、適切なターゲットに適切な情報を届け、購買につなげることを目的とします。Webマーケティングでは、そういったマーケティング活動をWeb上にて行うことが特徴です。

 

>かつてはBtoCの一般コンシューマー向けの施策が中心だったWebマーケティングですが、今ではBtoB企業でも取り組むことが当たり前となりました。BtoB企業の情報収集においても、事前にネットで調査したり、普段から目にする会社に声をかけたりすることが増えているからです。そのため、Webサイト等の最低限の基盤作りやWeb広告等に取り組むことで、商談を獲得する企業も増えています。

 

例えば下記の図の中で言えば、赤く囲った部分がWebマーケティングの活動範囲です。

 

商談数を増やす施策の一覧

 

ちなみに、Webマーケティング施策は中小企業や地方の企業にこそチャンスがあります。接点がない場合や、地理的な理由で普段はアプローチできない場合でも、自社の技術力やサービスの魅力を知ってもらうことができるからです。本記事も、そういった方々の力になれるよう、様々なノウハウや情報を提供していきます。

 

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Webマーケティングとデジタルマーケティングの違い

Webマーケティングは、あくまでの「デジタルマーケティングの一部」です。両者は混同される傾向にあるため、ここで違いを明確に理解しましょう。

 

デジタルマーケティングとは、メールマーケティングやCRMなど、デジタルを活用したマーケティングを指しますが、その中にWebサイト(コーポレートサイトやECサイト、ランディングページ)やSNS、Web広告を駆使して実施する「Webマーケティング」が内包されています。

 

Webマーケティングやデジタルマーケティングの概念を図解すると、以下のようになります。

 

マーケティングやWebマーケティング、デジタルマーケティング

 

今回の記事では「デジタルマーケティング」の解説は割愛しますが、あくまでWebマーケティングは手段の一つだと覚えておくとよいでしょう。

 

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Webマーケティングの重要性の高まり

なぜ、Webマーケティングの重要が高まっているのか。ここでは大きく2つの理由を挙げます。

1つは、Webが身近な存在になり、消費者(見込み客)が、情報収集から比較検討、購入までの一連の購買活動のなかでWeb媒体に触れる機会が増えた時代背景です。

商品・サービスの認知も、以前はテレビや新聞、雑誌といったマスメディアのCMや報道からだけだったところから、Web広告やWebコンテンツ、SNSを通して行われる機会が増え、類似商品との比較検討や、実際に商品・サービスを利用した人からの口コミをWebサイトで閲覧して購入の判断が行われるようになりました。最終的な購買もECサイトで行われ、購買活動がすべてWeb上で完結してしまうケースも少なくありません。スマートフォンの登場でネットショッピングがより手軽に行えるようになったことも影響しているでしょう。

Webマーケティングが重要であるもう1つの理由は、Webマーケティングが効果測定をしやすいマーケティング手法であることです。

たとえば、マスメディア上の広告が何人の目に触れ、どのくらい興味を持ってもらえたかを把握するのが難しいのに対し、Web広告なら表示回数やクリック回数、ECサイトへの流入数など、各施策が持つ指標について数値で結果を把握できます。

効果測定が行えることで、次回以降に行う施策の改善につなげられますし、効果が出ていることが示せれば社内で予算取りもしやすくなるでしょう。

このような「消費者(見込み客)」と「マーケティング担当者」両面での必要性により、Webマーケティングの重要性は高いといえます。

webマーケティングの検索ニーズデータ

Webマーケティングの種類・基本手法

Webマーケティングの種類や基本手法について、以下の手法を紹介します。

  • SEO
  • Webサイト運営
  • メールマーケティング
  • SNSマーケティング
  • コンテンツマーケティング
  • 動画マーケティング
  • チャットボット(Web接客)
  • Web広告

SEO

SEOとは、「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略で、検索エンジンにより上位に自社サイトが掲載されるようコンテンツを最適化することです。Webマーケティングにおける集客手法の中では定番と言えるでしょう。

検索サイトで上位に表示されれば、それだけ自社のWebサイトがユーザーの目に留まりやすくなり、アクセス数も期待できます。

自社サイトにSEO対策を施して、まずはアクセス数アップを目指します。ただ、アクセス数を増やすことが最終目的ではなく、ゴールはコンバージョン(購入、お問い合わせ、資料請求など)や商談を増やすことなので、それを踏まえてSEO施策を行うことが大切です。

SEOのメリット

  • 社内のリソースを使って無料で取り組める
  • Web広告よりもクリック率が高い
  • アクセスが安定しやすい

SEOのデメリット

  • 効果が出るまでに時間がかかる
  • 手間ヒマ(工数)がかかる
  • 常に最新のトレンドを知っておく必要がある

SEOを基礎から確認したい方へおすすめの項目リストです

SEOチェックリストのダウンロードはこちらから

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Webサイト運営

Webマーケティングにおいて最も基本的な手法は、自社のWebサイトを制作・運営することです。

Webサイトを運営する一般的な目的は、何らかのコンバージョンを得ることであり、ECサイトであれば商品の販売を、ブランドサイトであればブランドの認知などを図ります。

具体的には、サーバーの管理をはじめ「掲載するコンテンツの追加・更新」「Webサイトの分析・改善」「問い合わせへの対応」などの業務を行います。自社サイトを管理しながら、ユーザーの需要を満たすコンテンツを提供することが必要不可欠です。

本章で紹介しているWebマーケティング手法は、基本的に自社サイトへユーザーを集客することを目的としています。

メールマーケティング

メールマーケティングとは文字通り、メールを用いたマーケティング手法です。以下のような種類があります。

メールマガジン:興味がある商品・サービスや趣味・思考は分からないが購読を希望しているユーザーに向けてメールを一斉送信する。
ステップメール:ユーザーの検討の度合いやアクションに応じて、あらかじめ準備しておいたストーリー性のある複数のメールを、設定したスケジュールに沿って自動的に送信する。
パーソナライズドメール:メルマガとは違い、ユーザーの行動履歴などに応じて最適なタイミング・内容でメールを送信する。

メールマガジンの本質は、最終的なゴール(購入などのコンバージョン)から逆算して、お客様にどんな情報を与えれば行動してくれるか?を戦略的に考えて配信していくことにあります。どの手法も、ユーザーとの関係構築を図るのに有効な手法です。

以下がメールマーケティングのメリット・デメリットです。

メールマーケティングのメリット

  • 低コストでスタートできる
  • 高いROIが期待できる

メールマーケティングのデメリット

  • 見込顧客のメールアドレスを取得しなければ施策が行えない
  • 即効性が出にくく、長期的な運用が必要になる
  • 配信スケジュールの作成など、手間ヒマがかかる

メールマーケティングに関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。

メールマーケティングとは?成功事例や目標設定方法などを集約しました!

SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを活用して、販促や集客の仕組みを構築するマーケティング手法を指します。ユーザー同士のつながりと拡散力を利用して情報配信を行うのが特徴です。

公式アカウントを運用する他にも、各SNSのプラットフォーム上での広告配信や、インフルエンサーの起用、SNSキャンペーンの実施など、様々な手法があります。

主要なSNSとしては、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)、LINE(ライン)などがありますが、それぞれ、ユーザー傾向やSNS機能の特徴が異なり、自社の商品・サービスとマッチするSNSを選ぶことが大切です。

たとえば、Facebookは実名登録が多く、日本の場合、ユーザーの年齢層も30~50代が多いことからBtoBの商品・サービスのプロモーションに向いているといわれています。

一方、自社でのSNS運用の有無に関わらず、SNSにおける炎上対策も重要です。SNS上で企業アカウントから発信した内容から、オフラインでの企業の対応(接客・サポートなど)、広告の内容などまで、一人のユーザーが発端となり、またたく間に炎上してしまうケースが相次いでいます。

SNSの運用ガイドラインを決めたり、炎上した際のフローを決めておくなど、他部署とも連携しながら事前に取れる対策を取っておくことが望ましいです。

SNSの炎上対策に関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。

明日は我が身。SNSが炎上したときのフロー、整備できてますか?

コンテンツマーケティング

 

これからコンテンツマーケティングを始める方へおすすめの資料
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動画マーケティング

チャットボット(Web接客)

チャットボット(Chatbot)とは、「チャット(Chat)」と「ボット(bot)=ロボット」を組み合わせた言葉で、コンピューターが人間の代わりにテキストや音声を使って会話をする「自動会話プログラム」を指します。

 

ウェブサイトは掲載したあと、訪問客が問い合わせや資料請求などをおこなうまで企業側からできるアプローチがほぼありません。しかしチャットボットを導入すれば、「何かお困りですか?」「質問はこちら」などと訪問客にアクションを促せます。

訪問客の動きに合わせて「資料請求はこちら」「メールマガジンを登録」など、最適なものを表示すれば、顧客情報やメールアドレスなどを獲得するチャンスも増やせるでしょう。

 

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Web広告

Webマーケティングにおいて、集客の役割を担うのが広告です。先述したSEOも集客施策の一つとされていますが、以下では主な広告手法を紹介します。

Web広告をご検討している方におすすめのサービスの比較表です。

Web広告サービスの比較のダウンロードはこちらから

リスティング広告

集客施策であるSEOの「即効性に欠ける」という点を補うため、SEOと並行してリスティング広告を併用することをおすすめします。

リスティング広告とは検索連動型広告のことで、ユーザーが検索したキーワードや閲覧しているWebページに連動した広告が表示されるものです。ユーザーのニーズ・興味に合わせた広告を表示させることで、広告効果が期待できます。

SEOの効果が出るまでの期間、短期的に一定数のアクセスを集めるために最小限でリスティング広告を活用すると良いでしょう。

リスティング広告のメリット

  • 即効性がある
  • ターゲットをピンポントに狙える
  • SEOで狙うべきキーワードを選定できる
  • 小額からでも始められる

リスティング広告のデメリット

  • コスト(広告費)がかかる
  • ユーザーに「広告」だと認識されるため、クリックしてもらいにくい

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アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とは、Webサイトやブログ、メールマガジンなどにリンクを掲載し、そのリンクから訪れたユーザーのコンバージョンにより報酬が発生するタイプの広告のことです。 ほかのWeb広告のようにユーザーが見た段階では広告料が発生せず、コンバージョン(資料請求、サンプル請求など)されて初めて広告料が発生するという点が大きな特徴です。

BtoC向きの広告手法で、特に会員登録や資料請求、ECサイトからの購入を促す際の利用がマッチします。

アフィリエイト広告を出稿する際は、基本的にASPというサービスを利用することになり、ASPの利用料は固定費で毎月かかってきますが、ASPを通してアフィリエイターに選ばれず掲載すらされないリスクがあります。

広告の出稿先としては、大きく「法人サイト」と「個人サイト」があり、法人サイトでは登録会員に発行したメールマガジンなどからWebサイトに誘導します。個人サイトでは、商品・サービスの紹介ページやブログ記事からバナーなどで誘導するケースが多いです。

アフィリエイト広告のメリット

  • コンバージョンするまで広告費が発生しないため、CPAを低く抑えられる

アフィリエイト広告のデメリット

  • 月額固定費(ASP利用料)がかかる。
  • アフィリエイターに選ばれないと掲載すらされない
  • アフィリエイターが不正表示や誇大広告をしていないかチェックする必要がある。

アドネットワーク広告

アドネットワーク広告とは、複数の広告媒体を集めた広告配信ネットワークにより、複数のWebサイトで同時に広告配信する広告手法です。

通常、複数の媒体へ広告を出すには、それぞれの媒体と個別の契約を行う必要があり、出稿形式や料金形態も各媒体によって異なるので手間がかかるというデメリットがあります。

しかし、アドネットワーク広告を利用すれば、これらをアドネットワーク業者に一括で任せられ、異なる媒体の広告効果(結果)データを同形式で受け取ることが可能です。

アドネットワーク広告のメリット

  • 1社との契約で複数メディアに同時に広告を配信できる

アドネットワーク広告のデメリット

  • アドネットワーク業者の持つ媒体に一様に掲載されるため、ターゲットが異なる媒体にも出稿され、ムダが生じる

SNS広告

LINEやTwitter、FacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に広告を出稿するものです。

ユーザーは、SNSの利用に際してプロフィールを登録するため、その情報にもとづいてターゲティングして出稿できます。また、ユーザーによる拡散も狙えます。

SNS広告のメリット

  • 広告費が比較的安価
  • ユーザーの拡散効果が見込める

SNS広告のデメリット

  • 日本ではSNSの利用者層が比較的若いため、中高年向けの商品・サービスでは出稿しづらい

 

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リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、あるWebページで表示した広告を、同じユーザーが訪れた別のWebページでも表示する手法です。閲覧者の認知度と訴求力を高める効果があります。

特に、BtoBの商品・サービスの場合、一度、Webサイトに訪れてその場ですぐに購入するということはあまり考えられませんので、何度もサイトに足を運ばせてそのサイトの信頼度を上げることが重要になります。

リターゲティング広告の仕組みは、WebサイトにJavaScriptタグやイメージタグを設置しておき、そのサイトを訪れたユーザーの使用しているブラウザに特定のIDを書き込んだcookie(クッキー)を付与します。そのcookieを持つブラウザが広告枠のあるページを訪れたらリターゲティング広告を配信するというものです。

リターゲティング広告のメリット

  • 興味のあるユーザーに何度もWebサイトを訪れてもらうきっかけになる
  • コンバージョンしなかったユーザーを追いかけられる

リターゲティング広告のデメリット

  • ユーザーがしつこいと感じ、逆効果になる可能性がある
  • 一度、訪問したことがあるユーザーにしか広告を見せられない

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Webマーケティングの回遊施策

ユーザーがWebサイトに訪れた後に目的のページへと遷移していくことを「回遊」と呼びます。せっかく訪れたユーザーがすぐに離脱してしまったら意味がないため、回遊施策を実施してより多くのページを回遊してもらう必要があります。 

また離脱の中でも、ユーザーがWebサイトを訪れたあと、1ページだけを見てほかのサイトへ移動してしまうことを「直帰」といいます。

そのページにユーザーの知りたい情報がすべて揃っており満足して離れたというケースも考えられますが、より踏み込んだ情報や次に知りたいであろう情報への導線をしっかりと整備しておくことで、ユーザーの満足度も高めることが可能です。結果として、コンバージョンや商談の創出へと繋がる可能性が高まります

具体的な回遊施策は、まずWebサイトの構造をメッシュリンク構造にしてあげることです。上の階層から下の階層へのリンクだけでなく、「パンくずリスト」やページ下部に上の階層へのリンクボタンを置いたり、関連情報が別ページにあればリンクを張るように意識しましょう。

Webマーケティングにおける理想のサイト構造

https://mtame.jp/content_marketing/how_to_navigation_summary

ユーザーにWebサイトを回遊してもらい、最終的にコンバージョンにつなげるために有効なのが「LPO」と「EFO」という施策です。それぞれ、以下で詳しく解説します。

LPO

LPOとは、Landing Page Optimization/ランディングページ最適化」の略で、リスティング広告などWeb広告からの流入先=ランディングページでコンバージョンさせるために、訪れたページにユーザーの興味をひきつけ、離脱させないようにページを改善する施策を指します。

ランディングページにおけるコンバージョンでよくあるのが、見積請求、サンプル請求、購入です。ランディングページは、ユーザーがコンバージョンするために十分な情報を簡潔にまとめましょう。具体的には以下のような要素が必要です。

  • メインビジュアル、キャッチコッピー
  • ユーザーの共感を呼ぶような問題定義メッセージ
  • その解決方法としての商品・サービスの提示
  • 商品・サービスの特長やつよみの訴求
  • 信頼性の訴求(実績・お客様の声・データの裏付けなど)
  • 特典の紹介(割引、無料お試し、プレゼントなど)
  • CTAボタン(お申し込み、資料請求など)

ただ、いくらLPOを行っても、そもそも設定したキーワードとランディングページの内容がかけ離れていれば、離脱率は下がりません。キーワード選定の見直しや、キーワード別にランディングページを複数用意するなどの対策も検討しましょう。

EFO

EFOとは「Entry Form Optimization(入力フォーム最適化)」の略で、ユーザーがストレスを感じずに入力項目を最後まで入力してフォーム送信しやすくする施策を指します

多くのWebサイトでは、コンバージョンとして「お問い合わせ」を設定することが多いかと思いますので、フォームを改善するだけで、コンバージョン率をグッと上げることができます。 逆に、せっかく回遊施策を行ってユーザーにフォームにたどりついてもらったのに、ここでストレスを与えて離脱させてしまっては、すべてが水の泡になってしまいます。

フォームは、Webサイト運営者が見込み客の個人情報を得られる数少ない手段の一つなので、できるだけ詳しい情報が欲しいところですが、入力する側の立場に立ってみると、入力項目が多かったり細かかったりすると面倒になり、フォーム送信を途中でやめてしまう可能性もあります。

基本的な考え方は「ユーザーにストレスを与えずに入力・送信してもらう」こと。具体的には、入力項目を減らしたり、プルダウンやチェックボックスで選択させるなど入力の手間を省いてあげることです(もちろん、選択肢の数も多すぎないことが重要です)。

EFOに関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。

EFOとは?コンバージョンを増やすための対策や成功事例、ツール10選を紹介

Webマーケティングの始め方・流れ

ここまでWebマーケティングの施策をご紹介してきましたが、いきなりすべてを始めるのは難しいかと思います。そこでここからは、特にBtoBの企業が「これからWebマーケティングを始める場合」におすすめの流れをご紹介いたします。ぜひ自社の施策設計の参考にしてください。

1.目的・ゴールの明確化

まずはじめに、Webマーケティングを行う目的と、最終的なゴールを具体的に設定します。漠然としたものではなく、数値化した明確なゴールを設定することが重要です。

全体の中でのWebマーケティングの役割を明らかにすることが、目的・ゴールを明確化する際の手助けにもなります。目標を達成しているかどうかをしっかりと計測するために、具体的なKGIを設定し、それを実現するための予算とアクションなどを数値化します。

2.ターゲット・ペルソナ・カスタマージャーニーの設定

目的・ゴールを設定したら、自社のビジネスのターゲットを明確にします。ここをしっかり行っておかないと、誰に向かってコンテンツを配信する必要があり、何が不足しているかの判断が難しくなってしまいます。

具体的なターゲットを設定する際には、ペルソナやカスタマージャーニーという考え方が役立ちます。

「ペルソナ」は、年齢や性別などの各種項目について詳細に設定した人物像を指し、より詳細且つ明確なターゲットを絞ることで有効なアプローチがかけられるという考え方です。

「カスタマージャーニー」は顧客がどのように商品の接点を持ち、どんな強みに関心を持ち、購入にまで至るのかという「顧客が購入に至るまでのプロセス」を指し、それを可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」といいます。これを活用することで、顧客に対して最適なタイミングでアプローチすることができ、商談成立や売上向上へと繋がる可能性が高まります。

例えば下記は、BtoB製造業の顧客の中で製品が検討されるフローのサンプルです。ペルソナやカスタマージャーニーという考え方を活用して、こういった流れを整理したうえで、自社のターゲットを明らかにしていきましょう。


とある企業の検討フローと担当者の行動例▼

Webマーケティング視点でのカスタマージャーニー



求められる情報の整理▼

Webマーケティング観点での求める情報の想定

 

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「ペルソナ」とは?マーケティングにおけるペルソナの使い方、設定の方法や注意点を解説!

ペルソナ設定って?作り方は?~顧客の心動かすマーケティングの基礎~~

【無料テンプレートあり】カスタマージャーニーとは?メリットデメリットから作成の手順までを解説!

3. Webサイトの整備

Webサイトを整えることも非常に重要なステップです。最低限の受け皿となるWebサイトが整備できていないと、いくらSEOや広告に注力して集客できたとしても、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。

具体的には「しっかりとお問い合わせの導線があるか」「デモ機の貸し出しフォームは設置されているか」「資料請求の導線はファーストビューにあるか」などの基本的な項目をチェックし、整えていきます。

特に重要なのはファーストビューとCTA(問い合わせの導線)です。まずは第一印象で貴社が何の企業なのかがはっきりわかるようにし、促したいアクションが明確にわかるような導線を設置しましょう。

最低限の施策として、実施することで成果につながりやすくなる上、内容によっては比較的低予算で実施できる場合もあります。

 

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とはいえ、最低限の基盤が整っていない場合はWebサイトのリニューアルをおすすめしています!
流れや必要なものに関しては下記の記事をご参照ください!

【2023年版】成果を出すWebサイトのリニューアルの進め方とは?手順から費用感、準備項目などを解説

 

4.施策や手法の検討・選定

どのWebマーケティング施策や手法を行うのかを検討・選定します。「ターゲットがどこから流入してくるのか」という仮説を立てて検討することが大切です。

目的や状況によっては、一つの施策だけではなく、複数の施策を組み合わせて実施することでより効果を発揮できることもあります。

集客施策に関しては、先述したカスタマージャーニーマップを作成する段階である程度想定しておくとスムーズです。全体像を俯瞰して、最適な手段を選べるようにしましょう。

 

5.KPIの設定

ここまで決まったら、最初に決めた最終的なゴール(KGI)に対して、途中経過での目標となるKPIを設定しましょう

KPIとは、ゴールまでのプロセスにおける達成状況を確認するための、定量的な指標を指します。詳しくは、次章の「WebマーケティングにおけるKPIの例」で紹介しますが、設定する際には最初に定めた最終ゴールから逆算して数値化することが大切です。

設定することで、達成への最短ルートを築けるほか、評価基準を統一できる、PDCAサイクルの円滑に回せるなどのメリットがあります。 

6.施策の実施とデータの収集

KPIが設定できたら、選定したWebマーケティングの施策を実行しましょう。また後述する分析と改善に活用するために、施策のデータを収集する必要もあります。

設定したKPIをどのように測定するのかを考え、施策を実施する際にはデータを収集できる環境を整えておくことをおすすめします。

7.収集したデータの分析

収集したデータを分析する際には、Googleアナリティクスを活用することが多いです。具体的には計測したいユーザーのアクション(閲覧・クリック・ダウンロードなど)を決定して、データ取得の設定を行う必要があります。

MAツール(後述)を活用して、最低限のトラッキングを行うという手もあります。CVにつながらなかった企業や、CVに繋がったものの受注につながらなかった案件などをトラッキングしてログをためておくことで、マーケティング活動の効率化へと利用できます。

弊社で提供しているBowNowも無料から使えるMAツールです。まずはこういったものから始めて、ミニマムの成果を出すのが良いかと思います。

>無料で使えるマーケティングオートメーション「BowNow(バウナウ)」

8.課題の発見と改善

 

収集したデータの分析から得られた結果をもとに課題を見つけ、改善策を練りましょう

最初に設定した目的とゴールが達成できているのかを確認し、達成できていない場合は原因を突き止め、その差異を埋める改善策を検討します。全体のPDCAをしっかりと回し、施策を広げていくのがおすすめです。

Webからの成果が上がっているのにアポイントや商談が増えない場合は、視野を広げた改善が必要になります。マーケティング部門と営業部門で協力して、成果を最大化できるようなアクションプランを作りましょう。



pdca

 

以上、ざっと流れを書いてみました。企業の状況によって順番は前後しますが、大事なのはリソースや予算に見合った施策を行い、短期的な成果を出しつつ、長期的な施策の準備を進めていくことです。

そうなると必然的に、Webマーケティング以外の施策に幅が広がっていき、MAやSFAを活用した本格的なデジタルマーケティングに取り組むようになります。地に足つけて、少しずつ自社のデジタル化に取り組んでいきましょう。

WebマーケティングにおけるKPIの例

WebマーケティングにおけるKPI(「重要業績評価指標」)は、最終的な目標であるKGIの達成に必要なプロセスを具体的かつ定量的に細分化し、具体的な期限や数値を以て具体的に設定します。

たとえばKGI=「売上600億円を達成」であれば

①KPI=「コンバージョン率8%を目指す」「集客数30万件を目指す」

②KPI=「自然検索流入数100万件を目指す」「社名検索流入数10万件を目指す」



など、最終的な目的を達成するために、相関するような指標を置く必要があります。


また、KPIを整理する際に便利なフレームがKPIツリーです。

KPIツリーの策定には、企業や組織の目標とそれを達成するための思考やアクションが一目瞭然になる、ボトルネックとなっている問題が把握しやすくなる、施策の効果検証がしやすくなるといったメリットが挙げられます。

 

下図はWebサイトのマーケティング施策におけるKPIツリーの組み立て例です。

WebマーケティングにおけるKPIツリー



よくある失敗例として、最終的なゴールを意識せずに「検索順位〇位」「セッション数〇%アップ」といったわかりやすい指標に逃げてしまうことです。これ自体が間違っていると一概には言えないのですが、目的なきKPIは効率が悪いので、どうしてそのKPIをおく必要があるのかをしっかり考えたうえで、設定するようにしましょう。



参考図:WebマーケティングのKPI設計例

WebマーケティングのKPI設定例

Webマーケティングを成功に導く4つのポイント

Webマーケティングを成功に導くには、主に4つのポイントを意識する必要があります。

達成可能な目標を設定する

目的・ゴールを設定する際は、現実的に達成可能な目標を設定することが大切です。

達成不可能な目標を設定すると、適切な戦略を立てることができず、実態に伴わない施策のみが実行され、リソースを費やしても思うような成果が得られない可能性は高いでしょう。少し頑張れば手が届きそうな範囲の中で、現実的な数値を設定することをおすすめします。

長期的・継続的に取り組む

Webマーケティングは実施してすぐに成果が出るものではないため、長期的に且つ着実に取り組み続けることが重要です。

ケースによっては成果が得られるまでに数年かかることもあるため、早急に成果を出そうとせず、KPIを設定して定期的に状況を確認し、改善を重ねていきましょう。

質の高いコンテンツを提供する

コンテンツをただ提供するのではなく、ユーザーのニーズを満たし、且つユーザーにとって有益な質の高いコンテンツを提供することがWebマーケティングを成功へと導きます。

コンテンツの質が低いと、信頼性や売上が低下する可能性が高まります。設定したターゲットやペルソナにしっかりマッチしたコンテンツを制作し、それぞれの顧客に最適なタイミングで届けることが大切です。

継続的に分析・改善を行う

「施策を実施したら分析し、課題を抽出したら改善策を練って実行する」というサイクルを繰り返し実施することが大切です。

綿密に戦略を立てて施策を実施しても、一度で大きな成果が得られるとは限りません。また、一度課題を解決できたとしても、時間が経つと再び課題が生まれるケースもあります。

そのため、実施した施策の分析・改善を継続的に、繰り返し行うことが何よりも重要なのです。

Webマーケティングに必要なツール4選

ここからはWebマーケティングにおけるツールに関して具体的に紹介していきます。 

CMS

CMSとは、「Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)」の略で、HTMLの知識がなくても簡単にWebページを作成・公開したり、更新できるツールのことを指します。

Webマーケティング担当者は、新製品情報やキャンペーン情報などのタイムリーな情報を発信したり、アクセス解析結果をフィードバックしてWebサイトを改善するなど、Webサイトの更新作業を基本業務としてこなす必要があります。

ただ単にWebサイトを更新・運用するだけでなく、お問い合わせの管理や件数の効果測定なども行う必要がありますが、CMSにはそうした機能が付いているものもあり、Webマーケティング担当者の業務負担を大きく軽減してくれます。

WebマーケティングにおけるCMS導入のメリット

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マーケティングオートメーション(MA)ツール

「見込み客」の1人ひとりに対し、それぞれの検討段階に応じて必要な情報を提供し、購買ステップまで育成し「顧客」になってもらうことを「リードナーチャリング」といいますが、このリードナーチャリングの管理に活用したいのがマーケティングオートメーション(MA)ツールです。

マーケティングオートメーション(MA)ツールは、顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化してくれ、見込み客をフォローしたいが人手が足りず追い切れないといった悩みを持つ企業にうってつけのツールです。 有料のツールが多いですが、無料のものも出ています。

マーケティングオートメーションに関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。

マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説

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アクセス解析ツール

コーポレートサイト、商品・サービスの個別サイト、ECサイト、オウンドメディアなど、自社が持つWebサイトへのユーザーのアクセス状況に関する分析を行うためのツールです。有名なのは「Google Analytics(グーグル・アナリティクス」ですね。

どのくらいのアクセス数があるかだけでなく、Webサイトを訪れたユーザーがどのような行動をとっているかまでアクセス解析ツールを使って把握し、コンバージョン数(率)アップにつなげるためにWebサイト改善策を練っていきます。

Google Analyticsは、使い方を解説したWebページや書籍もたくさん出ていますが、自分で分析するのは手間だという方には、アクセス解析結果を自動で分析して改善方針まで立ててくれるツールも出ているので、活用してみると良いでしょう。

ABテストツール

ABテストとは、おもにランディングページの改善施策(LPO)として用いられるマーケティング手法で、ほぼ同じデザインのコンテンツの一部(画像やキャッチコピー、ボタンの大きさ、カラーリングなど)を変えた2つのうちどちらがよりユーザーの行動を促すかを比較することです。お金をかけずにコンバージョンを向上させることができます。

上記で紹介したGoogle AnalyticsにもABテストの効果測定ができる機能(ウェブテスト)があり、無料で2つのWebページを比較するABテストが行えます。無料のABテストツールはほかにあまりないため、こちらを使用してもっと本格的にテストしたい場合は有料ツールを検討すると良いでしょう。

Webマーケティングの成功事例6選

続いて、実際にWebマーケティングを導入した企業6社の事例をご紹介いたします。業界ごとにまとめておりますので、自社に近い事例がありましたらぜひ詳細の事例記事もお役立てください。

「新規顧客獲得を増やしたいけれど、Webサイトは活用できていない」という企業様は、Webサイトのリニューアルによって営業やマーケティングを強化した成果事例をぜひ参考にしてみてください。

Webサイトリニューアルを起点に営業を強化!CMS導入で成果を出したリニューアル事例まとめ

①OPNE前に有料会員900人の獲得に成功/株式会社アクシア(サービス業)

株式会社アクシアは、未就学保育事業、温浴事業、フィットネス事業と、サービス業を多角的に手がける企業です。

同社では、フィットネスクラブ施設を新設するに当たり、CMS「BlueMonkey」を利用した施設サイトを制作。LPページを作成して有料会員を募集し、施設近隣エリアでは広いワードでGoogle広告を出稿しました。加えて、ターゲットを絞ってFacebook広告を出稿し、認知拡大を図りました。

LPへ誘導するQRコードを掲載したチラシを作成し、リアル施策とデジタル施策の融合を図ったのも本事例の特徴です

その結果、施設OPNE前に有料会員900人の獲得に成功しました。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

②MAツールも活用し、効率的な集客と営業体制を構築/株式会社ヒューマンネット・コンサルティング(コンサルティング業)

株式会社ヒューマンネット・コンサルティングは、助成金・補助金のコンサルティングおよび手続き代行を行う企業です。

同社は元々、Webからの問い合わせが全くなく、リード管理もアナログできちんと案件管理できていなかった状態でした。CMS「BlueMonkey」を活用したサイトのリニューアルと共に広告運用やMAツール「BowNow」を導入したところ、Web集客ゼロの状態から2日に1回は問い合わせが来る状態に改善しました。

アナログからデジタル中心の営業へシフトし、現在はFAXを全く使用せず、Webサイト、Google広告、紹介だけで集客できる形に変わったそうです。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

③MA導入でメールナーチャリングから商談化を実現/竹内金属箔粉工業(製造業)

竹内金属箔粉工業は、各種金属箔、精密金属加工品の製造・販売、金属材料および金属粉の販売を手がける製造業を営む企業です。

同社では、Webサイトは持っていたものの、情報量も少なくあまり活用されていませんでした。Webサイト経由のお問い合わせもほとんど来ず、Webマーケティングツールとして機能していなかったといえます。

CMS「BlueMonkey」を利用したWebサイトのリニューアルを機に、マーケティングオートメーションツール(MA)「BowNow」を導入し、Webサイトへの流入データの分析に着手しました。さらに、Webコンサルティングサービスも導入。ホワイトペーパー施策も実施。

その結果、お問い合わせ数はリニューアル前から298%も向上。ニッチな業界だからと諦めていた新規顧客の獲得も、Webサイト経由で実現しました。ホワイトペーパー経由で獲得したリードに対するメールナーチャリングからの商談化にも成功しています。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

④営業方法を変えただけで契約数が前年比1120%に!/表示灯株式会社(総合広告事業)

表示灯株式会社は、駅や自治体などに設置している地図広告「ナビタ」を主力事業とする総合広告業を展開する企業です。

同社はコロナ禍により対面営業を軸とした営業活動に限界を感じていた際、インサイドセールス部門の設立をきっかけにMAツール「BowNow」とMAコンサルティングサービスを導入しました。

2022年7月から2022年12月までMAコンサルを受けながら、基礎的な知識を身につけていき、LP付きメルマガ配信を開始。その後は高速PDCAを回し、メンバー間での架電結果のシェアや検討度の高い見込み客の抽出、インサイドセールスのロープレなどを行いました。

商材の契約件数が前年比1120%を達成するほか、アポ数の増加、ホットリード数3000件の突破、平均よりも高いメール開封率・クリック率など、大きな成果が得られました。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

⑤ホットリードを抽出し、アポ率40%超/スターティアレイズ株式会社(サービス業)

スターティアレイズ株式会社は、クラウドストレージ事業、RPA関連事業を手がけるITサービス企業です。

同社では、本格的にマーケティングに取り組み始めるタイミングでMAツール「BowNow」を導入。マーケティング専任者を立ててから本腰を入れて運用を開始しました。

具体的には、展示会で獲得した名刺をMAツールに登録して、メール配信機能を使い「お礼メール」を配信。開封・ULRクリックといったアクションのあったリードを絞り込んで電話によるアプローチを行いました。

その結果、アポ率が40%を超えました

詳細は、こちらのページをご覧ください。

⑥MAツール導入後、デジタルマーケティングを一気に推進!/株式会社コーセイカン(印刷業他)

株式会社コーセイカンは、印刷業をメインに、印刷物の企画・デザイン・加工・発送だけでなく、デジタルコンテンツ事業(Webサイトの企画・制作・運用)など、多岐にわたる業務をワンストップで行っている企業です。

同社では、獲得したリードが放置されているケースを解決するため、そしてWeb集客を強化するという目的のため、MAツール「BowNow」を導入しました。MAツールを活用して、以下の施策を実施しました。

・LPで獲得したリードの受け皿としてBowNowフォームを利用し顧客情報を蓄積
・フォームを活用したホワイトペーパー施策
・月1回の関係構築メール配信
・商品紹介やキャンペーン告知を随時メールで配信
・追客対応におけるtodo機能の活用

施策に取り組んだ結果、ホワイトペーパー施策からの商談化率17%を達成しました。他にも、バラバラだった名刺情報の一元管理によるリードの放置防止や、Web集客の仕組み化によるインサイドセールスの立ち上げにつながり、社内体制に大きな変化あったそうです。

詳細は、こちらのページをご覧ください。

Webマーケティング実務で役立つオススメ本・書籍

ネット検索で手に入る様々な情報に加え、Webマーケティングの実務について体系的に学ぶには書籍がおすすめです。Webマーケティング担当者になりたての方に特におすすめの本を3冊ご紹介します。

最小の手間で最大の効果を生む! あたらしいWebマーケティングの教科書

最小の手間で最大の効果を生む! あたらしいWebマーケティングの教科書

画像引用元:amazon

Webマーケティングに関するセミナーを120回以上も行っている著者が、現代のWebマーケティングのノウハウを網羅しつつ、最大効果の出るやるべきことだけに絞って解説した本です。

やることが多すぎて困っているという担当者に特におすすめです。

最近会社でWEBプロモーション担当になり、本書を手にしました。
コンバージョン、SEO、CPAと聞いても、よく分からないレベルの方には非常にオススメです。WEBマーケティングの全体像が具体的な事例をもとに紹介してあるので、とても分かり易かったです。

私の様に初めてWEBマーケティング担当になった方や、これから取り組もうとされている中小企業の経営者にはいい本だと思います。

引用:Amazonレビュー

Webプロモーションを強化するために購入しました。
具体的なホームページの言葉や表現だけではなく、
GoogleやYahooの広告、SEOの手法、
そしてLINEやFaceBookによる広告まで網羅されています。
特定の手法に特化した書籍が多いなかで、
現代のWebマーケティングを一通りチェックできるにの役立ちました。

引用:Amazonレビュー

できる逆引き Googleアナリティクス Web解析の現場で使える実践ワザ240 ユニバーサルアナリティクス&Googleタグマネージャ対応

できる逆引き Googleアナリティクス Web解析の現場で使える実践ワザ240 ユニバーサルアナリティクス&Googleタグマネージャ対応

画像引用元:amazon

Webマーケティングで欠かせないアクセス解析。ほとんどのWebサイトでGoogleアナリティクスを活用していると思います。

基本的な使い方を知っていても「こんな数値が知りたいが、見方がわからない!」「この数値は、どう分析したら良いの?」というときに役立つのがこちら。

やりたいことから逆引きができるほか、最初から通読すればGoogleアナリティクスの使い方が体系的に学べるようになっています。

最初はページ量に圧倒されますが、やりたいこととGAの機能を結びつける辞書として便利です。
辞書的な使い方はGAに関する知識がまったくないとつらいので、初めての方は本の最初にある概要は一通り読むことをお勧めします。

GAの本が最近増えましたが、通読しないといけない構成だったりすると読んでる時間がなく、買うのを躊躇していました。GAだけを専門に仕事をしているわけではない私の場合、やりたいことだけを調べる辞書として使っています。

引用:Amazonレビュー

Google Analytics の機能や使い方を一通り把握したいと思い、入門書として本書を読みました。
逆引きとありますが、先頭から読んでいくと一通り理解できる構成になっています。

単に機能の説明をするのではなくて、実務経験に基づいた活用方法が平易・丁寧に解説されています。

引用:Amazonレビュー

沈黙のWebマーケティング Webマーケッター ボーンの逆襲 ディレクターズ・エディション

沈黙のWebマーケティング Webマーケッター ボーンの逆襲 ディレクターズ・エディション

画像引用元:amazon

こちらは、Web連載されていた「沈黙のWebマーケティング」が1冊の本にまとまったものです。

マンガ風のイラストがついたストーリー仕立てになっているので、とっつきやすく読みやすく、楽しみながらWebマーケティングの知識が身に付きます。

さらっと解説されているので、気になった部分があれば、ネット検索するなり別の本に当たって深堀していくと良いでしょう。

最初はページ量に圧倒されますが、やりたいこととGAの機能を結びつける辞書として便利です。
辞書的な使い方はGAに関する知識がまったくないとつらいので、初めての方は本の最初にある概要は一通り読むことをお勧めします。

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引用:Amazonレビュー

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引用:Amazonレビュー

Webマーケティング関連の書籍に関しては下記記事もおすすめです!

Webマーケティングはどの企業にとっても重要な施策

本記事では、Webマーケティングに携わる人なら知っておきたい基本的な知識について網羅的に解説しました。

デジタル技術は日々進歩しているので、今後も新しいサービスやマーケティング手法が出てくるはずです。そういった情報にもアンテナを張りながら、自社が抱える問題点の把握に努め、社内リソースと予算に見合った施策を実施することが大切です。

また、現在ではポストコロナ時代を迎え、メタバースやVRなどによる仮想空間がリアルさを増す一方で、オフラインの店舗ではWebサイトやSNSと連携した接客やオンライン決済が一般化しています。デジタル技術が進む環境下で、企業のマーケティング活動はますます「顧客体験」を重視する方向へ向かっているといえるでしょう。

自社にあった手法やツールを最大限活用して、これまでは接点を持ちづらかったユーザーやアプローチが難しかったターゲットにも自社製品・サービスの魅力を知ってもらい、さらなる利益拡大につなげていきましょう。

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Tue, 07 Nov 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[SEOを基本から解説!最低限抑えたい施策から無料ツールまで]]> https://mtame.jp/seo/about_SEO  

SEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)とは、Googleなどの検索エンジン上で実施するマーケティング施策の1つです。Webサイトをユーザーに最適化することにより、検索結果の上位に表示されるようにすることを指します。

Webサイト運営やコンテンツ制作をする人なら避けて通れないのがSEOです。ユーザーのニーズに沿ったコンテンツ制作をすることがGoogleからの高評価にもつながると言われますが、具体的にはどのようなアプローチが有効なのでしょうか。

本記事ではSEOの効果やメリット・デメリットなどの基礎知識から、Googleのアップデートの歴史、すぐに役立つ無料ツールや本・セミナー情報などの実践知識までを網羅的に解説します。

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1.SEO(検索エンジン最適化)とは?

SEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)とは、Googleなどの検索エンジンに対してWebサイトを最適化することにより、ユーザーがキーワード検索をした場合に検索結果の上位に表示されるようにすることを指します。

Googleの検索結果では、上位に有料広告が表示されることがありますが、SEOは広告に頼らずオーガニック検索(自然検索)での上位表示を目指すための施策です。広告は費用をかければ上位表示が可能ですが、SEOは品質の高いコンテンツ作るなど、施策を打った結果としてGoogleに評価され、上位表示される流れとなります。

なお、Googleではユーザーから区別がつくように、広告部分には「広告」という表示がされる仕様となっています。

2.SEOの効果やメリット・デメリット

SEO対策を行うにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

メリット

主な4つのメリットを紹介します。

①見込み度の高いユーザーを獲得しやすくなる

自社のビジネスに関連性の高いキーワードや、顕在顧客が検索するであろうキーワードで検索上位に表示されるようにすることから、見込み度の高いユーザーが獲得しやすくなります

Webサイトからの引き合いを獲得して、商談につなげるためには、見込み度の高いユーザーの集客が不可欠なので、SEOはまず最優先で検討されやすい施策です。

②広告費を抑えられる

インターネット広告のような出稿費や媒体が不要であることも、SEOを行うメリットの1つです。無料で始められることから、魅力を感じる人も多いでしょう。

ただし、内部対策やコンテンツ対策には労力がかかるので、効果を出すためには社内のリソースが必要になります。そうなると、結局のところ人件費というコストがかかります。また、自社にノウハウがなければ専門の業者にSEOを委託するケースもあるでしょう。

③自然検索からの流入数が増える

自然検索(オーガニック検索)からのサイトの流入数が増えるという点も、SEOの最大のメリットといえます。

クリック毎に課金が発生し、流入が多くなればなるほど比例して広告費が増加する有料検索(リスティング広告)に対し、自然検索の場合は、クリック毎の課金は発生しません。流入が増えてもSEO対策にかけたコスト以上に費用がかからないため、検索上位に表示できている限り、継続的にサイトの流入を獲得できるというメリットがあります。

サイト内の構成やCTAボタンの配置を工夫してランディングページへ誘導できれば、コンバージョンや問合せの向上にもつながります。


④ブランディングができる

SEOのメリットとして、ブランディングができるというポイントも挙げられます。

検索上位に表示されて露出が増えれば、自社商品・サービスや自社ブランド認知向上へと繋がり、見込み顧客に早い段階で認知してもらえれば、第一想起にしてもらえる可能性も高まります。

デメリット

SEO対策を行う上ではメリットもある一方、デメリットもあります。以下では主な3つのデメリットを紹介しますので、実施する際に参考にしてください。

①成果が出るまでに時間がかかる

SEOは取り組んですぐに成果が得られるものではなく、効果が出るまでに時間がかかることを理解しておく必要があります

タイトルや見出しを変更するだけで順位が上がる場合もあれば、内部施策やコンテンツの拡充を行っても向上しない場合もあり、成果が出るまでに年単位での時間がかかるケースもありえます。

SEOは成果が得られるまでに比較的時間がかかる施策であることを念頭におき、上位表示に向けて地道に取り組んでいくことが大切です。

②間違った施策で失敗する可能性がある

SEO対策を行う際には、間違った施策で失敗する可能性もあります。それを防ぐためには、正しい専門的知識で行うことが大切です。

失敗例として具体的なものを挙げると、「低品質なコンテンツの量産」「キーワードを詰め込む」「不自然な被リンク」などがあります。Googleのガイドライン違反(後述)によってペナルティの対象となると、それまでの施策が全て無駄になってしまう可能性もあります。

正しい知識を身につけて、ガイドラインに沿った施策を行うことが重要です。

③アップデートによる順位下落リスク

Googleはサイトを評価するアルゴリズム(後述)を定期的にアップデートしているため、その影響でそれまで上位表示されていても、順位が急に下落してしまうことがあります。

年に数回行われる大規模なアップデート(コアアップデート)が実施されると、順位が大きく変動する場合もあり、トラフィックが大幅に減少するリスクがあることも覚えておくと良いでしょう。

しかし、ユーザビリティの向上を目的としたアップデートであるため、ユーザーの需要を満たす質の高いコンテンツを発信できていれば、過度に心配する必要はありません

参考サイト:

SEOをする理由って何?どんなメリットや効果があるの?

検索エンジンで上位表示させるためのSEO【超初級】

3.SEOで検索順位が決まる3つの仕組み

検索順位は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンのクロール(巡回)とインデックス、アルゴリズムによるサイト評価によって決定されます。以下では検索順位が決まる3つの仕組みについて紹介します。

①クロール(巡回)

クロール(巡回)とは、クローラーと呼ばれる検索エンジンのロボットがWebページを巡回して内容を読み込み、情報を収集することを指します。クローラーは検索エンジンごとに存在します。

収集する情報はページのコンテンツや画像・ファイル、記載されているリンク先の情報などが含まれます。クロールされないサイトは結果に表示されないため、Webサイトをクロールしやすい状態に整えることが大切です。

②インデックス

SEOにおけるインデックスとは、Webページの情報が検索エンジンのデータベースに登録されることを指します。クロールによって検出したページにアクセスして内容を分析した情報をデータベースに保存します。

具体的には、「Webページに記載されたテキスト・画像・動画などの情報を検索エンジンが解析して、検索アルゴリズムに最適な状態でデータベースに登録すること」を意味します。

インデックスされたウェブページから検索キーワードとの関連度が高いものが検索結果にランキング表示されるため、SEOで検索表示を目指すには、Webページをインデックスさせる必要があり、そのためにHTML構造やタイトル・見出しの最適化が必要なのです。

③サイト評価

サイト評価では、Googleが定める数百ものアルゴリズムが定めた評価基準に則ってサイトを評価・順位を決定し、そのランキング順のWebサイトが検索結果にて表示されます。

様々な要素に加え、「ユーザーが求めているコンテンツを提供できているか」という点が最も重視され、ユーザーの需要に応えられるWebサイトほど上位に表示されます。

4.SEO対策をする上で知っておくべきGoogleガイドライン・コアアップデート

SEO対策をする上で必ず知っておくべきGoogleのガイドラインやコアアップデートについて、詳しく解説します。

Googleのガイドライン

Googleは、サイト運営者向けにGoogleの定める基本方針やペナルティ対象となる不正行為などを明記したガイドライン(「ウェブマスター向けガイドライン」や「Google 品質評価ガイドライン」)を公開しています。

ガイドラインに沿ってSEO対策を進めることでユーザーの利便性は向上し、上位表示される可能性が高まるため、SEO対策を行う上で必ず知っておく必要があります。

ガイドラインにおいて特に重要な3つのポイント「E-E-A-T」「YMYL」「不正行為の禁止」について解説します。

E-E-A-T

E-E-A-T(またはダブルE-A-T)は、「経験・専門性・権威性・信頼性」を略した概念で、ユーザーに対して適切な検索結果を表せているかの評価基準となるものです。

これまで主流だった「E-A-T」という概念に、新たに「E(Experience)」が加わり、最もGoogleが重要視している「Trust(信頼性)」を軸に、以下の各項目を評価しています。

Googleは「検索品質評価ガイドライン」にて以下の4つの指標について公式に言及しているため非常に重要です。

Experience(経験):そのトピックに必要な経験を持っているか。
Expertise(専門性):そのトピックに必要な知識・技術などの専門性を持っているか。
Authoritativeness(権威性):そのトピックに関する有力な情報源として知られているか。
Trust(信頼性):そのページに正確さ・誠実さ・安全性・信頼性があるか。

つまり、「信頼性」を中心に、経験、専門性、権威性の高いページや内容であるかどうかが検索順位に影響するということです。

YMYL(Your Money or Your Life)

YMYL(「Your Money or Your Life」の略語)とは、人々のお金や人生、将来の幸福や健康に大きな影響を与えるテーマを意味しています。Googleは、下記のようなテーマをYMYLの対象としており、特に厳格に評価を行っています。

・ショッピング、または金銭の取引
・金融情報
・医療情報
・法律情報
・ニュース記事や国民に対する公式な情報
・その他(栄養学や不動産、職探しに関する情報など、上記以外で人々の生活に大きな影響を及ぼすとされるテーマ)

上記の人に影響する度合いの高いYMYLジャンルでSEO順位を上げるには、より高い品質のコンテンツが必須であり、上位表示するには難易度が高い分野であるといえます。

YMYLも「検索品質評価ガイドライン」の項目の一つであり、知らないまま対応するとGoogleからの評価やサイト全体の検索順位が下がってしまう可能性があるため、SEO対策を行う上で必須の内容です。

不正行為の禁止

Googleの「品質に関するガイドライン」の基本方針には、不正行為の禁止が明記されています

Googleが定めるガイドラインに反して不正に検索順位を上げる手法を「ブラックハットSEO」と呼び、アルゴリズムの精度が低かった時代は様々なブラックハットSEOが横行していました。

現在ブラックハットSEOはペナルティもしくは無効化の対象となっているため、Googleのガイドラインにに沿ってSEO対策を行い、誤って不正行為を行わないように注意が必要です。

ガイドラインにおいて重要な3つのポイントを紹介しましたが、他にもSEO対策を行う上で知っておくべき検索アルゴリズムの「アップデート」があります。アップデートはユーザーの満足度の向上のために実施されており、大規模なアップデートは年に2〜4回程度、細かいアップデートは絶えず行われていますので、常に注視していくことが大切です。

以下ではGoogleコアアップデートとその歴史について紹介します。

Googleコアアップデートとは

Googleのコアアップデート(コアアルゴリズムアップデートの略)とは、検索結果の大幅改善を目的に、Googleが検索アルゴリズムの見直しを行うアップデートを指します。大規模な改良は年に2〜4回程度あり、Googleが公式に事前告知した後に行われます。

こうした大規模アップデートが行われる度に、改良の内容に即した順位変動が起きているため、Webサイトの運営など、SEOに関係する仕事をしている人は注目しておく必要があります。

Googleコアアップデートの歴史

Googleは2000年にサービスを開始してから、数多くのアップデートを繰り返しています。特に注目度の高かったアップデートの名称と概要を以下に記します。

2011年「パンダアップデート」:低品質のサイトに対してペナルティが加えられ、コピーコンテンツなどGoogleのガイドラインに違反するサイトは検索順位が大きく下がりました。
2012年「ペンギンアップデート」:主に外部リンクへのチェックが厳しくなったアップデート。SEOにおける外部対策の考え方が問いただされたことで、コンテンツそのものが重要視されることになった大きな転換期となった。
2015年「モバイルフレンドリーアップデート」:モバイルに最適化されていないサイトが、モバイル上の検索結果で上位表示されづらくなったアップデート。多くのサイトがモバイルフレンドリー対応に取り掛かる流れに。
2017年「医療/健康アップデート」:医療や健康に関する検索結果の改善を意図したもので、YMYLやE-A-Tといった言葉が使われ始めたのもこの頃。
2019年「BERTアップデート」:自然言語処理のトレーニング技術であるBERTの利用により、文章の「意味・意図」をより正確に理解できるようにアルゴリズムが調整されたアップデート。検索キーワードに、よりマッチしたページが検索結果に表示されるようになった。
2021年「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」:「Webサイトの健全性を示す指標」。Webサイト全体におけるユーザー体験の向上を目的として導入され、「インタラクティブ性・ページが読み込まれる時間・視覚的安定性に関する」を含む。

また近年のアップデートの傾向は以下の通りです。

2022年のコアアップデート:YMYL分野・美容系・BtoBの企業間取引関係のキーワードの順位に大きな変動が見られた。
2023年のコアアップデート:3月・8月・10月にアップデートがあり、特に「財務、金融、法律」のYMYL系ジャンルのキーワードをはじめ、「就職、転職」「旅行、観光」などにおけるキーワードの順位に大きな変動があった。

上記のように、アップデートの内容が、その後のSEO対策方法や検索結果に影響するため、常にその動向や内容に注目し、対応していく必要があります。

ただ、Googleが軸としているのは「ユーザーファースト」であり、アップデートを繰り返すのはユーザーの利便性向上のためなので、そのポイントを押さえておけば大きく順位が下がってしまうことが防げるかもしれません。

【関連記事】
コアウェブバイタル(Core Web Vitals)とは?導入時期や意味、確認方法などを解説!

E-E-A-T(旧E-A-T)とは?SEOでの重要性と対策まとめ

YMYLとは?E-E-A-Tとの関連性や該当ジャンル、SEO視点での対策方法まで!

参考サイト:

まだまだ続くパンダアップデート!?SEOでは何が重要なの?

【2019年12月】Googleニュース! SEOのトピックスまとめ

 

5.SEOの3つの種別

SEOの基本的な方法は「内部対策」「外部対策」「コンテンツ対策」の3つに大別されます。

内部対策

「内部対策」は、自社のWebサイトのhtmlやCSSなどのソースを検索エンジンに認識されやすい構造や記述にすることを指します。

そもそも検索結果に表示されるためには、検索エンジンのデータベースに登録されていなければなりません。登録されるためには、先述した「クロール(巡回)」を通して、自社サイトの情報を収集してもらう必要があります。

「クローラー」が情報を収集しやすいホームページであるかどうかを「クローラビリティ」といい、この「クローラビリティ」を向上させることがSEOの一環となります。

外部対策

「外部対策」の基本は、外部サイトからのリンク(被リンク)の獲得状況を把握することです。

外部リンクは第三者から情報の有益性を認められた結果としてGoogleに評価されます。自社サイトに関連性が高いサイトや高品質なサイトからの被リンクは高く評価されますが、低品質サイトからの大量のリンクは逆にペナルティを受ける場合があるので注意が必要です。

基本的には、良質なコンテンツを提供し続けることで”自然に”リンクが貼られていく状態を目指すことを推奨しています。外部”対策”と付いているので手動で行う施策と勘違いされがちですが、あくまでリンクを貼るかどうかは第三者が判断することです。

コンテンツ対策

「コンテンツ対策」では、「専門性が高い」「読みやすい」「わかりやすい」コンテンツを制作してGoogleからの高評価を狙います

内部対策に内包されて考えられることもありますが、テクニカルな施策ではなく、シンプルにユーザー目線の良質なコンテンツを作っていくことが大切です。

また、コンテンツの整理という意味でペルソナやカスタマージャーニーマップを作るのはとても有効です。まずは顧客を理解して、適切な形でコンテンツをデリバリーしていきましょう。

SEOのやり方をご紹介してきましたが、最後に『Googleが掲げる10の事実』をご紹介します。

Google が掲げる 10 の事実
  1.  ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
  2. 1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
  3. 遅いより速いほうがいい。
  4. ウェブ上の民主主義は機能する。
  5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
  6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
  7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。
  8. 情報のニーズはすべての国境を越える。
  9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。
  10. 「すばらしい」では足りない。
    引用:Googleが掲げる10の事実



1つ目の項目に「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。」とあるように、まずはユーザーのことを最優先に考えて、コンテンツの運用をしていきましょう。

以上、SEOの施策について解説してきました。

なお、基本的な施策がチェックできるリストもご用意したので、以下の資料も併せてご活用ください!

>「SEOチェックリスト」を無料でダウンロードする

参考サイト:

クローリングってなに?SEOの基本クローラーと自分で行うクローリング方法について

>【無料テンプレートあり】カスタマージャーニーとは?メリットデメリットから作成の手順までを解説!

6.まず最初に行いたい効果の高いSEO施策10選

本章では最低限抑えておきたい、効果の高いSEO施策について紹介します。

1.タイトルの最適化

検索した際に、ページの内容が一目でわかるタイトルをつけるようにしましょう。一般的にはタイトルの前半に狙いたいキーワードを入れると、検索順位で上位に表示されやすくなると言われています。


ただし、無理にキーワードを入れるのではなく、そのキーワードを検索したユーザーのニーズを満たすコンテンツであることを伝えることが最優先であり、適切な箇所にキーワードを置くことが大切です。

イメージがつきづらい場合は、上位表示されている記事のタイトルを複数見て参考にすると良いでしょう。

2.見出しタグを確認する

「h1,h2…」などページの見出しにあたるhタグに対策キーワードが入っているかを確認し、入っていない場合は含む形に修正する必要があります。

「どのようなコンテンツのページなのか」を伝えるhタグにキーワードを入れることで、検索エンジンにキーワードとの関連性を伝えることができ、SEOの評価向上が見込めます。

h2は章や目次、h3はh2の中でもポイントとなるテキストに使用するなど、適切に見出しを設計し、不自然にならない程度にサジェストキーワードなどを含めるとより効果的です。

3. メタディスクリプション

メタディスクリプションとは、100文字〜120文字程度のテキストで記事の内容を要約した概要文を指します。検索順位に直接は影響しませんが、検索クリック率に大きく影響するため非常に重要です。

メタディスクリプションはGoogleの検索結果に説明文として表示されるため、クリックを促すよう、シンプルに引きの強い言葉でまとめる必要があります。スマートフォン上での表示は表示される文字数がより限られるため、前半に大切な要素を記載することをおすすめします。

4. 内部リンクの最適化


内部リンクとは、Webサイト内の関連する記事同士をつなぐリンクを指し、最適化することでクローラビリティが高まります

内部リンクが集中しているページはクローラーの巡回を促しやすく、重要なページであると認識されやすい傾向にある上、インデックスの促進にもつながります。

検索エンジン対策・ユーザビリティの改善両方にとって重要度が高い施策であるため、内部リンクを適切な箇所に設置し、全ページがリンクで繋りあうようにすることが大切です。関連性の高いページを繋ぐことでユーザビリティの向上、結果的にはサイト評価の向上も期待できます。

5. 最新情報

常に最新情報を記載できるように、情報を更新することも大切です。

特に、重要なニュースや世間の関心を引きそうな最新情報がある場合、記事内に都度追記することをおすすめします。

6. 共起語・関連用語

共起語は、ある物事を説明する際によく使われる単語・言葉を指します。

たとえば、「大学受験」の記事で頻出するのは「偏差値」「科目」「共通テスト」などの単語であり、これらを共起語といいます。加えて、関連用語や専門用語の使用は、記事の専門性・信頼性を確立する上でとても大切な要素となっているため、自然な文章になる範囲で記事内に使用していきましょう。

検索結果でサジェストされるキーワードもチェックし、意識してコンテンツを制作する方法もあります。

7. 競合調査

競合調査は、SEO対策施策を実行する前に欠かせない施策の一つです。

Googleの検索アルゴリズムは、ページを比較した上で、キーワードによりふさわしいページから順に表示される仕組みになっています。そのため、数十分の作業で検索順位が改善するケースも少なくありません。

面倒という理由で実施されない傾向にある競合調査ですが、上位表示されている競合サイトのコンテンツにあって、自社のコンテンツ内容にないものを明らかにすることで、自社コンテンツに必要な対策を洗い出すのに役立てられます。

8. 画像

画像などのビジュアル要素は、読む側にとってテキストより理解しやすいというメリットに加え、印象に残りやすいという利点があります。適度に画像を挿入することで、ユーザーの読了率やコンバージョン率向上も期待できます。

検索エンジンは画像を認識・理解するため、ユーザーに利便性が高く、文脈に即した画像であれば、良い評価を得ることが可能です。オリジナル画像であれば一次情報として評価される可能性もあり、画像検索からの流入獲得も見込めます。

関連する画像や図解などをできる限り増やすほか、2023年からは検索結果にショート動画が表示される仕様になったため、ショート動画検索の最適化の施策もおすすめです。

9. 外部リンク

外部リンクは、他サイト(外部サイト)と自社サイト間のリンクを指します。

厳密には外部サイトから自社サイトへのリンク「外部被リンク(被リンク)」と、自社サイトから外部サイトへのリンク「外部発リンク(発リンク)」がありますが、SEO対策における外部リンクは前者を指すことが多いです。

外部リンクはサイトの人気度を示す指標であり、Googleが評価する際に用いる要素です。外部リンクが無ければ、Webサイトのクローラビリティが悪くなるほか、直接的なSEO効果が見込めないケースもあり、検索順位の低下などにつながります。

外部リンクは、関係者に一言お願いするだけで獲得できるケースもあるため、取引のある企業やインタビューを行った顧客などに、関連サイトへのリンク設置を依頼してみても良いでしょう。

10.MFI(モバイルファーストインデックス)への対応

MFI(モバイルファーストインデックス)とは、パソコンサイトを元に評価していた検索エンジンが、今後はスマートフォンサイトを元に評価を行うと方針を転換したことを指します。

具体的には「横方向へのスクロールが不要」「ズーム・タップなしでテキストが読みやすい」など、スマホユーザーの利便性に関する評価基準が加えられました。

パソコンサイトのみで運営されているサイトや、スマホページが未対応や中途半端なサイトなど、モバイル版に適応していないページは評価が下がるため、自社サイトが対応しているかどうかを確認しましょう。

7.SEOで使える無料ツール

現在、SEO対策で活用できる様々な無料ツールが登場しています。本章ではツールを使うメリット・デメリットと、目的別に各ツールを紹介します。

SEOツールを使うメリット

SEO対策を効率化し、工数を削減できる点がSEOツールを使う最大のメリットです。

SEO施策を行って効果を出すためには、膨大な量のデータ収集、及び分析が必要になりますが、SEOツールを活用すれば、データ収集・分析などの自動化が実現できます。そのため、工数を削減できる上、より正確なデータをもとにした施策を策定・実行できます。


SEOツールを使うデメリット

SEOツールを使うと、メリットもある一方で、SEOに関する知識やスキルを持っている人材がいないとデータを有効活用できないというデメリットもあります。

SEOツールを導入する際には、SEOに関する最低限の知識がある人材やツールを使いこなせる人材の確保、もしくは手厚いサポート体制が整ったサービスを利用する必要があります。


SEOツールの提供元に導入イメージなどを伝え、相談してみることから始めてみてもいいでしょう。

目的別ツールの紹介

 

ここでは代表的な無料ツールをSEOの目的別にご紹介します。SEOの流れに沿って目的ごとにご紹介していくので、自社のニーズに合ったものを選んでください。

①競合・自社サイトを調査する

Google Search Console(グーグルサーチコンソール)

https://search.google.com/search-console/about?hl=ja

SEOの必須とも言えるツール。まずはグーグルサーチコンソールを設定し、自社サイトの検索クエリや対策キーワードでの検索結果への表示回数、実際の訪問数などを確認しましょう。

Keywordmap(キーワードマップ)

https://keywordmap.jp/

URLを入力するだけで、競合サイトが獲得しているキーワードと自社サイトが獲得しているキーワードを分析することができます。月間の検索回数も把握することができるため、ユーザーがどんなキーワードで検索していて、どんなニーズがあるのかの見当をつけることができます。

②キーワード候補を調査する

Ubersuggest(ウーバーサジェスト)

https://neilpatel.com/jp/ubersuggest/

対策キーワードの候補を決めるときに使います。検索ボリュームのほかサブワードのサジェストも大量に抽出してくれるので、自社サイト・競合サイトの分析を同時に行うことができます。

③対策キーワードの検索ボリュームを確認する

Googleキーワードプランナー

https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/

対策キーワードの検索ボリュームを確認できるツール。利用するにはGoogleのアカウントが必要であり、Googleに広告を出稿したことがある企業に限って無料で利用できます。

④対策キーワードのサジェストを調査する

グーグルサジェスト キーワード一括DLツール

https://www.gskw.net/

Googleのサジェスト機能で表示される複数のキーワード候補をCSV形式で一括ダウンロードできるツール。Googleで実際に検索されているキーワードの組み合わせを知るのに役立ちます。
※Googleが提供しているツールではありません。

⑤キーワードの順位を定点観測する

GRC(ジーアールシー)

https://seopro.jp/grc/

検索キーワードの順位を調べることができ、直近の順位変動と過去の順位変動をグラフ表示してくれます。グラフ上にメモを付けられる機能があり、順位変動の原因の把握や定点観測に便利。キーワード30個までであれば無料です。

⑥Google順位変動を確認する

namaz.jp(ナマズドットジェイピー)

http://namaz.jp/

Googleの順位変動およびGoogleが不定期で実施するアップデート(アルゴリズム変更)の状況と対策を同時に確認できる無料ツール。変動幅をグラフで視覚的にとらえることができます。急な変動があった場合に、アップデートがあったのかどうかを確認するのにも使えます。

⑦アクセスを解析する


Google Analytics(グーグルアナリティクス)


https://analytics.google.com/analytics/web/provision/#/provision

Google Analyticsは、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールであり、多くのWebサイトにて必須のツールとして活用されています。

記事ごと・ユーザー層別・時期別など、セグメントに分けたアクセス状況やコンバージョン率を細かく分析することができるほか、検索経由のキーワードを確認することも可能です。

参考サイト:

SEOの無料ツール【絶対外せない13選】 ~チェック・分析・改善・定点観測をしよう~

8.SEOの事例

SEOによって実際に集客効果をアップさせた企業の事例をご紹介します。

株式会社レスターコミュニケーションズ

事業内容:オーディオ・ビジュアルの分野でソリューションの提供を行うエレクトロニクス商社

https://www.restarcc.com/

●SEOの実施内容

ホームページ運用において、状況に応じた課題・目標が発生し、SEO対策や広告施策、MA施策を行った。また、展示会出展と並行してコンテンツ更新や導線改善、Web広告を実施した。

●成果・効果

2016年にWebコンサルティングサービスを導入し、2021年あたりまでPV数・セッション数、コンバージョン(CV)ともに右肩上がり。Web施策を強化した2021年にはCVが前年の1.7倍ほど増加し、社内の意識も変化した。

●導入サービス

クラウドサーカス株式会社のCMSツール「Blue Monkey」、データベースシステム「Plusdb」、Webコンサルティング、Web広告

引用元:CMS+Webコンサル・広告でその時々に最適な施策を実現【複数商材を扱う企業様の成功事例】

アイメックス株式会社

事業内容:主に「ビーズミル」「3本ロールミル」「プラスチック押出成形付帯装置」の開発・製造を行う機械メーカー

https://www.aimex-apema.co.jp/

●SEOの実施内容

SEO対策による流入量の増加やコンバージョン導線の整理、MAツール「BowNow」の導入やWEB広告の配信、オンラインセミナーの開催を通してリード数を増加し、商談につなげる体制を構築。ホームページリニューアルを実施後はインサイドセールス専属部門を設置し、リード育成や商談創出ができる体制を整備。SEO対策では、技術情報に加え、動画、ホワイトペーパーを作成しコンテンツ数を増やす。デジタルマーケティングの施策も目標や成果を詳細まで数値化して管理している。

●成果・効果

SEO対策に取り組んで主力製品のキーワードで検索結果表示1位を獲得。サイト訪問者数が増えた結果、問い合わせ数も継続的に増えて有効な問い合わせ数が約5倍(月平均70件以上)に伸びている(2016年比)。メールマガジンの配信先は約8,000件、ホワイトペーパーを紹介するメールでは250件のダウンロード、オンラインセミナーは平均150名の参加などが成果として表れている。

●導入サービス

クラウドサーカス株式会社のCMSツール「Blue Monkey」、MAツール「BowNow」、Web広告サービス

引用元:BlueMonkey活用歴10年!継続的な活動でデジタルマーケの仕組みを構築したアイメックス様の成功への道のり

株式会社サーティファイ(サービス名:スマート入試)

事業内容:ビジネス能力、技能に関する認定試験の開発、主催、実施主催試験に対応した対策

https://smarte.jp/

●SEOの実施内容

CMSツール・MAツール・コンサルティングサービスを導入して、サービスサイトをコンバージョンの得られるサイトへと改善・運用。 

●成果・効果

指名検索でも1位が危うい状態から、リニューアル以降は間違いなく1位に来るように改善。また、資料請求フォームの変更、「無料トライアル」という中間コンバージョンの作成、コンテンツ作成、Webサイトへのアクセスの「見える化」などによって月間CV数が約2倍になるほか、フォーム離脱率の改善を実現。

●導入サービス

クラウドサーカス株式会社のCMSツール「Blue Monkey」、MA「BowNow」、有料コンサルティングサービス

引用元:月間CVが約2倍に!新サービスの売上拡大にサイト制作とWebコンサルティングで寄り添う /株式会社サーティファイ

株式会社ビデオマーケット

事業内容:
動画配信サービス(映画・ドラマ・アニメなどの映像コンテンツを配信)

https://www.videomarket.jp/

●SEOの実施内容

国内最大級の動画配信サービスを有しながらSEOがほぼ手付かずであったサイトをフルリニューアル。特にモバイルサイトのオーガニック流入増加を目指した。

多くのユーザーの検索意図である「無料」ニーズに合わせて、保有する無料動画が検索エンジンに認識されるようサイト構造を再構築。

●成果・効果

検索キーワードを徹底的に調査し、細やかなニーズに対応できるカテゴリ構築も。リニューアルから6カヶ月後の検索流入数は前年度比で約6倍、新規登録数は約4.6倍に。

●導入サービス

アユダンテ株式会社の「SEOコンサルティング

引用元:株式会社ビデオマーケット様/新規会員4倍増に成功した動画SEOの取り組みとモバイルSEO事例

株式会社ベネッセスタイルケア

事業内容:介護事業(入居型介護サービス事業・高齢者住宅事業、在宅介護事業ほか)、保育・学童事業

http://kaigo.benesse-style-care.co.jp/

●SEOの実施内容

実績・ホーム運営数はトップクラスだが業界での認知度はいまひとつ。検索流入増から資料請求数アップにつながるよう、SEOで拡大を目指した。

50~60代を中心とするユーザーの検索ニーズをやや広義かつ徹底的に調査し、9つのキーワード群を対策。それらをサイトに反映した新たなサイト構造図を構築した。SEO設計にあたっては多数あるコンテンツの分散や重複の整理も行った。

●成果・効果

自然検索流入数は前年度比で約1.5倍となり、コンバージョン数も大幅に増加。とくに、ビッグワードと老人ホーム種別ワードで10位以内に上昇した。

●導入サービス

アユダンテ株式会社の「SEOコンサルティング

引用元:株式会社ベネッセスタイルケア様事例/カスタマージャーニーに基づく徹底的なニーズ調査からサイトを全面刷新

9.SEOの参考本

SEOの技術は常にアップデートされるため、最新の情報は基本的にインターネットで調べたほうが有効です。しかし、SEOの初心者~中級者の方が基礎知識を体系的に学ぶのには書籍が適しているでしょう。

SEOのノウハウを学べる本を対策テーマ別にご紹介します。

■SEOの概念や基本が学べる本

●いちばんやさしい新しいSEOの教本
第2版 人気講師が教える検索に強いサイトの作り方

著:安川 洋, 江沢真紀, 村山佑介  出版:インプレス(2018年7月発刊)

SEO対策の概念や基本が学べる本

画像引用元:Amazon

経験豊富な講師陣が実践的なノウハウを丁寧に解説してくれる「いちばんやさしい」シリーズの初心者向け教本。イラストや図解が充実していて、セミナーを受ける感覚で読むことができます。初めてWeb担当者になった方や、SEOの基礎知識を簡潔かつ網羅的に学んでおきたい方におすすめ。改訂によりモバイルファーストインデックスへの対応などの新しい情報も反映されています。

【いちばんやさしい新しいSEOの教本 目次の一例】

Chapter 1 SEOの目的と考え方を身に付けよう

 01 現在のSEOについて正しい理解を持ちましょう

 02 スマートフォン時代のSEOを考えましょう

 03 訪問者の目的からコンテンツを考えましょう

 04 検索エンジンの仕組みを知りましょう

引用元:インプレスブックス

■SEOのテクニックが学べる本

●現場のプロから学ぶ SEO技術バイブル
著:西山 悠太朗, 小林 睦 編集:丸山 弘詩 出版:マイナビ出版 (2018年7月発刊)

SEO対策のテクニックが学べる本

画像引用元:Amazon

モバイルファーストインデックス時代のSEO施策について具体的に踏み込んだ実装方法をまとめているのが特徴。マーケティング担当者・SEO担当者にはもちろんのこと、実装を担当するエンジニアにも役立つ内容です。

【現場のプロから学ぶ SEO技術バイブル 目次の一例】

Chapter1 SEOの基本

Chapter2 マイナス評価を回避するSEO

Chapter3 サイト構造・リンク構造

Chapter4 Googlebotの制御

Chapter5 セマンティックなマークアップ

Chapter6 サイトの高速化

Chapter7 HTTPS化・モバイル対応・AMP対応

Chapter8 コンテンツSEO

Chapter9 リンクビルディング・サイテーション

Chapter10 モニタリング・保守

引用元:マイナビ出版

■SEOのコンテンツ作成が学べる本

●沈黙のWebライティング

著:松尾 茂起 出版:エムディエヌコーポレーション (2016年11月発刊)

SEO対策のコンテンツ作成が学べる本

画像引用元:Amazon

謎のWebマーケッター「ボーン・片桐」が活躍するストーリーを通じて、SEOに強いライティングのノウハウを学ぶことができるWebライティング解説書の決定版。ストーリー仕立てで気軽に読み進めながら、「成果を上げる」ためのWebライティングのポイントを学ぶことができます。

【沈黙のWebライティング  目次の一例】

EPISODE 01 SEOライティングの鼓動

EPISODE 02 解き放たれたUSP

EPISODE 03 リライトと推敲の狭間に

EPISODE 04 愛と論理のオウンドメディア

EPISODE 05 秩序なき引用、失われたオマージュ

EPISODE 06 嵐を呼ぶインタビュー

EPISODE 07 今、すべてを沈黙させる・・・! !
エピローグ 沈黙のその先に ※書籍書き下ろし

引用元:エムディエヌコーポレーション

参考サイト:

【SEOの参考本8選】概念や基本・テクニック・コンテンツ作成の各ジャンルでおすすめの本!

10.SEOのセミナー

各社が工夫を凝らして開催するSEOセミナーでは、基礎知識から最新の情報までを身に付けることができます。

セミナーの主催会社にはSEO会社・分析ツールベンダー・協会・出版およびメディア会社などがあり、分析ツールの使い方や他社の成功事例の紹介などそれぞれの特色を生かしたセミナーを展開しています。Web担当者やマーケターが実践しやすい知識を得ることができ、なかには初心者向けに特化したセミナーもあります。

そもそもSEOはGoogleなどの検索エンジンのアップデートにより、常に最新の動向が変化します。専門会社のセミナーはSEOの最新トレンドをキャッチできる場として、基礎知識がある人にとっても有効です。

SEOイベントを紹介するポータルサイトをチェックしてみても良いでしょう。

参考サイト:

SEOのセミナーページまとめ!今から勉強する方におすすめの主催会社

11.SEOは良質なコンテンツ作りから

本記事ではSEOについて基本的な知識から施策、無料ツールに至るまで網羅的に紹介しました。

SEO施策を行うには手間がかかるため、短期的に効果が得られるものではないということを踏まえて、辛抱強く取り組んでいく必要があります。

また、SEOにとらわれるあまり、ユーザーにとってわかりにくいコンテンツとなってしまったり、ユーザーが本来求めているものと乖離したコンテンツを作ってしまったりしては意味がありません。

>コンテンツSEOとは?メリットから実施手順までを解説!

Googleは「ユーザーにとって本当に役に立つコンテンツを高く評価する」という姿勢を貫いているため、SEOにおいて最も大切なのは小手先のテクニックにとらわれることなく、本当にユーザーの役に立つコンテンツ良質なコンテンツを提供することだといえます。

SEOをふまえつつも基本を疎かにせず、良質なコンテンツを地道に蓄積していくことが検索エンジンからの高評価につながります。

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Wed, 01 Nov 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[【BtoB製造業マーケティング担当者必見!】製造業で役立つ検索サイト・ポータルサイトまとめ]]> https://mtame.jp/column/manufacture_search_matching 製造業においては、質の高い情報を、鮮度のいい状態で収集し、正しく選択することが事業成功の鍵ともいえます。そんなときに役立つのが製造業向けのポータルサイトです。

 

製造業向けのメディアには、大きく分けて「製品の検索サイト」「工場の検索サイト」「情報ポータルサイト」の3つがあります。本稿では、抱えるお悩みごとに役立つメディアをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

検索サイト・ポータルサイト活用のメリット

製造業においての検索サイト、ポータルサイトとは一体どんなものでしょうか?

 

ポータルサイトとは、情報収集を目的とした巨大コンテンツのことを指します。なかでも製造業におけるメディアは、受注企業が自社製品をアピールしたり、または発注側が使いたい製品を探したり、製品や技術に関する最新情報を集めるために運営されているのが特徴です。

 

製造業向けの検索サイトやポータルサイトでは、あらゆる企業が受注先もしくは発注先を探すために活用しているため、技術を売りたい企業と買いたい企業のビジネスマッチングを叶えます。

 

近年はビジネスのオンライン化もあり、このようなポータルサイトに広告を出稿することでターゲットユーザーに効率的にリーチできるため、活用する企業はますます増えています。

製造業メディアの種類

冒頭でも説明したように、本稿では製造業向けのメディアを、大きく3つに分けてご紹介していきます。

 

「製品の検索サイト」:製品や技術を検索できるサイト
「工場の検索サイト」:サプライヤーを検索できるサイト
「情報ポータルサイト」:製造業界における専門的な情報や最新情報を網羅する情報サイト

 

ひとつずつ見ていきましょう。

製品の検索サイト

製品情報や各社が所有する技術を検索するサイトを8つご紹介します。

1.「イプロスものづくり」

 

イプロスものづくり

画像引用元:https://www.ipros.jp/

 

「イプロスものづくり」は、東京港区にある株式会社イプロスによって運営される、日本最大級のBtoBデータベースサイトです。製品はジャンルごとに細分化されていて探しやすく、製品を依頼したいと考える企業は、特定の製品に簡単にアクセスすることが可能です。またランキング形式で人気順を閲覧できるのも特徴で、業界の動向をつかむのにも役立ちます。

 

イプロスものづくりでは広告掲載のほかに、無料で自社製品を出展することができます。自社製品のページでは資料PDFをアップでき、製品を発注したいと考えている企業にダウンロードしてもらえるため、認知拡大の効果も期待できます。

 

広告掲載に関してはいくつかの種類があり、タイアップページ・コラムシリーズ・プレミアムコラム・スマートEXPOセット・特集コラム・スポット広告・デモグラフィックターゲティングメール・画像バナー・メール広告・リサーチ代行…など、多彩な方法で自社製品を宣伝できます。

 

広告出稿にかかる費用は非公開のため、見積もり依頼が必要です。まずは資料ダウンロード、問い合わせをしてみてください。

 

広告申込URL:https://marketing.ipros.jp/service/ad/

2.「製品ナビ」

 

製品ナビ

画像引用元:https://www.incom.co.jp

 

「製品ナビ」は、工業製品・エレクトロニクス・IT機器など、BtoBに特化した製品情報を提供するポータルサイトです。東京都文京区に本社を構える、株式会社インコムが運営しています。同社はほかにも新製品情報誌の発行なども行っています。

 

製品ナビでは、企業でも無料の会員登録ができ、最新情報の閲覧や資料のダウンロードができます。「製品を発注する企業を探すこと」に特化しており、取扱製品が数万点に及ぶのも特徴です。

 

製品ナビへの広告は、テキスト広告5万円〜、バナー広告15万円〜などいくつかの月額プランがあります。ただ運営会社が発行する冊子「ProductNavi」への記事掲載は基本的に無料で受け付けています。広告掲載は企業登録ページから行うことができるため、まずはお問い合わせしてみるのをおすすめします。

 

広告申込URL:http://web.incom.co.jp/service_guide/index.html#copro

3.「Aperza(アペルザ)」

 

Aperza(アペルザ)

画像引用元:https://www.aperza.com/

 

「Apérza(アペルザ)」は、ものづくり企業が製品の調達コストを削減することを目的とした製品価格検索ポータルサイトです。巷では製造業界の価格.comとよばれることも。

 

製造業界で使われる、部品のような消耗品・工具といった間接材は、品数や種類が非常に多くなります。数多くの製品の中から自社が探している製品をピンポイントで見つけ出し、コストを比較できるプラットフォームをつくることで、調達業務の課題解決を支援する目的で作られました。

 

同サイトを運営する株式会社アペルザでは、ポータルサイト運営のほかにもカタログ・eコマース・ものづくりニュースといった幅広いサービスを提供しています。ものづくり企業や技術開発者の情報収集をより手軽に行えるよう、比較選定から購買までのプロセスを一貫してサポートしているのも特徴です。

 

海外メーカーも多く扱っており、製品を探しているユーザーに対して、ピンポイントにアプローチできる体系も魅力です。広告は月額で、バナー広告が6万円〜、テキスト広告が3万円、セミナー・イベント情報が4万円などさまざまなプランが用意されています。

 

広告申込URL:https://www.indexpro.co.jp/Advertisement/

4.「indexPro(インデックスプロ)」

 

indexPro(インデックスプロ)

画像引用元:https://www.indexpro.co.jp/

 

「IndexPro(インデックスプロ)」は、エンジニア向けの電子・産業部品のポータルサイトです。運営するのは、長野県に本社を構えるインデックスプロ社。制御部品・流体部品・機構部品・計測検査機器など細かくカテゴライズされており、検索しやすいプラットフォームとなっています。

 

約5000社のメーカー掲載に対して、技術・システム開発に携わるエンジニアが月間28万人も利用しており、製品数と利用者数ともに多いのが特徴です。さらに同サイト内でカタログの閲覧や依頼ができるのも使いやすいポイントです。

 

海外メーカーも多く扱っており、製品を探しているユーザーに対して、ピンポイントにアプローチできる体系も魅力です。広告は月額で、バナー広告が6万円〜、テキスト広告が3万円、セミナー・イベント情報が4万円などさまざまなプランが用意されています。

 

広告申込URL:https://www.indexpro.co.jp/Advertisement/

5.「ManuTech(マニュテック)」

 

ManuTech(マニュテック)

画像引用元:https://www.themanutech.com/

 

「ManuTech(マニュテック)」は、製造業のIT化に関する技術やツールを検索できるプラットフォームです。すばらしい技術をもつ日本の製造業を、海外市場に広めていくことを軸として提供されるBtoBマッチングサイトで、無形である技術そのものを分類化してわかりやすく表示しています。

 

同サイトを提供するグローバライズ株式会社は、日本のものづくりの海外進出におけるDX化やブランディングを支援する企業です。日本のものづくり企業は高い技術を持っているものの、正しくブランディングされていないゆえに安価に取引されてしまう、といった課題を解決することも運営目的のひとつです。

 

さらに同サイトは、日本の製造業者が海外とのマッチングをかなえる、英語版情報サイト「MTS by ManuTech」も運営しています。日本のものづくり企業が英語版サイトでも情報提供することができたり、逆に海外の技術を調達することができたりと、日本の製造業の可能性を広げてくれるプラットフォームです。

6.「Factory Mart Japan(ファクトリー・マート・ジャパン)」

 

Factory Mart Japan(ファクトリー・マート・ジャパン)

画像引用元:https://www.fa-mart.co.jp/

 

「Factory Mart Japan(ファクトリー・マート・ジャパン)」は、長野県にある株式会社サンプレジャーによって、1997年から運営されている生産材情報サイトです。同社はエンジニア向けのメールマーケティング代行サービスも提供しています。ものづくり企業はもちろん、生産材に関する研究開発者や技術者にとって有益な情報を提供している検索プラットフォームです。

 

電子部品・通信機器・システム・工作機械・制御機器といったカテゴリからの検索はもちろん、業種・メーカー・カタログの検索など、用途に応じて検索しやすく構成されています。サイトから直接お問合せもでき、また気になるメーカーには一括での問い合わせができるのも使いやすいポイントです。

7.「Metoree(メトリー)」

 

Metoree(メトリー)

画像引用元:https://metoree.com/

 

「Metoree(メトリー)」は、産業用製品を比較するのに特化したポータルサイトです。愛知県発ZAZA株式会社が運営しており、開発研究者やエンジニアが製品を比較検討する際に使いやすい仕様となっています。

 

同サイトでは、センサ・工具・測定器など計6,115カテゴリ、代理店やメーカー73,937社のカタログが紹介されています。アクセスがあるのは業務時間帯が多く、現場において実務に使える製品を探しているユーザーが多く活用していることから、購買の検討度合いが高い見込客の流入が狙えるはずです。

 

Metoreeは興味を持ってくれたユーザーの分しか料金がかからない、成果報酬型の料金体系のため、費用対効果も高いと口コミも多くあります。広告掲載料に関する詳細な情報はありませんのでお問い合わせが必要です。

 

広告申込URL:https://metoree.com/ad_placement/

8.「健康美容EXPO」

 

健康美容EXPO

画像引用元:https://www.e-expo.net/

 

「健康美容EXPO」は、美容に関する製造業に向けたポータルサイトです。東京新宿区にある全研本社株式会社が運営しており、同社はWebマーケティングに特化した情報サイト「キャククル」で役立つ情報を提供しています。

 

同サイトでは、健康食品・化粧品・ハーブやアロマからエステサロンまで、美容に関する製造依頼が可能です。原料/製造・OEM/製品といった細分化されたカテゴリから検索が可能で、最適なマッチングをかなえます。

 

企業登録は無料ですので、広告掲載を検討されている方はまずは登録してみるのがおすすめです。広告の料金詳細については要問い合わせとなります。

 

広告申込URL:https://www.e-expo.net/com/index_top.html

工場の検索サイト

つづいては、製品製造を依頼できる工場そのものを検索できるプラットフォームをご紹介します。発注先を探している際はぜひご活用ください。

1.「EMIDAS(エミダス)」

 

EMIDAS(エミダス)

画像引用元:https://www.nc-net.or.jp/

 

「EMIDAS(エミダス)」は、株式会社NCネットワークが運営する製造業特化プラットフォームで、2万社以上の企業が登録しています。工場検索を主要コンテンツとしており、大手企業をはじめとする多くの企業が発注先の工場を検索しています。

 

工場検索では、設計や材料といった加工分類検索から、機械加工などの設備検索と、用途に合わせて検索しやすいようなユーザ目線の構成が特徴です。既存の製品はもちろん、新しく製造を依頼することもできます。また同社は製造業における情報提供として、ビジネスにおける有益な情報や、特定の製造業者を特集したコンテンツなどを盛り込んだメルマガ配信も行っています。

 

広告掲載は無料会員からプランが用意されており、掲載するだけなら無料会員でも可能です。案件に応募する場合は有料会員になる必要があり、プロライト(初期費用55,000円月額11,000円)、プロ(初期費用330,000円月額55,000円)の2つのプランから選べます。有料プランでは充実したサポートも受けられるため、公式サイトで内容をチェックしてみてください。

2.「Lister製造業」

 

Lister製造業

画像引用元:https://lister.work/

 

「Lister製造業」は、地図を使って近くの工場を検索できるサイトです。製造業において新規開拓を支援するプラットフォームで、現在地から近い工場検索ができるのも便利な機能です。製造業に関する工場だけを表示できるため、効率的に発注先を探すことができます。

 

無料プランでは5件までの検索が可能ですが、月額1,980円のプレミアムプランに登録すれば無制限で検索できるだけではなく、CSVのダウンロードも可能。リスト化することで、発注先・取引先の管理もクリアにできます。

 

また同サイトを運営する株式会社Listerは、全国の工業団地に属する工場・企業が​​46,572社掲載されたリストも販売しています。メーカーをはじめ、製造業界に属する企業におすすめのファイルは、無料サンプルの閲覧が可能。都道府県ごとに15,000円〜の単独購入も可能です。

3.「モノマド」

 

EMIDAS(エミダス)

画像引用元:https://mono-mado.com/

 

「モノマド」は、製品製造の依頼先を探している方に、専門家の視点で加工業者を探して、仲介してくれるサイトです。たとえば「まったく初めてで加工の方法も業者もわからない」という方に対しては、どのような材質・加工方法がよいかを選定して、ものづくりの知識が浅い方でも加工業者とスムーズに連携できるところまでをサポートしています。

 

逆にすでに取引先があってものづくりの知識には精通しているものの、サイズやコスト、技術などを最適化したいという企業の場合であれば、よりその分野を得意としている加工業者を紹介する流れとなります。場合によっては2社以上や地域に分散させることも。

 

運営するのは神奈川県にあるCOSMO ALPHA株式会社で、同社が構築した加工業者の情報網をもとに価値ある情報を提供しています。モノづくりの相談窓口を活用すれば自分で探して判断する手間もなく、無料で利用できるのも大きな特徴です。

製造業を網羅する情報ポータルサイト

ここでは、製造業においての最新情報を網羅できる情報ポータルサイトをご紹介します。気になる情報サイトは、ぜひ登録してチェックしておきましょう。

1.「日経 xTECH(クロステック)」

 

日経 xTECH(クロステック)

画像引用元:https://xtech.nikkei.com/

 

「日経XTECH(クロステック)」は、ITから自動車・建設など多岐にわたる産業分野の技術者・研究開発者・ビジネスリーダーを対象とした、技術系のデジタルメディアです。クロステックの「クロス」は幅広いジャンルをカバーする意味合いを持っています。

 

無料会員登録することで、メルマガ受信・限定記事の購読が可能です。有料会員にアップグレードすれば、100名以上の専門記者がさまざまな産業について徹底解説するオリジナル記事が読み放題となっています。

 

従来のものづくりはもちろん、IoTやAI、最新技術の動向など最先端のビジネス情報をキャッチできるため、多くのビジネスマンに利用されています。

 

広告には15種類ほどのプランが設定されています。バナー広告1週間70万円〜、クロステックが配信するメルマガ内の広告20万円〜と高額にはなりますが、ユーザー層は大規模企業が多く、役職者が6割を超えるため、大手企業に向けたプロモーションに大きな効果が期待できます。

 

広告申込URL:https://www.nikkeibp.co.jp/ad/form/index.html

2.「@engineer(アットエンジニア)」

 

@engineer(アットエンジニア)

画像引用元:https://www.atengineer.com/

 

「@engineer(アットエンジニア)」は、製造業に特化したエンジニア向けのポータルサイトであり、メンバーと交流ができるのも特徴のプラットフォームです。

 

広島県に本社を構えるサイバーナビ株式会社は、20年以上の実績をもとに、企業のプロモーション・マーケティングを支援しています。同サイトの特徴は、会員同士での情報共有システムを設けることで、技術者同士の意見交換を促進し、将来的なソリューションサービスの提供を目指している点にあります。

 

また企業は無料登録ができ、PRページ制作が可能です。有料プランに切り替えれば、動画制作などもでき、PR戦略についても相談できます。広告の方法としては、バナー広告・メルマガなどがあり、料金体系については要問い合わせとなっています。まずは無料の企業登録をおこなってから、広告掲載について問い合わせてみてください。

 

企業登録URL:https://partner.atengineer.com/se_application/

 

また同サイトはより細分化されたジャンルである「試験・分析.com」「セラミックス.com」「産業機器.com」といったサイトと連動しているため、検討度の高いユーザーと出会えるのもメリットといえます。

3.「スマートジャパン」

 

スマートジャパン

画像引用元:https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/

 

東京都にあるアイティメディア株式会社が運営する「スマートジャパン」は、電気やエネルギーに関する情報サイトです。とくに近年は、製造業においても電力の安定確保は喫緊の課題となっており、節電・蓄電・発電に関する製品情報や、導入事例、最新のニュースなどを発信しています。

 

同サイトでは、太陽光・電力供給・自然エネルギー・法規制・省エネ機器・蓄電発電・電気自動車・IT活用のカテゴリごとに、最新情報や製品、製品の導入にまつわる詳細事項をわかりやすく解説しています。

 

また導入場所ごとに情報が割り振られているのも使いやすいポイント。製造業界では欠かすことのできない「工場・データセンター」における電気エネルギー情報は要チェックです。

4.「icop」

 

icop

画像引用元:https://www.icop.jp/

 

「icop」は、製造業に関わる人・モノをつなぐコミュニティサイトです。企業登録をすることで自社製品の情報をアップロードでき、常に最新情報を更新できるうえ、資料閲覧・問い合わせも無料でおこなえるのがポイントです。

 

製品登録している企業は閲覧会員の情報を見ることはできないため、安心して企業や製品を探すことができます。

 

同サイトは、Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社・株式会社ジーエージェンシーの共同企画によって、株式会社アルシスのICOP事業部が運営しています。サイト内で製品情報に問い合わせをすることでcopポイントを貯めることができ、貯めたポイントは1ポイント1円としてギフトと交換することもできます。 

5.「MONOist」

 

MONOist

画像引用元:https://monoist.itmedia.co.jp/

 

「MONOist」は、製造業界における最新の業界動向や技術を発信する、エンジニア向けポータルサイトです。新技術の解説記事、特許開発者へのインタビューは月刊200本以上が新しく掲載されるほか、関連イベントや展示会情報まで、多岐にわたる情報を提供しています。ソフトバンクグループ企業である、アイティメディア株式会社が運営しています。

 

同サイトでは、製品企画から製造マネジメント、ソフトウェアやメカの設計、工場経営に関する情報も掲載。また製造現場での従事者がかかえる悩みや課題に対して、解決のヒントを提供しているのも特徴です。

 

月間で約250万PVにものぼる利用ユーザーの半分が製造業にたずさわっており、なかでも役職者は半分以上。企業の決済者に向けてダイレクトにアピールできるのも特徴です。

 

広告掲載は、他純広告(メルマガ)4万円〜、他純広告(バナー)10万円〜や、見られた回数に応じて費用が発生する静止画・動画広告など多彩なプランが用意されています。まずはメールで問い合わせてみてください。

 

広告申込URL:https://promotion.itmedia.co.jp/

6.「ものづくり.com」

 

ものづくり.com

画像引用元:https://www.monodukuri.com/

 

「ものづくり.com」は、ものづくりに関連する情報があつまるポータルサイトで、ものづくりに携わる研究者や技術者が4万人近く登録しています。ものづくりにおける課題解決をサポートするため専門家が約200名登録しており、エンジニアとのマッチングをはかることを目的としています。

 

無料登録するだけで、製造業におけるノウハウのつまった、専門家の書いた記事を読むことができるのがポイント。気になるワードで検索すれば、製造における技術面からものづくり企業の経営まで、専門家の知見を得られます。また専門家への相談も可能です。

 

広告掲載は、バナー18万円〜、メルマガ内のテキストリンク10万4000円〜の2種類。まずはフォームからお問い合わせしてみてください。

 

広告申込URL:https://www.monodukuri.com/advertise/inquiry/

7.「モノカク」

 

モノカク

画像引用元:https://keikakuhiroba-mfi.com/

 

「モノカク」では、ものづくり企業が技術や製品を広めるためのマーケティング情報を提供しています。とくに製造業に特化したマーケティング手法について学べるため、まだマーケティング領域には未着手という製造業の方におすすめのメディアです。

 

カテゴリはWebマーケティング・コンテンツマーケティング・海外進出・成功事例の4つに分かれます。製造業・マーケティングそれぞれの観点から考察された記事は、どれも初心者にもわかりやすく、製造業に従事しつつもマーケティングに課題を抱える方にぴったりです。

 

「海外進出」カテゴリでは、視野の広がる情報も多く、「成功事例」では具体的なマーケティング施策の進め方について具体的に学ぶことができます。製造業向けにWebマーケティングのサポートを提供している、テクノポート株式会社が運営しているメディアです。

8.「EDN JAPAN」

 

EDN JAPAN

画像引用元:https://edn.itmedia.co.jp/

 

「EDNJapan」では、エレクトロニクス技術を活用した、設計方法・開発方法・製品動向を解説しています。アイティメディア株式会社が運営する、電子設計に特化した情報サイトです。

 

運営チームは、エンジニアの経験がある、もしくはエンジニアとして第一線で活躍中のスタッフにより構成されており、専門性の高い情報を発信しています。最新エレクトロニクス技術はもちろん、製品の活用方法についても解説していて、実用性が高いのもポイントです。

 

エレクトロニクス関連の製造業に従事するエンジニアにとって、重要な情報源であるだけでなく、電子設計の基本を知りたい方向けの実用メディアとして非常に有用です。

9.「fabcross(ファブクロス)」

 

fabcross(ファブクロス)

画像引用元:https://fabcross.jp/

 

「fabcross(ファブクロス)」は、ものづくりに携わる人々やエンジニア向けに情報提供をしたり、技術者同士がものづくりのよってつながるポータルサイトです。

 

株式会社メイテックが運営する同サイトでは、次世代のものづくりに役立つ最新ニュースや、次世代エンジニアや起業家のインタビュー記事なども更新され、またエンジニア同士をつなげて支えるためのイベントなども開催しています。

 

記事はどれもキャッチーで読みやすいものが多く、ものづくりに関する知識があまりない人でも楽しく読むことができるものも多くあります。Twitterアカウントには3万人のフォロワーがおり、SNSを通じて常に最新情報を更新しているのも特徴です。

10.「TECH+(テックプラス)」

 

TECH+(テックプラス)

画像引用元:https://news.mynavi.jp/techplus/

 

「TECH+(テックプラス)」は、マイナビニュースから生まれたビジネス情報サイトで、ITテクノロジーを中心に取り扱っています。もともとあった「マイナビニュース 企業IT」「マイナビニュース テクノロジー」「IT Search+」の3つのサイトが統合された形です。

 

月刊のPV数は500万、登録者数は20万人を超え、テクノロジーについて知りたいエンジニアだけでなく、非エンジニアである多くのビジネスマンの情報源としても活用されています。

 

同サイトでは、ITテクノロジーが解決しうるビジネス上の課題や、先進企業の活用方法、導入のメリットだけでなくデメリットまで幅広い題材を取り扱っています。その数、月刊900本にものぼり、製造業界におけるテクノロジーの最新動向をキャッチできるメディアです。

11.「Japan Innovation Review」

 

Japan Innovation Review

画像引用元:https://jbpress.ismedia.jp/list/jir

 

「Japan Innovation Review」は、株式会社日本ビジネスプレスが運営する「JBpress」で提供されたコンテンツを拡充・リニューアルし、企業においてDXを進めるリーダーに特化した専門メディアです。

 

同サイトでは、DXやSXなど、次世代の製造業に欠かせないコンセプトをもとに、企業変革をすすめるリーダーに必要な情報提供をおこなっています。普段メディアにとりあげられることは少ないものの、業界を先進する経営者のインタビューを掲載しており、ビジネスにおける新しい知見を得るのにも役立ちます。

まとめ

 

製造業で使える、製品検索サイト・工場検索サイト・情報ポータルサイトについてご紹介しました。

 

これらのサイトを活用して最新技術や先進企業事例などの情報を収集することで、製造業経営の知見を広げていくことができます。それぞれのサイトごとに得意とする分野は異なるため、自社課題にとって使いやすいサイトを見つけて、情報を最大限に活かしていきましょう。

 

 

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Tue, 31 Oct 2023 12:05:07 +0900
<![CDATA[LTVとは?マーケティングにおける意味や計算方法、高める方法をまとめて解説]]> https://mtame.jp/column/about_ltv LTV(ライフタイムバリュー)とは、「顧客生涯価値」を意味するデジタルマーケティング用語です。顧客と契約を結んでから解約するまでに得られる利益のことで、SaaSビジネスでは、重要な指標のひとつになっています。

 

サブスクリプションサービスが増えてきたこと、新規顧客の獲得が難しくなってきたことなどの理由から、既存顧客との関係性を強化する企業が増えています。この既存顧客の継続利用を図るために、マーケティング活動の大きな目標となるのが「LTV最大化」です。最大化を目指せば、無駄なコストを削減してさらなる利益を上げることができます。

 

そこで本コラムでは、LTVの意味や計算方法、向上させるための施策についてをまとめてご紹介します。

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LTV(ライフタイムバリュー)とは

LTVとは、Life Time Value(ライフ タイム バリュー)の略で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。顧客が生涯を通じて、自社にどのくらい利益をもたらしたのかを算出する指標です。ここでいう「生涯」とは、自社の製品を利用開始してから終了するまでの期間のこと。1度の利用だけでなく、2度目以降のリピート利用も含まれます。

 

長期間継続して利用する顧客の方が「LTVが高い」といえます。サブスクリプションモデルを採用するSaaSビジネスでは、継続利用が直接的な収益へとつながるため、LTVの最大化が重要視されてきています。

なぜLTVが注目されているのか

LTVが注目されるようになった背景には、以下のような理由が挙げられます。

 

  • 新規顧客の獲得が難しくなった
  • サブスクリプションサービスの利用が増えた
  • One to Oneマーケティングが主流に
  • 顧客ロイヤリティが重要視されるようになった
  • サードパーティCookie規制の影響

 

この5つの理由について詳しく解説していきます。

新規顧客の獲得が難しくなった

日本の人口減少を受けて、市場では新規顧客の獲得が年々難しくなっています。すでに商品やサービスが飽和状態の市場では、さらに新規獲得は困難です。

 

また、マーケティング業界には「1:5の法則」という法則があり、「新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる」といわれています。いまやコストのかかる新規顧客の獲得よりも、既存顧客と接点を持ち続ける方が効率的です。コストをかけずに収益を伸ばすためにも、既存顧客との関係を強化して、LTV向上に力を入れる企業が増えています。

サブスクリプションサービスの利用者が増えた

定額料金で使用するサブスクリプションサービスが一般化してきました。コロナ禍で急拡大し、いまでは音楽や映画、電子書籍、ファッション、車、ビールまであらゆるものが「サブスク」で利用できるようになりました。
初期費用がかからず安価なプランが多いため、利用者にとっては予算をかけずにはじめられます。企業においても、新規獲得のハードルを下げてくれる便利なサービスといえるでしょう。

 

サブスクリプションサービスは、継続利用で収益を上げるため、長期利用してもらうことが売上に大きく影響します。そのため、LTVを最大化することが企業にとっては非常に重要な目標になっています。

One to Oneマーケティングが主流に

One to One(ワントゥーワン)マーケティングとは、顧客1人ひとりのニーズ・関心に合わせて行うマーケティング活動です。いままでは、テレビCMのような不特定多数に向けた宣伝を行っていましたが、インターネットやSNSの普及で、誰でも簡単に情報を入手できるようになり、ニーズも多様化しています。

 

そのニーズに対応するため、企業が取り組んでいるのが「One to Oneマーケティング」です。顧客の行動や購入履歴を分析して、その人の好みに応じたアプローチを展開しています。そのなかで、顧客の満足度やロイヤリティをはかる指標として、LTVが注目されるようになりました。

 

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顧客ロイヤリティが重要視されるようになった

顧客ロイヤリティとは、顧客が特定の企業や商品・サービスに感じる「愛着」や「信頼」のことです。どんなにいいサービスでも十分に使いこなせなかったり、サポート体制が悪かったり、製品が信頼できなければ継続利用してしてくれません。類似品の方がよければ、すぐに乗り換えてしまうでしょう。

 

反対に、商品やブランドを信頼してもらえれば、次回も同じ商品を購入してリピーターになってくれます。一般的に顧客ロイヤリティの高い企業ほどLTVが高いといわれています。このように、顧客ロイヤリティの度合いを測る指標として「LTV」が重要視されるようになりました。

サードパーティCookie規制による影響

いまデジタル広告市場では、ブラウザによる「サードパーティCookie規制」の影響を受け、改変が求められています。

 

「Cookie」とは、Webサイトの訪問回数や入力したIDなど、訪れたユーザー情報をテキストファイルとして一時的に保存しておく仕組みのことです。ECサイトの買い物かごに入れた商品が、再訪したときにもそのまま残っていたということはないでしょうか。そのシステムには「Cookie」が使われています。情報を残しておくことで、ID・パスワードを再入力しなくて済むなど、利便性を高めるために「Cookie」が使用されています。

 

今回規制が強化されている「サードパーティCookie」は、「ユーザーが訪問しているWebサイト以外のドメインから発行されたCookie」のことを指します。「第3者のドメインから付与される」ことが大きな特徴です。

 

たとえば、アクセスしたWebサイトにバナー広告があれば、閲覧しているサイトだけでなく、その広告からもCookieが発行されます。「サードパーティCookie」は、複数サイトを横断しての追跡が可能です。その特性を利用して、1度自社サイトへアクセスしたユーザーに対して、別サイトで自社広告を表示する「リターゲティング広告」に使われてきました。

 

しかしここ数年、そういった追跡行為が、個人情報保護の観点から問題視され、サードパーティーCookieを規制する動きが拡大。すでに「Safari」では全面廃止され、「Google Chrome」も2024年半ばから段階的な廃止を発表しています(2023年10月現在)。

 

そのため、リターゲティング広告の依存度が高い企業は、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のLTV向上につなげるようなマーケティングへの移行が求められています。

LTVの計算方法

それでは実際にLTVを計算してみましょう。計算方法はいくつかあるので、ビジネスモデルに合わせて選んでみてください。

LTVを算出するためのシンプルな計算方法

基本となるLTVの計算方法は以下のとおりです。この計算でLTVの平均値がわかります。

 

LTV=平均購買単価×平均購買頻度×平均契約継続年数

 

たとえば、顧客の平均購買単価が「10,000円」で平均購買頻度が「年3回」、平均契約継続年数が「10年」の場合は「10,000円×3回×10年=300,000円」がLTVです。

 

1社(顧客)単位で算出したい場合には、以下の計算方法もあります。収益率を取り入れて原価や経費を考慮した計算式です。

 

LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の契約継続年数

 

たとえば、ある企業の年間取引額が「100,000円」で収益率が「60%」、顧客の契約継続年数が「3年」の場合は「100,000円×0.6×3年=180,000円」がLTVになります。

SaaSのサブスクリプションモデルで用いられるLTVの計算方法

サブスクリプションの場合「平均購買頻度」は関係ないため、一般的な計算式は以下のとおりになります。

 

LTV=平均購買単価×平均契約継続期間

 

平均購買単価が「10,000円」で、平均契約継続期間が2年(24か月)の場合は「10,000円×24か月=240,000円」がLTVになります。

 

サブスクリプションモデルは、定額制のため一定の収益を期待できますが、解約も売上に大きく影響します。そのため「解約率」を加味して計算する場合も多いです。

 

LTV=平均購買単価×粗利率÷解約率

 

平均購買単価が「10,000円」で、粗利率が60%、解約率が10%の場合は「10,000円×0.6÷0.1=60,000円」がLTVです。

LTVに関連する用語・指標

ここからは知っておきたいLTVの関連用語をご紹介します。用語や指標を理解して、効率的にLTV向上を目指しましょう。

ARPA

ARPA(アーパ)とは、「Average Revenue per Account」の略で、1アカウントあたりの平均売上を意味します。最近では、ひとりでスマートフォンとタブレットを持つなど、デバイスを併用するユーザーが多いため、1ユーザー数ではなく、1アカウントあたりの収益を算出する企業が増えています。ユーザー数で算出するよりも、アカウント数(契約者数)で把握する方がより売上の実態をつかめるからです。

 

とくにBtoBのSaaSビジネスでは、クラウド環境でソフトウェアを提供する場合、1アカウントで複数端末が利用できます。そのため、端末基準では売上を正確に把握しにくいため、アカウントで算出する「ARPA」が用いられるようになりました。

ARPAの計算方法

ARPAの計算式は以下のとおりです。

 

ARPA=売り上げ÷アカウント数

 

たとえば、月間の売上が8,000万円でアカウント数が50,000人の場合、ARPUは「80,000,000円÷50,000人=月間1,600円」となります。

ARPU

ARPU(アープ)とは、「Average Revenue Per User」の略語で1ユーザーあたりの平均的売上額を示します。主に携帯電話会社など通信事業で使われていましたが、近年はARPUを見直して先述した「ARPA」を採用する企業が増えています。

ARPUの計算方法

ARPUを求める計算式は以下のとおりです。

 

ARPU=売り上げ÷ユーザー数

 

たとえば、月間の売上が4,000万円でユーザー数が20,000人の場合、ARPUは「40,000,000円÷20,000人=月間2,000円」となります。

チャーンレート

チャーン(Churn)とは、継続利用を前提としたサービスを解約することで、チャーンレート(Churn Rate)は「解約率」を意味します。

 

サブスクリプションサービスは、解約が続いてしまうと売上に大きく影響するため、とくにチャーンレートが重要な指標となります。
チャーンレートが高い場合は、企業や製品に不満を抱いている人が多いのかもしれません。企業イメージの低下にもつながるので、ロイヤリティを高める工夫やプロダクトの見直しなど改善策を打ち出しましょう。チャーンレートを引き下げれば、LTV向上にも影響してきます。

チャーンレートの計算方法

基本的なチャーンレートの計算方法は以下のとおりです。

 

チャーンレート=(調べたい期間の解約顧客数÷期間前の契約顧客数)×100

 

たとえば、500人の顧客のうち50人がサービスを解約した場合、チャーンレートは「(50人÷500人)×100=10%」となります。

 

また、月次の場合は「当月の解約顧客数÷前月の契約顧客数×100」となります。月初に100人の顧客が契約していて、月末までに7人がサービスを解約した場合、チャーンレートは「(7人÷100人)×100=7%」となります。

MQL・SQL

MQL(Marketing Qualified Lead)とは、見込み顧客(リード)の中でも、マーケティング活動で得られた確度の高い人のことをいいます。「ホットリード」とも呼ばれ、自社製品に高い関心があるのでアポを獲得しやすいのが特徴です。

 

一方、SQL(Sales Qualified Lead)は、営業部門が商談に進む可能性が高いと判断して案件化を目指すリードのことです。MQLをインサイドセールスが電話やメールでヒアリングして、案件化したものも含まれます。すでに製品の比較検討をしている段階のため、短期間で受注できるのが特徴です。
SQLを獲得するには、MQLから育成するケースや、顧客からの問い合わせ、営業が直接獲得するパターンなど、さまざまな方法があります。

 

マーケティングが創出したMQLをタイミングよく営業に渡してSQLへと移行できれば、短期間で売上向上につながります。MQLはマーケティングや営業の効率化ができ、中長期的な接点で育成を続けているため契約後もLTV向上が期待できるなど、多くのメリットがあります。

 

【関連記事】MQLとは?SQLとの違いやリードの種別を解説!

CAC

CACとは、「Customer Acquisition Cost」の略で「顧客獲得コスト」を意味します。新規顧客を1件獲得するために、どれだけコストがかかったかを表す指標です。主に営業・マーケティングのトータルコストのことを指します。

 

新規顧客の獲得には、展示会の開催費や広告費などさまざまな費用がかかるため、CACを抑えながらLTV向上を目指すことが求められます。そのため、CACを月間や四半期など期間を区切って定期的に算出・分析することが必要です。

LTVとCACの比率は3:1以上

一般的にLTVとCACの比率は、3:1以上の数値があれば事業は順調であるといわれています。CACがLTVの3分の1以下なら収益性があるからです。
反対に3分の1以上の場合、事業は不健全となります。CACを抑える改善策が必要でしょう。

CACの計算方法

CACの計算式は以下のとおりです。

 

CAC=新規顧客獲得に関するコストの合計÷新規顧客獲得数

 

たとえば、新規顧客2件の獲得で営業の費用が500,000円、マーケティング費用が300,000円かかった場合、CACは「800,000円÷2=400,000円」になります。

 

【関連記事】CAC(Customer Acquisition Cost)とは?顧客獲得費用で考えるマーケティング施策の有用性

MRR

MRRとは、「Monthly Recurring Revenue」の略語で、「月間経常収益(または月次経常収益)」を意味する単語です。毎月決まって得られる収益(売上)を表す指標で、サブスクリプション型ビジネスの主要KPIとして設定されます。初期費用やオプション費用など単発の収益は含めません。

MRRの計算方法

MRRの基本的な計算方法は以下のとおりです。

 

MRR=月額利用料×ユーザー数

 

たとえば、月額利用料が1,000円でユーザー数が100人の場合、MRRは「1,000円×100人=100,000円」となります。

 

「6か月」や「1年」など契約期間が複数ある場合は、「利用料÷契約月数」で利用料を月額に直したうえで、MRRの基本計算式にあてはめます。その後、すべてを合算するとMRRが算出できます。

 

たとえば、1年と6か月契約の料金プランがある場合は以下のとおりです。

 

6か月プラン:利用料50,000円・ユーザー数6人
1年プラン:利用料100,000円・ユーザー数3人

 

(50,000円÷6か月×6人)+(100,000円÷12か月×3人)=75,000円

 

【関連記事】MRR(Monthly Recurring Revenue)とは?月間経常収益がSaaSビジネスのKPIに

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクスとは、ビジネスの採算性を可視化するための指標です。主に、サブスクリプション型ビジネスの健全性を確認するために使われ、一般的には3?5の数値が望ましいといわれています。

 

数値が1を下回ってしまうと、売れば売るほど赤字になってしまい、事業は継続できません。顧客獲得にコストがかかりすぎているので、LTVの向上を目指したり、マーケティングコストを見直したりするなど対策を検討しましょう。

ユニットエコノミクスの計算方法

ユニットエコノミクスの計算式は以下のとおりです。

 

ユニットエコノミクス=LTV÷CAC

 

たとえば、LTVが25,000円で、CACが5,000円の場合、ユニットエコノミクスは「25,000円÷5,000円=5」となります。この計算から、顧客獲得コスト(CAC)の5,000円でその5倍の収益を生み出したことがわかります。

 

【関連記事】ユニットエコノミクス(Unit Economics)とは?SaaSビジネスで重要な顧客1人あたりの収益という概念

LTVを向上させるためのポイント・施策

ではLTVを向上させるにはどうしたらいいのでしょうか。ここからはLTVを最大化させるためのポイントや施策についてご紹介します。

購入単価を上げる

LTVを向上させるために一番わかりやすい方法は、購入単価を上げることです。商品・サービス自体を値上げする方法以外にも、「アップセル」「クロスセル」といったLTV最大化に欠かせない手法もあります。

商品・サービスの値上げ

単純に商品・サービスの値上げをすれば、購入単価は上がります。ですが、値上げをすることは簡単ではありません。顧客に値上げ理由を説明して、しっかりと納得してもらわなければ、不満から顧客離れにつながる可能性があるからです。
ただし、顧客が理解できる理由なら、大幅な値上げでないかぎり顧客離れは小さく抑えられるでしょう。

アップセル

アップセルとは、検討中あるいは購入後の商品・サービスより上位クラスを勧める手法です。たとえば、データ通信3GBで月額1,000円のプランを、8GB月額1,500円にアップグレードするというように、利用しているサービスよりも上位プランを契約してもらうことで顧客単価の向上を目指します。

クロスセル・セット販売

クロスセルとは、検討中あるいは購入後の商品・サービスの関連商品を提案する手法です。ECサイトで買い物中に、「一緒に購入されている商品」として関連アイテムを紹介されたことはないでしょうか。このような「レコメンド機能」を活用して、関連商品の購入を促すこともクロスセルのひとつです。

 

また、同時購入されている商品を紹介して「セット販売」を促進することも有効です。ユーザーがいままで知らなかった商品を提案することで、潜在的なニーズを引き出します。利用者にとっても、商品選択の手間が減るといったメリットがあります。

購買頻度を多くする

LTVの最大化は、購入回数を増やすことでも実現できます。購入頻度を上げるには、顧客とコミュニケーションを取り、適切なタイミングで購入を促すことが大切です。リマインドメールなど定期的にメールを送って、自社製品を覚えてもらえる工夫をしましょう。

リマインドメール

購入頻度アップのために、効果的なのが「リマインドメール」です。リマインドメールとは、契約更新などのタイミングでメールを送ることをいいます。
買い替えの時期に、自社サービスについてのメールを送れば、選択肢のひとつに加えてもらえるかもしれません。メールで自社の強みやメリットをしっかり伝えて、購買意欲が高まっているタイミングで顧客との接触機会を増やすことが大切です。

 

ただし、顧客の購買意欲が高まっているかどうかの見極めが必要になります。ニーズをつかんでいないと、「しつこいセールスだ」と迷惑がられてしまうので注意しましょう。

契約期間を長くする

継続利用を促す施策は、LTV向上を目指す企業にとって不可欠です。「継続利用を促す=解約率を引き下げる」ともいえます。解約防止対策という面からも施策を考えていきましょう。ここでは、具体的な施策として「オンボーディング」と「カスタマーサクセス」についてご紹介します。

オンボーディングを成功させる

まずは、契約後のオンボーディングをしっかり行うことが大切です。オンボーディングとは、新規顧客が自社サービスの使い方や活用方法をいち早く理解できるよう支援するプロセスのこと。ストレスなくサービスを使いこなせれば、解約リスクも減り、継続利用率がアップするでしょう。

 

反対に「使い方がわからない」「機能が使いこなせない」など、オンボーディングに失敗すると解約率が高くなる可能性があります。一度離れてしまったユーザーの心を再びつかむのは難しいことです。「売って終わり」ではなく、長期的な体制でフォローしていくことが大切です。

カスタマーサクセスによる支援

カスタマーサクセスとは、顧客が目指す成功体験を実現するために支援することです。顧客が導入目的を達成するために、能動的に支援して成功まで導きます。事前に起こりうる課題を予測して定期的にサポートすることで、顧客満足度が向上し、企業への信頼も高まります。

 

「受注までは頻繁に連絡をくれたのに、契約後は少なくなった」「質問をしてもすぐに対応してくれない」など、アフターフォローに不満を抱く顧客は少なくありません。そのようなマイナスの感情は、解約や他社への乗り換えにつながりやすいので要注意です。カスタマーサクセスの体制を整えて、長期的にサポートできるシステムを作りましょう。

コストを下げる

コストを最適化して、適正に抑えることもLTV向上につながります。原価抑制に着目して原料費を抑えながら、生産性の向上に成功すればLTVを高められます。さらに営業・マーケティングのトータルコストを示すCACなど、あらゆる角度から見直してコストをかけずに売上を伸ばすことが理想です。

原価抑制

コストを削減するには、商材の原価率にも注目しましょう。販売価格1,000円のところ、原価に1,000円かかっては利益が出ません。原価率を適正にすることで、売上が大幅に変化します。
部品購入など外部の会社と関わる際は、2社と取引してお互いを競わせたり、相見積もりを取って価格を見比べたり、クオリティをキープしながらコスト削減できるような工夫が必要です。ただし、コストにこだわりすぎて商品・サービスの品質が低下しないようにしましょう。

LTV最大化に役立つツール

LTV最大化のためには、MA(マーケティングオートメーション)や、CRM(顧客関係管理)などのデジタルツールを活用することもひとつの手段です。ツールを使って営業・マーケティング活動を効率化すれば、余分な時間や人員の削減になり、顧客維持コストを抑制できます。ここからは、「MAツール」と「CRM」についてご紹介します。

MA(マーケティングオートメーション)ツール

MA(マーケティングオートメーション)とは、顧客開拓におけるマーケティング活動を自動化することです。MAツールは、リード育成をして、案件確度を高めた状態で営業・インサイドセールスに渡すまでの一連の業務を自動化します。

 

MAツールを使えば「メルマガを開封した」「リンク先をクリックした」など、「誰が・いつ・どのようなアクションをしたのか」といった顧客の細かい動きを追えます。価格表をダウンロードしたときなど、最適なタイミングでアプローチできるのでアクション放置による機会損失が防げるでしょう。

CRM

CRM(Customer Relationship Management)とは、「顧客関係管理」を意味する言葉です。顧客情報をデータベース化することで、ニーズや課題などを把握し、企業と顧客の関係性向上につなげます。そのために活用されるのがCRMツールです。名刺の基本情報や過去の購買データ、コミュニケーション履歴などあらゆる記録を一元管理できます。

 

CRMツールを使って顧客情報をあらゆる角度から分析し、どのような行動特性を持っているのか把握すれば、アップセルやクロスセルも最適なタイミングで提案できるでしょう。 また、CRMツールは解約の兆候もわかります。しばらくアクションのない顧客は解約のサインかもしれません。解約はSaaSにとって売上に大きく影響するので、解約防止策としても積極的に活用しましょう。

まとめ

LTVは、顧客を獲得し、維持するための貴重な指標であり、企業が長期的な成功を収める上で欠かせない要素です。LTVを正しく理解し、最大化することは、企業が収益を向上させ、持続可能な成長を達成するカギとなります。

 

LTV向上の施策は、すぐに取り組むべき施策ですが、短期間で成果が出るわけではありません。ブランドのロイヤリティ化、カスタマーサクセスの体制づくりなど、結果が出るには時間がかかります。施策を改善しながら、長期的な視野を持って取り組みましょう。

 

LTV向上には顧客のニーズに合わせた細やかな対応が必要です。なかなかLTV施策に手が回らない場合は、デジタルツールの活用がおすすめです。顧客が求めていることをデータから分析し、最適なタイミングでサービスを提供できるようなシステム作りを構築して、LTV最大化を実現しましょう。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

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Tue, 31 Oct 2023 11:44:32 +0900
<![CDATA[製造業はAI導入で今後どう変わる?AI活用のメリット・デメリット、活用事例10選などをご紹介!]]> https://mtame.jp/column/manufacture_AI 製造業では、外観検査や在庫管理などに、AI(人工知能)が導入されはじめています。いままでベテラン社員の経験やノウハウに依存していた作業も、AIでシステム化され、ほかの作業員と分担できるようになっています。人手不足が深刻化している製造業において、AIの活用は今後取り組むべき施策となるでしょう。

 

そこで本記事では、製造業におけるAIの重要性、メリット・デメリット、活用事例などをまとめてご紹介します。

なぜ製造業ではAI導入が進んでいるのか

他国と比べて遅れているものの、国内でも製造業でAIを導入している企業が増えています。なぜ製造業ではAI導入に注力しているのでしょうか。

その理由は、製造業が抱えているさまざまな課題が関係しています。ここからは、そもそもAIとは何か、そして製造業にはどのような課題があるのかについて解説します。

AIとは

AI(Artificial Intelligence)とは「人工知能」のことで、人間の知能をコンピューターで再現し、機械学習、自然言語処理技術などを活用して効率的な作業を可能にします。

最近では、OpenAIによるChatGPTの公開で「生成AI」というキーワードが世界中で注目を集め、大きな話題になりました。「ChatGPT」や「Google Bard」などをすでに利用している方も多いのではないでしょうか。

 

AIの急速な発展を支えているのが、「ディープラーニング(深層学習)」という機械学習の開発です。いままでよりも深い階層での情報処理が可能になり、高いレベルの認識精度に到達しました。その技術はsiriやアレクサなどの音声認識や、自動翻訳などにも使われています。

国内におけるAI導入率

ITおよび通信分野に関する調査を行うIDC Japan株式会社によると、2022年の国内AIシステム市場は、エンドユーザー支出額ベースで市場規模が3,883億6,700万円となり、前年比成長率は35.5%でした。同社は、AI利用が活性化した理由として「企業がDXに本格着手していること」「デジタルビジネスのソリューション化に注力していること」を挙げています。

また、2010年代後半から続いている第3次AIブームにおいて、2022年は成熟期に差しかかっていたと推測。2023年の国内市場規模は前年比27.0%増を予測しており、今後も成長を続けると考えています(参考:2023年 国内AIシステム市場予測を発表)。

このように国内全体を見ても、AIの市場規模は年々拡大中です。なかでもアナログな業務が多い製造業では、AIやIoTなどの最先端技術を取り入れたデジタルによる大きな成長が見込まれています。

製造業の課題

製造業においてAIの導入が進んでいる背景には、人手不足やデジタル化の遅れ、市場競争の激化など、多くの課題が影響しています。

 

とくに、労働人口の減少や若者の製造業離れもあり、人手不足は深刻な問題です。団塊の世代のベテラン勢が大量に退職したため、「指導者の不足」という新たな課題も生まれています。慢性的な人材不足で、従業員の負荷も大きくなっており、問題が解消する兆しは見えていません。

 

また、製造業ではグローバルな市場競争も激化しており、世界規模で価格や品質など多くの要因が競われています。そのなかで日本の国際競争力は低下していると問題視されており、製造ラインのデジタル化が急務となっています。

 

このような製造業の課題に対して、その解決策として注目されているのがAIの活用です。AIは、正確かつスピーディなデータ処理を得意としています。ルール化された製造ラインの単純作業も休むことなくこなせるでしょう。
このような製造業との親和性に着目して、多くの企業でAIの活用が進められています。

 

関連記事:製造業が人材不足になる原因とは?データからわかる実態や課題、解決策を解説

製造業でAIを導入するメリット・デメリット

では、AIを導入することで、どのような成果が得られるのでしょうか。ここからはAI導入のメリット・デメリットについて解説します。

AI導入のメリット

ここでは、以下の7つのメリットをご紹介します。

 

1.作業効率・生産性の向上
2.安定した品質
3.安全性の高い作業
4.従業員の負担軽減
5.人為的ミスの削減
6.スムーズな技術継承
7.人材不足の解消

作業効率・生産性の向上

多くの企業がAIの導入目的として挙げるのが「作業の効率化」です。AIは、大量のデータを素早く処理し、正しく学習すれば作業で判断に迷うこともありません。人間のような体調の変化や、勤務時間の制限もないため生産性も向上します。

 

たとえば、製品の表面を確認する「外観検査」をAIが行えば、高い精度で欠陥や不良品を検出し、異常を効率よく識別することが可能です。また、AIを活用した自動化と連携で、工場全体の業務が最適化され、生産プロセスの運用効率が向上します。

安定した品質

手作業で行う業務は、作業者の経験値などで差が出てしまい、製品にばらつきが生じる可能性があります。AIならプロセスを数値化することで品質を均一に保ち、安定した商品の供給ができます。

 

また目視で全製品を検品することは、多大な時間とコストがかかりますが、AIを活用すれば短時間で全品検査も可能です。不良品や異物の混入なども避けられ、品質向上が期待できるでしょう。

安全性の高い作業

製造業では化学薬品を使用したり、重量物を扱ったり、危険を伴う作業も少なくありません。そこでAIを搭載した無人搬送車(AGV)を活用すれば、重量物の運搬の際に接触事故などのリスクを低減できます。高い足場の点検には、AI搭載のドローンを使うことで人的事故が減らせるでしょう。

若者の製造業離れの一因にもなっている危険な業務をAIに任せることで、安全を確保でき、就業率の向上にもつながります。

従業員の負担軽減

24時間休みなく働き続けることができるのは、AIの大きなメリットです。AIの導入で夜間などの不規則勤務を減らせるので、作業者の負担を軽減でき、疲労によるミスや集中力の低下が防げます。

パフォーマンスが向上することで、新たなビジネスチャンスや他の重要作業への取り組み強化が実現し、売上向上にもつながるでしょう。

人為的ミスの削減

AIで製品の異常検知を行えば、ヒューマンエラーが減らせます。目視によるチェックは経験や技術に左右されやすく、精度にばらつきが出てしまいます。AIの外観検査ならクオリティを一定に保つことができ、不良品出荷による損害も削減可能です。

さらに、AIで製造作業を管理することで、部品の欠落など人為的な製造ミスも防げるでしょう。

スムーズな技術継承

従来の「見て覚える」といった製造業の技術継承は、習得までに時間がかかってしまい、後継者が育ちにくいことが大きな課題となっていました。AIを活用すれば、熟練者の知識やノウハウをデータ化して、ベテランの技も再現できます。

たとえば、熟練の検査員による品質確認を数値化して、AIに学習させれば高いレベルの品質検査が実現します。短期間で職人技を引き継ぐことができるでしょう。

人材不足の解消

AIの導入で業務負担を軽減できれば、慢性的な人手不足の解消につながります。人間が作業するよりも迅速な業務ができるため、少人数でも製造ラインの運用が可能です。

最近話題になっている「生成系AI」の開発も進み、AIは定型的な単純作業だけでなく、商品開発や製造企画のアイデアにも活用されはじめています。

AI導入のデメリット

一方、AI導入のデメリットとしては、「導入コストや時間がかかる」「情報漏えいのリスク」「デジタル人材の確保」の3つが挙げられます。

導入コストや時間がかかる

AI導入には、初期費用や運用コストなど多くの費用がかかります。AIを学習させるためのデータ準備にも時間やコストがかかる場合もあります。AIを運用するデジタル人材がいない場合は、新たな採用や社員育成、外注費が必要です。

さらに、AI導入の成果が出るまでは長期的な運用が求められます。費用対効果を計算する場合は、その期間も考慮しましょう。

情報漏えいのリスク

AI搭載機器には多くのデータが蓄積されており、サイバー攻撃でシステムに侵入された場合は情報漏えいするリスクがあります。AIの高い学習能力を悪用してシステムの不具合を発見し、セキュリティを突破されてしまう危険も指摘されています。

 

また、「間違ったデータをAIに学習させて誤作動を起こさせる」といったサイバー攻撃にも注意しなければなりません。その対策として、企業では学習データが正しいかどうかのチェックや、データを守る最新のセキュリティ開発が求められています。

デジタル人材の確保

AIの導入には、デジタルに強い人材を育成するか、専門知識をもつ人材の採用が必要です。

とくに製造業では、製造工程を知る業務スキルも大切なため、人材確保が難しいともいわれています。

 

従業員をトレーニングする場合は、通常の業務をこなしながらの作業になり、教育に時間がかかります。AI技術の進化に伴う継続的なアップデートも重要なため、社員にとってはトレーニングが負担になるかもしれません。
デジタル人材には、製造業の従来の業務プロセスにとらわれない適応能力が求められます。そのあたりも考慮して社員教育を進めましょう。

製造業におけるAIの活用方法

では製造業の現場で、実際にAIはどのように活用されるのでしょうか。具体的な活用方法について解説していきます。

検品作業

製造業においてAI技術が広く活用されているのが、不良品をチェックをする検品作業です。

AIに製品の仕様や基準を学習させて、実際の製品とデーターベースの基準を比較することで、表面にある欠陥、傷、不均一性、色の違いなどを検出。不良品としてマークしていきます。

 

最近では、ディープラーニングを利用した高度な情報処理で、より複雑な不良品の判別ができるようになりました。たとえ判断ミスがあった場合でも、それをさらに学習させて精度を高め続けることが可能です。
また、リアルタイムで監視できるため、製品ラインを通過すると同時に問題がある場合はすぐに警告してくれます。不良品を見逃さずに、高速で正確な検査が可能になりました。

業務の最適化

AIを活用すれば、原材料の調達や製造、出荷までのスケジュールを管理・分析して、精度の高い生産計画、要員計画が自動で立案できます。

 

いままでは社員の経験則に基づいて計画が建てられていたため、どうしてもベテラン社員の経験値や長年の勘に頼る部分が多くなっていました。AIなら過去のデータを分析した総合的な予測が可能です。市場の動向や社会情勢などの要因も踏まえて、業務効率のよい最適解を提示してくれます。

機械メンテナンス

AIは設備の故障を事前に予測して、安定的な生産ラインを維持してくれます。機械の稼働状況や過去の故障、消耗品、修理状況などをAIに学ばせることで、正常稼働時と比較して故障するタイミングを予見。故障の予兆を検知して、生産ラインの停止によるタイムロスを減らせます。

さらに、従業員が行っていた毎日の設備点検も、センサーや動画のデータの分析で自動化できます。

需要予測

AIの活用で、過去のデータから商品の売上量が予測可能です。売上データや市場動向、気象情報、人流データなどあらゆる変動を学習させることで、自社製品がどのくらい売れるのかがわかります。

 

需要予測を利用すれば、いままで欠品防止のため多めに抱えていた在庫を最適化できます。廃棄ロスも削減できるでしょう。担当者の経験やノウハウに頼りがちな発注作業も、熟練度に依存せず、業務を進められるようになります。

作業の自動化

近年では、AI技術を利用した無人コンビニが登場し、店内の客の動きをカメラやセンサーで捉え、選んだ商品を自動決済できるようになりました。また、成田国際空港では、カメラの映像をAIで解析し、異常を検知する警備ロボットが活躍しています。

 

製造業でも、人と共同で作業ができる協業ロボットにAIを取り入れることで、仕分け作業や梱包、在庫管理などの業務が自動化できるようになりました。製造工程だけでなく、在庫管理や業務の最適化など、さまざまなタスクがこなせるため、工場の無人化も進んでいます。

AI導入で製造業はどう変革できるか

世界に目を向けると、AIやIoTなどを活用する第4次産業革命、「持続可能性」や「環境への配慮」をコンセプトとした第5次産業革命など、デジタルを使用した製造業の変革が広がっています。製造業はAIの導入でどのように革新していくのでしょうか。

工場の無人化

製造業の多いドイツなど、世界ではすでに新しいテクノロジーの導入で多くの企業が無人化に成功しています。工場の無人化は、いままで人間が判断していた業務をAIが実行し、部品の供給から製造、梱包までをロボットが行います。

 

工場の無人化に成功すれば、24時間365日の稼働が実現し、生産性の向上が見込めます。また経験値や疲労度によって品質がばらつくこともありません。製造業が抱える人手不足の問題も解決できるでしょう。

スマートファクトリーの実現

スマートファクトリーとは、AIやIoTなどを活用してデジタルデータを元に現場を管理し、業務・経営全体を最適化している工場のことを指します。

デジタルデータを分析することで、属人化しやすい製造工程の見える化が実現。非効率な工程や無駄な作業などが見つけやすくなります。どこを改善すればよいのか、何が課題なのかがピンポイントでわかるため、効率よく生産性の向上が望めます。

製造業におけるAIの活用事例10選

実際にAIを導入した企業では、どのように活用しているのでしょうか。ここからは、製造業でのAI活用事例10選をご紹介します。

逆転の発想で検査精度を向上(キューピー)

キューピーでは、2019年1月からカット野菜の検査にAIを利用した原料検査装置を導入しています。ポテトサラダなどに使われるニンジンの検査工程では、いままで規定外の形状や変色を目視で確認していましたが、作業者の身体的な負担が大きくなっていたため、自社開発したAI原料検査装置の運用に踏み切りました。

 

この装置は、ディープラーニングを活用した画像解析による選別メカニズムが特徴です。従来は不良品のパターンを覚えさせる方法が一般的でしたが、キューピーが開発した装置では良品のパターンを学習させるという発想の逆転で、良質以外はすべて不良として検出することで、精度向上につながりました。

 

参考:キューピー ニュースリリース

外観検査の自動化(ロッテ)

「スマート工場化」を目指すロッテでは、2019年12月からチョコレート菓子を生産する狭山工場でAI画像判定サービス「MMEye」を導入しています。お菓子は室温や湿気などの影響を受けやすく、個体差が出やすいため、外観検査で一定の品質に満たないものを取り除いていたそうです。その際の検査は目視で、何人もの検査員が交代制で確認していました。

 

ロッテでは、人の目に頼る検査をシステム化したいと考え、YE DIGITAl社の開発した「MMEye」を導入。生産ラインに設置したエリアカメラからの画像をリアルタイムで分析し、高精度の検査が自動でできるようになりました。さらに、文字ではなくアイコンやボタンなどからコンピューターへ指示できるGUI(Graphical User Interface)を採用して、専門知識不要で誰でも簡単に設定できるようにしています。

 

参考:LOTTE ACTION

画像検査AI技術を開発(富士通研究所)

富士通研究所では、不良品となった製品の画像を用意しなくても、人工的に異常を作った製品画像を生成してAIに覚えさせる検査技術を開発。この技術を使うことで、見た目は正常でもカーペットの毛並みや色味が違っているケースなど、いままでよりも多くの異常パターンが検出できるようになりました。

 

電子関連機器の製造工場である富士通インターコネクトテクノロジーズの長野工場で、この効果を検証したところ、検査工程を25%削減したそうです。

 

参考:富士通 プレスリリース

生産計画の自動立案で効率アップ(ニチレイフーズ)

ニチレイフーズは、日立製作所との協創を通じて、生産計画を自動立案するシステムを導入・運用しています。これまでは、熟練者が業務を整理し、改善ポイントなどをシステムに反映し、生産計画や要員計画を経験に基づく勘や過去の実績などから時間をかけて立案してきました。しかし、熟練作業者の負担が大きく、人材不足ということもあり、より高効率な生産体制の構築が求められていました。

 

そこで、本システムでは機械学習と数理最適化技術を組み合わせた日立独自のAI技術で、生産計画などのパターンを数値化。1工場で最大16兆通りの組み合わせの中から、最適解を自動立案できるようになりました。立案までの時間も従来の1/10程度まで縮小。これにより業務効率や生産性の向上が達成し、働き方革命の加速が見込まれているそうです。

 

参考:ニチレイフーズ お知らせ

製造工程の全自動化に成功(ブリヂストン)

ブリヂストンは、品質向上、高生産性の実現を目指して独自のICT(情報通信技術)にAIを実装。最新鋭のタイヤ成形システムとして「EXAMATION」を彦根工場に導入しました。同社では、1990年代後半からICTや最先端技術を導入した生産システムの開発を行っており、2002年には世界で初めて部材工程から製品検査工程までを全自動化。リアルタイムで生産現場の状況を把握する生産システム「BIRD」を開発しました。

 

「EXAMATION」では、「BIRD」の技術を進化させ、品質向上を目指してAIを実装。タイヤ1本につき、480項目のデータをセンサーで計測しながら、リアルタイムで自動制御を行います。手作業で成型していた従来の方法から自動化へ移行したことで、技能伝承や教育が不要となり、人による品質のばらつきも抑えられます。
さらに技能員は、携帯端末からシステムの不具合や材料交換などの現場状況がわかるため、迅速な対応が可能になり、生産力の向上も実現します。

 

参考:ブリヂストン ニュースリリース

自立型生産システムを開発(ダイセル)

ダイセルは、東京大学と共同開発したAIを搭載した「自立型生産システム」を開発。2000年に同社が開発した「ダイセル式生産革新手法」で構築した「知的統合生産システム」を進化させたもので、PCM(最適運転条件導出システム)とAPS(高度予知予測システム)の2種類のアプリケーションを搭載しています。

 

PCMは、安全・品質・生産量・コストの指標を予測して最適解を導きます。APSでは、故障などによってPCMで計画した運転条件にズレが生じた場合、その予兆を推測して条件を修正。これにより、在庫の削減や過剰な修繕費の節約など、大幅なコスト削減が期待できます。同社では、グループ全体で最大年間100億円のコストダウンを見込んでいるとのことです。

 

参考:ダイセル プレスリリース

熟練技能者の技術継承(三菱総合研究所)

熟練者の技術をうまく引き継ぐことができなければ、退職とともにノウハウが失われてしまいます。三菱総合研究所が開発した「匠AI」では、熟練者の持つノウハウを過去のデータから抽出してAIモデルに反映。技術をデジタルツールに組み込むことで、ベテランの技を継承します。

 

技術や知識が伝承できれば、デジタルツールの活用もただ単にデータを蓄積するよりも効率よく処理でき、よりDXの価値を高められます。

 

参考:三菱総合研究所「匠AI」

日配品の需要予測を実現(ライフコーポレーション)

ライフコーポレーションは、日本ユニシスと共同開発した自動発注システムを導入し、2021年2月までに全店舗で稼働を開始。システムにはAIによる需要予測が搭載されており、販売実績・気象情報・販売計画などのデータから店舗の商品発注数が算出できます。

 

同社では、すでに自動発注システムを導入していましたが、販売期間が短く予測が難しい牛乳などはシステムで対応できず、毎日従業員が発注数を算出していました。今回、AI需要予測を取り入れることで、日持ちのしない「日配品」も自動発注が可能になり、従業員の作業負担も軽減。AIの導入で働きやすい職場環境の構築にも役立っています。

 

参考:ライフコーポレーション ニュースリリース

「GPT-4」導入で競争力強化 (パナソニックグループ)

パナソニックホールディングスは、AIアシスタントサービス「PX-AI」にOpenAIの最新モデル「GPT-4」を導入しました。2023年4月にパナソニックHDは、「PX-AI」を国内約9万人の社員に提供し、2023年7月には海外拠点の社員(約8万人)にも提供を拡大。技術職や製造・営業など、さまざまな部門の生産性向上と業務プロセスの進化、新たなビジネスアイデアの創出を積極的に促進しています。

 

「GPT-4」の導入で処理能力が向上し、高い精度の回答が可能になったことで、業務生産性の向上、業務プロセスの改善が期待されています。
さらに、社員が最先端技術を自由に活用できる環境を整えることで、全社員のAI活用のスキルアップ、新技術を活用できる人材育成も目指しているとのことです。

参考:PRTIMES-パナソニックグループのプレスリリース

ダンボール破損レベル判定の実証実験(サントリーなど5社共同)

富士通が開発したAIシステムを活用した、商品外装ダンボールの破損レベル判定の統一化を目指す共同実証実験をキリンビバレッジ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー、セブン-イレブン、富士通の5社が2023年6月?2024年9月末まで(予定)実施しています。

 

清涼飲料業界や流通業界では、各社で輸送・保管中のダンボールのスレ・膨れなどを目視して納品可否の判断を各社で行っていました。しかし、共通の基準がないため判断にばらつきが生じ、中身の品質に問題のない商品の返品や廃棄、食品ロスにつながっていたといいます。

 

今回行われている実証実験では、商品の検品時や出荷前などに倉庫担当者が破損箇所をスマートフォンで撮影。データベースで照合し、AIによる納品可否に基づいて担当者が最終判断を行います。
このAIシステムを運用すれば、客観的な判断ができるようになり、軽微な破損商品の流通で食品ロスを削減できます。返品作業の軽減にもつながり、物流課題も改善されるでしょう。

 

ダンボール破損レベル判定の実証実験

画像引用元:サントリー食品インターナショナル ニュースリリース

 

参考:サントリー食品インターナショナル ニュースリリース

AI導入の失敗パターン

AIを導入してもうまく使いこなせなければ成果につながりません。ここからはAI導入でよくある失敗例をご紹介します。運用がうまく進まない場合は、自社の活用と比較して、課題を改善していきましょう。

データの量・質の不足

AI活用には、学習に使うデータの量と質が重要です。AIを導入してすぐに正確な予測ができるわけではありません。まずは、多くのデータを学習させて精度を高めるプロセスが求められます。

たとえば、AIで需要予測を行う場合、一般的には過去1年間分の予測・実績データとの検証が必要です。データ量が少ないと十分な精度が見込めなくなるので注意しましょう。

他部署と連携できていない

社内の協力の有無も、AI導入の成功に大きく変わってきます。先述したとおり、AI活用には多くのデータが必要となり、作業現場や営業など部署を超えての収集が求められます。ほかの社員が非協力では、計画通りに導入作業を進めることができません。運用開始が遅れると、コストも余計にかかってしまいます。データの解像度も低くなってしまうでしょう。
AI導入の際には、事前に関連スタッフに意義やメリットを説明し、理解を深める工夫が大切です。

導入範囲が広すぎる

何でもAIで自動化しようとして、導入範囲を広げすぎてしまうと失敗につながりやすいです。たとえば、外観検査を目的として導入したAIで、さらに需要予測や在庫管理まで対応しようとすると、その分運用にコストや学習の手間が増えてしまいます。業務範囲を広げるほど、学習量も多くなっていくことを考慮しなければなりません。

 

AIではなく、人の方が向いている作業もあります。すべてを自動化するのではなく、AIが行うべき作業かどうかの見極めも重要です。

検証が不十分である

十分に現場との検証をせずに導入すると、実際の作業者が使いにくいシステムになってしまいます。本当にAIが必要か、どのような機能を充実させればよいのかなど、現場の声を聞いて希望に沿ったシステムを開発することが大切です。

 

人件費などコスト削減のためにAIを活用する企業も多いですが、その場合は費用対効果を検証しておく必要があります。人件費を削減した分で開発費が回収できるのかなど、きちんと検証しましょう。

短期間での目的変更

AIで成果を得るには膨大なデータが必要です。計画したプロジェクトを途中で変更すると、十分なデータが取れなくなってしまうため、目標が未達成で終わる可能性があります。導入前にAIで解決する課題を明確にして、ブレのないようにしましょう。

また、短期間では成果が出にくいので、長期的な計画を立てて年単位で評価することも失敗しないためのポイントです。

まとめ

製造業は、効率の向上、品質管理の強化、競争力の維持、持続可能性の追求など、多くの課題に直面しています。AIは、これらの課題に対処する有力なツールとして、その価値を年々高めています。AIの導入が製造業にもたらす変化は、今後ますます大きくなることでしょう。

 

ただ、開発途中でもあるAIにはまだまだ課題もあります。デジタル人材の確保やセキュリティの強化など、導入には注意が必要です。また、AIの機能を最大限に活かすには、適切な戦略とビジョンが欠かせません。

 

AIは、私たちの生活でも身近な存在になりつつあります。製造業においても、AI技術の進化とともに自動化される業務が増えていくでしょう。

 

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  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Tue, 31 Oct 2023 11:39:26 +0900
<![CDATA[SEOだけじゃない!製造業こそコンテンツ制作に注力すべき理由とおすすめ施策紹介【セミナーまとめ / 後編】]]> https://mtame.jp/column/manufacture_seminar_082302 弊社が過去に開催したウェビナー「現役マーケターがどうしても伝えたい!製造業がデジタルマーケティングを非効率にしないための集中講座」の要約として、製造業のデジタルマーケティングについて解説した特集記事を前編・後編の2部構成でお届けします。

 

後編の本記事では、ウェビナーの中でもご紹介したデジタルマーケティングの要となるコンテンツ制作や、最終的な受注につなげるためのホームページ改善について解説。製造業において有効なデジタルコンテンツの活用方法もご紹介します。

 

前編でもデジタルマーケティングの施策について一部ご紹介しましたが、後半でお伝えするのはより実践的な内容です。なぜコンテンツ制作が大切なのか、作ったコンテンツをどのように活用して売上につなげるか、わかりやすく解説していきます。

 

※セミナー資料は以下からダウンロードが可能です。合わせてご活用ください。

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デジタルマーケティングの要となるコンテンツ制作の大切さ

まずはコンテンツによって実現できることを振り返りつつ、製造業だからこそおすすめしたいコンテンツを顧客フェーズごとにご紹介いたします。

 

コンテンツがあることで実現できること

デジタルマーケティングで重要になるのが、コンテンツ制作。コンテンツがあることで実現できること、コンテンツ制作をするメリットについて説明します。

 

コンテンツがあることで実現できること

検索順位の向上が見込める

コンテンツの制作をすることで、いわゆる「SEO」の効果が見込めます。お客様が検索したときに、自社のページにきてもらう機会を増やすためには、自社の技術や製品のコンテンツを用意しておく必要があります。検索順位を上げることができれば、アクセス数など定量的な数値の向上につながっていきます。

 

自社の技術や強みを理解してもらうことができる

せっかく強みや技術を持っているのに、それを伝えられるコンテンツがないのは非常にもったいないです。しっかりと「自社で何ができるのか」「どういう方にどういう製品・貢献ができるのか」をホームページに載せておきましょう。見込み顧客が製品を比較する際にも、「こういう強みを持っている会社なら、安心して任せられるだろう」という信頼感につながります。


 

取引先や見込顧客に情報提供ができる

たとえば、自社ホームページに新しい事例が公開されたとき、見込み顧客に対してメールでお知らせするとします。リンクをクリックした人にだけ営業部からアプローチすれば、営業活動を大幅に効率化することができます。見込み顧客や取引先への情報提供の手段としても大きなメリットです。
 

このような戦略的なアプローチをするには、自社ホームページのコンテンツを定期的に更新していること、そもそも自社ホームページに配信できるコンテンツがあることが前提条件になります。

 

オフライン施策の受け皿にできる

コンテンツは、オフライン施策の受け皿にもなります。たとえば展示会などで名刺交換したお客様にホームページを見ていただいたとき、充実したコンテンツを提供できれば、現場でお話した内容をさらに深く印象付けることができます。

 

また、展示会などでお話しきれなかったときにも「ぜひこのコンテンツを見てみてください」といった案内も可能です。


 

営業現場でのマンネリ解消につながる

ホームページのコンテンツにしっかりとMA(マーケティング・オートメーション)ツールを入れておけば、どの会社の人がどこのページを見てるのかがログでわかるようになるため、営業現場でのマンネリ解消に繋がります。

 

たとえば「既存のお客様がほかの製品のページを見にきていた」とわかれば、営業のシーンで話題にすることで、関係性を深められるかもしれません。コンテンツは営業活動のマンネリ解消のアイテムとしても有効です。

 

 

製造業におすすめのコンテンツ

製造業におすすめのコンテンツ、製造業ではどういうコンテンツがよく見られているかを、イントリックス株式会社様のグラフを引用し見ていきます。

 

製造業におすすめのコンテンツ

スライド内の出典元:イントリックス株式会社【製造業】オンラインでの製品選定における実態調査

 

「製品を選定するプロセスにおいて必要とする情報はなんですか」という質問に対して、トップにくるのは製品情報価格といった一般的な項目です。また、導入事例・カタログといった製造業ならではのコンテンツも見られます。下にいくと割合としてそれぞれ10〜20%ではあるものの、一定数のユーザーニーズがあることから、機会損失を防ぐためにもコンテンツを作っておく必要があります。

 

一方、製造業では情報漏洩が心配というお声も非常に多く聞かれます。

 

製造業におすすめのコンテンツ

もちろんコア技術の部分は絶対に公開してはいけないのですが、製造業がコンテンツを作るうえでは、コア技術・非コア技術の線引きをしっかりして、周辺技術についてはすすんで発信していくのがおすすめです。

 

コンテンツづくりで活用できる”型”

次は、コンテンツ作りを考えやすくするための型をいくつかお伝えします。マーケティングにおいて1967年に提唱された「購買意思決定プロセスモデル」というフレームワークは、半世紀も前にアナログで行われていた手法ですが、現代も製品検討の流れは大きくは変わっていません。

 

コンテンツづくりのフレームワーク

この各フェーズに必要な施策をデジタルでやっていくのがデジタルマーケティングであり、ホームページを活用したリード獲得において重要な考え方です。

 

続いて以下の三角形のグラフは、弊社を含めデジタルマーケティング支援の会社が今現在使っているものです。

 

コンテンツづくりのフレームワーク

一番下の潜在層は、困りごとをどう解決すればいいか漠然と調べている人たちや、なんとなくモヤモヤを抱えている人たちの層で、母数としても一番大きくなります。ひとつ上の準顕在層では、実際に情報収集をしたり、「こんなふうに解決できるのでは?」と考えている段階。その上の顕在層は、ホットリードとも呼ばれます。具体的に解決方法を定めて、どこに発注するかを決めているフェーズです。さらに顧客層になると、社名やサービス名で直接検索するなど、お問い合わせから受注へ最もつながりやすいグループになります。

  

さきほどの「購買意思決定プロセス」も、三角形のグラフも、本質的にはあまり大差ありません。このようなフレームワークは、一度社内で定着してしまえば長く使っていけるため、ぜひコンテンツ作りに役立てていただきたいです。

 

別角度から、「フェーズごとにどのようなコンテンツを、どのような接点で提供するか」を見ていきます。さきほどの三角形のグラフを横にして、左から右へ進むようにしたものです。

 

製造業におすすめのコンテンツ

関心度合いや欲しいコンテンツは、フェーズごとに違います。さらに情報収集や比較検討の段階では、お客様ごとに必要なコンテンツは、さらに細分化されるため、自社のお客様やターゲットに対して、どこのフェーズでどういうコンテンツを作っていくべきかを整理する必要があります。

 

フェーズごとの具体的なコンテンツ紹介

実際にどのようなコンテンツがあるのか、またフェーズによっておすすめの施策についてご紹介します。

 

潜在層向けのコンテンツ例

まずは、これから検討をしていく層、漠然と課題を抱えている層におすすめのコンテンツをご紹介します。

 

フェーズごとのコンテンツ紹介

前編でも事例をご紹介した、アイメックス株式会社様のホームページを引用させていただきます。

 

フェーズごとのコンテンツ紹介

同社のホームページではたとえば、課題事例・処理実績というカテゴリで、「こんなことに悩んでいるなら、こういった解決策がありますよ」という動線を設けています。

 

コンテンツに具体的なキーワードが入っていると、悩みを持っている人が検索したとき、直接そのページにアクセスできます。さらに「こういう課題を抱える会社の場合、自社の技術でこんな風に解決できますよ」と具体的な実績を事例として掲載することで、成果をイメージしてもらいやすくなります。

 

まだ検討段階ではなくても、1度でも資料ダウンロードしたことがある見込み客であれば、将来的にセミナー参加や取引につながる可能性は大いにあります。「この会社にお願いすれば解決できる」と理解してもらえれば、その場で商談になることも。

 

また同社は、過去に自社で出版した書籍をコンテンツとしてホームページに掲載したり、過去に開催したセミナーの動画アーカイブを公開・それを文字起こしして記事コンテンツに落とし込んだりと、ひとつのコンテンツを効率的に展開しています。

 

フェーズごとのコンテンツ紹介


準顕在以上のコンテンツ例

次は準顕在層より先、情報収集や比較検討をされている人向けのコンテンツは、どういったものおすすめかご紹介します。

 

準顕在層以上におすすめの施策

こちらもアイメックス株式会社様のホームページを引用しています。

 

このように準顕在層以上のフェーズでは、資料ダウンロードのラインナップを揃えるのがおすすめです。情報収集や比較検討されている状態の人に対しては、できるだけ多くの情報提供が必要になります。

 

準顕在層以上におすすめの施策

情報のラインナップを揃えて、ダウンロードした方に営業担当者がうまくアプローチできれば、資料には載せきれない情報も提供可能です。比較検討をしている見込み顧客に対して、非常に有利なアプローチといえます。

 

またアイメックス株式会社様は、購入後のメンテナンスやアフターフォローについても、コンテンツとして充実させています。さらに「目的から選ぶ」「処理量から選ぶ」など、いろいろな切り口で探せるようメニューを細分化しているのも特徴です。

 

準顕在層以上におすすめの施策

このように、せっかく大変な工数をかけてコンテンツを作るのであれば、コンテンツは作って終わりではなく、メール配信やダウンロード資料に展開していくのがおすすめです。

 

準顕在層以上におすすめの施策

たとえば、
・コンテンツの配信からセミナー・商談につなげる
・開催したセミナーを記事コンテンツ化する
・記事を読んだ人に資料ダウンロードしてもらう
・資料をダウンロードしてくれた人にメール配信をする…
といったエコシステムを回すことで、コンテンツをさらに有効活用することができます。

 



最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本

続いては、最終ゴール(=問い合わせ、資料ダウンロード等)に到達するうえでとくに重要な、ホームページの改善についてお話していきます。

 

最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本

コンテンツを通して集客ができたら、集めたリードと接点を持っていくための改善と、アプローチのための仕組みづくりが大事です。

 

せっかくコンテンツを作って集客できても、最終的なCVやお問い合せにつながっていかないのは非常にもったいないため、この離脱改善は重要なポイントになります。

 

離脱改善を見定めるための早見表

 

離脱改善を見定めるための早見表

Webサイト改善(離脱改善)を見定めるには、早見表を使って、順番にチェックしていくのが効率的です。

 

最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本

ランディング数が多いページというのは、一番最初にユーザーに見られているページのこと。主に、検索エンジンや、メール配信からのリンククリックなどから流入します。このページで離脱している場合、入口で離脱が発生してしまっているため早急な改善が必要となります。

 

次に改善すべきは、単純に離脱が多いページです。どこで離脱されてしまうのかを把握するのはもちろん、とくにたくさん流入しているけど離脱が多いページは引き続き改善が必要です。

 

ユーザーのニーズが予測できているかを確認するために、検索上位のページの内容も分析しましょう。そのページが「どういったキーワードで検索されているか」「最初にこのページに流入しているということは、こういうキーワードで調べているのではないか」といった予測をおこないます。 コンテンツを作れば作るほど、お客様のニーズ把握の精度はあがっていきます。なぜランディング数が多いのか、ユーザーが何を求めてそのページにきてるのかを把握していきましょう。

 

また、ニーズに対して適切なコンテンツ内容になっているかを見直していき、必要に応じてコンテンツ内容を見直します。内容が適切でも「参考になったな」で終わってしまって、資料ダウンロードやお問い合わせといった適切なアクションに繋げられていないのであれば、接点を持てる仕組みづくりを講じることが大事になってきます。

 

最後に、フォームの項目も確認しておきたい点です。ダウンロード資料の内容がよくても、フォームが長すぎて「気軽にダウンロードしようと思ったのに入力が面倒」とユーザーが離脱してしまわないよう、フォームが必要最低限かつ、最適な項目になっているかを再度確認しましょう。

 

この順番は、必ずしも上から順番におこなう必要はなく、同時並行で進めるのもよくあるケースです。ただ下の項目から始めたことでちぐはぐになってしまうことも少なくないので、ある程度順番を追っていくことで無駄なく効率的におこなえます。

 

 

チェックリストの活用と最低限やるべきホワイトペーパー活用

改善策を独学で進めるととても時間がかかるため、改善をおこなう場合はチェックリストを活用してみてください。検索すればいろいろなフォーマットが出てくるので、網羅的かつ使いやすいものを選んで使うのがおすすめです。

 
※クラウドサーカスの提供している改善チェックリストは以下からダウンロードができます。

>【自社ホームページの分析・診断に!】オンラインリード獲得チェックリスト

 

最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本

 

こういったリストをもとに自社サイトの診断をしていき、△や×がついた項目からあたりをつけると非常に効率的よく改善ができます。

 

各社やるべきことは様々ですし、製造業の中でも取り扱い製品によって施策も異なります。そのうえで、BtoB製造業であればほとんどの企業がやるべきだと考えている施策を今日はご紹介します

 
結論から申し上げると、ホワイトペーパーの設置は商談を獲得したいBtoB企業であれば実施すべき施策だと考えています。

BtoB製造業のホームページには、様々な温度感のユーザーが訪れます。例えば単に情報収集や勉強のために閲覧している人もいれば、本格的にサービスを検討している人もいるはずです。
その方々に対いて、適切なダウンロードコンテンツを適切な箇所に設置することで、接点を持つ(=連絡先を手に入れる)ことができます。

逆に言うと、ホームページ上に問い合わせフォームしか設置していない場合、以下の図のように温度感にギャップが生まれてしまい、問い合わせまで至らずに離脱してしまう可能性があります。

最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本

もちろん、ここで問い合わせをしなくても将来的に温度感が高まったときに再度ホームページを閲覧してくれるかもしれません。ただ、そのタイミングが数か月以上先だったりすると、ユーザーの頭に残っていなかったり、その間に接点を持っていた他社のサービスに決めてしまう。なんてことも起こりかねません。

だからこそ、早い段階から接点を持っておき、定期的な情報提供を行うことが必要なのです。

 

一例ですが、弊社では「CMS導入チェックシート」「業界別事例集」「ツール比較表」などを用意しています。

 

最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本

さらに具体的に、前編でもご紹介した弊社のメディア「エムタメ!」を例にあげます。

 

ページ右上には「無料資料ダウンロード」ボタンを目立つように設置しており、ここをクリックすると、カテゴリ別の無料のお役立ち資料ページに遷移し、それぞれの資料をダウンロードできるようにしています。

 

最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本

 

以下は弊社が用意している資料の一部で、このほかにも数多くの種類の資料を用意しています。

 

最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本

ホームページにきてくれる方々は、さまざまなニーズや温度感に細分化されるため、それぞれに合わせて必要な提案をするには、それなりの数の資料が必要です。コツコツ作って掲載していきましょう。

 

本セミナーで何度もご紹介しているアイメックス様のホームページにも、同じようにダウンロード資料が用意されています。「スペック比較表」「条件設定の流れ」「ビーズについて」…などなど、情報収集の段階から比較に必要な資料まで網羅されています。

 

最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本


自社に最適なコンテンツを見極めるには、先ほどご紹介した三角形のグラフに沿って「どういうキーワードを狙うのか」「潜在層はどういうキーワードで検索するのか」といったポイントを抽出し、コンテンツに反映させていくことが大切です。

 


まとめ:コンテンツは将来の知的資産

製造業におけるコンテンツの大切さやフェーズごとのおすすめコンテンツ、ホームページ上の施策について解説してきました。中でもコンテンツは、製造業こそ活用していくべきものですし、自社の技術力や他社との違いを表現するには外せないものです。

 

また、せっかくコンテンツを作って集客をしても、サイトから離脱してしまっては意味がありません。しっかりと接点を持てるように、ホワイトペーパーの充実化や導線設置なども並行していきましょう。また、改善施策については先ほどもご紹介したチェックリストもご活用ください。こういったツールを活用しながら、ぜひ効率にデジタルマーケティング施策を実施していってください。

 

チェックリストはこちらです。
>【自社ホームページの分析・診断に!】オンラインリード獲得チェックリスト

 

また、本セミナー資料は以下からダウンロードが可能です。合わせてご活用ください。

>120ページのセミナー資料を無料でダウンロードする
 

前編の記事はこちら
>製造業のデジタルマーケティング事例と全体像の解説 非効率な施策の原因は何なのか【セミナーまとめ / 前編】

 

 

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Wed, 18 Oct 2023 15:35:44 +0900
<![CDATA[競合サイト分析方法を解説!無料・有料のおすすめツールや見るべきポイントも紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/competitor_analytics 競合サイトを分析することで、自社サイトの運営・改善に役立つ様々なヒントを得ることができます


得られたヒントを自社サイトにうまく活かしていけば、競争が激しくなる市場においても差別化を図ることができるほか、精度の高い戦略の立案や、最短距離で成果を得られる可能性が高まります。サイトだけではなく、商品やサービスの改善にもつながるため、年々そのニーズは高まっています。


本記事では、競合サイト分析について、メリットや指標、ツールの選び方などを網羅的に紹介するとともに、無料・有料のおすすめ競合サイト分析ツールをそれぞれ8つずつ紹介します。

 

 

 


競合サイトを分析するメリット

競合サイトを分析するとどのようなメリットがあるのでしょうか?概要とメリットの詳細について解説します。

 

競合サイト分析とは

競合サイト分析とは、「自社サイトを効果的に運営するためにライバルとなる競合サイトを分析すること」を指します。マーケティングツールとして自社サイトを運用する際に必要不可欠な作業です。


競合サイトを分析することで、ターゲット層のニーズを効率よく把握できるほか、成果を上げている競合サイトの戦略を推測できたり、競合サイトとの差分を把握して自社サイトの改善に活かしたりすることができます。サイトだけではなく、商品やサービスの改善にもつながります。


またGoogleの検索アルゴリズムが複雑化し、単純なSEO対策では検索順位を上げるのが難しくなっている中、競合サイトの分析結果を自社サイトのSEO対策に活用することもできます。分析を通して競合他社の動向やニーズの変化などの最新情報を取り入れることで、自社のさらなる発展も見込めるでしょう。


競合サイト分析の概要がわかったところで、どのようなメリットがあるのかをみていきましょう。

 

競合サイトを分析するメリット

競合サイトを分析するメリットは主に以下の4つです。それぞれ詳しく解説します。


・差別化を図れる

・「競合サイトにあって自社にはないもの」を見つけられる

・競合サイトの戦略を推測して自社の戦略に活かせる

・最短距離で成果を出せる

 

差別化を図れる

競合サイトを分析して自社と比較することで、自社の強み・弱みを客観的に把握することができ、差別化へとつなげられます


競合サイトになくて自社にあるものは「自社の強み」であり、ユーザーへのアピールポイントです。強みを前面に打ち出していくことで、競争優位性の確保や差別化が図れます。


逆に、競合サイトの強みが自社の弱みである場合は、競合に追いつくための戦略を練るヒントとして役立てられます。ポジショニングを考慮した上で、「その競合サイトとは争わない」という判断を下すケースもあるでしょう。


どのような戦略を取るにせよ、自社サイトを運営するには自社の強み・弱みを的確に把握することが大切であり、そのためには競合サイト分析が欠かせません。

 

「競合サイトにあって自社にはないもの」を見つけられる

「競合サイトにあって自社サイトにはないもの」を見つけられるのも、競合サイト分析を行う大きなメリットです。


たとえば、競合サイトの検索ワードやコンテンツ戦略、キーワードの流入ルート、広告戦略などの中から、「競合サイトで成果が得られているもの」で「自社がまだ取り組んでいないもの」を取り入れることで、自社戦略の改善や、新しいユーザー層への集客効果などが期待できます。


ただし、あまりにも似ているコンテンツや類似の広告タイトルを使用すると、著作権を侵害してしまうケースもあるため注意が必要です。あくまでも競合サイトを参考にした上で、自社オリジナルのものを制作することが大切です。

 

競合サイトの戦略を推測して自社の戦略に活かせる

競合サイトを分析することで、他社のマーケティング戦略を推測することができるというメリットもあります。


流入経路や流入キーワードなど、推測した情報の中から参考になるものを取り入れることで、自社サイトの改善に役立てられます。また自社の強みを打ち出していく際にも、他社の戦略を把握した上で、異なる流入経路などを利用していけばより一層差別化を図ることが可能です。


推測した情報も、自社にマッチするかどうか見極めていく必要があります。他社の良いポイントやマッチする点は取り入れ、それ以外ではオリジナリティを打ち出していくことが大切です。

 

成果を出す最短距離を進める

すでに成果を出している競合サイトを分析した上でトレースすることで、自社サイトで得たい成果まで最短距離で進んでいくことができます


他社を全て真似してもうまくいきませんが、「なぜ成功したのか」という要因を分析し、結果をあくまでも見本として自社サイトに活かしていくことは非常に有効です。最短で成果を出すための戦略を練ることができれば、無駄な作業にリソースを割く必要もなくなり、効率的な利益拡大につながります。


競合サイトの見つけ方

競合サイトを分析するためには、分析対象となる「正しい競合サイト」つまり「自社サイト運用の目標を達成するための見本となるサイト」を見つける必要があります


以下では競合サイトの見つけ方について詳しく解説します。


適切な競合サイトの設定方法

競合サイト分析を行うのに大切なのは「自社サイト運用の目標を達成するための見本となるサイト」=「適切なベンチマークサイト」を設定することです。そのサイトを参考にして自社サイトを運営することで、最短距離で成果が出せる可能性が高まります。


以下のような目的によって、ベンチマークサイトとする対象サイトは異なります。


・コンテンツを見本にしたいサイト

・流入キーワードを見本にしたいサイト

・サイト構造を見本にしたいサイト

・CVへの導線を見本にしたいサイト


自社サイト運用の目的によって、「何をどう分析するか」が異なるため、ベンチマークサイトと自社サイトの目的がマッチしているかどうかを明らかにする必要があります。競合サイト分析によってどのような情報を得たいのかをまとめてから取り組むと良いでしょう。


現在、Googleなどの検索エンジンがWebサイトの主戦場とされているため、以下では競合サイト分析で最も一般的な目的である「SEO」を目的として、競合サイトの見つけ方やその際の考え方を解説します。

 

「ビジネス上の競合」と「SEO上の競合」の違い

自社と扱う商品やサービスが競合する「ビジネス上の競合サイト」と、自サイトが狙うキーワードで上位表示され、検索エンジン上で競合する「SEO上の競合サイト」は大きく異なります


類似の商材を展開する競合他社であっても、検索エンジン上では競合していないケースはよくあります。たとえば、ある地域のホテル事業の「ビジネス上の競合」は近辺地域のホテルや旅館が該当しますが、「SEO上の競合」は大手の予約サイトになるのが一般的です。


この場合、もし周辺地域のホテルなどの「ビジネス上の競合」に勝ち抜くための自社サイト戦略を立てたとしても、大手の予約サイトが検索上位を占める「SEO上の競合」に有効的に作用することはありません。勝ち目のない大手サイトと競うことになってしまい、せっかく戦略を練っても、思うような成果が得られない可能性があります。


つまり、「SEO」を目的として競合サイトを選定するのであれば、「大手サイトが占めておらず、自社サイトの参入余地がある」ということに注目し、いかに適切な競合サイトを選定するかが大切です。


たとえばキーワードを設定する際、「地域名 ホテル」だと大手サイトがSEO上位を占めて参入の余地がほとんどないため、「地域の有名スポット お土産」などとすることで、大手サイトのSEO競合が少なく、参入の余地がある分野で競うことができます。


より具体的な「SEO上の競合サイト」の見つけ方についてみていきましょう。

 

SEO競合の見つけ方

SEO競合サイトを見つけるには、上位表示を狙う+参入の余地があるキーワードで検索して「獲得キーワードの重複率が高い競合サイト」や「自社よりも上位表示されている競合サイト」を洗い出します


そして各サイトの内容を確認した上で、自社サイトの見本となるベンチマークサイトとすべきかどうかを判断していきます。


競合サイトが多い場合は、よりターゲット層や目的、事業規模が近いと考えられるサイトに絞り込んで選定しましょう。大手サイトが上位を占めているキーワードは難易度が高いため避ける方が無難です。

 

競合サイト分析で押さえておきたい指標

競合サイトを分析する際に、必ず押さえておきたい7つの指標について解説します。その指標を元に、「本当にベンチマークサイトとするべきか」のチェックや、「ベンチマークサイトの調査・分析」を行います。


ベンチマークサイトを選定する段階で各指標が想定よりも低い場合は、ベンチマークサイトとして正しくない可能性が高いです。原則的には自社よりも指標の高いサイトをベンチマークサイトとして設定しましょう。

 

アクセス数(サイトの流入数)

競合サイト分析の基本である「アクセス数(サイトの流入数)」は、最もわかりやすい指標といえます。


まずは、競合サイトのアクセス数が自社と比べて多いかどうかを把握し、多い場合はユーザーがどのように流入したのかの経路やコンテンツ数などを調べます。アクセス数が急増している場合は、急増した要因(流入経路やキーワード、広告など)を特定することで、自社サイトのアクセス数を増やすための施策に活用することが可能です。


競合他社のSEOや広告などの集客施策、コンバージョンにつながりやすい流入経路なども調べると良いでしょう。

 

流入キーワード

「流入キーワード」は、ユーザーがどのキーワードで競合サイトに流入しているかどうかを知ることができる指標です。


分析・特定した検索数の多いキーワードを使い、自社サイトのコンテンツ制作やリスティング広告の出稿を行うことで、アクセス数を効率的に増やせるでしょう。差別化を図るためには、そのキーワードに加えて独自のキーワードを盛り込む必要もあります。単なる模倣に留まらないよう注意が必要です。


逆に競合サイトであまり調べられていないキーワードを特定し、関連するコンテンツを制作していくことで、検索結果で上位を狙えるという方法もあります。


コンテンツを制作した後は、定期的に更新することも大切です。更新日時が新しいと自然検索経由のアクセス数増加につながります。

 

キーワード検索順位とボリューム

流入キーワードを分析すると同時に「各キーワードの検索順位とボリューム(検索回数)」も調べることをおすすめします。


「検索ボリュームが大きいキーワード」且つ「上位を獲得できるページ」は流入数が多く、サイト全体のアクセスに大きく貢献していると考えられるため、そのページの要因を分析して自社サイトに活かすことで、流入効率が良いコンテンツを制作できます。


自社サイトで制作するコンテンツや実施する施策に、優先順位をつけるときにも役立ちます。様々な作業に取り組まないといけない場合に、貢献度が高いコンテンツを優先して作ることで、より早く成果を得られる自社サイトの運用につながります。

 

広告出稿状況

競合サイトがリスティング広告として出稿しているキーワードは、「コストをかけてでも流入を獲得したいキーワード=CVにつながりやすいキーワード」である傾向にあります。また、ニーズの高いキーワードであるとも判断でき、コンテンツ制作に活かすことが可能です。


さらに出稿期間の長い期間キーワードは、PDCAを回す中で費用対効果の高いキーワードであることが考えられるため、自社サイトでも上位を狙うべきキーワードとして参考にできます。ツールによってはディスプレイ広告のバナーを一覧で比較できる機能が搭載されており、自社で広告を作る際の見本としても活用可能です。


競合サイトの広告出稿を調査することで、これまで気づかなかった競合サイトを発見できるケースもあります。

 

チャネル(流入元)

Webサイトには検索エンジンの自然検索をはじめ、リスティング広告・各種SNS・外部サイト・メールなど、様々なチャネル(流入元)があり、複数のチャネルから流入がある競合サイトが一般的です。

競合サイトのチャネルを調査し、「どのチャネルに注力しているのか」や「どのように複数チャネルを最適化しているのか」などを分析します。


1つのチャネルだけに絞ってしまうと、そのチャネルからアクセスを見込めなくなった際のリスクが高まってしまうため、リスクヘッジとして、複数のチャネルから流入のある競合サイトをベンチマークとして分析し、参考にすることをおすすめします。

 

コンテンツ/ページ

競合サイトのコンテンツ/ページにも、分析において非常に有効な情報が集まっています。内容はもちろん、タイトルや見出し、文字数、挿入画像数、共起語などを参考にすることが大切です。


キーワードで検索上位に表示されているページは、検索エンジンから評価されており、自社サイトのコンテンツを作る際の見本的な参考資料として活用できます。


コンテンツ/ページのチェックは、競合ツールを使ってタイトルや見出し、文字数などを一括で確認することもできます。ツールを上手く取り入れながら、人力・目視でしっかりチェックすることが大切です。

 

被リンク

競合サイトが「どこから、どれくらい被リンクを獲得しているか」という被リンクに関する分析も重要です。


被リンクが多いと「上位表示されやすい・クローラビリティの向上・ドメインパワーの向上」というSEO上の効果があり、Googleの検索エンジンによって信頼できるサイトと認識されます。


そのため被リンクの多い競合サイトを参考にし、以下の方法を通して自社サイトを改善できるようにしましょう。

 

競合分析ツールを使うメリット

「競合分析ツール」とは、SEOで自社サイトを上位表示させることを目的として競合サイトの情報を収集し、分析できるツールです。多くの企業で利用されている競合分析ツールについて、2つの導入メリットを紹介します。

 

分析の効率化

まず競合分析ツールを利用するメリットとして挙げられるのが、分析作業を効率化できるという点です。


手作業や目視だけで競合サイト分析を行うと手間がかかる上、大事な情報を見逃してしまう可能性もあり、非常に大変です。競合分析ツールを活用することで、工数や労力を抑えながら短時間で効率良く作業できます


ツールによっては継続的なモニタリング機能を活用することで、時系列のグラフや図表を作成してくれるものもあり、資料を簡単に作成できるほか、急な変化やSEOの順位変動をメールで知らせてくれる機能が搭載されているものもあります。


効率化によって空いた時間を他の作業にあてることもできるので、競合サイト分析だけではなく、企業全体の効率化、及び人件費・工数の削減に役立ちます。

 

有用なデータの発見・リスク軽減

競合分析ツールを使用することで、競合サイトのデータをより効率的に収集でき、自社サイトの改善に役立つ有用な情報を見つけやすくなります。具体的には、前章で紹介した競合サイトの「アクセス数」や「流通経路」「被リンク数」など、戦略の詳細をチェック可能です。


競合サイトと自社サイトを継続的にモニタリングすれば、「それぞれどのようなポジションにいるか」「強み・弱みは何か」など、自社サイトの競争優位性を確保するために必要な情報を集めることができます。


また目視や手作業では、重要な情報を見落としてしまう可能性がありますが、分析ツールを活用すれば見逃しを防ぎ、リスクを軽減できるというメリットがあります。


では競合分析ツールにはどのような機能が備わっているのでしょうか?次章でみていきましょう。

 

競合分析ツールの機能

競合分析ツールに搭載されている一般的な機能について紹介します。


基本的には、先述した「競合サイト分析で押さえておきたい指標」はほとんどのツールで調査できるようになっているため、本章では同章で紹介しなかった以下の4つの機能について解説します。


・競合/市場調査

・コンテンツ制作支援

・モニタリング

・効果測定

 

競合/市場調査

市場調査機能は、自社サイトのURLを入力することで、検索上位にいる競合サイトや、市場全体における自社サイトのポジションを把握できる機能です。


ツールによっては、競合サイトにアクセスしているユーザーや年代や性別などの属性データも取得でき、ベンチマークサイトを選定する際に役立てられます。

 

コンテンツ制作支援

コンテンツ制作支援機能は、サイト分析した結果をもとに、SEO記事などのコンテンツ制作をサポートする機能です。基本的に「制作前」と「制作中」の段階によって利用できる機能が異なります。

 

制作前

制作前で利用できる機能は、コンテンツの企画や構成案、レイアウトを寝る際に役立つ情報を収集できる機能です。具体的には、ユーザーの検索意図を可視化する機能や上位表示されている競合サイトページのアウトラインを把握する機能などがあります。

 

制作中

制作中で利用できる代表的な機能は、コンテンツ本文のキーワードの網羅割合をチェックできる機能です。他にはツールによって、タイトル・見出しの最適な文字数をサジェストする機能や見出しやタイトルに入れるべきキーワードを提案する機能などがあります。


情報の抜け漏れのチェックや、充実したコンテンツを作成できるよう支援してくれる機能です。

 

効果測定

競合サイト分析を通して出た結果をもとに作成したコンテンツに関して、公開後の効果測定を行える機能です。検索順位をはじめ、CV数、ユーザー流入数、CV数、直帰率、コンテンツの離脱率などを測定できるほか、ツールによっては滞在時間を明らかにすることも可能です。一部のツールでは効果測定の数値をもとに、専門スタッフのアドバイスを受けて自社サイトの改善対策を立てられるサービスもあります。

 

モニタリング

競合サイトや自社サイトの検索順位や、設定したキーワードの検索ボリュームを自動で24時間モニタリングできる機能です。大きな変化があった場合や、順位が変動した場合はメール通知してくれるツールもあります。逐一確認する手間が省けるため、作業効率化を実現できます。

 

競合分析ツールのタイプと選び方

競合分析ツールには様々なものがありますが、主に「SEO対策に特化したタイプ」と「広告・SNSマーケティングにも対応するタイプ」の2種類に分類することができ、さらにその中でもツールによって強みが異なります。


それぞれの特徴について詳しく解説していきます。

 

①SEO対策特化型

SEO対策を目的とした分析に特化した競合分析ツールは、「上位表示を狙うために競合サイトを分析したい」「オーガニック検索での流入を増やしたい」「自社サイトが上位表示されるためのキーワードを効率的に選定したい」場合に向いています。


さらにそれぞれのツールが持つ機能の特長によって以下の3種類に分けられます。

 

記事作成支援機能

効率的なSEO記事の作成をサポートする「記事作成支援機能」が充実しているツールは、コンテンツの本数拡大を目指す企業や、コンスタントに記事を制作している企業に向いています


具体的には、検索上位に表示された競合サイトページのタイトル・見出し・本文の傾向を分析して一覧で表してくれるものや、自社サイトがSEO上位表示されるために必要な記事本数や関連ワード、構成などを提示してくれる機能などがあります。


分析結果を参考にして取り掛かるため、記事執筆における悩みや迷いを削減し、効率良く制作作業を進められるようサポートしてくれます。


アクセス解析

競合サイトや自社サイトの「アクセス解析」が特長のツールは、自社サイトにおけるユーザーの行動履歴や、検索されているキーワードの傾向などの詳細なデータを分析することが可能です。


具体的には、自社サイトの各ページの離脱率や熟読率、クリック数やクリックが多いポイントを可視化してくれるツールなどがあり、改善点をわかりやすく把握することができます。CV率を高めたい企業や、自社サイトへの訪問ユーザーのアクション改善を図る企業などに向いています。


モニタリング

競合サイトや自社サイトの順位変動や流入元などの「モニタリング」に強みを持つツールは、常時定点観測を目的とする場合や、多くのベンチマークサイトを分析したい企業におすすめです。


競合サイト・自社サイトのSEO順位をランキング形式で毎日比較できるツールや、登録したタイミングでレポートを自動送信できるツールなどがあります。順位変動や急激な変化があった際にメール通知されるツールを採用すれば、手間を削減し効率的にモニタリングを行えます。

 

②広告・SNS分析対応型

競合サイトが出稿する広告やSNSの分析も行えるツールは、ベンチマークサイトの施策を網羅的に分析したい企業に向いています。


さらにそれぞれのツールが持つ機能の特長によって以下の2種類に分けられます。


コンテンツ制作支援機能

自社サイトを改善するために必要な情報の自動収集や、ユーザーの検索意図の把握ができる「コンテンツの制作支援機能」が特長のツールは、コンテンツを充実させたい企業や、記事のリライトや制作を効率化したい企業に向いています


具体的には、上位表示されている競合サイトを分析しながら、自社サイトの改善点を自動収集してくれる機能や、検索数が多いキーワードをテーマごとに分類する機能、ハッシュタグやエンゲージメントの高い投稿パターンを調査できるSNS分析機能などがあります。


同機能は自社サイトに不足しているキーワードなどの具体的なアイデアを提案してくれるので、企画や構成案を練る際のテーマ選定に有効な上、コンテンツ制作や修正工数の削減に役立ちます。


リサーチ機能

ログデータをもとに、競合サイト・市場分析をはじめとしたデータ収集を効率的に実施できる「リサーチ機能」が特長のツールは、自社サイトを改善したい企業やSEO対策を強化したい企業に適しています


たとえば、ユーザーの行動ログをもとに「競合・自社・市場」を分析できる機能では、競合サイトと自社サイトのアクセス数・流入キーワード・検索流入数などの違いを表示し、自社の不足項目や改善点を提案してくれます。


競合サイトの広告分析を通して自社との違いを比較することで、より効果的な広告を打ち出すためのヒントが得られる場合もあります。

 

競合分析ツールを比較する際の3つのポイント

競合分析ツールを比較する3つのポイントを紹介します。実際に導入する際、参考にしてみてください。

 

①取得したいデータが取得できるかどうか

競合分析ツールによって取得できるデータは異なるため、分析・比較したいデータが取得できるかどうかを確認する必要があります


データ項目は具体的に、「キーワードの想定流入数、上位表示されているページのタイトルや見出し、コンテンツ、タグ、被リンク、インデックス、ドメイン」など様々な項目があります。ツールによっては比較した結果をレーダーチャートで表示する機能や調査レポートの即時出力などが可能です。


分析したい項目のデータが充実しているか、そしてどのように結果を提示してくれるかなどの機能を比較してから、ツールの導入を行うことをおすすめします。

 

②分析手法

どんな分析手法を採用しているかもツールによって異なるため、事前にしっかりとチェックしておきましょう


自社サイトに適したキーワードを様々な条件で絞り込める機能や、自社サイト内で検索上位を妨げている要素を分析できる機能、市場における競合サイト・自社サイトのポジションを可視化する機能など、様々な分析手法が存在します。


条件を絞り込むことでSEO対策に役立つキーワードを効率的に探すことができたり、ポジションを可視化することで自社の状況を客観的に把握できたりするなど、分析手法によってできることも変わるため、比較する際は分析手法に注目してみてください。

 

③分析結果の出力・展開のしやすさ

分析した結果をどのような形で出力・展開できるかも、ツールを比較する際の重要なポイントです。


たとえば、分析結果をそのままダウンロードできるツールであれば、データをすぐに資料にでき、上司やクライアントへすぐに報告することができます。またPDFやExcel、PowerPointなど、利用できるデータ形式も確認し、自社に最適なツールを選定できれば資料作成の工数削減につながります。


「Googleアナリティクス」と連携できるツールもあるため、自社の目的や環境に応じて検討することが大切です。

 

【無料】競合サイトを分析するおすすめツール8選

無料で利用できる、8つのおすすめ競合サイト分析ツールを紹介します。

 

Page Speed Insight(ページスピードインサイト)

Page Speed Insight(ページスピードインサイト)

Page Speed Insight 公式サイト:https://pagespeed.web.dev/

運営会社:Google


「Page Speed Insight(ページスピードインサイト)」はGoogleが公式に提供する、対象サイトのサイト表示速度を0〜100のスコアで測定する無料ツールです。


測定したいサイトのURLを入力するだけで読み込み速度を分析してくれます。モバイル・パソコンどちらにも対応しており、どんなサイトでも調査できるため、競合サイトのベースSEO部分を調査する際にも役立ちます。


具体的な改善ポイントも提示してくれるため、自社サイトの改善にもつながります。SEO対策としてページ表示速度の最適化の重要性は増しているため、自社サイトを運用する際には欠かせないツールとして多くの企業で利用されています。

 

SEOチェキ

SEOチェキ

・引用元:公式サイト https://seocheki.net/site-check.php

・運営会社:ロプロス


「SEOチェキ!」は、操作が簡単で初心者にも取り組みやすい無料のSEOチェックツールです。調査したいサイトのURLを入力するだけで、タイトルやディスクリプション、インデックス数などのデータをチェックできます。


主に「サイト内データ取得」「GoogleやYahoo!サイト内のキーワード検索順位チェック」「キーワード出現頻度チェック」の、SEO対策の基本的な3つの機能を利用可能です。分析から得られた情報は、自社サイトの改善策立案やパフォーマンス評価などに役立てられます。


また、ブックマークから直接アクセスして調査対象のサイトを自動で分析できる「ブックマークレット機能」を搭載しているのも特徴で、同機能を活用することで競合サイトの分析と比較作業の手間を省くことが可能です。


軽い動作のWebサイトチェックを無料で行えるので、「ちょっとあのサイトを調査したいな」と思った時など、気軽に利用したいときにおすすめです。


Wayback Machine

Way back machine

・引用元:Wayback Machine 公式サイト https://archive.org/web/

・運営会社:Internet Archive


「Wayback Machine」は、競合サイトの過去のデザインを知ることのできるデジタルアーカイブ・無料ツールです。


一見、競合サイト分析に関連しないように思えますが、競合サイトが時代によってどう変わったかを知ることは自社サイトの改善の参考になります。たとえば、競合ページの順位が上がったタイミングで過去の記載内容をチェックすれば、順位上昇に影響を与えた更新した内容を把握でき、自社サイトの改善やリニューアルに役立てることができます。


アメリカのサービスのため英語で表示されていますが、Google翻訳を使用すれば日本語での利用も可能です。

 

SEO META in 1 CLICK

SEO META in 1 CLICK

・引用元:公式サイト https://chrome.google.com/webstore/detail/seo-meta-in-1-click/bjogjfinolnhfhkbipphpdlldadpnmhc?hl=ja

・運営会社:Google Chromeの拡張機能


「SEO META in 1 CLICK」は、1クリックで閲覧しているページのSEOデータを確認できる、無料のGoogle Chrome拡張機能です。


競合のページを瞬時に且つ簡単に分析できる同ツールは、分析したいサイトの右上に表示された「SEO」ボタンを押すだけで分析ができます。タイトルやディスクリプション、各種タグ情報、SNS情報、キーワード、被リンク、内部リンク、SEOに影響があるhtml情報など、有用な情報を一括で抽出してくれます。


高頻度でSEO分析を実施する方や、Webサイト制作会社、手軽なSEOチェックが必要な場面などに適しているツールです。

 

User Local  スマートフォン解析ツール

User Local  スマートフォン解析ツール

・引用元:公式サイト http://smartphone.userlocal.jp/

・運営会社:株式会社ユーザーローカル


「User Local スマートフォン解析ツール」は、iPhone/iPad、Androidなどのモバイルに対応した無料のアクセス解析ツールです。スマートフォンサイトに加え、パソコン向けサイトやガラケー向けサイトにも対応しています。


リアルタイムに訪問しているユーザーがどのページを見たか、どんなキーワードでアクセスしたのかなどを確認できる「リアルタイムアクセス解析」をはじめ、流入元サイトの分析、デバイス別デイリー推移、都道府県別分析、ユーザー属性推測など、様々な項目を調査できるのが特徴です。


1アカウントにつき3サイトまで登録でき、解析できるサイトのページ数や規模などに制限はないため、気軽に利用することができます。

 

無料ヒートマップ解析ツール User Heat(自社サイト分析ツール)

無料ヒートマップ解析ツール User Heat(自社サイト分析ツール)

・引用元:公式サイト https://userheat.com/

・運営会社:株式会社ユーザーローカル


「無料ヒートマップ解析ツール User Heat」は、自社サイトを分析できるツールです。自社サイト分析ツールで代表的なものに「Google Analytics(GA)」がありますが、「User Heat」も無料で簡単に利用できるためおすすめです。


同ツールは、ヒートマップが利用できるのが最大の特徴です。ヒートマップは、色の濃さでユーザーのマウスの動きの強弱を表示して、ページ内のユーザーの行動を可視化したもので、ユーザーの心理を的確に把握して自社サイトの改善に活かすことができます


「熟読エリア・終了エリア・マウスムーブ・クリックエリア・離脱エリア」の5つのヒートマップを利用でき、ユーザーが「記事をどこまで読み進めたのか」や「ページ内のどこをクリックしたのか」ということをわかりやすく提示してくれます。


月間30万PVまで分析できる上、直感的に利用できるので初心者にもおすすめです。

 

SEOアクセス解析ツール

SEOアクセス解析ツール

・引用元:公式サイト https://www.seotools.jp/seoanalyze/

・運営会社:ブラストホールディングス株式会社


「SEOアクセス解析ツール」は、WebサイトのSEO最適度を簡単に、リアルタイムでチェックできる無料ツールです。


調査したい競合サイトのURLとSEOキーワードを入力するだけで、サイトのページランクや獲得順位などの基本情報をはじめ、インデックス数、被リンク数、キーワード率、強調タグ、ドメイン取得日など、様々な情報を取得できます。


診断も行ってくれるため、自社サイトの改善にも役立てられます。

 

BuiltWith

BuiltWith

・引用元:公式サイト https://builtwith.com/ja/

・運営会社:BuiltWith® Pty Ltd


「BuiltWith」は、対象とするサイトにて利用されている様々なツールやシステムを識別することができる無料のツールです。


たとえば、サイトのシステム構成やWordPressで利用されているプラグイン名のほか、Googleアナリティクスやサーチコンソールの導入などを明らかにできます。


同ツールで得られる「競合サイトがどんなシステム・ツール・技術を採用しているのか」という情報や、「他社のサイトの技術やデザイン、ウィジェット、エンコーディング、ブログ運用ソフト」などの情報は、自社サイト構築や運用の際に役立ちます。

 

【有料】競合サイトを分析するおすすめツール8選

競合サイトを分析する、8つの有料おすすめツールを紹介します。

 

Keywordmap

Keywordmap

・引用元:公式サイト https://keywordmap.jp/

・運営会社: 株式会社CINC


「Keywordmap」は、SEO・コンテンツ制作を支援するキーワードマーケティングツールです。世界最大級のビッグデータを保有しているため、キーワード抽出から競合サイト・自社サイトの分析、どんなコンテンツを作成すれば掲載順位が上昇しやすくなるかなどの情報を、多角的且つ高精度で分析することができます。


調査するキーワード数やサイト数に上限がないため、競合サイトの分析などを徹底的に行うことができるのもポイントです。事業会社をはじめ、制作会社、戦略コンサルティングファームなどマーケティングのサポート事業を行う企業にも利用されています。

 

わかりやすいUIが特長で、無料で利用できる1週間のトライアルも設けられているため、SEO初心者の方や試しに利用してみたい方などにおすすめです。

 

Similar Web

Similar Web

・引用元:公式サイト https://www.similarweb.com/ja/

・運営会社:Similarweb


「Similar Web」は、競合サイトのアクセス状況や流入経路など、Webサイトへの流入を中心とした様々な分析ができる分析ツールです。


190カ国1億以上のサイト、10億個のキーワードを比較でき、世界に向けて自社サイトを発信している企業でも利用できるという特長があります。また、同ツール独自の指標である「カテゴリーランク」を元に、Webマーケティング全般の状況を可視化できるため、競合サイトが注力している施策を把握することが可能です。


アプリ分析をはじめ、セグメント分析、コンバージョン分析など様々な角度から分析が行えるほか、競合のディスプレイ広告の分析もできるため、自社との差分を比較してターゲットに刺さる広告作成のヒントを得ることもできます。


無料版も備わっていますが、有料版では最大37ヶ月前までのデータを確認できるため、長期的に競合サイトを分析するのに向いています。

 

ahrefs

ahrefs

・引用元:公式サイト https://ahrefs.com/

・運営会社:


「Ahrefs」 は、全世界で60万人以上が使用する、海外製のSEOチェックツールです。


キーワード調査やコンテンツチェック、被リンクチェックなどの基本的な機能に加え、競合・自社サイトの日々の順位をランキング形式で比較できるなど、モニタリング機能に強みがある点が特徴です。


高い精度の予測データやインデックスの迅速化に加え、詳細な情報を調査できる広範囲なデータアクセス能力などに定評があり、日本のユーザーからも支持されています。


無料プランはありませんが、1週間7ドルの体験プランが用意されています。終了後は月額で99ドルから利用可能です。より精密に分析データを行いたい企業に適しています。

 

SEMrush

SEMrush

・引用元:公式サイト https://semrush.jp/

・運営会社:株式会社オロ


「Semrush」は、SEO、SNS、広告が一括で管理できる、オールインワン競合サイト分析ツールです。マーケティング領域をツールひとつでカバーすることができ、全世界700万以上のユーザーに利用されています。


競合サイトを分析した上で、自社サイトの改善点を自動収集する「On Page SEO Checker」機能が特長です。様々な視点から具体的な改善策などを提案してくれるため、効率的にコンテンツ制作や修正作業を行えます。


また、エンゲージメントの高い投稿パターンやハッシュタグの調査などができるSNS分析に加え、複数チャネルのSNS投稿の作成を一元化することも可能です。さらに競合サイトの入札キーワードや広告文などの広告分析を行い、「広告グループの管理、広告文作成、費用対効果の高いキャンペーンの立案」なども一元化して実施できるという強みがあります。


無料トライアルもあり、予算の限られたフリーランスやスタートアップなどにおすすめです。有料プランは月額$119.95から利用できます。


Gyro-n(ジャイロン) SEO

Gyro-n(ジャイロン) SEO

・引用元:Gyro-n SEO公式サイト https://www.gyro-n.com/seo/

・運営会社:株式会社ユニヴァ・ジャイロン


「Gyro-n SEO」は、競合サイトのモニタリング機能に強みのある、広告チームからマーケターまで事業規模を問わずに利用できるSEO対策ツールです。


検索エンジン「Google」と「Yahoo!」における自社サイトや登録した競合サイトの検索順位を自動で計測することができるため、モニタリングの手間を削減したい企業に向いています。


キーワードランクトラッキング機能やSERPs画面を比較できる機能に加え、地域性を重視するキーワードのチェック機能もあり、特定の地域に特化した検索最適化も実現できます。Google Analyticsとの統合も可能です。


また、モバイルをはじめデスクトップ、Webベース、クラウド、SaaSなど複数の提供形態に対応しています。同ツールを活用するための教育支援も充実しており、ウェビナー、ドキュメンテーション、直接トレーニングなどの方法で学習できるのも特徴です。


3ヶ月無料で利用できるトライアル期間が設けられており、期間終了後も月額500円からコストを抑えて導入できるのも魅力です。


GRC

GRC

・引用元:公式サイト https://seopro.jp/grc/

・運営会社:有限会社シェルウェア


「GRC」は、Google、Yahoo!、Bingの3つの検索エンジンの検索結果の順位を、ボタンひとつでチェックできるツールです。複数のサイト、複数の検索語を分析できるため、業務の効率化を実現します。


同ツールはWebからPC端末にインストールする必要があり、Windowsのみに対応、Macでは利用できないため注意が必要です。


検索したいキーワード、サイト名、URLを入力して分析ボタンを押すだけで簡単に利用できるのが特徴で、特定のキーワードで調べた際、表示順位はもちろん、時系列にどのように順位が推移したかが一目でわかるようになっています。継続的に利用すれば、更新履歴が入力できるメモ機能や、時系列グラフの表示機能も使えます。


使用制限のある無料版と、年額4,860円(税込)から利用できる有料版があります。


パスカル

パスカル

・引用元:パスカル公式Webサイト https://www.pascaljp.com/

・運営会社:株式会社オロパス


「パスカル」は1,540社以上が活用する実績があり、5つの主要機能を駆使して、ユーザーのSEO対策を支援するツールです。


先述した「記事作成支援機能」に強みがあり、記事本数や構成、網羅すべき関連ワードなど、上位表示するために必要なデータを具体的に提案してくれます。他にも、1分未満で50以上の競合サイト項目を分析する機能や、競合サイトのキーワードを調査する機能、地域やデバイス別の順位を調査し変動がある時はメール通知がくる機能などが備わっています。


結果をもとに自社に必要な対策を明らかにしてくれるため、効率的な記事制作をサポートしてくれるのが特徴です。


パスカルは4日間の無料トライアルも提供しているため、まずは試しに利用してみたい場合や、記事本数を増やしたい企業、コンスタントに記事作成を行っている企業におすすめです。無料トライアル終了後は、月額45,000円から利用できます。

 

SEARCH WRITE

SEARCH WRITE

・引用元:公式サイト https://searchwrite.jp/

・運営会社:株式会社 PLAN-B


「SEARCH WRITE」は、誰でも効率よく業務を進められるよう、わかりやすく設計された運用特化型のSEOツールです。キーワードリサーチをはじめ、サイト診断、コンテンツ作成、バックリンク分析など、競合サイト分析を包括的に進められます。


また、チーム運用に特化して設計されているのが特徴で、チーム内でスムーズに情報を共有しながらPDCAを回し、ノウハウを貯められるのが特徴です。


リライトすべき記事や対策すべきキーワードを提案するなど、企画立案やコンテンツ制作をサポートしてくれる機能も備わっています。


全プランに無償サポートが完備されており、チームで自走できるまで伴走してくれるため、初めての方や競合サイト分析に自信のない方などにおすすめです。


まとめ

本記事では、競合サイト分析について網羅的に紹介してきました。


SEO・コンテンツ作成支援・モニタリング・表示速度など、競合サイト分析ツールによって特長となる機能は異なります。有料・無料のツールでも分析できる規模や制限の有無など、できることに差がある場合もあります。


競合サイトを自社サイト改善に活かすためには、定期的に競合サイト分析や自社サイトの内部チェックを行うことはもちろんですが、特に自社の段階に合わせて必要な機能を備えているツールを利用することが大切です。


複数のツールを使い分けて活用しても良いでしょう。自社のフェーズに必要な機能を持つツールを使って定期的に分析を続けることで、自社サイトを改善するために役立つ様々なヒントを得ることができ、自社サイトの継続的な発展へとつなげられるでしょう。

 

 

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Tue, 10 Oct 2023 16:44:37 +0900
<![CDATA[サービスドミナントロジックとは?グッズドミナントロジックとの違いや身近な事例]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/SDL 「サービス・ドミナント・ロジック(Service-Dominant-Logic)」は、ひとことで言うと、無形財である事業(コト)や有形材である商品・製品(モノ)をすべて「サービス」として包括的にとらえる視点です。また、その「サービス」の「価値」は企業が一方的に規定し提供するものではなく、顧客の手に渡って初めて生まれるものだとする点が特徴です。

サービスドミナントロジックは、マーケティング戦略のフレームワークのひとつとして2004年に提唱された考え方ですが、近年、単にモノを売ることにとどまらないサブスクリプションサービスなどのビジネスモデルが拡大し、消費者のほうでもモノ自体よりもそれを手に入れることで得られる体験や経験を重視する傾向が高まっていることを受け、改めて耳目に触れる機会が増えています。

本コラムでは、マーケティング担当者としておさえておきたい「サービスドミナントロジック」の意味や概念、コアとなる「価値共創」の考え方や企業での身近な取り組み例について解説します。

 

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サービスドミナントロジックとは

「サービス・ドミナント・ロジック(Service-Dominant-Logic)」とは、「サービスが支配的な論理」「サービス中心論理」の意で、「SDL」「S-Dロジック」とも呼ばれます。

すべての経済活動はサービス活動である」とするサービスドミナントロジックは2004年、米国のマーケティング研究者であるロバート・F・ラッシュとスティーブン・L・バーゴ(以下、Vargo & Lusch)によって提唱されました。近年では、「モノからコトへ」という消費者の意識の変化にともなってビジネスの世界で改めて注目され、マーケティング研究の分野でも議論を巻き起こしています。

サービスドミナントロジックでは無形財である事業(コト)や有形財である商品・製品(モノ)を区別することなくすべて「サービス」であるとして包括的にとらえます。
「価値」の観点でみると、サービスドミナントロジックではサービスの価値は企業と顧客が共に創造するものであり(「価値共創」)、企業だけでは価値を創造することはできず、顧客は企業と一緒に価値を創造する主体(アクター)ということになります。

また、サービスは有形財に付随したものとは限らず、経済的交換の基礎となるもので、サービスとサービスとの交換という図式も成り立ちます。
なお、サービスドミナントロジックはロジック(理論)と称されつつも、提唱者のVargo & Luschによるとロジックというよりはマインドセット(ここでは、考え方の枠組みや思考様式、価値観)であると説かれています。

サービスドミナントロジックの成り立ちと特徴

従来のビジネスでは、たとえばメーカーであればモノを製造・販売することが事業の中心であり、サービスはあくまでも付加的なものという認識が一般的でした。そこに異を唱えたのがVargo & Luschのサービスドミナントロジックです。
SDLで定義される「サービス」は、顧客の利益のために知識・情報・技術(ナレッジやスキル)を活用することを指し、いわゆる「サービス業」と言うときの「サービス」とは根本的に異なります。
端的に言うと、サービスドミナントロジックでは、企業が顧客に対して提供する商品を、有形・無形あるいはモノ・サービスと分けて考えるのではなく、顧客のニーズをとらえて満足させるものとしてひとくくりで考えるということです。
その他、サービスドミナントロジックの視点の大きな特徴は次の3点です。

  • 使用価値・経験価値……商品(サービス)の価値は、顧客が利用することではじめて創出される
  • 文脈価値……その価値は、それぞれ異なる背景を持つ顧客によって判断される
  • 価値共創……顧客は主体的な存在(アクター)であり、価値は顧客と企業がともに生み出すものである

グッズドミナントロジックとの対比

サービスドミナントロジックを端的に理解するには、対照的な考え方である「グッズドミナントロジック」と比較するとわかりやすいでしょう。

「グッズ・ドミナント・ロジック(Goods-Dominant-Logic)」は「モノ(物財)が支配的な論理」の意で、言うなれば「モノ(物財を中心とした経済活動のとらえ方」であり、「GDL」「G-Dロジック」とも呼ばれます。
グッズドミナントロジックは売り手である企業が商品(グッズ)の価値(価格)を決定して顧客に提供・販売し、顧客がその対価(貨幣)を支払って商品を獲得することで「価値交換(所有権の移転)」が行われるという考え方で、従来のマーケティングやビジネスの多くがこれに当たります。
G-Dロジックでは商品そのものにあらかじめ価値が含まれていることが前提で、その価値を創出する主体は企業になります。

一方、サービスドミナントロジックでは、モノ(有形商品)とサービシィーズ(無形商品としてのサービス)を包括的にとらえ、プロセス(過程)としてのサービス(ナレッジとスキル)に着目し、モノは顧客の手に渡り、顧客に使用されて初めて価値(ここでは使用価値・経験価値)を生み出すものと考えます。

  • グッズドミナントロジック……「交換価値」を重視。顧客は「購入する人」
  • サービスドミナントロジック……「使用価値」を重視。顧客は「利用する人」

また、サービスドミナントロジックでは、顧客の存在を製品価値の実現および製品開発のために重要不可欠なパートナーであると考えます。
これはインターネットやSNSの普及により顧客が企業よりも多くの情報を持っていること、製品のことをよく知っていることを前提にしたものです。製品開発が企業主導で、ともすると一方向的になるG-Dロジックとは異なり、顧客重視の姿勢につながる視点だと言えるでしょう。

サービスドミナントロジックの企業事例

サービスドミナントロジックの視点は、いわゆる売り切り型でないサブスクリプションサービスやシェアビジネスにいかされている事例が多いでしょう。その他、たとえばアパレル企業のECサイトで単に洋服やファッション小物を販売するだけでなく、その人にあった着こなしをプロのスタイリストが個別に提案するといったサービスもS-Dロジックの視点に立ったビジネスの事例だと言えます。

ここではサービスドミナントロジックの視点をより具体的にとらえるために、国内外の企業における取り組みの身近な例をご紹介します。

無印良品の「素のままポテトチップス」/良品計画

2008年に良品計画が発売した「素のまま(そのまま)ポテトチップス」は敢えて何も味付けをしていないポテトチップスと「味付けパウダー」をセットで販売。「何をつけるのかはお客さんがお考えください」というメッセージを添えました。
さらに、自社のネットストア上に顧客のアイデアを投稿できる仕組みを設置し、Webサイトに集まった顧客に対し、味付けの人気投票を行ったり、新しい「味付けパウダー」の開発に参加する権利を抽選でプレゼントしたりするなどの工夫を実践しました。同商品はヒットし、「素のままシリーズ」としてコンセプトを引き継ぎつつ豊富なラインナップを展開するに至りました。

あらかじめ完結した商品を提供するのではなく、顧客と企業のコラボレーションによってはじめて商品の価値が完成する事例です。同社が掲げる通り「余白を残して市場に出す」ことで顧客に主体性を持たせた点にサービスドミナントロジックの視点がいかされています。

リトレッドタイヤサービス/ブリヂストン

「リトレッド」とは、使用により寿命を迎えたタイヤのトレッドゴム(路面と接する部分のゴム)の表面を削り、新しいゴムを貼り付けて再利用(リユース)することです。
ブリヂストンは顧客のすり減った台タイヤを預かり、検査や加工ののち、より高品質なリトレッドタイヤとして顧客に返還するサービスを実施しています。

このサービスでは、台タイヤを再利用することで顧客と企業がともに省資源に貢献することができます。また、企業はタイヤの販売にとどまらず、あわせてメンテナンスサービスを提案することで顧客にタイヤの使い方の情報を提供し、顧客にとっては新製品を買うのに比べてコストを削減することができます。
企業と顧客がともにメリットを得ながら競合優位性を発揮できる点でサービスドミナントロジックの考え方を実践している好例です。

kindle/Amazon

米国で始まり日本にも導入されたAmazonのkindle(キンドル)は電子書籍などを閲覧するための端末ですが、通常であれば競合となるであろうiPhoneやiPadなどのアプリを無償で提供している点が特徴的です。

Amazonはあくまでもkindleという読書環境から獲られるコンテンツの売上を狙いとしています。kindleストアで本を買った顧客が、それを自宅ではiPad、出先ではiPhoneアプリで読むなどひとつのコンテンツを端末をまたいで利用できる便利さ、その体験こそがAmazonが売ろうとしている「サービス」となっている点が特徴的です。

まとめ

サービスドミナントロジックの考え方は「価値共創」を核として企業と顧客がともに価値創造の主体となることから「AtoA(アクターtoアクター)」のビジネスとも呼ばれます。
また、顧客が企業にとって商品(サービス)の価値創出のために重要不可欠なパートナーとなり、顧客とのコラボレーションが価値の実現に不可欠となる点において、企業はおのずと顧客重視の姿勢をとることになります。

モノよりコトを重視する風潮やサブスクリプションサービスをはじめとした「売って終わり」ではないビジネスモデルの拡大など、モノ自体よりもそれを手に入れることで得られる体験や経験、セルフイメージの向上といった価値を重視する動きは消費者主導でさらに広がりつつあります。

単にそのモノを手に入れるだけでは顧客の希望が実現しきれないケースに着目することが、サービスドミナントロジックの視点に立ったビジネスチャンスの獲得につながるのではないでしょうか。

 

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  • この記事を書いた人
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  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab



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Tue, 10 Oct 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[デジタルマーケティングとは?基礎知識を簡単に!具体的な手法や学べる本・WEBも紹介]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/digital_marketing
「デジタルマーケティング」とは、インターネットやSNS、アプリなどのあらゆるデジタル技術を活用したマーケティング手法のことです。


多くの企業がマーケティング施策として取り組んでいるデジタル上のコンテンツマーケティングや、メールマーケティングもデジタルマーケティングに含まれ、その他にも店舗やWebアプリなど、さまざまなチャネルを横断した施策などがあります。従来のマーケティング活動よりもデータの蓄積や取得が容易になるため、データ・ドリブンな意思決定や判断が可能となります。


もはやデジタルマーケティングと無縁の企業は皆無と言っても過言ではなく、マーケティング活動を行なっていく上では絶対に抑えておきたい重要ワードです。


本記事ではそんなデジタルマーケティングの概念や戦略の立て方のほか、参考サイト、おすすめの書籍まで、デジタルマーケティングに関する役立つ情報を紹介します。


・デジタルマーケティングを基礎から知りたい

・そもそもデジタルマーケティングの意味を知らない

・これからマーケティングに力を入れていこうと考えている

・マーケティングや営業のデジタル化に悩んでいる

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デジタルマーケティングとは?特徴や言葉の普及

「デジタルマーケティング」とは、インターネットやSNS、アプリなどのデジタル技術を活用したマーケティング手法のことです。コンテンツマーケティング、SNSマーケティング、メールマーケティングのほかMA、ARなどを利用したマーケティングも、デジタル技術を活用しているものはデジタルマーケティングに含まれます。ここでは詳しく、デジタルマーケティングの特徴や広がりについて見ていきましょう。

デジタルマーケティングの特徴

デジタルマーケティングの特徴は、マーケティング活動にデジタルデータを利用することです。消費者の好み、広告を見た反応、購入に至るまでの行動といったさまざまな情報をデータにして分析します。


これまでのマーケティングでもデータ分析はおこなわれていましたが、アンケート調査やインタビュー調査で傾向を把握する程度にとどまっていました。


その点、デジタルマーケティングでは、デジタルでしか収集できない個人レベルの細かなデータを自動で取得・解析することが可能です。その結果、解析のスピードも扱えるデータ量も従来のマーケティング調査とは比較にならないほど向上しました。

今後はAIなどを駆使して、より高度なマーケティング分析(予測)が可能となることも予想されます。これからのマーケターやWeb担当者は、デジタルマーケティングの理解をなくして成果を上げることは難しくなるでしょう。

またデジタルマーケティングの特徴を表すものに、「オムニチャネル」と「データドブリン」があります。

オムニチャネルとは

「オムニチャネル」とは、リアル店舗などの「オフライン」と、ECサイトなどの「オンライン」に分かれている顧客との接点=チャネルを、シームレスに統合することを指します。


ユーザーの視点で具体的に考えると、ECサイトとリアル店舗の違いを特に感じることなく利用できる状態が、オムニチャネルの1つと言うことができ、デジタルマーケティングにおける理想です。


オムニチャネルを実現するためには、顧客情報、購入履歴、在庫情報などの様々な情報に加え、Webサイトなどから得られたデジタルデータ、オフラインで獲得したデータなど、全てをシームレスにつないで管理することが大切です。

データドリブンとは

「データドリブン」とは、収集・蓄積した様々なデータに基づいて顧客を理解し、判断・アクションを決定することを指します。


データドリブンなデジタルマーケティングでは、データに基づくことで、担当者の勘や先入観に依存せず、客観的に


データをもとに顧客理解を深め、販促・プロモーション計画を立案し、効果計測ができる状態でマーケティング施策を推進することです。


データドリブンなデジタルマーケティングの魅力は、営業・マーケティング担当者個人の経験や勘、先入観に依存せず、客観的なデータに基づいて効率的・効果的な手法で顧客へのアプローチを実施できることです。

データドリブンにはデータの収集・管理・分析が欠かせません。MAやCRMといったツールを導入・活用することで、データドリブンを推進する環境を整えることが必要です。

デジタルマーケティングの言葉の広がり

デジタルマーケティングは21世紀になって広がりを見せてきた言葉です。


下記の画像の通り、Googleトレンド(Googleの検索エンジンで検索された回数のトレンド)によると「デジタルマーケティング」の月間検索回数は2014〜2015年から大きく増えています。

デジタルマーケティングの検索トレンド

また、最近ではコロナ禍の影響もあり、以前にもましてデジタル化というキーワードに注目が集まっており、その一環として「デジタルマーケティング」に取り組む企業が増えています。マーケティングの施策を実施する上で、もはや避けては通れないほどメジャーになっているのが、デジタルマーケティングなのです。

なぜデジタルマーケティングが重要なのか?

デジタルマーケティングの重要性が高まっている背景には、スマートフォンの普及やBtoB企業の情報源の変化などがあります。


今やほとんどのビジネスマンがスマートフォンを日常的に使用し、Web上から情報を収集しています。多くの企業もWebサイトを主な情報収集源にしており、デジタル上で接点を持つ機会も増えています。(参考:BtoB企業の購買プロセス調査コロナで変わる情報収集、高まるHPの重要性


そうなると、従来のマーケティング活動の中でデジタルを組み込んでいくことは必須となり、営業組織がマーケティング機能を内包していたような業界に関しても、デジタルマーケティングの実施がマストとなっていきます。


また、2020年からは新型コロナウイルスの拡大もあり、オフラインのマーケティング活動が難しくなってきました。在宅勤務も増え、オンラインでの情報収集がより活発となっているため、デジタルマーケティングの重要性が非常に高まっているのです。


AI時代の本格到来も後押しに

ChatGPTやAIイラストなどのAI技術の発展も、デジタルマーケティングの重要性の高まりを後押ししています。AIの活用は、デジタルマーケティングにどのようなメリットをもたらすのでしょうか。


AIは、過去のデータをもとに未来の傾向を予測することが得意です。そのため、AIを取り入れることで、複雑化するエンドユーザーの購買行動を予測できるようになります。


また、市場動向や顧客行動の変化の迅速な把握や、広告配信のタイミングやコンテンツ戦略の最適化など、効果的なマーケティング戦略の立案にも役立ちます。従来のような人間の勘や経験に頼るだけでなく、「AI×デジタル」でマーケティングを行うことでより高精度且つ効率的な施策を実現できるでしょう。


また、AIはテキスト、画像、動画などのコンテンツを自動生成することが可能です。特定のターゲットに向けたコンテンツを効率的に生成することで、マーケティングの効果向上も目指せます。

デジタルマーケティングのメリット

デジタルマーケティングを実施することで様々なメリットを享受できます。本章では以下の主な6つのメリットを紹介します。

幅広い顧客層にリーチできる

デジタルマーケティングを実施することで、労力を抑えながらも幅広い顧客層にリーチできるというメリットがあります。

たとえばWeb広告を配信すれば、従来では難しかったターゲットなど、場所や国境を問わずリーチでき、国内だけでなく世界中の人と顧客とシームレスにつながることができます。

以前は不可能に思えた方法で市場を拡大し、ビジネスを成長させることができます。

コスト削減

TV、ラジオ、印刷媒体などの従来のマーケティングチャネルは、通常枠ごとに値段が決まっており、コストが高くなる傾向にありました。

一方デジタルチャネルでは、テンプレート化されたシステムなどを使用して質の高いwebサイトを作成できたり、ソーシャルメディアアカウントを無料で作成して、低コストの広告を打ったりするなど、従来の方法に比べて大幅に費用を抑えられるというメリットがあります

また、一度コンテンツを制作すればその後ネット上に存在し続けるため、何度も広告を打たなくても自社コンテンツを見てもらえる機会が得られます。TVや印刷媒体での一時的な広告よりも、持続性に優れているという利点もあるのです。


さらに従来のマーケティングでは、データの収集や分析を行うにも費用・時間が膨大にかかりましたが、デジタルの活用によりこういった調査が容易になり、簡易的な調査を行うハードルが大きく下がりました

効果測定が可能

デジタルマーケティングは、Webサイトへの流入数やコンバージョン数、クリック数、リード数など、マーケティングから営業活動、カスタマーサクセスまで、データを蓄積して効果測定を行うことができます


成果の正確な測定は質の高い分析を手助けし、適切な意思決定を行う際に役立ちます。高速でPDCAを回せるようにもなり、デジタルマーケティングの継続的な改善、最終的には自社の利益拡大へとつながります。


パーソナライゼーションの実現

デジタルマーケティングの大きなメリットに「パーソナライゼーション」があります。


パーソナライゼーションとは、顧客の属性や行動履歴、趣味嗜好などのデータを取得してそれぞれの顧客のニーズを把握し、最適な商品・サービスや関連情報を提供する手法です。


従来は、不特定多数の顧客に対して情報を発信していましたが、ネットの登場や市場における競争の激化によって、各顧客のニーズに合わせてマーケティングを行う必要性が出てきました。各顧客の需要に合わせてマーケティングを行う「パーソナライゼーション」が実現することで、顧客単価や顧客満足度の向上などにおいても有効です。

エンゲージメントの向上

デジタルマーケティングにおけるエンゲージメントとは、「自社と顧客の結びつきの度合い」を示す指標です。顧客が自社コンテンツにどのくらい興味・関心を持っているか、購入に至る可能性があるのか、ということがわかります。


エンゲージメントの数値が低い場合は、施策がうまく実施できていない可能性があるため、広告の内容や出稿方法などを改善して、より効率良くマーケティングを実施することができます。

デジタルマーケティングとWebマーケティングとの違い

デジタルマーケティングと混合されがちな言葉に「Webマーケティング」があります。ここで、違いを明らかにしておきましょう。


「Webマーケティング」は、Webサイトを用いたマーケティング活動のことです。サイトを作成して、コンテンツを増やし、SEO・広告などを考え、商品の購入や問い合わせへとつなげていく施策のことです。


デジタルマーケティングと混同されがちですが、Webマーケティングの範囲はWebに限定されていることが特徴です。扱うデータに関しても、Webマーケティングの場合はWebサイトにどのような人が訪れたのか、ユーザーの行動、アクセスした媒体の種類など、Web上で取得したものを収集して活用します。



一方デジタルマーケティングは範囲が限定されません。Webにとどまらず、アプリやMAなど、さまざまなデジタルテクノロジーが対象です。


Webマーケティングとデジタルマーケティング


上記の図のように、Webマーケティングはデジタルマーケティングの中での限定された範囲となります。アプリや実店舗でのIoTなども含めた、より幅広い範囲でのデジタル施策ととらえてください。


【関連記事】

>Webマーケティングとは?初心者でもわかる基礎知識!始め方・成功事例も紹介


>製造業のWebマーケティングを解説!具体的な施策と”製造業だからこそ”の重要性まで


ちなみに、デジタルマーケティングの上位概念はそのまま「マーケティング」となります。デジタルマーケティングはあくまでマーケティングの手段の1つになるため、マーケティング活動の中に含まれます。

マーケティング、デジタルマーケティング、Webマーケティング


デジタルマーケティングとインバウンドマーケティングの違い

他にも混同されやすいものに「インバウンドマーケティング」があります。


インバウンドマーケティングとは、顧客が欲しい情報や顧客の課題を解決するような情報をブログやオウンドメディア、SNSなどで発信することで見つけてもらい、興味を持ってもらうことで最終的に自社製品やサービスの購買につなげるマーケティング手法です。売り込みをしない手法ともいえます。


対極にある「アウトバウンドマーケティング」は企業側から顧客に売り込む手法であり、販売活動の主体が企業にある点が特徴です。


インバウンドマーケティングの具体例としては、SEOや動画コンテンツ、ホワイトペーパーがあり、アウトバウンドマーケティングではリマーケティング広告やポップアップ広告があり、これらはデジタルマーケティングにおける手法でもあります。


つまり、インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングはデジタルマーケティングに内包されているということです。デジタルマーケティングの施策においては、両者を併用して実施するケースもあります。



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インバウンドマーケティングとは?必要なコンテンツ・事例・指標などまとめました!


デジタルマーケティングとDXの関係性

デジタルマーケティングと関連して、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が使われることがあります。マーケティングの分野でもデジタル化が進んでいるため、DXの施策の一環としてデジタルマーケティングの施策を取り入れる企業が増えているためです。


また、それぞれに”デジタル”という言葉が付くだけあり、類似する点や共通点もいくつかあります。デジタルマーケティングをより明確に理解するため、DXについて以下で説明します。

そもそもDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「IT技術を活用して生活をよりよいものにしていこう」という考え方を指す言葉です。デジタルマーケティングは「デジタル技術を活用して最適な情報を最適な人に届ける」ための施策なので、DXの一部として考えることができます。


 

DXの施策を取り入れることで、企業は競争上の優位性を確立できると考えられています。逆に言えば、DXに遅れてしまうと、これからの時代は競争で劣位になる可能性があるということです。


ではなぜそう言えるのでしょうか。もう少し詳しくみていきましょう。


DXが必要な3つの理由 

DXが必要だといわれる理由を具体的に紹介します。

①テクノロジーの発達に対応するため

スマートフォンやパソコン、タブレットなどのITは、現代人の暮らしに欠かせない存在となりました。テクノロジーの発達により新しいデバイスもどんどん開発され、様々な商品・サービスが登場しています。


昔はほとんどの家庭でテレビや新聞を見ることが習慣化されており、どちらかのメディアで広告を打ち出せば多くの家庭に情報が届けられました。しかし現在はスマートフォンやタブレットなど新しいデバイスが台頭しているため、テレビや新聞に広告を掲載してもそのメディアを見ていない人には届きません。


そのような背景から、企業側はデジタル機器を活用する消費者に合わせた新しい情報発信を行う必要があり、DXの重要性が高まっているのです。


②消費者行動の変化に対応するため

デジタルが普及するにつれ、消費者行動も大きく変化しています。


消費者は広告やCMに頼らず、SNSやネットで自ら情報を集めることが一般的となりました。店舗へ足を運び商品を購入するのが当たり前だった時代から、ネット通販が活用される時代へ、そして新聞や雑誌を購入する時代から、サブスクリプションを使う時代へと変容しています。フリマアプリのようなCtoCの活発化も、これまでとは異なる傾向です。


そのような消費者行動の変化への柔軟な対応ができるよう、多くの企業が古い体制から脱却して時代に合わせた施策ができる体制を構築するため、DXを推進しています

③DXが進まないとビジネス自体が困難になるため

上記2つで説明したように、テクノロジーの発達と消費者行動の変化により、企業においてデジタルマーケティングにおける顧客の詳細なデータの収集・分析が必要不可欠となっています。そしてそれを実現するためにはDXが必要なのです。


DXが進まない企業や、デジタルマーケティングができる下地がない企業は、それぞれの顧客に最適なアプローチがおこなえません。


海外では、デジタル化が遅れた企業が顧客の心理をつかみ切れず撤退したり、倒産したり、市場に参入できなくなったりするケースが出てきています。DXが進まないとビジネス自体が困難な時代へと変化しているのです。


日本はまだデジタル化が進んでいる途中のため、そこまで大きな格差は表面化していません。しかし、今後海外のようにDXが進んでいる企業と遅れている企業の差が開いていくと考えられます。 


企業間の競争で生き残るためにも、デジタルマーケティングの成果を高めるためにも、DXは必要です。


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デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?意味・課題・事例など、わかりやすくまとめました!

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デジタルマーケティングならではの戦略の立て方 

続いて、デジタルマーケティングの戦略の立て方についてご説明します。


デジタルマーケティングの戦略立案は、基本的には一般的なマーケティングと同じです。最低限用意しておくものとして以下の3つが挙げられます。


・目標/KPIの設定

・STP分析

・カスタマージャーニーマップ

先述したように、あくまでデジタルマーケティングはマーケティング活動の一環なので、上記のようなマーケティングの基本事項を行なった上で、どうデジタルマーケティングを実施していくのかという戦略を立てることが大切です。


ただ、「デジタルマーケティングならではの戦略」も存在するため、本章ではデジタルマーケティングならではのポイントを解説いたします。


基本的なマーケティング戦略の説明は本記事では割愛するので、もし詳しく知りたい場合は以下の関連記事をご参照ください。



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KPIに関して▼

>【わかりやすく解説】KPI(指標)とKGI(目標)とは?Webマーケティング分野での設定方法や決め方など


STP分析(セグメンテーション)に関して▼

>セグメンテーションとは?分類例や4Rとは?事例と一緒にご紹介します!


カスタマージャーニーマップに関して▼

>【無料テンプレートあり】カスタマージャーニーとは?メリットデメリットから作成の手順までを解説!


各チャネルをつなぐシナリオをつくる

デジタルマーケティングでは、展示会やメルマガ、Webサイトなど、オンラインやオフラインを問わず、各施策をつなげて見込み顧客の獲得や受注を目指します。そのためには、個別でおこなわれていた施策を単発で終わらせないシナリオ作りが必要です


商品やサービスにもよりますが、オンラインやオフラインだけで完結することが珍しいケースもありますので、しっかりとデジタルとアナログをつなぐシナリオを作っていきましょう


また現在おこなっている個別の施策が正しく機能しているのか、成果が出ているのかを見直すのもおすすめです。全体的な施策を改善し、それぞれが最高のパフォーマンスを発揮できれば、デジタルマーケティングでより良い結果が得られるでしょう。


どこまでデジタル化するのかを決める

目標到達のためには、どこまでデジタル化が必要なのかを考えることも重要です


デジタル化する例を挙げると、「Webサイトに商談に使える動画や詳しい情報を掲載し、営業の訪問回数を減らす」「受注をデジタル化させ、非対面で受注獲得を目指す」などがあります。


もっとも良くないケースは、”とりあえず”でデジタルに手を出すケースです。運用もできず成果にもつながらない可能性が高くなるので、全体のプロセスを整理したうえで、段階的なデジタル化をおすすめしています。

デジタルマーケティングに必要なツールを特定

どこまでデジタル化するのかを決めたら、必要なツールを特定しましょう。


アナリティクスやサーチコンソールといったSEO分析・集客分析ができるツールのほか、ユーザーの行動データを追跡して収集できるMAツール、問い合わせを促したり、顧客対応を効率化させたりできるチャットボットなども有効です。


目標達成に近づくためのツールを精査し、必要なデータが得られる環境を整えておきます



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>マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説

各部門と連携が取れる体制を作る

デジタルマーケティングは店舗、Web、広告などさまざまなチャネルをまたいでデータを収集、分析する必要があります。特にBtoB企業の場合、マーケティングで獲得したリードをインサイドやセールスにパスをして、受注へとつなげていきます。


そのためには営業、マーケティング、インサイドセールスといった各部門の理解に加え、連携・協力できる体制づくりが欠かせません


「連携」と一言で言っても、現場間が意識して解決できる問題ではないため、まずは適切な連携が取れる体制を作っていく必要があります。定期的なコミュニケーションが取れる仕組みや、各部署が連動した指標を設けることで、共通目標に向かった理想的な連携が可能です。



また、新しく計測・効率化させるためのツールを導入する場合、そのツールの重要性を浸透させ、うまく機能させるにはどうすべきかも考えるべきポイントです。関係者を巻き込み、実行した際にスムーズに進められる体制づくりを構築しましょう


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デジタルマーケティングの手法

デジタルマーケティングといっても手法はさまざまで、Webサイトやメール、広告など多岐にわたり、どの手法も効果や役割が異なります。以下ではデジタルマーケティングの手法を紹介します。


Webサイト運用

ネットでの情報収集が一般的になっているため、Webサイトの運用はデジタルマーケティングにおいて必須の手法です。情報を掲載するだけでなく、問い合わせや資料請求につながるような導線を作れば、営業をせずにリードの獲得が目指せます。


Webサイトを運用する際は、質が良くタメになる情報を掲載するのはもちろん、SEOを重視した、検索上位になるコンテンツ作りが大切です。作成したWebサイトをSNSやメルマガと(後述)連動させれば、検索以外からの流入も図れます。


デジタルマーケティングが成功すると、検索数が増え、Webサイトの流入が増加します。施策を始める段階から運用を始め、Webサイト全体を整備しておくのがおすすめです。


Webサイト運用における施策としては主に、コンテンツマーケティングやSEO、


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コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、見込み客が求めている情報を定期的に発信することで、彼らをファンとして定着させ、最終的な購買につなげることを目指すマーケティングの手法です。


具体的には企業ブログや動画、ホワイトペーパーのなどの独自コンテンツがあります。見込み顧客にとってのニーズを把握し、価値あるものを提供して購買やファン化へとつなげていきます。


コンテンツの提供方法もさまざまで、メルマガのようにこちらからプッシュでコンテンツを届けることもあれば、オウンドメディアなどを運用し、ユーザー側からコンテンツを閲覧しに来てもらうこともあります。


顧客層の拡大、自社ブランドの強化、顧客ロイヤリティの向上などの様々なメリットがあり、BtoC、BtoBを問わず、さまざまな業界でコンテンツマーケティングが取り入れられています。


コンテンツマーケティングは「SEO施策の強化」にも効果的です。SEO施策についてみていきましょう。


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SEO施策

SEOとは、「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略で、検索エンジンにより上位に自社サイトが掲載されるようコンテンツを最適化することです。マーケティングにおける手法の定番と言えるでしょう。


検索サイトで上位に表示されれば、それだけ自社のWebサイトがユーザーの目に留まりやすくなり、アクセス数も期待できます。


自社サイトにSEO対策を施して、まずはアクセス数アップを目指します。ただ、アクセス数を増やすことが最終目的ではなく、ゴールはコンバージョン(購入、お問い合わせ、資料請求など)や商談を増やすことなので、それを踏まえてSEO施策を行うことが大切です。


SEOと混同されやすい言葉に「SEM」があります。Webサイト運営において、SEMはSEOと並んで重要なおさえておくべき知識です。以下で解説します。


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SEM(検索エンジンマーケティング)

SEM(「Search Engine Marketing」の略。検索エンジンマーケティング)とは、検索エンジン上で行うマーケティングを総称したものを指します。


検索エンジンから自社サイトへの訪問者数を増やす際に実施する施策を全て「SEM」と呼び、その手法の一つとしてSEO施策があると考えると良いでしょう。SEMには「リスティング広告(後述)」というマーケティング施策も含まれており、デジタルマーケティングでは欠かせない施策です。


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アクセス解析

アクセス解析とは、Webサイトに訪れたユーザーの属性や行動履歴などのデータを分析し、その結果を目的の達成に役立てる手法を指します。Googleアナリティクスなどの解析ツールを用いて実施するのが一般的です。


データを解析することで施策の課題や問題点を洗い出し、改善するための施策を実施することでWebサイトのコンバージョン率の向上や改善などを図ります。Webサイトを効果的に運用するには、アクセス解析を実施して、継続的にサイトを改善し続けることが大切です。

デジタル広告

デジタル広告は、WebサイトやSNS、動画などに表示する広告のことです。


ひとことでデジタル広告といっても種類はさまざま。あらかじめ決まっている広告枠に出稿する純広告や、Yahoo!やGoogleの検索結果ページに表示される検索連動型広告(リスティング)、複数のサイトをまたいで広告が掲載できるアドネットワークなど、全体で7種類近くあります。


コンテンツによって広告を見るユーザー層が異なるため、どのコンテンツに出稿すれば目標に近づけるのかを考え、最適なものを選びましょう


デジタル広告はユーザーの好みや性別に合わせて、入札が決まった広告主の中から自動で最適な広告を選び表示するものが多いため、数種類の広告を作成しておくと良いですよ。


認知させたいのか、購入を促したいのか……目的に合致した広告を打ち出すことが成功のカギです。以下では主な5つのデジタル広告について紹介します。

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リスティング広告

先述したSEOでは、即効性に欠けるという点がありますが、それを補うためにリスティング広告の併用がおすすめです。


リスティング広告とは検索連動型広告のことで、ユーザーが検索したキーワードや閲覧しているWebページに連動した広告が表示されるものです。ユーザーのニーズ・興味に合わせた広告を表示させることで、広告効果が期待できます。


SEOの効果が出るまでの期間、短期的に一定数のアクセスを集めるために最小限でリスティング広告を活用すると良いでしょう。


リスティング広告のメリット

即効性がある

ターゲットをピンポントに狙える

SEOで狙うべきキーワードを選定できる

小額からでも始められる

リスティング広告のデメリット

コスト(広告費)がかかる

ユーザーに「広告」だと認識されるため、クリックしてもらいにくい


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アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とは、Webサイトやブログ、メールマガジンなどにリンクを掲載し、そのリンクから訪れたユーザーのコンバージョンにより報酬が発生するタイプの広告です。 


ユーザーが広告を見た段階では広告料が発生せず、コンバージョン(資料請求、サンプル請求など)されて初めて広告料が発生するという点が大きな特徴です。


BtoC向きの広告手法で、特に会員登録や資料請求、ECサイトからの購入を促す際の利用がマッチします。


アフィリエイト広告を出稿する際は、基本的にASPというサービスを利用することになり、ASPの利用料は固定費で毎月かかってきますが、ASPを通してアフィリエイターに選ばれず掲載すらされないリスクがあります。


広告の出稿先としては、大きく「法人サイト」と「個人サイト」があり、法人サイトでは登録会員に発行したメールマガジンなどからWebサイトに誘導します。個人サイトでは、商品・サービスの紹介ページやブログ記事からバナーなどで誘導するケースが多いです。


アフィリエイト広告のメリット

コンバージョンするまで広告費が発生しないため、CPAを低く抑えられる


アフィリエイト広告のデメリット

月額固定費(ASP利用料)がかかる。

アフィリエイターに選ばれないと掲載すらされない

アフィリエイターが不正表示や誇大広告をしていないかチェックする必要がある。

アドネットワーク広告

アドネットワーク広告とは、複数の広告媒体を集めた広告配信ネットワークにより、複数のWebサイトで同時に広告配信する広告手法です。


通常、複数の媒体へ広告を出すには、それぞれの媒体と個別の契約を行う必要があり、さらに出稿形式も各媒体によって仕様が異なり、料金形態もバラバラです。アドネットワーク広告を利用すれば、これらをアドネットワーク業者に一括で任せられ、異なる媒体の広告効果(結果)データを同形式で受け取ることができます。


アドネットワーク広告のメリット

1社との契約で複数メディアに同時に広告を配信できる 


アドネットワーク広告のデメリット

アドネットワーク業者の持つ媒体に一様に掲載されるため、ターゲットが異なる媒体にも出稿され、ムダが生じる

SNS広告

LINEやTwitter、FacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に広告を出稿するものです。


ユーザーは、SNSの利用に際してプロフィールを登録するため、その情報にもとづいてターゲティングして出稿できます。また、ユーザーによる拡散も狙えます。


SNS広告のメリット

広告費が比較的安価

ユーザーの拡散効果が見込める


SNS広告のデメリット

日本ではSNSの利用者層が比較的若いため、中高年向けの商品・サービスでは出稿しづらい

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リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、あるWebページで表示した広告を、同じユーザーが訪れた別のWebページでも表示する広告を指します。閲覧者の認知度と訴求力を高める手法です。


特にBtoBの商品・サービスの場合、Webサイトを訪れてその場ですぐに購入するという可能性は低いため、何度もサイトに足を運ばせてそのサイトの信頼度を上げることが重要になります。


リターゲティング広告の仕組みは、WebサイトにJavaScriptタグやイメージタグを設置しておき、そのサイトを訪れたユーザーの使用しているブラウザに特定のIDを書き込んだcookie(クッキー)を付与します。そのcookieを持つブラウザが広告枠のあるページを訪れたら、リターゲティング広告を配信するというものです。


リターゲティング広告のメリット

興味のあるユーザーに何度もWebサイトを訪れてもらうきっかけになる

コンバージョンしなかったユーザーを追いかけられる


リターゲティング広告のデメリット

ユーザーがしつこいと感じ、逆効果になる可能性がある

一度、訪問したことがあるユーザーにしか広告を見せられない

メールマーケティング

メールマーケティングとは、メールを用いてマーケティングの目的を達成するようユーザー自らに動いてもらう手法です。


最終的なゴール(購入などのコンバージョン)から逆算して、お客様にどんな情報を与えれば行動してくれるか?を戦略的に考えて配信していくことが特徴です。


「低コストでスタートできる・高いROIが期待できる」などのメリットがある一方、「メールアドレスを取得しなければ施策が行えない・長期的な運用が必要になる・手間ヒマがかかる」などのデメリットもあります。昨今重要視されているOne to Oneの顧客アプローチを行うにはメールマーケティングの考え方が必須だといえます。


メールマーケティングで有効な3つの手法について、以下で紹介します。


ステップメール

ステップメールとは、個々のユーザーの検討の度合いやアクションに応じて、あらかじめ準備しておいたストーリー性のある複数のメールを、設定したスケジュールに沿って自動的に送信していく仕組みを指します。


ターゲティングメール(セグメントメール)

「ターゲティングメール(セグメントメール)」は、見込み顧客を「設定した条件」によって分類し、そのターゲットに最適だと思う情報をピンポイントで届ける手法です。配信するユーザーを絞ることで、ユーザーにとって興味のある情報を届けることができるため、開封率やメールに記載したURLのクリック率が上がります。


休眠発掘メール

「休眠発掘メール」は一定期間コンタクトがない休眠顧客にメールを送り、アクションを促すようアプローチをする手法です。それまでとは違った内容、タイトルに気を配ってメールを作成する必要があり、反応があった場合は、そこから上記のメール施策を実施します。



メールは関心がないと開封してもらえないため、件名や差出人の表記を変えるなど、どうすれば開封してもらえるのかを考えることが大切な施策な施策といえます。

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>第2回:メールマーケティングの種類 

SNS運用

Instagram・Twitter・FacebookなどのSNSを使いマーケティングをおこないます。商品のプロモーションやユーザーとのコミュニケーションの場として活用するなど、さまざまな運用方法が考えられます。


SNSは「いいね」で反応が可視化できるため、ユーザーがどう感じたのかが分かりやすいコンテンツ。気軽にシェアができ、話題になりやすいことも特徴です。


最近ではSNSで口コミを探して情報を取得してから商品を購入する人が増えているため、SNS上に有益な情報を掲載したり、顧客に口コミの投稿を促したりすることで、売上向上などに効果があります


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SMM(ソーシャルメディアマーケティング)

SMM(「Social Media Marketing」:ソーシャルメディアマーケティングの略)とは、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSを利用し、商品やサービスなどの販売促進、認知拡大(ブランディング)を行う施策を指します。


SMMは、大きく「アカウントの運用」「広告配信」「キャンペーンの実施」の3パターンに大別でき、施策を通して潜在的なユーザーにアプローチできるという特徴があります。宣伝要素の強い投稿は嫌われる傾向にあるため、投稿を通してファンを育成し、ファンを通じて情報を拡散してもらい、さらに多くのファン獲得へとつなげることが可能です。


先述したSEMは顧客層に向けたマーケティング施策であるのに対し、SMMは潜在層に向けたマーケティング施策だといえます。


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動画マーケティング

動画マーケティングとは、動画を使ったマーケティング施策を指します。SNSやYouTubeで動画を視聴する人が増加していることを受け、近年ますます注目を集めている手法です。


動画は、テキストで表現できない雰囲気や商品の魅力を直観的に伝えられ、印象に残りやすいことがメリット。個性的な動画を作れば、拡散も狙えます。


動画マーケティングの手法は、Googleが提唱している「HHH(スリーエイチ)戦略」が基本。動画を「ヒーロー(Hero)型」「ハブ(Hub)型」「ヘルプ(Help)型」に分け、段階的に顧客の獲得をおこないます。

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MEO施策

MEO(Map Engine Optimizationの略)は、Google Mapを対象とした地図エンジンにおいて最適化を図る施策です。「ローカルSEO」とよばれることもあります。


たとえば、Google検索エンジンで「ラーメン」「内科」などと入力すると、近隣の店舗(病院)がマッピングされた地図の画像とともに検索結果に表示されます。住所や電話番号、営業時間といった概要情報や口コミなども併せて表示されるため、地域密着で集客を考える店舗系ビジネスを展開する企業には必須の施策です。


先述したSEOと混同されやすい傾向にありますが、SEOが「Webサイトを上位表示させること」であるのに対して、MEO(マップエンジン最適化)は「Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)を上位表示させること」であり、似ているようで大きく異なります。


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アプリマーケティング

アプリマーケティングとは、スマホやタブレットなどで利用されるアプリを通して消費者とのエンゲージメントを強化し、商品・サービスの売上向上や店舗への集客などを図る施策です。


たとえば、新商品・新サービスの情報やおすすめ情報、アプリ限定のクーポンなどをアプリ内で配信することで、店舗に顧客を呼び込むこともアプリマーケティングの施策にあたります。


近年はスマホが広く普及し、アプリを利用することが一般的になっているため、アプリマーケティングの重要性が高まっています。

インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーマーケティングとは、他人や社会に影響を与える人である「インフルエンサー」の影響力を活用して、自社の商品・サービスの広告宣伝を行うマーケティング手法です。


広告出稿先は主にSNSで、インフルエンサーを起用して自社製品やサービスを利用している様子を写した画像・動画とともに説明テキストや関連ページのURLなどを投稿します。


同手法の特徴は、インフルエンサーに比重が置かれ、ユーザーに広告として嫌煙されにくい傾向にあり、友人からのおすすめと同じ感覚で受け入れられる効果が見込めます。従来のマス広告に比べて低コストである点もメリットです。



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MAの活用

MA(マーケティングオートメーション)とは、「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化」する一連のプロセスを指し、それらを実現するソフトウェアをMAツールと呼びます。


MAを活用してデータを一元管理することによって、見込み客との接触やマーケティング活動を効率化することができ、現在ではデジタルマーケティングにおいて必須の手法の一つとなっています。


たとえば、Webサイトの閲覧履歴やURLのクリックの有無などの見込み顧客の行動履歴から自社への関心度をスコアリングし、点数に応じてそれぞれの顧客に最適なマーケティング施策を実施することが可能です。


受注率・案件化率の向上をはじめ、属人化しない営業組織の構築やリードの取りこぼし防止など、様々なメリットがあります。


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IoT活用

IoT(Internet of Thingsの略)は「モノのインターネット」と呼ばれ、従来インターネットに接続されていなかった機械設備などのモノをネットに接続することで、これまでになかったサービスが実現する技術を指します。


IoT機器には、センサーやカメラ、無線通信が搭載されており、モノの状態や動きなどのデジタルデータを取得するのが特徴です。代表例としては、自動運転車や産業用ロボット、スマート家電などがあります。


IoTを活用して膨大なデータをデータを収集・分析・蓄積することで、これまで読みづらかった顧客の行動データをより細かく且つ正確に解析することができ、顧客理解やより価値のあるコンテンツの提供などを実現します。


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デジタルマーケティングのKPI例

「KPI(重要業績評価指標)」とは、「最終目標(KGI)達成に向けて適切に行動できているかどうかを、定量的に把握するための指標」を指します。


デジタルマーケティングで目的を達成するためには、手法ごとに適切なKPIを、具体的な数値で設定することが大切です。以下では施策ごとの主なKPI例を簡単に紹介します。


・SEO施策の主なKPI例:オーガニック検索順位

・メールマーケティングの主なKPI例:開封率/クリック率(CTR)

・コンテンツマーケティングの主なKPI例:ユーザーのページ滞在時間/ブログアクセス数/YouTubeチャンネル登録数

・SNSマーケティングの主なKPI例:フォロワー数/インプレッション数/シェア数/Webサイトへの遷移数


KPIについてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。

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>【わかりやすく解説】KPI(指標)とKGI(目標)とは?Webマーケティング分野での設定方法や決め方など

>KPIとは?KGIとの違いや具体例、設定方法などわかりやすく解説!

デジタルマーケティングの勉強法

デジタルマーケティングを紹介してきましたが、その知識や手法は膨大であるため、経験や知識は一朝一夕では身に付きません。


そこで本章では、マーケティング初心者の方やさらに知識を深めたい担当者の方に向けて、デジタルマーケティングの勉強法を紹介します。

土台となる「マーケティング」の基本を理解する

先述したように、デジタルマーケティングはあくまでもマーケティングの手段の一つであるため、土台となる「マーケティング」の基礎を理解する必要があります。


マーケティングの知識とスキルを一度身につけてしまえば、デジタルマーケティングやさらに狭義のWebマーケティングもスムーズに理解することができます。


マーケティングやデジタルマーケティングを体系的に勉強するには、書籍とWebメディアがおすすめです。次章以降ではデジタルマーケティングが学べるWebメディアとおすすめ書籍を紹介しますので、ぜひお役立てください。

デジタルマーケティングが学べるWebメディア3選

デジタルマーケティングはさまざまな手法があるため、実施する場合は、詳しく学べるサイトでさらに専門的な知識を蓄えるのもおすすめです。ここでは、デジタルマーケティングが学べるWebサイトを3つ紹介します。

エムタメ!

エムタメ!

(画像引用:エムタメ!

自社メディアで大変恐縮ですが、本メディア「エムタメ!」でもデジタルマーケティングの情報を多く発信しています。

マーケティング入門者用の基礎的な内容から、実践に使える内容まで幅広くカテゴリを設けています。動画マーケティングやコンテンツマーケティングなど、デジタルマーケティングに効果的な手法を詳しく解説した記事も用意しているため、ぜひ参考にしてください。


また、無料のダウンロード資料もご用意しているため、こちらもあわせてご活用ください。

【無料】お役立ち資料ダウンロード

デジタルマーケティングラボ

デジタルマーケティングラボ

(画像引用:デジタルマーケティングラボ

デジタルマーケティングラボは、デジタルマーケティングのノウハウをまとめたマーケティング情報サイトです。運営しているのはデジタルマーケティングのコンサルティング及びアウトソーシングサービスを提供する、ディーテラー株式会社。デジタルマーケティングを専門としている、プロならではの視点を覗いてみてはいかがでしょうか。

マーケジン

マーケジン

(画像引用:マーケジン

マーケジンは株式会社翔泳社が運営するマーケティング専門サイトです。デジタルマーケティングに限らず、幅広いジャンルのインタビュー記事やマーケティングの成功体験記事がたくさん掲載されています。またリサーチ記事が豊富なことも特徴です。ある程度デジタルマーケティングの知識を蓄えた人は、インタビュー記事で最前線で活躍するマーケターの声を確認してみましょう。

デジタルマーケティングのおすすめ本・書籍3冊

デジタルマーケティングが学ぶには書籍もおすすめです。本記事では基本の3冊ご紹介します。

はじめてでもよくわかる! デジタルマーケティング集中講義

著:カティサーク 押切 孝雄 出版:マイナビ出版(2017年4月発刊)

はじめてでもよくわかる! デジタルマーケティング集中講義

画像引用元: マイナビブックス

デジタルマーケティングについて「ざっくり押さえられる」入門書です。全12回の講義形式で解説されていることが特徴。著者はWebブランディングをおこなう株式会社カティサークの代表取締役、押切孝雄氏です。

【はじめてでもよくわかる! デジタルマーケティング集中講義 目次の一例】

第1講 デジタルマーケティングと第4次産業革命

第2講 ネットとリアルの融合、テクノロジー自動化

第3講 顧客心理モデルとデジタルマーケティング

第4講 限界費用ゼロのデジタルマーケティングとUI・UX

第5講 ローカルビジネスSEOとエンゲージメント

第6講 EC市場の進展、リアルの展開とシェアリングエコノミー

第7講 SEOの歴史とコンテンツマーケティング、Webメディアと倫理

第8講 SNSと動画のマーケティング

第9講 Web広告とアドテクノロジーの進展

第10講 動画とWebサイトの分析ツール

第11講 オウンドメディアを強化する10のツール+1

第12講 ポストスマートフォン時代からシンギュラリティ、第5次産業革命へ

引用元:『はじめてでもよくわかる! デジタルマーケティング集中講義』(マイナビブックス)

デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク

著:牧田 幸裕 出版: 東洋経済新報社 (2017年9月発刊)

デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク

画像引用元: 東洋経済STORE

デジタルマーケティングってなに?という疑問から、具体的な実践方法まで網羅した一冊。「デジタルマーケティングの概念がわかった」と評判ですが、ある程度知識がある人向けという意見も。デジタルマーケティングの理解を深めたい人におすすめです。著者は、信州大学大学院で経済・社会政策科学研究科准教授をつとめる牧田幸裕氏。

【デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク 目次の一例】

序章 20XX年のマーケティング―デジタルテクノロジーが実現する近未来

第1章 デジタルマーケティングとは何か

第2章 従来型マーケティングの戦略策定プロセス

第3章 デジタルマーケティングの5つの進化とフレームワーク

第4章 マーケティングのキープレイヤーはどう変遷するか

第5章 デジタルマーケティング実践に求められる能力

引用元:『デジタルマーケティングの教科書』(東洋経済STORE)

デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?

著:垣内 勇威 出版: 日本実業出版社 (2020年9月発刊)

デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?

画像引用元: PR TIMES

デジタルにできること・できないことを明確にして、最短でゴールに到達するための方法を解説する一冊。著者は3万サイトの定量分析と、ユーザー行動観察の定性分析を掛け合わせたコンサルティングをおこなう垣内勇威氏です。

【デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか? 目次の一例】

Intro. デジタルマーケティングには「定石」がある

01. デジタルの限界を理解する

02. デジタル活用の目的はコストカットである

03. なぜ、デジタルは無駄な仕事が増えやすいのか?

04. あなたは顧客に毎年会っているか?

05. 「日常生活フェーズ」の定石

06. 「初回購入フェーズ」の定石

07. 「継続購入フェーズ」の定石

08. 定石を様々なビジネスモデルに適用する

09. 【Web to 営業担当型】BtoBで営業につなぐビジネスの型

10. 【Web to 営業担当型】BtoCで営業につなぐビジネスの型

11. 【Web 完結型】ECの型

12. 【Web 完結型】その他の型

本当に大切な仕事は何か?──おわりに

引用元:『デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?』(株式会社WACULプレスリリース|PR TIMES)

デジタルマーケティング業界を知る【マーケティングデータ活用実態調査 2023年版】

デジタルマーケティングの概要や施策について解説してきました。最後に、デジタルマーケティング業界のカオスマップや「マーケティングデータ活用実態調査 2023年版」から、全体感やトレンドについて解説します。

デジタルマーケティング業界の「今」が見えてくるカオスマップ

カオスマップとは、オンライン広告を中心とする業界地図のこと。もともとは、「chiefmarketec.com」というアメリカのマーケティングメディアの編集長が2011年に作り始め、毎年更新していたものです。これを真似て、異なるカテゴライズでマッピングしたカオスマップも作成されました。


デジタルマーケティング業界のサービスをまとめた日本版カオスマップは、デジタルマーケティングコンサルティングを手がけるアンダーワークス株式会社が作成・発表しています。


2022年版カオスマップに掲載されている総ツール数は1,566です。製品・サービスは縦軸で以下7つのカテゴリに分けられており、さらに横軸で「Awareness」「Engagement」「Retention」などのフェーズごとに区切られています。カオスマップから、マーケティングの目的に応じたさまざまなツールがあることがわかります。


施策

ソーシャルメディア

オペレーション・制作効率化

データ収集

データ分析

データ管理

インフラ・ネットワーク・デバイス 


カオスマップは、下記からダウンロードできます。

いま日本にあるWebマーケティングに利用可能なサービスがほぼ網羅されているので、自社が未導入のもので必要がありそうなものを検討する際に便利です。

マーケティングテクノロジーカオスマップJAPAN 2022 / アンダーワークス株式会社


デジタルマーケティングの最新業界動向

デジタルマーケティングコンサルティングを手がけるアンダーワークス株式会社は、大手企業の顧客データ管理の取り組み実態や、顧客データ活用の動向に関する調査をまとめた「マーケティングデータ活用実態調査 2023年版」を公開しています。


同調査によると、2023年のマーケティングにおける業界動向では、「企業の取り組みステージごとに直面する課題は変化している」ということです。また、以下のような傾向が見られたとされています。


「・マーティング・営業の成果向上におけるデータマネジメントの重要性認識が定着

・データマネジメントへの取り組みは二極化

・業種による取り組みの差が固定化

・データ統合を達成した企業は増加したが、活用ステージの課題に直面

・汎用クラウド基盤を採用する企業が全体の半数

・課題のトップに「組織間の連携や部門間調整」が再浮上」



引用・参考元:「マーケティングデータ活用実態調査 2023年版」ポイント解説


自社に合った適切なデジタルマーケティング施策を選ぼう!

本記事では、デジタルマーケティングについて網羅的に解説しました。


デジタルマーケティングは、デジタルが普及し、さまざまなデバイスが利用されるようになった現代に欠かせない手法です。デジタルデータを活用した分析結果を元にした的確なアプローチを行わないと、消費者が離れ、市場から撤退するケースも出ています。今後マーケティング方針を考える際は、ぜひデジタルマーケティングも視野に入れてみてください。


紹介したように、デジタルマーケティングにはさまざまな手法があるため、手の届く範囲で効果的な手法を選び、コツコツと着実に成果を狙うことが大切です

 

【関連記事】

・BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで

・BtoBマーケティングとは?BtoCとの違いや主な手法、全体プロセスなどをご紹介!

・オンライン展示会とは?製造業が取り組むメリットや出展の流れまで

 
【その他のおすすめ資料】

 

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Tue, 10 Oct 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[【テンプレート付】Webマーケティング計画書で広告予算を立てよう! ~現状数値と目標数値を入力すれば年間計画が完成~]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/marketing_plan 「Webサイトは持っているけれど、ほったらかしで効果測定をしていない」
「WebサイトやWeb広告は運用しているけれど、行き当たりばったりで、あまり効果が出ていない」

そんなマーケティング担当の方やWeb担当の方におすすめしたいのが、Webマーケティングの年間計画を立てることです。

とはいえ、いきなり「Webマーケティングの年間計画を立てましょう」といわれても、何から手をつければ良いか、悩んでしまうかもしれません。

そこで今回は、目標設定と施策設計に活用できるWebマーケティング計画書の使い方を、テンプレート付きでご紹介します。

【こんな人におすすめ!】

  • 新たにWeb担当者として任命された方
  • Webマーケティングをスタートしたばかりのマーケティング担当者の方
  • Webマーケティング施策の年関計画を立てたい方
  • Webマーケティングの指標を決めていないWeb担当者の方
  • Webマーケティングの現状把握・整理をしたい方

まずは下記のボタンからWebマーケティング計画書をダウンロードした上で、読み進めてください。

このWebマーケティング計画書には、各要素の数値(セッション数など)を入力すると、自動で費用などを計算してくれる関数が入っています。

現状の数値と目標値を入力すれば、あとはどの要素をどれだけ改善すれば目標に到達できるのかを数値で確認することができます。

また、改善にかかる費用と、改善した結果、得られる受注金額などから、実際の収益までも自動で計算されるため、損益分岐点のシミュレーションも行えます。

ぜひ、この計画書をうまく活用して、PDCAを回しながら目標へ到達しましょう。

1.Webマーケティング計画とは?

冒頭でも少しお伝えしましたが、いくらWebサイトやWeb広告に費用をかけて運用していても、目標を立て、それを達成するための施策を講じなければ、コンスタントに成果をあげることは難しいでしょう。

Webマーケティング計画とは、Webサイトへのアクセス数やコンバージョン数、Web広告のインプレッション数やリート数、SNSのエンゲージメント数といったWebマーケティング全般に関する指標の現状を把握したうえで、目標値を立て、そこに向かう月次目標など短期的な目標を立てることです。

Webマーケティング計画を立てることで、計画書がWebマーケティング活動の指針となり、目標達成に向かってブレずに具体的な施策を検討できるようになります。


今回ご紹介するWebマーケティング計画書は、過去の数値と未来の受注目標をもとに、これからの改善目標と施策計画を立てるためのテンプレートです。

中長期的な計画とミクロな施策改善までが入っているため大変細かな設計が必要になりますが、どの改善をすればどれだけ最終的な受注にヒットするのか、どれくらいの広告費をかけて、いつ黒字化するのかがざっくりと掴めるものとなっています。

ぜひ、貴社のWebマーケティング計画立案にお役立てください。

2.Webマーケティング計画書の使い方


ここからは、実際にWebマーケティング計画書の使い方について解説していきます。

※解説スライドをベースに補足を追記していきます。スライドだけ閲覧したいかたはこちらのリンクから。


①事前準備

まずは下記のボタンよりマーケティング計画書のExcelファイルをダウンロードしてください。

また、今回の計画書ではGoogleアナリティクスのデータやサービス・商品の受注単価、狙いたいキーワードのざっくりとしたクリック単価が必要となりますので、準備をお願いします。※まずは記入を進めて後から追記でも可能な箇所もありますが、自動計算が必要な箇所もありますので、手元にあった方がスムーズです。

②現状数値の入力

まずは左上の欄に直近6ヶ月の実績数値を入力していきます。基本的にはGoogleアナリティクスのデータをもとに記入していきますが、受注単価や金額は別途用意していただいた数値をご記入ください。

マーケティング計画書説明

 

マーケティング計画書説明

③指標となる現状の数値の把握

上記の欄にすべて数値を入力すると、最下部の前提条件の欄(直帰率、回遊ページ離脱率、フォーム離脱率、商談率、商談受注率)が自動で計算されます。クリック単価のみ、実際の数値もしくは目安をご記入ください。



マーケティング計画書説明


ここまでを記入すると、右の黄色の欄に全ての平均値が表示されます。のちに目標を立てたあとは、これらの数値を目標に近づけていくための具体的な施策立案が必要となります。

 

マーケティング計画書説明

④受注目標と必要セッション数、広告費の把握

次に毎月の受注目標を入力していきます。


マーケティング計画書説明


Webマーケティングでありがちな失敗が、「PV」「セッション」などの途中指標を追ってしまうがゆえの、手段と目的の逆転現象です。

そうならないために、目標は売り上げから立て、そこから逆算して、各指標→施策と設計するようにしましょう。



目標設定の参考図▼
WebマーケティングのKPI設定例




受注目標を設定したら、サイト内や商談の改善数値目標を立てていきます。



マーケティング計画書説明



ここまでを記入すると、現状の指標の数値で必要になってくるセッション数が自動で計算されます。



マーケティング計画書説明



目標に向けてどのチャネル(流入経路)の数値をどれだけ増やしていくのかを決め、入力していきましょう。





流入チャネルごとの目標を記入すると、広告でまかなう必要がある数値が算出され、クリック単価をもとに必要な広告費が算出されます。

この広告費用が現実的でない場合は、他の手段での集客を検討するか、離脱を減らすための対策などが必要です。





マーケティング計画書説明



⑤今後の改善計画を立てる

ここまでの記入で目標と現実の乖離が見えてくるはずなので、具体的な施策を立てます。広告費だけで穴埋めをするにも、赤字が続いてしまってはいけないため、並行してSEOに取り組んだり、離脱を減らすための導線の改善をしたり、具体的な施策を立てる必要があります。



マーケティング計画書説明


いきなり具体的なコンテンツや記事のタイトルまでを決める必要はないのですが、「どこを改善するために」「何をするのか」は意識して施策を立てる必要があります。でなければ、結局なんとなくで運用するWebマーケティングになってしまい、計画を立てる意味がないからです。

もちろん、最初から完璧な目標や施策を立てるのは難しいです。なので、運用しながら改善をしていったり、もっとシンプルなものに落ち着くこともあるでしょう。大切なのは、しっかりと最終目的を意識した計画を立て、継続的に運用することです。

 

しっかりとWebマーケティングの成果が出せるように、ぜひマーケティング計画書作りにチャレンジしてみてください。

3.まとめ

最後に、このWebマーケティング計画書を使用する際に気をつけて欲しいことがあります。それは「現実的な施策を立てる」ということです。

たとえば、現在の直帰率が80%なのに、目標直帰率を一気に40%まで下げるのは現実的ではないでしょう。

あくまで現実的施策を立て、毎月その進捗をチェックし、変化に合わせて改善をしていくことが重要です。

また、会社で決められた予算との兼ね合いもあると思います。定めた目標を達成するためには実際にどれほどの予算が必要になるのかを明確にし、いつまでに目標を達成するのかの目安にしてください。

それでは、早速、施策を立てて明日から改善していきましょう。これが、あなたのWebサイト改善の第一歩となります。

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Fri, 06 Oct 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業のデジタルマーケティング事例と全体像の解説 非効率な施策の原因は何なのか【セミナーまとめ / 前編】]]> https://mtame.jp/column/manufacture_seminar_082301 弊社が過去に開催したウェビナー「現役マーケターがどうしても伝えたい!製造業がデジタルマーケティングを非効率にしないための集中講座」の要約として、製造業のデジタルマーケティングについて詳細に解説した特集記事を前編・後編の2部構成でお届けします。


前編の本記事では、ウェビナーの中でもご紹介した製造業におけるデジタルマーケティングの事例や、IT投資や営業・マーケティングの課題について考察。製造業に必要なデジタルマーケティング施策の見極め方、そして施策を非効率にしないポイントについて紹介します。

 

※セミナー資料は以下からダウンロードが可能です。合わせてご活用ください。

>120ページのセミナー資料を無料でダウンロードする

 


製造業のデジタルマーケティング事例

まずはじめに、製造業のデジタルマーケティングをよりイメージしやすいよう、弊社のお客様の成果事例をご紹介します。

アイメックス株式会社様の事例

東京に本社を構えるアイメックス株式会社様は、ビーズミルやロールミルという専門性の高い機械製品を販売している製造業の企業です。


アイメックス株式会社様の事例記事はこちら▼

https://bluemonkey.jp/media/cases/aimex

 

同社は2013年ごろ、自社でホームページの更新ができるCMSツールを導入し、まずはホームページのリニューアルからスタートしました。

 

アイメックス株式会社様の変遷

 


2016年ごろからは、さらにデジタルマーケティングに注力し、SEOやコンテンツ制作を始めていきます。2018年には再びホームページをリニューアルをするほか、MAツール導入・Web広告出稿などを行いマーケティング活動をさらに強化しました。


その結果、2019年から現在にかけては、問い合わせ数は約5倍、セミナー集客・メールからの資料ダウンロードにも大きな成果を出しています。

 

 

体制としては、はじめは営業担当者が兼任していましたが、デジタルマーケティングが軌道に乗りはじめた2016年ごろからは専任担当者を設け、現在はさらなる人員拡大をおこなっています。

 


アイメックス株式会社様の変遷 体制面

 

 特筆すべきは、産休明けの女性が働きやすいインサイドセールス部門といった環境を定着させることで、優秀な人材の流出を防いでいる点です。


本稿ではこういった事例にならって、自社の現在地と次にやるべき施策を見極めて、本当に成果が出せるデジタルマーケティングについて解説していきます。



製造業におけるIT投資と営業・マーケティング課題

まずは世の中のトレンドを、データを引用して具体的にお話します。経済産業省が発表している「2022年版ものづくり白書」から、「IT投資で解決したい経営課題」に関するグラフを引用します。

 

顧客チャネル・営業力強化への課題

 

資料内の「顧客チャネル・営業力の強化」という項目に着目すると、おおよそ約40〜50%の方が関心を持っているという結果が出ています。

 

また、昨年弊社でも製造業の方々向けにアンケートを実施しておりますが、50%弱の方が「営業部署の人材育成・営業力の向上」や「生産性の向上」に課題をもっていることがわかりました。先ほどのモノづくり白書のデータとも、大きく相違がありません。

 

 

続いて、イントリックス株式会社様が実施した【製造業】オンラインでの製品選定における実態調査という調査データを引用します。



顧客チャネル強化の観点から見たWebサイトの重要性

スライド内の引用元:【製造業】オンラインでの製品選定における実態調査

 

ユーザーとして製品を探す際にどんな媒体を使用するかという質問では、Googleなどの検索エンジンや、企業ホームページから探す人がトップを占める結果となりました。


このデータからも、検索エンジンからの流入・自社ホームページなどの施策を強化していく重要性が年々高まっていることがわかります。さきほどの「半数以上の方が営業課題を感じている」というデータからも、取り組まない手はないといえます。

そして以下は、

・Webサイトに情報がない
・情報が見つけられない
・情報が古い

 

という理由で候補からはずれたことがあるかという調査データです。同じくイントリックス株式会社様の調査結果から引用してご説明します。

 

Webサイトに掲載されていなくて検討から外れたことがあるか

 

ここでは全体の36%が「製品選定するときにホームページに必要な情報がなくて候補から外した」、30%が「ホームページ上で情報を見つけられなかったので検討からはずした」、26%が「掲載されている情報が古くて候補から外した」と回答しました。


先ほど、「40〜50%の人が営業力を強化したいと考えている」というデータを提示しましたが、もし該当する企業のホームページに情報がなかったり、見つけられなかったり、古かったりすることで商談機会を失っていたら、非常にもったいないことです。こういった機会損失をなくすためにも、ホームページのコンテンツ強化、更に大きな枠組みで言えばデジタルマーケティングの強化が必要になるのです。



ただ実際のところ、製造業のIT投資の対象としては、工場やバックオフィス関連のDXが多い傾向にあります。先ほどのものづくり白書のデータでも、「営業力強化」を目指す企業は40〜50%であるのに対して、70%近くの企業が「業務プロセスの効率とスピードアップ」に着目していることがわかります。

 

見通されがちな顧客チャネル・営業力の強化

 

 

製造業のデジタルマーケティングや営業DXの優先度が上がりきらない理由は様々ですが、最近よく聞くのは以下の4つの理由です。



なぜ営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が低いのか

 


左上にある「インパクトと緊急度」は、製造業ならではの課題です。設備の老朽化や工場のデジタル化など、インパクトや緊急度が高い問題は必然的に生じますし、ものづくりの会社が良いものを作るための投資を怠って発信活動ばかりに注力をするのは本末転倒なので、仕方ない部分ともいえます。


そのためどうしても工場のDXが優先されがちですが、実は「工場のDX」は「営業やマーケティングのDX」を並行しておこなうことで相乗効果を出すことができます。以下はその一例です。

 


例えば...

 

実際に、冒頭でご紹介したアイメックス株式会社様に成果が出せた理由について伺うと、新製品の開発はもちろん、営業改革とデジタルマーケティングを両輪で回していったこと、どちらが欠けても現在の成果を実現するのはむずかしかったことを回答されています。

 

 

デジタルマーケティングの取り組み事例 アイメックス株式会社



五十嵐様:

おかげさまで、当社の売上は10年前と比べて約2倍に伸びています。これはデジタルマーケティングの成果だけでなく、競合優位性のある製品の開発と営業改革を両輪で実行したことによる結果だと思います。

 

私は「売れる機械を作る」と同時に「売り方も変えなければ」と考えました。実際、コロナ禍には従来の営業が行えない状況になりましたが、いち早くオンライン商談に対応し、SFAを活用した営業改革やリモートワークの導入などDXを推進しました。

 

その結果、業績を伸ばすことができただけでなく、時間を効率的に使って働く環境も整いました。業務のデジタル化によって情報共有がしやすくなった現在は、完全週休二日制を取り入れ、以前と比べて年間休日を増やすこともできています。

 

記事引用元:BlueMonkey活用歴10年!継続的な活動でデジタルマーケの仕組みを構築したアイメックス様の成功への道のり

 

 

また業務プロセスの効率化をより重視する理由として、デジタルマーケティングを「詳しい人がいない」「やり方がわからない」「成果がでるかわからない」という理由で始められない、というのもよくある話です。こういった課題は、マーケティングのパートナー企業や、デジタルマーケティングの支援会社など、プロフェッショナルからのサポートを受けることで、ある程度解消できます。

 


やれない理由をなくすために

 

 

そもそも、最初から詳しい人員がいる企業は稀ですし、経験者の採用も競争が激しく難しいです。そのため社内メンバーを育成していく必要があるのですが、独学でやっていくには非効率ため、まずは外部に頼ったうえで内製化していくのが一番効率的です。

 

また、適切なパートナーを探す際に見るべき点として、全体像を提示したうえでノウハウや施策の提案、実行支援をしてくれるかどうかが重要です。仮に全体設計からKPI設定など完結できるのであれば、一部分だけの支援でも問題がないのですが、そうでなければある程度広い視野で考えてくれるパートナー企業を探しましょう。そのうえで、自社の現在地を知り解決の手段をと投じます。

 


もし自社で完結できない場合

 

 

全体像の大切さは、工場全体のスループットを最大化するための改善プロセスに似ています。工場単位で改善を考える際には、いきなり部分の改善を実施するのではなく、全体プロセスのなかでどこがボトルネックなのかを明確にするはずです。デジタルマーケティングも同じで、まずは全体がどのような流れになっていて、最終的なスループットに対してどこがボトルネックなのかを知り、そのうえで効果が大きいであろう施策を実行していく必要があるのです。


具体的に、全体を見ずに施策を実施してしまうとどんな不都合があるのかをお話しします。

 

例えば直近の商談をオンラインで増やしたい場合に、本当は過去の名刺とMAツールを活用すれば短期成果が出せる状況なのに、なんとなく薦められてホームページをリニューアルしてみたもののあまり成果を感じられない…といったケースは往々にして起こります。これは自社のリードの総数や欲しい商談の数などを把握したうえで、適切なゴールを置いていれば導き出せる答えなのですが、支援してもらってるパートナー企業がWeb制作だけをやっている会社でMAツールの提供を行っていなかったりすると、本当は効果的な提案が出てこない可能性があるのです。

 

こういった「ムダ」をなくすためには、仮に自社サービスとして取り扱っていなくても、しっかりと全体像からやるべきことを提案してくれるパートナーと出会うことが重要なのです。ちなみに弊社は全体像から最適な施策を提案していくことを強みとしていますので、もしよろしければフォームよりお気軽にご相談ください。



製造業マーケティングのおさらいとデジタルマーケティングの全体像

製造業のデジタルマーケティングの重要性や全体像の大切さについてお話してきました。ここからはノウハウも交えて、製造業マーケティングのおさらいと、デジタルマーケティングの全体像について解説します。まず上位の概念としてマーケティング、そのつぎにデジタルマーケティングwebマーケティングホームページの順にお話しいたします。

 


デジタルマーケティングの始め方

 


マーケティング

まずは一番大きな概念である「マーケティング」についてです。製造業のマーケティングがむずかしい理由として、一言で製造業といっても分類によって購買頻度やカスタマイズなど違いが大きいことが挙げられます。

 

扱っている商材、ターゲットによっても大きく違いがあり、これに合わせてコンテンツ作りやコミュニケーションをしていく必要があります。なので共通点はありつつも、最終的には各社ごとに施策を考えていく必要があります。

 

製造業のマーケティングについて

 

 また今回は、製造業のマーケティング活動を2つの視点からについてお伝えします。

 


製造業のマーケティングについて


 

まず「市場」という概念は、市場調査・製品開発・新規顧客開拓をしていくうえで、市場を作っていったり、市場にアプローチしていったりする活動のことを指します。


もうひとつは「関係」の構築です。ここは営業や開発にも関わってくる部分で、お客様と関係構築をしていくなかでニーズを吸い上げていったり、吸い上げたニーズから新たに製品開発をしたり、商談に結び付けたりをします。

 

「市場」と「開発」の視点はデジタルを取り入れたマーケティング活動においても変わらず重要であり、単に手段が変わっていくだけなので、、ぜひ頭に入れておいてください。


デジタルマーケティング

続いて、「デジタルマーケティング」について解説します。まずは以下が、デジタルマーケティングの全体像です。



デジタルマーケティングの全体像について

 

こういった図を見ると「細かくて複雑」「大変そうだな」と感じる方、あまりわからないから「うちはやめていこう」と優先度を下げてしまう方、なども多いのではないでしょうか。ただ実際に紐解いていくとそこまで複雑ではないことがわかると思います。 

 

デジタルマーケティングでは、おおまかには「リード獲得」→「リード育成」→「商談」→「顧客化」というフェーズに合わせて適切な施策を打っていきます。



まず、いちばん最初にリード獲得が必要になります。

 

デジタルマーケティングのステップごとの施策

 

リードとは自社がアプローチできるお客様の数で、たとえば、営業活動や展示会といったオフラインでの活動で集めた名刺データ、ホームページからのお問い合せ・資料ダウンロードなどが含まれます。


ある程度のリード母数がないと、その先の施策は効果が出しにくくなるので、多くの場合はこのリード獲得の施策からスタートします

 

このリード獲得は、さきほどマーケティングの項でお話しした「市場」の要素に該当し、デジタルを活用して市場との接点を作りにいくフェーズです。新しいターゲットや市場に対してどれだけ接点を創出できているかどのくらい価値提供・価値発信できるかという部分になります。


製造業のマーケティングについて

 

 

 

続いてのリード育成・商談・顧客化のフェーズでは、獲得してきたリードを育成して、商談をしたのち最終的に顧客化していきます。

 


デジタルマーケティングのステップごとの施策

 

 

育成というと難しそうに聞こえるかもしれませんが、普段何気なくやられている方も多いかもしれません。


たとえば、今回のセミナーにはメールを見て来てくださった方もいると思います。過去に何かしらの接点をもっていたところから、たまたま今回のセミナーに興味を持っていただき、再び接点を持つことができました。またセミナーに参加していただいたことで、少しでもデジタルマーケティングへの投資意欲が向上すれば、育成に繋がっていることになります


このように、商談や顧客化につなげていくためにはリード獲得だけで満足せず、タイミングを逃さずにお客様のニーズを知ったり、啓蒙をしていく必要があります。

 


Webマーケティング

次に解説するのはWebマーケティングの領域です。ここからはだんだんと具体的な話になっていきます。

 

Webマーケティングは、全体の中でいう以下の部分です。基本的にはWebサイトまわりの施策全般のことを指します。

Webマーケティングの領域

 

 



Webマーケティングをやっていくうえで、とくに重要視されるのはコンバージョン(以下CV)です。

 

Webマーケティングの領域 コンバージョンの式

 

一般的に、BtoCだとECサイトやホームページからの問い合わせ、BtoBであれば商談につながる見込み度の高いお問合せや、資料ダウンロードがCVに設定されます。


CV数を増やすには、流入数を増やすかCV率をあげるかの2つです。ただこの時にも、やはり全体像から自社のやるべきこと(現在地)を把握する必要があります。

 

具体的な施策についてはケースバイケースでむずかしいものの、最低限「ここがNoだったら取り組んだ方がいいのでは?」という「早見表」をセミナー用に作成したのでご紹介します。

 

 

Webマーケティングの超簡易早見表

 

まずは、ホームページが自社で更新できるかどうかです。社内で更新できないことで施策のスピードが落ちたり、更新の度に費用がかかったり、反映されるのに3日かかったり、間違っていて修正する場合はさらに3日かかったり…ということも。本腰を入れてデジタルマーケティングに取り組んでいくのであれば、自社で使いやすいCMSを入れたほうがよいケースが多いです。ただこれは専門スキルを持った人がいればマストではないので「()」としています。


次に見ていくのは、ターゲットの集客ができているかです。全体のアクセス数よりは、狙いたいキーワードでしっかり1位をとれているか、自社のターゲットとするユーザーがどのくらいアクセスしているかが重要です。キーワードの月間検索数、検索順位、アクセス数などをもとにKPIを立てることもできます。


3つ目は、施策が実際にお問い合せにつながっているかです。検索順位で1位を取れているのに1件もお問い合せがこないとしたら、なにかしらホームページの改善が必要になってきます。具体的には、お問い合せフォームが長すぎないか、などといった点を見ていきます。


最後に、関係構築の施策として、集めたリードを商談に繋げていく活動をおこないます。


これらの施策は順番どおりにやる必要はなく、同時並行でやっても問題ありません。ただターゲットが集まっていないのにサイト改善するのは、魚のいない池で釣りをするのと同じなので、ある程度順序を守ったほうが確実に成果を出せるようになります。

 

最初にご紹介したアイメックス株式会社様の事例をもう一度引用すると、まず最初にやったのはCMSツールの導入やコンテンツ制作です。ここで獲得した母数があったからこそ、セミナーの集客や資料ダウンロードにしっかりと効果を発揮しています。

 


アイメックス株式会社様の変遷

 

 

極端な話、上記を逆から始めた場合、アプローチする先もない、セミナーも人は来ない、成果がでないからやめようか、となりかねません。自社が何をやるべきかを見極める重要性がわかる事例といえます。

 

「現在地を知ったうえでのWebマーケティングの施策例」として弊社のメディアサイトの事例もご紹介します。

 

また、これは2021年に、私がメディア担当に就任したときの施策です。今現在も運営しているこの「エムタメ!」というメディアでは、当時月間70万セッションほど獲得できておりBtoB企業向けのオウンドメディアとしてはそれなりに獲得ができていました。ただ一方で、その割にはCV数、お問合せ数が少なかったのが課題だと考えました。

 


現在地を知ったうえでの施策

 


実際に当時周囲からあった声として、「アクセス数を100万セッションまで増やしたらいいのでは?」という声もありました。しかし当時の状況として優先的に追うべき指標は「商談数を増やしていくこと」であり、そのための母数となる資料のダウンロードを増やすためには、無理にセッションを増やすよりも適切な箇所に適切なホワイトペーパーを設置したほうが、インパクトが大きいと判断しました

 

以下の表は、左側に「エムタメ!」内のページタイトル・URLが入っていて、月間セッション数が多い順に並べているものです。当時は実際に以下のように、記事の洗い出しと適切な導線が設置できているかを整理していました。

 


現在地を知ったうえでの施策例

 

 

特に流入が多かった記事に対して、「その記事を読んでいる方たちがほしいであろう資料ダウンロードページへの導線を、記事内に設置する」作業を実施しました。この施策の結果、月間で資料ダウンロードページへの送客数154%ダウンロード数166%増加を達成しました。



現在地を知ったうえでの施策例

 

ゴールをしっかり定めて、何をするのが最もインパクトが大きいのかを見極めて施策をおこなえば、半日~1日といった短期間でも成果が出せる事例となっています。

 

ホームページ

最後にご紹介するのはホームページについてです。図の中ではわずかな部分ですが、とても大事な要素となります。ホームページは、オフラインの施策でもお客様が一度ホームページを見にきたりランディングページに誘導したりと、施策の中心になる施策になるからです。

 

中心にあるホームページの存在

 

様々な施策の受け皿となるので、 最も改善の際のインパクトが大きくなる箇所でもあります。直接的にはCV数を最大化する施策になるのですが、コンテンツを制作したりホワイトペーパーを設置したり、そもそものデザインを最適化したりと、やるべきことは多くなります。また先ほど早見表で紹介したCMSを導入することで、改善をスムーズに実施することができます。

Webマーケティングだけでなく、デジタルマーケティングという単位でも受け皿となることの多いホームページだからこそ、手を入れることにより相乗効果が生まれやすくなります。本セミナーのタイトルにも「非効率」というキーワードを入れたのは、このホームページに手を入れる前に、さまざまな流行りの施策に手を出してしまうことが多く、もったいないと感じているからです。

 

ただ、ホームページに手を入れるといっても何から始めたらよいかわからない方も多いかと思います。その場合は、ぜひプロに相談をしてください。これは弊社でなくとも、全体俯瞰をしたうえで最適な施策を教えてくれる企業であればよいです。

 

一番よくないのは、何となく効果がありそうな施策をとりあえず始めてみることです。やり方を調べるのも大変ですし、成果が出なかった際に「デジタルマーケティングは難しい」と判断されてしまう可能性があります。ましてやそこの中途半端な予算をかけているならば、「お金をかけたけど効果がなかった」と予算を減らされてしまうこともあります。どんどん負のスパイラルが回っていく典型パターンです。

 

もし自社である程度全体俯瞰ができている企業様は、施策の洗い出しに「自社の施策の診断ができるチェックリスト」もご用意しているので、ぜひご活用ください。そして洗い出しをしたうえで、やっぱり優先順位付けが難しいのであればプロに頼った方がよいと考えています。これは単に弊社のサービスの宣伝をしたいというより、私自身がWebサイトの担当をやってる当事者であり、わからない中で試行錯誤するしんどさを知っているからこそ声を大にして言っております。極論弊社でなくてもよいので、信頼できるパートナーを見つけてほしいのです。

もちろん、プロが言ったことがすべて成果に繋がる保証はありません。ですが、支援会社の強みは「個社ごとの現状を把握したうえで、過去の実績を元に確度の高い施策を提案できること」です。たくさんの支援実績を積んできている支援会社にはそれだけノウハウも溜まってきておりますので、ゼロベースで考えるよりも成功確率は高くなります。

 

本記事の前半ではデータを引用しながらIT投資や営業強化、その上でのホームページの大切さについてお伝えしました。悠長にしてられないと危機感を感じている会社様も多いはずです。最短でゴールに近づくためにも、ぜひ外部の力を頼ってほしいと考えています。

 

後編では施策を中心にお伝え予定です

前編では、最新のデータ・成功事例を引用しながら、デジタルマーケティングの全体像や、製造業がデジタルマーケティングによって営業力を強化する重要性について解説しました。

 

後編では、製造業がデジタルマーケティングに取り組むうえで、より実践的な内容や、最終的な受注につなげるためのホームページ改善について解説していきます。

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Thu, 05 Oct 2023 10:39:10 +0900
<![CDATA[製造業の生産性改善に役立つTOC(制約条件の理論)とは?トヨタ生産方式との違いや実践手順、おすすめ書籍を紹介]]> https://mtame.jp/column/TOC TOC(制約条件の理論)とは、組織・業務・プロジェクトのパフォーマンスを低下させるボトルネック・制約条件を発見し、集中して改善することで企業全体の業務改善や生産性向上を図るマネジメント手法です。短期間かつ最少の変化で高い成果を生み出すことから、製造業を中心に多くの企業で導入されています。そこで本記事ではTOCの基礎知識からトヨタ生産方式との違い、実践手順やおすすめ書籍などを網羅的に解説します。

TOCとは?

TOC(Theory Of Constraintの略)とは、イスラエルの物理学者であるエリヤフ・ゴールドラット氏が自著『ザ・ゴール(The Goal)』で提唱した説で、組織・業務・プロジェクトのパフォーマンスを低下させるボトルネック・制約条件を発見し、集中して改善することで企業全体の業務改善や生産性向上を図るマネジメント手法です。日本語で「制約条件の理論」と訳します。


TOCは「工場の生産性はボトルネック工程の能力以上は絶対に向上しない」という原理をベースに、生産工程のそれぞれを部分的に改善するのではなく、最も生産性の低いボトルネックを制約条件として特定し、集中的に改善を進めることで全体最適を実現します。


たとえばある工場が1つの製品を作るには、A・B・Cの3つの工程を行う必要があり、A工程では1時間に60個、B工程では15個、C工程では30個が生産できるとします。この場合、AやCに余力があったとしても、実際に製造される製品の個数はボトルネックとなるB工程の15個が最大値です。つまりA工程やC工程においてどれほど生産効率を上げたとしても、B工程の改善を行わない限り、A工程やC工程のパフォーマンスは無意味なものになります。


そのためTOCではボトルネックとなる制約条件を発見し、他のプロセスをその制約条件に従わせるとともに、その制約条件を徹底的に活用するというステップで状況を改善していきます。先述した工場の事例であれば、A工程の人員をB工程へと移し、B工程の能力を20個に上げれば、必然的に全体の生産量が増加します。このように制約条件に集中して改善を施すことで、全体の生産性を引き上げることが可能です。


TOCの導入効果は大きく、わずか3~6ヶ月間でリードタイムの圧縮による工場利益率の増加や滞留在庫の減少、生産能力の工場など短期間で劇的な改善効果を得ることができます。もともとは製造業の生産管理のために開発されたTOCですが、全体最適を促す理論であることから製造業のみならず、サービス業や流通業、金融業や教育業などにさまざまな業界・分野に取り入られており、普遍的かつ即効性の高い経営管理手法として認知されています。

DBRとの関連性

DBR(ドラム・バッファー・ロープ)とは、TOCの基本的な理論を説明した概念で、生産スケジュールを最適化するための手法です。『ザ・ゴールl』では、DBRの例えとしてボーイスカウトの隊列が用いられています。


ドラム:ペース設定

出典:ゴール・システム・コンサルティング


ボーイスカウト全体で効率よく前へ進むためには、全員同じスピードで進む必要があります。しかし、ボーイスカウトの真ん中にいる少年ひとり(以下A)の足が遅く、隊列が間延びしてしまい、目的地への到着が遅れてしまいます。そこで『ザ・ゴール』では解決策として3つの改善を行いました。


①Aの荷物を他の少年たちが分担して持ち、Aの負担を減らす

②Aの歩く速度にあわせてドラムを鳴らし、全員のペースを合わせる

③先頭の少年とAをロープでつなぎ、先頭とAの距離が大きく開かないようにバッファ(時間的余裕)を取り、万が一Aがアクシデントなどで転倒しても先頭の少年にぶつからないようにする


3つの改善により、ボーイスカウトの少年たちは無事目的地へたどり着くことができました。このボーイスカウトの行進を生産工程に置き換えると、隊列は製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れを示すサプライチェーン全体を表します。

ドラム:ペース設定

出典:合同会社高崎ものづくり技術研究所


Aの歩調を合わせるドラム(D)は、生産能力が最も低い工程(ボトルネック)の生産ペースで、バッファ(B)は、生産開始から完了までの納期を遵守するために必要な時間的余裕(リードタイム)を指し、ロープ(R)はボトルネックより前の初期工程(原材料)の投入タイミングを制限する、時間的な条件を意味します。


生産スケジュールと生産工程の進捗が最適化されるため、仕掛在庫を劇的に減少することができ、スループット(製品の売上から製造に必要なコストを引いたもの)の最大化を図ることが可能です。


DBRの理論が提唱された背景には、製造業の生産性向上の手段として部分最適が主流だったことが挙げられます。かつて製造業は製品の機能性や性能を重視し、革命的な製品を開発して他社との差別化を図るプロダクトイノベーションにあわせて、工場も各工程が最大限の能力を発揮できるよう、工程の一部を最適化する部分最適の措置が図られてきました。


部分最適の結果、製品を作る工場では製造原価を下げるための大量生産が行われ、生産部門のみならず物流部門、販売部門など至るところで仕掛在庫が発生するという事態が散見されました。当時製品は販売されれば売れるという右肩上がりの経済であったため、市場の変化などによる仕掛在庫がデットストックになるリスクは問題視されずにいました。部分最適は人と設備の生産性は高いものの、モノの流れやスピードは軽視されがちな傾向にあります。


しかしいくら部分最適を行っても工場には何らかのボトルネックがあるので、根本的な問題解決には至らず、企業の利益に繋がりません。このためDBRでは各工程の生産性やバランスなどを重要視せず、モノの流れにフォーカスし、一番能力の低いボトルネックが最大限の能力を発揮できるような活動を行い、全体最適による企業の生産性向上・利益の最大化を目的にしています。

トヨタ生産方式(TPS)との違い

トヨタ生産方式とはトヨタ自動車が生み出した、工場の生産ラインのあらゆる無駄を徹底的に排除し、生産の合理化を実現した生産方式です。トヨタ自動車の創立者である豊田喜一郎氏によって考案され、大野耐一氏が体系化しました。


TPSの基本理念である「7つのムダ」(「加工」「在庫」「不良・手直し」「手待ち」「造りすぎ」「動作」「運搬」)を削減し、必要なものを必要なときに必要なだけ生産し生産効率を高める「ジャストインタイム」と、異常や不具合を発見する人の働きまでを機械に置き換える「自働化(にんべんのついた自動化)」の2本柱で生産性の向上を目指します。


TOC、TPSのどちらも製造工程のボトルネックを改善する生産方式であることからしばし混同されがちですが、TOCは製造工程で制約となっている工程を改善・強化することで利益の創出を図るのに対し、TPSは現場で働く人や労働力にフォーカスし、製造工程のムダの排除に重きを置いており、業務改善における着眼点が異なるのが大きな違いです。

TOCを実践するための5つのステップ

これまでTOCについて紹介してきましたが、いざTOCを導入することになった場合、どのように始めたらいいのでしょうか。本章ではTOCを成功するための5つのステップをご紹介します。

1.制約条件を見つける

最初に行うことは、業務フローやシステム全体の流れを見て、どの工程が最も遅くなっているのかを見つけ出すことです。製造業の生産ラインであれば、製造プロセスをひとつひとつ細かく分け、製造効率が悪い部分が制約条件に該当します。制約条件を特定する際には各プロセスのパフォーマンスを数値化し、各プロセスの数値と比較することで制約条件の特定が容易になります。

2.制約条件を徹底活用する

制約条件の徹底活用とは、「制約条件の最大限の能力を活かす」ことを意味します。制約条件のパフォーマンス改善が工場全体の利益に直結するといっても過言ではありません。この制約条件が持つ最大限の能力を引き出し、徹底的に活用する必要があります。徹底活用する上で重要なポイントは、新たな資金や人材の投入などコストをかけず、従来から行ってきた作業改善・品質改善・整備改善など、いまある改善技術を用いるということです。さらには他の工程の改善よりも優先して制約条件の改善を行い、長い時間を掛けるのではなく、短時間で今すぐできる対策を行うのが大切です。


具体的な改善方法としては、たとえば制約条件が現場スタッフの能力不足であると特定したのであれば、「他部署から実務経験の長い人員を異動させ、問題となる製造プロセスの処理能力を高める」という方針を決定し、制約条件を最大限に活用します。

3.制約条件以外を制約条件に従わせる

ステップ3では、制約条件の解消を妨げるルールや活動を抑制・排除します。生産量増加による表面上だけの原価低減活動や固定費の減らない人員削減など、ボトルネック工程の解消に直接つながらない活動を指します。同時に生産スピードの改善を図るべく初期工程の資材投入を制約工程に合わせてコントロールしたり、他工程の生産形態の調整などを行い、制約条件の改善を集中して行える環境を構築します。


しかしこの第3ステップの実行は5つのステップの中でも最も難易度が高く、このステップで挫折してしまう企業も少なくありません。なぜならばステップ3に取り組む過程で、「方針制約」に阻まれてしまうからです。方針制約とは会社の習慣や慣習、経営者の価値観といった明文化されていない組織独自のルールのことです。障害となる方針制約には下記のような例が挙げられます。


・在庫量が減ると利益削減につながるため、資源の投入は止められない

・制約設備以外の稼働率が低下すると、利益が低下する

・工場方針に生産効率を掲げており、人や設備を止められない


特にこれまで改善活動に注力してきた部門ほど、生産性指標を制約条件に合わせるTOCの考えは受け入れがたく、強い反発が起きます。ゆえに方針制約を解消しきれず、TOC導入を諦めてしまう企業が存在します。このような事態を回避するためにも、各工程(制約工程・非制約工程・全体)における評価基準の設定や、TOCに精通しているコンサルタントや本社社員など、利害関係が発生しない外部指導者の招聘すると導入がスムーズに進むでしょう。

4.制約条件を強化する

制約条件の持つ能力値を最大限に引き出すために、さらなる改善を実施します。たとえば制約条件がリソース不足であれば、人員の強化やそれに伴う現場スタッフへの教育指導、研修よるスキルアップの向上などを行い、制約条件の能力増強を行います。ステップ3と異なる点は、ステップ3はコストを掛けない施策であるのに対し、ステップ4は制約条件の強化に伴い、人員採用や設備投資に資金を投じている点です。コストが発生することから将来的な需要があるのかどうかを見極めたうえで実行する必要があります。

5.惰性に注意しながら1へ戻る(繰り返す)


ステップ4で制約工程の能力値を引き上げたため、ステップ1の制約工程と状況が変わっている可能性があります。仮に自動車製造ラインにTOCを導入し、制約条件が改善・強化された結果、1時間で20台を生産する工程が1時間あたり35台生産できるようになったとすると、今度は当初制約になっていなかった1時間あたり30台を生産する工程がボトルネックになります。そのため、制約条件にフォーカスした行動を崩さないようにしつつ、新たな制約に向けてステップ1に戻り、改善を繰り返していきます。


上記の5つのプロセスを何度も繰り返すことで、着実に制約条件が解消されていき、企業の継続的な成長が可能です。

TOCを学べるおすすめ書籍3選

本章では、TOCの基礎知識や理論を解説したおすすめ書籍を紹介します。

1.『ザ・ゴール-企業の究極の目的とは何か

著:エリヤフ・ゴールドラット、三本木亮(訳)、稲垣公夫(解説) 出版:ダイヤモンド社(2001/5/18)

 

TOCの原点にして頂点

世界の名経営者が絶賛する伝説の名著

 

■本書の特徴と構成

Amazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏も読破した、世界中の人々に読み継がれている歴史的ベストセラー。TOCの提唱者、エリヤフ・ゴールドラット氏が著した書籍で、同書では経営危機に陥った機械メーカーの工場長である主人公が、TOCを駆使して工場の業務プロセスを改善し、経営を再建する様子が描かれています。

エリヤフ氏は「企業の目標(ゴール)とは何か?」という問いについて、「お金を儲け続けること」であると定義し、その目標達成を果たすには3つの指標(「スループット」「在庫」「業務費用」)が重要であると説いています。さらに目標の達成には3つの指標の最適化が必要であり、最適化のポイントにはボトルネックの解消、つまりTOCが最適解であると述べています。TOC導入によるメリット解説はもちろんのこと、本記事でもご紹介したDBRや全体最適を実現するための5つのステップについてもストーリー形式でわかりやすく解説されており、製造業の生産分野などの作業効率を改善するためのヒントが盛りだくさんです。

2.『ザ・ゴール 2-思考プロセス

著:エリヤフ・ゴールドラット、三本木亮(訳)、稲垣公夫(解説) 出版:ダイヤモンド社(2002/2/23)


問題解決のための

「思考プロセス」を学べる

 

■本書の特徴と構成

『ザ・ゴール』の続編となる本書では、前作で紹介したTOCを生産管理の手法のみで終わらせず、マーケティングや経営全般の問題解決に適用できる思考法へと発展させています。

具体的には、解決策が見つからない問題には対立構造が潜んでいることが多く、その問題を図解化し共通の問題を見つけ出すことが重要であると述べています。手順としては、問題などの好ましくない現象を指す「UDE(ウーディー)」をリストアップし、「現状ツリー」の作成により因果関係を図に表すというものです。この現状ツリーの構築、つまり図の可視化によって問題のコアが明らかになり、対立構造が「自分VS相手」ではなく、「自分&相手VS問題」の構造に変化するため、問題解決が可能になると述べています。この対立解消図を描く方法論を「クラウド」と呼び、ビジネスだけでなく人間関係などにも応用可能なツールであると説いています。

『ザ・ゴール2』ではこのTOCクラウドを活かし、機械メーカーのグループ副社長となった主人公がグループ会社の売却問題や家庭問題などの難題を鮮やかに解決する姿が描かれており、TOCクラウドの実践プロセスを物語形式で丁寧に解説しています。

3.『ゴールドラット博士のコストに縛られるな! 利益を最大化するTOC意思決定プロセス

著:エリヤフ・ゴールドラット、三本木亮(訳)、稲垣公夫(解説) 出版:ダイヤモンド社(2005/3/3)


利益の最大化を実現する

スループット会計とは

 

■本書の特徴と構成

『ザ・ゴール』シリーズ第5弾。本書では「スループット」を生むためのTOC意思決定プロセスについて述べた1冊です。

エリヤフ氏はTOC意思決定プロセスにおいて、3つの評価尺度(「スループット」「在庫」「業務費用」)を決めることが要諦であると示し、同時にコスト会計からの脱却を図るように促しています。コスト会計とは、原価計算により製造原価の管理を行い利益獲得を目指す考え方です。原価計算制度は、製品需要がなくても増産すれば原価が下がるため、会計上では利益を増やすことができます。しかしその利益は企業内のキャッシュを在庫に変えたものに過ぎず、製品販売によるキャッシュと大きく乖離するというリスクをはらんでいます。

また原価に縛られるあまり、原価削減に伴うレイオフが発生し、さらなる業績悪化を招く恐れがあります。そこでコスト会計よりもスループットを増やし、在庫の削減に注力することで、レイオフの回避だけでなく、効率的な生産に伴う収益向上を期待できると主張しています。

同氏は『ザ・ゴール』シリーズを通して「企業のゴールはコスト削減でも改善でもなく金儲けである」と語っています。コスト会計による誤った意思決定に従うのではなく、新しい総合的な経営哲学であるTOCを学び、スループットワールドへのパラダイムシフトを起こすことこそが企業の利益の最大化を実現する近道であると説いています。

まとめ

本記事では製造業の生産性改善に役立つTOCについてトヨタ生産方式との違いや実践手順、TOCをテーマにした関連書籍などを紹介しました。


2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大により、サプライチェーン(製品供給網)の寸断が発生し、自動車業界をはじめとする製造業は大きな打撃を受けました。経済活動の停滞を招くサプライチェーンの混乱を繰り返さないためにも、いまや調達・生産から保管・輸送・販売に至るまでのプロセス全体を最適化するサプライチェーンリスクマネジメント(SCM)は製造業において喫緊の課題になりつつあります。そのSCMで用いられる理論のひとつがTOCです。TOC理論をまとめた『ザ・ゴール』の翻訳版が日本で発売されたのは2001年ですが、その課題認識やソリューションは現在でも十分通用することの証左であり、不確実性の高い現代を生き抜くうえで欠かせない思考法だといえるでしょう。ぜひ自社のビジネスヒントの一助になれば幸いです。


またクラウドサーカスが運営するマーケティング担当者の“ため”に 、デジタルマーケティングに関わる“タメ”になる情報を“溜め”ていくサイト「エムタメ!」では、製造業のデジタル営業・マーケティングにフォーカスした特設ページを公開中です。製造業に特化したコンテンツを数多く掲載しているのでこちらもぜひご覧ください。

 

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Thu, 14 Sep 2023 15:05:39 +0900
<![CDATA[DMUとは?製造業などのBtoBマーケティングにおける意思決定者や、購買プロセスについて解説!]]> https://mtame.jp/column/dmu DMUとは、顧客サイドの意思決定者のことです。とくにBtoBビジネスで利益をあげていくうえでは、必ず知っておくべきファクターです。

 

企業は顧客の課題を解決するために自社ソリューションを提案しますが、このとき顧客の購買意欲に対して受注が比例しない場合は、DMUを的確に分析できていないのかもしれません。

 

とくにBtoBマーケティングでは、DMUが複雑になるのが特徴です。顧客企業のDMU(意思決定者)がどのような体系になっていて、どのような購買プロセスをたどるのかを理解することで、制約への精度をあげることができます。

 

本稿では、DMUはどのようなメンバーで構成されるのか、DMUをするためのDMUマップについても詳しく解説していきます。

DMUとは

DMUは「意思決定者」「意思決定関与者」を意味するマーケティング用語です。Decision Making Unit(デシジョン・メイキング・ユニット)の略称で、直訳すると、「意思を決定する集団」という意味になります。

 

顧客企業に自社の製品やサービスを購入してもらうには、かならずこれを決定する人物がいますが、ここに適切なアプローチができることで成約率をあげていくことができます。

 

ただBtoBマーケティングにおいては、担当者がそのまま決済者になるということは少なく、多くの場合で上司に判断を仰いだり、社内稟議を通したりする必要が出てきます。そこで顧客のDMUを正しく分析し、的確なアプローチをすることで営業活動を活性化するDMU分析に多くの注目が集まっているのです。

なぜBtoBビジネスにおいてDMU分析が重要なのか

BtoBビジネスにおいても、どのような顧客に販売するのかを具体的にしておくことは重要なプロセスになります。そのため、すでにペルソナを設計してターゲティングをおこなっているという企業も多いはずです。

 

BtoBの取引では、「担当者=購買の意思決定ができる」とは限りません。BtoBでのターゲティングは、対個人でのマーケティングに対してより複雑になります。そのため企業と個人、2つの方向性からペルソナを考える必要があります

 

そこで役立つのが「DMU」の考え方です。個人ペルソナは、直接やりとりをする窓口担当者だけでなく、現場担当者から決裁権のある人物までそれぞれ設定し、関連性を把握することで、顧客の全体像を理解できるようになります。

意思決定者は1人とはかぎらない

顧客企業の意思決定者は、複数人存在することがほとんどです。

 

たとえば、米CEB社が、アメリカのBtoB企業における5,000人以上のステークホルダーを対象におこなった調査では、購買において平均5.4人の承認が必要となることがわかっています。

参考:Making the Consensus Sale

 

法人企業における意思決定関与者は複数いるということを念頭に置いて、どのような意思決定者がいるのかを正しく把握することが大切です。

取引規模によってDMUは増える

BtoBで取引される商材は高額となるものも少なくありません。そのため、BtoCでひとりの顧客が数千円の商品を購入するのとは異なり、関わる意思決定者の数が増えるのも特徴です。

 

決裁権限の金額は、肩書きごとに段階があることも多いです。たとえば係長は5万円まで、課長は10万円まで、部長は50万円まで、本部長は100万円まで、専務は500万円まで…など、企業によって権限のある金額は異なる場合があります。

 

30万円の決済稟議を想定した場合には、「担当者・係長・課長・部長」という4段階のDMUを考える必要があることがわかります。

取引内容によってDMUはさらに増える

また購買する商材によっても、さらに意思決定関与者は増える可能性があります

 

さきほど例にあげた30万円の決済内容が、たとえばCMSツールの導入・今のWebサイトからの移行にかかる費用だとします。こういったツールの導入はIT導入補助金にも関わるため、経理部とのすり合わせや承認が必要になることもあります。

現場担当者のニーズ

さらにさきほどの例でいえば、CMSツールを導入する際に窓口担当者は選定するだけで、実際につかう現場担当者は異なることも少なくありません。

 

自社のWebサイトリニューアルが関わってくるため、自社Webサイトを活用しているのが「事業部」「広報部」「マーケティング部」など部署をまたいでいる場合は、それぞれの部署においても承認を得る必要がでてきます。

 

顧客企業のDMUをできるかぎり正確に把握して、それぞれのニーズをキャッチできれば、より成約率を高めることができるのです。

BtoBにおいてDMUと購買プロセスが複雑になる理由

BtoBマーケティングにおいてDMUが増えやすい特徴があることはお伝えしました。

 

顧客企業では、企業ごとに起案・稟議承認・執行と、購買までのプロセスが設定されているケースがほとんどです。そのためtoCの購買行動に比べ、もともと期間が長くなる傾向があるうえ、さらに決裁までに複数の部門が関与するため、それぞれの工程に時間がかかります。

 

このようなBtoBマーケティングで成約までの確度を高めていくには、企業ごとのDMUと購買プロセスを明らかにするため、適切なデータを集めることが必要です。

DMUのタイプ

DMU(購買意思決定者)には、さまざまなタイプがあり、ここでは6つに分けてご説明します。購買プロセスのステップを把握するのにもお役立てください。

DMU

ゲートキーパー(窓口担当)

顧客企業の「窓口」となるのがゲートキーパーで、商談で直接交渉する相手といえます。

 

規模の小さい企業では窓口担当者=社長などの決裁者であることも稀にありますが、基本的には直接的な決裁権をもたない人物であることが多いです。

 

ゲートキーパーと良好な関係を築くことで、DMUごとのニーズを引き出すことができ、顧客企業に寄り添ったソリューションを提案できます。またゲートキーパーは、使用者や承認者に自社の情報を取り次いでくれる存在であり、ゲートキーパー本人が意思決定にどの程度関与しているのかを把握しておくことも大切です。

ユーザー(使用者)

ユーザーは、購買した製品やサービスを現場で使用する、現場担当者です。ユーザーは、「システムを導入してほしい」といった起案者であることも多いです。

 

たとえばITシステムひとつとっても、会計システムであれば経理部、SFAシステムであれば営業部など、実際に活用する部門は違います。工場の生産ラインに機械を導入するのであれば、現場に従事する事業部や作業スタッフかもしれません。

 

顧客企業がこのような製品やサービスを導入する場合、現場からのニーズが大きな導入理由であることが少なくないため、現場からのヒアリングは欠かせません。

インフルエンサー(影響者)

購買プロセスにおいて、アドバイスをしたり、相談にのったりする役目を担うのがインフルエンサーです。

 

購買を直接判断するポジションではないものの、窓口担当者にアドバイスをおこない、それが重要な判断材料となることも多くあります。インフルエンサーは、情報システム部や製品設計部など、専門性の高い部署であることも多いです。

 

またたとえば営業部であっても、前職でツール運用をしていてITシステムに詳しいメンバーがいるなど、個人ごとにインフルエンサーにあたるケースもあるため、担当者とのやりとりのなかで把握しておきたいポイントです。

ディサイダー(決定者)

ディサイダーはその言葉のとおり、購買の最終決定をする人物です。最終決定だから社長、というわけではなく、決裁金額によってディサイダーはそれぞれ変わることがほとんどです。

 

実際には現場の業務にそこまで携わっていない、専門知識を持っているわけではなくとも、最終的に判断を下す役割をこなします。そのため事前に窓口担当者からディサイダーについての情報を収集しておくことも、BtoBにおける成約には重要なパートです。

どれだけ担当者が導入したいと思っていても、ディサイダーがNOと言えば通らないのがBtoB商材の難しいところです。

バイヤー(購買者)

最終的に製品やサービスを購入するのがバイヤーです。予算や費用対効果などを厳しく精査し、直接条件を交渉するのもバイヤーの仕事です。

 

DMUマップの規模が大きく複雑になるほど、その役割は細分化されるため、購買部門を設けている企業では部署担当者が加わることもあります。

チェッカー(確認者)

購買予定の製品やサービスの内容、見積もり、予算などをあらためて確認するのがチェッカーの役割です。

 

バイヤーとやや重複する領域となるため、兼任することもあります。ディサイダーの意思決定に最も大きく影響する立場であることから、社歴の長い経験者が指名されることも多いです。

 

チェッカーに対しては、自社製品のメリットだけでなく、コストパフォーマンスや顧客企業の求める機能性などポイントを絞ってアピールすると効果的です。中長期的な使用による料金や効果のシミュレーション・他社比較データなども有効になります。

DMUを分析するには:DMUマップ

多様なDMUを適切に分析するには、DMUマップの活用が有効です。

 

顧客企業のDMU全体像を書き出して、

・影響を及ぼす関係性

・及ぼす影響力の強さ

・各者の関心ごとや優先事項

などを把握して可視化することで、営業活動に役立てることができます。

 

ここからは、なぜDMUマップをつくるとよいのか、DMUマップの具体例や作りかたについて解説します。

DMUマップの重要性

DMUが把握できていればそれでいいのでは?と考える方も多いかもしれません。DMUをマップとして構成する理由、メリットについてお伝えします。

集合体として把握する

toBでのアプローチをおこなう際には、個々のペルソナももちろん大切ですが、集合体としての理解がより重要になります。

 

ある企業ではインフルエンサーを攻略することでスムーズにいった、というケースでも、ほかの企業でもおなじとは限らず、DMUの構成やパワーバランス、影響度も企業ごとに異なります。

 

どのタイミングで、だれにアプローチするかを最適化するためにも、マップに落とし込んで組織全体を把握する必要があります。

DMU同士の関係性を把握する

DMUそれぞれの情報をマップに落とし込むことで、DMU同士の関係性を理解しやすくしてくれます。

 

たとえば、決定者に最も影響を与えているのはだれか、ユーザーの発言権や、インフルエンサー・バイヤーの影響度はどのくらいか、組織内での関係性も企業ごとにさまざまです。

 

また購買プロセスからDMUマップを見返すことで、「誰が稟議を起案したか」「決裁までのチェックをおこなうのは誰か」「最も影響力を持っているのはだれか」「誰が決裁したか」を可視化でき、次の戦略に活かすこともできます。

顧客企業について新しい発見がある

DMUマップを作成していくなかで新たな発見をすることは、往往にしてよく起こります。

 

DMUをマップに起こして見ていくと、実はある部署の人物が影響力を持っていることがわかったり、または窓口担当者の直属の上司に決裁権がそれほどないことがわかったり、顧客が抱える課題を再発見したりすることも。実はアプローチする相手が違っていた、ということも少なくありません。

 

また顧客企業を体系的に理解できることで、関係構築のうえでもよい影響が期待できるのがDMUマップのメリットともいえます。

DMUマップの具体例

ここでは、ある企業の営業部で、マーケティング活動の一環としてMAツールを導入する際のDMUマップの具体例をご紹介します。

 

DMUマップの具体例

 

業務用什器などの製造・販売を行っているメーカーを例にあげます。

  • ゲートキーパーはユーザーからの要望でMAツールを検討しています。
  • ゲートキーパーはMAツールの知識を持つインフルエンサーのアドバイスを受けて比較検討を進めていきます。
  • 購買はバイヤーの判断のもとでおこないます。
  • 購買する前にチェッカーが最終確認をおこないます。
  • 最終的な決定は営業部部長がおこないます。

DMUマップの作り方

DMUマップを作成するには、顧客へのヒアリングが必須となります。以下の作成手順に準じて情報収集ができると、マップづくりがスムーズに進むはずです。

 

  1. マップの大枠を作成
    • どのような関与者がいるかを書き出す
    • 意思決定の流れを書き出す
  2. マップを細分化する
    • 関与者ごとの影響力
    • 関与者ごとの関心ごと・優先事項
    • 関与者ごとに商談にどのくらい関与しているか
  3. 仮説・検証
    • 実際に営業活動に活用して検証する
    • さらに書き込んで改善する

 

ここではそれぞれのステップごとにもう少し詳しく説明していきます。

マップの大枠作成:担当者と上司の関係性

まずは窓口担当者とその上司など、組織形態を明らかにしていきます。

 

窓口担当者のまわりにどのような関与者がいるのか、どのような部署や役職があり、どのような意思決定の流れで購買につながるかをヒアリングします。とくに大きな企業になるほど関係性は複雑になるため、決裁に影響力をもつ人物をはずさないよう気をつけましょう。

 

ある程度、関与者の情報が見えてきたら、窓口担当者を中心にマッピングしていきます。

マップを細分化:窓口担当者とつながりが強い部署・おさえるべき意思決定関与者

窓口担当者を中心にある程度マッピングができたら、次は担当者とつながりが強い人物や部署、押さえておくべき関与者を明確にしていきます。

 

ここで気をつけたいのは、単に組織体制を詮索しようとするのではなく、どのような課題を抱えていて、どのような背景で商談に至ったのか、顧客企業の目的をヒアリングしていくことです。「現場からの要望があって…」「組織体制の変革を目指していて…」など、顧客の状況が見えてきます。

 

あくまでも顧客の課題に寄り添いながら、意思決定にはどのような人物が関わるのか、どの部署の影響力が強いのか、など情報を細分化してまとめていきましょう。窓口担当部署と連携している部署もおさえておくと、スムーズに商談を進められるはずです。

仮説・検証:さらにそれぞれの関係性を書き込む

作成したDMUマップをもとに、営業活動に活用しましょう。

 

このとき見えてきた関係性やパワーバランスなどはその都度書き込み、DMUマップをブラッシュアップすることで、成約への確度もあがっていきます。

DMUマップ活用のポイント

DMUマップは複雑そう、作るのがむずかしそうと感じる方もいるかもしれませんが、コツをつかめばDMUマップは誰でも作成・活用することができます。

 

ここではDMUマップを活用するうえで、知っておくと便利なポイントについてご説明します。

テンプレートを作成してだれでも活用可能に

DMUマップを作成し活用していきたい場合、まずはテンプレートを作成するのがおすすめです。

 

DMUマップを顧客企業ごとに作成し、ブラッシュアップするのを繰り返していくうちに、ターゲット企業に多いDMUマップの型が見えてきます。これをもとに、自社顧客に使いやすいテンプレートを準備しておけば、作成の手間を大幅に省くことができます。

 

自社にとって使いやすいDMUマップのテンプレートを共有することで、入社したばかりの新人営業担当者も、DMUマップを活用して営業活動に役立てられます。また社内の顧客企業に対する意識づけとしても有効で、マーケティング手法を社内にもっと浸透させていきたいという場合にも効果的です。

顧客企業に対する共通言語を獲得

DMUマップを作成するのは営業部ですが、商談に関わる営業担当者は、DMUマップを通してまわりの部署との共通言語を獲得でき、社内でもよりスムーズな意思疎通がはかれるようになります。

 

自社が顧客企業に対してアプローチをするときに複数のDMUが存在するように、自社も1人の担当者が商談に取り組むとも限りません。営業マンは、DMUマップを作成することで、自社内のマーケティング部・事業部・製品設計部などと連携をとりながら話をすすめることができます。顧客企業の理解度が深まることで、社内社外に関わらず齟齬を防ぎ、相手企業に信頼感を与えることもできます。

まとめ

DMUとDMUマップの重要性について解説しました。

 

DMUマップを作成することで、ターゲット企業の意思決定がどのような構造でおこなわれているのかを理解でき、よりスムーズに受注につなげられるようになります。これまではなんとなくの勘と経験則で顧客企業をとらえていた…という方は、DMUマップを導入することでまったく新しい結果が得られるかもしれません。

 

まずは気になる取引先企業のDMUマップから作ってみるのがおすすめです。DMUマップを使った営業活動で効果検証を繰り返し、成約率アップを目指していきましょう。

 

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Thu, 14 Sep 2023 15:05:27 +0900
<![CDATA[MOT(技術経営)とは?製造業における重要性やメリット、実際の導入事例を紹介]]> https://mtame.jp/column/MOT MOT(技術経営)とは、企業が自社の技術力を競争力のある事業に結びつけ、技術そのものに対して競争優位を確立する経営方法のことです。技術を経営資源として効率的に活用するためには、技術を企業価値に転換するマネジメント能力が必要です。MOTを取り入れることで、企業は自社の価値を最大限に高めることができます。


本記事ではMOTについて基礎知識からメリット、実際の導入事例まで網羅的にわかりやすく解説します。

MOTとは?

企業が自社の技術力を競争力のある事業に結びつけ、技術そのものに対して競争優位を確立する経営方法のことです。「Management of Technology」の頭文字を取った単語で、日本語では「技術経営」と訳します。自社の強みである技術力を活かして利益拡大を図るための経営手法であり、経営方針のみならず経営計画にまで関与します。MOTを導入することで人材の育成方針や、自社が守るべき知的財産が明確化され、戦略的な活用が可能になります。


資金量と死の谷


上記はMOTの考え方をイラスト化したものです。企業が新たな技術を研究し、産業として成立させるまでの過程を4つのステージ(「研究」「開発」「事業化」「産業化」)に分け、その過程で研究から開発に繋げる難しさを「魔の川」、開発から事業化、製品化に繋げる困難さを「死の谷」、製品の市場投入から産業として事業を成立できるかの関門を「ダーウィンの海」と定義しています。


「研究」を進めて技術シーズ(新規事業を開発を進めていくうえで必要になる技術のこと)を市場ニーズに結び付ける段階で、製品化の見込みが立たなければ次のステージである「開発」へ到達できず、「魔の川」に沈みます。「開発」ステージに進んだものを製品化し、生産ラインや流通ライン体制を構築できなければ「死の谷」へと落ち、「事業化」は失敗に終わります。「事業化」(商品化)を成功させるためには、競争優位性を確立し、常に進化しながら市場や顧客の要求に対応していく必要があり、変化に対応できなければ「産業化」に辿り着けず、「ダーウィンの海」に溺れることになります。


このように新規事業の創出から産業化に至るまでにいくつもの障壁が存在します。各障壁をいかにして乗り越え、成功確率を高めていくのか。その方法論となるのがMOTであり、MOTによるマネジメントが必要とされる領域です。

R&D、MBAとの違い

MOTと関連するワードに、「R&D(研究開発)」「MBA(経営学修士)」が挙げられます。「MOTはこれまでのR&DやMBAと何が違うのだろうか」と思われる方が多いかもしれませんが、下記図のようにMOTとカバーする範囲がそれぞれ異なります。



R&D、MOT、MBAの違い

 

出典:総論 最新MOTの考え方と実践面での現状と展望


R&D(Research and Development)とは、自社の競争力を高めるために自社の事業領域に関する研究や新技術の開発を行う活動を指します。R&Dを行うことで、自社にしかない技術資産が蓄積され、企業競争力の向上やスピーディーな製品開発が可能になるなどビジネス上で大きなアドバンテージを得られます。


MOTの概念に当てはめると、R&Dは研究から開発までのステージに該当します。MOTの場合はその先の事業化、産業化までのステージまで対応する必要があり、社内外の原資を活用した全方位展開のマネジメントが求められるのが特徴です。


一方、MBA(Master of Business Administration)は、経営管理修士号や経営学修士と呼ばれる学位のことです。MBAでは、ビジネスパーソンに欠かせない事業戦略、マネジメント、マーケティング、財務・会計、ロジカルシンキング、問題解決など経営に必要な知識と技術を体系的に学ぶことができます。MBAを取得することで企業から高く評価され、多くのMBA取得者が経営幹部やビジネスマネージャーに抜擢されています。


MOTとMBAはどちらも経営手法を学ぶという点では同じですが、MBAは事業化から産業化において経営に必要な知識や方法論を包括的に習得するのに対し、MOTは技術に焦点をあて、研究から事業化に至るプロセスで「いかにして技術を経営に活かすか」、「独自の技術を製品・サービスに落とし込むか」に重きを置いています。言い換えればMOTのほうが不確実性が高い中で高度なマネジメント能力が要求されます。

MOTが製造業に重要な理由

MOTが必要になってきた背景には、ものづくりの価値構造の変化が要因とされています。かつて日本の製造業は物作り、つまり「安くて品質の良い製品を作ること」で優位性を保ち、世界に「ものづくり大国・日本」として圧倒的な存在感を示してきました。しかし時代の変遷により、付加価値の構図は変化し、品質重視とコストダウン競争を図るプロセスイノベーションから、「何を創りどのような付加価値をつけるか」というプロダクトイノベーションが重視されるようになりました。このプロダクトイノベーションに適応するための方法論がMOTであり、現に欧米企業はMOTをいち早く取り入れ、GAFA※と呼ばれる巨大IT企業を生み出すことに成功しています。

※…米国の主要IT企業であるグーグル(Google)、アマゾン(Amazon)、フェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)4社の総称。ガーファと呼ぶ。


ただ、現代の日本の製造業はプロセスイノベーションが未だ主流であり、プロダクトイノベーションに関する知識やノウハウがない企業がほとんどないのが実情です。加えて経済のグローバル化の影響で製品のコモディティ化(均質化)が進み、差別化戦略は限界を迎えつつあります。これからは技術力をベースに新たな成長エンジンとなるイノベーションを生み出し、その成果を製品やサービスを結びつける技術経営へとシフトチェンジする必要があります。ものづくりの価値構造の変化に対応していくためにも、DXやAIなどの最新技術とあわせて、MOTの考えを浸透させることが急務とされています。

MOT導入のメリット

MOTを自社に導入することで得られる、3つのメリットを解説します。

新規事業を創出できる

技術経営の最大の目的は、技術革新や市場環境の急速な変化に対応できる技術力を開発し、市場での優位性や競争力を獲得することです。そのためには、コアとなる技術研究や関連技術の新規導入などに取り組み、新しい製品・サービスを創造するための研究活動が欠かせません。技術シーズを得るための研究や開発に資本を投下することで、新規事業の創出やイノベーションによる事業成長を促すことができます。

収益の最大化

MOTの導入するうえで重要なのは企業の中核となる強みであるコアコンピタンスを把握し、自社の経営軸を定めることです。自社のコアコンピタンスを活かし技術プラットフォームを確立することで、製品やサービスをスピーディーに開発することができ、収益の向上が見込めます。また自社にしかない知識やノウハウが蓄積されることによって、他社との差別化が行われ、技術的な優位に立つことができます。新しい技術の開発は企業のブランディングを高められるほか、特許の取得によって特許権の使用料を得られるようになるため、利益の最大化を図ることが可能です。

競争力の向上

3つ目が競争力の向上です。MOTの導入により自社が注力すべき製品・サービスが明確化されることで、より高品質な製品の開発やサービスの提供が行えるようになり、企業の競争力を高めることができます。また自社技術をビジネス化する研究開発体制も整うことから、業務効率の改善やコスト削減に加え、イノベーション創出や事業の効率化も行いやすくなります。高い技術力によって開発された製品やサービスは市場のニーズにマッチしやすく、企業に大きな利益をもたらします。

MOT人材に必要な能力

技術開発は利益を生み出すまでに時間とコストがかかります。さらに国際情勢や顧客ニーズ、事業環境の変化などさまざまな影響を受けやすい側面があります。不確実性が増す現代においてMOTを実行するためにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。求められる4つの能力について解説します。

リーダーシップ

MOT人材は技術研究から開発、事業化、実用化に至るまでさまざまなマネジメントを求められます。その役割は幅広く、他部署を巻き込む横断的な事業や外部ネットワークとの連携、新しい施策のスタートアップ・実行など多岐にわたります。さらには設定した目標を達成するべくプロジェクトごとに適した人材を集め、組織の編成や育成を行うマネジメントまで手掛ける場合もあります。ゆえにMOT人材には組織をまとめ、企業を導いていく強い統率力や指導力を持つ人物が適しています。

課題解決能力

MOTは研究開発から事業化までのプロセスで多くの課題が発生します。発生した課題を分析し、解決できなければMOTの正しい実行ができず、失敗に終わる可能性が高くなります。特にMOTは先述したように、不確実性の高い中で技術を活かして経済価値を創造し、収益を上げていくことが常に問われます。技術と経営を結びつけるには、物事の本質を見抜き、課題解消に向けて筋道を立てて行動していく課題解決能力が不可欠であるといえるでしょう。

組織の垣根を超えた事業推進能力

従来の経営スタイルは、組織の一部や個人だけが業務の最適化を図る部分最適の考え方がスタンダードでした。しかし部分最適だけでは生産性や効率性の向上につながりにくいことから、近年は組織間の壁をなくし、会社やチームなどの組織全体が最適化された状態を目指す全体最適を軸にした経営スタイルが主流になりつつあります。MOT人材には企業の全体最適を実現できる、コミュニケーション能力や交渉力、事業を促進させるための業務遂行力が必要です。

マーケティング能力

上記3つの能力に加え、横浜国立大学教授の谷地弘安氏は論説内にて、「MOV-(顧客)価値のマネジメント(Management of Value)-」を提唱し、技術者にもマーケティングリテラシーが大切であると述べています。


谷地氏はその理由として、なぜ企業が死の谷を乗り越えられず、事業化を失敗してしまうのかについて下記のように解説しています。


「死の谷に技術が墜ちていくとき、大きな企業ではどのようなことが起こっているというのだろうか。代表的なのは、同じ企業のなかで組織的な「活断層」が生じているということである。たとえば、上流の研究所が時間とお金、そして労力をかけて技術シーズを開発した。なのに、それを川下の事業部が採用してくれない。その意味・価値を認めてくれない。このようなことが常軌化すると、研究サイドの人間には自分たちの生み出したものが評価されないという不満が鬱積する。一方、事業部は事業部で、研究サイドのアウトプットに価値を認めることができず、やはり不満が鬱積する。同じ企業のなかでも、異なる部門間で双方に対する猜疑心や不満が蓄積されていく、これを活断層にたとえている。(中略)同じ企業内の研究サイドと事業サイドの間に技術の価値や意味をめぐる理解のギャップがあるために、結局はせっかくの技術が事業化されずに塩漬けになってしまうのである」


出典:技術マネジメントとマーケティング-「MOV」フレームワークによる問題の提起と整理-


死の谷への落下を防ぐ手段として、谷地氏は「自分が生み出した技術・商品がいったい誰にとってどのような価値を持つのかを明確にでき、それを事業サイドや営業サイドといった社内の人間に伝え、理解してもらう。同じ企業のメンバーであっても、部門が違えば価値観や課題の内容、プライオリティが大きく異なるのを前提に、あたかもほかの部門のメンバーを顧客のように考えアプローチしていくのである」と述べ、内向きのマーケティングによって組織内で生じる活断層を解消でき、死の谷の回避に貢献できるとしています。このMOTにマーケティング思考を取り入れたフレームワークをMOVと呼び、MOVによって「(自社の)技術・商品≠顧客価値・収益」の解消や死の谷やダーウィンの海など、MOTの過程で生じるさまざまな困難を解決できると説いています。


MOTにおける最大の課題は、どれほど優れた技術を発明したとしても、それが必ずしも商品開発に結びつかず、収益化に至らないという点です。これまでご紹介してきたように研究開発から事業化までには魔の川、死の谷、ダーウィンの海という3つの障壁が存在しますが、なぜそれらが生じてしまうのかという考察や障壁に対する明確な対応策については議論されていませんでした。谷地氏は死の谷やダーウィンの海が発生する理由をマーケティング目線から鮮やかに解説したうえで、MOTにおけるマーケティングの有用性や意義を明らかにし、同氏が提唱するMOVの重要性を示しています。

MOT導入企業の事例

本章では実際にMOTを導入し、収益の拡大や市場での競争優位性の構築に成功した企業の事例についてご紹介します。

株式会社住田光学ガラス

株式会社住田光学ガラスは1953年に創業し、光学ガラス、光ファイバー、特殊ガラスを製造する会社です。当時はガラス素材は輸入品がほとんどでしたが、同社は光学ガラスの国産化を推し進め、高度な精密加工技術を確立しました。さらに1960年には独自の光ファイバー技術を研究し、いち早く原材料から最終製品までの一貫生産体制を作り、類似の技術に対して強い優位性を持っています。同社は創業当時から技術経営をベースに、自社独自の技術やノウハウを社内に「人財」として蓄積し、常に他社が挑戦したことのない新しい領域にチャレンジしています。

出典:中小企業の技術経営(MOT)と人材育成

シーケー金属株式会社

シーケー金属株式会社は1936年に創業した、溶融亜鉛めっき加工や配管機器製造販売を行う会社です。伸銅業や溶融亜鉛業の領域ではリーディングカンパニーとして85年以上の実績があります。同社は世界初となるカドミウムと鉛を一切使用せずに、通常めっきの1.4倍の耐食性を持つ、溶融亜鉛めっき『CKeめっきスーパー』を開発し、成熟産業といわれた溶融亜鉛めっき業界の中で唯一売上・シェアを伸ばしています。その高い技術が評価され、新国立競技場をはじめ日本を代表する建築物にも用いられています。近年では本技術を活用したフランチャイズ展開も行っており、売上高の一定割合をロイヤリティーとして受け取る新しいビジネスモデルを構築しています。

出典:中小企業の技術経営(MOT)と人材育成

株式会社渡辺製作所

株式会社渡辺製作所は1912年に創業した、モジュラーローゼットや各種接続端子板、ネットワーク製品などを販売する会社です。1991年に電話機事業から事業転換を図り、コネクタ事業に参入。あわせてコーチ役として博士号を持つ人材の招聘や産学連携による研究体制の整備を行い、人材育成と社内教育体制の強化に努めた結果、CAT5E(カテゴリー5E) 製品の開発に成功し、世界でもトップクラスの技術水準を実現しました。現在主流となっているコネクタ事業は数年前からの研究開発がベースとなっています。研究開発を事業化に結びつけるための手段として、研究開発がある程度まで進むと、顧客にその製品をプレゼンし、顧客の反応をもとに製品化の可否を判断しています。このプロセスは顧客がどういうものを求めているのかを見極めるためのマーケティング活動のひとつであると同社は述べており、早くから研究開発にマーケティングを取り入れ、研究開発の効率化を図っています。

出典:中小企業の技術経営(MOT)と人材育成

まとめ

本記事ではMOTの製造業における重要性やメリット、実際の導入事例について紹介しました。製造業において技術は源泉であり、事業の存続・成長のために欠かせない存在です。日本の製造業は今、新型コロナウイルスの感染拡大や少子高齢化による労働人口の減少などにより、さまざまな課題を抱えています。それらの課題を解決するためにもプロセスイノベーションから脱却し、MOTによる技術に立脚した新しいビジネスモデルの構築が重要です。ぜひ自社の現状と照らし合わせて、体制見直しのヒントとして参考にしてみてください。


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Fri, 08 Sep 2023 16:25:59 +0900
<![CDATA[製造業DXの重要性とは?メリットや取り組み事例をご紹介]]> https://mtame.jp/column/manufacturing_industry_DX  

製造業におけるDXとは、生産・流通・販売などのプロセスにデジタルを活用することで、従来の手法では無しえなかった効率化や生産性の向上などの変革を起こすことを指します。デジタル技術の発達にともなって世界経済の成長スピードがますます加速する中、まだまだアナログな業務フローの多い製造業は、DXにより大きな成長が見込まれている市場であり、「製造業DX」は多くの熱い視線を集めています。

製造業においてデジタルテクノロジーを活用すれば、開発設計、製造からエンドユーザーの手に渡った後まで、すべてのプロセスの情報を一元管理し、現場にすばやくフィードバックを行えるようになります。デジタル技術による正確な情報取得により、高い生産性を維持しながら、コストを抑えた業務遂行が可能です。

本記事では、製造業においてなぜDXが重要なのか、製造業DXを進めることで実現できるメリットや課題まで、わかりやすく解説します。

 

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ビジネスにおけるDXについて

ビジネスにおけるDXとは、デジタル技術とデータ活用を掛け合わせることで、ビジネスに革新を起こすことです。とくにICT(情報通信技術)を活用することで、インターネットを通してデジタル化された情報をやりとりできるようにするのがDXの特徴といえます。

DXを推進することで、業務工程におけるノウハウやメソッドを、デジタル上に蓄積・共有できるようになります。このデータをもとに業務効率化を図ったり、品質向上に役立てたりできるのはもちろん、市場の変化に対しても柔軟に対応できるようになることから、近年はとくに製造業におけるDXに注目が集まっています。

またDXとよく似ている言葉に、デジタル化・デジタイゼーション・デジタライゼーションといったものがありますが、何がどう違うのかわからず混乱してしまう、という方も多いのではないでしょうか。次の項からは、それぞれの用語の意味とその違いについて見ていきましょう。

 

デジタルトランスフォーメーションとは  デジタイゼーションとは  デジタライゼーションとは

デジタルトランスフォーメーションとは

DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称で、直訳すると「デジタルによる変容」という意味です。交差を意味する「Trans」=「X」の頭文字をとって、DXと略されます。

DXの定義はそれぞれのシーンに応じて変化するため一様ではありませんが、広義でのDXは「ICTの浸透により、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」です。2004年にスウェーデンウメオ大学エリック・ストルターマン教授によって定義された概念で、デジタル技術はビジネスに限らず、人々や社会全体によい影響を与えるものであると伝えています。

(出展:Information Technology and The Good Life(2004,Erik Stolterman Umea University,Sweden))

ビジネスにおける狭義でのDXは、企業がデータやデジタル技術を活用することです。経済産業省によると、

○ 顧客や社会のニーズに対してビジネスモデルや製品サービスそのものを変革すること

○ 社内の業務プロセスや組織、文化や風土などを変革すること

これらによって競争優位性を確立すること、定義されています。

(出展:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインVer. 1.0(2018,経済産業省))

デジタイゼーションとは

デジタイゼーションとは、いわゆる「デジタル化」のことを表します。既存業務のプロセスに、部分的にデジタル技術を導入する手法です。以下はデジタイゼーションの一例です。

○ 書類を電子化してデータベース化する

○ 訪問営業をオンライン営業に切り替える

○ 会場で実施していたセミナーをオンラインウェビナーに切り替える

○ 紙ベースの顧客リストをツール(SFA・CRM・MAなど)で管理する

○ 稟議書・申請書などの手続きをワークフローアプリケーションによりデジタル化する

このように特定の業務フローにデジタル技術を取り入れることで、工数やコストを削減し、業務効率化する手法をデジタイゼーションと呼びます。

デジタライゼーションとは

デジタライゼーションとは、自社のビジネスモデルや業務プロセス自体を変革することで、製品やサービスに付加価値を加えたり、新たなビジネスモデルを生み出したりすることです。以下はその一例です。

○ ビデオ・DVDのレンタルから、動画のストリーミングサービスへ

○ 自動車を購入・所有してもらうビジネスモデルから、カーシェアリングサービスへ

○ 紙ベースの納品書・請求書をExcelに手入力して管理する経理業務から、取引発生から会計までを自動入力・管理できるワークフローシステムへ

近年さまざまな業界で確立されている、ロボットを導入した新しいビジネスモデルもデジタライゼーションのひとつです。ロボットを活用することで人員不足解消・人為的ミス防止を実現し、人間がよりクリエイティブな業務に専念できるようになることから、新しい業務形態として注目されています。

製造業DXとは?なぜ今重要なのか

改めてにはなりますが、製造業におけるDXとは、生産・流通・販売などのプロセスにデジタルを活用することで、従来の手法では無しえなかった効率化や生産性の向上などの変革を起こすことを指します。その際に鍵となるのがデータの活用で、データを貯める基盤を構築するためにシステムやサービスを導入します。

 

特に昨今、製造業でDXが重要視される理由は、大きくふたつあります。ひとつめは、アナログ志向の強い製造業の現場においてDXを取り入れることで、日本の製造業のさらなる発展が見込まれている点。もうひとつは、日本の製造業においては「不確実性」への対応が課題となっている点にあります。

製造業は、日本のGDPの20%にのぼる国の主要産業である一方で、熟練者の技術・経験などの属人的要素に強く依存しているのが課題です。グローバル経済において、日本の存在感を示し競争優位性を維持していくためにも、製造業のDX化は急務を要しています。近年のデジタルテクノロジーの目ざましい進化に対して、経済の成長速度が追いついていくために、DXは欠かせない要素といえます。

また「不確実性」とは、社会情勢などの不可抗力によって引きおこされる、予測し難い事態のこと。実際に近年は新型コロナや自然災害、戦争など不安定な情勢がつづいたことから、製造業においても原材料の調達ができない・海外拠点が操業できないなどといった事態に陥る企業は少なくありません。

目まぐるしく進化するテクノロジーや、変遷する社会情勢にともなって、社会や顧客のニーズの変動も非常に大きくなっています。製造業全体がDXに取り組み、これまで製造業の現場で培われてきた技術やノウハウをデジタル化して共有することで、企業の質向上・業務の変革が必要とされています。

製造業DXによって実現できること

製造業DXによって実現できるメリット、4つのポイントを解説します。

 

情報の見える化や生産性の向上など

生産性の向上

製造業の業務プロセスに、デジタル技術を導入することで、従来業務を効率化し生産性を向上させることができます。IoTやAIなどの最新技術を適切に取り入れれば、製造業における開発設計、製造プロセスから事務作業まで、あらゆる業務の自動化も可能です。データも自動で蓄積するため、業務改善・人的コスト削減を同時に実現できるでしょう。

また既存業務を自動化するだけでなく、業務プロセスそのものに新しいシステムを導入することで業務効率化できるのもメリットです。たとえば紙に直接記入するといったアナログな管理方法を、DXによってデジタルデータ化することで共有もしやすくなり、業務そのものの質向上につながります。

そのほかにも、営業活動やマーケティング活動のDXも最近では注目を集めています。これまでデジタル化というと生産・流通プロセスにおける効率化の話が主になっていましたが、販売活動におけるデジタルツールも増えており、SaaSを活用すれば初期投資を抑えて導入ができるため、活用する企業が増えています。

特にコロナ禍では従来の営業活動ができなくなった企業も多く、急速に導入が進みました。データを元にした営業活動やプロセスの可視化により、生産性を向上させている企業も多く存在します。


本メディアを運用しているクラウドサーカスも、サービスとして提供しているのは製造業向けの営業活動の効率化や商談創出支援です。従来のアナログな営業手法を脱却し、データを元にした営業活動を実践することにより生産性を上げるお手伝いをしています。

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製造業における生産性向上について、製造・営業の両視点から取り組むべき施策や事例などを紹介!

情報の見える化

デジタルテクノロジーを活用すれば、製造業におけるすべてのプロセスを可視化できるようになります。設備・生産状況や、受注から納品までのデータを見える化して管理できれば、異変が起きる前やトラブルが発生する前に対処できるように。また問題が発生してもすばやく発見し、フィードバックを共有できます。

データを可視化することで、顧客データをもとに販売予測を立てることができ、製造業における物流量やリソース・コストの最適化をはかれるでしょう。データにもとづいて、品質を向上させたり、新たな技術を開発したりと、企業の発展にも貢献するはずです。

また、営業活動であれば営業マンの活動状況が確認でき、マーケティング活動であれば施策の成果を定量的に判断することができます。また既存顧客がWebサイトに来訪した際に、どこのページを見たのかを把握することで現場での営業トークに活かし、マンネリ解消にも活用可能です。


そのためにはWebサイトの計測の整備なども必要にはなりますが、しっかり初期設定をすれば中長期で活用が可能になるので、早めに整えておくことをおすすめします。

属人化の解消

現場主義・職人文化により発展を遂げてきた日本の製造業では、いわゆる熟練者の技術や経験が重要視され、業務プロセスそのものが属人化しやすい傾向にあります。従来も、業務マニュアルといった形で属人化の解消ははかられてきているものの、根本的な解消のためには仕組み自体をシステム化する必要があります。

DXによって属人化している業務をデジタル上でデータ化すれば、業務の標準化をはかれるようになります。属人化の解消は、次のようなステップで進めます。

○ 業務自体がそもそも必要かを精査する

○ 従来の業務フローに固執せずに検討し直す

○ 業務をなるべく自動化できるようなツールやシステムを活用して、業務内容をゼロから構築する

属人化を解消して生産性を上げるには、人がやらなくてもよい作業、デジタル化することでより効率化できる作業はなにかを見極めることが大切です。業務の属人化を解消し、より付加価値の高い人の手でしか行えない作業に人的リソースを割けるようになれば、製品やサービスの品質向上にもつながるでしょう。

営業活動においても、トップ営業の手法をデジタルに置き換えることでより再現性を高めることが可能です。セールスイネーブルメントとも呼ばれる領域で、製造業のDXにおいても重要な役割を果たしてくれます。

顧客満足度の向上

DX化を進めることによって、変動の激しい市場の動きに対しても柔軟に対応できるようになります。データを活用することで顧客のニーズを的確に把握し、提供する製品やサービスの品質向上に反映させられます。

顧客ニーズに合わせた新しいサービスの提供、既存製品の改善を実施できれば、顧客満足度が向上し継続的に製品やサービスを利用してもらえるはずです。質の高い顧客と関係性を強固にしていくことは、企業の成長・発展にも寄与するでしょう。

 

また、先述のデータの可視化が進めば、顧客の欲しい情報に絞ったアプローチが可能となり、無駄なコミュニケーションも減っていきます。その結果「あの取引先は良い情報ばかりをくれる」と顧客満足度も向上していきます。

攻めのDXと守りのDX

ビジネスにおけるDXには「攻め」と「守り」、2種類の体制があるといわれています。主に、実践目的・実践するターゲットにおいて次のように異なります。

 

攻めのDXと守りのDX



実践目的

● 「攻めのDX」:競争力の強化

● 「守りのDX」:業務改善・効率化

実践するターゲット

● 「攻めのDX」:顧客を中心としたステークホルダー等

● 「守りのDX」:主に自社内のビジネスモデル・業務フロー等

それぞれ詳しく見ていきましょう。

攻めのDXとは

攻めのDXとは、既存のビジネスモデルにおいてコミュニケーションを改善したり新事業により新たな価値を提供したりと、自社内だけでなく顧客にも向けてビジネスモデル自体の改革を行うことです。守りのDXと比べても難易度が高いものの、対他社や市場において競争優位性を見出すためには、中長期的な視点で取り組む必要があるでしょう。ちなみに弊社が支援しているのはこの「攻めのDX」に該当します。

「攻めのDX」の一例には、近年急成長したフードデリバリーサービスがあげられます。デジタル技術により配達員と飲食店のマッチングを図ったことで、多くの飲食店が直接配達員を雇用せずとも宅配できる環境を可能にしており、新たなビジネスモデルを確立した成功例です。また新しいビジネスモデルを展開したことで、まったく新しい顧客層の獲得を可能にしています。

 

また、営業活動にデジタルツールを取り入れて案件を増やしたり、Webサイトなどオンラインで引き合いを獲得する活動も、攻めのDXに一環です。比較的手軽に取り組めることから、”DXの第一歩”として規模を問わずに導入されています。

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守りのDXとは

守りのDXとは、自社内の業務プロセスや組織に対してデジタル技術を取り入れて、企業風土に変革をもたらす考え方で、自社でコントロールできる範疇で行います。デジタル化により業務や人員、コストの削減を図り、業務フローを再設計して省力化することで、生産性を向上させる目的で実施されます。

たとえば電子決済を導入することでレジ締め作業の効率化をはかったり、電子契約書・電子請求書を活用して業務工数を削減したり、といったことも「守りのDX」にあてはまります。ビジネスモデルごと変革を行う「攻め」に対して、ひとつひとつの工程をデジタル化することで効率化・省力化を目指すのが「守りのDX」の特徴です。

2018年に経済産業省が発表した「2025年の崖」では、産業における老朽化・ブラックボックス化した基幹システムについて問題提起していますが、「守りのDX」が対処できるのはまさにこの分野といえます。

製造業のDXにおける課題

2023年に発表された業種別DX取り組み状況調査において、製造業でDXを実施している企業は、全体のうち22.8%にとどまりました。(出展:「 DX白書2023 」)この数字は年々すこしずつ増加傾向にあるものの、かつては世界の中で高い技術力を誇っていた日本の製造業も、ここ最近は若手人員の不足・設備の老朽化・技能継承の難しさといった慢性的な課題を抱えています。

ここでは、競争の激化するグローバル社会を舞台に日本の製造業DXが突き当たっている課題を3つ解説します。

 

デジタル人材、データ活用、ツール選定

デジタル人材の採用・育成

DXを進めるには「DX推進部門」などの専任部門をつくり、専門知識をもつ人材を採用するか、もしくは一から育成する必要があります。ただ実際にDXを進められる人材はまだまだ不足している上、製造業の実情も熟知している人物となると条件は非常に限られるため、DXを進める上での人材育成は中長期的な計画をもとに行いましょう。必要な技能をスキルマップ化し、研修等を盛り込んだ育成プログラムを構築します。

たとえばAIやIoTなどの最新技術によって高精度なデータを収集できたとしても、これらのデータの複雑性を理解し、適切に活用できる人材がいなければ意味がないからです。ただ企業の規模や業態によっては、新しく専任担当を採用・育成するリソースが確保できないケースもあるでしょう。そのような場合は、DX支援サービスなどを活用してDXの専門家にサポートを仰ぐことで、DX推進を加速できます。

データ活用の壁

製造業において、「生産プロセスに関する設備の稼働状況等のデータ収集」を行っている企業は、全体の約半数にとどまっています。業務プロセスの改善や海外工場の稼働状況・データ活用の進捗においても、目に見える進展はありません。(出展:経済産業省の「ものづくり白書(経済基盤白書)2020年版」)

DXの基本となるのはデータのデジタル化と収集ですが、日本の製造業においては半分の企業がまだそのラインに到達できていないどころか、この割合はここ数年減少傾向にすらあります。時間やコストを考えても、すぐにすべての業務工程をデジタル化するのはむずかしいものの、産業としてのDXに対して消極的な傾向が伺えます。

人だけでなく機械や技術などさまざまなモノが連携することで、社会課題を解決し、新しい価値を創造できる産業の在り方を実現していくためには、企業や業界の垣根を超えデータ活用の壁を乗り越える必要があるでしょう。

ツール選定の難易度

DXに取り組むにはITツールの導入が必須ですが、自社の目的・課題に合ったツールを選定するのには専門知識が必要であり、ツール選定の難易度は高いのも事実です。自社内に適切に判断できる人員がいないと、導入コストを投じて業務フローの一部をデジタル化してみたものの、逆に業務効率がさがってしまうということも起こりかねません。

自社内にITツール選定に長けている人員がいない場合には、DX支援などの外部人員活用も検討しましょう。自社内の課題を明確にして、これを解決できる機能やツールはどれか、導入後に自社内の人員で運用可能か、といった観点で適切なツール選定を行うことができます。

ベンダーの提供するクラウドサービスを適切に活用できれば、メンテナンスコストやアップグレードにかかる作業工程も、自社開発と比べて大幅におさえられます。適切なツールを選定することでDX推進をより加速できるはずです。

弊社でも製造業のデジタルマーケティング・営業分野の支援を実施しています。無料から使える営業ツールもございますので、ご興味がありましたら以下のリンクよりダウンロードをお願いいたします。

デジタルマーケティングツール『CloudCIRCUS』概要資料

製造業のDXケース

製造業DXにおいては、どのようなデジタル技術を導入するかによっても、その手段や結果は異なります。ここでは、業務・ノウハウのデジタル化、IoTの活用によるスマートファクトリー化の二軸で、製造業DXのケースをご紹介します。

業務・ノウハウのデジタル化

製造業DXにおいて欠かせない工程のひとつに、業務マニュアルやノウハウをデジタル化し、共有できるようにすることがあります。ここでは業務・ノウハウのデジタル化を生かした企業の例をご紹介します。

例1 ナレッジマネジメントを生産システムに統合

熟練者のノウハウ・技術をデータ化するだけでなく、日々の業務の中で生まれる技能を蓄積し共有して活用できるように。現場で行われてきた知的生産の分析を行うことで、ナレッジマネジメントを製造ラインに組み込んだ生産モデルを実現しています。

例2 複数の工場間で生産管理システムを統一

複数の向上をもつ企業では、同じ部品であっても各工場ごとに異なる設計で製造を行っていることが課題となっていました。設計データをデジタル化、生産管理システムを統合してナレッジ共有できるようにしたことで、会社全体で技術向上につながり、工場間で負荷を分散できるようになったことで生産性も向上しました。

例3 製造プロセスを見える化して売上増加

業務フローやエンジニアリングプロセスにおける社内の連携体制を可視化したことで、製品製造の過程がわかりやすく把握できるように。不足している人材や必要なツールなど課題を明確化して対処できるようになったことで、売上を倍以上に伸ばしている例もあります。

IoTの活用によるスマートファクトリー化

スマートファクトリーとは、IoTなどを活用してデジタルデータを可視化し、業務管理を行う工場のことです。ある企業の活用例をご紹介します。

例1 作業工程のデジタル化:データ収集・蓄積

製造ラインにおける点検・原材料の管理・作業日報などの手書き作業を、IoTによって自動化。自社開発することで補助金を利用し、コストを抑えたシステム化を実現しています。

例2 柔軟な働き方を可能に:データによる最適化

部品製造を行う企業では、CAD/CAMであらかじめ作成したデータをもとに、フレキシブルに働ける環境づくりを実施。定年を設けず、高齢者や子育て中の女性の雇用も可能にしたことで、生産性を向上させながら働き手不足の解消も実現しています。

例3 工場と現場で共有:データの分析と予測

工場IoTによって取得した現場のデータは、各事業部とプラットフォームで共有できるようプロジェクトを立ち上げ、コスト面を改善。開発から工場・市場までをデジタルデータで連携できる環境を構築、データ基盤を整備し、予測にもとづいて品質向上などの付加価値提供にデータを活用できるように。

 

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営業・マーケティング活動のデジタル化

生産プロセスだけでなく販売プロセスにおいても、テクノロジーを活用したデジタル化が進んでいます。「営業DX」「マーケティングDX」と呼ばれるものになりますが、製造業においても注目を集めています。

例1 過去の営業名刺を一括管理し活用

過去の営業名刺をデータ化し、メール配信をすることでクリックした顧客に絞って連絡が採ることができます。また、閲覧しているWebページもわかるようになるため、営業現場における話題としても活用可能です。

 

【関連資料】

無料からメール機能も使えるMAツール「BowNow」

概要資料のダウンロードはこちら

 

例2 営業活動のプロセスを管理

営業活動をオンラインに記録することで、売れている営業マンとそうでない人との比較ができ、営業組織の底上げが可能です。

例3 オフラインと組み合わせた製造業ブランディングを実施

製造業のブランディング活動の一環として、デジタルを活用するケースが増えています。オンラインだけで完結するのは難しいものの、重要な接点の1つとしてWebサイトや各種電子化ツールなどを活用されています。

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営業DXでおさえておきたい「営業ファネル」

営業DXを進める上で欠かせない考え方が「営業ファネル」の概念です。ファネルは日本語で「漏斗(じょうご・ろうと)」の意味です。

 

自社の製品やサービスをはじめて認知したユーザーが、購入や契約を経て顧客となるまでのプロセスを、漏斗(じょうご)の形になぞらえています。上部では潜在層であった顧客が、有料顧客になっていく段階で人数がしぼられていく様子は、漏斗の形によく似ています。

 

世界標準化した営業DXをおこなう上で重要となる「営業ファネル」は以下のような図で表されます。

 

営業ファネル

営業DXについてはこちらの記事に詳しくまとめております▼

製造業こそ営業DXで生産性を向上!デジタルツールで解決できる課題、メリットや事例をご紹介

 

 

製造業の成果事例集
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    製造業の成果事例インタビュー集
  • クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。

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製造業のDX具体的な事例

製造業DXには具体的にどんな事例があるのでしょうか。ここでは経済産業省「第3節 製造業の企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」より引用しながら事例を紹介してまいります。

沖電気工業株式会社の「バーチャル・ワンファクトリー」構想

微本最初の通信機器メーカーである沖電気工業株式会社は、同社の全生産部門を対象とする「生産・品質改革発表会」において、本庄工場(埼玉県)と沼津工場(静岡県)が推進する「バーチャル・ワンファクトリー」の活動が、「改革大賞」を受賞しました。「バーチャル・ワンファクトリー」は業務の共有によって工場と工場の連携を強化し、仮想的な1つの工場に融合する取り組みです。

罷業に関係なくその製品の特色に合致した最適な工場で製品を作ることを目指し、全社活動にも広げようとしています。個別最適となっていた仕組みを全体最適に移行し、各プロセスや・ツ-ル統合を進め、目指す「バーチャル・ワンファクトリー」を実現しようとしているようです。

製造業DXに欠かせないSaaSサービスを一部紹介

製造業がDXを推進していく上で、システムやSaaSの導入は欠かせません。ここからは実際に製造現場で活用されている3つのSaaSサービスについてご紹介します。

「Proceedクラウド」Proceedクラウドで納期・進捗管理をかんたんに

画像引用:Proceedクラウド

 

株式会社東京ファクトリーが提供する「Proceedクラウド」は、重工業の生産現場向けに開発されたSaaSです。工程写真をベースに製造情報のデータベースを構築し、サプライチェーンの可視化を実現しています。

 

重工業の生産現場では撮影写真をベースに工程管理が行われており、これまで写真はPCのローカル上に保存されていることが多く、写真共有に時間がかかっていました。本ツールを導入することで、写真の閲覧や共有がタイムリーに行えるようになり、工程写真にまつわる業務の効率化が見込めます。

「UM SaaS Cloud」工程進捗を表す図

画像引用:UM SaaS Cloud

 

株式会社シナプスイノベーションが提供する「UM SaaS Cloud」は、製造業の業務全般をカバーするSaaS型のクラウドシステムです。見積積算から受発注・生産管理や会計管理まで生産形態・生産業種を問わず対応しています。システムは世界で15万社以上に利用されているSalesforceの基盤を採用し、強固なセキュリティ対策が施されています。

 

本ツールは「UM工程進捗」、「UMガント」、「UM販売購買」、「UMWMS」「UM実際原価」の5つのモジュールから成り立っていますが、一度にすべての機能を導入する必要はなく、事業規模にあわせて機能を段階的に導入することが可能です。SaaSの特徴であるスモールスタートの特徴を活かし、無駄なコストをかけずにDX化を進められます。

 

入力方式はハンディターミナルをはじめ、スマートフォンやタブレット、RFID、IoTなど幅広く対応。製造機械の実績収集情報と連携することで、リアルタイムにデータ収集や確認ができます。

「TECHS-S NOA」テックス・エス・ノア

画像引用:TECHS-S NOA

 

株式会社テクノアが提供する「TECHS-S NOA」は、個別受注型機械・装置業向け生産管理システムです。本ツールは4,400社超の導入実績をもつ「TECHSシリーズ」の定評ある機能を継承したクラウド版で、運用管理の負担が少ないのが特徴です。1アカウントから利用できるため、導入・運用コストを抑えられます。

 

見積や受発注、部品表、原価、進捗、在庫、売上請求の一元管理ができるほか、部品マスタの事前登録なしでの運用やCAD・Excelからの部品表データ取り込み、バーコードリーダーやハンディターミナルでの実績収集機能、仕掛かり原価と完成予測原価をリアルタイムに把握可能など、業務を効率化を図る多彩な機能が搭載されています。

 

生産管理にかかる時間が削減されるため、技能継承や営業に力を入れられるようになるほか、データーベースをもとに過去の類似例の原価を参照し、素早く正確な見積積算を行えることから、営業競争力の向上が期待できます。

 

【関連記事】

製造業向けSaaSとは?重要性やメリット、おすすめのツールを紹介

製造業DXにおけるデジタルマーケティング

本メディアでは、過去に製造業の方々向けのデジタルマーケティングの記事も各種公開しています。

 

BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで

 

製造業DXの中では「攻めのDX」にあたる内容ですが、もし何かしら一歩目を踏み出したいけど取り組めずにいる…という方がいらっしゃいましたら、営業・マーケティング分野のデジタル化もおすすめです。比較的導入が低コストかつこれから取り組まれる中小企業も多く、始めるのに遅くはないからです。

製造プロセスの中にシステムを導入するとなると、大がかりな設計やプロジェクトが必要になり、費用も大きくかかってきます。マーケティングツールであれば無料から使えるものもあり、現状活用できていない名刺情報やエクセル管理の顧客リストをインポートして使えるので、資産の有効活用にもつながります。

ただし、担当者だけが活用を頑張っても浸透は難しく、経営や責任者が協力的になることがマストにはなりますが、そうだとしてもDXの第一歩としては費用対効果の高い選択肢です。ぜひご検討ください。

 

【関連記事】
デジタルマーケティングとは?基礎知識を簡単に!具体的な手法や学べる本・WEBも紹介

営業DXで役立つデジタルツール

攻めのDXに該当する「営業DX」において、必須になるのがデジタルツールの存在です。ここでは、営業DXを進めるうえで具体的にどのようなツールを導入したらよいか、目的別にご紹介していきます。

プロセスの効率化に「SFA」、属人化解消に「CRM」

顧客とのコミュニケーション・営業活動を支援する SFA(営業支援)ツールは、営業効率化や顧客管理の強化に役立ちます。

 

またご用聞き営業だけで競争力を維持するのは難しく、顧客が求めるタイミングで適切なアプローチをするためには、営業体制を整えていく必要があります。営業力をあげるためには、顧客の課題を抽出して、適切な提案をする力を培うことが重要です。そのためにはCRM(顧客管理)ツールを導入して、過去の取引データをリスト化して管理し、情報の分析を行いましょう。情報が不足している場合は過去の担当者にヒアリングするとよいです。

 

過去の取引データを分析すると、共通項が見つかることもあります。たとえばある商品を購入した顧客が半年後に別の商品も購入する、という傾向がみられる場合、その法則をもとに提案ルールをつくり、営業チーム全員で漏れなくアプローチする体制を作ることも可能です。SFAとCRMを組み合わせて使用すると、さらに精度は向上していきます。

 

これらのツールにより顧客のニーズを把握し、データ分析や自動化ツールを活用して効率的に営業活動を行うことで、継続的に顧客と関係構築していくことができます。

業務効率化に「クラウドソーシング」

既存顧客に対する営業活動においては、提案書作成に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。自社のパンフレットだけでは訴求力が弱い…と感じている場合は、提案書作成を外注することで、コア業務に集中できる環境をつくることも重要です。

 

コストに余裕がある場合は提案書を広告代理店といった専門業者に依頼してもよいですが、より効率化するためには、さまざまな専門家が集うクラウドソーシングを活用するのも一手です。クラウドソーシングは、書類の一部・図の作成のみの依頼や、単発での依頼ができ、またインターネット上で発注・納品・支払いのすべてが完結するのも使いやすいポイントです。

 

クラウドソーシングを利用することで、高額な費用をかけることなく、営業担当者はコア業務にリソースを注ぐことができるようになります。まだ使ったことがないという方はぜひ検討してみてください。

リードの見える化、営業活動の自動化に「MA」

営業チームにおいて、担当者ごとの能力差や取引先との相性などは、往々として課題となる部分です。これらの営業課題を解決するためには、CRM・SFAの導入が効果的です。トップセールスマンの手法を分析し、他のメンバーにも共有し、営業プロセスを統一化することができるからです。

 

また、顧客へのアプローチを自動化するために、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用も非常に効果的です。MAは、CRMやSFAとも連携でき、データ分析やリードの抽出、メールや広告の配信など、マーケティング業務を一元管理できます。

 

たとえばMAは、自社サイトによくおとずれるリードの行動ログを追跡し、適切なタイミングでアプローチできるようサポートしてくれます。またリードごとの属性によってグループ分けもできるため、より効果的なメール配信をおこなうこともでき、新規顧客に課題を抱えている企業にとってはとくにおすすめのツールです。

 

ほかにも、ある商品を購入した顧客に対して、半年後に別の商品の情報を案内する、というプロセスを自動化するなど、さまざまな設定ができます。MAを活用することで、営業プロセスの効率化や自動化が可能となり、成績の底上げや差のある営業担当者をサポートできるため、営業部門全体での成績の向上が期待できます。

 

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弊社クラウドサーカスもMAツールを提供しています。無料から使えるツールとなっておりますので、まずは資料からお気軽にお取り寄せください。

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【関連記事】

マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説

自社にとって適切なDXに取り組みましょう

製造業DXについて解説しました。

日本では現場主義・職人主義が謳われてきた製造業ですが、近年のデジタル化の躍進により、世界では製造業の自動化・作業効率化がますます加速しています。IoTによるセンサー・データ解析や、AIによる機械学習など、最新テクノロジーを取り入れることで、製造業の現場が抱える多くの課題を解決できるはずです。またDXに取り組むことで課題を解決するのはもちろんのこと、企業成長のためのさまざまなヒントを得られるのではないでしょうか。

中小企業などのリソースがかぎられる条件下でも、デジタルの力を適切に扱うことで、日本の製造業における高い技能を継承していくことができ、企業の成長・日本の製造業のさらなる発展にも寄与するでしょう。ぜひ自社に適切なツール・方法を見極めて、DXに取り組んでみてください。


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製造業のデジタル営業・マーケティング特集

 

BtoB企業のデジタルマーケティングならDPOメソッド
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【その他、製造業DX関連のおすすめコンテンツ(外部サイト)】

経済産業省「製造業DX取組事例集

製造業DXの具体的な取り組みについて、スライドにまとまっています。他社の事例が知りたい方にはおすすめの資料です。

 

日経BP「製造業DX

製造業DXに特化したメディアページです。

 

  • この記事を書いた人
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  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 05 Sep 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業マーケティングの基礎から施策まで!現役マーケターがおすすめする無料資料をまとめました]]> https://mtame.jp/free_dl/manufacture_material 弊社ではこれまで、製造業向けの記事コンテンツを多く発信してきました。中でも最近は、記事以外に「過去のセミナー資料」や「ノウハウ資料」なども無料で公開をしています。

 

そこで本記事では、弊社がこれまで公開してきた「製造業のマーケティング活動」に関する資料を一挙にご紹介いたします。


・デジタルマーケティングをもっと強化したい

・そろそろデジタルマーケティングを始めたい

・デジタルを活用した営業改革に取り組みたい

 

上記に当てはまる製造業の企業様には、何かしらお役に立てるのではないかと考えております。ピンとくるものがございましたら、ぜひダウンロードをしていってください。

 
※お客様のニーズを把握し質の高い情報提供を実施するために、各資料で遷移先のフォームの送信をお願いしております。あらかじめご了承ください。

BtoB製造業のデジタルマーケティングガイド

まずご紹介するのは製造業のデジタルマーケティングガイドです。デジタルマーケティングの基礎から製造業ならではの特色まで、約50ページの資料にまとめております。

 

 

BtoB製造業のデジタルマーケティングガイド



デジタルマーケティングには業界問わず抑えておくべき基本知識があります。本資料では、まず一般的な概念を解説したうえで、具体的な改善のステップへと移っていきます。

 

 

マーケティング全体とデジタルマーケティングの構造

 

WebマーケティングのKpi

 

解決も割く~要件定義の層への提供情報

 

 

これからデジタルマーケティングに注力していきたい方には特におすすめの資料なので、ぜひダウンロードのうえ、ご一読ください。

 

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現役マーケターがどうしても伝えたい!製造業がデジタルマーケティングを非効率にしないための集中講座

8月に実施した製造業向けセミナーの資料です。製造業マーケティングの基本からデジタルマーケティングの全体像、コンテンツ作りの重要性などをお話ししました。

 

 

現役マーケターがどうしても伝えたい製造業のデジタルマーケティング

 

おかげさまで好評を頂いたため、資料も一部改変のうえ公開しております。具体的な事例を交えながらも、全体像の理解やコンテンツの大切さについて解説しております。



デジタル施策にチャレンジ!

 

デジタル施策にチャレンジ!


参考までに、セミナー当日に参加いただいた方の生の声を一部抜粋します。これからデジタルマーケティングに取り組みたい方へぴったりの内容となっており、自社で実施すべき点も見出して頂けたようです。


事例も踏まえつつ、自社内で改善しなければならない点がわかった。

 

内容はこれからデジマを取り組みたい企業には最適な内容だったと思います。
社内の意見に流されず、集客よりもCVR改善の施策を打ったという事例が非常に腑に落ちました。

有益なセミナー有難うございました。

 

 

デジタルマーケティングを強化していきたい製造業の方はぜひお役立て下さい。

 

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BlueMonkey活用事例インタビュー 製造業のWebリニューアル事例集

Webサイトをリニューアルし、成果に繋がったお客様の生の声をまとめた事例集です。リニューアルを決めた経緯や当時の課題、具体的にどんな成果に繋がったのかを詳細にお話しいただいております。

 

 


「そろそろホームページもテコ入れしたい」

「ホームページが古くなっているけどそろそろリニューアルした方がいいのかな?」

 

そんなことを思った方には何かしらヒントをご提供できるはずです。ぜひご一読ください。

 

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時代遅れのホームページは機会損失が広がる!?商談創出力を上げる第4世代ホームページとは

昨年開催し好評だったセミナーの資料です。製造業がホームページを活用してどんな施策に取り組むべきなのかを120ページの超えの資料で解説しております。

 

 

 

 

タイトルにある「第4世代」のホームページは、弊社が独自に定義したものです。時代の変化に伴ってホームページの役割も変わりつつあるため、整理するために”第4世代”と名付けています。


 

第三世代と第4世代のホームページ

 

 

また資料の中では、市況の変化の中で自社ホームページを放置することがどれだけ”機会損失”に繋がっているのかについてもまとめておりますので、自社の現状のチェックにもご活用いただけます。ホームページを中心としたWebマーケティングに課題を感じている方におすすめの資料となりますので、お役立てください。

 

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製造業の新潮流!ホームページを武器に!240%秘伝ナレッジ

こちらも昨年開催したセミナーの資料です。製造業にデジタルマーケティングが必要な理由から、見込み顧客を240%UPさせたナレッジを140ページ以上の資料にまとめています

 

 



どうして製造業にデジタルマーケティングが必要なのか、具体的にはどんなことに取り組むべきなのかなどをまとめた充実の資料です。

製造業の発注プロセスごとのマーケティング施策

 

製造業のデジタルマーケティング施策6選

 

 

ホームページに限らず様々なデジタルマーケティングツールの活用方法についてもご紹介しておりますので、貴社のマーケティング活動にご活用ください。

 

資料をダウンロードする

引き続き製造業マーケティングの発信を続けてまいります

弊社はこれまで多くの製造業の企業様に、デジタルマーケティングの支援をしてきました。そこで得た知見や経験は、今後も本メディアおよびサービスサイトを通して発信してまいりますので、時々覗きに来ていただけますと幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。今回ご紹介した資料が、皆様のお役に立てることを願っております。

 

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製造業向けのWebマーケティングやデジタルマーケティング、SEOの記事もお役立てください!

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  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Mon, 04 Sep 2023 07:00:00 +0900
<![CDATA[製造業におけるSNSマーケティングとは?活用方法や運用ステップ、具体的な事例までわかりやすく徹底解説!]]> https://mtame.jp/column/manufacture_sns 近年、製造業におけるSNSを活用したマーケティング活動に注目が集まっています。


求人活動にSNSを取り入れる動きも増えており、SNSを活用したマーケティングは製造業を営む企業にとって必須の施策となりつつあります。実施することで、認知度向上やリードの獲得、顧客との関係性構築など、様々なメリットを享受することが可能です。


本記事では製造業におけるSNSマーケティングについて、基礎知識からメリット・デメリット、運用法や活用法、投稿すべきコンテンツなど、網羅的に解説します。最後には具体的な事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

製造業におけるSNSマーケティングとは

製造業におけるSNSマーケティングの概要について解説します。また、BtoC向けとBtoB向けで手法が異なるため、その特徴についても紹介します。

製造業におけるSNSマーケティングとは

SNSマーケティングとは、SNS(Social Networking Serviceの略)を活用して行うマーケティング活動を指します。TwitterやInstagram、Facebookなどに代表される「SNS」は、特に若い年齢層のユーザーを中心に、全世界にて利用されているコミュニケーションツールです。


日常的に利用されているSNSを活用したマーケティングを実施することで、「自社サービス・商品の情報を迅速にユーザーへと届けられる」「ユーザーと相互的なコミュニケーションを取れる」などのメリットがあります。


広告費を抑えつつ、直接ユーザーに自社商品やサービス、ブランドをPRできるという利点もあるため、製造業におけるSNSマーケティングは近年急速に増加しており、効果的な手法として注目が集まっています。


製造業におけるSNSマーケティングは、BtoCとBtoBで手法が大きく異なるという点に注意が必要です。詳しく見ていきましょう。

BtoC/BtoB製造業のSNSマーケティングの違い

BtoC向けSNSマーケティングの方が、BtoB向けよりも大きな成果を得られやすい傾向にあります。


BtoC製造業向けSNSマーケティングでは、一般ユーザーをターゲットとした商品・サービスの販売を行うため、それらを使用・購入したユーザーはSNSにて気軽に口コミを投稿できます。その評判が拡散されることでプロモーション効果や認知度の向上などが期待でき、最終的には企業の利益拡大につながります。


一方でBtoB製造業向けSNSマーケティングの場合、優れた商品・サービスを共有することで、競合他社の生産効率を引き上げてしまう可能性があります。そのため、商品を利用した企業がSNSにて口コミを投稿するケースは、一般ユーザーのケースと比べると少なくなります。


BtoB向け企業がSNSにて大きな反響を獲得するためには、よりユニークな施策や工夫を施すことが求められるのです。


しかし、BtoBといっても会社で働いている人も、SNS運用担当者もあくまで個人です。企業の調達担当者がSNSアカウントを閲覧している可能性もあるため、見込み顧客を獲得できる可能性は十分にあります。

製造業がSNSマーケティングでできることとメリット

製造業はSNSマーケティングを行うことでどのようなことが実現できるのでしょうか?得られるメリットと共に紹介します。

認知度向上とリードの獲得

SNSマーケティングで実現できることとしてまず挙げられるのが、「認知度向上」と「リードの獲得」です。


SNSは興味関心が近いユーザーに自動的におすすめ表示してくれる仕組みがあるため、拡散力が強く、コストをかけずとも新規リードへリーチすることができます。SNSを通してユーザーがその他の企業活動へアプローチするケースもあり、間接的な受注アップが見込めます。


また、自社サイトを運営している場合、わざわざ見に来てくれる人が少ないという課題がありますが、拡散やおすすめ表示機能があるSNSを活用することで、自社をたまたま見つけてもらえる可能性は高まります。


自社サイトのリンクを設置しておけば、遷移してもらうことでより深く自社について知ってもらうことができ、リード獲得へとつながりやすくなります。

顧客とのより良い関係構築を実現

SNSでは、コメントやDMを活用したダイレクトなコミュニケーションを通して、顧客とのより良い関係を構築できます。


他にもいいねやシェアなど、ユーザーと接点を持てる様々な機能が備わっているのも特徴です。相互のコミュニケーションを通して自社のファンになってもらい、新商品や他のサービスに対する興味関心を持ってもらえる可能性もあります。


コミュニケーションを取る際は、DMやコメントに誠意を持って応じることが大切です。好印象を与えることができれば、関係性の構築に加え、商品・サービスの受注や採用活動(後述)につながることもあるでしょう。

採用活動へつながる

若年層のユーザーが多いSNSでは、事前に経営者の思想や社内の雰囲気などの情報を集めるなど、求職活動を行う人が増加しています。


そのため、SNSを通して自社のイメージアップに取り組むことができれば、より効率的な採用活動へとつながるでしょう。


SNSから採用に至る場合、企業や理念、経営者に対する理解度が比較的高い状態で入社してもらえるのがメリットです。自社によりマッチする人材や、あらゆる面で「即戦力」となることが見込める人材を採用できる可能性も高まります。

海外へのアピール

SNSは全世界で幅広く利用されているため、海外のユーザーへ自社商品・サービスをアピールすることもできます。


特に後述する「Facebook」は海外ユーザーも多く、外国語で投稿すれば海外ユーザーへの情報発信もできます。タグ付けを行えば、自社の商品・サービスがより見つけてもらいやすくなるでしょう。


海外進出を考えている、もしくは外国語を使える社員が居るという場合は海外に向けて発信することも視野に入れることで、さらなる企業の発展が見込めるはずです。


低コストで運用可能

基本的にSNSは無料ではじめられるため、初期費用などのコストを抑えて運用できるというメリットがあります。広告を打つ際にも、比較的低コストで実施できるのも大きな魅力です。


また工場で製造できるものや、実際に製造した商品の画像をアップすることで、それを求めている企業から声がかかるケースもあるため、営業活動の代わりとしての役割も果たせます。


オンラインなので、普段の営業では回ることができない遠方の企業と接点を持てる可能性もあります。うまく活用できれば、コストをかけずに新規顧客獲得も可能です。

製造業がSNSマーケティングを行うデメリット

製造業がSNSマーケティングを行う際にはデメリットが生じる可能性もあります。運用する際には注意しましょう。

炎上の危険性

拡散力があるSNSでは、不用意な発言などを投稿してしまうことで炎上してしまうという危険性があります。


炎上してしまうと、その後の対応によっては企業や商品・サービスへの信頼を失い、自社のファンが減ってしまう場合もあるため、内容を十分チェックした上で投稿しましょう。

成果が出るまで時間・労力がかかる

SNSマーケティングで成果を感じられるには半年〜1年以上かかるケースもあるなど、多くの時間・労力がかかるという側面があります。


担当者は、効果を感じられるまで地道な継続を行うことが大切です。運用方法や発信するコンテンツ、フォロワーとのコミュニケーションの取り方など、初めは試行錯誤することが予想されますが、成果を出すには続けてコツコツと運用していくことが必要になります。


製造業においてSNSマーケティングを運用するにはどのように進めればいいのでしょうか?次章で運用方法について紹介します。

製造業におけるSNSマーケティングの運用方法

製造業におけるSNSマーケティングの運用方法について、5つのステップを紹介します。

①目的を明確にする

まず、SNSマーケティングを行う目的を明確にします。


新規顧客獲得や自社の認知拡大、ブランディングなど、目的を明らかにすることで軸のブレない質の高いコンテンツの発信などへとつながり、より高い効果が期待できます。


目的を明確にせず、曖昧にしたまま思いつきで投稿してしまうと、せっかく時間・労力をSNSに割いてもそれほど成果を得られません。成果を具体的にイメージして運用することが大切です。具体的には以下のような目的があります。


・新規顧客獲得

・自社の認知度向上

・ブランディング

・商品紹介・レビュー紹介

・採用活動の効率化

・セミナーや展示会などへの集客

・商品サポートの充実度向上

②ターゲットを設定する

目的を明確にしたら、次はターゲットを設定します。


ターゲットのイメージ像を明確にした上で設定することで、投稿内容の一貫性・統一性を出せます。質の高いコンテンツ作成が可能になるため、より効果的な運用につながります。


ターゲットを設定する際には、ユーザーの「性別、住所、年齢、職業、収入、趣味」などの詳細なペルソナを決めることで、イメージの解像度が上がり、より大きな成果を得られるでしょう。

③数値目標の設定

中長期的な運用が必要になるSNSマーケティングでは、数値目標の設定も欠かせません。明確な数値目標を定めることで、モチベーションを維持して運用できます。


具体的な数値目標には、売上高や契約数、お問い合わせ件数、などがあります。それらの最終目標を決めた上で、「フォロワー数、コメント数、いいねの数、インプレッション数」など、目標到達のためのプロセス数値を設定することも重要です。


また、最初から大きな目標を掲げてしまうと、到達が難しく挫折してしまうケースがあります。運用初期は達成する可能性の高い小さな目標を立て、継続運用することを第一に進めていくことが大切です。

④SNS運用環境の整備・担当者の選定

目的・ターゲット・数値目標を設定したら、SNSを運用する環境を整える必要があります。


先述したような炎上リスクを避け、より高い成果を出すためには、「社内の協力体制」「運用ルールの策定・周知」「運用状況、担当者の監視体制」などの社内環境を整備することが重要です。


またSNSを運用する担当者を選定する必要もあります。「SNSマーケティングの成果は担当者に左右される」とも言われるほど重要なため、慎重に検討することをおすすめします。以下が担当者に求められる資質です。


・SNSの基礎知識がある

・リスクマネジメント意識が高い

・企業理念や自社サービスを理解している

・コミュニケーション能力が高い


またSNSのメリットでもある「直接のコミュニケーション」によって精神をすり減らしてしまう担当者もいるため、社内環境を整備する際には「担当者のメンタルケア体制」も設置することをおすすめします。

⑤SNSメディアの選定

SNSマーケティングを運用するには、利用するSNSを選定することも非常に重要です。


SNSにはそれぞれ異なる特徴や魅力があるため、事前に設定した目的・ターゲットに最適なSNSツールを選定して運用することで、より大きな成果の獲得が期待できます。


目的に適しているSNSを以下に挙げますが、成果を確実に出すためには複数のSNSを同時に運用することをおすすめします。


・自社情報の発信、及び販売促進:Instagram、Twitter、Facebook、LINE

・ブランディング:Instagram、Twitter、Facebook、

・顧客サポートサービス:LINE、Twitter

各SNSの特徴と活用方法

各SNSの特徴や活用方法について紹介します。SNSマーケティングの目的やターゲットなどに最適なものを選定する際に参考にしてください。

Facebook

Facebookは全世界でもっともユーザー数の多いツールです。日本人ユーザーは2,600万人とやや少ない傾向にありますが、海外ユーザーを含めると約20億人が利用しており、特に海外展開を検討している企業にとって有効なツールといえます。


メインユーザーの年齢層は30〜40代と比較的高く、実名登録制が採用されているのが特徴です。学歴・職歴・ライフステージなど、様々な情報が登録されているため、それらのデータを基にした精度の高いターゲティング広告を配信できます。


男性のユーザーも多いため、ビジネスマンをターゲットに設定している場合に適しているほか、英語で投稿すれば海外ユーザーへの情報発信も実施可能です。


投稿が「シェア」されれば一気に拡散する可能性もあるので、積極的に共有したくなるようなコンテンツを投稿することが大切です。

X(Twitter)

X(Twitter)は、20代〜40代の比較的若年層をメイン層とし、4,500万人以上のユーザー数を確保するツールです。


名称が「Twitter」から「X」に変更されるなど、イーロン・マスク氏のCEO就任以降、サービスや機能に様々な変化が起きています。今後もさらに変わっていくことが予想されていますが、Xを活用した集客や販促施策は引き続き有効であると考えられており、特に若年層向け商品・サービスのアピールを目的とする場合には、とても有用なSNSツールといえます。


ユーザーとの距離間が近く、現在も多くの企業が優良なファンを獲得するために活用しています。拡散力のあるSNSのひとつで、一気にシェアされることで突然企業の認知が広がる可能性があるのも特徴です。


またトレンド情報収集に特化しているため、ハッシュタグを利用したキャンペーンを実施したり、リアルタイムイベントなどと連動させて実況ツイートを行ったりする方法も効果的です。


内容によっては一気に炎上するリスクもあるので注意する必要があります。ちょっと笑えるようなユーモアのあるネタが拡散されやすい傾向にあるでしょう。

LINE

LINEは日本国内においてもっとも多いユーザー数を確保するツールです。9,000万人ものアクティブユーザーがおり、連絡用ツールとして幅広い年代で日常的に利用されているのが特徴です。


他のツールに比べて利用ユーザーの母数が多いため、LINE公式アカウントを運用することで、多くのユーザーへと情報を届けることができます。


LINE利用者のトーク一覧画面をはじめ、LINEマンガやLINEニュースなどの他サービスへ広告を掲載できる「LINE広告」を活用すれば、さらに多くのターゲットへ情報発信ができるのもメリットです。

Instagram

Instagramのユーザーメインの層は10代〜30代で、女性の比率がわずかに多いですが、日本国内では3,300万人ものユーザー数が存在すると言われているツールです。


画像・動画メインのSNSで、特に短い動画を投稿できる「リール」という機能が人気です。投稿にはハッシュタグをつけ、それを辿って検索するユーザーに見つけてもらうのが一般的な利用法といえます。製造業においては、商品の製造風景や機械が稼働している様子などを投稿することで拡散される可能性があるでしょう。


Instagramでは投稿文にURLを記載できるものの、そのまま遷移できないという点に注意が必要です。プロフィール欄にはサイトのリンクを設置できるので、自社サイトへ誘導するためには必ず設置することをおすすめします。

Youtube

YouTubeは世界各国でもっとも人気の高い動画配信プラットフォームの一つです。


ユーザーのメイン層は10代~40代であり、年齢層・国籍において幅広いユーザーが利用している傾向にあるため、より効果的なSNS戦略を打ち出せる可能性の高いSNSといえます。


企業における活用としては、商品・サービスの紹介が主流ですが、製造業では製造過程を撮影した動画をアップするだけでも視聴してもらえる可能性があります。YouTubeは規定の視聴者数や視聴時間を達成することで収益化も可能なほか、ライブ配信での投げ銭機能による収益化などのシステムも備わっています。

製造業がSNSで投稿すべきコンテンツ

製造業がSNSマーケティングを行う際、どのようなコンテンツを投稿すればいいのでしょうか?以下では投稿すべき6つのコンテンツを紹介します。

商品・サービス紹介

製造業におけるSNSマーケティングでは、自社商品・サービスを紹介する投稿が一般的です。画像や動画をアップすることで、よりわかりやすく情報を伝えることができます。


ニーズが合致するユーザーの目に留まれば受注が入る可能性があるほか、リードの獲得や認知度向上にもつながります。

製造風景

自社商品を製造する様子を撮影した画像や動画を投稿するのもおすすめです。


工場見学などのコンテンツが人気であるように、社内の人間にとってはありふれた様子でも、社外の人からは興味深く、価値の高いものである場合があります。


機械の稼働風景や製造過程を映した動画をアップすることで、思いがけず再生回数が伸びる可能性もあり、認知度向上も期待できます。

イベント情報

SNSでは展示会やイベント、セミナーなどの情報発信も大切です。


自社サイトだけでの発信では気づいてもらいにくい情報も、SNSで発信することでより多くの人の目に留まる可能性があります。自社の商品が気になっている人をより気軽に呼び込むことができ、集客効果に加え、新規リード獲得も見込めます。

自社の雰囲気が伝わる写真・動画

自社の雰囲気が伝わる写真や動画などを投稿することで、社内のリアルな様子をイメージしやすくなり、採用活動に役立てることができます。


理念や経営者のキャラクターを全面にアピールして、「この会社で一緒に働きたい」と感じてもらえるような投稿をするという方法もあります。社内での勉強会の様子や、社内行事の様子を投稿しても良いでしょう。


SNSマーケティングの目的が採用活動である場合は特に、社内の様子を積極的に投稿することをおすすめします。

社員の声

採用活動を目的とする場合は、実際に働いている社員の声を投稿するのも効果的です。


実際に従業員の率直な感想を載せることで、求職者の参考になる上、雰囲気がより伝わりやすくなるというメリットがあります。社内の内情を常日頃から投稿した上で、求人情報を小出しに発信していくことで、より大きな成果が得られるはずです。

キャンペーンの実施

SNSでは、自社商品に関連したキャンペーンを実施するという方法も有効です。


実施時にはアカウントのフォローや拡散を応募条件にするなどの工夫をすることで、拡散によるプロモーション効果が期待でき、認知度向上へつながります。


ハッシュタグを利用して写真や動画を投稿してもらうキャンペーンや、参加者に自社商品が当たるキャンペーンなどを実施すれば、話題性の創出という効果もあり、さらなる拡散が期待できます。

製造業のSNSマーケティングにおける課題・ポイント

製造業におけるSNSマーケティングでは、解消すべき課題やより成果を出すためのポイントがあります。以下で紹介しますので、実際に取り組む際の参考にしてください。

運用リソース・投稿ネタの不足

製造業におけるSNSマーケティングにおいて、運用リソースや投稿ネタの不足が課題とされる傾向にあります。


SNS運用は基本的に時間を要し、継続的に地道な投稿を行う必要がありますが、運用担当者の多くが他業務と兼任しているケースが多いのが実情です。そのため、「せっかく投稿しても分析をする時間が取れない」「投稿頻度の向上が難しい」「社内にノウハウが溜まらない」などの課題が生じることがよくあります。

 

また、SNSによっては成果を出すためにより多くの投稿を行う必要があり、「毎日やっているとネタが続かない」「何を投稿すればいいかわからない」「顧客が反応する投稿内容が思いつかない」などの、投稿ネタ不足に悩む運用担当者も多くいます。

コミュニケーションが難しい

「ユーザーと直接コミュニケーションが取れる」ということがSNSの魅力のひとつですが、その分「企業の顔となるアカウントでどのように接するべきか」が課題になりやすいという側面もあります。


SNS運用担当者の悩みの種となりやすく、想像以上に負担となって、精神をすり減らしてしまう可能性もあります。そのため、先述したように「担当者のメンタルケア体制」を設置するなど、サポート体制をしっかりと整えておくことが大切です。


また、最初からコメントやDMでの質問や意見を受けないことを決め、プロフィール欄でその旨を記載しておくことも一つの手です。

自社サイトへ誘導する

SNSマーケティングにおいて大切なのは、最終的にユーザーを自社サイトへ誘導することです。


特にリードの獲得を目的とする場合、SNSを通して自社を認知してもらい、自社商品に興味を持ってもらう必要があります。そのため、プロフィールに自社サイトのURLを記載することはもちろん、投稿内へのリンクの設置や誘導文を記載するなどの工夫が必要です。


最初に立てた目標を常に見据えてSNSを活用することで、さらに企業への興味を深めてもらい、目的が達成されやすくなります。

広告を出す

SNSでは広告を出すこともできるため、成果を出すために積極的に活用するのもポイントです。


数百円など、少額から実施できるのが特徴で、性別、年齢、地域など細かい条件を指定してすることもでき、ターゲットの目に留まりやすい広告を打てるというメリットがあります。


「どのくらい成果があるか」を実感するためにも、まずは小さい額で試してみることをおすすめします。

拡散機能を活用する

運用する際には、SNSの最大の特徴である拡散機能を活用することも大切です。


拡散されればフォロワー以外にも認知が広がり、新規リードや受注を獲得できる可能性も高まります。


具体的にはキャンペーンなどを実施する際、参加条件として自社サイトのフォローに加え、Facebookなら「シェア」、X(Twitter)であれば「リツイート」、Instagramであれば「指定のハッシュタグ」などを設定することで、拡散されやすくなります。

製造業におけるSNSマーケティング事例

近年では製造業においてSNSマーケティングを実施する企業が増加しています。以下では5社の事例について紹介します。

フジ産業株式会社

フジ産業株式会社は、長尺加工機の「パイオニア」として35年以上の実績がある企業で、長尺材を加工する工作機械をオーダーメイドで設計・製造・販売する会社です。


同社はFacebookやInstagramを通して、製品の紹介や納品の様子、新機能の情報などの画像・動画を発信しています。写真付きで導入事例が投稿されているのも特徴です。


また、月に一度の勉強会の様子や会社でのバーベキューの様子を投稿することで、社内の雰囲気を発信しています。生活に馴染みのない工作機械という業種でも、SNSを通して親しみやすい内容を発信することで、多くの人に自社のことを知ってもらうきっかけになります。


・フジ産業株式会社 HP:https://fuji-sangyou.com/

・フジ産業株式会社 Facebookアカウント:https://www.facebook.com/FJindustry

・フジ産業株式会社 Instagramアカウント:https://www.instagram.com/fuji_sangyo/?fbclid=IwAR3aMLx8Hvjar0GMsEoVlgE4EQ8OJNqcxVF9m_s6wZm5X-pzgO1ZoY7ovcI


株式会社クラレ

株式会社クラレは、「ミライバケッソ」のCMで有名な、日本で初めての国産合成繊維を製造した化学繊維メーカーです。樹脂・化学品・繊維など、世界トップシェア製品を多数有しています。


同社のYouTubeには企業CMや製造現場の様子を撮影した動画がアップされており、CMの視聴回数が100万回を超えているものもあります。会社案内や事業所紹介ビデオの動画もあり、HPの「会社案内」ページからも視聴できるようになっています。


また同社はSNSを活用した「アルムナイSNSシステム」という、珍しい取り組みを実施しているのも特徴です。


同システムは、退職した元社員のカムバック採用を行うための取り組みで、公式アプリを通して退職者に対して社内のトピックスなどの情報を提供し、退職者が再入社を希望する場合は、その旨をSNSから人事担当者に伝えることができます。


・株式会社クラレ HP:https://www.kuraray.co.jp/

・株式会社クラレ YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCZ1_x1mMHXG4QW83uJtcqJg

・株式会社クラレ アルムナイ・メンバーページ:https://app.official-alumni.com/register/kuraray


ナブテスコ株式会社

ナブテスコ株式会社は、産業機械向け減速機や、建物や駅の自動ドアを主力製品とする機械メーカーです。「鉄道車両用ブレーキシステム」や大型船舶の「遠隔制御システム」、などの輸送機器関連のモーションシステムも多く手掛けています。


同社はFacebook、X(Twitter)を活用し、1万人を超えるフォロワーに向けて情報発信をしているほか、YouTubeには会社案内ビデオをアップし、HPの会社概要ページから視聴できるようになっています。


発信内容は、自社商品の紹介をはじめ、イベントの情報発信、社員の声、プレゼントキャンペーンなど多岐にわたります。自社キャラクター「ナブテスコモンスターズ」を活用して発信することで、ユーザーにより親しみをもってもらえる工夫がされているのも特徴です。


・ナブテスコ株式会社 HP:https://www.nabtesco.com/

・ナブテスコ株式会社 Facebookアカウント:https://www.facebook.com/Nabtesco.corp

・ナブテスコ株式会社 X(Twitter)アカウント:https://twitter.com/Nabtesco_corp

オムロン株式会社

血圧計で有名なオムロン株式会社は、制御機器、社会システム、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開し、約120の国と地域で商品・サービスを提供するメーカーです。


同社はX(Twitter)やFacebook、YouTubeを活用して最新情報などを発信しており、同社製品の紹介はもちろん、ものづくりの現場や可能性、自社の取り組みや歴史、より良い未来に向けたコンテンツを投稿しています。


YouTubeでは「企業理念/Principles」「事業/Business」「技術/Technology」「ダイバーシティ/Diversity」「採用/Recruit」などの再生リストが用意され、それぞれ豊富な動画コンテンツが用意されています。


また自社が特集された番組や記事などをリツイートすることで、より深く自社を知ってもらうきっかけを作っています。


・オムロン株式会社 HP:https://www.omron.co.jp/

・オムロン株式会社 X(Twitter)アカウント:https://twitter.com/OMRON_Official

・オムロン株式会社 Facebookアカウント:https://www.facebook.com/omron.jp

日本サポートシステム株式会社

日本サポートシステム株式会社は、製造現場のスマートファクトリー化を実現するため、設計から製造、納品まで一貫生産体制をとって総合支援を行う企業です。


同社はFacebook、Instagram、X(Twitter)、YouTubeなど、様々なSNSを活用して情報発信をしています。HPのソリューションページの各事業のサイトではYouTube動画が埋め込まれ、それぞれの事業を紹介する動画が視聴できます。


YouTubeでは「画像処理シリーズ」をはじめ、「照明紹介動画」「IoT家電紹介」「【画処ラボ】パートナー企業インタビュー」など様々な再生リストや動画が多数アップされているのが特徴です。


X(Twitter)やFacebookではアンケートの実施や無料Webセミナーの情報発信が、Instagramでは社員の写真や新入社員研修の様子など社内の雰囲気が伝わるような発信や、SDGsに関する取り組みについての発信がされています。


・日本サポートシステム株式会社 HP:https://jss1.jp/

・日本サポートシステム株式会社 Instagramアカウント:https://www.instagram.com/jss__official

・日本サポートシステム株式会社 YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/c/GASHOLABO

・日本サポートシステム株式会社 Facebookアカウント:https://www.facebook.com/JSS1990/

・日本サポートシステム株式会社 Twitterアカウント:https://twitter.com/JSS_TXFA

まとめ

本記事では、製造業におけるSNSマーケティングについて、基礎知識から具体事例まで徹底解説しました。


ユーザーが日常的に使用しているSNSを活用してマーケティングを実施することで、自らHPを訪れない潜在顧客への発信、海外ユーザーへの発信も実現することができます。情報収集におけるハードルを下げられるので、より幅広く認知してもらえるきっかけになるでしょう。


それぞれのSNSには特徴があるので、自社の製品やターゲット、また伝えたいことによって最適なSNSを見極めて、うまく活用することが重要です。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

 

 

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Fri, 01 Sep 2023 16:53:19 +0900
<![CDATA[製造業におけるコンテンツマーケティングとは?ブログやホワイトペーパーなど施策をまとめてご紹介!]]> https://mtame.jp/column/manufacture_contents_marketing コンテンツマーケティングとは、Webブログやメルマガなど有益な情報をコンテンツとして発信して、顧客を獲得する施策のことです。 いままでWebサイトやSNSに力を入れてこなかったという製造業の企業も、コーポレートサイトを作成したり、メルマガを配信したり、コンテンツマーケティングに注力する会社が増えてきました。

 

製造業では、付き合いの長い取引先など決まった既存顧客とのやりとりが中心でしたが、コロナ禍を境に売上が減り、新規獲得の必要性に迫られている企業も多いといいます。インターネットの普及に伴い、新たな営業スタイルの構築も求められています。

 

そこで、本記事ではコンテンツマーケティングについて、メリット・デメリット、具体的なコンテンツ内容、実践方法などをまとめてご紹介します。「自社のサイトがうまく活用できない」「コンテンツを作成したけれど、成果につながらない」などの課題を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティングとは、見込み客が求めている情報を定期的に発信することで、彼らをファンとして定着させ、最終的な購買につなげるマーケティングの概念です。

テレビCMやテレアポなど、従来行われていた一方的な売り込み型とは異なり、ユーザーが「何を求めているか」を見極め、的確なタイミングで適切なコンテンツを提供していくのが特徴です。

 


コンテンツの提供方法もさまざまで、メルマガのように企業側から積極的にコンテンツを届ける手法もあれば、オウンドメディアなどを運用し、ユーザー側からコンテンツを閲覧しに来てもらう方法もあります。
いまではBtoC、BtoBを問わず、さまざまな業界でコンテンツマーケティングが取り入れられています。

コンテンツマーケティングとコンテンツSEOとの違い

コンテンツマーケティングはユーザーに「見つけてもらう」ことにはじまり、ユーザーが自ら「買いたい」という気持ちになるまでコンテンツ(情報)によるコミュニケーションを継続的に活用していく手法です。

 

コンテンツマーケティングと似た言葉に「コンテンツSEO」がありますが、コンテンツマーケティングとは別ものというより、その手法のひとつになります。

 

コンテンツマーケティングの手法はメルマガ、セミナー、SNSなど多種多様に存在します。そのなかでもコンテンツSEOは、作成したコンテンツが検索エンジンによって上位に表示されることで、検索流入を稼ぎ、集客を増やす手法です。

 

コンテンツSEOという言葉が生まれた背景には、Googleのアルゴリズムが進化し、SEOにおいてもコンテンツの質が重視されるようになったことがあります。

 

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コンテンツSEOとは?メリットから実施手順までを解説!

なぜ製造業にコンテンツマーケティングが必要なのか?

最近では、製造業でもコンテンツマーケティングに取り組む企業が増え、コンテンツ作成が重要視されるようになりました。注力されている理由は大きく二つあります。

一つ目は、ユーザー側の情報獲得手段が変化したことです。GoogleやYahoo!などインターネットの検索機能の発達や、スマートフォンの利用、SNSの普及などにより、ユーザー自身が好きな時に、欲しい情報を簡単に得られる時代になりました。

 

また個人だけでなく、企業でも購入を検討する際に商品やサービスの情報収集にWebサイトを活用しています。

 

ブランドやWebサイトに関する調査を行うトライベック・ブランド戦略研究所の「BtoBサイト調査 2022」によると、「仕事上の製品・サービスの情報源」として、66.7%が企業のWebサイトを参考にしていることが明らかになりました。

 

つまり、BtoB製品の販売が多い製造業では、質の高いWebコンテンツを作成すれば、営業やマーケティングの支援となり、売上向上の可能性があるといえます。

 

店頭に商品が並ぶBtoC製品と違い、製造業の製品は新規顧客に知ってもらう機会がなかなかありません。そのため潜在的な顧客層に売り込むには、まず知ってもらうことが重要です。そこで製品の特徴、利点、使い方、メンテナンス方法などの情報をコンテンツマーケティングで発信して自社製品をアピールすることが必要となっています。

二つ目の理由は、 顧客獲得の競争が激化していることです。 いままで製造業では、ルート営業や既存顧客の紹介など、リピートによる販売が中心でした。しかし、顕在的な購買顧客の獲得競争が激しくなったことで、従来の方法が通用しづらくなり、新たな手法での他社との差別化が求められています。

 

とくに製造業は、グローバル市場で競合他社との競争が激しい業界です。世界的なデジタル化の波に合わせて、コンテンツマーケティングで戦略的かつクリエイティブなアプローチをする必要性も高まっています。

 

これらの理由から、潜在的な顧客層へ、彼らの欲しがっている情報を提供することで囲い込み、最終的に購買顧客に育てていく「コンテンツマーケティング」が注目されはじめました。

製造業におけるコンテンツマーケティングのメリット

製造業がコンテンツマーケティングを実践するメリットは何でしょうか。ここでは4つの項目に絞って解説します。

①コストをかけずにはじめられる

コンテンツマーケティングは、メールマガジンやブログ機能を利用したオウンドメディア、コーポレートサイトのページの増産といったことからはじめられるため、社内で制作できる場合は人的コストのみでもスタートできます。

 

製造業は、既に製品に関する情報やノウハウをもっているので、それらを整理・再利用することで、新たなコンテンツの作成も可能です。

 

一般的なWeb広告と比べてみると、広告は月額数十万円程度はかかるため、それなりの予算が必要ですが、コンテンツマーケティングは、自社内でも制作可能なのでコストがかからず、広告費用を抑えられます。

 

コンテンツマーケティングは、効果が出るまでに時間がかかるため、はじめから大きな予算を投入しても、効果がすぐに得られる保証はありません。少額からはじめて徐々に予算を増やす方がリスクを軽減できるでしょう。

②コンテンツが資産になる

コンテンツは企業の重要な資産のひとつになります。Web広告の一つであるリスティング広告を例に挙げると、運用期間中は広告の露出ができますが、終了したら消失してしまいます。

 

一方、コンテンツは一度作成・発信すればWeb上に掲載され続け、企業の情報資産として蓄積されます。掲載期間の制約もありません。そしてGoogleから良質なコンテンツと評価されることで検索結果の上位に表示され、長期間にわたる集客効果が見込めます。

 

また、作成したコンテンツは、社内での新卒社員研修や営業ツールとしても応用可能です。コストを投じた分のコンテンツは自分たちの資産としてずっと残ります。

③SNSでの拡散効果が期待できる

SNSが普及し、「シェア」などの情報拡散行為が一般化した現在では、ユーザーは情報を収集するだけでなく自ら情報を発信する立場でもあるといえます。

 

ユーザーの興味・関心を満たす優れたコンテンツやおもしろい動画、ユーザーの悩みを解決する有益な情報など、ニーズに応えるコンテンツはシェアされ、自然に拡散されるようになりました。

 

企業側としては、コンテンツを発信するだけでおのずと集客ができ、ターゲットユーザーと接点をもてる点がメリットとなります。

④顧客のニーズを知ることができる

オンラインで施策を展開するコンテンツマーケティングなら、顧客の行動や反応をデータとして収集できます。集めたデータを分析すれば、顧客のニーズや行動パターンを理解し、より効果的なマーケティング活動が可能です。

 

たとえば、Webサイト上でどの資料がよくダウンロードされているのかを分析すれば、顧客のニーズが把握できます。さらに、MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入することで、どのページを閲覧しているのか、どんな頻度でサイト訪問しているのかなど、その後の行動も追跡でき、顧客の育成にも役立つでしょう。

製造業におけるコンテンツマーケティングのデメリット

一方、代表的なデメリットとして挙げられるのは以下の3つになります。

①効果が出るのに時間がかかる

多くのメリットがある一方で、成果を得るのに時間がかかる点はデメリットといえるでしょう。たとえばユーザーのニーズに沿った良質なコンテンツを配信したとしても、Googleに認識されてから検索結果の上位に表示されるようになるまで、数週間〜数か月かかる場合があります。

 

また、検索エンジンからの流入や、SNSで集客した潜在顧客をファンに育てるためには、ある程度の時間がかかるのが常です。

②継続的な配信が必要になる

Webサイトで顧客を集客する場合、コンテンツが更新されないとユーザーのアクセスは減少してしまいます。配信の間隔が空きすぎることは、ユーザーが離れてしまう要因のひとつです。

 

コンテンツマーケティングでは、成果がなかなか出なくてもコンスタントに配信し、継続的に更新し続けることが不可欠になります。そのため、短期的な集客効果を狙う場合には、広告運用の方が適しているかもしれません。

③コンテンツの制作に時間がかかる

コンテンツマーケティングの重要なプロセスであるコンテンツ制作は、品質を高めようとすればするほど時間がかかるものです。効果が出始めるタイミングが遅いことから、施策に途中で見切りをつけてしまう企業も少なくありません。

 

とくに製造業は、製品の生産や供給業務に集中している場合も多く、コンテンツマーケティングのリソース確保が難しい場合もあります。

 

また、製造業のコンテンツは専門的な情報が多くなりがちです。広く興味をもってもらうためにも、技術的な内容をわかりやすく解説するコンテンツを配信すると良心的でしょう。

コンテンツマーケティングの理想的な運用体制

コンテンツマーケティングの運用に悩む企業のために、ここからは代表的な手法であるオウンドメディアにフォーカスし、運用体制のコツを2つご紹介します。

①運用チームを作る

オウンドメディアの運用だけに専任できれば問題ありませんが、ほとんどの企業では、本来の業務をこなしながら、メディアも更新していくことになります。これを一人で続けるのは大変です。

そこで、複数名の担当者を決め、チームで協力しながら運用できる体制を整えましょう。さらに、責任者を決めて最終的なチェックを行えば、より有益なコンテンツが発信できます。

 

オウンドメディアの運用体制

②社内に蓄積している資料やノウハウを公開

先述したように、「オウンドメディアをはじめたが、なかなか更新が続かない」という担当者の悩みをよく聞きます。そのような場合は、定期的に更新ができて、かつユーザーが求める情報として、社内に蓄積されているノウハウやデータ資料をコンテンツとして掲載する方法があります。

 

自社では当たり前の情報でも、それを知らないユーザーにとっては貴重な資料です。他社には真似できない、オリジナル性の高いコンテンツにもなるでしょう。さらに、製造プロセスに特化したコンテンツを公開すれば、品質や安全性に対する信頼を高めることもできます。

よくあるコンテンツ形式

コンテンツを作成する際は、自社製品やターゲットに合わせてより伝わりやすい形式を選びましょう。一度作成すれば、営業ツールやセミナー資料など、ほかの媒体に応用することも可能です。

①Web記事

コンテンツマーケティングの形式として、圧倒的に多いのがブログ記事や知識系・ノウハウ系の記事です。自社に蓄積している技術情報を解説したり、新製品やスタッフ紹介など企業寄りの情報を掲載したり、社内で制作しやすいコンテンツからスタートできます。

 

なかでもおすすめなのが、製造工程の解説や自社の高度な技術について、わかりやすく解説した記事です。製造業の専門的な知識を活かして、製品の活用例やアイデアを提供できるとさらによいでしょう。その内容がユーザーの課題解決につながれば、企業の信頼度や認知度向上も期待できます。

②チェックリスト

製品・サービスのターゲットとして当てはまる見込み顧客の悩みに共感したり、潜在ニーズを喚起するような チェックリストを掲載すれば、問い合わせなどのコンバージョン(成果)に直結するコンテンツになります。

もっと広く潜在層にリーチできるような汎用性のあるチェックリストでも構いません。チェックリストは目を引きやすく、「ちょっとやってみよう」と気軽に参加してもらえるコンテンツなので、効果的に活用してみましょう。

③インフォグラフィック

インフォグラフィックとは、データや数値類などの情報をイラスト化してわかりやすく伝えるイメージコンテンツです。ひと目で理解できるように視覚化されているため、ユーザーへ親しみを与えることができます。

 

制作にはノウハウとセンスが必要となり、多少ハードルは上がりますが、一度制作すればWeb媒体だけでなく、パンフレットなどの紙媒体にまで幅広く活用可能です。 現在、Webサイトに掲載されているインフォグラフィックの多くはBtoC向けですが、BtoBとの相性も悪くはありません。

 

とくに製造業のコンテンツは、専門性が高いため、馴染みのない用語ばかりを並べてしまうと、ユーザーの負担が大きくなり離脱されてしまいます。インフォグラフィックを上手に活用して、ユーザーの興味を引くようなページ構成を目指しましょう。

④調査資料・レポート

自社で独自調査した結果をまとめた資料やレポートは、非常に価値の高い情報となり、コアなユーザーから求められます。コンテンツマーケティングのために新たに調査を行うのは手間ですが、定期的に調査活動をしている場合は一部でも公開することで立派なコンテンツになるでしょう。後に解説する「⑦ホワイトペーパー」にも活用できます。

⑤動画

YouTubeをはじめとする動画共有サイトの拡大や、スマートフォンの普及とともに、ユーザーが動画に触れる機会も多くなりました。
静止画よりも感情に訴えかけやすく、圧倒的な情報量を伝達できる動画は、企業のコンテンツマーケティングの一つとしても注目されています。

 

市場規模の小さいニッチな製品を扱う製造業では、文字や写真だけでは操作性まで伝わらない場合がありますが、YouTube動画を活用すれば、製品の使い方や作業工程などもよりわかりやすく紹介できます。YouTubeは、誰でも手軽に見られるので幅広い層にアピールできるでしょう。

⑥ウェビナー

ウェビナーとは、「Web+セミナー」の造語で、セミナーをWeb上で行うことです。新型コロナの拡大を受けて、2020年以降急速に普及し、いまではリアル開催で行うセミナーよりも手軽に実施できるウェビナーを行う企業が増えています。

 

オンラインセミナーなどとも呼ばれ、事前に録画しておいた動画を流すタイプと、閲覧者からの質問に回答しながらリアルタイムで映像を流すタイプがあります。
定員が決まっている来場型のセミナーとは異なり、主催者側は会場を用意しなくても多人数に参加してもらうことができ、参加者側も会場まで移動する時間と費用を抑えられます。

 

録画タイプであれば、何度でも繰り返し利用したり、都合のよい時間にコマ切れに視聴してもらったりといった柔軟性の高い活用が可能です。

⑦ホワイトペーパー

ホワイトペーパー

 

ホワイトペーパーとは、「役に立つ情報」や「課題の解決策」などユーザーに有益な情報をWebサイト上で提供するコンテンツです。 本来、ホワイトペーパーは特定の分野の研究結果や調査結果の報告書のことを指しますが、最近ではコンテンツマーケティングの施策として多くの企業が導入しています。
事実に基づいたデータのためユーザーからの信頼度も高く、ブログと違って一度に密度の高い情報を提供できる点がメリットです。

ホワイトペーパーのダウンロードと引き換えに、会社名や氏名などの個人情報を入力してもらい、企業はリード情報を獲得します。

 

【関連記事】

製造業におけるホワイトペーパーの重要性と具体的な事例を紹介!

⑧メルマガ

メルマガとは、メールマガジンの略称で、企業が顧客へ定期的に配信するメールです。新商品やサービスの紹介、セミナーの告知、お客様へのお知らせなど、さまざまな目的で使用されています。メールアドレスを登録した顧客に配信されるため、ターゲットに直接アプローチすることが可能で、開封率を高めればコンテンツを効果的に届けられるでしょう。

 

メルマガは、顧客との信頼関係を構築する手段としても有効です。たとえば、メルマガで製造業界の知識を身につけてもらったり、自社製品に興味をもってもらえれば、自社のファン創出につながり、売上向上が期待できます。定期的に価値あるコンテンツを届けることで、自社を認知してもらい、信頼関係が築けるでしょう。

 

施策を成功させるには、ターゲットにとって価値のあるメールを届けることが重要です。最新の動向や製品の開発秘話など、読者が興味をもち、積極的に読んでくれるようなコンテンツを目指しましょう。

 

【関連記事】

BtoB製造業のメールマーケティングとは?基礎知識から種類、コンテンツ例や具体事例などを徹底解説!

⑨導入事例

導入事例とは、自社製品やサービスを導入した企業がどのような成果を得たのかを具体的に紹介するコンテンツです。実際に製品を活用している他社の事例は信ぴょう性が高く、検討段階の企業の導入を促します。また、「導入の決め手」「導入後の成果」などを掲載することで、利用している様子をイメージしやすくなり、リード育成にも適したコンテンツといえるでしょう。

 

製造業の製品は、BtoCのような口コミやSNS投稿が少ないため、実際に使用している顧客のエピソードは貴重です。Webサイトに掲載したり、メルマガで配信したりすれば、同じような課題感をもった顧客からの問い合わせが期待できます。

コンテンツマーケティング導入後に起きやすい問題

①更新が滞り、コンテンツが追加されない

前述した「コンテンツマーケティングの理想的な運用体制」でも触れましたが、運用体制を複数名のチームにしておかないと負担が大きくなり、コンテンツ配信が滞ってしまいます。継続的に配信できなければ、ユーザーが離れてしまうかもしれません。

 

ただし、コンテンツマーケティングの目的が「コンテンツの更新」になってしまっては本末転倒です。効果測定をしながら、最適なコンテンツを制作していくことを忘れないようにしましょう。

②ゴール設計をせずにスタートしてしまい、効果測定ができない

一過性のアイデアだけではじめてしまった場合も、やはり「コンテンツの更新」が目的になってしまいがちです。

求めるコンバージョン(購入、ECサイトへの流入、問い合わせ、資料請求、アクセス数アップによる認知の向上など)を設定しておかなければ、効果測定ができません。 これらはサイト全体ではなく、個々のコンテンツごとに設定した方が効果が出やすくなります。

③企業が作りたいコンテンツばかり載せてしまう

自社の強みや新商品を紹介をしたくなる気持ちはわかりますが、企業のアピールしたいことだけをコンテンツ化するのでは、マーケティングは成り立ちません。

 

顧客は自身の課題解決や役に立つ情報を求めています。そのため、企業中心のコンテンツばかりだと、情報提供を目的とした広告だと気づき、顧客のことよりも企業目的が優先されている印象を与えてしまいます。

 

コンテンツマーケティングを成功させるためには、自社の製品やサービスに焦点を当てるだけでなく、ターゲットを架空の人物像として設定する「ペルソナ」や、顧客が購入に至るプロセスを設計した「カスタマージャーニー」を踏まえ、顧客が欲しい情報をコンテンツ化しましょう。

コンテンツマーケティングの実践方法

ここからは、コンテンツマーケティングを実践する際の手順をご紹介します。

①目的を決める

先ほど、「コンテンツマーケティング導入後に起きやすい問題」でもお伝えしたように、コンテンツの更新が手段から目的にならないよう、あらかじめゴール設定をしておくことが重要です。

 

【目的の例】

  • 製品を購入してもらう
  • ECサイトやSNS、コーポレートへの流入
  • お問い合わせ・資料請求をしてもらう(リードの獲得)
  • コンテンツへのアクセス数アップによる認知度の向上

 

目的設定については、こちらの記事もご覧ください。

サイトの目的とコンセプトを明確にしよう!

②目標を決める(PV、CVR、CV数、送客数など)

次に、目的をさらに掘り下げて、最終的な数値目標(KGI)を立て、そこまでに達成すべき通過点の目標(KPI)を決めます。 KPIを立てる際は、これまでのPV(ページビュー数)、CV数(コンバージョン数)、CVR(コンバージョン率)、送客数、客単価などのデータをもとにしましょう。

たとえば、「Webサイト経由の売り上げを1ヵ月50万円」のようなKGIを設定したとします。まず、これまでのアクセス解析などから、Webサイト経由の客単価とCVR(コンバージョン率)を割り出し、「1ヵ月50万円」を達成するために必要となるPV数(ページビュー数)とCV数(コンバージョン数)を逆算してKPIを設定します。

③ペルソナを立てる

 

次の「④カスタマージャーニーを作る」のために「ペルソナ」を設計します。 ペルソナとは、理想的な架空の顧客像のことで、コンテンツ設計を行うにあたってアプローチしたいターゲットを明確にします。 性別、年齢、職業、行動や価値観、ライフスタイルといった具体的なプロフィールを設定していきましょう。

 

コンテンツマーケティングにおけるペルソナ設計では、実際の優良顧客をリサーチ・分析して決めるのが有効です。想像で作り上げたりせず、できる限り実際の顧客を調査することをおすすめします。

 

「購買センター」を意識する

製造業においてペルソナ設計するときに重要視したいのが「購買センター」という概念です。購買センターとは、製品購入を検討する際、設計、製造、品質管理など複数の部署から関係者が集まり、組織的に購買に関わることをいいます。

 

それぞれの部署で購入時に重視するポイントが違ってくるので、どのポジションの担当者に向けてコンテンツを作るのかといったことも共有しておきましょう。

 

たとえば、購買センターの中でも生産ラインで実際に製品を使う「使用者」は、製品導入後に作業効率が向上するかを重視します。

 

一方、経営者など購入を決める「決定権者」は製品の性能もさることながら、供給の安定性や会社の信用度なども気にします。

 

ペルソナは、このような担当者ごとのニーズを意識しながら作成することも大切です。

④カスタマージャーニーを作る

③で設定したペルソナをもとに、顧客が製品を認知してから購入に至るまでの流れ=カスタマージャーニーを作ります。

購入までのプロセスには、何度か情報収集をする機会が訪れるので、その際にどんな情報が必要とされるかを検討してコンテンツに落とし込みます。この段階で、ニーズの高いコンテンツをすべて洗い出しておきましょう。

 

カテゴリーごとの特徴をつかむ

また製造業とひと言でいっても、販売している製品・サービスはさまざまあり、「部品」「原材料」「機械設備」「業務用供給品」「製造サービス」など商材ごとに分類すると企業の特徴がよりはっきりします。

 

たとえば、部品や原材料などの製品は、消耗品のため購入頻度は高いですが、価格帯は低く、定期的に購入してもらわなければ売上が見込めません。

 

一方、産業用ロボットや機械設備などは、価格が高いので1度の購入で大きな収益につながります。ですが購入頻度が低く、受注生産の場合が多いため、カスタマージャーニーも長いスパンでの作成が必要です。

 

このようにカテゴリーごとの特徴を細かく掴めば、どのようなカスタマージャーニーを作成すればよいのかがより明確になるでしょう。

 

カスタマージャーニーの作り方

⑤コンテンツスケジュールを立てる

カスタマージャーニーができあがったら、これに沿ってコンテンツスケジュールを立てましょう。 カスタマージャーニーをもとにコンテンツを計画することで、内容がブレずに済み、提供すべき情報を漏らさずにコンテンツ化できます。

コンテンツのなかには、記事だけではなく、ホワイトペーパーとなる技術資料やサポート資料など、他部署に作ってもらうものもあるでしょう。コンテンツスケジュールがあれば、公開に間に合わせるための事前依頼もラクに行えます。

 

コンテンツマーケティングで大事なのは、自社しか出せない専門的な情報をコンテンツに落とし込むことです。そのためにも、他部署と連携した調整が非常に重要となってきます。

またオウンドメディアでは、ユーザーに親しみやすさをもってもらえるように季節ネタ・時事ネタを織り込むことも大切です。作成の際には、Googleにクローリングされるまでに、公開から2ヵ月かかることも意識してスケジュールを立てましょう。さらに「⑦SNSを開設する」で説明する、企業SNSからの情報発信も並行して計画することがポイントです。

⑥オウンドメディアを構築する

オウンドメディアには、自社サイト、メールマガジン、ブログ型サイトなどがありますが、情報量と更新性などを考慮するとブログ型サイトを作成するのがおすすめです。ここ数年でBtoC・BtoBを問わず、オウンドメディアとしてブログ型サイトをもつ企業が増えました。

ブログ型サイトを作成すると、自社サイトやメールマガジン、SNSなど他媒体と連携したマーケティング活動が可能になります。その際ハブとしての役割を果たしてくれるのも、やはりブログ型サイトです。

自社サイトにブログ機能をつけたり、バナーからリンクさせたりと、自社サイトとの関連性を打ち出すやり方もありますし、社名をまったく出さずに、ユーザーの興味・関心のあるテーマで独立した情報サイトとして運営する方法もあります。どちらを選ぶかは、コンテンツマーケティングの目的や目標によって変わってくるでしょう。

実際の構築には、社内で制作するケースと、無料や定価で提供されているブログ機能を活用して内製化する方法、制作会社に外注する方法があります。予算があれば、ベンダーに外注するのもおすすめです。オウンドメディアのアクセス分析やコンサルティングまで行ってくれるので、手間をかけずにサイト作成ができるでしょう。

⑦SNSを開設する

オウンドメディアを構築したら、ユーザー接点としてより親しまれやすいSNSの企業アカウントを作って連携させましょう。具体的には、SNSでオウンドメディアの更新情報や企業ニュースなどをアナウンスし、それぞれのメディアへ流入させます。季節ネタ・時事ネタを発信するのもおすすめです。投稿のタイミングは、ペルソナが該当のSNSに触れる時間に合わせて決めます。

使用するSNSの種類は時代とともに変化しており、かつてはBtoBなら仕事に活用している人が多いFacebookが強く、BtoCなど商品ビジュアルを訴求したい場合はInstagramがよいといわれていました。

 

現在はInstagram、X(Twitter)、YouTubeを活用する企業が多いようです。各SNSの特徴と、最初に決めた目的・目標に合わせて媒体を選んでください。

ひとつに限らず、InstagramとLineなど、複数のSNSを併用する戦略もありますが、数が増えるほど運用負担も上がるので、社内リソースに合わせて広げていくとよいでしょう。

SNSは、拡散されやすいので影響力も高い媒体です。何気なく投稿した内容が炎上してしまう恐れもあるため、事前にSNSガイドラインを定めておくと安心です。

 

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⑧記事を作る

ブログ型サイトに投稿する記事の作成は、コンテンツスケジュールに合わせ、自分で作成したり、社内の作成担当者や外注先への発注を行います。

作成する際は、ペルソナやカスタマージャーニーをもとに、その記事の目的を明確にしましょう。記事を読んだユーザーに取って欲しいアクションを決めたうえで、まずタイトルもしくはキーワードと、全体の文字数(1記事あたり1,000文字前後の記事が多い)、見出しを決めます。ここまでをコンテンツマーケティングの担当者が行えば、社内の他部署にライティングを依頼したり、外注したりする場合もスムーズに行えます。

あらかじめ記事の表記や内容、引用などについてのルールを決めておくと、他部署や外注先に発注する際のコンセンサスがとれ、トラブル回避につながります。

 

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⑨ホワイトペーパーを作る

ブログ型の記事のほかに、「ホワイトペーパー」も作成して掲載しておきましょう。

 

ホワイトペーパーをダウンロードするのは、ブログ記事を閲覧するユーザーよりもペルソナに近いコアなユーザーである可能性が高いです。問い合わせをするほど検討度が熟してはいないが、情報収集したいと考えている見込み顧客と考えられるでしょう。

ホワイトペーパーのメリットは、ダウンロードの条件として企業名や氏名、メールアドレスなどの入力、あるいは会員登録をしてもらうことで、その後、見込み顧客へ直接アプローチできるようになります。

社内に眠っている技術資料や、製品CAD図、独自に調査した市場、技術動向の分析結果など、ホワイトペーパーとしてまとめられるネタはないか探してみてください。

 

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⑩広告を出稿する

オウンドメディアを開設しても、既存のコーポレートサイトやメルマガなどで周知するだけでは、製品や社名を認知している層にしかリーチできません。そこで有効なのが広告の出稿です。

 

広告を出稿することで、Googleにクローリングされるまで自然流入が見込めない公開初期のアクセス数も高められます。

広告にもデジタル、アナログ含めてさまざまな種類があります。今回のようなオウンドメディア開設の周知が目的の場合は、顧客接点が多く拡散性の高いSNS広告がマッチするでしょう。SNS広告は、メディア開設の周知以外にも、特定の記事を広告してコンテンツを拡散する手段としても活用できます。

⑪メルマガで拡散する

オウンドメディアへの集客方法として、メールマガジンもあります。すでにメルマガを発行している場合は、オウンドメディアを開設した旨をURLに添えて告知しましょう。また、新着記事の掲載に合わせて内容の一部をメルマガで紹介し、興味をもったユーザーをオウンドメディアへ誘導します。

 

メルマガを発行していない場合も、オウンドメディア開設を機に発行してみてはいかがでしょうか。低コストでスタートできますし、ユーザーの興味の度合いに応じて配信内容を変える「セグメント配信」を活用して、検討段階を一つ引き上げることも可能です。

 

配信先は、取引先やこれまでに名刺交換して社内に眠っている見込み顧客などです。オウンドメディアやコーポレートサイト上にメルマガ登録フォームを追加したり、ホワイトペーパーのダウンロード条件にメルマガ登録を掲げたりして、読者を増やしていきましょう。簡単に配信解除できるようにしておくことも大切です。

 

また、メルマガとは少し違いますが、社員に協力してもらい、メールの署名に開設したオウンドメディアのURLを記載してもらうのもひとつの方法です。

 

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メールナーチャリングの種類とコンテンツ例

⑫分析する

コンテンツマーケティングによる効果は、短期的には現れませんが、最初に決めた目的や目標をもとに定期的な分析を行い、改善していく必要があります。

 

具体的には、以下の指標をチェックします。

 

【チャネルごとの流入】

  • オーガニック…検索サイトからの流入数
  • ソーシャル…SNSからの流入数
  • リファラー…他サイトからの流入数
  • ダイレクト…URLを直接打ち込んだり、ブックマークからの流入数

 

GoogleAnalyticsなどのアクセス解析ツールを使って、大きな目的である「検索からの流入」が獲得できているか、SNSで拡散されているかを確認します。

 

【検索クエリ】

Googleサーチコンソールで検索クエリ(検索する際に入力された単語)を調べ、どのワードで流入してきているのかを確認します。狙っているキーワードで獲得できているのかどうかをチェックしましょう。

 

【評価の高いページ・低いページ】

  • PVが獲得できているページ
  • CVへの遷移が多いページ
  • 直帰率の高いページ
  • 離脱率の高いページ

 

これらをチェックすることで、どのページがユーザーからの評価が高いのかを確認できます。 評価が高いページは、コンテンツの追加やリライトなどページを強化する施策を進めて、検索順位をより強固なものにしましょう。

 

逆に、評価が低いページでは、タイトルや内容をチェックして問題点を明確にし、コンテンツを改善します。洗い出した問題点はデータ化して、次回のコンテンツ作成やキーワード選定にも活かしましょう。

 

【CVR・CV数】

  • サービス資料
  • ホワイトペーパーのダウンロード数
  • セミナーのお申し込み
  • メルマガ登録

 

目的としているCVや中間CVが獲得できているかを確認します。

 

【CVや中間CVからの受注率・受注数】

最後に、獲得したリードが有効なものかどうか判断するために、営業部門が集めたリードと、コンテンツマーケティングで集めたリードの受注率や受注数を比較します。 営業部門が集めたリードよりも受注率が悪い場合には、ホワイトペーパーの見直しや、ターゲットが検索しそうなキーワードを営業と再考する必要があります。

 

ここまでがコンテンツマーケティングの1サイクルです。分析した結果をもとに「⑧記事を作る」に戻り、PDCAサイクルを回して改善していきます。

コンテンツマーケティングに必要なツール

コンテンツマーケティングで成果を上げるためには、ユーザー目線に立った良質なコンテンツを安定的に配信すること、ターゲットユーザーの情報ニーズや購買フェーズに合わせてコンテンツを広める手法を選定することの二軸が必要です。

 

次に、コンテンツマーケティング施策の効率的な運用に欠かせないツールをご紹介します。

CMS

Webサイトの管理ツールであるCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)は、オウンドメディア運用にとくに役立ち、大量のページや複数のブログなど多くのコンテンツを管理する際に便利です。

 

CMSには「Wordpress」などに代表されるような無料でスタートできるものもあり、専門知識をもたずともWebサイトの更新・管理を行えるというメリットから、幅広い業種で活用されています。

 

以下は弊社が提供する「CMS BlueMonkey」の管理画面です。公開ページと同じ見た目でWebコンテンツの編集ができます。

 

CMS管理画面

MA

マーケティング活動の業務とプロセスを自動化するツールであるMA(マーケティングオートメーション)は、コンテンツによって顧客を育成するプロセスを自動化することができます。また、獲得した顧客情報を営業部門にスムースにパスすることも可能です。

 

MAツールの代表的なものにはMarketoやSalesforce Pardotなどがあります。また、国産ツールでは弊社が提供する「BowNow」や、SATORIなども近年支持を集めています。

 

MAツールをコンテンツマーケティングに導入する際には、カスタマージャーニーの整理と適切なコンテンツ配信を土台として、マンパワーだけで実行するには厳しい業務をサポートする手段として活用するとよいでしょう。

Google Search Console

Google Search Console(グーグル サーチ コンソール)は、Webサイトにアクセスしたユーザーがどのようなキーワードで検索したのかを調べられるツールです。

 

キーワードごとの表示回数やクリック数などが一覧でわかるので、各種のSEO施策に役立ち、コンテンツを作成する際のキーワード選定に便利です。

Google Analytics

アクセス解析ツールであるGoogle Analytics(グーグル アナリティクス)は、コンテンツマーケティングの効果測定に不可欠なツールのひとつです。

 

Webサイトのアクセス状況やユーザーの閲覧行動を追跡・計測でき、社内でのデータ共有にも便利です。

 

アクセス解析に必要な機能を無料で利用できることから、企業規模を問わず多くの企業で導入されているツールです。

まとめ

顧客のニーズや購買行動が変化している現代社会において、製造業ではコンテンツマーケティングへの取り組みがますます重要になっています。インターネットの普及で顧客は自ら情報を探し、製品や企業に対して高い情報要求をもっています。そのため、製造業者は顧客のニーズに応えるために、有益な情報を提供することが不可欠です。

 

コンテンツマーケティングは、製造業が自社の専門知識や製品に関する情報を活用して、顧客との関係構築を強化する手段として非常に効果的です。製造プロセスの公開や製品の活用例の提供、導入事例の紹介など、製造業ならではのコンテンツは、顧客にとって価値のあるものになるでしょう。

 

また、一過性の広告とは異なり、長期的な効果が期待できる点もコンテンツマーケティングの魅力です。地道な情報提供を通じて、顧客の信頼を勝ち取り、企業の成長に貢献することができるでしょう。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

 

 

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Fri, 01 Sep 2023 16:53:18 +0900
<![CDATA[製造業におけるSEOとは?メリットや具体的な手順を解説]]> https://mtame.jp/column/manufacture_seo SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、日本語で「検索エンジン最適化」を意味します。 最近では製造業でも、自社の取り扱っている製品や技術などで検索上位を目指すことが主流となっており、この記事をお読みの方も現在取り組まれている方が多いのではないでしょうか

 

そこで本記事ではSEOに関する基礎知識や製造業だからこそSEOが必要な理由やメリット、実際のSEOの手順などをご紹介します。

 

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SEOとは

SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、日本語で「検索エンジン最適化」を意味します。 検索エンジンとはインターネット上に存在するさまざまな情報(WebサイトやWebページ、画像、動画など)をキーワードで検索するシステムを指し、代表的なものではGoogleやYahoo!、Bing!などが挙げられます。

 

検索エンジンのアルゴリズムを考慮し、自社のWebサイトを検索結果でより多く表示させるために行う取り組みを「SEO対策」と呼びます。SEO対策によってWebサイトが検索結果の上位に表示されると、サイトへの流入機会が増え、集客数の増加や認知度の向上、コンバージョンの増加が期待できます。

製造業のSEOと一般のSEOの違い

製造業のSEOと一般のSEOはやり方は同じで、基本的に下記の流れで進みます。

 

1.どのキーワードでSEOを行うのか決める(キーワード選定)

2.選んだキーワードを使用して記事を作成する

 

しかし製造業SEOの場合、キーワードの選定が特に難しく、どのようなワードを選ぶかによってSEOの成果は大きく左右されます。

 

たとえばキーワードが専門的すぎてSEOをしても集客が見込めなかったり、技術に関する呼び方が複数あったり、業界ごとに製品の呼び方が異なるなどの理由から、「適切なキーワードが選べない」といった事態に陥るケースがあります。キーワード選定にあたっては検索需要が少ないとSEOをしてもアクセス数は伸びません。アクセス数を増やすためには検索需要を見越したキーワード選定が必要になります。

 

もうひとつは記事制作です。こちらは「一般の知識」と「製造業に関する専門知識」の2つが求められます。製造業のSEOにおけるメリットとしては、独自性が高いことが挙げられます。他社よりも優れたサービスや技術を持っていることが多いことから、記事のクオリティを高くすることができ、自社の独自性を全面に押し出すことでSEOを強化することができます。

リスティング広告との比較

リスティング広告(検索連動型広告)とは、インターネット広告の一種で、有料で検索エンジンに出稿できるテキスト型広告を指します。 ユーザーが検索したキーワードに合わせて検索結果の上部に表示されるため、他のWeb広告に比べ、商品の購入やサービスの契約といったコンバージョンを獲得しやすいのが特徴です。

 

Web集客の代表的な方法として、このリスティング広告とSEOの2種類があります。どちらも「検索エンジンからの集客施策」という目的は共通しているものの、費用や即効性などそれぞれ異なります。リスティング広告とSEOの違いは以下のとおりです。

 

  リスティング広告 SEO
費用 有料 無料
即効性(順位に反映される高さ) すぐに表示される 検索上位になるまで時間がかかる
コントロール性 高い 低い
ターゲット層 見込み客 幅広いユーザーに訴求

 

リスティング広告は、広告出稿してすぐに検索エンジンの上部に表示されることから、短期間で成果が期待できる即効性があります。新規事業の立ち上げやキャンペーンなど、期間限定の商品やサービスの宣伝に効果的です。コントロール性も高く、出稿するキーワードから対象となるユーザーの年齢・性別、居住地域まで細かく変更することが可能です。ターゲット層も顕在層と呼ばれる、自社商品やサービスへの興味・関心が高く、具体的に商品やサービスを比較検討している層なので、Webサイトへのアクセスや、商品購入などの成果を得やすいというメリットがあります。

 

短期間で成果を得られるリスティング広告ですが、サービスは有料のため継続期間が長くなるにつれて運用コストがかさむおそれがあります。また広告出稿を止めてしまうと、検索エンジンから表示されなくなるので、集客もそこでストップしてしまいます。

 

一方、SEOは基本的に無料です。またSEO対策を行い、Webサイトが上位表示されるようになると、コストをかけずに継続的に集客し続けることが可能です。ただし、検索上位になるまで相応の労力と時間がかかるので、求める成果が出るまで長期間にわたって粘り強く取り組む必要があります。

 

このようにリスティング広告とSEOでは特徴や強みに大きな違いがあります。目的や課題によって判断し、上手に使い分けていくことが重要です。

製造業においてSEOが重要な理由

これまで製造業における新規顧客獲得方法は、主に展示会が中心でした。業界団体やイベント企画会社が主催する展示会にブース出展し、製品に興味を持った来場者と名刺交換を行い、最終的に商談へとつなげる営業スタイルが従来の在り方でした。

 

しかし、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症により、状況は大きく変わりました。三密を回避するため展示会やイベントは中止を余儀なくされ、見込み顧客を獲得する機会が失われました。リアル展示会の代替手段として、Web上で実施されるオンライン展示会が急速に広がっていますが、リアル展示会と異なり「顧客に直接的なアプローチができない」「実機展示ができず自社のPRポイントが伝わりづらい」など、オンライン展示会に対して課題を持つ企業も少なくありません。

 

そこで多くの製造業の企業は新たな見込み顧客獲得の手段として、展示会から自社サイトを活用したWebマーケティングへとシフトしています。Webサイトに会社の所在地や連絡先しか載せず、「名刺代わり」のように捉えていた企業も、Webサイトをリニューアルして自社商品の魅力が伝わる製品ページを設けたり、サイトそのものを上位表示させるSEO対策を行ったりと、Webからの新規顧客獲得に力を入れ始めています。

 

そのため、製造業においてもSEOの強さが売上に直結するようになり、SEOが弱い企業は顧客に見つけてもらえず、見込み客を競合他社に奪われるという状況が起きています。Webからの新規顧客獲得を得るためも、SEOを実施し自社サイトを上位表示させることが重要視されています。

製造業におけるSEOのメリット

製造業でSEOを行うメリットを4つの観点から解説します。

1.潜在顧客へアプローチできる

潜在顧客とは、自社の製品やサービスを知らないものの、必要性に応じて商品を購入する可能性があるユーザーを指します。自身のニーズや課題を認識していませんが、適切なアプローチによって見込み客になる可能性があります。

 

たとえば「製造業 生産管理システム」で検索しているユーザーの場合、生産管理システムの特徴やメリットを知ることが目的で、システムを導入するかどうかはまだ決めていません。しかし、サイトのコンテンツ内容を通して生産管理システムの魅力をわかりやすく伝えることで、検索したユーザーから「もっと話が聞きたい」という理由でアポが入ったり、資料請求などのアクションが生じる可能性があります。

 

このように検索時点では導入の意思がないユーザーをアプローチし、自社の見込み客へと変えられるのがSEOのメリットです。

2.自社商品の魅力を伝えられる

インターネットやSNSが発達した今、潜在顧客は自分が求める情報を検索エンジンやSNSを活用し、手軽に情報収集できる時代になりました。一方で、企業が主体となって発信する情報は潜在顧客に届きにくくなっており、企業と潜在顧客をつなぐ「媒介」となるものが必要とされています。

 

その媒介となるものが、潜在顧客のニーズや興味関心を補う「コンテンツ」です。コンテンツには記事や画像、メールマガジン、電子書籍やホワイトペーパーなどさまざまな形式があります。

 

自社製品の魅力が伝わるコンテンツを制作することで、顧客ロイヤリティ(企業への信頼や愛着)を得られます。特に製造業に関しては、企業間同士での取引が多く、一度の取引で発生する費用も高額になることから、事前の情報収集は欠かせません。多数の類似企業と比較したうえで、最終的に購入する製品を決定することが多いため、自社製品の魅力が伝わるコンテンツを提供することで、製品導入の後押しにつながりやすくなります。

3.広告費を抑えられる

SEOは他の広告媒体と比べて費用を抑えられるのが特徴です。たとえば先述したリスティング広告は、クリックされる度に費用が発生する仕組みになっており、広告を出稿し続ける限り費用が発生します。そのほかの折込チラシやテレビCMといった宣伝媒体も定期的に配信をしなければ広告効果が得られず、出稿費用も高額になりがちです。

 

一方で、SEOは原則的に費用は無料です。SEO対策のために相応の労力や時間はかかりますが、一度自社サイトの上位表示に成功すれば、定期的なメンテナンスのみで継続的に集客し続けることができます。またリスティング広告のようにクリックしても料金が発生しないのもポイントです。広告費用を抑えながらWeb集客を図ることが可能です。

4.ブランディングの強化

ブランディングとは企業が会社のイメージやビジネス価値を高めるために行うさまざまな取り組みのことを指します。SEOで上位表示することで、このブランディング効果も期待できます。

 

仮にユーザーが機械の保守メンテナンスを任せられる業者を探していたとします。

 

A:「機械 保守メンテナンス 業者」など、保守メンテナンスについて検索すると上位表示されている業者
B:検索しても企業名が表示されない業者

 

AとB、どちらの業者のほうが信頼性が高く、依頼したいと思うでしょうか?ほとんどのユーザーがAを選択すると思います。またAのサイトに保守メンテナンスの重要性や必要性など参考になるコンテンツが提供されていれば、「Aのサイトでは保守メンテナンスに関する情報がたくさん掲載されている。Aのサイトを見ればよりいろいろな悩みや課題が解決するかもしれない」と判断され、Aの企業に対して信頼や興味関心を抱き、次回以降企業名で検索(指名検索)されたり、ブックマークに入れる可能性が高くなります。最終的にはAの企業に保守メンテナンスを依頼するアクションを取ることも考えられます。

 

SEOにより企業名が検索キーワードになれば、競合サイトがほとんどない状態になり、「保守メンテナンスを依頼するのであればAの会社」と認識され、さらなる集客が見込めます。SEOを行うことで、企業ブランディングを強化することが可能です。

製造業におけるSEOの進め方

本章では製造業におけるSEOの進め方を4つのステップでご紹介します。

1.SEOキーワードの選定

キーワード選定は、SEOの成果を左右する重要な要素のひとつです。適切なキーワードを選ぶことで上位表示の獲得とアクセス数の向上を実現できます。逆にキーワード選定をしないままWebページやコンテンツを作成した場合、全くアクセス数が伸びない可能性が高くなります。キーワードの選定を行う際はアクセス数やコンバージョンを重視し、ターゲット層に合致するキーワードにしましょう。

 

・アクセス数を稼げるか

自社サイトを多くの人に見てもらうためには、アクセス数を稼げるキーワードの選定は不可欠です。特に製造業の場合、扱う製品がニッチなことが多いことから、検索結果の1ページ目に表示されることを目指す必要があります。なぜなら、検索結果1ページ目(10位以内)と2ページ目で表示回数に大きな差が出るからです。2ページ目以降になると、クリック率は激減し、せっかく有益なコンテンツを載せていたとしても閲覧されることなく終わってしまいます。キーワードに関しては検索される回数が多く、かつ競合サイト数が少ないほうがアクセスを稼ぎやすいです。両者を調べて、アクセスの稼ぎやすいキーワードを選びましょう。

 

それではアクセス数を稼げるキーワードをどのように調べたらいいのでしょうか。おすすめはGoogleが提供しているキーワードプランナーという無料ツールの使用です。このツールを活用することで、キーワードごとに月間検索数を確認できるため、どのキーワードを使用すれば流入を得られるのかがわかります。

 

そのほかには検索結果の1ページ目で表示される内容と、自社で狙っている内容に乖離がないか確認するのもいいでしょう。

 

具体的には、「板金」というキーワードで検索した際、検索結果には金属板を加工する方法である「板金」ではなく、車の傷や凹みをもとに戻すための作業である「板金」が大多数を占めます。これではどれほど優れた板金のコンテンツを掲載しても、意味が異なるため上位表示をすることができません。このような状況を回避するには、「板金」という単独ワードだけではなく、「板金+精密」、「板金+薄板」などいくつか製造業に関するワードを組み合わせることが大切です。

 

・コンバージョン(成果)につながるか

SEOは、問い合わせや売上につながるコンバージョンの獲得が最終目標です。しかし中にはアクセス数が稼げるキーワードを設定しているにもかかわらず、一向にコンバージョンを獲得できないといったケースも見受けられます。その理由としては以下の3点が考えられます。

 

1.抽象度が高いキーワードを設定している

キーワードを設定し、実際アクセス数が増えているものの、成果につながらないのはだいたいこのパターンが多いです。たとえば「プレス加工」は抽象度が高い用語です。なぜなら「プレス加工」と検索するユーザーは「金型のプレス加工」を検索しているのか、プレス加工の方法について検索しているのかまで判別しにくいからです。たとえアクセスされたとしてもユーザーの目的に合致していない場合は離脱されてしまいます。

 

2.情報収集向けのキーワードを選んでいる

ふたつめは情報収集向けのキーワードを設定していることが挙げられます。検索エンジンを利用するユーザーの目的は、問い合わせだけではありません。業界の動向を調べたり、情報収集を兼ねて検索していることがあります。製造業においてはニッチワードを見つけることは重要ですが、あまりにも専門的なワードを設定してしまうと、ユーザーはその言葉の意味だけを調べて終わってしまう可能性が高くなります。

 

3.自社の強みをPRできているか

3つ目のポイントは「自社の強みをPRできているか」ということです。このキーワードを調べるには、対策したいキーワードで検索した際に、1ページ目に表示される競合他社のWebサイトを何社かピックアップし、自社と比較検討を行いましょう。似たような内容だった場合、競合他社との差別化ができず、他社に顧客を奪われてしまいます。自社サイトと競合他社を比較し、自社の強みを発揮できているかどうか、優位性を保てているかどうかしっかりと見極めましょう。

 

ただし、注意するべきなのはユーザーのニーズを理解した上で他社との比較をすることが大事です。ユーザーのニーズに沿ってないワードで他社と競ってもなんの成果も生まれません。自社の強みに気づける3C分析(「顧客(Customer)」「自社(Company)」「競合他社(Competitor)」の3つを分析し、自社が優位性を築くための成功要因を導き出すフレームワークのこと)を行うなどして、自社の強みを客観的に分析しましょう。

2.コンテンツの内容を決める

対策したいキーワードを使用して、掲載したいコンテンツの内容を決めていきます。本項では上位表示されるための3つのポイントをご紹介します。

 

・上位表示されているWebサイトを調べる

検索結果の上位に表示されるのは、読者にとって有益であるコンテンツであると検索エンジン(GoogleやYahoo!)に判断された記事です。検索エンジンで上位表示される基準(検索アルゴリズム)は公表されていないため、まずは現在上位表示されているWebサイトを正解と考え、上位表示されているサイトと見比べながら、どのようなコンテンツを制作をすればユーザーのニーズを満たせるかどうか調査・分析します。

なおWebページには特性があり、キーワードを解説する情報が多く載っている「知識系ページ」、キーワードを専門家が解説する「権威系ページ」、キーワードと関わりの深い業者などを紹介する「まとめ系ページ」の3つのタイプがあります。対策したいキーワードによってどのタイプのWebページが上位表示されているかは異なるので注意しておきましょう。

 

・キーワードプランナーの関連キーワードを調べる

続いてはキーワードプランナーを活用し、関連キーワードを調べる方法です。キーワードプランナーではキーワードの検索需要に加え、該当キーワードと関連性の高いキーワード(キーフレーズ)も調べることができます。たとえば「プレス合金」で調べると、「プレス合金とは」や「トランスファー 合金」といったように表示されます。このようなキーフレーズを盛り込むことで、より検索順位が上がりやすくなります。

 

・サジェストキーワードを活用する

最後はサジェストキーワードの活用です。サジェストキーワードとは検索エンジンの検索窓に調べたいキーワードを入力したときに自動的に表示される検索候補のことです。サジェストキーワードは検索ボリュームだけでなく、ユーザーの検索傾向やトレンドなどを反映しており、検索需要があるものが表示されています。

 

例)検索窓で「製造業」と入力すると、
「製造業 求人」「製造業とは」

 

とサジェストキーワードが並びます。この結果により、読者は製造業の求人情報や製造業の職種を知りたいことが推測できます。

 

サジェストキーワードにはユーザーの知りたい情報が隠れています。自身で考えてコンテンツ制作を行うよりも、サジェストキーワードを参考に記事制作を行ったほうが、効率よくユーザーのニーズに沿ったコンテンツを提供することが可能です。

3.Webページの作成

掲載するコンテンツが決まったら、コンテンツを掲載するためのWebページを作ります。Webページの作成には初心者でも手軽に編集ができるCMS(コンテンツ管理システム)を利用するとスムーズです。弊社も製造業における中小企業での利用シーンを前提に作られた「BlueMonkey」を提供しておりますので、ご興味がある方はWebページよりお問い合わせください。

 

CMSを選んだら、対策したキーワードをどのWebページに載せるのかを決めるためにサイトマップ(サイト全体のページ構成)を考えます。サイトマップ作成時に注意したいのが、Webページに下記3つの役割を持たせることです。

 

  • アクセスを稼ぐページ…対策したキーワードを表示させるためにSEO対策するページ
  • 自社の強みを訴求するページ…自社にしかない特徴やメリットをユーザーに訴求するページ
  • 問合せを獲得するページ…製品の資料請求や問い合わせなどユーザーのアクションを獲得するページ

 

この3つの役割は自社サイトを上位表示するうえで欠かせない要素です。サイトマップ作成時には必ず盛り込むことを意識しておきましょう。

 

Webページのタイトル作成も重要なポイントです。タイトルとは検索エンジンで検索したときに表示されるワードです。タイトル部分は一番最初にユーザーが閲覧する部分のため、文字数は短く(最低でも30字以内)、そのページ数をわかりやすく要約したものをつけるとクリックされやすくなります。またタイトルの下に表示される説明文、ディスプリクションについても同様です。ただしこちらは最低でも100文字は書き、タイトルで書けなかった補足やどのようなWebページを掲載しているのかが読むだけで伝わる文章にしましょう。

 

Webページ内においては、hタグをつけるとSEOに効果的です。hタグとはHTMLタグの一種ですが、「Heading(表題、見出し)」の略称です。hタグは見出しの大きさ順にh1~h6まで6段階あります。検索エンジンは構造化された文章を評価する傾向にあるので積極的に用いていきましょう。なおh1はページ内に1つ使用すると良いと言われているので、Webページ内ではh2を大見出し、h3を中見出し、h4を小見出しというスタイルで使用することを推奨します。

 

掲載する画像に関してもALT(オルト)入力すると、画像からの流入を得やすくなります。ALTとは、画像の代わりに表示されるテキストのことです。検索エンジンは画像の内容を完璧に把握できないため、ALTの記述をすることで情報が正しく理解されるというメリットがあります。

4.効果検証

SEOにおける効果検証とは、SEOを行ったWebサイト・ページが狙った成果を得られているかどうか測定することです。効果測定を行うことで、実施したSEO施策がユーザーのニーズに沿っているかどうか、適切だったどうかを検証することができます。SEOの効果検証で測定すべき事項は下記の6つです。

 

  • 検索順位
  • クリック数
  • コンバージョン(CV)率
  • 直帰率・離脱率・滞在時間
  • ページエクスペリエンス
  • 被リンク数

 

上記6つの数値を見ることで、SEO施策が成功だったかどうかを把握することができます。数値を測定するツールとしては、Googleが無料で提供しているアクセス解析ツール「Google Analytics」や、Webサイトの検索順位を確認できる「Search Console」を使用すると効率的にデータを分析することができます。

製造業のSEOのポイント

製造業のSEOに取り組むうえで重要なポイントを2点ご紹介します。

1.ペルソナを意識する

ペルソナとは、自社の製品やサービスを利用している顧客モデルです。指名や年齢だけでなく、居住地や職業、家族構成といったパーソナリティまで細かく設定し、実際に存在しているかのような人物像を設定することで、ユーザーに寄り添った施策を展開できます。

 

ペルソナで自社のターゲット層を明確にすることで、よりユーザーのニーズを満たすSEO施策を実施でき、上位表示につながりやすくなります。自社のターゲット層が曖昧な場合は、まずペルソナの設定から行い、利用するユーザーの詳細なイメージを意識しておくことが大切です。

2.競合他社との差別化を図る

SEOを行ううえでもっとも大事なのが競合他社との差別化です。うまく差別化を図ることができれば、独自性を強みにしたサイト運営ができるようになります。特に製造業においてはSEOを行い問い合わせを獲得するためには、加工事例を掲載することが近道になります。しかし加工事例はメーカーの掲載許可が降りず、掲載NGになる事例も少なくありません。その場合は、自社オリジナルの加工サンプルを作成し、Webサイトに掲載するといいでしょう。オリジナルの加工サンプルを掲載することで、自社の技術力がユーザーにも視覚的に伝わり、Webからの引き合いが増えるようになります。

 

このようにSEOとあわせて自社ならではの強みや魅力をうまくコンテンツにすることで、競合他社との差別化を図り、Webからの成約率を高めることができます。

3.社内にあるコンテンツを活かす

SEOの施策としてコンテンツ制作をする際に、0から作り上げるのは骨の折れる作業です。社内にある営業資料やセミナー動画、過去に出版した書籍などがある場合は積極的に活用していきましょう。

まとめ

本記事では製造業におけるSEOの重要性やメリット、実際にSEOを行う際の手順について解説しました。インターネットが普及しグローバル化が進む今、多くの企業の情報収集の手段はWeb検索がメインになっています。また新型コロナウイルス感染症の影響により、DX化が進み、人と対面せずともビジネス活動ができる手段や方法が広がりつつあります。

 

そのような状況下で製造業が生き残っていくためには、Web集客の強化は不可欠といっても過言ではないでしょう。特にSEOは一度上位表示されれば定期的な流入が見込め、安定した収益の確保が期待できます。またSEOは低コストで済むのもメリットのひとつです。上位表示されるまでには相応の時間がかかりますが、SEOで築き上げたコンテンツは会社の資産となり、大きな恩恵をもたらしてくれるでしょう。ぜひ自社のビジネスの参考にしてみてください。

 

またクラウドサーカスでは製造業DXに特化したデジタルコンテンツを多数掲載しています。弊社がこれまで支援してきたデジタルマーケティングやデジタル営業をはじめ、DXには欠かせない基本用語や概念についてもご紹介しています。無料で製造業向けのWebマーケティング支援事例集も公開しておりますので、あわせてご覧いただけますと幸いです。

 

 

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  • この記事を書いた人
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  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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Fri, 01 Sep 2023 16:53:18 +0900
<![CDATA[【無料資料プレゼント中!】 現役マーケターがどうしても伝えたい!製造業のデジタルマーケティングを非効率にしないための集中講座]]> https://bluemonkey.jp/download/digitalmarketing_efficiency/ Thu, 31 Aug 2023 00:00:00 +0900 <![CDATA[デジタルツインとは?シミュレーションとの違い、製造業での活用事例などをご紹介]]> https://mtame.jp/column/digital_twin
製造業DXや生産性の向上における重要なキーワードの1つが「デジタルツイン」です。 「デジタルの双子」を意味するデジタルツインとは、現実空間にあるモノや環境などのデータを取得し、デジタル空間上にその3Dモデルを再現する技術で、現実空間でおこりうる将来的な予測に役立てられています

デジタルツインには、トラブルを未然防げたり、コストを削減できたりと様々なメリットがあります。生産性の向上や、DXが急がれる製造業界において今まさに注目が集まっているテクノロジーの1つです。


そこで本記事ではデジタルツインとはなにか、製造業においてデジタルツインを活用するメリットや、活用事例をご紹介します。また、弊社はBtoB製造業を中心としたマーケティング・営業支援会社でもありますので、デジタルツインと営業のデジタル化の共通点についても最後に触れました。ご興味がある方はぜひご一読ください。

 

この記事がおすすめな人▼
・デジタルツインの基礎を知りたい
・デジタルツインとシミュレーションの違いを知りたい
・デジタルツインの事例を知りたい

 

 

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デジタルツインとは?

デジタルツイン(Digital Twin)とは、現実空間のモノや環境から取得したデータを、デジタル空間に再現するテクノロジーのことです現実空間を、デジタル上の仮想空間に、鏡写しのようにそっくり作り出すことから「ツイン=双子」と表現されます。グローバルインフォメーションが公開しているレポート(出典:市場調査レポート: デジタルツイン市場 )によると、デジタルツインの市場規模は、2022年の69億米ドルから2027年には735億米ドルに成長することが見込まれています。

デジタルツインを実現するには、現実空間とデジタル空間、これらの情報を連携する仕組みが必要です。IoTやAI、5G、AR・VRなどといった、最新のデジタル技術を使って、物理空間における膨大な量のデータをデジタル空間に反映させます。

AIがデジタル空間で行った分析・検証を、リアルタイムで現実世界にフィードバックすることで、未来の変化までを予測できるのがデジタルツインの特徴であり目的です。実際に使われている製品・稼働している設備や生産ラインなどの動的なデータを、リアルタイムで再現しながら予測を行うため、問題に対して即時にアプローチできます。

デジタルツインの歴史

デジタルツインの前進とされる概念は1960年代のNASAで活用されており、当時は「ペアリング・テクノロジー」と呼ばれていました。実際にはじめて活用されたのは1970年、アポロ13号の月面着陸ミッションにおいて水素タンク爆発事故が発生したときです。事故のデータをもとに、地上に設置されたアポロ13号のレプリカでシミュレーションを行い、地球への帰還方法を正確に指揮したというものです。

デジタルツインという言葉がはじめて使われたのは、1991年に米イェール大学デビッド・ゲレルンター氏が出版した著書「Mirror Worlds」 だといわれています。またデジタルツインの概念を提唱したのは、2002年当時ミシガン大学に在籍していた、現フロリダ工科大学教授マイケル・グリーブス氏。同氏がデジタルツインの基本原則や製造業への応用について述べたことで、この概念は製造技術者協会などを中心に学術的に広まりました。

2010年発行のNASAロードマップレポートで、主任技術者であるジョン・ビッカース氏がこの概念をデジタルツインと命名。さらに時を経た2017年、ガートナー社が「デジタルツインは戦略的テクノロジートレンドのひとつである」と位置付けたことで、現在多くの企業で活用されるようになりました。

デジタルツインが注目される背景

デジタルツインが広まり注目されている背景には、IoTや5G、AI、AR・VRをはじめとするデジタル技術の革新的な進歩があります製造業などにおける従来のシミュレーションは、実際にレプリカを作成する方法で行われるのが一般的でした。ただ近年、デジタル技術の進歩により再現技術が劇的に向上したことで、デジタル上でこれらのレプリカを再現しシミュレーションできる「デジタルツイン」が、ますます注目を集めるようになりました。

IoTを活用すれば、これまでは取得できなかった膨大な量のデータを、高い精度で取得できます。収集したビッグデータは、5GやLPWAなどの通信技術を使って、リアルタイムでサーバーに共有可能。これをAIが高い解像度で分析し、AR・VRを使ってまるでそこにあるかのようにモニタリングできるようになりました。従来のシミュレーションよりもさらにリアルに物理空間を再現し、リアルタイムで監視することで将来的なリスクを先回りして回避できるこの技術に、多くの期待が集まっています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)におけるデジタルツインの重要性

デジタル技術が急激に進歩する中、あらゆる業界や企業がDXに取り組んでいます。電通デジタル発表の調査によると、2021年にDXに着手している企業は81%、そのうちDX完了済みと回答したのは11%にのぼり、この数は年々増加傾向にあります。

出展

>日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2021年度)

ただDXを推進する上ではデータ収集に留まっている企業も多く、データを有効活用できているのは一部の企業・業界に限られているのも現状です。IoTなどで独自にデータを取得しているものの扱いきれていない、というケースは非常に多くあります。

このような理由で放置されているデータや、個別の目的において収集されたばらつきのあるデータでも、デジタルツイン上に集めることで設計からサービスまでを一つなぎに利活用できるでしょう。DX化を推進・完了させていく上では、大量データの活用における新たなフェーズとして、デジタルツインの考え方がますます重要視されています。

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デジタルツインとシミュレーションの違い

シミュレーションとは、実物と同じまたは近い条件の環境や設備・製品などによって実証試験を行うことで、デジタルツインもシミュレーションの一種といえるでしょう。

デジタルツインとシミュレーションの違いはいくつかあり、大きな違いはその再現方法です。デジタルツインは、デジタル空間に現実の要素を再現しますが、シミュレーションでは模型・レプリカなどデジタル手法に限りません

またデジタルツインは、現実から得たデータをデジタルに反映⇄デジタル上でAIが分析して現実へフィードバック、といった双方向性をもつ技術です。インターネットを活用して常に現実とデジタルがリアルタイムで連動するリアルタイム性も、従来のシミレーションにはなかった特徴のひとつです。

シミュレーションが現実のレプリカであるのに対し、デジタルツインは現実そのものがモデルとなっているため、より多くの視点から問題を監視・分析し、実際の設備や製品の改善により役立てやすいといえます。

  デジタルツイン シミュレーション
再現方法 デジタル空間 デジタル空間とは限らない(例:模型・レプリカ)
双方向性 双方向性がある 双方向性はない(連動していない)
リアルタイム性 IoT機器などをつかってリアルタイムで情報を取得するため、現実世界の変化とリアルタイムで連動する リアルタイムで反映されない
モデル構築方法 現実そのものをモデルとしている 現実のレプリカとして製作される

デジタルツインのメリット

デジタルツインは製造業だけでなく、建設業・輸送業・小売業や医療現場など幅広い業界で活用されはじめており、近年は社会問題解決の糸口としても注目されています。ここではデジタルツインを活用するメリット5つについて解説します。

レプリカ製作時間・コストの削減

デジタルツインを活用することで、レプリカ(複製品)の製作期間やこれにかかるコストを削減できます。製造業や建設業などにおいては、企画設計やデータ管理にデジタルツインを導入することで、実体のあるプロトタイプを作らなくても実証試験ができ、試作段階でモノづくりにかかっていた時間やコストを大幅に短縮できるでしょう。

たとえば製品や製造ラインの一部を変更する際、デジタルツイン上で事前テストをすることで、開発期間やコストを削減できます。再設計や再試験もデジタル上で実施できるため、開発のリードタイムを短縮でき、業務効率化にもつながります。

品質・安全性の向上

デジタルツインは、デジタル空間で完結する仕組みのため、製品や製造ラインを試作する場合も費用がかかりません。これまでスケジュールやコストの関係で難しかった実証試験を何度でも惜しみなく行えるようになり、また並行して複数のシミュレーションを実施できることからも、製品・設備の品質向上に大きく貢献すると考えられます。

また現場での事故や怪我につながりかねない危険なシミュレーションも、デジタルツインであればデジタル空間で行えるため、製造工程における安全性の向上も期待できます。産業においてリスクを低減しながらよりよい品質を追求できるメリットは大きいでしょう。

トラブルを監視・未然に防ぐ

デジタルツインは、設備や製品の将来的におこりうる故障についても予測でき、高い安全性の担保に役立っています。

たとえば製品・設備などでトラブルが発生した場合、内臓または設置されたセンサーによって現状データを取得し、デジタルツインに即時に反映します。AIは蓄積された膨大な情報から、将来的なトラブルの予測も含めて現状を分析し、すばやく判断を下します。またこのようなデータが蓄積されれば、トラブルを未然に防ぐアラート通知も可能に。故障の予兆に気づかずに見過ごしてしまうといったリスクも最小限に抑えられるようになるでしょう。

遠隔でも高い精度で正しい状況判断ができるため、車両や航空機のエンジンの損傷予測などに用いられ、予知保全はもちろん、メンテナンスコストの適正化にも寄与しています。

物理的条件のブレイクスルー

デジタルツインは、スペースや距離といった物理的制限を超えた活用可能性を秘めています。たとえば熟練のスキルをもつベテラン人員の技術やノウハウを、遠隔の指導員として複数の現場に共有できたり、このスキルをデータとして蓄積し活用できたりと、物理的な障壁を超えて業務改善に役立てられるようになります。

また新しい製品を開発する上で、物理的に必要となる人員やスペースを、デジタル空間で完結できるのもデジタルツインの大きなメリットです。開発中に失敗して廃棄になるといったロスも減らすことができ、さまざまな点において実証実験へのハードルが下がるため、物理的な制限から解放されるでしょう。

社会課題解決のカギ

デジタルツインは個々の企業・業界の課題はもちろん、SDGsに掲げられるような世界規模の社会課題を解決する可能性をはらんでいることから、実用化への期待が高まっています。以下は社会的課題に対するデジタルツイン活用の一例です。

  • CO2削減:エネルギー機器の開発期間を縮めるための技術開発
  • 自然災害:実際の都市における災害をリアルに再現して避難訓練を行い、被害を最小限におさえる計画
  • 少子高齢化:労働現場におけるデータを可視化し、だれもがある一定以上の水準で業務遂行できるよう人員を最適化
  • 食糧問題:デジタル上に農場のシミュレーションモデルを構築、土壌の状態をリアルタイムに把握することで、農作物の収量をコントロール

デジタルツインに活用されるおもなテクノロジー

デジタルツインにおいて活用される主要な5つのテクノロジーについてご紹介します。

IoT(モノのデータを収集)

IoT(Internet of Things=モノのインターネット)は、現実空間のデータを収集するのに必要な技術で、デジタルツインの実現には欠かせません。IoTによって現実空間の膨大な量のデータを正確に取得することで、より高い精度でデジタル空間に再現できます。

IoTは近年注目を集めるデジタル技術のひとつで、現実空間に存在するありとあらゆるモノのデータが取得できるようになってきました。IoTには種類があり、カメラやセンサーを設置したり、ドローンや衛生データによって監視したりと、さまざまな方法でモノの情報を取得します。取得できる情報はたとえば、環境(温度・騒音など)、モノの動きや位置、ドアの開閉、植物の水やりなど。これらの情報情報をインターネット経由で取得できるため、離れた位置からでもモノの状態を正確に把握できます。

5G(高速通信によるリアルタイム性)

5G(5th Generation=第5世代移動通信システム)は次世代の高速通信システムで、日本国内では2020年から提供が開始されています。従来の通信よりも高速であることはもちろん、低遅延・多接続を強みに掲げており、大容量データを扱うデジタルツインを実現するには欠かせない要素といえるでしょう。

デジタルツインを実現する上では、IoTの取得頻度や解像度、またセンサーの数によって、全体で必要な通信データ総量は増えていきます。5Gは、現実空間とデジタル空間のデータを、相互に高速通信することで成立するデジタルツインの実現を支える重要な要素です。

AI(データの高精度分析)

収集した複雑なデータを正確に解析して、未来的な予測につなげるのは、AI(Artificial Intelligence=人工知能)の仕事です。バラつきのある大量のデータも、AIにいくつかのパターンを把握させて学習させることで高精度な分析ができるようになり、製造業などではプロセス管理を効率化することにも役立っています。

古くから注目されてきたAIですが、近年の進化はとくにめざましく、AIのできることの幅は格段に広がってきました。とくに深層学習(ディープラーニング)技術などの躍進によって、膨大なデータの中から適切な情報を判別できるようになり、さらにリアルで複雑な再現・シミュレーションが可能になっています。

AR・VR(3Dモデルを可視化)

デジタルツインにおいて、膨大なデジタル情報を、視覚的にわかりやすく表示するために使われる技術としてAR・VRがあります。

AR(Augmented Reality=拡張現実)は現実に対してデジタル情報を重ねて表示できる技術、VR(Virtual Reality=仮想現実)は仮想空間をまるで本物のように体験できる技術です。実空間を拡張できるARを活用することで、将来的におこりうるリアルなシミュレーションを再現し、さらにVRによってこのデジタル空間に入り込み本物さながらに体験できるようになります。デジタルツインにおいては作業支援などの用途で取り入れられることが多いです。

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CAE(シミュレーション実行)

CAE(Computer Aided Engineering=工学解析・支援システム)は、製品設計・開発の際にシミュレーションを行う技術です。デジタルツインにおいては、デジタル上に再現した3Dモデルで、試作や実証実験などのシミュレーションを行う際に使われます。

実物のレプリカを用意せずともシミュレーションを行えるのは、CAEの技術があってこそ。CAE自体は以前から使われている技術ですが、IoT技術の躍進によってより複雑なデータをリアルタイムで扱えるようになったことで、CAEの活用に再び注目が集まっています。

デジタルツインの事例

シンガポールは、世界で初めて国をまるごとデジタル化するプロジェクト「バーチャル・シンガポール」を完了させました。デジタル空間に「今都市で起こっていること」を3Dモデルとして再現し、インフラ整備から犯罪、資源管理や沿岸保護計画までリアルタイムで把握・管理することに成功しています。その一例としては、近年叫ばれる再生可能エネルギーを目的とした太陽光発電ロードマップの作成にも活用されており、よりよい都市づくりのために現在進行形でデジタルツイン活用を拡大している事例です。

アメリカに本社を置くGE社は、デジタルツインを使って航空機のエンジンブレードをモデリングしていることで有名です。とくに航空機は維持コストも高額になるため、エンジンやパーツをデジタルツインで再現することで、経年による損傷・劣化などを把握し、メンテナンス頻度の最適化を図っています。また同社は鉄道などで使う製品にもデジタルツインを組み込むことで、顧客のコスト削減にも取り組んでいます。

2018年6月開催の世界初デジタルワールドカップ「2018 FIFAワールドカップロシア大会」では、デジタルツインの技術が活用されています。本大会で使われたのは、光学トラッキングによりリアルタイムで選手の動きをデータ化して記録し、デジタル空間で再現することでより詳細な分析を可能にしたもの。データ分析結果は、選手の采配や試合の展開予測に活用され、今後スポーツ界がますますデジタル化していく予感を感じさせました。

デジタルツインと営業のデジタル化

デジタルツインは生産工程に置けるデジタル化技術ですが、昨今同じように注目を集めている営業のデジタル化にも通ずるところがあります。例えばSFAやMAなどを使うことで、これまでの営業担当がアナログ(もしくはExcel等で)管理していた営業データをデジタル化し、日々の活動を可視化することが可能です。それにより、売れている営業マンの特徴を掴んだり、その行動内容で今月の目標に届くのかなどを事前に予測することができ、未達を事前に防ぐことができます。

デジタルツインはリアルタイムでのフィードバックが特徴なので、デジタル営業はどちらかというとシミュレーションに近しいものにはなりますが、売上予測を立てたり納品物の不足を事前に察知することができるメリットは共通しています。また、SFAやMAのデータを元にリアルにフィードバックし、リアルの活動データを取り込んで蓄積していく双方向性も似ています

これまでのアナログの営業では無しえなかったフィードバックのサイクルが、デジタル化によって実現できるようになります。全く別の分野にも見える営業のデジタル化ですが、デジタルツインと本質的な部分は近しくなります。製造業DXの1つの選択肢として、検討してみてはいかがでしょうか。


※参考までに、実際に弊社でも以下のようなお客様の声を頂いています。

BowNow(※)を活用することで、今までわからなかったお客様の行動が可視化でき、施策でも良い結果が生まれてきていることで、全社のWEBマーケティングに関する意識が高まり、目的が揃ってきています。今後は、BowNowをきっかけとしてマーケティングや営業活動のDX化をさらに推進させていきたいと思います。

引用元:BowNowをきっかけにマーケティングや営業活動のDX化をさらに推進させていきたい|マクセル株式会社様

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デジタルを活用し、使うべきところに集中する

DXを推進する上では欠かせないテクノロジーである、デジタルツインについてご説明しました。製造業において、デジタル技術で置き換えることができるところはどんどん置き換え、本来人が集中すべきところに集中することは、生産性を高めていくうえでも重要です。


また、製造業のデジタル化が求められるのは生産プロセスだけではありません。営業やマーケティングプロセスも同様に、デジタルを活用することで自動化したり、効率化したりすることで、顧客や製品に使う時間を増やしていくことができます。

製造業DXやデジタル活用は目的ではなく手段です。高い競争力を保持したり、製品やサービスを磨いて選ばれ続ける存在になるなるためにも、デジタルツインをはじめとするテクノロジーは積極的に取り入れていきましょう。

 

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Wed, 30 Aug 2023 00:30:00 +0900
<![CDATA[BtoB製造業のメールマーケティングとは?基礎知識から種類、コンテンツ例や具体事例などを徹底解説!]]> https://mtame.jp/column/manufacture_mail_marketing メールマーケティングを実施したいものの、「BtoB製造業のメールマーケティングは効果的なのか?」と疑問に思う方も少なくないのではないでしょうか?

 

「見込み顧客を新規顧客へと昇華させる」ことを課題とする企業が多い傾向にある製造業でメールマーケティングを導入することで、見込み顧客に対して定期的に自社の存在や商品・技術をアピールできます。需要が生まれた際に問い合わせをもらう可能性が高まり、課題の解決へとつなげられるなど、利益の拡大が見込めます。

 

本記事ではBtoB製造業におけるメールマーケティングについて、その重要性などの基礎知識からメリット・デメリット、成功させるコツや効果的なコンテンツなどを網羅的に解説します。最終章では具体的な事例も紹介していますので、参考にしていただけますと幸いです。

 

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BtoB製造業におけるメールマーケティングとは?

BtoB製造業におけるメールマーケティングについて、概要やその重要性について解説します。

メールマーケティングとはどんな施策?

メールマーケティングとは、メールを配信して顧客とコミュニケーションを取ることで、購買意欲を高めるマーケティング施策です。

 

目的達成のために「顧客へどんな内容のメールを送り、どのような行動を促せば良いのか」を考え、商談や展示会などで名刺交換した人や、問い合わせのあった人に対して適切なタイミングでメールコンテンツを配信していきます。

 

BtoB向けのマーケティングでは、「幅広く活用できる」「長期間・定期的にアプローチできる」「マーケティング活動の効率化」という理由から、今もメールマーケティングが効果的な施策として活用されています。

 

また製造業では、「見込み顧客を新規顧客へと昇華させる」ことを課題とする企業が多い傾向にありますが、BtoB向けのメールマーケティングを通し、見込み顧客に対して定期的に自社の存在や商品・技術をアピールすることで、需要が生まれた際に問い合わせをもらう可能性が高まるなど、課題の解消へとつなげられます

 

そのため現在、製造業におけるBtoB向けのメールマーケティングの重要性が高まっています。次章でさらに詳しくみていきましょう。

BtoB製造業におけるメールマーケティングの重要性

製造業では、製品の現物やカタログを手に取って見てもらう必要があるため、テレアポや飛び込み営業、展示会への参加などの「アウトバウンド営業」が主流でした。

 

しかし、少子高齢化による人材不足やグローバル化、急速なオンライン化やコロナ禍における対面営業の制限などの影響によって、従来の営業方法では効率の良い活動が難しく、製造業は大きな変革を求められるようになりました。

 

そこで、非対面でも効率的にマーケティング活動が行える「Webマーケティング」のニーズが高まり、その中でも効果的なBtoB向けのメールマーケティングの重要性が高まっているのです。

 

メールを通して自社技術や商品を定期的にアピールし、接点を持っておくことで、ニーズが高まった際に商談へつながる可能性が高まります。また自動でメールを配信するサービスなどを利用すれば手間も省け、人手不足などの問題を抱えていても、顧客との関係構築や見込み顧客のナーチャリングを効率的に行えるというメリットもあります。

 

従来のアウトバウンド主体の営業手法から、Webマーケティングを利用したインバウンドマーケティングに切り替え、メールマーケティングを取り入れる製造業の企業は年々増え続けています

 

ここで、メールマーケティングをより的確に理解するために、メールマーケティングと混同されがちな「メルマガ」との違いについて説明します。

メールマーケティングとメルマガの違い

メールマーケティングはメールを手段とする「マーケティング施策」であるのに対し、メールマガジンを意味するメルマガは、「同じ内容のメールを一斉に配信する」ことを指します。

 

つまり、見込み顧客の興味・関心度合いの引き上げや関係構築を目的とする「メールマーケティング」において、その目的を達成するための一つの手段として使用されるのが「メルマガ」です。

 

混同されやすい傾向にあるため、BtoB製造業のメールマーケティングを理解するためにも、ここでしっかりと両者の違いを理解しておくことが大切です。

BtoB製造業においてメールマーケティングを行うメリット・デメリット

BtoB製造業においてメールマーケティングを行うことで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?それぞれ詳しく解説します。

メリット

主な5つのメリットについて紹介します。

①低コストですぐに始められる

メールマーケティングは、低コストですぐに始められるというメリットがあります。

 

メール配信/分析ツールを導入するコストのみが必要で、比較的低価格で進めることが可能です。また継続的・定期的にメールを配信する必要もあり、長期的な視点から見てもコストを抑えられるのは大きな魅力といえます。

 

まとめて配信することもできるため人的コストも抑えられつつ、多くの見込み顧客と信頼関係を築くことができます。

②コストパフォーマンスが高い

メールマーケティングでは、自社技術や商品にすでに興味を持っている顧客を対象にメールを配信するため、高い反応が期待できる傾向にあります。低コストで高い効果を得られるというコストパフォーマンスの高さも大きなメリットです。

 

また従来のアウトバウンド営業と比べると、効果を検証できるため修正もしやすいため、その点も含めてコストパフォーマンスが高いといえます。

③効果測定がしやすい

メールマーケティングは効果測定がしやすいというメリットもあります。

 

「メール開封率」「クリック率」「受注率」など、取得した情報を収集・分析して、顧客の反応を数値でダイレクトに確認することが可能です。分析結果をもとに改善していけば、さらに効果の高いアプローチを継続的に行っていくことができます。

④休眠顧客にアプローチできる

メールマーケティングを導入することで、「名刺を交換した後放置してしまっている」「顧客情報を獲得したものの継続的にアプローチできていない」「過去取引はあるものの現在疎遠になってしまっている」などの、休眠顧客へアプローチできるというメリットもあります。

 

定期的に自社の存在を知らせることで、継続的に訪問するほど関係性が構築できていない顧客や、放置したままの顧客と接点を持ち続けることができます。

⑤リアクティブを検知できる

リアクティブを検知できるという点も、メールマーケティングを行う大きなメリットといえます。

 

「リアクティブ」とは、一度接点を持ったとしても、すぐに購入に至るわけではなく、情報収集を続ける中で何かしらがきっかけに突然アクティブになって購入に至ることを意味します。合理的な判断が下されるBtoB企業の購買フローにおいて重要なポイントとなる動きです。

 

メールマーケティングではリアクティブを検知できるため、顧客が行動を起こそうとする、もしくは起こした機会を逃さず、顧客にとって最適なタイミングでアプローチすることができます。このタイミングでのアプローチで話が商談へと前進することも多いです。

デメリット

主なデメリットは以下の2つです。

①コンテンツ更新のための情報収集が必要

メールマーケティングで高い効果を得るには、定期的にコンテンツを更新して、継続的なアプローチを行うことが重要です。

 

顧客の興味を引く魅力的なコンテンツを用意しておく必要があるため、常に情報収集を行わなければいけないという側面があります。

②分析にかかる負担が大きい

メールマーケティングは、顧客のニーズに合わせたコンテンツを配信する必要があります。そのため、「顧客のニーズの把握」「開封率やクリック率」「メール配信後の反応」などの情報を収集した後、そのデータを元にした分析が欠かせません。

 

セグメンテーションを詳細に行うことができる分、確認すべき数値が多くなるため、分析にかかる時間や手間は増え、負担は重くなる傾向にあります。しかし、正確に分析することでより高い効果が期待できます。

製造業で活用すべきメールマーケティングの種類

製造業で活用すべきメールマーケティングの種類について、4つ紹介します。

メルマガ

メルマガ(メールマガジンの略)は、顧客に対して同じ内容のメールを定期的、または不定期で一斉に配信する方法です。メールマーケティングの種類として最もよく知られている手法といえます。

 

メルマガはコストや手間を抑えつつも、見込み顧客や既存顧客との接点を持ち続けることができるというメリットがあります。

 

ただし、それぞれの顧客の課題に寄り添った内容ではなく、全ての顧客に同じ内容を配信するため訴求効果が弱く、開封率やリンクのクリック率も伸びづらい傾向にあります。

ステップメール

ステップメールは、資料ダウンロードやウェビナー参加などの行動をとった顧客に対し、設定しておいたスケジュールに沿ってメールを配信する手法です。

 

見込み顧客の検討フェーズに合わせて、興味・関心をステップごとに引き上げることを目的としています。例えば、資料請求のアクションを行った顧客に対してお礼のメールを送り、それから数日後に次のメールを送る、などの方法があります。

 

シナリオの作成や配信タイミングの設定など、準備に手間と時間がかかるという側面がありますが、行動を起こしたばかりの顧客は興味関心が高まっているケースが多いため、次の行動に導きやすく、効果が感じられやすい手法です。

ターゲティングメール

ターゲティングメールとは、メールの内容を考慮した上で、マッチしそうな特定のセグメントや層に限定してメールを配信する手法です。

 

企業規模や業種などの情報をもとに顧客のセグメント分析を行い、あらかじめリスト化した上で、配信対象やメールの内容をパーソナライズして配信します。より興味・関心がマッチする特定層に届けられるため、高い反応や効果が期待できます。

リターゲティングメール

リターゲティングメールとは、Webサイトへのアクセスやメール開封、資料ダウンロード、イベント・ウェビナーへの参加などの、リードの行動をもとにメールを配信する手法です。

 

商品やサービスに対して強い興味関心を抱く見込み顧客に向けて、最適なタイミングでメールを配信できるという特徴があり、高い反応が見込めます。

 

また解約ページを閲覧した顧客がいた際には、メールで営業担当者へと通知し、該当顧客へのフォローアップを促すという利用方法もあります。

BtoB製造業でのメールマーケティングで解決できる課題

BtoB製造業にてメールマーケティングを取り入れることで、どのような課題が解決できるのでしょうか?主な4つの課題について解説します。

①エンゲージメントが弱い

エンゲージメントとは、「企業と顧客の間の信頼関係」を指します。自社のリピーターになってもらうためにはエンゲージメントの強化が非常に重要であり、メールマーケティングを行うことでこの課題を解決することができます。

 

まだ取引がない見込み顧客に対しては、課題解決に役立つような情報を届けることで自社に対してプラスのイメージを持ってもらうことを目的とし、既存顧客に対しては、商品購入後にフォローメールを送ることで、より強固な関係構築やリピーター獲得を目指します。

 

自社ファンのさらに次の段階が「アンバサダー」であり、自社製品のファンの中でも、口コミなどで知人に自社製品を自ら拡散してくれる顧客を指します。エンゲージメントを強化できれば、アンバサダーの育成にもつながります。

②リソース不足で営業が十分に追客を行えない

営業部門が見込み顧客を追客していくうえで課題となりがちなのがリソース不足ですが、人員的に全ての見込み顧客を追客するのが難しい場合でも、メールマーケティングが役立ちます。

 

放置してしまいがちな見込み顧客に対して、メールで接点を継続的に持ち続けることは非常に重要です。

 

見込み顧客を「メールナーチャリング」によって育成していき、ある程度温度感の高い段階まで到達したら、営業へパスするという仕組みを整えることで課題を解決し、業務効率化を実現できます。

③顧客に対してアプローチする最適なタイミングがわからない

「MA(マーケティングオートメーション)ツール」を活用したメールマーケティングを導入すれば、「顧客がもっとも興味・関心のある最適なタイミングがわからない」という課題も解決できます。

 

「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化し自動化するツール」であるMAツールを使ってメールを配信することで、送ったメールの開封率や本文に記載したURLのクリック率、その後の閲覧ページの傾向などを計測することができます。

 

リアルタイムで顧客の行動を把握できるため、興味関心が高まったタイミングを逃すことなく、温度感が下がってしまう前にアプローチすることが可能となり、効果的に業務を進めていけます。

④見込み顧客の検討度合いが低く商談につながらない

見込み顧客が多くいるものの「自社商品購入への検討度が低く、商談まで辿りつかないという課題」も、メールマーケティングで解決へつなげることができます。

 

そのためには、メールマーケティングを通してナーチャリングを行うことで顧客をフォローする取り組みが必要です。アプローチし続けることで「興味をもっている」という状態から「商品の購入を検討する」、そして「商談成立」まで検討度合いを上げていきます。

 

その際に活用をおすすめするのが、先述したステップメールとセグメントメールです。

メールマーケティングに必要なツール

メールマーケティングを行う際は、大量のユーザーにメールを配信し、且つそれを管理するツールが必要となります。

 

本章ではメールマーケティングに必要なツールとそれぞれの特長を紹介します。

必要な機能とは?

メール配信に使用するツールを選ぶ基準である「必要な機能」について解説します。

グルーピング機能

「グルーピング機能」は、分類した条件に当てはまる顧客をグループとして一括にまとめ、メール配信先として設定できる機能です。メルマガ、ステップメール、セグメントメールを送る際に役立ちます。

 

たとえば、「自社商品Aを一度購入したことがある顧客」「〜業の営業担当者」など、条件やステータスごとに分類したグループに同様のメールを配信できるため、より顧客の興味関心に近いコンテンツのメールを効率的に配信することができます。

開封率・クリック率の測定機能

「開封率・クリック率の測定機能」は、配信したメールの開封率や、本文に記載したURLのクリック率などを測る機能です。

 

本機能があれば、顧客がメールに反応しているかどうかをチェックできるため、メールの内容やタイトルが効果的だったかどうかを判断できます。高い効果が得られなかった場合は、改善することで、より有用な取り組みにつなげられるでしょう。

 

また、同じグループのユーザーにAとBという異なった内容のメールを送り、反応率が良い方のメールを採用する「A/Bテスト」という施策があり、これを行う際にもこの開封率やクリック率を見て判断します。ツールの中にはこのA/Bテストを自動で行うものもあります。

HTMLメール作成機能

「HTMLメール作成機能」で作成されたメールは、文字だけのテキストメールに比べ、文字の色や大きさの指定、画像や動画の挿入など自由な表現をすることができます。

 

テキストメールだと開封率やクリック率の計測ができませんが、HTML形式でメールを作成することで効果測定も行えるようになります。

 

分析機能がついているツールはHTMLメールの作成ができる場合がほとんどですが、操作方法はツールによって様々です。専門的な知識がない人でもHTMLメールを簡単に作成できるツールもあるため、初心者の方は選定の際にチェックしておくと良いでしょう。

ツールの種類と特長

メールマーケティングに必要なツールとそれぞれの特徴について紹介します。

メール配信ツール

メール配信ツールはメールを自動で配信するツールです。

 

比較的価格が低いものが多く、費用を抑えて始められるうえ、費用対効果も高いといわれています。

MAツール

メール配信ツールはメール配信のみに特化したツールですが、多くのMAツール(マーケティングオートメーションツール)にもメール配信機能がついています。

 

MAツールでメール配信を行うと、Cookie情報をもとにして、メール開封やURLクリック、その先の顧客行動まで把握できるというメリットがあります。

BtoB製造業でメールマーケティングを成功させるコツ

BtoB製造業でメールマーケティングを成功させるために、押さえておきたい主な5つのポイントを紹介します。

商習慣を理解する

メールマーケティングを成功させるためには、商習慣を理解した上でメール配信のタイミングや内容を考慮する必要があります。

 

たとえば、BtoB企業において多くの担当者が平日出社後や昼休憩前後の時間帯にメールを確認するといわれているため、この時間帯を狙ってメールを配信することで、開封率やクリック率の向上が図れます。

 

また、決算期が近づくと年度予算の消化を狙って情報収集が盛んになるというような商習慣も大切です。このような商習慣に応じて、来期以降の導入検討に関するアンケートで最新の成約確度を確かめる、もしくは短納期できる商品を案内して売上獲得を図るなどの施策を打つことで、メールマーケティングをより効果的に実施できます。

 

また、取引がない期間に担当者が変更している場合があるため、何度かメールの不達が確認された場合は後任の担当者を確認することも、継続的に接点を持つために大切です。

部門間で協力し合う

部門間で協力し合うという点も、メールマーケティングを成功させるために重要なポイントです。

 

「メールの配信コンテンツ」「営業への問い合わせ内容」などの情報を、マーケティングと営業、カスタマーサービス部門の垣根を越えてシェアすることで、顧客からのアクションがあった際に各部門でスムーズな対応が可能となり、商談へとつながる可能性が高まります。また、適切な対応は自社に対する信頼度の向上にも影響するでしょう。

 

ナーチャリングを専任する「インサイドセールス」の設置が最も理想的であり、設置して受注確度の高い顧客のみを営業へパスできれば、より効率的なメールマーケティングを実現できます。

マルチパートメールを活用する

BtoBのメールマーケティングでは、マルチパートメールを活用することでより成功率を高められます。

 

マルチパートメールとは、HTML形式とテキスト形式を同時に配信できるメールを指します。HTML形式のメールを受け付けていない企業にもメールを届けられるため、企業の受信体制に影響されずに情報をきちんと届けることができ、メールの不達を防ぐことも可能です。

 

メールに挿入された画像の表示回数によって開封率の効果測定が行われるため、文章のみのテキスト形式はメールマーケティングに不向きとされていますが、メールを通じて生まれるチャンスを逃さないためにも、マルチパートメールの活用をおすすめします。

スマホでの閲覧も想定したレイアウトを施す

スマホからの閲覧を想定したレイアウトも大切です。

 

現在ではビジネスシーンでのスマホ利用が普及しており、待機中や移動先でメールチェックするシーンも増えているため、スマホからでも読みやすいメールコンテンツを配信する必要があります。

 

たとえば、スマホ・パソコンどちらからでも見やすいレイアウトにするため、一行の文字数に気をつけたり、できるだけデータサイズを軽くしたりするなどの工夫を施すことをおすすめします。

 

また前述のマルチパートメールを利用する場合は、スマホでの閲覧が可能かどうかをあらかじめ確認しておきましょう。読みやすいメールを配信すれば、信頼度や顧客満足度の向上、途中離脱の防止などが期待できます。

配信リストの量と質を確保する

メールマーケティングを成功させるためには、配信リストの量と質の確保も必要になります。

 

配信リストの量が確保できていない場合は、名刺交換・セミナー開催・自社のWebサイト・広告・SNSなどの方法で、少しでも増やしていくことが大切です。

 

また質が低いと効果測定の精度が下がり、メールマーケティング全体に悪影響を与える可能性があります。担当者の異動によるアドレスの変更や消去があった場合、もしくはメールの不達を検出した場合は、該当アドレスを除外して、新しい担当者やメールアドレスを確認するなど、質を高く保てるようにしましょう。

メールマーケティングのKPI・KGI

メールマーケティングを行う上で重要な指標となるのが「KPI」及び「KGI」です。それぞれ詳しく解説します。

①KPI・KGIとは

KGI(Key Goal Indicatorの略)は「経営目標達成指標」とも呼ばれ、企業の経営戦略やビジネス戦略を達成するために「何をもって成果(ゴール)とみなすのかを定める指標」を指します。

 

KPI(Key Performance Indicatorの略)は「重要業績評価指標」と訳され、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標を指します。KGIは「目標達成の結果」を確認する指標ですが、KPIはKGIに至る過程・中間指標です。

 

KPI・KGIを設定する際は、達成できたかどうかが明確に判断できるような具体的な数値を併せて設定する必要があります。KPI・KGIを設定することで、効果測定がしやすくなり、PDCA(Plan Do Check Act)サイクルを回す際により正確且つスムーズな運用を実現します。

②KGI例

KGIで設定する数値について、具体例を紹介します。

 

「売り上げ」を指標とする場合は、配信したメール経由での売り上げの数値を設定します。「コンバージョン数」は、メールの閲覧者が、会員登録や資料請求、商品の購入やお問い合わせ、メールの購読など企業の望む行動を起こした数値です。配信したメール経由でのコンバージョンを具体的な数値として設定することもあります。

 

どのようなKGIを設定するにしても、目標設定で大切なのはあくまで実現可能なレベルに設定することです。そして、この実現可能なレベルを設定するためには、現状の数値や費用対効果などを把握していなければなりません。

③KPI例

KPIで設定する指標には「到達率」「開封率」「クリック率」「コンバージョン率」があります。それぞれ見ていきましょう。

到達率

到達率は顧客にメールが届いているかを把握するための数値です。

 

配信していてもメールエラーで届いていなかったり、迷惑メールフォルダに分類されてしまったりして、顧客の目に入らなかったら意味がありません。「メール到達率=配信したメール総数-(受信エラー+迷惑メール)」で算出することができます。

開封率

開封率は、配信したメールのうち開封されたメールの割合を表します。

 

「開封率=開封数÷総配信数(×100)」で算出することが可能です。開封率が悪い場合には、メールの件名や送るターゲットの属性などを工夫する必要があります。

クリック率

メールに記載したURLがクリックされた割合を表すのがクリック率です。

 

メール配信から顧客が何かしらのアクションをする際はリンクからWebサイトに飛ぶ必要があるので、クリック率も重要な指標とされています。クリック率は「クリック数÷総配信数(×100)」で算出可能です。

コンバージョン率

コンバージョン率は、総配信数に対してお問い合わせなどのアクションがあった割合を指します。

 

配信したメールが最適だったかどうかの判断基準として活用できます。「コンバージョン率=コンバージョン数÷総配信数(×100)」で算出可能です。

④KPI・KGIを設定する

では、実際にKPIとKGIを設定してみましょう。

 

まず、最終目標であるKGIを先に設定します。たとえば、「メール経由での製品Aのお問い合わせを月10件まで増やす」と設定した場合は、過去のメール配信から算出できる、現状のさまざまな数値を洗い出します。

 

《例》

  • メール到達率:80%
  • 開封率:20%
  • クリック率:10%
  • CV率:2%

 

この例をもとに、お問い合わせ10件というKGIを達成するために、逆算してKPIを達成します。つまり「ひと月のお問い合わせ10件」を達成するためには、以下が必要です。

 

  • 総配信数:3万1,250件
  • 到達数:2万5,000件
  • 開封数:5,000件
  • クリック数:500件

 

これをKPIとして設定し、KGIが達成できているかの指標とします。

製造業で効果的なメールコンテンツ

製造業で効果的なメールコンテンツについて紹介します。配信すべき内容はビジネスモデルによって異なり、「高単価・案件獲得型」「低単価・案件獲得型」「低単価・既存顧客リピート型」に分けることができます。

 

本章ではそれぞれの型と、それに合ったメールコンテンツを紹介します。

高単価・案件獲得型

「高単価・案件獲得型」は商材の単価が20万円以上となるような、設備投資の商談成立への取り組みを要する企業を指します。

 

常に新規案件を獲得することが重要なので、定期的な情報発信を行い、顧客の検討アクションの把握を逃さず、最適なタイミングで営業へパスする必要があります。

 

この場合のメールコンテンツとしては、潜在層には「基礎知識」「ノウハウ」「業界動向」などのコンテンツを、顕在層には「事例インタビュー」や「技術情報」などのコンテンツを提供します。

 

また商談に向け、段階的に見込み顧客とコミュニケーションを取って関係性を構築できるように、例えば「基礎知識→カタログ→品質情報→価格情報」と徐々にステップアップしてもらうようなコンテンツを発信することも大切です。クリック情報をもとに、顧客の温度感を確認しておくと良いでしょう。

業界動向

鉄板の内容ともいえる業界動向の発信では、「業界大手の最新動向」「業界の最新製品」「業界に影響がありそうな法改正や時事ニュース」などの情報を発信します。

 

メール構成としては「見出し・要約・情報の出典先(URL)」を記載した上で、自社の見解を添えて独自性をアピールすることで、より価値を感じてもらえる上、ファンの育成にもつながります。

セミナー・ウェビナーなどの案内

近々開催する予定のセミナー・ウェビナーの案内や、自社が参加する展示会などの案内もメールコンテンツとして一般的です。段階的に見込み顧客の温度感を上げることに成功し、関係構築が進んだ顧客や、ステップが上がってきた顧客に配信すると良いでしょう。

 

具体的には「セミナーやウェビナーの内容・開催日時・参加方法・申込サイトのURL」

 

を明記します。開催後はセミナーや展示会の様子のレポートや、収集したアンケート結果などを配信することで、不参加だった見込み顧客の興味関心を刺激できるという効果もあります。

低単価・案件獲得型

「低単価・案件獲得型」は、主な商材単価が20万円未満で、カスタマイズ品が中心の企業を指します。

 

常に新規顧客を開拓する必要があるため、自社の技術力やノウハウ、実績などをアピールできる導入事例や成功事例をコンテンツとしてまとめ、配信することをおすすめします。

 

定期的に情報発信するためにも、自社のノウハウや技術力に関する内容を記事化しておくなど、常にコンテンツを用意しておくことが大切です。より検討の度合いが高い顧客に向けて、サンプルの申し込みや工場見学、無料相談などに関する問い合わせを設置して、顧客の検討度合いを把握できるようにする必要もあります。

導入事例・成功事例

まずは自社商品を購入した顧客にインタビューを行い、導入理由や導入から運用までのプロセス、運用した結果どのような変化があったのかをまとめてコンテンツにします。

 

導入事例や成功事例の紹介は、非常に高い説得力を持ちます。取材やライティングが必要となるため、時間と費用はかかりますが、実際に利用する顧客の生の声は具体的な導入のイメージを与えられます。

 

事例インタビューをコンテンツにする場合は、ホワイトペーパーやWebサイトなどに掲載する内容を要約したものと一緒に、該当ページへのURLを掲載する構成が一般的です。事例が複数ある場合は、業種や製品の種類ごとにわけて紹介するなど工夫することで見込み顧客に興味を持ってもらいやすくなります。

低単価・既存顧客リピート型

「低単価・既存顧客リピート型」は、商材単価が比較的低く、カスタマイズが少ない既製品を主な商品とし、既存顧客からの受注や次期案件の開拓が多い企業を指します。

 

既存顧客からの案件をいかに取りこぼさず、継続的に獲得し続けるということが重要です。メールコンテンツでは「新商品情報」や「お得なキャンペーン情報」をはじめ、リピート受注のきっかけとなる追加購入や故障などに関する情報を提供し、検討状況を把握します。

 

この場合は、すでに顧客との関係性が構築されている場合が多いため、営業担当者の氏名に送信元を設定する「1to1メール」での配信も効果があります。

製品の機能・Tips紹介

既存顧客に向けて、自社製品をさらに深掘りするような活用方法やノウハウを提供する「製品の機能・Tips紹介」コンテンツも有効です。

 

具体的には「関連商品との連携方法」「便利な活用方法」などがあります。他にも「FAQコンテンツ」や「トラブルシューティング」などを見込み顧客でも読めるように配信すれば、新規顧客に向けて配信することもでき、具体的な活用イメージを伝えることも可能です。

BtoB製造業のメールマーケティングの事例

BtoB製造業のメールマーケティングにおいて、具体的な事例を紹介します。自社のビジネスモデルと照らし合わせて、参考にしてみてください。

株式会社キーエンス

株式会社キーエンスはマイクロスコープや三次元測定機を提供する企業です。「ものづくりの現場で今日から役に立つ情報をお届けする」をテーマにしたメルマガを配信しています。

 

同社では基礎知識、事例、アプリケーションなど、マーケティングコンテンツが充実しており、新製品の情報の他に、ポカミスの防止に関するコラムや技術情報をはじめ、研究開発・品質管理で役立つ商品情報や、製造工程で使用される様々な素材の源を辿る連載「素材の旅」など、独自のコンテンツを配信しているのが特徴です。

 

製品を活用することでどのように成果を出せるかというノウハウや、わからないことがあればすぐに検索可能な「制御機器FAQ(よくあるご質問)」など、顧客のニーズが高い情報を積極的に案内しています。

 

また同社は本社が配信するメルマガだけではなく、営業担当者を名義とした1to1メールの配信など、工夫した取り組みを行っています。

 

・参照URL: https://www.keyence.co.jp/mail/107226_1.jsp

株式会社阪井金属製作所

金属加工を行う海外調達の株式会社阪井金属製作所では、「金属加工コラム」としてメールマガジンで様々な加工事例の最新情報を紹介しています。

 

金属加工などを行う企業では、自社技術や保有設備をよりわかりやすくアピールすることができるため、事例紹介は非常に重要であり、同社は全ての加工事例を写真付きでわかりやすく解説しているのが特徴です。担当スタッフの声も写真付きで載せることで、より信頼してもらうことができます。

 

また同社では、サイズ感が伝わりやすい画像を掲載したり、製品の視認性をよくするために背景を青色にしたりするなど、顧客に伝わりやすくするための様々な工夫が施されてる点も参考になります。

 

「最新のお客様の声」や「編集後記(番外編)」など、顧客とより良い関係性を構築するために役立つコンテンツも配信しています。商品を紹介した際は、該当商品や関連商品のURLを記載したり、「サンプル品の請求」「製造工程の見学」といったリンクを設置したりすることで、より見込み度合いの高い顧客の行動を促すことができます。

 

・参照URL: https://sakaikinzoku.com/back-number2021/mail-magazine-20210517/

株式会社トクシキ

電子機器から、自動車、家具・調度品、産業資材にまで及び化学製品を製造する株式会社トクシキでは、自社の技術を解説したコラムや、新製品の紹介などを配信しています。

 

自社技術に関して、特徴や種類をはじめ、活用用途まで詳しく紹介するコラムを配信することで、顧客に自社ならではの特長や強みを伝えることに成功しています。機密性が高く、実際の導入事例などの公開許可を得るのが難しいケースで参考にできるでしょう。

 

同社はメールだけでなく、Webサイト上でも「サンプル希望」のCTAが設置されているほか、よくある質問や用語集のリンク、お問い合わせやカタログのダウンロードなど、顧客のアクションを促す導線が設定されています。

 

・参照URL: https://www.orizuru.co.jp/backnumber.html

株式会社ミスミグループ本社

FA・金型部品、工具・消耗品などの間接材調達品を扱うECサイトを運営するミスミグループ本社では、新製品特集や規格拡張品などの情報を写真付きでわかりやすく発信しています。

 

様々な部品を販売する同社は、新規案件だけでなく補修部品として追加で購入されるような商材も多いのが特徴です。また「確実短納期」「低コスト」など、顧客の知りたいトピックをすぐチェックできるようなレイアウトになっているのも参考になります。

 

その他にも、わかりやすいCTAの設置や、商品レビュー投稿キャンペーンの案内、アンケートの実施など、様々な工夫が施されています。

 

・参照URL: https://jp.misumi-ec.com/news/mailmagazine/2021/05/

まとめ

本記事ではBtoB製造業におけるメールマーケティングについて、網羅的に解説しました。

 

メールマーケティングは多くの見込み顧客との接点を持ち続け、高い効果を見込める手法です。大切なのは、顧客のニーズに合わせた情報を最適なタイミングで提供し、配信後の効果測定とそれに伴う分析を行い、常に改善しようと取り組むことであり、BtoB製造業で導入することで売上アップはもちろん、自社のさらなる発展も期待できます。

 

マーケティング活動での成果が感じられない方や、BtoB製造業での経営に伸び悩んでいる方は、本記事を参考にしていただけると幸いです。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Mon, 28 Aug 2023 10:45:37 +0900
<![CDATA[製造業でもカスタマーサクセスが必須の時代に!?その背景をまとめました]]> https://mtame.jp/column/manufacture_customersuccess カスタマーサクセスは主にSaaSなどのサブスクリプション型(以下:サブスク)のビジネスで多く用いられていますが、日本の製造業においてもカスタマーサクセスが注目を集めているのはご存知でしょうか。

 

海外の製造業ではすでにカスタマーサクセスを導入する動きが出てきており、ドイツの大手製造業メーカーでは、カスタマーサクセスの求人を1000件以上(グローバル規模)も掲載、アメリカの大手電気電子機器メーカーでも100件以上の求人募集が行われています。

 

この動きは「顧客の課題解決を支援し、成功に導きたい」というカスタマーサクセスの考えが製造業にも取り入れられていることの表れであり、これまで製品の機能や性能を重視してきた製造業界のビジネススタイルに変化が出ていることが伺えます。

 

そこで本記事ではカスタマーサクセスの用語解説をはじめ、製造業でカスタマーサクセスが注目されている理由やおすすめ書籍などについて解説します。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセス(Customer Success)とは、自社製品やサービスの利用を通して顧客を成功に導き、それを自社の利益につなげる取り組み、あるいはその担当部門を指します。SaaS(サース)をはじめとするサブスクリプションモデルの台頭に伴い注目された概念で、LTV(顧客生涯価値:Life Time Value)の最大化を目的にしています。

 

なぜサブスクリプションモデルとあわせて広まった概念なのかというと、サブスク型企業の経営課題の多くはサービスの解約率の改善と継続率の向上にあるからです。新規顧客をいくら獲得しても、解約率が高ければ利益に結びつかず、安定的な収益を得ることはできません。

そこでカスタマーサクセスの考え方や組織体制を取り入れることで、既存顧客との良好な関係を築き、解約の阻止や継続率の維持・向上を図ることが可能です。現在、多くのSaaSサービスが提供されており、競争は日々激化しています。顧客が課題解決などの効果を実感できなければ、製品・サービスを長く継続するのは困難です。SaaSビジネスの成功には、顧客の満足度を高めるカスタマーサクセスの存在が欠かせません。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセスのよく混同されやすいワードに、顧客の契約・購入後のフォローを行うカスタマーサポートがあります。カスタマーサポートとカスタマーサクセスは顧客を支援するという意味合いでは同じものの、果たすべき役割や顧客とのコミュニケーション方法などさまざまな点で異なります。

 

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いについて、「使命(ミッション)」、「コミュニケーション」、「機能」の3つの観点をもとに下記図表にまとめました。

 

  カスタマーサクセス カスタマーサポート
使命 顧客の成功体験を作る 顧客満足度の向上
コミュニケーション 能動的 受動的
機能 活用支援(オンボーディング)、 アップセル・クロスセル 操作支援(ヘルプデスク)

 

図表の通り、カスタマーサクセスの最大の使命は、顧客の成功体験を作ることです。顧客が「成功」している状態とは、顧客が自社製品やサービスを利用することで、期待した成果を得られたり、解決したい課題を達成できたときの状態を表します。

 

そのため顧客からの問い合わせの有無にかかわらず、企業側から顧客に対して積極的にアプローチします。アプローチ内容は顧客が利用する製品やサービスの使用方法の説明から、サービス開始後のアフターフォローまで多岐にわたります。製品やサービスを契約したら終わりではなく、利用開始後も定期的に顧客の利用状況を確認し、顧客の課題解決から成功体験の獲得までをサポートするのがカスタマーサクセスのミッションです。顧客との良好な関係を維持することで、SaaSの解約防止のみならずアップセル・クロスセルの提案ができ、さらなる利益の創出が可能になります。

 

一方で、カスタマーサポートは主にコールセンターなどで顧客からの問い合わせにメール・電話・チャットなどで対応し、解決に導きます。顧客からの問い合わせというアクションによってはじめて対応し、製品・サービス購入後に顧客が抱えるさまざまな問題や要望をスムーズに解決することで、顧客満足度の向上を目的にしています。

 

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製造業でカスタマーサクセスが注目される理由

SaaSの台頭とともに広がりを見せたカスタマーサクセスですが、いま国内外の製造業から強い関心を集めています。その理由を4つの観点から解説します。

リカーリングモデルへのシフト

リカーリングモデルとは、継続収益をあげることで安定的な売上を維持するビジネスモデルのことです。「Recurring(リカーリング)」は「繰り返す」という意味で、顧客に製品やサービスを何度も購入してもらう収益構造を表しています。

 

リカーリングモデルを導入することで、安定的な収益確保による生産性向上や継続購入によって蓄積されるデータを分析・調査し、顧客のロイヤリティ(企業やブランドに対する顧客の愛着、信頼度を表す言葉)の向上を図るなどさまざまなメリットを得られます。

 

製造業においてリカーリングモデルが普及した理由はいくつかありますが、最たる要因としては従来の製品売り切り型のビジネスモデルが限界を迎え、世界規模でビジネスモデルが「所有から利用へ」シフトしていることが挙げられます。背景にはインターネットの普及やシェアリングエコノミーの発展が大きく、顧客は製品やサービスの機能や性能のみならず、これらを利用することで得られる体験に価値を見出すようになりました。

 

ゆえに単に製品やサービスを提供するだけではなく、顧客の成功体験を作るカスタマーサクセスがこれまで以上に重要視されているのです。

 

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サービタイゼーションの進行

またもうひとつの要因としては、サービタイゼーションの進行です。サービタイゼーションとは「製造業のサービス化」を意味し、製品とサービスを掛け合わせ、新たな付加価値を提供するビジネスモデルのことです。従来の製造業のビジネスモデルでは「製品を売ること」をゴールにしていましたが、サービタイゼーションは製品販売後のサポートやメンテナンス、アフターフォローまでのプロセスを「技術力」として販売し、販売後も取引の継続を目指します。

 

製造業でのサービス化が重視されている理由には、製品そのものの収益性が低下したことが挙げられます。テクノロジーの進化によって、東南アジアをはじめとする新興国企業が高品質製品を安価で販売するようになり、日本の製造業の強みである製品の品質による差別化が難しくなってきています。そこで企業が新たな活路を見出したのが、サービタイゼーションです。

 

大手タイヤメーカーのブリヂストンでは、バス・トラック事業者向けサービスとして、IoTによるセンサーでタイヤの内圧を遠隔モニタリングするデジタルソリューション「Tirematics(タイヤマティクス)」を提供しています。ホイールに設置された専用の内圧警報装置が内圧情報を定期的に計測し、異常を検知するとクラウドを通じて顧客に通知されます。「Tirematics」によって事故を未然に防ぎ、車両稼働の最大化を実現しています。

 

ブリヂストンのような良質なサービスを提供するためには、自社製品を活用した顧客の成功体験づくりが重要です。ただ製品を売って終わりではなく、サービスとして中長期的なフォローアップが必要になります。そのためにもカスタマーサクセスは欠かせない存在だといえるでしょう。

 

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データの取得と活用

製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)とカスタマーサクセスを組み合わせることで、新たな利益を生み出すことができます。具体的にはAIやIoT(Internet of Things、あらゆるモノをインターネットに接続する技術のこと)の導入によるデータの取得と活用です。

 

たとえば生産現場にIoTを取り入れることで、生産設備の異常や故障を事前に検知するだけでなく、生産現場の稼働状況をデータとして把握することが可能です。これらのデータをもとに、カスタマーサクセスによる生産設備の新しい機器導入の提案やメンテナンスサービスといったフォローアップによって、既存顧客からの売上を創出することができます。

 

これまで製造業においてデータ活用はあまり行われておらず、また製品販売後のアフターフォローに関しては、主に機器の故障予防のための定期メンテナンスがメインでした。定期メンテナンスなどは現場作業を伴うため、ロケーションの観点から地域の代理店や販売子会社にアフターサービスを業務に委託、あるいは販売からアフターサービスまでを一貫して委託する企業が大半を占めていました。ゆえに製品販売後の顧客動向は分かりづらく、アフターサービスによるマネタイズ化は難しいのが実情でした。

 

しかし、AIやIoTなどのデジタル技術の発達により、企業側がダイレクトに機械設備の稼働状況などをデータで管理できるようになったため、従来のメンテナンスサービスに加え、機械設備のオプション提案、または機械設備の新規導入提案といった積極的なセールスアプローチが実現し、アフターサービスのマネタイズ化に成功しています。

 

このようにAIやIoTによるデータ活用とカスタマーサクセスは相性がよく、新しいビジネスモデルを生み出せることから注目を集めています。

カスタマーエクスペリエンスへの関心の高まり

カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience:CX)とは、日本語で「顧客体験」や「顧客体験価値」を意味します。商品やサービスそのものだけでなく、顧客が商品・サービスを購入するまでの過程や、購入後のアフターフォローまでを含んだ体験の総称を指します。

 

このCXが重要だと言われ始めて久しいですが、製造業ももちろん例外ではありません。製造業においても製品のコモディティ化が進み、製品の性能や機能だけで利益拡大を図るのが厳しくなっていることから、CX施策を取り入れ製品の付加価値を高める動きが広がっています。満足度の高いCXは顧客満足度を向上させ、自社製品のリピーターやファンの増大、ブランディング強化などさまざまなメリットを得ることができます。企業が安定した収益をあげていくためにも、CX施策はとても重要な項目です。

 

優れたCX体験を提供するには顧客への適切なフォローアップと成功(サクセス)が不可欠です。CX戦略の一環として、顧客の成功体験づくりをサポートするカスタマーサクセスに関心を寄せる製造業が増えています。



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カスタマーサクセスの導入を阻む壁

LTVの向上や解約率の低減、プロダクトやサービスの改善や自社ブランドのファン化など、企業に利益をもたらすカスタマーサクセスですが、さまざまな要因により導入をためらう企業が存在するのも事実です。今回はカスタマーサクセスの導入を阻む3つの壁について解説します。

ROIが見えにくい

ROIとは「Return on Investment」の略称で、投資費用に対してどれだけの効果や利益があったのかを示す指標 です。カスタマーサクセスの成果は顧客が自社製品・サービスを利用し、成功を収めることで初めて得られます。ゆえに短期間で成果を出すことは難しく、成果を得られるのは最短でも1年はかかってしまうため、ROIが見えにくく、他部署などから「カスタマーサクセスの成果が出ていない」と判断されるケースがあります。

 

また部署の立ち上げに時間やコストがかかるというデメリットもあります。カスタマーサクセスは最低でも3つの部門・部隊を作ります。1つ目が実際にカスタマーサクセスの業務をする部門、2つ目がCHS(カスタマーヘルスコア、顧客が自社サービスを継続利用するかどうかを数値化したもの)を定期的に管理する部門、3つ目がVOC(顧客の声)収集による顧客要望をサービスに反映させる開発部隊です。サービス内容が複雑であれば、カスタマーサクセス部隊からの問い合わせや質問に対応する部門も必要になります。

 

そのほかにもCHSを確認するためのCRMツール(顧客管理システム)の導入や顧客要望をフィードバックできる体制の構築が求められるため、カスタマーサクセス組織の立ち上げから組織化まで一定の時間とコストが掛かることが想定されます。「カスタマーサクセスを設立しても、先行投資に見合っただけの利益を回収できるのだろうか?」と企業が懐疑的になってしまい、導入に躊躇してしまう側面があります。

目的が不明瞭

導入を阻む2つ目の壁として、カスタマーサクセスの重要性や目的を社内共通で認識できていないことが挙げられます。特に企業の意思決定スタイルがトップダウン型の場合に生じやすく、トップ層からの明確なビジョンやミッションが社内で共有されないことが原因とされています。トップとその下の組織に認識のズレがあると、活動の方向性に誤りが生じたり、思ったような成果が出ず、失敗に終わる可能性が高くなります。新規部署の立ち上げなど新しい取り組みを行う際は、その目的や意義を社内全体で理解し、ミッション遂行のために同じ意識を持つことが成功への近道です。

何から始めたらよいかわからない

カスタマーサクセスは比較的新しい職種のため、「社内で導入したいけど手順がわからない」「体制を構築したいがノウハウがない」と悩む企業も少なくありません。カスタマーサクセスの業務は広範囲にわたり、目的や目標のないままにやみくもに始めてしまうと、結果に結びつくまでに長い時間がかかってしまいます。カスタマーサクセスの活動を早期に軌道に乗せるためには、既存のノウハウの活用やツールを導入するのが有効です。具体的には以下3つのポイントを意識すると良いでしょう。

 

・カスタマーサクセスの目標を明確化する

活動を始める前に、自社の製品・サービスの現状と目指したい姿との間にどんなギャップがあるのかを整理し、分析することをおすすめします。カスタマーサクセスの活動の主な目的は、「サービスやサブスク製品の継続利用」や「アップセル・クロスセルによるLTVの最大化」、「顧客満足度の向上」の3つになると思います。自社の置かれている状況や目標によって、取り組むべき活動の優先順位は変わります。まずはカスタマーサクセスの目標をしっかりと定め、取り組みを開始しましょう。

 

・目標にあわせてKPIやKGIを設定

目標を設定したら、進捗状況や達成状況を適切に把握するためにKGIやKPIを設定することをおすすめします。数値で課題を見える化することで、自社の課題の把握や解決策の検討をスムーズに進めることができます。

 

・デジタルツールを活用し効率化を図る

CRMツールやカスタマーサクセスツールを利用することで、顧客の行動履歴や継続利用率などのデータを一元管理でき、必要な情報をすぐに取り出せるメリットがあります。顧客ごとにあわせたアクションも可能になるため、効率的にカスタマーサクセスの業務を行うことができます。

製造業なら知っておきたい「カスタマーサクセス2.0」

「カスタマーサクセス2.0」とは2018年にコンサル会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱した概念です。従来のカスタマーサクセス1.0では、主にBtoBのSaaSを中心とするサブスク型ビジネスを展開する企業が行う取り組みであると考えられていました。しかし「カスタマーサクセス2.0」は対象を限定せず、BtoCやサブスク型ビジネス以外の幅広い業界に適用できます。

 

また従来のカスタマーサクセスのメイン業務はSaaS型サービスの更新時における解約防止でしたが、「カスタマーサクセス2.0」では更新時に限らず、顧客の購買から利用ライフサイクル全体を通じて、顧客の成功体験づくりをサポートします。継続的なアプローチによって顧客に製品を長く使用してもらうだけでなく、他製品の良さも知ってもらえるようになるため、アップセルやクロスセルの機会を創出します。

 

すでに「カスタマーサクセス2.0」は日本企業でも実践されており、シャープ株式会社が販売する水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」の事例では、購買後の顧客の利用ライフサイクルにフォーカスしたサービスを提供しています。具体的にはウェブサイトでコミュニティーサイトを作り、ホットクックのレシピ投稿や閲覧から、ユーザー同士の情報交換ができるトークページを設け、ホットクックを活用した楽しい料理体験を提供し、既存顧客の満足度を高めています。結果、販売台数は2015年度の約3万台から大きく伸び、2019年には累計30万台の販売を記録しています。

 

この事例のように、本来は売り切り型製品でLTVの向上が難しい商品であっても、カスタマーサクセスの取り組みによって利益を最大化することが可能です。「カスタマーサクセス2.0」は解約の防止に留まらず、カスタマーライフサイクル全体の最適化まで実現しています。

製造業のカスタマーサクセスのおすすめ書籍

最後に製造業向けカスタマーサクセスをテーマにした書籍を2冊ご紹介します。

『製造業DX カスタマーサクセス編』

 

著:天野 眞也 出版:Team Cross FA(2020年9月発行)

 

製造業DXカスタマーサクセス編

■本書の特徴と構成

製造業DXの第一人者である著者が記した、『製造業DX』シリーズ3冊目の著書。製造業DXに関する基礎知識を解説した『入門編』、製造業DXを実践するためのノウハウを説いた『実践編』に続く本書では、製造業の顧客に「機器」「ソフト」「サービス」などの提供を行い、DX実現を支援するカスタマーサクセスの在り方について、実例や提言を交えながら、顧客の製造業DX実現と自社サービスを結びつけるために必要な支援や考え方を紹介しています。

 

またカスタマーサクセスのみならず、「サプライチェーン」や「エンジニアリングチェーン」、「デジタルファクトリー」などの製造業DXに欠かせない用語の説明から、製造業DXの必要性、製造業DXを担う人材についてまで網羅されており、「製造業DXとはなにか?」といった知識もあわせて得られます。「製造業DXを本格的に行ってみたい」「製造業でカスタマーサクセスを取り入れたい」という悩みを持つ企業担当者の方におすすめの良書です。

 

 

【目次】

第Ⅰ章 製造業DXとは
1 サプライチェーンのDX
2 エンジニアリングチェーンのDX
3 商品化業務プロセス改革
第Ⅱ章 デジタルファクトリーの構築
1 生産シミュレーション
2 動作シミュレーション
3 デジタルファクトリーの実現
第Ⅲ章 製造業DXの必要性と社会環境
1 価値の変容と不確実性
2 生産者余剰と消費者余剰
3 企業の競争力と新ビジネス
4 Society 5.0と製造業DX
5 Society 4.0と5.0の違い
第Ⅳ章 日本製造業の勝ち筋
1 マインドセットとグランドデザイン
2 スペック・アセット・スループット
3 投資対効果の数値化
4 SDGsの実現
第Ⅴ章 製造業DXを担う人材
1 DXエンジニア・デジタルファクトリーエンジニア
2 ゲーミフィケーション
3 働き方改革
4 誇れる日本を引き継ぐ
第Ⅵ章 製造業DXのQ&A
Q1 既存工場でも実現可能か?
Q2 人の仕事が無くなるのでは?
Q3 人手作業が多いと無理なのでは?
Q4 中小企業でも実現は可能か?

引用:Amazon

『B2Bのサービス化戦略: 製造業のチャレンジ』

著:C.コワルコウスキー、W.ウラガ 、 戸谷 圭子、 持丸 正明 出版:東洋経済新報社

 

『B2Bのサービス化戦略: 製造業のチャレンジ』

■本書の特徴と構成

『B2Bのサービス化戦略: 製造業のチャレンジ』はBtoB企業を対象に、欧米・日本企業の調査と事例から、製造業のサービス化戦略と戦術を体系的にまとめた実践書です。「日本の製造業・メーカーが進むべき道筋は、サービス化の実現へと企業文化を変換させることにある」と説き、なぜサービス化が必要なのか?といった理由から、サービス化に必要なマインドセットや組織マネジメントまでわかりやすく解説しています。

 

本書の特徴としては、コマツ、ダイキン工業、ゼロックス、トヨタ自動車などの日本の製造業1,000社の調査データが掲載されている点です。各企業のサービス有償化の状況や経営者のマネジメント・スタイル、シーズ志向に関する調査データなど、さまざまな観点からサービス化に関する日本の製造業の最新動向を把握することができます。

 

人々の価値観がモノの機能面のみならず、モノとサービスの統合から生まれる経験の価値を重視するようになった今、製造業もまた製品中心からサービスおよびソリューション中心の企業へと変革していくことが求められています。グローバル市場で日本の製造業が勝ち抜くためには、製品中心の思考を打破し、製造業のサービス化による新しいビジネスモデルの創出が必要不可欠であると述べられています。サービス成長戦略を設計して実装したいと考えている製造業BtoBのマーケティング担当者や経営者にとって、非常に役立つ一冊です。

 

【目次】

第Ⅰ部 サービス経済化する世界
第1章 サービス経済化する世界とその課題
第2章 なぜサービスなのか?
第Ⅱ部 サービス化戦略
第3章 真のサービス文化の構築のためのマイルストーン
第4章 組織目標との整合性
第5章 組織変革に向けたビジョンとリーダーシップ
第6章 サービス組織デザイン
第Ⅲ部 サービス化への準備
第7章 サービス化の6つのハードルと4つのサービス・カテゴリー
第8章 サービス化に必要なリソースと能力

第9章 4つのサービス・カテゴリーの価値と価格
第Ⅳ部 サービス化戦術
第10章 サービス設計と生産性
第11章 サービス・セールス部隊の変革
第12章 チャネル・パートナーのマネジメント
第13章 サービス・イノベーションのための方法論 

引用:Amazon

まとめ

本記事では製造業におけるカスタマーサクセスの重要性や国内外で注目される理由、おすすめの書籍などについて紹介しました。

 

近年ではグローバル化によって世界中の企業で同じような製品を作ることが可能になりました。斬新な機能を搭載しても、すぐに似た製品が他社からリリースされてしまい、製品の特長による市場の優位性ができにくいのが製造業を取り巻く現状です。そこで他社製品との差別化の手段としてカスタマーサクセスによる付加価値が求められています。モノからコトへの転換が進んでいる製造業において、今後カスタマーサクセスはますます重要視される分野であり、製造業のビジネスモデルの主流になるといっても過言ではないでしょう。ぜひ自社のビジネス成長のヒントとして、参考にしてみてください。

 

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カスタマーサクセスとは?目的、指標、カスタマーサポートとの違いなど、まとめました!

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

 

 

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Mon, 28 Aug 2023 10:43:56 +0900
<![CDATA[MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは?特徴やメリット・デメリット、進め方などを網羅的に解説]]> https://mtame.jp/column/MMM MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは、マーケティング活動のどの施策が成果にどれくらい貢献したかを明らかにするため、統計学的に分析してモデル化する手法です。

 

多様化しつつある中マーケティング活動において、本来はわかりづらい広告の貢献度が捉えやすくなることに加え、最適な戦略立案やマーケティング投資対効果の最大化につながるなど、施策の全体最適を図る手法として注目され、現在その必要性が叫ばれています。

 

本記事ではMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)についての基礎知識から特徴やメリット・デメリット、進め方まで、網羅的にわかりやすく解説します。

 

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MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは

MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)について、その概要や重要性、混同されがちなMTA(マルチタッチアトリビューション)との違いなどを解説します。

MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは

MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは、マーケティング活動のどの施策がどれだけ成果に貢献したかを明らかにできるよう、統計学的に分析してモデル化する手法です。

 

広告や販売促進などのマーケティング施策にかかる費用と、その結果生まれた売上・利益の関係を解明することで最適な戦略を立て、マーケティングの投資対効果を最大化するのがMMMの目的です。

 

分析結果から、どの施策が最も効果的か、もしくは効果的でなかったかを明らかにすることができるため、マーケティング施策の改善はもちろん、最適な予算配分などにつなげることもできます。

 

マーケティングに統計学的手法を応用する取り組みは新しい考え方というわけではなく、これまでにもログ分析や消費者調査などを通して、個別具体的に成果を評価する取り組みがされてきました。

 

ではなぜ現在MMMの重要性が高まっているのでしょうか?

MMMの重要性

現代のマーケティング活動においては、集客するためのチャネルの確保が必要不可欠であり、そのためには顧客とコミュニケーションをとることが重要です。売上げの拡大を目指すのであれば、新規顧客にも情報を届けるなどし、より多くの顧客とコミュニケーションを図る必要があります。

 

そこで企業は、TV・ラジオ・新聞・雑誌などのオフライン広告に加え、自社サイトやSNS、デジタルサイネージなどのオンライン広告を利用した「OOH(Out of home advertising)」という新しい媒体を融合させることで多くのチャネルを確保し、顧客とコミュニケーションを図るようになりました。

 

このようなマーケティング施策を「メディア・ミックス」といい、近年のマーケティング戦略では重要な役割を担っています。しかし多くのチャネルを利用しただけでは、顧客との密接な関係性を構築するのは難しく、メディア・ミックスを常に最適化する必要があります。

 

そこで登場するのがMMMです。MMMではメディア・ミックスで利用された様々なチャネルのデータを分析した上で、マーケティング活動に最適な媒体やチャネル利用方法を特定することができます。

 

またその際必要となる「ROI」(Return On Investmentの略:「投資収益率 」とも呼ぶ)の調査と、マーケティング戦略の見直しにもMMMが役立つため、現在その重要性が非常に高まっているのです。

 

MMMと混同されがちな手法に「MTA(マルチタッチアトリビューション)」があります。MMMを的確に理解するためにも、両者の違いを明らかにしておきましょう。

MMMとMTA(マルチタッチアトリビューション)との違い

MTA(マルチタッチアトリビューション)は、クッキーなどの個人の行動追跡データに基づき、オンライン上での広告が事業成果に与える影響を測定する手法です。顧客がコンバージョンに到達するまでのプロセスを分析し、広告の接触履歴に成果を配分してその効果を評価します。

 

MMM・MTAどちらも、過去データを分析してマーケティング施策の売上貢献度を解明し、広告予算などの最適化を図るという点は共通していますが、異なるのは「分析のベースとなる情報」です。

 

MMMは売上に影響を与える要因に関して「時系列ごとの連動性」に基づいて分析するのに対し、MTAは「各タッチポイントでの顧客接触データ」をベースにしています。

 

そのためMTAは、マーケティング・販売をオンライン上で完結するEC事業者などのデータを高精度で分析することはできますが、オンラインとオフラインを融合させた施策を打つ企業の場合、オフライン施策における個人履歴データの取得が難しく、詳細な分析は行えないでしょう。

MMMの特徴

MMMには主な4つの特徴があります。それぞれの特徴について詳しく解説します。

数学的処理が必要

MMMにおけるデータ分析には、統計知識やモデリングなどの数学的処理が必要という特徴があります。

 

観測できない「潜在変数」と観測できる「顕在変数」を分析データに入力することで、マーケティング活動の施策が互いにどのように影響を与えあっているかを推定し、その効果を数値にして可視化するため、社会科学や行動科学にも用いられる構造方程式モデリングなどの処理を行います。

 

複雑な計算を行う必要があるため、多くの企業ではMMM専用ツールや分析ソフトが活用されています。

異なる種類のデータ蓄積・分析が必要

類似するデータだけではなく異なる種類のデータを蓄積し、対比して分析しなければならないという点もMMMの特徴です。より正確な分析や推定を実現するためには、詳細なデータを蓄積する必要があります。

 

たとえば、製品やサービスにどれだけのアクセスがあり、何件がアクセスから販売につながったのかを示す「サービスごとのアクセス量」や「媒体のインプレッションやリーチ量のデータ」「媒体に支払ったコスト」などのデータを、日次で取得・蓄積します。

 

さらに「売上金」「製品の販売総数」「マーケティング施策を実施した時期の経済データ」「気候情報」「販売店・顧客の地理情報」などに加え、特定のキャンペーンを実施した際にはそのデータも蓄積することが大切です。

 

異なる様々なデータを蓄積・分析することで、より正確なMMMのモデルを作成できます。

複数施策の相互効果を検討する

MMMでは複数の媒体や施策を用いた場合でも、互いに与える効果や影響などを検討してモデル化できるという特徴があります。

 

オンライン(ターゲティング広告など)とオフライン(新聞など)、どちらにも広告を打った場合、それぞれが広告としての誘因効果を持つだけでなく、互いの広告を後押しする効果が生まれます。

 

たとえばオフライン広告を出した後に、オンライン広告のクリック率が高くなっているとすると、相互効果があったといえます。またMMMではよりわかりやすく相互効果を検討するために、単体の広告を通して獲得できた効果を「ベース」とし、ほかの広告の影響で獲得できた結果を「インクリメント」として数値化するのもポイントです。

過去事例や外部要因などを分析材料にできる

過去の事例の評価・分析データなど、マーケティング活動施策のデータ以外も分析材料として活用できるという点も、MMMの大きな特徴です。

 

例えば、過去の事例における「どのような製品が・どこで・いくらで・どんなプロモーション活動を通して販売されたのか」というデータはMMMにとって非常に重要な情報であり、これらを活用してモデルを最適化していきます。

 

また想定していない出来事によって、結果が目標から大きく外れてしまった場合に、MMMでは「国家間の争い」「災害」「気候」などの外部要因を含めて分析ができるのもポイントです。

 

逆に、施策が失敗したとしても、何らかの外部要因によって成果が出るというケースもありえます。想定外の外部要件によって失敗に終わった際にも、外部要因を除いたマーケティング施策のピュアな成果を数値化することができます。

MMMを構成する「4C」と「4P」とは

MMMは、「4P」と「4C」という構成要素から成り立っています。「4P」と「4C」について、それぞれ詳しく解説します。

「4P」とは

「4P」とは、マーケティングミックス業務の諸要素を4つのPで表し、適切に組み合わせるマーケティング施策です。

 

4つのPは

 

  • Product(製品、戦略)
  • Price(価格)
  • Place(流通)」
  • 「Promotion(プロモーション)」

 

の頭文字を表しています。個別で成り立っているものではなく、密接にかかわっているため「整合性が取れているのか」が重要です。それぞれの意味について説明します。

Product(製品、戦略)

「Product(製品、戦略)」は企業が生産する製品やサービスを指します。

 

MMMにおける第一の「P」がProductであり、4つの構成要素の中でも特に重要な存在とされています。具体的には、「製品の特長」「パッケージ」「ブランドの構築・維持」「品質」など、製品コンセプトを実現するための様々な要素が含まれます。

Price(価格)

「Price(価格)」は企業が生産した製品に対して、顧客が支払うコストを指します。コストには製品購入や利用時の移動時間なども含まれます。

 

売上に直結するため非常に重要な要素です。価格戦略の際には、「コスト」「価格相場」「マーケティング戦略」「ブランディング」などの視点から策定します。

Place(流通)

「Place(流通)」は顧客に製品を届けるための経路(チャネル)を意味します。

 

「Place」には「どこで製品を販売するのか」という販売エリアだけでなく、販売方法や供給流量なども含まれています。顧客の利便性と強く結びついているため、流通チャネルの最適化に取り組むことが大切であり、改善できれば売上アップにもつながります。

Promotion(プロモーション)

「Promotion(プロモーション)」は広告や宣伝、人的販売(販売員による直接的なマーケティング手法)などのプロモーション戦略を指します。

 

製品を顧客に購入してもらうために重要な役割を果たす「Promotion」の手法は、マス広告やSNSマーケティング、コンテンツマーケティングやキャンペーンなど多様化しています。顧客に製品やその特長を知ってもらうことで購買意識へ変化をもたらし、販売促進へとつなげるためには「Promotion」を通した顧客とのコミュニケーションがとても重要です。

 

また、最近では「4P」を顧客側の視点から見直した「4C」という考え方も注目されています。

「4C」とは?

企業側の視点から実施される「4P」に対して、顧客側の視点から見直したのが「4C」です。両者は別の枠組みという事ではなく、「企業側視点」か「顧客側視点」かの違いです。

 

4Cは

 

  • Customer Value(顧客価値)
  • Cost(顧客にとっての経費)
  • Communication(コミュニケーション)
  • Convenience(入手の容易性)

 

の頭文字を取り、「4C」と呼ばれています。それぞれの意味について説明します。

Customer Value(顧客価値)

「Customer Value(顧客価値)」は4Pの「Product(製品)」と対になっており、顧客が製品・サービスを購入する際に得られるメリットを指します。

 

顧客側の視点から製品・サービスを見たときに「どのような価値があるのか」を考えるための要素です。製品の機能や仕様だけでなく、アフターサービスや利用時の情緒的な利益なども価値に含まれます。

Cost(顧客にとっての経費)

「Cost(顧客側の経費)」は、顧客が製品・サービスを購入する際に支払う対価を指し、4Pにおける「Price(価格)」と対になります。

 

金銭的なコストだけでなく、その製品・サービスを購入するために支払った交通費や移動の時間も含まれます。また、購⼊する製品によっては引け⽬を感じるなどの⼼理的な負担が生じる場合もあり、「時間的・心理的・労⼒に関する全てのコスト」を指すのが特長です。

Communication(コミュニケーション)

4Pにおける「Promotion(プロモーション)」と対になるのが「Communication(コミュニケーション)」であり、顧客と企業のコミュニケーション=製品と顧客との接点の部分を指します。

 

マーケティング戦略を成功させるためにはこのコミュニケーションが必要不可欠であり、顧客からの声を受け⽌めるカスタマーセンターなどを設けてもいいでしょう。他にも、対面での営業やイベント、SNSや自社サイトでの発信など様々な手法があります。

Convenience(顧客の利便性)

「Convenience(顧客の利便性)」は顧客が製品・サービスを購入する際の利便性を指し、4Pにおける「Place(流通)」と対になります。

 

製品・サービスを購入する場所や購入にかかる時間、実店舗で販売する際の立地や営業時間、Webサイトにおける製品の見つけやすさなど、顧客視点での購⼊のしやすさを考慮したうえで、流通チャネルを選ぶことが大切です。

MMMのメリット・デメリット

MMMを採用することでメリットを得られますが、一方でデメリットになる側面もあります。以下ではメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

メリット

主なメリットとして次の2点が挙げられます。

マーケティング施策の成果全体を俯瞰できる

MMMでは、複数の施策の相互影響や外部要因などを含めて総合的に分析するため、マーケティング施策全体の成果を把握できるのが大きなメリットです。

 

複数のチャネルを融合させたマーケティング施策が主流となってきた現在、従来の消費者調査やログ分析による施策単体の最適化では対応できなくなっています。

 

現在増加している、オンラインとオフラインを組み合わせた施策を行う企業の場合でも、マーケティング施策を包括的に分析し、俯瞰的な視点から把握できるのはMMMならではの強みといえます。

顧客のプライバシー情報が不要

MMMは内部要因と外部要因のデータをもとに分析するため、顧客のプライバシー情報が不要というメリットもあります。

 

従来のログ分析や消費者調査で分析を行う際、顧客のプライバシーに関するデータが必要不可欠でした。しかし現在は個人情報保護が厳格化しており、顧客の履歴情報などのプライバシーデータを必要としないMMMの注目度は高まっています。

 

改正個人情報保護法の施行などの影響により、今後デジタルマーケティングはCookieレス時代へと進むとも考えられているため、MMMはより一層活用されていくはずです。

デメリット

MMMのデメリットとなり得る側面について、主な3つのポイントを紹介します。失敗を防ぐためにも、採用する際には注意しておくことが大切です。

小規模なマーケティング施策では効果が得られにくい

MMMは小規模なマーケティング施策においては効果を十分に発揮しにくいというデメリットがあります。基本的に一定以上の規模で運用されていることで、有効に機能するとされています。

 

実施した施策や広告予算が限られている場合などの小規模なマーケティング施策では効果が期待できない可能性が高く、その際は各施策を個別に改善していく方が効果的ということもありえます。

 

分析の対象データが十分に蓄積されていない場合は、MMMより適切なアプローチがあるはずなので、導入前に自社のマーケティング規模をチェックしておくことが必要です。

参考にできる事例が少ない

MMMに関する成功事例や実践事例は公開されない傾向にあるため、参考にできる事例が少ないという側面もあります。

 

MMMはマーケティング施策全体の最適化が目的であるため、競合他社に公開できない秘匿性の高い情報を扱っているという特徴があります。参考事例が少ないということは、自社で何度もトライアンドエラーを繰り返して分析の精度を向上するしかないということです。

 

コストがかかる上、根気よく取り組まなければならないという側面があるということを意識しておくといいでしょう。

 

では実際MMMに取り組む際にはどのように進めていけばいいのでしょうか?

MMM分析の進め方

MMMで分析する際の進め方について紹介します。

1. 分析ロジックを決める

まず最初に「分析ロジックを決める、もしくは選ぶ」ところからMMMは始まります。

 

MMMにおける分析ロジックはひとつではなく、「パス解析」「重回帰分析」「共分散構造分析(構造方程式モデリング)」のいずれかのロジックを、目的に合わせて採用します。それぞれのロジックを以下にまとめました。

 

・パス解析:パス図を活用して目的変数と説明変数との関係性をわかりやすく表したもので、目的に至るまでのステップ=変数間の因果関係を想定できる分析ロジックです。

 

・重回帰分析:2つ以上の説明変数で、1つの目的変数を説明する手法です。

 

・共分散構造分析(構造方程式モデリング):目的変数と説明変数間の因果関係の向きや、各要素の比重を分析できます。

 

どのロジックを採用するかによってその後の進め方は変化するため、本記事では一例として「パス解析」という分析ロジックを採用した際の進め方について解説します。

2. 内部要因と外部要因を洗い出す

次に、自社で考案・実施したマーケティング施策である内部要因と、成果に影響を及ぼすと考えられる外部要因を洗い出します。ここで大切なのは、分析の目的に合った粒度で洗い出すことです。

 

たとえばインターネットにて複数の訴求軸の広告を展開している場合、「訴求軸毎の効果の可視化」を目的とするのであれば、「A訴求軸の広告」「B訴求軸の広告」「C訴求軸の広告」という粒度で内部要因を洗い出す必要があります。

 

さらに自社でコントロールできない、成果に大きく影響を与える要因「外部要因」も一緒に洗い出していきます。具体的には、増税や為替変動、気候・災害、大型イベントの開催などです。

 

また競合他社のテレビCMなども外部要因に含まれます。放映されるか否かは自社でコントロールできませんが、分析対象の製品・サービスの成果に影響を及ぼすと考えられるためです。

3. 顧客の購買行動のモデル化

内部要因と外部要因を洗い出したら、顧客の購買行動をパス分析によってモデル化します。

 

顧客の購買行動の有名なモデルである「AIDMA(アイドマ)」に当てはめてモデル化すると、顧客は「製品・サービスを認知する(Attention)」「興味を持つ(Interest)」「欲しいと思う(Desire)」「製品・サービスについて記憶する(Memory)」「購買(Action)」に至ります。

 

顧客の購買行動は製品・サービスによって異なるため、仮説ベースでいいので分析対象に合ったモデルを決定することが大切です。

 

そして顧客の購買行動におけるステップ毎に、最適なマーケティング施策を振り分けてモデル化していきます。ここでは、内部要因・外部要因に漏れがないかをチェックすることが大切です。

4. データを収集する

「2.内部要因と外部要因を洗い出す」で得られたデータを収集します。

 

ここでは出稿量と費用などの各マーケティング施策のデータと、販売数や売上などの成果のデータを収集します。日次・週次・月次単位で分析したいスパンを決め、適切な粒度のものを選定することが大切です。

5. 分析をする

最初に決めた分析ロジックでの分析を行います。

 

パス解析の場合は、パス図に収集したデータを照らし合わせて想定していた成果とのズレを確かめ、成果が得られなかった施策を割り出した上で、予算の配分が適切だったか否かをチェックします。

 

成果を阻害した原因がわからない場合は、より粒度を細かくしたデータを収集し、分析の精度を高めていく必要があります。成果を阻害したのが外部要因だった場合は、それを解消もしくは回避する対策を練ることが重要です。

6. 分析精度を向上させる

初回の分析の精度は低くなる傾向にあるため、その後調整を行いながら分析精度を向上していくことが大切です。

 

想定していたものと異なる結果になった場合は、粒度の設定や予算の分配などを調整した上で再度分析を実行し、その精度が上がっているかどうかを確かめます。精度が落ちる原因が外部要因だった場合はその外部要因のデータを収集して分析対象に含め、もう一度分析を実行した上で精度が向上しているかを確認する必要があります。

MMMを組織で最大限活用するポイント

MMMを組織で最大限に活用していくためのポイントについて紹介します。

「消費者調査」や「ログ分析」との目的の違いを意識

MMMを最大限活用するためには、一般的な「消費者調査」や「ログ分析」との目的の違いを意識することが大切です。

 

たとえば「消費者調査」は、広告等による消費者の購買心理の変化を明らかにできる調査です。広告を放映した前後に調査を行うことで、自社の製品・サービスへの「好感度・認知度・購入意向・第一想起」などの変化を明らかにし、「広告が意図した通りに伝わっているか」「想定通りの反応が合ったか」などを確認できます。

 

しかし、購買心理の変化を明らかにできても、本当に成果が出たのか、どの程度の成果が合ったのかは把握できません。

 

一方MMMは顧客の購買心理の変化には言及できませんが、たとえば「広告の視聴率が3%上がると販売数が100増える」という間接的な、もしくは直接的な効果を明らかにすることが可能です。

 

重要なのは「MMMでできること・できないこと」をそれぞれ理解し、意識することです。マーケティング部門には様々な調査や分析が存在し、それぞれの目的は異なるため、あらかじめ自社の目的や課題解決を明らかにして、最適な分析手法を採用することで効果的な施策を行えます。

MMMの構築に予算・時間をかけすぎない

MMMは精度の高い予測をするものではなく、他のツールやインサイトと組み合わせて利用するものだということを意識することも大切です。

 

あくまで過去のデータなどをもとに分析・推定し、教訓として予算配分を考える際の「補助」として活用します。

 

MMMが100%正しいというわけではないため、MMMの構築に予算と時間をかけすぎず、バランスを考えることが重要です。

内製化、もしくは外部専門家に託し運用は自社で頑張る

自社の広告を一番理解しているのは自社の社員であるため、MMMを活用する際は可能な限り内製化することが理想的です。

 

しかし、最初のフェーズの構築や考え方、情報の扱い方は専門性が高い分野でもあります。

 

そのため導入時から自走できるまでサポートをしてもらい、内製化できる体制を構築することが大切です。アルゴリズムを理解し、自社での運用を続けられるようにしましょう。

 

自社で実施する際は、「広告と統計に関する基本的な知識・経験がある方」「、各種ツールへの実装力やデータ分析に関する知識がある方」がいると心強いです。運用を続けていくことが大切なので内製化した場合でも、外部専門家を依頼する場合でも、継続的な強いコミットメントが必要になります。

見直しやモデル構築を年に数回行う

MMMを実施したら、年に数回分析の見直しやMMMの構築を行ってモデリングをすることをおすすめします。

 

多数の変数を定量化して分析を行うMMMにおいて、外的な経済環境や季節変動など様々な変化があるため、一回モデルを出して終わりではなく、継続的にモデルの精度を向上していくことでより効果的な運用を実現できます。

まとめ

本記事ではMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)について、基礎的な知識から進め方まで網羅的に紹介しました。

 

MMMを導入することで、見落としていた施策の改善や最適な予算の分配を実現し、より効果的なマーケティング施策を実施できます。

 

オンライン化やグローバル化などによる急速な変化は今後も続くことが予想されるため、より一層MMMの必要性は高まっていくはずです。MMMを実施できる環境も整ってきているので、他社と差をつけるためにもできるだけ早いうちから着手することをおすすめします。

 

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Mon, 28 Aug 2023 10:42:50 +0900
<![CDATA[BlueMonkey活用歴10年!継続的な活動でデジタルマーケの仕組みを構築したアイメックス様の成功への道のり]]> https://bluemonkey.jp/media/cases/aimex Mon, 28 Aug 2023 00:00:00 +0900 <![CDATA[製造業マーケティングにおけるコンテンツの大切さと「4つの不」の話]]> https://mtame.jp/content_marketing/manufacture_contents 製造業のデジタルマーケティングにおいて「コンテンツ」は最重要要素と言っても過言ではありません。この記事をお読みになっている皆様も、いかにしてコンテンツを増やしていくかに悩まれている方が多いのではないでしょうか。


そこで本記事では、製造業マーケティングに置けるコンテンツ制作の重要性を改めて解説し、最低限のコンテンツを揃えるための「4つの不」という考え方についてご紹介します。

 

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製造業のマーケティングにおける市場と関係

コンテンツの重要性をお伝えするうえで改めておさらいしておきたいのが、「製造業(生産財)マーケティング」についてです。コンテンツ制作はデジタルマーケティングの施策の1つとして捉えられがちですが、そもそもマーケティング活動の中に含まれるものなので、上位概念を理解した上で「コンテンツ」の役割を理解したほうが、効率的に施策を回すことができます

生産財マーケティング 高嶋 克義 (著), 南 知惠子 (著)」によると、生産財(※)マーケティングには「市場」と「関係」の2つの視点があります。

※商品や製品の生産に必要な材料や部品・装置などの総称を差します。


「市場」とは、市場調査などを通して顧客のニーズを知り、計画を立て、どのように実行していくのかを考えます。一方で「関係」とは顧客との関係構築をしていくことでニーズを把握したり、相互作用を効果的に働かせたりすることを目指します。


新規の顧客が不要で限られたターゲットのみを狙っていく場合は、後者の「関係」の比重が重くなっていきます。ですが、近年では新規の顧客獲得も合わせて重要視されているケースが多く、「市場」に対してのアプローチが必要になります。

「市場」と「関係」からみるデジタルマーケティング

マーケティング活動の手段として「デジタルマーケティング」を活用するのが当たり前となりつつあります。ただ、施策も多岐にわたりデジタル人材も社内にいないため、「難しそう」「何から始めればいいのか」と、本腰を入れて取り組めていない方もいらっしゃるかもしれません。


ですが、マーケティング活動がデジタルに置き換わっても本質は変わらず、手段がデジタルに置き換わっただけと考えてよいでしょう。例えば先述の「市場」に関しては、アナログで実施していたユーザーインタビューやアンケートがデジタルに置き換わったり(今でもアナログで実施されていますが)、統計データの集計などがデジタルで行われるようになりました。


もっと具体的な施策で言えば、Googleの検索エンジンに置ける検索回数やトレンドを元に、市場のニーズを知ることができます。そのニーズに対して、自社が応えられる解決策をWebサイト上に掲載し、閲覧してもらうことで、接点が生まれていきます。これは従来営業マンやエンジニアが対面実施していたことを、Web上で実施しているに等しいです。そしてこういったデータは計画を立てる段階でも役に立ちます。


「関係」に関しても、デジタルマーケティングにおいて重要な要素です。CRMやMAツールなど顧客データベースを自社で保有し、情報を蓄積していくことで、必要な情報を必要なタイミングで届けることができます。興味のないメルマガばかりが届けば関係は崩れてしまいますが、「いつも有益な情報をくれる」と感じてもらうことができたら、顧客との関係は深まっていきます


また、MAツールを使えば特定のページを閲覧している顧客の抽出が可能です。そのため、営業アプローチの際に閲覧していた技術や製品の情報提供をしたり、商談につなげていくなどの活用ができます。


もちろん従来のような相互作用が働くような関係構築も重要です。そこに加えて、1つのコミュニケーションの手段としてデジタルマーケティングの諸施策があります。


以上のように、「市場」と「関係」が重要であることは今も昔も変わりません。あくまで手段としてデジタルマーケティングのツールや施策があるのであって、目的と手段を入れ替えないように注意が必要です。


そして、そのデジタルマーケティングの施策を回していく上で特に重要なのが「コンテンツ」なのです。前置きが長くなってしまいましたが、この「市場」や「関係」の観点からも、コンテンツ制作は外せない施策となっています。


次章からは、製造業におけるコンテンツの重要性を詳しく述べていきます。

製造業マーケティングにおけるコンテンツの重要性

以下は、古くからある生産財の「購買意思決定プロセス・モデル(Robinson, Faris and Wind (1967)」を図表化したものです。





1967年のものなので半世紀も前ではあるものの、大きな流れは今も同じです。ただ、特にサプライヤー視点で見たときには、「アプローチできるフェーズ」と「コミュニケーションの手段」は変化があります。


例えばこの図によると、問題を認知してから活動が開始されていますが、もっと以前の漠然と課題を抱えている段階においても、アプローチが可能です。普段接点のあるデジタルメディアに情報を掲載したり、ハウスリストに配信して情報提供を行ったりと、問題を認知する手前の「きっかけ」を与えることは可能です。


また、当たり前の話ではありますが、コミュニケーションの手段は大きく変わっています。メールやWebサイトなど、テクノロジーの発展に伴い登場したデジタルツールによって、接点の在り方も大きく変わってきました。


これらを実現するためにも、デジタルツールを駆使し、より広いフェーズの顧客に向けて適切なコンテンツを配信していく必要があります。上記の購買意思決定プロセスモデルの各フェーズにおいて、必要な情報と接点を持ち続けていくことで、サプライヤーとして選択してもらえる確率も高まっていきます。


その接点として欠かせないのが「コンテンツ」なのです。


見込み顧客が問題を認知したときに、課題を解決する方法を検索するかもしれません。もしコンテンツがなければ自社が課題を解決できることを知ってもらえない可能性もありますし、そもそも検索結果にすら出てこないこともあります。


見積もり評価やサプライヤーの選択の際に、Webサイトを見ないこともほとんどない時代です。せっかく技術力はあるのに、コンテンツがないことで正しく情報が伝わらず競合に負けてしまうなんてこともあるかもしれません。


イントリック社が実施した「 【製造業】オンラインでの製品選定における実態調査 」によると、Webサイトに情報が掲載されていなかったことが理由で候補から外したケースが36%もあるそうです。こういったデータからも、製造業におけるコンテンツの重要さが見て取れます。


そして、コンテンツは新規の接点を生み出すだけでなく、関係構築にも転用が可能です。自社が制作したコンテンツ(例えば新製品情報)をメールで配信し、反応があった企業からアプローチするだけでも営業効率は大きく変わります



コンテンツのエコシステムを回す


またこちらからメール配信等のアプローチをしなくても、MAツール等を入れていれば、どの企業がどのページを見ているかがわかります。自身が担当している企業の方がまだ導入されていない製品のページを見ていたら、アプローチもしやすくなるはずです


こういった活動をするためにも、コンテンツが必要なのです。配信したり、ユーザーのニーズを把握したりと、多くのメリットがあるからこそ注力する必要があります。



以上、コンテンツの重要性を述べてまいりましたが、ここからは具体的にコンテンツ制作における考え方をお伝えしてまいります。

どのようなコンテンツを作ればいいのか

具体的にコンテンツを設計する際には、ある程度型にはめて考えると思考を整理しやすいためおすすめです。

以下は一例ですが、低関心(課題認識前)から成約まで、必要なコンテンツの種類と接触コンテンツについて記載しています。




コンテンツは具体的な課題を認識する前から届けることが可能です。漠然とモヤモヤを抱えている状態に対して、課題の整理や解決策の提案をしていくことで、言語化されていなかった課題が明確化されていくこともあります。実際にはこの時点では接点のみで、別途セミナーや営業現場で明確化していくことの方が多いのですが、いずれにせよコンテンツを届けてきっかけを作ることはできます。


また、検討の早い段階から有益な情報を提供して置くことで、実際に課題認識~検討の際に有利に働いていきます。具体的に検討が始まる以前から「あの会社は質の高い情報を発信している。きっと信頼できる会社に違いない」と印象付けておくことで、競合他社よりも圧倒的に優位な立場で提案が可能になります。


情報収集や比較検討フェーズにまで来たら、自社の強みや導入までの流れ、よくある質問など意思決定に必要なコンテンツが必要になります。



以上のようにフェーズによって必要なコンテンツの種別が異なります。自社の顧客であればどのようなコンテンツを届ける必要があるかを整理して、届けると良いでしょう。


ただ、「じっくりと時間をかけて整理する時間がない」「まずは最低限を整えたい」という考えの方もいらっしゃるかと思います、そこで、コンテンツを最低限揃えるための型として、本記事では「4つの不」というものを紹介します。

「4つの不」とは

「4つの不」とは、「不信・不要・不適・不急」のことで、商品・サービスを購入するときに壁となる顧客心理を表しています。 営業現場で解消すべきものとして紹介されることが多いのですが、実はコンテンツ作りにも役立てる考え方となっています。営業と違い最終的なゴールは「問い合わせ」や「資料ダウンロード」「デモ機の取り寄せ」などになりますが、顧客の背中を押すという観点で言えばやるべきことは基本同じです。

まず元となる営業における4つの不についてそれぞれ簡単に説明いたします。

不信

これは「この会社は信用できるのか?」という心理状態です。 顧客の不信感を払拭するには、どんな企業なのか、自分は何者なのかを理解してもらう必要があります。ここが抜け落ちてしまうと、どれだけ良い提案をしても不信感が勝ってしまい、契約につなげることができません。

不要

「本当に必要なのか?」という心理状態のこと。 他人事と捉えていて「自分にとって本当に必要なものだ」と認識していないだけの場合もあります。提案企業および目の前の担当者にとってなぜ重要なのか、自分事として捉えてもらうための説明努力が必要です。

不適

「自社に合っているのか?」という心理状態です。 どのような企業に向けた、どんなサービスなのかをアピールして、自社に最適な商品であると納得してもらいましょう。とくに他社との違いなどを交えて、自社がぴったりである説得力ある提案が必要です。

不急

不急は「いま必要なの?」という心理状態のこと。 「確かにやった方がいいと思うけど、いますぐ導入しなくても……」と考えている状態なので、あと少し後押しすれば成約につながるかもしれません。今やらないことによる機会損失や、今やることによるメリットを示唆することで、前倒しの契約につなげることができます。


コンテンツ作りにおける「4つの不」

これまで解説してきた4つの不をコンテンツに置き換えて解説します。

「不信」を解消するコンテンツ

不信を解消させるには、 まず実績や自社の技術とともに会社概要を掲載します。さらに、業界情報やノウハウ系のコンテンツを充実させることで、専門性が深まり、企業の信頼もアップするでしょう。

「不要」を解消するコンテンツ

不要という心理に対処するには、「なぜ必要なのか」「どんな問題を解決できるのか」が伝わるコンテンツを用意しましょう。具体的には、サービスの導入事例や利用者の声、活用例などです。 自分と類似したエピソードが見つかれば、ユーザーは商品に関心を持ち、購買意欲が高まります。

「不適」を解消するコンテンツ

「自分に適したサービスなのか」といった疑問に対しては、 事例やユーザーの声にプラスして、商材のコンセプトや強みなどを伝えます。 サービスを利用している状況をイメージさせて、自分たちにぴったりの商品だと認識してもらうことが必要です。

「不急」を解消するコンテンツ

「いま必要なのか」という心理なので、 すぐに契約した方がよいことをイメージしやすくしましょう。 「今月中に購入するとお得!」といったキャンペーンを開催したり、スケジュール管理表をホワイトペーパーに入れ込んで「最低でも6か月はかかるので、早めに着手を」という記載を入れるだけでも効果があるかもしれません。

まとめ

製造業マーケティングにおけるコンテンツの大切さについてお伝えしてきました。これから本格的にデジタルマーケティングに取り組む方はもちろん、今すでに取り組んでいて行き詰っている方も、原点に立ち返り自社のコンテンツを見直してみてはいかがでしょうか。


前半では「市場」と「関係」にも触れましたが、時代が変わっても本質は変わりません。時代に合わせた手段を通して、適切なコンテンツを通していくことが重要です。


その1つの型として「4つの不」があります。この他にも様々なフレームが世の中に出回ってはいますが、まず最低限を考える上ではシンプルで使いやすいものなので、ぜひお役立てください。


そして、中長期で継続的にコンテンツを作っていくには、本来であればペルソナやカスタマージャーニーマップを作成し、計画的にコンテンツを制作する必要があります。「4つの不」は確かに便利ですが、もし本格的に取り組む必要があれば、顧客の検討フェーズごとの必要なコンテンツの整理が必要ですし、一次的に外部に頼るのも手段の1つです。


弊社でもそういったコンテンツ戦略~制作の支援は実施しておりますので、もしお困りでしたらお気軽にお問い合わせください。



以上、本記事が皆様のお役に立てていたら幸いです。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

 

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Mon, 28 Aug 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業バリューチェーンとは?基礎知識やメリット、分析方法などをわかりやすく徹底解説!]]> https://mtame.jp/column/value_chain バリューチェーン(Value Chain:価値連鎖)とは、製品やサービスが顧客に提供されるまでの一連の事業活動を「価値のつながり(連鎖)」として捉えた概念です。


バリューチェーンの分析・活用は 競争戦略を練るうえで重要な役割を担っており、製造業における必要性も高まっています



本記事では製造業におけるバリューチェーンについて、その概念やメリット、分析を行うステップや効果的に実施するためのポイントなどを、わかりやすく解説します。

バリューチェーンとは

バリューチェーンについて、その概要と、構成する3つの要素について解説します。

バリューチェーンの概念

バリューチェーン(Value Chain:価値連鎖)とは、 製品やサービスが顧客に提供されるまでの一連の事業活動を「価値のつながり(連鎖)」として捉えた概念です。


事業活動を業務ごとに仕分けして分析を行い、「どの部分が付加価値を創出しているか」「自社の競争優位性や強み・弱みは何なのか」などを明確にする際に役立ちます。


ハーバード大学経営大学院教授のアメリカの経営学者であるマイケル・E・ポーター氏が提唱した概念で、現代でも競争戦略を練るうえで重要な役割を担っており、製造業においてもその必要性が叫ばれています。


バリューチェーンは3つの要素で構成されているのが特徴です。詳しく見ていきましょう。

バリューチェーンを構成する3つの要素

バリューチェーンのフレームワークは、 「5つの主活動」「4つの支援活動」「利益」から成り立っています。


「5つの主活動」は「①購買②製造③出荷・物流④販売・マーケティング⑤サービス」の利益を生み出すために欠かせない5つで、生産から消費に直接的に関わるプロセスや活動を指します。


「4つの支援活動」は「①全般管理(インフラストラクチャー)②人事・労務管理③技術開発④調達活動」で、間接的に生産・消費に関わる4つのプロセスを指し、主活動を支えることで収益獲得に貢献しています。


主活動と支援活動はあくまでも分類上の話に過ぎず、優劣差はありません。 複雑に思える企業活動を価値創出という視点で分類・可視化することで、どの業務がどのような価値を生み出しているかを分析できるのです。

製造業バリューチェーンにおける主活動の3チェーンとは

主要活動をプロセス化すると「①商品の企画②企画した商品の製品化③ターゲットへの営業活動④商品の供給」に仕分けできます。


この流れをさらに「活動ごとに分類」すると、3つのチェーン 「デマンドチェーン・エンジニアリングチェーン・サプライチェーン」に分けて捉えることが可能です。それぞれのチェーンについて解説します。

デマンドチェーン

デマンドチェーンは、市場調査やアンケート調査、口コミや購買情報の収集などのマーケティング活動及び営業活動を含むプロセスを指します。


市場や顧客のニーズに関する情報を収集し、 ニーズを正確に捉えた上で商品開発や生産などへ展開する、「顧客提供価値の最適化」がデマンドチェーンの目的です。マーケティング活動でニーズを予測して、営業活動によって需要と顧客の拡大を目指します。


次は、デマンドチェーンとは対になる関係にあるサプライチェーンについて見ていきましょう。

サプライチェーン

サプライチェーンは材料の供給から顧客への製品提供までの「生産と供給」を担うプロセスを指します。


自社のみならず協力企業なども含めたモノの流れに注目して「供給の連鎖」を明確化するのが特徴で、ビジネス前提におけるプロセス効率化に寄与します。


バリューチェーンそのものと似ていますが、バリューチェーンではあくまでも「自社ビジネスのプロセス」に注目して「価値の連鎖」を明らかにするため、両者は大きく異なります。

エンジニアリングチェーン

エンジニアリングチェーンは、「企画構想、製品設計、工程・設備設計、生産準備、保守保全」など、受注から納品までの製造プロセスを指します。「ECM(Engineering Chain Managementの略)」と呼ばれることもあります。


製造プロセスは生産リードタイムにも大きく影響を与えるほか、プロセスの構築次第では、事業活動の大きな改善や生産効率の向上が期待できます。そのため、3つのバリューチェーンの中で製造業において最も重要なチェーンとされています。

製造業のバリューチェーン分析のメリットとは?

製造業においてバリューチェーン分析を行うとどのようなメリットがあるのでしょうか?主な3つのメリットについて紹介します。

自社の強み・弱みを明確にして差別化できる

バリューチェーン分析を行うことで自社の強み・弱みを明確にして、差別化することができます。


付加価値を出しているプロセスを明らかにすることで「どこにどのような強みがあるか」を把握した上で、その強みを持つ活動にヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源を集中させて拡充することで、自社製品の独自性の強化や競争優位性の向上につながります。


弱みとなっている部分の見直しや、経営戦略の方向性を検討する際にも役立つでしょう。場合によっては弱みに経営資源を分配することが、強みのさらなる成長につながる可能性もあります。

競合他社の分析から示唆を得られる

競合他社のバリューチェーン分析も行えば、競合他社の強みや弱み、課題を把握することができ、今後の動向や市場全体の予測に役立てられるというメリットがあります。


自社分析のみだと、主観的且つ近視眼的な分析になってしまう傾向にありますが、競合他社との比較を行うことで客観的な分析が可能になり、新たらしい重要な示唆を得られるきっかけにもなり得ます。


バリューチェーンの範囲を広げて成長に必要な行動を俯瞰的に判断できるようになることで、自社のより効率的な成長も期待できます。競合他社の分析をもとに自社の差別化をさらに強化すれば、競争優位性の向上も見込めるでしょう。

コスト削減につながる

バリューチェーン分析を行うことで、事業活動ごとに発生しているコストを把握できるようになり、無駄なコストの削減につなげられます。


総合的に俯瞰してコストをチェックし、不要なコストを明らかにして削減できれば、製品・サービスの品質を高く保ったままでもコストを抑えることができます。


他の事業活動に影響を及ぼすこともあるコストを全社的な視点から把握することで、効果的にコスト削減に取り組めるのも大きなポイントです。


では具体的にバリューチェーンはどのように進めていけばいいのでしょうか?次章で詳しく解説します。

バリューチェーン分析を行う4ステップ

バリューチェーン分析を行うには「現状把握」「コスト分析」「強み・弱みの分析と把握」「経営資源の評価」という4つのステップがあります。それぞれのステップについて説明します。


現状把握

バリューチェーン分析を行うには、まず現状を把握することが大切です。


構造を明らかにするために、事業活動を「主活動」「支援活動」に分けた上で、機能ごとに業務を分類していきます。「企画・製造・販売・人事・財務」など、機能別にリストアップして可視化することが重要です。


製造業のバリューチェーンは基本的に「購買、製造、出荷・物流、販売」という流れで構成されるため、足がかりとして参考にしてみてください。

コスト分析

次に、分類した機能ごとにコストと収益性を割り出して分析します。


コストをリストアップして可視化する際には、関与した部門も一緒に明記することでよりわかりやすくなり、正確な分析へとつながります。複数の部門が関わる場合は活動比率の記載も必要です。


コストのかかっている部分を洗い出して整理することで、コスト間の関連性やコストが発生する原因なども明らかにすることができ、収益性の改善に役立ちます。

強み・弱みの把握

機能ごとにコストを分析できたら、競合他社よりも優位性の高い部分や、反対に他社よりも不利な部分などを洗い出して、自社の強み・弱みを把握します。


事業においては、自社のユニークな強みを生かして他社を引き離しつつ、同時に弱みを補うという戦略作りが欠かせません。詳細な分析を行いたい場合は、各プロセスごとにSWOT分析という手法を用いる方法もあります。


このステップでは、主観のみで分析しないことが大切です。社内外の関係者から意見を募るなどし、できるだけ多角的且つ客観的に分析して正確に把握できるようにします。

経営資源の評価(VRIO分析)

最後に、自社が保有する経営資源を洗い出して評価します。


その際に有用なのが、経営資源の競争優位性を調べるための分析手法「VRIO分析」です。VRIO分析は「Value(価値)」「Rareness(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の頭文字をとったフレームワークで、この4つの項目ごとにYESかNOで評価を行います。


YESが多いほど優位性を発揮できる可能性が高くなります。反対にNOとなった活動は不足を補う施策を導入して改善していくことが大切です。

分析結果を戦略に生かす

バリューチェーン分析で自社の強みを把握できたら、戦略に取り入れて活かしていくことが大切です。バリューチェーン分析が生かせる2つの戦略「集中戦略」「差別化戦略」について解説します。

集中戦略

「集中戦略」とは「顧客層・属性・販売エリア」などの特定のセグメントに、企業が持つ経営資源を集中的に投入することで、競争優位性を確保する戦略を指します。


自社の強みを的確に把握することで、この戦略を効果的に実施することができます。ただし、ターゲットとする市場が縮小した際には事業の継続が危うくなる可能性があるため、環境に大きく左右されるなどの不確定要素が多い分野では注意が必要です。

差別化戦略

「差別化戦略」は、「機能面・デザイン性・サポート面」などで競合他社の製品やサービスと差別化できる独自性を打ち出して、競争優位性を確保する戦略を指します。


競争が激化する昨今では、製品のコモディティ化することを避けるために、他社が模倣ができないような自社ならではのユニークさを確保することが重要です。プロセスごとの独自の強みを明らかにできるバリューチェーン分析は、この戦略と最も相性の良い手法といえます。

製造業におけるバリューチェーンのポイント

製造業におけるバリューチェーンを効果的に実施するためのポイントについて解説します。

エンジニアリングチェーンの強化

先述したように、製造業のバリューチェーンにおいて重要なカギとなるのは「エンジニアリングチェーン」です。


競争力の源泉となるため、バリューチェーンを効果的に実施するにはエンジニアリングチェーンの強化が必要不可欠といえます。


開発プロセスでは膨大なリソースと時間がかかるので、このプロセスをいかに短縮できるかによって製品のリードタイムが大きく変わります。また商品企画や設計・開発など、プロセスの上流を範囲とするため、コストや品質にも多大な影響を及ぼします。


しかし、いくらリードタイムを短縮していち早く製品を市場に出したとしても、設計ミスやニーズとの不一致があれば利益を得られません。市場のニーズを的確に捉え、独自性のある製品を顧客に提供するためには、エンジニアリングチェーンの強化が非常に重要なのです。

情報感度を高める

現在、価値基準は「モノ消費」から「コト消費」へと転換し、顧客のニーズは大きく変化しています。


高い技術力だけでは製品が売れなくなってきているため、製品や技術のみを軸として経営戦略を練るのではなく、顧客ニーズや市場全体の課題の理解、今後の展開やこれから出会う可能性のある潜在顧客への予測など、あらゆる視点から経営戦略を立てることが大切です。


そのためには、情報感度を高めることが必要になります。常にアンテナを張った情報収集や、そのデータの共有などを通して、バリューチェーン全体を最適化した状態に保つことが重要です。

デジタル化

近年製造業に限らず、あらゆる分野においてIoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)などのデジタル化が急速に広まり、その必要性も高まっています。


デジタルを活用したデータの収集・分析など、バリューチェーンやサプライチェーンにおけるデジタル化も進み、それらの在り方も変化しています。


例えば、IoTによって製造機械などをインターネット接続して一元管理すれば、製造現場における機械の稼働状況を視覚化でき、稼働率の向上やエネルギー利用の最適化などの改善へとつなげられます。


また部門間に限定しない横断的な連携ができるため、各部門でのスムーズなやりとりを実現し、事業活動の効率化も期待できます。バリューチェーンにデジタル化を導入することで、データ活用による付加価値創出も見込めるはずです。


まとめ

本記事では製造業のバリューチェーンについてメリットや分析方法などを解説しました。


バリューチェーンを活用して自社の強み・弱みを的確に把握し、事業戦略の改善などに役立てることができれば、利益の拡大はもちろん、今後のさらなる発展を実現できる可能性が高まります。


「高い技術力だけでは売れない」時代に突入した現代でも、自社の独自性を生み出せたら、市場において高い競争優位性を確保することができるでしょう。


まずは事業活動を分類して現状を把握するなど、できそうなことから始めてみることをおすすめします。

  

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Wed, 09 Aug 2023 17:03:29 +0900
<![CDATA[技術ブランディングとは?基礎知識やメリット、成功事例などを徹底解説]]> https://mtame.jp/column/technology_branding  日本には世界に誇る技術力を持つ企業が多く存在しますが、その技術力を軸としたブランディング活動が「技術ブランディング」という手法です。効果的に技術ブランディングを進めていくことができれば、 競合他社と自社商品をはっきりと差別化することができるほか、市場における競争優位性を確保できる 可能性が高まります。最終的には自社の発展・利益拡大にもつながるでしょう。


本記事では技術ブランディングについて、基礎知識からメリット、目的や進め方まで網羅的にわかりやすく解説します。最終章では具体的な成功事例も紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

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技術ブランディングとは?

「技術ブランディング」とは、 企業や製品が持つ技術や部材を、ブランド価値として顧客に訴求するブランディング手法 を指します。


通常のブランディングのように完成された商品ではなく、「技術の価値」をアピールすることで差別化や競争優位性を生み出すのが特徴です。技術力はエンドユーザーに認知されにくいという課題があり、それを解決するのが技術ブランディングともいえます。


自社の技術を商品やブランド名と一緒にアピールする「ブランディング」を行うことで、技術力に優れていることを認知してもらえれば、ユーザーは「その技術が搭載されているかどうか」という基準で商品を選定・購入します。


優れた技術やその技術を活用した商品は、顧客からの信頼や評価を得られるため、メーカーは積極的にその技術を取り入れるようになり、市場における競争優位性の確保や高価格での取引につながるのです。


ではなぜ現在、技術ブランディングの重要性が高まっているのでしょうか?

技術ブランディングの重要性

テクノロジーの進化やグローバル化、オンライン化など、急速に変化する現代において、新たな価値の創出や商品・サービスの差別化、市場における競争は激化しています。


そんな状況の中で、企業が健全且つ安定した経営を行うには 「差別化」「競争優位性」、さらには「継続的な技術革新」「技術力の維持・強化」 が求められており、全てを実現できる「技術ブランディング」の重要性が高まっているのです。


技術力に優れた企業や商品は高い評価を得られるため、企業価値の向上にもつながり、あらゆる業界・業種のマーケティング戦略において必要不可欠な手法とされています。


「技術ブランド」が確立できれば、それぞれの商品のブランド化を図るよりも少ないコストで大きな利益を得る可能性も高まるため、中小企業にも有効な手法として導入が進んでいるのです。

技術ブランディングの目的

技術ブランディングの目的について、さらに詳しく解説します。

商品価値の向上

技術ブランディングの目的として、まず 「商品価値の向上」 が挙げられます。


公的機関での実証実験や大学との共同研究による権威付けや、広告宣伝に使えるデータ取得を行って商品の技術的な裏付けをすることで、 商品の価値として「技術」をブランド化 することができ、 メーカーや顧客に対して理論的に商品をアピール していくことが可能になります。


そうすることで商品の持つ魅力の正確な把握や深い理解へとつながり、商品価値の向上が見込まれるのです。また、新たな技術による付加価値の創出も実現できます。

商品の差別化

商品価値を高めることができれば、自ずと 「商品の差別化」 へとつながります。


技術をアピールして技術自体の価値を認めてもらえれば、顧客は「商品のメーカーがどこであるか」よりも、「その技術が活用されているか否か」を基準に商品を選ぶようになり、自社商品を購入してもらえる可能性が高まります。


また「継続的なブランド名の使用」も可能になり、長期的な視点から見ても競合他社との差別化を図れます。

企業イメージの向上

優れた技術やその技術を活用した商品の提供は、 顧客から高い信頼度や満足度、評価を得られるため、 企業イメージの向上 にもつながります。


向上することでメーカーは積極的にその技術を取り入れるようになる上、高価格での取引が実現する可能性も高まり、利益の拡大や自社の発展にも大きな影響を与えるはずです。

ライセンス収入の獲得

「ライセンス収入の獲得」 も、技術ブランディングを行う目的の一つです。


「技術ブランド」が確立しているということは、企業が固有技術を持っていることの象徴であり、技術に対する強い信頼があることを示しています。そのため、異業種・異分野の企業と提携する機会も増えるでしょう。


今までその技術が使われていなかった分野に事業を水平展開し、ビジネスの規模を拡大するチャンスも増えることが期待でき、新たな収入源の確保やさらなる利益拡大につながります。技術が確立しているため、ライセンシング戦略が容易になるというメリットもあります。

技術ブランディングのメリット

技術ブランディングを行うことで得られるメリットについて、主な3つのポイントを紹介します。

第一想起してもらえる

技術ブランディングを行なうことで、顧客が商品を比較検討する際に、 自社の商品やサービスを第一想起してもらえる というメリットがあります。


また「技術」という価値を覚えてもらっているので、何らかの技術課題が発生した際にも、解決手段として思い浮かべてもらいやすくなります。


第一想起してもらえればいち早く顧客との接点を持つことができ、競合他社より優位に立って商談を進められるため、営業効率の向上と利益の拡大が見込めるはずです。

技術の利用用途が拡大する

技術の利用用途が拡大する という点も、技術ブランディングを行うことで享受できるメリットの一つです。


多くの人に自社の技術を認知してもらえるようブランディングを行うことで、これまで関わりのなかった様々な分野の技術者にも知ってもらえる可能性が高まります。技術の利用用途が広がれば、未開拓の分野における商品に技術を利用してもらえるなど、新しい進路の開拓につながります。


技術を活用してもらえる市場や分野が増えるほど、大きな利益の拡大、そして最終的には自社のさらなる発展やビジネスの規模を拡大するチャンスを得られるため、大きなメリットであるといえます。

技術をより高い値段で買ってもらえる

技術ブランドを確立できれば、 競合他社よりも高い値段で技術を買ってもらえる可能性が高まる という利点もあります。


これは同じような機能を持つ技術であっても、技術ブランディングによって高められた認知度や信頼度、それに伴う情緒的価値を、付加価値として価格に転嫁することができるためです。


また商品を販売するメーカーの立場にも、技術のブランド力を利用することで「販売価格を上げられる」というメリットをもたらします。

技術ブランディングの進め方

技術ブランディングを実施するには、 「技術の認知度向上」 「技術の利用用途の広がり」 の2つのポイントが大切です。「技術の認知度が向上することで、新たな利用用途が拡大し、利用用途が拡大することでさらに認知度が向上する…」という好循環が生まれます。


好循環を生むための2つのポイントについて、それぞれ解説します。

技術の認知度向上

「技術の認知度向上」について詳しく説明します。

情報収集

まずは 自社の目指す技術や開発方針、独自領域などを明確にするために、情報収集を行います。


具体的には、自社の技術者、取引先、販売代理店へのヒアリングやアンケートを実施し、自社の技術の特徴や市場からの評価を得るという方法があります。


また同時に、競合企業の技術やそのアピール方法についても情報を集めると良いでしょう。

ブランドアイデンティティーの明確化

情報収集ができたら、「ブランドアイデンティティー」を明確化します。


「ブランドアイデンティティー」とは、 顧客に伝えたい自社の価値観やメッセージなどを考慮した、自社技術の強みや特徴を伝えるイメージ を指します。具体的には「名称・ロゴ・カラー・キャッチフレーズ・パッケージ・キービジュアル」などの要素を統一させて、訴求力の高いイメージを設定します。


社内におけるブランドへの意識を統一するために、ブランドガイドラインの制作を行うことも大切です。

営業施策との連動

「ブランドアイデンティティー」を明確化したら、 Webサイトや展示会、カタログやPR映像などの営業施策へと落とし込み、連動 させます。


顧客が企業の場合は研究論文やプレスリリースなどの研究成果の発表、展示会への出展、Webサイトでの情報発信を、一般ユーザーの場合はTV、新聞、雑誌、SNSなどの広告宣伝を行うという方法があります。営業担当者と技術者で協力し、ワークショップを実施しても良いでしょう。


社内外認知と活動を行うことで企業全体の組織能力としての差別化も図れます。

商品への取り組み

より多くの商品に技術を搭載してもらい、商品やパッケージにロゴやブランド名を掲載してもらう ことも、認知を拡大するためには非常に重要です。


技術ブランドの場合、商品が普及するにつれて搭載されている技術の認知も拡大しますが、それを直接コントロールすることは困難です。


そこで大切になるのが「より多くの商品に技術を採用してもらうこと」と、自社ブランドを可視化するために、 「商品や商品パッケージにロゴやブランド名を掲載してもらう」 取り組みです。


認知度を広めることができれば、より多くのメーカーが採用してくれるほか、エンドユーザー側が「技術」を判断基準として商品を購入してくれるようになるため、高価格でも価値を感じて選んでもらえる可能性が高まり、認知度も確実に向上するでしょう。

技術の利用用途を拡大する

技術の利用用途を拡大するためには、 「自社内で用途仮説を立てる方法」 と、 「他者に新しい用途を見つけてもらう方法」 の2つの方法があります。

自社内で用途仮説を立てる方法

自社内で用途仮説を立てる際にまず重要となるのが、自社技術が利用されている商品について、 「なぜ自社技術が利用されているのか」という課題を明確化すること です。その課題をもとに用途開発ができるようになります。


課題を明確にできたら「同様の課題を持った他社商品を調べる」か、「新しい商品に自社技術を転用できるか調べる」という2種類の方法を通して用途仮説を立てます。


「同様の課題を持った他社商品の調査」では、自社技術が現商品の課題を解決しているのであれば、他社商品の同様の課題を解決できる可能性は非常に高くなるため、技術開発の大きなきっかけになりうるでしょう。


「新しい商品に自社技術を転用できるか調べる」方法について、例えば衣類等で利用している技術を医療分野に転用できそうだと思っても、医療分野における商品の方が精度が高いケースがあり、その場合は商品の課題を解決できなくなってしまいます。


その際はまた別の商品を調べて、用途仮説を立て直す必要があります。

他者に新しい用途を見つけてもらう方法

他者に用途を見つけてもらうためには、 技術をできる限りオープンにして、相手に自社技術の利用価値を見出してもらう ことが重要です。


技術をオープンにすることで、不特定多数のより多くの技術者に認知してもらうことができ、技術の新たな用途や利用価値を見出してくれる可能性が高まります。


現在ではオープンイノベーションという手法も広まりつつあり、今までにない発想や新しい事業を生み出すためにも、これからは外部からの知見や発想を取り入れることがより重要となります。


そのためには誰もが理解できるよう、分かりやすく技術について伝えることが大切です。技術の採用を検討してくれる技術者や企業が、その技術に対する知識を持っているか否かわからないため、 初心者でも理解できるようなコンテンツを用意して、自社技術を知ってもらう ところから始めましょう。

技術ブランディングの成功事例

技術ブランディングに成功した6つの事例を紹介します。

ユニクロ|ヒートテック

ユニクロは 「ヒートテック」をブランディングし、技術ブランドとして確立することに成功 しています。


ヒートテックは、「機能性・デザイン性・コストパフォーマンス」の3要素を重視して開発・商品化された、インナーウェアの一種です。有名人とのコラボレーによるプロモーションやTVやWebを活用した広告宣伝、などで認知度を高め、大きなヒット商品となりました。


「保温性・吸湿性・速乾性」に優れている機能性素材を使用しているのが特徴で、寒い時期でも薄手の衣服だけで防寒対策ができます。


現在では男女兼用やキッズ向けなどのインナーウェアから、手袋や帽子や小物類まで、商品ラインナップが幅広く展開されており、リーズナブルな値段設定も魅力となっています。

インテル|プロセッサー

インテルのマイクロプロセッサー(CPU)がブランド化した事例も、技術ブランディングの成功事例として有名です。


同社は1990年代初頭からインテル・インサイドキャンペーンを展開し、デバイスの外観からは通常見えない部品である マイクロプロセッサーを可視化することで、競合他社のプロセッサーとの差別化 に成功しました。


同キャンペーンでは、今では有名になったインテルのロゴマークとジングルを使ったTV広告の他、「Intel Inside」の文字をパソコンの製品パッケージに掲載することにより、一般消費者への認知度向上を計りました。


また、インテルのマイクロプロセッサー技術は、安定性と信頼性が高いことでも知られており、製品の中にインテルのプロセッサーが搭載されていることを消費者に認知させることで

売上向上も見込めます。


インテルの事例は、 最終製品メーカーを巻き込んだブランディングとマーケティング活動システムを作った成功事例 の一つです。

ロッテ|キシリトール

虫歯の原因となる酸を作らずに砂糖のような甘さを感じられる 「天然甘味料キシリトール」に着目して商品開発に取り組んだロッテ は、技術ブランディングに成功し、日本のガム市場においてトップブランドを確立・維持しています。


歯の健康に役立つ成分「キシリトール」を活用して新たなニーズを開拓した同社は、健康機能食品として97年にキシリトールガムを発売し、翌年にはガム市場のトップブランドとしての地位を築きました。「キシリトール」の登録商標も取得し、現在は100%に近い認知度があります。


商標登録や高い認知度は防御的機能を果たし、競合他社のキシリトールを配合した商品(「XYLISH:明治製菓」や「XYLETS:グリコ)は同名称を利用できず、同市場から撤退したブランドも多く存在します。

ゴアテックス|​​ 防水・透湿繊維

「材料」をブランド化した成功事例 として知られている「ゴア・テックス」は商品名ではなく、繊維技術の名称です。


同素材は「空気を通すが水滴は通さない」機能を持つ防水繊維で、登山用ウェアなどのアウトドア用品やスキーウェア、靴や衣料品など、多くの商品に使用されています。


同素材は、PTFE(テフロン)という素材から作られているのが特徴です。液体の侵入を防ぎながら、微細な孔を通じて水蒸気を透過することができ、「耐久性の高さ」や「使用期間の長さ」に定評があります。

シャープ|プラズマクラスター

シャープ株式会社が開発した 空気洗浄技術「プラズマクラスター」も、技術ブランディングの成功事例 として有名です。


空気中に浮遊する微粒子に加え、床・家具などの表面に付着する有害物質や微生物にも効果的な技術であり、エアコンや冷蔵庫など、様々な用途で利用されています。


具体的には、メーカーなどの企業に向けて、「研究機関との共同研究や、学術論文の発表などの研究結果の発表」を、一般ユーザー向けには「TV・新聞などでの広告宣伝」を展開することで、企業・一般ユーザー双方における認知拡大に成功しました。

デュポン|テフロン加工

アメリカの総合化学メーカー・デュポン社(現在はダウ・デュポン社)は、独自開発した技術のブランド化に早い段階から取り組んでいた企業で、代表的なものに「テフロン加工技術」があります。


同社は技術の認知度を高めるために、 テフロン加工技術をライセンス提供という手法で一般解放したのが特徴 です。


他社へのライセンス供給時には、ロゴやブランド名の使用基準などのルールを設けて遵守することを条件としました。調理器具や衣料品をはじめ、化学工業や医療器具など、様々な分野における企業が同技術を利用できるようになったため、現在も多くの商品が発売されています。


その結果「テフロン加工技術」の認知は飛躍的に拡大し、現在も「くっつかない」「焦げ付かない」加工の代名詞として、ブランドを確立・維持し続けています。

まとめ

本記事では、技術ブランディングについて基礎的な知識から具体的な成功事例まで、網羅的に解説しました。


技術ブランディングは、顧客を満足させられる高い技術を保有していることが大前提ですが、 「技術には自信があってもなかなか社会で評価されない」と感じている企業にとっては、常に大きな可能性を秘めている 手法です。


一般の人には特に「見えにくい・わかりづらい」という課題がある技術を、まずは可視化することから始めてみることをおすすめします。この記事を参考にしながら、ぜひまず一歩を踏み出してみてください。


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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

 

 

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Wed, 09 Aug 2023 10:08:24 +0900
<![CDATA[技術マーケティングとは?基礎知識やメリット、具体的な事例などをわかりやすく徹底解説!]]> https://mtame.jp/column/technology_marketing 技術を軸にして顧客の価値創出を実現する「技術マーケティング」の導入は、製造業界では急務となっています。顧客価値を意識した商品・サービス開発の重要性が高まっている上、技術研究や開発部門にまでその波が押し寄せているためです。


本記事では「技術マーケティング」について、基本的な概念から進め方、課題やメリット、具体的な事例まで網羅的に、わかりやすく解説しています。最終章では、より理解を深めるための書籍も紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

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技術マーケティングとは?

技術マーケティングとは一体何を指すのでしょうか?本章では概要や重要性、一般的なマーケティングとの違いなどについて解説します。

技術マーケティングとは?

「技術マーケティング」とは技術を顧客価値の軸とし、自社のコア技術を購入してくれる企業を見つけ、購入してもらうよう促すマーケティング活動です。技術を軸にしたビジネスモデルを構築することで自社の商品を差別化し、競争優位性を確保できるのが特徴です。


技術マーケティングを行うことで、既存分野以外の新領域へ技術転用を検討してもらえる可能性が高まり、うまくいけば成長性の高い市場への参入機会へとつながるなど、自社共々事業拡大を図れます。


技術マーケティングでは、技術に精通した研究開発部門や開発部門などの技術者も、マーケティング分野に関わっていく必要があります。技術者もマーケティングの知識や視点を持って取り組むことで、顧客満足度の高い製品開発や競合他社との差別化を実現することが可能になるのです。


ではなぜ現在、技術マーケティングの重要性が叫ばれているのでしょうか?次章で説明します。

技術マーケティングの重要性

以前より、日本の製造業は高い技術力を保有しているとされており、世界でもトップクラスの技術力を誇っているといえます。


しかしオンライン化やグローバル化など、市場や経営環境が急速に変化する中、技術の深化だけでは顧客価値の向上や競争優位性の確保に繋がりづらくなっているのが現状です。優秀な技術者が多いとされながらも、製造業は伸び悩んできたという背景もあります。


そこで必要とされているのが「技術マーケティング」です。日本の高い技術とマーケティング戦略を結びつけて、技術を軸にした経営戦略・事業の推進が求められています。


日本の強みであるモノづくり・高い技術力を活かした革新を起こすためには、技術マーケティング活動を通して事業構想力を高め、新たな顧客価値を創出することが必要不可欠です。


また技術開発へのコストの負担や、主戦場としている市場の縮小などによって「新たな技術を開発しても投資効果が低くなってしまう」というリスクを避けることもできます。

技術マーケティングと一般的なマーケティングの違い

技術マーケティングは、一般的なマーケティングと進め方や概念が大きく異なります。


一般的なマーケティング活動では、自社の定めたターゲットに情報が届くようにアプローチを行い、ナーチャリングを通して商談機会の創出を図ります。比較的確実な成果を生みやすいとされていますが、新分野への用途の開拓にはつながりづらいのが難点です。


一方で技術マーケティング活動では、ターゲットとする技術者に自社技術について知ってもらい、用途開発につなげることを目的とします。一般的なマーケティング活動とは異なり、ターゲットを選定しすぎず、できる限り多くの技術者に情報を届けるための施策を行うのが特徴です。


また技術マーケティングはすぐには成果に結びつかない傾向にあり、根気強く活動を続ける姿勢が求められます。そのため予算がつきづらく、最低限の予算で取り組まなければならない企業も多く存在しています。


さらに、マーケティング部門以外にも技術部門の積極的な関与が必要不可欠なため、どの部門が主導権を持って進めるかという組織的な問題もあり、一般的なマーケティング活動に比べ、スムーズに活動を行えていない傾向にあります。 

技術マーケティングの種類

技術マーケティング活動には「BtoB」及び「BtoC」の2種類があります。それぞれ立案する戦略が異なるため、自社のマーケティング活動がどちらであるかを明確にしてから取り組むことが大切です。

「BtoB」の場合

技術マーケティング活動のターゲットが「BtoB」の場合、企業ニーズが潜在化している可能性があります。


そのため既存の商品に「技術」という付加価値をつけ、新たな顧客や市場に対して売り出していく事業戦略「市場開拓戦略」をとる必要があります。ターゲットである企業の技術者と接点を持ち、定期的な情報交換を行うことが重要です。


具体的には、展示会や学会、ショールームなどで接点を持ち、相手企業の技術者へ積極的にアプローチを行います。

「BtoC」の場合

技術マーケティング活動のターゲットが「BtoC」の場合、顧客ニーズが顕在化しています。


そのために取るべきマーケティング戦略は、自社の更なる成長のための取り組みと併せて、既存の顧客や既存の参入市場において、さらにニーズを引き出してより多く購入してもらうための取り組みを行う「市場深耕戦略」です。


昨今は他社との差別化を図る要素がすぐに一般化してしまうため、「BtoC」での技術マーケティング活動では、「市場深耕戦略が適切に立案できるかどうか」が非常に重要になります。


では、実際に技術マーケティング活動を行うにはどのようなステップで進めていけば良いのでしょうか。

技術マーケティング活動の進め方

技術マーケティング活動の進め方について、基本的な4つのステップを解説します。技術マーケティング活動を適切に推進するためには、事前の準備を念入りに行う必要があるため、ぜひ参考にしてください。

①技術の棚卸し

まず技術マーケティングを始める際には、「技術の棚卸し」を行う必要があります。


「技術の棚卸し」とは、自社が持つ技術を網羅的に整理し、的確に把握することで、改めて自社に何ができるかを理解していくことです。技術を軸に新たな顧客価値を創出するためには必要不可欠な作業です。


特に自社の保有技術について「希少性」や「模倣困難性」など、差別化要素になりうるポイントについて洗い出すことが必要になります。自社の強みや市場における立ち位置がわかり、どんな分野で活躍できる技術なのかを掴めるでしょう。


その上で「数年後、数十年後の技術がどのようになっているのか」「次世代のコア技術はどんなものか」など、部門を超えて自社技術を可視化することで、新たな技術領域を特定することもでき、最終的には自社の利益拡大へとつながります。

②技術を展開する領域とコア技術を結び付ける

次に行うのは、「技術を展開する領域と自社の技術を結びつける」ことです。


技術マーケティングの基本は「自社技術の新しい使い方を見つけてもらうこと」にありますが、いくら質の高い技術を持っていたとしても、成長可能性のある市場で技術を展開しなければ、新たな事業を発展させていくことは困難です。自社技術では対応できない領域への展開を行えば、その活動も無駄になりかねません。


そうならないためにも、自社が保有する「技術特性」を理解し、「市場性」を結びつけて考えることが重要です。


また1つの技術をとっても様々な特性を持ち、研究開発によって向上できる特性も変わってくる場合もあります。「どの特性がどのような領域へ展開できるか」「展開できそうな領域は成長可能性があるのか」という観点から検討しましょう。

③ターゲットの明確化・ビジネスモデルの構築

技術を棚卸しし、技術を展開する領域を選定したら、「ターゲットの明確化」及び「ビジネスモデルの構築」を行います。


ターゲットを明確化するためには情報収集が必要です。具体的には既存顧客へのインタビューやヒアリング、Web情報や実際の利用シーンの観察などがあり、そこから得た様々なデータを通して顧客理解を深め、ターゲットを明確にしていきます。


その上で、明らかにしたターゲットに向けたビジネスモデルを構築することが大切です。技術コンセプトの策定を行い、画像や表、グラフなどを用いた擬似カタログを作成するのも有効でしょう。


顧客価値創出において自社内で担保できない場合には、オープンイノベーションや業務提携など、外部リソース活用を含めて検討を行います。

④技術マーケティング戦略の構想をロードマップにする

最後に、技術マーケティング活動の構想をロードマップにします。


ロードマップに描いて可視化することで、多くの部門における意思疎通や意思統一を図るほか、技術マーケティング戦略への理解にばらつきが出るのを防ぐことができます。


先述したように、技術マーケティング活動では製造部門や技術開発部門をはじめ、複数の部門が関わるという特徴があるため、部門ごとの隔たりを無くし、企業全体として技術マーケティング戦略に関わることが重要です。


「技術を軸にした顧客価値を創出するためのビジネスモデル」をもとにロードマップを描き、それをもとに全員が責任を持って業務を進めていくことが、技術マーケティング活動の成功へとつながります。

技術マーケティングの課題と成功させるポイント

技術マーケティングを成功させることは難しいとされており、乗り越えなければいけない課題があります。以下では課題と、技術マーケティングを成功へ導くためのポイントを紹介します。

市場の把握と深い理解

技術マーケティング活動において、「市場の把握と深い理解」は大きな課題とされています。


技術マーケティング活動では、未開拓の市場では市場開拓を、既存市場であれば市場深耕を行う必要があります。そのため、社会環境の変化や技術の発達によって常に変容しつづける市場や、市場におけるトレンドを的確に把握・理解しなければなりません。


その上で、自社技術はどのような市場で展開できるのかを調べ、市場成長性と自社の競合優位性の双方を成り立たせることができる分野へ参入することが重要です。


そのためには自社の技術を深く理解することはもちろん、ターゲットとなる企業の研究や、競合となりうる企業の察知、専門知識の習得なども必要になります。

顧客の課題を知る

自社の技術を他社に購入してもらうことが目的である技術マーケティングでは、顧客の課題を知ることも非常に重要です。自社の技術がその課題を解決できるものでなければならないからです。


顧客の課題を知った上で、自社技術が「貴社の課題を解決できます」とアプローチすることが技術マーケティングでの基本です。そのためターゲットとなる顧客が「どのような商品を扱っているか」「どの市場に参入しているか」を把握し、「自社がこの技術を提供すればターゲットの課題を解決できるはず」ということを、常に研究していく必要があります。

また未来を想像し、未来像から現在へと遡って思考することで、未来の顧客課題を想像することも大切です。情報収集によって将来どのような変化が起こるかを検討・予測した上で、顧客の課題を理解するようにしましょう。

技術者の参加・協力

一般的なマーケティングはマーケティング部門や営業部門の仕事とされていますが、技術マーケティングの場合は技術開発部門や研究部門など、技術者による参加・協力が重要になります。


技術についての詳細を知る技術者が関わることで、技術マーケティングの質は向上し、顧客が求めているニーズに対してより的確且つ迅速な対応が実現できます。開発用途などの発想もより豊かになるでしょう。


技術者が参加する場合は、技術だけにフォーカスした施策へと進みやすいので、マーケティング部門や営業部門などの視点や知識と融合して進めていくことが大切です。

企業全体で取り組む

技術マーケティングはあくまで「マーケティング方法」のひとつなので、基本となるのは一般的なマーケティングでも重要とされる「4P」という概念です。4Pは「製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・販売促進(Promotion)」を意味し、すべてのマーケティング戦略において根本となる考え方といえます。


日本の企業では、マーケティング・営業部門と技術開発部門がはっきりと分かれている傾向にあり、前者は「製品」の知識が、後者は「流通・販売促進」の知識が乏しい傾向にあります。


技術マーケティング活動において、知識の偏りは障害となりやすいため、それぞれの部門に共通した知識や認識が求められます。


部門ごとの隔たりを無くし、企業全体として技術マーケティング活動に関わることが大切です。また変化する環境に応じて開発方針のアップデートも必要になるため、常に社内全体でマーケティング戦略を共有しましょう。

技術をできる限り公開・共有する

自社技術のコア部分について、公にできる部分はできる限り公開し、共有することが大切です。


技術を購入・利用する顧客としては、技術をしっかりと理解した上で利用できるかどうかが重要な判断材料になります。使えるかどうか判断できないほど技術データが曖昧だと、問い合わせへとつながりにくくなってしまいます。


昨今では、別分野の研究者同士が連携して新しい顧客価値を生み出したり、組織内外を問わずあらゆるリソースを利用することで、組織外へとイノベーションを提供する「オープンイノベーション」という考え方も広がりつつあります。


技術を公開・共有することは製造業において非常に重要であり、技術マーケティングを成功させるための大きなポイントといえます。

技術を知らない人にチェックしてもらう

技術をターゲットに伝えるコンテンツを作った際は、その技術に関する知識がない人にチェックしてもらう必要があります。


技術を熟知する技術者が作ったコンテンツは「狭く・深く」なりやすく、無意識の専門用語を使用するなど、理解しづらいコンテンツになってしまう場合があります。


初心者や知識が浅い人でも簡単に理解してもらえるものかどうか、社内の事務や営業部門の人にチェックしてもらうことが大切です。難しい部分があれば指摘してもらい、できる限り易しい言葉で表現するなど、コンテンツの修正・見直しをしてみてください。

技術マーケティングを実施するメリット

技術マーケティングは実施するのに難しい一面もありますが、成功すれば大きなメリットがあります。

新しい価値の創出

技術マーケティングを行うことで、新商品を創出できる可能性が高まります。


技術者はその分野における技術知識に長けており、技術のメリット・デメリットを初め、将来性や問題点など、様々な情報を把握しているため、顧客側の目線を持つマーケティング部門・営業部門と協力してマーケティングを行うことで、これまでにない新商品を創出できる可能性が高まります。


顧客の需要をより満たすことができるサービスの開発など、技術者ならではの視点から新しい発見が見つかるはずです。また近年普及しつつあるオープンイノベーションを取り入れることによって、新商品だけではなく、未知の領域への発展も期待できます。

長期間の事業継続

技術マーケティングでは顧客の課題を解決できる自社技術の提供が必要不可欠となるため、ニーズを満たす顧客とマッチすることができれば、長期間にわたる事業継続の可能性が高まります。


技術マーケティング活動の過程では、自社技術の強みや競争優位性の明確化を行います。これをもとにアプローチを行なって顧客のニーズを満たすことができれば、競合他社では提供しづらい価値を提供することが可能になり、事業の安定化が見込めます。

技術を発見してもらうためのWeb施策

技術マーケティング活動では自社の技術を知ってもらうために発信する必要があります。


TVCM、雑誌広告、学会の発表、対面での打ち合わせなど、技術を知ってもらうには様々な手法がありますが、本記事では現在施策として重要性が高まっている「Webを活用した施策」について説明します。

Google・Yahoo!などの「コンテンツマーケティング」

Webを活用したマーケティング手法のひとつに、Google・Yahoo!などの検索エンジンを活用して行う「コンテンツマーケティング」があります。


コンテンツマーケティングでは、様々な分野の技術者に自社技術を知ってもらうことを目的とした、効果的なマーケティング手法です。


あらゆる角度から自社技術に関する情報を見直し、「技術のスペック」「技術が持つ機能」「想定される使用用途」など、価値ある情報を用意し、Webコンテンツとして発信します。


BotBの場合は、一般的なアクセスを稼ぐコンテンツマーケティングと比べて、より深く技術を知ってもらうためのコンテンツを用意する必要があります。

YouTube、TikTokなどの「動画マーケティング」

YouTube、TikTokなどを活用する「動画マーケティング」も非常に効果的です。


動画を活用することで、文字やイラストだけでは表現・理解しづらい技術についても、わかりやすく視聴者に伝えることができます。


YouTubeなど、ユーザー数の多いプラットフォームの持つ拡散力も期待でき、認知度向上も見込めます。Webサイト内に埋め込んで活用することもできるため、一度動画を作成すれば、コンテンツマーケティングなどと併用して、幅広く活用することが可能です。

Facebook、Twitter、Instagramなどの「SNSマーケティング」

Twitter、Instagram、Facebookなどを活用する「SNSマーケティング」もWebマーケティングの手法として有効です。


「Facebook;年配者向け」「Twitter:拡散力がある」「Instagram;若者の利用者が多い」など、SNSにはそれぞれ特性があるため、ターゲットや市場に合わせて使い分けが必要になります。

技術マーケティング事例

本章では、実際に技術マーケティングに成功している企業を紹介します。


・参考:技術の見せ方を工夫している中小製造業7選

動画を活用した技術マーケティング|大鉄精工株式会社

埼玉県三郷市にある大鉄精工株式会社は、創業以来一貫して難易度の高い精密旋盤加工を実現する企業です。


高品質の加工精度を伝えるために、動画を活用した技術マーケティングを実施しており、真円度(10μm以下)や同軸度(5μm以下)の計測データや測定動画も掲載しています。動画で実際に測定している様子を見ることで、その加工精度の高さをより身近に感じられます。


Webサイト全体を通して画像が多用されており、わかりやすく伝えている点もポイントです。技術の高さがひと目でわかる工夫が施されています。

 

大鉄精工株式会社 公式サイト「品質管理」ページ

イラストを活用した最新技術の説明|株式会社パルメソ

株式会社パルメソは、MSE(Micro Slurry-jet Erosion)事業及び材料表面の機械特性試験装置製造販売を行う企業です。


株式会社パルメソのMSE(Micro Slurry-jet Erosion)試験は、めっきなどの薄膜の硬さ、ゴムやセラミックなどの、これまで測定が困難だった材料の測を可能にする画期的な試験方法です。しかし、その技術は説明が難しく価値を理解されないという課題がありました。


そこで同社が活用したのが、イラストを利用した試験方法の解説です。文字に加え、装置全体がわかるイラストを使うことで、わかりやすく簡潔に測定方法を理解してもらうことに成功しています。


情報を可視化することでイメージのシェアも可能になるため、より正確に技術を伝えられるというメリットもあります。またWebサイトでは「技術解説」ページを設けるなど、技術にフォーカスしたサイト作りも参考になります。


株式会社パルメソ 公式サイト「技術解説」ページ

既存顧客の評価事例で信憑性・質の高さをアピール|株式会社外山製作所

株式会社外山製作所は事務機器や自動車、各種の機械類に用いるシャフトやネジ、ピンなどの丸モノを手掛ける企業です。自動旋盤を使ったΦ30mm以下の量産を得意としており、不良率の低さに定評があります。


一般的に製品の不良率はCpとppmで表すことが多く、例えば「ppm(parts per millionの略)」は100万個中に何個不良品が合ったかを表します。これらの値を数値で伝えるのは簡単ですが、その数値の信憑性や品質の良さを理解してもらうことは難しいという課題がありました。


そこで同社は数値に加え、顧客からの評価を掲載することで信憑性を高めることに成功しました。評価表の中には不良率(ppm)も記載されているほか、過去10年以上納期遅れなしの「納期の実績」などの客観的評価と実績をアピールすることで、同社の技術力の高さと実力を伝えています。


株式会社外山製作所 公式サイト「品質の実績」ページ

技術マーケティング関連のおすすめ書籍3選

技術マーケティングについて、より理解を深めるために役立つ3冊の書籍を紹介します。

技術マーケティング戦略

技術マーケティング戦略(高橋 透 著、中央経済社)」は、技術マーケティング力の強化方法と事業成長につながる戦略を紹介する一冊です。


日本の製造業が世界でリーダーシップを取れない理由の1つが「技術マーケティング力」であるということを前提に、その力を強化するための「技術を顧客の価値につなげ、価値を生み出す仕組みを創る方法」が4つの段階、11のステップに分けて解説されています。


本書を読むことで、技術マーケティング戦略のベースとなる仮説を立て、企画に落とし込むまでの大枠の流れについて理解できます。


また、長期的な事業成長という視点で技術マーケティングが解説されているのが本書の特徴です。技術や技術に対する顧客の価値観が今後数年でどう変化するかを予測し、ターゲット市場の選定や、技術開発の方向性を決める考え方、オープンクローズ戦略や業界全体のエコシステムづくりなどについても紹介されています。


わかりやすい図が活用されているため、技術マーケティングに関連するフレームワークや自社のマーケティング戦略を改めて見直す際に役立つ一冊です。

 

目次

第1章 日本の製造業の生きる道

第2章 技術マーケティング戦略の基本コンセプト

第3章 技術マーケティング戦略のステップ

第4章 技術マーケティング戦略の戦略モデル

第5章 技術マーケティング戦略を支える重要な戦略

第6章 技術マーケティング戦略における人・組織戦略

技術が市場につながる 開発者のためのマーケティング

技術が市場につながる 開発者のためのマーケティング(日本能率協会コンサルティング 池田裕一 著、同文舘出版)」は、技術と市場データを適合させ、事業として構想する力をつけるための技術マーケティングの実践手順が4段階・15ステップで解説されています。


1章「開発者に求められるマーケティングとは」で解説される基本的な内容をはじめ、顧客にヒアリングする前の準備や、開発者が企画をアピールする具体的な方法や実践例など、技術マーケティングに関する内容が網羅的に、詳細にまとめられているのが特徴です。


技術マーケティングに関わる方はもちろん、市場性・事業性の説明を求められている研究者の方や、新事業企画へ参加する技術関連に従事する方、技術を軸にした事業拡大を検討している方などにおすすめします。

 

目次

1章 開発者に求められるマーケティングとは

2章 技術マーケティングの15ステップ

3章 技術の強みを知る

4章 技術の使い道を決める

5章 技術の出口を作る

6章 企画をアピールする

7章 技術マーケティングの実践例

技術者のためのマーケティング ― 顧客価値の構想と戦略

技術者に向けて書かれた「技術者のためのマーケティング ― 顧客価値の構想と戦略(谷地弘安 著,千倉書房)」は、これから初めてマーケティング活動に取り組もうとする方におすすめの一冊です。


全体を通して「技術者はどのように顧客価値を構想できるのか」という考え方について解説されており、第1章〜5章では「顧客価値とマーケティングに関する基本的な考え方、及び顧客価値を見つける手法」が、第6~8章では、「顧客価値を守るということを軸にした、競合に勝つための戦略」が解説されています。


また具体例が豊富に掲載されているのも本書の特徴です。技術者が顧客価値の理解・探索手法から戦略、商品化までのマーケティング活動全体に関わるイメージを持つのに適しており、実際の事例を参考にしながら読み進めたい方におすすめします。

目次

イントロダクション なぜ技術者にマーケティングか?

第1章 技術者とマーケティング

第2章 顧客視点になるための「コト発想」

第3章 「コト発想」の展開

第4章 顧客価値を「探す」

第5章 顧客価値を定める――コンセプトづくり

第6章 価値を「守る」

第7章 ライバルからマネされない

第8章 価値を探し、定め、そして守る


千倉書房公式サイト「技術者のためのマーケティング ― 顧客価値の構想と戦略」

まとめ

本記事では、技術マーケティングについて基礎知識から具体的な事例、さらに理解を深めるための書籍など、網羅的に紹介しました。

現在、商品のライフサイクルは以前に比べて非常に短くなっており、そのような中で市場シェアを獲得するためには、自社独自の強みや価値を持つ技術マーケティング戦略の導入が必要不可欠です。


技術と商品・サービスを分けるのではなく、技術を軸に市場性を考慮して「技術深化」「顧客体験」「ビジネスモデル」を構築することで、新たな価値を創造していくことが、これまで以上に重要になります。


技術者の方だけでなく、自社の事業やビジネスを見直したい方にも本記事が役立つと幸いです。

 

 

 

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Wed, 09 Aug 2023 09:59:43 +0900
<![CDATA[これからの製造業に求められるリード獲得とは?オンラインでの施策や成果につなげるポイントなどをご紹介!]]> https://mtame.jp/content_marketing/manufacture_lead リード獲得とは、自社の製品に関心を持っている見込み顧客(リード)の情報を集める施策のことです。リードとコミュニケーションを取りながら、興味を引き出し、信頼を構築して購買へと導くことが目的です。リードを獲得し、育成することで効率よく売上向上を目指します。

 

いままで製造業におけるリード獲得は、展示会やイベント、ダイレクトメールなどオフラインの施策が主流でしたが、最近のデジタル化の流れを受けて、オンラインでの施策を実施する企業が増えています。そこで、本記事ではオンラインを中心としたリード獲得について、施策やポイントなどを紹介します。

 

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リード獲得とは?

「リード」とは、「見込み顧客」を意味するマーケティング用語です。英語では「Lead」と表記され、「導く、連れて行く」という意味のほか、「手がかり、糸口」という意味合いもあり、営業プロセスの糸口となる顧客のことを指しています。商品・サービスに興味を持ち、将来的に購入や契約を行う可能性のある顧客を意味します。

 

そして「リード獲得」とは、見込み顧客を見つけ出し、個人情報を獲得する施策のことです。「リードジェネレーション」とも呼ばれ、企業名や部署名、電話番号、メールアドレスなどの基本情報を集めてデータベースにし、営業活動の効率化を図ります。

 

見込み顧客とのコンタクトには以下のようなパターンがあります。

 

  • 自社サイトのお問い合わせフォームに入力があった
  • お役立ち資料をダウンロードした
  • 自社製品の概要資料を閲覧した
  • 製品やサービスについての相談があった

 

【関連記事】
リードジェネレーションとは?手法・注意点・メリット・デメリットなどをまとめました!

製造業におけるリード獲得の現状

専門性の高い製品を扱う製造業では、いまも「いい製品を作れば売れる」といった考えが残っています。紹介や人脈のつながりで経営を続けてきた中小企業も多く、既存顧客を対象とする「ルート営業」に力を入れた対面での営業が一般的です。

 

ルート営業は、一度販売すれば、リピート購入で売上が成り立つため、多くの企業が注力してきました。そのため、現在でもマーケティングの必要性をあまり感じていない企業が少なくありません。他業種と比べて、新規開拓やマーケティングに対するノウハウが蓄積していないケースも多いといえます。

 

しかし、コロナ禍で展示会などの直接お客様に会える機会が減り、製造業もリモートやオンラインでの営業を余儀なくされました。多くの業種が販売形態を模索している中で、製造業も新たな営業スタイルが求められています。その流れを受けて、近年ではWebサイトやSNS広告など、オンラインでのリード獲得施策の需要が高まりつつあります。

オフラインのリード獲得施策

いままで製造業で行われていたリード獲得の施策は、リアルの展示会やイベントなどオフラインが中心でした。もちろん、これらの手法はいまも行われており、製造業で欠かせない施策のひとつです。とくに展示会は直接顧客へアピールできる貴重な機会であり、確度の高いリード獲得が期待できます。

 

いままで行われてきた主なオフライン施策は以下のとおりです。

 

展示会とイベント

製造業は、展示会や業界関連のイベントに積極的に参加してきました。製品やサービスについての展示を行い、潜在的な顧客と交流をしてリードを獲得。新規開拓には欠かせない施策のひとつです。

 

営業活動

営業チームが企業や個人の顧客と直接対話し、製品やサービスに対するニーズを把握してリードを獲得します。お得意さんをまわる「ルート営業」や電話を使った「テレアポ」などが主流で、顧客との信頼関係を築いていきます。

 

紹介と口コミ

製造業では、他の顧客からの紹介や口コミが非常に重要です。製品に満足した顧客や取引先から新たな顧客を紹介してもらうことで、信頼性のあるリードを獲得できます。

 

広告と宣伝

雑誌や新聞広告、テレビCMなどを通じて、製品やブランドを広く知らせることもオフラインのリード獲得施策です。広告を通じて興味を持った顧客が直接企業に問い合わせを行い、リード情報の獲得、その後の商談へと進みます。

製造業におけるオンラインリード獲得の重要性

先述したとおり、製造業でも営業スタイルの変化に伴い、オンラインでのリード獲得が注力されています。ここからは、オンラインでのリード獲得の重要性について解説します。

ターゲット顧客と接点を持つことができる

オンラインを活用すれば、展示会やイベントなどではなかなか接点を持てなかった企業から問い合わせをもらえる可能性があります。 たとえば、ターゲットに向けたお役立ち情報を資料ダウンロードとしてアップすることで、顧客が自発的にコンタクトを取ってくれるかもしれません。いままで接点を持ちにくかった企業と自然な形でコミュニケーションが取れるのは、オンラインならではの特徴です。

 

また、地域や国境を超えたコミュニケーションを可能にするため、広範なターゲット層にマーケティング活動ができます。世界進出を視野に入れている企業は、世界中の顧客にアプローチするきっかけになるでしょう。

顧客のニーズを知ることができる

オンラインの施策なら、顧客の行動や反応をデータとして収集できます。集めたデータを分析すれば、顧客のニーズや行動パターンを理解し、より効果的なリード獲得を構築することが可能です。

 

たとえば、Webサイトではどの資料がよくダウンロードされているのかを分析して、顧客のニーズが把握できます。さらに、MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入することで、どのページを閲覧しているのか、どんな頻度でサイト訪問しているのかなど、その後の行動も追跡でき、顧客の育成にも役立つでしょう。

BtoBは企業サイトが情報源

製造業の顧客は、卸売業者や商社、量販店などほとんどがBtoB企業です。自動車や家電、加工食品などBtoC商品を製造していても、生産者から直接エンドユーザーへ販売されることはほぼありません。

 

では、製造業が顧客とするBtoB企業は、何を参考に商品やサービスの情報を集めているのでしょうか。

 

ブランドやWebサイトに関する調査を行うトライベック・ブランド戦略研究所の「BtoBサイト調査 2022」によると、「仕事上の製品・サービスの情報源」として、66.7%が企業のWebサイトを参考にしていることが明らかになりました。つまり、Webサイトをしっかりと作り込めば、営業やマーケティングの支援となり、リード獲得も拡大できるといえます。

 

「BtoBサイト調査 2022」

画像引用元:トライベック・ブランド戦略研究所の「BtoBサイト調査 2022

製造業におけるオンラインリード獲得施策

では、製造業におけるオンラインのリード獲得施策には、どのような手法があるのでしょうか。ここからは、具体的な施策内容についてご紹介します。

SEO

SEO(Search Engine Optimization)とは、GoogleやYahoo!など検索エンジンで上位表示されるようにコンテンツを最適化することです。 日本語では「検索エンジンの最適化」と訳されます。上位表示されるサイトは、ユーザーからの信頼も得やすいため、自社サイトへのアクセス数を増やしてリード獲得を促進します。

 

SEOのメリットは、費用対効果が高いことです。広告費を一切かけずにリード獲得を強化でき、その成果を継続的に得ることもできます。

 

とくに製造業は、専門性が高く、比較的市場の規模が小さい「ニッチな商品」がキーワードになるため、「ロングテールSEO」を狙っていくことがポイントです。ロングテールSEOとは、具体的なキーワードや、複数の単語で検索するユーザーを獲得できるようにすること。一般的なキーワードでは競争が激しく、上位を獲得するのが難しい場合でも、ニッチなキーワードを設定することで、競合を回避し、より効果的な結果が得られます。

 

「ロングテールSEO」を活用する際は、以下のポイントをおさえて効果を最大化しましょう。

 

ニッチなキーワードの特定

製造業は幅広い分野にわたるため、より具体的なキーワードを見つけることが重要です。たとえば、製品名や製造技術に焦点を当てるなど、特定の顧客に向けたニッチなフレーズを選定します。

 

ローカルSEOの活用

製造業は、地域によって需要が異なる場合があるので、地域に特化したローカルSEOを活用することも有効です。地域名をキーワードに組み込んだり、地域に特化したコンテンツを提供することで、特定の顧客にアプローチしやすくなります。

 

長期的な戦略の実行

ロングテールSEOは、効果が積み重なっていく戦略なので即効性は期待できません。継続的な取り組みとコンテンツの更新など、長期的な視野での実施が大切です。

 

【関連記事】

>SEOを基本から解説!最低限抑えたい施策から無料ツールまで

>コンテンツSEOとは?メリットから実施手順までを解説!

Web広告

Web広告とは、インターネット上で製品やサービスの情報を宣伝する広告のことです。Webサイトや検索エンジン、SNS、アプリなどを通じて広告を表示します。検索キーワードに合わせて広告を出せる「リスティング広告」や、ターゲット属性を絞って出稿できる「ディスプレイ広告」など、その種類はさまざまです。

 

選ぶ広告によってターゲットや効果が異なるため、自社のビジネスに合った広告を組み合わせて運用することで、より効果的なリード獲得が実現します。また、製造業のキーワードは競合が少ないので、検索回数が小さくても安価で出せることがあります。

 

広告費をコントロールできるのもWeb広告のメリットです。クリック数や表示回数に応じて広告費を支払うため、無駄なコストを削減できます。

 

さらに、Web広告は、効果を測定することも可能です。新聞やチラシなどのオフラインと違って、クリック数やCV(Webサイトの成果)数などを測定し、広告の効果を把握できるため、運用を改善してより効果的なリード獲得が目指せます。最短距離でリード獲得ができるので、上手に運用すればコストパフォーマンスがよいともいえるでしょう。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは、自社の製品に関連する有益な情報や価値あるコンテンツを提供し、ユーザーとの関係構築やブランド認知を高めて、リード獲得につなげるマーケティング戦略です。

 

具体的な手法としては、以下のような方法があります。

 

  • ブログ記事
  • 動画コンテンツ
  • ホワイトペーパー
  • メールマーケティング

 

コンテンツマーケティングは、顧客が検討している段階に合わせたコンテンツを発信することで、購買検討の選択肢に入る確率が上がります。BtoBは「今すぐ購入」とはならず、検討に長時間かかるケースが多いです。そのため、どの段階のどのターゲットに当てたコンテンツを作成しているのか、しっかりと把握して適切なホワイトペーパーの導線設置、メルマガによる顧客育成の設計などを行うことが重要です。

 

【関連記事】

>コンテンツマーケティングとは?メリットや手法、事例までをご紹介!

ホワイトペーパー作成

ホワイトペーパーとは、「役に立つ情報」や「課題の解決策」などの資料をWebサイト上で提供するコンテンツです。ほとんどの場合、資料ダウンロードと引き換えに、個人情報をフォーム入力してもらい、企業はリード情報を獲得します。

 

かつてはIT企業で多く導入されていましたが、最近では製造業でも実施されるようになりました。先述したとおり、ホワイトペーパーはどの資料が多くダウンロードされているのかを分析すれば、ニーズの把握にも有効活用できます。

 

製造業でよく活用されるホワイトペーパーは以下のとおりです。

 

導入事例

製品を導入した他の企業がどのように活用し、成果を得たのかを紹介する資料です。検討中の企業にとって、製品を使うとどのような成果につながるのかは、非常に気になるポイントなので、ダウンロードされやすい資料といえます。

 

カタログ

最近では、商品ラインナップを掲載したカタログは、紙資料からPDFへと移行しています。Web上に公開すれば、いつでも顧客は商品について知ることができます。商品情報が古いと混乱を招いてしまうので、常に最新情報を掲載するよう注意しましょう。

 

業界や用語解説

製造業は、ニッチな商品を扱う企業が多いため、業界の最新情報や用語集などを用意すると商品訴求につながります。用語解説をダウンロードするのは、これから業界について学ぶ人が多いので、初心者に向けたわかりやすい解説を意識しましょう。

 

課題解決

作業効率の向上、コストダウンなど、多くの製造業者が抱えている課題を解説した資料は、同じ問題に悩んでいるユーザーの関心を引きやすいです。どうすれば解決できるか、情報を惜しみなく提供すれば信頼度の向上にもつながります。

 

【関連記事】

>製造業におけるホワイトペーパーの重要性と具体的な事例を紹介!

ウェビナー

ウェビナーとは、オンライン上で行われるセミナーのことです。「ウェブ(web)」+「セミナー(seminar)」に由来する造語で、コロナ禍でいままでどおりのセミナーができなくなり、その代わりとして広く普及しました。

 

ウェビナーは、場所を選ばず開催できるので、遠方の人や忙しい人でも参加しやすいことが大きなメリットです。参加のハードルが低いので、多くのリード獲得が期待できます。

 

また、会場を抑える必要もなく、受付などの人件費も抑えられるので、いままでのセミナーよりもコスト削減できるのも魅力です。

オンライン展示会

オンライン展示会は、Webサイト上で開催される展示会です。バーチャル展示会やWeb展示会とも呼ばれ、ウェビナー同様、コロナ禍を経て急速に拡大しました。

 

従来のオフラインの展示会と違って、場所や時間に制約がないことが特徴です。日本全国はもちろん、世界中から来場者が集められるため、世界進出を目指す企業にとっては自社製品を知ってもらう大きなチャンスになるでしょう。

 

また、動画や電子カタログのダウンロードを用意したり、3DCGで商品を再現してリアルに体感してもらったり、オンライン上にさまざまなコンテンツを配置できるのも大きな魅力です。自社の製品で何が解決できるかをしっかり提案できれば、新たなリード獲得につながりやすいでしょう。

 

【関連記事】

オンライン展示会とは?製造業が取り組むメリットや出展の流れまで

オンライン展示会の集客方法は?SNSやWeb広告の活用法と成功のポイント

SNS運用

YouTubeやInstagramなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を運用して、広告費をかけずにリード獲得する手法です。 たとえば、新規会員登録してくれた人に1,000円分の商品券をプレゼントする「SNSキャンペーン」を実施すれば、サービスに関心をもっていくれている顧客の情報を1,000円で獲得できます。

 

SNSは、SEOやコンテンツ作成よりも手軽にスタートでき、若年層をターゲットにしている場合はさらに効果的です。拡散性も高いので、「リツイートキャンペーン」を実施して情報の拡散を促せば、宣伝効果も期待できます。

 

また、YouTubeを使えば、製品紹介や作業工程をよりわかりやすく伝えられます。製造業は専門性の高い製品が多いので、文字や写真だけでは操作性までうまく伝わらない場合も。YouTube動画なら、誰でも気軽に見ることが可能で、使い方なども具体的に紹介できるでしょう。

Webサイトのリニューアル・改善

現状のWebサイトのデザインや導線改善などを通して、CV数を最大化する施策です。リード獲得のために、何を改善すればよいのかを明確にしてからリニューアルプロセスを進めます。

 

ただし、SEOが実施できなかったり、広告の受け皿として機能していない場合は、先に改善しておかないと、穴の開いたバケツのようになってしまいます。リニューアルは「受け皿を整える→集客→改善」の流れを徹底したうえで進めましょう。

 

製造業のWebサイトでは、何を販売している企業なのか、ひと目でわかることが理想です。情報がわかりやすく整理されていて、どんな課題を解決できるのか、他社とどう違うのかも伝わるとよいでしょう。

 

また、問い合わせが少ない場合はフォームを見直してみましょう。「フォームまでの導線が複雑」「入力項目が多い」など、必ず原因があるはずです。目標値も同時に設定して、分析しながら改善を続けましょう。

 

【関連記事】

【2023年版】成果を出すWebサイトのリニューアルの進め方とは?手順から費用感、準備項目などを解説

オンラインでリードを獲得するためのポイント

最後に、効率的にオンライン施策を実施するためのポイントについてご紹介します。

ターゲット・目標を明確にする

リード獲得の成功には、明確にターゲット層を特定することが重要です。自社の商品・サービスをどのようなターゲットに訴求すればよいのか、まず自社製品が解決できる課題や提供するメリットを理解しましょう。そして、どのような顧客が興味を持ってくれるのかを特定します。

 

次に、ターゲットとなる市場や業界を選定します。とくに需要が高い業界や地域、年齢層や性別など細かく確認していきます。「ペルソナ」と呼ばれるターゲットとなる顧客像を具体的に描写した架空のキャラクターを作成するのもひとつの手法です。年齢、性別、職業、関心事、購買動機、課題など設定してターゲット像をつかみやすくします。

 

そしてターゲットが確定できたら、効率よくリード獲得するためのコンテンツを選定しましょう。

 

コンテンツを選んだら、同時に目標となるKPIを設定すれば成果が把握しやすくなります。リード獲得の施策は、すぐに結果がついてくるわけではありません。分析・改善を続けながら施策を継続することが大切です。

ターゲットに適したコンテンツを作成

リード獲得をオンラインで行う場合、コンテンツ作成が重要になります。良質なコンテンツが作成できれば、ターゲットの興味を引きつけ、ニーズや課題に対する解決策を提供して高い成果が得られるでしょう。

 

検討段階が進んでいる見込み顧客に対しては、導入事例をまとめたホワイトペーパーを用意するのがおすすめです。サービスの具体的なイメージがつかみやすくなり、企業や製品への信頼感も向上します。検討度合いも高まり、リード育成にも効果的でしょう。

 

コンテンツ作成で大切なのは、単なる宣伝や商品紹介だけではなく、価値を提供することです。ターゲットが役立つ情報や解決策の得られるコンテンツを提供すれば、信頼性を高め、いっそう興味を引きます。

 

ターゲット層が検索エンジンで情報にアクセスしやすいように、適切なキーワードをコンテンツに組み込むSEOも忘れないように作成しましょう。

リード獲得の次のアクションを設定

リード獲得の施策は「獲得して終わり」ではありません。次のステップを設定することで、リードを実際の顧客へと移行し、長期的な信頼関係が築けるようになります。

 

とくに製造業はBtoBの側面が強いため、獲得したリードへのフォローアップやコミュニケーションが重要です。フォームやホワイトペーパーなどで接点を持ったら、自動返信メールや感謝のメッセージを迅速に送ることで、リードに対する関心を示しましょう。

 

製造業は市場が多様なため、リードの属性によってフォローアップの内容をカスタマイズすることが大切です。

 

製造業の製品や技術をより詳しく紹介するため、獲得後、ウェビナーやイベントに招待することも効果的です。リードとの直接的なコミュニケーションの機会を増やし、関心を深めましょう。

継続的な顧客育成を設計

製造業の製品は、長期的なセールスサイクルが一般的です。長い検討期間を経て、成約につながるケースも少なくありません。そのため、リードに情報を提供した後も、定期的にコンタクトを取りながら興味を維持し、徐々に購買意欲を高めていく必要があります。

 

顧客を育成するには、まずリードを特定の属性や興味関心に基づいて分類します。リードを類似したグループに分けて、よりカスタマイズされた育成をすることが必要です。属性やニーズに合わせて、製品の特長や技術、成功事例、顧客の声などの情報を提供し続けましょう。

 

リードの行動に応じたアクションを設定することも成約に近づくポイントです。たとえば、特定のコンテンツをダウンロードしたリードには、フォローアップのメールを自動送信するなど、リードの興味に対応したアクションを設計しましょう。

 

ただし、リードに過度なコンタクトを取ると逆効果になるかもしれません。適切なタイミングでコミュニケーションを行うように心掛けましょう。

まとめ

リード獲得は、新規顧客を獲得するための基本的なステップです。競合他社よりも多くのリードを獲得することで、市場での地位を強化し、競争優位性も築けます。

 

まずは、自社製品やサービスに興味を持ってくれるターゲットを明確につかむことからはじめましょう。また、リード獲得の目的を社内共有することも大切です。売上の増加なのか、顧客獲得のコスト削減なのかなど、目的によって実行すべき施策も変わってきます。

 

人手不足によりデジタル人材が足りない、マーケティング担当がいないといった場合は、MAなどのデジタルツールを利用するのもひとつの手段です。リード獲得の施策はもちろん、データ管理や分析なども行えるので効率的な戦略が展開できます。

 

製造業においてリード獲得は、成長や競争力の向上に欠かせない要素なので、上手にオンライン施策を取り入れながら進めていきましょう。

 

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Wed, 02 Aug 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業におけるホワイトペーパーの重要性と具体的な事例を紹介!]]> https://mtame.jp/content_marketing/machine_whitepaper ホワイトペーパーの存在は知っているものの、「製造業で必要なの?」と疑問に感じている方は多いのではないでしょうか。

 

必要な時に自社商品を想起してもらったり、問い合わせてもらったりするためには、情報収集段階の人にもアクションを取ってもらうことが重要であり、そのためにホワイトペーパーの設置が不可欠です。

 

本記事では製造業におけるホワイトペーパーの重要性と、具体的な活用事例についてわかりやすく解説します。

 

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ホワイトペーパーとは

ホワイトペーパーとは、「顧客の課題や興味関心分野」と「自社の商品・サービスが解決できること」の2つが重なり合う内容をテーマとし、自社のノウハウや方法論に関する知見や情報、調査レポート、リサーチ結果、自社ソリューションの紹介などをまとめた報告書です。Webサイトにて無料でダウンロードできる資料全般を「ホワイトペーパー」と呼びます。

 

ホワイトペーパーの「資料ダウンロード」と引き換えに、会社名や電話番号、メールアドレスなどの「顧客情報」を入力してもらい、見込み顧客のデータを獲得するというのが基本的な使い方です。

 

近年、BtoB企業ではリード獲得のためにホワイトペーパーを活用するケースが増加していますが、活用範囲は幅広く、新しい見込み顧客のデータ獲得から、リードナーチャリングまで、マーケティング活動における様々なフェーズで利用されています。

 

ではなぜ製造業においてホワイトペーパーが重視されているのでしょうか?次章で詳しく説明します。

製造業におけるホワイトペーパーの重要性

製造業に限らず、顧客にとっていきなり問い合わせをすることはハードルが高く、特に情報収集段階の人にとっては「まだ問い合わせをするまでではない」と敬遠されがちです。

 

しかし接点を持ち続けることができれば、必要な時に想起してもらったり、問い合わせてもらったりできる可能性が高まるため、情報収集段階の人にもアクションを取ってもらうことが重要になります。そこで必要不可欠なのが、お役立ち資料や技術資料などのホワイトペーパーの設置です。

 

一度接点を持つことができれば、顧客との関係構築もしやすくなるほか、MAツールのトラッキングによってニーズも把握しやすくなるというメリットがあります。顧客との良好な関係性の構築が大事な製造業において、ホワイトペーパーによる顧客との接点の創出や維持は非常に大切なのです。

ホワイトペーパーの作成には顧客理解が重要

ホワイトペーパーを作成するには、まず顧客の理解が重要です。顧客を理解することで、「どのフェーズで、どんな人が、どのホワイトペーパーを必要としているか」がわかり、より有用なホワイトペーパーを作成できます。

 

顧客を理解するために、まずは自社のビジネスのターゲットを明確にすることが大切です。ターゲットを明確にしないまま進めてしまうと、「誰に向かってコンテンツを配信する必要があるのか」「何が不足しているか」の判断が難しくなります。

 

ターゲットを明確にするには、ペルソナとカスタマージャーニーマップという考え方が非常に役立ちます。具体的なターゲットの人物像を作り、自社と契約するまでの心理的な流れや必要となるコンテンツを設計します。

 

例えば下記は、BtoB製造業の顧客の中で製品が検討されるフローのサンプルです。こういった流れを整理し、「どのフェーズの顧客が、どの資料を欲しいのか」ということを理解してからホワイトペーパーを設置しましょう。

 

とある企業の検討フローと担当者の行動例▼

 

とある企業の検討フローと担当者の行動例

 

求められる情報の整理▼

 

求められる情報の整理

ホワイトペーパーの活用事例 キーエンス

製造業の方々にぜひ参考にしてほしいのがキーエンス社のホワイトペーパーです。網羅的に様々な種類のホワイトペーパーが掲載されているので非常に参考になります。1つ1つ見ていきましょう。

基礎知識

ホワイトペーパーの種類としてまず挙げられるのが、業界に関する基礎知識をまとめた「基礎知識」に関するものです。

 

キーエンス社の場合「ロギング/トレース機能 簡単!使い方ガイド」「よくわかる[OCR]文字認識の基本」「IMシリーズ 画像寸法測定入門」「プレス品測定の教科書」などの、入門ガイドや専門用語集などがこれに当たります。

 

また「画像寸法測定器 IMシリーズ まるわかりQ&A [総集編]」など、ユーザーの疑問などに寄り添ったホワイトペーパーも用意されています。

 

基礎知識のホワイトペーパーは、自社の商品やサービス、またその分野に対して興味はあるものの、まだ情報収集段階にあるユーザーや初心者に適しています。専門用語の使用はできるだけ避け、もし使用せざるを得ない場合は意味をしっかりと説明するなど、ターゲットに対しての配慮が必要です。

用途/事例

「用途/事例」のホワイトペーパーでは、自社商品やサービスの導入事例をまとめます。自社商品やサービスに対する導入イメージがより明確になるため、導入を検討しているユーザーに適しています。

 

キーエンス社の「用途/事例」では、「誰でもかんたんに使える 画像判別センサ 用途事例集 [自動車業界]」「導入事例 UVレーザマーカ MD-Uシリーズ 丸美屋食品工業株式会社 様」などのホワイトペーパーがあります。導入前後でどんな変化があったのかなどを具体的にまとめた「用途/事例」は、検討中のユーザーにとって参考にしやすく、ダウンロードされる頻度も多いコンテンツです。

 

作成の際には、実際に自社商品を導入している顧客に取材を申し込み、導入のきっかけや成果、お客様の声などを記事にするため、掲載させていただく企業への許可取りや取材、原稿の確認、旧情報のアップデートなどの手間がかかるという一面があります。

テクニック/ヒント

「テクニック/ヒント」は、課題を抱える顧客に向けて、課題解決のためのテクニックやヒント、アドバイスを伝えることを目的としたホワイトペーパーです。潜在的な顧客を自社の商品・サービスに誘導します。

 

キーエンス社の場合だと「安定検出に導く“7つの知恵”」「MK-Gシリーズ インク選びのポイント」「画像センサでの困りごと解決 VOL.1」などがあります。タイトルを見ただけで、「顧客の課題」及び「その解決策が記載されている」とわかることが大切です。

 

自社の商品・サービスの訴求力が弱いときや、認知拡大がなかなか広がらない場合にも役立ちます。

導入/選定ガイド

「導入/選定ガイド」のホワイトペーパーは、ターゲットが自社商品やサービスを導入する際に立ちはだかる壁を整理した上で、その障壁をクリアするための方法や選定ガイドなどを伝えるホワイトペーパーです。

 

キーエンス社では「お得な導入方法 補助金を活用する」など、導入時のコストという障壁を解決するための資料や、「三次元測定機比較」などの、見込み客が検討しているであろう複数の商品の機能などを比較し、解説を加えた資料などがあります。

お客様の声

「お客様の声」は、「お客様の声 マイクロスコープを導入して収益が改善された!」「お客様の声 IMシリーズを選んだ理由」など、すでに自社商品・サービスを導入した企業の生の声を伝えるホワイトペーパーです。

 

「用途/事例」と少し重なる部分もありますが、「お客様の声」では実際に利用した顧客の使用感や、導入前の課題、導入までの経緯や活用後の効果などをヒアリングしたものを記載することで、導入を検討する顧客がより身近に感じられる内容にします。

 

既存顧客から他の顧客へ導入後の成功がイメージしやすくなるため、導入を検討するユーザーや迷っているユーザーをはじめ、広いフェーズのユーザーにアプローチできるのが特徴です。

その他のホワイトペーパーの種類

本章では、前章で紹介したホワイトペーパーの種類以外の、よくあるホワイトペーパーの種類について紹介します。

業界レポート

「業界レポート」は、自社商品・サービスが関連する業界の動向や市場調査、自社で行ったアンケート調査をレポートにまとめたホワイトペーパーです。

 

規制や業界動向によって成果が左右される企業にとって経営判断の指標になり、業界や市場の最新情報を収集したいユーザーに適しています。数値などの根拠を元にした情報を提供できるため、説得力を与えられるという点も特徴です。

 

幅広い層にアプローチできるため、認知拡大に効果があるほか、既存顧客に向けた情報提供としても利用できます。

 

レポート例: 【2022年1月】WebマーケティングとCMSに関する意識調査

チェックリスト

「チェックリスト」は、自社商品・サービス導入前に利用できるセルフチェックシートです。自社に導入できるかどうかの判断基準として利用してもらえます。

 

「チェックリスト」はExcelなどで比較的簡単に作成でき、技術系の部門で実際に使われている確認資料などを、一般公開できる体裁に整備するだけで提供できる場合もあります。

 

ダウンロードを検討中の確度が高い顧客に向けたホワイトペーパーなので、ダウンロード数は伸びづらいと考えられていますが、低コストで簡単に作成できるため、作成することをおすすめします。

 

参考: 基本のSEO対策チェックリスト

ハンドブック

「ハンドブック」は、初心者向けに、商品・サービスの関連分野のノウハウや、使用頻度が高い内容を網羅的に学べるようにまとめたホワイトペーパーです。

 

自社独自のノウハウであることが大切なので外注が難しいほか、写真や図を交えながら、知識やノウハウを初心者でもわかりやすく説明する必要があるため、作成の工数がかなりかかるという側面があります。作成の難易度は高いものの、ダウンロード数が一番伸びやすい資料とされています。

 

もし社内ですでに使用している資料などがあれば、0→1で作るのではなく、転用できるかどうか検討してみることをおすすめします。

 

他に「ハンドブック」は広く情報収集を行う、契約から遠いユーザーからのダウンロードも多いのが特徴です。そのため、リードを獲得できたらナーチャリングを行う必要があります。

 

参考: BtoBマーケティングハンドブック ~基礎を学べる無料資料~

テンプレート

「テンプレート」は実際にユーザーの業務に活用してもらうためのホワイトペーパーです。利用してもらうことでユーザーに行動を促し、自社商品・サービス導入に対する必要性を認識してもらうことを目的としています。

 

自社商品・サービスが解決できる課題に取り組んでいるユーザーにとって、テンプレートは実用性が高く、改善に直結する場合もあるため比較的ダウンロードされやすい傾向にあります。

 

しかし、ダウンロード後にしっかりと活用してもらわなければ価値が伝わらないという可能性もあるため、利用してもらいやすい工夫が必要です。

イベント・セミナーレポート

「イベント・セミナーレポート」は、自社で開催したセミナーやイベントの内容や、実際に行ったセミナー/ウェビナーの内容をまとめたホワイトペーパーです。

 

自社で実施したセミナー・イベントの場合、使用した資料をそのままホワイトペーパーとして活用できますが、そのままの資料は文字数を少なく作成している傾向にあるため、補足や説明を加えて、参加していないユーザーでも理解できるように工夫する必要があります。

 

作成コストを抑えることができるほか、セミナーやイベントとの相乗効果が見込める点がメリットです。広報活動の施策の一環として活用することもできます。

 

参考: 中上級者向けSEOセミナー資料

サービス資料・カタログ

「サービス資料・カタログ」は、自社商品・サービスに関する概要や詳細、製品の写真や金額などを、資料としてまとめたホワイトペーパーです。企業が最初に制作すべきホワイトペーパーといえます。

 

紙のカタログや会社案内などは本来、営業資料として利用されていましたが、昨今ホワイトペーパーとして公開・提供する企業が増加しています。すでにあるものを活用できるため、作成自体はそれほど難しいものではありません。

 

導入する確度が高い企業をターゲットとしている場合は、常に最新の資料を提供できるように用意しましょう。

 

例: エムタメ!内のサービス概要「サービス概要資料」

まとめ

本記事では製造業におけるホワイトペーパーの重要性や種類、具体的な活用事例などについて紹介しました。

 

ホワイトペーパーを設置することで自社商品を想起してもらいやすく、問い合わせてもらう可能性も高まります。情報収集段階の人にもアクションを取ってもらうことで顧客との接点の創出や維持ができるようにもなるため、顧客との良好な関係性の構築が大事な製造業において、非常に重要な施策です。

 

ホワイトペーパーを活用した施策を開始するハードルは比較的低いため、まずはターゲットをしっかりと理解したうえで、作れるものから作っていきましょう。

 

参考: 【無料】お役立ち資料ダウンロード

 

参考: ホワイトペーパーとは?種類・作り方・ダウンロードの仕組みなど知っておきたい知識をまとめました!

 

 

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  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Wed, 02 Aug 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業向けのMAツールとは?営業課題や導入事例、選び方のポイントをご紹介]]> https://mtame.jp/martec/manufacture_ma 製造業における顧客の意思決定は、「課題に気づいて、必要な製品を決め、サプライヤーを探す…」という流れをたどります。このプロセスにおいて、見込客のニーズを分析することで、意思決定前のタイミングで先手を打てる「MAツール」は、現代の製造業の営業活動になくてはならない存在ともいえます。

 

製造業は日本のGDPに占める割合も大きく、日本の経済を支える中心的存在です。しかし従来の業務体制や組織体系などが原因となり、営業活動のデジタル化には苦戦しているというものづくり企業は少なくありません。

 

本稿ではそのような企業の方々にむけて、製造業ならではのMA(マーケティングオートメーション)ツールの使い方やその効果について、選び方から活用方法までご紹介していきます。MAツールを導入して成果を出しているものづくり企業の成功事例もご紹介しますので、ぜひMAツール導入の際、参考にしてみてください。

 

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製造業が抱える営業課題とは

製造業が抱える営業課題は近年さらに深刻化しており、「従来の営業活動では収益を維持できなくなっている」というものづくり企業も少なくありません。一方で、旧来の営業手法を見直してDX化を進めることで、業績を伸ばしている企業もあります。

 

ここでは、製造業が抱えている営業課題について、3つのポイントで解説していきます。

新規顧客獲得

製造業界では、既存顧客との取引を中心としてきたために、新規開拓に力を入れてこなかったという企業が多くあります。

 

しかし近年パンデミックの影響もあり、社会全体でデジタル化が急進しました。これにともない顧客の購買行動が大きく変化したことで、数々の企業が「営業活動の変革」や「新規開拓の必要性」に迫られているのが現状です。

 

変化の激しいこれからの時代に対応するためには、新規顧客獲得のためのスキームを新たに構築する必要があります。

 

BtoBにおいても、顧客は商談前にインターネットを通してすでに情報収集しているケースがほとんどです。そのため従来の営業活動のように、何も知らない顧客に営業マンが一方的に説明するのではなく、顧客の中で比較検討が済んでいる状態で商談がはじまることも少なくありません。

 

このようなビジネス環境の変化に対応するべく、情報収集段階のリードの足取りをつかめて、新規獲得の確度をあげられるMAツールに、いまあらためて注目が集まっているのです。

人材不足と人材育成

日本はいま、少子高齢化という問題に直面しており、人材不足は深刻な課題となっています。経済産業省の調査によれば、94%の企業が「人材確保に課題がある」と回答し、さらに3割をこえる企業が「人材不足によりビジネスに影響が出ている」と報告しています。

 

人材育成のための人員不足も進んでおり、約60%の企業が「指導する人材が不足している」と悩みを訴えました。実際に、製造業においてOJT(On-the-Job Training)/OFF-JT(Off-the-Job Training)を実施している企業の割合は、2019年から2020年にかけて低下しています。

 

製造業界も例にもれず、2021年までの20年間で就業者数は157万人も減少しました。なかでも若手の減少は著しく、業界全体で高齢化がすすんでいることがデータでわかっています。

 

日本の製造業がもつ高い技術力を継承するためにも、この課題は早急に解決する必要があります。MAツールは、業務の効率化をはかり属人化をふせげるため、人材不足解決の一助となるはずです。

マーケティングへの理解不足

製造業界では、現場でマーケティングへの理解が進まないというのも課題のひとつです。最近では使いやすいMAツールも増えている一方で、従来の製造業界のリード対応は販売促進が中心だったために、ツールの導入に至らない・ツールを使いこなせないという課題に直面しています。

 

従来のものづくり企業では営業部門の発言力が強い傾向があり、マーケティング部とうまく連携がはかれない状態ではMAツールを最大限に活用できません。上層部がマーケティングによる新規獲得の重要性について理解し、組織全体で意識改革をおこなうことも重要になってきます。

 

また製造業界では、マーケティング領域を含む無形固定資産への投資が遅れている傾向にあります。ものづくり企業では設備投資などの「有形固定資産」に偏りがちです。しかし、ツール導入によって得られる業務効率化やコスト削減といった「無固形資産」に対しても、バランスよく投資していく必要があります。

MA(マーケティング・オートメーション)ツールとは

MA(マーケティング・オートメーション)ツールとは、これから顧客になりそうな見込客のデータを一元管理して、マーケティング活動を自動化できるツールです。

 

以下は、MAツールを通して行うマーケティング活動の一例です。

 

  • メールのリンククリック、Webサイト内での動線などの行動ログからリード情報を解析して数値化
  • 解析した情報をもとにリードを分類、見込み度合いごとに顧客リストを作成
  • 興味度合いや関心事項に沿ったメルマガ配信、パーソナライズされたアプローチ

 

これらの施策によって、成約確度の高い顧客を抽出して、営業部に引き渡せるようになります。またこういったマーケティング活動そのものをツールによって自動化できゆため、さらに効率的な営業活動を実現できるのも特徴です。

 

次の章からは、MAツールで自動化できる業務プロセスについてご説明していきます。

MAツールで自動化できること

ここでは、MAツールによって自動化できる4つの領域について、ひとつずつ解説します。

リードジェネレーション「見込み客の創出」

リードジェネレーション(Lead Generation)とは、見込客を新しく生み出すステップです。名刺交換やメルマガ登録、お問い合せなどをしてもらうことで、見込客の情報を取得します。

 

オフラインではたとえば、

 

  • 直接の営業
  • 展示会・セミナーでの名刺交換
  • 広告出稿
  • DM発送

 

などにより、見込客からのお問い合せを獲得していきます。

 

オンラインでは、Web広告・SNS・SEO対策などによって自社サイトへの流入をはかり、お問い合せや資料ダウンロードからメールアドレスを登録してもらう方法が一般的です。

 

MAツールをリードジェネレーションにおいて活用できるのは、主にオンラインの範疇です。たとえば、MAツールによって「ユーザーがどのような検索クエリで問い合わせにたどりついたか」を分析することでキーワードを割り出し、SEOで適切な対策をとることができます。

リードナーチャリング「見込み客の育成」

リードナーチャリング(Lead Nurturing)は、リードジェネレーションで獲得した見込客を育成するフェーズです。MAツールが一番得意とするのは、リードナーチャリングの領域です。

 

具体的には、オフライン・オンライン問わず「名刺交換しただけ」「資料ダウンロードしただけ」といった見込客に対して、分析したデータをもとにアプローチします。たとえばメルマガを活用してお役立ち記事やホワイトペーパーなどの有益な情報を提供することで、自社製品への興味関心を高め、見込客の信頼を育てていきます。これらは、一度取引があったもののリピート購買にいたっていない既存顧客に対しても有効な施策です。

 

とくにBtoBでは、製品の検討〜購買までのリードタイムはBtoCに比べて長くなるため、1製品、1企業の購買プロセスに対して、それぞれ適切なアプローチや関係性づくりが重要です。

 

弊社の実例でも、資料ダウンロードからそのまま受注にいたった商談は全体の15%に過ぎません。残りの85%の受注は、過去に資料ダウンロードなどの接点があった見込客に対してナーチャリング活動をおこなったことで獲得できています。

 

過去に資料をダウンロードした人の受注

リードクオリフィケーション「見込み客の分類」

リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングによって顕在化した見込客をさらに選別し、より確度の高い見込客を選定するプロセスです。製品・サービスに関心をもっている見込客から優先的にアプローチできるため、営業活動をさらに効率化できます。

 

リードクオリフィケーションの手法には、閲覧ページやスコアに応じた選定があります。たとえば、閲覧ページに基づく選定では、検討度の高い特定のページに頻繁におとずれている見込客を抽出することができます。

 

またスコアによる選定では、メルマガの開封やURLのクリックなどの行動に応じて点数をつけ、高いスコアを持つ見込み客を選定します。スコアリングにおいては、決裁権の範囲や役職といった属性スコアも組み合わせることで、さらに精度を向上させることが可能です。顕在化しやすい見込客の傾向を明確にすることで、営業活動をさらに自動化し効率化をはかれます。

リードマネジメント「見込み客のリスト管理」

リードマネジメントでは、見込客のリスト管理を行います。MAツールでは見込客の属性だけでなく、行動ログにもとづく受注確度も含めてリスト管理を自動化でき、リストはメルマガ配信や電話でアポイントメントをとる際などに活用できます。

 

MAツールを活用することで、リードマネジメントのプロセスも自動化できるようになります。またリードマネジメントにおいては、営業部とマーケティング部の連携が重要です。リードの情報や行動履歴を一元化し、リードの進捗状況を可視化することで、適切なタイミングでフォローアップすることが可能になります。

なぜ製造業にMAツールが必要なのか

MAツールはいまや多くの企業が営業課題を解決するために活用しています。しかし、製造業においてはなかなか導入が進まないのも現状です。

 

製造業界の特性上、部門の連携不足がその障壁となっていることも少なくありません。たとえば、営業部とマーケティング部とでリードの定義が異なっている場合、ツールを導入しても一元化したデータをうまく活用できないのです。

 

逆に言えば、製造業がMAツールを適切に使いこなせるようになれば、生産性を大きく向上できます。ここでは「製造業とMAツールは相性がいい」理由についてご説明していきます。

インターネット上での顧客対応を強化できる

MAツールを使うことで、インターネット検索で情報収集をしている見込客への対応を強化でき、また見込客の取りこぼしを防ぐことが可能です。

 

製造業界がインターネットを通して顧客獲得するために「MAツールが有効である理由」は、以下2点にまとめられます。

「新しい技術などへの好奇心が高い」

製造業界における顧客は、新しい技術への関心が高く、探究心が強い方が多い傾向にあります。「おもしろそうだな」「技術ベースでこういうことができないだろうか?」と感じれば、「話を聞いてみたい」とアクションを起こすハードルが低いのが特徴です。

 

展示会などでも気軽に話を聞く方が多いように、web上でも技術を使える会社について情報収集したり、資料をダウンロードしたりと、積極的に行動する方が多くなります。

 

MAツールによってWeb上での顧客対応プロセスを自動化できれば、このような顧客のアクションに対して適切なアプローチがおこなえるようになり、これまで取りこぼしていた見込客を獲得する機会を増やせるようになります。

 

新しい技術への関心が高いといっても、接点を持った段階ではまだ購入の意思決定があるわけではありません。こういった見込み客から受注を得るには、見込客の抱える困りごとにコミットしていきましょう。見込客がどのような課題を抱えているかを理解し、自社が提供する製品やサービスが、その課題を解決できることを示す必要があります。

「課題解決の方法を自分で調べる」

製造業に従事する技術者は、自分自身で情報を調べる傾向が強いです。そのため製造業では検討者が自ら収集した情報をもとに数社と比較をおこなって購入することも多いため、営業が提案をおこなうタイミングを逃してしまうことも。

 

MAツールを使用すれば、顧客のWebアクティビティから購入タイミングを把握・予測できます。お問い合わせフォームや資料ダウンロードフォームなどから取得したユーザーのCookie情報をもとに、見込客がWebサイト上でどのような行動をとったかを確認できるからです。

 

たとえば、「ツールの選び方のコラム」「料金ページ」といった検討度の高いコンテンツへのアクセス履歴などをスコアリングすることで、確度の高い見込客を、他社の製品を購入決定する前に抽出しアプローチすることが可能です。

 

また確度の高いユーザーがたどる行動をカスタマージャーニーマップに起こすことでリストの精度があがるため、より有益な情報を営業部に引き渡せるようになります。

対象顧客の絶対数が限られている

製造業界において、対象となる顧客の絶対数は限られています。そのためひとつ一つの顧客情報を大切に扱い、エンゲージメントを高めていくことが必要です。

 

MAツールを使えば、顧客データを活用し、それぞれの顧客にカスタマイズしたコンテンツを届けることができます。とくに技術者は、数多くの情報のなか自分にとって必要な情報をきびしく取捨選択していきますので、顧客の会社情報・アクティビティに最適化したメールを送ることが重要です。

 

顧客との長期的かつ良好な関係を築くためには、MAツールによって、顧客の知りたいことや抱える課題を導き出すことが成功の鍵となります。顧客にとって必要な情報を提供することで顧客との関係性を強化し、最終的に「この会社に相談してみよう」と思ってもらえる仕組みづくりができるのがMAツールです。

 

さらに顧客の絶対数が限られているからこそ、既存顧客に対して、現在取引のある自社製品を軸に、別の製品やサービスにクロスセル・アップセルをはかることで売上拡大を狙うこともできます。

製品の購入・入れ替えタイミングを測る

製造業界において、顧客が製品を購入したり、入れ替えたりするタイミングを測るためにも、MAツールは有効です。購入タイミングを掴むためには、顧客の検討度合いの変化をすばやく察知し、製造業では長引きがちな検討期間の中で適切なタイミングをキャッチする必要があります。

 

MAツールなどのシステムは基本的に部署やプロジェクトごとの導入となるため、検討担当者と決済者が異なることが多く稟議プロセスが必要で、検討期間が長引く傾向が強くなります。また製造業では、課題が発生したタイミングで検討度合いが急上昇することも少なくないため、MAツールによって行動分析やスコアリングをおこなうことが大切です。

 

また既存顧客であっても「そこまで密に関係性が築けていない」場合、別の製品への興味関心については把握できていないこともあります。既存顧客が別の製品ページへアクセスしていることを確認でき、適切な内容・タイミングでアプローチをおこなえるのは、MAツールの醍醐味ともいえます。

製造業においてMAツールを導入するメリット

企業がMAツールを導入するメリットは多くありますが、ここでは製造業においてどのような利点があるかに絞ってお伝えしていきます。

新規顧客獲得を促進

MAツールの最大のメリットは、新規見込客を効率的に創出できることです。

 

MAツールは、メルマガ配信や、LP(ランディングページ)作成といった機能を搭載しています。ただ配信・作成するだけでなく、配信したメールの開封率やリンククリック率、LP閲覧数などを計測できるのがMAツールの特徴です。このプロセスによって、顧客がどのような興味を持ち、製品を探しているのかをくわしく分析することができます。

 

また、見込客の育成や、検討度合いの高い顧客の選別をし、こちらから効果的なアプローチをするまでのプロセスを自動化することができます。見込み客の行動ログや属性はツール上で一元管理でき、自動でスコアリングして確度の高い顧客を抽出。見込み客へのアプローチを最適化し、効果的なマーケティング活動を展開できます。

属人化を防ぎ、業務を効率化

MAツールは、営業活動を可視化して属人化を防ぐため、営業業務の効率化にも貢献します。

 

MAによって業務のテンプレート化を行うことで、優秀な営業マンの実力に依存せず、顧客対応のプロセスを標準化できます。たとえば見込客の受注確度をスコアリングして確度の高いリストとして営業活動にひきつぐことで、購買意欲の高い見込客にしぼってアプローチできるようになるため、担当者ごとにスキルのばらつきのある体制でも安定して成績をあげられるようになります。

 

また顧客の名刺情報を保管するだけでなく、その後の顧客の行動ログも蓄積し、一元管理できるのもMAツールならではです。情報を全体で共有できるようになれば、上司が新人担当者の進捗状況を把握することもでき、連携体制で営業活動をすすめることができます。

 

営業活動の成果や顧客のリアクションを共有できる土台をMAツールによって構築すれば、業務改善も容易になり、組織全体の生産性向上にもつながるはずです。

成約確度が上がる

MA活用によって、見込み客が成約するまでの確率を上げることができるのもメリットのひとつです。MAツールでは見込客の行動ログや状況にもとづいて、見込客が必要な情報をタイミングよく提供できます。

 

はじめは関心が少なくアクションが少なかった見込客も、求めている情報を提供してくれる企業に対して、次第に信頼度をあげていきます。見込客にとって役立つ情報と、アピールしたい自社製品の情報を、適切に振り分けて配信することで地道にナーチャリングしていきましょう。見込客の課題が浮上したタイミングで、お願いするならこの企業にしよう、と選んでもらえる確率をあげることができます。

 

またMAによって顧客データ分析・タスク管理を自動化することで、営業担当者の負担を軽減。ここぞというタイミングで、担当者による効果的なアプローチをすることで、成約確度を最大化できるはずです。

製造業でのMAツール導入準備

MAツール導入が決まったところで、導入前に準備しておきたいポイントについてお伝えします。

MAツールによって解決したい課題を明確化

製造業においてMAツールを導入する際には、どのような自社課題を抱えているか明確化することが重要です。たとえば新規顧客創出においても、新規リードの獲得に悩んでいる場合、獲得したリードの育成に手こずっている場合などさまざまです。

 

ここでは製造業でよくある営業課題の例をご紹介します。

 

  • 新規リード獲得
  • リードの育成
  • 顧客ニーズの把握
  • 受注までの期間短縮
  • 成約率の向上
  • リピート購入・クロスセル・アップセル
  • 業務の属人化
  • 人材育成
  • 新規受注のタイミング
  • 部署間の連携不足........

 

自社が抱えている営業課題と優先度を明確にして、MAツール導入の目的を具体化することで、効果的なツール選定が可能となります。ツール導入を検討する際には、自社の特定の課題に焦点を当て、そのMAツールが解決策を提供できるかどうかを確認しましょう。

自社が保有している名刺を集約

各営業マンが個人ごとに保有している名刺は、既存顧客や見込客リスト作成のもとになるデータとして重要です。マーケティング活動のもととなる情報ですので、MAツール導入前に各営業担当者から保有している名刺を集めて、集約しておきましょう。名刺情報の集約には、MAツールと連携できる名刺管理ツールを使うのも手です。

 

集めた名刺情報をMAツールを投入することで、情報管理はもちろん、Web上での顧客情報と紐づけて一元管理できるのが大きなメリットです。重複を防ぐこともでき、名刺情報を見やすく管理できるだけでなく、検索機能を使って管理の手間を省くこともできます。

 

名刺には顧客のセグメントにも活かせる大切な情報が詰まっています。リードの母数が大きいほどマーケティング活動にも効果が期待できるため、取りこぼしのないよう集めておきましょう。

見込客をランクごとに分類

名刺を集約したリストをそのままマーケティングで活用しても効果が出にくいため、顧客のランク分けをするのもまた重要なステップです。とくに製造業においては、アプローチするべき担当者を見極めることがとても重要です。

 

たとえば、名刺やフォーム入力された顧客情報をもとに、企業における担当者の役職や取り扱う案件を分析します。製造業においては、部長・課長クラスだけでなく、主任や稟議立案者の担当者が重要な役割を担う場合もめずらしくありません。また企業の売上規模や取引履歴、案件の重要度などもランクづけの重要な要素となります。

 

ランク分けの目的は、自社にとって重要な企業や担当者を特定し、リソースを効果的に割り当てることになります。マーケティング活動・営業活動においても、重要な案件に集中することで成果を最大化できるからです。

製造業におけるMAツール選び方のポイント

MAツールの選び方がわからず、自社の課題解決に適していないツールを選定していることで、せっかくツールを導入したのにあまり業務改善ができていないということも。ここでは、製造業において適切なMAツール選定のポイントについてお伝えします。

費用(費用対効果)

MAツールの導入費用は幅広いため、自社にとって適切な費用と費用対効果を検証しましょう。費用については、初期費用・ランニングコストの2点に着目します。

 

MAツールが登場した当初はランニングコストが月数十万円かかるMAツールが主流だったものの、ここ10年ほどで、最低限の機能をおさえたツールであれば月額1万円ほどで利用できるようになりました。ただし月額料金は、メルマガの配信数、リスト登録者数などのデータ利用量によっても変動することが多いです。またツールによっては初期費用が発生することもあるので、しっかり確認しておきましょう。

 

MAツールは中長期的な運用によって効果を発揮できるものなので、導入時に重要視すべきはスモールスタートであり、はじめは費用をおさえて小規模で導入してみるのがおすすめです。とくに事業規模の小さい中小企業では、多機能なツールよりも最小限の機能にしぼったツールを導入することで、社内での浸透もスムーズになるかもしれません。

 

自社にとって必要な機能を明確にし、費用対効果を考慮しながらツールを選定することが重要です。

機能

ここでは機能面「使いやすさ」「リードの創出」「部門館連携」「Webサイト作成機能」「業界に特化した機能」、5つの選定ポイントについて解説していきます。

使いやすさ

ツールの操作しやすさ、データの見やすさは、どのツールを使ううえでも重要なポイントです。MAツールは部署間をまたいで活用されることがほとんどです。とくに製造業での現場担当者が使えなければ意味がないため、デジタルツールに対してそれぞれ異なる知識やスキルを持つメンバー全員が、まずは「使える」ことが大切になります。

 

ツールによっては無料のデモやトライアルが用意されていますので、操作感を試してみましょう。社内で詳しい人員がいない場合は、無料ツールで運用できるか試してみるのもよい方法です。

 

また製造業において、業界に特化しており使いやすい機能があるツールもありますが、まずはMAツールの運用イメージを確立できるツールからチャレンジしていくのがおすすめです。

新たなリード・質の高いリードの創出

近年は顧客の購買行動が変化しており、営業活動における新規リードの創出は必須項目となっています。そのためMAツールを通して「新規リードを創出できるか」「適切な育成ができ自社リードの質を高めていけるか」はツール選定の重要なポイントです。

 

たとえばMAツールに搭載されたWebサイト作成機能をつかえば、新規リード数の底上げが期待できます。MA内のサイト作成ツールは専門知識がなくても直感的に操作できるものが多く、作成したサイトを通して、「見込客が何に興味関心を持っているか」「どの企業がサイトを閲覧しているか」などを可視化できるようになります。これまでリーチできなかった顧客ニーズを把握できるようになるため、新たな顧客層獲得にも役立つはずです。

 

また顧客分析機能によって、適切なナーチャリングを実施できるツールを選定すれば、リードの質を高めるプロセスも自動化できます。スコアリングによって見込客の興味度を数値化し、営業担当者がMAツールによる施策の効果を実感できるような良質なリストを渡すことができれば、組織全体でマーケティングに対する理解が深まり、営業業務の生産性を高めていくことができるのです。

部門間連携

製造業においては、社内の部門間のパワーバランスとして営業部が発言力を持っていることも多いです。とくに製造業のようなBtoBマーケティングの場合、マーケティング部が獲得・育成したリードを、営業部が引き継いでアプローチする仕組みができなければ、MA導入による効果を発揮できません。

 

まずは組織全体でMAツールの必要性や、マーケティングに対する理解を深めましょう。また営業部で使われているSFAやCRMといったツールと連携できるMAツールを選ぶことも、部門間連携をスムーズにおこなう方法です。ツール間の連携がスムーズに行えると、共有した情報を有効活用できるようになり、生産性も向上します。

 

MAツールを導入する際には、上層部にもMAツール導入によるメリットを理解してもらい、組織全社的な活用をすすめる必要があります。

Webサイト作成

近年は、BtoBビジネスにおいてもインターネットを通して競合他社との比較検討が行われることがほとんどです。この比較検討のラインで脱落してしまわないように、見込客が自社製品やサービス、導入実績などを閲覧できる自社のWebサイトは、マーケティングにおいては必要不可欠といえます。

 

WebサイトやLP(ランディングページ)の作成機能がついているMAツールを選べば、専門知識が不要で簡単に作成できるものも多く、マーケティング活動の効果検証をより簡単に行えるのもメリットです。

 

お問い合わせフォームや資料ダウンロードページといったフォームの設置は、新規リード獲得にとって有効な手段です。すでに自社サイトをお持ちの場合でも、MAツールによって計測可能なフォームを作成し、既存のフォームと差し替えることができます。

 

新規リードの流入口を設けてリードの母数を増やすことで、受注率の向上を目指しましょう。

業界に特化した機能

MAツールの中には、製造業界の特性に合わせたメールテンプレートやLPデザインなどを提供するものもあり、製品・サービスのセールスポイントを的確にアピールできます。

 

また製造業では、展示会やイベントへの参加機会が多いのも特徴です。参加者情報の収集や、フォローアップの自動化をサポートしてくれるツールであれば、効果的なイベントマーケティングが実現できます。展示会前後のメール配信などにも有用です。

 

ツール自体の使いやすさももちろん大切ですが、自社が所属する業界での使いやすいポイントにも考慮することで、より自社に最適なツール選定ができます。

サポート体制

製造業、とくに中小製造業の場合、MAツールの導入〜運用においてサポートをしっかり受けられるかどうかは、非常に重要な選定ポイントともいえます。

 

従業員数の少ない企業やマーケティング部の立ち上げ当初は、マーケティング担当者が他の業務を兼務している場合がほとんどです。そのため人数が少なかったり、専門知識をもつ人材がいなかったりしても運用できるよう、サポート体制の手厚いベンダーを選ぶことが大切になります。

 

国産のMAツールは近年数多く提供されるようになりましたが、ベンダーごとに、どのくらいの頻度で、どの範囲までサポートしてくれるのかは異なります。いくら高機能なツールでも、使いこなせるようにならなければ導入する意味がなくなってしまいます。

 

またMAツールの導入〜運用が軌道に乗るまでは、理解したり設定したりするのに、ある程度の時間が必要になることは想定しておきましょう。その都度生じる疑問や、発生したトラブルに対して、ベンダーがどこまで支援してくれるのかしっかり確認しておくとよいです。

製造業におけるMAツール導入成果事例

弊社でもMAツール「BowNow」を提供しているので、ここではいくつか事例をご紹介します。どれも製造業界においてMAツール導入で成果を出されている企業事例になりますので、ぜひ自社での導入イメージにお役立てください。

新規業種に参入、顧客数ゼロからのスタート。手厚いサポートで社内の営業戦略・体制に変化!|株式会社カワハラ技研様

長年にわたり建設業をメインに事業展開してきた株式会社カワハラ技研様。幾度にもわたる震災を経て、災害時の危機管理用品(災害用トイレ「ほぼ紙トイレ」、携帯型冷却装置「ZERO HEAT」など)を扱うメーカーに事業転換をはかりました。

 

新しい市場を開拓していく必要に迫られていたものの、実務担当は4名。少人数でも効果のある方法を探してMAツールにたどりつきます。それまで手作業で入力していた名刺情報をBowNowに投入し、「すでにお付き合いのある」方から「これからお客様になりうる」方たちの情報を一元管理できるようになり、お客様情報の取り扱いもクリアになりました。

 

お問い合わせから一年後に受注するようなケースでも、お客様ごとに接点があった履歴を蓄積、サイト訪問があるかもリアルタイムに追跡できるため、情報管理の抜け漏れをなくし業務改善を重ねられています。

 

BowNowには、導入時から運用のフェーズまでそれぞれに専任担当者がつき、さらにサポートデスク(技術支援)、勉強会(定例・個別)などの手厚いサポート体制が整っています。サポート内容は、操作方法などのアドバイスから、BowNow機能の活用状況の分析から成果に繋げるためのコンサルティングも含まれていて、デジタルマーケティング運用についての相談もできるので助かっていますね。

 

インタビュー記事はこちら▼
https://bow-now.jp/media/cases/kawaharagiken/

MAでお客様のニーズが可視化でき、営業のアプローチ強化に!セグメントメール施策でCVも獲得|株式会社アークノハラ

「安心、安全な街づくり」を理念に掲げ、道路標識や視線誘導標(デリネーター)などの、設計〜製造〜施工の一貫したネットワークを構築しているアークノハラ様。

 

コロナ禍において、従来の飛び込み営業・既存顧客からのご紹介による営業手法を見直し、Web集客に着手されました。実際に、BowNowをつかったメルマガ配信をおこなったことで資料ダウンロードに結びつけることに成功するなど、新たな営業手法を開拓されています。

 

カタログダウンロードなどで獲得したリード情報に対して、初動の電話はほぼ100%に近い率で営業担当がアプローチしてくれるようになったのが、以前と大きく変わった点です。MAで得られる情報があるからこそ、アツいリードに対して積極的にアプローチしやすくなったということだと思います。

 

インタビュー記事はこちら▼
https://bow-now.jp/media/cases/arc-nohara/

顧客の知りたい情報を、タイムリーに把握。情報提供の質が向上したことで、ニッチな商材への理解度も深まり、さらなる販売促進につながりました!|株式会社システムギアビジョン様

株式会社システムギアビジョン様は、視覚障害者の方向け製品というニッチな分野を取り扱う会社です。コロナ禍でリアルの展示会などがなくなり、製品を目にしていただく機会が激減したことにより、これまで着手してこなかった新しい集客方法を確立させるべくMAツールを導入されました。

 

BowNowのメール作成機能をつかって、画像などをふんだんに使ったキャッチーなメールを作成したり、リード分類をタグで管理してメルマガ配信をしたことで、エンドユーザの方だけでなく販売店の理解度も深まり販売促進につなげられています。

 

Webサイトへ訪問した顧客の属性や行動履歴を元に、潜在的なニーズを把握できるようになったのも大きいです。「このページを見てくれている人が多い」というデータを把握できることで、「もっと情報をしっかりと作り込もう」といった対応ができるので、コンテンツの拡充など、Webサイトの改善にも役立っています。

 

インタビュー記事はこちら▼
https://bow-now.jp/media/cases/sgv/

低予算で叶うアパレル小ロット生産のニーズをとらえ、マーケティングオートメーションでBtoCの新規事業を一気に加速化|株式会社B・MORE様

国内大手アパレルや有名ブランドのOEMに携わってきた株式会社B・MORE様が新しく立ち上げられた事業は、中国での小ロット生産により、初めてアパレルにチャレンジする方のお手伝いをするBtoC向けのサービスです。

 

BowNowでお客様のステータス・ステップごとの人数を可視化、顧客情報の管理を最適化したことで、メール配信からの商談化率は高く、3分の1は受注につなげられるという高い成果を出されています。

 

正直なところ、サポートしてくれるかたがいること自体が驚きでした。この価格で、担当者がついて色々と細かくやってくれるMAツールは、他社では無いのではないでしょうか。

 

インタビュー記事はこちら▼

https://bow-now.jp/media/cases/bmore/

ニューノーマルなビジネス環境に追いつくための意識改革を実現|日東紡績株式会社様

各種繊維、繊維工業品、グラスファイバー製品、各種化学工業製品、医薬品の製造・加工および販売、清涼飲料水の製造および販売など多岐にわたる事業を展開されている日東紡績株式会社様。中でもグラスファイバー事業では2017年ごろからデジタルマーケティングに取り組みSFAを活用されてきましたが、よりマーケティング領域を強化するためにMAを導入。展示会での名刺を活用する目的もありました。

 

同社が開催するオンライン展示会の登録フォームやアンケートフォームは、BowNowで作成し、リードの分析も実施。実際に開催したオンライン展示会では数十件のお問い合わせ・直接営業担当者への連絡が集まり、MAツールを通じたデジタル施策における大きな成果と、組織全体での意識改革を実現されています。

 

BowNowを使わなければ、このようなオンライン展示会を開催しても、KPIが獲得名刺数のみとなっただろうと思うので、効果まで把握できなかったと思います。商談・売上につなげる結果がまったく見えなかった中で、効果が数値として見えたことは、営業部門にとっても事業部全体にとっても大きなことでした。

オフラインの展示会では、名刺を集めて終わりだったのですが、BowNowを活用することで、「獲得名刺を生かす」ことを意識付けられたと感じています。

 

 

インタビュー記事はこちら▼

https://bow-now.jp/media/cases/nittobo/

まとめ

MAツールが製造業においてどのような役割を果たし、どのようなメリットを得られるか、製造業向けのMAツールについてお伝えしました。

 

MAツールは「むずかしい」「使いこなせない」「高額」というイメージを持っている方も多いものの、最近では簡単に操作できる国産ツール、無料からはじめられる安価なツール、サポート体制の手厚いツールも増え、導入ハードルは低くなってきています。

 

「営業部の発言力が強くなかなかツール導入にいたらない」「社内にデジタルに強い人物がいなくて不安」という企業でも、適切なツール選定をおこなえば、かならず業務効率化やその先の成果につながります。まずは自社が抱えている営業課題を明確にして、ぴったりのMAツールを探してみてください。

 

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

 

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Tue, 01 Aug 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[【BtoB企業向け】Webサイトのリニューアルを失敗しないための13のステップ]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/webrenewal  
BlueMonkey
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  • Webサイトを制作するだけではなく、戦略・施策立案、Web制作、SEO、MAを活用したリードナーチャリング、コンテンツマーケティングなど、Webマーケティングの川上から川下まで、一気通貫で支援が可能です。少しでもWebリニューアル、ホームページ制作に興味がある方はお気軽に詳細をご覧ください!

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今やほとんどの企業が、定期的にWebサイトのリニューアルを検討しています。

しかし、いざWebリニューアルをしようと思っても、何から始めればよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。また、せっかく苦労してリニューアルをしたのに思うような成果が得られなければ、投下した費用も無駄になってしまいます。

そこで今回は、Webサイトのリニューアルを進めていくための具体的な流れを解説いたします。しっかりとWebリニューアルで成果を出していただけるよう、よくある失敗ポイントなどもご紹介いたしますので、ぜひ本記事をお役立ていただきたいです。

各種お役立ち資料もご用意しているため、記事を読み進めながら適宜ダウンロードしてください!

 

 

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BtoB企業がWebサイトのリニューアルでCV数を増やすために!気を付けるべきポイントと10社の事例を紹介

 

【実際にWebリニューアル支援したお客様の声】

特に「Webサイトからの引き合いを増やしたい方」には以下の事例集がおすすめです!業者選定から公開後の成果、運用までをお聞きした生の声をまとめておりますので、ぜひお役立てください。

Webリニューアル事例集 DPOメソッド活用編

Web制作事例集のアニメーション


Webサイトリニューアルにかかる期間は?

まず全体像のイメージを持っていただくために、Webサイトリニューアルの期間の目安をご紹介します。

Webサイトのリニューアル期間は、企業のコーポレートサイトであれば業者選定に1~2か月、実際の構築期間で3~6カ月ほどが平均となります。ページ数やシステム等によって制作期間は変動するので、あくまで目安としての数値です。

業者選定は単に相見積もりを取るだけではなく、自社の目的に合わせて様々な視点から検討する必要があるため、最終決定までにそれなりの期間を要します。

サイト自体の制作も、ただデザインを決めて終わりではなく、サイトマップやコンテンツ作りなど戦略的な全体設計が必要です。

もし公開の希望日時がある場合は、そこから逆算して業者選定に入る必要がありますので、まずは現実的なスケジュールなのかを確認しましょう。無理なスケジュールでリニューアルを進めた結果、満足のいくWebサイトに仕上がらなければ本末転倒なので、余裕をもって相談することをおすすめします。

参考までに、弊社のクライアントで最も多い公開時期は4月でなので、その場合は遅くとも10月頃には業者選定をスタートする必要があります。次に多いのが10月(多くの会社の下期が始まるタイミング)で、4月には業者選定始めなければ間に合わない可能性が高いです。4月は新しい期が始まりバタバタしていることも多いため、注意しましょう。


Webサイトリニューアルの13のステップ

ここからは実際に、Webサイトをリニューアルする際のステップについて解説いたします。途中のプロセスを省略することも可能ですが、成果につなげるためには必要なステップばかりなので、ぜひ飛ばさずに実施していただけると幸いです。

ステップ1:マーケティングの全体像を整理する

まず始めに、自社のWebマーケティングおよびデジタルマーケティングの全体像を整理しましょう。

顧客とマーケティングコミュニケーションを取る中で、Webサイトをはじめとするデジタルの接点が曖昧だと、目的も定まらず、善し悪しの判断軸がなくなってしまいます。そのため、いきなりWeb制作に入るのではなく、まずはマーケティングの全体像の整理が必要です。この工程を省略すると、Webサイトの目的がブレてしまうのでご注意ください。



マーケティングの全体像の例▼

マーケティングの全体像とWebサイトの立ち位置



またその際に、自社が提案できる価値を明確にしておくと、施策にブレが生まれなくなります。バリュープロポジションなど役立つフレームワークもあるので、ぜひこちらも合わせて活用してください。

>自社の提案価値を整理しよう!「バリュープロポジションの作り方」

ステップ2:Webサイトの要件・目的を決める

続いて、Webサイトの要件や目的を決めましょう。マーケティング全体像から、Webサイトに対して期待する成果を明確にします。

例えばBtoB企業であれば、Webサイトからの問い合わせや資料のダウンロード、商品デモの申し込みなど、営業活動につなげるようなゴールを設定することが一般的です。

可能であれば、問い合わせ後のアプローチの方法も決めておきましょう。通常の問い合わせは営業が対応、資料ダウンロードは見込みリードとしてメールでナーチャリング、といった部分まで設計しておけば、運用の体制作りにも役立ちます。

本来はここまでを自社で整理できたら理想です。ただ、難しい場合はある程度方向性を決めてから、すぐに専門業者に相談しても良いかもしれません。 


※要件定義のテンプレートをご用意したので、もし必要であれば下記よりダウンロードしてご自由にご利用ください!

>要件定義に困ったら!「RFP記入シート」をダウンロードする


ステップ3:業者選定を行う

続いて業者選定を行います。ここまでのステップで目的が明確になっているはずなので、その目的を実現することを最も得意としたWeb制作会社を選んでください。

例えばBtoB企業のWeb制作が得意な会社や、中小企業向けの実績が多い会社、独自のCMS(Webサイトを簡単に更新できるシステム)を持っている会社など、制作会社によって得意不得意があります。



制作会社選びに困ったら以下のシートなどもぜひご活用ください。

>制作会社選定に迷ったら!「Web制作会社の比較項目記入シート」



 

似たような強みを持つ制作会社は無数に存在するため、ある程度はWebサイト上の実績やお客様の声などを見て、判断すると良いかもしれません。

ステップ4:改めてターゲットを明確にする

Web制作業者が決まったら、実際に構築に入る前にターゲットを明確にします。

こちらはマーケティングの全体像を明確にするフェーズでも整理しておいたほうが良いのですが、
Webサイトのコンテンツ設計に入る段階で、改めて”Webサイトの”ターゲットを明確にすることで、コンテンツの設計がしやすくなります。

実際に設計に入るころには、初期に決めたターゲット像がぼんやりとしている可能性もあるので、今一度確認をしてください。また、具体的にWebの戦略設計のフェーズで新たな気付きがあることも少なくありません。

特にBtoBは、実際にWebサイトを閲覧する担当者と、決裁者が別にいたり、それ以外にもキーマンが存在する可能性もあります。それぞれが欲しがるコンテンツも異なるため、そういった顧客の社内状況も含め、ターゲットを明確にしましょう。


社内担当者の検討の流れ

ステップ5:ターゲットの動きからコンテンツを設計する

先ほど決めたターゲットをもとに、コンテンツの設計をします。

Webサイトの目的を決める際に、最終的なゴールなども決めているはずなので、そのゴールに向けてターゲットユーザーがどんなコンテンツをほしいのかをイメージし、落とし込みます

また、この時にペルソナやカスタマージャーニーマップなども構築すると、以降フェーズでの方向性がぶれず、コンテンツの整理にも繋がるのでおすすめです。

カスタマージャーニーマップ


>
【無料テンプレートあり】カスタマージャーニーとは?メリットデメリットから作成の手順までを解説!

ステップ6:サイトマップを設計する

コンテンツを設計したら、それをサイトマップに落とし込んでいきます。サイトマップとはWebサイトにどんなページが存在するのかをツリー上に表現したもので、全体の骨組みに当たります。

先ほど設計したコンテンツの過不足がないかを確認しながら構築してください。このフェーズで不備があると、後々の改修が非常に困難になるため、慎重に進めましょう。

ステップ7:サイトの構成を作る

サイトマップを構築した後は、主要ページの構成を作成します。主にTOPページや中ページの構成を作成するのですが、製品ページなどページごとに構成が変わらない場合は全ページを作成する必要がありません。

まずは主要ページのみ、ユーザーの流れに沿って設計するようにしてください。そしてその主要ページから枝葉のように、各ページの構成を作成してきます。

もしこの段階で違和感がある場合は、それをそのまま放置せずに、しっかりと修正しましょう。
 

ステップ8:デザインの方向性を決める

続いて、目的に合わせたデザインを設計します。この時に意識していただきたいのが、最高のデザインではなく最適なデザインを目指す、ということです。

Webサイトのリニューアルというと、とにかくかっこいいデザインにしたいと短絡的に考えがちですが、いくら最新のデザインにしても最終的な目的を達成できなければ意味がありません。

閲覧するユーザーが高齢者であれば文字を大きくする必要がありますし、女性向けのサイトであればやわらかい印象のサイトが良いかもしれません。BtoBの昔ながらの製造業であれば、デザインから重厚感や信頼感が伝わるデザインにする必要があります。

担当者や代表の好みだけでデザインを決めるのではなく、しっかりと目的に合わせたデザインを客観的に考えるようにしましょう。

また、デザインと聞いて見栄えのことをイメージされることが多いのですが、UIデザインやUXデザインという言葉がある通り、ユーザーの体験全般も加味する必要があります。確かに綺麗なサイトになったけれど、ボタンの位置が押しにくかったり、導線が見えづらかったりすると、ユーザーは離脱してしまいます。しっかりと、ユーザー目線でデザインしてもらうことを意識してください。

ステップ9:素材(画像やテキスト)を用意する

構成やデザインが決まったら素材を提供します。Web制作会社から有料素材を提供してもらうことも可能ですが、それでは独自性が生まれずありきたりのWebサイトになってしまいます。

また、専門情報や自社に関する生情報などは制作会社側では知りえないので、基本的には発注者側が用意します。事前に使用する素材を用意しておくと、スムーズに制作に取り掛かることができます。

もしくは、制作会社からヒアリングを受けてコンテンツを構築していくケースも多いです。自社で整理をし切れていない場合は、第三者の力に頼ってコンテンツを作り上げましょう。

この素材提供のフェーズで制作が止まってしまい、公開が遅れることが非常に多いため、できる限り前倒しで素材収集を進めるようにしてください。

ステップ10:デザインに落とし込みレビューを行う

先ほど決めたデザインに素材を落とし込み、完成形を確認します。このフェーズまでであれば変更が比較的容易なので、もし変更をしたい場合は伝えるようにしましょう。ただし、大幅な変更は別途デザイン費用がかかる可能性があるため、注意が必要です。

この時も、あくまでユーザー目線でデザインが構築されているかをチェックするようにしてください。

ステップ11:制作に取り掛かる

デザインが確定後、実際の構築に入ります。実装が完了すると、デザインの変更などができない可能性がありますので、事前に確認をしてください。このフェーズは発注者側には特にタスクはなく、スケジュール通りに進捗しているかだけをチェックすれば問題ありません。

既に構成やデザインが決まっているため、あとはWeb化されるのを待つフェーズとなります。

ステップ12:公開後の運用についての確認をする

制作会社が構築している間は特にタスクがないのですが、公開後の運用の確認だけは並行して実施しておきましょう。

コンテンツ設計の段階でもある程度の運用の説明はあるかと思いますが、改めてどのコンテンツをどう運用するのか、CMSはどう操作するのか等、実務における不明点を確認します。

ここを確認しておかないと、公開後の運用開始が遅れてしまうので、事前にチェックをしておいてください。場合によっては、Wordなどで更新するコンテンツを貯めておいてもよいかもしれません。

ステップ13:公開&運用のスタート

全てのページの構築が完了し、運用面の説明を受けたら、いよいよWebサイトを公開します。

この時に、ドメインやサーバー関連のやり取りが発生する可能性が高いので、事前に確認するようにしましょう。リダイレクト処理など公開後の事後処理が必要になることもあります。

また、Webサイトの構築は想像以上にエネルギーを使うため、構築がゴールとなり燃え尽きてしまうことも多々あります。あくまで公開してからがゴールになるため、スムーズに運用が開始できるように再度気を引き締めていきましょう!

 

 

以上、Webサイトリニューアルのステップについて解説してきました。基本的には上記のステップをきっちり進めていけば、目的に沿ったWeb構築が可能になるはずです。



Webサイトリニューアルのよくある失敗パターン

続いて、よくある失敗パターンについて解説いたします。

失敗といっても様々な解釈があるかと思いますが、今回は
「ビジネス成果を生むために、Webサイトが本来担うべき役割を担えていない状態」とします。

事前に知っておくことで防げる失敗もあるので、いくつか代表的な例としてご認識ください。

①デザインの会話しかできていない

Webサイトのリニューアルを進めていく中で、Webデザインの話しか出ない場合は注意が必要です。高確率で思ったような成果が出ません。見た目は良くなっても、肝心な集客面がまったくで、閑古鳥が鳴くことになることも。

もちろん、ブランディング目的のリニューアルなどデザイン要素が重要な場合もあるのですが、その場合もどういったブランドコミュニケーションを取るのかといったヒアリングが必ず入ります。

もしそういった会話がない場合は、せっかく費用を掛けてリニューアルをしても思うような成果が生まれない可能性が高いので、再度業者選びをするか、制作会社と認識を合わせる必要があります。

ちなみに、クライアント側から切り出さない限りそういった話をしてこないWeb制作会社の場合、常に受け身で提案の要素が少ない可能性があります。成果が出るWebサイトを制作するためには制作サイドからの提案が不可欠なので、1つのチェックポイントとして意識してみてください。

②Webサイトの目的が曖昧

リニューアルのステップの中で挙げた通り、「目的」を明確にしないまま制作に進んでしまうと高い確率で失敗をします。これも良くあるパターンです。

そもそも目的を明確にしないと、適切なコンテンツやデザインの設計ができません。その結果、なんとなくいい感じのWebサイトを作ることしかできず、ターゲットの心に刺すようなコンテンツを生み出すこともできません。

必ず、自社のWebサイトの目的を明確にしてから、サイトの構築に入るようにしてください。もし不明点があれば、信頼できる専門業者に相談するようにしてください。

③運用フェーズの話ができていない

Webサイトは公開してからが本番です。最初の段階でコンテンツがすべて揃っていることもそうないため、運用後の話も事前に詰めておく必要があります。むしろ運用を通して完成に向かうくらいの気持ちでいた方が良いでしょう。

例えば、どのコンテンツをどんなペースで更新するのか、その際にどんなツールを使って誰が運用するのか。担当者はどんな指標を追っていくのかなど、具体的な業務レベルで決めておいてください。

また、MAツールやWeb広告なども一緒にスタートをする場合は、そのあたりの運用やフィードバックの周期も事前に取り決めをしなければなりません。具体的な定量目標を作っておかないと、どこを目指していけば良いのか、進捗に対して順調なのかも判断ができないので、事前に設定しておきましょう。

④制作会社の得意・不得意を理解していない

制作会社を選定する際に、得意・不得意を理解せずに依頼をしてしまうと、思うような成果が生まれないことがあります。制作会社もビジネスなので、頼まれた仕事はそれほど実績がなくても受けてしまうことがあります。

この得意・不得意がサイトのパフォーマンスに与える影響は、実はかなり大きいです。

例えば、BtoCの化粧品メーカーとBtoBの老舗メーカーでは、デザインやコンテンツの設計の仕方がまるで異なります。また、マーケティングの全体像についても、業界によっても特性が様々なので、しっかりと理解している制作会社とそうでない会社では提案の質も異なります。

しっかりと制作会社ごとの得意・不得意を見極めて、制作を依頼するようにしましょう。

⑤とにかく値段だけで決めてしまう

Web制作会社の違いがわからず、最終的に値段だけで決めてしまうと失敗するケースが多いです。

Web制作にかかるコストは専門性の高さや、割く人材の工数に依存します。そのため、価格が安い制作会社は、その分避ける工数も少なくなります。

もちろんサイト目的によってはそれでも問題ないのですが、企業のサイトとして失敗をしないためには、価格以外の要素も加味して、自社に最適なWeb制作会社を選ぶようにしましょう。

特にセキュリティやサポート面は最近関心の高まっている分野です。しっかりと信頼できるパートナーに依頼できるよう、本記事の内容などもぜひご活用ください。

まとめとリニューアル事例紹介

Webサイトリニューアルのステップから失敗パターンについて解説してきました。

Webサイトの重要性は年々高まっていますが、企業によって目的は様々で、成果を出す難易度も上がっています。しっかりと全体の設計から戦略的に考えていきましょう。



最後に、本メディア「エムタメ!」を運営するクラウドサーカスにおけるWeb制作事例を一部ご紹介いたします。ぜひ貴社のWebリニューアルの際に、参考にしていただけますと幸いです。

インタビュー動画▼



 

事例一覧はこちらから→「BlueMonkey」のWeb制作事例一覧


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  • Written by
  • 小木曽 一馬
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティンググループ

    プロフィール :

    2013年に新卒でスターティアラボ株式会社(クラウドサーカスの前身)に入社。2014年よりWebマーケティング事業のカスタマーサクセスに従事し、立ち上げから責任者までを務める。もともと1人での活動から6人まで組織を広げ、顧客成果を追求しながらもアップセルやクロスセルを生み出す仕組みづくりを行う。以降はコンサルタントやパートナー開拓の新規事業を経て、現在はマーケティンググループに所属。個人でもnoteやTwitterで発信しており、写真も撮る。

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Tue, 01 Aug 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業に欠かせないCPQとは?今注目される理由や導入メリット、ツールの選び方まで解説]]> https://mtame.jp/column/CPQ CPQ(Configure,Price,Quote)とは、営業マンが製品販売の際、顧客のニーズにあわせて製造可能な仕様の確定と正確な見積もりをその場で提示できる、見積もり業務支援システムです。デジタルツールのためWebサイトにも設置でき、顧客自らがニーズや仕様を入力し、事前に見積もりシミュレーションを行うことも可能です。

 

主にオーダーメイドやカスタマイズ性の高い構成が複雑な製品に用いられており、従来の見積書作成よりも正確かつスピーディーに作成できることから、製造業の営業活動の効率化を図るツールのひとつとして注目を集めています。

 

そこで本記事ではCPQを取り入れるメリット・デメリットをはじめ、CPQツールの選定ポイント、実際に現場で活用されている3つのCPQツールについて解説します。

CPQとは

「Configure(部品構成)」、「Price(価格)」、「Quote(見積書)」の頭文字を取って名付けられた言葉で、製品仕様・構成の選定から見積もりまでの一連の流れを指します。営業現場で欠かせない見積もり業務の工数削減・時間短縮に寄与し、営業プロセスの最適化を図ります。

 

CPQには主に4つの機能が備わっています。

 

・部品構成

顧客の要件にあわせて提供可能な製品の提案をはじめ、部品や仕様の組み合わせ、オプションの有無などを自由にカスタマイズできます。

 

・正確な価格計算

製品仕様をもとに見積もり金額を自動で算出します。製造ボリュームや仕様によって値引きルールが適用され、正確な見積もり金額が表示されます。

 

・見積書の自動作成・管理

製品仕様と価格を記載した見積書を自動で作成します。見積書の内容を反映した提案書や契約書もすぐに作成可能です。書類作成の手間が軽減されるほか、担当者によってばらつきが生じていたフォーマットも統一できます。

 

・ワークフロー機能

ワークフロー機能により、時間や手間がかかっていた社内承認をスムーズにできます。

 

 

このようにCPQツールを活用することで、顧客からの製品受注から製品価格の決定、見積書の提示といった一連の流れが迅速にできるようになり、営業活動の効率化受注獲得の自動化が図れるなどさまざまなメリットを得られます。

CPQが今注目されている理由

ひとつには製造業DXの浸透が挙げられます。これまで製造業の生産性向上を図る手段として「現場の効率化」が重視されてきました。ゆえに現場の効率化は長年にわたりさまざまな手段や方法が実施されており、これ以上の改善を求めるには限界が来ているのが実情です。

 

そこで近年は現場の効率化ではなく、デジタルツールを活用し新規販路の開拓販売チャネルの工夫で売り上げを増やす顧客接点改革に取り組む企業が増えています。なかでもCPQは見積もりミスによる設計・製造手戻りを防ぎ、顧客接点の強化が見込めることから製造業の営業活動に欠かせないツールとして認知され始めています。

 

もうひとつはSaaS(サース)として提供されているCPQツールが増えていることです。SaaSとはクラウド上にあるソフトウェアをインターネット上で利用できるサービスのことで、料金体系が「必要なときに必要な分だけ利用できる」サブスプリクション方式を採用していることから、低コストかつ手軽に利用できるのが特徴です。従来はオンプレミス型という自社サーバーにシステムを構築して自社で運用する手段がスタンダードだったため、導入費用が高額なうえに稼働までに時間がかかっていました。

 

しかしSaaSはアカウントを発行し、ログインするだけですぐに利用できます。また場所を問わずどこでも利用できるメリットを有しており、複数人のメンバーとの同時利用も可能です。利用料金が低く導入までのスピードが早いSaaSの台頭により、企業がデジタルツールを取り入れやすくなったのもCPQが話題を集めている要因のひとつといえるでしょう。

CPQのメリット

CPQを導入するメリットについて4つの観点から解説します。

1.見積もり業務の効率化

見積もり作成の工程は企業によってさまざまですが、基本的には下記の流れで進みます。

 

営業マンが商談時に顧客の要望をヒアリング

商談後、技術者や設計者へ確認を取り、

製造可能な部品の組み合わせを確定

他部署に見積書の作成を依頼

作成した見積書を顧客へ提示

 

このように見積書の作成までに多大な工数と時間がかかります。特に個別の見積もりが必要な製品は、部品の組み合わせの数も膨大です。料金も取引先によっては価格の変動や割引が発生するため、正しい見積書の作成は豊富な製品知識と経験を積んだ各部署のベテラン社員ではないと対応できず、営業マンだけでのスピーディーな商談や受注契約はできずにいました。

 

CPQの導入により、特定の社員の勘や経験値に頼ることなく、営業担当だけで正確な見積書を作成することが可能です。業務の標準化で特定の人物のみに業務が集中していた属人化の解消やこれまで見積もり業務に割いていたリソースを他業務に充てることができ、業務効率化につながります。

2.営業活動の強化

CPQを導入することで、競合他社よりも優位な営業活動を展開できます。たとえば顧客が複数社に相見積もりを取っていた場合、いち早く見積書を提出できるため、他社よりも素早い提案とアプローチが可能になり、受注率を高めることができます。

 

顧客獲得のためには迅速かつ正確な対応が不可欠です。従来の方法による見積書作成は時間や手間が非常にかかってしまい、対応遅れによる失注リスクが高くなります。CPQを取り入れることで、スピーディーな顧客対応が実現し、商談数の増加や売上増大が期待できます。

3.顧客満足度の向上

従来の人の経験や知識による見積もり作成は、どんなに気をつけていても金額計算の間違いや製造できない仕様での受注ミスといったヒューマンエラーが起きやすくなります。見積もり(受注仕様)が正確ではないと、製造部門のチェックの段階で仕様が変更になったり、製品出荷後にクレームが発生してしまい、顧客からの信頼を損ねてしまいます。

 

CPQではあらかじめシステムに条件ルールを設定することで、製造不可能な組み合わせを選択できないようにしたり、キャンペーン価格、期間限定価格、代理店価格などの複雑な価格体系にも対応できる機能を備えています。従来の見積もり作成で生じるミスを防げるだけでなく、希望条件を営業マンに伝えるだけですぐに正確な見積書が作成できるため、顧客満足度の向上が見込めます。

4.マス・カスタマイゼーションの実現に貢献

マス・カスタマイゼーションとは、「大量生産(マスプロダクション)」と「受注生産(カスタマイゼーション)」の両方を掛け合わせた言葉で、大量生産に近い生産性を保ちつつ、個々の顧客のニーズに合う商品やサービスを販売する生産方式を指します。

 

マスプロダクションとカスタマイゼーションには下記のようなメリット・デメリットが存在します。

 

大量生産(マスプロダクション):生産コストを最小限に抑えられるが、細かい製品仕様の変更には対応不可

 

受注生産(カスタマイゼーション):顧客の要望に応じた製品のカスタマイズが可能だが、そのぶん生産コストが高くなる

 

この2つのメリットを組み合わせたのが、マス・カスタマイゼーションという概念です。顧客の需要に応じて複雑な製品構成を自由に選べるCPQを取り入れることで、このマス・カスタマイゼーションが実現します。

CPQのデメリット

複雑な見積もり業務を効率化できるCPQですが、導入によるデメリットもいくつかあります。本項では代表的な2つのデメリットをご紹介します。

1.業務体制の構築やマニュアルの整備が必要

ひとつめはCPQをスムーズに活用するための環境整備です。CPQ導入による混乱を回避するためにも、業務フロー体制の構築や従業員向けマニュアルの作成は必須です。またツールの中には高度なITリテラシーが求められるものもあり、企業によってはかえって従業員への負担が大きくなるケースもあります。ITリテラシーがそれほど浸透していない企業の場合は、まずは従業員のITリテラシーレベルを把握し、自社にとって適切なツールかどうかを判断する必要があります。

2.導入コストがかかる

ふたつめは導入コストの問題です。CPQを取り入れることで初期費用および継続使用によるランニングコストが発生します。近年では製造業DXの興隆に伴い、CPQのSaaSが数多くリリースされています。SaaSは比較的安価で導入できますが、長期利用になるとトータルコストが高額になる恐れがあります。導入時は利用するツールの料金が自社の予算に見合っているかどうかを確認することが大切です。

CPQツールの選ぶ際のポイント

ここまでCPQのメリットとデメリットをお伝えしてきました。それでは具体的にどのようなCPQツールを選んだらいいのでしょうか。ツールを選定するうえでの3つのポイントをご紹介します。

1.他システムとの連携

導入候補のCPQが他システムと連携できるかどうかしっかり確認しておきましょう。たとえばCRMツール(顧客管理システム)との連携が可能であれば、過去の商談データをもとにより顧客のニーズに合った提案が可能になり、営業効率アップが見込めます。

 

そのほかにもCADシステムと連携し、CAD図面の自動生成によって製品イメージを顧客と確認したり、仕様情報をBOM(部品管理システム)に落とし込み生産管理システムと連携することも可能です。連携によって制作指示が自動で行われるため、機動力の高いものづくり体制が実現します。

 

他システムと連携できるCPQツールを選ぶことで、効率的な営業活動や生産体制の構築ができます。CPQを有効活用し利益の最大化を図るためにも、さまざまなシステムと連携できるツールを選びましょう。

2.テレワークに対応できるものを選ぶ

新型コロナウイルス感染症の感染拡大をきっかけに、日本だけでなく世界中でテレワークが普及しました。コロナ収束後も多様な働き方の可能性を考慮し、テレワークに対応できるCPQツールを選ぶことをおすすめします。具体的には先述したSaaSサービスのCPQツールです。インターネット環境が整っている場所であれば、在宅での作業や社外でのリモートワークでも見積書の作成を行うことができます。特に外回り営業などで社外での業務が多い営業マンにとっては、帰社せずに見積り作成ができるのは大きなメリットです。

3.運用方法やサポート体制の確認

ツールの導入にあたり、運用方法やサポート体制についてもチェックすべきポイントです。特に企業でデジタルツールの導入が初めての場合は、システムに関する知識がない営業マンに過度な作業負担がかからないよう、導入後誰がメインで運用していくのか、使い方をどのように浸透・共有させていくのかなど、運用の方針を決めておく必要があります。また使い方で困った際に問い合わせできる、カスタマーサービスの有無についても確認しておきましょう。

CPQツールの紹介

本章では、現場で活用されている3つのCPQツールについてご紹介します。

「Salesforce CPQ」

 

画像引用:Salesforce CPQ

 

「Salesforce CPQ」は、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供する営業活動支援SaaSです。

 

クリックするだけで複雑な製品構成の価格設定から割引、承認までをスピーディーに行うことができます。CRMで圧倒的なシェアを誇る「Salesforce Sales Cloud」との連携も可能。顧客情報をベースにした見積書作成から受注までのプロセスをシームレスに行えます。

 

そのほかにもブランド名を入れた見積書・提案書の作成予測機能が備わっています。予測機能では見積もり対応を行っていない案件を通知し、見積もり遅れによる受注ロスを防ぎます。

 

また提供方法がパッケージ製品ではなくSaaSのため、価格が月額9000円(1ユーザーあたり)と安価で導入できるのも特徴です。

「Cimcom CPQ」

 

画像引用:Cimcom CPQ

 

「Cimcom CPQ」は、シンコム・システムズ・ジャパン株式会社が提供しているCPQシステムです。複雑な製品やサービスの構成仕様を決定し、価格設定から見積書・提案書の作成までの一連のプロセスをサポートします。

 

Microsoft DynamicsやSalesforceなどの主要CRMシステムとの連携が可能で、企業体制に合わせた自由度の高いカスタマイズができるのも特長です。またBOM(部品表)や3Dモデルの自動生成機能を搭載しています。選択した製品仕様のイメージをその場でクライアントに提案し、迅速に受注・生産作業を進めるといった営業アプローチが可能です。

「Oracle CPQ Cloud」

 

画像引用:Oracle CPQ

 

「Oracle CPQ Cloud」は日本オラクル株式会社が提供するSaaSのCPQツールです。直接販売、代理店販売、自社サイトを活用した見積もりなどさまざまな販売チャネルに柔軟に対応し、製品マスターやルールもチャネル間で共有できます。

 

特筆すべきは、多彩なツールの連携ができる点です。同社が販売するサーバーやデータベース、ストレージなどをクラウド上で利用できる「Oracle Cloud」はもちろん、20種類以上のERP(統合基幹業務システム)やCRM、Webサービス、デジタル・コマースなどと連携でき、営業活動のさらなる効率化が見込めます。

まとめ

本記事ではCPQの基礎知識をはじめ、今注目される理由やメリット・デメリット、すでに現場で活用されているCPQツールなどを網羅的に解説しました。

 

製造業で取り扱う製品の種類は多種多様で、部品やオプション機能も含めれば膨大な量になります。それらを製造不可能な仕様にならず、かつ割引料金などを反映した正確な見積書を算出するにはかなりの時間と労力がかかるため、これまで見積書の作成は責任が重く複雑な業務とされてきました。

 

CPQツールを取り入れることで、見積もり作成に伴う業務負担を軽減し、そのぶんの顧客との商談に時間をかけたり、新規顧客開拓に力を注いだりと有意義な営業活動を展開できます。

 

また最近は少子高齢化によりさまざまな業界で人手不足が叫ばれています。なかでも製造業の人手不足は深刻で、デジタルツールを取り入れた業務改善や生産性の向上が急務とされています。売上に直結するCPQツールを取り入れることで、限られたリソースの中でも生産性向上や売上アップを図ることが可能です。「自社の製品の見積りに対応できない」「見積り作成に時間がかかる」といったお悩みを持つ方はぜひCPQツールの導入を検討されることをおすすめします。

 

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Thu, 27 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[リカーリングモデルとは?製造業のビジネスにおける重要性、導入事例やサブスクリプションとの違いを解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/recurring_model リカーリングモデルとは、継続収益によって安定的に売上を創出するビジネスモデルのこと。「Recurring(リカーリング)」は「繰り返す」という意味で、顧客に製品やサービスを何度も購入してもらう収益構造を表しています。

 

近年はICTの急成長や世界情勢の影響もあり、激しい市場環境の変化が続いています。そんな中、もともと弊社も売り切り型のソフトウェア(電子ブック・Web制作等)を提供していたため、サブスクリプション型ビジネスモデルに移行する際にはその大変さを痛感してきました。本記事では、このような経験からお伝えできる、リカーリングモデルにシフトする上でのコツやポイントについても解説していきます。

 

まずはリカーリングモデルの定義と種類、サブスクリプションとの違いから、製造業におけるリカーリングモデルとマーケティング手法について説明します。製造業においてリカーリングモデルを導入したことで成果をあげている成功事例についてもご紹介しますので、ぜひ自社のビジネスモデル構築にお役立てください。

 

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リカーリングモデルとは

リカーリングモデルとは、継続収益をあげることで安定的な売上を維持するビジネスモデルのこと。「Recurring(リカーリング)」は「繰り返す」という意味で、顧客に製品・サービスを何度も繰り返して購入してもらう収益構造を表します。

 

従来の売り切り型ビジネスは、基本的には一度買ってもらったら終わりという販売モデルのため、「いかにして顧客に製品を買ってもらうか」をもとにビジネス戦略が設計されてきました。一方のリカーリングモデルは、「顧客へどのような価値を提供できるか」を軸に展開します。顧客のビジョン・課題にともに取り組むことで、長期的に信頼関係を構築していき、継続利用してもらうことで収益を安定化します。

 

さらに顧客との良好なリテンション構築によって、クロスセル・アップセルなどの追加受注も可能。このようにLTV(顧客生涯価値=ひとりあたりの顧客が生涯に支払う金額)の最大化を追求していくのも、リカーリングモデルの特徴です。

 

ここでは、リカーリングモデルにおいてよく使われる、いくつかの用語についてもご説明していきます。

 

参考記事:クロスセル・アップセルとは?LTVを最大化させ顧客収益性を上げる戦略

リカーリング・レベニュー

リカーリング・レベニュー(Recurring Revenue)とは、継続収益・繰延収益のことで、リカーリング・モデルのビジネスにおいて得られる収益そのもののことを指します。たとえば電気やガスなどの公共料金、プロバイダや電話会社の通信料金、そのほかサブスクリプション型のビジネスは、リカーリング・レベニューによる収益を中心としたビジネスモデルに分類できます。

リカーリング・コスト

リカーリング・コスト(Recurring Cost)は、ユーザーが継続して支払う費用のことで、経常経費ともよばれます。一般的にはエンドユーザー視点で、製品やサービスに対して継続的に支払う料金のことで、公共料金や定期的に支払うメンテナンス費用、月次制のサブスクリプションサービスに支払う利用料などもこれに該当します。

フィッシュカーブ

フィッシュカーブ(fish curve)は、ビジネスをサブスクリプション型にシフトしていく時間経過において、「収益とコストの関係性」のグラフが描く、魚のような形の曲線に対して名付けられました。

 

ビジネスの体制をサブスクリプションに移行すると、「初期投資がかかること」「月次制の安価な料金体制を取り入れること」によって、一時的にコストがあがり、収益額が低下します。しかし時間の経過にともなって、顧客の継続利用によって収益が安定化し、生産管理コストの適正化・顧客管理の自動化がすすむことで、より少ないコストでより大きな成果を実現できるようになるというものです。

 

フィッシュカーブ(フィッシュモデル)

リカーリングモデルの種類

リカーリングモデルには、比較的古くから行われてきたものから、近年新しく登場したものまでたくさんの種類があります。

 

BtoCで身近なリカーリングモデルといえば、サブスクリプション型のサービスですが、代表的なものには以下のような種類があります。

 

  • 新聞や雑誌の定期購読
  • 賃貸物件や月極駐車場
  • 通信料金(電話・インターネット)
  • 教育(塾・英会話スクール)
  • 会員制ジム・ゴルフクラブ
  • SaaS(ソフトウェア・アプリケーション)
  • デジタルコンテンツ(動画、音楽、書籍)
  • レンタルサービス(衣類やカバン、家電、車、バイク、カメラ、ドローン、ペット)
  • 消耗品(食品、ウォーターサーバー、ペットフード、コーヒー、髭剃りの替刃)

 

BtoBで扱われるリカーリングモデルは、おおまかに3種類、全部で5種類に分類できます。自社の事業内容に照らし合わせて、新しいビジネスモデル開拓のヒントにしてみてください。

 

定額 定額モデル リカーリングモデルで最も多く普及しているモデル。顧客は期間に対して料金を支払い、その期間内であればサービスが受けられる仕組み。
IoTによる従量課金 成果報酬モデル 顧客の成果に対してコミットメントをおこない、創出した成果に対する一定率の料金を請求するモデル。
融資・与信モデル 機器にIoTを搭載し、支払いが滞っている顧客の稼働を遠隔で止められるため、与信のないユーザーにも提供でき、貸し倒れによる損失も防ぐモデル。
業務代行 マネージドサービスモデル 運用から管理までを一括で請け負うことで顧客の業務を代行するモデル。
業界プラットフォームモデル 顧客のバリューチェーン全域をデジタル化するモデル。共通化できる作業においては、業界全体で利用可能なプラットフォームを構築する。企業の垣根を越えて協業するケースも。

リカーリングモデルとサブスクリプションモデルの違い

リカーリングモデルとサブスクリプションモデルは非常によく似ており、どこがどう違うの?と迷われる方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、サブスクリプションモデルはリカーリングモデルのひとつです。

 

リカーリングは、直訳すると「循環する」「繰り返す」という意味です。顧客からの定期的な支払いによって成り立つビジネスモデルの総称で、従量制・定額制さまざまなものがあります。基本契約に対して、使用量にともって料金が決定する公共料金や、インクの購入が別途必要になる印刷機のリースなどもリカーリングモデルの代表的なもの。またサブスクリプションモデルのほか、ローン契約、レンタル・リースサービスなどもリカーリングモデルに含まれます。

 

サブスクリプションは、直訳では「継続購入」「定期購読」を表します。ユーザーが、ある一定期間内、定額で契約・支払いをすることで、製品やサービスを利用できるビジネスモデルです。ほかのリカーリングモデルとの違いとしては、定額制である点と、利用がなくても定額料金が発生する点があげられます。また契約期間に縛りのあるリースなどと違い、基本的には好きなときにいつでも解約可能。そのため、データ解析によってチャーンを防ぐ工夫をしたり、LTVを最大化できるよう顧客満足度向上をはかったり、といった観点からビジネスの成長をはかっていくのも特徴です。

製造業におけるリカーリングモデルの重要性とは

日本の製造業は従来からサービス化に取り組んできたものの、顧客にメリットを示せないことからうまく進まない側面がありました。しかし近年、IoT(モノのインターネット)によるセンサー解析や、5G(高速通信技術)による高速ネットワークといった技術進展により、これらの課題を乗り越え、製造業におけるリカーリングモデルの実現可能性も高まってきました。またこれらの技術革新によって新興国が躍進したことで競争が激化し、顧客ニーズも多様をきわめていることから、リカーリングモデルの重要性は年々高まっています。

 

製造業において、リカーリングモデルを導入することの重要性は、以下の3つのポイントに集約できます。

 

  1. 安定的な収益確保

 

従来の売り切り型モデルでは、顧客ごとに1回の購入機会に対して1回きりの納品のため、予測も立てにくく定期的な収益を得ることが困難でした。これに対してリカーリングモデルでは定期的な納品スケジュールを組み立て、定期的に収益を確保できる上、正確性の高い売上予測により長期的にビジネスを安定化できるようになります。

 

  1. 生産性向上

 

リカーリングモデルによって顧客の継続購入というサイクルを築くことで、売上予測の正確性を上げて、生産ラインを安定的に稼働させられるように。また生産プランの最適化ができれば生産性も向上、在庫管理の精度が上がることでロスを削減し、コストダウンにもつながります。

 

  1. 顧客ロイヤリティ向上

 

顧客の生活・ビジネスの上で必要不可欠となる製品やサービスに対して、リカーリングモデルを導入することで、継続的関係を確約できるようになります。また継続購入によって蓄積されるデータを解析すれば、顧客ニーズに対してより適切なアプローチも可能。顧客ロイヤリティを向上させ、製品やサービス・自社を「顧客にとってなくてはならないものにする」ための仕組みづくりができます。

 

参考記事:顧客ロイヤリティとは?重要性や向上させるためのヒントをご紹介!

製造業でリカーリングモデルが求められる背景

ここからは、製造業でリカーリングモデルが求められるようになった世界情勢・時代的な背景について、4つのポイントでお伝えしていきます。

デジタルテクノロジーの急速な進展

製造業でリカーリングモデルが求められる背景の1つめには、デジタルテクノロジーの急速な進展があります。近年、IoTAI(人工知能)の進化はめざましく、インターネットと接続したさまざまなモノのデータを、高い精度で自動解析できるようになりました。またMACRMなどのツールによって、顧客とのリレーション構築方法も大きく変化しています。

 

とくに製造業においては、5Gによる設備やフィールドセールスのIoT化が世界的に進んでおり、またそれぞれのITインフラも高い精度で連携できるようになりました。製造業が今後さらなる発展を遂げていく上で、まさにICTは避けては通れない道といえます。

 

実際に製造業においてこれらのデジタル技術を活用すれば、リアルタイムに顧客の状態を把握して、定期的なメンテナンスやアップデートをより適切なタイミングで提供できるようになります。顧客に快適な体験価値を与えるだけでなく、企業側も業務を効率化でき、本当に必要な業務に人手を割けるようになるのもメリットです。

 

このようにデジタルテクノロジーを活用してリカーリングモデルを導入することで、顧客との関係をより強固にして継続的な売上確保ができ、長期安定的なビジネスモデルが実現可能になります。

売り切りモデルの限界、所有から利用へ

2つめは、売り切り型のビジネスモデルが限界を迎え、業種・業態をとわず、世界規模でビジネスモデルが「所有から利用へ」シフトしていることにあります。

 

インターネットの普及やシェアリングエコノミーの発展により、ユーザーにとっては「モノを所有すること」よりも「利用によってどのような体験が得られるか」がより重視されるようになりました。近年の経済情勢によって、若年層や低所得層において、モノよりも体験を重視する価値観が強まっているのもその一因とされています。

 

さらにSDGsをはじめとする世界的な環境問題への取り組みにおいても、過剰な消費主義に対する批判的な意識は年々高まっており、顧客ニーズそのものも、よりエコロジカルな消費活動・ライフスタイルを求めるようになりました。この時流において売り切り型モデルは限界を迎えており、社会全体の「モノ」に対する意識が「所有から利用へ」と変化しつつある中、製造業のあり方も変容を余儀なくされているといえます。

製品・サービスのコモディティ化による収益低下

3つめには、製品・サービスのコモディティ化によって価格競争が激化し、収益が低下したことがあげられます。コモディティ化とは一般大衆化という意味で、市場がおなじような製品・サービスであふれ、それらの機能や品質だけでは差別化できなくなってしまうこと。製造業のマーケットにおいても例外なく、コモディティ化を原因とした収益低下を招いていることが課題となっています。

 

製品の低価格化は、たび重なる産業革命によって製造ラインの機械化が整い、大量生産が可能になったことで、世界規模ですすんできました。とくに近年の技術進歩はめざましく、世界の多くの製造業が、生産コストをおさえて、高い品質を実現できるようになっています。そのため、ブランド価値としての「日本の高い技術力」は、おなじ品質でより安く手に入る新興国製品にとってかわられつつあるのも現状です。

 

このように向かい風ともいえる製造業の現場を立て直すにはまず、収益性を高めることが喫緊の課題といえます。リカーリングモデルは、この収益の予測が立てやすい上、安定的な収益確保が可能になるため、国内外問わず大きな期待が集まっています。

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CXの重要性向上、NewNomal時代到来

4つめは、CX(カスタマーエクスペリエンス)の重要性が増したことです。先に説明した技術進展・ビジネスモデルや市場の変化により、顧客ニーズは製品・サービスだけでなく、これらを利用することで得られる体験価値に重きを置くようになりました。

 

顧客体験価値を向上させて競合と差別化をはかるためには、単に製品やサービスを提供するだけではなく、顧客の課題の発見から解決までに伴走し、顧客の自己実現をともに果たすCXやCS(カスタマーサクセス)の考え方が重要になってきます。

 

またコロナ禍において多くの企業が営業活動の困難につきあたったことは、顧客との関係性や顧客接点の創出を考え直すきっかけとなり、デジタルテクノロジーの進展を加速させました。これら一連の動きを表す、「NewNomal時代」の幕開けにより、顧客とより密接な関係性を構築できるようになったことからも、CXの重要性はますます重要視されています。

 

参考記事:サービタイゼーションとは?製造業をサービス化する重要性・事例や戦略をご紹介

製造業がリカーリングモデルにシフトするメリット

製造業がリカーリングモデルにシフトチェンジすることによって得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。以下2つの軸から見ていきます。

顧客の維持による収益向上

リカーリングモデルは、顧客と長期的関係性を築くことで事業の安定性を保てるビジネスモデルです。売り切り型ビジネスモデルでは、一度購入した顧客に対して、リピートしてもらうために再度アプローチする必要がありました。一方のリカーリングモデルでは、はじめから顧客に対して「継続利用」を取り付ける上、顧客の購入データなどをもとにレコメンドをおこなうことで顧客を囲い込みやすい点もメリットといえます。

 

また顧客との良好な関係性を維持するメリットは、「買うなら自社から買いたい!」と思ってもらうことで、アップセルやクロスセル、ご紹介といった選択肢によりさらなる収益向上が見込めることです。

 

自動化・最適化されたリカーリングモデルでは、顧客を維持することで、従来モデルでは得られなかった顧客データの収集・蓄積も可能になります。これらのデータによって製品やサービスの品質改善ができるだけでなく、マーケティング領域で活用することで収益向上に役立てられるはずです。

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コスト削減

製造業がリカーリングモデルにシフトすることで、顧客ニーズや購買頻度に合わせて生産計画を最適化できます。定期的な収益によりビジネスの見通しを立てやすいため、在庫を抑えられたり、生産ラインの効率化ができたりと、長期視点で考えればコスト・リソースの大幅な削減が可能です。たとえば売上予測を誤ったことで大量の在庫を抱えてしまう、逆に在庫が足りないために販売機会を失う、といったことも防げるようになります。

 

また新規顧客獲得は、広告費などコストのかさむ施策も多く、既存顧客維持に対しては5倍ものコストがかかるともいわれています。また既存顧客による継続購入を中心としたリカーリングモデルによって、収益が安定するのはもちろんのこと、顧客管理にかかわる工程の多くを自動化でき、人的コストを削減できるのも大きなメリットです。

製造業がリカーリングモデルにシフトする上での課題

製造業がリカーリングモデルにシフトする上で抱えている課題を、4つのポイントに分けてご説明します。

ビジネスモデルの構築

1つめは、新たにビジネスモデルを構築することのむずかしさです。まずはリカーリングモデルにシフトすることによって、従来の売り切りモデルに対してどのようなメリットがあるかを組織に示す必要があります。

 

とくにリカーリングモデルは導入初期にコストがかさんだり、安価な料金体系に変わることで収益が低下したりと一時的に経営が赤字になることも少なくありません。組織を動かすためには、従来モデルにおける成功法則に固執せず、モデルチェンジすることでより大きな成果を出せること、たとえば生産性の向上率や収益システムなどを、自社内でしっかりと示すことが重要です。

 

自社内のリソースのみでは足りない、モデルシフトするメリットを充分に提示できない、というケースも往々にしてあります。日本ではまだ少ないものの、世界的にはオープン・イノベーションへの取り組みが進んでおり、他社との連携によってこの障害を打開している企業も多いです。顧客の理想実現を優先し、他社連携も含めた柔軟なビジネスモデルを構築することで、自社の収益拡大につなげていく視点も必要になります。

人材の採用・育成

2つめは人材の採用や育成です。リカーリングモデルに着手しようと考えているが、どのような人材が必要かはっきり定義できない、といった企業は少なくありません。またリカーリングモデルにシフトする上では、顧客データの取得と解析により、顧客にとっての付加価値を定義する必要がありますが、実際にはこのプロセスを行えるスキルのある人材は市場において圧倒的に不足しているのが現状です。

 

必要な人材を明らかにするには、まずは自社がリカーリングモデルによって実現したい価値を明確化し、その上で必要となる人物像を定義し、人事部や事業部の垣根をこえて一致させましょう。

 

リカーリングモデルを推進する人物には、おおまかに以下のようなスキルが必要です。

 

  • ICTを活用してビジネスモデルを拡大する視野を持っている
  • 顧客の課題やビジョンに寄り添って提案ができる
  • データ解析を通じてビジネスモデルを検証できる
  • 顧客に導入効果を提示できる

 

すべてを兼ね備える人物を採用する・育成するのは短期的にはむずかしいため、必要に応じて外部リソースを活用するのも手段のひとつです。ただ基本的には自社内の人物が中心となって進めるため、自社内の人材にどのようなスキルがあり、またどのようなスキルが足りないかを明確化しておくのも大切です。

 

参考記事:製造業が人材不足になる原因とは?データからわかる実態や課題、解決策を解説

データの取得・活用

3つめは、どのようにユーザーデータを取得し、安全に活用するかといった点です。近年はIoTが進展したことで、機器自体にセンサーを搭載して、ユーザーの操作・行動データを取得することが可能になりました。たとえば、GPSや加速度センサーによって位置情報や移動記録を取得したり、スマートホームにより家電をインターネットにつなぐことで住環境に関する情報を蓄積したり、といった方法です。このデータ収集方法はさまざまな活用可能性を秘めている一方、プライバシーが含まれる情報であることから活用法が課題視されています。

 

とくに製造業においては、これらのデータは従来のビジネスモデルにおいて社内機密として取り扱ってきた「自社の競争力」の一部であると考える企業も少なくありません。そのため、データ取得を敬遠する顧客の行動変容を促すためには、データ取得によりどのようなメリットがあるかをわかりやすく示すシナリオ構築が必要不可欠といえます。

 

またこれらのデータや、データから算出できるアルゴリズムなどの知的財産がだれの所有物であるか、という議題についてはいまだに答えが出ておらず、データ取得における課題点のひとつです。リカーリングモデルを実現する上では、「データ取得によって自社の知財をとられてしまうのではないか」といった不安を抱く顧客に対してメリットを明示し、データ取得の連携スキームを構築する必要があります。

投資回収期間

4つめの課題は、リカーリングモデルでは、従来の売り切り型モデルのように、顧客の購入と同時には収益を回収しきれない点です。先に説明したフィッシュカーブでも示されるように、リカーリングモデルへシフトした初期には、設備やシステムを整えるためにある程度の投資額が必要になります。

 

また、売り切り型のビジネスでは販売が成立した時点でほとんどの収益を回収できる仕組みになっていますが、リカーリングモデルに用いられる月次の収益モデルでは、すべての収益を回収するのに非常に時間がかかります。そのためビジネス立ち上げ直後には赤字が続くことから、途中で断念してしまうケースも少なくないため、中長期的な視点をもって粘り強く取り組んでいくことが重要です。

 

収益化を加速させるためには、マーケットに沿ったビジネスモデルをいかに素早く展開できるか、マーケットに対して柔軟にビジネスモデルを切り替えられるかがカギとなります。

製造業がリカーリングモデルへシフトする方法

リカーリングモデルで収益化を成功させ、経営を軌道に乗せるために実践すべきステップについて説明します。

導入に必要なプロセス

製造業がリカーリングモデルを導入するために必要なプロセスは、おおまかに以下の3ステップに分けられます。

 

①製品・サービス選定と価格設定、ブランディングのためのパッケージング戦略

 

リカーリングモデルにおいては「収益化」が成功のカギを握っており、収益化するためには「どのような製品をラインナップするか」「どのくらいの価格で提供するか」の2点が重要です。分析した顧客ニーズに合わせて、リカーリングモデルに適した製品やサービスの選定と価格設定を行いましょう。

 

アンケートやフィードバックなどのデータを収集することで既存顧客のニーズを分析し、リカーリングモデルにおけるカスタマージャーニーを再設計することでより理解を深めていきます。また顧客ニーズに寄り添うのはもちろん、差別化のためにはブランドイメージを明示するパッケージ戦略も必要になります。質の高い製品や体験・高い満足度を提供しながら、価格の適正化をはかる意識が大切です。

 

②システムやサポート体制の整備

 

リカーリングシステムでは、定期的に購入するためのシステムが必要になるため、自社で提供する製品・サービスに対して、注文・契約処理を自動化できるツールの導入が望ましくなります。また継続購入によって収益を得るリカーリングモデルでは、顧客の満足度維持・向上も重要なポイントとなるため、サポート体制の整備も必須です。

 

そのため、リカーリングのモデルへの切り替えに伴い「カスタマーサクセス」に力を入れる企業も増えています。弊社もソフトウェアという無形商材ではあるものの、もともとはパッケージソフトから月額制のSaaSに切り替えてきた経緯があり、それに伴いカスタマーサクセスへの投資を進めました。同様に、製造業の企業もリカーリングモデルを取り入れるならば、従来のサポートからカスタマーサクセスへの変革が必要となります。

 

③マーケティング施策と、データ分析によるPDCAサイクル

 

リカーリングモデルにおいて継続収益を創出するためには、マーケティング施策によって顧客を維持する必要があります。この上でデータ分析は重要な役割を担っており、データ分析によって製品やサービス・製造ラインやシステムの改善点を洗い出し、適切なマーケティング施策をおこなうことで、PDCAサイクルをまわしていきましょう。

実装する上での注意点

製造業がリカーリングモデルを実装する上では、以下のポイントに注意して進めていきます。

 

  • マーケットのリサーチ、新規市場開拓を欠かさないこと。
  • 顧客ニーズ分析(既存顧客のログや属性など)を行うこと。
  • 適切な価格設定(市場調査とブランディングによる適正価格算出)を行うこと。
  • 顧客データの収集・活用におけるデータの取り扱い、セキュリティ対策を行うこと。

製造業がリカーリングモデルで成果を出すためのマーケティング戦略

リカーリングモデルにシフトチェンジするには、顧客維持、つまり「売れる仕組み」を支えるための「マーケティング体制強化」が必要になります。ビジネスモデルチェンジのハードルは決して低くないからこそ、リカーリングモデルで確実に成果を出すには、顧客体験・満足度を向上させる「マーケティング視点」での取り組みがとても重要です。ここでは、製造業がリカーリングモデルで成果を出すためのマーケティング手法についてご説明していきます。

CXの改善・向上

リカーリングモデルにおいては、顧客に継続的に利用してもらうことがなによりも重要で、そのためには優れた顧客体験「CX(カスタマーエクスペリエンス)」を提供する必要があります。リカーリングモデルをすすめる上で、CXを改善したり向上したりするためにできるアプローチは、たとえば以下のようなものがあります。

 

  • 自動支払い・自動契約更新など顧客がより快適に利用できるシステムの導入
  • メール・Webコンテンツ、セミナーなどを通して顧客にとって役立つ情報提供
  • 顧客の利用データをもとに、興味関心・趣味嗜好に対してカスタマイズされたアプローチ
  • アンケートの実施と分析、会員向けの丁寧なサポートサービスの提供
  • SNSマーケティングにおけるコミュニケーションの構築
  • 会員特典やキャンペーン

 

これらのアプローチは、必要に応じて複数を組み合わせて行うことで効果を最大化できます。データドリブンのマーケティング施策によって、顧客とのつながりを強化し、CXを向上させていきましょう。

 

参考記事:CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?定義、UI・UX・CEとの違い

キャンペーン/プロモーション施策

リカーリングモデル存続のためのポイントとして、

 

定期的なキャンペーンやプロモーション施策を実施することで、顧客の継続利用を促します。以下は、リカーリングモデルで実践しやすく、効果の出しやすいキャンペーンやプロモーション施策の一例です。

 

  • フリートライアルキャンペーン:新規顧客獲得
  • 初回割引キャンペーン:新規顧客獲得
  • ◯ヶ月無料キャンペーン:新規顧客獲得
  • アップグレード特典◯%割引キャンペーン:既存顧客のアップセル
  • お友達紹介キャンペーン:既存顧客の満足度向上+新規顧客獲得
  • ポイント付与:一定数の期間や購入でポイントを付与し、割引に利用できる。満足度向上+チャーン回避
  • ステータス付与:一定数の期間や購入で顧客のステータスが上がり、特典が受けられる。満足度向上+チャーン回避

 

キャンペーン・プロモーションごとに付与する特典には、製品やサービスの割引だけでなく、イベント招待や会員ランク限定のコンテンツ、ステータスに応じた割引率アップなどがあります。

データ分析によるカスタマイズ

リカーリングモデルの運用・改善においては、データ分析の結果を用いてカスタマイズを行う必要があります。とくに顧客ニーズの多様化する現代では、画一的なマーケティング施策では効果が得られなくなってきました。またせっかくマーケティング施策を行っても、データ分析による検証を行わなければ、成果につながっているかの判断もむずかしくなります。

 

  • 顧客のビジョンや課題
  • 顧客の企業規模・業界・決済者などの属性
  • 顧客の購入データ(興味・関心や趣味嗜好、傾向)
  • 顧客からの要望や不満などのフィードバックデータ
  • どの製品が売れている・どの製品の売上が落ちているなどの製品ライフサイクル

 

このようなデータを分析して、製品・サービス・提供方法・生産企画・在庫管理などに反映させれば、より高い顧客価値を提供できるようになります。また、経験などにもとづく主観的な判断だけに依存せずに、客観的な意思決定をするためには、これらのデータ分析が非常に重要です。

 

参考記事:BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで

製造業におけるリカーリングモデル導入企業事例6選

製造業においてリカーリングモデルを導入し、成果を出している企業の事例を6つご紹介します。食品やロボット、乗り物から農業まで幅広い企業の事例を参考に、ぜひ自社のリカーリングシフトのヒントとしてお役立てください。

ゼネラル・エレクトリック(General Electric)-飛行機

ゼネラル・エレクトリック社(General Electric/GE社)は、アメリカに拠点を置く、ハイテク産業メーカーです。同社は、世界中の航空会社で採用されている航空機用エンジンをはじめとして、鉄道の車両や信号機、発電用タービンやジェネレーター、エネルギー関連製品から医療用装置まで、幅広いラインナップの製品を製造・提供しています。

 

同社は製品の販売のみにとどまらず、製品のアフターケアやメンテナンスなどの保守サービスを、リカーリングモデルとして提供しています。IoTを活用した同社の有名なサービスのひとつに、航空機エンジンに搭載したセンサーから、エンジンの状態をリアルタイムで監視することで高い安全性を担保し、メンテナンスの最適化を行うというものがあります。

 

自社製品に対して定期的なメンテナンスを実施するプログラムを提供し、アフターフォローすることで、製品の寿命をのばすだけでなく、顧客のビジネスをサポートしながら高い収益性を実現しています。

ケーザー・コンプレッサー(KAESER Kompressoren)-圧縮空気

ケーザー・コンプレッサー社(KAESER Kompressoren)は、1919年創業、ドイツに本社を置くコンプレッサー(圧縮空気システム)専門メーカーです。圧縮空気とはモーターやシリンダーを動かす動力として使われるもの。また同社はほかにもフィルターやドライヤー、真空ポンプなどの製品も開発しており、世界中の産業で活用されています。

 

同社は、圧縮空気システムのリース・レンタル・購入から運用・保守・修理までのあらゆるプロセスを、リカーリングモデルとして提供しています。圧縮空気システム「シグマ・エア・ユーリティ」は、半導体業界や食品加工、薬品などのあらゆる製造業で活用されており、顧客は安定した圧縮空気の供給が受けられるだけでなく、リカーリングモデルならではの総コスト低減というメリットも享受できます。同時に、同社は顧客が利用した圧縮空気の量に合わせて、安定的な収益を得られるようになりました。

 

特筆すべきは、圧縮空気の提供・保守・修理と一貫したサービス提供から顧客の状況をより詳細に把握できるようになったことで、顧客の事業課題によりフィットするサービスを提供し、多くの競合他社との差別化に成功している点です。顧客の課題に対する理解力や解決力、利便性など、高い品質を訴求したことで、顧客にとって唯一無二のパートナーとしての地位を確立しています。

ゼネラルモーターズ(General Motors)-自動車

ゼネラルモーターズ(General Motors/GM社)は、シボレー(Chevrolet)やキャデラック(Cadillac)といった自動車ブランドでも有名な、アメリカの自動車メーカーです。1908年に創業以来、いまでは世界的に有名な自動車メーカーとして知られています。

 

同社が提供する代表的なリカーリングモデルは、1960年代ごろから提供されてきた、車両のリースプログラム。一括高額購入のイメージの強い自動車をリースプログラムで提供することで顧客の購入ハードルをさげることに成功しました。

 

またリースは最終的に車両を買い取ることのできるモデルですが、近年では、サブスクリプションサービスやカーシェアリングサービスなど体系の異なるリカーリングモデルにも積極的に取り組んでいます。同社が提供する「Maven」は、顧客のニーズに合わせた利便性の高いサービスで、自動車の長期レンタルからカーシェアリングなど柔軟な利用プランを提供。これらのサービス提供により顧客ニーズを把握し、新たなビジネスモデルの開拓をはかっています。

ディア・アンド・カンパニー(D&C)-農業

ディア・アンド・カンパニー(D&C)は、1837年に設立されたアメリカの農業・建設機械のメーカーです。

 

同社は、2013年にプラットフォーム「MyJohnDeere」を発足し、それまでの「農業機械の販売」から「データ事業」へと大きく舵を切りました。農場経営者に対して、農機だけでなく「農作業のデータ」「天候情報」などから割り出した作業計画立案を提供するリカーリングモデルを提供しています。

 

具体的には、農機の動きを遠隔でモニタリングすることで、現場の作業員に対して作業効率をあげるための指示やサポートも行っています。農機には通信機器が搭載されているため、使用状況データを常に収集可能。さらに同社が販売する土壌監視装置で、水分量や気温などの情報も取得し、これらの情報はプラットフォーム上で顧客が扱えるようにしています。

 

ICTを使って農業を効率化したことで、農場を総合的にマネジメントできるプラットフォームを提供したことで、利用者の利益向上に貢献しています。また収集したデータを広く販売することでも収益を安定化させながら、農業全体の発展にも役立てており、データ販売によってもリカーリングモデルを強化させている成功事例といえます。

エービービー(ABB)-ロボット

エービービー(ABB)は、1988年に誕生したスイスの企業で、製造業・エネルギー業などの幅広い業種をターゲットに、電力やロボットを中心に事業展開しています。

 

同社が取り組むリカーリングモデルは、2本の腕をもつ産業向けロボットの提供により、工場の人手不足を解消するもの。具体的には、頻繁に組み立て工程の変わる、スマホや時計などの組み立て作業に用いられ、これまで人が行ってきた手作業を正確に再現できます。

 

同社はロボットとともにいくつかのサポートサービスも提供しており、ロボットを遠隔視するサービス「Connected Service」を活用すれば、異常発生の際もサポートセンターからすばやく指示を仰ぐことができます。さらに「EXTENDED CARE」で遠隔の技術サポート、ロボットの一括管理が可能。ロボット運用、生産業務や管理コストが一元化されるためコストが明確化するのは、顧客にとっても大きなメリットとなっています。

 

またターゲット業界にリーチするため、ロボット提供だけでなく、操業データ取得・分析により業界内のプラットフォームを構築し、販売モデルに組み込んでいるのも特徴です。遠隔サービスの提案を通して顧客のメリットを訴求する手法は、これからリカーリングモデルにシフトしたいと考える企業の参考になるはずです。

クラフトフーズ(Kraft Foods)-食品

クラフトフーズは食品製造メーカーで、顧客に対して、定期的に購入してもらうリカーリングモデルを取り入れることで売上を伸ばしてきました。具体的には、食品のサブスクリプションモデルを導入し、定期的にフードボックスを届ける仕組みを取り入れることで収益を安定させています。

 

フードボックスの商品内容は、同社の定番商品のほか、ワクワクするような季節限定の特別商品を提供することで顧客満足度向上を目指しています。また定期的に配信するメルマガにおいて、商品情報だけでなくお得なクーポンを付与。商品購入に対しては、商品やギフトカードに交換可能なポイント付与など、繰り返し購入してもらえるようなマーケティング施策も実施しています。

まとめ

製造業のリカーリングモデルについてご説明しました。

 

自社の製品やサービスに誇りを持っているものの、近年テクノロジーの急速な発展により顧客ニーズが大きく変化していること、高品質の新興国製品がマーケットに台頭していることから、企業の今後に不安を感じる方も少なくないのではないでしょうか。

 

リカーリングモデルを導入することは、現在抱えている多くの課題を解決するヒントになるだけでなく、顧客との関係性を見直し、企業の大幅な成長を実現するカギとなるはずです。抜本的な改革がむずかしい、というケースであっても、顧客管理やマーケティング施策など身近なファクターからシステム化してみることで、自動化によるメリットを実感できるかもしれません。ぜひ自社のビジネス成長のヒントとして、参考にしてみてください。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

  

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Thu, 27 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業向けCRMとは?導入メリットや事例、選び方などをわかりやすく解説]]> https://mtame.jp/column/manufacture_crm  

顧客情報を一元管理できる「CRM(Customer Relationship Managementの略)」を製造業で導入することで、効率的な営業活動や業務効率化を実現できる上、他の作業へとリソースを割けるため利益の最大化が見込めます。

 

そのため現在製造業におけるCRMツールの導入は加速しており、今後さらにその必要性は増していくことが予想されています。

 

本記事では製造業向けのCRMについて、解決できる課題やその必要性、導入するメリットや選定ポイントなどをわかりやすく解説します。終わりでは製造業におけるCRM導入時の注意点なども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

 

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製造業における課題

CRMシステムを導入することで製造業における様々な課題を解決できるため、近年製造業ではCRMシステムの導入が加速しています。

 

そこでまず現状をクリアにするために、製造業における課題とCRMツールを導入すべき理由について解説します。

人手不足

少子高齢化や労働人口の減少によって、製造業における人手不足は深刻化しています。

 

特に製造業は若い世代から「3K(きつい・汚い・危険)」と呼ばれる負のイメージを持たれる傾向にあり、求職者が少ないことも大きな課題です。

 

人手不足は作業現場だけでなく営業部門においても大きな問題となっており、質の高い新製品や自社独自の開発に成功しても、効果的な営業活動が行えずに下請構造から抜け出せない企業も多く存在します。

 

また製造業では紙やExcelなどのアナログな方法で顧客情報を管理する企業も多くあり、手作業での入力業務や分析、人的ミスなどによって時間・工数がかかってしまい非効率であるという点も大きな問題といえます。

 

CRMツールを導入することで業務効率化につながり、人材不足という課題解決に貢献できます

 

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製造業における生産性向上について、製造・営業の両視点から取り組むべき施策や事例などを紹介!

製造部門と営業部門の連携

製造部門と営業部門での連携がスムーズにできない点も、製造業における大きな課題のひとつとされています。

 

たとえば、営業部門を通して顧客から問い合わせのあった内容に関して「製造部門からの回答がなかなか得られない」、「製造部門で対応するのが厳しい納期で営業部門が受注してしまった」など、部門間での連携が適切に行えなかったためにトラブルが発生する場合があります。

 

またスムーズに連携できないと、「生産性の低下・レスポンスの遅延・顧客からの信頼度低下」などにつながる可能性も高まります。CRMツールを導入して顧客情報の管理や進捗を部門間で適切にシェアできるようにすることで、これらの課題を解決できます。

不要な在庫の増加

製造業における課題として「不要な在庫が増加してしまう」など、適切な在庫数の維持の困難さが挙げられます。

 

消費者ニーズの多様化やインターネットの普及、世界状況の不確実性などの影響で製造業におけるニーズは著しく変化しています。その変化に都度対応するのは非常に難しく、不要な在庫を抱えてしまうという問題が発生しているのです。

 

CRMツールを導入することで、市場動向を見通した生産管理や在庫管理が実現し、不要な在庫や管理コストの増大を防ぐことができます。

国内市場の縮小と競争の激化

製造業界の市場規模は縮小傾向にあり、市場における競争は激化しています。

 

「モノの所有」から「モノの体験」へ価値がシフトチェンジしており、以前と比べてモノが消費されにくくなっているためです。

 

市場は縮小傾向にある一方、モノを供給する企業数は減少しないため、現在激化している市場での競争がさらに激化するものと予想されています。

 

この競争で生き残るためには顧客ニーズに素早く対応する必要があり、それに役立つのがCRMツールなのです。

多様化する顧客ニーズの把握

先述したように、様々な影響によって顧客ニーズが多様化しています。製造業においては顧客のニーズに最適な商品を提供することが重要ですが、多様化する顧客ニーズを的確に把握できていないという課題があります。

 

自社からの視点だけで、ものづくり自体が目的になったり、機能過剰な製品の生産をしてしまったりすると、競争が激しい市場において自社製品を選んでもらうことは難しいです。

 

CRMツールを導入することで、あらゆる顧客情報の収集・分析を行い、顧客のニーズ・インサイトを的確に把握し、顧客のニーズに沿った製品開発を実現できます。

 

顧客からの評価などの情報も収集・分析すれば、より良い新製品を開発する際のヒントにもなり得るうえ、ニーズに応じた商品を提供できれば、​​顧客と良好な関係を構築しやすくなります。

製造業の課題を解決できる「CRM」とは

では改めて、CRMについて解説します。

CRMとは

「CRM(Customer Relationship Managementの略)」は、顧客情報を一元管理することを指します。CRMツールを製造業で導入することで、効率的な営業活動や業務効率化を実現できる上、他の作業へとリソースを割けるため利益の最大化が見込めます。

 

CRMツールで収集した顧客情報を分析することで、顧客に最適且つ効率的にアプローチすることができ、顧客にも自社の商品やサービスを選んでもらう可能性が高まります。

 

さらにCRMツールを導入すれば、営業部門や製造部門など全部門で情報をシームレスにシェアできるので、質の高い顧客対応が実現し、顧客満足度の向上が期待できます。このような理由からCRMツールを導入して顧客管理を行う企業が近年増加しているのです。

CRMシステムの市場規模

CRMツールの市場規模は年々拡大しています。コロナ禍の影響による急速なオンライン化によって、顧客との接点がデジタルシフトしたことがその主な原因です。

 

IT及び通信分野に関する調査・分析を行うIDCJapanの独自調査「国内CRMアプリケーション市場予測」では、国内CRMツールの市場規模について、2020年は1871億7300万円、2025年は2448億8200万円になると予想されています。

 

CRMツールの年間平均成長率は5.5%で推移すると予測されており、今後さらにCRMツールを導入する企業は増加していくことがわかります。

 

引用元: 日経XTECH「コロナ禍を経て成長続けるCRM市場、欠かせない顧客接点の改善」

CRMとMA・SFAの違い

CRMと混同されがちなシステムにMA・SFAがあります。

 

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製造業におけるSFAについて解説!メリットや選び方のポイント、ツールの紹介まで

マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説

「MA」「SFA」「CRM」どれも営業支援ツールだけどどう違うの?

 

 

MA(Marketing Automationの略)はマーケティングオートメーションと呼ばれ、「マーケティング施策に関する業務を自動化・効率化するための仕組みやツール」を指します。MAの対象部門はマーケティング部門であり、リードの獲得や育成が目的です。

 

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SFA(Sales Force Automationの略)は「営業支援システム」とも呼ばれ、「営業活動を効率化するツール」を指します。営業部門で利用されるツールであり、契約の獲得やリードの転換などが目的です。

 

一方CRMはマーケティング・営業・CSなど部門の垣根を越えて利用されるのが特徴で、導入する目的は「顧客情報の一元管理(顧客関係管理)」及び「リピーターの獲得」にあります。それぞれ似た領域にありますが目的や部門、役割等は異なるため明確に理解しておくことが大切です。

 

CRMの主目的である「顧客情報・顧客関係の管理」を実現するためには、リードの獲得・育成を行うMAツールと、契約の獲得を行うSFAが必須 です。近年ではMA・SFAの機能やサービスをもったCRMが登場しています。

 

製造業におけるCRMについてわかってきましたが、なぜ近年こんなにもその必要性が高まっているのでしょうか?

製造業におけるCRMの必要性

現代の製造業においては顧客管理や関係構築の重要度は高まっており、それを実現できるCRMツールの必要性が増しています

 

顧客管理の重要度が高まる背景には、人口減少による「市場の縮小」のほか、インターネットの普及やSNSの発展、趣味・趣向の多様化による「顧客ニーズの複雑化」などがあります。

 

また「作れば売れる」という従来のビジネスモデルは終わりを告げ、顧客のニーズをより的確に捉えた商品を提供しなければ、自社製品を選んでもらうことは難しくなるという「競争の激化」も大きな理由です。

 

関係構築の重要性は昔から変わらずではありますが、古くから課題を解決するツールとしてCRMは役立ちます。例えば営業の属人化により、顧客の情報が営業担当の手元にしかなかったりすると、担当者がいなくなった瞬間に情報ごと失ってしまいかねません。そのため、顧客のニーズや状況はデジタルとして共有し管理する必要があるのです。

 

CRMツールを導入することで、これらの問題の解決へとつながるため、年々その必要性は高まり、導入する企業が増加しています。

製造業にCRMツールを導入するメリット

製造業にCRMツールを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?以下では主な5つのメリットを紹介します。

顧客ニーズの的確な把握

まずCRMツールを導入するメリットとして、顧客ニーズを的確に把握できるという点が挙げられます。

 

CRMツールでは、顧客の社名や購買情報、取引実績、クレームの有無や要望など、顧客に関するあらゆるデータを一元管理します。これらのデータを収集・分析することで顧客のニーズをより的確に把握でき、より効率的な商品の製造・販売が実現できます。

 

またニーズを把握することで不要な在庫の保管や処分などのリスクを軽減できるのも大きな利点です。顧客との良好な関係構築や、新製品の開発などにも寄与します。

他部門との連携強化

他部門と連携を強化できる点も、CRMツールを導入する大きなメリットです。

 

従来は各部門それぞれが顧客データを管理していましたが、CRMツールを導入して顧客情報を一元化することで、営業・製造・マーケティング・カスタマーサクセスなどの部門の垣根を越えて情報をスムーズにシェアできるようになり、業務の効率化を実現します。

 

部門間での連携を強化することで、部門間での重複した入力作業や人的ミスなどを削減でき、データの正確性も担保できます。

営業力の向上

CRMツールを導入することで、企業全体の営業力の向上につながるというメリットがあります。

 

CRMツールでは顧客に関するあらゆる情報を管理・共有し、社内全体で情報や商談内容を把握できるため、仮に担当者が不在の場合でも他の社員が対応することで、機会の損失を防ぐことができます。

 

また成績の良い営業担当者のノウハウや知見をシェアして知識を体系化することで、組織全体の営業力向上を見込め、受注の増加も期待できるでしょう。

生産管理の効率化と売上予測の精度向上

CRMツールを導入して顧客情報を一元化することにより、企業全体での情報共有が可能になり、生産管理の効率化と売上予測の精度向上を実現できます。

 

たとえば顧客から受注した際、CRMツールによって受注内容や緊急度の把握ができ、生産ラインにおける優先度の設定や調整が迅速に行えるなど、生産管理における効率化が見込めます。CRMをERPと連携させれば、需要予測を生産管理に反映させて在庫を最適化できるという点も魅力です。

 

また顧客データの収集・分析によってより正確なニーズ予測が立てられるため、売上予測の精度向上も見込めます。精度の高い生産管理や売上予測が実現できれば、適正在庫の維持が可能になり、保管や廃棄にかかる無駄な費用の削減や、利益の最大化につながります。

コストの削減

CRMツールを導入することで業務を効率化でき、最終的にはコスト削減の実現につながるというメリットがあります。

 

収集・分析した顧客情報に基づいて活動を行うため、業務の効率化と同時に、非効率もしくは無駄な施策を減らすことができ、最終的には企業全体のコストの削減を実現できます。

 

また、社内の各部門ごとに利用していた複数の管理システムをCRMツールに集約して一元管理すれば、管理システムの利用・維持にかかるコストも大きく削減可能です。

 

さらに、CRMツール導入による不良品の削減や製品・サービスの品質維持という点からも、生産コストの削減を実現できます。

製造業におけるCRMの選定ポイント

製造業で導入するCRMツールを選定する際、どんなことに気をつけると良いでしょうか?以下では主な5つの選定ポイントを紹介します。

必要な機能を明らかにする

製造業でCRMツールを導入する際、必要な機能を明らかにして、その機能が備わっているかどうかを確認することが大切です。

 

そのためにはまず、CRMツールを導入して「どのような目的を達成したいか」「どんな課題を解決したいか」を、予め明確にしておく必要があります。

 

たとえば新規顧客獲得を目的とする場合、顧客とのやりとりを履歴としてシェアできる機能や、メルマガ配信などを行えるMA機能があるといいでしょう。顧客の高精度なニーズ把握を課題とする場合、顧客の精密なデータ分析機能が備わったCRMツールを選ぶことがおすすめです。

 

自社の目的・課題に最適な機能を把握するためにも、自社の課題や目的を明らかにし、事前に必要な要素・機能を洗い出すことが大切です。

システム連携を確認する

CRMツールではMAツールやSFAツール、ERPなどと連携することができるため、予めどのようなサービスと連携できるかを確認する必要があります。

 

すでに別のツールやシステムを導入している場合は特に、CRMツールがそれらのシステムとスムーズに連携できるかを確認しておきましょう。カスタマイズ性の高いCRMツールを選ぶことで、今後導入するツールやシステムとの連携が図りやすくなるため、今後の展開を視野に入れて選定することも重要です。

スモールスタートできるかを確認する

初めてCRMツールを導入する場合には、スモールスタートが可能なツールかどうかも選定ポイントです。

 

最初から大きなコストや労力をかけてもうまくいくとは限らないため、初めは初期費用を抑えたスモールスタートが理想です。無料トライアルが備わっているツールも多数存在しているため、まずは利用してみるのもいいでしょう。

 

料金プランに関しては、1ユーザー単位ではなく、5ユーザー・10ユーザー単位などに別れているサービスだと拡張しやすく、今後さらにCRMツールの利用を展開させていきたい場合は導入しやすいです。

場所を問わずに利用できるツールを選ぶ

CRMツールにはスマートフォンなどのデバイスで場所を問わずに利用できるものがあります。

 

場所などの制限なく顧客情報を確認できるため、顧客の商談履歴や現状を訪問先を訪れる直前にチェックでき、より正確でタイムリーなアプローチを実現できます。

 

商談後もすぐにその場で顧客情報を入力できるので、情報の共有をより迅速に行うことができ、業務の効率化にもつながります。

費用対効果を考慮する

費用対効果がどれくらい見込めるのかを考えることも、CRMツール選定の際には重要なポイントです。

 

費用対効果について検討する際は、「機能」「導入・維持費用」「実現できること」の3つの視点から考慮する必要があります。これらを検討せずに導入してしまうと、導入しただけで終わってしまったり、コストだけかかって効果が得られないということが起こり得ます。

 

コストを無駄にしないためにも、どの程度の費用対効果があるのかについて考慮を重ねましょう。

サポート内容を確認する

CRMツールを導入する際に受けられるサポート内容について確認しておくことも重要です。

 

CRMツールは導入した後に、いかにスムーズ且つ迅速に運用できるかどうかが大切であり、運用できてこそツールの真価を発揮します。

 

ツールの運用が軌道に乗るまでのサポートを行う導入支援や、導入後も手厚いサポートが備わっているコンサルティングサービスなどがあるため、選定する際にはサポート内容を必ず確認しましょう。

製造業でのCRMツール活用時の注意点

製造業にてCRMツールを活用する際には、気をつけるべき注意点があります。CRMツールの効果を最大限に発揮できるよう、参考にしてください。

全ての顧客情報を一元管理する

CRMツールを導入して最大限活用していくためには、あらゆる顧客情報を一元管理することが重要です。一元管理することで部門間での情報のシェア・連携がうまくいき、スムーズな業務を実現できます。

 

どの部門からも、いつでも顧客情報をチェックできる状態にしておくことは、さまざまな部門が関与することが特に多い製造業においてとても大切なポイントです。CRMツールで顧客情報を一元管理すれば、24時間のカスタマーサポートなどのクオリティの高い顧客対応が可能になり、顧客との良好な関係構築にもつながります。

サプライチェーンデータを登録する

CRMツールには顧客情報だけではなく、在庫管理や注文管理、配送などのサプライチェーンデータも登録することが大切です。

 

CRMツールでサプライチェーンデータを管理することで、より高度な生産管理が実現します。また最適な生産計画や、不要な在庫の削減などにもつながります。

 

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サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットから導入ステップまで 

販売予測を分析する

CRMツールに顧客情報を収集・蓄積していくことで、そのデータをもとにリアルタイムでの分析が可能になり、導入後数ヵ月で「何がどのくらい必要になるか」という販売予測が立てられるようになります。

 

また、顧客の購買履歴をデータとして分析し追跡していけば、購入パターンを把握することも可能です。「どの時期に再受注が増えるか」という的確な販売予測を実現することで、最終的には利益拡大へつながるため、CRMツール活用の際にはとても大切な作業といえます。

可視化による属人化の防止

CRMツールで取引状況や履歴などを可視化することで、営業の属人化を防止できます。

 

製造業の営業活動は従来、営業担当者に属人化されてしまうという課題がありましたが、CRMツールを活用することで社内全体で顧客情報や営業の進捗をシェア・可視化できるため、属人化を防止できます。

 

属人化していると担当者が不在のときに対応できなくなり、貴重な商談機会を逃してしまうことにもつながるため、属人化防止をCRMツールで実現できれば、社内全体の営業力向上も期待できます。

ビッグデータ分析ツールに連携する

CRMツールを活用する際には、ビッグデータ分析ツールと連携することをおすすめします。

 

連携させることで蓄積した情報を詳細に分析でき、「何を販売するか」「いつ販売するか」など重要な項目を決定す
る際に役立ちます。アップセルやクロスセルに最適な製品の特定も可能になるため、利益の拡大にもつながるでしょう。

製造業界のCRMツール導入事例

製造業においてCRMツールはどのように導入されているのでしょうか?実際の導入事例を3つ紹介します。

株式会社イムラ:封筒の製造・販売

封筒の製造から販売までを行う「株式会社イムラ」は、CRMツールを導入することで、当初の目標達成を短期間で実現した製造業の事例です。

 

同社は「部署ごとに顧客情報の管理体制が異なり、営業リードタイムが長い」という課題を抱えていましたが、社内で統一された営業管理の仕組みがなく、部署ごとに管理の状況がバラバラという中でも、不都合を感じずに業務に取り組んでいたそうです。

 

しかし、封筒の製造販売はリードタイムが非常に短く、リピート率が高いという特性がある点や、DM支援事業に力を入れ始めたことをきっかけに営業管理の重要性を感じ始めました。そして営業部門の効率化が必要になり、CRMツール導入を行います。

 

CRMを導入した結果、商談内容などの顧客情報がデータベース上で管理されるため、進捗や種別を上長が把握できるようになったほか、ノウハウや成功事例の部門内シェアにもつながり、部門全体における営業力向上を実現しました。

 

引用元: Zoho CRM/SFA 導入事例「営業活動の属人化がZoho CRMにより解消「受注型」から「獲得型」へ転換し、提案力を強化」

日本車輌製造株式会社:車両の製造

これまで国内の鉄道車両製造で中心的役割を担ってきた、車両の製造をしているトップメーカー「日本車輌製造株式会社」は、輸送用車をオーダーメイドで製造しています。

 

そのため受発注は三位一体の組織営業であり、「営業・工場・マネージャー」間での情報共有が必要不可欠であり、CRMツールの導入に至りました。

 

CRMツールを通した情報共有で密接なコミュニケーションが取れるようになったほか、これまで紙ベースで管理していた営業情報をデジタルデータで活用することで、管理の負担を減らし、効率化が図れるようになったそうです。

 

また部門間連携の強化によって情報漏れを防ぐことができ、顧客満足度の向上やクレームの削減を実現できました。

 

引用元: eセールスマネージャー導入事例「全員が使えるeセールスマネージャーが、きめ細やかな組織的営業を推進する」

丞威精密工業:精密金型

自動車部品や医療機器などの精密金型を提供する台湾CWグループの「丞威精密工業」は、CRMツールを導入することで、営業担当者のサービス能力向上と人件費の削減を実現しました。

 

導入以前は、「高い人件費」「人手不足」という課題や、Excelを活用した顧客情報管理によって、「顧客データを完全に把握できていない」という課題があり、「情報ミスによるリスクの低減」を目的としてCRMツールを導入したそうです。

 

CRMツールを導入したことで、サービスの正確性の向上や人件費削減につながったほか、営業担当者の持つ顧客増加やサービス能力の向上などを実現しました。

 

引用元: ez vital 導入事例「CHEN-WEY PRECISION INDUSTRYのVital CRM顧客システムを駆使した海外受注管理の簡素化」

まとめ

本記事では、製造業におけるCRMについて解説しました。

 

市場規模の縮小やニーズの多様化、競争の激化など、売上アップのためには様々なハードルがある製造業ですが、CRMツールを導入することでそれらの課題解決へとつながり、効率的な営業活動や利益の最大化が見込めます。

 

CRMツールの効果を最大限に発揮できれば、市場における競争優位性を保つこともできるはずです。もちろん導入には投資が伴いますが、避けては通れないツールでもあるので、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

 

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Wed, 26 Jul 2023 17:00:00 +0900
<![CDATA[スマートファクトリーとは?言葉の意味や目的、導入事例など徹底解説します]]> https://mtame.jp/column/a1106 スマートファクトリーとは、AIやIoT技術などのデジタルテクノロジーを駆使して、機械と管理システムをつなげ、業務・経営全体が最適化されている工場を指します。

 

スマートファクトリーを構築することで、業務プロセスの改善や低コストでの高品質製品の生産、継続的な工場の生産性UPなど様々なことを実現できるため、製造業における注目度が近年高まっています。大きな問題となっている人手不足や技術継承問題を解消できるのもスマートファクトリーのポイントです。

 

本記事ではスマートファクトリーの基礎知識をはじめ、導入のメリットや関連技術、課題や注意点などをわかりやすく解説します。ぜひ自社の経営戦略などにお役立てください。

スマートファクトリーとは

スマートファクトリーについて正確に理解するため、本章では概要や従来の工場との違い、混同されやすい「インダストリー4.0(第4次産業革命)」との関係やDXとの違い、製造業における必要性について解説します。

スマートファクトリーとは

スマートファクトリー(もしくは「スマート工場」)は、工場内の基幹システム(ERP)や製造管理システムなどのシステムと機械設備をネットワークで繋ぎ、デジタルデータで管理することで、業務・経営全体を最適化している工場を指します。

 

スマートファクトリーでは、AIやIoT技術などの最先端テクノロジーが活用されているのが特徴です。それらの技術を導入することで業務フローの可視化による生産性改善や、効率化による人材不足解消などが期待できます。

 

デジタルデータを利用しているため、正確な情報に基づいた課題認識と継続的な改善活動が可能になり、最終的には企業全体の収益拡大も見込めます。

 

スマートファクトリーという概念と一緒によく登場するのが「インダストリー4.0(第4次産業革命)」です。スマートファクトリーと「インダストリー4.0(第4次産業革命)」にどのような関連性があるのかを解説します。

「インダストリー4.0(第4次産業革命)」との関係

ドイツ政府が国家戦略として2011年に提唱し、世界の市場に大きな影響を与えた「インダストリー4.0(第4次産業革命)」というコンセプトを体現した工場がスマートファクトリーであるといえます。

 

「インダストリー4.0(第4次産業革命)」は、生産ラインをセル=区画で管理する「スマートセル」を行うことで、生産ライン全体の最適化を行うというコンセプトです。IoTやAIによる高精度な生産管理や、現実空間とデジタル空間をつなげるサイバーフィジカルシステム(CPS=Cyber Physical System)による技術革新を特徴としています。

 

「インダストリー4.0(第4次産業革命)」を体現したスマートファクトリーの実現は、日本のみならず全世界的な動きとなっており、今後もさらなる発展が予想されています。

 

よりスマートファクトリーについて明確に理解するため、従来の工場とスマートファクトリーについてみていきましょう。


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従来の工場との違い

スマートファクトリーと従来の工場との最も大きな違いは、生産性の向上を実現するプロセスの効率化にあります。

 

生産性の向上は両者において大きな課題とされていますが、従来の工場では紙媒体を主体にした手作業でのデータ記録や、表計算ソフトなどを活用した属人的な業務など、非効率的な作業形態が主流です。

 

このようなアナログな管理によるプロセスでは迅速な業務や、継続的な改善活動が難しいという課題があり、効率化を実現するのは厳しいといえます。

 

スマートファクトリーではデジタルデータを活用することでデータを一元管理でき、速やかな課題把握と改善活動の実行を促します。このように生産性の向上を実現するプロセスが異なるという点が、従来の工場とスマートファクトリーとの違いです。

DXとの違い

さらに、スマートファクトリーと混同されやすい考えに「DX(Digital Transformationの略:デジタルトランスフォーメーション)」があります。

 

「DX」はIT・デジタル技術を社会に浸透させることで、人々の生活をよりあらゆる面で良いものへと変革することを指します。デジタル技術やデータを活用することは両者に共通しますが、DXはビジネスに限らずより幅広い意味合いをもつことが特徴です。

 

DXをビジネスに適用させた場合は、企業がビジネス環境における激しい変化に対応するためにデジタルデータや技術を活⽤して、製品・サービス・ビジネスモデル・業務そのものなどを変⾰し、競争上の優位性を確⽴することであると考えられています。

 

つまり、DXを生産過程に適用した工場がスマートファクトリーということになり、逆に言えばデジタル技術・データを活用して業務の改善・効率化を行うスマートファクトリーを実現することが「ビジネスにおけるDX」を意味します。

 

ではなぜ近年製造業におけるスマートファクトリーの必要性が高まっているのでしょうか?

 

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製造業でスマートファクトリーが必要とされる背景

製造業におけるスマートファクトリーの必要性が高まっている背景には、「人口減少や少子高齢化による深刻な人手不足・コロナ禍による原料価格の高騰・第3国の大きな進展」などの様々な社会情勢の変化があります。

 

社会情勢や環境の変化によって、製造業を営む企業には多くの課題が山積みになっており、特に製品価格を安く提供する第3国との競争に打ち勝つために、競争優位性を確保することは国全体における課題にもなっています。

 

このような背景の中、スマートファクトリーを構築して生産性向上を実現できれば、「人手不足の解決・コスト削減・品質の安定化・日本企業の競争優位性の確保」などの問題の解消につながるため、スマートファクトリー構築の必要性がこれまで以上に高まっているのです。

スマートファクトリー構築のメリット

スマートファクトリーを構築することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

製造工程の見える化

スマートファクトリーを構築することで得られる大きなメリットのひとつとして、「製造工程の見える化」が挙げられます。

 

「製造工程の見える化」は生産性改善を実現するために必須の取り組みです。スマートファクトリーでは、最先端技術によってデジタルデータで情報を管理・分析することで、工場内のあらゆる情報を数値にして確認でき、見える化を実現します。

 

様々な単位(製造ライン全体、工程単位など)で製造工程の見える化ができれば、単位ごとの効率的な生産性改善が可能になり、最終的には企業全体の効率化へとつながります。

 

見える化によって工場内での死角がなくなるのも大きなポイントで、非効率な工程や無駄な作業を見つけやすくなるほか、問題が発生した際の迅速な原因特定や対応が可能になり、効率的なリスク管理も実現できます。

品質の向上

スマートファクトリーを構築することで、「人手不足の解決・コスト削減・競争優位性の確保」などの様々な課題を解決することができ、製造業で最も重要な品質向上に時間・労力を注ぐことができます。

 

他にも、スマートファクトリーでは製造プロセスのデータが製品データと紐づいて保存されるため、製品品質に関する要因(使用原材料・製造工程・出荷検査結果など)の追跡可能性を表す「品質トレサビリティ」を確保することが可能です。

 

製品がいつどのように製造されたのかがわかる「品質トレサビリティ」が確保できれば、品質管理の精度や効率が向上するうえ、最終的にはユーザからの評価向上や、それに伴う売上UPも期待できます。

 

また、デジタルデータを活用することで、ヒューマンエラーの削減による不良品の流出防止も実現可能です。

コストの削減

スマートファクトリーを構築すれば、コストを削減できるというメリットもあります。

 

コストの削減は経営において非常に重要なポイントですが、従来の工場では、コストを削減するために必要な「現状の正確な製造コストの把握が難しい」という課題がありました。

 

スマートファクトリーではデジタルデータを活用することで、様々なデータ(部材の調達コスト・各設備の稼働時間・エネルギー使用量・製造に必要な工数・不良品の発生率・消耗部品の交換情報など)を一元管理することができます。

 

それによって正確なコストが把握できるうえ、現状と目標のギャップの見える化によって課題や改善点、対策内容が浮き彫りになり、効率的にコストの削減を実現します。

人材不足の解消

人材不足の解消も、スマートファクトリーを構築することによって期待できるメリットのひとつです。

 

少子高齢化による労働人口・熟練技術者の減少や採用難、外国人労働者の増加などで、製造業をはじめとするあらゆる業界において人材不足が問題になっています。

 

スマートファクトリーでは、AIによる事務作業やレポート作成、ロボット・自動化設備の導入によるものづくりの自動化など、単純作業を機械に任せられるほか、各種手順書やマニュアルの電子化、動画による人材教育、ビッグデータを活用したスキル・ノウハウの標準化なども実現でき、慢性的な人材不足を解消できます。

技術継承

先述した人材不足の解消に少し関連しますが、スマートファクトリーの構築は技術継承にも大きなメリットをもたらします。

 

人材不足の課題をより詳細に見ていくと、長い年月をかけて培った高度な技術を持つ技術者の継承問題という大きな課題があります。深刻化している人材不足や技術継承問題においても、自動化や先端技術の活用が必要です。

 

たとえばAIやIoTを活用したデータ取得によって、作業の内容や仕上げの品質確認など、熟練技術者でないとわからない細かなポイントや熟練技術を言語化・可視化し、後継者育成に役立てたり、機械のプロセス自体への技術組み込んだりすることができます。

 

スマートファクトリーを構築することで技術継承における様々な課題を解決でき、企業運営に大きなメリットをもたらすでしょう。

シミュレーションによる未来予測

スマートファクトリーでは、IoTデバイスを通して取得した現場の状態に関するデータを活用してリアルタイムでデジタル化してシミュレーションを行い、未来を予測することができます。

 

具体的には、生産設備の配置の改善や最先端設備を新たに導入する際、「生産性への影響」「稼働領域」「単位時間あたりの生産数の変化」などを明らかにすることができ、様々な観点での未来予測を実現できます。

 

また製造現場におけるデータだけではなく、市場の需給データなどをもとにしたシミュレーションも行えるため、ヒト・モノ・カネの資産を最適なタイミング・配分で活用することが可能です。

故障の未然防止

デジタルデータを取得・活用できるスマートファクトリーでは、機械設備の故障や不具合を事前に検知することで、未然に防止できるというメリット もあります。

 

従来の「予防保全」の取り組みでは「まだ使用できる部品も交換してしまう」という点が課題になっていましたが、「予知保全」システムの確立によってそれを防ぐことができるため近年注目を集めています。

 

故障・不具合の兆候を検知して故障発生前の最適な時期に保全を行う「予知保全」を確立することで、止まらない生産ラインや、作業工数・交換部品コストの削減などを実現可能です。

 

「予知保全」は工場の機械設備全体の適切なメンテナンス時期の予測が必須であり、各設備からデジタルデータを収集して管理するスマートファクトリーでは、高度な予知保全の実現が可能です。

ロジスティクスの改善

スマートファクトリーの構築は、物流の運送・保管・包装・荷役という一連の流れを最適化する「ロジスティクスの改善」も大きな効果を期待できます。

 

倉庫や製造現場における物品の搬送は、人手による作業が多いため「作業者の負荷が高い・導線が最適化されていない」などの課題があります。

 

その課題を解消するため、一定の領域において自動で走行し物品の搬送を行う自動搬送機「AGV」が現在登場しており、スマートファクトリー内ではロジスティクスの改善も進むことが見込まれています

 

さらに近年は、自動でルートを算出して人や障害物などを回避するAMR(自律走行搬送ロボット)が注目を集めています。機械とシステムがネットワークでつながったスマートファクトリーではAMRへの指示出しも容易にできるため、状況に合わせた搬出など、ロジスティクスのより大きな改善が期待できるでしょう。

スマートファクトリーに関連する4つの技術

スマートファクトリーでは、機械・設備状況の把握や取得したデータの分析、それらのデータの可視化など、様々な技術が必要です。以下ではスマートファクトリーで活用される主な4つの技術について紹介します。

IoT

IoT(Internet of Thingsの略)は「モノのインターネット」と呼ばれ、従来インターネットに接続されていなかった機械設備などのモノをネットに接続することで、これまでになかったサービスが実現する技術を指します。

 

IoT機器には、センサーやカメラ、無線通信が搭載されており、モノの状態や動きなどのデジタルデータを取得するのが特徴です。スマートファクトリーにおけるIoTは主に、生産ラインの機械や設備に搭載されたセンサーを意味し、取り入れることで設備機器の現状把握や稼働状況を可視化でき、作業の効率化を実現します。

AI(人工知能)

「人工知能」を意味するAIもスマートファクトリーにおいて欠かせない技術のひとつです。AIはIoTが収集したデジタルデータを高精度で分析・予測します。

 

具体的には異常検知や単純作業、製品の検品など、これまで人が行っていた業務をAIに任せることで、検品精度の向上や作業効率化、省人化、ミスの削減、ヒューマンエラーの回避を実現します。

 

さらに、これまでと比べて膨大なデータを処理できるようになるため、異常や新しい法則の発見、データ分析による未来予測が可能になる点もAI活用の大きな魅力です。

AR(拡張現実)

AR(Augmented Realityの略)は日本語で「拡張現実」と呼ばれ、スマートフォンやARグラスなどのデバイスを通して、現実空間にデジタルコンテンツを重ね合わせて表示できる技術です。

 

ARは「視覚」に関して現実環境を拡張する活用法が主で、スマートファクトリーではAIの予測分析の可視化手法として利用できるほか、組み立てなどにも利用されるケースがあります。現在も多数の製造業向けソリューションが登場しており、今後さらに活用される場面が増えることが期待されています。

デジタルツイン

デジタルツインは、​​現実から様々なデータを取得してデジタル空間に物理空間のツイン(双子=コピー)を作り出し、コンピュータ上のデジタル空間で再現して予測に役立てる技術を指します。

 

デジタルツインを活用することで、具体的には工場内の機械や設備の稼働に関するシミュレーション・分析をコンピュータや端末上で確認することができ、スマートファクトリーを実現するために欠かせない技術のひとつです。工場の工程だけではなく、渋滞予測などの幅広い要素を検証できるという特徴もあります。

 

【関連記事】

デジタルツインとは?シミュレーションとの違い、製造業での活用事例などをご紹介

スマートファクトリーの課題と注意点

スマートファクトリーを構築するメリットについて紹介してきましたが、一方でまだ多くの課題や気を付けるべき注意点が存在しています。スマートファクトリー構築に取り組む前にそれらをしっかりと把握し、実際に構築する際に役立ててみてください。

段階的に構築を進める

スマートファクトリーを構築する際には、まずスモールスタートで導入効果を検証してから、段階的に大規模な投資へと進めていくことをおすすめします。

 

スマートファクトリーを構築するとなると、システム構築や機器購入、ネットワーク整備など、大規模且つ多岐に渡る投資が必要です。工場の規模にもよりますが、数百・数千万単位の初期費用がかかる場合もあり、検証やトライアルなどを実行せずに大規模な投資に踏み切ることは高いリスクを伴うことになる上、導入自体が目的となりかねません。

 

そのため一般的にスマートファクトリーの構築は段階的に進めていくことが推奨されています。小規模な検証を重ねるスモールスタートから始め、リスクを最小限に抑えながら導入効果見込みや最適な手段などについて検討し、徐々に大規模な投資を行ってスマートファクトリーの構築を目指しましょう。

成果が出るまで継続的な取り組みが必要

スマートファクトリーを構築しても成果が出るまでに長い年月を要するため、数年単位の時間をかけた継続的な取り組みが必要です。一時的な取り組みでは導入効果は得られず、大規模投資したものが無駄になってしまいます。

 

スマートファクトリーを構築して成果を得るというゴールに到達するには、実現に向けたロードマップを作成し、それに沿って機器やシステム、蓄積されたデータの活用や安定した操業を行うことが大切です。

 

長期的・継続的な取り組みを行っていくには、実行推進担当や専用プロジェクトを組織するなど、企業全体のサポート体制やバックアップ体制を整えることも必要になります。

 

長いスパンで取り組む必要のあるスマートファクトリーですが、逆に言えば、早い時期から導入することで競争優位性の確保につなげることができるともいえます。

デジタル化浸透の難しさ

スマートファクトリーを構築する上で、デジタル化の浸透が難しいという点は大きな課題です。

 

製造業を営む多くの企業ではデジタル化が進んでおらず、ITリテラシーの低さや、DX推進・従来の作業法の変革などへの強い抵抗があることが問題となっています。

 

スマートファクトリーで導入する先端技術はあくまでデジタルデータを取得・分析するものが多く、直接生産工程を効率化するための機械や設備のものは少ないという特徴があり、現場で利用していた従来の機器や設備と大きく異なるため、より強い抵抗があるといえます。

 

外国に比べても日本ではデジタル化の浸透が遅れており、スマートファクトリーを構築する上で今後も大きな壁となりうる課題のひとつです。

導入判断の難しさ

スマートファクトリーを構築する際、デバイスや機材、設備などの最初の機器を検討・選択するのは難しいという課題もあります。

 

最初の機器選びはスマートファクトリーで一番重要なポイントであると言っても過言ではなく、目的を明確にして最適な機械・システムを導入することで、最大限の成果を得ることにつながります。

 

しかし、機械・システムの要件を定義する際には必要・不要な機能を見極めなければならず、その場合ある程度のIT知識が必要です。工場全体で変革を行う際は総合的な判断が必要になるため、あらゆる専門知識を持った人材やプロを雇用する必要も出てくるでしょう。

 

それらを調整して実行に移していくことは難しい上、多くの時間・労力・コストがかかるため、投資に対する効果を算出するのが難しく、スマートファクトリーの構築が遅れる大きな原因となっています。

まとめ

本記事ではスマートファクトリーの基礎知識をはじめ、導入のメリットや関連技術、課題や注意点などを解説しました。

 

製造業を取り巻く環境は常に変化を続けており、安定した経営の維持やさらなる発展を目指していくにはスマートファクトリーの構築が必須となっていきます。しかし、スマートファクトリーの構築の多くは規模が大きいため、漠然としたイメージで始めるのではなく、課題や注意点を理解した上で、段階的に進めていくことが大切です。

 

しっかりと着実にスマートファクトリーの構築を進めていけば、様々な課題を解消できるほか、他社との競争優位性の確保や、自社の持つ最大限の力の発揮、利益の拡大も見込めます。スマートファクトリーを構築するための第一歩である経営戦略に、本記事を役立てていただけますと幸いです。

 

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Fri, 21 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/industry_digital 最終更新日:2023年5月11日

「いよいよ本格的に、デジタルマーケティングに注力したいと思っています。」
「営業活動のデジタル化を推進していきたいです。」

そんな、BtoB製造業の方からの『デジタルマーケティング』の相談が年々増えています。

また、数年前までは「Web制作」や「MAツール」といった個別の施策として考えられていたものが、デジタルマーケティングというより広いくくりで考えられることが多くなっています。ツールやプラットフォームも年々増えており、データの統合やマーケティング部門とセールスの連携など、新たな課題も現れているのが実情です。それだけ、BtoBの製造業でも従来のマーケティング手法から脱却する必要性が出てきているといえます。

そこで本記事では、弊社がこれまで多く支援をしてきたBtoBの製造業が、これからデジタルマーケティングを始める上で知っておきたい基礎知識や、おすすめの実行ステップについてお伝えいたします。

 

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デジタルマーケティングとは?

まず、改めてデジタルマーケティングの意味をおさらいします。

デジタルマーケティングとは、デジタル技術を活用したマーケティング活動全般のことを指します。Webマーケティングと比較されることが多く、その違いとしてはSMSやSNSなど、Webサイトの施策以外も含むところが挙げられます。


下記がデジタルマーケティングとWebマーケティングの領域の違いの図です。

デジタルマーケティングとWebマーケティングの領域図


「デジタルマーケティング」という言葉自体はかなり昔から存在していますが、日本のBtoB製造業がデジタルマーケティングに取り組み始めたのは比較的最近で、これからますます注目が集まっていく分野と言えます。従来よりもWebで検索して情報収拾する人が、BtoB製造業でも増えてきているため、これからの時代にマーケティング活動を行なっていく上でデジタルマーケティングは外せない施策となっていくでしょう


参考までに、下記はGoogleトレンドで見た「デジタルマーケティング」の検索回数の推移ですが、2015年ころから検索数も増えています。

デジタルマーケティングの検索トレンド
Googleトレンドよりキャプチャ


コロナの影響で、ますますデジタル化に注目が集まっている昨今、引き続き取り組む企業が増えていくと考えられます。

 

【関連記事】

>製造業のWebマーケティングを解説!具体的な施策と”製造業だからこそ”の重要性まで

なぜ製造業にデジタルマーケティングが必要なのか?

続いて、今なぜ製造業にデジタルマーケティングが必要なのかを改めて解説いたします。

”日本企業”と言えばものつくり、つまり製造業が真っ先に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。中小企業も含めると多くの企業が存在し、それぞれが高い技術を持っているのが日本の製造業の特徴です。

しかし、BtoB製造業の多くの企業において、マーケティング領域のデジタル化がまだまだ進んでいないのも大きな課題となっています。そのため、せっかく良いものを作っても適切な人に届けることができていない状況が発生しているのです。


素晴らしい技術を持つ企業も多く存在するがゆえに、しっかりとデジタルの活用ができればもっと成果を生み出せるはずですし、グローバルに戦っていくことも可能です。実際にWebを活用して、海外でも事業を広げていく企業をこれまで多く見てきました。

また、BtoB企業の営業活動を効率化させ生産性を向上させるために、デジタルマーケティングに取り組む企業も増えています。特に最近は、コロナで足を運んで提案をする機会も減っているため、効率的に見込みリストを見つけるためには、デジタルマーケティングの施策が不可欠となります。自社の顧客が今現在何に興味があるのかを把握してアプローチしたり、検討タイミングを逃さないためにも、Webサイトやマーケティングツールの活用は不可欠になっています。

例えば弊社のMAツールを導入し、社内の意識を変えられていった以下の企業様も、もともとは営業部門での情報蓄積から始め、デジタルマーケティングまで手を伸ばしています。営業がこれまで獲得した名刺なども活用し、最終的には社内の意識の改革までつながっております。

グラスファイバー事業では、2017年頃から本格的にマーケティングに力を入れるようになりました。その中で、まずは営業部門で情報を蓄積していこうということでSFAを導入しました。
ただ、SFAだけだと情報管理のみになってしまい、マーケティングまでカバーできないということで、より効率的にデジタルにマーケティングを行うために、MAを導入しようということになりました。

2018年に初めて展示会に出展し、たくさんの名刺を獲得しましたが、管理が追いつかなくなってしまいました。そのため、名刺管理の機能も求めていました。

引用:ニューノーマルなビジネス環境に追いつくための意識改革を実現|日東紡績株式会社様





ただ一方で、BtoBの製造業がデジタルマーケティングに取り組むには様々な壁もございます。そもそもWeb経由で情報収集する層が他業界と比較して少なかったり、社内の理解が得られなかったりと課題は山積みです。


例えば、問い合わせから受注までの期間が長い製造業は、費用対効果の計測も困難です。そのため、費用対効果が明確に提示できないことを理由に、デジタルマーケティングの施策が頓挫してしまうことも多々あるでしょう。

そういった事態を防ぐためには、まずは短期的に成果が出やすい施策に集中し、受注までのプロセスを追う仕組みから作っていきながら、長期的にも成果を計測していく基盤づくりも重要です。


ちなみにデジタルマーケティングを活用した施策は大手企業だけではなく、むしろ中小企業や地方の企業にこそチャンスがあります。接点がなかったり地理的な理由で普段はアプローチできないターゲットにも、自社の技術力やサービスの魅力を知ってもらうことができるからです。そのため、しっかりとデジタルマーケティングに取り組むステップを知り、着実に成果を生み出し続ける仕組みづくりが必要となります。


ましてやコロナ禍では、どの企業も従来のマーケティング手法を活用しづらくなり、あらたな施策を模索しています。製造業も回復傾向にはあるものの、緊急事態宣言当初は幅広い業種で需要が大きく落ち込みました。また同様の危機が訪れた時に備えて、デジタルを活用したマーケティング活動で案件を獲得する仕組みを作っておくと安心でしょう

参考:総務省「コロナ禍における企業活動の変化

これは、仮に自社の製品がニッチな製品だっとしても例外ではありません。ニッチな製品だからこそ、狙ったターゲットに確実に情報を届ける必要があります。

 

そこで次章では、BtoBマーケティングの特徴をおさらいしつつ、日本の製造業がデジタルマーケティングに注力するにあたって「まずはここから取り組むべき」というポイントをご紹介いたします。本来デジタルマーケティングの施策は企業によって異なるのですが、今回は「まずは小さな成果を生む」という観点で、比較的再現性の高いステップをご紹介しています。成果が出ないうちに「うちはデジタルには向いていない」と諦めてしまう会社を、これまでたくさんみてきたからです。

これからデジタルマーケティングを始めたい製造業の方は、ご紹介する内容だけでも試していただけると幸いです。


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BtoB製造業のマーケティングの特徴とは?

本記事のテーマは”BtoB”製造業のデジタルマーケティングについてです。そのためデジタルマーケティングはマーケティング活動の1つになるため、より広義のBtoBマーケティングの特徴についても解説いたします。すでに取り組んでいる方にとっては当たり前の内容に感じるかもしれませんが、少しお付き合いください。


BtoBマーケティングとは企業が企業に向けておこなう商品開発、商談、契約までを含めた一連のマーケティング活動を指す言葉です。
BtoBはBusiness to Businessの略称で、B2Bと表記されることもあります。

BtoBマーケティングでは、企業向けにサービスが選ばれるためのマーケティング戦略を行います。対個人とは異なり取引の規模が大きく、契約に至るまでの期間が長いことが特徴です。また、検討に関わるメンバーも多いため、それぞれのフェーズのそれぞれの役職の方が欲しがるであろう情報を届けたり、取得できるようにしておく仕組みなども必要です。一般消費者を対象としたBtoCと重なる部分もありますが、異なる部分も多くあるため、「BtoBマーケティング」と分けて語られています。


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また、製造業は扱う製品によって購買頻度が異なります。機械等の単価の高いものと、部品などの低単価のものまでひとくくりで考えられがちですが、検討のフローや重視されるポイントも様々です。ただ、その中でも共通しているところとしては、「必要になったタイミングでアプローチができる状態かどうか」が挙げられます。これは新規と既存顧客で分けて考える必要必要があります。

新規の顧客(口座)獲得をするのであれば、まず情報収集の段階で認知をしてもらう必要があります。そのために、課題認識の段階から接点を持てるように、コンテンツを配信したりイベントに出展したりする必要があります。また既存顧客に関しては、自社が顧客の解決手段を持っていることを認知してもらえるようにメルマガを配信したり、営業マン自身がしっかりとリレーションを築いておく必要があります。

 

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まず取り組むべき領域はWebマーケティングから

広義の意味でのBtoBマーケティングや製造業マーケティングのご紹介をしてきましたが、ここからは本題の「BtoB製造業のデジタルマーケティング」についての解説を進めてまいります。

 

デジタルマーケティング”と申し上げましたが、まず第一にやるべきことはWebマーケティングの領域だと考えています。理由はシンプルに、直接的な数字に繋げやすく伸びしろも大きいこと、そして、デジタルマーケティングの施策を実施するにしてもWebマーケティングの施策領域は必ず通るためです。


SNSやメールマーケティングを始めるにしても、リードやコンテンツがなければ始めることができません。逆にWebマーケティングの基盤をしっかりと構築しておけば、そのコンテンツをほかのデジタル施策に活用することも可能です。となると、まずは全体像の設計は行いつつも、まずはWebマーケティング領域の施策を進めていき、徐々にそれ以外のデジタル施策に広げていくのが得策と言えるでしょう。


また、デジタルマーケティングを実施していく中で避けて通れないのがデータの分析ですが、日本の業種ごとおよび大企業・中小企業のデータを扱う人材の分布は以下のようになっています。


業界ごとのデジタル人材に関するデータ

引用元:「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」(総務省/2020年3月)


大企業と比較して、中小企業はデータ分析専門の人材が少なくなっており、わずか3割にも満たない数値です。逆にデータ分析が専門ではない人が5割を超えており、多くの企業が専門ではないがデータ分析を行わなければならない状況にあると言えます。

そうなると、あれこれ施策を広げて複雑なデータを読み解くのではなく、シンプルな施策を打ちながら見るべきデータも絞り、データに慣れした人間を増やしながら施策を広げていく方が、日本の企業の実情としては現実的ではないでしょうか。

そしてなにより、いきなり手広く手をつけると、成果が出る前に「やらない」という意思決定をされる可能性があります。短期的な成果という観点でも、データ人材の不足という観点でも、まず取り組むべきは案件につながりやすいWebマーケティング施策からだと考えています。※ただし、短期的な施策をやりながらも中長期の施策の種まきは必要なので、後述します。

BtoB企業がデジタルマーケティングで商談を作る流れ

具体的な施策の紹介に入る前に、大前提となるデジタルを活用したBtoB企業の商談づくりの流れについてお話しします。冒頭でもお話しした通り全体像の明確化は重要で、自社の課題がどこにあるのかを見極める必要があるため、一度整理してみてください。

図解すると、以下のような流れでデジタル上での接点から売上へとつながっていきます。

BtoBデジタルマーケティングの流れ


各ステップごとに解説します。

①顧客との接点を持つ「集客」

顧客との接点を持つためには、まず集客について考える必要があります。

例えばどれだけ素晴らしいWebサイトを作ったとしても、ターゲットに見てもらえなければ意味がありません。自社サイトにビジネス上のターゲットを集められるような具体的な施策が必要です。例えばSEO対策やSNS運用を自社でおこなったり、広告を出稿したりと、集客の手法も様々なので、適切な施策を選択し、集客を行っていきましょう。

②個人情報を取得してコミュニケーションをとる

ターゲットを集めた後は、次のアクションを起こしてもらえるような仕掛けが必要です。代表的なものだと「お問い合わせ」や「資料ダウンロード」などの導線を用意し、ユーザーが閲覧して終わりではなく、継続的な接点を持てるように個人情報を取得します。

③コンテンツを配信し顧客を育成する

個人情報が取得できたら、そこに対して営業がアプローチするのが一般的な流れですが、お問い合わせをしてきたユーザーが必ずしも、今すぐにサービスを必要としているとは限りません。そのため、闇雲に電話をかけたりするのではなく、長期的な視点で、メルマガやセミナーなどで有益な情報を提供し続け、必要になった時に再度アプローチするような仕組みや設計も必要です。

また、提案をして失注した場合も、将来の見込み顧客として有益な情報を提供し続けることで、再び案件化することがあります。中長期に渡って良質な情報を届けることで、関係性を繋ぎ止めておくことができます。逆に言えば、短期的な利益のために無理な営業をしたり、強引なアプローチをしても最終的な売上は下がってしまいます。マーケティングからセールスまで、短期施策と長期施策のバランスは考えるようにしましょう。


④商談を行う

ニーズが高まってきたらアポイントを取り商談を行います。問い合わせの直後から商談になる場合もあれば、しばらくはコンテンツを通してコミュニケーションをとり、見込み度が高まってからアポイントにつながるケースがあります。いずれにせよ、顧客の検討のタイミングに合わせた適切なアプローチが重要となります。

以上がWebマーケティングの基本的な流れです。お気づきかとは思いますが、BtoBの場合、オンラインの施策だけではなくセールスの領域まで考えて設計する必要があります。そうなると、Web担当者1人が考えれば十分、というものではありません。Web担当者(マーケター)だけではなく、営業やCS等も巻き込んで、全体の流れを円滑に進めていくための組織づくりをおこなっていきましょう。

こういった流れの中で、自社のボトルネックがどこにあるのかを見極める必要があります。そのうえで、本記事で紹介するおすすめステップをご一読いただき、具体的な改善アクションを取っていただきたいです。


第一歩としておすすめのステップ

それでは、ここからはWebマーケティングで短期的な成果を出すための基本的なステップをご紹介します。企業の状況によって打ち手はことなるものの、多くの場合に当てはまるながれかと思いますので、ぜひ参考にしてください。

0.マーケティングの全体像を描く

Webマーケティングに取り組むその前に、マーケティング活動の全体像をしっかり描くようにしましょう。デジタルマーケティングもWebマーケティングも、あくまで手段の1つになるため、視野が狭くならぬように可視化しておく必要があります。

具体的には、全体の中でのWebマーケティングの役割、セールスとの連携、具体的なKPI、それを実現するための予算とアクションなどを明文化にしてください。

おそらくBtoBの製造業であれば、最初のKPIは商談数の最大化になるはずです。受注するために必要な商談数を、どういった流れでどのくらいの案件のパスが必要なのか、全体を整理して戦略を作っていきましょう。



BtoB製造業におけるマーケティングの全体像


いきなり上記をみると「なんだか難しそう」と感じてしまうかもしれません。ですが、自社ができていることとできてないことを整理していくと、意外とすんなり自社の現在地と次にやることが見えてくるはずです。それでも難しい場合は、外部のデジタルマーケティングのプロフェッショナルに相談すれば、力になってくれるはずですし、1年~数年で内製化ができます。そこまで粘り強く頑張りましょう。

 

また、全体像を把握する際には、下記のように各指標を分解して必要な数字を割り出していくこともおすすめです。


デジタルマーケティングにおけるKPIツリー



WebマーケティングのKPI設定例


施策を実施していると、どうしても部分最適になったり、視野が狭くなったりしがちなので、立ち返る場として用意しておくことをおすすめします。

1.ターゲットと検討のフローを明確にする

それでは、具体的にWebマーケティングの施策に入っていきます。まずは自社のビジネスのターゲットを明確にします。ここをしっかり行っておかないと、誰に向かってコンテンツを配信する必要があり、何が不足しているかの判断が難しくなります。


「ターゲット」とざっくり述べましたが、ここではペルソナとカスタマージャーニーマップという考え方が非常に役に立ちます。具体的なターゲットの人物像を作り、自社と契約するまでの心理的な流れや必要となるコンテンツを設計します。


例えば下記は、BtoB製造業の顧客の中で製品が検討されるフローのサンプルです。こういった流れを整理したうえで、自社に必要なコンテンツを明確にします。


とある企業の検討フローと担当者の行動例▼

とある企業のカスタマージャーニー



求められる情報の整理▼

求められる情報の想定



こちらのフローの整理は非常に重要になるため、次章で詳しく解説いたしますが、ここで抑えておきたいのは購買センターの存在です。BtoB製造業は複数の人間が検討に関わっていくため、主要なペルソナは簡単にでもいいのでまとめておくとよいでしょう。


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ペルソナ設定って?作り方は?~顧客の心動かすマーケティングの基礎~~

【無料テンプレートあり】カスタマージャーニーとは?メリットデメリットから作成の手順までを解説!

2.最低限の受け皿としてWebサイトを整える。

どれだけ集客をしても、受け皿が穴だとだったらザルに水を入れるのと同じです。まずは最低限受け皿としてWebサイトを整えましょう。でなければSEOや広告で集めたユーザーもすぐに離脱してしまいます。


例えば、「しっかりとお問い合わせの導線があるか」「デモ機の貸し出しフォームは設置されているか」「資料請求の導線はファーストビューにあるか」などなど、基本的な整備を行なっていきます。


特に重要なのはファーストビューとCTA(問い合わせの導線)です。まずは第一印象で貴社が何の企業なのかがはっきりわかるようにし、促したいアクションが明確にわかるような導線を設置しましょう。


最低限の対策はやっておかないと成果につながりにくいのと、ご紹介した内容程度であればWebサイトのリニューアルのような数百万円単位の予算を使わなくてもできるはずです(多少の改修で費用がかかることはありますが)。


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とはいえ、最低限の基盤が整っていない場合はWebサイトのリニューアルをおすすめしています!
流れや必要なものに関しては下記の記事をご参照ください!

>【2022年版】成果を出すWebサイトのリニューアルの進め方とは?手順から費用感、準備項目などを解説

>【BtoB企業向け】Webサイトのリニューアルを失敗しないための13のステップ

3.どの手段で集客をするのかを決める。

受け皿を整えたら今度は集客手段です。ターゲットがどこから流入してくるのか仮説を立て(理想としては直接顧客に聞き)、集客手段を決めましょう。


ちなみにBtoBのニッチな業界であればそれほど有効な集客手段は多くありません。第一歩としては、まずはSEOとリスティング取り組むのが効率的だと考えています。SEOについては競合もそれほど多くないので上位表示が狙いやすく、またリスティング広告もそれほど単価が高くない(月に数万程度で十分)ため、効果的なキーワードを見極めるのに有効です。


集客施策に関しては、カスタマージャーニーマップを作成する段階でもある程度想定しておくとスムーズです。全体像を俯瞰して、最適な手段を選ぶようにしてください。

4.顕在ワードでSEOの1位を取る。

具体的な集客施策としてのSEOをご紹介いたします。

一般的に、検索順位に囚われすぎるのはよくないと言われますが、BtoBのニッチな業界であれば顕在ワードでは1位にこだわった方が良いと言われています。かけるコストに対して、リターンが大きいからです。

※キーワード選びについては下記の記事も参考にしてください。

SEOのキーワード選定の手法まとめ!お役立ちツールや無料で使えるサイトまで!

BtoBのニッチな業界は、競合もそれほど多くなく、検索順位でも上位を目指しやすいです。当然上位に出れば競合よりも多くのアクセスを集めることができます。そしてニッチだからゆえに、検討度合いや緊急度も高いことが多いので、確実に接点を持てるようにしましょう。


また、BtoB製造業の”顕在”ワードは、業界によって様々です。一見技術情報を調べに来ているだけに見える人も、その技術を扱っている業者を探していたり、特定の用途や目的を求めて探している人も多く存在します。単に固有名詞だけではなく、実際に顧客から相談を受ける内容をベースに、自社にとっての”顕在”ワードを見つけるようにしてください。


そのキーワードに対して、しっかりと答えになるようページを作り込んでいれば、確実にCVの数を増やすことができるので、まずは良質なコンテンツ作り、その結果として検索結果で上位に表示される状態を目指しましょう。


【SEO関連資料のおすすめ無料資料】

製造業のSEOにも使える無料のチェックリストと記事づくりの資料です!

「基本のSEOチェックリスト」

「SEOの基礎と記事コンテンツの作り方」


5.リスティング広告をかける。

BtoBの製品の場合、キーワードボリュームもそれほど多くないので、顕在ワードでリスティング広告を少額で出すのもおすすめです。


可能であればある程度まとまった金額(数十万円以上)で、ただし本当にニッチな業界ではなかなか予算が消化しきれないこともあるので、時間をかけるか網を広げて出稿する必要があります。この辺りは代理店も多く存在するので、相談してみても良いかもしれません。


広告を出稿することで対策すべき(引き合いにつながりやすい)キーワードがわかったり、成果を早く実感できたりと、様々なメリットがあります。先ほども申し上げた通り、BtoBの顕在ワードは確度も高いです。検索本格的にWebに注力するのであれば、この辺りは惜しまず投資していきましょう。


【Web広告関連資料】

『Web広告サービス比較12選』


また、新製品のニーズがあるかを試すのにもリスティング広告はおすすめです。いきなりローンチするのではなく、まずは簡易的なページと想定されるキーワードで少額の広告を出し、引き合いが来るかを確かめることでリスクを減らすことができます。そういった意味でも、やはり第一歩としてのリスティング広告の出稿はとても費用対効果が高いように感じます。

6.安価なMAで最低限のトラッキングをする。

せっかく広告も使ってアクセスも集めたのであれば、企業ログをためておいた方が後々の費用対効果は高くなることがあります。


広告のゴールはCVになりますが、もちろん全てのユーザーがCVに繋がる訳ではありません。そのため、CVにつながらなかった企業のトラッキングや、CVに繋がったものの受注につながらなかった案件などを追客する上で、安価なMAツールなどを入れてログを貯めておきましょう。


このときに、最初から高額かつ高機能のMAツールを導入すると、使いこなせず無駄になってしまう可能性があります。初期段階でとにかく重要なのは、必要な時に必要なリストが適切に引き出せることです。


MAツールの多くはシナリオや自動化、スコアリングなどが主な特徴ですが、使いこなせるのはマーケティングの組織がすでに存在し、リソースが避ける場合のみです。逆に言えばそういったフェーズでは十分に検討の余地はありますが、これからWebサイトを活用しようという段階でそこまでの機能はいらないので、フェーズに合わせて適切なツールを選ぶようにしてください。


手前味噌で恐縮なのですが、弊社で提供しているBowNowも無料から使えるツールです。まずはこういったものから始めて、ミニマムの成果を出すのが良いかと思います。

無料で使えるマーケティングオートメーション「BowNow(バウナウ)」

 

また、製造業の営業現場で「マンネリ化」が課題になることも多いと思いますが、顧客がどのコンテンツを見ているのかを把握できるだけでも、話題になり提案に繋げられるかもしれません。トラッキングコードを設置しておかないと後で遡ってログも見れないため、安価でも最低円設置するようにしてください。

7.Webサイトの改善活動をする。

ある程度アクセスの母数が集まってきたら、Webサイト内の改善を行いましょう。0.のフェーズで立てた全体像において立てた目的が達成できているのかを確認しつつ、差異を埋めていくフェーズです。


Webマーケティングは初めからうまくいかないことも多いので、一喜一憂せずに冷静に原因を分析することが重要です。


ちなみに、ターゲットが集まっていないサイトの分析や改善をしても意味がないので、まずは”最低限”受け皿を整える→集客→改善の流れは徹底してください。この改善を回すためにも、短期的な施策であるWeb広告と、長期的な施策であるSEO(コンテンツ施策)は両立してやっていく必要があります。


参考:Webサイトの流入からコンバージョンの流れ▼
Webサイトから成果を出す流れ

8.営業アプローチする。

当たり前ですが、Web施策が回り出したら営業のアプローチが必須です。先ほども述べた通りアプローチの体制をつくり、営業活動を行いましょう。


また、Webサイトの資料ダウンロードやホワイトペーパーなどで獲得したリードにコールをし、まずはセミナーに集客するといった段階的な営業活動もおすすめです。いきなり商談にならなくても、少しずつ見込み顧客を育てていきましょう。


このフェーズは引き合いが発生したら即アクションすべきなので、8.としているものの常時実施していく必要があります。MAツールにログがたまっていたら、アプローチのリストとして使用するのもおすすめです。早期で成果に繋げることで、Webサイト運用のモチベーションアップにもつながり、社内の理解を得られやすくなります。

9.潜在ワードの検索順位を取る。

ある程度顕在ワードで成果がではじめたら、潜在顧客にまでSEOの獲得ワードを広げます。すぐに検討ではないにしろ、情報収集をしている企業もたくさんあるからです。


いきなりゼロから始めるというよりは、当初からある程度計画を立てておき、本格的に狙いにいくイメージです。例えば情報収拾段階で検索するキーワードを獲得し、そこからリードを獲得するためのハードルの低い仕掛け(ホワイトペーパーなど)を設置します。作成するコンテンツも、できれば社内にある資料などを転用して、工数を削減するなどの工夫をしてください。


潜在層のユーザーは検討期間も長くなるので、中長期的な施策としてじっくりと取り組んでいくと良いでしょう。また潜在的なユーザーには定期的なメルマガ配信なども有効です。

 

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10.広告のターゲットも広げてみる。

広告に関しても、潜在層までターゲットを広げたり、これまで出していなかった媒体にもチャレンジしてみましょう。例えばSNS広告はBtoCのイメージが強いものの、実際は効率的にセミナーの集客ができる、といったパターンも多く存在します。


仮説を立てたうえで、戦略的に"面"でとっていくことをおすすめします。

11.全体のPDCAを回し、施策を広げる。

ここまでをきっちりやれば、最低限のCV数が取れてくるはずです。そこから先の商談も生まれてくるはずなので、施策の幅を徐々に広げていきましょう。また、Webからの成果が上がっているのにアポイントや商談が増えない場合は、視野を広げた改善が必要です。セールスとマーケティング(Web担当者)で協力して、成果を最大化できるようなアクションプランを作りましょう。


以上、ざっと流れを書いてみました。企業の状況によって順番は前後しますが、大事なのはいきなり多くのことに手を出さず、まずはインパクトの大きいところ集中することです。リソースや予算が潤沢にない場合も多いと思うので、まずは短期的な成果を出しつつ、長期的な施策の準備を進めるようにしてください。

そうなると必然的に、Webマーケティング以外の施策に幅が広がっていき、MAやSFAを活用した本格的なデジタルマーケティングに取り組むようになります。地に足つけて、少しずつ自社のデジタル化に取り組んでいきましょう。


BtoB製造業のカスタマージャーニーに沿った情報提供

第一歩としてのおすすめのステップをご紹介してきましたが、「1.ターゲットと検討のフローを明確にする」に関してはもう少し深掘りして解説いたします。

以下の図は、先ほどもご紹介したカスタマージャーニーの一例ですが、こちらに沿って検討のフローを明確にしておくことで、その先のステップもブレずに進めることができます。

また、コンテンツ作りに関しても、このフローに沿って作成することで漏れをなくすことができるため、セールス、マーケ、カスタマーサクセス、インサイドセールスなど、各部署の現場の方々で情報を持ち寄り、作成することをお勧めします。

カスタマージャーニー



すでに述べた通り、BtoB製造業では、使用者と購入決定者(決裁者)が別々であるケースが多く、また、BtoCと比べて検討フェーズ(上図の「無関心」から「業者選定」まで)が長い傾向にあります。よって、検討中に各担当者が意思決定の判断材料として使えるような情報を適切なタイミングで与えていくことが大きなミッションとなります。

ここからは「情報提供」に焦点を当て、BtoB企業が取り組むべきデジタルマーケティングの主な施策をフローに沿ってご紹介します。

無関心フェーズ

【見込み客の行動】

ターゲットとなる見込み客は何らかの課題を抱え、ネットで課題解決に結びつく情報を検索します。そして、課題解決に役立ちそうな商品やサービスの導入を検討し始めます。さらに、関連する商品やサービス名をチェックします。

【提供する情報】

手段 Web広告、コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ブログ記事型のオウンドメディア、SNS、展示会 など
内容 該当する課題解決の方法やヒントなどのノウハウ情報、アドバイス

自社製品・サービスが解決できることを、根拠を交えながらアピールします(Web広告、コーポレーとサイト、サービスサイト、ECサイト、展示会など)。
また、自社が蓄積してきたノウハウから、ターゲットが抱える悩みや課題を解決するためのヒントを提供することで、その分野に豊富な知識や実績を持っていることを示すこともできます(ブログ記事型のオウンドメディア、SNSなど)。
まだターゲット自身が問題とは捉えていない潜在的な課題を掘り起こすのもこのフェーズです。

課題認識~ニーズが高まるフェーズ

【見込み客の行動】

課題を認識した担当者は、課題解決のための商品・サービスを導入したいと上司に申し出ます。上司が課題を認識します。課題を認識した上司が解決のための商品・サービスを導入するかどうかを検討する段階です。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、データベース、メール(ステップメール、メルマガ)、ホワイトペーパー、インサイドセールス、カタログ、セミナー など
内容 課題解決の方法、商品・サービスの詳細 など

ひとつ前の「無関心フェーズ」からここまでの間に担当者からなんらかの接触を受けており、「課題認識フェーズ」では見込み客として担当者の情報を得ているという前提です。
担当者側の自発的な動きによってWebサイト上の情報を閲覧してもらうほか、メルマガ配信などのプッシュ型の情報提供を行います。
また、営業担当からのコンタクトにより課題の詳細をヒアリングしたり、場合によっては商談のアポイントを取り付けたりといったアクションも必要です。

解決模索~要件定義フェーズ

【見込み客の行動】

上司が課題解決のために商品・サービスを導入することを許可すれば、担当者は導入先の企業候補を絞り込むため、類似商品・類似サービスを集めて比較検討します。スペックや費用などを比較するため相見積もりをとります。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、データベース、ホワイトペーパー、カタログ、セミナー、メール(ステップメール、メルマガ) など
内容 商品・サービス詳細情報(スペック、費用感など)、導入実績、FAQ、企業情報 など

フェーズ内にはさらにさまざまな段階の見込み客がいるため、それに応じて必要としている情報も幅広く、提供すべき情報が一番多いのがこのフェーズになります。
具体的な施策として、ステップメールやメルマガによるナーチャリングや、自社と見込み客との信頼関係の構築、Webサイトや電話による問い合わせ対応、セミナーや相談会などのイベントで対面による質疑応答、訪問による商談などが挙げられます。
また、承認を行う上司や決裁者(社長)からは、企業としての信用を得る必要があるので、商品・サービスの納入実績ページやコーポレートサイトの企業情報ページや整備されていないようならこのフェーズまでに情報を充実させておくことも必要です。

導入検討~業者選定フェーズ

【見込み客の行動】

要件定義フェーズでの決定事項を満たす商品・サービスを担当者や上司、場合によっては決裁者も交えて比較検討し、どの企業を選ぶかを決定します。その後、稟議書を上げて決裁者が承認します。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ホワイトペーパー、カタログ など
内容 商品・サービスの概要・スペック・特徴(特長)、類似サービスとの比較表、導入実績 など

競合製品・サービスと比べたときの特長をアピールします。Webサイト上に、どんな企業に向いているか?といった情報を掲載したり、競合他社が提供する類似サービスとの比較一覧表など、稟議書にそのまま添付できるような資料をホワイトペーパーで提供して担当者の手間を省いてあげると良いでしょう。

使用フェーズ

【見込み客の行動】

契約後、見込み客は商品・サービスの使用をスタートします。 問題なく商品やサービスの利用を継続させるため、メンテナンスや不具合が起きた時の対応、アップデート情報などに関心が移ります。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ホワイトペーパー、メルマガ など
内容 メンテナンス情報、故障対応に関する情報提供、アップデート情報、新製品リリース情報 など

購買後、顧客フォローのための情報提供を行う必要が出てきます。コーポレートサイトやサービスサイト、ECサイトにアフターフォローのページを設けたり、顧客側で行うべきメンテナンス方法をホワイトペーパーで提供したりといった施策があります。
また、アップデート情報や新商品情報をメルマガや営業フォローなどで提供することで、リピート化をうながすことも大切です。

上記はあくまでも一例で、各フェーズで行うべき施策は、商材やターゲット(ペルソナ)によって変わってきます。

当初のデジタルマーケティングの目標が、カスタマージャーニーの各段階にいるターゲットユーザーに対し、適切な対応をして成約ないしリピート購買につなげていくことであるのを念頭に、前章でご紹介した理想像と照らし合わせながら施策の評価を行って改善につなげていきましょう。

その他のデジタルマーケティング施策

ここまで紹介したデジタルマーケティングの手法はあくまでWebマーケティングの領域で、かつ一部の領域に限ったものです。ですが、施策が進んでいけば他の手段も必要になるはずです。

ここでは、代表的なデジタルマーケティングの手法をいくつかご紹介します。


メールマーケティング

保有しているハウスリストに対してメールの送付をおこなう施策です。MAツールやメルマガツールを活用してメールを送付します。特定のアクション(資料ダウンロードやページ閲覧等)をトリガーとして自動的にメールを送付することも可能で、段階的なステップメールを送ることで見込み顧客を育成&検知することにも役立ちます。

前章でMAを設置しておくことを推奨したのも、いざメールマーケティングを行う際にトラッキングログがたまっていた方が、運用時に便利だからです。

また、ハウスリストは営業の過去名刺なども有効なので、マーケティング部門に集約してメールを送れるよう連携を取っていきましょう。


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SNS運用

企業のSNS運用(Facebook,Twitter,Instagram等)も一般的になってきました。BtoB企業でも代表がSNSを運用して認知度を向上させたり、リクルーティングに使ったりと、その幅は広がりを見せています。

BtoCと比較すると運用の仕方は異なりますが、基本的にはSNSの特性を活かして会社の情報や、他ユーザーとコミュニケーションをとることで、関係性を築いていきます。

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動画マーケティング

スマホの普及から動画のニーズが年々高まっています。通信速度も4Gから5Gに変わり、ますますマーケティング施策としての動画が有効となっていきます。

BtoB製造業の動画の活用手段としては、製品の使用イメージを動画でわかりやすく解説したり、マニュアルを動画で公開したり、リアルで聞いているような体験をオンラインに置き換えることが多いです。

特にコロナ禍では、対面での打ち合わせや訪問見学などが難しいことが多くなっており、オンラインで製品検討をされる比率が増えています。動画を有効に使って、製品訴求をする施策は今後も広がりを見せるでしょう。

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AR

最後にご紹介するのがARの施策です。まだまだこれからの市場ではあるものの、今後市場規模の拡大が予想されているビジネスAR。

例えば製造業なら、機械のサイズ感をオフィスに居ながら確かめたり、工場での設置イメージを確かめたりすることが可能です

省スペースや小型化を強みとしている製品もあるかと思いますので、より魅力を訴求するためにも役立つでしょう。また、ARからのリンクにトラッキングのMAツール等のタグを設置しておけば、何らかの形でアプローチも可能です。

ぜひ施策の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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デジタル施策のトレンド「オンライン展示会」とは

続いては、デジタルマーケティング関連の最近のトレンドとして「オンライン展示会」をご紹介いたします。これまでオフラインで実施していた展示会をオンラインに移管して実施するもので、製造業を中心に多くのBtoB企業から注目を集めています。

 

出展方法やブースの形式は様々ですが、自宅にいながら訪れることができたり、地方の企業が都心にアプローチできたりと、デジタルを活かしたメリットが多く存在する施策です。

 

デジタル施策の中でも比較的新しいものにはなりますが、今後ますます主流になっていく可能性があるので、ぜひ合わせて理解を深めていただけると幸いです。

 

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デジタルマーケティングを実行するBtoB企業の組織体制について

ここまでWebマーケティングの実行ステップについてご紹介してきました。ではこのステップはどんな組織体制で実施すれば良いのでしょうか。


実は、デジタルマーケティングに取り組む上で多くの企業が悩むのが体制づくりです。いきなり多くの人間を配置しても利益が出る保証もなく、リソースが少なすぎても思うように施策も回りません。


そこで今回おすすめするステップは、まずはミニマムの成果を出し、その成果をもって組織を変えていくというものです。いきなり専任担当をつけられたら理想なのですが、リソースが潤沢にある会社ばかりではありませんし、それなりにリスクがあります。当たり前の話になるのですが、まずはミニマムの成果を出してから、できる範囲の組織改革から始めましょう。



例えば、まずは兼務のWeb担当者を置いてサイトの分析やホワイトペーパーづくりをしたり、コンテンツ作りに着手してコンバージョンを増やす、といった行動が挙げられます。少しずつ見込み顧客との接点を増やし、案件につなげていくことで、社内の協力も得られやすくなります。



また、すでにある程度ハウスリスト(過去名刺など)がある場合は、それらをインポートしてメールマーケティングを行うのもおすすめです。そこからアポイントにつなげ、営業が受注することで、より多くのリソースをWebマーケティングに割くことが可能となります。


こういった工夫をしながら、まずは成果につながる施策に集中して、実施していきましょう。


そして、最終的に生産性を最大化させるのであれば分業制の組織もおすすめです。まずは社内に知見をため、上層部の理解を得たあとは、しっかりと仕組みを作っていくとよいでしょう。





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デジタルマーケティングに成功しているBtoB製造業の特徴

続いては、弊社がデジタルマーケティングを支援している中で成功している企業の特徴を述べてまいります。施策の成否というよりも、こういった状況・スタンスであれば成果につなげることが可能、といった内容となります。ぜひ参考にしてください。

・経営者が前向き

大前提として、経営者(もしくは経営層)がデジタルに前向きでなければ施策が進みません。よくある失敗パターンが、担当者はやる気になっているが予算がおりなかったり、協力者が進まなかったりするパターンで、施策が実施できなければ当然成果は生まれません。逆に言えば、経営者が前向きに施策を推進してくれれば、仮に1つや2つ施策の成果が芳しくなくても、PDCAを回し続ければ成果につなげることができます。もちろん事業なので失敗続きではダメですが、チャレンジ精神がなければ新しい施策が成功することもないのです。

余談ですが、弊社のお客様の中でも代表が交代したタイミングで施策が一気に進むことが多々あり、実際に成果も出し、利益にもつながっています。そういう経験があるからこそ、やはり経営層の理解はマストと確信しています。

しっかりと意思決定をして、全社的に取り組んでいけるように体制を整えていきましょう。

・社内キーマンが協力的

施策を進めるにあたって重要なのが社内キーマンの協力です。各部署からコンテンツをもらったり、リードに対してしっかりアプローチしてもらうには、社内で交渉力のある味方が必要です。事前に根回ししておきましょう。

また、この協力体制を作るためにも、やはり経営層の理解が必要だと言えます

・営業とマーケティングの双方が戦略MTGに参加している

デジタルマーケティングに取り組むにあたって、営業とマーケティング(Web担当者)の協力は不可欠です。そのため、一方しか戦略MTGに参加していないと合意をとるのに時間がかかる可能性があるため、可能であれば双方が戦略のMTGに参加するようにしましょう。


経営/事業指標の中でとらえられている

全社的に取り組んでいると宣言しても、具体的な経営指標に組み込まれていなければ、施策は後回しになってしまいます。仕組みを作るうえでも、最終的な成果から逆算して経営指標としてデジタルの成果をとらえるようにしましょう。


小さな成功体験を積み上げている

デジタルマーケティングは積み重ねが重要です。1つ1つは地味な作業でも、積み重ねることで大きな成果を生み出すことができます。例えば私が書いているこの記事も、単体ではすぐに利益につながるものではありませんが、毎週、毎月と続けてきたからこそ、商談創出に寄与しています。

特に担当の方は1人で作業をして孤独を感じることも多いかとは思いますが、日々の小さな成功体験を積んでいくことで、自身のモチベーションを管理しつつ地道に成果につなげていってください。

 


以上、デジタルマーケティングにおいて成果を出している企業の特徴を簡単に述べてまいりました。

デジタルマーケティングの一歩を踏み出す上で、まず重要なのは会社としてのスタンスです。ノウハウや知見は外部のパートナーをみつければ得ることができますが、行動を起こすことができなければ全てが無意味となります。

まずはトップが意思決定をして、キーマンを巻き込み、戦略MTGで合意を取る。そうして少しずつでも、施策を進めていってください。

デジタルマーケティングに取り組む製造業の事例

最後に、デジタルマーケティングに取り組む企業の事例を1つご紹介します。ぜひ参考にしてください。

アイメックス株式会社様

URL:https://www.aimex-apema.co.jp/

アイメックス株式会社様は、東京都墨田区に本社を構える機械メーカーです。ロールミルやビーズミルといった機械を製造販売しております。

この10年で2回ほどWebリニューアルを実施しており、MAツールやWeb広告、オンライン商談の積極採用など、デジタルの施策にも前向きな企業となります。代表や営業部長の方もWeb戦略のMTGに参加することで、先進的な取り組みをいち早く取り入れることに成功しており、デジタル化を目指す製造業の企業の模範となる活動をしている企業です。

1度目のWebリニューアル時にはCMSの導入と問い合わせが増える仕組みづくりを、2度目のリニューアルではより現代のユーザーに合わせたデザイン刷新やりレスポンシブ対応を行っています。

それぞれのきっかけとしても、中長期の運用の中で必要性が生じたために踏み切った背景があり、それ自体が目的というよりは手段としてリニューアルを実施しています。実際に施策も成功しており、Web経由での引き合いや商談数も年々増えております。こういった企業がどんどん増えていくことで、日本全体のデジタル化が一気に進むと信じています。

BtoB製造業のデジタルマーケティングは着実な施策から

BtoBの製造業がやるべきデジタルマーケティングについて解説してきました。今回ご紹介した内容は限定的な内容ではあるものの、多くの企業がたどるステップではあります。組織上の壁もありなかなか進めるのが難しい場合もあるとは思いますが、それはどの企業も同じです。だからこそ、やはり経営の判断がマストと言えます。着実に、成果を生み出していき、仕組みを作っていきましょう。


また、具体的なデジタルマーケティングのtodoは企業によって異なります。ぜひ本記事を参考にしつつ、貴社にとって最適な形を導き出していただきたいです。そしてまずは、第一歩を踏み出してください。



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  • Written by
  • 小木曽 一馬
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティンググループ

    プロフィール :

    2013年に新卒でスターティアラボ株式会社(クラウドサーカスの前身)に入社。2014年よりWebマーケティング事業のカスタマーサクセスに従事し、立ち上げから責任者までを務める。もともと1人での活動から6人まで組織を広げ、顧客成果を追求しながらもアップセルやクロスセルを生み出す仕組みづくりを行う。以降はコンサルタントやパートナー開拓の新規事業を経て、現在はマーケティンググループに所属。個人でもnoteやTwitterで発信しており、写真も撮る。

    Twitter→@ogisokazuma



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Thu, 20 Jul 2023 08:00:00 +0900
<![CDATA[製造業におけるSFAについて解説!メリットや選び方のポイント、ツールの紹介まで]]> https://mtame.jp/column/manufacture_sfa 「SFA(営業支援ツール)」とは、営業活動を可視化することで、営業の生産性の向上や業務改善に寄与するシステムです。

近年、国内のあらゆる業界・業種における企業でSFAをはじめとするITツールやデータ管理システムの導入が進んでおり、製造業においてもその必要性が叫ばれています。

本記事では、製造業において必須とされつつあるSFAについて、その概要や機能、導入するメリットや選定の際のポイントなどを、網羅的にわかりやすく解説します。最終章ではおすすめのツール7選も紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

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製造業に必要な「SFA」とは

製造業における必要性が高まっている「SFA」について、その概要や機能、混同されがちな「CRM」との違いについて詳しく解説します。

SFA(営業支援ツール)の概要

SFA(Sales Force Automationの略)は「営業支援ツール」と呼ばれ、企業の営業部門における「情報のデータ化とデータの蓄積・分析」や「業務プロセスの自動化」を行うことで、営業活動の最大化を目指すシステムです。

SFAを活用することで業務効率化を図れるほか、営業プロセスの最適化や、効率的な案件管理などが実現でき、企業における利益の拡大につながります。

営業活動の効率化を下げる要因とされている「営業の属人化」「営業予測のブレ」「データ入力の手間」の3つの課題を解消できる点も、近年SFAが注目を集めているポイントです。

国内市場における長引く不況や、従来の営業活動スタイルと時代のミスマッチなどを背景に、製造業をはじめ多くの企業において導入が急がれています。

SFA(営業支援ツール)の機能

SFAに備わっている機能について、主な5つの機能を紹介します。

顧客管理

「顧客管理」は、氏名や会社名、役職などの基本情報をはじめとして、接触の履歴や名刺などの顧客データを管理できる機能です。商談内容や営業担当の行動量を可視化できるため、営業スキルの標準化や底上げに役立ちます。

顧客管理には「名刺管理機能」や「顧客情報管理機能」などがあり、従来は営業担当者が個々にファイリングしていた名刺情報を一括で管理できるため、社内での異動や退職の際にスムーズに引き継ぎを行えるというメリットもあります。

行動管理

「行動管理」は営業担当者の行動プロセスや結果の記録など、営業プロセスを管理できる機能です。

具体的には「アポイント数・テレアポのコール数・訪問数・提案数・受注数・顧客からの関心度合い」などを記録し、営業担当者の行動や結果を全て数値化して管理できます。

定量的に業務を比較できるため、効果的な営業方法の発見や、営業活動の目標設定、具体的な提案資料の作成の引き継ぎなどにも役立てられます。

案件管理

「案件管理」は、抱えている案件の進捗状況を適切に管理できる機能です。

具体的には「案件ごとの担当者・営業先企業・提案商材・進捗状況・受注確度・見積り・受注予定日」など、案件に関する詳細なデータを管理・蓄積できます。

案件の進捗状況がひと目で把握できるため、フェーズに応じた最適な指示を担当者に出せるほか、会議における報告がスムーズにできるというメリットもあります。

予実管理

「予実管理」は営業の業務プロセスごとの情報を管理して、売上予測や実績などを可視化する機能です。具体的には「レポート管理機能」「売上管理機能」「カスタマイズ機能」などがあります。

月間売上の見通しや、目標達成率などの分析結果などを共有することで、大規模な方針決定や予算案作成に役立てられる上、月末や期末になってから「あと〜円売上が足りない」という事態を防ぐことも可能です。

また、売上状況に合わせて人員配置の施策を早期検討したり、受注確度の高い見込み顧客を分析して、最適な施策を立案したりすることもできます。

レポート管理

「レポート管理」は営業日報などを簡単に作成・参照するための機能で、人的ミスを防ぎながら業務にかかる時間や労力を削減することができます。

操作性や分析できる範囲等は各サービスによって異なりますが、たとえばこれまでパソコンで作成していたレポートをスマホで簡単に作成できたり、蓄積されたデータをもとに営業活動の内容をシンプルな操作で分析したりできるなど、営業担当者の業務マネジメントを行いやすくなります。

SFAと同じ場面で登場し、混同されやすいシステムに「CRM」があります。SFAをより明確に理解するため、両者の違いについてみていきましょう。

SFAとCRMの違い

CRM(Customer Relationship Managementの略)は「顧客関係管理」と呼ばれる顧客情報管理システムです。一元管理・分析した顧客情報を、より効率的且つ効果的なマーケティング活動やカスタマーサポートのために活用します。

SFAとCRMは両者ともに、顧客情報を管理して営業活動を効率化するためのツールですが、SFAが「営業活動を支援するため」に利用されるのに対し、CRMは「マーケティングキャンペーンの企画や顧客サポートのため」に利用されます。

具体的に、SFAは見込み顧客に対するアプローチにおける「進捗管理・行動の最適化・活動の効率化」をサポートするのが主な役割である一方、CRMは顧客の行動を管理・分析して「受注以降の顧客との関係維持」を図るのが主な役割です。

前章で紹介したように、商談から受注までの機能を備えているSFAに対し、CRMでは「カスタマーサポート」「顧客管理」「販売管理」「売上予測分析」などの機能を備えています。

ではなぜ現在、製造業においてSFAの必要性が叫ばれているのでしょうか?その理由と導入するメリットについて次章で紹介します。

SFAとMAの違い

MAとはMarketing Automation(マーケティング・オートメーション)の略で「営業自動化」と訳され、営業に関わる業務を自動化するツール全般を指します。

SFAとMAの違いは利用するタイミングです。MAは顧客となる可能性が高い相手を見きわめて商談を効率的に獲得するためのツールです。一方SFAは、商談から受注までの業務最適化を行うツールなので、MAはSFAより先に利用されることになります。

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MAとSFAとCRMとの違い

MA→SFA→CRM

 

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製造業におけるSFA導入のメリット

製造業でSFAを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?主な3つのメリットについて解説します。

営業の属人化防止

製造業においてSFAツールを導入することで得られるメリットとしてまず挙げられるのが、「営業の属人化防止」です。

製造業において、営業は限られた人材で回している企業も多く、「誰が・いつ・どのような営業活動をしているのか」という情報を共有・把握する余裕がなくなり、営業の属人化が起こりやすいという課題があります。

営業が属人化すると、成績の良い営業担当者のノウハウや成功事例などを共有できないため、担当者ごとに大きな差が生まれたり、対応が遅延・漏れている案件があっても気付きづらく、大きなトラブルが発生したりするという問題が起きます。

SFAを導入すれば、営業活動に関連するすべての情報を一元管理して、蓄積したデータを効率的に活用できるため、上記の事態を防ぐことが可能です。

SFAで顧客の情報や案件の進捗状況、商談履歴などのデータを一括管理すれば、チーム内で簡単に情報をシェアすることができるため、万が一ミスや対応漏れがあっても、仲間内ですぐに気づいて対応できます。ミスを事前に防ぐことで、営業部門全体のパフォーマンスの向上も見込めます。

営業情報の可視化

営業情報の可視化も、製造業がSFAを導入することで得られる大きなメリットです。

製造業において目標の金額を売り上げるためには営業部門の力が必須であり、目標金額を確実に達成するためには、綿密に計画を立てて営業活動を行う必要があります。

SFAを導入することで、各営業担当者の案件の数や受注予定金額、受注予定日などの情報を全て一括管理して情報を可視化できます。可視化することで、売上見込みや進捗具合などの情報を一目で把握でき、的確な営業計画や、営業予測を立てられるのです。

営業部門において目標金額を達成できずに利益が大きく減ってしまうリスクも防ぐことができるほか、過去案件の分析によってより正確な営業予測も立てられます。

営業活動における生産性向上

SFAを導入するメリットとして、「営業における生産性向上」も挙げられます。

SFAを導入していない企業では、営業に関するデータをExcelやGoogleのスプレッドシートで管理しているケースがあり、この場合手作業で一件ずつデータ入力を行うため膨大な時間がかかる上、入力ミスが発生するリスクが高まるという問題があります。複数人での同時入力・編集がしづらいというのも課題です。

SFAでは決められた項目に沿って必要なデータを入力していくだけなので、簡単にデータ入力が可能です。またサービスによっては外部ツールと連携することで、業務プロセスを改善することができます。

営業活動に特化したSFAツールを活用することで、入力ミスや無駄な労力、担当者の負担を削減して生産性の向上を実現できるのです。

製造業におけるSFAの必要性

なぜ製造業におけるSFAの必要性がこんなにも高まっているのかということについて、「コロナ禍」という視点と、未だ主流とされている管理方法である「Excel・スプレッドシート」という視点から解説します。

コロナ禍で高まったSFAの必要性

世界中に大きな影響をもたらした新型コロナウイルスの流行により、製造業においても大きな変革が必要とされ、多くの企業がウェビナーやオンライン展示会、Webマーケティングなどの「Webを活用した非接触・非対面での営業活動」を開始しました。

非対面でのコミュニケーションを通じて顧客と関係構築を図る「インサイドセールス」を取り入れる企業は増加し、それに伴いWeb上でのコミュニケーションに関する情報を一括管理・共有できるSFAの必要性も急速に高まりました。

Web上のコミュニケーションはオフラインに比べて、顧客のニーズや情報が正確に得づらくなるという点が課題ですが、SFAを活用することで、チーム内でスムーズに情報をシェアしながら最適な営業戦略を立てられるため、上記の課題を解消することができます。さらにより効率的な営業活動も実現できるため、必要性が急速に高まっているのです。

Excel・Googleスプレッドシートではダメ?

多くの企業では営業活動を行う際、表計算ソフトのExcelやGoogleスプレッドシートが活用されています。なぜこれらのツールがありながら、SFAの必要性が叫ばれているのでしょうか?

まずExcelでは、管理する情報量や担当者数が増えるにつれリストが複雑になり、作業者の負担や入力ミスが増える可能性が高まります。情報共有の遅延や、不十分な情報収集などの支障が発生しやすくなり、業務も非効率的になります。

このような理由からExcelでの情報管理ではなく、より効率的に作業を進められる、営業管理に特化したシステムツール「SFA」の必要性が高まっているのです。

またExcelと似た機能を備えたGoogleスプレッドシートでは、リアルタイム且つ複数人で情報を編集・更新できるという強みがありますが、汎用的なツールであり営業管理に特化しているものではありません。

Googleスプレッドシートでも高度なリストの作成やデータベース・アプリの連携はできますが、多大な時間と労力が必要になります。営業効率を重視するのであればSFAの方が圧倒的に利用しやすいため、ExcelやGoogleスプレッドシートなどのツールがある中でも、SFAの必要性が叫ばれているのです。

製造業向けSFAツール選定のポイント

現在様々な製造業向けのSFAツールが登場していますが、それぞれに独自の機能や特徴があるため、自社に合ったSFAツールを選定する必要があります。

以下では、製造業向けのSFAツールを選ぶ際に気をつけるべきポイントについて紹介します。

SFAを導入する目的・解消したい課題の明確化

SFAツールを選ぶ際には、導入する目的及びSFAツールを導入することによって解消したい課題を明確にする必要があります。

そのためにはまず、自社の営業部門における課題を出すことが大切です。SFAツールありきで目的・課題を考えるのではなく、自社が抱えている課題を明確にした後で、その課題を「SFAを活用してどう解決できるか」を考えます。

導入目的や課題を曖昧にしたままSFAを導入してしまうと、SFAの必要性がわからず、現場で活用されずに終わったり、自社のニーズとマッチせずに無駄な出費を重ねてしまったりすることになりかねません。

目的・課題の明確化はSFAツールを検討する際に必要不可欠なポイントであることを覚えておきましょう。

「使いやすさ」をチェックする

実際にSFAツールを導入してもツールが使いづらいと担当者の負担になり、作業も効率的に進められないため、必ずツールの「使いやすさ」をチェックすることが大切です。

忙しい営業現場において、できるだけ担当者の負担がないように利用できるものや、誰でも簡単に扱うことができるツールかどうかを確認します。「使いやすさ」を見極めるポイントとして、以下のポイントをチェックすることをおすすめします。

・インターフェースがシンプルかどうか
・自社の目的・課題に必要な機能があるか、逆に機能が多すぎないかどうか
 (機能が多すぎると使いづらさにつながるため)
・読み込み時間が早いかどうか
・外部ツールと連携して利用できるかどうか
・スマートフォンに対応しているかどうか

SFAツールには無料トライアルを設けているものもあるため、導入前にお試しで利用してみることも大切です。

サポート内容の確認

SFAツールを導入した際には、不具合や使い方に関する疑問などが発生しやすいため、そのような場合に利用できるサポート内容について、事前に確認することも大切なポイントです。

導入時のみのサポートを行うツールもあれば、運用が定着するまでしっかりとサポートするツールもあるなど、内容はツールを提供する会社によって大きく異なります。さらにサポート形式に関しても、チャットやメールを活用するものや、定期的にミーティングを行うものなど様々なものがあるため、事前にサポートの詳細について確認しておくことが大切です。

充実したサポートを利用できれば、ツールの利用法や問題発生時の対処法がわからずにそのまま放置するということがなくなり、より早く、効率的にツールの運用を定着させることができます。

利用料金の確認

SFAツールの利用料金についてはもちろんですが、適切な価格が設定されているかどうかを確認することも大切です。

SFAツールは主に、オンラインのサーバーで提供されているサービスをWeb上で利用する「クラウド型」と、サーバーや通信回線などのシステムを社内に構築し、自社で運用を行う「オンプレミス型」の2種類があります。

「クラウド型」は月額料金が一般的である一方、「オンプレミス型」はシステム利用のためのインフラ構築が必要になるため、初期コストが高くなる傾向にあり、料金設定が大きく異なります。

自社の運用に合わせた機能追加やサポートがオプションとして別料金で設定されている場合もあるため、利用期間や利用人数、基本料金で利用できる機能など、どのくらいの費用がかかるのか、予算に合っているかなどを把握しておくことが必要です。

製造業の導入実績のあるSFAツール5選

製造業の導入実績があるSFAツールについて、それぞれの機能や特徴などを紹介します。SFAツールを検討される際に参考にしてください。

eセールスマネージャーRemix Cloud

eセールスマネージャーRemix Cloud

「eセールスマネージャーRemix Cloud」は、マネジメントと現場の両方の目線で作られた国産のSFA・CRMツールです。

日本人向けに作られており、操作性が抜群のユーザーインターフェースが特徴で、国内でも製造業を含む数多くの企業が導入しており、豊富な実績があります。

スマートフォンやタブレットなどのマルチデバイス対応、情報共有の最適化、マネジメントの自動化、伴走型のサポートサービスなど豊富な機能が備わっている上、SFAツールに入力したデータが様々なアウトプットに自動反映される「シングルインプット・マルチアウトプット」なども利用でき、営業活動における生産性を大幅に向上できます。

また自社や市場などの変化に応じて、導入後でも設定変更ができる点も大きな魅力です。

URL:https://www.e-sales.jp/products/remix/
運営会社:ソフトブレーン株式会社

Sales Force Assistant

Sales Force Assistant

「Sales Force Assistant」シリーズは、「業務改善ノウハウをシステム化した営業支援・情報共有ツール」をコンセプトとし、10000社を超える導入実績があるSFA・CRMツールです。業種・業態別、営業スタイル別に合わせたラインナップがあり、製造業での導入実績も豊富にあります。

営業担当者をサポートする「AI秘書」といった機能が搭載されているのが特徴のほか、クラウド型とオンプレミス型の形態も選択可能なので、自社のセキュリティ・運用体制に合わせて選定できます。

また一日一覧日報形式の戦略デイリーモニタリングを採用しており、Daily Monitoring View(日報)を見るだけで、顧客・商談・案件・訪問計画・クレームなどの管理を実現し、これらのデータをもとにAI秘書が必要な情報を提供してくれます。一日一覧なので業務ナレッジの蓄積や社内の情報共有を促進できるのもポイントです。

URL:https://www.salesforce-assistant.com/
運営会社:株式会社NIコンサルティング

Mazrica Sales(旧 Senses)

Mazrica Sales(旧 Senses)

「Mazrica Sales(旧 Senses)」は、現場の営業成果の最大化を実現するためのあらゆる機能を備えたSaaS型SFA・CRMツールです。

入力負荷を軽減する外部ツール連携や、案件の進捗を直感的に把握できる案件ボード、AIによる営業のリスク分析やメンバーへのサジェスト機能、営業成果を可視化できるセールスメトリクス機能など、営業の生産性を高めるための機能や適切な人事評価をサポートする機能が充実しています。

またカスタマーサクセス担当者が伴走してツールの運用が定着するまでサポートしてくれるなど、充実したサポート体制も特長です。

URL:https://product-senses.mazrica.com/
運営会社:株式会社マツリカ

Kintone(キントーン)

Kintone(キントーン)

「Kintone」は、複数のアプリケーションを組み合わせて自社に最適なツールを構築できる、SaaS型の業務改善プラットフォームです。

「Kintone」には様々な業務への応用をイメージした100以上のアプリが用意されており、必要なアプリケーションを組み合わせて自社に最適なオリジナルのSFAを作成できます。

顧客情報管理や案件管理、工数管理、品質管理など、営業活動に不可欠なアプリケーションが用意されているほか、アプリの新規作成も可能です。製造業向けにSFA機能と他機能を組み合わせられる上、APIやプラグインと外部システムとを連携して機能を拡張できるというメリットもあります。

URL:https://kintone.cybozu.co.jp/
運営会社:サイボウズ株式会社

GENIEE SFA/CRM

GENIEE SFA/CRM

「GENIEE SFA/CRM」は、シンプル且つ使いやすいインターフェースで入力作業の負担を減らし、直感的に使えるのが特徴のSaaS型SFA・CRMツールです。以前の「ちきゅう」という名称から変更してリリースされました。

集約・一元管理されたデータを他のあらゆる部署で活用できるシステムを採用している点や、導入後も継続的にサポートしてくれる点がポイントです。社内でのスムーズなツールの運用定着にも定評があり、営業力の早期強化が見込めます。

「AIアシスタント」をはじめとする豊富な機能も備わっていながら、月額2980円〜のプランから気軽に利用できるのが魅力で、導入することで業績向上を実現できます。

URL:https://chikyu.net/
運営会社:株式会社ジーニー

まとめ

本記事では製造業において必要性が高まっている「SFA」について詳しく紹介しました。

作業現場により多くの時間やコストをかけたい製造業において、営業活動の効率化・最適化は非常に重要であり、SFAツールの導入は必要不可欠になりつつあります。製造業における営業活動は多忙を極めるため、より担当者や現場に寄り添った視点からSFAツールを選定することが大切です。

SFAを活用することで営業部門全体の改善につながり、最終的には企業全体の利益拡大にも寄与します。自社に最適なSFAツールを検討する際に、本記事が役立つと幸いです。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

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Thu, 20 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[リードジェネレーションとは?手法・注意点・メリット・デメリットなどをまとめました!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/Lead_generation

リードジェネレーションとは、リードの生成、つまり見込み客を獲得する施策全般のことです。施策例としては、自社の商品・サービスを認知していない層を含む潜在顧客のなかから、購入・契約に関心のある「見込み客」をピックアップするプロセスを指します。具体的な手法には、広告出稿やWebサイト運用とSEO対策、展示会への出展、セミナー開催などがあります。


本コラムでは、これからリードジェネレーションに取り組むマーケティング担当者向けに、手法やメリット、デメリット、実際に取り組む際の注意点、リードの質を高める方法などをご紹介します。

・リードジェネレーションの意味が知りたい
・リードジェネレーションの施策を知りたい
・リードの質を高める方法を知りたい

といった方にはとくにおすすめの記事となっておりますので、ぜひマーケティング活動の参考にしてください。

 

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リードジェネレーションとは?

リードジェネレーション(Lead Generation)とは、「見込み客の獲得」のことです。自社の商品・サービスを認知していない層を含む潜在顧客の中から、購入・契約に関心のある「見込み客」をピックアップするプロセスを指します。

 

リードジェネレーションと似た言葉で、デマンドジェネレーション(Demand Generation/見込み案件の創出・発掘)というものがあります。

①リードジェネレーション(Lead Generation/見込客の獲得)からはじまり、②リードナーチャリング(Lead Nurturing/見込み客の育成)、③リードクオリフィケーション(Lead Qualification/見込み客の絞り込み)という一連のマーケティングプロセスをまとめたものをデマンドジェネレーションと呼んでいるため、リードジェネレーションはその一部といえます。

リードジェネレーションの役割とは?

デマンドジェネレーションの中でも、リードジェネレーションは最初の入り口にあたる非常に重要なプロセスです。まずは、リードナーチャリングとリードクオリフィケーションはどう違うのかを理解しておきましょう。

リードナーチャリング(見込み客の育成)

リードジェネレーションでリードを獲得した後は、関心や検討度の度合いが低い見込客に対し、必要な情報を与えたり、疑問や不安を解消するなどのコミュニケーションを取り、信頼関係を築きながら育成していきます。これがリードナーチャリング(Lead Nurturing)です。

リードを獲得したときにあまりニーズがないからといって放置してしまうと、競合他社に奪われてしまう可能性があります。他社への流出を防ぐためにも、有益な情報を提供しながら育成することで、商談・受注につなげていきます。

 

主な施策は以下のとおりです。

 

・見込み客を分類し、グループごとにセグメントメールを送る

・インサイドセールスによる電話やメールでのサポート

・Facebook、InstagramなどSNSでの情報発信

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リードクオリフィケーション(見込み客の絞り込み)

育成(リードナーチャリング)が進んだら、営業部門がアプローチして商談化するために、見込み客の中から契約・購入に結び付きそうなホットリードを選別します。これをリードクオリフィケーション(Lead Qualification)といいます。

代表的な施策は「スコアリング」という手法です。「資料請求ページにアクセスしたら2点」「料金表を閲覧したら3点」というように、リードの行動や興味関心の度合いに応じてスコアを付加。スコアが一定の基準を満たしたら、ホットリードとして抽出して営業に渡します。

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デマンドセンター

リードジェネレーションを含むデマンドジェネレーションを実施するときには、社内に「デマンドセンター(Demand Center)」を設置するのがおすすめです。

デマンドセンターとは、デマンドジェネレーションを行う組織のことで、マーケティング部門とインサイドセールス部門を包括した組織をイメージしてもらうとわかりやすいでしょう。営業部門やフィールドセールスへパスできる案件(MQL、SAL)を創出することがミッションとなります。

※MQL…Marketing Qualified Lead。営業にパスする意義のあるホットリード。

※SAL…Sales Accepted Lead。MQLのなかでも商談する価値のある「今すぐ」リード。

リードジェネレーションからリードクオリフィケーションの流れ

デマンドセンターについて詳しくは、下記の記事もご覧ください。

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リードジェネレーションが必要とされる理由とは?

リードジェネレーションが必要な理由を説明するためには、実は「リードナーチャリング」の重要性から解説が必要となります。まずはリードナーチャリングの重要性をお伝えしてから、どうしてリードジェネレーションが必要なのかをお話いたします。

リードナーチャリングの重要性

一般的に、営業マンはリードのリストに一通りテレアポなどのアプローチを行った後、すぐに商談ができて受注につながる数%の「今すぐ客」だけを追客する傾向があります。

残りの90%以上は放置されるわけですが、この大多数のリードのなかには、すぐに商品・サービスが欲しいとは考えていなくても、比較検討の後、内容が良ければ契約しようと考えている「お悩み客」や、いつかタイミングが来れば契約してくれる「そのうち客」や「まだまだ客」が含まれています。

つまり、営業マンが放置している「今すぐ客」以外の9割以上のリードをそのままにしておくのは大きな機会損失につながり、競合他社に流れてしまう可能性も高いといえます。

そこで、これらの見込み客に最適なタイミングで必要な情報を与え、疑問や契約・購入を阻害する課題を解消して信頼関係を築く「リードナーチャリング」が重要になってきます。

リードのなかに今すぐ客が少なければ受注数も受注率も下がります。コンスタントに受注をあげるためにもリードナーチャリングは重要なのです。

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ツールを使った効率的なナーチャリング活動にはリードの母数が必要

特に、デジタル技術が発達して便利なツールが普及してきた現在では、マーケティングオートメーション(MA)などを活用した効率的で効果的なリードナーチャリングができるようになりました。

そして、ツールを使ったリードナーチャリングを軌道に乗せるためには、一般的に母数からの反応率(コンバージョン)は数%程度のため、常時だいたい3万件以上の有効リード数を保有しておくことが望ましいです。

このリード数を確保するためにも、リードジェネレーションの活動は非常に重要だといえます。そして、単に目先の利益を追うだけではなく、中長期的にナーチャリング活動を行っていく前提でのリードジェネレーション施策をおこなっていく必要があります。

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リードジェネレーションのメリット・デメリット

リードジェネレーションの重要性について解説しましたが、リードジェネレーション活動に取り組むことには、メリットがあればデメリットもあります。

リードジェネレーションのメリット

まずは、リードジェネレーションのメリットをご紹介します。

営業部門の工数や受注コストを減らせる

一つ目のメリットは、営業部門の工数を減らすことができ、結果的に受注コストを下げられることです。

営業部門は、さまざまな顧客対応を行いますが、それらはすべて「受注」のためです。基本的には、すぐに受注できそうな「今すぐ客」に集中しますが、それだけでは、パイプラインが不足してしまうので、リードを集めたり(リードジェネレーション)、「まだまだ客」のフォロー(リードナーチャリング)も行わなければなりません。

ただ、潜在顧客からリードを獲得するところから商談できる状態まで持って行くのにはかなりの工数がかかります。

そこで、マーケティング部門がリードジェネレーションを担うことで、営業部門は商談と受注に専念できるようになって効率が上がり、受注コストを減らせます。その結果として、営業生産性を上げることに寄与していきます。

属人化しない営業組織の構築が可能になる

日本において営業職には、勘や経験、根性論にもとづく風習が長年根付いており、「デキる営業マン」の営業活動はブラックボックス化したままという傾向があります。

最近では、営業活動を可視化するなど、データや客観性に基づいて営業判断を行う企業が増えてきていますが、属人化した営業組織から、異動や退職などで人材が流動しても生産性の落ちない「属人化しない営業組織」へと変革させることは急務です。コンスタントに受注を上げられる仕組みをつくるためにも、自社にリードジェネレーションに取り組む体制を整えていくことが必要でしょう。

機会損失を防ぐ(タイミングを逃さない)

程度に差はあれど、多少なりとも自社の商材やソリューションに興味・関心を持ってくれた人だけがリード化します。リードジェネレーションを行うことで、ターゲット層の潜在顧客のなかで、興味・関心を持ってくれた人をタイミング良く拾い上げることができるのです。

逆に、リードジェネレーションを行わなければ、せっかく興味・関心を持ってくれた層を放置することになり、機会損失となってしまいます。もちろん、リード獲得後のナーチャリング活動も重要になるのですが、大前提としてリードジェネレーションがなければ接点も生まれないため、やはりリードジェネレーションに注力していくメリットは大きいといえます。

リードジェネレーションのデメリット

メリットの多いリードジェネレーション活動ですが、デメリットがないわけではありません。

営業が活用できないリードにコストをかけてしまう可能性がある

リードジェネレーションではある程度の母数を確保することが求められるため、「そもそもターゲット外である」というような、どうしても受注にはつながらないような質の低いリードも拾ってしまいます

リードの質を高める施策に取り組む必要があるのと同時に、ある程度はコストとして割り切る必要があるでしょう。

施策と成果にタイムラグがある

リードジェネレーション施策には、広告のようにすぐ成果につながるものもあれば、SEOのような施策と成果に時間がかかるものもあります。そのため、実行した成果が利益につながるまでのタイムラグがあります。

結果として、経営層に施策の成果を明確に提示できず、予算の削減につながる、なんてこともよくある話です。中長期的なシミュレーションで、獲得したリードがどう案件に変わっていくのかを提示できるよう、KGI・KPIを明確にしておきましょう。


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リードジェネレーションの手法例

では、具体的なリードジェネレーションの手法の例を、オフライン・オンラインに分けてご紹介します。

オフラインの手法

オフラインにおけるリードジェネレーションでは、Webではなくリアルの世界で顧客接点を作り、見込客を獲得します。

代表的な手法は、展示会やセミナーなどが挙げられます。

展示会

自社の製品・サービスに関連のある展示会にブースを設けて出展する方法です。ノベルティを配布して、それと引き換えに名刺を交換したり、ブースに立ち寄ってくれた方に声掛けをし、リード情報を集めます。来場者数の多い展示会では、数多くの見込客を獲得できますが、その分、見込み度の薄いリードも多く含まれるため、展示会後のナーチャリング活動やアプローチが大切になります。

できるだけ多くリードを獲得するためには、当日のオペレーションや事前準備も重要です。有効なリードジェネレーション施策として機能させるために、しっかりと戦略を立てるようにしましょう。


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セミナー

自社で主催するセミナーのほか、他社との共催セミナーや、他社が主催するセミナーへの登壇などがあります。いずれの場合も、事前登録や、開催後、参加者にアンケート回答を求め、リード情報を集めます。

参加者数を最大化するためには、事前の告知やPR、広告出稿などが不可欠です。企画して終わりではなく、集客の施策までをしっかりと設計するようにしましょう。

電話

電話を使ったテレアポは、長年利用されてきたリード創出の手法です。コンテンツ制作やSNSアカウントの作成のような事前準備が不要で、人員が集まればすぐに実施できるといった取り組みやすさがメリットといえます。

ただし、まだ自社製品を知らない人に、手当たり次第に架電しなければならないため、どうしても成功率が低くなってしまいます。断られることも多いため、オペレーターの精神的負担が大きくなりがちなのもデメリットといえるでしょう。

DM(ダイレクトメール)

DMは、印刷物やメールでターゲットに自社商品・サービスについての情報を送る手法です。チラシを郵便やFAXで送るDMは、古典的な手法と捉えられがちですが、ターゲットの業種によっては、いまも有効な手法となります。

リサーチ&マーケティング支援を行なうネオマーケティングが実施した調査結果によると、「コロナ前と比較して、効果が上がった施策」として、FAXを使ったDMと58.1%の人が回答しています。さらに、郵便によるDMも34.1%の人が効果が上がったと感じていました。

 

ネオマーケティングが実施した調査結果では効果が上がった施策として約6割がDMを挙げている

画像引用元:BtoB企業のマーケティング施策に関与する1000人に聞いた「コロナ前後のBtoB企業のマーケティング活動に関する調査」

 

DMを送る際は、単に商品・サービス紹介を送るだけでなく、無料トライアルの情報や商品サイトへつながるQRコードなどを掲載するとより効果的でしょう。オンラインコンテンツと連動させて、サイトのコンバージョンポイントに導くことで高い成果が得られます。

オンラインの手法

オンラインの手法としては、顧客との対面の接点は持たず、Webサイトを通して行われるのが一般的です。

デジタル広告

自社が運営するコーポレートサイトやサービスサイト、メディアサイトといったWebサイトに訪れてもらうため、自社製品のターゲット層に向けて広告出稿を行って流入数を増やします。この時にどういった手段でいつまでにどの程度、アクセスを増やすのかを設計することがとても重要です。

集客の施策として第一に想起されがちなSEOは、成果が出るまでに時間がかかるうえに、確実に増やせるような施策ではないため、短期的にアクセスを増やせるデジタル広告を併用して実施する企業が増えています。

具体的な広告施策としては、GoogleやYahoo! JAPANといった大手サイトへのバナー広告やリスティング広告、InstagramやX(旧Twitter)に掲載するSNS広告が主流です。
SNS広告は、幅広いユーザーに情報が届けられるため認知拡大に適しています。また、比較検討を検索エンジンから行う業界なら、リスティング広告が最適です。広告は、多くのコストがかかるため、事前に目的を明確にして効果的に活用しましょう。

SNSマーケティング

FacebookやInstagramなど、SNSへの投稿や広告出稿でWebサイトへの誘導を狙うマーケティング手法です。ビジネスパーソンの利用が多く、BtoB企業に適したFacebookや拡散性が高く、知名度アップが期待できるX(旧Twitter)など、ターゲットや目的に合わせた活用ができます。

SNSなら、自社製品について投稿しているユーザーへ直接アクセスすることもできるため、比較段階に入っている顧客へのアプローチも可能です。

ただし、幅広いユーザーに向けて情報発信するがゆえに、成果が出るまでには時間がかかるといったデメリットもあります。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、自社サイトのブログやコラム、事例紹介などを掲載し、ターゲットに価値ある情報を届けることでファンになってもらい、最終的なコンバージョンを目指すマーケティングのことです。

よくあるコンテンツマーケティングの手法といわれているのが記事作成です。誰でも簡単に作成でき、SEOを意識した記事コンテンツを公開すれば高いリード獲得につながります。

Webサイトからのコンバージョン獲得

Webサイトへ見込み客が訪れる仕組みを作り、問い合わせや資料ダウンロードにつなげる手段です。

自社サイトへとユーザーを導き、問い合わせをもらったり、資料請求やホワイトペーパーのダウンロード、メルマガ登録などを促す導線設計・回遊設計を実行し、コンバージョンを獲得します。

あくまで重要なのは有効商談数の最大化なので、そこから逆算してコンバージョンを獲得するために、集客や回遊施策のどこにボトルネックがあるのかを把握し、施策を打っていきましょう。



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オンライン展示会

近年注目を集めているリードジェネレーション施策がオンライン展示会です。コロナの影響でリアルイベントが難しくなったため、オンラインで展示会のようなイベントに出展する企業が増えています。

自社で開催することもあれば、プラットフォームが開催する展示会に申し込むこともあり、今後ますます発展が期待される施策となっています。

参加社は各企業の資料をダウンロードし、そこからリードジェネレーションにつながっていく流れです。詳しくは下記の記事にまとめているので、併せてお役立てください。

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また、リード獲得手法については、下記の記事もご覧ください。

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リードの質を高めるためには?

いくらリードジェネレーションが大切なプロセスであるとはいえ、やみくもに大量のリードを獲得すれば良いというわけではありません(※フェーズによっては、質を問わずとにかくリードの母数が必要なこともあります)。

ここでは、質の高いリードを獲得するための手法をご紹介します。

ABM戦略を取り入れる

ABMとは、Account Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)の頭文字を取ったもので、自社にとって価値の高い顧客を選別し、顧客に合わせた最適なアプローチをするというマーケティング手法です。

リードをポテンシャル(業種、企業規模など)とステータス(アポ見込み、商談済みといった見込度)のマトリックスでマッピングし、基本的には双方が高いリードを「ホットリード」として抽出します。

重要となるのは、自社が理想の顧客として求めるポテンシャルをしっかり設計することです。また、ステータスが契約から遠すぎるとナーチャリングに時間と労力がかかるため、ステータスが高めのリードを獲得できる方法でリードジェネレーションを行うことが必要となります。

ABMについて詳しくは、下記の記事もご覧ください。

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コンテンツや情報の鮮度を保つ

リードジェネレーションを行うにあたり、母数となる潜在顧客をデータを活用して確保する場合、当然のことながら、その情報の鮮度が高い方が質の良いリードを獲得できます。

たとえば、ターゲット層となる潜在顧客をセグメントしたリストを購入するような場合、そのデータの更新時期を確認することが重要です。BtoBの場合、担当者の退職や異動などで情報が役に立たなくなってしまいます。

古いデータを取り込まない仕組みを作ったり、サービスとして提供されているデータベースと連携するといった対策を取りましょう。

施策を見直す

リードジェネレーションに取り組んでいるのに、あまり質の良いリードを獲得できないという場合は、実施している施策を見直す必要があるかもしれません。

たとえば、掲載しているホワイトペーパーや開催セミナーで想定しているターゲット層を、より購買意欲の高い層に設定し直し、テーマを変更するといったことです。

リードの質はコンテンツの質に左右されるといっても過言ではなく、マーケティング施策全体の見直しが必要な場合もあります。営業とも連携を取りながら、自社が出会いたい顧客は普段どのようなコンテンツを求めているのかを理解しながら、設計をしていきましょう。

リードジェネレーションを成功させるためのポイント

リードジェネレーションの質を高めることで、商談・受注へとつながりやすくなります。ここからリードジェネレーションの成果を上げるポイントについてご紹介します。

成果につながりやすい施策からはじめる

ご紹介してきたように、リードジェネレーションには多くの手法があり、効果が出るまでのスピードもさまざまです。たとえば、コンテンツマーケティングをはじめたいと思っても、コンテンツ作成には時間がかかるため、それだけを続けていてもなかなか成果にたどりつきません。

まずは、成果の出やすいデジタル広告に取り組み、リードを短期間で獲得しながらコンテンツマーケティングなど中長期的な手法を進めていくのがおすすめです。なるべく早くリードを獲得して、徐々に獲得数が増えていくようなマーケティング戦略を打ち立てましょう。

獲得したいリードに合わせたコンバージョンを設定する

どのようなコンバージョンを設定するかによって、獲得できるリード数も大きく変わってきます。たとえば、ホワイトペーパーをダウンロードするユーザーは、無料トライアルを行うリードより、自社サービスに興味をもっていない可能性が高いです。製品に関心があるというよりは、有益な情報を得たいと考えている潜在層と予想されます。商談化率は低いかもしれませんが、リード創出は多くなります。

一方、無料トライアルを行うリードは、すでに比較・検討段階にある場合が多く、短期間で受注まで進むかもしれません。その分、リード獲得数は少なくなります。

このように、どのコンバージョンを設定するかによって、受注率や商談化率が異なります。リードジェネレーションの目的に合わせて設定することが大切です。

リード情報を分析してリードナーチャリングへつなげる

「どんな方法でリード創出したのか」「どのくらいの購買意欲があるのか」など、集めたリードを分析して管理することで、次のリードナーチャリングが効率的になります。リードの動きを可視化しておけば、どのように育成すればよいかといった方向性も見えてくるでしょう。

リード管理には、MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入して、膨大なリード情報を自動で分類できるようにしておくと効率的です。 MAツールを使えば、サイトのどのページを頻繁にチェックしているのかといったユーザーのニーズがわかります。サイトの来訪者を分析して、どの企業がサイトを見に来ているのかも把握できるので、ターゲットになりそうな企業がアクセスしていれば、企業ログを活用してDMを送ったり、直接電話したりしてアプローチすることも可能です。業種や従業員数などの企業情報も入手できるので、今後のマーケティング活動にも役立ちます。

中間コンバージョンをKPIに設定して効果を測定

リードジェネレーションを成功させるには、商談や受注のきっかけとなる「中間コンバージョン」をKPI(重要業績評価指標)に設定して、効果測定をしながら取り組みましょう。そうすることで施策がうまくいっているのか、施策の貢献度がわかります。

たとえば、Web広告やSNS広告などオンライン施策の場合は、ホワイトペーパーのダウンロード数、フォーム完了率などを受注につながるアクションをKPIにします。設定するときは、「フォーム完了率80%以上」など数値を用いた定量的な設定にして、現状や改善点を把握しやすくしておきましょう。

リードジェネレーションの注意点

リードジェネレーションに取り組む際には、以下のような点に注意してください。

個人情報の取得に同意を得る

オフラインの施策でもオンラインの施策でも、顧客の氏名や連絡先といった個人情報をリードとして登録する際には、顧客の同意が必要です。2017年に改定個人情報保護法が施行されたこともあり、個人情報を取り扱うすべての企業が神経を使う必要が高まりました。

展示会で渡すノベルティやセミナーで配布するアンケート用紙、オンラインならお問い合わせフォームなどに、個人情報を取得する際には「個人情報は、新製品のご案内を電子メールで提供するために利用いたします」といった利用目的を明示しましょう。

リードの数だけを追わない

リードの質を高めるためには?」「リードジェネレーションのデメリット」でもお伝えしましたが、リードジェネレーションの後工程であるリードナーチャリングの工数を減らしたり、どんなにリードナーチャリングしても受注につながらないような質の低いリードを大量に獲得してしまえば、せっかくのリードジェネレーションも無駄になったり高コストな施策になってしまいます。

フェーズによっては、質を問わずとにかくリードの母数が必要なこともありますが、リードジェネレーション施策を企画する際は、リードの数だけを追わず、どうすれば質の高いリードを獲得できるかを念頭に検討しましょう。

営業部門とリードの定義・目標・施策をすり合わせる

本コラムでは、マーケティング部門がリードジェネレーションを担当することを前提としてお伝えしています。獲得リードは、そのままマーケティング部門でリードナーチャリングなどを施した後、営業部門にパスすることになります。

ただ、営業部門が受け取ったリードに対し商談を行った結果、受注しづらかったり感触があまり良くないと感じたりすれば、せっかくのリードジェネレーションやリードナーチャリングの意味合いも薄れてしまいます。

このギャップを避けるために、あらかじめ獲得するリードの質や条件、数などについて合意を取っておく必要があります。ぜひ、営業部門とマーケティング部門でしっかりコミュニケーションを取りながら進めましょう。

まとめ

「リードジェネレーション」と聞くと、なにか新しいマーケティング施策のように感じられるかもしれませんが、実際には、営業部門でこれまでに行ってきたことと重なる部分も多いことに気づくのではないでしょうか。

手法もオンライン・オフラインで多岐にわたるため、自社に合った取り組みやすいものからスタートし、効果の高い手法に重点を置きながら、徐々に取り組みの範囲を広げていくと良いでしょう。

実施の際は上でご紹介した注意点にも留意し、売上・利益に効果の出る方法を模索してみてください。


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Thu, 20 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[リードナーチャリングとは?見込み客を顧客へ育成する手法と事例]]> https://mtame.jp/content_marketing/lead_nurturing リードナーチャリングとは、見込み客を中長期的に育成していくプロセスを意味する言葉です。顧客が抱えている課題の解決方法や自社製品に関する知識を共有し、見込み客の疑問や不安を解消しながら信頼関係の構築を図り、育成していきます。

 

ステップメールやWebサイトの問い合わせフォームのセグメント分けなどが主な施策です。お客様との関係を構築しながら、見込み度が高まったところでアプローチする仕組みを作り、効率的に案件を創出できます。BtoB企業に限らず、BtoCの企業でも顧客の検討期間が長いサービスであれば非常に重要な施策となります。

 

本コラムではリードナーチャリングについて、特にBtoB分野の企業が取り組む際に必要なステップや施策、メリット・デメリット、アプローチの流れなどをご紹介します。

 

・リードナーチャリングの意味を知りたい

・これからリードナーチャリングを始めたい

・すでにリードナーチャリングに取り組んでいるが、成果が見えない

 

といった方々には特におすすめの内容です。ぜひ貴社のマーケティング活動にお役立てください。



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1.リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客を育成し、購買意欲を高めて商談・受注へとつなげるマーケティング活動のことです。見込み客(=リード)を育成(=ナーチャリング)するという意味から「リードナーチャリング」という言葉が生まれました。

メール配信やセミナー、インサイドセールスなど、さまざまな手法で顧客の課題を解決する有益な情報を提供して製品の検討度を高めます。新規顧客だけでなく、既存顧客と継続的な接点をもち、アップセル・クロスセルへとつなげるケースも含まれます。

BtoBマーケティングにおけるリードナーチャリングの役割

リードナーチャリングは、見込客の集客から営業へ引き渡すまでのプロセス「デマンドジェネレーション」の手法のひとつです。

見込み客を獲得したからといっても、すぐに契約につながるわけではありません。企業からのアプローチや長期間のフォローによって購入に至るケースがほとんどです。そこで、リード育成やホットリードの絞り込みなどから商談化へと導くのがデマンドジェネレーションです。

デマンドジェネレーションは、以下の3つの手法で成り立っています。

 

・リードジェネレーション

・リードナーチャリング

・リードクオリフィケーション

 

リードクオリフィケーション

各プロセスについて詳しく見ていきましょう。

リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、「リードの生成」すなわち、見込み客を獲得することを指します。

リードジェネレーションのアプローチ方法は、オフラインとオンラインの二つに分けられます。
オフラインのアプローチ手段では、リアルの世界で顧客との接点を作り、見込み客を獲得します。展示会やセミナーなどが代表的な手段として挙げられ、展示会ではノベルティと引き換えに名刺を交換したり、セミナーではアンケートというかたちで顧客情報を取得したりすることが一般的です。

一方、オンラインのアプローチでは顧客との対面の接点は持たず、Webサイトを通して行われます。自社製品のターゲット層に自社のWebサイトに来訪してもらい、問い合わせをもらったり、資料請求やホワイトペーパーのダウンロードを促したりします。

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リードナーチャリング

このようにして、リードジェネレーションによって獲得した見込み客を自社の顧客に育成していくことを、リードナーチャリングと呼びます。見込み客に対して段階的なアプローチをすることで購買意識を高め、自社顧客になってもらうためのプロセスです。

オフライン・オンラインを問わず、BtoB分野ではひとつの製品の検討から購買に至るまでのリードタイムがBtoC分野に比べて長い傾向があります。そのため、一製品、一企業ごとの購買プロセスに対し、それぞれに適切なアプローチや関係性の構築が重要です。


いかにしてこのような見込み客を獲得し、自社の顧客へと育成していくのかが各企業の課題となり、その解決手法であるリードナーチャリングが注目されています。


弊社の実例をみても、直前の資料ダウンロードから受注に至った商談は全体の15%に過ぎず、
残りの85%は過去に資料ダウンロードなどの接点があったユーザーへのナーチャリング活動からの受注となっています。


過去に資料をダウンロードした人の受注


このように、中長期でのナーチャリング活動はBtoB企業において必須の活動となりつつあります。

リードクオリフィケーション

リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングにより、顕在化した見込み客のなかから受注率の高い見込み客を選別するマーケティング活動のことです。

これにより、あらかじめ製品・サービスに関心を持っている確度の高い見込み客から優先的にコンタクトを取ることが可能になり、効率良くセールス活動を展開できます。

選別に当たっては、見込み客の役職や決済権の範囲、予算といった定量データ以外に、自社の製品にどの程度注目しているか、見込み客が抱える課題に対して自社製品がどの程度対応できるか、といった定性データも踏まえてアプローチの優先順位を決めていきます。

また、既存顧客の属性を分析して特徴を知ることによって、「どのような見込み客が顧客化しやすい傾向があるか」を明らかにして選別する手法も有効です。

2.リードナーチャリングが注目されている理由

なぜリードナーチャリングに注力している企業が多いのでしょうか。その背景には、ユーザーの購買行動が変化していること、獲得したリードが放置されてしまうことなど、BtoBマーケティングにおける課題が関係しています。

購買モデルの変化

近年は、インターネットやスマートフォン、IoTの普及によって人間が生み出す情報量が爆発的に増加。「情報爆発の時代」と言われるようになって久しく、見込み客との継続的な関係を維持していかなければ自社の製品、サービスを選んでもらうことは困難になってきています。そのため、集めたリードに対して関係性を維持しながら育成をしていく、リードナーチャリングが重要視されるようになってきたのです。

検討中のリードが放置されやすい

リードジェネレーションで獲得したリードをそのまま営業部門にパスした場合、営業は現時点で確度の高い案件だけを追い、それ以外のリードは放置されてしまうおそれがあります。そもそも、すべての案件を営業が追客すること自体が現実的ではありません。

購買意欲の低いまま営業に渡すのではなく、関心度を高めてからリードをパスすれば、効率よく受注率をアップできます。

受注までのプロセスが長期化

特に、BtoB商材においては見込み客との最初の接点から受注までのプロセスが長期にわたる傾向があることから、リードナーチャリングを行わない=長期間放置することになりがちです。もちろん、営業担当が定期的に連絡を入れる可能性もありますが、前述の通り確度の高い見込み客に流れやすいので、この期間に他社と契約してしまうかもしれません。

長い検討期間中に、リードナーチャリングを通してしっかり信頼関係を結んでおくことが重要です。

3.リードナーチャリングのメリット・デメリット

続いて、リードナーチャリングを実施することによって得られるメリットとデメリットについて整理します。

<メリット>

  • 見込み客が競合他社に流れるのを防げる
  • 受注数・受注率が上がる(営業効率が上がる)
  • 集客コストのロスを圧縮できる

<デメリット>

  • リソースが必要(工数がかかる)
  • 効果が出るまでに時間がかかる
  • 集客(リードジェネレーション)が安定していないと機能しない
  • それだけでは売上に結びつかない(営業が受注して初めて売上が立つ) 

リードナーチャリングのメリット

まずは、リードナーチャリングを行うことで得られるメリットを見ていきましょう。

見込み客が競合他社に流れるのを防げる

営業部門では、効率的に受注できる見込み客を優先的に追うため、すぐに受注に結び付くような確度の高い見込み客以外は放置されがちです。

 

リードナーチャリングを行えば、そうした見込み客もつなぎとめることができます。適切なナーチャリングにより、商品に対する見込み客の理解度や興味を育てることができれば、最終的に受注にまでつなげられます。

 

逆に、リードナーチャリングを行わなければ、その見込み客は他社製品の購入を検討し始めてしまい、購入に至ってしまうおそれがあります。

受注数・受注率が上がる(営業効率が上がる)

先述したとおりマーケティング部門でリードナーチャリングを行い、確度を高めて営業部門にパスすることで、営業部門の成績(受注数・受注率)は上がります。

 

確度の低い見み込客だけでなく、営業部門でアプローチ中の見込み客が、何かの事情で途中で商談をストップせざるを得なくなったようなときも、マーケティング部門に戻してリードナーチャリングを行うことで、商談が復活する可能性を維持できます。ただし、その場合は営業部門とマーケティング部門の連携が大切です。

集客コストのロスを圧縮できる

広告やキャンペーン、展示会への出展など、集客のために費用をかけて多くの見込み客を集めたとしても、ひと握りの確度の高い「今すぐ客」だけを受注して、残りのほとんどを逃してしまえば、大半がムダになってしまいます。

 

リードナーチャリングを行うことで、今までなら受注できなかった見込み客を受注できるようになり、集客コストのロスを削減できます。

リードナーチャリングのデメリット

一方、リードナーチャリングを行うことでの負担や注意点もあります。次に、デメリットを見ていきましょう。

リソースが必要(工数がかかる)

新しい施策を行うためにリソースが必要になるのはマーケティングに限った話ではありませんが、特にリードナーチャリングには工数がかかるため、人的リソースが必要になってきます。

 

また、リードナーチャリングでは、見込み客とそれぞれに行ったマーケティング施策に関するデータを一元管理する必要があり、マーケティングオートメーション(MA)などのツールが活用できる環境が望ましく、マーケティングを支援するツールやシステムの導入費用などもかかってきます。

効果が出るまでに時間がかかる

リードナーチャリングでは、個々の見込み客が立っているステージに合わせて、必要な情報を提供するなどのアプローチを行っていきます。
すでに検討段階が進んでいる見込み客は「確度が高い」と判断され、営業部門がアプローチしているため、リードナーチャリングを行う見込み客は、検討を始めたばかりの層や、自社の製品について詳しく知らないという層が多いです。

 

そういった見込み客を、受注まで根気良く追いながら育てていく必要があり、取り組んですぐに結果が出るような施策ではありません。

集客(リードジェネレーション)が安定していないと機能しない

リードナーチャリングは、あくまでも獲得済みの見込み客に対して行うマーケティング施策であり、あらかじめ集客(リードジェネレーション)してあることが前提となります。

 

そもそもの集客に課題がある場合は、そこから解消しなくては、リードナーチャリングは行えません。

それだけでは売上に結びつかない(営業が受注して初めて売上が立つ)

マーケティング部門が無事にリードナーチャリングに成功して、確度の高いホットリードを創出できても、そのままでは「見込み客」のままです。

 

営業部門にパスして商談が進み、受注して初めて売上が立つため、営業部門との連携や営業部門の営業力が適切に働かなければリードナーチャリングの効果が活きません。

4.リードナーチャリングを実行するための6つのステップ

それでは、実際に獲得した見込み客を育成していくにはどのような道筋をたどればよいのでしょうか。5つのステップに分けて解説します。

①見込み客の情報を整理し、一元管理する

リードナーチャリングの最初のステップは、自社に蓄積されている見込み客の情報データを整理して一元化し、管理することです。

 

見込み客(リード)の獲得手法は企業ごとに多様化しています。営業担当が個人で名刺を管理していたり、複数部署で同一クライアントの情報が重複していることもあるでしょう。

 

展示会やセミナーでの名刺交換、Webサイトからの資料請求と異なるチャネルから得た顧客情報を統合し、すべてのデータを一元管理することで必要な情報の抜け漏れや重複を防ぎます。また、対象母数が最大化され、リードナーチャリングの効果が高まります。

 

見込み客の情報の一元管理にはMA(マーケティングオートメーション)ツールを活用すると良いでしょう。オンラインとオフライン、アナログとデジタル、いずれの接点からの見込み客データも同一のツールで適切に一元管理でき、どのようなアプローチが最適かを検討するのに役立ちます。

②ターゲットを定めてペルソナを設計する

次に、リードナーチャリングの対象となるターゲットを明確にします。誰に向けてリードナーチャリングをするのかを定義し、具体的なユーザー像を「ペルソナ」として設計しましょう。
 
ペルソナを細かく、具体的に設計することで、対象となるターゲットはどのような人で、どのような業務を行い、どのような悩みや課題を抱えているのかを理解するのに役立ちます。

 

さらに、ペルソナがどのように自社の商品・サービスを知り、どのように購買に至るかの道筋をまとめた「カスタマージャーニーマップ」を作成すれば、見込み客の行動と具体的な購買プロセスをより具体的にイメージでき、有効な施策を打ち出せるでしょう。

【関連リンク】
BtoB企業の『デジタルマーケティング』はカスタマージャーニーに沿って

見込み客のセグメンテーション(セグメント分け)

統合された見込み客のモチベーションやニーズはそれぞれ異なります。

 

同じオフラインのアプローチで得た見込み客でも、展示会でたまたま通りかかった人と、製品選定の知識を得る目的でセミナーに参加した人では期待する情報や次に取るアクションは異なります。

 

いつ、どこで行われた展示会で自社と接点を持ったのか、Webサイトの中でどの製品のカタログやCADデータをダウンロードしたのかなど、それぞれのリードを細分化して分類し、見込み客の属性やステータス(状態)、購買意欲によってセグメンテーション(セグメント分け)をする必要があります。

 

効率的なアプローチのためには、ナーチャリングの対象となる見込み客の条件を明確にして分類し、そのなかから購買の可能性が高い見込み客を抽出することが大切です。

 

セグメント分けはあまり細かくし過ぎず、マーケターと営業の双方が管理しやすい限りで設定すると良いでしょう。

④コンテンツの作成

見込み客のセグメント分けが完了し、自社製品の購買プロセスや見込み客の属性が明確になったところで、コンテンツを作成します。

ここで重要なのは、セグメント分けしたそれぞれのリードに対して、彼らが関心を持つようなコンテンツを作ることです。

たとえば、展示会でたまたま自社のブースを訪れた人に対していきなり製品カタログを送付したり、無料デモの案内を流したりしても効果は期待できないでしょう。そのような認知層の見込み客に対しては、自社製品で解決できる課題についてのコンテンツや、業界に関する無料セミナーへの誘致を行うことで、見込み客の課題を明確にして製品や自社のサービスへニーズを喚起するのが有効です。

一方、Webサイトで価格表をダウンロードした人の場合、上記のリードよりも、より購買に近い段階である可能性が高いと言えます。そのような場合は、無料デモ貸し出しの案内や、割引キャンペーンの案内を流すことも効果的になります。


いずれにせよ、ターゲットと目的を明確にすることが重要です。そのためにはどの段階にいる人に見てほしいのか、それを見た後にどのようなアクションをとってほしいのかを明確にした上で、コンテンツを作成しなければなりません。

⑤施策の実行と効果測定

整理・分類した顧客情報をもとに施策を実施します。見込み度合いなどのセグメントごとに、それぞれに合ったコンテンツを配信しましょう。

 

メールの配信後は顧客の反応を測定するため、開封率や掲載したリンクへのアクセス状況、どのページを閲覧したかといった行動を解析します。解析結果から、顧客のニーズに対してより適切な情報を継続的に提供していき、見込み度合いを高めていきます。

 

このようなリードナーチャリングの精度を高めるには、PDCAを回していくことが不可欠です。

 

効果測定では、アポ率・案件化率・受注率といった定量的な効果測定に加え、「このコンテンツはどのような顧客の悩みを解決するのか」といった定性的な情報をマーケティング部門と営業部門(インサイドセールス、フィールドセールス)で共有し、コンテンツ制作やアプローチ手法に落とし込んでいきましょう。

5.リードナーチャリングのおもな5つの手法

リードナーチャリングの手法には、「SNS」「広告」「メール配信」「セミナー」「インサイドセールス」の5つがあります。

 

いずれの手法も、基本的にはオウンドメディアで記事コンテンツを公開し、それをもとにしてリードナーチャリングを行うことが多いです。

SNS

Facebook、Twitterなどで企業アカウントを取得し、情報発信する方法です。
必ずしも見込み客の会社名や実名といった確かな情報が得られるわけではありませんが、オウンドメディアに掲載した新着記事の情報、新製品情報などを投稿し、コーポレートサイトやオウンドメディアへ誘導するのに適しています。

ファンページなど、自社のファンやユーザー同士がコミュニケーションを取る場を作って提供する方法もあります。

広告

企業IPから広告配信先を限定する「企業ターゲティング広告」や、Webサイトを訪問した見込み客に広告を表示させる「リターゲティング広告」を用いて製品を訴求します。広告を閲覧した見込み客のステータスを上げて、次のナーチャリング施策を行ったりと、広告を活用してリードナーチャリングを行う手法です。

メール

リードナーチャリングにおけるメールは、メールマガジンのように全員に同じ内容を送るものではありません。

ストーリー性(シナリオ)のある複数のメールを一定のスケジュールに沿って順番に送信する「ステップメール」や、条件ごとに分類された見込み客グループごとにメールの内容を変えて送信する「ターゲティングメール(セグメントメール)」などがあります。


※メールマーケティングの必要性から、成功事例や参考テンプレートを記載した無料ダウンロード資料もございます。
よろしければこちらも併せてご利用ください。

>BtoB企業向けメールマーケティングガイドライン(無料)

メールマーケティングに関して、詳しくは下記の記事もご覧ください。

セミナー

BtoB企業で有効なリードナーチャリング手法です。見込み客の検討段階に合わせ、特に知りたいと思っているであろうテーマに関してセミナーを開催し、参加者に必要な情報を与えます。

参加してくれた見込み客は、時間を取って足を運んでくれた分だけ、興味・関心も高いと判断できます。参加後もメールなどでフォローしていきましょう。

インサイドセールス

昨今ではインサイドセールスという役割の部隊が電話でリードナーチャリングを行うケースが増えてきました。連絡方法は電話を使用することがほとんどですが、従来のテレアポとは異なり、よりマーケティング視点で関係性を構築していきます。

 

インサイドセールスとは、マーケティング施策で集めたリードに対して、電話やメールなど非対面のコミュニケーション方法によって営業活動を行う手法です。過去に何らかの接点を持った見込み客に対して、自社の商品・サービスを検討してもらえる状態までサポートします。

 

アポを取るための飛び込み営業的な架電との大きな違いは、「アポを取ること」だけが目的ではなく、あくまでも自社の商品・サービスをまだ検討していない顧客との「関係構築」と、検討段階に至るまでの顧客を「育成」する活動を行う点です。


【関連記事】

インサイドセールスとは?よくある課題や事例までをまとめました!

6.ナーチャリング後のアプローチの流れ

リードナーチャリングにおけるアプローチの担当部門は、見込み客のポテンシャルとステータスによって変わってきます。ポテンシャルとは、自社のメインターゲットの条件への合致度です。ステータスとは、その見込み客の見込み度の高さです。

 

たとえば、とあるITツールベンダーの見込み客のポテンシャルとステータスごとのアプローチ例は下図のようになります。

 

アプローチ例

引用:BowNow ABMテンプレート

 

見込み客のポテンシャルとステータスの設定方法など、詳しくは下記の記事をご覧ください。

【関連記事】

マーケティング部門のアプローチとは?

マーケティング部門では、ポテンシャルが高くステータスが低い見込み客をナーチャリングで温め、見込度を上げていきます。

インサイドセールスのアプローチとは?

インサイドセールスでは、ポテンシャルが低く、ステータスも低~中の層にアプローチします。

お客様の課題をヒアリングし、最適な製品を提案しますが、このアプローチでは受注ではなく、コミュニケーションを深めるのが目的です。見込度が上がれば営業部門(フィールドセールス)へパスして商談へつなげます。
インサイドセールスの活動が功を奏し、見込み客が自社の商品・サービスを検討する段階にまで育成した状態で、インサイドセールスからフィールドセールス(外勤営業)にパスし、売上につなげてもらうのが一般的な流れです。

【関連記事】

営業部門のアプローチとは?

ここでようやく、見込み客リストに対して営業がプッシュでアプローチをします。ポテンシャル、ステータスがともに高いところにアプローチし、商談から受注します。

この時に重要になるのが、営業からマーケティング部門への結果のフィードバックです。

それぞれのステップで仮説立てをし、実行されたリードナーチャリングがどれくらい効果があったのか、成約率を上げるためのボトルネックになっている部分はどこなのかを洗い出し、マーケティングの精度を上げていきます。

 

あるリードからの成約率がほかのリードよりも高かった場合、その属性のリードを増やすためのリードジェネレーションを行うことで、最終的な成約数は上がります。

ABMで見込み客へもれなくアプローチしよう

ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)とは、自社にとって価値の高い顧客を選別し、一社一社、顧客に合わせて最適なアプローチをするマーケティング手法のことです。近年のBtoB企業においては、自社の売上や利益に貢献してくれる優良顧客との取引を重視し、潜在顧客や見込み客、既存顧客のなかから自社にとって有益な顧客を選別しようとする試みが広がっています。そこで必要となる考え方が「ABM」です。

 

ABMの考え方はマーケティング・オートメーション(MA)とともに普及してきました。また、ABMを実現するためにはインサイドセールスの活用が有効です。

 

それなりの費用や手間をかけて集客した大切な見込み客ですから、もれなく最適なアプローチをして、リードナーチャリングしていきましょう。

【関連記事】

ABMとは?手法・メリット・目標・ツールなど知っておきたい知識をまとめました!

7.リードナーチャリングで成果を上げるための4つのポイント

リードナーチャリングを成功させ、成果を出すために意識しておきたいポイントを4点ご紹介します。

部門間で連携し、リード情報を共有する

リードナーチャリング施策はおもにマーケティング部門が実行しますが、関心度合いや購買意欲が高まった顧客への受注活動は営業部門が担当します。営業部門に引き継いだ後も適切な顧客対応を行うには、マーケティング部門と営業部門のあいだで、見込み度合いが高まったプロセスやアプローチの履歴などさまざまな情報を共有できるチーム体制の構築が大切です。

KPIを適切に設定する

効果的なリードナーチャリングを実施するためには、数値化できるKPI(最終目標であるKGIに対する中間指標)を設定しましょう。

まずは最終目標であるKGIを明確にし、その目標に到達するにはどのような指標をクリアしなければならないかを検討します。部署全体で目標に向かいやすいよう、KGIに対して整合性があり、明確で測定可能な目標を設定するのがおすすめです。

 

KPIを設定し、ナーチャリング施策を実施してからも、つねにPDCAサイクルを回し、現状を分析して改善点を洗い出し、ブラッシュアップしていくことが大切です。


なお、顧客のさまざまな情報はナーチャリング後の商談や受注の段階で施策の効果を分析するのにも役立ちます。MAやSFAなどのツールを活用し、顧客情報を正確かつ迅速に収集・共有・管理しましょう。

MAツールで効率化する

前章で紹介したリードナーチャリングを効率的に行うためには、当然ながら手動の管理のみでは限界があります。

 

マーケティング活動の複雑なプロセスを自動で管理し、顧客に適切なコンテンツを提供するためのツールをMA(マーケティングオートメーション)ツールと呼びます。

 

MAツールを取り入れることで、それぞれの購買プロセスに応じたコンテンツの配信や属性の分析を自動で行えます。また、ルーティンワークになってしまいがちなそれぞれの作業を自動化することで人的ミスを防ぐことができます。



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マーケティングオートメーションについては、こちらの記事もご覧ください。

ホットリードの定義を定め、スコアリングで明確化する

 

定義を定める際にはスコアリングを用いると良いでしょう。たとえば、「料金ページを閲覧したら2点」「資料をダウンロードしたら3点」「お問い合わせをしたら4点」などとリードの反応に沿った点数を設定しておき、リードごとに点数を合計して一定の点数を超えたらホットリードとみなします。

 

スコアリングでは見込み客の行動を数値化し、ホットリードであるか否かを客観的に判断できます。MAツールを活用すれば合計点からホットリードを自動的に抽出でき、部門間や個人間での認識のズレから個々の見込み度合いに合わない施策を実施してしまうといったミスを防ぐことができます。

 

【関連記事】
リードがないのにいきなりMAのシナリオ機能で成果を出そうとしていませんか?

8.まずは費用をかけずに始められるリードナーチャリング

ここまで、リードナーチャリングを始めるためのステップや管理ツールに関してご紹介してきましたが、どの企業でも本格的なツールを導入し、このような新しい取組みを始めるにはそれなりの予算や検討期間が必要になります。

そこで、今回はあまり予算をかけずに部分的にリードナーチャリングを始められる手法をご紹介します。

①Webサイトの問い合わせフォームのセグメント分け

一口に問い合わせといっても、カタログやホワイトペーパーのダウンロード、無料デモの申し込み、資料請求などWebサイトへの訪問者のニーズはさまざまです。

これらの訪問者に対して個別の問い合わせフォームやチェック項目を設けることで、検討度合や目的ごとのセグメント分けが可能になります。
検討度合の高い項目に関しては、入力フォームの必須情報を増やすことなどにより、さらに詳細な顧客情報を得ることができます。

②ステップメール

お問い合わせや展示会で獲得した顧客情報に対して段階的にメールを送る手法です。

たとえば、お問い合わせをもらったが資料請求のみで、実際の訪問などの次のステップに移らなかった見込み客に対して定期的にメールで情報を送ります。

5~10回ほどのステップに分け、2週間ごとに段階分けされたメールを配信し、すべて配信し終わった顧客から、再度アクションを試みます。一度は自社のWebサイトに訪れ、問い合わせてきた見込み客なのですから何もせずに放置するのは非常にもったいないことです。

③定期的なノウハウ提供メール

獲得したリードに対してセールスレターを送り続けると、敬遠されて購読の登録を解除されてしまうことがあります。しかし、顧客にとって本当に役に立つノウハウを提供し続ければ、次第に自社のファンになってもらうことができ、そのサービスが必要になったタイミングで顧客の方から問い合わせをもらえるようになります。

9.リードナーチャリングの指標と成果を分析する方法

前章でご紹介したようなステップメールなど、メールによるリードナーチャリングは、施策の効果測定を行うことが可能です。メールによるリードナーチャリングには、一度に多くのリードに対してアプローチができるメリットがあり、リードナーチャリングで主流の手段となっています。

メールナーチャリングの効果測定には、「7.リードナーチャリングで成果を上げるための4つのポイント」でご紹介したようなマーケティングオートメーションツールや、効果測定機能を備えたメール配信ツールが必要です。メールナーチャリングの効果を分析するために活用できる指標には、「メール開封」「URLクリック」「コンバージョン」などがあります。

①メール開封

HTMLメールを配信し、リードがメールを開いた「開封」の総数や送信数に対する率を計測します。

一般的なメールの開封率は、セグメントメールで30~50%、展示会・イベントなどのお礼メールで25~40%、一斉メール(メルマガ)で10~20%といわれています。

上記の数値と自社の数値を比較して評価するほか、メールタイトル(件名)や配信する時間帯を工夫し、その結果を比較して自社にとってのメールナーチャリングのベストプラクティスを導き出しましょう。

②URLクリック

メールの本文内に記載するURLを観測用のURLに置き換えることなどにより、リードがURLをクリックした日時などを取得できます。クリックの総数、開封の総数に対する率を計測します。

一般的なメールのクリック率は、0.8~1.5%といわれています。

③コンバージョン

配信したメールが開封されてURLがクリックされたもののうち、申し込みや購入など、あらかじめ設定しておいたコンバージョンにつながったものの総数や率を計測します。

コンバージョン率の平均は一概にはいえませんが、リードが無料で手に入れられるようなホワイトペーパーのダウンロードやサンプルの申し込みなどの場合は、30%程度だといわれています。

10.まずはリードナーチャリングの一歩目をふみだそう!

リードナーチャリングで成果を出すには、効果検証と改善を重ねることが大切です。適切なナーチャリングを実施して顧客からの信頼を得、さらに関係性を高められればファンの醸成につながるでしょう。

 

個々の見込み客に合った最適なリードナーチャリングを行うために、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の考え方が大切になります。見込み客のステータスとポテンシャルを見極め、部門間で連携を取りながら育成していきましょう。

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>リレーションシップマーケティングとは?メリットや施策、製造業における重要性をまとめました!



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Thu, 20 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[リレーションシップマーケティングとは?メリットや施策、製造業における重要性をまとめました!]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/relationship_marketing 現在、市場における淘汰や競争は進み、継続的に安定した利益を生み出したり、長期的に差別化を図ることが難しくなっています。そのような中、SNSなどの普及で消費者は自ら必要な情報を集めるようになり、より個人の顧客と企業の関係に注目した施策を行う必要性が出てきました。

そこで注目されているのが今回ご紹介する「リレーションシップマーケティング」です。本手法は顧客と長期的に良好な関係を構築することで、商品のリピート購入・単価アップを狙い、顧客の生涯価値を最大化します。

本記事ではリレーションシップマーケティングについて、その重要性が増している背景やメリット、具体的な手法などを詳しくご紹介します。また、製造業においては従来から営業活動におけるリレーション構築が重要視されてきましたため、そちらに関しても記事内で触れていきたいと思います。

 


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リレーションシップマーケティングとは?

リレーションシップマーケティングとは、顧客と長期的に良好な関係を構築して商品・サービスの満足度を上げることで、企業利益の最大化を目指すマーケティング手法です。

本手法は自社商品やサービスの市場シェアを広げるよりも、「顧客との良好な関係性の構築」に重きを置くのが特徴です。優良顧客との継続的な取引や口コミによる拡散を通じて、企業・製品ブランドや顧客ロイヤリティの創出を目指します。

顧客の視点を第一に考え、ニーズを満たす商品・サービスを提供するだけでなく、購入後もフォローを行うことで長期的に良好な関係を築くリレーションシップマーケティングは企業における重要度が増しており、様々な企業で導入されています。

 

以上が一般的な「リレーションシップマーケティング」の説明になりますが、実は製造業においては、顧客のニーズに合わせて製品を共同開発したり、機器の入れ替わりのタイミングを把握するために、従来からリレーションの構築が重要視されてきました。マーケティングという言葉は使われていないものの、「関係構築」という重要な要素は、リレーションシップマーケティングの本質と同様です。

ではなぜ、製造業以外でもリレーションマーケティングが重要視されるようになったのでしょうか?次章ではその背景をご紹介します。

リレーションの重要性が増す背景

リレーションシップマーケティングの重要性が増す背景には、消費者や商談を取り巻く様々な変化があります。大きく3つに分けてその変化を詳しくみていきましょう。

消費者行動の変化

インターネットの登場及び近年のスマートフォンの普及によって、消費者は自分の欲しい商品やサービスに関する情報を自身で手に入れられるようになりました。すると これまで一般的だった「売り手から情報を与えられるのを待つ」消費者は減り、「自ら情報を集めるための能動的な行動」を取る消費者が主流になったのです。このような変化は、リレーションシップマーケティングが重要視されるようになった大きな要因です。

消費者の集める情報量の変化

消費者行動の変化によって、消費者は自分にとって必要な情報をいくつも集められるようになり、商品・サービス購入を検討する際の情報量は急増しました。また、その情報ひとつひとつを吟味し、理想の商品・サービスを納得できるまで探すようになったことで商品購入を検討する期間は長期化しています。 そこで一時的な売上を重ねるよりも、長期的に関係を構築することを重視するリレーションシップマーケティングが注目されるようになったのです。

また、上記のような変化から現在市場は消費者優位の状況にあります。このような状況は、顧客の視点を第一に考慮するリレーションシップマーケティングの必要性を生み出しました。

パーソナライズの必要性

消費者が「自分に必要な情報」を簡単に手に入れることができるようになった今、従来のような画一的な情報の提供・アプローチは効果が低いとされています。 データを元にしたパーソナライズ化された情報の提供が必要になっているのです。

インターネットを活用したデータ分析によって、消費者側のセグメントやそれにマッチした施策を検討し、それぞれに最適化したアプローチが必要になります。

このような背景から、有益な情報提供を中長期的に行い、消費者と良質な関係を構築していくことを主眼とするリレーションシップマーケティングが非常に重要とされているのです。

製造業ではリレーション構築は昔から重要

近年、MAツールやCRMツールの活用が増え、「リレーションシップマーケティング」の大切さが再度騒がれていますが、既述の通り製造業にとってリレーション構築は昔から重要なプロセスでした。ここで改めて、製造業においてリレーション構築が重要な理由をご説明します。


デジタルツールがなかった頃には、現場の営業マンのヒアリングやニーズ把握が、重要なマーケティング活動でした。当時はマーケティングという部署はなかったものの、実は今デジタルで実施していたことを、営業マンや技術者1人1にが実施していたのです。

ただし、営業が貯めた情報を蓄積したり引き継いだりする手段がなかったため、属人化は課題に。一方でCRMやMAツールを活用すれば、一定のリレーション構築は実施できるようになるため、非常に重宝されています。

もちろん、直接人と人が合うことによるリレーション構築とは全く質が異なるのですが、データ蓄積や標準化・効率化といった観点で言えば、うまくツールを使いこなすことで過去のネックを解消し営業成果を最大化することができます。

リレーションシップマーケティングに注力するメリット

リレーションシップマーケティングを実施することで得られるメリットは大きく4つ挙げられます。詳しくみていきましょう。

客単価の向上

リレーションシップマーケティングを実施して優良顧客を生み出すことで、1回の購入金額や年間平均購入金額向上が期待でき、客単価はアップします。また、良好な関係の構築によって企業に対する信頼感が高まっているため、関連商品などを購入してもらえる可能性も高まり、顧客単価はさらなる向上が狙えます。

リピート率アップ・新規顧客獲得のコスト低下

顧客からの信頼を得られれば、顧客は他社商品の検討や乗り換えの必要がなくなり、自社商品・サービスを繰り返し購入してくれるようになります。毎回満足してもらえる商品・サービスを提供できれば、解約率の低下も実現可能です。

また、リピートによる購入で売り上げを確保できれば、新規顧客開拓へコストの削減もでき、少ない労力で売上アップを図ることができます。

口コミによる拡散

SNSやWebサイトの利用が一般的な現在、口コミの効果は絶大です。 顧客をロイヤルカスタマー化できれば、顧客は「無料の広告塔」として周りに商品・サービスを宣伝してくれ、口コミによる新規顧客の獲得機会を増やすことができます。

また、購入の際には商品に関するレビューも大きな判断材料になります。優良顧客による口コミやレビューによって客観的な信頼度を高めることで、自社商品のプロモーション効果が期待できるのです。

顧客のLTV(生涯価値)向上

Life Time Valueの略であるLTV(生涯価値)は、「顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益」を指します。既存顧客からのリピート購入には顧客獲得単価がかからないため利益を最大化することができ、LTVの数値は新規顧客の数よりも重要とされています。

リレーションシップマーケティングを実施することで、顧客のLTVは大きく向上します。

 ツール導入による情報の蓄積やニーズ把握

顧客とのリレーション構築を目的としてツールを導入した場合、おそらくメールを配信したり会話の情報を記入していくはずです。そのデータがツールに溜まっていくことで、仮に担当者が変わっても顧客の情報を正確に引き継ぐことができます。

 

特に製造業は、顧客の製品の入れ替えタイミングや具体的なニーズが、営業数字を左右します。そのため、ヒアリングできた情報は確実に社内に蓄積し、その時が来た時に気づく必要があります。

 

こういったツールの導入及び情報の蓄積により自社の売上を伸ばしていけることも、リレーションシップマーケティングの大きなメリットです。

リレーションシップマーケティングの具体的な手法

リレーションシップマーケティングについて詳しくわかってきたところで、本章では具体的な手法をご紹介します。顧客との良好な関係を構築するには、以下のアプローチが有効です。

データベースマーケティング

データベースマーケティングでは、購買履歴や属性情報、アンケートの回答など、様々な顧客情報を収集・管理・分析し、顧客の興味・嗜好によりマッチしたアプローチを行うことで売上アップを目指します。 データベースマーケティングの目的は新規顧客開拓ではなく、あくまで既存顧客との長期的且つ良好な関係を構築することにあり、リレーションシップマーケティングにおいて非常に効果的な手法です。

顧客のニーズに主眼を置くことにより、きめ細やかなサポートを行えるほか、顧客のニーズの発生を捉えたアプローチによる受注の可能性アップや、顧客情報の一元化による手間の削減で、効率的な販促活動を実現できるというメリットがあります。

その反面、常にデータを最新に保つため、行ったプロモーションを随時データベースに反映させる必要があります。また適切な分析を行うために、データの用途や目的をクリアにしなければならないなど注意が必要です。

アカウントベースドマーケティング

アカウントベースドマーケティングとは、BtoBにおけるマーケティング手法です。 自社にとって価値の高い優良顧客を選別して、それぞれの企業に合わせた戦略的なアプローチを行います。顧客の量よりも質を求めることで、高いLTVが見込める企業にリソースを集中することができ、無駄を削減して効率的なマーケティング活動を実現できます。

あらかじめ企業を絞り込んでいるため追跡もしやすくなり、複数に渡るアプローチを検討・分析することで精度の高いアプローチも可能になります。しかし、運用が軌道に乗るまでは本手法を営業部門へ落とし込むのが難しいというデメリットもあり、営業部門とマーケティング部門で認識をすり合わせるなど、調整を続けていく必要があります。

OnetoOneマーケティング

OnetoOneマーケティングは、顧客1人ひとりのニーズ・関心に合わせてアプローチを行うマーケティング活動です。それぞれの顧客の価値観や興味・状況などの情報を把握・分析した上で実施します。 ターゲットを絞った情報発信を行うことでマーケティングの費用対効果を高めつつ、顧客のニーズを満たすことで関係性の向上も見込めるという点がメリットです。

マスに向けて一斉に情報を発信するわけではないので、複数のマーケティングなどの組み合わせやターゲティングの必要があり手間がかかるという一面もありますが、その分高い効果が見込めます。

まとめ

本記事では、顧客と長期的に良好な関係を構築して商品・サービスの満足度を上げ、企業利益の最大化を目指すマーケティング手法「リレーションシップマーケティング」をご紹介しました。

成功している企業では、適切なリレーションシップマーケティングが実施されている例も多くあります。 本手法をうまく活用できれば、収益を最大化するだけでなく、長期的に安定した利益を確保できるようにもなるため、企業にとって非常に重要な施策です。

現在ではリレーションシップマーケティングを実施するために利用できる様々なツールも登場しています。本記事でご紹介した手法を参考に、リレーションシップマーケティングの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

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デジタルマーケティングとは?基礎知識を簡単に!具体的な手法や学べる本・WEBも紹介


 

 



 

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Wed, 19 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[【2023年最新版】生産財マーケティングや産業財マーケティングのおすすめ本まとめ【4選】]]> https://mtame.jp/column/industrial_marketing BtoCマーケティングについての参考書はよく見かけるけれど、BtoBマーケティングについての著書は少なく、とくにものづくり企業に関わりの深い生産財マーケティング・産業財マーケティングについては、どの本から読んでよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。

 

本書では、初心者におすすめの著書から、産業財マーケティングの理論書、実践に役立つ参考書、生産材マーケティングの最新情報が得られる情報誌の4選をご紹介します。どれも製造業におけるBtoBビジネスに役立つエッセンスの詰まった良書ばかりです。

 

また生産材マーケティング、産業財マーケティングについてよくわからないという方に、冒頭で簡単に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

生産財マーケティングとは

「生産財マーケティング」とは、企業や政府機関などの組織をターゲットとしたマーケティングのことです。反対の意味をもつ「消費財マーケティング」は、消費者を対象とするマーケティングのことを指します。

 

生産財マーケティングはほかにも、産業財マーケティング・インダストリアルマーケティング(industrial marketing)・BtoBマーケティングと呼ばれることもあります。

 

消費者を対象としたBtoCマーケティングでは基本的に、不特定多数のニーズに対して施策を講じるため、マーケティングリサーチと、プロモーションは別々に認識されている場合が多いです。

 

一方生産材マーケティングでは、特定の組織に対してマーケティング施策をおこなうのが特徴です。顧客とのコミュニケーションにおいて、ニーズの把握とプロモーションが一連のプロセスでおこなわれ、売りながら調べたり、調べながら売ったりする活動が重視される傾向にあります。また消費財マーケティングに対して、生産材マーケティングは大規模・少数の市場といえます。

 

消費者が情動的に購買行動を起こすのに対して、企業が購買決定するプロセスには計画が必要となるだけでなく、さまざまな役職の人間が関わってきます。そのため、生産財マーケティングにおいては、多様な価値基準・専門知識をもつ人員が関与している集合体に対して、組織的なアプローチをしていくような、独特な戦略が必要です。

生産財とは

生産財(Capital goods)とは、産業財の一部。製品・サービスの生産において使用される財のことを指します。生産財は以下3つのプロセスに分けることができます。

 

● 完成品の生産に使われる材料や部品

● 完成品の一部となる、道具や機械などの資本財

● 完成品には直接的につかわれない保守用途としてのサービスや備品

 

生産財は、設備投資や生産能力向上といった目的で使用されます。たとえば製造業で使用される工作機械や工場・システムなどもこれにあたります。生産財は、産業財の一部として、生産活動や経済成長のうえで重要な役割を担っています。

産業財マーケティングとは

産業財マーケティングとは、企業や政府機関などの組織が購買する製品・サービスに対しておこなうマーケティング活動のこと。基本的には、一般的な消費財マーケティングの理論を応用して分析されますが、産業財マーケティングならではの特質があります。

 

まず産業財マーケティングの顧客は「組織」となるため、組織の購買プロセスを理解する必要があります。また加工プロセスに応じて、製品は「原材料」「部品」「完成品」などさまざまな状態であることから、製造企業は市場への参入段階を、戦略的に選択できるのも特徴となる点です。

 

また顧客である購買企業が販売企業になることがある、というのも産業財マーケティングならではで、その際には自社の製品が競争上の優位性になります。そのため顧客が企業に対して、仕様や納期などの条件を課すこともある、といった特殊な性質を持つのが産業財市場です。

 

さらに供給企業と顧客が競争関係になることもあり、たとえば販売企業にとっては顧客が前方統合(上流工程に進出)すること、顧客にとっては販売企業が同じ種類の製品を後方統合(下流工程に進出)することが、それぞれ脅威となることがあります。このような競争関係を回避するため、企業は顧客との関係を「供給者と顧客」として正しく維持して協力関係を築き、顧客の成長によって自社成長が見込めるビジネスモデルを構築する必要があるのです。

産業財とは

産業財(Industrial goods)とは、製品やサービスを生産するために使用される財のことを指します。

 

たとえば製造業で使われる、機械・工具はもちろん、原材料から設備まで、製品生産プロセスに直接必要となるすべての要素が産業財に含まれます。生産財がより具体的なプロセスを示しているのに対して、産業財は「生産に関連する財を包括する概念」として、広い意味で使われることが多いです。

「生産財マーケティング」

著:高嶋 克義 , 南 知惠子 出版:有斐閣(2006/11/20発刊)

 

「生産財マーケティング」

■本書の特徴と構成
生産財のマーケティング理解を深めるための必読書、初心者にもオススメ!

組織が、生産活動において必要な財やサービスを、効果的に選定・購買するためのマーケティング手法について解説されています。消費財マーケティングとの違いにも言及しながら、生産財マーケティングの理論や基礎知識・実践戦略までを網羅。まずはBtoBマーケティングを体系的に理解したいという方にぴったりの一冊です。

 

著者は組織論・マーケティング分野の専門家の視点から、心理学の側面からのアプローチや、産業市場における競争やサプライヤーとの関係性、購買企業と販売企業の相互作用といった生産財マーケティングの特質についてわかりやすく解説しています。組織の購買ニーズ・意思決定プロセスに焦点を当てて、効果的なマーケティング戦略を展開するための実践的な解説も豊富で、具体的な活用手法も学ぶことができます。

 

【目次】

第1章 生産財マーケティングとは
第2章 購買行動を分析する
第3章 市場を分析する
第4章 取引関係を構築する
第5章 依存関係を管理する
第6章 顧客に適応する
第7章 新製品を開発する
第8章 営業体制をつくる
第9章 潜在顧客を開拓する
第10章 チャネルを構築する
第11章 これからの生産財マーケティング

引用:honto

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生産財マーケティングをわかりやすく解説

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参考になりました。

「産業財マーケティング・マネジメント(理論編)」

著:マイケル D ハット,トーマス W スペイ,笠原 英一 (翻訳) 出版:白桃書房(2009/10/15発刊)

 

「産業財マーケティング・マネジメント(理論編)」

■本書の特徴と構成
理論と実践バランスのとれた一冊。BtoBマーケティングに関わるなら一度は読んでおきたい!

「産業財マーケティング・マネジメント 理論編」は、組織顧客のニーズを導き出してソリューションを提供する、BtoBマーケティングにおける研究書です。理論編と謳ってはいるものの、実践をイメージしやすい豊富な事例が掲載されており、またそれを裏付ける理論が解説されています。

 

本書では、産業財マーケティングにおける理論的な側面に焦点を当て、基本的な概念やフレームワークを詳細に解説。原著は英文・736ページの大型本ですが、丁寧に翻訳・解説されていて読みやすく、産業財市場の特性を理解したうえで効果的なマーケティング戦略構築を学べます。

 

米国企業のマーケティング事例が多く、アメリカで取り組まれている分業化や情報インフラ整備についても知ることができ、マーケティングの知見を広げるのにも役立つはずです。産業財のマーケティングに関心のある学生やマーケティング担当者、研究者にとっても有益な一冊となっています。

 

【目次】

第1部 産業財マーケティングを取り巻く環境
 産業財マーケティングの視点
 産業財市場:組織顧客に対する見方
 組織の購買行動
第2部 産業財マーケティングにおける関係性管理
 産業財市場向け顧客関係性管理の戦略
 産業財市場のためのeコマース戦略
 サプライチェーン管理)
第3部 市場機会を評価する
 産業財市場の細分化
 組織需要の分析
第4部 産業財マーケティング戦略を構築する
 産業財マーケティングの計画:戦略的視点
 グローバル市場のための産業財マーケティング戦略
 産業財市場のための製品管理
 イノベーションの管理および新しい産業財の開発
 企業市場向けサービスの管理
 産業財流通におけるチャネル管理
 産業財市場の価格設定戦略
 産業財のマーケティング・コミュニケーション:広告と販売促進
 産業財のマーケティング・コミュニケーション:営業機能の管理)

引用:楽天ブックス

 【口コミ】

マーケティング・バイブル

「戦略的産業財マーケティング: B2B営業成功の7つのステップ」

著:笠原 英一 出版:東洋経済新報社(2018/5/18発刊)

 

「戦略的産業財マーケティング: B2B営業成功の7つのステップ」

■本書の特徴と構成
BtoBマーケティングの専門家による実践ガイド

「戦略的産業財マーケティング: B2B営業成功の7つのステップ」は、BtoBマーケティングに特化した実践向けガイドです。自動車部品、電機、工作機械、コンピューターといった産業財市場において、先進企業が実践しているプログラムを体系化。基本理論から最新トピックまで学べる実務家のための教科書として、BtoB市場を対象にしたマーケティングと営業活動を統合したモデルを提案しています。

 

本書では7つのステップによって、現状分析から事業目標の設定、セグメンテーション、価格設定、販売チャネルの選択、販売促進、そして顧客価値の実現まで、幅広いトピックをカバーしています。

 

また著者である笠原英一氏はBtoBマーケティングにおいて豊富な経験と知識を持つ専門家であり、前出の著書「産業財マーケティング・マネジメント理論編」の翻訳も務めています。実践的かつ戦略的なマーケティング手法を提唱し、国内外の大手企業を中心にコンサルティング業務にもあたるなど、まさに日本のBtoBマーケティングを牽引する人物です。

 

また本書は、日本企業の弱みである意思決定の遅さに対しても言及し、実践重視の考え方を示しています。BtoBマーケティングの理解と実践力を高めたいマーケティング担当者や経営者にとって、非常に役立つ一冊です。

 

【目次】

まえがき

序 章 B2B市場における新たな実践的アプローチ
 1 マーケティングの基本的な枠組み
 2 B2B市場の特徴
 3 B2Bマーケティングに関する研究の経緯
 4 戦略的産業財(B2B)マーケティングの7つのステップ

第1章 現状分析―4つのCで分析する
 1 Company(自社)分析
 2 Customers(顧客)分析
 3 Competitors(競合)分析
 4 Context(マクロ環境)分析
 5 4Cs分析と情報収集
 6 SWOT(クロス)分析

第2章 基本方向―事業目標、事業領域、競争戦略を定める
 1 事業目標
 2 事業領域
 3 新事業領域における成功ポイント
 4 競争戦略

第3章 コンセプト(STP)―セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング
 1 セグメンテーション―市場細分化
 2 ターゲティング―標的市場の明確化
 3 ポジショニング―提供する価値の明確化
 4 STPと情報収集

第4章 提供物とその価格―製品・サービスから価格を設定する
 1 提供物とは何か
 2 提供物の分類
 3 提供物の構成要素
 4 提供物の価格設定
 5 提供物に関する要因の選択―コンジョイント分析

第5章 販売チャネル(販路)―直接販売か、間接販売かを選択する
 1 B2B市場におけるチャネル構造
 2 チャネルの設計―6つのステップ
 3 チャネルの管理―チャネル・メンバーの選定

第6章 販売促進―コミュニケーションを設計する
 1 組織の購買行動のプロセス
 2 企業間広告の役割
 3 B2B市場における新たなコミュニケーション

第7章 営業活動―買い手の価値を実現していく
 1 営業の本質とは何か
 2 営業戦略
 3 営業形態―デジタル、外勤、パートナーなど
 4 営業プロセス―3つのプロセスと8つのステップ

終 章 デジタル・トランスフォーメーション―B2Bの本質は変わらない
 1 デジタル・トランスフォーメーションの本質
 2 デジタル・トランスフォーメーションと企業類型
 3 デジタル・トランスフォーメーションのマネジメント

あとがき

引用:Amazon

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BtoBマーケティングの理論と実践の両方を兼ね備えたテキストブック

「月刊生産財マーケティング」

発行:株式会社ニュースダイジェスト社

 

「月刊生産財マーケティング」

■本書の特徴と構成
生産財マーケティングの最新情報を得られる、研究開発情報誌

「月刊生産財マーケティング」は、生産財や産業製品のマーケティングに特化した専門誌で、1964年に創刊されて以来、多くの経営者やマーケティング担当者、技術者の方を中心に親しまれてきました。企業が生産財市場で競争力を維持し成長するための最新情報を、月刊誌という形態で提供しています。

 

本誌では、生産財市場に関する最新のトレンドやマーケティング戦略といった、生産財市場の今とこれからがわかる鮮度の高い情報を提供しています。掲載内容はたとえば、新製品の紹介、先進事例や先進企業の独自インタビュー、各メーカーの販売戦略、海外の動向、統計資料など、ものづくりに携わる方々にとって役立つ最新情報が満載です。

 

【目次】

月刊生産財マーケティング 2023年 6月号

工場物流を刷新せよ!
1. 加工だけでなく物流も
2. マテハンを強みに
○ 村田機械
○ 【インタビュー】村田大介 社長
○ 【工場ルポ】犬山事業所
3. アーム付きAMRの可能性
4. 先進事例に学ぶ
5. FA商社の旗艦拠点
6. 今こそマテハンに着目を
7. Pick Up! 注目製品
8. スペシャルインタビュー
○ 安川電機 小川昌寛 社長
9. Crossroads
○ プラスアルファというよりそっちがメイン
10. トップに聞く
○ 新エフエイコム 大矢英貴 社長
11. エディターノート
○ FAは必要か
12. Cutting Edge
○ ファナックが自社展に多数の新商品
13. PERSON
○ 新社長 マグネスケール 大野治さん
14. 特別企画
○ 一機種一選(周辺機器編)
15. CIMTリポート
○ CIMTに過去最高の来場者
16. マーケティング
○ 全国各地でPS開催
○ NBがガイド事業大幅縮小
17. 海外
○ ハノーバーメッセに13万人
○ 【シンガポール市場分析】東南アジアの物流ハブ
18. 連載
19. 紙のロボダイ
○ [ショールーム探訪vol.12]モノ売りからコト売りへ/因幡電機産業「ロボットセンターOSAKA」
20. 紙のSEISANZAI Japan
○ 産ロボ、受注は2四半期連続減少、生産・出荷は安定的に推移
21. 人に知恵 現場に技(第196回)/小野電機製作所
○ 研究を形に
22. 今に花咲き実を結ぶ Robotics 前編
○ 広島大学大学院 先進理工系科学研究科
○ 教授 村松久圭 氏
23. 今月の一品 自慢の製品を紹介(第75回)
○ リドエアートルネックス/トルネックス
24. 随想
○ 数値制御の開拓者 妖(洋)画家に変身(第3回)
○ ファナック 元専務取締役 岸甫
○ 1965年沖電気に入社 新規事業のNCを担当
25. インデックス
○ 告知板
○ Monthly Data Box
○ 新製品プレビュー
○ 統計マンスリー
○ FA短信
○ 海外短信
26. ニュースファイル
○ 天田財団、成果発表会開く
○ 型技術者会議、制限なく開催
○ 山善、売上高と純利益が過去最高に
○ データ・デザインが金型向けにデジタルPFのセミナー
○ NaITO、今期は「ユーザー目線を大事に」
○ ニュートラルが突起検出ツール関連の特許を取得
○ マザック美術館で染色の特別展
○ DSC協会、最終工程の高度化を目指す
○ DMG森、トレーニング施設を浜松に新設
○ 医療機器展で新規市場の開拓狙う
○ エンジニアリングブリッジが「春の集い」
○ アイスペースの月面探査機、着陸直前で通信途絶える

引用:月刊生産財マーケティング

 

 

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デジタルマーケティングとは?基礎知識を簡単に!具体的な手法や学べる本・WEBも紹介

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Mon, 17 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業のWebマーケティングを解説!具体的な施策と”製造業だからこそ”の重要性まで]]> https://mtame.jp/content_marketing/manufacture_webmarketing 製造業におけるWebマーケティングの重要性は言うまでもありません。かつては現場営業マンの関係構築から吸い上げるしかなかった顧客ニーズや市場トレンドも、デジタル技術の向上により取得が容易になってきました。

もちろん、それでも現場での生の声は重要になってはいますが、Webマーケティングという新しい武器を使うかどうかで、自社の今後の売上に大きく影響が出ます。そこで本記事では、製造業の方々向けにWebマーケティングについて解説をいたします。

 

製造業の成果事例集
  • 製造業のマーケティング成果をご紹介!
  • Webサイトを活用した
    製造業の成果事例インタビュー集
  • クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。

    無料で冊子をダウンロード

Webマーケティングとは?デジタルマーケティングとのすみ分け

「Webマーケティング」とは、ホームページやオンライン上のサービスなどを用いて行われるマーケティング活動のことです。

 
ホームページに対して集客を行い、サイトを閲覧したうえで、問い合わせや資料ダウンロードに繋げる一連のプロセスを指し、代表的なものとしてはSEOやWeb広告、CRO、EFOなどが挙げられます。また、サイトのリニューアルを通してデザインや使い勝手を一新し、引き合いを増やすことなどもWebマーケティングの施策の1つです。

 

 

SEOやWeb広告など最終的なコンバージョンに繋がる活動

 



そもそもマーケティング(コミュニケーション)では、適切なターゲットに適切な情報を届け、購買につなげることを目的とします。Webマーケティングでは、そういったマーケティング活動を、Web上にて行うことが特徴です。
 
製造業において、「良いものを作れば売れる」時代ではなくなっているため、見込み顧客との接点を最大化し、商談に結び付けていくためにWebマーケティングが活用されます。

また、近しい言葉に「デジタルマーケティング」がありますが、カバーされる領域が微妙に異なります。以下の図で言うと、赤く囲った部分がWebマーケティングの活動範囲です。

商談数を増やす施策の一覧



ちなみに、Webマーケティングを活用した施策は中小企業や地方の製造業にこそチャンスがあります。接点がなかったり地理的な理由で普段はアプローチできないターゲットにも、自社の技術力やサービスの魅力を知ってもらうことができるからです。本記事も、そういった方々の力になれればと思い、様々なノウハウや情報を提供していきます。

製造業におけるWebマーケティングの重要性

製造業においてなぜWebマーケティングが重要なのか、その理由をお伝えします。

まずは市場の変化です。このままいけば日本は労働人口が減り市場もどんどん小さくなっていきます。そうなると、新たな取引先を見つける必要があるのですが、その手段としてWebマーケティングは非常に有効です。

例えば自社の技術や強みをホームページから発信することで、検索で上位に表示されたり問い合わせに繋がるかもしれません。ゼロから営業先を開拓して1件1件回っていくよりも、効率が良いはずです。

また、最近ではMAツールを導入することでWebサイトに訪れているユーザーの企業名と閲覧ページが把握できます(Webマーケティングよりも少し広いデジタルマーケティングの領域にはなります)。A製品を導入してくれている顧客がB製品やその技術情報を閲覧していたならば、営業マンが現場で話を振ることでクロスセルに繋がるかもしれません。また次の訪問にさりげなくデモまでもっていけば、他の企業を出し抜いて営業活動を有利に進められる可能性があります。

このように、新規の市場にも既存の顧客にも有効に活用できるのがWebマーケティングの特徴です。製造業は製品ライフサイクルや関係構築が重要だからこそ、Webマーケティングを補助的に活用すれば、売り上げアップが見込みやすくなります。

Webマーケティングにおける集客施策・手法

では、具体的にWebマーケティングの施策にはどのようなものがあるのでしょうか。今回はホームページにユーザーを集める「集客」と、訪れた後にアクションを取ってもらうための「回遊」に分けてお話しします。

まずは集客のご紹介です。順に解説していきます。

集客
接客
再訪促進

SEO

SEOとは、「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略で、検索エンジンにより上位に自社サイトが掲載されるようコンテンツを最適化することです。Webマーケティングにおける集客手法の中では定番と言える施策です。

自社の製品情報や技術情報などが、Googleをはじめとする検索サイトで上位に表示されれば、それだけ自社のWebサイトがユーザーの目に留まりやすくなり、アクセス数も期待できます。

特に製造業は専門的な用語や技術的な用語を調べる人も多いので、自社の強みとなるキーワードや対応可能領域の言葉については、検索で上位に出るようにしておくことが重要です。そのために必要なコンテンツをそろえ、公開していくようにしましょう。

SEOのメリット

  • 社内のリソースを使って無料で取り組める
  • Web広告よりもクリック率が高い
  • アクセスが安定しやすい

SEOのデメリット

  • 効果が出るまでに時間がかかる
  • 手間ヒマ(工数)がかかる
  • 常に最新のトレンドを知っておく必要がある


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SEOを基本から解説!最低限抑えたい施策から無料ツールまで

 

リスティング広告

上でお伝えしたように、SEOの特性として即効性に欠けるという点があります。 それを補うため、SEOと並行してリスティング広告を併用することをおすすめします。

リスティング広告とは検索連動型広告のことで、ユーザーが検索したキーワードや閲覧しているWebページに連動した広告が表示されるものです。ユーザーのニーズ・興味に合わせた広告を表示させることで、広告効果が期待できます。

SEOの効果が出るまでの期間、短期的に一定数のアクセスを集めるために最小限でリスティング広告を活用すると良いかと思います。また製造業系のキーワードはクリック単価も安いため、テストマーケティング的に実施してみるのもおすすめです。

例えば新しい製品をいきなり市場に出すのはコストがかかりますが、まずは簡易的な製品ページだけを作りリスティング広告を少額でかけ、本当に問い合わせに繋がるのかを確かめることができます。

 

リスティング広告のメリット

  • 即効性がある
  • ターゲットをピンポントに狙える
  • SEOで狙うべきキーワードを選定できる
  • 小額からでも始められる
  • テストマーケティングとして活用できる

リスティング広告のデメリット

  • コスト(広告費)がかかる
  • ユーザーに「広告」だと認識されるため、クリックしてもらいにくい

Web広告サービス比較12選
  • 本記事とあわせてオススメの無料資料
  • Web広告サービス
    比較12選
  • 広告ごとの詳細はもちろん、一覧表にもまとめているため、「どの広告サービスに出稿したらいいかわからない」「手っ取り早くWeb広告の全体像が知りたい」という方に特におすすめの資料です。

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アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とは、Webサイトやブログ、メールマガジンなどにリンクを掲載し、そのリンクから訪れたユーザーのコンバージョンにより報酬が発生するタイプの広告のことです。 ほかのWeb広告のようにユーザーが見た段階では広告料が発生せず、コンバージョン(資料請求、サンプル請求など)されて初めて広告料が発生するという点が大きな特徴です。

BtoC向きの広告手法で、特に会員登録や資料請求、ECサイトからの購入を促す際の利用がマッチします。そのため製造業ではあまり利用機会がないかもしれません。

アフィリエイト広告のメリット

  • コンバージョンするまで広告費が発生しないため、CPAを低く抑えられる

アフィリエイト広告のデメリット

  • 月額固定費(ASP利用料)がかかる。
  • アフィリエイターに選ばれないと掲載すらされない
  • アフィリエイターが不正表示や誇大広告をしていないかチェックする必要がある。

アドネットワーク広告

アドネットワーク広告とは、複数の広告媒体を集めた広告配信ネットワークにより、複数のWebサイトで同時に広告配信する広告手法です。

通常、複数の媒体へ広告を出すには、それぞれの媒体と個別の契約を行う必要があり、さらに出稿形式も各媒体によって仕様が異なり、料金形態もバラバラです。アドネットワーク広告を利用すれば、これらをアドネットワーク業者に一括で任せられ、異なる媒体の広告効果(結果)データを同形式で受け取ることができます。

アドネットワーク広告のメリット

  • 1社との契約で複数メディアに同時に広告を配信できる

アドネットワーク広告のデメリット

  • アドネットワーク業者の持つ媒体に一様に掲載されるため、ターゲットが異なる媒体にも出稿され、ムダが生じる

SNS広告

LINEやTwitter、FacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に広告を出稿するものです。

ユーザーは、SNSの利用に際してプロフィールを登録するため、その情報にもとづいてターゲティングして出稿できます。また、ユーザーによる拡散も狙えます。

ただしこちらも製造業ではなかなか利用の機会がないかもしれません。ただし最近では工場の様子などを発信するアカウントも増えているため、広告というよりも自社アカウントを運用して認知度向上やファン獲得に使う方が有効です。

SNS広告のメリット

  • 広告費が比較的安価
  • ユーザーの拡散効果が見込める

SNS広告のデメリット

  • 日本ではSNSの利用者層が比較的若いため、中高年向けの商品・サービスでは出稿しづらい


【SNS広告関連記事】

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、あるWebページで表示した広告を、同じユーザーが訪れた別のWebページでも表示することです。閲覧者の認知度と訴求力を高める手法です。

製造業の場合、一度ホームページに訪れてその場ですぐに購入するということはあまり考えられません。そのため見逃しがないように資料のダウンロードページやお役立て資料のページに誘導し、接点を持つことを目標とします。

リターゲティング広告のメリット

  • 興味のあるユーザーに何度もWebサイトを訪れてもらうきっかけになる
  • コンバージョンしなかったユーザーを追いかけられる

リターゲティング広告のデメリット

  • ユーザーがしつこいと感じ、逆効果になる可能性がある
  • 一度、訪問したことがあるユーザーにしか広告を見せられない

チャットボット(Web接客)

チャットボット(Chatbot)とは、「チャット(Chat)」と「ボット(bot)=ロボット」を組み合わせた言葉で、コンピューターが人間の代わりにテキストや音声を使って会話をする「自動会話プログラム」を指します。

 

ウェブサイトは掲載したあと、訪問客が問い合わせや資料請求などをおこなうまで企業側からできるアプローチがほぼありません。しかしチャットボットを導入すれば、「何かお困りですか?」「質問はこちら」などと訪問客にアクションを促せます。

訪問客の動きに合わせて「資料請求はこちら」「メールマガジンを登録」など、最適なものを表示すれば、顧客情報やメールアドレスなどを獲得するチャンスも増やせるでしょう。


【関連記事】

チャットボットとは?種類、目的、メリット、ツールなどをまとめました!

 

メールマーケティング

メールマーケティングとは、文字通り、メールを用いたマーケティング手法で、メールマガジン、ステップメールなどがあります。

メールマガジンの本質は、最終的なゴール(購入などのコンバージョン)から逆算して、お客様にどんな情報を与えれば行動してくれるか?を戦略的に考えて配信していくことです。自社の新製品や新技術情報などを配信していくことで、顧客ニーズの把握にも役立ちます。

メールマーケティングのメリット

  • 低コストでスタートできる
  • 高いROIが期待できる
  • MAツールを使えば、反応があった顧客を把握し営業アプローチができる

メールマーケティングのデメリット

  • 見込顧客のメールアドレスを取得しなければ施策が行えない
  • 即効性が出にくく、長期的な運用が必要になる
  • 配信スケジュールの作成など、手間ヒマがかかる

メールマーケティングに関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。

Webマーケティングにおける集客後の回遊施策

ここからは集客後のホームページの改善施策について解説します。少々専門用語が続きますが、ぜひこの機会に理解していってください。

ユーザーがWebサイトに訪れた後に目的のページへと遷移していくことを「回遊」と呼びます。前章の集客施策ももちろん大切なのですが、せっかく訪れたユーザーがすぐに離脱してしまったら意味がありません。

 

離脱の中でも、ユーザーがWebサイトを訪れたあと、1ページだけを見てほかのサイトへ移動してしまうことを「直帰」といいます。

そのページにユーザーの知りたい情報がすべて揃っており満足して離れたというケースも考えられますが、より踏み込んだ情報や次に知りたいであろう情報への導線をしっかりと整備しておくことで、ユーザーの満足度も高めることが可能です。結果として、コンバージョンにつながり商談の創出につながることもあるでしょう。

具体的な回遊施策は、まずWebサイトの構造をメッシュリンク構造にしてあげることです。上の階層から下の階層へのリンクだけでなく、「パンくずリスト」やページ下部に上の階層へのリンクボタンを置いたり、関連情報が別ページにあればリンクを張るように意識しましょう。

Webマーケティングにおける理想のサイト構造

https://mtame.jp/content_marketing/how_to_navigation_summary

ユーザーにWebサイトを回遊してもらい、最終的にコンバージョンにつなげるためには、LPO、EFOといった施策も必要です。それぞれ、以下で詳しく解説します。

LPO

LPOとは、Landing Page Optimization/ランディングページ最適化」の略で、リスティング広告などWeb広告からの流入先=ランディングページでコンバージョンさせるために、訪れたページにユーザーの興味をひきつけ、離脱させないようにページを改善する施策を指します。

ランディングページにおけるコンバージョンでよくあるのが、見積請求、サンプル請求、購入です。ランディングページは、ユーザーがコンバージョンするために十分な情報を簡潔にまとめましょう。具体的には、たとえば以下のような要素が必要です。

  • メインビジュアル、キャッチコッピー
  • ユーザーの共感を呼ぶような問題定義メッセージ
  • その解決方法としての商品・サービスの提示
  • 商品・サービスの特長やつよみの訴求
  • 信頼性の訴求(実績・お客様の声・データの裏付けなど)
  • 特典の紹介(割引、無料お試し、プレゼントなど)
  • CTAボタン(お申し込み、資料請求など)

ただ、いくらLPOを行っても、そもそもリスティング広告やSEOで設定したキーワードとランディングページがユーザーに提供する内容がかけ離れていれば、離脱率は下がりません。キーワード選定の見直しや、キーワード別にランディングページを複数用意するなどの対策も検討しましょう。

EFO

EFOとは「Entry Form Optimization(入力フォーム最適化)」の略で、簡単にいうと、ユーザーがストレスを感じずに入力項目を最後まで入力してフォーム送信しやすくする施策のことです。

多くのWebサイトでは、コンバージョンとして「お問い合わせ」を設定することが多いかと思いますので、フォームを改善するだけで、コンバージョン率をグッと上げることができます。 逆に、せっかく回遊施策を行ってユーザーにフォームにたどりついてもらったのに、ここでストレスを与えて離脱させてしまっては、すべてが水の泡になってしまいます。

フォームは、Webサイト運営者が見込み客の個人情報を得られる数少ない手段の一つなので、できるだけ詳しい情報が欲しいところですが、入力する側の立場に立ってみると、入力項目が多かったり細かかったりすると面倒になり、フォーム送信を途中でやめてしまう可能性もあります。

基本的な考え方は「ユーザーにストレスを与えずに入力・送信してもらう」こと。具体的には、入力項目を減らしたり、プルダウンやチェックボックスで選択させるなど入力の手間を省いてあげることです(もちろん、選択肢の数も多すぎないことが重要です)。

EFOに関するより詳しい内容は、下記の記事にまとめてありますので、ご覧ください。

製造業がWebマーケティングに取り組むおすすめのステップ

ここからは製造業がWebマーケティングで短期的な成果を出すための基本的なステップをご紹介します。企業の状況によって打ち手はことなるものの、多くの場合に当てはまるながれかと思いますので、ぜひ参考にしてください。

0.マーケティングの全体像を理解する

Webマーケティングに取り組むその前に、マーケティング活動の全体像をしっかり理解するようにしましょう。Webマーケティングの施策もあくまで目的達成の手段の1つになるため、部分最適にならないように注意が必要です。

具体的には、全体の中でのWebマーケティングの役割、営業との連携、具体的なKPI、それを実現するための予算とアクションなどを明文化にしてください。

おそらくBtoBの製造業であれば、最初のKPIは商談数の最大化になるはずです。受注するために必要な商談数を、どういった流れでどのくらいの案件のパスが必要なのか、全体を整理して戦略を作っていきましょう。



BtoB製造業におけるマーケティングの全体像

 


いきなり上記のような図までは難しいという場合は、下記のように各指標を分解して、必要な数字を割り出していくこともおすすめです。




デジタルマーケティングにおけるKPIツリー



WebマーケティングのKPI設定例


製造現場においても、全体の設計をしたうえで実際の生産に入るはずです。そうでなければ、どこかで大きなボトルネックが発生していしまい、最終的なスループットが極めて少なくなってしまいます。

 

同様にWebマーケティングの施策を実施していると、どうしても部分最適になったり、視野が狭くなったりしがちなので、立ち返る場として用意しておくことをおすすめします。まずは全体を俯瞰してみた上で、ボトルネックとなる箇所を最大化していきましょう。

1.ターゲットと検討のフローを明確にする

それでは、具体的にWebマーケティングの施策に入っていきます。まずは自社のビジネスのターゲットを明確にします。ここをしっかり行っておかないと、誰に向かってコンテンツを配信する必要があり、何が不足しているかの判断が難しくなります。

 

「ターゲット」とざっくり述べましたが、ここではペルソナとカスタマージャーニーマップという考え方が非常に役に立ちます。具体的なターゲットの人物像を作り、自社と契約するまでの心理的な流れや必要となるコンテンツを設計します。


例えば下記は、BtoB製造業の顧客の中で製品が検討されるフローのサンプルです。こういった流れを整理したうえで、自社に必要なコンテンツを明確にします。


とある企業の検討フローと担当者の行動例▼

とある企業のカスタマージャーニー



求められる情報の整理▼

求められる情報の想定




生産財であれば、ターゲット企業内に購買センターが存在することが多いかと思います。そうなると、様々な部門の人が製品の購入に関わってくるため、重要人物を見極めた上でのコンテンツ発信が必要となります。

そのためにも、一度モデルとなるペルソナを可視化し、検討フローを明確にしておくことをおすすめします。



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2.最低限の受け皿としてWebサイトを整える。

どれだけ集客をしても、受け皿が穴だとだったらザルに水を入れるのと同じです。まずは最低限受け皿としてWebサイトを整えましょう。でなければSEOや広告で集めたユーザーもすぐに離脱してしまいます。


例えば、「しっかりとお問い合わせの導線があるか」「デモ機の貸し出しフォームは設置されているか」「資料請求の導線はファーストビューにあるか」などなど、基本的な整備を行なっていきます。

 

特に重要なのはファーストビューとCTA(問い合わせの導線)です。まずは第一印象で貴社が何の企業なのかがはっきりわかるようにし、促したいアクションが明確にわかるような導線を設置しましょう。

 

最低限の対策はやっておかないと成果につながりにくいのと、ご紹介した内容程度であればWebサイトのリニューアルのような数百万円単位の予算を使わなくてもできるはずです(多少の改修で費用がかかることはありますが)。


【関連記事】
とはいえ、最低限の基盤が整っていない場合はWebサイトのリニューアルをおすすめしています!
流れや必要なものに関しては下記の記事をご参照ください!

>【2022年版】成果を出すWebサイトのリニューアルの進め方とは?手順から費用感、準備項目などを解説


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3.どの手段で集客をするのかを決める。

受け皿を整えたら今度は集客手段です。ターゲットがどこから流入してくるのか仮説を立て(理想としては直接顧客に聞き)、集客手段を決めましょう。

 

ちなみにBtoBのニッチな業界であればそれほど有効な集客手段は多くありません。第一歩としては、まずはSEOとリスティング取り組むのが効率的だと考えています

 

集客施策に関しては、カスタマージャーニーマップを作成する段階でもある程度想定しておくとスムーズです。全体像を俯瞰して、最適な手段を選ぶようにしてください。

4.顕在ワードでSEOの1位を取る。

具体的な集客施策としてのSEOをご紹介いたします。

一般的に、検索順位に囚われすぎるのはよくないと言われますが、BtoBのニッチな業界であれば顕在ワードでは1位にこだわった方が良いと言われています。かけるコストに対して、リターンが大きいからです。

※キーワード選びについては下記の記事も参考にしてください。

SEOのキーワード選定の手法まとめ!お役立ちツールや無料で使えるサイトまで!

BtoBのニッチな業界は、競合もそれほど多くなく、検索順位でも上位を目指しやすいです。当然上位に出れば競合よりも多くのアクセスを集めることができます。そしてニッチだからゆえに、検討度合いや緊急度も高いことが多いので、確実に接点を持てるようにしましょう。


また、BtoB製造業の”顕在”ワードは、業界によって様々です。一見技術情報を調べに来ているだけに見える人も、その技術を扱っている業者を探していたり、特定の用途や目的を求めて探している人も多く存在します。単に固有名詞だけではなく、実際に顧客から相談を受ける内容をベースに、自社にとっての”顕在”ワードを見つけるようにしてください。

 

そのキーワードに対して、しっかりと答えになるようページを作り込んでいれば、確実にCVの数を増やすことができるので、まずは良質なコンテンツ作り、その結果として検索結果で上位に表示される状態を目指しましょう。


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5.リスティング広告をかける。

BtoBの製品の場合、キーワードボリュームもそれほど多くないので、顕在ワードでリスティング広告を少額で出すのもおすすめです。

 

可能であればある程度まとまった金額(数十万円以上)で、ただし本当にニッチな業界ではなかなか予算が消化しきれないこともあるので、時間をかけるか網を広げて出稿する必要があります。この辺りは代理店も多く存在するので、相談してみても良いかもしれません。

 

広告を出稿することで対策すべき(引き合いにつながりやすい)キーワードがわかったり、成果を早く実感できたりと、様々なメリットがあります。先ほども申し上げた通り、BtoBの顕在ワードは確度も高いです。検索本格的にWebに注力するのであれば、この辺りは惜しまず投資していきましょう。


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6.安価なMAで最低限のトラッキングをする。

せっかく広告も使ってアクセスも集めたのであれば、企業ログをためておいた方が後々の費用対効果は高くなることがあります。特に顧客がどのページを閲覧しているかどうかは、既述の通り営業活動でとても役立つはずなので、何かしらのMAツールは設置しておきましょう。

 

広告のゴールはCVになりますが、もちろん全てのユーザーがCVに繋がる訳ではありません。そのため、CVにつながらなかった企業のトラッキングや、CVに繋がったものの受注につながらなかった案件などを追客する上で、安価なMAツールなどを入れてログを貯めておきましょう。

 

このときに、最初から高額かつ高機能のMAツールを導入すると、使いこなせず無駄になってしまう可能性があります。初期段階でとにかく重要なのは、必要な時に必要なリストが適切に引き出せることです。

 

MAツールの多くはシナリオや自動化、スコアリングなどが主な特徴ですが、使いこなせるのはマーケティングの組織がすでに存在し、リソースが避ける場合のみです。逆に言えばそういったフェーズでは十分に検討の余地はありますが、これからWebサイトを活用しようという段階でそこまでの機能はいらないので、フェーズに合わせて適切なツールを選ぶようにしてください。

 

手前味噌で恐縮なのですが、弊社で提供しているBowNowも無料から使えるツールです。まずはこういったものから始めて、ミニマムの成果を出すのが良いかと思います。

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7.Webサイトの改善活動をする。

ある程度アクセスの母数が集まってきたら、Webサイト内の改善を行いましょう。0.のフェーズで立てた全体像において立てた目的が達成できているのかを確認しつつ、差異を埋めていくフェーズです。

 

Webマーケティングは初めからうまくいかないことも多いので、一喜一憂せずに冷静に原因を分析することが重要です。

 

ちなみに、ターゲットが集まっていないサイトの分析や改善をしても意味がないので、まずは”最低限”受け皿を整える→集客→改善の流れは徹底してください。この改善を回すためにも、短期的な施策であるWeb広告と、長期的な施策であるSEO(コンテンツ施策)は両立してやっていく必要があります。


参考:Webサイトの流入からコンバージョンの流れ▼
Webサイトから成果を出す流れ

8.営業アプローチする。

当たり前ですが、Web施策が回り出したら営業のアプローチが必須です。先ほども述べた通りアプローチの体制をつくり、営業活動を行いましょう。

 

また、Webサイトの資料ダウンロードやホワイトペーパーなどで獲得したリードにコールをし、まずはセミナーに集客するといった段階的な営業活動もおすすめです。いきなり商談にならなくても、少しずつ見込み顧客を育てていきましょう。


このフェーズは引き合いが発生したら即アクションすべきなので、8.としているものの常時実施していく必要があります。

9.潜在ワードの検索順位を取る。

ある程度顕在ワードで成果がではじめたら、潜在顧客にまでSEOの獲得ワードを広げます。すぐに検討ではないにしろ、情報収集をしている企業もたくさんあるからです。

 

いきなりゼロから始めるというよりは、当初からある程度計画を立てておき、本格的に狙いにいくイメージです。例えば情報収拾段階で検索するキーワードを獲得し、そこからリードを獲得するためのハードルの低い仕掛け(ホワイトペーパーなど)を設置します。作成するコンテンツも、できれば社内にある資料などを転用して、工数を削減するなどの工夫をしてください。

 

ホワイトペーパーとは?種類・作り方・ダウンロードの仕組みなど知っておきたい知識をまとめました!-エムタメ!

 

潜在層のユーザーは検討期間も長くなるので、中長期的な施策としてじっくりと取り組んでいくと良いでしょう。

10.広告のターゲットも広げてみる。

広告に関しても、潜在層までターゲットを広げたり、これまで出していなかった媒体にもチャレンジしてみましょう。例えばSNS広告はBtoCのイメージが強いものの、実際は効率的にセミナーの集客ができる、といったパターンも多く存在します。


仮説を立てたうえで、戦略的に"面"でとっていくことをおすすめします。

11.全体のPDCAを回し、施策を広げる。

ここまでをきっちりやれば、最低限のCV数が取れてくるはずです。そこから先の商談も生まれてくるはずなので、施策の幅を徐々に広げていきましょう。また、Webからの成果が上がっているのにアポイントや商談が増えない場合は、視野を広げた改善が必要です。セールスとマーケティング(Web担当者)で協力して、成果を最大化できるようなアクションプランを作りましょう。

 

以上、ざっと流れを書いてみました。企業の状況によって順番は前後しますが、大事なのはいきなり多くのことに手を出さず、まずはインパクトの大きいところ集中することです。リソースや予算が潤沢にない場合も多いと思うので、まずは短期的な成果を出しつつ、長期的な施策の準備を進めるようにしてください。

そうなると必然的に、Webマーケティング以外の施策に幅が広がっていき、MAやSFAを活用した本格的なデジタルマーケティングに取り組むようになります。地に足つけて、少しずつ自社のデジタル化に取り組んでいきましょう。

Webマーケティングに取り組む製造業の事例

最後に、Webマーケティングに取り組む企業の事例を1つご紹介します。ぜひ参考にしてください。

アイメックス株式会社様

URL:https://www.aimex-apema.co.jp/

アイメックス株式会社様は、東京都墨田区に本社を構える機械メーカーです。ロールミルやビーズミルといった機械を製造販売しております。

この10年で2回ほどWebリニューアルを実施しており、MAツールやWeb広告、オンライン商談の積極採用など、デジタルの施策にも前向きな企業となります。代表や営業部長の方もWeb戦略のMTGに参加することで、先進的な取り組みをいち早く取り入れることに成功しており、デジタル化を目指す製造業の企業の模範となる活動をしている企業です。

1度目のWebリニューアル時にはCMSの導入と問い合わせが増える仕組みづくりを、2度目のリニューアルではより現代のユーザーに合わせたデザイン刷新やりレスポンシブ対応を行っています。

それぞれのきっかけとしても、中長期の運用の中で必要性が生じたために踏み切った背景があり、それ自体が目的というよりは手段としてリニューアルを実施しています。実際に施策も成功しており、Web経由での引き合いや商談数も年々増えております。こういった企業がどんどん増えていくことで、日本全体のデジタル化が一気に進むと信じています。

製造業のWebマーケティングはDXにもつながる!

製造業におけるWebマーケティングの重要性について解説してきました。

 

製造業のデジタル活用というと、生産管理やバックオフィスなどが想起されがちですが、売り上げを拡大する「攻めのDX」も取り組むべき領域です。せっかくこの記事を読んでいただいたのなら、ぜひ自社でできるWebマーケティングの施策を試してみてはいかがでしょうか。

 

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【2023年最新】Webマーケティングとは?初心者でもわかる基礎知識!始め方・成功事例も紹介

 
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デジタルマーケティングとは?基礎知識を簡単に!具体的な手法や学べる本・WEBも紹介

 

【製造業のデジタル化特集を公開中】

製造業のデジタル化に特化した特殊ページを公開中です!以下のリンクからご確認ください。

製造業のデジタル営業・マーケティング特集

  

 

 

 

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Fri, 14 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業DXの基本用語をまとめました!学習や情報収集にお役立てください]]> https://mtame.jp/column/manufacture_word_DX  
昨今、製造業のDXが急務となっており、各社何かしらに取り組みを始めていたり、これから取り組んでいきたいと考えられているかと思います。
 

そこで本記事では、製造業DXを推進していく上で知っておきたい基本用語の意味と、詳細を知るための関連リンクをまとめています。ぜひ情報収集や若手社員の教育などにお役立てください。

 

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デジタルツイン

デジタルツイン(Digital Twin)とは、現実空間のモノや環境から取得したデータを、デジタル空間に再現するテクノロジーのことです。現実空間を、デジタル上の仮想空間に、鏡写しのようにそっくり作り出すことから「ツイン=双子」と表現されます。グローバルインフォメーションが公開しているレポート(出典:市場調査レポート: デジタルツイン市場 )によると、デジタルツインの市場規模は、2022年の69億米ドルから2027年には735億米ドルに成長することが見込まれています。

 

デジタルツインを実現するには、現実空間とデジタル空間、これらの情報を連携する仕組みが必要です。IoTやAI、5G、AR・VRなどといった、最新のデジタル技術を使って、物理空間における膨大な量のデータをデジタル空間に反映させます。

AIがデジタル空間で行った分析・検証を、リアルタイムで現実世界にフィードバックすることで、未来の変化までを予測できるのがデジタルツインの特徴であり目的です。実際に使われている製品・稼働している設備や生産ラインなどの動的なデータを、リアルタイムで再現しながら予測を行うため、問題に対して即時にアプローチできます。

 

より詳しく知りたい方はこちら:

デジタルツインとは?シミュレーションとの違い、製造業での活用事例などをご紹介

ダイナミックケイパビリティ

「ダイナミックケイパビリティ」は、急速に変化する状況・環境に応じて自己を変革していく企業の能力を意味し、「企業変革力」とも呼ばれます。

 

いくら企業が豊かな固有資源を持ち、それらを利用することができたとしても、状況や環境の変化に応じられなければ不適合なものとなり、企業の弱みや硬直性を招いてしまいます。

 

そこで重要となるのが、自社が保有する人・モノ・情報・時間などの固有資源や強みを適切に組み合わせながら変化に対応していき、持続的な競争力の持続を目指す戦略経営論の「ダイナミックケイパビリティ」です。

より詳しく知りたい方はこちら:

ダイナミックケイパビリティとは?製造業における重要性やDXとの関係

デジタルイノベーション

「デジタルイノベーション(digital innovation)」とは、デジタル技術を使用して新しい価値を生み出し、社会に変化をもたらすことです。社会全体の革新から企業の改変まで、幅広い意味合いで使われている概念です。

 

ビジネス領域では、デジタルを活用した新商品やサービスの開発、生産システムの最適化で暮らしや社会がより良い方向へ変化するという意味合いでも使われます。

 

2023年に経済産業省では、「地域デジタルイノベーション実証型」の事業者を公募し、地域企業とデジタル企業、協力団体の連携を資金援助。政府もデジタルイノベーションの取り組みを促進しています。

 

より詳しく知りたい方はこちら:

デジタルイノベーションとは?DXとの違いや製造業における活用事例をご紹介

VR

VR(「Virtual Reality」の略)の直訳は仮想現実です。専用のゴーグルをつけた上で360度の映像を映すことで、限りなく現実世界に近い仮想空間を表現でき、没入型のコンテンツを創出する技術のことを指します。

 

3次元の空間性に加え、自分自身が空間に入り込める自己投射性があるものが一般的にVRと定義されています。VRはバーチャル空間でありながら、音と映像によって本当にその空間に入り込んだような感覚を味わえるのが最大の特徴です。

 

多くのVRコンテンツは、ヘッドセットやゴーグル、コントローラーなどのデバイスを用いて体験でき、センサーによって身体の動作速度や角度を検出することで映像に反映させ、リアルな体験を創り出します。

 

より詳しく知りたい方はこちら:
VRを活用した製造業DXの推進方法を紹介!活用方法やポイント、具体的な事例まで徹底解説

インダストリー5.0

「インダストリー5.0(Industry 5.0)」とは、2021年1月に欧州委員会によって定義された産業革命の方針のことで、第5次産業革命ともいわれます。産業が、国や企業の枠組みにとらわれず、地球規模で目指すべき姿として提唱されました。

 

ひとつ前の産業革命「インダストリー4.0」がドイツによって提唱されたのは2011年。こちらは、現実空間×デジタル空間を高精度で融合させる技術によって産業の効率化をはかり、ビジネスモデルの革新を目指すものです。しかしこれらを推進する上で、プロセスの自動化によって失われるカスタマイズ性、環境保全視点での持続可能性、不測の事態への回復力といった面がカバーしきれないことも課題として見えてきました。

 

インダストリー4.0が目指す、デジタル技術を駆使した高精度の技術革新に加えて、「人間を中心とした産業のあり方」「環境・社会問題の解決」「パンデミックや災害・戦争など予測のできない事態への対応」、これらを包括的に実現する取り組みとして「インダストリー5.0」の構想が出来上がりました。

 

より詳しく知りたい方はこちら:

インダストリー5.0とは?「次世代の自動化製造」に取り組むメリットや課題、各国の取り組みや歴史的背景を解説

デジタルファクトリー

「デジタルファクトリー」とは、工場内の設備・センサーから取得した情報を分析し、現実空間の作業場でのシミュレーションを行うことで最適な生産ラインを実現できる、リアルとデジタルを融合した工場を指します。製造業のDX推進において重要性が高まっている手法のひとつです。

 

デジタルファクトリーでは「生産順・中間の在庫管理・ロボットプロセス・作業プロセス・組み立て順序」など多岐に渡ってデジタルデータによるシミュレーションを行います。そしてその結果をもとに、工場をどう設計・構築・管理するか、生産性をいかに最大化するかなどを考えます。

 

うまく導入できれば作業の効率化が図れるとともに、消費者にとってよりニーズの高い製品の製造が可能です。他にも運用効率と持続可能性の向上、市場投入までの時間短縮、より多くの顧客への訴求などの実現が期待できます。

 

より詳しく知りたい方はこちら:

製造業DXのカギを握るデジタルファクトリーとは?意味やメリット、構築法や事例まで徹底解説!

PLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)

PLM(Product Lifecycle Management)とは、製品の企画・生産・販売・廃棄までの一連の工程における情報を管理する取り組みです。情報共有によって製品のライフサイクル全体を管理することで、業務効率の向上やモノづくり体制の強化、利益の最大化を図ります。

 

製造業では競争の激化や環境の変化に伴い、「QCD」=Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)の重要性が増しており、製品ライフルサイクル全体を一元管理できるPLMのシステムを導入することで、高品質な製品を低コストで製造し、迅速に納品する「QCD」を達成することができます。

 

より詳しく知りたい方はこちら:

PLMとは?製造業で再注目される背景やシステムの必要性、メリットなどを解説!

BOM(部品構成表)

BOM(Bill Of Materialsの略)は、日本語では「部品表」もしくは「部品構成表」と呼び、製造業において製品を製造するうえで必要な部品を一覧表にした表を指します。

 

BOMには品名や型名、製造元、数量、品目コードなど部品に関するあらゆる情報や、製造品がどのような構成で造られているのかという情報がまとめられています。

 

BOMは、設計部門・製造部門・購買部門など様々な部門間で共有され、調達スケジュールや工程管理、原価管理、在庫管理などに活用されます。製造業の現場におけるワークフローを効率化するために非常に重要な存在です。

 

より詳しく知りたい方はこちら:

BOMとは?種類や重要性などの基礎知識からシステム化までわかりやすく徹底解説!

PIM

PIM(Product Infomation Managementの略)はスペックやイメージ画像などの商品情報を一元管理することで、様々な媒体に連携して利用できるようにする情報管理手法 を指し、「商品情報管理」とも呼ばれます。

 

Webサイト、カタログ、プロモーションなど、企業において商品情報を確認する媒体は多岐にわたりますが、多くの企業ではそれぞれ個別にシステムを作り、それらのデータを二重・三重に管理しているため、情報管理が複雑化・非効率化しているのが現状です。

 

その場合、商品の仕様変更や新製品の発表などに伴ってこれらの情報をすべて更新する必要があり、商品数が多いほど作業量や複雑さは増して対応が難しくなる上、人為的なミスが増えるという課題もあります。

 

PIMシステムを導入することで、複雑に管理されていた商品情報をまとめて一元で管理できるようになり、Webサイトやカタログ、プロモーション等の情報と連携して、適切な媒体で顧客にサービスを提供することが可能です。

 

より詳しく知りたい方はこちら:

PIM(商品情報管理)とは?機能やメリットから選定の際のポイントまでわかりやすく徹底解説!

ファクトリーオートメーション(FA)

ファクトリーオートメーション(Factory Automation:以下FA)とは、工場の生産工程を自動化するための技術やシステムのことです。いままで人間が行っていた加工、組み立て、出荷作業などに産業用ロボットやデジタル技術を活用して、生産性の向上などを図ります。

似ている取り組みとして「スマートファクトリー」がありますが、こちらはFAをさらに進化させたシステムのことをいいます。製造工程を自動化するFAに対して、スマートファクトリーはIoTやAIなどの最先端技術を活用して、工程全体を最適化するシステムです。

より詳しく知りたい方はこちら:

ファクトリーオートメーション(FA)とは?メリット・デメリットや導入方法を解説

サービタイゼーション

サービタイゼーション(servitization)とは、「製造業をサービス化すること」を意味します。従来の製造業が「製品を売ること」を目的としてきたのに対して、サービタイゼーションは、「製品とそれに付随するサービスを売ること」を目的としています。製造・販売から保守管理まで一連のプロセスを「技術力」として売ることで、販売後も取引継続を目指すビジネスモデルです。

 

近年サブスクリプションというビジネスモデルは広く一般に定着しました。実際に、以前は私たちが購入していたCD・車・衣服などの「モノ」は、今では月定額料金制の「サービス」として享受できるように大きく変化してきました。その中で顧客は、従来の「購入がゴール」の売り切りビジネスの時代とは異なり、購入前〜購入後すべてにおける顧客体験価値を重視するようになり、その傾向は年々強まっています。

 

より詳しく知りたい方はこちら:
サービタイゼーションとは?製造業をサービス化する重要性・事例や戦略をご紹介

サプライチェーンマネジメント

サプライチェーンマネジメントを解説する前に、まずサプライチェーンについて説明します。

 

サプライチェーンとは、原材料の調達から製品を消費者へ届けるまでのモノの流れです。日本語では「供給連鎖」と訳されます。自社の業務だけでなく、卸売業者や小売業者、配送業者などを含むフロー全体のことをいいます。

 

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは

 

そしてサプライチェーンマネジメントとは、そのサプライチェーン全体のモノやお金、情報の流れを結びつけて、最適化する経営管理の手法のことです。Supply Chain Managementの頭文字を取って「SCM」とも呼ばれています。

 

サプライチェーン全体を統括して最適化し、コストやリソースを抑えながら利益向上を目指すのが、サプライチェーンマネジメントの役割です。各プロセスをひとつずつ効率化するのではなく、全体のバランスを見ながら連携することが大切なポイントになります。

 

より詳しく知りたい方はこちら:

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットから導入ステップまで

リカーリングモデル

リカーリングモデルとは、継続収益をあげることで安定的な売上を維持するビジネスモデルのこと。「Recurring(リカーリング)」は「繰り返す」という意味で、顧客に製品・サービスを何度も繰り返して購入してもらう収益構造を表します。

 

従来の売り切り型ビジネスは、基本的には一度買ってもらったら終わりという販売モデルのため、「いかにして顧客に製品を買ってもらうか」をもとにビジネス戦略が設計されてきました。一方のリカーリングモデルは、「顧客へどのような価値を提供できるか」を軸に展開します。顧客のビジョン・課題にともに取り組むことで、長期的に信頼関係を構築していき、継続利用してもらうことで収益を安定化します。

 

さらに顧客との良好なリテンション構築によって、クロスセル・アップセルなどの追加受注も可能。このようにLTV(顧客生涯価値=ひとりあたりの顧客が生涯に支払う金額)の最大化を追求していくのも、リカーリングモデルの特徴です。

 

より詳しく知りたい方はこちら:
リカーリングモデルとは?製造業における重要性、導入事例やサブスクリプションとの違いを解説

プラットフォーム戦略

製造業におけるプラットフォームビジネスとは、自社がものづくりの過程で培ってきたノウハウを、他社のものづくりを支えるプラットフォーム(基盤)として展開していく、新しいビジネスモデルです。

 

従来の、製品やサービスのみで勝負する戦略とはまったく異なるように見えて、これまで培ってきた技術が土台にあってこそ構築できるビジネスともいえます。

 

具体的には、プラットフォームを介して、製造業者とサプライヤー・パートナー企業・ユーザーを結びつけ、情報の共有や取引をおこないます。たとえばデジタルツインによる製造ラインを提供し、製品の開発・製造・販売プロセスに関わるパートナー企業やユーザーと連携することで、あたらしい価値の創造を実現します。

 

より詳しく知りたい方はこちら:

製造業におけるプラットフォームの重要性とは?メリットや成功事例、プラットフォームビジネスの強みについて解説!

その他の製造業DXコンテンツはこちら 

製造業DXの基本ワードについてまとめてきました。本メディアではこれからも新しいコンテンツや解説記事を追加していきますので、この記事で紹介するワードも随時追加追加してまいります。

 

また、製造業のデジタル営業・マーケティングなどの領域までを特集したスペシャルコンテンツも無料で用意しておりますので、よろしければ合わせてご活用ください。

 

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製造業DXのカギを握るデジタルファクトリーとは?意味やメリット、構築法や事例まで徹底解説!

 

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  • クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

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Thu, 13 Jul 2023 13:26:45 +0900
<![CDATA[ファクトリーオートメーション(FA)とは?メリット・デメリットや導入方法を解説]]> https://mtame.jp/column/factory_automation ファクトリーオートメーションとは、工場における生産工程を自動化するシステム全般のことです。コンピューター制御や産業ロボット、IT技術などを活用して、生産ラインの自動化・効率化を目指します。

ファクトリーオートメーションは、生産性や品質の向上、安全性の確保など、多くのメリットをもたらすため、少子高齢化が進み、人手不足が深刻化している製造業において、競争力を高めるには欠かせないシステムといえるでしょう。

そこで本コラムでは、ファクトリーオートメーションのメリット・デメリット、導入ステップなど、基本情報を解説します。導入を検討されている方はぜひお役立てください。

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ファクトリーオートメーションとは

ファクトリーオートメーション(Factory Automation:以下FA)とは、工場の生産工程を自動化するための技術やシステムのことです。いままで人間が行っていた加工、組み立て、出荷作業などに産業用ロボットやデジタル技術を活用して、生産性の向上などを図ります。

似ている取り組みとして「スマートファクトリー」がありますが、こちらはFAをさらに進化させたシステムのことをいいます。製造工程を自動化するFAに対して、スマートファクトリーはIoTやAIなどの最先端技術を活用して、工程全体を最適化するシステムです。

ファクトリーオートメーションの歴史

国内におけるFAの歴史は、1950年代に製鉄企業を中心に発展しました。金属を板状に伸ばす連続式圧延機「ストリップミル」などが登場し、圧延や鋳造の工程を連続化して大量生産が可能となりました。

さらに1960年代には、ICが登場して産業用ロボットが実用化。高度経済成長期に突入し、急速にFAが発達しました。

1970年から1980年代には、工作機械のコンピューター接続や、計器類のデジタル化が進み、さらに現在のFAに近づきます。作業工程を数値情報で指示する「NC工作機械」など、いまでも使われている次世代ロボットの登場で高度な制御が可能に。ネットワークで制御装置を接続した分散型制御システムが主流となりました。

1990年代には、設計製図・製造支援システムのCADやCAMなどが普及。2020年以降はICT、IoT、AIなどの最先端技術が導入され、情報・ネットワークを利用したさらなる製造業の自動システム化が進められています。

ファクトリーオートメーションが重要視されている背景

なぜ製造業ではFAが普及したのでしょうか。ここからは、企業がFAに注力している背景について詳しくみていきましょう。

少子高齢化による労働力不足

製造業の人手不足は深刻化しています。製造業の就業者数は、約20年で157万人の減少。少子高齢化の影響を受けて、労働者不足は年々進んでおり、とくに若者の製造業離れが続いています。製造業における若年層の就業者数は、2002年から2021年までで121万の減少となっています。(参考:2022年版ものづくり白書

日本の少子高齢化は続いており、出生率も回復の兆しがありません。そのため、製造工程を見直して自動化を増やすといった労働力不足の改善が急がれています。

【関連記事】
製造業が人材不足になる原因とは?データからわかる実態や課題、解決策を解説

グローバル化による競争の激化

中国をはじめとしたアジア諸国の新興メーカーの台頭により、日本の製造業はグローバル競争で厳しい状況に直面。低価格で高品質な製品が登場し、大きな脅威となっています。グローバル競争に打ち勝つため、日本の製造業でも高いレベルの製品を低コストで提供する生産システムが必要です。その手段として、コスト削減、品質向上を実現できるFA技術が重要視されています。

環境への意識の高まり

SDGsなど社会貢献活動の推進が、世界的に注目されています。日本の企業も、省エネルギーやCO2の排出削減など、環境への配慮を求められることが多くなりました。そのため製造業でも、FAシステムを導入してエネルギー消費量を削減したり、廃棄物の発生を抑えるなど、持続可能な社会への取り組みが必要となっています。

ファクトリーオートメーションのメリット

FAの導入でさまざまなメリットが期待できます。ここでは、4つのメリットについて解説します。

人件費の削減

人件費の削減は、FA技術を導入する大きなメリットのひとつです。かつては、中国や東南アジアに工場を作り、安い労働力でコスト削減を図りました。しかし、最近ではアジア諸国の人件費が高騰し、海外生産のメリットが得られなくなっています。

そのため、いまはFAで製造工程を自動化して、人的コストを抑えています。FAの導入で従業員の採用や教育も不要になるため、人を雇う際にかかるコストもカットできるでしょう。

人手不足の解消

FAで製造工程の自動化が実現すれば、人手不足が解消されて生産性が安定します。とくに近年の製造業は、人材確保が難しい状況です。産業用ロボットによる生産向上だけでなく、部品の運搬作業、納品物の管理など、人手の足りないさまざまな業務をFA化でフォローできます。今後、人口減少が予想されている日本では、FA化が人手不足解消に欠かせないシステムとなるでしょう。

生産性の向上

生産ラインを自動化すれば、365日24時間の稼働も可能になります。人間が作業するときのように、集中力の低下や体調不良などで作業効率が落ちることもありません。部品の在庫管理を自動化できれば、欠品で生産が遅れてしまうといったタイムロスも防げます。
このように、機械やロボットを導入することで作業効率が高まり、飛躍的な生産性の向上が期待できるでしょう。


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製造業における生産性向上について、製造・営業の両視点から取り組むべき施策や事例などを紹介!

品質の安定化

ものづくり大国といわれてきた日本では、いままで「職人の技」によって高い精度と品質を保ってきました。しかし、少子高齢化が続き、若い技術者の不足で、その技術伝承も困難になっています。日本製の高品質を維持するためにも、生産システムを構築して製品の標準化が求められています。

ベテランの技術をデータベース化できれば、品質にばらつきが出ることはありません。商品の標準化が整い、人為的なミスによる不良品も防げます。また、機械化は製造工程だけでなく、製品検査にも有効です。機械は1秒間に数百個のチェックができ、短時間で精度の高い検査が実現します。

ファクトリーオートメーションのデメリット

一方、FAによって起こり得るデメリットはどのようなことがあるのでしょうか。2つのデメリットについてご説明していきます。

設備にコストがかかる

FAの最大のデメリットはコストがかかる点です。導入する機械にもよりますが、数百万〜数千万円かかるケースもあります。導入コストだけでなく、ランニングコストも必要です。メンテナンス費用や電気代のほか、専門知識をもつ人材の確保や育成にもコストがかかります。また、機械の故障で生産がストップしてしまう可能性も。生産性がゼロになるリスクも注意しなければなりません。

一方で、ものづくり補助金IT導入補助金2023など、国の補助金を利用する方法もあります。さまざまな支援を上手に活用しながら、導入を検討してみましょう。

仕事がなくなる不安感

生産ラインの自動化やロボットの導入と聞くと、「自分の仕事が奪われるのではないか」と不安になる従業員も多いのではないでしょうか。たしかに工程が自動化されると、一部の業務はなくなる可能性があります。

しかし、FAで業務にゆとりが生まれたことで、新たな商品・サービスが開発されるかもしれません。別のプロジェクトを任されることもあるでしょう。経営者側は、社員の不安を和らげるためにも、FA計画時には丁寧な説明が必要です。

ファクトリーオートメーションの未来

2011年にインダストリー4.0(第4次産業革命)と呼ばれる産業政策が、ドイツで発表されました。インダストリー4.0とは、IoTやAI、ビッグデータなどを取り入れて製造プロセスの革新を目指すことです。

これを受けて、FAでもIoTやAIなどを取り入れた進化が続くと考えられています。産業用ロボットがネットワークとつながることで、データ収集・分析が可能になり、生産ラインの効率化や品質の安定化が図れます。AIにより自立した判断・行動で、より高度な自動化が実現するでしょう。

また、これからのFAには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も大きく影響してきます。DXとは、デジタル技術を活用して、企業のビジネスモデルを変革すること。新製品の開発や顧客とのコミュニケーションの改善など、製造業に多くのメリットをもたらすとして導入が進められています。

DXで顧客のニーズをリアルタイムに把握して、その分析を製造・販売に生かしていくことで製造業の競争力強化につながります。さらに、FAと相互に連携させて、工場・企業全体を最適化すれば持続的な成長が期待できるでしょう。

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ファクトリーオートメーションを実現する最新技術

ここからは、製造工程を自動化してくれる最新鋭のFA技術についてご紹介します。

協働ロボット

協働ロボットとは、人間と協力しながら同じ空間で作業ができる産業用ロボットです。いままで使われてきた産業用ロボットは、安全面を配慮して隔離した状態でしか作業できませんでした。しかし、協働ロボットは従来の産業用ロボットより出力が小さく、小型・軽量化されているため省スペースに配置できます。

また従来より安価なものも多く、導入しやすいのが特徴です。今後は製造業だけでなく、研究や介護などさまざまなジャンルでの活用が期待されています。

AGV(無人搬送車)

AGV(Automated Guided Vehicle) とは無人搬送車のことです。人間が運転操作をすることなく、自動で設定したルートを走行。荷物を上に乗せたり、けん引したりして倉庫や工場内で運搬作業を行います。

AGVの走行方法はさまざまです。磁気テープを床に貼るライントレース式や、地面に貼られた二次元マーカーを読み取るランドマーク式、画像やレーザーで認識しながら走行するSLAM式などがあり、現場の環境に応じて選べます。

部品などの運搬作業がなくなるので、従業員の労力軽減、安全性の向上などの多くのメリットが期待できるでしょう。

作業支援カメラ

工場や倉庫などの現場作業を支援するためのカメラで、作業員の動作をモニタリングしたり、作業している場所を撮影したりして、安全性や生産性向上に役立ちます。

具体的には、組み立て作業を画像認識してヒューマンエラーを自動でチェック。必要な部品の過不足がないかわかります。作業状況を把握することで、作業システムの改善や作業員のスキルアップも可能です。組み立て完了後の検査工程もカメラで一括チェックできます。

RFIDソリューション

「RFID(Radio Frequency Identification)」と呼ばれる電波の自動認識技術を使って、ワイヤレスで情報を読み取るシステムです。QRコードやバーコードと違い、遠くからでも読み取り可能で、同時に複数データをスキャンできます。

RFIDソリューションを導入すれば、納品された部品をリアルタイムで自動登録でき、どの倉庫に保管したのかも検索可能になります。伝票をRFID化すれば、ゲートを通過するだけで入出庫管理が完了。一括読み取りできるので、数量を間違えることがなく、人為的な出荷ミスなどの課題も解決できます。

ファクトリーオートメーションで活用されるITシステムとは

これからのFAにはITシステムの導入が不可欠です。ここからはどのようなITシステムがあるのか、「基幹システム」「製造システム」「社外関係者管理システム」の3つに分類してご紹介します。

基幹システム

在庫管理や生産管理など、基幹システムを導入することで業務の効率化が大幅に進みます。

名称 内容
ERP
(Enterprise Resource Planning)
経営の効率化を図るため、ヒト・モノ・カネ・情報といった企業の資源を統合的に管理するシステム
MES
(Manufacturing Execution System)
製造工程の管理や作業者への指示など、製造現場の管理を行う製造実行システム
MRP
(Materials Requirements Planning)
生産に必要な原材料や部品を計算して、効率よく在庫を把握する供給計画システム。直訳すると「資材所要量計画」

製造システム

さまざまな製造工程をサポートしてくれるのが製造システムです。生産ラインとリンクさせることで、生産性の向上につながります。

名称 内容
APS
(Advanced Planning and Schedule)
受注から出荷まで製品の生産計画を支援するシステム
CAD
(Computer Aided Design)
コンピューターを用いて設計するツールで、直訳では「コンピューター支援設計」といわれます
CAM
(Computer Aided Manufacturing)
CADで作成されたデータを入力して自動製造を行うシステム
CAE
(Computer Aided Engineering)
コンピューターで技術計算・解析を行う工学支援システム
CAT
(Computer Aided Test)
コンピューターを使ってソフトウェアのテストを行うシステム。CAEとセットで活用
PLM
(Product Life-cycle Management)
製品の開発・製造・販売・廃棄までの流れを管理するシステム
PDM
(Product Data Management)
製造から廃棄までに発生する製品データを一元管理するシステム

社外関係者管理システム

社外関係者管理システムは、ニーズの把握や商談の把握など、社外にむけて活用するシステムです。うまく活用すれば、製造システムの効率化、ニーズに合わせた製造・在庫管理などにつながるでしょう。

名称 内容
CRM
(Customer Relationship Management)
顧客のあらゆる情報を一元管理するシステム。基本情報のほか、顧客のアクションを管理することで、ニーズに応じた対応が実現
SCM
(Supply Chain Management)
原材料の調達から消費まで、顧客に製品を届けるまでの一連の流れを管理するシステム

ファクトリーオートメーションの導入ステップ

最後にFAを導入するためのステップを4つのカテゴリーにわけて解説します。ここでは以下のように分類します。

ステップ1:現状を把握する
ステップ2:導入計画を立てる
ステップ3:導入・運用をする
ステップ4:保守・点検を行う

それぞれのステップについて詳しくみていきましょう。

1.現状を把握する

まずは現場の状況を把握することからはじめます。工場の各工程ではどのようなことが課題になっているのか、データなどを確認して正確な状況をつかみましょう。「生産性が低いのか」「安全性に問題があるのか」「人為的ミスが多いのか」、解決すべき問題はさまざまです。課題を抽出して、自動化できるプロセスを洗い出しましょう。

2.導入計画を立てる

自動化する工程が明確になったら、どのようなシステムを導入するのか具体的に検討していきます。どのように設定すれば効率がよいのか、人の配置はどうするのか、あらゆる状況を想定しながらシミュレーションしましょう。

システムにはメリット・デメリットがあります。「高性能だからよい」というわけではありません。導入コストもかかるので、得られるメリットと照らし合わせて費用対効果を検証することも大切です。

3.導入・実装をする

FAシステムを導入したら、データを収集して従業員が理解しやすいように見える化を進めます。その上で、PDCAサイクルを回しながら継続的な改善を行いましょう。 システムやロボットなどを扱うには、最低限の専門知識も必要です。システムの操作方法の教育、活用方法についての社内研修も積極的に行いましょう。

システムがネットワークでつながると、セキュリティも重視しなければなりません。システムを不正に操作されたり、データが盗まれたりする危険性もあるので、いままで以上の注意が必要です。トラブルが発生した際の迅速な対応も従業員に徹底しておきましょう。被害を最小限に抑えるための訓練を行うことが求められます。

4.保守・点検を行う

FA設備やシステムは、定期的にメンテナンスを行い、不具合や故障を未然に防ぐ対策をしましょう。精密機器が含まれるため、保守や点検を怠ると故障トラブルで生産ラインが停止してしまう可能性もあります。設備やシステムの状態をチェックすることはもちろん、早めの改修・更新も生産性を守るために必ず行いましょう。

まとめ

ファクトリーオートメーションのシステムを導入することで、生産性の向上、コスト削減、品質向上、安全性の確保などの多くのメリットがあります。 近年では、IoTやAIなど技術進歩によりFAがさらに進化し、これまでよりも高性能な自動化が期待されています。

製造業にとってFAは、競争力を高め、持続的な成長を実現するための重要な手段です。人手不足を解消する大きな手助けにもなります。今後ますますFAは、製造業にとって欠かせないシステムとなるでしょう。 当社でもFA導入を支援するさまざまなサービスを展開しておりますので、ぜひ導入を検討されている方は無料プランなどをお役立てください。

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Wed, 12 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業向けSaaSとは?重要性やメリット、おすすめのツールを紹介]]> https://mtame.jp/column/manufacture_saas SaaSとはITのベンダー企業が販売しているソフトウェアを、インターネットを経由して利用するサービスのことを指します。デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進に伴い、一度は名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

製造業SaaSにおいても販売・生産管理・営業支援といった各フェーズに合わせてさまざまなデジタルツールが登場しています。SaaSを取り入れることで、業務の効率化や生産性の向上、コスト削減などさまざまなメリットを得られます。

 

そこで本記事ではSaaSの基礎知識から、製造業向けSaaSの重要性や導入のメリット・デメリット、実際に活用されている製造業向けSaaSサービスについてご紹介します。

 

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SaaSとは

SaaSは「Software as a Service」の略称で、「サース」または「サーズ」と読みます。直訳すると「サービスとしてのソフトウェア」という意味で、ベンダー企業が提供するソフトウェアをインターネット経由で利用できるクラウド型サービスのことです。

 

SaaSが台頭する前はソフトウェアが入っているCD-ROMを購入し、パソコンに1台ずつインストールする買い切り型が主流でした。自社で構築されているネットワークを利用するので、セキュリティの高さやカスタマイズ性には優れているものの、導入後は専門知識を持ったシステムエンジニアがシステムの保守点検や障害対応、バージョンアップ作業を行う必要があり、金銭的なコストだけでなく人的コストもおおいにかかるというデメリットがありました。

 

SaaSはベンダーが用意したソフトウェアをクラウド上で使うため、ソフトウェアの開発や購入は必要ありません。必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるのが最大の特徴です。またインターネット環境さえ整っていれば場所を問わずどこでも利用でき、コロナ禍を機に拡大したリモートワークにも対応可能です。

初期費用が高い買い切り型と対象的に、低コストで手軽に導入できることから予算やITリソースに限りがある中小企業を中心に注目を集めています。

PaaS・IaaSとの違い

SaaSと似た言葉に「PaaS」と「IaaS」という用語があります。PaaS・IaaSともにクラウド型サービスの一種ですが、それぞれの持つ役割や機能は異なり、以下のようにまとめられます。

 

  • PaaSとは

PaaS(パース)とは「Platform as a Service」の略称で、アプリケーションの実行に必要なネットワークやサーバー、OSなどのプラットフォームをインターネットを経由して利用できるサービスです。

 

アプリ開発に必要なプラットフォームの設計や構築などの手間を省くことができ、アプリの開発業務に集中することができます。またPaaSの料金体系は従量課金制を採用しているケースが多く、ユーザーは使用した分しか費用が発生しないため、コストを抑えた運用が可能です。

 

  • IaaSとは

IaaS(イアース、アイアース)とは「Infrastructure as a Service」の略称で、システムを構築するためのインフラをクラウド上で提供しているサービスです。

 

IaaSの特徴は、オンプレミス型(自社サーバーにソフトウェアをインストールし、利用する形態のこと)並みに自由度の高い環境構築をできる点です。自由度が高いゆえにPaaS・SaaSと比べるとITに関する専門知識や保守・点検を求められる側面はありますが、オンプレミス型よりも低コストで独自性の高いシステム運用を行うことができます。

SaaS導入のメリット

SaaSを導入することでどのような効果が得られるのでしょうか。SaaS導入で期待できるメリットを、4つの観点からご紹介します。

導入までのスピードが早い

買い切り型のソフトウェアを利用する場合、ソフトウェアをPCにインストールする必要があり、ソフトウェアの種類によってはインストールに膨大な時間がかかることもありました。一方、SaaSはブラウザ上でアプリケーションが作動するため、ソフトウェアをインストールをする必要がありません。SaaS企業と契約し、ログインIDを取得すればすぐに稼働することができます。

低コストで最新のソフトウェアが使える

SaaSが普及した背景のひとつに、利用料金がサブスクリプション(サブスク)方式であることが挙げられます。「必要なときに必要なだけ使える」サブスクモデルは導入ハードルが低いことに加え、初期投資を安く抑えられます。またソフトウェアのアップデートや機能の追加、バージョンアップなどはすべてベンダー側が行うため、常に最新の状態のソフトウェアを利用できます。

多様な働き方に対応

クラウド上でソフトウェアを利用するSaaSは、複数人で同時にデータの管理・編集が可能です。離れた拠点にいるメンバーともリアルタイムに資料の共有・編集ができることから、テレワークやサテライトオフィス勤務など多様化する働き方にも柔軟に対応できます。従来のツールでは1人のユーザーしか編集できなかったり、共通のソフトを持っていなければ資料の共有ができず、リアルタイムでの情報共有が難しい状況でした。SaaSによってフレキシブルな運用が可能になり、業務を効率的に進められます。

システム管理者の負担が少ない

買い切り型ソフトウェアを利用するには、ソフトウェアをPCにインストールする作業から始まり、インフラの設定やプラットフォームの導入、メンテナンス・アップデート対応など稼働から運用までさまざまな作業がシステム管理者に求められ、多大な労力と時間が発生していました。SaaSは契約するだけで必要なサービスを利用でき、稼働後のメンテナンス作業や利用者からの問い合わせもすべてベンダーが担当します。SaaSの導入により、システムメンテナンスの範囲も少なく済み、システム管理者の負担を減らせます。

SaaS導入のデメリット

便利な機能を数多く有しているSaaSですが、マイナス面ももちろんあります。本章ではSaaS導入後に感じるデメリットについて解説します。

カスタマイズ性が低い

SaaSのソフトウェアはパッケージ化されており、導入後すぐに使えるのが魅力ではある反面、複雑なカスタマイズを行うことはほとんどできません。自社の要望を細かく反映したいのであればSaaSではなく、自社サーバーにソフトウェアをインストールして利用するオンプレミス型のほうが自由度の高いカスタマイズを行えます。

セキュリティ対策が必要

利便性の高いSaaSですが、データはすべてインターネット上で管理されています。ゆえに不正アクセスによる情報漏洩やデータ改ざん、乗っ取り・パスワード流出などの被害が発生する恐れがあります。もちろんベンダー側でも高度なセキュリティ対策を取っていますが、不測の事態に備え、ユーザー側でも従業員のITリテラシー教育や利用端末のセキュリティ強化を図る必要があります。

障害やメンテナンスの影響を受けやすい 

SaaSはインターネットを経由して利用するサービスのため、ネットワーク障害が発生すると、ソフトウェアを使用できなくなります。システムの復旧が長時間に及んだ場合、業務に支障をきたす可能性があります。ただし、システムメンテナンスや新機能の実装に関しては、基本的に利用ユーザーの少ない深夜などの時間帯に行われるように配慮されており、業務への影響は最小限に抑えられています。

ランニングコストがかさむ恐れがある

リーズナブルな費用で「必要なときに必要なだけ使える」のがSaaSの魅力ですが、利用している間は毎月一定額のコストが発生します。ビジネスの拡大に伴い、利用が長期期間にわたると、自社サーバーでシステム構築を行うオンプレミス型よりもトータルコストが割高になる場合があります。ツール導入の際は自社の利用規模にあわせて、買い切り型のソフトウェアとSaaSそれぞれでかかるコストを計算し、どちらが適切なのかをしっかりと見極めましょう。

製造業におけるSaaSの重要性

日本経済の成長において製造業が果たしてきた役割は大きく、その高い技術力と高品質さから、日本は「ものづくり大国」と呼ばれ、世界の製造業を大きくリードしてきました。しかし昨今は社会情勢の変化を受け、さまざまな危機に直面しています。本章では製造業が抱える4つの課題をもとに、SaaSを導入することの重要性について解説します。

深刻化する人手不足問題

経済産業省・厚生労働省、文部科学省の3省による日本の製造業の現状と将来を示す報告書「2022年版ものづくり白書」によると、国内の製造業就業者数については2002年の1,202万人から2020年には1,045万人と、約20年間で157万人も減少しています。特に顕著なのが34歳以下の若年就業者数です。2002年の384万人から2020年の259万人へと、約20年間で3割以上(125万人)減少し、少子高齢化が進んでいます。企業は今まで以上に人材の確保が難しくなることが予想され、少ない人員で生産性の維持・向上を目指す取り組みが求められます。

 

これまで人に依存していたアナログ作業をデジタル化することで、作業精度の安定化や採用・育成コストの削減が見込め、人手不足を補う新しい働き手を創出することができます。

技術・業務の属人化からの脱却

属人化とは、ある業務が特定の人材に依存している状態を指します。技術・業務の属人化は企業が生産性向上や業務効率化を図るにあたって、問題視されている課題のひとつです。特定の人物に仕事が集中してしまうと、担当者が不在の場合、誰も作業を進めることができず、業務が停滞してしまいます。また担当者が業務を通して身につけた知識やノウハウがあっても、他の社員や組織に共有されることなく終わってしまい、技術継承が途絶えてしまうリスクもあります。

 

こうした属人化を廃し、誰もが同じ手順で同じ成果を出すために「作業の標準化」を行う必要があります。SaaSなどのデジタルツールを取り入れ、作業をシステム化(標準化)することによって、技術・業務の属人化を解消することができます。

 

【関連記事】
製造業が人材不足になる原因とは?データからわかる実態や課題、解決策を解説

デジタル化による生産性の向上

製造業向けSaaSを利用するメリットのひとつに、デジタル化による生産性の向上が挙げられます。具体的には製造業向けSaaSを取り入れることで、下記のような業務改善が見込めます。

 

  • 熟練技術者のスキルやノウハウをデータ化し、ナレッジとして社内で共有する
  • 紙やエクセルで管理していた現場帳票を電子化し一元管理
  • 生産管理業務のシステム化で生産管理プロセスを見える化
  • ロボットによる作業の自動化によって省人化や労働時間の削減

 

製造業向けSaaSはさまざまなサービスを提供しており、導入することで多くの恩恵を受けられます。生産性の向上のみならず、余裕の生まれたリソースで新製品の開発や新規事業の立ち上げに注力でき、企業に新しい価値創造をもたらすことが可能です。

【関連記事】

製造業における生産性向上について、製造・営業の両視点から取り組むべき施策や事例などを紹介!

サプライチェーンリスクへの対応

サプライチェーンがいずれかのタイミングで供給が停止し、全体の流れが止まってしまうリスクのことを「サプライチェーンリスク」と言います。

 

製造業においては新型コロナウイルス感染症の拡大により、自社のサプライチェーンが途絶し、生産計画・販売計画の見直しや調達先変更、在庫量の調整などの対応に追われました。新型コロナ収束後もその影響はいまなお続いており、製造業を取り巻く環境は不確実性を増し、先が読めない状況に陥っています。

 

サプライチェーンリスクに対応するためにも、情勢の変化に応じてスピーディーに製品供給できる体制づくりする必要があります。そのためには各部門間でデータを共有し、サプライチェーンを一気通貫で把握できるシステムの構築が不可欠です。業務情報が一元管理できるSaaSを導入することで、各部門の現場担当者が情勢の変化をリアルタイムに共有でき、経営戦略と同期した需給計画をタイムリーに立案、見直しを図ることができるようになります。不確実性が高まる時代の中でも臨機応変な対応が可能になり、サプライチェーンリスクを軽減できます。

 

【関連記事】

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットから導入ステップまで

製造業向けSaaSの紹介

これまでSaaSのメリット・デメリット、製造業向けSaaSを導入する重要性について解説しました。ここからは実際に製造現場で活用されている3つのSaaSサービスについてご紹介します。

「Proceedクラウド」Proceedクラウドで納期・進捗管理をかんたんに

画像引用:Proceedクラウド

 

株式会社東京ファクトリーが提供する「Proceedクラウド」は、重工業の生産現場向けに開発されたSaaSです。工程写真をベースに製造情報のデータベースを構築し、サプライチェーンの可視化を実現しています。

 

重工業の生産現場では撮影写真をベースに工程管理が行われており、これまで写真はPCのローカル上に保存されていることが多く、写真共有に時間がかかっていました。本ツールを導入することで、写真の閲覧や共有がタイムリーに行えるようになり、工程写真にまつわる業務の効率化が見込めます。

「UM SaaS Cloud」工程進捗を表す図

画像引用:UM SaaS Cloud

 

株式会社シナプスイノベーションが提供する「UM SaaS Cloud」は、製造業の業務全般をカバーするSaaS型のクラウドシステムです。見積積算から受発注・生産管理や会計管理まで生産形態・生産業種を問わず対応しています。システムは世界で15万社以上に利用されているSalesforceの基盤を採用し、強固なセキュリティ対策が施されています。

 

本ツールは「UM工程進捗」、「UMガント」、「UM販売購買」、「UMWMS」「UM実際原価」の5つのモジュールから成り立っていますが、一度にすべての機能を導入する必要はなく、事業規模にあわせて機能を段階的に導入することが可能です。SaaSの特徴であるスモールスタートの特徴を活かし、無駄なコストをかけずにDX化を進められます。

 

入力方式はハンディターミナルをはじめ、スマートフォンやタブレット、RFID、IoTなど幅広く対応。製造機械の実績収集情報と連携することで、リアルタイムにデータ収集や確認ができます。

「TECHS-S NOA」テックス・エス・ノア

画像引用:TECHS-S NOA

 

株式会社テクノアが提供する「TECHS-S NOA」は、個別受注型機械・装置業向け生産管理システムです。本ツールは4,400社超の導入実績をもつ「TECHSシリーズ」の定評ある機能を継承したクラウド版で、運用管理の負担が少ないのが特徴です。1アカウントから利用できるため、導入・運用コストを抑えられます。

 

見積や受発注、部品表、原価、進捗、在庫、売上請求の一元管理ができるほか、部品マスタの事前登録なしでの運用やCAD・Excelからの部品表データ取り込み、バーコードリーダーやハンディターミナルでの実績収集機能、仕掛かり原価と完成予測原価をリアルタイムに把握可能など、業務を効率化を図る多彩な機能が搭載されています。

 

生産管理にかかる時間が削減されるため、技能継承や営業に力を入れられるようになるほか、データーベースをもとに過去の類似例の原価を参照し、素早く正確な見積積算を行えることから、営業競争力の向上が期待できます。

製造業向け営業支援SaaSの紹介

日本の製造業は高品質さや技術力において世界から高い評価を受けています。しかし、現代はグローバル化や価格競争による製品の差別化が難しくなっており、どれほど優れた製品を作ったとしても、売上に結びつくわけではありません。グローバル化の波もあり、競争が激化する製造業界で成長し続けるためには、営業力の強化が不可欠です。そこで本章では、3つの製造業向け営業支援SaaSサービスをご紹介します。

MAツール「BowNow」BowNowのサイトの図

画像引用:BowNow

 

クラウドサーカスが提供する「BowNow」は商談数を最大化するために作られたシンプルで低コストなMA(マーケティングオートメーション)ツールです。Webサイトに訪れたユーザーの企業名を判別でき、アクセスログをもとに最適な営業アプローチやメールマーケティングを展開できます。

 

細かい条件検索やABMテンプレート機能を使うことにより、特定の条件を満たしたホットリード(案件化する可能性の高い見込み客)の自動抽出機能があり、見込み度の高い顧客を発掘する機能を備えています。

 

またBowNowは完全無料のフリープランが用意されています。最初はローコストからはじめ、成果が出てから有料プランに移行するという使い方も可能です。「Webサイトからの引き合いを増やしたい」「商談数を増やしたい」「リードナーチャリング(見込み客の育成活動)をしたい」といった新規顧客の開拓を目的に製造業をはじめ、多くの企業で導入されています。

CRMツール「Salesforce Manufacturing Cloud」

画像引用:Salesforce Manufacturing Cloud

 

株式会社セールスフォース・ドットコムが提供する「Salesforce Manufacturing Cloud」は、AIを活用したクラウドベースの製造業向けCRM(顧客管理システム)ツールです。

 

販売計画や取引先販売予測、目標設定、リベートマネジメントなど製造業に欠かせない機能が充実しており、受注ライフサイクルを通じたランレートビジネス(長期的な契約で、過去の傾向から受注数量の予測を定める)の可視化を高め、営業部門と生産計画部門とのスムーズな情報連携を実現します。

 

製造業における課題のひとつに、営業部門と生産計画部門の分断が挙げられます。顧客情報に関してはそれぞれの部門で管理していることが多く、それゆえに不十分な顧客情報による予測を立ててしまい、販売機会の損失や過剰在庫によるコスト上昇などに陥るケースがありました。本ツールによって各部門でリアルタイムに顧客情報を共有することで、正しい販売予測ができるようになり、業務間の無駄を削減することができます。

SFAツール「Senses(センシーズ)」

画像引用:Senses

 

株式会社マツリカが提供する「Senses」は、クラウド型のSFA(営業支援)ツールです。営業活動に必要な顧客情報・案件管理・行動履歴などのすべての情報を一元管理できます。高度なAIエンジンを機能を備えており、過去の案件のデータをもとにAIが受注確度の高い案件や早急に対応すべき案件をアドバイスします。

 

製造業は多くの種類の商材を扱っており、販売チャネルも多岐にわたる傾向があります。商材や販売チャネルが違うと、営業プロセスもそれぞれ異なるため、案件管理が属人化しがちです。Sensesは案件を管理する「案件ボード」を複数作成できるため、複数の営業プロセスもツール内で管理可能です。案件ボードは営業プロセスのフェーズごとにカンバン形式で表示され、進捗状況をリアルタイムに把握できます。

 

そのほかにも名刺管理やチャットツールなどのさまざまな外部サービスと連携でき、営業活動に必要な情報の一元化を実現しています。

まとめ

本記事では製造業におけるSaaSの重要性や導入するメリット・デメリット、実際に現場で活用されているSaaSサービスについて解説しました。

 

日本の製造業は、新型コロナウイルス感染症の影響や少子高齢化による労働人口の減少、技術継承問題、人件費の高騰などさまざまな問題に直面しています。製造業が今後も生き残るためには、DXの推進をはじめ業務の見直しや社内環境の整備が急務です。業務を見直し、課題解決に向けてSaaSを導入することで、高品質を維持しながら生産パフォーマンスの向上が期待できます。

 

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Tue, 11 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[【2023年最新版】今だから読みたい!製造業DXの参考本【5選】]]> https://mtame.jp/column/manufacture_dx_book 製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、工場や製造プロセスの業務を効率化・可視化し、製品やサービスを利用する人々の生活を豊かにすることを指します。

 

かつては「ものづくり大国日本」と呼ばれ、世界から高い評価を受けていた日本の製造業ですが、近年は原材料・エネルギー価格の高騰や少子高齢化による人材不足といったさまざまな危機に直面しています。こうした状況を受け、生き残りをかけて製造業DXを推し進める企業が増えています。DXの推進は世界的な潮流となっており、今後の日本の製造業においても競争力強化や生産性向上に欠かせない存在であるといえるでしょう。

 

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著:天野眞也 出版:Team Cross FA(2020年9月発行)

 

■本書の特徴と構成
製造業DXの入門書に最適

 

製造業従事者や経営者をターゲットに、製造業DXの基本と全体像をわかりやすく紹介。「なぜデジタル化が必要か」といったDX推進の有用性にはじまり、DX化することで得られるメリット(需給変動への対応およびリスクの最少化、攻めの工場運営など)を解説しています。

 

中でも筆者はデジタルファクトリーの重要性を説き、デジタルファクトリーの運用によってリソースの最適化が行われ、環境変化にあわせて最適化された生産と工場生産が実現すると述べています。巻末には「デジタルツイン」や「ダイナミック・ケイパビリティ」などDXにまつわる関連用語を収録(全49語)。DXに触れるのが初めての方でも無理なく学べるようになっています。

 

「製造業DX」シリーズは本書を含めて全部で3冊あり、製造業DXを実践するための応用編を説いた「実践編」、製造業DXの実現を支援する方を対象にした「カスタマーサクセス編」が販売されています。シリーズを通して読むことで製造業DXに必要な知識を網羅できます。

 

なお「実践編」と「カスタマーサクセス編」は伝えたいテーマが同一のため、目次および構成は同じ形式を取っています。視点は異なりますが、内容に一部重複する部分があるということです。

 

【目次】

第Ⅰ章 デジタル技術がもたらす変化
1 技術の発達がもたらすもの
2 デジタル化の広がり
3 デジタルトランスフォーメーション
第Ⅱ章 製造業におけるDXとは
1 すでにデジタル化されていること
2 これからデジタル化されていくこと
3 なぜデジタル化が必要か
4 デジタル化により実現できること
5 製造業に起きる変革
6 DX実現にむけて必要な要素
第Ⅲ章 デジタルファクトリーとそのインパクト
1 デジタルツインを実現した工場
2 従来型工場との違い
3 需給変動への対応とリスクの最少化
4 攻めの工場運営
第Ⅳ章 デジタルファクトリー構築のステップ
1 プランニング
2 シミュレーション
3 リアルファクトリー構築
4 デジタルファクトリー事例(デジタル型ロボットジョブショップ)
5 デジタルファクトリー事例(ロボコム・アンド・エフエイコム南相馬工場)
第Ⅴ章 日本の強みとDXがもたらす未来
1 なぜ日本が製造業DXを実現できるのか
2 日本文化との融合
3 真の働き方改革
4 ダイナミック・ケイパビリティの強化
5 輸出産業としての育成
用語解説 あとがき

 

引用元:Amazon

 【口コミ】

改革・改善のための戦略デザイン 製造業DX

著:髙橋信弘、清原雅彦、折本綾子 出版:秀和システム(2021年11月発行)

 

■本書の特徴と構成
製造業DX実現のための活用事例と実行手順が満載

 

本書は生産・製造業プロジェクト担当者をターゲットにした、業界標準のDX指南書です。「自社業務を改善したい。でも何から始めたらいいのかわからない…」といった要望に応え、DXの基礎知識から製造業DXの取り組みの現状、既存のITシステムとDXの違いなどを細かく解説しています。

 

特筆すべきは第3章の「先進事例・成功事例に学ぶ製造業のDX」です。すでに現場レベルで活用されている製造業DXの実例が全部で7つあり、具体的な活用事例と実行手順が詳しく書かれています。

 

そのほかにもDX推進・実行に必要なスキルとマインドを有するDX人材育成の方法や、DXを活用しながら製造業が成長していくための戦略デザインまで幅広く触れています。

 

【目次】

1章 なぜいまDXなのか
01 コロナ禍のDX
02 ブラックボックス化
03 ノウハウの喪失
04 コロナ禍と製造業
05 DXにおけるAIの役割
コラム 非接触型ICカード技術
06 テレワーク導入とDX

2章 製造業DXの現状と課題
01 製造業DXへの取り組みの現状
02 デジタル・ディバイド
03 IT化とDXとは違う
04 環境変化への対応策
05 既存のITシステムとDX
コラム 提案依頼書(RFP)
06 ユーザー企業とITベンダー企業
コラム 「要件定義」と「要件定義書」
07 中小製造業のIT化
08 既存システムのレガシー化
09 設計、品質管理、物流のDX
10 顧客ニーズの変化に対応
11 工場倉庫業DX
12 製造業のIT化は遅れている
コラム Appleの事例から学ぶ物流の在庫解消と業績回復への取り組み
13 サプライチェーンのDX
14 外注型SIから内製型DXへ

3章 先進事例・成功事例に学ぶ製造業のDX
01 製造業DXの活用状況
02 アナログからデジタルへ
コラム 「富士通グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート2019」
03 事務のデジタル化
04 製造業DXの先進事例①…D社 第2工場のWMS導入
05 製造業DXの先進事例②…T社 本宮工場のOCR導入
06 製造業DXの先進事例③…S社のOCR導入
07 製造業DXの先進事例④…中小製造業の事例
08 製造業DXの先進事例⑤…中小A社 タブレット端末導入
09 製造業DXの先進事例⑥…中小B社 ドライブレコーダー導入
10 製造業DXの先進事例⑦…中小C社 デジタル・サイネージ導入

4章 成功するソフトウェアのデジタル技術者の人材育成に学ぶ
01 システム・アーキテクトのエンジニアの人材育成
02 人材不足はマネジメントで解消できる
コラム システム開発と要件定義の流れ
コラム プログラム言語の歴史
03 スマートファクトリー
コラム 世界デジタルサミット2021DX導入事例
04 RFIDによる製品管理

5章 成長のための戦略デザイン
01 モノづくりと現場力
02 デジタルプラットフォーム
03 サプライチェーンDX戦略
04 スマート工場化の変革
コラム 通信ネットワーク技術がもたらす新しい社会システム
05 内製化戦略デザイン
06 製造業DXと働き方改革
コラム AIは、働き方をどのように変えるか?
07 DX成功への戦略デザイン
08 ソフトウェア開発の手順と文書化
09 情報社会の到来と進展

 

引用元:秀和システム

 【口コミ】

製造業のDXを3Dで実現する~3Dデジタルツインが拓く未来

著:鳥谷浩志 出版: 幻冬舎(2021年7月発行)

 

■本書の特徴と構成
3Dデジタルツインが製造業に未来をもたらす

 

筆者は製造業DXの本質は「設計情報の流れを創ること」、つまり3Dデジタルツインの流通が不可欠であると述べています。製品と同等の機能を有する3Dデジタルモデルを整備することで、現地現物や図面文化の置き換えが進むだけでなく、実機の完成を待たずに多彩な業務に着手できる作業プロセスの並列化が可能になると述べています。

 

また3Dデジタルツインが根付いているドイツの製造業と日本の製造業を比較し、なぜ日本では製造業DXが進まないのかという原因の解説や、現在の日本の製造業を取り巻く課題を浮き彫りにしたうえで、日本の強みを活かしたDX推進方法を提案しています。

 

巻末には特別企画として「日本の3D研究の源流を辿る」をテーマに、3D研究の第一人者である東京大学教授・鈴木宏正氏との対談を収録。3Dコンピューティングの過去・未来・現在を語っています。

 

【関連記事】

デジタルツインとは?シミュレーションとの違い、製造業での活用事例などをご紹介

 

【目次】

第1章 不確実性の時代を生き抜くためのダイナミック・ケイパビリティ
第2章 日本の製造業の強みを活かしたDXとは?
第3章 デジタル擦り合わせ力を高める
第4章 設計の3DデジタルツインをDXの原動力に変える
第5章 3Dデジタルツイン再考
第6章 新たな年に変革を問う
第7章 現地現物を設計に活かす
第8章 現地現物のデジタル化でDXを促進する
第9章 「V字モデル」開発を土台にDXを考える
第10章 DXの起点となる3Dデジタルツインを完成させる
第11章 超軽量3DのXVLはいかにして3Dデジタルツインに進化したのか?
第12章 対談 日本の3D研究の源流を辿る【商品解説】

 

引用元:Amazon

 【口コミ】

 

【関連記事】

デジタルツインとは?シミュレーションとの違い、製造業での活用事例などをご紹介

図解 DX時代のPLM/BOMプロセス改善入門 デジタル化 段階別課題解決のアイデア100

著:三河 進 出版: 日本能率協会マネジメントセンター(2022年3月発行)

 

■本書の特徴と構成
知識レベルに応じてPLM/BOMのプロセス改善を学べる

 

PLMとは製品ライフサイクルを通して製品価値を最大化する経営手法、BOMとは製品を構成する部品リストを指します。本書では製造業DXの推進に欠かせないこの2つの用語の解説から、DXと従来のデジタル化の違い、DX実現のためのPLM主要領域(ドキュメント管理、BOM、3Dモデルと図面管理、部品番号、プロジェクト管理など)におけるプロセス改善アイデアを紹介しています。

 

本書の特長としては、各ページの冒頭にデジタル化の段階と知識レベルを表記している点です。知識レベルは初心者・中級者・上級者の3つに分かれており、PLM/BOMプロジェクト未経験者からエキスパートまで製造業DXにまつわる必要な情報を得ることができます。

 

もうひとつはプロセス改善アイデアが100点掲載されていることです。ただ事例を羅列するのではなく、実際に筆者が経験した頻出の基本知識とプロセス改善アイデアが図解つきで説明されています。実体験に裏打ちされたプロセス改善アイデアを読むことで、製造業DXを進めるうえでの企画や実践に応用しやすいヒントを学べます。

 

【目次】

第1章 DXと従来のITプロジェクトの違い
第2章 ドキュメント管理
コラム2:合宿のスケジュール
第3章 BOMのグランドデザイン
コラム3:合宿の体制と役割責任
第4章 設計におけるBOM
コラム4:改革コンセプトの例(技術情報管理)
第5章 購買・製造におけるBOM
コラム5:改革コンセプトの例(改革的である理由)
第6章 3Dモデル・図面管理
コラム6:改革コンセプトの例(開発期間の短縮)
第7章 部品番号と図面番号
コラム7:改革コンセプト例(原価企画)
第8章 製品開発プロジェクト管理
コラム8:改革コンセプトの評価
第9章 コンプライアンス対応
コラム9:よく使う分析ツール(問題構造図)
第10章 開発プロセス・マネジメント
コラム10:よく使う分析ツール(定量分析)
第11章 モジュラー設計
コラム11:よく使う分析ツール(マトリクス分析)
第12章 IT導入プロセスの改善

 

引用元:紀伊國屋書店

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製造業プラットフォーム戦略

著:小宮昌人 出版:日経BP(2021年9月発行)

 

■本書の特徴と構成
日本の製造業を救う新たなビジネスモデルを提言

 

新興国企業メーカーの台頭やデジタル化の浸透、グローバル展開の加速によって、日本の製造業の存在感が相対的に低下し、デジタル時代における競争戦略の見直しが求められています。そこで本書では日本の製造業の強みを活かしつつ、競争力を発揮していくための戦略として、「ものづくりプラットフォーム」を提案しています。

 

「ものづくりプラットフォーム」とは日本の製品・サービスを売るのではなく、日本がものづくりで培った技術やノウハウをプラットフォーム化し、他社製造業へ提供するという新しい試みです。

 

日本企業が長年培ってきたものづくり現場のノウハウ・技術のレベルは非常に高いものの、これらの標準化は難しく、暗黙知かつ属人的なものとされてきました。しかし近年はデジタルツインやIoT、3Dセンシングといったデジタル技術の発展によって、技術が「見える化」されたことにより、標準化が実現しています。本書ではデジタル技術を軸に「ものづくりプラットフォーム」戦略を推し進めることで、従来のモノ売り・コト売りから脱却を図り、日本の製造業の新しい在り方を見いだせると述べています。

 

【目次】

第1章 日本の製造業は、世界のロールモデルではなくなった
第2章 インダストリー4.0とデジタルツイン革命がもたらすもの
第3章 デジタル化で起こる製造業の地殻変動
第4章 ものづくりプラットフォーム戦略①製品設計力・コア部品技術を売る
第5章 ものづくりプラットフォーム戦略②生産技術力を売る
第6章 ものづくりプラットフォーム戦略③ネットワークとケイレツノウハウを売る
第7章 ものづくりプラットフォーム戦略④工程・現場の熟練ノウハウ/技術を売る
第8章 ものづくりプラットフォーム戦略⑤製造能力を売る
第9章 ものづくりプラットフォーム展開に向けた課題とアクション①
第10章 ものづくりプラットフォーム展開に向けた課題とアクション②
第11章 ものづくりプラットフォーム展開に向けた課題とアクション③

 

引用元:野村総合研究所

 【口コミ】

 

【関連記事】

製造業におけるプラットフォームの重要性とは?メリットや成功事例、プラットフォームビジネスの強みについて解説!

まとめ

製造業DXについての書籍をご紹介してきました。

今回ご紹介したのはごく一部ですが、変化の激しい時代だからこそしっかりとインプットをして、遅れを取らないようにしていきましょう。




 

製造業の成果事例集
  • 製造業のマーケティング成果をご紹介!
  • Webサイトを活用した
    製造業の成果事例インタビュー集
  • クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。

    無料で冊子をダウンロード

 

 

【製造業のデジタル化特集を公開中】

製造業のデジタル化に特化した特殊ページを公開中です!以下のリンクからご確認ください。

製造業のデジタル営業・マーケティング特集

  

 

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Mon, 10 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業こそ営業DXで生産性を向上!デジタルツールで解決できる課題、メリットや事例をご紹介]]> https://mtame.jp/column/salesDX_manufacture 営業DXとは、デジタルツールを活用し、これまでの営業活動をよりよいものへアップデートしていく考え方です。近年はリモートワークの浸透によってオンライン会議なども一般的になり、実際に使ってみて、その便益を享受した方は多いのではないでしょうか。

 

また、世界的なパンデミックによるオンライン化・デジタル化を受け、IT投資をおこなうことで、自社のビジネスモデルを変革したいと考える経営者の割合は年々増加傾向にあります。とくに営業DXは売上に直結することから多くの期待を集めており、着実に取り組むことで、大きな成果が得られるプロジェクトといえます。

 

本記事では、「なぜ製造業こそ営業DXが必要なのか」製造業における営業DXの重要性についてまとめました。

 

「生産性を向上には関心があるけど、そもそも営業DXって何をするのかピンとこない」という方にもわかりやすいよう、営業DXをすすめていく手順や成功の秘訣について解説します。

 

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営業DXとは

DXの定義とは「ICT(情報通信技術)の浸透により、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」を指します。(出展:Information Technology and The Good Life(2004,Erik Stolterman Umea University,Sweden))

 

業務工程においてICTを活用すれば、ノウハウをデジタル上に蓄積し、このデータをもとに生産性・品質の向上をはかることができます。ただ現在取り組まれているDXの多くは事務などのバックオフィス業務におけるものが中心で、利益向上には直結しないという場合も少なくありません。

 

そこで、注目を浴びているのが営業DXです。営業DXとはずばり、営業活動の見える化です。すべての営業活動をもれなくデータ化して共有できるようにすることで、どのような顧客がいて進捗はどのくらいか、また成績を出している営業マンのスキルなども、組織全体で共有できるようになります。

DXとデジタル化との違い

「これまでデジタルツールを導入してデジタル化には取り組んできたけれど、DX化とはどう違うの?」というのも、よくある疑問のひとつです。

 

デジタル化(デジタライゼーション)は、既存業務の一部を、デジタルツールに任せることです。特定の業務フローにデジタル技術を取り入れることで業務を削減し、生産性向上を目指します。以下はデジタル化の一例です。

 

○ 書類を電子化してデータベース化する

○ 訪問営業をオンライン営業に切り替える

○ セミナーをオンラインセミナーに切り替える

○ 紙ベースの顧客リストをツール(SFA・CRM・MAなど)で管理する

 

一方DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、ツールの力を借りて業務自体を改善することです。経済産業省によれば、DXとは「デジタル技術を用いた企業の変革によって、企業が競争上の優位性を確立すること」であると定義しています。

 

デジタル化が「デジタルツールを導入すること」であるのに対して、営業DXは「顧客リストをデジタルツールでデータ化することで、属人的な営業体制やこれによる損失を改善し、総合的な営業力を高めること」といえます。

営業DX7つの類型

営業DXは主に7つに分類でき、それぞれの領域ごとに、さまざまなサービスが参入してきています。DXを進めるうえで、自社に必要なツールを選定するうえでお役立てください。

 

  1. リードの獲得

潜在顧客を顕在化するためのツール、インサイドセールスに関するシステムで、MAツールが代表的。例:顧客とのやりとりをテキスト化、メルマガ配信タイミングの最適化。

 

  1. 営業活動効率化

営業活動を最適化できるツールで、代表的なものはSFAツール。例:営業活動記録・日報・商談の進捗状況・営業予測・案件やクレームの管理。部門間共有。

 

  1. データ解析

営業活動で取得したデータを活用するためのツール、AIが搭載されているため簡単にデータを分析できる。例:収集された情報から関連性を見出し次のアプローチを導き出す・ビッグデータ解析による顧客の課題抽出など。

 

  1. 顧客関係管理

企業と顧客との関係性を見える化するツールで、CRMがこのカテゴリーの代表。BtoCでより多く活用されており、ECサイトやクラウドとの親和性も高い。例:顧客データベースの構築と管理・プロモーション履歴の蓄積・部門間のデータ共有。

 

  1. 顧客体験(CX)

購買プロセスに付加価値を与えることで売上向上をはかるツール。例:ユーザーの行動ログに対して最適なポップアップ表示、チャットボットによる問い合わせ対応。

 

  1. コミュニケーション

顧客対応の最適化をはかるツール。例:顧客とのやりとりを分析し、オペレーターに最適な回答を提案。

 

  1. 人材育成

営業活動にあたる人材の育成をおこなうためのツール。例:オンライン商談のロールプレイング研修・動画配信プラットフォームなど。

営業DXでおさえておきたい「営業ファネル」

営業DXを進める上で欠かせない考え方が「営業ファネル」の概念です。ファネルは日本語で「漏斗(じょうご・ろうと)」の意味です。

 

自社の製品やサービスをはじめて認知したユーザーが、購入や契約を経て顧客となるまでのプロセスを、漏斗(じょうご)の形になぞらえています。上部では潜在層であった顧客が、有料顧客になっていく段階で人数がしぼられていく様子は、漏斗の形によく似ています。

 

世界標準化した営業DXをおこなう上で重要となる「営業ファネル」は以下のような図で表されます。

 

営業ファネル

日本の製造業が営業DXにおいて抱える課題

日本のものづくり企業は、まだ誰も経験したことがない「ニューノーマル時代」を生き抜くうえで、「レジリエンス」「グリーン」「デジタル」という3つの課題を抱えています。(出展:2021年版 ものづくり白書

 

実際に、営業DXを完了している組織はまだまだ少なく「DXに成功している」と回答した日本企業は、世界平均の30%に対してわずか14%にとどまりました。(出展:ボストンコンサルティンググループの調査)

 

「レジリエンス(resilience)」は、製造業における「サプライチェーンの強靭化」のこと。レジリエンスは、近年のはげしい環境の変化や不確実性に対する「回復力」の意味で、自社のサプライチェーンリスクを正確に把握し、想定していない事態にそなえることです。企業それぞれができることを見直すことに加えて、複数の企業で協業し協力する体制を整える必要が出てきていることが特徴です。

 

「グリーン(green)」は、カーボンニュートラルへの対応を示します。日本は温室効果ガス排出量を2050年までにゼロを目指すことを表明しており、これに続いて多くの大企業が取り組みはじめました。近年は、環境へどのくらい配慮しているかを基準に投資額を決定するグリーンファイナンス・脱炭素化に取り組む企業に投資するトランジションファイナンスなども導入されており、国としても基金を創設してカーボンニュートラルに取り組む企業を支援しているため、日本の製造業はビジネスチャンスととらえてこれに挑戦していく必要があります。

 

「デジタル(digital)」は、 デジタルトランスフォーメーション(DX)の取組深化 です。2021年版ものづくり白書では、自社を変革する力として以下3つを定義しています。

 

● 「感知」=危機を察知する。

例:生産ラインにAIを導入し、予測モデリングをおこなう。

 

● 「補足」=機会をとらえ、競争優位性を獲得する。

例:デジタルツールを導入し顧客の購買プロセスからデータを収集する。

 

● 「変容」=競争優位性を持続させるために組織を変容させる。

例:あらゆる業務領域のデータを連携できるITソリューションを導入する。

 

さらにこれらに対応できる人材の育成も課題となっています。

製造業における「2025年の崖」

2018年に経産省が発表したDXレポートで語られた「2025年の崖」では、日本企業がDX推進しなかった場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が発生することが想定されています。これによりグローバル競争においても日本の製造業はさらに競争力を失うおそれがあることから警鐘を鳴らされています。(出展:経済産業省DXレポート

 

DXを推進するには、既存システムにおける問題を解決して、データの統合・活用を進めることが必要です。これを受けて多くの企業でICTシステムの導入・デジタル化が進んでいるものの、

 

● 部門ごとに導入されたシステムを統合できていない

● ブラックボックス化・老朽化したシステム(レガシーシステム)を導入している企業は80%以上にのぼり刷新がうまくすすまない

● 現場の抵抗が大きい

 

など抱える課題は深刻化しています。

 

また2025年には

 

● 基幹系システム21年以上が6割

● IT人材不足

● SAPやERPのサポート終了

 

となるため、社会全体での取り組みが必要です。そのため国は、古いシステムを仕分け・刷新しながらDXを進め、2030年には実質GDP130兆円を超える押上げを実現するべく「DX実現シナリオ」を掲げています。

なぜ製造業にこそ営業DXが必要なのか

製造業では今なぜ営業DXが必要とされているのでしょうか。ものづくり企業は、近年のさまざまな外的影響により収益が回収できなくなっている企業も多く、営業DXによる売上回復に期待が集まっているのです。

 

たとえば近年のパンデミックや緊迫した世界情勢が引き起こした原材料価格の高騰、半導体不足、また新興国企業の低価格製品の台頭によって、今までどおりの営業戦略では売上を確保できなくなっているのが現状です。また前項で説明した「2025年の崖」問題にあるように、製造業においてもDXを進めようとする反面、なかなか進まない現状が浮き彫りになっています。

 

なかでも営業チームは、企業の売上に直結する組織として、時流の変化に対応する高い能力が求められています。実際にこのような逆境においても、営業DXを実現している企業は、近年のさまざまな問題への対応力をあげて成長を遂げてきました。

 

ここでは、製造業において営業DXが必要とされる大きな3つの要因についてご説明していきます。

対面営業から非対面営業へ

近年「非対面営業」が重要度を増してきたことは、営業DXが必要とされる大きな理由のひとつです。非対面営業とは、テクノロジーとデジタルツールの活用により、営業活動をオンライン上で行う方法です。

 

コロナ禍において訪問営業ができなくなったことで、「オンラインでの会議・商談・契約」といった営業手法はビジネスシーンにおいて広く定着してきました。またこれに伴って営業活動においてデジタルツールを活用する企業は増加傾向にあります。

 

たとえばCRM(顧客関係管理)システムを導入することで、これまで可視化できなかった商談やコミュニケーションの記録をデータとして蓄積でき、顧客ごとに最適な接触ポイントを把握することが可能になりました。

 

業務を見える化することで担当営業者の負担は軽減し、生産性向上に直結します。とくに人材不足の時代において、営業DXを深化することで、今後さらに大きなアドバンテージを生むことになります。これまで対面による営業活動で業績をあげてきた企業こそ、DXによって営業力にさらに磨きをかけ、顧客とのエンゲージメントを高めていきましょう。

インターネットで情報収集できる時代に

インターネットによってだれもが簡単に情報収集できる時代になったことで、これまで営業マンが情報を説明していたプロセスは、見込客自身の行動へとうつりました。実際に、BtoB企業が利用する情報源の1位は企業のWebサイトとなっており、BtoB企業がWebサイトに取り組むことで非常に高い経営効果がでるというデータも出ています。(出展:BtoBサイト調査2020

 

見込客はインターネットを通じて検索し、いくつかの企業のWebサイトを閲覧し、情報サイトやユーザーの口コミなどをもとにして、比較検討をおこなえるようになりました。そのため、対面営業にこだわってオンライン施策に甘んじていると、いつのまにか競合に見込客をとられてしまう…ということにもなりかねません。実際に、オンラインで得られる情報量やスピード感に、ひとりの営業マンの知識やスキルだけでは追いつかなくなっているのが現状です。

 

しかし逆に、オンライン上での営業施策にもしっかりと組み込むことで、今までアプローチできなかった顧客層に接点をもてるようになったことは好機ととらえることもできます。まだ自社サイトを持っていないという企業は、営業DXの第一歩として、Webサイトの設置をおすすめします。

 

日本の製造業が営業DXに取り組むことは、高い品質を世界に発信できるチャンスです。またDXに適切に取り組むことで、営業担当者はインターネットでは取得できないリアルタイムな情報共有ができるようになり、営業力をさらにアップデートできます。

データ解析から市場ニーズを予測できるように

熟練の営業マンが、長年の経験や勘によって顧客にベストな提案ができるように、AIによる市場ニーズ予測の精度は年々あがってきています。とくに人材不足が叫ばれる製造業においては、顧客ニーズを正確に把握・分析して競争力をあげていくためには、営業活動のDX化が必須です。

 

デジタルツールを導入してデータを蓄積・分析できれば、細分化した顧客ニーズに対してカスタマイズした製品やサービスを提案できます。またどのようなスキルの営業担当者でも安定して成果を出せるため、業務の属人化を解消しながら、個別対応のクオリティをさらに底上げすることが可能です。

 

営業DXによって、営業活動で「かゆいところに手が届く」提案ができるようになれば、顧客満足度・ロイヤリティを向上させることができ、市場シェア拡大にもつながるはずです。

 

たとえばMAツールのデータ解析を活用して、顧客育成のプロセスを自動化すれば、新規顧客獲得を強化できます。営業担当者の業務を削減しながら、見込客のニーズに最適な提案ができる仕組みづくりができるからです。

製造業が営業DXに取り組むメリット

製造業が営業DXに取り組むことでどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは3つのポイントで説明します。

業務の効率化・生産性向上

営業活動にデジタルテクノロジーを取り入れてDX化することで、業務をより効率化し、高い生産性を実現できます。

 

ツールによって見込客のデータを取得し可視化することで、顧客の育成領域までを、スムーズに効率化できるようになります。たとえば、煩雑な手作業、見込み度合いの低いリードへのアプローチなどを削減して、より重要度の高い顧客対応などに時間を割けるようになるのです。

 

このように営業プロセスを自動化することで、業務を標準化してだれでも一定以上の水準で業務をおこなえるようになるため、個人のスキルに依存した営業スタイルを見直し、属人化解消にもつながるはずです。

 

またAIによるデータ分析といった高度なデジタルテクノロジーを活用することで、予測モデリングが行えるようになり、販売戦略を最適化できます。具体的には、顧客のセグメンテーションや顧客ニーズに応じたアプローチができることで、営業業務は効率化し、生産性を向上できるようになります。

システム導入によるデータの一元管理と有効活用

製造業が営業DXに取り組むメリットのひとつとして、データを一元管理し、有効活用できることが挙げられます。

 

現状多くの企業で、部門ごとに別のツールを使っていて、顧客や販売に関するデータを一元化できない「システムのサイロ化」がみられることは少なくありません。しかし統一されたシステムによってこれらのデータを一元化すれば、データの統合性・信頼性が高まります。営業担当者ごと、部門ごとの垣根を越えてデータを有効活用できるようになり、組織全体を強化することにもつながります。

 

生産ラインから顧客の手に製品が渡ったあとのフォローまでを、データで一元化することで受けられる恩恵はさまざまです。たとえば、製品サービスの品質や生産性向上、属人化や人手不足の解消、コストの削減も実現できます。

 

一元化されたデータ活用は共有が簡単で抜け漏れも防ぎやすいため、顧客一人ひとりにパーソナライズされたサービスやコミュニケーションを提供できるようになれば、顧客との関係をよりいっそう強化でき、安定的な売上確保にもつながります。

ロイヤリティ向上・売上増加

営業DXは、顧客との関係を強化し、CX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)の向上に寄与します。とくにこの顧客とのリレーション構築は、ものづくり企業が成長・発展し成功をおさめていくうえで非常に重要なポイントです。

 

営業DXでは、ITツールによるデータ分析や顧客のセグメンテーションを通して、顧客のニーズ・嗜好を理解し顧客ごとに最適なサービスを提供できるようになります。顧客とのエンゲージメントを高めたり信頼関係を深めたりすることは、インターネット上に顧客の良質な口コミ(UGC)を生み出します。近年はこのUGCによるマーケティング効果はより重要視されていて、売上増加も大いに期待できます。

 

またデジタルデータをAIが分析することで、市場のトレンド・需要予測を把握できるため、長期的に収益を安定化できます。

製造業が営業DXに失敗しないためには

失敗してしまう原因をおさえておけば、必然的に営業DXを成功に導くことができるでしょう。ここでは営業DXの成功において重要となるポイントについてご紹介します。

DXの必然性を理解する

日本の中小企業はかねてより、対面での信頼関係の構築に重きをおいてきた側面があります。そのため、対極に位置するデジタル化に対しては、とくにベテランの営業担当者ほど大きな抵抗を感じる、ということも少なくありません。

 

ここで大切になるのが、営業部門一人ひとりの意識の変革です。営業をとりまくビジネス環境の変化を客観的に理解し、これまでの営業活動を否定するのではなく、これまでの営業活動の強みをさらに活かすための「営業DXの必然性」を理解していく必要があります。

 

そのためには現在の営業職をとりまく環境がどのように変化しているのか、具体的なエビデンスを共通認識としていくことも必要です。営業手法の変化は、たとえば以下のような具体的なデータによって引き起こされています。

 

● 1ヶ月の商談が50件以下の企業が収益目標を達成できない割合は72%だが、商談数51~100件の企業は15%、101〜200件の企業は4%にとどまる。(出展:HubSpot Research社)

 

● 経営幹部の64%決裁権を握っているものの、経営幹部以外の人員の81%が購入の意思決定に何らかの影響を与えていることから、経営層への電話は効果的ではない。

 

● 見込客の約60%が最初の電話で知りたいのは価格である。

 

また、営業部だけでなく、組織全体でも認識のすり合わせをおこないましょう。

DXの基盤となるデジタル化を進める

営業DXの必然性が理解できたところで、次に欠かせないのがデジタル化(デジタライゼーション)です。DXはデジタル化によって業務自体を改善していくことなので、この基盤となるデジタル化がすすんでいないことにはDX化の実現はむずかしくなります。

 

たとえば従来の管理方法では、営業担当者ごとに名刺を保管し、それぞれが紙やExcelに手入力する、といったアナログ運用をおこなっていることも少なくありません。まずは、保有している名刺を集めてツールに投入し、営業担当者ごとに把握している顧客情報をひもづけていく作業が必要です。

 

これらのツール導入初期には工数もかかるため、割けるリソースがないと諦めてしまう企業もありますが、そういった際には外注するのも手です。外注において注意したいのは、ITシステムに関する技術をもつ外部人員に依存しすぎず、あくまでも自社の現場の人員が主体となりすすめていくことです。

 

得られる結果を見据えて、基盤となるデジタル化をひとつずつ着実にすすめていくことが、営業DX実現への近道です。

部門間の連携を強化する

DXの必然性を理解してデジタル化を進めてきたところで、「部門間で連携がはかれていない」というのもDXに失敗してしまうポイントです。営業DXを成功させるには、他部門の業務内容を理解して尊重し、部門同士で協力して、組織全体でDXを実現させていく体制が不可欠です。

 

営業部がいくらデジタルツールを導入してDXを進めていこうとしていても、他部門がそれぞれ別々のツールを使っていて連携できない、明確なワークフローが共有できていない状態ではうまく機能しないのがDXといえます。

 

たとえば、展示会やセミナーイベント、Webサイトや広告といったマーケティング部門の施策によって獲得したリードを、営業部にうまく引き継ぐ仕組みは、部門間で協力して構築する必要があります。また製造業であれば、事業部の生産計画、売上予測などのデータも連携できる仕組みが必要です。

 

お互いに協力体制を築いてワークフローを標準化し、組織が一丸となって企業文化を高めていくことで、はじめてDXは実現できます。これによって、生産性向上はもちろん、顧客に対してより高い体験価値を提供できるようになります。

目標設定・効果検証をおこなう

デジタル化・DXを進めていくうえで、取り組んでいることに満足して見落としがちになるのが、目標設定とそれに対する効果検証です。デジタルツールを導入したからといって、ひとりでに課題解決につながるわけではなく、目標に対する正しい運用と効果検証が必要になります。

 

ツールはあくまでも手段のひとつであり、営業DXの最終的なゴールはKGI(目標)を達成することです。そのためには、過程を見るためのKPI(指標)を設定して、運用の改善・検証を重ねることで営業DXを最適化していく必要があります。デジタル化自体は、目標達成のための環境整備にすぎないのです。

 

KPI設定は「SMARTモデル」と呼ばれる公式を当てはめることで最適化できます。

 

S(Specific):具体的・わかりやすいこと。

営業部・また組織全体で具体的な指標を設定すること。

 

M(Measurable):計測可能・数字として表されていること。

営業活動における効果を客観的な数値にすることで、どのくらい到達しているかを評価すること。

 

A(Achievable):達成可能性。

KGIを達成するために必要な中間目標として、達成が可能である営業目標の数値を設定すること。

 

R(Relevant):関連性・整合性のこと。

KGI・売上目標に対して、関連性・整合性のある営業目標の数値を設定すること。

 

T(Time-bounded):期限が明確であること。

営業活動における必達目標として、機能する期限を設けること。

 

これらの目標設定のうえで、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のPDCAサイクルによって効果を検証し、運用方法をブラッシュアップしていくことで、営業DXの成果を最大化することができます。

営業DXに成功している日本の製造業事例3選

営業DXに成果を出している日本のものづくり企業についてご紹介します。それぞれの企業ごとに特色ある取り組みになっているため、ぜひ自社の営業DX戦略にお役立てください。

株式会社今野製作所「情報を見える化して営業DXを実現」

株式会社今野製作所は、小規模中小企業にもかかわらず、国からDXモデル企業に選出されています。同社は、油圧機器の製造・販売、板金加工、福祉機器やエンジリアニング&サービスといった事業をおこなう企業です。

 

紙ベース・手書きで生産管理をおこなういわゆる「町工場」だった同社は、 2000年ごろから地道なDXに取り組んでいきます。しかし2008年のリーマンショックの営業で売上が落ち込み、生産現場は混乱。これらの環境を整えるため、2010年ごろから「業務の見える化」に取り組んだことで、次は「人に依存した業務プロセス」という課題が浮き彫りになります。

 

これを改善するため、同社はすべての業務をITで連携する取り組みをおこない、その結果、受注〜調達・生産から出荷まですべての業務プロセスをシステム化することに成功しています。中小企業だからこそ、ひとつずつコツコツ取り組んだことによって成功したDX化の事例で、日本の多くのものづくり中小企業にとって非常に参考になる事例ではないでしょうか。

富士通株式会社「営業DXにより営業職を廃止」

富士通株式会社は、「営業職」という役職を廃止し、あらたに「ビジネスプロデューサー」職を創設。この役職は、顧客のビジネスをプロデュースしサポートする目的で、営業職とシステムエンジニア職のメンバーで構成されました。また全社で年功序列を撤廃し、社内の仕組みや報酬体系を刷新、人事制度を「ジョブ型雇用」とし、従業員の意識改革もねらっています。

 

このねらいの先にあるのが営業のDX化です。CRMやSFAといったシステムの顧客情報を蓄積するだけでなく、インサイドセールス部門を立ち上げて営業業務削減を実現しました。

 

さらに同社は自社内の営業DXにとどまらず、顧客の営業DXを支えるソリューションを提供しています。同社が提供するナレッジ基盤ソリューション「Know-Flow DX」の最新版である「Know-Flow DX V1.12」は2022年にリリースされており、営業提案業務そのものをDXできる新機能を搭載しています。

 

同システムは、属人化した営業活動のノウハウを組織ナレッジに転換でき、どのような人が取り組んでも業務が標準化できるようなプラットフォームになっています。AIを活用してナレッジを整備、検索、共有でき、現在アフターフォローやITサービス運用などにおいて活用が進んでいるのも特徴です。

ヤマハ発動機株式会社 「経営目線のデジタル改革実行」

ヤマハ発動機は積極的にDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでおり、経済産業省・東京証券取引所による「DX銘柄」に2年連続で選ばれました。経営目線による戦略的な営業DXを推進し、売上拡大を目指しています。

 

同社のDXは、以下の三軸で構想されています。

  1. Y-DX1(経営基盤改革)
  2. Y-DX2(今を強くする)
  3. Y-DX3(未来を創る)

 

Y-DX1では、新しい情報を活用することで「お客さまの見える化」をおこない、予知型経営の実現を掲げています。Y-DX2では既存顧客に焦点をあてたDXで、Y-DX3では将来の価値創造にむけてあらたなチャネルを模索し、新たな顧客とつながるためのDXを目指しています。さらに、デジタルを活用できる人材の育成にも力を入れており、研修プログラムなども実施しています。

 

さらに、同社は「デジタル戦略部」を立ち上げてマーケティングや生産部門など多様な人材を集め、「デジタルマーケティング」「コネクテッド」「スマートファクトリー」「データ分析」の4つのテーマで数十個のPoCを実施し、ビジネス創出のためのテーマ創出と効果の確認を行いました。

 

同社はDXによりマーケティング力強化やリーダー育成にも注力しており、営業活動における省人化・効率化に成果を上げています。今後もシステム統合やデータ活用の基盤整備に取り組み、マーケティングとエンジニアリングの改革に取り組んでいくことを示しています。

営業DXを実現する手順

ここでは、営業DXを実現するための具体的な手順についてご説明していきます。

現在の営業課題を抽出

まずは自社の現状を把握します。前述しているように営業DXは営業部だけではなく、部門をまたいだ取り組みとなるため、部門ごとの「現場の声」を吸い上げ、目標達成に向けた運用イメージの解像度をあげていくことが大切です。

 

営業DXをすすめるのは、専任担当者であるケースがほとんどですが、あくまでも最終的にそのシステムを利用する人員を主体とし、現場目線で進めていく必要があります。現場の部門の声を抽出し、自社にとってのメリット・デメリットなどを立体的に洗い出しましょう。

 

製造業において起こる営業課題の一例としては、

 

● 売上目標を達成できない

● 競合に対する競争力の低下

● 需要の変動に対応できない

● 新規顧客が獲得できない

● 顧客とのコミュニケーション不足

 

などがあげられます。他部署とお互いに課題を共有しながら、改善の余地がある領域を明確にしましょう。営業DXによって解決したい課題が明らかになったら、これをもとにどのようなメンバーが必要かを決めていきます。

プロジェクトチーム立ち上げと目標設定

次に、営業DXプロジェクトのためのチームを結成し、目標を設定します。プロジェクトチームは新たにメンバーを選出し組まれることもありますが、とくに事業規模の小さい中小企業などは、部門兼任ですすめることがほとんどです。チームメンバーは営業担当者だけでなく、マーケティング部門、IT部門、生産部門など複数の部門をまたいで兼任体制で構成することで、よりスムーズに営業DXを進められます。

 

また営業DXにはIT関連の専門知識が必要ですが、人員が社内にいない場合は外注することになります。この場合もかならず自社内の人員をリーダーに設定し、現場を知るメンバーが主導してすすめていくことが重要です。

 

チームが立ち上げられたら、営業DXを実現することで最終的にどのような目標を達成したいのか、具体的なKPI、KGIを設定します。営業DXによってどのような目標が達成可能なのか、設定がむずかしい場合には、豊富な知識と経験をもつ外部リソースに頼りましょう。

 

導入予算に余裕があればITコンサルタントを依頼するのもよいですが、はじめから大きな予算が割けないという場合には、サポートの手厚いITツールを導入して、ベンダーに支援をあおいでいくのもおすすめです。

適切なツールを導入

解決したい課題を抽出し、これを解決するためのプロジェクトチーム立ち上げ・目標設定ができたら、これを達成するためのITツールを導入していきます。データの収集や解析、業務の効率化においてはITツールは必須となるため、自社の現状や課題に対して適切なツールを見極めましょう。

 

営業DXにはさまざまなITツールが活用されます。一般的なものに、CRM(顧客関係管理)ツール、SFA(営業支援)ツール、MA(マーケティングオートメーション)ツールや、各種コミュニケーションツールなどがあります。

 

また、カスタマーサポートとしてのチャットボットツール、社内社外のファイル共有のためのオンラインストレージや、コミュニケーションのためのチャットツールなども活用することでより業務効率化をはかれるでしょう。ほかにもプロジェクトを一元管理できるツール、バックオフィスツール、製造業ならではの生産管理ツールなどさまざまなツールがありますが、営業DXにおいては、営業活動におけるデータと連携できるシステムを選ぶようにしましょう。

 

またITツールの導入には計画が必要です。導入時期や導入範囲、サポートの有無などを確認して、社内にスムーズに定着するよう進めます。とくに新しいツールを導入する場合は、社内の人員が使いこなせるよう適切なトレーニング期間を設けて、効率的に運用を軌道に乗せていきましょう。

営業人材の育成

プロジェクトチームやITツール導入など、営業DXをすすめていく基盤が整ったところで重要になるのが営業人材の育成です。

 

営業DXにおいては、デジタルツールの活用やデータ分析の知見・スキルが求められます。当初は外部リソースに支援していくことも大事ですが、ゆくゆく自社内で運用・改善をまわしていくためには、専門知識をもつ人材を採用する、もしくは一から育成する必要があります。

 

ただ実際にDXを進められる人材はまだまだ不足している上、製造業の実情も熟知している人物となると条件は非常に限られるため、DXを進める上での人材育成は中長期的な計画をもとに行いましょう。必要な技能をスキルマップ化し、研修等を盛り込んだ育成プログラムを構築します。

 

たとえばAIやIoTなどの最新技術によって高精度なデータを収集できたとしても、これらのデータの複雑性を理解し、適切に活用できる人材がいなければ意味がないからです。ただ企業の規模や業態によっては、新しく専任担当を採用・育成するリソースが確保できないケースもあるでしょう。そのような場合は、DX支援サービスなどを活用してDXの専門家にサポートを仰ぐことで、DX推進を加速できます。

営業DXで役立つデジタルツール

営業DXにおいて、デジタルツールが欠かせない要素であることは前述してきました。ここでは、営業DXを進めるうえで具体的にどのようなツールを導入したらよいか、目的別にご紹介していきます。

プロセスの効率化に「SFA」、属人化解消に「CRM」

顧客とのコミュニケーション・営業活動を支援する SFA(営業支援)ツールは、営業効率化や顧客管理の強化に役立ちます。

 

またご用聞き営業だけで競争力を維持するのは難しく、顧客が求めるタイミングで適切なアプローチをするためには、営業体制を整えていく必要があります。営業力をあげるためには、顧客の課題を抽出して、適切な提案をする力を培うことが重要です。そのためにはCRM(顧客管理)ツールを導入して、過去の取引データをリスト化して管理し、情報の分析を行いましょう。情報が不足している場合は過去の担当者にヒアリングするとよいです。

 

過去の取引データを分析すると、共通項が見つかることもあります。たとえばある商品を購入した顧客が半年後に別の商品も購入する、という傾向がみられる場合、その法則をもとに提案ルールをつくり、営業チーム全員で漏れなくアプローチする体制を作ることも可能です。SFAとCRMを組み合わせて使用すると、さらに精度は向上していきます。

 

これらのツールにより顧客のニーズを把握し、データ分析や自動化ツールを活用して効率的に営業活動を行うことで、継続的に顧客と関係構築していくことができます。

業務効率化に「クラウドソーシング」

既存顧客に対する営業活動においては、提案書作成に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。自社のパンフレットだけでは訴求力が弱い…と感じている場合は、提案書作成を外注することで、コア業務に集中できる環境をつくることも重要です。

 

コストに余裕がある場合は提案書を広告代理店といった専門業者に依頼してもよいですが、より効率化するためには、さまざまな専門家が集うクラウドソーシングを活用するのも一手です。クラウドソーシングは、書類の一部・図の作成のみの依頼や、単発での依頼ができ、またインターネット上で発注・納品・支払いのすべてが完結するのも使いやすいポイントです。

 

クラウドソーシングを利用することで、高額な費用をかけることなく、営業担当者はコア業務にリソースを注ぐことができるようになります。まだ使ったことがないという方はぜひ検討してみてください。

リードの見える化、営業活動の自動化に「MA」

営業チームにおいて、担当者ごとの能力差や取引先との相性などは、往々として課題となる部分です。これらの営業課題を解決するためには、CRM・SFAの導入が効果的です。トップセールスマンの手法を分析し、他のメンバーにも共有し、営業プロセスを統一化することができるからです。

 

また、顧客へのアプローチを自動化するために、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用も非常に効果的です。MAは、CRMやSFAとも連携でき、データ分析やリードの抽出、メールや広告の配信など、マーケティング業務を一元管理できます。

 

たとえばMAは、自社サイトによくおとずれるリードの行動ログを追跡し、適切なタイミングでアプローチできるようサポートしてくれます。またリードごとの属性によってグループ分けもできるため、より効果的なメール配信をおこなうこともでき、新規顧客に課題を抱えている企業にとってはとくにおすすめのツールです。

 

ほかにも、ある商品を購入した顧客に対して、半年後に別の商品の情報を案内する、というプロセスを自動化するなど、さまざまな設定ができます。MAを活用することで、営業プロセスの効率化や自動化が可能となり、成績の底上げや差のある営業担当者をサポートできるため、営業部門全体での成績の向上が期待できます。

 

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マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説

自社のDX進度がわかるチェックリスト「DX推進ガイドライン」

このガイドラインは経済産業省によって定義されたもので、ITシステムを構築するための仕組みづくりや実行プロセスだけでなく、DXを推進するための営業方針や体制づくりまで包括的な内容となっています。

 

自社がDXをどの程度進められているか客観的に確認したい場合には、「DX推進ガイドライン」を参照しましょう。このチェックリストに沿って自社の状況と照らし合わせることで、軌道修正したり、DXの推進を加速させたりすることができます。

①経営戦略・ビジョンの提示

営業DXにおける経営戦略やビジョンを明確に提示できているかを確認します。

 

DXにおいては、デジタル技術とデータ活用によってどのような新しい価値を生み出すか、そのためにはどのような活動が必要か、といった具体的な戦略が策定することで効果を最大化できます。新しい価値の例としては、新しいビジネスモデルの構築、業務効率化による生産性向上、コスト削減などがあります。

②経営トップのコミットメント

組織のトップがリーダーシップを発揮して、DX推進において意思決定ができているか、という点です。

 

DXを進めていくと、従来の仕組みやプロセスを変えたり、組織や企業風土を変革したりする必要性がでてきます。こういった変化に対しては抵抗する声も少なからず出てくるものですが、ここでDX推進の必要性を伝え、変革に対して強いコミットメントを持ちDXを進められているか、重要なポイントのひとつとして確認しましょう。

③DX推進のための体制整備

ここでは「マインドセット」「推進・サポート体制」「人材」の3軸において、DX推進のために挑戦し、DXを継続できる環境が整っているかを見ていきます。

 

● マインドセット:積極的に新しいチャレンジができるような文化や基盤を醸成できているか

● 推進・サポート体制:デジタル化によるデータ活用をサポートする体制ができているか

● 人材:DX実現において必要となるスキルを持つ人員の採用・育成がされているか

④スピーディーな変化への対応力

DXによって自社が推進しているビジネスモデルの変革が、経営方針の転換・グローバル展開といった環境の変化に対して、スピーディーに対応できるか確かめましょう。

⑤投資等の意思決定のあり方

DXを進めるにあたっては投資が必要になりますが、投資基準が明確になっているか、意思決定をするプロセスに整合性があるかを見極める必要があります。

 

たとえば、コスト面だけでなくビジネスに与えるよい影響や、DXに投資しないことでデジタル化した市場に参入できなくなるリスクについて考えているか、確度にこだわりすぎて挑戦を阻害していないか、なぜそのような意思決定をしているかについて再度確認しましょう。

⑥ITシステムの体制・仕組み

ITシステムを構築するためには、体制を整備することも必要ですが、システムのブラックボックス化を防ぐために監視・統制をおこなうシステムを確立することも必要です。

 

また各部門ごとに、DXで実現したい内容を主体となって企画できるよう、環境を整備することもこれにあたります。

⑦ITシステムの実行プロセス

ITシステムの実行プロセスは、具体的な行動指針のことです。客観的に現状を把握し、ITシステムの移行においても適切な判断をくだせるよう分析し、自社に必要なITシステムの導入につなげます。

 

不確実性の強まる現代において、あらゆる変化に対応できるカスタマイズ性を備えたシステムであることもおさえておきたいポイントです。

まとめ

製造業こそ営業DXで生産性を向上する必要性や、方法について解説しました。

 

製造業は、新しいデジタル技術などの影響をうけやすい業界ですが、それを逆手にとってデジタル化・DX化を進めることで、非常に大きな成果を出せるチャンスがあります。会社全体の仕組みや体質を抜本的に変えるとなるとむずかしく感じますが、まずは身近なデジタルツールから着手してみることで、DXのイメージがつかみやすくなるはずです。

 

デジタルツールの中には、無料ではじめられるツールや、自社の目標達成までをしっかりサポートしてくれるツールも多くあります。「新規獲得が伸びない…」「営業の属人化を解消したい…」など、自社課題を解決してくれるツールの導入をぜひ検討してみてください。

 


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Fri, 07 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[PIM(商品情報管理)とは?機能やメリットから選定の際のポイントまで解説!]]> https://mtame.jp/column/about_pim PIM(Product Infomation Managementの略)とはスペックやイメージ画像などの商品情報を一元管理することで、様々な媒体に連携して利用できるようにする情報管理手法です。PIMシステムを導入することで情報管理が容易になり、作業の効率化や迅速化、より効果的な情報発信などを実現できます。

 

オンライン化やグローバル化などの影響で消費行動が大きく変容している現在、PIMの必要性は非常に高まっており、今後ますます注目を集めるトレンドツール とも考えられています。

 

本記事ではPIMの概要をはじめ、導入のメリットや必要性、機能や様々な観点からの選定のポイントなどについて詳しく網羅的に解説します。


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PIMとは?

まずはPIMについて明確に理解するため、概要とその必要性、そして混同されやすい「PLM/ERP」「MDM」との違いについて解説します。

PIM(商品情報管理)とは?

PIM(Product Infomation Managementの略)はスペックやイメージ画像などの商品情報を一元管理することで、様々な媒体に連携して利用できるようにする情報管理手法 を指し、「商品情報管理」とも呼ばれます。

 

Webサイト、カタログ、プロモーションなど、企業において商品情報を確認する媒体は多岐にわたりますが、多くの企業ではそれぞれ個別にシステムを作り、それらのデータを二重・三重に管理しているため、情報管理が複雑化・非効率化しているのが現状です。

 

その場合、商品の仕様変更や新製品の発表などに伴ってこれらの情報をすべて更新する必要があり、商品数が多いほど作業量や複雑さは増して対応が難しくなる上、人為的なミスが増えるという課題もあります。

 

PIMシステムを導入することで、複雑に管理されていた商品情報をまとめて一元で管理できるようになり、Webサイトやカタログ、プロモーション等の情報と連携して、適切な媒体で顧客にサービスを提供することが可能です。

 

一元管理している情報を更新するだけでWebサイトやカタログなどのチャネルにも反映できるため、情報管理が容易になり作業の効率化や迅速化、より効果的な情報発信などを実現します。

 

ではなぜ現在PIMシステムの必要性が高まっているのでしょうか?次章で詳しく説明します。

なぜPIMシステムが必要なのか

PIMシステムの必要性が高まっている主な原因は、デジタル化による顧客の購買行動の変化にあります。

 

コロナ禍の影響による急速なオンライン化やスマホの普及など、商品をオンラインで購入する消費者が急増し、Webサイトなどのオンラインサービスの利用は世界的に当たり前のものとなっています。

 

このような変化に伴い、企業はWebサイトや電子パンフレット、プロモーションなどのシステムを追加することで対応してきましたが、その都度別のシステムを構築した結果、商品情報の管理がバラバラになってしまいました。今も多大な数の商品をExcelなどで管理し、アナログで対応している企業は多く存在します。 

 

このような背景から複雑化した商品情報を一元管理したいと考える企業が増加し、PIMシステムの必要性が高まっているのです。PIMを導入して基幹システムと各チャネルをつなぐことで、情報管理や情報統一が容易になり、入力ミス防止や効率化につながります。

 

またオンライン化によって購買行動のスピード感は増し、企業の競争優位性を保つためには迅速な市場投入が求められているという背景もあります。PIMシステムを導入してより高度な情報管理を実現できれば、市場における企業の優位性や利益の拡大なども見込まれるでしょう。

PLM/PDM/ERP、MDMとの違い

PIMと混同されやすいソリューションとして「PLM/ERP」「MDM」があります。全て商品情報を取り扱うソリューションですが、それぞれはっきりとした違いがあるので、相違点を明確にしてPIMをより正しく理解しましょう。

PIMとPLM/PDM/ERPの違い

PIMとPLM/PDMやERPの違いは、それぞれのソリューションの観点が「顧客向け」であるかどうかという点にあります。

 

PLM(Product Lifecycle Managementの略)は、「製品の企画・販売・廃棄までの全てのフェーズにおける情報を、自社内で管理するためのシステム」を指し、PDM(Product Data Managementの略)は、「CADやBOMなどの開発・設計段階で利用する情報の管理に特化したシステム」を意味します。

 

またERP(Enterprise Resources Planningの略)は、企業を運営する資源(人材・モノ・カネ・情報など)を分配して、より有効に活用する計画やその考え方を指し、PDM/PLMは「製造を行うため」の商品情報、ERPは「販売管理のため」の商品情報とわけることが可能です。

 

PLM/PDMやERPのいずれの情報も、企業が業務を行うために活用するデータと位置付けられ、「企業視点」であることが特徴です。

 

一方で商品に関連する3Dモデルやサンプル画像、動画などの追加データも含めた、「顧客視点」における商品情報の管理を行うのがPIMであり、ここに大きな相違点があります。

PIMとMDMの違い

MDM(Master Data Managementの略)は、企業のマスターデータとなる情報を全社視点から一元管理する活動を指し、データを統合して品質を維持するのが目的です。

 

MDMでも商品情報を取り扱うためPIMと混同されがちですが、MDMでは商品情報に限らず企業のマスターデータを管理することが主目的であり、マスターデータを取り扱うことにフォーカスした機能を提供しています。

 

一方、MDMで扱うマスターデータなどの情報に、MDMでは取り扱わない流動的な情報(市場のトレンドやセール期間など)を付加して管理し、顧客のチャネルへと連携することがPIMの役割です。

 

しかし最近ではPIMとMDMの境界は曖昧になりつつある傾向にあるため、今後もこれらの情報にアンテナを張っておく必要があります。

PIMの機能

PIMに搭載されている機能は各システムなどによって異なります。以下では一般的に搭載されている主な機能について紹介します。

データモデル機能

データモデル機能は、商品情報を正しく格納する「箱」を定義する機能を指します。同機能では「インテリア」「家電」「ファッション」など、自社の商品に合わせてカテゴリを設定して管理することが可能です。

 

たとえば「家電」の場合、「冷蔵庫」「洗濯機」「テレビ」などのカテゴリに分類し、さらにそのカテゴリを「大きさ」「容量」「画素数」など細かい分類に定義付けしていくことで、より情報を管理しやすくなります。

 

商品情報と他の情報との関係性についても定義できる点も、PIMにおけるデータモデル機能の大きな特徴です。

 

PIMを導入する前に、「商品にどのような定義が必要なのか」「管理する目的」などを洗い出しておくことで、導入後の作業やツールの選定などがよりスムーズに進むはずです。

整合性チェック

整合性チェックは、商品情報をデータベース化するためにデータの整合性をチェックする機能です。

 

データ単体の性質だけでなく、他データとの関連性も確認できるうえ、「1つ以上のカテゴリに商品が属していないといけない」という項目などをチェックできます。

 

ツールによってはチェックする項目を設定できるものもあり、導入前に定義しておくことで効率的に作業を進められます。

管理GUI

管理GUI(Graphical User Interface)は、データを管理・編集するためのコンピューター画面及びその機能 を指します。

 

管理GUIはツールの使いやすさに直結するため、ツール選定の際には、管理GUI機能が自社の業務に則しているかという視点で検討することが大切です。

 

またGUI部分のカスタムの可/不可や、使用する難易度、PIMの利用者などによって、管理GUI機能に求める機能性や操作性のレベルは大きく異なります。使いやすさは業務にも大きく影響するため、事前に操作性を確認する必要があります。

インターフェース機能

インターフェース機能とは、データモデルで定義した項目や汎用的な入出力項目を社内外データと共有できる機能を指します。対応するフォーマットや連携方法、出力先システムへのプリセットなどはツールによって異なるため注意が必要です。

 

またどのツールも簡易的なETL機能が搭載されている一方、高度なデータ加工機能(例:一般的なEAIツールなど)は搭載されていないという点は共通していると言えます。そのためある程度のデータ準備が必要なケースもあります。

承認フローシステム

承認フローシステムはデータ公開前に承認業務が必要な場合に備え、承認業務に関連する一連のフローをシステム化した機能です。データ公開における責任者への申請や承認作業をスムーズに行えます。

 

ただし、PIMの同機能は基本的な機能の搭載のみの限定的なツールが多いため、複雑な承認フローシステムが必要な場合は、フロー機能の作り込みや外部ツールとの連携を検討する必要があります。

グローバル対応

グローバル対応は、外国の言語や通貨などに対応できる機能です。ツールごとに標準で提供する言語や通貨は異なるため、あらかじめチェックしておく必要があります。

 

グローバル対応機能では、言語や通貨だけでなく、長さや重さなどの商品を扱う単位への対応や、翻訳支援や単位変換などの機能を備えているものもあります。海外展開を視野に入れている企業は、必要言語をカバーできているか、設定の拡張が可能なのかなどの詳細を確認しておきましょう。

PIMシステムを導入するメリット

PIMシステムを導入することで、具体的にはどのようなメリットが得られるのでしょうか?本章では主な4つのメリットを紹介します。

情報の一元管理が可能

PIMシステムを導入するメリットとしてまず挙げられるのが、商品情報の一元管理です。

 

情報の一元管理により、PIMシステムを更新するだけでWebサイトやWebカタログなどの連携チャネルの修正をすぐに行うことができるため、最新情報の更新や、情報の変更・シェアなどの作業をスムーズに行えます。部門や組織を越えたシームレスな連携も実現できるほか、「Webサイトとプロモーションの情報が違う」というようなミスも防げるため、企業全体の業務効率化につながります。

 

また販売店との情報共有も容易になり、取引先からの頻繁な問い合わせへの対応や、それに伴う別業務の停滞なども解消できるはずです。

様々なチャネルへの連携ができる

PIMシステムは様々なチャネルやシステム、アプリケーションと連携できるため、導入することでマーケティングやプロモーションをより効果的に行うことができます。

 

例えば、ERPやCRM(顧客管理システム)やと連携して顧客情報を収集・分析することで、詳細且つ正確な顧客プロファイルを獲得でき、顧客にとって最適なプロモーションやアプローチを行うことができます。

市場投入の時間短縮につながる

先述したように、PIMシステムで情報を一元管理することで迅速な対応が可能になるほか、最新情報をリアルで発信することもできるため、市場投入までの時間短縮が実現できます。

 

従来は、カタログの作成や情報の更新、代理店経由での情報伝達などの工程によって、市場投入までに数週間〜数ヶ月のタイムラグが発生してしまうという課題がありました。

 

PIMシステム導入によって同課題を解消することができ、情報共有の迅速化や作業の効率化によって、スピーディーな市場投入が実現するほか、企業の市場における優位性の確保にもつながります。

安全な情報提供ができる

PIMシステムを導入すれば、販売店や取引先が望むフォーマットへのデータ書き換えもでき、安全な情報提供が実現できるというメリットがあります。

 

画像のリサイズや拡張子の変換なども簡単にできるので、事前に設定しておけば工数の削減や作業の効率化につながるでしょう。

PIMシステムの分類イメージ

一概にはいえませんが、PIMシステムはそれぞれの販売会社の他製品からみて「どこから派生したのか」という視点をもとに大きく4つの分類イメージ「MDMからの派生」「カタログ情報管理からの派生」「ECの商品情報管理からの進化」「独立系PIM」に分けることができます。分類をイメージすることで、各PIMシステムの特徴が掴みやすくなります。

「MDMから派生」したPIMは先述したように、よりMDM的な、つまり商品情報に限らず企業のマスターデータを管理する性質が強いPIMであるといえます。「カタログ情報管理から派生」したPIMは、印刷モジュールや詳細なインターフェースを搭載しているのが特徴です。

 

「ECの商品情報管理から進化」したPIMは、他PIMに比べてWebサイトやECサイトのテンプレートとより詳細な連携ができるという特徴があり、どの派生にも属さないのが「独立系のPIM」です。

 

各種PIMシステムにそれぞれ特徴があるため、PIM導入を検討する際には本分類イメージを判断材料として役立ててみてください。

PIMシステムを選ぶポイント

PIMシステムを選ぶ際には、「自社の特性からの視点」及び「製品特性からの視点」の2つの観点を踏まえて検討する必要があります。あらかじめ自社におけるPIMシステムの導入目的を明確にし、以下のポイントを確認した上で製品を選ぶことをおすすめします。

自社特性からみるポイント

自社特性からみたPIMシステムを選ぶポイントを紹介します。

管理の範囲

PIMシステムを導入する際は導入目的を整理し、PIMで商品情報のどこからどこまでを管理するのか、範囲を決めておく必要があります。

 

具体的には、消耗品・パーツなどの「どこまでを商品とするのか」、「何を商品以外の付属品として分類するのか」などを判断し、PIMで管理する範囲及び対象を明確に設定することが重要です。

商品点数

商品点数の上限はPIMシステムの価格やプランによって異なるため、PIMシステムで管理する商品点数も大まかに把握しておく必要 があります。

 

たとえば商品情報の単位として、「コンピューター」と「ソフトウェア」を定義する際、それぞれを1点、合わせて2点と定義するのか、「コンピューター+ソフトウェア」を合わせて1点と定義するのかによって商品点数や商品の組み合わせ情報の管理は変わります。

 

さらに販売が終了した商品情報についても、「削除する」「アフターサポートのために残す」など社内の方針に沿って決めておきましょう。

連携機能

PIMシステムを導入して商品情報を格納する際に、これまで使用してきた既存ツールなどと連携しなければならない場合、該当ツールとPIMシステムの親和性を事前に確認する必要があります。

 

連携機能を検討する際に具体的に気を付けるポイントとしては、「情報を格納する際にデータの加工が必要か」「データチェックが必要か」「加工・チェック処理をどこで行うか」の他に、海外展開している商材であれば「国ごとの規格制限」「公開可能な地域の制限」などについてもチェックすることをおすすめします。

 

またWebサイトやカタログ制作など、商品情報を活用する業務によっても連携するソフトウェアは異なるため、どの業務で利用するかなども事前に確認しておきましょう。

管理業務体制

誰が・どのタイミングで商品情報を管理・編集するのかなど、管理業務体制について確認することで、PIMシステムに求めるものがより明確に なります。

 

システムからの連携で商品情報が登録でき、一部の編集だけを行う場合はインターフェース重視の検討がおすすめです。管理する編集者が少人数の場合は、一括更新機能を付けたり、サポート体制を充実させたりするという方法もあります。

 

一方で多くの人が関わる場合は申請数も増えるので、承認のフローワーク機能があると便利です。効率的なインポート機能化、UIの優れた編集画面ツールのどちらの優先度を高くするかをあらかじめ確認しておくことで、スムーズな選定につながるはずです。

 

また商品情報に詳しい人材がいない場合、根本的な商品情報の見直しや、商品情報の不備や重複などのミスが生じる可能性が高まります。発覚するタイミングによっては大きな損害や遅延が発生しかねないため、商品情報に詳しい人材を採用した管理業務体制が重要になります。

デジタルメディア情報

商材に関連する画像やドキュメントなどのデジタルメディア情報の大まかな個数や種類を把握することも、PIMシステムを選ぶ際には大切なポイントです。

 

基本的に利用するデジタルメディア情報が多くない場合はPIMシステムの導入だけで問題ないでしょう。

 

しかし、デジタルメディア情報が多い場合や使用用途が複数ある場合は、「DAM(Digital Asset Managementの略)」、つまりプラットフォームなどを利用してデジタルコンテンツを一元的に管理する「デジタルアセット管理」も含めて導入する方法もあります。その際にはPIMシステムとDAMシステムとの親和性チェックが必要です。

PIM製品特性からみるポイント

次にPIMシステムの特性からみた、製品を選ぶポイントを紹介します。

標準機能

まずPIM製品を検討する際は、PIM製品を導入する目的に標準機能がどれくらいマッチしているかを確認することが大切です。

 

標準機能については先述しましたが、たとえば「データの更新・削除ができるか」「加工やチェックができるか」「対応するファイル形式」など、導入目的を明確にすることで、PIM製品とのマッチ度を検討しやすくなります。

 

細かくカスタマイズができる製品もありますが、標準機能でどこまで業務を遂行できるかを知っておくことはシステム選びの際に非常に重要です。

機能拡張性

標準機能でカバーできない場合は、カスタマイズ対応しているかどうかや、具体的な拡張できる機能について確認する必要があります。PIMシステムのカスタマイズができない場合、外部システムとの連携で対応が可能なケースもあるため、そこも含めチェックすることが重要です。

 

PIMシステムを導入する主目的にすることで、企業にとってどうしても譲れないポイントが明確になります。その目的を達成するために必要な、もしくは今後必要になる可能性がある機能拡張性の有無は重要なポイントです。

 

カスタマイズをせずに業務を変えることができるかどうかという検討も必要になるため、様々な視点から機能拡張性について検討することをおすすめします。

将来性

PIMシステムを選ぶ際には、同システムの将来性まで考慮することをおすすめします。

 

PIMシステムを導入して商品情報が充実してくると、管理対象や利用システムを増やす必要が出てくる場合があります。その際PIMシステムに将来性・拡張性があれば、システムそのものを変更せずに拡張するだけで同システムを利用することが可能です。

 

将来のことを全て正確に把握するのは難しいですが、製品選定に際して「将来性」はある程度考慮しておくべきポイントであると捉えて問題ありません。

 

機能が豊富なPIMシステムを選ぶという選択肢もありますが、全機能を利用しているケースは多くないため、自社の導入目的と将来性、両者のバランスを見ながら検討することをおすすめします。

ロードマップ

先述した将来性と少し重なりますが、PIM製品のロードマップを練ることも選定の際に重要なポイントです。

 

PIM導入の理想形は、カスタマイズせずに製品をそのまま導入することです。そうすることで将来のバージョンアップがより簡単にでき、さらに高度な機能の利用につながるとされており、特にSaaSで提供されているPIM製品はその傾向がより強いとされています。

 

ロードマップ次第では、自社の目的がシステムの次バージョンで達成できる可能性もあります。

PIMシステム導入フローにおけるポイント

PIMシステムを導入する際のポイントについて紹介しましたが、本章ではPIMシステム導入プロジェクトのフローにおいて大切なポイントを解説します。

PIMに対する捉え方の統一(要件定義)

PIMシステムを選ぶポイントの章でも軽く言及しましたが、PIMを導入する際に一番大事なことは、PIMで実現できることや導入の目的を明確にし、PIM導入の捉え方を統一することです。この要件定義がPIMを導入する第一歩になります。

 

しかし、実際のケースでは要件定義をないがしろにしたままプロジェクト進行することがよく起こります。

 

先述したようなPIMと混同されやすいソリューションとの違いを理解した上で、「最終的に顧客にアピールするための商品情報を管理する」PIMに対する共通認識をもち、プロジェクトを進めることが大切です。

承認ワークフローの定義

PIMシステムにおける承認ワークフローの定義をしっかりと行うことも非常に重要です。

 

PIMシステムで承認された商品情報がそのまま顧客に公開される商品情報となるため、慎重になりすぎて承認ワークフローに時間をかけたくなると思いますが、そうなると顧客への公開が遅れ、新情報の鮮度が落ちてしまいます。

 

承認ワークフローを定義する際には1つか2つの現実的な承認ステップに定め、情報の鮮度を保てるよう、より迅速に商品情報を提供することが重要です。

 

PIMシステムへのアクセス権限の細かすぎる設定や、ガバナンスへの過剰な配慮、必要な顧客への情報非開示などの問題も起こりがちなので、運用しやすい承認ワークフローを定義するように意識しましょう。

PIMのデータの準備

PIMの要件定義及び承認ワークフローの定義ができたら、PIMシステムの肝となるデータ準備をしっかり行うことが大切です。

 

PIMシステムは通常のシステムと異なり、新たに導入するケースが多いのが特徴です。導入時には新たに販売用の商品情報としてデータを体系立てて整理・準備し、PIMシステムに格納する必要があります。

 

その際、既存の情報から技術データを省いたり、逆にマーケティング情報を追加したりと、データ加工にそれなりの時間がかかることを覚悟しておきましょう。データ準備をしっかり行うことで「PIMシステムを導入したものの、商品情報に不要な情報や抜け漏れも多い」という不備もなくなり、効率的に業務を進めることができます。

 

またPIMシステムに関するデータ準備の際、商品情報に詳しい適任者を選ぶのに難航することがありますが、その場合は要件定義の段階からデータ作成についてのプロジェクトを開始することで、その後のデータ準備・整理におけるスムーズな進行を実現できます。

まとめ

本記事では、PIMについて概要や機能、メリットや選定における様々な観点からのポイントなどを網羅的に解説しました。

 

PIMシステムを導入して様々なシステムやチャネルと連携させることで、効果的なマーケティングやプロモーションが実現できるほか、業務の効率化やヒューマンエラーの防止、最終的には利益の拡大も期待できます。従来のビジネスからデジタル化への舵取りが必要な現代において、PIMシステムの導入は非常に重要性の高い取り組みのひとつです。

 

自社にあったPIMシステムを選定し、デジタルビジネス基盤として継続的に運用していくためには効果的且つ現実的な活用を目指すことが重要です。本記事の内容を、企業戦略・運用にぜひ活かしてみてください。


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Wed, 05 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業マッチングサービスを解説!おすすめサービス10選も紹介]]> https://mtame.jp/column/matching_service 「製造業マッチングサービス」とは、製品が必要な企業と製造業など、技術やノウハウを提供しあえるビジネスパートナーを結びつけるサービスを指し、効率的に契約を結べるため近年需要が高まっています。

 

製造業にとっては、自社利益拡大のためにより多くの営業機会が得られ、製品開発などを行う企業にとっては、自社製品に必要な技術を持つ企業を見つけられるため、マッチングサービスを活用することで自社の可能性を最大限開拓することが可能です。

 

本記事では製造業のマッチングサービスに関して、メリットや注意点などの基本的なことからおすすめのサービス10選までわかりやすく網羅的に解説します。

 

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製造業マッチングサービスとは?

「製造業マッチングサービス」とは、製品の製造を依頼したい企業と製造業など、技術やノウハウを提供しあえるビジネスパートナーを結びつけるサービスを指します。

 

契約を結ぶことで利益の上がる製造業では、いかに多くの企業と契約を交わして受注を受けることが重要ですが、従来の営業や面談などの方法では多くの時間や工数が必要となり、非効率的であるといえます。

 

製造業マッチングサービスでは、オンライン上でニーズの合致する企業同士を結びつけるため、より効率的且つ最適に契約を交わすことが可能です。

 

最近ではオンライン化やグローバル化などの影響で海外との取引をサポートするマッチングサービスも登場しており、自社の可能性をさらに広げられることから注目度が高まっています。

製造業におけるマッチングサービスを利用する7つのメリット

製造業においてマッチングサービスを利用することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?以下では主な7つのメリットについて紹介します。

コストの削減

マッチングサービスを利用する上で最も大きなメリットといえるのが「コストの削減」です。

 

製造業のなかでも様々な分野があり、得意とする分野は企業によって異なります。自社が得意とする分野で受注すれば、そうでない分野よりコストを抑えて製造することができるため、利益率のアップにもつながります。

 

新規顧客を見つけるにも費用がかかるため、マッチングサービスの利用は製造以外の面でもコストの削減を実現できます。

人材不足を補える

製造業界において少子高齢化による人材不足は年々深刻化しており、特に技術を持った従業員「技能人材」の減少が課題となっています。

 

マッチングサービスを通して、製造業を営む企業の得意とする分野と、その分野を必要とする最適な企業が効率良く結びつけられるため、製造業側は効率良く作業を進められるようになり、人材不足を補うことが期待できます。

 

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製造業が人材不足になる原因とは?データからわかる実態や課題、解決策を解説

スピーディーな取引の実現

マッチングサービスは中間に仲介業者などの代理店を挟まないのが特徴で、発注・受託の両者が直接取引を行えるため、より迅速な取引を実現できます。

 

納期や返信などについてより早いやりとりができることで作業の効率化が可能になり、コスト削減・人材不足の解消にもつながります。直接のやりとりを通して、双方ともに自社の想いや信念を伝えることができるため、今後の良質な関係構築にも良い影響を及ぼします。

技術の共有によって新しい製品を生み出せる

企業間が連携して技術や知識をシェアすることにより、新しい製品を生み出せる可能性が高まります。

 

技術や知識が不足して実現不可能に思えた企画も、マッチングサービスを通して目的に合った技術を持つ企業を見つけることができれば、製品化できる場合があります。

 

さらに、マッチングサービスによっては展示会や交流会を積極的に開催しているため、異業種と関わる機会を持つことで新しい製品を生み出し、これまでにない販路の拡大にもつながります。

新規販路の拡大

製造業側と、その製造業側が得意とする技術を必要とする発注者という、双方にとって最適な企業を見つけられるマッチングサービスでは、新しい契約先を見つけられることで新規販路の拡大につなげられるという点が大きなメリットです。

 

製造技術は長けている反面、営業技術にウィークポイントがあるという場合でも、マッチングサイトを活用すれば自社の技術を最大限アピールすることができ、新規契約の獲得につながります。流通ノウハウのある企業と契約を結べれば、さらなる販路の拡大の可能性もあります。

 

試作品や小さなものなどは費用がかかるため、低価格で依頼できる受注先を探している企業も多く、小規模な企業や個人の職人にとってはマッチングサイトを通してスポット的な依頼の受注増加も見込めるでしょう。

支援や投資のきっかけとなる

高い技術を持ちながら資金が不足している企業は、マッチングサイトを通して投資や支援を呼びかけることができます。

 

展示会やセミナーなど広報活動を行う場を提供したり、新規事業スタートアップの提携を募ったりなど、様々なコンテンツが用意されているマッチングサイトは、投資を検討している大手企業が投資価値の高い企業などを発掘する場としても活用されているのも特徴です。

 

資金を提供できる取引先とマッチングできれば、資金調達の機会も得られるほか、製造業は自社の技術力をさらに成長させることもできます。

OEMの実現

OEM(「Original Equipment Manufacturing」の略)は、他社で自社ブランドの製品を生産すること、もしくはそのメーカーを意味します。

 

これは自社ブランドの製品を生産したくても製造技術がなく実現できない企業が、高い技術を持つ製造業に受注することで、自社ブランドの製品の製造・流通を実現できるというシステムです。

 

製造業にとっては受注や新規販路の拡大につながるほか、自社の高い技術をOEMを通して共有することで、自社のアピールにもつながります。双方にとってメリットの多いOEMを実現できるマッチングサービスの活用は、幅広い業界で注目を集めているのです。

製造業のマッチングサービスを選ぶ際のポイント

現在様々なマッチングサービスが登場していますが、どのサービスを選ぶか検討する際に注意すべきポイントがあります。詳しく見ていきましょう。

対象企業の探しやすさ

製造業のマッチングサービスを選ぶ際には、対象企業が絞り込めるかどうかなど、対象企業を探しやすいかどうかがポイントです。

 

多数のジャンルがある製造業では、業種ごとに検索できる必要があるほか、製造業のなかにあるカテゴリーもある程度まで絞り込めると、双方にとってより最適な取引先を見つけられます。

 

また専門的なものを取り扱うことの多い製造業では、技術的な特定の用語でも検索できる機能もあると尚良いです。

料金体系と機能

製造業のマッチングサービスには無料プラン・有料プランを含め、サイトによって様々な料金体系をとっており、プランによって掲載できる内容や利用できる機能などが大きく異なります。

 

自社の予算に合っているのか、無料掲載にするのか、サブスクリプションなのか、どんな機能が利用できるのかなど、検討する際に明確にしておくことをおすすめします。利用体系は維持費にも関わる重要なポイントなので注意が必要です。

製造業マッチングサービス10選

製造業マッチングサービスについて、10のおすすめサイトを紹介します。

Linkers(リンカーズ)

Linkers(リンカーズ)

 

技術パートナーの探索・グローバル先端技術調査・技術や製品の顧客開拓などを展開する、リンカーズ株式会社が運営する「Linkers(リンカーズ)」は、技術課題を抱えた企業と技術課題を解決できる技術パートナーをマッチングさせるサイトです。

 

2019年内閣府オープンイノベーション大賞優良事例に選考されたビジネスマッチングサービスであり、ものづくりのパートナーを見つけ出す「技術探索」を目的として、ものづくりの現場課題を解決します。

 

大手企業を含む350社以上の企業が発注者として登録しているほか、マッチング率にもこだわり、企業の探索にかかっていた時間・労力・コストの大幅な削減を実現します。

 

非公開情報の多いものづくり業界において、秘密保持契約を結んだコーディネーターが候補者推薦を行っているのも同サイトの特徴です。

 

公式サイト: https://corp.linkers.net/

「Factor X」

「Factor X」

 

「Factor X」は、工業系特化型の総合マッチングプラットフォームで、工業系の企業に携わる全ての人のベストパートナーを見つけるためのオンラインマッチングサービスを謳っており、マッチングによって工業のあらゆる課題を解決することを目的としたサイトです。

 

工業系に特化しているのが特徴で、技術マッチングや人材マッチングから専門性の高い技術や知識に絞った検索が可能になり、より最適な取引先を見つけることができます。

 

全国の工業系企業と協業しているほか、マッチングだけでなくWEB会議・チャット・スケジュール管理・決済などの業務を全てシステム内で解決できるのもポイントです。アカウント登録及び仕事の案件登録は無料でできるため、初めてマッチングサービスを利用する企業でも、気軽に始められます。

 

公式サイト: https://www.factorx.jp/

PLANET AIDeA

PLANET AIDeA

 

「PLANET AIDeA(PLAtform of NETwork by Artificial Intelligence for Delighit Artの略)は、製造技術や研究、メーカーなどの全ての技術を集結させて、新しいものづくりを可能にしたデライトものづくりAIネットワークプラットフォームです。

 

個人や企業、また政府研究機関などが登録しており、メーカーの技術者や大学機関などの研究者が抱える技術課題を解決したい「技術探索者」と、個人から大企業までの幅広い「技術提供者」をマッチングします。

 

同サイトを通して自社に眠っている技術や特許に関する情報を発信することで、その技術を必要とする技術者や研究者とつながることもでき、眠っていた技術を生かすことができる可能性もあります。

 

公式サイト: http://planet-aidea.com/

JETRO(ジェトロ)

JETRO(ジェトロ)

 

JETROは、ネットワークが非常に広いのが特徴の日本貿易振興機構が運営するマッチングサイトです。

 

国内だけでなく、海外の企業同士が取引する機会を提供している他、農林漁業をはじめ、ファッション・機会・インフラに至るまで幅広い分野の企業が登録でき、あらゆる企業が業界の垣根をこえて簡単につながることができます。

 

海外のビジネス情報や、イベント情報、オンライン講座など特色あるコンテンツも設けられており、オンラインでの海外販路拡大を目指す方や新たな製品やサービスに触れる機会を増やしたい企業におすすめです。

 

公式サイト: https://www.jetro.go.jp/indexj.html

ジェグテック

ジェグテック

 

ジェグテックは、2023年1月時点で国内中小企業約23000社、大手パートナー企業800社、海外企業約8000社という、世界中の企業が登録しているマッチングサービスです。

 

登録数が多いほか、中小企業・小規模事業者の輸出、海外展開を強力に支援する海外マッチングスクエアなどのサービスがあるのが特徴です。

 

ロボット化をサポートする企業や社会問題の解決につながる企業など、企業の特徴をカテゴリごとに分けた「注目企業カテゴリ」なども用意されており、最適なビジネスパートナーを効率的に見つけることができます。

 

中小機構のアドバイザーが無料でサポートを行うサービスもあり、海外企業との提携や販路開拓など、自社の可能性を広げたい中小企業におすすめのサイトです。

 

公式サイト: https://jgoodtech.smrj.go.jp/pub/ja/

IPROS(イプロス)

IPROS(イプロス)

 

IPROS(イプロス)は、日本最大級のBtoBデータベースサイト運営のノウハウをもとに支援を行うマッチングサイトです。2023年6月現在では、165万人を超える会員、6万社以上の企業がPRを行っており、膨大な製品、サービス、技術を探せるのが特徴です。

 

閲覧ユーザーの多くが「設計」「生産・製造」「研究・開発」などに関わる現場の技術者で、自社の技術・製品をPRしたい企業は同サイトに情報を掲載することで、効率的にPRすることができます。

 

出展企業は業界や業種の枠を超えてPRできるため、これまで想定しなかった製品やサービスとの出会いや、新たな市場への参入、新規顧客の開拓なども見込めます。

 

サービスは年間プラント単発プランがあり、ものづくり、都市まちづくり、飲料食品・医薬品・化粧品・バイオ関連などそれぞれの分野に特化したサービスを利用できます。

 

公式サイト: https://www.ipros.jp/

エミダス

エミダス

 

株式会社NCネットワークが運営する「エミダス」は、総合的な最大級の工場マッチングサイトで、登録企業数約17,000事業所及び月間ページビュー約600万を誇ります。

 

ノウハウがなくても簡単に自社PRを始められるのが特徴で、無料プランでは会社情報の掲載に加えて、自社の製品・技術に関する情報を最大8点公開できます。有料プランにはエミダス・プロライトプラン、エミダス・プロプランがあり、掲載できる内容は会員プランによって変わります。

 

製造業に特化したフォーマットがあるため知識や追加費用ゼロでも始められるほか、詳しい計測と分析、万全なサポート体制もあり、初めてでも安心して利用できるサービスが備わっています。

 

公式サイト: https://ja.nc-net.or.jp/

モノマド

モノマド

 

「モノマド」は、加工工場に特化したマッチングサイトで、条件に見合う加工業社を専門家が無料で探索・紹介するものづくりの窓口です。

 

メーカーとサプライヤーとを繋ぐ事業を専門に行うCOSMO ALPHA株式会社と、日本の中小製造業のネットワークを持つテクノポート株式会社が共同で運営する本サービスは、製造業ネットワークを活用することで、ものづくり業界の取引をより迅速かつ最適につなげます。

 

同サイトでは、発注者との価格・納期交渉の代行サービスがあるほか、見積もりから納品までのサポートも行ってくれるのも特徴です。

 

公式サイト: https://mono-mado.com/

Benten(ベンテン)

Benten(ベンテン)

 

「Benten(ベンテン)」は、化粧品や健康食品ビジネスのあらゆる悩みを解決するマッチングサイトです。

 

化粧品、健康食品に関するあらゆるビジネスマッチングを行っているほか、コンサルティング、企画、PR、薬事業務、本当の化粧品のプロとの業務マッチングも行っており、企業が抱える課題に対して最適な提案やサポートを行ってくれます。

 

さらにセミナーやPR、集客をはじめ、法律相談など、化粧品ビジネスに関わるあらゆる課題解決を支援するサービスがあるため、初めての方でも安心して利用できます。

 

公式サイト: https://bentenmarket.com/

MOBIO(モビオ)

MOBIO(モビオ)

 

「MOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)」は、大阪府と大阪産業局が連携して運営する「府内ものづくり中小企業の総合支援拠点」で、ビジネスマッチングの他、各種セミナーや展示会の開催を通して、多くの製品や技術との出会いの場や総合的なサポートを提供しています。

 

同サイトでは、ものづくりに関する情報発信の他にも、産業連携などの各種相談やマッチングサポート、新市場の参入やデジタル化、販路拡大やPR、企業との交流など、カテゴリ別にあらゆる支援を受けることができるのも特徴です。

 

オンライン上の利用だけでなく、MOBIO館の施設へ実際に足を運んで相談窓口の利用や展示会の閲覧もできます。

マッチングサービスを使って効率的な市場開拓を!

本記事では、製品が必要な企業と、技術やノウハウを提供できる製造業企業のビジネスパートナーを結びつける「製造業マッチングサービス」を紹介しました。

 

マッチングサービスを活用することで、効率的に契約を結べるほか、コスト削減や販路拡大など様々なメリットがあります。海外企業とのマッチングや、海外市場への参入などのサポートが備わったサイトも多くあり、グローバル化が進む現代において、自社の可能性を最大限開拓することも可能です。

 

無料で登録できるマッチングサービスも数多く登場していますので、迷っている方はまず無料プランから利用してみることをおすすめします。

 

 

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Mon, 03 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[【2023年版】成果を出すWebサイトのリニューアルの進め方とは?手順から費用感、準備項目などを解説]]> https://mtame.jp/marketing_foundation/website_renewal

最終更新日:2023年7月11日(エムタメ!編集部)


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Webサイトのリニューアルは、具体的な戦略や目的もなく「Webサイトのデザインが古くなったから新しくしたい」という理由でリニューアルを行っても、思うような成果は生まれませんそもそも目的なくリニューアルを進めようと思っても、「何から始めたら良いのか…」と途方に暮れてしまう人も多いのが実情で、労力ばかりがかかってしまいます。


また、Webサイトのリニューアルプロセスには、Web制作会社を選定するために基準となるポイントやRFP(提案依頼書)が欠かせません。加えて、「ドメイン」「Webサーバー」「SSL証明書」「セキュリティ対策」についても、あらかじめアカウント情報などを整理しておく必要があります。

ですが、Web担当者の方が必ずしもこういった情報を把握しているとも限らず、システム部や関係各所への確認もとることで、公開日が伸びてしまうこともしばしばありあります。Webサイトの公開期日が決まっている場合は、終盤になってバタつくことも非常に多く、担当者からしたら「もう経験したくない…」と思うほど、緊張感が漂うことも。

上記のように、Webサイトのリニューアルと一言で言っても、依頼者側がある程度の基礎知識を持っておかないと、思わぬところでつまづいてしまいます。結果として、希望しているタイミングでWebサイトが公開できなかったり、想定よりもコストがかかってしまうなどのトラブルも起きがちです。

  

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そもそもWebサイトリニューアルの定義は?

Webサイトのリニューアルとはどこまでを指すのでしょうか。本記事ではまず初めに、Webサイトにおける「リニューアル」の定義を明確にいたします。

一般的にWebサイトの「リニューアル」とは、全ページのデザインやシステムを抜本的に変更することを指します。見た目以外にも、Webサイトの横幅やヘッダーフッターなどまでサイトの骨組みから一新することで、Webサイトの利便性の向上やブランドイメージの一新などを目指します。ページ更新や部分的な改修とは区別した表現となり、混同される方も多いため、違いについても触れたいと思います。

Webサイトにおける更新・改修との違い

Webサイトの「リニューアル」に対して、「更新」とはWebサイトの一部のページの掲載内容を変更することを指します。既存のページの内容を新しくしたり、新着のお知らせを追加などがよくある「更新」の例です。英語で書くと「update」で、最新の状態にする、といえば理解しやすいかもしれません。

たとえば、「新製品情報を掲載する」「検索ニーズの多かった情報を追加する」「社長が交代したので挨拶文と顔写真を差し替える」「最新のIR情報PDFをダウンロード資料を追加する」といったケースが「更新」に当たります。掲載内容にミスがあった際に一文字修正するといったことも更新に含まれます。


Webサイトには、資料請求や見積依頼を獲得したい、顧客との接点を持ちたい、など様々な目的がありますが、「更新」はその目的を加速させるために改善を繰り返すための作業、リニューアルは目的ごと立て直して最適化する(しくみを作り変える)ことだと捉えると良いでしょう。

一方で「改修」とは、既存のページの一部のデザインを変えたり、部分的に新たな機能をつけることを指します。「更新」とも混同しやすいのですが、すこしだけ技術的な変更がなされることを、「改修」呼ぶことが多いです。

「リニューアル」「更新」「改修」を家に例えると、「リニューアル」が建て替え、「更新」が清掃、「改修」が部分リフォームです。

コスト感的にも、「建て替え>リフォーム>清掃」となり、「リニューアル」や「改修」には外注の費用が掛かることがほとんどになります。

Webサイトリニューアルの目的

Webサイトのリニューアルには、その目的に合わせた手法や最適なプロセスがあります。進め方や回収ポイントも異なりますので、初めの段階で明確にしておきましょう。

ここでは代表的なWebサイトリニューアルの目的をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

デザインリニューアル(ブランディング)

デザインリニューアルとは、見た目をやイメージ、ユーザビリティを刷新するために全面的にWebリニューアルするパターンです。デザインのリニューアルというと「古くなってデザインが時代に合わなくなってきたから刷新する」という理由が真っ先に浮かぶと思われがちですが、実際には自社のブランディング活動の一環としてデザインリニューアルを行うことも多いです。

その場合はまず、現状のWebサイトデザインが自社の打ち出したいブランドイメージに沿っているかのチェックします。ブランディングはWebサイトのデザインだけで実現できるものではありませんが、1つの重要な要素です。適切な印象を与えられるように、Webデザインをブランドに合わせて刷新すると良いでしょう。

また、社名変更、社長交代、事業分野の拡大といった転換期に合わせて企業イメージを刷新したい場合にもデザインリニューアルを行うことがあります。その場合にも会社や事業の方向性に合わせてデザインをそろえる必要があり、Webサイト以外に名刺やパンフレットなどの配布物とも一貫性のあるWebデザインを意識してください。

そして、デザインというと、見た目ばかりに考えが行きがちですが、リニューアルの機会に「UIデザイン」や「UXデザイン」を意識したWebサイトのリニューアルも大切です。ユーザーに合わせた導線改ピード改善、ユーザ善やスービリティの向上などがこれに当たります。あくまでユーザーの体験価値を上げるための、最適なデザインを意識すると良いでしょう。


以上、長々と説明してまいりましたが、あくまで見るべきはユーザーです。しっかりとユーザーのことを考えて、最適なデザインリニューアルを心がけましょう。

【関連記事】新米WEB担「イマドキのナウいデザインで作りたい!信頼性があってカッコイイサイトを!」【第5話】

システム変更(ユーザビリティの向上/更新作業の効率化/SEO対策など)

リニューアルのタイミングでCMS、データベース、ECサイトなどをWebサイトへ導入して、Webサイトのシステムを変更する場合もあります。

CMSとは、Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)のことで、CMAを組み込んだWebサイトは専門知識がない人でも、管理画面から更新作業が行えるようになります。


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【関連記事】

>CMSとは?Webリニューアルのタイミングで導入したい更新システム!≪導入事例6社≫


>なぜ有料CMSとWeb制作をセットで提供するのか

 


現在のWeb運用はCMSを活用した自社運用が主流になっています。 スピーディな情報発信を行うためにも、CMSの導入は必須といえるでしょう。サイトリニューアル時のCMS選定で気を付ける点としては、自社の身の丈にあった機能とプランになっているか、本当に自分でも使いこなせそうかという点です。高機能のものを探せばいくらでも候補が上がりますが、使いこなせなければまったく無意味なので、そういった観点で選ぶようにしてください。

 
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>CMSの導入事例から読み解く!Webリニューアルを決めた企業が抱えていた課題とは



また、製品データベースを導入すると膨大な製品ラインナップなどをすべて収録できるようになり、Webサイト内で検索できるようになったり、検索エンジンから製品名などでの指名検索での流入が増加することがあります。運用面でも、たくさんの製品をCMSだけで管理するのが難しいこともあるため、100点以上製品がある場合はデータベースの導入をおすすめしています。

EC機能をつけるにはカート機能や決済機能が必要になるため、専用のシステムを導入する必要です。ECサイトを作ることで、ユーザーが気に入った商品をそのまま購入できるようになって利便性が向上し、企業にとっても利益に直結します。最近では手軽にWebサイトにEC機能を実装できるサービスも増えているので、探してみると良いでしょう。

レンポンシブ対応(MFI対応)

現在はスマートフォン対応(レスポンシブ対応)が一般的になっています。そのため、PCのみのサイトをレスポンシブ対応に作り替えるタイミングで、Webサイトのリニューアルを行いことがあります。現在のGoogleのアルゴリズムはMFIといって、スマートフォンのページを見に行くようにしようが変わっているため、SEOの観点からもスマートフォン対応はとても重要です。

また、スマートフォンの所有率も年々上がってきています。SEOに限らずスマホ対応は必須と言えます。そして管理面を考えるとレスポンシブWebデザインを実装することで、一か所を更新すれば自動でスマホページも更新するような仕様も可能です。選択肢として頭に入れておいてください。

その他にも、SEO内部対策として構造化マークアップ対応を行うこともあります。目に見える部分は変えずに、裏側の構造化マークアップ対応だけを行うことも多いです。この場合はリニューアルとはよばず、Webサイト改善の一つですが、Webサイトに使用しているシステムによっては対応できない場合もあり、Webリニューアル時に構造化に対応したシステムを導入するケースがあります。

サイト構造の抜本変更(SEO内部対策)

Webサイトのユーザビリティを改善するために、リニューアルを実施することがあります。ツリー構造を抜本的に変更することで、ユーザーがサイトに訪れた際に迷いなく目的のコンテンツに到達できるようにすることが目的です。また、構造を見直すことでコンテンツの更新もしやすくなり、SEOにもつながることがあります。

結果的にコンバージョンにもつながり、Webサイト全体の成果を高めることができます。




Webサイトリニューアルの主な目的なご紹介は以上です。ちなみに今回は定性的な目的をご紹介しましたが、さらに高い視点でWebマーケティングという観点での定量的なゴールとしては「新規顧客の獲得」をおかれることが多いです。

あくまで今回ご紹介したのは「Webサイトリニューアルにおける目的」であって、高い視点で考えると達成すべきは自社の利益貢献になります。そういった達成すべきゴールに到達するために、Webサイトのブランディング要素やシステムの変更が必要だから、Webリニューアルという手段をとる、という流れになります。

「Webサイトのリニューアル」ごとに目的はありますが、あくまで経営の目的ではなく、マーケティングのツールとしての限られた目的でしかないので、混同しないように注意しましょう。



Webサイトのリニューアル時期

続いて、Webサイトのリニューアル時期について解説いたします。

結論から申し上げると、Webサイトのリニューアルは、Webサイトに持たせる目的ごと立て直して最適化したいときに行うものです。マーケティング戦略とWebサイトの構造・仕組みにズレが生じてきたときがリニューアルのタイミングといえます。

また、外的な要因でWebサイトのシステムを変更する必要性が出てきたときも、リニューアルの検討が必要です。逆に言えば、現状のWebサイトでも戦略上問題がない場合は、無理にWebサイトのリニューアルをするのではなく、運用面にコストをかけた方が成果にもつながりやすくなります。


例えば「お問い合わせを増やしたい」「短期的に売り上げを上げたい」といった要望であれば、数百万円のリニューアル費用を部分改修の数十万円に抑え、残りの費用を広告にかけるなど、リニューアル以外の打ち手も様々です。場合によっては、現行のWebサイトのままでも十分成果につなげられることもあるはずです。(もし判断がつかない場合は、信頼できる専門業者に相談することをおすすめします。)


そのため、ただWebサイトのデザインが古くなっただけの場合や、なんとなくイメージを変えたい程度であれば高額な費用をかけてリニューアルする必要はありません。また、SEOを始めとする集客施策も、リニューアルだけで必ずしも改善されるとは限らず、同じコストでサイト運用に着手した方が良いこともあります(もちろんスマホ対応や更新性など、SEOに関連する項目でリニューアルで実現できるものは多くあります。)。そのため、自社にとって本当にリニューアルが必要なのかどうかは、現状とこれからの施策を整理したうえで判断する必要があります。

基本的には、前章で挙げたWebサイトリニューアルの目的と照らし合わせて、自社が本当にリニューアルすべき時期なのかを判断するとよいでしょう。

Webサイトのリニューアルの間隔

業界にもよりますが、Webサイトのリニューアルの間隔としてもっとも多いのは3~5年に1度の頻度です。前章でお伝えしたように、マーケティング戦略の中期計画が切り替わるタイミングを考えると、3~5年周期になるからです。

ただしSEOという観点に言えば、検索エンジンのアップデートにも対応する必要があるため、その動向を見ながらリニューアルを検討することになります。例えばレスポンシブ(スマートフォン)対応をする際には、抜本的にサイト構造を変えることも多く、そういった外的な要因が発生すると、リニューアル周期も短くなります。本当に今、抜本的な改修をするべきなのか、するとしたらどんな機能をマストでつけるべきなのかを慎重に考えるようにしましょう。

また、フルリニューアルは3~5年に1回ですが、コンテンツの更新は最低でも月に1回以上は行いましょう。常に新鮮な情報を掲載しておくことが、ユーザーへ安心感を与えることになり、SEOにも寄与します

Webサイトのリニューアルにかかる期間

Webサイトのリニューアルには、一般的な25ページ程度のWebサイトで平均3~4ヵ月、倍の50ページで4~5ヵ月が目安です(弊社でリニューアルする場合の目安。業者やどこまでを作りこむかで変動します)。「新製品発売に合わせてリニューアルオープンしたい」など、公開時期が決まっている場合は、逆算して間に合う時期から余裕を持ってリニューアルを開始する必要があります。


特に多いのは、4月1日など新しい期が始まるタイミングです。そうなると、遅くとも10月には業者決定し、打ち合わせをスタートする必要があります。

また、公開期間が延びる原因にもっともなりやすいのは、デザインと素材です。デザインの方向が社内で定まっていなかったり、素材が用意できずに公開ができない、といった理由で公開が数か月先になることも多々あります。事前に準備をしておきましょう。

なお、Webページ数だけでなく、システムによってもリニューアルにかかる期間は変動するため、実際にリニューアルを担当する専門業者に確認しましょう。

Webサイトリニューアルの費用相場

Webサイトのリニューアルにかかる費用は業者によるのですが、数十万円〜数百万円の間が一般的です。これは作成するWebサイトのページ数、システムの有無、デザインや設計にかかる工数によって異なります。

 

そうはいっても目安を知りたいという方も読者の中にいると思うので申し上げると、15ページ程度の制作にあたって個人では大体10〜30万円、企業に依頼すると200〜300万円程度が多い価格帯だと考えています。

 

個人と企業で双方にメリットデメリットはあって、例えば個人の方に依頼すれば費用は抑えられますが、場合によってはデザインから構築までをほとんど1人で担っていることもあります。

 

一方で企業に依頼すると数百万円からのリニューアルコストになりますが、その分サポートも手厚くなる傾向があるため、ある程度の規模(数十名程度)の会社のWebサイトであれば、Web制作会社に依頼することをお勧めしています。

 

 

【例】Web制作の項目別の費用相場
制作工程 項目別の金額相場
企画構成費・プロジェクト管理費  ディレクション費用(ディレクター人件費):3~6万円/日
企画・構成費:10万円~
Webページ作成費用
(デザイン・コーディング)
トップページ作成費用:7~20万円
下層ページ作成費用:1ページあたり2~8万円
ランディングページ(LP)デザイン費:5万円~
バナーデザイン費:5,000~2万円

運用・サポート費

Web広告出稿代行費:5万円/月~
アクセス解析レポート費:5万円/月~
SNS運用代行:5万円/月~
取材・記事ライティング代行:1記事あたり1~3万円 

企画構成費・プロジェクト管理費

ディレクターの1日あたりの作業費で計算する場合と、企画構成費やプロジェクト管理費などの名目で、総額で見積もる場合があります。

  • ディレクション費用(ディレクター人件費):3~6万円/日
  • 企画・構成費:10万円~

サイトボリュームや施策や構成の難易度によって異なります。作成費用の10~30%など全体費用に料率をかけて設定する場合もあります。


Webページ作成費用(デザイン・コーディング)

デザイナーやコーダーの1日あたりの作業費で計算する場合と、デザイン費・コーディング費などの名目で、ページ単価や総額で見積もる場合があります。

  • トップページ作成費用:7~20万円
  • 下層ページ作成費用:1ページあたり2~8万円
    トップページ、下層ページとも、PCまたはモバイルどちらか一方のみの金額です。PCとモバイルでデザインが違う場合はそれぞれ費用がかかります。また、レスポンシブ対応の場合は工数がかかるため、上記単価の1.2~1.5倍ほどの価格になります。
  • ランディングページ(LP)デザイン費:5万円~
    ページの長さや、レスポンシブ対応の有無、発注先が個人か企業かなどで大きく異なります。
  • バナーデザイン作成費用:5,000~2万円

その他作成費用

  • SEO対策(内部SEO)費:5万円~
    SEOの内部対策を標準仕様としている制作会社と、別途費用を設けて実施する制作会社があります。
  • お問い合わせフォーム設置費:2万円~
  • JavaScript実装費:1万円~
    JavaScript(JS)が活用される場面は多く、内容によって料金はさまざまです。一般的なスライダーやアコーディオンメニューのような表現であれば上記金額が相場です。
  • CSS設計費:2万円~
    コーディング費用に含まれる場合もあります。
  • CMS実装費:5万円~
    WordPress等のCMSを使う場合の初期構築費用です。ページ数やカスタマイズの有無によって料金が変わります。
  • SSL設定費:2万円~
    SSL証明書の設定を制作会社に依頼する場合。証明書の取得費用は含みません。

運用・サポート費

  • Web広告出稿代行費:5万円/月~
    リスティング広告の運用代行などは、上記金額がミニマムになる場合が多いです。
  • アクセス解析レポート費:5万円/月~
    Google Analyticsなどの解析ツールを活用したレポート費用。定型のレポートから戦略的なコンサルティングまで、料金設定の幅は広いです。
  • SNS運用代行:5万円/月~
    アクセス解析同様、依頼内容によって大きく費用が異なります。
  • 取材・記事ライティング代行:1記事あたり1~3万円
    記事のボリュームや取材の有無などによって料金が変わります。


Webサイトに戦略性を求めず、とりあえずきれいに作れればよいという場合は費用を抑えることが可能です。一方で、戦略的にマーケティング活動で使うWebサイトを制作する場合は、市場調査から戦略設計までを実施するため、費用も数百万円以上となります。

 

成功するWebサイトリニューアルの流れ

Webサイトリニューアルの流れは目的に応じても変わるのですが、今回は”BtoB企業がWebマーケティングで引き合いを増やす”ことを目的として、13のステップをご紹介いたします。

Web制作に取り掛かる前にやるべきことや準備すべきことも改めてご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

マーケティングの全体像を整理する

まずは自社のマーケティングの全体像を整理しましょう。繰り返しになりますが、あくまでWebサイトのリニューアルは手段でしかないので、全体の中での位置付けを決めるためにも、明確にしておく必要があります。

 

また、リニューアル後の集客の手段や、集客後の顧客の動きに対してのアプローチ、関係構築の方法など、事前に検討しておくべきことは多岐に渡ります。可能であれば、1枚図にして全体像を整理しておくことをおすすめします。

 

また、ここで見落としがちなのが「自社の顧客を明確にする」というフェーズです。日頃からマーケティング活動に注力している会社であれば、明文化されているものがあるかと思いますが、しっかりとプロジェクトメンバーの頭を合わせるためにも、一度形に残るもので作成しておきましょう。


マーケティングの全体像の例▼

マーケティングの全体像とWebサイトの立ち位置

こういった全体図からWebサイトの立ち位置を明確にします。 


Webサイトの要件・目的を決める

続いて、マーケティングの全体像からWebサイトの要件や目的を定義してください。ここがぶれてしまうと、施策にも一貫性が出ず、指標も定まりません。ROIを適切に測るためにも、要件や目的の明確化は重要です。

 

例えばBtoBの企業であれば、Webサイト経由の案件の獲得や商談の創出などが目的となることが多いです。また、お問い合わせからいきなりアポになるのではなく、資料をダウンロードした顧客にメルマガを送付し、セミナーに集客して刈り取る、といった流れの中でWebサイトを活用するケースも増えています。

 

先ほどマーケティングの全体像を明確にしたのも、どんな目的にWebサイトを活用し、どこを目指すのか、そのためにどんな要件が必要かを確認するためです。ぜひこの工程は飛ばさずに、時間をかけて行いましょう。


また、この時にWebマーケティング全体のKPIも決めておくと、Webサイトリニューアルに求める目標を決めやすいのでオススメです。参考までに、目的から逆算したWebサイトのKPI例を紹介しますので、自社に当てはめてご活用ください。

WebマーケティングのKPI設定例


Kpi設定にはこちらの記事もおすすめです!▼
【わかりやすく解説】KPI(指標)とKGI(目標)とは?Webマーケティング分野での設定方法や決め方など

Web制作の業者選定を行う

次に、要件や目的に沿った内容で、業者選定を行いましょう。要件や目的が決まっていれば、その内容を業者に伝えコンペを行うことも可能です。


よろしければ、リニューアル業者の選定に活用できる選定シート(無料)もご利用ください▼
Web制作会社の比較項目記入シート

制作会社への依頼方法がわからない場合は、こちらのRFP(提案依頼書)もご活用ください▼
RFP記入シート


Web制作会社によって得意不得意も様々です。「有名な会社だから」「知っている会社だから」「友人の会社だから」といった安易な理由で決めるのではなく、自社の目的に最適な企業を選ぶようにしてください。

※Web制作会社の業者選定のポイントに関しては後半で詳しく解説いたします。

>「Webサイトリニューアル業者の選定ポイント」を先に見る

改めてターゲットを明確にする

制作段階で、再度ターゲットを明確にします。マーケティングの全体像の段階でも決めることではありますが、サイト閲覧者という観点で改めて明確にしておくと、コンテンツの設計に役立ちます。

 

この時に、自社の現在の顧客像と、その顧客が将来的に成功している場合の双方をターゲットとして設定すると作るべきコンテンツも明確になるためおすすめです。

ターゲットの動きからコンテンツを設計する

明確にしたターゲットから、コンテンツの設計を行なっていきましょう。どういったきっかけでWebサイトに訪れ、どんな流れでコンテンツを閲覧するのかを整理してください。

 

例えば以下のように、どのように自社のサービスの見当が進んでいくかを考えるのも重要です。また、複数の人間が検討に関わる際には、どこでどんな人が関わり、どんなコンテンツが必要なのかを考えるようにしましょう。


Webサイトリニューアルにおけるカスタマージャーニー

 

求める情報の想定


>【無料テンプレートあり】カスタマージャーニーとは?メリットデメリットから作成の手順までを解説!

 
※こちらのフェーズは非常に重要なため、次章でも詳しく解説いたします。

サイトマップを設計する

設計したコンテンツから、サイトマップを作成します。サイトマップとは、サイトをツリー状にした骨組みのようなものです。この工程で不備があると後で修正するのが難しいため、もれなく必要な要素が組み込まれ、構造に無理がないようにしっかりと確認しましょう。

また、ここまでのフェーズで設計したターゲットや必要なコンテンツがしっかり盛り込まれているか、しっかり確認するようにしましょう。サイトマップの段階でコンテンツの想定がされていないと、後の工程で再組み込みが難しいこともありますので、全体の骨組みとして不備のないように発注者側も注意しましょう。

サイトの構成を作る

サイトマップを構築した後は、主要ページの構成を作成します。主にTOPページや中ページの構成を作成するのですが、製品ページなどページごとに構成が変わらない場合は全ページを作成する必要がありません。

まずは主要ページのみ、ユーザーの流れに沿って設計するようにしてください。そしてその主要ページから枝葉のように、各ページの構成を作成してきます。

もしこの段階で違和感がある場合は、それをそのまま放置せずに、しっかりと修正しましょう。 

デザインの方向性を決める

続いて、目的に合わせたデザインを設計します。この時に意識していただきたいのが、最高のデザインではなく最適なデザインを目指す、ということです。

Webサイトのリニューアルというと、とにかくかっこいいデザインにしたいと短絡的に考えがちですが、いくら最新のデザインにしても最終的な目的を達成できなければ意味がありません。

閲覧するユーザーが高齢者であれば文字を大きくする必要がありますし、女性向けのサイトであればやわらかい印象のサイトが良いかもしれません。BtoBの昔ながらの製造業であれば、デザインから重厚感や信頼感が伝わるデザインにする必要があります。

担当者や代表の好みだけでデザインを決めるのではなく、しっかりと目的に合わせたデザインを客観的に考えるようにしましょう。

また、デザインと聞いて見栄えのことをイメージされることが多いのですが、UIデザインやUXデザインという言葉がある通り、ユーザーの体験全般も加味する必要があります。確かに綺麗なサイトになったけれど、ボタンの位置が押しにくかったり、導線が見えづらかったりすると、ユーザーは離脱してしまいます。しっかりと、ユーザー目線でデザインしてもらうことを意識してください。

素材(画像やテキスト)を用意する

構成やデザインが決まったら素材を提供します。Web制作会社から有料素材を提供してもらうことも可能ですが、それでは独自性が生まれずありきたりのWebサイトになってしまいます。

また、専門情報や自社に関する生情報などは制作会社側では知りえないので、基本的には発注者側が用意します。事前に使用する素材を用意しておくと、スムーズに制作に取り掛かることができます。

もしくは、制作会社からヒアリングを受けてコンテンツを構築していくケースも多いです。自社で整理をし切れていない場合は、第三者の力に頼ってコンテンツを作り上げましょう。

この素材提供のフェーズで制作が止まってしまい、公開が遅れることが非常に多いため、できる限り前倒しで素材収集を進めるようにしてください。

デザインに落とし込みレビューを行う

先ほど決めたデザインに素材を落とし込み、完成形を確認します。このフェーズまでであれば変更が比較的容易なので、もし変更をしたい場合は伝えるようにしましょう。ただし、大幅な変更は別途デザイン費用がかかる可能性があるため、注意が必要です。

この時も、あくまでユーザー目線でデザインが構築されているかをチェックするようにしてください。

Web制作に取り掛かる

デザインが確定後、実際の構築に入ります。実装が完了すると、デザインの変更などができない可能性がありますので、事前に確認をしてください。このフェーズは発注者側には特にタスクはなく、Web制作会社が作成したリニューアルのスケジュール通りに進捗しているかだけをチェックすれば問題ありません。

既に構成やデザインが決まっているため、あとはWeb化されるのを待つフェーズとなります。

公開後の運用についての確認をする

どんなに遅くとも制作に取り掛かる頃には、公開後の運用の話はしっかりと詰めておきましょう。こちらも可能であれば早い段階で取り組んでおくことをお勧めします。メインの担当が誰で、事業部ごとに担当を立てるのかどうか、セールスとの連携はどうするのか等、意外に決めておくべきことは多いものです。

 

Webの運用は初動が遅れるとそのままズルズルと時間ばかりが経ってしまいます。後で後悔しないよう、余裕を持って決めるようにしてください。

公開&運用のスタート

公開が完了したら、いよいよ運用スタートです。Webサイトは公開してからがスタートなので、ここで安心して燃え尽きてしまわぬように注意してください。

 

まずはプレスリリースやSNSで周知を行いましょう。せっかくWebサイトをリニューアルしても、誰にも見てもらえなければ意味がありません。可能であれば社員も協力して、拡散するようにしてください。

 

その際に「なぜリニューアルしたのか」「どんなコンテンツを発信していくのか」「会社としてどうなっていくのか」といった背景も一緒に伝えると、ユーザーのファン化が進みWebサイトへの再訪率も高まります。

 

スタートダッシュを切れるように、ぜひこういった準備も進めておいてください。

 

Webリニューアル時に整理しておくべきコンテンツの話

ここまでリニューアルのステップをご紹介してきましたが、中でも重要なのが最終ゴールを達成するためのコンテンツ設計です。

以下の図は、先ほどもご紹介した企業内での情報の流れを整理したカスタマージャーニーの一例ですが、こちらに沿ってコンテンツ設計を実施することで、必要なコンテンツや導線などの整理に役立ちます。

カスタマージャーニー



例えばBtoBの製造業では、使用者と購入決定者(決裁者)が別々であるケースが多く、また、BtoCと比べて検討フェーズ(上図の「無関心」から「業者選定」まで)が長い傾向にあります。よって、検討中に各担当者が意思決定の判断材料として使えるような情報を適切なタイミングで与えていくことが大きなミッションとなります。

逆に、BtoCのWebサイトリニューアルでは検討期間も短く必要なコンテンツもまったく別のものになるでしょう。そういった違いを理解したうえで、Webリニューアルを行い、公開後もコンテンツの運用をしていく必要があります。

ここからは主に「情報提供」に焦点を当て、リニューアル前に整理しておくべきコンテンツを検討フェーズごとにご紹介します。こちらをもとに、現在のWebサイトに+αで必要なものを把握してください。

無関心フェーズの顧客向けコンテンツ

【見込み客の行動】

ターゲットとなる見込み客は何らかの課題を抱え、ネットで課題解決に結びつく情報を検索します。そして、課題解決に役立ちそうな商品やサービスの導入を検討し始めます。さらに、関連する商品やサービス名をチェックします。

【提供する情報】

手段 Web広告、コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ブログ記事型のオウンドメディア、SNS、展示会 など
内容 該当する課題解決の方法やヒントなどのノウハウ情報、アドバイス

自社製品・サービスが解決できることを、根拠を交えながらアピールします(Web広告、コーポレーとサイト、サービスサイト、ECサイト、展示会など)。
また、自社が蓄積してきたノウハウから、ターゲットが抱える悩みや課題を解決するためのヒントを提供することで、その分野に豊富な知識や実績を持っていることを示すこともできます(ブログ記事型のオウンドメディア、SNSなど)。
まだターゲット自身が問題とは捉えていない潜在的な課題を掘り起こすのもこのフェーズです。

課題認識~ニーズが高まるフェーズの顧客向けコンテンツ

【見込み客の行動】

課題を認識した担当者は、課題解決のための商品・サービスを導入したいと上司に申し出ます。上司が課題を認識します。課題を認識した上司が解決のための商品・サービスを導入するかどうかを検討する段階です。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、データベース、メール(ステップメール、メルマガ)、ホワイトペーパー、インサイドセールス、カタログ、セミナー など
内容 課題解決の方法、商品・サービスの詳細 など

ひとつ前の「無関心フェーズ」からここまでの間に担当者からなんらかの接触を受けており、「課題認識フェーズ」では見込み客として担当者の情報を得ているという前提です。
担当者側の自発的な動きによってWebサイト上の情報を閲覧してもらうほか、メルマガ配信などのプッシュ型の情報提供を行います。

また、営業担当からのコンタクトにより課題の詳細をヒアリングしたり、場合によっては商談のアポイントを取り付けたりといったアクションも必要です。

解決模索~要件定義フェーズの顧客向けコンテンツ

【見込み客の行動】

上司が課題解決のために商品・サービスを導入することを許可すれば、担当者は導入先の企業候補を絞り込むため、類似商品・類似サービスを集めて比較検討します。スペックや費用などを比較するため相見積もりをとります。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、データベース、ホワイトペーパー、カタログ、セミナー、メール(ステップメール、メルマガ) など
内容 商品・サービス詳細情報(スペック、費用感など)、導入実績、FAQ、企業情報 など

フェーズ内にはさらにさまざまな段階の見込み客がいるため、それに応じて必要としている情報も幅広く、提供すべき情報が一番多いのがこのフェーズになります。
具体的な施策として、ステップメールやメルマガによるナーチャリングや、自社と見込み客との信頼関係の構築、Webサイトや電話による問い合わせ対応、セミナーや相談会などのイベントで対面による質疑応答、訪問による商談などが挙げられます。

また、承認を行う上司や決裁者(社長)からは、企業としての信用を得る必要があるので、商品・サービスの納入実績ページやコーポレートサイトの企業情報ページや整備されていないようならこのフェーズまでに情報を充実させておくことも必要です。

導入検討~業者選定フェーズの顧客向けコンテンツ

【見込み客の行動】

要件定義フェーズでの決定事項を満たす商品・サービスを担当者や上司、場合によっては決裁者も交えて比較検討し、どの企業を選ぶかを決定します。その後、稟議書を上げて決裁者が承認します。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ホワイトペーパー、カタログ など
内容 商品・サービスの概要・スペック・特徴(特長)、類似サービスとの比較表、導入実績 など

競合製品・サービスと比べたときの特長をアピールします。Webサイト上に、どんな企業に向いているか?といった情報を掲載したり、競合他社が提供する類似サービスとの比較一覧表など、稟議書にそのまま添付できるような資料をホワイトペーパーで提供して担当者の手間を省いてあげると良いでしょう。

使用フェーズの顧客向けコンテンツ

【見込み客の行動】

契約後、見込み客は商品・サービスの使用をスタートします。 問題なく商品やサービスの利用を継続させるため、メンテナンスや不具合が起きた時の対応、アップデート情報などに関心が移ります。

【提供する情報】

手段 コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、ホワイトペーパー、メルマガ など
内容 メンテナンス情報、故障対応に関する情報提供、アップデート情報、新製品リリース情報 など

購買後、顧客フォローのための情報提供を行う必要が出てきます。コーポレートサイトやサービスサイト、ECサイトにアフターフォローのページを設けたり、顧客側で行うべきメンテナンス方法をホワイトペーパーで提供したりといった施策があります。
また、アップデート情報や新商品情報をメルマガや営業フォローなどで提供することで、リピート化をうながすことも大切です。

上記はあくまでも一例で、各フェーズで行うべき施策は、商材やターゲット(ペルソナ)によって変わってきます。

当初のデジタルマーケティングの目標が、カスタマージャーニーの各段階にいるターゲットユーザーに対し、適切な対応をして成約ないしリピート購買につなげていくことであるのを念頭に、前章でご紹介した理想像と照らし合わせながら施策の評価を行って改善につなげていきましょう。

Webサイト制作を外注するために必要なもの

多くの企業では、Webサイトのリニューアル作業を実作業はWeb制作会社に任せることになります。ここでは、Webサイトのリニューアルを外注するに当たり、用意するべきものをリストアップします。無料でダウンロードできるテンプレートもございますので、ぜひお役立てください!

RFP(提案依頼書)

先述の通り、Webサイトのリニューアルでは目的を明確にすることが大切です。また、予算やスケジュール、自社の強みと弱みなど、業者に伝えておくべき項目がいくつかあります。

「RFP(提案依頼書)」には、Webサイトのリニューアルにあたり、検討すべき要素やチェックポイントがまとまっており、作成する過程でWebサイト担当者の頭のなかも整理されていきます。0から作成するのが難しい方は、下記のバナーよりRFPのテンプレートをダウンロードできますので、よろしければご活用ください。

RFPダウンロードボタン

【関連記事】新米WEB担「やっぱ今はデザインっしょ!かっこいいサイトにすればPV増えそう!」【第1話】

業者選定シート

業者選定は、複数業者で相見積もりを取ったりコンペを実施したりして、最終的に1社に絞り込むことになるケースが多いかと思います。その際に、各社の見積書や提案資料を比較しても項目がバラバラで比較検討が難しいものです。

そこで役立つのが「業者選定シート」です。制作実績や特徴、メリット、デメリットといった統一した基準で比較でき、優劣をつけたり自社のニーズに一番合致する業者を見極めやすくなります。こちらも無料のテンプレートをご用意したので、お役立てください!

業者選定シートダウンロードボタン

【関連記事】新米WEB担「WEB制作会社に違いとかなくない?一番安い会社にしよっと」【第2話】

デザインやロゴデータ等の素材

Web制作会社にフリーのテンプレートを用意してもらうことも可能ですが、自社にしかない素材やデザインデータに関しては、別途用意が必要です。場合によっては従業員の写真なども必要になりますので、あらかじめ用意しておくとスムーズでしょう。

 

管理情報の整理

Web制作を業者に外注する場合も、サーバー回やドメインの情報など自社で管理すべき部分がいくつかあるため、整理をしておく必要があります。最低限、「ドメイン」「Webサーバー」「SSL証明書」「セキュリティ対策」の4項目についてはWeb担当者が管理し、把握しておくようにしましょう。

それぞれ簡単に解説いたします。

ドメイン

ドメインとは、Webサイトの住所のようなもので、URLの「http://(www.)」より後の部分です。たとえば、当メディア(エムタメ!)なら「mtame.jp」がドメインです。

ドメインの管理とは、具体的には、ドメイン(IPアドレス)のユーザー名やパスワードといったアカウント情報を管理することです。

リニューアルに伴い、サーバーを変更する場合は、ドメインの管理事業者に申請を行う必要があります。

また、SEOの向上やブランディング向上のためにリニューアルを機にドメインを変更することもあるでしょう。そうした際に、すぐにアカウント情報が取り出せるよう、また、漏えい対策を行い管理しましょう。

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Webサーバー

Webサーバーとは、Webサイトを表示させるためになどに使用するサーバーのことです。こちらも、ユーザー名・パスワードといったアカウント情報を管理します。

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SSL証明書

SSL証明書とは、ユーザーがWebサイトとやり取りする内容を悪意ある第三者に読み取られないよう暗号化するためのしくみであるSSLで通信する際に利用する証明書です。リニューアルの際、サーバーが変更になると、SSL証明書も申請し直す必要があります

SSLに関しては、リニューアルの対応内容に含まれていなければ、Web担当者が自身で対応しなければならないので、サーバーの確認と、SSLの再申請が必要か、または別サービスでの対応が必要なのかを確認してください。

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セキュリティ対策

もし、Webサイトのセキュリティ対策をどこまで実施してくれるかは、Web制作会社によります。そのため、丸投げした結果何も対策がなされていなかったというケースも0ではないのが実情です。自社に情報システム部門がある場合はそちらとも連携を取りながら、サイバー攻撃に関する情報にアンテナを張り、セキュリティ対策を講じる必要があります。

使用しているWebアプリケーションは常に最新版にバージョンアップし、ファイアウォールやセキュリティ対策ソフトを導入するとともに、万が一の際にもWebサイトを継続できる仕組みを持っておくと安心です。Webサイトのバックアップも定期的に取っておきましょう。

【関連記事】Webサイトの「改ざん検知」の仕組みとは?導入するメリットと注意点

Webサイトリニューアル業者の選定ポイント

Web制作を外注するために必要なものを揃えたら、リニューアルを任せる業者を選定します。
業者選定時に見るべきポイントとして、今回は「構築するCMSの種類」「SEO対策への知見」「セキュリティ対策」「アフターフォロー」の4点をご紹介します。

構築するCMSの種類

HTMLで構築する方法ももちろんありますが、現在は、更新のしやすいCMSでWebサイトを構築する方が主流ですので、ここではCMSを利用することを前提として話を進めます。
Webサイト制作会社を選定する際は、その業者が制作に対応しているCMSの種類をチェックしましょう。

CMSには、大きく分けて「オープンソース系」と「独自開発系」があります。
WordPress(ワードプレス)やDrupal(ドルーパル)といったオープンソース系は比較的多くのWeb制作会社で扱っており、無料で使用できる点が魅力ですが、サポートが弱い傾向があり、自社に知見のある人材がいる場合かWeb制作会社でサポートを提供している場合におすすめです。

一方、独自開発系は、Web制作会社が独自に開発したCMSで、開発元の制作会社か代理店からしか提供されません。リニューアル時のWeb制作費用に加え、別途、使用料がかかりますが、その分、セキュリティやサポートなどが充実している傾向があります。Web担当者にあまり知見がない場合や、Webサイトを通してサービスや商品を提供しているなどWebサイトのトラブルが致命的になり得る場合におすすめです。

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SEOへの知見

インターネット黎明期の20年前であれば、SEO対策は特別に検索順位を上げたい企業が費用と手間をかけて取り組むものでしたが、2020年現在はSEO対策をしていないWebサイトを探す方が難しいです。

また、Googleも年に数回のアップデートを行っており、SEO対策に有効な方法も変化しています。顧客ファーストでWebサイトを構築する前提にはなりますが、最新のSEO情報に精通していないと、せっかくコストをかけてリニューアルをしたのにまた小さな改修でコストがかかってしまうことも。

そのためリニューアル業者選定の際は、SEO対策に関する知見を持ち、常に情報収集を行っているところを選ぶことが大切です。見分けるポイントとしては、SEO対策などのコンサルティングを提供している業者を選ぶと良いでしょう。

【SEO関連記事】
SEOを基本から解説!最低限抑えたい施策から無料ツールまで

 

Webマーケティング全般への知見

先ほどのリニューアルのステップでもお伝えしましたが、WebサイトのリニューアルはWebマーケティング全体の中で目的を決める必要があります。そのため、「作ることだけ」を専門としている業者に依頼をすると、最終的な成果物にミスマッチが生まれる可能性があります。

例えば見た目はいいけどSEOがイマイチだったり、作りは良いけどWeb担当者の運用を加味した設計になっていなかったりと、せっかくのコストと工数をかけたリニューアルが本末転倒になる可能性もあります。

昨今では「とりあえずWebサイトがあれば良い」という企業は少なく、BtoBでもBtoCでも、何かしら目的があるはずです。できる限り上流から相談に乗ってくれるパートナーを選ぶことで、満足のいくWebサイトのリニューアルをおこなうことができるでしょう。

セキュリティ対策

前章でもお伝えしましたが、Webサイトを運営している以上、いつサイバー攻撃に遭うかわかりません。「うちは攻撃されるほど大手でも有名でもない」と安心しているWeb担当者の方もいるかもしれませんが、セキュリティの堅い大手企業の取引先を直接攻撃するのではなく、守りの甘い取引先を踏み台としてサイバー攻撃を行う「サプライチェーン攻撃」という手法が増加しています。

セキュリティ対策を提供しているか、セキュリティ対策のついた独自CMSを提供している業者を選定し、活用しましょう。

アフターフォロー(カスタマーサクセス)

Webサイトは制作して終わりではありません。リニューアル後もアクセス解析をしながら改善を加え、より効果の出る、自社の目的に合ったWebサイトへと育てていくことが大切です。そのため、作って終わりではなく、長く付き合えるパートナーを見つけることをお勧めしています。

そういった意味で、中長期的な観点でアフターフォローの充実した業者を選ぶことは非常に重要です。できれば、メールだけではなく電話や対面でのサポートを提供している会社だったり、独自CMSを使用する際にも、機能アップデートなどく専門のサポートチームが付いているものを選ぶと良いでしょう。

 

特に気をつけた方がいい制作会社の謳い文句が「なんでもサポートします」「大体できます」といった曖昧な表現です。具体的にどんな支援をしていて、どうやったら自分たちの求めている成果に繋げていけるのかを明示できる企業を選んでください。

制作会社のなりたち(主力事業)

Web制作会社は、その会社の成り立ちからいくつのタイプにわけられます。それぞれのメリット・デメリットを含めて、特徴を詳しく紹介します。

印刷系のWeb制作会社の特徴

雑誌やカタログ、会社案内パンプレットといった印刷物の制作会社から派生したWeb制作会社(部門)です。印刷業界の市場縮小が進むなか、印刷物とあわせてホームページの制作も行うなどサービスの一環や業務拡大を目指して立ち上げたところが多くみられます。

Webが普及する前からデザインに携わってきた会社ですから、デザイン力は抜群。オリジナル性のあるデザインを求めている方には、適しているでしょう。また、会社案内の印刷物を制作する際、同じ内容のWebサイトを制作したいという方にとっても、一緒に依頼することで制作期間やコストの低減も期待できます。

一方で、Webからの受注を増やしたいといったマーケティング施策やSEO、データベースの制作など、デザイン以外の要素については、各社のノウハウや技術力に大きな差があります。また、公開後のサポート対応が手薄なところもみられます。Webサイトでビジネスを拡大したいと考えている方は、各社の実績もしっかり見極める必要があるでしょう。

システム系のWeb制作会社の特徴

データベースやソフトウエアの開発、基幹システムやネットワークの構築など、システムの設計・開発を手掛ける会社にも、Webサイトの制作を手掛けるところがあります。

画面上には現れないバックグラウンドのしくみづくりを得意とする会社ですから、ECサイトのような決済システムが必要なWebサイト、個人情報を多く扱う会員サイト、人事や売上管理など基幹システムと連携したWebサイトなどを求める方にはピッタリ。制作会社の担当者がヒアリングしたうえで、必要な機能を備えたWebサイトを提案してくれるでしょう。

システム系のWeb制作会社は裏側に強いですが、デザインについては目新しさのない、ありきたりなビジュアルになる場合も。会社によっては、デザイン制作会社に外注するところもあります。社内にデザインの制作担当部門があるか確認することも必要でしょう。

広告代理店系のWeb制作会社の特徴

新聞やテレビ、雑誌など各メディアで広告を扱う代理店もWeb制作に深くかかわってくることがあります。それぞれのメディアの特性にあわせたプロモーションの提案や、他メディアと一緒にクロスメディアマーケティングを行うことも可能でしょう。

広告代理店系のWeb制作会社はマーケティングに強みを持っていることが大きな特徴です。集客や問い合わせ件数の増加など、Webを活用した施策の提案を望む方には適した会社といえます。

ただし、自社内にWeb制作部門を持っているところは少数派。多くの会社はデザイン制作会社に外注しています。そのため、デザインやプログラミングの知識を必要とするシステムなど、マーケティング以外については専門外という会社も。自社内にWeb専門部隊があるかという点が、会社選びのカギといえます。

映像系のWeb制作会社の特徴

高速インターネット回線の普及にともない、動画専門サイト、ポータルサイトやSNS上の動画広告など、Webでも動画に接する機会が増えています。こうした背景から、映像制作会社にもWebサイトの制作を手掛けるところが多くなっているようです。

会社案内などPR動画の制作はもちろん、Webサイトでの動画配信や他メディアと連動したWebコンテンツ制作も含め、ワンストップで提供する会社もあります。

とはいえ、専門は映像制作。クオリティの高い映像は作れても、デザインやマーケティングなどを含めたWebサイトのクオリティまで高い会社は限られてきます。Webと動画を活用して、どのような施策を展開するとどんな効果が期待できるかといったノウハウを持っている会社を選ぶことが大切です。

マーケティングを強みとした独立系のWeb制作会社

マーケティングリサーチ会社やコンサルティング会社などでWebに携わっていた人が独立し、Web制作専門の会社を設立したところも多くなっています。

こうした独立系のWeb制作会社の場合、SEOやユーザビリティーに関する知識やノウハウが豊富で、アクセス数や問い合わせ件数を増やすキーワード選定から、アクセス解析や月次レポートなどのアフターサポートまで、Webに関するあらゆるサービスを提供してくれる点が特徴です。

一方で、各社に実力の差が大きいため会社選びは慎重に行いたいところ。独立系の制作会社といっても、営業から制作まで一人で対応するフリーランスもいれば、ディレクター、デザイナー、システム開発など専門スタッフが多く在籍している大企業もあります。制作はもちろん、公開後のサポートも含めしっかり対応してくれそうなところを選ぶことが重要なポイントといえそうです。


WebサイトはWebマーケティングの施策の中心になるので、しっかりとノウハウを提供してくれる制作会社を選ぶことが重要です。せっかくコストをかけて構築をするので、親身になって長期的な視点で寄り添ってくれる業者を選ぶようにしてください。


より詳しい制作会社選びの記事はこちらです▼
【保存版】Web制作会社の業者選定・比較の際に抑えるべきポイントまとめ


Webサイトリニューアルの成功事例

ここで、Webサイトリニューアルの事例を1つご紹介します。ぜひ貴社のWebリニューアルの参考にしてください。

アイメックス株式会社様

URL:https://www.aimex-apema.co.jp/

アイメックス株式会社様は、東京都墨田区に本社を構える機械メーカーです。ロールミルやビーズミルといった機械を製造販売しております。

この10年で2回ほどWebサイトのリニューアルを実施しており、デジタルの施策にも前向きな企業となります。代表や営業部長の方もWeb戦略のMTGに参加することで、先進的な取り組みをいち早く取り入れることに成功しており、デジタル化を目指す製造業の企業の模範となる活動をしている企業です。

1度目のWebリニューアル時にはCMSの導入と問い合わせが増える仕組みづくりを、2度目のリニューアルではより現代のユーザーに合わせたデザイン刷新やりレスポンシブ対応を行っています。

それぞれのきっかけとしても、中長期の運用の中で必要性が生じたために踏み切った背景があり、それ自体が目的というよりは手段としてリニューアルを実施しています。実際に施策も成功しており、Web経由での引き合いや商談数も年々増えております。


他にも、本メディア「エムタメ!」を運営するクラウドサーカスでは多くの企業のWeb制作やリニューアルを手掛けています。一部事例をご紹介しますので、下記もぜひ合わせて参考にしてください。



事例一覧はこちらから→「BlueMonkey」のWeb制作事例一覧

Web制作サービス紹介はこちら→CMSを使用したWeb制作


Webサイトは公開して終わりではない

Webサイトリニューアルの定義からプロセス、事例や業者選定までお話ししてきました。

最後に、Webサイトのリニューアルで最も重要なことをお伝えします。それはWebサイトはリニューアル公開がゴールではないということです。

Webサイトのリニューアルは非常に工数がかかります。素材の準備やコンテンツ作り、デザインの決定など、社内調整や自身の手を動かす業務まで、様々なプロセスを経て成し得るのがWebサイトのリニューアルです。

そのため、いつのまにか公開がゴールとなってしまい、肝心な運用に入る前に燃え尽きてしまうこともあります。そんな時は、当初立てていた全体像や目的を改めて振り返るようにしましょう。

Webサイトのリニューアルに限らず、Webマーケティングは長い長いマラソンのような施策が多くなります。ぜひ長期的な目線で、コツコツと施策を積み上げていきましょう。そうすればきっと、施策が成果につながり、「Webサイトをリニューアルしてよかった!」と心の底から思えるはずです。

まずは目的を明確にし、戦略的なWebリニューアルを!

Webサイトのリニューアルに必要なものや、タイミング、業者選定のポイントなどを解説してきました。

改めてにはなりますが、リニューアルには明確な目的や目標が重要です。自社にとってのWebサイトの役割を改めて整理したうえで、戦略的にリニューアルを行っていきましょう。



また、その際には途中にご紹介したテンプレート資料なども役立つかと思いますので、ぜひ本記事と合わせてご活用ください!

再掲▼
>「Web制作会社の比較項目記入シート」を無料でダウンロードする 

>「RFP(提案依頼書)」を無料でダウンロードする


【Webリニューアルの記事ならこちらもおすすめ!!】

【BtoB企業向け】Webサイトのリニューアルを失敗しないための13のステップ

【保存版】Web制作会社の業者選定・比較の際に抑えるべきポイントまとめ



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>BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで

 

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  • この記事を書いた人
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  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Sat, 01 Jul 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[製造業が人材不足になる原因とは?データからわかる実態や課題、解決策を解説]]> https://mtame.jp/column/a1093 製造業の人材不足が深刻化しています。製造業では少子高齢化の影響などを受け、年々人手不足が進んでおり、常に課題の上位に挙げられています。ものづくり大国といわれた日本の製造業が、なぜ人手不足に陥ってしまったのでしょうか。

 

今回は、製造業における人手不足の現状と、その原因、対策などを詳しく解説していきます。

データで見る製造業の人手不足の実態

製造業の労働人口の減少

就業者数の推移

 

画像引用: 2022年版ものづくり白書

 

「2022年版ものづくり白書」によると、製造業の就業者数は約20年で157万人の減少となっており、全産業に占める製造業の就業者割合をみても3.4ポイント低下しています。2020年は1,051万人、2021年は1,045万人と直近の2年をみても就業者数は減少傾向です。このように、製造業の労働人口は年々減少しています。

若者の製造業離れ

若年就業者の推移

 

画像引用: 2022年版ものづくり白書

 

製造業における若年層の就業者数は、2002年から2012年まで減少しており、以降は横ばいの推移です。しかし、2002年から2021年までの約20年間でみると121万人の減少となっています。

 

高齢就業者の推移

 

画像引用: 2022年版ものづくり白書

 

一方、65歳以上の高齢就業者数は、約20年で33万人の増加となっていますが、こちらも2017年あたりから横ばい傾向です。全産業や非製造業の割合は上昇しており、比較するとその割合は5.7ポイントまで差が開いています。

 

若年層と比べると、高齢者の就業者は増えていますが、全産業でみると製造業の人材不足は改善していないといえるでしょう。

女性就業者数の減少

女性就業者数と女性比率の推移

 

画像引用: 2022年版ものづくり白書

 

全産業の女性就業者数は、2002年から2021年まで上昇しています。一方で製造業の推移は横ばい傾向です。2012年から2018年まではわずかに増加しましたが、2019年からは減少しています。全産業と比べると、女性就業者数の差は年々広がっています。

技能人材の不足

確保が課題となっている人材

 

画像引用: 2018年版ものづくり白書

 

製造業の人材の中でも確保するのが難しくなっているのが「技能人材」です。技能人材とは、技術者や作業者のことで、経済産業省によると、約60%の企業が確保に苦労していると回答しています。

デジタル人材の確保

特に確保が課題となっている人材(規模別)

 

画像引用: 2018年版ものづくり白書

 

先述したように、中小企業ほど技能人材の確保に課題を感じています。一方、大企業が技能人材に次いで必要としているのは「デジタル人材」です。

 

経済産業省では、既存システムの老朽化問題、いわゆる「2025年の壁」と呼ばれる課題を解決しなければ、日本企業は巨額の経済損失が生じると警鐘を鳴らしています。さらに、世界的なデジタル化の動きもあり、日本の製造業ではデジタル技術の活用が急がれています。そのため、各企業ではAIやIoTなどの最新技術に対応できる人材を求めるようになりました。

なぜ製造業は人手不足になったのか

製造業では、なぜ人手不足が深刻化したのでしょうか。ここからは、代表的な5つの原因について解説していきます。

3Kの負のイメージ

製造業にまつわる負のイメージ「3K」をご存知でしょうか。3Kとは、「きつい」「汚い」「危険」のことで、このマイナスのイメージから製造業を敬遠してしまう人が多いといいます。

 

工場では、深夜や早朝などに働くシフト勤務の場合もあり、生活リズムが不安定になりがちです。化学薬品や油の臭い、汚れなどに慣れない場合もあります。重量物の落下や危険を伴う作業もあるでしょう。そのようなネガティブなイメージから、とくに若い人材が集まりにくくなっています。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルス感染症の拡大は、製造業に大きな影響を与えました。非常事態宣言により、工場の休業や減産を余儀なくされ、生産ラインはストップ。感染を防ぐための出勤制限もあり、業績悪化につながった企業も少なくありません。

 

とくに、工場勤務などの現場仕事は、テレワークに不向きなため転職せざるを得ない人も。感染が収束したとはいえ、一度解雇した従業員を再雇用することは難しく、新型コロナウイルスの拡大は、人材不足に拍車をかけたといえます。

労働人口の減少

日本の少子高齢化により労働人口も減り続けています。高齢化が進み、若い世代が集まりにくい製造業では、とくにその影響を受けて就業者数が減少しています。

 

また製造業は、土地の安い地方に工場を設置している企業が多く、東京に人口が集中している現代では、さらに人材が確保しにくいといえるでしょう。

後継者や指導者の不足

後継者難倒産件数の推移

 

画像引用:2022年版ものづくり白書

 

2022年版のものづくり白書によると、後継者不在による「後継者難倒産」が増加。世代交代がうまくいかず、後継者が不足している実情が表面化しています。

 

日本では、「見て覚える」といった技術継承が古くから続いており、習得までに10年以上の経験が必要な場合もあります。しかし、労働人口が減少している現代では、こうした継承が難しく、なかなか後継者が育っていません。

 

さらに、団塊の世代のベテラン勢が大量に退職したため、「指導者の不足」という新たな課題も生まれています。従業員のフォロー体制がうまく整わないため、離職者が増えるといった悪循環につながっています。

労働環境の悪化

もともと残業や深夜勤務が多い職種といわれていましたが、慢性的な人材不足でその負荷が大きくなっていることも、従業員の離職につながる要因のひとつです。労働の過酷さと給料が見合わない、柔軟に休みを取るのが難しいなど、収入や休暇などの労働環境に不満をもつ人も増えています。新卒者も条件のいい企業に流れてしまうなど、労働環境の悪化が人材不足を加速させているといえるでしょう。

製造業において人材不足が与える影響とは?

人材不足が続いてしまうと、さまざまな悪影響が出てきます。ここからは、製造業における人手不足の影響を4つの項目にわけて解説します。

競争力・モチベーションの低下

若手社員が不足すると、本来新人が担当するような作業を中堅社員がこなさなければなりません。ベテラン社員を酷使することで重要な業務に手が回らず、生産性の低下で企業の競争力も下がってしまう可能性があります。

 

人手不足により残業や休日出勤が増えれば、従業員の負担も大きくなり、過重労働へつながります。ミスや体調不良なども増え、社員のモチベーション低下にもつながるでしょう。

デジタル化が進まない

製造業のさらなる発展のため、世界的にデジタル化が進められています。生産ラインをデジタルツールの活用で自動化できれば、人手不足も解消できます。しかし、デジタル人材が不足していると、IT技術の導入はなかなか進みません。デジタル技術を導入しても、操作できる人材がいなければ活用できないからです。製造業の実情を熟知しているデジタル人材となると、さらに人選が難しくなるでしょう。

利益の出ない悪循環

長年のつきあいや今後を見据えた受注など、ときには人手が足りなくても引き受けざる得ない仕事があります。その場合、社内では対応しきれないため外部に発注しますが、人手不足でそのようなケースが続くと、利益の出にくい仕事ばかりになってしまうことも。外注費がかさむことで経営も圧迫。人件費の縮小など待遇面も悪化し、その結果、離職者が増えるといった悪循環につながってしまう可能性があります。

倒産の危機

先述したとおり人材不足は、生産性の低下や売上の低迷につながるため、経営にも大きく影響してきます。この状態が続いてしまうと、企業は事業を縮小せざるを得ません。

 

さらに、生産ラインの停止や品質低下などが生じて、人材確保のコストもかけにくくなると、最悪の場合は倒産するケースも出てきてしまうでしょう。

製造業で人材確保するためには

では、製造業で人材を確保するためにはどのような対策をすればよいのでしょうか。ここからは、7つの方法についてそれぞれ解説していきます。

製造業DXの促進

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してビジネスを革新することです。最近、製造業ではDX化が注目を集めており、人材不足の解消にも有効だと考えられています。

 

たとえば、「生産管理システム」を導入して、部品を自動発注できるようにすれば、在庫管理に従業員を配置する必要はありません。さらに、発注ミスによる部品の欠品なども防げるので、製造にかかるリードタイムの短縮にもつながります。

 

「職人の技」と呼ばれるベテランの技術もデータ化してマニュアルにすれば、ノウハウ習得までの時間を効率化できるでしょう。

 

ただし、デジタルの導入には予算も人材も必要です。操作を覚えるまでに時間もかかります。一方で、成功すれば生産性の向上やシステムの自動化など、大きな成果が期待できるでしょう。

 

関連記事: 製造業DXの重要性とは?メリットや取り組み事例をご紹介

イメージアップで3K払拭

「3K」のネガティブなイメージを払拭して、「選ばれる企業」へと革新することも人材不足解消への第一歩になります。そのためには、勤務形態の見直し、職場の雰囲気作りなど労働環境の改善が必要です。具体的には以下のような取り組みが挙げられます。

 

  • 残業や深夜労働の削減
  • フレックスタイムや時短勤務の導入
  • テレワークのできる体制づくり
  • 安全対策の徹底
  • 安全面に対する教育
  • キャリアアップを目指したプラン
  • コミュニケーションの活性化

 

また、SDGsなどの社会貢献活動を推進することも、企業のイメージアップにつながります。省エネルギー、CO2排出削減などの「環境への配慮」、地元食材を生かした商品開発

 

といった「地域創生」などは、話題性の高い企業活動です。

 

さらに、その取り組みをWebサイトやSNSから発信すれば、企業の魅力を広くアピールできるでしょう。

育成強化

社内の従業員を育成して、生産性が上がれば人材不足を補うことができます。効率よく育成するには、熟練の技を見える化してマニュアルにすることが必要です。伝統的な技術も大切にしながら、いち早く育成できるような工夫も求められるでしょう。

 

そのほか、「多能工」の育成も解決策のひとつです。「多能工」とは、1人で複数の作業や工程を進められる人材のことで、トヨタ自動車が考案したといわれています。

 

トヨタでは、自動車の組立作業をする際に1人1台の機械だけではなく、複数台の操作や工程ができるように育成し、少人数での作業完了を実現。人件費の削減や作業効率の向上に成功しました。

 

ただし、育成には時間がかかります。育成する人材も必要です。作業員のモチベーションを向上させるために報酬を与えるなど、制度の整備も求められます。費用対効果なども照らし合わせながら、育成体制の整備をしていきましょう。

採用条件・方法の改善

人材を募集してもなかなか集まらない場合は、採用条件を見直してみるのもひとつの方法です。即戦力が必要なため、製造業では経験者を求めることも多く、未経験者が採用されにくい側面があります。そのため「経験不問」で募集をすれば、人材の幅が広がり、欲しい社員が見つかる可能性もあります。

 

デジタル人材を探す場合は、厚生労働省の助成金を利用して企業が社員のスキルアップを支援する方法もあるので、チェックしてみましょう。

 

どうしても人材が集まらない場合は、人材紹介や派遣会社の利用もおすすめです。最近では、製造業に特化した派遣会社もあります。自社だけでは採用が思うように進まない場合は、人材紹介会社を利用して、迅速に人材確保をしていきましょう。

外国人・女性の採用

「技能実習制度」や「特定技能制度」を利用して、外国人を採用する企業も増えています。「技能実習制度」とは、母国で修得することが困難な技能を日本で学ぶことで、日本にいられる在留期間は最長5年です。

 

「特定技能制度」は日本の人手不足を解消するために整備された制度。「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、2号の場合は在留期間に上限がありません。それぞれ就労可能な業種が決められており、「技能実習制度」の製造業は約50種類が対象です。

 

また、いままで男性の職場と思われていた製造業での「女性の採用」にも注目が集まっています。女性は育休明けの復帰に苦労している人も多いため、柔軟な勤務形態が構築できれば、優秀な人材を獲得できる可能性もあります。そのためには、時短勤務やテレワーク、介護・看護休暇の取得など、働きやすい職場環境づくりが欠かせないでしょう。

シニア世代の再雇用

社会全体で労働人口が減少しているため、いままで見逃されていたシニア世代の再雇用も有効な対策となります。とくに経験豊富な高齢者は、不足している指導者としての採用がおすすめです。

 

シニア世代を採用するためには、女性社員同様、労働条件の見直しが必要となります。労働時間の見直しや健康面に対する配慮を行えば、即戦力として大きな力になってくれるでしょう。

人材流動化に備える

正社員の雇用にとらわれずに、派遣社員や期間作業員を利用するのもひとつの手段です。製造業は景気変動に左右されやすく、人材の流動化も進んでいます。せっかく育て上げた人材が離職してしまうケースはこれからも増えていくでしょう。流動化に備えて人件費を調整することは、これからのビジネスで生き残るために必要です。

 

また、人手不足を補うために外注の活用も有効です。部品加工や検査業務などをアウトソーシングすれば、専任スタッフが確保できなくても生産性を維持できます。専門的な機器が必要な作業は、その機材にかかるコストも削減できるでしょう。

製造業の人手不足を解消するための事例

ここからは、4社の企業が行った人手不足を解消するための取り組みについてご紹介します。

 

参考資料: 中小企業・小規模事業者の 人手不足対応事例集

HILLTOP株式会社−デジタル化で24時間無人稼働を実現して「3K」を脱却

精密機械部品などの試作加工・製造・販売を行うHILLTOP株式会社は、「3K」のイメージから脱却するため、利益の出やすい多品種小ロット生産のシステム構築を目指したそうです。

 

そのため、売上の8割を占めていた自動車関係の下請け業務をすべてやめて、アルミに特化した多品種小ロット生産へ移行。24時間無人加工を実現しました。「職人の技」をデータベース化して加工技術を標準化することで、誰でも完成度の高い加工ができるようになり、生産性も安定したといいます。

 

オリジナルの生産管理システムで大量生産を機械化にも成功。知的労働は人が作業することで、下請けからも脱却できたそうです。

兵庫ベンダ工業株式会社−IoTやAIで業務をサポート。子育て支援で従業員の満足度も向上

製造業の兵庫ベンダ工業株式会社では、社員が3年程度で退職してしまうことが多く、雇用環境の改善が急務になっていました。そこで、IoTやAIを活用して、工作機器や工場環境のデータを取り、照明や空調などの効率的な制御を促進。小型センサーで工場内の人の流れを測定することで、無駄な工数の削減や工程の少人数制に成功しました。

 

さらに、子育て・介護支援のためにテレワークも導入。東京在住の社員など、本社近隣地以外からも採用を実施して優秀な人材の確保も実現しました。従来の家族手当に追加して、「育児教育手当制度」を導入すると、子育て支援企業として知名度も高まり、従業員の満足度もアップしたとのことです。

タカハ機工株式会社−女性社員が広告塔として活躍。企業や商品の知名度アップに貢献

タカハ機工株式会社は、電気機械部品の製造を行う男性ばかりの職場というイメージが強く、職場を明るくしたいという課題をもっていました。従来は新卒採用を行っていませんでしたが、2013年度から新卒の女性社員を採用。「製造部門」に配置すると、目覚ましい活躍がみられたといいます。

 

その後、女性社員を自社の主力製品「ソレノイド」にちなんで「ソレノイジョ」と称して広告塔に登用。ソレノイドを使った発明コンテスト「ソレコン」の運用や、展示会での対応など幅広い活動をされています。

 

女性採用にあわせて社内では、老朽化したトイレを女性社員とともに設計・改修したり、各種休暇を整備したり、働きやすい環境づくりを構築。新たな人材を確保したことで、企業や商品の知名度向上にもつながりました。

株式会社オハラ−早朝に強い高齢者に着目して向上稼働時間を延長

株式会社オハラは、農産物加工品など食品製造業を営む企業です。さつまいも加工など製造期間が限られている作業に対しての人員確保が難しく、増産を図りたくてもなかなか稼働時間を延ばせない状況が続いていたといいます。

 

その課題を解決するために取り組んだのが「高齢者の採用」。早朝の稼働時間を増やすため、朝に強い高齢者に向けた求人を開始しました。高齢者に読まれやすい新聞の折り込みに、「60歳以上限定」という求人チラシをいれたところ、多くの応募があったそうです。

 

勤務時間は午前5時から午前9時30分まで。早朝の短時間勤務にすることで、高齢者が働きやすい環境を整備しました。遅刻・欠席のない労働意欲の高い高齢者を集めることに成功し、若い社員からは「達人」と呼ばれるなど、社内も活性化したとのことです。

まとめ

製造業の人材不足は、少子高齢化、新型コロナウイルスなどの影響もあり、なかなか改善の兆しが見えません。一方で、人手不足を脱却した企業もあります。デジタルの導入、労働環境の見直し、女性や高齢者、外国人の採用などその対策はさまざまです。まずは自社の強みを明確にして、適した対策を探してみてはいかがでしょうか。

 

なかなか人手不足が改善しない場合は、ぜひデジタルの導入も検討してみてください。デジタルツールを活用して生産性が向上すれば、残業時間を削減できるかもしれません。いまでは、初心者からでもはじめられる手軽なデジタルツールも充実しています。

 

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    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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Tue, 27 Jun 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説]]> https://mtame.jp/martec/marketing_automation 最終更新日:2023/04/25(エムタメ!編集部)


マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入企業が、BtoB・BtoC問わず年々増えています。

【参考記事】
>【マーケティングオートメーション意識調査】MA導入率は17%で昨年の15%から微増。導入しない理由1位は5年連続で『費用が高いから』

マーケティングオートメーション(MA)とは「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化」する一連のプロセスを指します。また、それらを実現するソフトウェアのことをMAツールと呼びます。

 

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは

 

 

見込み顧客自身の固有情報や各種情報の一元管理、育成を行い、さらにはホットリード(購買意欲の高い見込み客)の絞り込みまでの活動を自動的(効率的)に行うことで、生産性を向上させる役割を果たします。

 
※一例として、MAツール「BowNow」でできることを40秒のショート動画にまとめています▼




新規顧客を開拓するには、それぞれの見込み客が持っている興味や関心、その行動に対して「最適な情報」を「最適なタイミング」「最適な方法」で提供するマーケティング活動が求められます。それにより顧客との良好なリレーションが構築されれば、中長期での売り上げ構築にも役立ちます。ただし、それらを全て人力で行うことは現実的ではないので、プロセスの中でマーケティングオートメーション(MA)ツールがとても役に立つのです。

さて、ここまでを読んでもまだ具体的なイメージが湧かない方も多いと思います。そこで今回は、マーケティングオートメーション(MA)ツールについてこれから学びたいと考えている方向けに、概念からツールの選び方、導入事例などを一挙に解説します。何となく言葉は知っていても、何ができるのかまでは知らなかった方も、ぜひこの機会に理解を深めて今後のマーケティング活動にお役立てください。

 

【じっくり読む時間がない方へ】

本記事ではマーケティングオートメーション(MA)の基礎を網羅的にまとめており、非常に文量が多くなっています。
時間がなくポイントだけ一旦抑えておきたい、もしくは後で確認したい方には以下の資料がおすすめになりますので、状況に合わせてご活用ください。

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1.マーケティングオートメーション(MA)とは?

改めてになりますが、マーケティングオートメーション(MA)とは「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化」する一連のプロセスを指し、それらを実現するツールのことをMAツールと呼びます。見込み顧客自身の固有情報や各種情報の一元管理、育成を行い、さらにはホットリード(購買意欲の高い見込み客)の絞り込みまでの活動を自動的(効率的)に行うことで、生産性を向上させる役割を果たします。

(エムタメ!:第1回:マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?より)

新規顧客を開拓するには、それぞれの見込み客が持っている興味や関心、その行動に対して「最適な情報」を「最適なタイミング」「最適な方法」で提供するOnetoOneのマーケティング活動が求められます。

参考動画:無料から使えるマーケティングオートメーション「BowNow」

しかし、これを実現するには多くの人員が必要です。見込み顧客をフォローしたくても手が回らないと悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。 そこで、人的なマーケティングのオペレーション部分を効率化・自動化するために開発されたのが、「マーケティングオートメーション」です。

【関連記事】
OnetoOneマーケティングとは?言葉の意味や具体的な手法をご紹介!


特に昨今(加筆:2021年現在)は、営業活動のデジタル化の一環としてマーケティングオートメーションツールを導入するケースが増えています。コロナの影響で従来の営業活動が実施できなくなったこともあり、テクノロジーを活かした営業活動のひとつとして、こういったツールの重要性が高まっているのが理由の1つです。


弊社でMAを導入いただいた企業様の声です。オンライン営業主体に切り替えるために、MAを検討いただきました。

2019年ごろ、ちょうどMAが話題になり色々なツールが注目されるなかで、できればMAツールを導入してWebサイトからしっかりとリードをとり 、オンライン営業をできるようにしたい、という話が具体化してきました。2020年にはたまたま新型コロナ流行の状況があり、タイミング的にも、そのようなオンライン営業主体の営業スタイルに切り替えなければならなくなりました。
引用:営業部門の全員がBowNowを活用。紙のダイレクトメールやテレアポとBowNowを掛け合わせ、メールマーケティングとWeb集客を強化

①MAで何をオートメーション(自動)化できるのか?

マーケティングオートメーションツールによって自動化できるものとして、おもに次の5つの作業があります。

リスト作成

マーケティングオートメーションを用いることで、自社サイトに訪問したユーザーの企業名や企業情報、個人名を取得でき、さらにそのユーザーがサイト上でどういう行動をとったかというログを分析・管理することができます。

どんな企業の誰がいつどんな情報に触れたか

これらの情報を用いて「1週間以内に製品Aの資料をダウンロードした」「キャンペーンページを見た」「従業員501~1,000人以上」など、特定の条件で見込み客を抽出し、リスト化が可能です。

特定のアクションや条件ごとに分類することで、見込み客の興味・関心のありそうな情報を想定しやすくなるため、見込み客へのアプローチや既存顧客への提案が行いやすくなります。また、適切なターゲットにアプローチをすることで、受注率の向上も見込めます。

マーケティングオートメーションは単に自動化を行うだけではなく、顧客接点ごとの提案のきっかけづくりや生産性の向上にも役立つのです。

 

メール配信

マーケティングオートメーションが担う領域であるリードナーチャリング(見込み客の育成)の手法の一つとして、メールマーケティングがあります。メールマーケティングとは、メールを戦略的に配信することで見込み客のステータス(検討度)を上げていく活動のことです。

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BowNowはフリープランでメール送信までが実施できる国産MAツールです。本記事の読者の方にもお気軽に試していただきたいので、下記のURLよりまずはご登録ください!

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マーケティングオートメーションを戦略的に用いれば、ユーザーの反応に合わせたメールコンテンツの配信を自動化することができます。

たとえば、通常のメール配信ツールではユーザーの実際の行動までは把握できないため、ステップメールを送る場合、ユーザーの行動を予想して配信スケジュールを組むことになります。

実際は検討段階が進んでいなかったり、前段階のステップメールを見ていない場合も、次の段階のステップメールが配信されてしまうケースもあるため、ユーザーに響かないコンテンツを送ってしまう可能性があります。

一方、マーケティングオートメーションを使うと、ユーザーがメールを開封したかどうか、どのURLをクリックしたか、またWebサイトのどのページをいつ閲覧したかといったことまでわかるので、「このページを閲覧したユーザーには製品事例のコンテンツを送る」「製品事例を見てくれたユーザーには特典の案内を送る」といった設定をしておくことで、ユーザーが欲しい情報を欲しいタイミングに合わせて提供することができるようになります。

こういったメール送付を事前に設計することで自動で行うことができるのもマーケティングオートメーションの魅力です。

【関連記事】
メールマーケティングとは?成功事例や目標設定方法などを集約しました!

営業への通知とアサイン

マーケティングオートメーションは本来マーケティングが部門が使用するものですが、マーケティング担当者だけでなく営業担当も活用できます。

その理由は、ホットリードを検知したら条件に合わせて営業担当をアサインし、自動でアサインメールを送信するということも可能なツールだからです。 なかには、提案中の見込み客や過去案件の見込み客がWebサイトに訪れていることを検知して、担当している営業にアラートメールで通知を出すといった機能を有しているツールもあります。

こういった機能を活用することで、それまで人的に行っていた営業への通知やアサイン業務の自動化も可能になります。

SFAやCRMを利用している企業であれば、マーケティングオートメーションを一緒に管理することで現在その見込み客がどういう状態なのかをお互いに把握することができ、案件確認の手間も省くことができます。そういった意味で、各部門が連携するためにもシステムの統合は非常に重要です。

リードの選別

多くの企業が抱えている課題として、見込み客がアツい(検討度が高い)かどうかが、営業担当の感覚や過去のやり取りの記憶などの曖昧な要素のみの判断になってしまう、というものが挙げられます。特にBtoBの企業で、これからデジタルを取り入れていこうと考えている企業に多い悩みです。

そこへマーケティングオートメーションを導入すると、属人的な情報に加えて、ツールによる見込み客がどういった行動をしているか数値的な分析ができるので、「こういうアクションがあったから検討度が高い」と客観的な評価基準によるリードの選別が可能となります。

1つわかりやすい例をあげると、検討段階に達していないと見ないようなページ・資料に触れたユーザーを条件検索し、アツいリードを抽出するといったことも可能です。

具体的には、「お問い合わせページを訪れたユーザー」で条件を絞ると、「お問い合わせページまで来たがお問い合わせに至らなかった=検討はしているが問い合わせまではしない」という比較的温度感の高いユーザーを抽出することができるのです。

そもそも名刺自体を営業マンが個々で管理していたり、一部の部門でアナログに管理していることもまだまだ多いので、アプローチの基準が決まっていないこともあります。マーケティングオートメーションを導入することで、決められたアプローチ基準に沿った営業活動が可能となるため、マネジメントもしやすくなります。

レポーティング

マーケティングオートメーションを用いて施策を行い、「コンバージョン数/率」や「ページ閲覧数」、「セミナー申込み数」「資料ダウンロード数」などのデータを収集することで、その施策の効果を自動的に測定することができます。

また、その結果をグラフにすることで、わかりやすく可視化することもできます。これまで個人が感覚で管理していたデータがシステムでわかるようになるため、マーケティング活動の成果も明確になります。

注意点として、マーケティングツールやシステムよくあるのが、ダッシュボードやレポートを複雑に組みすぎてしまうことです。担当者が使えなければ意味がないため、しっかりと”使える”レポートづくりを心がけましょう。

②「SFA」や「CRM」との違い

「SFA」と「CRM」も営業プロセスを効率化するツールですが、マーケティングオートメーションと役割を混同してしまっている方もいるかもしれません。

ここで、「SFA」と「CRM」この2つのツールの特長を解説します。

「SFA」や「CRM」との違い

前述したデマンドジェネレーションの活動プロセスは上の図のようになっています。

マーケティングオートメーションは先ほども紹介した通り「営業案件を創出するためのツール」で、「SFA」や「CRM」よりも前の工程で利用するケースがほとんどになります。

SFA(セールス・フォース・オートメーション)は営業支援システムです。
既存顧客や見込顧客の営業活動に関連する情報を記録・管理することができ、過去の商談の履歴や、現在進行中の案件の進捗状況、営業活動で得た重要な情報、アポイントメントや期限といったスケジュールなどの多くの情報を管理・一覧表示・編集することができます。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)は、顧客関係を管理するツールです。
最終的に売り上げアップを目指すという点では同じですが、顧客との接点を軸に再販を行ったり類似企業へのアプローチを強化することが目的となることが多いです。 顧客とのエンゲージメントを高めてリピーターやロイヤルカスタマーを育成するために用いられることも増えてきています。

MAとSFAとCRMとの違い

それぞれのツールは機能的には近いものを有している場合もあり、混同しやすいのですが、役割は異なります。生産性を高めたり、見込み客を育成したり、そもそも案件数を増やすという目的に寄与できるのが、マーケティングオートメーションの特徴です。

また、マーケティングオートメーションとSFAやCRMは併用して使うケースも多いです。特にSFAはMAとシステム連携すると、リード創出から営業商談までを管理できるので、非常に便利になります。

 

【関連記事】

>製造業向けCRMとは?導入メリットや事例、選び方などをわかりやすく解説

>製造業におけるSFAについて解説!メリットや選び方のポイント、ツールの紹介まで

 

2.マーケティングオートメーション(MA)ツールが必要な理由

ここまでの説明で、「マーケティングオートメーションは便利なもの」というイメージを持っていただけたかと思いますが、そもそもなぜマーケティングオートメーションが必要なのでしょうか?

ここで、BtoB企業の営業活動においてマーケティングオートメーションが必要な理由をご紹介します。

(エムタメ!:第2回:マーケティングオートメーション(MA)ツールが必要な理由より)

①時代による営業スタイルの変化

マーケティングオートメーションが必要となった背景として、営業スタイルの変化が挙げられます。

まずは営業スタイルの遷移を振り返りながら、マーケティングオートメーションの必要性について説明します。

アナログ型

インターネットが普及する以前、営業は個人の営業力や経験に基づいて成果を上げることが一般的でした。
とにかく数をこなす戦略が主流の時代です。たとえば、1日に飛び込み営業を数百件したりテレアポを100~200件もかけたり、既存顧客を数十件回ったりして商談獲得件数の目標を実現していました。

営業担当が、リスト作成からアプローチ、商談、追客、アフターフォローまでを一人で行うため、業務が属人化してしまい、忙しさに比例して放置されてしまう案件が増え、営業成果の格差は広がるばかりでした。

すべての業務を高いレベルで、かつ生産性も高く実行するのは非常に難しいことです。 特に追客(顧客育成)に関しては、時間もかかるうえに成果が直ぐに出にくい傾向にあるため、真っ先に削られてしまう業務だったといえます。

アナログ型営業スタイル

集客型

インターネットの普及により、見込み客は自らの手で情報を探し出すようになりました。 そのため、企業はマーケティング部門を作り、ホームページに力を入れて検索順位を上げようと努力したり、広告で自社サービスを認知させるための施策を打つようになりました。

マーケティング部門が設けられ、展示会やホームページやSNSなどからリードを獲得して顧客情報を営業部門に渡すことで、プッシュの営業活動の負担が減り、より追客や提案に力を入れることができるようになりました。

しかし、マーケティング部門ができたことにより「供給される商談」や「見込み客の数」が増える企業がほとんどでしたが、「供給される商談の質」がバラバラで検討レベルが低い見込み客を供給された営業担当は「マーケティング部門への不満」が募り、供給される見込み客リストの重要度が下がってしまうケースも出てきました。

前述した通り、追客活動は成果が出るまでに時間がかかるので、営業部門としても今すぐ検討してくれそうな案件にのみ時間と労力を使い、そうでない案件は放置してしまうという流れが激化していきました。
結果的に見込み客の総数は増えましたが、放置されてしまう見込み客の数も比例して増えていくことになります。

経営層や営業部門が追客の重要性を理解してはいても、かける時間に対する見返りが少ない(ようにみえてしまう)ため「なかなか解消できない課題」となってしまっていました。

集客型営業スタイル

情報活用型

この放置問題を解消する方法として、これからの時代に求められるのが分業と情報活用型の営業活動です。
追客業務が得意な営業担当者を追客専任に据えて、放置されてしまう見込み客を組織的かつ戦略的に育成していくことで、営業部門に供給されるリードの質と量をコントロールしていく活動といえます。

属人的だった見込み客情報を、しっかりとログデータとして取得・分析できる技術が発達したため、過去の履歴からユーザーの趣味嗜好や行動を把握し、ユーザーが求めている情報を配信することが可能になったことも大きな要因です。

そして、そのデータを蓄積・活用し見込み客をナーチャリング(育成)する追客専任担当はインサイドセールスと呼ばれており、現在はこの組織を新たに設ける企業が増えています。 ナーチャリングとは見込み客の検討度を上げていく活動のことですが、営業部門がナーチャリングの済んだ見込み客のみを担当できるようになれば、追客や中長期的なアプローチの時間を削減でき、かつ、ナーチャリングに必要な知識やノウハウを覚える必要もなくなります。

結果的に、営業は商談のみに集中できるようになるため、成果が個人の営業力に偏ることが少なくなり、安定した強い営業組織を作ることができるようになります。

※インサイドセールスの詳細は以下の記事を参照ください▼
インサイドセールスとは?BtoBマーケティングにおける必要性

情報活用型営業スタイル

このような情報活用型へとシフトするためには、マーケティング部門とインサイドセールス部門の新設や増員といった組織編制(リソース)や見込み客の行動や動向を蓄積・分析するためのツールの導入が必要になります。

このためのツールとして最適だといわれているのが、マーケティングオートメーションです。


②ログデータの取得・分析技術の向上

マーケティングオートメーションを設置しているサイトに見込み客が訪問すると、訪問者の企業名や個人名だけでなく、資本金や従業員数といった企業データまでを取得可能な場合があります。

さらに、その見込み客がサイト上でどういう行動を取ったのか、閲覧ページや閲覧順、滞在時間、ページ読了率、流入元情報、訪問回数などの詳細な分析まで取得できます。

マーケティングオートメーションにはメール配信機能がついているものも多く、メール開封率やURLクリック率だけでなく、メールをクリックしてサイトに流入した見込み客のサイト上の行動も分析可能です。

さらに、データを取得するだけでなく、先述したデータをグラフや分析レポートとして可視化できるので、自分たちが行っている施策に効果があったのかを検証するために分析機能は非常に有効です。

3.マーケティングオートメーションのメリット(効果)・デメリット

ここまでで、マーケティングオートメーションが世の中に求められる理由についてご理解いただけたのではないかと思いますが、まだ、自社に導入の必要があるのかどうかを判断するには材料が足りないかもしれません。

ここでは、マーケティングオートメーションのメリット(効果)とデメリットをご紹介しますので、判断材料として役立ててください。

【MAのメリット(効果)1】見込み客に嫌われずに購買意欲を高めることができる

見込み客の検討段階がわからないと、的外れなタイミング・内容でアプローチをしてしまう可能性が高いですが、マーケティングオートメーションを使って見込み客の行動ログに合わせた情報をメールなどで送ることで、より興味がある内容を提供して購買意欲を高めることができます。

情報の爆発と言われて久しいですが、顧客は毎日膨大な量の情報を受け取っています。押し売りが嫌われるのと同じで、適切なタイミングで適切な情報を届ける必要性がますます高まっています。

そんな時に、マーケティングオートメーションは非常に役立ちます。

【MAのメリット(効果)2】見込み客の取りこぼしを防げる

お問い合わせをしてくれたが契約には至らなかった見込み客、名刺交換をしただけの見込み客、メールマガジンに登録してくれた見込み客などは、こちらからコンタクトを取らずに放置すれば、自社の顧客になってもらえないどころかそのまま競合他社の顧客になってしまう可能性があります。

見込み客の動きがなければ、製品・サービスに興味がなくなったと考えられますが、マーケティングオートメーションで見込み客のアクション(メールマガジン内のURLをクリックした、Webサイトの製品ページを閲覧したなど)が把握できれば、製品・サービスに興味があること、さらに、どういった情報を求めているのかまでがわかるので、アプローチしやすくなり、取りこぼしを防げます。


特にBtoBの顧客は検討のフローも複雑で、動き出したと思ったらあっという間に業者選定が終わっている、ということも多々あります。取りこぼしのないようにアプローチするためにも、マーケティングオートメーションはとても有効です。

【MAのメリット(効果)3】属人化しない営業組織を作れる

営業マンにも受注率の高い人とそうでない人がいて、教育などでその差を埋めようとすれば時間と労力がかかります。

マーケティングオートメーションを導入してインサイドセールス部隊が見込み客のナーチャリングを終えたところで営業部(フィールドセールス)にパスすれば、検討度の高い段階にいる見込み客ばかりなので、営業力の弱い人でも受注しやすくなり、営業組織全体の生産性が上がります。

また、先述の通り客観的な判断軸でアプローチをするような仕組みづくりが可能なので、マネジメントもしやすくなります。その名の通り”オートメーション”できるところは自動化し、属人性の低い営業体制をつくっていくことが可能です。

【MAのメリット4】受注率・案件化率が向上する

メリット3でご紹介した内容と近いのですが、マーケティングオートメーションを用いてナーチャリングし終わった見込み客は、極端にいえば「誰でも受注できる」状態です。もともと営業の強い人に加え、弱い人も受注が取れるようになるため、受注率・案件化率が上がります。

また、過去のWebサイトの閲覧履歴なども確認できるので、顧客が関心を持っているトピックを把握することも可能です。メインで提案しているサービス以外のクロスセルにもつながり、受注単価の向上も見込めます。

【MAのデメリット1】費用対効果が出るまでに一定の期間が必要

一見魔法のツールのようなマーケティングオートメーションですが、当然デメリットもあります。

まずは、マーケティングオートメーションを使って上記メリットでご紹介した成果が出るまでには、時間がかかるという点です。ナーチャリングには、ある程度の期間がかかり、その間のナーチャリング用コンテンツ作成費や作業工数(人件費)といったコストが、先行して出ていきます。

そのため、短期的な利益だけではなく、中長期的な視点で戦略が必要です。特に決裁者や経営層が理解をしていないと、成果が出る前にツールの解約にもなってしまうので、しっかりと全社的に理解を得るようにしてください。

【MAのデメリット2】コンテンツがないと施策が回らない

マーケティングオートメーションを導入するとOne to Oneマーケティングができるようになります。ですが、見込み客一人ひとりのナーチャリングを成功させるためには、見込み客の検討段階に応じて与える情報=コンテンツが必要不可欠です。そして、見込み客の各層に興味を持ってもらい、メリットに感じてもらえるコンテンツをつくるにはそれ相応の労力が必要になってきます。

マーケティングオートメーションに限らずですが、マーケティング施策にはコンテンツが不可欠です。まずは顧客に対してコンテンツを提供することで、自社への信頼感や高感度が向上してい、商談へと繋がっていきます。

その労力を惜しんでしまっては結果にも繋がらないので、注意するようにしましょう。

【MAのデメリット3】リストのデータ化・移行・クレンジングが必要

マーケティングオートメーションを導入したら、まずは過去に名刺交換したりメルマガ登録や問い合わせのあった見込み客などをリードとして登録していきます。ただし、名刺など紙ベースで管理してきた顧客情報くぉ1件ずつ入力していく手間がかかり、データとして持っていたとしても、移行にはそれなりの手間がかかります。

また、一度登録した見込み客情報は、異動や組織変更、退職などで担当名が変更になることもあるので、継続的にクレンジング(更新)する必要があり、これが手間となります。

作業によっては外注業者を活用するということも可能です。自社のリソースで実施することが難しい場合は、専門業者に依頼するようにしましょう。

【MAのデメリット4】リード獲得の仕組みを作る必要がある

マーケティングオートメーションの導入後も、新規リードの獲得もコンスタントに行えなければ、リードが不足していきます。リード獲得の仕組みとして、たとえば、Webサイトからの流入数を増やし中間コンバージョン(お問い合わせなどの最終コンバージョンの前段階として、ホワイトペーパーダウンロードなど)を設定しておくなどを用意しておく必要があります。

展示会などのイベントや社内の営業名刺を回収することで一気にリードを集めることも可能ですが、コストがかかるのと、できるのは初めのうちです。ツールだけの力に頼るのではなく、しっかりとWebの施策も強化するようにいたしましょう。


中間CVに関しては下記の無料資料も参考にしてください!

> 中間コンバージョン活用法

 

MAのメリットについては下記外部記事もおすすめです!

MA(マーケティングオートメーション)ツールのメリット(効果)・デメリット

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4.マーケティングオートメーションの活用方法

BtoB業界におけるマーケティング活動では、「デマンドジェネレーション」という考えが重視されるようになりました。 デマンドジェネレーションとは、次の3つのステップを段階的に進めながら商談へつなげていく手法のことです。

  1. リードジェネレーション(見込み客を集める)
  2. リードナーチャリング(見込み客を育てる)
  3. リードクオリフィケーション(見込み客を選別する)

マーケティングオートメーションとは?

マーケティングオートメーションは、見込み顧客自身の固有情報や見込み客から収集した各種情報の一元管理、育成、さらにはホットリード(購買意欲の高い見込み客)の絞り込みまでの活動を自動的(効率的)に行う役割を果たします。

デマンドジェネレーションについては、こちらの記事もご覧ください。

【関連記事】

①リードジェネレーション(見込み客を集める)

リードジェネレーション(Lead Generation)とは、見込客を獲得するマーケティングプロセスのことです。自社の商材を認知していない層を含む潜在顧客の中から、購入・契約に関心のある層=「見込客」を抽出します。

具体的な手法としては、広告出稿やWebサイト運用とSEO対策、展示会への出展、セミナー開催などがあります。先ほど紹介した「中間CV」などもリードジェネレーションを行う施策の1つです。結局のところ接点がなければオートメーション化するものもないので、まずはリード獲得の施策に注力するようにしてください。

上記の方法で集客した見込客データをリード情報として、マーケティングオートメーションへ登録しましょう。

リードジェネレーションについては、こちらの記事もご覧ください。

【関連記事】

②リードナーチャリング(見込み客を育てる)

リードナーチャリングとは、リードジェネレーションで獲得した見込客のうち、すぐには受注に結びつかない検討段階の低い層に対し、情報提供を行って検討段階を進めてもらうマーケティングプロセスのことです。

特にBtoBの場合は検討フェーズが長いため、リードナーチャリングに力を入れ、見込客との信頼関係を構築しながら疑問や不安を取り除くことが重要です。

マーケティングオートメーションには、メール送信機能が付いているため、ステップメールやセグメントメールなので、見込客の検討度などに応じた情報をタイムリーに届けることができます。

また、フォーム作成機能も付いているため、ホワイトペーパーで情報提供を行い、その情報に興味を持っている見込客を抽出するのもスムーズです。最後はセミナーに集客し、無料相談から相談につなげる、という流れも鉄板になります。

注意点としては、顧客の動きは複雑で全てが想定通りに進んでいくことは稀です。まずは各ステップで必要であろうコンテンツを適切な場所に用意することから始めると良いでしょう。

リードナーチャリングについては、こちらの記事もご覧ください。

【関連記事】



※メールマーケティングの必要性から、成功事例や参考テンプレートを記載した無料ダウンロード資料もございます。
よろしければこちらも併せてご利用ください。

>BtoB企業向けメールマーケティングガイドライン(無料)

③リードクオリフィケーション(見込み客を選別する)

リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングにより検討度が高まった見込客の中から、確度の高い層を選別するマーケティングプロセスのことです。抽出したホットリードは、営業部門へパスして商談フェーズへと進めます。

マーケティングオートメーションには、スコアリング機能やログ機能があり、自社にとってのホットリードの定義(条件)を設定して自動抽出する機能が備わっています。

たとえば、「ITツールベンダーで従業員数100名以上の企業、展示会でブースを訪問してくれていて、かつメールのURLを3回以上クリークしており、Webサイトでは「導入の流れ」のページを閲覧してくれた」層をホットリードとして設定しておき、すべての条件を満たしたら通知してくれるようにする、といった活用ができます。

このルールを明確にしておくことで、アプローチの基準のばらつきなどもなくすことができるため、営業マンごとの商談数も安定させることが可能です。

リードクオリフィケーションについては、こちらの記事もご覧ください。

【関連記事】

5.マーケティングオートメーション関連の用語集

ここで、マーケティングオートメーションを利用する際に知っておきたい用語をまとめてご紹介します。

ホットリード

興味関心の高い見込み顧客のこと。
情報収集が本格的になっており、自社に対しての接触も多く、商談につながりやすい状態にあります。

MQL

MQLとはMarketing Qualified Leadの略で、マーケティング活動によって創出された案件で、営業に引き渡すだけの価値があると判断されたリードを指します。

参考記事:MQLとは?SQLとの違いやリードの種別を解説!

SQL

SQLとはSales Qualified Leadの略で、MQLの中でもインサイドセールスか営業部門が対応をし、案件化するかどうかを見極める必要があるリードを指します。

SAL

SALとはSales Accepted Leadの略で、MQLの中でも訪問する価値があると判断された営業部門が欲しがるリードを指します。

スコアリング

ユーザーの行動に対して点数をつけてその点数が定めた点数までいくとホットリードと認定する方法のことです。

ABM

ABM(アカウント・ベースドマーケティング)とは「自社にとって価値の高い顧客を選別し、顧客にあわせた最適なアプローチをする」という概念です。

参考記事:ABMとは?手法・メリット・目標・ツールなど知っておきたい知識をまとめました!

ステータス

見込み客の見込み度の高さによって設定されたランクのことです。

ポテンシャル

「どの業種のどれくらいの規模で、どういった担当が成約率または売上が良いのか」といった狙いたいターゲットの設定のことです。

これらはマーケティングオートメーションを運用していく上で避けては通れない用語ばかりです。社内で共通言語として持てるように落とし込みをしましょう。

6.マーケティングオートメーションで解決できる課題

マーケティングオートメーションの代表的な機能には以下のようなものがあります。

  • リード管理機能
  • Webサイト構築機能(サイト・ページ・フォーム)
  • トレース(アクセスログ、アクションログ、企業IP取得)機能
  • スコアリング機能(またはホットリード抽出)
  • メールマーケティング機能
  • シナリオ作成機能(キャンペーン)
  • 分析・レポート機能(BI)
  • 広告管理・分析機能
  • パーソナライズ化(コンテンツの出し分け)
  • 各種ツール(SFAやCRM)との連携

これらの機能を活用して、以下のような課題を解決することができます。

  • 課題1 商談創出数(営業部門への案件パス数)が少ない
  • 課題2 創出した商談(パスした案件)の質が低い
  • 課題3 過去のリードを有効活用(リードナーチャリング)できていない
  • 課題4 商談創出活動の生産性が低い
  • 課題5 情報を蓄積・活用するためのツール活用体制やルールが未整備

課題1 商談創出数(営業部門への案件パス数)が少ない

「ホームページからのお問い合わせがないから、営業部門へ案件がパスできない」と思ってはいませんか? もちろん、お問い合わせの量を増やすためにはホームページの改良も必要ですが、それ以外にも増やす方法はあります。

たとえば、メールマーケティング機能を活用すると、メールアドレスを獲得しているお客様にキャンペーンや新サービスの告知を行い、幅広くアプローチすることができます。 また、その後、メールを開封してくれたかどうかなど、個人の行動に合わせて送るメールの内容を変えることで、一人ひとりに最適な情報が届けられ、ニーズを喚起しやすくなるのです。

さらに、トレース機能を活用してユーザーの行動から「ニーズが芽生えたかどうか」を判断していきます。どんな行動が望ましいか、あらかじめ営業と認識をすり合わせておくと、条件に合致したユーザーを営業部門にパスできるようになります。

課題2 創出した商談(パスした案件)の質が低い

まずは質の高い案件はどういった条件なのか、しっかり定義する必要があります。そして、その条件をスコアリング機能(またはホットリード抽出)に当てはめていきます。こうすることで質の高い案件をMAが高得点で出力してくれるので、質の低いものに対応していた時間が軽減されます。

あとは高得点で出力された案件が本当に質の高いものだったか、成約率は上がったかどうかを営業自身で精査していき質の定義をブラッシュアップしていくと、精度の高いMAツールに仕上がります。

また、スコアリングまではいかなくとも、BtoBの業界によっては商談化率が高い条件が見つけられることがあります。スコアリングは設計がとても難しいため、そこまでの複雑なものが必要ない場合は、安価で最低限の機能がついたマーケティングオートメーションで十分かもしれません。

この辺りは、複数の専門業者に相談をして決めるとよいでしょう。

課題3 過去のリードを有効活用(リードナーチャリング)できていない

リードを有効活用できてない要因として、下記のような例が挙げられます。

  • 展示会やセミナーで交換された名刺の管理ができていない
  • ニーズの有無を個々の営業マンが判断している
  • 獲得したリードにすべて同じ手法でアプローチしている

このようなマーケティング活動を行っていると、直近でニーズが高かった企業へのアプローチは行えても、長期的に検討をしている企業へのアプローチが継続できず、最終的に多くの名刺が机の中に埋もれてしまうことになります。

そこへマーケティングオートメーションを活用すると、それぞれ以下のような変革を起こすことができます。

展示会やセミナーで交換された名刺の管理ができていない

「リード管理機能」を活用して解消します。
まず、今まで接点を持ったお客様の数を把握しましょう。長期的にアプローチすべき案件が、母数に対してどの程度あるのかを可視化すると、今後の追客活動もスムーズになります。

ニーズの有無を個々の営業マンが判断している

「トレース機能」「スコアリング機能」「分析・レポート機能」を活用して解消します。
ユーザーがWebサイトに訪れる回数や見ているページの情報が蓄積されるので、個人の主観的な判断ではなくデータに基づいてニーズを判断することができます。

獲得したリードにすべて同じ手法でアプローチしている

「シナリオ作成機能」「パーソナライズ化」「メールマーケティング機能」「スコアリング機能」を活用して解消します。接点を持ったすべてのユーザーに電話でアプローチしていませんか?検討段階によってユーザーが欲しいと思う情報・コンテンツが異なるように、最適だと感じるアプローチも異なってきます。

たとえば、シナリオ設計とメールマーケティング機能を組み合わせることで、あるアクションをとったユーザーにはAというコンテンツをメールで配信し、アクションしていないユーザーにはBのコンテンツをメール送信する、などの施策が行えます。

同様に、パーソナライズ化機能で、ユーザーごとに「AというコンテンツをWeb上で見せる・見せない」という設定ができます。さらにスコアリング機能を活用し、高得点のユーザーでもメールだけではニーズの把握がしづらいときには電話でヒアリングするという方法も取れます。

こうした施策で、ユーザーに嫌われない良好的なコンタクトを継続的にとっていくことができます。

課題4 商談創出活動の生産性が低い

前述した課題3と重なる部分もありますが、これまで顕在層へのアプローチを中心に行っていると、今後も常に顕在ユーザーへアプローチを続けるという自転車操業に陥ってしまいがちです。さらに、顕在ユーザーの母数は限られたものです。

マーケティング手法が変化したいま、情報収集するユーザーが増えてきていることを考えると、いかに潜在ユーザーを囲い込めるかが大事になっていきます。 芽生えたニーズを刈り取るだけでなく、しっかり育てるところから考え、潜在ユーザーが欲しいと思うコンテンツは何かを分析・レポートしていく必要があります。

マーケティングオートメーションを活用することで、潜在層の中長期的なナーチャリング活動が可能となるため、安定した商談創出を実現することができます。

課題5 情報を蓄積・活用するためのツール活用体制やルールが未整備

「マーケティング部門が施策(展示会やセミナーなど)を行ったあと、アプローチを担当するのは営業部門なので、トータルの費用対効果を把握できていない」 こんな経験はありませんか?

そんなときは、まず、施策の可視化を行うことからスタートしてみてはいかがでしょうか? マーケティングオートメーションはマーケティング担当のみが活用すると思われがちですが、そんなことはありません。営業部門も個人のアカウントを持ち、活用することができます。

すると、営業自信の追客案件の状態を把握できますし、動きのあった案件には情報更新を行えば、ツールを介し双方で顧客の施策状況を把握することができるようになります。

可視化しようとすると、共通のルールが必要になってきます。 課題2でお伝えした通り、前提に各部署の定義(ルール)を決めることは非常に大切になります。ルールがないと、どんなツールを導入しても活用できないままに終わってしまいます。

現状のマーケティング状況を把握し、自社に合ったスタートは何かを見定めてください。

7.マーケティングオートメーションのKPI・KGI例

ここまで、これまでマーケティングオートメーションの基礎部分について触れてきましたが、ここからは、マーケティングオートメーションのKPI・KGIの立て方例をお伝えします。

マーケティングオートメーションの導入時に押さえておきたいKPI・KGIとは?

まず、そもそものKPI・KGIという用語について簡単にご紹介します。

KGI(Key Goal Indicator)は、直訳すると「重要目標達成指標」となりますが、簡単にいうと「目指すべきゴール」のことです。ゴール(目標達成)したかどうかを明確にするために数値で判断できる要素を設定することが多く、売り上げやシェア率などがKGIになるケースが多いです。

KGIを設定せずにマーケティング活動を行うと、どこに向かうため・何を解消するための活動なのかが不明確になってしまい、施策を決定・精査する際に正しい判断ができなくなってしまいます。

次にKPI(Key Performance Indicator)です。こちらも直訳すると「重要業績評価指数」ですが、簡単にいうと「ゴールへの進捗を表す指標」となります。最終的なゴールに対する中間地点を決めておくというイメージです。

Webマーケティングで使われるKPIには、アクセス数や問い合わせ件数、商談数が設定されるケースが多いです。MAツールを使用するとなると、メールからのセミナーの申し込み率や、過去のリードからの案件か率なども重要なKPIとなっていきます。

KPIを設定せずにマーケティング活動を行うと、最終的な結果(KGI)のみで判断せざるを得なくなるので、施策のPDCAを回すタイミングが大幅に遅れてしまうだけでなく「何が起因して、どの部分が改善されたか」も曖昧になってしまいます。


KPI・KGIを明確に設定することで、実施する施策の優先順位をつけたり、良し悪しをつけることも可能です。 逆に曖昧にしてしまうと、方向性にブレが生じてしまうので、必ず最初に決めるようにしましょう。


より理解を深めたい方は以下の記事も参照ください▼
【わかりやすく解説】KPI(指標)とKGI(目標)とは?Webマーケティング分野での設定方法や決め方など


MAのKPI設定なら下記外部記事もおすすめです▼
MA(マーケティングオートメーション)ツール運用時のKPI・KGI~目標・指標設定について~

マーケティングオートメーション導入の目的

ここまでの説明ですでにイメージが湧いている方もいらっしゃるかもしれませんが、良いKPI・KGIを設定するためには、そもそもの活動の目的をしっかりと定義する必要があります。 つまりマーケティングオートメーションの導入目的から逆算してKPI・KGIを設定すべきなのです。

では、一般的にはどのような目的でマーケティングオートメーションを導入することが多いのでしょうか?

本質的な導入目的は「売上アップ」だと思いますが、さらに焦点を絞ると、

  1. 商談創出数(営業部門への案件パス数)の増加
  2. 創出した商談(パスした案件)の質の向上
  3. リードナーチャリング(見込み客育成)による過去リードの有効活用
  4. 商談創出活動の生産性向上(自動化)

の4つに分類されるのではないでしょうか?

「どの部門が利用するのか?」「どのくらいの予算やリソースを使えるのか?」によって、比重は変わってくるかと思いますが、上記の4つを組み合わせてKPI・KGIを考えていきましょう。

マーケティングオートメーションのKGI例

ここでようやく本題となります。
マーケティングオートメーションのKGIとして、以下のような例が挙げられます。

  • マーケティング活動から創出された売上の比率
  • マーケティング活動が創出した売上
  • マーケティング活動が創出した商談数
  • パスした案件の案件化率、受注率
  • ナーチャリングによって創出された商談数
  • (ブランディング目的の場合)NPSの顧客満足度指数
  • CPA(コンバージョン獲得単価)、CPO(顧客獲得単価)
  • CAC(Customer Acquisition Cost)顧客獲得に要した営業・マーケティングの人件費や間接費も含むトータルコスト

※利用する組織や目的によっては、KPIに該当しそうなものもKGIとして設定することもあります。

マーケティングオートメーションのKPI例

KPIの例としては以下のようなものが挙げられます。
※マーケティングオートメーションを利用する場合に初期設計として、コアターゲットやステータス(ランク)を定義することがありますので、今回はそちらが定義されている前提でKPI例を紹介します。

  • マーケティング活動が創出した商談数(案件パス数)
  • ステータスアップ、ランクアップ数
  • 特定のステータス(ランク)のユーザーのランクアップ数とランクアップ率
  • パスした案件の案件化率、受注率
  • マーケティング部門から創出した受注の平均単価やLTV
  • CPA(コンバージョン獲得単価)、CPO(顧客獲得単価)
  • マーケティング活動のROI、ROAS
  • webサイトへのアクセス数、CVR(コンバージョン率)
  • メール配信数、開封率、URLクリック率
  • シナリオ作成数
  • スコア◯○点以上のユーザー◯○人
  • 特定のキャンペーン(イベントやデモ参加など)への申込数
  • 保有リード数

マーケティングオートメーションに限らず、マーケティング活動や営業活動において、KPI・KGIの設定や見直しは非常に重要な要素です。

しかし、マーケティングオートメーションの利用目的だけでなく、利用する会社や担当者のリテラシーもさまざまです。その結果、正しい目標が設定されず施策もブレてしまうケースも多く見られます。そこで、どのような目的で利用するかという大枠の部分からプロに依頼することも一つの手法です。

どんな機能や管理画面のマーケティングオートメーションを選定するべきかも目的やリテラシーによって異なってきますので、このあたりを迷われていらっしゃる方は一度エムタメのコンサルタントにご相談いただければと思います。

8.マーケティングオートメーション運用のためのカスタマージャーニー

マーケティング活動やマーケティングオートメーション運用を成功させるためには、「カスタマージャーニーマップ」を作成する必要があります。ここでは、カスタマージャーニーとは何か、またその必要性、作成方法などを説明していきます。

カスタマージャーニーマップとは?

ターゲットとなる見込み客が自社製品やサービスを認知する段階から発注するまでの段階のなかで、ユーザーの感情や行動を時系列に沿って可視化したものをカスタマージャーニーマップといいます。

カスタマージャーニーの作り方とテンプレートは下記からダウンロードできます▼
>「カスタマージャーニーの作り方」を無料でダウンロードする。

カスタマージャーニーマップ

なぜカスタマージャーニーマップが必要なのか

ユーザーの心理行動を把握したうえで施策を打たなければ、マーケティング活動の効果が薄くなったり、逆効果にもつながりかねません。

たとえば、良くないマーケティング例として、課題があり解決策を模索しているユーザーに対し、いきなり自社製品のキャンペーンメールを送ってしまうと見てもらえる可能性が低くなったり、もしユーザーに合わない製品であれば逆効果になってしまう可能性が高いです。

そのような売り手の考えだけではなく、ユーザーの検討度合いや心理、行動に合わせた情報提供などのマーケティング施策を行う必要があることがなぜカスタマージャーニーマップが必要な理由です。

カスタマージャーニーマップの作り方

それではカスタマージャーニーマップの作り方を順番に説明していきます。

ペルソナ設定

ペルソナ設定とは、具体的なターゲットの人物像を想定することです。
たとえば、仕事面では部署や職種、会社での役割、仕事への接し方、周りから評価、調べ事をする時の手段を、プライベート面では、休日の過ごし方や家族構成、趣味などの具体的なターゲット像を想定します。

フェーズの想定

設定したペルソナが実際に貴社製品を認知し、導入に至るまでの経路を細分化します。 マーケティングオートメーションは、ユーザーの検討度合いによって適切なアプローチ手法や情報を提供する必要があるため、MA運用する際には必ず行ってください。

【例】
フェーズ1 無関心
フェーズ2 課題認識
フェーズ3 ニーズが高まる
フェーズ4 課題模索
フェーズ5 用件定義
フェーズ6 導入検討
フェーズ7 業者選定
フェーズ8 購買

導入フローの想定

BtoCであれば本人の購入意思があれば購入までのフローは短いことが多いですが、BtoBの場合、担当で決済が下りることは少なく、購入までのフローが長くなる傾向があります。
法人が製品を導入するとなると、情報収集する人や、実際に使う人、意思決定を行う人、決済を行う人などさまざまな人物が関わります。 したがって、購買担当が課題認識から購買に至るまでの社内フローを確認する必要があります。

たとえば、情報収集を行って上司に相談を行い、部署単位で検討して、要件定義を作り、各社の提案を受け、業者選定を行い、稟議の承認を得て、購買するといったフローが挙げられます。これは、業界やターゲットごとに異なってくるので、自社のターゲットを分析したうえで想定する必要があります。

行動の想定

導入フローを可視化することができたら、次に購買担当が具体的にどのような行動を行うか想定する必要があります。この行動の想定を行うことで、最適なアプローチ手段や販促手段を把握することができるのです。

【フェーズ1】
無関心
・ネットで情報検索、・Web広告の閲覧・ブログやお役立ち情報を閲覧して情報収集。
【フェーズ2】
課題認識
・社内相談、・メルマガ登録、・お役立ち情報の確認
【フェーズ3】
ニーズが高まる
・資料請求、・セミナー参加
【フェーズ4】
解決模索
・自社体制で改善可能か確認、・お問い合わせ、・商談
【フェーズ5】
用件定義
・用件定義書類の作成、・担当部署のヒアリング
【フェーズ6】
導入検討
・商談、・Webサイトで製品の詳細情報、導入事例、お客様の声などの確認
【フェーズ7】
業者選定
・Webサイトで発注から導入までの流れを確認、・比較資料の作成、・会社概要の確認
【フェーズ8】
購買
・購入、・サポートページの閲覧

思考、感情の想定

担当の発注までの流れの想定ができたら、次にフェーズごとの感情を想定します。 たとえば、検査装置の検討を行っているユーザーを例に挙げると下記のようになります。

【フェーズ1】
無関心
・業界の最新情報を知りたい。 ・研究効率を上げたいが改善の手立てはないか?
【フェーズ2】
課題認識
・最近、世の中が食品に対して敏感になっていて怖いな。 ・自社の生産ラインは導入後、10年近く経過しており、検査基準を満たしているか不安だな。
【フェーズ3】
ニーズが高まる
・この検査装置はどういうものか? ・検査装置のメリットは?デメリットは?
【フェーズ4】
解決模索
・検査装置を導入する際のチェックポイントはどこか? ・検査装置を導入した際の具体的な効果は何か?
【フェーズ5】
用件定義
・要件定義の際に気をつけるポイントはどこか?
【フェーズ6】
導入検討
・自社の社員は装置を使いこなせるだろうか? ・自社に近い事例はあるのだろうか?
【フェーズ7】
業者選定
・導入後のアフターフォローはどうなっているのだろうか? ・今後、長い付き合いになるが、会社の将来像は大丈夫だろうか?
【フェーズ8】
購買
・操作方法でわからないところがある。 ・他社はどのように活用しているのか気になる。

検討フェーズと行動フローと思考、感情を図にすると以下のようなイメージになります。

検討フェーズと行動フローと思考

求める情報と具体的なコンテンツの想定

このように、担当の購買までの流れを「フェーズ、思考・感情」で具体的に洗い出せたら、次に、担当がフェーズごとにどんなコンテンツを閲覧するかを想定します。

具体的なコンテンツの想定

このように具体的にコンテンツを考えてみると、ユーザーの検討度合いによって閲覧するコンテンツはかなり変わってきます。 具体的な閲覧コンテンツを把握することで、ユーザーの検討促進を行うコンテンツがなかったり、ユーザーがどのフェーズに位置しているかわからなかったりと、自社のWebサイトで不足しているコンテンツを可視化できます。 マーケティングオートメーションはユーザーの行動ログから検討度合いの見極めを行うので、Webサイトで不足しているコンテンツがあると、MAツールはうまく機能しません。

最後に、マーケティングオートメーションは、ユーザーへ適切なタイミングで適切な情報提供が行えたり、検討しているユーザーを営業に提供でき、便利で効率的なツールですが、「カスタマージャーニーマップ」を作成しないと、効果が薄かったり、逆にユーザーに悪影響を与えてしまう可能性があるので、マーケティングオートメーションを運用する際には必須項目であることを改めて強調しておきます。

自社ターゲットのカスタマージャーニーマップを作成して、マーケティングオートメーションの運用を進めていきましょう。

カスタマージャーニーについては、こちらの記事もご覧ください。

9.マーケティングオートメーションの運用方法

マーケティングオートメーションを導入したら、運用フェーズに移ります。

運用は、「シナリオの設計・実施」と「効果測定」を繰り返すことで進めていきます。

①シナリオの設計・実施

マーケティングオートメーションにおけるシナリオとは、セグメンテーションしたリード(見込客)、ある行動を取ったリード(見込客)ごとに、次に取って欲しいアクション(例:メール開封、特定のWebページへの訪問、サンプル請求など)を促すための施策のことです。

たとえば、「Webサイトを3回以上訪れていて、お問い合わせのないリードに、オンラインセミナーの案内を送る」「展示会に何度も足を運んでくれているのに個別の問い合わせがないリードに、個別相談会の案内を送る」といったシナリオを設計し、マーケティングオートメーションに設定します。

ただし、まだリードを獲得できる段階になかったり、ハウスリストがな買ったりする場合にはシナリオが有効でないこともあります。まずは自社のリードを集めるところから初め、少しずつステップアップしていきましょう。

参考記事:リードがないのにいきなりMAのシナリオ機能で成果を出そうとしていませんか?

②効果測定

シナリオを実施したら、効果測定を行い、改善点を次のキャンペーンにフィードバックします。

効果測定の指標としては、メール開封率、メール内URLのクリック率、新規リード獲得数などがあります。

「マーケティングオートメーションのKPI・KGI例」でもご紹介していますが、これらの目標に対し、どれだけ達成できたかを確認し、届かなかったものについては重点的に施策を見直しましょう。

10.マーケティングオートメーションのシェア・認知度ランキング~調査結果まとめ~

ここで、実際にマーケティングオートメーションの選定に移る前に、現在、世の中にマーケティングオートメーションとして認知されていて人気の高いものには、どんなものがあるかを押さえておきましょう。
DataSign、ジャストシステムの調査結果から、それぞれベスト3をご紹介します。

DataSignの調査結果

株式会社DataSignが2018年4月に調査したレポートに、利用されているマーケティングオートメーションランキングが掲載されています。上位5位までをピックアップすると、下記の通りです。

出展

>国内約18万サイトで利用されているWebサービス調査(2018年4月度)

MAツールの認知度ベスト3(ジャストシステムの調査結果より)

ソフトウェアベンダーであるジャストシステムは、自主調査結果を公開するメディア「Marketing Research Camp」を運営しています。そのなかでマーケティングオートメーションの認知度についての調査結果が取り上げられており、順位は以下の通りでした。

  • 1位 Patdot
  • 2位 SATORI
  • 3位 Adobe Marketing Cloud

出展

>マーケティングオートメーション利用実態調査 MAツール認知度No.1は「Pardot」、2位は「SATORI」 MAは、知名度よりも、費用やサポートなどの条件で選ぶ

11.マーケティングオートメーションの選び方

上記でご紹介したほかにも、国内でのマーケティングオートメンション(MA)ツールベンダーは増えており、さまざまなマーケティングオートメーションが存在します。 どういった機能を有するツールが自社にとってもっとも効果を発揮するのか、「導入したけれど使いこなせない」という最悪の事態を防ぐためにマーケティングオートメーションの選定ポイントをご紹介します。

【マーケティングオートメーションの業者選定シートが無料でダウンロードできます。】 

こちらの資料も合わせてご活用ください▼
「MAツール業者選定シート」を無料でダウンロードする

目的を決める

マーケティングオートメーションを選定する際に陥りがちな失敗は、機能の充実を理由に選定してしまうことです。機能の充実しているマーケティングオートメーションを選定すること自体は悪くありませんが、目的を明確にしたうえで導入しないと、導入後の運用でどのように行うべきか、何をすべきかがわからないままで、実際のパフォーマンスが落ちてしまいます。

導入する前に、マーケティングオートメーションを使ってやりたいことを決め、使用目的を明確にしてから選定しましょう。

コンバージョン(CV)を決める

コンバージョン(CV)とは、WEBサイトにおけるゴール達成を指します。
たとえば、お問い合わせや資料ダウンロード、会員登録やメルマガ登録、セミナー申し込みなどが該当します。どのポイントにどれだけ比重を置いていくかを設定しましょう。

コンバージョン(CV)ごとにフォームが必要であれば、フォームの作成数によって料金が変わるサービスもあるので、大体の想定をしておくと正しく料金比較ができます。


CVに関しては下記の無料資料も参考にしてください!

> 中間コンバージョン活用法

ターゲットについて考える

ウェブサイトに訪れるユーザーフェーズは、無関心フェーズ、ニーズが高まるフェーズ、要件定義フェーズ、業者選定フェーズ、使用フェーズなどさまざまです。
そして、それぞれのユーザーに対して行う施策も異なります。基本的には、一段階上のフェーズに上げるための施策を行うことになります。

キャンペーンについて

キャンペーンとは、ユーザーの購買意欲を高めるための施策のことです。具体的には、ユーザーにどのタイミングでどのようなコンテンツを届ければユーザーの購買意欲が上がるかを考え、施策を行っていきます。

ユーザーの状態を把握するためのモデルがいくつかあるので、ご紹介します。

スコアリングモデル

ユーザーの属性・行動ごとに細かくスコアリングし、その内容に合わせて情報提供・営業活動を行うモデルです。

具体的には、「メールを開封(2点)、URLをクリックしてHPへ流入(2点)、特定の製品ページを見る(3点)、製品に関するデータをダウンロードする(5点)」のように設定しておき、行動に対して点数をつけて、ユーザーごとの点数を算出し、このスコアでユーザーを把握する施策です。
次で紹介するトリガーモデルに比べ、点数決めなど複雑なシナリオを考える必要があるため作成までにかなりの時間と工数がかかります。

トリガーモデル

スコアリングモデルのような複雑な設定はせずに、特定のユーザー行動ごとに次のフェーズへと移行させるモデルのことです。

具体的には、「1ヵ月の間に10回以上Webサイトを訪れており、かつ、会員になったユーザーにはこの内容のメールを送る」といった施策のことです。

マーケティングオートメーションを運用する組織体制

マーケティングオートメーションにはさまざまな機能があり、これらを使ってやりたいことが増えれば、それだけ時間もかかります。特に、スコアリングやシナリオ設計、ステップメールを送るなど高度な機能を使用して施策を行う場合は、それに合わせて運用体制の整備も必要になります。


BtoB企業の社内体制に関しては下記も参考にしてください!
>BtoB企業がWebマーケティングを実施するための社内体制について

自社に合ったマーケティングオートメーションとは

自社に合ったマーケティングオートメーションを選ぶためには、自社が以下の4フェーズのなかでどこにいるのかを把握することが一つの判断基準となります。

フェーズ おすすめのMAツール
マーケティング成熟度が高く、リソースや予算も豊富にある スコアリング機能、シナリオ作成機能、分析・レポート機能、パーソナライズ化、SFA・CRMとの連携など、豊富な機能を備えた高性能ツール
マーケティング成熟度は高いが、リソースや予算は少ない 上記プラス、コンサルティングの導入検討が必要
マーケティング成熟度は低いが、今後、リソースや予算をしっかりと確保する予定がある まずは、マーケティングの運用そもそもを強化する必要があるので、ユーザートレース機能やメールマーケティング機能が簡単に実行でき、かつ、今後も拡張性のあるツール
マーケティング成熟度が低く、リソースや予算も少ない まずは、マーケティング活動のボトルネックを把握して、何から始めるのがもっともROIが高くなるのかを考える必要がある。
マーケティングオートメーションのメーカーやコンサルティング業者、Webサイトのコンサルティング業者に相談してみるのもおすすめ。

無料ツール

有料のツールが多いなか、数は少ないながら無料で利用できるマーケティングオートメーションもあるのでご紹介します。

Mautic

【Mautic】https://Mautic.com/

こちらは、クラウド上で利用できるーケティングオートメーション(MA)ツールで、もともと英語表示なのですが日本語での表示が可能です。サポートは英語のみですが、日本語のマニュアルがあり、Facebookのグループもあるので、わからないことはこちらで解決できます。

※18年12月で無料版終了(関連記事:Mautic無料版が12月15日に終了。データ消失を防ぐためにはMautic Cloud ProかSandbox有料版へのアップグレードが必要。

【BowNow】https://bow-now.jp/

無料で利用できるのはデモ版のみ(期間限定)というツールが多いなか、BowNow(バウナウ)は無期限で利用できるフリープランを提供しています。ホットリードの抽出に優れ、利用企業様は人員を増やすことなく、Webサイト改修の必要なく、保有している見込み顧客リストを使ってミニマムスタートできる点が大きな特徴です。

12.マーケティングオートメーション選定のための業者比較シート

マーケティングオートメーションのベンダーを数社ピックアップし、コンペや相見積もりを行ったら、最終的に1社を選ぶわけですが、その際に役立つのが「業者比較シート」です。

各社でバラバラの項目の見積書を比較してもわかりにくいため、基準を統一してそれぞれの業者を評価することで、優劣をつけたりどこが一番自社のニーズに合っているかを見極めたりすることができます。以下のリンクから業者比較シートをダウンロードできますので、使ってみてください。

>業者比較シートダウンロード

13. マーケティングオートメーションの導入スケジュール

実際にマーケティングオートメーションを導入し、見込客のナーチャリングを行う場合は、準備期間として6ヵ月間をみておいてください。
おおまかなスケジュールは以下の表の通りです。

横スクロールでご覧いただけます。

~ヵ月目 タスク(大枠) タスク(詳細) 備考
1 課題認識 課題認識 解決したい課題の洗い出し
現状確認
2 目的設計 目的の明確化
マーケティング計画 行いたい施策の洗い出し
3 要件定義 データ設計 登録するリストのリード(過去訪問、展示会、問い合わせなど)の精査
想定シナリオ設計/想定キャンペーン設計
機能精査
運用部署の範囲確定 部署をまたいだ社内調整が必要
ツールベンダー選定
4 業者選定 コンサルティング業社選定
契約
目標設定
5 準備 運用体制の確立
ツール実装

・フェーズ設定
・スコアリング設定
・シナリオ設計
・コンテンツ整備

6 導入 データ連携 データクレンジング
トレーニング
キャンペーン実施
運用 効果測定

1ヵ月目 課題認識

まずは、現状を把握します。自社の課題を把握しなければ、改善のしようもありません。 そもそもリードの獲得が弱いのか、リードはたくさん抱えていても案件化数が少ないのか、など、自社の営業に関する課題を洗い出すのが先決です。
以下のリンクから、記入していくだけで自社の現状が把握できるチェックシートをダウンロードいただけますので、ご活用ください。

>マーケティングオートメーション導入確認シート

2ヵ月目 目的設計

自社の課題が把握できたら、それに基づいてマーケティングオートメーション導入の目的を明確にします。複数の課題がある場合は、優先順位をつけて一つずつ着手していった方が良いでしょう。

目的に合わせて最適な施策を洗い出し、マーケティング計画を立てます。たとえば、Webサイトへのアクセス数が少ないのならコンテンツを増やす、アクセスはあるのにお問い合わせが少ないのなら、中間コンバージョンとしてホワイトペーパーを設置する、といった具合です。

3ヵ月目 要件定義

要件定義は、(1)データ設計、(2)想定シナリオ設計/想定キャンペーン設計、(3)機能精査、(4)運用部署の範囲確定の4ステップに分かれます。

(1)データ設計では、登録するリストのリード(過去の訪問、展示会、問い合わせなど)を精査し、どれをリードとするのかを定義しておきます。

(2)想定シナリオ設計/想定キャンペーン設計では、ツールの導入後、見込み客の検討レベルを上げるためのシナリオを作っていきます。

誰に対して実行するのか

【BtoBにおける例】
  • 顧客のセグメント別(業種や企業規模、職種や役職などの顧客属性)
  • 顧客の検討レベル別(見込み度合いやステータス)
  • 特定のアクションを起こした人(特定のメールやページを閲覧した、閲覧回数や参加したイベントなど)
  • 特定の条件を満たす、または除外した人(既存顧客、過去提案実績、営業担当者、条件の掛け合わせ)

いつ情報を届けるか?

「開始するタイミング(起点となる行動)を何に設定するか?」には、トリガーとスコアの2つの方法があります。トリガーは、見込み客が何かの行動をしたら情報を届け、スコアでは、一定の点数を超えたら情報を届けます。

【BtoBにおけるトリガー例】
  • 会員登録
  • 購入
  • 問い合わせ(見学や相談、見積もり依頼も含む)
  • 資料DL
  • 特定のwebページやメールの閲覧
  • セミナーやイベントの参加
  • ステータスの変更
  • 閲覧回数(総数や一定期間内での回数、同一企業からの閲覧人数)

スコアの場合は、トリガーに記載したような行動や顧客属性によってスコアを増減させる設定を行い、スコアが一定量溜まったら配信を開始するという設計をします。

BtoBの場合、スコアで設計しようとしても、Webサイトやメールへのアクセス数が少ないケースが多く、スコアが貯まらずになかなか配信できなかったり、スコアは積算での計算をメインにすることが多く偏りやすいことから、トリガーによる設計の方がおすすめです。

何を実行(送信)するのか?

BtoBの場合、4つ「不」を解消するための情報をユーザーに届けることが基本です。

不信の解消

関係構築を行うための情報をユーザーに配信します。

○目的:「この企業から届く情報には価値がある」と感じてもらうことで不信を払拭します。
○例:業界の最新情報、事例、知識・ノウハウ系コンテンツ、技術情報、法令改正、自社への信頼感や親近感を高める情報

不要の解消

製品やサービスを導入する必要性を感じてもらうための情報をユーザーに配信します。

○例:成功事例、導入メリット、用途別・業界別活用方法、解消される問題

不適の解消

必要性を感じてもらった後に、皆様の製品サービスであるべき理由を納得してもらうための情報を配信します。

○例:価格の理由、品質の紹介、実績数の紹介、外部評価、お客様の声、専門性の訴求などに代表される強みの紹介。

不急の解消

「今、契約する理由」を作ることで不急を解消していきます。おもに検討促進や背中押しと呼ばれる情報がメインです。

○例:キャンペーン情報(お値引きや特典情報)、無料相談やデモ貸出し

ちなみにセミナーやホワイトペーパーといった施策と事例コンテンツは4つの不をバランスよく解消することも可能ですし、部分的に解消することも可能な汎用性の高い施策です。 そしてユーザーに配信するだけでなく、社内の担当者向けの通知やアラートとして利用するケースもあるので、何を実行するかは非常に奥が深いです。

どうやって配信するか

「どのくらいの期間で、何回くらい情報を届ける必要があるか?(例:検討レベルが低いターゲットには、週1回周期でメールを送信する)」に加えて、どのようなチャネル(媒体)に情報を配信するかも重要です。

【BtoBにおけるチャネルの主な例】
  • メール
  • 電話
  • アプリ(プッシュ通知)
  • SNS(配信や広告)
  • LINEやSMS
  • DM
  • ディスプレイ広告

(3)機能精査では、マーケティングオートメーションが持つさまざまな機能のうち、自社に必要なものを精査します。不要な機能がたくさんあっても、使いこなせなければただのコストになるからです。

ここまでの準備で、自社が使う機能をピックアップできるはずなので、把握しておき、後で出てくるベンダー選定の際に活用します。

(4)運用部署の範囲確定では、営業部門、マーケティング部門が中心となって運用するケースが多いと思いますが、新たにインサイドセールス部門を立ち上げる企業もあるでしょう。いずれの場合も、部署をまたいで連携するための社内調整が必要になるので、このタイミングで行います。運用に関わる各部門のネックを把握し、それを解消するのがこのときの基本的な考え方になります。

マーケティング部門へはROIや成功事例、必要なリソースと工数など、営業部門ならツール導入による案件増加数の見込みや営業部負担、経営層へは競合他社のツール活用情報や長期的なメリットといった情報を提供しましょう。

社内調整の方法については、こちらの記事もご覧ください。

4ヵ月目 業者選定

いよいよ、実際にどのベンダーからどのツールを導入するかという具体的な検討に入ります。予算と必要な機能を中心に、実績などを加味して選定していきましょう。

この際、ツール活用のコンサルティング業者も併せて選定しておくことをおすすめします。それは、マーケティングオートメーションを導入するには高いマーケティング知識が必要で、特に、初めて導入する場合はスムーズに活用できることは稀だからです。

設計の段階でつまずきオートメーション化できない、運用できないといったことが起こりがちですし、セグメントメールやコンテンツの制作がうまくいかないときに、アドバイスを受ける必要があります。

「うまく機能を使いこなせずに、費用対効果が取れない」といった最悪のケースを迎えないためにも、無理に自社だけで運用しようとせず、コンサルティングとセットで導入した方が安心です。

5ヵ月目 準備

4~5ヵ月目までの間に目標設定を行い、運用体制を確立しましょう。

目標設定では、マーケティングオートメーションを経由した[売上]をKGIに、KPIに[受注数][商談数][CV数][アクセス数]などを置くケースが多いです。

マーケティングオートメーション運用における目標設定については、こちらの記事もご覧ください。

運用体制については、下記6つのタスクを担当する人員が必要です。兼任できるところはして問題ありませんが、それでも必要な人数はなかなか多いものです。社内だけでは回せないケースも出てくるでしょう。そういった意味でもコンサルティングを導入することで、下記の責任者以外の部分をアウトソースする意義があります。

【運用フェースにおけるタスク】
  • 運営責任者
  • LPを含むWeb制作
  • メールマーケティング
  • 効果測定
  • マーケティングコミュニケーション
  • CRM(顧客管理)

6ヵ月目 導入

いよいよ、導入準備も最終月です。ここでは、ツールの実装やデータ連携など、実稼働に向けた直接的な準備を行っていきます。

ツールの実装では、フェーズ設定とスコアリング設定を行い、3ヵ月目までに作成したシナリオ設計をツールに設定していきます。また、見込み客に提供するコンテンツ制作も行っていきます。

データ連携では、やはり3ヵ月目までに整備したデータ設計に基づき、古いデータの更新や重複データの名寄せなど、データのクレンジングを行ってからツールにインプットします。

ここまでできたら、実稼働を想定したトレーニングを行いましょう。 デモ環境を利用して実際にキャンペーンを走らせてみて、きちんとアクションされるかを確認します。

実運用が始まったら、実際にツールを動かしながらシナリオ(キャンペーン)を実施し、効果測定を行って運用改善していきます。

14.マーケティングオートメーション活用のBtoBとBtoCの違い

企業がマーケティングオートメーションを活用する際に気をつけたいのが、BtoBビジネスなのかBtoCビジネスなのかで目的や指標が異なってくるという点です。

BtoCの場合は、ECサイトへの流入や実店舗への来店促進を目的とすることが多く、BtoBの場合は、商談の創出が目的となるケースが多いです。

BtoBの場合、ABM(Account Based Marketing:企業ごとに個別のマーケティング施策を行う手法)による営業活動が効果的なので、企業ごとのアクション(Webサイトの訪問、メールマガジン記載のURLのクリックなど)を把握するために、企業IPの識別や、企業名の自動表示といった機能は必須でしょう。

ABMについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

15.マーケティングオートメーションの機能

ここで、一般的なマーケティングオートメーションが持つ主な機能を紹介します。

主な機能一覧

セグメントメール送信機能 登録した見込み客をセグメント化し、それぞれに適切なメールを送るための機能です。
Webサイト構築機能 見込み客に情報提供する手段のひとつとして、Webページを追加するための機能です。
トラッキング機能(個人・法人) 見込み客データと紐づけたIPアドレスをもとに、各見込み客がどのような行動をしているかを把握するための履歴をとる機能です。
スコアリング機能 見込み客の行動に点数を設定しておき、一定の点数を超えたら特定の情報を送信するといった設定を行う機能です。
シナリオ作成(キャンペーン管理)機能 マーケティングオートメーションで自動化するルール=シナリオを作成・設定する機能です。
SFA・CRM連動機能 自社で導入済みのSFAやCRMの顧客情報を紐づけて管理するための機能です。
パーソナライズ機能 見込み客一人ひとりの検討度に応じて、コンテンツの出し分けができる機能です。たとえば、Webサイトの初訪ユーザーと再訪者で異なるメインイメージを表示させたり、異なるデザインのバナーを表示させるといったことができます。
アクセスログ分析機能 WebサイトやSNSなどへのアクセス解析を行うための機能です。
広告連動・広告管理機能 広告を出稿した際に、見込み客が広告媒体にどのように触れたか、またその影響を把握するために広告と連動したり、広告出稿の詳細を管理するための機能です。

機能の比較表

横スクロールでご覧いただけます。

ツール名 Marketo Eloqua Pardot Hubspot B⇒Dash SATORI

SHANON
Marketing
Platform

KAIROS3 List Finder BowNow
ベンダー名 マルケト オラクル salesforce ハブスポット フロムスクラッチ SATORI シャノン カイロスマーケティング イノベーション Mtame
企業IP検知 × × × ×
スコアリング機能 ×
シナリオ設計機能 × ×
ABM機能 × × × × × × × ×
プッシュ通知 × × × ×
ステップメール
広告連携 × × × ×
フォーム作成
ホワイトペーパー設置
CRM/SFA連携 × ×

※比較表の情報は2018年4月16日公開時点のものです。

16.マーケティングオートメーション導入の失敗を回避し、成功させるポイント

せっかく時間と費用をかけて導入するのですから、活用を成功させ、成果を出したいものですよね。

ここでは、マーケティングオートメーション導入の失敗を回避し、成功させるための3つのポイントをご紹介します。

ポイント1.自社で使いこなせるマーケティングオートメーションを選ぶ

一つ目のポイントは、導入フェーズにも関わる部分ですが「自社で使いこなせるマーケティングオートメーションを選ぶ」ことです。

今や外国産・国産の多くのMAが提供されており、機能もそれぞれです。高額なMAほどさまざまな機能があり、実現できることも増えますが、その分、導入時の初期設定が複雑で時間もかかります。初期設定が済んだ後も、運用にはMAやマーケティングに関する高いリテラシーを持つ人材が必要になります。

マーケティング部門や営業部門全体のリテラシーやスキルで使いこなせるMAを選ぶことが、まず大切です。

ポイント2.マーケティングオートメーション運用の人的リソースを確保する

【デメリット1】でも挙げた通り、マーケティングオートメーションで成果を出すまでには、一定期間、試行錯誤する必要があります。

仮説を立てて施策を計画・実行し、効果測定を行って分析し、改善した施策を実行する…このサイクルを回しながら、自社や商材にとって最適なWebマーケティングを確立していくのでます。

改善のサイクルを回すには、時間のほかにも担当する人材が必要です。

MA担当者には、営業・マーケティング・ITの経験やスキル、知識が必要になりますが、運用が走り出してから勉強して身につけても構いませんので、意欲を持った人であることが大切です。

ポイント3.コンテンツをつくる体制を整える

マーケティングオートメーションを運用していくなかで、必ずコンテンツを制作する場面が出てきます。

メールやWebページに掲載するコンテンツ、ホワイトペーパー、SNSの投稿など、シナリオを実行するため、あるいはリードをセグメントするために、リードに対して情報を与え、反応を見る必要があるからです。

コンテンツ制作を内製できれば、コストも抑えられ、自社の専門性の高さや特色を打ち出せるためベストですが、ノウハウ不足や人的リソース不足でとてもまかなえないというところもあるでしょう。

そうした場合は、部分的に制作会社などに外注する方法も良いでしょう。ただし、クオリティのコントロールは自社でしっかり行う必要があります。

ポイント4.経営層の理解を得る

3つのポイントのすべてに共通することではありますが、マーケティングオートメーションの成功ポイントとして「経営層の理解」が挙げられます。ツール選びも、リソースも、体制も、現場の努力だけでは限界があります。

成果を最大化するために、経営層が積極的にMTGに参加し、デジタルマーケティングの全体像を理解する必要があります。


以上、良くある失敗を回避するポイントをお話してきました!よくある失敗については動画でも詳しく解説しておりますので、あわせて参考にしてください。



17.マーケティングオートメーションの導入事例

ここでは、マーケティングオートメーション導入企業のよくある事例として、成功例・失敗例をご紹介します。

【関連記事】

成功事例と失敗事例

導入準備段階で設定した目標(例:KGI・売上目標、KPI・アポ率、受注数、受注率、受注単価、商談数、CV数、アクセス数など)が上がっていれば、マーケティングオートメーションを通して行った施策が成功したといえます。

逆に、上記のような目標数値が上がらなかったり、それ以前の問題として、運用体制が確立できていない状態や、営業部門からの理解がない状態、施策を回すためのコンテンツ制作ができない状態などは、失敗と言わざるを得ません。ボトルネックを見つけ出して改善する必要があります。

よくありがちな例としては、MAを導入したものの設定に時間がかかってしまったり、コンテンツを配信することが目的となり、商談作りにつながらなかったりすることがあります。当初の導入目的が達成できなければツールを導入した意味がないので、必ず最終ゴールを意識して早い段階で小さな成果を生むことが大切です。

BtoB

BtoB企業の事例として、社員総会や表彰式、株主総会などの企業イベントの企画・運営を手がけるマックスプロデュースの事例をご紹介します。 同社では、マーケティングオートメーションBowNowを活用し、見込み顧客へのメルマガ配信、ターゲット層(社内イベントの企画・運営の外注を検討する企業)が興味を持ちそうな事例コンテンツをWebサイトに掲載するなどの施策を行いました。結果的に、Webサイトからのお問い合わせ数を4.3倍、同受注数を3倍に伸ばすことに成功しました。

BtoC

本記事はおもにBtoB企業向けのため、BrtoCの事例は概要を参考程度にお伝えします。
商品単価が非常に高く、それに伴い顧客の検討期間(リードタイム)も長い傾向にあるといった特徴を持つ不動産・住宅販売において、マーケティングオートメーションの導入効果が上がっています。

【不動産・住宅販売の購入の特徴】
  • 商品単価が高価である
  • 見込み客の検討期間が長い
  • リピート購入が少ない
  • 在庫が有限である

【不動産・住宅販売の購入フロー】

1.広告やオーガニック検索からのWebサイト流入)

2.Webサイトからの資料請求

3.モデルルーム来場予約

4.モデルルーム見学

5.商談

6.契約

上記の特徴から、見込み客の多くが新規顧客である傾向が強い業界です。見込み客とのコミュニケーションにマーケティングオートメーションを用い、一人ひとりに対する個別のナーチャリングを行います。

それぞれの見込み客が検討している予算に合った住宅情報の提供を、スコアリングなどによるシナリオ設計に基づいて適切なタイミングで提供していくことで商談数・契約数を向上させています。

導入事例については、こちらの記事もご覧ください。



弊社の提供するMAツール「BowNow」の事例はこちらからも閲覧可能です▼



18.マーケティングオートメーションを学ぶための本・関連書籍

最後に、マーケティングオートメーションを学ぶために役立つ書籍を2冊ご紹介します。

マーケティングオートメーション導入の教科書
優良顧客を自動で育てる仕組みづくり(MdNコーポレーション)

マーケティングオートメーション導入の教科書

画像引用先:amazon

こちらは、マーケティングオートメーションの導入方法について、初心者向けに書かれた本です。手っ取り早くマーケティングオートメーションの全体像を掴みたい方におすすめ。複数著者による共著のため、マーケティングオートメーションをいろいろな視点から見るヒントにもなります。

マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方
(クロスメディア・マーケティング)

マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方

画像引用先:amazon

こちらは、より実践的な書籍です。実際にマーケティングオートメーションに設定して活用できるカスタマージャーニーを作成する方法を、事例の図やイラストを交えて解説しています。
マーケティングオートメーション「Marketo」を提供する企業、株式会社マルケトの代表も推薦している本です。

19.マーケティングオートメーションを学べるセミナー

本を読むのは少し苦手という方、本よりも対面でレクチャーを受けたいという方におすすめしたいのがセミナーへの参加です。

マーケティングオートメーションツールベンダーをはじめ、コンサルティング会社などが主催する無料セミナーが増えて来ています。

ここでは、定期的にマーケティングオートメーション関連セミナーを開催している企業をいくつかご紹介いたします。

 

クラウドサーカス株式会社

画像引用:クラウドサーカス株式会社

本サイト、エムタメ!を運営するクラウドサーカス株式会社が展開する無料セミナー。
マーケティングオートメーションツール「BowNow」の提供のほか、Web制作・Webコンサルティングを行うMtameでは、MAツールの活用方法や、インサイドセールス、WebサイトなどとMAツールを関連づけた内容などで不定期にセミナーを開催しています。

→現在はクラウドサーカス株式会社のWebサイトにて、最新セミナーを公開中です。

>セミナー一覧ページはこちら



株式会社セールスフォース・ドットコム

株式会社セールスフォース・ドットコム

画像引用:株式会社セールスフォース・ドットコム

マーケティングオートメーションツール「Pardot(パードット)」を提供するSalesforce社も、Pardotの活用セミナーをはじめさまざまなセミナーを開催しています。パートナー企業の主催セミナーにもマーケティングオートメーション関連の内容が見つかりますので、チェックしてみてください。

株式会社パワー・インタラクティブ

株式会社パワー・インタラクティブ

画像引用:株式会社パワー・インタラクティブ

デジタルマーケティング全般のコンサルティングを手がける企業パワー・インタラクティブでは、MAの基礎知識やMAツールの活用方法を指南するセミナーなどを展開しています。

マーケティングオートメーション関連セミナーを開催企業についてもっと知りたいという方は、こちらの記事もご覧ください。

20.マーケティングオートメーションのよくある質問と回答(FAQ)

最後に、マーケティングオートメーションに関するよくある質問(疑問)と回答をまとめてご紹介します。 ここまでに解説済みの内容や、当社が提供するマーケティングオートメーション「BowNow」に特有の内容も含みますが、ご承知おきください。

Q.マーケティングオートメーションでは、何を自動化できるのか?

A.MAの種類によって自動化できる内容に差はありますが、営業リストの作成やホットリードの抽出、リードや顧客とのコミュニケーション(メール送信など)、条件を満たしたリードが出たら通知する、レポート出力などを自動化することができます。

これらの人手で行っていた作業が、設定に応じて自動化できるようになるので、業務効率化に貢献します。その分、ほかのもっと重要な業務に時間をさけるようになり、生産性向上にもつながるでしょう。

詳しくは、何をオートメーション(自動化)できるのか?をご覧ください。

Q.マーケティングオートメーションを導入したら、どんな効果が期待できるのか?

A.マーケティングオートメーションの最終目的は「効率良くホットリードを創出すること」なので、導入・運用を成功させることで営業にパスできるリードの割合が向上し、ひいては、売上アップという効果が期待できます。

最終目的に向かうまでの布石として、「リードナーチャリング(見込客の育成)の効率化」と「リードクオリフィケーション(見込客の選別)の効率化」があり、これを実現するためのさまざまな機能を有しています。

Q.マーケティングオートメーションが自社に必要なのかどうかがわからない。

A.「マーケティングオートメーションを導入するのは、マーケティング成熟度の高い大手企業や中堅企業だけだ」と勘違いしている方もおられるかもしれません。

もちろん、マーケティング成熟度が高かったり、予算・人的リソースが多い企業であれば、機能が豊富な高価なMAもうまく活用できるでしょう。ただ、MAにもさまざまなタイプがあり、マーケティング成熟度が低かったり予算・人的リソースが少ない企業でも成果を出せるツールがあります。MAのコンサルティングサービスを活用するという方法もあります。

ただ、共通していえるのは、リードの母数がないとMA活用は難しいという点です。もし、まだリードが少ない状態なら、MA導入は早いかもしれません。展示会への出展やWebサイトの改善など、リード創出の施策に注力した方が良いでしょう。とはいえ、リード創出からカバーしてくれるMAもあるので、リードが少ないからといってMA導入をあきらめる必要もありません。自社のマーケ・営業分野でボトルネックとなっている部分を洗い出し、改善するのに必要なツールを選んでください。

自社に合ったマーケティングオートメーションとはもご覧ください。

Q.マーケティングオートメーションを導入したら、すぐに効果を出したい。

A.【デメリット1】でもお伝えしましたが、MAを導入したら、PDCAサイクルを回しながら自社にとって最適なWebマーケティングの解を求めて改善を重ねていくことになるため、基本的には成果が出るまでに時間がを要します。特に、リードナーチャリングにはかかるものです。

ただ、短期的に小さくても確実な成果を出すことは可能です。たとえば、営業がアプローチすれば、すぐに商談化できるようなホットリードを抽出することなどがこれに該当します。

当社で提供しているBowNowでは、「ホットリード」の定義を細かく決めて設定する手間さえも省くことができる「ABMテンプレート機能を搭載しています。

Q.マーケティングオートメーションは、SFAやCRMと連携しないと効果を出せない?

A.MAは主にマーケティング部門で、SFAは営業部門で、CRMはカスタマーサポート部門で使うツールですが、顧客データは一元化されていた方が会社として一貫したコミュニケーションが取れるため、連携した方が良いです。営業にパスしたものの案件化しなかった顧客をマーケであたため直したり、購入があった顧客に対して時間が経過してからキャンペーン案内やリテンションを行うなど、その時どきで同一顧客に対応する担当部門が入れ替わることが多いからです。

また、効果測定に必要な数値が部署をまたいで複数存在するケースもあるでしょう。

ただ、SFAやCRMを未導入の企業や、連携に対応していない種類のツールを導入しているケースもあるでしょう。そうした場合は、SFA機能、CRM機能をもつMAを導入するか、データに特化したツールを導入するなど、同一顧客の複数データが混在しないような環境づくりを工夫してください。

21.マーケティングオートメーションのよくある誤解

マーケティングオートメーションについて解説してきましたが、最後によくある誤解についてお伝えします。それは、マーケティングオートメーションツールは魔法の道具ではない、ということです。


使いこなせば本当に便利なツールなので、導入しただけで成果につながりそうな気もするのですが、実際にはそれなりのリソースやコストがかかるため、本気で取り組む覚悟が必要です。

 

逆に言えば、しっかりと会社として取り組んでいけば中長期で成果に繋げられるものなので、まずは本気で取り組む覚悟を胸に一歩前に踏み出してみてはいかがでしょうか。弊社でも無料から使えるMAツールの提供と支援は行なっているので、お気軽にご相談ください。

【本記事と合わせておすすめ!】

いきなりコストをかけられない…という方は無料から使えるMAツール「BowNow」がおすすめです

記事を読む前に「BowNow概要資料」をダウンロード!

22.自社に合った最適なMAツール選びを!

以上、マーケティングオートメーションの基礎から導入するまでに必要な情報を一挙にお届けしました。この記事だけでもかなりの分量になりましたが、まだまだ学ぶべきことはたくさんあります。ぜひ関連記事なども参考にしながら理解を深めてください。

マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入にあたっては目的の明確化や社内調整、ツールの選定と準備だけでも盛りだくさんですが、実際に活用をスタートしてからもPDCAサイクルを回して改善していく必要があります。事前の運用体制づくりに力を入れるとともに、コンサルティングの導入も視野に入れて検討してみてください。

そのうえで、自社に合った最適なツールを選ぶようにしましょう!

マーケティングオートメーションについての人気記事は以下もどうぞ

 



  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

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Tue, 27 Jun 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[BOMとは?種類や重要性などの基礎知識からシステム化までわかりやすく徹底解説!]]> https://mtame.jp/column/a1092 BOM(Bill Of Materialの略)とは、製品に必要な部品を一覧表にした「部品表」「部品構成表」のことです。品名や型名、製造元、数量、品目コードなど部品に関するあらゆる情報がまとめられており、製造業の現場におけるワークフローを効率化するためにはBOMの管理が重要とされています。

 

特にものづくりの現場におけるDX化推進の重要性が高まっている現在、BOM構築は製造業において必須の取り組みとして注目を集めています。本記事ではBOMの概要や種類、メリットなどの基礎知識から、BOMのシステム化や課題まで網羅的にわかりやすく解説します。

 

・BOMの基本を知りたい
・BOMにおけるシステムの概要を知りたい

上記のような方々には特におすすめです。ぜひお役立てください。

 

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BOMとは

改めて、そもそもBOMとは何なのかについて、その概要と目的について紹介します。BOM(Bill Of Materialsの略)は、日本語では「部品表」もしくは「部品構成表」と呼び、製造業において製品を製造するうえで必要な部品を一覧表にした表を指します。

 

BOMには品名や型名、製造元、数量、品目コードなど部品に関するあらゆる情報や、製造品がどのような構成で造られているのかという情報がまとめられています。

 

BOMは、設計部門・製造部門・購買部門など様々な部門間で共有され、調達スケジュールや工程管理、原価管理、在庫管理などに活用されます。製造業の現場におけるワークフローを効率化するために非常に重要な存在です。

 

従来はExcelなどに部品表を記載するアナログな手法が主流でしたが、BOMを活用することで情報をより管理しやすくなるうえ、スムーズに共有できます。業務のIT化や製造業におけるDX化推進を実現するためにも、BOMを導入し始める企業は増加しています。

 

BOMをより明確に理解するため、BOMを構築する目的についてさらに深掘りしていきましょう。

BOM構築の目的とは

BOMを構築する目的は、製造する製品に必要な部品管理を効率的に行うことです。

 

先述したように、BOMには部品そのものの情報に加え、調達スケジュールや工程管理、原価管理、在庫管理など、あらゆる重要な基本情報がまとめられています。

 

BOMの活用によって情報がまとまることで、部品不足や手配漏れなどのミスを防げるほか、正確な在庫や手配納期なども把握しやすくなり、生産管理全体における効率がUPし、生産性も向上します。

 

また設計部門では設計仕様を満たすための部品構成に関する情報が、製造部門では加工品をメインとした構成に関する情報が必要になるなど、部門ごとや製造フェーズにおいて必要な情報は異なるため、各部門ごとに情報を管理している企業が今も多い傾向にあります。

 

BOMをシステム化(後述)して異なる部門間の情報を一元管理すれば、部門の垣根を越えたシームレスな利用が可能になり、企業全体のさらなる効率化を実現することも可能 です。

 

BOMをより明確に理解するために、混同されやすい「PLM」との違いについてみていきましょう。

BOMとPLMの違い

BOMと混同されやすい「PLM(Product Lifecycle Managementの略)」は、製品の企画・生産・販売・廃棄までの一連の工程における情報を管理する取り組みを指します。情報共有によって製品のライフサイクル全体を管理することで、業務効率の向上やモノづくり体制の強化、利益の最大化を図るのが目的です。

 

PLMはBOMを軸として、製造プロセスにおけるより幅広い情報を管理します。PLMシステムにはBOMデータの管理をはじめ、製品データ・サービス部品・取引先データなどの管理機能が搭載されており、PLMシステム内の1つの機能としてBOMが存在すると理解するとよいでしょう。

 

両者ともに、導入することで作業効率の向上が期待できる点や、DX化推進において重要視されている点は共通しています。

 

【関連記事】

PLMとは?製造業で再注目される背景やシステムの必要性、メリットなどを解説!

BOMの種類

BOMは管理方法という視点からは2種類に、使用用途という視点からは5種類に分類することができます。本章では各種BOMについて詳しく解説します。

管理方法から見る2種類のBOM

BOMは管理方法という視点から捉えると、「サマリ型」と「ストラクチャ型」という2種類に分けられます。

サマリ型

「サマリ型」は製品を製造するのに必要な部品や材料を、製造加工や組み立ての順序に関係なくリスト化したBOMです。

 

単に製品を構成する部品の数だけを入力して管理するため、必要な部品の総数や手配数がわかりやすいという特徴があり、主に部品や資材を調達する部門で使用されています。

 

たとえば製品Aを生産する際、一つ目のフェーズでは部品が3個必要で、次のフェーズで部品が2個必要という組立順序でも、サマリ型では製品Aを生産するのに必要な部品は「5個」と登録するだけです。

 

サマリ型BOMは部品の追加や変更にも柔軟に対応できるというのがメリットで、仕様変更の多い製品(個別受注や試作品など)の製造を行う業種に向いています。

ストラクチャ型

「ストラクチャ型」は、製品が完成するまでの工程を踏まえて入力・管理するBOMであり、「構造型」とも呼ばれます。

 

部品の手配から完成品までの製造工程を階層に分けて考えることで「どの工程でどんな部品・材料が必要になるか」を把握しやすくなるのが特徴です。膨大な数の中間工程がある生産管理での利用が向いています。

 

ストラクチャ型では完成品を「親」、組み立てに必要な加工部品を「子」、加工部品に必要な原材料や部品を「孫」というふうに階層構造で管理することで、加工工程の順序や工数、作業を開始してから製品完成までの時間である「リードタイム」などが判断しやすくなるというメリットがあります。

 

仕様変更や部品の追加などの場合も原価計算や影響範囲の把握がしやすくなるため、多くの製造業で活用されているBOMといえます。

使用用途から見る5種類のBOM

製造業におけるBOMは、使用用途及び部門ごとに最適化された5種類のBOM「E-BOM・M-BOM・P-BOM・S-BOM(サービス)・S-BOM(販売BOM)」に分類できます。それぞれのBOMについて解説します。

E-BOM(設計部品表)

「E-BOM(Engineering-BOM:設計部品表)」は開発・設計段階において、設計図の仕様を満たすために必要な部品をまとめた部品表です。

 

E-BOMでは、CADなどの設計情報より出力した情報をもとに、部品の必要数量や、仕様、技術・設計データなどを管理します。それぞれの部品の仕様や製造に必要な技術も把握することが可能です。

M-BOM(製造部品表)

「M-BOM(Manufacturing-BOM:製造部品表)」は部品情報に加え、組立順序や加工工程、スケジュールなどの製造に必要な情報を記載した部品表を指します。

 

設計部門から渡された部品表に順序や工程などの情報を追記し、生産指示や部品手配、リードタイムを考慮した部品の手配を行うためのもので、製造工程のスケジューリングや進捗管理など、様々な場面で活用されています。

P-BOM(購買部品表)

「P-BOM(Purchasing-BOM:購買部品表)」は部品情報に加え、部品ごとの手配数や仕様、コストや仕入れ先など、購買に必要な情報が記載されている部品表です。

 

調達部門や購買部門にて部品調達を行う際、主に見積もりや発注を行うために使用されます。

S-BOM(サービスBOM)

「S-BOM(Service-BOM:サービスBOM)」は、製品サポートや保守メンテナンスなど、サービス業務に特化した情報が記載された部品表を指します。

 

製品を購入した顧客や、メンテナンスに必要な部品などの情報を管理することが可能です。

S-BOM(販売BOM)

「S-BOM(Sales-BOM:販売BOM)」は部品情報に加え、販売管理に必要な情報が記載された部品表です。

 

販売に関するデータを一括管理できる本BOMは、販売支援システムと連携して販売部門や営業部門で使用されます。

 

上記5種類の中で最もポピュラーなのが「E-BOM(設計部品表)」と「M-BOM(製造部品表)」であり、購買やサービス、販売の工程における情報を両者で管理する企業もあります。

 

このように多くの企業では、部門ごとに最適化されたBOMが構築される傾向にありますが、どのBOMも設計段階の情報を基準としていることは共通であり、本来であればひとつに統合されたBOMを運用することが理想的です。次章ではBOM統合の重要性について詳しく解説します。

BOM統合の重要性

多くの製造業を営む企業において、先述したように部門ごとに最適化されたBOMが利用されていますが、より効率的な運用を目指すためには、部門ごとのBOMを統合したシステムが必要です。

 

従来のように部門ごとのBOM運用では品番・品目の違いが発生したり、仕様変更の際にそれぞれの部門で修正をする必要があったり、他部門へ転記作業を行わなければならなかったりと、工数の増加に加えてミスが生じやすいという課題があります。さらに、異なる部門間での在庫状況などに関して認識のズレがあり、部品が不足してしまうというトラブルも起こりがちです。

 

BOMを統合して共通のBOMを使用することで、設計・製造・購買などの部門間での正確且つスムーズな情報共有が実現し、大幅な工数の削減やワークフロー効率化 につながります。

 

データやプロセスも可視化されることで状況のより迅速な把握も可能になり、顧客の要望に対して柔軟に素早く対応できるシステムを構築できるなど、DX化推進にも寄与するためその重要性は年々増しています。

 

ではBOMを統合するにはどのようにしたらいいのでしょうか?そこで必要になるのが、現在製造業において注目を集めている「BOMシステム」です。次章で紹介します。

BOMシステムとは

「BOMシステム」は、BOMの構築・管理を目的としたITシステムを指します。

 

BOMシステムでは共通の画面を使用することで部門を越えたシームレスな情報共有ができるため、部門間での転記作業や入力ミス、認識のズレやそれで生じる部品不足などを解消でき、業務のさらなる効率化を実現します。

 

BOMシステム上にデータが蓄積されるため、必要の際には過去に利用したBOMの検索や閲覧もでき、工数削減や作業時間の短縮にもつながります。部品ごとの納期や手配進捗なども容易に行えるため、BOMシステムを導入する企業は増加しています。

BOMシステム導入のメリット

ではBOMシステムを導入することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?主な5つのメリットについて詳しく解説します。

情報の一元管理

BOMシステムを導入するメリットとしてまず挙げられるのが、情報を一元管理できることです。個別システムのマスタを統合して情報管理を容易にし、異なる部門間でも同じ情報をリアルタイムでシェアできるようにすることで、企業の共通情報インフラを構築し、企業全体の最適化を実現できます。

 

使用用途別BOMでは各部門にて情報がバラバラに管理されるため、連携する部門や部品が増加・複雑になるにつれ情報の不整合などの問題が起きやすくなり、運用が難しくなるという課題があります。

 

BOMシステムによって情報を一元管理することで、企業内の全部門や全拠点でのデータ共有が可能です。複数の製造工程の効率的な同時進行など、運用が複雑な場合でもスムーズに行うことができます。

 

また製品のマスター情報の正確な管理は、設計・顧客仕様の変更への対応力を高め、結果的に競争優位性の向上にもつながります。

人為的ミスの削減

人為的ミスの削減も、BOMシステムを導入する大きなメリットのひとつです。

 

従来のExcelや図面によるBOMでは、記入ミスや重複入力、手配漏れなどが発生しやすく、部門間での認識のズレや矛盾によって、製造が滞る場合もあります。

 

BOMシステムを導入することで、全部門が共通の画面で部品に関するデータを確認できるため、部門間でのスムーズなやりとりや情報共有が可能になり、人為的なミスが大幅に削減できます。個々の部品の使用タイミングの特定や、納期の正確な把握による部品不足などの問題も解消し、管理業務の最適化が図れるはずです。

 

ミスの削減は作業効率向上や人材不足の解消にもつながり、最終的には利益の拡大も見込めます。

情報追加・変更の簡易化

ITシステムであるBOMシステムでは部品に関する情報をすべてデータで管理するため、部品の情報を追加・変更する際に簡単に対応できるようになります。

 

紙やエクセルを使用した従来の方法では、情報の追加・変更があった際には転記ミスや重複入力などが発生しやすいという課題がありましたが、BOMシステムでは1箇所を訂正・変更するだけで済むため作業工数が削減やミスの防止が実現でき、大幅な効率アップが期待できます。

 

作業の簡易化は手間の削減、そして人材不足の解消にもつながるため、企業にとって大きなメリットをもたらします。

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部品の影響範囲検索の迅速化

先述したメリットと少し重なりますが、BOMシステムを活用することで情報の検索が容易になり、特定の部品を作った製品や構成をより迅速に検索することができます。

 

表計算ソフトなどの従来のアナログな管理方法では利便性が低く、時間・労力ともに多くを費やす必要がありました。BOMシステムを活用することで、仕入れ先の変更や後継品の検討など、製品の製造に使用する部品が変更になった際に、該当部品の影響範囲を瞬時に特定することが可能です。

 

さらに特定の部品や発注先、仕入先の検索も可能で、トレーサビリティ(追跡可能性)という点においても大きなメリットをもたらします。

他システムとの連携による改善

システム化したBOMは、他の有能なシステムと連携することもできるため、さらなる効率化と、それに伴う企業の利益拡大が期待できるというメリットがあります。

 

具体的には、生産管理システムや販売管理システム、資材購買システム、ERP(企業資源計画)システム、CADなどのシステムと連携可能です。

 

このようなシステムとBOMシステムを連携することで、「部品のさらなる組み合わせ・流用の可能性」「製造段階における部品の使用度合い」「製品ごとのリードタイムの違いと、部品との関連性」など様々なことを把握することができます。

 

システム連携によって新たな視座を獲得することで、これまで以上の効率化や、新しい領域における改善活動に臨めるはずです。

BOMシステム導入における課題

業務の効率化には部門ごとの情報を統合して管理するBOMシステムが必須ですが、まだ解消できていない課題もあります。その中でも、BOMシステムの導入の際多くの企業が最も苦労するのが「品番・品目コードの整備」だといえます。

 

BOMをシステム化する際には、「同じ部品でも設計者によって記載が異なる」「属人的な作業によって同じものとして認識できない」「同じ品でも受注のたびに品番・品名が異なる」などの問題を起こさないため、社内の共通言語となる品番・品目のナンバリングルールや名称を徹底するほか、設計・製造・購買部門間での認識のすり合わせなどが必要です。

 

品番・品名の情報を整備する際には、優先順位をつけて、優先度の高いものから整理していくといった方法があります。各部門や各拠点の現在の運用情報や品番・品目などを洗い出し、企業全体の情報を見直す取り組みが重要です。

 

BOMシステムを本格的に導入する前に上記課題に取り組むことで、業務を最適化することができます。

BOMもデジタル化して生産性を上げよう

本記事では、BOMの種類や重要性からシステム化やそのメリット・課題まで、基礎的な知識について解説しました。

 

BOMをシステム化して社内の共通情報インフラを整備することで、作業効率の飛躍的な向上や、それに伴う人材不足解消や利益拡大など、様々なメリットを享受する ことができます。

 

特に製造業において業務のIT化やIoTの活用、DX化推進が求められる昨今、BOMシステムは製造現場の業務効率化を支える重要な役割を担い、その必要性は年々高まっています。効率化や利益拡大などにお悩みの方は、企業戦略の一環としてBOMシステムの導入を検討してみることをおすすめします。

 

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近年の産業構造の変化は著しく、今までどおり製品を製造し販売するだけでは収益をあげられないという企業が増えているのも現状です。しかし、製造業プラットフォームによって、製品デザイン・部品製造・ソフトウェア開発・マーケティング…と、それぞれの企業が得意分野を持ち寄って協業することで、顧客ニーズにフィットするサービスを提供でき、長期的に収益をあげられるようになるのです。

 

本稿では、製造業プラットフォームビジネスの概要や取り組むメリット、日本の製造業がプラットフォーム構築に取り組むことで飛躍する可能性などについて解説していきます。成功企業事例もご紹介しますので、ぜひ自社のプラットフォーム戦略構築にお役立てください。

 

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製造業プラットフォームとは

製造業プラットフォームとは具体的に何をするのか、「いまいちピンとこない」という方もいるかもしれません。

 

近年あらためてビジネスの主流になりつつあるプラットフォーム戦略、その潮流はGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)をはじめとするIT企業が生んだものです。しかし製造業におけるプラットフォーム戦略とは、実際どのように展開されるのでしょうか。

 

ここでは、一般的なプラットフォームビジネスについてご説明したうえで、製造業におけるプラットフォームビジネスの概要と、提供する仕組みについてご説明します。

プラットフォームビジネスとは

プラットフォームビジネスとは、複数の企業がひとつの場所で協業しながら、新たな商品やサービスを提供していくビジネスです。駅などのプラットフォームに集まる人々のように、ひとつの場所にさまざまな情報が行き交うことで、サプライヤーとユーザーの接点を生み出し、そこから新たなビジネスの価値を創出します。

 

一例として、Amazonは自社ECサイトに数々のお店や商品を集めて運営していますが、ここで採用されているのがまさにプラットフォームビジネスという業態です。プラットフォームとは、「システムを動かすための、土台となる環境」を意味しています。

 

​​こういったECサイトと百貨店やショッピングモールとの違いは、接点がインターネット上にあることだけでなく、商品に対するユーザーの口コミをひとつのコンテンツとして展開し、これをもとにほかのユーザーの購買を促進する点にもあります。

製造業におけるプラットフォームビジネスとは

製造業におけるプラットフォームビジネスとは、自社がものづくりの過程で培ってきたノウハウを、他社のものづくりを支えるプラットフォーム(基盤)として展開していく、新しいビジネスモデルです。

 

従来の、製品やサービスのみで勝負する戦略とはまったく異なるように見えて、これまで培ってきた技術が土台にあってこそ構築できるビジネスともいえます。

 

具体的には、プラットフォームを介して、製造業者とサプライヤー・パートナー企業・ユーザーを結びつけ、情報の共有や取引をおこないます。たとえばデジタルツインによる製造ラインを提供し、製品の開発・製造・販売プロセスに関わるパートナー企業やユーザーと連携することで、あたらしい価値の創造を実現します。

プラットフォームを提供する仕組み

ユーザーに対してプラットフォームを提供するには、これを構築し提供する仕組みが必要です。

 

製造業プラットフォーム戦略において、とくに注目を集めている仕組みが「PaaS(パース)=Platform as a Service」です。ここでは、「PaaS」を中心に、関連する要素である「SaaS」「IaaS」についても解説します。

「PaaS(Platform as a Service)」

PaaS(パース)を直訳すると「サービスとしてのプラットフォーム」で、アプリケーションが動くためのプラットフォームを、サービスとして提供することを指します。アプリケーションの作成や稼働に必要なデータベースやプログラム実行環境などを、インターネットを通じて提供するものです。

 

プラットフォームを提供する場合には、PaaSを導入することで、コストや開発リソースを削減し、新しいサービスでも比較的短期間で立ち上げられるようになります。

 

たとえば「Google App Engine」は、Googleが提供するクラウドプラットフォームで、PaaSの代表的なサービスのひとつです。アプリケーションを開発・実行するための環境を提供し、また大規模なトラフィックに対してもスムーズに動作するよう設計されています。同じ種類のサービスには、AWS、Salesforce Platform、Oracle Cloud、Microsoft Azureなどがあります。

「SaaS」(Software as a Service)

「サービスとしてのソフトウェア」を表すSaaSは、クラウド上にあるソフトウェアを、サービスとして提供するビジネスです。読み方はサース/サーズどちらでも呼ばれます。インターネット環境があれば、ユーザーは従来のようにソフトウェアを購入せずに、その機能だけを使うことができます。

 

たとえばブラウザ上で使えるフリーメールなどをはじめとし、簡単にWebサイトを制作できるCMSや、BtoB向けのMAツール・会計ソフトなども、今やSaaSとして提供されるのが当たり前になってきました。

 

製造業においても、IoTによって工場を見える化できるツールや、検査検品を自動化できるシステムなど、さまざまなツールが名を連ねています。

「IaaS」(Infrastructure as a Service)

Infrastructure as a Serviceは直訳で「サービスとしての基盤」となり、IaaSとは、プラットフォームを提供するための基盤を、サービスとして提供することです。イアース/アイアースどちらの読み方もします。

 

ユーザーは、アプリケーションが正常に動作するために必要なインフラ(サーバー・ストレージ・ネットワーク・セキュリティなど)を必要な分だけ使うことができ、安定したパフォーマンスを享受できます。提供されるのはこのインフラの部分のみになるため、アプリそのものは自分で開発する必要があります。

 

これまでITインフラを構築するためには、ハードウェアが必要でしたが、インターネット上のサービスになったことで、必要に応じてサーバの大きさを変えてパフォーマンスを最適化できるようになりました。

 

代表的なサービスには、Amazon Elastic Compute Cloud、Google Compute Engine、Oracle Cloud Infrastructure、Microsoft Azure IaaSなどがありますので参考にしてみてください。

製造業におけるプラットフォームの重要性

なぜ今、製造業ではプラットフォームビジネスが求められ、重要視されているのでしょうか。その理由は、ビジネス環境の変化によって、これまでのように単純にモノの製造・販売をおこなうだけでは、十分な収益をあげられなくなってきたことにあります。

 

そこで、製造業のあらたな企業成長の方向性として、プラットフォーム構築によるビジネスモデルシフトが注目されるようになりました。自前志向にとらわれず、他者と協業できるプラットフォームを構築することで、顧客に対してさらに高付加価値なサービスを提供し、継続的に会社を成長させていくビジネスの考え方です。

 

昨今、産業構造は大きく変化しています。その背景には、情報通信技術を実装したIT企業がに積極的に進出していること、これにより水平分業化が加速していることがあります。ここでは、産業構造の変化を進めるふたつの要因について、それぞれくわしく解説していきます。

デジタル技術の進展

産業構造の変化を引き起こしている大きな理由のひとつは、IT化とデジタル技術の進展です。

 

製造業においてとくにデジタル化が進む大きなきっかけとなったのは、インダストリー4.0(第4次産業革命)です。これは2011年にドイツの国家戦略として進められたコンセプトですが世界中で取り組まれ、IoTやAIによる高精度な生産管理、現実空間とデジタル空間をつなげるサイバーフィジカルシステム「CPS=Cyber Physical System」による技術革新が大きな特徴としています。CPSは「デジタルツイン」と呼ばれ、デジタル空間に現実そっくりのモデルを再現することで、生産ラインにおける予測や効率化に役立てられています。

 

このような最新デジタル技術の躍進によって、これまで暗黙知であったデータを取得・可視化できるようになり、生産プロセスやサービスは効率化されつつあります。これによって企業間を超えてデータを共有したり、ノウハウ自体を販売するような新たなビジネスモデルや産業が生まれたりと、既存の産業構造に変革をもたらす要因となりました。

水平分業化

水平分業化とは、製造業における生産プロセスを、いくつかの企業が分業することです。従来のように自社ですべてのプロセスをおこなうのではなく、特定のタスクに特化した業者と協力することで、より生産性をあげる考え方です。

 

それぞれの企業は自分の得意分野に集中できるため、より高い品質や効率を実現できます。また製品設備や技術の専門化がすすむことで、生産性をあげるだけでなく、余計なコストを省くことができるように。

 

オープンイノベーションをすすめるだけでなく、多様なユーザーニーズに対しても対応できるようになるなど、結果として製造業全体の競争力を強め、可能性を広げています。

 

また、一貫生産方式から製造工程の分業化へのシフトは、グローバルな供給チェーンの形成にも寄与しています。

製造業がプラットフォームビジネスに取り組むメリット

製造業がプラットフォームビジネスに取り組むことで、得られるメリットは数多くあります。ここでは8つのメリットについてご説明します。

顧客の囲い込み

顧客の囲い込みは、プラットフォーム戦略の一番の目的とも言えます。ひとつのプラットフォーム上でさまざまな製品やサービスを提供すれば、ワンストップで完結するサービスはユーザーにとっても利便性が高く、他社への乗り換えを防ぎ、長く使い続けてもらうことができます。

 

また利用企業が増えれば増えるほど、多くのパートナー企業が集まる「直接ネットワーク効果」が期待でき、新しい集客方法を実現できるはずです。顧客に継続的に利用してもらう環境をつくることで、収益を向上・安定させることができます。

データの一元化

プラットフォームを活用すれば、製造過程で使うそれぞれのアプリケーションで蓄積されるデータを、一元化されたデータベースに保存できます。

 

データベースを一元化することで、異なるアプリケーションのデータ分析をまとめて行えるようになります。たとえば、生産管理システム・販売管理システムといった異なるシステムのデータを結びつけて、分析や予測をおこなえるため、管理コスト削減にもつながるはずです。

個別のシステムが不要

製品製造においてはさまざまなシステムやアプリケーションが必要になり、一例としては

 

● 設計用のCADやPLM(Product Lifecycle Management)システム

● 現場管理のMES(製造実行システム)

● 生産スケジューラー

● 生産管理システム

 

などがあります。

 

これらのシステムが個別に存在している場合、各システムのデータを連携するために、インターフェイスを構築する必要があります。しかしプラットフォーム上で統一した設計にもとづいて開発されたアプリケーションでは、データ連携も標準仕様となるため、新たな開発の手間を省くことができます。

顧客データをマーケティングに活用できる

プラットフォームをつかうパートナー、サプライヤー、ユーザーはそれぞれ登録をおこなうため、それに紐づくデータが蓄積されることもプラットフォームの利点です。

 

たとえばプラットフォームに蓄積した顧客のデータ分析により、詳細なニーズを洗い出すことで、より効果的なマーケティング活動をおこなえるようになります。たとえばこれらのデータを新しい製品・サービスの開発に反映させることができますし、サプライヤーにとっても、より効率的なマーケティング戦略を立てる上で役立つはずです。

サービス化による新規事業モデルの創出

産業構造の変化を受けて、製品そのものの価値だけでは競合との差別化がむずかしくなってきたことは先にも述べました。

 

製品を販売するだけでなく、製品を含めたサービスを提供するビジネスへの転換により、顧客やサプライヤーに対して新たな価値提供ができるようになります。たとえば、顧客データやその分析結果による販売ノウハウを蓄積していき、このデータを販売するといったビジネスモデルも増えてきています。

 

プラットフォームを構築することで、あらたな収益源を生み出す可能性があるのです。

セキュリティ強化

インターネット上にデータを集めるプラットフォームビジネスでは、これらのデータを守るセキュリティ対策が必要です。とくに高速回線5Gによって大量のデータをやりとりするようになった昨今、確実にデータを保護できるセキュリティ環境が必須となります。

 

製造業では顧客データのほか、製品の設計図や原価表・部品表など多くの重要なデータが存在しますが、規模の小さい企業が高度なセキュリティ対策にコストを投じることは現実的にもむずかしいかもしれません。

 

プラットフォームビジネスであれば、大規模なセキュリティ対策をとれるプラットフォーマーがデータを管理するため、データの安全性を確保できます。

ビッグデータ・リアルタイムデータ活用による品質向上

プラットフォーム構築に取り組むことで、ビッグデータやリアルデータを活用した品質向上を実現できるのも、メリットのひとつです。

 

プラットフォームを活用すれば、IoTやAIによるデジタル技術によって、生産ラインやプロセスに関する大容量データを取得できるようになります。また高速インターネット回線5Gにより生産ラインの情報をリアルタイムで把握できるため、品質の問題を予測・検知して、製品の不備を防ぎます。

生産ネットワーク構築とステークホルダー連携による企業成長

プラットフォームビジネスでは、自社だけでなく、パートナー企業やユーザーと連携することで生産ネットワークを構築し、製造能力を拡大することができます。外部のノウハウや生産能力を活用することで、市場の変化にも柔軟に対応できるようになり、より競争力のあるビジネスモデルを実現できるはずです。

 

また、ステークホルダーの連携によって企業成長が見込めるのもプラットフォームビジネスならではです。製造業者がサプライヤーやユーザと密に連携することで、納期を適正化できたり、顧客ニーズに対応するための革新的なソリューションを創出できたりと、業務改善による企業成長の可能性が広がります。

プラットフォーム戦略で活かせる日本の製造業の強み

日本のものづくり企業の強みは、なんといっても熟練技術者の技術やノウハウです。ただ人の動きを分析するには、たくさんのセンサーによる大容量の映像解析が必要になるうえ、どの作業をデジタル化すればよいか見極めるのもむずかしく、デジタル化するのが非常にむずかしい領域といえます。

 

実際に、現在製造業においてデジタル化されているのは、設計の3D化や、機器管理におけるIoT活用などといった、比較的デジタル化しやすい分野です。一方で、現場の熟練技術のデジタル化はまだまだ拡がりきっていない領域です。

 

だからこそ日本の製造業は、他国にない「匠の技」をデジタル化することで、競争力のあるソリューションを創出できるはずです。ただこの工程は多種多様をきわめるため、たとえば輸送・樹脂成型・金属加工・組み立て・検査・などそれぞれに強みをもつ企業が、プラットフォームによって協業することで、日本の製造業はふたたび世界のトップに躍り出る可能性を秘めています。

プラットフォーム戦略の考え方

プラットフォームビジネスの概念自体は、実は従来から私たちの身近に存在してきました。たとえば電気会社やガス会社は、送電線網・ガス供給網というプラットフォームを介して、ユーザーに電気やガスをサービスとして供給するモデルといえます。

 

電話やワープロソフトなどが公益事業と異なるのは、これを利用するユーザー数が増えることでユーザーの便益が増える効果がある点で、これを「直接ネットワーク効果」と呼びます。

 

またあるクレジットカードや電子決済をたくさんのユーザーが使うようになると、販売店はそれを導入したいと考えますし、逆にユーザーにとってもたくさんのお店で使えるカードや決済方法を選びたいと考えるようになるはずです。このように、一方の市場が成長するともう一方の市場もともに成長していく効果を、「間接ネットワーク効果」といいます。

 

製造業プラットフォーム戦略においては、これらの効果を活用することで製品の需要を増やし、競争力を強化する考え方が大切です。直接ネットワーク効果によって、特定の製品へユーザーが集中する状態を作り出し、これによって多くのユーザーがプラットフォームへ流入します。また間接ネットワーク効果によってユーザーを得ることで、製造業プラットフォームは成長と市場支配力を強化することができます。

 

プラットフォーム形成の方法としては、テクノロジー主導型と産業界主導型のふたつに分かれます。

テクノロジー主導型

テクノロジー主導でプラットフォームを作るke-su、IoTやAIなどの高度な技術を持つ企業が、自分たちの技術を使って異業種へ参入し、プラットフォームを形成していきます。

 

このケースでは、革新的な技術や企業を育てること、新しい企業を誘致すること、参入のハードルを下げるための規制の緩和をすることなどが課題となっています。

産業界主導型

産業界主導でプラットフォームを形成する場合は、既に浸透している自社の製品や施設、サービスなどをインフラとして活用し、プラットフォームを構築します。

 

この方法で課題となる点は、企業の意識の変革が必要な点や、高度な技術を持つ企業との協力、業界の標準化などにあります。

製造業におけるプラットフォームの成功事例

実際にプラットフォームビジネスに取り込み、成果を出しているものづくり企業の事例をご紹介します。

コマツ

東京都に本社を構えるコマツは、日本の中でもプラットフォームビジネスの先進企業といえます。自社の提供する建設機械の稼働状況を見える化した「KOMTRAX(コムトラックス)」というプラットフォームをいち早く開発したことでも有名です。このサービスはデータ収集もおこない、このデータを活用したトータルソリューションの提供によって、建設機器の価値を向上させて顧客を囲い込み、収益安定化に寄与しました。

 

2017年からは、現場の生産性向上のためのプラットフォーム「LANDLOG」を企画・運用しています。これは自社製品に限らず、NTTドコモ、オプティム、SAPジャパンと共同で行っており、建設生産プロセスに関わるモノのデータを収集し、一元管理しています。

 

またプラットフォームで取得したデータはアプリケーション開発にも役立てられ、これらのアプリケーションを施工会社に提供しています。引き続き、多くの新規プロバイダが流入することでプラットフォームの価値があがっていくことが予想されます。

シーメンス

ドイツの電機メーカーであるシーメンスは、製造業プラットフォーム戦略に先進する企業です。電気機器などの製造をはじめとし、システムソリューション事業など幅広い事業を展開しています。

 

同社が2017年に立ち上げたのは、IoTプラットフォーム「マインドスフィア」。プラットフォーム上のアプリケーションによって、製造設備をモニタリングしたり、データを蓄積・分析できるものです。

 

このプラットフォームは、徹底的な顧客目線が特徴となっています。またパートナー企業とも積極的に連携を進めたことでユーザーの選択肢を増やしており、利便性の高いプラットフォーム構築に成功している一例です。

デンソー

デンソーは、自動車部品メーカーとしての豊富な製造技術を活かし、他社への展開を行っています。2017年に設立されたFA事業部(現在はインダストリアルソリューション事業部)では、自社のものづくりで生まれたロボット技術やQRコード、IoT関連製品を外販しています。

 

なかでも注目すべきは、ASEAN地域を中心とした展開です。同社は産官学の連携を通じて、自社のモノづくりノウハウを基にした教育プログラムを提供し、産業基盤の強化や新たな市場形成に貢献しています。具体的には、同社は日本政府・タイ政府と連携し「LASI(Lean Automation System Integrators)」という教育カリキュラムを開発しました。LASIは、リーンオートメーションのノウハウをトレーニングプログラム化したもので、バンコクにはラーニングファクトリーもあります。

 

また同社はこれまで約800人のエンジニアを育成し、LASIをタイから逆輸入して日本でも展開する計画も進めています。さらに、ASEAN地域の製造業に対して、生産技術や見える化技術、自動化技術などを活用した支援を行っています。ものづくりのノウハウと試行錯誤の歴史にもとづいた、徹底したユーザー目線は、現地製造業からの信頼を得る要因となっています。

LIGHTz

LIGHTzは2016年に設立されたAI企業で、当時の関連会社には金型成型メーカーIBUKIがありました。

 

同社は、従来は熟練工の経験に頼っていた樹脂成型のノウハウを、センサーや人工知能を使って可視化し、業務改善することに成功しました。また、金型管理のIoTアプリケーション「xブレインズ」を提供。このアプリは、熟練工の知識をブレインモデルとして言語化し、このデータをAIプラットフォームに教えることで、知見を共有するサービスとして展開しています。

 

xブレインズは、先に紹介したドイツのシーメンスが提供するIoTプラットフォームで利用できます。

VAIO

VAIOは、ソニーのPC事業を継承し、自社のPC製品開発と製造だけでなく、他社のモノづくりを支援するEMS事業を展開しています。

 

同社のEMS事業では、企画からアフターサービスまで、ものづくり企業のプロセスをトータルサポート。とくにロボットに注力しており、ハードウェア開発やAIを含むソフトウェア技術などをパッケージとして提供しています。

 

また自律型エンタテインメントロボット「aibo」の製造ノウハウを生かし、トヨタ自動車や富士ソフト、バンダイなどからの受託製造も行っています。EMS事業を通じて広範なものづくり企業の支援を行いつつ、ロボット領域では標準化と先進技術の提供を進めている、「広く深い」ものづくりプラットフォーム展開が特徴といえます。

浜野製作所

浜野製作所は墨田区の金属加工企業であり、特定顧客への量産対応から、多品種少量の試作支援や顧客の装置開発などへ、大きく事業転換した企業です。その象徴となっているのがものづくりインキュベーション拠点「ガレージスミダ(Garage Sumida)」で、工作機械や設備を備え、設計から組み立てまで一貫して行える環境を提供しています。

 

提供しているサービスは、量産設計支援をはじめとし、営業・サービスのリソース提供、量産ライン設計、利用課金型のライン貸与、技術コンサルティングのほか、同社のノウハウを活かして、製造能力を中心にスタートアップを支援し、共同でイノベーションを生み出しています。

 

ガレージスミダを通じて、グローバルに展開し成長しているスタートアップには、WHILLやオリイ研究所、inaho、アスラテックなどがあります。ガレージスミダは同社の収益源となるだけでなく、これら連携企業の成長が、同社の成長にも寄与しているのも特徴で、技術領域の拡大や新規事業創出、既存事業の高度化につながっているのです。さらにガレージスミダの存在は、ものづくり支援への広がりや認知度の向上にも貢献しています。

 

同社の展開するプラットフォームでは、急速な環境変化に対応しながら新たな強みを獲得でき、また日本企業の技術力や生産能力を活用した支援ができるため、新たなオープンイノベーションの展開に期待が集まっています。

碌々産業

碌々産業は、1ミクロン以下の超微細加工機を主力とする工作機械メーカーです。微細加工機のリーディングカンパニーとして、グローバルニッチトップ戦略を展開しています。同社の加工機は、加工精度5μm以下を実現し、最新機種の超高精度高速微細加工機「P12-C genesis」では、加工面の粗さRa2ナノの精度を誇っているのも特徴です。

 

また同社では、加工機の状態を見える化する仕組み「Advanced M-Kit」を提供しており、36項目のデータをモニタリングすることで、顧客は機械設備の状態をつねに把握できます。また、クラウドを活用した「AI Machine Doctor」「ROKU-ROKU Cloud Monitoring System(RCMS)」を提供し、顧客の加工機の稼働状況を遠隔監視し、歩留まり向上やトラブル解決につなげる付加価値の高いサービスを提供しています。

 

超微細加工のモノづくり力に付随するデータを活用することで、顧客のニーズに応えて付加価値を創出し、顧客に最適なソリューションを提供している企業です。

英田エンジニアリング

英田エンジニアリングは、成形機、造管機、などの産業機械を製造・販売する企業で、無人駐車場管理システムも展開しています。

 

同社は独自の技術を保有しており、省力化や自動化により顧客ニーズに応えるだけでなく、製品に関連するデータを収集し、可視化するシステムを構築しています。具体的には、成形機の稼働状況を見える化し、金型交換のタイミングを察知することで顧客の生産性向上を支援するというものです。

 

またリモートメンテナンスシステムを提供し、故障診断や設備保全をリアルタイムで行うことで顧客の工場効率化を図っています。さらに同社は、コインパーキング事業にも参入しており、駐車場遠隔管理運営システムを構築しました。デジタル・プラットフォームとAIを活用した高度な解析技術によるコンサルティングサービスの提供を目指しています。

月井精密

月井精密は、航空宇宙といった難易度の高い部品の試作加工を専門とする、精密機械加工部品メーカーです。2004年に祖父の会社を引き継ぎ現社長が就任してから、同社は手作業中心のものづくりから、最先端の5軸加工機を使用する工場に変革しました。

 

製造業の生産工程が急速にデジタル化されていく中で、収益に直結するデリケートな部分にもかかわらず感覚的に決められている「見積もり」が、直接利益を生まない「ゼロ円業務」としておろそかにされていることに着目。見積り作成業務におけるIoT活用を探求し、見積りプラットフォームを立ち上げ、デジタル化と効率化を図りました。

 

同社では部品に関連するデータを収集し、可視化する仕組みを構築しており、具体的には、見積もりに関するビッグデータ化や経営情報の可視化を行っています。さらに、このデータを活用して新たな価値を提供し、オープン化戦略や外部パートナーとの連携を通じた好循環も実現しています。

 

開発された見積り作成支援システム「Terminal(ターミナル)Q」は、現在、1,500社以上の加盟企業があり、日々多くの図面がやりとりされています。料金体系は月額定額制で、様々なオプション機能も提供しています。

プラットフォーム構築に向けたビジネスモデル設計のポイント

製造業でプラットフォームを活用したビジネスモデルを設計するうえで、ポイントとなる点をお伝えします。

顧客ファーストのビジネス戦略

プラットフォーム構築のきっかけは、顧客や自社が直面する課題解決から始まることが多いと思います。「顧客が解決したい課題はどんなことで、どのように解決できるか」「自社がどのような方向性で成長していくか」といった課題に対して、本業であるものづくりを活かして解決していくには、時流を読んでビジネスモデルへの気づきを得ることが重要です。

 

たとえば、「自社の製品を利用する顧客が困っていることの洗い出し」から、顧客のニーズに最適なアプリケーションをどれだけ揃えられるかは、プラットフォームビジネス成功のカギでもあります。また深刻な人手不足といった社会的な課題に対して価値を創出するためにプラットフォームを活用する例もあり、これらは新たなビジネスモデル創出のきっかけとなるかもしれません。

 

あくまでも顧客ファーストの視点で、課題解決に対してさまざまな選択肢のあるプラットフォームを構築することで、ビジネスの成長をはかったり、社会課題解決に貢献したりすることができます。

Win-Winの関係性

プラットフォーム戦略においてより有用なデータを集めるには、顧客とWin-Winの関係性を築く必要があります。

 

まずはどの領域でサービス展開をするか、明確にしましょう。提供先は、自社製品を購入する顧客だけでなく、エンドユーザーや他の企業も含まれます。

 

そのうえで、どのような価値を提供するのか、顧客が「自らのデータを提供してでも得たい」と思える価値はなにか顧客目線で考えます。たとえば製造業において顧客がかかげる、生産性向上、収益向上、人材不足への対応、といった目的に対して価値提供できれば、顧客にとっても大きなメリットとなるはずです。

 

また、製造業においては顧客との良好なリレーションシップ構築が、収益拡大や企業成長の秘訣となります。一人勝ちではなく、常にWin-Winの関係性を意識してビジネスを設計しましょう。

データを利活用できる仕組みをつくる

顧客からデータを取得し、利活用できる仕組みをつくるには、顧客の動機づけやデータの収集方法に注力し、競争領域と協調領域をきりわけて考える必要があります。

 

収集したデータを利活用するには、課題解決を意識したデータ収集の仕組みを作りましょう。収集したデータをもとにノウハウを構築し、顧客に還元する形で価値提供をおこないます。ここでは、顧客の生産性向上や経営分析に役立つデータを、サービスとして提供する考え方が重要になります。

 

またデータ活用のうえで障壁となることのひとつに、セキュリティ対策があります。国際規格の認証を取得している主要なクラウドプロバイダーなど、信頼できるクラウドサービスを選択することが有効です。顧客データの利用に関しては、個別に守秘義務契約などの契約を締結するなど、知的財産を守るための法的な対策を行うことが重要です。

 

安全、かつ有用なデータの収集と活用が実現できれば、顧客との信頼関係を築くことにもつながります。

製造業におけるプラットフォーム構築の課題

製造業においてプラットフォームを構築し、ビジネスシフトしていくうえで突き当たる課題についてご説明します。

ノウハウ流出

協業によるノウハウ流出のリスクは、とくに日本の製造業においては、プラットフォーム構築における大きなハードルのひとつです。

 

これまでの日本の製造業では、現場において人を通じた技術伝承が基本とされてきました。海外工場に技術者を派遣して、人を通じた丁寧な現地人材の育成をおこなってきたものの、ヘッドハンティングなどによりノウハウが人材ごと流出してしまうといったことも往々にして起こっており、協業によるリスクが懸念される大きな要因のひとつとなっています。

 

しかしこれのノウハウをデジタル化し、技術伝承をIoTやARといった技術によって再現できるようになれば、属人化を避けて技能移転の工数を減らすこともできます。そのうえ、コア技術を自社に残すことができるため、プラットフォーム構築においては、とくに欧米や新興国企業では、協業しないリスクの方が重要であると捉えられています。

競争・協調領域の振り分け

他社と競争する領域、協調する領域を適切に振り分けることも、プラットフォームを形成するうえで重要なポイントです。

 

自社の技術や業務内容を洗い出し、コア技術と、コアではない領域を明確にしましょう。過去に海外工場などで起こりがちだったノウハウ流出は、このような振り分けができていなかったことが大きな原因のひとつともいえます。

 

自社の競争力として何を守り、外部リソースとして何を切り離すのか、という見極めは、リソースを効率化して生産性を高めて、企業成長に寄与する重要項目です。

ビッグデータに対する国際ルール

IoTやAIによるビッグデータの利活用が広がるなか、個人情報の保護やセキュリティ対策がますます重要な課題となっています。

 

ビッグデータに対するルールは各国が個別に規制や制度を作っているため、それぞれの国のルールが重なり合い、複雑化しています。そのためデジタル技術の進歩にともなって、情報通信の分野で国際的なルールを作る必要が高まっているのです。

 

データを自由に共有できることは便利である一方、個人情報の漏洩や流出といった問題も心配されています。そのため、世界各国で個人情報を守るための法律や制度が整備され、強化される取り組みが進んでいます。プラットフォームビジネスに取り組むうえでは、顧客が安心してプラットフォームを利用できるような個人情報保護の観点は、はずせないポイントのひとつです。

収益化

プラットフォームビジネスでは、製品の販売数だけに依存することなく、新たな収益源を得られるのも大きなメリットです。その反面、ただ製品を販売するだけのビジネスと比べて、収益を得る仕組みをつくることにハードルを感じる方もいるかもしれません。

 

まずは自社製品と、自社製品を活用するうえで必要になる周辺サービス・サポートを組み合わせ、収益を得る仕組みをどのように構築するか考えます。

 

作り込みが重視されてきた従来のものづくりとは異なり、変化の激しい市場の反応も見ながら、ソフトウェアやサービスをアップデートする柔軟な発想が求められます。また仲間や顧客を増やす仕掛けを作って収益化の道筋をつけたり、サービス提供を前提としたユーザーにとって魅力的な課金体系に変更したりすることも必要です。

人材の確保と育成

プラットフォーム構築においては、専門的な人材リソースが必要になります。しかし日本で、デジタル技術に関する知見、製造業の実務における経験、この両方を持ち合わせている人材を見つけるのは非常にむずかしいのが現状です。

 

新たな価値提供をするために自社のリソースだけでは不足する場合、外部パートナーの技術やノウハウを活用しましょう。このケースでは、自社内の人材が中心となってプロジェクトを立ち上げ、外部リソースを導入して「自社で何を行いたいか」を伝えていくとよいです。またこのとき重要なポイントは、社外の人材が変革をリードできるよう、柔軟でオープンな社内文化を醸成していくことといえます。

 

まずは、自社にどのような人材(技術)があり、どのような人材(技術)が足りないのかを把握しましょう。その上で必要になる人材の要件を、部署間ですり合わせながら策定していくことが大切です。また公的機関とのネットワークを構築し、情報や支援も積極的に活用しましょう。

書籍紹介『製造業プラットフォーム戦略』

著:小宮昌人 出版:日経BP(2021年9月発刊)

 

書籍『製造業プラットフォーム戦略』

 

目次
第1章 日本の製造業は、世界のロールモデルではなくなった
第2章 インダストリー4.0とデジタルツイン革命がもたらすもの
第3章 デジタル化で起こる製造業の地殻変動
第4章 パターン1:製品設計力・コア部品技術を売る
第5章 パターン2:生産技術力を売る
第6章 パターン3:ネットワークとケイレツノウハウを売る
第7章 パターン4:工程・現場の熟練ノウハウ・技術を売る
第8章 パターン5:製造能力を売る
第9章 アクション1:新規ソリューションを生み出す企業・組織になる
第10章 アクション2:競争力のあるソリューションを生み・展開する
第11章 アクション3:効率的に規模を拡大する

 

「モノではなく、技術力を売れ!」のキャッチフレーズにあるように、BtoC向けのプラットフォームビジネスではなく、toB向けのプラットフォーム戦略を、わかりやすく体系的に理解できる一冊です。

 

本書で強く謳われているのは、品質に対するこだわり・高い技術力やノウハウといった「日本の製造業の強み」をデジタル技術によって標準化・ソリューション化すること。これによって日本の製造業がグローバル市場であらためてポジションを獲得し、新たなビジネスモデルを構築してマネタイズするための、ノウハウや企業事例が丁寧に説かれています。

 

あらゆるものがデジタルにつながる時代はすでに訪れており、自社が継続的に成長していくためには、自社を中心としたプラットフォーム構築は必須項目ともいえます。本書は日本の先進企業の事例が多く用いられていてイメージもつかみやすいため、自社のビジネス展開や成長方向性に悩みを抱えている方はもちろん、日本の製造業において熱い変革マインドをもつ方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。

まとめ

製造業プラットフォームについて解説しました。

 

技術力には自信があるもののデジタル分野には疎い…という企業ほど、デジタルプラットフォーム構築によってその技術力を活かせる時代がやってきた、ともいえます。

 

製品製造で伸び悩んでいると感じている企業でも、自社を中心とするプラットフォームを形成し新たなビジネスを展開することで、継続的に売上をあげていけるようになります。また顧客のみならずパートナー企業やサプライヤーとの連携によって、生産性をあげられるだけでなく、企業成長に役立ついくつものヒントを得られるはずです。

 

ぜひ自社のビジネス展開の方向性として、「プラットフォーム戦略」に取り組んでみてください。

 

 

 

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Mon, 19 Jun 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[日本ものづくりワールド 製造業DX展に出展いたします!]]> https://mtame.jp/marketing_seminar/manufacture_ex_dx  

2023年6月21日(水)より東京ビッグサイトで開催された、「ものづくりワールド 製造業DX展」にエムタメ!を運営するクラウドサーカスが出展いたします!当日は製造業の方々向けに、営業生産性を向上させるツールや、ホームページの活用ノウハウをご紹介予定です。

 

守りのDXだけでなく、攻めのDXもそろそろ…とお考えの方はぜひお気軽にお立ち寄りください!

【こんな方におすすめのブースです】
・営業活動のマンネリを解消したい
・ホームページを活用して新規の引き合いを増やしたい
・ホームページの検索順位を上げて認知を広げたい
・自社のサイトが古くなっているので刷新したい

 

開催場所:
東京ビッグサイト

出展位置:
東8ホール「72-13」

公式Webサイト:
https://www.japan-mfg.jp/ja-jp/exhibit/mdx.html

出展の内容とブースをご紹介

当日は以下のようなブースでサービスをご紹介いたします。他ではまだご紹介していないので、最速でのお披露目です。

 

 20230613.png

 

弊社のブースでは、キャッチコピーとして

 

「製造業の生産性を上げる、営業改革の第一歩」

 

を掲げております。

 

今回の展示会では、多くの企業様がIoTやAIを活用した最新技術を紹介されることが予想されますが、弊社の得意としているところは「営業・マーケティング活動」のDXです。ツールとサポートを通して、営業活動やマーケティング活動の生産性を上げるお手伝いができ、かつそれがミニマムから始められることが特徴になるため、このようなキャッチコピーを定めました。

 

例えば営業の方からよく聞く課題として「営業活動のマンネリ化」が挙げられますが、弊社のツールを使うことによって、顧客がホームページのどのページを閲覧しているかが事前にわかりるため、トークに使えたり、閲覧情報を元に営業提案をしたりと、従来の手法では難しかったデータに基づいた営業活動を可能にします。

データと言うと難しく感じるかもしれませんが、弊社のツールをご利用いただいている企業様の多くが、初めてデジタルマーケティングに取り組む方々です。ツールそのものはシンプルでわかりやすいことを重要視しており、サポートもしっかりついておりますので、初めてマーケティングツールに触れる方には特におすすめです。

 

また、そういったデータを集めるためには最低限のホームページへの集客が必要となりますが、もし仮に集客面にも不安があったり、ホームページが古くなっていた場合には、無料診断という形で改善のアドバイスも実施します。

 

特に最近では、国内の市場が縮小していく中で海外に向けた発信の相談もよくいただきます。ホームページをはじめとするデジタル施策の良いところは、距離という概念を無視して情報を届けられることですので、海外に向けて発信をしていきたい方のご相談も可能です。皆様の製品・技術を世に届け、自社の利益につながるような案件づくりのお手伝いができればと思います。

 

当日は以下のように事例もご紹介しておりますので、他社がどのような取り組みをしているのか参考にしたい方も、ぜひぜひお声がけください。

 

 

 

【製造業のデジタル化特集を公開中】

製造業のデジタル化に特化した特殊ページを公開中です!以下のリンクからご確認ください。

製造業のデジタル営業・マーケティング特集

 

製造業の成果事例集
  • 製造業のマーケティング成果をご紹介!
  • Webサイトを活用した
    製造業の成果事例インタビュー集
  • クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。

    無料で冊子をダウンロード



  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab

 

 

 

 

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Tue, 13 Jun 2023 00:00:00 +0900
<![CDATA[サービタイゼーションとは?製造業をサービス化する重要性・事例や戦略をご紹介]]> https://mtame.jp/column/servitization サービタイゼーションとは、「製造業のサービス化」のこと。製品を買ってもらって終わりではなく、製品利用をサービスとして提供し続けるビジネスモデルです。

 

近年はさまざまな業種で、自社製品を月額制のサービスとして提供する「サブスクリプションモデル」が広く一般に浸透してきており、製造業においてもこのような事業形態に取り組む企業は増えてきました。

 

本記事では、サービタイゼーションが求められる時代背景から、国内外の企業の成功事例、サービタイゼーションにシフトする手順やポイントについて、わかりやすく解説します。

 

・サービタイゼーションってなぜ重要なの?
・サービタイゼーションって何から始めたらいいの?
・サービタイゼーションにはどんな事例がある?

 

こんな疑問を抱えている方には特におすすめです。ぜひお役立てください。

 

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サービタイゼーションとは

サービタイゼーション(servitization)とは、「製造業をサービス化すること」を意味します。従来の製造業が「製品を売ること」を目的としてきたのに対して、サービタイゼーションは、「製品とそれに付随するサービスを売ること」を目的としています。製造・販売から保守管理まで一連のプロセスを「技術力」として売ることで、販売後も取引継続を目指すビジネスモデルです。

 

 サービタイゼーションの考え方

 

 

近年サブスクリプションというビジネスモデルは広く一般に定着しました。実際に、以前は私たちが購入していたCD・車・衣服などの「モノ」は、今では月定額料金制の「サービス」として享受できるように大きく変化してきました。その中で顧客は、従来の「購入がゴール」の売り切りビジネスの時代とは異なり、購入前〜購入後すべてにおける顧客体験価値を重視するようになり、その傾向は年々強まっています。

 

とくに「製造業領域」でのサービス化が重視されている理由に、製品そのものの収益性が低下したことがあげられます。ICTの進展なども影響して、低価格かつ高品質の新興国製品がマーケットに台頭し、日本製品の相対的価値が下がってきていることもまた事実です。このような時代背景については、次章から詳しく解説していきます。

サービタイゼーションが求められる背景

製造業で「サービス化」があらためて注目を集めているのには、どのような時代の変化の影響があるのでしょうか。ここでは、サービタイゼーションが強く求められるようになった理由について、3つのポイントに分けてご説明します。

 

サービタイゼーションが求められる背景

モノからコトへ。CXの重要性

国内外を問わず、ユーザーの消費行動の対象が「モノからコトへ」移行していることは、サービタイゼーションを加速させている大きな要因です。大量のモノがあふれる現代で、ユーザーは「モノを所有すること」自体に価値を見出さなくなりつつあります。顧客が重視するのは製品を使うことで得られるメリット、つまり「モノによって得られる体験」=「コト」に移りつつあるのです。

 

ユーザーが製品を通じて得る体験のことは、CX(カスタマーエクスペリエンス)と表現されますが、このようにビジネスモデルがシフトしていく中、CXはさらに重視されるようになりました。もちろん製品そのものの機能や品質を高め、購入後のアフターフォローを行うという点は従来のビジネスと変わりません。その上でサービタイゼーションは、製品の利用を通して実現できる「顧客のビジョン達成」までを見通し、戦略に落とし込むのが特徴といえます。

 

具体的には、顧客の業務フローを知ることで課題を抽出し、導入後のサポートや改善への導きを提供することで、「さらなる付加価値の創出」を目指しています。複雑化する顧客の課題に伴走して顧客の自己実現をサポートし、CXを向上させることは、競合他社の中で優位性を示すことにもつながります。

【関連記事】
CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?定義、UI・UX・CEとの違い

ICT・産業革命・スマートファクトリー

近年ICT(情報通信技術)が急速に進展したこと、産業革命によってスマートファクトリーが実現したことも、サービタイゼーションが求められる背景にあります。

 

製造業のサービス化自体は、実はそこまで新しい概念ではありません。実際に、製品購入後の「定期メンテナンス」を原価におりこんだ料金体系のサービスは多くの企業が訴求してきました。しかし顧客に提示する金額が高額になってしまい、コスト相応のメリットを提示するのがむずかしく、なかなか浸透しませんでした。

 

しかしICT、デジタル技術の進展によって、このメンテナンス手法自体が大きく変化しました。「IoT(モノのインターネット)」によってさまざまなモノがインターネットでつながり、センサーを通してデータを取得するため、機器の状態に合わせたメンテナンスが可能に。また低遅延の高速インターネット「5G」によって、画像データなどの重たいデータも瞬時にやりとりできるようになったことで、遠隔操作も可能になりました。

 

このようなメンテナンス手法の改革によって、問題が発生した場合のみに保守作業を行えるようになったため、企業顧客双方のコストを引き下げることを実現しました。さらに定期メンテナンスによって機器停止なども不要になるため、顧客にとってはサービタイゼーションを提供する企業を選ぶメリットが大きくなっています。

製品のコモディティ化

製品のコモディティ化もまたサービタイゼーションが強く求められる理由のひとつです。コモディティ化とは「一般大衆化」といった意味で、市場競争が激化している近年、製品の品質だけでは差別化がはかれなくなってきた現状をあらわしています。

 

高度経済成長期から、高い品質を強みとして市場拡大してきた日本の製造業の多くは、売り切りモデルを採用しているのが現状です。しかしテクノロジーの進化によって、東南アジアをはじめとする新興国企業が高品質製品を生産し安価で販売できるようになった現在、圧倒的な品質の差だけでは差別化がはかれなくなってきました。

 

日本製品の品質の高さは以前として世界をリードしているものの、その優位性が相対的に低下したことで、製品のコモディティ化は深刻化しています。グローバル市場においては、サービタイゼーションにシフトすることで顧客の嗜好性を加味したレコメンドをおこない、顧客の囲い込みをしていく必要性がでてきているのです。

サービタイゼーション実現を支えるデジタルテクノロジー

製造業のサービス化を実現するには、あらたなメンテナンス手法に着手する必要があることは前章でもお伝えしました。ここではサービタイゼーション実現に欠かせない、主要なデジタルテクノロジーについてそれぞれご説明します。

 

IoT(Internet of Things=モノのインターネット)とは、現実空間に存在するありとあらゆるモノのデータを取得するための技術です。たとえばセンサーが搭載された機器をつかって、環境(温度・騒音など)、モノの動きや位置、ドアの開閉、植物の水やりなどの情報を、インターネットを通じてリアルタイムで取得できます。

 

そのため実際に目視して確認しなくとも、顧客が利用している機器の状態を見える化し、製造業者と顧客の間で共有することができます。メンテナンスコスト削減はもちろん、顧客のワークフローを把握するのにも役立ちます。

 

AI(Artificial Intelligence=人工知能)は近年ますますその精度を上げ、IoTなどで収集した大容量のデータを解析して、未来的な予測にまでつなげることができるようになりました。とくに深層学習(ディープラーニング)技術が躍進したことで、いくつかのパターンを把握させて学習させることで、バラつきのある大量のデータも適切な判断が可能に。製造業においてプロセス管理を効率化することや、リアルで複雑な再現・シミュレーションを行うことで未然に機器トラブルを検知し、改善点の洗い出しにも役立っています。

 

5G(5th Generation=第5世代移動通信システム)は次世代の高速通信システムです。従来のインターネット通信より高速かつ低遅延・多接続を強みとしており、インターネット上で大容量データを扱うサービタイゼーションにおいては欠かせない要素といえます。

 

5Gを活用することで、IoTから取得した現実空間のさまざまなデータを高速でクラウドにあげられるため、リアルタイムで顧客の機器の状態を把握しサービス品質を保つために欠かせない要素といえます。

 

 【関連記事】

デジタルイノベーションとは?DXとの違いや製造業における活用事例をご紹介

インダストリー5.0とは?「次世代の自動化製造」に取り組むメリットや課題、各国の取り組みや歴史的背景を解説 

サービタイゼーション日本企業事例6つ

大企業をはじめとして、サービタイゼーションにビジネスモデルをチェンジしたことで成果を出している企業は数々あります。ここでは、5つの日本企業の事例をご紹介します。

トヨタ

2022年も自動車の販売台数世界1位と自動車産業のトップを走るトヨタは、日本国内においてもサービタイゼーションに取り組む先進企業のひとつです。

 

「トヨタ・コネクティッドサービス」では、自動車とインターネットを接続し、車両の状態をリアルタイムで遠隔監視しメンテナンスをおこなうといったサービスを提供しています。顧客に対して、車両をいつでも安心・快適に利用できるという付加価値を与えています。

 

自社製車両による「トヨタレンタカーサービス」は、顧客の一時的に利用したいというニーズに応えるだけでなく、新車購入の際の試乗としても活用可能。カーシェアリングや交通インフラ管理を可能にする「トヨタ・モビリティ・サービス」では、専用のモビリティプラットフォーム「KINTO」を採用しており、顧客にとってベストな移動手段を提案することで、シームレスな移動体験を提供しています。

 

同社はサービタイゼーションの視点から、自動車の生産にとどまることなく、顧客のニーズに合わせた付加価値サービスの提供・CX向上にも注力していることがわかります。

ブリヂストン

ブリヂストンは、世界売上トップを誇る日本のタイヤメーカーです。同社も、サービタイゼーションとしてさまざまなサービスを提供しています。

 

同社は、バス・トラック事業者向けサービスとして、IoTによるセンサーでタイヤの空気圧・温度をモニタリングするデジタルソリューション「Tirematics」を提供しています。クラウドを通じてタイヤの摩擦や温度情報などを顧客と共有できるため、トラブルを未然に防止しながら車両稼働を最大化しました。適正なメンテナンスサイクルにより、高い資源生産性を保ち、環境保全の面からも訴求しています。

 

そのほか、同社はタイヤに関するデータ(顧客の装着しているタイヤの情報、保有する車両数から割り出したタイヤ需要、点検結果など)を管理するためのデジタルプラットフォーム「Toolbox」を提供しています。また使用によって摩耗したトレッドゴムを貼り替えて、機能性を復元しタイヤを再使用するまでのプロセスを、リアルタイムに把握し分析できる管理ツール「BASys」を導入することで、業務の効率性を高めています。

 

同社はタイヤメーカーとしてはもちろんのこと、CXや持続可能性にも重点を置き、自動車やモビリティに関連するさまざまなサービスを発展させています。

ダイキン

エアコンメーカーとして広く知られているダイキンは、日本の総合メーカーです。主に空調設備を生産しており、世界150か国以上で事業の幅を広げています。

 

同社が提供する「ダイキン グローバルプラットフォーム」は、IoTを活用した空調機のクラウドサービスです。同社の空調設備は、IoTによりインターネットに接続することで、稼働状況をクラウド上で一元管理し、遠隔で故障点検などのサービスを提供しています。さらにこれらの稼働状況から収集したデータを即時解析し、自動制御を行うことで、「常に快適な空調環境」という顧客体験を実現しました。

 

もともと行っていた「空調機の販売」から、「空調機を活用して、より顧客ニーズにフィットした付加価値を提供する空調ソリューションサービス」へと、ビジネスモデルの変革に成功した事例です。

クボタ

農機メーカーであるクボタが取り組むサービタイゼーションは、IoTによって農機をインターネットに接続し、土壌や作物収穫量の管理をサポートする「KSAS(クボタ・スマート・アグリ・システム」です。日本は大阪を拠点として、世界中にサービスを提供しています。

 

「KSAS」は農家向けのスマートファームソリューションサービス。IoTが搭載されたクボタの農機を使えば、インターネット上の地図データをもとに、農地情報や作業記録などのデータ収集を自動的に行います。これらのデータをAIが解析することで、作物の収穫量アップや、品質自体の向上も支援しています。

 

もちろん農機そのものの稼働率もリアルタイムで監視しているため、故障などを未然に防ぎメンテナンスコストをおさえ、収量の最大化にも役立っています。農機を通して農場を包括的にマネジメントすることで、利用者の利益にも大きく貢献しているサービタイゼーション事例のひとつです。

沖電気工業

沖電気工業は、東京に本社を構える大手電機メーカーです。通信機器をはじめとし、ATMなどの情報機器を主に製造・販売しています。

 

同社が取り組むサービス化事業は「Advanced M&EMS」。「M&EMS」は「Mechatronics & Electronics Manufacturing Service」の略称で、メカトロニクスから取り組んできた同社の強みを名前に組み込んでおり、商標登録もされています。

 

具体的には、建物や施設のエネルギー使用状況をリアルタイムでモニタリングし、エネルギーの消費パターンや使用効率を監視し、効率的なエネルギー管理をサポートするソリューションです。さらにデータ解析によって、エネルギー消費の最適化や省エネルギー対策を提案します。

 

長年にわたる情報通信分野のものづくりで培った、自社のノウハウや生産能力、高い信頼性をサービスとして提供するEMSというビジネスモデルによって、他社との差別化をはかることに成功しました。

古野電気株式会社

古野電気株式会社は、兵庫県に本社を構える電子機器メーカーです。 舶用事業を展開しており、大型商船をはじめとする漁船・小型ワークボートといったさまざまな船舶に対して、海洋関連機器を開発、船舶用電子機器・サービスを提供しています。

 

同社の取り組むサービタイゼーションは、「生化学自動分析装置」で、医療機器のひとつです。ヒトの血液中のさまざまな成分を精密測定できるものですが、このデータを個人情報を保護しながらクラウド上で扱えるようにしたことで、データ活用の可能性を広げ、付加価値を生み出しました。医療分野の臨床試験や研究機関などで、正確かつ迅速な診断・治療の実現に役立っています。

サービタイゼーション海外企業事例2つ

サービタイゼーションへの取り組みは世界的に進められており、すでに取り組んで成果をあげている企業は多く存在します。ここでは海外企業の成果事例についてもご紹介します。

Apple

洗練されたデザインのPCやスマートフォンなど、さまざまな製品の製造〜販売を行うApple。同社ではユーザーがこれらの製品を購入した後も、同社が提供するサービス・エコシステムを通じてユーザーに対して継続的に付加価値を提供するサービタイゼーションに取り組んでいます。

 

「Apple Music」はいわずとしれた月次課金制の音楽ストリーミングサービスです。ユーザーは数百万曲の音楽やラジオ番組、アーティストコンテンツなどを好きなだけストリーミング再生でき、ユーザーごとのプレイリスト作成といった機能も利用できます。

 

「Apple Pay」は同社の端末によって支払いができるデジタルウォレットサービスで、端末にカード情報を登録すれば、店頭からオンラインショップまで、手軽で簡単に支払いができる仕組みを提供。データ保管ができる「iCloud」では、撮影した写真・動画などのデータを保存して複数デバイスで共有できるだけでなく、バックアップ機能によりデバイスの故障時にもデータ復元を可能にしました。

 

さらに「App Store」で提供されるさまざまなアプリケーションをダウンロードすれば、ユーザーはスマホを多岐にわたる目的に使用できます。これによりユーザーのスマホの使用用途の幅を広げるだけでなく、同時にアプリ開発者に収益化のチャンスを提供しています。

 

このように広範なエコシステムを形成し、製品のブランディングだけでなく、あらゆる方面から自社製品をサービス化することで、多くのユーザーの囲い込みにも成功している事例といえます。

ロールス・ロイス

ロールス・ロイスは、航空エンジンをはじめとする、エネルギー関連機械を製造販売する会社です。ゼネラルエレクトリック、プラットアンドホイットニーと並ぶ世界三大航空エンジンメーカーのひとつです。

 

同社は、製品の製造・保守・整備すべてのプロセスにおいてデジタル技術を活用しており、中でもとくに注力されているのが販売後のアフターケア・メンテナンスなどのサービス分野です。ロールス・ロイスは約20年前からこれらのサービスを「トータルケア」として提供してきました。

 

サービタイゼーションの取り組みとしては、航空機エンジンを使用した飛行時間に応じて料金を請求する従量課金サービス「パワー・バイ・ザ・アワー」が有名です。IoTを活用しエンジン内のあらゆる箇所でセンシリングを行いデータを蓄積、エンジンの稼働状況を把握することで安全を担保し、同時にメンテナンスの最適化も実現しています。エンジン自体を販売しないため資源循環性も高く、消耗品のメンテナンス・交換サービスも含まれているのがこのサービスの特徴です。

 

またこれらのデータはエンジンの予兆保全のみならず、効率的なフライトパターンを分析する上でも役立てられています。

サービタイゼーション戦略構築の手順

サービタイゼーションへシフトするのは簡単とはいえませんが、段階的な転換プロセスを踏んでいくことで、改革による負担を最小限に抑えられるはずです。

 

サービタイゼーションを進めるには、それぞれ個別に提供していた製品とサービスを統合していき、その過程において、サポートやトレーニング、プラットフォームでの顧客のセルフマネジメントすべてを束ねていきます。具体的な戦略策定の手順は、以下のような手順で行います。

 

  1. 自社の強みの洗い出し
  2. ビジネスモデルを仮定(顧客ニーズ・提供価値・収益モデルなど)
  3. テスト運用と検証
  4. パートナー企業選定・エコシステム構築
  5. 事業開発プロセス・事業モデルを標準化

 

また実際にサービタイゼーション戦略を構築する上で、気をつけておくとよい2つのポイントについてお伝えします。

サービスの方向性策定

サービタイゼーションの戦略構築において大切になのは、顧客に一方的に製品の価値を与えるのではなく、顧客とビジョンを共有して価値共創につとめる考え方を理解することです。その上で、自社がサービタイゼーションで何を実現したいかを明確にし、どのような方向性でサービスを展開するかを策定します。

 

方向性の例としては以下のようなものがあります。

 

製品重視:製品を中心に位置付け、製品のカスタマイズ性や、メンテナンス・アフターフォローを充実させるサービスの方向性。

 

マーケティング重視:CX強化を戦略の核に据えて、ブランド体験を通して自社製品の魅力を伝え、カスタマージャーニーを最適化するサービスの方向性。

 

基本的には自社のサービタイゼーションにおける目標と、現時点でのリソースを明らかにして、どのような方向性が戦略として有効かを見極めましょう。

組織の改新

サービタイゼーションは製品をサービスとして提供するビジネスモデルです。そのため、これまで製品製造を主な事業としてきた企業が、そもそもサービス提供を専門とする部門を持っていないというケースは少なくありません。とくに製造業の中小企業などでは、カスタマーサポートの組織化が必要になる場合も多くあります。

 

具体的には、もともとある事業部門に顧客サービスの機能を取り入れたり、またはあらたに顧客対応チームを設置したりするケースが多いでしょう。人材リソースが限られる場合は兼務体制で行われることも。前項でお伝えした自社の強みや、サービスの方向性をふまえ、効果的な方法で組織の再編成を行います。

サービタイゼーションによって得られるマーケティング効果

製造業がサービス化することで、企業の営業・マーケティング戦略の上でも非常に大きな効果を得られるはずです。以下3つのポイントでお伝えします。

顧客ニーズに最適なサービス提供

「サービタイゼーション」という一連のプロセスに取り組むことによって、より顧客ニーズに的確なサービスを提供できるようになります。

 

製品売り切りモデルでは、顧客が購入した時点でプロダクトは製造者の手を離れ、定期メンテナンス以外ではその状況を把握することができませんでした。しかしデジタル技術によってサービス化された製品提供においては、顧客の運用データがリアルタイムで取得可能に。予知保全サービス・最適化アドバイスなど、顧客のニーズに合わせた個別化サービスの提供が可能です。

 

さらにユーザー自身が利用可能なサービスプラットフォームを提供することで、より顧客ニーズにフィットしたサービス提供が可能になります。顧客自身がプラットフォームを通じて製品のカスタマイズから発注、サービスのリクエストなどを行える仕組みを整えましょう。顧客の業務フローに、自社製品の活用とそれに対するフォローを組み込むことで、顧客との関係もより強化できるはずです。

 

プラットフォームの提供においては自社のリソースに限らず、パートナー企業と連携することで、ユーザー視点で最適な付加価値サービスを提供できるかもしれません。

満足度・リピート率・ロイヤリティ向上による収益安定化

サービタイゼーションにビジネスシフトしていくことで、製品プラスアルファの価値提供が可能になり、顧客の満足度やロイヤリティ向上に寄与します。

 

サービタイゼーションは、一様に同じ製品を販売するのではなく、顧客のニーズに合った形で製品を提供していくビジネスモデルです。サービタイゼーションでは顧客の利用データを分析して提供するサービスをブラッシュアップしていくため、顧客は製品の性能以外にも高い付加価値をうけとることができます。また売って終わりではなく、製品をサービスとして継続利用してもらうビジネスモデルでは、顧客と良好な関係をつみあげていくことが収益安定化につながるのもメリットです。

 

顧客との長期的関係を築くためには、製品の利用・メンテナンスを含むアフターフォローはもちろん、製品のカスタマイズ・データ解析・トレーニングコース・コンサルティングプランなどさまざまなアプローチが考えられます。顧客の課題解決や自己実現に伴走することでロイヤリティを向上させ、ユーザーの「使いたい」という気持ちを高めていきましょう。

新たな収益源・ビジネスモデルの確立と競合との差別化

サービタイゼーションを実現できれば、製品の販売数だけに依存することなく、新たに収益源を得られるのも大きなメリットです。

 

たとえば、製品とその周辺サービス・サポートを組み合わせることで、顧客の微細なニーズに応じたトータルソリューションの提供も可能になります。

 

この場合注意したいのは、自社プロダクトを起点に戦略構築すると、提供できるサービスの限界値が決まってしまい、顧客ニーズに対する訴求力が弱まってしまうことです。自社の魅力を最大限に示し、顧客に対して高い価値提供をするためには、他社との連携が必要になることも少なくはありません。自前志向に固執せず、ユーザー起点でのサービスを展開していくことで、ひいては競合他社との差別化をはかることができ、市場での競争力を強めることができます。

サービタイゼーションへシフトする上での課題

サービタイゼーションにビジネスシフトしていく上で、課題となりやすいポイントについてもお伝えします。

人材や技術の確保

サービタイゼーションにおいて、ユーザーの情報解析を行うプロセスは必要不可欠です。もちろんAIによって自動化されつつある領域とはいえ、正しく運用するには専門的な人材リソースも必要になります。>かし実際に日本で、デジタル技術に関する知見、製造業の事業における経験、この両方を持ち合わせている人材を見つけることは非常にむずかしいのが現状です。

 

こういったケースでは、自社内でサービタイゼーションを推進する事業部門の人材が中心となってプロジェクトを立ち上げ、外部リソースを導入し、自社で何を行いたいかを伝えていくことが適切です。またこのとき重要になるのが、社外の人材が変革をリードできるよう、柔軟でオープンな社内文化を醸成していくことといえます。

 

人材確保においては、まずは自社にどのような人材(技術)がいて、どのような人材(技術)が足りないのかを把握し、必要な人材の要件を、人事部・事業部がともにすり合わせながら策定していくことが大切です。さらにサービタイゼーションで必要となる、「顧客の課題を抽出し解決に導くスキル」「顧客の自己実現に伴走するスキル」を習得するためには、座学だけでなく、eラーニング×OJTといった現場でのプロジェクトを通じて習得できるような機会を設けることも必要です。

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製品・サービスのバランスとツール選定

サービタイゼーションを実現させる上で難しさをともなう点として、製品とサービスをシームレスに統合し、そのバランスをとることが挙げられます。いくら質の高い製品をつかっていても使いやすいサービスとして落とし込めていないケースや、またその逆も然りと、サービタイゼーションにおいて陥りがちな問題といえます。

 

製造業の多くの現場においては、開発・生産ノウハウや高品質の製品を強みとする一方で、顧客の自己実現に伴走するスキルセットは不足している傾向があります。顧客ニーズを正確にキャッチし、最適なサービス提供を続けるには、顧客との対話が必要不可欠です。人材育成やツール選定も含めて、サービタイゼーションにモデルチェンジすることで自社が何を達成したいか、実現に必要な要素はなにかを明確にする必要があります。

 

またサービタイゼーションに移行する上ではデジタルツールの活用も必須項目といえます。とくに、デジタルツールに関して知見のある人材リソースが足りない、といった場合にはツールを提供するベンダーのサポート体制なども確認しておきたい点です。ツール選定の上では、サービタイゼーションで達成したい目的やそれを達成するためのサービス戦略を明確にし、なおかつ自社の規模感にあったツールを選ぶのが成功の秘訣といえます。

まずはできるところから「サービタイゼーション」を

製造業のサービス化、サービタイゼーションについて解説しました。

 

かつては高額なメンテナンスコストからメリット訴求が弱く、製造業において浸透をはかるのは困難とされてきたサービス化。ところが近年のICTの躍進=メンテナンス手法の変革によって、時代が大きく動き始めたのを肌で感じている方も多いのではないでしょうか。

 

「サービタイゼーションにモデルチェンジする」と聞くと大掛かりに感じ、何から始めてよいかわからないという方も、自社の事業内容や事業規模に近い企業の事例などを参考に、まずは取り入れられそうなデジタルツールから試してみるのもおすすめです。

 

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Tue, 13 Jun 2023 00:00:00 +0900