「マーケティングオートメーション(MA)ツール」という用語を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
海外のMAベンダーが日本に本格参入してきた、いわゆる「マーケティングオートメーション(MA)元年」は2014年なので、マーケティングオートメーション(MA)は日本のマーケティング現場においてはまだまだ新しい概念です。
近年は海外のツールだけでなく、国産のMAツールも増えてきました。
これから全16回に渡りMAツールに関することをご紹介していきますが、第1回目の今回は、そもそも「MAツール」とは何かについて紹介します。
マーケティングオートメーションツール(以下MAツール)とは、一言で言うと「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化するツール」です。
新規顧客を開拓するには、それぞれの見込み客が持っている興味や関心、その行動に対して「最適な情報」を「最適なタイミング」「最適な方法」で提供するマーケティング活動が求められます。
しかし、これを実施するには多くの人員が必要です。見込み客をフォローしたくても手が回らないと悩んでいる会社も多いのではないでしょうか。 そこで、人的なマーケティングのオペレーション部分を効率化・自動化するために開発されたのが、「マーケティングオートメーション(MA)ツール」です。
BtoB業界におけるマーケティング活動は、「デマンドジェネレーション」という考えが重視されるようになりました。
これは、次の3つのステップを段階的に進めながら商談へつなげていく手法です。
マーケティングオートメーション(MA)ツールは、見込み顧客自身の固有情報や見込み客から収集した各種情報の一元管理、育成、さらにはホットリード(購買意欲の高い見込み客)の絞り込みまでの活動を自動的(効率的)におこなう役割を果たします。
マーケティングオートメーション(MA)ツールを用いることで、自社サイトに訪問したユーザーの企業名や企業情報、個人名が取得でき、さらにそのユーザーがサイト上でどういう行動をとったかというログまで分析・管理が可能です。
これらの情報を用い、「1週間以内に製品Aの資料をダウンロードした」「キャンペーンページを見た」「従業員501-1000人以上」など、特定の条件で見込み客を抽出しリスト化することができます。特定のアクションや条件ごとに分類することで、見込み客の興味・関心があるであろう情報を想定しやすく、見込み客へのアプローチもしやすくなります。
マーケティングオートメーション(MA)ツールが担う領域であるリードナーチャリング(見込み客の育成)の手法の一つとして、メールマーケティングがあります。メールを戦略的に配信することで見込み客のステータス(検討度)を上げていく活動です。
マーケティングオートメーション(MA)ツールを戦略的に用いることができると、ユーザーの反応に合わせたメールコンテンツを自動で配信することができ、通常のメール配信ツールよりもよりユーザー目線で、ユーザーが欲しいと思っている情報を、欲しいと思っているタイミングで配信することができます。
マーケティングオートメーション(MA)ツールはマーケターだけでなく、営業担当にも使われます。
ホットリードを検知したら、条件に合わせて営業担当をアサインし、自動でアサインメールを送信するという事も可能です。
提案中の見込み客や過去案件の見込み客がWEBサイトに訪れていることを検知して、担当している営業にアラートメールで通知を出すといった機能を有しているツールもありますので、人的に行っていた営業への通知やアサイン業務も自動化が可能になっています。
SFAやCRMを利用している企業であればマーケティングオートメーション(MA)ツールを一緒に管理することで、いま現在その見込み客がどういう状態なのかお互いに把握することができ、案件確認の手間も省くことができます。
マーケティングオートメーション(MA)ツールを使っていない場合は、見込み客がアツい(検討度が高い)かどうかについて、営業担当の勘や過去のやり取りの記憶などの曖昧な要素のみに頼らざるを得ないです。
もちろんこれは必要な要素なのですがマーケティングオートメーション(MA)ツールを併用することで見込み客がどういった行動をしているか数値的な分析が可能なため、「こういうアクションがあったから検討度が高い」と客観的な評価基準を加えた上でリードの選別が可能になります。
最も簡単な例としては、検討段階に達していないと確認しないであろうページや資料に触れたユーザーを条件検索し、アツいリードを抽出する方法があります。
例えば、「お問い合わせページを訪れたユーザー」で条件を絞ると、「お問い合わせページまで来たがお問い合わせに至らなかった=検討はしているが問い合わせまではしない」という比較的温度感の高いユーザーを抽出することができます。
マーケティングオートメーション(MA)ツール上で行った施策を、コンバージョンや目的ページの閲覧、セミナー申込み、資料ダウンロード数などの情報として収集し、その施策の効果を自動的に測定することができます。
また、その結果をグラフにすることで、分かりやすく可視化することもできます。
「SFA」と「CRM」も営業プロセスを効率化するツールですが、マーケティングオートメーション(MA)ツールと役割を混同してしまっている方もいるのではないでしょうか。まずは、「SFA」と「CRM」この2つのツールの特長を紹介します。
前述したデマンドジェネレーションの活動プロセスは上の図のようになっています。マーケティングオートメーション(MA)ツールは先ほども紹介した通り「営業案件を創出するためのツール」です。
SFA(セールス・フォース・オートメーション)は営業支援システムです。既存顧客や見込顧客の営業活動に関連する情報を記録・管理することができ、過去の商談の履歴や、現在進行中の案件の進捗状況、営業活動で得た重要な情報、アポイントメントや期限といったスケジュールなどの多くの情報を管理・一覧表示・編集することができます。
CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)は顧客関係を管理するツールです。
最終的に売り上げアップを目指すという点では同じですが、顧客との接点を軸に再販を行ったり類似企業へのアプローチを強化することが目的となることが多いです。
顧客とのエンゲージメントを高めてリピーターやロイヤルカスタマーを育成するために用いられることも増えてきております。
それぞれのツールは機能的には近いものを有している場合もあり、混同しやすくなってしまっていますが、生産性を高めたり、見込み客を育成したり、そもそもの案件数を増やす、という目的を達成できるのはマーケティングオートメーション(MA)ツールのみとなっています。
今回は、「マーケティングオートメーション(MA)ツールは何か」という基本的な概念から、「SFA」「CRM」との違いまでを紹介しました。
ツールの導入を考えている会社も多いかと思いますが、自社の目的・状況に合ったツールを選ぶようにしましょう。
次回は、「マーケティングオートメーション(MA)ツールが必要な理由」について紹介します。
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