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PEST分析とは?目的や進め方、メリット・デメリットをわかりやすく解説

記事公開日:2024/04/12
PEST分析とは?目的や進め方、メリット・デメリットをわかりやすく解説

PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を4つの要因(政治・経済・社会・技術)に分類し、自社に与える影響を予測する分析手法です。

 

現在、もしくは将来、自社に影響を与えうる脅威やチャンスを把握することができるため、事業戦略やマーケティング施策の立案の際に役立ちます。市場の将来性なども予測でき、自社の成長に活かすことができるため、多くの企業で取り入れられているフレームワークです。

 

本記事では、PEST分析の概要をはじめ、進め方やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。最後には実際の事例や、PEST分析と併用して利用できるフレームワークなども紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

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PEST分析とは?

PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を4つの要因(政治・経済・社会・技術)に分類し、現在もしくは将来、自社にどのような影響を与えるかを予測する分析手法です。

「PEST」は「政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)」の頭文字を取って呼ばれており、主に自社の経営やマーケティング戦略を検討する際に使用されます。

自社を取り巻く外部環境に関する分析には、大きな視点から分析を行う「マクロ環境分析」と、小さな視点から分析する「ミクロ環境分析」の2種類があり、PEST分析はマクロ環境の分析に適しているとされています。

それぞれの分析法は以下の通りです。

マクロ環境分析

「マクロ環境分析」では、政治、経済、社会、技術に加え、人口統計・技術革新・流行変化など、自社に間接的に影響を与える外部環境要因を分析します。5年、10年間など、長期的なスパンで環境要因を捉えるのが特徴です。

PEST分析の他に、「SWOT分析」(詳細は後述)などがマクロ環境分析のフレームワークとして主流です。

ミクロ環境分析

「ミクロ環境分析」では、市場の動向や将来性に加え、競合他社の動向や、顧客の行動など、自社に直接影響を与える外部環境を分析します。

ミクロ環境分析を行うフレームワークの代表は、他にも「5フォース分析」や「3C分析」(詳細は後述)などがあります。

PEST分析を行う目的

PEST分析には、自社を取り巻く環境要因を把握することで、自社への脅威を予測したり、将来性や方向性を明確にしたりする目的があります。以下ではさらに詳しく解説します。

マーケティングの方向性を明確にする

マーケティング活動で成果を出すためには、方向性を明確にすることが大切です。

市場や競合他社などの「ミクロ環境分析」も重要ですが、PEST分析では自社ではコントロールできない、外部環境の大きな流れを分析・把握します。そのため、広い視点で自社のマーケティング戦略や施策の方向性を捉えるのに向いており、PEST分析での結果はマーケティング施策を実施する上での土台となります。

まずはPEST分析やSWOT分析でマクロ環境分析を行って方向性を明確にした上で、3C分析などでミクロ環境を分析し、戦略や施策の策定につなげていくという流れが一般的です。

変化や脅威を予測する

PEST分析を行う大きな目的には、市場の変化や将来性、自社に対する脅威などの予測もあります。

PEST分析で予測した結果を、新製品開発や新規市場への参入企画などに活かすことができます。脅威が把握できると、市場やサービスの撤退判断を適切に下せるでしょう。

時流にマッチしたマーケティング戦略や施策の策定、市場チャンスを掴むために、PEST分析を行うのは大切です。

PEST分析の4要因

PEST分析の4つの要因(政治・経済・社会・技術)をそれぞれ詳しく解説します。

 

PEST分析

 

Politics:政治的要因

Politics(政治的要因)は、自社に影響を与える政治・法律・税制などの要因を指します。
具体的には、法改正や規制緩和、政府の動向や税制の見直し、外交関係の動向などが分析対象です。

業界や市場に与える影響が大きいので、自社の戦略を変更しなければならないなどの「脅威」として捉えられる場合もありますが、新規販路開拓やビジネスチャンスが見つかる可能性があるという側面もあります。

Economy:経済的要因

Economy(経済的要因)は、経済成長率や為替相場、インフレ・デフレの進行、金利など、消費動向に影響を与える経済要因を指します。

企業の売上に大きな影響や変化をもたらす経済的要因を予測することで、発生しうるリスクを最小限に抑えられるように対策を打てます。

Society:社会的要因

Society(社会的要因)は、人口動向などの定量的な要因に加え、文化や生活、価値観の変化などの定性的な要素まで、広く生活に影響を与える要素を指します。

社会的要因を分析することで流行の把握やライフスタイル変化などを予測することが可能です。消費者の好みによりマッチした製品開発やマーケティング施策の策定に活かせます。

Technology:技術的要因

Technology(技術的要因)は、テクノロジーの進化や新技術の登場などが自社に影響を与えるを要因を指します。

技術革新やIoTをはじめ、最近ではAIやメタバースなどの登場によって、市場や社会は大きな変化を求められています。事業の成長や衰退に大きく影響するため、技術的要因を分析して、「事業拡大や業務効率化につなげられないか」「自社が取り残されてしまう可能性はないか」などを把握しましょう。

では、PEST分析を行うにはどのように進めていけばいいのでしょうか?次章で解説します。

PEST分析の進め方

PEST分析は、目的・ゴールを設定してから、マクロ環境を4つの環境要因や他の項目に分類し、施策に落とし込んでいきます。

PEST分析の基本的な進め方を、以下の6つのステップで解説します。

 

  1. ①目的・ゴール、環境要因の対象の設定
  2. ②対象の情報収集・4つの要因に分類
  3. ③「事実」と「解釈」に分類
  4. ④「機会」と「脅威」に分類
  5. ⑤「短期」と「長期」に分類
  6. ⑥施策に落とし込む

 

①目的・ゴール、環境要因の対象の設定

まず、自社がPEST分析を行う目的・ゴールに加え、環境要因の対象を設定しましょう。

目的が明確であれば、PEST分析から得たデータを自社の戦略に活かす際、適切に策定を練ることができます。ゴールも明らかにしておくことで、PEST分析で定めた自社の方向性で成果を達成できるかどうかを判断しやすくなります。

また環境要因の対象を何に設定するかによって分析結果は大きく変わるので、適切な対象を設定することが大切です。自社の顧客を増やすために訴求するのであれば環境要因は業界だけに留まる傾向にありますが、業務効率化や利益拡大を目指すのであれば、環境要因として捉えられる対象は広まります。

②対象の情報収集・4つの要因に分類

目的・ゴール、及び環境要因の対象を設定したら、自社事業に関する情報収集を行い、マクロ環境を4つの要因「政治・経済・社会・技術」に分類していきます。

国が公開している各種統計データや、マーケティング会社の調査レポートをはじめ、業界団体の発する情報、新聞、専門誌の記事などから、正確なデータを収集しましょう。

環境要因の対象に関する情報を集められたら、先述した4つの要因「Politics:政治的要因、Economy:経済的要因、Society:社会的要因、Technology:技術的要因」に振り分けます。

③「事実」と「解釈」に分類

次に、4つの要素に分けた環境要因を「事実」と「解釈」に分類しましょう。

「事実」は、実際に起きていることやデータを、「解釈」は、起きた事柄を主観で理解した個人的な考えを指します。PEST分析では「事実」のみを扱うのが望ましいとされており、誤って解釈を扱ってしまうと正確な分析が行えないので注意が必要です。

数値から判断できるものやデータが明らかになっているものは「事実」、因果関係が定かではないものは「解釈」と捉えると、分類しやすいでしょう。

④「機会」と「脅威」に分類

前のステップで「事実」に振り分けた情報を、さらに「機会」と「脅威」に分類します。

自社にとって有利となる情報=チャンスとなり得る要因は「機会」に、不利になることが予測できる情報=リスクとなり得る要因は「脅威」に振り分けられます。

情報が「機会」と「脅威」のどちらに振り分けられるのかは、企業によって大きく異なり、業界全体で見ると「脅威」と捉えられる要因も、自社にとっては「機会」となる場合があります。逆のケースもあり得るので、一般的な観点からではなく、あくまでも「自社に与える影響」という視点から分類することが大切です。

一見「脅威」と考えられる情報の中に、ビジネスチャンスが潜んでいることもあるので、多面的且つ広い視野で振り分けてみましょう。

⑤「短期」と「長期」に分類

機会と脅威に分類したら、それぞれの事実に与える影響が短期的なのか、長期的なのかで振り分けます。

環境は常に変化しているため、分析するタイミングと、分析結果を活用した施策を実施するタイミングでは、情報が古くなってしまい、分析結果を適切に活かせない可能性があります。

「短期」と「長期」という時間軸で環境要因の影響を整理しておくことで、メンバー間での認識を揃えることができ、業務の効率化にもつながります。

⑥施策に落とし込む

ここまでの分析結果を具体的な施策へと落とし込んで実行に移しましょう。最後のステップでは、脅威を把握してリスクを避けつつ、機会を明らかにして事業の成長を目指すことが大切です。

また、施策に落とし込むべき優先度が高いのは「短期」+「緊急性が高い」ものです。キャンペーンの実施やプロモーション強化など、短期的な対応が必要なものを優先して施策に取り入れる必要があります。自社のリソースを考慮しながら検討しましょう。

PEST分析のメリット

PEST分析を行うメリットは、自社ではコントロールできない外部の環境を分析することで、ビジネスチャンスを把握してさらなる成長につなげられたり、脅威を未然に回避したりすることができるという点にあります。

状況の正確な把握や、必要なデータの取捨選択もできるため、不測の事態が起こっても迅速に対応できる可能性も高まります。特に新規市場への参入や新製品の開発を行う際には、PEST分析を実施した上で戦略を練るとよいでしょう。

PEST分析のデメリットと注意点

PEST分析にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。PEST分析の注意点をしっかりと理解し、対応できるようにしましょう。

まずデメリットの1つとして挙げられるのは、PEST分析は外部環境を分析するフレームワークなので、情報に不足があるという点です。3C分析などの内部環境を分析するフレームワークと併用することをおすすめします。

また、必ずしもPESTの4要因全ての分析が必要ではなく、設定した自社の目的やゴール、環境対象の要因によっては優先順位の高い要素の分析だけで十分な場合もあります。

他にも以下のことに注意し、柔軟に対応することが大切です。

 

  • フレームワークの内容を埋めさえすれば分析できたと安心しない
  • PEST分析の結果はあくまでも背景情報なので、経営層に報告する際は軽視されないように報告資料を作成する
  • PEST分析の対象となる4要素は中長期で変化する傾向にあるため、短期的な戦略構築には向いていない場合がある

PEST分析と組み合わせて使えるフレームワーク

PEST分析は、他のフレームワークと組み合わせて使うことで、より精度の高い戦略策定が可能になります。本章では、環境分析を行う代表的なフレームワークを4つ紹介します。

 

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5フォース分析

5フォース分析は、自社の収益性にとって脅威となる外部環境を調査・分析するためのフレームワークです。

 

5フォース分析

 

「5フォース」は5つの脅威=「競合他社・新規参入の障壁・代替品の脅威・買い手の交渉力・売り手の交渉力」を意味します。それぞれの脅威を分析することで、自社の関する業界の構造を明らかにし、自社の競争優位性を把握するのに役立ちます。

また自社にとってリスクとなる事柄を分析するため、どうすれば収益が得られやすくなるかを検証可能です。

3C分析

3C分析とは、主に事業計画やマーケティング戦略を決める際に用いられる分析方法です。
3Cとは以下の3つの「C」から構成されています。

 

  • Customer(市場・顧客)
  • Company(自社)
  • Competitor(競合)

 

PEST分析が政治・経済・社会・技術など、外向きの大きなトレンドや変化に注目して市場環境を分析するのに対し、3C分析は自社が直面している競争環境を理解し、戦略的な意思決定を行うためにそれぞれの要素を細かく分析・調査を行い、自社のマーケティング環境をできる限り把握します。

 

3C分析

 

3C分析のメリットは、市場・顧客、自社、競合のそれぞれの分析から「KSF(キーサクセスファクター)」、つまり事業を成功させる要因を発見できることです。外部環境の分析から事業におけるKSFを明確にすることで、成功に向けて自社が進むべき方向性が見えるようになります。

 

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SWOT分析

SWOT(スウォット)分析とは、経営戦略やマーケティング戦略立案の初期段階で活用されることが多いフレームワークです。自社を取り巻く内部環境と外部環境を4つの要素から分析し、企業や事業の現状を把握することができます。SWOTとはそれぞれを表す以下の4つの単語の頭文字を組み合わせています。

 

S:Strengths(強み)
W:Weaknesses(弱み)
O:Opportunities(機会)
T:Threats(脅威)

 

SWOT分析は、下記の図のように縦軸を内部環境と外部環境、横軸をプラス要因とマイナス要因に分けて分析します。

 

SWOT分析

 

内部環境とは自社を構成するリソースのことで、社内でコントロールできる領域を指します。内部環境を「強み」と「弱み」に分けて整理することで、既存事業の改善点や新規事業の将来的なリスクの発見につながります。

外部環境とは市場や競合他社の動向など、社内でコントロールできず、自社に影響をもたらす領域を表し、「機会」と「脅威」に分けて整理することで、新しいビジネスチャンスや潜在的なリスクを早期に見つけることが可能です。

 

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4P分析

4P分析とは、「Product(製品)/何を」「Price(価格)/いくらで」「Place(流通)/どこで」「Promotion(販売促進)/どのように」売るのかを考える、マーケティング戦略のフレームワークです。整合性のあるマーケティング戦略の立案に役立ちます。

 

4P分析

 

4P分析を行うと、商品の特性、商品品質、勝負すべき価格帯、販売ルート、顧客のニーズなどを明らかにできるので、一貫性のある思考でマーケティング活動に取り組みたい時に有効です。

4P分析は「マーケティング戦略を立案するとき」に実行され、ターゲティングやポジショニングを行った後の、マーケティングミックスを行う際に活用されます。

 

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PEST分析を行う際の3つのコツ

PEST分析を適切に行うためには、以下の3つのコツが大切です。

 

  • 目的を見失わない
  • 短期計画には不向き、中長期計画向け
  • 内部環境分析も併用して行う

 

それぞれのコツについて詳しくみていきましょう。

目的を見失わない

PEST分析を行う際には、初めに設定した目的を見失わないように気をつけましょう。

これを意識せずにPEST分析を行うと、膨大な量の情報をさばくことでいっぱいになり、目的やゴールを見失ってしまう可能性があります。気付かぬ間に手段が目的となってしまうケースもあるため、注意が必要です。

目的を常に意識しながら、基本的なステップに従って分析を行いましょう。

短期計画には使わない

PEST分析の対象とされる4要因「政治・経済・社会・技術」の変化は数年単位で変化する傾向にあり、その規模が多いほど期間は長期になります。

そのため、翌月の営業計画や数ヶ月ごとの戦略などの短期計画には不向きとされています。基本的には中長期的な事業戦略を策定する際に活用しましょう。

内部環境分析も併用して行う

先述したように、PEST分析は外部環境の変化を分析対象とするフレームワークなので、単体で活用すると情報に不足がある可能性があります。内部環境の分析も併用して行うようにしましょう。

前章で紹介した3C分析やSWOT分析を活用して事業戦略を策定することで、より精度の高い事業戦略を立案することができます。

まとめ

本記事では、PEST分析の進め方やメリット・デメリット、実際の事例など、PEST分析に関する知識を網羅的に解説しました。

目まぐるしい変化の中でも、自社でコントロールすることが難しいマクロ環境をPEST分析で適切に把握できれば、効果的なマーケティング戦略の策定や、安定した企業運営へとつながります。

紹介した注意点やコツを意識しながらPEST分析を適切に実施し、ワンランク上の経営戦略や営業計画の立案を目指しましょう。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

    Twitter→https://twitter.com/m_tame_lab


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