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「CONTENT MARKETING DAY 2019」レポート 第一回「基調講演|コンテンツマーケティング2020」

記事公開日:2020/02/25
最終更新日:2023/11/17
「CONTENT MARKETING DAY 2019」レポート 第一回「基調講演|コンテンツマーケティング2020」

アメリカでインバウンドマーケティングが提唱されてから日本でもコンテンツマーケティングが注目を浴び、企業はこぞってブログ型のオウンドメディアサイトを立ち上げ、潜在層や見込客に情報を提供するようになりました。

SNSマーケティングが活発に行われるようになると、テキストや画像以外にホワイトペーパーや動画、アニメーションなど、ユーザーに求められるようなコンテンツを制作する重要性がさらに増しました。
そして、コンテンツマーケティングに限らず、施策の効果測定をはじめとするデータ分析やコンテンツ制作など、さまざまな場面でマーケターがデジタルツールに触れる機会も確実に増えています。

こうしたマーケターを取り巻く状況を受けて、2019年11月28日(木)、株式会社日本SPセンターが運営するメディア「CONTENT MARKETING LAB」主催、コンテンツマーケティング支援などを手がける株式会社クマベイス共催で、コンテンツマーケティングに特化した専門カンファレンス「CONTENT MARKETING DAY 2019」が開催されました。

「エムタメ!」では、当日の様子を数回にわたりレポートしていきます。第一回は、「CONTENT MARKETING LAB」の立ち上げに参画した株式会社日本SPセンター 代表取締役社長 渡邉 一男氏が登壇した基調講演の模様をお届けします。

コンテンツマーケティングとは何か?

コンテンツマーケティングとは何か?

渡邉 一男氏(株式会社日本SPセンター 代表取締役社長)

渡邉氏とコンテンツマーケティングとの出会いは、書籍「Get Content Get Customers」だったといいます。同書を読んで感銘を受けた渡邉氏は、著者であるJoe Pulizzi氏に会いに行き、ますます興味を持ったことから、2010年にはマーケティング専門誌「宣伝会議」に、コンテンツマーケティングをテーマとした記事を寄稿したそうです。当時、まだコンテンツマーケティングという言葉は日本になく、自身が日本で初めてコンテンツマーケティングを紹介したのではないかと述べました。

2012年には国内初のコンテンツマーケティングをテーマとしたメディア「CONTENT MARKETING LAB」を立ち上げ、運営。2015年12月にはそれまでに得た知見から、書籍「Webコンテンツマーケティング」を出版しています。

カスタムパブリッシングとデジタルマーケティングの融合

カスタムパブリッシングとデジタルマーケティングの融合

画像引用元:当日の登壇資料より引用

「Get Content Get Customers」の著者であるJoe Pulizzi氏が創設したContent Marketing Institute(コンテンツマーケティングインスティチュート)の定義によれば、コンテンツマーケティングとは「コンテンツマーケティングとは、適切で価値ある一貫したコンテンツを作り、それを伝達することにフォーカスした、戦略的なマーケティングの考え方である。明確に定義された読者を引き寄せ、関係性を維持し、最終的には利益に結びつく行動を促すことを目的とする」とあるそうです。

渡邉氏によれば、この定義における重要なポイントは4つあるといいます。
1つ目が「適切で価値あるコンテンツ」、2つ目が「戦略的なマーケティング」、3つ目が「最終的には利益に結びつく行動を促すことを目的とする」こと。さらに、この定義のなかでは、手法について何も限定されていない点が重要だといいます。

この定義に加え、コンテンツマーケティングに取り組むうえで知っておきたい知識として、「アメリカのコンテンツマーケティングの源流はカスタムパブリッシング」であることが紹介されました。カスタムパブリッシングとは企業が出版する雑誌のことで、PR誌や会員向けの会報などを指すといいます。

カスタムパブリッシングとデジタルマーケティングの融合

画像引用元:当日の登壇資料より引用

Joe Pulizzi氏のブログには、「カスタムパブリッシングには、企業の『売り込みたいという野望』と、ターゲットオーディエンスの『情報ニーズ』を融合させる力がある」と書かれているといい、現在の日本で使われているコンテンツマーケティングの定義に近しいと述べました。

コンテンツマーケティングは取り立てて新しい概念というわけではなく、カスタムパブリッシングでは紙媒体しかなかったところに、デジタルを含むさまざまな伝達手段が増えて理想的な情報提供のかたちができあがってきたのだとまとめました。

アメリカにおけるコンテンツマーケティングの動向

アメリカにおけるコンテンツマーケティングの動向

画像引用元:当日の登壇資料より引用

Googleトレンドによると、アメリカでの「Content Marketing」の検索ボリュームは2018年頃まで上昇を続け、一旦、下降したあと、再び上昇しているといいます。

また、アメリカでは、「コンテンツマーケティングが成熟するとブランドパブリッシングになる」という明確な方向性があるといいます。

ブランドパブリッシングでは、コンテンツそのものが収益を上げることを理想としており、この事例としてレッドブルが紹介されました。清涼飲料水のレッドブルでは、協賛するスポーツのプレーの放映や雑誌発行などで収益を上げているといいます。

さらに、ホテルなど宿泊施設の運営を手がけるマリオット・インターナショナルがメディアカンパニー化しつつあるという事例も紹介されました。同社では、社内に90名体制のコンテンツ制作チームを持ち、情報発信に注力しているといいます。

また、シングルボード・コンピュータの開発などを行うイギリスのラズベリー・パイ財団は、「Custom PC」という既存メディア(雑誌)を買収することで、ノウハウを蓄積することなくコンテンツ制作体制を手に入れることに成功したそうです。

日本におけるコンテンツマーケティングの今後

渡邉 一男氏

渡邉 一男氏(株式会社日本SPセンター 代表取締役社長)

日本での「コンテンツマーケティング」の検索ボリュームの変遷をGoogleトレンドでみると、2016年頃にピークを迎え、急激に落ち込んでいるといいます。
さらに、今年に入ってからコンテンツマーケティングの衰退を感じさせるニュースが複数、報道されているそうです。たとえば、Yahoo!のコンテンツマーケティングからの撤退(※「Yahoo Contents Discovery」を2019年9月末でサービス終了)や、知名度のある複数のオウンドメディアが更新停止や閉鎖を発表するなどが紹介されました。

渡邉氏は、こうした日本の状況を作った原因として、アメリカのカスタムパブリッシングのようにコンテンツマーケティングの基礎となるものがないままに、形だけ真似たことがあると指摘。日本におけるコンテンツマーケティングの歴史を紐解きながら、3つのズレについて言及しました。

最初のズレは日本でコンテンツマーケティングが立ち上がり始めた2013年に起きたといいます。それまでは分けて考えられていた「広告」と「コンテンツ」を一体化した方が良いという考えが生まれてコンテンツのなかに広告が組み込まれ、同時に「バズる」という言葉が生まれ、「コンテンツは面白ければ良い」という価値観が浸透したといいます。

2つ目のズレは、2013~2014年頃に起きたといいます。この頃、コンテンツマーケティングに関する書籍が多数出版され、Joe Pulizzi氏の著書「戦略的コンテンツマーケティング」も翻訳出版されましたが、原書には一切記載がない“オウンドメディアで成功するための”という文言がタイトルに追加された点を指摘。これが本来のコンテンツマーケティングの目的をミスリードし、「コンテンツマーケティングはオウンドメディアのためにある」という勘違いを生んだと指摘しました。
次に翻訳された書籍「Think Like a Publisher」でもタイトルが「~編集者のように考えよう~ コンテンツマーケティング27の極意」と誤訳され、本質である「企業が発信者として考える」ことからそれてしまっていると指摘しました。

3つ目のズレは、2014~2015年頃、Googleの検索アルゴリズムが大きく変化し、検索順位が小手先のSEOテクニックではなく、コンテンツの質を重視したものが優位になるように変化した際に起きたといいます。このとき、「コンテンツによるSEO対策」という意味の「コンテンツSEO」という言葉が生まれ、コンテンツマーケティングの目的がSEOであるかのように捉えられてしまったと指摘しました。

日本で正しいコンテンツマーケティングを実践するために

渡邉 一男氏

渡邉 一男氏(株式会社日本SPセンター 代表取締役社長)

最後に、コンテンツマーケティングの本質が理解されず、衰退傾向にある日本において、コンテンツマーケティングに取り組むための3つのポイントが紹介されました。

1つ目は、小さな施策にもコンテンツマーケティングの本質的な考え方を取り入れること。前述の「Think Like a Publisher」の著者であるRebecca Lieb氏は、「コンテンツマーケティングはマーケティングキャンペーンを構成する原子のようなものだ」と書いているといいます。
つまり、全体戦略を考えたうえで部分戦略としてコンテンツマーケティングを行うことだといいます。

2つ目は、ウォンツ・コンテンツではなくニーズ・コンテンツから作ることで、渡邉氏によれば、これはマーケティング用語としてのウォンツ、ニーズではなく、単純に英単語としての意味で考えれば良いといい、「あったら欲しい」コンテンツではなく「なくては困る」コンテンツ作りを目指すということ。
そのためには、既存コンテンツを精査して、不足しているコンテンツを探し出す必要があり、これを別の確度からみると「ファネルの下層からコンテンツを整備し、積み上げていく」ことになるといいます。これにより、流入したユーザーが購入までつながりやすくなるのだそうです。

日本で正しいコンテンツマーケティングを実践するために

画像引用元:当日の登壇資料より引用

逆に、マーケターは「認知獲得のためのコンテンツ」といった切り口からウォンツ・コンテンツを作りがちであると指摘しました。

コンテンツマーケティングに関する情報をアップデートするためにも、コミュニティへの参加が重要で、「CONTENT MARKETING DAY」のようなイベントへの積極的に参加して欲しいとまとめ、基調講演は幕を閉じました。

2020年も開催決定!

2020年の開催も既に決定していて、11月20日(金)に昨年と同会場の恵比寿でおこなわれます。

三年目となる今回は「直感と理性のマーケティング」をテーマに、実用的なコンテンツマーケティングを学ぶ機会、そしてコンテンツマーケティングに取り組む人々同士をつなぐイベントとなるようです。


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