展示会担当「やっと展示会業務が終わった―!!でも目標売上まで受注するまでが展示会だ!」【第11話:最終回】
最終更新日:2023/10/27
MTMセキュリティの日野(25歳)は入社3年目の営業マン。
会社としても初めての出展となる展示会の担当者に抜擢され、営業部のメンバーや外注業者に助けられながら体当たりで臨んだ結果、目標を大幅に上回る名刺を獲得した。
前回、獲得した名刺をデータ化してマーケティングオートメーション(MA)にインポートし、お礼メールを送って一段落ついた感があった。
しかし、この後、「目標売上まで受注するまでが展示会」であるということを知ることになるのだった。
【前回までの話はこちら】
展示会担当「いよいよ展示会に出展するときがきた!」【第0話】
展示会担当「このままじゃブレブレの展示会になってしまう…!コンセプトを決めなきゃ!」【第1話】
展示会担当「そろそろ装飾業者を決めないと!どうやって選べばいいんだ…」【第2話】
展示会担当「危なっ!諸々の書類提出を忘れるところだった!!…」【第3話】
展示会担当「チラシってどうやって作ればいいんだ…パワポの営業資料は作ってるけど」【第4話】
展示会担当「当日のメンバー決め。新卒だけでこの目標にいけってこと…?」【第5話】
展示会担当「追客ルール?同じ会社の人間なんだし揉めない…よね?」【第6話】
展示会担当「当日どうする?おそろいのポロシャツで活気を出そう!」【第7話】
展示会担当「展示会当日の搬入・搬出作業!?見落としてた!!」【第8話】
展示会担当「展示会当日!やばい。棒立ちの社員続出。掛け声とか決めておけ【第9話】
展示会担当「ちょっと営業さん早く電話してー!せっかくアツい名刺が…そうだ!お礼メールだけ先に送っておこう!」【第10話】
1.展示会が成功したかどうかは、すぐにはわからない
展示会「オフィス・セキュリティ・ショー」から1ヵ月。
名刺獲得数は目標を大きく上回り、名刺のデータ化やMAへのインポートも済んだところで、日野の中では “展示会業務はこれにて終了”といった雰囲気があった。
にんまりしている日野のところへ、上司の坂田がやってきた。
展示会のリードへのアプローチ状況は、どうなってる?
あ…すいません。進捗確認してないです。
展示会は、出展して終わりじゃないんだからな。しっかり売上につなげてくれよ。
了解いたしましたっ!
本来は、獲得名刺すべてにアプローチするのがセオリーだが、マーケティング部門もインサイドセールス組織も持たないMTMセキュリティでは営業部が対応するしかなく、多忙さからアプローチしきれていないのが現状だった。
それでも、各営業担当は自分が名刺交換した見込客へのアプローチを少しずつ進めていた。
名刺データに対し、MAから一斉お礼メールを送信した後の各リードの反応も、それぞれが自身のアカウントからログインして随時確認しているはずだ。 お礼メールへの反応が活発な見込客を優先的にフォローすることは、すでに伝えてある。
もう一度、ミーティングを開くべきかな…。
日野が悩んでいると、オフィスのドアが勢いよく開いて、満面の笑みを浮かべた諸橋が駆け込んできた。
受注しましたっ!!展示会の名刺からです!
おめでとうっ!
おめでとうっ!
もしかして、展示会からの受注って初なんじゃないの?
そうです!
おめでとう、諸橋!ありがとうっ!
2.ナーチャリング活動が重要
アプローチが済んだ見込客のうち、アポが取れなかった見込客についてはナーチャリングが必要だということは、松盛から聞いて知っていた。
ただ、ナーチャリングっていわれてもなぁ。具体的に、どうやったらいいんだろう?
日野は松盛に相談し、CSの電話サポートの番号を教えてもらった。
お電話ありがとうございます。何かお困りのことがありましたか?
展示会で集めた名刺情報をインポートして、お礼メールは送ったんですけど、アプローチしてアポが取れなかった見込客のナーチャリングって、具体的にどうしたらいいんですかね?
ナーチャリングですね。取り組みやすいのはメールを使ったナーチャリングです。
【解説】(天の声)
アプローチしたらすぐ商談化できて受注につながるような「今すぐ客」は、一般的に獲得名刺のうちの1割未満です。
だからといって、残り9割以上の「お悩み客」や「そのうち客」「まだまだ客」を放置してしまっては投下した予算を回収できないケースがほとんどでしょう。
【関連記事】
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そこで、必要になってくるのがナーチャリング活動です。
一般的に使われるナーチャリング手段はメールマガジンです。見込客の検討度に合わせて必要と思われる情報を提供していき、購買意欲を高めます。
また、セミナーへ誘導することで、ある程度の母数に対して購買意欲を高める施策も効率的です。
平行してMAで見込客の行動をトラッキングし、それぞれの見込客に営業アプローチをする最適なタイミングを見極めます。
このほか、MAを活用した追客のノウハウをまとめた資料を以下よりダウンロードいただけますので、ご活用ください。
日野は、サポートからアドバイスを受けたメールマガジンの第1回目を配信するべく、アウトラインを作成していた。
ふぅ。だいたいこんな感じかな?あとは、坂田さんにチェックしてもらって、文章を作成して…と。
しかし、見込客の閲覧ページまでわかるなんてMAってすごいな。もっとちゃんと運用できれば、費用対効果が上がりそうだよな。軌道に乗るまで、コンサルティング契約してくれないかなぁ?
メールナーチャリング以外にもサポートからは、LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)やROAS(Return on Advertising Spend…広告費に対して売上ベースでどれだけ投資効果が上がっているかを測る指標)の算出方法などを教わった。
獲得名刺数が874枚、アポ率が10%として、目標アポ数は87.4アポか。受注率15%として、目標受注数は13.11件だな。
売上は、1件あたり月額3万円で平均契約期間が3年だから、おおよそのLTVは1件当たり108万円。これが13.11件だから、目標売上は1415.88万円。
広告費が331万円かかったから、ROASは…427.75%と。
かかった広告費
出展料(2小間) | 200万円 |
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装飾費用 | 120万円 |
チラシ作成 | 5万(クラウドソーシング) |
印刷代(A4 2,000部) | 1万円 |
搬出・搬入代 | 3万 |
Tシャツ | 2万 |
目標アポ数 | 874×0.1=87.4(件) |
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目標受注数 | 87.4×0.15=13.11(件) |
LTV(月額) | 3万(円)×12(ヵ月)×3(年)=108(万円) |
目標売上金額 | 108(万円)×13.11(件)=1415.88(万円) |
ROAS | 1415.88万(万円)÷(広告費)331(万円)×100=427.75% |
3.次回はノベルティやコンパニオンの施策も試してみたいな!
サポートの人の話だと、ROASはだいたい500~1,000%だっていうから、初回にしては頑張ったけど、ゆくゆくは500%は越えていきたいなぁ。
次回以降は、ノベルティを配ったり、コンパニオンを配置したりも試してみたいな!
アプローチのリマインドもしていかないとなぁ…。よしっ、毎週の定例ミーティングでリマインドしつつ、進捗の確認もしていこう。
進捗確認の項目は、シンプルに次の3点に決めた。
- アプローチ率
- 商談数(見込み度ごとに)
- 受注金額
日野は、今回の出展をベースとしながら、次回以降の出展ではさらなる効果を出すことを決意したのだった。
日野は、展示会担当者の業務を通してマーケティングのノウハウを身につけ、ただの営業マンから、マーケター寄りの営業マンへと大きく飛躍しつつあるようですね。
皆さまも、日野のように、出展すること自体が目的化しないよう、売上につながる展示会運用を目指して頑張っていきましょう!
展示会出展、出展後の追客などに関して、お困りごとがございましたら、エムタメ!までお気軽にご連絡ください。
これまで、お付き合いくださいまして、ありがとうございました!!
※この物語は架空のものであり、実在の人物や企業とは一切関係がありません。
【展示会関連資料】
展示会のノウハウに関してはこちらもご活用ください!
>展示会でのMA活用マニュアル
>展示会の効果を最大化させる12の手法
いろいろあったけど、初めての展示会出展は大成功だったといえるんじゃないかな。