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アップセルとは?クロスセルとの違いや重要性、効果的なタイミングについて解説

記事公開日:2024/02/28
アップセルとは?クロスセルとの違いや重要性、効果的なタイミングについて解説

アップセルとは、過去に商品を購入または商品購入を検討中の顧客に対し、上位の商品を提案し買ってもらうセールス手法を指します。アップセルを行うことで、1人あたりの顧客単価のベースを引き上げることができ、企業の利益拡大を図れます。

 

企業の収益力強化につながるアップセルは、SaaSをはじめとするサブスクリプション型ビジネスの台頭により、改めて注目を集めています。

 

本記事ではアップセルの基礎知識からクロスセルとの違い、アップセルの提案に効果的なタイミングなどをわかりやすく解説します。

 

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アップセルとは

アップセルとは、過去に商品を購入または商品購入を検討中の顧客に対し、上位の商品を提案し買ってもらうセールス手法を指します。具体的には10万円のパソコンの購入を検討している顧客に、セキュリティソフトや文書作成ソフトなどを搭載した15万円のパソコンを勧め、顧客単価を高めるというものです。

 

多くの場合、商品の比較表などを用いて、顧客により単価の高い商品を提案します。提案した商品のほうがより顧客ニーズを捉えた商品であると示すことで、顧客が満足して購入するきっかけを提供します。

アップセルとクロスセルの違い

クロスセルとは、自社の商品を購入している顧客に対し、購入した商品と異なる商品やサービスを勧める営業手法です。たとえば10万円のパソコンの購入を検討している顧客に、セキュリティソフトやマウス、キーボードといったPC関連商品のあわせ買いを提案します。

 

アップセルとクロスセルの大きな違いは、顧客が購入する商品タイミングです。アップセルは顧客に「同じ商品・サービスの上位グレード」を勧めるのに対し、クロスセルは「購入予定商品の関連商品」を購入してもらい、単価を上げることを目的としています。

 

また提案するタイミングも異なり、アップセルは購入する予定商品の買い替えや検討中のタイミングで勧めますが、クロスセルは商品購入が決定してからの、契約や購入を行うまでの間に関連商品を提案するのが主流です。

 

アップセル・クロスセルともに顧客単価のアップという目的は同じですが、提案内容やタイミングに違いがあります。

 

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BtoB企業でアップセルが重要な理由

BtoB企業においてアップセルが欠かせない理由について解説します。

顧客単価の向上

BtoBビジネスはBtoCと比べてターゲットとなる母数が少なく、新規顧客の獲得が難しい傾向にあります。一般的に新規顧客を獲得するコストは、既存顧客に比べて5倍かかると言われており、相応の手間と時間が発生します。また時間やコストをかけてようやく獲得した新規顧客が、今後も継続して自社商品を利用するかまでは予測できません。そのためBtoBで売上拡大を図るには、既存顧客の顧客単価を上げることが近道とされています。

 

アップセルに成功し、上位モデルの商品やサービスを提供できると顧客1人あたりの単価が上がります。各顧客の単価アップに伴い、利益の大幅な上昇が見込めるため、顧客数を増やさずに総売上額を伸ばすことが可能です。顧客数が限られているBtoBビジネスにおいて、アップセルは効率の良い売上向上施策のひとつといえるでしょう。

 

LTV(顧客生涯価値)の向上と業務効率化

LTV(Lifetime Value:顧客生涯価値)とは、1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益のことを表します。顧客のニーズを捉えたアップセルを実施することで、「優れた商品を提案してもらえた」「課題解決に最適なサービスを導入できた」など、顧客が求める以上の購買体験を提供できるため、顧客満足度の向上が期待できます。顧客と企業の関係が良好になると、企業に対して信頼や好印象を抱くようになり、「次はこの商品を買ってみよう」「◯◯のサービスを契約してみたい」などのアクションが発生し、LTVを高められます。

 

LTVの向上に加え、業務効率化を図ることができます。自社商品・サービスを売る場合、自社商材の説明からはじめ、何度も商談を重ねて契約に至るまで膨大な時間と手間がかかります。一方で既存顧客は過去に一度商品を購入しているため、すでに自社商品についてはある程度理解していることから、アプローチを仕掛ければ商品を買う可能性が高い存在です。新規顧客よりも営業コストを抑えつつ、効率よく売上を上げられます。

 

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アップセル実施のポイント

アップセルはただやみくもに顧客に行えばいいわけではありません。本章ではアップセルの実施にあたり押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

顧客情報の正確な把握

まず最初に行うべきが、顧客情報の収集です。自社商材・サービスを利用するユーザーの属性を明らかにし、商品に対しどのようなニーズを抱えているのかを改めて分析・把握します。企業側が正確なユーザー属性や顧客ニーズを理解していないと、的はずれな提案ばかりをしてしまい、失注や顧客離れが起きる可能性があります。収集したデータをもとにどのようなユーザーであれば、アップセルを成功しやすいのかをしっかり把握し、効果的な提案を行いましょう。

 

失注リスクを下げるためのツールとして、顧客情報を一元管理できるCRMツールやMAツールを活用するのもおすすめです。

 

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商品設計の見直し

次に商品設計の見直しです。アップセルをスムーズに進めるには、商品ライナップを、「下位・中位・上位」と複数用意し、それぞれの機能や特徴に差が出るような内容にすることをおすすめします。商品ラインナップが似たりよったりになってしまうと、一番安いプランの契約になってしまうことが多く、顧客単価の引き上げができなくなります。

 

商品設計の見直しにあわせて「下位商品から上位商品に変えることで得られるメリット」「上位商品・グレードがふさわしい理由」の理由付けも必要です。ただ上位商品を勧めるのではなく、この商品がなぜ顧客にとって必要なのかを明確にすることで、顧客に満足度の高い購買体験を提供できます。顧客満足度向上にもつながり、企業への信頼度も増すため、必ず用意しておきましょう。

 

アップセルを成功するうえで、商品設計の見直しは最も重要なポイントです。顧客がアップグレードしたいと思うようなラインナップにしましょう。

現場への浸透・理解

アップセルを主に行うのはフィールドセールス(営業マン)やインサイドセールスです。アップセル成功の可否は彼らにかかっているといっても過言ではありません。そこで、アップセルの方針を営業の現場に浸透させるために、以下の3つが重要となります。

 

  • 営業方針を明確に定義し、周知徹底する
  • 現場に浸透するまで繰り返し伝える
  • 現場の声を施策に反映する

 

まずはじめにアップセルの目的や重要性を説き、営業方針が担当者に浸透するようにしましょう。目的や戦略、顧客への接し方を理解することで、一貫したアプローチを取れるようになり、営業スタイルが統一されるようになります。しかし浸透までには時間がかかるため、周知は1回きりにするのではなく、繰り返し何度も伝えることが大切です。そのためにも営業部門全体で常に情報を共有し、PDCAを回しながら施策の改善を図りましょう。

アップセルの具体例

アップセルは上位モデルへの提案以外にも、まとめ買いや長期契約による割引、ロイヤルティプログラムなどさまざまな方法があります。具体的には以下のとおりです。

まとめ買いの提案

まとめ買いとは特定の商品(プラン)を複数購入することで、合計金額から割引したり、一定金額以上の購入で送料無料にするなど、顧客に購入によるメリットを示し、商品の複数購入を通して顧客単価を上げる仕組みです。

 

たとえばオフィス用品などを販売する通販サービス「たのめーる」は、対象商品をまとめて購入すると、1点あたりの単価が割引される「たの割ミックス」や同じ商品のリピート購入で1点あたりの金額が安くなる「たの割」を実施しています。複数購入によるアップセルを狙った施策といえます。

長期契約による割引

長い期間にわたって同じ商品をリピート購入している顧客に対し、割引を提案する方法です。

 

一例として、法人向けレンタルサーバーサービスを運営する「ニフクラ」では、契約期間に応じて一定の金額を割り引く長期利用割引プランを用意しています。最大40%以上の割引が適用され、契約期間が長くなるにつれて利用料金が安くなるため、他社への乗り換えを防ぐ効果があります。

ロイヤルティプログラムの導入

ロイヤルティプログラムとは、購入頻度や購入金額の多い優良顧客に対し特典を与える施策を指します。顧客維持戦略のひとつで、自社商品やサービスを継続的に購入したくなるような特典を顧客に与えることにより、顧客が他社に流出するのを防ぎます。

 

カタール航空は法人向けプログラム「Beyond Business」に、ロイヤルティプログラムを導入しています。全部で5つの会員レベルが用意されており、カタール航空の利用回数・購入金額に合わせてグレードが上がります。会員レベルごとに優先手荷物や航空券の割引などの会員限定特典を受けられます。

アップセルの効果的なタイミング

アップセルの成功の鍵は、提案するタイミングにあります。誤ったタイミングで行ってしまうと、顧客の不信感を招く恐れがあり、最悪購入や契約を見送る可能性があります。そのような事態を避けるためにも、商材にあわせた適切な提案が大切です。本項ではBtoB、BtoCの商材ごとのタイミングについて解説します。

BtoB商材の効果的なタイミング

BtoB商材のアップセルは、特にサブスクリプション方式を採用しているSaaS型ビジネスに有効です。交渉のタイミングは、以下の3つの場面で行うと成功率が上がります。

 

①契約更新時
②予算捻出時
③課題判明時

 

特に①の契約更新時が最も成功しやすいといわれています。契約更新を行うということは、顧客が自社商品やサービスに対して一定以上の満足度を得ていると考えられるからです。次に確率が高いのが、②の予算捻出時です。企業の意思決定は予算に左右されるといっても過言ではありません。アップセルを提案する際は企業の予算策定時期も考慮したうえで実施するといいでしょう。

 

③については顧客とのコミュニケーションを図る中で、新たな課題が判明し、その課題解決を図るためのサービスや代替案を提供することにより、アップセルが成功することもあります。顧客が抱える悩みや課題を素早く把握できるように、日頃から顧客視点に寄り添ったサポートやコミュニケーションを取る必要があります。

BtoC商材の効果的なタイミング

BtoC商材におけるタイミングは、顧客の感情が高まったときがベストです。具体的には顧客が企業に対して好印象を抱いている際に、より良い商材を提案すると購入する可能性が高くなります。

 

たとえばYou TubeやSNSでインフルエンサーが紹介している動画を視聴し、その商品が魅力的であったり、自身のコンプレックスを解決する商品であった場合、ユーザーは「商品を購入したい!」という気持ちに駆られます。そのタイミングで商品を宣伝するWebサイトやURLをPRすることで、商品購入などのコンバージョンにつなげられます。

 

もうひとつは購入の決断をしたタイミングです。よくある例としては、ファーストフードで店員から商品のサイズアップを勧められるケースです。追加料金で商品をよりお得に購入できるため、消費者のついで買いによる単価アップが期待できます。

アップセルの注意点

最後にアップセルを行ううえで、気をつけておきたいポイントを解説します。

顧客ケアをしっかりと行う

アップセルを一度の成功で終わらせず、継続的に行っていくためには、顧客ケアをしっかりすることが大切です。メールや電話などで利用状況を随時ヒアリングし、細やかなアフターフォローを心がけることで、顧客から「サポートがしっかりしている」「この企業なら安心」だと思ってもらえるようになるでしょう。自社に対する安心感・信頼感の醸成により、エンゲージメント(愛着)の向上にもつながり、さらなるアップグレードの可能性が高くなります。アフターフォローは顧客育成という観点からも非常に重要なプロセスです。

強引なセールスをしない

アップセルを取り組む際に最も注意したいのが、顧客に押し売りだと思われてしまうことです。売上アップを優先して強引な営業活動を続けてしまうと、顧客の購買意欲が減退してしまい、失注リスクが高くなります。また仮に成功したとしても短期的な利益は上がるかもしれませんが、顧客離れによって長期的にはマイナスに陥ることも考えられます。

 

アップセルの成功の秘訣は、あくまで顧客目線に立った提案ができているかどうかです。顧客満足度が高まれば必然的に購入や契約へと進みます。企業側目線ではなく、顧客の気持ちに寄り添った提案をしつつ、アップセルを行うタイミングを図っていきましょう。

まとめ

本記事ではアップセルの基礎知識からクロスセルとの違い、アップセルの提案に効果的なタイミングなどについて解説しました。

 

アップセル戦略を上手く実践すれば、既存顧客1人あたりの単価を増やし、企業全体の利益拡大を目指せます。新規顧客の開拓が困難になっている今、既存顧客にフォーカスしたアップセル戦略は有効な営業方法です。自社のビジネスモデルや商材にマッチしていれば、事業目標達成に大きく貢献する施策になるでしょう。

 

本記事が貴社のビジネスヒントの一助になれば幸いです。

 

  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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