プロダクトライフサイクルとは?理解すべきメリットとマーケティング活動への活用
最終更新日:2023/10/26
プロダクトライフサイクルとは、プロダクト(製品)の市場投入〜消失までのプロセスのことで、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのステージからなる市場の成長パターンです。
自社製品は市場の中で成長期にいるのか、マーケットは今後どうなっていくのか、プロダクトの現在地を知り、未来を予測することで適切なマーケティング活動がわかります。反対に、よい製品を開発してもその後のマーケティング戦略が適したタイミングでおこなえなければ、シェアが広がらない可能性もあります。その際に役に立つのが、「プロダクトライフサイクル」なのです。
そこで今回は、プロダクトライフサイクルのメリットから4つの段階ごとの特徴、マーケティングへの活用方法などを解説してまいります。ぜひ貴社のマーケティング活動にお役立てください。
- こちらの無料資料もお見逃しなく!
- 【図解多数!合計300ページ弱】
デジタルマーケティング入門書と成功メソッド -
-
デジタルマーケティングの基本を全130ページの資料にまとめました!また、今なら期間限定で160ページ超えのBtoB企業がデジタルマーケティングで商談を増やすための「DPOメソッド」の紹介資料がセットでダウンロードできます。これからデジタルマーケティングを学ぼうとしているすべての方におすすめの資料です!
-
プロダクトライフサイクルとは
プロダクトライフサイクルとは、製品を市場に投入してから消失までの成長パターンを示したものです。
一般的には、導入期・成長期・成熟期・衰退期の4段階に分類されることが多く、グラフで表すとS字型のカーブを描きます。
自社製品を売り出し、人気が出れば売上は上昇します。しかし、よりニーズのある他社製品や新商品が登場すると、次第に売上はダウンし、利益が見込めなくなれば市場から撤退することになります。その一連の流れが「プロダクトライフサイクル」です。
プロダクトライフサイクルを理解するメリット
それでは、このプロダクトライフサイクルを把握すると、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからはメリットについて解説していきます。
最適なマーケティング戦略がわかる
プロダクトライフサイクルを理解すれば、自社の製品がマーケットにおいてどの状況にいるのか、客観的に知ることができます。
「成長期」にいれば、積極的なアプローチをして売上を伸ばすチャンスです。増産し、販路を拡大しましょう。逆に「衰退期」とわかれば、撤退する時期をそろそろ検討しなければなりません。
プロダクトライフサイクルを分析することで、予算投資の時期や撤退する判断など、適したタイミングがわかります。
利益を最大化できる
プロダクトライフサイクルを活用して適切なマーケティング戦略が打ち出せれば、利益を最大化できます。
使用感を確認してもらうために「サンプルを提供する」、認知度向上のために「広告を出す」など、ニーズに合わせた施策ができるので、わずかなチャンスも逃しません。市場の成長期・成熟期にしっかりと利益を伸ばすことができるでしょう。
間違ったタイミングで生産を増やしてしまい、大量の在庫をかかえてしまうというような損益も防げます。
コスト削減につながる
投資タイミングの「成長期」、撤退時期の「衰退期」など、プロダクトライフサイクルの特徴を知ることで、コストをかけるポイントがわかります。
最近では、顧客のニーズが細分化し、市場のサイクルが短くなっている製品もあります。マーケットの特徴、自社のプロダクトの状況に合わせて、広告を抑えたり、早めに撤退したり、コスト管理をおこないましょう。
プロダクトライフサイクルマネジメントとは
プロダクトライフサイクルマネジメントとは、製品のライフサイクルを把握しておこなうマーケティング手法のことです。英語表記の「Product Life-cycle Management」を略して「PLM」と呼ぶこともあります。
プロダクトの未来予測をしながら、市場や消費者へ適切なアプローチをおこないます。
「消費者の低価格志向」や「ニーズの細分化」など、時代とともに求められる製品やマーケティング戦略も変わります。プロダクトライフサイクルを把握して、製品の絞り込み、強化すべきサービスなど、マーケットの動きに適した戦略を考えていきましょう。
プロダクトライフサイクルの4つの段階
先述したとおり、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つがプロダクトライフサイクルの代表的なフェーズです。ここからは、それぞれの特徴を確認していきましょう。
導入期
製品を市場に投入した直後の段階です。購入するユーザーは少なく、まだまだ認知もされていません。知名度を高めて、シェアを拡大することが最優先すべき課題です。試供品を配布したり、広告を出したり、宣伝費がかかるので、収益はあまり見込めないでしょう。
成長期
製品が普及し始めて売上が拡大し、市場規模が大きくなる段階です。製品が多く出回ることで、生産コストが下がり、一気に利益を最大化できます。
それとともに競合他社も増えてくるので、ニーズを見極めながら改善や差別化に力を入れて、引き続きブランディングをおこないます。
成熟期
市場における拡大成長は終わり、売上や利益が鈍化する段階です。各企業が自社の利益を最大化するために戦略を打ち出し、競合他社も似たような製品を開発して、次々とマーケットに参入してきます。
製品の低価格化が進み、企業のプライベートブランドが増えはじめるのもこの時期です。少数の上位企業がシェアを獲得し、規模を維持することを課題とします。
下位企業は、生き残りをかけて施策を思案しますが、この段階では、業界の構造が固定化しつつあるので、一般的にシェアを取り戻すことは難しいとされています。
衰退期
市場には類似品があふれ、売上・利益を伸ばしていくのは難しい段階です。売上の続く上位企業を除いた下位企業は、撤退するタイミングを検討していきます。撤退を選択しない場合でも、製品のモデルチェンジやコンセプトの変更など、プロダクトを一新するような強い施策が必要となります。
プロダクトライフサイクルをマーケティングに活かすには
4つのフェーズについて確認できたら、次はステージに合ったマーケティング戦略を考えていきましょう。
導入期の戦略
導入期は、知名度がかなり低い状態です。まずは、製品を知ってもらうために使用方法を伝えたり、ライバルよりも優れている点をアピールしたり、ユーザーと積極的にコミュニケーションを取りましょう。「買ってみよう」と思われるようなブランディングが求められます。
具体的には、「発表会・展示会の開催」「サンプルの配布」などの認知啓蒙です。いきなり売上が拡大することはないので、販促活動のための初期投資が必要となります。
ターゲットとなる顧客は、最先端の技術・商品に興味のあるユーザーが多いでしょう。他人の評価ではなく、自己基準に基づいて購入を決定するため、「高機能」や「他にはない新機能」などをアピールすると効果的です。
成長期の戦略
製品の認知度が一気に高まる時期です。ニーズに適していれば市場でのシェアは拡大し、適してなければ衰退してしまいます。競合他社も増加するので、新機能を追加するなど製品の改良、差別化戦略に重点を置きましょう。
市場シェアが拡大したら、それに合わせて製造ラインや販路の拡充をするなど、売上向上に合わせた対応も必要です。需要と供給が崩れると売上が伸び悩んでしまうこともあるので、最適なバランスをキープできるようにしましょう。
対象となる顧客は、専門的なユーザー層から「流行をいち早くキャッチする」といったトレンドに敏感な消費者へと移行していきます。
なかなか売れないと感じた場合は、「これから流行りそう」というような期待値を感じさせるアピール方法もおすすめです。
また、成長期の後期には、「目新しさ」→「安心感」へと顧客のニーズも変化していきます。流行をあおるだけでなく、「業界1位の顧客満足度」といった安心感を打ち出すのも有効です。
成熟期の戦略
市場が安定して多くのユーザーが製品を知っている状態です。SNSの口コミから、多くの消費者が利用していることを知って購入を決めるケースも。顧客は多様化し、リピーターも多くなります。
そのため、積極的な広告戦略よりは、顧客のニーズを知るためにモニター調査をおこなったり、アンケートで製品についてヒアリングしたり、消費者の声に耳を傾けながら施策を打ち出すとよいでしょう。
他社を参入しづらくするためにも、製品のブランド化を目指して、競合との差別化を図ることが重要となります。
衰退期の戦略
衰退期は、製品の需要がなくなり、売上も利益も低下していきます。撤退するのか、存続するのか、難しい判断をしなければなりません。
撤退する場合は、そのタイミングを検討していきましょう。とどまる場合には、大幅な改善が求められます。製品のコンセプトを変え、新しい試みや技術を取り入れて、大規模な商品のリニューアルをおこないましょう。
ライフサイクルを見極め適切な施策立案を!
製品のトータル的なマネジメントをおこなうプロダクトマネージャーにとって、プロダクトライフサイクルを把握することは、とても重要なプロセスです。
ですが、その渦中にいると、自社製品がどの段階にいるのか、正確に判断することは容易ではありません。成熟期がまだ続くと考えていたのに、別の製品が市場のシェアを拡大して、あっという間に衰退期に入っていったということもあります。
そのためにも、さまざまな角度からプロダクトライフサイクルを検証して、複数のシナリオを考えておくことが大切です。数年後に取るべきアクションが想定できれば、自社製品の魅力を最大限に伝えることができるでしょう。
【関連記事】