SEOだけじゃない!製造業こそコンテンツ制作に注力すべき理由とおすすめ施策紹介【セミナーまとめ / 後編】
弊社が過去に開催したウェビナー「現役マーケターがどうしても伝えたい!製造業がデジタルマーケティングを非効率にしないための集中講座」の要約として、製造業のデジタルマーケティングについて解説した特集記事を前編・後編の2部構成でお届けします。
後編の本記事では、ウェビナーの中でもご紹介したデジタルマーケティングの要となるコンテンツ制作や、最終的な受注につなげるためのホームページ改善について解説。製造業において有効なデジタルコンテンツの活用方法もご紹介します。
前編でもデジタルマーケティングの施策について一部ご紹介しましたが、後半でお伝えするのはより実践的な内容です。なぜコンテンツ制作が大切なのか、作ったコンテンツをどのように活用して売上につなげるか、わかりやすく解説していきます。
※セミナー資料は以下からダウンロードが可能です。合わせてご活用ください。
目次
デジタルマーケティングの要となるコンテンツ制作の大切さ
まずはコンテンツによって実現できることを振り返りつつ、製造業だからこそおすすめしたいコンテンツを顧客フェーズごとにご紹介いたします。
コンテンツがあることで実現できること
デジタルマーケティングで重要になるのが、コンテンツ制作。コンテンツがあることで実現できること、コンテンツ制作をするメリットについて説明します。
検索順位の向上が見込める
コンテンツの制作をすることで、いわゆる「SEO」の効果が見込めます。お客様が検索したときに、自社のページにきてもらう機会を増やすためには、自社の技術や製品のコンテンツを用意しておく必要があります。検索順位を上げることができれば、アクセス数など定量的な数値の向上につながっていきます。
自社の技術や強みを理解してもらうことができる
せっかく強みや技術を持っているのに、それを伝えられるコンテンツがないのは非常にもったいないです。しっかりと「自社で何ができるのか」「どういう方にどういう製品・貢献ができるのか」をホームページに載せておきましょう。見込み顧客が製品を比較する際にも、「こういう強みを持っている会社なら、安心して任せられるだろう」という信頼感につながります。
取引先や見込顧客に情報提供ができる
たとえば、自社ホームページに新しい事例が公開されたとき、見込み顧客に対してメールでお知らせするとします。リンクをクリックした人にだけ営業部からアプローチすれば、営業活動を大幅に効率化することができます。見込み顧客や取引先への情報提供の手段としても大きなメリットです。
このような戦略的なアプローチをするには、自社ホームページのコンテンツを定期的に更新していること、そもそも自社ホームページに配信できるコンテンツがあることが前提条件になります。
オフライン施策の受け皿にできる
コンテンツは、オフライン施策の受け皿にもなります。たとえば展示会などで名刺交換したお客様にホームページを見ていただいたとき、充実したコンテンツを提供できれば、現場でお話した内容をさらに深く印象付けることができます。
また、展示会などでお話しきれなかったときにも「ぜひこのコンテンツを見てみてください」といった案内も可能です。
営業現場でのマンネリ解消につながる
ホームページのコンテンツにしっかりとMA(マーケティング・オートメーション)ツールを入れておけば、どの会社の人がどこのページを見てるのかがログでわかるようになるため、営業現場でのマンネリ解消に繋がります。
たとえば「既存のお客様がほかの製品のページを見にきていた」とわかれば、営業のシーンで話題にすることで、関係性を深められるかもしれません。コンテンツは営業活動のマンネリ解消のアイテムとしても有効です。
製造業におすすめのコンテンツ
製造業におすすめのコンテンツ、製造業ではどういうコンテンツがよく見られているかを、イントリックス株式会社様のグラフを引用し見ていきます。
スライド内の出典元:イントリックス株式会社【製造業】オンラインでの製品選定における実態調査
「製品を選定するプロセスにおいて必要とする情報はなんですか」という質問に対して、トップにくるのは製品情報や価格といった一般的な項目です。また、導入事例・カタログといった製造業ならではのコンテンツも見られます。下にいくと割合としてそれぞれ10〜20%ではあるものの、一定数のユーザーニーズがあることから、機会損失を防ぐためにもコンテンツを作っておく必要があります。
一方、製造業では情報漏洩が心配というお声も非常に多く聞かれます。
もちろんコア技術の部分は絶対に公開してはいけないのですが、製造業がコンテンツを作るうえでは、コア技術・非コア技術の線引きをしっかりして、周辺技術についてはすすんで発信していくのがおすすめです。
コンテンツづくりで活用できる”型”
次は、コンテンツ作りを考えやすくするための型をいくつかお伝えします。マーケティングにおいて1967年に提唱された「購買意思決定プロセスモデル」というフレームワークは、半世紀も前にアナログで行われていた手法ですが、現代も製品検討の流れは大きくは変わっていません。
この各フェーズに必要な施策をデジタルでやっていくのがデジタルマーケティングであり、ホームページを活用したリード獲得において重要な考え方です。
続いて以下の三角形のグラフは、弊社を含めデジタルマーケティング支援の会社が今現在使っているものです。
一番下の潜在層は、困りごとをどう解決すればいいか漠然と調べている人たちや、なんとなくモヤモヤを抱えている人たちの層で、母数としても一番大きくなります。ひとつ上の準顕在層では、実際に情報収集をしたり、「こんなふうに解決できるのでは?」と考えている段階。その上の顕在層は、ホットリードとも呼ばれます。具体的に解決方法を定めて、どこに発注するかを決めているフェーズです。さらに顧客層になると、社名やサービス名で直接検索するなど、お問い合わせから受注へ最もつながりやすいグループになります。
さきほどの「購買意思決定プロセス」も、三角形のグラフも、本質的にはあまり大差ありません。このようなフレームワークは、一度社内で定着してしまえば長く使っていけるため、ぜひコンテンツ作りに役立てていただきたいです。
別角度から、「フェーズごとにどのようなコンテンツを、どのような接点で提供するか」を見ていきます。さきほどの三角形のグラフを横にして、左から右へ進むようにしたものです。
関心度合いや欲しいコンテンツは、フェーズごとに違います。さらに情報収集や比較検討の段階では、お客様ごとに必要なコンテンツは、さらに細分化されるため、自社のお客様やターゲットに対して、どこのフェーズでどういうコンテンツを作っていくべきかを整理する必要があります。
フェーズごとの具体的なコンテンツ紹介
実際にどのようなコンテンツがあるのか、またフェーズによっておすすめの施策についてご紹介します。
潜在層向けのコンテンツ例
まずは、これから検討をしていく層、漠然と課題を抱えている層におすすめのコンテンツをご紹介します。
前編でも事例をご紹介した、アイメックス株式会社様のホームページを引用させていただきます。
同社のホームページではたとえば、課題事例・処理実績というカテゴリで、「こんなことに悩んでいるなら、こういった解決策がありますよ」という動線を設けています。
コンテンツに具体的なキーワードが入っていると、悩みを持っている人が検索したとき、直接そのページにアクセスできます。さらに「こういう課題を抱える会社の場合、自社の技術でこんな風に解決できますよ」と具体的な実績を事例として掲載することで、成果をイメージしてもらいやすくなります。
まだ検討段階ではなくても、1度でも資料ダウンロードしたことがある見込み客であれば、将来的にセミナー参加や取引につながる可能性は大いにあります。「この会社にお願いすれば解決できる」と理解してもらえれば、その場で商談になることも。
また同社は、過去に自社で出版した書籍をコンテンツとしてホームページに掲載したり、過去に開催したセミナーの動画アーカイブを公開・それを文字起こしして記事コンテンツに落とし込んだりと、ひとつのコンテンツを効率的に展開しています。
準顕在以上のコンテンツ例
次は準顕在層より先、情報収集や比較検討をされている人向けのコンテンツは、どういったものおすすめかご紹介します。
こちらもアイメックス株式会社様のホームページを引用しています。
このように準顕在層以上のフェーズでは、資料ダウンロードのラインナップを揃えるのがおすすめです。情報収集や比較検討されている状態の人に対しては、できるだけ多くの情報提供が必要になります。
情報のラインナップを揃えて、ダウンロードした方に営業担当者がうまくアプローチできれば、資料には載せきれない情報も提供可能です。比較検討をしている見込み顧客に対して、非常に有利なアプローチといえます。
またアイメックス株式会社様は、購入後のメンテナンスやアフターフォローについても、コンテンツとして充実させています。さらに「目的から選ぶ」「処理量から選ぶ」など、いろいろな切り口で探せるようメニューを細分化しているのも特徴です。
このように、せっかく大変な工数をかけてコンテンツを作るのであれば、コンテンツは作って終わりではなく、メール配信やダウンロード資料に展開していくのがおすすめです。
たとえば、
・コンテンツの配信からセミナー・商談につなげる
・開催したセミナーを記事コンテンツ化する
・記事を読んだ人に資料ダウンロードしてもらう
・資料をダウンロードしてくれた人にメール配信をする…
といったエコシステムを回すことで、コンテンツをさらに有効活用することができます。
最終ゴールに到達してもらうサイト改善の基本
続いては、最終ゴール(=問い合わせ、資料ダウンロード等)に到達するうえでとくに重要な、ホームページの改善についてお話していきます。
コンテンツを通して集客ができたら、集めたリードと接点を持っていくための改善と、アプローチのための仕組みづくりが大事です。
せっかくコンテンツを作って集客できても、最終的なCVやお問い合せにつながっていかないのは非常にもったいないため、この離脱改善は重要なポイントになります。
離脱改善を見定めるための早見表
Webサイト改善(離脱改善)を見定めるには、早見表を使って、順番にチェックしていくのが効率的です。
ランディング数が多いページというのは、一番最初にユーザーに見られているページのこと。主に、検索エンジンや、メール配信からのリンククリックなどから流入します。このページで離脱している場合、入口で離脱が発生してしまっているため早急な改善が必要となります。
次に改善すべきは、単純に離脱が多いページです。どこで離脱されてしまうのかを把握するのはもちろん、とくにたくさん流入しているけど離脱が多いページは引き続き改善が必要です。
ユーザーのニーズが予測できているかを確認するために、検索上位のページの内容も分析しましょう。そのページが「どういったキーワードで検索されているか」「最初にこのページに流入しているということは、こういうキーワードで調べているのではないか」といった予測をおこないます。 コンテンツを作れば作るほど、お客様のニーズ把握の精度はあがっていきます。なぜランディング数が多いのか、ユーザーが何を求めてそのページにきてるのかを把握していきましょう。
また、ニーズに対して適切なコンテンツ内容になっているかを見直していき、必要に応じてコンテンツ内容を見直します。内容が適切でも「参考になったな」で終わってしまって、資料ダウンロードやお問い合わせといった適切なアクションに繋げられていないのであれば、接点を持てる仕組みづくりを講じることが大事になってきます。
最後に、フォームの項目も確認しておきたい点です。ダウンロード資料の内容がよくても、フォームが長すぎて「気軽にダウンロードしようと思ったのに入力が面倒」とユーザーが離脱してしまわないよう、フォームが必要最低限かつ、最適な項目になっているかを再度確認しましょう。
この順番は、必ずしも上から順番におこなう必要はなく、同時並行で進めるのもよくあるケースです。ただ下の項目から始めたことでちぐはぐになってしまうことも少なくないので、ある程度順番を追っていくことで無駄なく効率的におこなえます。
チェックリストの活用と最低限やるべきホワイトペーパー活用
改善策を独学で進めるととても時間がかかるため、改善をおこなう場合はチェックリストを活用してみてください。検索すればいろいろなフォーマットが出てくるので、網羅的かつ使いやすいものを選んで使うのがおすすめです。
※クラウドサーカスの提供している改善チェックリストは以下からダウンロードができます。
>【自社ホームページの分析・診断に!】オンラインリード獲得チェックリスト
こういったリストをもとに自社サイトの診断をしていき、△や×がついた項目からあたりをつけると非常に効率的よく改善ができます。
各社やるべきことは様々ですし、製造業の中でも取り扱い製品によって施策も異なります。そのうえで、BtoB製造業であればほとんどの企業がやるべきだと考えている施策を今日はご紹介します。
結論から申し上げると、ホワイトペーパーの設置は商談を獲得したいBtoB企業であれば実施すべき施策だと考えています。
BtoB製造業のホームページには、様々な温度感のユーザーが訪れます。例えば単に情報収集や勉強のために閲覧している人もいれば、本格的にサービスを検討している人もいるはずです。
その方々に対いて、適切なダウンロードコンテンツを適切な箇所に設置することで、接点を持つ(=連絡先を手に入れる)ことができます。
逆に言うと、ホームページ上に問い合わせフォームしか設置していない場合、以下の図のように温度感にギャップが生まれてしまい、問い合わせまで至らずに離脱してしまう可能性があります。
もちろん、ここで問い合わせをしなくても将来的に温度感が高まったときに再度ホームページを閲覧してくれるかもしれません。ただ、そのタイミングが数か月以上先だったりすると、ユーザーの頭に残っていなかったり、その間に接点を持っていた他社のサービスに決めてしまう。なんてことも起こりかねません。
だからこそ、早い段階から接点を持っておき、定期的な情報提供を行うことが必要なのです。
一例ですが、弊社では「CMS導入チェックシート」「業界別事例集」「ツール比較表」などを用意しています。
さらに具体的に、前編でもご紹介した弊社のメディア「エムタメ!」を例にあげます。
ページ右上には「無料資料ダウンロード」ボタンを目立つように設置しており、ここをクリックすると、カテゴリ別の無料のお役立ち資料ページに遷移し、それぞれの資料をダウンロードできるようにしています。
以下は弊社が用意している資料の一部で、このほかにも数多くの種類の資料を用意しています。
ホームページにきてくれる方々は、さまざまなニーズや温度感に細分化されるため、それぞれに合わせて必要な提案をするには、それなりの数の資料が必要です。コツコツ作って掲載していきましょう。
本セミナーで何度もご紹介しているアイメックス様のホームページにも、同じようにダウンロード資料が用意されています。「スペック比較表」「条件設定の流れ」「ビーズについて」…などなど、情報収集の段階から比較に必要な資料まで網羅されています。
自社に最適なコンテンツを見極めるには、先ほどご紹介した三角形のグラフに沿って「どういうキーワードを狙うのか」「潜在層はどういうキーワードで検索するのか」といったポイントを抽出し、コンテンツに反映させていくことが大切です。
まとめ:コンテンツは将来の知的資産
製造業におけるコンテンツの大切さやフェーズごとのおすすめコンテンツ、ホームページ上の施策について解説してきました。中でもコンテンツは、製造業こそ活用していくべきものですし、自社の技術力や他社との違いを表現するには外せないものです。
また、せっかくコンテンツを作って集客をしても、サイトから離脱してしまっては意味がありません。しっかりと接点を持てるように、ホワイトペーパーの充実化や導線設置なども並行していきましょう。また、改善施策については先ほどもご紹介したチェックリストもご活用ください。こういったツールを活用しながら、ぜひ効率にデジタルマーケティング施策を実施していってください。
チェックリストはこちらです。
>【自社ホームページの分析・診断に!】オンラインリード獲得チェックリスト
また、本セミナー資料は以下からダウンロードが可能です。合わせてご活用ください。
前編の記事はこちら
>製造業のデジタルマーケティング事例と全体像の解説 非効率な施策の原因は何なのか【セミナーまとめ / 前編】