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製造業はAI導入で今後どう変わる?AI活用のメリット・デメリット、活用事例10選などをご紹介!

記事公開日:2023/10/31
製造業はAI導入で今後どう変わる?AI活用のメリット・デメリット、活用事例10選などをご紹介!

製造業では、外観検査や在庫管理などに、AI(人工知能)が導入されはじめています。いままでベテラン社員の経験やノウハウに依存していた作業も、AIでシステム化され、ほかの作業員と分担できるようになっています。人手不足が深刻化している製造業において、AIの活用は今後取り組むべき施策となるでしょう。

 

そこで本記事では、製造業におけるAIの重要性、メリット・デメリット、活用事例などをまとめてご紹介します。

なぜ製造業ではAI導入が進んでいるのか

他国と比べて遅れているものの、国内でも製造業でAIを導入している企業が増えています。なぜ製造業ではAI導入に注力しているのでしょうか。

その理由は、製造業が抱えているさまざまな課題が関係しています。ここからは、そもそもAIとは何か、そして製造業にはどのような課題があるのかについて解説します。

AIとは

AI(Artificial Intelligence)とは「人工知能」のことで、人間の知能をコンピューターで再現し、機械学習、自然言語処理技術などを活用して効率的な作業を可能にします。

最近では、OpenAIによるChatGPTの公開で「生成AI」というキーワードが世界中で注目を集め、大きな話題になりました。「ChatGPT」や「Google Bard」などをすでに利用している方も多いのではないでしょうか。

 

AIの急速な発展を支えているのが、「ディープラーニング(深層学習)」という機械学習の開発です。いままでよりも深い階層での情報処理が可能になり、高いレベルの認識精度に到達しました。その技術はsiriやアレクサなどの音声認識や、自動翻訳などにも使われています。

国内におけるAI導入率

ITおよび通信分野に関する調査を行うIDC Japan株式会社によると、2022年の国内AIシステム市場は、エンドユーザー支出額ベースで市場規模が3,883億6,700万円となり、前年比成長率は35.5%でした。同社は、AI利用が活性化した理由として「企業がDXに本格着手していること」「デジタルビジネスのソリューション化に注力していること」を挙げています。

また、2010年代後半から続いている第3次AIブームにおいて、2022年は成熟期に差しかかっていたと推測。2023年の国内市場規模は前年比27.0%増を予測しており、今後も成長を続けると考えています(参考:2023年 国内AIシステム市場予測を発表)。

このように国内全体を見ても、AIの市場規模は年々拡大中です。なかでもアナログな業務が多い製造業では、AIやIoTなどの最先端技術を取り入れたデジタルによる大きな成長が見込まれています。

製造業の課題

製造業においてAIの導入が進んでいる背景には、人手不足やデジタル化の遅れ、市場競争の激化など、多くの課題が影響しています。

 

とくに、労働人口の減少や若者の製造業離れもあり、人手不足は深刻な問題です。団塊の世代のベテラン勢が大量に退職したため、「指導者の不足」という新たな課題も生まれています。慢性的な人材不足で、従業員の負荷も大きくなっており、問題が解消する兆しは見えていません。

 

また、製造業ではグローバルな市場競争も激化しており、世界規模で価格や品質など多くの要因が競われています。そのなかで日本の国際競争力は低下していると問題視されており、製造ラインのデジタル化が急務となっています。

 

このような製造業の課題に対して、その解決策として注目されているのがAIの活用です。AIは、正確かつスピーディなデータ処理を得意としています。ルール化された製造ラインの単純作業も休むことなくこなせるでしょう。
このような製造業との親和性に着目して、多くの企業でAIの活用が進められています。

 

関連記事:製造業が人材不足になる原因とは?データからわかる実態や課題、解決策を解説

製造業でAIを導入するメリット・デメリット

では、AIを導入することで、どのような成果が得られるのでしょうか。ここからはAI導入のメリット・デメリットについて解説します。

AI導入のメリット

ここでは、以下の7つのメリットをご紹介します。

 

1.作業効率・生産性の向上
2.安定した品質
3.安全性の高い作業
4.従業員の負担軽減
5.人為的ミスの削減
6.スムーズな技術継承
7.人材不足の解消

作業効率・生産性の向上

多くの企業がAIの導入目的として挙げるのが「作業の効率化」です。AIは、大量のデータを素早く処理し、正しく学習すれば作業で判断に迷うこともありません。人間のような体調の変化や、勤務時間の制限もないため生産性も向上します。

 

たとえば、製品の表面を確認する「外観検査」をAIが行えば、高い精度で欠陥や不良品を検出し、異常を効率よく識別することが可能です。また、AIを活用した自動化と連携で、工場全体の業務が最適化され、生産プロセスの運用効率が向上します。

安定した品質

手作業で行う業務は、作業者の経験値などで差が出てしまい、製品にばらつきが生じる可能性があります。AIならプロセスを数値化することで品質を均一に保ち、安定した商品の供給ができます。

 

また目視で全製品を検品することは、多大な時間とコストがかかりますが、AIを活用すれば短時間で全品検査も可能です。不良品や異物の混入なども避けられ、品質向上が期待できるでしょう。

安全性の高い作業

製造業では化学薬品を使用したり、重量物を扱ったり、危険を伴う作業も少なくありません。そこでAIを搭載した無人搬送車(AGV)を活用すれば、重量物の運搬の際に接触事故などのリスクを低減できます。高い足場の点検には、AI搭載のドローンを使うことで人的事故が減らせるでしょう。

若者の製造業離れの一因にもなっている危険な業務をAIに任せることで、安全を確保でき、就業率の向上にもつながります。

従業員の負担軽減

24時間休みなく働き続けることができるのは、AIの大きなメリットです。AIの導入で夜間などの不規則勤務を減らせるので、作業者の負担を軽減でき、疲労によるミスや集中力の低下が防げます。

パフォーマンスが向上することで、新たなビジネスチャンスや他の重要作業への取り組み強化が実現し、売上向上にもつながるでしょう。

人為的ミスの削減

AIで製品の異常検知を行えば、ヒューマンエラーが減らせます。目視によるチェックは経験や技術に左右されやすく、精度にばらつきが出てしまいます。AIの外観検査ならクオリティを一定に保つことができ、不良品出荷による損害も削減可能です。

さらに、AIで製造作業を管理することで、部品の欠落など人為的な製造ミスも防げるでしょう。

スムーズな技術継承

従来の「見て覚える」といった製造業の技術継承は、習得までに時間がかかってしまい、後継者が育ちにくいことが大きな課題となっていました。AIを活用すれば、熟練者の知識やノウハウをデータ化して、ベテランの技も再現できます。

たとえば、熟練の検査員による品質確認を数値化して、AIに学習させれば高いレベルの品質検査が実現します。短期間で職人技を引き継ぐことができるでしょう。

人材不足の解消

AIの導入で業務負担を軽減できれば、慢性的な人手不足の解消につながります。人間が作業するよりも迅速な業務ができるため、少人数でも製造ラインの運用が可能です。

最近話題になっている「生成系AI」の開発も進み、AIは定型的な単純作業だけでなく、商品開発や製造企画のアイデアにも活用されはじめています。

AI導入のデメリット

一方、AI導入のデメリットとしては、「導入コストや時間がかかる」「情報漏えいのリスク」「デジタル人材の確保」の3つが挙げられます。

導入コストや時間がかかる

AI導入には、初期費用や運用コストなど多くの費用がかかります。AIを学習させるためのデータ準備にも時間やコストがかかる場合もあります。AIを運用するデジタル人材がいない場合は、新たな採用や社員育成、外注費が必要です。

さらに、AI導入の成果が出るまでは長期的な運用が求められます。費用対効果を計算する場合は、その期間も考慮しましょう。

情報漏えいのリスク

AI搭載機器には多くのデータが蓄積されており、サイバー攻撃でシステムに侵入された場合は情報漏えいするリスクがあります。AIの高い学習能力を悪用してシステムの不具合を発見し、セキュリティを突破されてしまう危険も指摘されています。

 

また、「間違ったデータをAIに学習させて誤作動を起こさせる」といったサイバー攻撃にも注意しなければなりません。その対策として、企業では学習データが正しいかどうかのチェックや、データを守る最新のセキュリティ開発が求められています。

デジタル人材の確保

AIの導入には、デジタルに強い人材を育成するか、専門知識をもつ人材の採用が必要です。

とくに製造業では、製造工程を知る業務スキルも大切なため、人材確保が難しいともいわれています。

 

従業員をトレーニングする場合は、通常の業務をこなしながらの作業になり、教育に時間がかかります。AI技術の進化に伴う継続的なアップデートも重要なため、社員にとってはトレーニングが負担になるかもしれません。
デジタル人材には、製造業の従来の業務プロセスにとらわれない適応能力が求められます。そのあたりも考慮して社員教育を進めましょう。

製造業におけるAIの活用方法

では製造業の現場で、実際にAIはどのように活用されるのでしょうか。具体的な活用方法について解説していきます。

検品作業

製造業においてAI技術が広く活用されているのが、不良品をチェックをする検品作業です。

AIに製品の仕様や基準を学習させて、実際の製品とデーターベースの基準を比較することで、表面にある欠陥、傷、不均一性、色の違いなどを検出。不良品としてマークしていきます。

 

最近では、ディープラーニングを利用した高度な情報処理で、より複雑な不良品の判別ができるようになりました。たとえ判断ミスがあった場合でも、それをさらに学習させて精度を高め続けることが可能です。
また、リアルタイムで監視できるため、製品ラインを通過すると同時に問題がある場合はすぐに警告してくれます。不良品を見逃さずに、高速で正確な検査が可能になりました。

業務の最適化

AIを活用すれば、原材料の調達や製造、出荷までのスケジュールを管理・分析して、精度の高い生産計画、要員計画が自動で立案できます。

 

いままでは社員の経験則に基づいて計画が建てられていたため、どうしてもベテラン社員の経験値や長年の勘に頼る部分が多くなっていました。AIなら過去のデータを分析した総合的な予測が可能です。市場の動向や社会情勢などの要因も踏まえて、業務効率のよい最適解を提示してくれます。

機械メンテナンス

AIは設備の故障を事前に予測して、安定的な生産ラインを維持してくれます。機械の稼働状況や過去の故障、消耗品、修理状況などをAIに学ばせることで、正常稼働時と比較して故障するタイミングを予見。故障の予兆を検知して、生産ラインの停止によるタイムロスを減らせます。

さらに、従業員が行っていた毎日の設備点検も、センサーや動画のデータの分析で自動化できます。

需要予測

AIの活用で、過去のデータから商品の売上量が予測可能です。売上データや市場動向、気象情報、人流データなどあらゆる変動を学習させることで、自社製品がどのくらい売れるのかがわかります。

 

需要予測を利用すれば、いままで欠品防止のため多めに抱えていた在庫を最適化できます。廃棄ロスも削減できるでしょう。担当者の経験やノウハウに頼りがちな発注作業も、熟練度に依存せず、業務を進められるようになります。

作業の自動化

近年では、AI技術を利用した無人コンビニが登場し、店内の客の動きをカメラやセンサーで捉え、選んだ商品を自動決済できるようになりました。また、成田国際空港では、カメラの映像をAIで解析し、異常を検知する警備ロボットが活躍しています。

 

製造業でも、人と共同で作業ができる協業ロボットにAIを取り入れることで、仕分け作業や梱包、在庫管理などの業務が自動化できるようになりました。製造工程だけでなく、在庫管理や業務の最適化など、さまざまなタスクがこなせるため、工場の無人化も進んでいます。

AI導入で製造業はどう変革できるか

世界に目を向けると、AIやIoTなどを活用する第4次産業革命、「持続可能性」や「環境への配慮」をコンセプトとした第5次産業革命など、デジタルを使用した製造業の変革が広がっています。製造業はAIの導入でどのように革新していくのでしょうか。

工場の無人化

製造業の多いドイツなど、世界ではすでに新しいテクノロジーの導入で多くの企業が無人化に成功しています。工場の無人化は、いままで人間が判断していた業務をAIが実行し、部品の供給から製造、梱包までをロボットが行います。

 

工場の無人化に成功すれば、24時間365日の稼働が実現し、生産性の向上が見込めます。また経験値や疲労度によって品質がばらつくこともありません。製造業が抱える人手不足の問題も解決できるでしょう。

スマートファクトリーの実現

スマートファクトリーとは、AIやIoTなどを活用してデジタルデータを元に現場を管理し、業務・経営全体を最適化している工場のことを指します。

デジタルデータを分析することで、属人化しやすい製造工程の見える化が実現。非効率な工程や無駄な作業などが見つけやすくなります。どこを改善すればよいのか、何が課題なのかがピンポイントでわかるため、効率よく生産性の向上が望めます。

製造業におけるAIの活用事例10選

実際にAIを導入した企業では、どのように活用しているのでしょうか。ここからは、製造業でのAI活用事例10選をご紹介します。

逆転の発想で検査精度を向上(キューピー)

キューピーでは、2019年1月からカット野菜の検査にAIを利用した原料検査装置を導入しています。ポテトサラダなどに使われるニンジンの検査工程では、いままで規定外の形状や変色を目視で確認していましたが、作業者の身体的な負担が大きくなっていたため、自社開発したAI原料検査装置の運用に踏み切りました。

 

この装置は、ディープラーニングを活用した画像解析による選別メカニズムが特徴です。従来は不良品のパターンを覚えさせる方法が一般的でしたが、キューピーが開発した装置では良品のパターンを学習させるという発想の逆転で、良質以外はすべて不良として検出することで、精度向上につながりました。

 

参考:キューピー ニュースリリース

外観検査の自動化(ロッテ)

「スマート工場化」を目指すロッテでは、2019年12月からチョコレート菓子を生産する狭山工場でAI画像判定サービス「MMEye」を導入しています。お菓子は室温や湿気などの影響を受けやすく、個体差が出やすいため、外観検査で一定の品質に満たないものを取り除いていたそうです。その際の検査は目視で、何人もの検査員が交代制で確認していました。

 

ロッテでは、人の目に頼る検査をシステム化したいと考え、YE DIGITAl社の開発した「MMEye」を導入。生産ラインに設置したエリアカメラからの画像をリアルタイムで分析し、高精度の検査が自動でできるようになりました。さらに、文字ではなくアイコンやボタンなどからコンピューターへ指示できるGUI(Graphical User Interface)を採用して、専門知識不要で誰でも簡単に設定できるようにしています。

 

参考:LOTTE ACTION

画像検査AI技術を開発(富士通研究所)

富士通研究所では、不良品となった製品の画像を用意しなくても、人工的に異常を作った製品画像を生成してAIに覚えさせる検査技術を開発。この技術を使うことで、見た目は正常でもカーペットの毛並みや色味が違っているケースなど、いままでよりも多くの異常パターンが検出できるようになりました。

 

電子関連機器の製造工場である富士通インターコネクトテクノロジーズの長野工場で、この効果を検証したところ、検査工程を25%削減したそうです。

 

参考:富士通 プレスリリース

生産計画の自動立案で効率アップ(ニチレイフーズ)

ニチレイフーズは、日立製作所との協創を通じて、生産計画を自動立案するシステムを導入・運用しています。これまでは、熟練者が業務を整理し、改善ポイントなどをシステムに反映し、生産計画や要員計画を経験に基づく勘や過去の実績などから時間をかけて立案してきました。しかし、熟練作業者の負担が大きく、人材不足ということもあり、より高効率な生産体制の構築が求められていました。

 

そこで、本システムでは機械学習と数理最適化技術を組み合わせた日立独自のAI技術で、生産計画などのパターンを数値化。1工場で最大16兆通りの組み合わせの中から、最適解を自動立案できるようになりました。立案までの時間も従来の1/10程度まで縮小。これにより業務効率や生産性の向上が達成し、働き方革命の加速が見込まれているそうです。

 

参考:ニチレイフーズ お知らせ

製造工程の全自動化に成功(ブリヂストン)

ブリヂストンは、品質向上、高生産性の実現を目指して独自のICT(情報通信技術)にAIを実装。最新鋭のタイヤ成形システムとして「EXAMATION」を彦根工場に導入しました。同社では、1990年代後半からICTや最先端技術を導入した生産システムの開発を行っており、2002年には世界で初めて部材工程から製品検査工程までを全自動化。リアルタイムで生産現場の状況を把握する生産システム「BIRD」を開発しました。

 

「EXAMATION」では、「BIRD」の技術を進化させ、品質向上を目指してAIを実装。タイヤ1本につき、480項目のデータをセンサーで計測しながら、リアルタイムで自動制御を行います。手作業で成型していた従来の方法から自動化へ移行したことで、技能伝承や教育が不要となり、人による品質のばらつきも抑えられます。
さらに技能員は、携帯端末からシステムの不具合や材料交換などの現場状況がわかるため、迅速な対応が可能になり、生産力の向上も実現します。

 

参考:ブリヂストン ニュースリリース

自立型生産システムを開発(ダイセル)

ダイセルは、東京大学と共同開発したAIを搭載した「自立型生産システム」を開発。2000年に同社が開発した「ダイセル式生産革新手法」で構築した「知的統合生産システム」を進化させたもので、PCM(最適運転条件導出システム)とAPS(高度予知予測システム)の2種類のアプリケーションを搭載しています。

 

PCMは、安全・品質・生産量・コストの指標を予測して最適解を導きます。APSでは、故障などによってPCMで計画した運転条件にズレが生じた場合、その予兆を推測して条件を修正。これにより、在庫の削減や過剰な修繕費の節約など、大幅なコスト削減が期待できます。同社では、グループ全体で最大年間100億円のコストダウンを見込んでいるとのことです。

 

参考:ダイセル プレスリリース

熟練技能者の技術継承(三菱総合研究所)

熟練者の技術をうまく引き継ぐことができなければ、退職とともにノウハウが失われてしまいます。三菱総合研究所が開発した「匠AI」では、熟練者の持つノウハウを過去のデータから抽出してAIモデルに反映。技術をデジタルツールに組み込むことで、ベテランの技を継承します。

 

技術や知識が伝承できれば、デジタルツールの活用もただ単にデータを蓄積するよりも効率よく処理でき、よりDXの価値を高められます。

 

参考:三菱総合研究所「匠AI」

日配品の需要予測を実現(ライフコーポレーション)

ライフコーポレーションは、日本ユニシスと共同開発した自動発注システムを導入し、2021年2月までに全店舗で稼働を開始。システムにはAIによる需要予測が搭載されており、販売実績・気象情報・販売計画などのデータから店舗の商品発注数が算出できます。

 

同社では、すでに自動発注システムを導入していましたが、販売期間が短く予測が難しい牛乳などはシステムで対応できず、毎日従業員が発注数を算出していました。今回、AI需要予測を取り入れることで、日持ちのしない「日配品」も自動発注が可能になり、従業員の作業負担も軽減。AIの導入で働きやすい職場環境の構築にも役立っています。

 

参考:ライフコーポレーション ニュースリリース

「GPT-4」導入で競争力強化 (パナソニックグループ)

パナソニックホールディングスは、AIアシスタントサービス「PX-AI」にOpenAIの最新モデル「GPT-4」を導入しました。2023年4月にパナソニックHDは、「PX-AI」を国内約9万人の社員に提供し、2023年7月には海外拠点の社員(約8万人)にも提供を拡大。技術職や製造・営業など、さまざまな部門の生産性向上と業務プロセスの進化、新たなビジネスアイデアの創出を積極的に促進しています。

 

「GPT-4」の導入で処理能力が向上し、高い精度の回答が可能になったことで、業務生産性の向上、業務プロセスの改善が期待されています。
さらに、社員が最先端技術を自由に活用できる環境を整えることで、全社員のAI活用のスキルアップ、新技術を活用できる人材育成も目指しているとのことです。

参考:PRTIMES-パナソニックグループのプレスリリース

ダンボール破損レベル判定の実証実験(サントリーなど5社共同)

富士通が開発したAIシステムを活用した、商品外装ダンボールの破損レベル判定の統一化を目指す共同実証実験をキリンビバレッジ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー、セブン-イレブン、富士通の5社が2023年6月?2024年9月末まで(予定)実施しています。

 

清涼飲料業界や流通業界では、各社で輸送・保管中のダンボールのスレ・膨れなどを目視して納品可否の判断を各社で行っていました。しかし、共通の基準がないため判断にばらつきが生じ、中身の品質に問題のない商品の返品や廃棄、食品ロスにつながっていたといいます。

 

今回行われている実証実験では、商品の検品時や出荷前などに倉庫担当者が破損箇所をスマートフォンで撮影。データベースで照合し、AIによる納品可否に基づいて担当者が最終判断を行います。
このAIシステムを運用すれば、客観的な判断ができるようになり、軽微な破損商品の流通で食品ロスを削減できます。返品作業の軽減にもつながり、物流課題も改善されるでしょう。

 

ダンボール破損レベル判定の実証実験

画像引用元:サントリー食品インターナショナル ニュースリリース

 

参考:サントリー食品インターナショナル ニュースリリース

AI導入の失敗パターン

AIを導入してもうまく使いこなせなければ成果につながりません。ここからはAI導入でよくある失敗例をご紹介します。運用がうまく進まない場合は、自社の活用と比較して、課題を改善していきましょう。

データの量・質の不足

AI活用には、学習に使うデータの量と質が重要です。AIを導入してすぐに正確な予測ができるわけではありません。まずは、多くのデータを学習させて精度を高めるプロセスが求められます。

たとえば、AIで需要予測を行う場合、一般的には過去1年間分の予測・実績データとの検証が必要です。データ量が少ないと十分な精度が見込めなくなるので注意しましょう。

他部署と連携できていない

社内の協力の有無も、AI導入の成功に大きく変わってきます。先述したとおり、AI活用には多くのデータが必要となり、作業現場や営業など部署を超えての収集が求められます。ほかの社員が非協力では、計画通りに導入作業を進めることができません。運用開始が遅れると、コストも余計にかかってしまいます。データの解像度も低くなってしまうでしょう。
AI導入の際には、事前に関連スタッフに意義やメリットを説明し、理解を深める工夫が大切です。

導入範囲が広すぎる

何でもAIで自動化しようとして、導入範囲を広げすぎてしまうと失敗につながりやすいです。たとえば、外観検査を目的として導入したAIで、さらに需要予測や在庫管理まで対応しようとすると、その分運用にコストや学習の手間が増えてしまいます。業務範囲を広げるほど、学習量も多くなっていくことを考慮しなければなりません。

 

AIではなく、人の方が向いている作業もあります。すべてを自動化するのではなく、AIが行うべき作業かどうかの見極めも重要です。

検証が不十分である

十分に現場との検証をせずに導入すると、実際の作業者が使いにくいシステムになってしまいます。本当にAIが必要か、どのような機能を充実させればよいのかなど、現場の声を聞いて希望に沿ったシステムを開発することが大切です。

 

人件費などコスト削減のためにAIを活用する企業も多いですが、その場合は費用対効果を検証しておく必要があります。人件費を削減した分で開発費が回収できるのかなど、きちんと検証しましょう。

短期間での目的変更

AIで成果を得るには膨大なデータが必要です。計画したプロジェクトを途中で変更すると、十分なデータが取れなくなってしまうため、目標が未達成で終わる可能性があります。導入前にAIで解決する課題を明確にして、ブレのないようにしましょう。

また、短期間では成果が出にくいので、長期的な計画を立てて年単位で評価することも失敗しないためのポイントです。

まとめ

製造業は、効率の向上、品質管理の強化、競争力の維持、持続可能性の追求など、多くの課題に直面しています。AIは、これらの課題に対処する有力なツールとして、その価値を年々高めています。AIの導入が製造業にもたらす変化は、今後ますます大きくなることでしょう。

 

ただ、開発途中でもあるAIにはまだまだ課題もあります。デジタル人材の確保やセキュリティの強化など、導入には注意が必要です。また、AIの機能を最大限に活かすには、適切な戦略とビジョンが欠かせません。

 

AIは、私たちの生活でも身近な存在になりつつあります。製造業においても、AI技術の進化とともに自動化される業務が増えていくでしょう。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

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