広告AIとは?クリエイティブ生成AIと運用AIの違い、任せられる工程・任せられない工程

広告AIは、素材を作る「クリエイティブ生成AI」、配信を調整する「運用最適化AI」、キャンペーン作成まで実行する「AIエージェント」の3つに分かれます。どの層を使うかで、任せられる工程も、人が確認しなければならない箇所も変わります。
この記事では、3つの層それぞれでできることとできないことを整理したうえで、Google広告が標準で持っているAI機能との関係、広告出稿の8工程のうちAIに任せられる範囲、そして「AIが広告を読む」側に回ったときに何が変わるかまでをまとめます。記載は2026年9月時点の情報にもとづいています。

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クリエイティブ生成・運用最適化・AIエージェントのどれを使うかは、出稿する広告の種類によって変わります。主要なWeb広告サービスを比較した資料です。
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- ・各サービスの特徴
- ・どの広告から始めるかの判断材料
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1.広告AIとは
「広告AI」と呼ばれているものは、実際には守備範囲の違う3つの層に分かれています。素材を作る層、配信を調整する層、キャンペーンの作成そのものを実行する層です。
クリエイティブ生成AIは、広告に使う画像・動画・見出し・説明文といった素材そのものを生成するAIです。
運用最適化AIは、入札単価・配信先・予算配分を自動で調整し、すでに配信されている広告の成果を改善するAIです。
AIエージェントは、人との対話から広告の目的を読み取り、LP作成やキャンペーン作成といった作業を代わりに実行するAIです。
1-1.「広告AI」と呼ばれるものは3つに分かれる
「広告AI」で検索すると、画像生成の話、入札自動化の話、広告運用そのものを任せる話が同じ見出しの下に並びます。どれも間違いではありませんが、担当する工程が違います。画像生成AIは素材の工程を、運用最適化AIは配信中の調整の工程を、AIエージェントは設計から入稿までの工程を引き受けます。
層が違えば、導入して解決する課題も違います。クリエイティブの差し替えが追いつかないという課題にはクリエイティブ生成AIが効き、入札の見直しに時間が取られているという課題には運用最適化AIが効きます。そもそも広告を出す体制がなく、設計から入稿まで誰も手が回らないという課題に対しては、前の2つではなくAIエージェントの層が対象になります。
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1-2.【分類表】クリエイティブ生成AI/運用最適化AI/AIエージェント
3つの層を、担当する工程・主な出力・人の関与の度合いで並べると次のようになります。
| 層 | 担当する工程 | 主な出力 | 人の関与 | 解決する課題 |
|---|---|---|---|---|
| ①クリエイティブ生成AI | 素材の制作 | 画像・動画・見出し・説明文 | 指示を出し、出てきた案から選ぶ | 制作が追いつかない/案が少ない |
| ②運用最適化AI | 配信中の調整 | 入札単価・予算配分・配信面の取捨 | 目標値を設定し、結果を確認する | 入札調整に時間が取られる |
| ③AIエージェント | 設計から入稿までの実行 | LP・キャンペーン・広告文・キーワード | 目的と予算を決め、提案に意思決定する | 広告を出す体制そのものがない |
この表で押さえたいのは、右に行くほど人の作業が減るかわりに、人が決める内容が前倒しになる点です。クリエイティブ生成AIは出てきたものを見てから判断できますが、AIエージェントは目的・予算・目標コンバージョン数といった前提条件を先に決めないと動きません。「決めなくてよくなる」のではなく「決める場所が変わる」と捉えると、期待とのずれが起きにくくなります。
※本記事の分類は、広告出稿の工程に対してAIがどこまで関与するかで整理したものです。ツールによっては複数の層にまたがる機能を持つ場合があります。
2.①クリエイティブ生成AI|広告の素材を作る
クリエイティブ生成AIは、広告に使う画像・動画・テキストを生成する層です。検索結果で「広告AI」として紹介されているツールの多くは、この層に含まれます。デザインツールに組み込まれたもの、画像生成に特化したもの、汎用の対話型AIをコピー作成に使うものなど、形は複数あります。
2-1.できること(画像・動画・コピー)
画像では、背景の差し替え、人物やモノの切り抜き、サイズ違いの一括生成、配色パターンの展開といった作業が短時間で終わります。バナーのサイズ規定が媒体ごとに違う場合、1枚の原稿から複数サイズを出す作業はとくに時間を節約できます。
テキストでは、検索広告の見出しと説明文を文字数制限に合わせて複数案出す、訴求の切り口を変えた案を並べる、といった使い方があります。レスポンシブ検索広告のように多くの見出しを登録する形式とは相性が良く、案出しの手数をそのまま登録数に変換できます。
2-2.できないこと
誰に何を訴求するかは決められません。訴求の決定には、自社の商材がどの競合と比べられているか、どの条件で選ばれているかという情報が必要で、これは社内にしかありません。AIが出す案は、与えた情報の範囲内の組み合わせにとどまります。
書かれている内容が事実かどうかも判断できません。価格・仕様・実績・受賞歴といった要素は、生成されたテキストの中にもっともらしい形で混ざることがあります。数値と固有名詞は、生成後に人が突き合わせる前提で使います。
2-3.代表的なツールと料金の考え方
この層のツールは、大きく3タイプに分かれます。1つ目はデザインツールに生成機能が組み込まれたタイプで、テンプレートからの展開が得意です。2つ目は画像・動画生成に特化したタイプで、素材そのものの品質を求める場合に向きます。3つ目は汎用の対話型AIで、広告文や訴求案の作成に使われます。
料金は、無料プランと月額サブスクリプションを組み合わせた形が主流です。生成回数や解像度に上限を設け、上位プランで解放する設計が多く見られます。金額と提供条件の改定が速い領域のため、具体的な価格は各ツールの公式ページで確認してください。
3.②運用最適化AI|入札と配信を調整する
運用最適化AIは、すでに配信されている広告に対して、入札単価・予算配分・配信面を調整する層です。広告アカウントのデータを読み取り、目標として設定した指標に近づくように設定を変えます。素材を作るのではなく、素材の出し方を変える層だと考えるとわかりやすくなります。
ただし、調整の材料になるのは広告アカウントの中にあるデータだけです。商材が変わった、競合が値下げした、季節要因で需要が落ちたといった外部の事情は、コンバージョン数の変化として現れるまで反映されません。判断の遅れが許されない時期には、人が先に手を入れる必要があります。
3-1.できること
入札単価の調整が中心です。時間帯・曜日・デバイス・地域といった軸ごとに成果の差を読み、単価を上げ下げします。手作業では確認が追いつかない粒度まで見られるため、配信の無駄が削られます。
予算配分の見直しもこの層が担います。複数のキャンペーンや広告グループを横断して、成果の出ている側に予算を寄せる操作が自動化されます。除外キーワードの候補抽出、検索語句レポートの整理、異常値の検知と通知といった機能を持つツールもあります。
3-2.できないこと
目標そのものは決められません。獲得単価をいくらに置くか、コンバージョンを何と定義するか、どこまで赤字を許容するかは、事業側の判断です。ここを曖昧にしたまま自動入札に任せると、設定した目標に向かって最適化は進むものの、事業の目的とずれた方向へ進みます。
LPの中身にも手が届きません。広告をクリックしたあとのページで何を伝えるか、フォームの項目をいくつにするかといった要素は、この層の外側にあります。広告の調整だけで成果が頭打ちになる場合、原因が着地ページ側にあることは珍しくありません。
3-3.代表的なツールと料金
広告運用ツールの料金は、月額定額型で月2万〜30万円、広告費連動型で広告費の3〜20%、初期設定費用が0〜10万円というのが2026年9月時点の相場です。広告費が大きいほど連動型は高くなり、小さいほど定額型の負担が重くなります。自社の広告費の水準を入れて両方を計算してから選ぶと、判断を間違えにくくなります。
個別の例を挙げると、Shirofuneはセルフプランが広告費×5%、サポートプランが広告費×5%+月10万円という料金体系を公開しています(2026年9月時点の公開情報)。一方、広告代理店に運用を委託した場合の手数料は広告費の20%が中心で、調査した13社すべてが20%でした。ツールを使って内製するか、代理店に委託するかで、同じ広告費に対する支払いが大きく変わります。
ツール比較の詳細は、別の記事で機能と料金を並べて整理しています。
4.③AIエージェント|キャンペーン作成まで実行する
AIエージェントは、人との対話から広告の目的を読み取り、LP作成やキャンペーン作成といった作業を代わりに実行する層です。前の2層が「素材を出す」「設定を調整する」で止まるのに対し、この層は成果物を作り、広告アカウントへ反映するところまで進みます。
検索結果で紹介されている広告AIのほとんどは前の2層に属しており、この層は分類として定着していません。そのため「AIで広告運用ができる」という表現が、入札の自動調整を指す場合と、キャンペーン作成の代行を指す場合の両方に使われています。導入検討では、そのツールが提案までなのか実行までなのかを最初に確認すると、話が噛み合います。
4-1.従来のツールとの違いは「実行するかどうか」
提案型のツールは、「この時間帯の入札を下げるとよい」「このキーワードを除外するとよい」といった案を出します。実行するのは人です。エージェント型は、対話の結果をもとにLPやキャンペーンの実体を作り、媒体のアカウントへ連携します。
クラウドサーカスが提供する「CIRCUS Ads」は、この実行まで行う設計です。AIとの対話でLP作成と広告キャンペーン作成を行い、Google広告アカウントへ連携して配信まで実行できます。すでに運用しているGoogle広告アカウントと接続して使うこともできます。
開発の背景には、広告運用とLP改善が別々に進むことが成果悪化の根本原因になっている、という考え方があります。広告文とLPの内容がずれると品質スコアが下がり、同じ順位を取るために必要なクリック単価が上がります。逆に両者の関連性が高まると単価が下がる例も公開されており、kwm.co.jpが公開している実測では、クリック単価が500円から300円へ、別の事例では600円から450円へ下がっています(2026年9月時点の公開情報)。広告とLPを同じ流れで作る設計は、この分断を前提にしています。
4-2.できること
CIRCUS Adsの場合、実行までのステップは5段階です。①目的と予算の設定、②ヒアリング、③LP編集、④キーワード選定、⑤広告文設定という順で進みます。最初のステップで目的・予算・目標コンバージョン数を入力すると自動でシミュレーションされ、その条件で出稿する価値があるかを判断できます。
費用面では、初期費用0円、月額のツール費用は基本0円で、月額手数料が広告費の5%(月額広告出稿費用20万円以上の場合)という設計です。月額広告費が20万円未満(広告未配信を含む)の場合は月1万円です。最低契約期間は3か月で、最低出稿額はありません。
4-3.できないこと・向かない条件
対応媒体はGoogleリスティング広告です(今後拡大予定)。ディスプレイ広告やSNS広告を軸に設計したい場合、現時点では対象外になります。複数媒体を横断して予算を配分したいという要件には合いません。
人の時間がゼロになるわけでもありません。目的と予算の決定、ヒアリングへの回答、LPの文言確認、配信後の数値確認は人の作業として残ります。週に2〜3時間程度は社内で確認の時間を取れる体制が前提になります。この時間を確保できない場合は、運用代行を含む委託のほうが向きます。
※CIRCUS Adsの仕様・料金は2026年9月時点のものです。対応媒体と機能は順次拡大が予定されているため、最新の内容は製品ページで確認してください。
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対話からLP作成と広告キャンペーン作成まで実行するAIエージェントです。既存のGoogle広告アカウントと連携して、配信までを同じ流れで進められます。
- ・AIと対話するだけでLPを作成できる
- ・AIの提案に意思決定するだけで広告キャンペーンを作成できる
- ・手数料は広告費の5%(運用代行は20%前後)
クレジットカード登録不要・書類不要・最低利用期間なし
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5.媒体が標準で持っているAI機能
広告AIの話をするとき、外部ツールの前に確認したいのが媒体側の機能です。Google広告には、追加費用なしで使えるAI機能が標準で組み込まれています。外部ツールが提供する機能の一部は、この標準機能と重なります。
以下は2026年9月時点のGoogle広告の仕様にもとづく内容です。機能名と設定項目は変更されることがあるため、実際の設定時は管理画面の表示を確認してください。
5-1.レスポンシブ検索広告の組み合わせ最適化
レスポンシブ検索広告は、見出しと説明文を複数登録しておくと、媒体側が検索語句やユーザーの状況に応じて組み合わせを選んで表示する形式です。人が組み合わせを固定する必要がなく、登録した素材の中から成果の出る並びが選ばれます。
この仕組みがあるため、クリエイティブ生成AIで見出し案を多く作る作業は、そのまま配信の改善につながります。素材を増やす側と、組み合わせを選ぶ側で役割が分かれている構図です。
5-2.スマート自動入札
スマート自動入札は、オークションごとに入札単価を調整する機能です。目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化といった設定があり、選んだ目標に向けて単価が動きます。
外部の運用最適化ツールが持つ入札調整機能とは、守備範囲が重なります。違いは、複数媒体を横断できるか、独自の判断ルールを足せるか、レポートをどこまで整えるかといった周辺部分に出ます。入札そのものの調整だけが目的なら、媒体の機能で足りる場合があります。
5-3.P-MAXの配信最適化
P-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)は、検索・ディスプレイ・動画・その他の配信面を横断し、素材と配信先の組み合わせを媒体側が決める形式です。人が指定するのは、目的・予算・素材・オーディエンスの手がかりで、どの面にいくら配分するかは自動で決まります。
5-4.まず媒体の機能で足りるかを確認する
ここまでの3つは、Google広告のアカウントがあれば追加費用なしで使えます。外部ツールを検討する前に、これらを設定しているか、設定した上で何が足りないのかを言葉にしておくと、ツール選定の基準がはっきりします。
足りない部分として挙がりやすいのは、複数媒体の横断、レポートの自動化、LPの作成、広告アカウントを持たない状態からの立ち上げです。このうちLP作成とアカウント立ち上げは媒体の機能では埋まらないため、外部の層が必要になります。
6.AIに任せられる工程・人が決める工程
基準は単純で、やり直しが効くかどうかです。素材の生成や候補の抽出は、気に入らなければ捨てられます。一方、目的の設定や撤退の判断は、間違えたまま進むと費用が積み上がります。前者はAIに、後者は人に寄せるのが基本の分け方です。
6-1.【工程表】広告出稿の8工程を、AIと人で分ける
| 工程 | AIが担えること | 人が決めること |
|---|---|---|
| 1.目的と予算の決定 | 入力条件からのシミュレーション | 目的・予算額・目標コンバージョン数 |
| 2.ターゲットの設定 | オーディエンス候補の提示 | 誰に売るかの最終決定 |
| 3.キーワード選定 | 候補の洗い出しと分類 | 採用・除外の判断 |
| 4.広告文の作成 | 文字数に合わせた複数案の生成 | 訴求の軸と表現の可否 |
| 5.LPの作成 | 構成案・文章・画像の生成 | 掲載する事実と数値の確認 |
| 6.入札と予算配分 | オークション単位の単価調整 | 目標値の設定と上限の設定 |
| 7.配信後の数値確認 | レポート作成・異常値の検知 | 数値の解釈 |
| 8.改善と撤退の判断 | 改善案の提示 | 継続・停止の意思決定 |
この表を見ると、AIが担うのは候補を出す作業と定型の処理に集中していることがわかります。選ぶ・決める・確認するという行為は、8工程すべてに人の側として残ります。工数が減るのは作業時間であって、判断の回数ではありません。
6-2.人が必ず決めること
目的は人が決めます。問い合わせを増やすのか、資料請求を集めるのか、既存顧客の再購入を狙うのかで、選ぶキーワードも広告文も変わります。目的が曖昧なまま出稿すると、コンバージョンは発生しても事業の数字が動かないという状態になります。
予算と上限も人の領域です。月にいくらまで使うか、獲得単価がいくらを超えたら止めるかを、出稿前に決めておきます。自動入札は設定した目標へ向かって動くため、目標が甘いと費用だけが伸びます。
訴求の軸と撤退基準も同じです。どの強みを前面に出すかは、競合との比較や現場の受注理由から決まります。撤退基準は、何週間・何件のコンバージョンまで見て判断するかを数字で決めておくと、続けるかどうかの議論が短くなります。
6-3.AIに任せても問題が起きにくいこと
バリエーションの量産は任せやすい作業です。同じ訴求で表現を変えた広告文、同じ構図でサイズを変えたバナー、同じ内容で語尾を変えた説明文は、人が作っても機械が作っても判断の対象は変わりません。
候補の洗い出しも向いています。キーワードの候補、除外候補、オーディエンスの候補は、量を出してから絞る作業です。出す側を自動化すると、絞る作業に時間を回せます。
6-4.AIの出力を人が必ず確認すべき3箇所
1つ目は数値です。価格・割引率・実績件数・納期といった数字は、生成された文章の中に自然な形で混ざります。元の資料と1つずつ突き合わせて、出典のない数字が入っていないかを確認します。
2つ目は固有名詞です。自社名・商品名・受賞名・提携先・認証の名称は、似た名前に置き換わることがあります。とくに正式名称と通称が混在する商材では、表記の統一も同時に確認します。
3つ目は法規制に関わる表現です。他社より優れていると読める断定表現や、効果を言い切る表現は景品表示法の対象になり、健康や美容に関わる商材では薬機法の制限がかかります。該当する表現が残っていないかは、配信前に人が見ます。
※確認の手順は、社内でチェックリストとして文書化しておくと、担当者が変わっても同じ水準を保てます。
7.広告にAIを使うメリット
広告AIを導入する理由は、大きく3つに整理できます。制作にかかる時間とコストが減ること、検証できる案の数が増えること、そして特定の担当者に依存していた作業が減ることです。
7-1.制作時間とコストの削減
LPを外部に発注した場合の制作費は1本25万〜100万円、改善を継続的に依頼する場合は月10万〜15万円というのが2026年9月時点の相場です。バナーや広告文の制作費もこれに加わります。生成AIで社内制作に切り替えると、この部分の外注費が変動します。
ただし、外注費がそのまま浮くわけではありません。社内で確認と修正を行う時間が増えるため、費用の項目が外注費から人件費へ移る面があります。削減額を見積もるときは、この移動分を差し引いて計算します。
7-2.検証できる案の数が増える
広告の成果は、どの訴求が刺さるかを試した回数に左右されます。案を出すコストが下がると、試す回数が増えます。レスポンシブ検索広告のように多くの見出しを登録できる形式では、案の数がそのまま配信の選択肢になります。
広告文とLPの関連性が高まると、品質スコアの改善を通じてクリック単価が下がる場合があります。kwm.co.jpが公開している実測では、クリック単価が500円から300円へ約40%、別の事例では600円から450円へ約25%下がっています(2026年9月時点の公開情報)。同じ予算でクリック数が増えれば、検証できる回数も増えます。
7-3.属人化の解消
広告運用は、担当者の経験に依存しやすい業務です。どのキーワードを除外するか、どの時点で入札を下げるかといった判断は、これまで個人の中に蓄積されてきました。担当者が異動すると、同じ水準を保てなくなります。
AIエージェント型のツールは、工程を画面上の手順として持っています。目的を入れ、提案を見て、選ぶという流れが決まっているため、初めての担当者でも同じ順で進められます。判断の材料が画面に出てくる分、引き継ぎの説明が短くなります。
8.広告にAIを使うときの注意点
広告AIの導入で問題が起きるのは、多くの場合ツールの性能ではなく、確認の仕組みがないことが原因です。生成物をそのまま配信する運用にしていると、権利・事実・表現のいずれかで事故が起きます。
8-1.著作権と生成物の権利
生成物を商用利用できるかは、ツールの利用規約と契約プランによって決まります。無料プランでは商用利用が制限される場合があり、生成物の権利がツール提供者側に留保される設計もあります。広告に使う前に、利用規約の該当箇所を確認します。
既存の著作物に似た出力が生成される可能性もあります。特定の作風や既存キャラクターを指示に含めると、権利者の権利に触れる出力が出ることがあります。人物の肖像を扱う場合は、肖像権とパブリシティ権も検討の対象になります。
8-2.事実と異なる出力(ハルシネーション)
生成AIは、与えられていない情報についても、もっともらしい文章を出力します。価格・導入社数・受賞歴・対応エリアといった要素が、実在しない形で書かれる場合があります。
対策は単純で、数値と固有名詞を元資料と突き合わせることです。広告文とLPの両方を対象にし、出典のない記述が残っていないかを配信前に確認します。この工程を省くと、誤った情報が広告として拡散されます。
8-3.学習データの偏り
生成される画像や文章には、学習に使われたデータの傾向が反映されます。特定の職業に特定の性別の人物が現れやすい、特定の地域の景観が標準として出てくるといった傾向が出る場合があります。
広告は多くの人の目に触れるため、こうした偏りがそのまま表現として残ると、意図しない印象を与えます。人物が登場するクリエイティブでは、出力を複数用意して比べ、偏りが出ていないかを確認します。
8-4.個人情報とプライバシー
ツールに入力した内容が学習に使われるかどうかは、サービスとプランによって異なります。顧客名簿、商談記録、未公開の価格表といった情報を入力する前に、この点を確認します。
広告配信の側でも、個人情報の取り扱いには制限があります。顧客リストを使ったターゲティングでは、取得時に利用目的として同意を得ているかが問われます。AIの利用と広告配信の両方で、社内の個人情報保護方針との整合を確認します。
8-5.景品表示法・薬機法に触れる表現
生成された広告文には、「業界最高」「誰でも簡単に」「必ず改善」といった断定的な表現が混ざることがあります。根拠のない優良誤認表示や有利誤認表示は景品表示法の対象です。
健康食品・化粧品・医療機器などを扱う場合は、薬機法の表現規制がかかります。効果効能の表現は商材の区分ごとに範囲が決まっており、生成AIはこの区分を判断できません。該当する商材では、配信前の確認を必須の工程として組み込みます。
※法令に関する判断は、最終的に社内の法務部門または専門家に確認してください。ここに挙げたのは、確認が必要になりやすい箇所の例です。
9.AIが広告を「読む」時代になる
ここまでは、広告をAIで作る・運用する話でした。もう一方向、AIが広告を読む側に回るという変化も進んでいます。検索結果の見え方が変わり、人ではなくAIが情報を集めて要約する場面が増えているためです。
9-1.AI Overviewで検索結果の上部が変わる
Google検索では、検索結果の上部にAIが生成した要約が表示されるAI Overviewが導入されています。要約が先に目に入るため、従来の検索結果一覧に到達する前に、ユーザーが答えを得る場面が増えます。
この記事が対象としている「広告AI」という検索語句でも、AI Overviewが表示されます。要約に使われるのは、複数のページから抜き出された記述です。定義が1文で書かれているか、分類が表になっているかといった構造の違いが、抜き出されやすさに影響します。
9-2.AIエージェントは広告を無視しない
ユーザーの代わりに情報収集や比較検討を行うAIエージェントが実用の段階に入りつつあります。こうしたエージェントは、ページの見た目ではなく、そこに書かれている情報の構造を読み取ります。
AIエージェントは広告を排除するのではなく、キーワード・価格・仕様といった構造的な情報を持つ広告を参照する、という研究があります(arxiv.org/abs/2504.07112)。人にとってのバナーの視覚的な訴求力よりも、テキストとして抜き出せる条件の明確さが判断材料になるという見方です。
この論点は、広告の役割が「目を引く」から「条件を提示する」へ広がる可能性を示します。ただし、この分野の研究は途上にあり、査読の状況もそれぞれ異なります。断定的な前提として扱うのではなく、広告の作り方を考えるときの一つの視点として置いておくのが妥当です。
9-3.広告を「人とAIの両方に向けて」書くとはどういうことか
具体的には、広告文とLPに、抜き出せる形の情報を残すという作業です。価格を「お手頃」ではなく金額で書く、対応範囲を「幅広く対応」ではなく地域名や業種名で書く、条件を「要相談」ではなく数値で書くといった書き換えが該当します。
逆に、画像の中にだけ価格や仕様を書く形式は、抜き出しの対象から外れます。表で整理した情報を画像として貼るのではなく、テキストの表として置く。この一手間が、AIが読む側に回る場面での差になります。
10.広告AIの導入手順
広告AIの導入は、ツールを選ぶところからではなく、任せる工程を決めるところから始めます。順番を逆にすると、機能は多いが自社の課題に当たらないツールを選ぶことになります。
10-1.どの工程を任せるか決める
6章の工程表を使い、8工程のうちどこに時間が取られているかを書き出します。素材の制作に時間がかかっているのか、入札の調整に追われているのか、そもそも出稿の設計に手が回っていないのかで、選ぶ層が変わります。
複数の工程に課題がある場合は、費用と時間の両方が大きいものから着手します。全工程を同時に自動化しようとすると、確認の負荷が一度に増え、どこで問題が起きたのかを切り分けられなくなります。
10-2.小さく試す
最初から主力商材の広告で試さず、影響範囲の限られたキャンペーンから始めます。予算の上限を決め、期間を区切り、比較する対象を1つに絞ります。
試す前に決めておくこと
- 対象にするキャンペーンと予算の上限
- 比較する条件(変えるのは1箇所だけ)
- 判断に必要なコンバージョン件数と期間
- 生成物を確認する担当者と確認項目
- 続けない場合の撤退の基準
10-3.確認プロセスを決める
生成物を誰が、いつ、何を見て確認するかを決めます。6章で挙げた数値・固有名詞・法規制表現の3点を最低限の項目とし、商材によって項目を足します。
確認の担当を広告担当者だけに置くと、配信前の工程が詰まります。数値は商品担当、法規制表現は法務というように、見る箇所ごとに担当を分けると、1人あたりの確認時間が短くなります。
10-4.効果を測る
測る対象は、広告の成果と作業時間の2つです。獲得単価とコンバージョン数だけを見ると、AI導入の効果が広告の調子と混ざります。制作にかかった時間、確認にかかった時間を並べて記録しておくと、工数の変化が見えます。
11.広告AIに関するよくある質問
11-1.AIで広告を作るには?
使う層によって手順が変わります。素材だけを作るならクリエイティブ生成AI、配信中の調整を任せるなら運用最適化AI、設計から入稿まで進めるならAIエージェントです。どの層を選ぶかは、1章の分類表で自社の課題と突き合わせて決めます。
11-2.広告にAIを活用している企業は?
飲料・小売・広告会社など複数の業界で、生成AIを広告制作に活用した事例が各社から公開されています。具体的な施策の内容や効果を参照する場合は、各社のプレスリリースやニュースリリースといった一次情報を確認してください。二次的にまとめられた記事の記載は、時期や条件が省略されている場合があります。
11-3.マーケティングに使えるAIは?
広告の領域では、素材を作るクリエイティブ生成AI、配信を調整する運用最適化AI、キャンペーン作成まで実行するAIエージェントの3層に整理できます。広告以外では、メール配信の文面作成、問い合わせ対応、レポート作成といった用途があり、それぞれ別のツールが担当します。
11-4.AI広告のメリットは?
制作時間とコストの削減、検証できる案の数が増えること、属人化の解消の3点です。とくにレスポンシブ検索広告のように多くの素材を登録する形式では、案を出す速度がそのまま配信の選択肢につながります。
11-5.AIが作った広告に著作権はありますか?
権利の扱いは、使用するツールの利用規約と、生成物がどのように作られたかによって変わります。商用利用の可否、生成物の帰属、既存の著作物との類似といった点は、ツールごとに条件が異なります。広告として配信する前に、規約の該当箇所を確認し、判断が難しい場合は法務や専門家に相談してください。
11-6.AIに広告運用を全部任せられますか?
任せられない工程が残ります。目的と予算の決定、訴求の軸、撤退の基準は人が決める領域です。6章の工程表では、8工程すべてに人の判断が含まれています。作業時間は減りますが、判断の回数は減りません。
11-7.Google広告のAI機能と、外部のAIツールは何が違いますか?
Google広告には、レスポンシブ検索広告の組み合わせ最適化、スマート自動入札、P-MAXの配信最適化といった機能が追加費用なしで備わっています(2026年9月時点)。外部ツールは、この上に複数媒体の横断、レポートの自動化、LPの作成といった範囲を足す位置づけです。入札の自動化だけが目的なら、媒体の機能で足りる場合があります。
11-8.AIを使うと広告費は安くなりますか?
広告費そのものは、オークションの入札で決まります。AIが下げられるのは、運用にかかる工数と、クリック単価に影響する品質の部分です。広告文とLPの関連性が高まって品質スコアが改善すれば、同じ順位を取るためのクリック単価が下がる場合があります。一方、出稿量を増やせば総額は増えます。工数の削減と広告費の総額は、分けて考えてください。
12.まとめ
広告AIは、素材を作るクリエイティブ生成AI、配信を調整する運用最適化AI、キャンペーン作成まで実行するAIエージェントの3層に分かれます。自社の課題がどの工程にあるかを先に決めると、ツール選定の判断が短くなります。
検討の順番としては、まずGoogle広告が標準で持つAI機能を確認し、そこで埋まらない部分を外部の層に任せます。任せる範囲は工程表で分け、数値・固有名詞・法規制表現の3点は人が確認する工程として残します。
そして、AIが広告を読む側に回る動きも始まっています。価格や条件をテキストとして書き、画像の中に閉じ込めないという書き方は、人にとっての読みやすさとも重なります。広告AIの導入は、作る側の効率化と、読まれ方への備えを同時に進める作業だと捉えると、優先順位がつけやすくなります。
- AIに任せる範囲を決めたら
- 広告AIエージェント
CIRCUS Ads -
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工程表で人が決める部分を固めたあと、実行の部分を任せる選択肢です。Google広告アカウントと連携し、LP作成からキャンペーン作成までを対話で進められます。
- ・AIと対話するだけでLPを作成できる
- ・AIの提案に意思決定するだけで広告キャンペーンを作成できる
- ・手数料は広告費の5%(運用代行は20%前後)
クレジットカード登録不要・書類不要・最低利用期間なし
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