製造業の今後の課題。なぜPIMをやらなければならないのか
最終更新日:2023/10/26
こんにちは。
スターティアラボ ブログ編集部です。
前回ご紹介した「PIM」について、今回はより具体的な活用場面を中心に紹介していきます。
1.おさらい
PIMとはProduct Infomation Management の略称になります。
文字通り、「製品情報管理」ということなのですが、ここでいうPIMは、「商品情報を一元管理し、様々な媒体に連携して利用できるようにする情報管理手法」を指します。
ある企業において製品情報を確認することのできる媒体は多岐にわたります。社内の発注システムや在庫管理システム、WEBサイト、カタログ、営業資料 etc…といったように一企業が保有する自社製品に関する情報は様々で、情報を届ける対象によって複数のインタフェースや情報量の制限を設ける必要があります。
国内の企業において多くはこれらの製品情報に関して2重管理、3重管理をしており、製品の仕様変更や新製品の発表に伴ってこれらの情報をすべて更新する必要があります。
製品点数が多くなればなるほど、その作業量や複雑さは増し過酷を極めます。
例えば、発注システムと紙のカタログで考えた場合、前者は情報システム系の部署、後者は広報系の部署といったように、複数部署をまたがって更新をしなければならないケースも多く、管理の漏れや情報提供のスピードなど不都合が起きているのが現状です。
これらの課題を解決するための手法として、現在PIMを取り入れている企業が増えてきています。
2.なぜ、そうなってしまったのか。
一般的にPIMをで効果を発揮すると言われている企業の共通課題は、以下の4点かと思います。
・取り扱っている製品がとにかく多い(数千~数万)
・代理店販売を行っている
・海外展開をしている
・M&A等で複数のITインフラを抱えている
上記した4点がか課題としては多いのではないかと思います。
それでは、一つ一つひも解いて見ましょう。
①取り扱っている製品がとにかく多い
これは単純です。何であれ情報量が多くなればなるほどその管理には手間がかかります。
特に精密部品をあつかっている企業の場合、製造過程における材料費の価格変動はつきもので一部では毎日原価は変わると言われています。為替レートの変動も影響してきます。
企業は毎日毎日適切な価格を提示するのが理想形であるものの、数万点ある製品に対して、1点1点に対してアナログな管理で適正な価格を持たせるのは不可能に近いです。
例えば「アルミの仕入れ値が1円上がったので、数万点ある製品の中からアルミを使っている製品を使用量に応じて価格変更する」なんてのは考えただけでも「うわぁ・・・」ってなりますよね。
また分厚い製品カタログを出している企業の場合も、「カタログの情報は2年に一回しかリニューアルできないから製品の仕様が変わったり、販売中止になった製品も掲載されたままなんだよね」ということはざらにあります。
どの企業担当者も当然このままでいいとは思っていないかと思いますが、どうすることもできないのが現状です。
②代理店販売を行っている
代理店販売を行っている製造メーカーの場合、代理店ごとに開示している情報が異なることはしばしばです。
代理店ごとにランクを設けて、製品販売時のインセンティブに段階を設けている企業の場合、代理店A社と代理店B社へ提示している価格は当然異なってくるので、代理店の数が増えれば増えるほど価格の管理は二重、三重と増えていきます。
③海外展開をしている
ここでは言語的な部分も絡んできます。
例えば5か国分の製品情報を必要とする場合、1つ製品が増えるだけで5倍の情報が必要になります。
最近ではWEBサイトでも英語・中国語等の複数言語に対応したサイトを持つ企業も増えています。WEBサイトの管理者は情報管理が大変ということで外国語サイトには製品情報をあまり載せないということもありますがそれではWEBサイトとしての効果は損なわれます。
④複数のITインフラを抱えている
こちらも悩ましいところです。M&A等がおこなわれた際にはおそらく避けて通れない道かと思います。
いずれにせよ、どこかのタイミングで情報を一元化し、管理できるようにすることで、工数の削減や情報提供のスピードアップなどの効果が見込まれます。
こうした課題は今に始まったことではなく、おそらく10年も20年も前からあったものの、「何とかやってた」というのが本当のところかと思います。長い年月をかけて開発してきた製品が、蓋を開けてみれば管理しきれないほどになっていたという状況です。
また、ユーザーが情報を見る端末や必要とされる機会も変化しており、新しいものやニーズが出てくる度に管理ツールを検討・導入を繰り返しこのような情報になったのかと思います。
3.なぜ、今やるのか
PIMという概念自体、日本ではまだまだなじみのない概念ですが、大手企業を中心に広がりを見せてきています。
代表的なところでいうと、日本ではオラクルやIBMがPIMシステムを提供しています。大日本印刷では「Pro-V」というデンマークの会社が開発してPIMシステムを使って、複数の言語管理やERP、WEBサイト、DTPの一元管理を可能にしています。
情報過多と呼ばれる時代において、見せたい情報を見たい人にというのは一つテーマとなっています。
今、製品管理にかけている時間コストや情報提供が遅くなることに伴う機会損失と導入コストを天秤にかけて見てください。もちろん企業によってその答えはバラバラかと思います。
多くの企業が拡大に向けて新しい施策やサービスを始めている中で、製品の管理に時間をかけるのは正直もったいないことのような気がします。
まずはPIMを提供する会社に相談してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
4.まとめ
とはいえ、上記した会社のように大がかりなシステムをいきなり導入するのは難しいことかと思います。
「やらなければならないのはわかっているけど、いきなりは出来ない」
そのようなお悩みをお持ちの企業様向けに、当社でも「Plusdb」というdbシステムを使って簡易的にPIMを始められるようなサービスを提供しています。
▼Plusdbについて
このPlusdbはWEB上のデータベース作成ソフトになります。製造業のWEB上での製品管理を簡略化することができ、ユーザーにとっても使いやすい形の製品検索機能を既存のWEBサイトに追加することが出来ます。
「製品情報のデータを作成する」という第一ステップをスターティアラボではお手伝いすることが出来ます。まずは簡易的なところから始めて徐々にステップアップしていくことが大切かと思います。
少し宣伝をさせて頂きましたがPIMは近い将来(2~3年後)にはもっと一般的になってくるかと思いますので今のうちに出来ることから始めて行くことをおすすめします。
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