BtoB企業におけるWebマーケティングで成功するための4ステップ(ポイント)
最終更新日:2023/11/17
何か欲しいものがあるとき、皆さんはどういった行動を取りますか?
個人で何か欲しいものがあれば、まず、インターネットで価格や新作情報を取得するでしょう。
BtoBにおいても、商品を購入する際、一番最初に行うのは営業マンを呼ぶことではなく、できるだけインターネットで情報収集し、その後、相見積を取るために営業マンをよぶということが当たり前になってきています。
そのため、BtoBでのWebマーケティングは、いかにWebサイト上で見込客の熱を高くし、お問い合わせしてもらえるかが重要になります。
今回は、BtoB企業におけるWebマーケティング成功への4ステップをご紹介します。
前半の
1、社内の体制を整える
2、目標を設定する
で、スタートラインに立つために必要なことをご説明します。
後半は
3、Webサイトを構築し、コンテンツを作る
4、広告を活用する
で、Webマーケティングの情報となります。
目次
- 1-1.社内体制について
- 1-2.プロジェクトチームについて
- 2-1.営業課題を洗い出し、戦略を立てる
- 2-2.目標の立て方:参考例
- 2-3.KPIの立て方:参考例
- 3-1.製品詳細ページの充実化
- 3-1.会員登録による技術資料のダウンロード
6、まとめ
1、【ステップ1】社内の体制を整える
一般的にBtoB企業でWebサイト運用がうまくいかない理由として、4つの原因が考えられます。
①Webサイトに責任を持つ人が明確でない
②上司がWebサイトに対して興味がない
③関係者が多く、意思の統一・役割分担ができていない
④営業とWeb担当者に溝がある(連携が取れていない)
上記の原因で、なかなか運用がうまくいかず活用しきれていない企業が多いのです。
1-1、社内体制について
Webサイトの運営方法として社内体制の取り方には、「集中型」・「分散型」・「主管型」の3種類の方法があります。
会社規模が大きくなるにつれて集中型から主管型へと体制が変わってきています。
ただ、中小企業であっても、時代の流れとして「主管型」への移行が始まっています。
集中型
「集中型」とは、営業部や人事部、サポートや技術部など複数事業部が広報の部署にお願いし一つのサイトで更新を行っていました。
この方法は、営業部が伝えたいことが明確に広報へ伝わるかも正かではありませんし、各部署から依頼が来るので、更新までに時間がかかります。
分散型
「分散型」とは、「集中型」では広報へ他事業部が依頼していましたが、事業部それぞれが更新したい内容を更新したいときに変更するスタイルへと変わったものです。
「更新頻度が増え、より良くなるのでは?」と思われがちですが、一つのWebサイトのなかで情報が入り乱れ、何が重要なのか、何のためのWebサイトなのか、ブランディングの統一性がなくなってしまいます。
主管型
そのため、今後BtoB企業で活用されていくのは「主管型」でしょう。
主管型とは管理する部署はある上で、目的・役割に応じWebサイトを作成し、目的に沿った部署が更新していくというものです。
たとえば、当社の場合「Mtame」のコーポレートサイトがあり、商材ごとにWebサイトを持ち、それぞれ管轄する部署が更新を担当するようにしています。
こういった目的に沿った「主管型」のWebサイトが今後の主流になっていくと考えてられす。
ただし、Webサイトのかたちや、掲載内容についての設計については、制作段階で企業で統一し、コーポレートサイトへキュレーションできるようにします。
こうすると、商材サイトで更新された情報がコーポレートサイトにどんどん吸い取られ、全体としての統一を図ることができます。
また、商材のWebサイト以外にも、採用サイトや株主向けのIR情報のサイトなども同様に作成します。
1-2、プロジェクトチームについて
Webサイトを運営するにあたってのプロジェクトチームの担当を一覧化しました。
担当 | 役割 |
・意思決定者 | 予算の承認。経営層。 |
・プロジェクトリーダー | Webサイトが多岐にわたるので、全体を統括し、最適な施策をまとめ、意思決定者に判断を仰ぐ。 |
・コーポレートサイト更新担当 | 総務もしくは広報。 |
・コーポレートサイト承認者 | 総務もしくは広報責任者。 |
・サテライトサイト更新担当 | 商材担当、人事担当、IR担当など。 |
・サテライトサイト承認担当 | 各部門責任者。 |
・アクセスログ監視担当 | 全体のアクセス分析をし、各サイトの状況をプロジェクトリーダーへ報告。 |
・問合せ管理担当 | 営業担当が案件をしっかり追っているかどうかをチェックし、受注率を向上させる。 |
・営業担当 | アプローチする営業担当をあらかじめ決めておく。30分以内にアクションをする。 |
全部が専任担当というわけにはいかないかと思いますが、兼務体制であっても上記のような担当の振り分けを行う必要があります。
細かく分けましたが、複数の人が兼務で行うこともできます。ただ、上記の担当は必ず用意してプロジェクトチームを結成していただきたいです。
2、【ステップ2】目標を設定する
Webマーケティングは登山と似ています。
・どの山を目指すか? ⇒ 目的・目標の決定
・どのコースで登るか? ⇒ プロセスの決定
・いつ頂上につけば良いか?⇒ 期限を明確に
・中継地点の設定 ⇒ KPIの設定
・山の天気は変わりやすい ⇒ 状況に合わせた柔軟な対応が必要
といったようなイメージです。
コースが明確に決まっていないと回り道をしてしまったり、山頂に着かなくなってしまうこともあるでしょう。
そういったことがないように、最短コースの指標を立てることが重要になります。
「主管型」のWebサイト運営をする場合は「営業ツールとして」「株主のIR情報として」「ツールのブランジングサイトとして」「新卒や中途の採用のため」などさまざまな目的があります。
自社がどのような目的でWebサイトを活用していきたいのかしっかりと考えたうえで目標と、間の指標を決めていきましょう。
また、立てた指標と進捗に差があるかどうかを毎月チェックし、必要に応じて修正を繰り返すことで目標(成約数・売り上げ)
これは地道な改善なため面倒な部分も多いですが、目標に近づけるためにしっかりと確認していきましょう。
2-1、営業課題を洗い出し、戦略を立てる
BtoBでのWebマーケティングを成功させるためには、営業部門との連携が大切です。
目標を設定するに当たり、まずは営業部門で抱えている課題を共有してもらうことから始めましょう。
営業課題を洗い出したら、営業プロセスごとに整理しましょう。そして、営業戦略に基づいて解決すべき優先順位を決め、Webマーケティングでどのような施策で解決できるか検討します。
その後、KPIを立てるという流れで目標設定を行います。
2-2、目標の立て方:参考例
まず、販売するものをコピー機とし、ターゲット企業を東京23区の30~100人以下とします。
東京23区の30~100人以下の規模の企業のリストを78万件把握していたとします。
コピー機は契約時、大体ですが5年で契約するため、毎月の市場規模は78万社÷60か月で13,
1,300社のうち半分からお問い合わせをもらおうという目標を立てます。
650件のコピー機のお問い合わせの成約率を15%と考えると、月に約100件の受注になります。
1件当たりの単価を50万円として、5,
これをすぐにできるものとするのではなく、3年後にお問い合わせ650件にするためには1年後、2年後にどのくらいの件数が必要なのか、またどのような施策が必要になってくるのかを考えることが重要です。
2-3、KPIの立て方
重要なことはWebサイトにおいてアクセス数2倍=売上2倍などと単純に計算できるものではなく、アクセス数は売上に関わるものではあるが、そこだけにフォーカスすると現実的ではないということです。
では何が必要となってくるでしょうか。
売上が2倍になる為にはさまざまな要素が積み重なって売り上げになります。
アクセス数はその一つの要素でしかありません。
・アクセス数×CV率=お問い合わせ数
・お問い合わせ数×受注率=成約数
・成約数×単価=売上数値
・売上数値×リピート数=売上高
このそれぞれの要素を1.
そのため、アクセス数を徐々にでも伸ばすことで最終の目標に到達するための要素を揃えていくことが重要です。
3、【ステップ3】Webサイトを構築し、コンテンツを作る
目標を立てたら、マーケティング施策を実行できるようなWebサイトを構築しましょう。繰り返しになりますが、主管型の運用ができるように制作することが大切です。
また、更新しやすいCMSを採用するのがおすすめです。
Webサイトは一度作ったらそれで終わりではありません。アクセス解析データなどをもとに、より成果が出るように改善していくことが大切です。
ユーザーに求められるコンテンツを追加したり、修正を行う作業(更新)を継続していきましょう。
きちんと更新を行うことはSEO面でも評価されます。
Webサイトができ上ったら、コンテンツを作ります。
ぜひ、BtoB企業にはコンテンツマーケティングを行って欲しいと思います。
コンテンツマーケティングとは、見込み客や顧客にとって価値のあるコンテンツを提供し続けることで、興味・関心を惹き、理解してもらい、結果として売上げにつなげるマーケティング戦略のことです。
しかし、多くのBtoB企業から「技術情報は出せない」「お客様情報となるので事例はNG」「載せる情報が思いつかない」などのご相談をいただきます。
そんな企業様向けにコンテンツ事例をご案内します。
3-1、製品詳細ページの充実化
製品詳細を作成することにより、ページ数が増え、より細かい製品名での検索や関連製品を一緒に出すことによって興味や関心を引くことができます。
たとえば、当社がWebサイトを制作した企業様では、狙いたいキーワードに対応することができるようになりました。
また、ロングテールキーワードの検索結果から新規ユーザーからも閲覧されるようになりました。
3-2、会員登録による技術資料のダウンロード
よくあるかたちではありますが、自社の技術資料を会員登録したユーザーのみが閲覧できるよう作成することも有効です。
この方法は、お問い合せまではいかない情報収集段階のユーザーを集める手段である「中間コンバージョン」として利用されている企業様も多くいらっしゃいます。
競合他社には絶対に出せない資料は載せないとしても、会員登録してもらうことで誰がどの資料を欲しているのかを把握することができ、商談につながりやすくなります。
中間コンバージョンについては下記ブログにもまとめておりますので、こちらも合わせてご確認ください。
▼潜在層をあと一歩踏み出させるための施策~中間コンバージョンとは~
http://mtame.jp/article/2017/02/22/71
4、【ステップ4】広告を活用する
広告といってもさまざまな種類があります。
・検索連動型広告
・リターゲティング広告
・ネイティブアド など
「検索連動型広告」は、あまり聞きなじみがない方もいらっしゃるかもしれませんが、Google AdWordsのような検索エンジンに表示される広告です。
▼GoogleAdWordsについてはこちらから
【新任リスティング広告担当向け】いまさら聞けないGoogleAdwordsの基礎
リターゲティング広告は一度広告主のWebサイトを見に行った後に、ほかのサイトを閲覧していても表示されるような追跡型の検索になります。
▼リターゲティング広告例
広告にもさまざまな目的をもって活用することができるので、何のために出稿するのかを明確にして運用していきましょう。
5、BtoB企業のWebマーケティング成功事例
実際にWebマーケティングに取り組んだ結果、成功した事例をご紹介しましょう。
シェアードソリューションサービス
画像引用:シェアードソリューションサービス
シェアードソリューションサービスは、メーカーが保守サービスを終了してしまったコンピュ-ターの修理や保守サービス(EOSL)を手がけているBtoB企業です。
同社では、次のような課題を抱えていました。
課題
- サイトからの有効お問い合わせが少ない
- 新規顧客獲得のフローが確立していない
- 展示会で獲得した見込み客情報を活用できていない
- 休眠顧客の掘り起しができていない
そこで、まずWebサイト上にサービス対応製品をデータベース化してどんどん追加していきました。これは、具体的な機種名を検索したユーザーからのお問い合わせを促すためです。
また、メインターゲットである半導体業界向けの技術情報やノウハウを盛り込んだホワイトペーパーを社長自ら作成し、掲載。
ホワイトペーパー掲載について、メルマガで周知し、メール開封やホワイトペーパー掲載ページへのアクセス、ホワイトペーパーのダウンロードなど、反応のあったところに対し、営業部門がフォローすることで、放置されていたリードから新規顧客開拓していきました。
その結果、以下のような成果がありました。
Webマーケティング施策
- 具体的な機種名でのお問い合せを促進するため、商品データベースを追加
- 見込み顧客発掘の為中間コンバージョンとして、ホワイトペーパーを作成・掲載
- マーケティングオートメーションツールにより、キーコンテンツの閲覧企業に対しアプローチを実施
- 見込み客に対し、メルマガ配信によるアプローチを行う
効果
- Webサイトからの売上額:ほぼ0円→350万円(導入後9か月間の累計)
- 有効商談件数:0件/月→7件/月
- メールナーチャリングから商談創出:35件
マックスプロデュース
画像引用:マックスプロデュース
マックスプロデュースは、株主総会などのイベントを企画から実施・運用まで手がけるイベント制作会社です。
同社では、次のような課題を抱えていました。
課題
- 業界柄アウトバウンド営業は合わず、インバウンドでの集客を行いたいが、紹介以外での集客方法を確保できていない
- 営業専任のスタッフを確保できないが、新規顧客獲得を行いたい
- 問い合わせが欲しいため、嫌味にならない方法で自社の強みをアピールしたい
そこで、コーポレートサイト内にオウンドメディアを開設し、「社員総会」というキーワードでの流入を増やすため、社員総会に関するブログ記事を中心にコンテンツを増やしていきました。
また、中間コンバージョンとして、ホワイトペーパーも設置しました。
その結果、以下のような成果がありました。
Webマーケティング施策
- アクセス向上と潜在顧客育成のためのオウンドメディアを開設、平均月4本更新
- ホワイトペーパーを設置することで見込み顧客との接点を作る
効果
- Webサイトからの受注数:3倍(1件/年→3件/年)
- Webサイトからのお問い合わせ数:約4.3倍(3件/年→13件/年)
- コンバージョン率:約3.6倍(0.037%→0.135%)
※それぞれ、導入9ヶ月後の成果
※コンバージョン=お問い合わせ
健生
画像引用:健生
健生は整骨院と介護施設の経営・請求代行およびコンサルタント業務を中心に手がけています。
同社では、次のような課題を抱えていました。
課題
- 手動で行っているリード管理を自動化したい
- リードに対しタイミング良くアプローチできていない
そこで、マーケティングオートメーション(MA)を導入して、ユーザーのWeb上での行動をトラッキングし、ここから有望リードを営業部門へパスしていくフローを作りました。
また、メルマガ登録フォームを設置し、登録者にはメールによるリードナーチャリングや、セミナーへの誘導を行いました。
並行して、オウンドメディア記事でもリードナーチャリングとセミナーへの誘導を実施しました。
その結果、以下のような成果がありました。
Webマーケティング施策
- ユーザー行動のトラッキングを有効な営業アプローチにつなげる
- メルマガ登録フォームからの新規リード獲得
- メルマガによるリードナーチャリングとセミナーへの誘導
- オウンドメディア記事によるリードナーチャリングとセミナーへの誘導
効果
- 新規リード獲得数:100件 ※導入後6ヵ月の成果
- メルマガからのセミナー誘導に成功(本成約にもつながっている)
- 月間PV数10,000(オウンドメディア「やわらBizジャーナル」)
※柔道整復師全体の母数は60,000人といわれています。
6、まとめ
Webマーケティング成功への4ステップ(ポイント)をご紹介してきました。
わかってはいるけど、なかなかできない…