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製造業におけるデジタルマーケティングの必要性と成功企業の共通点【セミナーレポート / 前編】

記事公開日:2023/11/14
製造業におけるデジタルマーケティングの必要性と成功企業の共通点【セミナーレポート / 前編】

BtoB製造業でもデジタルマーケティングに取り組むことが一般的になりましたが、実際どこから始めたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか?

 

今回は、弊社が過去に開催したウェビナー「実例から学ぶ!製造業がデジタルマーケティングで営業改革を起こす極意とは」を要約して、BtoB製造業のデジタルマーケティングについて網羅的に紹介する特集記事を、前編・中編・後編の3部構成でお届けします。

 

前編の本記事では、製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)について詳しく解説さらに、施策の実行に踏み出せない理由を考察し、実例を紹介するとともに、その解決策を紹介します。

以下に当てはまる方は特におすすめの内容になっています。中編と後編と合わせてぜひお役立てください。

 

  • ホームページを活用して売上を上げたいBtoB製造業の方
  • これからデジタルマーケティングを始めるBtoB製造業の方
  • 営業活動に課題を感じているBtoB製造業の方

 

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製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)

製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)について紹介します。

 

製造業におけるデジタルマーケティングの現状

我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査(22年3月)

 

上記は経済産業省の「我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査(22年3月)」というデータで、具体的なIT投資の対象を著しています。

 

この調査からは、製造業におけるIT投資では「生産管理」や「全社的・部門横断的なシステム」が60%?70%を占めていますが、本記事の主題である「営業・マーケティング」は26.7%しか投資できていないという現状がわかります

2022年版 ものづくり白書

 

一方で、上記の「2022年版 ものづくり白書」という資料の結果では、現時点で約50%の企業が「顧客チャネル・営業力強化」に取り組んでおり、今後の重点課題としても同程度の企業が取り組んでいきたいと考えているということがわかっています。

 

「営業部署の人材育成と営業力の向上に課題があるか」と「生産性の向上に課題があるか」

 

そして上記の、「営業部署の人材育成と営業力の向上に課題があるか」と「生産性の向上に課題があるか」を調べた弊社の調査では、先ほどの数と同じぐらいの50%が「YES」と答えています。

 

以上のデータにより、約半数の企業は「営業・マーケティング」に取り組んで向上したいと考えているという現状の中、実際には全体の4分の1程度の投資対象に留まっているということがわかります。

企業は「営業・マーケティング」に課題があると感じていることがわかった上で、次にユーザーサイドからの視点を紹介します。

 

ユーザーサイドからの視点

ユーザーが製品を探す際に利用する媒体を調べた結果

スライド内の出典元:イントリックス株式会社【製造業】オンラインでの製品選定における実態調査 

 

上記のデータは、ユーザーが製品を探す際に利用する媒体を調べた結果です。1位は「Googleなどの検索エンジン」、 2位は「企業のWebサイト」という結果になっています。この結果から、もし検索エンジンやWebサイトの対策ができていないと、その時点で機会損失をしている可能性が高いといえます。

 

「Webサイトに情報が掲載されていなくて候補から外れたことがあるか」

 

次のデータは、製品を検討するプロセスの中で「Webサイトに情報が掲載されていなくて候補から外れたことがあるか」という調査を行った結果です。

 

この調査から、「情報が掲載されていなかった・見つけられなかった・情報が古かった」などという理由で、30%前後の人は候補から外してしまっていることがわかります。この点からも、大きな機会損失につながっている可能性があるといえます。

 

企業側からすると「営業・マーケティング」を強化していきたいという気持ちがあるのに、 ユーザーの候補から外されてしまっているのは、とてももったいない状況です。

 

「どのようなキーワードで検索をしているのか」

 

このような現状の中で、具体的にどのようなコンテンツを発信していけばいいのでしょうか?

 

上記の「どのようなキーワードで検索をしているのか」を調査したデータからは、「技術や製品の名称」が含まれる検索ワードをはじめ、「使用場所やシーン」「技術の提供価値」「評判・実績」が含まれる検索ワードで調べられていることがわかっています。

 

用意すべき具体的なコンテンツは明らかになっているため、あとは検索時にヒットする=受け皿となるWebサイトやページを用意することが重要です。この部分をやるか、やらないか、というところが、後に大きな差となって表れてきます。

製造業にデジタルマーケティングが必要な理由(わけ)のまとめ

製造業にデジタルマーケティングが必要な理由

 

製造業にデジタルマーケティングが必要な理由について紹介しましたが、簡潔にまとめると、上記の3つのポイントがあります。

 

一つは、全体26%程度が「営業・マーケティング」へ投資を行っている一方で、40?50%の企業が営業部門の強化に課題を持っており、課題と投資にギャップがあることが明らかになっていること。

 

また、「情報がない・古い」という理由で30%程度の人が製品を候補から外しており、機会損失を招いている可能性があるため、これを解消することで案件の創出に繋がる可能性があること。そして発信すべき情報についてはある程度決まっているので、しっかりと取り組めば商談創出は期待できます。逆に、ここでやらないと大きな機会損失に繋がりかねません。

 

以上が、製造業にデジタルマーケティングが必須な理由です。

 

このような現状をお伝えしたところで、「理由はわかっていても、デジタルマーケティングに踏み切れない」という方も少なくないと思うので、その背景についても解説します。

 

デジタルマーケティングに踏み切れない背景

2023年における製造業界の市況

 

デジタルマーケティングに踏み切れない背景には、「守りのDX」と呼ばれる領域や、工場やバックオフィスのDXなどの優先度が高いという背景があります。

 

「守りのDX」や「工場・バックオフィス」への投資はもちろん必要です。しかし、デジタルマーケティングに踏み切れない上で大きな課題になるのは「守りのDXや工場以外への投資の優先度が上がりきらない」というところにあり、これを解消していく必要があります。

 

では、なぜ優先度が上がりきらず、営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が依然として低いままなのでしょうか?

 

営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が低い理由

営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が低い理由

 

営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が低い理由として、1つ目に挙げられるのは、「インパクトと緊急との違い」です。製造業において、工場のデジタル投資の方がインパクトが緊急度が高く、設備が老朽化している場合やプロセスそのものが競争優位になる場合もあるため、優先順位が高くなるのは当然のことと言えます。

 

他に「詳しい人がいなくて踏み出せない」ケースや、自社の技術情報が流出するのを気にして発信できない「情報を外に出すのを躊躇する」ケース、「そもそも成果が出るのがわからないから投資できない」というケースなどがあります。

 

以上の4つの理由から「製造業のデジタルマーケティングは合わない」と思って取り組まない場合や予算を下げてしまう場合が多く、非常にもったいないケースがあります。次章では不安や課題を解消するため、製造業における具体的な事例を紹介します。

 

他社の事例を知ることで、「情報をどこまで公開するのか」や「どれぐらい成果が出るのか」ということがわかるため、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

 

製造業における具体的な事例

製造業におけるデジタルマーケティングの具体的な事例について、専門性の高い製品を取り扱う「アイメックス株式会社」、補強土壁の提案や工事を行う「ヒロセ補強土株式会社」、合成樹脂塗料などの設計・開発・製造を行う「東日本塗料株式会社」を紹介します。

 

アイメックス株式会社様

アイメックス株式会社様

 

1つ目の事例は、湿式超微粒粉砕・分散装置とプラスチック押出成形システム装置という、専門性の高い製品を扱うアイメックス株式会社様です。

 

Webサイトリニューアル~キーワード1位獲得

同社は元々2013年頃にWebサイトを簡単に更新できるCMSというツールを導入し、Webサイトをリニューアルするところからスタートしています。自社での更新体制が整ってきたところで、2016年から本格的にWebサイトのSEOやCV導線、問い合わせに繋がりやすくするための改善、施策の優先順位の見直し、コンテンツ制作に注力していき、PDCAを回していきました

 

その結果、「ビーズミル」など複数のキーワードの検索順位で1位を獲得し、そこからさらにWebサイト領域に注力して、次のステップとして2017年に2度目のWebサイトのリニューアルを行いました。

 

1度目のリニューアルを行った2013年から2度目の2017年までの間に、閲覧ユーザーの画面サイズに合わせてページレイアウトを最適化する「レスポンシブデザイン」の重要性の高まりや、オウンドメディア施策の流行など、BtoBのデジタルマーケティングやWebサイトの施策に大きな変化があったため、それらに対応できるように体制を整えていきました。

 

2度目のリニューアル~成果

2度目のリニューアルのタイミングでMA (マーケティングオートメーション)ツールを導入し、Web 広告などのマーケティング施策を強化していきました。

 

2019年にはコロナ禍において、いち早くオンラインの対応に取り組み、ウェビナーの開催やインサイドセールスの立ち上げなど、非常に積極的にデジタルを活用した営業改革を行いました。

 

このような取り組みの結果、問い合わせ数は約5倍になり、セミナーの集客も最大150名の方が足を運んでくれるという成果が得られました。他にもメール配信によって資料をダウンロードしてくれた約250件の方にアプローチするなど、営業活動の効率化を実現しています。

 

また、産休明けの女性社員のキャリアとインサイドセールスの相性が非常に良く、「子育てしながら働ける」という社内環境が整備されました。全社的な改革を実現できたのが、同社の特筆すべき成果だといえます。

社内の体制

社内の体制

社内の体制に関してみていくと、元々2013年頃は営業担当の方が兼任で担当していましたが、 それだけだとWebサイトに注力できず、優先順位も上がりづらいため、段階的に専任担当を設けてもらいました。

 

専任担当といっても、デジタルマーケティングに長けている人材はどの業界でも不足していて確保が難しいため、同社でも知識ゼロの状態から専任担当になった方が勉強していったという流れで体制が整っていきました。勉強意欲のある方や熱心な方であれば、知識がない段階からでも自立し、徐々に内製化していくことができるということが証明された事例と言えます。

 

今ではインサイドセールス部門が人員拡大し、3?4名の規模感でWebサイトの更新や営業活動を行っています。

 

成功要因

同社のデジタルマーケティング施策の成功要因として挙げられるのが、「製品開発と営業改革を両輪で実行した」という点です。

 

現代は「いいものを作れば売れる」という時代ではないため、「いいものを製造しつつ、営業部門も強化して改革する」ことが必要とされており、それを実現できた点が同社が大きな成果を獲得したポイントといえます。また、同社では業績を伸ばしただけでなく、育休や産休、年間休日も増えるなどの変化もありました。具体的にどういうコンテンツを制作していったかについては後編で紹介します。

 

ヒロセ補強土株式会社様

ヒロセ補強土株式会社様

 

次に紹介するのは、補強土壁の提案や工事を行うヒロセ補強土株式会社です。

 

短期間での成果獲得

同社は2019年から、Webサイトのリニューアルと同時に、新規の顧客獲得に向けたWeb広告の出稿を行いました。2019年当時の月間セッション数は1727でしたが、1年で5013へ、さらに翌年は9257へと増加しています。また商談を生む為に必要となるコンバージョン数は、2.5から33.4へ、翌年には79.4へと着実に増えていっています

 

同社の事例は、比較的短期間で成果を出している事例です。Webサイトのリニューアル後の2020年からは、次のステップとしてMAツールを導入し、獲得していたリードに対するメール配信や、SEO対策を強化していきました。ある程度成果がでてきた2021年からは、MAツールの容量追加やチャットボットの導入を行い、さらに顧客体験を向上できるように取り組んでいきました。

 

東日本塗料株式会社様

東日本塗料株式会社様

 

3つ目の事例として、合成樹脂塗料などの設計・開発・製造を行う、東日本塗料株式会社を紹介します。

 

閲覧数や問い合わせ数の増加

2017年から、同社もWebサイトのリニューアルとCMSの導入を実施して、自社更新が可能な状態にするところからスタートしています。

 

その次のステップとして、2019年頃から記事コンテンツやメルマガジンの配信、MAツールの導入を経て、2021年頃からは掲載資料の充実化やお客様の声を生かしたコンテンツ作りに着手しています。

 

成果としては、Webサイトをリニューアルしたことで、閲覧数が300%、問い合わせ数が150%アップした他、MAツールの導入や、担当者が兼任から専任になるなど、社内におけるWebへの意識の変化がありました

社内の意識変化

Webサイトの成果が出ることで、社内の意識が変化することはよくあるケースです。同社でも、案件が生まれ始めることで営業部門も協力的になり、最終的にお客様の声を生かしたコンテンツ作りをする際には、しっかりとした協力体制が整っていくという成果がありました。

 

ちなみに、担当者は元々営業担当の方ではなく、兼任担当の時には仕事の合間や仕事終わりに少しWebサイトの作業を行う程度でしたが、今ではWeb担当として活躍しています。

 

この3つの事例はどれも兼任担当からスタートして、順番にステップを踏んで成果を出していき、その成果を元に専任担当への移行や、人員増加、協力体制の構築などの改革が実現できています

・経営の方の理解がある・正しい順序でステップアップしている・適宜外部の支援を活用しつつ内製化を進めている

 

3つの事例の共通点

紹介した3つの事例から、成果を生み出すには3つの共通点があるといえます。

 

1つ目が「経営の方の理解がある」という点です。どの企業も経営者や社長、役員の方が「デジタルマーケティングに投資する必要がある」という理解があります

 

その上で、「正しい順序でステップアップしている」という点も重要です。 そして、「適宜外部の支援を活用しつつ、内製化を進める」ことで、自社でノウハウを貯めていき、最終的には自走していけるようになるまで取り組んでいます。そこまでいくと、さらにできることの幅が広がって、新たなチャレンジがしやすくなったり、他部署からの注目や協力を集められたりするというメリットも生まれます。

その他の成果事例

上記で紹介した3つの事例の他にも、製造業におけるデジタルマーケティングでは以下のような様々な成果が出ています。

 

  • SEOでセッション数が10倍になったことに加え、検索順位も圏外から1位へ上昇し、新規ユーザー獲得へとつながる。
  • Webサイトのリニューアル後、問い合わせが増加し、2000万円以上の商談を多数創出。
  • ページビューが300%増加。
  • Webサイトリニューアル後のサイトアクセス数が1000件以上アップし、問い合わせ率が改善。

 

デジタルマーケティングに対する経営陣の理解があり、正しい順序を踏んでいけば、製造業においてもデジタルマーケティングは十分に機能するのです。

まとめ:製造業におけるデジタルマーケティングへの踏み出し方

製造業におけるデジタルマーケティングへの踏み出し方

 

ここで先述した「営業DXやデジタルマーケティングの優先順位が低い理由」について、紹介した事例を元に解決法を紹介します。

 

まず「インパクトと緊急度の違い」に関しては、1つ目の事例の成功要因で紹介したように、両輪で対応していくことが重要です。詳しい人がいないというケースについては、専門家に頼り、徐々に内製化していくことをおすすめします

 

専門性が高い製品を扱うため、情報を外に出すのを躊躇ってしまう場合は「出すべき情報を見極める」ことが大切です。具体的には後編でさらに詳しく紹介します。

 

成果がわからなくて不安な方は、上記で紹介した事例から「一定数の成果は見込める」ということがお分かりいただけたと思うので、次は実践にうつしていきましょう。

 

>では「実際、どこから始めたらいいの?」という方へ。中編では製造業におけるデジタルマーケティングの特徴と、おすすめのデジタルマーケティング施策について解説しています。ぜひ、ご覧ください。

 

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  • この記事を書いた人
  • エムタメ!編集部
  • クラウドサーカス株式会社 マーケティング課

    プロフィール :

    2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。

    メディア概要・運営会社→https://mtame.jp/about/

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