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「Google Cloud Next'18 in Tokyo」レポート 第一回 セッション:コカ・コーラ「ソーシャルメディアとAIを活用した消費者インサイト探索への挑戦」

記事公開日:2018/10/12
最終更新日:2023/11/20
「Google Cloud Next'18 in Tokyo」レポート 第一回 セッション:コカ・コーラ「ソーシャルメディアとAIを活用した消費者インサイト探索への挑戦」

2018年9月19日(水)・20日(木)の2日間、ザ・¬プリンスパ-クタワー東京/東京プリンスホテルにおいて、Google社が主催する過去最大級の総合イベント「Google Cloud Next'18 in Tokyo」が開催されました。

「あなたのビジョンをクラウドが実現していく」をテーマに、最先端のクラウドを体験できる80以上のブースと、130以上のセッション(講演)が設けられ、会場はクラウドの最新情報を求める大勢の参加者でにぎわっていました。

「エムタメ!」では、当日の様子からマーケター向けの情報を厳選し、数回にわたりレポートしていきます。

第一回は、日本コカ・コーラ株式会社がSNSを活用して消費者インサイトを探り当てる取り組みについて紹介されたセッションの模様をお送りします。

1.消費者の飲用シーンを探るため、Twitterの投稿画像をAI分析

小林 康二氏

小林 康二氏(日本コカ・コーラ株式会社 経営戦略本部 
ナレッジ&インサイツ ディレクター)

おなじみのコカ・コーラやファンタなどを製造販売している日本コカ・コーラ株式会社(以下、日本コカ・コーラ)は、市場調査の専門部隊を持ち、「消費者中心主義」を掲げてマーケティング施策に取り組んでいます。そのなかでも「ナレッジ&インサイツ」は、消費者インサイト(消費者の心理・視点)をより深く知ることにフォーカスした部門で、社のビジネス成長のエンジンとなっているそうです。

ナレッジ&インサイツ

日本コカ・コーラでは、「コカ・コーラがどのようなシーンで飲まれているのか?」を探るため、SNSのなかでも本音が現れやすくリアルタイム性の高い「Twitter」を使ってソーシャル分析することが決まりました。さらに、「#(ハッシュ・タグ)付きではないインサイトもあるのではないか?」との仮説から、AIを使って画像のなかに移り込んだコカ・コーラのロゴマークを抽出しての分析が検討されました。

2.いつ・どこで・何と一緒にコカ・コーラが写っているか?

森口 誠氏/韮原 祐介氏

左から、森口 誠氏(日本コカ・コーラ株式会社 経営戦略本部 ナレッジ&インサイツ グループマネージャー)、
韮原 祐介氏
(株式会社ブレインパッド AIビジネス本部 副本部長)

具体的なプロジェクトスタートのきっかけは、Google社とのインサイト・ワークショップだったといいます。そのワークショップとは、「Google トレンド※1」「Google Survey※2」といったデジタルツールを活用して消費者インサイトを探るというもので、このなかで「画像解析技術」も扱われていました。

日本コカ・コーラが求める「いつ・どこで・何と一緒にコカ・コーラが写っているのかを知りたい」という要求に対し、Google社が提案したのは、データ活用のリーディングカンパニーである株式会社ブレインパッドとのコラボレーションでした。ブレインパッドは、ソーシャルリスニング・プラットフォームとして「Crimson Hexagon For Sight Platform(クリムゾン・ヘキサゴン・フォー・サイト・プラットフォーム)」をリリースしており、ソーシャルリスニングに関する知見を備えていました。

日本コカ・コーラのこれまでのマーケティング施策においてSNSの画像分析は未開の分野だったそうで、期待値は高かったといいます。

プロジェクトの始まり

まずは、Twitterに投稿された数千億点にも上る全画像のなかから、歪んだり一部が欠けているものも含め、コカ・コーラのロゴマークが写り込んだ画像のみを抽出するところから始まりました。ツールは先述のクリムゾン・ヘキサゴンを用い、約7万点の画像が集まったといいます。

抽出できた画像例

さらに「飲用シーン」のみに絞り込むため、自動販売機やグッズ、広告などは除外した結果が4万点、これらにGoogle社の「クラウド・ビジョンAPI」を使用してタグ付けを行い、重複を除外したユニーク・シーンとして2,000点の画像が残りました。

クラウド・ビジョンAPI

※使用されたクラウド・ビジョンAPIは、無料で試すこともできますので、ご興味のある方はどうぞ。

※1 Google トレンド…Googleが提供している検索キーワード分析ができる無料ツール。
※2 Google Survey…Googleが提供している市場調査ツールで、オンライン上でアンケート作成から回答集計までが行えるサービス。

3.消費者インサイトを探る感性は、まだ“人間”が優位

森口 誠氏/韮原 祐介氏

最終的に抽出された2,000パターンの飲用シーンは、そのままでは分析しづらいため、可視化する手法として「階層型クラスタリング」と「共起ネットワーク」の2つが採用されました。

データサイエンスの力で解決

その結果、引用シーンをある程度まではジャンル分けできたそうです。

見つかった消費シーン・組み合わせ

ただ、これらの結果から、消費者の飲用シーンにおける「心理」を読み解こうとすると、AIだけでは深度の浅い解釈にとどまったといいます。

たとえば、以下のようなボップコーンと一緒に写っているコカ・コーラの画像を、AIは「おやつとしてポップコーンを食べながら飲まれているシーン」として認識するまででした。

Cloud Vision APIによるシーン・心理の考察

ただ、画像をよく見ると、映画の半券が一緒に写り込んでおり、コカ・コーラは2本であること、また、ポップコーンがまだたくさん残っていることもわかります。ここから、人間(マーケター)は、「映画館で上映までの待ち時間、恋人同士でポップコーンを食べ、コーラを飲みながらワクワクと過ごしている」と分析しました。

Cloud Vision APIによるシーン・心理の考察

まとめとして、AIを活用したSNS画像からの消費者インサイトの探索では、①メーカー側が想定していなかった引用シーンの発見があった(ペットと自宅のリビングでくつろぐシーンでの飲用など)こと、②画像分析に関してAIは膨大なデータの分析は得意だが、飲用の背景心理の考察など教え込まれていない情報に関するものは人間の方が優位であること、がわかったといいます。

AIと人間の認知能力を組み合わせてビジネス成果を創出

これらの結果をふまえ、日本コカ・コーラは、今回発見された飲用シーンを今後のマーケ―ティング施策に展開して収益化につなげるとともに、引き続き、デジタルツールを活用して消費者インサイト探索を進めていくと締めくくり、セッションは幕を閉じました。

小林 康二氏/森口 誠氏/韮原 祐介氏

【第一回】「Google Cloud Next'18 in Tokyo」レポート セッション:コカ・コーラ「ソーシャルメディアとAIを活用した消費者インサイト探索への挑戦」(本記事)

【第二回】「Google Cloud Next'18 in Tokyo」レポート 展示ブース:Google People Analytics/Google Cloud Platform


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