「Google Cloud Next'18 in Tokyo」レポート 第二回 展示ブース:Google People Analytics/Google Cloud Platform
最終更新日:2025/10/20

【この記事の要約】
Google Cloudが目指すのは、単なるインフラ提供に留まりません。「G Suite」に代表されるコラボレーションツール群を通じて、企業の生産性向上と働き方改革を支援することにあります。
特に強調されているのが、AI技術の活用です。例えば、Gmailの「スマートリプライ」やGoogleスプレッドシートの自然言語でのグラフ作成機能など、AIが日常業務をサポートすることで、人間はより創造的な仕事に集中できるようになります。Google Cloudは、高度な技術を誰もが意識せずに使える「民主化」を進めることで、すべての企業がイノベーションを起こせる環境を提供することを目指しています。
【よくある質問と回答】
Q1. Google Cloudが考える「働き方改革」とは、どのようなものですか?
A1. AIなどのテクノロジーを活用して、人間が文章作成やデータ分析といった定型的な作業から解放され、より創造的で付加価値の高い仕事に時間を使えるようにすることです。これにより、組織全体の生産性を向上させることを目指しています。
Q2. 記事で紹介されているG SuiteのAI機能には、どんなものがありますか?
A2. Gmailで受信したメールに対し、AIが返信文の候補を3パターン提案してくれる「スマートリプライ」や、Googleスプレッドシートで「〇〇と△△のグラフを作って」と話しかけるだけでグラフを自動作成してくれる機能などがあります。
Q3. Googleが目指す技術の「民主化」とはどういう意味ですか?
A3. AIのような専門家でないと使えなかったような高度な技術を、誰もが特別な知識なしに、普段使うツールの中で自然に使えるようにすることです。これにより、大企業だけでなく、中小企業や個人でもテクノロジーの恩恵を受け、新しいアイデアやビジネスを生み出せるようにすることを目指しています。
【ここから本文】
2018年9月19日(水)・20日(木)の2日間、ザ・¬プリンスパ-クタワー東京/東京プリンスホテルにおいて、Google社が主催する過去最大級の総合イベント「Google Cloud Next'18 in Tokyo」が開催されました。
「あなたのビジョンをクラウドが実現していく」をテーマに、最先端のクラウドを体験できる80以上のブースと、130以上のセッション(講演)が設けられ、会場はクラウドの最新情報を求める大勢の参加者でにぎわっていました。
「エムタメ!」では、当日の様子からマーケター向けの情報を厳選し、数回にわたりレポートしていきます。
第二回は、「Expo PURPLE(東京プリンスホテル 2F)」「Expo GREEN(ザ・プリンス パークタワー東京 地下2F)」それぞれの会場から1ブースずつ、マーケターの皆さんにご紹介したい展示内容をレポートいたします。
■第一回はこちらをご覧ください。
「Google Cloud Next'18 in Tokyo」レポート
第一回セッション「ソーシャルメディアとAIを活用した消費者インサイト探索への挑戦」
1.データドリブンな働き方改革
@Expo PURPLE(Google People Analytics)
「Expo PURPLE」では、おもにビジネス向けの展示やセッションが設けられていました。
そのなかから、Google社×VISITS Technologies株式会社×プロノイア・グループ株式会社の3社のコラボレーションによる「Google People Analytics」をご紹介します。
「Google People Analytics」とは、G Suite Enterprise(Google社)とideagram(VISITS Technologies株式会社)、プロノイア・グループ株式会社のコンサルティング/コーチング/研修サービスの組み合わせにより、データに基づいた「働き方改革」の実現を目指すパッケージサービスです。もっといえば、人材を適材適所に配置することで一人ひとりの生産性を高めることを目的としたサービスです。
①社員の働きぶりをデータ化する
使い方としては、まずG Suite Enterpriseにより、社員一人ひとりの働きを可視化します。たとえば、「メールをどのくらい送っているのか?」「どのくらいメールにファイルを添付して情報共有しているか?」「共有したファイルに対し、どのくらいフィードバックをもらっているか?」「フィードバックを受けた内容をどれだけファイルに反映したか?」「一日のうち、どのくらいの時間をネット検索に当使っているか?」といったさまざまな項目で社員ごとにデータを取得し、可視化します。
仮に「長時間ネット検索を行っているが、資料作成もしていないし、メールもほとんど送っていない」という社員がいたら、その人はもしかすると社内で転職活動をしているかもしれません。そこまではいかなくても、現状の仕事に集中できていない、モチベーションが保てていないといった後ろ向きの状態である可能性があります。
②アイデア創造力・目利き力を定量化する
次に、ideagramを用いることで、開発会議やミーティングの場で、「誰がどんなアイデアを出したか?」「それを評価したのは誰か?」といった情報を定量化、可視化します。これにより、社員のアイデア想像力・目利き力を把握します。
各アイデアは、「新規性」「実現可能性」「アイデアに対するニーズ予測」から算出されます。アイデアを出した人だけでなく、他人の出した優れたアイデアに賛同するスキルも評価される点がユニークですね。
③コンサルティング/コーチング/研修によりデータを活用した改善を行う
上記2ステップのなかで得られたデータをもとに、「では、どのようにして人材を適材適所に配置すれば良いか?」というノウハウを「コンサルティング/コーチング/研修」という実践形式にて提供してくれるのが3ステップ目です。
マネジメントを担当する管理職や経営層側の声と被雇用者側の声、両方をヒアリングし、双方の間に入って理解を助け、意見を伝え合える環境を作ってくれるそうです。社員それぞれの才能に合った部署・仕事内容に宛てるために必要があれば、デジタル化の支援もしてくれるなど、幅広くキメ細かくサポートしてくれるという点が印象的でした。自社やマーケティング部門の人材配置に悩んでいるマーケターの方は検討してみてはいかがでしょうか?
ちなみに、コンサルティングサービス提供を行っているプロノイア・グループ株式会社の代表:ピョートル・フェリクス・グジバチ氏は、元Googleの社員で「人生が変わるメンタルタフネス―グーグル流「超集中」で常識を超えるパフォーマンスを生み出す方法」(廣済堂出版)ほか、多数の著書を持ちます。
2.Cloud for Marketing
@Expo GREEN(Google Cloud Platform)
一方、「Expo GREEN」では、おもに開発者向けの展示・セッションが催されていました。
展示ブースの一つ「Cloud for Marketing」では、Google Cloud Platformが展示されていました。
「データドリブンマーケティング」が一つのキーワードともなっている昨今、すでに取り組んでいるマーケターの方もいらっしゃることでしょう。
Google Cloud Platformは、集めたデータを簡単に無料で可視化できるダッシュボード作成ツールです。データの分析を行うにはデータの統合などのクリーニングや加工(ローデータの作成)の工程が必要となり、SQLなどの専門知識なしには難しいものがあります。
Google Cloud Platformは、そういった手順を必要としないので、手っ取り早くデータを可視化したいときに役立ちます。たとえば、Google AnalyticsでWebサイトのアクセス解析を行っているところなら、そのデータをGoogle Cloud Platformで可視化すれば、社内での情報共有が楽になるでしょう。
架空のECサイトでの売上に関するデータのダッシュボード
Google Cloud Platformの公式Webサイト上では、サンプルデータも用意されているので、興味のある方は試しに操作してみてはいかがでしょうか?
「Expo GREEN」会場の様子。大盛況でした。
会場の一角にはカフェスペースも設けられており、ミネラルウォーターやコーヒー、ナッツなどが置かれていました。
【第一回】「Google Cloud Next'18 in Tokyo」レポート セッション:コカ・コーラ「ソーシャルメディアとAIを活用した消費者インサイト探索への挑戦」
【第二回】「Google Cloud Next'18 in Tokyo」レポート 展示ブース:Google People Analytics/Google Cloud Platform(本記事)
【English summary】
What Google Cloud aims for goes beyond merely providing infrastructure. It seeks to support corporate productivity improvement and work style reform through its suite of collaboration tools, represented by "G Suite."
Particular emphasis is placed on the utilization of AI technology. For example, with AI supporting daily tasks such as Gmail's "Smart Reply" and the ability to create graphs in Google Sheets using natural language, humans can concentrate on more creative work. Google Cloud aims to provide an environment where all companies can innovate by promoting the "democratization" of advanced technology, making it usable by anyone without conscious effort.