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「bellFace User Meetup #14 BestPracticeを探求せよ!実践企業から学ぶInsideSalesの仕組みづくり」レポート 第三回 インサイドセールス導入事例②「Sansan Inside Sales」Sansan株式会社

記事公開日:2019/06/03
最終更新日:2025/10/20
「bellFace User Meetup #14 BestPracticeを探求せよ!実践企業から学ぶInsideSalesの仕組みづくり」レポート 第三回 インサイドセールス導入事例②「Sansan Inside Sales」Sansan株式会社

【この記事の要約】

インサイドセールスは、単に訪問営業を非対面に置き換えたものではありません。その本質は、勘や根性に頼る旧来の営業を、データに基づいて科学的に行う「セールステック」の実践にあります。

成功のためには「量」と「質」の両面からのアプローチが不可欠です。まずトークスクリプトの型化やツールの活用で架電数などの「量」を担保し、次に会話の録画・分析を通じて個々の営業スキルという「質」を高めます。このサイクルを回し、成功事例をチームのナレッジとして蓄積・共有する仕組みを構築することが、組織全体の営業力を底上げする上で極めて重要です。

 

【よくある質問と回答】

Q1. インサイドセールスにおける「量」と「質」とは、具体的に何を指しますか?
A1. 「量」とは、架電数やアポイント獲得数といった行動量のことです。一方で「質」とは、ヒアリング能力や提案力、クロージングといった個々の営業スキルのレベルを指します。インサイドセールスでは、これら両方をデータに基づいて改善していくことが求められます。

 

Q2. 営業の「質」を高めるための具体的な方法は何ですか?
A2. 商談の録画データを活用することです。自分自身の商談を客観的に見返したり、トップセールスの商談内容を視聴したりすることで、話し方やヒアリングのタイミングなど、具体的な改善点や成功の型を学ぶことができます。これをチーム全体で共有し、議論することがスキル向上に繋がります。

 

Q3. なぜインサイドセールスは、属人化しにくいと言われるのですか?
A3. 全ての活動がデータとして記録・蓄積されるためです。誰が、いつ、どんな顧客に、何を話して、結果どうなったかという情報がすべて可視化されます。そのため、個人の感覚や経験といった曖昧なものではなく、データに基づいた客観的な成功パターンを抽出し、チーム全体の仕組みやナレッジとして横展開しやすいのです。

 

【ここから本文】

2019年4月17日(水)、ベルサール東京日本橋において、オンライン商談システム「bellFace(ベルフェイス)」を開発・提供しているベルフェイス株式会社のイベント「bellFace User Meetup #14 BestPracticeを探求せよ!実践企業から学ぶInsideSalesの仕組みづくり」が開催されました。

「エムタメ!」では、当日の様子を数回にわたりレポートしていきます。

第三回は、SESSION #2のインサイドセールス導入事例の後半で紹介されたSansan株式会社の「Sansan Inside Sales」の模様をお送りします。

関連記事はこちらをご覧ください。

1.8年間で1名から41名規模に成長したインサイドセールス部門

一方井 辰典氏

一方井 辰典氏
(Sansan株式会社 セールスディベロップメント部 マネージャー)

Sansan株式会社は「早く言ってよ~」のCMでおなじみの法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を提供しています。

インサイドセールスには、一般的にテレアポ組織、クロージング組織、未来の営業マンを育てる教育機関、顧客満足度最大化に向けたナーチャリング組織といったいくつもの役割がありますが、一方井氏は、インサイドセールスを成功させるためには、まず自社のビジネスモデルを理解し、必要性を認識することが重要であるといいます。

2011年からインサイドセールスを開始した同社にとって、インサイドセールスの役割とは、社内目線では、日々生まれてくる課題や戦略に対しインサイドセールス部門としてできることに取り組むという意味で「組織の戦略コントローラー」、対外的には、「Sansan」がサブスクリプションモデルで提供されるサービスであることを説明し、そのファーストアプローチを担うインサイドセールスがお客様に適切なご案内を行う重要性から「伴奏するコンサルタント」として位置づけられているといいます。

Sansan Inside Salesの考え方

立ち上げ当初は1名からスタートした同社のインサイドセールス部門は、現在、41名体制。中小企業を担当する「SDR」、大手企業を担当する「ADR」、地方の企業を担当する「RDR」、全体戦略とオペレーション改善を行う「SD企画」の4つのグループに分かれているといいます。

SansanのInsideSalesの現状

同社にbellFaceが導入されたのは、2017年のこと。営業部門(フィールドセールス)で使用していた既存のWeb会議システムのリプレイスの際に、通信環境の安定品質と、接続工数の短縮が決め手となったそうです。インサイドセールスにbellFaceが活用され始めたのは、2019年に入ってからということで、まだ日が浅いことがわかります。

インサイドセールスの役割も、当初は営業活動の効率化であったものから、全部門を俯瞰したときに調整弁となる役割(組織の戦略コントローラー)、加えて本質的な顧客体験に目を向け、「伴奏するコンサルタント」の役割も併せ持つように進化してきたのだといいます。

2.インサイドセールス組織進化の過程でぶつかった3つの壁

組織進化の過程でぶつかった壁

同社も、前回のレポートでご紹介した株式会社スタディストと同様、組織の成長に伴っていくつもの壁にぶつかったといいます。今回の講演では、そのなかから特に重要だと思われる「組織を1つにするKGI」「一貫性のあるデータベース設計」「組織変化に伴奏する教育プログラム」の3つの課題が取り上げられました。

①組織を1つにするKGI

2011~2014年頃の各部門のKGIは、マーケティング部門は「見込客の獲得数」、インサイドセールス部門は「商談の創出数」、営業部門は「受注額」となっていました。特別講演の『THE MODEL』の分業の考え方からすると間違ってはいないのですが、マーケティング部門とインサイドセールス部門で創出した商談が営業部門のリソース不足で受注できないといった問題が起きたとのことです。

このため、営業部門のKGIを基準に、マーケティング部門とインサイドセールス部門のKGIを設定するように改善し、現在のインサイドセールス部門のKGIは「受注貢献額」と「案件創出額」の2つが中心となっており、それまでの「商談創出数」「イベント集客数」「アクション数」といったものはサブKGIとして位置づけられ、メンバーが個人管理しているといいます。

組織を1つにするKGI

このKGIの変化により、商談の質を高めるためにインサイドセールス部門がbellFaceを活用して「事前商談」を行ったり、フェーズ進捗が停滞しているリードに対するフォローを行うというプロセスが新たに生まれたといいます。

②一貫性のあるデータベース設計

2014年当時のSansanのデータベースは部門ごとで最適化を進めたためにバラバラになっており、これに危機感を感じた同社はシステムを統一し、マーケティング部門から営業部門までのデータベースを一本化したのだそうです。

同時に、ステージングモデルを設計し、顧客情報がどのフェーズに行ったらどの部門が責任を持つ、という区分けも明確にされました。

③組織変化に伴奏する教育プログラム

3つ目は、「組織進化に伴い、ナレッジが共有化されていない」という課題です。これまでもマニュアルを作成したり、専用サイトを制作したりといった対策は行ってきたものの、形骸化してしまい実運用に乗らないという問題があったそうです。

これに対し、ハイプレイヤーに自身の取り組みを発表してもらう機会を作ったり、各営業マンが外部の営業コンサルタントにマンツーマンで自身の案件を見てもらうといった施策でナレッジを蓄積し、それを共有するマニュアル類をアップデートし続けるフローを整え解消したとのことでした。

以上、1名から始まり現在の状況に至るまでSansanでは約8年かかったが、この事例を参考にすることで、皆さんは数ヵ月規模で課題解決に導いで欲しいとまとめ、セッションは幕を閉じました。

 

 

【English summary】

Inside sales is not simply a non-face-to-face replacement for field sales. Its essence lies in the practice of "Sales Tech," which transforms traditional sales reliant on intuition and grit into a scientific approach based on data.

An approach that addresses both "quantity" and "quality" is essential for success. First, secure "quantity," such as the number of calls, by standardizing talk scripts and utilizing tools. Next, improve "quality," meaning individual sales skills, through call recording and analysis. It is extremely important to create a system that repeats this cycle, accumulating and sharing success stories as team knowledge to enhance the sales capabilities of the entire organization.

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