「アクセシビリティ」の優れたサイトとは~「ユーザビリティ」とは異なる視点~
最終更新日:2025/11/04

【この記事の要約】
アクセシビリティとは、年齢や身体的な制約、利用環境などに関わらず、「誰でも、どんな状況でも、情報やサービスを等しく利用できること」を意味します。Webサイトにおいては、特に「Webアクセシビリティ」として、その重要性が高まっています。
これは、高齢者や障がいを持つ人だけのためのものではありません。例えば、動画の字幕は、聴覚障がい者だけでなく、電車の中で音を出さずに動画を見たい健常者にとっても有益です。アクセシビリティを向上させることは、結果的に全ての人の利便性(ユーザビリティ)を高めることに繋がり、より多くのユーザーにリーチできるだけでなく、企業の社会的責任を果たし、ブランドイメージを向上させる効果もあります。
【よくある質問と回答】
「アクセシビリティ」と「ユーザビリティ」の違いは何ですか?
対象とする範囲が異なります。「ユーザビリティ」は、「特定のユーザーが、特定の状況で、いかに効率よく、満足して目的を達成できるか」という「使いやすさの度合い」を指します。一方、「アクセシビリティ」は、より広く「そもそも、どれだけ多くの人がアクセス(利用)できるか」という「アクセスのしやすさ」を指します。アクセシビリティは、良いユーザビリティの土台となります。
Webアクセシビリティを向上させる、具体的な方法を教えてください。
様々な方法があります。例えば、①画像に代替テキスト(alt属性)を設定して、画像が見えない人にも内容が伝わるようにする、②キーボードだけでも操作できるようにする、③十分な文字サイズとコントラストを確保して、誰にでも読みやすくする、などが基本的な対応として挙げられます。
アクセシビリティへの対応は、法律で義務付けられていますか?
日本では、2024年4月に改正された「障害者差別解消法」により、事業者による障がいのある人への「合理的配慮の提供」が義務化されました。Webサイトにおいても、例えば「視覚障がいのある人から、スクリーンリーダーで読めるテキストデータを提供してほしいと依頼された場合、可能な範囲で対応する」といったことが求められます。
【ここから本文】
「ユーザビリティ」という言葉はwebサイト制作に関わったことのある方なら一度は耳にしたことがあると思いますが、「アクセシビリティ」という言葉は少し馴染みがないという方も多いのではと思います。
今回は「アクセシビリティ」の意味と重要性について紹介いたします。
「アクセシビリティ」とは
アクセシビリティ(accessibility)とは高齢者・障害者を含む誰もが、様々な製品や建物やサービスなどを支障なく利用できるかどうか、あるいはその度合いを表す言葉です。
特に、webサービスにおけるアクセシビリティについては、Web Content Accessibility Guidelines(WCAG 2.0)というW3Cが定めたガイドラインが存在し、次の4つの原則を中心に構成されています。
知覚可能 - 利用者の感覚すべてに対して知覚できないものであってはならない。
操作可能 - インタフェースが、利用者の実行できないインタラクションを要求してはならない。
理解可能 - コンテンツ又は操作が、理解できないものであってはならない。
堅牢性 - 技術やユーザーエージェントが進化していったとしても、コンテンツはアクセシブルなままであるべきである。
http://waic.jp/docs/UNDERSTANDING-WCAG20/Overview.html
-参考 WCAG 2.0 解説書
よくユーザビリティとの違いを比較されますが、アクセシビリティはより広義な意味で使用されています。
「アクセシビリティ」の優れたサイトにするには
では具体的にアクセシビリティの優れたサイトを目指すためにはどのような事に気を付ければよいのでしょうか。
環境依存文字を使用しない
環境依存文字を使用すると、文字化けがおこったり、読み上げソフトで読み上げられなかったりする可能性があります。
できるだけ記号を使用しない
記号には、読み上げソフトで読み上げられる記号と、読み上げられない記号があります。また、以下の例のように意図したとおりに伝わらない事がありますので記号を使用する際は注意が必要です。
読み上げられない記号の例
※ $ ¥ ()
読み上げられる記号の例
〜 /(〜ぶんの) % 〒
意図したとおりに伝わらない例
※1 → 「いち」
¥300 →「さんびゃく」
(株)スターティアラボ → 「かぶすたーてぃあらぼ」
300km → 「さんびゃくけーえむ」
MONKEY → 「えむおーえぬけーいーわい」(全角だと、アルファベットをバラバラに読まれる事があります。)
2017/1/1 →「いちぶんのにせんじゅうなないち」
不用意に改行、スペースをいれない
読み上げソフトでは、改行、スペースを区切り位置と判断します。
文中に不用意に改行やスペースをとった場合、意図したとおりに伝わらない事があります。
特に、表 のタイトルのバランスをとるためにスペースを使用しているサイトをよく見かけますのでサイト作成者は注意が必要です。
良い例
| 企業名 | スターティアラボ株式会社 |
|---|---|
| 住所 | 〒163-0919 東京都新宿区西新宿2-3-1新宿モノリス19階 |
悪い例
| 企業名 | スターティアラボ株式会社 |
|---|---|
| 住 所 | 〒163-0919 東京都新宿区西新宿2-3-1新宿モノリス19F |
アイコンやグラフは色分け以外にも差をつける
色覚障がい者が見ても、意味を読み取る事ができるようにアイコンやグラフを設置する際は以下の事に注意しましょう。
アイコンの場合
![]()
伝えたい内容の強弱や分類は色分けだけでなく、アイコンのかたちを変えるなどの工夫が必要です。
グラフの場合
![]()
色合いが近いグラフを並べると色覚障がい者にとっては識別がしづらくなります。
全く別の色を使用したり、少し装飾を加えたりして別のグラフである事をわかりやすくしましょう。
また、グラフ画像を使用する際はalt属性に詳しい内容の記述を忘れず行いましょう。
まとめ
アクセシビリティとは、誰もが支障なく使用できることです。
ユニバーサルデザインやバリアフリーという言葉が一般的に認知され、あらゆる業界で設計段階から取り入れられるようになった今、webサイトも同じくアクセシビリティを意識したサイト設計を行うのが当たり前になる日が近い将来くると考えています。
皆様もぜひこの機会に自社サイトのアクセシビリティを見直してみてはいかがでしょうか。
【English summary】
Accessibility means that "anyone, in any situation, can equally use information and services," regardless of age, physical limitations, or usage environment. In the context of websites, its importance is growing, specifically as "Web Accessibility."
This is not just for the elderly or people with disabilities. For example, video subtitles are beneficial not only for the hearing impaired but also for able-bodied people who want to watch videos without sound on a train. Improving accessibility ultimately leads to enhancing usability for everyone, allowing you to reach a wider audience, fulfill corporate social responsibility, and improve your brand image.




