【事例付き】製造業のホームページに必要なコンテンツを考える
最終更新日:2023/05/26
いまやBtoC企業のみならずBtoB企業においてもECサイトで製品を販売したり、SNSをマーケティングに活用することが一般的になってきました。もちろん製造業界も例外ではありません。
それに伴い、ホームページに求められる役割も、従来のように企業情報や製品情報の周知にとどまらず、各媒体のハブとしての機能やマーケティング活動のホームベースと、幅が広がってきています。
今回は、製造業のホームページの事例を紹介するとともに、成果を出せる製造業のホームページに必要なコンテンツとは何かを解説いたします。
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クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。
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製造業がホームページで成果を出すために必要なコンテンツ
見出しの内容と相反するようですが、どの企業にも共通して「このコンテンツを掲載すれば必ず成果が出る」といえるものはありません。いかに、自社の強みや、ターゲットが求める要素をコンテンツに落とし込むかがポイントになります。
たとえば、競合他社と差別化できる要素。ほかにはない技術や特許、設備機器を保有しているとか、短納期や小ロットへの対応、厳重な品質管理体制を敷いているなどがあれば、それが伝わるようなページを制作する。
ターゲットの視点を取り入れるには、既存顧客から実際にヒアリングしてみるのが近道です。「どうして当社と取り引きしてみようと思ってくれたのか?」「どうして継続的に取り引きしてくれているのか?」を尋ねてみると、自分たちでは気づかなかった自社の強みが見えてくることがあります。
たとえば、取引のきっかけとしては「地理的に自社と近い」「高齢の技術者を抱える取引先が多いなか、若手の技術者を育てているところに将来性を感じた」「社歴が長く、信頼性があった」といったことなどが、継続取引の理由としては「納品物のクオリティが高い」「細かい相談にもフレキシブルに対応してくれる」「今まで一度も納期が遅れたことがない」といったことなどが挙がってくるかもしれません。
こういった実際の顧客からの声をもとに、改めて自社のターゲット企業設定を見直してみるのも良いのではないでしょうか。
上記のように、まずは自社の強みやターゲットに関する棚卸しを行って「自社にとって欲しい見込客に魅力のあるコンテンツ」を洗い出すことを前提としつつ、製造業企業のホームページに掲載してあった方が良いと考えられるコンテンツをご紹介します。
企業情報
会社概要や企業理念、代表挨拶などは、その企業のことを知らないユーザーにとっては信頼性を推し量るために大切な情報。意外によく見られているコンテンツです。
企業情報を掲載していないコーポレートサイトはほとんど見かけませんが、あって当り前のコンテンツだけに、あまり力を入れて作っていないところも多いです。
企業情報ページを、自社とまだ取り引きをしたことがないユーザーの視点から見てみましょう。
- 会社概要…設立年から、その企業の社歴の長さがチェックされます。一般的には、社歴が短い企業よりも長い企業の方が高い信頼性が感じられます。資本金や従業員数、グループ企業なども同様に信頼性の判断にチェックされます。
また、住所も意外とチェックされる項目。立地は工夫のしようがありませんが、打ち合わせやアフターメンテンナンスなどを考えて「自社と近い企業の方が良い」と考える顧客もいるからです。
次で紹介する「保有設備」も会社概要の項目に入れておくと、見込客の検討材料になるでしょう。
- 企業理念・代表挨拶…その企業がどんな姿勢で事業に取り組んでいるかを見られます。新規取引に値する企業かどうかを見極められる要素です。
製造・生産設備の紹介
自社で保有している製造・生産設備について掲載することで「こんな依頼は引き受けてもらえるだろうか?」「こういった条件の製品をつくってもらえるだろうか?」といった疑問を持つ見込客に、自社の対応可能範囲を示すことができます。
見る人によっては設備投資への注力具合まで読み取ってもらえるため、会社の信頼性・安定性・将来性といった要素もアピールできるコンテンツとなります。
これを一歩進めて、自社工場の設備一式を「バーチャル工場見学」としてリッチコンテンツ化する方法もあります。自社設備の充実ぶりを前面に押し出したい企業様では検討されると良いでしょう。
保有技術の紹介
特許や独自技術などを保有していれば、掲載しましょう。
掲載目的は「製造設備の紹介」と近しく、自社の対応可能範囲を示すことと、競合他社との差別化で、ハード面ではなくソフト面の強調です。
技術情報はデリケートなため、開示できる情報は限定的になってしまうかもしれませんが、出せる範囲で記載した方が良いです。
お客様の声(事例)
すでに自社と取引がある顧客のなかでも、取引回数が多かったり大きな売上や利益をもたらしてくれている優良顧客や、自社製品のおかげで顧客自身が売上を向上させたような例があれば、取引までの経緯や実際に取引をした感想、メリットなどを取材し、写真撮影を行って「お客様の声」として掲載しましょう。
見込客は「お客様の声」を読むことで、取引を開始した後の流れがシミュレーションできますし、取引してメリットに感じていることなども実際の顧客の声なので信ぴょう性があります。さらに、何社もの「お客様の声」を掲載することが、そのまま実績にもなるため、掲載すべきコンテンツです。
そこまでできないという場合は、納品事例・製造事例として製品の用途・目的と製品概要だけでも掲載しましょう。
お問い合わせ系フォーム
最終的に、見込客からのコンタクトを得るためのフォームの設置は欠かせません。ただ、フォームとして「お問い合わせ」や「見積依頼」だけしか用意していないと、まだ取り引きをしたことがないユーザーにとってはハードルが高いものです。
そこで
- デモ機の貸出依頼
- 設備見学の申し込み
- CAD図のダウンロード
といった検討度の低い段階でもコンタクトできるようなフォームを用意することでハードルを下げ、見込客の連絡先の獲得可能性を上げます。
見込客と早い段階で課題を知れば具体的な提案を行い成約につなげることもできますし、ターゲット外であることがわかれば無駄な営業コストをかけずに済みます。
【製造業のホームページ事例1】藤倉コンポジット株式会社
ここからは、実際に製造業企業のホームページをご紹介します。
最初に紹介するのは、工業用ゴム部品やゴルフクラブのシャフト(軸)などの製造販売を行う藤倉コンポジットのホームページです。
コーポレートサイト(https://www.fujikuracomposites.jp/)は別にあり、こちらはゴルフクラブのシャフトに特化したエンドユーザー向けの製品サイトとなっています。
ホームページ立ち上げの目的は「ブランディング」と「商品の拡販」。同社のシャフトを知らない初めて訪れたユーザーにも楽しんでもらえるよう、製品情報以外のコンテンツが充実しています。
主なコンテンツは以下の通り。
- 製品ラインナップ
- Fujikuraシャフトとは?
- スペシャルコンテンツ(コーチ陣によるゴルフクラブの試打結果や製品開発秘話など)
- ショップリスト
- 試打会情報 など
特に、スペシャルコンテンツは動画も活用されており、掲載本数も多く、ゴルフファンなら数ページ続けて閲覧したくなるようなコンテンツ設計となっています。
韓国に代理店がある関係から、英語サイトのほかに韓国語サイトも用意されています。
【製造業のホームページ事例2】太陽工業株式会社
建築・土木を主事業とする太陽工業のコーポレートサイトで、ブランディングを目的としてリニューアルされたものです。同社が手がけた建築物の写真が大きく掲載され、訴求されています。
旧サイトでは、事業部ごとの事業内容や役割が明確になっていなかったとの反省を受け、リニューアル後は事業内容別のページ立てが組まれ、そこから製品詳細や用途・実績ページへの導線が設けられています。
主なコンテンツは以下の通り。
- 太陽工業の持ち味
- 膜の特徴
- 事業内容
- 製品・サービスから探す
- 実績から探す
- 各種サポート
- 企業情報
- カタログ
- CADデータダウンロード など
特筆すべきは、自社の特色について訴求する、いわゆる「強みコンテンツ」に当たるものが2本も設けられている点です(「太陽工業の持ち味」「膜の特徴」)。同社の大型膜構造建築物は、世界でもトップシェアを持つだけあって、別角度から捉えられています。
また、製品・サービスを実績からも探せるようになっており、「各種サポート」のページが設けられています。ブランディング目的のホームページとはいえ、サービスサイトの側面も持たせて、お問い合わせにつなげています。
【製造業のホームページ事例3】株式会社タチエス
自動車用座席を製造・販売する自動車部品メーカー「タチエス」のコーポレートサイトです。リニューアルを機に、強みや差別化を訴求できるようなブランディング目的のホームページへと進化しました。ブランドカラーのえんじ色をホームページでもバランスよく取り入れ、視覚的にも企業イメージを伝えています。
主なコンテンツは以下の通り。
- 会社情報
- 製品とモノづくり(製品と開発力・技術力、モノづくり体制の紹介)
- IR情報
- タチエスの取り組み など
ブランディングを目的としたコーポレートサイトだけあって、インタビューページなど読み物系のコンテンツが充実しています。また、沿革は単に年表形式で見せるのではなく、開発・販売製品を軸とした写真付きのコンテンツになっています。
こうしたコンテンツ設計は、業界で影響力の大きい老舗企業や大企業とマッチします。同社のホームページからも大御所感が漂います。
コーポレートサイトからは、独自の採用サイトへの導線も張られています。また、英語サイト、中国語サイトも設けられています。
【製造業のホームページ事例4】日米電子株式会社
コンピュータ応用機器類やソフトウェアの開発・販売、通信機器の設置工事、宇宙開発事業などを手がける日米電子のコーポレートサイトです。 これから取引を開始する企業や採用への応募者に対し、同社の信頼性の高さや技術力・歴史を持っている点、ソリューションを提供してくれるという印象を訴求する目的でリニューアルされました。
主なコンテンツは以下の通り。
- 日米電子とは
- 事業紹介
- 製品紹介
- 企業情報
- 採用情報
- ブログ など
さらに、3つの事業部がそれぞれホームページ内にトップページ風の扉を持ち、それぞれの配下に強みページ、製品紹介ページなどを掲載しています。これは、各事業部でまったく異なる事業を手がけているため。
一方、採用は全社で一括で行われるため、採用コンテンツは共通ページで展開しています。「採用メッセージ」「数字で会社を知る」「会社を知る」「仕事を知る」「人を知る」「選考プロセス」と、かなり充実しています。
ブログページでは、各事業部名でタグ付けされた記事がアップされています。
【製造業のホームページ事例5】株式会社寺田電機製作所
通信機器、計量器、電設資材などを開発・提供している寺田電機製作所のコーポレートサイトです。BtoB企業でありながら、一般向けに同社と製品を認知してもらうブランディングの役割も担っています。このため、トップページで「何をしている会社なのか」が一目でわかるよう、スライドでは街中やオフィス、学校の教室、自宅など身近なところで同社の製品が活躍している様子がイラストで表現されています。
ブランディングのほか、ホームページに求められている役割は「集客」と「採用」で、これらに合わせたコンテンツ設計となっています。
主なコンテンツは以下の通り。
- 会社概要
- 製品情報
- TERADAができること(BtoB強み訴求コンテンツ)
- 生活とTERADA(BtoC強み訴求コンテンツ)
- 採用情報
- よくある質問 など
製品情報は、分野と目的の両方から探せるようになっています。
採用情報は大手採用サイトへの入口となり、導線が設けられています。
また、カタログページからダウンロードさせる資料のうちDXFデータは会員登録が条件となっています。
まとめ
現代は「良いモノさえ作っていれば、自然に売れる」時代ではないため、製造業界もホームページを中心にデジタルマーケティングに力を入れていく必要性が高まっています。
繰り返しになりますが、上記で紹介したコンテンツ例や事例はあくまでも他社のホームページ例ですので、一番大事なのは、自社がどんな強みを持っていて、どんな企業と取引したいかというターゲット企業像を明確にすることです。
実際のホームページ構築は制作会社に任せるケースが多いかと思いますが、すべてお任せにするのではなく、自社の希望としてwebサイトの効果に対するシナリオを描いておくことが効果を出すホームページづくりにおいて重要です。
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