無印良品の成功事例から見る中小企業でもできるO2O施策
最終更新日:2023/11/10
こんにちは。
スターティアラボ ブログ編集部です。
今日はO2O施策をテーマに上げ、Webから店舗への集客方法についてご紹介します。
O2Oとは、オンラインからオフライン、またオフラインからオンラインといった、リアル店舗とネットの相互関係を強化するマルチチャネル戦略に元づくマーケティング手法です。
近年、スマートフォンの普及により、Webからの情報とリアル店舗との連携が図りやすくなってきました。
以前ご紹介した「LINE@で手軽にはじめるO2O施策」では、企業が簡単に始めることのできるO2Oのツールについて紹介しました。今回はO2O施策に成功している無印良品を例として、中小企業でも行っていけるO2O施策について考えていきます。
1.無印良品の概要
無印良品は、1980年に西友のブランドとして始まり、1983年に直営の店舗を出店し、現在日本国内に直営店のみで238店舗を展開する小売店です。
2000年に「ものづくりコミュニティー」という、商品開発をするためのコミュニティーサイトを立ち上げ、また、2009年にそれを土台にした「くらしの良品生活」に発展させました。
2009年10月にはTwitterを開始して販促を拡大したりと、ソーシャルメディアを利用した企業としては先駆け的な存在でもあります。
2013年5月には、モバイルアプリである「MUJI passport」をリリースしまし、累計で約180万以上もダウンロードされている人気アプリです。
リアル店舗を持つ企業にとって、単純に考えてしまうとWebは売り上げを分けてしまうようにも思えますが、無印良品は、Webとリアルでお互いの長所を活かし、より充実した販促活動を行うようになりました。
無印良品が行っているO2O施策の3つの柱を紹介します。
2.O2O施策の3つの柱
①店舗への送客
Webからの集客と一言で言っても様々なアプローチ方法があります。その中でも無印良品が根幹としておいたものは「顧客時間」です。
店舗に訪れている時間だけではなく、訪れる前に商品を検討し、購入後どのように使用しているのかという一連の時間を顧客時間と考えました。
一連の時間がどのように行われているのか考えるにはユーザーの分析を行う必要がありました。
そこで行ったことは320万人以上いるネット会員の分析です。
ネット会員のうち実際にネットストアで購入しているのは約4割のユーザーで、6割のユーザーは登録していてもネットから購入していませんでした。購入をしない6割のネット会員にネットストアへの販促活動を行っても意味がないということに気付いたのです。
そこで施策として行ったのは、店舗に関する販促活動です。ネットストアでしか使用できなかったクーポンを店舗で使用できるようにしたり、配送料がかからないよう、ネットストアで注文したものを店舗で受け取れるサービスを実施したのです。
また、そこからクーポンを利用するユーザーがどの店舗へ行くのか、店舗受け取りを行う年齢層や性別を把握し、さらに次の施策へ反映させていきます。ユーザーそれぞれの特性をとらえることでWebから店舗への送客を実現させました。
②顧客とのコミュニケ―ション
「くらしの良品研究所」や、TwitterなどSNSを利用し、ユーザーの声を取り入れ商品やサービスを作ってきました。
なぜユーザーの声をそこまで大事にするのかというと、SNSの発展によってユーザーそれぞれが情報の発信源となっているからです。口コミやいいね!の量によって購買意欲まで左右されます。
例えば、Facebookで約6,330人がいいね!をおしている商品は紹介前日から売り上げ比がなんと120%、3日後には約150%まで増加しました。
また、こういった反応を店舗にフィードバックし、店舗内のレイアウトを変更するなどし、SNSと店舗を結びつける役割も果たしています。
そのため顧客満足度の充実化や対話を通じて信頼や信用の構築をしているのです。
③ECサイトの売り上げの拡大
ECサイトの売り上げ拡大ですが、ネットストアではネット会員の約4割しか利用していないことがわかっています。売り上げに関しても無印良品の約1割程度にしかなっていません。しかし現在EC市場は拡大しています。
参考:東洋経済出典
今後拡大していく市場の中で、ECの売り上げは拡大していきます。
あくまで売り上げのコアは店舗にありますが、ネットストアによって近くに店舗のない人でも購入できる仕組み作りは重要になってきます。
3.中小企業で行えること
ここまで無印良品の成功事例を紹介してきましたが、では中小企業で行えることとはなんでしょうか?
まず行えることは顧客とのコミュニケーションです。
無印良品のようにネット会員が320万人もいるという大規模な環境の企業はほとんどいません。その為、TwitterやFacebookといった情報発信の場で顧客と企業双方向からのコミュニケ―ションの場を作ることが重要です。
また、無印良品を例にとるとTwitterでの一日のツイート数は約20回程度。その中で商品説明は2回だけ。それ以外の18回は何に使用しているかというと、質問への返答、お礼、ユーザーからの意見に対するお詫びといったコミュニケ―ションです。
対面で行わない販促活動だからと言ってお客様の声に対し当たり前に返答するといった姿勢を持つことが大切だとわかります。
そんなに簡単にお客さまからの声は来ないと思う方の方が多いでしょう。確かに今までずっと独り言のようにつぶやいていた企業に声を届けてくれるお客様はいません。その為、企業側から質問を投げかけたり、フォローしてくれているユーザーのつぶやきにコメントを返したりと、企業がユーザーに興味を持って行動する事がとても重要です。
一人一人のユーザーのニーズを見出すことで、ユーザーに合わせた情報発信が可能になります。
4.まとめ
成功事例が無印良品という大手企業ではありますが、「顧客時間を考える」や「コミュニケ―ションをとる」という施策はどの企業でも行うことのできる施策です。
WebサイトやSNSはリアル店舗の敵ではなく、補完するために必要になってくるものです。
顧客満足度を高め、新しい価値を提供することのできるサービスをWeb+リアルで行うことが今後企業にとって重要になります。その為の第一歩を少しずつ構築していきましょう。