エムタメ!について twitter

マーケティング担当者のために
マーケティングに関わるためになる情報をためていく

  1. TOP
  2. コラム
  3. 日本電産のCMがかっこいい!製造業のブランディングのお手本

日本電産のCMがかっこいい!製造業のブランディングのお手本

記事公開日:2018/07/24
最終更新日:2023/10/27
日本電産のCMがかっこいい!製造業のブランディングのお手本

画像引用:https://www.youtube.com/watch?v=U9RqYdzsGug

俳優の佐々木蔵之介と、スピードスケートの髙木菜那選手が出演する日本電産のTVCMが注目を集めています。

日本電産の主力製品である精密小型モータと、2018年平昌オリンピックで2つの金メダルを獲得した高木菜那選手をリンクさせたストーリー展開でブランディングを試みています。

消費者に、製品そのものを完成品として届けるのではなく、製品の一部あるいは製造過程で使われる機器類の製造を担うことの多い「製造業」が、一般に認知される上手なCMづくりのお手本として、日本電産のCMを検証してみましょう。

1.CM「私はモータ」篇

日本電産は、2016年に最初のTV CM「もし、日本電産が無かったら」篇を皮切りに「隣の子供と自動運転」篇、「隣の子供とドローン」篇、「私はモータ」篇の4つのCMを制作しています(2018年7月現在)。

最新のCMである「私はモータ」篇を、まずはご覧ください。

佐々木蔵之介がナレーター役を務め、髙木菜那選手のスピードスケートファンのみならず日本全体を熱狂させてしまう吸引力を、日本電産の主力製品であるモータに例える映像の後、早回しの映像表現でスピード感を演出しつつ「日本電産のモータが、スマホや自動車やドローンなどさまざまな製品に採用され、消費者の身近で活躍している」ことを訴求する内容です。

2.日本電産株式会社とは

このCMシリーズを展開している日本電産は、1973年(昭和48年)に京都で創業した電気機器製造会で、創業当時から製造している精密小型モータは、ブラシレスDCモータで世界シェアNo.1(46%)※を誇ります。 ※2012年シェア(数量ベース)

日本電産には、このほかにもHDD用モータ、ゲーム機用ファンモータなど複数の製品で世界シェアNo.1の製品を持ち、日本電産セイミツ、日本電産コパルといったグループ企業を含めると、20製品近くにものぼります。

創業翌年にはアメリカに拠点を出し、今や現地法人や開発拠点など数十の海外拠点を持つグローバル企業となっています。

創業者であり、現在は代表取締役会長CEOを務める永守 重信氏は、米フォーブス誌が選ぶ世界長者番付で522位を獲得(2017年10月発表)しています。

関連記事

3.CMの対象者は誰か

さて、話はCMづくりに戻ります。

企業がCMを制作する際、視聴者として想定しておくべきなのは誰でしょうか?
聞くまでもない問いかもしれません。これから商品・サービスを購入してくれるであろう「見込客」や、すでに利用してくれている「顧客」・・・一般的には、これらが対象者とされます。

ただ、製品がそのままのかたちで直接、消費者の手に渡ることの少ない製造業企業にとって、必ずしもそういった「お客様」だけがターゲットになるわけではありません。

社員やスタッフに誇りを持ってもらうため

もちろん「完成品を受け取るエンドユーザーとの接点が少ないから、CMを通して認知度を上げたい」という目的のもとCMがつくられるケースが多いのですが、エンドユーザーとの接点が少ないということは、中で働く社員やパート・アルバイトスタッフたちが自分たちのつくっている製品に対するユーザーからの感想や評価を聞く機会はほとんどないということでもあります。そのため、社内での評価や待遇以外の面で自分たちの仕事に対する価値を見出しづらい部分があります。

そこで、CMのなかで「自社製品が世の中の役に立っている、意義のあることなのだ」というメッセージを発信します。そうすることで、従業員が自分たちの仕事に誇りを持ち、仕事に対する意欲や情熱を持ってもらえるようになります。

見込客に向けて発信しようとすると、つい「できるだけ広い層に届けたい」と考えてしまうため、対象や内容が絞り切れず、結局、何も伝わらないものになりがちです。受け手に刺さらず「自分には関係のないCMだ」と思われてしまえば、見てもらえません。

でも、従業員なら話は別。自社のCMができたとなれば、多くの従業員が目を向けますし、その家族たちもCMを意識するはずです。CMによって、企業や製品の存在意義が高まれば、従業員たちの労働意欲向上につながり、家族など従業員を取り巻く人たちからの視線も「羨望」「応援」といったポジティブな感情を含むものへと変化していくのです。

新卒・中途採用に向けたイメージアップのため

「高品質な製品を世に送り出している」「世界シェアでトップに入っている」 ――それなのに、世間一般にはあまり知られていない、という企業が、特に製造業界には多いものです。しつこいようですが、エンドユーザーが手にする完成品の一部だったり製造過程で使用されていたりと、目には見えないところで製品が活躍しているためです。

一方、企業の採用活動において、企業の知名度や好感度の高さは、応募者の数に直結します。そして、応募者が増えるほど、そこに含まれる質の高い人材の絶対数も上がります。企業CMによってブランディングが成功すれば、イメージアップに比例して認知度も上がり、採用企業にとって有利に働きます。

製造業の企業がCMを作る際は、特に「従業員」「学生・中途応募者」の目も意識して、どのような内容を盛り込むかを検討することが重要になってきます。

4.どんな訴求をすべきか

では、こうした対象者に刺さるようなCMを企画する際、具体的にはどんな内容を取り入れれば良いでしょうか?

今回お手本としている日本電産のCMにも含まれる「技術力」「シェア率」「生産力」の3つを訴求することが、製造業のCMとして重要だといえます。

①技術力

製造業にとって事業の推進力になるのは、やはり技術力。まずアピールすべきは、自社の技術力の高さです。

他社には真似できない技術力を持っていることを、わかりやすく訴求できる切り口を見つけることがポイントとなります。

【関連記事】

②シェア率

世界一、日本一、関東地方で一番、●●業界で一番など、自社がトップになれる(または上位にランクインできる)範囲とカテゴリで、自社製品のシェア率をアピールしましょう。

製品群について具体的にイメージが沸かない層にも、「No.1」であることはインパクトが大きく覚えてもらいやすいので、認知度アップに直結します。

③生産力

製造業として、競合他社との力の差を示す要素としてアピールしたい要素の3つ目が、生産力の高さです。

たとえば、最大ロット数、工場の数や総敷地面積、大型機械の保有数など、具体的にどの程度の生産力を持つかが伝わるように数値を盛り込むと良いでしょう。

5.なぜ日本電産のCMはかっこいいのか

上記をふまえて、改めて日本電産のCM「私はモータ」篇を見てみましょう。

①技術力 スマホや自動車、ドローンなど、大きさも用途もさまざまな製品に組み込まれている多様なモータを製造できることを映像のなかで見せ、技術力の高さをアピールしています。
②シェア率 外国人の使用シーンを映像に盛り込むことで「世界でのシェア率の高さ」を暗示しています。
③生産力 CMのなかで直接は表現されていませんが、海外への提供も行うには一定の生産力が必要であることから、生産力の高さを示唆するCMとなっています。

日本電産のCMには、前項で挙げた3つの項目が揃っているということになります。これら3つを企業として兼ね備えており、なおかつ、CMですべて訴求できていることが日本電産のブランディング成功につながっているといえます。

6.まとめ

今回は、日本電産のCM「私はモータ」篇をお手本に、製造業がブランディングを目的としたCMづくりの際の考え方をご提案しました。

どんな訴求をすべきか(上部該当箇所にアンカーリンク)でお伝えした3つの項目のほか、「サポート力」という強みで顧客の信頼を得ている企業もあります。自社を振り返って「技術力」「シェア率」「生産力」だけでは押せないと感じる場合、顧客に対するフォロー体制をCMに組み込むと良いのではないでしょうか。

まずは、自社の強みを明らかにすることから始めてみてください。

 

【関連記事】

製造業ブランディングの基本を解説!主なメリットから大まかなステップまで

 

【製造業のデジタル化特集を公開中】

製造業のデジタル化に特化した特殊ページを公開中です!以下のリンクからご確認ください。

製造業のデジタル営業・マーケティング特集

 

 

製造業の成果事例集
  • 製造業のマーケティング成果をご紹介!
  • Webサイトを活用した
    製造業の成果事例インタビュー集
  • クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。

    無料で冊子をダウンロード

 

関連キーワード

ブランディング 製造業

特集

はじめての展示会物語

はじめての展示会出展までの道のりを描いたドッタンバッタン劇場

メールマーケティング
現役ITコンサルが創るデジタルマーケティングメディア

この記事を共有