製造業におけるDXとは、生産・流通・販売などのプロセスにデジタルを活用することで、従来の手法では無しえなかった効率化や生産性の向上などの変革を起こすことを指します。デジタル技術の発達にともなって世界経済の成長スピードがますます加速する中、まだまだアナログな業務フローの多い製造業は、DXにより大きな成長が見込まれている市場であり、「製造業DX」は多くの熱い視線を集めています。
 
製造業においてデジタルテクノロジーを活用すれば、開発設計、製造からエンドユーザーの手に渡った後まで、すべてのプロセスの情報を一元管理し、現場にすばやくフィードバックを行えるようになります。デジタル技術による正確な情報取得により、高い生産性を維持しながら、コストを抑えた業務遂行が可能です。
 
本記事では、製造業においてなぜDXが重要なのか、製造業DXを進めることで実現できるメリットや課題まで、わかりやすく解説します。
こんな方におすすめの記事です▼
・DXについておさらいをしたい
・製造業におけるDXの基礎を知りたい
・製造業DXの施策例を知りたい
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目次
ビジネスにおけるDXとは、デジタル技術とデータ活用を掛け合わせることで、ビジネスに革新を起こすことです。とくにICT(情報通信技術)を活用することで、インターネットを通してデジタル化された情報をやりとりできるようにするのがDXの特徴といえます。
 
DXを推進することで、業務工程におけるノウハウやメソッドを、デジタル上に蓄積・共有できるようになります。このデータをもとに業務効率化を図ったり、品質向上に役立てたりできるのはもちろん、市場の変化に対しても柔軟に対応できるようになることから、近年はとくに製造業におけるDXに注目が集まっています。
 
またDXとよく似ている言葉に、デジタル化・デジタイゼーション・デジタライゼーションといったものがありますが、何がどう違うのかわからず混乱してしまう、という方も多いのではないでしょうか。次の項からは、それぞれの用語の意味とその違いについて見ていきましょう。
DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称で、直訳すると「デジタルによる変容」という意味です。交差を意味する「Trans」=「X」の頭文字をとって、DXと略されます。
 
DXの定義はそれぞれのシーンに応じて変化するため一様ではありませんが、広義でのDXは「ICTの浸透により、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」です。2004年にスウェーデンウメオ大学エリック・ストルターマン教授によって定義された概念で、デジタル技術はビジネスに限らず、人々や社会全体によい影響を与えるものであると伝えています。
(出展:Information Technology and The Good Life(2004,Erik Stolterman Umea University,Sweden))
 
ビジネスにおける狭義でのDXは、企業がデータやデジタル技術を活用することです。経済産業省によると、
○ 顧客や社会のニーズに対してビジネスモデルや製品サービスそのものを変革すること
○ 社内の業務プロセスや組織、文化や風土などを変革すること
 
これらによって競争優位性を確立すること、定義されています。
 
(出展:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインVer. 1.0(2018,経済産業省))
デジタイゼーションとは、いわゆる「デジタル化」のことを表します。既存業務のプロセスに、部分的にデジタル技術を導入する手法です。以下はデジタイゼーションの一例です。
○ 書類を電子化してデータベース化する
○ 訪問営業をオンライン営業に切り替える
○ 会場で実施していたセミナーをオンラインウェビナーに切り替える
○ 紙ベースの顧客リストをツール(SFA・CRM・MAなど)で管理する
○ 稟議書・申請書などの手続きをワークフローアプリケーションによりデジタル化する
 
このように特定の業務フローにデジタル技術を取り入れることで、工数やコストを削減し、業務効率化する手法をデジタイゼーションと呼びます。
デジタライゼーションとは、自社のビジネスモデルや業務プロセス自体を変革することで、製品やサービスに付加価値を加えたり、新たなビジネスモデルを生み出したりすることです。以下はその一例です。
○ ビデオ・DVDのレンタルから、動画のストリーミングサービスへ
○ 自動車を購入・所有してもらうビジネスモデルから、カーシェアリングサービスへ
○ 紙ベースの納品書・請求書をExcelに手入力して管理する経理業務から、取引発生から会計までを自動入力・管理できるワークフローシステムへ
 
近年さまざまな業界で確立されている、ロボットを導入した新しいビジネスモデルもデジタライゼーションのひとつです。ロボットを活用することで人員不足解消・人為的ミス防止を実現し、人間がよりクリエイティブな業務に専念できるようになることから、新しい業務形態として注目されています。
改めてにはなりますが、製造業におけるDXとは、生産・流通・販売などのプロセスにデジタルを活用することで、従来の手法では無しえなかった効率化や生産性の向上などの変革を起こすことを指します。その際に鍵となるのがデータの活用で、データを貯める基盤を構築するためにシステムやサービスを導入します。
特に昨今、製造業でDXが重要視される理由は、大きくふたつあります。ひとつめは、アナログ志向の強い製造業の現場においてDXを取り入れることで、日本の製造業のさらなる発展が見込まれている点。もうひとつは、日本の製造業においては「不確実性」への対応が課題となっている点にあります。
 
製造業は、日本のGDPの20%にのぼる国の主要産業である一方で、熟練者の技術・経験などの属人的要素に強く依存しているのが課題です。グローバル経済において、日本の存在感を示し競争優位性を維持していくためにも、製造業のDX化は急務を要しています。近年のデジタルテクノロジーの目ざましい進化に対して、経済の成長速度が追いついていくために、DXは欠かせない要素といえます。
 
また「不確実性」とは、社会情勢などの不可抗力によって引きおこされる、予測し難い事態のこと。実際に近年は新型コロナや自然災害、戦争など不安定な情勢がつづいたことから、製造業においても原材料の調達ができない・海外拠点が操業できないなどといった事態に陥る企業は少なくありません。
 
目まぐるしく進化するテクノロジーや、変遷する社会情勢にともなって、社会や顧客のニーズの変動も非常に大きくなっています。製造業全体がDXに取り組み、これまで製造業の現場で培われてきた技術やノウハウをデジタル化して共有することで、企業の質向上・業務の変革が必要とされています。
製造業DXによって実現できるメリット、4つのポイントを解説します。
製造業の業務プロセスに、デジタル技術を導入することで、従来業務を効率化し生産性を向上させることができます。IoTやAIなどの最新技術を適切に取り入れれば、製造業における開発設計、製造プロセスから事務作業まで、あらゆる業務の自動化も可能です。データも自動で蓄積するため、業務改善・人的コスト削減を同時に実現できるでしょう。
 
また既存業務を自動化するだけでなく、業務プロセスそのものに新しいシステムを導入することで業務効率化できるのもメリットです。たとえば紙に直接記入するといったアナログな管理方法を、DXによってデジタルデータ化することで共有もしやすくなり、業務そのものの質向上につながります。
 
そのほかにも、営業活動やマーケティング活動のDXも最近では注目を集めています。これまでデジタル化というと生産・流通プロセスにおける効率化の話が主になっていましたが、販売活動におけるデジタルツールも増えており、SaaSを活用すれば初期投資を抑えて導入ができるため、活用する企業が増えています。
 
特にコロナ禍では従来の営業活動ができなくなった企業も多く、急速に導入が進みました。データを元にした営業活動やプロセスの可視化により、生産性を向上させている企業も多く存在します。
 
本メディアを運用しているクラウドサーカスも、サービスとして提供しているのは製造業向けの営業活動の効率化や商談創出支援です。従来のアナログな営業手法を脱却し、データを元にした営業活動を実践することにより生産性を上げるお手伝いをしています。
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デジタルテクノロジーを活用すれば、製造業におけるすべてのプロセスを可視化できるようになります。設備・生産状況や、受注から納品までのデータを見える化して管理できれば、異変が起きる前やトラブルが発生する前に対処できるように。また問題が発生してもすばやく発見し、フィードバックを共有できます。
 
データを可視化することで、顧客データをもとに販売予測を立てることができ、製造業における物流量やリソース・コストの最適化をはかれるでしょう。データにもとづいて、品質を向上させたり、新たな技術を開発したりと、企業の発展にも貢献するはずです。
 
また、営業活動であれば営業マンの活動状況が確認でき、マーケティング活動であれば施策の成果を定量的に判断することができます。また既存顧客がWebサイトに来訪した際に、どこのページを見たのかを把握することで現場での営業トークに活かし、マンネリ解消にも活用可能です。
そのためにはWebサイトの計測の整備なども必要にはなりますが、しっかり初期設定をすれば中長期で活用が可能になるので、早めに整えておくことをおすすめします。
現場主義・職人文化により発展を遂げてきた日本の製造業では、いわゆる熟練者の技術や経験が重要視され、業務プロセスそのものが属人化しやすい傾向にあります。従来も、業務マニュアルといった形で属人化の解消ははかられてきているものの、根本的な解消のためには仕組み自体をシステム化する必要があります。
 
DXによって属人化している業務をデジタル上でデータ化すれば、業務の標準化をはかれるようになります。属人化の解消は、次のようなステップで進めます。
○ 業務自体がそもそも必要かを精査する
○ 従来の業務フローに固執せずに検討し直す
○ 業務をなるべく自動化できるようなツールやシステムを活用して、業務内容をゼロから構築する
 
属人化を解消して生産性を上げるには、人がやらなくてもよい作業、デジタル化することでより効率化できる作業はなにかを見極めることが大切です。業務の属人化を解消し、より付加価値の高い人の手でしか行えない作業に人的リソースを割けるようになれば、製品やサービスの品質向上にもつながるでしょう。
 
営業活動においても、トップ営業の手法をデジタルに置き換えることでより再現性を高めることが可能です。セールスイネーブルメントとも呼ばれる領域で、製造業のDXにおいても重要な役割を果たしてくれます。
DX化を進めることによって、変動の激しい市場の動きに対しても柔軟に対応できるようになります。データを活用することで顧客のニーズを的確に把握し、提供する製品やサービスの品質向上に反映させられます。
 
顧客ニーズに合わせた新しいサービスの提供、既存製品の改善を実施できれば、顧客満足度が向上し継続的に製品やサービスを利用してもらえるはずです。質の高い顧客と関係性を強固にしていくことは、企業の成長・発展にも寄与するでしょう。
また、先述のデータの可視化が進めば、顧客の欲しい情報に絞ったアプローチが可能となり、無駄なコミュニケーションも減っていきます。その結果「あの取引先は良い情報ばかりをくれる」と顧客満足度も向上していきます。
ビジネスにおけるDXには「攻め」と「守り」、2種類の体制があるといわれています。主に、実践目的・実践するターゲットにおいて次のように異なります。
 
実践目的
● 「攻めのDX」:競争力の強化
● 「守りのDX」:業務改善・効率化
 
実践するターゲット
● 「攻めのDX」:顧客を中心としたステークホルダー等
● 「守りのDX」:主に自社内のビジネスモデル・業務フロー等
 
それぞれ詳しく見ていきましょう。
攻めのDXとは、既存のビジネスモデルにおいてコミュニケーションを改善したり新事業により新たな価値を提供したりと、自社内だけでなく顧客にも向けてビジネスモデル自体の改革を行うことです。守りのDXと比べても難易度が高いものの、対他社や市場において競争優位性を見出すためには、中長期的な視点で取り組む必要があるでしょう。ちなみに弊社が支援しているのはこの「攻めのDX」に該当します。
 
「攻めのDX」の一例には、近年急成長したフードデリバリーサービスがあげられます。デジタル技術により配達員と飲食店のマッチングを図ったことで、多くの飲食店が直接配達員を雇用せずとも宅配できる環境を可能にしており、新たなビジネスモデルを確立した成功例です。また新しいビジネスモデルを展開したことで、まったく新しい顧客層の獲得を可能にしています。
また、営業活動にデジタルツールを取り入れて案件を増やしたり、Webサイトなどオンラインで引き合いを獲得する活動も、攻めのDXに一環です。比較的手軽に取り組めることから、”DXの第一歩”として規模を問わずに導入されています。
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守りのDXとは、自社内の業務プロセスや組織に対してデジタル技術を取り入れて、企業風土に変革をもたらす考え方で、自社でコントロールできる範疇で行います。デジタル化により業務や人員、コストの削減を図り、業務フローを再設計して省力化することで、生産性を向上させる目的で実施されます。
 
たとえば電子決済を導入することでレジ締め作業の効率化をはかったり、電子契約書・電子請求書を活用して業務工数を削減したり、といったことも「守りのDX」にあてはまります。ビジネスモデルごと変革を行う「攻め」に対して、ひとつひとつの工程をデジタル化することで効率化・省力化を目指すのが「守りのDX」の特徴です。
 
2018年に経済産業省が発表した「2025年の崖」では、産業における老朽化・ブラックボックス化した基幹システムについて問題提起していますが、「守りのDX」が対処できるのはまさにこの分野といえます。
2023年に発表された業種別DX取り組み状況調査において、製造業でDXを実施している企業は、全体のうち22.8%にとどまりました。(出展:「 DX白書2023 」)この数字は年々すこしずつ増加傾向にあるものの、かつては世界の中で高い技術力を誇っていた日本の製造業も、ここ最近は若手人員の不足・設備の老朽化・技能継承の難しさといった慢性的な課題を抱えています。
 
ここでは、競争の激化するグローバル社会を舞台に日本の製造業DXが突き当たっている課題を3つ解説します。
DXを進めるには「DX推進部門」などの専任部門をつくり、専門知識をもつ人材を採用するか、もしくは一から育成する必要があります。ただ実際にDXを進められる人材はまだまだ不足している上、製造業の実情も熟知している人物となると条件は非常に限られるため、DXを進める上での人材育成は中長期的な計画をもとに行いましょう。必要な技能をスキルマップ化し、研修等を盛り込んだ育成プログラムを構築します。
 
たとえばAIやIoTなどの最新技術によって高精度なデータを収集できたとしても、これらのデータの複雑性を理解し、適切に活用できる人材がいなければ意味がないからです。ただ企業の規模や業態によっては、新しく専任担当を採用・育成するリソースが確保できないケースもあるでしょう。そのような場合は、DX支援サービスなどを活用してDXの専門家にサポートを仰ぐことで、DX推進を加速できます。
製造業において、「生産プロセスに関する設備の稼働状況等のデータ収集」を行っている企業は、全体の約半数にとどまっています。業務プロセスの改善や海外工場の稼働状況・データ活用の進捗においても、目に見える進展はありません。(出展:経済産業省の「ものづくり白書(経済基盤白書)2020年版」)
 
DXの基本となるのはデータのデジタル化と収集ですが、日本の製造業においては半分の企業がまだそのラインに到達できていないどころか、この割合はここ数年減少傾向にすらあります。時間やコストを考えても、すぐにすべての業務工程をデジタル化するのはむずかしいものの、産業としてのDXに対して消極的な傾向が伺えます。
 
人だけでなく機械や技術などさまざまなモノが連携することで、社会課題を解決し、新しい価値を創造できる産業の在り方を実現していくためには、企業や業界の垣根を超えデータ活用の壁を乗り越える必要があるでしょう。
DXに取り組むにはITツールの導入が必須ですが、自社の目的・課題に合ったツールを選定するのには専門知識が必要であり、ツール選定の難易度は高いのも事実です。自社内に適切に判断できる人員がいないと、導入コストを投じて業務フローの一部をデジタル化してみたものの、逆に業務効率がさがってしまうということも起こりかねません。
 
自社内にITツール選定に長けている人員がいない場合には、DX支援などの外部人員活用も検討しましょう。自社内の課題を明確にして、これを解決できる機能やツールはどれか、導入後に自社内の人員で運用可能か、といった観点で適切なツール選定を行うことができます。
 
ベンダーの提供するクラウドサービスを適切に活用できれば、メンテナンスコストやアップグレードにかかる作業工程も、自社開発と比べて大幅におさえられます。適切なツールを選定することでDX推進をより加速できるはずです。
 
弊社でも製造業のデジタルマーケティング・営業分野の支援を実施しています。無料から使える営業ツールもございますので、ご興味がありましたら以下のリンクよりダウンロードをお願いいたします。
 
デジタルマーケティングツール『CloudCIRCUS』概要資料
製造業DXにおいては、どのようなデジタル技術を導入するかによっても、その手段や結果は異なります。ここでは、業務・ノウハウのデジタル化、IoTの活用によるスマートファクトリー化の二軸で、製造業DXのケースをご紹介します。
製造業DXにおいて欠かせない工程のひとつに、業務マニュアルやノウハウをデジタル化し、共有できるようにすることがあります。ここでは業務・ノウハウのデジタル化を生かした企業の例をご紹介します。
 
例1 ナレッジマネジメントを生産システムに統合
 
熟練者のノウハウ・技術をデータ化するだけでなく、日々の業務の中で生まれる技能を蓄積し共有して活用できるように。現場で行われてきた知的生産の分析を行うことで、ナレッジマネジメントを製造ラインに組み込んだ生産モデルを実現しています。
 
例2 複数の工場間で生産管理システムを統一
 
複数の向上をもつ企業では、同じ部品であっても各工場ごとに異なる設計で製造を行っていることが課題となっていました。設計データをデジタル化、生産管理システムを統合してナレッジ共有できるようにしたことで、会社全体で技術向上につながり、工場間で負荷を分散できるようになったことで生産性も向上しました。
 
例3 製造プロセスを見える化して売上増加
 
業務フローやエンジニアリングプロセスにおける社内の連携体制を可視化したことで、製品製造の過程がわかりやすく把握できるように。不足している人材や必要なツールなど課題を明確化して対処できるようになったことで、売上を倍以上に伸ばしている例もあります。
スマートファクトリーとは、IoTなどを活用してデジタルデータを可視化し、業務管理を行う工場のことです。ある企業の活用例をご紹介します。
 
例1 作業工程のデジタル化:データ収集・蓄積
 
製造ラインにおける点検・原材料の管理・作業日報などの手書き作業を、IoTによって自動化。自社開発することで補助金を利用し、コストを抑えたシステム化を実現しています。
 
例2 柔軟な働き方を可能に:データによる最適化
 
部品製造を行う企業では、CAD/CAMであらかじめ作成したデータをもとに、フレキシブルに働ける環境づくりを実施。定年を設けず、高齢者や子育て中の女性の雇用も可能にしたことで、生産性を向上させながら働き手不足の解消も実現しています。
 
例3 工場と現場で共有:データの分析と予測
 
工場IoTによって取得した現場のデータは、各事業部とプラットフォームで共有できるようプロジェクトを立ち上げ、コスト面を改善。開発から工場・市場までをデジタルデータで連携できる環境を構築、データ基盤を整備し、予測にもとづいて品質向上などの付加価値提供にデータを活用できるように。
【業務・ノウハウのデジタル化の関連記事】
デジタルツインとは?シミュレーションとの違い、製造業での活用事例などをご紹介
製造業DXのカギを握るデジタルファクトリーとは?意味やメリット、構築法や事例まで徹底解説!
ダイナミックケイパビリティとは?製造業における重要性やDXとの関係
 
生産プロセスだけでなく販売プロセスにおいても、テクノロジーを活用したデジタル化が進んでいます。「営業DX」「マーケティングDX」と呼ばれるものになりますが、製造業においても注目を集めています。
 
例1 過去の営業名刺を一括管理し活用
 
過去の営業名刺をデータ化し、メール配信をすることでクリックした顧客に絞って連絡が採ることができます。また、閲覧しているWebページもわかるようになるため、営業現場における話題としても活用可能です。
【関連資料】
無料からメール機能も使えるMAツール「BowNow」
 
例2 営業活動のプロセスを管理
 
営業活動をオンラインに記録することで、売れている営業マンとそうでない人との比較ができ、営業組織の底上げが可能です。
 
例3 オフラインと組み合わせた製造業ブランディングを実施
 
製造業のブランディング活動の一環として、デジタルを活用するケースが増えています。オンラインだけで完結するのは難しいものの、重要な接点の1つとしてWebサイトや各種電子化ツールなどを活用されています。
【関連記事】
製造業ブランディングの基本を解説!主なメリットから大まかなステップまで
営業DXを進める上で欠かせない考え方が「営業ファネル」の概念です。ファネルは日本語で「漏斗(じょうご・ろうと)」の意味です。
自社の製品やサービスをはじめて認知したユーザーが、購入や契約を経て顧客となるまでのプロセスを、漏斗(じょうご)の形になぞらえています。上部では潜在層であった顧客が、有料顧客になっていく段階で人数がしぼられていく様子は、漏斗の形によく似ています。
世界標準化した営業DXをおこなう上で重要となる「営業ファネル」は以下のような図で表されます。
 
営業DXについてはこちらの記事に詳しくまとめております▼
製造業こそ営業DXで生産性を向上!デジタルツールで解決できる課題、メリットや事例をご紹介
クラウドサーカスではこれまで、2,200社以上のWeb制作に携わってきました。その中でも特に多いのがBtoB企業であり、製造業の方々への支援です。この事例インタビュー集では、BlueMonkeyを導入してWeb制作を実施し、成果に繋がった製造業の企業様の声を掲載しています。
製造業DXには具体的にどんな事例があるのでしょうか。ここでは経済産業省「第3節 製造業の企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」より引用しながら事例を紹介してまいります。
微本最初の通信機器メーカーである沖電気工業株式会社は、同社の全生産部門を対象とする「生産・品質改革発表会」において、本庄工場(埼玉県)と沼津工場(静岡県)が推進する「バーチャル・ワンファクトリー」の活動が、「改革大賞」を受賞しました。「バーチャル・ワンファクトリー」は業務の共有によって工場と工場の連携を強化し、仮想的な1つの工場に融合する取り組みです。
罷業に関係なくその製品の特色に合致した最適な工場で製品を作ることを目指し、全社活動にも広げようとしています。個別最適となっていた仕組みを全体最適に移行し、各プロセスや・ツ-ル統合を進め、目指す「バーチャル・ワンファクトリー」を実現しようとしているようです。
製造業がDXを推進していく上で、システムやSaaSの導入は欠かせません。ここからは実際に製造現場で活用されている3つのSaaSサービスについてご紹介します。
画像引用:Proceedクラウド
株式会社東京ファクトリーが提供する「Proceedクラウド」は、重工業の生産現場向けに開発されたSaaSです。工程写真をベースに製造情報のデータベースを構築し、サプライチェーンの可視化を実現しています。
重工業の生産現場では撮影写真をベースに工程管理が行われており、これまで写真はPCのローカル上に保存されていることが多く、写真共有に時間がかかっていました。本ツールを導入することで、写真の閲覧や共有がタイムリーに行えるようになり、工程写真にまつわる業務の効率化が見込めます。
画像引用:UM SaaS Cloud
株式会社シナプスイノベーションが提供する「UM SaaS Cloud」は、製造業の業務全般をカバーするSaaS型のクラウドシステムです。見積積算から受発注・生産管理や会計管理まで生産形態・生産業種を問わず対応しています。システムは世界で15万社以上に利用されているSalesforceの基盤を採用し、強固なセキュリティ対策が施されています。
本ツールは「UM工程進捗」、「UMガント」、「UM販売購買」、「UMWMS」「UM実際原価」の5つのモジュールから成り立っていますが、一度にすべての機能を導入する必要はなく、事業規模にあわせて機能を段階的に導入することが可能です。SaaSの特徴であるスモールスタートの特徴を活かし、無駄なコストをかけずにDX化を進められます。
入力方式はハンディターミナルをはじめ、スマートフォンやタブレット、RFID、IoTなど幅広く対応。製造機械の実績収集情報と連携することで、リアルタイムにデータ収集や確認ができます。
画像引用:TECHS-S NOA
株式会社テクノアが提供する「TECHS-S NOA」は、個別受注型機械・装置業向け生産管理システムです。本ツールは4,400社超の導入実績をもつ「TECHSシリーズ」の定評ある機能を継承したクラウド版で、運用管理の負担が少ないのが特徴です。1アカウントから利用できるため、導入・運用コストを抑えられます。
見積や受発注、部品表、原価、進捗、在庫、売上請求の一元管理ができるほか、部品マスタの事前登録なしでの運用やCAD・Excelからの部品表データ取り込み、バーコードリーダーやハンディターミナルでの実績収集機能、仕掛かり原価と完成予測原価をリアルタイムに把握可能など、業務を効率化を図る多彩な機能が搭載されています。
生産管理にかかる時間が削減されるため、技能継承や営業に力を入れられるようになるほか、データーベースをもとに過去の類似例の原価を参照し、素早く正確な見積積算を行えることから、営業競争力の向上が期待できます。
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製造業向けSaaSとは?重要性やメリット、おすすめのツールを紹介
本メディアでは、過去に製造業の方々向けのデジタルマーケティングの記事も各種公開しています。
BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの第一歩!施策・成功事例から組織づくりまで
製造業DXの中では「攻めのDX」にあたる内容ですが、もし何かしら一歩目を踏み出したいけど取り組めずにいる…という方がいらっしゃいましたら、営業・マーケティング分野のデジタル化もおすすめです。比較的導入が低コストかつこれから取り組まれる中小企業も多く、始めるのに遅くはないからです。
製造プロセスの中にシステムを導入するとなると、大がかりな設計やプロジェクトが必要になり、費用も大きくかかってきます。マーケティングツールであれば無料から使えるものもあり、現状活用できていない名刺情報やエクセル管理の顧客リストをインポートして使えるので、資産の有効活用にもつながります。
ただし、担当者だけが活用を頑張っても浸透は難しく、経営や責任者が協力的になることがマストにはなりますが、そうだとしてもDXの第一歩としては費用対効果の高い選択肢です。ぜひご検討ください。
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デジタルマーケティングとは?基礎知識を簡単に!具体的な手法や学べる本・WEBも紹介
攻めのDXに該当する「営業DX」において、必須になるのがデジタルツールの存在です。ここでは、営業DXを進めるうえで具体的にどのようなツールを導入したらよいか、目的別にご紹介していきます。
顧客とのコミュニケーション・営業活動を支援する SFA(営業支援)ツールは、営業効率化や顧客管理の強化に役立ちます。
またご用聞き営業だけで競争力を維持するのは難しく、顧客が求めるタイミングで適切なアプローチをするためには、営業体制を整えていく必要があります。営業力をあげるためには、顧客の課題を抽出して、適切な提案をする力を培うことが重要です。そのためにはCRM(顧客管理)ツールを導入して、過去の取引データをリスト化して管理し、情報の分析を行いましょう。情報が不足している場合は過去の担当者にヒアリングするとよいです。
過去の取引データを分析すると、共通項が見つかることもあります。たとえばある商品を購入した顧客が半年後に別の商品も購入する、という傾向がみられる場合、その法則をもとに提案ルールをつくり、営業チーム全員で漏れなくアプローチする体制を作ることも可能です。SFAとCRMを組み合わせて使用すると、さらに精度は向上していきます。
これらのツールにより顧客のニーズを把握し、データ分析や自動化ツールを活用して効率的に営業活動を行うことで、継続的に顧客と関係構築していくことができます。
既存顧客に対する営業活動においては、提案書作成に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。自社のパンフレットだけでは訴求力が弱い…と感じている場合は、提案書作成を外注することで、コア業務に集中できる環境をつくることも重要です。
コストに余裕がある場合は提案書を広告代理店といった専門業者に依頼してもよいですが、より効率化するためには、さまざまな専門家が集うクラウドソーシングを活用するのも一手です。クラウドソーシングは、書類の一部・図の作成のみの依頼や、単発での依頼ができ、またインターネット上で発注・納品・支払いのすべてが完結するのも使いやすいポイントです。
クラウドソーシングを利用することで、高額な費用をかけることなく、営業担当者はコア業務にリソースを注ぐことができるようになります。まだ使ったことがないという方はぜひ検討してみてください。
営業チームにおいて、担当者ごとの能力差や取引先との相性などは、往々として課題となる部分です。これらの営業課題を解決するためには、CRM・SFAの導入が効果的です。トップセールスマンの手法を分析し、他のメンバーにも共有し、営業プロセスを統一化することができるからです。
また、顧客へのアプローチを自動化するために、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用も非常に効果的です。MAは、CRMやSFAとも連携でき、データ分析やリードの抽出、メールや広告の配信など、マーケティング業務を一元管理できます。
たとえばMAは、自社サイトによくおとずれるリードの行動ログを追跡し、適切なタイミングでアプローチできるようサポートしてくれます。またリードごとの属性によってグループ分けもできるため、より効果的なメール配信をおこなうこともでき、新規顧客に課題を抱えている企業にとってはとくにおすすめのツールです。
ほかにも、ある商品を購入した顧客に対して、半年後に別の商品の情報を案内する、というプロセスを自動化するなど、さまざまな設定ができます。MAを活用することで、営業プロセスの効率化や自動化が可能となり、成績の底上げや差のある営業担当者をサポートできるため、営業部門全体での成績の向上が期待できます。
【無料から使えるMAツール「BowNow」】
弊社クラウドサーカスもMAツールを提供しています。無料から使えるツールとなっておりますので、まずは資料からお気軽にお取り寄せください。
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マーケティングオートメーション(MA)ツールとは?基礎知識や活用手法、選定方法などをまとめて解説
製造業DXについて解説しました。
 
日本では現場主義・職人主義が謳われてきた製造業ですが、近年のデジタル化の躍進により、世界では製造業の自動化・作業効率化がますます加速しています。IoTによるセンサー・データ解析や、AIによる機械学習など、最新テクノロジーを取り入れることで、製造業の現場が抱える多くの課題を解決できるはずです。またDXに取り組むことで課題を解決するのはもちろんのこと、企業成長のためのさまざまなヒントを得られるのではないでしょうか。
 
中小企業などのリソースがかぎられる条件下でも、デジタルの力を適切に扱うことで、日本の製造業における高い技能を継承していくことができ、企業の成長・日本の製造業のさらなる発展にも寄与するでしょう。ぜひ自社に適切なツール・方法を見極めて、DXに取り組んでみてください。
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経済産業省「製造業DX取組事例集」
製造業DXの具体的な取り組みについて、スライドにまとまっています。他社の事例が知りたい方にはおすすめの資料です。
日経BP「製造業DX」
製造業DXに特化したメディアページです。
クラウドサーカス株式会社 マーケティング課
2006年よりWeb制作事業を展開し、これまでBtoB企業を中心に2,300社以上のデジタルマーケティング支援をしてきたクラウドサーカス株式会社のメディア編集部。53,000以上のユーザーを抱える「Cloud CIRCUS」も保有し、そこから得たデータを元にマーケティング活動も行う。SEOやMAツールをはじめとするWebマーケティングのコンサルティングが得意。
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