世の中に出ているマーケティング本の多く(ほとんど)は消費財に関するもの。
そんな中、本書は生産財に関するマーケティングについて、比較的簡潔にまとめられている貴重な本。ページ数も204ページと手頃な量。
とくに法人分野に携わる人は必読です。
【2023年最新版】生産財マーケティングや産業財マーケティングのおすすめ本まとめ【4選】
最終更新日:2023/10/27
BtoCマーケティングについての参考書はよく見かけるけれど、BtoBマーケティングについての著書は少なく、とくにものづくり企業に関わりの深い生産財マーケティング・産業財マーケティングについては、どの本から読んでよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
本書では、初心者におすすめの著書から、産業財マーケティングの理論書、実践に役立つ参考書、生産材マーケティングの最新情報が得られる情報誌の4選をご紹介します。どれも製造業におけるBtoBビジネスに役立つエッセンスの詰まった良書ばかりです。
また生産材マーケティング、産業財マーケティングについてよくわからないという方に、冒頭で簡単に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
生産財マーケティングとは
「生産財マーケティング」とは、企業や政府機関などの組織をターゲットとしたマーケティングのことです。反対の意味をもつ「消費財マーケティング」は、消費者を対象とするマーケティングのことを指します。
生産財マーケティングはほかにも、産業財マーケティング・インダストリアルマーケティング(industrial marketing)・BtoBマーケティングと呼ばれることもあります。
消費者を対象としたBtoCマーケティングでは基本的に、不特定多数のニーズに対して施策を講じるため、マーケティングリサーチと、プロモーションは別々に認識されている場合が多いです。
一方生産材マーケティングでは、特定の組織に対してマーケティング施策をおこなうのが特徴です。顧客とのコミュニケーションにおいて、ニーズの把握とプロモーションが一連のプロセスでおこなわれ、売りながら調べたり、調べながら売ったりする活動が重視される傾向にあります。また消費財マーケティングに対して、生産材マーケティングは大規模・少数の市場といえます。
消費者が情動的に購買行動を起こすのに対して、企業が購買決定するプロセスには計画が必要となるだけでなく、さまざまな役職の人間が関わってきます。そのため、生産財マーケティングにおいては、多様な価値基準・専門知識をもつ人員が関与している集合体に対して、組織的なアプローチをしていくような、独特な戦略が必要です。
生産財とは
生産財(Capital goods)とは、産業財の一部。製品・サービスの生産において使用される財のことを指します。生産財は以下3つのプロセスに分けることができます。
● 完成品の生産に使われる材料や部品
● 完成品の一部となる、道具や機械などの資本財
● 完成品には直接的につかわれない保守用途としてのサービスや備品
生産財は、設備投資や生産能力向上といった目的で使用されます。たとえば製造業で使用される工作機械や工場・システムなどもこれにあたります。生産財は、産業財の一部として、生産活動や経済成長のうえで重要な役割を担っています。
産業財マーケティングとは
産業財マーケティングとは、企業や政府機関などの組織が購買する製品・サービスに対しておこなうマーケティング活動のこと。基本的には、一般的な消費財マーケティングの理論を応用して分析されますが、産業財マーケティングならではの特質があります。
まず産業財マーケティングの顧客は「組織」となるため、組織の購買プロセスを理解する必要があります。また加工プロセスに応じて、製品は「原材料」「部品」「完成品」などさまざまな状態であることから、製造企業は市場への参入段階を、戦略的に選択できるのも特徴となる点です。
また顧客である購買企業が販売企業になることがある、というのも産業財マーケティングならではで、その際には自社の製品が競争上の優位性になります。そのため顧客が企業に対して、仕様や納期などの条件を課すこともある、といった特殊な性質を持つのが産業財市場です。
さらに供給企業と顧客が競争関係になることもあり、たとえば販売企業にとっては顧客が前方統合(上流工程に進出)すること、顧客にとっては販売企業が同じ種類の製品を後方統合(下流工程に進出)することが、それぞれ脅威となることがあります。このような競争関係を回避するため、企業は顧客との関係を「供給者と顧客」として正しく維持して協力関係を築き、顧客の成長によって自社成長が見込めるビジネスモデルを構築する必要があるのです。
産業財とは
産業財(Industrial goods)とは、製品やサービスを生産するために使用される財のことを指します。
たとえば製造業で使われる、機械・工具はもちろん、原材料から設備まで、製品生産プロセスに直接必要となるすべての要素が産業財に含まれます。生産財がより具体的なプロセスを示しているのに対して、産業財は「生産に関連する財を包括する概念」として、広い意味で使われることが多いです。
「生産財マーケティング」
著:高嶋 克義 , 南 知惠子 出版:有斐閣(2006/11/20発刊)
■本書の特徴と構成
生産財のマーケティング理解を深めるための必読書、初心者にもオススメ!
組織が、生産活動において必要な財やサービスを、効果的に選定・購買するためのマーケティング手法について解説されています。消費財マーケティングとの違いにも言及しながら、生産財マーケティングの理論や基礎知識・実践戦略までを網羅。まずはBtoBマーケティングを体系的に理解したいという方にぴったりの一冊です。
著者は組織論・マーケティング分野の専門家の視点から、心理学の側面からのアプローチや、産業市場における競争やサプライヤーとの関係性、購買企業と販売企業の相互作用といった生産財マーケティングの特質についてわかりやすく解説しています。組織の購買ニーズ・意思決定プロセスに焦点を当てて、効果的なマーケティング戦略を展開するための実践的な解説も豊富で、具体的な活用手法も学ぶことができます。
【目次】
第1章 生産財マーケティングとは
第2章 購買行動を分析する
第3章 市場を分析する
第4章 取引関係を構築する
第5章 依存関係を管理する
第6章 顧客に適応する
第7章 新製品を開発する
第8章 営業体制をつくる
第9章 潜在顧客を開拓する
第10章 チャネルを構築する
第11章 これからの生産財マーケティング引用:honto
【口コミ】
生産財マーケティングをわかりやすく解説
【口コミ】
参考になりました。
「産業財マーケティング・マネジメント(理論編)」
著:マイケル D ハット,トーマス W スペイ,笠原 英一 (翻訳) 出版:白桃書房(2009/10/15発刊)
■本書の特徴と構成
理論と実践バランスのとれた一冊。BtoBマーケティングに関わるなら一度は読んでおきたい!
「産業財マーケティング・マネジメント 理論編」は、組織顧客のニーズを導き出してソリューションを提供する、BtoBマーケティングにおける研究書です。理論編と謳ってはいるものの、実践をイメージしやすい豊富な事例が掲載されており、またそれを裏付ける理論が解説されています。
本書では、産業財マーケティングにおける理論的な側面に焦点を当て、基本的な概念やフレームワークを詳細に解説。原著は英文・736ページの大型本ですが、丁寧に翻訳・解説されていて読みやすく、産業財市場の特性を理解したうえで効果的なマーケティング戦略構築を学べます。
米国企業のマーケティング事例が多く、アメリカで取り組まれている分業化や情報インフラ整備についても知ることができ、マーケティングの知見を広げるのにも役立つはずです。産業財のマーケティングに関心のある学生やマーケティング担当者、研究者にとっても有益な一冊となっています。
【目次】
第1部 産業財マーケティングを取り巻く環境
産業財マーケティングの視点
産業財市場:組織顧客に対する見方
組織の購買行動
第2部 産業財マーケティングにおける関係性管理
産業財市場向け顧客関係性管理の戦略
産業財市場のためのeコマース戦略
サプライチェーン管理)
第3部 市場機会を評価する
産業財市場の細分化
組織需要の分析
第4部 産業財マーケティング戦略を構築する
産業財マーケティングの計画:戦略的視点
グローバル市場のための産業財マーケティング戦略
産業財市場のための製品管理
イノベーションの管理および新しい産業財の開発
企業市場向けサービスの管理
産業財流通におけるチャネル管理
産業財市場の価格設定戦略
産業財のマーケティング・コミュニケーション:広告と販売促進
産業財のマーケティング・コミュニケーション:営業機能の管理)引用:楽天ブックス
【口コミ】
マーケティング・バイブル
「戦略的産業財マーケティング: B2B営業成功の7つのステップ」
著:笠原 英一 出版:東洋経済新報社(2018/5/18発刊)
■本書の特徴と構成
BtoBマーケティングの専門家による実践ガイド
「戦略的産業財マーケティング: B2B営業成功の7つのステップ」は、BtoBマーケティングに特化した実践向けガイドです。自動車部品、電機、工作機械、コンピューターといった産業財市場において、先進企業が実践しているプログラムを体系化。基本理論から最新トピックまで学べる実務家のための教科書として、BtoB市場を対象にしたマーケティングと営業活動を統合したモデルを提案しています。
本書では7つのステップによって、現状分析から事業目標の設定、セグメンテーション、価格設定、販売チャネルの選択、販売促進、そして顧客価値の実現まで、幅広いトピックをカバーしています。
また著者である笠原英一氏はBtoBマーケティングにおいて豊富な経験と知識を持つ専門家であり、前出の著書「産業財マーケティング・マネジメント理論編」の翻訳も務めています。実践的かつ戦略的なマーケティング手法を提唱し、国内外の大手企業を中心にコンサルティング業務にもあたるなど、まさに日本のBtoBマーケティングを牽引する人物です。
また本書は、日本企業の弱みである意思決定の遅さに対しても言及し、実践重視の考え方を示しています。BtoBマーケティングの理解と実践力を高めたいマーケティング担当者や経営者にとって、非常に役立つ一冊です。
【目次】
まえがき
序 章 B2B市場における新たな実践的アプローチ
1 マーケティングの基本的な枠組み
2 B2B市場の特徴
3 B2Bマーケティングに関する研究の経緯
4 戦略的産業財(B2B)マーケティングの7つのステップ
第1章 現状分析―4つのCで分析する
1 Company(自社)分析
2 Customers(顧客)分析
3 Competitors(競合)分析
4 Context(マクロ環境)分析
5 4Cs分析と情報収集
6 SWOT(クロス)分析
第2章 基本方向―事業目標、事業領域、競争戦略を定める
1 事業目標
2 事業領域
3 新事業領域における成功ポイント
4 競争戦略
第3章 コンセプト(STP)―セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング
1 セグメンテーション―市場細分化
2 ターゲティング―標的市場の明確化
3 ポジショニング―提供する価値の明確化
4 STPと情報収集
第4章 提供物とその価格―製品・サービスから価格を設定する
1 提供物とは何か
2 提供物の分類
3 提供物の構成要素
4 提供物の価格設定
5 提供物に関する要因の選択―コンジョイント分析
第5章 販売チャネル(販路)―直接販売か、間接販売かを選択する
1 B2B市場におけるチャネル構造
2 チャネルの設計―6つのステップ
3 チャネルの管理―チャネル・メンバーの選定
第6章 販売促進―コミュニケーションを設計する
1 組織の購買行動のプロセス
2 企業間広告の役割
3 B2B市場における新たなコミュニケーション
第7章 営業活動―買い手の価値を実現していく
1 営業の本質とは何か
2 営業戦略
3 営業形態―デジタル、外勤、パートナーなど
4 営業プロセス―3つのプロセスと8つのステップ
終 章 デジタル・トランスフォーメーション―B2Bの本質は変わらない
1 デジタル・トランスフォーメーションの本質
2 デジタル・トランスフォーメーションと企業類型
3 デジタル・トランスフォーメーションのマネジメント
あとがき引用:Amazon
【口コミ】
BtoBマーケティングの理論と実践の両方を兼ね備えたテキストブック
「月刊生産財マーケティング」
発行:株式会社ニュースダイジェスト社
■本書の特徴と構成
生産財マーケティングの最新情報を得られる、研究開発情報誌
「月刊生産財マーケティング」は、生産財や産業製品のマーケティングに特化した専門誌で、1964年に創刊されて以来、多くの経営者やマーケティング担当者、技術者の方を中心に親しまれてきました。企業が生産財市場で競争力を維持し成長するための最新情報を、月刊誌という形態で提供しています。
本誌では、生産財市場に関する最新のトレンドやマーケティング戦略といった、生産財市場の今とこれからがわかる鮮度の高い情報を提供しています。掲載内容はたとえば、新製品の紹介、先進事例や先進企業の独自インタビュー、各メーカーの販売戦略、海外の動向、統計資料など、ものづくりに携わる方々にとって役立つ最新情報が満載です。
【目次】
月刊生産財マーケティング 2023年 6月号
工場物流を刷新せよ!
1. 加工だけでなく物流も
2. マテハンを強みに
○ 村田機械
○ 【インタビュー】村田大介 社長
○ 【工場ルポ】犬山事業所
3. アーム付きAMRの可能性
4. 先進事例に学ぶ
5. FA商社の旗艦拠点
6. 今こそマテハンに着目を
7. Pick Up! 注目製品
8. スペシャルインタビュー
○ 安川電機 小川昌寛 社長
9. Crossroads
○ プラスアルファというよりそっちがメイン
10. トップに聞く
○ 新エフエイコム 大矢英貴 社長
11. エディターノート
○ FAは必要か
12. Cutting Edge
○ ファナックが自社展に多数の新商品
13. PERSON
○ 新社長 マグネスケール 大野治さん
14. 特別企画
○ 一機種一選(周辺機器編)
15. CIMTリポート
○ CIMTに過去最高の来場者
16. マーケティング
○ 全国各地でPS開催
○ NBがガイド事業大幅縮小
17. 海外
○ ハノーバーメッセに13万人
○ 【シンガポール市場分析】東南アジアの物流ハブ
18. 連載
19. 紙のロボダイ
○ [ショールーム探訪vol.12]モノ売りからコト売りへ/因幡電機産業「ロボットセンターOSAKA」
20. 紙のSEISANZAI Japan
○ 産ロボ、受注は2四半期連続減少、生産・出荷は安定的に推移
21. 人に知恵 現場に技(第196回)/小野電機製作所
○ 研究を形に
22. 今に花咲き実を結ぶ Robotics 前編
○ 広島大学大学院 先進理工系科学研究科
○ 教授 村松久圭 氏
23. 今月の一品 自慢の製品を紹介(第75回)
○ リドエアートルネックス/トルネックス
24. 随想
○ 数値制御の開拓者 妖(洋)画家に変身(第3回)
○ ファナック 元専務取締役 岸甫
○ 1965年沖電気に入社 新規事業のNCを担当
25. インデックス
○ 告知板
○ Monthly Data Box
○ 新製品プレビュー
○ 統計マンスリー
○ FA短信
○ 海外短信
26. ニュースファイル
○ 天田財団、成果発表会開く
○ 型技術者会議、制限なく開催
○ 山善、売上高と純利益が過去最高に
○ データ・デザインが金型向けにデジタルPFのセミナー
○ NaITO、今期は「ユーザー目線を大事に」
○ ニュートラルが突起検出ツール関連の特許を取得
○ マザック美術館で染色の特別展
○ DSC協会、最終工程の高度化を目指す
○ DMG森、トレーニング施設を浜松に新設
○ 医療機器展で新規市場の開拓狙う
○ エンジニアリングブリッジが「春の集い」
○ アイスペースの月面探査機、着陸直前で通信途絶える引用:月刊生産財マーケティング