イベントマーケティングとは?実施メリットや種類、成功させるポイントを解説!
最終更新日:2023/10/26
BtoBビジネスを展開する企業のマーケティング活動において、展示会の出展や自社セミナーを開催するなどの「イベントマーケティング」と呼ばれる手法があります。
コストや手間がかかるイメージのイベントマーケティングですが、新規顧客と接点を持てたり、自社製品やサービスを一度に広く発信できたりと、多くのメリットを見込めるため、企業のマーケティング活動において避けては通れないものと言っても過言ではありません。
また、従来はオフライン開催が主流でしたが、昨今は新型コロナウイルスによりDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んだ結果、オフラインからオンラインにシフトし、ウェビナーやオンライン展示会を開催する企業が増えました。
しかし、リアルイベントとオンラインイベントの使い分けはもちろん、色々な種類のイベントがあるため、何を基準に選べばいいのか、どんなイベントを開催すればよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
本記事ではイベントマーケティングの定義やメリット、種類、成功するための秘訣を解説します。
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イベントマーケティングとは
イベントマーケティングとは、展示会やセミナーなどのイベントを実施することによって、リードを獲得したり育成したりするマーケティング活動のことです。自社が主催をすることもあれば、他社が企画したカンファレンスや共催セミナーに参加することもあります。
※マーケティングにおいてリードとは「見込み客」を意味します。
米SiriusDecisionsが提案するリードモデル・Demand Waterfallでは、リード情報の獲得から受注までのステップが大きく4つの段階に分けられています。
- 見込み顧客の情報を獲得するフェーズ(Inquiry)
- 見込み顧客を選別し引合いを営業に渡すフェーズ(Marketing Qualification)
- 営業が商談を進めるフェーズ(Sales Qualification)
- 受注を勝ち取るフェーズ(Close)
デジタルを活用して受注数を最大化するには、短期的な視点だけではなく中長期的な育成を視野に入れた受注も重要になります。つまり、受注額を上げるためにはリード獲得はもちろん、ナーチャリング活動も不可欠だということです。
そこで鍵となるのがイベントマーケティングです。新規顧客との接点を持つことができたり、自社製品や情報を発信できたりなど、リード獲得の面であらゆるメリットが期待できます。また、過去に接点があった顧客を自社のイベントに招待することで、ナーチャリングの効果も得ることができます。
また、リードの創出(リードジェネレーション)とリードの育成(リードナーチャリング)以外にも、以下の目的でイベントマーケティングを実施するケースもあります。
- ブランディング
- 解約防止や利用促進などの既存顧客サポート
例えば大型のカンファレンスを開催し大物のゲストを招待することで、お墨付きを得ることができます。またそれだけの資金力があることの証明にもなり、ブランディングに繋がっていきます。
また、既存顧客向けにイベントを開催してエンゲージメントを上げることができるイベントマーケティングは、カスタマーサクセスやサポートも活用するマーケティング手法なので、マーケター以外の担当者も理解しておくことが大切です。
イベントマーケティングの効果・メリット
イベントを開催するとなると手間やコストの心配をされる担当者も多いのではないでしょうか。しかし、その労力を上回る効果を享受することができるのもイベントマーケティングです。
ここでは、イベントマーケティングのメリットを4つご紹介します。
一度に多くのリードが手に入る
大きなイベントを開催することで、たくさんの参加者のリストが手に入ります。豪華なゲストをアテンドできれば、普段はなかなか接点を持つことができない顧客層ともつながることができるため、提案先を広げることができます。
認知やブランディングに繋がる
自社でイベントを開催したり、他社が開催するイベントに参加したりすると、業界をリードしている存在だとアピールすることができます。
例えば、展示会に出展すると多くの来場者が企業名や製品、サービス名を目にするので、一度に多くの顧客の認知を獲得することが可能です。
また、セミナーは自社が有する知見を発信するため、「業界で主要な企業」「勢いのある企業」というイメージに繋がり、業界内の地位を確立することができます。
見込み顧客にアプローチできる
イベントに参加するということは、少なからず興味関心や課題を持っている人が多いです。
つまり、能動的に参加している人ばかり集まるので、ニーズが顕在化しており、参加者に対して最適な情報やサービスを提供することができます。短時間で多くの見込み客と接触できるので、営業の効率化にも効果的です。
また、特に展示会などのリアルイベントは、自社製品やサービスの魅力を強く訴求できることもメリットとして挙げられます。
直接顧客とコミュニケーションをとれるので製品の魅力を伝えやすく、顧客側も実際に製品を試すことで理解を深めることが可能です。
リードクオリフィケーションができる
先述したように、わざわざイベントに足を運ぶということは、ネット記事を検索したり、資料をダウンロードしたりするより、はるかにモチベーションが高いです。
自社製品やサービスに興味があるので、クオリフィケーションが済んだ顧客と言えます。リードクオリフィケーションとは、顕在化したリードの中から、商談化する可能性が高い見込み客を選別する行為です。
マーケティング活動から営業にリードを渡すとき、リードクオリフィケーションができていないと営業活動が空振りに終わる可能性が出てきます。
つまり、リードクオリフィケーションが自然とできるイベントマーケティングは、手間をかけずに効率良く営業にリードを渡すことができます。
イベントマーケティングの種類
イベントマーケティングは大きくカテゴライズすると「リアルイベント」と「オンラインイベント」の2つがあります。さらにその中でも細かく分類することができるため、自社の目的や目標に応じて最適なイベントを選択することが重要となります。
まず、リアルイベントとオンラインイベントの違いを見てみましょう。
リアルイベントはその名の通り、展示会やセミナーをリアルな場で実施することを指します。顧客と対面で直接コミュニケーションできることから、熱量や感動を伝えやすく、顧客の心を動かしやすい傾向にあります。ただ、遠距離の顧客は参加が難しいケースや会場のキャパシティにより参加人数が制限されるケースも。
一方オンラインイベントは、距離の制限がないので全国各地の顧客が参加者の対象となり得ます。また、移動時間も不要なため気軽に参加できることもメリットの1つ。そのため、参加できる顧客数が大幅に増える可能性があります。ただ、一体感を醸成しづらかったり、懇親会などの交流のハードルが高かったりなどのデメリットも。
最近ではリアルイベントとオンラインイベントのかけ合わせた「ハイブリッドイベント」も注目を集めています。リアルとオンラインが融合することにより、参加者に新たな体験をもたらし、ビジネスイベントを開催する価値や企業として得られる成果がさらに大きくなると言われています。
しかし、リアルイベント用の会場や美術を手配することに加え、オンライン用のツールや配信業者の手配が必要になるため、潤沢な予算を確保できた場合のみおすすめです。
次に、イベントの手法についてご紹介します。
セミナー
セミナーはイベントマーケティングにおいて一般的な手法で、具体的な課題やニーズを持った顧客が多いことが特徴です。
自社で開催する「自社セミナー」、他社と協力して開催する「共催セミナー」、オンラインで開催する場合は「ウェビナー」と呼ばれます。
さらに、「情報提供型セミナー」と「顧客獲得型セミナー」の2種類に分かれます。情報提供型セミナーは、セミナーそのものが商品であり、受講者からよいフィードバックを得ることが目的です。顧客獲得型セミナーは、自社商材を購入していただくための判断基準を受講者と共有し、商談を創出することが目的です。
他にも、カンファレンスイベントを開催する企業も増えています。カンファレンスイベントとは「特定のテーマについて会議・協議することを指します。
展示会
セミナーと並ぶ有名なイベントマーケティングの手法といえば展示会です。
展示会運営会社が集客し、企業が出展料を払って参加します。展示会はセミナーと違い、自社で集客しなくて済むため、集客の負担は少なく済みますが、その分コストがかかります。
また、新型コロナウイルスにより行動が制限される昨今、オンライン展示会も各業界から注目を集めています。
オンライン展示会とは、展示会場などに集客をするのではなく、オンライン上で集客または登録などを行い開催する展示会のことを指します。オンライン展示会、Web展示会やバーチャル展示会と呼ばれています。
【展示会関連資料】
展示会のノウハウに関してはこちらもご活用ください!
>展示会でのMA活用マニュアル
>展示会の効果を最大化させる12の手法
ミートアップ
ミートアップは様々な分野において共通の目的を持った人たちが集まるイベントのことで、「セミナーよりカジュアルな交流会」というイメージが強いです。
ただ明確な定義がないため、講師による一方的な講義形式から雑談形式のミートアップまで様々な形式が存在します。
リード獲得を目的としたイベントと異なり、ブランディングや商品評価、企業の採用活動の一環として活用するケースが多いです。
体験型イベント
体験型イベントは、顧客にデモンストレーションなどへ参加・体験をしてもらうことによって、自社商品やサービスを強く印象づけられる手法です。
内覧会や実演デモ、試食会、試乗会といった、参加者が実際に商品の価値を体験できるイベントを指しており、一般的に顧客の満足度やリピート率が高い傾向にあります。
ユーザー交流会
イベントマーケティングは新規顧客との接点を作るだけでなく、既存顧客とのコミュニケーションの場としても効果的です。
そこで最適なのがユーザー交流会。ユーザー同士でナレッジを共有したり、ユーザー同士のコミュニティを作ったりすることが目的で、解約防止や利用頻度の増加を促せます。また、アップセルやクロスセルなどを仕掛ける場としても有効です。
オンライン展示会
最新のイベントマーケティング手法として「オンライン展示会」があります。
リアルの展示会が大型会場を借りて行われるのに対し、オンライン展示会はインターネット上のバーチャルな仮想空間で行われることから場所的な制約や開催日時、開催期間の制約を受けません。
出展料や人件費などの開催費用をおさえられ、海外を含めて広く集客できることから新たなデジタルマーケティング手法のひとつとして注目を集めています。
【関連資料】
イベントマーケティングを成功させるポイント
費用と工数を要するイベントマーケティング。正しく実施できれば大きな効果を見込めますが、おざなりで準備、開催をしても失敗してしまいます。
そこで、イベントを成功に導くためのポイントをまとめました。
目的・目標・ターゲットの明確化
イベントを開催するにあたり、まず必要なのは目的を明確にすること。イベントの種類は様々あるので、目的に応じて最適なものを選ぶことが重要です。
例えば、企業の認知拡大は展示会、企業のブランディングはセミナー、既存顧客の育成はユーザー交流会など、イベントの目的によって手法が変わります。
また、イベント後は効果測定を行うため、具体的な目標値を定めておくことも大切です。
イベントマーケティングに限らず、全てのプロジェクトに共通して言えることですが、チーム内で1つの目的・目標を共有し、認識を揃えてゴールに向うことが成功の鍵と言えます。間違っても「イベントを開催すること」が目的にならないように注意しましょう。
事前準備
イベントの目的を策定したら、次はターゲティングに合わせたコンテンツ制作や集客の準備を始めます。
自社の認知を獲得するという目的の場合は外部の展示会に出展しますが、認知が低い見込み顧客をターゲットにコミュニケーションをするため、自社の製品やサービスを知ってもらうことに重きを置いたコンテンツ制作を行いましょう。
一方で自社セミナーは既にリストとして保有した顧客を対象にアプローチするので、参加者の課題やニーズに合わせた情報を提供します。自社サービスがソリューションに繋がることを伝えることにより商談の創出に繋げます。
日程の設定も侮れません。曜日や時間帯によって参加率が左右されることもあります。午後一番の時間帯がいいのか、直帰できる夕方がいいのか、業務時間外に参加できるようにしたほうがいいのかなど、ターゲットに合わせた時間帯も一考する価値があると言えるのではないでしょうか。
また、日程が決まった後は集客にも力を入れましょう。イベントマーケティングのROI(投資利益率)は集客数に大きく左右されるからです。イベントは集客が多ければ多いほど成果に影響する傾向が強いため、事前の告知活動は入念に行います。
※ROIとは、投資額に対してどれだけ利益を生み出しているのかを表す指標です。
展示会に出展する場合は主催者側に集客を任せられますが、セミナーは自社で行う必要があります。セミナー集客の具体的なポイントは以下が挙げられます。
- セミナー用のLPとフォームを制作する
- セミナーの集客期間は最低でも2〜3週間確保する
- セミナータイトルは興味をそそられるような文言にする
- 無料の外部サイトにセミナーを掲載する
- メルマガを活用する
一方で展示会は、来場者が自社のブースに足を止めるような以下の仕掛けが重要です。
- ブースのデザインやレイアウトを工夫する
- 呼び込み専用のスタッフを配置してチラシを配布する
他にも、後日の振り返りやフォローアップのためにアンケートの実施も検討しましょう。
質問数が多いと参加者のモチベーションを下げてしまうため、質問は多くて7~8項目くらいがおすすめです。紙の場合は、アンケート用紙に名刺を貼り付けられるような工夫をすることで、顧客の基本情報を記載してもらう作業を省くことが可能になります。
最近はオンラインサービスを利用して、アンケートを収集する企業も増えています。講演資料の最後にQRコードを掲載し、参加者自らがオンラインでアンケートに記入する形式です。
オペレーション設計
イベント運営にあたりチームビルディング、タイムライン策定、会場手配、当日の人員配置が必要です。オンラインイベントであればツールや配信業者の選定も加わります。
また、セミナーやカンファレンスの場合は映像や音響チェックなどの入念なリハーサルを行うことがクオリティアップに直結します。
事後フォロー
イベント後は、獲得したリストをベースに見込み顧客にアフターフォローを行います。フォローアップを行うことで営業へ送客し、売上に貢献していく仕組みを構築していきましょう。
ここで大事になるのが見込み顧客の優先順位をつけること。
自社に興味を示し詳細な情報を求めている確度の高い顧客は、迅速に商談を設定しましょう。イベント終了後から日を空けず、新鮮なうちにアプローチすることで受注に繋げます。営業との連携も必要不可欠になるので、事前に情報を共有しておくことが成功への鍵です。
たとえ今すぐ購買予定がない顧客でも無下にしてはいけません。将来購買する可能性は大いにあるので、長期的な関係を築くことが大切です。開催直後にイベントレポートや講演資料を送付することで、記憶の定着を図りましょう。
また、人力でフォローアップをすることも大切ですが、CRMやマーケティングオートメーション(MA)を導入しておくことも検討しておきましょう。参加者情報が共有され次第、すぐにデータをインポートして、対応が必要な顧客へのフォローアップに漏れがないようにしておくと無駄を減らすことができます。
せっかく手間とコストをかけて開催したイベントがフォローの遅れにより機会損失してしまった、ということは絶対に避けましょう。
効果測定と改善の実施
最後にイベントの結果を計測して、次回開催に向けて改善と対策を進めます。具体的にチェックする数値は以下です。
- 参加者数
- 名刺獲得数
- イベント後のフォローアップメールの開封率
- 商談数や案件化数
- 受注件数
- メディアへの露出数
また、参加者アンケートやオンラインイベントであればチャット機能を用いることで、イベントに対する満足度や改善ポイントを把握することができます。
それらを踏まえて、「Keep(このまま継続すること)」「Problem(課題)」「Try(解決策)」の3つを洗い出す、KPT法というフレームワークを使って改善を重ねていくと、自社にとっての最適解が見つかります。
イベントマーケティングの成功は適切な目標設定から
イベントマーケティングは多種多様ありましたが、デジタル化によってオンラインイベントも登場し、さらに複雑化しました。しかし、イベントマーケティングが有益なリード獲得やブランディング、認知獲得の効果が見込めるチャネルであることは変わりません。
低コストから始められるオンライン施策、対面での営業力が鍵となるオフライン施策、その2つを組み合わせたハイブリッド施策があり、さらにそこから様々なイベントの種類が存在します。それぞれ特徴が異なるため、マーケティング担当者は自社の現状を理解した上で、最適な方向性を見極めることが重要です。
また、漠然とイベントを実施しても不発に終わってしまいます。運営の不手際が目立ってしまえばイメージダウンにつながりますし、イベントが成功したとしても、その後のアフターフォローを行わなければ反響は得られず、マーケティング効果も低いものとなってしまいます。
費用と工数に見合った効果を得るためには、的確な目標設定とそれに最適なイベントの手法を選び、コンテンツ設計、当日のオペレーション、後日のアフターフォローが必要不可欠です。
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