もはやBtoCの通販サイトだけでなく、BtoBサービスも「ビットコイン(Bitcoin)」で支払えるように
最終更新日:2023/11/17
2017年の急騰、そして2018年1月には急落と、本来の目的からは逸れた投資商品としての側面でも話題に事欠かないビットコインですが、実際に使える「通貨」としても広がりを見せています。
今回は、通貨としてのビットコイン、そしてビジネスユースを考えたときの可能性についてまとめました。
1.「ビットコイン(Bitcoin)」とは?
仮想通貨やビットコインがマスメディアでも頻繁に取り上げられるようになり、見聞きする機会が増えてきました。
そもそもビットコインが何であるのか?
その基本をここでおさらいしておきましょう。
世界で最初に作られた仮想通貨
ビットコインは、2008年に、中本哲史(Satoshi Nakamoto)という匿名の人物によって発表された論文による新技術「ブロックチェーン」を使って取引される仮想通貨です。
世界で最初に作られた仮想通貨であり、仮想通貨における市場規模ももっとも大きく、2018年1月現在で日本円にして33.2兆円となっています。
1BTC(ビットコイン)あたりの相場も、ビットコインが生まれて最初の取引が行われた2009年時点では、日本円換算で1円にも満たなかったのが、2017年末には一時期219万円を超えるほどまで高騰しました。
2018年2月15日現在は、103万4,588円(購入価格)となっています。
小売店での買い物や公共料金の支払いがビットコインで行えるようになるなど、ビットコインを通貨として実際に決済に使用できる場面は少しずつ増えています。
また、今後しばらくは価格が上昇するとの見方が大きく、投資目的でも人気を集めています。
ビットコインが抱える課題
そんなビットコインにもいくつかの問題点があります。
まずは、取引量の増加による送金の詰まりです。前述のように、ビットコインの取引にはブロックチェーンが使われています。
一定期間の取引内容の記録を一つの塊(=ブロック)にし、このブロックを時系列につなげてチェーンのようにつないでインターネット上の複数のコンピューターに記録するという仕組みです。
ブロックの大きさは1MB(メガバイト)までと決められていますが、取引量の増加に伴い、送金対応ができなくなってきています。
そこで、「現在のブロックサイズを変えずにデータを圧縮する」か「ブロックサイズそのものを大きくするか」の意見が対立し、解決をみていません。
後者がサイズを8MBまでに拡大して分岐させて2017年8月に生まれた新たな仮想通貨が「ビットコインキャッシュ」です。
同様に、2017年11月には「ビットコインゴールド」が生まれ、ビットコインは今後も分裂を続けると考えられています。
取引量の増加はまた、仮想通貨の大きなメリットであるはずの「送金手数料」の相場が高騰するという事態も引き起こしています。
本来は低額で時間や国を問わず送金できるはずのビットコインですが、取引量の増加に伴い、取引の処理をしてくれるマイナー(採掘者…ビットコインの発行・流通を支えている)への報酬額基準が上がってしまったのです。
ほかにも、ビットコインが新しく生まれた通貨であるため、法整備が追かず、税制(消費税・所得税などの区分)や利用者保護などが立ち遅れているという点も解決していかなけらない課題となっています。
2.「仮想通貨法」が2016年に制定
2016年に「仮想通貨法」が制定されたことで、先ほど問題点として取り上げた「法整備」のうち、仮想通貨を扱う取引所などについては法律の規制がなされました。
具体的には、内閣府に申請を出して審査を通った取引所のみが仮想通貨を扱えるようになり、監査法人や公認会計士からの監査を定期的に受けることが義務づけられたのです。
さらに、年に1回は内閣府へ報告書を提出する必要があります。
ただし、仮想通貨の取引所は、東証などのように金融商品取引法上の取引所免許を持っているわけではなく、資金決済法に基づく「交換業者」として登録すれば国内で事業ができてしまう点や、そもそも交換業者としての登録すらしていない業者がいること、取引手数料以外にも利ざやを得られ投資家の性質が強い「マーケットメーク方式」を売買形態とすることができる点などから、日本経済新聞社は20118年2月5日、「取引所」ではなく「交換会社」などと表記すると発表しました。
3.ビットコイン決済対応店舗
少し、ビットコインのマイナス面をクローズアップしましたが、メリットはもちろんのこと、リスクを把握したうえで賢く活用すべきだといえます。
ビットコインが世界で初めて通貨として使用されたのは、アメリカのフランチャイズピザ店「Papa John's(パパジョーンズ)」でピザ2枚と10,000BTCを交換したことだといわれています。
日本でも、BtoCを中心に決裁に使えるサービスが充実してきています。
以下で、代表的なものをご紹介します。
通販サイト(BtoC)
まずは、個人でも利用しやすいBtoCの通販サイトからご紹介します。
DMM.com
DVD、CD、本などの購入やレンタル、オンラインゲーム、動画配信、電子書籍などエンターテイメントを総合的に提供するDMM.comで支払にビットコインが使えます。競輪や太陽光発電といったちょっと変わった商品も扱っています。
ビックカメラ
https://www.biccamera.com/bc/main/
カメラの公式通販サイトでも、ビットコインで支払が可能です。家電製品だけでなく、日用品や医薬品、食品など幅広いジャンルでお買い物ができます。地域によっては当日配送してもらえ、店舗での受取も可能です。
ここでは有名どころのみをピックアップしましたが、ビットコインで決済可能なECサイトはこのほかにも続々と増えてきているので、気になる方はチェックしてみてください。
ビジネス(BtoBに近しい)
続いて、ビジネスシーンでも活用できる、BtoBに近しいサービスをご紹介します。
オフィス家具モール
激安オフィス向けの家具の通販を行うオフィス家具モールでは、銀行振込、郵便振替、クレジットカードのほかにビットコインでの代金支払が可能です。中古のビジネスフォンや複合機も取り扱っています。
シンク・イメージ
ホームページの制作・コンサルティングを提供するシンク・イメージでは、サービスの利用料金をビットコインで決済できるほか、ビットコインを活かしたビジネス戦略を立てたいという企業の相談にも応じてくれます。
アポロ商標特許事務所
自社のロゴや商品、サービスを商標登録したいときに弁理士がサポートしてくれるアポロ商標特許事務所の利用代金をビットコインで支払うことができます。相談は無料ででき、登録とならなかった場合は全額を返金してくれる返金保証がついています。
4.これからのビジネス利用
今回は、国内でビットコインが利用できるWebサイトやサービスのみを紹介しましたが、ビットコインのような世界的に普及している仮想通貨のメリットとして、両替を必要とせず(つまり、為替変動を気にすることなく)海外とも取引できる点が挙げられます。
ビジネスシーンでは、たとえば、海外のECサイトから商品やサービスを購入する際の決済に使用したり、外国企業との契約取引や海外支社とのやりとりがスムーズに迅速に行えるというメリットがあります。
また、海外に住むフリーランスの人材をクラウドソーシングを使って利用し、報酬をビットコインで支払うといった用途でも使えます。
ビットコインは資金調達の面でも活用できます。
これまでは、企業が資金を調達するには株式制度が一般的でしたが、仮想通貨が生まれてから「ICO(Initial Coin Offering)」という仕組みができました。
これは、IPO(Initial Public Offering…非上場企業が上場前に株式を発行し、投資家に配分する)に対応する言葉で、企業が株式の代わりに独自のコインを発行し、投資家がビットコインなどでそのコインを購入するという流れで資金を集めるというものです。
コインを発行する企業側からすれば、上場のために必要な基準を満たさずとも資金を集められるので、スピーディに高額を調達できる可能性が高まります。
日本ではまだあまり浸透していませんが、海外企業では1ヵ月以内に40億円相当を調達した企業もあり、積極的にICOを活用しています。
今後は国内外でビットコインのビジネス活用事例も増えていくでしょう。
動向を追いつつ、自社にマッチするものは取り入れていくという選択肢も持っておいた方が良いかもしれません。