製造業における生産性向上について、製造・営業の両視点から取り組むべき施策や事例などを紹介!
最終更新日:2023/10/26
生産性の向上は、現在多くの企業が直面している課題です。
生産性向上と言ってもやるべきことは様々ですが、例えば製造業においては少ない資源で可能な限り多くのアウトプット(製品・価値)を創出するための取り組みを指します。競争の激化や少子高齢化という背景の中で、利益の拡大やコストの削減がを通した生産性向上への取り組みは、最も注目を集めるトピックのひとつです。
そこで本記事では、製造業の生産性向上に向けた取り組みに関して、着目点や活用できるシステム、製造部門・営業部門の両部門における具体的な施策などを基礎から解説します。
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目次
そもそも「生産性」とは?
まずはじめに「生産性」についてのおさらいをします。生産性とは、労働力や原材料などの資本、機械設備などを投入し、それによって得られる製品やサービスの生産量の割合を指します。
何かを生産する場合には、土地や建物をはじめ、機械設備やエネルギー、原材料とそれらを操作する人材・労働力が必要です。ものやサービスを生産するために必要不可欠なこれらのものを「生産要素」と呼び、「生産性」は生産要素を投入して造られる製品・サービスの相対的な割合を意味します。
ものすごくシンプルにいえば、一つのもの・サービスを作るにあたってどれだけ効率的に労働力と原材料が使われたかということを割合で示したものが生産性です。少ない生産要素でより多くの製品を生み出すことができたら、「生産性が高い」と評価することができます。
ただし、一口に「生産性」と言っても様々な要素・視点から分類されています。生産性についてより理解を深めるために、次章でその種類について解説いたします。
生産性の3つの種類
生産性は先述した「生産要素」の視点から捉えることで、「労働生産性」「資本生産性」「全要素生産性」の3種類に分類することができます。それぞれの生産性について詳しく解説します。
労働生産性とは
「労働生産性」は、労働という視点から生産性を捉えた指標であり、「従業員1人もしくは1時間」につきどれくらいの成果を生み出すのかを示した指標です。
労働生産性の向上とは、「同じ労働量でより多くのものを生産する」もしくは「より少ない労働量でこれまでと同じ量もしくはそれ以上のものを生産する」ことを意味します。労働生産性は、さらに何を指標とするかによって「物的生産性」「付加価値生産性」の2つに分類することができます。
物的生産性とは
物的生産性は「生産数量や金額」を指標として生産性の効率性を測定する考え方です。時間もしくは従業員1人につき、どのくらいの製品やサービスを生産しているかがわかります。
物的生産性は「=アウトプット(売上額又は生産数)÷インプット(労働量)」という計算式で測定可能です。
生産物の価格は物価の変動や技術の進歩などによって変動するため、生産する製品の大きさや重さ、個数などの物量を単位とすることで、製造現場における純粋な生産効率を明らかにできます。物的生産性は、生産効率・生産能力の推移を明らかにする際にも活用される指標です。
付加価値生産性とは
「付加価値生産性」は、企業が新しく生み出した金額ベースの価値=付加価値を単位とする生産性測定法で、時間もしくは従業員1人につき、どのくらいの付加価値を生み出しているかがわかる指標です。
付加価値とは企業が生み出した総生産額(売上高)から、原材料費や外注加工費、機械の修繕費、動力費などの非付加価値を差し引いた金額を指し、「付加価値生産性=アウトプット(付加価値額)÷インプット(労働量)」という計算式で測定することができます。
付加価値は利益や配当などとして資本に、人件費として労働に分配されるため、生産性向上の成果をどう分配するかという問題を考慮する上で非常に重要な指標です。
資本生産性とは
「資本生産性」は資本の視点から生産性を捉えた指標であり、土地や建物、機械設備などの「企業が保有する資本」につき、どれくらいの成果を生み出すのかを示した指標です。
資本生産性は、「=生産量÷保有(投下)資本量」で測定でき、設備の稼働率向上や効率改善などに取り組むことによって向上することができます。資本生産性の指標が高いことは、自社の設備を効率的に使用できていることを意味します。
全要素生産性とは
「全要素生産性」とは、労働生産性を資本、労働、原材料などのすべての生産要素で測定する指標であり、上昇率(伸び率)によって表すことができます。企業において中長期的な生産性の向上を目指す場合、全要素生産性の安定的な上昇が重要とされています。
労働生産性の向上と全要素生産性の関係は、「労働生産性増加率=全要素生産性上昇率+資本装備率×資本分配率」という計算式で、経済成長率と全要素生産性の関係は、「経済成長率=全要素生産性上昇率+労働投入増加率×労働分配率+資本投入増加率×資本分配率」という計算式で表すことができます。
全要素生産性は、「経営戦略・ブランド戦略・技術革新・資産の有効活用・労働能力の向上」などの多くの成長要因を評価できる指標です。持続的な経済成長を実現させるために重要な指標とされ、労働生産性及び経済成長の向上において大きな役割を果たしています。
一言で「生産性」と言っても様々な視点から分類され、経営における指標として機能していることがわかります。では「製造業における生産性の向上」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか?明確に理解できるよう、次章で解説します。
製造業における生産性向上について
前章までに「生産性」の種類をご紹介してきましたが、ここからはよりかみ砕いて「製造業の生産性」について解説します。
製造業における生産性向上は、限られた資源(原材料や従業員)を有効活用して、最大限の成果が出せるようにする取り組みを指します。製造業の場合、原材料や従業員などの資源を最低限に抑えながら、より多くの製品を生産することを「生産性が高い」といいます。
製造業においては、労働生産性と資本生産性の両者における改善によってより高い生産性を実現できるため、本章以下ではそれを踏まえた上で「生産性」という言葉を使用して製造業における生産性向上について解説します。
また製造業における生産性向上では、「製造部門」の取り組みがフォーカスされる傾向にありますが、「営業部門」での取り組みを同時に行うことで、より効果的な生産性向上を図れます。以下の流れとしては「製造部門」における生産性向上を解説したあと「営業部門」での生産性向上を解説し、最後に両部門における施策を紹介します。
製造業の生産性向上では改善のための取り組みを実施するだけではなく、最大限の成果を出し続けるシステム構築が何よりも重要です。生産性を高めることで、利益の最大化やコスト削減、製品の品質安定化を図ることができるため、製造業を営む多くの企業が生産性向上のための施策に取り組み始めています。
ではなぜ現在、こんなにも製造業における生産性向上への注目度が高まっているのでしょうか?その背景について解説します。
生産性向上が注目される背景
製造業における生産性向上が注目される背景には、グローバル化や国内市場における競争の激化、少子高齢化による労働人口の減少などの背景があります。
従来は国内の市場における競合他社がライバルだったものの、オンライン化やグローバル化の急速な普及によって、グローバル市場における世界中の企業が競争相手へと変化しています。激化した競合争いに勝つには、少ない資源で高品質の商品を最大限生産し、利益獲得を図る生産性向上への取り組みを進めることが重要です。
さらに、少ない人材で最大限の成果を出せれば、コスト削減や利益の最大化などを実現して企業の成長が期待できるため、人材不足が大きな問題となっている昨今、生産性向上への取り組みがこれまで以上に注目を集めています。
製造業の生産性が下がる要因
製造業の生産性向上を図るためには、生産性低下を招く要因を理解することも大切です。主な3つの要因について解説しますので、生産性向上に取り組む際に活かしてみてください。
生産性向上に割く時間がない
企業側の人材育成や個々の従業員のスキルアップなど、生産性向上に必要な取り組みに割く時間がないことは、生産性低下を招く大きな要因です。
生産性向上に向けた取り組みが進まないと、従業員のスキルや知識量の差が生まれて作業品質にばらつきが生じます。経験や知識の浅い従業員を育成できないと、不良品の発生や作業品質の不安定などの問題が生じ、企業の大きな損失にもつながりかねません。
ミスや無駄な作業の発生
作業ミスや発注ミス、無駄な作業が多いと確認の手間が増えるほか、作業効率が著しく悪化するため生産性は低下します。特に発注ミスは企業の費用を浪費してしまい、コスト増加にもつながるため、部品調達や在庫管理を徹底して行うことが重要です。
また習慣化している作業において、本来取り組む必要がないのに従業員が惰性で行っているような無駄な作業がある場合があります。さらに、機械を使用せず手作業で行うなど非効率な作業もありうるうえ、非効率な作業は従業員への負担増加や、その影響によるミスの発生にもつながる可能性があります。
部門・従業員間のコミュニケーション不足
製造業では製品の製作に対して複数の部門で協力しながら業務に取り組むため、部門間や従業員間で情報や進捗状況をこまめにシェアするなど、シームレスなコミュニケーションが非常に重要です。
コミュニケーションが不足していることで部門間で情報共有がスムーズにいかず、作業の途中停止や連絡ミスなどの不備が起き、生産性低下や生産の大きな損失につながるケースがあります。
生産性向上によるメリット
「生産性を向上させたい」と誰しもが思うものの、具体的なメリットを整理して理解する機会は少ないのではないでしょうか。ここからは、生産性向上にの5つのメリットについて紹介します。
品質の安定
生産性向上を実現することで、製品の品質を一定に保つことができます。
先述したように、非効率な生産体制ではミスの発生や品質のばらつきが発生しやすいという課題がありますが、生産性を向上することで問題を解決でき、品質の安定した製品を生産することが可能です。
品質が安定的に担保できるシステムが構築できれば、トラブル対応に割く時間が減り、その分の時間を人材教育や研究、開発などにまわすことができます。他にも顧客からの企業への安心感や信頼度の向上が期待できるなど、様々な好影響が見込めます。
人手不足の対策
生産性向上を実現することは、人手不足の対策にも効果的です。効率よく業務をこなす環境を整備することで、少ない人数でも多くの成果を出すことができます。
技術を受け継ぐ若い人材が不足する傾向にある製造業では、若手社員の育成に力を入れられる人材教育体制の有無が今後の企業経営に大きく影響します。少ない従業員で最大限の成果を生み出せる生産性向上の取り組みが求められているのです。
生産性向上に成功し、従業員にとって働きやすい環境を整備できれば、働きやすさを自社の強みとしてアピールすることで、人材確保にもつながります。
競争力の強化
生産性の向上は、市場における競争力を強化できるというメリットもあります。
グローバル化の影響で、国内のみならず世界中の市場における国際競争が激化しています。日本企業の労働生産性は低いとされており、国際競争に競り勝って存在感を示すためには企業の生産性向上が必要です。
生産性向上による生産量の増加や利益の増大、高い品質の維持に成功すれば、国内外における競争優位性の確保が見込めます。
利益の増大
生産性を向上し、最小限の資源で最大限の生産性を発揮することができれば、利益の増大も期待できます。
生産性が向上することで、従業員の作業ミスや原材料の発注ミスによる無駄なコストを削減でき、競争が激化する状況のなかでも企業の売上増大が見込めます。
効率的に業務が進むことで、生産が間に合わずに利益を上げるチャンスを逃すといった失敗も削減できるはずです。増大した利益を従業員に分配できれば、離職・退職の防止にもつながり、人材不足の対策にも効果があるでしょう。
コスト削減
生産性向上によって最小限の資源で大きな結果が出せるようになれば、コストの削減も実現できます。
作業を効率化することで労働時間の減少=人件費削減につながるほか、少ない資源でより多くの製品が製造できるため、原材料にかかるコストも減らせます。その他にも、光熱費や研修費、教育費などあらゆる費用の削減も可能です。
捻出したコストは新たな設備や従業員への投資、ツールの導入などに使えるため、企業のさらなる発展につながります。
製造業の生産性向上における5つのポイント
製造業において生産性向上を目指すには、重要な5つのポイント「デジタル化・5S・作業・工程・設備」があります。それぞれのポイントについて以下で解説しますので、実際に取り組む際に参考にしてみてください。
デジタル化
製造業の生産性向上において、デジタル化は必須の取り組みといえます。
近年では、AIやロボットによる作業の自動化など、製造工場にデジタル技術を活用する事例が増加しており、先端テクノロジーやシステムの導入によって作業員の負担を軽減できるほか、ミスの削減による効率化などを図ることが可能です。他にも、作業時間の短縮や品質の安定の効果も期待できます。
5S
5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」のSから始まる5つの要素を意味します。製造業の作業現場において5Sを徹底することで、生産性向上を図ることが可能です。
作業現場において5Sを徹底することで、「作業に必要な資材や道具が見つからない」「どこに何があるか把握できていない」という状況をなくして無駄な時間を削減することで、作業を効率的且つスムーズに進行することができます。
5Sの実行は比較的簡単でコストもかけずに実行することもできるため、生産性向上のためにすぐに取り入れやすい取り組みです。
設備やレイアウトの改善
設備の改善や、レイアウトの変更なども生産性向上に必要なポイントのひとつです。
最先端設備の導入やレイアウトによって作業効率は大きく向上するほか、働く環境を充実させることで従業員のエンゲージメントやモチベーションアップにもつながり、最適なパフォーマンスを期待できます。
設備に関しては従業員の声を聞き、作業現場を実際に確認したうえで従業員の動線を考慮したレイアウトに変更したり、新たな設備を導入したりするなどの改善法があります。新たな設備を導入する場合は必要なコストが大きいため、事前に費用対効果をしっかりと考慮して取り入れることが重要です。
作業の改善
生産性向上を図るためには作業のチェックや可視化など、作業を改善する取り組みが必須です。
作業においては顕在化していない問題が発生している場合もあるため、定期的なチェックや可視化できるシステム作りが必要になります。作業現場で働く従業員のヒアリングや現場チェックを行うことで発生した問題を明らかにし、最適な対策を行うことで生産性の低下を防ぐうえ、大幅な効率アップも図れます。
生産工程の改善
先述した作業と同様、生産工程に問題がないかどうかをチェックして改善することも、生産性向上を図る上で非常に重要です。
例えば、生産工程において従業員への負担に偏りがないか、無駄な工程のせいで、1つの製品を生産するのに要する時間である「タクトタイム」が伸びていないかなどを点検します。
作業のモニタリングや現場作業の従業員へヒアリングを行なうことで問題を抽出し、最適な対策に取り組むことで、従業員のモチベーションアップや生産性向上へつながります。
営業における生産性向上も重要
ここまで製造業の作業現場における生産性向上について紹介してきましたが、企業の利益拡大のためには営業における生産性向上も非常に重要です。以下では製造業の営業における生産性向上について解説します。
製造業の営業における生産性向上とは
製造業の営業における生産性向上は、営業担当者一人ひとりが、以下の4つのポイント「①商談件数の増加②成約率の向上③短期間での成約④商談規模の大型化」をいかに複合的に実行できるかどうかにかかっています。
生産性向上において重要なこの4つのポイントを営業担当者が達成できれば、企業利益の大幅な拡大が見込まれるため、営業における生産性向上も、製造現場における生産性向上同様、企業において必須の取り組みです。
では実際、営業の生産性向上を実現するには、どのようなポイントに注意すると良いでしょうか?
営業の生産性向上を実現するポイント
営業の生産性向上を実現するには、「情報の量と質/情報の可視化/情報の一元化」というポイントに注目する必要があります。
情報の量と質
成果を出す営業担当者は顧客に関する多くの情報を収集することで、顧客のニーズに最適な高い水準の提案を行っている傾向にあります。情報収集の際には、社内の関係部署と連携・コミュニケーションを図ることが大切です。
顧客を訪問する前には、相手企業のキーパーソンに関する情報やこれまでの取引履歴や状況の詳細など重要なデータを調べることも重要で、必要があれば部長に同行営業を依頼します。あらゆる場面において量・質の高い情報をうまく活用して生産性を向上を図ることで、売上拡大につながります。
情報の可視化
情報を可視化することも、営業における生産性を向上させる上で大切なポイントです。
情報を個人で抱えて属人化するのではなく、可視化して他部署との連携や他の営業担当とシェアすることで生産性の向上につながります。さらに、属人的なノウハウの廃止や新人の育成も実現し、利益の最大化が期待できます。
情報を可視化して効率よく活用するには、ツールを利用した情報共有などを利用可能です。
情報(データ)の一元化
営業における生産性向上を実現するには、情報の一元化が必要です。情報の一元化とは業務に関わる全ての情報を一括で管理・活用することを意味します。
バラバラのツールで管理されている情報をひとつのツールにまとめて管理することで、情報を探し出す手間や引き継ぎなどの手間が省けるほか、他部署との情報共有をスムーズにして無駄な時間を削減することができ、生産性の大幅な向上が見込めます。
営業の生産性を向上させるポイントについて紹介しましたが、生産性を低下させてしまう原因を知ることで、さらに大きな改善が期待できます。次の章で営業における生産性が低下する原因について解説します。
営業における生産性が低下する原因
本章では、営業における生産性が低下する原因を6つ挙げていきます。耳の痛い話かもしれませんが、ぜひ自社に当てはまるところがないかチェックしてみてください。
明確な根拠のない売り上げ目標設定
営業における生産性が低下する大きな原因として、営業の売り上げ目標設定に明確な根拠がないという点が挙げられます。
売り上げの目標は予測金額の積み上げによって設定されますが、営業担当者や現場責任者、経営者それぞれに思惑や事情があり、売り上げ目標設定に必要な正しい情報が伝わらず、明確な裏付けがないまま目標が設定されてしまうということが起こります。
予測精度が低いと売り上げが見込みを大きく外れるほか、無理のある目標設定は営業担当者のモチベーションの減退にもつながり、企業全体の生産性低下を引き起こします。
マネージャーの管理能力不足
マネージャーの管理能力は営業における生産性に強く影響します。
営業担当者と円滑なコミュニケーションが取れないほか、信頼を得られない、冷静に対応できない、部下の個性を考慮せずに指示を与える、指示に根拠がないなど、マネージャーの管理能力不足は生産性を低下させる大きな要因のひとつです。
企業の経営が安定しているときは問題が顕在化しないこともありますが、体制が悪化した際には改善することが困難になる可能性が高いので、日常的に雰囲気づくりや適切な指導体制などを整えておくことが大切です。
ただし、マネジメント人材の不足は製造業に限らず、多くの企業が抱えている悩みです。かなり根深い問題ではありますが、教育と採用の両面で、少しずつ改善をしていく必要があります。
不十分な商談状況の管理とフォロー
営業における生産性の低下は、不十分な商談状況の管理とフォローによっても引き起こされます。
組織として正常に機能し、効率の良い運営を行えていると思っても最大限の成果が得られない場合は、情報に基づいた営業戦略や分析が適切に実施されていない傾向にあります。
定期的な営業会議や現状報告によって、第三者からの指摘や客観的な事実の把握ができれば、適切な商談状況の管理やフォローにつながり、営業における生産性の大幅な向上が見込めます。
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期限のある目標への達成意識の低さ
期限のある売り上げ目標に対する達成意識の低さも、営業における生産性低下の大きな要因です。期限を明確にした目標を設定しない場合、様々な形で企業の生産性低下を招きます。
営業で大きな成果を出している企業は短期決戦に強い傾向があり、期限付きの目標を達成する意識が高いと言われています。個人で高い意識を保つのは難しいため、組織全体を巻き込んだ仕組みや雰囲気作りを行う必要があります。
たとえば期限内の目標達成に対するインセンティブ、部下や仲間の目標達成を称え合うチームワーク、締日を意識できる仕組みづくりなどを行い、それぞれの営業担当者が自分の業務に責任を持ち、高い意識を保つことで生産性向上は飛躍的に上がるはずです。
長時間勤務前提の働き方
残業などを含む、長時間勤務前提の働き方も営業における生産性の低下につながるため注意が必要です。
従来に比べて減りつつありますが、残業を前提にした長時間勤務を行う企業は今も存在しているといわれています。長時間勤務を前提にした場合、「時間対効果」という点で大きく生産性を低下させているといえます。
コロナ禍によってオンライン化や働き方改革が進みつつある今、営業においてもリモート面談やデジタルツールを活用することで勤務時間の短縮を実現し、時間対効果、及び生産性の向上を図ることが可能です。
属人的な営業スタイル
営業活動の標準化がされておらず、属人化してしまうことが生産性の低下を引き起こすことがあります。
トップ営業マンが実践していることが共有・徹底されておらず、各々のが独自の営業手法をとった結果、1人当たりの売り上げが最大化されずに生産性が上がらなくなってしまいます。
製造部門・営業部門における生産性向上のための施策
製造部門・営業部門それぞれにおける生産性向上について紹介しましたが、実現させるためにはどのような施策を行うといいのでしょうか?それぞれの部門における施策について解説します。
製造部門
まず製造部門における生産性向上のための施策を紹介します。
課題を明確にして改善する
まず生産性向上を実現するには、生産プロセスにおける課題を明確にして改善することが重要です。
作業工程を可視化することで、作業手順の不明瞭さや作業ミスが多い工程など、業務が滞るポイントが明らかになり課題を見つけることができます。現場で働く従業員にヒアリングすることも大切です。
さらに可視化したデータを日常的にチェックできるシステムを構築できることで、同じ課題が発生しづらくなります。カメラを設置してモニタリングする方法も効果的です。
数値目標を設定する
製造部門における目標は具体的な数値を設定し、従業員全員で共有する必要があります。
無理な数値設定は失敗やモチベーションの低下につながるため、目標を設定する際には実現可能な範囲で設定することが大切です。また目標とする数値を年単位、月単位、週単位、日単位で細かく区切り、定量的な数値目標を決めることで従業員のモチベーション維持やそれに伴う生産性向上にもつながります。
テクノロジーを導入する
テクノロジーの導入は製造部門における生産性の大幅な向上につながります。
生産・稼働状況の可視化や、設備の異常感知、在庫管理システムとの連携など、AIやロボット、デジタルツールによる作業の自動化は、従業員の負担やミスの削減、人材不足の解消につながり、生産性の向上に役立ちます。
設備を改善する
設備を改善し、作業場のレイアウトの最適化を行うことも生産性向上に必要な要素です。
従業員へのヒアリングなどを通して設備を改善することで、作業効率や従業員のモチベーションが向上し、最大限のパフォーマンスを期待できます。大きな改善が見込まれる場合は、新しい設備を導入することもおすすめです。
営業部門
次に、営業部門における生産性向上のための施策について紹介します。
適切な目標と期限を設定してチェックする
営業部門における生産性向上のためには、適切な目標と期限を設定し、期限ごとに達成できているかどうかをチェックすることが大切です。
裏付けのある適切な目標を設定し、決められた期限に目標を達成できるよう実行したら、しっかりと目標を達成できているかを適宜チェックします。そして達成できていればさらなる改善点を、未達成だった場合は何が問題だったのかを明確にして、解決できるよう取り組む必要があります。
このプロセスは営業における生産性向上、及び最大限の成果を上げるうえで最も重要な取り組みの一つです。
個人プロセス目標の設定と実行
売り上げ目標は「企業→部門→個人売り上げ→個人プロセス」と細分化されて設定されます。このプロセスにおいて、営業担当者の「個人プロセス」目標は売上を作るベースとなるため非常に重要です。
営業担当者の「個人プロセス」目標を達成できるか否かは、営業部門における生産性の向上に直結します。そのため、担当者が自身の目標を達成するために営業活動を効率よく行えるよう実行・管理できるようにすることが大切です。
プロセス目標の具体的な項目としては「アポイント数・商談(数/金額)・受注(数/金額)・新規件数(数/金額)」などがあり、これらを適切に設定して実行し、常に進捗を確認しながら活動を行う必要があります。
個人プロセス目標を達成するためには、プロセス目標を自身の成功への指標としてうまく活用するほか、無駄な作業を削減しより効率的に行える方法を考えることも効果的です。
営業成果に見合う報酬体系の整備
営業における生産性向上を目指すには、従業員のモチベーションを高く維持するために、営業成果に見合う報酬体系を整備する方法もあります。
成果に見合ったインセンティブなどの積極的な導入は、成果を上げた従業員への報酬としてモチベーション向上を期待でき、結果として生産性の向上が見込めるはずです。
営業支援システムの導入
裏付けのある目標設定が営業活動における生産性向上のために重要であることは先述しましたが、設定のための情報収集や管理、データ分析をより効率的に行えるツールである「営業支援システム」を導入することでより高い生産性の向上が期待できます。
MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理システム)などの「営業支援システム」を活用すれば、あらゆる情報をデータベースとして一括で管理・活用できるようになります。
具体的には「顧客データの一元管理・顧客との取引履歴・取引後のアフターサポートに関する情報」など、従来アナログで管理していたデータを全てデジタル管理することで、従業員間での情報共有をスムーズにし、効率的なやりとりを実現します。
蓄積されたデータを分析すれば、明確な根拠のある適切な目標設定が可能になり、営業部門における生産性向上へとつながります。
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製造業の生産性向上に活用できる技術・システム
製造業の生産性向上にはデジタル化が必須であることは先述しましたが、具体的にどのような技術やシステムがあるのでしょうか?主な6つの技術・システムについて紹介します。
IoT
従来インターネットに接続されていなかったモノを接続することで、これまでになかったサービスが実現する技術「IoT(Internet of Thingsの略)」を製造業に取り入れることで、工場で使用する様々な設備をつなぎ、設備機器の現状把握や稼働状況の可視化などが可能になり、作業の効率化が実現できます。
インターネットと設備を接続することで、作業の効率化以外にもデータの収集や、収集したデータによる分析など、様々なことが容易にできるようになります。業務の効率化による人材不足の解消や業務量の標準化なども期待できるため、現在製造業において注目が集まっています。
ロボット
ロボットを製造業において導入することで、作業の効率化や自動化を実現できます。
ロボットを活用して作業を自動化すれば、その分の人員を他の業務に当てることができるなど、資源をより有効に活用することができるほか、コストの削減にもつながります。24時間稼働が可能な点もロボットの持つ大きなメリットで、生産量の増大が見込まれるほか、従業員の負担やミスの削減にも寄与します。
産業用ロボットに目を持たせた、生産性向上に役立つツール「ロボットビジョンシステム」のニーズも高まっており、これまで以上に細かい作業をロボットに任せられます。
AI
製造業における生産性向上に役立つ技術として、AI技術も注目を集めています。
具体的には異常検知など、従来人が行っていた製品の検品をAIに任せることで、検品精度の向上や作業効率化、省人化、ミスの削減などを実現できます。ヒューマンエラーを回避できるのも魅力です。
単純作業などをAIに任せることで、従業員をより重要な業務に回せるのも利点で、限られた資源を有効活用して生産性向上を図ります。
MES
MES(Manufacturing Execution Systemの略)は「製造実行システム」と呼ばれ、工場内作業における各工程の進捗のリアルタイム確認や、作業担当者へのサポートを実施できるシステムです。
MESにはスケジューリング、資源配分、製造指示などの機能をはじめ、作業者管理・製品品質管理・プロセス管理・保全管理・製品体系管理・文書管理などのあらゆる管理機能や、データ収集、実績分析などの機能などを備えており、作業者支援や情報管理を効率よく行うことができます。
ERP
ERPは Enterprise(企業) Resource(資源) Planning(計画)の頭文字をとったもので、企業の経営資源に関する様々な情報を一元管理し、企業全体の最適化を図るツールです。
在庫や生産をはじめ、販売、財務・管理会計、人事、注文などに関するあらゆるデータを一括で管理することで、生産スケジュールの確認や受注情報などを迅速にチェックできるようになり、業務の効率化やリソースの有効活用を実現します。
入力やデータの転記などにおけるミスの削減も見込めるほか、ほとんどのERPに掲載されている売上データのチェック機能によって売上や実績を瞬時に把握することもできるため、経営陣の迅速な意思決定が見込めます。近年ではMESの機能を持つERPも登場しており、注目が集まっています。
RPA
RPA(Robotic Process Automationの略)は、手順が決まっている作業を、作成したシナリオに基づいてロボットが代行する、業務自動化システムです。
具体的には、勤怠管理やメールの送信、問い合わせの対応や請求書の処理、コンピューター上で取り組む作業の自動化が可能なシステムであり、情報収集やデータ入力などが可能で、バックオフィス業務の効率化と生産性向上が図れます。
RPAは製造部門だけでなく、営業部門や企業全体における生産性向上を図る際に有効で、多くの企業での導入が進んでいます。定型作業の自動化によって人の負担が減り、より適切な現場へのサポートにもつながります。
最近ではオンラインで気軽に導入できるクラウドタイプのRPAも普及しはじめており、低コストで作業の自動化及び効率化を実現したい企業に人気のシステムです。
まとめ
本記事では製造業における生産性向上について、製造部門と営業部門の2つの視点から解説しました。
生産性向上の取り組みについて、どちらかの視点のみで語られることが多い傾向にありますが、製造部門・営業部門の両視点から取り組むことで、より効果的な生産性向上及びコスト削減や利益の拡大を見込め、最大限の成果を期待することができます。
特に近年では製造業におけるDX推進やデジタル化などの重要性が高まっているため、本記事で紹介したシステムや技術、施策やポイントなどを、ぜひ生産性向上における取り組みに役立ててみてください。
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