エムタメ!について twitter

マーケティング担当者のために
マーケティングに関わるためになる情報をためていく

  1. TOP
  2. ソーシャル
  3. 「競争」から「共創」する企業へ。Webサイトを活用した共創マーケティングについて

「競争」から「共創」する企業へ。Webサイトを活用した共創マーケティングについて

記事公開日:2014/11/04
最終更新日:2023/11/16
「競争」から「共創」する企業へ。Webサイトを活用した共創マーケティングについて

こんにちは。

スターティアラボ編集部です。

最近めっきり寒くなり、秋を感じないまま冬がやってきたかのようで冬用の靴を購入しました。新しい靴を買う際は、よく靴ズレが起きてしまうのでいつも慎重になってしまいます。

そんな中、「私たちが作りました」というPOPとともに、何人ものユーザーが実際に靴を履き、その感想を言い合う広告がならんでいました。これは、「この商品はユーザーの声を集めて作られた物」である事を示してあり、どことなくお店主導のPOPよりも商品の魅力が伝わってきました。

最近になって増えてきたこのような形を、企業側の戦略では共創マーケティングと言います。消費者参加型のサービス・製品開発に関わるマーケティング手法であり、企業と消費者が共に創る商品開発が増えてきています。

こうした取り組みは以前から行われていましたが、なぜ今になり消費者参加型のマーケティングが増えているのか、実際に使われた事例からご紹介したいと思います。

1.共創が生まれた背景

以前は「消費者志向のマーケティング」が主流でした。

消費者志向とは、「消費者が求めているものは何か?」を追求して商品やサービスを生み出す概念であり、具体的には、STPマーケティング(市場を区分けし、自社サービスの価値を明確化する過程)を用いて、製品の差別化を実現するものです。以前流行したと言っても、現在でも多く取り入れられています。この場合、消費者は受動的な立場にあり、これでは満たせない潜在的ニーズがありました。

しかし近年「価値主導のマーケティング」が拡大して来ました。価値主導とは、上記の消費者志向を引き継ぎながら、加えて「社会をより良くするため」をコンセプトにした概念です。このマーケティング概念では、消費者と共創しながら理想の社会を創る事をテーマにしています。

ニールセン世界消費動向調査によると、近年消費者の多くは「クチコミに期待」しており、「調査対象消費者の約90%が、知人からの推奨を信頼」し、「70%がSNSなどで投稿される意見を信用している」という事です。それは「消費者の信頼が企業から他の消費者に」移っていることを示しています。
ニールセン世界消費動向調査

※出典参考:ネットレイティングス株式会社 世界全体でもっとも信頼されている宣伝媒体

消費者間の横のつながりが増えている今、企業にとって重要なのは「いかに消費者の意見を汲み取って商品開発ができるか」という事です。企業はより良い社会を実現するために、消費者と共創することが望まれてきました。

そして、共創マーケティングを促進するきっかけとなったのが、FacebookやTwitterなどのSNSやオンラインコミュニティの進歩です。

企業は効率的に消費者の声をインターネット経由で収集できるようになり、また消費者も気軽に企業と対話することができるようになりました。こうした対話する場をITの普及によって提供できるようになったことが、共創が加速している背景としてあります。

2.事例からわかる共創によるメリット

共創マーケティングによって、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか?実際に行われた2つの事例からご説明します。

マルイウェブチャンネル

マルイウェブチャンネル

※出典参照 マルイ シューズLABO

マルイは、2010年に「ラクチンシリーズ」の商品開発に参加することができるWebサイトを開設しました。

現在、このWebサイトには約53,000人が参加しており、販売商品アイテム数は50品を超え、販売した累計足数は100万足を超えています。2013年4~9月期の決算では「ラクチン」シリーズが好評で、半期で52億円(前年比192%)に伸びています。

YOKOHAMA ~港の風薫る生~

YOKOHAMA~港の風薫る生~

※出典参照:KIRIN株式会社

キリンビールは、Webサイト上でのオンライン・コミュニティを活用し消費者と製品を共創しました。

このオンライン・コミュニティでは、キリンビール発祥の地である横浜(神奈川県)在住/出身者の満20歳以上~34歳をターゲットに、ビールづくりやネーミングについて話し合いながら期間限定商品をつくり、その後の新商品発売時の感想募集を行いました。


この取り組みの結果、参加者の50%以上が以前よりキリンビール商品を飲むようになり、70%以上は開発した商品を家族・友人・同僚に広める行動をとりました。

この2つの事例で注目すべき点は、企業は、商品のアイディアや商品名を消費者との対話を通して募ることによって、企業や商品に対してのファンを育成し、潜在層から顕在層の顧客へ引き上げることが出来た事です。

3.共創マーケティングを活用してみましょう

まず企業が「共創マーケティング」をする為には、消費者と相互関係を作る必要があります。まず、そのための環境づくりから始めてみましょう。

例えば、Webサイト上に「お客様の声」と言ったようなバナーを貼り付け、Facebook等のSNSと結びつけます。Facebookならば、慣れてしまえば更新も簡単ですし、お客様の声に対して、それぞれ返信を送ることもできます。

Facebookページ

小規模ではありますが、初めはこういった小さな環境から始めてみましょう。また、コメントを頂いた方には積極的に返信して、対話する関係性を作ります。

Facebookである程度ノウハウが蓄積されてきましたら、次にWebサイト上で「お客様の声ページ」を作成します。上記で紹介したマルイラクチンシリーズを見てみますと、投稿ページを作成しています。

シューズLABO「靴について知りたいこと、聞きたいこと」投稿キャンペーン

シューズLABO「靴について知りたいこと、聞きたいこと」投稿キャンペーン

※出典参照:マルイ シューズLABO「靴について知りたいこと、聞きたいこと」投稿キャンペーン

お客様の声にクーポンをつけたりと、消費者の声を大切にしていることがわかります。

4.まとめ

重要視するマーケティングの概念が移り変わり、企業は消費者と共に「社会的価値を作る存在」になることを求められ、それに伴って消費者の立ち位置も随分と変化し始めていることが分かりました。

念のため申し上げますが、今回ご紹介した内容はあくまで成功したケースですので、必ずしも、消費者が欲しがっているものがヒット商品として世に出回るものではありません。

しかし、新製品のアイディアやコンセプトを募る際に忘れてはいけないのが、消費者は「消費のプロ」であって「開発のプロ」が企業であるという事です。

Web担当者は、Webサイトを通じて商品へ転換させる「ヒント」や「きっかけ」を引き出す場を作る事ができ、SNSやオンラインコミュニティは簡単に設けることが出来る世の中です。

「共創」により、今後も社会的価値を創出する動きが増えていきそうです。企業主導の商品開発ではなく、Webサイトを活用した「共創マーケティング」で、後のファンである多くの消費者を巻き込み、これまでになかったサービス展開をしてみてはいかがでしょうか?


特集

はじめての展示会物語

はじめての展示会出展までの道のりを描いたドッタンバッタン劇場

メールマーケティング
現役ITコンサルが創るデジタルマーケティングメディア

この記事を共有