バリュープロポジションの作り方は?言葉の意味からバリュープロポジションキャンバスの使い方を解説!
最終更新日:2025/10/30
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【この記事の要約】
バリュープロポジションとは、「顧客が求めていて、競合は提供できず、自社だけが提供できる独自の価値」のことです。マーケティング戦略の核となる、極めて重要なコンセプトです。
バリュープロポジションを明確にするには、「顧客の課題(ニーズ)」「競合の提供価値」「自社の提供価値」という3つの要素を分析し、その重なり合う部分と、自社だけが満たせる領域を見つけ出します。この独自の価値を、Webサイトや広告などで分かりやすい言葉にして顧客に伝えることで、価格競争に陥らない、強力な差別化が実現できます。全てのマーケティング活動は、このバリュープロポジションを顧客に届けるためにある、と言っても過言ではありません。
【よくある質問と回答】
「バリュープロポジション」とは、簡単に言うと何ですか?
「顧客が本当に求めているもので、競合は提供できず、自社だけが提供できる独自の価値」のことです。単なる製品の機能や特徴ではなく、「顧客のどのような課題を解決できるか」という顧客視点での強みを指します。これを明確にすることで、顧客に選ばれる理由がはっきりします。
自社のバリュープロポジションを見つけるには、どうすれば良いですか?
まず、「顧客」「競合」「自社」の3つの視点から分析することが基本です。顧客が何を望んでいるか(ニーズ)、競合他社が何を提供しているか(強み・弱み)、そして自社が何を提供できるか(強み)をそれぞれ洗い出します。その3つが重なる部分から、「顧客が望み、競合にはなく、自社だけが提供できる価値」を見つけ出します。
「バリュープロポジションキャンバス」とは何ですか?
バリュープロポジションを整理・分析するためのフレームワーク(思考の枠組み)です。「顧客が解決したい課題」や「顧客のニーズ」などを書き出す「顧客セグメント」と、自社の「製品・サービス」や「提供価値」を書き出す「バリュープロポジション」の2つの要素から成り立っています。これらを照らし合わせることで、顧客のニーズと自社の強みが合致しているかを確認し、訴求すべきポイントを明確にすることができます。
【ここから本文】
最終更新日:2021年7月11日
バリュープロポジションとは、顧客のニーズに対して自社が提案できており、他社が提案できていない領域を指します。「バリュー(価値)」という言葉が付いている通り、「価値」について重点を置いたマーケティング概念の1つです。バリュープロポジションを明確にすることで、自社の強みや他社と差別化できる部分が理解できます。
バリュープロポジションを明確にすることで、自社の顧客に対してどのような訴求をしていけば良いのかが明確になります。そのため、自社のマーケティング施策や、コンテンツづくり(メディア、Webサイト等)に活用される機会が増えてきています。
この記事では、そんなバリュープロポジションについての概要、重要性、作り方などを紹介します。無料のテンプレートもご用意しているため、是非マーケティング活動にお役立てください。
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バリュープロポジションとは?

バリュープロポジションとは、顧客が「競合他社ではなく自社商品を選んだ理由」「価値があると思った部分」を示す言葉です。顧客のニーズに対して自社が提案できており、他社が提案していない領域をバリュープロポジションといいます。
企業が提案する一方的な価値ではなく、顧客が求める価値を含めて考えることが、バリュープロポジションの重要なポイントです。そもそも価値(バリュー)とは、企業がサービスの提供をした後に顧客が実感して、初めて生まれるものなので、あくまで企業が行うのは”価値提案”になります。その提案できる価値が明確になっていなければ、顧客に選ばれることもなく”価値(バリュー)がない”と判断され、事業の成長もストップしてしまいます。
なぜバリュープロポジションが重要なのか
では、なぜバリュープロポジションが重要なのでしょうか。それは、バリュープロポジションを意識すれば、顧客が本当に求めるものをとらえ、顧客視点で商品やサービスについて考えられるからです。
例えば、サービスの開発側と顧客側では商品を見る視点が異なります。よかれと思った機能も、顧客視点で見ると不必要だと感じるかもしれません。企業の独りよがりにならないためにも、顧客が考える価値、つまりバリュープロポジションを意識して本当に価値のある商品を生み出していくことが重要です。
ビジネスにおける価値とは、(特にBtoBでは)顧客が獲得した総便益から支払った総コストの差分です。そのため、自社が顧客のニーズに対して他社よりもどんな価値を提供できるのか、顧客がどんなニーズを満たせるのかを考え抜き、マーケティングの施策に落とし込むことで、競争優位を築くことができます。
また、こうして共通の社内認識を持つことは、会社としてのコンテンツ発信にも役立ちます。いずれの部門の人間からも、一貫したスタンスでの情報発信を行うことで、会社として届けたい情報を適切に届けることができます。新規のサービスを提供する際にも、開発段階からバリュープロポジションを作成し共有しておくことで、必要な機能やサービスのコンセプト、訴求ポイントなどで一貫性を持たせることができます。
その結果的として、多くの届けるべき人に情報が届くようになり、価値を体感し、ニーズを満たすことができるようになります。このようにバリュープロポジションは健全な企業活動を行い世の中をより良くするために有効なフレームワークなのです。
他社との差別化ポイントも明確に
競合が増えれば増えるほど、他社と差別化しながら顧客に選ばれる商品を開発し、訴求していく必要があります。しかし差別化を意識するあまり、顧客のニーズから離れた商品を開発してしまっては本末転倒です。
そういった状況を避けるためにも、バリュープロポジションは重要です。バリュープロポジションを意識したサービス開発をすることで、顧客の求める価値が前提となり、ニーズを満たしつつも差別化が図れます。
そのためには自社の提案できる価値はより具体的に考え、独自性を追求する必要もありますが、確立してしまえば強力な武器となります。まずは提案できる価値から他社との差別化ポイントを見出し、顧客の求める価値に合致するようにブラッシュアップしていきましょう。
そして、そもそも自社が提案できる価値は言語化しなければ伝わらないことがほとんどです。自社内での整理が終わったら、しっかりとターゲットユーザーに伝わるよう、見える化をしていく必要があります。
バリュープロポジションの作り方
続いて、バリュープロポジションの作り方を紹介します。本来はワークショップなども重ねながら時間をかけて作っていくものですが、今回は全体の流れのみご理解いただければ幸いです。
必要な情報をまとめ、自社の強みを理解する
バリュープロポジションを作る際には「顧客ニーズ」「自社の強み」「他社との違い」を明確にする必要があります。さきほどの図のように、これらの要素が重なるところが、顧客に提案できる「価値」となるからです。
例えば自社商品の特徴を洗い出し、競合他社が提案している部分と提案していない部分を明確にする、といったプロセスがあります。また、いくら他社と差異化できる箇所を見つけても、顧客のニーズに合致していなければ意味がありません。
自社にあるものとないものを整理した上で、他者にないものを見つけ、顧客のニーズに合致する部分を訴求していきましょう。
これらの情報をまとめるには、3C分析やSTP分析が効果的です。本記事では割愛しますが、ぜひこういったフレームワークも使いながら整理をしてみてください。
情報を文章に落とし込む
先ほども申し上げた通り、自社の提案できる価値は言語化が必要です。そのため、バリュープロポジションはキャッチコピーを作るように作成します。
とはいえ、広告会社のように本物のキャッチコピーを作るわけではありません。 まとめた情報から、顧客ニーズと他社と差別化できる自社の強みを掛け合わせ、「顧客の○○を解決する、××」のような、「誰に向けて」「どんな価値を提案するのか」が見てすぐわかる文章を作成しましょう。
文章を作るときは『誰が見てもわかる表現』になるよう意識してください。
おいしい・洗練された・高品質などの抽象的な表現や、専門的な言葉はNGです。誰が見てもすぐに意味が理解できるような、具体的な表現を使いましょう。
パッと流し見てもすぐに意味が理解できる内容にすることがポイントです。ただし、キャッチコピーのように雰囲気で察する文章ではなく、具体性を持たせた言いたいことが伝わる文章にしてください。
バリュープロポジションキャンバスの活用
バリュープロポジションキャンバスとは、2015年に日本で和訳本が発売された『バリュー・プロポジション・デザイン』に掲載されていた手法で、自社が提案するサービスと顧客ニーズのずれを解消するためのフレームワークです。
「自社の強みだ!と思った部分が顧客のニーズではなかった」ということを防ぎたいときに活躍します。バリュープロポジションがなかなか見いだせない場合は、バリュープロポジションキャンバスを活用して自社のポジションを明確にしましょう。
バリュープロポジションキャンバスの使い方

画像はバリュープロポジションのテンプレートです。左側は「自社が提案できる価値」を、右側は「顧客の情報」を記入します。テンプレートに沿って問題や提案できる価値などを書き出していけば、自社のバリュープロポジションがニーズに合っているのかを確認できるでしょう。
顧客情報を記入
テンプレートは顧客情報から埋めていきましょう。
まずは右側の「顧客のジョブ(顧客がしたいこと、解決したいこと)」に顧客が望むこと、どんなことを解決したいのかを記入します。次に、顧客のジョブに記入した内容を参考に、「ゲイン(顧客の利益、嬉しいこと)」と「ペイン(悩み、嫌なこと)」を記入しましょう。
顧客情報は顧客視点の情報が重要です。企業が顧客の気持ちを想定して内容を埋めていくこともできますが、思い込みが影響する場合があります。本当のニーズをつかむためには、アンケートやインタビューの活用をおすすめします。
自社が提案できる価値を記入
次に左側にある「プロダクト&サービス(製品&サービスの特徴)」「ゲインクリエーター(顧客の利益になるもの)」「ペインリリーパ―(顧客の悩みを解消するもの)」を記入します。
プロダクト&サービス(製品&サービスの特徴)は顧客のジョブ(顧客がしたいこと、解決したいこと)と対応させることを意識しましょう。ほかの項目も顧客情報を参考に、それを解決できるまたは満たせるものを書いてください。
全体をチェック
最後に、顧客の情報と自社が提案できる価値にずれがないか確認しましょう。テンプレートを全て埋めることで、企業が考える価値と顧客ニーズのずれを解消し、顧客が求めるバリュープロポジションを見つけられます。
あとは作り上げたバリュープロポジションを社内に展開するだけです。しっかりと全社的に浸透するように、各部署に落とし込みを行いましょう。
ビジネスモデルキャンバスの中でのバリュープロポジション
バリュープロポジションを活用する際には、ビジネスモデルキャンバスというフレームワークも役に立ちます。ビジネスモデルキャンバスは以下の9つの項目で構成されています。
①顧客セグメント(CS:Customer Segments)
②価値提案(VP:Value Propositions)
③チャネル(CH:Channels)
④顧客との関係(CR:Customer Relationships)
⑤収益の流れ(RS:Revenue Streams)
⑥リソース(KR:Key Resources)
⑦主要活動(KA:Key Activities)
⑧パートナー(KP:Key Partners)
⑨コスト構造(CS:Cost Structure)
このうちの②価値提案(VP:Value Propositions)とある通り、バリュープロポジションはビジネスモデルキャンバスの中の1つの要素となっています。新規事業を立ち上げる際やビジネスの構造を明確にする際に使われるフレームワークですが、提案できる価値を明確にした上で収益やリソース、チャネルなどを整理することができます。
流れとしてはビジネスモデルキャンバスを作成➜要素としての1つとしてバリュープロポジションを明確にするといった形にはなりますが、この2つの関係性は押さえておきたいところなので、バリュープロポジションだけではなくビジネスモデルキャンバスもあわせて理解いただけると幸いです。
まとめ
バリュープロポジションの構築には時間と労力がかかりますが、一度作ってしまえば企業が目指すべき場所や強みを明確にできます。顧客のニーズに刺さる商品を生み出すためにも、競合他社と差別化するためにも、バリュープロポジションを知ることは重要です。
ぜひ本記事で紹介した手法を活用して、自社のバリュープロポジションを作成してみてください!
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【English summary】
A value proposition is the "unique value that customers want, competitors cannot provide, and only your company can offer." It is an extremely important concept that forms the core of a marketing strategy.
To clarify a value proposition, you analyze three elements: "customer issues (needs)," "competitor's value offering," and "your company's value offering," and find the overlapping areas as well as the domain that only your company can satisfy. By communicating this unique value to customers in clear language on your website, in ads, etc., you can achieve strong differentiation that avoids price competition. It is no exaggeration to say that all marketing activities exist to deliver this value proposition to the customer.





