【海外における最注目のマーケティング動向 #06】 “Video is King(動画がコンテンツの王様)”になる時代が来る
最終更新日:2023/11/17
最近、SNSを中心にインターネット上で動画を目にする機会が増えたと感じませんか?
海外では、日本以上に動画の普及が進んでおり、「インターネット上のコンテンツの中で、最もユーザーに見られるコンテンツは動画になる」とまで言われています。
日本でも短編動画が撮影・編集できる“Tiktok”や、インスタグラムが提供している“IGTV”など、誰でもかんたんに動画を作成できるアプリケーションが若者の間で流行しており、動画の活躍の場がさらに広まることは明白です。
今回は“動画コンテンツが拡大していく背景”と“動画の重要性”について、米国シスコ社のレポートを含む、いくつかの調査データを元に解説します。
1.今後、インターネット上の情報の多くが動画になっていく
Video will make up 82 percent of all internet traffic in 2021, according to forecasts released today by Cisco, which sells networking equipment. Video accounted for 73 percent of traffic in 2016.
ネットワーキング機器を販売している米国Cisco社の予測によると、動画は2021年には全インターネットトラフィックの82%を占めるとしている。なお2016年はネットトラフィックの73%を占めていた。
2016年の時点で既に全体の半数以上を占めていた動画の情報量は、3年後の2021年にはさらに9%増えて“82%”にまでなると予想されており、年々、増加傾向にあることがわかります。
動画トラフィックが増える理由について、米国フォーブス社は「ユーザーの92%が動画を見て購入意思を決定しているため」と述べており、動画の役割がこれまでの“娯楽目的”以外で広がっていくと分析しています。
2.ユーザーは検索結果の中から動画を積極的に探している
Almost 50% of internet users look for videos related to a product or service before visiting a store (Think With Google).
Think With Googleによると、50%のネットユーザーはお店へ行く前に「その商品やサービスに関わる動画を検索して調べる」と述べている。
参考:https://shootsta.com/blog/3-reasons-video-is-the-king-of-content-marketing/
ユーザーは動画サイト内にとどまらず、検索エンジンの検索結果の中からも動画を探すようになってきています。
【検索結果に表示される動画の例】
ではなぜ、ユーザーは動画を信頼し積極的に探すのか?
その大きな理由は、“テキストよりも動画の方がわかりやすく、内容を覚えやすい”ためです。
動画の場合、ユーザーは発信者が伝えたいメッセージの“95%”を覚えていると述べていますが、テキストの場合だと、なんとたったの“10%”しか覚えていないというデータを米国フォーブス社が発表しています。
例えば、ネクタイの結び方の場合、テキストを読むよりも動画で見たほうがわかりやすいし、覚えられますよね?
実際、米国aimClear社の調査では、検索結果に含まれる動画は動画以外のページと比べて41%も多く流入があったと述べています。
3.過去5年間で、1日あたりの動画の視聴時間は約2倍になっている
The graph shows average daily time spent with digital video content among adults in the United States from 2012 to 2017. The source projects that U.S. adults will spend 16 minutes a day watching video on their smartphones in 2017. That year, total daily digital video consumption is set to reach 72 minutes across digital devices.
このグラフは、2012年から2017年までの米国における1人当たりの動画コンテンツの平均視聴時間を表示したものです。2017年には、1日あたり16分間スマートフォンで動画が見られており、全デバイスの合計では72分に達しています。
引用:https://www.statista.com/statistics/420799/daily-digital-video-content-consumption-usa-device/
2012年での全デバイス合計の視聴時間は1日あたり約38分でしたが、5年後の2017年には約72分になっており、5年間で約2倍も視聴時間が伸びています。
内訳をみるとモバイルが約2.5倍、スマートフォンが約4倍も伸びていますが、この理由は以下の2点になります。
- 携帯端末(特にスマートフォン)の普及率の増加
- 通信速度の改善
Huawei社によると、8GBのデータをダウンロードするためには3Gで60分かかっていましたが、現在流通している4Gでは“7分”で済むとしており、外出先での通信速度の利便性がかなり向上していることがわかります。
2020年にサービスインが予定されている「5G」では、同じ8GBのデータをなんと“6秒”という驚異的なスピードでダウンロード可能になります。ちなみに8GBはHD動画の40分程度に相当します。
4.米国では、7500万人が毎日インターネットで動画を見ている
75 million people in the U.S. watch online videos everyday.76% of marketing professionals plan to use video to increase their brand awareness
米国では7500万人が毎日インターネットで動画を見ており、76%のマーケターはブランド認知度を上げるため動画を取り組む予定があると述べている
引用:https://www.impactbnd.com/blog/video-content-the-importance-of-video-marketing
米国では4人に1人が“毎日”動画を見ており、アクセスの約50%はモバイルからとなっています。動画を見る際の媒体はYouTubeが圧倒的に多く、世界の合計では、YouTubeだけでも毎日5億時間以上も動画が見られています。
米国のマーケティング専門家の51.9%が「最もROIが高いウェブコンテンツは“動画”である」と米国フォーブス社の調査では述べています。実際に動画を取り入れた企業は、取り入れていない企業と比べてウェブサイトからのトラフィックが約41%上がったというケースもあります。
さらにOutbrainのアンケート調査によると、86%のマーケティング担当者が「今後、動画マーケティングに取り組みたい」と回答しています。(参考:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends)
5.まとめ
今回は動画コンテンツが“拡大していく背景”と“動画の重要性”について紹介しました。
いつも以上にインパクトのある数字が多かったので、改めてまとめてみました。
- ユーザーの92%が動画を見て購入意思を決定している
- 商品を購入する確率が1.81倍になる
- 50%のネットユーザーはお店へ行く前に動画を検索して調べる
- 動画の場合、ユーザーはメッセージの“95%”を覚えている
- スマートフォンでの動画視聴は5年で4倍に伸びている
- 世界で見るとYouTubeは毎日5億時間以上見られている
- 海外ではマーケティング担当者の51.9%が“動画は投資対効果が最も高い”といっている
これまでの動画広告は、費用対効果が図りづらかったり、KPIの設定が難しいことから日本では、「最優先で取り組むべきマーケティング施策」と考える企業は多くありませんでした。しかし、今回のようなデータが日本でも増えてくることは容易に想像できます。
“Video is King(動画がコンテンツの王様)”はすでに始まっているのかもしれませんね。
- Writing By
- 金井 章浩
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スターティアラボ株式会社 取締役
クラウドサーカス株式会社 代表取締役- プロフィール :
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2006年スターティアに新卒として入社。2009年にスターティアラボ立ち上げに参画。
2014年にWebプロモーション事業部を立ち上げ、同事業部を2018年にクラウドサーカス株式会社として分社化、代表取締役に就任。
近年のマーケティングテクノロジーの高度化に伴い、マーケティング効率が飛躍的に高まっている一方、多くの企業ではまだまだそれらを使いこなせていないのが現状。それらをシンプル化することで多くのマーケターがより高い成果を生むしくみの普及に努めている。
実際に後ほど紹介するThink With Googleのレポートでも、デモ動画を視聴したユーザーは視聴しないユーザーに比べて、商品を購入する確率が1.81倍になると述べています。