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【海外における最注目のマーケティング動向 #04】ユーザーは企業に”透明性”を求めている

記事公開日:2018/09/19
最終更新日:2023/11/17
【海外における最注目のマーケティング動向 #04】ユーザーは企業に”透明性”を求めている

“透明性”とは、「企業が発信する情報」とそれに対する「ユーザーの評判」との間に乖離がないことを意味します。

例えば、CMで見たボリューム感たっぷりのハンバーガーを食べたいと思ってお店に行った時に、ワンサイズ小さいハンバーガーが出てきたら悲しくなりますよね?

72andSunny社の”Jim Moriarty”氏は「企業自身の手によるブランディング活動は困難になってきている。その理由は、ユーザーがその企業以外から情報を知ることが容易になってきているためである。」と述べています。

金井

例えば、A社が出す情報よりも、友達のA社に対する評価を信じるケースってよくある話ですよね?

今回は、企業の体制やサービスに対する透明性が求められる理由について、米国core dna社のレポートを中心に、いくつかの調査データを元に解説します。

1.「企業が発信する情報」はユーザーにとって”約束”のようなもの

Consumers are growing tired (even weary) of brand advertising. Millennials and all consumers, in general, have always preferred transparent companies. However, going forward, old tactics might not work. We call them tactics because consumers are now starting to distrust the promises and choice words which have been used in the past to reflect transparency in an organization. For instance, according to Digiday, claiming you’re “green”, brand advertising, corporate support, and giving to charity won’t be enough. “People’s BS detectors are high,” warns the publication.
In the past, brands have been weaving this into neat “cause marketing” but the post notes a common criticism facing cause advertising: That it’s too heavy on marketing because usually only a handful of the brands who claim it actually wholly embrace the causes.

ユーザーはブランディングを目的とした広告に疲れはじめており、サービスについて詳しく説明する企業を求めている。今後、企業の活動やサービスの透明性を高めていかないとユーザーには選ばれなくなっていくであろう。
デジタルマーケティング戦略の情報メディアであるDigidayによると「私たちは環境にやさしく、社会貢献も行い、チャリティに寄付もする企業」と自社のアピールをするだけでは意味がないと指摘している。色々と約束しているように見えるが、ユーザーはそれらが守られるかどうかがわからないことを見破っている。

引用:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

ユーザーは、企業が発信する“体制や商品に関する情報”が正しいかどうかを常に判断したいと考えています。

米国大手の新聞社であるINDEPENDENTによると、米国のケンタッキー・フライド・チキン社は、社会貢献活動の一環として「約2リットルのコーラを購入すると、その売り上げの10%を”糖尿病患者に寄付”する」というキャンペーンを行いました。

結果的にこのキャンペーンは、ユーザーの反感を買ってしまい失敗に終わります。

その理由は、「糖尿病患者のための支援なのに、約2リットルのコーラそのものが糖尿病予備軍を増やしているでは?」とユーザーの間で疑問の声が多数あがったためです。

他にも、中国のマクドナルドが“子供の来店促進につながるキャンペーン”を行った際、子供に対するスタッフの対応が行き届かず「キャンペーン内容に対して実際はやっていることが違う」と批判の的になりました。

(参考:https://www.independent.co.uk/news/long_reads/corporate-social-responsibility-a7730546.htmls)

金井

ユーザーにとって企業が発信する情報は”約束”のようなもので、守られて当然という認識があります。

2.ユーザーが最も信頼しているのは“知人からの口コミ”

This 2015 Global Trust in Advertising survey by Nielsen shows where consumers are placing their trust.

Nielsen社の世界広告宣伝アンケート調査によると、消費者は”知人からの口コミ”を最も信頼している。

引用:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

消費者は”知人からの口コミ”を最も信頼している

参考:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

アジア、欧米、アフリカ、すべての地域で、「最も信頼できる情報は“知人からの口コミ”」であるという調査結果になっています。特に米国やヨーロッパでは、1位の「知人からの口コミ」は2位の「オフィシャルのWebサイト」に20%以上の差を付けており、ユーザーは企業からのメッセージよりも、知人からの評判を信頼していることがわかります。

ユーザーは「企業の発信する情報」を約束のように考えていると同時に、情報を鵜呑みにしてはいけないとも考えています。そのため、企業以外の第三者による評価(口コミ)を確認します。

特に不具合のお知らせのように“ネガティブな発信”については、ユーザーが気付いてから表面化する前に、企業側が発信していたかどうかで、ユーザーからの評価はかなり異なります。

金井

芸能人でも、スキャンダルが出るより前に謝罪会見をしている人はピンチをチャンスに変えていますよね。

3.“ネガティブな発信”への対応が評判をわける

Brand transparency encourages word of mouth While you might be able to hide negative reviews and comments from your website, you can’t stop people from talking forever. If something goes wrong with your business, unhappy customers will eventually take to social media to voice their concerns. If you don’t have a reputation management plan in place, this could mean that your brand identity begins to suffer.

企業の活動は口コミを生む。悪いレビューや書き込みを一時的に隠すことはできるが、いつかはその情報も出回るでしょう。 予期せぬ悪いことがあった場合、消費者は不満をSNSで公開します。そのための対応策がないと企業は大きなダメージを受けます。

引用:http://fabrikbrands.com/brand-transparency-and-consumer-trust/

どうすればユーザーに透明性が高いと判断してもらえるのかというと、「悪い評判」を隠すことなく、改善に努める姿勢が第一にあげられます。

例えば、マクドナルドは以前「ハンバーガーは身体に悪い食べ物」という評判が広まり世間から疑問視されたことがありました。評判を回復させるためにマクドナルドは、新しい企業透明度戦略(Brand transparency strategy)を取りいれました。

具体的には「どんなメニューを食べて」「どんな感想をもったか」などのユーザーアンケートを取り、そのアンケート結果を元に商品に関する情報発信を見直し、「マクドナルドのハンバーガーは身体に悪い食べ物」という評判を払拭しました。

4.ユーザーは「多角的な情報発信」を求めている

Consumers want more than just the required product information from a product's label and will be loyal to the brands that provide more detailed insights.

消費者は商品を買うときに一般的な商品情報だけではなくより多く情報を求めている。判断するために必要な情報が多く共有されるほど消費者はその企業を信頼する。

引用:https://www.coredna.com/blogs/content-marketing-trends

商品を活用するためのアドバイスやリスク、商品に関連した周辺情報も付け加えてあげるなど、ユーザーのニーズに広く応えていくことが必要です。

例えば商品がTシャツの場合、価格やサイズ、色の種類だけでなく、着丈・身幅・袖の長さはもちろん、着用画像であったり、もっと言うと着用しているモデルの身長や体重など、更に言うと取扱店のスタッフのコーディネートの写真や買ったユーザーの着用画像、口コミなどを付け加えて上げることで、ユーザーはより鮮明に自分が着た姿をイメージすることができます。

金井

実際にゾゾタウンは上記のようなブランドサイトにはない情報を提供することでユーザー数も売上も大きく伸ばしました。

米国のLabel Insight社の調査では、“企業の透明性に関するユーザーの信頼度”について以下のように述べています。

  • 約94%のユーザーが、サービスの透明性が高まれば企業をより信頼する
  • 約73%のユーザーは、透明性の高い商品にはもっとお金を出す

参考:https://www.labelinsight.com/Transparency-ROI-Study

透明性を高めるためには、多角的な情報発信を行うことによって“ユーザーが評判との付け合わせを行いやすい環境”を作ることが求められます。

5.まとめ

ユーザーは企業に”透明性”を求めており、具体的には「多角的な情報発信」と「信頼性」の2つです。

ユーザーが最も信頼を寄せる“知り合いからの口コミ”をベースに、企業が発信する情報の信頼性を推し量っていることから、企業は簡単な商品情報だけではなく、オウンドメディアを通じて発信されるような“ユーザーにとって役立つ”情報を発信していかなければなりません。

皆さまの会社のサービスをユーザーが実際のところどのように思っているのか、改めて自社の透明性について考えてみると良いかもしれません。

金井章浩
  • Writing By
  • 金井 章浩
  • スターティアラボ株式会社 取締役
    クラウドサーカス株式会社 代表取締役

    プロフィール :

    2006年スターティアに新卒として入社。2009年にスターティアラボ立ち上げに参画。
    2014年にWebプロモーション事業部を立ち上げ、同事業部を2018年にクラウドサーカス株式会社として分社化、代表取締役に就任。
    近年のマーケティングテクノロジーの高度化に伴い、マーケティング効率が飛躍的に高まっている一方、多くの企業ではまだまだそれらを使いこなせていないのが現状。それらをシンプル化することで多くのマーケターがより高い成果を生むしくみの普及に努めている。

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