その展示会名刺、1ヵ月後には営業から放置されてませんか?営業は1~2回の電話で見切りをつける
最終更新日:2025/10/30

【この記事の要約】
展示会で集めた大量の名刺は、その後のフォローアップ次第で「宝の山」にも「ゴミの山」にもなります。成果に繋げるためには、名刺情報をデータ化し、迅速かつ継続的にアプローチする仕組みが不可欠です。
まず、名刺管理ツールなどで速やかにデータ化し、「お礼メール」を当日か翌日には送ります。次に、名刺交換時の会話内容に基づいて顧客をランク分けし、見込みの高い顧客には営業が直接電話し、そうでない顧客にはMAツールで育成(ナーチャリング)メールを送るなど、温度感に合わせたアプローチを使い分けます。スピードと仕組み化こそが、展示会の投資対効果を最大化させる鍵です。
【よくある質問と回答】
展示会で集めた名刺、なぜフォローされずに放置されてしまうのですか?
営業担当者は、日々の業務の中で、すぐに商談につながる可能性が高い「今すぐ客」への対応を優先しがちです。そのため、情報収集段階の「そのうち客」や「まだまだ客」と判断された名刺は、フォローの優先順位が低くなり、結果的に放置されてしまうケースが多くなります。
フォローされなかった見込み客は、どうなってしまうのですか?
ある調査によると、フォローされなかった見込み客の約8割が、2年以内に競合他社から製品を購入しているというデータがあります。つまり、将来優良な顧客になる可能性があったにもかかわらず、その機会をみすみす競合他社に譲ってしまっていることになります。
展示会で獲得した名刺を無駄にしないためには、どうすれば良いですか?
すぐに商談にならない顧客に対しても、メールマガジンやセミナー案内などを通じて継続的に接点を持ち、関係性を構築していく「リードナーチャリング(顧客育成)」という考え方が非常に重要です。これにより、顧客の検討度合いが高まったタイミングを逃さず、将来の受注につなげることができます。
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BtoBの業態を持つ企業にとって、新規顧客獲得のための展示会出展は非常に重要なマーケティング活動として位置づけられています。しかし、多くのリードを獲得できたにも関わらず、実際の取引にはなかなかつながらないことに頭を悩ませている企業様も多いでしょう。 
 展示会での大きな目的は、見込客の名刺を獲得することです。しかし、そこまではうまくいったとしても、獲得した名刺に対する営業担当の行動いかんによって展示会の効果は大きく変わってしまいます。 
 今回は、せっかく獲得した名刺を利益に結びつけるコツをご紹介します。
1.展示会の一般的な追客方法
展示会で獲得した見込客の名刺の最終的な目的は成約に至らせることですが、ご存知のように、ほとんどの場合はその場で成約になることはありません。成約までにはいくつかのプロセスがあり、展示会後のフォローや顧客育成により、その結果が大きく変わります。 
 一般的な展示会後の流れは以下のようになるでしょう。
①名刺の振り分け
②お礼メール・資料送付
③テレアポ
展示会後に営業マンが行うのは、獲得した名刺の振り分けです。たとえば、すぐに商談になりそうな名刺、検討してくれそうな名刺…というようにステータス付けをして“アツい”名刺だけを抽出します。 
 次に、獲得名刺に対してお礼メールや資料の送付を行う場合が多いでしょう。特に、見込み度の高い“アツい”名刺に対しては、競合他社との差別化に注力し、確実に開封してもらえるようなメールを工夫すると思います。 
 そして、運良く開封してもらえたら、担当者にアポを取り訪問となります。アポ獲得まで持っていける率は、良くて数%といったところでしょうか。その数%のアポが取れた企業が、営業が“アツい”と判断した見込客となります。
2.営業は1~2回の電話でアツさを判断する
ただ、もしも想定していたよりも膨大な名刺(1,000枚以上など)が集まってしまった場合は、悠長に上記のようなフローをこなす余裕がなくなるかと思います。そんなときは、上記の①と②の順番を逆にし、とりあえず集まった名刺に対し、全員にバーっとお礼の電話をして相手の温度感を計り、“アツい”名刺を判断することになるでしょう。
多忙な営業部門は、多くても2回までぐらいの電話のなかで“アツい”か“アツくない”かを精査していくので、“アツい”以外の9割以上の名刺は机の引き出しの中にしまわれてしまうことになります。 
 展示会の来場者の中には、商品・サービスをすぐに欲しいと考えている「今すぐ客」、比較検討をしていたり良いものがあれば検討しようかという「お悩み客」、そしていつか来るタイミングのために情報だけを集めている「そのうち客」や「まだまだ客」がいます。
 この中で、営業が喜んで追客したいと考える“アツい”のは、一番検討度の高い「今すぐ客」だけです。
3.“ほったらかし名刺”はこんなにある
しかし問題は、営業が“アツい”と判断しなかった残り9割以上の見込客です。これらの名刺は、マーケティング部門から一度は営業に戻される場合が多いですが、営業としては、決まりそうもない「そのうち客」をずっと追い続ける時間はありません。つまり、せっかく展示会で集めた見込客の名刺の9割以上が“ほったらかし名刺”になってしまうということです。 
 さらに耳の痛い調査報告があります。米国のアドバイザリー会社であるシリウスディシジョンの調査によると、営業担当が放置した見込み顧客のうち、約8割が2年以内に競合他社に流れていることがわかりました。 つまり、しっかり追客をしていれば自社から製品を購入してくれたかもしれない顧客が、そのまま放置することによりライバル企業に渡ってしまうということです。 
 果たしてこの状態は、展示会本来の目的を達成しているといえるのでしょうか。
4.リードナーチャリングの必要性
先に述べた通り、営業に「今すぐ客」だけを追わせて「そのうち客」「まだまだ客」を放置してしまうと、捨て名刺を多く出してしまうことになります。しかし、営業は常に動き回っていることが多いため、追客に多くのリソースを割かせるのは得策ではありません。 
 そこで重要な施策が“リードナーチャリング”です。リードナーチャリングとは“顧客育成”のことですが、見込客の検討期間にメルマガを配信したり、アプリなどで興味関心のあるコンテンツに誘導していくというプロセスを繰り返し行うことで、検討度が高まったタイミングで自社が選択肢に上がってくるようにするのです。 
 また、ナーチャリング活動そのものが検討度を高める要因にもなり得るでしょう。そうなれば、商談で有利に立てる可能性は大きく上がるはずです。実際、マーケティングオートメーションツールを使ったナーチャリングが受注につながるケースは多く、検討期間の顧客に対してどのようなアプローチを仕掛けるかは非常に重要です。
リードナーチャリングについては、こちらの記事もご覧ください。
リードナーチャリングとは?見込み客を顧客へ育成する手法と事例
5.まとめ
特にBtoB商材を扱っている企業にとって、展示会はリード(見込客)獲得のための重要な機会です。せっかく獲得した名刺を無駄にしてしまうのでは、もったいないどころか損害を出してしまうことになりかねません。 
 ただ、営業が見込みを個人で追い続けるには限界があります。リードナーチャリングを意識した追客の施策をしっかりと立てて、一大イベントである展示会を最大限の成果を出せるものにしましょう。 
 獲得した全名刺のうち数%の“アツい”見込み客だけを追い、9割以上の名刺を放置しているのは、競合他社を含む多くの企業に共通します。 
 だからこそ、そのうち受注につながるかもしれない見込客に対しても自社の存在感を示したり、検討度を高めるための追客施策を行うことで、競合他社から見込客を勝ち取ることができるといえるのです。
【展示会関連資料】
展示会のノウハウに関してはこちらもご活用ください!
>展示会でのMA活用マニュアル
>展示会の効果を最大化させる12の手法
【English summary】
The large number of business cards collected at an exhibition can become either a "treasure trove" or a "pile of trash," depending on the follow-up. To turn them into results, a system for digitizing the business card information and approaching them promptly and continuously is essential.
First, quickly digitize the information using a business card management tool and send a "thank you email" on the same or the next day. Next, rank the customers based on the conversations held when exchanging cards and use a differentiated approach based on their readiness: sales should directly call high-potential customers, while MA tools can be used to send nurturing emails to others. Speed and systematization are the keys to maximizing the ROI of an exhibition.


 
    
    
  
  
  
  

