Web担当者が管理すべき「ドメイン」と「サーバー」のアカウント情報、ちゃんと前任者から引き継ぎされてますか?
最終更新日:2023/10/26
自社ホームページのリニューアル作業も、いよいよ大詰め。新しいサイトの公開日も決まり、社内外からも期待の声が高まる時期に、Web制作会社からこんな一言が…。
「公開時にはドメインとサーバーの切り替えが必要になりますから、アカウント情報をお伝えください」
急に言われて困ってしまうWeb担当者は、意外と多いようです。
新しい制作会社にホームページのリニューアルを委託する際や、サーバーを新しいホスティング会社に変更する場合などには、ドメインの設定変更が必要です。もし変更できなければ、昨日まで閲覧できたホームページが見られなくなったりメールの送受信ができなくなったりする事象が発生します。
このようなことにならないためにも、Web担当者はアカウント情報を事前に準備しておく必要があります。具体的にどんな情報が必要になるのか、ここで改めて整理しましょう。
1.そもそもドメインとは?
新任のWeb担当者のなかには、「そもそもドメインって何?」という方もいらっしゃるかもしれません。
ドメインとは、Webサイトの住所のようなものです。http://(www.)以下の「xxxx.co.jp」とか「xxxx.com」などがドメイン(ドメイン名)となります。メールアドレスの場合は、@(アットマーク)以下がドメイン名です。
当然のことながら、このドメインは世界に2つとして同じものは存在しません。すべてのドメインは管理事業者(レジストリ)によって管理されており、新しいドメインを作る際には登録済みのものは使用できないようになっています。
さて、ドメインのほかにも「IPアドレス」というものがあります。「XXX.XX.X.XX(Xには数字が入ります)」といった数字の羅列です。
コンピュータはIPアドレスで通信しています。しかし、人がこの数字の並びでURLを間違いなく把握するのは難しいことから、誰が見てもわかりやすいように置き換えたのがドメインです。
例えるなら、IPアドレスは緯度と経度のようなもの。「私の住所は、北緯35度41分19秒、東経139度41分40秒」と言われるより、「東京都新宿区西新宿2-3-1」と住所(ドメイン)で示したほうがわかりやすいため、IPアドレスとは別にドメインを設けているわけです。
新しいWeb制作会社でホームページをリニューアルをして公開する際には、IPアドレスも必要になりますので事前に確認しておきましょう。
2.ドメイン管理サービスとそれに紐づくサーバー
ホームページの新規開設やリニューアルをする際には、ドメインの管理事業者に登録申請をする必要があります。
この申請や変更などを代わりに対応してくれるのが「ドメイン管理サービス(ドメイン登録業者)」です。代表的なところに「お名前.com」「スタードメイン」といったホスティング会社(レンタルサーバー会社)などがあります。
ホームページを開設しているほとんどの企業が、こうしたホスティング会社の提供する各種サーバーを利用していると思いますが、リニューアルなどで各種サーバーを変更する場合には、いま契約している会社から新しいホスティング会社へ設定情報を引き継ぐことになります。
もし引き継ぎができないと、各種サーバーにアクセスできなくなり、ホームページの閲覧やメールの送受信ができなくなりますので、しっかり引き継げるように準備をしておきましょう。
さて、ひとくちにサーバーといっても、いくつかの種類があります。具体的には「DNSサーバー」「Webサーバー」「メールサーバー」などです。ここで、それぞれの機能について確認しておきます。
DNSサーバー
ドメインとIPアドレスを結びつけるための管理システムが、DNSサーバーです。DNSサーバーに、後ほど紹介するWebサーバーとメールサーバーのIPアドレスを正しく設定することで、Webサイトが正しく表示されたりメールの送受信ができたりするようになります。
リニューアルなどの際、DNSサーバーには「Aレコード」「MXレコード」の設定を変更します。 Aレコードとは、ドメインに対応するIPアドレスを探すのに必要な情報(Webサーバーの場所)が書かれたもので、Webサイトを正しく表示させる役割があります。 MXレコードは、「このドメインのメールをどのメールサーバーに届ければよいか」という情報が書いており、メールを正確に届けるために必要な情報となります。
Webサーバー
文章や画像ファイルなど、Webサイトを構成するさまざまな情報をアップしている場所がWebサーバーです。さらに、Webブラウザからのリクエストに対して必要な情報を送信するシステムでもあります。
メールサーバー
メールの送受信を行うためのサーバーです。正確には、メールの送信・配送を行うSMTPサーバーと、受信を行うPOP3サーバーの2つから構成されます。送信されたメールはDNSサーバーでIPアドレスを導き出し、SMTPサーバーから送信。相手側のPOP3サーバーに渡され届けられるというしくみになっています。
これらのサーバーが正しく結びつくことで、Webサイトの閲覧やメールの送受信がスムーズに行われるようになります。その正しく結びつけるのに必要となる情報が、Web担当者が管理しなければいけないアカウント情報です。
3.Web担当者が管理しなければいけないアカウント情報
ホームページのリニューアルやサーバー移管などの際に必要となる、Web担当者が管理しなければならないアカウント情報について、以下にまとめました。
(1)ドメイン管理サービスのアカウント情報 | 現在利用しているメールアドレスやWebサイトのURLなどに使われるドメイン(IPアドレス)のユーザー名やパスワードなど。 |
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(2)Webサーバーのホスティングサービスのアカウント情報 | 文章や画像ファイルなどホームページの情報をアップしているサーバーのアドレス、ユーザー名、パスワードなど。 |
(3)メールサーバーのホスティングサービスのアカウント情報 | 送受信したメールを管理しているメールサーバー(SMTPサーバー、POP3サーバー)のユーザー名、パスワードなど。 |
(4)SSLサーバー証明書のアカウント情報 | SSLとは、Webサイトとユーザーとのやり取りを暗号化するためのしくみです。SSL暗号で通信するときに利用する証明書の情報を管理。 なおSSLサーバー証明書は、GMOグローバルサイン、デジサート・ジャパンなどが提供しています。 |
4.まとめ
ホームページの新規開設やリニューアルには何かと準備するものが多く、ドメインやサーバー関連の情報は後回しにされがちです。
こうした情報の管理をホスティング会社に一任して、自社では管理していないところもあるかもしれません。しかし、万が一ホスティング会社が倒産したら、リニューアルどころかWebサイトのデータがすべて消えてしまう可能性もありますので、Web担当者も管理しておいたほうが安心です。
「前任者が退職してわからなくなった」「パスワードが変更されている」といったことにならないためにも、担当者が代わる際には引継書を作成するなどアカウント管理をルール化して、会社として大切に保管するようにしましょう。