「Inside Sales Conference 2019 winter」レポート 第四回 セッション「大手機器製造、大手ITソリューションメーカー、SaaSベンチャーの3業種から学ぶ導入の背景・目的とそれぞれのカタチ」
最終更新日:2025/10/17

【この記事の要約】
2019年のインサイドセールスカンファレンスにおける、Sansan社の茂木氏の講演レポートです。テーマは「THE MODELの実践から見えたセールス・イネーブルメント」です。
セールス・イネーブルメントとは、営業組織全体の成果を継続的に向上させるための、体系的な仕組みや取り組みを指します。Sansan社では、The Model型組織を運用する中で、各部門の連携を強化し、成果を最大化させるためにこの考え方を導入しました。具体的には、データに基づいた各部門のボトルネックの特定や、トップセールスのノウハウの形式知化と横展開などを通じて、組織全体の営業力を底上げしています。イネーブルメントは、営業を「科学」するための重要な機能です。
【よくある質問と回答】
Q1. 業種によってインサイドセールス導入の目的は、どのように違うのですか?
A1. この記事で紹介されている3社の例では、目的は大きく異なります。大手機器製造業では、代理店(チャネル)営業を支援するための「需要創出(デマンドジェネレーション)」。大手IT企業では、売り切り型から「サブスクリプション型ビジネス」へ転換するため。SaaSベンチャーでは、「サービスの理解促進」と「受注確度の高い商談の創出」が主な目的として挙げられており、事業内容やビジネスモデルに応じて役割が全く違うことがわかります。
Q2. インサイドセールス組織を成功させるために、重要な考え方はありますか?
A2. 記事の中では、「自社」「顧客」「インサイドセールス従事者」の三者が満足する「トリプルWin」を目指すことが重要だと述べられています。自社の利益だけでなく、顧客に価値を提供できているか、そして活動の中心となる従業員がやりがいを感じて成長できているか、この3つのバランスが取れていないと、組織は長続きしないとされています。
Q3. これからインサイドセールスを立ち上げるのですが、参考になる企業はありますか?
A3. この記事に登壇している富士電機機器制御(1年強)とリコー(7ヶ月)は、比較的立ち上げから日が浅いフェーズでの事例です。これらの企業がどのような目的で、どの顧客層にアプローチしているのかは、これからインサイドセールスを始める企業にとって非常に参考になるでしょう。
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従来の外勤営業(フィールドセールス)・内勤営業(テレアポ)という区分けとは別に、電話やメール、テレビ会議システムなどを駆使して訪問せずに顧客とコミュニケーションを取り、商談創出や受注を担う新たな営業スタイルとしてインサイドセールスが日本でも浸透しつつあります。
人材領域でインターネットを活用したWebサービスを展開している株式会社ビズリーチの調査によれば、ここ5年間で「インサイドセールス」の検索ボリュームは約10倍に伸びているといいます。
同社が主催するインサイドセールスのイベント「Inside Sales Conference」の第三回目となる「Inside Sales Conference 2019 winter」が2019年12月5日(木)に虎ノ門ヒルズで開催されました。
エムタメ!では、四回にわたり、当日のセッション内容をレポートしていきます。
第四回は、ことなる三業種の企業のインサイドセールス組織立ち上げの目的や背景について紹介したセッション「大手機器製造、大手ITソリューションメーカー、SaaSベンチャーの3業種から学ぶ導入の背景・目的とそれぞれのカタチ」の模様をお届けします。
登壇者自己紹介・各社サービス紹介

左から、久保田 光就氏(株式会社エムエム総研 ビジネストランスフォーメーションDiv. カスタマーサクセスグループ マネージャー 上席コンサルタント)、大濵 一弘氏(富士電機機器制御株式会社 事業企画本部 プロモーション部 部長)、宮本 裕嗣氏(株式会社リコー デジタルビジネス事業本部 ビジネスインキュベーションセンター セールストランスフォーメーション企画推進室 室長)、竹森 敬祐氏(株式会社リフカム セールス&マーケティング部 インサイドセールス/マーケティングマネージャー)
冒頭で、モデレーターの久保田氏より挨拶があり、本セッションではインサイドセールス界隈ではあまり見られない企業が揃ったと顔ぶれの希少性に言及し、各社の紹介と登壇者の自己紹介に移りました。
登壇者は、次の通りです。
登壇者
モデレーター:
久保田 光就氏(株式会社エムエム総研 ビジネストランスフォーメーションDiv. カスタマーサクセスグループ マネージャー 上席コンサルタント)
外資大手でのインサイドセールスを経験した後、エムエム総研に入社。大手企業の営業変革のチェンジマネジメント、中小・ベンチャーのインサイドセールス立上げの実績を持つ。 また、日本初のインサイドセールス専門教育機関を創設。研修プログラムの企画、運営はもちろん、自ら講師としても教壇に立つ。延べ80名以上を輩出し、45社を超えるインサイドセールスの自走を支援。
(Twitter:@hRa6r74wH75q0yK)
| 会社紹介 | 株式会社エムエム総研 BtoBマーケティング支援のパイオニアとして、営業組織変革、顧客体験変革、人材採用の三軸でサービスを展開。 2017年よりインサイドセールスの内製化支援事業を開始し、インサイドセールススタッフやマーケターを養成する機関「BtoBマーケティングアカデミー」を立ち上げ、未経験人材を採用・育成して企業へ提供している。 |
|---|
パネリスト:
大濵 一弘氏(富士電機機器制御株式会社 事業企画本部 プロモーション部 部長)
富士電機機器制御株式会社のプロモーション責任者として2017年より顧客接点の可視化、デマンドジェネレーションに取り組み、MA、SFAを新規に導入。現在はインサイドセールスとマーケティングコミュニケーション活動全般の再構築に携わっている。
| 会社紹介 | 富士電機機器制御株式会社 富士電機株式会社のグループ企業として受配電機器および制御機器等の開発、製造、販売およびサービスを提供。顧客は100%法人、販路は100%チャネルセールス。商材は比較的マーケットシェアが高いものの、コモディティ化しており差別化しづらく価格競争に陥りやすいという側面も持つ。とはいえ、売上は比較的、安定しているという。 |
|---|---|
| インサイドセールス組織の状況 | インサイドセールス立ち上げからは一年強で、デジタル接点で集まったリードに対し、顧客フェーズでいうと「情報収集」後の「比較検討」段階で、インサイドセールスがアプローチしているそう。
画像引用元:当日の登壇資料より引用 |
宮本 裕嗣氏(株式会社リコー デジタルビジネス事業本部 ビジネスインキュベーションセンター セールストランスフォーメーション企画推進室 室長)
1987年株式会社リコー入社。国内販売、MFP・プリンター事業の販売計画・販売戦略、リコージャパン株式会社新潟支社長を経験。 2018年より、株式会社リコー デジタルビジネス事業本部にて、リコー製SaaSサービスの販売責任者として、「デジタルマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセス」を一気通貫で、立ち上げ奮闘中。
| 会社紹介 | 株式会社リコー 複合機を中心としたオフィス用プリンティング事業を展開。最近では、電子黒板やテレビ会議システムなどのオフィスサービス事業や、デジタルビジネス事業分野でのクラウドサービス提供にも進出し、「ワークプレイスへの価値提供企業というポジショニングへ移行しつつあるという。同時に、イニシャル型の収益からサブスクリプション型へとシフトし、これがインサイドセールス導入を後押ししたそう。 |
|---|---|
| インサイドセールス組織の状況 | インサイドセールスは立ち上げからまだ7ヵ月。顧客フェーズで「認知獲得」後の「興味関心~比較検討」段階でアプローチしているといいます。
画像引用元:当日の登壇資料より引用 |
竹森 敬祐氏(株式会社リフカム セールス&マーケティング部 インサイドセールス/マーケティングマネージャー)
銀行での法人・個人向け金融サービス提供、広告代理店でのデジタル広告の営業を経て、2018年に株式会社リフカム入社。マーケティング担当、インサイドセールスの立ち上げを兼任し4名のチームに成長させる。フィールドセールスのマネジメントも経験し、現在はマーケティングとインサイドセールスの責任者として、見込顧客の獲得から商談創出までを統括。
(Twitter:@sim004)
| 会社紹介 | 株式会社リフカム 「採用を、仲間集めに。」をミッションに、リファラル採用を活性化させるサービス「Refcome」を提供。リファラル採用とは、社員からの紹介で人材を採用する手法。これをシステム化することで、ボトルネックを発見し、改善につなげる効果が期待できるという。 |
|---|---|
| インサイドセールス組織の状況 | インサイドセールスは、マーケティング部門がリードを獲得後、より受注確度の高い商談を創出し、営業に受け渡すために導入。 ミッションは二つ。一つ目は、リファラル採用への理解を深めてもらうために1to1のコミュニケーションを取ること。リファラル採用は「中長期的に取り組むもの」という性質上、人事が取り組む施策のなかでも優先順位が上がりにくく、リードを獲得しても受注確度の高い商談につながりにくいことから、1to1のコミュニケーションを大切にしている。 二つ目は、フィールドセールスの商談データを分析し受注確度を上げること。効率的な商談供給を行うため、「誰に」「何を」伝えるとパイプ案件になるかという観点を持って、インサイドセールス業務を改善している。
画像引用元:当日の登壇資料より引用 |
成長・継続するインサイドセールス組織に必要なトリプルWin

画像引用元:当日の登壇資料より引用
自己紹介に続いて、インサイドセールス組織を継続的に成長させ、運用していくために必要な考え方として、エムエム総研の提唱する「トリプルWin」が紹介されました。
トリプルWinとは、自社、顧客、従事者がともに満足した状態であり、どれか一つでも欠けると、その活動は早晩終焉を迎えるといいます。
自社、顧客、従事者、それぞれのWin例とLoss例のスライドが投影されました。
Win例

画像引用元:当日の登壇資料より引用
自社
- ブランド維持・向上の実現
- 未来の顧客が育ち続ける
- 従業員がいきいきと働く
- 組織・人材が成長する
顧客
- 自社、自身を深く理解してくれている
- 得たい気づきや情報が得られる
- タイミングや頻度、方法が適切である
- ただ売ることでなく“成功”を考えてくれる
IS従事者
- 知恵や工夫による変動幅が存在する
- 顧客の役に立つ実感が得られる
- 企画性や創造性のある業務が存在する
- 適切な評価指標と成長機会が存在する
Loss例

画像引用元:当日の登壇資料より引用
自社
- 評判・ブランドに傷がつく
- 未来の顧客が育たない・失われていく
- 従業員満足度が低下する
- 組織・人材が育たない
顧客
- 雑な電話を今じゃないときに何回も受ける
- 欲しい情報や気づきが得られない
- 無用なメールが大量に届く
- 今売れないと思ったらないがしろにされる
IS従事者
- 作業的に活動量だけを追いかける
- 顧客の役に立てている実感が得られない
- 業務に創造性がない・余地が少ない
- 電話以外の手法がない
アウトソーシングでインサイドセールスを行う場合もマネジメントは必要

画像引用元:当日の登壇資料より引用
また、インサイドセールス導入方法には、アウトソーシング、内製、そのミックス型があり、いずれの場合も社内にマネジメントを担当する人員が必要であることから、インサイドセールスに関する知識習得が必要であると説明されました。
ナーチャリングの必要性について

画像引用元:当日の登壇資料より引用
さらに、ナーチャリングの必要性についても解説がありました。
「インサイドセールスにおいて、ナーチャリングは必要か?」といった質問をよく受けるが、市場は有限であり、コストは無尽蔵ではないということが前提にあり、もし市場が無限でコストも無尽蔵であればリージェン試作を繰り返して今すぐ客だけを追い続ければ良いが、そうでない以上、ナーチャリングは必要とのこと。
手段としては、電話以外にもメールやセミナー、ダイレクトメール、コンテンツなどがあると紹介しました。
【質疑応答】

画像引用元:当日の登壇資料より引用
ここからは、ディスカッション形式にて、会場から寄せられたインサイドセールスに関する質問に登壇者が回答しました。
他部門との連携で一番、苦労したことは?
久保田氏:最初の質問です。
「他部門との連携で一番、苦労したことは?」
いかがでしょうか?
竹森氏:やはり、フィールドセールスとの商談振り返り時の建設的な議論ですね。1つの商談をとってみても、インサイドセールスがリードをあたため「これでクロージングできる」と判断してパスしたはずの商談が結果的に失注になったとします。インサイドセールスは商談が悪かったのでは?と思いますし、フィールドセールスはインサイドセールスの見立てが甘かったのでは?ということが起こります。それがなぜなのかを建設的に突き詰める必要が出てきます。

竹森 敬祐氏(株式会社リフカム セールス&マーケティング部 インサイドセールス/マーケティングマネージャー)
久保田氏:インサイドセールスとフィールドセールスの商談についての議論は、どのように調整しているのですか?
竹森氏:リフカムの場合、インサイドセールスが商談後にフィールドセールスにヒアリングをし、客観的な視点で分析し複数人の意見を聞いたり、自身で営業を経験してみたりと、フィールドセールスの立場を理解するようにしています。
久保田氏:なるほど。そういう意味でいうと、リコーさんはマトリックス型の組織体制になっているので、より難しそうですが。
宮本氏:私が一気通貫で見ているので、その面での苦労は少ない方だと思います。
逆に当社で一番苦労しているのはKPI設定です。まだ、よちよち歩きの組織なので、KPIの数値をどれぐらいに設定するのが最適かなのか、判断が難しいところです。
現在は、デジマ1、デジマ2、フィールドセールス、カスタマーサクセスの四つのグループがそれぞれ、個々に目標数値を設定し、各グループのリーダーで日々ミーティングを開き、どのように上げていくかを議論しています。毎日が勉強ですね。
久保田氏:KPIは、それだけで一つのセッションができるほど大きなテーマですね。富士電機機器制御さんでは、いかがですか?
大濵氏:当社の場合、リードが上がってきた段階でフィールドセールスに渡しているのですが、つい最近まで業務フローが決まっていませんでした。そのため、リード情報をインサイドセールスがSFAに入力してはいるものの、引継先であるフィールドセールスがきちんとその情報をチェックするという習慣が定着していなかったんです。
そこで、最近スタートした取り組みが、SFAを見れば「誰にリードを渡したか」「誰がリードを持っているか」がわかる状態にすること。タイムラインにも表示されるようにして、各営業担当が、いつまでに対応しなければならない案件がどのぐらいあるかがわかる状態に整備しました。「誰がボールを持っているのか?」を明らかにすることが一番、重要でした。
久保田氏:リードの所在について苦労される企業さんは多いと思います。システムで明らかにするのか、ルールで明らかにするのかといった手法も含めて、検討事項ですね。
インサイドセールスの価値を経営層に理解してもらうには?
久保田氏:次の質問です。
「どうしたらインサイドセールスの本質的な価値を経営層に理解してもらえますか?」
インサイドセールス導入がボトムアップなのか、トップダウンなのかにもよって変わってきますが、この質問を出した方は、インサイドセールスを始めたいと考えているか、経営層からやれと言われて始めてみたものの、どう価値を示して良いかわからないかのどちらかだと思います。
竹森氏:フィールドセールスのみの場合との違いを見せることに尽きると思います。
当社では、インサイドセールスのKPIは「担当者合意」という、初訪後、案件がパイプラインに乗った率と数を追っています。商談を取れば良いというのではなく、パスした先のフィールドセールスにとって有益な商談だったかどうかに主眼を置いています。
宮本氏:リコーでは、まずトップダウンで「デジタルトランスフォーメーションせよ」という指示があり、インサイドセールスはその一つとして取り入れたたため、導入の壁はありませんでしたが、成果が出ないという壁に当たりました。「リコージャパンという販売会社があるのに、なぜ社内にも販売体制をつくるのか?」という社内批判もありました。
拡大していくためには投資も必要で、社内でどう納得してもらうかは大事です。そのためには、小まめに説明することが大事だと考え、直の上司には毎週、経営層へは3ヵ月に一度のペースで報告しています。

左から、大濵 一弘氏(富士電機機器制御株式会社 事業企画本部 プロモーション部 部長)、宮本 裕嗣氏(株式会社リコー デジタルビジネス事業本部 ビジネスインキュベーションセンター セールストランスフォーメーション企画推進室 室長)
久保田氏:リフカムさんとリコーさんは、上層部からインサイドセールスをやろうという流れになったようですが、富士電機機器制御さんはちょっと違いますよね。

左から、久保田 光就氏(株式会社エムエム総研 ビジネストランスフォーメーションDiv. カスタマーサクセスグループ マネージャー 上席コンサルタント)、大濵 一弘氏(富士電機機器制御株式会社 事業企画本部 プロモーション部 部長)
大濵氏:一年半前、最初に「インサイドセールス導入」について経営幹部に提案したときは、まだなかなか理解されませんでした。最近では、だんだん「当社でもインサイドセールスに取り組まなければいけないんじゃないのか?」と聞かれるようになり、必要に迫られているのを実感しています。
当社の場合、デジタル接点から上がってきたリードをすべて営業に渡してしまうと、多すぎてパンクしてしまうので、中間工程が必要になるということが感覚的に理解されてきたんですね。現在はまだ機能としてしか存在していないインサイドセールスですが、来年あたりは組織として確立するのではないかと思っています。
「こんなに良いリードがあって放置されていたのが、営業にパスできるようになった」という価値をなるべく上の立場の人に伝えることを意識しています。
久保田氏:上の立場の人に伝えるのは難しいですが、重要ですよね。
インサイドセールチーム立ち上げの際に必ずやるべきこととは?
久保田氏:「インサイドセールチーム立ち上げの際に、これだけはやった方が良いということを知りたい」という質問が届いています。
竹森氏:インサイドセールスのかたちにもよると思うのですが、まずは、インサイドセールスに関する知識やセオリーを得るのが良いと思います。
私の場合、インサイドセールス立ち上げ前は受注確度の高い商談獲得に行き詰まり、そこでSPIN営業法に関する本を読んで実践し、体系化を進めてチームビルディングしました。
当社のインサイドセールスは、試行錯誤で現在のかたちにたどり着いていますが、振り返ってみると、最初からもっと知識をインプットしていれば回り道を減らせたのではないかという部分もあります。
宮本氏:リコーの場合、インサイドセールス組織の四チームを立ち上げた順番は、守備を固めるという意味で、まずはカスタマーサクセスを、次にインプットを行うマーケティングということでデジマ1、2、続いてインサイドセールス、最後にフィールドセールスという流れを取りました。
久保田氏:製造業らしい考え方でインサイドセールスを立ち上げられたのですね。開発側にマーケティングやインサイドセールスからのフィードバックを伝えることはありますか?
宮本氏:まだ組織が小規模でワンフロアに集まっていることもあり、割と密に行っていますが、最低でも週次ミーティングでは共有しています。
大濵氏:富士電機機器制御では、まだインサイドセールスを立ち上げたばかりなのでわからない部分もありますが、メンバーとも話しているのが、少なくともトップはフィールドセールス経験者でなければ務まらないだろうということ。やはり、立ち上げ時には営業で培った感覚がないとうまくいかないと思っています。
インサイドセールス・マネージャーのミッションとは?
久保田氏:「インサイドセールスのマネージャーは何をミッションとすべきですか?」という質問が来ています。ハンドリングや管理の部分ですね。
竹森氏:フィールドセールスとのコミュニケーションを取る役割と、自社の商材をどう売っていくかというプランニングを短期・中期・長期で行って、示すことだと思います。ただ示すだけではなく、仕組みに落とし込んでメンバーに浸透させるまでのオペレーションづくりを担う必要があると思います。

竹森 敬祐氏(株式会社リフカム セールス&マーケティング部 インサイドセールス/マーケティングマネージャー)
宮本氏:私は、第一に業績を達成すること、そのためのKPIの設定、人材育成、他部門との連携が大切だと思います。
ベンダーに求めることとして一番重要なのは一体感を持つこと。つまり、当社の事業を理解したうえで、プロの目から見たスキルトランスファーをしてくれることです。さらに、戦力の確保、KPI達成が挙げられます。KPIのなかでもっとも重要なのに見落としがちなのが利益が出ているかどうかです。
久保田氏:インサイドセールスのKPIとして多いのが商談に始終してしまうことですが、インサイドセールスのマネージャーであれば、最終的に利益になっているのかどうかまで見なければならないと思います。
大濵氏:私は、インサイドセールスがフィールドセールスの登竜門になると考えています。若手に1~2年、インサイドセールスを経験してもらってから、さらに教育をほどこしてフィールドセールスになっていく流れが作られた場合、マネージャーには指導力が求められます。
インサイドセールスで遠隔商談システムは導入すべき?
久保田氏:最後にツール系の質問をお聞きしたいと思います。
「遠隔商談システムは使っていますか?」使い方も含めてお伺いしたいと思います。
竹森氏:リフカムではオンライン商談システムを導入しています。インサイドセールスのミッションであるリファラル採用への理解を深めてもらうために、訪問はしないまでも、打ち合わせはしておきたいというリードに対して遠隔商談システムで商談を行っています。
宮本氏:リコーでも遠隔商談システムは使っています。最初のうちは、私自身が「本当に遠隔商談システムでデモや商談が行えるのか?」と懐疑的だったのですが、実際に使ってみて、世の中は進歩しているなと感心しました(笑)。
社内でよく議論になるのが、当社は商圏が全国なので、拠点をどこに置くかという悩みが生じますが、遠隔商談システムがあればセンターサービスでも十分に対応できるということがわかりました。

左から、大濵 一弘氏(富士電機機器制御株式会社 事業企画本部 プロモーション部 部長)、宮本 裕嗣氏(株式会社リコー デジタルビジネス事業本部 ビジネスインキュベーションセンター セールストランスフォーメーション企画推進室 室長)、竹森 敬祐氏(株式会社リフカム セールス&マーケティング部 インサイドセールス/マーケティングマネージャー)
大濵氏:富士電機機器制御では、地方拠点のフィールドセールスを中心に遠隔商談システムのニーズありますが、インサイドセールスでも活用できると思っています。
久保田氏:登壇企業全社で導入されているので、インサイドセールスと遠隔商談システムは相性が良いといえそうですね。
ほかにもたくさんの質問をいただいていますが、時間の関係ですべてにお答えできず、すみません。後日配布の資料で回答させていただきます。本日は、ありがとうございました。
【English summary】
This article is a report on a lecture by Mr. Motegi of Sansan Inc. at the 2019 Inside Sales Conference. The theme is "Sales Enablement Insights from 'THE MODEL' in Practice."
Sales enablement refers to the systematic mechanisms and initiatives for continuously improving the performance of an entire sales organization. Sansan Inc. introduced this concept while operating its The Model-type organization to strengthen inter-departmental collaboration and maximize results. Specifically, they are raising the overall sales capability of the organization by identifying bottlenecks in each department based on data and by formalizing and horizontally deploying the know-how of top salespeople. Enablement is a crucial function for "scientizing" sales.







