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「Google Cloud Next '19 in Tokyo」レポート 第一回 セッション:DX/CX 戦略を駆動するマーケティングアナリティクス

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2019/09/02
「Google Cloud Next '19 in Tokyo」レポート 第一回 セッション:DX/CX 戦略を駆動するマーケティングアナリティクス

2018年7月31日(水)・8月1日(木)の2日間、ザ・プリンスパ-クタワー東京/東京プリンスホテルにおいて、Google社が主催する過去最大級の総合イベント「Google Cloud Next'19 in Tokyo」が開催されました。

今年は「かつてないクラウドを体験しよう。」をテーマに、展示会場とセッションルーム、ハンズオンラボなどで構成されました。

「エムタメ!」では、当日のセッションからマーケター向けのものを厳選し、数回にわたりレポートしていきます。

第一回は、野村総合研究所の上級システムコンサルタントである吉田 純一氏が登壇し、マーケティングアナリティクスについて講演したセッション「DX/CX 戦略を駆動するマーケティングアナリティクス」の模様をお届けします。

「Google Cloud Next '19 in Tokyo」レポート

1.DX実現のためのビジネスの再定義をサービスデザインで

吉田 純一氏(株式会社野村総合研究所 REシステム事業部 上級システムコンサルタント)

吉田 純一氏
(株式会社野村総合研究所 REシステム事業部 上級システムコンサルタント)

デジタルによるビジネス変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)の実現には、CX(Customer Experience:顧客体験)のアップデートが不可欠となります。

この事実を前提とし、セッション「DX/CX 戦略を駆動するマーケティングアナリティクス」では、DX/CX戦略の立案・推進にマーケティングアナリティクスをどのように活用すべきか、事例を交えて紹介されました。

マーケティングアナリティクスを実践する具体的な手法の紹介の前に、まずDXの実現には、顧客への提供価値の観点からビジネスの再定義が必要との主張があり、その手法として「サービスデザイン」が提案されました。

まず、DXが必要とされる背景について、一つには、従来の事業に対し、これまでとは異なるプレーヤーが参入してきて大きなパイを取っていくという点で大きな変化があったことが挙げられるとの説明がなされました。

ただ、DXという大きな目標に向かってさまざまな方向からの働きかけの現れともいえるそうです。

たとえば、トヨタ自動車では、従来の「車」という商品をデジタルの世界で捉えたときに移動サービスのプラットフォームとして展開していこうという「リアルからデジタル」のアプローチを取っており、逆にテクノロジー系の企業は膨大なアルゴリズムやデータを資産として「デジタルからリアル」へ展開していくアプローチを取っているといいます。

つまり、どちらのアプローチを採用するかは、企業の出自により決まるもので、どちらにせよ「お客様への提供価値」を重視することが大切なのだそうです。

自動車業界の例でいえば、従来は「自動車製造業」があり、商品として「車」を提供し、結果として「移動」という価値を提供していたところから、逆に起点が「移動」となり、これに関連するサービスは何かという発想から新しいサービスとして、マイカーのほか、カーシェアリングといった「Mobility as a Service(MaaS)」が生まれていると指摘しました。

「何を生み出したか?」が重視されてきた従来の「産業」から、「どのような価値を提供したか?」にフォーカスする「サービス(as a Service)」へと変化してきており、これがDXのもっとも大きな本質であると定義しました。

この前提を踏まえ、どの企業も自社のビジネスを再定義する必要があり、顧客の再定義や提供価値の見極めが必要とのことでした。この手段として「サービスデザイン」を活用できるといいます。

1-1.サービスデザインとは?

「サービスデザイン」でビジネスを再定義する

当日の登壇資料より引用

サービスデザインとは、簡単にいうとデザインシンキング(思考)をサービス設計に応用することで、あらゆるビジネスをサービスとして捉え直し、人間中心設計を適用して進めていく方法だといいます。

サービスデザインでは、通常のカスタマージャーニーに加え、「フロントステージ(サービス提供者)」「バックステージ(サービスの裏方)」の2つについても設計するといい、これにより、「サービスの利用前から利用後まで」「顧客の体験から裏方まで」のサービス全体を網羅できるといいます。

サービスデザインの特徴

当日の登壇資料より引用

具体的なフローとしては、「思考」「実践」の大きく2つの段階があるといいます。

サービスデザインのプロセス

当日の登壇資料より引用

すなわち、「自社のお客様が誰で、提供する価値は何か?解くべき課題は何か?」を思考するプロセスと、これをどう実現するかアイデアを展開し、実現化する「実践」のプロセスだといい、実際には、このフローのなかで何度も反復を繰り返しながら進めていくことになるのだそうです。

ここで、デザインシンキングに関するよくある誤解が紹介されました。

【デザインシンキングに関するよくある誤解】

  • ゼロから1を生み出す
  • 定量的な分析ではなく定性的なリサーチを重視する
  • 論理よりも完成を重視する

デザイン思考に関するよくある誤解

当日の登壇資料より引用

しかし、これらはデザインシンキングにおいてもサービスデザインも正しくないと吉田氏は主張します。

英国では、行政サービスにもデザインシンキングを採用しており、「処理あたりコスト」「利用者満足度」といったKPIを設定したうえで取り組んでいるそうです。

「サービスデザイン」においても定量評価が重要

当日の登壇資料より引用

以上の前提条件のもと、マーケティングアナリティクスの「顧客を知る」「顧客体験をデザインする」「サービスを計測する」の3つのフェーズが事例を交えて紹介されました。

マーケティングアナリティクスの活用ポイント

当日の登壇資料より引用

マーケティングアナリティクスには、「顧客を知る」「顧客体験をデザインする」「サービスを計測する」の3つのフェーズがあるといいます。

  • 顧客を知る…自社のお客様が誰で、何を求めているか?
  • 顧客体験をデザインする…サービスを作るにあたりどんなデータを保有しているか?
  • サービスを計測する…サービスをどのように計測するか?

1-2.➀ 顧客を知る

顧客の声を聞くことが重要

当日の登壇資料より引用

「戦略検討」から「サービスデザイン」にかけて必要なのが「顧客を知る」ことであり、顧客を知るために有効なのが「顧客の声を聞く」ことだといいます。

インタビューや行動観察を行うことが推奨できるが、注意点として「誰の声を聞くか」を考える必要があるといいます。

というのも、少人数のベンチャー企業などであれば全従業員の声を集めることができるが、大企業ともなると数百万人規模の従業員がいるため、「誰の声を聞くか」を決める必要があるからだといいます。

もう一点、お客様の声を聞いた結果、「何を求めているか?」をどう判断するか、も考えておく必要があるといいます。

顧客の声を聞く前に

当日の登壇資料より引用

ここで活用したいのが「CDP(Customer Data Platform)」と「期待不確認モデル」だと紹介されました。

マーケティングアナリティクスを実践するには、お客様に関する社内外のデータを分析して深く理解する必要があり、そこから何かしらのアクションを起こしていくのがデジタルマーケティングの基本的な考え方だといいます。

社内・社外のデータを集約してCDPを構築

当日の登壇資料より引用

実際に吉田氏の顧客においてもオンライン、オフライン両方のデータを「顧客」を軸に束ね、特定の顧客がいつWeb広告を閲覧し、メールを開き、どんなWebページを閲覧して契約に至ったか、その後のお問い合わせはいつあったかといった情報を一元的に蓄積・管理しているといいます。

顧客タッチポイントのデータを集約しCDPを構築

当日の登壇資料より引用

新サービスを考案する際も、すべてのお客様の声を聞くことは困難なため、DCPデータからセグメントを生成してターゲットとし、個々の顧客データから示唆を得るのが得策だと主張。

たとえば、不動産売却を行った顧客データを分析すると、売却時の築年数と年代の2軸で見た場合、「築2~3年で売却する30代」と「築10年で売却する40~50代」の2つのピークがあり、それぞれの売却の背景は異なることが予測できるといいます。

CDPのデータからセグメントを生成

当日の登壇資料より引用

この場合、それぞれにインタビューを行う方法もあるが、基本的には異なる背景を持つ2ターゲットに対し、同一のサービスを届けてマッチすることはないため、どちらかに照準を絞って課題を解決するようなアプローチが必要になるといいます。

サービス開発に当たり、まず接触すべきターゲットがどのセグメントなのかは、経験的にわかる場合もあるが、データを活用することであぶり出されてくるのだそうです。

もう一つのデータの使い方として「N1分析」が取り上げられました。

セグメント内の”個”客データから示唆を得る(N1分析)

当日の登壇資料より引用

「行動観察」を行うことは手間がかかるが、データを見ながら行動観察を行うと取り組みやすいといい、膨大なデータのなかから「個」をミクロ視点で見るというアプローチ法も、CDPをデザインシンキングの手前の段階においては有効であると、吉田氏は述べました。

一方、大量にお客様の声を集める必要がある場合は、インターネット上でのアンケートを活用することが多いが、アンケートの言葉を鵜呑みにするのは危険で、いかに「お客様が本当に求めているものは何か?」をあぶり出すかが重要になってくるといいます。この手法として「期待不確認モデル」が紹介されました。

期待不確認も出るで「提供価値」を明らかに

当日の登壇資料より引用

たとえば、自動車業界なら、ドライブする楽しさを追求する顧客と、車の機能・性能を求める顧客では購入する車のメーカーや車種が違うように、同じ業界であっても他社の顧客と自社の顧客では、求める価値が異なることがよくあり、アンケートでは「現状の評価」だけでなく、「期待」も聞き、評価と期待の差に着目するのが「期待不確認モデル」だといいます。

「期待不確認モデル」なしでアンケートを行うと、単純に点数の低い項目を改善し、点数の高い項目に満足してしまいがちですが、そもそも顧客が期待していない項目であれば、数値が低いからと改善したり、数値が高いと満足することに意味はありません。

逆に、期待値が高ければ、アンケート結果で一見、高い評価を得ているように見えても、顧客は満足していない可能性が高いといいます。

ここで、上記のような顧客データを集めて顧客を理解する、つまり「顧客を知る」ためのシステム構成モデルが掲示されました。

顧客を知るためのシステム構成

当日の登壇資料より引用

データソースとしてユーザーのWebサイト上での動きやアプリの操作は、解析ソフトがたくさんあり、誰でも取得・解析が容易だが、忘れられがちなのが業務システムのなかにある顧客情報で、これをWebサイトやアプリの情報と統合して分析することが重要であるといいます。

2種類のデータはGoogle Cloudで保管し、DCPであるBigQuery上で統合して名寄せ・クレンジング、加工を行うと良いそうです。その後、可視化したり分析したりするという流れとなるそうです。

1-3.➁ 顧客体験をデザインする

顧客体験をするデザイン

当日の登壇資料より引用

「サービスデザイン」の終盤で必要なのが「顧客体験をデザインする」フェーズだといい、顧客体験をデザインする際にどのようにマーケティングアナリティクスを活用するかという視点で展開されました。

繰り返しになるが、顧客体験全体をデザインすることが重要で、お客様から見えるフロントだけではなく、スタッフの研修やデータ、アルゴリズムなど、見えない部分まで含めたデザイン設計が大切だと強調し、例として、飛行機の搭乗が取り上げられました。

顧客体験の全体像をデザインする

当日の登壇資料より引用

「仕事では普段、ビジネスクラスで出張しているが、プライベートで旅行する際には、エコノミークラスを利用している、給与はそこそこ高い」という顧客を想定し、どのようなプロモーションを行うとLTVを高められるかという課題でした。

長時間のフライトを前に憂鬱な気分に・・・

当日の登壇資料より引用

旅行者のテンションの上下を時系列に合わせてグラフにすると、旅行の準備をしている数日前からテンションは少しずつ上がりますが、いざ空港のロビーで搭乗を待つ段階になると、これから長時間、エコノミークラスでのフライトを想像してテンションは下がります。

このタイミングで、「今ならお安くビジネスクラスにアップグレードできます」というオファーを提供すると、成約率が極めて高いというのです。

データのリアルタイムな取得と活用が必要

当日の登壇資料より引用

ポイントは、これから搭乗するというタイミングでオファーすること、ラウンジにいる全員ではなく、対象を絞って「あなただけのオファーです」とアナウンスすることで、このためには、事前にデータに基づいて「普段、ビジネスクラスを何度も利用している優良顧客で、今回はエコノミークラスを予約している」顧客を抽出しておく必要があるといいます。

また、最適なタイミングを計るために、顧客が空港にチェックインしてラウンジに入ったことをデータでリアルタイムに把握する必要があります。

これらを実現するためには高度なマーケティング基盤が必要で、容易なことではないといいます。

吉田氏が最近、注目しているのがリアル領域のデータの重要性で、顧客の個々のリアルタイムの行動に合わせて、メールなどによる通知だけでなく、デジタルサイネージにおける表示分けまで行える時代になったといい、これを称して「リアルデジタルマーケティング」とよぶそうです。

リアルデジタルマーケティング

当日の登壇資料より引用

リアルデジタルマーケティング実現のためには、従来のPOSデータに加え、「来店した」「店内を回遊した」データも活用し、デジタルサイネージの表示や接客を変えていくという、リアルでの顧客体験を実現することが重要だと強調しました。

このような顧客体験をデザインするためのシステム構築例がスライド表示されました。

CXをデザインするためのシステム構成

当日の登壇資料より引用

サービスデザインにおけるシステム構築との大きな違いは、実際に解析したデータを活かして行動するために必要なデジタルツール、カメラやビーコンなどのリアルでの行動を観測するための接点となるツールをつなげている点だといいます。

その分、データ量が増えてBigQueryでは動作が重くなってしまう場合は、BigTableなども視野に入れる必要があるだろうとのことでした。

1-4.➀ サービスを計測する

サービスを計測する

当日の登壇資料より引用

ここまでに解説されてきた流れで、サービスを設計・提供できたと過程し、そのサービスの成果が出ているかどうかを計測・改善するフェーズでもマーケティングアナリティクスは非常に重要だといいます。

サービスデザインにおける目標設定と同様で、サービスを継続的に計測していくことは大切だといいます。

サービスをKGI/KPIに落とし込み、施策を打ち、測定・評価を行うという流れですが、デジタル上で行った施策に関してはCDP上で結果が反映され、半自動的に回っていくため、Webを中心としたサービスを展開している企業にとっては仕組を作りやすいといいます。

ここで、サービスを計測するためのシステム構築例が掲示されました。

事業をモニタリングするためのシステム構成

当日の登壇資料より引用

さらに、サービスデザインの解説で取り上げられた「顧客の声を聞く」ことが再度、クローズアップされました。

再び、顧客の声を聴く

当日の登壇資料より引用

サービス開始前だけでなく、サービス開始後も引き続きお客様の声を聞くことは重要であると強調し、取り組んでいる企業の多くが年次でNPSやCSとして声を集めている点に触れ、1年のなかでいろいろなことがあっても、直近の年度末に起きたできごとが記憶に新しいため、バイアスのかかった声しか集められず、それ以上の活用が難しいと指摘しました。

これに対し、先進的な企業は、何かアクションがあるたびに細かくヒアリングしているといいます。

購入したタイミングで「今回、購入した商品はどうだったか」と尋ね、サービスを提供したタイミングで「今回のサービスはどうだったか」と尋ね、問い合わせを受けたら、回答するだけでなく、「今回の対応はどうだったか」と尋ねるといった具合で、都度、お客様の声を拾うといいます。

この方法のメリットとして、サービスごとの評価の変化が把握できる点と、顧客ごとにの評価の変化が把握できる点が挙げられました。

ただし、実際問題として、すべてのサービス提供のタイミングで毎回、お客様の声を集めようとすれば、顧客の負担が増し、高感度が下がるため、調整が必要になるとのことでした。

顧客の声を聞くためのシステム構築例が掲示されました。

顧客の声を聞くためのシステム構成

当日の登壇資料より引用

アンケートを配信する仕組みとしてCXツールを含む点が特徴的で、ユーザーの回答結果に合わせて対応を変えたり、営業マンへのエスカレーションがあり、これを回していくことになるといいます。

同社ではこれら3つの活用フェーズごとにサポートするサービスが用意されているといい、最後にサービスの簡単な紹介がなされ、セッションは幕を閉じました。

吉田 純一氏(株式会社野村総合研究所 REシステム事業部 上級システムコンサルタント)

吉田 純一氏
(株式会社野村総合研究所 REシステム事業部 上級システムコンサルタント)

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