「ティザーサイト」の目的と必要な要素 ~参考キャプチャまとめ~
最終更新日:2023/10/26
これから新しく商品やサービスをリリース予定の企業では、マーケティング担当者が、自社サイトやSNSの更新、プレスリリース発行などの施策に取り組まれることと思います。
そこへ、プロモーションの一つとして「ティザーサイト」の立ち上げを検討してみてはいかがでしょうか?
今回は、特に嗜好性の高い商品・サービスと相性の良い「ティザーサイト」について、事例キャプチャを中心に、目的や必要な要素をご紹介していきます。
1.ティザーサイトとは?
もともとティザー(teaser)とは、「じらす人・いじめる人」といった意味を持つ英語で、これが転じて、商品画像を出さなかったり情報を小出しにして興味をあおる広告手法として「ティザー広告」というジャンルが確立しました。覆面広告ともよばれています。
これをWebサイト上で行う場合、そのWebサイトを「ティザーサイト」といいます。 ゲームや映画など、エンターテイメント業界を中心にデジタル製品や車などの商品で制作・公開されており、最初は「商品名(タイトル)・ロゴ・発売(公開)日」程度の情報を発表し、順次、商品画像や映像などのビジュアル、詳細情報を公開していくというスタイルをとります。
出せる情報をあえて出さないことで、消費者の興味を引き、好奇心を掻き立てる「引き算」のPR手法だといえます。
2.ティザーサイトの目的
ティザーサイトの目的は、製品のリリース日に向けて少しずつ全体像を見せ、消費者の期待感を高めることです。従来は、企業側に揃っている情報はなるべく多く開示することが広告の役割の一つでしたが、ティザーサイトでは、一部のみを見せて大部分を隠したままにしておくことで、消費者に「何だろう?もっと知りたい!」と興味を掻き立て、発売日まで興味を引きつけておくのです。
一方、発売元の企業サイドからすれば、少しずつ更新してプロモーションが行える手法でもあり、ユーザーの反応を確認しながら軌道修正することを目的としてティザーサイトを活用することができます。
3.ティザーサイトに必要な要素
上記の目的をふまえ、ティザーサイトに求められる要素は「更新性」と「デザイン」です。
情報を小出しにしていく更新性
ティザーサイトには、商品・サービスのリリース日をクライマックスに、消費者の期待を少しずつ高めていくことが求められます。そのため、更新性の高さはマスト。ユーザーに頻繁に訪れてもらうには、毎日、隔日など高頻度で定期的に更新情報していくのが効果的です。更新性の良いCMSであるとなお良いでしょう。
また、商品のビジュアルを公開するなど、大きな情報更新を行うタイミングは、キャンペーンとの連動など戦略を立てた上で行う必要があります。
消費者の想像をかきたてるようなデザイン
消費者にとって発売日当日が待ち遠しくなるようにしたい、しかし、情報は絞らなければならないというジレンマを解消してくれるのは、高いデザイン力です。
ユーザーの想像を掻き立て、期待を高められるようなデザイン、さらに、商品・サービスの魅力が伝わるデザインであることが条件になります。たとえば、商品の革新性・画期性を伝えるのであれば、動きのある最新のデザイン手法を用いるなどの戦略が必要になってきます。
4.期待感を煽るテクニック ~参考キャプチャ付き~
ここで、ティザーサイトの事例キャプチャをジャンル別にご紹介します。
【車】NEW VOLVO V60
2018年9月末に発売予定のボルボ社の新モデル「V60」のティザーサイトです。
【使用されているテクニック】
- カウントダウン…発売日時までの残り時間がリアルタイムでカウントダウン表示させる仕様になっていて、消費者の「早く発売されないかな~」という気持ちに寄り添いつつ、待つ楽しみを提供しています。
- 商品の外観を伏せる…メインビジュアルとなっている商品画像は、車体に布がかぶせられ、背景とともにグレーアウトしたものが使用されており、「なんとなくわかるけど、はっきりはわからない」というチラ見せ状態になっているため、好奇心をあおります。
- SNSとの連携…目立つ場所ではありませんが、ページ下部にフェイスブックやツイッターで拡散できるボタンが配置されています。
【デジタル製品】iPhone
ティザーサイトの先駆者ともいえるApple。2018年9月21日に発売されるiPhone Xのティザーサイトも、新しいiPhoneを手にして出会える世界に対するワクワク感をうまく演出しています。
【使用されているテクニック】
- 期待が膨らむようなデザイン…キャッチコピーを含め、商品画像は想像を掻き立て期待を膨らませられるようなデザインになっています。詳細を伝える情報は少なく、あくまでイメージ重視で訴求されているところは、Appleの広告の共通項ですね。
【映画】ワイルド・ストーム
2019年1月4日公開予定のディザスター(災害)・パニック&クライム(犯罪)・アクション映画「ワイルド・ストーム」のティザーサイトです。
【使用されているテクニック】
- 情報を小出しにする…映画ポスター様のシンプルなトップページと、下層に予告編動画、公開予定劇場の3ページのみで構成されており、詳しい情報はこれから更新されていくものとみられます。担当監督名やジャンル、予告編から興味を持ったユーザーが公開日までに情報を求めて再訪することを狙った作りとなっています。
- SNSとの連携…ページ下部にツイッターやフェイスブックで拡散できるボタンが配置されています。
【ゲーム】SAMURAI SPIRITS(サムライスピリッツ)
1993年の発売以来、アーケードゲームから家庭用ゲーム機、アニメ・漫画化まで幅広く商品展開されているロングセラータイトル「サムライスピリッツ」のPlayStation4向け新作が2019年に発売予定で、ティザーサイトが公開中です。
【使用されているテクニック】
- 情報を小出しにする…発売予定も「Coming 2019」のみ、「Teaser Trailer(ティザー予告編)」のボタンをクリックして見られる動画で、ゲームの舞台設定とゲームプレイ動画が見られるのみと、最小限の情報しか開示されていません。海外のサムライスピリッツファンが意識され、英語表記がデフォルトになっています。
- SNSとの連携…こちらもページ右下部の目立たない部分ですが、ツイッターとフェイスブックで拡散できるボタンが配置されています。
【ネットスーパー】クックパッドマート
投稿型レシピサイト「クックパッド」が2018年9月中にサービスを開始予定の食材を中心とするネットスーパー「クックパッドマート」のティザーサイトです。
【使用されているテクニック】
- 消費者向けの情報だけで構成していない…ティザーサイト上では、サービス開始予定を「2018年夏」としていますが、9月14日現在ではまだリリースされていません。ティザーサイト上では、サービス開始に必要な商品販売希望者や店舗提供者、エンジニアなども募集しています。コンテンツは、上から、クックパッドマートの想い、サービス内容、サービス提供者の募集となっており、どちらかというと、消費者よりも提供者をターゲットとした作りに見えます。しかし、消費者が欲しい情報をしっかり含有しているため、むしろ消費者が「サービス開始が待ち遠しい」と感じられるようなティザーサイトに仕上がっています。
※ティザーサイトの状態と公開情報は、
2018年9月14日時点のものです。
5.まとめ
広告手法の一つとして定着したティザーサイト。目新しさはなくなったものの、「隠されている部分があったら見たくなる」という人間心理は本能的なもの。エンターテイメントや趣味関連の商品・サービスをお持ちの企業様は、今後の活用を検討してみると良いかもしれません。
一方で、消費者が「ティザー疲れ」しているという指摘もあり、安易にティザーサイトを立ち上げても逆効果になってしまう恐れもあります。また、そもそも商品自体に魅力がなければいくらティザーサイトを用いたところで消費者の興味を引くのは難しいものがあります。
ティザーサイトでのプロモーションを狙うなら、SNSとの連携も含め、戦略を練って臨む必要がありそうです。
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