バズる記事を作る!人気Webライター、ニシキドアヤトさんが教えるオウンドメディア運用のコツ
最終更新日:2025/11/05

【この記事の要約】
オウンドメディア運営における「編集」とは、単なる記事の品質を管理する作業ではなく、メディアの目的達成に向けた「戦略的なプロセス」そのものです。ナイ株式会社の錦戸絢斗氏は、編集の役割を「企画」「制作」「分析・改善」の3フェーズに分類し、特に「企画」の重要性を強調します。
成功する企画は、キーワード選定や競合分析といったSEO視点と、読者のインサイト(深層心理)を捉える編集者視点の両輪から生まれます。具体的には、まずSEOの観点から「勝てる領域」を見極め、次いで読者が本当に知りたいこと、共感できる「切り口」を設計します。さらに、制作フェーズではその企画意図をライターに正確に伝え、読了率やコンバージョン率といった数値で測れる「品質」を担保します。最終的に、公開後のデータを分析し、リライトや新規企画に活かすことで、メディア全体を「マーケティング資産」として成長させていきます。
【よくある質問と回答】
オウンドメディア運営において、「編集」はなぜ重要なのですか?
編集者は、メディアの戦略とコンテンツの品質を結びつける役割を担うからです。SEOの視点(数値)と読者の視点(インサイト)を両立させた「企画」を立て、それを実現する「制作」を管理し、「分析」して改善する、という運営の心臓部を担います。
成果の出る「記事企画」は、どのように立てればよいですか?
まずSEOの観点から、検索ボリュームや競合の強さを分析し、「勝てるキーワード」を選定します。その上で、そのキーワードを検索する読者が「本当に知りたいことは何か」「どのような切り口なら共感するか」というインサイトを深く掘り下げて設計します。
良い編集者と悪い編集者の違いは何ですか?
良い編集者は、記事公開後の「分析・改善」までを自身の仕事と捉えています。PV数だけでなく、読了率、コンバージョン率、検索順位などのデータを分析し、リライトや次の企画に活かすことで、メディア全体の成果(KGI)にコミットします。
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企業のオウンドメディア立ち上げがピークを迎え、さまざまな理由から、人気であっても閉鎖されるWebサイトも出てきており、オウンドメディアの運用を継続する難易度は上がってきています。
ユーザーに役立つ情報を基本としつつ、SEOで上位を獲得したり、「面白い」と評価してもらえUGCを生むようなコンテンツを制作・掲載したいというのは、オウンドメディア運用者に共通する願望ではないでしょうか。
マネタイズできない、コンテンツを更新できないなど、オウンドメディアの運用者の数ある悩みの中でも特に、今回は「アクセスが増えない」という課題にスポットを当て、人気Webライターのニシキドアヤトさんに解決策のヒントをインタビューしてみました。
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- Profile
- ニシキド アヤト
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28歳。フリーのWEBライター。大阪出身。
8年間のサラリーマン生活を経て、「オモコロ」と出会い、感銘を受けてフリーのWEBライターに転身。ブログ:http://www.ayato-nishikido.com/
Twitter:art_0214
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(以下、敬称略)
ライターに記事を依頼するときは自由に伸び伸びとやらせる

エムタメ!:「国民的アニメの主人公が住む家って売ったらいくらなの? 調べたら泣けた 」「コナンに気軽に麻酔銃を打たれまくってる小五郎は大丈夫なの?麻酔科医の先生に聞いてみた」など、バズる記事を多数、ライティングされていますが、これらの企画は、クライアント企業側から出されるものなんですか?
ニシキド:企画から依頼をいただくケースもありますが、多くの場合「このテーマに沿って」「最終的にこの商品につながるように」程度の指定があったうえで「自由に何かやってもらえませんか?」という依頼が多いですね。企画からの依頼に対しても「もっとこういう方が面白いかもしれませんよ」と提案することもあります。
エムタメ!:たとえば、どんな依頼からどんな企画が生まれましたか?
ニシキド:過去に節約メディアの案件で「自由にやってほしい」と依頼を受けたことがありまして。ちょうど夏場で、僕はO型なので蚊に刺されやすいんですね。
エムタメ!:はぁ…。
ニシキド:それで公園など蚊の多いところに行ってわざと刺されて、刺された箇所を計測し「今日は〇mg、血を吸われた」と記録した翌日、あらゆる防蚊グッズを装備して何ヵ所減るか、それにより1日当たりどのぐらい吸われる血を節約できたかを実証するという企画を出したんですが、担当者に「血の節約って何ですか?」と言われてボツになったことがあります。
エムタメ!:確かに、「血の節約」って何?
ニシキド:結局、ミネラルウォーターと沼の水、池の水、川の水をろ過機能のついたストローでブラインドで飲んで効き水してもらい、当てるという企画に落ち着きました。結果的に、誰も当てられなかったんですが、この記事がバズったんです。これが、僕の書いた記事としては初めてバズった記事ですね。
エムタメ!:オウンドメディア運営側では、どうすれば面白いかがわからないからお任せしているケースも多いかもしれませんね。ライターとしては、お任せの方がやりやすいものなんですか?
ニシキド:個人的にはそうかもですね。あとは、依頼の連絡をもらった後で「1回、会って話しますか?」とミーティングを提案して、その場でアイデアを練ることも多いです。実際に会ってみて、そのメディアや担当者の自由度を肌感で測ったり、ギャラや締切の交渉をしたりする方が僕はやりやすいですね。ライターのなかには、会うのは面倒だという人もいますが。
ニシキドアヤト直伝!バズるコンテンツを作り出す方法

エムタメ!:ズバリ、どうすれば、面白い企画が作れるんでしょうか?
ニシキド:僕、こういう「ニシキドアヤト直伝!」みたいなの慣れてないし、偉そうに言える立場ではないんですが…。個人的に一ついえるのは、ライターファーストであることじゃないですかね。ライターがやりたいことを最大限に配慮して、のびのびと自由にさせてくれるメディアでは、バズるコンテンツが生まれやすい印象があります。
僕自身、サラリーマン時代には文章を書いたことなどなかったのですが、「オモコロ 」に出会って衝撃を受け、体に染み込むぐらい読み漁って、いまのスタイルにたどり着きました。「オモコロ」に出会わなかったら今の自分はいないといっても過言ではないです。
エムタメ!:オウンドメディア運営者には、編集やライターの経験がないまま一人編集長で回している人も多いです。そういう、編集ノウハウがないところがバズるコンテンツを作り出すには、どうしたら良いと思いますか?
ニシキド:外部の編集プロダクションやフリーの編集者に企画を依頼するという方法も一つの手だと思います。僕が最近、一緒にお仕事させていただくことの多い有限会社ノオトさんやプレスラボさん、ヒャクマンボルトさんなどは優秀な編集者さんも多く、そういった方々が直々に若手を育てるので、編集力の高い人材が育つ環境があります。関西なら、株式会社人間さんの人間編集部も良いですね。最近は、有名な編プロから優秀な編集者がどんどん独立しているので、そういう人たちに依頼するのも狙い目だと思いますよ。
エムタメ!:最近、有名なWebメディアが閉鎖されてしまうケースが目立ちますが、どう見ていますか?
ニシキド:これは完全にヨッピーさんの受け売りなんですが、メディアって結局は儲からないもので、メディアの目的はファンを作ることじゃないですか。それを勘違いして投資してライターに記事を量産させて、1年ぐらい運営してみてから「儲からない」といって経費削減の対象となり、閉鎖されてしまうメディアが多い気がします。2年ぐらいかかってやっと黒字化するものなのに、その前にやめてしまうメディアは多いんじゃないでしょうか。
エムタメ!:バズる面白コンテンツは、外部の編集者などを活用して企画を立ててもらい、お役立ち記事やSEO記事は自社で制作するというスタイルが一番良いのでしょうか?
ニシキド:そうですね。全部をライターに作らせたら、ただの面白い記事だけを掲載しているメディアになってしまうので。僕がお仕事させていただいているメディアで多いのが、面白系の企画記事を週に1本、ほかの曜日は1日数回、SEO記事やお役立ち記事を更新するというもの。
ただ、そういうやり方をするメディアが増えてきているので、最終的にみんな同じになってしまう可能性はあります。どこで独自色を出すかというのも考えた方が良いでしょうね。
この方法で固定読者がついていくなら良いメディアなんじゃないでしょうか。今の時代、固定読者をつけるのは本当に大変だと思います。僕も、毎日欠かさず見ているものといえば「はてなブックマーク」のホットエントリーと、「Yahoo!ニュース」、ヨッピーさんの作った「ニュートピ」ぐらいですね。
エムタメ!:ウケる記事を書くコツはありますか?
ニシキド:ウケている記事を見まくるのが一番良いと思いますよ。僕自身もオモコロの記事を読みまくって書けるようになったので。ウケている記事を見るだけじゃなく、なぜウケているのか、なぜおもしろいのかを探ることが大切です。SNSで感想を読むのも良いと思います。
ライターにも編集者にも、オウンドメディア運営者にも、人によって得意ジャンルがあって、好きならそれが得意ジャンルになり得る。最初は、自分が好きな記事の流れなんかをマネて書くのもアリだと思いますよ。
エムタメ!:運営者がメディアを「どうしたいか」をしっかり持っていないとブレる原因にもなると思うので、まずはメディアの方針を固めることが大事かもしれないですね。 本日は、貴重なお話をありがとうございました!
【English summary】
"Editing" in owned media operation is not merely the work of managing article quality, but the "strategic process" itself aimed at achieving the media's goals. Ayato Nishikido of Nyle Inc. categorizes the role of editing into three phases: "Planning," "Production," and "Analysis/Improvement," emphasizing the particular importance of "Planning."
A successful plan is born from the dual perspectives of SEO, such as keyword selection and competitor analysis, and the editorial viewpoint that captures reader insights. Specifically, one first identifies a "winnable domain" from an SEO standpoint, then designs an "angle" that resonates with what readers truly want to know. In the production phase, this planning intent is accurately conveyed to writers to ensure "quality" measurable by metrics like completion rate and conversion rate. Finally, by analyzing post-publication data and applying it to rewrites or new plans, the entire media is grown as a "marketing asset."




