個人投資時代到来!ピーター・ティールに学ぶこれからの時代を生き抜くための逆説的な真理とは。
最終更新日:2023/11/14
先日、ピーター・ティールが投資しているサイバーセキュリティ企業「Qadium」が4000万ドル(約44億円)の資金調達を実施したニュースがありました。
エンジェル投資家、PayPal創業者として知られるピーター・ティールの言葉は非常に心に響きます。彼の言葉が人々の胸に深く突き刺さり、記憶に残るのはなぜでしょうか。それは彼が常に逆説的な真理を語っているからです。
そこで今回は、読者のみなさんに今後の仕事、人生に少しでもプラスになればと思い、私が心に残ったピーター・ティールの逆説的な真理をご紹介します。
①競争を避けた独占企業が必ずしも偉大な企業とは言えない
独占、寡占企業はその市場のシェアの大半を持っていて、一見偉大な企業であると言えそうですが、そうではありません。
ピーター・ティールは2013年のニューヨークタイムズ、ツイッターを比較して次のように述べています。
どちらも数百万人にニュースを届けているが、ツイッターの時価総額はニューヨークタイムズの12倍を超えている。独占、寡占企業であっても、将来的に価値を生み出し続け、存続できなければ、偉大な企業とは言えない。
ティールは偉大な企業であるかどうかは、将来どれだけ利益を生むことができるといっています。
今後10年、20年後に独占利益を出せる企業が偉大な企業です。企業を判断する上で、現在の価値だけを見るのではなく、将来出せる利益を考えることがとても重要です。
ここでいう価値とは、ユーザーに何を提供できているのかということです。
現在のシェア率、利益よりも、将来ユーザーのどの問題を解決し、なにができるようになるのかという視点が必要です。
②優秀な学生にとって高等教育は有害である
みなさんは、ティール・フェローシップをご存知でしょうか。
これは、ピーター・ティールが20歳以下(現在は22歳以下)の若者20人に対して、2年間で10万ドルを支給し、研究、仕事に従事してもらうプロジェクトです。
このプログラムに参加するにはたった1つ条件があります。それが「学校を辞めること」です。
大胆な社会実験である本プロジェクトは物議を醸しましたが、ピーター・ティールは、今の高等教育は飛び抜けて優秀な頭脳の持ち主にとって、集中すべき活動に費やす時間を搾取し、一般的な活動しか与えていない有害なものであると考えています。
今までは学校に通うことが当たり前であったが、その常識を疑い、大切な真理を見つけ出したのです。これは学生のみならず社会人も意識すべきことです。
社会に出て与えられた仕事のみを行っていても、画一的な人間にしかなれず、今話題のVALUのような個人に投資するサービスが普及しても、ピーター・ティールのような偉大な投資家に選ばれることは一生ないでしょう。
③似通っている会社に見えるが、独占、競争の二極化は進んでいる
現在、独占市場でビジネスをしている、もしくは完全競争市場で勝負していると明言している企業は存在しているでしょうか。
おそらく多くの企業がNOという回答になるでしょう。
実際に独占、競争の二極化は進んでいます。この真理は独占企業、競争企業の都合の良い市場環境の判断によって捻じ曲げられています。
独占企業は、独占利益を上げ続けるために、監査、詮索、批判を招くことを恐れ、独占を明言していません。
例えば、グーグルといえば検索エンジンの市場を独占していると皆さん考えるでしょう。2016年時点で世界の検索エンジン市場の約90%をグーグルが持っています。
(参考:StatCounter - Search Engine Market Share Worldwide)
しかし、グーグルは他にも多くのソフトウェア、自動運転車、ウェアラブルコンピュータなどを開発しているため、多角的テクノロジー企業として見ることも可能です。
すると、グローバルなコンピュータ製品市場の1企業としてグーグルを捉えることができるため、独占企業ではなくなります。
(グローバルなコンピュータ製品の市場では、グーグルはわずか0.24%のシェアです。)
競争企業は、その逆です。ささいな差別化に注力し、あたかも競合がいないように見せる、もしくは錯覚しているのが競争企業です。
市場をどのセグメントで分けるかによって、独占、競争の意味合いは変わってきます。
独占市場で独占利益を生み続けることが最良であるため、個人で考えると「自分がどの分野でどういう利益をもたらせることができるのか」を意識しなければなりません。
ただし、その独占市場がささいな差別化ではなく、圧倒的な価値によって形成されるものでなければ、社会に必要とされ生き残ることは難しいでしょう。
④賛成する人がほとんどいない大切な真実を探す
この言葉は、おそらくピーター・ティールの名言でも最も有名です。
一般的にみると、賛成する人が多い真実の方が大切に思えますがそうではありません。賛成する人が多いということは競合が多いということでもあります。
ピーター・ティールのこの言葉の意味は、「一般的にまだ認識されていない大切な真実を探す」という意味です。
つまり、前提としてその命題が真実であるため、世間に必要とされているが競合が存在しない独占市場で独占利益を上げていくことができるというわけです。
さらにピーター・ティールは次のように述べています。
誰も解決しようと思わないような問題こそ、一番取り組む価値がある。
それこそが本当に社会のためになり、未来をつくる、これまでとは「違う」ものになりうるのです。
⑤まとめ
インターネットの普及によって情報過多になっている現代は、知識の陳腐化を引き起こし、個人としての差別化が難しくなってきているように思えます。
そのような中で、ピーター・ティールの逆説的な真理を個人に当てはめると、個人としての価値が最も発揮できる市場で独占利益を獲得できるのではないでしょうか。
今回はピーター・ティールの逆説的な真理を4つご紹介しました。
これらすべてが、4つ目の「賛成する人がほとんどいない大切な真実を探す」に集約されていると私は思います。
一般的に正しいと思われている真実は、事実に解釈が含まれたものです。
事実と解釈を分けて考え、新たな視点から独自の解釈を行うことによって、賛成する人がほとんどいない「大切な真実」を見つけることができます。
例えば、西野亮廣さんが絵本「えんとつ町のプペル」をWEB上で無料公開しました。
(無料公開ページ:Spotlight)
多くの人々がこの施策に苦言を呈し、失敗すると思っていましたが、結果的にAmazonランキング1位を獲得して、発行部数・売上が伸びました。
書籍は無料公開してはならないという当たり前を、絵本の場合は読み聞かせという用途なので、「全文公開する方が作品の良さが伝わり購買に繋がる」という大切な真実に繋がりました。
このようにして、パラダイムシフトが起こり、新しい価値や未来が築かれていきます。
異なる視点で現在を見るのではなく、視点を未来に近づけ、現在信じられている真理を追究することが「賛成する人がほとんどいない大切な真実を探す」ことに繋がることになるでしょう。