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MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは?特徴やメリット・デメリット、進め方などを網羅的に解説

記事公開日:2023/08/28
最終更新日:2023/10/26
MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは?特徴やメリット・デメリット、進め方などを網羅的に解説

MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは、マーケティング活動のどの施策が成果にどれくらい貢献したかを明らかにするため、統計学的に分析してモデル化する手法です。

 

多様化しつつある中マーケティング活動において、本来はわかりづらい広告の貢献度が捉えやすくなることに加え、最適な戦略立案やマーケティング投資対効果の最大化につながるなど、施策の全体最適を図る手法として注目され、現在その必要性が叫ばれています。

 

本記事ではMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)についての基礎知識から特徴やメリット・デメリット、進め方まで、網羅的にわかりやすく解説します。

 

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MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは

MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)について、その概要や重要性、混同されがちなMTA(マルチタッチアトリビューション)との違いなどを解説します。

MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは

MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは、マーケティング活動のどの施策がどれだけ成果に貢献したかを明らかにできるよう、統計学的に分析してモデル化する手法です。

 

広告や販売促進などのマーケティング施策にかかる費用と、その結果生まれた売上・利益の関係を解明することで最適な戦略を立て、マーケティングの投資対効果を最大化するのがMMMの目的です。

 

分析結果から、どの施策が最も効果的か、もしくは効果的でなかったかを明らかにすることができるため、マーケティング施策の改善はもちろん、最適な予算配分などにつなげることもできます。

 

マーケティングに統計学的手法を応用する取り組みは新しい考え方というわけではなく、これまでにもログ分析や消費者調査などを通して、個別具体的に成果を評価する取り組みがされてきました。

 

ではなぜ現在MMMの重要性が高まっているのでしょうか?

MMMの重要性

現代のマーケティング活動においては、集客するためのチャネルの確保が必要不可欠であり、そのためには顧客とコミュニケーションをとることが重要です。売上げの拡大を目指すのであれば、新規顧客にも情報を届けるなどし、より多くの顧客とコミュニケーションを図る必要があります。

 

そこで企業は、TV・ラジオ・新聞・雑誌などのオフライン広告に加え、自社サイトやSNS、デジタルサイネージなどのオンライン広告を利用した「OOH(Out of home advertising)」という新しい媒体を融合させることで多くのチャネルを確保し、顧客とコミュニケーションを図るようになりました。

 

このようなマーケティング施策を「メディア・ミックス」といい、近年のマーケティング戦略では重要な役割を担っています。しかし多くのチャネルを利用しただけでは、顧客との密接な関係性を構築するのは難しく、メディア・ミックスを常に最適化する必要があります。

 

そこで登場するのがMMMです。MMMではメディア・ミックスで利用された様々なチャネルのデータを分析した上で、マーケティング活動に最適な媒体やチャネル利用方法を特定することができます。

 

またその際必要となる「ROI」(Return On Investmentの略:「投資収益率 」とも呼ぶ)の調査と、マーケティング戦略の見直しにもMMMが役立つため、現在その重要性が非常に高まっているのです。

 

MMMと混同されがちな手法に「MTA(マルチタッチアトリビューション)」があります。MMMを的確に理解するためにも、両者の違いを明らかにしておきましょう。

MMMとMTA(マルチタッチアトリビューション)との違い

MTA(マルチタッチアトリビューション)は、クッキーなどの個人の行動追跡データに基づき、オンライン上での広告が事業成果に与える影響を測定する手法です。顧客がコンバージョンに到達するまでのプロセスを分析し、広告の接触履歴に成果を配分してその効果を評価します。

 

MMM・MTAどちらも、過去データを分析してマーケティング施策の売上貢献度を解明し、広告予算などの最適化を図るという点は共通していますが、異なるのは「分析のベースとなる情報」です。

 

MMMは売上に影響を与える要因に関して「時系列ごとの連動性」に基づいて分析するのに対し、MTAは「各タッチポイントでの顧客接触データ」をベースにしています。

 

そのためMTAは、マーケティング・販売をオンライン上で完結するEC事業者などのデータを高精度で分析することはできますが、オンラインとオフラインを融合させた施策を打つ企業の場合、オフライン施策における個人履歴データの取得が難しく、詳細な分析は行えないでしょう。

MMMの特徴

MMMには主な4つの特徴があります。それぞれの特徴について詳しく解説します。

数学的処理が必要

MMMにおけるデータ分析には、統計知識やモデリングなどの数学的処理が必要という特徴があります。

 

観測できない「潜在変数」と観測できる「顕在変数」を分析データに入力することで、マーケティング活動の施策が互いにどのように影響を与えあっているかを推定し、その効果を数値にして可視化するため、社会科学や行動科学にも用いられる構造方程式モデリングなどの処理を行います。

 

複雑な計算を行う必要があるため、多くの企業ではMMM専用ツールや分析ソフトが活用されています。

異なる種類のデータ蓄積・分析が必要

類似するデータだけではなく異なる種類のデータを蓄積し、対比して分析しなければならないという点もMMMの特徴です。より正確な分析や推定を実現するためには、詳細なデータを蓄積する必要があります。

 

たとえば、製品やサービスにどれだけのアクセスがあり、何件がアクセスから販売につながったのかを示す「サービスごとのアクセス量」や「媒体のインプレッションやリーチ量のデータ」「媒体に支払ったコスト」などのデータを、日次で取得・蓄積します。

 

さらに「売上金」「製品の販売総数」「マーケティング施策を実施した時期の経済データ」「気候情報」「販売店・顧客の地理情報」などに加え、特定のキャンペーンを実施した際にはそのデータも蓄積することが大切です。

 

異なる様々なデータを蓄積・分析することで、より正確なMMMのモデルを作成できます。

複数施策の相互効果を検討する

MMMでは複数の媒体や施策を用いた場合でも、互いに与える効果や影響などを検討してモデル化できるという特徴があります。

 

オンライン(ターゲティング広告など)とオフライン(新聞など)、どちらにも広告を打った場合、それぞれが広告としての誘因効果を持つだけでなく、互いの広告を後押しする効果が生まれます。

 

たとえばオフライン広告を出した後に、オンライン広告のクリック率が高くなっているとすると、相互効果があったといえます。またMMMではよりわかりやすく相互効果を検討するために、単体の広告を通して獲得できた効果を「ベース」とし、ほかの広告の影響で獲得できた結果を「インクリメント」として数値化するのもポイントです。

過去事例や外部要因などを分析材料にできる

過去の事例の評価・分析データなど、マーケティング活動施策のデータ以外も分析材料として活用できるという点も、MMMの大きな特徴です。

 

例えば、過去の事例における「どのような製品が・どこで・いくらで・どんなプロモーション活動を通して販売されたのか」というデータはMMMにとって非常に重要な情報であり、これらを活用してモデルを最適化していきます。

 

また想定していない出来事によって、結果が目標から大きく外れてしまった場合に、MMMでは「国家間の争い」「災害」「気候」などの外部要因を含めて分析ができるのもポイントです。

 

逆に、施策が失敗したとしても、何らかの外部要因によって成果が出るというケースもありえます。想定外の外部要件によって失敗に終わった際にも、外部要因を除いたマーケティング施策のピュアな成果を数値化することができます。

MMMを構成する「4C」と「4P」とは

MMMは、「4P」と「4C」という構成要素から成り立っています。「4P」と「4C」について、それぞれ詳しく解説します。

「4P」とは

「4P」とは、マーケティングミックス業務の諸要素を4つのPで表し、適切に組み合わせるマーケティング施策です。

 

4つのPは

 

  • Product(製品、戦略)
  • Price(価格)
  • Place(流通)」
  • 「Promotion(プロモーション)」

 

の頭文字を表しています。個別で成り立っているものではなく、密接にかかわっているため「整合性が取れているのか」が重要です。それぞれの意味について説明します。

Product(製品、戦略)

「Product(製品、戦略)」は企業が生産する製品やサービスを指します。

 

MMMにおける第一の「P」がProductであり、4つの構成要素の中でも特に重要な存在とされています。具体的には、「製品の特長」「パッケージ」「ブランドの構築・維持」「品質」など、製品コンセプトを実現するための様々な要素が含まれます。

Price(価格)

「Price(価格)」は企業が生産した製品に対して、顧客が支払うコストを指します。コストには製品購入や利用時の移動時間なども含まれます。

 

売上に直結するため非常に重要な要素です。価格戦略の際には、「コスト」「価格相場」「マーケティング戦略」「ブランディング」などの視点から策定します。

Place(流通)

「Place(流通)」は顧客に製品を届けるための経路(チャネル)を意味します。

 

「Place」には「どこで製品を販売するのか」という販売エリアだけでなく、販売方法や供給流量なども含まれています。顧客の利便性と強く結びついているため、流通チャネルの最適化に取り組むことが大切であり、改善できれば売上アップにもつながります。

Promotion(プロモーション)

「Promotion(プロモーション)」は広告や宣伝、人的販売(販売員による直接的なマーケティング手法)などのプロモーション戦略を指します。

 

製品を顧客に購入してもらうために重要な役割を果たす「Promotion」の手法は、マス広告やSNSマーケティング、コンテンツマーケティングやキャンペーンなど多様化しています。顧客に製品やその特長を知ってもらうことで購買意識へ変化をもたらし、販売促進へとつなげるためには「Promotion」を通した顧客とのコミュニケーションがとても重要です。

 

また、最近では「4P」を顧客側の視点から見直した「4C」という考え方も注目されています。

「4C」とは?

企業側の視点から実施される「4P」に対して、顧客側の視点から見直したのが「4C」です。両者は別の枠組みという事ではなく、「企業側視点」か「顧客側視点」かの違いです。

 

4Cは

 

  • Customer Value(顧客価値)
  • Cost(顧客にとっての経費)
  • Communication(コミュニケーション)
  • Convenience(入手の容易性)

 

の頭文字を取り、「4C」と呼ばれています。それぞれの意味について説明します。

Customer Value(顧客価値)

「Customer Value(顧客価値)」は4Pの「Product(製品)」と対になっており、顧客が製品・サービスを購入する際に得られるメリットを指します。

 

顧客側の視点から製品・サービスを見たときに「どのような価値があるのか」を考えるための要素です。製品の機能や仕様だけでなく、アフターサービスや利用時の情緒的な利益なども価値に含まれます。

Cost(顧客にとっての経費)

「Cost(顧客側の経費)」は、顧客が製品・サービスを購入する際に支払う対価を指し、4Pにおける「Price(価格)」と対になります。

 

金銭的なコストだけでなく、その製品・サービスを購入するために支払った交通費や移動の時間も含まれます。また、購⼊する製品によっては引け⽬を感じるなどの⼼理的な負担が生じる場合もあり、「時間的・心理的・労⼒に関する全てのコスト」を指すのが特長です。

Communication(コミュニケーション)

4Pにおける「Promotion(プロモーション)」と対になるのが「Communication(コミュニケーション)」であり、顧客と企業のコミュニケーション=製品と顧客との接点の部分を指します。

 

マーケティング戦略を成功させるためにはこのコミュニケーションが必要不可欠であり、顧客からの声を受け⽌めるカスタマーセンターなどを設けてもいいでしょう。他にも、対面での営業やイベント、SNSや自社サイトでの発信など様々な手法があります。

Convenience(顧客の利便性)

「Convenience(顧客の利便性)」は顧客が製品・サービスを購入する際の利便性を指し、4Pにおける「Place(流通)」と対になります。

 

製品・サービスを購入する場所や購入にかかる時間、実店舗で販売する際の立地や営業時間、Webサイトにおける製品の見つけやすさなど、顧客視点での購⼊のしやすさを考慮したうえで、流通チャネルを選ぶことが大切です。

MMMのメリット・デメリット

MMMを採用することでメリットを得られますが、一方でデメリットになる側面もあります。以下ではメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

メリット

主なメリットとして次の2点が挙げられます。

マーケティング施策の成果全体を俯瞰できる

MMMでは、複数の施策の相互影響や外部要因などを含めて総合的に分析するため、マーケティング施策全体の成果を把握できるのが大きなメリットです。

 

複数のチャネルを融合させたマーケティング施策が主流となってきた現在、従来の消費者調査やログ分析による施策単体の最適化では対応できなくなっています。

 

現在増加している、オンラインとオフラインを組み合わせた施策を行う企業の場合でも、マーケティング施策を包括的に分析し、俯瞰的な視点から把握できるのはMMMならではの強みといえます。

顧客のプライバシー情報が不要

MMMは内部要因と外部要因のデータをもとに分析するため、顧客のプライバシー情報が不要というメリットもあります。

 

従来のログ分析や消費者調査で分析を行う際、顧客のプライバシーに関するデータが必要不可欠でした。しかし現在は個人情報保護が厳格化しており、顧客の履歴情報などのプライバシーデータを必要としないMMMの注目度は高まっています。

 

改正個人情報保護法の施行などの影響により、今後デジタルマーケティングはCookieレス時代へと進むとも考えられているため、MMMはより一層活用されていくはずです。

デメリット

MMMのデメリットとなり得る側面について、主な3つのポイントを紹介します。失敗を防ぐためにも、採用する際には注意しておくことが大切です。

小規模なマーケティング施策では効果が得られにくい

MMMは小規模なマーケティング施策においては効果を十分に発揮しにくいというデメリットがあります。基本的に一定以上の規模で運用されていることで、有効に機能するとされています。

 

実施した施策や広告予算が限られている場合などの小規模なマーケティング施策では効果が期待できない可能性が高く、その際は各施策を個別に改善していく方が効果的ということもありえます。

 

分析の対象データが十分に蓄積されていない場合は、MMMより適切なアプローチがあるはずなので、導入前に自社のマーケティング規模をチェックしておくことが必要です。

参考にできる事例が少ない

MMMに関する成功事例や実践事例は公開されない傾向にあるため、参考にできる事例が少ないという側面もあります。

 

MMMはマーケティング施策全体の最適化が目的であるため、競合他社に公開できない秘匿性の高い情報を扱っているという特徴があります。参考事例が少ないということは、自社で何度もトライアンドエラーを繰り返して分析の精度を向上するしかないということです。

 

コストがかかる上、根気よく取り組まなければならないという側面があるということを意識しておくといいでしょう。

 

では実際MMMに取り組む際にはどのように進めていけばいいのでしょうか?

MMM分析の進め方

MMMで分析する際の進め方について紹介します。

1. 分析ロジックを決める

まず最初に「分析ロジックを決める、もしくは選ぶ」ところからMMMは始まります。

 

MMMにおける分析ロジックはひとつではなく、「パス解析」「重回帰分析」「共分散構造分析(構造方程式モデリング)」のいずれかのロジックを、目的に合わせて採用します。それぞれのロジックを以下にまとめました。

 

・パス解析:パス図を活用して目的変数と説明変数との関係性をわかりやすく表したもので、目的に至るまでのステップ=変数間の因果関係を想定できる分析ロジックです。

 

・重回帰分析:2つ以上の説明変数で、1つの目的変数を説明する手法です。

 

・共分散構造分析(構造方程式モデリング):目的変数と説明変数間の因果関係の向きや、各要素の比重を分析できます。

 

どのロジックを採用するかによってその後の進め方は変化するため、本記事では一例として「パス解析」という分析ロジックを採用した際の進め方について解説します。

2. 内部要因と外部要因を洗い出す

次に、自社で考案・実施したマーケティング施策である内部要因と、成果に影響を及ぼすと考えられる外部要因を洗い出します。ここで大切なのは、分析の目的に合った粒度で洗い出すことです。

 

たとえばインターネットにて複数の訴求軸の広告を展開している場合、「訴求軸毎の効果の可視化」を目的とするのであれば、「A訴求軸の広告」「B訴求軸の広告」「C訴求軸の広告」という粒度で内部要因を洗い出す必要があります。

 

さらに自社でコントロールできない、成果に大きく影響を与える要因「外部要因」も一緒に洗い出していきます。具体的には、増税や為替変動、気候・災害、大型イベントの開催などです。

 

また競合他社のテレビCMなども外部要因に含まれます。放映されるか否かは自社でコントロールできませんが、分析対象の製品・サービスの成果に影響を及ぼすと考えられるためです。

3. 顧客の購買行動のモデル化

内部要因と外部要因を洗い出したら、顧客の購買行動をパス分析によってモデル化します。

 

顧客の購買行動の有名なモデルである「AIDMA(アイドマ)」に当てはめてモデル化すると、顧客は「製品・サービスを認知する(Attention)」「興味を持つ(Interest)」「欲しいと思う(Desire)」「製品・サービスについて記憶する(Memory)」「購買(Action)」に至ります。

 

顧客の購買行動は製品・サービスによって異なるため、仮説ベースでいいので分析対象に合ったモデルを決定することが大切です。

 

そして顧客の購買行動におけるステップ毎に、最適なマーケティング施策を振り分けてモデル化していきます。ここでは、内部要因・外部要因に漏れがないかをチェックすることが大切です。

4. データを収集する

「2.内部要因と外部要因を洗い出す」で得られたデータを収集します。

 

ここでは出稿量と費用などの各マーケティング施策のデータと、販売数や売上などの成果のデータを収集します。日次・週次・月次単位で分析したいスパンを決め、適切な粒度のものを選定することが大切です。

5. 分析をする

最初に決めた分析ロジックでの分析を行います。

 

パス解析の場合は、パス図に収集したデータを照らし合わせて想定していた成果とのズレを確かめ、成果が得られなかった施策を割り出した上で、予算の配分が適切だったか否かをチェックします。

 

成果を阻害した原因がわからない場合は、より粒度を細かくしたデータを収集し、分析の精度を高めていく必要があります。成果を阻害したのが外部要因だった場合は、それを解消もしくは回避する対策を練ることが重要です。

6. 分析精度を向上させる

初回の分析の精度は低くなる傾向にあるため、その後調整を行いながら分析精度を向上していくことが大切です。

 

想定していたものと異なる結果になった場合は、粒度の設定や予算の分配などを調整した上で再度分析を実行し、その精度が上がっているかどうかを確かめます。精度が落ちる原因が外部要因だった場合はその外部要因のデータを収集して分析対象に含め、もう一度分析を実行した上で精度が向上しているかを確認する必要があります。

MMMを組織で最大限活用するポイント

MMMを組織で最大限に活用していくためのポイントについて紹介します。

「消費者調査」や「ログ分析」との目的の違いを意識

MMMを最大限活用するためには、一般的な「消費者調査」や「ログ分析」との目的の違いを意識することが大切です。

 

たとえば「消費者調査」は、広告等による消費者の購買心理の変化を明らかにできる調査です。広告を放映した前後に調査を行うことで、自社の製品・サービスへの「好感度・認知度・購入意向・第一想起」などの変化を明らかにし、「広告が意図した通りに伝わっているか」「想定通りの反応が合ったか」などを確認できます。

 

しかし、購買心理の変化を明らかにできても、本当に成果が出たのか、どの程度の成果が合ったのかは把握できません。

 

一方MMMは顧客の購買心理の変化には言及できませんが、たとえば「広告の視聴率が3%上がると販売数が100増える」という間接的な、もしくは直接的な効果を明らかにすることが可能です。

 

重要なのは「MMMでできること・できないこと」をそれぞれ理解し、意識することです。マーケティング部門には様々な調査や分析が存在し、それぞれの目的は異なるため、あらかじめ自社の目的や課題解決を明らかにして、最適な分析手法を採用することで効果的な施策を行えます。

MMMの構築に予算・時間をかけすぎない

MMMは精度の高い予測をするものではなく、他のツールやインサイトと組み合わせて利用するものだということを意識することも大切です。

 

あくまで過去のデータなどをもとに分析・推定し、教訓として予算配分を考える際の「補助」として活用します。

 

MMMが100%正しいというわけではないため、MMMの構築に予算と時間をかけすぎず、バランスを考えることが重要です。

内製化、もしくは外部専門家に託し運用は自社で頑張る

自社の広告を一番理解しているのは自社の社員であるため、MMMを活用する際は可能な限り内製化することが理想的です。

 

しかし、最初のフェーズの構築や考え方、情報の扱い方は専門性が高い分野でもあります。

 

そのため導入時から自走できるまでサポートをしてもらい、内製化できる体制を構築することが大切です。アルゴリズムを理解し、自社での運用を続けられるようにしましょう。

 

自社で実施する際は、「広告と統計に関する基本的な知識・経験がある方」「、各種ツールへの実装力やデータ分析に関する知識がある方」がいると心強いです。運用を続けていくことが大切なので内製化した場合でも、外部専門家を依頼する場合でも、継続的な強いコミットメントが必要になります。

見直しやモデル構築を年に数回行う

MMMを実施したら、年に数回分析の見直しやMMMの構築を行ってモデリングをすることをおすすめします。

 

多数の変数を定量化して分析を行うMMMにおいて、外的な経済環境や季節変動など様々な変化があるため、一回モデルを出して終わりではなく、継続的にモデルの精度を向上していくことでより効果的な運用を実現できます。

まとめ

本記事ではMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)について、基礎的な知識から進め方まで網羅的に紹介しました。

 

MMMを導入することで、見落としていた施策の改善や最適な予算の分配を実現し、より効果的なマーケティング施策を実施できます。

 

オンライン化やグローバル化などによる急速な変化は今後も続くことが予想されるため、より一層MMMの必要性は高まっていくはずです。MMMを実施できる環境も整ってきているので、他社と差をつけるためにもできるだけ早いうちから着手することをおすすめします。

 

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