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【#backstage19 レポ①】新技術がもたらす新たな音楽体験と音楽業界の未来

記事公開日:2019/09/19
最終更新日:2023/11/17
【#backstage19 レポ①】新技術がもたらす新たな音楽体験と音楽業界の未来

2019年8月29日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、近年注目を集める体験型マーケティングや体験型イベント、コミュニティ運営のフロントランナーが集まり、カンファレンスやセッションを通じて、その知見を共有するイベント「#backstage19」が開催されました。

エムタメ!では、ユニークなテーマで繰り広げられるさまざまなセッションのなかから、気になる7テーマをピックアップ。その要点をレポートします!

この記事では、株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ 部長 梶 望さんによるセッション「新技術がもたらす新たな音楽体験と音楽業界の未来」 をご紹介します。

登壇者の紹介

同セッションは、株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ 部長 梶 望さんが登壇。

サブスクリプション化が進む音楽業界でのマーケティング手法の変化や、新たな技術による今までにない音楽体験について、宇多田ヒカルさんのプロモーション事例や世界ゆるミュージック協会(音楽弱者に誰でも奏でられる楽器を提供するプロジェクト)などの事例をふまえながら、これからの音楽体験ビジネスの可能性について語られました。

参考リンク:#backstage19公式サイトによる梶 望さんのプロフィール

音楽業界の現状とマーケティング手法の変化

セッションは、参加者へのライブアンケートから始まりました。梶さんからの質問は「マーケティングを考えるとき、まず大切にしなければならないのは“戦術”か“戦略”か?」。

結論として、梶さんは“戦略”がもっとも重要と述べています。音楽業界であれば、マーケティングのゴールはリスナーやファンに音楽を届けること。
「Instagramがはやっているから」「TiKToKがはやっているから」使いたいというような発想は“戦術”の話であって、もっと大切なのは戦略やビジョンを明確にすることだそうです。

また、サブスクリプション化が進む音楽業界の現状についても解説されました。
CDのマーケットは1990年をピークに下がっていますが、サブスクリプション型サービスが普及したことで、ふたたび右肩あがりに復調しはじめています。

日本では、世界に比べてサブスクリプション型サービスの普及が遅れていますが、近年中に日本もサブスクサービスが全盛になるだろうといわれています。
そうなると、これまでのマーケティング手法は通じなくなり、「ゲームチェンジ」が起きます。

梶さん:
●これまでの音楽業界のマーケティングは「音楽を買わせる」手法。
プロモーションのやり方は、CD発売の発表→プロモーション→受注期間→発売→オリコンチャートランクイン。
時間をかけてプロモーションを仕込み、発売日にピークをもってきて、1週間で狩りとるような「狩猟型」。

●一方、サブスクリプション型のサービスは再生単価が安いため、回収期間が長くなる。
そのため、配信開始してから長く愛してもらうことが大切に。
ユーザーの成功体験(楽曲によって励まされた等)を重ね、ブランディングをしていくことが必要。

※このようなマーケティング手法を、梶さんは「農耕型」と例えていました。

宇多田ヒカルさんのプロモーション事例

また、新しい技術を用いた音楽体験については、梶さんが宣伝プロデュースを手掛ける宇多田ヒカルさんのプロモーション事例が紹介されました。

宇多田ヒカルさんは、3年前にソニー・ミュージックレーベルズに移籍したそうですが、ソニグループがもつテクノロジーやソリューションをフル活用し、ソニーならではの新しい体験を提供したいと考えたそうです。

宇多田ヒカルさんのライブ映像をプレイステーション4で体験できるVRコンテンツとして配信した施策では、実際にライブに参加した人からの反響が高かったそうです。
つまり、ライブ会場で同じ空気を味わったという、過去の経験がVRの没入感を高めていると考えられるそうです。

梶さんは、体験マーケティングではテクノロジーが高まるほど、オフラインの価値も高まってくるという気づきがあったと述べています。

参考:PlayStation Japanによる宇多田ヒカルVRのロンチトレーラー

合奏の体験を共有する「世界ゆるミュージック協会」

また「世界ゆるミュージック協会」という、楽器が演奏できない人でも演奏できる楽器をつくろうという取り組みについても紹介されました。

梶さん:
●市場調査で、日本でなにかしら楽器をやりたいという人が人口の6~7割いるのに対し、実際の楽器人口は少なく、楽器を演奏したいという潜在層が多くいることがわかった。

●エンタテインメントが多様化し、10代のなかには音楽にまったく興味がないという層もいる。
これは音楽業界にとっては将来の脅威となる。

このような背景から、よりたくさんの人にみんなと一緒に演奏する楽しさを知ってほしいという想いでこの活動を続けているといいます。

参考リンク:世界ゆるミュージック協会 公式サイト

合奏の体験を共有する「世界ゆるミュージック協会」

まとめ

このように、梶さんは体験マーケティングを行ううえでは、テクノロジーにふりまわされることなく、“戦略”の延長線上にある体験なのか?を考えることがもっとも重要だと説いています。

サブスクリプション型サービスの普及など、マーケティング手法が大きく変わる転換期だからこそ、マーケッターが本質的な“戦略”を建てられるかがカギになることがよくわかりました。

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