【#backstage19 レポ②】実践!1000人規模のプライベートカンファレンスの仕掛け方
最終更新日:2023/11/17
2019年8月29日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、近年注目を集める体験型マーケティングや体験型イベント、コミュニティ運営のフロントランナーが集まり、カンファレンスやセッションを通じて、その知見を共有するイベント「#backstage19」が開催されました。
エムタメ!では、ユニークなテーマで繰り広げられるさまざまなセッションのなかから、気になる7テーマをピックアップ。その要点をレポートします!
この記事では、FORCAS酒居さん、at Will Work松林さん、カンファレンスファクトリー日比谷さんによるセッション「実践!1000人規模のプライベートカンファレンスの仕掛け方」をご紹介します。
登壇者の紹介・なにをやっているか
同セッションは、FORCAS(ユーザベースグループ)マーケティング&ブランディングマネージャー 酒居 潤平さん、一般社団法人at Will Work代表理事/株式会社ストリートスマート代表取締役 松林 大輔さん、そして株式会社カンファレンスファクトリー 取締役 コネクタ 日比谷 尚武さんをモデレーターに迎えて行われました。
近年、これまで大企業や業界団体・官公庁が開催していたような「カンファレンス」をベンチャー企業や小規模なNPO、社団法人が主催するケースが増えています。
ここでいう「カンファレンス」とは、分野やテーマに特化して講演やセッションが行われるビジネスイベントのこと。専門分野の複数のゲストスピーカーが登壇し、講演やトークセッション等を通して、業界関係者同士で知見を共有したり、業界を活性化したりすることを目的としています。
企業が行うイベントとして、展示会やセミナーは一般化されていますが、大規模な「カンファレンス」を主催するベンチャーや社団法人は「どのような狙いで開催し、どのような工夫をし、どのような結果につながっているのか?」。
このセッションでは、カンファレンスを主催した当事者の方々のリアルなお話を聞くことができました。
●酒居さん:BtoBマーケティングツール「FORCAS」のマーケティング&ブランディング部門の責任者。動画メディア『マーケミニッツ!』の編集長を兼任。2019年、国内SaaS業界最大規模のカンファレンス『SaaSway』のオーガナイザーを務める。
●松林さん:クラウドを活用して業務改善・ワークスタイルの改革を支援する株式会社ストリートスマートを運営。その後、テクノロジーの活用の領域を超えたワークスタイルの研究をするために一般社団法人at Will Workを設立。「働き方を考えるカンファレンス2019」では、約650名を集客した。
●日比谷さん:Sansan株式会社に参画し、マーケティング&広報機能の立ち上げに従事したのち独立。PR(Public Relations)の新しいカタチを模索すべく、「PR Table」を社外取締役として創業。企業と個の新しい関係構築を考えるカンファレンス「PR3.0」の企画も支援した。他にも各種コミュニティイベントやカンファレンスを多数開催。
大規模プライベートカンファレンスの費用対効果
ライブアンケートにより、当日の参加者の聞きたいことを募ったところ、「プライベートカンファレンス(企業や団体が主催するカンファレンス)の費用対効果」にもっとも票が集まりました。
これについて、FORCAS酒居さんは「イベントでは収益は出ていない」、at Will Work松林さんは「2年目以降で収支はプラマイゼロくらい」といっています。
酒居さん:
●SaaSwayのイベントでは、収支は持ち出し予算として650万円程度。
●イベント単独での収支は赤だが、リード対効果で考えるとマーケティング投資としてはペイする。
しかし、自分たちがカンファレンスをやっているのは、単なるリード獲得ではなく、SaaSが好きで、業界を盛り上げていきたいというビジョンや世界観を共有したいという想いのほうが強い。
また、顕在化したニーズの刈り取りではなく、マーケット自体を広げる、活性化させるという意図もある。
●カンファレンスを通常のマーケティング施策のように考えて、リード〇件をとって、〇件の受注が見込める・・・などと考えるのは危険。それであれば、通常の展示会やセミナーをやればいいと思う。
●カンファレンスは長期的なマーケティングやビジョンの共有に向いている。
松林さん:
●自社が行ったカンファレンスはコストが3,000万円くらいで、イベント単体の収支のプラマイはゼロ。(イベント企画運営に関わる人件費まで含むと赤字)
ただし、1年目は1,500万円くらい赤字だった。
●収益は、スポンサーからの出資の割合が大きい。チケットの有料化も行った。
●正直なところ実業にはつながっていないが、社会に対する働き方の問題提起についてメッセージを伝えたいという想いが強い。
スポンサーセッションとコンテンツのおもしろさの両立
前項からもわかるように、プライベートカンファレンスの収支において、スポンサー出資は重要なファクターのようです。
しかし、カンファレンスの運営や内容の構成については、スポンサーセッションとテーマに沿ったコンテンツのバランスは気を遣う部分のようです。
酒居さん:
●今回のカンファレンスのテーマの共有を丁寧に行った。
どのくらいリードがとれて、どのくらい受注効果期待できるとかはあまり語らず、日本にSaaSの波を広げていきたいという想いを強く伝えた。
松林さん:
●スポンサー企業は1社だけではないため、1社だけメリットになりすぎないように。手間はかかるが、すりあわせに非常に時間をかけている。
●運営側は大変だが、意見の対立もあえてぶつけることもある。予定調和にしない。
日比谷さん:
●CMのように枠だけ買ってもらい、あとは好きなことをやってもらうのではなく、企画側からどういう話をしてほしいかちゃんと伝えていくことが大切。
集客方法の工夫
最後に、気になるカンファレンスへの集客方法についても意見が交わされました。
今回の登壇者の方々は、主に登壇者の方々によるSNS(FaceBook等)のシェアや、社内の紹介や知り合いからの集客に力を入れているといわれていました。
また、小規模なセミナーを半年ほど前から定期的に行い、最後に大きなカンファレンスに誘導する場合もあるようです。
まとめ
大型カンファレンスを主催する当事者の方々のリアルなお話により、カンファレンス運営のメリット・デメリットを理解することができました。
印象的だったのは、カンファレンスは短期的な施策としてではなく、メッセージの訴求や業界活性化など長期的な施策としてとらえるべきだという意見です。
また、運営・企画の意図を聞くことで、参加者側もこのようなカンファレンスの機会をもっと有効活用していくことが大切だと感じました。
続編イベント
2019年10月23日(水) 19:00~21:30開催
続編!1000人規模のプライベートカンファレンスの仕掛け方
8月29日に開催されたBACKSTAGEでも、多くのカンファレンス主催者のみなさんにご参加いただいた「実践!1000人規模のプライベートカンファレンスの仕掛け方」が大きな反響をいただき、BACKSTAGEでの続編を開催することになりました。
「どのような狙いで開催し、どのような工夫をし、どのような結果につながっているのか?」、、生々しいお話を当事者から引き出しますよ。