スコアリングだけが正解じゃない!今こそ知っておきたいABMの考え方
最終更新日:2023/10/27
こんにちは、ラボブログ編集部です。
リードナーチャリングを強化したい!と考え、MAツールの情報を収集する企業が増えてきています。
しかし、MAという言葉が流行りだし一人歩きするようになってきてしまい、MAツールがあればナーチャリング活動がうまくいく!まずは導入しよう!といった「MAを導入することが目的になってしまっているケース」も増えているのも事実です。
そのようなケースでよく「MAを使ってスコアリングしたい!」というご要望を頂きます。
もちろんせっかくMAを使うのだからスコアリングをと考えるのも当然ですし、スコアリングはホットリードを見つけるための有効な手段の1つです。
しかし、「MAを利用したリードナーチャリング=スコアリング」だけではないことも知っておく必要があります。
対照的な手法としては最近よく聞くABMが挙げられます。
今回はこのABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の考え方、設計方法についてお伝えしていきます。
1.スコアリングとは違うABMの概念
①ABMとは
ABM(アカウント・ベースドマーケティング)とは最近日本でも注目されてきている用語ですが、
「自社にとって価値の高い顧客を選別し、顧客にあわせた最適なアプローチをする」という特に新しい考え方でもなく当たり前の概念です。
ただ、この選別ができている企業が意外に少なく、出来ていたとしてもこれを1社1社行うには非常に工数がかかるため、なかなかうまく運用できている企業がありませんでした。
しかし、MAツールの登場とデジタルの接点が増えてきたことによりこれを自動で行うことができるようになったため、このABMの考え方が今改めて注目されてきているのです。
②スコアリングとABMの違い
リードナーチャリングを強化する上でどういう考え方でMAを使うかということは非常に重要になります。
そのナーチャリングの効果を測る1つの手段としてスコアリングが上げられます。
スコアリングはユーザーの行動に対して点数をつけてその点数が定めた点数までいくとホットリードと認定する方法です。
<スコアリング例>
それに対しABMはユーザーをターゲット条件ごとにポテンシャルとして区分し受注までの流れをステータスとして定めます。
そしてそのステータスとポテンシャルを表にし、現状その表のどこにいるかでホットリードを選別する方法です。
<ABM例>
一見似ているように見える手法ですが、大きな違いがあります。
それは「行動量の合計」と「トリガーとなるアクション」のどちらでホットリードを見極めるかということです。
スコアリングは同じ行動を複数回起こしても点数さえ溜まればホットリードとみなすことが多いため、スコアの溜まり方に偏りが出る可能性がありますが、ABMの概念はステータスで定めた行動をクリアしていかなければホットリードにはなりません。
スコアリングの場合、初期設定(スコアの付け方や点数配分)にかなりの時間とノウハウを要す上に、実行した結果のチューニングも難易度が高いです。
その為BtoBの場合においてはABMの概念の方がユーザーの検討フェーズに近い動きになる可能性が高いと考えています。
2.ABMを行うための3ステップ
では具体的にこのABMを行うためにはどうすればいいかというと、以下の3ステップで進めていくと良いでしょう。
<ABMを行うための3ステップ>
ステップ1:ポテンシャルと見込み度の条件設定
ステップ2:ターゲットにピンポイントでアプローチする
ステップ3:ターゲットのステータス把握
ステップ1では、自社にとって一番良い条件の顧客は何かということを設定します。
ステップ2では、その設定した条件に効率よくアプローチする方法を考えます。
ステップ3では、アプローチしたターゲットが実際にどんな検討フェーズをするのかを把握します。
では具体的にステップ1から解説していきます。
3.ステップ1 ポテンシャルと見込み度の条件設定
ステップ1では、ポテンシャルと見込み度を決めることで自社にとって良い顧客条件を設定することから始めます。
まずはポテンシャルの設定ですが、現在保有しているリードとこれから狙っていくターゲットに対して、
「アツいリード」と「追えばアツくなるリード」と「ターゲット外」の条件を整理していきます。
営業担当とマーケティング担当の認識がずれないように、この条件をすり合せることも大切です。
そのために重要なことがペルソナの設計です。
ペルソナを作成し、そのペルソナを元に自社のアツいと思う条件を上げ、ポテンシャルに設定します。
しかし、設定したポテンシャルが一つだけだとどうしても母数が少なくなってしまいます。
そこで、設定したポテンシャルをAとしたとき、そこから少し条件がずれたリードをBとし、さらにずれたものをC、Dと条件をゆるくするイメージでポテンシャルをランク分けするのも手法の一つです。
<ポテンシャルの設計例>
次に、見込み度の高さを設定していきます。
ターゲットユーザーが皆様の製品を検討する際に、「現在どのフェーズまで進んでいるのか」を把握するための条件です。
例えばセミナーや展示会に来てくれた、デモや資料請求をしたなどは自社の商品に対して何らかの興味があるのでわかりやすい条件になりますが、それだけではなく「自社サイトの事例や価格ページを閲覧してくれた」や「1社から複数の人のアクセスがあった」など様々な「検討している人が起こすアクション」を想定します。
<見込み度の指標例>
この上げた条件に対してもステータス1~5のように段階を分けていきます。
こうして立てたポテンシャルと見込みのランクをマトリックスにし、最もポテンシャルとステータスの高いところまで至った顧客(A-5)を営業に渡してあげることでアツい見込み顧客に確実にアプローチすることができます。
それとは逆に、ポテンシャルの低い部分は営業としてはターゲット外ということになるので、ここは渡さずに活動しないようにすることも大事です。
実際に、自社のWebサイトを訪れるユーザーの82%はターゲット外だという統計も出ているので、ターゲット外ユーザーを営業サイドへ渡さないこともマーケティング担当として重要な役割になります。
では、マーケティング担当者が実際に何を行うかというと、まだまだステータスが低いリードに対してアプローチし、ステータスをステップアップさせることになります。
<ポテンシャル×見込み度のマトリックス>
ペルソナ設計について下記ブログにも詳細情報を載せていますので、こちらも合わせてご確認ください。
ペルソナ設定って?作り方は?~顧客の心動かすマーケティングの基礎~~
4.ステップ2 ターゲットに対してピンポイントにアプローチ
ステータスをアップさせるうえで、まずはポテンシャルが高い、AとBランクに対しての接点を増やすことをお勧めします。
設定したマトリックスの中で仮にA-1.~3,B-1~3のエリアはマーケティング担当がアプローチし、A-4、A-5、B-4、B-5は営業がアプローチすると決めた場合に、それぞれのターゲットに対してピンポイントにアプローチする方法を考えましょう。
ピンポイントなアプローチ方法についてはいろいろなやり方がありますが、もし即効性のある手法が必要であればネット広告を使うと効率的かつスピードも速く実施できます。
ネット広告の中でもさらに、「部署や担当者レベル」まで詳細にターゲッティングしたい場合は「Facebook広告」を、企業そのものに対してアプローチをしたい場合は「企業ターゲティング広告」を使うという手法もございます。
「Faebook広告」は個人が属しているさまざまなカテゴリーに対し、限定して広告出稿ができるので、立てたペルソナに近しいユーザーだけにアプローチすることができます。
またFacebookは実名性が高く、所属企業や職種などの業務情報と個人情報がしっかりと入っているケースが多いため、より正確なターゲットにだけ広告を配信することができます。
次に、「企業ターゲティング広告」ですが、これはDSP広告の応用編になります。
ある程度の規模の企業はそれぞれ企業IPというものを持っています。
そのため、どの会社がどのIPを利用しているかということを特定することが可能です。
そのIP情報で広告配信先を限定し、かつそれをDSPの仕組みと合わせて自社のターゲット企業にのみ広告配信を行うことができるのです。
そのため、ターゲティングした企業を確実に集めることが可能になります。
さらに、すでに接触のあるユーザーのステータスを上げる方法としても広告が活用できます。
「リターゲティング広告」というもので、一度サイトに訪れたユーザーに対して再度広告を発信できる機能です。
BtoBの場合、サイトに1度訪れてその場ですぐに購入するということはあまりありませんので、何度もサイトに足を運ばせてそのサイトの信頼度を上げることも重要になります。
ただ待つだけではほかのサイトへ流れてしまう可能性もありますので、このリターゲティング広告で知らず知らずのうちにサイトにまた足を運ばせることも有効な手段になります。
5.ステップ3 ターゲットとステータスの把握
最後に、ステップ3はどうやってステータスを把握するのかということですが、ここにMAツールを利用します。
MAツールには、まず企業の基本情報を入れていきます。
加えて、その企業(または担当者)がどれくらいサイトに訪れているか、どんなページを見ているかといった行動が自動的に入ってきます。
さらに、営業マンの活動やフォームからの質問回答によって把握した情報を追加していくと、これらの情報をMAツールが一元管理してくれるのです。
こうして一元管理したデータを出すと、ポテンシャル×見込み度のマトリックス表の中に分布されていきます。
現状、それぞれの場所にどれくらいのリードがいるのかがわかるので、それぞれに最適なアプローチを行うことが可能になります。
また、BtoBの場合はポテンシャルに企業の条件が入っていることが多いので、MAの中でも企業IPを検知できたり、企業ごとにアクションデータが蓄積される機能を保有したものがマトリックスを把握しやすいのでおすすめです。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。
このようにMAを活用したナーチャリングを実行する上で、ホットリードをどうやって見極めるかは活用するマーケティング理論によっても異なってきます。
必ずしもスコアリングが最良ではなく他の選択肢もありますので、自社のリードをどのように見極めることで本当のホットリードが見つかるかを一度考えてみてはいかがでしょうか。