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【#野望宣言】マーケと営業の垣根をなくす!CSO直下にマーケと営業を配置することで「顧客視点」と「指名買い」を実現する組織に

記事公開日:2021/01/04
最終更新日:2023/11/20
【#野望宣言】マーケと営業の垣根をなくす!CSO直下にマーケと営業を配置することで「顧客視点」と「指名買い」を実現する組織に

Web業界にいて「ナイル」の社名を知らない人はいないといっても過言ではないほど、SEOで確固たる地位を築いているナイル株式会社
日頃、「ナイルのSEO相談室 (旧:SEO HACKS)」「Content Hub 」のメディアからノウハウを得ているという方も少なくないでしょう。

そんな同社が2020年10月1日付けで事業CSO(Chief Sales Officer)を新設し、新卒入社後8年間デジタルマーケティング事業部の成長に貢献してきた岸 穂太佳氏(@hoda_Nyle)が就任。
セールスと広報PR、マーケティング、インサイドセールスを束ねる岸氏に、組織体制変更の狙いやCSOとしての野望について、話を伺いました。

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岸 穂太佳さん
  • Profile
  • 岸 穂太佳さん
  • デジタルマーケティング事業部 事業CSO(Cheif Sales Officer)

    ナイル入社後、新卒からコンサルを経験し200社以上の実績を作り、営業にジョブチェンジ。2018年にマネージャーに昇格。マネージャー就任後、営業体制を改革、SFAを駆使して営業の効率化を実現、受注率を約3倍に引き上げた実績を持つ。現在は事業CSOとして、広報PR、マーケティング、インサイドセールス、セールスを一貫してマネジメントしながら、主にBtoBの企業に向け提案活動を行う。
    Twitter:@hoda_Nyle

    【ナイル株式会社 デジタルマーケティング事業部が運営するメディア】
    ●ナイルのSEO相談室:https://www.seohacks.net/
    ●Content hub:https://cont-hub.com/

1.CSO立ち上げの背景には「マーケティング部門と営業部門の垣根をなくすため」「顧客体験の向上」「事業の活性化」が

ナイル 岸穂太佳さん

ナイル株式会社 デジタルマーケティング事業部 事業CSO 岸 穂太佳様

マーケティング部門と営業部門の垣根をなくす

CSO(Cheif Sales Officer)とは、CMOの役割をCSOが担い、セールスとマーケティング両方の数字責任を負うポジションとのことですが、まず、CSO立ち上げの背景について教えてください。

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

大きく3つあります。

一つ目が「マーケティング(PR)と営業の垣根をなくすこと」。

いままでマーケと営業が別のユニットで連携が取れていなかったので、今回フィールドセールスを行う「セールスユニット」、広報PR、マーケティング、インサイドセールスを行う「PRユニット」をまとめて、CSOの私が見ています。

ナイル様 組織図
以前は、代表取締役がPRユニットを見ていましたが、今後、インサイドセールスにも注力する中でセールスユニットとの連携を強めしたいという展望が前提にあり、インサイドセールスがリードをセールスにトスアップする際もこの間の垣根はない方が得策だと考え、CSOの管轄にセールスユニットだけでなくPRユニットも組み込みました。
インサイドセールスを、マーケとセールスのどちらにつけるかという議論が起きやすいですがPRユニットにつけた意図は何ですか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

インサイドセールスといっても反響型のみなので、ホワイトペーパーをダウンロードいただいたお客様やマーケティングオートメーション(MA)のスコアリングで上がってきたリードに電話をかけています。
対面で商談するセールスとは違い、インサイドセールスの場合はWeb上のユーザー行動に理解がある人が電話をかけた方が良いと考えているので、PRユニットにいたマーケティングの知識がある人をインサイドセールスに当てています。

顧客体験の向上

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

二つ目が、「顧客体験を良くするため」です。
これまでは、お問い合わせのあったリードに対して、フィールドセールスが訪問していたのですが、決して低額の商材ではないため、お問い合わせボタンを押すのにもけっこうなハードルがありました

だから、お問い合わせに至る前のリードにアプローチすることで検討ハードルを下げることを考えました。
今まで、お問い合わせ後のお客様だけに接していても、お問い合わせするまでにお客様側が社内説得などでどれだけ頑張ってくれているか、といったことが見えにくかった
たとえば、「これから取り組みたいが、上司にどうやってSEOの価値を伝えたら良いかわからない」とか「どう社内を説得して稟議を通して実施したら良いかわからない」というお客様が、実はすごく多いんです。 そこで、この段階のお客様にアプローチして、一度話を聞いてみよう、と。

私としても、そういったお客様にアプローチした経験がなかったので、お客様のニーズを知りたい気持ちがすごく強かったんですね。この段階のお客様のニーズをフィールドセールスへフィードバックする意義も大きいですし、比較検討を行う前の段階のお客様にアドバイスすることで信頼を獲得していき、お問い合わせフォームを通さずともインサイドセールスへつなげてプランニングを行っていこうという戦略を考えました。

ナイル 岸穂太佳さん

インサイドセールスが顧客体験を担い、商談も行っているということですね。

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

ええ。商談は30分間ですが、30分間で話せることって実はすごく多い。だいたい1日1件を私ともう1人で行っています。だから、CSOになった今もめちゃくちゃ現場に出ていますよ(笑)。ただ、商談だけが目的ではなく、お客様のニーズを把握することが本当の狙いです。

事前にお客様のビジネスに関連するSEO調査をして、どのぐらいの伸び代があるかを確認してお伝えもしています。SEOのプロの目から見て、どのくらい伸び代があるかを分析してもらうことは、お客様の一つ判断軸になると思うので。
商談を行ったら、リードから連絡が来るのを待つスタンスですか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

そうです。無理に売り込むことは一切していません。この段階にいるお客様は「どんな選択肢があるのか」、どうやって進めたら良いか」がわからなくて困っていますし、この段階の当社のスタンスとして「売る」ことを目的としていないので、判断スピードや優先度を上げてあげることが信頼につながり、やがて当社のサービスにつながってくると考えているので。
今後のTo Doを明確にアドバイスし、資料提供なども行いながら社内説得を進めてもらって、「方向性が決まったらまたご相談に乗ります」と伝えるのみです。
簡単なスケジュール感なども共有されるかと思うのですが、たとえば、1ヵ月後にリマインドするといったこともなく、連絡が来るのを待ち続けているのですか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

たとえば、検討時期や月内に社内説得を行う予定のお客様には、「うまく進捗していますか?つまずいている点はないですか?」といった連絡はします。ただ、無理に商材を売るといったことはしていません。売り込むフェーズとしては、お客様側の方針が決まったタイミングでフィールドセールスがプランニングを行えば問題ないと考えているためです。
アポ率も高そうですね。

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編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

測ってはいませんが、高いのではないかと思います。人数をもっと増やせばアポがもっと増えるのではないかとも思いますが、まずは土台を整えないと人を増やしてもうまくいかないので、まずは1人で頑張っているPRユニットのメンバーと私の2人で形づくっている最中です。

事業の活性化

ナイル 岸穂太佳さん

3つ目の「事業の活性化」について教えてください。

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編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

簡単にいうと、意思決定のスピードを上げるためです。
新組織体制になって、中間ラインであるユニットリーダーから運用面(COO)・セールス面(CSO)・事業戦略面(CEO)の3人の間で事業の成長戦略・方向性を固められるようになり、戦略立て~実施までのスピード感が格段に向上しました。

あと、当社の売上構成として、新規顧客開拓と既存顧客からのアップセルの2軸でやっているのですが、新規はセールスユニットが担っていますが、既存からのアップセルは運用(コンサルティング)の方がメインで担保しています。なので、組織変更前まで「売上をつくる」対応はセールス・コンサルで謎の垣根がありました。

ただ、今回、私がCSOに立ったことで運用側のCOOとも密にコミュニケーションが取れるようになり、事業部として「売上をつくる工夫」を図れるようになりました。これで、事業全体の売上向上を考えられるようになったんです。
CSOからCOOへのフィードバックには、たとえば、どのようなものがあるのですか?

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編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

運用組織については、コンサル商材だからということもありますが、当社にはCS(顧客満足)専任メンバーがおらず、コンサルユニットが実質、CSも担っている状況です。既存顧客からアップセルを行うには顧客満足度を上げる面と、お客様の事業成果を向上させるための新しい提案を行う2つの面があるため、これら両方ができているかどうかで、アップセルがどれだけ増えるかが決まってきます。これも重要な「営業力」ですね。

ただ、コンサルタントだと、営業経験のないメンバーもいるため「売れそうなタイミング」を感じ取ることが難しい面があります。
わかりやすい例でいうと、決算が近づいているお客様がいたときに、どのタイミングで提案すれば今期、または次期の予算に組み込んでもらえるかといった思考を持てるかも営業力なので、その辺りのアドバイスをCSOとして行っています。

今後は、もっとセールスメンバーをコンサルメンバーと組ませてシナジーを生んでいくこともやっていきたいですね。
当社でもコンサルティングを行っていますが、たしかに、コンサル能力と提案力は別物だと感じます。
ところで、クロスセルというと、どんな商材があるのですか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

SEO分野でいうと、コンテンツ制作が多いですが、今のSEOにおいて重要なのは分析商材です。
いわゆる「集客」についてはSEOで担保できますが、集客したユーザーをコンバージョンまでつなげないと、結果的な事業インパクトは小さく、リターンも少ないため、SEOだけ行っていると、結果的にSEO自体の費用対効果も悪く見えます。

そこで当社では、流入してきたユーザーの転換率を上げるために、分析を専門に行うアナリスト部隊が、お客様の流入状況やサイトのパフォーマンスを定量的・定性的に分析を行う提案をします。
当社では、SEOの集客面だけでなく最終コンバージョンを増やすところまで考え、トータルサポートできることがWebマーケティングのコンサルにおいて本質だと考えております。
PRユニットは、既存顧客に対するミッションも負っているのですか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

ミッションというよりは自発的に行っていますね。
当社では、月次でのお付き合いがあるお客様に、毎月「SEOニュースレポート」を提供していて、海外国内のSEO情報や社内の研究結果をまとめて配信しております。毎月お付き合いいただいているお客様にも、SEOのノウハウを社内に蓄えられるようにしていて、これも顧客満足度向上施策の一つでもあります。

2.マーケティングとセールスでの指標のギャップと摺り合わせ方

マーケティングとセールスでの指標のギャップと摺り合わせ方

もともとマーケティング側とセールス側で指標のギャップはなかった

マーケティングと営業での指標のギャップと摺り合わせ方についてお伺いしたいのですが、まず、指標に関しては組織変更前はどのようなギャップをお持ちでしたか?

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編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

実は、もともと大きなギャップはありませんでした。代表取締役が見ていたときも、マーケと営業の指標のギャップは生まれにくい形になっていました。
一般的に、マーケは「総問い合わせ数」などの指標を置いていて、最終的に「何件のリードを集められたか」を追うと思うのですが、当社の場合はすべて「有効商談」です。マーケ側は次に対応するセールスユニットが求める「有効商談」を置くことで、マーケと営業の溝をあえてなくしています。

当社では、マッチするお客様の条件を設けていて、それに当てはまるものを「有効商談」としています。たとえば、金額感や導入時期、期待値などです。当社としても多くのお客様にご相談いただくことは嬉しい反面、期待値やご予算感で要望の期待に添えない内容もあり、その場合理由をお伝えした上でお断りさせていただくこともあります。
理由は単純で、マッチしない中で無理に契約いただいてもお互いがハッピーになれないからです。
予算感や時期感については、ホワイトペーパーダウンロードやお問い合わせのフォームで項目を設けているのですか?それとも、インサイドセールスがヒアリングした項目?

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編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

両方です。お問い合わせのお客様については、お問い合わせフォームの入力、後は、フィールドセールスの一時対応でのヒアリングです。

インサイドセールスが対応しているお問い合わせ前のお客様の場合、検討中の段階なので、金額感が変わることはよくあるため、細かいヒアリングはフィールドセールスが行います。
インサイドセールスは、お客様の方から「ナイルさんの商材について、話を聞いてみたい」と言われて初めて有効商談化するので、インサイドセールス側の役割は、ナイルの商材理解と信頼獲得なのです。つまり、アポイントを獲得した段階ではリードになる前段階なので有効商談にはしていません。

有効商談化フロー
それでは、本当にインサイドセールスは「マーケ」ですね。

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編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

はい。あと、マーケの仕事を「リードを取ってくるだけ」にはしたくないんです。営業との境目を作る必要もないので、将来的には両方とも考えられるチームにしたいと考えています。
実は私自身、昔はナイルでマーケティングのコンサルをやっていたんですよ。本当は、営業をやりたくなくてコンサルとして入社したんですがね(笑)。二転三転して営業に異動になり、営業で成果を残して営業のマネージャーになって、今に至るという(笑)。営業もコンサルも経験しているので、マーケ側の気持ちもすごくよくわかります

マーケティング部門と営業部門でのギャップは「現場でのコミュニケーション増」で摺り合わせる

ナイル 岸穂太佳さん

なるほど。指標のギャップは変わらないとはいえ、それぞれの部門間で認識のギャップは多少なりともあったと思うのですが、それら埋めるために実施された施策はありますか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

現場のマーケと営業のコミュニケーションを活発にすることを意識しています。その部分に関しては、特に指標などは置いていません。最終的に、社内の皆が「営業もマーケも一緒だ」と思ってくれれば良いなと。今は役割としてポジションを分けていますが、「基本的に同じチームだよ」という話はしています。

今回、マーケ担当者を営業部に配属した背景も、営業メンバーには詳しく伝えてチームを構成しました。マーケのことを理解していることもあり、特にその時に反対する人はいなかったですね。今では、マーケ担当者にも営業部のミーティングに参加してもらったり、営業部からマーケ担当者への要望を伝えたり、逆も行ったりと、現場でのコミュニケーションを増やしてお互いのギャップを埋めてもらすように努めています
マーケ担当者が営業ミーティングに出ることで、有効商談の条件などはブラッシュアップされていますか?

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編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

「有効商談の定義」といったテーマでのディスカッションはけっこうな頻度で行っています。たとえば、金額感が合わないお客様(リード)でも、定期的に追い続けるうちに予算が増えてマッチするようになることがありますが、こういったことはインサイドセールス側に携わっていないとわかりません。

ただ、ナイルでは、当社だけのサービスで完結させようとは考えていなくて、パートナー企業が提供するサービスと連携したりもするので、金額よりも「Webマーケに対してどのくらいの熱量で行えるのか」を見ています

つまり、SEOといった集客面の改善だけでなく、Web全体を強めていきたいと本気で考えているのか?というところです。そこが、ナイルが一番バリューが発揮できるポイントだからです。
たとえば、BtoBのお客様で「コロナ禍でアナログな営業ができなくなってWeb回りを本当に強めていきたい」というケースも多くあります。その場合、現状の体制や事業状況を確認し、全体でどれくらいマーケ予算として投資いただけるかをヒアリング・交渉した上で熱量を測ります。

もし、お取り組みが可能な場合、Webの強化に必要なソリューションを上流から設計します。Webマーケティングは中長期的にPDCAを回して継続して行うことが条件となるため、短期・中長期で出る効果をフェーズとして分けて設計し、お客様の社内でも「始めたばかりだけどナイルに投資して良かった」と感じてもらえる工夫をしています。

この辺りの「有効商談の定義」は2021年からマーケティングの知見を活かして、もっと定量的に分析できるように準備しているので、またどこかでお話できればと思います。
なるほど。CSO自らお客様と話をされて、温度感を測っていらっしゃるのですね。
CSOを立ち上げられてから、営業側での改善点はありましたか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

まだこれからですね。立ち上げから16日くらいしか経っていないので。
ただ、問い合わせ前のニーズがわかってきたので、早速、マーケ担当者と新商材を開発しました。インサイドセールスでの反応が良かったら、営業からもアプローチしてもらう予定です。
新商材をインサイドセールスで売るんですね!

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

はい。トライアルとしてインサイドセールスで売り切ろうと。クロージングについてはインサイドセールスと私で担当しています。
CSOである岸さんが「成功の型」を作って、普及されるというのはスマートですね。

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

そうですね。ただ、トップダウンになってしまうので営業メンバーはどう思っているかわかりませんが。もちろん、営業メンバーには事前に、新商材を創ったことは共有しているので、突然、新しい商材が降ってくるという感覚は出ないかと思います。
新しい商材や取り組みは率先して行い、そこでベストプラクティスを私が作って営業メンバーに展開するという方法はこれまでも多かったですね。

あと、少数精鋭の営業メンバーで構成しているのでリソース面も限界があります。なので、新しいことに取り組んでもらうよりも既存の商材の最大化や提案の質を上げることに注力してもらい、売上の最大化を目指しています。
私が永遠にインサイドセールスの現場にいるわけではないので、ノウハウをどんどん引き継いでいって、徐々にインサイドセールスを拡大していけたら良いなと思っています。

3.事業成長のための人事考課づくりは、「能力評価」と「行動評価」の2軸で

ナイル 岸穂太佳さん

今後、インサイドセールスを拡大していくに当たり、人事考課の作り方、人材評価について、どのように考えていらっしゃいますか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

会社として人事評価の大きな軸に「能力評価」と「行動評価」の2つがあり、CSOとしてもここを見ています。当社では、OKRを導入しているので、それも加味します。OKRは定量的な数値で目標を達成したかを見ますが、達成しなかった場合でもプロセス面も併せて評価します。これが行動評価ですね。
なるほど。PRユニットの場合、OKRの指標が「有効商談数」で、それを達成することが「能力評価」で、達成するために行ったプロセスが「行動評価」ですか。

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

そうです。PRやマーケの人事評価に関しては、定量的な指標だけでなく取り組みや施策のアプローチ、その結論を出すまでの思考も見ています。
また、結果を評価する際は、短期的(一時的)に成し遂げたものなのか、それとも中長期的に成し遂げられるスキルなのかを見るようにしています。重要なのは後者なので、半期や四半期の行動からどう成長したのか、今後どう活かせるのかを考えます。
マーケは、成果が営業の指標として出ることで「評価されない」と、もどかしい思いをするケースが多いですが、その方法なら納得できますね。

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

そうですね。最悪の場合、自分が動いて受注するという能動的な行動もできるので。コントロールできない部分を指標にするのは微妙だなと思っています。コントロールできる要素を作ってあげることで、メンバーは積極的に取り込めば行動評価につながるし、ひいては目標達成にもつながります。

マーケがインサイドセールスを担うことで、セールスとの垣根もなくなりました。もともと代表取締役が見ていた時代から本質を捉えていたので、商談の質も重視していたのが良かったのだと思います。

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4.【今後の展望】目的は「指名買い」を増やすこと、意識しているのは「顧客視点」

ナイル 岸穂太佳さん

まだ、組織変更したばかりだとは思いますが、今後取り組みたいと考えていらっしゃる改革について教えてください。

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

マーケ側で取り組みたいのは「広報・PR」です。外部メディアへの露出やイベント登壇のほか、社内にタレント社員を作り、まずは「SEOならナイルの〇〇さん」と言ってもらえるようなメンバーを輩出したいですね。
ナイルさんはすでに業界での認知度が高いので、今後はビジネスパーソン全体での認知度を高めていきたいということですね。

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

ええ。マーケター向けの媒体はもちろん、ビジネスパーソン全般へ向けて、今後はSEOだけでなく「Webマーケティング」の会社として認知度を高めていきたいです。SEO色が強くはありながらも、上流設計から分析、コンサルティング、コンテンツ周りも提供できるようになって数年経つので、そろそろ「SEOのナイル」から転換したいなと。その部分も含めて広報PRに注力していきたいです。
独自性として打ち出しているものはありますか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

顧客視点」ですね。全員が顧客視点を意識して動いています。
たとえば、コンサルティングを行う上でもクライアントの先のお客様のことまで考え、Webサイトの中身も含めて設計を行い、訪れたユーザーにとって使いやすいWebサイトを作るようにしています。なおかつ、検索されたら上位に表示されやすいものを目指します。なので、ユーザーヒアリングなどは、けっこう泥臭く行いますね。
順位だけでなく、サイト内の顧客体験が良ければ、ユーザーはそのWebサイトのファンになってくれるので、最終的なコンバージョンにもつながりやすくなりますし。

このような顧客視点を持ってコンサルティングを行っている事実についてはあまりうまくPRできていないので、これから打ち出していきたいですね。

最終的には「指名買い」を狙っていくことと、マーケとセールスの掛け算ができる組織に育てたいです。垣根をなくした上で、マーケも営業ができないといけないし、営業もマーケできないといけない組織を作りたいと思っています。
マーケが営業のことをわかっていると、有効商談を取りやすくなると思うのですが、営業もがマーケのことをわかっていると、どんな効果が期待できますか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

「受注を取る」ことにフォーカスするのではなく、「顧客視点」で提案を行う中でお客様の課題を解決できるコンサル営業になっていくと思います。マーケができるということは、お客様の課題解決ができるコンサルができるということにつながります。私自身の経歴もそうですが、現在の営業メンバーで営業畑しか経験していない人はいないんです。私がコンサルから引き抜いたからなんですが(笑)。
当社が扱うのがパッケージ商材ではないため、お客様の課題に合った商材がわかっていないと提案できないんですね。工数はかかりますが、お客様の事業成長に一番合ったソリューションを提供できるので、その価値があると思っています。

また、問い合わせして初めて営業が出てくるのではなく、その前に営業マンを知ってもらっていることで「この営業マンが良い」と指名されるのが理想です。そのためにも、営業も外への発信を強めていきたいと考えています。
PRユニットのOKRの指標は「有効商談」だと思っていましたが、岸さんが見ている全体が追っているのが「顧客体験」となると、指標は「NPS」などですか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

NPSは設けていないですが、代わりに運用側(コンサル)では契約のリピート率を指標としています。定量的な満足度はまだ測り切れていないのですが、極端な話、「ナイルは微妙だけど、契約を続けよう」というお客様はいらっしゃらないと思うので、近しい指標としてリピート率は見ています。

運用部門の指標ではありますが、ひいては既存のアップセルにもつながるので、結果的な売上につながってくるわけです。なので、運用側の指標であっても結局は全員が関与しないといけないということですね。

CSOとしてのミッション・指標

CSOとしてのミッション・指標

岸さんご自身のCSOとしてのミッションの指標には、どんなものがありますか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

売上の最大化が一番のミッションなので、細かい指標としてはYOY(year over year/前年比)で掲げているOKRの目標を達成することです。プロセスや方法については私自身が考えるという感じです。

まずはリードの母数を増やすことに着手しましたが、次はロイヤルカスタマーのヒアリングを行って追加提案の方向性を考え、課題に対して既存アップセルを増やすことに注力したいと考えています。
オウンドメディア以外のリード獲得チャネルとしては、何があるのですか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

当社の場合、メディア7割、紹介3割なので、現状ではメディア経由がほとんどです。
ただ、7割とはいえ、ターゲット層とのマッチ度でいうとまだ満足できない部分もあります。もう一つ強靭なチャネルを持ちたいというのも、広報PRを始めたきっかけの一つです。広報PRはほとんどやってこなかったので伸び代はあると思っています。広報PRでの効果が出てくればオウンドメディアとのシナジーも出てくると期待していて、最終的にどのチャネルから問い合わせが来ても良いと思っています。
CSOとして、最終的に目指している姿は、どのようなものですか?

エムタメ!
編集部

ナイル 岸穂太佳

ナイル
岸さん

ナイルを指名してくれるのが理想です。この業界は競合が多いのでコンペになるケースが多いですが、当社は営業部門の人数が他社と比較して少ないです。他社様だと何十名、何百名ともいるところが、ナイルは少数精鋭で4名しかいません。その中でコンペ案件が多いと失注リスクや工数が増え、売上の最大化は難しくなります。

もちろん「コンペをやりたくない」ということではなく、できることならファンになってくれたお客様とご契約させていただく方がWin-Winだと思っているので、マーケ・広報周りを強化し「ナイルさんでお願いします!」と言ってもらえる状況を早く作りたいです。

広報回りで行っている「Twitter道場」もその一環で、いろんな人にナイルの良さを知ってもらい、最終的には指名してもらうことを目指して運用しています。

株式会社ナイルの関連リンク

ナイル流SEO資料 ダウンロードページ:https://www.seohacks.net/ebook/4377_form/

コーポレートサイト:https://www.seohacks.net/

ナイルのSEO相談室:https://nyle.co.jp/

Content hub:https://cont-hub.com/

CSOとしてのミッション・指標


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