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「Girls Marketing Collection 2019」レポート 第一回 カンファレンス「インフルエンサーと体験コンテンツがもたらす魅力とは」

記事公開日:2019/07/24
最終更新日:2023/11/20
「Girls Marketing Collection 2019」レポート 第一回 カンファレンス「インフルエンサーと体験コンテンツがもたらす魅力とは」

マーケティングに携わっている方なら一度は「F1層、M1層」といったセグメントを耳にしたことがあるでしょう。たとえば、F1層(Female1)は20~34歳の女性、T層(Teenager)は13~19歳の男女を表します。ただ、このセグメント手法はもう古いともいわれています。

BtoCマーケティングにおいては、インフルエンサーマーケティングをはじめとするSNSを活用したマーケティング手法が大きなトレンドともなっています。そして、SNS上でのトレンドのカギを握っているのが、従来のセグメンテーションでは区分できなかった「13~24歳までの女性」という層です。

このセグメントにスポットを当てたマーケティングセミナー「Girls Marketing Collection 2019」(主催:株式会社宣伝会議)が、2019年6月24日(月)、宣伝会議本社セミナールームにて開催されました。 「エムタメ!」では、当セミナーからの二つのカンファレンスの様子をレポートしていきます。

第一回は、国内最大級のMCN(マルチチャンネルネットワーク)であるとともに、クリエイターサポート、インフルエンサーマーケティングを中心に事業を展開し、HIKAKINやはじめしゃちょーなどの人気インフルエンサーが多数在籍するUUUM(ウーム)の執行役員 市川 義典氏による「インフルエンサーと体験コンテンツがもたらす魅力とは」の模様をお送りします。

【関連記事】

インフルエンサーマーケティングで得られる効果とは?

市川 義典氏(UUUM株式会社 執行役員)

市川 義典氏(UUUM株式会社 執行役員)

市川氏は「個人がメディアに出演する時代」から「個人がメディアになる時代」へと変化しているといいます。実際に、数百万人規模のフォロワーを持つインフルエンサーが現れており、メディア一つが抱える読者数に匹敵するというのがその理由です。

UUUMがサポートしているインフルエンサー数だけでも、動画クリエイターが 約7,500チャンネル、Instagramのインフルエンサーと企業をつなげる同社のプラットフォーム「LMND(レモネード)https://lmnd.jp/」に約3,000人が在籍し、それぞれが個性を持ったクリエイターであるため、さまざまな企業のニーズに合ったプロモーションに活用できるベースが整ったといえると述べました。

インフルエンサーの活動

当日の登壇資料より引用

クリエイティブの配信先も、YouTube、InstagramのほかTikTokやTwitter、ブログなどと幅広く対応可能だといいます。

インフルエンサーの効果について、同社と電通が共同で調査した結果が以下のグラフです。

インフルエンサーがもたらすもの

当日の登壇資料より引用

縦軸が「信頼性」、横軸が「信望性」となっており、インフルエンサーは信頼性も信望性も高いエリアに位置しています。比較対象の一例としてテレビは、信頼性が非常に高く信望性はやや低いエリアに位置しています。

【調査結果】

  • 購買プロセスにおいて、自分に合うという「親和性」の重要性が高まっている。
  • インフルエンサーに対しては、個人の親しみや共感を意味する「信望性」を感じている。
  • インフルエンサーの「信望性」は、その活動の内発性や本音感に支えられている。

現代のプロモーションにおいては、「信望性」が重要になってきていると市川氏は強調しました。

インフルエンサーマーケティングに取り組むべき理由

市川 義典氏(UUUM株式会社 執行役員)

市川 義典氏(UUUM株式会社 執行役員)

インフルエンサーマーケティングの指標としても「リーチ数」などがありますが、過去の実績よりも「ファンとユーザーとの距離感」でインフルエンサーを選んだ方が良いと市川氏はいいます。結果的に効果も上がるのだそうです。

ユーザーに行動させるためのコミュニケーションプランとして、トリプルメディア戦略の進化版「OESP」に取り組む企業様も多いでしょう。

【メディアの種類:情報の種類・効果】

  • オウンドメディア:メッセージ
  • アーンドメディア:共感
  • シェアードメディア:体験
  • ペイドメディア:きっかけ

市川氏は、まだまだ「オウンドメディア」と「ペイドメディア」の2メディアに始終してしまう企業様が多いなかで、これら4つのメディアを循環させることで初めて効果が上がるといいます。
先述の調査結果からも「アーンドメディア」と「シェアードメディア」の施策に注力することが重要だと強調しました。

さらに、インフルエンサーマーケティングはマーケティングファネルのすべてを網羅し、あらゆる施策にあてはめられるといいます。

インフルエンサーマーケティングはどの施策にあてはめるのか

当日の登壇資料より引用

改めて「インフルエンサーマーケティング」とは?

インフルエンサー→影響力のある人

当日の登壇資料より引用

 

市川氏の定義によれば、インフルエンサーマーケティングとは「周囲に影響力のあるクリエイターに対してブランドエンゲージメントしていく施策」。
インフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサー(影響力のある人)が、体験をしたうえで情報伝達を行うことであり、ユーザーとの距離感が近い人が情報発信することで「ヒト・モノ・カネ」の経営資源が動くと市川氏はいいます。

かつて「口コミマーケティング」や「バイラルマーケティング」、「Web2.0」とよばれていたものと本質は変わっておらず、インフルエンサーがファンたちとのコミュニケーションを行ううえで情報を投げかけ、ユーザーを動かすのがインフルエンサーマーケティングなのだと解説しました。

また、インフルエンサーマーケティングのメリットは、投稿されたクリエイティブが半永久的に残ることだといいます。多くの広告が、契約の打ち切りで掲示されなくなるのに対し、インフルエンサーマーケティングでは基本的に一度投稿されたコンテンツは削除されないのだそう。
SNSのプラットフォーム上で検索され続け、ユーザーの目に触れる機会が増え、新しいファンを醸成するきっかけとなる可能性を持つ点がほかのプロモーションにはないメリットだと強調しました。

インフルエンサーマーケティングの具体的な手法と評価

インフルエンサーマーケティングの具体的な手法と評価

当日の登壇資料より引用

インフルエンサーマーケティングを成功させるためにまず重要なのは「インフルエンサーについて知ること」だそうです。マーケターが多くのプロモーションにおいて媒体のユーザープロファイルなどのリサーチを怠ることはまずないのに対して、インフルエンサーマーケティングとなると行わないケースが多いと指摘しました。

少なくともインフルエンサーの得意なジャンル、フォロワーの属性・信望についてはチェックする必要があり、この3点を押さえることによって自然とクリエイティブの方向性が定まることも多いといいます。

そのうえで、クリエイターの特性を活かした体験・共感・衝動を伝えられるクリエイティブについてディスカッションするという手順で進めると解説しました。

市川 義典氏(UUUM株式会社 執行役員)

市川 義典氏(UUUM株式会社 執行役員)

評価方法については、確固たる指標というものは存在せず、クライアント企業の抱える課題に対してKPIを設定し、指標を決定するといいます。

どこを指標にするのか

当日の登壇資料より引用

具体的な指標としては、

  • インプレッション数
  • リーチ数
  • 再生単価
  • CPE
  • CPB
  • 販促物制作単価
  • 広告換算

のなかから最適なものを選びます。

特に、投稿にリンクを貼れないためWebサイト誘導しづらいInstagramでは、CPE(Cost Per Engagement…1エンゲージメントあたりの広告コスト)とCPB(Cost Per Brandlift…態度変容一人あたりの広告コスト)を指標とするケースが多いそうです。

SNS上で検索を行うという文化に関して、Instagram社における調査結果ですが、日本ユーザーは世界平均の3倍も検索しているそうです。

Trend 普段PFで調べること

当日の登壇資料より引用

マーケティングにInstagramを活用する場合は、ハッシュタグの工夫が非常に重要になるといえそうです。

市川氏は、このことからも特にInstagramにおいてSNSマーケティングに取り組むメリットとして、コンテンツがSNSプラットフォーム上に残り続ける点の優位性についてふれ、インフルエンサーマーケティングを行う際は、キャンペーンなど単発的な施策よりも継続的な施策で複数の投稿を行い、コンテンツをアセット化することの重要性を強調しました。

インフルエンサーコンテンツのアセット化

当日の登壇資料より引用

インフルエンサーマーケティング(Instagram)の成功事例紹介

最後に、同社で運営する、Instagramのインフルエンサーと企業をつなげる同社のプラットフォーム「LMND(レモネード)」における成功事例が紹介されました。

Instagramにおけるインフルエンサーマーケティングというと、インフルエンサーが商品と一緒に写っている写真をイメージしがちですが、LMNDで提供するタイアップでは、インフルエンサー自体を写さない手法も多いといいます。例として、インテリアと旅行ジャンルの投稿が取り上げられました。

LMND(レモネード)

当日の登壇資料より引用

LMND(レモネード)

当日の登壇資料より引用

つづいて、同社が手がけたタイアップの成功事例がいくつか紹介されました。そのなかからとくにGirlsをターゲットとしている事例を以下にピックアップします。

松屋銀座(幸福のブタチョコレート)

バレンタイン商戦に合わせた商品「幸福のブタチョコレート」とのタイアップ事例です。

「いいね」獲得数の上位10投稿のうち、サービスカラーのライムグリーンのアイコンがついている投稿がLMND上から投稿されたもので、1位は18%超の高エンゲージメント率を叩き出したといいます。

このほか、インフルエンサーマーケティングを実施していなかった2017年と比較して、「#松屋銀座バレンタイン」付きの投稿数が6件から135件へ、「いいね」獲得数が1,330件から3万7,697件と2,834%向上し、商品400個が完売という成果があったといいます。

THE BODY SHOP

ブランディング広告をInstagramのフィード広告のほか、クリエイターアカウント上で広告配信を行った事例です。

成果として、CTRがフィード広告と比較して200%向上したそうです。

THE BODY SHOP

当日の登壇資料より引用

クラシエホームプロダクツ(ラメランス、ミュオなど)

クラシエホームプロダクツのスキンケア商品を、プロダクトプレイスメント(ドラマのなかに商品を小道具として登場させる広告手法)形式で動画制作し、Youtube上でプロモーションした事例です。複数の商品×複数のクリエイターで動画を制作・公開されました。

成果として、タイアップ動画であるにも関わらず、290万回、262万回といった高再生回数を記録したそうです。

成功の理由は、クライアント企業側がクリエイティブに関与せず、クリエイターに任せた点が挙げられていました。口出ししないことで、フォロワーとの距離感が近い動画が完成したとのことです。

クラシエホームプロダクツ(ラメランス、ミュオなど)

当日の登壇資料より引用

まとめとして、

  • 個人がメディア化しているため、個人(インフルエンサー)を知る必要がある
  • 信望(信用と人望)を考えたクリエイティブの制作

上記2点がクリアできて初めて、商品・サービスの魅力が伝達し、ユーザーの行動を促進させられることを強調し、カンファレンスは幕を閉じました。


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