クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは?素材探しに便利な海外画像サイトの活用法
最終更新日:2023/10/26
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは、著作物の適正な再利用の促進を目的として活動している「クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons、略称:CC)」という国際的非営利団体が策定した一連のライセンスのことです。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、アイコンを用いて著作物ごとにライセンスの範囲を表示して使用します。この表示により、法律家でなくても著作物の利用条件が明確になります。また、使用の都度、著作者に許諾のやり取りを行う手間も省け、著作者にとっても作品の利用者にとってもメリットがあります。
本コラムでは、素材探しに悩むクリエイターやマ-ケターのために、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの概要を解説し、ライセンス範囲内で自由に利用できる海外の画像サイトを紹介します。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは、国際的非営利団体であるクリエイティブ・コモンズ(Creative Commons、略称:CC)が策定した一連のライセンスのことを指します。
CCは、著作物の適正な再利用の促進を目的として活動しており、著作者が「著作物の再利用を許可する」という意思表示を手軽に行えるようにするために、さまざまなライセンスを策定。普及を図っています。
著作者は、CCライセンスを利用することで、著作権を保持しながら著作物を自由に流通させることができます。一方、著作物の利用者はライセンスの範囲内で再配布などを行うことができます。
また、作品の使用に当たり、双方が許諾に関するやりとりを省略できるというメリットがあります。
権利の種類と表示方法
クリエイティブ・コモンズJAPNはいくつかのアイコンを提供しています。アイコンを組み合わせてCCライセンスを表示します。
アイコン表示により、法律家でなくても一目でその著作物の利用条件がわかるようになっています。
以下で、主要なアイコンと、表示についてご紹介します。
CC(クリエイティブ・コモンズ)
クリエイティブ・コモンズのライセンスであることを示すアイコンです。
BY(表示)
作品の複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、クレジット(「Ⓒ 著作権者の名前 公表年」の3点)を表示することを求めるアイコンです。
NC(No-commercial/非営利)
作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、非営利目的での利用に限定するという意味のアイコンです。
なお、海外では以下のようなアイコンが使われます。
SA(Share-alike/継承)
複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、元の著作物を改変・変形・加工したものについても、元の著作物と同じライセンスを求めるという意味のアイコンです。
ND(No-deriv/改変禁止)
複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、元の著作物のいかなる改変も禁止するという意味のアイコンです。
Public Domain(パブリックドメイン)
パブリックドメイン(著作権保護が終了したり、権利が放棄されている状態)を示すアイコンです。
Zero
権利者が自分の著作物を自発的にパブリックドメインにする場合、その意思を表すアイコンです。
Sampling+
現在は使用されていないアイコンで、かつて、非営利・営利目的に関わらず、サンプリングやリミックスなどのクリエイティブな方法で改変することを認めるという意味で使用されていました。
上記のアイコンのなかで、著作物を利用するためのアイコンは「BY(表示)」「NC(非営利)」「ND(改変禁止)」「AS(継承)」の4種類。これらを組み合わせてできるCCライセンスは以下の6種類となります。
CCライセンスの6つの表示方法
1.表示
著作物のクレジットを表示することを主な条件とし、改変も営利目的での二次利用も許可されるライセンス。もっとも自由度が高いCCライセンスです。
2.表示—継承
著作物のクレジットを表示し、改変した場合には元の作品と同じCCライセンス(このライセンス)で公開することを主な条件に、営利目的での二次利用も許可されるCCライセンスです。
3.表示—改変禁止
著作物のクレジットを表示し、かつ元の作品を改変しないことを主な条件に、営利目的での利用(転載、コピー、共有)を許可するCCライセンスです。
4.表示—非営利
著作物のクレジットを表示し、かつ非営利目的であることを主な条件に、改変したり再配布したりすることを許可するCCライセンスです。
5.表示—非営利—継承
著作物のクレジットを表示し、かつ非営利目的に限り、また改変を行った際には元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開することを主な条件に、改変したり再配布したりすることを許可するCCライセンスです。
6.表示—非営利—改変禁止
著作物のクレジットを表示し、かつ非営利目的で、元の作品を改変しないことを主な条件に、作品を自由に再配布することを許可するCCライセンスです。
作品に上記の表示をつけて公開することで、著作者は著作権を保持しながら作品を流通させることができ、利用者は著作権侵害の心配なく、また、使用のたびに著作者に許諾を得る必要がなく、作品を利用することができます。
トラブルを避けるために
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの作品を利用するにあたり、上記の表示を覚えて条件を守って使用すれば著作権を侵害することはないでしょう。
ただし、細かい注意点もいくつかあるため、以下でご紹介します。
著作者がライセンスを付与しているとは限らない
現状では、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを本当の著作者が付与しているのかどうかを確認する手段はありません。著作者ではない人物が表示を行っていて、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに従って使用したとしても著作者侵害をしているケースもあり、場合によっては、損害賠償責任を負う恐れがあるということです。
公開されているWebサイトの信頼性などから、著作者ではない人物がクリエイティブ・コモンズ・ライセンス表示を行っている可能性があると判断される場合は、使用を避けましょう。
写真に写り込んでいる人物の肖像権は?
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス表示がついている写真の作品を使用する際、その写真自体の著作権は表示に従って使用すれば問題ないのですが、人物が写っている場合、その人の肖像権はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの範囲外となります。場合によっては、肖像権侵害となることもあります。
現米国法での「非営利」とは?
厳密にいうと、現米国法では、金銭授受が発生しないファイル共有やオンラインでの作品交換も「商業利用」とみなされます。ただし、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにおいては基本的に「非営利」扱いとされます。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの画像を探せるサイト
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが理解できると、許可された範囲内で個性的でバラエティーに富んだ作品を素材として利用することができます。
ここでは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの画像を探せるサイトをご紹介します。
特に、SNSやオウンドメディアに掲載する画像素材に困っているというマーケターの方におすすめ。フリー素材しか利用してこなかったという方には一見の価値があるでしょう。
Creative Commons
画像引用:Creative Commons
クリエイティブ・コモンズの公式サイトで、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス作品を検索することができます。画像のほか、音楽、動画なども検索できます。
Wikimedia Commons
画像引用:Wikimedia Commons
Wikimedia Commonsは、ウィキペディアの姉妹プロジェクトで、誰でも自由に利用できる画像・音声・動画を提供しています。
コンテンツのライセンスには、CCのほかGNU Free Documentation License (GFDL)が採用されています。
Compfight
画像引用:Compfight
写真共有のコミュニティサイト「Flickr 」にアップされているCC画像の検索結果を見やすく表示してくれるサイトです。
まとめ
少し前までは、Webサイト上のテキストや画像といった著作物の使用について、ルールが明確ではなく、大小さまざまな問題が起きていました。
CCライセンスは、インターネット時代のクリエイティブ活動を促進するライセンス制度だといえるでしょう。
フリーの画像サイトも増えてきましたが、自分が良いと思う画像は他人も良いと思うもの。どうしても、どこかで見たことのある画像ばかりになってしまいがちです。
ライセンス表示の意味を覚えて、CCライセンス素材を上手に活用しましょう。