MRR(Monthly Recurring Revenue)とは?月間経常収益がSaaSビジネスのKPIに
最終更新日:2023/10/26
MRRとは、Monthly Recurring Revenue(マンスリー・リカーリング・レベニュー)の頭文字を取ったもので、日本語では「月次経常収益」と表現されます。意味は、毎月、繰り返し得られる収益(売上)のことで、MRRの変化を追うことで、ビジネスの成長率を測ることができます。
今回は、最近、注目を浴びているMRRを指標とする意義や計算方法などをご紹介します。
MRR(Monthly Recurring Revenue)とは?
MRR(Monthly Recurring Revenue/マンスリー・リカーリング・レベニュー)とは、毎月、繰り返し得られる収益(売上)のことで、日本語では「月次経常収益」といいます。
SaaSの普及やサブスクリプション型の商品・サービスが増えてきたことで、注目されるようになりました。サブスクリプション型ビジネスにおいては、MRRがKPIの一つに設定されます。特に、創業期の成長フェーズにある企業にとっては、MRRの推移をみることでビジネスの成長率を判断できるため、重要な指標となります。
年間契約のスポーツジム会員など、解約しない限り、毎月、支払いが発生するようなビジネスでは、提供企業側にも毎月、継続的な収益が見込めます。こういったビジネスモデルは、サブスクリプション型ビジネス、ストック型ビジネスなどとよばれます。
MRRには、契約月のみ発生する初期費用や、突発的に発生する修理費用などで得られる収益は含みません。
MRRは、①New MRR、②Downgrade MRR、③Expansion MRR、④Churn MRRの4種類あります。
①New MRR
New MRRとは、新規顧客からもたらされるMRRのことです。特に、創業期の企業で重視すべき指標です。
②Downgrade MRR
Downgrade MRRとは、既存顧客のなかでも下位のサービス・商品への変更によるダウンセルで取引額が減った顧客から得られるMRRのことです。
③Expansion MRR
逆に、上位サービス・商品への変更によるアップセルで取引額が増えた既存顧客から得られるMRRのことです。
④Churn MRR
当月に解約された既存顧客から得られていたMRRのことです。
MRRの計算方法
MRRは、「提供している月額料金プラン×顧客数」で求められます。
プランが複数ある時は、それぞれを上記の式で計算して、合計します。
契約期間が複数ある場合は計算が少し複雑になりますが、年間契約なら「料金プラン÷12×顧客数」、半年契約なら「料金プラン÷6×顧客数」という具合に、月額に直してから顧客数をかけてください。
最終的に、すべてのプラン、すべての契約期間の顧客分を合計すると、MRRを算出できます。
「ARR」との違い
ARRとは、Annual Recurring Revenue(アニュアル・リカーリング・レベニュー)の頭文字を取ったもので、日本語では「年間経常収益」と表現されます。意味は、1年間に入ってくる収益のことです。
「SaaS Quick Ratio」の概念
先ほど、MRRの推移をみることで、ビジネスの成長率を判断できることをお伝えしましたが、SaaS Quick Ratioを見ることでも成長率を測ることができます。
SaaS Quick Ratioを算出する計算式は、「(New MRR+Expansion MRR)/(Downgrade MRR+Churn MRR)」です。「増えたMRR/減ったMRR」ということです。
割合なのでパーセント(%)で表現され、月次のSaaS Quick Ratioが増加していればビジネスは成長していると判断できます。
MRRだけを比較するのに比べると、New MRR、Expansion MRR、Downgrade MRR、Churn MRRの4つの指標を総評できる点がメリットです。
投資家がMRRを見る理由
投資家が投資判断を行う際は、当然ながらMRRが高いビジネスを選びます。
もっというと、New MRRとExpansion MRRが大きく、Downgrade MRRとChurn MRRが小さいビジネス、つまり、SaaS Quick Ratioが大きいビジネスであることが重視されます。
ただし、投資先企業の成長フェーズによって重視すべき指標は異なります。
創業期は新規顧客の獲得が重要なのでNew MRRが重視され、成長が進むにつれ、顧客ロイヤリティの高さを示すExpansion MRRやChurn MRR、Downgrade MRRが重視されるようになります。
MRRを増やす方法
MRRを増やすためにどんな施策を打てば良いかを検討する際、上でお伝えした4つのMRRを見ることで、方針を立てることができます。
まずは、KPIからもっとも離れているものなど、4つのMRRのなかでどれが一番ネックになっているかを確認しましょう。
それぞれ、以下のような対処法が考えられます。
①New MRRが一番ネックになっている場合
新規顧客獲得を強化する必要があります。
たとえば、マーケティングやセールスの施策を実施することが考えられます。
②Downgrade MRRが一番ネックになっている場合
商品・サービスの利用頻度を向上させる必要があります。
たとえば、ヒアリングなどを行い、商品・サービスが定着していないようなら定着のための、使いこなせていないならユーザーサポートの対応を行います。
③Expansion MRRが一番ネックになっている場合
アップセル、クロスセルを促進する必要があります。
たとえば、顧客ロイヤリティを向上させるための施策などを行います。
④Churn MRRが一番ネックになっている場合
解約防止策を講じる必要があります。
たとえば、過去の解約顧客に対してヒアリングを行い、解約理由から商品・サービスの改善などを実施します。
まとめ
MRR(Monthly Recurring Revenue/マンスリー・リカーリング・レベニュー)の重要性についてご紹介しました。
毎月、定額で商品・サービスを提供しているサブスクリプション型モデルやストック型ビジネスを展開する企業様にとって、ビジネスの成長性をチェックするのに適した指標ですので、ぜひチェックしてみてください。
その際は、4つのMRRのうち、成長フェーズによって重視すべき指標が異なりますので、その点にはご注意ください。
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